衆議院

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第3号 平成14年11月27日(水曜日)

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平成十四年十一月二十七日(水曜日)
    午後三時三十分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 浅野 勝人君 理事 奥谷  通君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      植竹 繁雄君    江藤 隆美君
      大木  浩君    小西  理君
      橘 康太郎君    谷  洋一君
      中村正三郎君    額賀福志郎君
      橋本龍太郎君    宮路 和明君
      武藤 嘉文君    村上誠一郎君
      森岡 正宏君    森田  一君
      井上 和雄君    今野  東君
      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    平野 博文君
      細野 豪志君    山田 敏雅君
      山谷えり子君    神崎 武法君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      保坂 展人君    山口わか子君
      中村喜四郎君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   会計検査院事務総局第四局
   長            重松 博之君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  壷井 俊博君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           高部 正男君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍
   備管理・科学審議官)   天野 之弥君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房総括
   審議官)         鈴木 直和君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   参考人
   (預金保険機構理事長)  松田  昇君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十七日
 辞任         補欠選任
  宮腰 光寛君     荒巻 隆三君
  金子善次郎君     山谷えり子君
  齋藤  淳君     細野 豪志君
  山口わか子君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     宮腰 光寛君
  細野 豪志君     齋藤  淳君
  山谷えり子君     金子善次郎君
  保坂 展人君     山口わか子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 歳入歳出の実況に関する件
 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――
山口委員長 これより会議を開きます。
 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官壷井俊博君、警察庁刑事局長栗本英雄君、金融庁監督局長五味廣文君、総務省大臣官房審議官衞藤英達君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官天野之弥君、文部科学省大臣官房長結城章夫君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、厚生労働省大臣官房総括審議官鈴木直和君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省保険局長真野章君、国土交通省総合政策局長三沢真君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、国土交通省住宅局長松野仁君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 行政監視という観点から、何点かの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、厚生労働省関連でございますが、いわゆる診療報酬制度、こういう制度がございまして、ただ、この診療報酬制度というのは、いわゆるレセプト、病院からの申請によりましてそれなりの厳正かつ公正な審査に基づいてその額が決定をされるわけでございますが、最近、これをいわば悪用するといいますか、虚偽の申請をして、そして不正な受給をする、こういったケースが続発をしておるようでございます。
 そこで、まず厚生労働省にお聞きしたいと思いますが、ここ数年、こういった診療報酬の不正請求に基づく指導監査によって返還された金額、及びその結果として保険医療機関として指定を取り消された、こういう件数はどのようになっていますか、御報告をいただきたいと思います。
真野政府参考人 平成十二年度でございますが、十二年度におきます指導監査に基づきまして返還を求めた額は約五十九億五千万円でございまして、保険医療機関等の指定を取り消した件数は三十一件ということでございます。
山名委員 少なくとも平成十二年度だけで約六十億円、大変な不正額でございます。これは氷山の一角とも言われているわけでありますが、なぜこんな診療報酬制度を悪用できるのか、その温床は一体どこにあるのか、こういう点についてきちっと解明していかなければ、やはり患者負担につながるし、財政問題にも大きな影響を与えるわけであります。
 そういう意味から、私はきょうはちょっと具体例を申し上げていきたいと思いますが、私の地元である京都に民医連京都中央病院、こういう病院がございます。御承知かと思いますが、民医連というのは全日本民主医療機関連合会、こういう略称でございまして、一九五三年に設立をされました。全国の病院が百五十五、診療所が五百三十八、そのほか、保険薬局だとか訪問看護ステーション七百五十六施設、合計千四百四十九、こういった医療福祉施設を持った連合体でございまして、京都にもそういう民医連の京都中央病院がございます。
 ここで最近発覚した事件がございます。それは、診療報酬を五年近くにもわたっていわゆる虚偽の報告をし、不正受給をした、こういうことで、新聞にも大変大きく報道をされたところでございます。
 そこで、厚生労働省といたしまして、この民医連京都中央病院の事犯につきまして、どのように報告を受け、また掌握をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
真野政府参考人 京都民医連中央病院の事件でございますが、同病院の検査課が、平成十年の一月から本年九月までの間、同病院の医師からの指示及び関連医療機関からの依頼を受けました喀たん検査、尿検査、マイコプラズマ検査の合計約二千五百件につきまして、検体の必要な培養を行わずに検査結果を報告し、診療報酬の請求を行っていたというものでございます。
 本件発覚後、十月四日より三回にわたりまして、京都市と京都府が合同で同病院に立入検査を実施するとともに、十一月一日には外部の第三者から成る原因究明委員会が発足し、三回にわたり委員会が開催され、原因究明のための検討が行われているというふうに承知をいたしております。
 現在、京都の社会保険事務局におきまして、関連する診療報酬明細書を収集いたしまして、その内容を精査しているところでございまして、今後、同病院に監査のために立ち入るということを予定いたしております。
山名委員 要するに、新聞報道あるいは病院側等の釈明会見等があったわけでありますが、患者を診察した医師が治療のために当然必要と思われる喀たんあるいは尿、こういった細菌培養検査、マイコプラズマ検査を検査技師に指示するわけです。しかし、検査技師は細菌培養検査の手を抜きまして、医師に対しては、菌を検出せず、あたかもこういう検査を行ったかのような虚偽の報告を行いまして、そして、健康保険の診療報酬を不正請求、不正受給する、患者からも医療費を取った、こういうことでありまして、とんでもない話だと思うんですね。
 そこで、喀たんの細菌培養検査の指示が医師から出されるのは患者がどういったケースの場合指示がなされるのか。細菌培養検査の結果いかんではその後の患者に対する治療方針が変わる、こんなことは私は当然のことだと思うんです。検査をきちっとやって、その結果として治療を施す、的確な薬を出す、治療する、こんなのは医療の常識であります。
 そういう意味で、今回の事件後、例えば、大阪大学の微生物病研究所の教授である本田さんが、細菌の種類によっては投与すべき抗生物質の種類も決まる、細菌検査の判定は正確な治療には不可欠だ、陽性と判明した場合は治療方針が変わった可能性があると。
 あるいは、京都大学の微生物感染症学の光山先生は、嫌気性菌を特定するには培養検査が必要で、結果によっては治療方針が変わる場合もあり得る、医師が治療に必要と判断して培養検査を発注した以上、臨床検査技師は独断で検査を見送るべきではない、こういったコメントも出されているわけであります。
 そこで、細菌培養検査の結果によりその後の患者に対する治療方針に影響を及ぼすか否かという、この見解を厚生労働省の方にお聞きしたいと思います。
篠崎政府参考人 御指摘の喀たんの細菌培養検査につきましては、肺炎などの呼吸器感染症が疑われるようなときに検査が行われるものでありまして、通常はそういう細菌培養検査で検出されました細菌に対しまして、薬剤感受性の検査を行う、どういう薬に耐性があるかどうかという検査を行うことによりまして、医薬品の種類や量などを決めるわけでございますので、御指摘のようにその後の治療方針に大きく影響するものと思います。
山名委員 だからこそ、きちんとした細菌培養検査を行わなきゃならない。それをこの民医連京都中央病院の場合は手抜きをしたわけでありまして、そうすれば、仮に喀たんによる嫌気性菌の細菌培養検査結果が虚偽で、うそで、初期の医師の診断と原因菌が異なる場合に、例えば免疫力の弱い高齢者など、お年寄りなどは感染症が特定できなくなっちゃう。したがって、呼吸器系の炎症がおさまらない。こういう事態になり、肺炎など合併症、こういったものを併発するという、これは医学界では一つの常識の流れでありまして、ということは死に至る可能性も否定できない、こういうふうに私は思いますが、御見解をお聞かせください。
篠崎政府参考人 ただいま申し上げましたように、その検査結果によって、薬剤耐性等の問題がありますので、治療に大きな影響を及ぼすとは思いますけれども、それは個別のケースによるわけでございますので、たちどころにそれがどういう結果になるかというのは、これは個別の調査とか検査に基づくものだと思っております。
山名委員 したがって、しっかりとこれは調査をしてもらいたい。まさに、その調査の手抜きは許されない、こう思いますよ。
 そこで、検査の結果次第で治療法を変えなければならない、患者への効果的な治療にならない、こういうことは当然のことでありまして、患者にとったらこれはもう命にかかわる重要な検査と言えるわけです。
 それを、医師が指示しているにもかかわらず、この病院では五年近くにわたって、おおよそ二千五百例、二千五百検体、千三百五十五人分の検査を行わずに、あろうことか検査を行ったごとく、その結果について、菌を検出せず、こういうふうに虚偽の報告をしておるわけであります。そして、診療報酬をいわば詐取した。
 そして、問題は、そのうち二百四十三人の方が亡くなっているわけです。この因果関係はこれから恐らく、当然調査によって明らかになるかと思いますが、少なくとも検体検査をしなかった中から二百四十三人の死亡を出したという、こんな前代未聞の不祥事は、日本の病院で今まで存在しません。少なくとも五年間近くも外部の人間のだれにも見つからず、患者にもうそをついて、虚偽の診療報酬を取り続けることがなぜできたのか、可能だったのか、これは問題だと思いますよ。
 病院側は、臨床検査課の前課長の独断と指示で臨床検査技師六人全員が手抜きをやった、こう言っております。要は、技師が単独でやったわけではなくて、いわば課を挙げて、組織ぐるみで、そういった指示を出して、手抜きの検査をやらせ続けて、虚偽の結果を出し続けた、こういうことになるわけです。
 これは、患者はもちろん、地元自治体や厚生労働省なども、いわば五年近く見抜けなかったということになるわけです。ここに検査室のいわゆる密室性といいますか、あるいは倫理の欠如というか、この病院全体の体質というところまでやはり言及せざるを得ない。当然、この検査室と外部をつなぐ、それはまさに検体と伝票だけなんですね。検査技師は、外来にいるわけではありませんし、あるいは診療室に詰めているわけではない。その居場所というのは検査室という密室でありました。そういう中で今回の虚偽の問題が発覚をしたわけです。
 問題は、この院長は、医師に、培養検査をしても菌は出ないので意味がないと伝えてくれれば済んだ話だ、コミュニケーションがうまくいっていなかった、こういう釈明をしておるわけであります。検査室の中にいて患者を診察していない検査技師が、検体の喀たん等の検査すらしていないのに、培養検査をしても菌は出ないので意味がない、こう医師に伝えるということを現場に要求しているわけであって、こういう発言はまさに問題だと思います。
 医師が再検査を必要だ、要検査、こういう判定を下しているのに、検査技師が独自に判断を行って検査をせず、今回は、検査をしたという虚偽の報告をしている、このことはまさにゆゆしき問題だ、こういうふうに私は思いますが、御見解をお聞かせください。
篠崎政府参考人 ただいまの例の臨床検査技師あるいは衛生検査技師は、医師が必要と判断した各種の検査を医師の指導監督のもとに行うことを業としておるわけでありますので、医師が必要と判断した検査について、自分の判断で検査を行わないというようなこと、あるいは、さらにそれを、虚偽の報告を行うというようなことは極めて不適切であると思っております。
山名委員 ですから、検査室で何をやっているか患者は全くわからない。検査の診療報酬の点数もそんなに高くないようです。そして、さらにその検査そのものは大変手間がかかる。こういうような実情はあるにしても、だからといって手抜きをするということは、本当に私は許しがたいことだと思います。患者の身になってみたら、新聞にも書かれていましたが、人の命を何と考えるか、こういう大きな見出しも新聞報道で躍っておりました。
 しかも、この京都中央病院の検査室は、民医連傘下の多くの診療所、京都でいえば二十八カ所ですが、そこからの検査を受託しておりまして、これが民間の検査の受託機関であれば、いわゆる臨検・衛検法、臨床検査技師あるいは衛生検査技師等に関する法律の二十条の三で、府知事への登録が必要になっています。病院が他の病院等の検体検査業務を受託すること、これについて、この中央病院についての実態からいってどうなのか、この辺の御見解をお聞きします。
篠崎政府参考人 御指摘の、病院が他の病院の検体検査業務を受託することにつきましては、具体的な事例に即してその可否を判断すべきというふうに考えておりますが、その判断に当たっては、従来から、まず営利を目的としているのではないこと、それから業として行うというものではないこと、それから最後に、もともとのその病院本来の検体検査業務に支障を来すものではないこと、こういった点を確認の上判断するということになっております。
山名委員 要するに、京都中央病院はまさに継続して傘下の病院、診療所から検査を受託しているわけであって、これはまさに業としているし、いわば営利性というのも存在する。そういった意味では、私は、臨検あるいは衛検法、この二十条の三に違反をしている、法律違反である、こういうふうに断言していいんじゃないかと思いますが、御見解をお聞かせください。
篠崎政府参考人 ただいま府と市において調査いたしておりまして、病院の方でも第三者の入った原因究明の委員会を立ち上げているというふうに聞いております。ですから、その結果を待って適切に判断しなければいけない、このように思っております。
山名委員 しっかりその辺、調査調査と言っていますが、これはもう国民の医療に対する信頼、信用の問題にかかわることですから、いつまでも調査調査でだらだらしておったんじゃだめですよ。きちっとやってください。
 それで、私はこの際もう一つ問題にしたいのは、病院が人の命と引きかえというか、人の大事な命を預かりながら、実は、選挙のときに徹底した病院ぐるみの選挙運動をやっている、このことを問題にしたいと思うのです。
 今、私、「京都市長選挙ニュース」という、こういうビラを持ってきております。これは病院側から出した選挙ニュースらしいんですが、これを見ましても、「またまた検査が燃えている」、こういう見出しなんです。「検査」というのは検査室のことなんです。あるいは「検査室には負けへんでー」、こういう見出しが躍っていまして、「昨日の円町宣伝。いつも大人数で参加する検査室が連日メガホン隊で宣伝しているので、大丈夫なのかと心配しましたが」云々。
 病院関係者から大丈夫かなと心配をされるほど本来の検査業務、それをそっちのけで連日メガホン隊を繰り出して、検査室が宣伝、選挙活動をしているとして、あげくの果ては、虚偽の報告で不正事件。これはまことに不謹慎。もう言葉が見つからないほどあきれ返る。
 「なんと透析室が大部隊で円町宣伝に合流して、交差点をあっという間に埋め尽くす二十名以上の参加者で宣伝しました。」そして、「選挙勝利のための今日の当番」「投票日まであと四日間必ずやりきろう」と称して、「ハンドマイク」は「北三階・南三階・栄養課 医事二課・透析室」。要するに、ハンドマイクの割り当て分担、役割分担が書かれております。
 京都市長選挙全体到達表、こういうのもついておりまして、検査室は職員の行動率一〇〇%。各課が競い合って選挙運動の駆り出しといいますか、この運動をあおっている。こういう、まさに検査をそっちのけ、患者の検体検査をそっちのけで、それを手を抜きながら、選挙戦には一〇〇%行動する。
 今回の不正受給、偽装検査、こういう温床になったのは、私は、一検査技師あるいは検査室の倫理の欠如のみならず、まさに本質的には、この病院が持つ体質そのものが原因である、こういうふうに断言していいんじゃないかと言わざるを得ません。
 そこで、法務省、きょう来ていただいておりますので、御見解をお聞きしたいと思うんですが、こういった虚偽の検査が行われ、虚偽の診療報酬請求がなされた、現に診療報酬を不正に受給しているこういうケースは、まさに刑法上の詐欺罪に当たるんじゃないか、詐欺罪が成立するんじゃないか、こういうふうに思いますが、御見解をお聞かせください。
樋渡政府参考人 個別具体的な事件の犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて判断されるべきものではございますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、虚偽の事実を申告して診療報酬を請求し、不正に診療報酬を受給した場合には、詐欺罪に該当することがあり得るというふうに考えています。
山名委員 一般論じゃないんですよ。ここまできちっと不正受給の実態が明らかになっているわけですから、それは一般論でお答えになったって、全く答弁になっていないと私は思いますよ。
 警察庁の方に聞きますが、診療報酬の不正受給、これは先ほど一般論でお答えになったわけですが、やはりそういう、病院側も認め、現実的に二百四十三名の死亡があって、不正請求、不正受給、こういった事態になったわけでありまして、当然これは捜査の対象として捜査に着手すべきである、厳正なそういう対処が望まれておりますが、警察庁のお考えをお聞きしたいと思います。
栗本政府参考人 ただいまのお尋ねの件につきましては、現在、京都府警察におきまして事実関係の把握に努めておるところでございます。
 一般論ですが、警察といたしましては、法と証拠に基づき刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処するものと承知いたしております。
山名委員 これはゆゆしき、命にかかわる問題ですから、しっかりと取り組んでいただきたい。命はまさに地球より重いんです。
 この問題の最後に、厚生労働省の方にお聞きしたいんですが、いわば、厚生労働省としましては、保険医療機関というお墨つきを病院に与えているわけであって、監督官庁として、やはり今回のこういう不正問題、事犯は絶対許されない。そういう意味では、保険医療機関の指定取り消し、あるいは医師臨床研修指定病院、こういった取り消し等、当然これは対象になるのではないか、こういうふうに思いますが、御見解をお聞かせください。
渡辺(具)大臣政務官 委員が御指摘のことが事実であれば、大変ゆゆしき問題であります。選挙運動云々は別にいたしまして、厚生労働省といたしましても、委員御指摘のとおり、指定の取り消しのところまで判断をすべきだというふうに思っております。
 ただ、現在、先ほど局長が申し上げましたように、京都の社会保険事務局において、レセプトを集めましてその実態を調査しておりまして、まだ最終的な判断が出ておりません。最終的な判断が出ましたら、指定の取り消しも含めまして厳正に判断をするわけでございます。
 取り消しにつきましては健康保険法の八十条に定めがありまして、指定の取り消しをする場合は、故意に不正、不当な診療または診療報酬の請求を行ったもの、あるいは重大な過失により不正、不当な診療または診療報酬の請求をしばしば行ったもの、こういったものに該当する場合は、指定の取り消しをすることになっておりまして、先ほど申し上げましたように、立入検査の予定も含めて、ただいま厚生省の京都社会保険事務局において調査をしておりますので、その調査結果を踏まえまして、厳正に対処してまいりたいと考えております。
山名委員 京都市、京都府がいわゆる委員会をつくって原因究明委員会等で調査をしている。これは、厚生労働省としても傍観者じゃいけないと思いますよ。きちっと適切な助言、アドバイス、指導、こういったことをぜひ今後とも厳正にやっていただきたい、このことを要望しておきます。
 きょうは別件で国土交通省にも来ていただいておりますので、最後に国土交通省の方に御質問をさせていただきますが、住宅金融公庫のマンション共用部分リフォームローン、この問題でございます。
 マンションの適正な維持管理、これは非常に今大切なことでもありまして、そのために、管理の適正化指針、適正化の法律あるいは建替え法、区分所有法等、一定のマンションに対する法が、ルールが整備をされてきたところでございます。
 一方、建てかえというよりも計画的な修繕、これも大変重要な問題でありまして、実際に、大規模修繕を実施する際には、修繕積立金だけではとても修繕費用を賄い切れない。こういうときに、一時的な借り入れというものが必要だということで、これは借り入れをする場合は管理組合の代表者の名義で借りるわけですから、なかなか民間の銀行は貸してくれないわけですね。そこで、住宅金融公庫ではマンション共用部分のリフォームローン、こういう商品を持っておりまして、これが今後とも管理組合にとっては大変有効な融資制度として活用される、こういうふうに思われます。
 そこで、マンションの適正な維持管理を進めるためにも、私もこの間、国土交通部会あるいは法務部会等の合同部会で提言をいたしまして取り上げさせていただいたところでございますが、この住宅金融公庫のマンション共用部分リフォームローン、これを少しでも管理組合の負担を減少させるための公庫融資の保証、これをいわゆる財団のマン管センター、マンション管理センターがやっておりますが、保証料が高い、そういう意味では非常に使い勝手が悪い、こういう声もございます。この際、修繕のためのリフォームローンの保証料の引き下げをぜひやってもらいたい。
 もう一点は、住宅金融公庫にマンション修繕債券積立制度というのがございますが、これは一口百万。これもやはり百万となりますとなかなか、ちょっと半端なといいますか切れの悪い部分がございまして、一口当たりの積立額を引き下げるべきではないか、こういうふうに私も思いますし、そういう要望が強く出されておりました。
 この二つ、まとめて御見解をお聞かせいただきたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 二点御質問がございました。マンション共用部分リフォームローンの保証料の引き下げが一点目でございます。
 この点に関しましては、財団法人マンション管理センターにおきまして、管理組合が無担保で住宅金融公庫のマンション共用部分リフォームローンを受ける際の保証事業を昭和六十一年九月から実施してまいりました。当該事業が開始されましてからもう既に十五年が経過しております。管理組合への普及定着が図られてきましたことから、債務保証リスクの考え方を整理いたしますとともに、今後の保証料率のあり方等を研究するため、平成十三年三月に、同センター内に債務保証事業の基本問題に関する研究会を設置し、検討を行ってきたところでございます。
 同センターにおきましては、研究会の報告を受けまして、既に保証事業が管理組合に普及定着してきていること、また、マンション管理適正化法の施行によりまして、マンションの適正な維持管理に対する管理組合の認識が高まっているということから、債務保証料率の引き下げについて検討いたしますとともに、先生の御指摘などを踏まえまして住宅金融公庫でも協議を行った結果、保証料率の引き下げを決定いたしました。
 一般の管理組合に対する保証料を、保証期間十年の場合には現行より約九%減額するとともに、金融公庫のマンション修繕積立金を積み立てている管理組合や財団法人マンション管理センター及び財団法人住宅金融普及協会に情報登録されております管理組合につきましては……
山口委員長 簡潔に御答弁をお願いいたします。
松野政府参考人 しっかりとした管理が行われているということから、ローンの返済が滞るおそれが低いことがございます。新たに特定管理組合としてこうした管理組合を位置づけまして、特定管理組合の保証料区分というものを新設いたしましてさらにこれを引き下げるということで、十年間の保証期間の場合、現行より一八%減額するということといたしております。なお、この実施時期につきましては、十五年一月一日以降の受け付け分から適用する予定でございます。
 もう一点目でございますが、マンション修繕債券積立制度におきます一口当たりの積立額を引き下げるべきではないかというお話でございます。
 この制度を活用していただいておりますが、一方、小規模なマンションにおきましては、戸数が少ないというようなこともございまして積立金額が少なくなるということ、それから、一定割合は流動性の高い預金として確保しておく必要があるというようなことから、その金額を少し少額にできないかという課題がございました。このため、十五年度の概算要求におきまして……
山口委員長 時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
松野政府参考人 小規模なマンションにおいて積み立てがしやすいようにということで、百万円から五十万円に引き下げるということを要求しているところでございます。
山名委員 前向きな答弁、ありがとうございました。
 以上で、終わります。
山口委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 きょうは、行政監視の観点から、文部科学省の天下り法人が教科書検定制度の根幹を揺るがす、そういうような不正行為をしているのではないかとの疑惑について、遠山大臣並びに関係当局にお伺いします。
 御承知のように、小中学校の教科書並びにその教科書に準拠して作成される地図やドリルなどの図書教材の出版、販売に関しては、検定制度のもと、客観的で公正な編集あるいは採択が行われるよう、厳しい法的な規制があります。
 しかし、実際は、文部科学省の幾つかの天下り法人が教科書を出版する会社や図書教材を出版する会社を操り、検定制度をゆがめて、利権温存を図っている実態をまず指摘しておきたいと思います。
 お配りした資料の一を見ていただきたいと思います。
 これは、教科書並びに教材図書の発行に関して、文部科学省の所管する社団法人、財団法人との関係を示したものです。実に多くの社団法人、財団法人がいわば文部科学省にぶら下がっているという実態がおわかりいただけると思うのです。
 このうち、社団法人教科書協会及び社団法人日本図書教材協会、これについて、社団法人教科書協会は、教科書の出版会社が約二十二社加盟しています。また、社団法人日本図書教材協会には、教材図書の出版社約六十一社が加盟しております。
 ここで、少し簡単に、教科書の出版と図書教材の出版について説明しておきたいと思います。
 教科書の改訂は、ほぼ四年に一度行われます。現在、小中学校で使用されている平成十四年度の教科書は、平成十一年、文部科学省が新教育指導要領を発表し、それに基づいて教科書出版会社が原稿執筆や編集作業に入り、教科書検定のためのいわば白表紙本を作成して文部科学省に提出し、そして平成十三年一月三十一日に検定が終了する、こういうプロセスになっているわけです。
 このプロセスの中で問題になるのが、検定のために提出する通称白表紙本、正式には申請図書または教科書原本と言われていますが、この扱いが大きな問題になるわけです。
 文部科学省は、教科書検定制度の観点から、各教科書出版会社や関係機関に、白表紙本は検定の申請以外の目的で使用することを禁止する通達や通知を出しているほか、献本も禁じる指導をしています。これは資料の二を見ていただければわかると思うんですが、この資料二には、平成十二年十二月二十六日付で文部省初等中等教育局教科書課長の名前で、取り扱いについて書いてございます。これを見て明らかなように、白表紙本は検定以外には出してはいけない、流出してはいけないと指導しております。
 ところが、この白表紙本の流出については、平成十二年に検定中の扶桑社版の歴史教科書が、白表紙本のコピーの一部が流出して大きな問題になりました。また、かつて中国との教科書問題の発端となった侵略と進出をめぐる論争など、こうした白表紙本が検定前に流れている、その事実も明らかになっています。
 そこで、まずお伺いします。
 白表紙本が文部科学省が行う教科書検定以外の目的で使用されたり、検定以前に外部に流れることについて、文部科学大臣は、教科書検定制度の趣旨に照らして、どのようにお考えでございましょうか。御見解をお伺いします。
遠山国務大臣 教科書の検定は、静ひつな審査環境の中で適切かつ公正な審査に基づいて実施することが必要でございますから、検定審査に予断を与えるようなことがないような環境を確保することが重要と考えております。仮に検定の決定以前に申請図書の内容が公にされることがありますと、検定審査に予断を与えるおそれがありますことから、適切でないと考えております。
 我が省では従来から、各教科書発行者に対しまして、申請図書の適切な管理について指導してきたところでございまして、先ほど引用していただきましたような指導をしっかりやっているところでございます。
木下委員 もし、そうした指導に違反して白表紙本が流出している、この事実があれば、どう対応いたしますか。
矢野政府参考人 今、先ほど大臣からお答え申し上げたような趣旨で、白表紙本を検定決定以前にそれ以外の目的で外部に出すことについて、控えていただくように指導しているところでございますから、もしそういう事実があるといたしますれば、それは私どもの指導に反する遺憾なことでございますから、仮にそういうことでありますならば、私ども、その教科書会社に対して指導の徹底をいたしてまいりたいと考えております。
木下委員 現時点で、例えば白表紙本が外部に流出しているという事実確認はしておりますか。
矢野政府参考人 私ども、そういう御指摘があったものでございますから、あるいはそういう報道がなされたものでございますから、各教科書会社、教科書発行者に対しまして、教科書協会を通じまして、検定申請図書を検定決定以前に教材発行者あるいはその他関係団体に対して提供しているかどうかについて、協会を通じて聞いたところでございますが、その結果、その報告によりますと、そうした事実はないという報告を受けているところでございます。
木下委員 事実はないと断言できますね。間違いないですね。
矢野政府参考人 今申し上げましたとおり、これは、教科書協会を通じて教科書発行者にその辺の事実関係を聞いた結果、教科書協会から私どもにそういう報告が参っているということでございます。
木下委員 お伺いします。
 社団法人教科書協会並びに社団法人日本図書教材協会、あるいは、ここに、資料一に示しておる財団法人図書教材研究センター、これらの社団法人、財団法人、これは五つありますが、文部科学省から何人の天下りがいますか。
結城政府参考人 御指摘のございました社団法人教科書協会、それから財団法人教科書研究センター、社団法人全国教科書供給協会、社団法人日本図書教材協会、最後に財団法人図書教材研究センター、この五つの公益法人について申し上げます。
 この五つの公益法人に文部科学省のOBで再就職しております者は合計十八名おります。ただし、そのうち常勤の者は二名でございまして、残り十六名は非常勤でございます。
木下委員 今の人数を見ても明らかなように、まさにこの文部科学省の傘下にある社団法人、財団法人は、文部科学省の天下り先になっているんです。例えば、教科書協会の理事の菱村さん、この方は日本図書教材協会の会長も兼ねています。この方は元文部省初等中等局の局長です。あるいは、教科書協会の理事の諸澤さん、元文部省事務次官、この方は、教科書研究センターの理事長を兼ねている。要するに、お互いにもたれ合っているわけですね。ですから、幾らあなたが白表紙本が流れていないと報告を受けたって、信じられないんです。その事実をお示しします。
 その前に、私自身、社団法人の教科書協会と日本図書教材協会の財務表はいただきました。残りの財団法人についての財務表の御提出をお願いしたいと思うんですが、よろしゅうございますか。財務表を提出していただけますか。
矢野政府参考人 後刻、関係団体にお願いをして提出いたしたいと思います。
木下委員 実は、ここに白表紙本がございます。これが俗に言う白表紙本です。これが検定をされた後の教科書。要するに、この表紙をとって、出版社名がわからない、著者がわからないようにつくったのがこの白表紙本です。
 これを、本来ならば、検定用に出す。そして、検定に合格して、例えば教材会社にこれを提供して教科書に準ずる教材をつくるというのであれば、ほとんど内容が同じでなければいけない。ところが、中身も見ますと、かなり違うわけです。同じ本でありながら、一部かなり変わっている。ですから、これはかなり前の段階で、いわば検定前のかなり前の段階で流している可能性がある。
 先ほど言いました。平成十四年版は約一年前に検定されます。そして、そこから慌てて教材をつくっても間に合わない。ですから、その前に白表紙本で流して、そして教材会社に教材をつくらせる。これがいわば流出している白表紙本だと思います。
 実際、お配りした資料を見ていただきたいと思います。
 例えば資料三を見ていただきたいと思うんですが、ここには「平成十四年度用小・中学校教科書原本(白表紙)の注文について」、社団法人日本図書教材協会の専務理事の名前で各教材会社の編集部長あてに出している文書です。
 これによると、「記」として一番、「教科書原本(白表紙)については、提供していただいた教科書会社の関係者の立場を考えて外部に公表したり貸し出すようなことは絶対に行わない。」「原本の内容については、教科書会社へ直接問い合わせたり、意見を聞くようなことは絶対行わない。」このように厳重に箝口令がしかれている。これは、つまり、白表紙本をあらかじめ流出させている、その取り扱いについて厳重な注意をするようにという文書を各教材出版会社に配っているわけです。
 さらに、資料四を見ていただきたい。その前に資料五ですね、ちょっと順序が入れかわっています。これは平成十二年です。このときの日本図書教材協会の会長というのは、文部省OBの元参議院議員、自民党の柳川覚治さん。この人の名前で、ある出版株式会社にこういう文書を出している。「今回はすでに一部を加盟各社に配布しておりますが、まだ、全点は揃っておりません。」要するに、配っている、その事実を確認しているわけですね。
 そして、もとへ戻って資料四に、今度は、誓約書を各出版社から日本図書教材協会に出させています。ここには一番として、「外部には絶対公表したり提供するようなことはいたしません。」あるいは二番目に、「原本の内容について各社より教科書会社へ直接問い合わせしたり、意見を聞くようなことなどは絶対行いません。」上に戻ります。「万が一、この誓約に違反のあったときは委員会の処置にしたがいます。」こういう文書が各出版社に配られて、誓約書を出させられている。この事実について、大臣、どう思いますか。
矢野政府参考人 ただいま委員が御指摘をいただいた事柄が事実だといたしますと、これは遺憾なことでございまして、文部科学省といたしましても、事実関係について、改めて可能な限り調査を実施いたしたいと思っております。
 そして、その調査結果を踏まえまして、日本図書教材協会等に対しまして、検定申請図書の取り扱いについて、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
木下委員 事実を確認してといったって、これだけきちんとした資料を提出しているわけですよ。出しているわけですよ。行われているわけですよ、実際に。
 さらに言えば、では、もう一つ教えます。
 日本図書教材協会創立三十周年記念誌がございます。これは、平成三年四月に発行した「築く」という雑誌です。記念誌です。
 この中に、具体的に書いてあります。この中の五十五ページに、こういう記述があります。「教科書会社は、謝金を受け取る見返りとして、教科書を参考とする教材をつくるに当たって、教科書の最初の段階からのもの(白表紙など)及び指導書を資料として提供すること」とはっきり三十周年記念誌にうたっているんです。
 要するに、提供する、だからその見返りに謝金を提供しなさいということをはっきり三十周年誌にうたっているんです。これは御存じですか。
矢野政府参考人 今の資料については、それまで承知しておりませんでした。
 したがいまして、先ほど御指摘のあった事実、それから今御指摘のあった資料等につきまして、私ども、改めて事実関係、すなわち申請本を検定決定以前に外部に出しているかどうかといったようなことについての事実関係につきまして、改めて可能な限り調査をいたしたいと思っておりますし、その調査結果に基づきまして、しかるべき対応をいたしたいと思っております。
木下委員 今、謝金という話が出ました。この謝金の性格、これは、教材出版社の業界団体である社団法人日本図書教材協会、加盟する約六十一社の教材出版社から毎年謝金を集めています。その謝金を教科書出版社の任意団体である教学図書協会に毎年支払っている。社団法人の日本図書教材協会の発表では、教学図書協会に支払っていた謝金は、平成十一年だけでも一億九千三百十五万円で、昭和五十一年から平成十一年までの二十四年間の総計では、実に二十四億二千五百七十七万円になります。
 その資料を、これは資料六に記載してあります。これは、日本図書教材協会の専務理事からいただいたものです。
 一体、謝金というのは何なのか。どう把握していますか。
矢野政府参考人 ただいま御指摘の謝金は、これは、両当事者間の契約に基づきまして、教材出版社から教科書出版社の著作物の使用の対価として支払われているものと承知をいたしているところでございます。
 これにつきましては歴史的な経緯があるわけでございまして、御紹介申し上げますと、先ほどお話がございました……(木下委員「いや、歴史的な経過はいいです」と呼ぶ)いえ、この性格を御理解いただくために、歴史的な経緯について一言申し上げておきたいと思います。
 日本図書教材協会は、教科書の使用に関する著作権料の支払いにつきまして、教科書を作成する出版社の団体でございます教学図書協会と昭和四十年代初めに裁判を行ったわけでございますが、昭和四十三年に、その教科書会社の団体でございます教学図書協会との間で、教科書を教材図書の素材として使用する対価として毎年謝金を支払うことで両者は和解したわけでございます。
 その和解に基づいて、今日まで、そういう両者間の契約に基づいて、先ほど申し上げてございますように、著作物の使用の対価として支払われてきている、そういう性格のものでございます。
木下委員 いや、私が図書教材協会の専務理事さんから聞いた話によると、この毎年の二億円は著作権者に払っているんだという言い方をしていましたよ。どうなんですか。
矢野政府参考人 これは、著作者と教材会社との間における、これも著作物についての著作権料、また使用の対価の争いがずっとあったわけでございます。そういう状況の中で、一つの裁判上の主張として、著作権料だということを主張したことはございますけれども、これも平成十一年に裁判の判決がございまして、それ以後、考え方として、今申し上げたような性格のものということで位置づけて、今日まで著作者との調整をしてまいってきているところでございます。
木下委員 うそを言っちゃ困るよ。何でそんなうそを言うんですか。ここの、先ほど言った平成三年の三十周年記念誌の中にははっきりうたってあるじゃないですか。読みますよ。「教材出版会社が教科書会社に贈る礼金は、印税という観念によるものではない」、こうはっきり言っているじゃないですか。平成三年ですよ。今の話は平成十一年でしょう。はっきりここに言っているじゃないですか。どうなんですか。
矢野政府参考人 先ほど来申し上げてございますように、そうした歴史的な経緯の中で、教材図書の素材として使用する対価として謝金を払うという和解がなされ、それに基づいて、それ以来、両者はそういう契約を結んで今日まで一定の謝金を払ってきているわけでございますので、そこについての誤りはございません。
木下委員 要するに、対価ということは、白表紙本に対する対価なんでしょう。違いますか。
矢野政府参考人 教科書を素材として副教材を使うことについての対価というふうに理解ができるところでございます。
木下委員 それはおかしなへ理屈ですよ。著作権料も払っていないんですよ。教科書は著作権料を払わなくていいかもしれない。しかし、それに付随する副読本、いわゆる教材ですね、これには著作権料をちゃんと払わなきゃいけない。ところが、今まで過去十数年払ってこなかったわけでしょう。だから先般、詩人の谷川俊太郎さんを含む六名の方が、払いなさいと出版差しとめをして、高裁で出版差しとめになっているんです。そして六十一社の教材会社は、著作権料を作家に一切払わずに、ぼろもうけしてきているんですよ。そして、この問題が起こってから、裁判が起こってから、突然、教材協会が勝手に印税を振り込んできている。一年間に百円とか二百円とか振り込んできている人がいるんですよ。その実態をわかっていますか。
矢野政府参考人 今の具体的なことは承知しておりませんが、委員の御質問をお聞きしていて、少し誤解があると思いますので、一点申し上げさせていただきたいんですが、著作権の問題は、教科書出版社と教材出版社との関係が一つございます。同時に、教科書に掲載作品をしている原著作者と教材出版社との問題があるわけでございまして、今、谷川俊太郎さんのお名前をお挙げになりましたが、これは原著作者と教材出版社との間における問題であるわけでございます。
 これについては、先ほど御紹介を申し上げましたように、平成十一年に裁判があるまで、当事者間に争いがございました。しかし、その裁判の判決を受けて、平成十四年には両者間における協定が成立したわけでございます。すなわち、平成十四年には過去十年間の著作権使用料、これはあくまでも原著作者と教材出版社との間でございますが、著作権使用料を支払うことを条件に、訴訟を継続している九名の方がおいでになりますけれども、それ以外の、約九百名おいでになりますが、そのほとんどの著作者と作品の使用許諾契約を締結して、両者間におけるこれまでの争いは解決されたというふうに理解をいたしておるところでございます。
木下委員 あなたの言うのは、それは著作権の問題というのは出版会社ともちろん作家、著作者との関係かもしれない。しかし、その上部団体である教材協会が全部指導しているんじゃないですか。違いますか。少なくとも、教材出版会社の上部団体であり、しかも、そこに文部科学省から多数の人が天下りしている。なぜ指導させないんですか。今までそういうことを承知していなかったんですか。
 要するに、教材会社と作家との間で印税が支払われていない、そういうことを全く承知していなかったのか、それは問題ないと思ったのか、裁判によって初めて明らかになったからこれは大変だということになったのか、その辺、はっきり言ってください。
矢野政府参考人 これは、私どもの立場では、原著作者と、例えば教科書会社、それから教材会社、その三者があるわけでございますが、その三者における著作権という財産権の扱いについては、私どもの教科書を検定する立場において、言葉は悪うございますけれども、そういう立場において介入することはできないと思います。それはまさに当事者間の相談であり、また、当事者間の御相談あるいは調整をした結果、そういうふうになされたというふうに理解をいたしているところでございます。
木下委員 少なくとも、今、知的所有権の問題が大変大きな問題になっています。ましてや著作権の問題、作家にとってはこれは生活の糧です。心血を注いでつくった作品が無断で使われている。しかも、その教材会社の上部団体である教材協会、多くの文部省の天下りが入っている。なぜそういったところに指示をできないのか。ましてやこれは小中学校で使われる教科書です。教育現場でそういういいかげんなことをもしやっているとしたら、言語道断。
 私は、少なくとも、検定制度という公平中立でなければいけない、そうした趣旨にもとる。ましてやこの文科省傘下の社団法人、財団法人、多くの旧文部省のOBが入っている。誤解を生みやすい。一切こうしたところに天下りを禁止する、そのぐらいの英断がないと、教科書に対する信頼性あるいは検定制度に対する信頼性が損なわれる、私はそう思います。
 大臣、最後にお答えをいただいて、質問を終わります。
遠山国務大臣 今、一連の御指摘と答弁を聞いておりまして、私どもといたしましては、教科書に絡む著作権の問題は従前から大変シビアに考えておりまして、原著作者の権利が守られるように、常にこれは気を配ってまいっております。
 したがいまして、恐らく契約上で団体間がやっておられることについての誤りはないであろうと思いますし、同時に、教科書検定につきましては、御存じのように、検定規則、それから検定基準を踏まえた上で、教科用図書検定調査審議会において専門的な観点から審議された答申に基づいて行っているところでございまして、教科書検定というものは、教科書協会の役員に我が省のOBが行っているいないには全く関係なく、公正に行われるべきでありますし、行われていると思っております。
 それから、天下りという言葉をお使いになりましたけれども、こうした法人は、教科書やあるいは教材の質的向上に関する調査研究などを図る事業を行うことを通じて、学校教育の充実発展に寄与することを目的としている法人でありまして、こうした事業を適切に実施するために、むしろ長年の知識、経験を生かしたいということで、団体側の要請に従ってOBが就任していると思っております。ほとんどの人が非常勤でございまして、報酬なしでございます。
 そういうことで、今後とも、私どもも御指摘のような点について一切公正でないようなことがないように、力を尽くしてまいりたいと思います。
木下委員 大臣の認識は余りにも甘過ぎる、その点だけを指摘して、質問を終わります。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅でございます。
 竹中大臣にちょっとお伺いしますが、不良債権処理ということで金融機関がどんどん進めておりますけれども、大企業に対しては債権を放棄するとか非常に甘いことなんですが、中小企業に対しては非常に厳しい、さらに個人の方にはもっと厳しくなっているということをきょうは議論させていただきたいと思っております。
 大臣よく御存じの、バブルのときに、数万人の方が今被害に遭われておりますけれども、変額保険を使った大型のローンですね、個人に対して三億円とか五億円とか大変大きなお金を、その方も、普通の何十万という収入の方が五億円も銀行からローンをするともう大変なことになるんですが、そういうことが行われました。これはもう十年間にわたって社会問題化しております。
 現に、正確な数字はわからないんですが、大変多くの方が自殺をなさっております。みずから命を絶たれております。ここにある新聞記事でも、何件かこの記事が、変額保険の被害者の方がみずから命を絶たれたと。被害者の会の方で、わかっているだけで五名の方がみずから命を絶たれました。この仕組みは、早く自殺をして生命保険が入ればその返済の額は少しでも少なくなる、遅ければ遅いほどどんどん利子がたまっていってもうだれもできなくなる、こういう制度なんですね。
 そこで、ちょっとお伺いいたしますけれども、この大型フリーローン、これは各銀行はどういう態度でやろうとしているのか、それに対して金融庁はどういう報告を受けているのかということをお聞きしたいと思います。
五味政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる大型フリーローンというお話でございましたけれども、これは定義といたしましては、五百万円以上の融資が可能で、提携商品であって、個人を対象として、資金使途は自由といったようなことが基本的な性格だというふうに理解しておりますけれども、どのようなローン商品をどのような債務者の方に販売をするかというようなことにつきましては、個別の銀行がそれぞれの債務者の皆さんの状況を見きわめた上で自主的に判断なさるものであるというふうに考えております。
 また、個々の融資商品につきましては、許認可事項でもございませんので、特段各銀行からその実態などについて報告を受けているわけでもございません。
山田(敏)委員 金融庁は銀行を指導するので、不良債権の額についても全然知らないんですか。今、各銀行が勝手にやったからおれは知らないという答弁ですよね。
 二〇〇〇年の五月十九日に大蔵委員会で、大野政務次官がこの問題について見解を持っておりますので、ちょっと大臣、よく聞いてください。
 二つこの問題はありますと。一つは、変額保険についてリスクを十分に説明しないで売った、これは確実に言えると思いますと認めていますね。もう一つは、銀行が保険を販売する、金融商品、これは一体になってやるというのは法律違反である、銀行は保険を売る免許を受けていないわけですから、この事例についてはおかしいということを大野政務次官が言っておりますけれども、大臣はこの点についていかがお考えですか。
五味政府参考人 ただいまお話のありましたように、保険商品をその商品性などについて重要な情報を十分に説明せずに、あるいはこれで虚偽の説明をしたり説明をしなかったりして販売をいたしますと、保険業法に基づきます説明義務の違反ということになります。
 それから、銀行は他業禁止でございますから、銀行が保険商品を売るということになりますと、これは銀行法上の規制に抵触をすることになります。
山田(敏)委員 それでは、今の政務次官のことを大臣はお認めになるということでよろしいんでしょうか。――ちょっと、大臣に聞いているんですけれども。
五味政府参考人 ちょっと実際の、どういうやりとりの中でどういう御発言があったかを確認しておりませんので、確たる言い方で申し上げられませんけれども、お聞きした範囲では、そういったことが現実に行われますれば、法令に抵触しているかどうかチェックをする必要が出てくると思います。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、金融の取引というのは、高度に専門性が高くなっている商品、それに対して、販売する側と購入する側で非常に知識ギャップが広がっている分野、そういうものに関しては、やはり販売する側に説明責任が十分にあるということは大変重要なポイントであろうかと思っております。
 今のその答弁に関しましては、個々の、どのような事例について言及されたものか、ちょっと今の時点では承知をしておりませんが、いずれにしましても、そういった意味での、販売する立場の責任というものは当然のことながら果たさなければならないと思っておりますし、そういう中で、あとはまさに個別の買う側と売る側のリスクの認識、自由な商業行為の中で取引が行われているものと基本的には認識をしております。
山田(敏)委員 先ほど申しましたように、被害に遭われた方は数万人いらっしゃるんですが、その中に私、呼びかけまして、皆さんに手記を書いていただきました。ここに約百通近いものが寄せられたわけですけれども、私、そのうちの五十通ほどを読みました。これは、どういうふうに出会って、どういう説明を受けて、どういう経緯で契約をしたかということを皆さんが時系列を追って書かれております。
 これは、ほとんど共通していることは、相続税対策にすばらしい商品ですよ、リスクはありませんと。そして、銀行の支店長とか一緒に来て、これを説明して、そして銀行で契約する。契約するときも、これは大変急いでやらないともうなくなってしまいますよ、早く契約してくださいということをやっているんです。それで、千件に上る訴訟が起きているわけですね。
 これを、今局長の説明では、いや、それは銀行が勝手にやったことで、余り関心ないということらしいんですけれども、やはり金融庁として、これについて確固たる、これは十年にわたる裁判がございますので、詳しくは申し上げないんですが、法的な措置を新たにとらないといけないと思うんですね。
 大臣、この件について、金融庁として監督責任があるかどうか、お答えいただけますか。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、非常に情報格差がある場合に、売る立場には売る立場の責任というのが当然あると思います。一方で、買う側には買う側の責任というものも当然のことながらある。その情報量のギャップがあるということを前提にして取引の仕組みをつくっていくというのが、やはり我々の重要な役割であろうというふうに思っております。
 いわゆる業法、保険業法等々の業法においては、その業を行う者の業務の健全かつ適切な運営を期することによってその顧客の保護を図る、これが法律の目的であり、我々がまさにそこに努めなければいけないことだと思います。顧客への重要事項の説明義務、例えば保険募集等の禁止行為等は、これはきちっと定められております。
 今訴訟のお話がございました。これは訴訟でありますから、司法の場で当然のことながらいろいろと争われていることだというふうに思いますけれども、我々としては、そういう枠組みをしっかりとつくって、引き続きさまざまなニーズにこたえる、日々商品は進化しておりますから、そうした中で、引き続き行政としての枠組みの提供という点で努力をしなければいけないと思っております。
    〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
山田(敏)委員 四月二十四日の財務金融委員会で、海江田委員が参考人、三木東京三菱銀行社長に質問いたしました。その中で、三木社長は答弁をいたしております。これは、今いろいろ言いましたように非常に深刻な問題で、命をなくされる方もたくさんいらっしゃる中で、個々の人によく話し合いをして解決をしていきます、こういうふうに四月に答弁しているんですね。
 その後どういうことが起こったかといいますと、六月には、ここに来ていらっしゃいますけれども、被害者の方の強制競売、こういうことが次から次へ実行されております。この方たちが、国会で社長が答弁したから、じゃ、個々に話し合いをしてくださいと銀行に言ったら、銀行は、代理人の弁護士がいますからどうぞと。弁護士は競売をさっさと進めていく。こういうことで、もう抵当に入っていないものまで次から次へと競売が行われております。
 これについて、大臣はいかがお考えでしょうか。
竹中国務大臣 個々のケースでありますので、非常にいろいろなケースがあり得るのだと思います。
 基本的には、銀行には、銀行のリスクをしっかりと管理しなければいけないという責務もあるんだと思います。そうすることによって、一方で我々は、銀行に預金を預けていて、その預金を保全してもらわなければいけない、預金が貸付金になっていくということでありますから、銀行には、そのリスク管理をしなければいけないという、当然の意味での務めはあるんだと思います。
 しかし、一方で、銀行というのは極めて公共的な性格を持っている。だからこそ、免許業、だれでもできるものではない。そういう観点からいいますと、銀行みずからが、やはりみずからの立場を自覚して、社会から期待されるモラルの水準というのは当然のことながら満たしていかなければいけない立場にあると思います。
 繰り返しになりますが、個々のケースについて、恐らくいろいろなケースがあるのだろうというふうに私は思いますけれども、今、担保に入っていないものまで競売にと。これはちょっと、どういうケースなのか、私、想像もできなくて、いろいろなケースがそのケースごとにあるんだと思いますが、あくまで一般論として申し上げますと、銀行は銀行で、やはりしっかりとリスク管理、資産の運用の管理をしていかなければいけない。しかし、当然に、守るべき重要なボトムラインのようなものはしっかりと守られなければいけないということだと思います。
山田(敏)委員 ちょっと私の質問が薄れちゃったんですが、私の質問は、国会で個々についてよく話し合いをして解決しますと言っているのに話し合いをしないということは誠意のない対応ではないですか、それについてどう思いますかという質問なので、誠意があるかないかお答えをいただきたいんですけれども。
竹中国務大臣 繰り返しますが、個々のそれぞれの問題であろうかと思いますが、基本的には誠意を持って対応をしていただきたいなというふうには思います。
山田(敏)委員 それで、今、千件ほど訴訟があったと申し上げました。裁判はどんどん進んでおりまして、ほとんどの方が敗訴されたんですね。それは、理由は、裁判の原則なんですけれども、原告が証明しなきゃいけない。
 例えば、十分にリスクを説明しなかったという場合は、皆さん、リスクはありませんよと聞いてやられたわけですね。ところが、裁判に行くと、銀行員の方が、パンフレットを渡しましたとか、リスクは説明しましたとか。原告の方は、銀行を信用してやったわけですから、テープレコーダーをとっているわけではない、写真を撮っているわけじゃないから証明できないんですね。これで敗訴になるということなので、こういうことは外国では行われていないんですよね。
 アメリカの例でも、まず、銀行側にたくさん証拠があるわけですね。銀行の稟議がありますよね、その人に行きましたとか、いいでしょうかと。日本の場合、これを裁判所に出さない。アメリカの場合は、これは証拠を出しなさいという法律が確立されているから、訴えた方も、これは銀行側の間違いだということを証明できるんですよね。日本では証明できないんです。だから千件も訴えられた方が敗訴になる、こういうことなんですね。
 これは、法律だから法務省の管轄です、こう言われるんですけれども、やはり最初に答弁されたように、強い者と弱い者、情報量のある者とない者、非常に大きな立場の差があるわけですね。これは、一方的に強い者の言ったとおりやれば、こっちはもう勝てないわけですね。
 例えば、三億円のローンを組むときに、約定書、契約書というのをつくりますね。それを本人に渡さないんですよ。銀行が持っているんです。裁判をやってやっと初めて出してきたんです、これは今手元にありますけれども。そういうことを、銀行は強い者の立場として平気でやるわけですね。そうすると、原告がせっかく裁判を起こしても、これは立証できない。そうすると、金融サイドから、この法律のあり方は問題があるということをちゃんと審議して言っていただかないと、本当にこの国の正義が保たれないということなんですけれども、今、大臣、この話をお聞きになってどう思われますか。
竹中国務大臣 証拠の提出の話は、これはぜひ法務省の方できちっとお答えいただきたいというふうに思っております。
 委員もアメリカにお住みになったというふうに聞いております。私もそういう経験を踏まえて、そういった、どちらに立証責任があるのかという点は、先ほど申し上げた情報量のギャップを踏まえても、本当にきちっと法的な枠組みを整備していかなければいけない重要な問題であるというふうに思っております。
 その点では、日本は金融の自由化がおくれて、そうした中で、考えてみれば十五年ぐらい前まではそんな金融商品も大してこの社会にはなかったわけですね。バブルのころからいろいろな形で出てくるようになって、その意味では、その整備が金融の自由化の先進地域に比べてはやはり遅くなってしまったという事実はあるのだと思います。
 これは、おくればせながらということかもしれませんが、平成十三年四月からは、民法の特例としまして、利用者保護を図るため、金融商品販売法でありますとか消費者契約法が施行されたところであります。
 例えば、金融商品販売法では、今御指摘のような点も踏まえておりまして、金融商品販売業者等が金融商品を販売する際に顧客に対して説明する事項をきちっと定めて、かつ、当該業者が説明しなかったことにより顧客に損害が生じた場合の当該業者の賠償責任、つまり立証責任を転換するというような措置もとられるようになった。金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置等々がとられる。その意味では、金融庁の方でも、事情を見ながら一生懸命努力はしてきているわけでございます。
 しかし、これは御承知のように、どんどん金融商品が多様化して複雑化する中で、これはもう不断の努力が要るという分野であるというふうに思っております。
山田(敏)委員 議員立法でも何でもやりますから、金融庁の方は、今おっしゃったことをもう一回法整備をきちっとして、消費者の方が銀行に証拠を求めたらそれはちゃんと出せるというふうにしないと何も進みませんので、その辺をしっかりやっていただきたいと思います。
 もう一つあります。これはイギリスの制度ですけれども。
 ある方が、裁判で和解案が出ました。原告にとって非常に不利な和解案ですね。もう六五%は自分に責任がある、三五%は銀行側にあると。じゃ、今から五千万円を支払いなさい、こういう和解案なんですね。これは、もともと変額保険は安全ですよと説明して、変額保険が破綻して、そしてこの方は返せなくなったわけですね。それで、五千万を三和銀行に払いなさいという判決が出た。この和解案を、非常に不利なんですが、渋々、じゃ、のみましょうと言ったら、三和銀行は拒否したんですね。引き続き裁判をやって、全部やっちゃう、こういうことになったんですね、せっかく和解してやろうと思ったら。
 これは、イギリスのオンブズマンという制度では、こういうふうに力の強い人、弱い人で仲裁が行われたときは、こっちがのんだときは強い方はのまなきゃいけない、こういう制度になっているんですね。これは日本にはありません。両方が和解しないと和解というのは絶対にできません、こういうことなんですね。
 この点についてちょっと質問書を差し上げていますので、御答弁いただければ。なぜ日本はこの制度をつくらないのかということをお答えいただきたい。
竹中国務大臣 イギリスの金融サービス・マーケット法のお話だと思います。これは日本でも、イギリスの金融ビッグバンの後、この金融サービス法が整備されていった、そういうことに関していろいろ勉強は重ねてきたつもりでございます。ただ、そういう場合の片務性というのが本当に社会で受け入れられるかどうかという点について、残念ながら、金融自由化がおくれた日本では、まだまだ機が熟していなかったというか、まだまだ理解が進んでいない面、合意が得られない面が引き続きあるのであろうかというふうに思います。
 広い意味での金融商品が非常に高度化し多様化する中で、どのような形で、立場が違う、情報量が違う、ある意味で優越的な地位があるかないかということも含めた法整備については、これはいわば金融のみならず法律全体の整備の中で考えていかなければいけない問題であるというふうに思っておりますので、これは、法務省の方でもさまざまな整備、議論がなされているというふうに聞いております。我々も、その意味では、御指摘のような問題意識を持って、常に制度を進化できるように努力をしたいというふうには思っております。
山田(敏)委員 優越的な地位を利用して契約を結んで、その優越的な地位の人が一方的な条件でどんどんやっていく、今、銀行の約定書は皆そうなっているんですけれども。中小企業の方も、借りる場合は個人保証をつけなさい、連帯保証をつけなさい、金利はいつでも上げることができますと、銀行に一方的に有利なようになっているんですね。担保はいつでも追加できます、こういうふうに書いてあるんですね。
 これは、今大臣がおっしゃったように、公序良俗に反するんですね。ドイツでは禁止されているんです。優越的な地位の人が契約を結んだら、明らかに、優越的でない人にとって一方的に不利なものができ上がったりするのは当たり前のことなんですね。今言いましたように、銀行はその約定書を本人に渡さないで持って帰るんですよ、明らかに、優越的な地位を利用して一方的なことを書いてあるから。今回のケースもそうなんです。
 ですから、イギリスは、ドイツもそうですけれども、こういうことは憲法に違反している、公序良俗に反するということでこういう制度がつくってあるわけですね、弱い者が和解に応じた場合には強い者は応じなさい、それでいいんだということを。今大臣がまさにおっしゃったように、今、情報量の多い者、力の強い者が一方的に、平等ということになっちゃって、非常に日本はおくれていると思うんですね。
 大臣の答弁をよく聞きましたので、これは超党派で議員立法して御提案申し上げたいと思いますので、ぜひ引き続き審議会等でこれを検討していただきたいと思います。
 時間が参りましたので最後の質問なんですが、あさひ銀行のケースでございます。
 これはもう質問書をお渡ししてありますので詳しく説明いたしませんけれども、この変額保険と非常に似たケースなんですね。ホテルオーナーシステムということで、銀行がこの商品を銀行の支店の中で売ったんですね。四・五%の配当は間違いありませんとか、十年後には買い戻しをしますとか、まるでリスクがないような説明をして、このあさひ銀行の支店の中で契約をどんどんやっちゃったわけです。もちろんこの会社は倒産しちゃって、もういなくなって、借金だけが残った、こういうケースなんです。一部のノンバンクの方々は、これは違法行為だということでもう既に和解に応じて解決をしているんですが、あさひ銀行だけがずっと、今の、差し押さえをやったり、競売をやったり、どんどんやっているということなんですが、この点について答弁をお願いいたします。
五味政府参考人 御質問の通告でいただきましたのは五輪建設という名前が出ておりまして、たしか特定の案件を特定なさっての御質問の通告だったと思います。あさひ銀行というお話でございますが、この取引に関しましては、現在裁判所で訴訟が係属しているというふうに理解をしておりまして、この内容にかかわるお話、特に個別の一つ一つの融資取引のお話でもございますし、ここでコメントを申し上げるということは差し控えさせていただく必要があると思います。
 一般的に申しますと、銀行と債務者の間の融資取引ということでございますから、私法上の契約に関する問題ですので、そこで法律上の争いになるということでありますれば、裁判も含めて、当事者の皆さんの間で解決を図っていただくということが必要だというふうに考えます。
 他方で、先ほど大臣からも答弁申し上げましたように、銀行というのは公共性を持っておるわけでございますから、その業務の健全かつ適切な運営を確保するという意味で疑問があるというような事実を私どもが把握いたしました場合には、必要に応じて報告を求め、またさらに、そこで法令違反等が確認されれば、適切な権限行使を行うということはしてまいるつもりでございます。
山田(敏)委員 それでは、証拠を差し上げますので、今おっしゃったとおり、あさひ銀行に対して報告を求めてください。
 今申し上げましたように、これは明らかに違法性がある。オーナーシステムがあります、配当が四・五%ありますという説明を銀行でやっているんですよ。支店長がやっているんです。今おっしゃったように明らかに違法性があるんだから、そのあさひ銀行に対して報告を求めてください。ちょっと答弁してください。
五味政府参考人 事実関係について、銀行からちょっと話を聞いてみようと思います。恐らくそのお話というのは、貸し付けに関する話を当然銀行でなさっていると思いますので、その過程でのやりとりの中でどんなことがあったかということだろうと思います。ちょっと事情を聞いてみようと思います。
山田(敏)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
浅野委員長代理 塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 まず最初に、外務大臣に、いわゆる外務省の裏金プール問題でございますが、外務省はその後どのように調査が進んでいるか、お伺いいたします。
 最初の発表では、外務省は約二億円ということでございましたが、先般ここでも取り上げたんですが、会計検査院の調査として報道されましたのは三億四千万。それから、つい最近、外務省として独自にまた調べていったところ、四億五千万ほどの金額が明らかになった、こういうことが言われておりますが、これについてお伺いいたします。そして、その結果によっては、該当者に対するどういう処分をされるか、また大臣としてどういう責任をとられるか、お伺いいたします。
川口国務大臣 御質問のございましたいわゆるプール金事件でございますけれども、この問題につきましては、外務省として昨年の十一月に調査の報告書を発表いたしまして、その時点で、そのときにわかったことに関しまして処分も行いました。
 その後、会計検査院による検査が行われ、それについては近々会計検査院の方で御発表があると思いますけれども、その会計検査院の検査に対応する形で、改めて外務省として調査を行ってまいりました。これにつきましては、会計検査院の検査の結果が発表になりまして、その後できるだけ時間を置かない形で、外務省から、外務省の行った調査については発表をいたしたいと考えております。また、それに伴いまして、処分等人事上の措置につきましても、そのときに発表をいたしたいと考えております。
塩田委員 次に、台湾の前総統であります李登輝氏の個人的な訪日のビザ発給がついになされなかったということで、これはいきさつはいろいろ聞きました。それはそれといたしまして、現にそういった発給がなされなかったわけでございますが、これはまことに遺憾であると思いますし、また御本人に対しましては非常に非礼なことであると思いますし、まことに申しわけないと私も思っておるところでございます。
 李登輝さんは、一九八五年ですが、日本には現職の副総統としてお見えになっている。それから、昨年は個人として、医療のために岡山にお見えになった。こういったことがあるのに、今回は、いろいろな理由を聞きましたけれども、なかなか納得できないような理由でしたが、いろいろ裏工作もなされたということもうわさとして流れておりますけれども、まことに遺憾なことでございます。次の機会、そういうことが起これば、これはもう淡々として事務的に処理をしていただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。
川口国務大臣 今回の李登輝前総統の訪日に関してのビザの問題につきまして、委員がおっしゃられたように、これについて何ら裏工作をしたとか、そういうことは全くございませんで、事実を伺って、そしてそれに基づいて判断をしたということでございます。
 時間もあれでしょうから、改めてその理由については今繰り返しませんけれども、基本的に三田祭における講演のためにおいでになるということでございましたので、それについて調べたところ、そういう事実はなかったということでございまして、今後そういうようなビザの申請がございました場合、そのときについてはその時点で適切な判断を行うというのが政府の立場でございます。
塩田委員 前の訪日の際も、外務省から聞いた話はたびたび変わっているんですね。発給しないとかするとかいってやっていた中で、手続がなされていないとかいろいろなことを言って、今回の場合も納得ができない理由でビザの発給がなかったということ、これはもう言いません。これは李登輝さんに対して本当に申しわけないと思います。今後、そういうことのないように適正にやっていただきたい。他の国の干渉によって、びくびくしながら、余り大した根拠もないのにこういう措置をとることは絶対すべきじゃないと思います。我が国は主権国家ですから、ちゃんとやるべきだと思います。
 今後の日台関係でございますが、親日、親台という感情が高まっている中で、今後は各分野、経済の緊密な関係はもとより、スポーツとかツーリズム、学問、あるいは文化、芸能等について活発に、積極的に、ハイレベルの人的交流も含めて推進すべきだと思います。
 つい最近ですが、台湾の立法院長、王金平さんが見えまして、衆議院、参議院の両議長に会われました。これも非常に結構なことだと思うんです。ところが、これについても、議長公邸で会ったとかなんとかそんなことまで一々他の国から文句を言われて、またびくびくしているようなことでは、これは本当に困ったものだと思うんです。
 今後、そういった政府高官の相互交流、訪問も活発化していくべきだと思いますが、国際会議等が台湾で開かれることも今後起こると思うんですね。そういった点から、政府高官が行かなければならぬ。政府高官が行くときは、政務官あるいは副大臣がやめて、ポストをなげうって行かないといけないような事態も発生しましたが、そんなことのないように、今後この交流についてはどのように進めていかれるかをお聞きいたします。
川口国務大臣 台湾との関係についての我が国の政府の基本的な立場といいますのは、日中共同声明に従いまして、非政府間の実務関係ということで民間及び地域的な往来を維持していく、そういうことでございます。したがって、台湾の当局との間では、原則的に政府間の接触は持ち得ないということでございます。
 他方で、台湾というのは、委員もおっしゃられましたように、我が国との間では、非常に密接な経済関係を持っている地域でございます。それから、人的な交流も含めまして民間ベースでのさまざまな交流が拡大をしているということは好ましいというふうに考えておりまして、先ほど申し上げた日中共同声明に従って、非政府間の実務関係、そういう基本的な立場でこういった交流が順調に伸びていくということは望ましいことだというふうに考えております。
 それで、この関係について、中国との関係を気にして、びくびくして物事をやっているということでは全くございませんで、我が国の立場というのは、非政府間の実務関係ということで考えているということです。
 それで、おっしゃられました政府の関係者の台湾への出張ということにつきまして、この立場を踏まえて、一定の基準のもとで統一的に考える必要があるということでございまして、これまでは、外務省の内規に基づいて、課長職以上の管理職については原則として台湾への出張を認めてこなかった、そういうことでございました。
 他方で、先ほどもおっしゃいましたような日台間の交流が増大をしてきているということ、それに伴いまして、我が国の国家公務員が台湾に出張する、そういった必要がふえてくる、あるいは台湾がWTOに加盟をいたしましたので、その結果、今回この基準を見直しまして、課長職以下の出張については原則としてこれを認める、そして課長職よりも上の幹部の出張であっても、APEC、WTO等の日台双方が正式なメンバーとなっている国際的な枠組みの範囲内の用務であれば柔軟に対応する、そういうふうに変えたということでございます。
塩田委員 ありがとうございました。
 次に、北朝鮮の拉致問題でございますが、政府が今帰っておられる拉致被害者五名につきまして永住帰国を決めたということは、これは正しいし堅持すべきだ、私はこのように思っておるところでございます。
 そこで、最近、北朝鮮側が、一、二週間で帰すと言ったのに約束を日本が破っているということを言っているそうでございますが、外務省筋に聞きますと、そういう約束は一切していない、こういうことをたびたび私は聞いております、確認しております。
 そうであるならば、北朝鮮がそういったことを言ってくれば、反論をして、そんな約束していないじゃないかとはっきりと言うべきだと思うんですね。それからまた、国民に対しても、北朝鮮がそういうことを言ってきているけれども、そんな約束はないんだということをやはり言明をし、説明すべきだと思います。
 この点について、約束はあったのかなかったのかということを含めまして、大臣のお考えをお聞きいたします。
川口国務大臣 拉致の被害者の五名の方が今回御帰国をなさって、日本に今いらっしゃるわけですけれども、この帰国を実現するに当たって、政府として北朝鮮側といろいろ打ち合わせをした、あるいは調整をした過程で、先方との間では、滞在を一、二週間程度とする、そういう調整はございました。
 それで、その後で、五名の方が帰国をなさって、御家族とお会いになって、日本に滞在をしている、そしてその御家族の方とも相談をなさっている中で、その被害者御本人たちの置かれた状況、あるいは日本にいらっしゃる御家族の方の御意向、こういうことを勘案いたしますと、やはり、五人の拉致の被害者の方々が自由な環境のもとで今後について意思決定をすることができるような、そういう環境にいていただいて、そして意思を決定してもらう必要がある、そういうことだというふうに判断をいたしまして、そのためには、北朝鮮に残っている拉致被害者の家族の人たちが日本に来て、そして自由な環境の中で意思決定をしてもらうことが必要だということを判断いたしました。そういう意味で、被害者御本人が帰国をする前の状況とは事情が変更したということだと思います。
 政府といたしましては、この被害者御本人たちに日本に引き続きいていただいて、そして、北朝鮮に残っている被害者御本人の家族、お子さん等ですけれども、に帰ってきていただいてということが大事ですので、北朝鮮に対しては、この御家族の方の帰国の日にちを確定し、帰国を早期にさせるように強く働きかけているわけでございます。
 また、あわせて、残っている御家族の方々の安全を確保することが重要であるということも、強く正常化交渉等の場で話をしているところでございます。
塩田委員 外務大臣のお話、了解するところでございます。毅然たる態度で臨んでいただきたいと思います。
 ところで、外務省のOBの方、あるいは労働組合と称する者が、一たん五人を北朝鮮に約束どおり戻して、家族と永住の地を相談した結果決めるべきだということを、手紙なりあるいはファクス等で各方面に働きかけている。そして、この被害者本人にも手紙を出したというようなことが報道されて、波紋を投げておりますが、そういうことは事実としてあるのかどうか。それから、もしあるとすれば、外務省としてはどういうふうにこれに対応し、処理しようとしておられるのか、お聞きいたします。
川口国務大臣 今、委員がおっしゃったように、拉致の被害者の方々を初め、ほかの方も含まれていますけれども、外務省の職員組合名で書簡が送付されたという事実はございます。そして、この文書につきまして、政府の関係の部局にも配付をされているということがわかりました。
 外務省として、これは一体どういう種類の書簡だろうかということで調査をいたしましたところ、平成十一年の三月三十一日に外務省を定年退職した人間がおりまして、この個人がこの文書をつくって送付をした、そして、政府の部内にも配付をしたということがわかりました。
 今、いろいろなことがあって、被害者御本人の方あるいはその御家族の方については大変心を痛められることが多い中で、さらに、外務省の現在の職員ではないにせよ、かりそめにも長い間外務省に籍を置いた人間がこういうことをしたということについては、私は、大変に遺憾だと思います。
 そういう意味で、被害者御本人の方々等に、外務省の官房長名で、そういうことについておわびをする手紙を出すようにということで言いまして、このお手紙は出させていただきました。
 それから、外務省として、このもとの職員ですけれども、この人間を外務省に呼びまして、そして、関係者の方々のお気持ちを傷つけたということについては厳重に抗議をしました。そして、職員組合の了解を得ないで職員組合の名前を使ってこの書簡を出したということについて、これを本人に聞きましたら、そういうことであるということを言っていましたので、抗議をし、かつ反省を促しましたところ、本人からは、今回の件について反省すべき点があると思う、そして、今後は迷惑をかけないように気をつけたいということを述べておりましたけれども、厳重に注意をするように言ってございます。
 この件について、本当に家族の方や被害者御本人の方は大変につらい思いをなさっただろうというふうに思って、私といたしましても、大変残念に思っています。
塩田委員 ありがとうございました。
 日朝間の高官レベルの協議について、テーマは拉致問題とあわせて我が国の安全保障の問題、核、ミサイルの問題だと思いますが、これにつきまして、総理が言われますように、粘り強くこの問題を進めていただきたい、このように要望いたします。
 続きまして、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 この拉致問題というのは、我が国の主権が他の国の権力によって侵されたという重大な問題なんですね。そしてまた、人道問題でもあるわけです。そういった観点に立って、拉致被害の帰国者につきましての生活援助等々の措置をするという立法措置が今なされようとしております。これは非常に結構なことだし、厚生労働省としても、やはり行政措置でやれるものはどんどん積極的にやっていただきたいということを要望いたします。
 それから、これとあわせまして、まだ生死の不明の方、まだ帰っておられない方、拉致被害の方々の家族の方ですね、これに対してやはり温かい配慮をして、何らかの措置をする必要があるんじゃないかと思いますが、これについて厚生労働大臣はどうお考えかということをお聞きすると同時に、この際、中国残留孤児が六千二百人、今、日本に帰国して定着しておられるわけですね。この人たちに対しての生活の援助、これはやはりあわせて考えるべきではなかろうかと思うのですが、いかがでございましょうか。
 いろいろな援助は、定着センター等において帰国されたときはやっておるんですが、しかし、生活保護を現に受けておられる方が六五%にも達しているということですね。そして、もう日本には住めないと言ってまた中国に帰られたという人もあるわけですね。こんな状況の中で、このままほっておいていいのかということを考えるんですけれども、いかがされますか、大臣のお考えをお聞きいたします。
坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたように、北朝鮮に拉致をされました皆さん方に対しましての問題につきましては、議員立法で法律をおつくりいただきまして、きょう、厚生労働委員会において、満場一致で通過をさせていただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、北朝鮮のいわゆる国家的犯罪によりまして、そして長い間北朝鮮で暮らすことを余儀なくされた、大変な苦痛を与えたものだというふうに思うわけでございます。これは、御本人はもとより、やはり御家族の皆さんに対しましても大変な御苦痛を与えたというふうに私たちも考えております。
 そうした意味から、今回できるだけのことをしようという議員の皆さん方の御配慮もございまして、そして議員立法でおつくりをいただいたところでございますが、御家族の皆さん方に対しましても、やはり我々のできる限りのことはしていかなければならないというふうに思っております。
 今後、御家族の皆さん方ともよくお話をさせていただきまして、そして、何が我々の間でできるのかといったことにつきましても、よく御意見を聞きながら進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、一方、中国の残留孤児との関係の問題でございますが、拉致の問題は、いわゆる戦争のときではなくて、いわゆる平和な平時におきますところのこれは犯罪的行為でございまして、大変な御迷惑をかけた。しかし、残留孤児の問題は、いわゆる戦時中という一つの特殊な環境の中で起こった問題でございまして、一応区別をして考えております。
 しかしながら、区別をして考えてはおりますが、今も御指摘いただきましたように、残留孤児の皆さん方が、五〇%を超える皆さん方が生活保護をお受けになっているという事態は異常な事態であることも間違いはございません。この拉致の問題が起こります前から、もう少し何とか手を差し伸べることはできないかといったようなことを職員にも申しまして、そして、いろいろと検討をさせていただいてきたところでございます。
 十三年度におきましても、少し支援の拡充をさせていただいた。今まで二、三年の間のことはやっておりましたが、四年以降、期限が長くなってまいりますと、その皆さん方に手を差し伸べることが少なくなってきておるものでございますから、その辺のところにももっと目を向けていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
 一応拉致と区別をしながらも、しかし、この中国孤児の皆さん方に対しても十分に考えていきたいと思っております。
塩田委員 ありがとうございました。終わります。
浅野委員長代理 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 官房長官は大分時間が厳しいようでありますので、私も本当ならばすべての議論を聞いていただいた上で最後に官房長官にお聞きをしたかったのですが、順番を繰り上げて、最初に官房長官に連続してお聞きをしたいと思います。簡潔にお聞きをしますので、簡潔に、積極的にお答えをいただきたいと思います。
 去る九月二十五日、神奈川県の寒川町、ここの相模縦貫道路の工事現場で八人の労働者が、イペリット、あの旧相模海軍工廠で製造されてきたイペリットの被災をするという大変な大事件が起こりました。
 そこで、最初に官房長官に確認をしておきたいのですが、これまで国会で何度か確認をされてきた原則として、国がつくった毒ガスの被害は原則として国が責任を持つということは、これは当然のことだと思いますが、この点からまずお答えをお聞きしたいと思います。
福田国務大臣 遺棄化学剤とかそういうものが発見された場合、政府としてどういうふうにするか、こういうことでありますけれども、その場合に、発見された場所、状況等の態様はさまざまであるということもございまして、その都度、必要に応じて、内閣官房を中心に関係省庁連絡会議を開催するなどをいたしまして、関係省庁間で連携して、補償問題等も含め、政府として適切なる対応を行ってきているところでございます。
    〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
大森委員 国がつくった毒ガス等による問題については国が責任を持つ、これは当然のことだと思うんですね。
 これは、かつて、広島県の大久野島でやはり戦時中、毒ガスを製造し、この問題が国会で大問題になった際も、当時の佐藤総理は、「わかったものはこれはもう政府の責任において処理する、これは当然だと思います。」と明快に答えておられます。
 国がつくった毒ガスによるこの問題については原則として国が責任を持つと、明快にお答えをいただきたいと思います。
福田国務大臣 ただいま私が答弁いたしたとおりでございます。
大森委員 今回の事件で県や町の関係者から強く出されたのが、とにかくたらい回し、これへの強い怒りですね。それから、窓口がはっきりしない、この問題についても、大変たくさんの声が寄せられております。
 問題は、関係省庁が多岐にわたる。私も今度の質問で、例えば補償の問題、この問題一つ聞こうと思ったら、これは厚生労働省だ、これは内閣だと、すぐもうたらい回しが目の前で始まるわけですね。例えば、この相模海軍工廠の跡地の民有地の調査をどうするのか、これについてはどこに質問をしたらいいのか、いまだにこれははっきりしないわけです。そういうぐあいに、これは、責任ある、そして権限もあるそういう窓口がはっきりしてないということが大きな問題だと思います。
 神奈川県では、旧日本軍の遺棄兵器処理の問題で、かつても、横須賀市の旧海軍の爆雷処理、これも関係省庁が所管ではないということでぐるぐる回った結果、結局、急を要するということで、神奈川県が三千三百万円の処理費用を負担したわけですね。県当局も、こういう旧日本軍の爆発物等については担当窓口を明確にしてほしいという強い要望を出されているわけです。
 ですから、今回の問題も含めて、これは内閣官房にしっかりと、責任と権限を明確にしたそういう窓口を明確にすべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
福田国務大臣 神奈川県の寒川町の件ですね。これは、関係省庁と連携しながら国土交通省で主体的に今進めているところでございまして、必要に応じて、今後とも関係省庁間で連携を密にしながら迅速かつ的確な対応を図る、こういうようにしておるところでございます。必要に応じて迅速かつ的確に対応してまいりたい、このように考えております。
大森委員 そういう姿勢、立場が、結局たらい回しということになっているわけですね。
 これは、中国へのいわゆる遺棄化学兵器の問題では、閣議決定で、遺棄化学兵器処理対策連絡調整会議、こういうのがきちんとつくられているわけですね。それが十分機能しているかどうかは別として、中国について置いているものについては、今、国内の遺棄化学兵器について、これを処理する、そういうきちんとした、調整だけにとどまらない機動的なそういう部署を置くべきだと思うんですが、重ねてお答えをお聞きしたい。
福田国務大臣 これは、最初に申し上げましたけれども、そういうような化学兵器が発見されるといった場合に、発見された場所とか状況とか態様はさまざまでございます。また、化学物質も、通常考えられないような化学物質が発見されるといったようなときに、どういうふうにするかといったようなこともございまして、これはそう単純じゃないんですよ。ですから、その得意な省庁が対応するということは、これはあって当然だというふうに思います。
 その上で、必要に応じまして、内閣官房を中心にして関係省庁連絡会議を開催する、そういうようなことで、補償問題なども含めまして、政府として適切な対応をしていく、こういうことになっているわけであります。
大森委員 現実に県の、例えば神奈川県の旧海軍の爆雷処理、現実に担当部署がないわけですよ。ですから困ってしまって、関係省庁どこも面倒見ないということで、独自に三千三百万、みずから負担するという、現実にそういう問題が起こっているわけです。
 したがって、そういう面では、今連絡会議という御回答がありましたけれども、それを発展させる形で、窓口を明確にする措置をぜひとっていただきたい、検討していただきたいと重ねて要求をしておきたいと思います。
 日本は世界でも有数な毒ガス生産、使用国でありました。一昨年も福岡県の苅田港で大量の化学弾、これが発見されたわけですね。この問題で、昨年我が党の小沢議員が質問主意書で、改めて今こういう遺棄化学兵器について調査をすべきではないか、こういう要請を行いました。しかし、政府の回答は、三十年前に環境庁がやった、もうそれ以上の情報を得ることは困難だという、本当にこれはろくな検討をしないままそういう回答がされてきた。こういういいかげんな姿勢が、今日こういう新たな事態を招いたのではないかと思います。
 そういう点で、今回の事件にかかわっても、化学兵器処理をめぐるさまざまな情報等も報道されているわけであります。旧日本軍の化学兵器、毒ガス弾などについて、三十年前の調査ではもう対応できないということは、福岡県の苅田港に続いて今回の事態で明らかになったと思うのですね。したがって、これはぜひ、新たな調査をきちんと行うということは、今、今回の問題を通じて非常に不安を高めている多くの皆さんの気持ちにもこたえることになると思うのです。この点、官房長官の御回答をお聞きして、官房長官、お引き取りをいただきたいと思います。
福田国務大臣 ただいま苅田港に続いて寒川町でも化学剤が発見された、こういうようなことで、これは昭和四十八年に旧軍の毒ガス弾等の全国調査についての調査結果を取りまとめたのでありまして、この調査によりますと、旧軍の化学兵器等の保有及び廃棄の状況に関する資料のほとんどが終戦時に処分されてしまっていたということがあった、また、旧軍の機密に属していたと考えられる化学兵器等に関する情報に関与することのできた人々の多くは故人となっているといったようなことがございまして、終戦後の旧軍化学兵器等の廃棄状況を把握するということはこれはもう大変困難でございました中で、可能な限りの情報を収集して調査を行ったものでございます。
 したがいまして、その当時からもう既に三十年近く経過しておりまして、現在改めて旧軍の化学兵器等の廃棄状況について全国的に調査を実施しても、当時そういうような状況の中でやったそのときの調査以上の情報を今入手することは困難である、このように考えております。
大森委員 昨年の答弁と全く同じで、それをあえて承知の上でお聞きしているわけですからね。
 今回の事件でも、例えば元従業員の話として、米軍が進駐してくるまでの間に工廠内に穴を掘り、何かを埋めているのを目撃した、こういうようなことが新聞記者の取材の中で証言されているわけですね。同時にまた、米国防省のさまざまな解禁文書なども出ているわけです。それを地道に研究している学者の方もいらっしゃるわけですね。ですから、やはりここは、もう三十年前の調査では有効でないということがはっきりした今の段階で、改めてこれはぜひ調査するよう、重ねて要求したいと思います。
 続いて、国土交通省にお聞きをします。
 今回の事件で、私は一番厳しく指摘をしなければならないのは、国土交通省の恐るべき危機意識の欠如、信じられないほどの無防備、怠慢ということであります。
 第一は、縦貫道の工事現場が相模海軍工廠跡地であることを知らなかった。第二は、その相模海軍工廠で毒ガスを製造していたことを知らなかった。第三は、事件が発生してからも一カ月以上も工事を続行した。さらには、第四、事件発生時に現場に何人いたかも把握していない。第五、被災発表まで一カ月以上もかかった。第六、前年、現場に隣接する同じ相模海軍工廠跡地に自衛隊化学防護隊が出動した、その事実を被災発表の当日まで知らなかった。さらに、第七、住民への説明会まで一カ月半以上もかかった。しかも、その説明会には国土交通省本省から出席の予定もなかったということで、中馬副大臣は前回のこの問題での答弁で、予見不可能などと答弁をされておりますけれども、全くこういう点での反省がないように思いますけれども、いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 今回の事件は、神奈川県の寒川町におけるさがみ縦貫道路の工事現場で九月の二十五日から二十七日の掘削作業中に、異臭とともに……(大森委員「それはよく知っています」と呼ぶ)経緯をちょっと申し上げます。ビール瓶に入った不審物が発見されて、その後、六名が発症いたしました。十月八日になって、工事請負業者から国土交通省の横浜国道事務所に報告があったところであります。
 そこで、その報告を受けて、工事請負業者に直ちに、民間分析センターへ分析依頼を指示いたしました。そして、その結果が十月二十四日に、民間分析センターでは分析不可能、こういう報告を受けた。したがいまして、そこですぐに十月二十八日に工事を中止するとともに、十月三十一日に本省、国土交通本省から防衛庁に正式に分析依頼して、十一月六日にマスタード及びクロロアセトフェノンとの結果報告を受けたところであります。
 現在は、住民の安全対策を図るために、安全対策連絡会議を十一月十三日に開催いたしまして、二十四時間態勢の現場管理あるいは化学検知器によるモニタリング、残土置き場周囲のフェンス設置工事、土壌調査、水質調査を実施するなど、現場安全対策に万全を尽くしているところではあります。
 なお、今回は通常では考えられない物質への対応であって、確認に時間を要したということでありますので、今後とも、関係省庁で連携を密にしながら、適切に対応を図ってまいる、こういうふうに考えております。
 道路敷地内における危険物の調査と処理につきましては、関係省庁とも十分連絡しながら、国土交通省において主体的に進めてまいりたい、そのように思っております。
大森委員 今答弁にあったように、通常では考えられないような物質が出るかもしれないところで工事をやったということの、そういう認識が全くなかったことを指摘しているわけですよ。そこに問題があるんです。この地については、政府部内では、例えばかつての厚生省が調査などもやっている地域なんですね。もう四万発もあそこで毒ガス弾がつくられた、全国の航空廠にそれが配備されていたということも大変有名なところなわけですよ。
 そういう点の意識が全くなかったということで、国土交通省として、とにかく地面を掘ったり海をさらったり、そういうことをやるところですから、まずこういう可能性があるところでの開発計画についての基本的な開発に対するマニュアルとか指針とか、それから、実際に不発弾とかこういう遺棄兵器を発見した際のマニュアルなどが全くない、港湾局の方には何か若干あるようには聞きましたけれども、こういうのをきちんと確立すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
佐藤政府参考人 今回のさがみ縦貫道路の工事現場で危険物が発見された箇所は、実は民間の化学工場が有する土地を平成十一年に取得した、こういう経緯がございまして、御指摘のように、旧相模海軍工廠の跡地であったということを確認できていなかったということは事実であります。
 今後の参考という形でどう対応するか、今回の処理を勉強しながら、またいろいろ考えてまいりたい、そのように思っております。
大森委員 これは直接工事に携わる人はもちろん、特に人口集中部における工事においては周辺住民にも影響が及ぶわけでありますから、ぜひきちんとした対策を立てていただきたい。これは、先ほど冒頭に申し上げた福岡県の苅田港も、結局、今なお二年間、工事は中断したままになっているわけですね。十分こういう調査をしなかったにもかかわらず、計画だけは立てて工事だけは進めようとするということから、結局、円滑に進まないことになっているわけですね。ですから、これはそういう点で、ぜひきちんとしたマニュアル等を確立していただきたいと思います。
 道路敷地内について調査と安全対策を行うのは、これは本当に当然必要でありますけれども、既に掘削された残土、これは今、八メートルぐらいの高さになっているわけですね。合計六千立米の残土がもう積み上げられております。ですから、当然、その中にイペリットが入ったビール瓶がある可能性もあるわけですね。これについては、化学兵器禁止条約からいっても、化学兵器禁止機関に当然申告することになると思いますが、国土交通省はそういう視点で対応することになっているでしょうか。
中馬副大臣 今、大森委員から御自身の調査を含めてるる御報告がございました。
 今、官房長官の方からも御報告がありましたように、戦時中のことにつきましてかなり情報が薄れておったりあるいは隠されておったりする面もあろうかと思いますが、しかし、今回こういう状況が出てまいりましたので、今後は気をつけなければいけないと思っています。
 そして、これにつきましては、我が国土交通省だけの対応ということではなくて、地域の住民の方々の安全対策もございますので、国土交通省、神奈川県、神奈川県警、寒川町等で安全対策連絡会議を立ち上げたところでもございます。そして、今お話がありました残土等も含めまして、その地域の方々の安全対策といいましょうか、これにつきましては、現在、二十四時間態勢の現場管理をやっております。そして、化学検知器によるモニタリングをやって、その都度報告もいたしております。残土置き場は、これから漏れ出したらいけませんので、鋼矢板を打ちまして、今、これをぐるっと囲む工事をいたしておりまして、フェンスの設置工事、周辺の土壌調査、水質調査等を実施するなど、万全を尽くしているところでもございます。
 そして、今後の道路敷地内における危険物の調査及び処理につきましては、我が省の管轄でもございますから、関係省庁とも連絡をとりつつ、国土交通省において主体的に進めてまいる所存でございます。
 御指摘の道路敷地以外の調査とか、あるいは残土をどう処理するかといったことにつきましては、中にどういう状況のものが埋まっているかも含めて、少し専門的な方々の御意見も聞かなければなりません。そういうことで、専門家によります安全対策連絡会議を立ち上げると同時に、この検討を踏まえた形での対応をしてまいりたい、このように存じております。
大森委員 冒頭にも言いましたように、民有地の調査については結局明快な答弁ができないというのは、そういう統一的な窓口がないということによるものでありますから、これは国土交通省としても、内閣官房にきちんと窓口をつくれと強く要求すべきだと思うんです。
 今伺いました六千立米の残土の中にビール瓶があるかもしれない。これは外務省にお聞きしますけれども、化学兵器禁止条約では、申告に当たって、数量も申告しなくちゃいけないとなっているわけですね。そうすると、この残土内にある可能性のあるビール瓶については、イペリットについてはどうするのか、これをお聞きします。
天野政府参考人 お答えいたします。
 老朽化した化学兵器に関する条約の規定は、締約国がそのような化学兵器の存在を知った場合に、百八十日以内に化学兵器禁止機関技術事務局に情報を提出するということでございます。ただし、まだ存在を確認していないものについて情報の提出が求められているということではありません。
 なお、今後、掘り出された残土の調査などを行う過程で不審物がさらに発見され、老朽化した化学兵器と判断される場合には、化学兵器禁止機関技術事務局に情報を提出することになります。
大森委員 その国際条約の基本的な立場と住民の不安をなくすということですけれども、これは軸を一つにしたことでありますから、やはり条約に沿ってきちんとやっていくということをぜひ要望しておきたいと思います。
 被害者に対する補償の問題でありますけれども、坂口厚生労働大臣は、十一月十五日の衆議院厚生労働委員会での答弁で、労災の適用だけでだめなものか十分検討させてもらいたい、後遺症への対応を含め補償を検討する、こういうぐあいに報道されております。
 これは厚生労働省だけの問題ではもちろんありませんけれども、国務大臣坂口さんの答弁でありますから、当然その方向で関係省庁が検討して、働きかけて、毒ガス被害者への補償や援護策を確立すべきだと思いますが、厚生労働省それから内閣官房それぞれから御答弁をお願いします。
鈴木政府参考人 今御指摘がありましたように、十一月十五日に厚生労働委員会で大臣から答弁をいたしました。
 その後、私どもとして、国内において旧日本軍の老朽化化学兵器が発見された場合の対応についてこれまでの状況を整理いたしますと、いずれのケースにつきましても、発見された場所、状況等に応じまして、その都度関係省庁連絡会議が開催されるなど、内閣官房を中心に関係省庁が連携をとりながら対応してきたところでございます。
 したがいまして、今後におきましても、省として直ちに対応できる労災保険制度、これは当然でございますが、それ以外の問題についても、関係省庁と十分連携をとって対応してまいりたいと考えております。
大森委員 時間が参りましたので、最後に環境省にお尋ねをします。
 先ほど内閣官房長官にもお尋ねしました一九七三年の全国調査の結果、これについて資料を求めたところ、このわずかA4判の二ページ、手書きのものだけなんですね。もう三十年前ではありますけれども、何らかの調査にかかわる原資料があると思うんです。これらをすべてぜひ開示していただきたい。全面的にこの我が決算委員会に提供していただきたいということを要求して質問とし、答弁をお聞きしたいと思います。
山口委員長 時間が終了していますので、簡潔に答弁願います。
南川政府参考人 お答えいたします。
 四十八年に調査を行いました、その結果については既に報告として公表しているところでございますが、当時から三十年たっております。資料を点検いたしまして、あるものについてはお出しをしたいと考えております。
大森委員 終わります。
山口委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 本日は、公益法人のあり方、とりわけ、昨年六月に、社民党、我が党の福島瑞穂参議院議員が、清水達雄参議院議員の支援団体である全宅連、全宅保証、全政連、この関係について質問をしております、三位一体ではないかと。ここにきちっと、それらの実態の調査を国土交通省に求めております。
 早速なんですが、昨日、野党四党のプロジェクトで、こちらの全宅保証そして全宅連、そして全政連というこの三つの代表を務められているのが藤田和夫さんという同じ方でございまして、ぜひ御質問の件については直接説明をしたいということで我々出向いたわけですが、突然都合がつかない、体調のぐあいが悪いということで、お見えになりませんでした。
 そこで、こちらに私が入手した平成十二年度、十三年度の役員名簿というものがございます。この役員名簿は、全宅連、そして保証協会、全政連、これは共通なんですね。共通役員名簿というふうに書いてあります。これを勘定してみますと、名誉会長が一人、常任相談役が十三名、相談役が五十人、参与が七十人、合計で二百二十人になる。
 こういう実態を国土交通省は当然把握していましたよね。どうでしょう。共通役員名簿ということで、ですから三位一体どころか、まさに会長だけが全部兼ねているんじゃなくて役員も兼ねていた、こういう実態ですね。
三沢政府参考人 共通役員名簿というお話でございましたが、役員の構成は相当部分重なっている部分もございますが、全部が重なっているということではなくて、それぞれの団体の中でそれぞれの目的に従って選任されているというふうに理解をしております。
保坂委員 私の質問をよく聞いてくださいよ。これは共通役員名簿という形になっているんですね。つまり同じ方が理事であり、監事であり、名誉会長であり、相談役であり、参与だと、こういう実態なんですよ。これは名簿があるんです。この実態を御存じですねと聞いているんです。知らないなら知らないと言ってください。
三沢政府参考人 共通役員名簿というものをつくっているかどうかについては、承知しておりません。
保坂委員 昨年調査を求められて、この野党四党のヒアリングでも調査をしたというふうにおっしゃっているんですね。当然名簿は提出してもらおうという話になるでしょう。そんなこともしていないんですか。
 ちょっと続けて聞きます。
 公益法人とは何かという議論になってくると思うんですね。こちらに「公益法人設立・運営の基準」という、内閣官房の編集協力でつくられたブックレットがございますけれども、公益法人は不特定多数の者の利益の実現を目的としているものでなければならないという規定がありますよね。ですから、その公益法人の中で、例えば理事が半数以上が業界関係者ということでは、公益法人の基準を満たしていないんです。国土交通省はその観点からこの一年間ただしたのかどうか。問題意識、そういうことを気がついていましたか。
三沢政府参考人 幾つかお尋ねがございましたので、ちょっとまとめてお答えさせていただきます。
 私ども、昨年、いわゆる不動産政治連盟とそれから宅建業協会との関係について、例えば、宅建業協会への入会に当たって不動産政治連盟への入会を義務づけているのではないかという御指摘がございまして、これについて調査をいたしました。その結果といたしまして、そういう実態もございましたので、それについては明確に区分するようにということで指導をしております。その結果として、現在はそういう義務づけという実態はなくて、区分をされているというふうに理解されております。
 ただ、今、共通役員名簿とおっしゃいましたが、ちょっとそれは、そういうものがあるとすればそれはやはり誤解を招きやすい資料でございますので、そういう共通役員名簿ということではなくて、きちっと区分した名簿にしていただくということは必要だというふうに考えております。
 それから、指導監督基準の問題につきましては、既に設立されている法人で、真にやむを得ない事項については法人に関する抜本的な改革を待って対応することとし、それまでの間において、当該業界関係者以外の者を可及的速やかに監事にすることによって公正さを担保するということが指導監督基準に盛り込まれておりまして、これにより対応しているということでございます。
保坂委員 きのうこちらの会館に私ども出向きまして、こちらの全政連の方の会則も見せていただきました。これは自由党の一川議員が指摘されたんですが、これが全国不動産政治連盟の会則なんですね。これの最高決議機関は大会ですよね。大会が最高の機関だとして、大会の構成員というところ、十九条を見てみると、「大会は全宅連の総会構成員をもって構成する。」というふうに書いてあるんですね。何だろうこれはというと、いろいろ聞いてみると、全宅連の総会をやって、時間を移してそのまま全政連の総会に入る。それはちょっと一部ダブっていたとかなんかという話じゃないんです。会則上、もうそういうふうに、ぴったり一致するように位置づけられているわけですね。
 副大臣においでいただいておりますけれども、こちらには「全宅連・全宅保証代議員/全政連大会構成員名簿」、これも共通になっているんですね。先ほどの共通役員名簿だけじゃなくて、最高決議機関も一緒。こういうあり方はどうですか、副大臣、やはり是正が必要じゃないでしょうか。
中馬副大臣 今、局長の方から御答弁申し上げましたように、そういう疑わしき事例等もございましたので、これを指導して、少なくとも指導の面でははっきりと分けさせたつもりでもございますし、それに従いまして、今お話があります全宅連と政治連盟の方の総会も、このごろは日を違えている、そして別の形で運営をされていると私は承知いたしております。
保坂委員 確かに日にちが違って開かれるようになりました。しかし、現在のところ、本当にこれが変わったんだろうか。公益法人というのは、やはり特定の業界をすべからく代表して理事などが構成されるものではないと思いますし、また、いわゆる政治決定にかかわる一定の活動があるにしても、特定政党が丸ごと支援されるということは、やはりKSD事件で我々は議論しましたけれども、これは是正していかなければいけないことだと思います。
 国土交通省に伺いますが、もう既に福島議員らの国会質問で、全宅連、全宅保証、そして全政連の代表者が藤田和夫さんだということは指摘されていますが、例えば東京の下部組織、東京都の都宅協、東京都宅地建物取引業協会、あるいは全宅保証東京本部、あるいは東京都不動産政治連盟、協同組合などありますが、これらの団体の代表者はどなたか御存じですか。
三沢政府参考人 ちょっと、東京都の方で所管している公益法人の代表者については、ただいま資料がございません。
保坂委員 これは私どもが調べたところ、藤田和夫さんその人なんですね。下部組織でもその方が全部を兼ねられている。そしてまた、公益法人で宅建の講習を管理している財団法人の不動産流通近代化センター、あるいは不動産物件情報を公刊している財団法人東日本不動産流通機構の代表は、それではどなたですか。
三沢政府参考人 財団法人不動産流通近代化センターと財団法人東日本不動産流通機構の代表者は、藤田和夫さんでございます。
保坂委員 さらに、不動産取引の紛争防止を図る財団法人不動産適正取引推進機構、こちらの理事長は国土交通省の元事務次官ですが、この理事にも藤田さんが就任しているという事実はありますか。どういう経緯で就任しているんですか。
三沢政府参考人 先ほどの不動産適正取引推進機構の理事に藤田さんが就任している件につきましては、いずれにしましても、これは不動産適正取引ということで、業界のいろいろな取引について非常にかかわりの深いものでございますので、そういう意味から、全宅連の会長である藤田さんが選任されているものというふうに理解をしております。
保坂委員 この適取というのは、大変大切な役割をされる、紛争処理に当たる機関だと思います。
 ところで、不良債権処理が、今これは日本経済の最大の懸案事項で、なかなかこれはうまくいかないわけですけれども、振り返ってみますと、この議論が一番沸騰した住専の問題というのがございました。この住専の問題のときに、清水参議院議員は、政府スキームの基本を変えずにきちっとやれといういわば推進の立場に立たれたわけなんですが、この住専七社に対していわゆる六千八百五十億円、これを入れるかどうかということで大騒動があって、投入されました。
 金融庁に伺いますが、ちょっと時間がありませんので、この住専のスキームを端的に説明いただけますか。
五味政府参考人 住専各社が持っておりました不良債権につきまして、この損失見込み額が六・二七兆円ございました。そして、これにつきまして、母体行が三・五兆円を負担し、母体行以外の一般行が一・七兆円を負担する、さらには系統金融機関が〇・五三兆円を贈与いたしまして、最終的に足りなくなります六千八百億円、〇・六八兆円を政府支出によって埋める、こういう仕組みでございます。
保坂委員 預金保険機構にも来ていただいております。
 この不良債権、どういうふうに処理をされたのかということを振り返ってみますと、調べてみると、日住金の貸付先に株式会社不動商事、代表は藤田さんなんですね。貸付先十二位でリストに載っているようです。この貸付残高は幾らだったんでしょうか。
松田参考人 お答えいたします。
 委員が御指摘になりましたのは、平成八年二月に公表された住専大口貸出先百社リスト、こういう資料であろうと思われますが、そのときに住専の一社でありました日本住宅金融から不動商事グループへの貸出残額は、これは平成七年六月末ということになりますけれども、二百四十九億円と報道されておりまして、そのとおりであろう、そのように思います。
保坂委員 二点続けてお聞きしますが、その後の回収状況あるいは債務者であるこの不動商事の社長の、何か受けている制限などはございますか。
松田参考人 せっかくのお尋ねなのにちょっと不粋な返事になるかもしれませんが、先ほど申し上げました債権元本残額は既に公表されている資料に基づいて私も申し上げましたけれども、RCCが個別の債務者について、具体的にどのくらいの債権を譲り受けて、どれだけ具体的に回収しているかという個別の取引事項につきましては、従来からもそうでございましたけれども、当機構の守秘義務の問題、それから現に当該債務者が行っている事業等に不測の影響を及ぼしかねないこと、それから今後私どもの債権の回収業務に支障を及ぼすおそれがないわけでもないということから、具体的な答弁を従来から差し控えさせていただいております。よろしく御理解いただきたいと思います。
保坂委員 では、国土交通省にお尋ねします。
 これら関係団体の代表を幾つも兼ねられている、そして、公的資金導入という、大変あの当時議論を呼んだ貸付先の一つで、今具体的には答えられないという答弁がありましたけれども、公益法人の代表として国土交通省が大臣認可をこの藤田氏の就任に次々と与え続けたということについて、どういう経緯だったんでしょうか。そういった点は配慮されなかったのか。
三沢政府参考人 いずれにいたしましても、公益法人の代表者をだれにするかということは、それぞれの公益法人で選任されるものでございますので、このことが例えば法令に違反しているとかあるいは指導監督基準に違反しているとか、そういうものでない限りは、それぞれの公益法人でお選びいただくものというふうに理解をしております。
保坂委員 先ほど幾つか挙げていった中で、不動産紛争取引防止を図るいわゆる適取という不動産適正取引推進機構、ここの理事にも同氏が就任しているということについて、副大臣はどのように考えられますか。
中馬副大臣 監督権限があるにいたしましても、その団体がかなり自主的に運営されていることは御承知のとおりでございまして、どういう方を理事にされたかということに対しまして、国土交通省といいましょうか、役所の方から余り強くこれはやめておけとかいったようなことまで言えないのではないかと私は認識いたしております。
保坂委員 三者一体で、この全宅連の定款の方にも業界の要望事項を関係省庁に上げていくということがうたわれているんですが、このところ、国土交通省あるいは省庁再編の前の建設省で受けてきた全宅連などの主な要望事項、この十年間、あるいは五年間でもいいです、主なるもの、印象に残るものを国土交通省の方から答弁してください。
三沢政府参考人 主なものということでございますので、印象に残るものを申し上げますと、全宅連の方では、例えば土地住宅に係る税制改正要望であるとかあるいは住宅金融公庫の制度についてのいろいろな改善の提案とか、そういうことについて御要望いただいているというものがございます。
保坂委員 きょうは総務省の選挙部長にも来ていただいているんですが、これは報道によれば、選挙が終わって三カ月後に、報奨金という形で党員を集めたところに対しての支払いがあったという報道があるんですが、一般論で構いませんけれども、選挙の際のいわゆる買収等、事後に報酬が支払われた場合どういう扱いになるのか、これについてお答えいただきたいと思います。
高部政府参考人 お答え申し上げます。
 公選法の二百二十一条に買収、利害誘導等の罪が規定されておりまして、これは、買収の罪というのは、当選を得る、すなわち投票を得るなどを目的といたしまして、選挙人または選挙運動者に対して金銭、物品その他の財産上の利益の供与等を行うということになっておりまして、要件によっては事後買収というような規定もございますので、公選法の規定の中にはそのような規定はございます。
 ただし、具体の事実が各規定にどのように当てはまるかということについて、私ども調査権能もございませんので、具体の事実に関してどのように法が適用されるかというのはお答えいたしかねますので、御理解いただきたいと思います。
保坂委員 国土交通省の方に伺いますけれども、同じ方が政治連盟のトップでもあり、また例えば東京でいえば自民党の宅建支部の代表も務めているんですね。至るところに顔が見えて、そして全宅連、全宅保証、そして政治連盟、これはやはり三位一体じゃないとどうしても動いていかない、そういうような仕組みが長年つくられたわけです。これは確かに、去年それが問題になって日を変えたり、そういうことが行われました。しかし、同一人物が会長である事実は変わりません。これはやはり問題があるんじゃないでしょうか。見解を求めたいと思います。
三沢政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、私どもが所管している公益法人において、その法人がだれを代表者に選ぶかということはそれぞれの法人が自主的にお決めになることというふうに考えております。
 なお、その方が、例えばほかの政治団体の代表者を兼ねているかどうか、このことについてはちょっと私どもはコメントする立場にございませんけれども、ただ、先生御指摘のように、この間の仕切りについて明確な区分をすべきだということは当然でございますので、このことについて昨年きちっと指導し、その結果としてそういう明確な仕切りが現在できているというふうに考えております。
 ただ、先ほど御指摘のような、例えば名簿とかそういう面でまだ十分な、そういう実態を反映していないような形になっているとすれば、それはやはりきちっと是正をしていただくことは必要だろうというふうに考えております。
保坂委員 では、最後に副大臣にお聞きして終わりますが、私ども、やはり自民党というのは大変幅広い政党だと思います。歴史もある。そして、日本の各種業界の声を吸い上げるというシステムも持っている政党だと思います。しかし、業界丸ごとそこに入らなければ、要するに、政治団体にも保証協会というところへ入らなければ五百万なり一千万なりというお金を積まなきゃいけない、入れば六十万とかそのぐらいのお金で済むという大変便利なシステムでございます。
 そういうところに入る際に、共通名簿というものまであって、その政治連盟の総会の資格は全宅連といういわば公益法人のメンバーで最高決議されている、こういう実態、これはやはり風通しよく、批判や疑惑を招かないように国土交通省としても改めて見直していくべきじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
中馬副大臣 自民党一党支持ということじゃなくて、あえて申しますと、何人か自民党以外の方も御推薦されていることは御承知かと思います。一党丸抱えという形じゃないと私は思います。
 ともかく、今御指摘のようなことが若干今までにも少し指摘されておりますがために、我が国土交通省といたしましても、これがはっきりとするような形を今指導しているところでございまして、先ほど言いました、だれを代表者に選ぶかとか、それを首を切れといったところまでは、民の団体でございますから、そこまでは官が関与すべきではないと思っていますが、自主的にその民の方が襟を正すといいましょうか、誤解がないように運ばれることを私たちも指導していきたいと思っております。
保坂委員 終わります。ありがとうございました。
山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十五分散会


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