衆議院

メインへスキップ



第3号 平成13年11月7日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年十一月七日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 木村 義雄君 理事 菅  義偉君

   理事 萩野 浩基君 理事 石井 紘基君

   理事 生方 幸夫君 理事 高木 陽介君

   理事 中塚 一宏君

      逢沢 一郎君    伊藤信太郎君

      奥谷  通君    小西  理君

      谷  洋一君    土屋 品子君

      中川 秀直君    橋本龍太郎君

      武藤 嘉文君    森岡 正宏君

      森田  一君    山本 公一君

      池田 元久君    木下  厚君

      今野  東君    手塚 仁雄君

      楢崎 欣弥君    平野 博文君

      松崎 公昭君    山田 敏雅君

      渡辺  周君    神崎 武法君

      大森  猛君    穀田 恵二君

      保坂 展人君    山口わか子君

      近藤 基彦君    中村喜四郎君

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局

   長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第三局

   長            白石 博之君

   会計検査院事務総局第四局

   長            有川  博君

   会計検査院事務総局第五局

   長            円谷 智彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  村田 保史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊藤 哲雄君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    漆間  巌君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    書上由紀夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           上原  哲君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術

   総括審議官)       今田 寛睦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           鶴田 康則君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次

   長)           青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  冨岡  悟君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      迎  陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         澤井 英一君

   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

            補欠選任

             伊藤信太郎君

             小西  理君

十一月一日

 辞任

  平野 博文君

同日

            補欠選任

             山本 公一君

同月七日

 辞任         補欠選任

  手塚 仁雄君     平野 博文君

  山口わか子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  平野 博文君     手塚 仁雄君

  保坂 展人君     山口わか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官村田保史君、内閣官房内閣審議官伊藤哲雄君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁交通局長坂東自朗君、警察庁警備局長漆間巌君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、法務省刑事局長古田佑紀君、公安調査庁長官書上由紀夫君、外務省大臣官房長小町恭士君、文部科学省大臣官房審議官上原哲君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官今田寛睦君、厚生労働省大臣官房審議官鶴田康則君、厚生労働省職業安定局次長青木功君、厚生労働省年金局長辻哲夫君、社会保険庁運営部長冨岡悟君、農林水産省生産局長小林芳雄君、資源エネルギー庁長官河野博文君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、中小企業庁長官杉山秀二君、国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。

菅(義)委員 おはようございます。菅でございます。

 早速質問をいたします。

 生物化学テロ対策を中心にでありますけれども、去る九月十一日の世界を震撼させたアメリカの同時多発テロ事件、そして引き続いて炭疽菌のテロ事件、連日、この炭疽菌テロ事件の被害が拡大している、このことが新聞報道されておるわけであります。この見えないテロに対して、アメリカの多くの国民の皆さんは不安と脅威に駆り立てられておるわけでありますけれども、こうしたことが日本で起こらないという保証もないわけでありますし、現に地下鉄サリン事件が日本でも起こったわけであります。

 当然、政府はこうした事件があることを前提にさまざまな対応策をとっておられると思いますけれども、緊急事態に対して現在どのような対応策をとっておられるのか。そしてまた、こういう事件が発生した場合のマニュアルみたいなものができているのかどうか、この点についてお尋ねをします。

村田政府参考人 生物化学テロへの対応につきましては、その重大性にかんがみ、平成十一年に政府としての初動対処のあり方を定めた対応マニュアルを作成しましたほか、平成十二年には、関係省庁の局長級から成るNBCテロ対策会議を設置し、また広く専門家の意見も聞くなどして、政府全体としての対処能力の向上に努めてきたところであります。

 また、万一生物化学テロが発生した場合には、警察、消防、自衛隊などの特別の防護資機材を備えた専門部隊が現場出動し、関係機関とも連携しながら、被害者の救出、治療や被害の拡大防止に努めることとしております。また、平素から、こうした事案の発生を想定し、関係省庁においてさまざまな実践的な訓練を行っているところであります。

 政府としましては、今後とも、生物化学テロに的確に対処するため、関係省庁間の連携を一層密にしながら、対処体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

菅(義)委員 今そういう答弁でありましたけれども、国際テロ組織に対して我が国にはこれが対象になる法律がないだとか、あるいは我が国のテロ対策というのは国内テロ、オウム真理教や過激派であって、国際テロ組織に対してというのは念頭にないじゃないか、こういうことも言われておるわけであります。

 国際テロ組織に対しての最大の予防策というのは情報活動の強化である、こう言われておりますけれども、この情報収集とその管理のシステムはどうなっているかであります。あの同時多発テロ事件があった後に、実は事前に、日本のアメリカ軍基地だとか、あるいはそれに関連する施設にテロが行われる可能性があったという指摘がアメリカからあって、それをそれぞれの省庁間で共有できなかったということもあったわけであります。この情報収集と管理システムはどのようになっているのか、お尋ねします。

伊藤政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、今回のテロ事件を見ましても、情報の重要性は明らかでございます。内閣におきましては、内閣情報調査室に内閣情報集約センターというのを平成八年に設けまして、そこで二十四時間体制で情報の収集、集約及び官邸を初めとする政府関係者への迅速な伝達を行ってきております。

 また、治安、防衛、外交等の情報を担当しております行政機関、これは具体的には外務省、警察庁、防衛庁そして公安調査庁でございますが、こうした機関においても、諸外国の関係機関との間で、テロ情報を含みます情報について活発な交換及び収集活動を行ってきております。

 こういう情報については、内閣情報官のもとで、重要なものについては各機関の局長等の幹部が機動的に参集しまして評価、分析を行い、直ちに官邸に報告いたしまして、その指示を受けて必要な対応を講じているところでございます。

菅(義)委員 今いろいろな施策を講じているということでありますけれども、これはいわゆるテロの専門家から言わせれば、日本のテロ対策というのは余りにも縦割り過ぎて、欧米諸国のそれと比較をすると大人と子供ほどの開きがある、こういうことを言う専門家もいるわけでありますけれども、こうしたことについてはどのように反論をされるのか。

 さらに、アメリカのテロ事件があって、我が国の今までのそうした体制について見直す点があるのかどうか、お尋ねします。

村田政府参考人 お答えします。

 テロへの対応において最も重要なことは、言うまでもありませんが、これを未然に防止することであります。政府としては、このたびの米国におけるテロの発生を踏まえ、事案の未然防止のための具体的な方策として、特に、テロ関係者の不法入国の防止に向けた出入国管理の強化、国際的な情報の交換や情報分析機能の強化、あるいは重要施設に対する警戒警備の強化、またハイジャックなどの防止策の徹底など、総合的な対策を各省庁が一体となって強力に推進してきたところであります。

 また、万一テロが発生した場合の対応につきましても、既に政府としてとるべき初動措置などについて対処マニュアル等を定めてきておりますが、これに沿って各省庁が連携して対処することとしております。

 政府といたしましては、これらの取り組みを通じて、テロの脅威から国民を守るため、万全を尽くしてまいる考えであります。

菅(義)委員 ぜひ内閣官房が危機管理の中枢を担って、それぞれの省庁の連携をさらに緊密にして、こうしたテロ対策に当たってほしいというふうに思います。

 こういう事件が起こりますと、必ずのように模倣犯というのが起きますね。かつて、地下鉄サリン事件があったときに、実は私も体験をしたんですけれども、横浜駅で護身用のスプレーを噴霧した事件がありました。あのときは、自衛隊とかあるいは消防だとか警察だとか、一時パニック状況になったわけでありますけれども、一般の事件の模倣犯と比較をして、こうしたテロに対しての模倣犯というのは、ある意味では、広く解釈をすれば社会を不安に陥れるわけでありますから、一つのテロと分類されるんじゃないかなというふうに私は思います。

 ただ、残念なことに、こうした事件に対しての直接の罰する法律は実はないわけであります。法整備も含めて、こうした模倣犯を防止するために何かいい方法はないのか、お尋ねします。

古田政府参考人 今御指摘のとおり、こういう情勢のもとで、白い粉を送りつけるとか、こういうのは大変問題のある行為でございまして、現行法上は、威力による業務妨害罪、あるいは場合によっては脅迫罪、こういうもので罰則としては対応ができるわけでございますが、特に、公共的な交通機関とか、こういうものについてそういう行為が行われますと非常に大きな社会の混乱をもたらす、それは御指摘のとおりでございまして、そういう問題について、どういう刑事罰則を考えていくべきかということについて検討してまいりたいと思っております。

菅(義)委員 これは、私はぜひ前向きに検討してほしいと思います。今度の炭疽菌の問題でも、たしか総理官邸だとか自衛隊にそういうものが送られてきたとか、きょう私、電車で来たんですけれども、不審物が発見されて電車がおくれているとかという車内放送も実はあったぐらいでありますから、こうした問題についてはぜひ積極的に対処するように要望をしておきます。

 次に、こうした事件が発生しますと、誤った情報というのは、いたずらに、不安が不安を呼ぶような、まさに混乱状況に陥れることがあるわけでありますから、そうなれば、これはまさにテロリストの思うつぼになるわけであります。ぜひ、政府が広報活動というものに対してしっかりと私は行ってほしい。情報を開示し、例えば、国民がどのように対処をしたら安全であるとか、そういうものを的確に広報活動する必要があると思いますけれども、これについての広報活動の状況というのはどうなっているのか、お尋ねします。

村田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、生物化学テロのような重大事案が発生した場合には、国民の不安を少しでも解消するために、的確に情報を提供することが極めて重要であると考えております。

 既に政府としましては、米国での炭疽菌事案の発生や、国内での多数の不審郵便物の送付といった事態を踏まえ、国民に対し、不審な郵便物が届いた場合の対処法について、郵便局の窓口やホームページを通じて情報提供を行ってきたところであります。引き続き、さまざまな媒体を通じて、国民の安全と安心を確保するため、正確で時宜を得た情報の提供に最大限努力を払ってまいりたいと考えております。

菅(義)委員 ぜひ広報にも力を入れていただきたいと思います。

 アメリカでは、このテロ事件が発生をしてから、反テロ法と言われる法律が二十六日に成立をしました。これは時限立法であって、電話やインターネットの通信傍受も可能にするという、テロの犯人検挙の上に私は非常に必要不可欠のものであるというふうに思っていますけれども、もし我が国であのようなテロがあった場合に、我が国には通信傍受法という法律が、これは成立させて二年弱でありますけれども、実はあるわけであります。

 この法律を適用するにはいろいろな制約があるわけでありますが、この法律が制定をされてから、例えば集団密航、これは全く影を潜めたというぐらいに抑止力になっておると私は思っていますし、この法律の成果がかなりあったというふうに思っています。果たして、この通信傍受法がテロ対策について適用できるかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思いますが、アメリカでは今二つのテロ事件があったわけでありますね。一つは、あの同時多発テロ。あれについては、ビンラディン率いるアルカイダという組織がやっただろうということが言われています。世界貿易センタービルに、無差別大量殺人を行ったわけでありますから、まず、これについて適用できるかどうか、お尋ねします。

古田政府参考人 特定の個別の案件そのものについての適用ということは、これはいろいろ状況、証拠関係その他の問題もありますのでお答えは差し控えたいと存じますが、傍受法は、御案内のとおり組織的な殺人につきましてこれを傍受の対象犯罪としております。この組織的な殺人につきましては、現に殺人が行われた場合に限らず、その未遂、あるいは、そういうことをするための準備として行われた一定以上の犯罪行為があるということが、十分な理由があるというときには、これは傍受ができることになっております。

 したがいまして、そういうふうな組織的な殺人、あるいは、それをねらった、その準備のために行われた犯罪、これについては傍受法による傍受が可能であるというふうに御理解いただきたいと存じます。

菅(義)委員 では、改めて個別なものは聞かないことにしますけれども、炭疽菌テロ事件のような場合というのは、これは非常に微妙だと思いますね。相手が組織かどうかもわからない、しかし、これだけの大量殺人事件でありますから。私は、対象犯罪とかその要件はかなり厳しいものがあると思いますけれども、やはりこうしたテロに対しては、ありとあらゆる可能性を探る中で、犯人検挙にこの通信傍受というのは極めて重要な役割を果たすと思っておりますので、ぜひ研究をしていただきたいというふうに思います。

 次に、来年行われますサッカーのワールドカップの決勝、これはアジアで初めて、日韓でこの大会が開催されるわけでありますけれども、かつて経験をしたことがないほど、多分海外から日本に多くの外国の方がお見えになられる。そうすると、いろいろな治安上の不安要素も出てくるわけであります。こうしたワールドカップに対しての対策というのは、どのようなことを今練っておられるのか、お尋ねをします。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 このたびアメリカで同時多発テロが起きまして、まさに来年のワールドカップ大会での最大の脅威は国際テロであるというふうに認識しております。これにつきましては、九月二十八日に韓国と日本との間でワールドカップに関して定期協議というのが行われまして、これは第二回の定期協議でありましたが、その場でも韓国と共通の認識を持ったわけであります。

 それで、十月の三十一日に、国内では関係省庁連絡会議というのがございまして、そのもとに安全対策部会というのを設けております。その安全対策部会の場で、まさに国際テロを防止するためにはどうするかということで、関係省庁が集まりましていろいろ協議をしたところであります。

 主たる内容としましては、もちろん、情報収集の強化というのは当然ありますが、いずれにしても、水際対策の徹底だとか、ハイジャック等防止対策の徹底、主催者と緊密な連携による競技場等の警戒の強化、試合開催中の飛行規制の検討、あるいはBCテロ対策の強化ということでありますが、これについては、具体的にどういうふうにするのかということについて、十二月までに結論を出すということで今調整を続けているところでございます。

菅(義)委員 このアメリカのテロ以来国際情勢は急激に不安定になって、果たして予定どおりこの大会が開催されるかどうかという不安感も地元ではあるわけであります。今、万全な対策を講じられるという話でありますけれども、この開催にこうしたテロが影響するのかどうか、お尋ねをします。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 一カ月前に貿易センタービルの事件があったわけでございますが、その後速やかに国際サッカー連盟の方では対応をとってございまして、現在予選が行われているわけでございますが、九月十二日の段階で、ワールドカップの成功に向けまして予選を順調に粛々とやっていこうという書簡が各国に発出されてございます。

 それで、我が方の対応といたしましては、先ほど来警備当局からお話がありましたような警備、それから日韓の連絡調整、並びに、JAWOCという実施組織がございますので、JAWOCへの警備に対する指導強化、それらに努めてございまして、現時点では、開催が円滑に実施できるよう努力している段階でございます。

 いずれにいたしましても、安全な開催に向けまして万全の努力を今後とも払っていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

菅(義)委員 ぜひ予定どおりこの大会が開催できるように御努力をお願い申し上げます。

 続いて、炭疽菌テロ事件に特定をしてお尋ねしてまいりますけれども、アメリカであの事件があってから、日本はどのような対応をとっておられるのか、お尋ねします。

村田政府参考人 炭疽菌によるテロに対しましては、政府として、米国での事案の発生を踏まえまして、各郵便局に対して不審な郵便物等への注意喚起を行うとともに、これが見つかった場合の取り扱いについて周知徹底を図っているところです。また、外国から送りつけられる可能性がありますことから、国際郵便交換局において炭疽菌に対する定期検査を実施することとしております。国民に対しては、先ほど申し上げましたが、不審な郵便物等が届いた場合の対処の仕方について、郵便局の窓口やホームページを通じて情報提供を行っているところです。

 一方、炭疽病の患者が発生した場合ですが、迅速にその発生を把握し、適切な治療を行うことが最も重要でありますことから、厚生労働省において、感染症の発生動向を迅速に把握する体制を確立するとともに、救急医療体制の点検や、診断及び治療方法についての医療関係者への情報提供など、万一の事態に備えた必要な措置をとっているところであります。

 なお、炭疽病の治療薬につきましては、一般に流通している多くの種類の抗生物質が有効であります。これにつきましては、厚生労働省の在庫流通量調査の結果、十分な量が確保されていることが判明しております。

 政府としましては、今後とも、炭疽病によるテロを初め生物化学テロに的確に対処するため、関係省庁間の連携を一層密にしながら、対策に万全を期してまいる考えであります。

菅(義)委員 今さまざまな対応策をとっておられるようでありますけれども、問題は、実際に発生した場合、これは医療機関の果たす役割というのが極めて重要になってくるわけであります。日本のいわゆる医師が、果たしてこれが生物化学テロによっての症状であるかどうかということを判断できる医師が少ないということを言われていますけれども、これについてはどうですか。

今田政府参考人 御指摘のように、炭疽につきましては、近年国内でほとんど発生を見ていないということもございまして、ほとんどの医師は診断経験がないという問題は明らかに存在すると承知しております。

 このために、適切な診断、治療が行われるよう、医療従事者あるいは広くは国民の皆さん方に、炭疽等の症状、検査の方法それから治療の方法などにつきまして、厚生労働省のホームページも活用しながら情報提供を行っている。それから、感染症指定医療機関、私ども持っておりますが、そこのお医者さんあるいは関係者、あるいはそれらも含めた感染症治療担当病院を対象といたしました研修会を実施いたす予定としております。

 いずれにいたしましても、とにかく早く見つける、早く察知するということが最大の防御であるということから、そういった症状の疑いがある場合であっても、速やかに国立感染症研究所に報告をしていただきまして、その動向の早期察知に努めるということの体制整備を図っているところであります。今後も、できるだけ情報を国民の皆様方に提供することによって、安心感を抱いていただけるように努力していきたいと考えております。

菅(義)委員 ぜひ、医師が的確に診断、治療できるようなマニュアルというものを作成してほしい。これは、私は友人の医師からいろいろ話を聞いていますけれども、その辺のきっちりとしたものをぜひつくってほしいということでありますので、お願い申し上げたいと思います。

 そして今、最大の防御は早期発見であるということを言われました。これも実は、その医師の話だと、全くそのとおりであって、炭疽菌というのは、早く発見をすればそんなに大騒ぎするような問題ではないということも実は言っておりました。

 この早期発見というのは、そういう意味では、まさに発見をできる医師がいなければこれは非常に難しいわけでありますから、そうした体制というものを早急にしっかりと、疾病による流行の病気じゃなくてテロによるものだ、そういうものをはっきりとわかる体制をぜひつくってほしいなというふうに思います。

 それと、今、医薬品は十分であるという話でありますけれども、例えば、いわゆるテロ組織というのは、現在炭疽菌に用いられる抗生物質が効かないようなそうしたものも、遺伝子組み換えやいろいろなことによって彼らはまたその先を行くわけでありますから、そういうことに対しての研究体制というのはどうですか。

今田政府参考人 遺伝子を組み換えることによってできる可能性のある、それの類似の菌というのは実は無限に存在をする、理論的にはそういう可能性がございます。したがいまして、そのすべてに対応できるかどうかという点を個々に検証するというのは大変難しい作業ではございます。

 ただ、少なくともこの炭疽という疾患が、例えばAという抗生物質に対して抵抗性を持つということになると、それは次の抗生物質をそれに対して提供しなきゃならないということから、欧米もそうでありますが、一つの抗生物質だけですべて対応していくというのじゃなくて、現在複数ございますさまざまな抗生物質を適宜使っていただくということで対応するのが最も現実的ではないかと思いますし、そういった意味では、各メーカーもさまざまな菌に対する抗生物質の開発努力をしていただいておるわけでありますから、そういったものの成果を活用することが、当面、私たちにとってもそういった点で対処するのが現実的ではないかというふうに思っております。

菅(義)委員 そして、このテロというのは、必ずしも政府とかメディアとかそういうことが対象になるだけでなくて、広く、地方自治体も含めていろいろなところが対象になる可能性があるわけでありますね。そういう意味において、国の省庁間の連携はもちろんでありますけれども、地方自治体との連携も極めて大事なことであるというふうに私は思っています。

 例えば、横浜市においては、抗菌剤として一万八千人分を市独自で用意しているとか、いろいろな努力をしておるわけでありますから、そうした地方自治体の情勢というものもぜひ掌握する必要があると思いますけれども、地方自治体との連携はどうなっているのか、お尋ねします。

今田政府参考人 実際に炭疽菌の炭疽が発生をするというときの現実的対応というのは、御指摘のように、地方自治体がまず前面に立っていただくということでありますから、当然、都道府県、市町村との連携は大変重要なものと認識をいたしております。

 そういった意味から、先ほど申し上げましたさまざまな情報についてのインターネット等を通しての情報提供はもちろんでありますけれども、それにあわせまして、特に身体的異常の把握に最も近いところにあります保健所、これらに対しまして、水道、食品等も含めて異常状態の発見についてさまざまな情報を上げていただくための仕組みをつくると同時に、それぞれの地域の皆さん方がお感じになるそういった不安に対しての相談、支援というものを要請いたしているところであります。

 また、医薬品につきましても、炭疽に有効な抗生物質につきましては、先ほども御説明がございましたけれども、各メーカーにおいて十分な在庫があると確認しておりますし、それから、いざというときにはメーカーは増産する、こうおっしゃってもいただいております。

 ただ、問題は、その事態が発生したところに運んでいく体制はどうかということにもつながろうかと思います。そういった面につきましても、都道府県との連携におきまして、医薬品等の関係団体等の協力を要請いたしまして、必要な医薬品の確保に努めることといたしております。

 今後とも、御指摘のように、都道府県との連携は大変大事だと思っておりますので、努力を重ねていくつもりでございます。

菅(義)委員 実は、この炭疽菌テロというのが一九九三年にオウムによって日本で行われたのじゃないかという新聞報道がかつてあったわけであります。九三年に東京江東区亀戸にあるオウム真理教の新東京総本部で教団信徒が、これは地裁の初公判の中で、麻原彰晃被告の命令で付近の住民を殺すため細菌を散布したと。それで、これが炭疽菌であったと実は言われています。

 また、同じように、九七年三月、東京地裁で行われた教団元幹部の林郁夫被告の公判でも、弁護側の証人の元オウム真理教の幹部が、九三年に炭疽菌を国会議事堂や皇居周辺などに走行中のトラックから噴霧、そして先ほど言った亀戸の本部で炭疽菌の培養を試み、悪臭騒ぎを起こした。こういうことをそれぞれ裁判の中で実は明らかにしています。

 当時、警察もこれについて捜査をしたと思いますけれども、当時の状況はどうだったのか、お尋ねします。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 実は、オウム真理教は平成二年から平成五年にかけまして、まさにその生物兵器の研究をするわけであります。当初はボツリヌス菌を培養するということを考えまして、これは結果的には失敗に終わります。

 それから、その次に炭疽菌ということで、実はその炭疽菌というのは、在家信者の中にワクチンとして使われる炭疽菌を持っている者がおりまして、それから手に入れたわけであります。実は、このワクチンを培養して実際に生物兵器にするというのは、これは大変至難なわざだということでありまして、しかも、亀戸の道場で平成五年にやったときは、これは高熱でさらに圧力をかけて外に出す、こういうことをやってしまいますと炭疽菌自体が死んでしまうということがあります。

 したがって、もともとワクチン用の炭疽菌を入手していたんだ、それからそういうような熱あるいは圧力をかける、こういう作業をいたしましたので、実際に噴霧されたものはまさに無毒の炭疽菌であったということで、被害はなかった。したがって、被害がありませんでしたので、事件化措置をとらなかった、こういうことでございます。

菅(義)委員 何か背筋が寒くなるようなことでありますけれども、まさにサリンと同時に炭疽菌でもオウムが事件を起こそうとしていた。こうした生物化学テロというのは、一たん起きてしまいますと大変な被害を国民に与えるわけでありますから、ぜひそれぞれの省庁が中心となって最大の防御体制をとっていただきたいと思います。

 そこで、オウム真理教について質問いたしますけれども、現在のオウムの活動状況、サリン事件を起こしたときと比較をしてどんな状況になっているのか、お尋ねします。

書上政府参考人 当庁におきまして、いわゆる団体規制法により観察処分に基づく調査を鋭意行っておるわけでございます。

 お尋ねの活動状況あるいは組織の実態というのは、かなり微妙な問題がございますので、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、概括的に申し上げますと、現在、オウムの組織勢力というのは、本年の十月末現在で、出家信徒が六百五十人ほど、在家が約一千人、拠点施設が全国に二十八カ所、居住施設が百五十カ所ぐらいというふうに把握しております。

 活動におきましても、パソコンの販売あるいはパソコンのソフトウエアの下請製作等の事業を展開し、他面、内部におきましては、信徒の指導を強化する。殊に、本年六月に観察処分の取り消し訴訟が第一審で判決があったわけでございますが、この判決によって教団改革が認められたという主張をいたしまして、さらに組織の拡張あるいは延命、こういった方向に向けた動きを活発化しているという状況でございまして、当庁としては、これまでよりさらに警戒感を高めまして、立入検査あるいはその他必要な調査を鋭意継続しているところでございます。

菅(義)委員 今の長官の答弁ですと、まだまだオウムというのは勢力を保っている、そういうふうに受けとめたわけでありますけれども、アメリカが今度のテロ事件の中で、オウム真理教を危険なテロ組織として指定をしたわけでありますね。

 当然、今の状況の中で、かつてサリン事件を起こした集団でありますし、公安調査庁も最重点的にオウムの監視をしていると思いますけれども、現在も生物化学テロ事件を起こすような力があるのかどうか、それについてどう思われますか。

書上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、オウム真理教が過去に炭疽菌あるいはボツリヌス菌等の培養実験を行ったということを、私どもも情報として承知しておるわけでございます。そういった視点に立ちまして現在も十分調査をしているわけでございますが、現在までのところ、過去に行ったと同様の挙に出るという確たる証拠はつかめておりません。

 ただ、他面、そういったことを実行する意思あるいはその潜在的な能力が消失したかどうかということもまた断定し得ない状況でございます。そういったところから、今後もそういうことがあってはならぬよということで、観察処分の実施に当たっては、なお一層そういった点に視点を当てて、継続して調査を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。

菅(義)委員 特に、サリン事件でまだ三人の実行犯が逃亡中ですよね。これに対しての捜査状況はどうなっていますか。

吉村政府参考人 お答え申し上げます。

 オウム真理教関連事件では、これまで特別手配被疑者として十九名を指名手配しておりまして、このうち十六名を検挙、委員御承知のとおり、依然として三名が逃走中でございます。

 現在、この十一月を警察では指名手配捜査強化月間として、特に指名手配被疑者に対する捜査強化を図っているところでありまして、警察庁長官狙撃事件と教団との関連を解明するためにも、これら三名の逃走被疑者について早期捕捉を図るべく、全国警察を挙げて追跡捜査を鋭意推進しているところでございます。

菅(義)委員 こうした事件が発生をしますと、やはり当時のサリン事件のことを思い浮かべ、そしてその実行犯はいまだに地下に潜っているわけでありますから、不安感というのを国民は持っていますので、ぜひ、警察も全力で逮捕に向けて活動していると思いますけれども、一層の努力を要望いたします。

 そして最後に、オウムの権力構造についてお尋ねしたいと思いますが、麻原が収監をされている、上祐が出所してから組織もかなり変わったようでありますけれども、組織内の権力構造というのは現在どうなっているのか、お尋ねをします。

書上政府参考人 委員御指摘のように、上祐史浩が、平成十一年の十二月に出所して以来現在までの間、教団の事務的な運営の中核になっておるわけでございます。その過程で、施設の公開であるとか、あるいは麻原離れといいますか、そういった方向を盛んにPRしているわけでございますが、私どもの調査によりますと、表向きとやはり裏の話は別でございまして、信徒の修行等におきましては、依然として麻原の肉声が入っているビデオだとかCDを用いて厳しい修行を行っているという実態がございます。

 したがいまして、上祐が現在教団運営の中核にあるということは、これはあくまでも麻原に与えられた教団内部の幹部としての地位に基づくものでありまして、依然として、団体として見る場合には、これは麻原が最高の権威者であり、上祐は麻原にかわるこの団体の宗教上の最高崇拝対象者にはなり得ないということで、依然として麻原の影響下にあるという認識のもとに調査を進めているところでございます。

菅(義)委員 特別立法を制定せざるを得ないような団体でありましたから、ぜひ今後ともその観察に努力をしてほしいと思います。

 以上で終わります。

持永委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 おはようございます。公明党の高木陽介でございます。

 本日は、土地区画整理組合の土地区画整理事業の行き詰まりというか、そこの現状等々を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この土地区画整理組合、全国で千以上ある中で、特にこの十年間、バブル崩壊後かなり厳しい状況にある。新聞報道でも多々なされておりまして、例えば、この夏の新聞報道では、「全国で赤字千六百億円 地価下落で売却進まず」こういうようなかなり刺激的な記事も出ておりますけれども、そこのところの現状、そしてそのように厳しい状況になった原因というのは一体何なんだ、そこら辺のところからまずお聞かせ願いたいと思います。

澤井政府参考人 組合施行によります区画整理事業の行き詰まりの現状と原因というお尋ねでございますが、私どもが平成十二年の五月に実施いたしました調査結果によりますと、全国で組合施行により施行中の千八十三地区の区画整理のうち、約一割に当たります百十二地区につきまして収入不足が見込まれる、全事業の収入不足の見込み額の合計は約一千六百億円に達するという結果でございました。そのうち、全体の約四%に当たります三十九地区におきまして十億円以上の収入不足が見込まれております。

 この収入不足の原因につきましては、保留地処分金を主たる財源とする郊外部の組合事業におきまして、近年の地価水準の下落などにより、当初見込んでいた保留地処分金による収入が予定どおり得られなくなったためと認識しております。

高木(陽)委員 今お話があったように、結局、土地の値段が下がっていくということでの収入不足、それで窮地に追い込まれている組合も少なくないと思うのですね。

 最終的にこの赤字が出てくると、地権者の追加負担になっていくであろうと思うのですけれども、国土交通省として、この問題に対してどのような具体的な指導及び対策をとってきたか、お聞かせ願いたいと思います。

澤井政府参考人 国土交通省といたしましては、組合の設立認可などを行います都道府県等に対しまして、さまざまな機会を通じまして、早期の対応と可能な方策につきましていろいろと指導、アドバイスをしてまいりました。

 具体的に申し上げますと、認可権者であります都道府県等に対しまして、まず組合の経営状況を十分に把握していただく、加えまして、総事業費の縮減、これは公共施設あるいは宅地造成、いろいろと事業費がかかりますが、そういったものを縮減する、あるいは再減歩、賦課金の徴収等の組合の自助努力による負担、さらに、補助金、無利子貸付金など支援策を活用いただく、それから保留地の早期の処分など処分の手法を工夫する、そういった幾つかの対応策を組み合わせました総合的な再建の方針の案というものをお示しいたしまして、必要に応じて事業計画の変更等を図るべきであるとの指導等を行ってきております。

 また、事業が進展するにつれまして打てる手も限られてくるものですから、できるだけ早い時期に対応するのがいいのではないかという指導も申し上げております。特に、平成十一年度におきましては、早期の事業終息に向けた保留地売却の促進が可能となりますように、保留地を取得する法人に対する無利子貸付金制度を創設するなどの手も打ってきております。

高木(陽)委員 国土交通省としてみれば、都道府県等にそういう指導を行ってきた。ただ、最初にお話がございました百十二地区千六百億円、そのうち四%、三十九地区で十億円の収入の不足が出てくる、こういう現状の中で、そういった現状を把握、そしてそういう指導をした。窮地にあった組合がその対策によって将来的な見通しが立った、そんな例は幾つかあるのでしょうか。

澤井政府参考人 申し上げました百十二地区のうち、先ほども申し上げましたが、総事業費を縮減するとか、あるいは組合員から賦課金を徴収するとか、あるいは保留地を再度ふやすために減歩をするとか、一方で公的な補助金を活用するとか、いろいろな手を使いまして、現在までのところ、百十二地区のうち十地区につきましては、現時点で不足の見込みが解消されたというふうに見ております。

 残された地区につきましても、組合によっていろいろな事情がございますけれども、かなり進んでいるというふうに聞いておりまして、今後こうした不足の見込みの解消に向けまして、懸命な努力がなされているというふうに考えております。

高木(陽)委員 これは区画整理事業だけではないのですけれども、公共事業等々も含めてさまざまな批判がある中で、一たんスタートしてしまうとなかなかとまらない、こういうところがよく指摘されていると思うのですね。そんな中で、今お話があったように、国土交通省というのが各都道府県に工夫や見直しを指導している。ただ、現実問題として、当面ほころびを繕うみたいな形にも思えるわけですね。

 その中で、整備主体というのはあくまでも組合というか、そこがやっていかなきゃいけない問題なんですけれども、ただ、どうしてもこの土地区画整理事業というのは公的な部分に期待をしている、補助金等も含めて。公的支援があるんじゃないか、最後は何かやってもらえるんじゃないか、そういった期待感の中で、これは国土交通省の責任だとかそういうことじゃなくて、現実問題としてそういう組合等も多々あるのではないかな。そこら辺のところを明確にしていかないことには、このままやはりずるずると土地が浮いたままの形になってしまうのではないか。

 そういう意味で、これは国土交通省に聞くというのも何かおかしな話なのかもしれませんけれども、そういう公的支援を期待する思いというのはそれぞれあるんじゃないかな。そこら辺のところをどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

澤井政府参考人 どこかに公的支援を期待する思いがあるのではないかというお尋ねでございますけれども、組合施行によります区画整理事業は、本来、地権者みずからが土地の利活用を目的として実施するという性格のものでありまして、公的支援というのは、一般的にはその中で行われます公共施設の整備など、公共の度合いに応じて行うということを基本としております。

 先ほど来申し上げておりますような、事業費の縮減ですとか、再減歩による保留地の増加ですとか、そういったいわば自助努力といいますか組合の懸命な努力によりまして、現在、事業計画の見直しが進められている。その中で、そういった努力を中心に、現に十地区につきまして不足の解消の見込みが立ったということでございますので、私どもとしては、こうした努力が今後とも基本であろう。

 ただ、先ほどもちょっと申しましたけれども、保留地を早く売ることによって組合の金利負担を軽減することが大変役に立つのではないかというようなことで、保留地管理法人に対して、保留地を買う場合には無利子で貸し付けをしますというような仕組みをつくりまして、これはあくまで貸し付けでございますが、側面から支援はしたいと考えております。

高木(陽)委員 国土交通省、公的な部分の方からは、あくまでも自己責任なんですよ、こういったところはもっともっと明確にしていかなければいけない。ただ、今局長がおっしゃられたように、そういう貸付融資制度みたいな形をもっとうまく活用していく、ここら辺のバランスが大切なのではないかなと思うのです。

 ただ現実問題、これもちょっと新聞記事を引用させていただきますけれども、ちょっと読ませていただきますが、「自治体や三セクが保留床を引き取り、キーテナント不在のまま見切り発車するケースも少なくない。住民の血税までつぎ込むのは無謀と言わざるを得ないが、」ここからですね、「「選挙への影響など政治的理由から引くに引けなくなる首長が多い」と関係者は指摘する。」

 これは、全国それぞれ土地区画整理組合があって、その地域の政治、行政も絡んでいる部分もある中で、今こういう記事を引用したように、選挙への影響、政治的理由、こんなところでとらえられている部分もあるのではないかな。また、事業はどんどん進め、金を使ってから考えるケースが多い等の批判もございます。ここら辺は、かなり極端な表現かもしれないのですけれども、中には的を射ている部分もあるのかな。

 その上で、これまで地価上昇を前提とする計画、今までは上がるという形でしたから、それを売って、それをベースにしてやりましょうという形だったのですが、正常な開発利益をどのように生み出し、事業への還元ができるか、根本的に見直さなくてはいけないのじゃないかな。その上で、特に郊外の開発を行う土地区画整理事業については、今までやった部分というのもあるのでしょうけれども、土地はもう正直、バブルみたく上がることはないだろう、これはだれもが認めていることで、新規事業に着手することについても抜本的に見直していかなければいけないのじゃないかな、そのように私は考えるのですけれども、そのことについて国土交通省としての考え方をお聞かせ願いたいと思います。

澤井政府参考人 御指摘のように、最近地価が下がり始めて相当になりますけれども、かつてのような、地価上昇を前提として、いわば安易にそれに依存して物事を進めるという時代でなくなってきているということは、御指摘のとおりだと思っております。

 区画整理に関して申し上げますと、今やっているものにつきましては、あくまでも先ほど申し上げましたような事業の見直しを進めて、一刻も早く見通しをつけるということに全力を挙げる時期だと思っております。他方、今後、そういう意味で一般的な地価上昇に依存することなく、一方で都市の質を高めたり、利用価値を高めていくという上で、この区画整理事業は引き続き非常に重要な手段だと思っておりますので、そういう質を高める、利用価値を高めるという観点から、いかに民間、公共が一致協力してやっていくかという視点で進めるべき時代だろうと思っております。

 その際、一般的に申しますと、我が国はかつての都市化社会から、今後、都市型社会というふうに変わってきている、今非常に重要な転換点にあると思っておりまして、例えば、いわゆる人口集中地区の面積の拡大の状況を見てみますと、昭和四十年から昭和四十五年の五年間では、人口集中地区が統計上四〇%ふえております。他方、一番最近のとれるデータで申しますと、平成二年から平成七年、この五年間では、さきの五年間が四〇%であったのに対しまして五%ということで、市街地の外延的拡大は大幅に減速してきていると思っております。

 このため、区画整理事業につきましても、郊外において新たな宅地を供給する新市街地の整備という必要性が相対的に低下いたしまして、既存ストックを活用し、既成市街地の再構築、再生を進める事業へ重点がシフトしてきているというふうに、現にそうなっていると考えております。

 ちなみに、昭和五十年度におきまして、既成市街地型と新市街地型に分けますと、既成市街地型の区画整理は全体の三分の一でございました。三分の二が新市街地型でございました。ところが、直近の平成十年度で同じことを比べてみますと、五三%が既成市街地型、現に進行中のものですね。かように、既成市街地における区画整理、これは基本的に、地権者も大変多うございまして難しい面が多いわけでありますが、そういった中で、時代の要請に対応して、既成市街地の区画整理が非常に大きくふえてきているという事実がございます。

高木(陽)委員 今、郊外型より既成市街地の部分が大分比重が多くなってきているというお話がございましたけれども、今政府の方が、小泉内閣になりまして都市再生本部までつくって、都市再生というのを大きく掲げていると思うのですね。こういった都市の再生という視点からこの土地区画整理事業というものをしっかりととらえていかなければいけないのじゃないかな。

 ところが、内閣の方が、この都市再生本部が打ち出した第一弾、第二弾の中では、例えば首都圏の部分でいうと三環状、もちろん道路の部分も大切でしょう、そのほか臨海部における再開発、これも重要でしょう。ただ、やはり防災の観点からいっても、特に東京二十三区、山手線のまた外あたり、環六から環七、環八のあたりというのは本当に市街地が密集しております。これはもうずっと昔から指摘されている、もし直下型地震があった場合には大変な被害が出る、阪神大震災以上の被害になる、こういうふうに想定される中で、ここら辺はやはり、せっかく国土交通省として土地区画整理事業というものを所管している中で、しっかりとリンクさせなければいけないのじゃないかな。

 ただこれは本当に、予算的に見ると、土地区画整理事業は自己完結をしていこうという流れの中で、その貸し付けだとか融資制度をいろいろと活用しながらまたやっていきましょう、これが既成市街地の方にも重点が移されているのですけれども、まだまだここら辺の部分のめり張りが少ないのじゃないかな、そんな気がしてならないのです。せっかく内閣を挙げて都市再生をやろうというのですから、ここら辺のところをもっとクローズアップしていく、都市再生の要請と土地区画整理事業を一致させながら、もっと効率的に、もっとスピーディーにやっていかなければいけないのではないかなというふうに考えているのですけれども、いかがでしょうか。

澤井政府参考人 都市再生の中で区画整理の果たす役割は非常に大きいのではないかという御指摘でございますが、まことにそのとおりだと考えております。

 既成市街地は、一般的には所有とか利用が細分化されておりまして、小さな敷地が多い。そういったところの敷地を統合していく、あるいは街区を再編していくというようなことで土地の高度利用を進め、あるいは防災性の向上を図るという上で、やはり区画整理という手法は非常に重要であり、欠かせないというふうに考えております。

 例えば、工場跡地のような大きな敷地を商業用あるいは住宅用に転用していくという場合には、もっと利用単位が小さくなりますので、逆にそういうところに道路を入れていかなければいかぬですし、一方で、非常に小さな敷地が連担して木造家屋も多いというような場所で区画整理をやる場合には、むしろ敷地の統合ということをメーンに区画整理をやっていくとか、そういう場面、場面のニーズに応じて、いろいろな使い方ができると考えております。

 ただ、最初の方で御議論がありました新市街地型の区画整理と比べまして、既成市街地型の区画整理の場合には、既にもとの土地が宅地として利用されているものですから、新規の宅地開発を行う郊外における事業に比べまして宅地価格の増加は小さいということがありますので、一方で、先ほど来申し上げておりますような非常な必要性があるということを考えますと、公的な支援というものがより充実されていかなければいけないだろうということも考えております。

 このため、これは区画整理の仕組みの問題もありますし、あるいは財政的な国、公共団体の支援の問題もありますけれども、そういった仕組みの充実を、これまでも努力してまいりましたし、今後も努力していきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 今、都市再生とリンクするというお話の中で、正直、来年度の概算要求を見てみますと、特に都市再生に関して申し上げれば、各省庁からいろいろと積み上げていく。そういう中で、今回要求はしているんですけれども、やはり、こういった都市再生と土地区画整理というのをリンクさせる場合には、もっと国土交通省が積極的に、また大胆に発想していってもらわないと困るなと。困るというよりは、従来型のやり方でいくと本当に十年、二十年たっても変わらない。都市再生もあり得ないし、区画整理もできない。では、その間に先ほどから申し上げている震災が起きたらどうするんだ、ここら辺のところをより大胆にやっていただく、そういうことを要望いたしまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。

 先般、去る十月二十四日の当委員会におきまして、私自身が三越から入手しました外務省と三越百貨店との取引を示す物品購入リスト、これを提示しまして、不透明な取引があるのではないかということを追及いたしましたが、改めて今回もその点を質問させていただきます。

 まず、先般の当委員会においてお渡しした資料が、外務省が三越本店から購入した物品であるという、その確認はしていただきましたでしょうか、杉浦副大臣。

杉浦副大臣 先日の委員会における先生の御指摘を受けまして、外務省としても三越本店とも十分打ち合わせ、調査をいたしましたし、内部においても調査をいたしまして、その点については先生の方にも御報告が行っておると思うんですが、この委員会に臨んでおります。

 今の御質問の点については、官房長から答弁させます。

小町政府参考人 お答えいたします。

 この前の委員会で先生が御提示になられました資料に基づきまして、これを外務省が購入したかどうかにつきましては、確認をいたしました。

木下委員 そうしますと、この三越側の資料と合うものが全部購入されているということで間違いないわけですね。

小町政府参考人 このリストは、三越側が外務省員から連絡があったときに社内用に記録したものであるようでございまして、そういう意味で、それをベースにこの物品を購入しているかどうかをチェックいたしました。公的な購入もございますけれども、外務省以外の部分も若干ございます。

木下委員 その外務省以外の物品というのは、どういうことですか。

小町政府参考人 お答えいたします。

 例えば、外務省が三越に連絡をいたしましてお願いをしたわけでございますけれども、ほかの機関の関係で外務省が三越にそういう依頼を行ったというものがございます。

木下委員 ほかの機関ということは、要するに公金が使われていたということですか、全部が公金で買われたという。この前、杉浦副大臣からは私的な部分も入っているという答弁がございましたが、その辺をはっきりしてください。

小町政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、ごく一部私的な部分もございますけれども、ほとんどが公的なものでございます。

木下委員 そうすると、それは、よその機関ということは、外務省じゃないということですか。他の省庁とかあるいは違う機関ということで、それは、要するに私的な部分じゃなくて公金が入っているということですか。

 では、それは外務省から支払われているんですか。

小町政府参考人 ほかの機関から公金で支払われておりますけれども、三越にその依頼を行ったものが外務省が行ったわけでございますので、三越の整理上、外務省との取引という形でこのリストが内部的に整理された、こういうことでございます。

木下委員 非常にわかりにくいんですけれども、そうすると、よその機関で購入したものについては、よその機関で公金を三越へ直接払っているということですか、それとも外務省を経由して払っているということか、どっちなんですか。

小町政府参考人 お答えいたします。

 直接三越にお払いになっている、こういうことでございます。

木下委員 先般の委員会でも杉浦副大臣から私的な部分もあるという指摘がありましたので、そのとき私は、私的な部分と外務省本省で購入したいわゆる公金の部分とをきちんと区分けした資料を出してくださいということをお願いしたのですが、その資料はどうなっていますでしょうか。

小町政府参考人 今の点につきましては、先ほど私が御説明いたしましたように、この資料は顧客との取引を社内用に記録したものでございまして、外務省職員から連絡があったときにはすべて掲上しているということでございます。これに基づきまして、委員配付の資料に基づきまして、個々の案件につきまして、公的な購入につきましては当省の支払い記録と三越の記録を照合して確認を行いました。また、それ以外、私的な購入につきましては、三越の記録から購入者によって現金または振り込みでの支払いが行われていることを確認しております。

 以上でございます。

木下委員 一応、私がお渡しした資料の中で、傍線を引いて、これが私的な購入であるという資料をいただいたんですが、私的なものであるかどうか、これはもう我々にはわからないわけですね。これを何回も私はお願いしましたけれども、私的に買ったという証拠、それを明らかにしてください。

 それと同時に、公的に買った部分についても、もちろん資料を、外務省本省が購入した三越への支払い一覧表、これをいただきました。しかし、これだと三越側の資料と何回突き合わせても全く合わないんですね。

 ですから、私は、私が提示した三越側の資料に基づいて、だれがどこへ納入したのか、だれのために買ったのかはいろいろあるでしょうからそこまでは要求しませんが、少なくともどの部局で買ったのか、そこを明らかにしてほしいというお願いをしたんですが、これではわからないんですよ。

 それから、三越側の資料と照合しようとしても、金額は合わない、物品名、これは三越と外務省さんの多少の物品の名前の呼称については違うかもしれませんが、少なくも金額くらいは合わないとこれは照合しようがないんですけれども、できませんか、これ。

小町政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、当省の支払い記録と三越の記録を照らし合わせまして確認を行いました。それから、それ以外の購入につきましては、三越の記録から購入者によって現金または振り込みでの支払いが行われていることは確認しております。

 今委員御指摘の点につきましては、またさらに必要があれば御説明をしたいと思いますけれども、今言ったようなことで我々としては十分確認をしたということでございます。

木下委員 いや、外務省が確認しても、私が質問しているわけですから、ある程度私が納得できるような形で、確かにこれは外務省の公金で買ったものですよと、どこの部局で何の目的で買ったのか、それがわかるようにしてほしいということをお願いしたわけですよ。これだけだと、これはずっと一覧表を出してあるだけで、要するに、私が言っているのはこっちの三越側の資料に基づいて質問しているわけですから、やはりこれに基づく形での符合するものを全部列記して、少なくも、ここにある資料は平成十二年三月二十日から同じ年の四月の二十日までわずか一カ月です。それぐらいは照合できるでしょう。していただけますか、副大臣。

杉浦副大臣 照合した上で御説明申し上げていると思うんですが、もし資料をつけて御説明する必要があるということであれば、きょう用意いたしておりません。委員会で御検討いただいて、私ども、会計監査等を受けておりますのであれなんですが、必要とあれば委員会へ資料をつけて提出させていただくことにいささかもやぶさかではございません。きょうは用意いたしておりません。

木下委員 それはぜひ委員会の方へ提出していただきたいなと思います。委員長、よろしく。

持永委員長 今の資料の問題については、理事会の方で相談させていただきます。

木下委員 はい、お願いします。

 それから、当然この三越側の資料は売掛金になっています。ですから、ある時期に購入して、そして当然三越側から外務省に納品証明書と請求書、この二つが必ず行くわけですね。それに基づいて外務省がある時期に三越側に入金するというきちんとした手続が本来あるはずなんですが。とすると、それぞれの物品についていわゆる納品書と請求書、これがあるはずです。それと、さらに言えば、ここにある支払い証明書、支払い一覧が出ているわけですから、支払いを示す外務省側の資料があるはずです。この三点を一緒につけて出してください。いかがですか。

杉浦副大臣 御指摘の点については、委員会として御指示があれば、私どもとして提出させていただきます。

木下委員 いや、委員会じゃなくて、質問している私が要求しているわけですから、出してくださいよ。そうでないと、これは幾ら外務省が、突き合わせたら合っていました、納得しました、これじゃ済まないです。やはり国民の皆さんが見ているわけですから、国民の皆さんが納得するような形できちんと出して間違いなければ、正しければそれでむしろ外務省のあるいは三越さんの変な疑惑も晴れるわけですから、そこはきちんとやってください。いただけますか。

小町政府参考人 先ほどの委員の点で、外務省サイドから払い込むときに時々まとめて払い込むこともございますので、また、三越側との処理等の関係で日付のずれはあり得ることは御理解いただきたいと思います。

 それから、請求書、支出決定書の例はお出しすることができると思います。請求書は提出いたしたいと思います。

木下委員 杉浦副大臣、それでよろしいですね。必ず提出していただけますね。――はい。

 それともう一つ、この三越と外務省の売り掛け取引が始まったのが一九六七年と言われているんですが、それは間違いございませんか。その取引開始の年月はわかりますか。

小町政府参考人 大変申しわけありません。私、ちょっとその点は承知しておりません。

木下委員 では、それも調べて、ぜひ教えていただきたいなと思います。

 それからもう一つ、先ほど個人が私的に買っているものもあるということなんですが、外務省の方では線を引いて、何点か示してもらいました。これが私的に買われているのかどうか、これは私どもわからないわけですね。

 この、何らかの、私的に買って、確かに個人が買って、個人が三越に払ったという、その証拠を何か出してくださいよ。自分たちだけで納得したってこれはわかりません。出していただけますか。

小町政府参考人 どういう書類をお示しできるかどうか、ちょっと三越側と相談させていただきたいと思います。

木下委員 いや、三越側と相談じゃなくて、これは外務省の職員がやっているわけでございましょう。外務省の人間がやっているわけだから、外務省の内部から出ないですか、これは。

小町政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、支払いそのものは外務省ではございませんので、外務省からというわけには必ずしもいかない場合がございますので、先ほど申し上げましたように、ちょっと御相談させていただきたいというふうに御理解をお願いしたいと思います。

木下委員 先般三越さんが私の方を訪ねて、この資料は内部的に出せないということなので、民間企業ですから、何らかの形で外務省の方から強く要請して、何らかの証明する、例えば個人なら個人が確かに物を買えば、その個人に対して納品書、それから請求書、さらにそれに対して現金で払ったのなら三越側に領収書があるはずです。それを出してもらってください。いかがですか。

小町政府参考人 したがいまして、先ほど来御説明しておりますように、三越側と御相談をさせていただきたいと思います。一生懸命相談させていただきます。

木下委員 もし三越側が出せないということであれば、当委員会に参考人として来ていただいて、きちんとそこは、やはり今外務省の問題が、一連の不祥事で、大変国民が外務省に対して不信感を持っている。一点の曇りもあってはいけない。ですから、私は、そこは三越さんにも強くお願いして、ぜひ、たとえ金額は少ない、私的な部分ですからあるいは少ないかもしれない。わずか一カ月の間ですから。しかしそこは、これは先ほど私が指摘したように、一九六七年から三十数年続いているわけです。ですから、ここの資料はわずか一カ月かもしれないけれども、同じことが三十何年間続いている可能性もあるわけです。

 ですから、少なくともこの一カ月間のところだけでもきちんとさせてもらって、疑惑はないんだよ、確かに私的で買った部分については個人できちんと三越さんに払っていますよという、そこの証明をしなければ、これは国民の皆さんも納得しない。また同じことをやっているのかということになりますので、そこは委員長、三越側も、もし出していただければ参考人という形でひとつ協議をいただきたいと思います。よろしいですか。

持永委員長 基本的には外務省が努力することが大事なことだと思いますが、その後の取り扱いについては、理事会の方で御相談をさせていただきます。

木下委員 この資料を見ると、外務省がそれぞれの部局でとにかくいろいろなものを買っているわけですね。このそれぞれの部局で購入する場合の省内の購入手続、それから支払いはどうなっているのか。どこかで一括して、だれが支払っているのか、その点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの担当部局が決裁書を起案いたしまして、官房を含めて決裁をとった上で支払いを行っているというふうに理解しております。どういうふうに支払いを行っているかどうか、ちょっと私、今すぐお答えできませんけれども、そういう形で決裁をとってやっているというふうに承知しております。

木下委員 そうすると、この購入物品は、これは各部局になっていますけれども、いろいろな部局で三越さんにお願いしてとにかく買うわけですね。これは当然、部局の決裁があって、それで買うわけですね。そうすると、三越からの請求書は、当然その買った部局へ行くわけですよね。そうすると、そのお金の支払いはだれがやるんですか。

小町政府参考人 ちょっと確認をする必要がありますけれども、会計課で支払いを行っているということだと思います。

木下委員 官房の会計課で一括して支払うわけですね。

 そうすると、この物品の購入の予算費目ですが、今外務省でこれらを買える予算費目というと、外務省の報償費あるいは庁費、さらには諸謝金等が考えられますが、それぞれについて、何の予算費目で買ったのか、それを明らかにしてもらえませんか。

小町政府参考人 今委員御指摘の点でございますけれども、予算費目といたしましては、今御指摘のございましたように、報償費、庁費、それからまた交際費等もございますけれども、三越からの購入に当たりましては、庁費、交際費のほか報償費が含まれております。個々の案件につきまして支弁科目を明らかにいたしますと、結果として報償費により支出された案件が明らかになるということがございますので、報償費の使途を明らかにすることはできないということでございますので、個々の案件について支弁科目を明らかにすることはできない事情を御理解いただきたいと思います。

木下委員 それはもう従来から報償費の問題になると必ずそういう公式の話しか出てこないのですよ。しかし、買っている物品を見てください。何もこんなもの隠す必要はないじゃないですか。少なくとも、報償費はいいですよ、別にしておいて。では、庁費で買った、あるいは交際費で買ったものぐらいは明らかにしてください。明らかにできませんか。

小町政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、個々の支弁科目を明らかにいたしますと、結果として報償費により支出された案件が明らかになりますので、個々の案件につきましての支弁科目を明らかにすることができない事情を御理解いただきたいと思います。

持永委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

持永委員長 では、速記を起こして。

 木下君の時間は保留いたします。

 次に、平野博文君。

平野委員 民主党の平野博文でございます。

 前任者の時間がおかしくなって、早く回ってきたような気もいたしますが、私の与えられた時間について、御質問をしたいと思います。

 まず、私、この質問に立つときに、厚生労働省は来ておられるんですか。だれもいないように思いますが……(発言する者あり)そうですか。

 厚生労働省が、先月、麻薬及び向精神薬取締法の政令改正をして、規制薬物を実は追加したわけなんです。このことは私は何も申し上げないわけでありますが、この政令改正に伴ってのパブリックコメントを実はしているんですが、パブリックコメントに対して一件の応募もない。こういうことで、そこに非常に疑義を感じまして、意見募集を知らなかったのか、あるいは知っていても規制が発効された後に摘発を恐れてなかなかパブリックコメントに応じてこないのか、その辺の判断はわかりませんが、やはりパブリックコメントというのは、こういうふうに規制をしますよということに対して広く意見を聞くというのが本来の場でありますが、一件もない。

 こういう、特に規制をしていく麻薬とかそういう部分のパブリックコメントのあり方について、私、非常に疑問を感じるんですが、その点についてどう考えておられるか、まずお聞きしたいと思います。

鶴田政府参考人 今御質問のあった件につきまして、インターネット等でパブリックコメントを求めたわけでございますが、一件もございませんでした。

平野委員 いや、一件もございませんでしたという答えを聞いておるんじゃない。それはわかっているんだよ。だから、そういうパブリックコメントの仕方について改善をしないとだめじゃないでしょうか、こういうことなんですね。

 これは、少なくとも政令改正するときにはパブリックコメントをして聞くというふうになっているじゃないですか。でも、一件も出てこなかったら、これは出てきませんでしたという処置をしていいんでしょうか。コメントのやり方についてどうなんですかということを聞いているんです。時間稼ぎしないでくださいよ。

鶴田政府参考人 パブリックコメントを求めるルールといたしまして、厚生省のホームページを使う、こういうふうになっておるわけでございますが、できるだけ広く意見をいただくように、まだほかに方法論があるかどうか、検討してまいりたいと思います。

平野委員 そこで、先月の政令改正の内容について一つ伺いたいんですが、この改正では、ガンマヒドロキシ酪酸、いわゆるGHBが規制の対象に追加されたんですね。これは、政令において麻薬に追加する物質として「三―ヒドロキシ酪酸(別名GHB)及びその塩類」と官報に実は記載され、公布されたのであります。

 しかし、私が調べたところによりますと、三―ヒドロキシ酪酸は、人間の体内に存在するケトン体の一種であります。全くGHBとは別の物質と考えます。いわゆるGHBと呼ぶのは四―ヒドロキシ酪酸であると私は思っております。ただ、間違いやすいのは、両者は分子式は全く同じというふうなところであって、しかし構造式が全く違う、性質も全く異なる部分でありますが、官報で出されております、麻薬に指定をしている三―ヒドロキシ酪酸というのは間違いではないか、このように思いますが、どうでございますか。

鶴田政府参考人 GHBは、ガンマヒドロキシ酪酸の略称でございまして、ガンマハイドロキシブチリックアシッド、平成十三年三月に開催されました国連麻薬委員会におきまして、向精神薬条約の付表に追加指定するということが決まりまして、本年六月に国連事務総長より我が国に対して通告がなされたものでございます。

 国連から我が国に対して通告された名称は、ガンマハイドロキシブチリックアシッドでございまして、これを三―ヒドロキシ酪酸と訳し、政令において指定したものでございます。

 この場合、水酸基の位置を示す頭の数字につきまして四とすべきとの指摘等もありますので、適切な命名法につきまして早急に検討したいと思います。

平野委員 いや、それはもう全く違うんです。

 要は、ここに政令でこういう格好で出ているんです。「三―ヒドロキシ酪酸(別名GHB)及びその塩類」と出しているんですが、これと四―ヒドロキシ酪酸とは別の物質であるということを言っているのであります。

 国連で云々と言うんだったら、ガンマということをここに書いておかないといかぬのじゃないか。全くこれは別の物質ですよ。これは全く、麻薬に指定されたら、これは麻薬じゃないですよ。そういう性質を持っている物質じゃないですよ。どうですか。

鶴田政府参考人 先ほど申しましたように、このガンマヒドロキシ酪酸、ガンマハイドロキシブチリックアシッドということで、このガンマというのが、アルファ、ベータ、ガンマということで、数字的には三つということで三―ヒドロキシ酪酸と訳したわけでございますが、これより適切な名称がある場合には、やはり命名法について早急に検討して、その適切な名称への変更を行いたい、こういうふうに考えております。

平野委員 いや、適切な名称と言うけれども、私は不適切だと言っているんですよ。全く間違っていると。それをまだ適切な命名と言うけれども、間違っているんですよ。それを間違っていないと言うんですか。それだったら言ってください。

鶴田政府参考人 命名の方法については、国際的にも二つの方向があるようでございまして、そういった意味では、より適切な名称の方にできるだけ早く変更したい、こう思っております。

 それで、今のこのGHBにつきましては、本年十月二十六日に政令で指定をしておりまして、十一月二十五日に施行となっておりますので、その施行の前にできるだけ早く変更を行いたい、そういうふうに考えております。

平野委員 いやいや、変更というのはどういう意味なんですか。要は私は単純に、それは書き方、記載で間違っております、違う物質を挙げておりますから、それはおかしなことになりますよということを言いたいのであって、いや、それは同じような中だから、書き方、記載の問題ですよということで逃げるんだったら、これは許しませんよ。私も技術屋の端くれですよ。当然専門家が決めて、官報にまで出しているんですから。

 私は、ここにガンマと書いておればまだ言いませんよ。三と書いているんですよ。本来でいきますと、四と書いてしかるべき部分ですよ、三と書くのだったら。多分訳し方が、分子構造的に言ったときのゼロ、アルファ、ベータ、ガンマ、こういう状態になっている、それを訳し方が間違っているんじゃないか、私はそれを言いたいわけです。

鶴田政府参考人 先ほど申しましたように、アルファ、ベータ、ガンマ、それでハイドロキシブチリックアシッドということで、ハイドロキシというのがガンマの位置にあるということでございまして、それがアルファ、ベータ、ガンマということで一、二、三とやってしまったのが今回の三―ヒドロキシ酪酸、こう訳したものでございます。したがいまして、先生がおっしゃっているような四―ヒドロキシ酪酸という方にできるだけ早く改めたい、こういうふうに考えております。

平野委員 いやいや、要は、僕は間違いを指摘しておるのに、それは間違っております、したがって書きかえますということを何で言わないんですか。それを言って終わりですよ。

鶴田政府参考人 その方向で変えていきたいと思います。(平野委員「ちょっと待ってくれ」と呼ぶ)だから、先ほど申しましたように、アルファ、ベータ、ガンマというので、国連の方からガンマという数字で来ましたもので、私どもがちょっと短絡的に三というふうにしてしまったということで、やはり化学的に見れば、先生のおっしゃっているところが適切な方法であるということで、そちらの方に変えたいということで、先生のあれについては意を尽くしていると思います。

平野委員 いや、もっと言ってあげたら審議官が恥をかくから、僕は黙っているんですよ。

 僕、全部調べましたよ。CAS、知っていますか、CAS番号。違う物質なんですよ。三も四も違う物質でCAS番号が振られているんですよ。にもかかわらず、それはガンマと示したら同じだ、そんなばかな言いわけをして、できるだけ早くなんていうことを言ってもだめですよ。これを見て、これは麻薬物質に指定をしますと官報で出したら、知らない人はこれを信じてしまいますよ。

 だから私、先ほど言った、パブリックコメントというのは何のためにしているんですかと。一件も来なかったら、これはもう全部が合意しているんだ、意見が出てこなかったらいいんだというパブリックコメントのあり方と、安直に諸外国、国連から言ってきたものは盲目的にやっておる今の体質を私は言いたいわけですよ。

 時間がないですから飛びますが、委員長、まずこれははっきり言ってもらわないと、改めますとか、間違っておりました、したがって即座に訂正をいたしますという答えがないと進められませんよ。

持永委員長 明確に答えてください。

鶴田政府参考人 四―ヒドロキシ酪酸が正しい名前ということでございまして、直ちにできるだけ早く訂正したいと思います。

平野委員 直ちにできるだけ早くという言い方はよくわかりませんが、要は、私が言いたいことは、即座に明快に直していただきたい。

 これは最初の一問なんですよ、いっぱいありますから。

鶴田政府参考人 即座に明確に直したいと思います。

平野委員 要は、ずさんなやり方でやっておるんじゃないかということを私は言いたい一例でございまして、まだまだ質問はいっぱいあるんですよ。こんなところでとめたくないんです。

 そこで、理事、委員長に御了解をいただいて、実は、私、こういうものを手に入れてまいりました。これは炭疽菌ではございませんよ。これはマジックマッシュルームと呼ばれている部分であります。これは、よく頻繁に、今のこの世相を反映して、社会が乱れておるものですから、若い青年男子、学生の諸君が繁華街に買い求めているんですね。これはどういう物質かといったら、これを少し食べますと幻覚症状が出てくるんですね。あるいは、いろいろな問題が出てくるんですね。合法ドラッグという名のもとに販売をされているんです。いっぱい子供さんが並んでいますよ。

 私、実は気になって、なぜこういうことを言ったかというと、先ほど、間違っているにもかかわらず、ただ、国連から言われてくるともう勝手に指定はするんですが、これも数年前から問題になっているんです、社会的問題に。そんなことを間違って記述する前に、国内的にいろいろ問題が起こっているところにもっと目線、目先をやって、対処すべき、規制をすべき状態がいっぱいあるじゃないかというところで私、先ほどの質問もしたんですよ。

 安直に、訳が間違っておったでは、余りにも厚生労働省の官僚の仕事というのはずさんではないでしょうか。安全性を言っているんですよ。人体に対する安全性を求めるんですよ。それで、肝心な、現実にいろいろな現象が出ているこのマジックマッシュルーム、これは放置しているんですよ、数年。どういうことですか。私、そこがまず一番言いたいところでありまして、写真も撮ってきました。いっぱい群がっていますよ。どうですか、これ。子供さんが買い求めているんですよ。割合、三千円とか四千円とか、いっぱいあるんですが。

 そういうことを含めて、まず、マジックマッシュルームは私はやはり的確に規制をすべきという考え方でこれから質問をしていきたいと思います。

 まず、マジックマッシュルームとは、どういうものをマジックマッシュルームと言うか、御存じでございますか。

佐藤大臣政務官 マジックマッシュルームでございますが、麻薬及び向精神薬取締法によりまして麻薬に指定されている幻覚物質であるサイロシン、サイロシビンを含有するキノコであるというふうに認識をさせていただいております。しかしながら、マジックマッシュルーム自体は、麻薬及び向精神薬取締法によって所持や規制が禁止されていないということになっておりまして、合法ドラッグと称されまして、アダルトショップやインターネットで販売されているのが現状であるというふうに把握をさせていただいております。

 サイロシン、サイロシビンは、通常、四から八ミリグラムを服用すると幻覚が発生すると言われておりまして、マジックマッシュルームの中には幻覚を発生させるのに十分な量のサイロシン、サイロシビンを含有しているものと見られることから、これをむやみに服用することは危険であると認識をさせていただいているところでございます。

平野委員 いやいや、ですから、今の現行法で規制ができていないからこれは放置をしているんだ、こういうことなんですが、今の麻薬及び覚せい剤の取り締まりの法律のあり方、体系がまずいために、すき間がいっぱいできるんですよ。日本の今のこの取り締まりの形態、政務官、御存じですか。どういう形態でこの法律を組み立てているか御存じですか。

鶴田政府参考人 麻薬につきましては、その麻薬の成分または麻薬を含む原料につきまして規制しております。マジックマッシュルームにつきましては、今御説明がありましたように、それを含む植物というふうに規制しないと規制の対象になっておりません。したがいまして、植物としては、ケシとかそれから大麻とか、そういったものが入っておるわけでございます。

平野委員 ですから、そういうことなんです。この麻薬及びこういう部分については、条約的には、麻薬単一条約、向精神薬条約という条約に基づいて諸外国との関係を規制するんですが、国内法的に言うと個別法でしかくくっていないんですよ。例えば、大麻取締法、あへん法、麻薬及び向精神薬取締法、幻覚剤取締法という個別法でしか取り締まっていない。したがって、個別のこういう部分が来ると全くすき間になって、幾らでも合法という名のもとに売られる、こういうことなんですね。

 もしこのすき間を十分理解をしておるならば、このすき間を埋める努力をやはり日ごろから常にチェックをしてやってもらわなきゃならない。それを数年も置き去りにしておる厚生労働省の行政監視、行政仕組みのあり方がおかしいから私は、きょうは決算行政監視という立場で質問をしているところなんですよ。

 もう一つは、合法と言っておりますけれども、私、一番気になりますのは、インターネットでとったんですね。これは確かに観賞用として販売をしている。観賞という言葉を使っているんですね。したがって、薬事法にも触れない、効能も言わない。ただし、この中にあるのは、未成年者には販売禁止ということを書いてあるんです。だけれども、買っているのはほとんど未成年者じゃないですか。ここにおける取り締まりはできないのかということ。

 もう一つ私が聞きたいことは、観賞用ということを言っておりますが、インターネットで「きのこ体験」と書いてありまして、「先日送っていただいた観賞用MMを友人と二・五グラムずつ観賞しました。」と書いてあるんですよ。二・五グラムずつ観賞しましたということは、明らかに服用したということを言っておるんじゃないでしょうか。観賞用だから取り締まれないというけれども、実態はほとんどは服用なんですね。そのままかじっているか、あるいは紅茶に入れているか、あるいはみそ汁に入れているかで、大体これは、インターネットの体験談に皆書いていますが、観賞用ですよ。私は一グラム観賞しました、その意味合いは、一グラム服用しましたということを明らかに言っている事態でありますから、合法で取り締まれないという理屈にはならないと思いますが、どうですか。

佐藤大臣政務官 先生がおっしゃるとおりでございまして、大変、いろいろな法をくぐって販売をしているというのが現況ではないかなというふうに理解をさせていただいておりますが、規制の対象ということに今のところできないということであります。しかしながら、マジックマッシュルームについては、近年、マスコミ等々でも大変問題になりまして、ワイドショー等々でも取り上げられているというふうな状況もございます。

 厚生労働省といたしましては、平成十年から、研究班によりまして、種の特定、鑑別方法等につきまして調査研究を行ってきたところでありまして、この調査研究の結果でありますが、我が国において乱用されているマジックマッシュルームは、主として三種類あるとされております。これらが海外においても同様に乱用されているとされておりまして、国内にも十一種類自生していることが判明しておりまして、鑑別方法も確立してきたところであります。

 厚生労働省といたしましては、これらの結果を踏まえまして、マジックマッシュルームに含まれますサイロシン、サイロシビンを現場で迅速に検出するための試薬キット等々の開発を進めております。また、麻薬及び向精神薬取締法に基づきましてマジックマッシュルームを規制する方向で、鋭意検討を行っているところであります。

 ただ、マッシュルームという言葉がございまして、その中にはかなり多くのキノコがございまして、その辺のところをしっかりと選別をしなければいけないという現況がございますので、その辺のところは若干時間をかけておりますが、しっかりとした確立をしながら今後の方向づけを決めていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

平野委員 マスコミが騒ぐからそのことに対して手をつけていくという発想は、私、本末転倒でございます。マスコミが取り上げなくても、本来国民の、あるいは青少年が主になっておったら、きょうは文部科学の人にも来ていただいておりますが、お互いそれぞれの所管があるわけですから、マスコミが騒ぐまで待っていよう、まるで狂牛病と一緒じゃないですか。騒がなかったらほっておくんですか、あれ。

 だから、私が言いたいことは、しっかりとこういう部分については日ごろからチェックをしていただいて、何か具体的に、現実に現象が起これば、それについてはチェックをしていくんだ。私、きょう起こったことだと言わないんですけれどもね。三、四年も前からずっとこの問題が話題としてあるし、もうぼつぼつあれをするんじゃないか。

 我慢がし切れずに、都庁が道路交通法で出店を規制した。何ですか、これは。道路交通法で出店を規制した。それでも都はやることはしたんですよ。やはり危険だから。国は、その所管である厚生労働省は、いや、まだ規制対象になっていないし、そういうことでは困るので、もう少しゆっくりやろうか。こういうことをやっておるような体質だから、いろいろな問題が今この世の中に出てきたんだと私は思うんです。

 そこで、文部科学省にお聞きしたいんですが、特にこういう子供さんを対象に、こういうものを服用しているということに対して、やはり青年の健全育成、社会教育の立場から見ても好ましくないと私は思っておりますが、文部科学省はこの問題を放置しておったのかどうか、その辺の見解を。

遠藤政府参考人 文部科学省では、薬物乱用防止教育、この充実に努めているところでございますが、その指導をする際に、法律に抵触するという観点からの指導だけではなくて、そういったようなものを乱用すると健康とのかかわりということが生じるということについても教えておりまして、このような危険なことをしないという態度を身につけさせるよう指導しているところでございます。

 このような視点から、議員御指摘のようなマジックマッシュルームなどのいわゆる脱法ドラッグにつきましても、その乱用の防止について今後ともきちんと指導していくということが必要だろうと考えております。

平野委員 その指導していくというのは、具体的にどういうふうに指導していくんですか。

遠藤政府参考人 薬物乱用防止につきましては、学校での教師用の指導の手引、あるいは中学生、高校生用の教材のパンフレットといったようなものをつくっておりますけれども、御指摘のマジックマッシュルームについては、固有名詞を挙げての指導というのをまだやっておりません。

 今御指摘のことでございますけれども、こういった指導書あるいはパンフレットにきっちりと書いて指導を促していきたい、こう思っております。

平野委員 ぜひこの問題というのはきっちりとやってもらわないと、これだけ世の中が不景気、世の中がすさんでいる、そうすると、何かにやはり依存をしてしまう、こういう雰囲気がある。特に私が悲しく思うのは、青少年がそういうところに群がってしまう。これは、逆に言いますと、そこがそういうマーケットになりますと、ひょっとしたら暴力団の資金源にもなりかねない。こういう社会情勢になることが私は非常に悲しいわけで、そのことに対して国がしっかりした規制を、あるいはしっかりした指導体制をつくることが一番求められていることなんですね。

 したがって、この麻薬取締法、国内法、国際法との関連を含めたら、穴だらけなんですね。したがって、その穴を埋めるために日々行政努力としてどうしているかということが逆に問われる。

 事このマジックマッシュルームにつきまして、成分抽出の問題はあります。しかし、明らかに、観賞用といって、生のマッシュルームを観賞するんだったらいいんだけれども、こういうふうに乾燥させる、それで観賞するために売るんだ。昔でいう、何か知りませんが、花を乾燥させて何かにする、標本をつくるんじゃないですよ。

 ここを法律に定められていないからだめだというんじゃ、では何をしたっていいということじゃないですか、法律に定められていなかったら。しかし、いろいろな事象が現実に起こっているわけですから、しっかりと指導していく、取り締まっていく。取り締まりするためには法律担保が要るんでしょうけれども、そのためには立法化をしていく。このことを私は強く求めたいと思うのであります。

 いずれにしましても、先ほど言いました、間違いを素直に訂正する心、これがやはり行政を処しておられる高級官僚に抜けているんじゃないでしょうか。だから、狂牛病が出ても、出ないとか出ているとか、わけのわからぬ責任転嫁の議論ばかりが出てくるわけであります。したがって、私、この問題、政務官に余り言っても申しわけないと思いますが、最後にすぐやるという答えをいただいて、私の質問を終えたいと思いますが、どうです。

佐藤大臣政務官 今先生のおっしゃられたとおりだと思いますし、早急に検討させていただいて、いろいろなことがなし得るように頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

平野委員 早急にとかいう言葉は要らないのよ。すぐやるということを最後に……(佐藤大臣政務官「はい」と呼ぶ)そうですか。それだったら、すぐやると言ってくださいよ。

鶴田政府参考人 先ほどお話ししましたように、即座にやりたい、すぐにやりたいと思っています。

平野委員 ありがとうございました。

持永委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。

 本日は、ラピカの問題、電源三法交付金の問題について質問させていただきます。

 会計検査院にまずお伺いいたします。

 十一月三日の新聞等で、各紙に会計検査院の報告として記事が載りました。ほとんどの新聞に出ました。NHKのニュースでもやりました。内容は、経済産業省が先日やった調査で、一億六千万円の不正の金額があるということでございますけれども、会計検査院が独自に調べたところ、二億八千万円ぐらいだろう、そしてさらに、建物そのもの、五十五億円の工事そのものが不適切な支出である、こういうふうに考えているということが新聞に出ましたので、会計検査院長、このことについてお答えください。

金子会計検査院長 議員御指摘のとおり、現在会計検査院では、いわゆるラピカ問題について検査を進めております。現在最終的な取りまとめの段階に入っているということを申し上げたいと思います。

 具体的な内容については、個別の案件でございますので、局長の方から答弁させていただきたいと思います。

円谷会計検査院当局者 ただいま院長の方から答弁ありましたけれども、今、十三年次の検査報告の最終的な段階に来ておりますので、内容についてはちょっと、もう少しお時間をいただきたいと思っておりますけれども、事業全体についての問題点というのは幾つか指摘しておるということは言えるかと思います。

山田(敏)委員 十一月三十日に閣議に出されるということを聞いておりますので、きょう具体的な内容、この新聞記事にかなり出ました内容については、会計検査院の情報ソースでよろしいのでしょうか。それをちょっとお答えいただけますか。

円谷会計検査院当局者 その点につきましては、私ども承知している限りでは、昨年来かなりの関心を持って各社とも取材をされていた、現地にも行かれたということで、いろいろな情報を総合して各社書かれたのではないかというように理解しております。

山田(敏)委員 去年一年間、会計検査院に対して再三再四、本当にびっくりするような、本当に詐欺的な工事の内容にわたって検査してくださいと、もちろん村の方からも、衆議院議員からも再三ありました。なかなか会計検査院の方が、真相を解明する、本当に何が行われてだれが幾らお金をごまかしたのかわからないという思いで一年間参りました。そろそろ、院長お見えになっていますので、会計検査院のあり方というのをちょっとこの件をケースに考え直していただきたい。

 ちょっと離れるのですが、私のところに、海外からある情報が寄せられました。あるアジアの国の外務省の大使でございますが、毎晩高級ナイトクラブで遊んでいる。その方が現場にいらっしゃったと思うのですけれども、一番高いクラブです。もう十万、二十万じゃない。ということは、月に何百万、二百万か三百万。まさか大使のポケットマネーで遊んでいらっしゃるんじゃない。これは本当に、報償費にも当たらないし機密費にも当たらない、ではどこから出ているのだろうか、ぜひ調べてくれと言われました。会計検査院に来ていただきまして、これをちょっと調べてください、恐らく領収書もあるし請求書もあるし、全部わかるはずだから、お呼びしました。

 本当にびっくりするような回答がございまして、会計検査院の方は何とおっしゃったか。そのときは八月だったのですけれども、十一月に会計検査報告をしなきゃいけないから、現地に調査に行く、あるいは検査に行くというのは八月末で終わりです、九月に行ったらもう報告書を書けないから、それでまず事実上そんなことは無理ですと。

 二番目に、もし在外公館に会計検査に行くんだったら、前もって、一月以上前に現場に知らせて、何月何日何時に行きます、空港へ来てください、そして書類を全部用意してください、そして行って検査いたします、こういう回答でございました。

 これを普通の国民が聞かれたら何と思われるでしょうか。毎日毎晩行った書類を、会計検査院が九月二十五日に来ますと言われたら、わかりましたとそれを出さないで、もちろん隠すか焼くか、おかしなお金であれば当然そうするのが当たり前ですね。これを過去三十年、四十年やられて、会計検査院が在外公館のこの報償費、機密費、あるいはこういうお金が一円も明らかにならない、過去三十年間出ていないですね、最近あれは告発で出ていますけれども。会計検査院の検査のあり方、すなわち、捜査権がない、これを出しなさいと言うことができない、それであした行っていきなり調べることができない、ここに致命的な欠陥があるんじゃないかと思います。

 まさにラピカの件も、詳しく話すと切りがないのですが、あの大事な設計書類は紛失しました、ああそうですか、紛失しました、それじゃどうやるんですか。あの書類はありません、あの書類はどうなりました。では、一体、会計検査院が国民の代表として、国民の血税を、血のにじむ思いで出された税金を正しく使われているかどうか、それを検査する能力がないということじゃないんでしょうか。

 ここで、院長、この場でぜひ、僕は検査院に何回も言いましたけれども、一回抜本的に、あるべき姿というのを、院長はいつも口癖で、私は民間から来ました、だから会計検査院を改革するのは適しているというようなことをおっしゃるのですが、この際、どういうふうにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

金子会計検査院長 会計検査院のあり方について私の見解をということでありますので、多少抽象的な表現になる場合もあるかもわかりませんけれども、私の基本的な考え方、それから、四年半にわたって私が会計検査院の中で努力をしてきたことについてお話をさせていただきたいというふうに思います。

 会計検査院の役割、機能について、私は、会計検査院は、違法、不当な事態を単に摘発するという機関だけではなくて、会計検査院というのは、予算の執行及び予算を伴う事務事業の適正な遂行の確保、そのことに貢献するというのが会計検査院のあり方であるというふうに考えております。

 違法、不当な事態を摘発するということであるとすれば、これは一〇〇%摘発するということは不可能だと思いますし、現在の陣容を二倍、三倍にしても、国の支出というのは多方面にわたっているわけですから、これをすべて検査をするということは不可能である。そうではなくて、私は、違法、不当な事態というのは、予算執行の適正な支出、それから事務事業の適正な遂行の反対側といいますか、適切でない事態の徴憑であるというふうに思います。

 したがいまして、我々の検査で違法、不当な事態というものが発見された場合には、なぜそういう事態が起こるのか、その原因を究明する、そしてその中に、予算執行体制あるいはチェック体制等に問題があればそれを適正化して、そして再び違法、不当な事態が起きることを予防していくというところにあるであろうというふうに考えております。そういうことで、私は、会計検査院、そういう方向に向けて意思を統一し、そして検査活動を効率的に行うようにということで努力をしてまいります。

 私、今申し上げましたことは、これは世界の先進国における一般的な傾向で、これは議員も御承知だと思いますけれども、GAOの院長のウォーカー氏も、会計検査院は単なる取り締まり機関ではない、事務事業の適正な遂行、国家の行政目的の達成に資するというのが会計検査院の役割であるというふうに言っております。私は、今申し上げましたような形で、そしてそれが国際的なスタンダードであるということも理解しておりますので、そういうことで努力をしてきております。

 現在、我々は、限られた予算の中で、限られた人員の中で、できるだけ効率的な形で活動していきたいということで努力をしてきておりますし、ここ数年の検査報告をごらんいただければ、過去と変わってきているという点を御理解いただけるのではないかというふうに思っております。

山田(敏)委員 私の質問とちょっと答えが食い違ってしまいました。

 私は、今申し上げましたように、海外の件についてもそういう検査のやり方、今言いましたように、一カ月先に行きます、書類をそろえてください、それでは、国民が会計検査院に期待していること、それは正しく税金が使われたかどうか、こういう検査ではないんじゃないかなということでございまして、今後も、私は御提案したいのは、今の人員を一万人ぐらいふやして、予算もふやして、しかし、しかるべくこれは国と、いろいろな支出を合わせると恐らく二百兆円ぐらいの検査をされると思うのですけれども、本当に納得のいく検査をしていただきたい。この一年間も、私どもも感じましたし、刈羽村の人たちも会計検査院に感じたこと、私が今言ったことと同じことだと思いますので、よく考えていただきたいと思います。

 次に、経済産業大臣にお伺いいたします。

 今回、報告書が出されました。十三年九月でございます。これに基づいて大臣の方で、一億六千万ですか、それの返還をするべきだということでございます。まず大臣、この調査についてどういうふうにお考えになりますか、お聞かせください。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 電源立地という非常に国の政策遂行に不可欠な交付金制度というものをある意味では大変悪用したといいますか、そういう形で不正、不適切なことが発生したということはまことに遺憾だ、このように思っております。経済産業省といたしましては、こうした事態の徹底解明を進めてまいりまして、今御指摘の調査結果もまとめたところでございます。

 交付金の交付金額及び確定検査の方法が適正であったかどうか等に関して、村に対しまして、補助金等適正化法二十三条に基づきます報告徴求を実施いたしました。それから、そのほか、建築に関する専門的な知見を有する第三者の機関である公共建築協会に委託して調査を実施いたしました。具体的には、第一回目が六月、第二回目が七月、第三回目が八月、こういうふうにやりまして、先月一日に今御指摘の報告書を出させていただいて、これを会計検査院にも報告をさせていただいて、公表をさせていただきました。

 もう委員お読みいただいたと思いますが、本報告の中で特に大きな問題が指摘されているのは茶道館についてでございまして、交付目的に沿った修復等の措置が必要でありまして、これは厳重にやっていかなきゃいかぬと思っています。その他の工事について過大な事業費を計上していると考えられる金額、これが今御指摘の一億六千万円程度ある旨指摘をさせていただきました。

 今後は、会計検査院に調査結果について精査をしていただきまして、会計検査院からの指摘を受けて具体的な金額を確定した上で補助金返還請求等、どのような具体的措置を講ずるかについて最終的に決定をしていきたいと思っています。

 また、経済産業省といたしましては、このような問題の再発を防止するために検査マニュアルの整備をさらに進める、それから人的体制の整備等を進めて検査能力を向上させる、それから、交付金の執行等の適正を担保すべく一層努力して再発防止に徹底を期していかなければならない、このように考えております。

山田(敏)委員 大臣、まさにおっしゃったように、先日のプルサーマルの刈羽村の住民投票がございました。先日の委員会でも大臣答弁されていましたように、この件が刈羽村の人たちに大きな影響を及ぼしている、住民投票の内容ですね、おっしゃったと思います。国のエネルギー行政というのは非常に重要で、かつ、重大な局面に来ていると思います。原子力行政、特にプルサーマル、MOX燃料については、これを誤ると国の将来は非常に危うくなるという問題だと思います。

 刈羽村の人たちは、経済産業省が言ったことは間違いない、これは、事実をすべて明らかにしてちゃんと説明してくれたということであれば、プルサーマルというのはこうなんだということで納得できるのですが、今回のラピカのような、ちょっと後で詳しく申しますが、非常にずさんな、そしてそれを解明できない、そしてなおかつ経済産業省がこのような報告書を出されたことについて、私は今、村の人たちに非常に大きな影響を与えたと思います。

 そこで、今回の調査報告書にないところを、私は先週の金曜日、刈羽村にもう一度行ってまいりまして見てきました。この中に、交付金にかかわらず入っていないものが三つございまして、一つは運動公園、そして一つは建物の外の外構、そして中の備品です。これは書いてありません。

 結論を簡単に申し上げますと、二億円の備品なんですが、最初の設計額と落札した額が全く同じ額になっております。五千九百八十万の設計額に対して、落札額が五千九百八十万円。本当にこれはおかしいなということで中を見てまいりました。(写真を示す)

 図書館の中のパイプいすです。金属製のパイプに背板と座席がついているだけです。このいすが七万円です。大臣買われますか、このいす七万円で。私だったら買いませんけれども。それから、その前に一メートルほどの丸いテーブルがあります。全部合板です。薄い板を合わせたものです。足は金属の足です。十一万円です。一メートルの丸いテーブルですよ、それだけですよ。ムクの木ではありません。家具屋さんに一緒に来てもらいました、私の目が狂っているといけませんので。これはもう本当に、今のいすが七万円、このテーブルが十一万円。

 そして、図書館の机がございます、四人がけの、その机が百万円です。そして、新聞閲覧台が、ここにもあると思いますけれども、新聞をかける閲覧台、中を見ましたら合板です。裏はベニヤであります。その新聞閲覧台、幾らだと思われますか。五十万円です。それから本棚。これはいずれも、さっき申し上げました新聞閲覧台は交付金申請のときに載っております。百万円で書いてあります。実際の見積もりは五十万円です。五十万円で決まったということで、それが今言いましたように、ベニヤ板の新聞閲覧台が五十万円です。図書館の本棚、これが交付金申請六十万円、もう棚だけです。

 これでとにかく想像を絶することが行われております。しかも、これを落札した人は弁当屋さんです。落札する直前に定款を変更してこれをやった。こういうことが次から次へと出てきて、これは通産省の調査に入っておりません。これは全部で二億円です。

 一番ひどいのは二十億円の運動公園。これは御存じのように、産業廃棄物の上に土を盛って公園をつくりました。ゲートボール場、テニスコート、運動公園ができました。私が行ったときはちょっと雨が降って、雨上がりでございましたけれども、サッカー場はあちこちに大きな水たまりができています。だれもサッカーができません。サッカー場をつくるときに、私も見たことがあるのですけれども、水はけをまず考えて工事をしますよね、二十億円の運動場ですから。今見た感じでは、単に産業廃棄物の上にちょっと土を盛って、そして草を植えただけ、こんな感じですね。しかし、二十億円が支出されました。これは現在使われません。

 それから、ゲートボール場を見ました。もちろん、それは全部適正に行われておりませんので、ひび割れが入っています。そして傾いています。ゲートボールができません。大臣、打ったらボールが曲がります、坂になっていますから。こういうことは今度の経済産業省の中に入っておりません。

 それから外構、外構というのは建物の外側でございますが、これは植樹、木を植えました。三千万円の工事ですね。これは写真を撮って、ちょっとよく見えないのですけれども、この木を見てください。こっちの木はもう枯れていますけれども、二割から三割の木は非常に小さな木ですね。これは三千万円の木を植えてあるように見えますか。すばらしい植樹ができて、美しい木が生えてあるようには、三千万円の工事には到底見えないですね。百万円か二百万円と思います。これも検査の対象になっておりません。

 こういうことで、今度の調査で経済産業省が算出されました根拠、なぜ一億六千万であるか、何のデータをもとにしたか。最初の設計図面は紛失されております。新たにつくりました。そして、工事が完成したときの竣工図面というのがございますね。これもありません。二〇〇一年、ことしに入ってから新たにつくられた竣工図面をもとにしている。それは村がやりました。村はどうやってやったかというと、業者の人に聞いてつくったものですね。そのデータをもとにして、今、一億六千万。これで七十億円の交付金の工事が正しく調査されたと思われますか、大臣。

河野政府参考人 先ほど大臣から御答弁させていただきましたように、村に対しましては、補助金適正化法に基づく報告徴求をいたしました。そこで出てまいりましたものをさらに、第三者機関として公共建築協会にお願いをして、公共事業建築について相当知見のある方々に現地にまで行っていただき、復元された図面等をもとに対照していただきました。それらの結果、工事として適切でないというものの金額を積み上げまして、先ほど御報告したような金額になったものでございます。

 また、備品のたぐいでございますけれども、これも地元に私どもも見させていただいておりますが、各種カタログに出ている金額をもとに、それに一定の調整率を掛けた金額をもとにして一定の予算をはじき、入札を行ったというふうに聞いております。

 外構につきましても、一応私どもの報告書では対象といたしておりますけれども、ここについて返還を求めるというような結果には至っていないということでございます。

 また、運動場につきましては、これは実は県経由の交付金事業ということで、御指摘のように報告書の対象ではございませんけれども、これにつきましては、県、村ともに、沈下等がおさまった段階でさらに適宜対応するという方向性を出していると承知しております。

山田(敏)委員 長官、私が今言ったことを全然お聞きにならないでそれを読まれたのですけれども、御自身でごらんになっていないと思うのです。

 今、カタログに載っているいすだからこれは七万円ですと言われたのですけれども、そんな確定検査はないと思うんですね。自分のお金をもし払うのだったら、このいすが七万円かどうか、見て払いますよね。私も数千円だったら払うつもりではおりますけれども、七万円をそんなパイプのいすに払うということはあり得ない。

 そこで、たくさん言うと切りがないのですけれども、多目的広場も現在使えないような状況になっていることについて、ちょっと一言、大臣、私が今申し上げたことをどう思われますか。

平沼国務大臣 私も、ちょっとまだ現地をじかには見ておりません。

 しかし、山田委員の御指摘をいろいろ聞いておりますと、率直に申し上げて、相当ずさんな状況があるのではないか。お話を伺って、このような感想を持たせていただきました。

山田(敏)委員 一番いい例が、先ほども言いました茶室の件なんですけれども、これは前の国会でも申し上げましたので、改めて申し上げません。

 改めてちょっと、かわら屋さんに一緒についていってもらいました。屋根がわら、設計では京がわらの、手焼きの最高級の、一万円以上すると思うのですけれども、その屋根が全部あります。それでもう交付金は払われました。そのかわらを工事している方に、この屋根は幾らですかと。せいぜい三百円です、このかわらは一枚。そういうふうにやっていますということなんです。

 それから、そこの周りの、外構の石なんですが、総御影石ということなんですけれども、もちろんそれは全部、御影石ではないものが敷かれているわけです。どうもこれはどこかで拾ってきたような石で、何か黒っぽい石もあるし、赤っぽい石もあるし、白っぽい石もあるし、見たら何か非常に汚らしい石になっております。

 中は、この間申し上げましたように総ヒノキづくりで、数百万円お金が払われているわけですけれども、集成材。どんな集成材かというのをちょっと見てみました。いろいろな床柱、全部総ヒノキということになっているのですけれども、一カ所だけ、二メートルぐらいのところで切ってあるところがありまして、そこを上から見ますと、厚さ三ミリのヒノキが張ってあるのです、中はいろいろな木を張り合わせてありましてね。

 これは一番人をだます手口で、今大臣おっしゃったように、ずさんというよりは、これは経済産業省と会計検査院をなめているというか、電源三法交付金というのは幾らどんなことをやっても、畳なんか、ごらんになったらわかりますけれども、ウレタンホームにベニヤ板で、その上に畳表をホチキスでとめた畳が一枚十三万円ですか。これは畳屋さんが村の議会で証言しているのですけれども、十三万円の畳ですといってこんな最低の畳を出すとこれはばれると私は思っていました、簡単にばれると思いましたと本人が証言しています。しかし、ばれなかったわけですね。市民が見つけるまでは、公の検査では一切ばれなかった。

 こういうことで、もう一回やるべきことが、私は、経済産業省が今後やるべきことは三つあると思います。

 一つは、先ほども言いましたが、補助金適正化法に基づいて、この中に立入検査をすることができます、質問をすることができます。検査を拒んだり、妨げたり、あるいは避けたり、このような事実があるわけですね。先ほども申しました入札の中身について、紛失しました、ありませんと。出しなさいと言っても出さない、これは忌避に当たるわけです。また、もしくは虚偽の答弁ですね、最初いろいろな事件で、いろいろなうそを言われたわけですから。これを、この法律に基づいて通産省は適正な処置をしなければいけないということです。

 第二番目は、刑事訴訟法の第二百三十九条「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」要するに、多額なお金ですから、二十億とか三十億というお金が詐取をされた、この犯罪の疑いがあるときには告発をしなければならない、こういうことがございます。これが第一点。

 第二点は確定検査です。過去四年間に延べ九名の検査の方が現場に行かれて、検査マニュアルに従って現場と図面と写真と全部見たということになっております。村が発表しただけで三百四十カ所の設計の変更があった、これについて通産省の確定検査はただの一カ所も発見できなかった。私が座っているだけでわかるわけですね、今のかわらでもわかりますし、石でもわかりますし、どこで見てもわかる。しかし、ただの一カ所もわからなかった。

 私が行くときに、今のかわらの職人さんを連れていく、あるいは家具屋さんを連れていくと、非常に簡単にこれは最初からでたらめをやられたとわかるわけですから、確定検査について抜本的に見直さないと、約六千億円の電源三法交付金が全部真っ黒になってしまうということになるのではないでしょうか。

 最後に、電源地域振興センター、この財団法人、通産省のあれですが、もちろん五千人の村ですから、最初からこういう大きな事業はできません。この方が最初からずっと深くかかわってこられた、古宮さんという方ですが、非常に、これは大臣、すぐにわかるんですが、設計監理の会社が本当に考えられないずさんなことをやったわけですね。設計をしてそれを監理するのが一億一千万円の設計料をもらってやる人の仕事ですが、明らかにこれは何もやっていないということですね。これを決めた人が、この電源地域振興センターから派遣された方がいろいろかかわられて決めた。しかも、この設計事務所は、東京の事務所、設計士はたったの三人しかいない。しかも、今まで大きな公共事業をやったことがない、五十億を超えるような事業もやったことがない。しかも、設計料が一番安いわけでもなかった、こういうことがございました。

 この三点について、明確に答弁していただけますか。

河野政府参考人 まず、先生御指摘の適正化法の適切な運用でございます。既に先ほど申し上げましたように、適正化法の二十三条に基づく報告徴求をいたしております。これについては、報告を求められた者は虚偽の報告をするわけにはまいりません。そういう内容として報告を受け、私どもとしては、それを客観、公正な第三者にも評価をした上で、先ほど申し上げたような報告をさせていただいているということでございます。

 刑事訴訟法上の告発でございますが、これまで私どもが調査したところで、全体の工事内容についてはそれなりの把握ができたというふうに思っておりますが、告発すべき犯罪に該当するような認識を持っているという状況にはないわけでございます。

 それから、確定検査の見直しでございますが、これは御指摘のように、建設に入りましてからも、平成九年度、十年度に現地に赴きまして確定検査をいたしました。しかし、申しわけないことに、その検査の際に、契約書あるいは工事記録、そういったものの抽出確認、書類チェック等に重きを置き、現場の確認については本館部分のレイアウト程度にとどまったというのが実態でございました。

 今後、御指摘のように、確定検査の内容は充実をしていかなければならないというふうに考えておりまして、対応させていただきたいと思っております。具体的には、検査マニュアルの充実、あるいは知見の蓄積、このための実例の文書化、それから担当職員の能力向上のための研修等、また、検査に関して知見を有する者の活用等によって手薄な人材を補強するということを考えております。

 振興センターでございますけれども、振興センターが当初からこのプロジェクトに、当初はコンセプトの委託調査、そしてその後、専門家派遣というような形でかかわったのはそのとおりでございます。ただ、この振興センターの関係者が施工業者の選定などにおいて特定の業者の便宜を図ったという事実は、私どもの調査で認められておりません。

 以上でございます。

山田(敏)委員 今の御答弁、村の方はどういうふうに感じているかということを申し上げますと、まず、補助金適正化法で、今申し上げましたように、資料を出しなさいと言っても出さない、検査が適正に行われない、それについて、これは第三十一条第三号の罰則が適用されるということですから、もし通産省がこの補助金について本当に責任があると考えていらっしゃるのなら、当然罰則を適用してこれを罰しなきゃいけない。これは義務があるわけですよ。

 これについて、今の御答弁で、何も問題はございませんと。さらに、刑事訴訟法で、村の百条委員会では偽証法で既に告発をしているわけですよね、警察に対して。それについて、今の御答弁では、何も問題ありませんと。

 しかし、刑事訴訟法二百三十九条では、経済産業省は告発をしなければいけないと書いてあるんですよ、それはやはり国民のために働いているわけですから。納税者は一億円脱税すると、国税が三十人も入ってきて、場合によっては懲役刑を受ける、たったの一億円ですね。これ、二十億とか三十億とか言われていますけれども、巨大なお金、だれも責任とらない、だれも訴えられない、だれも刑務所へ行かないというふうに私も感じますし、現場の村の人たちは、本当に経済産業省は責任を持ってこの補助金について自分たちのお金だと思ってやっているのかということは、今の答弁では全く感じられませんので、御再考をお願いいたします。

 ぜひ、私が先日出しました質問書には「告発する用意はあります。」というふうに書いてありますので、長官、もう一回これを読んでいただいて、一応警察庁が告発を受理した段階で、ぜひ告発をお願いいたします。

 最後に、この事業、今申し上げましたように、大臣、この調査結果は、後日、村が業者と相談してつくった資料に基づいて、今一億六千万ですね、これが本当かどうかというのはだれにもわからないんですよね、もう既に建物はできていますから。もちろん皆さんは、これは信用できないと言う、もちろん信用できない。

 では、どういう数字が信用できるのかということなんですが、最初にこのセンターは、設計コンペをやるときに、この建物について、一万一千平方メートルで平米単価三十五万円ですと。これは、類似の施設の基準値を出したわけですね。これでやりました。そして、設計料一億一千万と決めました。ちなみに、学校の基準値、学校の建物、これは十八万円です。学校の建物の約二倍の基準値を使ってこの建物をやったんです。

 ところが、実際にこの工事が本当に決まったときは、八千平方メートルに縮小されたんです。そして、この金額が適用されました。それで単価を計算してみますと、一平方メートル当たり五十五万円になります。学校の単価の約三倍ですね。この差額は、単純にこの基準値を適用しますと二十億円になります。大体、五十五億円の建物の中の二十億円が基準値を上回ってやっている。もうこのぐらいしか手がかりがございません。

 ぜひ、基準値に基づいて大ざっぱにやらないで、信用できない、業者がつくった資料をもとにしてやっているわけですから、もう一回議論をやり直していただきたいと思いますが、会計検査院、いかがでしょうか。

円谷会計検査院当局者 お答えいたします。

 昨年の七月に現地に行きましてから、本年の七月と九月、三度現地に行きまして、設計図あるいは仕様書、積算内訳書等をもとに現地の調査を行ったわけですけれども、非常に、村とかエネ庁の方でも専門家に依頼をして調査を行っておりますけれども、なかなか全容の解明はできなかった。これは、問題が大変ふくそうしていたということのほかに、書類の不備あるいは非常に手続の不備等がございまして、なかなか全容解明ができなかった。我々の検査でも非常に時間がかかっておるわけですけれども、かなり精力を注いでやってきたわけですけれども、専門家まで連れていきましたけれども、やはりどうしてもそういった不備があったために、把握できた範囲でしかなかなかこの解明ができなかったという問題がございました。

 ですから、我々としては、まだ今、検査結果は、先ほど申し上げましたように現在取りまとめ中でございますけれども、こういった交付金事業といたしまして、後で交付庁であるとか検査機関であるとかがその検証をしようと思ってもなかなか全容がわからないという、このこと自体が、事業執行として、事業の透明性、説明責任という観点からいささか問題があったのではないかというふうに考えております。

 ですから、今の単価の問題であるとか施工の問題であるとか、全体的に取り組んでみたわけでありますけれども、それについては一定の限界があったということを御理解いただきたいと思います。

平沼国務大臣 先ほど山田委員御指摘のとおり、国民の皆様方の血のにじむような税金を使って、そして国の重要な政策であるこの電源立地に基づく政策を実行する。そこはやはり、本当に厳格に、厳密に、国民の皆様方が納得いく、そういう形でそれを実行しなければならないと思っています。

 大変詳しくお調べをいただいて、私どもとしてもそういう姿勢に対して敬意は表させていただき、私どもとしてもさらに一層厳格化に努めていくように、最大限努力をしていきたいと思っております。

山田(敏)委員 今、会計検査院の方で、よく調べたけれどもよくわからなかったと。それはそうですね、もう書類を紛失しているわけですから。

 刈羽村の村議会の百条委員会で過去二十回にわたってこの問題の審議をし、そして証人に来ていただいてやりました。その議事録を私は読みました。いろいろな偽証が行われております。そして、議会はこれを偽証罪で告発する、こういうことでございますが、今大臣も会計検査院もおっしゃったので、このまま、一億円でこれは事が済みましたということであれば、国民の納税意欲にもかかわる、あるいはエネルギー行政の根幹にかかわることだと思いますので、国会としてぜひ真相を解明したいと思います。

 したがいまして、六人の方の証人を喚問させていただきたいという要請をさせていただきます。六名の方の名前を言います。先ほどの設計事務所、石原設計事務所の石原信さん、それから、建設の実際の監理をされました小林憲治さん、刈羽村の村長、その当時かかわられました加藤実さん、大成建設北陸支店長植松紀明さん、そしてコンサルタントの古宮正貴さん、電源地域振興センター理事の吉野さん、この六名の方の証人を、参考人をお願いいたします、委員長。

持永委員長 今のお話につきましては、理事会の方で後刻相談をさせていただきたいと思います。

山田(敏)委員 以上です。ありがとうございました。

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 国土交通大臣、御苦労さまです。

 国土交通省には随分、特殊法人等の問題でいろいろ質問しなきゃならないことがございますが、きょうは時間の関係で、都市公団の、以前分譲住宅という事業がずっと展開されておって、そのころ私も、もう何年か前ですが、盛んにこの売れ残りの住宅というようなものについての問題を提起してまいりました。その関連で、私が先日、分譲住宅の価格の決め方の問題で、平成の七年、八年、九年、十年あたりに特別の価格の決め方をした、今までのルールと違う決め方をした、そのときにその許可申請を出した書類を請求いたしましたところが、みんな肝心なところがこういう、戦前の検閲時代のような形で出てまいりました。

 これじゃ、これは私の要求した資料というか要求に答えていないわけですので、これは間違いでこういうふうに全部塗りつぶされたんですか。それとも何か事情があって塗りつぶされたんですか。塗りつぶされないものを出してもらいたいと思いますが、いかがですか。

扇国務大臣 今、石井先生からお尋ねのございました。塗りつぶしてあるのは出せないからなのかというお話でございましたけれども、かつても、先生が今先ほどおっしゃいましたように、平成七年、八年当時の価格の決め方という御要求がございまして、一部不開示で提出したということについてのお尋ねですけれども、これは、先生から要求がございました資料というのは、旧住宅・都市整備公団でございますね。それが平成七年から九年にかけて住宅を分譲する際に、建設の原価とそれから異なる対価を決めるという場合の申請文書でございますけれども、引き下げの上限を記載したものというのは、先生御存じのとおりであると思います。

 これは、値づけという経営上の秘密事項を明らかにすることに等しいものでございますので、それは少なくとも、開示された場合には上限いっぱいの値下げをしなさいよと、当然皆さんそういう御意見になりますね。そういう意味では、結局要求されたさまざまの影響が価格にあらわれてくるということで、上限いっぱいということを明示してあるということで、これは明らかにできないというふうに御理解をいただいたら一番間違いないのではないかと思います。

 また、私もいろいろ調べまして、その中で、現在も高裁において係属中ということで、分譲住宅の値下げの訴訟が起こっておりますね。これは今三件ございますけれども、三件とも済みまして、あと一件、地裁において係争中というのが一件ございます。そういう意味におきましても、この係争中であるということからも含めまして、今はこのものを開示できないということをぜひ御理解賜りたいと思いますので、とりあえずそこまで御報告いたします。

石井(紘)委員 今訴訟が行われているのは値下げの訴訟じゃないと思いますが、それは別として、この住都公団というんですか、都市公団というんですか、この特殊法人の分譲住宅の価格の決め方については、もともと規則があるわけです。これは特殊法人でありますので、民間企業とは違って、民間の市場の価格でもって決まるんじゃなくて、これに投入された建設費だとか、その調達した借入金の利子だとか等々の基準でこの価格は決めるというふうに、これは公団規則にそういうふうに規定されているわけですね。ですから、今大臣がおっしゃるように、市場にいろいろな影響があるというような、そういう問題ではないんです。ですから、今の答弁では納得できません。

 だから、この価格の決め方というのは、役所が売るもの、いわば行政の関連機関が売るものですから、これは市場云々というようなことは関係ないし、秘密にしなきゃならない云々ということは関係のない話なんです。ですから、この肝心なところを塗りつぶしたものというのは何の役にも立たないので、塗りつぶさないものを出してもらわなければ困るわけであります。

扇国務大臣 今、石井先生がおっしゃいました資料請求の問題でございますので、それはもう国政調査というきちんとした法律に基づいて、国会法の第百四条に基づいて、各議院または委員会での国政調査権に基づく資料要求というのがございますけれども、少なくとも、この第百四条に基づきましても、なお委員会から御要請がございまして、そして提出しないということではなくて、委員会から国会法によって、各議院またはこの委員会からきちんと正式に国政調査権に基づいて資料を要求するということがございましたら、その場合には改めてもちろん検討させていただきますけれども、個人での請求ということでは、今の段階では、この場合そこまでしか出せないということで、改めて委員会で御論議いただきたいと存じます。

石井(紘)委員 扇大臣ともあろうものが、大変何か形式的なことを言われますが、それでは、そういうことでございますので、委員長、委員会を通して、委員会でもって、この同様の資料を国土交通省に請求するということをひとつ委員長からお約束いただくのと、それから、国土交通大臣は、その際には塗りつぶしていないものを当然出す、そういう意味でございますね。そのことをもう一回確認させてください。

持永委員長 今の石井委員のお申し出の件、理事会でまた相談をさせていただいて、検討させていただきます。

石井(紘)委員 それでよろしいですか。(扇国務大臣「はい」と呼ぶ)ありがとうございました。

 次に、防衛庁に伺います。

 テロ特措法が成立したと思いますが、どこでもこうした金のかかるもの、予算を伴う法律というのが、予算について何も触れないでこの法案が出たこと自体が大変奇妙な話なんでありますが、例えばアメリカなんかを見たって、これは何をやるかという前に、まずイの一番に予算をばっと決めるわけですよ。予算を日本円で言えば何兆円というふうにだっと決めて、それから、さあといって取りかかっていくわけですが、日本の場合というか防衛庁の場合は、予算を全然らち外に置いておいて、そして法律だけ決めちゃう、こういうことをやったわけでありますが、そこで、基本計画を出すときには当然、この予算はそれに添えて一本の法律として出されるんですか。

中谷国務大臣 現在までも、PKO活動とか各種の活動で海外における自衛隊の活動を実施しておりますけれども、今度の法律に基づいて行う協力支援とか被災民救援等は、現在、基本計画を策定いたしまして、現時点においてはいかなる活動にするのか、まだ具体的に固まっていない段階でお答えすることは困難でございますけれども、我々の認識といたしましては、法律の定めに従いまして基本計画を策定いたしまして、それに基づいて国会の承認をいただくというふうに考えておりまして、予算の件につきましては、我々といたしましては、国会の承認に係ることには含まれていないというふうに認識をいたしております。

石井(紘)委員 ちょっと待ってください。今ちょっとよく聞こえなかったんだが、予算については国会の承認に係ることではないというふうに理解しておるというんですか。

中谷国務大臣 そのとおりでございます。

石井(紘)委員 それはまた防衛庁長官、自分でポケットマネーを出すんですか。国の予算を出すのに、国会の承認に係らない。失礼ですけれども、長官は憲法の条文をお読みになったことはございますか。憲法第八十六条は、予算については、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」とか、あるいは、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と。予算は当然、これは国会の審議と議決を経なければ使えないんですよ。それを御存じないんですか。

中谷国務大臣 これまでもPKOによる海外の派遣とか災害派遣とか、そういう事項等に関しましては、ある時期の補正予算とかまた予備費等で、その活動を実施する上の予算等は担保されてまいりました。

 今回のケースの場合、補正予算になるのか、また予備費になるのか、その点の考え方につきましては、今後いかなる行動をするのかということが判明した時点で当然検討されるのではないかというふうに思っております。

石井(紘)委員 それは国会の審議と議決を経るんですか。

中谷国務大臣 私は防衛庁の立場でございますけれども、この法律に従って基本計画を策定いたしまして、その計画を国会で御承認いただくというふうに考えております。

石井(紘)委員 予算をどう扱うかもはっきりしないというんじゃ本当に困ったものでありますが、まさか基本計画を出して予算が要らないというようなものはできないと思いますがね。

 それでは、それは補正予算でやるんですか、予備費でやるんですか。お考えはどうなんですか。

中谷国務大臣 現時点において内容は固まっておりませんし、また、補正予算も実施するのかという点もまだ決定しておりませんので、現時点においてお答えすることは困難であるというふうに思っております。

石井(紘)委員 申しわけありませんけれども、これはちょっと話にならないですね。予算は予備費でやるのか、いつやるのか、やるのかやらないのかわからないというようなことじゃ、これはちょっと議論にならない。

持永委員長 防衛局長、ちゃんと答えてください。

首藤政府参考人 先ほど来大臣からお答えされておりますように、現時点におきまして自衛隊による活動の内容を含めて基本計画等の具体的な内容が固まっているわけではないということでございまして、したがいまして、予算の具体的措置をお答えするのは困難である。ただ、いずれにいたしましても、今後、基本計画等の内容が具体的になった時点で、適切な予算措置について考えてまいりたいということでございます。

石井(紘)委員 内部で話をちょっと統一してください。それまで私、ちょっと時間を差し上げます。

中谷国務大臣 実施につきましては、法令の定めるところによりまして、国会の手続を経て行いたいというふうに思っております。

石井(紘)委員 そこまでは今訂正をされた。そうすると、基本計画といったって、一年、二年先の話じゃないんでしょう。何のためにこの間法律をつくったんですか。今もう戦争をやっているわけでしょう、現地で。これに支援しようというわけでしょう。そうすると、基本計画というのは出るのが半年とか一年先じゃないんでしょう。大体いつごろのつもりなんですか、お考えとしては。

首藤政府参考人 現在、内閣官房を中心に基本計画の作成作業を進めている最中でございますが、おっしゃられるように、半年、一年先とかいうことではございませんで、できるだけ早期に作成するというのはもとよりでございます。

石井(紘)委員 ちょっと何を言っているんだか、言わなくてもいいようなことだけ言ってくるんじゃなくて、ちょっとここに座っていてくださいよ。

 そうすると、今年度予算で、要するに今年度でこれは何らかの形で予算化しなければならない、それはいいんですか。

首藤政府参考人 おっしゃられる意味が、今年度予算とかあるいは補正予算とか、そういった予算の制度という意味でありますとすれば、そこのところはまだ未確定でございますが、時期といたしましては、今年度以内というのは申すまでもございません。

石井(紘)委員 だから、そうすると、これから補正予算が出てくるでしょう。もう来週審議になるでしょう、補正予算が出てくる。その補正に入るのか――答弁があれだから、あと五分なんというんじゃだめだ、答弁が全然進まないんだから。いいですか。

 そうすると、その補正に入れるのか、あるいは基本計画に入れるのか。それだったら、それはいつごろ出すのか、それをちょっとはっきり、防衛庁長官、おわかりにならないですか。

首藤政府参考人 今おっしゃられました補正予算との関係につきましては、現時点で基本計画が決まっていないわけでございますので、それが決まるまでは、どのような形の予算であろうともそこに盛り込むことはできないということでございます。

石井(紘)委員 基本計画を出すことになっているんでしょう。その法律にそう書いてあるじゃない、基本計画。決まっていないのはわかっているよ、そんなこと。ちゃんとまじめに答弁しなさいよ、局長。基本計画の中に予算を入れるのか、あるいは補正に入れるのかと聞いているんですよ。基本計画ができたかできないかと聞いているんじゃないでしょう。

 こんなんじゃ、委員長、あの人たちは私の質問時間を防害しているだけで、だめだこれは。

持永委員長 防衛局長、きちんと答えてください。

首藤政府参考人 基本計画に盛り込むべき事項は法律できっちりと定められておるわけでございますが……(石井(紘)委員「予算のことを言っているんだ」と呼ぶ)はい、基本計画の中に予算額を幾らにするとかいうことを入れるとは決まっていなかったと存じます。(石井(紘)委員「じゃ、入れないのね。予算はどこに入れるんだ」と呼ぶ)基本計画そのものに予算の項目というのはなかったと私、記憶いたしておりますが……(発言する者あり)

石井(紘)委員 今の答弁になってないですよ。

 それじゃ、答弁いただけないようですから、これで私中断します。委員長、そういうことでお取り計らいください、答弁をいただけないんだから。そうしてください。また後でやりますから。

首藤政府参考人 基本計画が策定された時点で、適切な形の予算を決める……(石井(紘)委員「いつ、どこで、どういう形でやるのか、補正でやるのか」と呼ぶ)そこにつきましては、現時点では決まっておらないということでございます。

石井(紘)委員 全然考えも何もないんですか、それじゃ。話にならないな、そうすると。

 では、この点についてはちょっと保留して、しようがないから、別の機会にやりますが、防衛秘密というのがこの間の自衛隊法改正の中にありますが、防衛秘密というのは一体どういう概念で、何と何と何が防衛秘密なのか。それをちょっとはっきりさせてください。

中谷国務大臣 この防衛秘密の指定につきましては、数年前に起こりました防衛庁内の秘密漏えい事件に基づいてやったわけでございますけれども、内容につきましては、法律の別表四に十項目挙げておりまして、暗号とか防衛計画とか運用の計画とか、収集した電波情報とか画像とか、十項目例示しております。それに加えて、公になっていないものであり、また防衛上特に秘匿することが必要であるものを選んで、その上で防衛庁長官が指定をするということにいたす次第でございます。

石井(紘)委員 その防衛秘密という従来の概念の中から、この法律というのは、大臣がさらに指定して、これが重要な防衛秘密ということをやるわけでしょう。

 そうすると、それは大臣、何を指定するつもりなんですか。そういうことを決めた以上は、やはり一定の考えというものがあるでしょう。どういうものを指定するつもりなのか、いつごろそれを指定するつもりなのか、どうですか。

中谷国務大臣 時期につきましては、法律の施行された日から一年以内ということで政令で定める日というふうにしておりまして、今後法制局等と調整をいたしまして、十分検討した時期に、一年以内に実施をしたいというふうに思っております。

 概要といたしましては、現在も庁秘というものによって、現行の守秘義務を伴う秘密がございます。機密が約二千二百七十、極秘が一万一千三百五十、秘が十二万一千四百二十、合計十三万五千とございますけれども、こういうものの中から、我が国の防衛上特に秘匿することが必要なものであるというものを選びまして、おおむね機密とか極秘及び秘の中で秘匿度の高いものというものを防衛秘密に指定しようというふうに考えております。

石井(紘)委員 時間があれですから、そうはいっても終わりますが、その秘密という、国家の防衛秘密ですから、それは非常に重要な問題なんで、長官が指定されるというのは、しかるべき国会のやはり承認なり国会の議に付するということをぜひやるべきだ。これについては今すぐ御答弁は結構でございますので、そのことをよくお含みいただきますようにお願いをいたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 きょうは、竹中経済財政担当大臣にお越しをいただいております。構造改革ということで、小泉内閣が発足してもう半年くらい、半年以上たっておるわけですけれども、当時、変わる、変わると言っていた割には一向に何ら変わっていなくて、実は、きょうは石原行政改革担当大臣にもお越しいただこうというふうに考えました。

 せめて特殊法人の廃止ぐらい、もうたったかたったか決めてもいいんじゃないかと思って、そのことをお尋ねしようと思いまして、石原行革担当大臣にもお越しをいただこうと思いましたら、何か総理に呼ばれているということで、そちらへ行って実のある案を決めていただけるんならそれも構わないかなと思って、石原大臣については御遠慮したわけですけれども、竹中大臣には、ぜひとも、この間の経済財政運営と、それから後、これからの経済財政運営ということについてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 そういうわけで、内閣発足以来、今まで何にも構造改革なりあるいは需要の追加なり、そういったことについては行われていない。いろいろ諮問会議とか立ち上がって、考え方というのは確かに出ているかもしれませんが。

 そんな中で、新聞記事ですけれども、先月二十六日はOECDで対日経済審査会合というのが開かれて、日本は言葉よりも成果をあらわせというふうに言われておるわけですね。言葉より成果をということで、成果といっても、ぽんと景気がそんなによくなるわけはないんだろう、そのことはもう竹中大臣が一番よく御存じなんだろうと思いますけれども、こういった場合に、言葉よりも成果をという場合には、どういったことがその成果に当たるというふうにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 成果についてのお尋ねでございます。

 幾つかの形での成果の問い方というのがあろうかと思います。私自身は、今、構造改革は第一段階の後半だというふうに思っております。第一段階の前半で基本方針、つまり骨太の方針でありますとか改革工程表とか、メニューを詰めさせていただきました。そのメニューに沿って国会での御審議をいただいて、制度改革や補正の予算等々についての御審議をいただいて、まさにそれを具体的な形にするという意味で、第一段階の後半だと思っております。

 しかし、同時に、形にするという今プロセスにあるわけでありますけれども、それとあわせて、やはり将来の姿そのものを示していくということも、私は一つの構造改革の成果だというふうに思っておりまして、財政改革の前半で議論をさせていただきました骨太の方針等に示されたビジョンそのもの、今後、さらにそれを具体化するプロセスをとりますけれども、これも構造改革の一つの重要な流れであるというふうに認識をしております。

中塚委員 第一段階の後半ということですが、第何段階まであるんですか。

竹中国務大臣 構造改革そのものは、私は、やはりかなり時間を要する息の長いものとして考えなければいけないというふうに思っております。アメリカの場合でも、例えば一九七九年にカーター政権のもとでこういった国際競争化、再工業化のようなことが議論され始めてから、その成果が具体的にクリントン政権であらわれるまで十四年かかっている。

 もちろん、そんな悠長なことも言っていられないわけで、できるだけ早くそれを形にしたいわけでありますけれども、当面は、第二段階においては、さらに間を、大きな制度改革の話に持っていきたい、それが第二段階で、そうした非常に大きな制度改革の成果が具体的な形にあらわれるのが第三段階かな、今のところはそのぐらいの見通しを持っております。

中塚委員 そこで、新しくて古い話題というか、構造改革と景気の関係というのをやはり整理しておく必要があるんだろうと思うのです。

 そもそも竹中大臣は、ことしの経済見通し、政府の成長見通しというのは、なかなかそれは難しいだろうということだったと思いますけれども、ゼロから一ぐらいの間というふうな御発言をずっとされていたと思うんですね。

 今、今日まで発表されているインデックスというのは、まだテロの影響というのを受けているわけではありませんよね。失業率は、これはテロの影響を受けて五・三になっているのかもしれませんけれども、それ以外のインデックスについてはまだ、これがそのままテロの影響だというふうには私は思えないわけですけれども、今の経済、景気の現状という点で、これはどうなんでしょうか。竹中大臣が見通していた範囲内の景気の現状なんでしょうか。

竹中国務大臣 基本的には、当初、大臣に就任したときに想定していたものよりも極めて厳しい状況になっているということを認識しております。

 ゼロないし一%という数字を中塚委員から御指摘をいただきましたけれども、これは、六月の末にいわゆる基本方針、骨太の方針を出したときに、日本経済の再生シナリオとして私が発表させていただいた中で、今後二、三年は平均ゼロないし一%程度の低い成長率になることを甘受しなければいけない、その御指摘だと思います。それで、基本方針の中には次のように書いております。「十三年末以降、アメリカ経済の回復傾向が明らかになっていけば、輸出、生産が次第に回復に転じ、やがて設備投資も改善していくと見込まれる。」

 その前提となっているアメリカ経済の現状が、御承知のように、二つの要因で非常に厳しいものとなってきた、このことを私自身大変厳しく認識しております。そういった中で、日本の経済運営を間違いなく行っていかなければいけない、厳しい状況であるというふうに認識をしています。

中塚委員 確かにアメリカの経済の現状等を考えても、例えば、やはり当初は、年内に在庫調整が終わって、来年いっぱいで生産調整が終わるとか、そういった経路をたどってアメリカもよくなる、それによって日本もよくなるというふうなシナリオを想定になっていたんだろうというふうには思うのですが、アメリカの経済の不調というのは、テロとは関係なくアメリカ経済が不調ということでよろしいのですか。

竹中国務大臣 アメリカ経済の問題、悪くなった問題は、やはり二つに分けて考える必要があろうかと思います。

 まずは、ITを中心とした経済の悪化、いわゆるIT不況が我々の予想を大きく上回るものであった。かつ、このITを中心とする世界的な結びつき、グローバルリンケージがこれまた我々が想像する以上であって、アメリカのみならず、それが日本を含むアジア各国に広がっていったという、そのIT不況の問題があろうかと思います。

 しかし、IT不況だけでしたらまだ、来年に入れば早々にアメリカの経済が上向くというような見込みも結構専門家の間ではあったかと思います。しかしながら、そこに九月十一日の同時多発テロが起こりまして、これがさらに、アメリカの回復というのはさらにその先に行くだろうというような見通しが一般的になった。その意味では、やはり二つの要因が複合的に作用しているというふうに認識をしています。

中塚委員 以前、この決算行政監視委員会へ竹中大臣にお越しいただいたときに、いろいろ質疑をさせていただいた中で、やはり需要の追加よりは供給サイドの改革というものをしていかなきゃいかぬのだというふうにおっしゃっていまして、それは確かに、どっちにウエートを置くかというと、もちろんそういうことだと思うんですね。やはり供給サイドというものを変えていかなきゃ、それは絶対に将来に向かっての成長というのはあり得ないというふうに思いますけれども、かといって、では需要の追加、何も財政だけに限った話ではないと私は思いますが、そういったことを一切行わないでいて本当にいいのかなと。

 発足以来六カ月とは、六カ月しかたっていないというふうな言い方もあるのかもしれませんが、私は、やはり六カ月間でできることというのはたくさんあるはずなんだろうと思いますし、そういう意味では、景気循環的な考え方ですね、それをちょっと余りにも軽く考えていらっしゃるのではないか。

 つまり、こういうことですね。構造改革は進めなきゃいけません。構造改革が進んでいく中で、構造調整なりそういう過程を通っていく中において、やはり景気がそれによって悪化するというのは景気循環によってあらわれてくるんだろうというふうに私は思っておりまして、そういった意味で、やはり需要の追加というのも全く行わないというのではなく、適宜適切に考えていくべき、そういった必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

竹中国務大臣 中塚委員の御質問は、供給サイドの改革が重要であるということを前提にしつつも、やはり需要の管理についてそれなりの責任を政府は負っているのではないだろうかという御指摘だと思います。

 繰り返し私申し上げてきたのは、やはり供給サイドの改革こそが重要なポイントである、しかし、需要サイドがどうでもいいということではもちろん全くないというふうに思っております。

 現実問題としまして、三十兆の赤字国債発行枠のことが問題になっておりますが、三十兆の新規国債発行枠ですね、三十兆の国債発行をするということは、とりもなおさずGDP比約六%の財政刺激を続けるということを意味しますので、これはかなりの需要管理を行っている、そのこと自体が行っているということだと思います。

 同時に、経済の中にはいわゆるビルトインスタビライザーが働いていて、景気が悪くなると社会保険関係の支出がふえて、多くの先進工業国は、このビルトインスタビライザーを活用することによって現実の需要管理を行っているというのが現実であろうかと思います。

 日本の場合、加えて需要を新たに創出するような規制緩和、規制改革を行っていかなければいけない。規制緩和、規制改革によって需要が新たにつくり出されるというのは、九〇年代、何度か我々は経験していることでありますので、その意味で、改革先行プログラム等々にこの規制改革の話をかなり織り込んだつもりでおります。

 その意味では、非常に大幅な裁量的な財政の増減、支出というのは確かに行っておりませんが、需要管理に注意を払った幾つかの措置は講じているというふうに認識をしています。

中塚委員 では、ちょっと聞き方を変えますが、竹中大臣は、日本経済の潜在成長率というのは大体どれぐらいだとお考えですか。

竹中国務大臣 潜在成長率という場合に、幾つかの段階といいますか次元の潜在成長率があると思います。例えば、今の不良債権問題等々、経済の供給サイドにあるおもしが一応すべて取り除かれたというふうに仮定しますならば、日本が持っている労働力、資本力、技術力をトータルに言うならば、私はやはり二%ぐらいの成長力はあるのだというふうに考えております。

 しかしながら、現実問題として幾つかの制度の行き詰まりがある、その行き詰まりの象徴が不良債権という問題で今あらわれておりますけれども、そういう今のストラクチャーを前提にするならば、とてもそんな潜在力はないと思います。それがゼロないし一%ぐらいの間であるというふうに私は認識しておりまして、その意味では大変、中長期の潜在力はそこそこ高いけれども、当面の潜在力は極めて低いところにあるというふうに考えております。

中塚委員 実は、ずっといろいろ、竹中大臣がどういうふうにお答えになるだろうかなと思って考えていたんですけれども、全く予想どおりの御答弁でした。

 大臣は、日本経済の潜在成長率が、やはりゼロから一ぐらいの間で、現状ですよ、望ましい姿ではなくて現状、ゼロから一の間だろうというふうにお考えになっているからこそ、今までのいろいろ基本方針やら、あと、きょうの新聞報道によりますと、中期の財政展望においても成長率はマイナスまたはゼロというふうな発表もなされるというふうに報道では承知をしているわけですけれども、そういうふうに、ゼロから一の間だから、いろいろな文章というものにもそういった方針が盛り込まれているんだろうなというふうに思っておったわけです。

 ということは、潜在成長率が今大臣がお考えのような数字だということは、やはりデフレギャップというのはないということなんですかね。

竹中国務大臣 現実問題として、デフレギャップのない経済というのはないと思います。

 ちょっと誤解のないようにぜひ申し上げておきたいと思いますが、潜在成長力、元来持っている潜在成長力は二%ぐらいあるというふうに思っております。構造改革というのは、今、一%かそこらの、ゼロから一、まあ、その辺は正確な計測ではありませんから一%弱ぐらいだとしますと、それを本当に二%に上げていくような制度の改革を行うことが構造改革であるというふうに思っております。

 それで、今、低目の潜在力の前提のもとでも、それでも現状と比べるとデフレギャップは当然のことながらあるわけであります。現状の成長率というのは恐らく相当厳しいものであるというふうに認識しておりますので、その意味ではデフレギャップというのは当然のことながらございます。しかし、それは常にどの経済にもそういったデフレギャップというのはついて回るわけで、これはある意味でやむを得ない範囲のものであろうかなというふうに認識をしております。

中塚委員 じゃ、そのやむを得ない範囲のデフレギャップを需要の管理の対象にはしないということですか。

竹中国務大臣 デフレギャップは常にゼロに近い方が好ましいと思います。しかし、そのことをどのような手段で行うことができるかというのは、これはどの経済にとってもそんなに簡単な問題ではない。日本の場合は、規制緩和等々でまだ需要を引き出す余地があるから、やはりそれに対する努力は大変必要だというふうに思います。

 一方で、先ほど申し上げましたように、財政の中にはビルトインスタビライザーが働いておりますから、財政を通して、さらには金融の一層の緩和、金融を通して、それにデフレギャップを可能な範囲で縮小していく努力は当然のことながら必要だと思います。

中塚委員 では、ちょっと聞き方を変えますが、竹中大臣は、今、構造改革というのを進めていく中にあって、もし、先ほど、需要管理の中で三十兆の国債の話、ちょっとお触れになりましたが、もし財政に余力があった場合は、構造改革と同時進行で財政支出による需要追加というのを行うべきだというふうにお考えですか。それとも、構造改革をやる以上は財政支出というのは必要ない、いかなる状況においても必要ないというふうにお考えですか。いかがでしょう。

竹中国務大臣 私は、裁量的に財政を動かすということは、現実問題としては非常に大きなデメリットを伴うというふうに思っております。これは、ノーベル賞をとったブキャナン教授なんかが言っていますように、悪いときにはすぐ財政を出せというふうに言うわけですけれども、経済がよいときには財政を低くしろとはだれも言わない。したがって、そういう危険な領域には入らない方がよいのではないかというのが基本的な考え方で、私の認識する限り、多くの先進工業国はそういう政策をとっておりまして、だからこそ、現実には、裁量的な財政政策には頼ることなく、ビルトインスタビライザーの範囲でやっていこう、あとは金融政策に依存しようというのが私は世界の標準的な考えであろうかと思います。

 しかし、じゃ、一方で、財政の裁量的な政策は全く必要ないかというと、これはやはり違うと思っております。デフレギャップが非常に極度に大きくて、需要がスパイラル的に縮小していくような場合は、これは現実問題として、九八年ぐらいの日本経済というのはまさにそういう状況であったわけですから、そのときには、ある意味でなりふり構わず財政の力をかりなけりゃいけないということはあると思います。しかし、まあ、いわばこれは伝家の宝刀でありまして、やはりそれを使うべきタイミング、我慢するタイミング、この兼ね合いが、私は政策運営上は大変重要なポイントであるというふうに思います。

中塚委員 だから、今のお話ですと、そもそも、やはり裁量的に財政は使わない方がいいというスタンスでいらっしゃるということでよろしいんですよね。

 今、デフレギャップが膨れてどんどんいったときにはやはり全くそれを無視する必要はないけれどもというお話もありました。ということは、今はどうなんですかね、まだそこまでの状態には立ち至っていないということでよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 そこの判断のポイントは極めて重要な難しいポイントだと思いますが、私は、一義的に重視したいと思っておりますのが、需要がスパイラル的に悪化しているかどうかということだと思います。

 経済は、例えば企業の生産、収益が低下する、それによって企業の設備投資が低下する。さらに、企業の収益が低下して、賃金が低下して、それで消費が落ち込む。こういうふうに、お互いにさまざまな経済の要因、変数が影響を与えて、らせん階段を滑り落ちるように低下していく。これはもう非常に危険な状態で、これは絶対に政府としては容認することができません。

 今の日本の状況は大変厳しいものであるというふうに認識しております。ただし、個人消費が辛うじてそれを下げどめているという状況にあろうかと思います。これは、さまざまな指標の中でも、特に消費の動向を今も我々は大変注意して見ておりますし、引き続き見ていかなければいけないと思いますが、例えば、一つの例で申し上げますと、先月の家計調査ですね。消費については、前月比で見る限り、実は消費はプラスなんですね、ほかの指標が多くマイナスになる中で。そういう意味で、経済に対する一つの歯どめ効果、ラチェットの効果といいますか歯どめの効果が、個人消費指標において今辛うじてかかっているという状況だと認識しています。

中塚委員 それじゃ、そういう状況になれば機動的に対処されるということなのかもしれませんが、言われている二次補正ということなんですけれども、これについてはどういうふうにお考えですか。

竹中国務大臣 これからまさに改革先行プログラムの中で予算措置を必要とする部分、いわゆる補正予算について御議論いただくという状況でありまして、現時点で二次補正というのは考えておりません。

 ただし、先月の二十六日に改革先行プログラムを取りまとめた段階で、総理からは、経済の状況は大変厳しい、したがって、状況をよく情報収集して分析を深めて、必要な政策対応はとれるように勉強しておきなさいというような指示をいただいておりますので、そういった範囲で、情報の収集と分析を注意怠りなく行っていきたいと思っております。

中塚委員 消費が唯一の歯どめになっているというお話がありまして、ただ、じゃ、その消費の悪化に歯どめをかけるための政策というのはとられていないですよね。というと、やはり消費もどんどん落ち込んでいくことになるんでしょう、テロなんかの影響もありつつ。そうなると、やはり二次補正というのはもう必至になってくるということになるんじゃないかなというふうに私は考えていまして、そのことがいいか悪いかは別ですけれども、それであるならば、もっと真っ向からそのことに取り組んでいくべきではないかなというふうに思っています。

 それと、大臣が財政政策ではなく金融政策ということをおっしゃっていましたけれども、あともう一つ、私、先進国でとられているというんだったら、税制改正、税の問題というのもすごく大きいと思いますけれども。確かに、財政出動というのは余り先進各国の中ではとっていないですよね、景気浮揚策なりなんなりという意味では。金融政策か、あるいはやはり税を非常に重視していると思うのです。

 そういった意味では、改革工程表なんかでは、税の話というのはほとんどなくて、証券関係の税制改革とか、まあ改革なのか改悪なのかは別ですけれども、そういったことには触れられていますけれども、税についてはどうなんでしょうか。今後見直すなりなんなりというふうなお考えというのはどういうことになっていくのでしょうか。

竹中国務大臣 基本的に政府が行えることというのは、まさに政策手段というのは、考えてみますと、かつては行政指導というのを行っていました。しかし、それは市場に対する介入で、好ましくないでしょう。さらには、補助金という手段もありました。しかし、まさにこれも市場のメカニズムをゆがめるでしょう。結局のところ、ある意味で、民主主義社会において、市場経済の社会において、究極の政策手段というのは結局税である、私も全くそのように思います。税制こそが、ある意味でこの国の経済の形を意味しているものだと思っております。

 改革工程表、骨太の方針等々に余り税のことが書かれていないのではないかという御指摘かと思うんですけれども、工程表の中では、税制については、租税特別措置の徹底した見直しを行うことというふうな記述もございますし、できるだけ広い課税ベースの確保等、幅広い観点から検討を行うことというような、そういう問題意識は反映させたつもりでございます。また、御指摘のように、喫緊の問題としては証券市場の税制の話というのも検討をしてきたところであります。

 委員お尋ねの件は、より骨太の税制の話ということになるかもしれませんが、これは税制調査会等々でも今議論を深めているところでもありますので、その議論を見ながら、しかし同時に、先ほど申し上げた意味で、改革の第二段階というのは非常に骨太の制度改革の話であろうかと思いますので、その第二段階においては幅広い議論を行っていく必要があるというふうに考えております。

中塚委員 自民党の税調はいろいろやかましいのかもしれませんけれども、やはりそれは、税の話を避けて通って聖域なき構造改革もへったくれもないと私は思っていまして、ただ、財政出動できないのは、それは理解はできます。無尽蔵に国債を発行して地面をほじくり返せというようなことはできないのは理解はしますけれども、租特の廃止とか整理合理化なんというのは、毎年の政府税調の大綱でも一番最後に書いてあるわけですよね。そんなことをこの改革工程表にもう一回書いたってしようがないわけで、もっと、何をしてくれるのか、何をするのか、何をしなきゃいけないのかということを書いていただかなきゃというふうに思います。

 それと、あと最後なんですが、この半年間で本当はできたはずの中に、やはり先ほど来大臣も時々口にされますが、不良債権の話というのがあったんだと思うんですね。

 この不良債権の問題について、今度特別検査というのを金融庁が行うということが、これまたこの工程表の中に書いてある。今まで金融庁は金融庁で検査してきたはずですね。私も財金委員会などで柳澤大臣に常にその話をした。検査は適正に行われておる、引き当てもちゃんと行われている、だから公的資金の再注入は必要ないという答弁をずっと柳澤大臣はされているわけです。

 それで、ここでまた特別検査ということがぱっと出てきたわけですね。確かに、マイカルなんかの話もあるから、急激に経済状況が変化したり、マーケットの環境が変化したりすることによって破綻するような企業があるのかもしれないけれども、こういう特別検査を今やらなきゃいけなくなったということは、これは、金融庁の今までの検査というのをやはり大臣としてはなかなか信用し切れないということなんでしょうか。

竹中国務大臣 不良債権問題の処理というのは、本当に難しい問題だと思います。これだけ大きな不良債権をしょってしまった経済というのは例がありませんし、特に日本の場合には、金融の多くを銀行部門に依存していて、その銀行に大きな不良債権があるという意味で、非常に経済全体に対して大きな影響を与えるという立場になっている。

 実は、骨太の方針の中で次のように書いております。文言は正確ではありませんが、趣旨は、要するに、銀行はそれなりに不良債権償却をやってきました。しかし、十兆円償却すれば新たに十兆円の不良債権が発生するというメカニズムが現実には存在しておりました。そのメカニズムが一体どうしてそんなことになっているのか。そのもののやはりメカニズムを究明していかないといけないんだ。残念だけれども、それが非常に難しい問題になっているということを骨太の方針の中に書かせていただいております。

 結局のところ、どうしてそんなふうに次から次へとおりてくるかというのは、引き続き地価が下がって、担保価値が下がってという問題もあるでしょう。もう一つは、やはり不良債権の評価そのものが、資産査定そのものが大変難しいということもあらわしているのでしょう。したがって、特別検査というのは、そういった難しい問題に対する一つのチャレンジとして、当事者の評価と市場の評価が乖離しないように別途行うというものでありますから、これは信用する、しないということではなくて、これは本当に問題そのものが難しくて、金融庁は新たなトライをするということだというふうに認識しております。

 こうした形で市場の評価と当事者の評価の乖離が埋まっていって、それによって不良資産の償却が進むということを期待しています。

中塚委員 それは私も期待しているんですけれども。

 とにかく、全債務者について検査するわけじゃないですね。著しく経営内容が悪いというか、株価についてもそういった懸念があるようなところを選んで検査するということなわけですが、今まで政府は日本の国債が格付が引き下げられても、いや、それは格付会社が間違っておるみたいなことをずっと言っていたわけですよね。ところが、要は、そうやって今度マーケットの動向を気にして特別検査というのをしなきゃいけないような事態になっているわけですよ。

 今までの金融庁の検査結果を大臣が御信用になっているのかなっていないのかということは別にしても、やはりちゃんと検査して、ちゃんと事実を解明して、もうこの問題には早くけりをつけなきゃいかぬだろうと思っているんですけれども、そういった意味において、この特別検査が終わった結果、その債務者というのは、RCCに送られたりとか、あるいは私的整理ガイドラインにのっとって再建の方の話し合いが始まったり、たしか三つぐらいあったと思うんですけれども、そういうことになるわけですね。

 特別検査が終わって、そういうふうな状況になるということは、銀行の財務内容というのはより傷むようになりますね。債権放棄なのか、あるいは債権の価値が落ちていれば、新たに引当金を積まなきゃいけない。そうなると、この特別検査が終わったときに、主要行のみですけれども、銀行の財務内容が悪化をするような状況というのも十分に考えられると思うのです。

 そういったときに、私は、やはり株を買ってやるような話をするとか、株を買うというのは例の保有制限と買い取り機構ですが、そういう、株を買ってお金を銀行に上げるというのではなく、また、RCCによって不良債権を買って、それでお金を上げるというのじゃなく、ちゃんと政府も口が出せるように、もし仮にそうなった場合には改めて公的資本注入の可能性というものを今から否定しておくべきではないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 検査の結果、財務内容が悪化するかどうかというのは、これはやってみなきゃわからないわけでありますけれども、公的資金注入の可能性を基本的には否定はしていないと私は認識しています。これは、改革先行プログラムの中にもこういう資金が十五兆円準備されているんですよということが明記されています。

 要は、そういうふうに悪い状況であったならば注入しなければいけないというのは、これはもうそういった枠組みを私たちは持っているわけでありまして、要は、政策の考え方の問題ではなくて、実態判断の問題であるというふうに認識しています。

 しかし、実態がいいか悪いかを判断できる立場にあるのは、これは当事者である担当大臣でいらっしゃいまして、その方が御判断するということになるわけであります。我々は、今のところそういった必要はないというふうに、これはさまざまな指標等々もお示しいただきながら、現状ではそういう状況にはないということをお伺いしております。しかし、これはあくまでも政策に対する考え方の差異があるわけではなくて、実態判断の問題であり、それは担当大臣のお仕事だと思います。

中塚委員 御健闘を祈っております。終わります。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 九月十日に我が国最初の狂牛病の発症が発表されて以来、二カ月近くが経過をいたしました。私も直後の十三日に千葉県や白井市にも調査に入りましたけれども、きょうはその問題で質問をさせていただきたいと思います。

 これについては、既に先月の十八日、農水大臣、厚生労働大臣の声明なども出されたわけでありますけれども、与党の方からはこれでBSE問題は終わりだというような声も聞こえておりますけれども、これはとんでもない話だと思うんですね。感染経路の徹底究明、あるいは損害補償、営業の問題、今後の食の安全の問題、さらには責任の問題、こういう点で、いずれもこれからが本番だという立場でこの問題は臨まなくちゃならないと思うわけなんですが、まずその点で農水大臣の見解をお聞きしたいと思います。

武部国務大臣 私どもは十八日に、安全宣言と言っているのは、これはマスコミが主に言っているわけでありまして、十八日に向けてEUをしのぐ全頭検査体制が整って、それが始まったということでありまして、その結果、屠畜場からは安全な牛による食肉等以外は市場に流通しない、そういう体制になりましたということを申し上げたわけでございます。

 しかし、その後については、今委員御指摘のように、感染源というものについては徹底究明しなければなりません。私ども、職員も外国に派遣いたしまして、その報告を今整理させているわけでございます。

 さらにはまた、十七日以前の食肉についてはどうなんだということで、これについては、国の責任において完全に市場隔離するという対策もとりました。これは、念には念を入れて、消費者の皆さん方に、風評被害を鎮静化させていただいて、そして安心して食肉を召し上がっていただくということと同時に、やはりこれも対策の一環でありますけれども、そういったものが滞ることによって食肉等が円滑に流通しないということになっても困るわけでございます。そのことによって円滑に流通しなければ、卸あるいは小売、さまざまな皆さん方に迷惑が続くわけでございますので、そういう措置もとりました。

 さらには、今すき焼きやしゃぶしゃぶの時期を迎えておりまして、やはり安定した価格で一日も早く価格も解消し、そして供給体制が十分に整う、そのことによって生産者の経営安定対策ということもしっかりやっていこう、こういうようなことでございます。

 そういったことを間断なくやるということに全力を挙げているわけでありまして、決して、これで一区切りついたとかもう大丈夫だとか、そういう意識、認識は毛頭ないということを申し上げたいと思います。

大森委員 十七日以前の肉の問題もお話がありましたけれども、これはまた後ほど質問させていただきます。

 先月の二十二日に、読売新聞の夕刊で、ちょうど農水大臣が北海道佐呂間町の元生産農家を訪ねた折のことがここに書かれております。恐らくお読みになったと思うんですが、私はこれを読んで、本当に身につまされる、私自身が胸を締めつけられる思いがいたしました。

 大臣がこの佐呂間町の元生産農家を去られた後、「夫婦は自宅に引きこもった。 妻は人通りの少ない時間を選び、買い物に。「大変だよ」。かつての仲間たちの悲痛な言葉は自分を非難しているように、夫には聞こえる。「みんなと同じえさを与えたのに……」。農相に聞いてほしかったのは、その悔しさだった。」タイトルも「言えなかった「悔しさ」」となっているわけですね。この御夫婦は、来年春、二十頭の乳牛を買うつもりだった。しかし、これは恐らく断念せざるを得ない状況になった。この生産農家に一体何の責任があったんだろうかということなんです。

 私は、きょう最初に、この責任の問題、責任のとり方の問題としてお聞きをしたいわけなんですが、この元生産農家の場合、はかり知れない大きな被害を受けていると思うんですね。同時に、全国の生産農家あるいは流通関係の業者、多くの実害も受けているわけでありますけれども、一体、今回の事件でどれだけの被害が生まれたのか、どうこの点を認識されておるのか、この点、お聞きをしたいと思います。生産、流通、消費の段階で、もしお答えできるのであれば御答弁いただきたいと思います。

武部国務大臣 私は、就任以来、予期せぬ出来事が起こり得るという前提で仕事をするようにという訓示を職員にしてまいりました。にもかかわらず、今回の事態が発生して以来、省内及び省外との連絡体制が十分に機能しなかったということ等から初期段階において混乱があったことは、国民の行政に対する不信を招いたという意味でまことに遺憾にたえない、まことに申しわけないという思いでございます。

 このため、省内の連絡体制を含めまして、関係省庁、都道府県とも密接な連絡を図りながら、報告、連絡、相談、点検と確認ということの徹底を図り、私も一人一人呼びつけて厳重に注意を促した次第でございます。こうまでも言いました。二度とない人生だ、二つとない命だ、将来において、役人としてあのとき本当に命がけで頑張った、自分のすべてを尽くして頑張った、そういうことでこの緊急な事態を乗り越えてほしいということで、実際にも、恐らく二週間以上ほとんど職員は家に帰らず、役所に寝泊まりして対策に終始した、この事実は御理解いただきたいと思います。

 このようなことが二度と起きないように、当省の幹部を初め職員に対して厳重に戒めてまいらなきゃならない、かように思っておりますが、今般、厚生労働大臣と私の私的諮問機関といたしまして、BSE問題に関する調査検討委員会を設置することにいたしました。

 この委員会において、BSEに関するこれまでの行政対応上の問題の検証、過去にさかのぼって、どうしてこういうことが起こったのか、そして、今後の畜産・食品衛生行政のあり方についてしっかり御検討いただき、御提言を賜ろうということで、今月十九日には第一回目の会合を予定しているわけでございます。

 今、生産、流通、消費段階における責任の御下問もございましたけれども、私どもは、これまででき得る限りの対策を講じてきている所存でございますが、さらに今後もその決意を実際に形にあらわしていかなければならない、かように考えている次第でございます。

大森委員 ちょっと質問とかみ合わないんですが、これだけ大きな事件が起きた場合、事件の原因究明、徹底究明とその被害の実態はどうなんだ、これを明らかにすることは両輪だと思うんですね。先ほどの質問で、今回、生産、流通あるいは生産その他の段階でどれだけの被害が生じたのかということは、その検討委員会の中で明らかにしていただけますか。

小林政府参考人 今お話がございました、今回のBSEの発生によりまして生産者あるいは関係業界に及ぼした影響につきましては、私ども、牛の枝肉の卸価格ということでいきますと、九月は対前年比六%減、それから十月は対前年比三一%減、こういった低落傾向がございます。

 また、販売の方の主要量販店におきましては、牛肉の売り上げが四割から七割減少している例も見られますし、また、焼き肉店に対する調査によりますれば、六月から八月の時期と比べまして売り上げが五〇%未満、こういった事業者の皆さんも四割強になる、こういった状況を聞いておりまして、牛肉需要の大幅な減退ということを生じている、こういった経緯については十分認識してございます。

 それで、ただ、こういったBSE発生によります被害額、これは数字的に把握することはなかなか難しい問題でございまして、私ども、関係業界の影響ということで、担当部局なりあるいは地方の農政局、それから業界団体等を通じまして、説明会あるいはさまざまな機会をとらえまして鋭意情報収集に努めているところでございます。

 今後とも、こういった情報を的確に把握いたしまして、その上で、今般講じましたような総合的なBSE関連対策を初めとして、対策の円滑な実施に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

大森委員 責任をとる、この課題との関係では、被害が一体どれだけあったのかということを明らかにすることがやはり重要ではないかと思いますので、それはぜひ明らかにしていただきたいと思います。

 基本的な点、経過に関して幾つかお聞きをしたいのですが、まず、一九九六年四月にWHO専門家会議が、反すう動物の飼料に反すう動物の組織を使用することを禁止する、こういう勧告が出されたわけですね。なぜこれを機敏に、同様の、勧告どおりの措置をとらなかったのか。基本的な質問ですが、この点はいかがでしょうか。

小林政府参考人 お話がございましたように、WHOの専門家会議、一九九六年でございますが、反すう動物の組織を用いた飼料原料については反すう動物に給与すべきではない、こういう勧告がされました。これを受けまして、同年四月に、私どもその旨の指導通知を発出しております。

 この指導通知に基づきまして、この趣旨を徹底するために、一つは九六年から、(大森委員「なぜ禁止措置をとらなかったか」と呼ぶ)今申し上げた指導通知を発出し、その上で、その指導通知に基づきまして、まず肥飼料検査所が飼料安全法に基づきます立入検査、これでやっております。これで、各飼料工場におきましてこの指導が守られているかということを、一工場当たり年二回程度、こういったことを進めました。また、生産現場におきましても、一九九六年度から、流通飼料対策事業の一環といたしまして、都道府県による地区講習会の開催、こういうものを通じた啓発指導ということでこの趣旨の徹底を図るということで進めてきたものでございます。

 そういう中で指導の徹底を図ってきたところでございますが、今般、BSEの事態を踏まえて、牛飼養農家の全戸調査をこのところ行いました。その結果、飼料の不適正使用の事例が、十月二十五日現在、全国で百六十五戸、五千百頭出た、そういうことでございます。

大森委員 なぜ禁止の措置をとらなかったかということで、それは認識が甘かったと答えればいいんじゃないですか。

 これは、例えばオーストラリアでは、一九六六年に既に禁止措置をとっている。アメリカでも九六年、業界で自主的に禁止措置をとり、翌年九七年にこれは法的な禁止措置に格上げするということと比較をしても、日本政府のとった態度というのは余りにも大きな開きがある、大きな問題があるということを改めて私は指摘したいと思います。

 もう一つの問題は、ことしの六月のEUのステータス評価の問題でありますけれども、EUの方から、日本は肉骨粉をイギリスから輸入していた時期があり、この飼料で育った牛が狂牛病に感染する可能性があるという趣旨の報告書を用意していたわけですけれども、農水省はぬれぎぬだということで強く反対した、こういう報道もありました。これも、評価の問題にすりかえて、狂牛病のおそれのある飼料が実際に輸入されていた疑いがある、この事実に対して目をふさいでしまったということで、九六年当時禁止措置をとる、あるいは使用禁止の措置をとっておれば、今日の事態はまずなかったんじゃないかと思うわけです。

 もう一つ、経過上の大きな問題は、既に指摘をされておりますけれども、今回の狂牛病発生の経過をめぐる問題であります。

 この点で、八月六日に起立不能の乳牛が千葉県内の食肉処理場に運び込まれて、それが農水省で九月十日に発表されるまで一カ月以上かかっているわけですね。なぜ一カ月以上もかかったのか、この点をお答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 八月六日に、感染牛となりました牛が屠場に持ち込まれたわけでございますが、その段階では、千葉県の食肉衛生検査所の屠畜検査ということで検査をいたしました。敗血症と診断いたしまして、食用に適さないということで全部廃棄されたわけでございます。その段階では、こういったことで、BSEというよりも敗血症ということで検査の結果が行われたということが一つあったわけでございます。

 その後、いろいろな検査所等での検査が行われたわけでございますが、途中でプリオニクス検査、これは動物衛生研究所が行っておりますけれども、これにつきましては八月十五日に陰性ということが出まして、そういう、今回の事例がいわば初めてだったこととか、それから、そういった最初の敗血症、あるいは途中の経過ではプリオニクステストということの陰性というような経過をたどりまして、その結果、九月十日に至って陽性が確認された、そういう経過でございます。

 いずれにしましても、今後こういった検査が的確に行われるようにしなくちゃいけないということで、厚生労働省と私どもの連携ということでこの検査体制をきちっとしていくということで、そういう対策をとっているところでございます。

大森委員 これは、なれないということがお話があったり、それが一カ月以上かかった理由らしい理由ではあるわけなんですが、しかし、この経過を詳細に見ますと、千葉県が農水省に報告してから、十日間全く放置されているわけですね。千葉県が催促して初めて農水省の方は検体を持ってきてくれということを回答する。なぜ十日間も放置したのですか。本当の理由をお聞かせください。

小林政府参考人 先ほど申し上げましたように、プリオニクステスト等によりまして陰性という結果が八月十五日の段階で出ているわけでございます。そういった中で、また引き続き千葉県の方で検査をした結果、空胞が認められる、そういった経過でございまして、いわばそういういろいろな検査を重ねていくという中での手続として、今申したような経過がたどられたということでございます。

大森委員 二十四日から、農水省が回答した九月六日までなぜ放置されたか。今おっしゃったのは二十四日以前の検査でしょう。その点はっきりできないですか。

小林政府参考人 空胞発見というのは二十四日でございます。それから九月十日にかけまして、これが千葉県の方の連絡を受け、また動物衛生研究所の方で再度検査を進めるという手続を進めておったわけでございまして、そういった手続を進めるのがいわば通例のルールといいますか、そういった手順の中でやっておりましたので、最終結果が九月十日に出るまでに所要の日数を要したということでございます。

大森委員 十日間も時間がかかったというのは、実際には農水省にはそれを検査する機能がなかったということじゃないですか。

 これは最近の報道の中でも、例えばこれは、今問題になっております検査に当たる検査キットの動物医薬品の申請を農水省にことしの春やった、これはロシュ・ダイアグノスティックス社が申請したら、これはちょっと待ってくれということがあったり、あるいは日本バイオ・ラッド社、エライザ検査キット、この申請について、開発研究用の試薬について申請してもちょっと待ってくれと言われた、こういう報道がされております。これはつまり、こういうものをやったら風評が立つからということで農水省の方はこういう態度をとっていたわけですね。

 ですから、先ほどのぬれぎぬだという記者会見での発言とあわせて、日本では狂牛病なんか起こるわけないと、もう省全体挙げてそう思い込んでいた、こう断定せざるを得ないと思うのです。ですから何の対策もとらない。これはちょうど、先般の核燃料加工施設のジェー・シー・オー、ここでも臨界事故など起きるわけがないということがああいう深刻な事故を起こしたわけなんですが、あそこでも、バケツで燃料をくむという信じられないようなことが行われていたわけでありますけれども、今回も、BSEの疑いの牛は、八月六日に起立不能で持ち込まれて、翌日にもう肉骨粉にされているわけです。これも本当に信じられない。しかも、その発表の仕方にも大きな問題があったということは既に報道されているわけでありますけれども、こういう幾つかの事実を挙げますと、政府の責任というのは本当に大きいものがあると思います。人的、組織的にこれについて責任をとって何らかの措置をとった者は一人もいないわけですね。

 この点、体制を一新して取り組むべきじゃないか。これはもう今、新聞等の社説でも言われていますし、大きな世論にもなっているわけなんですが、調査委員会を立ち上げて云々に済ませないで、やはりここは、それこそ信頼を回復する大きな一つの手だてとしてきちんとしたけじめをつけるべきじゃないかと思いますが、そこの点、大臣、いかがでしょうか。

武部国務大臣 まず最初に、今委員と局長のやりとりの中で、もう少し私なりに知っていることをお話しさせていただいて、最後の責任問題についてお答えしたいと思うのです。

 総理からも、縦割り行政にならないように、そういう御指摘もいただきました。それはどういうことかといいますと、屠畜場に牛が入るまでは農林水産省の所管ということになるわけです。屠畜場に入った瞬間からこれは厚生省の所管ということになりまして、今回の場合には、屠畜場による屠畜検査においてBSEを疑わないという結果、敗血症ということで全部廃棄ということで、それは食肉等には回りませんでしたが、レンダリングに回っていたということでございます。もしここでBSEを疑って検査すれば、結果は焼却処分というマニュアルになっているわけなんです。

 それから、なぜそれではその屠畜場から家保の方に検体が回っていったんだというのは、これは、農林水産省で年間およそ三百頭をめどに通常のサーベイランスをやろうということになっているわけでございます。しかし、これは農場でBSEを疑うような起立不能の牛はないか、ないかと言ったところで、なかなか出てまいりません。それは、もし自分のところの牛がBSEなんということになれば大変な騒ぎになる、そういう生産者の思いもあるのかもしれません。

 いずれにいたしましても、なかなか集まらないので、農林水産省としては各屠場にそういう起立不能の牛だとか、いろいろ心配されるようなそういうものを提供してもらいたいということで提供してもらった、その一つであったわけでございます。

 私は、ですから、家保における検査、そして動衛研における検査などが、今委員指摘のように、本当に気が遠くなるような時間がかかっておるわけです、私からいたしますと。それは、これは単なるサーベイランスの一環でやっているというような、そういう安易なといいますか、これをBSE発生を疑って、さあ大変だというような意識がない。これは委員御指摘のとおり、危機意識というか、日本からはBSEなどというものは出ない、そういう甘い認識以外の何物でもない、私はかように思います。

 したがいまして、今度のようなことが起こり、当初、発表、焼却処分したはずだと言って、そうでなかった。私は、じゃ、そこでなぜ焼却処分していないんだということの方がむしろ大きな問題だったのじゃないか、かように思います。

 そこに我々は反省点を求めて、検査体制だ、検査体制をしっかりやるということが何よりも大事だということで、農林水産省としても、農場段階におけるサーベイランスも徹底することにいたしましたし、厚生省が全頭検査ということに踏み切っていただいたわけでございます。

 これまでの間は、とにかく間断なく、仕事をやるということに追われてきたということが実態でございまして、今後、調査委員会は、先ほど委員指摘のように、過去にさかのぼってさまざまな問題を検証するということも第三者委員会における一つのテーマになっておりますし、私どもといたしましては、そこでさまざまな御提言をいただいて今後の対応に努めてまいりたい、かように考えております。

 なお、この委員会は人事権者ではありません。第三者の集まりでありますので、当該委員会の場において行政対応を行った者の責任を議論するのは私は適当ではない、かように考えております。

 行政責任については私が判断すべきことと考えておりまして、その際に当該委員会における検証内容を参考にすることはあり得ると考えております。

大森委員 同じく、十八日に発表された一連の対策についても質問を予定しておりましたけれども、時間の関係もありますので、流通面の改革、きのうのテレビのニュースでも十八日の声明以降も、最近の価格動向でも余り変化していない、引き続き下がったままだということで、精肉店等々関係業者が本当に大変な思いをされているわけです。

 そこで、中小企業庁関係でのセーフティーネット保証、これについて、一つは無利子融資、こういうものを検討できないか、それからその他の制度融資の利用状況にかかわらず保証の問題、これもきちんと保証してほしい、損失補償、これもぜひ検討してほしい、こういう声を聞いておりますけれども、経済産業大臣、ぜひ前向きの御答弁をいただけたらと思います。

平沼国務大臣 確かに御指摘のとおり、大変流通業者も狂牛病によって多大の被害をこうむって、大変な状況になっていることは事実でございます。

 無利子化すべきか、こういう御指摘でございますけれども、我々としては、具体的に影響を受ける中小企業者に対しましては政府系中小企業金融機関から運転資金を別枠で、かつ、担保条件においても利用しやすい条件で貸し付けるセーフティーネット貸付制度を適用しております。加えて、セーフティーネット保証制度も適用して別枠で信用保証も行っているところでございます。

 無利子融資についてでございますけれども、主管の農林水産省における前述の低利融資制度を含めた各般の対策の実施状況や今後の対応方針を十分踏まえまして考えられるべき課題だ、こういうふうに認識しておりまして、我が省といたしましては、いずれにいたしましても、前に述べたセーフティーネット対策等に万全を期して、そして大変な状況になっておられる方々に対して一生懸命我々としては政策を実行していきたいと思っています。

 それから、損失補償の問題でございますけれども、主管の農林水産省が関連事業者の業態及び影響の内容等に応じて進められている個別事業ごとの対策の実施状況や、これも対応方針等十分踏まえながら、我々としては一緒にこういう形でやっていこう、こういうふうに思っておりまして、こういう状況ですから、なるべくきめ細かく対応させていただいて、そして各所に相談窓口も設置させていただいておりますし、具体的に相当大きな相談も、たくさんの相談も寄せられておりますし、それに対してはいわゆる補償枠の設定や融資も行わせていただいておりますので、さらに強化をしていきたい、このように思っています。

大森委員 先ほど農水大臣の方からありました、十月十七日以前の肉の問題です。

 これはきのう、きょうのテレビのニュース等でも、東京都の杉並区で業者が自主的についに処分を始めたというショッキングなニュースもありました。みずから業者が自分の商品を処分する、本当にこれはつらい思いだと思うのです。

 それで、先ほど若干の御答弁がありましたけれども、これをどうするかということで、これはもうそろそろ大臣の決断をしなくちゃならない時期に来ていると思います。これは保管料だけでも百億近くかかるというわけでしょう。しかも、その処理、処分についてまだどうなるかわからないというのが多くの皆さんの率直なところですね。その方がはるかに大きなこれはむだ遣いになるんじゃないか。

 ですから、これはもう思い切って全量を買い上げる。今、卸売店だけじゃなくて、小売業の方ではもう自主的な処分も始まりましたけれども、小売店のものも含めて、ここはもう大臣の決断で、買い上げるということをぜひ御答弁いただきたいと思います。

武部国務大臣 念には念を入れて、不安を払拭するということが一番大事なことだ、こう思っておりまして、牛肉流通の円滑化を図るために、十七日以前に屠畜された国産牛肉の在庫を市場隔離するということにしたわけでございまして、二十六日から実施しております。

 具体的には、生産者団体、その会員等が所有する、十月十七日以前に屠畜された国産牛肉在庫を買い上げ、冷凍保管、冷蔵庫から搬出させないというものでございます。市場隔離後の最終処分については、予算も八カ月分確保しているわけでございまして、今後検討することとしておりますけれども、さまざまな選択肢が検討の対象になろうかと思います。

 もともと食肉は安全、こう我々は言い続けてきているわけでございまして、消費者に不安を与えることのないように、国の責任において、消費者の理解が得られない段階で絶対外に出さない、それを旨として万全の措置を期してまいりたい、かように考えます。

大森委員 時間が参りましたので終わりますが、桝屋厚生労働副大臣には、せっかくお越しいただいて、屠場問題を行う予定でしたけれども、別途また要望などを出させていただきたいと思います。

 食の安全、これは国民の生存のいわば安全保障にかかわる、一番重要問題であると思うのです。縦割り行政というお話もありましたけれども、私は、食の安全については、農水省がやはり一元的に全工程できちんと責任を持つ、他省庁のさまざまな補完的な役割は当然あるにしても、こういう決意がまず必要じゃないかと思います。

 狂牛病だけではなくて、ことしは既に、例えばO157も去年よりは一千件も感染例がふえている、死亡者も五人も出ているわけですね、こういう問題。あるいは遺伝子組み換え食品での、食品に混入した問題とか、さまざまあるわけでありますから、やはり冒頭大臣の決意であった、どんなことがあっても、どういう表現でしたかちょっとあれですが、本当に何があってもおかしくない今日の時期でありますから、そういう危機意識をしっかり持って行政に当たっていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 この決算行政監視委員会で久しぶりに質問をさせていただきます。

 本来ならば坂口厚生労働大臣にお越しいただきたいところですけれども、本日、厚生労働委員会開催というところで、政府参考人に簡潔に答えていただきたいというふうに思います。

 年金は大変に大切な制度ですけれども、この年金制度の広報について、これは国民が納めた保険料から、伺うところによりますと、二十二億円程度使って広報活動が行われている。

 こちらが中学生向けのパンフレットですね、中学生向けです。そして、高校生向けにもこういうパンフレットがつくられているというふうに伺いました。

 ところで、こちらの「明日があるから国民年金」。これは昨日伺ったところによると、新成人、今度二十になる皆さん向けにつくられているということなんです。これは中学生、高校生向けのパンフレットは社会保険庁が発行しているのですが、こちらは年友企画というところが発行されているんですね。これは買い上げているというふうにおっしゃいました。

 見ると六十九円と書いてあるんですね、六十九円。値段がございます。そうすると、新成人、今度二十になる皆さんは、調べてみると百五十一万人なんです。およそ一億円ぐらいの、六十九円掛ける百五十一万人分の買い取りというのをされているのでしょうか。

冨岡政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの広報資料についてでございますが、社会保険庁といたしましては、広報の充実のためにいろいろ年代ごととか、そういういろいろな広報を実施しております。

 お尋ねのパンフレットにつきましては、新成人の方向けのものでございまして、若者に普及するという点が非常に大事なものですからやっておりますが、御指摘ありました点につきましては、一部六十八円ということで新成人の数に見合う分を買い上げまして、市町村にお配りしております。その数は百六十八万五千部でございます。トータルの購入額は八千八百三十万円となっております。

保坂委員 百六十八万掛ける六十八というのは八千八百三十万円になるのですか。これはならないと思うのですけれどもね。

 それともう一点、いろいろこういった資料を集めていまして、この六十九円と書いてあるバージョンと、値段も書いていないというものも社会保険事務所などで配られているようなんですが、そこはどういうふうになっているのですか。新成人以上に配布用にもあるのでしょうか。――ちょっと時間がないので、早く。

持永委員長 早くしてください。

保坂委員 そんな相談するようなことじゃないから、どうぞ。

冨岡政府参考人 ただいま金額についてでございますが、先ほど申し上げましたのは、十二年度の実績の八千八百三十万円と申し上げましたが、大量に購入するものですから、やはり単価がそれなりに値引きされるという事情がございます。

 それから値段がついている、ついていないという点については、担当の者にも今確認したのですが、ちょっと今わかりかねますので、申しわけございません。

保坂委員 国民が納めた保険料ですからね。一億円近い、八千八百万円だって相当の金額ですよ。これはしっかり後で報告してください。

 「年金を「構築」する」というこの白書ですね、厚生省年金局。こちらの方はどのような目的で、どのようにつくられたのか。何部ぐらいつくられているのか。政府刊行物センターなどで売られているのですか。簡単に答えてください。

辻政府参考人 俗に年金白書と私どもは呼んでおりますけれども、これは、年金について国民的な議論をいただきます上で、基礎的な情報というものを国民の皆様に広く見ていただく必要があるということで作成したものでございます。

 具体的ないわば配布の仕方としましては、その広報に当たりまして、広く一般国民に対して年金制度のPRを行う観点から、民間事業者、これは社会保険研究所というところですけれども、企画を募って、その中から選定した業者に作成させまして、その際に、各種必要な資料、素材はこちらが提供いたしまして、そしてそれを買い上げるという形で、千三百部私どもが買い上げて、いわゆるその白表紙でございますけれども、そういう形で一括してつくっていたものから買い上げて、そしてそれを各方面に配布するという方式をとっております。

 なお、もとより、監修料といったものは一切私ども受け取っておりません。

保坂委員 次に聞こうと思っていたことを答えていただいたのですが、実は二通りあるのですね、こういう二通りがある。こちらは厚生省年金局ですね。今お答えいただいたのは社会保険研究所作成。これは二千円なんですね。中身は全く変わらないのです、版も含めて。

 これは、本来は役所でこういう白書をつくるときに、中身もこれは大変ですよね、版下もつくらなければいけないわけですね。そういう部分についての経費というのは一体どういうふうになっているのか。どうしてこちらの社会保険研究所というのがこれを発行して売っているということになっているのか。

 そしてまた、いろいろ調べてみますと、先ほどの年友企画というのはこの社会保険研究所の子会社なんですね、ホームページで見ると。どうもこの辺釈然としない。どうしてこんな二重の仕組みをつくっているのか。こちらの、出版を業務としている会社ですよね。こちらの方には、では年金局で蓄積されたさまざまな資料やあるいは中身について、どの程度こちらの方は経費負担しているのか、そのあたりいかがですか。

辻政府参考人 私ども自身がPRしなければならない部分というのをどこで刷っていただき、そしてそれを買い上げてするかという問題でございまして、私どもが今まで作成した資料をそのまま提供いたしまして、その後は、提供したものを、例えばこの場合はその出版業者が作成した、それについて私どもが必要な価格で買い上げた、こういう仕組みになっております。

保坂委員 どうも年金の広報も、これはしっかり見ていかなきゃいけないと思うんですね、保険料ですから。その保険料が幾重にも、下請へ出されたり民間業者に発注されたりと、非常に釈然としないんですが、では、こういうパンフレットを発送する運搬業務がありますね。この運搬業務について、イシカワコーポレーションという会社が主になっている。協新流通、小野包装という会社もそれなりに運んでいるというふうに聞きました。

 さて、そのそれぞれの会社のシェアですね、どのぐらい運んでいるかということについてお話しいただきたいのと、直接社会保険事務所に運ばずに、これは社会保険健康事業財団の東日本配送センターなどに納入して、またそこから動かしている。これはむだじゃないですか。この点について、いかがですか。

冨岡政府参考人 どうも申しわけございません。

 ただいまお尋ねの広報用パンフレットの運送につきましては、実は、全国的に同じようなものをつくっておりますものですから、分量が非常に多くなります。それで、その発送につきましては、十二年度のものを調べましたところ、株式会社イシカワコーポレーションというところに九%、協新流通デベロッパー株式会社が五二%、綜合ライフサービス株式会社が三七%、株式会社小野包装というところが二%、そのようになっております。

 それから、実は、どこに運搬するかという話なんですが、例えば社会保険事務所で使用するもの、それから市町村の窓口でお配りするもの、いろいろ使用する場所、目的が違いますものですから、それに合わせて運んでいるようでございますが、ただいまの御指摘の団体の倉庫を経由してという点については、ただいま初めて伺った話なものですから、ちょっと確認しないと……。申しわけございません。

保坂委員 それでは、そちらの運搬の手段、一応企業名を挙げて言ったのは、こういうものは競争入札にしてしかるべきじゃないか、随意契約をしているのはおかしいということもあわせて、それを把握できる資料を後ほどお出しいただきたいと思います。

 さて、いろいろ調べてみると、社団法人全国年金受給者団体連合会というものがあるんですね。こちらは、例えば東京都だと二千二百円、お一人の年金受給者が年会費で払うという形になっています。資料を求めましたところ、東京は五万人以上会員になられている。そして、これは都道府県別にあるようなんですが、全国厚生年金受給者団体連合会というのは連合会です、都道府県別にあるようなんです。東京都の職員を見ますと二人しかいないんですね。二人が五万人をどうやって集めるのか。これは社会保険庁の新規年金受給者のリストなどを提供しているんじゃないか、こちらの任意団体に。社会保険事務所で、新規受給者に対する説明会などのときに実際協力していると思うんですね、こういった団体を紹介して。ここらにちょっと相当問題があるんじゃないですか。

 プライバシー保護をきちっと規定をしている、新規受給者のリストなどは外に出しちゃならないという決まりがあるはずです。そのあたりについて、いかがでしょうか。

冨岡政府参考人 全国の厚生年金の受給者協会は、各都道府県ごとの任意団体であります厚生年金受給者協会がまとまって社団法人になっているものでございますが、その会員の募集は各都道府県単位で行っているということでございます。

 それで、こういったお尋ねがあるということで至急近県の方に事情を聞いてみたところ、確認したわけでございますが、基本的には、団体の活動として、広報なり、いろいろな役員なり、ボランティア的な役員なり、それからOBを通じということでございますが、中には、都道府県によりましては、社会保険事務所におきまして、受給者向けの手続の説明会といったものでいろいろな広報をしておりますが、そういった折に広報誌、パンフレットを配る、そういったことは聞いております。ただ、私どもの社会保険事務所がこの名簿を、そういったものを出しているということはないというふうに聞いております。

保坂委員 では、これについても、こちらの年金受給者のこういう社団法人について、活動の詳細を後ほど御提出いただきたいということを要望しておきます。

 さて、この委員会でもたびたび公的宿泊施設問題というのは取り上げられたんですね。有名なグリーンピアについて、私、ちょうど二年前の秋に資料請求いたしました。こちらは、財団法人グリーンピアが株式会社グリーンピアにいわゆる請負契約をした際の契約書などを欲しいと言って、来たのがこちらなんです。これを見ると全部金額が白紙です、日付もすべて。これはホワイトで消してあるんですね。よく見ると、コンマが残っていますから。これを実際本物を手に入れて見ると、ちゃんと金額が書かれているんですよね、金額が書かれています。

 国会において、この決算委員会で要求した資料なんですね。この委員会のやりとりをもとにたびたび資料請求していますけれども、やはり国会の目できちっとこのグリーンピア問題など財務がどうなっているか見るというときに、こういうものを出してくるというのは不見識じゃないですか。ちょっと一言お願いします。

辻政府参考人 私ども、グリーンピアの運営につきましては、あくまでも透明に御説明するべきでありまして……(保坂委員「だから、なぜこんなのを出したのか。何でこんな白紙で出したの」と呼ぶ)その点、ちょっといきさつを承知いたしませんが、私ども、そのことを、少なくとも今の時点でもすぐ、お示しせよと言えばお示しいたしますし、それを隠す考え方はございません。

保坂委員 それで、なぜ隠したかというあたりがこの辺かなと思うのは、グリーンピア恵那のこの内容を見ると、事業収入が例えば平成十年度で四億五千万円なのに対して、請負金額、これが四億九千万なんですね。事業収入より多いわけです。もうこれは赤字になるのは必定ですよね。

 そういうようなことを含めてやっている限り、これは、グリーンピアの放漫財政みたいなものはたびたび取り上げられてにぎわしているけれども、なかなか改善されていないんじゃないか。やはり私だけじゃなくて、当委員会にぜひ一括して、正しい、間違いのない資料を出していただきたい。いかがですか。

辻政府参考人 お答えします。

 基本的に、グリーンピアは今、株式会社の請負の契約につきましては、基金が県に委託をいたしまして、県がまた経営いたしますときに第三セクター的に会社をつくりまして、そこに請負で契約するということでございます。その場合に、私ども、県の運営につきましては独立採算、そして、もし赤字になっても、それについては保険料を充当してその赤字を埋めるというようなことはいたしておりませんので、県といたしましてもその採算が合うように全力を尽くしていると思います。そういう状況のもとで今言ったような数字が出ているんだと思いますが、御要請の資料、私ども隠す考えは全くございませんので、出させていただきたいと思います。

保坂委員 では、これは出させていただくということなんで、ぜひ委員長の方からもお願いいたします。

 雇用保険について一点だけ伺います。日本経済新聞に、雇用保険料が値上げされる、これは、ことし値上げされたのにまたこの値上げに入るということでかなり不安を広げていますが、これは本当ですか、この記事は。雇用保険料緊急値上げを厚生労働省検討へと。いかがでしょう。簡潔にお願いします。

青木政府参考人 雇用保険制度についてのお尋ねでありますけれども、御案内のように、雇用保険制度につきましては本年四月から、保険料の引き上げや失業給付の重点化など制度全体の改正を行いまして、四月一日から実施をいたしております。すなわち、この改正制度の施行後、まだ半年程度しか経過しておりませんので、これが雇用保険財政にどういう影響を与えるということは、これからまださらに運営をしてみなければ見きわめがつかないところでございます。

 そういったことから、当面は、現行の制度を前提に適切に運営してまいりたいというふうに考えております。

保坂委員 ということは、値上げを検討に、こういうふうに書かれていますけれども、そこまでいわばギアチェンジはしていない、こういうことで伺っていいんですか。

青木政府参考人 新聞記事は、私ども承知しないところであります。

保坂委員 新聞記事は承知しないじゃなくて、ちゃんと質問予告で言っているんですから、承知しているわけですよ。ですから、こういう値上げについて、これはやはりいろいろな社会不安が広がっているんですよ。この雇用国会と言われている中で、これで補正の議論も始まるわけですから。その点はっきりさせてほしいんです。承知していないんじゃなくて、聞いているわけですから。こう書かれているのは本当ですかと聞いているんですよ。どっちなんですか。不正確なら不正確だと言ってください。

青木政府参考人 繰り返しになりますが、現在の制度を、保険料それから給付の中身につきまして……(保坂委員「そうするとこれはどうなるの、これは何、誤報」と呼ぶ)誤報と申しますか、私ども、取材を受けてやったわけではありませんので、その経過については承知しておりません。

 ただ、私どもは、雇用保険制度につきましては、保険料、現行制度も含めて、現在の制度を着実に運営してまいります。保険料値上げを今するということを検討しているわけではございません。

保坂委員 検討しているわけではないということをきちっと聞いておきたいと思います。

 それでは、先ほども同僚議員からありましたけれども、狂牛病、BSEの問題について簡潔に伺いたいと思います。

 この狂牛病から日本の牛を守るために、汚染された肉骨粉は輸入をしない、そして牛には肉骨粉を食べさせない、この原則のもとに農水省の飼料検査が行われてきたはずだと考えております。九六年以降、そうした行政指導も行われたんです。このことは徹底されていなければ困るという議論が現在あると思いますけれども、これからこの問題、重大問題で、恐らく多くの国民が――今の検査体制をこれからしっかりしていくという問題は、農水省の、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、そういう決意はわかった。しかし、何が原因でこの事態が発生したのかということは解明されていませんよね。

 これについて、一点目なんですけれども、過去五年間、検査方法、具体的な改善が行われたのではないか。つまり、五年間同じ検査方法ではなくて、より正確を期する検査方法に改善をされたんではないかと思うのです。国内の研究所の、その際の検査における研究成果や調査の報告、あるいはこのようにしようという提言、あるいはこのように検査方法が変わりましたよという資料を当委員会にぜひお出しいただいて、そのところをきちっと議論を深めていきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 今お話がございました中で、検査方法ですね、これが九六年以降どういうふうになってきたか、ちょっとその点から御説明申し上げたいと思います。

 九六年の四月の指導通知以降につきましては、基本的に飼料の形状とか色、光沢、こういうものを検査するという形で進めてきております。その中で、それをいわばきちんと的確にするために、ことしの一月からは、顕微鏡による、そういった鑑定によりましてえさの中の肉骨粉を検出したいという形で、顕微鏡を導入した。これは、ことしの一月でございます。

 現在、また一つの検討をしておりまして、特に肉骨粉の中で、牛の飼料が入っているかどうか、これをきちんと把握するために、例えば遺伝子の識別とか、それから牛のたんぱく質の検出ということで、これはPCR法、遺伝子です。それからエライザ法、たんぱく質でありまして、こういうものが活用できないかということで、これは、私どもの独立行政法人の肥飼料検査所とか、それから生物資源研究所、あるいは畜産装置研究所と共同でその実用化の試験を今進めている、そういった状況でございます。

保坂委員 これからそういった汚染された肉を流通させてはならないという問題と、この決算行政監視委員会は、過去を検証するという大切な役割があるんですね。ですから、この五年間、先ほど答えていただきましたけれども、それらの点について十分な資料を提出していただきたい、これにお答えになっていないですよ。答えていただけますか。

小林政府参考人 まず一つ、九六年から形状とかそういったものに検査をやってきていましたので、それをどういった形、仕組みで検査員がやってきたか。これは、提言とか方向とかいったものじゃなくて、実際にどういうふうにやっているかということは、ここでも御答弁なりあるいは資料でそういった……(保坂委員「いや、だから資料を出してください」と呼ぶ)では資料で、そこは整理したものを。それはこういう検査方式でやってまいりましたということは一つございます。

 それから、先ほども、これからのあれとしましてエライザとかPCR、これにつきまして、かつて装置試験研究所とかそういったところで、検査というよりも肉質を判定するときにどうかと、そういうことで進めるためのいわばいろいろな研究結果がございまして、それを今回援用するわけですが、そういったもののデータも一つのあれでございますので、そういうのをまたそろえて提出したいと思っております。

保坂委員 この点も、委員長、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一問なんですが、出していただきたいデータ。これは、九六年以降の検査体制の中で、牛の飼料やその飼料の原料となるものの中から肉骨粉が検出されたケースがあったかどうか。もしあった場合には、これが流通しないように、これを阻止するために防御措置をどのようにとったのかということについても、同様の資料提供をいただきたい。これをお願いします。

小林政府参考人 今までの経過をちょっと御説明申し上げますと、九六年のその通達に基づく検査をやってまいりました。これは肥飼料検査所という機関でございます。大体年間延べ六百カ所、一工場当たり二回程度、こういう検査をやっておりまして、製造記録の確認なり製造工程の検査をやってきておるのが一つでございます。

 それから、ことしの一月から、この検査所がこういうものについて顕微鏡検査を行いました。これは先ほど申し上げたとおりですが、いずれの検査を通じましても、現在までこの検査の結果、牛用の飼料から肉骨粉が検出された例はございません。そういったことでございます。

保坂委員 もう時間も押してきているので。さっきから同じパターンが続いているんですが。やはり出てしまったわけですね、出るはずがないというものが。これは、原因をきちっときわめなければ国民は安心できない、当然ですよね。ですから、そのことを我々国会で議論するのに、できる限り過去の資料をいただきたい。先ほど、一問目についてはお答えいただきましたけれども、肉骨粉は検出されなかったと今おっしゃいました。ではどこから出たのかというのをやはりきわめていかなきゃいけないんですよ。ここだというところがあったら、それを断たなきゃいけないということですね。そういう意味であらゆる、こちらの牛の飼料や飼料原料の中からの、これを検査したデータ、こういうものをしっかり出していただきたい。ここに絞ってお願いします。

小林政府参考人 今、感染経路の究明ということで、今回のBSEの発生に伴います調査を進めております。そういった調査も別途ございますので、そういった中でどういう資料が今の先生の御指摘に沿うのかどうか、これをちょっとまたあれしてみまして、今の御指摘の点では今までなかったということでございますので、資料としてもなかったということになるんですが、それに加えて、そういったいろいろな今調査を進めている中で、どういった資料が必要かということにつきましては、また私ども、資料をそろえていく中で調査を進めたいと思っております。

保坂委員 どうしてなのかな。わからないんですね、これは。なぜ、どのように感染したのか、わかりません。しかし、牛の飼料というのは各国でもそれなりに疑われているわけで、これはこういう検査所で、こうやって調べてきましたよ、肉骨粉は出ませんでしたよというのがあると思うんですよね、農水省の試験場なり研究所の中に。そういうものはすべからく出していただいて、ああなるほど、こうなのか、ここはどうなっているのという議論をしないとこの問題は深まらないので、その点だけきちっと、そこを出してくださいと言ったわけですよ。

小林政府参考人 失礼しました。最初の方にちょっとお答えしたつもりだったものですから。

 そうやって、検査機関がどういう検査をしてきたか、その結果どうか、それはまたそろえて御提出いたします。最初の方で答えたと思ったものですから。

保坂委員 それでは、お出しいただけるというまでに時間がかかったんですが、お出しいただけるというふうに答弁をいただいたと思うので、ぜひ速やかにお出しをいただいて、安心が戻るように、食の問題は大事ですから、お願いをしたいと思います。

 以上、終わります。どうもありがとうございました。

持永委員長 この際、午前中の木下君の質疑を続行いたします。木下厚君。

木下委員 先ほどの続き、十分させていただきます。

 先ほどの質問の中で、このリストの財源、予算費目を明らかにしてほしいということでお願いしたんですが、結果はどうなりましたでしょうか。

小町政府参考人 お答えいたします。

 先生配付の資料に関連いたしまして、次のとおり、特に費目につきましては、個々の購入案件につきまして、庁費及び交際費での支弁案件を明示することといたしたいと思います。

木下委員 できるだけ早急にお願いしたいと思います。

 それから、先ほどの質問の中で、一点、この購入リストの中に、外務省本省と、それから個人的に購入した分と諸機関が購入した分があるという答弁がありましたが、その諸機関というのは何なのでございますか。

小町政府参考人 内閣を含んでおります。

木下委員 そうすると、他の省庁ということですか。

小町政府参考人 さようでございます。

木下委員 それもおかしいですね。何で他の省庁が外務省のコードの中に入っているのか。

小町政府参考人 政府要人の外国訪問の際に必要となります贈呈品等を外務省が連絡をして買い付けること等がございますので、そういうことになっております。

木下委員 そうしますと、それは当然内閣府から入金されているということですね。

小町政府参考人 さようでございます。

木下委員 それから、この三越側の資料でどうしてもわからないのが、この資料は平成十二年度の三月から四月の一カ月間です。大体、これは省庁も一緒なんですが、年度末から翌年度にかけての一カ月間のデータなんですが、その年度末の二十七日から三十一日にかけてすさまじい物品を購入しているわけですね。二十七日から三十一日にかけて。とりわけ、三月三十一日です、これは土曜日ですけれども、三百六十五点で合計三百万円以上一気に購入しているわけですね。三十一日土曜日ですよ。これを見ますと、そうすると、年度内の予算を消化するために購入した、そうしか受け取れないのですが、どうですか。

小町政府参考人 結果的にそういうふうになったかと思いますけれども、これはたまたまそのタイミングで購入するということになったというふうに理解しております。

木下委員 そんな答弁ないですよ。たまたま三十一日の土曜日にわざわざなった。何か特別の行事か何かあったんですか。

小町政府参考人 特に承知しておりません。

木下委員 じゃ、それはきちんと調べて報告してください。なぜ三十一日にそれだけ固まったのか、その理由があるはずです。それをきちんと御提出してください。それもここ五年ぐらいの資料、その年度末の購入品目を出してください。よろしいですね。

小町政府参考人 今の御質問を踏まえて努力したいと思います。

木下委員 それからもう一つ、この外務省からいただいた三越への支払い一覧、これを見ますと、支払いが非常にルーズになっているんですね。日にちがもう、例えば、四月二十五日に払ったかと思うと五月九日、十六日、十六日、二十三日と。要するに、普通民間会社でも、例えば二十日締めの三十一日払いとか、そういう形で一括して締め切りを設けてきちんと払う、清算する。これが通常の会計のやり方なんです。これを見ますと、もうのべつ幕なし多い金から小さい金まで、勝手気ままと言っては失礼だけれども、入金されている。一体この支払いはどうなっているんですか。そういう形式になっていないですか、例えば二十日締めの三十一日払いとか。

小町政府参考人 必ずしもそういう形になっておりませんで、外務省におきましては、けさほども御説明したかと思いますけれども、決裁を完了した後、各局課から注文いたしまして、三越から納品請求書を受け取りまして、その請求書を受けましてから支出決裁を起案して行っておりますので、こういった今委員御指摘のいろいろな日にちに決裁が行われている、こういうことでございます。

木下委員 会計検査院、他の省庁もこんなやり方をしているのでございますか。把握していますか。済みません、突然の質問で。

石野会計検査院当局者 申しわけございません。今、私の範疇でお答えできるものがちょっと手元にございませんので、どういう状況か、少し見てみたいというふうに思います。

木下委員 それから、通常、この三越の資料を見てもそうですし、それから、外務省が出した三越への支払い一覧、これを見ても、普通、例えば売掛金でお金を払っていくという場合は、大体年度末の三月三十一日で締めて、今までの売掛金を全部清算した上で、そこで十二年度の予算をきちんと締めて新年度へ移行する、これが普通のやり方だと思うのですが、これを見ますと、一度も締めていないんですね。もうのべつ幕なしにどんどん金は入る、金を入れる、どんどん物を買っていく。いつ締めているんですか。

小町政府参考人 四月中が整理期間でございますので、四月中に実質的にきれいに清算をしております。

木下委員 いや、四月中といっても、今この支払い一覧を見るとそういうふうになっていないんですけれども、これでなっているんですか。四月中に締めて、きちんとゼロになっていますか。

小町政府参考人 この点、再確認する必要がございますけれども、三越側の手続が、向こうの締め切りとかがちょっと、向こう側のやり方がございますので、今委員御指摘のようなきれいな形にはなっていない、こういうふうに理解しております。

木下委員 こっちの三越側の資料だったらわかるんです。これは入金しても三越側のあれで処理をしていく、処理がおくれるという場合もあるんですが、これは外務省が出した資料ですよ、こっちの方は。支払い一覧というのは。だったら、きちんと末に締めて、それはどうなっていますか。

小町政府参考人 委員お手持ちの外務本省から三越への支払い一覧、例えば、十三年四月十八日で我々としては十二年度の分を締めている、こういうことでございます。

持永委員長 木下君、時間ですから簡単にお願いします。

木下委員 最後に、会計検査院長、せっかく来ていただいたので、今までのこの外務省と三越との、いわゆる個人も入ったり外務省が入ったり、あるいは諸機関も入ったりというような、あるいは支払いもまちまちだということに対して、一言御見解をひとつ。

金子会計検査院長 会計検査院では、物品役務の調達一般についてことし重点的に検査をしております。その中で三越の問題も概念的に含まれるというふうに考えておりますし、また、外務省の取引相手としての三越との取引について、外務省の費用が適正に執行されているかどうかということについて厳格に検査をしていくという方針でございます。

木下委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

持永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十三分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.