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第2号 平成15年4月9日(水曜日)

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平成十五年四月九日(水曜日)
    午後二時三十三分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 浅野 勝人君 理事 持永 和見君
   理事 奥田  建君 理事 木下  厚君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      伊藤信太郎君    石田 真敏君
      植竹 繁雄君    江藤 隆美君
      大木  浩君    河野 太郎君
      橘 康太郎君    中村正三郎君
      額賀福志郎君    橋本龍太郎君
      林 省之介君    宮腰 光寛君
      武藤 嘉文君    井上 和雄君
      上田 清司君    中川 正春君
      葉山  峻君    古川 元久君
      松崎 公昭君    大森  猛君
      吉井 英勝君    山口わか子君
      江崎洋一郎君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (金融庁検査局長)    佐藤 隆文君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           高部 正男君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            松崎  朗君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月七日
 辞任         補欠選任
  中川 秀直君     坂井 隆憲君
四月三日
 辞任         補欠選任
  森田  一君     河野 太郎君
同月九日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     林 省之介君
  村上誠一郎君     伊藤信太郎君
  北橋 健治君     井上 和雄君
  穀田 恵二君     吉井 英勝君
  山谷えり子君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     村上誠一郎君
  林 省之介君     小西  理君
  井上 和雄君     北橋 健治君
  吉井 英勝君     穀田 恵二君
  江崎洋一郎君     山谷えり子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 歳入歳出の実況に関する件
 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――
山口委員長 これより会議を開きます。
 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官春田謙君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、金融庁検査局長佐藤隆文君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省大臣官房審議官河村博君、厚生労働省労働基準局長松崎朗君、厚生労働省社会・援護局長河村博江君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。
浅野委員 冒頭、委員長に要請しておきますが、実は、近畿労働金庫で簿外口座が見つかり、多額の裏金がプールされて、不明瞭な使い方をしていた疑惑が発覚いたしました。理事長の藪内義弘氏がこれを認めていますので、参考人としておいでいただき、事実関係を確かめたいと存じました。民主党を除く各党の賛同は得ましたが、民間人は軽々に参考人として呼ぶべきではない、参考人の招致は全会一致が原則であるという理由で民主党が反対でございました。もっともな主張と存じますので、本日はひとまず見送ることとなりました。藪内理事長の参考人招致は引き続き実現するよう要求してまいりますので、委員長におかれましては、公正な取り扱いをしていただくようお願いをしておきます。
 近畿労働金庫が去年の春ごろまで簿外口座を管理して裏金をプールし、そのうち一億円余りを使っていたことを監督官庁の厚生労働省は承知していますか。
松崎政府参考人 御指摘のような報道がありまして、近畿労働金庫の理事長が事実関係を認めたということは、報道としては承知しております。
浅野委員 全国労働金庫協会が十九年前に、全国の労金が出す会費を労金運動強化基金の名目で一割上乗せして集め、上乗せした分のうちの十二分の二、つまり二カ月分は基金に回すけれども、残りの大半の十二分の十は労金にそれぞれキックバックすることにしました。この基金制度が簿外口座をつくって裏金をプールする温床になったので、六年前に基金制度を廃止したんですが、多くの労金は、廃止した後も簿外口座を残して、正規の収入を取り込んで裏金をふやし、便利な財布として悪用してきた、これが不正行為の生い立ちとからくりだと私は理解していますが、間違いありませんか。
松崎政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のように、強化基金というものをつくりまして、確かにキックバックをして各労金がそれぞれ簿外口座を持っておったという事実がございます。その簿外口座につきましては、御指摘のように廃止したということでございますけれども、残っておるという報道があるということも先ほどお答えしたとおりでございます。
浅野委員 簿外口座の存在が明確であれば、それだけで労働金庫法の違反ではないですか。報道だけではわからない、報道だけでは事実かどうかわかりませんが、こんな事実関係を監督官庁はつかんでいないんですか。そこをはっきりしなさい。
松崎政府参考人 労働金庫につきましては、昨年の八月、十四年でございますけれども、昨年の八月より、各労働金庫に対しまして、銀行法二十四条に基づきます報告を求めております。また、その直後、九月から順次、各労働金庫に立入検査を実施しております。
 そういった中で、これからいろいろな検査内容、そういったものをきちんと精査して対応していきたいというふうに考えています。
浅野委員 あなたが報道報道と言うから、報道でしかわかっていないというのであれば、監督官庁としてお粗末限りない。私も報道を承知していますが、報道だけで質問はいたしません。今局長がおっしゃったのは、労働金庫法は銀行法の二十四条を準用していますから、必要に応じて報告を求める、報告徴求の規定があるわけですね。これに基づいて全国の労金に報告書の提出を求めていると今おっしゃった。既に相当の報告書が上がっていると私は承知していますが、実態はどうなんですか、もう一遍答えてください。
松崎政府参考人 これは先ほど申し上げましたように、昨年の八月から報告を求めておりまして、報告については来ておると思います。また、その報告だけではなくて、先ほど申し上げましたように、立入検査ということに、実際に金融庁と共同で中に立ち入っていろいろ関係者から事情聴取、そういったものを行いながら現在進めておるというところで、まだ結論を出すには至っておりません。
浅野委員 同じ監督官庁の金融庁も、全国二十一の労金に立入検査をして、事実の解明を徹底的に進める責任があるんじゃないんですか。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 労働金庫に対する検査でございますけれども、御案内のとおり、労働金庫に対する検査につきましては、厚生労働省と私ども、具体的には全国の各財務局とが共同で検査を実施しておるわけでございます。
 そして、現在の実施状況でございますけれども、昨年の九月以降ということでとらえますと、十三の労働金庫に対して検査を実施しておるところでございます。
 今後のその進め方につきましては、検査全体の実効性を確保していく、維持していくといった観点から、具体的な言及は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申しまして、私ども、検査の計画を立てる際には、全体の検査の要員の人繰りであるとか、あるいはさまざまな形で、検査を受ける金融機関について情報がいろいろなルートから出てくるわけでございますけれども、そういったことも踏まえて検討をしているというのが一般的でございます。
浅野委員 近畿労金の報告書の中に、裏金の使い道について、法令に抵触するおそれがあるものに使用していたという記述があるんじゃないんですか。資金の性格上、表に出せないものがあったという趣旨がはっきり述べられていると私は承知していますが、いかがですか。
松崎政府参考人 現在、御質問の近畿労金につきましても、全体の中で今検査を行い、精査を行っているところでございますけれども、今後、監督上の措置、行政処分でございますけれども、こういったものを講ずる必要があるかどうかについて現在調査中ということでございますので、さらに、個別の、近畿労金というその具体的な中身でございますので、現段階では中身については差し控えさせていただきたいと思っております。
浅野委員 守秘義務でそうおっしゃるだろうと思って、資金の性格上、表に出せないものがあったという趣旨がと言ってぼやかしているんですけれども、まあ、きょうのところはそれで結構です。
 近畿労金の内部資料によると、一億円余りの使い道は、国会議員のパーティー券の購入、労金幹部の海外旅行やゴルフの費用、回収不能の債権の穴埋めなど不祥事の処理などに使ったと言っています。平成九年からおととしまで四年間に、裏金からかなりの金額を国会議員のパーティー券の購入に充てていたということですが、簿外口座の裏金でパーティー券を買ってもらった国会議員の名前と購入金額を公表してください。
松崎政府参考人 繰り返しになって申しわけございませんけれども、これは、現在、全体の検査の中で行っておる話でございますので、今後、その事実関係の確認ということもこれからしていきたいと思っておりますので、現段階ではお答えできないということをお許し願いたいと思います。
浅野委員 個人の名前が言えないのなら、パーティー券を買ってもらった政党の名前を明らかにしてください。
松崎政府参考人 政党の名前についても同様でございますが、ただ、労働金庫法には、御案内のように第五条三項という規定がございまして、「金庫は、その事業の運営については、政治的に中立でなければならない。」という規定がございます。
 私ども厚生労働省といたしましては、特定の政党に偏って支出することはもちろんでございますけれども、満遍なくであっても、政治資金のパーティー券の購入といったことも、厳に労働金庫としては慎むべきだというふうに考えております。
浅野委員 わかっているけれども守秘義務があるので答えられないということだと。きょうの段階はおきますが、報告書全体の中を見ると、パーティー券等の内訳というのがあることも指摘をしておきます。
 ところで、近畿労金は、ことしの二月二十四日の理事会で、正規の会計からのパーティー券の購入は一回につき二十万円以内とする内規を決めたと聞いています。裏を返せば、それ以前には二十万円以上購入したことがあったと推測されても仕方ない。これに該当する国会議員の収支報告書に記載がないとすれば、政治資金規正法に抵触するのは明らかであります。
 司法当局は既に調査を始めているとは存じますが、調べるのが当然の務めと存じますが、いかがでございましょうか。
河村(博)政府参考人 御説明いたします。
 お尋ねの点につきましては、捜査機関の具体的活動にかかわる事柄でございますので、法務当局としてお答えいたしかねるところでございますけれども、あくまで一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、御指摘の法令違反の点も含め、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適宜適切に対処するものと承知いたしております。
浅野委員 報告書の内容について、もう少しただしたいと思いますけれども、監督官庁の厚生労働省、金融庁が調査中である、進めているということなので、それらの点をあわせて、ひとまずおきますけれども、すべて守秘義務を盾に一般論ということになると、私は全部読み上げなきゃならなくなります。
 先ほど厚生労働省からちょっと触れられましたが、労働金庫法五条三項は、おっしゃるとおり政治的中立を規定しています。特定の政党に偏った政治献金をしていたとなると、政治資金規正法の違反とは別に、労金法違反の疑いも生じることになりますけれども、もう一度きちんと答えてください。
松崎政府参考人 御指摘のように、労金法五条三項にこういった規定がございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、私ども、この姿勢といたしまして、満遍なくであろうとも、額が少なくても、パーティー券の購入等、そういったものについては厳に慎むべきという姿勢で臨んでおりますが、具体的にどういった格好で、どのぐらいの額を、どういったところで購入した場合に、即これが法律に違反するというふうにぴたっといくかどうかというのは、やはり個々具体的に見てみないと、ちょっと一般論としてはお答えできません。
浅野委員 先ほど法務省から一般論としての答えがありましたけれども、統合前の兵庫労金では、業務上横領容疑で逮捕された元労組委員長が他人のカードローンを使って着服した五千六百万円を、金庫側にも手落ちがあったという理由でこのお金を裏金から補てんした。まだありますよ。阪神大震災の見舞金を、簿外残高をふやすために簿外口座に入れた、そして裏金として使っちゃった。この普通の神経では到底考えられない驚天動地のこれらの手口は、いずれも事実ですか、厚生労働省。
松崎政府参考人 前段のお話については、確かに新聞の報道で見た記憶がございます。また、その二つにつきましても、事実につきましては現在検査中ということで差し控えさせていただきますけれども、いずれにしましても、こういった点を含めて、現在、労働金庫の業務全般につきましての検査を進めております。そういったことから、今後は、金融庁と共同で、ただいま申し上げた検査結果でございますとか、求めております報告の内容、そういったものをきちんと精査して、厳正に対応していきたいというふうに考えております。
浅野委員 今の答弁は、これまでの政府の調査では、前段については必ずしも確認をしていないけれども、後段については承知をしているというふうに私は受けとめました。前段については、これはむしろ厚生労働省マターではないかもしれない。公判廷もあることでありますから、さらに事実関係をきちんと掌握する努力を求めておきます。
 全国二十一のほとんどの労金が簿外口座を設けていたと見られる疑惑について、二、三の側面からただしましたが、細部にわたる肝心な点はいずれも、守秘義務を盾に政府は答えていません。だからこそ、すべてを知っている藪内理事長に参考人としておいでいただく必要があることが、このわずかな時間の質疑を通じてだけでも一層明確になったと存じます。
 同時に、これだけの事実関係が明らかになっているんですから、全貌を解明して国民の前に報告する義務が関係当局にはあるということを指摘しておきます。改めて、厚生労働省、金融庁の答弁を伺います。
松崎政府参考人 現在、各労働金庫につきまして、繰り返しになりますけれども、検査を行い、また報告を求めて、その中身を精査しているところでございます。したがいまして、そういった結果に基づきまして、金融庁と相談しながら厳正に対応していくということで進めたいと思っています。
佐藤政府参考人 検査を通じて把握された事実関係に基づいて、必要があれば所要の行政上の対応を厳正にとっていくということかと存じます。
浅野委員 余り細かいことは避けましたけれども、労金の幹部の海外旅行やゴルフの費用ということになると、一体これは、横領というような問題になるのではないだろうかとか、先ほどの裏金からの補てんや裏金の使い方というのは背任に当たるのではないかというような気がいたします。
 法務省に伺っておきますが、きょうの一連の質疑の中で、刑法上の容疑が当然惹起されると思う点がございます。いかがですか。
河村(博)政府参考人 犯罪の成否でございますとかその嫌疑といったものにつきましては、個別の案件によりまして収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でございますので、法務当局としてはお答えいたしかねるところではございます。
浅野委員 何かと物議を醸している川崎協同病院ですが、今度は、入院患者の不在者投票のやり方が公職選挙法に違反する疑いがあるのではないかというようなことが言われております。
 病院で不在者投票をする場合、重病人で歩けない、歩行困難な人については、立会人の立ち会いがあれば、ベッドを不在者投票管理者の管理する投票所とみなして、ベッドの上で投票させてもいいんです。
 ところが、川崎協同病院では、入院患者の症状に関係なく、全員ベッドで投票させていることが判明しています。看護師ないし看護婦が立会人となって、症状に関係なく入院患者全員に投票させるのは、いささか行き過ぎではないでしょうか。
高部政府参考人 お答えを申し上げます。
 公職選挙法施行令におきましては、指定病院等における不在者投票の投票の記載をする場所につきまして、「他人がその選挙人の投票の記載を見ること又は投票用紙の交換その他の不正の手段が用いられることがないようにするために、相当の設備をしなければならない。」と規定しているところでございます。一方で、重病人の場合等歩行困難な者の投票につきましては、不在者投票管理者が管理し、立会人が実在する限り、ベッドの上でも不在者投票をなし得るものと解されているところであります。
 御指摘の川崎協同病院の不在者投票につきましては、神奈川県選挙管理委員会が川崎市選挙管理委員会とともに行った調査結果におきまして不適切と認められた事務処理として、通常想定される会議室等に不在者投票記載場所が設けられておらず、選挙人全員が、本来、重病人の場合等歩行困難な者に限られるベッド上での不在者投票を行っていたことが挙げられているところでございます。
 総務省といたしましては、国政選挙や統一地方選挙が行われるたびに、各選挙管理委員会に対し、指定施設等での不在者投票の管理に万全を期することなどを文書で要請しているところでございまして、今後とも、各選挙管理委員会とも連携をとりながら、指定病院等における不在者投票が適正に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
浅野委員 川崎医療生活協同組合川崎協同病院、ちょっと舌をかみそうな名称ですけれども、これが正式名称です。消費生活協同組合法三条一項に基づく、いわゆる医療生協です。
 ところで、この生協法二条二項は、組合を特定の政党のために利用してはならないと規定しており、これを受けて、選挙の際に、理事会や総代会など組合の機関で特定の政党または特定の候補者の支援を決定したり、組合の機関紙で推薦したりすることを禁じています。
 ところが、「川崎医療生協」、これはおととしの六月号ですけれども、これを見ますと、総代会に共産党が推薦する候補者を呼んで、あいさつをさせた上、特別決議をしています。固有名詞は挙げてはいないんですけれども、特別決議が何を言いたいかは一目瞭然であります。
 こうした手段を初めとして、医療生協では、その後もこの種の生協法違反のうわさが絶えませんので、引き続き、法に定められた範囲で指導を怠らないよう求めておきます。答弁ください。
河村(博江)政府参考人 お答え申し上げます。
 この消費生活協同組合は、御指摘のように、生協法二条二項におきまして、特定の政党のために利用してはならないということが規定されておりまして、厚生労働省といたしましては、このことを踏まえまして、組合に対して、選挙に際して、特定の政党または候補者支援を決定したり、あるいは機関紙により推薦するなど、組織として支援してはならない旨の通知を国政選挙あるいは統一地方選挙の際に発出するなど、あらゆる機会を通じてその趣旨の徹底を図っておるところでございまして、今後とも適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
浅野委員 ありがとうございました。これで終わります。
山口委員長 次に、中川正春君。
中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。
 きょうは、外務省関係、大臣、おいでをいただいたわけでありますが、最初に、去年からの懸案も含めて、具体的な話をちょっと確認していきたいというふうに思います。
 ことしの一月に、日本人妻、平島さんという方が脱北をして中国に渡って、それが、先に脱北をして韓国に在住の二人、そのうちの一人はイム・チョルという人なんですが、そういう人たちの助けを経て、日本に帰国をしたい、そういう意思表示をしていた。そのさなかに、日本政府、日本の大使館からの通報で、これはいわゆる身の代金を目的とした誘拐犯だ、誘拐事件だということで中国当局に通報をされて、それで中国当局の方に身柄を拘束された上、日本に平島さん自身は帰ってきた。
 その結果、その世話をした二人のもともとの脱北者、いわゆるケアをしていた人たちを初め、彼女をかくまって、主に大連あるいは延吉で世話をしていた人たちも含めて、すべてが拘束をされてしまったということですね。そういう事件がありました。
 結果としては、韓国に在住の二人も、誘拐犯ではなかったという中国当局の正式な見解が出て、釈放をされて韓国に戻ってきたということでありますが、その一連の事件の経緯を見ていますと、もう一つ事実関係が割り切れないところがある。
 もし仮に、日本の大使館の判断、あるいは北東アジア課、外務省の本省の北東アジア課もそれにかかわっているというより、中心にその判断をしたんだろうと思うんですが、そのときの判断の根拠、誘拐犯として中国当局に通報をしたというその行為、このことについて、外務省としてあるいは大臣としては今どのようにこの事件を総括されているのか、改めてお聞きをしたいというふうに思います。
山口委員長 茂木外務副大臣。
中川(正)委員 いや、私の指名は大臣なんです。委員長、大臣なんですよ。大臣なんです。
山口委員長 先にちょっと。
中川(正)委員 いや、大臣、大臣なんですよ。
茂木副大臣 御指名を受けましたので……(中川(正)委員「いや、指名していません」と呼ぶ)
 御指摘の日本人女性につきましては、昨年の十月以降、在韓国日本大使館に対しまして、日本人女性が北朝鮮から中国に逃れてきている、このような情報提供がございまして、政府としては、同人の身柄保護を最優先として、関連情報の収集に努めてきたところであります。
 しかしながら、当該の日本人女性は第三者の管理下にある上、当該の、第三者でありますが、金銭を支払わないと同人を北朝鮮に送還するなどとして、我が国に対して金銭を要求し、また、我が国の要求にもかかわらず、女性の居場所等につきましては情報を明らかにしませんでした。
 政府といたしましては、こういった一連のやりとり等から、本件は邦人が巻き込まれた犯罪である、このように判断をいたしまして、中国政府に対しまして、本件事実関係につき情報提供の上、同人の保護につきまして協力を要請いたしました。
 委員の方から、誘拐事件、こういう御指摘がございましたが、中国政府に対しまして、本件を誘拐事件であるとして、第三者の身柄拘束を要請した、こういう事実はございません。
 その後でありますが、中国政府の協力の結果、一月十五日、中国公安当局は、当該日本人女性を管理していた二人の男性を拘束するとともに、同人を無事保護いたしました。一月の二十八日に、中国におきます事情聴取が終了いたしましたため、中国政府より日本政府に対しまして当該日本人女性の身柄が引き渡され、これを受けて在瀋陽の総領事館で所要の手続を行いまして、二十九日に同人は無事日本に帰国をしたものであります。
 事実関係は以上でございまして、これ以上の問題につきましては、同人の人道上の問題、プライベート上の問題に配慮いたしまして差し控えさせていただきたいと思います。
川口国務大臣 事実関係、今、茂木副大臣からお話をしたとおりでございますけれども、邦人をどうやって保護するかということは、ケース・バイ・ケース、いろいろな状況があって、毎回、非常に難しいと思いながら、それぞれのケースについて、邦人保護という観点から外務省としては最大限の対応をしているということでございます。
 この事件のように、脱北者の問題をめぐってお金が絡むような話ということが今後出てくるということは、全く望ましいことではないというふうに考えます。
 それから、つい先日、中国において脱北者の問題について、新しい外交部長、李外交部長とお話をいたしましたけれども、その時点でも、この問題については、日中よく連携をして話を進めましょう、日本と中国の当局間においてはそういったいい連携が既にできていると思いますというお話もございました。
中川(正)委員 先ほど、中国当局に対して誘拐事件としての通報はしなかったという話がありましたけれども、その当時のマスコミ報道を見ていますと、中国外務省報道局は、十七日夜、日本人妻がブローカー二人に誘拐された重大事件と断定をしているということで、中国当局はこのように発表していますね。
 同時に、実は私は、その中の一人、先ほど、世話をした二人の男性がいた、イム・チョルとカンチョルという人なんですが、そのうちの一人のイム・チョルに韓国で会う機会がありました。
 その当時の様子をしっかり聞き取ってきたんですが、彼は非常に憤りを持っていまして、基本的には中国当局も、その取り調べをした担当者は、確かに日本の大使館から誘拐事件として逮捕してほしいと。さっき居場所も通報されていなかったというような話をしていましたけれども、本人たちはここにいるからということの情報も含めて、日本の大使館の担当者からそうした連絡を受けて逮捕して取り調べをした。しかし、取り調べをした結果は、こんなものは誘拐事件では全くないということが判明したので、釈放といいますか、解放をした、韓国に戻したということでありますが、そういう話でありました。
 これは相当、さっきの外務省当局の事実認識と、それからこの当事者あるいはまた報道でここに出ている話と食い違いがあります。これについて、大臣、どのように理解をされますか。大臣です。
茂木副大臣 中川議員の質問に対しまして、先ほど女性の居場所につきまして私が申し上げましたのは、女性の居場所を第三者の方が日本側に対して連絡をしてこなかったと。日本側が中国政府に対して居場所を連絡していない、こういう答弁はしていないと思っております。
 それから、申し上げましたように、一連の事実関係、これにつきましては、私も本省におりまして一つ一つ報告を受けております。そういった事実関係を中国側の方に連絡をした。中国側の政府がどのようにそれにつきまして解釈したかにつきましては、日本政府としてはコメントをする立場にはございませんが、先ほど申し上げましたように、誘拐事件としては日本政府としては中国側に通達をいたしておりませんということです。
中川(正)委員 厳密には中国側にどのように話をしたんですか。
茂木副大臣 一連の事実経過に関しまして、先ほど申し上げましたように、当該の第三者が、金銭を支払わないと同人を北朝鮮に送還するなどとして我が国に対して金銭を要求し、また、我が国の要求にもかかわらず、女性の居場所等について情報も明らかにしていない、こういったことを踏まえまして、一連の経過につきまして中国政府の方に、本件につきましては邦人が巻き込まれた犯罪である可能性が高い、こういうことで連絡を申し上げました。
 それ以上につきましては、先ほど申し上げましたように、本人のプライバシーの問題等々もありますので、コメントを差し控えさせていただきます。
中川(正)委員 全く、さっきのその中身からいくと、まさにそれは誘拐事件なんですよね。
 もう一つ確認したいのは、その第三者というのはだれなんですか。だれのことを言っているんですか、第三者というのは。
茂木副大臣 こういった邦人が巻き込まれました事件、また北朝鮮から日本に帰ってくる方の問題に関しまして、外務省として、保護そしてまたそういった方々のプライバシーの問題というのは、十分考慮しながらいろいろな対応に当たっていかなければならない。そういうことから、再三申し上げておりますように、お話しできる事実関係についてはお話を申し上げておりますが、これ以上、具体的にだれであるとか、そういうことに対しましては控えさせていただきたいと思います。
中川(正)委員 いや、これは人の人権がかかっているんですよ。その第三者というのがイム・チョルさんなのか、カンチョルさんなのか、それともその二人以外のまだ第三者がいるのかということによって、このイム・チョル自身、中国当局に誘拐容疑で捕まって犯罪者扱いされたわけですよね。それは、日本政府にだまされたと言っているわけですよ、もっと詳しいやりとりというのを後ほどお話をしますけれども。
 だから、ここのところは、そんなプライバシーや何やという話じゃなくて、人権がかかっているんですよ。日本の政府がこの人たちをはめてしまったというその事実に対して、彼は怒っているんですよ。だから、それだけに、その第三者というのはだれですか。
茂木副大臣 委員の御指摘を伺いますと、日本政府がはめてしまったと。そのようなつもりは全くございません。邦人の保護のために外務省挙げて誠意を持って取り組んできた、こういう思いでおります。
 ただ、本人等々の名前であったりとかにつきましては、プライバシーの問題もありますので控えさせていただきたい、こういうことを申し上げておりまして、委員のお話を聞くと、何か日本政府が悪意を持ってこういう事件に対応して、だれかをおとしめる、こういうことについては、ぜひ撤回をしていただきたいなと思います。
中川(正)委員 いや、私が言っているんじゃなくて、ここに巻き込まれた当事者が言っていると言っているんですよ。(茂木副大臣「自分で言っているじゃないか」と呼ぶ)そうですよ。当事者がそうやって日本政府のことを憤慨していると言っているんです。それは当然でしょう。
 そして、もう一つ確認をしていかなきゃいけないんですが、このイム・チョルという本人が、実は直接北京の大使館の担当者と電話で話をしているんです、その当時。担当者は、一つは、本国と相談をしなければいけないのでもう少しそのままの状況で待ってくれ、こういう話と、それから、現実に金銭の話、これも確かに出ているんですね。
 ところが、本人の供述によると、その金銭の話というのは、大使館の担当者の方から、実質的に、交通旅費、それからその地域で面倒を見てもらう、そのための宿泊費そして食費等々実費について、必要だろうから幾らぐらい要るのか言ってくれという話があって、それに対して、五百万かそれぐらいでしょうね、日本の円にすると五十万円前後、それぐらいの実費というのが今かかっていますねという話をしたと。
 本人、イム・チョルさんも私につくづく言っていましたが、そのときの両者の間の信頼関係と、なるほど、日本の大使館というのはそんな形でこの日本人妻というのを最終的には保護してくれるんだ、それまでの間自分がその面倒を見ているということについての自覚と、こういうものはしっかりとれていたというんですね。
 もう一つ、その供述の中で話が出てくるのは、この直接逮捕された人とは違うもう一つの第三者なんです。もう一つ違う人間が、また大使館、あるいはこれは韓国の在ソウルの日本大使館の担当者も含めてコンタクトがあって、ここで何が話し合われていたのかというのはこの直接逮捕されていた当事者は知らないんです。そういう構造の中で、情報が錯綜をして、そして恐らく本省サイドあるいは北京サイドの判断があったんだろうというふうに思うんです。
 先ほど茂木副大臣言われたように、その限られた情報の中で、恐らく本省でもそれなりの判断をしなければならなかったということだと思うんですが、しかし、そこで欠けていたのは、現場の本人たちがいる場所も、それからそこでどういう状況であったかというのも直接わかっているんですね、担当者は。そこへ出かけていって確かめようと思ったら、幾らでも確かめられるような状況の中なんですよ。それにもかかわらず、もう一つ、この二人とは違った、第四者というんですか、その人間との交渉の問題だけを根拠に判断して、中国当局に対して通報をした。どうも、全体の像を見ていると、そういうふうなものが見えてくる。
 だから、先ほど私が第三者というのにこだわったというのは、そこなんですね。こういう世界の中にあると、さまざまな関係者といいますか、それに携わる人間というのがかかわってくる。その中で、いかにも日本の大使館あるいは担当者、当局、当事者の判断というのが稚拙だというか、問題の原点の把握をせずに走ってしまった。それがために、その直接の世話をしている当事者が、さっきのような形で、日本政府にだまされた、いわゆる大使館の当事者にだまされた、我々の信頼関係はそこまであったのに、何で結果的にこんなふうになったんだという憤りを持っているということなんです。そういう事実を、私が直接こういう人たちに会って、かつ韓国の大使館の担当者にも、話をしっかりと聞いてきました。そういうところも全部総合して考えると、そんなことが事実だったのかなと私自身も今総括整理をしているわけであります。
 そのことに対して、外務省が把握している事実とどう違うか、あるいは、外務省としては、あくまでもさっきのような単純な話で、直接日本人妻を助けようということで努力した二人を犯罪者扱いにして、それで中国当局に逮捕させたということに対する事実、これを認めようとしないのかどうか。そこのところをもう一回総括して、整理をして、説明してもらいたいというふうに思います。
茂木副大臣 御指摘の事案、この第三者の方が善意であったかどういう気持ちであったか、それはその当時、直接細かいことまで聞けるような状況になかったというのは確かであると思います。
 ただ、では、身柄の引き渡しがすんなりその日のうちとか次の日に行われたか、そういう形でなかったのは委員も御案内のとおりであると思っております。また、金銭の要求につきましては、当方側から、これだけのあれでいかがですか、こういう申し出をした、こういう事実はございません。
 そういった一連のことを考えて、日本人のこの方の身柄に危険が及ぶ可能性が極めて高い、こういう判断をしたわけでありまして、これはリスクの問題でありますから、起こらなかったじゃないか、起こるじゃないか、こういうことはありますけれども、その時点で、明らかに危険性が高い、こういう状況判断のもとで通報はさせていただいて、その判断につきましては私は間違っていなかった、このように考えております。
中川(正)委員 これは、これからの脱北者とのこうしたさまざまなかかわりの中で日本政府がどういうスタンスをとっていくかということ、これの一つのメッセージでもあるわけですね、一般の人たちへの。
 さっきのような、身の危険を感じたとか、あるいはそのまま北朝鮮に返されるとかいうふうな、そういう状況というのは私は信じられない。そうじゃないと思うんですよ。これは外務省の方ももう一回総括をして、詳しい調査をした上で答弁をされるべきだというふうに思います。
 私自身のそれぞれへの聞き取りをもう少しつまびらかにしてもいいんですが、当時の状況というのは、そんな緊迫した話じゃ全くないんですよ。もっと落ちついた話なんですよ。それは、ただこっちサイドが慌ててしまっただけ、物事を悪く解釈しただけ、あるいは、ひょっとしたら第三者じゃなくて第四者の部分で幻惑されてそうした判断をしてしまった。いわゆる第四者というのは、ひょっとしたら悪意を持ってその中に介在していた人間がいたかもしれない、そういう可能性というのも含めて、もっとこれははっきりさせるべきだというふうに私は思います。
 このままでは、じかに日本人妻をケアして助けようと善意の中から一生懸命やっていた人間が浮かばれないですよ。直接逮捕されて罪人扱いされて、この人たちが直接誘拐犯として中国当局に拘束されたわけですからということですね。そこのところを外務省としてもう一度ちゃんとした見解を持つべきだ、この人たちに対してもしっかりとしたメッセージを発していくべきだというふうに私は思います。
 その点について、大臣、どうですか。
川口国務大臣 大変に残念でございますけれども、外務省のこの点についての見解は委員とは全く異なるということを申し上げざるを得ないと思います。
 委員が事実、事実というふうにおっしゃられることは、これは向こう側の人から聴取をなさったこと、そして我々がベースとしたことについては、そういうことは心配のし過ぎで起こるはずはない、そのように断定をしていらっしゃるように、あるいはそのように考えていらっしゃるように私には聞こえましたけれども、仮に、中川委員が外務大臣の立場にいて、非常に多額のお金を払わなければその人を引き渡さない、居どころも教えないという話があり、払わなければ本人を北朝鮮に送還するということがあったときに、先ほど茂木副大臣がリスクという言葉を使われましたけれども、我が国政府の立場、やらなければいけないところ、よって立つところというのは、何よりも邦人の保護であるわけです。政府としては、先ほど茂木副大臣が言われたように、邦人の保護というのが我が国にとって、政府にとって守るべきことであるということを考えております。
 したがいまして、それからこの件につきましては、御本人が、自分として、これ以上プライバシーにさわられたくないので、本件についてはこれ以上言わないでほしいという御希望もお持ちでいらっしゃいますから、事実関係についてはこれ以上申し上げられませんが、政府としては正しい判断をしたというふうに思っております。
中川(正)委員 もう一回言いますけれども、多額の金を要求したという人間と、平島さんを具体的にケアして助けていたという人間が違うんですよ。そこのところをわかっていながら、そしてもう一つ言えば、担当者は、そのケアをしている人たちと直接の連絡をとり合って、お互いが信頼関係があって、どこにいるかということもわかっていて、ただ、そのことが、本人が、こちらの担当者が行ってそのままケアしたら事が済んだ、そういう状況であるにもかかわらず、一つの、多額の金を要求したという第四者、四人目の人間の言葉に惑わされて、もうそれで血が上ってしまって対応してしまった、それが現実であったということだというふうに私には映ります。
 これは、イム・チョルという逮捕されたいわば被害者、この人に直接聞いているだけじゃなくて、韓国でも、大使館の、当局の、直接これに当たった人たちの話も聞いた。機会があれば、本来は、北京からもその担当者をここへ呼び込んで直接の話を聞きたいぐらいのことでありますが、そんなことを総合していくと、どうも、大使館そのものの対応あるいは外務省の判断というのがずれていると言わざるを得ないというふうに思います。
 そして、この問題を基本にして、脱北者で日本の大使館あるいは領事館に対してさまざまな連絡をしたいと思っている人はたくさんいるわけですね。特に、在日で帰国運動で帰った人たちあるいはその妻、あるいはその関連の人たちというのは、何とか日本の領事館、大使館に助けてほしい、あるいは連絡をとりたいという状況が現地ではあるわけでありますが、それに対して外務省としては、基本的にはどういうスタンスをとっていくのか。
 私は、ぜひホットラインというか、この電話番号へかければ必ずそうした担当者が出て、それに対して適切な、さっきここで指摘したような全く的の外れた対応じゃなくて、適切な対応をしていきますよというふうな窓口が、それぞれの総領事館、大使館にまず必要なんだろうという気持ちがしているわけでありますが、それに対しての対応はどうなっていますか。
茂木副大臣 先ほど来委員の方から、血が上ってとかあたふたして、こういう御指摘をいただきまして、これから、こういった事案の対応につきましてはくれぐれも慎重にと思っております。
 当該の事案につきましては、私も、事の変化があるごとに報告を受けまして、これをどう分析するか、そういうことにつきましても慎重に協議をしてきたつもりでありまして、振り返って、当時、頭に血が上っていたか、もしくはあたふたしていたかといいますと、大臣の御指示のもとで極めて冷静に判断はできていたんではないかな、こんなふうに考えております。
 それから、一般論として申し上げますと、委員御指摘のように、今こういった邦人の保護のために協力をしてくれる方がいる、そういう方につきましては、我々としてもこれからも連携を強化し、また誠実に対応していきたい、このように考えております。
中川(正)委員 時間が来たので最後に申し上げますが、こういうことの中で、誘拐でないという公式見解を持っているんであれば、あれで逮捕された、中国当局が誘拐として身柄拘束して逮捕した直接の当事者、イム・チョル、カンチョル、この二人に対しては、外務省からそれなりのおわびなり、あるいは、これは逆に面倒を見てくれた人たちですから、それ以外の人は知りませんよ、この二人、直接逮捕された人たちというのはいわば善意の第三者だと思うんですね。それに対して直接のおわびのメッセージを入れるべきだと思うんですが、どうですか。
山口委員長 川口外務大臣、時間が終了していますので、簡潔にお願いします。
川口国務大臣 ただいま委員が善意の第三者というふうにおっしゃられましたけれども、先ほど申し上げたようなさまざまなこと、日本の関係者は最後まで居どころは知らされなかったわけでございます。ということですから、善意の第三者というふうには必ずしも考えていない。
 いずれにいたしましても、その御本人の女性の方からは、中国政府に対しても日本政府に対しても、その対応については非常に感謝をしていただいているという状況でございますので、先ほど委員がおっしゃったようなことを我が国政府としてするということは考えておりません。
山口委員長 中川委員、もう終了していますので、一言。
中川(正)委員 それは事実認識が違いますよ。ちゃんと居場所もわかっていたから通報できたわけでしょう。そんな話はないですよ。
 それと同時に、日本人と相手は韓国人なんですね、今国籍は。だから、その人たちがどう言おうと我々は関係ないんだという話ですか。さっきの答弁ではそういうことでしょう。やはりそれは、韓国の国柄、国家に対しては非常に重大な発言になっていくと思うんですよ。
 そのことを指摘させていただいて、時間が来たようですから、終わります。
山口委員長 次に、古川元久君。
古川委員 民主党の古川元久でございます。
 きょうは、私、PCB処理について御質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、PCBの処理方法の原則について確認させていただきたいと思うんですが、PCBの処理をどういうふうにしていくのか、政府としての姿勢、考え方をまず最初に確認させていただきたいと思います。
鈴木国務大臣 PCBの処理でございますけれども、先生御存じのとおり、我が国ではPCB廃棄物の処理体制の整備というものが著しく停滞しております。
 そういう中におきまして、民間の中小企業が保管しておりますトランスでありますとかコンデンサーでありますとか、そういうPCB廃棄物の保管期間が長くなっておりまして、その間に紛失してしまうというようなこともございます。そういうことで、PCBによります環境汚染が進行するということが大変心配されておりまして、国といたしましても、早急に処理体制を構築して、安全かつ計画的にこれを進めるということが不可欠であると思っております。
 どういうふうに臨むかということで、経過も少しお話しさせていただきたいと思うのでありますけれども、過去におきまして、PCBにかかわりますメーカー等によります民間団体、財団法人電気絶縁物処理協会というのがございますが、これが中心になりまして全国三十九カ所で処理場をつくる、そういう計画があったわけでありますが、地元の御理解が得られずに、結局、立地はなされませんでした。そしてまた、最近ここまでを見ましても、民間処理業者の計画といいますものも具体化がされていないということで、早急に全国的な処理体制を構築するというのがなかなか難しいという状況がございました。
 こういうような経過の中で、民間の処理業者が計画を出してこられるのを待って、それに対して、単に廃棄物処理法上の事業認可でありますとか、例えば施設の構造でありますとか、そういうことをやっていくということだけではPCB廃棄物の全国的な処理体制を確保することが困難であるということでございますので、国の指揮監督のもとでPCB廃棄物の処理を行う組織を設立して、地元の理解を得て、中小企業等が保有するPCB廃棄物を処理する道を確保する必要がある、そういうふうに判断されたわけであります。
 こうした流れを受けまして、平成十三年にPCB廃棄物処理特別法を制定いたしまして、保管事業者に対して一定期間内の処分を義務づけました。それと同時に、環境事業団法を改正いたしまして、環境事業団にPCB廃棄物処理事業を行わせることとしたものであります。
 今般、特殊法人等改革が行われるわけでありますが、これに伴いまして、特殊会社であります日本環境安全事業株式会社にこのPCB廃棄物処理事業を引き継がせることとしている、そういう方針でこれから進めようと思っているところであります。
古川委員 今大臣から御丁寧に御説明いただいたわけでありますけれども、要は、このポイントは、国の指揮監督のもとに一定期間内にPCBの処理をきちんとやる、そういうところにあるというふうに認識させていただいてよろしいでございましょうか。
鈴木国務大臣 そのとおりでございます。
古川委員 それでは次に、この指揮監督のもとに、PCBの処理をだれがやるかという点にちょっと質問を移らせていただきたいと思うんです。
 国が考えているPCBの処理というのは、これは環境事業団、そしてまた今法案が出ています日本環境安全事業株式会社、ここと、あとどこがやるというふうに考えておられるのか。PCBの処理の主体はどこだというふうに考えておられるのか、お答えいただけますでしょうか。
飯島政府参考人 平成十三年に制定されましたPCB処理特別措置法に基づきまして、現在の環境事業団が中核的な処理施設をつくりまして処理をしていく、これが中心になります。しかしながら、その他民間の大手の事業者が、自社が保管しているPCB廃棄物について自社処理をする、こういった流れもそれと並行してございます。
古川委員 ほかには全くないんですか。
飯島政府参考人 現在のところ、その二つの流れが見えておりまして、御質問の趣旨は、民間の企業が他社のPCB廃棄物を処理する可能性がないのかというふうに受け取っておりますが、それにつきましては、現段階では具体化したお話はございません。
古川委員 その具体化した話はないというのは、全く動きがないということなのか、いろいろな水面下の動き、あるいは地域でそういうものをつくろうという動きはあるけれども、環境省まではそれを認識していない、そういうことなのか、どういうことですか。
飯島政府参考人 民間会社がPCB廃棄物を処理する動きにつきましては、先ほど申し上げましたように、既に大企業で自社が保管しているPCBの処理をした実績がございます。そのほか、大臣から冒頭に御答弁申し上げましたが、民間会社でPCBを処理しようというお話はこれまでもございました。そして、実は三十九カ所の候補地がございまして、そのいずれにつきましてもその構想が実現しなかったということがございます。
 具体的なお話は環境省の方ではまだ聞いておりませんが、現在におきまして、全国のいろいろなところで民間事業者のお話が全くないというわけではないと思っております。
古川委員 今後、そうした動きが具体化してくるという可能性はあるというふうに考えておられますか。
飯島政府参考人 民間会社におきまして、これまで成功例はなかったわけでございますが、新しい処理技術等の開発を踏まえて、そういうお話が出てくる可能性はないことはないと思っております。
古川委員 ということは、今度のこのPCBの処理というのは、特に、自社処理で自分のところの分を処理する以外、環境事業団がやることになっている分野において、民間企業が参入をしてくるということもあり得ると考えておられるというふうに認識してよろしいですか。
飯島政府参考人 委員がおっしゃるとおり、民間企業の方でそういう構想を持って、PCB廃棄物処理事業について、許可権者である都道府県等にそういうお話がある可能性は十分あると思っております。
古川委員 ちょっと別の視点からお話をしたいと思うんですけれども、十三年の法律改正のときに私どもの同僚議員が、そもそもこれは環境事業団にやらせる必要があるのかと。先ほど飯島さんが言われたように、民間でもかなり技術が進んでいるわけですね。先ほど大臣に確認させていただきましたが、今回のこのPCB処理のポイントは、国の指揮監督のもとにきちんと処理がされればいいという話であったわけです。であれば、指揮監督がきちんとできて、処理されているということがきちんとチェックができるのであれば、何も環境事業団が、そしてまた今度わざわざ特殊会社にまでしてこの事業をやる必要はないんじゃないですか。しかも、今、民間企業の参入も将来あり得るというお話をされたわけですよね。それであれば、むしろ、民間の技術があるところに一日も早くやらせるようにそれは環境整備をしてやる、そのことで十分なんじゃないですか。
 前の国会のときにも、なぜこれをPFIでやらないのかということの質問は同僚議員がさせていただいておりますけれども、今の状況を考えてみますと、この疑問にはこたえていないように思うわけですが、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 大臣からも御答弁いたしましたように、PCB廃棄物につきましては、これまで三十年間、民間におきまして体制整備の取り組みが行われたにもかかわらず、すべて成功しなかった。こういった中で、国の指揮監督のもとに、指導監督のもとに一定期間内にこれを処理しようということで、環境事業団による中核的処理施設、処理体制の整備ということを考えて、十三年にPCB特別措置法が制定されたわけでございます。
 PFIの議論もたしかその特別措置法の審議の過程でございました。PFIというのは、先生よく御承知だと思いますが、基本的には、本来、公的な部門が行う公共施設等の建設、維持管理、運営、これらを一括して民間事業者と契約をして、官民のリスクや責任の分担を図りながら、民間のノウハウを活用して行う手法でございます。
 民間の創意工夫を生かして効率的に公共サービスを提供できる事業、廃棄物の場合は、一般廃棄物の処理施設等につきましては、そういう検討がなされ、実績もあるところでございますが、PCB廃棄物につきましては、先ほど申し上げたような経緯がある中で、まさに我が国で初めて本格的なPCB処理事業を実施しようということでございますので、現時点で、効率性、経済性を尊重するPFI手法というのは、その前にPCB処理の確実性、安全性、これが重要という認識でございますので、現段階ではPCBの処理にPFIという事業はなじまないのではないかというふうに考えているところでございます。
古川委員 PFIじゃなくても、民間企業にやらせて、そこを監視するあるいは監督するという手法もあるわけですよね。ですから、私は別にPFIにこだわっているわけじゃないんですけれども、なぜ環境事業団が、そしてまた今度、特殊会社にまでしてやる必要があるのか。それは、この前の法改正のときにも議論になったその点が、今回、だんだんと北九州などで実際にもう第一期工事が始まるような状況になってきている段階においても見えないから、私は聞いているんですね。
 では、ちょっと見方を変えて御質問させていただきたいと思いますけれども、今度、環境事業団は具体的にどういう形でこの処理をするのか。環境事業団がすべてそういう処理技術、今まで持っているとはとても思えないんですけれども、これからそういう技術を持つんですか。それとも、実際にそういう技術がある民間企業に委託をするんですか。これはどういう形で事業が、PCBの処理というものが進められるんですか。
飯島政府参考人 実際に、もう既に環境事業団におきましてはPCB処理体制の確保のための事業を始めております、PCB特別措置法に基づいて。全国の五カ所で中核的処理施設を建設する取り組みが始まったところでございまして、そうした中で、環境事業団それ自体が、地域の住民の方々とのいろいろな問題の説明等を踏まえまして、PCB処理に関する技術や経験を蓄積しているところでございます。
 実際に、では、環境事業団がみずから処理施設を建設し、みずから運営するかというと、必ずしもそうではございません。環境事業団は、中核的な計画等につきまして、地域の地方公共団体や住民の方々と話し合いをした上でここまでこぎつけてきたわけでございまして、現実には、公平な形で、透明性の確保された形で、各事業グループ、設計段階、建設段階、民間のグループに対する公開入札制度等を通じまして必要な事業の委託先といったものを決めていく、こういう手順で進めているところでございます。
古川委員 ということは、環境事業団あるいは今度の特殊会社は要は監督しているだけで、実際の処理は、技術を持っている民間企業がやる、委託でやるというふうに認識してよろしいわけですね。
飯島政府参考人 そもそもPCBの処理と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、地域の住民の方々や地方公共団体の理解を得つつ、地域条件に応じた安全かつ確実な処理システムを構築しようとするものでございますので、環境事業団は、現在、地域ごとの条件を踏まえまして、PCBの安全かつ確実な処理責任を果たすために、処理施設の整備段階におきまして、処理の手法あるいは技術的要件、こういったものを整えて、実際の建設の事業、業務、こういったものについては、先ほど申し上げましたように、ノウハウの蓄積のある民間会社のグループの公開競争入札という形で決めていくという手順でございます。
古川委員 今言われた話だと、技術的要件とか手法の部分、ちゃんとそこが指導できるのであれば、別に環境事業団じゃなくても、民間企業にそこの部分がきちんと指導さえされれば、そしてその処理がちゃんとなされているか後からチェックできればそれでいいはずですよね。わざわざ環境事業団が直接自分のところでやらなきゃいけないという理由は、それだけでは私は出てこないというふうに思うんですけれども、ほかに何かあるんですか、環境事業団がやることの。
 今言われた話であれば、それは民間企業がやるときの条件として、許可を出すときの条件として提示すればいい話であって、何もここの環境事業団が直接抱え込む話じゃないと思いますが、いかがですか。
飯島政府参考人 これまでの御答弁の中で強調していなかったと思いますが、一番心配されますのは、これまで三十年間にわたり保管されているPCB廃棄物が環境に漏出して深刻な環境汚染を引き起こすことをとめなければいけないというのが一番大きなところでございまして、恐らく自社処分をされたような大企業であればその心配はないんでしょうが、PCB入りの高圧トランス・コンデンサーの半分以上が、中小企業が現在保管して、かつ非常に少数の数なわけでございまして、そういったものを確実に期間内に無害化処理するためには、民間の処理技術、処理システムを待っていてはとてもできないだろう、こういう判断があったために、中小企業が保管するPCBを安全かつ確実に無害化処理するという視点から、環境省が監督する環境事業団が責任を持ってこの事業を推進する、そういう趣旨で十三年にPCB特別措置法が制定されたというふうに理解をしているところでございます。
古川委員 そこまで責任を持ってというんだったら、実際の処理は民間企業に委託するんだったら、責任を持っていることにならないじゃないですか。そこまで、処理するところまですべて安全にやられているかどうかを責任を持ってというんだったら、そんなの委託じゃないでしょう。委託できないはずですよ、それは。処理自体を直接やらないといけないんじゃないですか。
 しかし、飯島さんが言われたのは、そこについては信頼できるところに委託すると言われたわけでしょう、実際の処理は。それは、ほかの民間企業がやることについてちゃんとその結果をチェックするのと、委託された先がやっているのをチェックするのと、それは変わらないです、そこをチェックするだけだったら。どこが違うんですか。委託するのと、民間企業がやる、そして後からチェックするのと、どこが違うんですか。
飯島政府参考人 実際の業務を委託する場合は、当然、国の事務でありましても地方公共団体の事務でありましても、ございます。ただ、責任は、委託元である主体が責任を持つということでございますので、それは、どこが違うとおっしゃられましても、責任を持つのが環境事業団であるということが大変な違いであると思っておりますし、現実に環境事業団は、東京にある事務所で指揮監督するだけではなく、実際に中核的施設を建設する場所に事務所を構えまして、そして現実にモニタリング等の事務をあわせましてやっていくということでございます。
古川委員 責任を持つということはどういうことですか。どういうふうに具体的に責任を持つんですか。監督責任とは、それは、民間企業がやったって、そこがそういう安全性を侵さないようにどうかするチェックは、当然監督責任についてあるわけですよね。それが、委託してやったときの責任と、監督官庁として監督したときの責任は、これ、違うんですか。どういう形で違ってくるんですか。その責任の違いを教えてください。
飯島政府参考人 その他、PCB以外の普通の廃棄物のことを考えていただければわかると思いますが、そういった場合につきましては、民間の事業者が処理をする事業計画あるいは施設の計画がございますと、それを申請して、廃棄物処理法に基づく規制を行って、許可を出して、そしてやっていく、これが普通の指揮監督の責任でございます。
 今回の場合は、先ほど来申し上げますように、民間の事業者の自主的なそういった計画、これを待っていては中小企業の保管するPCB廃棄物がいつ雲散霧消するかもしれない、こういう危機感から、環境事業団が責任を持って、収集、運搬等も含めて、地方公共団体や立地場所の地元の住民の方々の御理解を得ながら、環境事業団が事業の全体の責任を持って実施をしていこうということでございます。
古川委員 時間がなくなってしまいますので、またもう少し別の機会にこの議論はさせていただきたいと思いますので、もうちょっと先の話に行きたいと思いますが、今ちまたで言われているのは、今のような委託ということですと、結局これ、よく公共事業を大手ゼネコンが受注して下請に流す、大手ゼネコンは手数料分だけ取っていく、その結果、全体としての価格が高くなる、コストが高くなる。今回のこのPCBの処理については、コスト削減にもなるたけ努めるというふうに附帯決議でも書いてあるわけなんですが、今の委託というような感じだと、結局、環境事業団そして今度できる株式会社は、委託して、要は、受注したそのときの金額と委託で出すときのその差額、手数料、それで食っていくということになるんじゃないですか。そうすると、この分だけ結局、PCB処理のコストというのが非常に高くなってしまうんじゃないですか。いかがです。
飯島政府参考人 ゼネコンの元請、下請関係の例をお引きになった御質問でございますが、今回のこのPCB廃棄物処理事業につきましては、全くそれとは性格を異にしております。
 改めて申し上げませんが、コスト削減の努力につきましても、委員御指摘のように附帯決議でもなされているように、実際に、環境事業団におきまして、処理施設の計画段階、施設の設計や施工の段階、事業の実施の段階、それぞれにおきましてコスト低減に努めることとしております。
 計画段階におきましては、特に期間内までに対象区域内のPCB廃棄物処理に必要な最小限の能力とするように、過大な規模とならないようにしていく予定でございますし、施設の設計や施工の段階では、先ほど申し上げましたが、公募型のプロポーザル方式を採用いたしまして、確実かつ安全な処理を前提としてコストを含めた技術提案を求め、競争原理によりましてコスト縮減が図られるようにしたいと思っております。過剰な設備や工事費を削減する観点から、外部専門家による審査をあわせて行う予定でございます。
古川委員 ちまたには、環境事業団がやるとかなりコストが高いといううわさが流れているわけですね。では、実際にどれだけのコストがかかるのか、環境事業団がやる場合の処理コストを出せと言っても、いつまでも出てこない、出てこないと。こういうものを出さないようでは、やはりそういうちまたに流れているうわさを打ち消すことはできないと思うんですね。何もやましいことがない、ちゃんと適正な価格だ、コストだということであれば、早く、この処理費用の単価がどうなるのか、コストを出すべきじゃないですか。これはいつ出てくるんですか。
飯島政府参考人 環境事業団が行うPCB廃棄物処理事業の処理料金でございますが、これは、施設の規模や施設の内容あるいはPCBの処理対象量、これが確定できれば、それに合わせてお示しすることになります。
 具体的には、現在北九州で第一期の事業を計画しておりますので、この第一期の事業の事業費に加えまして、現在準備を進めております豊田事業あるいは東京事業、こういった事業の事業費も踏まえて全体の処理対象量の把握を進めまして処理料金を算定しようと思っておりまして、コストや料金については今後きちんと説明してまいりたいと思います。
古川委員 いつ出てくるんですか。北九州なんか、一期のはもう始まるわけでしょう。出るはずじゃないですか。コストもいつまでも出なくて、予算だけついているのはおかしいですよ。いつ出るんですか。
飯島政府参考人 北九州の事業の開始が十六年の十二月でございます。もちろんその直前というわけではなくて、それまでに十分時間的な余裕を持って処理料金を算定し、公表してまいりたいと思っております。
古川委員 いつ出るのかと聞いているんです。来年の予算編成には当然これは入ってくるわけでしょう。そうしたら、当然処理単価が、概算が出なきゃ要求できないですよね。
 では、今度の概算要求の八月までに出てくるんですか。
飯島政府参考人 処理料金の公表時期でございますが、先ほど申し上げましたように、全国の処理料金を同一価格にすべきかどうか、こういった議論もございますので、全体的な、全国の動向を踏まえた上で料金を算定するという考えをお示ししたわけでございまして、できるだけ早く料金の算定、公表は行っていきたいと思いますが、十六年十二月に現実に北九州の事業が始まりますので、今年度の早い時期に、ぎりぎりではなくて早い時期に、そういったものについてはお示しができるのではないかというふうに考えております。
古川委員 でも、概算要求のときには出すんでしょう。それを、概算要求のときには出るというふうに何で言えないんですか。
飯島政府参考人 確定的な処理料金につきましては、今申し上げましたように微調整をする必要があろうかと思いますが、委員御指摘のように、十六年度の概算要求をする時点におきまして、想定される算定コストというものは明らかにしていきたいと思っております。
古川委員 ということは、八月までに出るというふうに認識させていただいてよろしいわけですね。
 最初からそうやって言っていただければ、予算でちゃんと、別に概算でもいいから、当然予算請求をするということは出すわけなんですから、そこでちゃんと出すことが、そういう世間にあるうわさが本当に違うんだったらそれをやはり正すことになるわけですから。
 では、ちゃんと八月までに出すということで確認させていただいてよろしいんですね。
飯島政府参考人 概算要求の関係でいいますと、既に、十五年度予算要求も、算定コストが確定しない段階で要求をさせていただきまして、御審議をいただいて、お認めいただいているところでございますが、御質問のように、実際に十六年の十二月から事業が始まるわけでございますので、来年度の概算要求までには、この処理料金について、算定をした上で公表したいと考えております。
 ただ、この金額が、先ほど申し上げましたように、全国で一律なものになる上で十分に確定できたものかどうかということにつきましては、留保をいただきたいというふうに思っております。
古川委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますけれども、留保をつけるんであれば、今の北九州の分だけでも出るはずですよ。ほかのものが出てきてから出したいと言って、出せないと今言っているのに、そんなことに留保をつけるんだったら、北九州のを出さないのはおかしいですよ。
 だったら、それは留保つきでいいですから、北九州のを出してください。
飯島政府参考人 先ほども申し上げましたように、来年度の概算要求までには、そのコストを算定し、公表したいと思っております。
古川委員 またこの問題は環境委員会等でも質疑していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 質問を終わります。ありがとうございました。
山口委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 石破防衛庁長官におかれましては、国を愛する心、国を憂うる気持ちで日夜身を挺して御尽力をいただいておりますことに敬意を表しますとともに、期待をしております。
 およそ外交防衛問題につきましては、これはもう与野党挙げて国益を主にして当たるべき問題だと思っております。我が党は、急迫不正の他国からの侵害に対しまして、国際法上認められた自衛権、憲法上も許されている自衛権を発動してこれを撃退するということが基本方針でございます。
 およそ国の責務というのは、国民の生命と財産、人権を守る、これが一番基本的、根本的な責務でございます。今我が国の防衛関係予算は五兆円の手前で、ここ七、八年ほとんど額が変わらない、このような状態で来ております。いろいろな価格が上がってきておる中で、そういうことでやっていけるのかどうか。
 また、私は何回も、ここでも指摘したわけでございますが、中国におきましては、毎年、軍事予算、これは数え方、計算の仕方いろいろありますけれども、とにかく公表されただけでも、毎年一七、八%軍事費をふやしていっている、これが数年たてば倍にもなるというような状況。また、北朝鮮にいたしましても、国際的な常識から離れて、条約を破り、日本に対するあるいは周辺諸国に対する大きな脅威となるような軍事の配備をしている。
 こういう状況の中で、これで大丈夫かと申し上げますと、いや、これは節約その他をして合理的にやっていって何とか賄っております、大丈夫です、こういう答弁が繰り返されるんですけれども、では、果たして本当にそうなのかというふうに思います。本当に国民の生命財産、人権を守るためには、必要なものは、起こってからでは遅いので、やはり事前に備えなきゃならぬ。治にいて乱を忘れずということを言われますけれども、そういった方針で、この重要な我が国の安全、防衛、これを担当しておられる大臣として、ぜひとも考慮していただきたい、もっと頑張っていただきたい、このように思います。
 調達の面でございますが、安全、防衛のための手段として、実力としての武器の調達につきまして、これは決算委員会でも取り上げたんですが、会計検査院あるいは大蔵省との関係で、従来はある程度のアローアンス、長期間にわたってのいろいろな配慮をして、我が国の場合は、現在武器輸出もできない、しないということを決めておりますから、その面では、我が国でつくる場合は非常にコストが高くなる。そうすると、公開自由競争、そして公正な競争でそういった兵器を購入するということは原則としてはいいんですけれども、しかし、防衛問題、武器等については、これはいろいろな特殊性がある。それをやはり考えて、調達の価格等の決定はもっともっと慎重に、きめ細かくやらないといけない。一般原則は通すとしても、そういう特殊性は考えるべきじゃないかと思いますが、この点についてどのように大臣はお考えか、お聞きいたします。
山口委員長 赤城防衛庁副長官。
塩田委員 ちょっと待ってください。大臣に。大臣に聞いていますから。
赤城副長官 事実関係について、私からお答えをさせていただきたいと思います。
 防衛調達については、委員御指摘のように、日本の持つ特殊性といいますか、さまざまな事情があって、その中で、限られた予算の中できちっと防衛を全うするということで整備していかなければならないと考えております。
 そこで、調達にかかわるあり方でありますけれども、先生御案内のとおり、平成十年に防衛調達にかかわる一連の不祥事がありまして、それを受けて防衛調達改革本部を設置いたしました。そこで防衛調達の透明性や公正性を確保するというために、民生品を活用した、仕様書等の見直しを通じた競争原理の強化などを推進してきたわけでございます。
 そこで、一般競争入札、指名競争入札、随意契約といろいろな契約方法はあるわけですけれども、決して一般競争入札だけでやるというわけではございませんで、会計法令に基づいて、この契約の実態を踏まえて、適切な契約方法を選択して装備品を調達する、こういうふうになっております。
 例えば、一般競争入札は、件数でいいますと、平成九年度が二八%、平成十三年度で六一・四%と件数ではふえてきておりますけれども、金額で見ますと、平成十三年度で一般競争入札は七・九%、随意契約は八〇・三%、こういうふうになっておりまして、特に、装備の持つ性格から見て、高額のものについては随意契約をもって調達をする、こういう形になっております。
 こういったことを通して、防衛装備をきちっと整えるということはまさに防衛の基本でございますので、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
石破国務大臣 事実関係は、今副長官がお答えを申し上げたとおりであります。
 先生御指摘のように、武器輸出三原則というものがございますから、大量生産というものがきかない。一つ当たりの単価、例えて言いますと、戦車でいえば、九〇式戦車というものが九億円ぐらいする。アメリカのM1あるいはドイツのレオパルトよりも相当高いということがございます。これは、大量生産がききませんので、そういうことは宿命的にやむを得ないことだという言い方もできると思っています。
 同時に、調達のあり方は今副長官がお答えをしたとおりなのですが、高い技術力を持っていくということは、私は、抑止力として必要なことなんだと思っています。そこの競争関係、ある意味で、いい意味での競争関係というものがございませんと技術は高くなっていかないということもあると思っています。それと防衛産業というものを維持するということ、この二つを両立させていかなければいけません。
 日本の装備品になかなか独創的なものが出てこないということはなぜなんだろうか。みんなが一生懸命やっているけれども、独創的なものが出てこないということはどういうことなんだろうか。しかし、競争原理を余り働かせる余り、産業そのものが維持できなくなるということもあってはいけない。
 いずれにしても、この防衛産業のあり方というもの、調達のあり方というもの、これは今、防衛力の在り方検等でいろいろな議論をいたしておりますが、先生方の御指導もいただきながら、納税者の方々にどうすれば一番誠実な形であるか、そしてどうすれば高い技術を持って高い抑止力を保持し得るかという両面から検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
塩田委員 私は、細かい点を説明されましたけれども、それよりも、防衛担当責任大臣としてどういう基本的な態度で臨むかということ、予算の停滞あるいは調達の仕方にしても、そのことを聞いておるわけです。
 今言われましたように、技術面にしましても、BMD、これの日米の共同研究開発、これは踏み込んでやっているわけですね。ところが、それを担当する産業、企業は、これを幾らやっても成果が、企業として利益が出ないんです。結局、技術はお互い出し合ってある物をつくり上げても、その成果は全部アメリカ側がとって、そこで企業化して大量生産して、もうけは全部そちらと。日本では、全然メリットがない、魅力がないんですね。だから力が入らない。こういった問題があるということを指摘しておきます。
 私は、きょう主としてお伺いしたいのは、日本の安全、防衛の問題でございますが、ミサイルの問題です。
 今、イラク戦争、いよいよ山場に差しかかって、終息しつつありますけれども、これを毎日かたずをのんで国民が見守っておる。これはやはり我が国と北朝鮮の関係をダブらせて考えながら見ているわけですね。それから、かつての日本が戦った日米間の戦争、これも思い浮かべながらやはり一生懸命見ているということですね。私は、このイラク戦争は、被害が少ないうちに早急に終息さすべきだ、このように考えて祈っているわけでございます。
 そこで、北朝鮮が今配備しているミサイル、これの性能はどういうふうに見ておられるか。スカッドミサイル、それからノドン、テポドン1、2、やがて3まで出てくる、それはどのようなものか。精度あるいは射程距離、速度あるいは燃料、誘導方式等々、そういったものはどういうふうに見ておられるか。日本に対する大変な脅威ではないかと思うのですが、具体的にはどういうふうに把握しておられるか、お伺いいたします。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 北朝鮮が今弾道ミサイルとして配備しておりますのは、スカッドBとスカッドC、それからノドンでございます。
 細部について申し上げますと、スカッドBは、射程が約三百キロメートル、命中精度というのは、百発撃ちまして半数がどの程度のところに落ちるかということをはかる尺度がございまして、半数必中界と申しておりますけれども、その面で申しますと、四百五十メートルの範囲に落ちるということでございます。
 それからスカッドCは、射程が約五百から六百キロメートルでございます。これの命中精度、半数必中界は千メートルと言われております。
 それからノドンでございますが、これは約千三百キロメートル、これは日本のほとんどの地域を射程におさめておりますけれども、これの命中精度は、スカッドB、Cに比べますと大変落ちますけれども、二千五百メートルということでございます。
 それから、先生が言われましたテポドン1、テポドン2、これはまだ私どもとして配備は確認いたしておりませんが、性能につきましては、テポドン1は約千五百キロメートル以上ということで、命中精度としましては三千メートルぐらいの範囲ではないか。それから、テポドン2は約三千五百から六千キロメートルのところをねらっているんじゃないか。命中精度については不明でございます。
塩田委員 配置している基地の数ですね。あるいはスカッドの基数、スカッドとかノドン、テポドンにつきまして、どれくらいの数を日本に向けているか、韓国も含めてでしょうけれども、その状況についてお伺いいたします。
守屋政府参考人 配備している基地については、私どもの手のうちでございますので、これは答弁を差し控えさせていただきますけれども、スカッドにつきましては、スカッドCの配備、ミリタリーバランスでは約三十基ということでございます。それから、ノドンにつきましては、百基ということを二〇〇〇年の三月、シュワルツ在韓米軍司令官が証言しているところでございます。
塩田委員 北朝鮮の労働新聞あるいは放送によると、日本に対してミサイルを撃ち込んで火の海にする、一瞬にしてできるんだということを言っておりますね。それは、ガソリンスタンドが全国あらゆるところにある、あるいは何千万台という車がガソリンを積んで走り回っている、一発でもう相当な火事になるし、全土を一斉に攻撃すれば日本は瞬く間に火の海になる、こういうことを放送していますね。あるいは書いたものを出しています。そういったことが本当に行われるとすれば、大変な事態になる可能性があります。
 それからまた、核弾頭をつくるんだ、国際条約を破棄してでもやるということを言明しました。それから化学兵器あるいは生物兵器、これを弾頭につけて撃ち込むともっともっと大きな被害が出るということでございまして、これだけ考えてもそら恐ろしい、日本は大変な脅威にさらされておると思うのですが、いかが御認識ですか。
石破国務大臣 今、防衛局長からお答えを申し上げましたとおり、ノドンミサイルであれば日本のほとんど全域が射程に入っているということであります。そうしますと、日本をほとんど射程に入れるだけのミサイルを保持する、そういう能力は有しているということだろうと思います。
 先生御指摘の、意図というのは、これはわかりません。ただ、おっしゃいますように、北朝鮮の新聞あるいはテレビ、ラジオ等々を聞いておりますと、火の海にするというような、そういうような発言もございます。それをそのまま額面どおりに受け取ればこれは大変なことになりますが、いずれにいたしましても、その能力は私どもははかりかねるところでございますけれども、少なくともその能力は有しているということは私どもにとっては大きな懸念だというふうに考えておるところでございます。
 加えまして、核の御指摘がございました。核につきましては、アメリカ合衆国におきましてラムズフェルド長官等々、いろいろな証言がございます。このことにつきましても、私どもとして、核開発の可能性は決して排除できないというふうに思っております。それが発射されないような抑止力をいかに持つかということだと思っております。
 これが発射された場合にどうなるかということにつきましては、何度か国会で御答弁を申し上げておるところでございますが、例えば、前の湾岸戦争のときにイスラエルに降ってくるミサイルというものを落としました。また、今回のイラク戦争でも落としています。しかし、あれは射程が短いミサイルであります。射程が中距離の、例えばノドンクラスになった場合にそれが撃ち落とせる能力というものいかんというふうな問いもございますが、そういう場合には、アメリカ合衆国も含めてどの国も、現時点ではそれを落とす能力は有していないということだと私は承知をいたしております。
塩田委員 今御答弁ございましたように、北朝鮮がミサイルをかなり持ち、日本に向けているということで、脅威があるということをお認めになったわけでございますが、これに対する我が国の対応策、これは本当に手がないということだけで済まされるのでしょうか。
 例えば、今航空自衛隊等が持っている対空ミサイルとしてのペトリオットですね。これの性能は大分改善されたと思うんですが、湾岸戦争のときはかなり落としたといいながら、半分ぐらいしか効果がなかったという。しかし、今度は大分精度を高めて落としていると思われますが、我が国の場合、ペトリオットでどの程度やれるのか。
 ノドンにしてもスカッドミサイルにしても、上がるときは割合ゆっくり上がっていくわけですが、落ちてくるときはマッハ十五から二十ぐらいの猛スピードで落ちてきますからね。これを迎え撃って弾で当てるということは、なかなかそれは容易でない、不可能だと思われます。それについて、今アメリカ等と共同研究している、それがまだできていない、実験にも成功していない、進んではおるようですけれども。
 そういう状況の中で、日本はそういう脅威、危険に対して、本当にどうしようとしておられるのか、防衛庁長官として責任ある御答弁をいただきたいと思います。
石破国務大臣 先生御指摘のとおりだと思っております。
 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、射程が五百キロみたいなものであれば、マッハ二十というような、そういうような速度には到達をいたしません。したがいまして、限定的に落とせたということだと思います。湾岸戦争においてもそうであります。
 私どもが持っておりますPAC2というのは、これは航空機対象のものであります。つまり、ジェットエンジンで飛しょうするというものを対象といたしておりますから、そのような速度というものが出るはずもない。航空機を対象にして落とすシステムというもの、私どもでいえば今PAC2というものを使っておるわけでございますが、これが弾道ミサイル、なかんずく中距離の、射程が千三百キロのような、マッハ十五から二十で落ちてくるようなものに対して対抗する能力があるかといえば、これはございません、ないと言って間違いないだろうと思っております。では、今アメリカで、イラクで使っておりますものも、これは中距離を落としておるわけではございませんので、このことについて、では中距離ミサイルについてどうだというような、そういうような数字的な知見を私どもが今有しておるわけでもございません。
 今、日米の共同研究というお話がございました。これはもともとアメリカが研究をしておりますミサイル・ディフェンス・システム、それは、先生御存じのように、ブースト段階というゆっくりした速度で上がっていく段階で落とすもの、そしてミッドコースという真ん中の段階で落とすもの、ターミナルフェーズという、まさしく地球の重力に従って落ちてくるもの、この三つのそれぞれの段階で落とそうというのがアメリカの構想でございます。日米共同研究をしておりますものは、その中の洋上配備型のミッドコースと言われる部分のその一部を研究をいたしておるわけでございます。日米共同研究がミサイルディフェンスのすべてなのではもちろんございません。この研究成果が早く得られるように、私どもとしては最大限努力をいたしておるところでございます。
 私どもとして、今、ではミサイルディフェンスの能力、技術等々いかんということでございますが、このことも国会で再三お答えをしておることでございますが、それが一体どれぐらいの精度を持ったものなのか。では、十発迎撃したとして、九発当たるのか、十発当たるのか、五発しか当たらないのか、三発しか当たらないのか、そのあたりの精度。そして、バスやトラックを買ってくるわけじゃございませんので、これも相当のお金がかかる。そうなった場合に、我が国の陸海空のシステムの中でどのような位置づけになっていくであろうか。費用対効果、そして防衛力の中のあり方。もう一つは、法的にどのような構成をもってこの迎撃ミサイルというものを撃つかということがございます。その三つの点についてどうなのかということをきちんと詰めまして、安全保障会議、これは国防に関する重要な事項でございますので、安全保障会議において議論をせられて決せられるものになるというふうに思っております。
 実際に議論をするようなときに、議論をしなきゃいけない、そういうような時期が来たと仮にいたします。そのときに、一体、費用対効果はわからない、精度はわからない、どのような法律構成になるのかわからない、そのようなことは私は極めて無責任なことであるというふうに考えておりまして、安全保障会議において議論をされるときに、きちんとした議論の素材、そういうような知見、そういうものを提供すべく努力をいたしておるところでございます。
塩田委員 これは、現在のペトリオットを配置した場合も、平成七年から始まったとしても、もう既に、開発されたのはその数年前ですね。やはり、開発できても配備までは数年かかる。北朝鮮のそういう危険な兵器がどんどん整備されてこちらへ向かってくるとすれば、間に合わないんじゃないかと思うんですね。非常に私は心配で仕方がないんです。これに向かう手がないということですね。
 アメリカがTMDあるいはBMDでやっておっても、これは、できてもまだ数年かかるということでは、本当にこれは危険な状態が続くわけですね。したがって、ブースト段階、それからミドル段階で落とすとすれば、やはり日本海なり公海へ出ていって、洋上から撃ち落とす。もっと近づいてやらないととなれば、イージス艦なんかも、もっと整備された、ミサイルを積んだものを、隻数をふやして、周辺の海に浮かべて、常時監視をしながら対応するということをまず当面やらないと、本当に危ないんじゃないかと思います。イラクのバグダッドあるいはバスラの爆撃等を見ていまして、本当にそれを我が身のように痛感するんです。本当に大変なことになると思いますね。
 防衛庁長官として、本当に万全の、また次善の策を考えていただきたいと思います。
 それから、最後でございますが、昭和三十一年二月二十九日の、内閣総理大臣鳩山総理の答弁で、国土に対してミサイルが撃ち込まれるような状況においては、座して自滅を待つよりは、そのような攻撃を防ぐやむを得ない必要最小限度の措置として、誘導弾等の基地をたたく、これは可能である、法律的には、法理上は自衛の範囲内である。我が国は、当然のこととして、自衛権は憲法上も当然持っている、その範囲内だ。先制攻撃、もう日本に向かって撃ちかけたときには、もう敵基地をたたくということは正当である、自衛の範囲内である、こういう見解を出しておられますね。
 その後も、伊能防衛庁長官が、昭和三十四年の三月十九日、同じく衆議院の内閣委員会でもこれを述べておられますね。それで、その中で言われておりますのは、そのような事態は、その時点の今日は、現実の問題としては起こりがたい、仮定の事態を想定して、他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与える兵器を持つことは、憲法の趣旨とするところではない、こういうことも答弁されておるわけですね。
 この見解について、現時点で担当大臣としての防衛庁長官はいかがお考えですか。これを再確認されますか。再確認を求めます。
石破国務大臣 政府の立場はそのときの答弁と全く変わっておりません。
 これは、先生御指摘のように、自衛権行使の三要件、すなわち、急迫不正の侵害がある、それを排除するためにほかに手段がない、そして最小限度のものにとどまる、この自衛権の三要件にとどまっておるのであり、これは憲法の許容するところであるということは全く変わっておりません。
 ただ、世の中で、先生御承知の上でお使いのことだと思いますが、これをもって先制攻撃もできるというような論評がございますが、そういうことだとは思っておりません。
 すなわち、私どもが自衛権を行使をいたしますのは、おそれ、ひょっとしたらば攻撃されるかもしれないというおそれの段階で自衛権が行使できるというふうには政府としては考えておりません。しかし、現実に被害があってからということでは遅いということもあるだろう、だとするならば、何をもって急迫不正の侵害というふうに言うかといえば、それはおそれの段階ではなく、かつ被害が発生した段階でもなくということであれば、着手ということになるのだろう。
 着手というのはいろいろな場合がございましょう。しかしながら、現実にそれが、不可逆的にという言葉を使っていいかどうかこれはわかりませんが、それが実際に着手をされた、まさしくこれから我が国に向けて武力の攻撃をするということでミサイルが屹立をした、そしてまた燃料が注入をされた、そして我が国に対する攻撃の意図が明白であるというような場合には、これをもって着手というということが考えられるのではないかということでございます。
 それをもって私どもは先制攻撃というふうには考えておりませんし、あくまで憲法の許容する自衛の範囲であるというのが昭和三十一年以来の政府の立場だというふうに考えておる次第でございます。
塩田委員 大臣の再確認の御答弁はそのとおりに受けとめます。
 ただ、これを実行するとなれば、やはり我が国は今持っていない、またそういう体制にない。アメリカにやってもらうしかないわけですね。アメリカにやってもらうのには、やはり日米間の同盟、これが本当に強固なものでないとやってくれるはずはないですね、血を流すことを覚悟でやるわけですから。
 あと、集団的自衛権の問題等もありますけれども、時間が参りましたのでこれで終わりますが、ひとつ本当に、我が国の安全、防衛について万全を期して御努力をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
山口委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子です。
 公務員制度改革について質問をいたします。
 石原大臣に質問いたします。
 平成十三年十二月に公務員制度改革大綱が閣議決定をされまして、現在法案化の作業が進められているということですけれども、五十年ぶりの改革と言われる今回の改革における重要テーマは、何といっても労働基本権の問題であると思います。
 現在、政府は労働基本権制約を維持するとの方針のようですけれども、十三年三月の公務員制度改革の大枠あるいは同年六月の公務員制度改革の基本設計では、労働基本権の問題を検討課題としていました。しかし、現在は労働基本権制約を維持するという方針のようですけれども、この間、政府の中で、関係省庁を交えて、かなりの回数で検討会議が行われたことと思います。
 そこで、このような会議がどういう議論で行われたのか、その辺をお示しいただきたいと思います。
春田政府参考人 お答えいたします。
 今の公務員制度改革大綱に至る労働基本権の制約の取り扱いについて、どういう議論があったかというお尋ねでございます。
 私ども、公務員制度改革の検討に当たりまして、この労働基本権問題をどういうふうに取り扱うかというのは、先ほど先生お話がありましたように、いわゆる大枠でございますとか基本設計であるとか、そういったところでの議論で非常に重要な問題であるという認識をまとめさせていただいたところでございますが、実は、その検討に当たりまして、政府部内で、私ども内閣官房としての取り組みをしてまいったわけでございますが、もう一方で与党における御検討もございました。
 それで、私ども、公務員制度改革をいろいろと設計していくに当たりましては、労働基本権の制約との関係を一体どういうふうに改革の中で整理するかということで、労働基本権の制約を前提にした上で組んだ場合にどういう改革の内容というものが検討できるのかというような課題も、実は、いろいろな議論の中で、そういう方針で考えたら一体どうなるのかという議論もございまして、そういう意味では、いろいろと法制度的な関係を労働基本権との関係で検討いたしまして、特に今の労働基本権の制約を維持したときにどういう形になるかというのもぎりぎり考えてみるようにという指摘もありましたので、そういう検討もいたしまして、与党での御議論も踏まえまして、先ほど、平成十三年の十二月の閣議決定というところでのまとめをしたという経緯でございます。
山口(わ)委員 私が今質問を申し上げましたのは、政府の中でどう議論を進めてきたかということを聞きたかったわけです。つまり、大変重要な問題ですから、それぞれ各省庁があるわけで、その省庁の中でこの労働基本権制約問題についてどういう真剣な検討がされたかをお聞きしたかったわけですけれども、与党の中で議論をしただけで、各省庁との議論はなかったんでしょうか。
 もしあったということであれば、その議論の経過や質問の中身とかあるいはどういう議論があったかをお聞かせいただきたいと思いますが、各省庁間での議論はあったのかなかったのかだけ、簡単にお答えいただきたいと思います。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 公務員制度改革の基本的な枠組みにつきましては、平成十二年の十二月の行革大綱で閣議決定がなされておりまして、その中で、いわゆる人事制度については、能力とか業績、こういったようなものが反映する制度ということで、人事制度を信賞必罰ということで組み立てるという命題がございました。
 これを具体的に、制度的に組んでいく場合に、労働基本権との関係がどういう扱いになるかということにつきまして、まさに先ほどお話し申しましたように、その改革の内容において、今の制約をある意味では維持した形でぎりぎりどういうことができるかという形で検討をいたしましたので、そういう意味では、そういう内容に関しましては、関係の各省ともいろいろと幅広く議論をさせていただきました。
 基本権そのものについてはそういう枠組みでの検討ということであったものですから、そういう検討の内容に関しましては、関係の省庁とも相当いろいろな形で議論をさせていただいたというのが事実でございます。
山口(わ)委員 議論の中身については今御説明がなかったわけですので、各省庁と、これは一番大事な問題ですし、それぞれ国家公務員の皆さんがいらっしゃるところですから、やはりこの議論の中身について記録を出していただければと思いますので、提出していただけるようでしたら、後ほど提出をお願いしたいというふうに思います。
 次に移ります。
 石原大臣は、本院の予算委員会で我が党の日森委員がILOに関して質問した際に、今回の改革について、逐次、要旨がまとまりましたらILOに出させていただくという趣旨の答弁をされておりまして、このような答弁は他の質問者に対しても行われています。
 そこでお伺いしますが、大臣は、ILOに対して要旨としてどういうものを提出されたのでしょうか。私は三月三十一日にILOに提出された日本の政府見解を拝見いたしましたけれども、あれには資料で能力等級について簡単に触れていましたが、要旨と言えるようなものではありませんし、それ以外の事項については触れられていなかったというふうに思います。恐らく、あれとは別に大臣の言われる要旨があるのではないかと思いますけれども、お示しいただきたいと思います。
石原国務大臣 委員が今どの資料をお持ちでお話しされているのか、ちょっとわからないのは、実は、ILOの方の提出資料というものは英語で出させていただいております。その英語の資料のもとになります日本語の資料、かなり詳細で、今ここにあるんですが、これだけ厚いものでございますので、もし御利用でありましたら、これに詳しく各項目ごとに政府の見解を取りまとめさせていただいておりますので、これを全部御紹介するとかなりの時間がかかってしまうので、これを資料として提出させていただければと考えております。
山口(わ)委員 私は、今大臣に、そのILOに提出された日本政府の見解、公務員制度改革について、ILOにどういうふうにこの検討状況について日本の政府見解を示されたかという質問をさせていただきましたので、それ以外のことは、それはもしかしてたくさんあるかもしれませんが、今回の公務員制度改革については、ここにちょっと資料があるんですが、ここでは能力等級制度についての部分しかないと私は思っていますし、それから資料としても、能力等級制度についてだけ、ここには政府見解として出されているわけです。それだけかどうか。
 特に、この公務員制度改革について、日本政府の見解はほかに詳しく出されたのかどうかだけ、お答えいただきたいと思います。
石原国務大臣 抜粋もあるんですけれども、ILOの側の六項目につきまして、実はかなり細かく御答弁させていただいておりますので、どこをということがあれば、今詳しく御説明をさせていただければと思っております。
山口(わ)委員 では、今大臣がそこにお持ちの資料を後で提出していただけますでしょうか。お願いします。
 ところで、大臣は、行政改革推進事務局が既に各省に法案の一部を示しているということを聞いておりますが、このことは御存じでしょうか。
石原国務大臣 存じております。
山口(わ)委員 そういう法案があるのであれば、大臣のこれまでの国会答弁を前提とすれば、ILOに状況報告をきちっとするべきだというふうに思っていますが、先ほどの資料を後で見せていただいて、そのところは検討したいというふうに思っています。
 いずれにしましても、大臣は逐次要旨をILOに提出すると国会で約束されたわけですから、これは、法案に至る過程で、何回かまとまったものから情報提供するという意味だと思います。法案を閣議決定した後でILOにそれを送るということはまずないと私は思っていますが、そのことにつきましては、これからも確認させていただきたいというふうに思っています。
 それから続きまして、能力等級制度について、基本的な事項について質問を行いたいと思います。
 私は、これまで各委員会において能力等級制度について質問がなされた際の大臣の答弁をお聞きしましたけれども、能力等級制度がどういうものなのか、よく理解できません。この前の質問でも申し上げましたけれども、一体、今回の能力等級制度を導入した場合に、能力等級制度と任用、給与はどのような関係に立つのか、わかりやすく教えていただきたいというふうに思います。
 また、ILOに提出された政府見解の資料でも、職務遂行能力基準ですとか、職務適性という概念が使われていますけれども、これは一体どういうものであるのか、これをどう評価して任用や給与に結びつけていくのか、教えていただきたいと思います。
石原国務大臣 今、山口委員から御質問がありました点は、予算委員会あるいは内閣委員会等々で何度も御質問いただいたもので、わかりやすくということであるならば、これはなかなか例がないことですけれども、フリップでもあれば少しわかりやすく説明できるんですが、言葉で説明をさせていただきますと、なかなか御理解をいただけないのかなというような印象を持っております。
 一言で言いますと、これまでの職務にどういう人間を配置しているのかということは、仮に、山口委員がこれだけの能力を持っているという潜在能力に着目して任用を行っていたのがこれまでの制度ではないかと私は考えております。
 そこで、今回の御質問の能力等級制度とはどういうものかということなんですが、簡単に御説明を申し上げますと、ポストというものを仕事の難しさ、もちろん、そのさまざまなポストによって仕事の内容というものが違ってくると思います。
 例えば、外務省を例にとらせていただくならば、今イラクの方で紛争が起こっておりますので、中東を担当する課の仕事というものはかなり難しくなってきている。仕事の難しさに応じて、能力等級というものをまず分類するわけであります。そして、職員の皆さんにつきましては、仕事を通じて実際に発揮できる能力、例えば中東問題であるならば中東問題を適切にこの方は処理することができるのか評価して、能力等級に位置づけるわけであります。そして、そのポストと、その職務を的確に処理できる人材をこの能力等級制度という制度を通じて適切に対応させる。これまでの潜在能力ではなくて、実際にポストに見合った人を、ポストの難しさに、分類に従って配分していくという制度であると思っております。
 では、それで一体何が変わるのかというのがその次の問題であると思うのですけれども、職員がその能力、先ほど例を出しました、例えば中東問題に精通しているポストに配置されたとしますと、その人の能力があるならば、適材適所の人事ということになります。もしそれに、仮に、いや、この人は大丈夫だろうと思ってやっていたけれども、能力がなければ、そこの問題に対応できない適材不適所ということになるんだと私は思っております。
 仕事を遂行する上での必要な能力というものが任官された職員に明示されることによりまして、職員の、そのポストについた方の主体的な取り組みというものが私は促進されていくのだと思います。そして、こういうことを通じまして、組織全体の、外務省なら外務省の中の人材の資源というものが有効に活用されて、それによりまして、非効率という批判も時々あります公務の世界に、能率的な職務の遂行というものが実現していくものだと私は考えております。
 また、もう少しこれをわかりやすく説明するには、いつも私は図があればいいと言うんですけれども、ポストがあって、ポストへの任命がありまして、そこに職員がいる。そして、そのポストのところに能力等級の分類というものがありまして、職員の側にはその能力等級の決定というものがある。それを一直線で結ぶと、その人を一体どこに張りつけるのが望ましいし、どれだけの能力の方がどのポストにつけばいいのかというのがわかってくるんだと考えております。
山口(わ)委員 私は頭が悪いものですから、何だかよくわかりませんで、余計混乱をいたしましたけれども、私の質問は、その能力等級と任用や給与とをどういうふうに結びつけていくのかというところがよくわからないわけです。
 今、大臣の御説明だと、能力をどういうふうに見るか、その能力をどういうふうに評価するかというお話はしていただきましたけれども、その能力を、どうやって任用して、どうやって給料に結びつけていくのかというのがわかりませんと、これはやはり公務員にとりましては大変なことだというふうに思うんですね。日本じゅうに百十万の国家公務員がいますし、地方公務員も三百三十万人もいるわけですが、能力によって、例えば、今の給料が突然、能力をどこでどういう評価するか知りませんけれども、評価することによって三年前の給料に戻ってしまったり、もしそういうことがあるんだとしたら、それはもうとても不安で、仕事はやっていけないというふうに思うのですね。
 私は、能力等級制度というのを言いかえれば、多分今までの勤務条件だというふうに思うのですね。労働条件あるいは勤務条件をどう見るかということだというふうに思うのですが、能力等級制度というふうに言ってしまいますと、本当に何のことだかよくわからないというところが、私だけじゃなくて、きっとここにいらっしゃる皆さんもわからないんじゃないかというふうに思うのです。
 ここのところは、やはりもう少しきちっと、能力によってどう任用や給与に結びつけていくのか、これは技術的な問題じゃないと思うのですね、基本的な問題だというふうに思っています。
 そこで、次に進みますけれども、石原大臣は、御自分のホームページで記者会見の様子を紹介されておりまして、その中で、能力等級を法律でしっかり規定する、政省令で立法府の目にとまらないところで自分たちの好きなようにと疑念を持たれるような改革は望ましい方向ではないとおっしゃっています。
 私もそれは全く同感だというふうに思っていますが、やはりこの能力基準も当然法律で詳しく規定することになると思いますが、この辺は大臣のお考えはいかがでしょうか。
石原国務大臣 山口委員の御指摘のとおり、この基準というものは明確に法律で定めない限り、今委員が御懸念されたようなことを職員の方が持たれる。そして、その基準に合った相対する部分につきましても、職域団体の方と、すべてをこの法律で全部書くということはできません、各役所によっていろいろ勤務条件、勤務条件というか、ポストの仕事が違いますので、そういう部分については、下位法令の整備の段階では、もちろんそこの各職域の方々と、組合の方々とも十分に御相談をさせていただいて、委員が御懸念されるようなことのないようなものにつくり上げていかなければならないと考えております。
山口(わ)委員 やはり私はきちんと法律で明記する必要はあると思いますし、政省令に委任するということはやはり考えられない。きちんと法律で規定していかないと、これは本当に一人一人の生存権の問題にもかかわってきますから非常に大事なことだというふうに思っていますので、その辺はぜひきちんと検討していただきたいというふうに思います。
 そして、今の点に関連しまして、労働団体から聞いているところでは、政府は能力等級制度について、制度の詳細の委任先を人事院規則ではなくて政令にすることを考えているというふうに言われています。能力基準は法律で定める必要があると考えていますが、仮にそれ以外の事項で法律から下位の法令に委任することが適切なものがあるとしても、それを使用者側の内閣が政令で定めることはあり得ないというふうに思います。
 これは先ほど大臣が答弁されましたように、能力等級や給与や任用に関するわけですから、民間企業であれば当然交渉事項です。先ほど大臣がおっしゃいましたように、やはり労使が対等な交渉ができるシステムをつくっていく必要が当然あるというふうに思っています。
 三月三十一日の労働団体との会見でも、大臣は、今回の改革と基本権問題を切り離すとは言っていないというふうに明言されていますから、私が今申し上げた点につきましても問題意識をお持ちだと思いますが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員の御指摘は、実施体制のことについての御質問であると思うんですけれども、職階制、これは残念ながら実現していないんですけれども、これは人事院の所掌する事務と整理されておりますけれども、今回の改革は、この職階制にかわる能力等級制度という取り組みでございますので、この能率的な運営を図る観点から、内閣総理大臣が実施するということに整理をさせていただいております。
 そして、委員の御懸念は、その段階でだれの目にもとまらないところで好き勝手に物事が決まっていくというならば、働く職員の方々が大変不安に思うし、よくないのではないか、こういう御趣旨の御質問だと思っておるんですが、それは十分に委員の御懸念にこたえる形で、職域団体の方々とは御相談をさせていただくことになるものと承知しております。
山口(わ)委員 最初の質問でも申し上げましたけれども、やはり労働基本権を制約するということではなく、きちっと労働基本権を保障する中で労使が対等にきちんと話し合う、そして交渉できるシステムをつくっていかない限り、この問題は非常に尾を引くと思いますし、不安な状況は依然として変わらないというふうに思っていますので、この辺はぜひ、労働基本権制約でなく、きちっと労働基本権を保障する、そんな中で交渉をしていく、そして法律にきちっと決めていくということでこれからも進めてほしいというふうに思っていますし、どうしてもこの能力というのは非常にわかりにくいですね。だれがどう能力を判断するのかということになりますと、これは非常に問題だと思っています。
 特に、憲法に保障されますように、公務員というのは全体の奉仕者である、つまり、官僚が官僚の能力を判断するのではなくて、もし判断するとしたら、これは国民が判断することだというふうに私は思っていますから、そういう意味でも、この能力ということを余り気軽に、簡単に評価をしたり、それが賃金に結びついたりするようなことはやはり避けるべきだというふうに私は思っています。
 今の点に関しまして、別の角度から質問をいたします。
 能力等級制度につきまして、制度の運用を各省の当局が主導権を持って行うと、私は、上位の等級を今以上にキャリア職員が占めてしまうのではないかというふうに心配をしています。そうなりますと、2種職員や3種職員の士気に影響が生じますし、行政の一体性や効率性が損なわれてしまうというふうに思っています。それを避けるためには、各省の本省あるいは出先機関において、能力等級制度の具体的な運用について労働団体と交渉して決定していくことが不可欠だと思っています。そういうシステムづくりが、こういった実際面からも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 この点についても、実はまだほかの省庁にこの法案を提示していないというふうに、きのうレクをしたときに国土交通省や厚生労働省の皆さんから言われまして、まだ石原大臣の手元で、法案は各省庁に提示していないということなんでしょうか。やはり労使関係に関心の高いところは、こういう問題についてきちっと議論をしていかなきゃいけないというふうに思うんですが、その辺は、まだまだ各省庁に法案は提示していないということなんですね。
 それと、今言ったような心配がありますから、なおさら労働団体と交渉していくことが必要だと思いますが、この辺はいかがですか。
石原国務大臣 ただいまの山口委員の御質問は二つに分かれておりますので、順番にお答えをさせていただきたいと思うんですが、前段の、1種採用の方々が職務を独占する、これはやはりあってはいけないことですし、たまたま採用の試験が違うのであって、2種の中にも3種の中にも優秀な方々はたくさんいらっしゃいます。そういうものの中で、個人的な考えとしては、将来的にはこの1種、2種、3種という考え方をまた新しい時代に合ったものに変えていく必要があると私は思っております。
 今回の改革の中でも、これはイギリスの方で実施されておりますファーストストリーマー、すなわち、最初の試験で1種に受かった方々が、課長までは昇進するけれども、そこからはもう試験の採用に関係なく競争条件を同じにする、こういうものを入れていかなければならないし、能力等級制によりまして、委員は御懸念ばかり言われておったんですが、私どもの考えとしては、職員の職務遂行能力、これだけの能力があるというものに見合ったポストへの配置というものがよりスムーズになると私は考えております。
 そんな中で、若手の方の抜てきとか、勤続年数とか採用年次とか採用試験にとらわれない、真にその方の持つ能力に見合って、適材適所の人事配置が実現するようになることが今回の制度を仕組んでいく上で可能になると考えているということが前段の御質問に対するお答えでございます。
 そして、ちょっと後段の御質問の意味、取り違えていたら恐縮なんですけれども、先ほど来のこの労働基本権に対しての委員の御指摘、あるいは昨年十一月にILOの勧告が出まして、この労働基本権制約の代償措置が日本にはあるわけですけれども、基本権を回復すべきであるというふうな勧告が出たということを承知しておりますし、この問題について、私も職員団体の皆様方と議論をすること自体を否定するようなことは一切ございませんし、今後とも、この問題は大変重要な問題でございますので、職員団体の皆様方との間で、どのような形でどういうふうに相談していくのかということも含めて、適切に対応しなければならない問題であると。
 過去の委員会の答弁で若干誤解されたので先に申してしまいますと、私は、切り離すなどということは一言も言っておりませんし、これは今申しましたように、職員団体との間でどのように議論していくかを相談していく中で適切に対応していかなければならない重要な問題であると認識をしております。
山口(わ)委員 当然この職員労働団体とはきちっとやはり協議をしていく前提に立たない限り、公務員制度改革は大変難しい問題ですからこれは当然だと思います。法案を出す前にやはりもっともっと議論を深めていく、各省庁間でも議論を深めていく問題だろうというふうに思っていますし、これは先ほど大臣が言われましたように交渉事項でもありますから、きちっと論議をしていく必要があると思っています。まだまだこの問題は、公務員制度改革の中では、この能力等級制度につきましても、キャリアシステムにつきましても、採用試験の問題につきましても、まだたくさん問題があるというふうに思っています。そういう議論をぜひこれからも積み重ねてほしいと思いますし、聞くところによると、ことしじゅうに法案を出すというようなお話も聞いていますので、余り早急に、皆さんの意思統一ができない前に法案を出すようなことだけはぜひしないでいただきたいというふうに思っています。
 またこの問題については質問をさせていただきますが、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
    〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
持永委員長代理 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 きょうは、政治と金の問題についてお聞きをいたします。
 昨年からことしにかけて、鈴木宗男衆議院議員のあっせん収賄事件、あるいは加藤紘一前衆議院議員事務所代表者の所得税法違反事件、自民党の長崎県連公選法違反事件、さらには最近の坂井隆憲衆議院議員の政治資金規正法違反事件など、政治と金をめぐる問題が本当に後を絶たない、そういう状況であります。これらの事件に共通しているのは、企業献金、この企業献金が事件の温床になっていると言っても決して過言ではないと思います。
 そこで、きょうは石原大臣、鴨下副大臣にお越しをいただいておりますけれども、これらの事件についてのそれぞれの御見解をまずお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま大森委員が御指摘をされました昨今の政治と金をめぐる問題、これは古くて新しい問題で、過去にもさまざまな問題が露呈し、国民の皆様方に対して政治の信頼が揺らぐという事態を招いてきたということは、私も残念でならないと思っております。
 ただし、私は、委員が今否定されました企業・団体献金というものは、企業が社会的存在意義がある以上、企業・団体献金を透明化することは必要でありますけれども、企業・団体献金をすべて廃止するということには反対でございます。幅広く国民の皆様方からこの民主主義を維持していくコストをどういうふうに負担していただくのか、各党各会派の御議論、できる限り幅広い合意が得られる中で、国民の皆様方の政治に対する不信というものを払拭していくことが肝要なのではないかと考えております。
鴨下副大臣 今、石原大臣がお話しになったのとほぼ同様でございますけれども、一つ個別のケースにつきましては、これは私自身も事実関係について十分に把握しておりませんので、コメントすべきでないというふうに思います。
 また、企業・団体献金そのものにつきましては、企業も団体も、労働組合も含めまして、ある意味で社会的存在でありますので、民主主義のコストとして節度ある献金は容認されるべきだというふうに思いますし、さらに、献金を受けた政治家につきましては、ある意味で有権者たる国民にディスクローズをして、そして、その結果につきましては国民の審判をいただく、こういうようなことが民主主義の原則だろうというふうに理解しております。
大森委員 古くて新しい問題というお話がありましたけれども、確かにこの古くて新しい、とりわけ自民党にとっては、この政治と金の問題が絶えず後を絶たないということの最大の要因の一つが企業献金だと思うんですね。それがまさに温床になっていることが今共通の認識になってきている、にもかかわらず、それぞれそれを容認される御答弁でありました。
 古くて新しいということが出ましたので、あえて申し上げれば、かつてこの政治資金規正法をめぐる問題では、黒い霧事件以降、本当にそれなりに企業献金禁止についての検討もされました。当時の第五次選挙制度審議会においては、おおむね五年間で個人献金と党費に切りかえていく、そういう方向まで出されたにもかかわらず、依然として後を絶たないし、こういう面では全く前進もしなければ、むしろ後を絶たない、そういう事件が連続するということであります。
 石原大臣も、そういう面で大きく変貌していると思うんですね。あなたは、細川内閣当時の九三年十月二十八日の政治改革特別委員会、ここで政党助成金問題で質問をされているわけなんですが、当時は自民党、野党ですね。政党というものが寄附をもらう団体なのかもらわない団体なのか、もし寄附をもらうんであるならば国庫助成金はいただかない、そして、もし国庫助成金をいただくなら個人、団体、企業献金を含めすべてもらわない、こういう発言をされておるわけですね。
 当時野党だからこういうことを言ったのか、余りにも変わりようで、先ほどの答弁、大きく後退をしているのではないかと思いますが、いかがですか、その点は。
石原国務大臣 十年前に私が何と言ったかは詳細に覚えておりませんが、私は当時、多分、政党助成金を導入するかしないかというような議論がなされているときに、政党助成金よりも、広く薄く献金に頼っていくべきではないか、その旨で発言をした記憶はございます。
大森委員 政党助成金をいただくのであれば、個人、企業、団体献金はもらわないということをおっしゃっているわけです。しかし、政党助成金はきちんともらって、かつ団体献金も引き続き受け取っておられるということで、やはりそれは大きな後退としか言われないと思うんですね。
 こういう企業献金をめぐっての政治家にかかわる事件が相次いで起こっている、そういう中で企業・団体献金を容認するということ、本当にあきれるばかりでありますけれども、あえてお聞きいたしますけれども、企業・団体献金は容認する大臣、副大臣でも、まさか公選法やあるいは政治資金規正法に違反してまで企業・団体献金を受け取るということまでは容認されないと思うんですが、念のため、これは石原大臣にお聞きをしたいと思います。
石原国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
大森委員 そこで、総務省にお聞きをいたしますけれども、政治資金規正法では、寄附の量的制限と質的制限の規定があるわけですが、質的制限は政治資金規正法二十二条の三、四、五、六で規定をされております。そこで、政治資金規正法の二十二条の三の条文と、条文の趣旨について御説明をいただきたいと思います。
高部政府参考人 お答えを申し上げます。
 政治資金規正法第二十二条の三第一項におきましては、国から補助金等の交付を受けた会社その他の法人は、当該補助金等が試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの等である場合を除き、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところでございます。
 この規定は、国から補助金等の交付を受ける会社その他の法人等の政治資金の授受は、補助金等の決定をめぐり不明朗な関係を生じさせる危険性があること等にかんがみ、このような会社その他の法人が行う政治活動に関する寄附について規制しようとするものでございます。
    〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
大森委員 国から補助金等を受けている法人は国との間で特別な関係にある、この特別な関係を維持し、あるいは強固にするために、そういうことを目的にして不明朗な政治活動に関する寄附をしてはならないということですね。
 だとすれば、この維持し、または強固にするために、今の御答弁に関連してこれはこういう説明をされているわけなんですけれども、維持し、または強固にするためということは具体的にどういうことを指しているのか、重ねてお聞きをしたいと思います。
高部政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、補助金等の交付を受けている会社等からの政治資金の授受が補助金等の決定をめぐり不明朗な関係を生じさせるということで、具体的にどういうということではございませんで、こういう危険性があることから、政治活動に関する寄附を規制しよう、こういうことがこの規定の趣旨だというふうに理解しているところでございます。
大森委員 では、今のは献金を行う側でありますけれども、寄附を受ける側の規定はどういうぐあいになっているんでしょうか。
高部政府参考人 政治資金規正法第二十二条の三の第六項におきまして、何人も、第一項の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならないとされているところでございまして、この規定に違反して寄附を受けた者は、「三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」ということとされているところでございます。
大森委員 罰則条項としてお話があったように、「三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」こういう罰則規定がある大変重要なこれは規定であるわけですが、そこで具体的にお聞きをしますけれども、まず石原大臣、あなたは自民党の政党支部、自民党東京都第八選挙区支部の支部長に就任されていると思うんですが、これは間違いないですか。
石原国務大臣 間違いございません。
大森委員 では、重ねて大臣にお聞きしますけれども、第八選挙区支部が、平成十二年、二〇〇〇年ですね、杉並区にある河北総合病院から寄附を受けていますが、寄附額と寄附を受けた月日についてお答えいただけるでしょうか。
石原国務大臣 五十万円の寄附をちょうだいいたしました。
大森委員 月日についてもお聞きしましたが、今大臣が答弁された五十万円、これについては、今配付をさせていただきました資料の一に記載をしております。五十万円、年月日は平成十二年六月十四日ですね。
 そこで、この資料、次の二を見ていただきたいんですが、平成十一年度、河北総合病院、直接補助として、補助金決定年月日、平成十二年三月八日に補助金の交付を受けております。補助事業名は医師臨床研修事業、この補助事業は直接補助となっている。これは、先ほどの選挙部長の御答弁からいっても、明らかに政治資金規正法二十二条の三に違反するものではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 先ほど部長の方から答弁がありました政治資金規正法二十二条の三の第一項においてですけれども、「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの及び政党助成法第三条第一項の規定による政党交付金を除く。)の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」という規定が置かれていることは私も承知しております。
 ただ、今委員の御指摘のありました今回の補助というものが当該規定に合う給付金等に該当するかなどを含めて事実関係を精査して、適切に対応していかなければならない問題であると認識をしております。
大森委員 明らかに、私ども、厚生省から直接資料をとって調査したものでありますから、当然、この政治資金規正法で言う補助金等に該当するものだと思います。そういう答弁では私は納得できないと思いますが、特に、こういう補助金を受けてから三カ月後に五十万円の寄附をしているわけですね。
 私ども、一九九五年以降について、大臣の資金管理団体である石原伸晃の会と自民党東京都第八選挙区支部の政治資金収支報告書を閲覧いたしました。河北総合病院からの寄附はこの平成十二年のみですね。この二〇〇〇年以前も、平成十二年以前も以降も病院としての寄附は一切行われていないわけであります。平成十二年六月十四日、医療法人名で五十万円、あわせて理事長名で三十万円やられているわけですね。合計八十万円のそういう寄附がやられているわけですよ。これは明らかにこの補助金を受けたことに対する謝礼という趣旨をその中に含んでいると見るべきではないですか。ある日突然、今まで寄附を全く受けていない法人から、あるいはその法人の理事長名から、八十万円の寄附を受けて、あなたのこの事務所では、第八選挙区支部等では、平気でそういう寄附を受けることになっているんですか。
石原国務大臣 それはまさにげすの勘ぐりであると思っております。
大森委員 げすの勘ぐりとはどういう意味ですか。補助金を受けて、その年にのみ五十万円、八十万円の寄附を受けているということが、一般の人は、当然、そういう補助金を受けてその謝礼という理解以外ないじゃないですか。
 あなたは、昨年の三月二十五日の参議院予算委員会で、加藤元自民党幹事長から献金を受けていたと質問をされて、大臣は、やはり政治とお金というものは国民の皆さん方に明らかにしていかなければなりませんので、このような口ききとかそういうことがあってはならないと強く感じておる、こういう答弁もされております。さらに、これは昨年の四月十二日の衆議院内閣委員会、ここでも、公共事業受注業者からの献金について問われ、李下に冠を正さず、こういうことまで言われておるわけですよ。
 こういう、政治資金規正法上で補助金を受けている企業から献金を受けてはならないということを知りながら、今それが精査してみなければわからないというような答弁では、こういう今紹介したあなた自身の李下に冠を正さずということとの答弁と全くこれは異なる態度と言わなければならないと思います。重ねてそれは御答弁をお願いしたいと思います。
石原国務大臣 先ほども御答弁をさせていただいたんですが、政治資金規正法二十二条の三の第一項においては、「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの及び政党助成法第三条第一項の規定による政党交付金を除く。)の交付の決定を受けた会社その他の法人は、」「寄附をしてはならない。」というふうになっておりますので、委員御指摘の、今回の補助というものが当該規定に言う給付金等に該当するかなど、委員は決めつけていらっしゃいますけれども、事実関係を精査し、適正に対応してまいりたいと申し述べております。
 そして、委員の御指摘の点につきましてでございますが、これは非常に選挙区事情のものでございまして、中選挙区時代は残念ながら私どもの陣営を支持していただいてなかった、また、小選挙区でも一回目は支持をしていただいてなくて、あった、そういうその理事長さんとの関係というものもあったのではないかと承知しております。
大森委員 私どもは、今回の質問に当たって、きちんと調査を行い、必要な検討も行って、それも極めて紳士的に質問をしているところであります。ところが、それをげすの勘ぐりと。私はげすですか。そういう言葉は直ちにこれは撤回していただきたい。あわせて謝罪していただきたい。何がげすの勘ぐりですか。
 私は、この事務所で、この質問をする際に、東京都に行ったり、あるいは政治資金収支報告書全体にわたってきちんと調査した上で、しかも資料をきちんとお示しをして、しかも事前に昨日の段階で、既にこの中身はあなたの方に知らせてあるはずです。それを今になって、今これから精査って何ですか。げすの勘ぐりなんというのは、これは直ちに取り消していただきたい。
石原国務大臣 委員のロジックは、献金を受けた日にちと、給付金を受けた、病院側が受けた日にちが近いから、それが私があっせんをしてそういう病院側が給付金を受けたと断定をしているからげすの勘ぐりだと申したわけでございます。
大森委員 私は、あなたがあっせんしたと、そこまではまだ言ってないんですよ。当然そういうことも想像はされますけれども、そういうことを私は言いましたか。政治資金規正法の条文について説明がありました。補助金を受けたそういう法人がそれから一年以内にやっちゃいけない、そういうことの関係で違反じゃないかと私は指摘をしたわけですよ。あなたの方から、まさに語るに落ちたと。あっせんして、それなら、なおさらこれは問題ですよ。あっせんであれば、なおさらそれは問題であります。
 重ねて、そういうげすの勘ぐりなんという言葉を委員会の場で大臣が口にすることについては、大変問題があると思います。これは、重ねて大臣の訂正を、ぜひ撤回していただきたいと思います。
石原国務大臣 何度もお話をさせていただいておりますように、試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの及び政党助成法第三条第一項の規定による政党交付金を除く政治活動に関する寄附をしてはならないというふうに指摘されているわけでございますし、委員御指摘の二〇〇〇年の三月にですか、その当病院が臨床研修費補助事業の認定を受け、二百七十三万円余りの交付を受けている事実を私が厚生省にお願いして頼んだということは全くございません。
大森委員 鴨下副大臣にも来ていただいていますから、あなたにもお聞きをしますが、あなたが支部長に就任している自民党東京都第十三選挙区支部、これは二〇〇〇年の政治資金収支報告書の原簿を閲覧して作成した資料でありますけれども、資料の三をごらんいただきたいと思います。
 これは、六月十五日、西新井病院から十万円、それから六月二十一日、医療法人慈生会からの十万円の献金を受けております。原簿から書き写したものでありますが、これは間違いないと思います。いかがですか。
鴨下副大臣 今お示しいただいている資料のとおりでございます。期日等につきましても、平成十二年の六月の十五日、西新井病院、そして平成十二年の六月二十一日、これは慈生会等潤病院という病院だろうと思いますが、そういう意味での政治資金収支報告書に記載があるということは事実でございます。
大森委員 資料の四と五を見ていただきたいんですが、この四と五では、両医療法人に対する厚生省からの補助金の交付内容であります。両法人に対する補助金決定日は九九年十月の十二日。決定日の八カ月後の二〇〇〇年六月、合計二十万円の献金を受けております。
 これも先ほどの選挙部長の御説明からいっても政治資金規正法違反に該当すると思いますが、鴨下副大臣の見解をお示しいただきたいと思います。
鴨下副大臣 昨日の質問通告の中では、政治資金収支報告書に記載があるか、こういうようなことだけの御下問でありましたので、このあたりにつきましての事実関係につきましては、これから調べさせていただきたいというふうに思います。
大森委員 これも厚生省の資料から直接抜き出したものですから、事実関係は全く間違いないところであります。
 こういう患者サービス、補助事業、慈生会に対して行われている。こういう補助金を受けて、それから数カ月後にこういう献金が行われるということは、明らかに政治資金規正法違反だと思うんです。こういう点、これをきちんと、改めて副大臣の見解をお聞きしたいと思うんです。
鴨下副大臣 ですから、そういう補助金を受けていた、こういう事実につきまして、私は確認しておりませんし、それから、この献金をいただいたときに、この二病院がそういった補助金を受けていたという事実につきましては、私は全く了解をしていなかったということでございます。
大森委員 これは、こうした補助金等については、特に事務所に対して献金が行われる、そういう際に、こういう団体がどういう団体であるか、そういうことを全然調べもしないで、ただ受け取られるのか。これは石原大臣にしても鴨下副大臣にしてもそうだと思うんですね。
 きょうは渡海副大臣の実は出席要請したんですが、都合が悪いようでありますけれども、この渡海副大臣についても、資料六で明らかにしております。これは、資金管理団体である紀政会、それから支部長に就任している自民党兵庫県連、兵庫県第十選挙区支部の収支報告書ですね、作成した資料であります。これは紀政会、九九年ですね。医療法人仙齢会から毎月一万円、合計十二万円の献金を受けている。それから、第十選挙区支部は、二〇〇〇年に毎月一万円、合計十二万円の献金を受けている。
 総務省、これは事実関係、確認しておきたいと思います。
高部政府参考人 お尋ねがございました資金管理団体、紀政会の平成十一年分の収支報告を確認いたしましたところ、医療法人仙齢会はりま病院から、平成十一年四月十五日から平成十一年十二月十五日にかけて、毎月一万円ずつの寄附を受けていると記載があるところでございます。
 それから、自民党兵庫県第十選挙区支部の平成十二年分の収支報告書について、兵庫県選挙管理委員会に確認しましたところ、医療法人社団仙齢会から、平成十二年一月十七日から三月十五日にかけて、毎月一万円ずつ、計三万円の寄附を受けた旨の記載があるとの報告を受けているところでございます。
大森委員 資料の七と八で、寄附をした法人へのどういう補助事業が行われているか、これを明らかにしております。今、厚生労働省のみの補助金でもすぐこういう形で出てくるわけですね。政府のすべての省庁にわたって調べれば、もっともっとこういうものが出てくると私は思うんですね。こういうもののそれこそ頂点に、鈴木宗男事件やら加藤紘一前衆議院議員に関する事件やら、そういうものがあると思うんですよ。
 ですから、それぞれのところにおいて、それこそ李下に冠を正さず、こういう姿勢にきちんと立つことが必要だと思うんですね。
 そういうことを指摘して、特に、この間の政治腐敗事件に関連して、自民党の政治制度改革本部で、政治献金の公開基準を、現在の五万円超から、きょうの新聞の報道では二十四万円から三十万円に引き上げる方針だ、しかも献金限度額の引き下げも見送り、公開基準もそういう形で引き上げるというような報道までされているわけですね。そうすると、二十四万円から三十万円とすれば、石原大臣への五十万円は別としても、その他のこういうものは、やみにまた葬り去られてしまうということで、それこそ石原大臣が人ごとのように、古くて新しい問題と、その責任は、そういうことを一つ一つきちんと解明しない皆さんのところに責任があるんだということを申し上げたいと思います。
 そこで重ねて、先ほどのこの委員会を、そして委員の質問を侮辱するような発言については、これは委員会としても私は委員長、取り消しを要求したいということと、重ねて、先ほど精査をするという御答弁もありました。これについては後ほど改めて私は質問していきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
石原国務大臣 私は、共産党の主張とは相入れないものが多々ありますけれども、平素から、大森委員の質問というものは舌鋒鋭く論点を突いているなという意味で、決して大森委員個人を誹謗中傷するようなことはなくて、これはその解釈において日本語の単語を申し述べた限りでございます。
大森委員 終わります。
山口委員長 次回は、来る十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十九分散会


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