衆議院

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第10号 平成14年6月5日(水曜日)

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平成十四年六月五日(水曜日)
    午後二時三十分開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      江藤 隆美君    小西  理君
      橘 康太郎君    谷  洋一君
      土屋 品子君    中川 秀直君
      中村正三郎君    額賀福志郎君
      武藤 嘉文君    村上誠一郎君
      森岡 正宏君    森田  一君
      井上 和雄君    石井 紘基君
      今野  東君    手塚 仁雄君
      楢崎 欣弥君    葉山  峻君
      平野 博文君    三井 辨雄君
      山田 敏雅君    山谷えり子君
      神崎 武法君    大森  猛君
      穀田 恵二君    保坂 展人君
      中村喜四郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   国土交通副大臣      月原 茂皓君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   会計検査院事務総局第四局
   長            有川  博君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 岡本  保君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   柳澤 協二君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (防衛施設庁総務部長)  石井 道夫君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (文化庁文化財部長)   木谷 雅人君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長
   )            澤田陽太郎君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省国土計画局長
   )            小峰 隆夫君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月五日
 辞任         補欠選任
  金子善次郎君     三井 辨雄君
  山口わか子君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  三井 辨雄君     山谷えり子君
  保坂 展人君     山口わか子君
同日
 辞任         補欠選任
  山谷えり子君     金子善次郎君
    ―――――――――――――
六月三日
 平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)
 平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)
 平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)
 平成十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)
 平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)
 平成十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)
 平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)
 平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)
 平成十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)
 平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)
 平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)
 平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)
 平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)
 平成十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)
 平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。
 まず、財務大臣から各件について説明を求めます。塩川財務大臣。
塩川国務大臣 ただいま議題となりました平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外十件の事後承諾を求める件につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 まず、平成十二年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成十二年四月四日から平成十三年三月二十三日までの間において使用を決定いたしました金額は四百八十六億円余であります。
 平成十二年度各特別会計予備費予算総額二兆三千三十九億円余のうち、平成十二年四月二十八日から平成十三年三月二十三日までの間において使用を決定しました金額は五十億円余であります。
 平成十二年度特別会計予算総則第十三条の規定によりまして、平成十二年七月二十五日から平成十三年三月三十日までの間において経費の増額を決定しました金額は三千九百七十六億円余であります。
 次に、平成十三年度一般会計予備費予算額二千五百億円のうち、平成十三年四月十三日から平成十四年三月十八日までの間において使用を決定いたしました金額は千二百四十七億円余であります。
 平成十三年度各特別会計予備費予算総額二兆百二億円余のうち、平成十四年三月十九日に使用を決定いたしました金額は四十四億円余であります。
 平成十三年度特別会計予算総則第十四条の規定により、平成十三年六月八日から平成十四年三月二十九日までの間において経費の増額を決定しました金額は三百七十四億円余であります。
 以上が、予備費使用総調書等についての大要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
渡海委員長 これにて説明は終わりました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岡本保君、内閣府政策統括官安達俊雄君、防衛庁長官官房長柳澤協二君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、防衛施設庁総務部長石井道夫君、総務省行政管理局長松田隆利君、文化庁文化財部長木谷雅人君、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省国土計画局長小峰隆夫君、国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、国土交通省鉄道局長石川裕己君、国土交通省航空局長深谷憲一君、国土交通省北海道局長林延泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、今財務大臣から御報告いただきました平成十二年度、十三年度一般会計予備費の問題でございますが、本来、予備費というのは、不測の事態といいますか、本来決めた予算の諸経費の中から、どうしてもそれでは間に合わない、こういった部分で使用されるものと認識しておりますが、特に平成十二年度及び十三年度で予備費使用の中で突出される部分、特記される、そういった使用額等、どういった内容のものがあるか、まず最初にお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 まず、平成十二年度でございますが、これは大きい予備費使用が余りございませんでしたけれども、主なものを申しますと、臨時老人薬剤費特別給付金等の不足額、その補助金でございます、これが三百六十三億円。それから、衆議院と参議院の補欠選挙がございましたので、補欠選挙に必要な経費として三十三億円。それから、皇太后御大喪がございましたので、これの陵の営建等の必要経費として二十五億円。これが十二年度の大きい支出項目です。
 それから、平成十三年度でございますが、ハンセン病療養所入所者に対する補償でございますが、これが六百八十三億円。それから、市場隔離牛肉、BSEでございますが、これの緊急処分事業に必要な経費として二百一億円。それから、国際テロリズムの防止等、九月十一日にあった事件でございますが、これらの防止事項等国際社会の取り組みに積極的に寄与するため自衛隊が実施する協力支援活動に必要な経費として、百七十三億円の予備費を使用しておる。大体それらが大きい項目になっております。
山名委員 今お伺いしまして、まず、必要な経費として使用されたということで認識をいたします。
 きょうは、内閣府の方から来ていただいておりますので、特に特別区構想、いわゆる経済特区とか言われるそういう特区構想、これについてまずお伺いをしたいと思います。
 日本経済が大変失速をいたしまして、いまだに浮揚がなかなか困難な状況にあるわけでございますが、こういった中で、これから新産業の育成、あるいは国際競争力を高めていくための一つの注目すべき政策のポイントだというふうに私は思っておりますが、こういう財政出動が極めて限界がある中で、いわゆる一定の地域を限定いたしまして、規制を大幅に緩和をし、あるいは経済の活性化のための税制改革等も含めて、一定の地域に対してのみそういった施策を打つといういわゆる特別区、特区構想、こういったものが、これは先般の与党政策責任者会議でも提言をされたわけであります。
 具体的には、IT、情報技術だとかあるいは物流だとか医療とか、こういった政策目的ごとに一定の地域を設けまして、そこで先ほど申しましたような規制緩和なりあるいは税制面での優遇措置を行っていく、そして地域産業を興していく、振興させていく、民間企業の自由な活動というものをそこで担保し、推進をしていこう、こういうねらいであります。
 例えば、中国なんかは、シンセンとか珠海、こういったところには経済特区を設けまして、今日の中国の経済成長の大きな因にもなっておりまして、外国資本、外国企業がどんどん進出をしているということでもございます。
 我が国におきましても、十年前に、沖縄那覇地区で自由貿易地域、こういった指定を行いまして、そういった基本的な考えを導入をしておりますし、それから、ことしの四月に施行されました沖縄振興特別措置法、こういった中でも金融とIT面での二分野の特区制度というものがスタートしておるわけでございます。
 この特区というのは、全国一律ではなくて、限定された地域を対象に特例的に適用されるわけでありまして、思い切った規制緩和なり支援策というものが講じやすいという利点もありますし、また、地方からとってみても、みずからの地域の特性というものをしっかりと検討し、そしてその上で、上からの押しつけではなくて、みずからの発想のもとにこの施策が講じられる、こういった利点というものを持っていると思います。
 そこで、この与党政策責任者会議におきましては、七つの例示を示しまして、それぞれのこれからの取り組みということを提言しておりますが、その前に、いわば先発組の沖縄におけるいわゆるIT、金融、そして自由貿易地域、こういった取り組みに対しての現状と、そして、それなりの効果というものがあらわれているんではないかと思っておりますので、沖縄での状況についてまずお伺いをしたいと思います。
安達政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、自由貿易地域の関係でございますが、那覇自由貿易地域につきましては、現在、入居可能面積一万平米余のうち、九〇%の入居率となっておりまして、ほぼ満杯の運営でございます。これが狭隘でございましたので、平成十一年に中城地区におきまして、新たに特別自由貿易地域制度を指定いたしまして、立地の推進を図ってまいりました。
 沖縄における県外からの工場進出というのは、ほぼゼロの状況が長く続いておりました。この制度を適用した後、県の企業誘致努力も相当強化されました。相伴って、この約三年間に八社の工場進出が実現を見たというわけでございます。八社が多いか少ないかというところはいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、これまでの沖縄、なかなか工場立地が難しいと言われていた中で、約三年間で八社が決まったということにつきましては、私どもとしては大きな成果ではないかというふうに受けとめております。
 それから、ITの関係でございますけれども、今回の沖縄振興特別措置法におきまして、いわゆるIT特区を金融特区と並んで認めていただいたわけでございますが、数年前から、これの先行する制度として情報産業振興地域制度を設けて適用してまいりました。県におきましては、通信コストの補助等、いろいろ支援策をさらに追加いたしまして、ここ約四年間で六十社の新規立地が実現いたしました。四千名を超える新規の雇用が実現できたわけでございます。
 今回のIT特区につきましては、金融特区も同様でございますけれども、こういった効果をさらに高めていくということで集積のさらに一層の推進、そしてIT関係では、さらに事業活動の展開の高度化ということを今度の制度によって期待していきたいというふうに考えているところでございます。
山名委員 そういう沖縄のいわば特区構想が現実に今実りつつあるわけでありまして、先ほど申しましたように、今後の我が国の経済の再生にとっては極めて私は有効な施策であると思っておりますが、ただ、この制度はある面では一国の中に二つの制度を設ける、一国二制度であって、混乱を招くという批判も一方では出されておりますけれども、きょうは内閣府来ていただいておりますので、今後のこういう特区構想についての基本的な考え方、あわせて、今後どのような手続でこの特区構想を進められようとしておられるのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
岡本政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま委員御指摘のように、いわゆる構造改革特区と言われておりますものは、個性ある地域の発展、あるいは知恵と工夫の競争によりまして経済の活性化を図るという目的からして非常に有意義であるというふうに考えております。規制改革を加速化する、あるいはその当該地域の特性を顕在化させて、その特定地域に新たな産業を集積するということにもつながるわけでございますので、そういう意味では地域の活性化につながる有効な施策だというふうに考えております。
 このため、六月三日の経済財政諮問会議におきましても、経済活性化戦略案の一つといたしまして、いわゆる構造改革特区の導入を図るとされているところでございます。
 この特区構想におきましては、ただいまも委員御指摘ございましたが、基本的にできるだけ当該地域の意見を受け入れて、その自発性を尊重しようという観点に立つべきだという考え方に立っておりまして、このため、その進め方につきましても、現在いろいろな構想をお持ちの地方公共団体がいらっしゃいますので、そういう地方公共団体に御意見を伺って、どういうふうに進めていくことが一番地方の意見を尊重することになるのかというような、いわゆる進め方のレベルについて現在意見をお伺いしているところでございます。
 今後、ただいま申し上げました経済財政諮問会議の経済活性化戦略等が六月中にも決定されるという予定でございますので、そういうまとまりも受けまして、特区の具体的な仕組み、あるいはどういうものを現在地方団体として本当に持っておられるのかというようなことをお聞きし、それを政府部内で調整していくための仕組み、そういうようなものを早急に決定をいたしまして、この構想の推進に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
山名委員 ぜひこの特区構想についてはそれぞれの地方自治体の意見をしっかり聴取していただいて、もたもたしていたのではこれは経済再生につながらないわけでありますので、しっかりと今後力を入れて取り組みをしていただきますよう要望をいたしておきます。
 次に、金融庁の方にお伺いをしたいと思いますが、きょうは大臣に来ていただいておりますが、この四月に特別検査を行いまして、そして、いよいよ不良債権処理がこれから積極的に進められるということで、これで銀行の持つ体力が少なくとも改善され、そして中小企業に対する、また市場に対するお金がどんどん回っていくだろう、人間の体でいう末端組織まで血液が行くだろうという期待をしておりますが、少なくとも、この検査実施後、不良債権処理がどのように進められているのか。金融庁としては、一定のルールづけといいますか、一年で五割、二年で八割、こういうルールづけをして目標を持って取り組もうということでございますし、これはぜひともしっかりと進めていただきたいと思っております。
 そこで、不良債権処理の進捗状況、これとともに、新たな不良債権がまた生まれている、こういう状況も聞き及んでいるわけでありますが、そういった土地デフレ、資産デフレの中で新たな不良債権を生むというこの論理はわかるわけでありますが、そういう新たな進展への分析をどのようにされているのか、その辺についてまずお伺いをいたしたいと思います。
柳澤国務大臣 特別検査は、昨年の十月末に着手をいたしまして、本年の三月三十一日を決算日とする決算にその結果を反映させようということで検査をしてきたわけでございます。
 そして、それが四月の十二日でございましたか、その結果を私ども発表をさせていただきましたが、そのときに、今委員が仰せのとおり、私どもは、この特別検査によって生まれた不良債権、破綻懸念先以下の債権については、鋭意このスケジュールをより明確にする。つまり、最初の年には五割を見当にこの処理をしてもらいたい、それから次の年にはその大宗を終えてもらいたい、めどとしては、いろいろ難しいものがあったとしても三割はやっていただきたい、二年たったら合計八割以上はやってもらいたい、こんなことを申し上げて、大手行が対象ですけれども、これを要請いたすということを発表させていただいて、現にそのとおりにやらせていただいておる、こういうことでございます。
 そういうことで、私どもとしては、不良債権のいわば最終処理と申しましょうか、バランスシートから外すということの作業日程を立てて、これを銀行にやってもらうということでございまして、これについてはそのとおり行われることを期待しておる、こういうことでございます。
 その上で、委員が今おっしゃられたのは、不良債権処理の全体像はどうか、こういうことでございますが、こういう破綻懸念先以下まで落ちた不良債権については、第一次的には、もちろん引き当てをしっかりやって、オフバランス化をするときに新たに巨額な損が発生しないようにしておくということが第一ですが、同時に、不良債権の中で比較的、破綻懸念先以下まで行っていないのを、私ども要管理先ということでこれを開示しているわけでございますが、これについても従前に比べてより充実した引き当てを行うというようなことで、いずれにしても、その処理をきちっと的確に進めるということをいたしておるわけでございます。
 その結果と言うのもなんでございますけれども、今回そういうことにかかる費用として、七・七兆円というような、そういうかなり大きな損が発生をし、これを計上した、こういうことでございます。損が多ければ処理が進んでいるという言い方もちょっと変ですけれども、現実にはそういうことで処理をすればその費用がかかるという意味では、これが大きいということは不良債権の処理が進捗しておるということを示していると申し上げてよかろうか、このように考えるところでございます。
 新規の発生についてはどんなふうな感じを持っているのか、こういうお尋ねが第三にあったかと思いますけれども、これは、特別検査による不良債権のかなり大きな金額での新たな発生、それからまた要管理先と区分しているカテゴリーの不良債権もこれまた相当増嵩いたしておりますが、率直に言って、要管理先のことについては、どちらかというと、認識の基準をかなり厳格にしたという面があることも否定できないところでございます。しかし、総じて申しますと、やはり経済環境の悪化と景況の悪化、それが貸し出し企業の業況の悪化というようなものにつながっておりまして、そういうことの結果、そのような要管理先債権あるいは破綻懸念先債権の増加につながっているということは言えようかと思うわけでございます。
 ただ、ここで申さなければならないのは、一般には、不良債権というのは発生しないのが正常かというと、そうではありません。これは生きた経済を相手にして金融が行われている限り、計画がうまくいくだろうと思って貸したものでもなかなか計画どおりにいかないということもありますし、また、一般的な経済の悪化の影響を受けて、なかなか事業が経営者が考えるように順調にいかないというようなことで、ある程度発生するということはもう当然の前提として考えなければいけない。ただ、その規模というか、そういうものを一定のレベルに抑えられるような状況を実現しなければいけないというのが、私どもが目的としているところでございます。
 そういう意味で、最近において、今申したような景況悪化を背景にして少し不良債権の増嵩がありますが、これはいずれ、内閣府が発表している「改革と展望」が想定するような経済の道行きをたどるならば、我々はこれを正常化していくことは可能である、このように考えているというところでございます。
山名委員 不良債権は自由経済の中で必ずしも悪ではないというその意味もよくわかりますが、これから起きる不良債権と今まで起きている不良債権は全く意味が違うと思うんですね。少なくとも、従来の不良債権というのは、銀行のいわば怠慢経営ともいうべき事態が招いた不良債権というのが大半だと思うのです。
 そういう点では、この不良債権処理について銀行の今後の努力というか、これに期待をするということでありますけれども、今国民は銀行に対して注目をしておりますし、仮にこういったものが、いわば一年五割、二年で八割処理するという事態が進まない、こういった場合、例えば業務改善命令を含めてどういったペナルティーを金融庁としてはお考えになっているのか、それらについてお聞かせいただきたいと思います。
柳澤国務大臣 先ほど申した四月十二日に私ども発表し、かつ、関係の銀行に要請をしたところの不良債権のオフバランス化のスケジュールがそのとおりいかなかったときの処置はいかん、こういうことでございますが、これは基本的にはそもそも行政の一つのめどとしてやっているわけでありまして、私ども、これの履行を確保するために、まず第一義的には、各銀行においてこうしたことがスケジュールどおりいっているか、いっていないかということの情報の開示を求める、こういうことにいたしております。
 そのことによって、もしそれがうまくいっていないということでしたら、当然、これはパブリックプレッシャーと申しますか、マーケットのプレッシャーにさらされるわけでございまして、これは何よりも当事者たる金融機関にとっては大きな圧力というか、逆からいえば、これを行わなければならないインセンティブになっている、こういうことであります。
 ただ、私ども行政として、それでは何も手を下さないかというと、それはそうではないわけで、仮にこれが達成されていない場合で、しかも、それがその銀行の姿勢によるというようなことでありますならば、これはやはり、どうしてそういう経営の姿勢をとっているのかというようなことについて報告をまず第一義的に徴しますし、その報告に基づいて、もし必要であるならば、当然、今先生の御指摘のような改善措置の発動ということもあり得るということで、御理解を賜っておきたいと思います。
山名委員 ぜひ、銀行の持つ社会的責任というのは大きいわけでありますし、今後ともしっかり目をつけて、当然、銀行の御努力というのは最低必要でありますけれども、引き続き、金融庁としての取り組みをお願いしておきたいと思います。
 時間がありませんので、次に行きたいと思いますが、これも大変現実の問題で深刻なのが雇用問題であります。完全失業率五・二%、依然として厳しい状況で、いまだ職がない、こういう方が三百万人近く出ておるわけであります。
 こういった深刻な雇用状況の中で少しでも雇用を高めるために、既に制度として、地域の雇用を開発しようということで緊急雇用創出特別交付金、こういう制度がさらに拡充をされまして、三千五百億円の予算も第一次補正に盛り込まれたところでございます。二〇〇四年度まで、この三年間でその資金を活用して、おおよそ五十万人の雇用をつくり出そう、こういう試みでもあります。この制度は、今各地方自治体におきまして工夫をされながら、それなりに進行しておるようであります。
 例えば、私は今京都に住んでいるんですが、京都なんかは、京の職人さん、こういうことでそういう制度をつくりまして、伝統工芸、西陣織だとか京染だとか、あるいは京焼とか、そういった伝統産業の離職者がいらっしゃるんですが、そういう人に、その離職者対策を兼ねまして、そういった仕事と作品づくりの場を提供しようと。これでもう既に今まで、この三年間で二万人ぐらいの雇用が生まれております。
 また、東京都では、あの三宅島の災害以来、むしろこの制度を活用しまして、農作業に従事をしていただく、そういう島民を募集いたしまして、今百人ぐらいの人がこの制度の基金をもとに、帰島後の、島へ帰ってから雇用を確保する三宅島海浜クリーンアップ事業、こういったものも開始をしたり、それぞれ各地域でいろいろな工夫がなされております。
 ところが、一方で問題もございます。これは人件費に充てるわけですが、その雇用に際して、単に人件費だけではなくて、やはりそれに附帯する費用というのがどうしても出てくるわけでありまして、いわば各地方自治体にとっては持ち出し分となってしまって、それがなかなかばかにできない費用になっております。ですから、さらに拡大したくてもなかなか拡大できない、こういう悩みも地方は持っておるわけでございます。
 そこで、この緊急雇用創出特別交付金の活用について、今のそういう実態の中からさらに進めていくためにも、例えば雇用期間、これを原則六カ月としておりまして、六カ月間の雇用期間なら正規の就職を目指すわけですが、なかなか決まらないということもありますし、柔軟的な期間延長の対応ができないだろうか。あるいは、自治体の持ち出し分の費用について何らかの措置がないだろうか、こういうことを地方自治体としてもそれぞれ要望をいたしておりました。その辺に対する取り組み、これをお聞きしたいことと、もう時間がありませんので、最後の一点として、今後、ワークシェアリング、こういう観点からの取り組み、これも雇用対策として極めて重要な政策ポイントだと私は思っております。あわせて、この二点についてお伺いをしたいと思います。
澤田政府参考人 前段につきまして、私の方から説明させていただきます。
 まず、六カ月雇用につきましては、この事業が、できるだけ多くの失業した方についていただくということで原則を立てております。
 ただ、そうした原則のもとで、例えば児童や生徒と接触をしていろいろなお世話をするような事業、いわば対人関係をサービスの対象とするような事業とか、あるいは、その事業を企画、運営したりあるいは継続するために、どうしてもコアとなる人間が要るというような場合、あるいは、一回更新した後、引き続き正社員として雇うということをあらかじめ事業主が同意する方とか、こういうケースにつきましては、六カ月ではなくて、もう一回更新して一年までオーケーということにしておりますので、各自治体におきまして、この辺の原則の例外をうまく使って一年のケースも出ておりますので、この辺で工夫していただけたらと思っております。
 それから、事業費のうち八割は人件費にするようにという基準を立てておりますが、これも個々の事業について八割以上ということではなくて、当該年度、都道府県で立てます全計画を通じて八割ということになっておりますので、個々の事業について見ますと、十割人件費もありますし、六割、五割人件費ということもあります。
 ただ、委員御指摘のように、都道府県は物件費とか資材費を支出しているというケースもございますので、この辺は全体で八割を守る中で、県として上積みしていただければありがたいんですが、できないような事情の場合には、その事業の面で工夫していただきたいというようなことで、現在、各県からの御要望にはお答えしているところでございます。
渡海委員長 狩野副大臣。
 時間がかなり過ぎておりますので、端的に。
狩野副大臣 はい、簡単に。
 雇用対策ということでございますけれども、現在、底入れしている景気の動きを民間需要を引っ張る形での持続的な経済の成長につながるために、厚生労働省といたしましては三つの柱を立てております。
 一つは、大ざっぱに申しますと、規制改革の推進等による産業の育成、雇用の受け皿整備。それから、官民を通じた労働力需給調整機能の強化、職業能力開発の推進等による雇用のミスマッチの解消。三つ目は、雇用のセーフティーネットの整備等であります。これが大変重要であるというふうに考えております。
 また、ワークシェアリングにつきましては、緊急対応型に対する支援を本年六月一日より実施をいたしました。これからは、多様就業型ワークシェアリングを推進するための環境整備を社会全体で進めていくために、短時間労働者の公正、均衡処遇のあり方とか、それから社会保険の適用拡大につきまして、引き続き政労使で検討して、合意形成に努力をしてまいりたいと思っております。
山名委員 時間が参りました。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
 きょうは、空港のことについてお伺いいたします。新空港の建設及び各空港の拡張工事について、ちょっといろいろ疑問な点がございますので、お伺いいたします。
 まず最初に、九州の空港の計画でございます。
 先日、新聞に大きく広告が出ました。新福岡空港、八千二百億円で玄界灘を埋め立ててつくりましょうという計画がございます、皆さん、御理解ください、こういう広告でございました。新北九州空港、これは既に七割ができ上がっておりまして、約六千億円かけてできました。さらに、現在使われている福岡空港、これもいろいろ整備が行われました。さらに佐賀空港、これは数年前に完成して、かなりな便数の減便等、利用者の激減によりまして大変な赤字になっている。この一時間圏内で四つの空港をこれからつくるということで、非常に巨額の国費が使われます。
 これについてちょっと、きょう副大臣がお見えですのでお伺いいたしますが、まず佐賀空港について、収支はどうなっているでしょうか。
月原副大臣 お答えいたします。
 佐賀空港の収支の話でありますが、歳入歳出につきまして、佐賀県から、平成十二年度で、着陸料など歳入は約八千六百万円、それから、施設維持費など歳出は三億九千七百万円、このように聞いております。
山田(敏)委員 八千万に対して三億以上の支出がある、これは需要予測を大幅に誤ったためということになっております。
 総務省行政評価局が去年の五月に発表した空港の整備等に関する行政評価・監視結果報告書、この中に、国土交通省は需要予測を、かなりおかしいんじゃないかという指摘がはっきりと書いてあります。十五の空港を調べた、そのうち大半が需要予測に比べて実際は少なくなっている、そのうち四つの空港については、これは具体的にどの空港と書いてないんですが、佐賀空港は入っているんですけれども、当初需要予測をしたうちの半分以下、もう採算も何もない、こういう状況になっております。
 今申し上げましたように、私も佐賀空港に行ってまいりました。一日に四便、もうほとんど人がいないというような状況で、これは無理もないんで、一時間で福岡空港があって、東京行きの便は頻繁にある、そして割引もある。佐賀空港に行くとほとんど、一日四便ですから、東京はたしか二便しかないんです。非常に不便。しかし、その割引もない。もうだれも利用する人はいない。航空会社も、そろそろやめてくれ、もうあんな佐賀に飛行機を発着させるのは困っていると。だけれども無理にやっている、もう採算なんか関係ない、こういう状況が続いています。
 そうしますと、数年にわたって自治体はこの赤字を穴埋めするわけですが、あと十年たつとまた数十億の負担が自治体にかかってきます。当然これは、国が半分の補助金を出してやったことですから、責任をとって、これは閉鎖した方がはるかに行政の効率化につながると思うんですけれども、副大臣、いかがお考えですか。
月原副大臣 委員はいろいろなところから情報をおとりのようでありますが、我が方、国土交通省として、直接的にも、また佐賀県を通じて間接的にも、航空会社が運航をやめたいというのが本音のような話を聞いたことがありません。まあしかし、いろいろな情報があるとは思いますが。
 そこで、今後ずっと赤字が続いていくのではないか、ここで、空港の設置管理者の佐賀県が県議会等でも答えておりますが、そのことについて申し上げますと、これは交通基盤の一つであり、空港を安全に管理運営していくための一定の歳入歳出、今御指摘のその面はあるにしても、さらにこれは県民の利便性とか観光等、産業の今後の発展のために必要だ、今のところそういうふうに県の方は申しております。
 そこで、今のお話の、国交省は今後そういうふうな地方空港に、もう既にでき上がっておるものについてどういうふうにしていくんだ、こういうお話でありますが、現在我々が考えておるのは、今申し上げたように、各県それぞれの事情によって空港を設置しているわけであります。地域の発展、産業の発展、また観光の発展、そういうことを考えておるということであります。
 我々は、その地方空港の活性化のために現在どういうことをしておるかというと、地方空港の着陸料とかそういうのは、御指摘のように、第三種空港ですから地方が決めるわけですが、羽田については着陸料を減額するとか、あるいは、地方空港の運用時間の延長のために、またより効率的に使えるために、例えば霧がかかってきたら来ないからますます不便になっていく、そういうことに対しても逐次対応できるような空港にしていく、地域の要望にこたえていくというのが現在我々が考えているところであります。
 全体的に言うと、今後の空港の整備のあり方全体については、現在、交通政策審議会というのがありまして、その空港整備部会において検討しているところでありまして、今後も、佐賀空港を初めとする地方空港の設置管理者の取り組みに対して所要の助言等を行ってまいりたい、こう考えているところであります。
山田(敏)委員 佐賀空港、そして新北九州空港、これは二千五百メートルの、もうすぐ完成するわけですが、さらに福岡空港、その中において、今も大変苦しいことを言われたんですけれども、新福岡空港を新たに八千億つけてやる、これについて必要性があると。先ほどの説明では、需要予測に基づいてやるんだということが国交省はあると思うんですけれども、この行政報告書に、国交省の需要予測は情報が開示されていないと。どういうデータに基づいて、どういう根拠で、どういうふうに予想したのか。それについて大幅に、半分以下というのはもう需要予測も何もないわけですから、非常にずさんな需要予測なんですが、それについて、どういう理由でということが一切ない。今後こういうことをしっかりやってくださいと書いてありますね。
 まず、お答えいただきたい。これは本当にやっていますか、この勧告のとおりに。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 先生御指摘のものは、昨年五月の総務省の空港の整備等に関する……(山田(雅)委員「今やっているかどうかだけ答えてください。書いてあるとおりやってあるかどうか」と呼ぶ)はい。これのことだろうと思いますが、私どもといたしましては、その需要予測を一層精度を上げるために、地方の設置管理者に、今後、「国内航空需要予測の一層の精度向上等について」という通達を発しまして、要するに、需要予測の精度の向上のためのガイドラインをつくりまして、他方で、記録の整備、保存、これについても適切に公開するよう各設置管理者にお願いしているところです。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
山田(敏)委員 新福岡空港の需要予測、これは、この勧告に基づいてしっかり情報開示をして、データをしっかりすれば、恐らくこの新福岡空港も必要のあるものではないという結論が出ると思います。
 またもう一つ。今、神戸空港がございます。関西空港の滑走路をもう一本つくる、こういう計画もございます。さらに、伊丹空港がございます。たしか船で二十分ですね、神戸から新関西空港まで。このような中で、きょう決算の数字をいただきましたけれども、関西空港は既に赤字である。この赤字のところにさらに新しい滑走路をつくる、さらに神戸空港をつくる、こういうことが今現実に進んでいるわけですね。
 こういうふうになりますと、空港整備特別会計という中身がここにございますけれども、これはもう数年のうちに破綻するんじゃないか。現実に今もう破綻状態ですね。自己会計では五六%しかできない、あとは一般会計借入金ということで、特別会計をやっているわけですけれども。さらに、このようなむちゃくちゃな需要予測に基づいてどんどんやって赤字をふやしていく、そういうことはちょっと国交省としても、国民の常識、こんなもの要るのかというところからかけ離れている、そう思われませんか。
月原副大臣 需要予測については、今委員がお話しの新福岡空港ですか、これについては県の方が、我が方の正式のものではなくて、県の研究会というか、そこが空港が欲しいというか必要だと。確かに福岡空港は、御承知のように大変大きな離発着、またアジアに向かってもこれからということで、福岡県が中心になってデータを集めているわけですが、まだ国交省のフィルターにかかっているわけではありません。
 それで、今お話しのように全体の需要の関係ですが、今航空局長から御説明申し上げたように、今、新しい観点から、また、十四年で空港の整備計画が、長期計画が終わりますので、次期、十五年に取り組むためにも、そういうふうな手法で、需要がより的確につかめるような手法も考えて進んでいるところであります。
山田(敏)委員 需要予測を正確にやっていただいたとしても、今、羽田空港の第四滑走路、それから今言った新福岡空港も、空港がいっぱいだいっぱいだ、こういうことですね。それはちょっと違う話じゃないかということがございます。
 イギリスのヒースロー空港、これは滑走路二本ですが、年間に五十万回。ガトウィックという空港がありますね、そこでも一本の航路で二十五万回。それに対して、国内の伊丹、羽田等、我が国は、一本の滑走路について十二万回から十三万回。イギリスの空港に対して半分しか使っていない、発着回数ですね。
 これはなぜかといいますと、御存じのように、イギリスは早くから民営化いたしました。空港の管制システムが民営化されています。民間の経営ですから、できるだけ効率よく、できるだけ経費がかからないようにやろうということになりますと、国際法上に決められたルールの中で、日本の滑走路の二倍の滑走路を使っている。日本は、羽田空港十二万回だからもうすぐいっぱいです、十六万回にしよう、だから第四滑走路要ります、今おっしゃったように福岡空港も要りますと。
 それでお聞きしました、なぜこんなに違うんですかと。これについては国際規定がございまして、大型機と大型機、中型機と大型機の飛行機の間隔を決められているわけですね。イギリスの場合は中型機が多い、日本の場合はほとんど大型機だ、こういう説明だったんです。私も一応聞きました。
 しかし、よく考えてみると、大型機の間隔は四マイルと定められています。中型機同士の場合は三マイルというふうになっています。ですから、イギリスの場合と日本の場合は三マイル対四マイル、約三〇%違えば、これは効率が同じだということになるんですが、今申し上げましたように、日本の管制でやると滑走路が倍効率が悪い、こういうことになりますね。明らかにこれは運営上効率的に行われていない。そのベースに従ってどんどん滑走路をつくりましょうという発想になっていますが、大臣、今のことをいかがお考えですか。
月原副大臣 今、委員、精緻な理論を展開されましたので、詳しくは航空局長からお話しさせていただきたいと思いますが、機種の問題、それから、この間米国で貨物機ですか、あれが落ちましたが、ああいう、飛んだ後の渦の問題とかもろもろの条件がありまして、時間が限られておるので、あとは航空局長に答えてもらいますが、そういう日本の特別な事情とそれから機種の問題、そういうものも含めて航空局長から説明させていただきます。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 空港の処理容量についてのお尋ねがございましたけれども、空港の処理容量につきましては、それぞれ置かれている空港の事情があろうかと思います。
 そういう意味では、滑走路自体の処理容量、これは滑走路についての飛行機の専有時間とかそういった問題。それから、環境上の制約。例えば、環境上の問題があって一定の方向には飛べないとかあらゆる方向に飛べるとか、そういった問題。あるいは、当該空港の空域に制約があるのかないのかというふうな問題。あるいは空港自体のレイアウト、そういった空港自体の地上での処理能力の問題、あるいは管制の運用のやり方。そういったもろもろのファクターが総合的に整理されて、空港の処理容量というのが、それぞれ一定のものが決まってくるというふうに我々は考えております。
 先生御指摘のように、ロンドンのお話がございましたけれども、ロンドンのヒースローの空港では、先ほどヘビー機のお話もございました。ヒースローの空港におきましては、いわゆる大きな飛行機、ヘビー機の割合が三〇%程度というふうに承知しておりますが、御指摘の羽田におきましては、これは六四%というふうな状況にございまして、ヘビー機とヘビー機が続くような場合はICAOの基準によりまして四マイルあけるとか、あるいはヘビー機と中型機であると五マイルあけるとか、それぞれの基準がございます。そういった基準も含めまして総合的に勘案して空港の処理容量が決まってくるということで、単純に滑走路の数だけではなかなか推しはかれないところがあろうかと思います。
山田(敏)委員 細かい話をされて、結局空港は、私もロサンゼルスの空港なんか見ますけれども、大体、日本よりも飛行機と飛行機の間隔は、先が見えるぐらい小さいんですね。空港の設備の問題とか今言われましたけれども、そういうことじゃなくて、やはりいかに効率的に空港を使うかという視点が欠けていると思うんですよね。民営化した場合には、それはすべて自分の収益にかかわりますから、決められた規則上でやる。
 今申された理由は、いかにあったとしても、発着回数がロンドンの空港の半分しか使っていないというのは余りにも効率が悪いと思います。ぜひその点をお含みおきいただきたいと思います。
 最後に、羽田の四期の滑走路の計画についてお尋ねいたします。
 去年の七月に第六回首都圏第三空港調査検討会で、大体この滑走路が幾らかかるかという発表をされました。これは、国交省の方で検討しました。一兆三千億円から一兆八千億円かかります、工期は八年から十二年かかります、これが発表されました。
 ところが、ことしの四月に入って、造船工業会が、大きなタンカーを七十隻ぐらい、メガフロートという工法がある、これによって滑走路をつくると五千億円でできます、工期は二年半でできます、全国の造船所にあらかじめつくっておいて持ってくれば非常に簡単にできます、こういう発表をしました。
 これを国交省はどう思われたのか知らないんですが、羽田の再拡張についてという資料を出されました。突然、この埋め立てをして、一兆三千億、一兆八千億円のを八年から十二年かかる、これは今まで国交省の経験で出された数字なんですが、これを、五千億円でできます、二年半でできます、こういうことになりました。
 今まで、滑走路を埋め立ててつくって二年半でできた工事は一つもないんですよ。大体五年から六年以上かかります。この工法を決定するに当たって、こっちに一兆三千億、一兆八千億、ここに五千億で二年半というふうに出たら、もう報告書として体裁がつかない、何の意味もない報告書になってしまう。この埋め立てを使って工事をやろうと思ったら、これは合わせてなきゃいけないんです。五千億円で二年半、こんな数字が出てまいりました。とても不自然で、信用できない。
 ちなみに、東京湾の横断道路は、一兆一千億です、でき上がってみたら一兆五千億ですと、知らない間に、最初これだけ言っておいて、あと適当にやれば予算はふえると。こういうやり方をすると、国民の税金を、本当に自分たちのお金として考えてやっているのかということになりますが、今の件について御説明いただけますでしょうか。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 先生御指摘のものにつきましては、私ども、首都圏の空港問題につきまして、平成十二年に首都圏第三空港調査検討会というものを開催し始めまして、勉強し始めた中での、昨年七月の第六回、事務局サイドとして提出した資料のことだろうと思いますが、そこの中において先生御指摘のような数字がございます。
 これは、当時、ほかの新しい空港を設置するケース、もろもろのケースにつきまして、その時点での極めて概算的なものでございますけれども、その事業費と、今回の羽田の四本目の、各団体が提出された事業費との比較の問題でございますが、昨年七月の一兆三千ないし一兆八千、こういう数字につきましては、滑走路島それ自体、それから滑走路と現在の羽田空港の本体の島を結びますところの連絡誘導路、この建設費以外に、当時、昨年の七月のことでございますけれども、想定しておりましたC滑走路沖合の埋立地、あるいは、そういったところに整備することを想定した場合の旅客ターミナルビル、アクセス施設、エプロン、誘導路、あるいは照明や無線施設といった航空保安施設の整備費、こういったもの一切合財入れた大ざっぱな数字として提示させていただきました。
 その一方で、今回の羽田空港再拡張事業工法評価選定会議におきまして、いろいろな工法につきまして各団体からそれぞれ御提案をいただいたわけです。
 これにつきましては、その中身といたしまして、滑走路本体それから連絡誘導路、この二つに限った工法についての検討をする場でございましたので、その場におきまして、四月、各団体から自由にそれについての提案をいただいたということでございます。それぞれの団体からの工法についての建設費、これは滑走路本体と連絡誘導路のみでございますけれども、これにつきまして、各団体によって多少差がありますけれども、五千三百億円から約五千六百億円余までの金額が示されたものでございまして、これは、あくまでも滑走路島それから連絡誘導路のみの直接工事費という違いがございます。
 そういう意味におきましては、昨年七月の首都圏の第三空港調査検討会におきますところの数字と、直接単純にはなかなか比較できないものと思っております。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
山田(敏)委員 一兆八千億で八年から十二年かかりますというものが、今、エプロンとかほかのところを埋め立てたんだとかおっしゃったんですけれども、目的は第四番目の滑走路をつくるわけですからね。これは一兆八千億、八年から十二年が、五千億円で二年半、こういうふうになったんですよね。
 今これは説明がありましたが、僕はきのう聞きましたね。それじゃ、そこの、一兆八千億円の明細を出してくれと。どこが埋め立てして――だって、滑走路をつくるんだから、同じ工事でしょう、目的は。多少、エプロンをつくった工事があるかもしれないけれども、そのエプロンは幾らですかと。ありません、こんなものありませんと。
 では、どうして一兆八千億と出てきたか、何で八年から十二年と出てきたか、出してください。役所の方はもう聞きましたから、国民の代表である政治家として、約束してください、副大臣。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 あと、期間につきましては、二年半というのは、各団体から提出されました直接工事期間でございます。あとアセスなんかの時間等ありますものですから、八年云々というのとは直接比較にならないと思っていますが、他方で……(山田(敏)委員「そんなこと聞いてない、明細を出すか出さないかと聞いている」と呼ぶ)はい、金額の方につきましては、他の新空港をつくる場合のものとの相対的な比較を出すという意味合いでございますので、極めて大ざっぱな数字だと御理解いただければと思います。
山田(敏)委員 済みません、今の、何の質問にも答えてもらっていないんですけれども。
 さっき局長が説明されたのは、一兆八千億と五千億の違いは、滑走路もあるけれども、違うところにちょっと埋め立てをして、エプロンもちょっとつくります、それが入っているからそんなに高いんだ、しかも八年から十二年かかると。
 では、その内訳を教えてくださいと言っているんですから、内訳はないわけはないので、それを出してくださいと。これはきのう、私、聞きましたので、これは政治的な判断で、国民の税金を使う立場で、政治家として、国民の代表として、副大臣がここにいらっしゃいますから、これは約束してください。
月原副大臣 今のお話は、報告書と今の、各業界というか、それぞれのプロジェクトを担当するところから我々がヒアリングしたものの差というものについて説明してもらいたいということでしょうか。(山田(敏)委員「いや、国交省がつくった一兆八千億の内訳です」と呼ぶ)
 それは検討させてもらいます。
山田(敏)委員 では、検討して出していただくというふうに私の方では解釈しますので、ぜひお願いします。
 また、新しい工法、浮体工法といってタンカーの大きなものを並べて空港をつくる。これも新しい技術で、私がこういうことを調べた中で、どうもアレルギーというか、やりたくない、今までどおり埋め立てをして大きなお金と時間をかけてやりたいというところが伝わってくるんですけれども、この工法は世界じゅうの空港にも使えますし、今私が言いました、特別会計の破綻的な状況、これからもっと一般会計でどんどんつぎ込む方法しかないと思うんですけれども、今申し上げました神戸空港にしても新福岡空港にしても、全部埋め立てをすると。莫大なお金がかかる、工期もかかる。これはぜひ前向きにやらなきゃいかぬ。
 国の財政を預かる財務大臣、今座っていらっしゃるので、いかがお考えでしょうか。
塩川国務大臣 公共事業は全般に、空港だけではございませんで、全部フィージビリティーが甘いと思いますので、これは十分にやった上で決定すべきだと思います。
山田(敏)委員 では、先ほどの一兆八千億、八年から十二年、これについては、理事会の方でぜひ検討していただいて、結論を出していただきたいと思います。委員長。
渡海委員長 先ほど副大臣が調査いたします、検討いたしますということのほかにですか、今おっしゃっているのは。こちらで責任を持てという……(山田(敏)委員「同じ内容です、責任を持ってやっていただきたいと」と呼ぶ)
 後で理事会で協議をさせていただきます。
 月原副大臣。
月原副大臣 今航空局長から説明したところのことと一部重なるかもしれませんが、新しい工法は、委員が御指摘の方法と、そのほか、もう既に御承知だと思いますが、三つの工法について、それぞれが大体二年半前後だ、そして大体同じようなものをつくるとしたらどのくらいだという金額も、既にマスコミも入ったところで我々の説明会を開いております。
 今後、我々の方は、羽田空港の再拡張工事評価会議、もう説明があったと思いますが、そういうところで、IBMの椎名さんを最高顧問とするところで検討されていくということであります。それぞれの工法の特色、それからライフサイクルコスト、全体の費用対効果、そういうものも考えて判断されてくるものと思います。最終的には国土交通大臣が決定することであります。
山田(敏)委員 その審議会、IBMの椎名さんが委員長ということで、ほとんどこういうことには全く素人の方で、実際上経験のある方じゃないので、私はここで非常に不自然に思ったのは、埋め立てして滑走路をつくるのに二年半でできたことがありますか。そういうことはちょっと不自然なことだというふうに思いますので、慎重にやっていただきたいと思います。
 私の質問は以上でございます。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、井上和雄君。
井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。
 本日は、沖縄に今建設中の組踊劇場という劇場の建設に関して、文科省にお伺いしたいと思います。
 この劇場なんですけれども、現在、沖縄の浦添市の小湾地区というところに建設されております。沖縄の伝統芸能である組踊というのがあるということなんですね。それを保存して、またそういう劇場をつくってさらに多くの人に公開していこうという趣旨で今つくられているということでございますけれども、今組踊劇場がつくられております浦添市の小湾地区というのは、これはどんな場所なんでしょうか。周りにはどういうものがあって、どういう環境にあるか、ちょっとお伺いしたいんですが。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 浦添市小湾地区でございますが、浦添市南西部の海岸沿いに位置いたしまして、那覇市北西部に隣接しております。沖縄県庁から約四キロ、那覇空港から約七キロの距離にございまして、乗用車、バス等でのアクセス方法としては、国道五十八号と臨港道路がある。また、周辺には那覇港、浦添埠頭などの港湾施設及び沖縄県卸商業団地があるところでございます。
 なお、周辺は今後都市計画道路が整備され、空港からの交通アクセスも良好となる予定でございます。また、都市公園、結の街整備事業等の計画も進められてございまして、今後、劇場が文化施設の拠点となることを期待いたしておるところでございます。
井上(和)委員 実は、私、ことしの二月、沖縄に行きまして、この劇場の場所も見てまいりましたし、建設中の現場に行きまして、中へ入っていろいろ説明を受けたり、視察をしてまいりました。
 まず最初、私が行った印象なんですけれども、正直言ってびっくりしました。この国立劇場、本当に格調高い文化的施設をつくるという目的で非常にいいと思うんですけれども、その小湾地区というところに行きますと、周りが工場地帯なんですよね。すぐ前に佐川急便の配送センターがありました。建設現場の横の方にスクラップのモーターサイクルですか、オートバイとかそんなのを積んでありまして、周りも基本的には工場地帯であるということです。何でこんなところにこういう文化施設をつくるのかなというのが私の抱いた疑問でありました。きょうは、ぜひその疑問に関してお答えいただきたいと思うのです。
 先ほども御答弁にありましたように、ちょっと行くと商業団地がありますよね。もう少し行くと米軍の住宅があったりします。私もいろいろ調べてみましたら、これは都市計画法の用途地域でいきますと準工業地帯だから、周りに工場があるのは当然ですね。
 この土地というのはかなり広大な土地ですね。三万平米ぐらいですか。だから相当広大な土地なんですが、もともとは製鉄会社の工場があったということだそうです。拓南製鉄という地元ではかなり大きな会社なんですけれども、もともとその製鉄会社の工場があった、工場の跡地だというわけです。その土地を今回文科省でお買いになったんだと思うんですけれども、一体幾らでお買いになったんでしょうか。教えていただけますか。
木谷政府参考人 劇場用地につきましては、沖縄県及び浦添市が誘致を行った経緯から、まず沖縄県土地開発公社及び浦添市土地開発公社が地権者から購入し、所有をしておるわけでございますが、文化庁といたしましては、この劇場を着工いたしました平成十二年度の翌年の十三年度から購入を開始し、開場を予定されている十五年度から十年後の平成二十四年度までに購入を終えたいというふうに考えているところでございます。
 具体的には、国が土地を購入するに当たって、適切な手続にのっとり購入する必要がございますので、毎年不動産鑑定士による鑑定評価を行いまして、その評価額の範囲内で価格を決定して、購入契約を締結するということになるわけでございますが、したがいまして、これまでに買っておりますのは平成十三年度だけでございます。平成十三年度の文化庁の用地取得につきましては、鑑定評価等所要の手続を行いまして、沖縄総合事務局の同意を得た上で、平成十四年三月二十六日に両公社と購入契約を結んだところでございまして、この際の単価といたしましては、平米当たり十五万八千八百円、総額で一億百六十三万二千円というふうになってございます。
井上(和)委員 この土地は、もともと拓南製鉄が持っていた土地を、文科省と沖縄開発庁でこの拓南製鉄の土地が最も適地だということにお決めになった、そういうことで浦添市と県で購入したという経緯がありますよね。
 私が聞いたところによると、本来、浦添市が全部買う予定だったらしいんですよ。ところが、お金が足りなかった。県の住宅供給公社、つまり県に頼んでお金を出してもらったという経緯があるんですね。なぜか。やはり高いんですよね。価格が高かった。つまりは、坪五十二万五千円で浦添市は買ったわけです。総額で約四十億円、三十八億ですか、正確にやりますと。
 私も近隣の不動産屋さんをちょっと歩いてみたんです。大体この辺幾らぐらいするんですかと言ったら、まあどう見積もっても三十万ぐらいですよという話でした。もともとは準工業地帯の土地ですから、これだけ今地価が下がっているときで、常識的に言って、坪五十万、工場地帯でも本当の海沿いですから、だから随分高いんだなというのがまず私の印象なんですね。
 路線価格をちょっと国土交通省から出してもらったんですけれども、大体浦添市で同じぐらいの値段というのはもう本当に市の中心部の商業地域です。やはり工業地帯だと大体坪せいぜい三十万円ぐらい。不動産屋さんが言っているのが大体合っているんじゃないかなということなんですね。
 先ほど不動産鑑定士がそういうふうに鑑定したんだというふうにおっしゃっているわけですけれども、不動産鑑定士が鑑定すれば、もうどんな価格でもそれで公共用地の土地の値段というのは決まってしまうんですかね。ちょっと私、そのことが疑問でありまして、会計検査院、お答えいただけますか。
金子会計検査院長 一般論という形でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、公共用地の取得価格の検査を会計検査院がする場合には、当局において近傍類似の売買実例等を調査するほか、不動産鑑定士の鑑定評価額も徴するなどして評定資料を作成し、予定価格を算定し、契約しているわけで、これらの手続が適切に行われているかどうか、その内容が適切なものとなっているかなどに注意をして検査いたしております。
 幾つかの事例もございますけれども、そういう形で検査をしておりまして、不動産鑑定士の鑑定結果が出たから、直ちにそれで適切であるという考え方はしておりません。
井上(和)委員 それでは、これはことし、年度末に買ったわけですね。ぜひ調べてください。この購入価格が本当に適切なのか、売買例を見て。ぜひそれをお願いできますか、会計検査院の方に。
有川会計検査院当局者 今院長の方から答弁させていただきましたとおり、不動産鑑定士の鑑定評価額も、私ども取得価格の適正かどうかの検査の際に、当然一つの検査の参考資料として調査しておりまして、鑑定評価額に疑義が生じるような場合もその場合ありまして、そのような場合はこれまでも指摘してきているという状況でありますので、本件の用地取得の検査に際しましては、その点につきましても注意して検査してまいりたいと思います。
井上(和)委員 それで、皆様のお手元に資料を提出させていただきました。二枚紙でございますが、これは一枚目が、沖縄県から組踊劇場をつくる建設候補地、どこがいいかということで、いろいろ選定して絞り込みをしてきているんですね。そのリストでございます。
 実際に決まっているのが三段目ですね。浦添市小湾地区というところになります。これに対抗して、一番上の新都心というのが、ちょっと矢印で書いてあります。この二カ所をぜひ比べていただきたいんですね。甲乙ない、ほとんど同じような感じで、丸、二重丸、丸、小湾地区の方に一個三角がある。大体同じような感じ。そういうことで、沖縄県、当時大田知事だったんですけれども、文部科学省の方に二カ所の場所を推薦してきたということでございます。それが平成九年五月二十日。
 その次を見てください。その次が、国立組踊劇場設置候補地の評価、これは文化庁からいただいた資料です。二カ所を比べているわけです。浦添市小湾地区と那覇市天久新都心地区というんですね。
 これは、沖縄県からその推薦が来たときに、両方とも甲乙つけがたいというような感じだったんですけれども、今度文科省の評価になりますと、天久地区の方にバツが二つつくんです。
 最後の有識者の意見のところに三角がついていまして、そこには「有識者による現地視察後の懇談では、面積の広さ、海に面している立地などを理由に、小湾地区を推す人が比較的多かった。」というふうに書いてあります。
 今回の候補地を小湾地区に決定するに際して、これが唯一の決定判断を行った評価の書類なんでしょうか。文科省、お願いします。
木谷政府参考人 ただいまお示しの国立組踊劇場(仮称)設置候補地の評価という私どもから提出申し上げた資料につきましては、これは平成九年十二月に私どもの方で最終的に小湾地区に決定をしたわけでございますが、その際に、それまでの検討の結果をこのように考え方を整理して、旧沖縄開発庁との調整、さらには内部でのさまざまな説明という形で使用した資料でございます。このような形でまとまっている資料はこれだけでございます。
井上(和)委員 つまり、四十億円の国費を使って、今一億円ぐらいしかまだ使っていない、これから買うわけですよね、今浦添市で持っているものを。最終的に四十億円ぐらいの国費を使って国立劇場の土地を購入する。その判断の基準が要するにこれだけしかないというのは、かなりいいかげんじゃないかなというのが私のはっきりした印象でございます。
 有識者の意見、私も、有識者の人のリストがあったので、何人かの人に電話をかけて聞いてみたんですよ。現地に行った後どういうことを話したんですかと聞いたら、やはり皆さんいろいろな意見があって、どちらがいいということではなかったということを、ほとんど行っていた人は言っているんですね。もし有識者の人の意見が、小湾地区を推す人が比較的多かった、比較的というのはどのぐらいかわからないんですけれども、これはぜひ資料を出してください、だれがどっちをそう言っているかというのを。出してくださいますか。
木谷政府参考人 有識者の御意見につきましては、国立組踊劇場(仮称)の在り方に関する調査研究の協力者二十数名に現地視察をしていただきまして、その後、懇談をしていただいたということでございますが、これは、この会議で最終的な決定を行うということではなくて、あくまでも一つの参考とするために御意見を伺ったということでございます。
 その性格上、個別の名前を出して御懇談いただくという形ではなくて、御意見をいただくということで行ったものでございまして、どのような意見があったかということについての総括の資料は以前に提出させていただいたかと思いますけれども、個別の名前の入った資料につきましては差し控えさせていただきたいというふうに思います。
井上(和)委員 つまり、まるっきり根拠がないということですね。もしきちっとした判断基準として有識者の意見を使うのであれば、だれがどういう意見で、だれがどういう意見だということがきちっと記録されていなければ当然おかしいでしょうね。記録もされていないで、何か印象的に比較的こっちが多かったというのでは、四十億円もの税金を投入して用地を買収する際の判断基準としては余りにお粗末じゃないかなと私は思うんですが、どうですか。
木谷政府参考人 この全体の表をごらんいただきますとわかりますように、ですから、最後の意見のところにつきましては、若干のそうした、小湾地区を推す人が比較的多かったということで三角ということになっておりますけれども、これは決定的な情報ということではございませんで、あくまでもポイントは、一つはまず用地面積、小湾地区は最大で約三万六千平米があるわけでございますが、天久新都心地区は、これはもともと県から推薦のあった、土地の面積としては約一万四千平米、いろいろと民有地等を買い足したとしても最大で約二万平米。これでは十分な駐車場面積等、組踊劇場の機能を果たすに適切な用地が確保できない、それは困難であるということが非常にまず大きなポイントでございます。
 それからもう一つは、下から二番目にございますが、近隣の状況ということでございまして、天久新都心地区には近隣に住宅や学校が建設を予定されてございまして、劇場の催し事や観客の集散等に対する苦情が発生するおそれがある。小湾地区にはそのような事情はないということでございます。
井上(和)委員 天久地区というのが二万平米で小さいと。二万平米といっても六千坪ですよね。ちなみに国立能楽堂は八千平米ですよ。国立文楽劇場が四千五百平米。だから、それから比べても相当大きいですよね、二万平米。私、二万平米が小さいという理由がよくわからないですね。何か、駐車場が足りないと言っているけれども、おたくの方でちゃんと交通アクセス調査というのをやって、天久でも七千六百九十五平米の駐車場があればいいというふうに書いてあるんですよね。七千六百九十五平米って大体二千坪でしょう。つまり、六千坪あって、二千坪あればいいと。まだ四千坪残るわけですよね。
 それで、ちょっと伺いたいんだけれども、この拓南製鉄の買収に関して、選択肢に関して、政治家の働きかけはありましたか。(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に願います。
木谷政府参考人 この具体的な用地の選定につきまして、文化庁に対する特段の政治家からの働きかけはないというふうに承知しております。
井上(和)委員 私、ないというのはちょっと考えられないんじゃないかなと思うんですね。なぜかというと、この拓南製鉄の役員に自民党の県会議員の人がいるんですよ。拓南製鉄のオーナーというのは、その県会議員の義理のお父さんなんですよね。だから、政治家にも強いパイプを持っているのは、まあはっきり当然だし。
 それで、一万坪近い土地があって、会社としてはもう工場を移しちゃって、お金も借りて、新しい工場を建てているんですね。数十億円つなぎ融資を受けている。やはり、なるべく早く売りたいですよね。だれだって、余計な土地を持っていたら、まずどうすればいいかと考えるのは、最初はお上に買ってくれと。市役所でも国でも買ってくれないかなと考えるのは当然ですよね。だから、私は、そういう働きかけがあったのも当然じゃないかなというふうには考えていたんですが、それはないということで、わかりました。
 それで、国立の施設をつくる場合の土地の選定の大原則というのを、私、この前ちょっと委員会で、これは国土交通省に聞いたんですけれども、大臣おわかりですか。――それでは、私の方から言いますけれども、国立の施設をつくるときの用地の選定の大原則というのは、やはり公有地を使うということで、これは当然ですよね。つまり、国が持っていればその土地をまず使う、そして、例えば市役所とか県が持っていればその土地を使う、これはもう大原則だと。私、国土交通省の建物の場合はそうだということを聞いて、これは納得いたしました。
 それはいいですか、会計検査院長、それはよろしいですか。ちょっと答弁していただけますか。
金子会計検査院長 そういうルールがあるということであれば、会計検査院としては、そういうルールに従った取得がなされるということが適切である、こういうふうに判断をいたします。
井上(和)委員 いや、それはルールじゃないだろう、ルールとしてはっきりあるかどうかは知らないですけれども、まあ、あればあるのにこしたことはないんですけれどもね。
 ただ、常識的に考えて、もう既に買ってある土地があって、それを使えば余計な出費もしなくて済むわけですから、当然だと思うんですね。それで、この那覇市の天久地区の方は、これはもう既に那覇市が買ってある土地なんですよ。購入済みなんです。だから、わざわざ拓南製鉄から買う必要はないわけですよ。
 それで、この那覇市の天久地区の土地の値段というのは、文化庁の方で調べてありましたか、購入価格というのを。わかったら言ってください。わからなかったらいいですよ。――わからないですか。では、それをちょっと調べて教えてください。
 つまり、先ほど言った、坪約五十万円で今回ちょっと買って、また今後買っていくわけですよね。だけれども、僕は、恐らくその那覇市の土地の方が随分安いと思いますよ。これは前々から新開発で買っているわけですからね。だから、そういう公有地をまず優先するということに関してまるっきり考慮していないというのは、何か理由があるんじゃないかなというふうに私は思います。
 それで、こういう土地の選定に関して、当然、公明正大にやらなきゃいけないというふうに思いますが、今回の土地の選定に関しては稟議書というのはあるんですか、文化庁、稟議書。
木谷政府参考人 最終的には、平成九年の十二月十九日付で、当時の文部科学大臣の決裁を得ております。そうした原議書がございます。
井上(和)委員 それで、とにかく拓南製鉄の土地に決めたというのが、このたった一枚の、これしか私もらえないので、ちょっとそういう稟議書とか関係の資料をぜひ出していただきたいんですけれども、委員長、よろしいですか。
渡海委員長 対応できますか。
 木谷部長。
木谷政府参考人 後刻提出させていただきます。
井上(和)委員 はい、わかりました。
 委員長も、ぜひよろしくお願いいたします。
 それで、会計検査院、これは一般論になりますけれども、やはりこういう公共用地の、要するに用地の買収というのは非常に大きな問題で、それがきちっとやられるべきことは言うまでもありません。それで、検査院として、こういう問題に関してどういうふうに対処できるんでしょうか。
金子会計検査院長 会計検査院は、検査に当たりまして、検査院法により、合規性、正確性の観点のほか、経済性、効率性及び有効性の観点から検査をすることが認められております。
 したがいまして、土地、公共用地の取得についての検査ですが、一般論として申し上げますと、公共用地の取得箇所の選定について、先ほど申し上げました合規性、正確性の観点のほかに、その事業目的に適合した用地を選定しているか、取得する用地が事業目的に対応した適切な規模となっているか、また取得の手続等が法令等に適正に準拠しているか、経済性に十分配慮しているか、そういった観点から検査をするということになっております。
井上(和)委員 それで、先ほどのリストに戻るんですけれども、この「天久新都心地区には、博物館・美術館の文化施設や商業施設等の設置計画がある。」と、これにも書いてあるわけですね。つまりは、近隣に博物館、美術館ができる文化的な地域になるということが予定されている。小湾地区というのは、要するに商業地域ですよね、トレーディングセンター、そういうものであると。だから、もとから小湾地区にこの組踊劇場を持ってくるということに関してはかなり無理がある。
 そこで、理由づけとして、駐車場がたくさん必要であると。つまり、駐車場が必要なのは、非常に交通の便の悪いところにあるから当然ですね、ほかがないですから。都心からも離れている、だから余計駐車場が必要になるわけです。もう一個は、隣に学校がある。隣に学校があるから苦情が出るというようなことも書いてはあるんですが、では小湾地区どうなのというと、周りにたくさん工場があるじゃないかという話になりますからね。佐川急便の配送センターもあるわけですよ。
 だから、そういう状況が本当に客観的に判断されて決められているのかどうかということに対して、たびたび繰り返しになりますが、私は疑問があります。
 それで、もう一点、ちょっと私が、非常におかしいなというか、皆さんがやっていることに感心したのは、平成九年の六月に沖縄県から二カ所の候補地というものが推薦されてきて、それが六月の二十四日なんですよね。そうしたら、もう七月に環境アセスメントと交通アクセスが始められて、八月下旬にはもうレポートができちゃっているんですね。物すごいスピードなんです。それで、もう十二月には場所は選定された。そういうことがあります。――やめますか、いいですか。
 いろいろもめているようですので、では、私の質問はここでやめさせていただきます。
渡海委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費の増額、予算の移しかえにつきましてお伺いいたします。
 特別会計予備費の国立病院施設整備費四十四億九千八百十三万八千円、国立療養所施設整備費といたしまして三十九億四千七百四十六万三千円が計上されております。
 お伺いいたしますが、これは一般会計予算の中でできなかったのかどうか、移しかえ、増額の必要がどうしてできたのか、御説明をいただきます。
田村大臣政務官 先生御指摘いただきました分でございますけれども、平成十二年度の予備費の中から今言われました八十四億円、両方足してでありますけれども、我が厚生労働省といたしましては、整備費といたしまして使わせていただいたということであります。
 今おっしゃられましたとおり、もともと景気対策で公共事業の予備費五千億円というときのものでございまして、全体の四千八百億円の中におきまして、我が省では二百七十六億円を実は使用させていただいているんです。この中におきまして八十四億円が、今先生がおっしゃられた等々に使わせていただいたということでございます。
 具体的には、例えば、当時言われ出し始めましたシックハウス、これに対するいろいろな対応の施設整備でありますとか、それからアレルギーやリューマチのクリーンルーム等々の整備等、こういうものに使わせていただきまして、喫緊の政策課題といいますか、それを、ちょうどこのときに景気対策の公共事業予備費がございましたので、これで使用させていただいたということでございます。
塩田委員 今の予算、予備費の使用につきましては一カ所ですか。具体的に御説明をいただきたい、どこにどれだけという。
田村大臣政務官 それぞれどういうものに使われたかということでございますでしょうか。全部を御説明させていただくのでございますか。(塩田委員「たくさんあるのか、一カ所なのかということ」と呼ぶ)たくさんでございまして、全体で五十六施設に使わせていただいております。五十六施設にそれぞれ使わせていただいておりまして、今、シックハウス症候群対策ということで一施設、それからアレルギー、リューマチ疾患対策で七施設、それから療養環境等の整備ということで四十八施設ということでございます。
塩田委員 当委員会で以前に坂口厚生大臣に直接お伺いしたんですが、こういった予算の執行に当たっては、フリー、フェア、オープンという原則のもとに、一般競争入札あるいは随意契約等々、会計法に定められている、あるいはまた政令にのっとって公正、適切に行われているものと考えますが、具体的に今の予算執行はどういう形で入札されたかをお伺いいたします。
田村大臣政務官 基本的には、先生おっしゃられましたとおり、会計法第二十九条の三の規定によりまして一般競争入札ということでございますけれども、工事の規模でありますとか特殊性によりまして、例えば指名競争入札であったりとか、それから随意契約で行う場合もございます。ちなみに、今言いました五十六件中、一般競争入札が一件、それから指名競争入札が四十八件、随意契約が七件というふうになっております。
 ただ、その随意契約に関しましては、基本的にやはりしっかりとした対応をしなきゃならないということでございまして、ガイドライン等々をしっかりと取り決めまして、それにのっとって運用させていただいておるということで、主に、例えば継続でやっておる事業に追加的な部分で入った場合には、足場等々がそのまま組んでありますので、それを壊すと非常に経費的にむだが生じるということで随意契約を結ばせていただく。これは一例でありますけれども、そういうような基準をつくらせていただきまして、随意契約をさせていただいておるということでございます。
塩田委員 一般競争入札一件、指名競争入札四十八件、これは金額的には区分があるからということですか。それぞれの事情はどういうことで指名になったり一般になったりあるいは随契になるのか、御説明いただきます。
田村大臣政務官 失礼いたしました。
 契約の形態と金額でありますけれども、基本的に、六億六千万円以上の工事に関しては一般競争入札、それから六億円以上六億六千万円未満、こういう工事は公募型の指名競争入札でございます。さらに、三億円以上六億円未満の工事は意向確認型の指名競争入札、そして三億円未満の工事に関しては通常の指名競争入札というふうになっております。
塩田委員 以前に大臣から御答弁いただいたときは、七億円という金額が出ておりましたが、今の三億円という区切りですね。国土交通省の関係ですと、これが二億円と一億円、一億円未満とかですね。六億六千万円は変わらないんですが、二億円という区切りになっていますけれども、これは各省庁共通ではないんですか。
田村大臣政務官 すべての省庁を私も確認したわけではございませんけれども、それぞれ違うというふうに認識いたしております。
塩田委員 今御説明がありました中に、八十数億という金額のうち随意契約が七件ありましたね。ということは、かなり細分化されて随意契約、金額は少額とか、随意契約はいろいろな要件がありますよね。どういう要件で随意契約が七件になったのか、随意契約の仕方ですね、具体的に御説明いただきます。
田村大臣政務官 今先生おっしゃられました随意契約の要件でございますけれども、先ほども申し上げましたが、ガイドライン等々で決めさせていただいておるわけであります。
 例えば、現に契約履行中の施工業者にさせた場合は、工期の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる場合ということで、当初予期しなかった事情の変化等により必要となった追加工事でありますとか、本体工事と密接に関連する附帯的な工事、さらには前工事に引き続き施工される工事でその施工者にさせた場合、工期の短縮、経費の節減、安全・円滑かつ適正な施工が確保できる等有利と認められる場合ということでございます。
 今回の先生御指摘の十二年度の場合を申し上げますと、やはり、現在改修をしておる国立病院の中におきまして、先ほど来御説明をさせていただいておるような、例えばシックハウスの対策でありますとかアレルギー対策の施設等々をそこに設置する。でありますから、改修しておる中にそれを新たにつくるわけでありますけれども、足場やいろいろな部分がございまして、それを外さなければ新しい業者がなかなか工事できない、円滑にそれが進められない等々のような理由によりまして、今回随意契約という形にさせていただいたということでございます。
塩田委員 会計法第二十九条の三によりまして、また政令によりまして、適正に競争あるいは随意契約という要件がいろいろ定められておりますね。
 これの具体的な手続、いつ公告して、そして公募して、締め切って、説明をして、そして競争入札をする、あとは公開をどうしているのかですね。そういった手続等について、公正性を確保するためにいろいろ手を打っておられると思うのです。
 この公告から入札、決定あるいは公開の段階で口ききがあったり、天の声がどこかからおりてきたり、あるいは最近も市長や助役が逮捕されるというような不祥事が起こっておりますが、その過程であるわけですね。そういったことがないように、法令に従い、そして、ガイドラインと言われましたね、そういったものも内部的につくっておられるわけですね。それから、審査委員会というのは、国土交通省関係では審査会があってそれにかけるんだということも言われましたが、厚生労働省の場合はどうなっておりますか。
田村大臣政務官 先生おっしゃられました部分でございますけれども、一般競争入札の場合に関しましては官報公告によりまして、また、公募型の指名競争入札等におきましては掲示によりまして公募を行っております。でありますから、それにのっとって動いていく過程において落札まで行く。結果に関しましては、それぞれ官報公告または閲覧ができるようになっておるわけであります。
 それとは別に、今の随意契約の分があろうと思うんですが、随意契約に関しましては、今御説明させていただいたような形で随意契約を結ぶ、もしくは二百五十万円以下のものに関しましては随意契約を結んでもよいというふうにしておるわけでありますけれども、そこは、先ほど申し上げましたガイドラインというもので不正な随意契約が結ばれないようにしっかりと対応いたしておりますが、審査委員会というのは実は持っておりませんでして、その点はまた我々もいろいろと、もし何か間違いがある、問題が生じますれば考えなければならないなというふうには思っております。
塩田委員 ガイドライン、それから審査会の関係で具体的に説明をいただきたいんですけれども、今ないとすれば、また後ほど資料をいただきたいと思います。
 それから随意契約、今二百五十万円以下はもうオール随意契約だということでしたが、何十億もするものを細分化して、何百万円とか二百五十万円以下とか、そういうふうに小刻みに切り刻んで全部を随意契約にしているケースがあるわけですね。それは、そんなに何百、何千といった細分化じゃないんですけれども、会計検査院が外務省の関係で指摘されたのは前の年度であったわけですね、これは私も質問しましたけれども。そういったケースは厚生省にはないですか。
田村大臣政務官 認識としては、そういう問題はないというふうに思っております。
 ただ、そういう問題がもし生じるようなことがあれば、これは許されないことでございますので、しっかりとした対応をしなきゃならぬと思っております。
塩田委員 随意契約は、非常に行政庁の任意的な判断、自由裁量の入る余地が大きいわけですね。そこに業者と特定の人との密着、癒着あるいは、言うならば官と業の談合を行っていると同じような形が起こっているわけです。いろいろな発注、物、サービスの購入に当たって特定の業者と直結して、全然ほかから入る余地がない、もう官と完全に間ができ上がって他から入る余地がないといったような密接な関係ができてしまっておるといううわさもあるわけです。印刷その他いろいろな物品の購入からサービスの購入をしておられると思うんですね。厚生省に絶対そういうことはないということは言い切れないんじゃないですか。具体的に出すのはもう時間がありませんからあれですけれども、これはひとつよく調べてみてください。
 厚生労働省本省の直接のものももとよりですけれども、特殊法人だとか独立行政法人とかあるいは認可法人等々に補助金なり交付金を渡して委託したりしてやっている場合にも、そういった外郭団体に対しても同じような、厚生省が公正、公開、そして自由競争をやるという原則のもとに適正に行われるように指導しているのか、あるいは準拠してやるべしという何か指示、通達を出してあるのか、その辺をお伺いいたします。
田村大臣政務官 先生御案内のとおりでございますけれども、会計法の適用は特殊法人等々は直接受けないということでございますから、政府調達部分のものは外しまして、基本的には、それぞれが国の会計法にのっとってのいろいろな基準でありますとか規定をつくってやっておるものだと思いますが、その点は監督官庁といたしましてしっかりとした責任がございますので、引き続きそういう不正が起こらないように我が省といたしましても対応してまいりたいというふうに思っております。
塩田委員 ぜひとも公正を旨として適切な予算執行に当たっていただきたい、このことを強く要望いたします。
 いろいろなうわさが入ってきますから、それは事実であるものもあれば中傷的なものもあるかもわからない。ですけれども、やはり業界は皆見ていますからね。お互い競争している中で特定の業者だけが常に利益を受けているというか恩恵を受けている、片や、予算の執行の上から見ましても、財務大臣おられますけれども、随意契約は二、三割高いんじゃないかという指摘もあるんですね。それは国民の税金のむだ遣いですよ。完全競争入札でやれば二、三割下がる予定価格が、随意契約のために、以前からの単なる恒例的な関係ができてしまって、そこにいつも随意契約が行っているということがあり得ますので、そういった点、よく末端まで調べていただいて、そういったことのないように、ぜひとも公正に入札あるいは随意契約等々についてやっていただきたいということを強く要望いたします。
 続きまして、靖国神社問題についてお伺いいたします。
 福田内閣官房長官の私的な諮問機関として、追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会というのが発足して、もう数回にわたりまして、靖国神社にかわる、いわゆる国立の慰霊施設建設が論議されているということは、我々も情報として知っておるわけでございます。
 これができた場合に、厚生労働省の所管の千鳥ケ淵にあります戦没者墓苑はどうなるんでございましょうか。お伺いいたします。
狩野副大臣 御指摘の懇談会の件でございますけれども、懇談会の中で幅広く議論をされていることは私も承知いたしておりますけれども、千鳥ケ淵墓苑に関しましては、現時点ではお答えすることが大変難しいわけでございます。この懇談会の話のいかんによりましては、千鳥ケ淵戦没者墓苑のあり方についても、これからも検討が行われるものだというふうに私は思っております。
塩田委員 もちろん、その懇談会の結論によって、それが政府として直ちに決まるものではないと我々は思っております。また、そうあるべきだと思うんですね。単なるそういう私的な諮問機関で、十人の中で八対二ぐらいで大体、つくるという方向に行っているということですけれども、それはやはり国会なり国民全体の大きな関心事ですから、十人が結論を出したからといって決めるものじゃない、また決めるべきじゃないと私は思います。これについては私は、そういう施設は靖国神社がある限り必要でない。外国人用の祈祷所のようなものをつくる必要はないと私は思っておりますが、これはここでの議論じゃないのでおきます。
 それから、厚生省が、靖国神社のみたまの祭られる方々の名簿を戦後も提供してこられておりますね。いろいろな協力をしておられるんですが、どのような基準でそういう名簿を出しておられるのか、お伺いいたします。
狩野副大臣 旧厚生省といたしましては、旧軍人軍属の人事資料などを保有しておりまして、これにつきましては、遺族等から調査依頼があれば、一般的な回答業務として情報提供を行っております。靖国神社からも、同じような回答をするように依頼がありましたので、一般的な資料提供の一環として回答いたしております。
塩田委員 要望が神社側から来て、それに応じて名簿を出される。戦後、旧厚生省、今の厚生労働省がそういう協力をしてこられた。今もなお、これからもあり得るわけですね。その際に、法務死された方、戦病死の方、それから訓練中に戦時中に亡くなられた方、こういった方は全部祭られているんでしょうか。
狩野副大臣 旧厚生省といたしまして、靖国神社から、いわゆる法務死者、日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判により拘禁された者、いわゆる戦犯で拘禁中に死亡した者でございますけれども、戦病死者、それから訓練中の死者等を含むすべての戦没者について回答するように依頼がありましたから、これについては回答を行っております。ですけれども、これは依頼のあった靖国神社が、合祀の状況に関するものがあるということは一切関与しておりません。
塩田委員 そうしますと、訓練あるいは戦病死、これは全員じゃない、言うならば、戦争に関して公務でもって亡くなったと認定される者、そういう者を選んでおられるんじゃないでしょうか。
狩野副大臣 先ほどもお答えいたしましたように、旧軍人軍属の人事資料等を保有しております旧厚生省といたしましては、これについて、遺族等から調査依頼があった場合には、一般的な回答業務として情報提供を行っておりますので、そういう意味で、靖国神社からそういうもとで依頼がありましたので、回答をいたしております。
塩田委員 私は、あえて法務死ということを申し上げているんで、その他の表現は適当でないと思います。
 終わります。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、今野東君。
今野委員 民主党の今野東でございます。
 夕張シューパロダムについて四回目の質問になります。これは、北海道の夕張市にあるシューパロダム、この補償が、過大な補償を行っているのではないかという疑惑であります。
 ここに、北海道開発局石狩川開発建設部がつくった補償交渉の基準になるもので、損失補償基準というのがあります。石狩川夕張シューパロダム建設事業に伴う損失補償基準ですから、それ用につくったものですね。ここに、「建物移転の移転料は、構造、使用材料、仕上げの程度、経過年数等を考慮し、各建物の移転に要する費用を適正に算定し、補償します」とあります。その下に、工作物移転料についても、「建物の移転料の算定方法に準じて算定、補償します」とあります。何度もさまざまなところで聞いて回りましたが、この「適正に算定し、補償する」というのはどういうことかとお尋ねをしてまいりました。
 その結果、つまり、こういう日北酸素のような工場の場合、工場が持っている機能、ただガスなら、一万トン生産するガスの工場を、そのまま機能を移転するということなのだということを確認いたしました。
 しかし、この日北酸素というのは、生産能力六倍になって、そして工場を建設しております。これだけでも過大な補償です。これに十八億九千万円、この日北酸素はかけております。しかし、補償は四十九億しております、五十億近く。ここのところをおかしいと言っているわけなんですが、前回の質問で、大臣が、夕張シューパロダムの疑惑について出された国土交通省北海道局の調査結果について、私は、所管する大臣として余りにも甘い納得の仕方で、それでは大臣としての職責を果たしていないのではないかという指摘をさせていただきました。
 第一回、平成十年の十二月二十三日、これは天皇誕生日の日に、山本官房長が鈴木宗男議員のところに行っているという不自然。補償の積算をさせた会社も聞いていない。積算の根拠になった数字も聞いていない。大事なところをチェックしていない。大臣自身が大事なところをチェックしないで、こういうあいまいな報告書を出してきて、それでよしとしている姿勢というのは、私は委員会軽視じゃないかと思います。この調査報告を大臣として了解しているということですから、国民の皆さんに対する説明責任も当然あります。大臣、責任を持って答えていただきたいと思います。
 そこで、もう一度お伺いいたします。私は、大臣、全部わかっているべきだとは思いません。細かく言えとは言っておりません。大事なところはチェックしておいてくださいと言っているんです。チェックされていないのでお伺いするんですが、もう一度お伺いしますが、補償額積算のためにコンサルタント会社に発注をした、この日北酸素の補償積算のために発注したコンサルタント会社はどこですか。大臣に聞いています。
林政府参考人 先般の当委員会におきまして、私の方から、いわゆるコンサルト会社の名前につきまして、本来公表可能な名前について不明確なお答えをしてしまったことについては、不適切でありまして、改めておわび申し上げ、ただいま先生のお尋ねのあったコンサルト会社についてお話をさせていただきたいと思います。
 石狩川開発建設部が発注した日北酸素の補償に関連する業務の実施コンサルタントにつきましては、まず、ズコーシャという会社がございますが、平成十一年度に一件、平成十二年度に二件、それから、ドボク管理という会社がございますけれども、この会社は、平成八年度、九年度に各一件ずつ受注してございます。そのほかに建基コンサルタントの名前が出てございましたけれども、直接は、北海道測量事業協同組合が平成六年度、七年度、九年度、十年度に各一件受注してございます。そのうち、九年度の業務につきましては、御指摘の建基コンサルタント、それとともに、シモクニ技術株式会社、それから山下コンサルタント株式会社、この三社がこの組合員として業務の一部を実施してございます。また、十年度の業務につきましては、その組合員であるズコーシャが業務の一部を実施してございます。
 以上でございます。
今野委員 それでは、日北酸素の補償について発注を受けたコンサルタント会社はどこですか。
林政府参考人 日北酸素について、広い意味でいいますと、私が述べた会社がすべてでございます。と申しますのは、最初は、いわゆる調査ですとかあるいは補償の方針、それらの検討を目的として業務をなしてございますし、その後、特に平成九年度以降は補償交渉のための補償積算等を目的として業務を遂行してございます。
 以上でございます。
今野委員 広い意味だと全社だそうですが、狭い意味だとどこになりますか。
林政府参考人 ただいま委員の御指摘の狭い意味というのはどの部分を指すかによるんですが、いわゆる工場の機械類等、設備類等につきましてはズコーシャがやってございます。
今野委員 皆さんのところに資料をお配りしてあると思うんですけれども、このズコーシャを初めとして、コンサルタント会社には、資料のように北海道局から天下って役員になっている人が大勢います。北海道局から天下っている人が役員になっている、そして同時に鈴木宗男議員に献金している会社、こういうところに積算させて、多額の、過大な補償をしている。これは全部了解し合っている、お手盛り補償じゃないですか、大臣。
扇国務大臣 これで三回目になりますか、四回目になりますか、今野議員からのお尋ねでございますけれども、今申し上げましたように、コンサルタント業務、私どもは、いかに公平にするかということでコンサルタント業務に出すわけでございまして、国土交通省関係で勝手に積算するのではなくて、コンサルタント業務として世間にきちんと登録した会社に積算してもらうということが一番公平であろうと。また、補償する場合は、必ずこういうふうに第三者に積算していただいて今まで補償してきているというのが慣例でございます。
 ただ、局長が冒頭に申しましたように、私も、局長がなぜ言わないのかわからなかったんですけれども、この間聞いたら、混乱しておりまして申しわけございませんでしたと言うから、私は、知り得て公表できるものはすべて公表しなさいということで、まず委員長に御説明に行きなさいということで、今申し上げましたように、コンサルタント会社の名前を公表させていただいて、そしてそれらは、責任を持ってコンサルタント業務として、自分たちの積算が世間に対してどう補償されるかということは、会社にとっては生き死にの問題でございますから、私は、今申し上げましたように、ここに、天下りじゃない、後援会ですか……(今野委員「天下っているんです」と呼ぶ)役員ですね。役員のうち、北海道開発局に勤務経験のある者の一覧というのをお示しになっております。
 けれども、天下っている者はほかにもございまして、役員だけでも、今ここにありますように、三社に六名が天下っているという表をお出しになりましたけれども、もう少し広い範囲での天下りももう調べてございますから、御要望であれば公表いたしますけれども、測量とかあるいは積算するときに、その技術を持った人が民間のコンサルタント会社に採用されて、そこでいささかも自分たちの裁量で何かをするということになれば、これはもう二度とそのコンサルタント業界で生きていけないということですから、今、今野議員がおっしゃるようなことがあったとすれば、これはちゃんと司直の手で調べられることであり、我々は検察にかわってそれをどうこうするということではございません。
今野委員 広く天下っている人がいるのがあれば、その資料をぜひ出してください。
 それから、第三者のコンサルタント会社へ発注していると。これは第三者じゃないじゃないですか。天下りはしている、献金はしている、べったりどろどろですよ。一くしに刺さっているじゃないですか、これ。だんご状態です、全く。
 それで、大臣、そんなに強気でおっしゃるのなら、このコンサルタント会社が積算した数字は御存じですか。どういう数字がもとになっているんですか、この四十九億というのは。教えてください。
扇国務大臣 この間も申し上げましたように、補償額というのは、これはもう三度目、お答えしておりますから今野議員がよく御存じのはずで、声を大きくされても答えは同じでございまして、補償される側から金額を出さないでいただくから補償できるというのが今までの例でございますから、今回の夕張シューパロダムだけが特別ではございません。
今野委員 これは、私もそんなにしつこい方じゃないんですけれども、何度聞いても出ないから、これじゃ納得できないから再三質問をしているんです。
 それでは、林局長、答えていただけるんでしょうか。きょうは言わずの林局長がなかなか言ってくれておりますから、ぜひお話ししてほしいと思いますけれども、日北酸素との移転交渉というのはいつからやっていますか、全体で何回やっていますか。
林政府参考人 お尋ねの件についてお答えいたしますが、平成七年の六月から平成十二年の五月まで、計五十九回交渉してございます。
今野委員 そして、そこで出てきた積算の内容、どこの部分をどう積算させたんですか。
林政府参考人 先ほど私の方から、平成六年から八年においては調査及び補償方針の検討を目的としたというようなことでございますので、現在お尋ねの日北酸素に絡んで、広く言えば、まず用地調査等についてさせてございますし、平成九年度以降につきましては、夕張シューパロダムの化学工場補償積算業務ということで出してございます。
今野委員 なかなか、いろいろな形で聞いてもこの内容がつまびらかにならないので、私、ぜひ委員長に、このコンサルタント会社を参考人としてこの委員会に呼んでいただきたいとお願いしたいと思います。
渡海委員長 理事会で協議をさせていただきます。
今野委員 そして、大臣、これだけ、こういう調査結果が出てもわからないことが多い。私は、国民の皆さんの代表として、ここでこの疑惑について質問をしているんですが、大臣が了解していらっしゃるんなら、それではその数字を、そのもとになった数字を教えてください。大臣、その数字を聞いていらっしゃるかどうかわかりませんけれども、出てこない。もう一回再調査を要求します。いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほど、せっかくわかっていることですから、今野議員に、どれくらいの者がコンサルタント業界に出ているかということも私はお知らせしておきたいと思います。
 それは、北海道開発局のOB、これがズコーシャないしドボク管理とほぼ同じランクの北海道内に本社を有する補償コンサルタントへの再就職の状況……(今野委員「再就職はもういいですよ」と呼ぶ)いや、でも、さっき出せとおっしゃったから。二十二社中八社に十二名、元職員が役員として再就職しておりますので、これは御報告申し上げたいと思っております。けれども、これは何ら今まで、公共工事に対してのどうこうということではございません。
 それから、積算ということに関しては、積算の数字が細かいことは出せないということは、今野議員は補償というものに関して御存じなはずでございますけれども、少なくとも、私は、この間から積算の方法、土地というものは、この日北酸素の近隣の土地を探して、その中で近傍類地の取引状況というものを、価格を調査してその取得地を評価するという、その積算方法もこの間私はお答えしたとおりでございます。
 数字だけは細かいことは申せないというのは、今までの移転の補償についてはすべからくこれは公表していないということで、積算方法というものは、土地と建物あるいは工作物についての移転に要する費用を補償するということは申し上げてございますので、私は、一つ一つの個別の数字は申し上げられませんけれども、総額については今まで公表しているとおりでございます。
今野委員 近傍類地のところを調査したと言うけれども、あれは全然近傍じゃないんですよ。ここでちょっと言っていただいたのは、夕張市内の、いわゆる夕張の中でも繁華街のところです。全然近くじゃありません。クマが出るようなところの近くなんか、出していませんよ、数字。
 それで、委員会による再調査を要求して質問を終わります。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 きょうは、私は、常磐新線、その沿線巨大開発問題について質問をいたします。
 これは、二〇〇〇年の十一月の朝日新聞でありますが、「三セク新線火の車 建設費膨れ運賃高」、こういう大きな記事が出ております。この中で、首都圏、京阪神地区で過去五年間に開業し、延伸した第三セクター方式の鉄道、モノレールが八路線に上るけれども、いずれも経営難にあえぐ、こう報道しております。この中で、見出しでは「常磐新線も“お先真っ赤”」と、真っ暗じゃなくて「“お先真っ赤”」という二段見出しで、常磐新線にも触れております。
 この常磐新線というのは、東京・秋葉原と茨城県つくば市を結ぶものでありますけれども、その沿線開発は、巨額の自治体財政負担、住民犠牲などで、今大変大きな問題になっております。
 もともとこれは、JR常磐線の混雑緩和を求める住民の声で、一九八九年に常磐新線の建設が決まったものであります。東京、埼玉、千葉、茨城一都三県、十一市区町村にまたがる総延長五十八キロ、二十駅が設置され、沿線の住宅開発と一体となって進められております。
 この間、計画が予定された当初はバブル真っ盛り、その後バブル崩壊、それ以降長期の不況が続く中で、鉄道整備費も、当初、これは八七年、昭和六十二年価格で六千億円、さらに八千億円、現在では一兆五百億円と、見直しが次々とされております。私も、これは、何度か現地の調査も行ってまいりましたけれども、今本当に深刻な問題となっております。
 そこで、最初にお尋ねをしますけれども、この整備事業費が次々と膨れ上がってきている、既に三度見直しが行われているわけでありますけれども、今後この事業費についてもう膨張することはないと断言できるのか、まずこの点からお聞きをしたいと思います。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
石川政府参考人 常磐新線の総事業費でございますが、今先生御指摘のように、現時点では一兆五百億と見込まれてございます。
 それで、首都圏新都市鉄道株式会社と建設を担当いたします日本鉄道建設公団が連携を図りながら、トンネルや高架橋の工法を工夫するなど、建設費を可能な限り縮減するという努力をしてございます。さらには、車両費等についても圧縮を図るというふうな努力をしてございまして……(大森委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。引き続き事業費の削減に努めておりまして、今後とも一層の縮減に努力することとしてございますので、現時点においては、事業費を増額する見込みはないと聞いております。
大森委員 ことしの五月二十四日の、柏市議会常磐新線特別委員会がこの首都圏新都市鉄道株式会社を訪問した際、九六年の鉄道事業費の見直し、マイカルの倒産があり、今の時点で今後の鉄道事業費の見通しを会社側に問いただしたところ、会社側の方は、いろいろ言っておりますけれども、一兆三百億円の財政スキームができて、皆様方の御協力をいただいてその金額が払えないのであれば御提供いただくということで、車両費約三百億円、全体で五百億円を、開業資金を含めてそのくらい見ているということで、新たな出資等の提供を関係自治体に要請したい、そういう意向を明らかにしているわけですね。
 さらに、将来の鉄道の収支については、経済動向が一体どうなるのか、もう一つは、沿線の開発のペースが一体どうなるのか、これによって決まるということで、今後も新たな鉄道事業費の見直しが必要であるということを現場ではほのめかされているという現状があります。
 ですから、今後、一体どの程度関係自治体の負担が膨れ上がるのか、多くの自治体もさまざまな危惧、不安の念を持っております。既に千葉県では、柏と流山、三駅の六百四十ヘクタールでありますけれども、基盤整備費だけで約一兆円の事業が予定されている。柏では一般会計を上回る約一千億円、流山市では一般会計の二・五倍の八百四十億円の税金の投入、これが求められているような現状であります。
 そういう意味で、事業費の規模の拡大はないという答弁がありましたけれども、現実は、現場ではそういうぐあいにはなっていないということは、これはしっかりと見ていただきたいと思います。
 そして、そういう中で、今、住民の合意を無視した事業が強引に進められている、自然環境破壊や、関係住民の生活がどんどん侵されているという現状がある。その問題についてお聞きをしておきたいと思います。
 まず、私も、昨年来、二度にわたって現地を視察した中で、現場は本当に大変な事態であります。虫食いというような生易しいものじゃないですね。無秩序に工事が行われている。どう例えていいか、ダンプカーと乳母車が混在するというか、寝室と機械工場が混在するというか、もう大変な状況であります。
 そういう中で、例えば通学路がダンプカーの搬出入路になったり、こういう状況が各所に見られるわけです。昨年の六月二十五日には、流山市の十太夫という地域、この市道で、道路整備工事用のダンプカーによって、電柱三本の倒壊、ひび割れなどで七本の電柱取りかえ、こういう事故まで起きました。幸い人身事故はなかったようでありますけれども、なぜこういうような事態になるのか。
 これは、最大の問題は、とにかくきちんとした手続、段取りを踏んで行わないで、借地できたところから工事を行う、こういうことで、一体型土地区画整理事業のルールさえ守らない、住民無視のやり方が行われているからだと思われます。流山市や柏市にある区画整理事業の対象区域の当該土地を借地のまま起工承諾、こういう手続によって鉄道建設工事を強行しているわけです。こういう強引なやり方は、宅鉄法による一体型区画整理事業、このスキームにもともとこういうやり方は入っていない。
 現に、第三セクターが発行しているパンフレット、この中でも、「綿密な計画のもと、沿線の用地取得が進められています。」ということで、その手法としては、「先買いした用地を鉄道施設区内に集約換地します。」という手続段階を明らかにしているわけですね。ですから、そういう「先買いした用地を鉄道施設区内に集約換地します。」という段階を経ないで、借地のまま工事をどんどん強行するということで、みずから出しているパンフレットの中で明らかにしている手法ともスキームとも全く違うやり方がやられていると思いますが、いかがですか。
澤井政府参考人 御指摘のように、常磐新線につきましては、集約換地の区画整理の特例によりまして、最終的には事業用地の確保を図るということにしております。
 一般的に区画整理事業におきましては、事業計画がまず決まるわけでありますが、決まった後におきましても、さまざまな調整によって事業計画のいろいろな変動が起こり得るということで、原則としては、いわゆる仮換地を指定しまして、その指定をした後で工事を行うというのが原則になっております。
 ただし、常磐新線のように、その区域は都市施設として都市計画決定されておりますので、場所がもうそれで確定しているという場合には、事業を全体として促進し、早期に投資効果を発現するという観点から、仮換地の指定に先立ちまして、地権者との任意の契約であります、御指摘の起工承諾をきちんととって工事を行うということは、最終的に仮換地の指定など地権者の権利に影響を及ぼすおそれがないということで許容されるものと考えております。
大森委員 原則論をおっしゃいましたが、そういう原則でやっているところはどこもないわけですよ。全く原則のないくらい、無原則なやり方になっているわけですね。大体、借地のまま恒久的なそういう橋げたなんかをつくるなんて、これは将来いろいろな問題が当然予想されると思うんですよ、そうでしょう。
 実際にあなた方自身も、これは一九七六年でありますが、全国土地区画整理事業担当者会議、この中で、指導内容としてこういうぐあいにおっしゃっているわけですね。土地区画整理事業を施行する過程において、仮換地指定も行わず借地等により道路等の施設の工事を先行するものが種々問題を引き起こすことがあるので、必ず仮換地指定後工事を行うようにされたい。
 これは、みずからこういう指導をされてきているわけですよ。これに真っ向から反するやり方が今現にやられて、それが、電柱を倒す、あるいは通学路がダンプカーの搬出入路になる、もう大変な事態になっているわけですよ。この通達、都道府県の担当者会議の指導内容にも反するやり方が行われているということについてお答えください。
澤井政府参考人 五十一年に担当者会議で周知を図った内容は、御指摘のとおりでございます。この趣旨も、ただいま申しましたように、一般的に言えば、仮換地指定前ですと、起工承諾をとってやった場合でも仮換地までに場所が動く可能性があるということで、後々地権者との間でトラブルを生ずるおそれがあるので控えられたいということで、この常磐新線の場合には、仮換地指定をまつまでもなく、都市計画で線形がすっかり決まっております。したがって、場所をめぐるトラブルはないということで、例外ではありますが、許容されるだろうと。
 なお、その工事の仕方につきましては、集約換地を経て土地をしっかり取得した後でも同じ問題だと思いますので、その辺の工事を安全にやるということについては当然ですし、私どもも、そういったことについてはさらに周知を図ってまいりたいと思っております。
大森委員 そういう手法について、一体どこで決め、だれの合意を得てやったのか、それは全く定かじゃないと思うんですよ。こういうパンフレットの中では、「先買いした用地を鉄道施設区内に集約換地します。」ということを書きながら、これと全く反するやり方がやられている。これは、周辺住民の全体の合意がまだできていない段階で、一部の地主さんの借地、そういうところにどんどん建築物をつくっていくということになると、地域全体の住民の合意、その健全な合意を形成する、その大きな、これは必ず阻害することにつながると思うんですよ。
 これは、健全な住民合意を形成する上で大きな障害になることは間違いないと思う。ひいては、区画整理事業そのものを否定することになっていく、障害になっていくということだと思うんですね。大臣、こういう現状についてどのようにお考えでしょうか。
澤井政府参考人 若干御説明が不十分なところがあったかもしれませんけれども、現在、区画整理事業自身は、事業計画の決定がされ、御指摘のような地権者の皆さんとのいろいろな調整を経て、これから仮換地処分を行い、しかる後に築造工事を全部終えて換地処分をするという段階にございます。
 一般的に、都市計画決定されていないような小さな街路なんかですと、今先生御指摘のようなことがあるので、そういったものについては起工承諾で仮換地前に工事をやることは控えろというのが五十一年の指導の趣旨でございます。
 ただ、鉄道については、同様に大きな都市計画決定される道路も同じでございますが、都市計画決定という住民参加の手続も経て行われる、その手続によって確定している。その確定している限りでは、後々その場所がずれたりなんかすることもありませんので、その限りでは起工承諾をもとに、これはきっちり起工承諾、契約をしなきゃいけないと思いますが、そういったことをもとに工事をやって早く全体としての投資効果を上げるという意味で許容される方法であろうということでございます。
大森委員 このような、みずから戒めてきた手法がどんどんやられてきている結果、もう地域全体、虫食い状態ですさまじい工事がやられて、それが自然破壊や、先ほど言ったような事故とか起こっているわけですね。これは、私も現地を見て、さまざまそういう工事の現場を見ましたけれども、本当に異常な状態。私も、現地に入ってそのことを強く感じたわけです。
 大臣、ぜひこれは一たん、できれば大臣も見ていただき、こういうので本当にいいだろうかということで、御調査、御視察などお願いしたいと思いますし、御見解をお聞きしておきたいと思います。
扇国務大臣 今、大森議員が冒頭におっしゃいましたように、これは現在の常磐線が、朝夕のラッシュどき、混雑率が二〇〇%であるというのは御承知のとおりです。それを少しでも緩和して、地域の皆さんのために、皆さんから要望をいただいてこの計画ができたのは、大森議員、御承知のとおりです。
 では、その要望があったものをやめていいのか、そして、経済状況が変わったからこれを一たん停止したらどうだろうという御指摘が……(大森委員「やめろなんて一言も言っていません」と呼ぶ)停止というお言葉を先ほど……(大森委員「停止と言っていない」と呼ぶ)ああ、そうですか。見直しですね。
 どっちにしましても、私は、やはり御要望があって、しかも二〇〇%の今の常磐線を緩和しようということから、また今混雑ぶりをおっしゃいましたけれども、つくばエクスプレス、現在、秋葉原からつくば間五十八キロメートルの全区間で工事に着手しているのは御存じのとおりでございます。そして、鉄道用地の確保と工事の実施に当たっては、首都圏新都市鉄道株式会社、また日本鉄道建設公団、そして地元の一都三県の関係諸機関がすべて一致協力して事業を進めているというのは、大森議員も御承知のとおりでございます。
 ですから、私は、地元の皆さん方の要望によって工事が始まり、そして、その結果、用地確保の進捗率、今もおっしゃいましたけれども、今九九%、用地の進捗率ができております。そして今、工事の状況をおっしゃって、通学路という、それほど混雑しているところだからこそ、早く工事を仕上げて、そういう危険のないようにしようというのも、これは一つの考え方でございます。
 私は、一たん停止して見直すのではなくて、少なくとも地元の皆さんの利便性、そして住宅地域等々がこれほど多く造成できたということから考えても、採算性の確保を図りながら、なるべく住民の皆さんの御賛同を得ながら、九九%の用地確保ができておりますので、いっときも早く仕上げて常磐線の二〇〇%の混雑率を緩和していくということが本当に地元の皆さんのためになると信じて、今、工事を円満に、なおかつ早期に実現することが、よりコストダウンにつながると信じております。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
大森委員 こうした強引なやり方、やはり民主的な手続やらあるいは住民の合意やら、そういうものが本当に置き去りにされたまま進められているということから、いろいろな問題が生じているわけなんです。
 その一つの問題で、これは流山市の駒木地区なんですが、この写真を見ていただきたいのですが、鉄道の敷地からわずか九十センチのところに建つ、今大変な状況にある方もおられるわけですね。この地域は、宅鉄法に基づく区画整理事業対象地域にするという動きの中で、自然が大変豊かな地域なんですけれども、そういう豊かな自然をできるだけ残してほしいということで、鉄道の地下化、こういうのを住民の方が出される。八割強の方が区画整理対象区域に反対して、区域から除外されるということなんですが、こういう鉄道整備が、そういう皆さんの要求を入れないで、こんな家まで出現をするような状況なわけですね。
 この家にお住まいの元島さんという方なんですが、お手紙をいただきました。
  常磐新線が建設されると、私の自宅の敷地から九〇センチくらいの所で、玄関の真上を鉄道が通ることになり、騒音、振動、粉塵、日照、鉄道橋梁から来る精神的圧迫等、日常生活をする上で、真に大変な被害を受けることになります。
  しかも、不動産屋さんからは、このような鉄道直下の土地・建物では、売却するにも余っぽど価格を下げないと買う人はいないと言われ、資産価値がゼロに等しく、売るに売れない状態に追い込まれています。
こういうことになっているわけですね。
 この元島さんもおっしゃっているのですが、平成九年度、流山市の環境審議会の答申では、鉄道構造物から最低十五メートル以上離すということになっているのに、わずか九十センチという状況になっているわけですね。審議会の答申からも逸脱したこういうやり方、これが現に住む住民の居住権やら人格権やら財産権まで奪ってもよいのか。本来、宅鉄法の目的は、大都市地域における住民の生活の向上、当該地域の秩序ある発展に寄与する、これが目的なのに、こういう元島さんのようなケースまで生まれているわけです。
 こういう意味で、これについては、ぜひ所管庁である国土交通省として、鉄建公団を初め関係当局に、元島さんの要望を含め、こういう事態に誠実に対応できるよう、国土交通省としても指導なりをぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 大森議員のおっしゃることで、私は、わかるところもあるんですけれども、わからないところもあるんです。
 なぜわからないか。先ほど、総事業費一兆五百億というふうに局長から申し上げました。一兆五百億かかるということで、経済状況が変わったから一たん停止してよく見なさいよとおっしゃいますけれども、今の御要望で地下にしなさいと。地下にしたら三倍の費用がかかるわけですね。一兆五百億も見直せとおっしゃいますけれども、私は、JRの常磐線の先ほど申しましたような二〇〇%の混雑率を緩和するという地元の要望で始まったことですから、一兆五百億が見直して高いというのであれば、地下にしたら三倍かかってもいいんですかとこれまた問わなきゃいけないということになります。
 今の大森議員のおっしゃることのわからないと言ったのは、一兆五百億でもむだではないか、地元の皆さんの考えで、経済状況も変わったとおっしゃるけれども、地下化したら、それでは三倍かかってもいいんですか、しかも、もっと年数がかかったら、地下化するのにはもっと年数がかかって三倍では済まないかもわからない、それでもいいんですかと。
 私はやはり総合性を考えて、今大森議員が最後におっしゃったように、地元の皆さんの要望と、今のJR常磐線の二〇〇%の混雑率を緩和するということで、地元の要望と各県、三県合同で今進めていることですから、その辺のところは、いかにもコストダウンするということで、地下化しないで、今の一兆五百億でも高いとおっしゃるものを、少しでも削減しながら地元の要望にこたえていきたいということを考えておりますので、その辺のところは地元の皆さんにもよく御理解いただき、今九九%の区域の取得をしておりますので、御協力を賜ればありがたいと思っています。
大森委員 私が見直しを言ったのは、先ほど冒頭に紹介した京阪神、首都圏の八路線、いずれも深刻な問題に直面しているわけでしょう。そういう中で、今新たな計画中、工事中の事業について、やはり率直に、経済情勢の変化の中で見直し等を行うべきだということと、あわせて、地域住民の皆さんがいろいろな要望を出されるということについて、それを無視したという意味で地下の問題は言ったわけで、当委員会でも参考人を呼んで政策評価の問題の議論もやったわけでありますけれども、そういう視点でぜひ行っていただきたいということと、あわせて、こういうようなケースについては、個別のケースについても柔軟に公団等について指導方、重ねてお願いしたいと思いますが、いかがですか。
石川政府参考人 先生今御指摘の元島さんのケースでございますが、鉄道の地域から約一・四メートル離れてございます。したがって、この土地につきましては、用地買収の対象外になります。
 いずれにしましても、鉄建公団が地元で工事をやる場合に、特に用地提供をお願いする地元の住民の方々には十分話し合いをするということはあるわけでございますし、一般的に、建設工事を行う場合に、近隣の住民の方々の理解と協力を得るということは大事なことだと思っております。
大森委員 ぜひ、具体的に要望等を話し合うよう、指導をお願いしたい。
 鉄道としての問題でありますけれども、千葉県、この周辺は、常磐新線については日本一高い運賃になるんじゃないか、こういう不安も随分あるわけですね。千葉県では、財布を落としても定期券を落とすな、経費がかかる、交通費がかさむ社員は真っ先にリストラの対象になる、こういう深刻な会話が現に交わされているような状況です。運賃が余りにも高過ぎるということで、住民が悲鳴を上げております東葉高速鉄道、北総開発鉄道などが既にあるわけです。
 東葉高速鉄道は、平成八年、一九九六年、六年前に、総事業費三千二百四十七億円かけて開業した第三セクターによる鉄道でありますけれども、この鉄道のある区間の運賃から一キロメートル当たりの運賃を割り出して、これで常磐新線の柏―秋葉原間を計算すると千百四十円、現行のJRの柏―秋葉原間の五百四十円の二倍以上の金額になるわけですね。いずれも「建設費膨れ運賃高」ということが報道されているわけですけれども、こういう高運賃の鉄道を住民のための鉄道と言えるのか。
 冒頭に述べた、首都圏、京阪神地区の八路線の二の舞になるんじゃないかという心配が多くの皆さんにあるわけです。この点はいかがでしょうか。
扇国務大臣 時間ですから、私から総括的に申し上げておきたいと思いますけれども、地元の要望には賛否両論ございます。早くしてくれ、今のJR常磐線の二〇〇%の混雑率はかなわないという人もあるし、そして今の常磐新線のように、大森議員のように、一方ではうちの前を通るのは困るよとおっしゃる。それは両方あると思うんですね。
 けれども、社会的に見てどうあるべきかという判断でこの工事を進捗したというのが現状でございますから、私はそういう意味で、運賃が高くなる、先延ばしすればするほど工事費がかかって高くなる、当然の理でございますので、私は、より地元の皆さん方が賛同していただいて、低利で少なくとも安く工事ができるように、御賛同賜ればもっと安く早くできるということだけは御認識賜りたいと思います。
大森委員 これで終わりますけれども、一番の問題は、国の法律をつくってまでやる路線に対して、やはり国がもっともっと積極的な支援を行う。自治体にそれを全部かぶせるというところに大きな問題があると思いますので、いろいろな支援の仕方はあると思いますけれども、国の積極的な支援をぜひ検討いただくということを要望して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 まず、本日は、今回の予備費のテロ特措法に基づく部分について、ちょっと一問、まずお聞きをしていきたいと思います。
 この中で、このテロ特措法に基づいての自衛隊の派遣があったわけですけれども、油の購入費というのがございますけれども、自衛隊の活動燃料、それから米軍の、これは米軍等譲与燃料というふうにあります。米軍だけではなくて、米軍などですから、どうもオーストラリアなどからも要請があったというふうに聞いていますけれども、アメリカ、イギリスにも何か供与をされたというふうにも聞いていますが、この自衛隊、米軍等、それぞれの区分はどの金額で使われているのか、これについて簡潔にお願いします。
北原政府参考人 御答弁申し上げます。
 ただいま先生から御指摘いただきましたが、協力支援活動等にかかわります予算措置につきましては、十三年度におきまして、これは昨年の十一月二十二日に閣議決定をされました予備費を使用しているところでございます、先生御承知のところでございます。
 この予備費の実際の執行でございますが、油購入費は約五十九億円でございます。
 そして、今先生御指摘の自衛隊とその他という内訳でございますが、自衛隊の活動分はこのうち約十七億円となっております。また、米軍とそれから英国艦艇の二カ国でございます。オーストラリアにつきましては譲与いたしておりません。この米軍と英国の譲与分につきましては約四十二億円となっているところでございます。
保坂委員 これについても大問題なので論議をしたいんですが、本日は、防衛庁のリスト問題、大変重要な事柄でございまして、これについて大事な点をどうしても確かめておきたいと思います。
 まず、新潟でとんでもない事態が起きていますよね。これは、市民オンブズマンの斎藤裕弁護士が、陸上自衛隊の一佐をことし一月、これは中身としては、飲食店に勤務する女性に対して関係を求めた、これを断ったら店は使わないぞ、そういう出来事に対して、その女性の夫が、これはひどいということで民事損害賠償を一月に起こした。これに先立って、昨年の十二月に情報公開請求をこの斎藤弁護士がされたわけです。何と、それが相手方に伝わっていたということがこの件です。
 先ほど、その弁護士の方にもお話を聞くことができました。これは、弁論の手続の場で、相手方の弁護士が、うちの依頼者の一佐の件で情報公開請求をなさいましたね、どうですか、それは証拠として出されるんですか、そういう切り出され方をして驚いたということでございます。全くこれは不気味なことだ。まさか裁判の相手側に、この情報公開制度を悪用して、情報公開請求をしたら相手側がこれを持っていて、ということは、もう裁判の手のうちをさらすようなもので、到底考えられなかった、こういうふうにおっしゃっています。
 今回の情報公開請求の中身は、そういう飲食店を利用していたわけですから、もしかするとその飲食の経費が公費で落とされているのではないかということに対する意図で請求をされたようで、その中身については大したことではなかったということだそうで、今回に関しては裁判にそう大きな影響はなかったそうです。
 しかし、逆に、事と次第によっては、こういう相手側の代理人が情報公開請求をなさいましたねなんて言わなければわからないわけですから、こちら、市民側はこの情報公開請求の資料を手に切り込んでいこうというと、相手はそれをもう当然のごとく持っている、こういうようなことは乱用そのものであるというふうに考えます。このことについて、まさにこれは重大な問題だ、まず防衛庁長官にずばり伺いたいんですね。
 今までの問題は、こういったいわゆる情報公開請求、個人に対する余計な記載があったということであって、そしてまた、それが役所の中のあるいは自衛隊の中のLANに載っかっていた。だんだん事柄が大きくなってきたわけですけれども、なぜこれが大きいのかというと、これが目的以外に使われてしまうんじゃないか、こういうことが大きく根底にあるからですね。今回大変重要なことが判明しているんですが、長官、いかがですか。
中谷国務大臣 本件につきまして、昨日、新聞報道もございまして、直ちに防衛庁内で詳細にわたって調査をいたしました。その結果につきまして、人事教育局長からお答えさせていただきます。
宇田川政府参考人 事実の経緯について御説明申し上げます。
 今先生おっしゃった当事者間の争いにつきましては、訴訟になっておりますので、その点につきましては申し述べることはできませんが、御指摘の開示請求にかかわる情報の流れについて申し上げます。
 御指摘のように、原告の方から開示請求がありました。開示請求の中身は、おっしゃっているように、会議費の使用についてであったようであります。
 これを受けました東部方面総監部は現地の部隊の会計隊長に調査を依頼したわけであります。現地の隊長は、そういうふうな開示請求があったということと自分が調べている事情につきまして報告するわけでありますが、それは請求がありましたよということを駐屯地司令に報告しております。
 駐屯地司令は、そういうことがありましたので、当時の駐屯地の人間に、当時は何か問題がなかったのかと聞いたわけであります。正確に言いますと、当時の会議費使用について問題はなかったのか、こういうふうに問うたわけであります。聞かれた人間は、適正に執行したと答えたわけであります。この者は情報公開請求等があったのかと思い、尋ねたわけでありますが、会計隊長から報告を受けていました駐屯地司令は、単にあったとのみ答えまして、詳細については答えておりません。
 また、この訴訟の一方の当事者であるもとの連隊長でありますが、彼と聞かれた人間はある会合を持っております。お酒を飲む会合で、地酒の好きな人間が集まる会合であるようでありますが、この会合の打ち合わせのとき電話した際、もとの駐屯地司令でありますから、何かあったのかと聞いた場合に、この者が推測を交えまして、情報公開要求があったようだというふうに答えたわけであります。また、それを聞きましたもとの駐屯地司令は、自分に対する要求ではなかったのかと答えたということでありまして、推測が二重にかかっているというのは事実であります。
保坂委員 今の防衛庁の答弁を聞いていると、本当にあきれますよ、これはどういうことなのかと。我々が危惧しているのは、情報公開制度というのは公平になされなければいけなくて、国民の基本的な権利として、これは公平な窓口だと信じて公開請求するわけですよね。それをお酒の席で、何かあったよとか、あったと答えたとかいったって、それはそういうふうに報告しているだけで、中身を言っているかどうかわからないじゃないですか。しかも、今の答弁では、ただそういう事実があったというだけで、重大だという認識が全然ないですね。
 中谷長官、どうですか。こういうことが怖いから、大変な事態だというふうに長官自身も認識してきたんじゃないですか。こういうことが二度と起きないという気は全くしませんよ。自衛隊に情報公開請求すれば、同じ一家ですから、飲みながら、ちょっとこういうのありましてねという話になるんです。こういう体質をきちっとしないと、この問題というのは広がるばかりでありますから。いかがですか、長官。
中谷国務大臣 情報公開制度の趣旨といいますと、その請求をされた方の個人情報を守るということと、その処理におきましては分け隔てなく公平に行うということが大切でありまして、この趣旨にのっとって業務を行うべきであると思います。
保坂委員 長官に伺いますが、この趣旨にのっとっていたとお考えになりますか。法廷でですよ、情報公開請求をうちの依頼者が受けているようですがというような法廷が信頼を得ることができますか。情報公開制度が、ああ、こう使われていくんだな、とんでもない事態だといって憤然とされているわけです。
 今の答弁によっては、今後もこういうことが放置されるということになりますよ。いかがですか。
中谷国務大臣 本来、請求された方の立場を考えて運用すべきでございます。
 本件につきましては、現在調査をいたしましたが、その事務処理の過程で聞いてきたということを、その被告というか当事者が聞いて、それで推測をしたということでございます。そういった点で、この情報公開制度の趣旨が正しく運営されるように、これはさらに努めていかなければならないと考えます。
保坂委員 じゃ、長官に要望しますけれども、これはきちっと調べてください。お酒の席で、あったよというだけの軽い会話があったという説明で、到底信用できない。
 もう一度、きちっと、どのような中身として知らされていたのか。事と次第によっては大変重大な、今後の情報公開制度、もう防衛庁だけじゃない、すべてに影響を及ぼす問題なので、しっかりやっていただきたいと思いますが、いかがですか。長官に伺います。いえ、長官に伺います。もう時間がないので。
宇田川政府参考人 飲み会の席と申しましたのは間違いで、飲み会の打ち合わせでございます。済みません。訂正します。
中谷国務大臣 本件につきましては、事実につきまして重ねて調査をいたしたいと思います。
保坂委員 今の飲み会はさすがにまずいという話が後ろから出たんじゃないですか。
 もう一点、大事なことを伺います。
 きょう、総務省の方に来ていただいていますけれども、今回の防衛庁のリスト問題というのは、情報公開の制度がどういう制度なのかということを、国民全体あるいはこの制度をこれから使っていこうという人に重大な懸念、不安を与えたと思います。
 そこで、総務省に単純な質問です。
 まず、昨年四月の施行に当たって、例えば各省庁が運用上の、手続上のマニュアルをつくりますよね。そのもとになるようなガイドラインを作成して各省庁に出す。これをもとにつくってくれというようなことはされましたか。イエスかノーで。
松田政府参考人 情報公開法の趣旨につきましては、昨年四月に施行されたわけでございますが、その前から、各省庁に、情報公開担当者を集めた会議ですとか説明会、それからシンポジウム、情報公開法のコンメンタール、それから行政文書の管理方策に関するガイドライン、事務処理の手引を作成して配付する等、十全な準備を進めてやってきたところでございます。
保坂委員 入念な準備をされたと思うんですが、それで、総務省にもう一問お聞きをしますが、情報公開請求の開示請求にあらわれた請求者に対して、例えば連絡をいろいろしなきゃいけないとか、そういうことがあるので、当然連絡先とか氏名、これは当然のことですけれども、その欄もあると思うんですが、応接の記録をつくった方がいいというようなことを周知していますか、各省庁に対して。
松田政府参考人 開示請求される方は、必ずしも行政文書の名称まで御存じな方ばかりではございませんので、法律にも書いてございますように、容易かつ的確な開示請求になるように、行政機関としてはそれに必要な協力をするという義務づけがなされているわけでございます。
 したがいまして、開示請求がございました場合には懇切丁寧に対応するよう指示しておりますけれども、そういう先ほどの手引みたいなもので説明をさせていただいているところでありますが、応接要録までつくれという指示はしているわけではございません。
保坂委員 今大事な答弁だったんですね。応接というのは総務省からは指示がなかったと。
 これは、きのう、私、どのように防衛庁の方が情報公開に当たって、さまざまな部署から来られるわけでしょう。どういう制度なのかということをきちっと理解するためにマニュアルがあるだろうと言ったら、この手引、分厚いものですけれども、出していただきました。
 何気なくめくっていってちょっと目がとまったのは、この案内について、「再度の問い合わせや事後の開示請求があり得ることから、できる限り応接記録を作成することが望ましい。」とあるんですね、これは。
 ですから、これは防衛庁に伺います。
 この応接記録というのはつくっているんですね。応接記録というのは存在して、それで防衛庁ではつくっているんですね、このマニュアルにあるように。
柳澤政府参考人 私どもは、窓口で請求を受けますと、その書類を特定し、そして、それを持っているであろう原課にそれをつなぐ必要がございます。そういう意味で、その際に、先方はどういう資料を御希望かということを伝えるというような意味で、記録を残しているということであると承知しております。
保坂委員 つまり、応接記録というものをつくっているということがわかりました。
 シンガポールから帰ってこられた中谷防衛庁長官が、実はこれは海上自衛隊だけの問題ではなかったと。まさに防衛庁のかなめであるところの内局みずからつくっていた。それから、空も陸もやっていたということで、会見の中で、どういうふうにこのデータを入手したんだということで、中谷長官自身の会見の中で、窓口での応対、それから公刊資料によるもの、インターネットなどと挙げているんですね。これは、窓口の応対ということは、防衛庁のマニュアルにあるいわゆる応接記録ということが該当すると思います。
 こういうものをしっかり当委員会に出していただきたい。つまり、このところ、昨日、墨塗りの、これはプレス関係にも配られたと思いますが、こういうもの。私も、余り細か過ぎて読めないので拡大したんですが、読みやすいものを出してくれということも言いました。これは海上のものですが、内局やあるいは陸や、これは二倍に拡大したってこんなに細かいですからね、きちっと読みやすいものを。しかも、これは時期が四月、五月なんです。やはりトータルにわたってこれを出してほしいと言ったら、防衛庁の方は、今墨塗りの手が足りなくてちょっとこの委員会に間に合わないということで、きちっとこれは出していただきたい。
 その際に、国民全体の心配は、防衛庁が市民、国民を敵視していたんじゃないか、応接記録はどんなことを書かれているのか、これは絶対に明かしてもらわなきゃいけないですね。応接記録とこういったもの、しっかりこの委員会に出していただきたい。
 これはもう防衛庁長官の答弁を求めます。
柳澤政府参考人 いずれにいたしましても、それ自体がまた個人情報ということもございますので、どんな形でやれるか、早急に検討してみたいと思います。
保坂委員 二重被害というのがあってはいけませんよね。応接記録によって、それが公表されることで大変な被害をこうむるということは、もちろん避けなければいけないけれども、全部墨塗りになってしまったら、これは何が何だかわかりません。少なくとも固有名詞だとか会社名だとか、そういうところは伏せてもいいでしょう。しかし、応接記録が存在をし、そして各部局でつくっていたもの、そういうものは全部明かしていただく、このことをしっかり求めたいと思いますが、長官、いかがですか。
中谷国務大臣 まず、国民を敵視しているかということにつきましては、我々にとっても初めての窓口業務でありまして、なれていない部分がございますが、例えば学生さんが申し込んできたときに、どのような内容ですかということで、丁寧に、その欲しい資料が手に入るようにという観点でも、尋ねたりはしたということはあろうかと思います。
 資料につきましては、個人のプライバシー、また業務の、国家の安全保障的に考えて、差し支えない範囲で出すことを検討したいと思います。
保坂委員 委員長におかれましては、前回、外務省のODA問題で資料提出に対して大変な御努力をいただいたことを感謝いたしますとともに、今の問題について、応接記録でございます、つまり情報公開の窓口にあらわれた方の応接記録、そして、それぞれの部局が作成をしていた資料を当委員会に出していただくということ、まあ検討されるということですから、そのことをぜひ推進していただきたいと思いますが、いかがですか。
渡海委員長 後刻、理事会に報告をさせていただきます。
保坂委員 それでは、防衛庁に伺いますが、今のところ、内局、そして最初に出た海上、そして陸上、航空、その他のところではこのリストの問題、これは作成されていないんでしょうか、あるいは現在調査中なんでしょうか。そこだけはっきり答弁していただきたいと思います。
石井政府参考人 お答えいたします。
 防衛施設庁ですけれども、防衛施設庁におきましては、情報公開業務の処理状況の管理に資するため必要な資料を作成しておりますが、これまでの調査では、情報公開関連業務に不必要な個人情報を含む資料の存在は確認されておりません。
 いずれにいたしましても、一昨日、大臣の方から、徹底した調査を行うように、こういう指示を受けておりまして、引き続き調査を行っているところであります。
宇田川政府参考人 現在、施設庁の方からお話がありましたけれども、そのほかに、統合幕僚会議事務局、情報本部、それから契約本部、技術研究本部、防衛研究所、防衛大学校、防衛医科大学校、いずれにつきましても、前に調査したときはないということでありましたが、再度調査を行っております。
保坂委員 最後に、防衛庁長官に伺いますけれども、これはもう大変重大な事態で、しかも、最初は海上の三佐の方の個人的な思いつきで始めていたということであって、あくまでも個人的なことということだったんですが、その議論はもう否定しがたいぐらいのことになりました。
 それで、当初、組織的な業務ではなかったという中間報告が出されると私ども聞いておりましたし、中間報告というものがあるというふうにも聞いているんですが、長官はそれをごらんになったんですか。タイミングとして、それを出すべきときに、実はもっと広がっていて、内局や空や陸の問題も出てきたということで、それは凍結されたんでしょうか。それだけ伺います。
中谷国務大臣 私に対する報告につきましては、一日の午前中にございました。海外におりまして、事実関係、よく調べて、もうほかにないか、よく確認をしておくようにということでございました。それで、三日に日本に帰りまして、その報告を受けまして、直ちに記者会見をして公表したわけでございます。(保坂委員「中間報告」と呼ぶ)その電話があるまでは特に報告を、そのようなLANに載ったとかいう報告は受けておりません。
保坂委員 中間報告があったのかないのかということについて答弁がなかったんですが、これはぜひ明らかにしていただきたいということを要請して、私の質問を終わります。
渡海委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)外十件について、一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、三分以内で、これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました予備費等承諾案件のうち、平成十二年度の一般会計予備費使用総調書(その1)、特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書(その1)及び平成十三年度の一般会計予備費使用総調書(その1)(その2)、特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書(その1)の計五件について不承諾の意を、残余の六件について承諾の意を表明します。
 以下、その理由を簡潔に述べます。
 平成十二年度一般会計予備費使用総調書(その1)の中には、皇太后大喪の儀及び陵の営建に必要な経費、ゴラン高原への自衛隊派遣経費、アジア開発銀行出資に必要な経費など、承諾できない予備費支出が含まれています。
 例えば、ゴラン高原への自衛隊派兵は、憲法の平和原則はもちろん、PKO協力法にさえ明確に違反するものであります。また、アジア開発銀行出資に必要な経費は、開発優先、環境破壊につながる融資が大問題になっている中、発展途上国の自主的、民主的発展に貢献するものとは必ずしもなっていない同銀行の実態に照らし、承諾できません。
 平成十二年度特別会計経費増額総調書(その1)は、公共事業等予備費五千億円の配分のうち特別会計に繰り入れられた二千八百億円余が計上されています。その内容は、高規格幹線道路、関西国際空港二期工事や中部国際空港工事のための出資金等が含まれ、大手ゼネコン奉仕の大型公共事業の拡大につながるものになっており、承諾には反対です。
 平成十三年度の一般会計予備費使用総調書(その1)及び(その2)の中には、産廃処理業者への焼却炉撤去・休業補償への支払い経費、ゴラン高原への自衛隊派遣費用、テロ対策特別措置法に基づく自衛隊のインド洋派遣費用、貨幣交換差減補てん金の不足経費等々、承諾できない予備費が含まれています。
 例えば、テロ対策特措法に基づく自衛隊のインド洋派遣は、アメリカ等の武力行使と一体となった兵たん支援活動にほかならず、憲法上禁止されている集団自衛権の行使そのものであり、憲法前文と第九条に違反することは明らかであり、断じて容認できません。
 平成十三年度特別会計経費増額調書(その1)は、同年度予算の特別会計分を増額したものであります。同予算は、過去最大規模の公共事業予算が組まれ、その内容は、ゼネコン奉仕、環境破壊、採算の見込みがない開発型公共事業が含まれており、財政破綻につながることは明らかであり、承諾できません。
 なお、これらの調書の中には、ハンセン病療養者等に対する補償金・賠償金支払い経費を初めとした国民の生活と権利に密接に関連した経費が含まれております。これらの予備費支出には反対するものではありませんが、憲法違反の自衛隊インド洋派遣などの重大性にかんがみ、全体として反対します。
 最後に、平成十二年度特別会計予備費使用調書(その1)など残余の六件の内容は、医療・社会福祉、災害復旧等々、国民生活に密接に関連する経費の使用が含まれており、いずれも承諾するものであります。
 以上、各案件に対する態度とその理由を申し述べ、私の討論を終わります。
渡海委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより採決に入ります。
 まず、平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。
 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。
 次に、平成十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)の各件について採決いたします。
 各件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。
 次に、平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)の各件について採決いたします。
 各件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。
 次に、平成十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成十三年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。
 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
渡海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十三分散会


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