衆議院

メインへスキップ



第2号 平成13年10月24日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年十月二十四日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 浅野 勝人君 理事 木村 義雄君

   理事 菅  義偉君 理事 萩野 浩基君

   理事 石井 紘基君 理事 生方 幸夫君

   理事 高木 陽介君 理事 中塚 一宏君

      逢沢 一郎君    江藤 隆美君

      奥谷  通君    小泉 龍司君

      谷  洋一君    中川 秀直君

      中村正三郎君    長勢 甚遠君

      額賀福志郎君    橋本龍太郎君

      武藤 嘉文君    森岡 正宏君

      森田  一君    池田 元久君

      木下  厚君    今野  東君

      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君

      平野 博文君    松崎 公昭君

      山田 敏雅君    渡辺  周君

      神崎 武法君    大森  猛君

      穀田 恵二君    山口わか子君

      金子 恭之君    近藤 基彦君

    …………………………………

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第三局

   長            白石 博之君

   会計検査院事務総局第四局

   長            有川  博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官

   兼行政改革推進事務局特殊

   法人等改革推進室長)   松田 隆利君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人   

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  東  正和君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           鶴田 康則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 坂本 哲也君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  土屋 品子君     小泉 龍司君

  近藤 基彦君     金子 恭之君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     土屋 品子君

  金子 恭之君     近藤 基彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局特殊法人等改革推進室長松田隆利君、警察庁交通局長坂東自朗君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁運用局長北原巖男君、金融庁監督局長高木祥吉君、法務省刑事局長古田佑紀君、外務省大臣官房長小町恭士君、国税庁調査査察部長東正和君、厚生労働省政策統括官坂本哲也君、国土交通省住宅局長三沢真君、国土交通省航空局長深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。

浅野委員 自治労、全日本自治団体労働組合に関連する幾つかの問題点について、政府の見解をただしたいと存じます。

 まず、自治労の組合員と単組の数、それから組織率はどのくらいですか。

坂本政府参考人 自治労の組織人員でございますけれども、私どもで行っております労働組合基礎調査、平成十二年のが最新でございますけれども、これによりますと、百万六千九百七十四人ということになっております。

 また、自治労傘下の単組の数でございますけれども、これは四千六百十三組織ということでございます。

 また、組織率ということでございますが、組織率は私どもはちょっと調査しておりませんが、総務省の方の調べによりますと、地方公共団体の総職員のうちから警察、消防、教育を除いて、その数が百八十七万二千八百九十七人でございますけれども、そのうち、自治労を上部団体とする職員団体に加入している人、その数が九十四万九千七百六十人ということでございまして、これから組織率を推計いたしますと、五〇・七%という状況でございます。

浅野委員 五〇・七%という組織率は、日教組の三一・八などと比べてみますと、価値観が多様化している今の社会状況の中で高い数字だな、さすがに日本最大の産別労組だと思います。

 ところで、組合費の平均は幾らですか。

坂本政府参考人 自治労を構成するそれぞれの組合の平均組合費について直接調査したものはございませんが、自治労本部への納入組合費、これは組合員一人当たりで月額で四百八十五円というふうに承知をいたしております。

浅野委員 そうすると、全国の百万組合員、四千六百十三単組が自治労本部に納めている組合費は、その数だけ単純に計算しますと、年間五十八億円余りになるということになります。

 もう一度伺いますが、組合員一人当たりの組合費の平均は幾らですか。

坂本政府参考人 自治労の組合費を調査したものはございませんが、強いて言いますならば、労働組合の実態調査で組合員全体についての調査がございますけれども、これで見ますと、企業規模が千人以上の民間の労働組合では、一人当たり月額組合費が約四千三百円というふうになっております。

 また、社団法人のアジア社会問題研究所というところで調査を行っておりまして、こちらの方では一部官公労も対象に調査を行っておりますが、それで見ますと、企業規模千人以上の労働組合における一人当たりの組合費は約五千円ということになっております。

浅野委員 民間労組の平均が四千三百円で、官公労を足して平均すると五千円、そういう意味ですか。そうすると、仮に自治労が月平均五千円ぐらいとすると、組合費だけで年間およそ六百億円集まるという計算になりまして、途方もなく大きな組織だなという認識を持って質疑を進めたいと存じます。

 今の組合費、実は、月給から毎月天引きされているほかに、ボーナスのときに別途三千五百円徴収されていませんか。そういう細かいことはわかりませんか。――わからなければ、いいです。

 ここに、自治労が十月十五日に緊急県本部代表者会議を開き、その際に配った文書があります。一連の出来事について内部調査の結果、これまでにわかったことを詳細に説明している、中央執行委員長名の報告書です。今の時点で一番正確で詳しい内容だと思われますので、このレポートをもとに、私どもの調査で判明したことを加味しながら、予見を交えず、事実に基づいて質問をしてまいりたいと存じます。

 自治労の事業本部は、九〇年秋に、平成二年ですけれども、年金共済や団体生命共済など一連の共済事業を手がけることになりましたが、保険業法上、自治労が直接手数料を受け取ることができないものですから、間に代理店を入れて、そこに事務委託手数料を受け取らせることにしました。つまり、ダミー会社をつくってバックマージンを受け取れるようにしたわけです。それが、エイシン企画センターとケイアンドティという会社です。

 このエイシン企画センターは、日団、今のアクサ生命ですけれども、日団との年金共済にかかわる手数料の受け皿となり、それからケイアンドティは、東邦生命、今なくなっちゃいましたけれども、東邦生命との団体生命共済に関連した事務手数料を受け取るダミー会社でした。ケイアンドティの社長は自治労のOBです。

 エイシンの決算書によりますと、受け取った手数料は八年間に三億百万円。この間、自治労に千七百万円と二千百万円支払っています。残金はわずか千三十万円ですが、おととしの一月、会社を解散するときに自治労が六千万円回収をしておりまして、残金は、この六千万円と一緒に、自治労本部の書記次長が管理する口座に保管されています。したがって、そうすると差し引き二億二百七十万円の行方がわからないという計算になります。もっとも、そのときの六千万円というのは役員が個人として自治労に寄附したことになっておりますから、その六千万円はエイシンとは別のお金と見れば、二億六千二百七十万円が行方がわからないということで、使途不明金は膨らみます。

 エイシンという会社は、自治労会館の清掃を請け負っている日本クリーンという、この人がいっときエイシンの社長を兼ねておるのですが、日本クリーンという会社の中にあって、電話が一本、アルバイトは女性一人だけですから、それほど経費はかかってはいません。それならば、残りのお金というのは役員報酬に使われたのではないかという推定がされますが、複数の役員に会って確かめた人に私が会って聞いたところでは、報酬はもらっていないと言っています。したがって、この使途不明の二億二百七十万円ないしは二億六千二百七十万円は、丸々使途不明金だと言わざるを得ません。国税庁の解明は進んでいますか。

東政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の調査等に関する事項につきましては、守秘義務が課されている関係上、具体的に答弁することは従来から差し控えさせていただいております。よろしく御理解を賜りたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げますと、査察調査を行うに当たりましては、的確な証拠収集等に努めまして、法令に基づき、適正、厳格に対応すべく取り組んでいるところでございます。

浅野委員 まあ、そういう御答弁だろうと予測しておりました。一般論として重要な関心を持っていると受け取っておきます。

 エイシンは、八七年秋ごろ、自治労の山田財政局長が、この人はもう亡くなっておられますけれども、出入りの業者を集めて、退職した自治労の元役員の処遇などを目的につくった会社で、九〇年十月に事業本部の事務局長がエイシンに保険代理業の資格を取らせたのが今回の出来事の発端なんです。

 この自治労の中央執行委員長の報告書の中に、その設立経過はもとより、節目節目において自治労の関係者がかかわってきており、全く無関係であるとは言えないと述べておりまして、両者の関係を自治労がみずから認めています。さらに報告書は、事業本部との間で契約が結ばれなかったことや、実際の募集事務のほとんどすべてを事業本部が行っていたと正直に指摘して、自治労がエイシンを自分のかわりに事務手数料を受け取るだけの入れ物として使っていたことをうかがわせています。

 法人税法は、公益法人や自治労のような人格のない社団等は収益事業から生まれた所得しか課税しないことになっているのは御承知のとおりです。収益事業とは、法人税法施行令五条で三十三種類の業種を指定しており、自治労の共済事業は収益事業の対象外で、課税されません。

 ところが、今回のこのケースの場合、実際には年金共済の募集など一連の業務のほとんどすべてを事業本部がやっていたということを内部文書で自治労自身が指摘しているわけでありまして、エイシンへの手数料収入は当然自治労がもらうべきものだという見解に立てば、エイシンと自治労の経理は事実上一本だったように思われます。エイシンから自治労へ流れた簿外の裏金はもとより、エイシンへの手数料は、もともと自治労に実質的には、実体的には帰属するものと見ざるを得ません。言いかえれば、このケースに限って、自治労の共済事業は、施行令五条の十の請負業もしくは十八の代理業、ないしは双方に該当するのではないかと私は思えてなりません。

 だとすると、税法上、この場合の保険の手数料収入は収益事業の収入とみなされ、実質所得者課税の原則に基づいて、収益事業に伴う自治労の所得とみなすのが自然ではないですか。

東政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の調査等に関する事項につきましては、具体的に答弁することは差し控えさせていただきたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げますと、法人でない労働組合等の団体は、法人税法上の人格のない社団に該当いたしまして、この人格のない社団につきましては、税法上限定列挙されました収益事業を営む場合に限り課税されることとなっております。この点、先生の御指摘のとおりでございます。

 さらに、一般論として申し上げますと、人格のない社団等が収益事業を営んでいるかどうかにつきましては、個々のケースにおける事実関係に即しまして、その収益事業を営む場合に該当するかどうか精査した上で判断することになろうかと存じます。

浅野委員 私が申し上げたことを一般論としてコメントしただけですから、それ以上答弁の中身を推量することはできませんけれども、実質所得者課税の原則を見据えて精査していると受け取ってよろしいですか。

東政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも一般論として申し上げますと、個々のケースに即しまして事実関係等を的確に精査した上で、税法に基づきまして適正に対応してまいりたいと存じます。

浅野委員 それ以上、同じことの繰り返しになると思います。それなりに重い言葉と受け取っておきます。

 北海道にもエイシンと同じようなダミー会社があるという情報が私の手元に寄せられていますが、政府はキャッチしていますか。

古田政府参考人 委員御案内のとおり、現在、検察当局におきましては、元自治労役員らを業務上横領の罪で逮捕して捜査中でございます。しかし、その捜査の中で、どういう事柄について捜査あるいは証拠の収集をしているかということにつきましては、現に行っている捜査の問題でございますので、答弁は差し控えたいと存じます。

 ただ、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、刑事事件として事案の真相の解明に必要な捜査は尽くすものと承知しております。

浅野委員 自治労には簿外口座、言いかえると裏金をプールしている裏口座が十六あります。財政局長が管理しているのが十二、事業本部が四つ、この合計十六の裏口座の中の残高は七億七千万円余りと、報告書はみずから明らかにしております。

 実は、その財政局長が管理している十二の中に、自治労二百万という名前の口座があります。この裏口座の中から、自治労大阪府職員労働組合の組織対策費の名目で、九八年の九月に、二千万円、三千万円、二千万円の三回に分けて合計七千万円が引き出されて、UBCという情報処理会社に支払われております。これは東京・新宿にある会社なんですけれども、UBCは自治労関連三団体が一〇〇%出資しているいわば自治労の一〇〇%子会社で、社長は歴代の自治労の委員長が兼務しております。役員は、十三人のうち十人が自治労本部と兼職のようであります。一人一人完全には確認はできておりませんけれども、おおむね間違いないと思います。この限りでは、エイシンよりUBCの方が自治労とのつながりは深いと想像されます。

 この会社の代表取締役専務が、先ほど刑事局長御指摘のとおり、三千八百三十五万円の横領事件で逮捕されているのは皆さん御存じのとおりです。ちなみに、逮捕された長谷川容疑者は、自治労の特別執行委員と兼職で、これもやや未確認ですけれども、自治労中執の幹部会議のメンバーだったということです。

 この長谷川容疑者が、九八年九月の上旬、三千二百万円と千八百万円、二回に分けて合計五千万円を右翼対策費の名目で支出し、右翼団体に払ったことになっています。これはわかりません、払ったことになっております。UBCの出金伝票に当たる支払い調書に長谷川専務の決済印があると聞いていますから、間違いはありません。

 UBCが九月上旬に五千万円支出した後、同じ九月の月内ぎりぎりに自治労からUBCに七千万円渡っています。この裏金は自治労事業本部からこの自治労二百万という裏口座に一たん振り込まれて、そこから改めて組織対策費の名目で引き出され、いわばマネーロンダリングをした上で、事業本部の事務局長に戻されてUBCに渡ったこの七千万円なんです。ひとまずUBCに右翼対策費を肩がわりさせて、後からすぐ自治労が補てんしたとしか思えません。上旬にUBCが五千万円出した、下旬に自治労が七千万円入れた。私の調査だと、この間、二十日足らずなんです。どう見ても、自治労本部が右翼団体の街宣をやめてもらうためにUBCに手を打たせて、その後、裏金で穴埋めをしたことは、私の目にはどうも明白だなというふうに映ります。

 この経過と事実を見ますと、自治労本部の中枢が深くかかわっていたのではないかと推測するのが、むしろ自然です。企業が総会屋対策でお金を渡せば、商法四百九十七条で捕まります。自治労本部にUBCと共通する刑事責任は発生しないのでしょうか。

古田政府参考人 実際に何らかの犯罪が成立するかどうかということにつきましては、具体的な証拠関係に基づく事実によって判断されることでございますので、法務当局としてここでお答えするのは大変難しいということを御理解いただきたいと存じます。

 ただ、一般論を再び申し上げることとはなりますけれども、検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、これは所要の捜査を遂げて適切な対応をするものと承知しております。

浅野委員 問題提起として受けとめていただければ十分であります。

 幾つかの県の調査でわかったことですが、都道府県の本部は自治労本部に組合費の一定の額を上納しています。これは労働組合に限らず、上部組織の活動費として一定の資金を上部団体に提供するのは、組織を維持し、活動を続けていく上でどの組織にあっても当然のことです。自民党費も同じです。

 自治労の場合、問題なのは、各地方本部からの上納金のうち、一部を闘争資金あるいは組織強化費の名目で都道府県に逆流、還元していて、その使い道については報告する義務がないと自治労関係者が言っている点です。まさかこんなことが行われているとは思いたくないのですけれども、幾つかの県の自治労関係者からの共通する指摘として私どもの耳に入ってくるものですから、やはり労働組合の監査については考え直してみる必要があるのではないかなという気がいたします。

 自治労のようなこんなに大きな組織がすべて内部監査だけでいいのか、労働組合といえども公的な部外監査を受けるようにすべきではないかと思います。憲法で保障されている労働基本権を厳格に守るということと、組合員のお金をきちんと管理することとは別問題と私は思いますけれども、いかがですか。

坂本政府参考人 現在、自治労が問題になっておりますが、自治労は主として地方公務員を構成員とする団体ということで、いわゆる労働組合法に定める労働組合ではないわけですけれども、一般の民間労働組合に引き直して一般論として申し上げますならば、御紹介ございましたように、憲法二十八条で労働者の団結権が保障されているということで、労働組合法におきましては、その趣旨を踏まえまして、労働組合が政府とか使用者、そういった外部のものに支配、介入されることがないように、組合員の総意によって自主的、民主的に運営されるものとなるように、そういう観点から労働組合が設置をされております。

 このため、組合の会計につきましても、組合規約において、公認会計士による正確であることの証明書とともに、少なくとも毎年一回以上、会計報告を組合員に公表すること、そういった規定を定めなければならないというふうに労働組合法で定められてございます。国による監査等を行うのではなくて、民主的な手続に基づいて、組合員が責任を持って対処する、そういった制度になっておるところでございます。

 こういった現在の状況を踏まえまして、労働組合の財政を国がチェックする制度にする必要があるのではないかという御指摘でございますけれども、これは国と労働組合との関係に関する基本的な考え方につながる問題でございますので、その点については慎重な議論が必要ではないかと考えております。

浅野委員 今の御答弁は労働組合法五条について解説をしたのだと思いますけれども、労働組合法五条は民間労組を対象にして、官公労は対象外のはずですね。そしてこれは、公認会計士のチェックを受けて年に一回、労働委員会に提出するということを労働組合として認める際に確認しておればそれでよくて、それ以上労働委員会が各単組の、各組合の会計をチェックするわけではない。年一回の定期大会なり総会に会計報告をして、組合員の方々の了承を得ればそれでいいのだという現行法の説明をいただいたと私は思っています。

 つまり、五十年やってきて、問題がこういうふうに出てくるから、それではこの際、一体どうあるべきかということを考えてみてはどうなんだろうか。それは行政府も政党も、そして聖域のない改革ということをみんなで目指すとすれば、労働組合といえども聖域の外ではない。このことは、労働運動にこの際介入したり、労働運動を規制しようなどという気持ちはつめのあかほどもありません。

 繰り返しますけれども、憲法で保障された労働基本権をこれまで以上に厳格にきちんと守って、健全な労働組合を発展させていただきたいという気持ちに変わりはないその一方で、汗をかいて働く組合員の納めた組合費をきちんと管理していけるように、いささかのチェックシステムがあったとしても、それは労働基本権を侵すものではないのではないだろうかという指摘をさせていただいたというふうに、行政府もひとまず理解をしておいていただきたいと存じます。今後の重要な課題だと私は思っております。

 自治労事業本部の年金共済と団体生命共済などの給付に備える内部の積立金は、年金共済事業で三千四百億、団体生命共済の方が三百億円ですから、合計しておよそ三千七百億円と聞いています。これを自治労が運用しているのですが、運用実績を上回る高い利率を加入者に約束しているものですから、今、百億円余りの赤字を出して苦しんでいるとも聞いています。

 自治労は、みずから真相究明委員会を立ち上げて、これを機に真相の究明と厳正な対処を行い、自治労本部の責任を明確にすることが必要で、この作業なしには自治労全組織で再生に向けた取り組みを開始することはできないと、報告書の中で悲痛な決意を示しています。自治労執行部のこの認識は正しい。この際、うみを出し切って、自治労が再生に向けて努力することを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 本日は、時間も限られておりますので、今大きな話題となっております行政改革、特に特殊法人改革の問題について質問させていただきたいと思います。その中でも、特にきょうは国際協力銀行、そして都市整備公団の問題に触れたいと思うのです。

 その前にまず、今回、九月十一日の米国の同時多発テロで、今米国を中心にタリバンとの闘いという形となっております。我が国も、テロ対策の特措法も衆議院を通過し、参議院で論戦を繰り広げられておりますけれども、こういった中で、さまざまなところにいろいろな経済的な影響も受けている。

 まず、今回の同時多発テロで観光関係、特に航空機関係の問題でいろいろな影響が出ているということで、お客が乗らなくなってきているというか、特にハイジャック等々の不安感もあるでしょう、そういった中で、この事件に関連して我が国の航空業界はかなり減収しているという報道もございますが、それが一体どうなっているのか。そしてまた、この事件に関連して、航空保険契約等々の見直しで費用が増加している、さらには保安体制強化で航空各社がいろいろな手を打っていく、こういった状況で、その費用増加等々はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。

深谷政府参考人 御説明申し上げます。

 九月十一日にアメリカで想像もしないような事案が発生いたしまして、今先生御指摘のように、我が国航空界もさまざまな影響を受けております。

 御案内のように、私どもといたしましては、こういったハイジャック事件を我が国において起こさせないということで、その後、飛行場でのフェーズを最も高いレベルに上げさせていただいております。そんな関係で、お客様方には大変御不自由をおかけしている面があるわけですが、御理解をいただきながらそういう対応をしております。

 御指摘の、我が国の航空企業全体への影響でございますが、同時多発テロ事件を契機にいたしまして、日本航空、全日空、日本エアシステム三社の米国線が、九月十一日に事案が発生しまして運航がとめられておりましたので、通常に回復しました九月十六日から九月三十日まで九月の期間、この間で国際線が前年比約二九%の減、特に米国路線につきましては、その期間でございますと前年比約五四%の減というふうな状況でございまして、そういったことで、お客の数が大変減少しております。今後の状況を見通すのはなかなか難しいところではございますけれども、テロ事件がございまして以降、この九月の減収額全体では約百五十八億円に上るというふうに報告を受けております。

 また、御指摘の保険料の値上げもございます。航空保険料の値上がりによります費用も増加いたしておるわけでございますが、グループの会社を含めました日本航空、全日空、エアシステム三社につきまして、年間に引き直しますと全体では約四百億円の費用増というふうに報告を受けております。

 また、冒頭御説明申し上げましたように、保安体制の強化をさせていただいておりまして、これにつきましてもそれぞれかかり増しがあるわけでございます。グループ各社を含めました日本航空、全日空、JAS、さらにはエア・ドゥ、スカイマーク、こういった全体で対応していただいておりますけれども、現在の状況が今年度いっぱい仮に続くという前提で計算いたしますと、費用増は今年度下期全体で約四十二億円程度になるというふうな推計も会社から聞かせていただいております。

 今後の情勢の変化もにらみながら、費用増加の詳細な内容については航空会社から引き続ききちっとヒアリングをしながら把握に努めてまいりたい、かように考えております。

高木(陽)委員 今お話がございましたように、かなりの減収額になってくる。民間航空会社ですから、それなりにまたいろいろと経営努力をしながら頑張っていっていただかなきゃいけないと思うのですけれども、さて、そこで問題となるのが、特殊法人との関連になってくるのです。

 来年度、各航空会社は航空機を調達する計画もあると思うんですけれども、この航空機というのは、ジェット機ですね、日本でつくっているわけではありませんので輸入しておりますが、これの資金調達というのは、実は国際協力銀行が財投の中から融資をしている、こういう現実があると思います。ところが、そこら辺のところで、経営との問題となってきますし、これは各民間航空会社の経営だけの問題じゃなくて日本の航空行政の問題にもなってくるんじゃないかと思うんですが、まず、来年度の新規航空機の購入の計画、また政府系金融機関、国際協力銀行等から資金調達をする、そういう計画はどのようになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

深谷政府参考人 御説明申し上げます。

 我が国エアラインの航空機の導入についてのお尋ねがございましたけれども、航空会社が航空機を導入する場合、これは多額の資金を必要といたします。そんな関係で、これまでも国際協力銀行によります融資が行われてきているところでございまして、国土交通省といたしましては、我が国の各航空会社からの機材導入の計画を聴取した上で、十四年度、来年度の航空機二十二機の導入につきまして、融資額約一千六百四十億円を概算要求時点でお願いをいたしておるところでございます。

高木(陽)委員 今概算要求で要求している額は一千億円を超えちゃっております。

 行革、特に特殊法人改革が進んでおりますけれども、そういった中で、ことしの八月十日、行革推進事務局の方で開示されました「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」によりますと、国際協力銀行の輸入金融業務に関しては次のように示されているんですね。それは、「資源関係以外の業務を廃止する。」いわゆる資源関係以外の融資はしちゃいけないという、これはこれで一つの考え方なんでしょうが、それに当てはめますと、今回の航空機、これは資源ではありませんので融資はしちゃいけないということになる。

 もちろん、我が党も特殊法人改革、そして行政改革は大いに進めるべきだという立場にありますけれども、個別具体の問題になりますといろいろと課題が出てくるな。その一つとして、こうなってきますと、来年度の航空機の導入というのは民間金融機関から調達しなきゃいけませんが、何せ額が膨大になります。今の民間金融機関、不良債権を多額に抱えている中でこれが果たしてできるのかどうか、こういった疑問も感じられます。

 この「個別事業見直しの考え方」においてそのような考え方を示しておりますが、航空機に関してどのように考えておられるか、行革事務局の方からお伺いしたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 特殊法人改革につきましては、さきの通常国会におきまして、議員提案によります特殊法人等改革基本法が成立いたしております。この基本法や昨年の行政改革大綱に基づきまして、事業をゼロベースから見直す、その上で組織の改革を進めていくということで、年内にも整理合理化計画を策定すべく今作業を進めさせていただいているところでございます。

 昨年の行革大綱等におきましても、事業の見直しに当たって、民間でできるものはできるだけ民間にゆだねていくという方針が示されているところでございまして、こういう政策金融機関関係につきましてもそういう観点で事業の見直しを進めてまいりまして、事務局の段階の考え方ではありますが、八月十日に先生先ほど御指摘のような考え方を示させていただいたわけでございます。

 基本的には、民間でできるものは、例えば貸し付けは民間にゆだねていく、場合によりましたら、さらに例えば証券化支援とかあるいは保証とかいう形で、一歩引いた形での関与、役割に変わっていくということができないかということを、各政策金融機関等の業務につきまして指摘しているところでございます。

 そういう八月十日の指摘を受けまして、国際協力銀行の方では、航空機輸入に係ります融資につきまして、十四年度の出融資計画には盛り込まないということにされております。また、民間金融機関の融資のみでは対応が困難な場合にということで保証制度の要求もなされておりますので、このような方向で適切な対応がなされるものと考えております。

高木(陽)委員 民間でできるものは民間でやる、当然だと思うんです。

 では、来年の航空機の調達に関して、本当に民間がどこまでできるのか、そういった精査。特に、本当に金融機関は今、長期の、しかも固定金利みたいな形での融資をするということは正直考えられないだろうな。では、その上でどうしていくか。政策の部分と経営形態、これはまたやはりしっかりと立て分けて考えなければいけないんじゃないかな。

 特に来年以降、羽田も始め、成田も始め、発着数等々もまた変わってきたときに、日本の航空行政としてこれをどういうふうにしていくのかという位置づけをしっかりしていかないと、ただ単に経営形態、形だけを変えてしまっても余り意味がないのかなというのをちょっと感じているので、指摘をさせていただきたいと思います。

 続きまして、都市整備公団の問題もちょっと似通った問題なんですが、これも民営化論というのがかなり活発に行われております。この都市整備公団についてもむだを省いていく、これはまさに必要なことですし、では、ただ単に民営化すれば全部住宅政策がうまくいくのかという、ここら辺のところもやはりしっかりと論議を進めていただきたいなと思うんです。

 というのは、賃貸住宅の問題なんですが、賃貸住宅は充足している、こういうような意見もありますし、また逆にまだ足りないという意見、これはいろいろな意見があるんですけれども、その中で、この改革論議をしていく上において、現在住んでいる人たちがいるわけですね。

 特に、住民の方々、私の地元も多摩ニュータウンを抱えておりまして、賃貸公団住宅の築三十年以上になりますと、かなりの高齢者の方々がたくさんいらっしゃる。皆さん不安に思っているのは、これが民営化された場合に市場原理に基づいて家賃がどんどん上がっていく、しかし、今自分は年金生活者だ、これはどうなっていくんだろう。では、今さらここから引っ越して民間のところに住めるのかといったら、なかなか家賃が高い中で住めませんだとか、そういった不安感、危機感を持っている現状の中において、大都市部における賃貸住宅の現状、または賃貸住宅政策の中で公団住宅が果たしている役割というのは一体どんなものなのか、これは国土交通省に聞きたいと思います。

三沢政府参考人 賃貸住宅の現状と公団の役割についてのお尋ねでございます。

 それで、賃貸住宅の現状でございますが、やはり現状においては賃貸住宅は依然として、居住水準という面から見ると改善が立ちおくれているという面がございます。特に大都市地域におきまして、いわゆるファミリー向けあるいは高齢者向けの質のいい賃貸住宅ストックというものが非常に不足しているという現状でございます。

 一つの数字で申し上げますと、例えば四大都市圏の借家にお住まいの二人以上の世帯の方々、これは二人以上でございますので、当然三人世帯、四人世帯、五人世帯、全部含むわけでございますが、こういう方々が約五百七十万世帯いらっしゃいます。一方、賃貸住宅ストックの中で、こういういわゆるファミリー世帯が住むに適する、五十平米以上のストックというところで一応切ってみますと、こういうものが約三百十七万戸ございますので、この差の約二百五十万戸は、二人以上の家族世帯でありながら五十平米以下の借家に住まわれているという現状でございます。

 こういうことから申しますと、やはり良質な賃貸住宅の供給の推進というのは、住宅政策上、非常に大事な課題であるというふうに認識しております。

 それで、そういうものについて民間事業者、民間によってどんどん供給がなされるかどうかという点でございますが、現状で申し上げますと、正直申し上げまして、民間によるこういうファミリー向けの賃貸住宅供給というのは必ずしも十分になされていない。一つ、例えば数字で申し上げますと、東京都区部における民間賃貸住宅ストックの約六割が三十平米未満ということで、そういう意味では、やはり民間による供給というのは十分なされていないという現状がございます。

 こういう意味で、都市基盤整備公団は、住宅政策上非常に供給が必要な賃貸住宅につきまして、民間事業者によっては必ずしも十分に供給がなされていないという現状にかんがみまして、従来から賃貸住宅を政策的に供給するという役割を担ってきたわけでございます。

 それからもう一つ、先生御指摘の七十五万戸の既存賃貸住宅ストックにつきましては、これは御指摘のとおり、高齢者の方も含めまして二百万人の方が居住されているわけでございます。このストックもいろいろな評価がございますけれども、例えばバリアフリー化という観点から申し上げますと、この公団の賃貸住宅ストック、何とか努力しまして一割くらいまでバリアフリー化が進められております。一方、民間の借家ストックでは、バリアフリー化率というのは〇・三%ということでございますので、やはり、これから少子高齢化に向けて、こういう貴重な国民の資産としての住宅、既存賃貸住宅ストックを有効に活用していくということは、住宅政策上も必要なことであるというふうに考えております。

高木(陽)委員 今、住宅局長から公団賃貸住宅の現状、役割等々もお話しいただきましたけれども、例えばこんな数字もあるんですね。というのは、七十五万戸、二百万人の居住者のうちで、世帯主が高齢化している、六十五歳以上の高齢者が世帯主の比率というのが、民間は九・八%ですけれども、公団賃貸の場合には二一・三%、倍以上あるという。では、この方々はどうするんだと。または、民間の借家の入居資格限定状況、いわゆる民間ですと、こうこうこういう理由、こういう条件だと入れないだとか、いろいろと制限がございまして、高齢者、小さい子供のいる世帯等を入居制限しているというのは四七・二%あるというんですね。

 こういった現状の中で、民でできるものは民でやる、当然なんですが、果たしてこの公団賃貸がばっと一斉に民になった場合にそれだけの人を吸収できるかどうかという現状、ここら辺がどうなのかなというふうに思います。

 そのことも踏まえた上で、行革の事務局の方では、今後、今論議している最中だからこうですとは言い切れないと思うんですが、そこら辺の検討状況も踏まえてどういう考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の都市基盤整備公団につきましては、道路四公団等を含めまして先行の七法人ということで、先ごろ経済財政諮問会議でお決めになられました改革工程表におきましても、「他の法人に先駆けて結論を得る」ということで、作業を進めているところでございます。

 国土交通省の方からは、基本的には民営化の方向で検討をしたいという御報告が寄せられているところでございますが、私どもとしましても、この八月の十日の「事業見直しの考え方」の中で、また繰り返しになって恐縮でございますけれども、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という考え方で、この賃貸住宅部門につきましては可能なものから業務形態の見直しをしていくということを指摘させていただいているところでございます。

 現在、約二百万人の入居者が公団の賃貸住宅におられるということは十分承知しておるところでございまして、こういう方々のいわば生活に対する配慮ということも踏まえまして、この年内に策定していく計画におきまして十分検討してまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 時間が参りましたので、きょうの朝日新聞に、この公団住宅の問題、賛成論、反対論、双方の論議があったので、これだけちょっと御紹介して終わりたいと思います。

 まず、都市基盤整備公団の改革には賛成だが、国として住宅政策をどうするかという議論のないまま、赤字だから民営化でいいのかどうか。もう一つは、民間でできるものは民間にするということなんですが、公団が民業を圧迫している、これはもう変えなければいけないんですが、公団があるから民間の賃貸市場が熟さないと言う人がいるけれども、本当かと。特にファミリー向け賃貸なんて入退居の回転が悪いから、利益を上げにくい。利益が上がらないとやはり民間も参入していかないわけですね。そういうものは公がやっていく、こういう部分があると思うんです。

 もう一つ、「古い団地は立地が良いから市場原理にゆだねれば家賃は上がる。公営住宅も倍率が高くて入れない。そんな事態が予想できる。そうなっては困るから国も家賃補助せざるを得ないでしょう。何のための民営化か」という、そういう問題も出てくるんじゃないかという指摘があるんです。

 何も私は、公団、特殊法人改革にブレーキをかけるつもりは全くありません。逆に推し進めなければいけない。ただ、その上において絶対に忘れてはならないことは、例えばこの公団住宅の問題でいえば、住んでいる人がいるというこの現実。では国としての住宅政策をどうするかという論議をしっかりと詰めていかないと、ただ単に形だけを変えてしまっても、魂が入らなければ何にもならないということ。これから論議がさらに進みますし、我が党内でもしっかりと論議を進めておりますので、ここら辺を踏まえてこの改革を推し進めたい、そのことを申し上げまして質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。

 会計検査院の、このたび九月の下旬に出されました、内閣官房報償費とそれから外務省の報償費についての調査について質問をしたいと思います。

 私も、予算委員会でこの機密費問題、随分質問させていただきました。そのときの一番焦点になっていたのは、松尾某の犯罪の裏にあった問題として、外務省の報償費が一部内閣官房の方に上納されているのではないかというのが予算委員会でも焦点になっていて、私も、この調査結果が出たときに、どんな調査結果が出るのかなというのを期待して見ていたわけです。

 この間資料をいただきまして、つぶさに読ませていただいたんですけれども、何か、官房に上納したという部分がどこを見てもないんですね。まず一点、どうして上納についての報告がないのか、ここからお伺いしたいと思います。

金子会計検査院長 お答えする前に、今回の報償費についての会計検査院の検査のスタンスについて、一言申し上げさせていただきたいと思います。

 今回、松尾事件が発生し、国民の報償費に対する関心が非常に高く、また国会でもいろいろな御議論がございました。そういう点を踏まえ、また、国民も会計検査院の検査及びその検査結果について強い関心を抱いているというふうに理解をいたしまして、私、事務総局に対して、徹底した、そして厳正な検査を行うように指示をいたしました。私自身といたしましては、事務総局において徹底した、そして厳正な検査をしたというふうに考えております。

 ただいま御質問のありました上納の問題については、外務省の報償費がどのように流れ、そして、その報償費が本来の目的に従って適正に支出されているかどうかという点に着目をして検査を行ってまいりました。その結果につきましては、報告書に記載しているとおりでございます。

 そして、ただいまの上納の問題についてでございますけれども、検査の結果、最終支払い者に対する書類が不備であったり、あるいは高度に機密性を要するということで、説明を受けることができなかった部分がございます。そういう事実については、会計検査院の今回の報告の中に記述をしてございます。

 そういうことを踏まえた上で、会計検査院の今回の検査の範囲内において上納の事実を把握することができなかったということで、上納そのものについては触れてございません。

生方委員 今度の調査は、何人ぐらいで、どれぐらいの期間、どことどこを行ったのかをお伺いしたいと思います。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 それぞれ、内閣官房、外務本省でございますけれども、ここに対しましては、会計実地検査といたしましては三回ほど、それぞれ数名、数日をもちまして検査をしております。実地検査以外にもそれをフォローする形で、在庁におきましても、実地検査ではまだ十分明らかにならなかった部分の説明を求めるなど、徹底した形での検査を行ったつもりでございます。

生方委員 数名、数回ということは、十人もいないということなんですか。具体的に、何人で何カ月、何日間というのをちょっと教えていただけますか。

石野会計検査院当局者 それぞれ四日ないし五日程度、それから人数につきましては、それぞれ三名から、外務本省につきましては七、八名というふうなことで検査に当たったと思います。詳細は今ちょっと手元にございませんので、私の記憶の範囲で申し上げるとそういうことでございます。

生方委員 これだけの事件になって、これだけの調査を行うわけですから、私は当然もっと人数が多いと思ったのですが、たった七、八人ということは非常に意外ですね。

 これは通常、外務省の検査なんかでいうと、新聞報道ですと、年に二回程度で毎回二十人程度の規模で行われるというふうに聞いておりますが、それと比べても半分ぐらいということでよろしいのですか、事実問題として。

石野会計検査院当局者 外務本省につきましては、済みません、ちょっと記憶違いで、年四回やってございます。

 今お話しの人数の問題でございますが、これは外務省、それぞれ本件の問題、重要性は十分認識しておるところでございますけれども、それ以外にもODAの検査でありますとか、それ以外の多額の予算を執行しておるということも勘案しまして、今申し上げたような人数の配分、従来に比べますと相当程度の人数をかけてやったつもりでございます。

 ただ、実地検査はそういう状況でございますが、それだけではなくて、やはり在庁時におきましても、それをフォローする形の検査ということは十分行っておるつもりでございます。

生方委員 私は、非常に人数が少ないと思うのですけれども、院長、この程度の人数で、この程度の回数で十分調査が行われたというふうに院長は思っておられますか。

金子会計検査院長 先ほど申し上げましたように、私、事務総局に対して、今回の事態についての検査について、徹底した厳正な検査をするようにということで指示をいたし、そして検査をしてもらい、時々に報告を受けております。

 私の感じでは、人数の関係、今御指摘ありましたけれども、私は、それ以上に、うちの職員が時間をかけて、そして非常に熱心に検査に当たってくれ、私としては、今回の事態についての改善のための方向を指し示してくれたというふうに理解をしております。

 十分かと言われれば、さらに人数をかけるということが妥当であったかもわかりませんけれども、私自身としては、今回の検査、結果として相当の実績を上げたというふうに理解しております。

生方委員 今度の問題は、外務省から内閣官房に上納金というのが行われていたと広く報道されていて、その額も二十億円とか何年前から行われてきたとか、具体的にいろいろな指摘がなされて、証言もなされているわけですね。会計検査院しかこれを調査することができないんですよ。国民も非常に今度の調査には期待をして、結果が出たのであれば人数が何人であったってそれは構わないのですけれども、結果として上納金について一言の報告もなされていないというのが果たして十分なのかどうか。

 会計検査院に対して、私どもも予算委員会でも随分質問をして、調査が出てこない、出てこないというようなことで、ずっと長く待たされた結果、いいのが出てくるのかと思ったら、一言も触れていないというので、それでもって十分ならば、会計検査院が本当に要るのかどうかということにもなってくると思うのです。国民が一番期待していた部分で、まさに会計検査院が本当の業務を果たさなければいかぬ。

 これは、上納というのが仮にもし行われているとすれば、財政法上は、もちろん三十二条、三十三条で禁止をされている他省庁間に予算が回っていくということで、我々が予算を審議したって、そんなことが行われたのでは、どこかからどこかへ勝手にお金が省庁間で動いていったのでは、予算の基本にもかかわることですから、ここをきちんと調べられないようだったら会計検査院は必要ないんじゃないですか。

金子会計検査院長 会計検査院としましては、国会においてただいまの点について御議論があったことを踏まえ、その点を十分念頭に置いた上での検査を行いました。

 しかし、先ほど申し上げましたように、書類の不備の点があったり、また、高度に機密事項にかかわる支出であるということで説明を受けられない部分があった。その点については、我々は、そういうことでは検査ができないということで、今度の報告の中でその事実は指摘し、そして今後そうした事態の改善を図るために、必要な書類の十分な保存、確保、それから執行体制等について改善を要求するということを行ったわけでございます。

生方委員 具体的に、では上納に関しては、だれがどういう調査をして何がわからなかったのか、その点をお伺いしたいと思います。

石野会計検査院当局者 報償費の執行状況ということでございますので、個々の支払いにつきまして、現存しておる書類、それから、その支払いに至った経緯等を担当者から説明を受けるということで、徹底した検査を実施したということでございます。その結果、報告書に書いたとおりでございますけれども、今お話しの上納ということにつきましては、今回検査をした範囲ではそういう事実を確認していないということでございます。

生方委員 外務省の検査が先ほど年四回というふうにおっしゃいましたですか。年四回行われる。報償費に関してはだれがどんな調査を毎年行っているんですか。

石野会計検査院当局者 今回のことを受けてということではなくて今までの状況ということでございますならば、やはり同じように、外務本省の検査の中で調査を行う者を決めまして、その者が今申し上げた個々の支払いにつきまして関係の書類を見る、あるいは、担当者から支払いの状況の説明を受けるということで対処してまいったところでございます。今回の調査と基本的には異なるところはございません。

生方委員 新聞報道によれば、機密費に関しては、報償費に関して、外務検査課長一人が見ているというふうに報道ではなされておるんですけれども、これは事実ですか。

石野会計検査院当局者 それぞれの、その時々の検査の状況を勘案しまして担当者を決めるということで対処してきておりますので、過去にはそういう事例があったかもしれませんが、そういうふうに決めておるということではございません。

生方委員 報道で申しわけないんですけれども、報道によれば、今いろいろ報道機関も、元検査課長とか会計検査院のOBとか、いろいろな方の話を紹介しておりまして、会計検査院の、もちろん報償費について調べてはいけないという規定があるわけじゃないですから、当然調べなければいけない。ただ、事の性質上、全員が見てしまうというわけにいかないから、一般的には会計課長、検査課長一人が見るということになっていて、その課長の証言として、もうだれでもこれは知っていることだった、知っていることだけれども見て見ないふりをしてきたんだというふうな証言もあるわけですね。だから、この点について、今回は、少なくとも課長一人じゃなくてほかの人の目が入って、こうやって報道されていたことが事実かどうかということを確認するということが、会計検査院に今最も求められていたわけですよね。

 この点について、では過去の会計、検査課長から話を聞いたことがあるのか、あるいは、実際に今回は報償費についてどういう支出がなされて、どういう領収書がないお金があったのかということを具体的にどの程度調べられたのか、教えていただけますか。

石野会計検査院当局者 今回の検査につきましては、先ほど申し上げましたように、従来よりは人数をかけ検査を徹底するということで、それぞれの説明を受けるというふうなことで検査を実施してきたところでございます。

 過去につきましてそういう発言をした者がいるという新聞記事があるということは承知しておりますけれども、私どもで確認したところ、そういう発言をしたという者の確認はとれておりません。

生方委員 だれがどう言ったというのは構わないんですけれども、会計検査院というのは、国の予算が適正にちゃんと執行されているのかどうかというのを調査しなきゃいけないわけです。今回は、実際に松尾何がしというのが機密費を使って、三億とも五億とも言われているようなお金を使っているわけですね、国民のお金を。それの裏には何があったのかというと、上納金という意味不明のお金があって、それが一部回ってきたのが原因だということの沿革的な指摘はしているわけです。だから、具体的に本当に報償費からの上納があったのかどうかということを調べるのが今回の一番重要なポイントですよね。今局長がおっしゃっている話だと、具体論が全然ないわけですよ。

 だから、具体的に何をどういうふうに調べて、何が調べられなかったのかということが明らかにならないと、一般的に、何人で行って何人が調べたけれども、結局わからなかったという話じゃなくて、具体的に何が障害になって調べられなかったのか。障害があるとすれば、その障害をどうやって取り除くことができるのかということを明らかにしないと、国民は上納があったのかないのか全然わからないまま、国民のお金ですからね、税金が二十億円仮に毎年行っているとすれば、その二十億円について行っていないと。外務省が行っていないと言って、こっちももらっていないと言って、だけれども毎年行っているのはだれでもが知っている。こんなばかなことがずっとまかり通っちゃうわけで、これを調べられるのは会計検査院しかないわけですからね。

 私も、だからこの中で、多少なりともこういう障害があるから調べられなかったというものでもあれば、ではその障害を取り除くためにはどういうふうにしたらいいのかということになりますけれども、今のお答えじゃ何にも明らかにならないじゃないですか。何を一体調べてきたのか。私どもが仮に外務省に行って調べてくれば、ある程度、こういうものがあったけれども確証を持つには至らなかった程度のことにはなるでしょうけれども、何にも書いていないんじゃ何が何だか全然わからないですよ。これで検査したなんということは言えないじゃないですか。

金子会計検査院長 私、最初に申し上げましたけれども、今回、会計検査院が報償費を検査するに当たって、外務省及び内閣官房の報償費がどのように流れていったか、そして、どういうふうに支出されていったか、本来の目的に従って適正に支出が行われたかどうかという点について調べる。それからもう一点、外務省における、また内閣官房における報償費の支払いのシステムがどのようになっていたか、また、その事後のチェック体制がどのようになっていたか、いわゆるそういう支出のシステムそのものに切り込んで検査をするということで検査を行ったわけです。

 その結果、外務省について、報償費の支出について問題のある点、不適切な点の指摘を行っております。そしてまた、システム上、支出についてのシステムが十分確立されていない、また、チェック体制が十分にできていない、そのために支出及びチェックが機能していなかったという事実を明らかにし、その点についての改善を要求するということをしております。

 私は、一つ、違法、不当な事態を明らかにするということは会計検査院の重要な役割であり、その点については徹底した検査をするという基本方針を立てておりますし、それと同様に、私は民間部門から会計検査院に来ましたけれども、民間では、リスク発生について、リスクをあらかじめマネージして、そしてそれを、できる限りリスクを小さくしていくという手法をとっているわけです。

 今回、私はそうした考え方を導入し、システム自体について踏み込むという今までにない会計検査院における検査の手法を導入し、そして、これによってシステムの構築を要請するということをしたわけでございまして、何にも検査をしていないということではなくて、今申し上げましたような検査結果を出しておりますので、御理解いただきたいと思います。

生方委員 システム上の問題とか会計法上の問題が指摘されているということ、私は指摘していないとは言っていません。ただ、一番国民が知りたがっていたのは、一つは内閣官房に対する上納という問題と、もう一つは、今度の裏には外務省のキャリアがかかわっていたのではないかという構造的な問題についての指摘があったわけですね。外務省のキャリアについても、こちらは何にも調べていないんですよ。キャリアがかかわっていたかどうかという問題についても何にも調べていない。

 だから、会計検査院長は一生懸命おっしゃいますけれども、これは新聞でもいろいろ指摘をされております。会計検査院が何できちんとした調査ができないのか。自分たちも天下り先でお世話になっているからとか、実際に奥の院までは手を突っ込むことができないとかということであるならば、せっかく検査院長は大学からいらっしゃったのですから、構造上の問題があるのであれば、何できちんとした検査ができないのかということの構造上の問題があるのであれば、それを指摘していただいて、どうすれば本当の検査になるのかというふうにしないと、今おっしゃったような表面的なことを言って、検査はしていないわけじゃないと言ったって、国民が一番知りたがっている上納金について、なかったらないでいいんですよ。なかったというのなら、ああこれまでの報道は間違いであったと。なかったんだかあったんだかもわからないという。

 少なくとも会計検査院のOBが、それはもう暗黙の了解としてあったんだというふうなことをいろいろな方が言っているわけですよ、現実に。それは官房側だって認めているわけですから。それについての検査を少なくとも公式にして、一言もここに出ていない報告書が出てきて、検査は十分に行われたと言われたって、それは国民は納得しませんよ、そんなことは。キャリアの問題についてだって何にも指摘をされていない。

 それから、私たちもいろいろ予算委員会で質問いたしましたが、予算額と決算額がほとんど一致なんですよね。報償費というのは、適宜に出てくる、本来予算化できないものであって、いつ何がどういうふうに出てくるかわからない額であるから報償費であって、それが毎年決まった額、ほとんど百円か二百円の差ぐらいしかない額が執行されていること自体が我々はおかしいと言っていたわけですよ、何でこんなぴったしになるんですかと。

 ぴったしになるはずがないじゃない。この年はいっぱい報償費が出ちゃったけれども、この年は余ったということがあるはずだというのが我々の常識であって、それが、指摘をしたら、実際は、本当はその余ったお金を、ワインを買って保存したり、それとか部内でストックしていて自分たちの飲み食いに使ったという事実がだんだん報道で明らかになってきた。

 それをきちんと、報道で明らかになってきたことじゃなくて、事件にもならない、報道で、風評で何だか事実が明らかでない、その真ん中の部分をまさに会計検査院がしっかりと埋めて、事実関係を明らかにして、国民の皆さん方の前に予算がきちんと執行されているんだということを明らかにするのが仕事でしょう。

 今度の場合だって、じゃ、例えば、官房機密費と外務省の報償費、ほとんど予算が毎年同じように使われている、このことはどういうふうに調査をして、どういうふうに説明できたんですか。

石野会計検査院当局者 報償費の使途につきまして、先ほど来申し上げたような状況で、鋭意きっちりと検査をしたつもりでございます。

 それで、決算額が予算額とほぼ同じではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、やはりその時々の状況において報償費を支払う、必要となったものについて報償費を支払うということで執行をされた、その結果がそこに反映されておるものというふうに思っております。

 その必要となった経費であったのか否かということを十分見なきゃいけないということで検査をしたということでございまして、その結果について、報償費では適当ではないのではないかというふうな品目があるということは報告の中でも指摘をしてございますし、その中身の状況を見るということが一番大事なのではないかなということで検査をしたところでございます。

生方委員 会計検査院の性格上、警察とは違うし税務署とも違うわけですから、そうぎりぎりやるわけにはいかないということもわかりますけれども、今度の場合は、実際に事件が起こって非常に不正が行われたということがあったのを受けて、会計検査院がいわば特別の調査をしているわけでしょう。だから、通常の調査じゃないわけですから、特別の調査をしているから特別の結果が出てこなきゃいかぬわけですよ。そんな今おっしゃったようなことばかり言っていたって、こんなの国民は納得しないじゃないですか。

 それならば、別に会計検査院要らないで、外部の会計監査に任せた方がよっぽどいいということになりますよ。公務員で、内閣からも独立してきちんとできるからみんな信頼しているわけで、それが今私たちが言ったような、ごく当たり前のことですよ。報償費という性格上、毎年同じ額が出るはずないというのが毎年同じ額きちんと使われているのはおかしいじゃないかということに対して、きちんと調査をして、これこれこうだから本当につじつまが合うんだということか、本当はこれじゃない、本当はこれはおかしいことですよという指摘をするか、どっちかじゃなきゃいけないんですよ。

 例えば、外務省の調査をした、外務省本省と在外公館十三カ所を調査したというふうになっていますね。この中にケニア大使館というのが入っているわけですよ。ケニア大使館で不正が行われたというのはその後に明らかになるわけで、この調査のとき、これは二〇〇〇年のときの調査をしているようですから、二〇〇〇年の段階では、ケニア大使館で、いわゆる家賃の問題で不正に自分たちでとってしまったという事例が発生しているわけで、このケニアの大使館の例についてはどのように把握をされたんですか。

石野会計検査院当局者 ケニア大使館につきましては、報告書にも記載しましたとおり、ことし会計実地検査に赴いております。その過程で、今お話しの部分につきましては、事前に外務省から、こういう事態が見受けられそうであり調査中であるという報告を受けておりまして、十分なその報告を受けて検査するというのが合理的なやり方であろうということで検査を実施してきたところでございます。

生方委員 ということは、調査はしたんですか、しないんですか、どっちなんですか。したんですか。

石野会計検査院当局者 今、外務本省からの報告を受けるなどして検査をしておるところでございます。

生方委員 何かおかしいじゃないですか。だって、この中に「検査は、外務本省及び在ヴィエトナム日本国大使館ほか十二箇所の在外公館を対象として、主として十二年度の支出について実施した。」と書いてあるんですよ。この中にケニア大使館が入っているんですよ。

 実施したんじゃないんですか、実施しなかったんですか。そこの事実関係だけ。

石野会計検査院当局者 報償費等の支出状況ということについては、ここに述べましたとおり検査をしてきております。

 今お話しの、問題になりました、住居手当であろうと思いますが、手当の部分につきましても、その場で概略の、概略と申しますか、検査をしたということでございますが、同時に、外務省においてこういう事態が見受けられそうなので調査中であるということを受けておりますので、それをしっかりと調査をしてもらうこと、そしてその結果を報告してもらい、それに基づいて我々が検査をするというのが、やり方としては一番合理的なやり方であろうということで対処したということでございます。検査していないわけではございません。

生方委員 合理的なやり方であれば、何も外務省が調査しているところを、在ケニア大使館を選ぶことないでしょう、大使館はいっぱいあるんだから。ここは外務省が今調査しているんだから、ほかの大使館を調べればいいじゃないですか。何で外務省が調査しているところをわざわざ一緒にやって、その部分は外務省の検査を待ってやるんだなんて、そんなことやるんですか。

石野会計検査院当局者 あらかじめこういう事態があるということを前提にして選定したということではございませんで、これは従来から選定しておりますときの大使館等の選び方で、過去の検査を行った状況とか、それから毎年行う箇所数に限りがございますので、その中でどこに行くのがいいかということで選んできておるところでございます。

 ただ、今のその住居手当の部分につきましては、事実問題としまして、現地にはもう該当の者がいないというふうな状況もあったということでございますので、調査の報告をまず求める、それが一番最初だろうということで対処したということでございます。

生方委員 この十二カ所の中のマレーシアとかジョルダンとか、あと香港とか、この辺は、ほかのマスコミでも、いろいろ不正があったのではないかということが指摘をされている大使館なんですよね。そこをせっかく調査したのに、この三つについても何も出てこなかったということなんですね。

 だから、結局、調査をしても、この後も外務省からいろいろな事件がいっぱい出てきましたよね。出てきたことを一切会計検査院が把握していないというんなら、何を検査しているのかということになりますね、何の目的で検査しているのかと。ただ向こうから出された書類をぱっと見ただけで、こっちの書類と突き合わせて、ああ数字が違っていないなということだけで済ませているんじゃないですか。

 事は、国民の税金がきちんと使われているかどうか、それをチェックするのが会計検査院であって、不正に使われているおそれがあるとするならば、それを徹底的に追及をして、もちろん、返還命令を出したり改善命令を出したりするわけですから、本当に、非常に会計検査院のいわば存立がかかったような今度の検査で、この程度の検査で終わってしまって、これで我々は会計検査院、本当に必要かどうかということになるんですよ。

 検査院長は、ちなみに幾ら給料をもらっていますか。

金子会計検査院長 私の給与額については、オープンになっておりますのでそれをごらんいただきたいと思いますけれども、外務省の検査について、今回提出しました報告は報償費についての報告であって、報償費以外の面についての検査については現在検査中でありまして、種々の不適切な事態を我々把握しております。そして、それらについて、その発生原因等を分析し、どうすれば再発を防止できるかということで、現在、最後の整理の段階に達しております。

 通常、会計検査院では、十二月末に一年間の検査報告をまとめ、そして内閣を通じて国会に提出をいたします。この検査報告の中で、報償費以外の外務省の不適切な支出の実態については、我々指摘をし、改善を要求することにしております。

生方委員 報償費について調べて、一番肝心の上納について何にも調べなかったんじゃ、何を調べたんだか全然わからないじゃないですか。もう一回調べ直さなきゃだめですよ、もう一回。少なくとも上納について、こういう疑問があったとか、疑問が全くなかったとか、少なくとも上納に関してだけもう一回調べ直さなきゃだめでしょう。こんなんじゃ、会計検査院がある、全然何の価値もないじゃないですか。一言も触れていない、そんな国民をばかにした話がどこにあるんですか。きちんともう一回調べ直すように要求して、私の質問を終わります。

持永委員長 次に、木下厚君。

木下委員 民主党の木下でございます。

 今、生方議員の方からも議論がございました。松尾事件以来、外務省のいわば税金を流用した不祥事が相次いでおります。今本当に国内の景気が厳しい中で、民間企業あるいはサラリーマンの皆さん、家庭の主婦の皆さん、大変な苦労をされておられる。そうした中で、外務省の皆さんが国民からの血税を本当に際限なくむだ遣いをしている、この構図に対して国民は怒りを持って外務省を見詰めていると思うのですが、これについて、例の松尾事件以後の一連の外務省の不祥事について、杉浦副大臣、どう見ておられますか。一言御感想をお願いします。

    〔委員長退席、木村(義)委員長代理着席〕

杉浦副大臣 御指摘の松尾事件以降、御案内のとおりの事件が続々出てまいりまして、国民の皆さんに大変な不信を抱かせた、御指摘の点はそのとおりでございまして、外務省として本当に申しわけないと思っておる次第でございます。

 ホームページに外務省改革に対する提言とか私どもがつくりました改革要綱を載せまして、私ども、改革のいろいろな案もホームページを通じて、特別に外務省改革ということで、どなたでも見られるようにいたしておるわけなんですが、Eメールが殺到しておりまして、タクシー・ハイヤー事件とか起こるたびに、毎日、通数は数えておりませんが、こんなにたくさん参る。それは大臣、副大臣、政務官には必ず配付するように言ってあるんですけれども、中身をずっと読ませていただいておるんですが、国民の方々は相当、相当といいますか、大変な怒りを持っておられるということは認識いたしております。

 私どもとしても、新聞報道等でいろいろと流させていただいておりますけれども、外務省に外務省改革推進委員会、私が長を仰せつかっておりますが、立ち上げまして、一生懸命頑張っておるところでございます。

木下委員 国民の皆さん向けにホームページ、それは大いに結構だと思うのですが、問題は、外務省の職員に対して、どれだけ国民の税金を使っているんだという綱紀粛正を徹底しているか、それが最大の問題だと思うのですね。

 そうした意味で、委員長、資料をお配りさせていただきたいと思いますが、今お配りした資料は、実は外務省が大手百貨店の三越本店からさまざまな物品を購入しているが、その顧客伝票、つまりお買い物物品リストをお配りしているわけでございます。

 表題は「外務省」、続けてコード五―一一―一〇一二―〇(一〇)とありますが、これは三越内部で使用する顧客カードである。なお、この買い物物品リストのうち、今私がお配りしたのは、ことし三月十二日から四月二十日までのいわば平成十二年度と十三年度の会計年度にまたがる約一カ月間の物品購入リストが日付順に記入されています。

 ちょっと細かいからわかりにくいかと思うのですが、このリストには、ごらんのように物品を購入した日付、具体的な購入物品名、個数、金額、さらには各月ごとの買い上げ額、外務省からの入金額とその日付、差し引き残高などがすべて記載されています。

 この件については、既に一部週刊誌などに報道されておりますが、それによれば、このリストの冒頭には過去に外務省が買い上げた金額の累積データもついていて、二〇〇〇年度、平成十二年度は、実に年間に二億一千百七十二万円に達しています。また、一九六七年に外務省の口座が開設されて以来の三越本店から外務省への売掛金額は、総額は何と二十一億三千九百八十八万円に及ぶと記載されています。

 そこで、今お配りしたこのお買い物物品リストについてお伺いしたいと思いますが、実は、きのう三越本店へ行きまして、担当者にこれを見せたところ、これは間違いなく三越本店から出たものであるという確認をいただきましたが、これについて、大臣、どのような……。

杉浦副大臣 お答え申し上げます。

 御質問をちょうだいいたしまして、記事もございますものですから、報道もございますものですから、当省から株式会社三越側に事実関係を照会いたしております。その結果、同社は、本当の会計書類に非常に似ているとしながらも、一部不鮮明な部分があることなどから、全体が真正なものであるかどうかについては判断を留保したいというのが現時点の立場である、こういう回答をちょうだいいたしております。

 三越は外務省の物品調達先の一つでございまして、後の御質問で出てきますが、プール金があるのではないかということで、タスクフォースで取引先全部に照会をして、今調査をやっている最中ですが、三越にはそういうプール金はないという御回答もいただいております。

木下委員 副大臣が三越さんに示した資料というのは、今私がお渡しした資料ですか。それとも週刊誌に出ていた資料ですか。

杉浦副大臣 週刊誌に出ていた資料でございます。

木下委員 その点は私も確認しました。実はきのう、この資料を持っていって確認しました。週刊誌に出ている資料は、一部名前等を秘匿した部分はあります。それについての判断は避けましたが、きのう私が持っていったこれについては、ほぼ間違いない、これは取扱者もきちんと入っていますし、間違いないということなので、その点をしっかり確認してください。

杉浦副大臣 きょういただきましたので、改めて確認をいたしますが、いずれにいたしましても、当省の作成した文書ではもちろんございませんので、この点についてコメントと言われても、お答えはいたしかねるわけでございますが。

木下委員 私は、昨日この資料を見せて、どういったものが買われているか、これは資料と、外務省さんでどこの部局でこういったものを買っているか、それはわかりませんが、これは調べようと思えば調べられるはずなんですが、一部だけでも、このリストと同じものがどこかの部局で購入されたという確認はできましたか。

杉浦副大臣 三越のそういう回答でございましたので、一々突き合わせはいたしておりません。

 ただ、私どもは、別途プール金問題で三越と、供給者、ほかにもたくさんあるわけですが、詰めておりますので、内容について聞きましたところ、同社の経理処理では、外務省が組織として購入して、さまざまな予算費目から公金で支払ったものと、それから当省職員が個人的に購入して私のお金で支払いを行ったものとが混在しているんだ、一緒にまじっているんだという回答はそのときいただいております。

木下委員 それはおかしいじゃないですか。これは外務省のコードで入っているわけです。したがって、入金も外務省から入金されています。これは、個人が買って個人が使うという、あるいは現金払いという形では、売掛金にはなっていませんので、その辺もう一度確認します。

杉浦副大臣 現在、プール金問題で取引先等いろいろ調査しておるわけですが、正直申して、公私混交が、この口座面で、ここにあるかどうかは今お答えの限りではございませんが、例えばリビング用品なんというのは恐らく個人で買ったものじゃないかと推測されますけれども、現時点では答えられませんが、あったことは事実でございます。いずれ詳細調査の上きちっと発表し、私的なものはもちろん私的に払わせますが、そういう状況でございます。

木下委員 たしか、三越さんに聞いたら、この口座の開設は、これは一九六七年に開設されたということなんですが、恐らく外務省のどこかにこうした購入リストなりきちんとしたものがあるはずですけれども、それは確認してありませんか。

杉浦副大臣 三越さんに取引があることは間違いございません。

木下委員 口座がいつ開設されたかは確認できませんか。

杉浦副大臣 ちょっと申しわけありません。調べてまいりませんでしたが、調べればすぐわかることでございます。

木下委員 じゃ、至急調べて御報告をお願いしたいと思います。

 それで、この購入物品リストを見ますと、もう頻繁に、連日、一カ月間、御承知のように、例えば三月十五日、日本画五百二十万円、それから三月十七日は日本画百九十二万円。日本画が物すごく多いんですね。あるいはたばことか和菓子とか日本酒、あるいはネクタイ、節句人形、スポーツ用品と、まさに個人のものからあるいはダイニングセットみたいなものまで幅広く購入しているんですが、一体これは何のために、だれのために買っているとお考えですか。

杉浦副大臣 申しわけありませんが、調査してまいりませんでしたが、今申された部分のかなりの部分が個人的な使途で外務省の口座を利用したんではなかろうかと推測されるところでございます。

木下委員 個人が外務省の口座を利用して、売掛金で購入して、入金もされているわけですよ、外務省から。これはおかしいんじゃないですか。そうすると、明らかに公金の流用ですよ。

杉浦副大臣 三越さんが個人のものも外務省のものも一つの口座として処理されていたということでございまして、外務省としては公に発注したものは公に発注する、個人は個人で三越さんに行って買う。先方の経理処理が混交していたということを示しているのではないかと私は思っております。

木下委員 いや、それはおかしいですよ。これはあくまでも外務省の口座ですよ。それでお金は外務省から、例えば入金を見てください、相当な額が入っているわけです。しかも、この一番上の方に、前月の残高あるいは当月入金、当月買い上げ、現在残高と、金額がきちんと明記されているんです。個人じゃないですよ。これは外務省で一括してそれぞれの部が購入しているものなんです。どうですか。

杉浦副大臣 私は、取引があると申し上げましたが、外務省としての口座を外務省が指示してつくらせているということは一言も申し上げておりません。三越さんが外務省、外務関係者からの取引を一つの口座として開設をして受けておられたのではないか、こう思っております。

木下委員 それだったら個人名が入っているはずですよ。だれに売ったかわからないじゃないですか。個人名は入っていませんよ。三越さんもそんなこと言っていませんよ。

杉浦副大臣 そのあたりは、三越さんがおつくりになられた口座であり書類でございますので、私どもから何とも申し上げようがございません。

木下委員 じゃ、例えば、ここにある日本画、これなんかは当然三越さんから請求書が来ているわけです。これは金額も大きいですからすぐに調べられますよね。何のために買ったのか、どこへその日本画は行ったのか。そこまで調べてください。

杉浦副大臣 早速調査させていただいて御回答いたしますが、日本画等の美術品につきましては、外務省が購入いたしますのは、在外公館の事務所ですとか公邸でお客様に、皆さん、行かれたことがある方はわかると思うのですが、見えるところに、日本を代表するいい絵を飾るというようなことで、外務省本省で一括して購入いたしております。恐らくその一つであろうかと思います。

木下委員 もし在外公館用の日本画であるとすれば、これは予算的にはどこから出るわけですか。在外公館の報償費ですか、庁費ですか。

杉浦副大臣 庁費から支出されております。

木下委員 もし庁費だとすれば、じゃ、一体、例えばネクタイとか香水とか女性のマフラーとか、こういったものは恐らくプレゼント用に買ったのかもしれませんが、これも庁費ですか。そうでなかったら、お金がもうこんがらかっちゃって、庁費なのか報償費なのかわからなくなっちゃうんじゃないですか。

杉浦副大臣 再三申し上げさせていただいておりますが、これは三越さんが外務省関係の口座としておつくりになった口座で、書類もおつくりになっているのではないかと推測されるところでございます。

 庁費の支出、例えば在外公館のA公館ならA公館にこういう絵が要るということになった場合には、在外公館から稟請、稟議請求がございまして、きちっとした手続をとって決裁をして庁費から支出する。そして物は、例えば三越からなら三越から在外公館へ送るというきちっとした手続をとっております。そのお金がどういうふうに、三越側に受け入れられたお金がどういうふうに帳簿に記載されているかについては、私ども関知するというか、三越さんの問題でございますので……。

木下委員 それはおかしいですよ。個人で買ったものと、それは支払いを見てもらえばわかると思うんですよ。

 例えば、ことし四月のお買い物物品合計は二千百七十一万五百九十七円となっている。外務省からの実際の入金額は千三百八十二万六千六百六十一円なんですね。つまり、入金額が八百万不足しているわけです。一方、五月には、外務省の買い上げ総額が三百七十五万千九百四十四円に対して、外務省からの入金額は三千八百九万二千七百六十三円で、この月は逆に三千万円以上も入金額がふえているんです。

 ですから、このお買い物物品リストが売掛金であるということを考えれば、その購入金額と実際の入金金額にタイムラグがあって、多少の金額のずれはあると思いますが、これだけ差があるというのは、やはり個人じゃなくて、外務省がその月々に一定の金額を三越に支払う、そういう形になっているんじゃありませんか。

杉浦副大臣 個々の物品の購入につきましては、それぞれ手続を経て決裁し、購入し、支払うということをいたしておりますので、必ずしも同一期間内にすべて支払いが行われるとは限らないことは御理解いただけると思います。

 三越の方にも確認をしておりますけれども、したがって、経理書類上にある月の買い入れ額と同月の入金額が異なるということは、まあ時々、しばしばあることだというふうに三越からも聞いておりますし、常識的にもそれはあり得るのではないか、こう思っております。

木下委員 いや、副大臣の説明は個人と外務省が混同しているんですよ。支払いは全部外務省から入金されているんです。

杉浦副大臣 三越の方が混同しておるわけで、外務省は外務省として払ったと。個人が、外務省の方が払ったのを恐らく三越さんが混同されてそこに記載されたのではないかと推測で申し上げております。

木下委員 では、三越の口座が悪かったわけですね。

 いずれにしても、ここに出ている日本画、あるいは何点かの請求書とそれから実際に支払った領収書、これがあると思うんですが、それと、例えばこの日本画はどこへ持っていったのか。あるいは、一部、代表的なものでもいいです、例えば女性用のマフラーが個人で買ったものなのか。日付を決めて、その領収書と請求書をきちんと委員会に出してください。お約束できますか。

杉浦副大臣 外務省が購入したものについてはきちっと調べて、特に日本画については御報告を申し上げます。

木下委員 それはいつごろまでに出していただけますか。早急に。

杉浦副大臣 早急に調査して御報告申し上げます。

木下委員 では、この問題はまたいずれ質問させていただきますが、次に、外務省の一連の不祥事問題についてお伺いしたいと思います。

 私も外務委員会等で何回かこの問題は質問させていただきました。とりわけ、時間もございませんので、いわゆる国際会議などのホテル代を水増しして請求した約四億二千三百万円を搾取したとして、浅川欧州局課長補佐らが詐欺容疑で逮捕されましたが、いわゆるこのホテル代の水増し請求は、これも新聞報道で大変申しわけないんですが、省内の約六十課あるいは室で実施されている、その総額は五千万から一億円ぐらいになるのではないかという報道がされています。

 この前、私自身が外務委員会で質問したとき、直ちに調査する、既に調査しているということなんですが、現在どこまで調査が進んで、もし結果がある程度わかったら、その中間でも結構でございますので、公表できますか。

杉浦副大臣 浅川補佐によるホテル代詐欺事件におきまして明らかになったことのうちの一つに、いわゆるプール金の問題があります。

 直ちに私ども改革推進委員会ではタスクフォースを立ち上げまして、調査に当たらせました。お得意先ホテル、レストラン、タクシー会社等々、物品・サービスを購入しているすべての会社を対象としまして、そういった会社の協力を得ながら、全力を挙げて今調査しておるところでございます。幾つかのホテルあるいは会社にプール金があることが判明いたしまして、現在、その総額、それが出てきた原因、どういうふうに使われたかということを詰めておるところでございます。

 一刻も早く明らかにして、責任も明確にするということで今やっておる最中でございまして、もうちょっと時間がかかると思いますが、いずれ明らかにさせていただく所存でおります。

木下委員 それから、時間がありませんので、例の浅川事件のときの省内調査で、いわゆる欧州青年日本研修招聘事業に関し不正経理が行われていたことが発覚しましたが、その事業の執行を委託されていたのが社団法人国際交流サービス協会であったことが明らかになっています。

 この国際交流サービス協会について伺いたいと思いますが、この協会の業務内容について簡単に、どんな業務をやっているのか、御説明願います。

小町政府参考人 この協会は、次のような業務を行っております。

 まず、国賓、公賓その他賓客の接遇に関します便宜の供与、政府及び政府機関職員等の渡航にかかわる便宜供与、国際会議の運営などにかかわる協力及び便宜の供与、それから、在外公館に対します派遣員の派遣事業及び大使公邸等におきます料理人の紹介事業等でございます。

木下委員 外務省さんからもらった資料によると、現在、協会の職員数が、事務局員九十二名、派遣員二百五十一名ということでございます。それから、平成十二年の分の事業収入が五十七億四千万。それから、そのうちの外務省からの委託事業にかかわる事業収入が約三十五億円。実に外務省の委託分が総事業費の六一%、まさに外務省の丸抱えの事業。これは間違いございませんね。

小町政府参考人 今委員御指摘の事実関係は、そのとおりでございます。

木下委員 実際に今業務内容について説明を受けたんですが、もっと平たく言えば、海外に赴任したり出張したりする外交官の航空券の手配などそういったこと、あるいは在外公館に嘱託職員として募集した若手スタッフを送り込んだり、コックさんを送り込んだり、あるいは外国の賓客のスケジュールを調整したり、ホテル、旅館を予約したりということなわけでございましょう、業務は。

 とすると、これを何も外務省の管轄の国際交流協会に金額にして三十五億も、まさに丸投げですよね。しかも、そこには外務省からの天下り、役員九名のうち三名が外務省からの天下り役員になっているわけですが、こういった事業について、例えば業務委託については随意契約とかあるいは競争入札なんかはやっておられるわけですか。

杉浦副大臣 物品・サービスの購入につきましては、今度全面的に見直すことにいたしまして、一元化を行いました。

 二十九日から実施する予定でございますが、今までは随意契約、例えば航空機の切符の手配なんかも随意契約で行われたケースが大部分だったようであります。私ども、その航空券のあれも入札にしよう、例えば東京―ニューヨーク便を、各社に、年間どれぐらい出るのかわかっているわけだから、幾らで提供するか、競争入札で落とすようにして、そこへはめ込んだらどうだというようなことも検討しております。ですから、この協会の物品・サービスの提供にかかわる部分については、今後は原則一般競争入札でなされていくことに相なると思います。ほかのエージェントと同列になると思います。

 ただ、この協会がやっております事業でどうしても一般競争入札にできないのが、国際会議の手配、それから、このケースはそうですが、たくさん人を、招いた人のお世話をする、旅行団ですから。そういう特殊なサービス、これはちょっと入札になじまないだろう。ただ、チェックを厳しくしなきゃいかぬことはいけないわけですが、どうしても随意契約せざるを得ない部分はこの協会の事業について残るのではないかというふうに思いますが、御指摘の物品・サービスの提供については、今後は原則一般競争入札というふうに相なっていくと思います。

木下委員 この業務内容を見ますと、それはもちろん一般競争入札も結構ですが、やはりもっと業務を縮小して、本当に外務省直轄でなければできない仕事と、あるいは、航空券の手配だのホテルの手配だの、こんなのは民間に任せた方がはるかにサービスもいいし安くできるわけですが、こんなものは民間に任せたらどうですか。

杉浦副大臣 おっしゃるとおりでございます。

 ただ、通訳とかエスコートとか、専門的な知見が要る部分もございますので、どうしても一般競争入札にできない部分があるということだけは重ねて申させていただきたいと思います。

木下委員 それから、実は、例のデンバー総領事の不祥事の件で、例えば、あそこに派遣されていたコックさんが総領事の不正を告発したわけですね。これは国際交流サービスから派遣されていたコックさんが告発したわけです。

 ですから、やはり外務省から派遣されていることによって、要するにいろいろな不正を全部隠ぺいしようという、むしろ民間の人が、一般の会社の人がコックさんなんかは入ってオープンになるような形の方が好ましいんじゃないですか。コックさんも、やはりサービス協会から派遣されているわけですから、告発するには相当な覚悟と勇気があったと思うんですが、その点どうですか。

杉浦副大臣 コックは派遣ではなくて紹介事業なわけですけれども、ただ、御指摘のような点、この件についてはちょっと特別な背景がございまして、匿名の手紙だったりいろいろして手間取ったんですが、人事の問題については、人事のプロジェクトチームをつくっておりまして、コックさんなんかはむしろ職員としてきちっと管理した方がいいんじゃないかというような意見もあって、この対応の仕方については今我々の間で検討しておるところでございます。

木下委員 もう時間がありませんので、最後に、先ほど生方議員の方からも質問がございましたが、今回の会計検査の調査報告についてあれしたいんですが、もう大方は先ほどの生方議員が言いましたので、私の方はあえてそれ以上言いません。しかし、調査の中身は非常にずさんなものである、これはもう生方議員が言ったとおりだと思うんですが、ここに、せっかく会計検査院のパンフレットがあります。これだけ高邁なことを書いてあるわけですから、これだけ読み上げておきます。

 「会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する職責を果たしています。」と。これだけ高邁なことが書いてあるわけですから、やはり名誉にかけて、もう一度上納問題についてきちんとした調査をしていただきたい、そう思います。お約束できますか、院長。

    〔木村(義)委員長代理退席、委員長着席〕

金子会計検査院長 ただいま委員読み上げられました文章を会計検査院として書いておりますし、私はそれを深く心にとめて院長として職責を果たしている、そういう努力をしております。

 今委員から御指摘を受けましたので、なお心に深く刻み込んで、今後の検査活動に当たっていきたいというふうに考えております。

木下委員 それから、一つだけ。先ほど生方議員の質問に対して、外交の厚い壁がある、高度な機密性があるから調べられなかったと。やはり、聖域であってはいけない、調べるという意欲と、もし調べられなかったら、それはきちんと国会に報告してきちんと調べられるようにしてもらいたいと思います。

金子会計検査院長 今委員御指摘のとおり、会計検査院には会計検査の上で聖域はないというふうに理解をしております。したがいまして、今回の報告において、外務省及び内閣官房において、支出の証拠となる証拠書類を十分に整備すること、そして、内部的な執行それからチェック体制を確立することを要求しております。そういう体制が整備されるということが、会計検査院の検査がなお一層厳格に行われる基礎であるというふうに考えておりますので、この点については、外務省及び内閣官房に対して、その実現を今後も要請し、また、それが機能しているかということを毎年確認をしていきたいというふうに考えております。

木下委員 最後に一つ、確認だけ。先ほど、この資料なんですが、三越が勝手につくったものだということなんですが、これは、三越の資料に誤り、不備があるということですか。その点だけ確認しておきます。

杉浦副大臣 いやいや、そういうことを一切申し上げておりません。三越さんがおつくりになった口座、資料でございますので、私どもとしてはコメントのいたし方がないということを申し上げているだけでございます。

木下委員 では、ひとつ調べてください。それはまたお伺いしますので。

 どうもありがとうございました。

持永委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、厚生労働省大臣官房審議官鶴田康則君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、農林水産省生産局長小林芳雄君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑を続行いたします。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。午前中に引き続きまして、民主党の時間の中で質問をさせていただきます。極めて限られた時間でございますので、要点をかいつまんで質問をいたしたいと存じますが、まず私が申し上げたいのは、狂牛病の問題であります。

 このテロ事件の発生で、何かニュースとしてはある意味では少し、これは本来注目されるべき、我々の生活に影響を与える大変大きな問題でありますけれども、今回の一連のテロ事件あるいは現状のアフガニスタン情勢等によりまして、なかなか、国民の関心がある意味では少しそれている、幸か不幸かというところでありますが。

 私は、まずこの問題について、これを大変重要視するのは、安全保障の危機あるいは経済、雇用の危機と並んで食卓の危機であり、流通の危機である、そのような認識のもとでお尋ねをするわけでありますけれども、先般、十八日の日に全頭検査が行われました。そして、安全宣言が出まして、市場に出回っている肉牛は安全であるというような宣言が出されました。今も各地で検査が続いているわけでありますけれども、そもそも、安全宣言を出したけれども、このもとの、なぜこの狂牛病が発生したかということについてはだれもがいまだ納得いく答えを得ていないわけでありますけれども、現状、その点どうなっているのか。この部分が解明されないことには、安全宣言を出したところで、現在今いろいろなことで不安がっている根本的な問題は解決しないと思いますけれども、その点についてまずはお尋ねをしたいと思います。

小林政府参考人 今回のBSEの発生原因、これにつきましての私どもの調査状況でございます。

 発生農家を起点としますいわゆる川下からの調査、それとあわせまして、輸入を起点とする川上からの調査、これはいわゆる、今まで発生した国におきましては、肉骨粉が主な原因とされておりまして、そういった点を中心に調査を進めておるところでございます。

 農家の方からの調査につきましては、九月十日にBSEを疑う牛が確認されたわけでございますけれども、その後直ちに、その農家でありますとかあるいは飼料販売業者に対しまして、家畜防疫員の立入検査をやっております。配合飼料を使っていたところにつきましては、過去において肉骨粉の使用がなかったかどうか、こういうことを確認しておりまして、そちらの方では使用がないということになっておるわけでございますが、あわせまして、その地域で使用されております可能性の高い補助飼料、こういったものを今引き続き調査を続行しているところでございます。また、動物医薬品でありますとか、それから当該患畜の母牛がどうだったか、こういったところも確認いたしまして、そちらの方では問題がなかったという状況でございます。

 あわせまして、輸入の方でございますが、こちらも多岐にわたりますけれども、一つはイギリスからの肉骨粉の輸入がどうだったか、これは実は一つの議論がございまして、日本側とイギリス側の調査が違っておりました。これは、三百三十三トン、職員を派遣しまして、そちらの方の百六十六トンが入っておったんですけれども、フェザーミール、こういった確認はとれたわけでございますけれども、引き続き、イタリア、デンマーク、こういった欧州のBSE発生国の方にも担当官を派遣いたしましたし、また、香港、タイ、こういったアジアの国へも担当官を派遣いたしました。また、国内の方でも、そういうデンマークやイタリアからの輸入、そういったことにつきまして、肥飼料検査所の方で輸入業者の立入検査を進めているというところでございます。

 いずれにしましても、こういった調査の結果の分析でありますとか補完的なデータ収集、確認、それから特に国内に入ってからの流通経路でございますね、こういったところの調査を進めている最中でございます。非常に多岐にわたりますのでちょっと時間を要しておりますが、こういった作業が終わり次第、その結果を公表していきたい、そういう状況でございます。

渡辺(周)委員 もうこれは、私も地元の顔見知りの小売店なんかに行きまして、あるいは卸元に行きまして、幾つか聞きました。

 これから十一月、十二月というのは大変に書き入れどきでありまして、結婚式場なんか、あるいは忘年会、新年会のパーティーの席上では常に、顧客から注文を受け、依頼を受けると、まずビーフは除いてくれ、念のためにビーフはやめてほしいということで、例えば忘新年会であるとか結婚式だとか、さまざまな席で大変そういう注文がついているということで、この十一月、十二月を乗り切れなかったらまずそういう方々は仕事としてならないんだ、とにかく安全宣言は出たけれども、根本の原因がわからないからどうにもならないということで、非常にある意味じゃ失望にも似た声もあるわけです。

 これはいつ出るかというのは、非常に時間がかかって多岐にわたると言うんですけれども、めどとしてどれぐらいで、ある程度我々が納得いくような形でまずこの問題については出そうなものなんですかね。今ちょっとその感触がありましたら、お答えをいただきたいと思うんですけれども。

小林政府参考人 ただいま申しましたとおり、非常に流通経路等多岐にわたっておるものですから、今一生懸命その調査を進めておりますが、これは全体を解明するには結構時間はかかるものと思っておりまして、急いでやりますけれども、今の段階で、この時期までに最終結果が出るということを、ちょっと今確定的なお答えはできない状況でございます。いずれにしましても、調査は急いでいきたいと思っております。

渡辺(周)委員 限られた時間ですから、この問題はまた改めて何らかの形でやりますけれども、とにかく、できるだけの情報公開を発表して、途中経過でもどんどん出して、ある程度やはり安心感を与えていかないと、これは正直言って、幾ら安全宣言を出しても、皆さん、涙ぐましい努力を小売店なんかしているわけですけれども、とてもじゃないけれどもそれでは根本の不安解消にはならないということでございます。

 実際、いろいろな風評被害が起きております。

 例えば先般、これはある新聞ですけれども、どことは申しませんが、危険部位が混入しているおそれのある加工食品に対して調査をしろということで、国の方で指導を出した。それが、百七十八の団体に出したら、中には恐らくというよりもまず関係ないと思われている、例えば、私は静岡でありますが、お茶の業界にもそういう通達が来たということで、何でうちまでというふうに書いてあるわけです。関西の方の紙面では、もうこれはちょっとお茶の生産団体と報道側でトラブルになったようですが、例えばお茶業界、鶏卵業界にも追放の通知が来たなんということがあった。

 例えばそういうところで、もちろん、こんな見出しをつけた某マスコミもどうかと思うわけでありますけれども、実際こういうことが出ると、みんな情報を持っていないから、かなり聞きかじったようなことで判断をする。それだけに、こういうものが非常に大きな、生産も直撃して、全く違う分野まで影響を与えているわけでありますけれども、こうした風評被害という部分に対してもう少しちゃんと配慮をして、風評被害をこれ以上起こさないような的確な情報提供をするべきであろう。

 それからまた、私もかつてはマスコミの一員でありましたから、余りこういうことを言うのはどうかとはばかられるわけですが、例えば牛が足元から崩れ落ちて倒れるような映像、資料映像として流れますけれども、例えばああいうものが出ますと、もうそれだけで非常な恐怖感を得るわけですね。

 例えば、この間のニューヨークのテロ事件のときに、アメリカでは、ワールド・トレード・センターに飛行機が突入するシーン、あれは余りにも繰り返し映像として出され過ぎたので、少しあれは自粛するべきじゃないかということで、報道の中に出てくる映像はかなり手控えられた部分がありました。

 それだけに、決してこれは報道の中立性や独立性からいえば行政や政治がどうこう言うべきことじゃありませんけれども、やはり、その点についての何らかの協力といいましょうか、あるいは配慮を求める話し合い等もあっていいんじゃないのかなと私は思うわけでありますけれども、その点のことについてどのような配慮を今後されるかということ。いつも泣くのは消費者であり、流通業者でありまして、我々はその声を反映して今お伝えしているわけですけれども、どのような対応を今考えていらっしゃるのか、ぜひその点について的確にお答えいただきたいと思います。もう時間がないですから。

尾嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 BSE問題につきましては、厚生労働省のホームページ等によりまして国民に詳細な情報提供を行うとともに、牛肉や乳・乳製品の安全性についてのリーフレットを農林水産省と共同で作成して、広く情報を提供してきたところでございます。また、厚生労働省としましては、重要な情報を発表するに当たりましては逐次記者発表を行うなど、国民はもちろん、報道機関に対しても正確な情報提供に努めているところでございます。

 今後とも、BSEについての正確でわかりやすい情報の提供に努め、食肉の安全確保等、国民の方々の不安の解消に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 行政側から特定の報道機関に対してどうこうということは言えないのはわかりますが、こういう部分について、まさにこれは死活問題であることは間違いないわけですから、その点についてはやはり配慮を必要とした、ぜひ情報提供をしていただきたいというふうに考えるわけであります。

 それで、一つ聞きたいのですけれども、肉牛に対しては安全宣言が出されて、これはかなり厳しいあぶり出しをして、疑陽性のものに対してはもう一度再検査をしてやってきているわけでありますけれども、反面で、ここでお尋ねしたいのですけれども、化粧品の部分について。

 これは、私も大変いろいろな方からお話を聞くのですが、化粧品に関しては昨年の十二月の旧厚生省のときの通知、それから先般の厚生労働省の通知、一二二六号ですか、十月二日の一〇六九号医薬局長通知という中で、かなりの化粧品、特に日本産の牛の胎盤から抽出したプラセンタエキス、こういうものがかなり回収をされているわけでありますけれども、この点についての安全性というものに関しては、これは通知によると、それぞれが、製造業者等が品質及び安全性の自己点検をその責任において行いというふうになっているわけでありますけれども、これに対しての不安というのも大変消費者、ユーザーの中に多いわけであります。

 この点について、もし安全であるならば何らかの安全宣言を出すべきではないかと思うのですが、そして、あくまでもこれは予防的措置に伴うものであって今のところは被害はないと考えるというふうに各メーカーは言っているわけでありますけれども、既にもうこれまでの成分を牛から豚に変えたところもあるわけであります。こういうところの以前の部分についてはどうであったかということについては全く情報がないわけでありますが、その点どうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。

鶴田政府参考人 今お話がありましたように、化粧品を通じてBSEが人に伝播するという科学的知見はございませんが、将来的に万が一のことを考えた狂牛病に対する予防的な措置といたしまして、昨年の十二月、牛等の脳、脊髄、目を含む十四のリスクが高いと考えられる部位を化粧品に使用しないように指導したところでございます。これに基づきまして、企業の責任のもとで必要な切りかえ措置を実施しております。

 国内での狂牛病の発生に際しましては、先ほどお話もありましたように、九月十九日、十月二日の二度にわたりまして、昨年十二月の措置の実施の確認、それから、より一層の安全性を確保するため、狂牛病に汚染していないことを証明できる場合を除きまして、日本産の牛等に由来する原料の使用を原則禁止としたわけでございます。

 なお、昨年十二月の措置に基づく化粧品の製品の切りかえ状況につきましては、現在調査を行っているところでございまして、安全性に関しての不安を解消するためにも結果については公表していきたい、こういうふうに考えております。

渡辺(周)委員 もう時間がなくなったのですが、今の話になりますと、つまり、ないであろうと言われますが、実際の問題において、これから先、人間の汗腺を通して、特に女性の場合は例えば子宮に蓄積するというような、これは石油製品の場合だそうでありますが、実際そういう学者の説もあるわけですね。ですから、この辺についての本当に安全であるということについての根拠となる、やはり客観性を持って出てこないことには不安でしかないわけであります。

 しかも、もう既に今市場に出回っておるものはかなり成分を変更した、変更済みのものでありまして、それ以前のものについてどうであったかということは、これはやはり何らかの客観性を持ってとにかく発表していただきたいというふうに思うわけであります。

 この点についてはまた改めて、この委員会のみならず何らかの形で今後取り上げていきたいと思いますので、その点についてもう一度、再度お尋ねをしましたのでお答えをいただいて、そして最後に一つ、正直言って一番安心感を与えるのは何かというとやはり学校給食で、今まだ、先般学校に通常どおりにせよという解除が、指導があったようでありますけれども、この点について、今各都道府県の教育委員会等あるいは現場の学校等の現状どうなって、対応はどうなっているのかということもあわせてお尋ねをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

鶴田政府参考人 この安全宣言について、再度御答弁を求められましたので、ちょっとこちらを答えたいと思います。

 先ほども申しましたように、現在製品の切りかえ状況を調査中でございまして、その結果を公表する、それから切りかえ前の製品の回収指導等も徹底していくことによりまして、化粧品等につきましては安全性の懸念がないことを示していきたい、こういうふうに考えております。

遠藤政府参考人 十月の十八日に両大臣の談話が発表されたことに伴いまして、御指摘のように、文部省でも、従前、もとに戻すようにという通知を出した次第でございます。

 今は、恐らく都道府県教育委員会の方から市町村、学校への周知、そして保護者への周知ということが図られている段階だろう、こう理解しております。

渡辺(周)委員 終わります。

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 防衛庁に伺いますが、自衛隊機の墜落事故というのが相当頻繁にあるんですね。後ほど資料をお配りしますが、今コピーしておりますので。

 この最近の五年間ぐらいでどのぐらいの件数があったか、それで死亡者、負傷者というのはどれぐらいであったか。ちょっと急ですが、答えられますか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御質問の、過去五年間、最近、平成九年からでございますが、航空機の損壊あるいは人員の死亡にかかわる事故につきましては、五年間で十三件発生いたしております。なお、このうちの一件は、先般発生いたしましたF4ファントム機から誤発射した件も含んでおります。

 なお、これらの事故によりまして亡くなった方々の人数は二十四名となっております。

石井(紘)委員 今資料が届きましたので、配られると思いますが。

 例えば、平成九年からいいますと、平成九年七月、それから八月、八月は三名が死亡されております。それから十年は、五月重傷二名、それから八月死亡二名、十月死亡二名。それから十一年は、八月死亡二名、十一月死亡二名。十二年は、三月に死亡一名、六月に死亡五名、それから七月死亡三名。この年は何と二カ月の間に死亡された方が八名。それから十三年は、ことしですね、二月に死亡二名、六月二十五日、それから九月の十四日死亡二名。

 こういうことで、ごく直近がことしの九月十四日。T5が計器飛行訓練を行って、天候が悪くなったから早く帰りなさいという指示のもとに、山口県下関市の小月基地に帰る途中に、山口県の霊鷲山に墜落して飛行機が全壊をして、死亡が二名と重傷が一名ということでありますが、これは大体私がこの春にずっと質問をしてまいりましたところですが、この自衛隊の空自や海自が使う練習機、あるいは練習機にもいろいろな種類がありますが、練習機に、この射出装置が、射出座席というものがついていない。

 これは欧米では、事故があるときは、その直前、瞬間的にぽっとボタンを押せば座席ごとぽんと飛び出す、こういう射出装置がありまして、これはさまざまな世界の、特に練習中の航空機事故ですね、これは初心者からずっと学生が練習しているわけですから、そういった事故があったので、アメリカなんかではもうとっくの昔にそういう射出座席というものがついた練習機でやっているわけです。

 ところが、日本ではそうしたものをつけていない。これはどういうわけですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと諸外国の事例について私どもまだ十分調べていませんけれども、防衛庁のものについては、一応、事故の対応等から見て、コストの面その他から見て、今のところついてはおりませんと思います。

 ただ、今ごらんになっていただいている事故の原因について、墜落事故のうちいわゆる装備の問題だと言われるものについては、過去にあった三件があるだけで、あとはみんな人為的ミスによるものでございます。

石井(紘)委員 今、重大な答弁をされましたが、これは二つとも問題ですね、これは。

 一つは、コストの面だと。コストの面といっても、これは失われるのは人命ですよ。さっき二十四名とありましたけれども、私が数えたら二十八名ある。こういうとうとい人命が、毎年ですよ、毎年二回も三回も自衛隊の練習機でもって失われている。これは当然、人命ということ以外にも、補償金は莫大なものを払わなきゃならぬでしょう。この射出座席をつけるのに幾らかかるんですか。これはコストの問題とは何だ。これは重大な問題です。射出座席をつけるのは何千万円しかかからないじゃないか。

 あるいはまた、もう一つ今答弁をされた、人のミスによる事故だと。人がミスをしたら死んでもいいのか。人のミスが起こり得るから、特に練習機なんかの場合にはそうしたことを十分予想しなきゃいかぬ、それは当たり前のことじゃないか。だからこそ、最後にぶつかる瞬間でも、射出装置というものがあればぽんと飛び出すようになっているんです。だから、外国ではそういう事故が防げる。

 あなたのところは、なぜそういうものを入れないのか。平成十年の空自のT3改の契約のときに、スイスのピラタス社はその射出座席がついたものを提案したんじゃないんですか。ところが、あなたたちはどうしても富士重工に金を払いたかった。そのために、あなたたちの求める仕様を変えて、射出座席が入っていない、富士重工にしかつくれない、富士重工はそういうものを持っていないから、そういうものをそのために決めたんじゃないですか。

中村政府参考人 委員の御質問がございました練習機についてでございますけれども、T5については御指摘のように射出機はついておりませんが、T2、T4については射出機がついております。それから、T33A、これは米国製でございますので、これについては射出機がついているという状況でございます。

 それから、いわゆる射出機について、ピラタス社を排除するために要求しなかったのではないかということでございますが、そのようなことは考えておりません。我々、要求水準は、一応、各幕から上がってきたものをベースに、そういうベースの要求を満たしているものとして富士重工を採用したわけでございます。

石井(紘)委員 現にことしの九月十四日、これは一方では、もうアメリカのニューヨークのあのテロ事件が起こっておる。一方、日本では、富士重工のT5によって二名が死亡し、一名の重傷も重体で、いまだに口もきけない、こういう状態にあるわけですね。

 あなたたちは、この飛行機、この同型機種を空自でもって選抜をする、契約をする際に入札を行った。一方の、こういうものがついていない、射出装置がついていない富士重工の方の基準に合わせて、富士重工を入札でもって決めた。ところが、その後いろいろ問題が起こって一たんチャラになって、また昨年、同じ競争の中で富士重工に決めた。富士重工の方が入札金額が高かったにもかかわらず、富士重工に決めた。こういうものを、また、補償金も払わなきゃならない、自衛隊の一生懸命頑張っている人たちもいつ死ぬかわからない、こういう状況の中に置かれているわけです。

 どうですか、去年やったその契約というものはやめて、そして、こういう人命を守る装置がついた練習機に変える必要があるんじゃありませんか。どうですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のありましたT5につきましては、御指摘のように九月に事故が発生いたしましたけれども、この事故は、気象が急変して視界が見えなくなった、このために、急遽帰れということで帰投命令を出した後墜落したものであり、現在、海上自衛隊において事故原因を調査中でございます。したがって、今調査中であって、結論までは申し上げることはできませんが、これまでのところ、機体の異常については見つかっておりません。

 それからなお、T5については、今まで実乗経験、長期にわたっておりますけれども、今まで人命に、死亡事故等に至る事故は発生しておりませんので、これ以外の機体はすべて残っているということでございます。

石井(紘)委員 あなたは説明しないでいいことを一々そこへ出てきて説明しなくてもいいんだわ。天候が悪くなったりあるいはいろいろな条件が悪化したりするから、だから事故が起こるんですよ。そんなことは説明しなくたっていいんだ。そういうときに人命を守る装置というものが必要なんだということを私は言っているんですよ。

 あなたたちはわざわざ、入札を行って、一方の社がそうした装置がついているにもかかわらず、それをやめて、富士重工の規格に合わせたそうした契約の仕方をしたんじゃありませんか。これからも人命が失われていいんですか。だめですよ、そんな答弁じゃ。そんな答弁じゃだめだ。もっとはっきり、自衛隊の皆さんの身の安全を図るための装置をつけるということをはっきり言いなさいよ。

 そして、あの大変不正が世界じゅうで、スイスでもこの間、防衛庁呼ばれたでしょう。呼ばれたというか、スイスへ行ってスイス政府から正式に言われているでしょう。ああいう不正な入札の仕方に対して抗議するということが再三再四スイスから来ているじゃありませんか。これが、国際的な友好とか国際的な平和とかということが、あなたたち自身がそういうものを壊している、ある意味では。

 ですから、そういう不正と言われるような入札のやり方をやるんでなしに、一方ではきちっと、練習のための飛行機なんだから、空の上を飛んでいるんだから、十分に万全の措置をとって安全を図らなきゃいけない。この空自のT3改というものについても、向こう何十年にもわたって使う四十九機の飛行機を購入しようというわけです。もう少し近代的なものにすべきだ。この契約を私はそういう意味でももう一回やり直すべきだということを強く主張しておきます。どうせそんな答弁じゃ問題になりませんから、答弁は要りません。

 それから、先ほど、我が党の木下厚議員の例の外務省の機密費の問題について、杉浦副大臣は、この口座というものは三越がつくった口座だから三越がいかにも悪いんだ、三越に責任があるようなことを言って、外務省はその口座に振り込んで、その口座で買い物をした者に対して金を振り込んで、まさにそれでもってやっていたんじゃないですか。

 そうすると、それを今さらになって三越がそういう口座をつくったのが問題なんだというようなことを言うというのは、これは外務省のとんでもない責任逃れだ、そんな答弁をやっていたんじゃこれは大問題ですよ。外務省の責任を回避する、そして三越に責任を押しつけるかのごときそんな答弁では、到底納得できない。だから、これは今後大きく我々も問題にしていくということを、杉浦さんに急遽来てくれるように私はお願いしたんですが、急遽でしたからお見えいただけなかったんで、副大臣、おいでいただきましたので、私が今言ったことをお聞きおきいただければ結構でございます。先ほど答弁をされたのは杉浦さんでございますので、わざわざお越しいただきましたが、ありがとうございました。

 私の時間がもうございませんので、今度は警察庁に質問をさせていただきます。

 警察庁に伺いたいのは、警察庁は、例えば交通部とか刑事部とかいろいろあるわけですが、よく人のうちに、張り込みというんですか、こういうものをやるケースがあるようですが、それはどういう状況のもとにどういった基準でもって行うんですか。

坂東政府参考人 委員御指摘の、お尋ねの警視庁の交通部が個人の家を張り込みしているケースがあるのかどうかというようなお尋ね、あるいはそのときの基準がいかがなものかというお尋ねでございますが、どういったケースを想定してお尋ねなのかよくわからないところでございますが、例えば免許の行政処分等を行う場合におきましては、その執行を相手方の出頭を求めて行うことを原則としておりますけれども、例えばその相手方のいろいろな御事情等によりまして出頭が得られないような場合におきましては、その方の住所等の確認を行いまして、自宅あるいは勤務先、さらにはその出先に警察の方から赴いて行政処分の執行を行うということがございます。

石井(紘)委員 相手方の事情によって、出頭は、そうすると、その事情というものはケース・バイ・ケースでしょうね。きょうは行けないけれども一週間後には行けるという場合でも張り込みをやるんですか。張り込みというのはどういうことだか、ちょっと認識を伺いたいんだけれども。いいですか。いろいろな、個人的な人権だとか選挙をやる人は選挙妨害だとか、有形無形のさまざまなプレッシャーがあるわけで、これは権力が強力を行使するわけですから。だから、いろいろなそうした条件によってそれは違うでしょう、あなたが今おっしゃった事情というのは。

 そこで、あなた方は、例えば警視庁なんかは警視庁記者クラブというのがある。そこの記者クラブに入れるマスコミというのは限られたマスコミしか入れない、報道機関ですね。そうすると、おのずからそこの報道機関は、さまざまな捜査情報だとかあるいはその他の情報を得て、それを報道するということで競争しているという現実はあるわけです。

 あなた方は、そういう彼らの置かれている状況というものを利用して、そして、報道機関に自分たちの都合のいいことを流させる。これは事実上流させると言ってもいいんですよ、彼らはそういう立場に置かれておりますから、弱い立場といいますか。ですから、全国的な時事通信なんという通信社にあなたたちはこれを流せということをやるんじゃありませんか。

 そういうことがいいことかどういうことか、どういうふうに考えているのか言ってください。

坂東政府参考人 お尋ねの時事通信に警視庁の方から一方的にリークして流させたということがどういう場合のことかということは、私十分に承知しておりませんけれども、一般論として申し上げますならば、警察が報道機関から取材を受けた場合におきましては、情報公開の推進あるいは個人のプライバシーの保護、さらには今後の警察責務の遂行への支障等を総合的に勘案しながら適切に報道対応しているところでございます。

石井(紘)委員 そうすると、あなたの方からこれを流すようにというようなことはないと断言できますか。

坂東政府参考人 具体的なケース、どういうケースなのかというのは今委員の御指摘からはわかりませんので、一般論として重ねて申し上げることをお許しいただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、先ほど申しましたように、警察は職務の執行に関して報道機関から取材を受けた場合におきましては、情報公開の推進あるいは個人のプライバシーの保護、今後の警察責務の遂行への支障等を総合的に勘案しながら、適切に報道対応しているということでございます。

石井(紘)委員 さっき、事情によっては張り込みをすると言いましたね。そこのところをちょっと答弁してくださいよ、私はさっき言ったんだから。例えば一週間とか十日前にいついつ出頭するとかということがあっても、そういうことがあっても、しかも住所もはっきりしている、居場所もはっきりしている、そういう場合でも、あなたたちは一般の人たちに対してそういう張り込みをしたり、いきなり何人かの警察官がどこかへ行って、いかにも事実上検挙するようなことをやってみたり、そういう横暴なこともやるんですか。

坂東政府参考人 私ども交通警察が所管しておりますのは、いろいろな業務がございますけれども、例えば免許の取り消しだとかいったような免許の行政処分に関して申し上げさせていただくならば、先ほども申しましたように、こういった行政処分というのは、できるだけ早く、確実に執行しなければならないということでございます。原則として……(石井委員「聞いたことに答えて、時間がないから」と呼ぶ)警察の方に御出頭していただいてその行政処分の執行をするわけでございますけれども、なかなか御本人の御事情で出頭できないといったような事情がある場合におきましては、私どもの方から御本人の所在を確認して、そしてそちらの方に出向いて、そして行政処分の執行をするということをやっているということでございます。

持永委員長 時間がございませんので。

石井(紘)委員 これ、答弁、でたらめばかり言っているから、次にまたもう一回やります。

 時間が来ましたから終わります。

持永委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 村田副大臣、どうぞ御自愛ください。

 きょうは、住専のお話というか、住専のその後について幾つかお伺いしたいというふうに思っておりまして、きのう質疑通告をしましたら、なかなか資料とかもすぐには取りそろわないような状況だったものですから、ちょっと質問の中でも数字的なこともお伺いをさせていただくことになると思いますけれども、よろしくお願いをいたします。

 平成八年に住専処理ということがありまして、当時は座り込みまでした党もあって、本当に聞くも涙、語るも涙の物語なわけですけれども、住専という預金者もいないような、まあノンバンクのようなものに、預金者保護という名目で六千八百五十億円のお金を使ったということ、そのことに対して当時は国民の九割が反対をするというふうな状況だったわけです。

 預金者を保護するために公的資金を使うということについては、ほとんど異論はないんだろうというふうに思うわけですけれども、公的資金の導入事始めが結局、預金者保護ではない、非常にわかりにくい形で行われてしまって、それがその後の不良債権の処理の問題なんかに大変に大きな影響を及ぼしているというふうに考えております。

 また、住宅債権管理機構ですか、それが設立をされまして、住専の持っていた債権というのは全部そこに移管をされて、回収が進んでいる。また、整理回収銀行なんかと一緒になって今整理回収機構という組織になっているようですけれども、そこに移った債権が今どの程度回収が進んでいたりするのか。あるいは、当時からいろいろ議論がありました二次損失ということについて、将来的にどういうふうになっていこうとしているのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

 それで、まず住専処理法が出たときに、処理法の中では、十五年以内に住専債権の回収を行うということになっていたというふうに思います。ところが、住管機構の初代社長の中坊さんは、社長就任当初に、七年半で回収をするんだということを宣言されました。七年半でというふうに御宣言をされたわけですけれども、最近お二人目の社長がちょっと回収期間を見直すようなお話をされているわけですね。そのことについて、当初十五年以内ということで法律をつくったわけですから、住専から譲り受けた債権というのは大体いつまでに処理が終わるというのが望ましいと政府としてお考えになっているのか。村田副大臣、いかがでしょうか。

村田副大臣 それでは、お答えをいたします。

 住専法の第十二条第二号におきまして、RCCが特定住宅金融専門会社から譲り受けた債権等の回収、処分等を十五年以内、今おっしゃったとおりですが、これを目途として完了する処理計画を作成しまして、預金保険機構の承認を受けることとされておりまして、預金保険機構は、RCCに対しまして、平成八年十二月十八日に承認を行ったということでございます。この処理計画に基づきまして、回収を、極大化を目指しまして、今一生懸命迅速に、かつ効率的な回収に努めているもの、こういうふうに思っております。

 したがいまして、今後とも、RCCが、この処理計画に基づきまして、迅速な、かつ適切な回収を行っていくことと考えております。

中塚委員 というわけで、迅速かつ適切な回収というのは、それはそのとおりだと思うのですけれども、そうではなくて、当初十五年ということで法律を仕組んだわけですから、そういったことも、もちろんのこととして何年以内に回収するべきなんだとか、そういったことはお考えになっていなきゃおかしいというふうに思うわけです。

 きょうは、預金保険機構の松田理事長にもお運びいただいています。どうもありがとうございます。その点、理事長、いかがでしょうか。

松田参考人 先生お尋ねの十五年でございますけれども、それは法律上の決めと、それから預金保険機構が承認をしている実施計画の決めで、十五年以内を目途にできるだけ迅速に回収しよう、こういうことでございます。中坊前社長がおっしゃっていた七年半、これも努力目標で、できれば半分ぐらいで回収したいなということでございます。

 では、現状、どうなっているかということでございますけれども、本年の八月末現在の回収率は、買い取り簿価に対しまして、買い取り価格に対しまして五一・五%を既に回収しているということでございます。これは大体約五年ぐらいの間にこれだけの、約半分の回収を終わらせているという、スピードとしてはそれなりに迅速な処理を進めているのではないか、このように考えております。

中塚委員 けれども、五年で五一%が回収できたから十年で一〇〇%になるかというと、それは多分そうではないんだろうと思うんですね。別に回収しやすいところから回収しているわけではないでしょうけれども。ただ、平成八年と比べても、もう景気はすごく悪くなっているし、住専ですから、要は担保というのももうすごく下がっているわけですね。だから、五年で五一・五%回収したということに対して、この整理回収機構の皆さんの御努力に敬意は表しますが、かといって、では、これからずっとこのペースで回収が進んでいくのかどうかというと、私は全くの別問題だろうというふうに思っております。

 きのう、件数ベースの回収というのがどうなっているかというお尋ねをさせていただいたんですけれども、件数ベースはなかなか出にくいという話で、債務者数というふうなお答えがありました。債務者数で見ますと譲り受け時が百六十七で回収が七十一ですから、これについてはやはりまだ半分まではいっていないということになりますね。恐らく幾つかの債権を一つの債務者が持っているというふうなこともあるんでしょうから、そういったダブっているところもあるんだとは思いますけれども、ぜひとも件数ベースの債権の回収の割合というものも、また今度、次回の機会でもあれば御提示をいただきたいというふうに思います。

 それで、今、これからどんどん回収が難しくなっていくだろうということを申し上げました。譲り受けのときより、今、住宅債権管理機構が持っていた、整理回収機構が持っていた債権の担保のカバー率というのはどれぐらい毀損をしているということになりますでしょうか。

松田参考人 先生御指摘の担保のカバー率の問題なんでございますが、個々の案件を全部掌握するわけにいきませんので、現在その具体的な数字というのを申し上げるわけにはいきませんけれども、ざっと考えてみても御指摘のとおりで、平成八年の暮れから回収というのは始まっているんですけれども、そのときの、例えば地価ですね、担保の一番もとになる指標の地価が公示価格で見てみましても、平成八年が一〇〇だとしますと、現在、平成十三年の一月一日では、全国平均ですけれども、八一・八%という数字になっていますので、約二〇%弱落ち込んでいるということでございますから、その分だけ回収は困難度を増しているということは否めない事実でございます。

中塚委員 これは買い取ったときは時価で買い取ったというか、譲り受けたわけですね、住管機構が。そのときは担保不動産は路線価でお引き取り、評価をされたというふうに私は伺っておりまして、それで、担保不動産の価値の下落も、報道やらあるいは私がいろいろな人から聞かせていただいている話では、もう四割以上はおっこっているというふうなことで聞いております。

 だから、これからもどんどんと回収自体が難しくなっていくんだろうし、そもそも、この住専処理法が国会で話し合われていたときに、がけ地みたいなところも担保にして融資をしているとか、あるいは潮が満ちてくると海の中へ沈んでしまうようなところでも全部担保になっているというふうな話まであったぐらいですから、ますます今後回収というのは難しくなってくるんだろうというふうに思うんですね。

 それで、先ほど五年間で五一・五%というふうにおっしゃいましたが、この五一・五%というのは住専勘定に入ってきた回収実績ということで、これには、担保を処分して回収したというだけではないわけですよね。健全な債権からの収入というのも入っているはずだと思います。

 というのは、住専が解散するときに健全債権も譲り受けていますよね。要は、住宅ローンなりなんなり、住宅ローンは何かすごくいい債権だそうで、サラリーマンの皆さん、一生懸命ちゃんと毎月毎月お支払いになりますから、すごくいい債権だというふうに聞いておりますけれども、そういう意味で、回収したわけじゃなくて整理回収機構自体が持っている債権の収益というのも上がっているということで五一・五%になっているということでよろしいんでしょうか。

松田参考人 先生御指摘の正常債権から入ってくる利息というものも、それはもちろん回収は回収ではございますけれども、今まで私が申し上げました五一%の回収の中身を分析してみますと、主として担保を処分して得たもの、その回収が約四〇%でございます。そのほかに、担保からは処分できないんだけれども、担保の処分はできないんだけれども、債務者が営々として働いてそれで返済をしていただくというのが約六〇%、こういう割合になって現在回収が進んでいるということでございます。担保からの回収それ自体は、これから残っている債権については非常に苦しくなっていく、岩盤を迎えつつある、こういうのが実情でございます。

中塚委員 というわけで、そういったこともあって回収実績にはなっているわけですけれども、実際その担保を処分してお金を取ってくるということでは、やはり四割程度ということですね。それも最近どんどんとテンポが落ちてきておって、回収だけだともう赤字になりつつあるのですか、この整理回収機構は、住専勘定自体は。

松田参考人 先生御指摘のとおりで、担保は債務者が期限の利益を失ったときだけしか担保の処分ができませんから、同じ持っている債権の中でも限定された部分しかできないわけですね。しかも、処分できる担保物件というのはそう数多くあるわけではありませんので、残っている担保物件をどうやって処分していくかというのがまず問題になるということが一つあると思います。それ以外に一般資産からの回収につきましては、中には悪質な債務者も住専については多いものですから、預金保険機構が持っている財産調査権を行使して隠匿資産を発見してそれで回収に充てるというようなこともありまして、約六〇%はそれをもって充てている、こういうことでございます。

 ただ、住専法には、二次ロスをどうするかという規定が御案内のとおりございまして、その中の半分は国庫から預金保険機構を通す助成金で出す、あと半分は今預金保険機構が預かっている金融安定化基金の運用益から出す、こういうことになっておりまして、現在、国民負担につながります国からの助成金、それは一銭も出しておりません。なぜかといえば、二次ロスは発生しておりますけれども、それはRCCの職員が懸命に努力をしまして、買い取った簿価よりも高い回収益の回収に努めておりますので、それで相殺をして出さないようにしている、こういうことでございます。

中塚委員 というわけで、二次ロス自体は債権ごとにぽっぽこぽっぽこ出ているわけですね。要はそれを上回るよそからの回収益というか、それを補って余りあるほどの収入があるということで、国民負担というのは実際発生をまだしていないということなんですが、金融機関が要は半分持つわけですよね、その二次ロスについては。今それは累計で幾らになっていますでしょうか。

松田参考人 ちょっとお待ちください。

 大体今まで出しております二次ロスの総額が約二千六百億でございまして、半分ですから、千三百億に当たる部分を金融機関が基金の運用益から負担をする、こういうことが実態でございます。

中塚委員 千三百億ということなんですが、当時言われました母体行、一般金融機関、系統というふうな割合での負担というのは、ではまだ発生はしていないということですか。要は勘定の運用益だけで千三百億というのはちゃんと穴が埋まっているということでよろしいんでしょうか。

松田参考人 この二次ロスに対する金融安定化拠出基金からの運用益は、先生御案内のとおり現在非常に低金利で動いておりまして、私ども預金保険機構でもその運用を任されているのですけれども、なかなか利率がよくはないわけですね。したがいまして、発生しました今のロスについてもRCCに全額渡すわけにいきませんので、若干と申しますか、未払いになって残っている部分もございます。

 ただ、金融界の負担という点から申しますと、それだけではございませんで、もともと低利融資をして買い取っているわけですね、金融機関は。その部分についてはまだ返済が一切済んでいない、こういうことでございます。

中塚委員 というわけで、買い取り原資の部分についてはまだ全然返していないということですね。

 だから、それは最後にこの住専勘定を閉じるときに欠損が出たら、そのときは政府保証もついているわけだから、返して穴があいたら税金で埋めるということになっていくわけですね。違いますか。

松田参考人 お答えいたします。

 最後に戻すときの話でございますけれども、お借りしました四兆円幾らかの買い取り資産のうち、系統からお借りしている部分についてはもう一応高い利率も返しております。残っているのは金融機関及び系統の中でも特殊な部分の人たちだけということでございます。それは大体十五年たって勘定を締めるときにお返しをするということでございまして、そのときに政府保証云々とか、あるいは財政資金が出るはずだとか、そういう決めではございません。

中塚委員 けれども、それは住専勘定を締めるときに、穴があいたら、そっちには財政資金は出なくたって、住専勘定を締めるところで最後は公的資金の投入ということになるわけですよね。だって、回収が間に合わなければそういうことになりますよね、そういう仕組みになっているはずですよね。

 おのおの二分の一ずつ国と民間で持つということになっていても、最後に締めるときに、結局赤字になればそこに公的資金というのを入れることになりますよね。そうでなきゃこんなにいい話はないはずなんで、どうですか。

松田参考人 政策全般にわたる話ですから、実行者といいますか、執行機関である私がお答えする問題かどうかわかりませんけれども、少なくとも現状では、締めるときに赤が出たら財政資金で埋めていただくというような仕組みにはなっていないように思いますけれども。

中塚委員 債権をそこで結局何年で回収するかという話にもかかわってくるわけですけれども、今、法律的には当分の間ということになっているんですか、この整理回収機構もこの住専勘定自体も。そういうことでよろしいんでしたっけ。

松田参考人 先生御指摘の当分の間は、現在の整理回収機構が平成十一年四月に合併いたしまして、住管機構の仕事と、それから、もともとあった整理回収銀行の仕事と二つ受け継ぎまして、住管機構の方は十五年を目途に回収を進めましょう、その業務はその業務で、しかも根拠が住専法にある、こういうことでございます。

 当分の間というのは、破綻銀行から不良債権を買い取ったり、破綻銀行で受け皿銀行がないときに、それを引き受けるホールバンクの役目をする整理回収銀行については、預金保険機構は当分の間だけ委託することができるという決めがございまして、それが、これまでは十三年の三月末までにその業務が終わるということになっていたのですが、その期限がこのたび取り払われたものですから、それが整理回収銀行部分の業務についても当分の間続く、こういうことでございまして、住専とは直接関係がない、こういう仕組みになっております。

中塚委員 それで、最後に締めるときに公的資金が入るのは、そういう仕組みにはなっていないと思うというふうにお話しになりますけれども、整理回収機構自体、そもそも不良債権を買ってくる。ただ、買ってくるときはちゃんと適正な評価をして買ってくるわけですから、バランスシート自体はちゃんとバランスしていますよね。

 ところが、どんどんと回収ができるものは回収をするけれども、回収ができないものについてはずっと債権が劣化していくことになりますよね。整理回収機構の持っている債権ということですね。それと、整理回収機構の買ってきた不良債権は、ちゃんと適正な価格で買ったって、置いてある間にどんどん不良化していくわけですよね。整理回収機構が未来永劫あって、それこそその債権からの利息等の収入できれいに埋めていけるということになれば、それは確かに税金の投入というのは要らないのだろうというふうに思いますけれども。

 そういったところで、そもそも一番初めに何年でこの住専処理というのを終わりにされるつもりなのかというふうにお伺いしたのもそれとの関係なわけです。だから、単に住専をつぶしてここに債権を持ってきて、今こうやって回収もする、健全債権からの収入もあるということでずっと引っ張っていけば、それはそれで絶対つぶれませんよね。けれども、それじゃ本当の処理にはならないのじゃないかという問題意識があるわけです。

 もう一つは、これからどんどんと債権の回収自体が難しくなっていくということになって、債権自体からの収入というか、そういったものでやりくりしていくんだという話になりますと、もともとこの住専処理法が審議をされたときに、やはり債権はゴーイングコンサーンで、強引な取り立てをすることなく、生かしながら、いかにその回収を極大化するかということを考えた方がいいんじゃないのかという議論がされたわけですね。

 実は当時、私は新進党という党で政調の事務局の方におって、まさにこの問題をやっていたのですけれども、あのときに、会社更生法を使えということを当時の新進党内で話をしたことがありまして、それは、要は、借り手あるいは住専自体について会社更生法を適用することによって生かしながら、その収入を極大化することによって、もって最後は国民負担をゼロにしよう、そのときにちゃんと年限も決めてやりましょうという話をしたわけですが、結局、今の整理回収機構がやろうとしていることというのはそういうことになりつつあるということではないのですか。いかがでしょうか。

松田参考人 御質問の意味がちょっと私、把握できなくて申しわけないのですけれども、先生御指摘のとおり、これは十五年ということをお決めになったときはそれなりの理由があったのではないかなと私は思います。

 一つは、今、整理回収銀行の方の業務を引き継いだ部分は、破綻銀行とか健全銀行から不良資産だけを買ったわけでございますけれども、住専の場合には一括して、住専処理会社である住管機構が他から融資を受けて、一括、資産を全部買って、それで債権放棄した残った部分をこれから回収をしていこうということ。中には健全資産があるわけですね、住宅ローンを初め約一兆円弱あると思いますが、それから上がる収益と、現在は低金利が続いておりますので、その買い取り資金を調達した金利との差額もございますから、そういうことで機構自体を運営していくということ。ただし、それでも、回収に伴ってロスが出るでしょう、幾ら努力してもロスが出る場合があるかもしれない。その場合には、税金で半分、半分は金融機関が負担で、金融基金から出すんだ、こういう仕組みでやってきた、これが続くだろう、こういうことだと思いますけれども。

 先ほどちょっとお答えした中で不足しておりますのは、最後に融資した金は、返せなくなったときどうするかということになりますと、預金保険機構自体が債務保証をいたしておりますので、私どもの責任になることは間違いない、こういうことでございます。

中塚委員 まさにそのことをお尋ねしたわけですけれども、例えば、整理回収銀行というのは、要はずっと不良資産を買っていたわけですよね。ただ、住宅債権管理機構というのは健全債権も一緒に引き取っていて、それから得られる収入というのが結局、五年たった今になってすごく役立っている、役立ち始めているということですよね。これからも、どちらかというと、回収に頼るのじゃなくて、そっちの方に頼っていくことになるんじゃないですかというお話を申し上げているんですが、どうでしょう。

松田参考人 前段の部分は、住専機構を動かしていく上での資金をどうやってやっていくか、それについては全く先生の御指摘のとおりで、これは非常に大事なことだと思います。

 ただし、だからといって回収をしないかというと、これは全く別でございまして、回収は断固として、それは使命でございますから、全額回収を目指していく。現に、先ほど申しましたように、五年間で五一%の回収もしているし、苦しいけれども今後もそれを続けていきたい、こういうことでございます。

中塚委員 回収はそうやって続けていく、そして、今ある健全な債権からの収入も得ながら、もって最後に国民負担というものを極小化しようというか、そういうことですわね。要は、債権ごとに二次ロスが発生したって、回収と同時に健全債権からの収入によってそれがプラスになっていれば国民負担というのにはならないわけですね、おのおのの部分については。

 最後にお伺いをしたいことは、村田副大臣、今、RCCを機能強化というか、機能強化なのか何なのかわかりませんけれども、不良債権を金融機関から買い取る、そのときに価格を弾力化して買い取った方がいいんじゃないかというふうなことが改革工程表の中にありまして、このように、住専管理機構の話を見ても、やはりなかなか回収というのは進まないわけですね。五年で半分で、これからはもっと、一番悪い担保物件なりなんなりというものになっていくわけですから、ますます回収のスピードというのは遅くなっていくのだろうというふうに思うのですが、今また同様に、RCCに不良債権を買わせて、それで回収をしていこうというふうなことを言い始めているわけですけれども、やはりこのやり方というのはそんなにいいやり方ではないんじゃないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

村田副大臣 御指摘のとおり、改革先行プログラムにおきまして、不良債権問題を一刻も早く解決したいということから、RCCの不良債権の買い取りにつきまして、価格決定方式を弾力化する、その上で十五年度末までに集中的に実施するというふうに改革先行プログラムで決められたわけであります。

 与党で改革先行プログラムに書かれた内容につきまして御議論をしていただきまして、債権回収の極大化とかあるいは国民負担の最小化とあわせまして、買い取った不良債権の処理の多様化を図るということで、いろいろな方途をこれまでとは変わって検討されているところでございまして、私どもとしても、一刻も早く、買い取った上でそれを早期に処理するということから、いろいろな多様なメニューがそろえられるということが必要だというふうに考えておりましたけれども、それに加えまして、与党の方で、当該資産の買い取りから可能な限り三年を目途として回収または譲渡その他の処分を行うよう努めることということで、法律にもそういうふうに規定しまして、一層、処分までを含めたところで解決を図っていく、そういう努力をしたい、こういうふうに決められたところでございまして、その法案の内容に従いまして私ども努力をしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

中塚委員 これで終わりますが、やはり年限を切らなきゃ、ずっと置いておいたって構わないわけですよね。それが本当の意味での先送りではないのかなというふうに思うのですけれども、これで終わります。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 きょうは、外務省の一連の不祥事事件及び官房機密費、報償費の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、外務省の不祥事事件についてでありますけれども、いわゆる松尾事件以来、九カ月たちました。この間、異例の会計検査院の処置要求などが行われたわけでありますけれども、会計検査院が検査に入っているその最中にも次々と不祥事が明らかになってまいりました。機密費詐取事件以来、在豪大使館公金流用、デンバー総領事公金流用、ハイヤー代詐取事件、在パラオ大使館公金流用、在ケニア大使館諸手当不正受給、ホテル利用詐取事件と、もう後を絶たない。七件で逮捕者が四名、処分は、監督責任も入れるともう数え切れない、四十名から五十名になるのではないか。戦後のさまざまの汚職史の中で、半年の間にこれほどの省庁汚職が明るみに出てくるというのはかつてなかったのではないかと思います。

 きょうは副大臣がお見えになっておりますけれども、杉浦副大臣は、新聞報道によれば、武士の情けだというような発言もされたやに聞いておりますけれども、結局、こういう考えの積み重ねが今日の外務省の本当に深刻な事態をつくり出しているのではないか、私はこう思うわけです。人事、会計体質からこういうものが出たと多くのマスコミも指摘をしておりますけれども、個人的な犯罪じゃないのだ、省ぐるみの悪質な組織的な犯罪、こういう指摘までされているわけであります。

 こういう痛烈な批判を外務省はどのように受けとめるのか、まずその点、お聞きをしたいと思います。

杉浦副大臣 今回のあの一連の不祥事は、御指摘のとおり、外務省としては、明治維新後、発足したとき以来初めてのことでございます。外務省の幹部も、一般省員に至るまで、大変深刻に受けとめておりまして、一刻も早く、俗な表現を用いればうみを出し切って、将来に向かって再出発しようという気持ちになっていることは間違いないところだと思います。

 私が就任して半年近くになるわけでありますが、省員の皆さんと一体になって外務省改革を推進して、一刻も早く国民の皆さんに与えた不信を一掃して、再出発をしたいと思って頑張っておる次第でございます。

大森委員 開闢以来のというようなお話もありましたけれども、本当にうみを出し切るという立場からきょうは幾つか質問にお答えいただきたいと思うのです。

 まず最初に、水谷前デンバー総領事問題についてお聞きをしたいと思います。

 これは先ほど言いましたように、公邸改修をけちって八万ドル浮かせて絵画購入などを行った事件でありますが、外務省がこの不祥事の調査をしたきっかけは何だったでしょうか。

杉浦副大臣 内部調査でございます。

大森委員 内部調査で、調査をしたきっかけは何かと聞いているのです。

小町政府参考人 お答えいたします。

 本件、委員御指摘の件は、元公邸料理人からの指摘を受けて対応したという経緯がございます。

大森委員 ではお聞きしますが、元料理人の指摘というのはいつあったのでしょうか。

小町政府参考人 ただいま正確な日にちは持ち合わせておりませんが、昨年の春に当該文書が外務省の複数の中のところに配付された経緯がございます。

大森委員 昨年の春、そういう指摘をされたものが出回ったと。では、それからすぐ調査に着手をされたのでしょうか。

小町政府参考人 昨年春の段階では、当該文書が差出人等が不明であったこと、それから関係課に渡った渡り方がはっきりしなかったこと等、それから公邸料理人にかかわるものと推測をいたしましたけれども、こういった問題につきましては公邸料理人のあっせん機関である国際交流サービス協会を通じて寄せられるのが通常でございますので、すぐに措置をしなかったというのが実情でございます。

大森委員 すぐに調査をしなかったというお話があったわけですが、春にそういうものを知り得て、調査をするまでどのくらいかかっているのですか、調査を開始するのに。

小町政府参考人 お答えいたします。

 六月初旬までかかっております。

大森委員 結局、六月初旬というのは、ことしのでしょう。ですから、一年二カ月放置をしていたというわけですね。

 その放置していた理由らしいものを先ほどおっしゃいましたけれども、この元料理人の方の手紙といいますか告発文、私も持っておりますけれども、例えばこういうことが書いてあるわけですね。総領事御夫妻より、今後の家族の食費は設宴費で賄うように指示を受ける、今後は設宴を毎週行うようにするため、うまくごまかすよう指示を受けた、こういうことが書いてあるわけです。こういう事実を一年二カ月放置していた理由は何かということです。

 結局、こういうことは、もう外務省内では当たり前にやられているから放置したんじゃないですか。あるいは、これは内部規律に明らかに違反する、そういう認識はしなかったんですか。

小町政府参考人 今委員御指摘の部分は、確かにその手紙といいますか文書の中にあったと思いますけれども、それ以外、いろいろな問題も、問題といいますか、いろいろなことが書かれておりましたのも事実でございます。

 それで、すぐにアクション、措置をとらなかった理由は、先ほど私が御説明いたしましたように、出所が不明であったこと、それから、先ほどと同じになりますけれども、公邸料理人にかかわるものと推測はいたしましたけれども、こういったクレームといいますか、そういったものは国際交流サービスから来るのが通常であるということで、結果としてすぐに対応しなかった、こういうことでございます。

大森委員 結局、この問題が最初に報道されたのは六月三日の新聞ですが、それがあって初めて調査に慌てて乗り出したというのが実態でしょう。うみを出すということなら、そういう点をまずきちんと反省すべきじゃないですか。同時に、差出人は不明であっても、どこの領事館かはすぐ判明できるわけですよ。現に書いてあるわけです。

 こういう明らかに違法、不当なことが行われたことについて、あるのであれば、放置するのじゃなくて、すぐやるべきであった。副大臣、その点はいかがですか。

小町政府参考人 結果として対応がおくれたことを我々としても反省しております。その後、こういったケースがある場合には直ちに何らかの措置等をとるということで、省内に厳しく指示を出しているところでございます。

大森委員 午前中にもありましたけれども、結局、国民の税金を使っているんだという一番単純で原点となるべき点が全くあいまいにされているから、こういう事実が書いてあっても、それを一年数カ月も放置し、マスコミで報道されて慌てて調査に乗り出す。そこらを深くえぐり出して反省しないと、これは反省という言葉を出せばいいというものではないと思うんですね。

 さらにお聞きしますけれども、七月二十六日に外務省が「水谷前デンヴァー総領事の不祥事に関する調査結果」というのを出しておりますけれども、その中で、「前総領事は不正経理の対象となった約八・一万ドルを国庫に返済しました。」こう書いているわけですね。水谷前総領事が国庫に返納、これは各マスコミもそういうふうに書いておりますが、返納したのはいつでしょうか。そして、これは現金で返納したのか、それとも小切手で返納したのか、お答えいただきたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の点につきましては、不正経理の対象となった約八・一万ドルを在デンバー総領事館公金口座に納付する形で弁済し、今、同口座で保管しておりますけれども、我々としては、会計検査院による調査結果を待って、正式な額を確定していただいた後、国庫に返納する手続を始めたいと思っております。

大森委員 そうすると、マスコミに国庫に返済したと言うのは、これはうそだったということになるわけですね。一般に国庫に返納というのは、財務省を通じてきちんと納める。これは、国に損失を与えた前総領事がその分を前総領事の個人の責任できちんと返納するというのが当然であり、外務省が発表した文書はまさにそういう意味であったと思うんです。それがまだ総領事のところにあるんだということであれば、国庫に返納したということと全く意味が違うと思うんです。明らかにマスコミに発表した事実は事実でなかったということになるんじゃないでしょうか。

小町政府参考人 今御指摘の点は、正確さが一部足りない点があったことはございますけれども、この八・一万ドルは総領事館の公金口座に納付しておりまして、そういう意味で国の管理のもとに置かれているということは御理解いただきたいと思います。

大森委員 マスコミ各社が一斉に、全額を国庫に返納したという中身とやはりそれは大きく異なると思うんですよ。そういう点、指摘をしておきたいと思います。

 同時に、水谷前総領事に対して、公金を私的に使用したということで八・一万ドル、約一千万円を返納させたわけですけれども、少なくとも外務省は受け取ったと言うわけでありますが、それでもって私的に購入したという絵画とかテレビなどの備品等々、これは今どういうぐあいになっているんですか。

小町政府参考人 ただいま委員御指摘の絵画、家具等につきましては、今、会計検査院とも御相談しながら、適切に当該物品の処理を行っていきたいと思っております。

大森委員 今現在、それはどこに置かれているのでしょうか。

小町政府参考人 絵画、家具等は総領事公邸にございます。

大森委員 それはもう懲戒免職をした前総領事のものじゃないんでしょうか。

 これは本当にでたらめな話だと思うんですね。もともと、元料理人の内部告発文を隠ぺいし、しかも調査結果と銘打った先ほどの国庫に返納、返済、これが正確さを欠くということで、本当に外務省の姿勢がここにもやはりはっきり示されているのではないかと思うんですね。総領事の行動というのは決して免罪されるものではありませんし、懲戒免職という行政上の処分をして、公金を詐取したことは明らかであるわけですけれども、その絵画等について引き続き総領事館に置いているというのも、これはもう大変でたらめな状況をそのまま放置しているということだと思います。

 詐欺か業務上横領で外務省の方は刑事告発を考えているということを新聞報道でお聞きしましたが、実際、そういう方向で今検討をされているんでしょうか。

小町政府参考人 今委員御指摘の点につきましては、警察当局と相談をしているところでございます。

大森委員 次に、午前中にもありましたいわゆる預かり金、裏金、公金プールの問題についてお聞きをしたいと思うんですが、外務省の組織的犯罪の典型例の一つがこの裏金づくり、預かり金問題だと思うんですね。

 ホテルニューオータニにかかわって浅川明男前西欧一課課長補佐が逮捕されたわけなんですが、これは、ホテル代を水増しして差額をホテルにプールして流用したという件ですね。この事態について徹底調査が当然必要でありますけれども、あるホテル関係者は、国際会議をやっているホテルは全部水増しをやっているというようなことが報道されたりしているわけですね。これまでの外務省の調査で、こういう裏金のプールは、ホテルニューオータニ以外にもホテルやタクシー会社等々であったはずだと思うんですが、その状況について明らかにしていただきたいと思います。

杉浦副大臣 けさほどの御質問にもお答えしたところでございますが、例の浅川事件を契機にいたしまして、ホテルニューオータニにかなりな金額のプールがあるということが発覚をいたしました。それを契機にいたしまして、省内にタスクフォースを立ち上げまして、ニューオータニのみならず、外務省といわば取引関係にあるホテル、タクシー会社、文房具等の購入先、百貨店等、いわば取引先からの御協力を得ながら、鋭意調査を行っておるところでございます。

大森委員 そういう公金をプールしていたホテルやタクシー会社で、判明した分だけ明らかにできますか。

杉浦副大臣 目下鋭意調査中でございまして、幾つかあることは判明いたしておりますが、できるだけ早い機会に全貌を明らかにいたしまして、適切な措置を講じ、処分等も行いたいと思って、調査を急がせておるところでございます。

大森委員 今回の浅川事件の構図としては、一方的に外務省の側からプールするのではなくて、やはりホテルや会社側から水増し請求等がなくては成り立たない話だと思うのですね。したがって、会社名の公表も含めて、十何社か数十社かわかりませんけれども、これを明らかにしていただきたい。

 次に、外務省の側でありますけれども、これも新聞報道等でも再三言われているように、浅川容疑者だけではなくて、甘い汁を吸ったキャリアはいるんだということが報道されておりますし、野上事務次官自身の記者会見でも、省内で、相当数の部署で出所不明の公金プールがあるということを言われております。

 そこでお聞きしますが、外務省には約百の課や室があるように聞いております。出所不明公金プールが相当数と言うなら、この百の課や室のうちのどのぐらいになるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。

小町政府参考人 今御指摘の点は、いわゆるプール金に関連する点だと思います。これにつきましては、今副大臣が御答弁されましたように、本当に全力を振り絞って今鋭意調査中でございます。今申し上げられますのは、外務省の中のかなりの数の課にそういういわゆる預かり金といいましょうかプール金というものがある、あるいはあったということでございまして、まだ全貌につきましては、今一生懸命やっておりますので、いましばらく御猶予をいただければと思います。

大森委員 ここは国会審議の場でありますから、調査の途中で判明しているものについても明らかにしてもいいと思うのですね。相当数と言うには、相当の根拠をもって明らかにされているわけなんですよ。外務省は、いかに金銭の面、公金の面で、これは預かり金とかプール金とか言っておりますけれども、要するに裏金づくりなんですね。こういうものが、いかに組織的に麻痺しているかということを示す一つの大変重要なケースじゃないかと思うので、あえて、相当数とはどのぐらいなのか、百の課、室すべてなのか、あるいは一部なのか、これはどうですか。

小町政府参考人 今お答えできますのは、先ほど申し上げましたように、相当な数の課においてそういう預かり金がある、あるいはあったということでございます。

大森委員 相当というのも、これは幅がある話ですね。

 お答えにならないようであれば、私どもが関係者から聞いたところで明らかにすると、十月十九日に外務省で、全課長補佐に対しての説明会を行われたそうであります。そこでの説明でありますけれども、預かり金と無縁である課を見つけることが困難なほど、預かり金問題が全省的な問題になっていることが判明した、こういう報告がされております。これは事実ですね。

小町政府参考人 今御指摘の点に関しましては、相当な数、かなりの数の課にそういうケースなり、預かり金といいましょうか、そういうものがあった、あるいはあるということでございます。

大森委員 ないところを発見するのは困難なほどあったということは否定されませんでした。まさにこれは全組織的な大犯罪であると断定してもいいのではないかと私は思います。

 そこで、問題がもう一つあるのですが、一月以降、つまり松尾事件が発覚した以降も、預かり金、裏金の使用はあったのじゃないですか。

小町政府参考人 その点を含めて、今鋭意調査しているところでございます。

大森委員 そのぐらい答えていいのじゃないでしょうか。今これを明らかにして、何ら支障になることはないのです。

 実は、松尾事件が発覚した以降もあったということで、本当にあれほどの大問題が発覚したにもかかわらず、なおかつこういうことが行われている。事は大変深刻であり、相当重症だということを指摘せざるを得ないと思うのです。

 さらに申し上げれば、先ほど言ったように、ほとんどすべての課でこういうことが行われている。しかも、先ほど言った省内の説明会、ここでは、これが上司の指示で行われているということも説明されているわけですね。すべての課で、そして上司の指示のもとにこれが行われている。まさにこれは集団的な不正行為、組織ぐるみの不正行為であり、公金に対する集団的な麻痺状態、こういう状況にまで今外務省は陥っているんだということを指摘しなくちゃならないと思います。

 これはプールとか預かり金とか言っておりますけれども、構造は大問題になった松尾元室長の事件と全く同じだということですね。出どころは、片や報償費のこともありますけれども、結局、宿泊代等を水増しして請求し、それを個人の口座に入れて流用する。流用の中身、口座の種類は違いますけれども、構造は何ら異なることはないと思うのです。

 裏金づくりというのは、従来、官庁の中にいろいろあったわけなんですが、それなりに是正等もやられているところもあると思うのですけれども、外務省は、二十年前に裏金づくりが大問題になった、しかし、今現在もこういう状況が深刻に続いているということで、徹底的な調査、文字どおりうみを出し切る、処分、再発防止の抜本的な対策、本当に、税金を払っている国民がきちんと納得できる、そういう措置を外務省でとる必要がある。副大臣、これはどうでしょう。

杉浦副大臣 目下鋭意調査を行っているところでございまして、できるだけ早い機会に全体像を明らかにして、処分すべき者は処分する、きちっと措置をするということでやっておるところでございますので、いましばらく時間をちょうだいいたしたいと思っております。

大森委員 今私が具体的に事実に基づいて指摘をしているわけですから、ただ調査をやっていますということだけでは答弁としてまことに不本意であると思うのです。鋭意調査ということ、これは当然のことです。今後の対策について、もっときちんと納得のいく御答弁をお願いしたいと思います。

小町政府参考人 今御指摘の点につきましては、調査を鋭意やっていることと同時に、いわゆる再発防止をどうするかということも真剣に議論しております。

 なお、先ほどの委員の御指摘の中に、上司の指示のもとにという説明があったということがございましたけれども、それは事実に反すると思います。

大森委員 そんなことをおっしゃるのであれば私は申し上げますけれども、省内説明会が十月十九日に行われて、そこでは全体の状況自身が、国民の税金を不正に使ったことへの反省などよりも、だれが弁済するか、そのことだけを議論している、そのこと自体が私は大変な問題だと思うのですね。だから、鋭意調査のそういう視点、見地が全く欠けていると思うのですよ。弁済をだれがするか、課長補佐まで含めるか、実際に裨益した者だけにするのじゃないかとか、そういう議論に終始している。そういう中で、課長補佐に全部二万から三万やっていくかというような議論の中で、では上司から指示を受けてやった者はどうなるのだとかいうような意見まで出ているわけです。

 これは、具体的にこれを説明した人物の名前は言いませんけれども、そこで言われているのは、預かり金の積み立てを指示した上司、同指示を受け実際に預かり金の積み立てを行った者というような形で、明確に指示のあったことを示しているのです。調査の途中で、上司の指示はなかったとどうして否定できるのですか。

杉浦副大臣 今回の調査につきましては、この間九月一日付で御就任いただきました外務省参与の園部逸夫元最高裁判事の御指導もいただいておりますし、しっかりした公認会計士事務所の御指導もいただきながらやっておるわけでございます。

 私はまだ詳細に報告を受けておりませんので申し上げられないわけですが、きちっと調査を進めておりまして、そんなに遠くない将来に全貌を御発表して、責任者は責任の程度に応じて必要あれば処分をする、そこできちっとやる。それから、そのプール金と申しますか費消された金額についても、その使われた事情、責任に応じてきちっと返済してもらう。基本方針はそういうことで考えておりまして、調査がはっきり終わり次第、きちっとした措置をとる考えでおります。

大森委員 先ほどの官房長の、指示はなかったという発言については撤回していただきたい。いかがですか。

杉浦副大臣 詳しく全体の報告を聞いているわけじゃありませんが、上司が関与された場合もあり得るのじゃないか。全部が全部関与していないとか関与しているとか、そういうことではない状態だというふうに仄聞しております。

大森委員 きょうの私の質問の主要なテーマは官房、外務省のそれぞれの報償費の問題であったわけなんですが、そこに至る前に質問時間が切れました。官房長官もきょうは出席にならないということですので、これは後日に回すということで、私の質問は終了したいと思います。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、山口わか子さん。

山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。

 きょうはずっと、会計検査報告が出たということもありまして、外交機密費がかなりいろいろなところで質問が出されておりますが、最後に私もその質問をさせていただきたいと思います。

 二〇〇一年の一月から二月にかけて、この機密費問題が徹底的に解明すべき重要な問題で、国会でも審議を深めていましたし、私も三月に質問させていただき、会計検査は徹底的にしてほしいということをお願いした経過があります。

 ですけれども、そのうちに、アメリカの原潜によるえひめ丸の衝突沈没事故があったり、七月には参議院選挙があったり、九月にはアメリカにおける同時多発テロ、報復戦争、そしてそれに伴う小泉内閣のもとでのテロ対策法案が審議されるというようなことで、何となくこの機密費問題というのは忘れ去られたという感がなきにしもあらずだと思います。

 この機密費問題というのは大変重要な問題ですし、私たちは国民の税金を預かっている身ですから、お金は正しく使わなきゃいけないし、そのためにきちっと検査をしなければいけない。非常に大事な問題が、実はそんないろいろな事件に紛れてもう七カ月もたってしまったということで、私は、これは怠慢ではないかというふうに非常に不満に思っているわけです。

 ですから、この辺については徹底的に解明、究明が必要ですし、原因がなければ対策も立てられないわけですから、やはりきちっと原因を出してほしいし、そのためにどう対策をするかをやっていかなければいけないし、そういう意味では会計検査院の責務というのは私は非常に大きいと思うのですね。そのことがないと、検査がきちっとやられない限りどうしてもいいかげんな対応になってしまうということがありますので、その辺について御質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、会計検査院の検査報告もいただきまして、読ませていただきました。私は、会計検査院の検査というのは、例えば外交機密費とか内閣官房機密費に関しては、今までずっと検査をされていなかったということはないと思うのです。ですけれども、こういう事件が起こっちゃったというわけですから、どういう検査が今まで行われていたのか、本当にちゃんと行われていれば問題がもっと早く見つかったというふうに思うのですが、その辺が非常に不明確ではないかと思うのです。

 あの検査報告書を見せていただきますと、計算証明規則第十一条に基づいて、領収書を提出しなくてもいいという簡易証明の規定というのがあるのだそうでして、これによって多分きちっと詳しい検査はしていなかったのではないかというふうに思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。

金子会計検査院長 会計検査院の検査のスタンスにつきましては、今委員がおっしゃられたとおりで、我々、国民の税金の各官庁における、あるいは公的機関における支出が適正になされているかどうか、また効率的に使われているかどうかということで、常にそういう点から厳正に検査を行ってきております。今問題になっております報償費につきましても、会計検査院では、これまで他の費目と同じように検査をしてまいりました。

 ただいま、委員、簡易証明という言葉を使われましたけれども、私自身は、簡易証明という言葉は誤解を招く用語ではないかと。一般にそういう使われ方をしているわけですけれども、事実は、報償費あるいは機密費という極めて高度に内容がオープンにすることができないような内容のものであるということで、これを会計検査院の方に機密費、報償費に関する証拠書類の提出を要求いたしますと、担当官庁における我が方への送付について多くの人の手を経る、また、会計検査院においても、その提出を受け、それを処理し保管するという点で多くの手を経るという形になりますので、この費目の性格上、担当の官庁において保管を認める、ただし、会計検査院が検査を行う際には、また会計検査院が必要と思うときにはいつでも提示をしてもらうという形になっております。

 したがいまして、会計検査院は、外務省それから内閣官房の報償費につきまして毎年検査をしておりますけれども、そのときに、手元保管されている証拠書類の提示を受け、さらに説明を聴取し、そして担当の調査に当たる者が十分に心証を得るまで検査をしているという形になっております。

 ただし……(発言する者あり)もう少し説明させていただいてよろしいですか。

山口(わ)委員 非常に御丁寧に御説明していただきますと、そのうちに何をおっしゃっているのかわからなくなってしまうという、非常に私には困るのですが、あったのかなかったのかだけお答えいただければよろしいので、こういう簡易証明によって、領収書を提出して検査をすることがあったならあったで、なかったならなかったというふうにお答えいただければ私はよかったんですけれども、本当に御丁寧に済みません。

 それともう一つは、簡易証明という方法は現実にあるわけで、そういうことが報告に書かれているわけなんですけれども、これは外務省と内閣官房以外に、ほかの報償費でもあるんでしょうか。これも、あるかないかでお答えください。

金子会計検査院長 ございます。

山口(わ)委員 それはどこの省庁でしょうか。

金子会計検査院長 読み上げさせていただいてよろしゅうございますか。

 総理府関係ですと、公正取引委員会、それから防衛庁にございます。それから警察庁にございます。それから法務省関係にございます。それから大蔵省にもございます。それから厚生労働省にもございます。それから国土交通省にもございます。

山口(わ)委員 今お話をお聞きしますと、ほとんどの省庁に、簡易証明を使って、領収書を手元に保管しておくもの、あるいは必要に応じなければ出さなくてもいいという簡易証明の方法があるというお話なんですけれども、今回この機密費に関して会計検査をしていただいた結果、こういう簡易証明という方法では本当に物事の真相というのはわからないということが、きっとおわかりになったのではないかと思うんですね。

 私もこれを見させていただきましたけれども、非常にずさんで、本当にあきれ返ってしまうようなずさんな処理が行われているということがわかったわけですから、やはりこれからはこういう簡易証明なんということではなくて、領収書をきちっと見て検査をしなければ、問題というのは発覚しないんじゃないかと思うんです。

 これはお答えいただかなくてもいいですけれども、この問題については私も非常にびっくりいたしましたので、こんな初歩的なことは、やはりやるべきことはきちっとやらなければいけないと思いますし、もし領収書が不備だったり書類が不備だったら、本当はお金を払うべきではないと思うんですね。ですから、会計検査院としては、お金を返してもらうくらいの厳しい検査をしてもいいのではないかというふうに思いますので、これからはぜひそのようにしていただきたいと思います。

 続きまして、先ほど生方委員さんの質問で、内閣官房への上納はないというふうに会計検査院の方からお話しいただいたんですが、この文書を見ますと、今回の検査で、総理外国訪問に際して、宿泊費差額及び諸経費、旅費のほか自動車や会場の借料などの現地における経費については、本来は内閣官房の予算措置が講じられることになっているにもかかわらず外務省が負担していると報告されています。これは官房への機密費上納ではないんでしょうか。

 ないかあるか、ちょっとその辺ははっきりしませんけれども、でも、明らかに外務省のお金が内閣官房に使われているわけですから、こういうことは普通は財政法上からもあり得ないというふうに思うんですけれども、もしそういう事務が行われているとしたら、その金額は幾らか、毎年の支出にどういうふうになってきたのか、ちょっとお答えを簡単にお願いします。

石野会計検査院当局者 今のお話は、総理外国訪問に係る経費の分担のお話だというふうに思います。これにつきましては、処置要求の本文にも書きましたように、それぞれ内閣官房、外務省が分担してその支出を行っておったということでございますが、その執行状況を見ますと、その中身が明確になっていないということで、やはり統一的な意思決定のもとにきちんとした責任を持った執行がなされることが重要だろうということで、その辺の明確化を求めたということでございます。

 金額につきましては、報告にございます経費、借料等あるいは旅費、宿泊等のそれぞれの内閣官房のお金、それから外務省のお金ということで掲記をしておるところでございます。

山口(わ)委員 本来は内閣官房が予算措置をして支払わなければいけないものが外務省から払われているということは、言いかえれば、分担の問題ではなくてやはりこれは上納だというふうに私たちから見るとなるわけですので、上納と言われると拒否反応を起こすのかもしれませんけれども、やはり本来、予算措置をちゃんとしたらそこからお金を払うのが本当なんですね。ですから、内閣官房から予算措置をするべきですし、そのお金はきちっと内閣官房から払うべきだと思いますから、これはやはりきちっと会計検査上もそういう指示をしなければいけないのではないかというふうに思います。

 それから、この内閣官房の支出の状況につきましては、それはきちっと調査をされているというふうに思うんですけれども、支出決定決議書とか決裁書は五年間の保存が義務づけられているわけですから、それがきちっと検査できていれば上納の事実というのは証明されるというふうに思うんですが、その辺についてはチェックをなさったんでしょうか。

石野会計検査院当局者 正規の会計処理といいますか、報償費として取扱責任者の手元へ渡るまでの経理につきましては、これは今お話しのとおり、会計法令に基づく書類でございますので、保管等の義務それから処理が要求されているところでございますが、本件で問題にしておりますのはその先の報償費の支払いの部分ということでございまして、これについては明確な取扱基準というふうなものが特に法令等で定められているということではございません。

 ただ、取り扱いに当たりましてはそういった準拠するものが必要ではないか、それが報償費の執行がきちんとなされることの担保になるであろうということもございますので、今回の処置要求の中で、内閣官房の報償費それから外務省もそうでございますが、そういった執行体制の整備をきちんとするようにというふうなことで処置要求をしたということでございます。

山口(わ)委員 内閣官房の報償費についてはいろいろと会計検査の結果報告に書かれているんですが、内閣官房報償費の中には、例えば、総理大臣の外国訪問時の費用とかではなくて、全く違う、一般官房費みたいなものは入っているんでしょうか、いないんでしょうか。入っていたら何に使われているか、お答えください。

石野会計検査院当局者 官房報償費につきましては、内閣官房におきまして、その事務事業に必要なものということで認められている部分でございます。したがいまして、当然外国訪問に際しましてのものもあろうかと思いますし、またそれ以外のものも当然あろうかと思います。

 ただ、その詳細につきましては、検査上知り得た事項にかかわります。その中で検査院が検査をいたしまして問題があるというふうに指摘した事項については、検査報告に掲記するなどしましてその状況を明らかにするということでございますが、そこに至らないものにつきましては、検査の立場上、それを申し上げるということはできないということを御理解賜りたいと思います。

山口(わ)委員 私がお聞きしたのは、特に総理外国訪問時でなくて、一般の飲食費などに使われていたのではないかということが疑惑としてございますので、その辺を検査したかをお答えいただきたかったんですが、その件についてはちょっと後回しにさせていただきたいと思います、時間がありませんので。

 三番目ですけれども、外務省の松尾外国訪問支援室長が就任した期間というのは平成五年十月から平成十一年八月というふうに聞いておりますけれども、その後任、松尾室長が辞任してから、後任の室長が在任したわけですね。九月から十二月までの期間在任しているんですけれども、この在任中の事務取り扱いというのは松尾室長から引き継ぎを受けて行っていると思うんですが、引き継ぎどおり行っていたんでしょうか。

石野会計検査院当局者 松尾元室長が在任していた期間といいますか、松尾元室長が扱った部分を中心に検査を実施してございますが、当然その後任の室長の部分につきましても、総理外国訪問の際の宿泊費差額の取り扱いがどうであったのかということでは検査をしてございます。

 その中で、松尾元室長につきましては、御案内のとおり、報告書、処置要求本文のところで記載したところでございますが、後任の室長分につきましては、検査の状況を申し上げますと、松尾元室長が行っていたような、宿泊費差額を水増ししているというような特に問題となる事態は見受けられないということで、その処置要求本文の中には特に記載しておりません。

山口(わ)委員 水増しをしたかどうかということはきっと今の報告のとおりだと思いますが、例えば、松尾元室長は個人名義の銀行預金口座をたくさん持っていたり、個人名義のクレジットカードを使っていたりしたわけですけれども、これは多分そのまま引き継がれて、後任の室長もクレジットカードを使って、自分の口座をつくってお金の出し入れをしていたんではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

石野会計検査院当局者 今のお話の、具体的な支払い方法というふうなところかと思いますが、松尾元室長の部分につきましては、これだけの問題になった事態であるというふうなことで、そのカードの支払いということについては種々の資料を取り寄せまして確認をしたということになってございますが、後任者の部分につきましては、そこの詳細につきましては、そういった資料を提出させるという検査院の検査の権限の中でそういった、直接それを立証できるような資料というものを把握するに至っておりませんので、その辺の事実関係につきましては、残念ながらといいますか、詳細には把握しておらないという状況でございます。

山口(わ)委員 これは大変重要なことですし、私が心配しているのは、松尾個人の問題ではなくて、やはりそういう事務の流れがいつの間にかでき上がっていて、だれもが余り悪いことと認識しないままに、きちっとした事務処理をしてこなかったんではないかという心配がありますので、これからそのことはきちっと検査をしてほしいし、決算委員会にその結果を報告してほしいというふうに思います。

 続いてですが、外務省報償費も内閣官房の報償費もそうですけれども、収支決算を見ますと、十一年度まではずっとゼロで来ているわけです。これは外務省報償費ですけれども、十二年度では約四億九千七百万円、不用が出ていますね。内閣官房については、十二年度まではすべてゼロということになっているわけです。今までずっとゼロで来た外務省報償費が、なぜ十二年度に四億九千七百万円余ったのか、このことを説明いただきたいと思います。

 それから、内閣官房は全然ゼロなんですね、ずっと。松尾室長が去った後も全部ゼロで来ているわけです。ところが、先ほどの検査結果報告を見ますと、例えば旅費の差額についてはこの官房報償費から出さなくてもいいということが明記されています。そして、十二年四月からは、旅費法の運用改正によって、総理外国訪問時においての差額は各省庁からも支給されるというふうになっていますし、それから、総理大臣や同行した内閣官房副長官に係る宿泊費は八月以降は庁費から支払われているというふうになっているわけで、本来なら不用が出て当然だと思うんですけれども、これは不用が出ていないんですが、その辺のチェックはなさったんでしょうか。

石野会計検査院当局者 報償費の使途といいますのは、松尾元室長の分に係りましては宿泊費の差額ということに使われておったということでございますが、それに限るわけではございませんで、まさに、内閣官房におきます事務事業の、その時々の状況におきまして必要となる経費ということで執行がなされておるという説明を受けておりまして、我々としましては、その経費が適切な執行をなされているのかというふうな観点で見るということでございます。

 したがいまして、その決算額は、そういった内閣のその時々の執行状況の結果、そういう形になってきておるんだろうというふうに理解しておるところでございます。

山口(わ)委員 全然よくわからない御説明をいただきました。

 私は、なぜお金が不用になったのかを追及して、どうなったのかをちょっと聞かせていただきたかったんです。それと、内閣官房の方はずうっとゼロになっているわけですから。

 私は、自分も自治体にいたからよくわかるんですが、いつも三月末になると、余ったお金は全部使っちゃうわけですね。例えば、ワインやお酒を買ってしまうとか、あるいは消耗品を買ってしまうとか、とにかく、残すと来年の予算がとれないという理由で全部使ってしまうというところも、私は、多分、会計検査院の皆さんは黙認していらっしゃるのかなというふうに思うんです。やはり四億九千万も余ったわけですから、今までずうっと余ったことはないわけですね。なのに、ここで、十二年度で突然これだけのお金が余ってきた。

 また逆に、内閣官房報償費の方は、本来なら、今まで旅費の差額というのは本当は報償費から出さなくてもよかったのに、今までは出してきたからゼロだったかもしれない、欲目に見てもそうかなと思うんですけれども、十二年四月からは旅費の差額は別のところで支出しているわけですから、報償費というのはもっともっと減っていいはずなんですが、減っていない。

 非常にこの辺は、外務省と内閣官房の決算の額に関しては不明な部分があるというふうに思うので、やはりもっと突っ込んできちっと検査をしていただかないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

石野会計検査院当局者 今回こういう問題が起こりまして、報償費の執行につきましては、個々の支払い状況というものをやはりきちっと検査しております。その中に、今お話しのように、不要不急のものに使っているのではないかという御指摘だと思います。十分そのことは念頭に置いて検査を実施したつもりでございます。

 ただ、外務省の決算額に、十二年度、五億円の不用が出ておるという御指摘でございますが、これにつきましては、外務省におきまして、今回の事態を受けてその執行をより厳正に行った結果なのではないかなという説明も受けておりまして、そういうことなのかなと。

 ただ、一件一件につきましては、お話のとおり、不要不急のものはないのかということについては十分検査をしてきたつもりでございます。

山口(わ)委員 聞くところによりますと、別に証拠があるわけではありませんが、松尾事件が起こったから急に、もう外務省はお金を余らした方がいいんじゃないかということで、慌てて、ワインやお酒を買わなくて残したというお話もちらっと聞いていますので、やはり、正しい執行をきちっとしていただく。余れば余ったで私はいいと思うんです。むしろ、ゼロになるということの方が不自然な使い方だというふうに思いますから、やはりこの辺はきちんと直していただく。会計検査院は権威があると思いますので、やはり外務省と内閣官房にきちっとただしていかなければ国民が泣きますから、この辺はぜひきちっとしてほしいし、今私がお願いした、最後の、決算額が余った理由と、それから、旅費が差額を払わなくてもよくなったのにゼロになった理由を、資料として提出をお願いしたいというふうに思います。

 それから、会計検査が今までなされてきたらこんな不手際なことはないと私は思うんですが、余りにも初歩的なものが多くて、この報告書を見せていただいて本当にびっくりしちゃったんです。

 少し並べてみますと、例えば精算手続のおくれというのがあるんですが、普通、精算というのは一カ月以内に行わなきゃいけないんですが、実際には三カ月以上もほったらかしてあったということがあったわけですね。それから、支出に関する決裁が事前になされていなかったとか、当然請求書払いをしなければいけないのを立てかえ払いをしているとか、立てかえ払いの領収書には会合の内容とか人数などが全く記載されていないとか、領収書に支払い者の氏名がなくて上様なんて書かれているのがあるとか、内部監査の体制が非常に不十分だとか、非常に初歩的でずさんな、こんなことがなぜ頭のいい東大出の皆さんがいらっしゃるところで行われているのか、私は非常に不思議です。

 こんなことを地方自治体でやったら大変なことになります。非常に厳しい監査を受けていますし、会計検査院が検査に来ればすぐお金を返せと言われるわけですから。今まで会計検査院はきちっと検査していなかったんじゃないかというふうに思うくらい、こんな当たり前なことができていなかったということについては、どう考えても私は解せないというふうに思っています。

 ですから、やはりこういうことがこれから行われないようにしていかないと、会計検査院の権威もおっこってしまうんじゃないかというふうに非常に心配していますので、この辺は今さら追及してもしようがないと思いますが、やはりきちんと検査をしてほしいと思います。

 それから、先ほど、在外公館の非常にがさつな不手際があったというふうに思うんですが、この在外公館分については三十五億もあるわけですね、お金が。そのことについて、やはり非常にずさんな会計処理を行っていたというふうに思いますし、よく見ますと、在外公館赴任のときの贈呈購入費というのが四千七百二十万円も使われていたとか、先ほど言ったような日本画の購入が七千二百万円あったとか、大型レセプションの経費が莫大にかかったとか、お酒などの購入費がかかったとか、在外公館に関するいろいろな経理が非常にずさんだと思うんです。

 この在外公館に関しては、きちんと事務の取扱規定があるのではないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。

石野会計検査院当局者 当然でございますが、在外公館におきましても、会計事務処理につきましては、財政法、会計法等の会計法令に基づくということは当然でございますし、外務省におきますその中のさらに細かい会計規定の手続等にのっとって当然とられるものであるというふうに思っております。

 お話しの、いろいろなずさんな点が見られるではないかということにつきましては、やはりそういった手続を遵守するということの趣旨徹底ということがなされていなかった結果ではないかなというふうに思っております。

 したがいまして、そういった趣旨徹底を図る、さらには、外務省での内部監査ということも十分行う体制が必要だということで、そういった点の改善ということを今回の処置要求の中でも触れておるところでございます。

山口(わ)委員 今までずっと会計検査院のお話を伺ってきたんですが、全体を通してやはり私は、きちっと検査はなされていなかったとしかとれない、いろいろな事項に今回の報告では気がついたわけです。

 こんなことをこれから続けていったら非常に困るので、これからの会計検査はもう少し、こんなことはやられていて当然だと思わないで、やはりきちっと領収書は点検するべきですし、決裁があるかないかとか、大体、領収書に上様なんというのを書いたのをもらっておくとか、支払ったときの担当者の名前くらいは書くとか、そういうことは当然なことなので、そのことはやはりやってほしいというふうに思いますし、改めてやはり来年から、こういうことがあれば大変ですから、ないようにやっていただきたいと思います。

 上納につきましても、いろいろなことを言っていますが、私は、実際にはあったということがこの報告書に書かれていると同じ内容だと思いますから、恐らく内閣官房だって十九億ぐらいの報償費では足りないはずなので、足りなかったら足りないできちっと予算化をすればいいと思うんです、わざわざ外務省のお金を使わなくていいわけですから。そういうことをぜひ、会計検査院としては外務省とそれから内閣官房にきちっと注意をしていただきたいというふうに思います。

 以上で終わらせていただきます。

金子会計検査院長 一言だけ。

 今委員おっしゃられましたように、会計検査院として個別の事案について一層厳しい検査をすると同時に、なぜこういうことが起きるのか、報償費につきましては、我々、内部チェック体制とそれから執行のシステムを確立するということを要求して、そして、個別の違法、不当な事態が発生しないような蓋然性のあるシステムをつくることをお願いいたしました。

 また、その他の外務省における不適正な事態についていろいろ当委員会で指摘が出ておりますけれども、会計検査院では、どこに根本的な問題があるのかということを現在検討しております。そういう事態を改善して、再び起きないような体制をつくりたいというふうに考えておりますので、御理解いただければというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

持永委員長 次回は、来る十一月七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.