衆議院

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第4号 平成14年3月26日(火曜日)

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平成十四年三月二十六日(火曜日)
    午後五時開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      岩永 峯一君    江藤 隆美君
      小西  理君    阪上 善秀君
      橘 康太郎君    土屋 品子君
      中村正三郎君    武藤 嘉文君
      村上誠一郎君    森岡 正宏君
      森田  一君    井上 和雄君
      石井 紘基君    大出  彰君
      金子善次郎君    今野  東君
      手塚 仁雄君    葉山  峻君
      平野 博文君    山田 敏雅君
      神崎 武法君    大森  猛君
      穀田 恵二君    山口わか子君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           尾身 幸次君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   会計検査院事務総局第四局
   長            有川  博君
   政府参考人
   (内閣府経済社会総合研究
   所国民経済計算部長)   小田 克起君
   政府参考人
   (警察庁長官官房国際部長
   )            村上 徳光君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房領事移住
   部長)          小野 正昭君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君
   参考人
   (日本道路公団理事)   内田 道雄君
   参考人
   (日本道路公団理事)   奥山 裕司君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  橋本龍太郎君     鈴木 宗男君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  谷  洋一君     阪上 善秀君
  楢崎 欣弥君     大出  彰君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     谷  洋一君
  大出  彰君     楢崎 欣弥君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 分科会設置に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 分科会における政府参考人出頭要求に関する件
 分科会における参考人出頭要求に関する件
 歳入歳出の実況に関する件
 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事奥山裕司君、日本道路公団理事内田道雄の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長小田克起君、警察庁長官官房国際部長村上徳光君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務省大臣官房長北島信一君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、国土交通省北海道局長林延泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。
岩屋委員 自由民主党の岩屋毅でございます。
 きょうは夕刻に大変お疲れさまでございます。きょうは、限られた時間でございますので、私は主に二つの点について質問をさせていただきたいと思っております。一つは、留学生の受け入れ並びに留学生の受け入れ支援に関する問題でございます。またもう一つは、外務省の会計検査にまつわる幾つかの問題についてお伺いをしてまいりたいと思いますので、それぞれ簡潔明瞭な御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず、留学生の問題についてなんですが、留学生を積極的に受け入れようというふうになったのは、たしか中曽根内閣のときだったと思います。八三年に留学生十万人計画というものがつくられて、年々、そのための努力がなされてまいりました。この御努力には、私は、心から敬意を表したいし、高く評価をさせていただきたい、こう思っております。
 留学生は将来の我が国とのかけ橋にもなっていただくわけでありますから、大いにこの施策はこれからも進めていただきたい、これが基本的な考え方でございますが、一方で、昨今、安易な留学生の受け入れというものもかいま見られるわけでございます。また、時によってはそれが国民の皆様に治安上の大きな不安を与えるということにもなっている。この点については、やはり受け入れの際の審査をしっかりやっていただきたいし、その後の監督指導をしっかりやっていただきたい、こう思っているところです。
 まず、留学生十万人計画に基づく、この決算にかかっております当該年度の主な支出項目と予算の総額、それから、十万人計画に照らしてどの程度の成果が上がっているのか、達成率はいかほどかということについてお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 今お話しのように、昭和五十八年以来、留学生受入れ十万人計画ということで、文部科学省といたしましては、渡日の前から帰国後まで体系的な留学生受け入れのための施策を総合的に推進してまいっております。
 まず、留学生関係予算でございますけれども、財政的な状況を勘案しながらその充実に努めてまいっておりますが、昭和五十八年度は約八十億円でありましたのに対しまして、平成十三年度は約五百五十八億円と七倍近くに増加しているところでございます。
岩屋委員 七倍に予算がふえたということで、その分留学生もふえて、十万人計画は順調に進んでいるということだろうと思います。
 しかし、さきに指摘をさせていただきましたように、安易な受け入れの事例が目立っております。一番最初に非常に世間を騒がせたのは、この酒田短期大学の留学生の問題。二百名近い留学生が失踪した形になって、都内にいて、そこで不法なというか、就労をやっていたという事例が大きく発表されました。こういう事例もありました。
 それから私の地元、大分県なんですが、非常に痛ましい事件が起こりました。中国からの留学生を一生懸命お世話されていた方が、この方は日本のお父さんというふうに言われていた方なんですが、五人組の留学生、正確には元留学生というべきでしょうか、御夫妻が襲われまして、吉野さんという方が亡くなって、奥さんは重傷を負われた。調べてみると、犯人の中にはお世話をした学生さんも入っていたということで、地元はもう大変な衝撃を受けております。なぜ恩人まで襲われてしまったのかと。
 こういう事例を見ておりますと、大学関係者が、少子化時代に備えて、留学生を多く受け入れることで大学の経営を何とかしよう、こういうような思惑もあったやに承っておりますし、そもそも日本で勉強し、生活をしていくという財政力がないのに、十分な審査がされずに受け入れておって、案の定、生活苦になって、学校をやめざるを得なくなって、それが犯罪予備軍となっている、こういう事例が残念ながらあるわけでございます。こういう事例を見ますと、明らかに就労目的で最初から入ってきているというケースがあるのではないかというふうに思います。
 こういういろいろな事件を受けて、関係の文部科学省、外務省、警察庁、法務省、それぞれ、留学生の受け入れについてはやはりハードルをいささか厳しくせざるを得ないということで対策を講じていただいていると思います。それぞれについて、おとりになった対策について御説明をいただきたいと思います。
遠山国務大臣 まず文部科学省からお答えを申し上げます。
 確かに最近、留学生に頼った大学運営でありますとか、あるいは留学生の在籍管理が不十分な事例が見られておりまして、極めて遺憾に思っているところでございます。
 私どもといたしましては、留学生受け入れに当たりましては幾つかきちんと対応しなければいけないという点があると思いますが、一つは、入学選考時における勉学意欲のチェックをしっかりすること、それから、入学後、不法就労することのないように、各大学での在籍管理の徹底をしてもらうこと、それから三番目には、教育それから生活面における入念な指導ということが重要であると考えておりまして、各種の会議あるいは通知等によりまして大学を指導しているところでございます。
 その一環としまして、地方レベルでは留学生の入国、在留手続におきまして地方入国管理局と大学とが連携をしておりますほか、本省レベルにおきましても、私どもが主催いたします各種研修会での法務省等からの説明の実施、あるいは入国審査や在外公館での情報提供などの面で、関係省庁と緊密な連携を行っているところでございます。
 今後とも、これからふえていってもらわなくてはならない留学生の受け入れにつきましては、万全の体制で取り組んでいかなくてはならないと考えているところでございます。
小野政府参考人 お答えいたします。
 外務省といたしましても、留学生の一部が不法滞在者となり、さらには犯罪に走る者もあるということで、非常に深刻に受けとめているところでございます。
 すなわち、留学、就学を目的として日本に渡航しようとする者は、一般的にはまず法務大臣が交付した在留資格認定証明書を提示した上で、在外公館において査証申請を行うわけでございますが、この申請の際に、最近では特に精巧な偽変造の書類を用いる者も少なくないという現状がございます。それで、在外公館では、卒業証明書等の提出書類の真偽確認を強化しているところでございます。それから、渡航目的に疑義があるというようなケースについては面接を実施するなど、慎重な審査を行っているところでございます。
 また、外務省といたしましては、本省、在外公館それから関係省庁、この間をコンピューターで連係いたしまして、情報の共有を徹底することを目的とする査証広域ネットワークというものを本年から導入することに決定しておりまして、一層綿密な査証審査に努めてまいる所存でございます。
村上政府参考人 警察の対策についてお答えを申し上げます。
 留学生の対策ということでございますが、正規滞在して違法行為をしない者については特に我々は関心を持っているわけではありませんけれども、往々にして、不法就労など資格外活動をしたり、また不法残留ということで不法滞在者となるケースが後を絶ちません。特に不法滞在者につきましては、警察として、重要、悪質な事案を中心に、その摘発に鋭意努力しているところでございます。
 昨年の統計では、不法滞在者は来日外国人の刑法犯検挙人員七千百六十八人中の千三百七十九人と、約二割を占めております。特に凶悪犯では約半数を占めるなど、その存在自体が来日外国人犯罪の温床となっているものと認識しております。
 また、平成十三年中には、来日外国人の入管法違反事件として、前年に比べ件数、人員とも一八%から一九%上回る六千九百五十八件、五千八百八人を検察庁に送致しているほか、不法滞在者七千五百四十九人を法務省入国管理局に引き渡し、または通報したところでございます。また、年間千件程度、入管との合同摘発を実施しているところでございます。
 以上でございます。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 留学生の問題につきましては、先ほど来、外務省あるいは文部科学省の方からお話があったようなことでございますし、私どもといたしましては、本省レベル、地方レベルあわせまして、各関係機関との連携を従来以上に緊密にして対応してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 特に留学生の受け入れに関しましては、従来、その促進という観点から、できるだけ教育機関の判断を尊重いたしまして、大学側の申請の負担をできるだけ軽減する、そういうようなことで円滑かつ適正な受け入れの促進に努めてきたものでありますが、先般来の事案を見ますと、それらの方針の趣旨に反して、委員御指摘のような事態、事件等が発生していることにかんがみまして、私どもといたしましては、今後とも、そういうところを踏まえまして、厳正な留学生に対する受け入れ審査を行いたいということで各関係地方機関に指示しておる上、また大学側に対しましては、留学生の選抜方法の改善とか資格外活動の状況の把握等を含め適切な在籍管理を行うように個別に指導をしている状況でございます。
岩屋委員 今それぞれ御説明をいただきましたが、しかるべき対処はしていただいているとは思います。
 ただ特に、遠山大臣、文部科学省ですね、やはり学校の監督は文部科学省でございますから、大学関係者にちょっと聞いてみると、留学ビザというのは一年とか二年という単位で発行されているので、学校に来なくなった、つまり留学をしているという実態が消失した後もビザは生きておるので、しかも、もう学校に来なくなったという人は大概の場合が行方がわからなくなっている場合があるので、大学側としては後からの指導が非常に困難だというようなお話も承っております。
 しかし、少なくとも留学の実態がなくなったという段階できちっと文部科学省に知らせが来て、把握ができておる、どこにおって何をしているかというところまではなかなか大変でしょうけれども、やはりそのぐらいの対応はしておいてもらわないと、その他の省庁との連携というのもなかなか難しいのではないかなと思いますので、そこはしっかりやっていただきたい。
 私が聞くところによると、最初は身元保証人がいないと入れなかった、しかしそれをやっているとなかなか留学生がふえないので、その身元保証人の制度をやめちゃったというところから急増したということで、今さら後戻りはなかなか難しいと思うんですけれども、そういう意味で、留学の実態がなくなった後の指導が非常に難しくなっているという実態がございますので、各学校への指導監督をひとつ徹底していただきたい、これは要望しておきたいと思います。
 それから、今警察庁の方からちょっと数字の説明もありましたけれども、この留学生以外に研修生というのがまた入ってきていますね。留学生の中からも不法滞在者が出てくる、研修生の中からも出てくる、それから一般のいわゆる不法滞在者というのもいるわけですから、簡単に、数字だけで結構ですから、どういう現況、現状にあるのか教えてください。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十四年一月現在の数字で申し上げます。
 いわゆる不法残留者の総数は二十二万四千六十七人となっております。このうち、留学の在留資格で在留するいわゆる留学生についての不法残留者数は四千四百四十二人となっております。研修の在留資格で在留する研修生についての不法残留者数は三千二百六十四人となっております。
 なお、不法残留者総数は平成五年の五月段階が過去最高で、二十九万八千六百四十六人でございました。それに比べましたら七万人余りの減少が来ておるわけであります。一応の歯どめはかかっているわけでありますが、留学及び研修の在留資格の不法残留者につきましては、ここ数年の推移で見ますと、留学者については減少傾向にございます。研修については約横ばいの状況かと思います。
 そういう状況でございます。
岩屋委員 数字が減ってきているというのは、それぞれ当局が御努力をしていただいている成果だと思うんですが、一方で、どうしてもお金がたくさんある方に人は流れるわけでありますから、ここのところの我が国の経済の低迷というのも多少はその背景にあるのかもしれない。いずれにしても、留学生を初め、水際でのしっかりとした審査をこれからもやっていただきたいと思います。
 そこで、財務省にお願いを兼ねて質問したいと思うんですけれども、やはり国民の安心、安全のための予算というのは非常に大事な予算だと私は思うのであります。今財政上は非常に厳しい規律がかかっている、これもよく理解をいたしますが、とはいえ、我が国が世界に誇る治安のよさ、これまで崩れていってしまったのでは、本当に国民の皆さん、自信を喪失すると思うんですね。
 今の留学生の問題もそうです。この間、横浜の税関を委員会で視察しましたが、税関の皆さんも大変御苦労をされている。さらには、テロ対策、領域警備なんという問題も今出てきている。
 今申し上げた不法滞在者の摘発の強化をするためにも予算も人も要るでしょう。治安維持のための警察力の適正な配備も必要でしょう。これは多少配慮していただいているみたいですが、こういう国民の安全にかかわる予算についてはやはり特段の配慮を財務省としてもしていただくべきではないか、こう思うのでございますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
谷口副大臣 治安維持関連予算を拡充すべきではないかという岩屋委員の御質問でございますが、我が国の治安情勢につきましては、刑法犯の認知件数が戦後最高を更新するといったような状況になっておりまして、大変厳しい状況であると認識をいたしております。また、不法滞在、不法入国の問題につきましても、その数は依然高水準に推移しているというように認知をいたしておるところでございます。
 ちなみに、平成元年に比べまして、平成十三年が刑法犯認知件数が約一・六倍、また、不法残留者数が、十三年度が平成元年に比べまして約二・三倍というような高水準になっているということにつきましては認知しておるところでございます。
 政府といたしましては、安全で安心に暮らせる社会を構築し、国民の治安に対する不安を解消するため、警察や出入国管理の体制を強化し、総合的な治安対策の推進に努めておるところでございまして、予算でございますが、十四年度予算におきましては、警察関連におきまして、地域住民とも連携をした安全・安心町づくり対策の推進、また、国際組織犯罪対策の強化等に重点を置くとともに、生活安全部門を中心にした警察官の大幅増員をいたしております。今回、四千五百名の増員ということでございまして、これは昭和五十三年以来の増員でございます。
 また、出入国管理関係につきましては、最新鋭の鑑識機器の整備や業務の効果的、効率的な実施のためのシステム強化を図りながら、摘発部門を中心とした増員を行っておるわけでございますが、今回、百二十名の増員をやっておるわけでございます。
 また、治安の悪化に伴う刑務所等の過剰収容に対応するために、これらの治安基盤施設の重点的な整備を行っておるわけでございます。
 またさらに、米国同時多発テロを踏まえて取り進められております重要施設等の警備能力、生物化学テロへの対処能力の強化等の国内テロ対策にかかわる施策も行っておるわけでございます。
 このようなことに対する必要な予算を計上し、治安維持関連予算の充実を図っておるところでございまして、今後とも、安全で安心に暮らせる社会の実現に向けて適切に対処してまいりたいというように考えております。
岩屋委員 引き続き十分な御配慮をいただきたいと要望しておきたいと思います。
 それでは、外務省の会計検査にまつわる問題について質問したいと思いますが、時間がないのではしょりますけれども、要は、私も今、自民党の外務省改革に関する小委員会のメンバーとしていろいろ勉強させていただいているんですが、勉強すればするほど、調べれば調べるほど、外務省という役所ほど、よくも悪くも融通無碍に使えるお金をたくさん持っている役所はないなというのが、正直、私の印象でございます。
 その中の幾つかを聞いてみたいと思うのですが、まずODAの予算ですが、これは一兆円を超す予算の大半を外務省が占めております。しかし、国民の皆さんにはなかなか見えにくい。残念ながら、ほとんどの議員が選挙区で一度や二度は、先生、ODA予算なんかもう削った方がいいんじゃないかと言われてきていると思います。
 もちろん、その政策的な意義や効果は私はよくわかっておりますが、かなり巨額な資金でございますから、やはり会計検査の方もしっかりやってもらわなくちゃいけない。現状で、このODA予算に関する会計検査状況はどうなっているか教えてください。どういう体制でやっているか。
金子会計検査院長 ODAに対する会計検査院の検査体制の問題についてのお尋ねだと思います。お答えいたします。
 今、委員御指摘のとおり、予算規模が大きく、なおかつ我が国の重要な事業であるということから、会計検査院では、外務省、国際協力銀行、国際協力事業団といった我が国の主たる援助実施機関を対象として検査する課を設置しております。この課においてODAの一元的な検査体制を整備し、また課員も順次増員して、その体制の強化を図っております。
 こうした体制で検査を行い、検査の結果につきましては、毎年、決算検査報告に掲記し、国民に対して検査の状況及び援助の効果が十分発現していない事態を指摘するなど、説明責任を果たすべく努力をいたしております。今後とも、さらに努力をしていきたいと考えております。
岩屋委員 ODAの検査はそれでしっかりやってもらいたいと思うのですが、やはり体制の強化が私は必要だというふうに考えております。
 報償費の大半が使われている在外公館の会計検査が不十分だと感じております。今度、外務省の改革案の中で、大臣官房のもとに監察室を立ち上げるとかいろいろあるわけですけれども、しかし、この在外公館に対する査察というものについては、もっと検査院がしっかりとした体制を組むべきではないか、こう思っていますが、どうでしょうか。
金子会計検査院長 在外公館に対する会計検査院の検査も、ここ数年強化をしてきております。昨年は、十三カ所の在外公館に対する実地検査を行い、その結果、在外公館等の報償費において幾つかの不適正な点があったわけで、それらについて改善をするよう指摘をいたしました。
 本院としては、今後、外務省において実効ある内部監査が実現されるということを注視するとともに、本年の検査では、検査対象の在外公館の数をふやすとともに、在外公館における予算執行及び管理体制をトータルな形で把握し、検討をし、在外公館の予算執行の適正化に努めてまいりたいというふうに考えております。
岩屋委員 在外公館は、私どもも時々お邪魔するわけですけれども、ある意味じゃ日本の公館らしく立派であってもらわなくちゃいけないわけですが、いささかぜいたくに過ぎるのではないかという指摘も以前からなされております。
 また、少し気になりますのは、外務省の在外の職員の各種手当、在勤手当とかいろいろなものがございます。配偶者にも支給をされているわけでありますし、それに大使の交際費があり、報償費があり、いろいろなお金がある。それから、休暇も、健康管理休暇から帰国休暇から、やはり民間に比べても今や非常に過度になっている待遇なのではないかと思うのですけれども、そういうものの国際比較というか民間比較ということについては、外務省は今どう思っておられますか。
北島政府参考人 在外公館の事務所、公邸は、外交活動、邦人保護業務の拠点でありまして、その整備に当たっては、これらの施設が我が国と各任国との間の外交関係の重要性に対応して果たすべき機能を的確に果たせるよう、適切な規模、間取り、内装等を備える必要があろうかと思っています。
 同時に、委員御指摘のように、これらの施設が過度に豪華なものとなってはならないことは当然でありまして、外務省としては、所在地の勤務環境や不動産事情等の個別事情及び当該所在地にあるほかの主要国公館の例も踏まえた上で、施設の整備を実施してきております。
 委員は、さらに在外職員の在勤手当について言及されました。この手当額を決定するに当たりましては、主な民間企業駐在員やほかの主要国外交官の給与について調査を行ってきております。給与体系、さらに職務の内容が違うために単純な比較は容易ではございませんけれども、在外職員の給与は、主な民間企業や他の主要国外交官の同一任地、同一ランクの方とおおむね同じような水準にあるというふうに考えております。
 最後に、委員から、外務省の休暇帰国の点に触れられました。これについては、現在、外務省の中で見直しを行おうとしております。
岩屋委員 改善を考えるということでございますが、私も、もうちょっと勉強して、しかるべき提案を党でまとめてさせていただきたい、こう思っております。
 時間がなくなったので最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり外務省改革の中でも報償費の改革というのは一つの重要なポイントだと思うんですね。これは私思うに、今すぐというわけにはいかないと思いますけれども、やはり将来的には国民代表である国会の関与というものが報償費についても必要なのではないか。これはアメリカやイギリスでは秘密会としてそういう委員会が設けられている。私は、日本の民主主義の健全な成熟のためにもそういうことをまじめに考えた方がいいんじゃないか、こう思っているんですけれども、大臣のお考えを聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
川口国務大臣 報償費につきまして国会が関与をするということをやっている国は、委員おっしゃったように確かにあると思います。そのときのかぎというのは、いかに機密を保護できるかという問題であるかと思います。そういったことも含めまして、これは国会の関与の仕方ですので国会で御議論をいただくということだろうと思います。行政府の立場からは、これについてコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、報償費自体は、これは性格からいいまして、情報収集ですとか、外交交渉の相手の立場、あるいは情報収集の相手等にかかわる部分がございますので、これは本来公にはできないものであると考えます。したがいまして、国会でこれを議論していただくためには、いかに機密を保持するかということが最大のかぎと言ってもよろしいのではないかと思います。
岩屋委員 私も勉強して、その件についても提案したいと思います。
 終わります。
渡海委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下でございます。
 さて、先般、実は三月十八日と十九日両日、外務省の疑惑解明プロジェクトチーム、野党四党合同の沖縄調査チームとして沖縄に行ってまいりました。これは外務省関係の調査ということだったんですが、実は、行ってみると、むしろ公共事業にまつわるさまざまな疑惑、それも鈴木宗男議員とそれから地元の下地幹郎議員にまつわるさまざまなうわさ、疑念が出てまいりました。それはそれとして後ほど質問させていただきますが。
 まず、沖縄に対しては、昭和四十七年から第一次沖縄振興、それから平成十四年まで三次にわたって沖縄振計がなされ、総額にして、補正予算を入れますと約七兆円を超える巨額な金が沖縄に流れています。平成十三年度で終わって、今度は新たに新沖縄振興という形で平成十四年度からなるということなんですが、この第一次から第三次までの沖縄振計、七兆円を投入したこの沖縄振計についてどのような評価をされているのか、まず尾身大臣にお伺いしたいと思います。
尾身国務大臣 昭和四十七年、今からちょうど三十年前に沖縄が本土に復帰をしたわけでございますが、以来、本土との格差是正ということを大きな旗に掲げまして、三次にわたる沖縄振興開発計画を推進してまいりました。
 今のお話のとおり、この三十年間に六・八兆円の国費を投入してきたわけでございますが、それは特に社会インフラの面において、沖縄の状況、米軍占領下に二十七年間ありまして本土と比べて非常に水準が低かったそのインフラの状況を改善して、本土との格差を是正しようということで施策を進めてきたわけでございます。その結果、施設の整備面を中心といたしまして、本土との格差は次第に縮小しているという結果になっておりまして、着実にその成果を上げてきているというふうに考えております。
木下委員 たしか私も何回か沖縄へ参りました。私、前、ジャーナリストでしたので、十数年前は沖縄にも何回も行きました。それから比べると、確かに道路もよくなったし、社会資本が整備された。その一方で環境はどんどん破壊され、それからその一方で、本当に、こういった七兆円を超える私たちの税金が使われたのに、いわゆる県民所得がどれほど本土並みに近づいたのか、現状をちょっとお願いしたい。県民一人当たりの所得とそれから現在の失業率を教えていただきたいと思います。
尾身国務大臣 この間、県民所得も上昇をしてきておりますが、なお日本全体の平均と比べて七二%の水準にとどまっている。失業率も、一月の数字で見まして、全国平均五・三%でございますが、七・二%と全国平均よりもかなり高くなっているという実情でございます。
 私どもは、そういう意味で、これから沖縄のさらなる発展を図るために、自立経済ということを目指して沖縄振興法も提案をし、今衆議院を通って参議院で御審議をいただいているところでございます。
木下委員 実は私も何回も沖縄特別委員会等で質問させていただいたんですが、公共事業をこれだけ投入したにもかかわらず、やはり県民所得は期待するほど上がっていないんです。失業率も、依然としてやはり本土よりも相当高い水準にある。
 これはなぜかというと、従来沖縄の悲願だったのは基地依存から脱却したい、これが悲願だったはずなんです。ところが、それに持ってきて今度は、新たな基地を整備するために公共事業をどんどん投入していった。その結果、本土から大手ゼネコンが来て、大きな工事はみんな本土のゼネコンがとっていく。ですから、沖縄の県民所得あるいはいわゆる総生産は上がっていないんですね。実際に今、公共事業が来ると二七%を県が負担している。ですから、消化し切れない、あるいは負担が重くなっている。その結果、予算における県税収入は一二%程度しかない。これが今の沖縄の現状なんですね。
 ですから、今まさに、かつて本土が列島改造論でやって公共事業をどんどんばらまいて道路をつくった、同じことをまた沖縄でやって、非常にコストの高いものになっている。ですから、まさに公共事業依存体質になってしまっているんですね。それでだれがもうけたか、だれが得をしたかといえば、さっき言ったように、要するに本土のゼネコンであり、そしてそこからさまざまな利権をむしばんでいる政治家が、その公共事業を食い物にしているんです。その実態を御存じですか。
尾身国務大臣 例えば人口千人当たり道路の延長をメートルで言いますと、昭和四十八年の数字、四十七年度の一番最後でございますが、四千五百三十二メートルになっておりまして、その当時の本土の九千七百六十九メートルと比べると四六%の水準でございました。しかし、最近の数字、十二年の数字で見ますと、これが五千七百三十一メートルになりまして、本土に比べて六二%、四六%から六二%という水準にまで、相対的な関係は、本土との関係で道路の延長等についても上がっているわけでございます。
 河川の整備率にいたしましても、昭和四十七年は本土に比べて六五%の水準でございましたが、最近の、平成十二年の数字は一二三%と、本土よりも整備状況はよくなっているという状況でございます。
 一人当たりの所得も、四十七年には四十四万円でございましたが、最近の数字は二百十七万円という数字で、五倍にもなっているわけでございまして、私は、そういう努力の結果、沖縄の経済、一人当たりの所得も含めまして、相当程度の発展をしてきたということは否定できない事実であると考えております。
木下委員 いや、それは別に沖縄だけじゃなくて、本土だって昭和四十七年と比べたらやはり上がっていますよ。相対的に私は言っているんです、相対的に。(尾身国務大臣「相対的によくなっています」と呼ぶ)相対的に言っているんです。
 ですから、要するに、沖縄が、確かに上がっていますよ、四十七年から比べると。しかし、本土と比較して、まだまだ七割の県民所得しかない。
 では、実際に沖縄の公共事業で、ゼネコンの、本土の大手企業の受注額と地元企業の受注額の、件数でもいいですし、金額でもいいです、どのくらいの比率になっていますか。わかりますか。
尾身国務大臣 その数字は私どもつかんでおりませんが、本土との一人当たり所得は、昭和四十七年で、本土一〇〇といたしまして五九%でございました。それが、今は、本土を一〇〇として七二%でありますから、一人当たり所得で見て、本土との格差が少なくとも解消しつつある、少なくとも縮まりつつあるということは事実でございます。
木下委員 例えば、私も北部まで行ってきたんです。そして、今度新たに北部振興策として毎年百億円投入されますよね。しかし、各市町村では、これだけ投入されても自己負担で消化し切れないと実際に何人も自治体の人たちが言っているんですが、そういった実態は御存じでいらっしゃいますか。
尾身国務大臣 北部振興のために百億円のお金をつけておりますが、そのうちの半分がいわゆる公共事業で、その残りの半分が非公共と言われる分野でございます。
 公共事業につきましては、例えば市町村が行う地方道改修の補助率は、本土の場合五〇%でございますが沖縄は八〇%、それから河川改修の補助率は、本土五〇%でございますが沖縄は九〇%ということになっております。
 それから、非公共における補助率は、本土の場合例えば三分の二とか二分の一とかいうことでございますが、この事業に関しましては一律に九〇%の補助率ということになっておりまして、沖縄の方が本土よりはるかに高い補助率になっているわけでございます。
 それから、では九〇%とか八〇%とかいう補助率で、裏負担も一〇%とかあるいはそれ以上、二〇%ぐらいあるじゃないかというお話でございますが、これにつきましては、平成十二年八月開催の北部振興協議会におきまして、地元の地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう適切に処理するということが決定されておりまして、いわゆる交付税とか特別交付税でその分についてはできる限りこちら側で負担をするという体制をつくっているわけでございまして、実質的に沖縄の地元の負担というのは極めて少なくなっている実情でございますから、その点についてはぜひ御理解をいただきたいと思います。
木下委員 その議論はまた後ほどさせていただきますが、むしろ問題は、こうした公共事業をいわば一部の政治家が私物化している、このことこそ大きな問題だ。
 私自身、ずっと鈴木宗男さんの問題を追及してきました。全部、政治資金、調べました。とにかく、根室出身の、北海道出身の鈴木宗男さんが、まさに、今お配りした資料一を見てください、これは一部ですが、要するに、鈴木宗男さんは沖縄にまで、これだけの寄附金を各企業から集めて影響力を行使している。これは影響力なかったら寄附金なんてしませんから、それなりの影響力があって、これはまだごく一部ですけれども、これだけの、その資料一に見るような献金をしている。
 さらに、資料二を見てください。これは、地元の下地幹郎さんの寄附金先です。平成八年度から平成十二年度までそれぞれ表にしてあります。
 例えば、最初に書いてある株式会社、これは大米建設でございます。これは下地さんのお兄さんのやっている会社で、衆議院選に出るまでは彼自身も役員をやっていた、現在も大株主であるということなんですね。ここから、平成八年度百万、平成九年度五十万、平成十年度、個人の政治団体である新しい日本を創造する会に五十万、それから、下地さんが代表をやっている自民党沖縄県第一選挙区支部に百万円、さらにパーティー券三十万円、平成十一年度五十万円、それから平成十二年度には実に三百八十万円を献金しています。
 さらに、そのファミリー企業である大米興産、あるいは関連企業である、株式を持ち合っています南海建設、あるいは仲吉組、さらにはその三つほど下の南西建設、この献金額を総額するととんでもない数字になります。
 沖縄の特Aと言われている、沖縄でもナンバーフォーぐらいに入っている大米建設です。しかし、どうなんでしょう。お兄さんがやって、しかも大株主である、そういった会社から、私たちの税金を使った公共事業に対して、見返りとしてこれだけの献金をする。まさに税金の還流じゃないですか。
 どうですか、尾身大臣。こういうことが、違反するかどうかは別にして、常識的に許されますか。いかがですか、大臣、これだけの金額を。
尾身国務大臣 今数字を拝見いたしました。
 私も政治活動をしている者として、この数字を見ていろいろ思うところもありますが、この場は、一人の政治家の政治活動のあり方に関する問題でございますから、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
木下委員 いや、政治家のあり方じゃなくて、特に大米建設は、会社の五〇%以上を公共事業で占めているんです、売り上げの五〇%以上を。そういったところから、しかも大株主である人に対して、毎年毎年多額の献金をする。
 これは政治家のモラルとして、扇大臣、どうですか。扇国土交通大臣、こうした公共事業をこういう形で、私なんかは明らかに税金の還流であるという感じがするんですが、率直な御意見をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 今、私、この資料を初めて拝見させていただきましたので、これが公共事業の還流であるかどうかということは、私は判断いたしかねます。
 ですから、これが五〇%以上公共工事を受けているから税金の還流ではないかと言われても、私、調べようもございませんし、今目にしましたので、私は、還流だということは断言できません。
木下委員 まして下地さんは、一九九八年七月から一九九九年十月まで沖縄開発庁政務次官をやっています。この政務次官のときに急に献金がふえています。それから鈴木宗男さんは、九七年に北海道・沖縄開発庁長官、九八年に内閣官房副長官をやっています。いわば、二人でセットになってこうした形で沖縄の企業から献金を集めた。しかも、毎年三千億円と言われる公共事業、ここからの上がりから献金を受けているわけです。これをきちんと調べてください。おかしいと思いませんか、扇大臣。
扇国務大臣 今この数字を拝見させていただきまして、おかしいと思わないかと言われましても、自由民主党沖縄県第一選挙区支部というところに米印がついておりますけれども、そこに、正式に政治資金規正法に基づいて届け出あるものであれば、それが還流したお金で献金しているかどうかということは今これを見ただけでは、正式に手続が終わっているのであれば、それを公共工事の還流だというふうに決めつけることは私自身にはできません。
木下委員 それでは、そこまでおっしゃるなら具体的な例をお話ししましょう。
 今、沖縄では国立組踊劇場、これが建設されています。視察してまいりましたが、今これが建設中でございます。これは、平成十年度に基本設計され、そして設計料が約二億七千万円、工事費が百八億七千八百万円。この基本設計、設計の選定に当たりまして入札しています。その入札の経過につきまして、沖縄の総合事務所の方では、設計に当たってこういう評価表をつくっています。これは、設計を見て選考委員が、いわゆる技術提案者評価委員会、これは委員長を含め七名で、これが設計の主観部分を評価することになっています。そしてもう一つ、今度は客観部分、コンサルティング評価と言うらしいんですが、これを評価して、あわせて業者を選ぶということで、当初三十三社の入札があった。そこで、最終的に、一次として三十三社から七社に絞り、さらに七社から一社に決めたということなんですが、この設計を担当したのが、落札した業者が京都にある会社でございます。高松伸設計事務所でございます。
 実は、この高松伸設計事務所と一緒に、どちらかというと地元企業がJVを組んでいます。その地元企業が、沖縄総合計画設計という会社でございます。これが地元の気候とか風土とかいろいろなものを教えながら高松伸設計事務所と共同で設計をやる、そして落札したわけなんですが、実は、この総合計画設計という会社は、沖縄の鈴木宗男さんの後援会事務所が会社内にある、こういう会社が落札をしているんです。そして、実はこの二つの、主観部分の評価と客観部分の評価の中には、沖縄総合事務所の役人の皆さんが入っている。ですから、官主導でこの設計事務所が選ばれ、そしてそこに鈴木宗男さんの力が働いた。
 いわば、設計の事務所が決まれば、それに基づいて業者も大体決まるらしいんですね。どういう材料を選んでどういう思想を持ってやるか、大体業者が決まるというのが地元のあれらしいです。その結果選ばれたのが、そこに、資料ナンバー三に書いてある受注企業名です。
 実は、これを調べたところ、「鈴木宗男議員、下地幹郎議員への寄付金」、これを見ていただければおわかりだと思うんですが、ほとんどの企業からやはり献金を受けているんです。こうした実態についてどんな印象をお持ちでございますか、扇大臣。
扇国務大臣 今いろいろ資料をお出しいただいておりますけれども、もともと、この国立の組踊劇場、これは、設計の業務というのはWTOの政府調達協定の対象となるということから、広く公募によって参加者を募集するという公募型のプロポーザルであることは御存じのとおりでございます。そして、この評価に当たりましては、技術者の人数とか、あるいは経験年数等の客観的な点数に基づいたということで、先生のお手元にも、資料請求がございましたから、既に渡っていると思いますけれども、先ほどお示しになりました、私たちも、先日来も衆議院で御質問がございましたから調べさせていただきましたけれども、この三十三社から最初は七社に絞り、そして七社の中から一社に絞るという、これは全部公表してございますので、私たちは、これに何らかの御要請とか御指導とかがあったのかということも調べさせていただきましたけれども、選定過程におきましては、客観的にこの数字、お示ししました指標のとおりの数字で点数を出して、それで公正に選んだということを私は報告を受けております。
 ただ、ここで選定された設計事務所の協力事務所というのは、どうしても組踊というのは沖縄独特の踊りでございますので、地元の業者が協力事務所として入っているということ、それが地元業者の一社で、これは計四社で組んでいるわけでございますけれども、応募当初の段階からこれは協力事務所として最初から登録してあったものと私は聞いておりますし、また、今お示しになりました資料の中で、会社の名前を言っていいかどうかわかりませんけれども、沖縄県外の業者と言われるものがございますけれども、それは、公募による応募の三十三社、その中の一社でしたけれども、一位の絞り込みで七社の中にも入れなかったというのもございますので、私は、公平な、また公正な、公開した中で選ばれたと思っております。
木下委員 いや、そんなことを聞いているんじゃないですよ。要するに、地元の設計を手伝った会社の中に鈴木宗男さんの後援会があるんですよ。そうすると、設計をやる段階から価格は全部わかるじゃないですか。設計をやっていれば価格は全部わかりますよ、コストが出ているんです。そうすると、受注するときに予定価格に一番近いのを出しやすいじゃないですか。そういった配慮はないんですか。その点はどうなんですか。要するに、設計を受注したところに鈴木宗男さんの後援会の事務所があるんです。おかしいと思いませんか。
扇国務大臣 これは、先ほどから申しましたように、公募型で、少なくとも入札するまでに守秘義務がかかっておりますから、それが漏れるということがあったのでは、それこそ公取に届けなければいけませんし、そういう意味では、漏れたということ、また、両議員の介入について、私たちは、かつて御要請がございましたので、一般競争入札及び公募型の入札に関しての所定の手続以外に何らかのということを地元で担当者に調べさせましたけれども、面談または電話でのヒアリングの調査を行った結果、関与はないということを私たちは報告を受けております。
木下委員 それでは、この組踊劇場の、受注した会社の落札価格と予定価格を出してみてください。資料を出してください。どれだけの幅で落札されているか。ほとんど違わないですよ。要するに九七か八%の価格でみんな接近して落札しているんです。
 しかも、この献金額を見てください。突然、平成十二年になって、下地さんのところへ百万円ぽんと献金が来る。これは受注した謝礼じゃないんですか。あるいは仲本工業、ずっと献金しています。五年間で三百万円です。あるいは沖電工、百四十万円、平成十二年。あるいは下の、舞台装置をやった南西建設、二百七十万円も平成十二年に献金しているんです。これは受注した謝礼ととらないで何ととりますか。謝礼じゃないですか。おかしいじゃないですか。
扇国務大臣 おかしいと言われればおかしいかもしれませんけれども、その事実というものを把握することはできておりません。
木下委員 これだけはっきり、受注した翌年なりあるいは翌々年にこうした形で献金が来れば、これはやはり何らかの御礼と見るのは自然の成り行きですよ。そうでなかったら、うまくやるんだったら、鈴木宗男さんみたいに、毎年毎年、十二万、十二万の会費でやって、後どうするか知りませんよ。しかし、一どきに受注した企業からこれだけの献金をもらえば、これはあっせん利得あるいはわいろとみなしても決しておかしくない金額ですよ。どうですか。
 扇大臣、こんな形で公共事業が食い物にされているんですよ。政治家に還流しているんじゃないですか。何で十二年だけ、あるいは平成十年も多いです。常識的に考えて、こういうものをわいろと言うんじゃないですか。もし謝礼でなかったら、これは下手すると、株主から訴えられれば背任罪になりますよ、それだけの見返りがなかったら。どうですか、大臣。
扇国務大臣 私、今この献金の一覧表を拝見させていただきまして、景気のいい会社もあるものだなと思って拝見しております。現段階で、あらゆる公共工事の受注をしている会社、少なくとも、日本じゅうに建設業界、これは五十八万社ありますけれども、みんな苦しい中で頑張っております。沖縄だけがこれだけ景気がいいのかどうか、私、これは比較はできません。
 けれども、そういう中でこれだけ献金するだけの利益が上がっている、しかもこれが正式に政治資金として登録してあるというのであれば、きちんとお調べになればいいことであって、そして、これが登録されているのがおかしいとおっしゃられても、これが公共工事の受注の見返りだなんということは、私の段階では判断はできかねます。
木下委員 では、もう一点。
 資料四を見てください。これは沈埋トンネルといいます。これは、那覇空港から那覇埠頭地区を海底トンネルで横断し、対岸の波之上地区を結ぶ、延長約一・一キロメートルの自動車専用トンネルの建築工事です。地図をちょっと示しますが、これが那覇港、これが那覇空港です。ここを海中トンネルで結ぶという工事で、これが実は、私も現地へ行ってびっくりしたんですが、下地トンネルと言われているんです。ですから、北方四島のムネオハウスじゃないですけれども、地元へ行けば、これは下地トンネルだ、そう呼ばれている。まさに鈴木宗男さんと下地さんが、北と南で一緒になってこんなものをつくっている。
 資料四を見ていただければわかると思うんですが、これは平成九年から工事が開始され、二〇〇七年、平成十九年に完成予定だということで、総工事費約一千億円という、沖縄にとっては大変な大きな工事でございます。この工事を請け負ったJVそれぞれ、請け負った企業を表にしてありますが、これを見て、これでもなお受注した会社の謝礼でない、お礼でないとしたら、株主は怒りますよ。金額を見てください。施設基礎工事をやった、これに対して大寛組から平成十二年、百万。さらに大寛組からは、三カ所で受注していて、合計三百万献金されています。
 さらに、読み上げませんが、この数字を見てもらえば、いかに下地さんがこうした、まさに下地トンネルと言われて当たり前ですよ。これだけの企業から献金をもらっている。何らかの便宜供与がなかったら、これだけの献金はないですよ。どうですか。これ、ちょっと調べてください。どれだけの影響力があったか。扇大臣。
扇国務大臣 これも、今拝見をさせていただいております資料、御提出でございますので、これが関係あったのかと言われましても、私が調べましたのはいわゆる入札の公平さがあるかどうかということで、政治献金の金額までは私存じませんでしたけれども、少なくとも公共工事の入札工事として、この那覇空港の道路の沈埋トンネルに係る工事というものは、平成八年から平成十二年の末までに沈埋の製作の工事と、それから立て坑の築造の工事等の三十九件が発注されているのは御存じのとおりでございますけれども、これらにつきましては沖縄の総合事務所の競争参加者の選定要領の規定に基づいて正式にこれを決定したという報告を受けております。
 ただ、献金のことに関しては、今初めてこの表を見せていただきましたので、この公共工事とこの政治献金とのかかわりがあるかないかということに関しては私は判断しかねますけれども、公共工事だけは少なくとも適正な方法によって入札されたという報告だけは受けております。
木下委員 尾身大臣、大変失礼ですけれども、尾身さんの献金でこういった献金はありますか。要するに、企業から一年間で百万とかこういった、これだけずらずらっと受注した企業からの献金というのを御経験ありますか。
尾身国務大臣 これはこういうところで答えることではないかと思いますが、私、今、御存じのとおり、政治資金規正法が変わりまして、自民党支部への献金という意味で、私の選挙区の支部への献金は企業からいただいておりますが、はっきり記憶しているわけではございませんが、大体十二万円か二十四万円だと思っております。
木下委員 私も、自民党の重立った先生方の献金を全部調べました。連日、かなりの部分を調べました。皆さん本当に、会費を、例えば一カ月一万、年間十二万という形で献金しています。ましてや、一つの工事で、受注した企業からこれだけの献金をもらっている人はいないのです。皆さん、それなりに気をつけてやっておられる。そのかわり、国民政治協会とか自民党さんの方へ建設会社からは、ゼネコンからはたくさん行っていますよ。これもいずれ明らかにしますけれども、二千万、三千万行っていますよ。
 ですから、むしろ、それはそれとしてまた別の問題があるでしょうけれども、個人の、しかも代表をやっているその個人の資金団体、あるいは選挙区支部の代表をやっているところへこういう形で献金している人は、私も随分調べましたけれども、ありませんでした。
 扇大臣、どうですか、扇大臣ももちろん献金をいただいていると思うのですが。
扇国務大臣 そういう言い方をされますと、少なくとも私、国土交通大臣、もう一年以上たっているんですけれども、もっと献金を集めていてもいいし、また、そういう公共工事との連携をということを言われましたら、本当だったら、私、もっと集まっているかもしれません。
 けれども、そういうことを私はしないために、公共工事の入札と契約に関する適正化法というのを一昨年の最終の国会で出していただいて、そして、いかに、公共工事というものが国民の税金で賄われているんだという基本的なスタンスというものを、国会議員一人一人が身を正していかなければならない、また公共工事が適正でなければならないかということを、私は、この国土交通省発足以来そのことを申し上げ、昨年の四月からこの法案が施行されておりますので、私は、みんなに、このことを律していかなければいけないと言っております。
 今拝見していますような、こういう政治献金の状況というものを拝見いたしまして、私は、これは少なくとも、政治資金規正法でありますとかあるいは公職選挙法を遵守するという形で、これが不正な献金であるというのであれば、公職選挙法違反であるとか政治資金規正法というものに触れるのだと思いますけれども、その献金に関しては、届け出どおり、私自身も、どこから見ていただいても、企業からそういう献金はいただいておりませんので、この献金の表を見て、こういうこともあるのかなというふうに考えておりますけれども、それと公共工事との関連性は、私には確認はできません。
木下委員 大臣がそういう御答弁だと、これは、公共工事の先は思いやられる。むしろ毅然として、やはり公共事業のところからはできるだけ献金を広く薄くもらうような形にしないと、これはだれが見たって、それは違法性があるかどうかは別にして、国民の皆さんは、あるいは県民の皆さんがこれを見たらびっくりしますよ。まさに政治不信。
 最後ですから申し上げておきますけれども、それは鈴木宗男さんは一生懸命やった。しかし、今、下地さんが鈴木さんと同じことをやろうとしている。まだ若いです。将来もある。私は下地さんに忠告しておきますが、今のような献金の集め方をしていると、いずれ必ず鈴木さんのようになりますよ。既に地元ではミニ鈴木と言われているそうですが、やはりそこは自重して、将来があるんですから、きちんとした関係をつくってもらいたいな、そう要望して、質問を終わりにします。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、今野東君。
今野委員 私は、北海道夕張シューパロダム建設に関連して、その用地取得に、民主党の調査によって、重大な疑義が明らかになりました。その点について、政治家の関与も含めてお伺いいたします。
 北は北方から南は沖縄まで、さまざまな疑惑がこの国にははびこっておりますが、こちらは夕張であります。
 夕張シューパロダムは、洪水調節やかんがい用水などの多目的ダムで、建設省初め関係する四者の共同事業で行い、その施工主体は当時の北海道開発局石狩川開発建設部であると思いますが、そのとおりですか。
扇国務大臣 今おっしゃったとおりでございます。
 この夕張のシュバローダムというのは、御存じのとおり、国土交通省、そして農林水産省、石狩東部広域水道企業団及び北海道企業局の四者の共同事業でございますし、また、目的は、今御指摘のように、道央圏におきます洪水の調節でありますとか動植物の生息などのために必要な流量の確保、そして、かんがい用水の補給と水道用水の供給及び発電を目的としたものであるというふうに認識いたしております。
今野委員 次に、ダムの用地の状況ですが、用地補償の対象は個人と企業だと思いますが、その年ごとの契約年数と支払い額、皆さんのところに資料をお配りさせていただいておりますが、平成八年度、件数は、企業がゼロ、個人が四十四で、五十二億円、九年度は、企業十四件、個人百七十九、総額五十五億円、十年度、企業三件、個人三十八件、二十一億円、十一年度、企業ゼロ、個人二十三、十七億円、十二年度、企業が一、個人が八、計九、三十七億円、十三年度、企業ゼロ、個人三、計三、十四億円、このようになっておりますが、この資料のとおりでしょうか。
林政府参考人 お答えいたします。
 ただいま先生がお示しした資料のとおりでございます。
今野委員 この平成十二年度、交渉がまとまって補償実績があったのは、個人は三件、そして企業は一社だけであります。この一社というのは日北酸素株式会社ですね。確認いたします。
林政府参考人 お答えいたします。
 補償関係の件につきましては、被補償者との信頼関係を損ね、また、被補償者のプライバシーを侵害するおそれもあることから、私どもといたしましては、お答えを差し控えさせていただいております。
今野委員 これは既に補償がまとまっていることですから、ここで出ていないというのは非常におかしなことなんですが、この疑惑の対象となっているのは、その日北酸素株式会社の移転についてなんです。この日北酸素株式会社の代表者は岩崎政弘という人で、事業の内容は、高圧ガスの製造を主としている資本金八千万円の企業であります。
 そこで、この補償の基準について確認をいたしますが、補償基準は、この資料にありますが、この表の下です、公用地の取得に伴う損失補償基準要綱、これは、昭和三十七年の六月二十九日閣議決定されて、昭和四十二年の十二月二十二日に閣議決定で改正されている。それからもう一つは、北海道開発局から出ている土地評価事務処理要領、通常損失補償処理要綱ですね。そしてもう一つは、このダム対策協議会と統一的な補償を行うことを目的として作成した石狩川夕張シューパロダム建設事業に伴う損失補償基準がベースになっている。これで間違いありませんか。
林政府参考人 ただいまお尋ねの件でございますけれども、公共用地の取得に伴う損失補償につきましては、昭和三十七年の六月二十九日閣議決定を見ております公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱及び石狩川夕張シューパロダム建設事業に伴う損失補償基準、これは平成八年の六月十一日に地権者協議会と締結されたものでございますが、これに基づき行っているところであります。
今野委員 この移転対象となった日北酸素株式会社の旧夕張工場が所有していた土地建物の概要とその所有の経過は、民主党の調査によりますと、これも資料を皆さんのところにお配りしてありますが、土地は、夕張市鹿島北栄町一の二、宅地が三万四千百五十五・三七平方メートル、山林三千五百三十九・二四平方メートル。この土地は、昭和五十二年の十月二十四日、大夕張営林署が登記をして、同じ年の十一月一日、日北酸素株式会社が所有権保存の登記をしています。登記の原因は不詳、余白になっておりますから、これは無償払い下げです。
 建物は、工場、事務所などが、昭和三十三年九月から三十四年九月の間に三菱鉱業株式会社によって一連の建物が建築されまして、昭和四十四年十二月六日、三菱鉱業から三菱江戸川化学に売られて、そして、その二年後、昭和四十六年十二月一日、会社が合併して、所有者は三菱瓦斯化学に変わりました。昭和四十八年十二月五日、夕張市に寄附されております。そして昭和五十一年の十一月二十二日、夕張市から日北酸素株式会社に譲渡されているんです。これは夕張市の企業誘致なんですよ。つまり、ただで提供を受けているんです。そして、この土地建物は、宅地も山林も建物も、平成十二年八月十一日、日北酸素から北海道土地開発公社に売られております。
 こういう経緯で間違いありませんね。
林政府参考人 ただいま先生の御指摘の件でございますが、私どもとしては、経緯についてはちょっと承知しておりません。
今野委員 こういう経緯で土地は売られているんです。
 それでは、日北酸素の土地建物を収用した北海道土地開発公社と北海道石狩開発建設部との間では、これは平成十二年の七月十一日に契約が交わされている。幾らで契約を結んでいるんですか。
林政府参考人 お答えいたします。
 平成十二年度におきまして、北海道開発局と土地開発公社は、今御指摘の七月十一日に、用地の先行取得に関する契約を締結いたしました。これを公表することは、被補償者との信頼関係を損ね、また、被補償者のプライバシーを侵害するおそれもあることから、私どもからは差し控えさせていただきたいと思います。
今野委員 ここは決算行政監視委員会なんですよ。国のお金がどのように使われているかを聞いているんです。誠実に答えていただきたい。
 それでは、日北酸素は、北海道土地開発公社との間で、平成十二年の八月十一日に物件移転補償契約、土地売買契約をそれぞれ交わしました。これはどういう項目、どういう補償額になっているんですか。そして、その根拠も示してください。
林政府参考人 ただいま日北酸素と土地開発公社の契約内容についてお尋ねがあったわけでございますが、個別の補償内容を公表することになり、被補償者との信頼関係を損ね、また、被補償者のプライバシーを侵害するおそれもあることから、私どもからは差し控えさせていただきたいと思います。
今野委員 そういう答えが続いていくと、国と国民の間の信頼関係がそれこそなくなるんですよ。あなたは一体だれの味方でそうやって答えているんですか。
 ここにそれぞれの契約書があります。これによりますと、土地は固定資産評価額ゼロなんですよ。場所は、ちょっと見にくいと思いますけれども、地図がここにあるんですが、これがシューパロ川で、実に奥まったところでありまして、そしてここに、まあ、遠くからでは見えませんけれども、ここに私マークしてあるんですが、赤いマークがあって、これはクマが出没する、クマ出没注意の看板が立っている。つまりクマが出るようなところなんです。評価額ゼロ。そこを、クマが出るような、固定資産評価額ゼロのものが、一億五千八百三十一万七千三百六十二円に評価しているんです。補償しているんです。ゼロのところですよ。契約書にこうある。
 そして、建物は固定資産評価額四千百六十八万二千円。これだってもともとただのものですからね。設備、償却資産、千百四十六万五千円。合計五千三百十四万七千円のものが四十三億七千三百万九千六百円、こういうふうになっているんですよ。これは一体どういうことですか。説明してください。
林政府参考人 お答えいたします。
 先ほどもお話しさせていただきましたけれども、個別の補償内容を公表することは、被補償者との信頼関係を損ね、また、被補償者のプライバシーを侵害するおそれもあることから、私どもといたしましては差し控えさせていただいています。
今野委員 税金を使っているんですよ、これは公金なんですよ。あんたのお金じゃないんですよ。税金を使って、どうやってこれを使っているんですかと聞いているんです。ちゃんと誠意ある答えをしてください。お願いします。
林政府参考人 日北酸素の補償額は、先ほどお話しさせていただきましたけれども、昭和三十七年に閣議決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の規定に従い、近傍類地の取引価格などを基準として適正に算定されております。
今野委員 あなた、適正だと今おっしゃいましたが、これが適正なんでしょうか。
 今、資料をお配りしておりますが、補償を受けて、この工場は新しく苫東というところに工場を移転しました。この生産能力、見てください。
 酸素は、月産が八万二千五百立米。これが何と六倍になっているんです、五十万立米生産できるようになっている。金額にすると、五百九十四万円の月産が、これは三千六百万円生産できる工場になっているんです。窒素は、旧工場が四万九千七百五十立米。これはおよそ十倍、五十万立米になっています。アセチレンガスは二倍、金額にすると、月産一千三百八十七万五千百六十六円が八千十万円になっているんですね。生産能力は間違いなく拡大しております。いいですか。
 そして、この投資額ですよ、投資額。土地は二億四千万円。建物・設備、およそ十六億五千万円。計十八億九千万円。これだけでも過大な補償をしているわけです。補償し過ぎです、これでも。さらに、これを上回って四十五億円。何でこういう補償になるんですか。どこが適正なんですか。ちゃんと説明してください。
林政府参考人 ただいまお話のございました、苫東基地へ移転したその後の操業等について、その補償額について問われてございますが、一般的には、移転補償契約においては、被補償者は事業用地を更地にして引き渡す義務を行うのみであって、具体的にどこに移転するかというのは被補償者が判断するものでございます。
 本件の移転補償費積算に当たりましては、候補地を十数カ所調査いたしまして、法令上の規制ですとかあるいは土地価格、あるいは工業用水、電力事情等を主な要素として比較検討を行い、公正妥当な額を積算しているところでございます。
今野委員 だから、それがなぜ公正なのかと聞いているんですよ。工場の移転というのは同じ機能を持つようにスライドする、それでしょう、要綱は。それ以上やっているじゃないですか。だからその根拠は何ですかと聞いているんです。
林政府参考人 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、補償額の算定の内容になりますと、これにつきましては、被補償者との信頼関係を損ね、また被補償者のプライバシーを侵害するおそれもあることから、私どもとしては差し控えさせていただいております。
今野委員 あなた、国民との信頼は、信頼関係はなくていいんですか。お尋ねします。
林政府参考人 同じような回答になりますけれども、補償額につきましては、公表するということは、先ほども答弁させていただきましたけれども、被補償者との信頼関係、また被補償者のプライバシーの侵害というような観点から、私どもとしては差し控えさせていただいています。
今野委員 それでは、国土交通大臣にお尋ねします。
 今までのところのこのやりとりをお聞きになっていて、どうでしょうか。この国のありようとして、被補償者との信頼関係だけを強調する、そういう答弁が続いている。国土交通大臣として、ここでどういうふうにお感じになっていらっしゃるか、お話ししてください。
扇国務大臣 今、参考資料を手元に配付していただきました。今、局長とのやりとりを伺っておりましたけれども、私は、少なくとも、国土交通省としては、税金によって公共工事を賄っている、そういうことの基本点に立って、各年度ごとの公共工事の詳細というものは、必要書類を少なくとも会計検査院に提出してございます。
 ですから、私は、会計検査院から私どもに対して、こういう指摘があって、あなたのところが出した書類はこういうことがありますよと言われていれば、また考えもあろうと思いますけれども、私は、交渉の当事者としては、私かばうわけでも何でもありませんけれども、相手方の何か事情を公表できない、こう言い続けていますから、それであれば、会計検査院に出した書類にも書いていないのかどうかということを会計検査院にお調べいただいたり、また会計検査院から注意があれば、私は、その注意があったことに関しては国土交通省としては訂正するべきだろうと思いますけれども、今の段階でこれに関しての、夕張のシュバローダムについては、私たちはこれを会計検査院からいまだ注意を受けていないというふうに私は思っております。
今野委員 シュバローダムじゃなくて、シューパロダムなんですが。
 それでは、大臣がそうおっしゃるんでしたら、会計検査院、これまでのところ、これについて検査し、そしてどのような所感をお持ちですか。
白石会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 ダム建設事業を初めといたします河川総合開発事業につきましては、これは長期間にわたって実施される事業ということでもございますし、投資額も多額に上っているということから、私どもといたしましても、従来から、その計画及び実施の妥当性、工事の設計、積算、施工等の妥当性といった点に注意を払いながら検査を行ってきたというところでございます。
 今お話のございます夕張シューパロダム建設事業につきましては、これはまだ本体工事の着工には至っていないものというふうに承知をしておりますが、今申し上げましたような河川総合開発事業の一環ということでございまして、重要な検査対象として認識をしているところでございます。
 今後とも、事業の進捗状況を踏まえながら、その進展に応じまして適切に対応してまいりたいというふうに考えておりまして、その際にはただいまの御議論も念頭には置いてまいりたいというふうに考えております。
今野委員 ちょっとよくわからないんですけれどもね、今の。扇大臣だってわからないと首をかしげていますよ。わからないよ、今のそんな説明じゃ。何ですか、それ。
 だから、今までのところ、これは検査したんですか、出なかったんですか、どうなんですかと聞いているんですよ。ちゃんと答えてください。
白石会計検査院当局者 先ほども申し上げましたように、一般的に申し上げますと、ダム建設事業の検査につきましては、ダム本体の工事に着手をしたダムというものを重点的に検査をしているというところでございます。
 そういう意味では、夕張シューパロダム建設事業につきましては、まだ本体工事の着工には至っていないというふうに承知をいたしておりまして、先ほど国土交通大臣の方からのお答えがございましたけれども、検査を実施するという観点からいきますと、北海道開発局石狩川開発建設部については検査を行っているわけでございますが、その際に、当該建設部が担当しております夕張シューパロダムに関するものにつきまして、一般的な調書ということで用地取得等の状況の提出を求めてきているということはございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、本体工事の着工にはまだ至っていないということもございまして、私どもとして、とりあえず一般調書等の提出を求めているという段階にとどまっているということでございます。
 今後につきましては、ただいまの御議論も念頭に置きまして、事態の進展に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
今野委員 そんな一般論だけごちゃごちゃ言ったって時間のむだなんですよ。
 これは平成八年度から補償は始まっているんですよ、五十二億、五十五億、二十一億、十七億というふうに巨額の補償が。それは何も調べていないの、会計検査院。院長、答えてください。
金子会計検査院長 今、局長の方から答弁しましたように、従来、ダム工事については、ダム工事に着手した段階から検査をするということで検査をしてまいりました。
 今回、こういう問題が今、委員の方から指摘をされましたので、その点十分念頭に置いて検査をしてまいりたいというふうに考えております。
今野委員 つまり、このシューパロダムの用地補償については全く検査をしていないということですか。
金子会計検査院長 全く検査をしていないということではないというふうに私考えております。
 先ほど申し上げましたように、調書をとる等のことはしておりますけれども、しかし、この件について具体的にそれでは詳細な検査をしたかというと、その点については、私、もう少し確認させていただいてからお答えをしたいというふうに思います。
今野委員 平成八年から相当の件数の補償が行われております。その補償について、適正であったかどうかということは全く検査していないんですか。もう一度お尋ねします。
白石会計検査院当局者 先ほども申し上げましたように、一般的な用地取得調書の提出は求めているということでございますが、本格的な検査といたしましては、私ども基本的には、先ほど申し上げましたように、本体工事の着工に至っているものを重点的に検査をしてきているというのがこれまでの検査でございます。
 したがいまして、夕張シューパロダムにつきましては、ただいまの御議論も踏まえて、今後適切に対応してまいりたいというふうに考えているということでございます。
今野委員 ここでこれだけ議題になっているわけですから、院長、これを平成八年からお調べになりますか。
金子会計検査院長 検査をいたします。
今野委員 それでは、検査をして、この委員会に報告をしてください。院長、よろしくお願いいたします。
 それでは、続けて国土交通省の局長にお尋ねしますが、これは最終的に日北に幾ら払ったんですか。
林政府参考人 補償金額につきましては、先ほど来私の方でお話しさせていただいていますように、被補償者との信頼関係あるいはプライバシーを侵害するおそれもあるということから、私どもからは差し控えたいというふうに思います。(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に願います。
今野委員 大臣から一言局長に、ちゃんと言うように言ってください。これだけの疑惑があります。クマが出るところが一億五千万の補償がされております。
扇国務大臣 これは、言うように言ってくださいとおっしゃいますけれども、この一件だけであれば、会計検査院が検査されるとおっしゃっていますから私は出てくるものだと思っておりますけれども、一般には、相手があることなので公表できないという基準がございますので、これだけを特別にとおっしゃれば、私は、会計検査院から改めて、うちは一般調書としてちゃんと出してあるわけですから、それは出てくると思います。
 他の今後の交渉にさわるということで、私は今の規制というものはちゃんとあるというふうに思っております。(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に願います。
今野委員 プライバシーがあろうとなかろうと、おかしいから言っているんです。
 ここに日北酸素第四十二期の決算報告書があります。収用借受金、つまり補償金額ですよ。この中にちゃんと書いてあるんです、幾ら払ったか。四十九億二千二百六十万三千九百六十二円です。北海道土地開発公社は、四十五億三千百三十二万六千九百六十二円払ったことになっている。その差額、三億九千百二十七万七千円、これは何のお金なんですか、どうなっているんですか。
林政府参考人 何度も同じような繰り返しになりますが、補償金額、その内訳等を公表するということは、被補償者との信頼関係ですとかプライバシーを侵害するおそれもあるということから、私どもといたしましては差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
今野委員 ですから、その範囲を超えているからお尋ねしているんです。決算書もここにあるんです。明白に四十九億支払われている。
 この北海道土地開発公社は四十五億三千百三十二万六千九百六十二円払ったことになっている。この差額、三億九千百二十七万七千円についてお答えください。大臣、お願いします。
扇国務大臣 私は、本来であれば、先ほど申しましたように、相手のあることですからという基本はありますけれども、民主党さんがお調べにいらして、これだけはっきりわかるというのであれば、もう既に委員会でこれは公表されたに近いことでございますから、それであれば、それが正しいかどうかは、私は改めて、これはうちで発表さすように、公表してしまった以上は、私はこれを正しいかどうかは明らかにするべきであろうと思っております。
渡海委員長 ちょっと、速記をとめてください。
    〔速記中止〕
渡海委員長 速記を起こしてください。
 当問題につきましては、委員長で預からせていただきまして、後刻、その内容を私の方でまず精査をいたしまして、そして理事会の方に御報告をさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 今野君。
今野委員 この用地買収ですけれども、我が民主党の調査によって明らかになっている、これが正しいかどうか調べていただけるという大臣の力強い御決意がありましたので、ぜひその点お願いしたいと思いますが、さらに調べていただきたいのは、用地買収の交渉を盛んにしているころに、鈴木宗男さんが北海道開発庁長官、平成九年の九月から七月まで、そしてスライドして官房副長官を平成十一年の十月五日までやっております。
 民主党に、鈴木宗男のプレッシャーがあったという投書がありました。この疑惑について、ありやなしやということも、これが来ている限りは、大臣、お調べいただきたいと思います。
扇国務大臣 私は、きちんと一般調書として会計検査院に報告してあるわけですから、報告どおりかどうかということぐらいは私は明白にするべきだと思いますし、また、今、開発庁長官として鈴木議員がどのようにこれにかかわってきたのか、どういうふうに問い合わせがあったのか等々も私は明らかにできると思っております。
今野委員 ぜひここのところをお調べいただいて、そして、我が党が調べたことが正しいのか、疑義があればまたそこのところもこちらもしっかり調べたいと思いますが、会計検査院と国土交通省とあわせてこの調査をお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 植竹外務副大臣にお伺いします。
 平成十二年度会計検査院の決算検査報告書によりますと、ただいま本委員会で審議をいたしております平成十一年度に関する問題につきまして指摘がございます。それは、前回にも私が質問したことでございますけれども、外務省に具体的に会計検査院が指摘をされた問題があるわけであります。
 それは、公正な競争入札、あるいは公明正大に、オープンに一般競争入札をすべき建設あるいは物品役務の購入、こういったものにつきまして、一般競争入札にすべきものを、それをしないで小刻みにしまして、そしてそれを随意契約にして発注している、こういうケースを具体的に、外務省でこれこれの件ということで幾つか指摘をされている。これについて、どのような状況であるか御説明をいただきたいと思います。そして、それに対して外務省としてどのような措置をしていかれようとしているか。
 これは、平成十一年度のものだけではなくして、従来からずっと行われておったという指摘も書かれておりますから、十一年以前にもこういったことが行われておったということを推定できるわけでございますが、まず外務省から御説明いただきます。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
植竹副大臣 今、塩田委員のお尋ねの物品あるいは役務の購入につきまして、この点、一括できるにかかわらず、これを細切れな、いわゆる少額の随意契約でやったということについて会計検査院から指摘があった、それに対してどうかという御質問だと考えるわけでございますが、それは、昨年十一月の会計検査院によります決算検査報告において、今、議員が御指摘ありました点を含めまして、物品役務の調達契約やその実施体制等の諸点に関しまして指摘を受けたことは、外務省といたしましても大変重く受けとめております。議員今御指摘のとおり、過去の調達事例の中には同様の事例があった可能性は排除できず、このような状況を早期に是正、改善する必要があるということは認識しておるところでございます。
 外務省は、この一連の不祥事を受けまして、昨年十月に会計手続の改善策を取りまとめいたしましたが、この中で、契約の適正を確保する、そして予算を効率的に執行するとの観点から、調達の会計課における一元化を進めることといたしたわけであります。これを受けまして、同月より、汎用物品の調達を会計課で一元的に実施いたしまして、これとあわせまして、従来、個別に発注しておりました外務省の省員用の事務用消耗品につきましては、一括競争入札により調達を行っております。
 また、川口大臣においては、先月、「開かれた外務省のための十の改革」、その中で、外務省予算の効率的使用、透明性の確保との観点から、物品のみならず、役務を含む調達全般にわたる一元化を実現するとの方針を明らかにしております。外務省は、こういう方針に従いまして、今月より、役務を含む調達全般についての調達の一元化に向けて着手をいたしております。
 また、早急に、外務省といたしまして、物品役務の調達全般についての一元化を実現し、契約の締結に際し、競争性、透明性、公正性の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
塩田委員 今、植竹副大臣から御答弁ございました。この指摘を受けて、根本的にやり直そう、また組織等も再検討して調達する課を特定するということをお聞きしたわけでございますが、そもそも一般競争入札すれば価格がうんと下がるところを、これは文房具だけで指摘されているのは四億幾らですね、それだけ大きいものを、高い値段で随意契約で、しかも、一つの課でなくして末端の個々の課で随意契約を特定の業者を選んでやっている、こういうことによって国費がかなりむだ遣いされておる。二割も三割も高い値段で発注しておった、それだけ国のお金がむだに使われておるということの結果が指摘されたわけですが、これはもう何年にわたってか、ずっと行われてきておったということが明らかになり、これを直そうということで、遅きに失したとはいえ、ひとつ思い切ってこれを是正していただきたいということを期待いたします。
 これは、特定の業者といわば官の癒着というか、なれ合いというか、この価格にしても見積価格そのままでもって発注されておる、契約されておるということですね。非常に不明朗な、一般原則に反することをやってきておられるわけでありますから、この点は、全般にわたって、文房具や清掃の入札だけではなくして、あらゆるところを点検されて、そういった国費をむだ遣いしているところはないか。そして、その金額も、四億だと当然競争入札しなければならないのに、小刻みに何百万円かにして刻んでしまって随意契約をする、こういう、言うならば脱法的な行為なんですね。これは本当に、言うならば、官と業との癒着どころか一種の談合ではないかというふうに思われるわけでございますが、これについてどのようにお考えでございますか。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
植竹副大臣 今委員御指摘のとおり、この随意契約による金額、不当に、一般競争入札よりも多い金額が費消されていた四億六千万ぐらいの金額につきましては、本当に外務省といたしましては深く反省すると同時に重く受けとめておるところでございます。
 しかし、その個々の契約につきましては、会計法の関連条項のもとで契約が行われておりまして、そういう意味では直ちに会計法の違反、脱法行為であるとは考えておりません。
 それぞれの契約を取りまとめていくことにより競争性、透明性、公正性のある形で調達を行うことが可能だったということを考えてみますと、適正さという点につきましては一層確保する意味で是正改善が必要であり、公明性というものは行われるんじゃないか。そういう意味では、深く反省の上、申し上げているように、これの是正に踏み切っておるところでございます。
塩田委員 あと一つ申し上げます。
 私は、脱法的行為であり、一種の官と業との癒着であり、また談合だということを申し上げたわけですが、特定の業者を選ぶについて何らかのアドバイスというかあるいは指示というか、そういった外部からの何かの力が働いたケースはあるかないか、お伺いします。
植竹副大臣 今委員お尋ねのとおり、調達につき外部からプレッシャーがあったかないかという点につきましては、私どもとしてはそういうことを認識いたしておりません。というのは、非常に小さい契約について、いろいろな手違い、つまり一括購入でない不明さはありましたけれども、そういう圧力によってそれが個々に随意契約になるということは判別しておりませんし、認識もいたしておりません。
塩田委員 そういったことはない、外部からの力はないということでございますが、外務省はほかのところで随分出ましたよね。口ききをしたりあるいは恫喝をしたりしてこの業者を使えとか、あるいは言わなくてもいろいろなそういう条件をつくり直してそこに落ちるようにしたとか。随意契約というのはもっと簡単にできますからね。特定の業者が、しかもずっと続いているということですね。そういったところに何らかの力なりが働いたんじゃないかということを考えるのですけれども、これは私どもの方もなお調べますけれども、外務省は、ないと思ったら随分たくさん出てきたわけですから、こういうこともあり得るんじゃないかということで申し上げたわけです。
植竹副大臣 今、その点につきまして、圧力じゃなくて、一括すれば、競争入札制にすれば確かに金額も削減されたと思いますが、ただ、個々随意契約によってそれが、なれ合い的じゃないのですが、非常になれてしまったという点について、税金がそれだけ余計費消されたという点については反省もいたしており、これからそういう点について競争性、透明性ということを実施してまいりますが、特に外部からの圧力というよりも、なれてしまったという点は反省いたしております。
塩田委員 それでは、会計検査院長にお伺いいたします。
 この外務省に対する物品役務の調達契約についての措置要求をしておられますが、どういう措置要求をされたのか、その後検査院としてどのようなフォローをしておられるか、これをまずお伺いします。
 それで、外務省の今のケースと同じような例が各省庁にあるのかないのか。今まで検査されて指摘をされたのは外務省だけなのか。一般省庁にこういったことについて検査、調査をされる予定はないのか。また、今までにそういった事例があれば御報告をいただきたいと思います。
金子会計検査院長 今までの議論の中で、会計検査院の指摘をした指摘内容については出ましたけれども、改めて申し上げますと、第一点目は、物品役務調達契約の事務の執行に当たっては、原則として会計課においてその事務を行うこと、各担当課が実質的に契約の内容等を決定しているなどの体制を抜本的に改めること、これが第一点です。第二点は、契約の締結に当たっては、原則として競争に付すこと、やむを得ず随意契約による場合でも、その理由を具体的に明らかにした上で見積書を適切に徴すること。第三点目としましては、給付の確認に当たっては、これに必要な関係書類をそろえるとともに、任命を受けた職員が確実に実施する体制を整備すること。この三点を措置要求といたしました。
 今後についてですが、決算検査報告において指摘した事項については、会計検査院ではすべてフォローアップを行っております。したがいまして、今回の外務省の件についても、当然会計検査院といたしましてはフォローアップをいたします。
 それから、類似の件についてということですけれども、一つの契約を幾つかに分割して、しかも随意契約でというようなことにつきましては、これまでの会計検査院の検査の中で指摘をしたという事例はございません。
 しかし、契約の問題については、今回このような事態が起こったということも非常に会計検査院としては重要視しておりますので、今年度の検査においても、契約については十分に注意をして検査をしていきたいというふうに考えております。
塩田委員 時間が参りましたので終わりますが、ほかの省庁でもそういったことをやっているという情報がありますので、本当に目を光らせていただかないと、公正な競争入札ということが脱法的に随意契約に刻まれて行われている、そこに不透明なものもいろいろ聞くわけですから、その点会計検査院は、他の省庁についても同じようなケースがないか、十分に目を光らせて検査を進めていただきたいと思います。
 終わります。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛です。
 私は、前回三月十三日に引き続き、道路公団山形自動車道の保全工事を請け負った株式会社エヌ・エッチ・エスと加藤紘一議員の疑惑について質問をいたします。
 前回の委員会で、私は、この会社が、加藤紘一議員事務所の佐藤三郎前事務所代表主導で、山形自動車道保全工事独占受注、同時に、献金など集金会社として立ち上げられた疑いが強いということを指摘いたしました。その後、私も加藤議員の地元である鶴岡市や道路公団の鶴岡工事事務所の調査に入って、その疑問を一層深めたところであります。
 そこで、まず最初に、前回問題にしましたエヌ・エッチ・エス、この会社の保全工事受注に当たって、その適格性、これとの関係で従業員数をお尋ねいたしました。前回は正確な御答弁がありませんでしたが、まずこの点から、はっきりした、エヌ・エッチ・エスの受注契約を行った時点、あるいは指名通知を受けた時点、この時点での従業員数についてお聞きをしておきたいと思います。
内田参考人 お答えいたします。
 エヌ・エッチ・エスの従業員数でございますが、監査役を含む役職員を含めた全従業員について報告させていただきます。
 まず、設立時点でございますが、先生御指摘のとおり、建設業許可申請書に事業主も含め四名が記載されております。これに監査役一名を加え、全従業員数は五名となっております。
 それから、技術審査、あるいは資格審査、あるいは契約した時点におきましては、競争参加資格申請書により四名を確認し、これに新たに採用された従業員一名並びに監査役一名を加え、全従業員数は六名となっております。
 それから、当該保全工事の契約期間開始日、平成十三年六月一日でございますが、経営事項審査結果通知書により五名を確認し、さらに、株式会社酒井組から移籍した五名、これに監査役一名を加え、全従業員数は十一名となっております。
 したがいまして、三月十三日の本委員会で私が答弁いたしましたエヌ・エッチ・エスの従業員数につきまして、経営事項審査結果通知書により十一名と回答いたしておりましたが、建設業従事職員数は五名となっておりました。改めて訂正させていただきたいと思います。
大森委員 従業員数、将来ふえて、それでもわずか五名。この受注契約を行った、指名通知を受けた時点ではわずかに一、二名の従業員のそういう会社が落札をして、しかも、指名を受けて落札をした。本当にこれはおかしい話だと思うんですね。それで、私も事務所も見てまいりました。現場の事務所、ちょうど私が行ったときは女性の事務員が一人だけでした。本社というのも見てまいりました。小さなアパートの二階にある、そういう会社でありました。
 扇国土交通大臣は、前回委員会での答弁で、なぜエヌ・エッチ・エスに譲渡しなければならなかったのかわからない、もう一度精査しなければいけないと答弁していただきました。その後、調査されて、それらの問題について明らかになったでしょうか。
扇国務大臣 三月十三日でございましたけれども、本委員会におきまして大森議員からの御質疑がございました。私も事実関係について疑問点を持っておりましたので、私は早速日本道路公団に調査を指示し、特にエヌ・エッチ・エスに関しては受注過程を、少なくとも佐藤三郎秘書の影響があったかどうか、重大な関心を持って調べるようにと私は指示をいたしました。その結果でございますけれども、ちょっと長くなって申しわけないですけれども、よろしゅうございますか、ごめんなさい。
 これに対しまして、日本道路公団では、理事二名、そして関係者二十五名に対して聞き取り調査を行ってきたという報告を受けました。
 その一つ。平成十二年度の山形自動車道の鶴岡管内の道路保全工事を施工しておりました酒井組から、平成十二年春ごろ、契約を辞退し、新たに設立する会社エヌ・エッチ・エスに契約を継承したい旨の話があったという報告。
 二つ目には、これに対して日本道路公団は、契約期間内は酒井組が施工するように指示し、そして、平成十三年度は改めて公募型の指名競争入札による業者の選定を行うことを決定したという報告でございます。
 第三としては、その結果、平成十三年度は公募型の指名競争入札で業者選定が行われておりまして、エヌ・エッチ・エスも含めた六社が応募したということ。
 四番目に、その際、日本道路公団の東北支社の競争参加資格等審査委員会等において、応募した六社に対する入札参加資格の審査を行っており、酒井組の施工実績をエヌ・エッチ・エスの施工実績とみなして、六社すべての指名を認定したということでございます。
 五番目には、入札は、最も低額で入札したエヌ・エッチ・エスが落札して、平成十三年度の契約を行っております。
 六番目に、佐藤元秘書との関係につきましては、平成十二年の春ごろに佐藤元秘書から日本道路公団に、保全工事の実績がありノウハウを持つ会社を教えてほしいとの依頼があったということで、三社名を、日本道路公団はこれを正直に伝えていることが判明いたしました。
 これでは、それ以上の関係はなかったとは言いますけれども、入札全体として手続により適切に行われたとは言われますけれども、少なくともエヌ・エッチ・エスの入札資格審査において実態把握を十分に行ったとは私は言えないと思っています。
 酒井組からそれをなぜ実績譲渡をして、それを日本道路公団が認めるのか。私は、それを実績があったと認め得ないんじゃないか。少なくとも、今回は遠慮しなさい、民間で実績を上げてから再度入札に参加しなさいよというぐらいの指示がなぜできなかったということに関しては、しかも、覚書でそれを譲渡したということに関しては、私はおかしいと言わざるを得ない。
 また、軽々に、佐藤三郎元秘書からの依頼で、保全工事する会社、また、それのノウハウを持っている会社というのを、問い合わせで正直に三社を教えるというのも、国会議員ならいざ知らず、秘書さんにそんなことを軽々に伝える方も伝える方だ、これもおかしいのではないかと私は申し上げました。
 そういう意味において、今後、日本道路公団の対応というものは大いに反省するべきであるし、また、こういうことを軽々に、ああそうですか、へえ、こういうところがノウハウを持っていますと、どうぞしてくださいと言わんばかりの対応というのは、私は、それは納得できないというふうに申し上げました。
 今後より一層、先ほども申しましたように、一昨年に、公共工事の入札と契約に関する適正化法、そのために法案を通していただいて、昨年の四月から施行しているのに、私は、去年の四月以降の公共工事の入札に関してそういうことがあってはならないということを、厳に申し渡してあります。
大森委員 大臣の御努力で一部事実が明らかになったわけでありますけれども、私は、率直に言って、この公団と政治家の癒着関係というのはそれだけにとどまらないんじゃないか。その意味で、今回の調査について公団の対応に問題があることを指摘しているわけでありますから、ぜひ第三者も加わった新たな調査を、もう一歩踏み込んだ調査をぜひこれはお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 私は、先ほどからこの委員会に出席いたしまして、政治献金等々の御指示も、先ほど民主党さんからも提示されました。これは沖縄の問題でございました。
 けれども、私は、少なくとも、今後でき得るならば、これは委員会でございますから、公共工事を受けている会社から政治献金を受けるということを厳に、業者に対しても申し渡しをしていきたい、指導していきたいと思っております。それでなければ、私は、政と官との、そして国民からの疑惑というものは明快にしていけないと思っておりますので、業者に対しても、公共工事を受ける業者が政治献金を、少なくとも疑義が持たれないような姿勢にしなければいけないということは通達しようと思っております。
大森委員 個人であれ団体であれ党支部であれ、そういう疑いのある企業献金など禁止をすべきだという点、私もそのように強く思います。
 そこで法務省にお聞きをいたしますが、法務省、お見えになっていますね。
 前回、十三日、指摘しましたように、今もお話ありましたが、この保全工事については、種々疑問があるわけであります。同じ資本系列の、いわば身内入札という点、創立間もない、実績ゼロ、評価点数も応札企業の中で最下位、会社規模も今お話あったように極端に少ないなどの点から、談合疑惑、あるいは落札比が非常に高いということから予定価格等の漏えいなどの疑いも指摘をされているわけなんですが、私が現地で調査しても、競争入札と言っているが裏で話をした入札だとか、佐藤三郎前代表が公団に話をつけたという話まであったわけですね。こういうことから、当然刑法の競売等妨害罪などに当たるんじゃないか。そういう立場での捜査も当然行っておられるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
古田政府参考人 ある特定の事案について捜査をしているかどうかというお尋ねでございますが、特定の事案について捜査をするかどうかということは、これはさまざまな証拠関係等に照らして捜査機関において判断をされるべきことでございますので、私の方からそういう点について申し上げることは差し控えたいと考えております。
 ただ、一般論として申し上げれば、捜査当局におきましては、犯罪の嫌疑があり、刑事事件として取り上げるべきものがあると考えるときには、捜査を尽くすものと考えております。
大森委員 私、鶴岡の現地に入りまして、加藤後援会の幹部の方にもお会いしました。その証言でも、佐藤前事務所代表が、例えば酒田市の公共工事はおれに任せろなどという発言をいろいろなところでしているわけですね。当然、公団の仕事はおれに任せろということをこれは言っていることは容易に想像できるのではないかと思います。
 実際、加藤議員と公団との関係は深い関係があるんじゃないか。その具体的な一つの例でありますけれども、歴代の道路公団の鶴岡工事事務所の所長が密接に佐藤三郎前事務所代表と会っている。山形自動車道の、二〇〇〇年九月三十日、湯殿山―庄内あさひ間の開通式、二〇〇一年八月九日には酒田―酒田みなと間の開通式、これを行うに当たって、その二、三カ月前に、新旧の工事事務所長や東北支社の建設部長が何人も連れ立って上京して、加藤事務所に行って、この佐藤三郎前事務所代表に会って日程のお伺いを立てている、こういう事実が明らかになりました。
 開通式というのは、これは供用開始の日であって、高速道路、こういう自動車道というのは当然国民共通の財産であるわけですね。それを、一代議士の御都合を伺わなくては供用開始の日程を決められないのか。私はここに、政治家とこういう公団と業界が癒着する、そういう典型的な一つの現象が示されているのではないかと思います。
 この点から見て、こういう具体的なところからぜひ正していく必要性が、今政治献金の問題、お話もありましたけれども、こういう点も是正すべきじゃないかと思いますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 私は、少なくとも国会の委員会の中で個人名を挙げて疑義を持たれるということ自体が大変残念なことだと思いますし、政治家が国民に不信を抱かれるということはこういうことから始まっている、これが大きな要素でもあるということでございまして、先ほども申しましたように、政治資金規正法等々で、だれが見ても、これは通常の、平年いつも月一万円で十二万円ぐらいはずっと続けてこの人を支援しているんだなと皆さんに、公開してあるんですから、ごらんになって、ああ、これは特別に何かが、利害関係があってじゃなくて政治家を育てようということの善意の発露だなというふうに、だれが見ても疑義を持たれない、ある日突然ばあっと値段が上がって、ある日突然ばあっとなくなるというような、そういう献金のあり方自体が疑義を持たれるということで、政と官の癒着あるいはそういうことが、今後、少なくともこういう委員会で貴重な時間に労をとられないように、そして正式な政策論議ができるようにお互いにしなければならない。そういう意味で、私は今国土交通担当でございますので、私の担当のところで、少しでもそういうことを正常に戻すようにと注意を喚起することは最大限に努力していきたいと思っております。
大森委員 終わります。
渡海委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 大変時間も遅くなりまして、もうちょっとの辛抱です。よろしくお願いします。
 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。私は、長野県から出ています議員です。ちょうど長野県のダムのことについて御質問申し上げたいと思います。
 実は、長野県の非常に風光明媚なところに千曲川上流ダムが計画をされたわけです。この千曲川上流ダムの計画というのは、今から三十八年前に計画をされたわけですが、その後、地域住民の皆さんの反対がありまして、ずっとこの計画は、計画が出されたまま事業が進められなかったわけです。そうしたところへ、昭和六十年に政府の予算で実施準備調査費というのが一億円ついたそうですが、これも反対運動で撤回をされたということを聞いております。
 そんな中で、住民の皆さんはこれは撤回されてもうダムはできないんだろうというふうに思っていたやさきに、平成八年一月一日に、地元の新聞で国が現在も千曲川上流ダム建設を計画しているということが明らかになったということなんです。やはりこの建設はずっと反対をしていまして、百害あって一利なしという、国の直轄ダムなんですけれども、そういうことでずっと反対をしてきたわけです。
 当初は、ダムの周辺の町村、五町村あるんですが、この五町村はダムを積極的に建設しようということで陳情を出していたということなんですが、その後、やはり反対がありまして、平成十年に五町村の町村長が議会と連名で、ダムの陳情については白紙撤回を申し入れたということを聞いております。
 その後、平成十一年、十二年とずっと白紙撤回をする中で、国にダムを撤回してほしいということでずっと陳情をし、現在に至っているわけですが、ことしになりまして、私新聞で見たんですが、このダムにつきましては中止をするという新聞の記事を見たわけです。
 そこで、突然中止になったからいいわけなんですけれども、とにかく三十八年も反対運動を続けてきて、その都度この建設が中止されなかった。しかも、町村長も議会も村民もこぞって反対してきたわけですから、本当にこのことが何で今までこういうふうに引きずられてきたのか、そしてことしになって突然中止という話になったのかということで、地元の皆さんも、今まで本当に苦労して苦労して反対してきたのにもかかわらず、こういう結果になったということについて、非常に不信感を持っているわけですね。今までみんなで反対してきているのにもかかわらず、一部の反対じゃないわけですから、何で白紙撤回ができなかったのか、そしてことしになって突然そうなったのかということについて、大変不信感を持っているわけです。
 このダムというのは大変、私も見てびっくりしたんですが、すごいダムでして、地元の人によりますと、この千曲川上流ダムというのは多目的ダムということなんだそうですが、集水面積が二百八十一平方キロメートル、ダムの高さが七十から八十メートル、貯水面積は約三キロ平方メートル、総容量が七千万から八千万立方メートル、総工費が約一千億円ということだそうですが、水没がとにかくすごいんですね。このダムが建設されますと、南牧村の海ノ口というところがあるんですが、そこと川上村の一部、約二百五十戸が水没するんだそうです。そして、JRの小海線が通っているんですね、国道もあるんですが、それも水没しちゃうんだそうです。そして、もちろん小海線は水没を契機に廃線になりかねないということだそうです。
 それから、このダムが飲料水に使うという多目的ダムだそうですから、農薬とか肥料の使用が制限されますので、もちろんあそこは高原野菜の産地なんですね、レタスとか日本一のところですから、この野菜の農業生産にも決定的な打撃を受けるということにもなるということ。もう一つは、また大変なのは、千曲川の水がせきとめられますと、一部に強酸性の水が出るんだそうですね。八ケ岳の硫黄岳から流れ出てくる湯川という川が非常に強酸性の水で、魚も虫もすめないというところだそうです。それが水に一緒に流れてきますので、もちろんその水で農業生産あるいは漁業も打撃を受ける。
 私も聞きまして、大変すごい計画で、こんなに、今どき二百五十戸も沈んだらどうするんだろうというふうなところの計画でびっくりしたんです。
 こういう大変な計画で、もちろん地元は、これは大変だというんでずっと反対を続けてきたということなんですが、ずっと通らなかった。ことしになって突然中止ということが、これは本当かどうか、私も新聞紙上で見たものですから、本当に中止かどうかちょっとわからないもので、本当に中止という通知が地元に行ったのか、そして、中止だとするとなぜ中止ということが出されたのか、今まで、これだけの大がかりなダムについて、三十八年も国はずっと建設を計画していた理由は何なのかを御説明ください。
竹村政府参考人 千曲川上流のダムの計画につきましてお答えいたします。
 ことしの二月二十七日に、南牧村の村長と川上村長が私のところへおいでなさいました。そのとき、新聞記者の方々も一緒でございました。それが報道された内容でございます。その件につきまして、きちんと、私が対応しましたので、私からお答えする次第でございます。
 このダムは、昭和五十七年、五十八年、立て続けに長野県に未曾有の大災害が起きまして、昭和五十七年一千億、五十八年は一千七百億円の被害を出した水害でございました。それに基づきまして、五十九年の概算要求、八月でございますが、ダムで洪水を防ごうというための調査費を概算要求で要求したわけでございますが、水没する先ほど言った二村の方々の反対が強うございまして、私ども、昭和五十九年の十二月段階では、その調査費の要求を取り下げました。それが現実の事実関係でございます。それ以降、私どもはダムの実施のための調査費は一切要求していませんし、財政当局から認められたこともございません。
 ただし、長野県というのは大変山に囲まれていて、三百六十度山があり、雨が降ると、佐久平とか善光寺平と呼んでいますが、それは盆地でございますが、三百六十度、山から一気に水が押し寄せてきて、日本でも最も危険な長野県だと私は認識しております。
 こういう県におきまして安全に生活するためには、河川改修はもちろんでございますが、ダムという手法もぜひとも考えていていただきたいというお話は地元の方々としておりましたが、実施のための調査そのものはやっておりませんでした。そのため、二月の二十七日においでなさったとき、私から、現時点においてはダム計画は私どもは持っておりません、白紙でございますというお答えをさせていただきました。
 以上が事実関係でございます。
山口(わ)委員 ありがとうございました。
 大変な大規模なダムですから、もちろん洪水対策もあると思うんですが、多目的ですから、東京へ水を引くという話もあったようですし、農業用水ももちろんあったようですし、洪水だけの問題じゃなかったというふうに思うのです。これだけの計画を聞いたときに、やはり地域の人たちは本当に大変だということでびっくりしたわけですから、私は、この間、毎年、住民の皆さんは心配で陳情を重ねてきているわけですから、本来であったらきちっとやはり住民に説明をしながら、こういう三十何年も引きずっているようなダムはどうするのかをはっきりなさった方がいいと思うんですね。
 私は公共事業を見ていてつくづく思うことは、国の公共事業は、国も県もそういう可能性はあるのかもしれませんが、一たん公共事業が俎上にのりますと、なかなかこれがやまらない、二十年も三十年もたっても、いつまでたっても変わらない。そして、状況の変化、環境の変化があっても、この公共事業について削減するのかあるいは廃止になるのか、そういうこともなかなか地元に伝わってこないということで、地元の皆さんは大変不安を持っているわけです。
 ですから、そのことはこのダムに関してはもうないのかどうか。ですから、今までずっと反対運動をしてきましたけれども、このダムに関しては、もうこれですっぱり国はあきらめて手をお引きになるのか。要するに、廃止、白紙撤回なさるのか、そこのところを住民にきちっと、これは説明責任があると思いますので、お答えをいただきたいと思います。
竹村政府参考人 今委員が御心配されていることは、二月二十七日の当日も地元の首長さんたちからございました。
 私がお話し申し上げたことは、長野県は非常に災害が多い。内地、いわゆる北海道はちょっと大きいので除きますと、北海道を除くと長野県が過去二十カ年で最も災害が大きい県だ、金額的にも。そのような状況の中で、現在は私どもはダム計画は持っていません。ただし、未来永遠にダム計画があるかどうかということは、私、この時点ではお答えできませんと。
 つまり、将来、ことしまたは来年かもしれません、長野県に未曾有の大洪水があり、大きな災害があった場合、その段階で長野県の方々は、流域の方々を含めて、私ども河川管理者がどのような安全策を設けていくのかといったときに、ダムを最初から否定して安全を考えるのではなく、さまざまな手法というのを俎上に上げて議論することがあるかもしれない。ですから、現時点で、私、河川局長として、未来永遠に千曲川上流にダムがないということは言いませんというお答えをしました。
 つまり、もう一度整理して言わせていただきますと、現時点で私どもはダム計画は持っておりません、白紙でございます、しかし、将来、未来永遠にわたって、この地域の安全のために、私どもはダムを否定するということは現時点ではできませんというお話をさせていただきました。
山口(わ)委員 最近、ダムについてはさまざまな問題が出されています。私も長野県でほかのダムなんかを視察してまいりまして、本当にここにダムが必要なのかということはたくさんの疑問点がありました。
 例えば、河川改修は本当にしていないんですね。何でかというと、河川改修というのは県単事業ですから、お金がかかるわけです。ですから、ほとんど何十年も河川改修をしていないままに、河床が上がってくる、そして雨が降ればあふれてしまうということが一つありますし、もう一つは、やはり山林がきちっと保全されていません。ですから、水の保水能力もなくなってくるというようなこともありまして、やはりやるべきことは、ダムをつくる前に、もっと山林の整備をきちっとするとか、河川改修をきちっとするとかということが日ごろ行われていれば、洪水はそんなに簡単に起こるものではないというふうに私は思っています。特に長野県のような場合、私はそうだと思います。
 仮にダムをつくっても、しゅんせつをしませんと、中にどんどん砂がたまっていってしまってこのダムもだめになってしまうということで、ダムには非常にお金がかかりますし、ダムになると水没の危険もありますし、やはりダムを見直す時期に来ていると私は思いますから、ダムももちろん一つの選択であるかもしれませんが、時代の流れとともにダムでない方法を考えていくべきだと思いますが、その辺について一言、お考えがあったらお聞かせください。
竹村政府参考人 日本ほど先進国で雨が急激に降り、一気に洪水が出て、あっという間に水が、どんな長くとも大体二泊三日で海へ戻ってしまう。三百六十五日安定的に生活するためには、豊かなときに水をためて、そして三百六十五日生活をしていく。洪水をためて、そして渇水を防ぐというダムという手法は、日本の文明においては非常に根幹的なインフラだと私は認識しております。だからといって、日本じゅうの山をダムだらけにしろということではございませんが、ダムというのは、しかるべき効果、役目を果たしていると認識しております。
 なお、先ほど先生のお話の中にございました、ダムができないかわりに改修をやるべきじゃないだろうかということは全くそのとおりでございまして、私ども、千曲川工事事務所という直轄の工事事務所がこの地にございまして、流域の方々と運命共同体で生活しているわけでございますが、十三年度だけで三十三億の事業費を投入して改修及び維持管理に邁進しているわけでございます。
 決して私ども、ダムをやらないから改修を手抜きするなんというのはとんでもないことでございまして、ダムができなければ、やれることは何かということで、最大限の河川改修等を実施しているということをぜひ御理解願いたいと考えてございます。
山口(わ)委員 やはりダムについて、最後に一言だけ申し上げたいんですが、もう必ず、地域住民の皆さんの意見をぜひ反映していただきたい、地域住民に不安を与えないように、計画を進めるときはしていただきたいことをお願いして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。
 平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件審査のため、四つの分科会を設置することとし、区分としては
 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(本府、総務庁、沖縄開発庁)、大蔵省、郵政省、自治省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計
 第二分科会は、総理府(防衛庁・防衛施設庁、科学技術庁)、外務省、文部省、厚生省、労働省所管
 第三分科会は、総理府(警察庁、金融再生委員会、金融監督庁、経済企画庁、環境庁)、農林水産省、通商産業省所管
 第四分科会は、総理府(北海道開発庁、国土庁)、法務省、運輸省、建設省所管
以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。
 次いで、お諮りいたします。
 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、分科会審査の際、日本銀行並びに公団、事業団等、いわゆる特殊法人の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 分科会審査は、来る四月八日月曜日及び九日火曜日の二日間行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十五分散会


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