衆議院

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第8号 平成14年5月22日(水曜日)

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平成十四年五月二十二日(水曜日)
    午後四時四十分開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 西  博義君 理事 塩田  晋君
      逢沢 一郎君    石田 真敏君
      岩永 峯一君    江藤 隆美君
      小西  理君    橘 康太郎君
      谷  洋一君    土屋 品子君
      中川 秀直君    額賀福志郎君
      武藤 嘉文君    森岡 正宏君
      森田  一君    井上 和雄君
      石井 紘基君    大谷 信盛君
      金子善次郎君    今野  東君
      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    平野 博文君
      神崎 武法君    大森  猛君
      穀田 恵二君    山口わか子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   外務大臣         川口 順子君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣         石原 伸晃君
   総務副大臣        若松 謙維君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第四局
   長            有川  博君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           板倉 敏和君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 原田 親仁君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省職業能力開発
   局長)          酒井 英幸君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  山名 靖英君     西  博義君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  山田 敏雅君     大谷 信盛君
  西  博義君     山名 靖英君
同日
 辞任         補欠選任
  大谷 信盛君     山田 敏雅君
同日
 理事山名靖英君同月二十一日委員辞任につき、その補欠として西博義君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 歳入歳出の実況に関する件
 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、西博義君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
渡海委員長 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁長官嶋口武彦君、総務省大臣官房総括審議官板倉敏和君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省行政管理局長松田隆利君、外務省大臣官房審議官原田親仁君、外務省北米局長藤崎一郎君、厚生労働省職業能力開発局長酒井英幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。
桜田委員 自由民主党の桜田義孝であります。
 本日は、官僚の人事システムの問題と決算行政監視委員会のあり方、真の政治主導実現のための制度改革、公務員の給与、退職金問題について、四点についてお伺いいたしたいと思います。
 まず、石原大臣でありますけれども、最近公務員制度の改革ということが言われておりますが、国民的関心の高い官僚の人事システムについてちょっとお伺いしたいと思います。
 行革担当大臣に、ノンキャリアとキャリアということでありますが、我々、よくごあいさつに来るときに名刺がちょくちょく刷り変わって、あいさつしてもなかなか官僚の名前を覚えられないですよね、いろいろあると。そんなことで、平均的な、具体的なシステム、どのぐらい在職しているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま桜田委員が御指摘されましたのは、国家公務員の人事管理でございますけれども、これは各府省ごとに1種、2種、あるいは事務官、技官の別を基礎にして行われております。
 委員からの御質問があるということで、どこかにまとまったデータがないかと調べたんですが、人事院も含めまして、まとまったデータというものはないんですけれども、ヒアリングをさせていただきました感じからいたしますと、1種の事務官、要するにキャリアの事務官を見ると、ただいま委員が御指摘されましたように、一年ないし二年のインターバルで異動していることが多いように見られております。また一方、2種、3種の職員の場合ですけれども、1種採用職員よりもインターバル、すなわち期間が長いんじゃないかというような指摘もありますけれども、その一方で、予算執行事務や許認可の事務については、同一の職員の方が同一の職責で三年以上在任することのないように人事配置がとられている、そのように承知しております。
桜田委員 私なんかからすると、一般の会社からするとちょっと短過ぎるんじゃないかというような気がするんですね。
 よく公務員の人に割と不信感を持ったりなんかしている場合は、やはり公務員は責任感がなさ過ぎるとか責任の所在を明らかにしないとか、こういう問題が出てくるんですけれども、一年だと責任のとり方がないんじゃないかというような気がするんですね。行政の連続性ということになると、責任を持たせるには、今、石原大臣の御答弁で、三年以上長くならないようにという御指摘なんですけれども、むしろ私は、最低三年は必要なんじゃないかなというような気がいたします。
 公務員の中だと、余り長くなると松尾事件みたいなのが起きるから長くならない方がいいというんですけれども、やはりこれは質の問題であって、私はもうちょっと、責任感のなさというのを指摘するというよりも、システムそのものに問題があるんじゃないかと思うんですけれども、この辺、いかがなものでしょうか。
石原国務大臣 ただいま、外務省の事件を例に出されて、桜田委員御質問されておりましたけれども、一概に期間というものは本来決められるものじゃないと思います。個人の問題あるいは組織の問題として事件が起こっているのか、それとも、同一ポストに長くいたから事件が起こったというのはなかなか考えにくい。やはりある程度の期間腰を据えてやるということも大切であると私も考えております。
桜田委員 薬害エイズのときも余り法的責任をとる人がいなかった、あるいは大蔵省の不祥事、BSE問題としても、また外務省の問題でも、案外責任のとりようがなかったのか、とらせようがなかったのか、やはり責任をとらせるには若干システムに問題があったんじゃないかなというような気がいたします。
 それと、部署に、公務員改革の中で、いろいろなポストを三カ所回ったら次の位に、位と言うとおかしいですけれども、位に行くという職能の分担があるように思われるんですけれども、やはり一つの役割に長くいても、その都度公務員として出世できるような、そういう専門性を重視するような公務員制度は、私としてはぜひお願いしたいなと思います。
 そして、キャリアとかノンキャリアとかと余りかかわりなく、一つの仕事をまじめにやっている人が正しく評価されるようなシステムにぜひしていただきたいなというふうに思うんですけれども、いわゆる専門性の評価ということについて、石原大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま桜田委員が御指摘されました専門性の評価を行っていくというのは、私も非常に重要だと思っております。
 その一方で、これまでの人事制度がどうなっているかといいますと、硬直的や年功序列というような言葉に代表されるような面が多々あったと思うんですが、今回の公務員制度改革では、その専門性を評価していく上でも、能力本意の適材適所の人事配置、口で言うのは簡単なんですが、なかなかこれは行われていません。
 また、先ほど来委員が御指摘の責任を全うするということでは、職責、業績を適切に反映するインセンティブに富んだ給与の実現、あるいは能力や業績を適正に評価する、この評価のところで、委員御指摘の官僚の専門性の評価というものがなされてくると思いますけれども、新たな評価制度の導入等々、職員の能力や実績や経験を生かすことのできるような制度設計を現在考えさせていただいているわけでございます。
 こういう制度のもとで、委員が御指摘されておりますように、専門性を高めることを評価していく人事運用も初めて可能となりまして、真に能力本意で適材適所という人事管理が図られるような人事システムの確立を目指して、これからも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
桜田委員 石原大臣、もうありませんから、どうぞ御退場ください。
 官房長官に一つお願いしたいんですけれども、私なんか決算行政委員会をやって、これは立法府の、議会の問題でちょっと答えづらいかもしれませんけれども、この前も大分、ことしの決算行政委員会のメンバーは熱心な人ばかりそろっていて優秀な人間だという評価をいただいて、十年、十一年と二年連続ここで終わらせて次の年までやろうというような状況なんですけれども、決算というものをやるとき、私は、ちょっとタイミングが合わないというか、平成十年のをやるわけですよね。一たん会計が終わって、それで会計検査院が終わって、それからいろいろ資料が出てきて、それを検査するわけなんですけれども、どうも検査をする側からするとぴんとこない。昔のことだなと。
 果たして、決算はそれでまだよしんばいいとしても、行政監視委員会ですから、行政の監視ということになると、やはり今やっていることを、要は平成十四年度の予算において予算の執行状況や行政が円滑に動いているかどうか、今やっているものを今調べた方がいいんじゃないかというような気がするんです。
 これは我々の問題かもしれませんけれども、巨大な権力や行政府、国民主権の思想のもと我々選ばれた人間として、国権の最高機関である、国民のための監視をするという枢要な機関でありますので、二、三年前のことよりも今やった方がいいのではないかという気がするんですけれども、そういったことについては、行政側としては、官房長官はどういう見解を持っておられるでしょうか。
福田国務大臣 御指摘のとおり、政府として院のことについて意見を申し述べるということは、これは差し出がましいことでございまして、お答えしにくいことでありますけれども、政府といたしましても、決算の国会審議の重要性を十分認識して、決算の国会への早期提出に努力するなど最大限の協力をしてまいりたい、こう思っております。
 私もこの決算委員会で監視される立場で、三年、四年前の審査を受けるというのは初めて知りまして、実はびっくりしたところでありますけれども、私ども精いっぱい努力をしてまいりたいと思っております。
桜田委員 それと今、国の行政というのは巨大な権限、権力を持っているわけでありますけれども、国民主権の思想のもとに、実質的にコントロールするためには、これは真の政治主導型の政府でなければならないなというふうに思っているんです。その諸改革についてお伺いしたいんですけれども、昨年一月から副大臣、政務官の制度が実現するようになったんですけれども、政治主導体制という面から、行政側から見て、今、副大臣、政務官制度は順調にいっているかどうか、その辺のことを官房長官から見てお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 端的に申し上げれば、だんだんそのよさが定着しつつあるのではないかな、こんなふうに思っております。
桜田委員 わかりました。大変前よりはよくなっていいとは私自身は思うんですけれども、でも私は、もっともっと副大臣や政務官というのは利用方法があるのではないかというような気がするんです。もっと利用方法というか、役立つやり方があるのではないかなというふうに思うんですね。それで、もっと役人をリードするには、副大臣、政務官が少な過ぎるんじゃないか。イギリスのような議院内閣制において、自民党と公明党と保守党、与党が約四百人いるものですから、今の半分ぐらい、二百人ぐらいは内閣の中に入っていないと、やはり政治主導というものはなかなか出てこないのではないかというような気がいたします。
 私もいろいろ、政務官の経験はあるんですけれども、官僚から見て、副大臣、政務官、大臣はもちろんですけれども、やはりまだまだお客さんでいるんじゃないかなというふうな気がします。それで、もっともっと政治主導にするには、やはり数がいないとだめなのではないか。そして数と任期、四年なら四年、ぴしっと同じ専門性をやっているということが必要なのではないか。真の政治主導型の内閣をつくるには、そういったことがぜひ必要なのではないかというふうに私自身は思っているんですけれども、官房長官の所見をお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 従来、三十二人の政務次官がおられたんですけれども、省庁再編の結果、副大臣、大臣政務官、合わせまして四十八人になりました。五割アップということでございます。そして、副大臣また大臣政務官は、それぞれの立場でもっていろいろな活動をされていらっしゃるわけですね。桜田委員も外務大臣政務官として大変活躍をされましたよね。えひめ丸事件など全面的にお一人で対応されたというようなことで、またそれは、その時々に政治判断が伴うことも大臣政務官だからできたという部分はあったんだろうというように思います。
 ですから、そういうよいところをいろいろ活用していただく。副大臣も今、副大臣会議というのがございまして、ここで個別の案件について、例えば幾つか申し上げますと、国際組織犯罪対策とか、また産学官の連携強化、それぞれ副大臣会議でもって取り上げているテーマでございますけれども、関係副大臣が集まりまして、そしてそこで議論をし、意見をまとめるというようなこと、そしてそれを政策提言するというようなことをされておられるわけでございます。
 従来であれば閣僚会議を開いてやらなきゃいけないというものを、副大臣のところで処理をしてくださるということは、これは政策提言の、扱う政策の幅も広がりますし、また、その場を通じまして省庁間の壁を取っ払った議論ができる、こういうふうなことがありまして、これは今までと大分様相は違ってきたなというようなことも感じております。
 数も、人数のことを言いますとこれは切りがありません。そういうことをするためには、我々の方としては数が多くてもいいんじゃないかと思うけれども、しかし反面、そんなことをしたら、今半分というふうにおっしゃったけれども、党の方がやっていけるんですか。党もいろいろな仕事があるわけですね。こっちの方のこともお忘れなくひとつよろしく、合理的な役割分担というものが必要なんだろうというふうに思います。
桜田委員 なぜこういうことを聞くかというと、例えば、最近、公務員に対する国民の信頼感が揺らいでいる。やはり、日本は昔から官僚は優秀だと言われているんですけれども、その評価が世界的に二十年前と比べてどうなんだろうか、今の官僚は。私は、官僚が優秀であってほしいと思うんですけれども、日本は世界一優秀な官僚だと言われているんですね。
 大臣が言われたように、私がえひめ丸で行ったときは、本当に現地の職員は一生懸命やっていただきまして、うそもなく、本当に献身的にやっていただいて、職員あっての政務官であったなということで、非常に今でも外務省の職員の人に感謝の念でいっぱいですけれども、私は、最近の外務省のことでも、瀋陽か何かに職員が行って現地視察して、それで、また余りいい報告書が出てこなかったと。むしろスピーディーに政務官でも一緒に派遣したならば、また、これも書いていなかったんじゃないか、あの報告書はおかしいだとか、そういうことが政治家のチェック、政治家の目が必要だったのではないだろうかというふうに若干思っているんですけれども、その点はいかがなんでしょうか。
福田国務大臣 今回の瀋陽の事件で、杉浦副大臣がこのことのために中国に行かれるということでありましたら、もし行かれれば、そういうことについて現地でいろいろお話を聞くというようなこともできたかもしれぬ、こう思いますけれども、しかし、今の役所で役人がやっていることについて、やはりそれはそれできちんとやってもらわなきゃ困るわけですね。きちんとやってもらうようにまた、大臣、副大臣、政務官がいろいろと指導しなければいけない、そういう部分もあろうかと思います。翻って、我々の立場で考えた場合に、じゃ、大臣、副大臣、政務官、きちんとしているのかというようなことについては、我々も内心じくじたるところはあるわけで、そのことは大いに反省しなきゃいけない。
 しかし、役人とこういう政治家がお互いに適度の緊張関係を持ちながら、お互いに牽制し、そしてお互いがよりよくなるように日常努力すべきである、こんなふうに思いますので、我々がすべて正しいんだというように、それは努力しなきゃいかぬけれども、それと同時に、役人も正しい方向で大いに活用できるようによく指導する必要があるというようなことも考えておるところです。
桜田委員 それと、私、事務次官のことについてちょっと。
 官僚のトップが事務次官であって、官僚は常に事務次官を目指して毎日一生懸命頑張っておることと思うんですけれども、果たして我々にとって、私は閣僚になったことがないので閣議なんかわからないんですけれども、閣議の前に事務次官会議で満場一致でやらなければ閣議に提出できないというようなことが行われて、自由民主党の国家戦略会議の中でも事務次官会議の廃止というようなことがうたわれていたように思うんですけれども、私、果たして事務次官というのは必要なのかなと。
 官僚のトップが事務次官になると、やはりそこは一つの省庁の会社の社長みたいな形になって、社長が事務次官になってしまって、どうも大臣と副大臣、政務官が社長以外の部分になってしまうんではないか。できれば民間並みに、社長はやはり大臣であって、そういう行政システムであった方がいいなというふうに思うんですけれども、私は、事務次官がそんなに必要なのかな、政治主導型あるいは政治家のリードができないのは、やはり事務次官会議とか事務次官の存在が余りにも大き過ぎるのではないだろうかなというふうに思っているんですけれども、その辺、いかがな見解を持っているでしょうか。
福田国務大臣 事務次官というのは、各省大臣の政策判断に基づいて、主に行政の執行面において事務を整理監督することを職務といたしております。この機能というのは、政治主導の政策決定システムのもとで、引き続きこれは必要なのではないかなと思うのです。事務次官がいるから政治主導できないということでもないし、また、事務次官会議があるから支障になるというものではないというように私は思っております。
 何しろ、政治家の方は半年期限でどんどんかわっちゃうんですよ。ですから、この巨大な組織を維持し、また順調に運営するということについては、これはやはり、ずっと一生そこで暮らす人に責任を持ってもらう。その中ですぐれた者が、仕事の面でも、そしてまた人格的にもすぐれた者が最後事務次官になる。この形というのは、私は決して否定してはいけないものではないのかなと。
 もう少し私が、例えば五年、十年大臣でもさせていただくということであるなら、そういうような事務次官は要らなくてもいいんじゃないか、そういうことは言えるんじゃないかと思いますが、今の状況において、また政権もしょっちゅうかわりますね。二年ごとにかわるとか、二年以下だとかいうような現状において、政治に振り回されてしまう各省官庁、そしてそのお役人ということで、本当に秩序は保たれるかどうか、そのことを心配いたします。
桜田委員 私も、事務次官は今は必要じゃないかと。現在の政治状況の中では絶対必要ですよね。福田大臣、もう五年もやらせていただければ要らないかもしれないと。何が何でもという御答弁が出てこなかったというのは、我々が確かに今一年、二年でかわっちゃったんじゃ、やはり事務次官は絶対必要ですよね。
 私はいつも、政治家が内閣に入るのを、一年ぐらいでやめさせないで、四年なら四年、任期を務めることが理想であるという前提に立っておりますので、その四年間、政治家がやるということを前提の上での事務次官は果たしていかがなものだろうかなということでありますので、現状の中では、廃止しようとかそういうことは全く考えておりませんので、その辺のことはひとつ御理解いただきたいなというふうに思います。
 それから私は、国会審議、これもまあ内閣の人は答えづらいかもしれない。私も政務官をやっていて、福田官房長官もそうなんでしょうけれども、朝から晩まで、一体、行政の組織で行政に所属している人間、年がら年じゅう国会答弁ばかりやっているんですよね。私も、外務大臣政務官を短い間ですけれどもやらせてもらいました。大体朝七時半から、答弁のすり合わせをしてやっているんですよね。朝から晩まで国会ばかりやっていて、外務大臣はいつ外交の仕事をするんだろうか、こう思うことが非常に多いんですよね。
 私は、ここで副大臣だとか政務官だとかをもっと国会に出して、副大臣が二人、三人いれば、その人に国会答弁なんかはやらせて、大臣だとかはやはり外交に行って、世界でグローバルな時代に、首脳外交なんというのは極めて大事な御時世だと思うんですよね。それを国会が足かせになってスピーディーな行政が執行できない、こういう懸念を私は持っているんです。
 外務大臣なんか、年がら年じゅう外国に行ったり要人を迎えたりして、国会答弁は副大臣に任せるとか、そのくらいの考えがあってもいいんじゃないか。私は、行政が余りにも停滞し過ぎているのではないかというような気がいたします。その辺をちょっとお伺いしたいなと思うのです。
福田国務大臣 国会答弁、大変だというお話でございますけれども、これは本当に大変なんで、私も、けさは朝九時から、本会議を入れまして四つですね、会議が。きょう今これは四つ目でございますけれども、きょうはこれで解放されますけれども、大臣が必ず答弁しなきゃいけないというように要求を受けるということであります。
 それは、質問する方から見ればその方がいいに決まっていますけれども、それはまさに大臣の仕事を縛ってしまう。特に外務大臣のような立場になりますと、国際会議等がございます。それも外務大臣が出なきゃいけないというような国際会議もあるわけでありますので、ですから、やはりなるべく国会で縛らないで、そういうものに出席をさせていただくということが、まさに国益にかなうことだというように思っております。そのことでは、国会の答弁制度のことですから、国会運営のことについて、私どもで余り私どもの立場のことばかり言えないけれども、これは国会の中においてぜひ真剣なる御議論をいただきたい。
 ただ、大臣が出られないから副大臣、政務官が国際会議にかわりに出る、これは回数は物すごく減りました。それはそれで活用はさせていただいておるということですね。
桜田委員 私は、首脳会議と国際政治の方に大臣が出て、副大臣、政務官が、国会の、国内のものは処理した方がいいんじゃないかなというふうに思っていますし、これだけ百五十日の国会で、朝から晩まで国会答弁のすり合わせばかりしていて、行政が停滞することを深く懸念するものであります。
 イギリスとかイタリアとか、サッカーの一流のワールドカップをやる人でも、一日に二時間しか練習はやらないそうです。日本みたいに、こんなことは失礼、ちょっと誤解があるかもしれませんけれども、二時間じゃなくて、三時間も四時間も日本人はやりますよね。練習が終わった後には反射能力がなくなるほど練習しますけれども、彼らはそれこそ二時間に集中してやる、それ以上やらないと。
 国会の議論も、やはり大臣であれば一日二時間もやれば十分ではないだろうかと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいなと思います。では、これは答弁は結構ですから、どうぞ。ちょっと次の質問があるんで、ありがとうございます。官房長官、御質問終わりです。次の時間がちょっとなくなっちゃうんで、本当は聞きたいんですけれども、御苦労さまでございます。
 片山大臣にお伺いしたいんですけれども、私は、いつも、ばんたび質問しているんですけれども、公務員の退職金の支払い金について非常に疑問を持っている人間なんですね。よく私、この前も人事院の存在というものが、官民の格差是正だけだったら、総務部会か何かでやってしまって、人事院なんて要らないよというのが私のあれで、給料の格差はあれかもしれませんけれども、退職金は総務省でというんですね。
 そうすると、公務員の仕事の評価に対する分野と生涯賃金の問題なんか、なかなかわかりづらいんじゃないかなというような気がするんですけれども、その辺、片山大臣に、実際どのぐらいの退職金が支払われているのかも含めて、人数、概略でいいですけれども、そんな所感を聞かせていただければありがたいなと思います。
片山国務大臣 国家公務員、地方公務員も同じですけれども、これは大変仕事が公共性がある、地位が特殊だということで、労働基本権を制約していますね。そこで、労働基本権制約の代償として、第三者機関の人事院を置いて、本来は労使で勤務条件は自決するわけですよ、両方相談して。ところが、それは労働基本権を認めていませんから、例えば争議権や団体交渉権を。そこで、人事院があって、人事院が民間を調べて勧告をして、それを受け入れるというのが今の制度なんですね。
 ところが、おもしろいんですよ。退職金は、公務員の勤務条件なんか入れていないんですよ。これは慰労金だという法的な位置づけで、勤務条件ではありませんから、退職金は人事院の所管じゃないんです。これは雇い主である内閣の所管で、そこで国家公務員法を所管している、あるいは給与を所管している総務省が、昔は総務庁ですけれども、今の総務省が担当している、こういうことでございまして、これはちゃんと法律で決まって退職手当は出しておりますが、総額は平成十二年度の決算ベースで約八千百五十九億円であります。
桜田委員 急いであと二問したいんですけれども、退職金ですけれども、やはり私は、いろいろな面で日本は国家に戦略性がないと言われておりますけれども、日本経済の中で今、経済戦略性を持つ場合は、六十歳以上の人が過半数の千四百兆円の金融資産を持っているということで、なるべく高齢者から若い人に資産移動をしなくちゃならない。
 私は、退職金制度の前倒し制がありますけれども、なかなか定着はしていないんですけれども、所得税と一緒にするからなかなか定着しないんであって、退職金の税率を前倒し制にもやって、ぜひ、六十過ぎて金を余り使うところがないような人が金を持っていて、二十代、三十代、金をいっぱい使いたい人が金がない、それが日本の経済の発展を拒んでいるという状態を見て、退職金制度についても経済活性化のための戦略性というものを持ってもいいと思うんですけれども、この辺の御検討はいかがでしょうか。
片山国務大臣 そこで、退職金が勤務条件ではなくて人事院の所管じゃないということを申し上げましたが、しかし、退職金も基本的には民間準拠、民間に倣う、こういう基本的な考え方なんですね。
 そこで、退職金の制度を変えるときは、民間を調べまして、民間がどうだということで今の退職金の水準を上げたり仕組みを変えたりするのはその制度をいじっているわけで、そういう意味からいきますと、今、桜田委員が言われました前払いの制度は、民間ではまだほんの一部ですね、一%、二%。検討しているところが五・六%。残りの大部分、九十何%は前払い制度というものを考えていないようでございまして、民間が導入していないときに、官だけが、公務員だけがというのはなかなか難しい、こういうふうに思いますので、民間で熟してくれば、それは検討の対象になると思います。
桜田委員 わかりました。私は、国家の戦略性を持った賃金体系ということで、官が指導力を持ってやれば、民もそれに従ってくるんではないかというような気がしますので。
 それと、最後に一つ。
 明治十九年に、清国と戦争状態になるかもしれないということで、非常に建造計画を練って、議会は全部否決しちゃったんですけれども、そのとき、お金がないということで、国家公務員は、六年間給与の十分の一、一〇%を返納して、建造計画に使ってくれとやって、そうしたら、それを受けて議会は満場一致で建造の大予算を実行できて、それが日清戦争の大勝利に結びついたということがあります。国会議員は一〇%カットしておりますけれども、公務員も私は五%ぐらいカットしたらいいんじゃないかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 これはなかなか難しい。今言いましたように、人事院が勧告をしたものを、そのまま完全実施を受け入れて給与を払っておりまして、返納だとか寄附だとかということは、国家公務員の場合には選挙をやりませんからそれは可能ですけれども、制度としてということはなかなか、これは検討の余地があると思いますが、この完全実施というのは、昔からやっておるわけじゃないんですよ。昔は、人事院が勧告したものを値切ったりあるいは見送ったりしたことはあるんです。だから、そういう段階でいろいろ議論することはあり得ると思いますけれども、一遍渡したものをというのはなかなか難しいので、例えば人事院勧告があった場合に完全実施しないということの検討をやるということは、これはあり得ると思います。
桜田委員 では、これで終わります。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、平野博文君。
平野委員 民主党の平野博文であります。
 質問時間が短いものですから、十分に御議論ができるかどうかわかりませんが、できる限り簡潔にお答えをいただきたい、このように思っています。
 きょうは、実は、総務省の所管というんでしょうか、責任監督省庁であります総務省の外郭公益法人の自治体国際化協会、いわゆるJETプログラムに関する問題点がいろいろ出てまいっておりますので、その点についてまず確認をしてまいりたいと思っています。
 私の知る限りにおきましては、財団法人の自治体国際化協会、これから協会と言いますが、各自治体が外国人の講師等をお招きして、全国の自治体の要望を一括して外国に募集をする、日本に来ていただいて、それぞれの各自治体のもとで、語学の教員であるとか、そういうことをねらったプログラムであると私は承知しているんですが、昨年、旅行会社が不正旅行券を発行して多額の不正利益を上げていたというふうに私は新聞報道等で知りました。その記事の中身から見ますと、多分事実だろう、このように伺っています。
 しかしながら、協会が旅行券を発行する際に、各旅行会社に対して、制限なしのエコノミーの正規券を使ってくださいと。また、当然、それで発生する費用については、その正規券に基づいて各自治体がお金を払っている。にもかかわらず、実態の旅行券は、制限つきと申しましょうか、いろいろな条件をつけた安価な旅行券を発行して多大なる差額益を得ている。こういう事象でございますが、この点については、事実確認ですからそうであるかないかというお答えで結構ですが、まず事実確認をさせていただきたいのですが。
板倉政府参考人 この件に関しましては、自治体国際化協会におきまして、各旅行会社に対しまして、その点についてしっかり調査をして報告をするようにということで今現在調査中ということでございますが、一部会社の方から、実際そういう格安の航空券を使ったというような事実の申告みたいなのもございまして、その辺を中心にやっておるということでございます。
平野委員 事実かどうかということを聞いているのであって、今調査中とかいうことは聞いていない。事実かどうかということに対して答えてください。
板倉政府参考人 結局、チケットの最後のページといいますか、残されたページを確認するとか、そういうことでチケットの種類とかなんとかを特定するということのようでございますけれども、真実といいましょうか、そういうものがかなり含まれておるんではないかというふうに見ておるということでございます。
平野委員 ということは、事実だということですね。一部であろうが全部であろうが、事実は事実ですね。不正旅行券を使ってそういう発給をしたということは事実だということを答えてくれたらいいわけです。
板倉政府参考人 はい、そういうことが一部にあったというふうに承知をしております。
平野委員 そういうふうにきちっと答えてくれたらいいんですよ、うだうだ、調査中であるとか云々はこれから聞きますから。
 その事実に基づいて、では、したがって、この不正航空券の発行というのは、平成十三年度、昨年の事柄として起こったわけですね。しかし、このJETプログラムという事業というのは、一九八七年よりずっとやっているわけなんですね。
 したがって、今総務省さんがやっておられるのか、私は協会がやるべきことだと思いますが、こういう事実を踏まえて、協会は、あるいは総務省でもよろしい、監督官庁として総務省でもよろしいんですが、今、過去にさかのぼっての調査をしておられるかどうか、この点についてはどうですか。
板倉政府参考人 お尋ねの件につきましては、平成十三年度以前につきましても事実関係の確認を行っていると聞いております。国土交通省におきましても、過去五年間についても報告をしろということを求めているというふうに聞いております。
平野委員 一九八七年にさかのぼって調べていますかということです。五年間とか六年間とかいう問題じゃなくて、このプロジェクトが発足して、進められたのはもう十数年なんですね。たまたま昨年は発覚したのであるけれども、システム上の問題としてこういう疑惑、事実があったということは、このシステムの最初からの問題なのかどうかということをさかのぼって調べていますかということです。
板倉政府参考人 発足当時からすべてということの御指摘でございますけれども、これは、どこまでさかのぼれるかということは、ちょっとここでは私も確定的には申し上げられませんが、過去についてもわかる限り調査をするということで理解しております。
平野委員 わかる限りという言い方は、じゃ、二年間しかわかりませんでしたという答えにもなるわけで、こういう問題というのは、私はなぜ指摘をするかといいますと、使っている中身は税金なんですよ、公金を使っているんですよ。それで、不当な差益をどこが得たのか、私はまたこれから質問いたしますけれども、差益がかなりある。
 この問題は、少なくとも、昨年初めて起こしたのかどうかということは、このスキームから見ますと、絶対そんなことない、もっと過去にも必ずある。したがって、そういう疑惑が事実としてあるならば、このシステムをやったときの原点に戻って調べていただきたいと思いますし、調べるべきだ、このことを言いたいわけですよ。だから、できるだけとか言わずに、全力を挙げてやるということを言ってもらいたい。
板倉政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、そういうことで不当な利得を得ている、得たことがあるということにつきましては、これはしっかり調べなきゃいけないというふうに思っております。
 ただ、一言。いろいろ後で御質問もあろうかと思いますけれども、十三年度から、やり方といいましょうか、クラスをちょっと落としたというようなこともあって、またこういうことが起こったというようなこともあるのかなというふうに想像はしておりますけれども、その辺は、おっしゃった趣旨にできるだけ沿うような格好でやっていきたいと思います。
平野委員 では、ぜひお願いをしたいと思います。これはどこがやりますか。協会がやるんですか、総務省がやるんですか。
板倉政府参考人 これはもう、基本的には協会でやっていただくということになります。
平野委員 協会で不正を起こしているのに協会が調べるということは、事実解明に対して、被害者なのか当事者なのかわかりませんが、当事者がそのことをもし隠すような調べ方だったら意味がないわけですよ。第三者が調べるとか、監督官庁の総務省がしっかり調べるとかいうことをしないと、この問題点というのは出てこないんじゃないですか。どうです。
板倉政府参考人 私どもは、この点につきましては、協会は被害者であるというふうに思っておりますので、被害者がその点をしっかり調べるということでございます。その結果につきましては私どももしっかり聞いていきたい、こう思っております。
平野委員 実は、そういう一番の立場にもし協会があるとするならば、きょうは、協会の一番現場のわかっている責任者並びに担当部長に参考人として来てもらいたい、そうすればすべてがわかると思っておりましたが、急な申し出ということで理事会では否決をされました。
 ぜひ一度、しっかりと前もって言っておきますから、現場の責任者。なぜならば、これは総務省からの出向者と、元総務省の事務次官が理事長で行っている機関ですよ。出向しているだけなんです、総務省から。呼び戻していただいたらいいだけなんですよ。
 だから、たまたま、私は急なことで理事に御迷惑をかけましたが、出向している人に帰ってもらって実態を報告してもらったらいいだけなのに、かたくなに前例がないからとか、こういうことで抵抗しておりました。そういうところが、疑惑がある、事実があるにもかかわらず、それだったらしっかりと説明しますという姿勢が見られないから、私は極めて問題だということをまず言っておきたいと思います。
 それでまた、この不正請求の実態に関して言いますならば、報道によりますと、JTBはいち早く不正額を明らかにしたというふうに報道からは見られます。返金の意思をもう示しているんですよ、旅行会社は。近畿ツーリストや東急観光等々は、まだその不正額を明らかにしていない。不正額というか、不正利益額を明らかにしていません。
 私は、改めて、当委員会においても、四社には――制度開設以来ずっと受給を受けている、主に四社ですが、占有率もほとんど変わっていない。近畿ツーリストさんは常に五〇%シェアを確保している、その次は東急さん、この十何年間、全部、ほとんどと言っていいほど同じシェアであります。路線もほとんど同じ。公金を使っている、それで不正を上げる温床になっているんです、これは仕組み上。したがって、その不正に得た利益額の資料を速やかに過去にさかのぼって出してもらうように指導していただけませんか。それで、その結果を委員会に出してもらえませんか。どうです。
板倉政府参考人 先ほども申しましたとおり、その辺の額等について幾らになるか、あと返還をしていただくのは幾らになるかというようなことを、現在、関係者の方で、協会等が詰めております。これが固まりましたら、地方団体に対してその全容を御説明するということは当然であるというふうに思っております。
平野委員 当委員会、これは行政監視の委員会ですよ。ここに、その結果については出してもらえますか。
板倉政府参考人 お求めがあれば御説明したいと思います。
平野委員 今求めているんだよ。だから、しかるべくして出すという答えを出せないんですか。求めているんですよ、出していただけませんかと。お求めがあればというのはどういうことやねん、それは。
板倉政府参考人 御説明しますというつもりで申し上げたつもりでございますが、失礼しました。
平野委員 ぜひ当委員会にその資料を出していただきますように、委員長にお願いをしておきたいと思います。
渡海委員長 後刻、理事会で報告をさせていただきます。
平野委員 それでは、具体的に少し質問をしたいと思うんですが、協会は、このスキームをする旅行券の発券については、Y1というチケット、いわゆる正規料金で旅券を発行しなさいということをツーリストに言っておりますし、参加する各自治体にその費用でお支払いをしなさい、こういう仕様書を出しているんですね。それにおいて年間約三千人ぐらい諸外国から日本に来るんですよ。
 ところが、実態は、なぜY1の正規チケットを、これは非常に高いチケットでありますが、これの適用を強制したのか、指導、要求をしたのか。この点については、どんな背景からでございますか。
板倉政府参考人 今おっしゃっておりますのは平成十三年度からのことでございまして、実は、それ以前は、平成十二年度までは、ビジネス料金でお招きをしていたということでございます。
 ただ、この事業も非常に成熟をしてまいったとか、地方財政の状況もかなり厳しくなってまいりまして、各地方団体の方からもう少し安くできないんだろうかというようなお話もございまして、そういう要望を受けた形で、平成十三年度はエコノミーにいわばグレードをダウンしようというふうにしたと聞いております。
平野委員 公金ですからね。これだけ国民の皆さんが大変厳しい、苦しんでいるという中で、格安旅券を使えとは、僕はそこまでは申し上げませんけれども、十三年の前まで、ずっとビジネスの航空券でやれ、こういうことですか。来られる人は、大臣が来られるとか、向こうの偉いさんが来るわけじゃないんですよ。二十前後の学生さんを呼ぶんですよ。それをずっとビジネスでお願いをしておったわけですか。ここが、まずその感覚がよくわからない。それで、Y1に下がったから、少しはビジネスより下げたからいいだろう、こういう感覚ですか。
板倉政府参考人 ビジネスの利用につきましては、当初、この事業を始めましたときに、このJET事業、ざっと言いまして三つ目的があるということでございました。一つは、おっしゃっていますように、英語の指導助手という形で、日本の子供たちの英語力を上げる。もう一つは、日本を理解していただく。そういう外国の青年に日本を理解してもらって、いわば親日家になってもらって本国に帰っていただく、そういう点。また、地域の国際化。そういう方が日本の津々浦々に行かれることによりまして、日本の社会の国際化に資するのではないか。こういう三つの大きな目的で実施をいたしました。
 それで、私どもといいましょうか、当時の関係者としては、やはり英語の先生として来ていただく、さらには日本のよき理解者になっていただく、そういうことで、お客様としてお呼びをするという感覚がございまして、それであればやはりビジネスクラスでお呼びをすべきではないかということが発端ではなかったんだろうかというふうに私は理解をしております。
平野委員 常識的には非常に、国民の感覚から見たら何考えているんだということだと思いますよ。
 自分のお金だったら、何とかしてでも、節約してでも、今三つの目的を言われましたけれども、目的実現さえすればいいことなんだから、いかにコストを安くしてその目的を達成しようかという知恵を絞るのが僕は本来のあるべき姿だと思うんですね。ところが、このお金は自治体が払うというけれども、今度は国の算定基準の交付税でその分を補てんするものだから、自治体も腹が痛まない。出したって国から補てんをしてくれるという発想ですから、そこに何もコスト意識というものが芽生えてこないんですよ。
 まして、今の語学の補助教員というんでしょうか、わざわざ海外から呼ばなくても、今は日本にだって幾らでもいますよ。そんな人をあてがったらコストというのは下がる。一つの目的は達成される。ただ、親日のところを高めようという目的とかいろいろありますから、そのことに対しては否定はしませんが、やはり税金、公金を使うという立場であれば、そういうコスト意識、このことをしっかりと考えて処していくのが常識じゃないでしょうか。これは公務員天国みたいな発想ですよ。
 それで、具体的に実務をやっておるか、実務は旅行会社に丸投げしておるんですよ。丸投げされておる旅行会社は、占有率が非常に高いんですよ。そこにコストも全く働かない。なおかつ高いチケットでやってくれ。何ですか、このスキームは。差益を取ってくださいよと言わんばかりのスキームじゃないですか。
 ここに私は一番大きな問題があるように思いますし、いわんや、各旅行会社は制限つきのチケットを発給して、一枚五十万だったら、制限つきのチケットにしたら二十万で発券できる。三十万という利益をだれが抜いたんですか。協会は還流してもらっているんですか。だから、返せという問題が起こってくるんであります。まして、ビジネスで今までやっておったら、もしやっておるとしたら、差額が物すごく、一般のエコノミー以上に出るわけですよ。これは相当なものですよ。年間三千人、十何年間。大半の部分がやっているじゃないですか、旅行会社によったら。一社について八百枚とか。これは相当な金額になると思うんですね。
 この点を私、一番言いたいわけで、協会、いわゆる自治体国際化協会のあり方というのは、ほとんどが総務省から派遣されている役人であります。事務次官が天下る公益法人でありますよ。おいしい仕事ですよ、これ。やっておる仕事というのは、このあれでいったら七月に大体集中するんです。あと仕事って何があるんですか。ほとんどないですよ。仕事は全部丸投げしているんだよ、幹事会社という名のもとに。
 こんなスキームを、僕は、悪く言えばいいスキームをつくったなと思いますよ。だけれども、国民から見たら何しておるんですかという指摘が、私は、今回の報道によって多くは明らかになったと思うんですね。報道は一部しか出ておりませんから、私、もっとこれは奥深いものだと思いますよ。
 次に、考え方として行きますよ。
 総務省の監督責任、これについてはどういうふうに考えているんですか。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
若松副大臣 今の委員御指摘の自治体国際化協会でございますが、先ほどの交付税措置ということはあろうかと思いますが、いずれにしても、国からの補助金という具体的なものは支給しておりません。ですから、自治体がそれぞれ努力をすれば、それなりに自治体の負担も出てくる。そういうことで行っている協会でありますが、これは当然総務省の所管の公益法人ですので、やはり適正な事業が行われるよう、しっかり指導監督をしなければいけない、そのように思っております。
 今回のいわゆるJETプログラム、実は、御存じの米国の下院議長ハスタートさんも、日本のいわゆるこういった研修者でありまして、そういった方々が親日派ということで、大変重要なプログラムでありまして、その重要なプログラムにそういう委員の御指摘のような点があるというのは大変残念だと考えております。
 ですから、今総務省としても、しっかりとこれを指導して、さらに、公益法人もコスト感覚を持つための公益法人会計とか、今公益法人改革プログラムも平成十四年度中にしっかりと組もうということでやっておりますので、しっかりと対処してまいりたいと考えております。
平野委員 総務省として監督責任はある。では、監査はどこがするのですか、公益法人の監査は。
板倉政府参考人 私どもでございます。
平野委員 毎年やっているんですか。
板倉政府参考人 私どもの監査基準に従いまして、最低三年に一回はするということにされておりますので、その基準に従ってやっているということでございます。
平野委員 その監査ではこういう問題は出てこなかったのですか。
板倉政府参考人 いわば業者といいますか、業界の方の話でございまして、私どもの監査ではなかなかそこはわからなかったということでございます。
平野委員 ここの公益法人の監査結果の報告というのは、参考にもらいましたけれども、検査事項、マル・バツのこんなのが、本当に検査、チェックになるんですか。正誤表があって、各書類は丸、会計帳簿は丸。こんなの、民間だったら通じませんよ。全部、オール丸ですよ。安直な、何ですか、これ。これで三年に一回と、ますます具体的なところなどわからないじゃないですか。こんなのが通るんですか。公益法人すべてこんなやり方をしているんですか、総務省傘下の公益法人は。
板倉政府参考人 すべてかどうか、私はちょっと承知はいたしておりませんが、そういうような形で実施をしているのではないかというふうに理解をしております。
平野委員 大臣、どうですか。所管の審議官ではわかりません。大臣。
若松副大臣 私も、閣僚になる前の、そちらの委員席に座った去年の二月の予算委員会で、公益法人のいわゆるガバナンスにつきまして指摘をさせていただきまして、当時、公益法人運営適正化法案なるものを提案させていただきました。それは委員も御案内だと思うんですが、そういったことを受けまして、現在、総務省が中心となりまして公益法人改革を行っているということで、一定規模以上の外部監査も既に始まっております。
 これは恐らくその規模にどうも合致しないようでありますので、外部監査はありませんが、いずれにしても、現在の公益法人制度にはガバナンスという観点から不備がある、そういう問題意識を持って今改革を進めておるところでありまして、しっかりとやってまいりたいと思いますので、ぜひ今後とも、御指導よろしくお願いいたします。
平野委員 やるという、若松さんはプロですから、経歴もよく知っておりますから、ぜひ副大臣在任中は、こんなのじゃ絶対だめですよ。これ、見ますか、一度。こんなもの、あなたの、専門家で見てどうです。だめでしょう、そんなの。どうです。
若松副大臣 そういうことで、先ほど言いましたように、公益法人改革をしっかりやっていこうということで、御存じのように、公益法人は国所管だけで七千、また、地方を入れて一万でしたか、そういうことでちょっと数があるので、やはり制度をしっかりつくらなくちゃいけない、ちょっと時間がかかっておりますが、一生懸命やっていきたいと思います。
平野委員 数が多いから三年に一回だとか、本末転倒よ。そんなに公益法人つくらぬかったら大丈夫なんですよ。つくるときだけはどんどんつくって、数が多いから監査、チェックができないなんというのは本末転倒ですよ。小さくてもしっかりとチェックをする。これが、国民の税金を使わせてもらっているんだから、そうするんだというのが趣旨ですよ。
 三年に一回でいい、そんなのだれが決めたんですか。公務員が勝手に、役所が勝手に決めたルールですよ。国民はそんなこと思っていませんよ。お役人は悪いことしませんなと思って、税金を使ってやってくださいという信頼関係にあるんですよ。そこの公益法人がそんなことをしておるようでは、とんでもない話ですよ。まして、総務省がそれをしっかりやろうとしているにもかかわらず、足元がこんなようなチェックでは、私は、規模の問題はありますけれども、規模大小の問題ではない、小さいから簡略化していいという問題ではない、お金の問題、税金の問題ですから、しっかりアウトプットを出してもらいたいというふうに思います。
 なお、少し、時間が来ておりますから、次の質問に移りたいと思いますけれども、まして総務省の職員が出向しているんですよ。総務省はそういう目で見ているんですよ。出向者は何のために出向しているんだ。業務部長も出向ですよ、このJETプログラムの責任者。現場におるんですよ。業務部長は知らぬふりをして今日まで来ているんじゃないですか。僕は、したがって、出向しているという意味は、総務省も非常に大事な公益法人だということから出向させている、理事長は元事務次官が天下っている、それほど大事な公益法人であればもっとしっかりやってもらいたい、このように思います。
 時間が来ておりますからあれですが、先ほど言いましたように、需給調整の疑惑ですよ。近畿ツーリストが五〇%という、ほとんど一社で独占事業なんです、これは。幹事会社として近畿ツーリストが業務課長をここに出向させているんですよ。そうしたら、近ツリとしては、業務課長を公益法人に出向させている、その業務課長が一生懸命実務作業をして、結果として近ツリが五〇%以上とる。何ですか、これは。公正な市場原理が働いた需給調整になっていますか。この点が私はまず疑問に思っておりますから、これはまた次の機会でやりたいと思います。とんでもない話だ、これは。
 当然、ほかの旅行会社、ほとんど四社が独占していますが、JTBなんてほとんどかからない。見ると、発注する仕方は、二%の割引をしたところに路線としては発注されているんですよ。たまたまJTBが、間違ってかどうか知りませんよ、安い、三%の割引率を出したら、あなた、安過ぎるからだめよとけっ飛ばしているんだよ。こんなやり方がもし協会でまかり通っておるとしたら、どんな趣旨で実務をやらせているんだ。これについても次の機会に、私、利益率が出てきたときに再度立ちたいと思っています。
 そういう視点から見ますと、近畿ツーリストの、いわゆる旅行会社の行った行為というのは、完璧な旅行業法違反ですよ。まして、不当な利益を得たら詐欺罪ですよ。あるいは、これは、詐欺罪が適用にならないとしたら、協会が共謀しておったということが前提ですが、共謀していないとするならば、協会は被害者ですよ。告訴しますか、これ。どうです。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
板倉政府参考人 告訴するかどうかということでございますが、まずは不適正な部分をきちんととらえる、したがって、適正に返還を求める、こういうことがまず第一ではないかというふうに思います。
 特に悪質な場合には告発というようなこともあるのかもわかりませんけれども、私ども、現在までのところはそこまでの心証は得ていない、そういうのかなというふうな感じがしております。
平野委員 そこまでもまだ心証としてはないと。じゃ、明らかに共謀しておるということじゃないか。間違いなく、事実が出ておったら、これは旅行業法違反ですよ。詐欺罪ですよ。言っておきますけれども、これは公金ですからね。自治体が告発すると言ったら協会も一緒になってそれをバックアップしていく仕組みをとっていかなきゃだめですよ。今の審議官の話だったら、まだそこまで心証はないということは、余り悪質ではないという感覚でとらまえておるじゃないですか。――いや、いいですよ。私はそういうふうに言っておきます。
 次に、ことしから入札をしたんだね。入札というのは、オープンにしてやりましょうよと。これは、入札という行為は義務化されているかどうかは別にして、入れ札を入れてオープンにしましょうと。通常、入札といったら、その場で業者が札を入れるんですから、その場でオープンにするんだ。それをその場で開かずに、どこかへ持っていっちゃって、二、三日後に、あなた、不正があったから、今回入札の札はだめよと。ある旅行会社には、あなた、もうちょっと安うしいやと。こんなのは、入札をしておいてそんな指導するなんて、これはもってのほかですよ。そんな事実はありませんか。
板倉政府参考人 先ほども申しましたが、十二年度まではビジネスの相見積もりの方式をとっておりました。もう少し安くしてもらいたいというようなことがあって、十三年度からは、相見積もりではありますけれども、エコノミークラスにした。十四年度からは、エコノミークラスでもさらにランクを落とすとかいうことを、あわせて入札でやるということをやったことは事実でございます。
 ただ、今回の入札を、初めて入札の方式でやるということでございますので、慎重を期すというようなことで、担当者において直前に打ち合わせをいろいろとやった。その中で、その中のある一社が、前年の、十三年度のケースでいろいろとトラブルを起こしたというような事実が思い出されまして、そういうことがどうなのか、あったのかなかったのかというのをやはりもう一度確認をした方がいいのではないかということで、入札の当日、当該旅行業者に調査を依頼したということでございます。この事情を当日参加をしておられた旅行業者四社に説明を行いまして、各社の了解のもとに、その日は開札をせずに札を預かったということであります。
 その後、当該旅行業者が、ある渡航路線全員分につきまして、格安の航空券を使用していたということを申告してこられたということでございまして、この点について、厳しく協会の方から指摘をしたということであります。そういたしましたら、その特定路線について辞退をしたいという申し出があった、こういうことでございます。
平野委員 一番札を引いたところがそういう問題があった。もともと問題あるところは札に入れさせないというのが普通の入札ですよ。万が一、問題があったから一番札の業者は排除します、これも一つかもわかりません。ところが、排除したらその次に、入札という制度上では普通は二番札の業者が入るんですよ。それを、別の業者のところをちょっと安くして、その業者に発注しておるというやり方がけしからぬ、こういうことを言っておる。入札じゃないじゃないか、格好としてはパフォーマンスじゃないかと。
 だから、私に言わせたらこれは談合ですよ。談合しておるんじゃないですか。格好だけは入札としているけれども、業者で集まって了解をもらって、入札というのはその場であけるんだ。(発言する者あり)そうですよ。何を言っているんですか。
板倉政府参考人 これは、一位の業者がそういうことで辞退をされたので、二位の業者と随意契約を結んだということでございます。
平野委員 もう終わりますからいいですが、しかし、値段を落とせなんという指導をしているじゃないですか。札の問題の金額で本当は発注せないかぬですよ。もうちょっと金額を落とせと。そんなことをやっておるようなやり方をこの協会がしておりますから、私は、時間が来ましたから、まだまだ言いたいこといっぱいありますけれども、今度たっぷり時間をいただいて細かに追及をしたいと思います。
 終わります。
渡海委員長 次に、石井紘基君。
石井(紘)委員 まず冒頭、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。
 防衛庁長官、先日も事態特の中でじっくりやらせていただきましたが、したがって、きょうは説明を省きますけれども、例の会計検査院の名をかたって公文書を偽造、行使してスイス政府に送った、この件についてはもう既に犯罪的な行為であるということは明らかになったと思います。
 そこで、再三、防衛庁長官のこうした重大な責任について、その態度を明確にするように求めているわけでございますけれども、大臣の御決断を伺えればと思いますので、お願いします。
中谷国務大臣 お尋ねの件につきましては、本委員会及び安保委員会並びに五月八日、九日の衆議院の事態対処特別委員会での御質疑を踏まえまして、私の考え方も述べさせていただきましたが、どのような形で責任をとるかということでございますが、現在、慎重に検討いたしましたけれども、私の監督が至らなかった部分もありますので、大臣俸給の一カ月分を返納いたしたいと考えております。
石井(紘)委員 農水省や外務省は大体部下に責任をとらせるのでありますが、防衛庁は長官みずからが、みずからの責任の内容、とるべき御自分のお考えを今示されたわけでございますので、私個人としては、それは前向きに評価をさせていただきたいと思います。
 ただ、そのもともとの原因になったところの不正入札の疑惑については、これは重大な問題でございます。今の大臣の在任中の出来事ではございませんでしたが、重大な問題でございまして、これについてはまだまだ疑惑を解明しなければならないところがあるということを申し上げて、きょうは御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。
渡海委員長 防衛庁長官、御退席ください。
石井(紘)委員 そこで、外務大臣は今の防衛庁長官よりもまさる重大な責任が私はあると思いますよ。
 まず、瀋陽の問題からちょっと触れたいと思いますが、大臣は阿南大使という者を全面的に信頼をしているのかどうかということが一点。それから、副領事については十分調査をされたのかどうか。そして、あの外務省の報告にあるように、ここには一点の、まだ未解明の問題あるいは疑問となる問題、そうしたものはないかどうか。その二点について、まずはっきりとお答えをいただきたいと思います。
川口国務大臣 まず、阿南大使でございますけれども、私は一〇〇%信頼をしています。中国を知っている、中国語を話す、中国人の中に人脈が非常にある、そういう意味で、日本が今中国で持つことができる最高の大使であると私は思っています。
 それから、副領事の件でございますけれども、これは、外務省の領事移住部長が行きまして、ウィーン条約三十一条について同意があったかどうか、大使館の中に入るのに同意があったかどうかという観点から十分に調査をさせていただきました。
石井(紘)委員 あなたは今、阿南大使について一〇〇%信頼をしておると言われたことを忘れないでいただきたい。
 これは、今おっしゃったように、中国の事情について非常に明るい、そして人脈もたくさんある、このことが実はむしろ今回の問題を引き起こしているという可能性がある。きょうは具体的に私はそのことを申し上げないつもりでありますけれども、この阿南大使あるいは副領事の日ごろの行動について、よく外務省は調査をされた方がいいですよということを私はきょうは申し上げるだけにしておきたいと思います。これは私は、実は相当確度の高い証拠を持っております。
 それからもう一点。中国政府が日本側の要請や依頼があったんだ、こういうふうに言っている、これを聞いて全くあなたは、あなたというか外務省は心にひっかかるもの、全面的にそれは違うんだ、とんでもないことなんだと、確信と自信を持ってはっきり言えるかどうか、そのこともお尋ねしておきたいと思います。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、ウィーン条約三十一条との関係で、武装警察が大使館の構内に入ることについて同意があったか、同意がなかったかということが、今中国側と意見、事実認識の違うところでございます。まさにここについて調査をして、その結果を調査の結果として発表させていただいたわけでございます。
石井(紘)委員 わざわざ当日、阿南さんが、不法に入ってくるというか、えたいの知れないと言ったかどうか知らないけれども、大使館に入ってくる者を阻止しろというようなことを言ったということは、これは意味があるということも含めて、ぜひ詳しくお調べください。
 それから、そうした難民やあるいは亡命者の各領事部あるいは領事館においての対応の仕方というようなものを、大使からあるいは外務省から伝達をしていると思いますが、そうした文書というものがあるはずだと思いますが、それをお出しいただきたいと思います。
川口国務大臣 外務省では、最近になりまして北朝鮮からの脱北者、中国に来る人たちが急増したことを踏まえまして、実際に脱北者が立ち入った場合を念頭に、対処ぶりを準備いたしまして、関係公館に伝達をしておりました。
 身元が確認されていない者が我が方の在外公館に駆け込みをはかる場合の対処ぶりにつきまして、第一義的には在外公館の警備に関する問題でございますけれども、今般の事案を踏まえまして、外務省としては、脱北者の扱いに関する対処要領を見直しまして、関係の在外公館に広く指示をしたところでございます。
 その具体的な内容をとおっしゃられますけれども、これは関係者の安全と在外公館の警備にかかわることでございますので、公表は控えさせていただきたいと思います。
石井(紘)委員 公表を控えるということについては、私、ちょっとペンディングにしておきますが、阿南大使から瀋陽を含めた領事館に伝達をしたものはあるはずですが、いかがですか。
川口国務大臣 総領事館と大使館の関係は上下関係にあるということではございませんで、こういったことに対しまして、阿南大使から総領事館に伝達をするということはございません。
石井(紘)委員 その対処方を何らかの形で述べた規定といいますか、指示文書といいますか、そうしたものが中国側に渡っていないということを確信を持って言えますか。
川口国務大臣 渡るべきものではないと思っております。
石井(紘)委員 私はそういうことを聞いたということを覚えておいてください。これは時間をあと一時間ぐらいもらえればやれるんだけれども。
 次に、先日、事態特の中で、私は、外務省をいわばやめさせた元大使の三名の方の退職金の金額を要求しましたときに、あなたはこういう答弁をしているんです。
 外務省の情報を公開することについては、その中で、「何をお出しして何をお出ししないかということについての基本的な考え方に基づいてお出しをしているわけでございまして、そのときの基本的な考え方と申しますのは、情報公開法に基づいて、判断をその都度その都度しているわけでございます。」ちょっと飛びまして、「それからまた、内部の検討の状況についての資料は、これも情報公開法にのっとりましてお出しをしていないということでございます。」というふうに答弁をして、再三、情報公開法というようなものをあなたは引き合いに出してきているわけです。この国会の審議の中でですよ。
 これは総務省に伺いますけれども、大臣が後で総務省の名前を出しているんですよね。だから総務省に伺いますが、情報公開の所管は総務省でもありますね。この情報公開法というものが国会の審議あるいは国政調査権、そういうものを守備範囲にしたものなのかどうなのか。そんなことは情報公開法をちょっとでも知っている人はだれでも知っていると思いますが、総務省、いかがですか。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 情報公開法は、法律にもございますように、国民に対する政府の説明責任を全うするということで、何人に対しても、開示請求権ということで、行政機関の長に対し行政機関が保有する行政文書の開示を請求する、そういう権利を与えております。
 一方、国政調査権は、憲法第六十二条に基づきまして、国権の最高機関である国会がその権能を有効に果たすために国政に関する調査を行う権限であると承知いたしております。
 このように、情報公開法の開示請求権の問題と国政調査権の問題、これは目的、対象等において全く異なる制度であるというふうに考えております。
石井(紘)委員 外務大臣、聞かれましたか。国会でのあなたの方が、答弁するしない、資料を出す出さないということは、一切情報公開法には関係ないんです。わかりましたか。訂正してください。
川口国務大臣 私が申し上げた趣旨は、国会に資料を出すかどうかを情報公開法に基づいてやっているということではございませんで、情報公開法の考え方、それを踏まえて判断をしている、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、言い方が先生に誤解を招くようなことでございましたら、そういう意味では、意味は私が今申し上げたようなことで申し上げているわけでございます。
石井(紘)委員 情報公開法の考え方に基づく必要も何もないんです。情報公開法というのは、全然関係のない、国会の審議あるいは国政調査権と関係のない法律なんです。だから、あなたが今言った弁解も間違っているんです。はっきりと、男らしくとは言えないかもしれないけれども、これは訂正しなさい。
川口国務大臣 私が申し上げましたのは、外務省としては、国会審議の場も含めまして対外的に情報を公開する場合に、その公開する情報の範囲を決定する場合に、情報提供のあり方に一貫性を持たせるということが大事ですので、できる限り情報公開法の考え方、それを踏まえて判断をしている、そういう意味で申し上げているわけでございまして、情報公開法が国会に適用されない、国会への情報提供に当たって直接適用されないということは、もちろんそういうことでございます。
石井(紘)委員 はっきりとこれは間違いでしたよと言いにくければ、今言ったことで大体わからないでもないんですが。
 もう一つ、どうしても、あのとき審議中断しましたけれども、事態特でもって退職金の額を言うのを渋っておられましたね。そして、そのときに、それは総務省の人事局に聞いたと。昼休みの中断中ですが、聞いた。その前にあなたは、これは人事院に聞かないとわからない、人事院に聞かないとわからないと再三再四繰り返して、人事院は全く関係ないんですよ、そういうところをやるところじゃないんですよ、人事院はということで私はお教えしたと思いますが、そうしたら今度は、中断を挟んで、人事院に聞いてみたら、やはり人事院じゃないと言われましたと。
 それで、そうしたら今度は何と言ったかというと、総務省の人事局でございましたと。総務省の人事局はガイドラインがあるとかなんとか言い出されたんですね。そうした給与、退職金については総務省にガイドラインがあると。それで、こう言ったんですよ。「人事院ではなくて総務省の人事局でございまして、総務省の人事局に問い合わせましたところ、総務省の人事局からは、この問題については、個人情報のプライバシーの問題なので出さないというガイドラインを持っているというお答えがございました。」と。
 これは事実かどうか、これも総務省に聞いてみましょう。総務省、いかがですか。
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 国家公務員の退職手当額の公表につきましては、国家公務員退職手当法には定めがなされておりませんで、退職手当額の公表についてのガイドラインは存在いたしておりません。
石井(紘)委員 外務大臣、そのうそに対してあなたは謝る気はありませんか。二つ目のうそですよ。
川口国務大臣 まず最初に、石井委員が私に人事院でないということを教えたはずだというふうにおっしゃられましたけれども、私の記憶に間違いがなければ、石井委員自体が、御自身が人事院と電話をするだけですからというふうにおっしゃられていますので、これは総務省であるということを伺ったのは石井委員からではないというのが私の記憶でございますが、それはともかくといたしまして、ガイドラインと申し上げましたのは、私は、決まった文書という意味でガイドラインと申し上げたわけではなくて、総務省のそのような個人に関する情報に該当するかどうかという一般的な指針をガイドラインと英語で言ったわけでございます。
石井(紘)委員 あなたは相当気の強い人だということをあなたの知り合いから聞いておったけれども、あなたは随分詭弁を弄する人だね。さんざんあなたが人事院に聞かないと、人事院に聞かないとと答弁したんだよ。私は、人事院はそんなことをやるところじゃないんだということを再三言っているんですよ。これは後でちゃんと議事録を見てください。そうしたら、あなたは人事院に聞くといって聞かないから、では電話してみろ、そんなもの人事院は関係ないと言いますよ、その間待ってましょう、そういうことを私は言ったんでしょう。あなた、そういううそを言うんじゃないよ。
 それから、もう時間がなくなるから、次のことに移ります。
 あなたの責任は後で、防衛庁長官以上の責任があると思うので、別途、これはしつこく追及します。
 それから、外務省の関係の国際機関というのに、例の支援委員会だけではなくて、核兵器廃棄協力委員会というのもあるんですね。これは、資料をお配りしたとおりでございます。この支援委員会と合わせて相当、何百億というお金がこれでもってつぎ込まれてきたわけであります。
 この核兵器廃棄協力委員会は、商社としては大体、三菱商事、伊藤忠、トーメン、こういうところを主に使っておって、そして、この委員であった、総務委員でしたか、この責任者であった枝村元駐ロシア大使は住友商事に再就職というか、顧問として現在行かれておる。それから都甲さん、これも元ロシア大使ですが、この人は例の三井物産に行って顧問をしておる。
 また、支援委員会の方に戻りますと、この支援委員会が行ったディーゼル発電の入札について、これは三井物産にやったわけですけれども、最初の入札では伊藤忠商事の方が安い値段を出して、ところが、最低価格があるから伊藤忠は安過ぎてだめだ、それで三井物産に、そういう口実で三井物産と契約をしたわけですね。
 もともと国後の発電施設については、東電とパシコン、PCIというコンサルタント会社等に調査をさせて、必要ない、十分の電力の能力があるという報告が出ておった。ところが、強引に、その後さらに、何とか建設をしたいものだから、その二つの大きな会社の報告があるにもかかわらず、さらにまた一回か二回、また別の会社にこの調査に行かせて、建設の必要性を何とかこじつけて、そして建設をしたというものですね。
 時間がないから、言うだけ言いますけれども、そういう中で、伊藤忠商事の方は、安く値段を出したのにけられたというので、当初大変怒っておりましたよ。あんなものは、ディーゼル発電機が主たるものなんです。それを仮設で備えつけるんですよ、日本の領土だから、争われているところだから。それで、あとは、その発電機の大きさや形に合わせて周りの箱をつくったり配線をしたりというだけのことなんで、こんなものに最低価格があったなんということがそもそもおかしいんです。
 ですから、最低価格を設けたのか設けないのかということを含めたその規定があるはずです。最低価格についての経過、これの一切の資料を別途お出しいただきたい。これは委員長にもお願いをしておきたいと思います。
 それから、そうやって必要がないというものをつくったわけなんで、その経過もまた子細に外務省から聞かなければなりません。その間に、調査に一緒に行ったのは、鈴木議員も一緒に行ったりしているんですね。ですから、そこで何らかの外部からの働きかけというものもあったはずなんです。当然あったはずなんです。そういう経過についての資料も出していただかなければなりません。
 時間がありませんから、資料だけ、きょうは私の方のものだけお配りをさせていただきましたので、そうしたさらに一層の調査と、外務大臣はこの問題については、私のかつての決算委員会での質疑に対しても何だかんだと今みたいな変なへ理屈を言って、鈴木議員のかかわりは関係ないとかなんとか、妙な答弁をしたことがありますよ。
 したがって、そこのところを調査していない。だから、別に鈴木議員とのかかわりという観点からじゃなくて、外務省がその支援事業を進めた、それは事実なわけですから、そういう観点から、どういう周辺のかかわりがあって、何が起こってそういうふうになったのかということを、これは徹底的にさらなる調査を行って、そして同時にその資料を、今申し上げた幾つかの資料を出してもらわなければなりません。そのことを約束してください。
川口国務大臣 最低価格につきましての資料は、お出しできるかどうかは検討させていただきます。
 それから、恐縮でございますが、もう一つ資料をとおっしゃられたんですけれども、ちょっとそれを具体的に把握できませんでしたので、それは後で伺わせていただきたいと思いますが、それもあわせて検討させていただきます。
石井(紘)委員 まじめにやってくださいよ。
 終わります。
渡海委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 遠山文部科学大臣にお伺いいたします。
 前回の決算行政監視委員会におきまして、小泉純一郎総理大臣に対しまして、私は教育問題を質問いたしました。現在の教育の現状、そしてまさに学園、学級崩壊がかなりのところで見られる、その問題点につきましていろいろと申し上げて、総理の答弁をいただいたわけでございますが、私は、率直に言いまして非常に落胆をいたしました。
 といいますのは、総理は、教育問題についてどれほどの認識を持ち、改革、正常化のために取り組もうとしておられるのかという、その意欲が全然見受けられなかった。答弁の一端を申し上げますと、教育の荒廃した状況というものについては一切触れられないで、日本の経済を初めとして、日本が戦後今日まで復興し発展したのは教育に力を入れたからだということが一つでした。それから、外国からは物を援助してもらいたい、金を援助してもらいたいということがよく言われるけれども、自分は教育の方が大事ですということを言っているんだと。この二点の答弁しかなかったんです。
 私は、きょうは遠山大臣に対しまして、そういう総理のもとで非常にやりにくいんじゃないかなと思うんですけれども、一生懸命やっておられる、また改革に取り組んでおられると思うんですが、そのことにつきまして、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
遠山国務大臣 今、塩田委員からお話がございましたけれども、私は、総理は教育の重要性ということについては本当に十分認識しておられると思っております。
 昨年の、内閣成立した直後の所信表明におきまして、米百俵の話をみずから出されまして、あれは痛みに耐えるという意味もありますけれども、やはり教育が大事なんだと。私は、この信念は非常に強いと思っておりますし、先般の予算折衝の場におきましても、教育というものを骨太の方針の中にきちっと入れ込んでいただきまして、非常に厳しい財政状況の中から、教育、人材育成ということについて力を注いでいただいております。
 私といたしましては、いろいろな問題、折に触れて総理にお話をするチャンスがございますけれども、むしろ、今私どもが取り組んでおります、私どもは今いろいろな意味で教育について危機感を持っておりますが、その取り組みについて、総理としては、それをしっかりやってくれという言葉を私はしばしば聞いているわけでございます。
 その意味で、私といたしましては、教育改革、殊に、昨年の一月に策定されました、「学校が良くなる、教育が変わる」という一つのメッセージのもとに、大変大きな教育改革の戦略を立てまして、今それを逐次実施いたしておりますし、また、この四月から、新しい学習指導要領のもとにそれぞれの学校で努力が始まっておりますが、それが本当に未来の子供たちにとっていいものになるようにということで、今一生懸命私どもとしては力を尽くしているところでございまして、また先生の御指導を得ながら、さらにやるべきことをやっていきたいというふうに考えているところでございます。
塩田委員 国旗・国歌の問題でございますが、入学式、卒業式におきまして国旗を掲揚し国歌を斉唱すべきだということは、文部科学省としては従来からも指導してこられたと思うんですが、その実施状況、最近どうなっているか、どのように改善されているかについて御報告ください。
遠山国務大臣 学習指導要領におきまして、入学式や卒業式において国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するということになっておりまして、このことを踏まえまして、公立の小中高等学校の入学式、卒業式におきます国旗掲揚それから国歌斉唱に関して、それを実施したかどうかの調査をいたしました。
 その結果を見ますと、平成十三年度の入学式におきましては、小学校で九九・九%国旗掲揚は行われておりますし、国歌斉唱は九八・七%でございます。中学校、高等学校におきましても同様でございます。高等学校におきましては、国旗掲揚は一〇〇%ということでございまして、かつて、何年か前の状況に比べますと、今日では、この面について、それぞれの学校における自覚、関係者のこれへの努力というものが非常に行われていると思っているところでございます。
 ただ、学習指導要領におきましては、どういう具体的な国旗掲揚の仕方をするかとか、国歌斉唱の仕方をどうするかというような具体的な方法は明示しておりませんで、国旗掲揚あるいは国歌斉唱したかどうかにつきましては、一般的な社会通念に従って、設置者であります教育委員会や各校の校長の判断によってやっていただいているところでございます。しかし、最近ではきちんとその辺は行われ始めておりまして、私どもといたしましても、そういうことをきちっとバックアップしながら、国民が我が国のまさに国民であるということの自覚の根本でございますので、そこはきっちりと指導をさらに進めてまいりたいと思っているところでございます。
塩田委員 一〇〇%に近い実施率だということでございますけれども、それは単に各都道府県の教育委員会からの報告を集計されただけなのか、それをチェックして、実際そうであるかということを何らかの形で調べておられるのかどうか、その点についてお伺いします。
遠山国務大臣 もちろん私どもは、教育委員会がきちっと調べた上で数値を寄せてくれていると思っておりますし、また、いろいろな情報が私ども入ってまいっておりますので、そういうデータをバックアップするような個別のいろいろな事例についても見聞きしたりしているところでございます。
 例えば、国歌斉唱につきましても、斉唱を本当にしたかというのと、それからメロディーだけ流したか、それから斉唱もしないでメロディーも流さなかったかというふうなことにきちっと区分して調査しておりますが、例えば、メロディーだけ流したというものにつきましては、斉唱しなかったという方に入れて数えるようにいたしております。
 それぐらい指導を徹底いたしておりまして、それによる調査結果が、先ほど申しましたような九八・七%とか、高校では九九・六%という数値まで今日至っておりますので、私ども、もしそういうことが事実に反する調査結果であるというようなことがわかれば、これは直ちに是正を図っていく必要があると考えております。
塩田委員 私が調べ、また聞いたところによりますと、ある県の二つの市ですね。片方は、三七%の実施率だといって、そのまま正直に報告した。片方、隣の市は、実際は一〇〇%行われていない、ゼロなんですね。それを、市なり県の教育委員会には一〇〇%実施しましたという報告をしているんです。それで、地元では、学校ではこれはやっていないということを、皆わかりますから言っておって、報告は、そういうことで一〇〇%実施だと。隣の市は、三十何%というのは非常に低いと思うんですけれども、それでもちゃんと正直に報告している。こういうケースがあるんです。具体的に私は持っていますけれども、ここで申し上げませんが。
 そういうケースは、私が知っているだけではなしに全国各地にあるんじゃないか。幾らその集計をして、実施率が上がっているとか実施が一〇〇%近くなったと言っても、私は、これはそのままいただけない。本当に文部科学省がそう思っておられるとすれば、実態が余りにも違うんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
遠山国務大臣 今のお話でございますけれども、私どもといたしましては、これはきちんとした調査を行って、その結果、小中学校においては一〇〇%までいかないという状況ではございますけれども、ただ、今日やっております方式といいますものは、それぞれの学校の実態を各都道府県でまとめて私どもに報告をしてもらっております。今、日本の小中高等学校、四万校ございます。仮にこれを私どもで調査するというと、到底能力を超えております。
 したがいまして、もし、いろいろなそういう実態が耳に入りましたら、それは私どもとしてはきちっと追及をして、そこのところはよく調査をする必要があろうと思いますけれども、私どもとしましては、今のいろいろな体制、人員、そういうのを通じまして、このことについても全力を挙げてやっているという状況でございます。
塩田委員 私は小泉総理に対しても申し上げたんですが、入学あるいは卒業式で、校長と教頭がその式場に国旗を掲げる、何人かの教職員が行ってそれを取り外す、生徒児童のいる前でそれを繰り返したというんですね。こんなことをしておって、いい教育ができるはずないですね。そのことを申し上げたんですが、そういう事例もある。
 また、ある校長先生から聞いたんですが、もうやめられた方ですけれども、自分は国旗掲揚、国歌斉唱について何とか頑張って実施しようと思って、五年間、教頭と校長のときに頑張って実行したと言うんです。ところが、最後の定年退職する卒業式のときに、市の教育委員会の指導課長なる者がやってきて、その校長さんに、あなた、最後だからこの国旗はおろしなさい、そして、三脚があるからどこかその辺に立てなさいと。本当に残念で仕方なかったけれども、教育委員会の指導課長が来て言うんだから従わざるを得なかった、本当にそれがもう悔しくてなりませんということを言っておられました。直に私は聞いております。
 それから、中には、国旗掲揚といいながら、生徒児童が講堂、式場に入る前は国旗を掲揚しないで、そして式場に全部入った段階で校庭に国旗を揚げる、そしてまた出てきたときも、その出てしまう前におろす、こういうことをやっておる例もあるということですね。そんな形のものが、一〇〇%実施というようなことで行われている。国歌斉唱にしましても、歌わないでピアノだけだとか、あるいは生徒児童が入る前にピアノの演奏をしてそれで終わりといったケースもあると聞いております。
 そういった、学校、そして教育委員会、文部科学省との間において、本当に実態がそのまま報告されていない。言うなら、うそを報告しているわけですね、学校の先生が。うそを言っちゃいけないということを教えながら、みずからはうそをついてそれを通してしまっているという実態があります。
 それから、これはもう大臣も既に御存じだと思いますが、東京都内のある区におきまして、余りにも先生が反米の思想を生徒児童に教えるものだから、父兄がちょっとひど過ぎるじゃないですかと言ったところ、その先生が、その母親に対して誹謗中傷するビラをまいて、子供にも持って帰らせたということがあって、これがまた裁判になって判決が出ましたね。結局母親の方が勝ったわけですけれども、わずかとはいえ十何万かの損害賠償ということで終わったようですが、その先生は、いまだに自分が正しいんだ、憲法に従ってやっているんだから何が悪いんだと言って、裁判に負けてもその考え方は捨てていないで、堂々とその後も別のところに転勤してやっておられるという。その児童は学校におれなくなって転校せざるを得ない。こんな事件も起こったことは御承知のとおりだと思うのです。
 この種のものは各地に起こっております。余りにも偏向教育が行われているということで批判する父兄に対して非常な各種団体からの圧力がかかる、そういう例も聞いております。そして、学校崩壊と言われるような事態、悲しむべき事態が各地で起こっているということ。その象徴的なものは、校長先生を取り囲んで生徒が校長に土下座をさせる、こんなこともあったと聞きますし、それを学校の先生がとめもしないでというか、なぜそういうことを教えられる生徒がするのか、そこまでいっておるかということですね。
 私自身の経験からいいましても、父兄会がありまして、子供の小学校のときですが、校長先生がいろいろな自分の考え方を述べておられたんですね。そうしますと、周りに学校の先生が、担任の先生を含めまして、父兄の座席のところに座っていまして、だれに言うともなく校長先生の悪口を盛んに言うんですね、校長先生がしゃべっておられるその間に。学校の先生がそういうことを父兄の前で、発言中にやっている。私は、これは非常にショックを受けました。
 学校の教師と教えられる生徒児童というものは、これは本当に麗しい関係で、一生忘れない関係であって、そして、いわゆる学校の先生というのは聖職だと思うんですよね。物をつくるだけでもとうといことですけれども、物でなしに人をつくる、人格をつくる、子供たちの一生をつくる、それに大きな影響を与える。その先生が、校長先生に対して反抗することを教え、そして生徒児童の前で校長、教頭と一般の先生が争い合う。こういったことを目の前に見せて、いい教育ができるはずがない、子供と先生の間に心の通ったいい教育ができるはずがないと思うのです。
 そういったことにつきまして、どういうふうに認識しておられるか。私は、決してこれが全部だとはもちろん言いません。大部分の先生方は一生懸命、文部科学省の指導要領に従って、あるいは県教育委員会、市の教育委員会の指示に従って一生懸命まじめにやっておられる方は非常に多いということもよく知っておるわけです。本当に聖なる仕事に打ち込んでおられる方が多いということはわかっておるのでございますが、一部に見られるそういった状況、これは日本の教育の危機というよりも、次代を担う日本国民がどのような人間に育っていくかということを考えますと、本当に重大なことだと思うのです。
 これらについてどのように把握し、また改革、正常化しようとしておられるか、お伺いいたします。
遠山国務大臣 委員最後におっしゃいましたように、私は、ほとんど多くの教員たちは、本当にもう日夜心を尽くして教育に当たってくれていると思いますが、折々にいろいろな問題を聞きますと、そういう人たちばかりでないということはよく私どもも認識しているところでございます。そういうような実態を放置してはいけないというのは当然でございます。
 そのようなことから、まず、私どもは、全国的な見地から制度的にどういうことができるかという角度で今取り組んでおりますのが教育改革の一連の仕事でございまして、教員の資質向上ということで、昨年は、指導が不適切な教員については、一たん教員になったらそのままずっといるというのではなくて、指導が不適切であればそれはきちっと転職をしてもらうというような法制度も新たにつくりましたし、また、今、先ほども衆議院の委員会で上げていただきましたけれども、教員の十年の経験者に対する研修、これを制度化しようといたしております。その他さまざまな教員の資質の向上のための手だてをしているわけでございます。
 ただ、確かに、仕組みをつくっても、現にそれが末端まできちっと整備されて、本当にすぐれた教育が展開されているかということについては、これは常々、私どもももちろんのこと、やはり地域における教育委員会、ここがしっかりしてもらわないといけないと思いますし、私は、これまでは、国が方針を決め、都道府県に伝え、都道府県から市町村に伝え、そして教育委員会から校長に伝えということでおしまいだったわけですが、そうではなくて、むしろ校長先生ないし各学校における指導的な地位にある人たちが、常に学校内における教員の教育活動についてもきちっとフォローした上で、問題があれば、しかもそれが法令に違反するような行為であれば、それに対してきちんと指導していく。そういう校長の姿勢を教育委員会がバックアップしていく。そしてそれを県の教育委員会がバックアップし、国もバックアップしていく。そういう個別のいろいろな学校における努力というものを、いろいろな機関がそれぞれ責務を果たしてバックアップしていくということが非常に大事だと思っております。
 今、いろいろな意味での教育改革を進めておりますが、今先生が御指摘になったようなことがわかれば、これはやはりそれぞれの責任あるところがそれを取り上げて、きちっと指導をし、あるいはサポートしていくというようなことを地道に積み重ねていくしかないと思っております。
 ただ、大きな制度的な私どもの取り組みもございまして、私は、次第に学校自体が変わって、教育をよくしようというふうな動きに今なりつつあると思っておりまして、そのことを後退させることなく力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
塩田委員 時間がなくなりましたので、また引き続いて次の機会にしたいと思いますが、今大臣が、都道府県教育委員会、あるいは市、町の教育委員会を通じて、また校長という仕組みですね、これについて言及されましたが、これは大きな問題だと思うのです。
 文部省が指示されても末端では行われていないというのはなぜかという問題。これは、校長先生自体がある団体の選挙というか、それに選ばれてあるいは推薦されてなっていくケースも出ている。それから、場合によっては教頭が二人いるとか、団体に選挙された教頭と、教育委員会なり校長が任命した教頭と二人いて、団体が推薦した、選挙した教頭の言うことしか聞かないというふうな状況があるとか、あるいは、校長とある種団体との間に確認書がつくられて、法令違反すれすれというか、中には法令違反もあるような確認書を随分つくって、校長は、教育委員会なり文部科学省からの通達があってもなかなか実行できない、縛られてしまっている、こういうケースが随分あるわけです。
 時間がございませんので、この辺でおきたいと思いますが、ぜひともそういった実態をよくつかんでやっていただかないと、末端の教育現場は本当に荒れているというか、非常に不正常な状況が起こっているということですね。教科書問題にしても、教科書を使わないで手製のガリ版を刷った、漫画を書いたような、それで非常な偏向教育をやっておるというケースも私はつかんでおりますが、時間がございませんので、この辺で次に問いたいと思います。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 私は、きょうは、在日米軍基地の整理縮小問題について質問をいたします。
 私は、沖縄に次いで米軍基地が集中する神奈川県に住んでおります。日本共産党は、言うまでもなく、日米安保条約はなくして在日米軍基地は全面的に返還すべきであるという立場をとっておりますが、この日米安保最優先の立場をとる政府でも、最近、この在日米軍基地の整理、統合、縮小、これをあらゆるところで言明をされております。
 そこで、もし在日米軍基地の整理、統合、縮小を言うのであれば、事実上閉鎖状態にある米軍基地、あるいは遊休化している米軍基地は直ちに整理縮小すべきではないか、こういう立場で、この間私ども日本共産党は国会で何回となく、横浜市の米軍基地、上瀬谷米軍基地、深谷通信基地、そして富岡倉庫跡地の問題などを取り上げてまいりました。こういう中で、当時の河野外務大臣、田中眞紀子外務大臣も調査を約束され、そして、その命を受けて外務省の方もこれらの基地、現場に行って調査をされてきました。
 そこで、具体的にお聞きをしたいんですが、最初に富岡倉庫跡地、これをごらんになった北米局長、現地をごらんになって、ネットに囲まれた基地の中に何があったでしょうか。お答えいただきたいと思います。
藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、今委員御指摘のとおり、神奈川県の米軍の施設・区域につきまして、これは神奈川県だけではございませんで、ほかの施設・区域もそうでございますけれども、常に実情把握に努めたいというふうに考えております。
 私どもは昨年、今言われましたように、私も北米局の審議官も、神奈川県の施設を分担して視察したわけでございます。私、今委員御指摘のとおり、富岡の倉庫地区を昨年の四月に視察させていただきました。これは、北米局のほかの局員も同行して視察したわけでございますけれども、富岡倉庫地区の現状について、私どもは、これは港に面しまして比較的狭い範囲の地域である、高速道路等も近い地域であるということで、その状況及び港との接続状況及び、道路を隔てまして二つに分かれている状況等を視察した次第でございます。
大森委員 基地の中に何があったかと伺っているんです。何がありましたか。
藤崎政府参考人 基地の中にコンテナがあったのではないかなというふうに記憶しておりますけれども、具体的に幾つぐらい、どんなものがどういうふうにあったかということについて、今ちょっとはっきりここで御答弁申し上げるのは、私、事実上今持っておりません。
大森委員 大変おぼつかない調査ではないでしょうか。それでは、大臣にはどのようにそれを報告されたんですか。
藤崎政府参考人 一つ一つの詳細について御報告しているわけではございませんけれども、今申しましたように、神奈川県等含めましてこの施設・区域の視察は行っている。そして、私どもが把握している限りは、施設・区域は、米軍はこれをきちんと利用しているということを言っているということでございますが、今申しましたように、私は、この富岡倉庫地区の内部におきましては、複数のコンテナ等が置かれていたということでございますけれども、具体的にその個数、どこの位置であったかというようなことについては、ちょっと現在の時点で把握しておりません。
大森委員 国権の最高機関での、国会での大臣の答弁を受けて調査をされ、その結果について同じ国会に報告する、その中身としては極めて私はいいかげんな報告と言わなければならないと思うんですね。何があったか伺っているのに、コンテナが数個あったんじゃないかと。私は何もなかったと思うのです。
 大臣は全然ごらんになっていないでしょうから、これが富岡倉庫跡地の写真であります。この向こうの建物は基地外のものですね。つまり、基地の中はペンペン草だけ。これが今富岡倉庫跡地の実態なんです。コンテナなど一体どこにありますか。
 そこで、こういうぐあいに、岸壁側の部分はこれは写っていませんけれども、ガスこんろ、あるいはいろいろなごみ、投げ捨てのごみ、そういうものがあるだけであります。三十年間、ごく一時期、資材置き場になった時期を除けば、こういう状況が続いてきているわけです。米軍関係の船舶の接岸、これも横浜市に問い合わせますと、この数年間全くないという状況であります。これは横浜市も、地区の特性に応じた公共公益施設、用地などで利用、こういうプランも持っているわけですね。
 今、政府が在日米軍基地の整理、縮小、統合を言うのであれば、まず第一にこういうところを行うべきではないかと思います。私は、大臣の率直な感想、御見解をお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 基地が今遊休であるときにそれをどうするかということでございますけれども、恐らくこれについて、それぞれ個別に私は事情をまだ把握をいたしておりませんけれども、ある今の時点で遊休である、それは拝見しましたけれども、ということで、それが返還可能かどうかということは、また違う問題として存在をするだろうと思います。これは、この地域の平和と安全のために、それぞれのいろいろな状況があり得るわけでございますので、少し長いスパンで考えたときに、何が必要、何が必要でないという判断が必要であるかというふうに私は思います。
 いずれにいたしましても、この施設・区域を返還するかどうかということについては、これは個々の具体的な事案に即しまして、もちろん地元の御要望も踏まえまして、日米安保条約の目的の達成といった点との調和を図りながら適切に対処をしたいと考えております。
大森委員 一般論を聞いているのじゃなくて、整理、縮小、統合、これを言う政府の外務大臣として何の感想も持たないのですか。何も使ってないようであれば、整理、縮小、統合を少しは考えてもいいんじゃないかと思いますが、大体、この基地は、コンテナ置き場なんという使用目的で提供しているんじゃないんですよ。使用目的は何ですか。日米地位協定で、個々の施設の提供については明確に協定を結ばなくちゃならない。その協定、個々の協定、提出しなさいと言っても、頑としてこれまで皆さんは出してないんです。では、協定上の使用目的は何か、これについても、事前の要求に対して何ら答えられませんでした。協定上、使用目的はコンテナ置きと書いてありますか。使用目的に限って回答してください。
藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
 この富岡倉庫地区の日米間の合意についてお尋ねがあったわけでございますけれども、使用目的ということにつきましては、この富岡倉庫地区ということでございまして、名称も、お示ししていますとおり、倉庫すなわち荷揚げ場、資材置き場というようなことで当初から利用されている、こういうふうに承知しております。
大森委員 使用目的に限定するように回答を求めたんですが、協定上の使用目的以外のことを回答されているじゃないですか。しかも、倉庫などどこにありますか。
 そこで、もうそういう態度ですと、整理縮小なんて本当に言葉だけになってしまうと思うんですね。こんな状態になってもなおかつ、何か使っているかもしれない、永久にこれは整理縮小などできないと。何のために日米地位協定二条二項、いずれか一方の要請があるときは、提供した基地について再検討しなければならない。返還することを合意できるということを書いてあるわけでしょう。何のために、そういう日米地位協定上の、一方が要請があれば検討しなくてはならないという条項があるんですか。一切そういうことを使わないということであれば、私は、もう整理縮小、単にそういう言葉だけになってしまうんじゃないかと思います。
 同様に、深谷通信所でありますけれども、ここには原田審議官が行かれました。ここはまだアンテナは残っておりますけれども、ここでは何をごらんになったでしょうか。
原田政府参考人 お答えします。
 私は、昨年十二月に、今御指摘のあった深谷通信所を視察いたしました。先生御存じのように、在日米海軍厚木航空施設司令部の管理下に置かれている施設でございますけれども、私は、そこで通信関連施設、それから今おっしゃいました通信アンテナ、これは林立しているような状況でございましたけれども、こういったものを視認いたしました。
大森委員 基地の現状について、ごらんになったことをもうちょっと報告できないんですか。一体何をごらんになったか。もともと、この調査に行かれる目的は何なんだ。国会では、既に遊休地化しているから、これについて返還等について求めるべきだということが大前提にあるわけですよ。そういう立場できちんと見てこなかったんですか。
 報告がありませんから、一体何を調査しに行っていたのかという本当に強い疑問を持つわけでありますが、この写真をごらんいただきたいと思います。これは、おっしゃったアンテナのさくに電波の、これは看板があるのですが、もうほとんど読めない。これはたまたま真っすぐになっているけれども、多くの看板が斜めになったり落ちかける寸前になっている。これには、もうほとんど読めませんけれども、あえて判読すれば、注意、人体に影響あり、この付近に立ちどまらないこと、こう書いてあるんですね。しかし、ほとんど読み取れない。放置されたままになっているわけですよ。もし危険な電波が流れていたら、とんでもないことになるでしょう。こういうところを見ませんでしたか。
 あわせて、もう一枚写真をごらんいただきたいのですが、これも施設の中、基地の中です。アンテナを囲ったさくの中であります。もう草だらけですよ。さらにもう一枚お見せしましょう。これも同じく基地の中ですが、いかにメンテナンスをもう何年もやってないか、歴然とここに示されているんじゃないですか。こういうところは原田審議官、ごらんにならなかったですか。
原田政府参考人 今先生御指摘のような状況も、私の記憶では視認したような記憶はございますけれども、と同時に、先ほど申し上げましたように、通信関連施設、それから通信アンテナも視認いたしました。
大森委員 では、もう少し具体的に聞きましょう。肝心なところは見ないで、通信基地として使われているなんて何でわかるのですか、そういうことが。
 深谷基地の部隊や従業員の移動については掌握されたんでしょうか。ことしの三月に、大臣、基地の中で火事があったんです。米軍の消防隊が到着したときには、もうその火事は周辺の住民の手で鎮火をされていた。全くお粗末な事態が生まれているわけですね。なぜこういうお粗末な状態がつくられたのか、お答えください。
嶋口政府参考人 事実関係についてお答えいたします。
 本年三月十九日午後三時三十分ごろ、深谷通信所前、ただしこれはフェンスの外で、県道に面している部分のようですけれども、そこで約五百メートル雑草が焼失したということでございまして、幸いにもそれ以外については被害はなかったというふうに報告を受けています。
 火災活動につきましては、火災を発見した地元の耕作者の方、それから戸塚消防署、泉消防署の隊員が消火に当たり、午後三時五十分ごろ鎮火したということでございます。
 なお、米軍の方は、出動いたしましたけれども、四時ごろに着いた、約三十分おくれたということでございます。
 いずれにいたしましても、この深谷通信所の処分につきましては、横浜市とも協定を結んでおりまして、相互に協力するということでございますけれども、私どもといたしましては、やはりこういうことは遺憾でありますので、米軍もきちんとした対応をしてほしいということは、横浜局を通じて厚木の方には申し出ているところでございます。
大森委員 基地の中に消防車はあるんですよ。なぜ三十分もかかるんですか。目と鼻の先にある火事ですよ。肝心なことをおっしゃっていないですね。深谷基地内では、消防隊、昨年の七月までありました。七月一日に厚木基地に移転したわけですね。ですから、いざ火事だと飛んできたけれども、三十分もかかった、もう既に住民の手で鎮火されていた、そういう状況なんです。
 今言いましたけれども、この部隊や従業員の移動については、先ほども伺いましたが、ともかく全面的にこれは配置がえ、消防隊もいない、それから、三十六人いた従業員もいなくなっている。それから、これは新聞の報道でありますけれども、無線機器、トランスミッションも九九年ごろ運び出されているということで、人の面でもそういう部隊の面でも、全く空き地状態ですね。従業員が、二人の米軍労務者がいるだけだという状況になっているんですね。
 それで、閉鎖結果が伝えられた時期から、送信に必要な電力消費、これも激減しているんですね。防衛施設庁、そうでしょう。
嶋口政府参考人 お答えいたします。
 深谷通信所に係る平成四年度から平成十年度までの七カ年の平均の米軍の調達量及び支払い実績は、電気が約四百十万キロワット、金額で五千六百万円、水道は約一万四千立方メートル、約四百万、下水道は一万四千立方メートル、約五百万。最近三カ年をとってみますと、平成十一年度から十三年度でございますけれども、電気は約百三万キロワット、金額は二千万円、水道は一万立方メートル、約三百万円、下水道は約一万立方メートル、約三百万円でございます。
大森委員 もっとわかりやすく言ってほしいですが、これは、防衛施設庁からいただいた資料をちょっとグラフにいたしましたので、大臣、そして委員長、ごらんいただきたいと思うのです。
 これで言いますと、もう激減の状況です。よくわかると思うのです。最近の一番最高が、九二年で言いましょう、五百三十九万キロワットアワーだったものが、二〇〇一年には五八万キロワットアワーですね。十分の一にまで激減をしているわけです。送信基地の閉鎖が伝えられた以前の八年間の平均使用量四百万キロワット、昨年はこれの一五%という激減ぶりであります。ですから、これは、大量の電力を必要とする送信業務が完全に停止しているという状況を示していると思うんですね。
 ですから、大臣、こういう面でも、整理、縮小、統合と言うのであれば、これは積極的に検討すべきじゃないかと思います。いかがですか。
川口国務大臣 先ほどの図、確かに減っていると思います。それで、減って、それぞれ個々のケースで本当にそれが必要かどうかということは判断されなければならないと思いますし、それから、地元の方がどう思われるか、あるいはこの地域の情勢、その他いろいろなことを考える必要があるんではないだろうかというふうに思います。
 いずれにしても、この基地について整理縮小をしていくという方向は、考え方としてはそういうことが必要ではないかと思います。
大森委員 今、個々のケースを申し上げているんです。個々のケースで判断しなくちゃいけないというのであれば、個々のケースを何を基準にして判断されるんですか。私は、この基地を提供している個別協定、そこで使用目的や、これは送信所ですか、それが送信業務が閉鎖しているというところから検討を始めなくちゃいけないと思うんですよ。個々のケースの判断の基準は大臣は何だと思われるんですか。
川口国務大臣 私は、五十万キロで、これが送信業務をもう停止しているのかどうか、ちょっとそれだけで判断できないんですけれども、先ほど申しましたように、地元の方がどうお思いになるか、あるいはその場所の機能をこれからどう考えようとしているのか、それから国際情勢はどうであるか、そういったさまざまな要素を考えるということではないかと思います。
大森委員 地元の人は返してくれと思っているんですよ。
 そして、今申し上げたような個別の協定、そこによる使用目的、それを終えていたら、では、当然これは要求をされるわけでしょう。そういう日米地位協定の性格だということを、大臣、お答えいただきたいと思います。――大臣。重要な政治問題ですから、これは。
藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
 今まさに委員御指摘のとおりでございまして、もし、使用目的を完全に終えている、つまり、もう米軍としての利用がないということでございましたら、これは地位協定にございますとおり、返還されるべきものであるということは、私どももそのとおりであると思います。
 それで、今おっしゃった具体的基準云々ということでございますが、基地に、施設・区域につきまして一律の基準がないということは今大臣がお答え申し上げたとおりでございまして、一つ一つの基地につきまして、今まさに委員御指摘の点でございますが、住民との関係、国際情勢、日米安保条約上の必要性等を検討いたしまして、個別的に検討していくべき問題であると思いますし、また、これまでもそのように対処してきているところでございます。
大森委員 では、何のために個別協定を結ぶのか。わざわざ地位協定上、それを明確に定めているわけですね。個別協定をやる、使用目的なんか書く必要ないんじゃないですか。在日米軍基地、目的は一切書かないでやる、そういうことになるわけですよ。そういう言い分が通るようであれば、もう一たん提供すれば永久に我が国にこの基地は返ってこないということになりますよ。
 二条二項、一方で要請する。大臣は、五十万キロワットだから使っていないとは言えないと言いました。使っているとも言えないですよ。十分の一にまで使用量が落ちている、そういうときに、二条二項とか、あるいは米軍側からも、アメリカ側からも、二条三項で、必要でなくなったら返還しなくちゃならないと義務づけられているわけですよ。そういう立場で、公平に、公正に、国家主権、これをきちんと行使していく。そういう立場こそ今本当に、だから、もう関係の地元の地方自治体のさまざまな要望をかわすために整理、縮小、統合に努めるというのでなければぜひそういう立場に立つべきだと思うんですね。
 そこで、時間が迫りましたので、上瀬谷通信基地についてもお伺いをする予定でありましたが、これは北米局長がごらんになりました。東京ドームにして九十個分以上の広大な地域、八割以上がもう米軍基地としては何ら使われていないという状況、そういう状況をごらんになったと思います。
 これについては、かつてこの国会でも取り上げましたけれども、今なおそういう状況でも返還の話が出てこないという背景には、私ども内部文書でも明らかにしましたが、例えば米軍住宅の建設計画、こういうものがあるのではないか。この点で、日本政府に対して、外務省に対して、公式、非公式の何らかの話がこの間当然あったと思うんですが、それをぜひ明らかにしていただきたいということが一つ。
 それから、もう一つは、米軍基地の整理縮小、アメリカ自身はどうなっているか、アメリカ本国、そしてアメリカの海外の米軍基地の整理、縮小、統合の状況はどうか。
 この二点、お聞きをしたいと思います。
藤崎政府参考人 今、大森委員から二点御質問いただいたわけでございますけれども、第一点は、上瀬谷通信施設につきまして、米側から私どもに対しまして、住宅建設等についての公式、非公式の打診あるいは要請があるかということでございますが、そういうものはございません。
 第二点でございますが、米国本土の米軍基地及び海外に駐留する米軍基地ということでございますが、これの状況は現在どうなっているかということでございます。
 これは、九五年の三月に国防省が報告を出しておりまして、九一会計年度から削減計画を出しているということでございます。こういう、米国内及び海外で施設・区域の整理縮小を図るということで方針を出しておりますけれども、その実施状況等につきましては、現在までのところ、公表があるというふうには承知しておりません。
大森委員 もう時間が参りましたので終わりますが、これは、ぜひ具体的に調査して、御報告いただきたいということが一つ。
 そして、私どもは、国会図書館等でこれは調査しました。アメリカでは、独立諮問委員会、基地再編閉鎖委員会、BRAC、これが、一九八八年から九〇年代、旺盛に閉鎖そして再編のリストアップと勧告をやっているんですね。その結果、これは、民間の安全保障情報サイト、グローバルセキュリティー及び国防報告などで、実際に閉鎖された基地も報告されているわけです。
 それによりますと、米本土の主要基地だけで、九〇年代だけですよ、それだけで約百カ所、削減率は二一%です。そのほかに数百の中小の基地が整理統合されている。そして、海外基地の削減率は約六〇%であります。もうこれは、ソ連崩壊後、大規模な整理縮小が行われておる。しかも、国防報告の二〇〇一年版では、新たなBRACを将来二回やろうとまで言っているわけですよ。
 在日米軍基地と米国本土の基地と、天地ほどの差があるじゃないですか。こっちでは、ごく小さな基地も、荒れ地同然で何十年にもなるというのに、それをアメリカは返還しようとしない、皆さんも返還を求めようともしない。本当に国家主権の、そういう意識があるのかと私は大臣にも申し上げたいと思います。
 こういう立場で、もし整理、統合、縮小を真剣に言うのであれば、私は、地位協定二条二項あるいは二条三項、これに基づいて堂々と、今私は少なくともいろいろな事実を皆さんに、大臣にお示ししたわけでありますから、それに基づいて、日米合同委員会初めいろいろな場でぜひ提起をしていただきたい。このことを重ねて求めまして、大臣に、時間がありませんけれども、一言だけでもお聞きしたいと思います。
渡海委員長 端的にお答えください。
川口国務大臣 沖縄のSACO報告等で、基地の整理縮小というのはやってきているわけでございます。まさに必要性その他、先ほど申しましたけれども、そういったことに基づいて考えていきたいと考えます。
大森委員 終わります。
渡海委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。最後になりました。よろしくお願いいたします。
 私は、公益法人について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほども、民主党の平野議員の方から、公益法人についての御質問がございました。これから改革を進めていくというお話でありましたけれども、公益法人はだんだんふえてまいりまして、平成十二年で二万六千二百六十四にもなっているということです。
 なぜこんなにふえてきたかということですが、公益法人である社団法人や財団法人というのは民法第三十四条に基づいて設立されますが、設立の許可が、主務官庁か、または機関委任された都道府県の広範な裁量に任されているために、官公庁にとっては設立が容易になっているということもございますし、何といっても、特殊法人が最近批判を受けていますので、官僚の皆さんの天下り先がむしろ公益法人の方がいいということがあって、こういうふうに非常に施設がふえてきたのではないかというふうに思っております。
 それで、この公益法人について、やはりさまざまな問題があるという点もございまして、特に私は、介護労働安定センターという公益法人があるんですが、その介護労働安定センターについて御質問させていただきたいと思います。
 まず、この介護労働安定センターといいますのは、見たところ、高齢社会の到来で需要が高まる介護サービス技能を養成するためというふうに聞いておりますけれども、介護サービス技能を高めるためになぜ公益法人でなければならなかったのか。国の直轄事業あるいは独立行政法人として各県や市町村や民間と連携して推進する方がいいというふうに思われますけれども、公益法人として事業を始めた根拠をお聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
酒井政府参考人 お答えを申し上げます。
 もう先生前段でおっしゃいましたように、この介護労働安定センターは、高齢時代を迎えまして、介護関係業務の労働力需要が非常に増大しているということでつくったものでございます。
 今先生御指摘の、なぜ国ではないのかという点でございますけれども、これは、内容的に申し上げまして、介護労働者の行う業務が、雇用管理の改善ということ等の業務でございます。本来、企業経営やあるいは労使関係に直接かかわる問題でもありますことと、それからもう一つは、介護業務が身体にかかわるという性質上、専門知識を持った方が現場の状況を見て対応していただくということで、専門的なノウハウをむしろ民間の方々がお持ちであるという点に照らしまして、やらせていただいているわけでございます。
 やり方につきましても、きちんとそれが行えるように、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、平成四年にできました法律でございますが、そういうものに基づきまして、今申し上げましたような趣旨で、国にかわってやっていただいている、そういう経緯でございます。
山口(わ)委員 特に、身体的なことが専門的な知識を必要とするということで公益法人というのは、よく意味がわからないところなんです。むしろ、公益法人ではなくて国が、そんな大事な仕事でしたらきちっとやはりヘルパーさんの講習、養成をする責任があるのではないかというふうに私は思うんですが、そこがなぜ公益法人かというところがいまいち、ちょっとわからないところなんです。
 それで、実は、ホームヘルパーさんの資格を与える講習をその公益法人では実際にやっているというお話なんですけれども、その対象者とか講習の内容、料金の設定などはどうなっているのかという点が、非常に疑問に思うわけです。
 実は、この養成講習というのは、何も公益法人だけがやっているわけではないというふうに思うんですね。他の養成機関もたくさんやっているわけですね。そういう点で、公益法人がやる場合と他の養成機関がやる場合とでは非常に差があるのではないかというふうに私は思うんですが、その公益法人でやっている仕事の内容について御説明ください。
酒井政府参考人 先ほども先生に申し上げましたように、介護業務が身体にかかわる専門的な業務であるということのほかに、介護労働者の雇用の管理、ちゃんとした労働条件で、ちゃんとした働き方でもってそれが行われるかを間に入ってうまくマネージをしていくというようなことで、このセンターがつくられておるわけでございますけれども、今先生御指摘のように、このセンターが行っている事業の一つに、介護でお働きになるホームヘルパーの方の研修を確かにやっておるわけでございます。
 今はその対象の方々は、最近の状況を見ますと、主として離職者でございます。これは、政府も介護分野はこれから非常に重要である、また私ども、雇用の場で、中高年、ホワイトカラーの方々等いろいろ御苦労されているという方々の働き場として、非常にたくさんの方々がハローワークに職を求めていらっしゃいます。そういうときに、介護分野を希望される方もたくさんおられるわけでございます。離職をされた求職者につきましては、これは何とか早く能力開発をして再就職をしなければいけないということで、従来より、無料で職業訓練をやっているということでございます。
 先生おっしゃいますように、いろいろなところで、有料でもやっておられます。それで、その点の違いは、今申し上げますように、離転職者等についてはできるだけ早くそういう形でしなければいけないという、雇用のこれまでやってきている、力を入れている対策の一環ということでございます。
 ちょっと長くなって恐縮でございますが、そういうこともございまして、講習の内容自身は無料でございまして、ただテキスト代六千七、八百円はちょうだいをさせていただいている、こういうことでございます。他のいろいろな公益法人の中でも、この法人以外でもそういう介護研修をやっておられるところはあろうかと思いますけれども、その違いは、今申し上げますように、端緒がハローワーク等にあるという点が違いであるというふうに申し上げることができようかと思います。
山口(わ)委員 この介護労働安定センターで、特に雇用創出という意味で力を入れているというお話でしたけれども、私もこの介護労働安定センターのホームページを見せていただきましたけれども、介護サービス業務に従事する技能を高めるための申請者の数というのは非常に少ないんですね。平成十二年度で全国で千四百六十四人しかいないわけです。しかも、合格者が九百三十九人というまことに少ない数で、私は実はびっくりしたんですけれども。
 例えば、私は長野県ですので、長野県の例をちょっと申し上げますと、ホームヘルパーの養成研修の修了者というのは、平成三年から十三年度までに長野県内だけでも二万二百七十人いるわけです。この実績から見まして、長野県にもこの介護労働安定センターの支部があるわけですが、支部は平成十二年度実績だけで二百十七人なんですね。ところが、県全体では平成十二年では五千四百二十六人の方がこの認定を受けているわけです。
 ですから、この全体の数からいきますと、介護労働安定センターを訪れて研修を受ける方は四%しかないわけです。九六%は市町村とか社会福祉協議会、そういうような団体が実施している状況になっているわけです。しかも、このセンターでは、認定講習が無料というお話で、資料代だけ取っているというお話ですが、ほかの事業者の実施者を見ますと、大体受講料は二万円から、多いところでは八万円くらいかけているわけです。ハローワークを訪れるか訪れないかということと、本当に今失業していてホームヘルパーの資格を受けようと思う人は違うと思うんですね。
 つまり、例えば私たちのような女性の場合は、実際には失業していて、そして各市町村やあるいは社協を訪れて、そういう資格の講習があるかどうかを聞いて受ける方の方が圧倒的に多いと思うんです。つまり、介護労働安定センターがこういうことをやっているということをほとんど知らないわけですね。ですから、私は、せっかくこういういい事業をやっているんだったら、もっともっと宣伝をしなけりゃいけないし、既に、せっかく受ける人が、片方は二万とか八万、片方はただというのは、国の制度を使うとしたら、私はこれは絶対におかしい話だというふうに思うんです。
 このことについては、もう一つちょっと質問させていただきたいので、お答えいただきたいんですが、実はこのセンターの収支を見ますと、平成十二年度で収入合計が百十三億六千五百五十万円という大変大きな額になっているわけですね。しかも、政府の交付金が、そのうち百八億と、この介護労働安定センターの全収入の九五%を占めているということになるわけで、大半が国の事業ということになってもおかしくないというふうに思うわけです。
 これだけの予算、私もこの予算を見て実はびっくりしたんですけれども、百八億という大きな予算をかけながら、実際にやっている仕事は、ほかにもあると思いますけれども、本当にこの介護労働の雇用を創出させるためだったら、平成二年から十二年まで合わせても三万一千人、平成十二年度でたった九百三十九人ということでは、本当にこのお金がどこに使われているのかということが、私は非常に疑問に思うわけです。
 さっき御答弁いただきましたね。雇用の管理というところにも重点を置かれるということで、多分事業所にもこのお金が何がしか行っているというふうに思うんですが、実際は、今ヘルパーさんの実態がどうなっているかといいますと、非常に厳しい労働実態で、しかも、ほとんど臨時かパートなんですね。ですから、せっかく資格を取って働き出しても、一年間通じて働くということが余りないわけです。途中でもうくたびれて、そして労働強化でやめていってしまうことが多いという中で、本当にそのお金が働いているヘルパーさんたちに生かされているかどうかということも非常に私は疑問に思いますので、その点も含めてお答えいただきたいと思います。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
酒井政府参考人 介護関係の研修、訓練としては、ウエートは小さいと思います。それは先ほども申し上げましたように、離転職者の方々にできるだけ早くそういう場に行っていただくということを主眼としております。ですから、先生おっしゃるように、介護の訓練、研修の事業をやっておられる方は、民間の株式会社形式のものもたくさんあるのは存じておるわけでございます。余りそういう分野に差し出がましく公的に出ていくということではなく、ただ離職者の方のできるだけ早い再就職というようなことを目指しておるということで、平成四年度から十二年度までの状況でございますけれども、二級で五万六千人、三級で三万二千人の計八万八千人ということでございます。
 今先生、たくさんのお金を使っておるじゃないかと。これにつきましては、確かに実は、介護の講習以外にも、先生今御指摘になりかかられました、事業所に対して、雇用管理のために百八億の半分くらいは、雇用管理の相談指導とともに、その事業所で抱える介護労働者のいろいろな雇用の安定といったことでやっておるところでございます。
 私どもとしては、限定的にそういうふうに必要最低限のところでやっていくべきだということではございますけれども、今先生が御指摘のように、たくさんの比率になっております、公費の比率が。この点につきましては改善をして、できるだけ自前で事業をやる、いわば有料の介護研修というものも取り組んでいく。ただ、余りやり過ぎると、これはまた民間事業者の方もたくさん取り組んでおられますので、その辺の兼ね合いも見ながら私どもとしては取り組んでいきたい。行政改革の中でもいろいろ御指摘を受けておりまして、そのラインに従って対応していきたいというふうに思っているところでございます。
山口(わ)委員 私が心配しておりますことは、非常にこの介護の問題に関して、こういう公益法人で予算を使って、そして介護の雇用創出とか介護労働者の安定に使われることはいいと思うのですけれども、ただ、公益法人がかかわった部分は百億のお金も使えて、そうでない事業者、あるいはそうでないホームヘルパーさんたちは、こういう恩恵には一切浴していないというところが非常に不公平ではないかと私は思うわけです。
 つまり、国民の税金をこれだけ充てるわけですから、やはり公平の原則に基づいたら、各県に、こういう介護労働安定センターが行う事業、そして、この事業をより多く皆さんに利用してもらうためには、もっとハローワークに来てもらうことを指導するとか、そういうことが大事だと思うんですね。失業している人が全部ハローワークへ行っているのならいいですが、そうじゃないわけです。多くの人たちは、市町村ですとか社協へ行って、そして認定講習を受けているわけです。私も何人かの人を知っていますけれども、皆さん失業された方なんですよ。
 ですから、そういうお金を使う以上は、公平の原則というのは非常に大事ではないかということをお聞きしたかったわけです。公益法人というふうになりますと、一般の人は何のことだかよくわからないということになってしまうので、やはりもっと国がかかわるべきではないか、その辺も非常に心配しているところなものですから、もうちょっときちっと対応していただきたいというところが私は言いたかったわけです。
 それで、実は、平成十三年度はもっとお金がふえているそうです。百三十五億二千六百万円ということで、またふえたんですね。これを都道府県当たりに換算しますと、一つの県で約二億九千万くらいになるわけです。これだけのお金をもし各県に交付してもらえればもっともっと有効に使えるというふうに思いますし、長野県の場合ですが、受講者は平成十三年度は四千四百八十六人いたわけですね。これでさっきの二億九千万円を割りますと、一人当たり六万四千円も使えることになるわけです。
 ですから、そういう意味では、公益法人の介護労働安定センターが本当に目的を達成しているかどうか非常に疑問であるというところが私はあると思うのですね。その辺はやはりこれから考えていかなきゃいけないと思うのです。
 関連して御質問させていただきたいのですが、実は、公益法人ですから、当然、公益法人の支出の内容を見ますと、会長さんがお一人、理事が十一人、監事が二人。そのうち常勤の役員は一体何人いらっしゃるのか、その中で天下り役員はどのくらいいらっしゃるのか、どこから天下っているのか、役員の報酬、年収はどのくらいになっているのか、退職金はどのくらいか、お答えください。
酒井政府参考人 先生最初におっしゃいました、公益法人でございますので、私ども、公益法人改革、いろいろな御指摘を受けておりますので、公益法人が非常に高率の助成率になっているということについては、十分対応していきたい、行政改革で決まったところも踏まえながら、できる部分についてはやっていきたいというふうに思っているわけでございます。
 介護労働安定センターの場合は、またいろいろ、今後、できるだけ無料でない部分も取り組んでいくということも必要であると思っておりますが、いずれにいたしましても、今先生おっしゃいましたように、公益法人ということできちっとやっていきたいと思っております。
 早口で申し上げますと、このセンターの役員は十五人で、常勤が四名でございます。四名のうち、理事長、専務理事、監事、この三名が旧労働省のOBでございます。それから年収は、理事長が千六百五十七万等でございます。それから退職金につきましては、今般、退職金の取り扱いを強化いたしまして、在職期間によって異なりますけれども、任期二年とした場合に、理事長であれば五百八十三万円、専務理事五百五十八万円といったようなことでございます。これも、きちんと公益法人改革の政府で決めておりますルールに従って、早急に定められた対応をしていきたいというふうに思っているところでございます。
山口(わ)委員 平成十二年の役職員の給料をちょっと調べさせていただきましたけれども、役職員が全部で十一億三千五百十六万円、退職金積み立てが二千九百八十万円、退職金が三千二百八十万、合計十三億一千万近いお金がこの公益法人の予算の中で使われているということなんですね。
 こういうことから考えても、なぜ公益法人にしなきゃいけなかったかというのは、私にはよく理解できないわけです。当然、介護保険制度が始まって、ヘルパーさんはたくさん資格を取っていただいて、働く場所を提供するということは私はいいことだというふうに思っていますが、私も実は保健婦です。今は保健師というそうですが。保健師、助産師や栄養士あるいは理学療法士など、資格取得をする人はたくさんいると思うのですが、これは全部、自分で学校へ行き、自分で試験を受けて、自分の費用で資格を取っているわけですね。やはりこういう仕事をする以上は、当然透明性の高い独立行政法人に改めるべきではないか。
 公益法人でこういう資格取得の仕事あるいは雇用創出の仕事をしているところは、この介護労働安定センターのほかに幾つあるのかよくわかりませんが、余りたくさんはないのではないかというふうに思っています。ですから、透明性を高くして、そしてだれもが受けられて、だれもが恩恵が受けられるようにするためには、やはり公益法人ではない方がいいと私は思うのですが、公益法人のこれからの改革の道筋として、介護労働安定センターをどういうふうにしていこうとお考えでしょうか。
酒井政府参考人 介護労働安定センターの担当します部分は限られている部分だと先ほどから申し上げさせていただいておるところでございまして、他の民間の会社も含めまして、大いに介護分野はまだヘルパーさんが必要であるわけでございますので、私ども、同じ役所の中でそのように考えて、ただ、介護労働安定センターは、離転職者にできるだけ早く職についていただいて、家族のためにもやっていただこうということではございますけれども、先生おっしゃいますように、公益法人でありますし、また役員に対しても、トータルとして出している交付金の一部が充てられているという実態がございますので、これは、特に先ほどの、旧労働省から行っている職員の給与にそういう国のお金が行くというようなことのないように、それは自主努力でやっていくようにというようなことで、きちんと範囲をわきまえて取り組んでいきたいというふうに思っております。
山口(わ)委員 時間が終わりかけておりますけれども、せっかく副大臣がいらっしゃっていますので、特にこの介護保険制度というのは、これから大変重要な役割を果たす制度になっていくというふうに思いますし、やはり女性の職場としてもこれからもっともっと安定した職場にしていくということが非常に大事だというふうに思っていますし、ころころヘルパーさんが変わったんじゃ、安心して高齢者の皆さんは介護を受けられないというふうに思うのです。もちろん、ヘルパーさんも自信を持ってきちっと家庭介護あるいは身体介護をしていかなければいけない中ですから、この点はもっときちっと予算をかけても、ヘルパーさんがちゃんと定住できるような、定職につけるような制度にしていく必要が私はあると思うのです。
 今もいろいろお聞きしましたけれども、非常にお金を使っていますけれども、結構むだなところにお金を使って、本当にヘルパーさんのところにお金が使われていないという部分もありますので、これから特に介護労働についてどう考え、どうしていくのか、お答えください。
狩野副大臣 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、本当に介護ヘルパーさんというか、介護分野の労働者の方にとって本当に魅力ある職場にしなければいけないわけですから、そういう意味でも、ヘルパーさんの定着促進を図るためにも、私は介護労働者の雇用管理改善を積極的に進めていく必要があるというふうに考えております。
 そういう意味でも、私は、介護労働安定センターというのは、介護分野の事業主や労働者を対象に、雇用管理の実態を業務ごと、地域ごとに把握して、必要な情報提供を行うとともに、雇用管理の改善に関する相談援助を実施しております。
 御指摘のように、収入のうち、国からの交付金の割合が高くなっておりますけれども、今後におきましては、本年三月に閣議決定された公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画の趣旨に沿って、交付金の割合を引き下げていくとともに、実施事業の拡大に努力していくこととしております。
 私も、これは本当に一番これから大事なことですので、高齢化を迎える中でだれもが体験することでございますので、本当に最も重要な視点だというふうに考えております。
 できるだけ皆さん方の御意見を聞きながら、これからも努力をしていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
山口(わ)委員 ありがとうございました。
 とにかく、国の大事なお金、国民の税金はもっと有効にきちっと使っていただきたい。そのために公益法人は見直していただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
渡海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十二分散会


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