衆議院

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第6号 平成13年6月13日(水曜日)

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平成十三年六月十三日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 浅野 勝人君 理事 木村 義雄君

   理事 菅  義偉君 理事 萩野 浩基君

   理事 石井 紘基君 理事 渡辺  周君

   理事 高木 陽介君 理事 中塚 一宏君

      相沢 英之君    臼井日出男君

      江藤 隆美君    岡下 信子君

      奥谷  通君    谷  洋一君

      中川 秀直君    中村正三郎君

      長勢 甚遠君    額賀福志郎君

      橋本龍太郎君    武藤 嘉文君

      森岡 正宏君    森田  一君

      上田 清司君    鹿野 道彦君

      金子善次郎君    今野  東君

      松崎 公昭君    松本 剛明君

      山田 敏雅君    神崎 武法君

      大森  猛君    穀田 恵二君

      山口わか子君    近藤 基彦君

      土屋 品子君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣         石原 伸晃君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   法務副大臣        横内 正明君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   農林水産副大臣      田中 直紀君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   外務大臣政務官      山口 泰明君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局

   長            関本 匡邦君

   会計検査院事務総局第三局

   長            白石 博之君

   会計検査院事務総局第四局

   長            有川  博君

   会計検査院事務総局第五局

   長            円谷 智彦君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進事

   務局長)         西村 正紀君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件

   局長)          大村 厚至君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官

   )            浦西 友義君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    田中  均君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局

   障害保健福祉部長)    今田 寛睦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 坂本 哲也君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局計

   画部長)         百足 芳徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           北村 俊昭君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長

   )            佐野 忠克君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議

   官)           野見山恵弘君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 石川 裕己君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 上子 道雄君

   決算行政監視委員会専門員 鳥越 善弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  小西  哲君     岡下 信子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     小西  哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件




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     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進事務局長西村正紀君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、金融庁総務企画局参事官浦西友義君、総務省大臣官房審議官瀧野欣彌君、総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、法務省刑事局長古田佑紀君、外務省経済局長田中均君、財務省主計局次長杉本和行君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、厚生労働省大臣官房審議官伍藤忠春君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君、厚生労働省医薬局長宮島彰君、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生労働省保険局長大塚義治君、厚生労働省政策統括官坂本哲也君、農林水産省農村振興局計画部長百足芳徳君、経済産業省大臣官房審議官北村俊昭君、経済産業省通商政策局長佐野忠克君、国土交通省大臣官房審議官野見山恵弘君、国土交通省鉄道局次長石川裕己君、国土交通省航空局次長上子道雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村義雄君。

木村(義)委員 おはようございます。

 きょうは、各委員会開催の中、それぞれお忙しい方が皆さんお越しをいただいて、大変恐縮いたしております。ありがとうございました。

 現下の日本の一番の問題点は、景気が余りよくない、一―三もはかばかしい数字ではなかったわけであります。

 きょうは竹中大臣以下、それぞれそうそうたる方々にお越しいただいておりますけれども、やはり日本は構造改革をしなければいかぬ、真の構造改革をする必要があると私は思うのです。

 特に、今一番日本で私自身心配しているのは、非常に日本は高コスト構造になっているのではないか、こう思うのです。それで、日本だけだったらいいのですけれども、片っ方で非常に低コストの国が近くに存在している、それは中国である。そして、人口が少なければいいのですけれども、十何億あるかよくわからない、つまり幾らでも低コストの人を供給できる。そして、もちろん土地の値段もはるかに安い。

 そうすると、日本と中国の関係、これからどんどんいろいろな意味で自由化の中で交流が深まってまいりますと、結局、日本にとって大きな脅威の存在、デフレ要因にもなる可能性があるわけですね。そこをもう少し真剣に取り組んだらいいのではないかな、そうしないと大変なことになる。いろいろな方法があると思うのですが、きょうはその辺の問題点をまずお聞きしたいと思うのです。

 私どもの香川県なんですけれども、手袋は中国や東南アジアにほとんど生産拠点を移しています。それから、タオルなんかも今非常に困っています。これはお隣愛媛県。それから、私ども、石材なんかも中国からどんどん安いのが来て、セーフガードを発動してくれというような話もあるわけであります。それから、農産物の方も、この間セーフガードを発動して、一応一つの対策になっているとは思うのですが、これはあくまでも単品ですから、幅がない。そうすると、どんどん安いコストのものが日本に急激に襲ってくる。

 ここに厚生労働省が出してくれた日本と中国の賃金の比較がありますけれども、製造業なんかを見ますと、日本が四十万円ちょっと、向こうが九千三百円。建設業で、日本が四十五万七千円で、中国が八千八百円。運輸、倉庫、通信業になりますと、中国は一万二千九百円なんですが、日本は四十二万九千円。こんな約四十対一くらいの差がある。これは私は大変な脅威になるのではないか、こう思うのですが、この調子で日本にどんどん押しかけてきたら、これは大変だと思うのです。

 日中貿易を経産省はどういうふうに見ておられるか、局長さん、ひとつそこから始めましょう。大臣、お待ちいただけますか、後で何回か出てきますから。

佐野政府参考人 日中貿易の今の現状について簡単に御説明申し上げますと、二〇〇〇年の日中間の貿易総額は九兆二千億で、史上最高を記録しました。このうち、輸入が、繊維製品等を中心にいたしまして五兆九千億、対前年比で二一・九%の伸びでございますが、同時に輸出の方も、電子部品や鉄鋼、化学製品などの素材を中心といたしまして三兆三千億、二三・三%の伸びを示しております。

 最近の傾向といたしましては、電気機器を中心とする日本のメーカーの現地進出に伴いまして、日本からの電子部品の輸出が増加する一方で、現地で生産した製品の逆輸入が増加をしているという状況でございます。

 また、繊維製品につきましては、対中輸入の中でも最大の輸入品目でございまして、増加率もかなり高くなっておりますが、一方、魚だとか野菜の輸入は、過去三年間、四千億円前後で対中輸入全体の大体七、八%で安定的に推移をしている。三年間くらいは同じような水準だったということかと存じます。

 また、先生御指摘の低コスト、高品質の中国製品が強い競争力を持っておりまして、今後もこれらの増大が見込まれるということは事実でございますが、同時に、中国が近くWTOに加盟をすることが見込まれておりまして、これが実現すれば、残存する輸入制限措置が漸次撤廃をされて、輸出も増大をしていき、相互の貿易量がふえていく、こういう状況になるのではないかと考えているところでございます。

木村(義)委員 黒なのか赤なのか、説明は後で、簡単に言うと。黒なのか赤なのか、どうなの、一言で言うと。

佐野政府参考人 対中貿易の数字は、現在は、日本との関係においては日本側が赤字でございます。ただし、中国だけではなくて香港を入れてまいりますと、実は大体同じようなバランスになっております。

木村(義)委員 具体的な数字は。

佐野政府参考人 具体的数字で申し上げます。

 対中貿易の数字だけで申し上げますと、これはドルで申しわけございませんが、対中輸出三百四億ドル、対中輸入が五百五十二億ドルで、収支は二百四十八億ドルの赤字になっております。ただし、これに香港を加えますと、香港貿易というのは、日本との関係では、日本が全体として二百七十二億ドル輸出でございまして、香港からの輸入の数字は百十二億ドル、こういう状況でございます。

木村(義)委員 まだ日本は赤じゃないか。

佐野政府参考人 香港からの輸入量の方が百十二億ドルですから、ここは黒字でございます。

木村(義)委員 香港からの輸入量は黒字。だけれども、トータルで。

佐野政府参考人 トータルにおいて、香港を加えても若干の赤字でございます。

木村(義)委員 そうだな、赤字ですね。だけれども、これからますますその傾向が強まる。

 特に、このごろは、日本の商社が現地指導して、いわゆる開発輸入と呼ぶのか、それから、日本の種屋が行って日本の種を輸出したりして、それで日本に合う製品をどんどん輸入させている。こういうことをやると日本の産業に与える影響というのははかり知れないものがあるのだけれども、この辺はどういうふうに考えて、どういうふうにしようとしているのか。

佐野政府参考人 中国からの輸入増加の背景には、先生の御指摘のとおり、製造業の現地進出等の動きがあることはそのとおりだと思います。

 例えば、経済産業省において実施しております我が国企業の海外活動事業調査によりますと、中国における日系企業の総売上高の約二割強が日本に逆輸入をされているという状況にございます。しかし、逆に言えば、八割はアメリカだとかいろいろな国に流れている、こういうことでもありますし、その国内において利用されているということであります。また、ネギ、シイタケ、畳表につきましては、輸入の急増に伴いまして暫定セーフガードの発動を行ったところでございます。特定の分野において、中国からの輸入の急増によって国内産業の構造調整が重要な課題になってきているというふうに認識をいたしております。

 一方で、グローバルな経済体制の中では、我が国産業が国際競争力を確保していくためには、労働集約的な産業だとか、製造工程について、人件費の非常に安い中国等に移転しながら、アジアにおける分業構造を高度化していくということが、企業にとっても我が国にとっても重要な状況になってきているというふうに思っております。

 こうした動きは、必ずしも産業の空洞化そのものに結びついているというふうには私どもは考えておりません。例えば、日本から中国への半導体等の電子部品の輸出につきましては、中国で加工組み立てを行う電子・電気機器向けに、過去十年間で九倍に増加をいたしております。そういう意味では、我が国の中において電子部品における雇用等を大きくもたらしているというふうに確信をいたしているところでございます。

 最後でございますが、現在のグローバライゼーションの時代にありましては、国際競争力が比較的ない産業の構造調整というのは大きな課題であるというふうに私たちは思っております。我が国は、国内の資源の乏しい国でございます。貿易立国でございまして、現在の自由貿易体制の維持、発展が今後とも国の存立基盤であるというふうに確信をいたしているところでございます。このために、高コスト構造の是正、規制緩和、新規事業創出のための環境整備等の構造改革や産業構造改革の円滑化への対応について、内外の政策を一体的に運用しながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

木村(義)委員 もうちょっと端的に言ってほしかったのだけれども、構造調整とか構造改革と言っているけれども、ぐるぐる回っているんだよね。構造改革をしなきゃいかぬと言って、ぐるぐる回っていて、何を構造改革するの。どこをどうやったら構造改革になるの。あなたはどういうふうに思っているの。

北村政府参考人 お答えいたします。

 経済構造改革は何を一体やるのかという御質問でございますけれども、一言で言うとなかなか難しゅうございますが、日本の持ついろいろな資源、人材、技術、金融、そういうあらゆる資源、持っている潜在力をフルに引き出していくために、いろいろな環境整備、あるいはそれを邪魔しているような制度を改革する、そういったことが経済構造改革の目的あるいは本質であろうかと思っております。

木村(義)委員 だから、目標がはっきりしないんだよね。

 例えば、高コスト構造、特に賃金等を含めての高コスト構造を直していくとか、それから化石エネルギーに依存した日本のエネルギーの体質を直していくとか、そういう具体的な目標を立てた方がわかりやすいのじゃないかな、そういうふうに思うわけでありまして、もう少しその辺を真剣に考えて――それはいいです。

 そこで、これから中国との関係というのは今度は非常に難しくなってくると思うのです。かつて、日本とアメリカも同じような関係にあった。ただ、今日本と中国との違いは、余りにも人口が多くて、余りにも向こうが賃金が安いということですから、そうなると、かつてアメリカが日本に押しつけたような非常に厳しい通商政策を含めての対応、あれ以上のものを日本は中国にとる必要があるのじゃないの、それはどう思いますか。

佐野政府参考人 お答えをいたします。

 先生の御指摘のとおり、我々が一九六〇年代のころの状況の日米、日本がアメリカをマーケットにして、いろいろな意味で輸出主導で成長してきた段階と、現在の中国と日本というものを考えてみると、そういうような状況に近いものがあるということは御指摘のとおりだと思います。

 私どもとしては、そういう経験も踏まえまして、いろいろな意味で今まで日中の間で経済の協議をずっとしてまいりました。中国に対して、こういう状況のときにどういう形で新しいマーケットに対して対応すべきかということについては、いろいろな経験を語ってまいりましたし、中国に対して、日本のマーケットというものを、ある意味において大事なマーケットだという認識をしながら、ちゃんとした秩序のある形での貿易関係を構築していこうという話し合いをずっと続けているところでございます。

 私どもはそういうつもりでやっておりますし、一方で、そういう中でWTOのメンバーになっていくわけでございますが、自由貿易を原則としつつ、一定の要件のもとで、自国の産業の保護のために、セーフガード措置とか、いろいろな形での緊急避難措置を講ずることはできるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、農産物につきまして我が国は新たな形で急激な輸入増大に対してのセーフガード措置を講じたわけでございます。

 今後とも、ある意味で、急激な輸入増大に対してはそういう措置も考えつつ、また中国そのものが、今申し上げましたように、日本との関係というものについて、十分考慮をしながらやっていくということについて話し合いを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 なお、中国の中でも、最近の農産物の問題についての論調などを見てまいりましても、余りにも特定国に偏り過ぎた形での輸出だとか、盲目的な輸出増大というものにはリスクがあるのではないかというような論調も出てまいっております。私どもは、そういうような点も含めて相互の認識を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

木村(義)委員 セーフガードなんかも単品なんですね、しかも期間も限られているから、私は一時的には有効な手段かと思うけれども、もっと本当に抜本的な対策を打って、それも不断にやり合っていく、そこは非常に必要なんじゃないかと思うのです。

 そこで、せっかく竹中大臣が来ておられるから、大臣、その辺は大分お得意のところじゃないかと思うんですが、どう思いますか。

竹中国務大臣 木村議員の御懸念というのは、大変理解できる大きな問題だと思います。

 同時に、先ほど佐野局長、北村審議官のお話の中にもありましたけれども、やはりこれを根本的に解決していく道というのは、もちろん出入りの貿易のところでの厳重なチェックというものも必要だ、それもさることながら、やはり日本の国全体を、構造的に、いわゆる高生産性の部門に人とか物とかお金とか資源を移動させていくこと、同時に、それぞれの分野の持っている潜在力を発揮させるようなシステムをつくっていくということなんだと思います。

 その意味では、決して楽観はできませんけれども、私は、日本の産業というのはすばらしい潜在力、柔軟性というものを今までも発揮してきたのではないかというふうに思います。例えば、円が急に高くなって、この産地はもうだめだと実は学者とかジャーナリストの多くが思ったところが、やはり信じられないような活性力みたいなものを発揮してきた。これはその産業人の日本の知恵というものも大変すぐれたものだと思います。そういう潜在力を発揮させるようなシステムをつくっていく。その中で、今議員御指摘のような水際でのチェックというものも行っていく、そういう政策が必要なのではないかと思います。

木村(義)委員 具体的な話は、また今度機会があったら、ぜひ聞かせていただきたいと思います。

 それで、大臣がよく言っている、つまり構造改革というのは不良債権処理だ、二、三年でやるんだ、こう言っていますが、金融庁、きょうは村田副大臣が来ていますが、しかし、話を聞いていると、何か痛みを伴う方が先行しちゃって、かえってマインドに変な影響を与えているのじゃないかなと思うのです。不良債権処理、不良債権処理と言いながら、何かこれでは首を切るのが当たり前だというへんてこな雰囲気が非常に蔓延し始めている。

 その辺の具体的な、失業者がどのぐらい出るのかとか、それがまたどのように雇用できるとか、そういうものを考えておられてそういう政策を出しているのですか、その辺はどうなんですか。角を矯めて牛を殺すようなことにならないように、ひとつ考えていただいているのでしょうか。

村田副大臣 お答えから申し上げますが、金融庁としては、不良債権の最終処理の結果、どれくらい失業者が出るか、そういう試算はしておらない、こういうことでございます。

 それは、最終処理のやり方、あるいはどういう産業界あるいは会社が対象となるかによりまして、いろいろ計数が違ってくるわけでありまして、そういう意味で、定量的な分析というのは私どもしていないということであります。

 しかしながら、とはいえ、緊急経済対策にも雇用対策初めセーフティーネットが大変必要であるということ、あるいは竹中大臣のところでまとめられた骨太の対策におきましても同様のことが繰り返し強調されているということは、私ども、そういうことを念頭に置いて、できるだけそのショックを和らげたいという気持ちがあるということを御披露しておきたいと思います。

木村(義)委員 今の話を聞いても、今はやっているのは排出者責任というんですよ。ごみを出した人が責任をとれと。だから、金融庁も、首を切ったところの人は責任をとるべきだ、こう思うんですが、どうも金融庁にはそういう責任の感覚が欠如しているので、しかしこれ以上は、あなたは仲間だからもうやめて、竹中大臣に、きのう、財政諮問会議で五百三十万人という数字出ていますね。何か不良債権処理で五百三十万人首切るから五百三十万人雇用しなきゃいけないような、こんなような感覚でとる人もいるんですな。それはそうじゃないと思いますけれども。この五百三十万人というのは、要するに、アドバルーンは上げたけれども、実態的には可能なんですか。その辺はどうですか。

竹中国務大臣 構造改革の中で生じる懸念がある失業の問題、雇用の問題、それに関連するセーフティーネットの問題というのは、やはり政策の最も中心的な問題、イシューであるというふうに強く認識しています。

 ぜひ、きっちりと議論をさせていただきたいポイントだと思うのでありますけれども、不良債権処理というのは、やはりこれをやらないと、後の失業問題、日本経済の痛みがもっと大変になってくるに違いないという非常に強い懸念があるから、とにかくこの問題は避けて通れないという認識なわけです。

 議員御指摘のとおり、何かそれによる痛みばかりが先に出てくるような印象を持たれると大変困るわけで、だから同時に、それをカバーするような、プラスの面をもたらすような政策をパッケージとして議論しましょうというのが、実は経済財政諮問会議での基本的な考え方であります。

 そのパッケージの中で、では、確かに痛みは伴うかもしれないけれども、一方で日本経済にはどういう可能性があるか、その可能性の部分を示したのが実はその五百三十万人の数字です。

 これは、雇用拡大専門調査会で慶応大学の島田教授らが中心になってまとめてくれた数字でありますけれども、これは決してこんな失業率が出てくるということではなくて、全く逆で、失業が出てきた場合に、一方でこれだけ吸収の可能性、でもこれは可能性であります。この可能性をどのように実現していくか、これはまさに構造改革で、別の意味での構造改革でありまして、コーポレートガバナンスの改善も必要だし、一部には規制の緩和も必要になってくる。そういうものをぜひパッケージとして議論することによって、いわゆる移行期をできるだけスムーズに運営していきたいというふうに考えている次第です。

木村(義)委員 五百三十万人は可能性だと。しかし、本当に実現可能性があるのかというのを、労働省、五百三十万人というのは具体的にどういう数字なの。分野別でいいです。

澤田政府参考人 五百三十万人の内訳でございますが、島田レポート、いわゆる専門調査会の報告が下敷きになっておりますが、例えば、個人向け、家庭向けサービスで百九十五万人、企業、団体向けサービスで九十万人、中古住宅関連サービスで五十五万人。それから、厚生労働省の分野で言いますと、医療サービスで五十五万人、子育てサービスが三十五万人等々、九分野で具体的な数字が試算として出されております。(発言する者あり)

木村(義)委員 今、橋本元総理から、それは無理だよ、そういう話がありましたけれども、坂本政策統括官、それは実現可能なの。あなたのところの数字をちゃんと言ってよ。

坂本政府参考人 厚生労働省として、所管分野でどの程度の雇用創出が可能かという点につきましての基本的な考え方でございますけれども、私どもとしましては、例えばゴールドプラン21、ここで今後の介護サービス、医療の見込みを勘案して、ホームヘルパーですとか特別養護老人ホームの職員など、高齢者保健福祉の分野に従事する労働者の需要が、平成十一年度現在が六十万人で、これが平成十六年度には約百万人になる……(木村(義)委員「今十三年じゃない」と呼ぶ)これは大体毎年八万人程度でふえておる。

 それからまた、育児の分野では、平成十二年度を初年度としました新エンゼルプランでございますけれども、ここではトータルとしまして、合計で約三万五千人分の雇用が創出をされるというふうに見込んでおるところでございます。

 また、看護職員の需給見通しというのがございますけれども、これは平成十七年までの数字でございますが、平成十三年が百二十一万七千人でございましたけれども、平成十七年には約百三十万六千人の需要が見込まれる、こういうふうに見通しておるところでございます。(木村(義)委員「それは差し引き幾らになるの」と呼ぶ)約九万人程度……。

木村(義)委員 だって、あなた、これ、高齢者ケアとか何かいうのは、五十万人と言っているのが九万人しか実現できないし、子育てだって、三十五万人が三万五千人だよ。これは十対一ぐらいの乖離があるじゃない。十対一や五対一ぐらいの乖離がある。

坂本政府参考人 いわゆる島田調査会でのこの提言では、高齢者ケアサービスの分野で五十万人の増ということを見込んでおられるわけですけれども、その内容を見ますと、四十万人がゴールドプランを踏まえての数字、そのほかの十万人はさらなる、公設、民営等の、いろいろな規制改革といいますか、それによる需要増の効果ということで見通しておりますし、子育てサービスの関係で見ますと、こちらで、島田調査会の方では、学習塾だとかそういったものは非常に広い分野を対象に試算をしておられるということで、そのあたりの数字は私どもの数字よりは大きくなっているというふうに思っています。

木村(義)委員 とても学習塾で何十万人の雇用を達成できると思いませんし、ゴールドプランももう今相当、最終盤ですからね。さらにまた新しい、ニューニューゴールドプランかなんかをやるとしたら、今逆に、予算で抑えようとか言っているわけでしょう。だから、相当な矛盾を来している。五百三十万人というのは絵にかいたもちではないかなというような感じがいたしてならないわけであります。

 それで、やはり私は、もう前から言っているように、きょうも言っていますように、高コスト構造が非常に問題なんですけれども、特に問題なのが公的部門の高コスト構造だ。民間部門はそれなりに一生懸命やっている。だから、公的部門の高コスト構造をいかに改善していくかというのがこれからの行革の最大の課題だ、こう思うんですね。

 ところが、石原大臣、まず民間はどんどん首切りだとか、いまさっき言ったように、不良債権処理で何十万人が首になるかわからないというような感じなのに、ひとり官だけが、公務員だけが生涯身分保障されています、賃金は人勧でもって、平均値でもって、高いところで安定して維持されていますと。これじゃ、犠牲には民間がなれ、痛みは民間が伴えと。官はぬくぬくとやっておって、石原大臣、あなたの正義感でこういうのを許していいんですかね。

石原国務大臣 公務員の給与水準は、今委員御指摘のとおり、人事院勧告に基づいて、法律によって定められているところでございますが、平成十一年度と十二年度を見ますと、基本給の据え置きあるいはボーナスの引き下げが行われたところで、平成十一年度職員一人当たりの平均年間給与額でいいますと九万五千円、平成十二年度は六万九千円ほど、戦後初めての減少となったところでございます。

 さらにまた、国家公務員の削減につきましても、中央省庁基本法に定められておりますように、定員削減で十年間に一〇%、また行革大綱において、平成二十二年度までに独立行政法人への移管等の問題とあわせまして、二五%の純減を目指した定員削減というものに最大限努力しているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘を十分に踏まえさせていただきまして、政府としては、今後より一層の行政の減量並びに効率化に努めていかねばならないと考えております。

木村(義)委員 石原大臣には原稿を読んでほしくなかったのだけれども、まあ御苦労さまでした。

 それで、今の話はよくわからないので、実際に例えば、きょうは厚生省の人たちに来てもらっているけれども、私がよく比較するのが、要するに官の病院、国公立病院、特に自治体立病院と民間の医療法人病院と、どのぐらい給与格差があるのですか。

伊藤政府参考人 医師、看護婦などの医療従事者の一人当たりの平均給与額について申し上げますと、平成十年度について資料がございますが、医師につきましては、自治体立病院が平成十二年……(木村(義)委員「全体平均で」と呼ぶ)全体で、従事者一人当たりについて申し上げますと、自治体立病院が七百六十三万、それから医療法人立病院が五百七十六万でございます。

木村(義)委員 今、大臣、二百万円も違うんですよ。そこはやはり本当に真剣に検証していかなきゃいかぬ。

 時間がなくなってきたので、やはりここは構造的な問題だということで、伊藤局長よりも特にきょうは総務省の方から、今、ラスパイレス指数なんかを見ても、大体地方の方が高いケースが多いのですが、なぜ自治体病院は高いの。

瀧野政府参考人 自治体病院の給与につきまして高いのではないかというような御指摘でございますが、御案内のとおり、自治体病院の立地している場所は僻地、離島、山間部というところに多いというようなことで、医師の確保に非常に困難をきわめているということが一つございます。また、看護婦の給与につきましても、経験年数が長い職員が多いというようなことで、平均給与月額も高くなる。あるいは、医療水準の向上を図るために、看護基準につきましても、できるだけ有効な高い方の基準を採用する病院が多い、こういったようなところが給与費が上がる理由かなというふうに思っているわけでございます。

 病院事業は、人的なサービスを提供するものでございますので、できるだけ資質の高い職員を採用していくということは必要なわけでございますけれども、今御指摘のように非常に厳しい財政状況にあるわけでございますので、給与費の見直し、あるいはいろいろな他の民間病院との連携、さらには業務の委託というようなことも組み合わせながら、経費の削減に努力していかなければいけないというふうに考えております。

木村(義)委員 今答えられたところが非常に問題なんですよ。つまり、僻地、離島が多いから医師の確保が困難で、給与が高くなると。じゃ、自治体病院、公立病院は僻地と離島ばかりですか。とんでもないですよ。大都会の真ん中にもあるし、町の中にもあるし、民間病院と実際には競争しているんです。それから、経験年数が長い看護婦が多い、だから給与が高い、全くそこが問題なんですよ。民間は上手に回転をさせる、高い給料の人々をなかなか雇えない、そこで苦労しているわけです。それから、看護基準だって、そこは逆に問題だ。本当に僻地や離島だったら、それに特化すべきなんだ。そう思いませんか。

 そこで、特に、今言った、高い看護基準というような話が出ましたから、逆に、安い看護基準の典型である例えば療養型病床群、こんなのはもっともっと公立病院なんかが適用していいんですが、公立病院において療養型病床群の適用が非常に少ないというのですが、どうなっているの、そこは。

伊藤政府参考人 平成十一年度の数字で申し上げますと、一般病床に占めます療養型病床群の割合につきましては、都道府県、市町村が開設する公立病院につきましては一・九%、医療法人が開設する民間病院におきましては二四・九%となっております。

木村(義)委員 ベッド数なんかどうなるんですか。

伊藤政府参考人 ベッド数で申し上げますと、自治体立病院が二十二万一千床のうち四千百九十七床、それから医療法人立が五十二万四千床のうち十三万六百十四床でございます。

木村(義)委員 圧倒的に差があるわけですよ。それで、要するに、医療費が高いところの患者ばかりを集めてそれを回転させている可能性が高い、こういうことですね。

 それで、非常にそこは、四千床しかとっていないんですね。これは厚生省、厚生省は割合、社会的入院ということでそこをできるだけ是正しよう、急性期から慢性期はしっかりと療養型病床群等で医療費の適正化を図っていこうというのだけれども、公立病院は全然厚生省の方針に従っていないじゃない。熱心じゃない。それで、僻地や難病なんかやらずに急性期ばかりやっているんじゃないですか。

伊藤政府参考人 この療養型病床群の具体的な計画につきましては、都道府県が医療計画上どのようにするか、どれくらいの数字を整備目標にするかということで取り組んでいるわけでございますが、私どもといたしましては、具体的にこの療養型病床群の各地域での具体的な整備目標については、公私それぞれ具体的にどのように対応するかについては、各地域、地域の実情及び病院開設者の選択にゆだねているというのが現状でございます。

木村(義)委員 選択にゆだねるというけれども、むしろ、だから政府が、厚生省が方針を出しているわけでしょう。民間は選択にゆだねているのはわかる、しかし、公立病院はある程度その方針に沿うか、さっき言った難病とか僻地とかそういう政策医療に特化するか、そういう必要があるのではないか、私はこう思えてならないのです。もっともっと、例えば療養型病床群に移行すれば、私は医療費を相当下げることができるんじゃないかと思うのですが、その点。

 それから、これはもう官も民も問わずなんですが、移行しない理由の中に、都道府県が、何か知らないけれども、自分のところの権限を守りたいためにあえてストップしているというような話もあるのですが、その辺はどうなの。それぞれ、まず都道府県の話から。

伍藤政府参考人 介護保険の療養型病床に転換をしないじゃないかという御質問だと思いますが、現在、十八万床の目標に対しまして、ベッド数で約十二万床ということで、七割弱の水準にとどまっておるのが現状でございます。

 それから、都道府県が過剰な規制をするからではないかというお尋ねかと思いますが、介護保険法上は、計画をオーバーしたような場合に療養型病床群の指定を規制するという条文がございますが、現在のところ、実態からいたしまして計画を大幅に下回っているところでございますから、そういった都道府県が規制をするというようなことによってもう転換が進んでいないというような実情にはないのではないかというふうに考えております。

大塚政府参考人 医療費の関連でのお尋ねがございましたので、御質問の中で、介護保険適用の療養型病床群への移行が進めば医療費の増加を抑えられる、あるいは抑制されるのではないかという御指摘だったと思います。

 もちろん、医療費の観点からいたしますと、いわば医療保険の分野から介護の分野に移りますと、その分、医療費の観点からのコストといいましょうか、それは下がることになるわけでございます。(木村(義)委員「どのぐらい下がるの」と呼ぶ)一定の前提を置かざるを得ませんけれども、一万床単位で考えますと、仮に一万床動きますと、医療費に見直しましてざっと約五百億程度でございます。

木村(義)委員 今政府が予定したあれと未達の部分をやったらどのくらい下がるの。

大塚政府参考人 当初、十二年度に想定をいたしましたといいましょうか、推計をいたしましたときに、十九万というような移る目安を考えました。その後、自治体の実際の御意向を踏まえますと、十七万程度という数字も出てまいりましたので、原則十七万程度が移るという前提で試算をいたしました。しかし、現実に移行いたしましたのが十二万弱でございますので……(木村(義)委員「だから、それだと幾ら下がるの」と呼ぶ)金額に換算をして、粗い推計でございますけれども、医療費全体ベースで四千億円弱、三千七、八百億というところでございます。

木村(義)委員 だから、数千億円下がるということですね。それだけでも相当な違いです。

 それで、やはり、今お話ししましたように、公立病院というのがもっと政策医療に特化すべきだ、私はこう思うのです。

 これは、自治体病院経営事例集というのだって、ここはなかなか、自治体病院としては、時間がなくなっちゃうから少しオーバーさせていただくが、自治体病院というのは、本来は、例えば、外来はベッド数なんかの一・五倍が適正だとか言われていたんですが、今は、この事例集なんかによると、三倍をとりなさいとか、それから外来をたくさんとらないと入院のベッドがふさがらないからもっと外来をふやして入院をとれとか、こういう指導をしている、立派な本があるのです。

 ですから、経営の改善と医療費の増加というのと非常に二律背反的なところがあるわけですけれども、私は、そこはこれからしっかりと対応していかなきゃいけない、こう思うんですね。

 それで、大臣、これは医療費のレセプトの上位の点数、一位から十位まで、これは一カ月ですよ。第一位が一千七百万とか、それから第十位まで一千二百万とあるんですが、これを見ますと、一位国立大病院、次が公益法人病院、公立病院、国立大病院、公立大病院、国立病院、私立大学病院、国立大病院、公立大病院、国立大病院、もう公の部門ばかりですよ。そして、このうち、一、二カ月で、死亡、死亡、治療中、死亡、治療中、死亡、死亡、死亡、治療中、治療中と。

 こういうようなことを見ますと、私は、やはりもっと官の方のコストをしっかりと見直さないと高コスト構造というのが直らないんじゃないか。官から率先してコスト構造の見直しに進むべきだと思うんですが、最後に大臣の御所見をお伺いして、終わります。

竹中国務大臣 医療、病院等々につきましては坂口大臣がお答えをするべき問題かと思いますが、総論として、官のコストの見直しというのは、これはもう間違いなく大変重要な問題であると思いますので、諮問会議等々でもそういう精神が生かされるように努力してまいりたいと思います。

木村(義)委員 ありがとうございました。

持永委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 時間が限られておりますので、きょうは、公会計の情報開示及び特会または特殊法人等々の問題ということで、大枠で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、昨年の十月に国の貸借対照表が初めて明らかにされたということで、私も見せていただきました。財政の実態把握ということでは、これはこれで第一歩として評価すべきであろう。ところが、その後、いろいろな新聞各紙等々の論評を読みますと、なかなか手厳しい評価もございまして、どこをどうひっくり返しても、税金や国債、郵便貯金からの資金を投入してつくった公共施設などの資産がどういう状態にあるのか、効率的に運用されているのかが見えてこないですとか、どうもこのままじゃ使えない、まさに試作品だとか、当時の宮澤大蔵大臣の弁を紹介してやゆしている新聞等もありました。

 ただ、こうやってつくったということはその第一歩だということで、これはこれで私も評価したいんですけれども、今後、これをもとに、まさに試作品、試案というふうにも書いてありますから試案であったと思うんですけれども、その後どのような意見、評価及び検討状況になっているか、これをどういうふうに活用しているのかということについてまずはお伺いしたいと思います。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のように、昨年十月に、十年度末すなわち十一年三月三十一日現在の国の貸借対照表の試案というものを公表させていただきました。

 これは、一般会計とすべての特別会計を対象といたしまして、資産と負債を網羅的に把握するということによりまして、国のストックという面から財政事情の全体像をあらわすということを目的としたものでございます。減価償却をした後の資産の評価額の計上、それから退職給与引当金の計上、こういったものをやっておりまして、企業会計の手法を考慮した資産・負債情報を国の財政事情に関する新たな情報として提供するということとしております。

 こういうことを通じまして、先生御指摘のように、国の財政事情について国民にどういった説明責任を果たしていくかという観点から一定の評価を得ているものでございますし、透明性の向上に資するという意味でも一定の評価を得ているものと承知しております。いろいろな方々からもコメントをいただいておりますが、いろいろこれから検討する課題はあるものの、財政事情の開示についての国民に対するアカウンタビリティーの一層の向上という観点から、政府の資産、負債に関する情報を貸借対照表という形で一覧性のある形で出したということで御評価をいただいている面もあると思います。

 ただ、先生御指摘のように、これからもやはり改善を続けていかなければならないと考えておりまして、今後引き続き、いろいろな意見をお伺いしながら改善を重ねてまいりたいと考えております。具体的には、外部の有識者の方々の意見をいただきながら、また各省庁の作業の御協力をいただきながら、十一年度末の貸借対照表について作成してまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今、次長はアカウンタビリティーという言葉を使われたんですけれども、まさに説明責任、情報開示等々、これは今まさに求められている問題だということで、今後こういった形、例えば一般の納税者、国民がこの対照表を見てどうなっているとすべてがわかるわけではないと思うのです。やはり専門家が、いわゆる会計士等々、そういうプロの人たちが見ると、ああなるほどなというふうな部分があると思うんですが、やはりそういった意味では情報を開示していくというこの流れというものをさらに推し進めていただきたいな、そのように考えております。

 さらに、今度は特殊法人。これも、特殊法人の会計処理の見直しということで、昨年の十月六日に発表されて、自民党の方の行革本部として政府へ検討を指示というふうに伺っておりますけれども、今まさに特殊法人も今回の行革の流れの中で大きくクローズアップされている問題であると思います。

 そういった中での、この会計処理の見直しというかその状況について、どう取り組んでいるのか。それをちょっとお伺いしたいと思います。

杉本政府参考人 先生御指摘のように、昨年の十二月でございますが、政府といたしましても行革大綱を決定させていただきました。この行政改革大綱におきまして、国民に対して、国の財政事情をわかりやすく開示し、財政に係る透明性、一覧性の向上を図る、それとともに、先ほどお話がありました説明責任を確保するとの観点から、特殊法人等の会計処理の見直しを行うこととしております。

 現在の状況でございますが、現在、財政制度審議会におきまして、特殊法人等が民間企業として活動を行っていると仮定した場合の財務諸表を、退職給与会計、時価評価会計、子会社も含めました連結重視、それからキャッシュフローの重視、こういった最新の企業会計原則に従いまして作成することによりまして、国民にわかりやすい形で、国民負担に帰すべきコストを開示するという手法について検討を進めているところでございます。検討もかなり進んできておりまして、六月十九日、来週の火曜日でございますが、この財政制度審議会におきまして、行政コスト計算書の作成指針を取りまとめるという予定にしております。

 これに従いまして、九月末までに企業会計原則にのっとった形で具体的な開示が各特殊法人等におきまして行われる予定でございます。

高木(陽)委員 今、財政制度等審議会等でコスト開示等を含めた、その方針というものが確認される中で、今後それをやっていただくと。

 ただ、これは、昨年ようやく国全体の貸借対照表ができてきた。そういった流れの中で今回は特殊法人等もやっていくことなんですけれども、考えてみれば余りにも遅過ぎたな、こんなものはもっと前から、財政の問題が、特にバブル崩壊以降も苦しい状況の中でやってきたということを考えれば、もっと前段階で、そういった発想、そういった開示の仕方、またはそれのチェック、こういうのが必要ではなかったかな。ただ、過去のことを問うても別に前向きになるわけではありませんから、今やっていることをしっかりと推し進めていただきたいというふうにも要望しておきます。

 その上で、今度は、具体的に行革担当の方にちょっとお伺いしたいのですが、この特殊法人改革、特に、最近新聞等のマスコミ報道を見ますと、大胆に、本四架橋公団はもう廃止だとか、そういう活字が躍ってしまっているわけですね。もちろん、その実態を把握した上で対応していかなければいけないと思うのですが、例えば、その典型的なケースということで、本州四国連絡橋公団。四兆円を超える負債、年間の通行料収入が九百億円なのに対して金利の支払いは千四百億。もう明らかにここで赤字になっていくわけですね。この負担軽減のため、毎年八百億、十年で八千億の無利子貸し付けを政府がするというような報道もなされている中で、これは個別具体の問題ですが、要は、特殊法人に手をつけない限りは、本当に行革も進んでいかないという考えの中で、これをどうしていくのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

西村政府参考人 御説明させていただきます。

 今、特殊法人改革につきましては、昨年の十二月一日に閣議決定されました行政改革大綱に基づきまして、具体的な検討を進めております。

 この進め方でございますけれども、まず、特殊法人等につきまして、その事業一つ一つを見直しまして、廃止、整理縮小・合理化を図る必要があるのではないかという観点から、事業の見直しをやっております。それから、その後、それらを踏まえまして、組織形態のあり方について、廃止、民営、独立行政法人化等の組織形態に踏み込んだ見直しをするというのが行革大綱の方針でございます。これらに基づきまして、今事務局で作業をしております。

 ことしの四月三日に、「特殊法人等の事業見直しの論点整理」ということで、特殊法人等はさまざまな事業を行っておりますが、これらの事業類型ごとに見直しの論点を七十六ほど整理したところでございます。これから出資会社等特殊法人の子会社等も視野に入れまして、事務事業の見直しを進めてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今やっている途中ですから、具体的にこうこうこうですと言えない部分もあると思います。ただ、石原行革担当大臣も、そういった部分ではかなりやる気はある方だと思いますし、ここら辺のところ、小泉内閣になって、まさにこれは本当にいろいろなところからの圧力、足の引っ張り合い等々があるかもしれませんけれども、これは一気にやらないと大変な問題になるということ、ここら辺をしっかりと認識していただきたいなと思います。

 その上で、今、国全体の会計ということで、貸借対照表の話、そしてまた特殊法人の話。もう一つは、やはり特会、特別会計。これがよくわからぬ、見えない。

 これもマスコミを引き合いに出すのはどうかなと思うのですが、この活字を見ると、どうなっているんだろうと。

 例えばこれは五月二十六日の朝日新聞、朝日新聞というのは政府、内閣に結構厳しい記事をよく書いておりますけれども、「「赤字太り」特会の怪」というふうに、何かおもしろく書いてあるのです。さらにこれも、「特別会計赤字十四兆円 二十二会計、全体の六割 十四会計は三年連続 年々悪化の傾向」

 これは予算委員会等でも問題となったと思うのですけれども、まず、この特別会計の財務諸表の作成について、一つの切り口としてあると思います。これはまた、自民党の行革本部等々が政府へ、各省庁にいろいろとアプローチをされてやったそのペーパーが予算委員会等で開示されていく中でこういうような記事になっていったのだろうなとは思うのですけれども、この記事だけを読むと、どうなっているんだ、こういうふうに思うのです。

 最初に申し上げました、情報公開の部分。この特会について、今どういう状況になっているのか、そこら辺をお聞かせ願いたいと思います。

杉本政府参考人 特別会計につきましては、従来から、予算書、決算書におきまして財務諸表を添付するとか、「決算の説明」といった文書を通じまして、財務状況、事業内容について開示を行ってきたところでございます。

 また、先ほど先生のお話にございましたように、財務省を初めといたしまして各省庁とも、自民党の行革本部からの要請によりまして作成いたしました財務諸表を公開しているところでございます。

 こういった取り組みをしているところでございますが、今後とも、国の財政について透明性の向上、説明責任を果たしていくという観点から、政府としては、特別会計につきましても積極的な情報開示に努めてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 自民党の方も、与党の中核としてそういった動きをされている。私ども、友党として連立与党を一緒に組ませていただいて、この問題については一緒になってやっていかなければいけないという認識に立っています。

 ただ、もちろん与党としてそういうのをやっていくのは大切な部分なんですけれども、要は、財務省というのが財政の中心としてやっているわけですから、そういった意味では、特会と一般会計、特殊法人などへの複雑なお金の流れ、これは別にごまかす必要もないわけですし、逆に明らかにして、むだなものを省く。これはまさに財務省のやるべきことであると思うのですね。また、財務省がやらなければ、これは、各省庁とも、どこも自分のところのやっていることは、やはり生気を持ってやっていると思うのです。

 そういうところをきっちりとやっていただきたいということの中で、特に特会の事務事業、そういったものに切り込んでいくためには、それぞれの内容の総点検といったものも必要ではないかと思うのですけれども、そういった見直しの部分についてはどのように考えておりますか。

杉本政府参考人 特別会計は、例えば、特定の事業についての事業収支や受益と負担の関係、こういったものを明確にすることができるといった利点がありますことから、一般会計と経理区分することにより財政の状況が明らかになるものに限り設置されるという考え方で設置されておるものと考えております。

 先生御指摘のように、財政事情は非常に厳しい状況でございまして、それを国民の皆様にわかりやすい形でわかっていただくということは非常に重要なことと考えております。

 その上で、十四年度予算におきましては、財政健全化の第一歩といたしまして、国債の発行額を三十兆円以下に抑えるということを目標といたしまして、聖域なき構造改革を行うという考え方のもと、あらゆる歳出の徹底した見直しを行うということにしております。特別会計によって行われている事業についてももちろんこの例外ではございませんでして、全く予断を持つことなく、先生おっしゃるように、総点検を行うということがぜひとも必要であると考えております。

高木(陽)委員 時間も大分なくなってきてしまったのですが、今、聖域なき構造改革という小泉総理が言われているこの構造改革の、聖域なき、そういうところから今クローズアップされているのが道路特定財源。まさに、特会をいじってくると特定財源の問題にも触れざるを得ない。そういった中で、この道路特定財源が象徴的に取り扱われている。

 これを一般財源化するのがいいのか、それとも今のままの方がいいのか、論議がいろいろとあるところだと思うのですが、実は、私は東京選出というか首都圏に在住する人間として、これは石原東京都知事もかなり主張されていますし、小泉総理もまたいろいろなところでコメントされているような形であるのですが、要は、道路特定財源を全部なくせということではないんですね。その割り振りの仕方。

 これは、都市部の人間から見ますと、もちろん地方は、道路がなかなかないということで、そういう意味ではしっかりつくってもらいたい、その要求はあると思うのです。ところが、昭和三十年代、これができたころはそれはそれでよかったでしょう。でも、今全国的にある程度の道路網が普及している。まだまだだという意見もあるのですけれども、逆に言えば、都市部は、おくれたがゆえに首都機能が麻痺してしまっているというようなことがあるのです。

 例えば、具体的に言えば、環状道路が東京及び首都圏で今ずっと計画されている。外側から行くと、圏央道があって、また外環があって、中央環状があってという中で、全部できていない。これがまた大変な問題になっている。こういうところで、東京都はそれは主張して、何とかしてくださいねと。だから、配分の仕方、こういうのが問題ではないかなというふうに私は考えているのです。

 もちろん、今の段階で、こっちです、あっちですというふうに結論は出せない。財政諮問会議等もありますから、そういうところでまた論議は再度詰めてもらいたいと思うのですけれども、そこら辺のところは今どういうふうになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

杉本政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、十四年度予算におきましては、あらゆる歳出につきまして、聖域なき見直しということで徹底的な見直しを行っていくことにしております。

 先生お話がございました道路特定財源につきましては、既に今国会等におきまして、小泉総理及び塩川財務大臣の方から、特定財源について見直すという基本方針が明らかにされているところでございます。

 ただ、本件につきましては、さまざまな御議論があるところでございまして、その見直しに当たりましては、予断を挟まず、どういう方向に使っていくべきかということにつきまして、今後政府・与党において真剣な議論が行われるべきものと考えております。

 いずれにいたしましても、財政当局といたしましては、現在の非常に厳しい財政事情のもとで、財政資金をより有効な観点から活用を図るということで、年末までの予算編成過程において適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 もう時間だと思うので、まさにいろいろな意見がある。いろいろな意見があるからこそ、逆に言ったら、オープンにしていった方がいいと思うのです。それぞれの立場、それぞれの地域、それによって意見が違うのは当然なんですよ。特に道路特定財源なんというのは、よく都市部対地方という言い方をされている、どっちにも言い分があるわけですから、どっちが正義、どっちが絶対的に正しいというのはないと思います。

 そういった中で、その論議をオープンにする中に、多くの国民がコンセンサスを持つ中でそういった見直しがきちっとできる、こういう流れをつくるべきであるということを主張して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 何か、御多忙のところを出たり入ったりでございまして、本日三十分、民主党のトップバッターということで質問をさせていただきます。

 大臣には、就任早々大変精力的にさまざまなところで御発言等されているのは承知でございますが、先般、六月の八日ですか、行革断行評議会が開かれた。その第一回目の議事の要旨については、私もホームページ等で見させていただいているわけでございまして、いろいろな出席された方の意見の中には、国民の意見をフィードバックする役割をこの評議会が果たすべきだということがございました。

 これは、質問の通告の中でそこまで詳しく書いたかどうかわかりませんけれども、この会議の性質と、これからどのような頻度で会合を開き、そして今お話がありましたような発言者の意向を酌めば、国民の意見というのを、果たしてどういうふうに役割を肉づけをし、そして世論を喚起して方向性を出していくかということにつきましてどうお考えなのか、まず第一点そこをお尋ねしたいと思います。

石原国務大臣 渡辺委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 行革断行評議会は、私の私的な諮問機関でございまして、そして、再三再四これも委員会等でもお話をさせていただいているのですが、行政改革というものは、きょう議論をさせていただく立法府、そして行政、また、私どもは自民党、保守党、公明党と与党で連立政権を組ませていただいておりますので各政党、これらすべてが一体となって、今委員御指摘のとおり、国民の皆様方の御声援そして問題意識の共有ということなくしてはできないと思っています。

 そのような観点から、言ってみれば、行革事務局がございますところが最前線の基地である、そういう認識でございますので、この基地に私は司令官として赴任しているという気持ちのもと、そこの基地におります顧問、大所高所からのアドバイスをいただくメディア、公認会計士あるいは大学の行政改革の専門家の方々等にお入りいただきまして、議論をまた大所高所からしていただいているところでございます。

 開催につきましても、適宜節目節目で御意見をちょうだいいたしまして、この行革事務局が各省庁とこれから、具体的な折衝がもう起こっているわけでございますけれども、その状態について、省庁側に押し返されているのではないか。行革大綱というものをつくってはありますけれども、この行政改革、特に特殊法人改革等は抜本的な改革というものがこれまでなかなかなされ得なかった。そういうことからも、このあり方について評価、御審議をいただきまして、叱咤激励をちょうだいしてこの困難な改革に取り向かってまいりたい、こんなふうに考えさせていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 今、特殊法人改革それから公益法人改革を中心に議論するのだということがございまして、特殊法人改革という言葉がございました。

 ぜひ御自身のお考えを聞かせていただきたいと思うわけでありますけれども、御自身の発言の中には、特殊法人というのはホーンテッドマンションだ、お化け屋敷だ、どうなっているんだか全然わからなくて、内部の人間しかわからない。もっと言えば、内部の人間だってよそのことなんてわからないのだといいますが、この特殊法人の実態というのをどこまで今大臣は把握していらっしゃるのか。あるいは、この行革断行評議会がどれぐらい把握しているのか。それからまた、もしやるとなれば、ある程度歳出削減の目安を出していかなきゃならないと思うのです。その点についてはどのようにお考えなのか。ぜひ今の御自身のお考えで御答弁をいただきたいと思うのです。

石原国務大臣 渡辺委員の御質問にお答えさせていただきたいと思うんですが、ホーンテッドマンションだと言ったのは、やはり一に、私が一番疑問に思いましたのは、予算主義すなわち現金主義で会計がなされていて、その予算をちゃんと消化したかしなかったかが特殊法人の会計基準になっている。しかし、それはある意味では、これまでお金を幾ら使ったかということに代表されますように、それが適正に、本当に効率的に使われたかどうかというような観点、あるいは特殊法人が抱える子会社等もございまして、この子会社の方の内部留保というものの総体額もまだ明らかになっていない。

 そんなところで、今回の特殊法人改革におきましては、千の子会社につきましても、一般の事業会社の会計と同じように連結して見ていくような、また、現金主義で会計をやっている特殊法人ですけれども、仮にこれが一般の事業会社と同じように派生主義の会計をとったらどういうふうになるのかといったような会計の面からの問題。これは、九月の末には、各特殊法人が、バーチャルと言ったら過言かと思いますけれども、ある種バーチャル的な企業会計、一般の事業会社の企業会計にのっとったバランスシートが出てきた段階で、より一層この特殊法人の問題点、本当にこの一番の問題点は有償資金で運営をされておりますし、また委員御指摘のとおり、一般会計、特別会計から共済組合を除きましても五兆二、三千億円入っているわけですから、これが本当に根拠のある数字なのか。

 といいますのは、事業はどんどん自然増殖してふえておりまして、その事業に見合って補助金がふえていっているということもございますので、この補助金が、一体幾らむだがあってカットできるのかということも、この事業の見直しを現在させていただいておりますので、事業の見直しの結果、積み上がった数字がこれから出てくるという認識を持たせていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 この補助金のむだ、それからカットということは、本当に常々指摘をされながら、これまでなかなか抜本的な改革がなされてこなかったわけでございます。特に、この特殊法人というのは、まさに全くわからない。我々もいろいろなところでこの内容を調べようとしましたが、特殊法人に関する情報公開というのはこれまでほとんどされてこなかった。

 例えば、この行革断行評議会のメンバーでもあります猪瀬直樹さんなんかは「日本国の研究」というような本の中でつぶさに書かれまして、最近では特殊法人についても世論の目はかなり向けられてきたわけでありますが、ぜひこの補助金、九月末にはある程度財務内容等を含めてはっきりするのじゃないかということでございますが、その後で、今年度中にはかなり具体的に直視されると思いますけれども、実際その中でどれぐらい具体的にこれから本当に具体名を出してできるのか。

 そこがないと、先ほど高木委員かどなたかの話にもあったかと思いますけれども、これは時間をかけると、いろいろな形でその存在意義というのは皆さん主張されます。どの方もみんな、我々はその存在理由としては必ず必要なんだということになると、最終的にはどれもこれもみんな必要になって、結果として思い切った改革案の断行がそれこそ滞ってしまうのじゃないかというふうに私は危惧するわけでございます。

 今回のいろいろな方針の中で、具体的な名前は避けるというふうに出ておりますけれども、大臣御自身としては、こういうものはどうなんだろうかというものがもしありましたら、ちょっとお尋ねをしたいわけであります。

石原国務大臣 委員が御指摘されましたように、時間をかけると、いや社会的に存在意義があるんだ、政策的に意義があるんだという話が特殊法人の側から返ってくるということは想像できるところだと思います。

 そんな中で、小泉総理の所信の中でも、この特殊法人につきましては、ゼロベースから見直して、国からの財政支出の大胆な削減を目指すと初めて所信の中で御提起いただいております。これを私ども受けまして、先ほど言いました子会社等も視野に入れて、事業内容、事務事業をゼロベースから見直させていただいている。

 そうしますと、廃止すべきものは廃止する、民営化すべきものは民営化する、あるいは政策的に必要なものとして、しかし特殊法人というぐらいでございますので、特殊法人という形態から脱して、独立行政法人に近い形で、実施主体としてふさわしいような新しいものを模索していくということが、この事業見直しの後、組織形態論として決定に至る、その中で個別の名前が出てくる。その作業はこの八月の終わりぐらいに具体的に当方の事務局と特殊法人側とがやり合って、おたくのこういう事業は必要ないのじゃないですかということを明らかにさせていただく。

 そこで、今委員御指摘のようなことが実際に起こってきて、これを当委員会あるいは内閣委員会、所管の委員会で議論をすることによって、国民の皆さん方の目の前に実態を明らかにし、また行革事務局として、また、私の所管する行政改革全般の中での特殊法人のあるべき姿が具体名として出てくることになる、そのような計画を持たせていただいているところでございまして、今現在、どの法人をどうというようなことは私も今のところ考えておりません。

渡辺(周)委員 本来ならばここでなかなか名前を出せないというのは私も承知の上で伺うわけですが、私ども民主党も、今特殊法人改革ということについて、プロジェクトチームをつくって、一つずつ全部ヒアリングをしまして、民営化すべきか廃止すべきかという形でいろいろと議論をしています。道路関係の特殊法人に関しても、当然、そういうチームがあって、今いろいろな角度から検討しております。

 ただ、これは事業を急ぎませんと、来年度の予算編成の時期になりますと、ある程度、皆さんだんだん予算編成の時期に入ってくる。ですから、これはかなりスピードアップしてやらないと、そういうことで、我々も当然、政府から出てきたときには既に対案を出せるように、今早急に準備をしているわけでありますから、ぜひその点について、もう一度覚悟のほどを伺いたいなと思うわけでございます。

 あわせて、必ず出てくるのは、今お話がありました、その事業の意義でありますとか、今は必要ないかもしれないけれども、将来はこれは社会資本として必要なんだというのは必ず出てきます。今このような財政状況の中で、おたくがこれをやる必要はないじゃないですかと言うと、今は必要ないかもしれないけれども、これは将来において必ず必要だという話になります。例えば、地元からも大変強い要求があるんだなんということが出てくると、すべてにおいて全部必要になるわけであります。

 社会資本整備というのは、確かにこれは一理あると思います。しかし、社会資本整備というのは、必ず出てくるのは採算ばかりを言う問題じゃないと。先ほどの委員の質問とちょっと食い違うかもしれませんが、必ず出てくるのが、例えば病院というのは採算を度外視してでも福祉向上、健康のためにやらなきゃいけない。教育だってそうだ。だから、学校や病院は採算を度外視してつくる社会資本と同じように、道路も必要です、ダムも必要です、林道も必要ですといってどんどん出てくるわけでございます。

 ぜひその点については毅然たる哲学を持って進めていただきたいと思うわけでありますが、もう一度覚悟のほどをこの問題についてお尋ねしたいと思います。

石原国務大臣 今まさに渡辺委員が御指摘されたことを、実は私も五月の末だったと思いますが、総理に指示されました、というのは、やはりスピードアップしてくれと。

 そういうことで、繰り返しになるかと思いますけれども、特殊法人の事業の一つ一つの見直しを今やっているところで、この事業を廃止すべきだ、あるいは整理縮小、合理化すべきだといったようなゼロベースからの事業見直しについての十八類型ごとの取りまとめというものを来週にもお示しさせていただきたいと、今、当初の予定より十日間から二週間程度スピードアップさせていただきまして行っております。

 また、これも先ほど委員御指摘のとおり、予算というものがございまして、特別会計あるいは一般会計とで五兆数千億のお金が特殊法人に補助金という形で入っているわけですから、平成十四年度の改革に間に合わすべく、委員の御指摘、まさに同感でございますので、この十四年度の予算に間に合うべくこれから事を進めさせていただきたいと改めて申し述べさせていただきたいと思います。

 また、意義の点につきましても、もう委員御指摘のとおり、経済情勢の変化によって存在意義がなくなったんじゃないかという論点で私どもは切り込ませていただいておりますし、あるいは、民間ができる、また民間の市場を奪っているんじゃないかといった論点も指摘させていただいておりますので、この論点、この社会的存在意義というものを最大限に考えさせていただきまして、今後とも、出資会社などいわゆる特殊法人の子会社も視野に入れまして、各法人の事務事業をゼロベースから見直し、そしてこの結果を受けて、先ほど来委員御指摘の組織形態を抜本的に見直すなど、特殊法人改革に鋭意取り組んでいかせていただきたいと考えております。

渡辺(周)委員 これとあわせて、今特殊法人については、とにかく民業を圧迫している部分、こんな話はもうさんざん耳にたこができるぐらい聞かれていると思います。

 温泉場なんかに行きますと、一等地に大変立派な何とかトピアというのがあって、こんな不況の中で、中小の旅館なんかはもうみんなばたばたいっちゃっている。にもかかわらず、そんなところがどんどんつくられて、とてもじゃないけれどもかなわない。それでいて選挙になると、何か組合で集められて、某与党の候補やれとかなんとか言ってきたって、おれたちの仕事を奪っておいて何で、こんなものをのさばらせておいて、それでいて選挙のときだけ頼みますなんてばか言うなというような意見が来るわけですよ。だからといって、民主党を応援するというところまでまだなかなかならないところが我々も苦しいところなんですけれども。実際そういうところがあって、弱きを圧迫しているようなところに関しては、ぜひこれは本当にやっていただきたいなと思うわけです。

 それで、時間がないから次に行きますが、公益法人改革という点について、猪瀬さんの「日本国の研究」なんかにも出てきます。これは、実は私も非常に関心を持っていまして、こういう陳情を受けたことがある。これは私の地元、静岡県の沼津市というところですが、そこの水道屋さんたちの集まりがありまして、水道屋さんたちがこういうことを言いました。

 水道工事をやると、旧の役所の名前でいうと、例えば建設省、それから水道だと厚生省、技能検定でいうと労働省といって、あと自治省だったでしょうかね、これが全部何かよくわからないけれども資格制度を持っていて、試験を受けさせるんだと。結果として、財団法人何とかセンターとか社団法人何とか会が、水道工事をやるとなると七つ資格があった。今度とうとう、去年あたりだったでしょうか、八つ目の新しい試験を、資格取れと言われた。今までなくてもよかったのに、今度は新しい資格をつけ加えられて、それがないと仕事ができなくなるんだと。

 その方々、全部その上部団体に加盟をして、何か会費を払うと半年か何カ月かに一遍会報を送ってきて、送ってくる会報に講習会の案内が載っているからそれをとっていなきゃいけない。それで、大体、御存じのとおり、お父さんが社長さんやっていて、お母さんが、奥さんが経理を見ていて、息子かもしくは若いのが二、三人職人さんでいて、本当に四、五人でやっている零細企業ばかりです。この方々が、しょっちゅう仕事を閉めて、我々静岡県ですと、例えば、名古屋か東京か横浜あたりで年に一回ぐらい技能検定の講習会があるから行かされる。新幹線に乗って二、三人連れていけば、例えば、二日間仕事を閉めて、それで受講料払って新幹線に乗って行かなきゃならない。ただでさえ今非常に不況の中で厳しいのにもかかわらず、こんなところでコストをかけさせられている。こういうのが一本化してくれればこんな楽なことはないと言われました。

 何でできないんですかと私が聞いたら、全部それが、省庁ごとの縦割りの団体があって、内容はほとんど似たり寄ったりだ。何でこんなものを、建設省の技能検定と労働省の技能検定と厚生省の技能検定があって、一本化してくれないんだと。そのたびに何か講習費を払って、こんなことをされたら、正直、家を建てる、工事をするときにその分のコストを転嫁しなかったら、とてもじゃないけれどもやっていけない。それで日本のコストというのはどんどん上がっていくようになっているんだと。

 ですから、家を建てると日本の家は高いようになっている。日本で工事をすると必ずコストがかさむようになっているのは、これは水道屋さんだけでそういう例ですから、当然、ガスを扱う人もいれば、あるいは電気設備士だとか電気工事をする人とか、いろいろな団体があって、それがみんなそういうことで辟易しているわけであります。これは別の意味での民業圧迫だと思うのです。この点についてもぜひメスを入れて実態を把握していただきたいと思うのです。これは、この方々は水道屋さんでしたからこういうふうに言っていましたけれども、もう間違いなく……。

 それで、ことしの一月だったでしょうか、国の所管する公益法人の総点検に関する各府省庁担当の、いろいろな役所が一覧表でございました。この総点検しろというのを見たら、実施した項目が、公益法人が本来民間企業でもできる事業を行い、民間企業がやるよりも料金が高くなってユーザーの利益も害していないか、あるいは、その活動は許可された目的どおり本当に公益を増進しているのか、実際の活動は目的を達するためにやっているか、そういうことで、四項目にわたってマル、ペケ、三角をつけて、ちょっとホームページに出ていました。見たらほとんどマルです。みんな、まさに目的もかなっているし、やっていることも正しいんだと。しかも、あんなホームページ見ても、こんな画面の中に、もう字も読めない、虫眼鏡で見なかったら見えないような細かい字でその結果が載っているんですね。ただマル、ペケ、三角だけです。

 これではこの実態を把握できないと思いますので、ぜひ私どもは、そういう零細、いろいろな団体の方々、選挙のときだけ推薦状をもらって、比例区の候補者の応援を押しつけるだけじゃなくて、やはりそういうところに行かれて、ぜひそこでお声を聞いていただきたいと思います。あるいは、そういう団体のトップの方々に、そういう断行評議会があるのならばそこに来ていただいて、例えばぜひヒアリングをしていただきたいと思いますね。

 これは猪瀬さんの本の中にもありましたけれども、二重、三重のいわゆる検査、検定、認可、資格付与、こういう名前でいろいろなことをやらせている。たしかこの「日本国の研究」の中には、スポーツジムのインストラクターの話か何かが出ていたと思うのです。スポーツジムのインストラクターも、やはり厚生省と文部省と何かに分かれている。これは、みんなその資格を取らないとインストラクターになれなくて。だから、日本のこういうスポーツジムみたいなところはみんなコストが高くて、一般の人間はなかなか参加できないようになっている。

 こういう点を、ぜひこの点も含めて検討していただいて、とにかく日本の国はいろいろなことに関してコストがかかり過ぎている。サラリーマンが大体一生かかって家を買えないなんという、こんなあほみたいな国は多分世界ではここしかないであろう。一生懸命働いて、自分の死んだ後の生命保険と退職金を当てにしなかったら家のローンが完済しないみたいな。

 せめて、そこにかかっているコストを下げる意味で、こういういろいろな生活の隅々に行き渡っている、いわゆる公益法人によるコストアップにつながっている部分、細かいことをたくさん積み上げてやってきた、この点にぜひメスを入れていただきたいと思うんですが、その点についての実態を御承知かどうか、それから、もしそうでなければ、ぜひこういうことをやりたいということをお尋ねしたいと思います。

石原国務大臣 委員御指摘の点は、実は特殊法人改革よりも派手じゃないということで、なかなかクローズアップされない問題ですが、今水道の例とインストラクターの例を出されましたように、日本の社会の隅々にこういう公益法人の検査、検定、お墨つきといったようなものがはびこっているという現実があり、またこれが、水道の事業者の方にとりまして、多大なコスト増になっているという御認識は、私もまさに同感でございます。

 そんな中で、私どもとしては、この公益法人につきましても、時代の変化により意義が失われていると考えられる事務事業について十分な見直しが行われていない、まさに委員と同じ認識を持たせていただいておりますし、この四月に、行政委託型公益法人改革において視点と課題というものを整理させていただいたんですが、その中で、公益法人に製品の安全性確保のための検査、検定などを行わせている仕組みについて必要ないものは廃止する、こういうことを基本に厳しく見直しを進めているところでございますし、さらに行政委託型公益法人について言えば、例えば考え得る事項といたしまして、国から事務事業を法人に委託する場合の根拠や基準を明確化する。あるいはその法人の財務、これもなかなかクリアになっておりません。財務や事務のディスクロージャー、あるいは一体どんな人が天下っていて、何人ぐらいの役員の方がどのぐらいの報酬や退職金を持っているのか、あるいは財務会計など、こうした分野につきましても新しいルールをぜひつくらせていただきたい。この夏には、改革を具体化するための方針を、中間的な方針になると思いますけれども、取りまとめさせていただいて、年度内に公益法人につきましても実施計画を取りまとめ、平成十七年度までに実行するというかたい決意のもと行わせていただきたいと考えております。

 そして、もう一点御指摘がございましたのは、いわゆる総点検だと思います。私も見させていただきました。私は厚い本の方で読んだのですけれども、それもめくるのが大変なぐらいで、印象的に言うと、マルが多かったというのは同じ印象を持っておりますが、バツのところも厚生労働省のところでかなりあったような気がいたします。

 これは実は、総点検いたしましたけれども、その総点検結果について今分析をしております。委員御指摘のような問題がないかどうか、分析結果をやはり年度内ぐらいにはもう一度取りまとめて、私どもがこの分析結果をどう見るのかということも明らかにさせていただきたい、こんなふうに考えております。

渡辺(周)委員 とにかく、知らないうちに、こういうものだろうと日本人も思わされてきたところがあって、安全性の確保だとか品質の保証だとかというと、何か知らないけれども、どんどん納めるのが当たり前だった。あるいはもっと言えば、知らないところでコストが上乗せされていたということがこの国のこれまでの姿だったんだと思う。だから、この問題に対して、ぜひそういう声を結集して、ぜひとも方向性を早く出していただきたいなと思うわけでございます。これが一つ。

 それで、ちょっと最後数分になりましたので、二つお尋ねしたいと思う。一つは、今最後にお話のありました天下り。この天下りということについて、大臣はどうお考えなのか、ぜひひとつお尋ねをしたいと思うのです。我々今、天下りに対しての極めて厳しい法律をつくろうということもやっておりまして……(発言する者あり)もう出たんですか、済みません、出ているんだそうです。まず天下りのところについても大臣のお考えをひとつ。

 それからもう一つは、公務員制度の改革についてですが、今回いろいろな改革の大枠を見ておりまして、一つちょっとここで確認したいのですけれども、これはキャリア制度、ノンキャリア制度とありますよね、最初からスタートラインとゴールが違っているような。果たして、大学卒業時の二十二歳ぐらいのときの学力がたまたま高かったから、非常に成績がよかったことで、公務員制度改革という中で、採用段階の区分というのがあって、しかもそこで1種だとか2種だとかというところでスタートライン。

 今大分変わったようでありますけれども、今なくなったようですが、昔は、大蔵省あたりに入ると、二十八、九歳で税務署の署長になって、自分のおやじみたいなのが自分の部下にいたなんてことがあったわけです。今もあるのかどうか知りませんが、例えば郵便局の局長になったり、警察署の署長になったりすることが間々あるわけで、実際、我々もそういう幾つかの現実を見てきたわけでありますが、そんな中でキャリア制度、ノンキャリア制度というのをどうお考えか。そして、公務員制度の改革に、能力本位で適材適所の任用の実現とありますけれども、どうやって能力本位だとか適材適所ということを判断できるとお考えなのか。

 一つは天下りについて、もう一つは、公務員制度改革の中で今回抜け落ちている視点でありますけれども、いわゆるキャリア、ノンキャリアという部分、この点についてどのようにお考えなのか、最後、その二点お尋ねしたいと思うのです。

石原国務大臣 委員御指摘の点についてお答え申し上げたいと思います。

 天下りの方からお答えさせていただきますと、これはいわゆる公務員の方の再就職の問題だと思います。

 これは、先ほど来お話をさせていただいておりますように、特殊法人、公益法人等も組織形態まで抜本的に見直す改革を今議論させていただいておりまして、仮の話でございますが、これまで天下りと言われている対象になっていた特殊法人や公益法人の組織が変わりますと、そこには天下れなくなるというか、存在がなくなるわけでございますので、この組織形態論とあわせまして、民間企業への天下りも含めまして、公務員の方々の再就職の問題は、この改革とあわせて検討させていただいて、年度内にやはりあるべき姿を提示させていただいて、また議論の俎上で議論をさせていただければと考えております。

 二点目の質問は、いわゆるノンキャリア、キャリアと言われるものを今回の公務員制度改革でどう改革するのか、このままでいいのか悪いのかといったような御質問だったと思うのです。

 私は、個人的に言わせていただいても、やはり優秀な人材や効率的な幹部養成の観点から、キャリア制度というのは、そこそここれまではうまくいっていた、まあそこそこですね。そして今回、公務員制度の大枠で私どもがお話をさせていただいておりますように、今委員御指摘のとおり、若くして署長さんになるとかそういう弊害は今除去してきていますけれども、1種で入った人が、おれは1種だということでその地位へ安住するというのですか、その一方で、2種、3種の人は能力があるのにその能力が十分に発揮できていないという問題もあるということも十分認識をさせていただいております。

 そんな中で、ノンキャリ、キャリアの問題はどうあるべきかということなんですが、私は、個人的に、やはりある程度のパワーエリートというものは必要なんじゃないかというふうに認識をしております。今回の公務員制度改革では、新たな給与制度や人事評価システム、まあ人事評価というのが一番難しいと思いますけれども、導入として、優秀な2種、大学一般、大学卒業の方でございますけれども、こういう人たちにも幹部になっていただく、そういう道をつくっていかなければなりませんし、その一方で、おれはキャリアだといって全く仕事をしないような人たちは厳しく処遇される、信賞必罰というのでしょうか、採用区分にとらわれない、能力本位で適材適所の任用を実現できるように取り組んでいきたい、こんなふうに今のところ考えさせていただいております。

渡辺(周)委員 もう質問時間も終わりましたが、一言だけ。またぜひこの問題についても、きょうはちょっと抽象論で終わってしまいましたが、また改めてやって、もう方向性が同じであるならば、ぜひまたこちらからも提案をして一緒にやっていかれればというふうに思うわけでございます。

 済みません、きょうはありがとうございました。

持永委員長 次に、今野東君。

今野委員 民主党の今野でございます。

 私は、国家的イベント、オリンピックあるいはサミットについてお尋ねしようと思います。

 去年の七月二十一、二十二、二十三、三日間行われた沖縄サミットですけれども、もう既に一年余りも前のことでありますが、しかし、このサミットというのは繰り返し七年置きあるいは八年置きですか、行われるわけです。

 前回の様子を見てみると、あの沖縄サミットのように八百十億円もかけて、そして費用対効果というのを考えると、例えば朝鮮半島情勢のように日本がイニシアチブをとろうとしていた話題もロシアのプーチン大統領が来てお株をとられてしまったり、それから、NGOとの対話重視といいながら、そのNGOセンターはプレスが集まる国際メディアセンターと離れていて、しかも、そのメディアセンターに記者証を持たないNGOのメンバーは入れないというような、プレスとそれからメディアとNGOの隔離状態を生んで、今でもあの沖縄サミットは、外務省は自画自賛しておりますけれども、あれは何だったのだという話をよく聞きます。

 ああいうものに八百十億円をかけて、また七年、八年後に同じようなイベントを、どこでおやりになるか、東京でやるのか地方でやるのかわかりませんけれども、やられては、この財政が逼迫している状態の中でかなわない。私たちは経験から学ばなければいけないという観点に立ちまして、質問をさせていただくのですが、貸し座敷とかあるいはバンケット業務にだけ精を出して成果が得られなかったと言われる沖縄サミットですが、この検証をしたいと思います。

 全体にわたって実はお聞きしたいんですけれども、時間もありませんから、去年の七月二十二日に首里城で行われた首脳晩さん会、社交夕食会について、ここに絞ってお話を伺おうと思いますが、まず、沖縄サミット、二十二日の夜、サミット社交夕食会、私たちは晩さん会、晩さん会と言っておりますが、社交夕食会にかかった費用は全部でどれぐらいだったんでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 九州・沖縄サミットのお尋ねの社交夕食会でございますけれども、夕食会と、その前にレセプションがございまして、一定のエンターテインメントも含めて行ったわけでございます。総経費といいますのは、準備段階に一年ぐらいかけて準備をいたしておりますけれども、いろいろな首里城の改修とかそういうことも含めて、総額八億一千三百万円ということでございます。

今野委員 八億一千三百万円。確かに準備は前の年度からかかっているんですね。平成十一年度からかかっております。

 私も外務省にお願いして出していただいた資料がここにあるんですが、首里城の図面作成契約金額が六千九百七十九万円、それから社交行事第一次企画書作成というのが一千三百万円。この企画書の作成の一千三百万円というのは、算定の基準というのはどういうふうにして出すものなんですか。

田中政府参考人 委員御案内のとおり、今回、沖縄で開催をしますに当たって、故小渕総理の非常に強い御指示というのもございまして、これは唯一の社交行事ということでございますから、できるだけよいイベントにしてもらいたいという御指示がございまして、これは、請負業者は電通さんにお願いをしたわけでございますけれども、具体的な考え方というのをお示しして、その企画内容、企画を作成するために必要な事項等をお示しして、その中で、電通が作成した見積もりが適正だということが認められたため、電通と契約をいたしたということでございます。

今野委員 いや、私が聞いているのは、どこと契約したのかということを言っているのではなくて、この企画書の作成費一千三百万円というのはどういう算定基準なのかということを聞いているんです。もう一度お答えください。

田中政府参考人 これは具体的な、例えば、基本計画を策定するのに一体どれくらいの金額がかかるであろうか。それから、サミットのイメージソングをつくりたいという御指示もございました。そういうものの制作関連作業にどの程度の費用がかかるであろうか、あるいはそのための監修の経費というのはどういうことであろうかということを御相談しながら、もちろん政府の部内でも議論を尽くした上で、電通から提示があった、企業の方から提示があった金額が妥当ではないかということで結論に至ったものでございます。

今野委員 つまり、一千三百万円の企画書作成費というのは、電通から言われたままの請求書をそのままのんだということですね。

田中政府参考人 そのままのんだということでは多分ないと思います。これはいろいろな事情がございまして随意契約ということになったわけでございますが、もともとこういうようなイベントを考えているという考え方が総理を初め御指示があったわけですから、そういうことに基づいて詳細を尋ね、その結果、それが妥当であろうということだと思います。

今野委員 よくその算定の基準がわからないんですが、お元気だった小渕元首相がよいイベントにしたいということで電通にということなんですけれども、よいイベントにしたいというのならば、イベントができる業者は幾らでもあるわけですから、なぜそのまますぐに電通に企画書をというふうにいくのですか。ほかの業者に企画書を出すようにというようなことは考えなかったんですか、しなかったんですか。

田中政府参考人 社交夕食会、その前のレセプションもそうでございますけれども、故小渕総理は、演出は長野オリンピックを手がけておられる浅利慶太氏に依頼をしたい、それから歓迎レセプションのときのサミットのテーマソングの作成は小室哲哉氏に依頼をしたいということでございました。浅利慶太氏につきましては、通常電通と共同で演出を手がけておられる、それから小室哲哉氏につきましては、当時電通が小室氏個人と契約し、その業務を請け負っておられたということから、本件演出に係る業務というのは電通に委託をすることにしたということでございます。

今野委員 長野オリンピックも浅利慶太さん、そして沖縄サミットも浅利慶太さん。国家的な行事になると浅利慶太さんという人がよく出てくるのですが、政府と浅利慶太さんの関係というのはどういうふうになっているんでしょうか。

田中政府参考人 本件につきまして私どもが承知しておりますのは、小渕元総理が非常に強い意向を持っておられて、浅利慶太氏にお願いをしたいということでございました。

今野委員 そうですか。こういうイベントというのは総理の意向でだれかにすっと決まっていくものなんですか。私は一期生で、まだ一年しか国会議員をやっておりませんので教えていただきたいんです。

田中政府参考人 一般論で申し上げるわけにまいりませんけれども、少なくとも沖縄サミットにつきましては、沖縄に決めるときの経緯から見ましても、小渕元総理が非常に強い思い入れを持っておられて、こういう社交行事、特に沖縄でやる社交行事の演出というのは浅利慶太氏にお願いをしたいということでございました。

今野委員 中曽根元総理とも大変親しいという浅利慶太さん。何でもかんでも浅利慶太さんが出てくるというのは、私は非常に不自然だと思います。

 沖縄サミットで浅利慶太さんは何をやりましたか。

田中政府参考人 浅利慶太氏につきましては、総合的なプロデューサーという形で、事前のレセプション並びに晩さん会について総合的な演出を手がけられたというふうに承知しております。

今野委員 つまり、浅利慶太さんは名前だけだったと。

田中政府参考人 要するに、これはソフトでございますから、まさに浅利慶太さんが総合的な演出をする上でプロデューサーであったということでございます。

今野委員 総合的な演出で浅利慶太さんは何を決めましたか。

田中政府参考人 こういうイベントと申しますのは、沖縄の固有の事情、それからサミットの晩さん会をする、あるいはレセプションをするというときのサミット自体の運営にかかわる問題、そういう形で外務省も検討に加わっていたわけでございますけれども、そういう中で、いろいろな検討の形、だれ一人が決めたということよりも、いろいろな形で議論をしながらこういう企画になっていった。その中で浅利慶太氏が大きな役割を果たされたということだと承知しております。

今野委員 総合プロデューサーをお願いしているのならば、そこで指導的な役割をしているはずですよね。みんなで何も出てこなくて、特別の意見は出てきません、だったら要らないじゃないですか、そんな人は。なぜ浅利慶太さんが必要なんですか。

田中政府参考人 繰り返しになりますけれども、こういうイベントをきちんとよいものにしたい、それについては浅利慶太氏に総合的な演出をお願いしたいという総理の御意向がありまして、浅利慶太氏の過去の経験、そういうことも踏まえて、いろいろな意味でアドバイスをされたということだと思います。

今野委員 しつこいようですが、浅利慶太さんは、例えばこの沖縄サミットで何をアイデアとして出されましたか。

田中政府参考人 私、個別詳細については今お答えできませんけれども、私が承知している範囲で申し上げると、まさに、これはもうずっと、例えば首里城というものを改修し、そこでどういう形で晩さん会をやるか、そのときに必要な一つの図式、雰囲気というものはどうかということも含めて、浅利慶太氏のアドバイスがあったというふうに承知しております。

今野委員 何度、どのような形で聞いても、浅利慶太さんがどういうイメージを持ってこの沖縄サミットの演出をしたのか、あなたの説明ではちっともわからない。全然出てこない。つまり、必要がなかった、この人は。名前だけでいいということなんですね。

 では、この晩さん会、社交夕食会のプロデュースをしたのはどなたですか。

田中政府参考人 プロデューサーという形では、浅利慶太氏でございます。

今野委員 現実にここに文芸春秋があって、これは去年の九月のものですが、ここに、「サミット「晩餐会」てんやわんや」、安倍寧という人が自分がプロデュースをしたと書いてあるのですが、これは違うのですか。

田中政府参考人 私も手元に文芸春秋の安倍寧氏が書かれたものを持っておりますけれども、正確に申し上げますと、プロデューサーということでは浅利慶太氏であった。浅利慶太氏が、社交夕食会の演出というのは安倍寧氏に協力を依頼されたということで、安倍氏につきましては、あくまで一つのアドバイザーという役割を担っておられたというふうに思います。

今野委員 アドバイザーという人が、このサミットの晩さん会をするについて、食事はどうするかと、何回も試食会をし、当日も晩さん会をやっている最中にその場所が見えるところにいる。それはアドバイザーの仕事でしょうか。

田中政府参考人 これはもともと電通との契約に基づいて企画書をつくり、それから種々の演出というのは行われていたわけで、その中で、総合的なプロデューサーというのが浅利慶太氏であった。浅利慶太氏が、安倍氏についてはアドバイザーとしての役割で協力を依頼した。

 それで、まさに安倍氏につきましては、検討会にも何回か参加をしていただいて、いろいろな人の意見を求めるといいますか、こういうものというのは、多分いろいろなイベント、特にサミット関係の社交の行事ということでございますから、いろいろな方の英知を結集しながらこれを実現したということであろうかと思います。

今野委員 安倍寧さんがこの晩さん会のプロデューサーとかディレクターだということをなぜ言いたくないのか、私はわかりませんが、この文春に、ちょっと紹介しますが、浅利慶太さんに呼ばれて安倍寧さんがこういう話をされているのです。

  浅利は私にこういった。

  「あんたは、このごろすっかり俺のお株を奪って食に精出しているようだから、総理のために知恵を出してやってくれないだろうか」と。

  いわれてみれば、私は美味探究が唯一の道楽といえば道楽である。フランス各地の三つ星レストラン行脚を始めたのは、七五年からである。

云々と、ずっとあるのです。

 そして、現地でサミットの料理について、

  現地で調達できないものは、すべて持ち込んでしまおうという発想である。私は、持たず、作らず、持ち込ませずの非核三原則の絶対的な支持者だけれど、サミット晩餐会については“持ち込み三原則”でおこなうべきだと考えた。

ということで、この人は晩さん会のプロデューサーなんですよ。いいです、仮にアシスタントでも何でも。なぜ安倍寧さんなのか、私はわからないのですが、説明していただけますか、そのアドバイザーなりなんなり。

田中政府参考人 安倍寧氏につきましては、先ほども申し上げておりますけれども、総合的なプロデューサーたる浅利慶太氏の依頼ということでございます。

今野委員 浅利慶太さんはこの晩さん会にいないのですよ。プロデューサーが何でいないのですか。

田中政府参考人 それはまさに、全体の企画、実行に当たったのは株式会社電通でございまして、電通が責任を持って企画書に従ってやるということでございますから、その電通の中でまさにいろいろ役割分担をされたのだろうというふうに思います。

今野委員 安倍寧さんという人は音楽評論家なんですよ。イベントプロデューサーでも何でもないんですね。劇団四季の取締役なんです、浅利慶太さんの関係で。なぜそのグループだけにこういう仕事が流れていくのか、なぜいつも電通なのか、私はよくわからない。そこのところが大変不透明です。

 大変残念ですが、時間がありませんから、次の質問に移ります。

 このように国家的な行事に取りかかるときに、大変お金がかかるわけですね。国として、サミットのような場合とオリンピックを一緒にすることはできませんが、次に、オリンピックのことについてお尋ねしたいのです。

 七月十三日に二〇〇八年のオリンピック開催地が決まるというふうに聞いておりますが、大阪はイスタンブールと並んでIOCの評価検討委員会から低い評価を受けておりますが、これをどう考えていらっしゃいますか。

遠藤政府参考人 五月の十五日に公表されましたIOC評価委員会報告書における大阪市の評価につきましては、都市基盤、競技施設など大会開催能力の点で高い評価を受けている一方、大都市の共通の課題でございます交通混雑による輸送の点、あるいはインフラ整備に係る大阪市の財政負担の点が課題として指摘をされ、北京、パリ、トロントの評価に比べて課題が多いというふうに指摘をされたところでございます。

 私どもとしては、世界最高水準の都市基盤と良好なスポーツ環境を有している大阪市は、オリンピックの開催都市としてふさわしいと確信しているものでございます。

今野委員 ふさわしいと確信をしていても、低い評価を受けたのではしようがないじゃないですか。

 低い評価を受けて、IOCの報告書に異論がある場合、補足のコメントを出すことができますね。二十五日までに出すというふうに、たしか先日の文部科学委員会だったか、おっしゃっていましたが、記録を見ましたが、二十五日までにIOCに出すというのは出されましたか。どのようなものを出されましたか、そしてその結果はどうでしたか。

遠藤政府参考人 先ほど申しました課題につきまして、五月二十五日までに、輸送の点あるいは大阪市の財政負担の点についてはオリンピック開催に支障がないということを説明した意見書をIOCの委員会に正式に提出をしたわけでございますが、この意見書は本年の一月にIOCに提出をしました立候補ファイルを補うものとして正式書類ということになるわけでございまして、これらを参考に七月にモスクワで行われます開催都市の決定の委員会の参考資料になるというふうに理解をしております。

今野委員 どうも余り可能性がなさそうな感じがするのですが、大阪に決定する可能性というのはどれぐらいあると思っていますか。

遠藤政府参考人 今、正式立候補都市が五都市でございますので、五都市で競い合っているということでございます。

今野委員 だから、競い合っているところで大阪がイスタンブールと並んで低い評価を受け、可能性がなさそうですね、それでもあるとすればどれぐらいですかと聞いているんですよ。

遠藤政府参考人 IOCの評価委員会ではそういうような評価であったわけでございますが、正式にはIOC委員会の委員の投票で決まるということでございますので、投票の結果を見ないとよくわからないということでございます。

今野委員 それでは、めでたく大阪に決まったとしまして、どれぐらいお金がかかるのですか。

遠藤政府参考人 大阪がオリンピックを開催するために直接必要となる経費といたしましては、大会運営に要する経費と主要競技施設の整備に要する経費がございます。

 先ほど申しました、本年一月十六日に大阪市がIOC委員会に提出しました正式の立候補ファイルにおきましては、大会運営に要する経費といたしまして約二千億円、主要競技施設の整備に要する経費といたしまして約八百億円を見込んでいると承知しております。

今野委員 そうすると、二千八百億円。そんなもので済むのですか。そんなものでオリンピックができてしまうのですか。

 大阪オリンピック招致委員会のホームページなんですけれども、これを見ますと、交通基盤整備、競技会場整備、オリンピック村整備等で二兆八千三百八十六億円かかることになっているのですが、その開きは何ですか。どこか何か計算していないのですか。

遠藤政府参考人 今申し上げましたのは直接的な経費でございまして、そのほか、オリンピックということではなくて大阪の都市基盤の整備ということも含めて、例えば関西国際空港あるいは阪神高速道路等々いろいろな整備を考えておりまして、そういったような費用を含めますと二兆八千億余りになるということでございます。

今野委員 最初からそう言ってくれればいいじゃないですか、二兆八千億もかかると。そのうちのどれぐらいを国で支出しなきゃいけないのですか。

遠藤政府参考人 国費の支出につきましては、平成十年十二月の閣議了解におきまして、大会運営に係る経費につきましては、適正な入場料の設定、事業収入等により賄われるものとする、こうされております。それから、主要競技施設の整備に要する経費につきましては、多様な財源の確保に努めるとともに、国の負担割合は二分の一以内、こうされておる。これは、主要競技施設でございますから、二兆八千億の部分ではなくて、先ほど申しました八百億の部分でございます。

今野委員 いずれにしましても、こうやって地方はさまざまな、サミットにしてもオリンピックにしてもそれから万博のようなものにしても、とにかく誘致をして、これはだれもが承知のことですけれども、社会資本を整備したい、公共事業を持ってきたいと考えるわけですね。

 でも、僕は、そういう時代はもう既に終わっているのじゃないかと思うのです。どうなんでしょうね。これで可能性がほとんどないんですから、むしろ北京の強力な応援をした方が政治的には得策ではないかという見方もあるようなんですけれども、どう考えますか。

遠藤政府参考人 オリンピック競技大会の開催は、国際親善あるいはスポーツの振興に大きな意義を有するものでございまして、このたびの大阪招致につきましては、これまでも閣議了解あるいは国会決議を行うなど国を挙げて取り組んでまいったところでございます。

 したがいまして、私どもとしては、大阪市がオリンピックの開催都市としてふさわしいと確信しておりまして、七月のIOC総会に向けまして、大阪市と連携協力を図りながら、引き続き努力をしてまいる所存でございます。

今野委員 もうほとんど結果が明らかなのに、大阪がふさわしい、大阪がふさわしいと言い続けるというのは、国民はどう見るんでしょうか。そろそろ別な方向でお考えになった方がいいんじゃないかなと思うのですけれども。

 こうしていろいろ質問をさせていただきましたが、地方経済をこういうさまざまなイベントを誘致してきて活性化させたいという地方の気持ち、これは私たちも大いに理解できるわけであります。ですから、国の財源を地方に移譲する、また、さまざまな補助金をやめて一括交付して、何をしたいかを地方に決めてもらうというようなやり方をこの決算行政監視委員会でも早く話し合わないととんでもないことになってしまうのではないかという意見を申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。

 質問の前に、昨日、経済産業大臣が大変重要な発言をテレビでされましたので、きょうは古屋副大臣がお見えですので、大臣と一心同体であるということで、見解をお聞きしたいと思います。(発言する者あり)いや、失言じゃなくて発言でございます。

 COP6の京都議定書に関して、アメリカが離脱するということでずっと私ども議論しているわけですが、それについて、さらに日本側も世界も譲歩してアメリカを入れる努力をしたらどうか、こういう発言がございました。

 京都議定書の経緯をよく御存じの方でしたら、あの京都議定書をつくる場面で、アメリカの要求にことごとく譲歩して京都議定書にこぎつけたわけです。

 この場に及んで、アメリカの非常にエゴイスティックな、自分の国だけを考えて京都議定書から離脱するということを、日本としては、私は、まず我が国が批准をして、世界にリードしてCO2の削減を日本の技術をもってやる、これが筋ではないか。今、アメリカに対して妥協する、譲歩をする、このようなことはもうあり得ない。しかも、こちらが幾ら譲歩しても、アメリカが京都議定書に入ってくるということは考えられない、こういうふうに思います。

 国内の産業界からの意見か何か、突然そういう意見が出てまいりましたので、日本としての、あるいは経済産業省としてのこの件についてのはっきりした意見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

古屋副大臣 昨日の記者会見の内容を私は詳細には承知をいたしておりませんけれども、常日ごろから大臣が主張されておりますことは、やはり京都会議の主催国として、日本、欧州、アメリカそれぞれの合意に向けて、積極的に汗をかいていく必要がある、こういう認識だと思います。そういう観点に立っての御発言ということで私は認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、今回は中間段階の報告との位置づけでございまして、我々としては、日米欧がともに参加する国際枠組みの実現が最も重要だ、このように感じております。

山田(敏)委員 くれぐれも、アメリカに譲歩するということではなくて、アメリカが入っても入らなくても、とりあえずこの京都議定書は発効していくのだということをぜひお願いしたいと思います。

 さて、きょうお聞きしたいのは電源開発特別会計でございます。

 さきの三月一日の予算委員会分科会で大臣に御質問しました新潟県刈羽村のラピカの問題でございます。

 御存じのとおり、このプロジェクトは、茶室をつくって、畳は十三万円の畳、実際にあるのは一番安い数千円の畳が敷かれてある。部屋が総ヒノキであるという設計で数百万円お金を払った。ところが、行ってみると、それは集成材を使われている。かわらは日本で最高級の手焼きのかわら、そういうものが使われている。恐らく数万円の高価なものです。行ってみると、JISマークが張ってある、ホームセンターでもどこでも売っているようなかわらが使ってある。庭は全部御影石が使ってあるということで、これは一つ数百万円だと思うんですけれども、そういう石がありますということで、既に払われました。しかし、行ってみると、ただの石が使ってある。非常に詐欺的な、国民の税金を、本当にばかにしたやり方で、住民が非常に怒って、そして取り上げた経緯がございます。

 その件に関して、これは当然、もし私が個人で家を建てた場合には、そのような詐欺的な、設計と少し違うというのならいいのですけれども、根本的にでたらめをするような工事をされたら、直ちに私は訴訟を起こしてお金を取り戻す、これは当たり前のことなんです。しかし、もう相当な月日がたっています。しかも、一月に衆議院の調査室が調査をして、そして三月に大臣から答弁をいただいて、この交付金を返還するんだ、これをやりますということで答弁をいただいたのですが、既にそれから三カ月がたちました。これについて、いつまでに、どういうふうに交付金の返還をするのか、国民、納税者が本当に納得できる形でそれができるのかどうか、ちょっとお答えをいただけますか。

古屋副大臣 委員御指摘の生涯学習センター、ラピカの問題につきましては、私どもも重大な関心を寄せております。そんなことで、担当者を既に現地に派遣するなど調査を実施しておりまして、この中で、交付決定内容と実際に行われた事業内容の差異につきましては、補助金等適正化法に基づきまして、報告徴求を通じまして、村から、三百二十カ所の変更点あるいは相違点について、各種変更内容、その目的及び金額上の評価に関しまして、詳細に説明を聴取しているところでございます。

 今後、専門家による評価も行いまして、迅速かつ正確に事実関係を把握した上で、補助金等適正化法に基づきまして、厳格な対応をとってまいりたいと考えております。めどといたしまして、大体本年の八月もしくは九月ぐらいまでには報告書を取りまとめたい、このように思っております。

 また、関係する資料につきましても、調査結果をもとに情報公開に努めてまいりたいと思っておりまして、本件についての処理を公明正大に実施していきたい、このように思っております。

山田(敏)委員 村が出した報告内容だけで、この建物で三百二十カ所も設計と全然違うことをやりましたというと、普通、尋常な建物じゃないというのはわかると思うのです。

 そこで、このラピカが建設中あるいは設計段階で、通産省の東北通商産業局の方が、四回にわたって、検査マニュアルに従って検査をされております。平成七年、平成八年、平成九年、平成十年、二名から三名の方が、ここに検査マニュアルがございます。これによりまして、工事中に、もちろん設計から設計図面、仕様書、それからでき上がり、工事中の写真、工事日誌、これを全部確認しましたということになっています。

 今回、さっき申しましたように、十三万円の畳が、一番安い、ベニヤ板に畳表がホチキスでとめてあるような畳があるということは、素人の方が見てわかったわけです。総ヒノキの部屋が集成材だというのは、素人の方が見てわかった。専門家じゃない。この人たちが、こういう検査をして、問題はありません、大丈夫ですと言って、やってきたわけです。これは通産省がやってきた検査です。今やっている検査が、果たして納税者が納得する、返還金が幾らになるのか、本当にそれが正しく行われたのかというのが極めて怪しい、ずさんだというような印象を受けるわけです。

 この交付金の返還を、正確に金額を出そうと思ったら話はすごく簡単で、工事をされたゼネコンのところに行って、本当に工事をやった図面がありますから、設計した図面とは別の図面がありますから、これを手に入れて比較すれば正確にわかります。この図面は今ありません。この事件以来、ゼネコンは本当に工事をした図面をどこかに隠したか燃やしたかわからないのですけれども、これがない段階で、今経産省は調査を行っています、専門家の意見を聞きますと。

 では、幾らぐらいの金額の返還を要求するんだろうかということで、私は三月の中間段階でちょっと聞いてみました、数千万円はわかっていますと。これは七十億から八十億の工事ですから、そして今言いましたように、もうとんでもない、半額とかそんなものじゃなくて、極めてずさんな、素人から見て、恐らく最低でも二十億か三十億はだれかが間を抜いたんだなという印象を、私だけではなくて、現地を見られた方は皆持っているわけですね。それに対して、返還はせいぜい一億ですとか言うと、喜んでそれは返還しますというようなまことにお粗末な結果になる予想がつくわけです。

 納税者は、例えば一億円脱税すると、大変厳しい処罰を受けます。もちろん国税査察が入って、金庫から家から全部調べられて、そして刑務所に行きます。しかし、二十億も三十億も私たちの大切な税金をどこかにとっちゃった人は、これは強制捜査も受けません。今、法律で報告書を求めたとおっしゃいましたけれども、その報告が正しいかどうかわかりません。経産省がそのゼネコンの事務所に行って、金庫を全部あけて、書類を全部強制捜査すればわかります。いかにも納税者と、そして税金を使う立場のアンフェアな状況がここで起きているわけです。

 今申し上げましたことを踏まえまして、もう一回フェアな、本当にこれは金額が幾らなのか、そして今後の、法改正も含めて、こんな大事な何千億というお金をずっと交付されているわけですから、それが本当に正しく、国民、納税者が見て納得できることはできるのかどうか、それの法改正、私は強制捜査権というのが必要だと思うんですけれども、その辺のお考えを。

古屋副大臣 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、このラピカにつきましては、今後中立的な立場、そして専門的な知識を持つ関係者の皆さんに御協力をいただきまして、交付金交付権者といたしまして厳正な調査を進めてまいりたいと考えております。

 では、この設計図が果たしてどうなのかという問題につきましては、実は最初の段階の図面、それから竣工図の図面というのは手持ちのものがございますので、そういったものをしっかりと勘案しながら、客観的な情勢を踏まえまして、適切に評価していきたいと思います。十分にそのことは可能だと思っております。

山田(敏)委員 その図面が本当の図面かどうかというのはわからないわけですけれども、一応、でき上がった建物はもう壁も塗ってあるし、中身は調べる方法はない。この検査が正確に行われていれば工事状況の写真が残っているはずですが、それは副大臣、こういう書類は残っていると思われますか。平成七年から検査されているんですけれども。

古屋副大臣 御指摘の書類は現在残っておるとということでございます。

山田(敏)委員 それでは、その工事現場の書類をまた後ほど見せていただきたいと思うんですが、建物をもう一回壊すぐらいのつもりで、これは大変な詐欺的な工事でございますので、その辺をよく考えて、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。

 次に、三月一日の予算委員会で、私が、ラピカのような、人口五千人の村に二百四十億円も交付金をまいて、もう使い切れない。やることは全部やった。水道も下水道も道路も、公民館も五つつくって、体育館も六つつくって、もうやるところないぐらいやって、それでもまだ百億円使い切れないで残っている。そもそも、そういう非合理なやり方がこういう大変なずさんな工事を招いたんだというふうに思っております。

 それで、ここにリストがございますが、全国の調査を行ってくださいと。本当にこのラピカのような問題が全国で行われているとしたらば、納税者の立場からすれば大変我慢のできないことであるということで、三月にお願いしました。大臣は、では、やりましょうということで、三カ月たちました。きのう省庁から来ていただきましたけれども、納得のいく調査が行われているというふうな印象は持ちませんでしたので、きょうここで御答弁をお願いします。

古屋副大臣 委員御指摘の三月におきます委員会で、鋭意調査をするという答弁だったと思いますけれども、平成十二年度の事業については、検査マニュアルを充実することによりまして調査を進めておりまして、その結果、平成十二年度の事業については、ラピカのような問題は実は指摘をされておりません。今後は、必要に応じまして、平成十一年以前の問題についても調査を検討していこう、このように考えておるわけであります。

 今後も、ラピカに関する経済産業省としての調査結果を取りまとめ、これを踏まえまして、交付金の執行等につきまして適正を担保すべく一層の努力をしてまいりたい、このように思っております。

山田(敏)委員 今、検査マニュアルが変更されたということで、二つの検査マニュアルがここにございます。これはラピカを検査したときの三枚の検査マニュアルでございます。それ以降、今おっしゃった平成十二年から行っているという新しい検査マニュアルです。私、比較してみましたが、項目をちょっと詳しく書いてあるという程度のものでございまして、本質的に、このラピカの問題が起こった原因を深く追及して、二度とこういうことが起こらないということに対する対応ではないんじゃないかなと。

 ちょっと副大臣にお伺いしたいんですけれども、今申し上げましたように、この検査マニュアルで、過去四回にわたって二人ないし三人の方が行って、そして工事状況に基づいて、これは普通の、今も言いましたように、畳なんか見ればすぐわかるし、屋根も素人でもわかる、石なんかもっとはっきりわかるわけですけれども、これをすべて見逃した。まだほかにたくさん、今調べたら、三百二十カ所も設計が変更されているのに、一カ所もそれが、過去四回にわたって、出張費も使って、恐らく何日かやられたと思うんですけれども、一つも発見することができなかった。これはどういう原因だとお考えになりますか。

古屋副大臣 今答弁させていただきましたけれども、やはり過去の事例をしっかりチェックをするということでこの検査マニュアルをつくりまして、そしてそれに基づきまして、平成十二年度分について調査をしたということでございます。結果的にそれについては特に異常がなかったということでございますけれども、やはり今後ともそういうチェックというものを十二分にしていく必要があると思いますし、また、平成十一年度以前についても、今申し上げましたように、必要に応じて調査をしていくというふうに申し上げた次第でございます。

 また、このラピカの問題につきましては、委員が指摘しましたように、三百二十カ所という大変数多いふぐあいが見つかったということは大変遺憾でございまして、今後はこういうことが二度と起こらないように、しっかりそういう調査をしながら対策を講じていきたい、このように思っております。

山田(敏)委員 私の質問は、過去こういう検査マニュアルがあって検査が行われて、そしてなぜ発見できなかったかという質問でございますので、お答えください。

古屋副大臣 過去におきましての調査というものが、私としては十分に行われていた、このように思っております。

 したがいまして、今申し上げましたように、今後はこういうことが二度と起こらないように、事前のチェックを含めて十二分に対応していくということが何よりも大切ではないか、このように思っております。

山田(敏)委員 副大臣、ぜひもう一回、検査された方の名前は全部ここにございます。平成七年、今も通産局におられるそうです。一回ちょっと呼んでいただいて、どういうことをやったのか。本当にこの検査マニュアルのとおりやって写真を写したんだったら、三百二十カ所も設計が変更している現場をごらんになって、四回も、しかも複数の方が行って、必ず一つや二つはわかるはずです。一つもわからなかったということは、この検査の仕方には重要な問題がある、重要な欠陥があると思います。

 この四人の方、名前がございますので、近日中に呼んでいただいて、本当にどういう検査をしたのか、どうしてそれが一つも発見できなかったのか。それがわからなかったら、平成十二年度、今検査されましたと言われても、何も発見できないのと同じことです。同じことをおっしゃっているわけですね、過去、この検査の結果何も問題はありませんでした、十二年度についても何も問題ありませんでしたと。それでは幾ら何でも、国民、納税者の立場、今納税者は血のにじむ思いで税金を払っているわけですから、二十億、三十億が簡単に、そんなずさんにされたら、ちょっとこれは本当に、政治家として、国民の代表として、ぜひお願いします。いかがですか。

古屋副大臣 今御指摘のありました四名の担当官につきましては、私もしかるべく対応させていただきたいと思っております。

 何度も申し上げますけれども、やはりこういう事件が起こってしまった、これは否定をすることができません。だからこそ、今後はこういうような事件が二度と起こらないような体制をどうやってつくっていくか、そういう未来志向の考え方に立って十分な対応をしていきたい、このように思っております。

山田(敏)委員 この電源特会はエネルギー政策の中で非常に重要な地位を占めているわけですので、非常に厳しくやっていただかないと国民の信頼がなくなってしまいます。

 そこで、この電源特会から、特殊法人、公益法人、これは十八あるのですが、ここに補助金なり交付金が支払われております。この十八の特殊法人、公益法人について、大変多数の中央官庁の天下りがございます。

 過去五年間に、報酬それから退職金、一体幾ら払われたのかということを私はぜひ知りたいと思って、お尋ねしました。特殊法人の方は、経済産業省の関係は全部で十三ございまして、お尋ねしました。そのうち三つしか答えていただけません。四番から十三番までは、個人のプライバシーの問題だから答えられない、担当者が出張中であるから答えられない、こういうような答えが返ってきました。国民の税金を補助金で受けて、それで運営している公益法人、特殊法人の報酬について、しかも役員の方の報酬について答えられないというのは、これはどこがプライバシーの問題なのかわかりません。

 それともう一つ、文部科学省の担当の法人がございます。これはすべて答えていただきました。役員報酬も退職金も、全部私手元にいただいております。何で経済産業省が別のことを言って、文部科学省は全部出せるのに出せないと、これはおかしいと思いますので、ぜひ副大臣、これは国会議員同士でございますので、その国会議員の立場から御意見をちょっとお伺いしたい。

古屋副大臣 今私の方に手元に資料がございませんので、後刻、私の方からも調査を要請いたしまして、しかるべき対応をさせていただきたいと思います。

山田(敏)委員 ありがとうございます。お待ちしておりますので、ぜひお願いいたします。

 ちなみに、文部科学省の出しました資料の中で、補助金を受けている団体で、日本原子力研究所というのがございます。これは年間に大体約四十億ぐらいの補助金を受けているわけですが、過去五年間の役員報酬、退職金を合計しますと、六億円近いのです。御存じのように、特殊法人の役員報酬、退職金というのは非常に高額です。もうほとんどの方が五年間で三千万円近い退職金を受けておられます。

 この小泉内閣で、先ほどもございましたけれども、特殊法人の改革をするということは、今民間の方はリストラでどんどん失業の危機にある、そして役員報酬というのはどんどんカットされている、特殊法人の役員報酬、退職金だけはもう、民間に比べ非常に高いレベルでいつまでもとまっている、これをぜひ、これは事実でございますので、これについて特殊法人改革を進められるお立場だと思いますので、御意見をお願いします。

古屋副大臣 御承知のとおり、特殊法人改革につきましては政府としてもしっかり取り組んでいくということでございます。その一環として、私どもも十分にその点を認識しながら、特殊法人改革に取り組んでいきたい、このように思っております。

山田(敏)委員 それでは、ぜひ、今の特殊法人の役員報酬、退職金について、見直しも含めまして、御検討をしていただきたいと思います。

 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 先週の水曜日に別の委員会で、農水省の土地改良区が全国的に自民党の党費を出しておったという議論をいたしました。農水省はもう既にそのことを十分認めておって、これは土地改良法の違反であったということは明らかになっているわけであります。

 そこで、まず法務省に伺います。

 公金横領罪、横領罪というのはどういうものですか。簡単に言ってください。

古田政府参考人 横領罪と申しますのは、自分が占有しております他人の物を自分の物にしてしまったり、あるいは勝手に自分の用途に充てるということでございます。

石井(紘)委員 もう一回、例えば一般論でいいですが、補助金がその使用目的外に、一定の補助金を受け入れた団体の役員等によって持ち出されたという場合は、今の答弁に該当しますか。

古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、御自分が預かっている趣旨に反してそれを使ったかどうかということになるわけでございまして、それが実際に横領罪に当たるかどうかというのは、これは事実関係いかんによるということでございます。

石井(紘)委員 財務省に伺います。

 補助金適正化法に照らして、補助金が目的外に使用された場合、この法的措置あるいは罰則規定はどうなっておりますか。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 国から交付を受けた補助金等につきましては、補助金等適正化法第十一条によりまして、他の用途への使用が禁じられております。その上で、これに違反した場合におきましては、補助金等適正化法第十七条に基づきまして、交付決定の取り消し事由となりますほか、同法第三十条に基づきます罰則、三年以下の懲役もしくは五十万円以下の罰金でございますが、これの対象となるものとされております。

石井(紘)委員 ということでありまして、土地改良区の事業は国の補助金、都道府県の補助金によって事業が行われておるわけでありまして、そういたしますと、農水省に伺いますが、この自民党の党費を出したところの、これは千数百になるか二千ぐらいになるかわかりませんが、農水省でこれは数字を出しております。それらの土地改良区に対して補助金の返還の請求をされますか。これは補助金適正化法の十八条に返還条項があります。

百足政府参考人 お答えを申し上げます。

 土地改良区の事業に補助金が入っているという場合はございますけれども、土地改良区が補助事業をまず実施するに当たりましては、地元で十分な……(石井(紘)委員「きょう何のために副大臣に来てもらっていると思っているの。もう一問か二問しか答弁がないんだから、せっかく来ているのに」と呼ぶ)

田中副大臣 副大臣の田中でございます。

 委員御指摘の土地改良区におきましては、国及び県から補助金が出ているわけであります。今回の事例につきましては、農林水産省といたしましても大変に深刻な事態であるということで、御存じのとおり通達を出して調査をしたところでございます。

 公金との関係につきましては、委員も御存じのとおり、土地改良区に補助事業を実施するに当たりましては、まず事前に、地元において十分時間をかけて検討し、県との間の密接な調整を経て、地方農政局において厳正な審査を実施しておるところでございまして、これに基づいて、いわゆる補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づいて、実績報告の審査も含めてやってきておるわけでありますので、その中でこの指摘がなかったということによりまして、補助金から使用されておるという事実は判明をしておらない、こういうことでございますので、横領というような事態ではないという認識をいたしております。

石井(紘)委員 その辺にある文書を手当たり次第に読むのではなくて、私の質問に答えてもらわないと困るのです。

 土地改良法上、土地改良事業及びこれに附帯する事業にこの予算というのは限定されているところである、このため、土地改良区が政党の党費や政治団体の会費を支出することは、土地改良法において認められている事業以外の支出であり、土地改良法に違反した不適法な支出であるということは農水省が正式の文書で認めているということはこの間も言ったから御存じだと思うのですが、これは、あなたは、今の答弁ですと、土地改良事業予算以外のものから自民党に支払われたということを証明することができますか。

田中副大臣 私自身あるいは農林水産省が証明するというよりは、会計検査院が御存じのとおりその都度検査をいたしております。それから、先ほど申し上げましたように、補助金の適化法に基づいて、補助金の実施については実績報告をもとに厳正に審査をいたしておるわけでありますから、委員が御指摘のような、補助金から立てかえられたというものではないということは認識をされておるわけであります。

石井(紘)委員 それは、田中副大臣、あなたの答弁として残りますからね、責任を持ってくださいよ。

 それから、農水省は、つまり土地改良区の会計から出されたということが違法であるということを明記しているわけでありますから、これはお金に色がついているわけじゃなくて、今の答弁ですと、例えば、土地改良区の役員の個人的な給料か何かからそれをまとめて自民党へ出した、そのようなことが行われたかのごとく今の答弁からは思われるわけですが、そういうことがあるかどうか。

 これは相当莫大な金が出ているわけですから、会計検査院にやはりじっくり調べてもらわなくちゃいけない。会計検査院、そこのところを厳格に調べてもらうということが必要だと思いますが、いかがですか。

有川会計検査院当局者 土地改良区が事業主体となって実施しております補助事業につきまして、私ども、これまで、その事業が適正かつ適切に実施されているかどうかといった観点から会計検査を行ってきたところでありますが、今回、委員御指摘のような問題点が報じられておりますので、御指摘の点につきまして十分念頭に置きまして、今後、土地改良区が事業主体となって実施しております事業の検査に当たりたいと考えております。

石井(紘)委員 副大臣、もう一回、では一言だけですよ、余計なことはいいですから。

 これは、先ほどの財務省でいうと、補助金等適正化法によると、違反したら三年以下の懲役または五十万円以下の罰金というのが三十条にあるわけですが、そうすると、このことも農水省として提訴するというつもりもないんですね。あるのかないのかだけでいいです。

田中副大臣 土地改良法に違反をしておるということは事実であります。したがいまして、返還を求めておるわけでありますが、告訴するような犯罪ということでは認識をいたしてはおらないのが農林水産省の立場でございます。

石井(紘)委員 子供でもわかる話なんだけれども、法律を犯したら、ごめんなさいと言うことで済むことじゃないんです。これは違法だというのですから、違法にふさわしい処置をとらなきゃいけない。農水省がそれをやらないんだったら、これは私どもがやらざるを得ないというふうに思われます。

 次の問題に移ります。

 防衛庁の例の不正入札事案でございますが、これも防衛庁は、物の売り買いをして、幾らで買ったかというその価格を出さない、どうしても出さないわけですね。これは極めて疑惑に満ちた行為が行われたと言わざるを得ないわけでございます。

 そのポイントの一つであります、いわば車でいうと車検に当たるところの定期機体整備の価格、これを公表できない理由があるんだといって、きのう私のところへいろいろ図を持って説明に参りましたから、それを聞いて、私は、こういう笑い話もひとつ国会の中でやっていただいた方がいいかなと思ったものですから、その説明をしてください。

首藤政府参考人 石井先生御指摘の維持役務費の内訳、六項目でございますが、それに係ります整備担当会社は、今後防衛庁によりまして、会社選定して契約を行う予定ということになってございます。

 それで、防衛庁が落札会社のIRAN等の所要工数を明らかにいたしますと、今後の整備会社の選定に際しまして、これをターゲットといたしまして競合する会社が価格設定を行うことを可能といたしまして、競合会社のみを一方的に利するものとなるということで、これは公正な競争を阻害するものと考えております。

 さらに富士重工は、同社の協力会社、これは整備会社でございますが、これに対しまして、提案値を開示しないことを条件として見積もりを行わせておりまして、この額を公開いたしますことは富士重工と協力会社との信頼関係を不当に損なうものであるという同社の主張には、私どもは合理性があると考えている次第でございます。

 なお、富士重工が営業上の秘密といたしております情報を富士重の事前の許諾なしに防衛庁が開示いたしました結果、富士重またはその協力会社が不利益をこうむりました場合は、富士重が国に対して損害賠償請求を行う可能性があるということでございます。よろしく御理解を賜りたいと思います。(石井(紘)委員「きのうのあれはどうしましたか」と呼ぶ)あれはちょっと、あれだと非常に時間がかかりますので、今の要旨、ポイントで御説明したわけでございます。

石井(紘)委員 きのう、私がこれを国会の委員会の場で言いなさいと言ったら、夜恐らくいろいろ考えて、余りにもおかしいという矛盾に気がついてきょうは言わないのだろうと思いますが。

 それでは、今の説明だけでも申し上げましょう。つまり、飛行機を買いますとLCC、将来のライフサイクルコストというものの値段をどうするかという中で、車検をする際にその価格を言ってしまうと富士重工にとって不利になる。つまり、そのときそのときで、どこの企業にやらせるか、あるいは価格は幾らかということを決めるわけですから。そのときそのときに、将来。だから、そのときの富士重工に不利になるからそれは出せないんだ、こういう説明です。その中には大変たくさんの今までの答弁との矛盾があります。

 例えば、一つは、富士重工が出しては困ると言っていたから出さないんだというのが今までの答弁でした。しかし、今は防衛庁の都合で出さないという意味もそういうことだと含まれておるということですね。

 それからまた、将来決めるべき価格を、そうするとあらかじめ富士重工の価格でもって談合してしまっておる。既に事前の実質的な談合によって富士重工の価格を基準にいくんだということを決めてしまっておる。

 もう一つは、将来IRANをやるときに、今競争でやるというわけですから、その価格も当然競争によって幾らになるかということが決まるものである。それにもかかわらず、その値段が、将来決まって今わからない値段が決め手になって、富士重工の方が安いからというので富士重工に決めた。これは、もうそれこそ宙返りするほどの矛盾に矛盾が重なっておる。

 そういうことで、防衛庁長官、あなたは、二カ月と一週間前に私がこの問題をじっくり提起したときに、まだ担当からも聞いていない、就任したばかりだということでした。先週、それから二週間たって聞いたら、担当から説明を受けたけれども、その結果、私は確信を持ってこれは適正に行われたと思っておると。では、担当から数字をどういうふうに聞いたんだと言ったら、実は数字は聞いていなかった、こういう答弁をされたことは御記憶だと思います。

 さて、それからさらに一週間ですから、今度は数字を聞かれたと思いますが、その結果、この契約が間違いなく不正なく行われたということを確信するということは、将来にとって、あなたの今の答弁は大変重要ですから、適正に行われたかどうかということをあなたのお口からはっきり言ってください。

中谷国務大臣 その後、維持役務費につきましては数字を聞きまして、その数字をもとに、この費用でT3改の整備ができるのか、支援整備もIRANも可能なのかということを、内局の部、担当課、空幕の担当班また班員も呼んで確認をいたしました。

 彼らが言うには、会社の提案の確認について、内容を精査した。そしてT3改のIRAN価格が四十五カ月となっているので、なぜ四十五カ月にできたのか、そういうことも確認をしたと。その理由としては、T3及びT5の過去のIRANのデータも確認をし、分析もし、そして、T3、T5のデータ分析、必要な改修等もしておるし、また構造部材等の改修、改良もし、弱い部分を、設計も変えて、点検間隔を変えた。また、飛行時間等期間で劣化する等のところもあって、その材料にしても、ホース等、材質を変更した。詳細にわたりましてその話を聞きました。

 そして、IRANというのは、二十年間トータルの費用であって、これで本当にT3改の整備ができると確信できるかとただしたところ、確実にこれは整備ができますということで、入札は絶対に公正に行ったし、厳正に審査したというふうに申しております。

 私としては、彼らのお話を聞きまして、それを信じ、そして、この入札につきましては適正に行われたものだというふうに理解しております。

持永委員長 石井君、時間が来ておりますので。

石井(紘)委員 防衛庁長官、大変信じやすい性格なのかどうかわかりませんが、例えば、IRAN、定期修理の間隔を富士重工の場合は四十五カ月でやった。四十五カ月でやると、二十年間ですから、相当回数に差がついてくるわけです。片方の、スイスのピラタス社の場合は三十六カ月でやる。だから、相当たくさんやらなければならない。

 こういうようなことは、性能も機能もみんな同じだというふうにしておきながら、実際同じじゃないですよ。実際は、スイスのピラタス社というのは山岳飛行機で物すごく優秀なんですよ。世界じゅうにも売れているのですよ。しかも、価格も日本の飛行機の半分ぐらいで売れているのですよ。そうなんだけれども、性能は同じだというふうにした。仮にそうだとしても、この定期整備の間隔を、例えば私はトヨタのクラウンに乗っている、あるいは別の人は日産の何か車に乗っている、そうすると、おれの車は性能がいいから車検は三年じゃなくて七年にしてくれ、こっちの人は、いや、おれは三年でやると。こういうようなことで公正な入札ができるかというんですよ。

 それじゃ、あなた方は、あの入札の書類を受け取った八月二十五日の深夜、慌てて、翌朝までだれが何をやっていたか。この間も私は聞いて、そのとき答弁できなかった。あの晩に、翌朝までに全部富士重工の書類をつくっておけばいいというので、ごそごそいろいろなことをやっていたじゃないですか、そんなことはわかっているんだ。翌朝まで何をやっていたか、具体的に、だれとだれが何をやっていたか言ってごらんなさいよ。空幕は何をやっていたんだ。調本の第四課と空幕との間はどういうことをやっていたんだ。具体的にちゃんと調べてきましたか。言ってみてください。

首藤政府参考人 八月三十日でございますが、その入札期日におきまして、調達実施本部は富士重工と丸紅の二社から入札回答書等の資料を受領いたしました。具体的には、入札書が一部、入札回答書が三部、技術的事項等の検討のための細部資料六部、フライトマニュアル一部、メンテナンスマニュアル一部、これが各社から届いた。

 入札書につきましては、封印のままかばんに入れまして、保全室の金庫に保管した。入札回答書、技術的事項等検討のための細部資料につきましては、調本においておのおの一部ずつ、かぎのかかる書庫に保管いたしました。その他は空幕に引き渡しました。空幕は、文書を受領いたしました後、審査を短期間に適正かつ公正に実施するため、書類の点検を早速実施いたしました。

 その際、丸紅の提案書類につきまして、明らかな欠落部分が判明いたしました。審査を短期間に適正かつ公正に実施いたしますため、当日の午後八時四十分ごろ、調本を通じて至急資料を提出するよう要請いたしました。翌日午前三時十分ごろ、要求資料の一部の提出を受けました。空幕におきまして、翌日午前八時ごろまで一通りの質問を取りまとめ、午後二時ごろ、調本を通じて各提案会社に質問を発出したという経緯でございます。

石井(紘)委員 きょうは時間がないから、それで十分です。それで十分ですが、それは将来にとってかなりの材料になってくると思います。

 スイスの一番最大の新聞なんかが大きくこれを取り上げていて、日本の防衛庁というのは……

持永委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。

石井(紘)委員 一体これは何だという、ばかげたトリックについて報道されておる。スイス政府からも、外務省を通じて防衛庁にもう既に二回抗議が来ているわけですね。こういう国際的にみっともないことを早く改めるように、契約を解消するなら解消する、白紙に戻すなら戻すということを早くやるようにということを私は申し上げて、終わります。

 どうもありがとうございました。

持永委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚です。

 きのう、本年の一―三のQEが発表になりまして、マイナス成長になってしまったわけですね。ことしの一―三だから、小泉内閣の直接の責任ではないというふうには思いますけれども、今、足元の景気がそういう状況であるということは事実ですし、そこからまた構造改革ということにチャレンジをされていくということだろうと思うんです。株価も下がっていますし、不良債権だって一―三のマイナスで大分ふえているのではないのかなというふうに私自身は思っているのですね。

 では、小泉内閣が成立してから何か実際、具体的にしたかというと、いろいろな会議なんかでお話をされているということはあると思いますけれども、ほとんどまだ手つかずの状況ですね。緊急経済対策の株式の譲渡益課税の見直しなんかは審議をされましたけれども、ただ、それであっても、株価が上がっているわけではないし、そういった意味では、景気に対する配慮というのが余りにもなさ過ぎるのではないかなというふうに思うんですね。

 景気がどんどん悪化をしていく、多分何もしなければ悪化をしていくのじゃないかというふうに私は思っているのですが、構造改革には痛みが伴うということをあらかじめおっしゃってもいるようですけれども、まさか、その構造改革に伴う痛みというのは、何もしないでどんどん景気が悪くなっていくということを指すのではないでしょうね。いかがでしょうか。

塩川国務大臣 小泉内閣が発足しまして一カ月半たちましたのですが、その間、いわば内閣が新しく担当して、準備期間といいましょうか、森政権から引き継いでまいりましたものの整理等に若干時間を食われておりまして、いわば小泉の独自色というのは、今発表いたしましたことは、経済財政諮問会議において議論されておるメニュー等について検討いたしておるところでございますが、これはできるだけ早く実施に移して、皆さん方の批判にこたえたいと思っております。

 そのためには、まず第一に、一番目標となってまいりますのがこの七月の末に行いますところの概算要求の編成であろうと思っておりまして、それに至るまでの準備が今とり行われておるところでございます。それの中心は、やはり不良債権の整理に対していろいろな措置を講じていくということが中心になってくるであろう。突然、不良債権の整理に取りかかりましても、受け皿の準備も十分しないで取りかかるわけにもまいりませんので、そういう点についての措置を十分いたすということと、それからもう一つは、十四年度予算編成に対する政府内のコンセンサスをとっていくということ、そして同時に、政府対党の関係の理解を深めていく、そういうこと等を今鋭意やっておるわけでございまして、その大綱というものは、大体経済財政諮問会議が出しますところの骨太の方針というようなところに盛り込んでいきたいと思っておりまして、その審議を現在やっておるところでございます。

 なお、骨太の方針というのは、六月末までに発表し、できればこれを閣議で決定する段階にまで持っていきたい、こう思うております。

中塚委員 きのう一―三のQEが発表になって、民間の調査機関なんかでも本年度の経済成長見通しを大分下方修正するようなところがありました。実際、本年度マイナスになるのではないかというふうな予測を出しているレポートもあります。そういった意味において、前もこの委員会でお尋ねをしたと思うんですが、大臣自身は、本年度の経済成長見通しについて、修正ということについてお考えになりますか。

塩川国務大臣 現在のところ、考えておりません。確かに、微増の弱含みであることは事実でございますけれども、これが、現在の時点に立って考えますと、下方修正しなければならぬほどの大きいダメージではないと思うておりますし、もうしばらく経済の成り行きというものを見定めなければ論評はできないのではないかと思っております。

中塚委員 見通しを修正するほどのダメージではないというお話でしたが、個人消費は横ばい、今までは好調だった設備投資が大分減速をしてきている、住宅投資についても大分減速をしてきているということですね。

 そういう中にあって構造改革をされるということで、私は、経済財政諮問会議の中で、本年度に限らずですけれども、これからの経済財政運営のあり方として、年央に経済成長見通しの修正の方向みたいなものをきちんと議論をされた方がいいのではないかと思うんですが、その点はいかがですか。ことしということではなくて、これからの経済財政運営という意味で。

塩川国務大臣 もちろん閣議において、あるいはまた経済財政諮問会議におきまして、経済成長率の問題は討議の対象となっております。おりますけれども、先日も竹中担当大臣の方から言っておりますのは、もうしばらく様子を見たい、こういうことでございましたので、お答えしたいと思います。

中塚委員 株価の話でも、実際、例の緊急経済対策の中身に、いい悪いという意見はあることは別にしても、やはり御祝儀相場というか、要は改革への期待というものがはげ落ちないうちに、もっと早く手を打たれるべきではなかったのかというふうに思っております。

 それで、どうも日本銀行の政策決定会合に竹中大臣御自身が御出席になるというふうな話を聞いておりまして、そのこと自体は大変結構なことだと思いますけれども、塩川財務大臣として、日本銀行に対して、何かこれ以上に求めることがあるというふうにお考えですか。

塩川国務大臣 私ら、要するに政府側といたしましては、日銀に対しまして特別な指示なりあるいはまたサジェスチョンなり、そういうことはいたすべきではないと思うておりますが、しかし、先日も経済財政諮問会議の会合がございましたときに、日銀総裁は自分の発言として、非常に柔軟な姿勢を自分でも考えておるとおっしゃっていましたことで、それ以上のことは我々としては言わなかったのでございますけれども、経済の、特に景気の成り行きというものと、いろいろなファンダメンタルズの関係の間に若干のそごがあることは事実でございますので、そういう実態に沿うた日銀の政策もとり得る、こういうことを言っておりましたので、それ以上のことは我々としては関与しておりません。

中塚委員 ということで、日銀に対して政策決定会合で御発言をされること自体は別に悪いことでも何でもないはずですから、政府としてのお考えなりなんなりお伝えになるのだろうなというふうには思うんです。

 来年の財政赤字、新発債を三十兆円に抑えるとか、財政が大変な状況だということはよくわかります。ただ、それはよくわかるのですが、改革に伴う痛みだということで、では国民生活はそれに耐えられるのかという問題はあるでしょうし、特に日本銀行も今バランスシートがすごい勢いで膨張しているわけですね。もちろん、国の財政を預かる責任者として大臣が財政のことを心配されるのは当然だとは思いますけれども、では日本銀行に全部それを押しつけていいのかどうかというふうな問題も出てくるとは思うんですが、今の御発言ですと、要は、今のところ、政府として何か日本銀行に対して要求なりなんなりということはお考えになっていないということでよろしいでしょうか。

塩川国務大臣 日本銀行に対しては、特別、直接な要求はしておりません。

中塚委員 総理が訪米をされるようなこともあって、そのときまでには経済財政諮問会議の骨太の方針というのが固まるのでしょうか。あと、そういったときにまた日本銀行の金融政策などについても話題になるというか、持っていく材料にはなるのかなというふうに思うんです。

 それで、ちょっとお伺いをしますけれども、今、日本銀行が量的緩和ということをやっていまして、CPIが対前年度比でマイナスにならないようにまで続けるということで量的緩和を続けているわけですけれども、大臣は、いわゆるインフレターゲティングということについてはどういうふうにお考えですか。

村上副大臣 中塚委員の御質問にお答えします。

 インフレターゲティングについてはそもそもいろいろな議論がありまして、欧米では高いインフレ上昇率を逆に抑える、日本の場合は上げていく、昔、スウェーデンにそういうことがあったわけですけれども。

 ただ、物価の下落が継続していることに対して、物価の安定を図るために、物価についての目標を設定して、それに向けて金融政策を運営していくことが効果的であるという考えに基づいても行うわけですけれども、いろいろ今申し上げたように、インフレターゲティングの内容は論者によって幅があって、その効果等についても種々の議論があるわけです。ですから、引き続き議論を深められて、そういうものに対してどういうふうに具体的にやっていくかということをやはり今後考えていくことは必要じゃないかなと思います。

 ただ、今の段階で、三月十九日に物価上昇率が安定的にゼロ以上になるまで新たな金融市場の調節方式を継続するというふうに日銀がしたので、しばらくは推移を見守るかなということであります。

中塚委員 日米首脳会談ということになると、三月に森前総理が行って行われたときも、不良債権の処理の問題というのがいろいろ報道されるような形でされたというふうに聞いていますし、恐らく、そのときよりも今の方が資産のマイナスなどもあって、不良債権の問題は悪化をしているのだろうというふうに思うんですね。だから、恐らく、今度の小泉・ブッシュ会談でも、不良債権処理というのが問題になるのじゃないかなというふうに私は思っていますので、よもや政府の方から、CPIについてゼロというのをもっと幅を持たせるようなことをお考えになったり、あるいは一段の金融緩和ということについてお考えになっているのかな、なってはいないだろうなという問題意識から御質問をさせていただいたということです。

 次に、ちょっと話が変わるのですが、特殊法人のお話をさせていただきたいなと思っていまして、けさも午前中、特殊法人のことについてこの委員会でも随分議論がありました。特殊法人をゼロベースから見直すというお話で、新聞の見出しには、何とかかんとかを民営化、何とかかんとかを廃止というようなことがぽんぽん躍っておるわけなんですね。

 例えば、その見出しに載ることが、本年度から財投改革がされているということもありますけれども、大変いろいろな影響を与えている。大臣の選挙区のお近くなのでしょうか、関空会社も私募債、特別債はもう出さないようにする、あとは格付をとって財投機関債を発行するようなことを考えているという話を報道で拝見しました。要は、国債とか政府保証債等のスプレッドがすごい勢いで開いているわけですね。

 つまり、要は、特殊法人の信用力というのは一体何に基づいているのかという話なんですけれども、財投改革の趣旨として、財投機関債を発行するということは、財投機関を市場にさらす、その中で効率的な運営をしていくということがあったと思いますけれども、効率化の究極という中には、廃止というか、そういったことも当然選択肢の中へ入ってくるのでしょうね。

 与党内では破産法適用の可能性ということも議論をされているというふうに聞いておるのですけれども、きょうは横内法務副大臣にお越しをいただいていますが、現行法制の中で、特殊法人に対して破産法というのは適用はできるのですか。

横内副大臣 特殊法人に破産法の適用があるかどうかという御質問でございますけれども、委員御案内のように、現行法上は明文の規定があるわけではありませんし、また、過去実例があるわけでもないわけでございます。

 そこで、この破産法の解釈として、どういう解釈ができるかということでございますけれども、これは学説が真っ二つに分かれておりまして、一つの学説は、特殊法人というのは公共的な事業をやるのだから破産法の適用は一切ないのだという学説と、それからもう一つは、いや、特殊法人の中でも内容が私企業に近いものについては破産法の適用があるのだ、この二つの学説が、真っ二つに分かれているというのが現状でございます。

 そこで、法務省としての対応でございますけれども、法務省では、現在、法制審議会の倒産法制部会というところで倒産法制の抜本的な見直しの作業を進めております。その中で当然破産法の抜本的な見直しを行うわけでありますけれども、その破産法の全面的な見直しの中で、今の点は大変に重要な点ですから、検討していきたい、そのように考えております。

中塚委員 それで私は、特に特殊法人の債権債務関係ということについて伺いたいのです。

 破産なり更生なり、民事再生でも構わないのですけれども、いずれにしても、そういったことで、特殊法人を法的に処理するということになりますと、債権債務関係というのが一番問題になってくるわけですね。今法務省の方でそういう御検討をされるという話でしたが、そもそも特殊法人に破産法を適用することの是非ですね。財投機関なわけです。財投機関で、国が出資をしておるというものについて、財投だから、本当は安全かつ確実でなければいけなかった。ところが、赤字がたまっておってどうしようもないというところで、では、どうやってその仕事をやめさせるのかねという話になったときに、破産法でもという流れなのかもわかりませんが、特殊法人に破産法を適用することの是非について、財務省としてどういうふうにお考えになりますか。

村上副大臣 基本的には横内法務副大臣が答えたとおりというふうに我々は考えております。

中塚委員 今検討中というか、方向性としてはどうなんですか。適用するべきだというふうにお考えですか。それとも、特殊法人は特殊法人なんだから、適用はしないようにするべきだというふうにお考えですか。

村上副大臣 これは非常に、今すぐ喫緊の課題ということではないこともありますので、もうちょっとじっくり検討課題にさせていただきたい、そういうふうに考えています。

中塚委員 喫緊の課題ではないとおっしゃるのですが、かなり喫緊の課題なんだろうと思いますけれども。破産法が適用を検討されているというだけで、もう財投機関債を買っているところは今大騒ぎになっちゃっているわけですね。では、そのときの債権債務関係は一体どうなるんだというふうなことなわけです。

 特殊法人は、それこそ財投機関債だけで資金調達しているわけではありませんで、縁故債とか私募債と言われるような特別債ですよね。あと公募債もあるであろうし、民間の借り入れということもあるんだろうというふうに思います。民間借り入れについては、例えば石油公団なんかもう無担保で貸しておるわけですね。そういったことが倒産法制の適用を受けたときに一体どういう関係で劣後していくのかとか、そういったことについてやはりある程度の方針というのを示さないで、それを示すことなしに特殊法人をつぶすような話をされると、大変これは混乱をしていくことになるんだろうと私自身は思うのです。

 一つお伺いしますけれども、政府保証債というのは連帯保証というふうに理解してよろしいんですか。

村上副大臣 おっしゃられるとおり、政府は公庫、公団、特殊法人会社等について債務保証を行っているところでありますが、一般論として言えば、御高承のように、その保証が商法五百十一条の第二項に言う連帯保証であると認める場合には、催告の抗弁権また検索の抗弁権を有しておらず、保証人である国は債務者と同様に第一次的な責任者としての債務を負担しなきゃならないというふうに考えています。

 いずれにせよ、保証人である国は法律に基づいて適切に債務保証を行っていく、そういうふうに考えております。

中塚委員 特殊法人が民営化されたときに、では民営化されても政府保証は政府保証なのか、あるいはそのときはまた違う方式になっていくのかということによっても、またいろいろ変わっていくんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、特殊法人を民営化する、あるいは廃止する、廃止という中に破産があるのかもしれないし、更生法があったり再生法があったりするのかもわかりませんが、これも民営化するときにはやはりその債務を繰り上げ償還したり、あとはつけかえたりするということが必要になってきますよね、国鉄なんかと同じだと思うのです。つぶしちゃえばその瞬間に要は穴埋めをしなきゃいけないということになるわけで、これだって財政の赤字がふえていくリスクなんだろうと思うのですね。だから、特殊法人を見直していくということ自体は大変結構だというふうに思いますけれども、その辺のことについてもちゃんと配慮をした上で議論をしていただかないと、いたずらな混乱を招いてしまうのだろうというふうに思ったので、このお話についてお聞かせいただいたわけです。

 次に、今度はちょっと地方財政のお話をお伺いしたいのですが、きょうは遠藤副大臣にお越しいただいているのですけれども、実は地方債の方の財源の移譲、大臣がおっしゃった配分の話とか、要は今までのファイナンスの仕方と違うやり方をしていこうという話になっているわけですね。これが実は、同じ自治体の公募債と縁故債のスプレッドに開きが出てきている。午前中にお話があった大阪オリンピック、大阪がオリンピックをやるということなんでしょうけれども、大阪が出している地方債についても、公募と縁故でもう利率が変わってきているわけですね。

 以前この委員会で、片山大臣と遠藤副大臣がいらっしゃったときに、地方債のキャピタルロスについて私がお話をしたら、片山大臣は、そんなことはありません、ソブリンですというふうにおっしゃっていたと思いますけれども、実際、公募、縁故でもそういうふうにだんだん差が出てきちゃっている。だから、国が持っている借金もありますし、地方が持っている借金もありますけれども、借金を返していくというそのファイナンスの仕方が議論されるだけでもこれだけの影響が出るようになっちゃっているわけですよね。

 そのことと同時に、来年度から三十兆円以内に赤字を抑えていくという話の中で、国の歳出で二兆削る、地方へ行くお金を一兆削るというお話があって、そのことについてずっと塩川財務大臣にもお伺いをしてきたわけです。それで私は、地方に行くお金というのが一兆減るときに、地方財政計画が一兆小さくなるというふうには思えないのですが、その点は遠藤副大臣、いかがですか。

遠藤(和)副大臣 国も地方も歳出を削減する、この方向については私も理解をいたしておるわけでございますが、いわゆる地方に対する交付税を一律に例えば一兆円削減するとかいう論法は、地方交付税の趣旨がわかっていない暴論だ、こう思っています。

 といいますのは、地方交付税というのは地方固有の財源でして、これを国の意思によって一律削減するということはまことにおかしい話でございまして、それぞれ地方交付税の総額というのは、地方財政計画というものをつくりまして、そのときに基準財政需要額に対して収入額が少ない分に対してきちっと補てんする、こういうことになっているわけですね。そしてまた、国税五税の中の一定税率のものを基礎にいたしまして、足らない分は工夫をいたしまして地方交付税の総額を確保しているわけでございますから、この仕組みというのは今後とも変わっていかないようにしたいと思っています。

 ただ、地方財政計画そのものを圧縮する、こういうことについてはいろいろな工夫があると思うのですね。その結果、地方の財政需要の全体が圧縮されるということの結果として地方交付税が削減されることはある、こういうことは考えておるわけでございまして、そういう方向で国と地方が一体となった歳出削減に協力をしたい、こういう考え方でございます。

中塚委員 だから、塩川財務大臣がおっしゃっているのも、まさにそういうことなわけですね。別に交付税を算定するときの割合を変えるとかいうのじゃなくて、地方に節約を求めることによって、もって国から地方に行くお金を、交付税であり国庫支出金であり一兆円を削減したいということを目標として塩川大臣もおっしゃっているというふうに私は理解しておるのですね。その点について財務省と総務省と違いはないんだろうと私は思うのですけれども、財務大臣、そういうことでよろしいですね。

塩川国務大臣 そういうことであります。

 地方も、地方財政計画でこれだけ要るんだ、だから要求はこれだけだ、そういう単純なことで世の中は許さないと思うております。

中塚委員 そこで、地方の歳出を絞ることによって交付税なり国庫支出金なりを、国から地方に行く分をことしよりも一兆円少なくしたいということですね。私が疑問なのは、国から地方に行くお金というのを一兆円減らすときに地方財政計画が一兆円少なくなるということではないんだろうと思うのです。国から地方に行くお金が一兆円減るとしたら、地方だって別に地方交付税や国庫支出金だけで財政を運営しているわけじゃありませんので、交付税を一兆円落とすということは、それよりもっとたくさんのスケールで地方財政自体は縮小をしていかなければならないのではないかというふうに思うのですが、副大臣、その点はいかがですか。

遠藤(和)副大臣 お尋ねの趣旨が、要するに、今地方財源の不足額が一定額減額された場合に、国の一般会計からの加算額がその二分の一程度減る、だから、二分の一減るためには倍減らさなければいけない、そういう論法でおっしゃっているのではないかと思うのです。これは、そこだけを見ればそうかもわかりませんけれども、おっしゃるように、地方財政計画というのは、需要もありますが収入の方も、地方税が幾らになるかとかそういうものを全部勘案して決める話でございますから、直ちに、地方財政計画の総額が幾ら減ったから交付税が幾ら減るというふうなことをパラレルで議論するのはなかなか難しい議論でございまして、これは別の話だ、こう思っております。

中塚委員 だから、そういう話になってくると、では自治体は地方財政の中でどこを切っていくのかということにもなってくるのだろうと思うのです。一番手っ取り早いのは、私は単独事業を実勢に合わせるようなことなのだろうというふうに思うのですが、ただ、そうなってくると、今度ますます景気への配慮という点で、足元が悪いだけに来年度以降心配だなというふうに懸念を持っております。

 時間が来たので、終わります。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 先月二十三日の当委員会で、社団法人宅地建物取引業協会の不動産政治連盟あるいは自民党への加盟や入党、この問題を取り上げました。その質問の際に、佐藤国土交通副大臣から全国的な調査と報告をお約束いただきました。そこで、引き続きこの問題を国土交通省にお尋ねしたいと思います。

 現在、調査に着手をされていると伺っておりますけれども、いつからどういうようなやり方で調査をされているのか、まずその点からお聞きをしたいと思います。

野見山政府参考人 お答え申し上げます。

 調査の方法などにつきましてお尋ねがございました。

 国土交通省といたしましては、当省所管の社団法人全国宅地建物取引業協会連合会を通じまして、各都道府県の宅地建物取引業協会の定款、施行規則、入会案内書、誓約書、入会パンフレットなどを取り寄せまして、各宅地建物取引業協会への入会に際しまして特定政党への入党を条件としているものはないか、あるいは、政治連盟への入会を義務づけているものはないかとの視点から詳しく調査をいたしております。現在、全国団体であります全宅連からヒアリングを行ったところでございますが、さらに今後、各宅地建物取引業協会の所管であります都道府県に対しまして、当省での調査内容につきましてチェック及び確認を依頼することといたしております。これらの一連の作業が終了次第、早急に調査結果を取りまとめることといたしております。

大森委員 現在調査中ということでありますけれども、現在まで明らかになった点を報告できる範囲で、例えば前回、群馬、静岡等で自民党への入党を事実上強要しているという事例を紹介しましたけれども、同様の事例が、自民党への入党あるいは政治連盟への強制加盟というものがどの程度あったのか、御報告いただきたいと思います。

野見山政府参考人 宅地建物取引業協会への入会に際しまして政治連盟への入会を義務づけていないかなどの調査につきましては、ただいま申し上げましたとおり、現時点で結果を申し上げる状況でございませんけれども、委員のお尋ねでございますので、あえて現時点での調査状況で明らかになりつつあることを申し上げますと、一つは、定款に基づく施行規則などによりまして政治連盟への加入を条件としているもの、あるいは、入会申込書、誓約書のひな形によりまして事実上不動産政治連盟への入会を義務づけているもの、あるいは、入会案内に宅地建物取引業協会と不動産政治連盟への同時入会が原則である旨記載がされているものなどが見られているところでございます。

大森委員 協会の定款とかあるいは規約の調査となると、どうしても書面上、形式上の調査になってしまうと思うのです。組織の実質的な関係、これまでのいろいろな背景、そういうものを踏まえて実態的に調査し、それに基づく指導、こういうものが必要になってくると思うのです。

 そこで、国土交通省にお聞きしたいのですが、各都道府県の協会と不動産政治連盟との関係を国土交通省は今どういうように認識をされているでしょうか。

野見山政府参考人 前回、委員からのお尋ねに対しまして、私どもの担当局長からもお答えしたところでございます。

 宅地建物取引業協会は、連合会あるいは都道府県の協会、ともに宅地建物取引業法に基づきます公益的な使命を有する団体でございます。そういう意味で、その使命を果たすような活動をするように今までも指導してまいりましたし、今後ともそのようにしてまいります。

大森委員 今お尋ねしたのは、政治連盟との関係をどういうふうに調査の中で把握されたかということですよ。

野見山政府参考人 前回も委員から具体の県の協会につきましての御指摘もございました、入会案内書等に紛らわしい表現があるものもございます。そのものにつきましては、所管の都道府県等を通じまして指導するようにいたしているところでございます。

大森委員 紛らわしいという言葉がありましたけれども、今両者の関係がもうそういう水準のものではないということを私は申し上げたいと思います。

 そこで、きょうお配りをしました資料の1―1から3までをごらんいただきたいのですが、この資料は、各都道府県の協会、不動産政治連盟、自民党宅建支部、この三者の代表者、会計責任者を一覧にしたものであります。政治団体については、各都道府県の選挙管理委員会に問い合わせ、つくったもので、表の上段が協会、中段が不動産政治連盟、そして下段が自民党宅建支部です。ごらんいただいて一目瞭然でありますけれども、四十七都道府県の協会と不動産政治連盟は、所在地も全く同じ。富山県、石川県を除いた四十五都道府県の協会会長が不動産政治連盟の代表者になっている。紛らわしいのではなくて、もう完全に一体になっています。社団法人の会長が自動的に政治団体の代表になっております。

 そこで副大臣、こういう関係をどのようにお思いになりますか。単に、入会申込書、規約あるいは定款の調査だけでは、これはわからないものだと思うのです。まさに一体の組織になっているのではないか。これをどのようにお考えになるか、お聞きしたいと思うのです。

泉副大臣 政治連盟につきましては、御承知のように、私どもの関与する団体ではございませんので、そのことは別といたしまして、先ほど来政府参考人が答えておりますように、私どもは、業法に基づきまして公益法人として活動が滞りなく行われておるということで理解をしておるところでございます。

大森委員 私どもが関与する、しないは、もうこうなると関係ないのではないのか。完全に一体となっているわけですね。こういうのをどう思うかとお聞きしているのですよ。

野見山政府参考人 副大臣の御答弁の前に申し上げます。

 宅建業協会は宅建業法に基づく公益法人でございますけれども、公益法人の役員が他の団体の役員を兼ねるということはあり得ることだと思っております。

大森委員 組織の一体化は、協会と不動産政治連盟にとどまらないのですね。

 この資料1―3に解説的に行っておりますけれども、各地の自民党宅建支部にもこれが及んでいるわけですね。自民党宅建支部は、長野県を除いて四十六都道府県に設立し、四十五都道府県では所在地も協会と同じ所在地であります。しかも、この四十六支部のうち、協会会長、不動産政治連盟及び宅建支部の代表者が同じというのが三十六都道県に及んでおります。

 社団法人の代表と政党支部の代表が同一人物ということでは、社団法人の公益性が失われるのではないか。九六年九月、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」などなどが閣議決定されているわけなんですが、これはそういう精神にも反する、やはり癒着しているというふうにとられる内容、閣議決定のこういう基準等から逸脱した内容と言わなくてはならないと思いますけれども、重ねて副大臣、こういう状況について御見解を述べていただきたいと思います。

泉副大臣 御指摘のように、同じ場所にある、あるいは同じ人間が団体の役職を兼ねておるということから、先生は癒着だというふうにおっしゃっておられます。

 私どもは、先ほど来お答えをしておりますように、同じビルにあるということで判断するのはどうか、また、役職が兼ねてありましても、先ほど来申し上げておりますように、公益法人の業務を的確に処理しておる、その役目を果たしておるということであれば、他の団体の役員を兼ねておるからということが仮に先生の資料のようにありましても、国土交通省としては、そのことについては御指摘のようなことは当たらないというふうに考えておるところでございます。

大森委員 これは驚くべき感覚だと思います。一つや二つ、たまたまあったというのならまだ話はわかりますよ。日本全国全部そうじゃないですか。これで問題ございませんと言っているようでは、私は、国土交通副大臣の資格はないと思います。前回指摘した政治連盟への加盟やら自民党への入党の強要やら、こういう環境の中で現にやられているわけですよ。

 これは、それぞれの協会だけじゃないんですね。トップからそうなっているということです。そこで、資料2を見ていただきたいと思います。

 これは「リアルパートナー」、全国宅地建物取引業協会連合会、全宅連の広報紙でありますけれども、二〇〇〇年の八月・九月号であります。藤田和夫氏が全宅連、全国宅地建物取引業保証協会、全国不動産政治連盟の三団体会長の就任に当たってのあいさつ、あるいは所感の文章を掲載しているわけですね。

 資料の傍線を引っ張った部分をごらんいただきたいのですが、「就任にあたって」の文章の、冒頭に「このたび三団体の会長を拝命させて頂くことになりました。」四段目「政策実現のため、業界団体や政官の牽引力となる具体的な戦略」とか、「参議院議員選挙等への対応も図っていくこととしております。」ということになっているわけですね。

 全宅連は、業法の七十四条に規定された唯一の全国業者組織であるわけです。この全宅連の機関紙であります。そこでこういうことを言っているわけです。これは完全に社団法人と政治団体を混同した、履き違えた発言だと思うのですね。

 そこで副大臣に、そうおっしゃるんだったらお聞きしたいのですが、全宅連の活動というのは、今ここで述べました「政官の牽引力となる」、そういう任務をこの業者団体は持っているのですか。あるいは「参議院議員選挙等への対応も図っていく」、こういうこともこの全宅連の業務の一つになっているわけですか。これを明確にお答えいただきたい。――副大臣にお聞きしているのです。

野見山政府参考人 副大臣の御答弁の前に……。

 全宅連の広報紙を引用されてのお尋ねでございます。藤田氏は三団体の会長ということで、就任に当たりましてのごあいさつをここに掲載したものと思っております。ここにございますように、会長は三団体、藤田氏がやっておりますけれども、専務理事等は別でございます。また、会長の就任に当たりましてのいろいろな形での心構えをここに引用されたものと私どもは理解しております。

泉副大臣 藤田さんが三団体の会長に就任されて一緒のごあいさつになっておりますので、先生おっしゃるように、これで公益法人の全宅連の会長としていいのかという御発言でございますが、線を引いていただいておりません、例えば1とか2、3というようなところは、公益法人の会長として、全宅連の会長としての所信を述べておられるのだろうと思うのですね。ところが、もう一つ御指摘の、政治団体としての会長のごあいさつも一緒に兼ねて書かれたのでこういうことになっておるのではないか、これは推測でございますけれども。

 そういうことで、このことは、三団体の会長として一緒にごあいさつの文章を載せられた結果がこんなことになっておるのではないか。本質的には仕分けをして役職を果たしていただいておると理解をしております。

大森委員 大変苦しい答弁ですが、あなたは全政連には関与しないんだから、答えなくてもいい全政連、政治連盟にわざわざ推測を及ぼして答弁している、全く矛盾していると思うのですね。

 会長藤田和夫氏のこの所感、あいさつ、これは、ではどこまでが政治連盟でと、一々区別するのですか。協会会員は、ここまでは全政連だ、ここまでは全宅連だ、あるいはここまでは全宅保証だと一々読み分けるわけですか。そんなおかしなことがありますか。これは明らかにおかしいと思うのです、こんなのは。そうでしょう。もう完全に三位一体で、こういうことに矛盾を感じないというところに、あなたは自民党ではないけれども、しかし、そういうところに連立を組む皆さんの感覚は完全に麻痺しているということを私は指摘したいと思うのですね。

 そこで、トップがこういう感覚ですから、末端に至るまで全部こうなっているわけですよ。完全に三位一体。関与しないなんという言葉は通用しないのですよ。現に、どこまでと区別できないじゃないですか。関与する部分はどこで、関与しないのはどこなのか、全く区別できないわけですよ。

 そこで、資料3を見ていただきたいのです。これは、平成十三年の京都会館における、京都の業協会、政治連盟の総会の目録であります。

 京都の協会では、業協会と保証協会と政治連盟が通常総会、年次大会を同一文書にしてやっているわけですね。こういう開催方法が至るところでやられている。こういう総会、大会の開催方法というのはやはり正常な開催方法ではないと思いますけれども、この点、いかがですか。

野見山政府参考人 協会の総会などの開催方法につきましては、各団体が会員の都合などを勘案しまして、時期、場所、議題も含め、自主的に決定しているものでございます。

 それぞれの総会の開催の目的が達成できないものでない限り、支障はないものと考えております。

大森委員 業法で位置づけられた社団法人と政治団体と混然一体、紛らわしい、そういうのは構わないということですか。

野見山政府参考人 繰り返し申し上げますが、宅地建物取引業協会は、宅地建物取引業法に基づく目的を達成する団体でございます。その団体としての適正な業務が遂行できる総会であれば、それはそれで法にのっとったものと考えております。

大森委員 そんな一般的に聞いているわけじゃないのです。こうやって現に実物を示しているでしょう。なお足らなければ、そういう事例は幾らでもあります。

 これは、長野県ですけれども、長野県宅地建物取引業協会、第三十五回通常総会の資料です。表はもう取引業協会だけですよ。この中に全部入っているわけですよ。政治連盟も、保証協会も、政治団体も全部入っているわけですよ。完全に混然一体となっている。これでもいいというのですか。こういうのは困ると明確に言うべきじゃないですか。

野見山政府参考人 国土交通省は、宅地建物取引業法を所管しております。各団体におきまして、資料をつくることは各団体の自主的判断でございますが、私どもが関与できます、また、関心を持っておりますのは、宅地建物取引業法に基づく目的を達成しているかどうか、その点でございます。(大森委員「これについてはどうですか」と呼ぶ)具体的に、各団体において資料をいろいろな形で一緒にすること等については、そこは私どもがどうこうということよりは、むしろ宅建業法に基づく宅建業協会としてきちんと活動しているかどうか、それが私どもの関心点でございます。

大森委員 業法上、指導責任があるわけですよ。こういうのが適正だと言えば、ますますはびこることになるわけですよ。こんなふうに取引業協会、中に他の政治団体、それと一緒にもう議案書も全部入っている、決算書も全部入っている、こんな状態について何にも言わないというのでは余りにもおかしいじゃないですか。今のは撤回しなさい。

野見山政府参考人 重ねて恐縮でございますが、政治連盟は政治資金規正法に基づく政治団体でございます。宅地建物取引業法に基づき私どもは行政を遂行しております。宅地建物取引業協会が目的を達成するように活動する、それが私どもの行政の責任でございます。

 実際の総会に当たりまして資料等が合本されているということについて、私どもとしましては、宅建業協会がその目的を達成をするようにきちんとやっていただくことが大事だと思っております。

大森委員 宅建業協会が目的を達するためには何をやっても構わないというふうな答弁ですよ。

 あなた方がそういう考えでろくな指導もしないから、皆さんから見たら信じられないことまで今起きているわけですね。それが資料4であります。

 資料4をごらんいただきたいんですが、これは京都府の不動産政治連盟の会則第六条、傍線を引いた部分で、これはちょっと読みにくいんですが、「業協会に入会したときをもって、本会に入会したものとする。」「業協会を退会したときは、本会を退会したものとみなす。」完全にこれはもう組織が一体化しているわけです。

 副大臣、異常でしょう、これは。これを異常と感じなかったら、それは異常ですよ。

野見山政府参考人 副大臣の御答弁の前に……。

 資料4を拝見いたしまして、委員は、第六条でございますか、ちょっとコピーが薄いのですけれども、アンダーラインを引いております。この記述につきましては、重ねて恐縮でございますけれども、不動産政治連盟は政治資金規正法に基づく政治団体でございますので、その会則につきまして、私どもただいま初めて拝見いたしましたけれども、これは政治連盟の会員たるものの母集団の表現であるというぐあいに受け取ったわけでございます。

泉副大臣 この六条を読ませていただきますと、政治連盟としては、業協会に入った者を本会に入会したものとするという、政治団体側がこういうふうに規定しておられることは私も初めてこれを読みました。しかし、このことと、いわゆる私どもが所管させていただいております社団法人との関係は、これは別でございまして、こちら側の政治団体が勝手にこういうことを決めておるということで、これは政治団体が決めておるわけですから、私どもとしては評価のしようがないということでございます。

大森委員 あなた、私がさっきからずっと紹介していることを聞いていたでしょう。指摘したように、こういうもう全く紛らわしい、全く同一の大会を開き、同一の役員、同一の事務所、そういうことをやっている、それを何とも思わない、そういう中からこんな異常なことが生まれているわけですよ。そこをしっかり見ないと、これは本当に不動産業の健全な発展ということはあり得ないと思うんですね。これはもう分離できないメダルの裏表だと思うんですね。しかも、今この京都府の不動産政治連盟の会則で示したように、不動産政治連盟の側から一体化の仕掛けまでつくられているわけですよ。

 そこで、組織の一体化だけじゃないんですね。一番問題の資金の面でもそうなっているということを申し上げたいと思うんです。この資金は、社団法人と二つの政治団体、自民党、政治連盟ですね、資金面で一体化している。各都道府県の不動産政治連盟が全国不動産政治連盟に上納する会費はそれぞれの協会の会員数掛ける三千円となっています。それから、各協会の中には不動産政治連盟に加盟していないという会員がいるにもかかわらず、上納金は会員数が基礎になっているわけですね。これはいろいろな資料でもう皆さん当然つかんでいらっしゃると思うんですが、国土交通省、こういう仕組みは御存じでしょうか。

野見山政府参考人 不動産政治連盟は政治資金規正法に基づく政治団体でございます。

 私どもは、委員御指摘の事実については承知しておりません。

大森委員 あなた方は、これから調査を本当に、一体どういう観点でやるのか。全宅連と全政連そして全宅保証、代表者は一緒でしょう。藤田さんに詳しく話を聞けば全部わかる話じゃないですか。さっき言ったように、区別がつかないんですよ。藤田さんの頭から上が全宅連で、足から下は全政連だということはないわけですよ。きちんとその気になって調べれば幾らでもできるはずなんです。しかも、こういうぐあいに政治連盟の側からもう拘束するようなことまで全国では出ているという中で、それを怠るというのは、これはもう本当に職務に忠実じゃないと言わざるを得ないと思うんですね。

 そこで、全国不動産政治連盟に上納された会費は各都道府県の自民党宅建支部に還元されるわけですね。しかも、還元の仕方は、自民党の党員数掛ける二千円の金額が還元されるということになっている。上納するときは協会の会員数だ、そして還元するときは自民党の党員数、もう奇妙な関係になっているんです。

 こういうことについても、国土交通省は、これはもう関係ないと言いますか。おかしいと思いませんか。

野見山政府参考人 重ねて申し上げます。

 不動産政治連盟は政治資金規正法に基づきます政治団体でございます。

 私どもとしましては、委員御指摘の事実については承知しておりません。

大森委員 それでは、実体的な問題の是正等々を本当に全くできないと思うんですね。

 国土交通省は、三位一体になっている、これは現象としてはもうお認めになっていると思います。それも否定するんですか。取引業協会、それから保証協会、政治連盟、この三位一体ということになっているわけですが、実は、これに自民党も資金面を含めて加わった四位一体になっているということが問題なわけですね。

 そこで、この資料の5を見ていただきたいわけですが、これは神奈川県の神政連、不動産政治連盟広報委員会のビラですね。このクエスチョン一に書いてありますけれども、「神政連は特定の政党の下部組織ですか。」という質問に対して、「特定の政党の下部組織ではありません。」こう言い切っているわけですね。しかも続いて、「会費は、会則に定められており、」「任意ではなく全会員に納めていただきます。」こうなっております。

 ところが、この会費は全国不動産政治連盟に上納される。これは神奈川県で一九九九年分で二千三百六十五万八千円、これは七千八百八十六人分です。これが、前回指摘したように、全政連でろ過され、自民党の神奈川宅建支部に還元、これは七百七十五万円、三千八百七十六人ぐらいの数ですね。会員は、下部組織ではありません、こういうパンフレットまでわざわざ受け取って、しかし会費の方は全政連を通じて自民党の宅建支部に行くという仕掛けになっているわけですね。

 副大臣、わかりますね。もう国土交通省を離れて、政治家として、こんなことがいいのか、お答えいただきたいと思います。

泉副大臣 前回、先生のお尋ねに佐藤副大臣がお答えしておりますように、我々は今まだ調査を続けておるところですけれども、紛らわしい点があれば、それは公益法人として、社団法人として、ただすべきところがあれば、我々としてはこれから調査結果をもとにして指導してまいるつもりでございます。

大森委員 時間がありませんが、本当に会員はこれではもう詐欺に遭ったようなものですよ。下部組織ではない、しかし、納めた会費は全政連を通じて自民党に行っている、こういう現象。これはこの私の資料でも確認できることでありますけれども、こういう資金の流れについてもきちんと、厳然とメスを入れてください。それをお約束できますか。――副大臣にお聞きしています。

野見山政府参考人 副大臣の答弁の前に申し上げます。

 不動産政治連盟につきましては政治団体でございます。私どもは宅地建物取引業法に基づく宅建業界の健全な発展のために行政をとり行っておりますので、その点につきましてはしばしばお答えしているとおりでございます。

大森委員 副大臣に御回答いただきたいと思います。

泉副大臣 政治連盟につきましては今政府参考人がお答えしましたとおりでございますが、宅建業法に基づきます公益法人の監督については、誤解のないようにきちんと指導してまいるつもりでございます。

大森委員 驚くべき感覚だと私は思うんですね。KSD問題がこの国会で大きな問題になりましたけれども、KSDの場合にはまだ、中小業者がKSDに入らなかったら党費の立てかえ分なんか払わなくていいんです。不動産業はこの協会に入らなくては事実上営業ができない、そういうことになっているんですよ。それで、協会に入ったら政治連盟に必ず入らなくちゃいけない。政治連盟に入ったら必ず会費を払わなくてはならない。何が政治連盟にこれは関係ないですか。そんなこと言えるんですか、それほどの問題なんですよ、これは。今の副大臣の回答及び審議官の回答は、私は納得できません。これはきっちりと後ほど回答をいただきたいと思うんです。

 そんなことで、もう不動産業ほとんど全体が協会に入り、そして政治連盟に入り会費を納め、その一部が自民党に上がり、自民党に行っているわけですよ。それを政治連盟のことだからと。政治連盟は同時に協会でもあるんですよ。あれだけ説明したでしょう。その実態に目をつぶることは絶対できない。副大臣、もう一度お答えいただきたい。

泉副大臣 先ほど、京都府の政治連盟について、六条の御指摘がございました。政治連盟がこういうふうに勝手に書くことについては、私どもは所管外でございますので、手の出しようがない。しかし、我々が所管いたします二つの公益法人については、先生の御指摘のようなことも踏まえまして、調査の結果を見て必要な対応をしてまいると先ほど来お答えを申し上げておるとおりでございます。

大森委員 もう時間がなくなりましたので、最後、一問だけお許しいただきたいんですが、御指摘の点を含めて対応するということでぜひしていただきたいんです。

 それで、具体的に二点お尋ねしておきたいと思います。簡単です。

 一つは、政治連盟への加入、自民党への入党、これはあくまでも個人の自由意思によるものである、これは当たり前のことですが、規約や協会の資格要件などで拘束しない、このことを文書で全国の会員に徹底していただきたいということが一つ。それからもう一つは、社団法人の業協会会長が政治団体の代表になる等々、こういう本当に一体混然とした状態についてはもう改める。

 この二点について、具体的に御答弁いただきたいと思います。

野見山政府参考人 現在調査をいたしておりますので、ただいま副大臣から御答弁申し上げましたとおり、調査結果に基づきまして、いろいろな場を通じまして適正に指導してまいります。

 また、公益法人の代表者が他の団体の代表を兼ねることはあり得るわけでございますけれども、公益法人としての目的を達成するように、今までも行いましたように引き続き指導をいたします。

大森委員 では、指摘をした点を含めてぜひ対応していただきたいということを確認して、質問を終わりたいと思います。

持永委員長 次に、山口わか子さん。

山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。

 前回に引き続きまして、静岡県空港建設について御質問させていただきます。

 まず最初に、前回私が御質問させていただきましたことの確認をちょっと先にさせていただきたいと思いますが、静岡県空港の直下駅の設置につきましては、設置許可の時点では新駅設置を前提としたものだとは聞いていないということでした。新駅の有無にかかわらず、空港自体の必要性という観点からこの事業を採択し、現在工事が進められているという答弁をいただきました。

 静岡県の石川知事は、東海道新幹線静岡空港駅設置期成同盟会の総会におきまして、これは二〇〇〇年の八月二十三日ですが、新幹線駅の設置場所について空港直下駅案を採用することを了承したと聞いております。しかも、JR東海から、同二〇〇〇年七月十七日付で副知事あてに、新駅設置は現状では不可能という回答が来ているわけです。来ているにもかかわらず八月には新駅設置を知事が表明しているわけですが、このことは、国の設置許可の後に空港建設についての変更があっても、その許可を下すことについては別に関係がないといいますか、直下駅を採用したことと空港建設の設置許可とは無関係ということでよろしいんでしょうか。そういう御答弁だったと思いますが。

上子政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の質疑の中で、静岡空港の整備の計画につきまして御説明を申し上げたわけでございますが、静岡県は、候補地選定にかかわる専門的な調査検討を行うということで検討委員会を昭和六十二年に設置しまして、そのときに七千二百二カ所から絞り込んでおります。

 その時点では、検討の前提として、東海道新幹線の新駅の設置を前提としたものではございません。設置許可の関係につきましては、新駅の設置が許可の基準であるということはございませんので、その時点ではまだ新駅の設置の話が静岡県からそういう形で示されていたものではないということでございます。

山口(わ)委員 それは前に伺いましたので。

 設置許可をした後で新駅設置が出てきたわけですけれども、そのことと、設置許可をした後で仮に出てきても、それは別に設置許可を変更するとかそういうことはないということですね。

上子政府参考人 飛行場の設置及びその施設の変更がございました場合に変更許可とかそういうことがあるわけでございますが、今出ておりますような新駅の設置が飛行場の施設そのものに影響を与えるわけではない、飛行場の下の方ですね、そういうことでございますので、飛行場の設置許可あるいはその変更というものに当たらないというふうに解しております。

山口(わ)委員 それでは、別に飛行場の建設については、新駅設置があるために建設費がふえるとか工事が変更になるとかということはないというふうに考えていいという解釈だと思いますので、そういうふうに受けとめさせていただきます。

 それでは、続きまして、申請以来五年の月日が過ぎているわけですが、いまだに地権者の反対があって用地の確保のめどが立っていないというふうに聞いております。現在、六地権者ですか、五地権者とその共有地権者が反対しているというふうに聞いております。

 平成八年の七月二十二日付で石川知事から確約書が出されていると思うんですけれども、そのわずか後で設置許可が出ているというふうに思いますが、用地取得のめどが立っていない時点で設置許可を出した理由についてお聞きしたいと思います。

上子政府参考人 お答えいたします。

 航空法におきましては、設置許可の申請があった場合に、その申請者が、飛行場の敷地につきまして、所有権その他の使用の権限を有するか、またはこれを確実に取得することができると認められた場合を設置許可の要件にしているところでございます。

 お尋ねの静岡空港の設置許可につきましては、空港の大部分の同意が既に取得されていたということ、それから、静岡県知事から、地権者の同意が得られていない空港用地につきまして、設置管理者であります静岡県がその責任においてすべての用地を取得することを確約するというような確約書が提出されていました。そういったようなことを総合的に勘案しまして、航空法に定めます飛行場の敷地の使用の権限を確実に取得できると認められるということで判断したものでございます。

山口(わ)委員 そういう経過であるにもかかわらずまだ反対があるということで、既に工事が着工しているわけですね。ことしで三年目を迎えるわけですが、この地権者の反対というのは、用地確保のめどが立っているという知事の確約書とは違った経過をとっているというふうにしか見えないわけですけれども、このことについては、そのときは設置許可は出したけれども、その後で用地の確保のめどが立たないということであれば、国土交通省としては変更をなさるとかいうことはあるのでしょうか。

上子政府参考人 現在、空港用地につきましては、設置管理者であります静岡県がその取得に向けましてさまざまな努力を懸命に行っているところでございます。今後とも、静岡県が用地の取得にあらゆる努力を払うものと思っております。

山口(わ)委員 そうなればいいと思いますが、さまざまな反対がございまして、これからこの空港建設についてどう考えていくかというところでは、多くの方から疑問が出されていることも頭に置いていきたいというふうに思っています。

 次に、事業費についてですけれども、一応千九百億円というふうに発表されているわけですが、この事業費につきましても、既に工事が始まっているわけですね。二〇〇一年度段階で千九百億円の、本体工事が国庫補助の対象になっているというふうに思うんですけれども、その全体工事のうち九百八十二億円、約五一・七%が既に使われているというふうに聞いております。この本体部分の進捗率は、工事費で三六・六%、盛り土量で全体の一五・一%というふうに聞いているわけですけれども、国庫補助につきましては今までにどのような支出をなさっていますか、お聞きしたいと思います。

上子政府参考人 まず、静岡空港に関する総事業費の関係でございますが、静岡空港の整備に要する費用、先ほど千九百億円と言われましたけれども、補助事業とかあるいは国の直轄事業であります空港本体部の総事業費は五百六十億円でございまして、そのうち国費は三百十億円ということで、残りは県の単独事業という形になってございます。

 現在までの進捗でございますが、空港本体部の空港整備事業の投資額は、先ほど申しましたように総事業費五百六十億のうち百九十七億円投資をしてございまして、国費分は九十八億円ということでございますが、工事の執行率は三五%という状態でございます。

山口(わ)委員 そうしますと、補助金の支出が三五%ということでよろしいわけですね。

上子政府参考人 国庫補助事業の投資額が百九十七億円でございます。五百六十億円中の百九十七億円で、これが三五%ということになります。

山口(わ)委員 この静岡空港につきましては、これからも工事費がどう変わるかという、直下駅の問題もありますし、盛り土の問題もありまして、非常に不安を抱えているわけですので、国土交通省としてもチェックを厳しくしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、需要についてですが、静岡県の当初の需要見込みは年間百七十八万人であったとなっているわけですが、二〇〇〇年の六月の静岡県の議会で百二十一万人ということで、五十万人もの大幅な下方修正がされたというふうに聞いております。

 最近、地方空港につきましては需要の伸び悩みが非常に出ておりまして、五月二十四日付の空港の整備等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告でも、この需要予測に当たっては、景気低迷による伸び悩み、そのほかいろいろな実施状況によりまして、この需要を高く見積もることについては改善をした方がいいというふうな報告が出されております。

 そういった意味からしまして、この静岡空港の需要見込みの下方修正につきましては、国土交通省としてはどういうふうに評価をされておりますのかを聞かせてください。

上子政府参考人 平成六年度に静岡県が静岡空港の設置に際しまして需要予測を行いましたが、これは事業実施の前提として県において算出されたもので、予測時点の知見を踏まえて、その時点で適切なものを行っていたというふうに評価しております。

 現在、国土交通省、旧運輸省時代の平成十年四月、航空局関係公共事業再評価実施細目というものを定めまして、事業採択後一定期間を経過して継続中の事業などにつきましては再評価を実施することとしております。今後、静岡空港につきましても、その実施細目にのっとりまして対応していきたいと思っております。

 なお、先生御指摘の平成十二年に行われました需要予測につきましては、静岡空港将来構想検討有識者懇談会に提出されたものでございますが、静岡県が新幹線新駅の候補地を選定するというような際に、候補地相互間の比較検討のために行ったものでありまして、あくまでも参考的に試算したものであるというふうに伺ってございます。

山口(わ)委員 静岡県につきましては、二〇〇一年の五月十六日に住民投票条例の制定を求める住民からの署名約二十九万二千人分を添えて請願を行っております。市民団体が実施を求めて、静岡空港の是非についてを問う住民投票ですが、このことにつきまして、実は知事が五月十八日付の記者会見で、今まで住民投票制度に疑問を持っていた知事が、この二十九万二千人の署名を目の前にいたしまして、御自分の考え方を大幅に修正し、賛成するというポーズを見せたわけです。今までの反対を見る限り、住民投票の結果、空港整備反対となる可能性が高かったということは十分に考えられるわけなんです。それで、新聞報道によりますと、こうした住民投票が出ている中で、しばらくの間、はっきりするまでは工事を中止するということも知事が言っているわけなんです。

 このことにつきまして政務官にお聞きしたいのですが、国としてこういう経過をたどってきたわけですね。実際に工事を始めているのですが、住民投票を行うことについて賛成の意を示すという県知事の態度につきまして、国土交通省としてはどうなさるおつもりか、お聞きしたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 先生御承知のとおり、静岡空港は第三種空港であります。ですから、この設置管理者は静岡県になるわけでございますので、静岡県の判断がどういうふうな結果になってくるかということが大切なことだと思っております。

 国土交通省も、先生今お話がありましたように、住民投票条例に知事が賛成の旨述べておられることは承知をいたしております。これから恐らく県議会でいろいろ審議もありましょうから、当面の間、その審議の推移をよく見守ってまいりたい、こう思っています。

山口(わ)委員 もう一つ、静岡空港について心配な点があるわけです。この静岡空港というのは非常に変形した空域が隣り合う、自衛隊の基地もある、特に練習基地もあるというようなことで、特に最近ニアミスなんかの事故も見られるように、空港に限りましてはやはり何といっても想定外の事故は絶対許されないというふうに思うんです。特に公共交通機関ですからそのことは絶対許されないと思うんですが、この空港は非常に地形や空域などパイロットが精神的なストレスを多く感ずる場所と聞いています。特に危険性を伴う問題を抱えていることは確認されているわけです。特に航空機事故の六八%が離陸後の三分、そして着陸前の八分に発生しているという指摘からも、変則的な空域問題というのは安全性からも非常に疑問があるのではないかというふうに思っているわけです。

 そして、もう一つは、やはり何といっても浜岡原発、四基原子炉が空港予定地の近くで稼働しているということもありまして、非常な不安を住民に与えているというふうに思うんですけれども、このことはやはり設置許可をするときの条件にはならなかったのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

上子政府参考人 お答えを申し上げます。

 静岡空港の東十キロメートルのところに航空自衛隊の訓練用の静浜飛行場がございます。このため、静岡空港を設置した場合に静浜飛行場等の周辺空域における航空コースの安全を確保する必要があるということで、平成五年六月に、運輸省、防衛庁、それから静岡県、三者で協議を行いまして、その調整方策を合意いたしております。それによりまして、空域の安全問題は基本的には解決をしているものと考えております。なお、今後実施についてさらに細目を検討していくわけでございますが、引き続き三者で航空の安全を守る立場から検討を進めていきたいと思っております。

 それからもう一つの、静岡空港の南約二十キロメートルほどのところに中部電力の浜岡原子力発電所がございます。静岡空港、細部の飛行経路は、先ほど申しましたように、ほぼ合意の中で決まっておりますが、確定しておりませんが、これまでの検討の中では空港の東側から出入りするということになってございまして、同原子力発電所からは十分間隔がとれるということになります。

 以上申しましたことから、静岡空港におきましては、空域の安全及び原子力発電所との関係で安全上の問題はない、こういうふうに思っております。

山口(わ)委員 先ほどからの御答弁で、私が今申し上げました幾つかの心配がほとんど大丈夫だという国土交通省の御判断だというふうに思うんですが、この住民投票の結果を見ましても、非常に静岡空港につきましてはいろいろな意味で危険性が、住民の間には不安として残っているわけです。特に、トンネルの上を飛行場の滑走路が走るということ、そしてその直下に駅をつくるということ一つとりましても、住民から見ると本当に大丈夫なんだろうか、危険じゃないんだろうかという不安が非常に伴うわけですね。そのことがきちっと納得されない限り、仮にもし事故を起こしたときには取り返しのつかないことになるという不安があって、こういう住民投票の二十九万二千という大変な数になってきたというふうに思うわけです。

 確かにこれは県の事業ですけれども、国が設置許可をしない限りつくれないわけですから、国としてもこのことについては非常に責任が大きいというふうに私は思っています。特に小泉内閣になりまして公共事業の見直しということも考えておられると思いますし、特に空港建設というのは莫大なお金がかかるわけですし、つくった後、危険も伴うし、乗客もそんなにいない、後になってつくらなきゃよかったというふうに思うよりは、やはりつくる前に、もうつくり始めているんですが、今からでも遅くはないので、その判断というのが国によってきちっとなされない限り住民の不安というのはつきまとっているわけです。

 これから先どういう判断が下るかわかりませんけれども、住民投票の結果反対ということで、知事が、ではこの空港は取りやめようということになる可能性もあるわけですし、この公共事業の見直しという問題も含めまして、政務官に、今後空港建設について、特に静岡空港のこういう問題というのは、これから先も地方の空港には起こってくるというふうに思いますし、どう受けとめ、そして公共事業の見直しに空港問題はどう取り上げていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 先生御指摘のとおり、県民の声を大事にしていくということは当然のことだろうと思います。これから恐らく県議会の審議の中でそんな声をしっかり受けとめた議論がなされるものだと思っておりますけれども、今私どもは、やはり設置管理者であります県の判断をまず仰ぐ、よく見るべきではないか。まして、今地方の時代、地方分権ということも言っておりますから、国の方から、地方の意見がまだ十分審議されていない段階で結論を出すものはいかがかと思っております。

 ですから、当面の間はそんな県議会の議論をよく見ていきたい、こう思っておりますので、御理解いただきたいと思います。

山口(わ)委員 県の判断を待つのは構わないのですが、さっき私が申し上げましたようにいろいろな事故が起こったと仮定しますと、当然国の判断、国の責任も問われてくるというふうに思うんです。今まで非常に空港建設というのは進められてきたというふうに思いますし、特に地方の空港がかなり大幅にできてきましたし、これから先もまだ地方空港については建設の計画があるというふうに思っていますが、今までのこうした空港建設につきまして国としてもきちっと評価をしてこなければいけないというふうに思いますし、その評価の上に立って、国の判断、国の意思、国の意見というものも県に反映させていくということは物すごく大事だというふうに思っているんです。

 そういった意味で、国としての責任を持つ立場として、国としてはこうなんだという、やはりここが非常に大事だというふうに思いますので、その御判断をもう一回いただきたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 国の方としましては、平成十年に国土交通省におきまして航空局関係公共事業再評価実施細目というものを定めておるわけでございます。これにのっとってしっかりと再評価をしてまいりたい、こう思っております。

山口(わ)委員 ありがとうございました。

 何といっても、これからの公共事業は住民にとって歓迎されなければいけないと思いますし、危険を冒してまで公共事業を進めるということはやはりおかしいというふうに思っています。私たちの見る限り、まず最初に公共事業ありきという考え方でなくて、例えば静岡空港をつくるにしても、最初から住民の参加を求めながら、住民の意見を中心に聞きながら、どうあるべきかを議論していく中で本当に必要な公共事業をこれから構築していくというふうに考え方をぜひ変えていただきたいと思いますし、いたずらに住民の不安をかき立てないような公共事業を進めていただければ大変ありがたいと思っています。

 これからもよろしくお願いいたします。御意見いただけますか。

木村(隆)大臣政務官 先ほど事故のこと、やはり地域に住んでおられる方からすれば当然のことかもわかりません。しっかりとした検討を重ねて事故のないように整備を図っていかなければならないと思いますし、そのために住民の方の御理解もいただかなきゃなりませんので、県の方でしっかりと住民の方に御説明をなさって、安心だというような議論が進むことを御期待しておる次第でございます。

山口(わ)委員 ありがとうございました。

 ちょっと早いですけれども、これで終わらせていただきます。

持永委員長 次に、土屋品子さん。

土屋委員 無所属の土屋品子でございます。

 本日は、三つの問題について質問をさせていただきたいと思います。

 第一番目に、引きこもり問題に関しての質問でございます。ちょっと時間がないので多少早口になるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

 私の選挙区に全国引きこもりKHJ親の会の事務局がありまして、その会が昨年の十月、厚生省に陳情したのがきっかけとなって、ことしの二月二十二日に超党派の議員に呼びかけて勉強会を開催させていただきました。最近、その勉強会の内容を取りまとめた上で要望を厚生労働省に提出させていただいたこともあり、大変大きな関心を持っている一人であります。一連の取り組みで多くの国会議員の方にも引きこもりについては認知してもらったと思いますが、マスコミでの報道も最近大変頻繁になっており、社会問題としても非常に大きくなってきたような気がいたします。

 先般、厚生労働省が引きこもりについての見解を発表し、定義がやっとはっきりしたところであります。この定義もいずれまたどういう形でか変わっていくかと思いますが、とりあえず定義ができたことでスタートしたような気がいたします。

 これまで、引きこもりといえば家庭教育や本人の問題だ、私もそういう理解でありましたが、地方自治体でもそんな考えから十分な取り組みがなされていなかったような気がいたします。その対策はまだまだスタートしたばかりでございますが、政府の対応も、やっと調査が始まったところと理解しております。三年間の調査を完了した時点で対策を講じるのでは遅いかなと考えております。

 深刻な現状を考えたとき、困っている当事者や家族に対する相談窓口を一日も早く各自治体に設置することをお願いすると同時に、今後の対応策を検討するためにも、厚生労働省内に民間の専門家を含めた引きこもり対策プロジェクトチームの設置を早急に行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 引きこもりの原因もさまざまですが、多くの省庁にまたがる問題であり、厚生労働省だけでなく、文部科学省、総務省といった横の連携こそ不可欠であります。具体的にどのような連携をしているか、お聞かせ願いたいと思います。また、引きこもりの総合対策費としての窓口が一本化されていないので、重複を避け、より有効な対策と予算措置を望むところでございます。

 今後の具体策について、厚生労働省、また文部科学省、両省にお聞かせ願いたいと思います。

今田政府参考人 御指摘の引きこもりの問題でありますが、大変深刻な問題でございますし、そのように私どもも関係の皆さん方からいろいろと御要望、御意見を伺っておるのは御指摘のとおりであります。

 ことしの五月に、すべてのいろいろな相談窓口で引きこもり相談を受けていただくのだけれども、今御指摘もありましたように、何か親のやり方が悪いのではないかとか、非常に不適切な御指導をいただいたために、かえってそういう不安に陥れるというようなケースもあるやに聞いておりましたものですから、この五月に、十代、二十代を中心とした社会的引きこもりをめぐる地域精神保健活動のガイドラインというものを二万部つくりまして、児童相談所、保健所、精神保健福祉センターなどの相談機関、それから文部科学省、警察庁などの関係機関に配付したところであります。

 また、今年度から、我が省内各関係の部局とも連携をいたしまして、引きこもりを含みます思春期のいろいろな問題行動、こういったものに的確な支援を行うための事業といたしまして、初めて、思春期精神保健ケースマネジメントモデル事業というものを始めることにいたしました。モデル事業でありますので、現在七県でやっております。もちろん、このモデル事業を一つの貴重な資料としてこれを全国的にどう展開するかということにつきましては、今後の大きな課題でありますけれども、関係部局と十分に連携をとってやっていきたいと思っております。

 さらに、この問題がひとえに厚生労働省の中だけのものかという御指摘でありますけれども、当然、教育の分野、警察の分野あるいは保健福祉の分野、さまざまな領域にわたっておりますし、それにかかわっていらっしゃる皆さん方もそれなりの御努力をしていらっしゃるものと思います。申し上げました今回のケースマネジメントモデル事業につきましても、学校、警察、児童相談所、保健所等の方々の連携を前提としてこの支援を行う、その支援のあり方を集積していこうという考え方で実施しているものであります。さらに、この実施に当たりましては、文部科学省、警察庁、法務省、最高裁判所、こういったところにも御協力を求めてきたところであります。

 いずれにいたしましても、各分野にわたり、また非常に難しい課題でもありますので、今後鋭意取り組みを進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

遠藤政府参考人 社団法人青少年健康センターで調査を行いまして、全国の引きこもりの相談件数、大人が多いわけでございますが、平成十一年度一年間で約六千件ある。その中で、小中高校で不登校の経験があったかという質問に対しまして、約四割の方が不登校の経験あり、こう答えているということでございまして、私どもはやはり、小中学校の問題としては不登校の問題に取り組むことが引きこもりの防止につながるというふうに考えておるわけでございます。

 その不登校でございますが、原因、背景はケースによってさまざまでございまして、家庭の問題や学校のあり方、本人の意識の問題等の要因が複雑に絡み合って発生している、こう考えられまして、学校、家庭、地域社会、関係機関が連携協力し一体となって、早期からケースに応じましたきめ細かな対応を行うことが重要である、こう考えておる次第でございます。

 具体的には、学校における取り組みを支援するため、文部科学省といたしまして、一つには、わかる授業を行いまして子供たちに達成感を味わわせ、楽しい学校を実現して学校に行きたいという気持ちを持ってもらうということが一つあろうかと思います。それから、スクールカウンセラーの配置の拡充や、心の教室相談員の配置など、教育相談体制の充実も進めております。それから、不登校となった児童生徒に対しまして柔軟に対応するために、不登校の子供たちの学校復帰を支援する適応指導教室の整備の推進も進めているところでございます。それから、家庭、地域の取り組みということでは、その支援のために、家庭教育手帳の配付など家庭教育の充実、全国子どもプランの実施など地域における体験活動の充実などにも努めているところでございます。

 今後とも、学校教育、家庭教育、青少年教育の関係部局、あるいは厚生労働省等他省庁の関係機関とも連携をいたしまして、総合的な対策に努めてまいりたい、こう考えております。

土屋委員 ありがとうございました。

 まだまだ聞きたいことはありますが、引きこもり対策プロジェクトチームの設置を、何しろ横断的につくっていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

 さらに早口になりますが、二つ目の質問ですけれども、麻薬等薬物問題にかかわる質問でございます。

 ここ数年青少年の麻薬問題が急増し、私自身も大変懸念しているところでございますが、薬物乱用防止撲滅に関しては、先進諸外国に比較して、その対応は日本は大きくおくれていると考えています。警察等の取り締まりによる水際での国内上陸防止作戦や、薬物の売買を防止する対策費、さらには未然防止策としての麻薬教育等に予算措置がなされているところですが、昨年、予防対策としての薬物乱用撲滅教育に関して、私の地元埼玉県の教育局に開催をお願いし、高校生とその親を主体としたシンポジウムを開催してもらいましたが、その反響は大変に大きく、効果もありました。全国でもこのような取り組みをふやしていくべきであると考えています。このようなシンポジウムは、特に深刻さを親に伝えるためにも重要であり、今後、予算措置を含めて積極的に対応していくべきではないかと思います。予算全体を見直し、重点配分をしていただきたいというのがお願いでございまして、その点についてお答え願いたいと思います。

 それから一方で、実際に薬物依存症にかかった患者の専門更生施設が質、量ともに極端に少なくて、全国で九施設と聞いております。ここら辺にも配慮をお願いしたいと思いますが、この点についていかがお考えか、お願いいたします。

宮島政府参考人 先生御指摘のように、現在は第三次覚せい剤乱用期ということで、非常に薬物乱用が広がっております。特に低年齢化の傾向が憂慮されることでございます。政府全体では、薬物乱用防止五カ年戦略ということで現在取り組んでおりまして、厚生労働省におきましても、都道府県レベルで「ダメ。ゼッタイ。」普及運動、あるいは麻薬・覚せい剤乱用防止運動の支援を行っています。先生御指摘のシンポジウムも、こういった運動の一環として都道府県レベルでは開催されているところもございます。

 特に、低年齢化しておるということで、小学生やその保護者を対象とした啓発読本の作成、配付、それから全国の八ブロックに八台の薬物乱用防止キャラバンカーを置きまして、主として小学校、中学校を巡回して活用しています。それから、全国の小中学校におきまして、薬物乱用防止教室というものが開かれますので、そこへ麻薬取締官のOBなどの専門家を派遣いたしまして、啓発活動に努めているということでございます。

 今後とも、こうした創意工夫を凝らしながら、青少年に対する効果的な啓発活動を進めてまいりたいというふうに思っております。

 中毒者のいわゆる社会復帰対策についてでございますけれども、平成十一年から、全国の精神保健センターにおきまして、薬物依存に関する相談でありますとか、あるいはその家族に対する家族教室、それから相談所の職員の研修等を行っております。

 医療体制の関係では、薬物依存等を専門的に治療する病棟を全国十九カ所、約一千床を確保して対応しております。それから、それに対応する医師、看護婦についての専門の研修も実施しているところでございます。

 さらに、覚せい剤等薬物依存中毒のメカニズムの解明や、薬物依存者の治療及び社会復帰に関する研究を現在行っておりまして、こうした研究の結果も踏まえながら、有効的な対策を今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。

土屋委員 私が一番言いたかったのは、やはり、薬物乱用防止のキャンペーンのシンポジウムを開いていただいたときに一番感じたのは、親が子供と一緒にいっぱい来まして、親に非常に、こんなに大変な状況なのかというのを痛切に感じてもらったということなんです。ですから、シンポジウムを開くにしても、ぜひ親の参加も含めて考えていただければありがたいと思います。

 時間がなくなって申しわけありませんが、次の質問に移らせていただきます。

 きょうは、御指名しまして大変申しわけありませんが、我が埼玉県選出の山口外務大臣政務官にお越しいただきまして、御答弁願いたいということで、ありがとうございます。

 日本における予防外交の重要性は、今さらここで力説するまでもないのですが、きょうは予防外交について御質問させていただきたいと思います。

 予防外交というと大変広い範囲でございますので、きょうは、ちょっとNGOのことについて、実態としてのNGOを通してのODA支出額の割合は、欧米諸国に比較してどのような現状であるか、まずお伺いしたいと思います。

山口大臣政務官 今、土屋委員から御質問ありました。私は実は、委員のお父さんであります、元参議院議長、また現在土屋埼玉県知事のもとで……(発言する者あり)平成八年に土屋委員と一緒にドイツ、イスラエル、そして昨年はエジプトに行き、実際この目でNGOを見てまいりましたけれども、欧米と比べまして、実は、米国が九六年の実績では十四億一千万ドル、一五・七%、英国は九七年の実績で三億八千万ドル、一一・七%、オランダは九八年の実績で三億一千万ドル、一〇・二%。これに対して我が国は、実に二億五千万ドル、二・四%という数字で、大変少ないわけであります。

 政府としても、今後とも鋭意その強化に取り組んでいく所存であります。

土屋委員 今の数字でおわかりになったと思いますが、皆様も日本は非常に少ないということを理解したと思います。

 政府としての予防外交は、根本的な問題としては、PKOやPKFの参加の問題を含めて依然として未解決の部分が多いわけですけれども、今後、この部分は議論を待たなければなりませんが、民間で行われる予防外交については、冷戦後の地域紛争や民族対立の国際支援の一環として日本がとり得る非軍事的な活動であり、今後ますますその重要性が高まってくると考えています。

 予防外交に関しては、やっと日本でも認知されるようになったと思いますが、欧米のNGOやNPO先進国に比べると、その活動規模と政府補助金の額においてまだまだおくれていると言わざるを得ません。これからの民間外交、予防外交を考えたとき、最も重要なのが人材育成面の強化であります。

 そこで、人材育成面について、組織の補助金を手厚くするということに関してどうお考えか、予防措置の方法として、我が国ODAの予算をもっと積極的に予防外交の人材育成に使ってはいかがかということについて、お聞かせ願いたいと思います。

山口大臣政務官 まさに御指摘のとおりでありまして、国際社会においても紛争予防の重要性が高まっており、我が国としても、国際平和のために積極的に紛争予防に取り組んでいるところであります。

 時間をちょっと割愛させていただきますけれども、平成十二年度は、NGOの行う紛争予防にかかわる人材育成の事業に対して支援を始めたところであります。また、平和構築のため、我が国NGOと国外のNGOとの人材交流に支援をしております。御指摘の点を踏まえ、今後とも、こうした人材にNGOを積極的に活用することを検討していきたいと思っております。

 また、ODAの予算も、平成十三年度予算でも、NGO事業補助金に加え、草の根無償資金協力、NGO緊急活動支援無償、JICAの開発パートナー事業等の拡充により、NGO活動に対する支援強化も行っております。また、NGOの組織強化や人材育成を支援するための予算も拡充されており、政府としては、今後ともNGOに対する支援の強化に鋭意努めていくところでございます。

 委員も大変造詣が深いので、今後ともぜひバックアップをよろしくお願いいたします。

土屋委員 大変時間を超過して申しわけありませんが、最後に一言言わせていただきたいと思います。

 きょうの三点とも、予算をいただきたいというか増加の質問でございますが、増加というよりも、省庁再編の中、省庁の壁を越えていろいろなことをやっていただきたいということと、それから、予算措置の問題も、重複を避けるように、なるべく省庁間で情報を密にして、重複を避けて効率的な運営をお願いしたいという意味において質問をさせていただいたということを最後に、質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

持永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十七分散会




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