衆議院

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第4号 平成13年11月21日(水曜日)

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平成十三年十一月二十一日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 浅野 勝人君 理事 木村 義雄君

   理事 菅  義偉君 理事 萩野 浩基君

   理事 石井 紘基君 理事 生方 幸夫君

   理事 高木 陽介君 理事 中塚 一宏君

      相沢 英之君    逢沢 一郎君

      伊藤信太郎君    奥谷  通君

      木村 太郎君    小西  理君

      下村 博文君    谷  洋一君

      土屋 品子君    中村正三郎君

      額賀福志郎君    橋本龍太郎君

      森岡 正宏君    森田  一君

      山本 公一君    池田 元久君

      木下  厚君    今野  東君

      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君

      松崎 公昭君    山田 敏雅君

      渡辺  周君    若松 謙維君

      大森  猛君    中林よし子君

      山口わか子君    近藤 基彦君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   国土交通大臣       扇  千景君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君

   会計検査院事務総局事務総

   長官房総括審議官     重松 博之君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局

   長            増田 峯明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部

   事務局長)        林   梓君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛庁管理局長)    嶋口 武彦君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 滑川 雅士君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   竹内  洋君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   木谷 雅人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局国立病

   院部長)         河村 博江君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局家庭福祉課長)  中村 吉夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部

   長)           永村 武美君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  川島  毅君

   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  中川 秀直君     下村 博文君

  神崎 武法君     若松 謙維君

  穀田 恵二君     中林よし子君

同日

 辞任         補欠選任

  下村 博文君     木村 太郎君

  若松 謙維君     神崎 武法君

  中林よし子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     中川 秀直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件




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     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官坂篤郎君、内閣府国際平和協力本部事務局長林梓君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁管理局長嶋口武彦君、総務省行政評価局長塚本壽雄君、総務省自治財政局長香山充弘君、法務省大臣官房審議官河村博君、外務省大臣官房長小町恭士君、外務省大臣官房審議官滑川雅士君、財務省主計局次長杉本和行君、財務省理財局次長竹内洋君、文化庁文化財部長木谷雅人君、厚生労働省健康局国立病院部長河村博江君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長中村吉夫君、厚生労働省老健局長堤修三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩野浩基君。

萩野委員 おはようございます。

 大変会期末が迫ってきてお忙しいところを、堤局長さん、一緒に介護保険やらいろいろやってまいりましたが、施行しましてもう一年半が過ぎましたので、きょうは介護保険制度に絞って質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 何か最初変な入り方をしますが、皆さんも御存じと思いますが、イギリスのかの有名なサマセット・モームというのがいますけれども、このサマセット・モームが、だんだん世の中がすべて統計をとって、その統計をもとにああだこうだと言うようになった、そしてまた、ひどいのになると統計をもとにして絶対だという言葉を使うようになった。これは、人間が絶対という言葉は軽く使うべきではないということを言っていますが、ただ一つだけ例外がある、絶対と使わざるを得ないのは、人間はひとしく絶対に死ぬものである、こういうことを言っております。

 また、東洋ではブッダが二つの大事なことを言っていますが、一つは縁起という説、それからもう一つは生老病死ということを言っています。これを人間の一生の実相として見てきたわけでございまして、どうしても生まれてきたというのは老いていきますし、そしてやがて死を迎える。その短い人生の中に、それぞれが自己実現を図っていく。それなりに死を見詰めての人生であって、また、死んでいくことは美しい一つの摂理かもしれません。

 そういう点から考えまして、特に老いからの人生というのはその人の完成期でありまして、老いから人生の幕を閉じるまでというのが最も大切なときであろうと思います。しかし、皆さん御案内のとおりに、新聞等ニュースにおきましては、いろいろな目を覆いたくなるようなことが起こっております。

 そういうものから考えまして、この日本の中でも老老介護の問題が非常に重要な問題であるということで、我々はどのように老後を安心して過ごせるようにすればいいかということで、これを機会に抜本的に考え直してみようということで、社会保障、ソーシャルセキュリティーというよりも、社会政策……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえないかな。委員長、ちょっと。

持永委員長 お静かにお願いします。

萩野委員 社会保障、ソーシャルセキュリティーというよりも、社会政策、ソーシャルポリシー、または社会サービス、そういうアングル。もっとまた角度を変えるならば、ヒューマンサービシーズといいますか、福祉サービスというような形でこの介護保険制度を考えていってみようというのが一つの方針であり、また理念であったのではないかと思います。

 現実には、寝たきり高齢者の五〇%以上というのはほとんど三年以上になってしまいますし、また、それを介護している人の、初めは八五%と言われていましたが、後の調査によりますと九三%が女性の人が見ておる、これが現実でございました。

 そういうので、この介護保険制度というものをどのようにしていくかというのは、これは日本のこれから先にとって非常に重要な問題であるということは、私が言うまでもありません。

 ちょっと一例を申し上げますと、今申し上げましたが、家庭で介護をしている女性にアンケートをとったのです。先ほど九三%と申し上げましたが、その人たちにアンケートをとりまして、介護の対象であるお年寄りに憎しみを感じたことがありますかということに対しまして、どのぐらいかといいますと、三分の一が憎しみを感じておる。もっと驚くのは、憎しみを感じてどうしたかというと、虐待を現にしましたかということに対しましては、何と二人に一人、五〇%なんです。

 これはちょっと、私、名前を伏せますけれども、私の知っているお医者さんが寝たきりの老人のところを回って歩きまして、往診に行って、そのときに、おばあちゃん、おじいちゃん、元気ですかと言ったら、元気だ、こう言って、そして聴診器を当てて、ああ元気だと言ってそれで帰るわけにいかない。その後どうするかというと、体をひっくり返して見るんですね。そうすると、何カ所かに跡が残っておるということが現実だと。

 私は、これは介護をしている女性を責めるわけにはいかない。我々のこの制度自体を抜本的に考えていくことが大事なんだ。そういうもとにこの制度が発足した。これはくどくど言う必要はございませんが、当時、二百八十万人の介護を要する人がいまして、それがやがてこれから二十年後には五百万人を超える、こういう中からどのようにしたらいいかということでこの制度が発足したわけでございます。

 私は、これはドイツのまねをしたとよく言われておりますけれども、決してドイツのまねではなくて、ドイツを参考にはしておりますけれども、日本独自の新しい一つのテストケースであったと思います。その最大の特徴は、保険の主体というものが、福祉に一番身近にある自治体がその主体者になっておるということ。それから、今までは措置でありましたけれども、みずからそのサービスを選べるということ。そして三番目は、単にすべて保険に頼るのではなくて、そこに公的支援というものが五〇%現に入っておる。こういう形というのは、これはちょっと世界に例がないわけであります。

 僕なんかもいろいろなところで介護についてお話しするときに、これをわかりやすく言えば何かというと、自助、自分で自分を助ける、それから共助、ともに助け合うということ、それから、やはりこの自治体に住んでよかった、この日本に住んでよかったと思えるような公助。だから、自助、共助、公助、この三つのベストミックスを図るのが今回のこの介護保険であり、これがやがてこれからの医療、年金、いろいろな問題にも一つのテストケースになっていくのではないか、そのように私は思っております。

 こうやってきょうここを見回しても、橋本前総理、厚生に関しては大変関心を持っておられますし、また、厚生省で活躍されました持永委員長、こういう方がいらっしゃいますので、私は、いろいろな方の努力によって、やっとこれが生まれたと思います。だから、これをこれからよりよいものにしていくということが我々に課せられておる、そのように感じております。

 一応、スタートして、いろいろな報告は得ておりますけれども、思ったよりも少し順調にいっているのではないか、私とすれば、これをつくるのに参画した一人としてそのように感じておりますが、だけれども、まだいろいろ問題もあるだろうと思います。ある意味では、社会保障に関しまして本当に大きな革命的制度変革が行われたということにおきまして、これから円滑に実施されるかどうかと。

 その準備段階に私も全国四十数カ所歩きましたから知っておりますけれども、市町村の首長さんを初め事業者、こういう方が並々ならぬ御苦労をされたと聞いております。例えばケアマネジャーさん、この人たちは本当に、施行直前にはケアプランを立てなければならないというので、大変作業が集中して御苦労なさったと聞いております。話せば切りがございませんからこのぐらいにしますが、幾つかの課題も残っておるように思います。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたとおり、平成十二年四月、この制度が施行されてから一年半がたち、これからこれを定着させていくのにどのような問題が残っておるかということを、今ちょっと振り返るときではないかと思っております。そういう意味におきまして、厚生省、特にこの定着のためには努力されました堤局長さんに、厚生省が今どのようにとらえておられるか、ひとつ答弁をお願いいたします。

堤政府参考人 介護保険制度、今先生から御指摘いただきましたように、大変大きな制度改革でございます。

 高齢化が進みますと、御本人だけじゃなくて、夫婦それぞれの御両親、四人いらっしゃるわけでありますけれども、そういう方々を含めますともう九九%近くの方が何らかの形で介護問題にぶつかる、こういうふうに非常に大きな、普遍的な問題になってきたということで、先生おっしゃったようなドイツの制度も参考にしながら、しかし日本独自の仕組みもいろいろと工夫をして制度を組み立てて、大変な御努力をいただきながらスタートをさせたわけでございます。サービスの現場や市町村の皆さん方の大変な御努力が功を奏しまして、全体として見れば大きな混乱もなく、何とかスタートできたのではないかと考えております。

 例えば、制度の施行後、サービスが現在どのように利用されているかというのを見てみますと、施行前の十一年度と施行後、十三年の五月というところで比べてみますと、訪問介護、ホームヘルプサービスの利用回数は八二%ふえている、あるいはデイサービスの利用回数も五四%ふえているというふうに、サービスの利用は着実に進んできております。

 ただ、御指摘をいただきましたように、ケアマネジャーという新しい仕事をつくりましたけれども、こういう人たちが大変忙しくて、あるいはまだなれなくて大変だといったような御指摘もいただいております。あるいは、ショートステイが使いにくくなっている、そういうふうな御指摘もございましたので、逐次、運用の面でできる改善策は今までにもう既に講じてきております。

 これからは、量は大分ふえる素地ができてまいりましたので、質の改善といいますか、質の充実、確保、向上にも力を注ぎながら、引き続き制度の円滑な実施と改善に努めていきたいと考えております。

萩野委員 ただいま御答弁にございましたとおりに、さまざまな課題はあったものの、全体としてみれば落ちついてきている、そのように思っております。

 そこで、御苦労という言葉で言いますと、六十五歳以上の高齢者の一人一人に、みんなでこの制度を支えていただくということを御理解いただき、そして保険料を納入していただく。そういう面で、まだまだいろいろ御苦労が残っているのではないかと思います。

 それで、高齢者の保険料については、制度を円滑にソフトランニングするようにということで、平成十二年四月から半年間ほど延ばしましたが、この十月からいよいよ徴収に入っておるわけでございます。そうした点で、いろいろな配慮を講じつつ、やはりお年寄りの一人一人に、この制度の持つ趣旨なり意味なりを理解していただいて保険料を納めていただく、また、制度に参加し育てていただくということが大事ではないかと思っております。

 そういう意味で、この制度が上手にいくかどうかという点のかぎをその辺が握っているのではないかと私は考えておりますが、保険料の徴収状況というのはどうなっておりますでしょうか。

堤政府参考人 昨年の十月から保険料の本来額の半額徴収が始まりまして、ことしの十月からは本来額の徴収ということに移ってきております。

 御指摘いただきましたように、市町村、大変御努力をいただきまして、私どももいろいろなパンフレットをつくって市町村にお配りをいたしましたけれども、各市町村それぞれ工夫をして、また、いろいろな住民説明会といったような場に首長さんみずから出かけていって、何度も何度も御説明をいただくというふうな、本当に血のにじむような御努力をいただいたところでございまして、そういう御努力もございまして、平成十二年度におきます保険料の収納率でございますが、金額ベースで加重平均をいたしますと、九八・六%という大変高い収納率をいただいております。

 高齢者の介護保険の保険料でございますけれども、年金からの特別徴収というのがございますけれども、それ以外の、いわゆる普通に納めていただく徴収につきましても九二・八%、こういう高い数値になっております。

 ことしの十月から始まりました本来額の徴収については、まだ期限が十分来ていないというふうなことで確実に把握しておりませんけれども、都道府県あるいは市町村の方々からいろいろお話を聞きますと、昨年の十月にいろいろな問い合わせとか苦情とかあったのと比べましても、ことしの十月は随分落ちついているということをいろいろお聞きしておりますので、おおむねこの十月からの本来額の保険料徴収も順調に進んでいるのではないかというふうに認識をしております。

 しかし、いずれにしても、この保険料でみんなが支えているんだ、そして、高齢者の皆さん方だけではなくて、現役世代もみんなで支えている、国や地方団体も支えている、こういう制度の趣旨をよくよく高齢者の皆さん方に御理解をいただけるように、説明、啓発にこれからも努めていきたいと考えております。

萩野委員 どうもありがとうございました。

 中でも私は、特に痴呆の高齢者の方の介護というものをどうしていくかということが非常に重要な問題ではないかと思います。

 大変私的なことで申しわけないんですが、昨年の十一月二十三日に実は九十七歳で私のおふくろが亡くなったわけです。最後は肺炎を伴いましてぽっくりと逝きましたけれども、そのとき母が一番心配しておったのは、やはり俗に言うぼけということですね、痴呆を大変心配しておりました。

 痴呆高齢者については、現在のところ、私なんかもこれにかかわっておるんですが、根本的な治療方法というのが確立しておりません。これは何も日本だけではなくて、先進国すべてそうであります。だけれども、この痴呆に、これを介護するのに一番お金がかかるわけです、特に人件費におきまして。そういうので、福祉を推進するのには、痴呆の予防とか、また症状を悪化させないために、これにどうしても我々はいろいろな措置をとっていくことが必要だと思っております。

 痴呆の状態であっても、日常生活を送る上では何の支障も来さないというような状況もございます。だけれども、一たん痴呆というのがわかりますと、この家族は大変でございます。だけれども、家族にとってはおじいちゃんなりおばあちゃんなりの尊厳というものをやはり大事にしたい、この辺で非常に大きな葛藤があるだろう、そのように思います。

 これから痴呆の数もデータによりますと非常に増加が見込まれておる中において、痴呆の問題というのは非常に重要となると思います。今もちょっと申し上げましたけれども、そういう痴呆なんかが起こりますと、もうまず家庭内が、ひどいのになるとパニック状態になったりするのも聞いております。実際の介護の負担まで非常に大きいものがあり、それをいかに支えていくかということが非常に大切な問題となっております。

 先ほどもちょっと言いましたが、今回、この介護保険制度の外国の例との一番大きな違いは、痴呆も保険の中に入れたというのは画期的なことで、先進国の中では日本が初めてだということで、これはぜひとも今後育てていっていただきたい、そのように考えております。

 ただし、現実面におきまして、痴呆の方の要介護認定においては、これは非常にばらばらになっている。すなわち、まだら状態のときに認定を受けたりしますと、どうしても要介護度が低く出てしまうということをよく私など耳にしておるんですが、厚生省としてはその辺どのようにお考えになっておるんでしょうか。

堤政府参考人 今御指摘いただきましたように、日本の介護保険では痴呆症状の方も対象にする、ドイツでは痴呆だけの方は難し過ぎて対象にしていないということでございますが、私どもも大変難しいということではございますけれども、対象にいたしました。

 ただ、今先生御指摘いただきましたように、まだまだ痴呆のいろいろな症状なり介護の技術というのは未開発の部分がございまして、介護保険の入り口になります要介護認定の問題におきましても、痴呆に関してはまだちょっと不十分な点があることも確かでございます。

 要介護認定は、コンピューターによる一次判定、これはお年寄りの状況、八十五項目にわたります状況を調査してコンピューターで判定する第一次判定と、保健医療の専門家が審議をして決める第二次判定という二段階になっておりますが、第一次判定で調査項目を入れましても、痴呆の方については軽くしか出ないのではないかというふうな御指摘がございます。

 そこで、私ども、訪問調査をしていただく際に、痴呆の方の場合には、どうしても痴呆の症状にばかり目が入ってしまいまして、痴呆に伴う身体の状況について、ついおろそかになりがちでございますので、そこをきちんと把握をして記入していただくように指導をしております。

 それから、まだらぼけという言葉がございましたけれども、軽いお年寄りの痴呆の方の場合には、市役所から調査員の方が来られますと、割にきちんとされまして、普通の御家族が知っておられる状態よりもしゃんとした対応をされるということがよくあるそうでございます。

 そこで、御家族の方には、しゃんとされているそのときだけじゃなくて、日ごろの大変な状態を、例えば介護の日誌などをつけていただいて、それをちゃんと調査員に見せて、それを調査票の特記事項として、具体的な内容、日ごろの御苦労をきちんと調査員にお渡し、お示しをくださいということも申し上げております。そういたしますと、二次判定の際に、日ごろの大変さというものをそういう資料で判定をしていただいて、二次判定で相当、全国平均では二割から三割ぐらいの変更率でございますけれども、痴呆の方については二次判定で相当な審査が行われて、上方に修正されているケースも多いようでございます。

 ただ、今申し上げましたように、一次判定の仕組み自体をきちんと、さらに精度を高めるというのが先決でございますので、今高齢者の実態調査、現在の調査、コンピューターのシステムのもとになっておりますのは平成七年度の実態調査でございますが、これを平成十三年度、今年度、今一番新しい段階で調査をし直しておりまして、その結果を踏まえて、一次判定のコンピューターのソフトもより精密なものに、痴呆の判定がより出やすいものに改善をしていきたいというふうに考えております。

萩野委員 今局長の方からお話がありましたとおりに、特に特記事項というのがこれを救う、非常に大事であるし、二次判定のところでそれが生かされている。そういう点で、不備な点は補っていっていただいたらと思います。

 一つ、私申し上げておきたいのは、最初から一貫して言っておりますが、痴呆の方の介護について、これはまだ本当に方法が、マニュアルができ上がっていないというのが現状でございますし、それは先進国においても同じようにみんな悩んでおるわけなんですが、この痴呆の方の介護についてのノウハウを蓄積して研究を進める。これは、厚生省が考えられまして、特に痴呆の方の介護をする、専門性といいますかプロフェッショナルといいますか、そういう専門性を高め、そしてその介護のレベルを上げていくということが非常に大事だ、これからの課題だと思っております。

 そういう点で、痴呆の、特に介護の、また予防というような面での研究を進めていこうというので、ばらまきではなくて拠点を決めて、三カ所、名古屋と東京と、それから私の住んでおります仙台につくっていただいたわけなんですが、こうした痴呆性高齢者の介護についての研究、研修ということが非常に大事になってくる、そのように思っております。

 私のところの仙台におきましては、特別養護老人ホームと併設にしておる、またグループホームとくっつけておる、こういうような形で、今鋭意みんな一緒になって、精いっぱいこの研究、研修、実習を行っておりますが、私は、これからの将来において、福祉の分野で費用を節約していくのに一番これがかぎになるのではないかと思っております。そして、とにかく、私のおふくろではありませんが、ぼけないようにしていく研究ということは、せっかくこれがスタートしたわけですから、何も仙台だけではなく、名古屋も東京もこれを大いに進めていくべきだと私は思っておりますが、その辺に関してひとつ局長の御意見をいただきます。

堤政府参考人 今先生から御指摘いただきましたように、これからの介護問題の相当部分、一番大きい問題は、やはり痴呆のお年寄りの介護をどうするかというのが最大の問題の一つだろうと思っております。ただ、痴呆のお年寄りをどういうふうに介護したらいいかというのは、まだまだ諸外国も含めて発達途上と言ってもいいかと思います。

 私ども、痴呆の発生機序とか原因とか、そういう部分はそれぞれの研究機関等で研究されるにいたしましても、現場であるいは家庭でどういうふうに介護をすれば一番痴呆のお年寄りが落ちついて、お年寄りらしく、その方らしく生活できるかという観点から、現場における介護の技術をやはり工夫をして広げていく必要があるんじゃないかということで、ことしの三月に全国三カ所、東京の杉並区と愛知県の大府市、それから今御紹介ございました仙台市に高齢者痴呆介護研究センターというものを設けました。

 これは、今申し上げましたし、先生からも御指摘ございましたように、大学等の研究機関とそして特養ホームや老人保健施設等のフィールドをそれぞれをベースにした上で現場的な痴呆介護の技術を研究して、これを全国に広げていこうという、その拠点になるものでございます。

 この三つのセンターでは、各都道府県等で指導的な立場にいらっしゃる方々に集まっていただいて専門的な研修を実施するということで、各センター三回ずつ実施をするということにしております。もう既に、今の時点で各センターで六十九名の方が指導者として養成をされております。仙台のセンターでは三十六名、既に養成をされた。

 こういう方々がこれから各都道府県に散っていただいて、各都道府県でそれぞれの現場の職員の方にこのセンターで学んだことを広げていただくということで、全国的な広がりを持たせていきたい。こういう技術の向上を積み重ねていく中で、痴呆のお年寄りの人格の尊厳も守っていけますし、家族あるいは施設の負担も少しでも軽減できるという方向に持っていきたいと考えております。

萩野委員 ありがとうございました。

 私、時々その現場を見ておるんですが、とにかくこの痴呆という問題を我々は保険の中にも入れたということで、これを上手に、痴呆の問題というのは大変な問題ですから、せっかくこういう研究研修センターができたので、これは予算面におきましても、つくっただけにならないでこれを育てていくことが、安い、費用のかからない福祉の実現、そして人間の、特に、終わりよければすべてよしとよく言われますけれども、やはり老後の人間の尊厳というものを我々は大切にすることが一番重要だと思っております。そういう面で、ひとつどうぞよろしくお願いします。

 以上で終わります。

持永委員長 次に、松崎公昭君。

松崎委員 民主党の松崎でございます。きょうはお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、私、前回、去年の四月の二十日にもこちらで質問をさせていただきまして、その連続でやらせていただきたい。民主党の中に娯楽産業健全育成研究会というのがございまして、これは、さまざまな国民の娯楽に関しまして各業界をチェックしたりバックアップしたり、そういう研究会でございます。昨年は国民に最もなじみのあるパチンコ業界のことを質問させていただきまして、きょうもその延長でお願いをしたいと思っております。

 既に御存じのとおり、二千万人の遊技人口がおりまして、年間の売り上げが、最近修正されまして二十八兆円という膨大な市場でございます。余暇市場というのが最近レジャー白書で発表になりまして、八十五兆円ある。その余暇市場の八十五兆のうち、娯楽部門が五〇%。この娯楽部門というのは、パチンコを含め、公営ギャンブル、マージャン、宝くじ、外食、カラオケ、こういうものが入るんですが、その娯楽部門の五〇%のまた半分をこのパチンコ業界が占めている。ピーク時は三十兆もありましたが、現在は二十八兆ということで、これが実は警察が風適法の関係でしっかりと管理をされている。そこにいろいろ問題があるんだということを前回の質問ではさせていただきました。

 ただ、この業界もいろいろ、脱税がありましたり、なかなか不透明なところがある。換金の問題とか、なかなか表に出てこない。早く明るい業界にして、国民が、これだけ多くのファンがいるわけでありますから、しっかりと健全な業界にしてほしい、そんなことで前回も取り上げたわけです。

 その中で、警察の裁量権というのが非常にあり過ぎるということと、それから、特にその一番ポイントであります、パチンコの型式というか、この機械は法にのっとってオーケーですよというチェックをする機関がただの一カ所しかない。保通協というんですが、この一カ所しかないということで、ここに天下りが、百人の職員中四十五人もいる。こういう問題で、非常に私たちは問題にしなきゃいかぬだろう、そんなふうに思っております。ただ、今後はやはり少しでも健全化、そしてまた上場をしたいという業者もいるわけでありますから、その方向で我々はバックアップもしていかなきゃいかぬ、そういうことでございます。

 さて、きょうの質問なんですが、今、特殊法人改革とか行政のスリム化ということで、行革、公益法人の改革、あるいは規制緩和、こういう問題が進んでおります。そして、なかなか今の総理の思うようにはいかないようでありますけれども、この警察関係、公安委員会関係でも、やはり先ほど言いましたように、規制があり過ぎる、裁量権があり過ぎて業界を縛っている、そんな問題もありますので、そういう意味で、規制改革という点で、国家公安委員会関係でも今百三十九件ですか、あります。何年か前から比べますと、これもふえておるんだと。

 国家公安委員会は、今回、特に内閣府のやっております規制改革の中で重点六分野には入っていないんですけれども、しかしながら、今言いましたように、この業界は特に警察の、国家公安委員会の規制が強過ぎる、そういう面もあるわけであります。そこで、今回のこの規制改革、規制緩和の流れの中で、重点には入っていないかもしれないんですが、しかし、それはやはり規制改革をしていかなければならない、そう思っておりまして、その辺、内閣府の方からの御検討はいかがなものでしょうか、お尋ねいたします。

坂政府参考人 御質問の趣旨は二つかと思います。

 まず一つは、重点六分野に総合規制改革会議の検討というのは限るのかということでございますけれども、総合規制改革会議では、ことしの春に始まりましたが、まず最初に重点六分野というものを取り上げましたが、別に、それ以外の分野についても、やらない、ほったらかすという意味ではございませんで、現に、現在は重点六分野以外のものにつきましても、全部でたしか重点六分野を含めまして十三の分野に分かれていると思っておりますが、そのそれぞれの分野につきまして、規制改革会議の委員さん方にそれぞれ御担当をいただきまして検討を進めております。したがいまして、その中の一環として、御指摘のようなこともしていく必要があれば取り上げてまいる、こういうことだろうと存じます。

 それから、若干一般論でございますけれども、許認可につきまして、近年、件数がふえているではないかという御指摘がございました。

 公安関係については、私、実は詳しく調べてまいりませんでしたが、一般論として申し上げますと、まず、御承知のように、規制というのは基本的には少ない方がいいということは当然あるわけでございまして、総合規制改革会議でも自由な経済活動の範囲を広げるということから積極的に取り組んでいただいているところでございます。

 こうした観点から、実は規制改革推進三カ年計画というものが三月に決定されておりますが、ここでは、規制の新設を必要最小限にする、それから、規制の新設に当たっては原則として当該規制を一定期間経過後に見直す旨の条項を盛り込むようにという方針が決まっておりまして、したがいまして、必要性を失ったような規制がいつまでも残るというようなことを今後は防止してまいる、こういうことでございます。

 ただ、若干事情を申し上げさせていただきますと、許認可の件数というのはやや機械的に計算しておりまして、一つ一つ事情を見てまいりますと、中には、例えば許可という一部を緩和して届け出にするといったことを規制緩和としていたす場合がございます。そうした場合には、一部を別に届け出というふうに外すわけでございますけれども、そうすると二件というふうにカウントされるということになりまして、そうした事情で、規制緩和をしたゆえに増加するというケースもあるということでございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

松崎委員 大きくは、この分野もしっかりとやっていただかなければなりません。六分野以外でもこれから取り組んでいただきたい、そう思います。

 警察庁の方は、前回の質問でも、かなり権限があり過ぎて問題があるのじゃないか、そういう質問をしましたが、今のように、規制改革の中で、警察庁としては権限の縮小とか、そういう問題は取り組んでいらっしゃいますか。

黒澤政府参考人 規制緩和三カ年計画、本年の三月でございますが、ここに「国の代行機関(指定検査機関等)」という項目がございまして、このくだりで、「指定検査機関等による検査を存続させる場合であっても、原則として、その指定要件を公益法人に限定することなく、公正・中立性を確保し、かつ能力を有する民間法人にその業務を開放するとともに、検査機関相互の競争を促進する観点から、複数の機関の参入を可能とする。」こういう項目があるわけでございます。

 私ども、この関係で、いわゆる保通協につきましていろいろな意見があることは承知をいたしておりまして、この保通協につきまして、パチンコの関係等につきましてはいろいろと検討をいたしておるところでございます。

松崎委員 検討しておるということはやらないという行政用語でございまして、ただ、この前も指摘いたしましたけれども、余りにも天下りが多過ぎて、試験料が高いかどうかはわかりませんが百五十万、パチスロは百八十万、年間の売り上げがこの試験料で十一億七千万も入っている、ほとんど半分以上です。

 ですから、この辺に、後ほども申し上げます型式の問題等の検査がしっかりやられているかどうか、これだけの体制をとって、一カ所だからこそ逆に不透明さもあるのではないかという指摘があるわけです。

 それから、ちょっと業界全体のお話をいたしますと、この保通協にも関連があるわけですが、どうも機械の値段が高過ぎたり、それから型式の検査とかが厳し過ぎることによって、あるいは期間が三年しか型式の認定をしない、あと三年追加はできますけれども、そういういろいろながんじがらめによって、要するに業界が不透明さがあるんじゃないか。機械が高くなったり、いろいろな規制によって簡単に延長して使えないとか、それが結果としてお客様に、国民に不利益をもたらしているのではないかな、そんなふうに私は客観的に見て思えてならないのですね。

 この業界は、例えば競馬業界なんかと比べますとはるかにお客様に、競馬業界というのはたしかお客さんに七五%戻して、このパチンコ業界は九〇%お客に戻している。ですから、かなり本当に定着した業界なんですね。そこが健全にいかないとまずいので、その原因が警察の厳し過ぎるいろいろな管理があったり、あるいは一カ所に検定機関が絞られていたり、あるいはメーカーが二十一社ぐらいはありますけれども、これがまたべらぼうな利益を出しているのです。普通の業界では考えられないような経常利益を、パチンコメーカーのトップはもう四〇・九%とか、あるいは三三%とか、純益も一九%を出している。パチスロメーカーのトップも同じように五七%、経常利益です。

 ですから、要するにそれらが機械の値段にはね返ったり、そしてそれが不健全な業界ではないかと疑われるような業態である。その辺を私たちはより健全にしたいな、そういうことで今も質問をさせていただいているわけでありまして、やはりこれはすべてツケみたいなものが国民に回されたのではいけませんよ、そういうことなんです。

 ここで、今ちょっと触れましたけれども、検定の期間というのが三年で、また三年経過してから認定を受ければ三年、六年だと。ただ、今この三年で一応区切りがあるということを五年、六年ぐらいにできるはずだと。今も三年間検定は使えて、それからそれが切れてから認定を受けて三年また使える。だから、五年から六年間一本にできないかという要望が、やはりなかなか今不況の中で業界も厳しい競争をやっている、その中でもう少し経営にもプラスになるような形でできませんかというのが本音でございまして、この辺いかがでしょうか。

黒澤政府参考人 科学の技術発展によりますところの今後のメカとしての機能の問題、あるいは業界の要望、国民の世論、考え方、こういったことも踏まえまして検討をいたしたいと存じます。

松崎委員 さて、今そういう局長のお話でございますので、去年の四月から答弁はそれほど変わっていないということでありますので、我々はこういう問題はまた継続的にやっていこうと思っております。

 さて、具体的に最近の問題にちょっと触れたいと思います。これも保通協やら警察の監督管理に関しまして極めてわかりづらい問題が起こっているということを取り上げさせていただきます。

 十月三日の前後に各新聞に出ました。ここにあるのは日経、東京、日刊工業なんですが、あるメーカーが全国で三十二万台、実際動いているのは二十八万台だそうでありますけれども、パチスロという機械ですね。これが、十四機種に関して、このグループで発売したものが、何か操作をうまくやると入賞割合、要するにたくさん出てくるということですね、それが高まるという異常を起こす機械が発見された、これがインターネットを通じて攻略法が流れて、各ホールが被害を受けたと。

 大体、パチスロというのは百二十何万台か出ていますね、百二十三万台ですか。この四分の一ぐらいの台数、全国に流れておる。そこにこういう、不正じゃないんですが、異常な状態に陥った機械が出てしまった。これに対する対応がいろいろ問題にされているというのが今回の問題でございまして、このふぐあい問題に対して風適法に基づいてどんな指導をされたのか、お答えいただきたいと思います。

黒澤政府参考人 委員御指摘の案件でございますけれども、いわゆるスロットマシン、回胴式遊技機でございますが、ふぐあいがあったわけでございます。これは、回胴回転装置を作動させるためのレバーをゆっくり操作した場合に、前回の遊技が役物等に当せんするなどいわゆる当たりの状態であった場合に、その次の遊技も当たりの状態とすることができるようになるものでございまして、この情報を知っている客は多くの遊技メダルを獲得することができることとなった、この事案だと承知をいたしております。

 この事案に対しまして、警察庁におきましては、製造業者からこのふぐあいを是正するために改修部品の付加の申し出がございまして、この部品の機能について庁内の技術者において調査を行いますとともに、製造業者に対しましては、先ほど来出ております財団法人保安電子通信技術協会、保通協でございますが、この協会の鑑定を受けるよう指導をいたしたところでございます。その結果、この改修部品につきまして、今回のふぐあいを是正する機能のみを有しておりまして、それ以上の遊技機の性能には影響を及ぼさないということが確認されたわけでございます。

 そこで、現に営業所に設置されております遊技機にこうした部品を付加しようとする場合には、風営適正化法に規定されております変更承認申請、これは、風適法の二十条十項において九条一項が準用され、風適法施行規則第十七条の規定に基づく変更承認申請を行う必要があるわけでございまして、この変更承認申請に当たりましては、部品の変更等をした遊技機が風適法四条第四項に言う著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準に該当しなければ、都道府県公安委員会はこれを承認するということになるわけでございます。

 今回の改修部品の付加につきましても、遊技場営業者から、先ほど申し上げました法令に従った変更承認申請が行われまして、都道府県公安委員会におきましては、製造業者の依頼に基づく保通協による鑑定の結果も踏まえまして、風適法四条四項のただいま申し上げました基準、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準、この基準には該当していないと判断をいたしまして、変更を承認したものと承知をいたしておるところでございます。

 なお、当該遊技機につきまして、営業の用に供してはならないものであるとのうわさについてでございますが、今回の改修部品の付加は、法令に基づいた変更承認を受けた上で改修部品の付加を行ったものでございまして、営業の用に供することについて問題はないものと承知をいたしております。

松崎委員 今のお答えがどうも一部マスコミやら業界でも納得はできないというのが、私どもは素人ですからいろいろ調べてはみましたけれども、結局、今まで同じようなミスが出た場合には、ミスはミスとしてとめておいて、型式の変更承認をとってから直すんだというのが、業界のほとんどの今までのやり方であると。

 そこで、例えばこの業界の、遊技ジャーナルというのがかなりしっかりした業界誌なんですけれども、どうも今回のやり方は、今局長のおっしゃったように、いろいろな法律を無理やりくっつけて、継ぎはぎでまとめて苦心の作だ、この見解どおりだったら、過去のさまざまな改修は何だったんだろうかという素朴な疑問を持つということを言っているんですね。つまり、普通は、そういう不都合な部分が出た場合は、すぐに直すんじゃなくて、まず新しい変更の届け出をして、型式を新しくとって、それから直すんだと。そういう証言が幾つもあるんですね、今までそういうふうにされてきたよと。だから騒いでいるんだということなんですね。

 しかもこれは、九月末にメーカーがわかって、それからすぐに一日に警察庁にお話に行って、こういうやり方でやりたい、すぐに翌日あたりにオーケーが出て、警察も、これは三十万台近い大変な、全国にばらまいておりますから、随分ホールで損をしたところもあるんでしょう、だから慌てて緊急にやらなきゃならない、そういうことでやったということを差し引いても、どうも余りにも対応がメーカーが早過ぎたということもあって、一週間ぐらいで部品も三十万個つくって、全国にばらまいて直したと。

 何でこんな、今まで厳しくやられていたのにここだけなんだという、推測でいけば、何か警察とあるんじゃないか、あるいは事前にわかっていて準備していたんじゃないか、そんなことまで言われてしまうんですね。業界にそういう疑惑が出てくること自体がおかしいんであって、やはり私は、今までのやり方のとおり、きのうも担当の皆さんからは、今までどおりだということを言っていますけれども、どうも業界の方々やらジャーナリストに聞きますと、そうじゃない、とんでもない話だということが、ここに問題があるんですね。やはりこれは、これだけ大きな問題を起こしたんですからルールどおりにやらなければいけない、私はそう思っていますね。

 では、これはこの遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則第十一条でやれるんですよね。機械がよくなければ、不適合だと後から判明したら検定取り消しをしますよと。この十一条の発動が、今までずっとやっていたというんですけれども、これは余りやっていないんですか、検定取り消しというのは。

黒澤政府参考人 今委員からいろいろな御指摘がございましたけれども、ふぐあいが発生した場合につきまして、これまでも、法令に従いまして、かつ各事案に応じまして措置をとってきたところでございまして、今回のふぐあいについてもこうした観点から措置をとったものでございます。

 なお、今回の案件につきまして、検定の取り消しのお話がございましたが、この検定取り消しにつきましては、この十一条第一項には、公安委員会は、検定を受けた型式に属する遊技機の構造、材質もしくは性能が規則の別表に定める技術上の規格に適合しないことが判明したときは、その検定を取り消すことができる旨規定されておりまして、このため、今回ふぐあいを起こしたこの遊技機が技術上の規格に適合するか否かにつきまして、保安電子通信技術協会が行った試験の結果も踏まえまして検討いたしましたが、その結果、この遊技機というものは規格に適合していないとは言えず、当該遊技機の検定取り消しを行うという判断はしなかったものでございます。

松崎委員 それは、今回の特別な、三十万台近い、全国に散らばっているという、被害が大きいから、特別スピードを速く、しかも本部から、警察庁から全国の県の公安委員会に、こういうことが起こったのでこれに対応してやってくれと特別の措置をしているんですよね。

 これは、どうも見解が違って、そちらはそう言い張りますけれども、大体問題は、型式を変えたりする場合、あるいは不都合――不都合というのは実は業界ではたくさん出るそうなんです。一万、三万、そういったレベルで、やはり流通していって、問題が起こったらすぐに直す、そういうことはよくあるそうですね。そのときは、常にそういう、一たんとめて、一カ月でも四十五日でもかかって変更届を出して承認をいただいてから直す、これが常態だったというんですね。それを、今回はそうじゃないんだということが、いろいろな情報が入ってきてそう言っておりますよ。だから、皆さんは、このやったことに対して、それは多かったから今回は特別の措置をしましたとは言えないかもしれないけれども、やはりどう見てもそれしか考えようがないというのが我々の見方なんですね。

 ですから、そういう公平さを欠くような行政ではいけないんじゃないんでしょうかというのが今回の趣旨でございますので、これはどうも見解の相違なのか、皆さんが余りにも迅速に対応し過ぎたか、あるいはメーカーとの関係があるのか、いろいろなことになってしまうものですから、どうしても疑惑は抜けないんです。皆さんはそういう、手続上きちっとやっているという言い張り方しかできないと思いますよ。思いますけれども、やはりこれは今後、業界の健全化という点でよほど公安委員会、警察当局がしっかりとした姿勢を示してもらわないといけないと私は思うわけであります。

 それではお聞きしますけれども、今ふぐあいが発生した場合、いろいろな対応があると思うんですね。それをもう少しきちんと、これは業界の方にも説明できるように、国民に説明できるようにもう一回言ってくださいよ、ふぐあいが発生した場合の措置というのを。

黒澤政府参考人 ふぐあいが発生した場合、それはもちろん個別的な案件によりましてそれぞれ異なるわけでありますけれども、法令にのっとりまして厳正に対応をこれまでもしてまいったわけでございまして、今後ともそのように対処してまいります。

 まず一つは、今申し上げました変更承認申請の手続がございます。これは今申し上げたとおりでございますが、そのほかに、例えば、それまでに機能に影響を与えないような受け皿ですとかガラス板、そういったようなものは届け出の手続、それから、例えばランプでありますとかヒューズの更新など、そういった場合は届け出を要しない。要は、遊技機の性能に影響を及ぼすおそれがある場合には先ほど来申し上げております変更承認申請で、おそれがない場合には届け出あるいは届け出を要しないという対応になります。

 それから、型式が異なるというような場合につきましては、これは全く新たな型式ということであれば、それは別途手続を進める、こういうことになるわけでございます。

松崎委員 時間でございますけれども、非常に問題がある。今回のようなケースは新たな型式で変更届を出してやるというのが業界の常だそうでありますので、非常にその疑惑、今そうおっしゃっているんですけれども、これはこれから我々も調べますから、今の発言が問題にならないようにしていただきたいと思いますよ。

 それから、保通協も、検査を通した機械がこんな三十万台もおかしくなったというのは、これはどういう検査をしていたのかと普通は思いますよ。その辺もしっかりと、健全な業界になるよう御努力をお願いしたいと思います。

 終わります。

    ―――――――――――――

持永委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局畜産部長永村武美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 農水省、お見えになっていますか。

持永委員長 農水省は来ていますか。ちょっと手を挙げてください。

石井(紘)委員 じゃ、最初に農水省に、いわゆる狂牛病の問題で、先日開かれた調査検討委員会、これは農水大臣、厚労相の私的諮問機関ということでありますが、その中で、委員長の高橋日大教授がこういうことを明らかにした。九一年六月に狂牛病の話題をある学者が講演で取り上げたところ、翌日、当時の農水省横浜動物検疫所長から、この問題には触れないでもらいたいという電話があったということでありますが、この件について、事実関係をちょっと報告してください。

永村政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、十九日に開かれました調査検討委員会で、高橋委員からその旨の御発言がございました。現在、私ども、高橋委員の同僚という方がどういう方であるか、また、どういうふうな形で当時の検疫所長と連絡をとられたのか、いずれにしても、この事実関係を今鋭意調査中でございます。わかり次第、御報告できるものと思っております。

石井(紘)委員 これはもう報道されているわけで、もう一日二日前には伝わっているわけですが、今鋭意調査中と言うんだけれども、どういう調査をやっているんですか。

永村政府参考人 いずれにいたしましても、十九日の段階で、高橋委員から同僚の方がどなたであるかということをまだお聞きしておりません。したがって、そこから今確認をとりつつあるということでございます。

石井(紘)委員 だめだ、もうちょっとはっきり言わなきゃ。

 まだ聞いていないというのは、問い合わせたけれども答えてくれなかったのか、あるいは問い合わせてもいないのか、はっきりしないじゃないですか。

永村政府参考人 今の段階で私、この情報しか持っておりませんので、恐縮でございますが、鋭意確認中ということで御了解いただきたいと思います。

石井(紘)委員 ちょっと、だめだ、それじゃ。きのうから質問予告して――きょうかな、きょう言ったんだけれども、しかし、こんなことは大問題なんだから、それはわからないというんじゃ困りますね。これは午後もう一回聞きますので、それまでに調べておいてください。

 次に、金融庁、大和都市管財の問題ですが、これは坂井隆憲議員が、昨日でしたか記者会見をして、これまでそういう豊永というような人物は全然知らなかった、会ったことも聞いたこともないというようなことで一貫して述べられておったのが、一転して、よく知っております、電話も何回もこの件で近畿財務局へかけました、そしてまた秘書の給料ももらっておりました、こういうことを明らかにしたわけですが、これについても詳しく事実関係を報告してください。

村田副大臣 私ども金融庁といたしましては、御指摘の件に関します新聞報道等を読みまして、そして私をキャップといたしまして、当時の近畿財務局、あるいはもう帰ってきている人もおりますし、また当時本省におった人もおりますので、本省庁等の抵当証券業者の監督に関係する部局の幹部で、職員であった者からヒアリングを進めました。

 その結果、記憶がもう定かではないという者もおりましたけれども、しかしながら、数名が御指摘の、先生から一般的な問い合わせの電話を受けたと記憶しておりましたけれども、その際、何らかの執務上の圧力を受けたということはなかった、こういうふうに聞いております。

 いずれにしましても、当時の近畿財務局においては、同社の検査監督におきまして、厳正、適正な業務を、執務を行っていた、こういうふうに私ども考えているわけでございます。

石井(紘)委員 これは、一万七千人という大勢の被害者が出た事件でありますし、また一千億円を超える金額が扱われているということもあって、大事件に発展するわけでございますね。それに国会議員が、今のところ一名しか名前が明らかになっておりませんが、何人かかかわっておるということでありますので、しかも、その国会議員の発言が大変揺れておるということでありますので、ぜひこれは当委員会に坂井代議士を参考人として呼んで解明をしなければならぬ、こういうふうに思いますが、委員長、いかがでございますか。

持永委員長 理事会でお諮りをさせていただきます。

石井(紘)委員 それでは、先ほど御答弁いただきましたが、午後までに、より詳しい交信の記録といいますか、数名の職員が坂井代議士から電話を受けたということでありますので、坂井代議士も、何回か電話をかけた、こう言っているわけでありますから、その辺は相当回数、この件についてよろしく頼むというような要請が坂井代議士の方からあったんだろうと思いますので、より詳しく事実関係を報告してもらいたいということを求めておきます。

 それから、次に移ります。

 国土交通大臣においでいただいておりますので、先に国土交通大臣に幾つか伺いたいわけでございますが、一つは、大臣は小泉総理が言われたという住公、住宅金融公庫の廃止ということについては、お考えはいかがなんですか。小泉総理と同じように、廃止をすべきだというふうにお考えですか。

扇国務大臣 石井先生のお尋ねでございますけれども、少なくとも私が、十一月の十四日、総理が御発言になりまして、私たちは、聖域なき構造改革をするということだけは小泉内閣の命題として肝に銘じて努力中でございますけれども、少なくとも、国土交通省としてはという今石井先生のお尋ねでございましたけれども、私どもは総理がおっしゃっている民間にできることは民間にゆだねる、その精神にとっては私はそのとおりだと思います。

 ですから、今までの住宅金融公庫等々がしてきた役割、これは、今日までの多くの中低所得者のマイホームの夢というものを果たしてきた役割というのは大変大きかったと私は自負しておりますし、また必要であったと私も思っておりますけれども、総理がおっしゃいます民に任せられるところは民にゆだねるということに関しましては、今までの、今現実にお入りいただいている人、また少なくとも今五百五十万人という人が利用していただいていますので、その夢を破らないで、なおかつ民に任せられるところがあるのか。

 そして、例えば住宅ローンでも、金融機関に借りに行っても、あなたはどこの会社の、あなたは課長ですか、部長ですか、課長補佐ですかまで聞かれて、担保があるんですかまで聞かれて、断られた人が金融公庫へ来て住宅ローンに世話になっている。私たちは、そういう人たちのためには、これを今すぐに切ってしまうということは、今の経済状況で住宅をつくるということの経済効果というものを勘案しながら、私は何としても、今、では受け皿が民間の金融機関にどこがあるのか。

 これは私は、財務省等々と一緒になって、金融機関の皆さんに来ていただいて、これと同じような長期、低利、そして融資ができる条件を皆さんがマーケットへ出してくれますかということの保障を国土交通省としては図っておりますので、きのうも私、民間の皆さん方の御意見を聞きました。今はグッドローンと城南信用金庫しかありません、全国的には。けれども、それも数が知れています。

 ですから、そういう意味で、総理がおっしゃったことで廃止に持っていくには、まず国土交通省としては受け皿の確認が必要だと思っていますので、その手続をとりたいと思っています。

石井(紘)委員 はっきり答弁してもらいたいんですが、小泉総理の廃止という考えに反対なのか、賛成なのか、それだけで。

扇国務大臣 反対か賛成かということですけれども、賛成のためには手続が要るわけです。先生も御存じのとおり、手術しますよといって、いきなり手術するわけでございませんで、手術の準備も要りますし、受け皿の輸血も要るかもしれない。

 そういう意味で、私は、総理のおっしゃった廃止の方向にどういう受け皿があるか、多くの中低所得者にマイホームの夢を持たすような受け皿整備をしなければ、私は廃止まで持っていく過程の期間が要るということを申し上げているので、総理のおっしゃるところへ持っていくためにはそれだけの努力をするのが国土交通省です。

石井(紘)委員 小泉総理も、今すぐあしたから廃止しろと言っているわけじゃないでしょう。

 そうすると、大臣は、小泉総理の考えに反対なんですか、賛成なんですか。どうなんですか。

扇国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、賛成に持っていくための準備をするのが我々の役目でございます。

石井(紘)委員 何回も言わせないでくださいよ。反対なのか、賛成なのかを言ってくださいよ。今大臣の答弁は、それに持っていくためにはどうこうだ。そんなことは当たり前の話で、小泉さんだって、そんな、あしたから廃止すると言っているんじゃないんだから。廃止に賛成なのか、反対なのか、言ってくださいよ。

扇国務大臣 私どもは、少なくとも石井先生も私も政治家としてバッジをつけている以上は、国民にセーフティーネットをつくらないで断罪するということはできないというのはおわかりのとおりでございますから。賛成するためにセーフティーネットをすると言っているんですから、それは国会議員として、私は大臣の前に先生と同じ立場でございます。

石井(紘)委員 そうすると、扇大臣は、小泉さんはそういうことはわかっていないと言っているわけですね。(扇国務大臣「いえいえ、セーフティーネットをすると言っているんです」と呼ぶ)そういう、閣内で総理の言うことと違うことを言っておられたんじゃ、これは困るんですね。

扇国務大臣 閣内で違うことではありません。総理がおっしゃっている聖域なき改革とか、あるいは民にゆだねるものは民にゆだねるということを実行するために仕事をするのが我々閣僚の仕事でございます。

石井(紘)委員 民にゆだねることは民にゆだねると言うけれども、では、今まで国土交通省にしても旧建設省にしても、そういうことを言ってこなかったというのですか、やってこなかったというのですか。民にゆだねるべきことは民にゆだねるんだと、一貫して二十年も三十年も言ってきましたよ。だけれども、民でできないという妙な理屈をつけてやってきたわけじゃないですか。そんなことを言っていたら今までと全然変わらないですよ。

 今だって、長期の低利のローンなんていう市場で通用しないような、そういうようなことを法律でつくって、そして特別会計で財政措置をしてやっているから民はできないんですよ。民がそういうことができるような仕組みさえつくれば、こんな経済のことですから民はやれるに決まっているのですよ。

 現に、金融機関の話を聞いたとおっしゃるけれども、全銀協にしても地銀協にしても、あるいは信用金庫の全国の組合にしたって、聞いてごらんなさい、どこだってみんなやれると言っていますよ、制度さえつくればやれるし、やりたいのです。どうなんですか。

扇国務大臣 今石井先生がおっしゃいますように、民が、受け皿があって、そしてそれがセーフティーネットになって、一番の原点は国民が夢を果たせるということが原点なんですから、国民の皆さん方が、受け皿があって銀行が全部努力して、今度総理が初めて廃止するということで自分たちもメニューをいろいろ出そう、そのメニューが広がってくれば一番国民はありがたいんですから、私はそれをしようと言っていることであって、証券化をするということも私は一つ言っております。

 今先生のお言葉の中から証券化が出てまいりませんけれども、証券化するということも私どもは考えております。そして、アメリカの場合は、先生御存じでしょうけれども、この証券化はアメリカが育てるために二十五年を要しているのですね、それはもう先生が一番よく御存じですから。私どもはそういうこともして、国民の皆さん方に不安を与えないようにしようというのが我々の仕事でございます。

石井(紘)委員 扇大臣、これまでの審議の、あるいは国会でもってどういう議論が行われたかということをよく調べてください。証券化の話は、私がもう四年も五年も前に建設委員会で提起しているのですよ、金融公庫の。

 そして、大臣は民間に受け皿がなければできないようなことを言うけれども、それは政治の話なんですよ。政治が、民間ができるようなそういう制度をつくるかどうか。今までは民間にできないようにしておいて、そして言っていることは何ですか、民にできないから官がやるんだ。民間ができないように初めから仕組んでおいて、そして、だからこっちがやるんだと言ってやってきたのが、今までの政府系の金融機関であり、あるいはまたおたくの都市基盤整備公団とかそういう特殊法人じゃないですか。

 それで、証券化を言っているんだったら、では、どういうふうに今の住公を持っていくというふうに考えているのですか。住公を廃止して、それは保証機関にして、そして民間の金融機関から住宅ローンは貸し出すんだ、そういうことになりますか。

扇国務大臣 今石井先生がおっしゃっていることには、私はおっしゃるとおりだと思いますけれども、だったら民間に開放するような法律を立法府がつくるのが当然であって、先生が議員立法で民間に開放するような法律をおつくりになれば、とっくに、言うだけではなくて現実をなされば、ある程度はもっとマーケットが早く広がっているかもわかりません。

 私は、行政だけを責めるのではなくて、やはりここは立法府の皆さん方と協力して、一番国民の皆さんが喜ぶようなことをしていくという論議をするのが国会の審議で、私は大変いいことを言っていただいたと思っています。

石井(紘)委員 大臣ともあろうものが法律を私につくれなんて、そういうことをおっしゃるとは思わなかった。これは、住公の設置法も、あるいはまた都市基盤整備公団も、あるいは住公の事業の内容に関するさまざまな法律も、これはおたくの、国土交通省の所管の法律なんです。国土交通省の大臣が、立法府でつくってくれなければできない、そんな構造改革はないでしょう。

 構造改革というのは、ただ大臣のように、たくさんいろいろとお話をするだけじゃなくて、やはり構造改革をしようと言うのだったら、特殊法人を廃止する、その廃止する周りには法律があり、そしてお金を出すところの財政の仕組みがあるんだ。そういうものが全部つながり合っているのですよ、人間の体がつながり合っているのと同じように。

 そこを一体の問題として提起するのが構造改革なんであって、住公の問題だって、今ごろになって、この内閣ができてからもう既に半年近くなろうとしているときに、今ごろそんなことを言っているようじゃ、私は到底この先方向はおぼつかないなという感じがするわけですが、はっきりと住公は廃止するなら廃止する、そして保証機関にしていく。保証機関にすれば――今までは夢を持つのが一番大事だったなんて大臣は言うけれども、今までの住公に夢はなかったのですよ。

 例えば住公がつくったゆとりローンなんというようなものは、五年間はもうほとんど返済金額が微々たるもので、六年目からぐっと返済金額が上がるような、町の金融業者でも、町金でもそんなことをやらないようなやり方をやって、その結果、住宅ローンが払えなくなってくる、代位弁済に移っていくというのが山ほど出たじゃありませんか。そのために住公は莫大な欠損金、損失金というものを今までずっと出してきて、それが何度かたまったところで税金からぶち込むということを何度もやってきたじゃないですか。夢があるかないかの問題を、大臣もよくおわかりになっていない。

 こうやって保証機関にして、民間が貸し出すようにすれば、民間は政府が保証ですから今までよりもちっとも借りにくくない、そういう形でやろうと思えばできますよ。長期の低利のローンが組めるような仕組みだって、これは政府が積極的にそういう対応をすればできますよ。もう一回はっきりと、これはやはりそういう方向に、住公は一たん廃止をするという小泉首相の号令に、国土交通省は率先してこれの方向に向かって改革を進めるということをはっきり言ってください。

扇国務大臣 石井先生もおわかりいただいていますけれども、国土交通省という今まで女がなったことない、参議院がなったことないポストに私が置いてあるということは、改革をする先頭に立てということの御下命でございますから、私は廃止することは賛成です。

 けれども、そこへ行くまでに無責任に廃止と言って、今までの五百五十万の利用者に不安を与えてはならない。私のところへみんな言ってきています。私はどうすればいいのでしょう、この長期低利をどこまでだれが代替してくれるのでしょうという国民の不安が来ていますから、私は、少なくともその過程としてその不安を少しでも和らげて、代替の民間が活力を持って公庫に代替する。今先生がおっしゃいました、幾らでもやるところはあるよとおっしゃったら、私のところへも民間の皆さん方が、うちで、金融機関でやりますよと言ってくださればありがたいですから。

 ぜひそういうところを私も奨励していき、号令をかけていこうと思っているのが現段階でございますから、一刀両断に全部切ってしまえばいい、一番不安になるのは国民でございますので、私はそれを責任持ってセーフティーネットをするということを、先生にもぜひ御協力賜りたいと思います。

石井(紘)委員 大臣、国民が困らないようにとかそういうことは当たり前のことなんで、混乱が起きないようにとか、どうもそういう点で多弁を弄される女性の大臣はほかにいる方なのかなと思ったら、扇大臣もその辺は余計ですね。そういうことは余りおっしゃらない、当たり前のことです。小泉さんだって何も住公を一気に廃止して、そこへ預けている、あるいはそこから借りている五百何十万の国民を困らせようと思って言っているわけじゃないんです。そんなことは当たり前のことなんですから。

 ではもう一つ。都市基盤整備公団も廃止すると小泉さんは言っておられますけれども、これは賛成なんですか、反対なんですか。

扇国務大臣 総理がおっしゃるまでに、昨年来、都市基盤整備公団のことは着々と進んでおります。それは、都市基盤整備公団が、大型の郊外の団地だとかそういうものを一切ことしからはしておりませんし、都市基盤整備公団の今まで持っていた土地、それも民間に、土地をどうぞお使いくださいと言って、民間の活力を生かそうと思っていますので、東京のことがおわかりの石井先生は一番そのことも御存じだろうと思いますので、都市基盤整備公団は総理の御下命までに、昨年来から粛々と、私は民間にゆだねるものをゆだねてきております。

石井(紘)委員 今までのように民間にゆだねるものはゆだねるというんじゃなくて、話は全然違うんですね。都市基盤整備公団を廃止するという話ですから、それはやはり、小泉総理のもとにおられる国土交通大臣ですから、これは総理の意を受けてやるのが当たり前なんであって、国土交通省の人たちの話を聞いて、それで温存するために頑張るというんじゃ、これは今の小泉内閣そのものの質が問われていくわけですよ。だから、それは小泉さんがああいうふうに言っておられるわけですから。

 しかも、都市基盤整備公団というのは、道路公団よりもはるかにある意味では重要なんです、これをなくすということは。というのは、日本の住宅建設の圧倒的な、大きなシェアを占めている世界最大のディベロッパーですから、これがやっているおかげで世の中の中小の建設業者あるいはゼネコン、こういうところの仕事がその分とられているわけですね。三井不動産が二千五百億ぐらいやっているとしたら、この都市基盤整備公団は一兆円をはるかに超える不動産建設の事業をやっているわけです。

 行政の仕事ですから、当然借金がたまっていきます。民間がやればそれは経済の活性化に結びつきますけれども、行政というところは、税金を集めて、いい意味で本来はお金を使うところですが、行政がやれば結局お金を使ってしまいますから、借金が膨大に残ってくる。毎日都市基盤整備公団が払っている利息だけでも、これは十何億円というふうになっているわけですね。

 だから、こういうところを本当はまず扇大臣が率先して廃止をするということが、小泉内閣の、あるいは日本の命運を左右するほど非常に重要な問題だと私は思いますので、きょうは先ほど来からどうも御答弁が煮え切らないので、もう少しお考えいただいて、はっきりした方向を示してもらいたい。

 本四連絡橋公団については、私は、これはどうにもしようがない。これは御存じのとおりだと思いますが、今、道路公団を四つ一緒にしてどうこうするなんという議論もありますけれども、本四連絡橋公団というのは、はっきり言ってつくったこと自体が犯罪ですよ。初めからこんなものは採算が合うわけがない、交通量からしても人口からしてもコストからしても。そんなことはわかり切った上でつくったことですから、これについては、一種の犯罪としてこの責任を追及するということから始めないと、そういうことをしないで国民の税金をつぎ込みますと、これは大変なことになります。どっちにしてもこれは国民の税金で解決しなきゃならぬ問題ですよ。そのためには、責任をまず徹底的に追及しなきゃいけません。

 この本四連絡橋公団が、いかなる人たちがいかなるプロセスを経て、そしてこういうものができ上がったんだということを、徹底的に調査する考えはありませんか。

扇国務大臣 石井先生おっしゃいますけれども、私、弁明ではありませんけれども、私が国会議員になりまして一年生のときに、自民党の部会で、私は、三本要らない、真ん中をやめて四国一巡の高速道路をつくるべきだという意見を部会で申しました。先生がおっしゃるとおり、最初から三本というのは採算性がとれない、四国の経済効果が上がらないということはそのときから指摘しましたけれども、これは、私、政治判断であるとはっきり言い切れます。

 ですから、そのときに政治判断で、行け行けどんどんというときであればよかったけれども、考えてみたら、四国の経済効果も上がらなかった、周辺の経済効果も上がらなかったということを考えれば、だれがどうということではなくて、政治で判断を間違ったものは政治判断で解決するしかないと私は思っております。

石井(紘)委員 そうすると、その最もトップの責任者は国土交通大臣でございますから、この政治の、ある意味では犯罪事件でありますから、これに対してきちっとやはり結末をつけるというふうにとらえていいんですか、今の答弁は。

扇国務大臣 私、結末は石井先生がさっき言ってくださったと思っています。大変御理解があるなと。これは政治判断で間違ってつくってしまった、つくってしまったのは税金でカバーするしかありませんねと今先生がおっしゃったので、ああ先生は随分おわかりになって、御理解があるなと思っていたんですけれども。

 総理は、四公団統合とおっしゃいました。けれども、私は、本四を入れたら民営化がずっと先になるよということは、立場上きちんと言いたいと思っております。それは、本四の借金、これは工事が終わっていますから、ただ借金の話ですから、これを入れたら民営化という理想がうんと先になるよということだけは、総理に率直に申し上げたいと思っております。

 ただ、あの橋をかけた技術だけは、世界に誇る技術だけは何かの形で――これは借金とは別にですよ、国の技術として。私は韓国へ行きましたら、韓国の総理、おやめになった方ですけれども、今、韓国のここの橋は日本の業者にしていただいて韓国一の橋ですよと言ってくださいました。そういう意味では、借金とは別に、この本四の技術を何とか日本の国の技術として残す方法も、私は別途考えたいと思っています。

石井(紘)委員 私の申し上げたことを半分だけとらえられると困るんですが。これは、結果的には税金で始末をしなきゃならぬ。しかし、あの国鉄も、税金で二十七兆円も始末をすることにした。あるいはさっき言ったように、住宅金融公庫の欠損金も毎年税金で始末をしている。あるいは、今の緑資源公団になる前の林野庁のあれなんかも、みんなそうだ。結局、特殊法人の借金はみんな税金にかかってくる。そんなことを次々にやっていて、国民が黙っているか。

 本四のあの莫大な借金は、これは、まずそのためには徹底した責任の追及と、こういうことになった原因の究明、それをやらなければ、国民は税金をつぎ込むことを許しません。だから、そういうことを言っているんです。

 それからまた、技術が云々というお話をされましたけれども、その話はやめた方がいいと思います。ゼネコンが橋をつくる技術を磨くためにこんなむだ遣いをやったという、それだったら、それはゼネコンの金でやればいいんです。国がそのために橋をつくったんじゃないでしょう。技術を磨くために橋をつくったんじゃないでしょう。その話はやめなければいけません。

 そして、もう一つ。本四の問題は、ほかの道路公団と一緒にすべきではない、その点は扇大臣はまさしく的を射たことをお考えになっておられる。これは小泉総理にぜひ進言した方がいいと思います。これは一緒にしてはいけません。そういうことを申し上げておきたいと思います。

 それから、ちょっと話が違うんですが、これはまた担当のところでもいいんですけれども、大臣、せっかくいらっしゃるから、お帰りになる前に。

 広島県の福山の向こうの方に鞆の浦という、鞆という港があるんですね。これは、私は昨年の暮れにもそこの御出身の宮澤前財務大臣にも申し上げたんですけれども、大変すばらしい昔からの港なんです。遺跡もたくさん残っておる。最近はこれが世界的にも大変有名になりまして、アメリカにある、世界遺産にも今上げようかという話にもなっているんですけれども、実は、世界の危機に瀕した遺産百リストというものに指定をされたんです。国際的な世界遺産文化財団、ワールド・モニュメント・ファンドという有名な国際的な団体です。

 ここに今、これは地元の、県の事業でありますけれども、一部に道路をつくる、橋をかけるために、町としてのこの遺産が破壊されようとしているわけですね。これは詳しく検討してもらわなくちゃならないと思うんです、地形だとか道路をつくる目的だとかいろいろなことがありますから。だけれども、この点は後ほど私が担当の政府委員の方に申し上げておきますので、ひとつぜひ頭に入れておいていただきたい。結局、県がつくるといったって国が補助金を出すわけですから、こういうものを断固認めないように。

 つまり、あそこの鞆という港には、ずっと上の方には、昔、朝鮮通信使が毎年幕府が交代するたびに来ていた、その港から入ってきたんです。そして休んでいたところがありまして、ここは日本一景色がいいところだと書かれた額がかかっていまして、朝鮮通信使の「日東第一形勝」というようなのが書いてある。

 上から見渡しますと、下の方にいわゆる波止、波止場ですかね、波止というのがあって、それは石を山から切り出してきて、昔、何百年か前にずっと手でつくったものです。そのこっち側には雁木という、これは船が港に着くところですが、これが段々のようになっていまして、潮の満ち干が激しいものですから、満ちたときには上の方に着けるように、干たときには下の方に着けるようにというのがずっとあります。

 それから奥へ入りますと、今度は常夜燈という、今でいうと灯台ですけれども、これも巨大な石の灯籠のような、こういう常夜燈というのがあって、それから、こっちへ来ると、今度は焚場という、タデ食う虫も好き好きというんですが、港にぐわぐわした石を敷き詰めて、今でいうとドックですね。船についたフナムシだとかを取ったり、要するに船を直したりというものが全部そっくり残っておって、また町の中もさまざまな市の指定文化財とか県や国の文化財というものが三十前後ずっとある、そういうすばらしいところなんです。

 そこへ道路をだあっと入れて、そして港のところへ橋をつけて、そうなりますと、町も港も一体のものですから、全部それが壊れてしまうということですね。ですから、これはぜひ念頭に置いていただきたいというふうに思います。

 そのことについては後でもう一回、午後、担当の方に聞きますので、そのことだけ申し上げまして、どうぞお引き取りいただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、外務省に伺います。防衛庁長官、済みません、ちょっと待ってください。

 外務省、この間、十月に鈴木宗男さんをあそこに派遣したんでしょう、タジキスタンでしたか。これは、いつ、何のために派遣したんですか。

滑川政府参考人 お答えいたします。

 鈴木総理特使をタジキスタンに派遣いたしましたのは、九月十一日のアメリカでの同時多発テロの発生を受けて、テロと闘っていき、国際社会で協力していくということを我が国として訴えてきたわけですが、こういう訴えをアフガニスタン周辺諸国に対してさまざまな形で、特使派遣などの形をとって訴えたという形で派遣されたものでございます。

石井(紘)委員 そのときに無償支援を約束してきたそうですが、幾らの無償支援で、何のためにやったんですか。

滑川政府参考人 タジキスタンに対します無償の緊急支援について経緯を御説明申し上げますと、十月八日に総理特使として鈴木議員がタジキスタンを訪問しました。その際に、タジキスタンのラフモノフ大統領から緊急の支援要請をされました。これを受けまして、十月十二日に我が国政府としてタジキスタン政府に対し、アフガニスタン難民対策を支援するために総額二億四千万円、二百万ドル相当でございますが、この緊急援助を行うことを決定いたしまして、同日の閣議において田中外務大臣より発言を行っております。十月十五日には両国政府間で口上書の交換を行ったという経緯でございます。

石井(紘)委員 これは、タジキスタンなんという国は日本でも余り、比較的知られていない国なんでどうも目立たなかったわけですが、そんな援助なんというようなことだったら外務省の人が行けばいいんだろうと私は思うんですけれども、どういうわけか総理の特使で鈴木さんが行った。鈴木さんが行って、まず、テロが起こったのでその関連で行ったというわけですね。

 それで、いち早く支援を決めてきた。これは二百万ドルぐらいですかの支援を決めてきたということで、どうも私はすっきりしないんですが、これはどういう金を出すんですか。例のアフガニスタン関連の予算から出すのか、あるいは外務省の無償援助というので出すのか。そして、外務省から出すというんであれば、それはどこを伝わって、その金はどういうふうに届いて、あるいは物資はどういうふうに調達されるのか、少し詳しく言ってみてください。

滑川政府参考人 まず、この支援の目的でございますが、アフガニスタンから、過去の戦乱の中で難民が各方面に流出しております、パキスタンその他初めでございますが。タジキスタンについても、アフガン難民が発生しております。こうした中で、難民対策ということで、この難民について生活支援を行う必要があるということを訴えられまして、私ども、九月のテロのときに、当然アフガン難民が出ることを予想いたしまして、そのための対応を図るということを決めたわけでございますので、その一環といたしまして、この要請にこたえて出したものでございます。

 経過につきましては、先ほど御報告させていただいたとおりでございますが、資金は外務省の無償資金協力の中でやっておりまして、緊急無償という形でやっております。

 これにつきまして、タジキスタン政府はこれを利用いたしまして、テント、寝袋等の生活用品あるいは食料品、医薬品などにつきましての調達を決めまして、十月の二十日には、その一部でございますテント、寝袋等の生活用品は現地へ運び込まれたというふうに聞いておりますし、残りの品目については現在調達中であるというふうに聞いております。

石井(紘)委員 どういう組織が、どういう経路で。

滑川政府参考人 この調達に当たりましては、財団法人日本国際協力システム、JICSと略称しておりますが、ここがタジキスタン政府との間で調達代理契約を締結いたしまして、このJICSがその調達作業を行ったという形になっております。

石井(紘)委員 例のアフガン問題で発生してくる難民問題、難民支援、これを外務省の無償資金でやったところはほかにありますか。

滑川政府参考人 お答えいたします。

 パキスタンに対して同様の形で、難民対策の支援ということで、無償資金協力、緊急援助という形で出させていただいております。

石井(紘)委員 PKO事務局にちょっと伺いますが、PKO事務局の方でもパキスタンに対する難民支援というのをやったのではありませんか。

林政府参考人 お答えいたします。

 パキスタンを含むアフガン近隣諸国において、米国同時多発テロに関連するアフガン情勢の悪化に伴いまして、アフガンからの避難を余儀なくされた難民が流入する状況でありましたところ、まず我が国は、国連難民高等弁務官、UNHCRからの要請にこたえまして、十月五日の閣議決定により、国際平和協力法に基づきまして、テント三百十五張り等の物資協力、及び自衛隊の輸送機による本邦からパキスタンまでの空輸を実施いたしました。

 引き続き、さらにまた要請が届きまして、たまたまテントをパキスタンで我々は調達をしておりまして、それが間に合うということで、テント五百張り、これは五千人分に相当しますけれども、それを十月十九日に閣議決定いたしまして、UNHCRに譲渡いたしました。

石井(紘)委員 これは、PKO事務局の場合は、PKO事務局で確保してある物資があったわけですね。

林政府参考人 PKO事務局では、いつもこういう事態に備えて備蓄物資を保有しております。

石井(紘)委員 そして、金額は幾らですか。さっき、テント幾らとか聞きましたけれども、金額だけ言ってください。

林政府参考人 最初のテント三百十五張り、それからほかにも毛布でございますとかスリーピングマットとか給水容器とか、向こうはテントが欲しいと言ったんですが、その間にいろいろなものを詰めておりまして、全部で九百万円でございます。それから二回目のテント五百張り、これは一千五百万円でございます。

石井(紘)委員 そうすると、外務省、今の内閣府のあれがやったのは九百万円とか千五百万円とかという、これはテントにしても毛布にしても、かなりの枚数があるわけですね。それで、外務省がやったのが二億五千万円ぐらいになっているんですね。これは量も、私は中身はそんなに変わらないんじゃないかと思うんですが。

 それで、PKO事務局にはそうやって備蓄されているものもある。それからまた、現地のパキスタンでもテントや何かもつくらせている。そうやって、ある。しかも、まだ余りがあるそうですよ。余りがあるんでしょう、まだたくさん。

林政府参考人 まだ在庫を持っております。

石井(紘)委員 それを外務省がわざわざ外務省の外郭団体であるJICSというのを通して、JICSの役員を見ると、これはみんな外務省からの天下りの人たち、あるいはJICAからの下った人たち。こういう人たちが理事長とか専務理事とかをやっている。どうして外務省はそういうことをやるんですか。このJICSに対しては幾ら払っているんですか。

滑川政府参考人 私どもの緊急無償で行っている仕組みを簡単に御説明いたしますと、私どもから相手国に対して資金を供与すると相手国が調達をするという形でございます。決して私ども日本国政府が調達してお渡しするという形ではございません。

 相手国が調達する際に、相手国自身で調達されるケースと、それから先ほど申し上げましたような形で調達代理機関を通じて調達される場合がございます。これは、その国での調達の仕組み、あるいは技術水準その他によって、相手国が方法を選択するという形になります。そういう意味で言いますと、今回のケースにつきましては、タジキスタン側が、自国で調達をせずに、このJICSというところを選択して、そこに調達を任せたという形になっております。

 そして、お話しのJICSの件でございます。

 JICSにつきましては、現在、御指摘のとおり、理事長及び専務理事に対して、外務省、JICAの元職員が就任しておるということは事実でございますが、これは、JICSができたのが平成元年ということで、創立後十三年ということでございます。そして、プロパー、いわゆるJICS自身で採用した人間がまだ幹部の年齢に達していないということなどを勘案されまして、JICSが機関決定を行っておられると思います。

 また、JICSに対しては、理事がおります。理事につきましては、これは公益法人などから、あるいは経団連、民間企業からということで入っておりまして、ここに入っております外務省のOB、それからJICAのOBについては、先ほど申した理事長と専務理事という形になっております。

石井(紘)委員 これは非常にけしからぬ話ですね。これは、どういう中身で幾らだというのを出してください。これは余りにも金額が高過ぎる。

 それから、あなたの今の説明では、タジキスタンに無償援助をお金でやって、タジキスタンがJICSを頼んだんだというような言い方をするけれども、実際上は、あなた方がこういうJICSというのがあるからといってあちこちで、世界でほかのところでもたくさんやっているじゃありませんか。自分たちでお金を出して、自分たちのところの天下り団体を連れていって、ここに請け負わせなさい。事実上、そういうことですよ。何もタジキスタンが、世界じゅう見渡して、そして日本のJICSというのを探し出して、自分たちでできないからやっているというだけじゃない。

 JICSがやることは、商社を決めることでしょう、ほとんど。あとは商社がやるんでしょう。PKO事務局の方だって、商社に入札をして、商社を通して調達をする。だから、外務省のやるのは、そのJICSというのが余計なんです。これは、タジキスタンにも日本の商社はたくさんあるんですから、行っているんですから、あの辺は。だから、タジキスタンが日本の商社に頼めばいい。あなたたちは、お金をやるかわりに、ここへ頼め、そういうことになっているんじゃないですか。――いやいや、そんなのをあなたが弁解をすると後で責任問題になるから、あなたはいいよ、弁解しないでも。

 だから、後でいいですから、支援した内容と金額を、これは調達をしたのは、あなたの方に言わせればそれはタジキスタン政府が調達したんだと言うかもしれないけれども、その金額と、それからJICSは、この財団法人はそれによって幾らもうけたのかということを別途お出しいただきたい。今わかりますか。幾らもうけたのですか、このJICSは。

滑川政府参考人 お答えいたします。

 タジキスタンに対する支援、先ほど申し上げましたように、全体で二億四千万円でございます。内容につきましては、御説明のとおり、テント、スリーピングマット等の生活用品、小麦粉、砂糖、食用油、医薬品といったものについてこれを供与するという形になっております。それぞれにつきまして指名競争入札という形で現地で行いまして、四社が落札をした形になっております。それぞれの価格については御報告をさせていただきます。

 それから、緊急無償支援につきまして、昨年度、今年度合わせて三十件やっておりますが、そのうちJICSを代理として立てているのは四件ということでございます。

 以上、御報告申し上げます。

石井(紘)委員 これはまた後で私の方で外務省からその詳しいのをもらって発表させてもらいます。

 それから、防衛庁長官をお待たせしておりますので、防衛庁長官、この前のときも私は言ったんだけれども、この自衛隊派遣の基本計画というのは出してもうできているのに、予算はどうなっているんですか。

中谷国務大臣 この基本計画に基づいて昨日実施要項を策定いたしましたが、この実施要項は、活動期間が三月三十一日まで、また活動地域、規模等実施の形態を定めておりまして、総理の御承認をいただいたところでございます。

 財政措置につきましては、現在、財政当局と最終的な調整の手続を行っておりまして、我々につきましては、早急に必要な財政措置を講ずべく作業をいたしておりまして、現在、最終段階に来ておりますが、まだ作業の過程でございますので、この金額等につきましては具体的にお答えできる段階にはございませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。

石井(紘)委員 基本計画はできているわけだから、これで、そんなに何十万なんという単位までやるわけじゃないんだから、およそ、これはこれだけの基本計画で、幾らの予算が必要なのかというのは、アメリカなんかはそれはどっと六兆円とか、ばっと決めるわけですから、防衛庁のこの基本計画でいくと大体何千億ぐらいかかるのか、一千億ぐらいで済むのか、二千億ぐらいなのか、規模としてはあるいは何億かで済むのか、どのぐらいなんですか。

嶋口政府参考人 お答えいたします。

 今、大臣から御答弁ございましたように、最終的な詰めを行っていますけれども、もうしばらく時間をいただきたいと思います。現段階でどのぐらいかということについては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

石井(紘)委員 この基本計画と一緒に承認しないで、そうすると予算はいつ、どういう形で出すのですか。

嶋口政府参考人 基本計画ができまして、それから実施要項をつくる、きのうようやく認めていただいた。それに基づきまして、最終的にどのくらいかかるか、その場合、どういう方法で財政措置を講ずるか、それについても最終的な検討を行っている段階でございます。

石井(紘)委員 その予算は別途国会に提出するわけですか。

嶋口政府参考人 今、そういうことも含めまして検討しているわけでございますけれども、実施要項ができまして、近々船が出る、飛行機が飛ぶということでございますから、そういうことを考えながら、それに最もふさわしい方法での財政措置を検討しているということでございます。

石井(紘)委員 ふさわしいのは基本計画とともに、計画というのは予算を伴わないもの、これは金がかかることなんだから、これはこんな書いた紙よりも予算の金額を出した方が早いぐらいなんだ。予算というものはどうしても必要なんです、金のことなんだから。これがない基本計画なんというのは、本当は基本計画じゃないのです、こんなものは。金が幾らかかるのか、これを出さないとだめだ。

 しかも、どうやったらふさわしいのかなんて、今ごろそんな悠長なことを言っている場合じゃないんだ。予算の出し方というのは、国会に出すんだから、幾らかかるかということは。予備費なんというものじゃだめなんだ。予備費というのは予期せざる支出の場合なんだ。こうやって法律を通し、そして基本計画を出すというものは、このこと自体の中に予算が含まれなきゃいけないんだ。

 防衛庁長官、予算を伴った基本計画にしなきゃだめです。そうじゃないと、そんな無責任なことはない、国民の金を使うんだから。この間のときも予算はちゃんと出しますと言ったんだから、あれからもう二週間もたっているんだから、いつ、どのぐらいの予算をどういう形で出すのか、はっきり言ってください。防衛庁長官がわざわざ一時間も待っているんだから。

中谷国務大臣 早急に必要な財政措置を講ずべく作業をしておりまして、現在最終段階に参っております。可及的速やかにお知らせできるように現在作業をいたしておりますので、もうしばらく御容赦いただきたいと思います。(発言する者あり)

石井(紘)委員 この答弁がもらえないと、私は、これは午後の質問時間まで防衛庁長官にもう一回お出ましいただかなきゃいけない。それでいいですか。(発言する者あり)

持永委員長 嶋口局長、質問に対してちゃんと答えてください。

嶋口政府参考人 基本計画は活動の基本的大枠を定めるもの、そして具体的な活動については実施要項で、基本的な枠をつくる、さらに個々の活動を見ていく、そういうことで、どの程度金が必要になるか、そういう作業手順を踏んでおります。そして、基本的には、現在十三年度予算の最中ですから、これは既にお認めいただいているわけでありますので、そこでできるだけ手当てしていく、しかし、どうしてもできないというのであれば、所要の財政措置を講ずる、こういう仕組みでございます。

石井(紘)委員 ちょっと待って。十三年度予算というのは、補正予算にそれは入っていないでしょう。十三年度予算のどこに入っているんだ。

嶋口政府参考人 もろもろの、艦艇も航空機も、活動のために必要な油代とかそういうものは十三年度で入っております。もちろん、これは対テロということは、突然起きたものでございますからそれを見込んでやっているわけじゃございません。

 ただ、対テロ活動をやれば、その間訓練をしないで済むとかいろいろ出てきますから、そこはそこでやりくりをさせていただきたい、こういうやり方でございます。でも、どうしても足りないものについては必要な財政措置が必要になるだろうということで、今最終的な詰めを行っているという仕組みでございます。

石井(紘)委員 そうすると、今の答弁は、防衛庁の十三年度予算の中で基本的にやる、どうしても足りないものについては考える、こういうことですね。

嶋口政府参考人 そのとおりでございます。

石井(紘)委員 そうすると、このどうしても足りない部分というのが問題になってくるよね。どうしても足りない部分というのは、普通は、想定していればこれを予算づけしなきゃいかぬわけだから、今想定される部分については十三年度予算の防衛庁の範囲内でやるんだ、こういうことになりますよ。

嶋口政府参考人 こういうテロ活動までなんてことを到底予想しておりませんでした。ただ、例えば人件費でもそうですけれども、派遣すれば人件費がかかりますけれども、そこはそこで給料ということであらかじめ見込んでいますから。その中でも、特別の手当か何かということで、到底払い切れないということになれば、そこは所要の予算措置が必要だということになってきます。

持永委員長 午前中の時間が終わっておりますので。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省港湾局長川島毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑を続行いたします。石井紘基君。

石井(紘)委員 厚生省にお伺いをいたしたいと思います。

 一つは、国民健康保険。大変経済情勢が厳しくて企業の倒産や失業が多発している状況のもとで、今健康保険証というものを、一年間保険料を払わないと取り上げられちゃう。これは厚生省の指導でもって自治体がこういうことをやっておるというわけですが、これは、そうでなくても――厚生省いるでしょう。いない。じゃ、委員長、ちょっと時間を戻してください。厚生省は後にします。

 じゃ、国土交通省、よろしいですか。

 先ほどちょっと触れました広島県福山市の鞆港の問題ですが、これは国土交通省でも歴史的港湾というふうに言われて規定されておりまして、これがまた地元の方では、県段階でいろいろ説明会を開いたり、いろいろなことをやって推進をする方向で動いているようでございますが、昨年、私が質問いたしましたときには、現地の関係住民の皆さんの同意がとれなければこれは進めるべきでないという見解をいただいたわけですが、それは今でも変わっていないかどうかをお尋ねしたいんです。

 つまり、鞆の港の橋のところに道路をつくる、そのための、道路といいますか、橋といいますか、この地権者あるいは関係住民というものが、今でも、日本の文化のためといいますか、あるいはもう今や先ほども申し上げましたように国際的な評価をもらっている、これは、壊してはいけない世界の危機に瀕した遺産百のプログラム、こういう中に指定をされたというようなものでございますので、なおのこと、この建設計画に対しては、中央省庁のこれに対する姿勢というものは非常に重要になってまいりましたので、伺いたいと思いますが、いかがですか。

大石政府参考人 お尋ねの広島県福山市の鞆の浦の架橋事業及び埋立事業についてお尋ねでございますが、まず、私から架橋事業について御説明申し上げます。

 県道鞆松永線の整備に伴い、広島県が架橋事業を企画いたしておるものでございます。これに伴う事業主体は、広島県及び福山市が事業主体となるものと想定されておりまして、事業実施の判断及び地元における合意形成は広島県もしくは福山市が行う必要があると考えてございます。

 いずれにいたしましても、昨年も御答弁させていただきましたように、事業の円滑な実施のためには地元における合意形成が重要、不可欠と考えております。

川島政府参考人 引き続きまして、埋立事業についてお答え申し上げます。

 埋立事業につきましては、公有水面埋立法上の免許が必要でございます。この免許を与える権限は広島県が持っております。免許を与えるに際しまして、広島県は国土交通大臣の認可を求めることが必要でございます。

 いずれにしましても、地元における合意形成が重要というふうに考えております。免許権者である広島県においても適切に行われるべきものというふうに考えております。

石井(紘)委員 そうすると、地元のいわゆる関係者で、この歴史的あるいは文化的な遺産というものを守る、そして町そのものを守るというために判を押さない方々が多数いらっしゃるわけですが、それが具体的に、そういう方々が反対をして判を押さない限り、このことについては、国土交通省は、これを県からいかような要望、働きかけがあろうと協力しないということでよろしいですか。したがって、来年度の予算には国土交通省からはこれが盛り込まれることはないということを確認してよろしいですか。

大石政府参考人 道路事業、架橋事業につきましては、今先生から御指摘がございましたような事情を種々勘案し、また、地元の交通ふくそう状態あるいは交通混雑状況等を判断して、広島県や福山市が事業実施の判断をすると考えております。

 その時点で、この道路の整備を国の補助事業として実施する場合には、県の方から国土交通省に補助事業の申請が上がってくるものと考えてございますが、現時点で申請がございません。国土交通省として、この事業の可否を現在判断できる状況にはございません。

石井(紘)委員 じゃ、文部科学省に伺いますが、先ほども申し上げましたように、こういういわば世界文化遺産といいますか、アメリカの財団からこういう指定がなされた、このことについてどのようにお考えでしょうか。

木谷政府参考人 お答え申し上げます。

 WMFは、文化的、歴史的に重要な人類の遺産を保護、保存するために国際的な活動を行っているNPO組織で、一九六五年にニューヨークで設立されたというふうに伺っております。また、WMFは、そのプロジェクトの一つとして、一九九六年から二年ごとに、危機に瀕して監視が必要な遺産百カ所を世界各国の専門家により構成された委員会において選定をしており、本年十一月十日には、広島県鞆の浦を含む二〇〇二年版のリストが選定、公表されたものと承知をいたしております。

 こうした意見を含め、地元におきましてさまざまな意見を踏まえつつ、鞆の町並みの保存のあり方等について検討をしていただくことを期待いたしておるものでございます。

石井(紘)委員 最後、よく聞こえない。

持永委員長 もう一遍、最後のところをはっきり言ってください。

石井(紘)委員 文部科学省としてどう考えているのかということを。

木谷政府参考人 WMFという一つの民間団体ではございますが、世界各国の専門家が検討した結果であると聞いておりまして、一つの意見として受けとめ、これを含めさまざまな意見を踏まえて、地元において今後の町並み保存のあり方等について検討されるべきものと考えております。

石井(紘)委員 いや、地元じゃなくて、おたくの方はどう考えているのかと言っているんだから、それを答えてもらわないと。

木谷政府参考人 先ほど申しましたように、WMFというそういう団体が世界各国の専門家の意見を聞いて検討した結果ということで、そのようなものとして、一つのそのような団体の意見ということで受けとめておるということでございます。

石井(紘)委員 何だかさっぱりわけわからないけれども、では私が言いますと、そういうWMFが指定した趣旨というものを尊重するということでいいですか。イエスかノーかでいいです。

木谷政府参考人 私ども自身といたしましては、このWMFという団体の詳細というものをすべて承知しておるというわけではございませんが、先ほど来申しましたように、一つのそういう世界的に活動している団体……

石井(紘)委員 同じことを繰り返さないでよ。イエスかノーかと言っているんだよ。

木谷政府参考人 はい。そのような団体の意見として受けとめるべきもの、そして、関係者においてそういうものを踏まえて参考にして検討をされるべきものというふうに考えているということでございます。

石井(紘)委員 それでは、防衛庁に伺います。

 防衛庁、前に私が言っておった例の初等練習機、これで、まさしく問題にしておった昨年富士重工と契約したT3改と同型機種であるT5でもって、ことしの九月に二名の方が亡くなるという大きな事故が起こったわけであります。

 これは、この飛行機に射出装置、つまり、緊急の場合にぽんとボタンを押すとばあっと飛び出して、そしてパラシュートが開いて、そのために人命が守られる、こういう装置がついていないということがそうした安全管理ということについて非常に重要な点であるということを申し上げたわけですが、まさに、若き自衛隊員の命がこうやって失われるわけでありますので、この射出座席というものは真剣に考えていかなくちゃならない。

 防衛庁に聞きましたら、世界的にもプロペラを使った練習機で失速速度が低いものについては射出座席はつかないなんというようなことを言っておりましたけれども、全くそんなことはなくて、世界的な最近の飛行機はすべて、練習機すべてと言っていいぐらい、これは射出装置がつけられる、ないしはついている、こういうのが趨勢でありますので、この自衛隊の練習機においても、これから導入するもの、これは射出座席をつける、そして自衛隊員の人命を守る、このことを言明してもらわなくちゃならないと思いますが、いかがですか。

中村(薫)政府参考人 お答えいたします。

 まず、下関で起こった事故でございますけれども、事故原因につきましては現在調査中でございますので、その詳細、いかなる原因で、今後どういう防御措置をとるかについては、現在、お答えするあれにはございません。

 それから、射出座席につきましては、一般的に言いまして、世界的に見ても、プロペラ機の場合、いわゆる軽飛行機、遅い小型の飛行機については、失速速度が六十一以下にしてくれ、そして、その場合には一定の安全基準を満たせればいいということになっています。それで、世界的に見てみますと、六十一をおおむね超えるような高速の飛行機については射出機がついておりますけれども、いわゆる今回選定したような飛行機、低速の初等練習機についてはついていないというふうに承知しております。

石井(紘)委員 これは命を守るためのものです。最近の飛行機、練習機には、ことごとくこれがついているわけです。だから、これをわざわざ富士重工に発注をするためにそれがつかないものを選ぶということは、非常にこれは不透明、けしからぬ話であります。

 ですから、昨年契約して、まだこれは飛行機ができていないわけですから、この契約を解消して、そして、ちゃんと自衛隊員の命を守る装置のついたそういう練習機にかえるということを明言すべきだと思います。今のような答弁だと、これはもうだめです。問題です。

 防衛庁が出してきたこの表、世界で練習機でもって射出座席が失速速度が低いものはついていないなんというのは、これはでたらめなんですけれども、この表を私はもらってありますが、それでは責任を持ちますか。もしこれが、最近の飛行機で、プロペラ機で失速速度が低いものでついているものが大勢であったら、これは防衛庁、責任とりますか。

中村(薫)政府参考人 委員にお出しした資料でございますけれども、少なくとも我々が調べた範囲におきましては、プロペラ練習機については、高速のものは射出座席なり特段の措置を求めることになっておりますが、いわゆる六十一ノット以下の軽飛行機については求めてはおらない。少なくともT3改を選定する段階で調べたところではそういう情報でございました。

石井(紘)委員 現に、この五年間で二十八人の方がこの練習機で事故が起こって亡くなっているわけでしょう、若き自衛隊員の二十代の人の命が。私は、そういうことでは許されないと思いますので、これは今後さらに大きな問題にしていくということを申し上げておきます。

 厚生省、来ましたか。――きのうさんざんレクして、二時間もレクしてやったのに。(発言する者あり)

 では、後で、終わってから。

持永委員長 では、ちょっと時間をあれしましょう。

 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 決算行政監視委員会は久しぶりの質問になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、決算委員会で同期の桜というか、石井紘基先生もまだ頑張っていらっしゃいますので、残りの五分間、ぜひよろしくお願いいたします。

 まず総務省に質問をさせていただきますが、済みません、数字を言います。平成十一年度の地方財政計画と決算を比較しますと、かなり大きな乖離があります。まず一般行政経費ですが、この地財計画ですと約十九兆円立っておりますが、決算だと二十八兆円出ております。九兆円も差があるということはどういうことなのか。そして雑収入を見ますと、地財計画ですと五兆しかないのですが、決算額ですと十五兆近くあります。これも約十兆円近く差額があります。

 中身は大体わかったのですが、私は企業をずっと見ておりましたが、これだけ決算と乖離がある計画は計画とは言えません。ですから、しっかりと、計画を立てるんだったら予測できるものを計画に反映すべきだと思いますが、総務省の香山自治財政局長、答弁をお願いします。中身の説明はいいですから。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃることは私どもも十分理解できるのでありますけれども、先生も御存じのとおり、地方財政計画は合理的かつ妥当な水準と申しますか、標準的な行政に要するために幾ら交付税が要るかということを目的としてつくるものでございます。

 その意味で申し上げますと、歳出でいいますと、例えば人件費につきましては、国家公務員を上回るような水準の給与を現実に地方団体が払っている、こういうような実態はございますけれども、その部分を計画に見込むわけにはまいりません。また、歳入についても、例えば個々の地方団体が大変頑張りまして、住民に対して超過課税をするとか、使用料、手数料を高く取る、こういったことがあるわけでございますけれども、これも地方財政計画に入れてしまいますと、いわゆる交付税の確保をするという意味で問題が出てまいります。

 そういう意味で、計画と決算との間にある程度の乖離が生ずることは性格上やむを得ないものという点について御理解いただきたいと存じますし、また、特に御指摘の一般行政経費と雑収入について申し上げますと、地方団体がいわゆる歳計現金を一時的に金融機関に預託いたしまして、それによって地域金融をする。そうすると、それは財源的にどうなるかといいますと、年度末にその貸付金が返ってくる、これが雑収入の方の差になってまいりますし、歳出の方では、そういう形で組んだ分だけ決算乖離として大きな要素になりまして、これが四兆円ほどございます。そのような要素が大きな乖離の原因というふうに私ども思っております。

 ただ、御指摘のとおり、決算と計画との間に大きな乖離があるというのを好ましい姿ではないと思っておりますから、我々は現状を追認するというわけにはまいりませんけれども、この乖離の分析等も十分いたしまして、できるだけ標準的な、計画と決算とが一致するように努めていきたいというふうに思っておりますし、地方団体の方は地方団体の方で、計画に沿ったような形で、むだな投資、むだな行政等を行わないように努力をしていただきたい、さように考えておる次第でございます。

若松委員 局長、ですから、今後検討していただけるのでしょうけれども、さっき言った、地財計画は最終的には交付税がどのくらい必要なのかという、それはわかります。

 だったら、その地財計画の中に、では実際これだけの収支が見込めるといういわゆる収支、ある程度キャッシュフローも一緒に合わせて、かつ、先ほどの例えば基金ですか、財源調整基金とか減債基金とかその他の特定目的の基金とかありますね、総額十五・八兆円。そういったものもちゃんと将来の財源、いわゆる収入、キャッシュフローとしての財源がありますよと。また、貸付金残高も十・五兆円ですか、地方自治体もこの二つだけで二十六・三兆円、将来のキャッシュフローを持っているのです。そういうものもしっかり明確にしていただいた上でこの地財計画というものを出していただかないと、判断材料としては非常に乏しいと思うのです。

 ですから、そういうふうに、あくまでも交付金目的のための資料だけれども、それだけでは判断材料になりませんから、ではそのための将来のキャッシュフロー、その年度に生じる、計画に盛らないキャッシュフロー、さらにそれに関係する将来のいわゆる未払い、これは借金ですね、あとは基金とかの資産、そういったものをしっかり両方のせていただいて初めて我々は正確な審議ができるわけでありまして、ぜひそういった工夫をしていただきたいと思いますが、局長、御努力いただけますか。

    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕

香山政府参考人 繰り返しの答弁になる面がございますけれども、例えば、歳入面で超過課税を行っておるとか、あるいは過去の事業を、例えば新しい大きな庁舎をつくろうということで個々の地方団体が努力をして積立金をしておいて、それに現実の財政運営としてその積立金を崩してある年に庁舎をつくる、こういうようなケースを単年度の財源収支をあらわすという意味での地方財政計画に反映するというのは、私、率直に申し上げて難しいと思いますけれども、私ども、決算分析だとかそのような形で、地方財政計画を補強する形で、その辺の流れがよくわかるような資料を調製して地方財政の姿がよく見えるように、そういう点については工夫をいたしてまいりたいというふうに考えております。

若松委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それと、今度は財務省そして会計検査院にお伺いいたします。

 財務省も非常に人手不足で、特に今の日本の決算書をつくっている課ですか、係ですか、二十二人しかいない。非常に御努力をされて、去年から国の貸借対照表をつくるようになりました。それと、会計検査院も七百名台ぐらいですか、今、どのぐらいでしたか……(発言する者あり)千五百名ですね、随分ふえましたね。そんなにいるのですか。(発言する者あり)千二百名ですね、院長しっかりしてください。千二百名ということで、多いか少ないかはいずれにしても、会計検査院のいわゆる検査報告書が出ております。

 結論から申し上げますと、そういう具体的な問題点の指摘事項です。こういう調査をしてこれを発見したという、今そういう発見事項だけを報告する検査報告書です、今の制度は。

 ところが、特に財務情報、いわゆる国の財政状態がどうなっているかというと、当然一般会計、さらに特別会計、さらに国が出資している特殊法人とかの公的な機関、それも合わせた連結決算、連結財務諸表として、では貸借対照表はどういう状況になっているのか、収支報告書はどういう状況になっているのか、キャッシュフローはどういう状況になっているのか、それに対するいわゆる附属明細書というか注記、そういった情報はどうなっているかという、全体から果たしてその連結の情報が正しいかどうかというお墨つきをつけようとしているのが、今、これから説明する米国、イギリス、そしてオーストラリアを含む先進国の努力なんですよ。会計検査院の仕事なんですね。

 では、アメリカはどうやっているかというと、アメリカの二〇〇〇年の決算書では、残念ながら、連結の数字はいわゆるあちらの財務省がつくって、アメリカのGAOもチェックをして、意見差し控えですが、いずれにしても意見を出しております、全体を見て。意見差し控えですから、どういった項目があるかというところで日本で言う会計検査院の報告書がある、そこにいろいろな問題点が出ております。だから意見差し控えなんだということです。

 ですから、会計検査院の意見差し控えという意味は、その指摘した問題点以外をちゃんと見ていますよ、それはGAOとして責任を持って証明できます、そういう意味なんですね。

 イギリスにおきましては、これはちょうどことしの四月からですか、資源会計予算システムというんですか、これを今始めて、それで二〇〇六年ぐらいまでにかなり完璧な連結表をつくろうと努力しております。

 と思ったら、日本の真下というか、時差のないオーストラリアに行きましたら、去年の六月決算期の決算書を見たら、オーストラリアの会計検査院が限定つきの適正意見を出しております。限定事項はちゃんとわかっております。いわゆる問題点が明記されております。それもわずかです。だけれども、全体としてオーストラリアの政府の連結の決算書は、一部を除いて適正である、こうはっきり言っております。

 今、日本の経済にしろ何にしろ、なかなか構造改革ができない。結局これは、企業でいえば、企業で経理がだめなところは経営もだめというのは常識です。日本がこれだけ悪くなったのは、国の経理が悪かったから。財務省に会計専門家がいなかった。また会計検査院が、そういう国全体の財務情報がどうなっているかという全体からの意見を出そうと努力しなかった。これに帰着するわけですよ。――総務省、結構ですからどうぞお帰りください。私の質問、関心があったらどうぞ聞いてください。

 そういうことなんですけれども、私ははっきり言って、日本のまず財務省には会計専門家がいない。早急に入れて、それは公務員として入れてもいいし、またアウトソーシングにしてそういう研究会なり調査会に委託してもいいと思います、お金をかけないで。それで早急に連結決算書を財務省から出してもらいたい。それをまた早急に会計検査院が、適正な意見を出せるように、財務省に指導する。そういう役割が本来の姿と思いますが、現状と比較して、その私が言った本来の姿と何が足りないのか、今後どうしようとしているのか、それについて財務省と会計検査院にお伺いします。

    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕

杉本政府参考人 先生御指摘のとおり、先進諸国におきましては、近年、貸借対照表の作成等を始めまして、国の財務情報の公開、内容の充実に向けた取り組みが進められているということは承知しております。

 先生の御指摘の中にもございましたように、私どもの方でも、国や特殊法人の財務情報に関しましては、昨年十月に、企業会計における手法を導入いたしました国の貸借対照表、試案でございますが、これを作成し、公表し、本年はそれにさらに改善を図って公表させていただいているところでございます。

 さらに、本年六月には、財政制度等審議会公企業会計小委員会におきまして、最新の企業の会計原則に準拠いたしました特殊法人等に係る行政コスト計算書、この作成指針というものが取りまとめられまして、それに従いまして各特殊法人等から九月末までに行政コスト計算財務書類が作成されるということになっておりまして、国に対する説明責任の確保、それから透明性の向上、こういったものに向けまして取り組みを行ってきているところでございます。

 昨年十二月の行政改革大綱、これにおきましても、国民に対しまして国の財政事情をわかりやすく開示し、財政に透明性、一覧性の向上を図るとともに、説明責任を確保する観点から検討を進めているところでございますので、財務省といたしましても、国の財務情報の開示につきましてはさらに改善の余地がないか、いろいろ努力を続けてまいりたいと考えております。

若松委員 今までやった努力をこうだと、幼稚園生が自分でこうやったということを、こういう大人の委員会に出してもらいたくないんですよ。そういうのはわかっているんですから。

 私の質問は、もう先進国はそうやっています、それに対して今どういう問題意識を持って、どのようにしようとしているんですかと。だから答えになっていないんですよ。もう一回財務省、答えてください。

 会計検査院も、そのような観点から答えてくださいね。会計検査の報告書というのは、これやってこれやって、さっきの、幼稚園の世界ですからね。こう言ったら感情を害するかもしれませんけれども。さっき言ったように、世界のレベルから比べて、今の問題意識と、どうするんだ、そこを答えてください。短時間でお願いしますよ。

杉本政府参考人 お答えします。

 先ほどお話に出ました国の貸借対照表に関しましても、国の貸借対照表の有意性、有効性、それから特殊法人等の連結につきさらに検討し、引き続き評価、改善を重ねることが必要だと考えておりますし、特別会計につきましても、特殊法人との連結等も含めました公会計貸借対照表等につきまして評価、改善を重ねることとしておりますので、こうした努力をこれから続け、改善に向けてやっていきたいと存じております。

若松委員 いつまでですか。

杉本政府参考人 できる限り検討を早めたいと思っておりますが、今のところ、具体的にいつまでということを申し上げる段階にはございません。

金子会計検査院長 会計検査院では、委員御指摘の点について、これまで制度の枠内においてできる限りの努力をしてきた。特に、会計検査報告第六章において、検査対象機関、国及び特殊法人等の財務状況につきまして、相互の関連を見ながら掲記するということを行っております。

 なお、国の財務状況をより明らかにし、そして、国民に情報を提供するという観点から、先生今お挙げになりましたGAO、NAO、それからオーストラリア、ニュージーランド等の国々の委員長と、私、直接に会って意見を交換し、どのような形で検査を進めればいいかということを行っております。

 また、検査について、個別検査に重点を置いていないかというお話がありましたけれども、私、この委員会でもしばしば申し上げておりますけれども、全体的な観点から、リスクマネジメントという手法で、国の財務それから特殊法人の財務の中にどういうところにリスクが発生しやすいか、そういう観点から取り組むということで努力をしております。

 私、先ほど申し上げましたように、各委員長との意見交換の中で、先生挙げられました国々において、こうしたリスクマネジメント手法を用いて財務検査をやっているということを確認しておりますので、今後、そういう方向にも力点を置いて検査をし、より適切な情報を提供していきたいというふうに考えております。

若松委員 院長にお聞きしますが、会計検査院法でも目的になっていると思いますが、とにかく国のいわゆる財務状況、これもしっかりチェックするということであるならば、もっと会計検査院はいわゆる勧告とか指導とか、そういうことを言える立場ですので、財務省に、なぜ今までこのような――さっきの国の貸借対照表だって、これは単なる補足資料なんですよ。貸借対照表、収支報告書、キャッシュフロー、さらに注記、これらを含めて初めて財務諸表になるんですね。それで正式なものになるんです。貸借対照表だけぼっと出したって、これは補足資料なんですよ。これをつくったということは、正直言って恥ずかしくて言えないんですよ、諸外国じゃ。そういう今の現状、やはり日本はおくれております。そのように認めておられるでしょう。

 そこで、ここまでおくらせてきたことに対して、やはり会計検査院は本来のそういう指摘をしてこなかったと思いますよ。特に特殊法人、これからやりますけれども、これから政府系のいわゆる不良資産の情報開示とかもやるでしょう。

 ところが、特殊法人は、いわゆる外部監査は義務づけされておりません。会計検査で見ていると言いました。重松審議官が、この前、見ていて問題点を指摘していると。それを見て特殊法人の決算書がすべて正しいように思ってくれみたいな、そんな答弁をされましたから、では、さっき言ったように、国の連結的な、総括的な財務情報に対して、会計検査院が、果たして適正かどうかと、やはり言うべき、また言わせるように財務省に指導するのがむしろ会計検査院の立場だと思うんですよ。それをしてこなかったというのは、はっきり言って会計検査院の業務のサボタージュなんですよ。

 ですから、そういう観点から、さっき、いつつくるかわからない財務省の答弁。国の連結決算書、いわゆる特殊法人等も含めた、それについて今後どう指導していくんですか。会計検査院、どうこれから持っていくんですか。

金子会計検査院長 先ほど申し上げたことの繰り返しになるかと思いますけれども、会計検査院としましては、先ほども申し上げたような形で現在努力をしておりますし、また、特殊法人の関係についても、個別に特殊法人を取り上げるということではなくて、横断的な形で特殊法人を見、そして、それらの財務構造を明らかにすることによって問題点を明確にしていくというような努力を現在行っております。

若松委員 結局、私の質問を全然理解されないまま二十分間過ぎてしまいました。私は、あくまでも総括的な財務情報のお墨つきを与えるのが会計検査院の使命なんです、そう言っているんですよ。時間がありませんから、続きはまた高木理事にお願いして、しっかりやってもらいたい。私の質問を理解してもらうまでやりますからね。

 では、以上で終わります。ありがとうございました。

持永委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 きょうは、田中外務大臣にお越しをいただいておりまして、報償費、機密費のこと、そしてまた裏金の問題について御質問させていただきたいというふうに思っております。

 時期的に年末に来ておりまして、来年度の予算編成ということが大変大きな課題になってくるわけですし、予算自体は内閣が編成するのはもう当然のことなんですけれども、議会としてかかわっていくという意味において、今までの報償費の使用のされ方、それに基づいて来年の予算にそれがどういうふうに反映をされるのかということを伺っていきたいと思っております。

 報償費、機密費の事件がありましてから、本当に各種の提言というものが出ているわけですね。四月には、平成十三年度予算報償費使用に関する基本的考え方というのが出ておりますし、その四月の二十四日には、有識者で構成する外務省機能改革会議の提言というのも出ております。また、それに基づいて外務省改革要綱というものも発表をされているということになっているわけですが、この平成十三年度の予算報償費使用に関する基本的な考え方についてまずお伺いをいたしますけれども、この基本的な考えというのは外務大臣は遵守をされていらっしゃるんでしょうか。

田中国務大臣 報償費予算の執行でございますけれども、外務省は、とにかくいろいろと問題がございましたことしの一月から、問題点も随分明らかになってきていると思いますけれども、やはり納税者である国民の皆様から納得していただけるような適正な運用の仕方、そして報償費そのもの自体の持つ性格ということがありまして、全部開示はできません。しかし、今までいろいろな費目でごちゃまぜになっていたようなことがありますので、そうしたもので、例えばレセプション経費でありますとか、そのほか大事な、表に出しておかしくないもの、おかしくないと言いますと言葉は悪いんですが、もう少し区分を明確にした方がよろしいものは、しっかり費目を別に立てるということでございます。

 ただ、報償費自体は、何が起こるかわかりませんので、ぎちぎちのものではなくて、ある程度ゆとりといいますかバッファーを持って、適正に運用していくということをしなければならないと思います。したがいまして、節約という面と効率的な使用ということをしっかりと眼目に置いてやっていきたいというふうに考えております。

中塚委員 節約ということと、またその効率的な使用ということになるわけですけれども、続いて、六月六日に外務省改革要綱というのが発表されておりますね。その中には、報償費の支出は外務大臣の責任で行う、大臣決裁ということになっていると思うんですが、これはもうその後ずっと大臣が決裁をされていらっしゃるんでしょうか。

持永委員長 杉浦外務副大臣。(中塚委員「要求していないんですけれども」と呼ぶ)――田中外務大臣。

田中国務大臣 済みません。

 外務省改革要綱を発表いたしましたのは六月以降でございまして、正確には六月六日でございますが、報償費の支出は、十万円を超える案件は副大臣決裁でございまして、さらに副大臣の判断にて必要に応じて大臣決裁ということにいたしております。

中塚委員 済みません、副大臣。実は、きょうは官房長ということでお話があったんですが、何か急にお越しになれなくなったということで、では大臣お一人という話になっていたんですよ。この紙にも田中外務大臣しか書いていないですね。済みません。では、ちょっと質問を続けます。どうしてもというときになったら、また杉浦副大臣もお願いするとして……。

 それで、副大臣が御決裁になっているというようなお話だったですけれども、これはどうなんでしょう。決裁をされている範囲で適正に使われているということなんでしょうか、その決裁というシステムが働いている中にあって。

田中国務大臣 お答えする前に、官房長は何か今内閣委員会だそうでございまして、私、今、官房長が答弁するというふうなことで、ほかの委員会から吹っ飛んできましたので、ちょっと申しわけございませんでした。

 報償費の執行でございますけれども、報償費をその目的にかなうものに使用して、そして執行及び管理を一層適正なものにするということでございまして、いろいろな諸点を含めまして、今現在、精査をしてきております。そして、十三年度の報償費につきましては、先ほど申しました改革要綱を発表して以来、外務大臣、私の責任におきまして支出することといたしましたが、個々の案件ごとに基本的な考え方に従って精査し、判断をしてきております。

中塚委員 さて、それで、この間の補正予算の審議の際に、我が党の同僚議員が質問をしたと思うんですが、今度の補正予算で一五%の報償費の減額ということがあったわけですよね。その一五%の減額というのは、適正に使われているかいないかということを判断の上での結果ということでよろしいんでしょうか。

田中国務大臣 それは、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、全体を見ましたところで、効率的に節約もしながら使用するという観点から、そのように計算をいたしました。

中塚委員 さて、そういう体制をやっていった中で、今年度は一五%の減額ということもあったわけですね。では、それを来年度の予算にどういうふうに反映をさせるのかということになってくると思いますが、そこのところは大臣、いかがですか。

田中国務大臣 十四年度の予算でございますけれども、これは概算要求におきまして、これから申し上げるような措置を行っております。ちょっと読み上げさせていただきますけれども、第一番目には、近年、ある程度定型化といいますか、定例化といいますか、そうしているもののうち可能な場合には、報償費以外の科目で具体的な事項を立てて、他の関連の経費と合わせて改めて積算して計上する。一回目の答弁で先ほど申しましたように、レセプションでありますとか、あるいは総理などの要人の訪問関連経費とか、かなり細かくて額の大きいもの等もございますけれども、そういうものを積算して計上いたします。

 二つ目に、過去の報償費の使用の実績を踏まえながら、何度も申しますが、節約をし、そして効率的に使うということでございます。

 三つ目が、過去の報償費の使用実績ということを踏まえまして、今年度は約五十五・七億円から四〇%の減額をいたしまして、三十三・四億円を計上するようにいたしております。

中塚委員 それともう一つ、有識者が、外務省機能改革会議の提言という中で、内閣報償費を外務省の職員が取り扱うことはないというふうに提言をしているわけですけれども、そのことは予算にはどのように反映するのでしょうか。

杉浦副大臣 内閣報償費については、外務省で一切取り扱わないことといたしておりますので、そちらの方は内閣府の方から御要求があると思います。

 それと同時に、総理大臣の外遊に伴う諸経費は、今まで内閣府に計上されておりましたが、財務当局と話し合いまして、執行段階で全部外務省が引き取りまして、外務省の儀典官室で総理、外務大臣の外遊については一切取り扱うということもいたしております。

中塚委員 いずれにしても、報償費、機密費というか、検査が及ばない経費ということで大臣が決裁するということになったわけですが、そうなってくると、私は、機密費自体、報償費自体は要らないというふうには考えていませんので、正しい目的、本来の目的、そういったものについてお使いいただけるのなら、それは十分に御活用いただきたいというふうに思っておるわけですけれども、実際、それをちゃんとコントロールする立場にいらっしゃるのがお二人なわけですね、外務大臣と副大臣、制度の上では大臣決裁ということになっているわけですけれども。

 そういった意味において、この改革要綱なんかにも盛られている、使用目的に沿った情報収集とか資金の効率的利用とかいうことについて、果たしてそれを本当に反映をした結果として来年度の報償費の減額というものがなされているのかどうかということを、もう一度ちょっと御説明いただけませんか。

杉浦副大臣 お答えいたします。

 報償費は、六月から大臣決裁ということでスタートいたしまして、中身は、原則として植竹副大臣と私は全部見る、二人の意見が一致して、これはじかに大臣の御決裁をいただいた方がいいと判断したものについては大臣の御決裁をいただいております。

 これは、前の河野外相のときに出た提言、両副大臣おられたわけですが、引き継いだときに、これはぜひやってほしいという引き継ぎもございましてしたわけなんですが、その結果、中身は詳細私ども承知するところとなっております。適正な執行が図られるように、意見も時には原局に対して言うこともございます。私ども決裁している限り、適正に使用されているというふうに思われます。

 大臣とも御相談の上であれしたのですが、一応そのうち節約一五%、それから、外へ出せるもの、例えば在外公館でやっております天皇誕生日のパーティー、全部でやっておるわけですが、そういうような種類のものは出そうということで、全総額四〇%を削減しようということにしたわけでございます。

 大臣とも話しておりますが、適正に執行した結果、本年度残額が出ればそれは国庫に返納する。来年度予算も一応そういうことで計上いたしますが、適正執行の結果残額が出れば、これについては、さまざま国民の皆さんからの御疑惑もいただいておることでありますから、きちっと執行して、残ったら返納しようということで運用をいたしております。

中塚委員 報償費についてはそういうことだということなんですけれども、では、今度は裏金というのですか、外務省ではプール金と呼んでいらっしゃるそうですけれども、そちらのお話についてですが、そういうことで適正に使うというふうな観点に立ったときに、それだけの減額というものが来年できたわけですね。

 この八月ですか、ハイヤーのお金を詐欺をして、これだけの税金が流用されていた、本来の目的ではないものに使われていたということになるわけですけれども、私は、そういったことで報償費が本来の目的に使われていなかった、来年度の報償費を減額するということになったのであれば、このプール金の件についても、外務省の予算からその分は減額をするべきではないのかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

田中国務大臣 御意見としては承りました。

 ただ、このプール金のことが表に出ましてから、外務省の改革要綱にもございますけれども、やはり外部の、客観的な第三者に入っていただいて、トータルで外務省の支出に関してということももちろんありますけれども、監察査察制度を立ち上げまして、園部参与という方に、法曹界にかつていらした方、今現在も弁護士さんですが、おいでいただきまして、その先生の監督といいますか御指導のもとに今進めておりまして、この間、たしか十一月十三日に中間報告をいたしました。

 これもなかなか、事務的には、すべてきれいになるまでに、相手がともにプール金を使った関係があったりいろいろいたしまして、伝票が全部役所にないということもありましたので、時間がかかっておりましたが、余り長引くとまた不信感のもとにもなりますので、不十分ではございましたけれども中間報告をいたしました。そして、できれば今月中にと思っておりますが、早目に最終的な結果というものを発表するつもりでおります。

 ただ、確実な、正確なものを、なるほどと皆様から、国会だけではなくて国民の皆様から納得していただけるような、そういうものを出さなければなりませんので、ここまで来ておりますので、一日、半日を急ぐのではなくて、正確なものを、園部参与と私と官房長とが出まして御説明をするということを計画いたしております。

中塚委員 今、月内をというふうなお話があったわけですけれども、やはりぜひ予算に反映をしていただきたいわけです。それは、要は、そもそもそのためのお金ではないものが使われていて、外務省としての仕事に使ったお金もあるかもわからないけれども、自分でポケットに入れちゃった、私的に使った人もいるわけですよね。全員でお給料で穴埋めされるような話も聞いていますが、自分で使ったものを返すのは当たり前の話で、例えば、きせるなんかは乗車賃だけ返すわけじゃないわけですよね。使った分の何倍も払うということになっているわけですから。

 そういう意味では、普通の人の感覚からすれば、そういう余っていたむだな予算があるのであれば、来年からはちゃんと予算は削減をするようにしていただかなきゃなかなか納得しないと思うのですが、いかがでしょう。

田中国務大臣 私、それにお答えする前に、このプール金の話を聞いておりまして、プールするということは、とにかく、この間の官房長が記者会見でも発表しておりましたので世間の方は御存じなことですけれども、官房長の言いぶりからいきますと、どうしてプール金がこういうふうな形でたまったのか、ほとんどのところの局、課、部局全部に関係しているではないかという鋭い質問がありましたときに、官房長はこう申しておりました。

 例えば、お客様を外国から呼ぶときに、複数の方を計画しているけれども、その数が来られなかった、要するに少なかった場合、その差額をプールしていた、そして自分たちで使ったのだということをおっしゃっていましたけれども、そうしたらその質問者が、では、それは水増し請求に結果的になって、支払いというのは、請求したその最後の、ファイナルに対して請求が来て支払うのでしょうから、これはもう水増し請求ですよということで、ちょっと官房長が立ち往生したところが率直に言ってありました。

 私は、そういうことはあってはならないので、やはり部や課、局で必要な経費というものも確かにあると思います。それに外務省は、時間差もありますし、夜食も必要であったり、深夜の帰宅というのもございますので、ですから、そういうことについては、それを込みの、しっかり表に出していく予算というものを組まなければならないというふうに思っておりまして、何でもぎちぎちに締め上げれば、また悪いことをする人も出てくる。

 したがいまして、出てこないかもしれませんけれども、今の時点では、そういうふうなことをちょっと思いますから、やはり余り負荷がかかると十二分に、深夜まで仕事をしたり、うちの若い秘書官室の方たちも本当によくやってくだすっていて、それはもう二十四時間体制のように働いていて、食べずに歩いて帰るわけにもいかないわけですから、そういう必要経費というものを、私はそういう意味で申し上げておりまして、それが、わからないからこそこそためていくというふうなことは不明瞭であります。

 したがって、委員がおっしゃっているのは、今までの分を予算の中でどうしろという御意見ですね。それはまた、参与とか官房長ともよく話をいたしまして、最終的な発表をするときにそれも込みで、どちらにいくかわかりませんが、トータルでもう一度、内部で意見をして発表させていただくのでよろしゅうございましょうか。(発言する者あり)

中塚委員 名答弁という声がある一方で、ちょっと外務大臣らしくないなという気もしますけれども。

 三分の二の課室が関与して、七十に及ぶというような話を会見でされていますよね、官房長は。そういった意味では、要る経費だったら、それはもう正々堂々と、ちゃんと予算におつけになればいいことなわけですよ。だから、何も残業しても御飯を食べるなとか、タクシーに乗るななんと言うつもりはないので、必要であれば、必要な金額はつければいいわけでありますから。

 ただ、一連の事件なんか聞いていますと、報償費にしたって、本来の目的ではないのに使っている。大臣が外遊をした際の部屋の差額に充てられているとかいう話が聞こえてくるわけですよね。全く同じようなことがこのプール金ということでも行われてしまっているわけですね。だから、全く同じようなことが両方で行われているというのは、一体これはどういう話なんだということにもなるわけですので。

 先ほど、月内というふうにおっしゃいましたよね、その調査のことは。月内になぜこだわるかというと、それは、来年度の予算の編成というのが大体十二月の十五とか十六とか、その辺から始まるわけですね。だから、ぜひとも月内にきちんとした調査が出て、それに基づいて、外務省の省費というのですか、そっちの方でもきちんとした、不要な部分については減額をするというふうな対応をお願いしたいと思うのですが、もう一度、いかがですか。

田中国務大臣 そうした御意見も踏まえまして、予算請求もしてまいります。

 ただ、誤解があるといけません、舌足らずかもしれませんけれども、三分の二以上の、ほとんどというふうな言い方をせざるを得ないのかもしれませんけれども、部局がかかわっていたことにつきましては、個人でやった方はもちろん個人で弁済ですが、OBでありますとかみんなで応分に、やはりやめたOBも含めて、しっかり今回の分については弁済をしていこうということでございます。

 そしてまた、これから十四年度につきましては、そういうことがないように、必要なものはきちっとつける、今まで必要なかったものがむだにごちゃまぜになっていたものであるとか、水増しであったりするようなものは、それはもうきちっと整理をして、今後ないようにするということで申し上げました。

中塚委員 それで、お金はそういうことなんですね、OBも含めて返すと。来年度予算もぜひとも反映してほしいと私は思っているのですが。

 今度は、その処分の話になってくるのですけれども、処分ということになったときに、要は、外務省の仕事のためにプール金というか裏金を使ったということもあるようですね。だから、私的に流用しただけではなくて、仕事のために、連絡室なんかをつくるときにそういった裏金を流用したというふうなこともあるように聞いていますけれども、今度はお金の話ではなくて、処分ということになった場合には、私的流用の職員だけを処分するのか、それとも本来の、本来のということはないですね、外務省の仕事のためにプール金を使った、そういう場合においてもその職員を処分されるのか、その辺はいかがですか。

田中国務大臣 今委員御指摘のところが、まさしく一番時間が要しているところで、伝票がないところということのほかに、あったにしても目的その他、時系列的に調べていったりするのに時間が要しているわけでございますけれども、いずれにしても、プール金に関与した職員につきましては厳正に処分をするという基本があることは御理解いただきたいと思いますし、特定個人が私的にプール金を使用していたケースにつきましては特に重い処分を行うということは決めております。

中塚委員 そういったことで、ちゃんとした仕事ができないからプール金があったなんということになると、これは全く本末転倒なことですので、必要な予算はきっちりとつけていただくように。

 あと、調査の中身とも関連するのですが、プール金というのは、すべていわゆる一般の庁費の中からのものですか。報償費の中からプール金というものがつくられているということはないのでしょうか。いかがでしょう。

田中国務大臣 今、その点について調査しておりますので、ですから、なかなかすぐ発表できなくて、それも含めて、この間一たん、調査中と申し上げて中間報告いたしましたが、そこの点をもうちょっとお時間をいただいて、正確を期したく存じます。

中塚委員 ということで、それこそ報償費の中身からプール金ができていたなんということになると、全くもって、私らなどはその細目さえ知ることもできないということになりかねませんので、そういった意味においては、きちんとその辺は調査していただいて、要らないものはもう来年からきちんと減らしていただくということを強くお願いしたいと思います。

 終わります。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 私は、前々回に続いて、外務省の不祥事問題、今お話のあったいわゆるプール金問題とデンバー総領事公邸の問題について質問をしたいと思います。

 今もプール金問題のお話があったわけでありますけれども、大体プール金なんという言葉を使わない方がいいのではないか。耳ざわりはいいのですけれども、答弁にもありましたように、これは水増し金であり、あるいは裏金、こういう性格のものであると思うのです。

 そこで、最初に会計検査院に確認をしておきたいと思うのですが、公金を支出する場合、取引業者から最初に見積書を提出させる、二番目に契約を結ぶ、三番目に機器類など品物の納入、あるいはホテルを利用し、そして四番目に支払い請求書が届き、五番目にその請求書に基づいて支払いの行為を行う、これが会計法上のきちんとした原則であると思うのですが、この点、まず確認をしておきたいと思います。

金子会計検査院長 お答えします。

 委員おっしゃるとおりでございます。

大森委員 取引業者からの請求書に基づいて公金を支払っておれば、裏金など生じる余地はないわけですね。そういう余地があるとすれば、結局、外務省の公金を詐取するために水増し請求をするか、あるいは外務省が相手業者と示し合わせて水増し請求したものを支払って、その差額を裏金として処理する、そのいずれしかないと思うのですが、これは外務省、官房長お見えになっていますか、そういうことだと思いますが、どうでしょう。

小町政府参考人 今先生御指摘のいわゆるプール金は、各種行事のために外務省側から企業側に支払いが行われました際に、実績を上回る分の余剰金が外務省側の債権として残ったものでございまして、それは例えば外国の賓客やその他要人の招聘、国際会議やレセプションといった行事の際に生じたものと考えられます。

 このように、プール金の発生過程には種々の形態がございますけれども、これを踏まえつつ、今事実関係を解明すべく、鋭意全力を挙げて調査を行っているところでございます。

大森委員 そういう答弁が出るところに、私はこの問題の一番重大な点があると思うのです。

 冒頭あえて会計検査院で確認をとったのは、つまり、ある事案の費用について、公金の支払い行為というのは一つ一つの事案について行うのだ、これが大原則だという答弁が先ほどあったわけであります。ある事案の費用について、余剰金が生じたので次に回すというのは、これはもう会計法上の違反行為だという、この点でのきちっとした深い認識が全く欠けているんじゃないかと思うのです。そこで、今おっしゃったようなそういうケース、それ自体が実は水増し請求なんだということをしっかりと認識していただきたいと思うのです。

 先月の十六日に、預かり金返済問題に関する全課長補佐に対する省内説明会、こういうものが開かれました。この外務省の全課長補佐を対象とした説明会の記録、内部資料が手元にございます。この説明会は、省内課長補佐百三十名出席のもとに、官総長、これは官房総務課長ですか、それから三輪官房参事官が行っている、そういう説明会であります。

 これを読んで、本当にこれはもう外務省が文字どおり、省内ぐるみ、組織ぐるみで腐り切っているんじゃないかということ、省内にこういう裏金づくりが蔓延しているんだ、官房総務課長の冒頭説明では、今まで調査を進めた結果、預かり金と無縁である課を見つけることが困難なほど、預かり金問題が全省的な問題になっていることが判明した、これは英語的な表現ではありますけれども、ほかの部分でも、ほとんどの課でこれが行われている、そういう趣旨の説明がやられているわけですね。

 そこで、今月の十三日、外務大臣が中間報告を行われた記者会見の中では、約三分の二の課室がプール金を有していた、三分の二とは、これは官房長の説明で七十をちょっと超えたくらい、こういう説明でありました。この省内説明会の、ない課を見つけるのは困難だという状況と私はかなりの開きがあるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田中国務大臣 開きがあるかどうかよりも、今副大臣と確認いたしましたが、私どもも忙しかったことがありますが、十六日に省内でそういった説明会を、課長補佐以下とおっしゃいましたか……(大森委員「課長補佐以上です」と呼ぶ)課長補佐以上に対して説明、そういうことがあったこともちょっと私どもわかっておりませんでしたけれども、いずれにいたしましても、私どもも今までのことの弁済をきちっとする、国庫に返すということ。それから、再発防止のためにどうするか、それには必要なものはきちっと上げていくということですね。それを透明性を持って、説明責任を持ってやる、一人一人の職員が意識を高く持っていくということをしなければならないというふうに私は現在一番感じておりますことでございます。

大森委員 官房の側からの課長補佐などに対する弁済の基本的な考え方もここでは提示をされておるわけで、そういう説明会を外務大臣が御存じないというのも私は大変問題じゃないかと思うんですが、これを見て二つ目に驚くことは、本当にこれは裏金づくりが常態化している、習慣化しているということですね。この質疑応答の中で、官房総務課長は、預かり金をめぐる経緯はいろいろある、過去にも二回預かり金を廃止したことがある、しかし、カビのように今回再度同じ問題が生じた、こういう説明をされております。

 そこで、大臣にお聞きしますが、事務当局から、過去二回にわたって廃止したことがある経緯について、こういうことについては報告を受けておられるのか、また、カビのように今回再度発生したという形で報告を受けられているのか、この点、お聞きをしたいと思います。

田中国務大臣 ここに役所が用意した回答書はございますけれども、私は、そういうふうな廃止、過去二回したという話は今初めて伺いましたし、副大臣も先ほど十六日に説明会があったということも御存じなかったと確認していますし、副大臣も過去二回もあったことを御存じであったかどうかはわかりませんが、私は今初めて伺いました。

大森委員 大臣もまた副大臣も御存じなかった。

 過去二回廃止した、これはいろいろ報道等でも行われているわけでありますけれども、結局、このこと自体が、これが本当に組織ぐるみで組織的に行われていることの証拠でもあると思うのです。廃止の指示を出して廃止する、そして、始めるという指示があったかどうかわかりませんけれども、もうそういうことが全省庁的に行われているわけですね。

 三つ目に驚いたことは、公金を扱うことへのまさに感覚の麻痺であります。

 これは大臣も記者会見の中でも述べておられますけれども、この説明会で質問が出るわけですね、課長補佐の方から。本年一月に松尾元室長事件が発覚した後も預かり金は使用されているのか、こういう質問に、三輪官房参事官、かかる事例はある、こう答弁をされているわけです。松尾事件であれほど国民の大きな怒りが広がる。また、おわびや反省も行われる。しかし、にもかかわらず、それ以降も、こういう説明会では、預かり金、この裏金、それをつくり、それを使う、こういうことが行われていたということですね。

 そこで、大臣は、松尾事件以降もこういう預かり金の問題、裏金の問題が行われていたかどうか、それをお聞きになっていたか、加えて、官房長、それはどういう内容、どういう理由で松尾事件以降行われているのか、お聞きをしたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 ことしに入ってからいわゆるプール金が使われていたかどうかの点でございますけれども、その点につきまして今最終的な確認を行っている段階でございます。したがいまして、今の段階で明確なお答えをすることはできないことを御理解いただきたいと思います。

大森委員 この松尾事件以降の事例については前回も私はお聞きしたはずなんですね。ですから、それに限定した事例等は当然報告があってしかるべきだと思うわけでありますけれども、先ほども処分の問題がお話がありました。

 これは松尾元要人外国訪問支援室長、十月二日、第三回の公判で、水増し請求の手口は先輩から教わった、こういう供述をしているわけです。十月二日です。まさに水増し請求がカビのように常態化している。先輩から聞いて、どんどんそれが後輩に引き継がれるということがこの間ずっと行われていたわけでありますけれども、こういう裏金づくり、水増し請求、あるいは余ったお金は、それは他に流用する。これは悪く言えば猫ばばでありますけれども、そういう裏金問題は、詐欺容疑で今問われております松尾、小林、浅川の各、もう既に被告でありますけれども、それと同じ手口であると思うんですね。

 それで、公金の横領、詐取、これで懲戒処分に付された事例、私、郵政事業庁から取り寄せてみました。それによると、例えば二月七日、ことしですが、一万七千七百七十円の保険料横領で懲戒免職。これは四月二十八日、九千二十二円の振替払込金横領で同じく懲戒免職。本当に厳しい。これはほかに、一万三千円の代金引きかえ郵便物引きかえ金横領などで同じく懲戒免職。

 数千円から一万円余の横領、詐取で懲戒免職の厳しい処分が行われているわけです。ですから、この処分という点では、決して二、三万円課長補佐以上が弁済して終わりということであってはならない、こういう他の省庁、他の行政官庁のそういう処分なども参考にしながらやっていかなくちゃいけないということが一つ。

 それから、この説明会の説明の中身によれば、実際はどれだけ裏金が使われたか、それをつかむのは困難である、不可能に近いという限定まで行われているわけですね。ですから、中間報告で約一億円既に使われているという御報告がありました。今後月内に総額についてお話があると思いますが、これはぜひ各部、各室ごとに、どれだけ裏金がつくられ、どういうことに使われたのか、詳細な資料を本委員会に提出をいただきたい、このことを委員長にもお願いし、御答弁もお願いをしたいと思います。

田中国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、最後の、ファイナルの状態が掌握をできておりませんので、残念ながら、慎重なお答えしか今の段階、本日はできませんけれども、委員のお気持ちをよく拳々服膺いたしますし、また、委員長の御指導も仰ぎながら、省に持ち帰りまして取り計らいたく存じます。

大森委員 先ほどの資料提出の要求についてはよろしいですか。

持永委員長 理事会で相談をさせていただきます。

大森委員 次に、前デンバー総領事の不祥事についてお聞きをしたいと思います。

 この問題では、前回の質問で、正確にはまだ国庫に返納されていないということが明らかになりました。また、刑事告発については結論が出されていない、こういうぐあいにも聞いております。

 この前デンバー総領事の事件というのは、総領事公邸の改修について、工事費の一部を絵画など私的に流用した事件でありますけれども、詳細に調べると、本当にこれは不可解なことが多いわけです。

 まず、水谷周前総領事が公邸借り上げの賃貸借契約を家主である不動産会社と結んだのが九九年十月十九日です。賃貸料は、十年契約で年間三十三万ドル、約四億円であります。内部の改修を行って、その費用は家賃に含む、こういう条件の契約であったわけであります。ところが、奇妙なことに、契約の一週間前、十月十二日に、水谷前総領事の個人口座に、その不動産会社から二十万四千ドル、約二千五百万円が送金されているわけですね。

 賃貸借契約を結ぶ以前に、民間企業である不動産会社から公務員が二十万四千ドル、しかも個人の口座に送金を受けるというのは、私は常識では、通常では考えられないことだと思うんですが、一体どんな理由で契約以前に水谷前総領事の個人口座に送金されたのか、お聞きをしたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、本来、家主が修繕などを行いまして、その経費を家賃に反映させることが原則でございます。しかしながら、総領事館側が修繕を行うことで家主と合意し、賃貸借契約の実質的な合意に至った点で、水谷前総領事は家主より、修繕等の経費として、今御指摘の約二十万ドルを受け取ったものと承知しております。(大森委員「何でそうなったのかを聞いている」と呼ぶ)

 今私が申し上げましたように、総領事館側が修繕を行うことで家主側と合意をして、本来家主がやるべきなんでございますけれども、それを総領事館がやるというふうに合意をいたしまして、その経費として家主から水谷前総領事が二十万ドルを受け取った、こういうことでございます。

大森委員 なぜ契約以前に二十万四千ドルが送金されたかをお聞きしているんです。

小町政府参考人 これは、水谷前総領事は初代の総領事でございましたけれども、早く総領事館として及び総領事としての活動をするためにそういうふうな便法をとったもの、こういうふうに理解しております。

大森委員 早く使いたいからそういう便法をとったというお答えでありましたけれども、それは本当に私はおかしいと思うのです。

 これは、実際、公邸の修繕工事代金の支払い、ここにその支払いの領収書の写しがありますけれども、これによると、支払われたのは、二回に分けて支払われておりますけれども、第一回目が、契約してから七十日後の領収書ですね。二回目は翌年の二月十日、四カ月後。早くやりたいといいながら、支払いが完了するのは四カ月後になる。これは明らかに矛盾した、大変おかしい御答弁だと思うんですね。

 しかも、年間三十三万ドルで賃貸契約したのが十月十九日です。本省から三十三万ドルの送金が行われたのは、これは外務省の資料でも一週間後の二十六日なんですね。一週間待てば三十三万ドル来る、こういうことが実際に証明されているにもかかわらず、わざわざ契約前に相手業者から、しかも個人口座に送金をさせる。十年間で三百三十万ドルですよ、四億円もの契約をした企業から二十万四千ドル、約二千五百万円受け取る、これは全く不透明だと思うのです。

 外務大臣、今お話しした経過のとおりなんですが、これは本当に常識では考えられないような状況だと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

小町政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のように、事実関係でございますけれども、先ほど御指摘の、本省から家賃三十三万ドルを確かに十月二十六日に送っておりますけれども、家賃ではいろいろな修繕ができませんものですから、先ほど申し上げましたように、家主側と実質的に合意をして、水谷前総領事がいろいろな総領事公邸の活動のために必要な工事を行った、そういう便法をとったということでございます。

大森委員 工事費の支払い等との関係でいえば、急がせる、事前に不動産会社から金を受け取る理由は何らないわけですね。こういう点で、全く常識では考えられないような事態、状況があったわけなんですが、この点については、大臣、後でじっくり研究していただきたいと思うのです。

 外務省では、先ほど来お話があるように、さまざまな事件で逮捕者が出ました。機密費をめぐる松尾元室長の事件、沖縄サミットをめぐるハイヤー代の水増し事件、さらにはAPECをめぐるホテル料金水増し事件。これらの三つの事件は、いずれも、宿泊費、ホテル利用料、ハイヤー代などを実際より多く請求させて、それを請求して、これは内閣官房や外務省の会計課になるんですか、これを欺いてそういう現金等を交付させた、こういうことで詐欺罪に問われているわけですね。

 デンバー総領事公邸をめぐる問題でも、これは外務省自身の報告の中でも虚偽の報告をしたということを言われておられたんですが、十一万二千ドルしか実際には公邸の修繕代にかけていない。この領収書も十一万二千ドルになっています。ところが、見積書、これが見積書でありますけれども、これは十八万五千四十ドルということで、ランクを相当高いものに、相当高い見積もりを出して、そして虚偽の報告をして、十八万五千四十ドルからその差額を他に回したという事件なわけですね。そういうことで、これは、先ほどの松尾事件あるいは浅川や小林事件と同様に、詐欺罪にも相当するんじゃないかということが一つです。

 それからもう一つ、先ほどの話でありますけれども、刑法百九十七条の第一項、収賄罪。総領事公邸借り上げを決定する職務権限を持った公務員が契約相手企業から現金を受領するということ、これは収賄罪にも相当するんじゃないか。

 あわせて、法務省の方の御見解をお聞きしておきたいと思います。

河村(博)政府参考人 御説明いたします。

 犯罪の成否は、収集されました証拠により認定されました事実関係に基づいて判断されるべき事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきますが、一般論といたしましては、詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合、また収賄罪につきましては、公務員がその職務に関してわいろを収受するなどした場合に成立するものでございます。

大森委員 お話もありましたけれども、繰り返しますが、総領事公邸借り上げを決定する、そういう職務権限を持った公務員が契約相手企業から現金を受領する、これは、先ほど来申し上げているように、早くしなくちゃならない理由は何一つなかったわけで、私は、収賄罪にもこれは相当するんじゃないか、加えて詐欺罪、この間の一連の、水増し請求して他に流用する、そういう詐欺罪にも該当するのではないかと思います。

 前回の質問の中でも、刑事告発については検討中であるというお答えもあったと思うんですが、それからもう一定期間たちました。これについて厳正に処分していく、そういう立場で臨むんだという点で、外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

小町政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、外務省といたしましては、調査の結果、判明いたしました事実関係に関しまして、前総領事の意思や行為が犯罪の構成要件に該当するか等につきまして、警察庁にも相談しつつ、慎重に検討しているところでございます。

大森委員 大臣、今お聞きになって、恐らく初めて聞かれたことも少なからずあったと思うんですが、感想なりをぜひお述べになって、それをお聞きして私は質問を終わりたいと思います。

田中国務大臣 報告を受けておりますことがほとんどでございますし、ただ一つ、先ほどの、課長補佐以上を集めて云々、カビのように蔓延している云々というような話があった。そういうことについては全然聞いていませんでしたので、私ども、大臣、副大臣はちょっと驚きましたけれども、それ以外は聞いておりますけれども、現在進行中のものでございますし、また司直の手にもゆだねられていることでもございますから、軽々な発言はできませんけれども、やはり、国民の皆様が常識から見て当然であると思われるような結果がきちっと導き出されるように、指導もし、見守っていきたいというふうに思っております。

大森委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、今申し上げたこの説明会の最後で、官総長は、今次説明会の内容は対外秘とし、保秘には十分気をつけてほしい、特に一億円云々は全くの例えであり、それがひとり歩きすることとなると今後の対応ぶりにも大きな縛りとなるので注意してほしい旨述べたと。対外どころか、副大臣、大臣まで秘密にされているわけなんですが、加えて、前々回の質問の中で杉浦副大臣は、外務省は明治始まって以来の、今大変な局面に立たされておる、こういうお話もありました。本当にこれは、そのとおりであると思います。

 ぜひ、田中大臣が徹底的にこの問題を、とりわけ国民が本当に納得いくような、そういう調査結果を発表されることを要請して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

持永委員長 次に、山口わか子さん。

山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口でございます。

 母子家庭の支援策について御質問をさせていただきたいと思います。

 最近、御承知のように離婚が大変ふえておりますし、それに伴って母子家庭が年ごとに増加していることは御承知のとおりだと思います。

 一方、女性の就業状況というのは数の上で大変ふえているのですけれども、正規社員、職員というのはだんだん減少してきまして、臨時やパートが増加している。そんなことの中で、子供を抱えながら働き、生計を立てるということは、大変至難のわざと言わざるを得ません。

 特にことし、十三年になってから、ますます不況で失業率が高まっている中で、母子家庭にとっては非常に生活が苦しい、そんな状況になっているというふうに思っています。

 そこで、母子家庭の状況について私はいろいろ調べてみたんですが、厚生白書なんかを見ても、ことしは特に、特集が高齢者福祉になっているということもありまして、載っていないのかなというふうに思ったんですけれども、全国には高齢者ばかりいるわけではありません。もちろん、いろいろな方が暮らしているわけですので、一年に一回出る白書ですから、やはりいろいろな情報を厚生労働省としては出していくのが私は本当だというふうに思うんですが、どういうわけか、四行か五行ぐらいしか載っていなかったんですね。それで、実態が全然わからないものですから、この実態について少し、簡単で結構ですが、お知らせをいただきたいと思います。

 まず、離婚数の推移とか、あるいは母親の就業状況、そして収入の現状はどうなっているのかをお知らせください。

中村(吉)政府参考人 お答えいたします。

 まず、離婚の状況でございますが、人口動態統計によりますと、平成十二年の離婚件数は二十六万四千二百五十五件、人口千対の離婚率は二・一〇となっております。ここ数年は、件数、離婚率とも毎年過去最高を更新しておるような状況にございます。

 次に、母子家庭の状況についてでございますが、私どもでは、五年に一度、全国母子家庭等調査を実施しております。この調査は、母子世帯数、母子世帯の収入等の生活状況、あるいは就業状況につきまして調査を行っておりまして、この結果は公表をしておるところでございます。

 直近は平成十年度に実施をしておりまして、母子世帯数は約九十五万四千九百世帯、就業している母子家庭のお母さんの数は全体の約八五%、それから、母子世帯の平均年収は二百二十九万円というような調査結果になっております。

山口(わ)委員 今お聞きしますと、大変離婚もふえていますし、シングルマザーもふえているということです。そして、非常に収入が少ないということも、今聞いて大変びっくりいたしました。

 そこで、この母子世帯、母子家庭の子供の数と子供に対する支援策について、どういう状況になっているか、お伺いしたいと思います。

中村(吉)政府参考人 先ほど申し上げました平成十年度の調査によりますと、母子世帯一世帯当たりの子供の数は一・五九人ということになっております。母子家庭におきましては、お母さんがお子さんの養育をするということとあわせまして、家計の主たる担い手として働かなきゃならないというような事情もございますので、母子家庭に対しましては、就労支援策とともに子育て支援策が非常に重要であるというふうな認識をしておるところでございます。

 現在、母子家庭に対しましては、子育て支援策といたしまして、母子家庭のお母さんが病気等になった場合には、必要な介護あるいは保育サービスを実施します母子家庭介護人派遣事業、それから、母子家庭のお母さんが病気あるいは残業などの場合におきまして、児童養護施設などで児童を一時的にお預かりする子育て支援短期利用事業、あるいは保育所への優先入所などの施策を実施しておるところでございます。

山口(わ)委員 先ほど、子育て支援が大変重要であるというお話でした。重要である割には、介護人の派遣事業とか一時的な預かりとか保育所などはほんの一部の支援策ではないかというふうに私は思うんですね。今、子供を抱えているお母さんたちが一番大変なのは、何といっても、子供を育てながら生活していくことが非常に困難だという状況が一番多いわけです。

 そこで、児童扶養手当についてお伺いしたいと思いますけれども、児童扶養手当については、過去何回か、この扶養手当をもう少しよくしようという努力が多分払われてきたのではないかというふうに思っているんですが、平成十年八月から、所得制限が四百七・八万円から三百万円に見直しがされました。要は、低くなったわけですね。所得制限が今までよりは百万円も低くなったわけですが、なぜこのような所得制限を低くして、この児童扶養手当をできるだけ少なくするような政策をとったのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

中村(吉)政府参考人 御指摘のように、平成十年におきまして、児童扶養手当につきまして所得制限の見直しを行っております。これは、給付につきまして、できるだけ必要度の高い世帯へ給付を重点化しようということと、それから、母子家庭以外の低所得の、お子さんのおられる家庭との均衡の問題であるとか、あるいは具体的な金額につきましては、資格を必要とする職種に女性がついた場合の収入、あるいは大卒の女性が常勤で勤めた場合の年間収入など、そうしたもろもろを総合的に勘案をしまして、三百万円という形の所得制限としたものでございます。

山口(わ)委員 課長さんも御存じだと思いますが、三百万円の収入というのは、物すごく低いわけですよね。これで一体生活ができるのかどうかとちょっと考えていただければわかると思いますが、これは税引き前の収入ですから、一カ月二十五万円ということになりますね。そこからいろいろな控除がありますと、使えるお金は本当にわずかしかないというふうに思うのです。

 ちょっと変な参考で、参考までに申し上げますと、さっきの外務省のいろいろな不祥事にかかわる問題を考えましても、外務省のお役人の給料は一体幾らかよくわかりませんが、恐らく三百万円なんということは絶対ないわけですよね。そして、例えば審議会の委員を、ちょっと私はこの間見てびっくりしたんですが、委員長というのは大体年間二千万ぐらいもらっているというお話で、けたが全く違うわけなんです。

 四百七万円でさえ低いのに、さらにそれを三百万円に見直すということは、ますます母子家庭の生計を苦しくすることでありますし、やはりこれは子供さんには罪がないわけですから、子供さんが本当に学校へみんなと遜色なく通える、そして学用品もそろえる、あるいは保育園に通ってもそんなにみすぼらしい格好をしなくても済むためには、三百万円に引き下げるというのは、これは子育てが大事だとおっしゃる割に、あるいは少子化にこれから歯どめをかけなきゃいけないというときに、余りにもこれは女性に対する、母子家庭に対する不合理な扱いじゃないかというふうに私は思っているんです。

 そこで、この所得制限についてどこで決定しているのかをお伺いしたいんですが、ちょっと聞きましたところ、中央児童福祉審議会というところで論議をされているわけですよね。そして、その論議を踏まえて決定をしているというふうに聞くわけですが、その中央児童福祉審議会のメンバーですが、このメンバーの中には、例えば母子家庭とか女性労働者の代表が入っているんでしょうか。

中村(吉)政府参考人 御指摘のありました審議会につきましては、省庁再編の中で現在は社会保障審議会ということで変化をしておりますけれども、当時におきましては、いろいろな各方面の方々が参加をしておられたというふうに考えております。

 なお、その三百万円につきましての数字的な問題でございますが、私どもといたしましては、平成八年の賃金構造基礎統計調査というようなものの中で、看護婦さんでありますと二百七十二万円であるとか、先ほど申し上げました大卒の女性で常勤の方でありますと二百六十万円になっておるとか、そういう数字を参考にして御議論いただいた上で決まったというふうに承知しております。

山口(わ)委員 この母子家庭というのは子供がいるわけなんです。これを別にこっちへ置いておいて考えると、全然これは話が別になるわけです。もちろん、この年代の看護婦さんとかあるいは女性の方の賃金水準からいけば妥当な、私は絶対これは妥当だとは思いませんけれども、子供を養育する場合には、もし仮に私がそうだとしたら、これではとてもやっていけない。特に、今アパート代だけでも七万から八万取るわけですから、そういうものを差し引いていったら、本当に子供に食事も与えられないということになるんじゃないかというふうに思っているんです。

 それで、今ちょっとお答えいただけなかったんですが、社会保障審議会でも中央児童福祉審議会でも結構ですが、その審議会に、本当は、例えばこういう児童扶養手当なんかの支給を受ける側の人がやはり委員として入らないと実態はわからないと思うんですね。審議会はいつも同じメンバーで、学者とか専門家とかそういう方ばかりでなくて、やはりこういう人たちを入れて審議をするのが当然だというふうに思うんですが、多分お手元に資料がないかもしれませんので、後で資料を欲しいと思います。先ほどの離婚数の推移あるいは就業の状況とかを、資料がありましたら一緒に提出をお願いしたいというふうに思います。

 それで、こういうふうにやはり母子家庭や女性労働者の代表をぜひ入れてもらわなければいけないということと、生活の実態が一体どうなっているのかということをやはり厚生労働省の皆さんはきちっと踏まえた中で、これは、もしこれ以上この所得制限が下げられたら本当にやっていけないと思うんですね。そういう中で恐らく児童への虐待もふえる、そして一家心中もふえる。つい最近は、火事で何人かの子供さんが亡くなりましたけれども、そういう子供さんたちだって、母親は、本当は子供は大好きであっても、生活上やむを得ない事情でこういう悲惨な目が起こるということになるわけで、これ以上やはり少子化を、減らしてはいけないというふうに思うのです。

 そして、やはり問題は、社会福祉費の中でこの児童扶養手当というのは一体どの辺の位置を占めているのかも私は心配になるわけですね。高いから下げたのか、あるいはこの三百万円が妥当で下げたのか、その辺も知らなければいけないと思うんですが、児童扶養手当の支給対象者と受給者の概要ですね、何人いて幾らもらっているのかを教えてほしいと思います。そして、それは一体予算の何%を占めているのかも教えてください。

中村(吉)政府参考人 児童扶養手当の受給者につきましては、平成十二年度末におきまして七十万八千三百九十五人ということになっております。また、平成十三年度におきます社会福祉費予算の全体は一兆六千九百四十四億円ということになっておりまして、児童扶養手当を含めました母子家庭対策費の予算は合計で二千六百九十二億円ということでございますので、社会福祉費全体の予算に占める割合は約一六%ということになっております。なお、母子家庭対策費のうち約九六%が児童扶養手当に要する経費になっておりますので、今申し上げました数字にほぼ近い数字でございます。

山口(わ)委員 この社会福祉費の中で児童扶養手当の占める割合は何%でしょうか。

中村(吉)政府参考人 先ほど申し上げましたように、社会福祉費全体の予算に占める割合は約一六%ということになっております。

山口(わ)委員 それは児童扶養手当だけではないわけですね。母子支援策全体で一六%ということですね。

中村(吉)政府参考人 先ほど申し上げました二千六百九十二億円、これには、児童扶養手当、それからそのほかの母子家庭支援策が入っておるわけですが、この九六%は児童扶養手当に要する経費ということで、ほぼこれに近い数字が児童扶養手当の国庫の負担分ということでございます。

山口(わ)委員 伺いましても、大変少ない金額です。この児童扶養手当がきちっと保障されることで子供さんがすくすくと健やかに育つのであれば決して多い金額ではないというふうに私は思いますし、やはり厚生労働省として、一体子供にどう支援をしていくのが一番いいのかということをきちっと考えた中でこういう制度を決めていかないと、泣くのは母親と子供たちなんですね。そのことを十分踏まえて今後はやっていただきたいというふうに思います。

 そこで、新聞報道によりますと、平成十四年度から母子家庭の抜本的な見直し案が検討されているというふうに聞きました。その内容を具体的に説明していただきたいと思います。

中村(吉)政府参考人 今回の母子家庭対策等の見直しにつきましては、戦後五十年の歴史を持ちます母子寡婦福祉対策を総合的に見直そうということで取り組んでおりまして、新しい時代の要請に的確に対応するために、一つは、きめ細かな福祉サービスを展開するということと、もう一点は、自立就労の支援を行おう、この二点を柱にして見直しを行っていこうとしておるものでございます。

 見直しに当たりましては、母子家庭等の自立促進のために、相談機能の強化を図りますとともに、一つは子育てや生活支援策、それから二点目は就労支援策、三点目は養育費の確保、それから四点目は経済的な支援ということで、この四本の柱を総合的に展開しようということといたしておるところでございます。

 その一環といたしまして、児童扶養手当制度につきましても、母子家庭の自立が一層促進されますように、また、制度そのものが厳しい財政状況の中で維持が可能になるようなものにというようなことで検討をしておるところでございます。

 見直しの具体的な中身につきましては、政府部内で検討するとともに、現在、与党におきましても御議論をいただいているところでございまして、また、母子寡婦団体等、いろいろな実際の母子家庭の方々の意見も踏まえながら検討をしておるところでございます。

山口(わ)委員 今、世の中がどんな状況になっているかは御存じだと思いますけれども、今、母子家庭の女性が就業することなんか非常に困難なんですね。ましてや、正規の社員になるなんてことはとてもできません。自立の支援というふうにおっしゃいますけれども、そんなことが可能なのかどうか、もうこの情勢の中で、やはり考えていかなきゃいけないというふうに思うのです。

 その抜本的見直しを立てるときに、そういう状況じゃなかったかもしれませんが、刻々と変わる社会情勢というのは、普通の男性でさえ就職が困難、特に女性の場合は、失業率が一〇%と言われているんですね。そんな状況の中で、抜本的な見直しの中に、自立支援とか就労支援とかという言葉が、ただ言葉だけのひとり歩きにならないようにしなければいけないんじゃないかというふうに思っています。

 聞くところによりますと、さっき私が何回か申し上げました所得制限も百万円下げるというお話もちょっと聞いていますし、この間の新聞報道によりますと、来年、自然増加で見込まれる十億から二十億の上乗せも見送ったというお話を聞いていまして、もう既に予算もこの児童扶養手当については見送ったような報道もされていますので、きょうは大臣はいらっしゃいませんけれども、これだけ厳しい中で、母子家庭がふえ、そして子供が大変な状況にあるときに、この所得制限を下げるということだけはやはり考え直していただきたいというふうに思うのです。

 それで、ちょっと私、多くの皆さんの実態はさまざまですが、一つだけ実態を申し上げたいと思うのですけれども、今、母子家庭といいましても、子供さんが一人とは限らないんですね。この方は子供が五人いるわけです。そして、一番上はようやく働き始め、二番目は来年から新聞の奨学金を受けて進学を予定しているそうですが、あと中学生と小学生と保育園の三人の子供を扶養しているわけですね。そしてこの方は、みんなそうですけれども、ほとんど正規の社員ではなく、パートで働いているわけです。昼間は社員食堂、そして夜は外食産業、うちへ帰ってきたら夜中に内職をして、ようやく何とか生計を立てているという状況なんですね。

 たまたま去年は、三百万の所得制限が四万円出ちゃったために、この児童扶養手当を一切もらえなくなっちゃったというのです。たった四万円ふえただけで、児童扶養手当というのは一カ月四万幾らもらうわけですから、その十二カ月分がなくなっちゃうということで、本当に苦労して、自立はしたいけれども、子供さんにやはり何とか頑張って生きてもらうために、この所得制限だけは絶対しないでほしいという要請も私の方へ来ております。

 ぜひ、来年の見直しについて、こんなに立場の弱いところを見直さなくたっていいと私は思うのです。さっき言った特殊法人の見直しをすればお金がどさっとふえるわけですから、もっともっと切り捨てるところはあってもいいのですけれども、こんな弱いところにしわ寄せをすることは絶対しないでほしいというふうに私は思います。

 時間が来てしまいましたが、最後に、この見直しを白紙に戻していただけるかどうか、お答えください。

中村(吉)政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、母子家庭対策につきまして、四本の柱に基づいて、自立の支援、きめ細かなサービスの展開ということで進めてまいりたいと思っております。

 なお、その所得制限の問題につきましては、所得制限にひっかかりますと、従来の勤労した収入と足し合わせますと結果的にマイナスになってしまうというようなケースもあるやに把握しておりますので、勤労による収入と児童扶養手当の合算額がなだらかに増加していくという考え方でもって見直せないかというような検討を行っておるところでございます。

山口(わ)委員 ありがとうございました。

 この次に大臣がいらっしゃるときにしっかり御答弁をいただく予定でいます。よろしくお願いします。

持永委員長 この際、石井君の質疑を続行します。石井君。

石井(紘)委員 引き続き、厚生労働省に。

 今、経済の状態が深刻さを増して、各地で失業やあるいは倒産というものがどんどんふえておる。そういう中で、国民健康保険の保険料が払えなくて、そうすると、厚生省は、以前改正された法律に従って、地方自治体に対して、一年間保険料を払わなかったら保険証を取り上げろという指示をした。それによって、多数の無保険者といいますか、資格証なんというのをもらう。資格証というのは、診療料金を一〇〇%その場では払わなければならないわけですから、将来、再び保険料を払ったときに調整をされるということだけれども、そういう困っている人たちは保険料を、ますますこれはたまっていくわけですから払えないわけですよ。

 こういう国民皆保険というような状況、行き方の中で保険証を取り上げるというようなことは、そういうことをするなと。それは事情にもよるでしょうけれども、払えるのに払わない人は一部中にはいるかもしれないけれども、そういうところを各自治体で適切に正しく判断をして、そして、一律に何でもかんでも払わなかったら取り上げるということをやめろという指示を出してください。

桝屋副大臣 石井委員の御指摘にお答えをしたいと思います。

 今委員からお話のありました国保の話でございます。委員からいろいろ御指摘をいただきましたけれども、国保の制度につきましては、取り上げるという御指摘をいただいたわけでありますが、実は、これは委員も十分御承知だろうと思いますが、平成九年の国保法の改正によりまして取り扱いが決められているものでございます。

 いずれにしても、被保険者全体の相互扶助で成り立つ国保でございます。その財源となる保険料の収納、確保ということは、制度を安定的に運営していく上で非常に重要な課題でございます。特に、特別の事情もなく保険料を滞納しておられる被保険者がいらっしゃれば、その分他の被保険者の負担となるということになるわけでありまして、被保険者間の公平が損なわれるということもあるわけであります。

 今委員からお話のありました制度につきましては、そうした観点も踏まえて、先ほど私が申し上げましたように、法改正によりまして本年四月から、保険料納期限から一年以上滞納している場合に、保険者、市町村でございますが、世帯主に対して被保険者の被保険者証、保険証でございますが、この返還を求めて資格証明書を交付するというふうになっているところでございます。

 ただし、納期限から一年間滞納しているということをもって機械的に資格証明書を交付するということではなくて、保険者において、市町村において事前に十分な納付相談あるいは納付指導を行うということは極めて大事であろうと思いますし、個々の事例に応じまして政令で定める特別な事情があるのかないのか、そうしたことも十分慎重に判断する、そういう仕組みになっているわけでございます。

 済みません、私、うそを言ったみたいです。施行されたのは、介護保険と同じ昨年の四月から。済みません、間違えました。(石井(紘)委員「どうするかということだけ、時間がないんだから」と呼ぶ)ですから、今申し上げているように、法律で決められているものでございますので、この法律に沿って適切な運営に努めていかなければいかぬ。ただ、何度も申し上げますが、保険料滞納者と接触する機会を持つことによって確保すると……

石井(紘)委員 そういうことではだめだ。とにかく、それはもうだめだということを言っておきます。どうせこれは税金からだって出しているのだから、そんな今までと同じようなことを繰り返してぐずぐず言っていたんじゃだめだ。この問題は後に送ります。

 それから、五人未満の事業所でもって、今やはり事業者の方の厚生年金あるいは健康保険というものの負担が重くて、そして会社がつぶれてしまう、あるいは解散せざるを得ないというところがあって、その滞納がたくさん出ているわけです。

 そこの従業員の皆さんは国民健康保険に移っていこうとするわけですけれども、しかし、それも自治体の方で、国保の厳しい財政状況の中で、行き場がなくなって、無保険状態というものが出ておるということでありますから、こういうことについても、特に社会保険庁は、これは現下の経済情勢、社会情勢等に十分配慮をしながら、そうした厳しいやり方というものをもっと弾力的に改める。

 一言、もう時間がないから、そうするとかしないとかいうことだけ言ってください。

桝屋副大臣 委員の御指摘も踏まえて、現場において、弾力的な、できるだけ今の状況を勘案して柔軟な対応ができるように努めてまいりたいと思います。

石井(紘)委員 これについて会計検査院は、検査をして、ちゃんと規定どおり保険料を徴収しろと言わんばかりの検査をしておるけれども、そういう今のような答弁でありますから、社会保険庁がそうなんだから、だから検査院ももっと大きな問題を、悪いところをいろいろ検査して、こういうような世の中の困った人たちを困らせるような、そういう点については厳しい指摘を今後やめるということを、検査院、言ってください。

金子会計検査院長 一言でお答えしろということですので、委員の趣旨、会計検査院の基本方針もありますので、そういう方向で今後とも検査をしていきたいというふうに思います。

石井(紘)委員 それから厚生労働省、ついでじゃないんだけれども、これも重大な問題なんだけれども、国立病院をずっと廃止してきた。今まで五十幾つか廃止したけれども、これは全部何らかの形で、全部というか大部分、圧倒的にやはり病院として続いているわけですよ。何らかの形の、市立病院とかあるいは民間の。

 ところが、国立大蔵病院なんというのは、四十万人も住んでいるところに総合病院が二つしかない、こういう中で、これを小児の、特に難病の研究を中心にやっていくというのは、とんでもない、地域医療あるいは高齢化に向かってのこれからのそうした地域の医療というものの必要性に逆行するような、そういう方向でやっておる。

 この国立大蔵病院というのが今月いっぱいでそういうふうに廃止をされるわけでありますけれども、これは単に小児の一部の研究機関とか一部の診療とかというのじゃなしに、やはり地域の医療あるいは高齢者医療というようなものへも将来は対応できる可能性を残して、そしてスタートをするというふうな考えでいてもらいたい。

 その点についても、将来、例えば余力ができたりあるいは地域の要望が強かったり、今現在非常に地域の人たちは困っているわけです、遠くまで行く間にまた病気が悪くなってしまうというようなこともあるので。ひとつ、従来から約束をしていたように、地元の納得のいく計画が遂行されなければそういうふうな転換はしないんだというような精神に今立って、そして将来の地域医療、高齢者医療の可能性を残していくということをぜひ言明してください。

河村(博江)政府参考人 国立大蔵病院につきましては、小児医療あるいは母性医療、そういったものを中心とします成育医療の高度先駆的役割を担う施設として、来年の春、平成十四年三月一日に、国立小児病院と国立大蔵病院の地で統合を行うことといたしまして、ナショナルセンターとして国立成育医療センターを開設することとしておるわけでございます。

 これは、急速な少子高齢化が進む中で、将来を担う世代の健全育成、そのための基盤整備ということで、特に小児医療あるいは母性・父性医療、そういったものを包括する医療、そのためのナショナルセンターとして、具体的には、五百床のベッドを持って……(石井(紘)委員「それはいいから、高齢者医療と地域医療」と呼ぶ)

持永委員長 結論だけ言ってください。

河村(博江)政府参考人 わかりました。

 この成育医療につきましては、成育医療にかかわる全国のナショナルセンターという性格上、高齢者等の地域住民の医療というのは基本的に行わないということにいたしておりまして、今回の計画を進めるに当たっては、東京都、世田谷区あるいは地元医師会、近隣の医療機関、そういったものに成育医療センターの趣旨を御説明し、御理解を得てやっておるわけでございまして、高齢者等の地域住民の医療の対応につきましては地域の医療機関にお願いする、そういう協力依頼をしておるところでございます。

石井(紘)委員 そういう答弁があったからちょっと一言言わせてもらうけれども、とにかく、そういう地域の医師会や何かの言うことを聞いて、それに合わせて従ってやっていくというようなことではだめだ。それから、地域の自治体とも十分協議して、やはり国立の施設なんだから、国民の税金でやっているんだから、そういうものをきちっと踏まえてやってもらわなきゃそれはだめだ。今の答弁じゃだめです。

 それから、せっかく財務省に来てもらっているから、一言財務省に言うだけで、答弁はいいけれども。

 国債を買いましょうというようなCM、コマーシャルをテレビなんかで盛んにやっているというんだけれども、これは私の好きな竹下景子さんがやっているからその点では別なんだけれども、国債を買ってくれ、買ってくれというようなことをやっていたら、将来これは大変なことになりますよ。こんなことを、テレビコマーシャルの広告代を使って、将来どうなるかわからぬ国債を。それだけ、きょうは財務省には厳しく言っておきまして、時間がオーバーしましたので、終わります。

 ありがとうございました。

持永委員長 次回は、来る十一月二十七日火曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会




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