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第5号 平成14年4月17日(水曜日)

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平成十四年四月五日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。
 第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(本府、総務庁、沖縄開発庁)、大蔵省、郵政省及び自治省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕
   主査 持永 和見君
      小西  理君    橘 康太郎君
      渡海紀三朗君    中村正三郎君
      井上 和雄君    石井 紘基君
      木下  厚君    大森  猛君
      鈴木 宗男君
 第二分科会〔総理府(防衛庁・防衛施設庁、科学技術庁)、外務省、文部省、厚生省及び労働省所管〕
   主査 山名 靖英君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      岩永 峯一君    桜田 義孝君
      森田  一君    金子善次郎君
      今野  東君    手塚 仁雄君
      塩田  晋君
 第三分科会〔総理府(警察庁、金融再生委員会、金融監督庁、経済企画庁、環境庁)、農林水産省及び通商産業省所管〕
   主査 松崎 公昭君
      岩屋  毅君    江藤 隆美君
      谷  洋一君    額賀福志郎君
      村上誠一郎君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    神崎 武法君
      春名 直章君
 第四分科会〔総理府(北海道開発庁、国土庁)、法務省、運輸省及び建設省所管〕
   主査 御法川英文君
      土屋 品子君    中川 秀直君
      武藤 嘉文君    森岡 正宏君
      平野 博文君    山田 敏雅君
      山口わか子君    中村喜四郎君
平成十四年四月十七日(水曜日)
    午後五時開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      逢沢 一郎君    岩永 峯一君
      鴨下 一郎君    高木  毅君
      橘 康太郎君    谷  洋一君
      土屋 品子君    中川 秀直君
      中村正三郎君    西川 公也君
      森岡 正宏君    森田  一君
      井上 和雄君    石井 紘基君
      金子善次郎君    今野  東君
      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    平野 博文君
      山田 敏雅君    山谷えり子君
      神崎 武法君    大森  猛君
      穀田 恵二君    山口わか子君
      鈴木 宗男君    中村喜四郎君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 三輪  昭君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局国立病
   院部長)         河村 博江君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  穀田 恵二君     春名 直章君
同月八日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     伊藤信太郎君
  小西  理君     松島みどり君
  橘 康太郎君     馳   浩君
  武藤 嘉文君     中野  清君
  井上 和雄君     金田 誠一君
  楢崎 欣弥君     今田 保典君
  平野 博文君     武正 公一君
  大森  猛君     赤嶺 政賢君
  山口わか子君     阿部 知子君
  今田 保典君     楢崎 欣弥君
  武正 公一君     中村 哲治君
  手塚 仁雄君     大谷 信盛君
  葉山  峻君     後藤  斎君
  塩田  晋君     佐藤 公治君
  阿部 知子君     北川れん子君
  石井 紘基君     石毛えい子君
  金子善次郎君     川内 博史君
  今野  東君     松原  仁君
  山田 敏雅君     永田 寿康君
  佐藤 公治君     塩田  晋君
  馳   浩君     橘 康太郎君
  石毛えい子君     三井 辨雄君
  松原  仁君     今野  東君
  神崎 武法君     上田  勇君
  塩田  晋君     樋高  剛君
  春名 直章君     小沢 和秋君
  北川れん子君     金子 哲夫君
  金田 誠一君     牧  義夫君
  川内 博史君     細野 豪志君
  後藤  斎君     山内  功君
  永田 寿康君     山花 郁夫君
  上田  勇君     福島  豊君
  樋高  剛君     西村 眞悟君
  赤嶺 政賢君     藤木 洋子君
  小沢 和秋君     吉井 英勝君
  金子 哲夫君     原  陽子君
  牧  義夫君     平岡 秀夫君
  西村 眞悟君     一川 保夫君
  原  陽子君     北川れん子君
  大谷 信盛君     肥田美代子君
  平岡 秀夫君     井上 和雄君
  一川 保夫君     黄川田 徹君
  北川れん子君     植田 至紀君
  黄川田 徹君     東  祥三君
  藤木 洋子君     石井 郁子君
  吉井 英勝君     瀬古由起子君
  植田 至紀君     重野 安正君
  伊藤信太郎君     相沢 英之君
  中野  清君     武藤 嘉文君
  松島みどり君     小西  理君
  中村 哲治君     平野 博文君
  肥田美代子君     手塚 仁雄君
  細野 豪志君     金子善次郎君
  三井 辨雄君     石井 紘基君
  山内  功君     葉山  峻君
  山花 郁夫君     山田 敏雅君
  福島  豊君     神崎 武法君
  東  祥三君     塩田  晋君
  石井 郁子君     大森  猛君
  瀬古由起子君     春名 直章君
  重野 安正君     山口わか子君
同月九日
 辞任         補欠選任
  江藤 隆美君     谷田 武彦君
  井上 和雄君     永田 寿康君
  石井 紘基君     山村  健君
  楢崎 欣弥君     長妻  昭君
  平野 博文君     平岡 秀夫君
  山田 敏雅君     渡辺  周君
  神崎 武法君     赤羽 一嘉君
  塩田  晋君     藤島 正之君
  大森  猛君     矢島 恒夫君
  山口わか子君     山内 惠子君
  谷田 武彦君     江藤 隆美君
  永田 寿康君     井上 和雄君
  長妻  昭君     楢崎 欣弥君
  平岡 秀夫君     平野 博文君
  山村  健君     石井 紘基君
  渡辺  周君     山田 敏雅君
  赤羽 一嘉君     神崎 武法君
  藤島 正之君     塩田  晋君
  矢島 恒夫君     大森  猛君
  山内 惠子君     山口わか子君
  春名 直章君     穀田 恵二君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     高木  毅君
  武藤 嘉文君     西川 公也君
  村上誠一郎君     鴨下 一郎君
  金子善次郎君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  鴨下 一郎君     村上誠一郎君
  高木  毅君     小西  理君
  西川 公也君     武藤 嘉文君
  山谷えり子君     金子善次郎君
同日
 理事塩田晋君同月八日委員辞任につき、その補欠として塩田晋君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成十年度一般会計歳入歳出決算
 平成十年度特別会計歳入歳出決算
 平成十年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十年度政府関係機関決算書
 平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成十一年度一般会計歳入歳出決算
 平成十一年度特別会計歳入歳出決算
 平成十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十一年度政府関係機関決算書
 平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 分科会審査の際の委員の異動に伴い、現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、塩田晋君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
渡海委員長 平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件を議題といたします。
 第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る八日、九日の二日間にわたり審査を行いました。
 この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
 第一分科会主査持永和見君。
持永委員 第一分科会の審査について御報告申し上げます。
 本分科会は、国会、裁判所、内閣、総務庁、大蔵省、郵政省、自治省等の所管について審査を行いました。
 主な質疑事項は、フランチャイズシステムによるコンビニエンスストアの実態と問題点、住宅ローン減税の居住要件の緩和、地方公共団体の財政支出の現状と課題、NPOへの寄附に対する優遇税制の適用要件の緩和、いわゆる新障害者プランの作成理念、旧日本軍化学兵器等の処理問題、障害者インターナショナル世界会議札幌大会の支援体制、情報通信技術講習推進特例交付金事業の実施状況、日本人拉致問題の早期解決策、地方公共団体の長などの退職手当算定のあり方、住民基本台帳ネットワークシステム導入の諸問題、宮内庁管理の陵墓等の保全管理、渡切費の不正流用問題、地上波放送デジタル化の現状と今後の見通し、ケーブルテレビ事業の問題点と課題等であります。
 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
渡海委員長 第二分科会主査山名靖英君。
山名委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。
 本分科会は、総理府、外務省、文部省、厚生省及び労働省の所管について長時間にわたり熱心に審査を行いました。
 その主な質疑事項を申し上げますと、国益に沿ったODA予算の配分のあり方、外務省の内部管理体制充実強化対策、沖縄県における米軍用地の借地料決定経緯、有事法制の今日的意義と諸問題、小児救急医療支援事業の充実強化策、診療科ごとの診療報酬バランスと評価のあり方、在外被爆者への援護措置問題、食品安全確保のための基本法の制定の必要性、温泉療法の普及と健康保険適用の可能性、障害児童・学生等の教育体制向上策、私立学校代表者からの政治献金の是非、私立大学等における初年度納付金負担軽減問題、学級崩壊の実態と行政の対応策、国立大学等の独立行政法人化の検討のあり方、いわゆる人間国宝等文化行政をめぐる諸問題等であります。
 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
渡海委員長 第三分科会主査松崎公昭君。
松崎委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。
 本分科会は、警察庁、環境庁、農林水産省、通商産業省等の所管について審査を行いました。
 主な質疑事項は、ディーゼル車の排出ガス規制等による環境対策、米軍基地移転に伴うジュゴン保護の必要性、魚介類のダイオキシン汚染問題、金融検査のあり方、中小企業金融安定化特別保証制度継続の必要性、浜岡原子力発電所の老朽化と地震対策、商品先物取引に関する諸問題、国内産業保護策としてのセーフガード等活用の必要性、食品流通段階における卸売市場の整備と今後のあり方、牛海綿状脳症いわゆるBSE及びスクレイピーの感染原因究明等の状況、食糧及び林業行政のあり方、車名別の交通事故死発生データを公表する必要性、大都市における路上違法駐車対策の強化等であります。
 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
渡海委員長 第四分科会主査御法川英文君。
御法川委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。
 本分科会は、北海道開発庁、運輸省、建設省の所管について審査を行いました。
 主な質疑事項は、住宅金融公庫改革の趣旨、建築確認制度に関する諸問題、ダム建設のあり方、二十一世紀における総合交通網整備のあり方、入札談合防止のための開示情報の拡充、今後の公共事業のあり方、公営住宅の家賃等入居要件の弾力化、都市基盤整備公団の市街地整備改善事業見直し問題、整備新幹線建設のあり方、不審船引き揚げの必要性、観光産業振興の必要性、岩国飛行場の民間利用再開の必要性、ロケ活動等の支援に関する体制整備、シマフクロウ保護の促進策等であります。
 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
渡海委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより全般的審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、外務省大臣官房長北島信一君、外務省大臣官房参事官三輪昭君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省健康局長下田智久君、厚生労働省健康局国立病院部長河村博江君、資源エネルギー庁長官河野博文君、国土交通省北海道局長林延泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、みずほ銀行問題についてでございます。
 先般、合併直後のみずほグループが決済システムのトラブルを起こしまして、大混乱をいたしました。御承知のように、みずほ銀行は、四月一日に旧第一勧銀、旧富士銀行、そして旧日本興業銀行とが合併をいたしまして、新規営業を開始したばかりでございまして、その直後の事故であったわけであります。
 そもそも、合併に至った目的といいますか、ねらいは、何といってもやはり銀行経営の健全化、あるいは金融システムを健全化していこう、こういうことでスタートをしたはずであったわけでありますが、今回こういったトラブルがありまして、社会的に大変な、金融機関全般に対する国民の信頼を損なうような事態をつくってしまったわけでございます。
 そこで、今回の事故、トラブルの原因は一体何だったのか、リスク管理という面で、そういったものがきちっと確立できていたのかどうか、この辺についての現状の分析といいますか、その内容についてまずお伺いをいたします。
柳澤国務大臣 四月の一日から三行が統合してみずほ銀行がスタートをいたしたのでございますけれども、これが初日から、金融の一つの決済機構であるところの口座振替にトラブルが起こった。また、お客様と直接、預金、現金の出し入れをするATMにトラブルが起こった。こういうようなことが出来いたしまして、大変国民の皆様に御迷惑をかけ、また不安を与えたということにつきましては、私どもも、これはもう遺憾千万のことであり、また事態は極めて重大なことである、このように考えているところでございます。
 そして、今委員の方からお尋ねの、これらのトラブルの原因というものについてどういうふうにつかんでいるかということでございますが、この点については、ATMそれから口座振替ともに、コンピューターを主体とするシステムにトラブルがあったということ、それからまた、口座振替の面においては、そのほかに人手の作業におけるミスがあった、こういう、機械的な面と、もう一つは、人為的と申しますか、そうした人手的な面と双方があったというふうにただいまのところ報告を受けております。
 このようなリスク、まあシステムリスクと申しますが、こういうシステムリスクについては、現代の銀行のあり方を考えますときに、これは非常に大きな問題であるというふうに私どもかねてからとらえておりまして、金融機関の検査におきましても、包括的な検査の場合には、これは一つの重大な検査項目であるということで、検査マニュアルにおきましても一章別建てにしてシステムリスクのチェックということが行われております。
 その中には、冒頭から実は、このシステムのリスク管理について取締役会というものがしっかりこれを掌握しているかというようなことから、ずっとその他、まあ、ここでるる申しませんけれども、このシステムのリスクにつきましてあらかじめチェックのポイントを置きまして、これらの管理態勢というものがしっかり構築されているかということを実は検査させていただいております。
 本件につきましても、昨年の十月に検査結果報告をいたしましたその報告の中で、これらのチェックポイントについての我々の評価というものについて指摘をさせていただいたところでございます。
山名委員 今大臣からお答えをいただいたわけでありますけれども、今もお話があったように、金融庁の金融検査マニュアルでは、今おっしゃったように、システムリスク管理態勢の確認検査用チェックリストというものが定められておりまして、テストが適切かつ十分に行われているのかどうか、これが一つのチェック項目になっておりますし、また、テストだとかあるいはレビュー不足、こういったことが原因で、長期間顧客に影響が及ぶような障害が発生しないような、そういったテスト実施体制、こういったものをきちっとやっているのかどうか、これも項目の一つでありますし、今お話がありましたように、取締役等がリスク管理の認識をきちっと持っているのかどうか、これも項目の一つでもございます。
 そういった検査マニュアルに基づいて検査したにもかかわらず、今回こういった事態になったということは、単に銀行だけの責任といいますか、経営陣の責任もさることながら、やはり金融庁としても、この検査マニュアルの善悪というか、その甘さというか、こういったものについてもやはり一定の評価を下し反省もしなきゃいけないんじゃないか、このように思っておりますが、今回のこのみずほ銀行問題に基づいて、検査マニュアルの見直し等のお考えはあるのでしょうか。
柳澤国務大臣 私ども、今日の報告された事項について、現在のところ、私どもの検査マニュアルについて何か不足、欠落した部分があるという認識は持っておりません。一部報道で、そうしたことがあるのではないかといって例示された項目もあったようでございますけれども、これらについては、この検査マニュアルの上でしっかりしたチェックポイントということで掲げられているところでございます。
 しかし、いずれにせよ、今日までの報告というものも、報告を完結したもの、完全なものになっているということではなくて、まだ途中経過の段階である、こういうような認識でございまして、これらについて私どもが十分な情報を持ったときに、もう一度検査マニュアル等についても点検をしてみるということは必要かと思っております。しかし、現段階ではそのような認識を持っておりません。
山名委員 今なおその影響が続いておりまして、相当の損害、被害というのがあるようであります。何よりもその機能が早く回復して、それぞれの企業あるいは国民生活の上に支障を来さないように、今後ともしっかりと指導をしてもらいたいと思いますし、これを教訓に、他行についても、そういったシステムリスク管理について十分な機能が果たせるような検査もひとつぜひ今後継続をいただきたいと思います。
 次に、今回、金融庁は大手十三行、主要行に対して特別検査を行いました。そして、その結果を十二日に公表したところでございますが、それに合わせて、主要行も二〇〇二年三月期の財務内容等を公表しております。
 今回の検査結果、いわゆる追加不良債権処理損というのが一兆九千億、こういうことで、極めて厳しい経営実態というものが明らかになったわけであります。一方、財務内容等が明らかになったわけでありますが、自己資本比率につきましては大体八から一一%、こういうことで、ほぼ健全性は維持できている、こういう評価があるようであります。
 そこで、今回の特別検査の結果を、金融庁としてどのように認識というか分析をしているのか。今回は主要行十三行なんで、準メーンなりそれ以下のところについての不良債権等の問題については、当然これは相当の額になるんじゃないか、こう思っております。金融機関全体の予測される姿というものをどう認識されているのか、まずお伺いをしたいと思います。
柳澤国務大臣 委員御指摘のとおり、私ども、昨年の十月の末からことしの三月末にかけまして、特別検査というものを大手十三行について実施させていただきました。
 これは、もう御案内のことでございますが、市場の評価が著しく変化をしている債務者等につきまして検査をいたしたということでございますけれども、その結果は、今先生御指摘のとおり、処分損というものが一・九兆円に上ったということでございます。
 この検査は基本的にメーン行を中心に見る、こういうことでございます。ある市場の評価が著しく変わった債務者のメーン行というものを中心に見るということでございます。メーン行が複数にあるというようなものもたまにあるわけでございますが、その場合にはその複数行を見るということでございます。
 そういうことで見させていただいたわけですが、では、準メーン以下のところはどういうふうになったんだろうか、こういうふうに考えますと、大手十三行の中に準メーンがあったりその他の協調銀行があるという場合には、ある種、例えばその処理に当たって再建計画というようなものがつくられて、これからの再建を目指したという形での不良債権の処理が行われるという場合には、当然メーンだけで全部を処理するというわけにはいきませんので、準メーンとかその他の銀行にも、当然その話し合いというようなものがその銀行の間で行われる、こういうことになるわけでございます。そして、一定の結論が出るということになれば、例えばメーン行だけについて何がしかの処理損が生まれるという場合には、当然いわば並行的に他の準メーン、その他の銀行にもそうした応分の処理損が生まれるということになるわけでございます。
 そういうものが大手行十三行には全部ひっくるまった形で全体で七・八兆円、形式上今度あらわれるのはそのうちの七・一兆円ですが、そういうものが処理損としてあらわれるということでございます。
 ただ、私どもが今回発表させていただいた特別検査の結果としては、それはもう本当にメーンのところだけということでございまして、そのメーンのところの不良債権処理の判断に当たって、準メーンとかその他の銀行も話し相手になっていて、それだけの応分の処理が行われておりますが、そういうものは今度の特別検査の結果としては発表の中に入れていない、こういうことでございます。
山名委員 はい、わかりました。
 そこで、先ほども申しましたように、いわゆる自己資本比率、この問題でありますけれども、一応八から一一%という水準を示して健全というふうに評価があるようでございますが、実際この自己資本というのは、ちまたに言われるように、銀行といわゆる生保の持ち合い、こういう問題が出ておりまして、そういう点で、果たして純粋な意味で自己資本比率というのが数字の上であらわれているのかどうか疑問視する向きもあるわけであります。
 アメリカの格付会社のスタンダード・アンド・プアーズというのは、十五日に日本の長期国債の格下げを発表しました。ダブルAマイナスですか、その格下げをした理由の一つに、特別検査が不十分だ、こういう評価を下しているわけですね。
 少なくとも、日本の銀行、邦銀不信というのが海外等にまだまだ根強く残っている。今回そういう不安を払拭するためにも特別検査というのをやってその内容を明らかにしたわけでありますけれども、こういった実態論からいって、まだまだ安心はできない状況もあろうかと思います。
 そこで、この結果として、今後、不良債権処理に対する取り組みをどうやっていくのか、このスケジュール、目標。あわせて、特別検査という名目での検査はこれで終わりですよね。そうすると、今後、いろいろな成り行きもあって、これで終わりでは困るわけで、通年的な検査体制、こういったものを含めて、今後の銀行の経営健全化に対してどういった取り組みを考えているのか、よろしくお願いいたします。
柳澤国務大臣 不良債権の処理を進めるということは、目下、日本の金融システムにとって最も重要なテーマである、このように考えております。
 私ども、不良債権の処理と言う場合に、いつも申させていただいて恐縮ですが、間接処理と直接処理とがある。間接処理というのは、銀行内で、引き当てという形で、予想される損失にあらかじめ準備をしておくということでございます。
 しかし、それをやりますと、損は処理損という形で同じように出るんですけれども、不良債権の残高というのは変わらないわけでございまして、その残高は変わらないけれども、その中身において、実際に予想される損失について引き当てが他方行われているということになるわけでございます。こういうようなことでとどまっていますと、例えば、担保価値の低落であるとかあるいは債務者の財務状況、業況の劣化というようなものが起こりますと、これはもうまたそこに不良債権部分が生じてしまう、こういうことでございます。
 そこで、私どもは、不良債権について、本当に悪くなった破綻懸念先以下のものについてはバランスシートからむしろ切り離すということをしないと、いつまでたっても処理が終わらないというか、処理損が次から次へとふえてくるというようなことも懸念される、こういうようなことで、現在、私ども、オフバランス化と言わせていただいたり、あるいは最終処理という言葉で言わせていただいたりしておりますが、いずれにしても、そうしたことに注力しているわけでございます。
 私ども、これからも、新しい年度になりましてもこの点はしっかりやっていこう、こう考えておりまして、これまで新規に発生した破綻懸念先以下の債権については、これを三年間に必ずオフバランス化するようにということを要請して、そのスキームのもとで今処理を図っているわけですが、これについて、もう少しはっきりした形で、一年目には五割ぐらい、それから二年目にはもうほとんどすべていきたいところだけれども、非常に難しいものが残ったとしても、それはもう二割程度しか残さないように、三割は少なくとも処理をするようにということで、最初の二年間で八割をオフバランス化する、こういうような方針をこのたび決定させていただきました。
 そういうようなことでやらせていただきまして、また他方、竹中大臣も御同席でございますけれども、先般内閣府から出していただいた「改革と展望」という書類の中で、これからの経済の先行きというものを、見通しを出していただいているわけですが、そういうことを前提に私どもの試算をすると、何とか二〇〇四年には不良債権問題の正常化という状況が実現できるであろう、こういうような展望を持っております。展望を示せと言われると、実はまだ決算も出ておりませんので、なかなかそれは現在できないわけでございますが、基本的には、いろいろな手だてを講ずることによって、この正常化が何とか可能になるのではないかと私どもは考えております。
 なお、つけ加えて、特別検査はこれで終わりかと言われれば、基本的にはこれで終わらせていただきますが、ただ、今先生もお触れになられた通年制あるいは専担制の検査体制の中で、現実にある企業について市場の評価が非常に下がったというような場合には、やはりそのことを勘案した評価あるいは不良債権の債務者の区分というものが確実に行われるかどうかというのは、その通年制、専担制の検査体制の中で当然見させていただくということになろうかと考えております。
山名委員 金融面とあわせて要注意先債権が劣化をしていく、こういった事態が今後予想されるわけでありまして、そういう意味では、やはりきちっとしたデフレ対策、これを引き続きといいますか、もう切れ目なくやる必要があるんじゃないか。
 現に、公示価格は十一年連続して下がっておりますし、物価下落というのは当然担保資産価値の下落を生み出し、企業収益を減少させていく、実質金利というのは上昇していく、こういう繰り返しをしているわけであります。融資先については、本当に今、高い負担、不良債権、こういったものを新たに生み出そうという懸念も一方でぬぐえないわけであります。
 そういった意味では、土地の流動化あるいは需要喚起策というのをしっかりとやる必要があるし、特に都市部については、虫食い状態になっている低・未利用地といいますか、こういったところへの有効利用を促進する都市再生プロジェクト、こういったことの実施も必要でありますし、また、地域を限定しての規制を大幅に緩和するという、いわゆる特区、規制特区といいますか、こういったものについても今後具体化を図っていかなきゃいけない、こういうふうに思っておりますが、その件について簡単にコメントをいただきたいと思います。
竹中国務大臣 不良債権処理のためにもデフレ対策が必要である、しかし同時に、デフレ対策を進める中心としてまた不良債権処理を進めなければいけないという大変難しい関係にございます。その点で金融担当大臣に御努力をいただいているわけでございますけれども、しかし、デフレを克服するためには何といっても経済全般の活性化が必要である、これはもう基本的に内閣の根底にある考え方でございます。
 経済を活性化させ再生させるために、経済財政諮問会議では大きく二つの視点から今議論を進めておりまして、一つは、経済活性化に資する税制の改革、もう一つは、今御指摘いただきましたように都市の再生でありますとか、特に特区というようなものも意識しての経済活性化の対応策でございます。
 これについては、各方面からの建設的な御提言もいただいておりまして、六月を目途に、税制と経済活性化につきまして幅広く意見をいただきながらぜひともいいものを取りまとめて、経済活性化に資する、それが結果的にデフレ克服につながる、そのような体制にぜひ持っていきたいというふうに考えている次第でございます。
山名委員 次に、最後の質問になりますが、医療過誤問題についてお伺いしたいと思います。
 最近、医療事故、医療ミス等、医療をめぐる紛争とか事故が相次いでおりまして、一方で医療過誤をめぐる訴訟もふえている、こういうことでございます。国立病院、国立療養所等いわゆる公的医療機関といいますか、こういうところにおける昨年の医療事故の実態、そしてその原因についてまずお伺いをしたいと思います。
河村政府参考人 厚生労働省の国立病院部におきまして、平成十二年九月に、医療事故発生防止を目的といたしましたリスクマネージメントマニュアル作成指針というのを作成いたしまして、平成十三年度から医療事故報告を行うように指導してきたところでございますが、十三年度の報告のあった医療事故報告の件数は、国立病院で五十六件、国立療養所で三十六件、国立高度専門医療センターで一件、合計九十三件となってございます。
 また、医療事故報告の内容は、上の方から申し上げますと、手術に関するものが三四・四%、処置に関連するものが二七・九%、薬剤に関連するものが八・六%となっておりまして、以下、検査に関連するもの、あるいは診断に関連するものの順になっておるわけでございます。
 今後とも、院内体制の整備あるいは指導の徹底に努めて、医療事故防止の最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
山名委員 国立病院・療養所等は、民間病院をむしろある面でリードしていく、そういった意味では重い立場、責務があると思います。そういう中で、医療安全対策というのはしっかりと講じていかなきゃいけないわけでありまして、厚生労働省は、昨年、医療安全対策検討会議、こういったものを設置されまして、大変激増といいますかふえている医療事故問題、これに対しての安全対策を検討している、こういうふうに聞いております。
 そこで、この医療安全対策に対する取り組み策を具体的にどういうふうに今後やろうとしているのか。特に私は、医療を受けるのは患者本人でありまして、患者が求めている医療、こういったものを提供してくれるところに医療に対するまた信頼度といったものが構築されると思います。したがって、病院側あるいは医療機関なり薬関係の側に立つのではなくて、患者側に立っての安全対策、こういったものが今何よりも講じられなきゃならない問題点ではないかと思っているわけでございます。
 そういう点で、今後の我が国における医療安全対策、これをどのように講じられていくのか、その辺について最後にお伺いいたします。
宮路副大臣 現在、我が国では、あらゆる分野でのリスクの管理ということが大きな課題になっているわけでありますが、山名先生御指摘のとおり、医療の分野もその例外ではないわけであります。このため、厚生労働省といたしましては、先ほどお話がありましたように、去年の五月、医療安全対策検討会議というものを、各界の有識者の皆さんに集まっていただいて設置をいたしました。そして、これまで十二回にわたって検討を重ねてまいったわけでありますが、折しもきょう、実はその検討結果が医療安全推進総合対策ということで取りまとめられたところでございます。
 そこでは、医療の安全対策が医療政策の最重要課題であるというふうに位置づけまして、このため、すべての医療機関における一定の安全管理体制整備の義務化、それから、医薬品や医療用具を取り違えたり間違ったりしないように、そのことによって事故が起こったりしないようにということで、そういう体制に改めていく取り組みの推進、それから、医療安全に関する教育研修の充実、そして、苦情や相談等に対応するための相談窓口の設置等を掲げておるところでございます。
 特に、患者の皆さんの方からの医療への苦情あるいは不満に対応するための相談窓口のことにつきましては、特定機能病院やあるいは臨床研修病院についてはこれをすべて設置する。そのほか、一般病院についても設置を指導するほか、二次医療圏ごとに、例えば保健所等について相談体制を整備する、窓口の体制をつくる。そしてまた、県全体として第三者も入った医療安全センターというものを整備するといったようなことを掲げておりまして、重層的なそういった相談窓口をつくって、患者の皆さん、国民の皆さんの不安や不満の解消に努めていくというふうなことにいたしておるわけでありまして、今後、早期にこれを具体的に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
山名委員 では、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、石井紘基君。
石井(紘)委員 先週、安全保障委員会で質疑をさせていただいたことの防衛庁に対する質問から最初に始めます。
 防衛庁の平成十二年九月に行われた新初等練習機の入札が不正であったという問題で、契約から落とされたところのスイス側から、スイス政府から防衛庁に対して再三抗議が来ておった。そのことは先週の委員会で、六回のやりとりがあったということの報告がございました。昨年十二月の防衛庁の回答において、この不正についての検査を行ったところの会計検査院の報告書を偽造してスイスに送られておったということも、防衛庁がお認めになってそれが明らかになったわけでございます。
 決算委員会では、この件については初めてでございますので一言だけ簡単に申し上げますと、この会計検査院の検査結果というもののポイントということで、「会計検査院作成」として、ほかの役所の名称を名乗って、しかも、会計検査院の報告にはないところの「会計法令等に照らして特に不適切と認められる事態は見受けられなかった」というふうに、アンダーラインまで引いてスイス政府に出して、その翻訳も英文で出しておるということが、これは偽造の文書であったということが明らかになったわけですね。
 検査院はそのことについて防衛庁に抗議をしたかと聞いたら、電話で何か言いましたということでありましたが、その後、正式に検査院はこのことについて抗議をいたしましたか。
増田会計検査院当局者 私の方から、まず事実関係ということでお答えさせていただきます。
 先ほど先生おっしゃいましたように、電話でということでありましたけれども、口頭で申し入れをいたしました。その後、先ほどお話がありました今月二日の衆議院の安全保障委員会での先生とのやりとりの後に、私ども、ポイントなる文書が検査院が作成したものではないということ、それから、会計法令等に照らして特に不適切な事態は見受けられなかったという文言については、私どもの検査報告の中にその記述はないということを、きちんとスイス政府に正確に伝わるようにということにつきまして、スイス政府からの直近の質問状、二月にあったわけですが、それに対する回答がまだなされていないということでありましたので、なるべく早く私どもの趣旨を防衛庁側にお伝えするということで、間違いのないようにということで文書で再度の申し入れをいたしました。(石井(紘)委員「その文書を出してください」と呼ぶ)
渡海委員長 提出できますか。
石井(紘)委員 会計検査院は、四月三日に次のような文書を防衛庁に対して出したということでございます。簡単でございますから、ちょっと読み上げさせていただきます。
  防衛庁において、次の二点の趣旨がスイス政府に明確に伝わるようお図りいただきたい。
 (1)スイス政府に送付した「防衛庁の新初等練習機の調達についての決算検査報告のポイント」の文書は、本院が作成したようになっているが、同文書は本院が作成したものではないこと
 (2)同文書中の「会計法令等に照らして特に不適切と認められる事態は見受けられなかった」との記述は、本院の決算検査報告中にはないこと
こういう文書ですね。
 これは、スイス政府に伝わるようお図りいただきたい、こういうタイトルになっているわけですね。これは防衛庁に対する抗議じゃないんじゃないですか。防衛庁に、スイス政府に伝えてくれと。会計検査院は、スイス政府から何か質問でも受けているんですか。会計検査院がスイス政府から質問を受けていなかったら、伝えてくれなんということを依頼する必要はないんじゃないですか、検査院。それが一点。
 それから、この文書を見ると、上には「会計検査院」と書いてあるだけで、あて先も何も書いていないんだけれども、これはどこへ出したのか。防衛庁に出したというんだったら、防衛庁のだれに出したのか、それも含めて答弁してください。
増田会計検査院当局者 まず第一点目でございますけれども、先ほど申し上げましたように、ポイントという文書が検査院が作成したものであるとの誤解を受けるということで、既に強くその点は申し入れをしていたわけでありまして、今回、文書で申し入れをいたしましたのは、スイス政府に対する回答がまだなされていないということでありましたので、なるべく早くそれを申し入れるように、そういうことで文書で申し入れをしたわけでございます。
 それから二点目につきましては、あて先、どなたに申し入れるかということにつきましては、いろいろと考えられるわけで、私どもといたしましては、検査院といたしまして防衛庁に対して、スイス政府が疑問を感じているということでありましたので、その疑問を解くようにお願いしたいという趣旨で申し入れをしたものでございます。
石井(紘)委員 あなたの言うことはちょっとわけがわからないんで、まず検査院は、スイス政府に伝えてくれと言わなきゃならない、そういう筋合いがあるのか。検査院長、会計検査院がそういうことをスイス政府から聞かれていなければ、伝えてくれなんて言う必要はないんです。
金子会計検査院長 お答えいたします。
 会計検査院の検査報告をスイス政府に伝えるに当たって、防衛庁で、今御指摘のポイントという文書をあたかも会計検査院がつくった文書であるような形で相手方に送付した。これによって、スイス政府が会計検査院がつくった文書であるというふうに誤解をしたような形跡がありますので、会計検査院では、まず防衛庁に対して、これは我々がつくった文書でないということを明確に伝えると同時に、そうした趣旨をスイス政府に対して伝えて、我々の文書ではない、我々が検査報告において指摘したのは、検査報告において掲記した事項、それが我々の指摘した事項である、そのことを正確に伝えるようにということを要請したわけでございます。
石井(紘)委員 もう一回言いますけれども、会計検査院は、スイス政府との間には直接は何の関係もないんです。スイス政府は、防衛庁に対して入札がおかしいんじゃないのかというふうに言ってきているわけですから。それで、会計検査院は、防衛庁との関係において、防衛庁にあなたのところの組織の名称を勝手に利用された、しかも、中身も違うということですから、防衛庁に対して厳重に抗議をしなきゃならない問題じゃないですか。
 それから、中身の問題で防衛庁長官は先日、会計検査院とかつて何か調整、打ち合わせをしたときに、会計法令に違反していない等々の基本認識について一致していたという答弁、これは議事録がありますけれども、そういうふうに答弁をされた。
 会計検査院にもう一つ聞きますけれども、この検査報告に書かれた、スイスあての書簡に書かれた文書の中に入っている「会計法令等に照らして特に不適切と認められる事態は見受けられなかった」という点を意味するんだと思いますが、この防衛庁長官の基本認識が一致していたというところはそのとおりなんですか、違うんですか、検査院長。
金子会計検査院長 我々の検査結果は、検査報告の中に記述してあるとおりであるわけです。したがって、これ以外のこと、あるいはこれ以上のことは、我々は述べておりません。したがって、検査報告について、防衛庁が我々の意見と同じであるということであれば基本認識は一致していると思いますけれども、そうでないということであれば認識は一致していないということになると思います。
石井(紘)委員 基本認識は一致していないということであります。
 そうすると、会計検査院は、自分のところの名称まで勝手に使われて、そして中身まで違う内容を書かれた。これは明らかに、防衛庁の、一つの重要な役所の、機関の名称を語っているわけですから、しかもその内容まで言っているわけですから、これは明らかに重大な犯罪性があるだろうと思います。しかも、再三の外国からの問い合わせに対して、要求に対して、正式の文書としてスイス政府に送付したわけでありますから、これは何といいますか、公文書の偽造となるんでしょうか、いずれにしても重大な問題であろうというふうに思いますが、防衛庁長官、どう思いますか。
中谷国務大臣 これのいきさつにつきましてはいろいろと経緯がございまして、まず、基本認識の一致に対する点につきましては、この会計報告のポイントの作成の過程で、昨年十一月三十日の会計検査報告の内閣への送付の後、防衛庁として、本件の調達に係る会計検査院報告の内容及びその特定検査対象に関する検査状況の性格、意味について会計検査院に確認をし、国会等で質問があった場合に答弁できるように作成をした対外応答要領をもとに作成したものでございます。
 防衛庁が今回受けました検査につきましては、検査項目の中で、国会からの検査要請事項及び特定検査対象に関する調査状況でございまして、これの位置づけといたしまして、会計検査院のパンフレット等の定義によりますと、いろいろと五段階に検査事項がございますけれども、この一から四の事項が不適切な事態の記述で、通常、指摘事項と呼ばれているものということでございまして、この五につきましては、このポイントでまとめた記述で間違いないかということで、この内容は会計検査院の基本的認識と違わないというふうに答弁したわけでございます。
石井(紘)委員 会計検査院の仕事だとか、会計検査院がこう認識しているだろうとか、そういうことを一方的に自分の方で認識して、認識が一緒だとかいうようなことを幾ら説明されても、あなたは、会計検査院の認識と違うことをスイス政府に対して、しかも会計検査院の名をつけて、会計検査院の主張として出したわけですよ。これは重大な問題ですよ。しかも、英文をつけて、英文には会計検査院というところに四角く大きく囲って、これは正真正銘の会計検査院の文書ですよというようにして出してある。
 しかも、あなたの言っているのはうそが多い。この英文の翻訳は、先日のあなたの答弁では、外務省が翻訳したものだと言ったじゃないですか。いや、それはあなたの方が本当なのかもしれないけれども、そこをちょっと確認したいんだけれども、外務大臣はその場で、いいえ、これは外務省がやったものではありませんというふうにはっきり答弁しましたね。どっちなんですか。
中谷国務大臣 この点につきましては、後ほど確認をいたしまして、これの要約、概要及びその英訳、仮訳とも防衛庁が作成したものでございます。調査不足で答弁をいたしましたが、訂正をさせていただきます。
石井(紘)委員 そうすると、そういうこともうそをついている。英文の内容も、検査院の報告と重要なところで違うふうに翻訳をしておる。全体的に相当レベルの高い翻訳なんだけれども、先日も説明したように、肝心なところだけは訳を変えておる、そういうこともあるわけです。
 ちょっと外務省に来ていただいていますので伺いたいんですが、こういうふうにスイスの政府との間で六回も七回もやりとりがあって、スイスの方は納得しない。昨年十月の日本とスイスとの間の経済会議においてもこの問題が大きく取り上げられた。そういう中で、外務省として、こういううその文書を外国に送る、あげくの果てにうその文書を送るというようなことは、日本とスイスの外交関係あるいは国際的な日本の信用、そういう意味でどういうふうに考えられますか。
三輪政府参考人 スイスはヨーロッパにおきます日本の重要な経済パートナーでございまして、経済協議を持っております。昨年の秋の我が方よりの説明は、経済協議の機会を利用してその枠外で行われておりますけれども、我々の重要なパートナーであるスイス政府が日本政府の行ったことについていろいろ説明を求める際には、日本政府としては誠実に答える必要があるということで考えております。
石井(紘)委員 防衛庁長官は、先日の質疑の中で、全部これは事前に、防衛庁がスイス政府に発する前に目を通した、全部中身を聞いた、そして把握した、どういう言い方だったかわからないけれども、いずれにしても把握した、そして了解した、その上で出したものだということを答弁しましたね。それがこういうふうに、それが正しいと言っていたのがうそだということがわかったわけです。いいですか。そうしたら、防衛庁長官の責任は大変重大ですよ。
 中谷防衛庁長官、これは防衛庁としては、どういう善後策といいますか、対処をするつもりですか、ちょっと聞かせてください。
中谷国務大臣 この問題につきましては、まず、会計検査院の今回の要請に基づきまして、二点の要望がございました。この点につきましては、防衛庁といたしまして、会計検査院報告本文にない文書を記述し、また、会計検査院作成と記述した点につきましては、遺憾であり、反省をしておるということで、その旨を今度できるだけ迅速にスイス政府にお答えをしたいというふうに思っております。
 しかしながら、このポイントの記述の内容自体につきましては、先ほどお話ししたとおりでありまして、本文の原文と訳文も送っておりますし、また、本文が大変膨大な量にわたるために、こちらとしてポイントを書いたわけでございますけれども、このポイントに書きました「会計法令等に照らして特に不適切と認められる事態は見受けられなかった」という認識等につきましては、先ほどのいきさつで会計検査院にも確認をいたしました。
 また、せんだっての安全保障委員会の質疑で、会計検査院の当局者の御答弁の中でも、先生の質問に対して、審査をいたしました結果、法令、予算に違反し、また不適当と認められた事項として取り上げるような事態は見受けられませんでしたということで、認識は一致しているものだということで、そのことも御説明をいたしたいというふうに思っております。
石井(紘)委員 そうすると、反省と遺憾の意を表したいということだから、スイス政府に対して、要するにわび状を出す、そういう意味ですね、一つは。しかしながら、内容については変えるつもりはないんだ、こういうことですね。
 そうすると、この基本認識というものは、検査院長の答弁は、これは違うと言っているんですよ。中谷長官は基本認識が一致していると言うんですよ。私はあなたが好きだけれども、向こうの人はあなた嫌いよと言っているような話に聞こえますけれどもね。こういうものは、基本認識が共通していると言えないじゃないですか。
 そうすると、この文書をもう一回出すときには、また会計検査院の名前を使って出すんですか。そうはいかないでしょう。防衛庁の名前で出さなきゃいかぬでしょう。その防衛庁の名前で出すところに、また基本認識の違うこういうものを出すんですか。はっきりしてくださいよ。
 それで、確かに、防衛庁長官の言われるのが一〇〇%うそじゃないかもしれないんですね。というのは、あの会計検査院の増田局長は、どうもおかしいんです。
 さっきから聞いていると、防衛庁長官も、事前に、昨年何か打ち合わせをしたみたいな話もするし、あなたも会計検査院長の答弁とは違うことを言っているんですよ。検査院としては、書いたものが基本認識であり、あれ以上のものでもあれ以下のものでもないんだ、まさに検査対象の第五の項目のことをやっているわけですから、そこに会計法令がどうのこうのなんて、そういう問題じゃないんです。おかしいから検査をしたんです。おかしくなければ会計検査院は検査しないんです、もともと。増田局長は、こういう点で防衛庁とどうも個人的に通じている節がある。会計検査院としては、よその調査をする前に、検査院の内部の調査をしなさいよ。
 防衛庁長官、この問題は非常に重大でございます。ですから、きょうのところは時間の関係でここまでにしておきますけれども、ひとつ防衛庁としては、あるいは長官個人としても、やはりこれはきちっとした責任ある態度を示さなければならない。これから、何か知らないけれども、有事法案とか何とかということもやろうとしているわけでしょう。そういう中で、やはり防衛庁の信頼、防衛庁長官がうそついているということでは、これは話にならなくなってしまいますよ。
 そういうことでございますので、また引き続きやらせていただくことにして、きょうは平沼経済産業大臣にもおいでいただきましたので、防衛庁はどうぞお引き取りください。ゆっくり反省して、善後策を考えてください。
 それで、平沼大臣に、石油公団の問題がきのう、きょう、また大きくメディアにも取り上げられているわけですが、石油公団というのは廃止をするということになったんですよ。それで、廃止をするということになったら、また金属鉱業事業団と一緒になるなと。これまでの特殊法人の統廃合というようなものを、小泉内閣のものを見ていますと、廃止というんだけれども廃止にならないんだね、これが不思議に。
 だから、ここは一回、日本語の勉強からちょっと始めなくちゃいかぬ。廃止という言葉はどういう意味なのか。私も不思議に思ったものだから、広辞苑を今見てきましたら、廃止は「やめること。すてて行わぬこと。」こう書いてあるんですけれども、違うんでしょうか。小泉内閣の廃止というのは、名前だけ変えることとか、あるいは、さらにますます活動を展開することとか、どうもそういう意味になっているわけですよ。
 石油公団というのは、もう既に今中身の議論は随分されておるわけですからしませんけれども、やはり廃止といったら廃止をするんですよ。名前だけ廃止じゃだめなんです。事業の、やっている中身を廃止するということなんです、廃止というのは。
 そこを平沼大臣、余り、従来のいきさつをまたもとへ戻す、そういうような動きをやりますと、大臣自身がこれはおかしいんじゃないかと疑われることになりかねない。どうかひとつ、石油公団の事業は廃止をするんだということをとりあえずきょう明言しておいてくださいよ。
平沼国務大臣 石油公団につきましては、昨年の十二月に閣議決定をされました特殊法人等整理合理化計画において廃止する旨が決定をされています。
 この閣議決定におきまして、石井先生もよく御承知だと思いますけれども、石油公団は廃止をするものの、エネルギー資源のない我が国にとって、やはり政策上、国として果たすべき役割と機能があるわけであります。現在、石油公団が持っております、石油を自主的に開発して、そしてエネルギー政策上後顧の憂いがないようにするために、やはりリスクマネーの供給機能、これは非常に大切だと私は認識しております。それから、七三年のオイルショックがありまして、ああいう非常時に国家備蓄をしておかなきゃいけない、このことも石油公団の機能にありましたけれども、これを全くなくすわけにはいかない。
 こういう観点で、閣議決定の中で、これを従来ございます金属鉱業事業団の中に取り込みまして、そして、一つそういう機能を持った、国として大切な機能を持った独立行政法人をつくる、こういうことにいたしています。
 そしてまた、石油公団の保有する資産があるわけですけれども、これは厳正に評価を行いまして、そして整理すべきものはちゃんと整理をして、売却するものはちゃんと売却をして、そういう処理を行った上で、やはり二十一世紀もいろいろな新エネルギーを取り入れていかなければいけませんけれども、現実に石油というものはこの経済大国日本にとって非常に大切なことでございますので、そういう中で、特殊会社というものを設立して、それは完全に民営化して、私の意思としては、その最高責任者も民間から登用をして、そして、できたら日本で自主開発ができるような、そういう機能の特殊会社をつくっていきたい。そして、それを平成十四年度中に法制上の措置をして、平成十五年度には具体化をしていこう、こういうことでございます。
 私どもとしては、やはり公団というものはいろいろな観点からこれは廃止をし、そして本当にそぎ落として、大切な、国家にとって必要な機能というものは、今申し上げたような形で、私どもはしっかりと、エネルギー安全政策上、国民に責任を持って担保をしてやらせていただこう、こういうことで今決定をしていることでございまして、ぜひ御理解をいただきたい、このように思っております。
石井(紘)委員 到底理解できないんです、これが。石油の備蓄なんというのは、民間の石油会社がたくさんあるわけです。そういう民間の石油会社に委託すればそれだけで十分。それから、世界の石油の発掘なんというのは、石油公団ができた最初から、もう三十年以上も前から、これは欧米のメジャーというのはとてつもなくでかい企業があるわけです。そういうものに日本は対抗できないから、資源もないし、石油資源もないしというので、石油公団をつくって支援するんだといってやってきたわけだ。ところが、何十年たったって、それに対抗するようなメジャーみたいなものなんかできっこないわけですよ。そんなものは、百年同じことを繰り返して言ってみたって、そんなことにはならないんですよ。
 それよりも、やはりこれは経済活動ですから、民間企業が自立して、あるときは民間で力を合わせてやっていかないと、だんだんと日本の石油産業というものは、むしろ総体的には衰えていく。現にそうじゃありませんか。そして、金ばかり食って、借金ばかりできて、天下りばかりふえる。こういうことになっているわけですから、これをさらに肥大化させるがごとき今度の今おっしゃられた方向というのは、とんでもない話であります。
 小泉内閣、これはむしろ橋本内閣のときに行政改革で出てきましたよ、この問題も。それから、住都公団も道路公団も出てきましたよ。小泉内閣になったら、ぐっとどんどん後退している。こういうことではとんでもない。これは日本経済が立ち行かなくなってしまう。
 そういう意味では、ちょっと話はずれますけれども、最後に申し上げたいのは、日本国債が切り下げられるということは、私は、もうことしになってからずっといろいろなメディアなんかを通して警告してきたわけです。さらに切り下げがあるよ、そうなったら日本経済は大変なことになるぞと。案の定、きのう、おとといですか、先ほどもお話がちょっと出ていましたけれども、マルタ島とかキプロスと同じレベルに下がったんですよ。キプロスというのは四国の半分ぐらいの島です。人口が二、三十万人ですよ。マルタ島というのは淡路島の半分の国です。人口二十万人ぐらいですよ。私の選挙区より全然小さい。そういうところと同じになったんですよ、国債の評価が。
 それは当たり前なんですよ、こういうことをやっているから。石油公団だって日本の国債持っているじゃありませんか。何で石油公団が国債を持たなきゃならないのですか。国債を持っている特殊法人、幾つあるか、これは私が調べたものですが、後で参考までに差し上げます。
 四十二の特殊法人が十八兆円、農林中金だとか何かを入れると二十六、七兆円、そういういわゆる特殊法人で持っているわけですから。それで、合わせて政府系で国債を持っているのは約六割です。自分の足を自分で食っているのです。自分の借金を自分で面倒見ているというか保証しているというか、会社でいえば、融通手形を乱発しているのと同じことです。自分の借金を自分で持っている、六割も政府系が持っているんですよ。これじゃ国債が下がるのは当たり前じゃありませんか。
 国債が下がったらどうなるか、これは経済恐慌の可能性が高くなってくるわけです。所管じゃないかもしれないけれども、やはりこれは経済ですから、平沼経済産業大臣に、このことを最後に、これは大変ですよと小泉さんにもぜひお伝えください。大変ですよということを最後に申し上げさせていただいて、ちょうど委員長の御希望どおり、時間どおりに終わりましたので。
 ありがとうございました。
渡海委員長 御協力ありがとうございました。
 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 きょうは、福田官房長官に改めて内閣報償費、官房報償費、これについてお話を伺いたい。
 私自身、外務委員会等で、これまでも外交報償費、外務省報償費、それから内閣報償費、さまざま追及してきました。これについて、なかなか明確な答弁が得られない。このたび共産党さんがああいう資料を出された、これについて本物かどうかを問うてみても、恐らく福田官房長官は、出所不明の文書には答える義務がないというお話だろうと思います。これは、かつて古川貞二郎さんのメモについて調査をお願いしたときも同じ答弁でした。要するに、全く調べる気がないということだろうと思うんですね。
 ただ、ここでちょっと私自身、この文書について、加藤紘一元自民党幹事長さんが、テレビに出て、テレビのインタビューで、共産党さんの出した資料について、こうインタビューに答えています。内閣報償費については、その使途について明らかにしないのがこれまでの政府の一貫した考えだ、方針だということを言っているわけですが、このコメントは、官房長官、お聞きになっていますか。
福田国務大臣 新聞報道で見ました。
木下委員 少なくとも、加藤さんは、先ほど言いましたように、内閣官房長官あるいは自民党幹事長その他要職を歴任され、しかも、一時は総理に一番近い男と言われた人間が言ったことでございます。要するに、あの資料を見て、内閣報償費、官房報償費について、中身については、使途については言えない、要するに、あれが内閣官房費であることを間接的に認めているんじゃありませんか。どう受け取りましたか。
福田国務大臣 そのときの加藤氏の発言は、政府は官房機密費の具体的使途は一貫して公表していない、今回の指摘にもコメントは差し控える、こういう談話を出したのですね。しかし、その意味合いがどんなようなものなのか、これは正直申しましてはかりがたいというのが私の感想でございます。
木下委員 あのときのあれから見ると、その共産党が出した資料を見た上で、内閣官房費については使途を明らかにしないと言っているわけですよ。ですから、間接的に認めている、これは私だけでなく多くの国民がそう思っていると思うのですが、そういう意味で、あの問題を出所不明だなどと言わないで、やはり調査するあれはございませんか。
福田国務大臣 一言で申し上げれば、調査する必要もないし、また、そのつもりもございません。
 あえて申し上げれば、あの資料を見まして、現に報償費の執行の責任に当たっている私といたしましては、この資料が、内容から見ましても、とても報償費の会計資料というようには見えません。
木下委員 いや、ですから、あれは正式の会計帳簿じゃなくて、メモだと言っているんですよ。要するに、加藤さんのところへ持ってきた報償費を御自身のあれと一緒になりながら、メモとしてつけて、一億何千万、一年間で出しているわけですね。ですから、これは明らかに報償費があの中へ入っているという認識が国民の皆さんの認識であろうし、あるいは私どもの認識なんですけれども、それを幾ら言ってもあれなんですが。
 ただ、この前以来、昨年の一月に、外交機密費、いわゆる内閣官房報償費が外国要人支援室、松尾さんに私的流用されていた、その問題から今日まで依然としてこの問題が引き続いているわけですね。
 当時、外務省はかなり調査をしました。しかし、内閣官房については、要するに被害者なんですね。御自分のところのお金が搾取されているのに対して、私も何回も、内閣官房できちんと調査してくれと、外務省に任せるんじゃなくて、確かに外務省が使ったかもしれないけれども、御自分のところのお金が搾取されたんだから、被害届だけじゃなくて、御自分のところできちんと調査してくれ、あるいは、管理監督責任において、もし私的流用されたんならきちんと責任をとりなさいと。外務省は何人かとっています。ところが、内閣官房では、恐らく福田官房長官が給与を返上したぐらいでしょう。どうなんですか、責任とっていますか。
福田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
 内閣官房でもってあの事件が発覚してから、どういうふうにしたのか、調べたのか、こういうふうなことでございますけれども、これは以前にも答弁しておりますけれども、要するに、総理の外国訪問に際して起こったことでございまして、在外公館を擁して、そして現地情報に精通した外務省が、宿舎の確保、宿泊費の見積もり、支払いなどの役割を分担して、内閣官房は、外務省から提出された見積書、精算書、そして領収書に基づいて宿泊費差額の支出、清算を行ってきた。
 こういうようなことでもって、松尾元室長在任中、全く同様の役割分担で行ってきておったんです。その際、松尾元室長が行った見積書作成などの行為は、外務省内部の組織的チェックを受けていなかったということが外務省の調査で明らかにされておりますけれども、内閣官房として、当時の状況において、こうした実態を外部から把握するということは極めて困難なことでございまして、内閣官房の事務遂行についての行政上の責任を問うことは適当でない、こういう判断をしておるわけでございます。
木下委員 少なくとも今度の外務省改革で分担がはっきりしまして、そうすると今度は、官房報償費は当然内閣官房できちんと管理する。しかし、これは税金でございますので、共産党の出した資料が本物かどうかは別にして、少なくともいろいろな形で、例えば本当の機密費でないものまで使われているというのは、公然の秘密になっている、明らかになっているわけですね。私が三越問題でやったときも、何も機密費で買わなくてもいいものまで報償費で買われている。
 ですから、そこはきちんと、私は機密費はあっていいと思うんですが、そこはきちんと分けて国民から信頼されないと、これは内閣官房としても、少なくとも内閣のかなめですし、ですからそこは、やはりきちんと公表できるものと、完全に機密費は機密費できちんとする。そういう公表できるもの、これを分類する予定はございませんか。
福田国務大臣 そのことにつきましては、これは私が担当しましてから、その都度の支出において公私の別、これは当然のことでございますけれども、それ以外にも、公表できるもの、できないもの、そういうものは区別しながら、一件一件を綿密に検討しながら支出を行っている、こういうことでございます。
 会計検査院報告における指摘も受けました。これは官房報償費につきましては、使途は公表できないという性格から、おのずとその公表の限度があるというところでございまして、その性格を損なわない範囲内でその説明責任を十分果たし得るよう、内閣官房長官として、内閣官房報償費の取り扱いに関する基本方針を策定し、そして、これに基づいてその取り扱い要綱を策定したところでございます。
 いずれにしましても、内閣官房報償費の具体的な使用に当たりましては、ただいま申しましたように、内閣官房報償費の目的にかなうものであるかどうかを一つ一つ吟味しながら、当該基本方針及び取り扱い要領、先ほど要綱と申しましたが、要領でございます、取り扱い要領に基づき、私が責任を持って厳正な執行に当たっておるところでございます。
木下委員 官房機密費の性格からいって、すべての責任は内閣官房長官にあるわけですので、今後、こういった形でもし国民から疑惑が持たれるような新たな事実が出てくれば、これは当然責任問題ということになりますので、その辺だけきちんと指摘しておきたいなと思います。
 それと同時に、やはりこれも国民の税金ですので、再三話題になっていますが、例えば十年後あるいは二十年後、あるいは五十年でも結構です、公開する、そういう考えはございませんか。
福田国務大臣 委員から御指摘いただきましたけれども、行政府にある者、私のみならず、その担当範囲において執行するものについて責任を有することは当然のことでございまして、私もそのつもりで心してやるつもりでございます。
 今の公開のことについて一定期間を経たらどうか、こういうふうな御提案でございますけれども、報償費の機動的な運用や、内政、外交の円滑な遂行に重大な支障を来す、そういう可能性がありますので、このことについて明言することはできない、どちらかといえば困難であるというように考えております。このことにつきましては、そういう性格の費用であるということにおいて御理解をいただきたいと思っております。
木下委員 この報償費の問題は大変重要な問題ですので、今野党の方で予算凍結という話も出ています、場合によっては十二年度の決算についても承認できないということだってあり得ますので、その辺を指摘して、次の質問に移らせていただきます。
 先般来、北方四島支援事業に絡みまして、幾つかの支援事業が行われております中で、それぞれの事業について、当初の契約金額よりもはるかに高い金額が追加契約されているということで、資料を出してほしいということをお願いしておいたんですが、やっと一部出てきました。
 今、お手元に資料をお配りしておりますが、色丹島あるいは国後島、択捉島、下のいわゆる友好の家、ムネオハウス、これについては、私自身が野党の調査団長として根室へ行ったとき、明らかにしたものでございますが、上の三点、ディーゼル発電については、契約金額よりもはるかに、かなりの追加契約、追加追加で来ているわけですね。色丹島については追加代金合計で一億二百万、国後島のディーゼルについては五千四百万、それから、択捉島については二千四百万。これだけの追加契約。
 しかも、中身を見ますと、これは既に契約の段階で、あるいは入札の段階である程度こういったものを加味して入札しないと、入札は低く抑えた、しかし、後こういう形で追加追加でいったら、事業規模は極端に膨らむわけですね。いかにずさんな入札をやっていたか、そんな思いがいたしますけれども、どうですか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 ディーゼル発電施設にかかわります追加契約に関しての御質問でございました。それぞれについてなぜこういった追加支出が必要になったかということを簡単に御説明させていただきたいと思います。
 択捉島のディーゼル施設でございますが、これは島側からの要請を受けまして建設地が変更になりまして、その変更になった建設地の地盤を強化する必要が生じたこと、それから、島側の受け入れ手続のおくれに伴いまして、根室・花咲港の出港がおくれましたために、船舶、機械、要員等の追加拘束料が発生したということのために、合計約二千四百四十万円の追加支出が必要となった次第でございます。
 また、色丹島の施設につきましては、荷揚げ地の変更に伴います追加的な用船等の費用、設置場所の変更及び変更後の地盤強化、さらに島側が対応できなかったケーブルの敷設ですとか接続工事、また、島側の出域手続の遅延等のために、合計約一億二百八十万円の追加支出を行った次第でございます。
 最後に、国後島の施設についてでございますが、これも地盤改良それから消火設備の設置、完成式典の実施、附帯工事の工事量の増加、さらに島側の出域手続の遅延といったことのために、合計約五千四百九十万円の追加支出を行った次第でございます。
木下委員 北方四島については、これだけの事業じゃなくて、もっとたくさんの事業をしているわけですね。例えば診療所、あるいは倉庫、あるいははしけ、桟橋、こういったものにも追加契約があるはずですね。それを説明してください。出してください。
齋藤政府参考人 先生の方にはディーゼル発電施設に関する資料を提出させていただいたわけでございまして、それ以外の国後島、色丹島、択捉島プレハブ倉庫、それから択捉島プレハブ仮設診療所、希望丸及び友好丸、さらに国後島桟橋改修、これらの案件につきまして追加支出を行っております。
 これに関連します資料につきましては、提出がおくれていて大変恐縮でございますが、近日中に提出できるように最大限の努力、手続を今行っているところでございます。
 ちなみに、この追加支出につきましては、追加契約という形で、本契約の条項を引用しまして、どうしてこういうものが必要になったかということを確認書とか覚書という形の追加契約でやっている場合と、それから精算ベースで支出している場合とがございますので、これらの支払い決済書と申しますかそういった資料について、近日中に御提出させていただきたいと思っております。
木下委員 これだけの支援事業で追加代金が支払われる、これはやはり、通常の公共事業でこれだけの追加代金があったら、これは入札が何やっているんだという話になります。確かに北方四島というかなり環境の違うところでやられる、その事情はわかるにしても、やはり、この下の私が言ったムネオハウス、これについては利益を折半した可能性がある、そういう意味では上記の発電所についてもかなりずさんな追加の可能性があるということを指摘して、時間がございませんので、もう一つだけ。
 今、花咲港に上架している希望丸、これはたしか二月の二十一日ですか、花咲港へ修理のために来て、以来、今日までずっと上架されています。これは一日上架しておけば一万五千円かかると言われていますが、入札その他はどうなっていますか。
齋藤政府参考人 希望丸については、先生御指摘のとおり根室造船に上架されておりますけれども、これは修理箇所を調べるということでございまして、最近、破損個所の確認が終了いたしました。
 希望丸の今後の扱いにつきましては、緊急人道支援の効果的な実施の必要性に加えまして、このはしけが四島交流事業におきまして果たす役割の重要性を踏まえまして、我が国の造船所において必要最低限の修理を行うことにつき引き続き検討中ということでございます。
木下委員 一点だけ、ちょっと聞かせてください。
 これは根室造船で修理するのですか、入札するのですか、その一点だけ。それで終わります。
齋藤政府参考人 どの程度の修理が必要になるかということとの関連もございますけれども、最大限、公正な手続、透明な手続がとられるように努力したいと思っております。
木下委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、今野東君。
今野委員 民主党の今野でございます。
 補償金額とその交渉について鈴木宗男議員の関与があったのではないかという疑惑がある夕張シューパロダムについてお尋ねいたします。
 これは、三月の二十六日に決算行政監視委員会で質問をいたしまして、土地が固定資産評価額ゼロ、建物、機械類、五千三百十四万七千円という評価額のところに、四十九億二千二百六十万三千九百六十二円という過大な補償をしている疑惑なわけでありますが、これは国土交通省から調査の報告をいただきました。きょうはそれに基づいてお尋ねをいたしますが、まず、この報告書の中に、補償額が適正であったかどうかという文言が一行もないのですが、よくわからないのですけれども、この補償額は適正であったとお思いなんでしょうか。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
林政府参考人 お答えいたします。
 今先生がおっしゃったように、本件につきましては、先月三月二十六日の本委員会の質疑を踏まえまして、当該ダム建設事業の用地補償について、一点は鈴木議員のかかわり、それからもう一点は日北酸素に対する用地補償額の算定の二点について、大臣の指示に基づきまして……(今野委員「適正かどうかだけ、時間がないから」と呼ぶ)はい、わかりました。
 私どもの調査結果によりますと、用地補償額の算定につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、これは昭和三十七年六月二十九日の閣議決定によるものでございますが、これに基づきまして、北海道開発局が制定している土地評価事務処理要領に定められた手続に沿って行われていることが確認されております。
 私どもといたしましては、調査の結果、補償内容につきましては、種々基準等を用いて適正に行われたということが確認されております。
今野委員 時間がありませんので、できるだけ短目にこれからの答弁をお願いしたいと思いますが、肝心なところだけお話しください。
 補償額の算定に当たりまして、この報告によりますと、「補償額積算を、補償コンサルタントに発注、その成果を職員が審査し、補償額の妥当性を判断している。」とあるのですが、それでは、その補償コンサルタントが出してきた数字というのはどうなっているんですか。
林政府参考人 お答えいたします。
 本件の移転対象物件に対しまして、建物や機械設備等の状況ですとか工場の立地に係る法令上の制限、あるいは補償額の算定に用いる建物や機械設備の移転方法についての検討、そして補償額の積算等につきまして、通常行われているように、専門的知見を有する補償コンサルタントに外注し、その成果を職員が審査し、補償額の妥当性を判断しております。
 なお、当該成果につきまして、被補償者の協力を得てプライバシーにかかわるものを調査していますことから、それらに関する部分的なものにつきましては公表を差し控えさせていただきたい、そういうふうに考えてございますので、今お話のございました個々の数字についても、公表を差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。
今野委員 今局長、適正だとおっしゃいました。適正ならば何がもとに算出されているのか、この数字を出してくださいと言っているのです。
林政府参考人 お答えいたします。
 先般私どもが公表させていただきました調査結果に基づいてお話しさせていただきますと、私どもは、当然、用地補償交渉に当たりましては、被補償者とのいわゆる信頼関係ですとかあるいはプライバシーの関係等々から、数字については出せないということがございますけれども、先般の委員会のことを踏まえまして、被補償者との了解を得た中で、土地については一億五千八百三十一万七千三百六十二円、建物につきましては四億一千六十六万九千七百円、それから工作物でございますが、この点につきましては三十九億一千七十二万二千六百円、それから立木等でございますが、四千八百三十三万三千八百円、それから、通常損失補償額でございますけれども、これにつきましては三億九千四百……(今野委員「それを聞いているんじゃないんだ、コンサルタントが幾ら積算したか出してくださいと言っているんです。補償額を聞いているんじゃないですよ。補償額はわかっていますよ、とっくに」と呼ぶ)
 コンサルタントが積算したものを私どもの用地の補償の担当者が精査して、そして出しているものでございまして、コンサルタントが積算した額そのものにつきましては、ここではお答えを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
今野委員 ですから、あなたが適正だと言うのならばもとになったこの数字を出してくださいと言っているんですよ。ここだけじゃないですよ、土地についてもです。
 「類似地域の取引事例価格二ヶ所をもとに、国土庁の土地価格比準表を用いて買収地の土地価格を評価している。」とあります。それでは、この類似地域取引事例価格二カ所、これを出してくださいよ、適正だと言うのなら。幾らで出ているんですか。
林政府参考人 ただいま御質問のございました取引事例のものでございますけれども、取引事例として今般用いた場所は、夕張市の沼ノ沢及び同市清水沢の二つでございますが、この取引事例の価格につきましては、公表しないという了解の上で任意に提供されたものでございまして、第三者のプライバシーにかかわる情報でございますので、その内容は差し控えさせていただきたいと考えてございます。
今野委員 相手のプライバシー、プライバシーと言いますけれども、補償金額はもうこうやって明らかになっているんですよ。プライバシーなんてもうないんですよ、この事例に関しては。だから、その金額を、既に出ている金額を、何に基づいて算定したんですか、その根拠を出してくださいと言っているんですよ。
林政府参考人 お答えいたします。
 積算の考え方でございますが、土地につきましては、先ほど私、お話ししましたように、統一的な基準でございます公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づき、正常な取引価格をもって補償することとされております。
 具体的には、近傍類地の取引事例価格を調査し、取得地を評価するとともに、当該評価を地価公示法の公示価格、これがない場合は国土利用計画法の基準地価格、さらには不動産鑑定評価によって検証して算出しているものでございます。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
今野委員 これは幾ら聞いても答えていただけないので、それでは、ぜひこの補償コンサルタントが出してきた数字、それからこの類似地域取引事例価格二カ所、これだけの大きな疑惑があるわけですから、もとになった数字は、もう補償した金額は出ているのですから、何をもとに算定したのか、本当に適正なら幾らでも出せるじゃないですか。大臣、これはどうですか。お答えください。(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に。
扇国務大臣 今お話ございましたことを申し上げます。
 私は、三月の二十六日、当委員会において、本委員会でこの夕張シューパロダムの質問がございまして、今申しましたように、私が役所の中で、国土交通省の北海道局が中心になって二点について調査をしてほしいと申し上げました。
 それは、皆様方から三月の二十六日に御指摘がありましたように、この夕張シューパロダムの鈴木議員のかかわりを一つ聞けとおっしゃいました。それからもう一つ、日北酸素株式会社に対する用地補償額の算定の二点について私に御要望がございましたので、その二点について国土交通省の北海道局が中心になって調査をし、その結果は取りまとめまして、委員長、理事もいらっしゃいましたか、委員長と理事のところへ提出させていただいて、今局長が御報告しておりますように、私も疑問を持ちました。
 もともと企業誘致をして、そして土地はただでいいですよと。そして企業誘致をしたその当時の事情を勘案しまして、企業誘致して土地がただだったのにどうして四十数億になるのですかということも私も聞きました。そうしましたら、その建物よりも中に置いた機械、この評価をしたと。そして、私はその算定基準をどうしたんだと言ったら、今言ったように、二カ所の近傍の土地の評価をして、それを基本にしましたと言うから、もともとただのものじゃないのと言いましたけれども、入った機器、工場の中の機器の値段が評価が高かったと言うから、だったら、その機器を何年間に入れた積算、事業計画の中には、決算の中にはどういうものを入れたというのがあるでしょうということも私、聞きました。
 そして、今申しましたような局長の答弁のように、あらゆることで国土交通省として算定するときにはきちんとした法律に基づいて算定していますとおっしゃるものですから、では何に基づいて算定したのですかと言ったら、今局長が答えましたとおり、法律できちんと算定する基準が決められておりますと言うから、では基準どおり決めたんだったら私は納得するしかないなと。基準を変えるというなら別ですけれども、私はその報告を受けて、だったら委員長、理事の皆さんにその調べた報告どおり御報告してくださいと申し上げて今日に至ったわけでございます。
今野委員 基準や要領はこちらもわかっているのです。ですから、その過大な数字、四十九億という補償、算定した補償額、これについて異常に高いので、それではどのような数字をもとにして出したのですか、それを示してくださいとお願いしているのです。(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に願います。
林政府参考人 お答えいたします。
 先生が御指摘になった土地の中で、お示しできるのが一点ございます。それは、北海道が公表している基準地価格というものでございます。これも参照してございます。これは、平成十一年度の北海道地価調査書によれば、工場用地の評価なので、夕張市の基準地の中から準工業用地である南清水沢四丁目八十七番四という地名でございますけれども、この地域における基準価格が一平方メートル当たり五千二百円でございます。
 それから、工作物等につきましては、その機械が有する、現有の持っている生産能力、それと同等の生産能力を有するものを補償しております。
 以上でございます。
今野委員 これは委員会で、ぜひ出すように諮ってください。補償コンサルタントが出してきたもとになっている数字、それから、類似地域取引事例価格二カ所。委員長、お願いします。
渡海委員長 後日、理事会で検討いたします。
今野委員 それから、今大臣がおっしゃった機械類、これは工作物に対して三十九億という、これも異常な金額を補償しているのです。これは補償の考え方は、「移転に要する費用を補償する」、「一般的には、同じ建物を再築する費用を補償している。」とあるわけですね。日北酸素は既に苫東に移転しておりまして、この新工場の投資額、大臣、御存じでしょうか、苫東会社の発表では十六億五千万なんですよ、苫東会社の発表では。この三十九億という開きは何なんでしょうか。
林政府参考人 私どもはあくまでも、現在ある用地等に対して、そこで営業しているわけでございますけれども、そこにある工場等を移転していただきまして、そこを更地といいますか、全くない状態にして渡していただくというのが補償でございます。
 私どもとしては、それに対する補償額を積み上げ、そして事業者として、相手にその補償額をお渡しいたしますけれども、相手の被補償者は、先ほど言いましたように、土地を更地にしてどこに行こうと、それは相手が考えることでございますし、また、どのような建物、あるいはどのような機械をつくるかということにつきましては、私どもは全く関知し得ないものでございます。
今野委員 それはおかしなことですね。
 この生産額、御存じですか。ここは酸素とか窒素、アセチレンガスをつくっているところなんですけれども、酸素は、この前も説明いたしましたが、六倍の生産能力、窒素は十倍の生産能力、そういう工場になっているのです。これだけでも過大な評価なんですよ。苫東の会社に確認したところ、十六億五千万なんです。これが何で三十九億になるのか、その説明に全然なっていないじゃないですか。時間がありませんから、短く答えてください。
林政府参考人 その数字につきましては私どもも、正直言って、関知し得ない数字でございます。
 今先生がおっしゃった数字が企業として最終的な数字なのか、あるいは今後の計画をも合わせた中での中途の計画なのか等々考えますと、その数字について、私どもがどうこうコメントするようなことにはならないかと思ってございます。
今野委員 つまり、補償算定額を間違ったということなんじゃないの。十六億五千万しかかかっていないんですよ、苫東会社。いいですよ、時間がないから答弁要らないです。また機会を見て質問させていただきます。
 最後に、夕張シューパロダムについて、鈴木宗男議員の関与があったかどうかについての調査なんですけれども、鈴木議員が補償内容について具体的な要請を行った事実は認められないと言いながら、鈴木議員の存在感を徐々に大きなものとして受けとめていったと報告されておりまして、鈴木議員から電話があってから、五回も出張でわざわざ来て説明をしている。これは関与の事実があったということですね。大臣にお伺いします。
扇国務大臣 私も結果報告を皆さんと同じ状況で伺って、私が了承して、委員長、理事会に諮ったものでございます。
 それは今おっしゃったように、少なくとも、平成十年十二月四日、鈴木議員から、当該企業の補償交渉の進捗状態はどうなっているんだ、そういう照会があった、これは御存じのとおり。以下五回というのも、今おっしゃったとおりでございます。
 けれども、私は皆さん方から、では、そのときにどういう鈴木議員の発言があったのですかと聞いたら、公共事業に協力してもらえるよう丁寧に説明した方がいいですよ、そういうことと、公共事業はコスト意識を持って早急に進める必要があるから、交渉の進捗を図るようにと言われて、高くしろと言われたわけでもないし、ごまかせと言われたわけでもないし、交渉の進捗を図るようにと言われたということで、補償の内容について具体的に要請を行った事実は認められなかったと。私は皆さんから、電話があったと言われても、五回も説明に行ったと言われても、なかったと本人たちが言う以上は、私が調べたのでもございませんけれども、少なくとも皆さん方が疑義を持たれるようなことのないように、北海道開発局として十分に審査したということを、私が了承して委員会にお答えしたということでございます。
今野委員 時間がありませんから、この質問を最後にしますが、大臣、鈴木議員から進捗状況について電話があって、その後五回もわざわざ出張してきて説明しているというのは、これは正常な状態ですか。
扇国務大臣 それは経過年数がございますから、少なくともその期間で、何月何日から何日までの五回なのか、そこも私はまだ報告を、細かくそこまで知り得ませんけれども、一週間の間に五回だったらしつこいなということもあるかもしれませんけれども、それだけ熱心だということも言えますので。
 私がこの大臣の責を担っております以上、私は、少なくとも、我が国土交通省の北海道開発局の職員の調査、そういうものを信じないわけにはいきませんし、そのために彼らに調べなさいと言って、その結果でございますから、北海道開発局は誠意を持って調べたと思って、承認をしてお出しいただいたので、そこで何回やろうと、これが五回であろうと十回であろうと、曲がったことを言っていなければ、私はそれがどうこうというものではないと思っています。
今野委員 この件に関しては民主党も重大な関心を持っておりまして、続けてまた質問をさせていただきます。
 時間が来ました。ありがとうございました。(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に願います。
 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 中谷元防衛庁長官にお伺いいたします。
 平成十年度、十一年度における防衛庁決算につきまして、補正を含んだ予算、支出残の総額、陸海空自別に、また装備調達関係につきましてどのようになっておるか、また、会計検査院から指摘をされて、どのように処理をしているかということにつきましてお伺いいたします。
中谷国務大臣 平成十年度防衛関係費の予算現額は、SACO関係経費込みで五兆六十八億円でございます。そのうち、陸上自衛隊は一兆九千百五億円、海上自衛隊は一兆一千九十九億円、航空自衛隊は一兆一千二百四十二億円でございます。
 この予算現額に対して、支出済み歳出額は四兆九千五百六十一億円で、陸上は一兆九千五十億円、海上は一兆一千四十五億円、航空自衛隊は一兆一千二百二億円でございます。
 残額は五百六億円であり、そのうち、陸上自衛隊は五十四億円、海上自衛隊は五十三億円、航空自衛隊は三十九億円でございます。
 十一年度は、SACO関係経費込みで四兆九千五百五十八億円であり、そのうち陸上自衛隊は一兆八千八百四十三億円、海上自衛隊は一兆一千九十六億円、航空自衛隊は一兆八百七十億円であります。
 この予算現額に対して、支出済み歳出額は四兆八千九百七十二億円で、陸上自衛隊が一兆八千七百八十二億円、海上自衛隊は一兆一千三十三億円、航空自衛隊は一兆七百五十七億円であり、残額は五百八十六億円であり、そのうち陸上自衛隊が六十一億円、海上自衛隊は六十三億円、航空自衛隊は百十三億円であります。
 装備調達関係で申し上げれば、平成十年度予算現額が九千四百五十七億円でありまして、そのうち陸上自衛隊が三千百八十六億円、海上自衛隊は三千五百十一億円、航空自衛隊は二千七百十二億円であります。
 この予算現額に対して、支出済み歳出額は九千四百五十三億円であり、そのうち陸上自衛隊は三千百八十六億円、海上自衛隊は三千五百九億円、航空自衛隊は二千七百十億円であります。
 残額は四億円であり、そのうち陸上自衛隊は五千九百万円、海上自衛隊は一億円、航空自衛隊は一億円でございます。
 平成十一年度につきましては、防衛予算の現額は九千七百二十四億円であり、そのうち陸上自衛隊が三千百五十三億円、海上自衛隊は三千七百二十四億円、航空自衛隊は二千七百二十四億円であります。
 この予算現額に対して、支出済み歳出額は九千六百三十八億円であり、うち陸上自衛隊が三千百四十七億円、海上自衛隊は三千七百二億円、航空自衛隊は二千六百六十八億円であります。
 残額は八十五億円であり、そのうち陸上自衛隊が五億円、海上自衛隊は二十二億円、航空自衛隊は五十五億円でございます。
 なお、会計検査院からの指摘につきましては、平成十年度決算につきましては、地域通信処理システムの整備に当たり、調達手続を開始する前に電子計算装置を搬入し、その備えつけの調整をさせるなどとしていたものと、自衛艦の検査・修理について、指名競争入札制度の機能を十分発揮させるよう改善の処置を要求されたもののほか二件。
 平成十一年度決算については、防衛医科大学校病院等における診療報酬の請求に当たり、手術料等の請求額に不足があったもの、八一式短距離地対空誘導弾地上装置の交換部品の調達に当たり、数量の算定に実績を反映させることにより調達額の節減を図るよう改善させたものほか二件、会計検査院から御指摘を受けたところであります。
 防衛庁といたしましては、会計検査院の御指摘を踏まえ、鋭意改善努力に努めたいというふうに思っております。
塩田委員 約五兆円という大きい予算を持って毎年度これを実施しておられるわけでございますが、その残額も五百億円というのは大きい感じでございますけれども、五兆円に比べては一%ですか、年度内にそういった額を支出されるということはなかなか大変なことだと思うんですが、まずまず適正にうまく運用しておられるというふうに思います。
 そこでお尋ねしたいんですが、平成十三年度の予算額が補正を含めまして四兆九千七百五十億円、これに対しまして、平成十四年度、今年度の予算が四兆九千五百五十九億九千九百万円ということでございまして、今年度予算は防衛庁予算としては百九十億円の減額になっております。
 人件費が毎年上がっていっていると思いますし、いろいろな、各経費を見ますと、装備費関係は割合増額が目立つんですけれども、その他がかなり減額になっているというところが散見されるわけでございます。
 聞くところによりますと、演習自体もなかなか十分できない、ガソリンなり燃料が足らない、陸海空を通じてそういった状況があるということを聞くわけで、訓練も十分に行われているとは言えないという状況が起こっているというんですが、こういった防衛予算について、ほとんど五兆円ぐらいの段階でもう数年、我が国の場合は停止している、天井が五兆円で足踏みしているという状況ですが、大臣としてはこういった状況はこれでいいというふうに思っておられるかどうか、お伺いいたします。
中谷国務大臣 防衛庁の予算につきましては、財政事情が現下大変厳しいということは認識をいたしておりまして、経費の効率化、合理化に努めつつ、しかしながら、国際情勢を踏まえ、起こり得る事態に対処するために、防衛大綱の中期防に基づき、節度ある防衛力を計画的かつ継続的に整備することといたしております。
 平成十四年度につきましては、一層効率化のための創意工夫を凝らしつつ、中期防の二年度目として将来を展望した防衛力を目指すことといたしておりまして、米国の同時多発テロ事件も踏まえまして、ゲリラ、特殊部隊による攻撃、生物兵器攻撃等、多様な事態への対処、統合運用体制、情報通信機能の充実強化などの重要施策を推進するとともに、自衛隊の任務遂行や維持運営に支障を来さぬよう必要最小限の経費を計上したものでありまして、これにより所要の予算額が確保できたというふうに認識をいたしております。
 御指摘の平成十三年度防衛関係費については、当初予算四兆九千五百五十三億円に、当初予算成立後の事情の変更、これは米国のテロ事件でございますが、それを踏まえ、昨年の十一月に補正予算として計上した国内テロ対策関連経費を加えたものであります。
 十四年度の防衛関係費は四兆九千五百六十億円でございますが、当初予算ベースで比較すると昨年より七億円増となっておりまして、平成十三年度補正予算による前倒し分など約七十六億円でございますが、これを踏まえれば、所要の経費を確保したものというふうに考えております。
 今後とも適切に使用してまいりたいというふうに思っております。
塩田委員 防衛大学卒業で、第一線で汗を流して訓練をし、また公のために挺身してこられた大臣でございますが、第一線の隊員たちの気持ちを一番体してやっておられると思うのです。そういった面で、本当に今の状況でいいのか、また隊員の気持ちを思えば、本当にこんな足踏みをずっとしておっていいのかということを私は危惧するわけでございます。
 そこで、我が国周辺の、特に中国、北朝鮮の軍事状況、また兵力の配置等につきまして、どのように情報を集め、分析し、把握をしておられるか、現状についてお伺いいたします。
中谷国務大臣 情報の入手等につきましては、外務省を初め各関係機関や報道等から得ているわけでございます。
 中国は、軍事力については非常にハイテク化を進めておりまして、量から質へ転換を目指しており、この方針のもとに、陸軍を中心とした兵力を削減し、核弾道ミサイル戦力や海空軍を中心とした全軍の近代化を進めております。また運用面においても、陸海空軍の共同演習、上陸演習などを含む大規模な演習を実施しており、さらに海洋における活動範囲の拡大の動きがありまして、我が国近海においても中国海軍艦艇の活動が見られております。
 予算につきましては、二〇〇二年度は二百五十二億元増加し、伸び率は一七・六%増とすると公表されております。八九年以来十四年連続で対前年度当初予算比一〇%以上の伸びを示し、ここ数年で最も高い伸び率となっております。
 また、中国は経済建設を当面の最重要課題としていることから、国防に対する資源配分を急激に高める可能性は大きくないものの、近年の国防予算の伸びはGDPの伸びを大幅に上回っており、十四年連続で一〇%以上伸びてきた結果として国防費の総額も大幅に増大していることを見れば、中国は今後も軍事力の近代化を推進していくものだというふうに思っております。
 北朝鮮につきましては、深刻な食糧不足などの経済困難に直面しているにもかかわらず、依然として軍事面にその資源を重点的に配分し、戦力、即応態勢の維持強化に努力をしておりまして、また大規模な特殊部隊を保持していると考えられます。
 さらに、北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、配備など、いわゆる非対称的な軍事能力を依然として維持強化していると考えられておりまして、北朝鮮のこのような動きが朝鮮半島の緊張を高めており、日本を含む東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因となっているというふうに考えております。
塩田委員 中国の軍事力につきましては、私は一昨年中国へ行きまして、朱鎔基総理とやり合ったことがございます。日本に向けてミサイルを発射する準備をちゃんとしているじゃないかと。それから、どんどん新しい兵器を買い入れているし、またミサイル等を含めて海外に武器を輸出している。それから、核弾頭の弾道ミサイル、特にIRBM、東風二号につきましては、もう二千五百キロを飛ぶようなものを持っていると。
 中国というのは本当に恐るべき国でして、あの非常に貧しい中、革命後、毛沢東路線であらゆる軍事力をそのままにして核兵器の開発に集中してやった。あの貧しい中でそれを仕上げたんですね。今のような一七、八%の増加を続けていきますと、もう四、五年で倍になってしまいますよね。そして集中的にハイテクで作戦能力を上げていっているという状況は、本当に恐るべき状況じゃないか。
 朱鎔基さんは私には、ミサイルは日本に向けていません、軍事力の増強は日本向けじゃないんですということを言われましたけれども、それはミサイルは日本に向けていなくたっていつでも向けられるわけですから、そういった言いわけでは理屈にならないと思ったんですが。
 そこで、よく議論されますのはODA、日本はやっておりますね。特にそのうち中国向けが三千億、三割と言われている。そういった中で軍事力がどんどんふえていっていることについて、日本の国内でも世論は必ずしも甘くないわけです。
 そういったことを踏まえまして、日本は専守防衛に徹するということですが、徹するためにはアメリカと協力して、TMD、今BMDと言うんですか、あるいはアメリカ等ではもうMDと言っているようですが、この開発、日米協力して技術開発をして早く装備しなければ、ミサイルは飛んでくる、もう手の施しようがない。
 北朝鮮あたりは盛んに言いますよね、日本の国はもう一瞬にして火の海にしてやると。ガソリンスタンドはいっぱいあるし、ガソリンを積んだ車が走り回っているんだ、一瞬にして火の海にできるんだと。これにまたおびえている人も多いわけですね、日本国内でも。あるいは議員の中にもそういうことを言う人がおります。
 そういったことにおどされて本当に何もできないというか、弱虫の外交を進めなければならぬというような状況、これは本当に情けない今の日本の状況じゃないでしょうか。大臣、いかがお考えですか。
中谷国務大臣 中国の軍事状況をお話しいただきましたけれども、中国も、新型のIRBMのCSS5、射程が二千百五十キロメートルを配備し、また九九年の八月、二〇〇〇年の十一月にICBMのCSSX9、東風三十一ですけれども、射程八千キロメートルと見られる新型の長距離地対地ミサイルの発射実験を実施いたしておりまして、これらのミサイルというものは世界に拡散をしている状況でございます。
 我が国といたしましては、専守防衛の見地から、我が国を防衛するという観点でBMD、弾道ミサイル防衛について日米で研究を行っておりまして、現在、海上配備型の上層システムを対象とした研究に着手をしている段階でございます。
 今後とも諸外国の状況等を見きわめ、またBMDの技術的実現の可能性を見きわめてまいりまして、今後、開発の段階また配備の段階等につきましては十分検討した上で、その時点で別途判断をすることといたしたいというふうに思っております。
塩田委員 そのほか日本でもっとやるべきことは、静止偵察衛星ですね、何万キロか上空で。これはアメリカしか持っていないですね。日本は持っていない。それから、地球をぐるぐる回る偵察衛星については他省庁とも協力してつくろうということで進んでおりますが、この早期警戒静止衛星が日本でまだ計画されていないですね。アメリカに頼っているだけなんですね。これがずっとミサイルの発射の状況を見ているわけですから。日本はアメリカの通報を受けてそれによって行動するということになりますし、アメリカが本当にちゃんと伝えてくれるか、選別されてはどうしようもない。
 日本は独自のものを持つべきじゃないかと思うんですが、どのようなお考えでしょうか。これで終わります。
中谷国務大臣 先ほど中国のミサイルのお話をいたしましたけれども、ミサイルが世界的に拡散をしているということでありまして、中国のミサイルが拡散をしているということではございません。
 偵察衛星の御質問でありますけれども、日本が現在保有しようとしている衛星は、地球上を回りながら各種センサーによって画像を収集するいわゆる画像収集衛星でありまして、米国等が有しております早期警戒衛星というのは、静止軌道上からセンサーによって赤外線を探知するのでございます。我が国の画像収集衛星の目的は画像収集でありまして、このデータを積極的に活用していきたいわけでございます。
 一方、早期警戒衛星と申しますと、これでは画像を見ることはできずに、赤外線の探知を目的といたしまして、いわば弾道ミサイル防衛、BMDシステムの一環として米国等で保有をしておりまして、今後、我が国の早期警戒衛星の保有等につきましては、BMDの技術的実現の可能性や我が国の防衛のあり方等を判断した上で、その時点で開発、配備について判断したいというふうに思っております。
塩田委員 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 今度の国会は、鈴木宗男議員の関係で、外務省の秘密指定文書が大変クローズアップされました。私は、きょう、これに関連して質問をしたいと思います。
 まず最初に、外務省の文書管理規定、秘密保全に関する規則、この中で、秘密指定の区分として「秘」「極秘」とされているようでありますけれども、それぞれどのような文書を指しているのでしょうか。
北島政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、外務省におきましては、内規として外務省文書管理規則、秘密保全に関する規則及び関連細則を定め、これらに基づきまして文書の管理を行っておりまして、秘密の区分として「極秘」及び「秘」の二区分を採用しているということでございます。
 「極秘」でございますが、「秘密保全の必要が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれのあるもの。」、さらに「秘」でございますが、「極秘につぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてならないもの。」とされ、それぞれ同規則及び関連細則中に取り扱いを定めているということでございます。
大森委員 ここに二つの文書がございます。委員長の許可を得て、大臣と委員長にこれをぜひ見ていただきたい。
渡海委員長 ちょっととめて。
    〔速記中止〕
渡海委員長 では、起こしてください。
 基本的に、資料提出は、理事会において提出していただくということになっておりますが、今御了解がとれましたので、今回、これを前例としないということで、では大臣にお渡しください。
大森委員 わかりました。
 一つは、「至急(優先処理)平成十三年十月三日 本省発 外務大臣発」となっておる極秘無期限指定の文書であります。この文書では、「全在外公館長へ 官房長小町より」となって、以下いろいろ書いてありますが、ざっと紹介しますと、預かり金問題、いわゆるプール金問題でありますけれども、「この「預り金」の処理に当たっては、以下の基本方針で対応したい」、そして、その基本方針として幾つか挙げております。
 例えば一として、現在ホテルやハイヤー会社に残高として存在する預かり金については、国庫に返納する。二番目に、過去の費消額については、それぞれの職責に応じた加重負担により一定額を支払い、省全体で費消総額を国庫へ返納する。さらには、費消額の算定に当たっては、関連の証拠書類の保存期間が五年間であること及び他の公的機関における過去の類似のケースなどにかんがみ、平成七年度から現在に至るまでの期間を対象とするなど、ずっと続いております。これが極秘指定になっているわけですが、こういう文書が、なぜ国の安全、利益に損害を与える文書に該当するのか、まずそれをお答えいただきたいと思います。
北島政府参考人 委員が今御説明されました電報、私の前任者が在外公館に出しました、プール金の問題についての考え方を説明した電報だと思いますけれども、その電報につきましては、そもそも極秘の指定というのは、外務省の中におきましては、指定を行う者が主管局部長、主管局部長と申しますのは官房長、局長ということでございますけれども、そういう者が指定するわけですが、私の前任者が、まさに局長としまして、この文書は秘密保全の必要が高いというふうに判断した結果だと思います。
大森委員 私が質問したのは、当時の官房長小町氏よりというこの文書が、国の安全、そして国の利益にどうかかわるのかということをお聞きしたのです。この文書規定、秘密保全に関する規則からいっても、極秘に相当するような文書ではないのではないかということを申し上げたいわけですね。
 もう一つの文書でありますけれども、これは秘無期限の文書であります。これは、谷崎官総長より各館次席あてに出したものであります。
 この文書をもとに、私は昨年十月二十四日、十一月二十一日に当委員会でも取り上げたわけでありますけれども、この中身は、プール金をどう弁済するか、課長補佐以上を対象に説明したときの記録であります。これも秘指定、極秘に次ぐ程度の秘密ということで、秘密指定にする理由はやはりないのではないかと思いますが、いかがですか。
北島政府参考人 今委員が御説明になりました電報、記録でしょうか。当時、プール金の問題について外務省の中で考え方を官房総務課長等が省内の関係者を集めて議論した記録ということだと思いますけれども、この問題について外務省は非常に反省しているということをこの機会にまた申し上げたいと思いますけれども、この問題をどういうふうに処理するか、解決するかということについての内部の議論、結論を得るための議論ということですから、当然のことながら公表を前提として議論をしていないわけですから、そういうことで秘の指定をしたということだと思います。
 ちなみに、先ほどの私の説明の関連では、外務省の中では、極秘については局部長でございますけれども、秘の指定及び解除は局部長の下、課長及び室長がしているということでございます。
大森委員 最初の文書についていえば、国の安全や国の利益にかかわるようなものではない。そして、二番目の文書についても、極秘に次ぐ秘密度という点での官房長の御回答はなかったものと思います。
 もともと、この秘密保全規則の第十条の二項、「秘密指定は、必要最小限にとどめるものとし、また、秘密の度合いをはかり、みだりに高い指定をしてはならない」と厳しくそこは戒めてあるわけです。
 今回のこの二つの文書の極秘あるいは秘の無期限指定、これは、こういう十条二項に逆行するものではないかと思いますが、いかがですか。
北島政府参考人 委員御指摘のとおり、私ども、秘さらには極秘の指定をする場合に、課長ないし局長がするわけですけれども、まさに必要最小限にとどめるという考え方に基づいてやるということがございます。その点は十分に念頭に置いてやっていくべきだというふうに思います。
大森委員 これは明らかに、こういう十条二項が指定した、「みだりに高い指定をしてはならない」とか「必要最小限にとどめる」という点から逆行するやり方だと言わざるを得ないと思います。
 私も、この二つの文書について外務省に資料要求いたしました。しかし、残念ながら、その返事は、出さないということでありました。
 この間、これらの秘密指定の文書について、内部文書の公開を外務省は次々にやってきたわけですね。新聞の見出しでも、「外務省相次ぐ内部文書」、「厚さ五センチ外務文書渡す」とか「「背水」の秘密文書公開」等々、秘密指定文書の解除をしましたけれども、こういう文書については一切要求しても出さないということなんですね。
 川口大臣、外務省にとって都合のいい文書だけ出しているんじゃないかという声が広くあるわけなんです。外務省改革はスピード、実効性とともに透明化をその大きな柱にされているわけですけれども、しょせん川口大臣の外務省改革とはこういう程度のものかという感じが強くいたしますが、大臣、いかがですか。
川口国務大臣 まず、委員が今お配りになられた資料でございますけれども、これは私は初めて見た文書でございまして、それがどういうところから出てきたのか、外務省の文書であるのか、そこに書いてある中身が本当に議論をされたことなのか、私は全くわかりませんので、それを前提に、一般論としてお話をさせていただきたいと思いますけれども、基本的に外務省といたしまして、立場上、相手の国との交渉もございます。そういったことにつきましては、秘ということで考えなければいけない、内容によりますが秘または極秘、というふうに思います。また、個人の情報についても同じようなことだと考えております。それから、公にするということを前提にしない、中の意思の疎通を図るための文書、これも、公にすることによって自由な意思の疎通が妨げられるといったこともあると考えられますので、そういったことについてもそういう扱いかと思います。
 ということで、これは情報公開法でもそういうふうになっているわけでございまして、外務省の文書の秘、極秘扱いは、それをベースに考えられるべきものであると私は思っております。
 そういった文書について、国会から公開をしなさいというお話がありました場合に、本来、秘あるいは極秘とされるべきこと、あるいはその理由と、それから、国会のお持ちの国政調査権に御協力を申し上げるという公益性と、二つの立場で、それぞれバランスがどこにあるかということを考えなければいけないということだと思っております。
 今まで外務省が公開をさせていただいた文書につきましては、そういう考え方で一件一件審査をして、秘の指定を解除しまして、それでお出ししたわけでございまして、決して恣意的に、外務省が好きな、出したいと思う文書を出したということではないということを申し添えさせていただきます。
大森委員 これは一般的な情報公開の対象とは違うと思うんですね。これはもともと、国民の本当に強い批判を受けたプール金などという、私はプール金じゃなくてこれは明らかに裏金だと思うわけなんですが、税金を不当、不正に使った、そのことに関することなんです。したがって、これは後でも時間があれば触れますけれども、そういう処理の仕方自体にも大変問題がある、その過程の文書であるわけであります。したがって、当然、国会から要求があった場合、それは出すべきじゃないかと思うんですね。
 この間、その種の発言については、いろいろ大臣も、あるいは事務次官もやっております。
 内部文書公開について、これは竹内事務次官でありますけれども、三月の四日の記者会見、川口外相の強い方針で、隠すことはしない、わかったことはすべて出す、疑問のあるものはすべて出すということだ、こう言って、骨太の改革方針の一環である情報公開の具体化であることを強調したと、わざわざこういうぐあいに述べておられます。
 また、大臣自身も三月十九日の記者会見で、まさにこういう点の質問がありました。秘指定解除内部文書の取り扱いについて、「外務省の都合が悪いから出さなかったのであろうと思われることが具体的にあったら、それを教えて頂きたい」、そこまで川口大臣は記者会見で、三月十九日ですが回答されたわけですね。そういうことと全くこれは反する、今この間の一連の動きではないでしょうか。
川口国務大臣 まさに先ほど申し上げたことを繰り返すことになるわけですけれども、守らなければいけない秘、その理由があって秘扱いになっているわけでございまして、そうした理由と、国政調査権に御協力をするという立場で秘の指定を解除してお出しをするという、そのバランスをどこに求めるかということの判断であるというふうに私は考えて行動をいたしております。
大森委員 先ほど伺って答弁がなかったわけですが、守らなければならない秘密ですね。これは極秘の場合は、国の安全、国の利益にかかわる問題だ、こういう指定でありました。守らなければならない国の安全や利益に関する問題。
 では、今度は大臣にお答えいただきたいと思います。この極秘文書の中で、そういう国の安全や国の利益にかかわるどういう問題があるんですか。極秘指定をしなければならない理由はどこにあるでしょうか。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、私はこの文書をここで初めて見まして、したがいまして、それがそもそもどこから出てきた文書なのか、中身が何なのか、全くわかりませんので、申しわけございませんけれども、今の御質問にはお答えができません。
大森委員 この文書がどういうものであるかは先ほど官房長が説明されました。今ぱっと見ていただくだけでも、そういう長いものではないと思います。そういう答弁で、そういう形でこの答弁を逃れるのはやはり正しくないと私は指摘しておきたいと思います。
 そこで、この極秘文書の中で、これは九五年以降にプール金の処理の問題では限定されております。この九五年以降だけに限定したということも私は大変問題があると思うんですが、それ以降これに関連して、例えば、ハイヤー料金の詐取事件の小林被告が昨年十二月二十六日の公判で証言をしているわけですね。私が入省をしたとき、二十六年前からこういう預かり金の制度はあった。裏金づくりは二十年以上続いたということなわけですね。プールした金額を記したノートが代々引き継がれていた、証拠もあるはずであります。
 そういう意味で、これは単に会計法上の保存期間の最低限の五年、そういう根拠だけでこの期限を九五年以降に区切った、そういう点に、外務省のこの問題での本当に真剣な姿勢が欠けているんじゃないかということを指摘しなくてはならないと思うんです。
 あわせて、大体、プール金の問題は、もう既に昨年一応の報告はありました。しかし、このプール金、一体どの予算項目から捻出されたのか、相手業者はどこか、こういうことは一切明らかになっていないわけですね。こういう点は明らかにすべきじゃないでしょうか。
北島政府参考人 委員からただいまプール金の原資となっていた予算科目について御質問があったわけですけれども、これまでほかの機会にも御説明申し上げてきていますけれども、プール金の原資については、文化人等招聘費、招聘外国人滞在費それから庁費、そういったものが含まれていたということが明らかになっています。
 他方、予算科目ごとに幾ら積み増しされていたかということを算出することは、プール金については、個々の契約において企業側においてすら幾ら積み増されていたかが明らかでないケースもあり、それから、国庫より企業側へ種々の予算科目より一括して支払いがなされる際には、これら全体について積み増しされていることが多かった等の事情により困難であるということをこれまで御説明して、御理解をいただくようにお願いしてきております。
 それから、委員からさらに企業名の公表に関して御質問がございました。
 ホテルニューオータニ及び日の丸リムジンにつきましては、既に昨年七月以降に外務省職員が逮捕、起訴された刑事事件というのがありまして、プール金があったことが判明していますし、また、外務省の所管法人である国際交流サービス協会においてもプール金の存在が判明しているということでございますが、他方、その他の企業につきましては、各企業より企業名の公表につき押しなべて否定的な要望が表明されていたということで、その場合には、企業側の同意なしに一方的に企業名を公表するということが難しい点、ぜひ御理解をちょうだいしたいと思います。
大森委員 これはニューオータニの場合もそうですが、他の業者の場合も、相手業者の協力がなければそういうプール金のシステムそのものが機能しなくなってくる。そういう点で、これはもうやはり明確にすべきじゃないかと思います。
 あわせまして、外務省の公金支出、これは見積請求書を添付して、高裁を仰ぐと外務省では言っているそうでありますけれども、事前の決裁、こういう形でやっている。この高裁を仰ぐのは、主管課長、主管課の首席事務官等のサイン、たくさん必要だということになっております。したがって、こういうプール金、預かり金づくりを指示した課長名などもすべてわかることになっているわけですね。ところが、そういう点は明らかにされていない。一方的な返還金の負担の押しつけだけでは、やはり問題は解決しないんじゃないかと思います。
 これは、皆さんの報告があったと同じ日に、外務省職員等返還金への支払い要領という形で、それぞれの負担の、返還の要旨、こういうのが配られておりますけれども、この中には何も、こういうプール金の問題、税金を不当に、不正に使ったんだ、そういう点での反省とか一切ない、ただただ事務的に、実務的に処理されているということで、本当に真剣なこの問題への反省がされたんだろうかという強い疑問を持つわけであります。
 当時、新聞にも、この問題は強い関心を呼んで投書等もありましたけれども、一つだけ紹介をしますと、「外務省職員処分は寛大過ぎる」。これはある新聞の、大津市の主婦の方でありますけれども、「日本はどうしてこんなに役人に寛大なのだろう。一般の会社なら、たとえ一万円横領しても、信用を失ってクビになるところもある。万引きをした商品を返せばそれでいいのか。盗んだ金を返せばそれでいいのか。」という投書ですね。これが私は多くの国民の率直な気持ちであると思うんです。
 こういう国民の考えに、大臣は、これは前の大臣のときだということにしないで、ぜひこれは大臣のお考えを伺って質問を終わりたいと思います。
川口国務大臣 プール金事件ということにつきましては、これは国民の方が外務省のお金の使い方に御不信の念を持たれるということは、私はよくわかります。通常であれば、例えば送別会といったようなことであれば、みずからお金を積み立てたり、あるいは原稿料を一定金額積み立てたり、あるいは全額積み立てたり、そういうことをしてほとんどのところは処理をしている話であると思います。ですから、そういう意味で、外務省のその問題について御不信を持たれるというのはよくわかります。
 他方で、外務省といたしましては、この件については当時調査を行い、また必要な金額を外務省の職員の方から集めて、それで国庫に返納をいたしたわけでございますし、その過程で約三百三十名の職員に対しての処分を行っているわけでございます。そういった意味で、この問題については、それなりの処理を外務省としてした話であろうかと私は考えておるということでございます。
大森委員 終わります。
渡海委員長 次に、山口わか子君。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。最後になりまして、もう大分疲れてきたと思いますが、もうちょっと頑張って。
 社団法人臓器移植ネットワークに対する補助金について、この前に続きまして御質問させていただきたいと思います。
 三月十三日に御質問させていただきまして、そのときの御答弁で、補助金適正化法上の是正命令を含めて厳正に対処してまいりたいという御答弁をいただきまして、ありがとうございます。そこで、早速資料を出していただきまして、補助金の交付確定の書類も見せていただきましたので、それについて御質問させていただきたいと思います。
 まず、平成十二年度の補助金交付が確定したということで、超過交付になった八百八十六万円について、どのような事業による経費だったのか、その内容について御説明をしていただきたいと思います。
下田政府参考人 本年の二月八日付でネットワークから提出がございました事業報告書を適正に精査をいたしました結果、委員御指摘のように、交付済みの補助金額よりも八百八十六万円低い五億二千六百八十五万三千円ということで確定をいたしております。
 なぜ八百八十六万円返還を求めたのかということでございますが、この八百八十六万超過交付となった理由につきましては、一概にどの事業からの経費ということは申せないわけでございますが、例えて言えば、この中で人件費の部分がございまして、この部分の医療専門職設置費というものが平成十二年度から認められておりますが、当初二名分で計算をいたしておりましたものが精算段階で一名分となったといったところが大きく寄与をしているわけでございますが、これだけが八百八十六万円の超過交付の原因ではございません。
山口(わ)委員 ただいま御説明をいただきましたけれども、この八百八十六万円の中身につきましては、私もこの実績報告、それから前の交付申請を見せていただきまして、最初のときは確かに二人になっていたわけです。そして、二人の合計額が約二千二百万円ということになっておりまして、今度、その実績報告の段階ではそのうちの一人がいなくなったと言うとおかしいんですが、二人が一人になっている。もう一つは、その中で、一名分のところは、逆に東京女子医科大学に対する契約として三百万円の支出をしているというふうになっているわけです。
 そこのところがどうしてそうなったのか、ちょっとそこら辺が理解できないところだと思いますが、例えば、医療専門職というのはそんなに大勢いるわけではないと思うんですね。恐らく本部に一人しかいないと思いますし、この実績報告を見せていただいても、全部名前が消えているわけです。ですから、どなたが医療専門職なのかということは私の方では全然わかりませんが、恐らくこの人たちというのは、移植ネットワークの医療専門職としてホームページに載っている名前を見ますと、そんなにたくさんいるわけはないと思いますし、恐らくこの段階では二人ぐらいしかいないんではないかというふうに思うんです。
 でも、そのうち一人が消えているということを考えてみますと、もう一人の人が、交付申請をしたときには実際に仕事をしている人ではなかったのかもしれないという疑問を持つわけですが、その辺についてはどういうふうに査定をなされたんでしょうか。
下田政府参考人 臓器移植を進めていく上では、どうしても医学的な判断を要する場面が多く出てまいります。そういったことから、平成九年にこの社団法人が発足をいたしたわけでございますが、発足当初から、医療顧問というような肩書であったり、いろいろな形でそういう相談に乗っていただくシステムができておったわけでございますが、平成十二年度から、こうしたものをきちっとした組織として位置づけたいということで、二名の医療専門職というものを、常勤二名という形で予算補助を行うということを決めたわけでございます。
 しかしながら、一名につきましては常勤で確保できたわけでございますが、もう一名につきましては、東京女子医科大学から派遣される医師をお願いするということといたしたわけでございまして、この方につきましては、女子医科大学の常勤の医師でございますので、女子医大とそれからネットワークとの話し合いによりまして、この部分については委託契約という形で決着がついたもの、このように聞いておるところでございます。
山口(わ)委員 そうしますと、当初は二人いたということは、交付申請の時点では確認されていたわけですね。ですが、実際には一人しかいないということで、委託契約を結んで、そのところに三百万支払ったということでよろしいんでしょうか。この辺がちょっとはっきりしないわけですけれども、実際に、このあっせん対策本部には八月一日現在で、本部長が一人、コーディネーターの方が一人、移植ネットワークの方が、情報管理担当の方が一人、この三人しか記載がないわけです。
 この情報管理の事務の人の名前を載せているんですが、医学部の教授の名前が載ってないということになるわけでして、この二〇〇〇年、十二年の時点では、やはりもう一人の人の勤務実態が実際にはなかったのではないかというふうに思うわけです。なかったのにもかかわらず三百万円を支払っているということになりますので、その辺はきちっと確認されて出しているのでしょうか。
下田政府参考人 社団法人の臓器移植ネットワークにおきましては、四部体制をしいておりまして、医学的な部分についての相談は、医療本部といったところを設けましてその対応に当たっているということでございます。その医療本部の中に、先ほどから申しました医療専門職、この方を常勤で二名配置をするということで考えておったわけであります。
 交付決定時点におきましてはそのような形で考えていたわけでございますが、実際に配属をする時点になりまして、一名の常勤は確保できましたが、もう一名につきましては、女子医大と兼務をしておるという形で常勤にならなかった。非常勤という形であったということで、女子医大との契約で、当初想定をしておりました額よりも相当低い三百万という形で契約がなされた、こういう経緯でございます。
山口(わ)委員 それでは、臓器移植推進事業の事業費についてですけれども、基準額が九百六十八万七千円増額されているわけですね。当初の補助金申請時よりは基準額が増額されているわけですね。そのほかにも増額されているところがあるわけですが、精算段階でなぜ増額になったんでしょうか、基準額が。
下田政府参考人 八百八十六万円の超過交付になった時点で申し上げたわけでございますが、この補助金につきましては、交付要綱に従いまして、科目間の流用というのがある程度認められておるところでございます。原則的には厚生労働大臣の承認が必要でございますが、二〇%以内であれば、その科目間の流用が認められてございます。
 そこで、先ほど述べました人件費の部分、これが二名分の常勤が一名で、一名の常勤プラス非常勤という形で人件費が余ったということでございますが、その部分の二〇%相当部分を事業費に回した、こういう形になってございます。そういうことで、委員御指摘の形の、精算段階で物によっては実際よりもふえておるという精算になっているということでございます。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
山口(わ)委員 ただいま御説明をいただきましたけれども、私がちょっとこれを計算してみましたら、基準額が九百六十八万七千円増額されているわけです。その他の部分でも増額をされていて、減額になった部分もちょっとはありますけれども、増額されている部分が多いわけで、これを合計しますと、大体約千二百万くらいふえているわけですね。そうすると、さっき八百八十六万減額になったわけですが、結果的にはちょっとふえて、さっきの減額された分もこの中で相殺されているというふうにしかちょっと私には読み取れなかったわけですね。
 そうすると、今回のこの移植ネットワークに対する補助金を返してもらうということに結果的にはならないんじゃないか。もしかしたら、移植ネットワークの皆さんが全部使っちゃったから、こちらの所要額の計算のところで基準額をふやしたのかなというふうにちょっと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
下田政府参考人 交付をいたしますときに、幾つかの科目に分かれてございます。その一つ一つについて御説明をすればよろしいわけでございますが、結果として、ふえるところ、それから流用した部分、こういったものを合わせて最終的に八百八十六万円の超過交付であったので、この部分について返還を求める、こういうことになったということでございます。
山口(わ)委員 それでは、次の御質問ですが、今までに、厚生労働省としてはたくさん勧告をされています。検査もされています。そして、私もそれを見せていただきましたけれども、本当にこの移植ネットワークというところは随分いろいろなことをやっているんだなというふうに思ったんです。
 例えば、機関誌の作成業者にかかわる選定につきましても、委託契約も結ばない、入札にもよらない、そして、随意契約で一件百万円を超える支出についても社団の事務処理上の規定を無視して出しているというようなことが見受けられましたし、これは報道によりますと、急にこの業者を変更したことにつきまして、その変更した業者が会長の縁戚、姻戚関係にあるところだったというようなこともございましたし、それから、社団からの助成金の交付先である団体のうち、十二のうち九までが団体の役員をしているところに助成を出していたというようなこともありましたし、この社団役員の構成につきましても、親族関係の特別の利害関係にあった人のところにかなりたくさん助成がされているという部分も指摘をされているようでございます。
 また、一九九七年から、だから十年から十一年にかけまして、移植ネットのような公益法人に寄附する法人が税法上の優遇措置を受けられるということで、製薬会社などの資金を一たん受け入れて学会や団体に流すトンネル寄附のようなこともされていたというふうに伺っています。
 このことにつきまして、かなり多くの指摘がされているわけですが、今までの補助金につきましては一切返還要求もなされていないようですし、この内容について移植ネットから報告を受けているようですし、改善の報告書もこの間見せていただきまして、これから改善するという報告は確かにこの報告書の中で見られましたけれども、今まで移植ネットにかなり多くの、五億から七億という多くの補助金を出しているわけですが、こうしたいろいろな勧告に基づいて、これは適当ではないということで補助金を返還してもらうというような、そういう措置はなさらなかったんでしょうか。
下田政府参考人 ただいま、ネットワークに関する立入検査の御指摘がございました。
 事実関係を申し上げますと、昨年の六月二十七日にネットワークに立入検査を行ってございます。その際に、改善勧告を七月三十日と八月二十一日、二回にわたりまして出してございます。その勧告の内容は、ただいまの委員御指摘のような内容を踏まえまして、大ざっぱにいきまして三点あったというふうに理解をしております。
 一つは、事業実施に係る事務処理について適正に行うことということでございまして、これは委員御指摘のように、例えば機関誌の編集業務に係る契約行為、こういったものに不適当なところがあった、こういったことを踏まえまして、事務処理規定に基づき適正に行うことということを一つ指摘しております。
 それから、二つ目といたしましては、臓器移植に関する調査研究、こういったものを行います場合に、御指摘の交付先指定寄附金、いわゆるトンネル寄附と言われるものでございますが、こういったものが見られたということでございましたので、社団の助成金交付規程に基づき適正に処理することということを二点目で指摘をいたしております。
 三点目は、社団そのものの適正化を図るために、監事機能について強化をしてほしいということで、複数選任する等その体制を見直してほしい、こういう指摘をやったところでございます。
 その結果として、財団そのものが、三月の二十日に文書をもちまして、すべて指摘どおりに改善をしたという報告を私どもとして受け取ったということでございます。
 ただし、この立入検査に基づく改善勧告等につきましては、補助金の交付要綱等に照らした不適切な事業を実施していたといった旨の指摘をしたものでは実はないわけでございます。
 一方、補助金の確定、これは交付確定それから精算という形をとるわけでございますが、各年度において実施をされております事業が交付要綱に基づきまして適正に実施されているかどうかの確認を毎年いたしておりまして、その結果精算をするという手続をとっておりますが、これまでのネットワークの事業等を見てまいりましても適正に実施されておるということでございまして、平成十一年度以前に交付された補助金について問題があったというふうには考えていないところでございます。
 したがいまして、ただいま御指摘のこの改善勧告に基づいてさらに過去の補助金の確定見直しをやるべきではないかといった部分については、考えていないというところでございます。
山口(わ)委員 私はこの勧告の内容を見まして、幾つか本当に常識では考えられないようなことが起こっているわけですね。例えば、今まで契約していた業者を急に自分の姻戚関係のある会社に切りかえて、しかも委託契約も入札もしない随意契約で、見ますと、もう平成八年から十二年度までずっと約一千万円近いお金が、契約で事業を行われているわけですね。これが本当に正しいかどうかというのは非常に疑問があるわけです。しかも、今まで頼んでいた業者を、急に自分の、めいだそうですけれども、めいの会社に急に切りかえて、しかも入札もしない、随意契約で出してしまうということは、本当にこれが正しいのかどうかというのは、やはり厚生労働省としてはきちっともうちょっと調査をしなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
 私は今まで自治体にいましたが、もし、自治体の補助金、国からもらう補助金でそんなことをしたら、会計検査院からすぐ補助金返還命令というのが来ちゃうわけですね。ですから、私は、実はこんなことをやっていても厚生労働省は全部補助金を認めちゃうのかなというところが非常に疑問に思ったものですから伺ったんですが、ちょっとここで会計検査院の御意見を伺いたいと思いますが。
増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 お尋ねの補助金の問題につきましては、厚生労働省の方で調査を行い、対応していると聞いておりますので、私どもといたしましては、ただいま先生が種々御指摘になった点を念頭に置きながら、これまでの経緯などにつきまして厚生労働省から説明を求め、本件補助事業について十分把握した上で適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
山口(わ)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。これからはぜひ厳しく御審査をしてくださいますようにお願いいたします。
     ――――◇―――――
渡海委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件、特に、政策評価制度と行政監視の在り方について調査のため、来る二十四日水曜日午前九時三十分から、参考人として米国ジョージタウン大学政策大学院研究教授上山信一君、東京大学大学院法学政治学研究科教授田辺国昭君、東洋大学経済学部教授・都市デザインセンター長竹内佐和子君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次回は、来る二十四日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時七分散会


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