衆議院

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第7号 平成15年7月2日(水曜日)

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平成十五年七月二日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 水野 賢一君 理事 宮路 和明君
   理事 持永 和見君 理事 森田 健作君
   理事 奥田  建君 理事 木下  厚君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      石田 真敏君    植竹 繁雄君
      江藤 隆美君    大木  浩君
      梶山 弘志君    河野 太郎君
      近藤 基彦君    橘 康太郎君
      谷  洋一君    津島 恭一君
      中村正三郎君    永岡 洋治君
      額賀福志郎君    橋本龍太郎君
      宮腰 光寛君    武藤 嘉文君
      村上誠一郎君    赤松 広隆君
      上田 清司君    北橋 健治君
      齋藤  淳君    葉山  峻君
      古川 元久君    松崎 公昭君
      神崎 武法君    大森  猛君
      穀田 恵二君    山口わか子君
      山谷えり子君    保坂  武君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       亀井 善之君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            船渡 享向君
   政府参考人
   (総務省行政評価局長)  田村 政志君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   政府参考人
   (林野庁長官)      石原  葵君
   政府参考人
   (経済産業省貿易経済協力
   局貿易管理部長)     細川 昌彦君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          中村  薫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    青木 宏道君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省海事局長)  徳留 健二君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            松本 省藏君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          吉田 徳久君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   参考人
   (日本道路公団理事)   山本 正堯君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十四日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     水野 賢一君
七月二日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     近藤 基彦君
  中川 正春君     齋藤  淳君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     梶山 弘志君
  齋藤  淳君     中川 正春君
同日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     小西  理君
同日
 理事浅野勝人君六月二十四日委員辞任につき、その補欠として水野賢一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 歳入歳出の実況に関する件
 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――
山口委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、水野賢一君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
山口委員長 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君、理事山本正堯君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長田村政志君、財務省理財局長寺澤辰麿君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、保険局長真野章君、林野庁長官石原葵君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長細川昌彦君、産業技術環境局長中村薫君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、中小企業庁次長青木宏道君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、海事局長徳留健二君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、地球環境局長小島敏郎君、環境管理局水環境部長吉田徳久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野賢一君。
水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。
 まず、環境問題について幾つか質問をいたしたいと思うんです。
 ことしは、世界水フォーラムが日本で開かれるなど、水環境にかなり注目が集まったわけですが、水質の問題というと、例えば河川の水質というのは、三十年ぐらい前に比べますとかなり改善を見せてきている。川に魚が戻ってきたとか、そういうような事例も多く報告をされていますけれども、なかなか改善が進まないのが、湖沼の水質というものの改善が進んでいないわけであります。そこに湖沼の、閉鎖系の難しさというのがあるわけなんですけれども、この湖沼の水質をはかるときに、一般的にCODという値が使われているわけであります。
 ただ、このCODというときに、大きく分けまして、CODマンガンというはかり方とCODクロムというはかり方があるわけですね。これは何を酸化剤に使うかということによる違いなんですけれども、日本でCODといったときには、一般的にはCODマンガンを指しているんですが、これは国際的には非常に珍しい。国際的には、CODクロムではかる方が主流だと思うんです。
 ここでちょっとお伺いをしたいと思いますが、世界の中で、日本と同じCODマンガンを採用している国というのはどのぐらいありますでしょうか。
吉田政府参考人 お答えをいたします。
 我が国では、海域及び湖沼の有機汚濁指標でございますCODの測定法として、昭和四十六年のCODの環境基準の設定当初から、操作が簡便であること、そして、有害物質である六価クロムを使用しないという利点がございますために、過マンガン酸カリを用いる方法が採用されております。
 御質問の、我が国以外での過マンガン酸カリウムを公定法として採用している国の例は承知をしておりません。
水野委員 こういう話になると、よく、日本には日本の基準があるわけであって、安易にグローバルスタンダードを導入すべきじゃないというような声もあるわけですけれども、これは分野によりけりでして、日本だけ特殊な例を使っているということで、余りメリットは実はないと思うわけですね。一つには、国際比較がしにくいということがある。さらには、例えば日本の研究者がいかにすぐれた論文を書いたりしても、世界的に見れば妙な数値を使っているというようなことになると、内容はすぐれていても、それだけで評価されにくくなってしまうなどということも指摘をされるわけです。
 さはさりながら、じゃ、CODクロムに変えたらいいかというと、そこは非常に難しい。今までの統計の連続性、データの連続性の問題なんかもあるので、私はここで、変えればいいということを言うつもりはないんですけれども、日本の湖沼の水質に対する指標が諸外国と違っているということの指摘にとどめたいと思うんです。
 それで、今、CODのことをお聞きしましたけれども、最近、水質をあらわすときに、TOCという新しい数値が導入をされるようになってきた。例えば、厚生労働省の水質基準、水道法に基づくところの水質基準では、再来年からTOCという値を導入するようになることが決まっているわけですが、これは環境基準なども、新しくCODに変えてというか加えてといいましょうか、TOCなどを使うというようなことは考えていらっしゃいますでしょうか。
吉田政府参考人 今、先生御指摘をいただきましたTOC、いわゆる全有機炭素量でございますが、これは水中に存在する有機炭素の全量を計測するものでございます。したがって、科学技術研究の上では、炭素収支を追跡できるといった長所がある反面で、難分解性の有機物をもはかり込んでしまうという欠点がございます。したがって、現行の有機汚濁指標と意味が異なってくるという性格がございます。
 したがって、直ちに水質保全上の指標として位置づけるには難しい面もございますけれども、CODに限らず、各種の水質を測定するための指標につきましては、いろいろなそれぞれの測定法の長所、短所がございますので、それらを比較考量しながら、より適切な指標の導入、あるいは先生御指摘くださいましたような新たな指標としての導入、併用といったことについても、今後検討を深めてまいりたいと思っております。
水野委員 今お聞きしたCODにしてもTOCにしても、化学的な水質の測定法なわけですから、その分正確ではあるかもしれないけれども、一方で、人間の実感とちょっとかけ離れている部分というのもあるかもしれないわけですね。
 そのときに、よく、湖沼の水質などの場合は、住民からすると、例えばアオコがふえたとか減ったとか、はたまた悪臭の程度はどうだとか、そういうような実感できる部分の方が身近な指標だというふうにも思うわけです。
 これは環境大臣にお伺いしたいんですけれども、何か水質ということをあらわすときに、そういう住民の実感というものがより反映できるような指標というようなもの、この導入というのは考えられないでしょうか。
鈴木国務大臣 水の有機汚濁をはかる指標でありますけれども、これは、今部長からも答弁ありましたとおり、CODあるいはBODではかるということであります。
 これは、先生御指摘のとおりに、確かに、COD、BODといいましても、一般の国民からすればなかなかわかりにくいということがございますので、そういう意味では、今先生御指摘のとおり、例えばアオコがふえたとかあるいは悪臭がするとか、そういうような生活実感に根差した、しかも客観的な、そうした基準を示せるようなものがあれば、これはより国民の皆さんに水質の防止に対する意識を高めていただけますし、啓蒙、普及という面でも大変効果のあるものである、そういうふうに思っております。
 アオコの増加あるいは悪臭の発生というのは、これは、聞くところによりますと、複数のいろいろな原因があるということで、一般化するのはなかなか困難も伴う、こういうことではございますが、しかし、生活実感に根差したそういう指標が確立できれば、これは一つのあり方であるとも思いますので、きょうの先生の御指摘も踏まえまして、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
水野委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。
 さて、水質の問題といったときに、海の場合、閉鎖性の海域の場合、汚濁物質の総量規制というのが行われているわけですね。日本の場合ですと、東京湾と伊勢湾と瀬戸内海の三つに関してはそういう総量規制を行っているわけですけれども、これは湖沼の場合に適用できないのかなと思うんですが、現行の法律、例えば湖沼水質保全特別措置法などで、現行のこの法律のもとでは総量規制ということを行うことは可能でしょうか。
吉田政府参考人 湖沼における汚濁負荷量の総量の削減につきましては、湖沼水質保全特別措置法の規定によりまして、まず、関係都道府県知事の申し出によって総量削減指定湖沼として定める仕組みができております。そして、総量削減指定湖沼につきましては、都道府県知事がさらに湖沼総量削減計画を策定いたしまして、一定規模以上の工場、事業場について総量規制基準による規制等を行うことができる仕組みになっております。
 しかしながら、現在は、総量削減指定湖沼に指定されている湖沼はございません。
水野委員 法的にそういうことができるけれども現在例がないという理由はどこにありますでしょうか。
吉田政府参考人 総量規制は、今申し上げましたように、一定規模以上の工場、事業場に対して、CODでありますとか窒素、燐についての規制をより強化するという構造になっております。
 湖沼に関します汚濁負荷量、私どもが今まで把握している限りにおきましては、面的発生源といいますか、非特定の発生源、例えば土地でありますとか農用地からの負荷量が相当多い構造になっております。そんなこともございまして、総量規制基準というものが湖沼に当てはめられたときに適正に有効に機能するかどうかということについて、なお検討を続ける必要があるというふうに考えております。
水野委員 今部長のおっしゃったことというのもわからなくはないんですね。現実に、湖沼の水質汚濁というのは、いわゆる面源負荷、ノンポイント、そういう場合が非常に多いわけですから、総量規制になじむのかという議論は確かにあると思います。私自身も、そういうふうなものは一理あると思うんです。
 しかしながら、今、指定湖沼というのは十あるわけですよね。十の中には、これはむしろ産業系による汚濁が多いものも中にはあるわけでしょうから、そういうようなものというのは湖沼の性質に応じて検討するということはあっていいんじゃないですか。
鈴木国務大臣 部長の答弁の繰り返しになり、また先生も御質問の中でお触れになったとおりでありますけれども、閉鎖性海域におきましては、その汚染の源が一定規模以上の工場であったり事業場であったりするわけでありますけれども、湖沼の場合ですと、生活系と申しますか、そうした市街地からの流入、あるいは農地、森林からの流入ということでございますので、必ずしもそうした総量規制というものを今の形のままで導入することがふさわしいかどうか、その効果の面において、必ずしも同列の効果が上がるかどうかということはやや検討の余地があろうかと思います。
 いずれにしても、湖沼に総量規制を適用した場合、その有効性等につきましてさらに知見を整理してまいりたいと考えております。
水野委員 その点の知見を整理していただければと思います。
 また、今大臣もおっしゃられた森林などから出てくるもの、いわゆる面源負荷、この辺が今湖沼の水質汚濁において一番大きいポイントになっている点ですので、その辺、対策が難しいというのはよくわかるんですけれども、その辺についても研究を進めていただければというふうに思います。
 さて、地球温暖化について質問をいたしたいと思います。
 地球温暖化対策推進法という法律によると、事業者は温室効果ガスの排出抑制計画というのを策定することが求められている。いわばこれは努力義務のような規定になっていますけれども、現在この策定状況というのはどうなっていますでしょうか。
小島政府参考人 環境省では、事業者の温室効果ガス抑制のための計画の策定状況についてアンケート調査を行っております。
 対象は、上場企業及び従業員五百名以上の企業、六千三百六十社でございます。そのうち、二千八百九十八社から回答がございました。回答率は四五・六%であります。そのうち、計画を策定しているものは七百十八社でございます。これを割合で申し上げますと、送付先全体については一一・三%、回答をいただきました会社、事業者についての割合は二四・七%ということであります。
 このアンケート調査は三年間これまで実施しておりまして、平成十一年度では四百九十九社、平成十二年度では五百九十八社、平成十三年度では七百十八社ということで、各年度着実に伸びているということでございます。
水野委員 今、アンケートの回答のあったうち二四・七%の事業者が策定をしているということですけれども、アンケートというのは、当然容易に類推できるのは、自信のあるところの方が答えがちである。逆に言うと、この場合で言うと、策定をしていないような事業者は多分答える率は低いだろうということが容易に想像できるわけですから、二四・七%よりは実際の策定率というのはより低いということが容易に想像できるわけですね。
 そうすると、私は、現行法のように温室効果ガスの排出抑制計画というのを努力義務として策定を求めるというのではなくて、明確に義務化すべきじゃないかというふうに思いますけれども、環境大臣の御見解を聞きたいと思います。
鈴木国務大臣 先生御承知のとおり、平成十四年の三月に地球温暖化対策推進大綱を取りまとめまして、その中で、国内対策は、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ、年限を区切って、ステップ・バイ・ステップで進める、こういうことを決めているわけであります。
 そして、その第一ステップにおきましては、二〇〇四年まででございますけれども、経済界の自主的な創意工夫を生かして、そして我が国の経済活性化にもつながる、環境と経済の両立に資するような仕組みを整備すること、これを基本方針といたしております。
 この基本方針を受けまして、現行の温暖化対策推進法におきましては、まず、事業者による自主的な計画の策定と排出量の公表等を促進することとしておりまして、環境省では、その具体的な促進策といたしまして、排出量を把握して公表するためのガイドラインを策定して、その普及に努めているところでございます。
 事業者の計画策定の義務化につきましては、こうしたガイドラインによります把握、公表の実施状況や、それからステップ・バイ・ステップで進めるということでありまして、来年、二〇〇四年が第一ステップの最終年であります。来年には、この第一ステップの期間でどれぐらい対策が講じられたか、その進捗状況をレビューいたしまして、そして必要に応じて必要な政策強化を第二ステップでしていく、こういう方針でございますので、こうした来年の大綱の評価、これを踏まえまして適切に検討をしてまいりたいと考えております。
水野委員 経済産業大臣に同じ質問ですけれども、第二ステップ以降は明確に温室効果ガスの排出抑制計画の策定というのを義務化すべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 環境大臣とほぼ同じ答弁になると思うんですけれども、経済産業省といたしましては、産業部門における地球温暖化対策を進めていく上では、民間事業者への過度な規制とならずに、経済の活性化や雇用創出にもつながるように、産業界の創意工夫を生かした自主的な取り組みを促進することが私どもは重要だ、こういうふうに思っております。
 具体的には、今、経団連の環境自主行動計画等を中心としまして、その自主的な取り組みによって効果的に温暖化対策を進めていくこととしておりまして、これは水野先生も御承知だと思いますけれども、最新のデータによりますと、産業部門の排出量というのは、一九九〇年比で二〇〇〇年度を比較してみますと産業部門は〇・九%、こういうことで、非常に努力の成果が上がっているところでございます。
 したがいまして、私どもとしては、今後とも、こうした産業界による自主的な取り組みに加えて、地球温暖化対策推進大綱に定められた百を超える排出削減対策、こういうことを積極的に、そして着実に推進することで、地球温暖化対策に努めていくべきだ、こういうふうに思っております。
 二〇〇五年度以降の第二ステップで必要となる対策については、これは環境大臣からの御答弁にありましたけれども、第一ステップでの地球温暖化対策の進捗状況、あるいは排出状況等を客観的要素に基づいて評価し、そして見直しを行った上で追加対策の是非を含めて検討がなされるべきものだ、このように思っております。
水野委員 現在のところ、例えばどこの会社がどれだけのCO2を排出したかということは、国に対しての報告義務とかというのはないわけですね。もちろん、会社ごとによって環境報告書みたいなものを出して自主的に公表している例というのはたくさんあります。ところが、私が思いますのは、これは現在国に対して報告義務がないといっても、事実上国として把握できるんですね。
 というのは、省エネ法という法律に基づいて、どの事業者がどれだけの燃料を使った、電気を使ったということは経済産業省に報告されているわけです。要するに、どこの工場でどれだけ石炭を燃やしたとか天然ガスを使った、重油を使ったということは経済産業省に報告をされているんです。そうすると、そこに一定の係数を掛ければ、経済産業省としてはどれだけCO2が出たかということを把握できるわけですね。これは、新たに報告しろということじゃなくて、現在も報告義務がある、現在のことですから、新たな負担に産業界はならないわけです。
 こういうことを、一定の係数を掛けてCO2の排出量を把握するようなことを経産省として進めるお考えはありますでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のとおり、省エネ法に基づきまして、一定量以上のエネルギーを使用する工場等などから、毎年度、エネルギーの使用状況に関する定期報告を受けているところでございます。
 この定期報告というのは、各工場のエネルギー使用量やエネルギー使用効率の改善状況等を国が把握するためのものでございまして、これによって得られた情報を我々としては活用して、個々の事業者のエネルギー起源二酸化炭素排出量を把握、公表していくことは、私どもとしては、現行法の省エネ法の目的を超えるものではないか、このように思っております。
 この目的というのは、あくまでも、国が把握をして、必要な場合に指示、助言をし、そしてその手段でありまして、一般的に、公表するために把握をする、こういう性質のものではない、こういうふうに思っておりまして、御指摘でございますけれども、私どもとしては、現行の省エネ法の目的を超えるものであり、適当ではないと考えているところでございまして、経済産業省といたしましては、産業部門の対策としては、やはり経済界、産業界の創意工夫を生かし、自主的な取り組みが必要である、このように認識をしているところでございます。
水野委員 国が把握をしているだけ、国の手元に情報があるだけというのでは、私は、そのせっかくの情報というのは十分生かされていないんじゃないかと思っているのが一点。
 それに、どうしてもCO2の排出量を出されるのは嫌だという事業者のものまで公表するのでは確かに法目的を逸脱するかもしれませんけれども、恐らく事業者の側でも、必ずしも嫌がらないところというのはたくさんあると思うんですね。そういうところのは公表していったらいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁に我々の考え方は尽きるわけでありますけれども、やはり二十一世紀というのは人類がいかにこの環境を大切に守っていくか、こういう大前提があるわけですから、そういう大前提の中で、私どもは今の御指摘も踏まえてしっかりと考えていくべきだ、このように思っております。
水野委員 私は、経済産業省の取り組みでも評価をしている部分というのも多数ございまして、例えば一点として、六月十二日から経済産業省のホームページに「環境報告書プラザ」というコーナーができたんですね。これによって、要するに環境報告書に書いてあるエッセンスみたいなものがそこを見ればすぐわかるという、非常にいいものだと思うんですけれども、惜しむらくは、ここを見ても載っている企業数が少ないんですね。現在九社だと思うんですが、これをもっとふやしていけば非常にいいコーナーだと思うんですが、大臣として、会社数をふやしていくというお考えはございますでしょうか。
平沼国務大臣 この環境報告書というのを発行している企業数というのは、二〇〇二年度の環境白書によりますと六百三十三社ございます。御指摘のとおり、現在は九社でございますけれども、私どもとしては、順次、掲載企業を増加させるべく鋭意作業を今進めているところでございまして、これは増加をさせていきたい、このように思っております。
水野委員 続いて、外為法について質問をいたしたいと思います。
 現在、北朝鮮のような犯罪国家を前にして、経済制裁の問題というのが非常にクローズアップをされている。その中で、現行法では、経済制裁というのは外為法に規定をされているわけですけれども、よく指摘をされるのが、現在の外為法というのは、問題点として、制裁を発動するとき、日本単独の判断では経済制裁が発動できないじゃないかという問題点が指摘されるんです。
 輸出入の問題というのは経済産業省の所管になるわけですが、外為法上四十八条とか五十二条で輸出入の問題が規定をされておりますけれども、ここの四十八条や五十二条の経済制裁というのは、日本単独の判断で発動できますでしょうか。
細川政府参考人 今委員御指摘の外為法に基づきます輸出入にかかわります経済制裁でございますが、これは、従来から、国際的な協調体制のもとに、我が国が同調しないことによって、当該国との信頼関係というものが損なわれて、外国貿易あるいは国民経済の健全な発展を阻害する、かような要件が必要である、こういうふうに考えております。
 したがいまして、仮に二国間でありましても、このような要件が整いますと発動が可能でありますが、御指摘の単独での発動ということは、こういう要件を満たさないということで、できないというふうに考えております。
水野委員 単独の判断で経済制裁が発動できないというのは、私は、主権国家として大きい問題があると思うわけですね。
 経済制裁を、国際協調のもとで制裁を発動するときに日本も参加できるというのは当然のことでありまして、それは当然のこととして、それに加えて、必要があれば日本単独の判断であっても経済制裁というのは発動できるようにするという仕組みが必要だと思うんですが、今、自民党の中で、そういうふうな議員立法の動きがある。動きがあるだけではなくて、そういう外為法改正案というのは党の部会レベルでは了承されておるんですけれども、大臣にお伺いしますけれども、こういう動きについて御感想をいただけたらと思います。
平沼国務大臣 今、議員立法でお進めいただいているということは、私どもとしても、ある意味では心強いことだ、このように思っております。
 ただ、議員の立法でございますので、最終的にはこれは立法府の御判断、こういうことでございますけれども、議員の皆様方でそういったいろいろな問題点について立法を行っていただく、こういうことは私は非常によいことだ、このように思っているところでございます。
水野委員 貿易管理部長にお伺いをしたいと思うんですけれども、単独制裁をしても、結局それは、第三国を経由して物なり金なりが流れてしまうから抜け道だらけになってしまうんじゃないかというような議論がよくありますね。ざる法になってしまうんじゃないかという声があるんですけれども、送金の場合は、そういうことも確かに言えなくもないのかなというふうに思いますけれども、特に、物の流れ、輸出ということで言うと、私は、単独の判断でとめたとしても、かなり効果を上げるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
細川政府参考人 今委員御指摘の物の流れに基づきます経済制裁でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国際的な協調体制がない中での発動ということになりますと、ある意味でその効果というものが、先ほど御指摘の抜け道ということも含めて、限定的にならざるを得ない、かように考えております。
水野委員 効果というのはもちろん限定的な部分もあるかもしれませんが、一方で、経済制裁というのは、これは要するに国家としての意思の表明ということもありますし、私は、これは振り回すべきものではないかもしれないけれども、単独制裁というような条項というのは、いわば伝家の宝刀としてとっておくことに意味があるのではないかというふうに思います。
 外為法について続いて質問ですけれども、大臣にお伺いしますけれども、現行の外為法というのは、実はいろいろとばらばらな書き方をしているところがあるんですね。
 例えば、送金の規制について定めた十六条とか資本取引について定めた二十一条なんかと、貿易について定めた四十八条や五十二条の書き方というのは、かなり違う。どういうふうに違うかというと、前者の場合、十六条とか二十一条の場合は、例えば国連決議があった場合とか、国際社会とともに制裁を発動するときのことをかなり明文的に書いているけれども、四十八条や五十二条にはそういうことが明文化されていないんですね。ですから、そのために何が起きるかというと、これまで国連決議に基づいて経済制裁を発動したりしたときに、私に言わせればかなり強引な解釈のもとに、制裁というのに日本も加わっていた。
 この点は、よりすっきりした形にするために、文章の書き方というのを、四十八条などと十六条などの平仄を合わせたような書き方に変えていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 現行の外為法の第四十八条に基づきまして輸出に係る経済制裁を発動するためには、御指摘のように、国際的な協調体制のもとに、我が国が同調しないことによる当該国、これは例えば、日米関係であれば米国であるわけでございますけれども、その当該国との信頼関係の喪失が、外国貿易及び国民経済の健全な発展を阻害するという状況になることが要件として必要である、こういうことで解釈をしておりまして、これまでも、御承知のとおり、この解釈に従いまして制裁を実施してきております。
 経済制裁措置の発動に関して、私どもとしては何ら問題を生じるものではないと考えているところでございますけれども、確かに、御指摘のようなそういう面もあるわけでございまして、平仄というような表現を使われましたけれども、そういった問題については、検討課題、こういう形で検討させていただければと思っております。
水野委員 時間が来ましたので、終了いたしますけれども、外為法における経済制裁というのは、これは国際社会と協調してやることができるのは当然のこととして、我が国単独でもできるようにするというのは、日本の外交のカードというか、選択肢を広げることにつながると思いますので、そして主権国家として、どこの国でもそういうような条項というのは大体持っているものでありますし、何もとっぴな話ではない。
 ですから、そういうような動きというのを議員のサイドでもやっていければというふうに思いますし、一方、政府の方でも、御支援、御理解のほどをいただけたらということを申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。
 きょうは亀井農水大臣にも来ていただいております。新しいテーマではありませんけれども、まず最初に、亀井大臣に大規模林道関係のお話を聞いて、そしてその後、塩川大臣に、三位一体改革あるいは税制のことを少しお尋ねしたいと思います。
 今から四、五年前ぐらいに当委員会でも、あるいは農水の委員会でも、大規模林道のことは大きな一つの、公共事業の見直しという中で議論になったかと思います。そういう経緯を受けて見直しの、あり方検討委員会といったものができまして、大体、今着工中の工区を一巡、その評価をし終えたというふうに聞いております。
 今、大規模林道計画自身が、三十二路線百四十四区間ということで、その進捗率が、三十年の中で五六%ぐらいの進捗率であるという報告を受けておりますけれども、私自身も、ちょっと最近、唯一の中止区間となりました朝日山地の方の大規模林道を視察する機会がありましたので、こういった質問をさせていただくわけです。
 話には聞いておりましたけれども、そういった山深いところの工事区間、あるいはまだ供用する前の区間というものを見る機会がなかなか少ないですので、見てきましたけれども、率直な印象を言わせていただければ、大規模林道、林道というよりは山岳ハイウエーであるなという印象を持って帰ってまいりました。
 中止になったということで寸断されたままではありますけれども、そこへたどり着くのに、普通の、皆さんがイメージするような幅三メーターから四メーターぐらいの、対向車となかなか交差できない砂利道の林道を一時間かかって走りまして、ほぼ山頂に近いようなところに来たときに、突然、舗装道路が横切っているという状況で、もちろん供用はされておりませんから、ほかの車は一台もいない、そういった景色が、どこまで続いているのかわかりませんでしたけれども、ふもとの方へ数キロ続いているという摩訶不思議な風景を見てきたわけであります。
 今、平成十年から十四年の間で再評価をした中で、対象四十九区間のうち、中止が、今言いました一カ所、そして休止といったものが三カ所、そして計画変更、こちらが八区間あるというふうに聞いておりますけれども、その経緯、あるいは計画変更というのがどういったものかといったことはなかなか、その内容というのを知らされてはおりません。
 まず、前にも国会でも指摘されておりました、こういった大規模林道事業全体のこれからの方向性、昨年も武部農水大臣の方から、未着工区間の凍結といったものは表明されておりますけれども、これから、残された半分近い大規模林道がどういう方向で進んでいくんだろうかということを亀井大臣の方からお話しいただければと思います。
亀井国務大臣 お答えをいたします。
 今委員御指摘のとおり、林道の問題、もう御承知のとおり、森林の木材生産、こういう機能と、国土保全あるいは水資源の涵養、公益的機能、こういう面で、森林施業にとりまして不可欠のものが林道であるわけであります。また、ある面では、都市に比べましてさまざまな不利な条件を持つ農山漁村、こういう面では生活やあるいは産業活動、こういうものの交通手段としても大変重要なことでもございます。
 そういう面で、大規模林道あるいはまた支線林道、あるいは作業道等々、路網の一体的整備を図ることが極めて重要なわけでありまして、この大規模林業圏開発林道につきましては、今いろいろ、特殊法人等整理合理化計画等に基づきまして、既着工区間、あるいは事業評価システム、この徹底的な見直しを引き続きやっておるところでありますし、さらに建設予定区間につきましても、第三者委員会を設置しまして、補助林道事業と仕分けをして今後の整備を図ってまいりたい。
 委員御指摘のとおり、いろいろの区間がございます。その中でも御指摘の休止のところ等々、受益地域における森林施業がほとんど計画がされていないなどの、あるいは林産業の活動の見通しを総合的に勘案して、中止あるいはまた自然環境への影響、用地の問題等々いろいろございます。これらをこの第三者委員会におきましていろいろ御議論いただきまして、先ほど御指摘の五六%まで進捗をしておるわけでありまして、それぞれ林業の多面的な機能、こういう面を維持するために、十分、森林・林業基本法の基本理念に基づきまして、徹底的な見直し、特に、効果的そして効率的な事業の実施というものを考えてまいりたい、こう思っております。
奥田委員 林野庁の方で、これから少し細かい質問になりますので、お答えいただきたいんですけれども、今の話の前にありました見直しという中で、中止決定あるいは休止という中の、そういった中止の決定理由といったものを簡単に御説明いただけますでしょうか。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 この大規模林業圏開発林道事業につきましては、先ほど委員からお話ございましたように、平成十年度以降、事業の効果的、効率的な執行を図るという観点から、事業着手より一定期間経過後の事業を対象にいたしまして、森林・林業をめぐる情勢の変化等を踏まえた期中評価というのを実施しているところでございます。
 この期中評価に当たりましては、学識経験者等の第三者から成る大規模林道事業期中評価委員会というものを開催いたしまして、受益地等における森林資源の状況及び森林整備の実施状況、事業の進捗状況、それから接続する公道の整備状況、林産加工施設等の状況、こういうものにつきまして、客観的なデータをもとに評価を行っているところでございます。
 ただいまお尋ねの点でございますけれども、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、受益地の方で、例えば、林業が余り行われなくなったとか、林産業が余り期待できないというような、そういう森林の整備方針の変化がまずございます。それから、接続する公道の整備状況の変化。近くに県道等ができたとか、そういう場合には、その必要性がなくなったものと考えられます。それから、希少動植物の生息の確認。自然保護の観点から、そういう希少の動植物が見つかった、そういう場合に、そういうものを踏まえまして、事業計画の変更が相当とされたものにつきまして、これまでに、中止四十七キロ、それから幅員の縮小四十五キロなど、所要の見直しを行ったところでございます。
 今後とも、こういう期中評価を適切に行いまして、大規模林業圏開発林道事業のより効果的かつ効率的な実施に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
奥田委員 私も、林業振興、あるいは一つの山深い過疎地になるようなそういったところの振興ということに異を唱えるものではありません。しかし、今お話しいただいた四十数キロの中止あるいは休止決定、これは全体、見直した区間の総キロはわかりませんけれども、まだこれから完成予定といいますか、着工予定として残っている千二百キロのうちの四十数キロになるわけですよね。そういった見直しでいいのか。
 私も、見てきたところは、本当に山深いところですし、そして標高も高い。林業振興という中で、こういったところに人工林をつくっていくという場所とは到底思えない。周りを見渡しても、本当に自然林の、地域の人たちはブナ林の宝庫だと言っていましたけれども、そういったところの真ん中に延々と五メーター以上の舗装道路が続いていくというようなことになっているんです。
 学者さんの話は、これは聞きかじりですから正確かどうかわかりませんけれども、そういった杉植林なんかでも、千メーター近いところで杉植林は成り立たない、あるいは、豪雪地帯においては、もうそういう生産材としての価値のある植林というのは不可能だ。実際、現地でも手で植えたようなものがありましたけれども、本当にこれが十年たってこんな小さいんだろうかというような杉でしたし、できればそういった自然林というのは守っていただきたいですし、今、行政の方でも、同じ森林行政の中で、そこを白神山地よりも大規模な保護林として指定して、大規模林道計画を中止している。同じ行政の中で、守らなきゃいけないという方と開発しなきゃいけないという方がぶつかり合って、多大な事業費を使って、そして放置されている。こういう状況について、林野行政の方からまたコメントをいただきたいと思います。
石原政府参考人 ただいま委員の方からお話ございましたように、確かに、自然環境の保全、重要なことでございます。我々、林業の施業あるいは林道の開設に当たりましては、まず第一にそういうことを考えなきゃならないと思っております。
 しかしながら、今の林業地域がどのような状況にあるかということに触れますと、間伐とか保育、こういうものが非常におくれている。そのために森林整備がおくれまして、結果的に、それが国土の保全とかあるいは水資源の涵養、林業そのものではありませんけれども、林業を適正に行うことによって期待される側面、そういうものにつきまして、非常に国民一般の心配というか、懸念が増大しているというのが現在の状況であろうかと思っております。
 それからまた、森林の総合利用、それから二酸化炭素の吸収源としての森林の役割、こういうものに対しまして、非常に国民の要請が高まっているというふうに考えております。
 それからまた、林業あるいは木材産業が非常に厳しい状況にあるということで、当該地域に住んでいる方々にとりましては、その焦燥感といいますか、それは大きなものがあります。そういうものにつきまして、我々、行政として何らかの配慮が必要ではないかというふうに考えております。
 我々、そういうことを総合的に考えまして、最初に申し上げましたように、自然の保護とか、そういうことは非常に重要視していかなきゃなりませんけれども、そういうことを十分に踏まえつつ、必要な事業につきましては、今後ともやっていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
奥田委員 いろいろとこういった林道に関して問題を投げかけている方からは、評価委員会の評価そのものについての疑問も出されている。
 それは評価委員会が悪いのか、あるいは評価委員会に対して資料、データを提出している方に不備があるのか、その辺は私は存じませんけれども、今、項目として指摘されている問題なんかでは、例えば広島の方では、水源涵養保安林、こういったものの中に大規模林道を築こうとしている。それで、水源涵養保安林というものの解除をしなきゃいけないんですけれども、その解除もなしに、できるとかできないとか、緑資源公団の支所の方でそういったやりとりが行われている。
 あるいは、着工と供用が最初に行われました高知県、愛媛の県境の方にあります林道の方で、供用が行われた後の事後評価が初めてなされた。そのときの交通量調査なんかでも、そんなに交通量の多い場所では当然ないんですけれども、ちょうど高知国体の開催中のときに交通量調査をして、そのデータを評価委員会の方に出している、そういったことも指摘された。これは新聞記事にもなっておりますから、御存じだと思います。
 あるいは、経済効果、事業効率といったものをはかるときにも、ある学者さんとそして公団の方とでやる数字には大きな差が出てくる。それは質問書も出ていると思いますけれども、岩手の方の学者さんがやったものでは、百五十億ほどの事業のところに百億以上の評価差が出ているという。その評価差はどっちが正しいのか私はわかりませんけれども、そういった尋常じゃない資料が出されて、そして質問もされているけれども、私の聞いた時点では、答えは返ってきていないというような話も聞いております。
 今、一つ愛媛の方の、これは新聞記事にもなったことですから、そういった第三者評価機関に対して出された資料、その資料の集め方、データの集め方に不備があったということは間違いがないと思いますので、その後の事後処置がどのようにとられたかということを一点。
 それともう一つ。いろいろと資料をいただきまして、これは概要で、一応総延長何キロで、どのくらいの事業費があるというようなことを書いたものですけれども、こんな林道というのは一体どのくらいかかるんだろうというと、大ざっぱに言ってメーター五十万ぐらいですねと。そういうふうに聞きまして、はじき出しますと、確かに四十五万から五十五万ぐらいのメーター当たりの事業費がかかる。
 ところが、評価委員会の方で出してくる評価結果というのを何枚かもらいました。私も、単純な計算ですので、その評価委員会で、総費用という項目で出てきます、一つ一つの区間で。この総費用と総延長とを割り算すると、どう考えても、メーター当たり十万から、どんなに高いところでも三十五万の資料になってくる。この総事業費という言い方と総費用という、総費用というのは事業効果を分析するときに使ってくる数字ですけれども、そこでそんな倍近い、費用と事業費という言い方ですけれども、こういうものが出てきて事業評価をしている。
 ちょっとこの二点についてお答えをいただきたいと思います。
石原政府参考人 ただいま委員の方から具体的な地区のお話がありましたけれども、ちょっと手元に資料がございませんので、この場では的確に答えられませんけれども、我々としましては、事後評価、第三者委員会で的確に行っていくというのが前提でございますので、私、ただいまお話がありました点、早速調べまして、事業の実施に遺漏なきをきちっと対応してまいりたいと考えます。
奥田委員 せめて、事業費と総費用のことは通告してあることではないですから後でまた説明をいただければいいですけれども、愛媛の方であった、これはことしの二月のことですけれども、余りデータとしては、開通した後の事後評価に適さないデータを提出した、その事後処理というものについて御報告いただきたいと思います。
石原政府参考人 その調査のとき国体がどうも行われたということで、必ずしもそのデータが適正だったのかどうか、そこはちょっとこの場ではにわかにお答えできませんけれども、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、事後評価のやり方につきまして、先生からいろいろな心配、御懸念が出されることのないよう、きちっと調べまして対応させていただきたいと思います。
奥田委員 大臣の就任前の話だというのならなんなんですけれども、林野行政の中で、地方新聞の社会面のトップにもなった記事でもございます。一つのことで、交通量だけで林道の価値というのを評価する、単純にはできないかもしれませんけれども、評価のあり方というものが、言葉は悪いですけれども、こんなイカサマみたいな数字や調査の中で評価をされていたのでは、本来の行政の事業というものを評価することになり得ないので、ぜひともその点、厳しいといいますか、適切な評価のあり方というものをしてほしいです。私は、林道の必要性は言いますけれども、大規模林道というのは本当に根本から考え直さないといけない事業なんじゃないかなというふうに思っております。
 つらい話ばかりするのもなんですから、大臣の方から、これからの森林行政、林道だけじゃなくて、森林全体の見直し、基本計画とともに行政のあり方も変わってくる、あるいは森林機能の見直しというものも行われていくということで、これからの、今度は森林整備全体の方向性についてお話をいただきたいと思います。
亀井国務大臣 今の件、よく私も資料を求めまして十分考えていかなければならない、こう思っております。
 なお、地球温暖化の防止であるとか、あるいは良質な水の確保の問題、森林に対する国民の皆さんの要請また期待というものが一層高まっておるわけでもございます。そういう中で、森林・林業基本法を制定いたしまして、木材生産を主体とする、こういう政策から、森林の有する多面的機能、このことを十分発揮されるような政策への転換を図らなければならないわけでありまして、これに基づきまして、平成十三年十月に森林・林業基本計画を策定いたしまして、森林の有する多面的機能、これを持続的に発揮させるために、森林を重視すべき機能といたしまして、水土保全、あるいはまた森林と人との共生林、あるいは資源の循環利用林、これに区分をいたしまして、各区分に沿った複層林化、あるいは広葉樹の植栽等の多様な森林整備の保全、これを推進しているところでもございます。
 これとあわせて、京都議定書に関連をいたします地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策、このようなものを策定いたしまして、健全な森林の整備、あるいはまた保安林等の適切な管理、保全、あるいは木材及び木質バイオマス利用の推進、あるいは国民参加の森づくり、また報告・検証体制の整備等々、五つの施策を柱といたします取り組み、そして関係府省と連携を図りつつ進めてまいりたい。国民の理解と協力のもとに、森林の整備また保全を着実に進めて、多様な健全な森林の育成に総合的に努力をしてまいりたい、このように考えております。
奥田委員 農水林野関係への質問はこれで終わらせていただきたいと思います。
 財務大臣の方にお願いいたします。
 先日というか、前回は、三位一体改革の方向がどうなるんだろうということで、政府としての結論といいますか、中間的な取りまとめが出る前のことでしたので、片山大臣とともに、三位一体改革のあり方みたいな感じの話を聞かせていただきました。
 今、六月末の骨太の方針二〇〇三になるんですかね、その中で地方財源のことも取り上げていただいております。そして、その中で、大きな異論というのはないのですけれども、やはりこの先、見えないといいますか、大変困難な作業になるであろう。三位一体ですから一緒にやるのが当然なんでしょうけれども、そのまず第一の、財源の確保ということのために補助金の見直しということが、地方にとっても、あるいは中央にとっても大切で、そしてまた一つの血の出る作業になっていくだろうと思っております。
 そういったことは、資料の中にも方向性、指針というものは書かれておりますけれども、では、具体的にだれがこれをいつまでに取りまとめていくんだろうというと、そこのところははっきりとは書かれておりません。これは一年ごとの、予算編成前の一つ一つの毎年の仕事として、総理が掲げた四兆円が目標でやっていくことなんだと思いますけれども、一体、まず補助金の部分だけに絞っても、各省庁が絡む中で、だれがこの補助金の一つのリストアップをしていく作業、これをいつまでにやっていくんだということを、今一応決まっているところ、あるいは大臣自身のお考えでのお話というものを聞かせていただければと思います。
塩川国務大臣 この三位一体の改革というのは非常に困難なものでございまして、しかも非常に幅広い改革の分野がございます。
 そこで、一つ考えられますことは、御質問の答えになりますかどうか、補助金の問題に一応数字を絞って、この補助金の中のどれだけの分というので、約四兆円相当ということを一応は想定いたしました、三兆六千億でございますが。これを三年かかって改革していこうということで、それぞれ、これは義務的経費であるとか、それぞれの制約がございますので、その制約をどう変えていくかということがまず大事。それをやらないと分権が実現できませんし、分権に伴って税も一緒に移行さすということになってまいります。
 そこで、まず、私たちの方で考えておりますのは、新しい児童育成体制というのは、十六年、十七年、十八年かかりまして総合施設等の検討をしていって、その上において一般財源化していくという方法をとります。
 それから、社会保障の問題でございますけれども、これは各種審議会等がございますので、その審議会の結論を待って、一般財源化への方向を打ち出していこうということでございます。
 義務教育の方につきましても、両三年度、つまり十六年、十七年、十八年、この間におきまして、義務教育制度のあり方を根本的に検討いたしまして、その上で措置をするのでございますけれども、定額化と交付金化の問題について、とりあえず十六年度に一部これに着手していきたいと思っております。
 それから、公共事業につきましては、採択基準の引き上げとか、あるいは補助金の統合、補助対象の重点化等をいたしまして、十五年度中に地方道路整備臨時交付金の運用の改善を図っていきたい。そして、以降、十七年におきまして、これの改正を、具体的に制度化をしていきたいと思っております。
 それから、農業委員会、農業改良普及事業等でございますけれども、これは、必置規制の緩和あるいは組織のスリム化等を通じまして、十六年度、十七年度中に交付金化にしていきたい。そして、十八年度におきましては一般財源化にしていきたいと思っております。
 交通安全対策特別交付金制度でございますけれども、これは国の関与の縮減を図って、できるだけ十六年度中に交付金に見直していきたい、こういうぐあいに考えておる。
 これが大体の予定でございまして、なおこの詳細は詰めていかなきゃならぬと思っております。
奥田委員 いろいろな整備基準とか制度とともにある補助金といいますか、義務的な負担といいますか、そういったところは、制度変更、法律改正が必要だという部分の時間のかかるというのはわかりますけれども、そうじゃない、省令といいますか、政令で補助金率を決めているといったようなものは、ぜひとも、地方の立場からすれば、分権推進一括法の一つの積み残し部分でも財源の問題はあると思いますので、「改革と展望」、今、十八年度中が目標期限だということはありましたけれども、今お答えいただいた内容、すべて頭に入ったわけじゃないですけれども、できるものとできないもの、本当の法改正が必要なものとそうでないものといった中で、少しずつ、削減よりもまず最初にはシフト、移譲の部分でできるものを現実化していただければと思います。
 あと一言だけ質問させていただきたいんですけれども、週刊誌の方に、現代ですかね、こんなので、小泉内閣が、あなたの預金に財産税をかけるというそら恐ろしいタイトルのものが出ております。ちょっと中を見ると、貯金や現金資産みたいのに税金をかけるんじゃないかというような話なんですけれども、そんなそら恐ろしいことは、当然、幾ら財政赤字が膨らんだ政府であったってできないであろうというふうには思うんですけれども、ちょっと私も前回大臣に質問をさせていただいたときに、大臣の方から、これは納税者番号の話をしていたときなんですけれども、納税者番号は納税の公平性や効率性のために寄与する可能性がある、だが、世論の形成がまだ追いついていないということを大臣おっしゃって、そのとおりだと思うんですけれども、ちょっとその後に、金融資産というもの、あるいは資産課税というものがこれからの税制においては非常に大きなウエートを占めてくるという言葉があって、ちょっと私はそれが理解できなかったんですけれども、その言葉とこういった大変怖い記事と両方を見ますと、そういうことも考え方としてはあるのかなというふうに思いましたので、ぜひ大臣のお考えの資産課税への移行といったものの御説明をいただければと思います。
山口委員長 時間が過ぎておりますので、大臣、簡潔にお願いいたしたいと思います。
塩川国務大臣 私、その週刊誌の記事、実は全く読んでおりませんので、お答えが不適当でございましょうけれども、大体、マイナスに税金をかける、そういうことは考えておりませんし、金融資産がこれから非常に大きいウエートを占めるということは、これは事実でございますので、それを公平に捕捉するという意味において納税者番号というものを考えられておりますけれども、今それを具体化していくという考え方はございませんで、検討していこうということであります。
 その一つとして、それを選択される方に対して提供していくという方法を考えてみたらどうだろうということが、議論ではございますけれども、まだ一般論としての適用を考えておるということではございません。
奥田委員 時間が過ぎましたので、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 きょうは、道路公団の問題につきまして質問させていただきます。
 構造改革なくして景気回復なし、これは小泉さんの一枚看板でございますが、その構造改革の最大の眼目というのが道路公団の改革であろうと思います。ところが、残念ながら、今日までなかなか改革の先行きが見えてこない。実は、その中に、今週のある雑誌に「藤井道路公団総裁の評判 厚かましき「守旧」体質」というような、私もジャーナリスト出身ですが、余り趣味のいいタイトルではないと思うんですが、道路公団の天皇ということまで書かれ、しかも、先般の予算委員会におきまして、同僚議員がある会合での議事録を公表させていただきました。
 その問題についてはまたいずれお話を伺いたいと思うんですが、きょうはその話題ではなくて、実は、先般、朝日新聞に出た日本道路公団の「大口割引、五年で一兆円」という、六月三十日なんですが、こういう大きなトップ記事が出ました。これについて、事実確認をしながら質問させていただきたいと思います。
 既に御承知のように、高速道路の通行料金が最大で約三割安くなるというこの日本道路公団の通行料金別納制度による減収が、九七年から二〇〇一年、五年間だけで一兆七百八十九億円に達すること、これだけ要するに減収になっているという報道がございました。
 私もいろいろな資料を調べてみました。その結果、実に、公団からいただいた資料等も含めますと、大変な額の減収になっている、割引制度によってですね。これは公団内部の資料ですが、平成十三年度、この料金収入が一兆八千四百六十二億円、そのうち、別納による割引、これによる減収が二千二百十一億円。そのほかに、ハイウェイカードによる減収五百八十九億円。さらに長距離バス、トラックによる減収が千五百六十五億円。合計、何と四千三百六十五億円が減収になっている。いわば、料金収入が一兆八千億円、そのうち四千億円を超える金が減収になっている、実に四割が割引制度によって減収になっているということなんですが、この事実について、藤井総裁、どう判断されていますか。
藤井参考人 今、先生がおっしゃいましたように、ハイウェイカードあるいは別納制度、長距離割引等々、いろいろな割引制度が歴史的過程を経て現在ございます。その結果、先生がおっしゃいましたような約四千億円強の、本来、割引がなければ入ってくるであろう額が割り引かれております。それをトータルでいいますと大体一九%、全体の収入の一九%に相当する額が割り引かれているというのが現状でございます。
 私ども、やはり割引は高速道路を利用する方々への還元の仕方でございますから、これは必要だと思います。しかし、これを公平に、かつ利用者に御納得いただく形でやるのにはどうあるべきかということは、絶えずその時代とともに考えておかなければならない問題だと思っております。
 昨今、私どもは、ETCということで、新しい方式も導入いたしました。これの割引を使いますと約一四%の割引が出てまいります。あるいは、今度、社会実験でございますが、長距離割引についてもさらに考えたいということで、今、国土省と一緒になって検討いたしております。
 こういったもろもろのサービスに対する考え方と、それから道路公団、高速道路を今後経営していくための採算性から見る収入の確保と、これらを十分踏まえて、そして国民の皆様方にそれらの内容を御提示し、そしてこういう国会の先生方の御議論を十分していただいた上で、今後とも前向きに進んでいくべきもの、かように考えております。
木下委員 今、藤井総裁、歴史的な経緯があるというお話でございましたのですが、割引制度というのは、いわば運送業者とかその辺が当初はターゲットであったわけでございましょう。その後、八〇年代後半から、いわば中小の事業者に対して、いわゆる事業組合制度を導入して、そしてそれをどんどんふやしていったという結果じゃありませんか。その辺はどうですか。
山本参考人 お答えを申し上げます。
 今、私どもの総裁が御答弁を申し上げましたように、割引制度、いろいろな観点から私ども割引をさせていただいておるわけでございますが、今先生御指摘の通行料金の別納制度につきましては、三十八年に、先生御指摘のように路線バスとか路線トラックを対象とする料金後納制度として導入したわけでございますけれども、その後、大量利用の促進とかあるいは大口利用の定着といったようなことを目的といたしまして割引制度を導入し、さらに、昭和四十四年には、従来の法人と個人、そういったようなものに加えまして、事業協同組合を対象としたわけでございます。
 事業協同組合につきましては、中小企業の皆さん方の相互の扶助といったような観点から、そういうようなものについて、別納制度、私どもの料金の割引をさせていただこうということを考えた次第でございます。
木下委員 公団の資料を見ますと、実際に事業協同組合にしてから、いわば別納割引額、これを額で見ますと、例えば全体で平成九年度二千百十八億円、それに対して、事業協同組合が千六百三億円、これだけ占めているわけです。約八割。これは十年度、十一年度、十二年度、十三年度もほぼ約八割が事業協同組合が占めているわけですね。
 ちなみに、平成十三年度でいいますと、全体で二千二百十一億円の割引額、それに対して、事業協同組合が千七百九十五億円。これだけの額がいわば事業協同組合の割引で占めているわけですね。これは事実ですね。
山本参考人 先生御指摘のように、今、十三年度につきまして、別納制度全体についての割引額が二千二百十一億円でございますが、事業協同組合の割引額が千七百九十五億円でございます。その中では、事業協同組合の中でも、貨物を主体とする事業協同組合、あるいは、全体の中小企業異業種といいますか、そういったものが総合的に入っております事業協同組合、いろいろございますが、それを含めまして千七百九十五億円ということでございます。
木下委員 ですから、今、全国に事業協同組合の数は幾つありますか。
山本参考人 現在、平成十三年度で恐縮でございますけれども、事業協同組合につきましては千百八十七でございます。
木下委員 要するに、個人や法人じゃなくて、もうほとんど全部、事業協同組合に移行しているわけですよ、額からいっても。
 ここで公団の割引率を見ますと、実は大変なおかしなことになっているんです。月間の利用額、四万円を超え七万円までの部分が五%、七万円から七十万円までが一〇%、七十万から百四十万までが一五%、百四十万から二百八十万までが二〇%、二百八十万円から七百万円までが二五%、七百万円以上が三〇%の割引率となっているわけですね。
 ですから、これを見ますと、例えば一カ月利用額が七万円の事業者が単独でやりますと五%の値引きしかないわけです。ところが、それが百社集まると七百万円になる。要するに、七万円しか使わないのに百社集めると七百万円になる。そうすると、三〇%近くの、最大の割引が出るわけですよ。
 この辺、何とも思いませんか。わずか一カ月七万円しか使わない事業者が、個人だってそのぐらい使う人いるんですよ、一カ月に七万円ぐらい。その七万円の事業者が百社集まれば七百万円になる、三〇%の割引を受ける、これは不思議でも何でもないですか、御見解を。
山本参考人 先生御案内のとおり、別納制度につきましては、月間の利用額に応じまして割引率が変わっておるということでございまして、一・四万円を超え七万円までは五%、それ以降ずっと五%ずつ上がってまいりまして、七百万円を超える部分については三〇%ということでございます。
 これは先ほど申し上げましたように、別納割引制度というのが、大量利用の促進、大口利用の定着化ということで、私ども公団といたしましても、大量の利用をしていただく方についてはできるだけ利用促進を図っていただくという意味で割引をさせていただこうということで導入させていただいたものでございます。
 事業協同組合は、中小企業事業協同組合法に基づきまして、各中小企業者の皆さん方が、相互扶助、相互の協力等々によりまして、大企業と格差があるということを踏まえて、中小企業の事業協同組合を結成し、それらについての相互扶助を行われるという組合でございます。そういったような点で、事業の規模を大きくすることによって、それらに対する、私どもといたしましては、大量に大口に利用していただくということで、そういう格好での適用になる、こういうことでございます。
木下委員 それは、中小企業の扶助、大いに結構ですよ。大いに結構ですが、一般ユーザーとなぜこれほど格差がつくんですか。七百万円、ほとんどの事業組合、先ほどおっしゃった千幾つある事業組合はほとんど、平均すると割引率二九%ですよ。最大三〇%です。二九%の割引率が出るんです、わずか七万円しか使わなくても。個人の方はどうするんですか。全額払っているんですよ。中小企業、それはきれいごとですよ。
 その結果、道路公団はどういう結果になっていますか。四十兆円に上る債務を抱え、料金収入は二兆円しかないんです。十三年度でいくと一兆八千億円、そのうちの四千億円が要するに割引制度、損失なんですよ。五年たてば二兆円を超えるじゃないですか。一年間の料金収入よりも割引率の方が、五年たてば多くなるんですよ。まだ、中小企業、そんなことを言っているんですか。もう一度、総裁、答えてください。
藤井参考人 先生、全く、先生のそういう視点からの議論が今まで足りなかったと思っております。
 私ども、大口利用者の利用促進という意味合いで、一定の政策的な役割を担ってこの別納制度が生まれ、そして現在まで来たことは事実ですし、また、その役割も十分果たしてきたと思います。
 しかし、例えばETCの割引では、先ほども申し上げましたように、ETCをお使いになる方は個人であっても一四%の割引のメリットを得られる、こういうような時代になりました。そして、こういうような時代になってまいりますと、いろいろな角度から、例えば、交通量が少ないところはもっと料金を下げた方がいいじゃないかというような、ロードプライシングのようなものの発想も生まれてきております。したがって、私ども、料金制度のあり方のちょうど転換期に来ているなというふうに思っております。
 そういう意味で、全般的に、料金制度の研究会を早急に立ち上げて今やっていただいておりますが、先生が今御指摘のような点も踏まえて、私ども、これから早急に詰めなきゃいけない問題の内容だという理解をいたしております。
木下委員 いや、藤井総裁の答弁は言いわけなんですよ。
 大臣、この問題についてお答えください。どうお考えですか。
扇国務大臣 この問題は、私は大変重要な問題だと思っております。
 なぜ重要か。これは、先ほどから公団が答えておりますように、中小企業の皆さん方が大企業に伍して経済的に均衡ある発展をするようにということで設立されている、この基本的なことはいいんです。ただ、この問題の中小企業の制度というものが、新聞にお書きになっているのをさっきおっしゃいましたが、中小企業というものを認めるのが、どういう中小企業の業種をこの割引対象にするかという基本がないんです。ですから、三人で組んでこれを届け出ればいいということで、この関係省庁は八省庁に及んでいるんですね。
 ちなみに言わせていただきますと、国土交通省は当然ですけれども、一番大きいのは経済産業省、中小企業ですから。それから厚生労働省、農林水産省、文部科学省、財務省、金融庁、内閣府、この八省庁が認めれば、中小企業の、異業種でもオーケーですよと。私、この基本を直さない限りは、今おっしゃったような、中小企業だから助けるという、精神はいいけれども、何をもって中小企業と認めるのか。それでは、先生と私ともう一人、三人組んで届け出て、八省庁のどこかがオーケーと言ったら、これは割引もらえるんですか。私は、その基本が論議されていないと。
 その当時は、先ほどから理事も総裁も申しましたけれども、これは最初、三十八年なんですね。三十八年のときには、トラックと、あるいは公共用の路線バスだけを後払いにしましょうということで、割引というのはなかったんです。その出発点はいいんです。ところが、四十四年から中小企業を大企業並みにということで、規定がなくて、届け出すればいい、八省庁のどこかが認めて共管すればいいという、これが私は基本的に間違っていると思いますし、今少なくとも全国で、話がございました千百八十七社、これだけの組合が、果たして組合としての存続、あるいは組合としての資格、そういうものの規定をしないで、ただ届ければ全部認めるといったのでは、各省庁でこれを組合として認めて道路公団にこれを割り引きなさいよという権限を、この人たちはむしろ、届けられたら入れなきゃいけないですね、中小企業のために。ですから、私は、その基本的なことが抜けていたと。
 ですから、今回、今少なくとも千百八十七社と言いました、私の手元のは千百七十三団体になっていますけれども、その中で四百二十一団体というのが国土交通省関係なんです。あと全部、これはほかの、経産省も、それから厚生労働省も、全部が中小企業、しているわけですね。ですから、私は、これは一度全部、この八省庁で、はっきり言えば、中小企業のこの異業種、異業種で中小企業だと認めてもらって、これを割り引きしろと公団に迫ってくるということの基本的な洗い直しをしなければ、私は根本問題にはならない。公団だけがやめようと言っても、それは中小企業、認めているじゃないかと言われたら困りますので。
 私は、今せっかく先生が御提案いただきましたので、これは道路公団の民営化のときに、中小企業団体の異業種も認めている、しかも規定がない、三人でも認めるというようなことであれば、みんな組んでユーザー三人で届ければ、最低五%割引できるんですから、これはユーザーにとっては許せないことだと思っていますので、その根本を今回は論議して、先生方の御理解もいただいて、全業種洗い直し、全組合を見直すべきだと私は思っています。
木下委員 扇大臣から前向きな答弁をいただきましたので、しっかりと検討して、きちんと見直していただきたい。
 もう一つ指摘しておかなければならないのは、朝日新聞の六月三十日、朝刊によれば、東京都千代田区に事務所がある平成高速協同組合では、差益が実に年間で三億七千万円に達しているわけですね。この平成高速協同組合では、制度の運用で得た多額の差益を、代表理事の妻名義の土地の買い取りや、あるいは代表理事が経営する会社への出資や居酒屋の修繕費に使ったり、ゴルフ会員権やモーターボートの購入費につぎ込んでいた、こう報道されているんですが、この事実関係、どう調査されていますか。
山本参考人 今先生御指摘の六月三十日付の朝日新聞にそのような報道があったということについては、私ども、承知をいたしておるところでございます。私どもJHといたしまして、別納制度の適正な運用を図るために決算報告書等の提出を求めておるところでございますが、そのような事柄については個別の組合の事業運営の内容に関することでございますので、私どもとしてお答えする立場にはないというふうに思っておりますが、こういうことを踏まえて、私ども、別納制度の適切な運用については、一層そういう格好で厳正に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
木下委員 そこの、平成高速協同組合の決算報告書を入手しています。それによると、平成十三年度、受け入れ通行料、これが三十六億五千万円。これは、いわゆる通常の利用料金です。これに対して、実際に支払っているのは三十二億八千万円。実際の差額は、先ほど申しましたように、三億七千万円という差益が出ているわけですね。ですから、その差益を、先ほど言ったような、自分の経営する会社の出資金にしたり、モーターボートを買っているということでありますので、これはきちんと調べてもらいたい。
 それからもう一つ、けさの朝刊にも出ていましたが、今度は九州の九州ベック、福岡市にある事業協同組合の一つなんですが、ここでも「身内企業に年数千万円」という記事が出ています。
 これは、私も中小企業等協同組合法を調べてみました。これは第五条第二項に「組合は、その行う事業によつてその組合員に直接の奉仕をすることを目的とし、特定の組合員の利益のみを目的としてその事業を行つてはならない。」第六章、罰則規定に、第百十二条一項には「組合の役員がいかなる名義をもつてするを問合わず、組合の事業の範囲外において、貸付けをし、手形の割引をし、若しくは預金若しくは定期積金の受入れをし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」、こう規定されていますが、もしこれが事実だとすれば、中小企業庁、この中小企業等協同組合法に抵触するのではないですか。お答えいただきたいと思います。
青木政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘になられましたように、中小企業協同組合法では、その五条第二項におきまして、組合は、その行う事業によって組合員に直接の奉仕を行う、こういう趣旨が規定をされております。
 したがいまして、仮にでございますが、組合事業による収益が組合員に利益還元されないような形で使用されるならば、法の趣旨に合致しないことにもなろうかと思いますが、ただ、いずれにいたしましても、私どもまだ子細に実態が把握できておりません。現在調査中でございまして、現時点での判断は困難でございます。
木下委員 しっかり調べて、報告していただきたいと思うんです。
 これは、朝日新聞の報道によると、この組合は、九八年に倒産した日本リースへ一億円を出資、ソニー株七千株を購入に三千九百万円投資している。さらに広島カンツリー倶楽部のゴルフ会員権取得のための費用として千六百万円、モーターボート購入費七百二十万円の支出が計上されているということでございます。しかも、代表理事の報酬は平成十三年度九月期で二千二百八十万円という高額になっているという報道ですので、この点もしっかり調べて、報告していただきたいと思うんですが、御答弁をお願いします。
青木政府参考人 ただいま木下先生がおっしゃいましたようなことが一部の新聞等で報道されているのは事実でございます。
 私ども、組合が急遽昨日参りまして、口頭で、組合事業に必要な範囲でこうした事業を行っているという説明を受けましたが、私どもとしても十分その内容が確認できておりません。したがって、現在調査中でございます。その調査に基づいて、組合の適切な運用について十全を期してまいりたいと思っております。
木下委員 時間がありませんので先を急ぎますが、実は、その平成高速協同組合の理事に前文部科学副大臣の岸田文雄衆議院議員と同議員の政策秘書、これが理事に名を連ねていて、それぞれ年額で三百六十万円、二人合わせると七百二十万円年間の報酬をもらっているということなんですが、割引をして、先ほど総裁、格好いいこと言いました、中小企業を相互扶助するためだといって割り引かせておきながら、差益から、利ざやですよ、利ざやから衆議院議員が、あるいはそこの政策秘書が給料をもらっている。これは御存じだったんじゃないですか。総裁、お答えください。
藤井参考人 全く存じ上げておりません。
木下委員 この岸田文雄さんのお父さんはかつて中小企業庁長官をやられ、そしてこの平成高速協同組合の設立からかかわっている。亡くなった後、息子さんの文雄さん、現衆議院議員が最初からもう理事になっている、それから政策秘書さんも理事になっているということでございます。
 こういうことが恐らく、千百八十幾つありますよね、その中にも、例えば国会議員であったり、あるいは県議会議員であったり、そういう人たちが理事として名を連ね、割引によって得た利ざやで報酬をもらっているという事実もあるかと思いますので、これを徹底的に調べてください。報告を求めますが、出していただけますね。
藤井参考人 道路公団だけで調べても、ちょっとこれは不可能だと思います。したがって、私どもはとりあえず国土省と相談いたしますけれども、恐らく政府全体で御協力いただいて、どこかが窓口になっておまとめいただかないと、道路公団は単なるその窓口なものですから、その点だけ御了解いただきたいと思います。
木下委員 それでは扇大臣、ひとつ窓口になって調査をしていただきたいと思うんですが、こうした実態について扇大臣は、仮定の話で恐縮なんですが、もしこれが事実だとすれば、どういう判断をされますか。
扇国務大臣 先ほど私が木下議員に申し上げましたように、まず、基本的にこの中小企業の認可をするときの問題でございます。そして、今申しましたように八省庁に及びます。ですから、これは道路公団ではなくて八省庁が、これは組合として認可しましたよと、認可を取り消ししなきゃいけないんです、こういうことがあったときには。
 ですから、その認可を与えたときのこの八省庁が、内閣を挙げて対処しなければ、一度全部ゼロにしてみるとか、そして組合を届けるときにこういう規定がなければ、何人やって、どういうことをするという、その規定を届け出たときの規定に則しているか則していないか。私は、八省庁の中に内閣府がございますから、私、今度一度経産省、厚生労働省、農林水産省、文科省、財務省、金融庁、内閣府、そしてこの国土交通省、この八省庁で、内閣府でまとめていただくか、あるいは中小企業庁で、中小企業組合の設立のときの要件、これを満たしていなかったり、あるいは違反した者には中小企業の組合を廃止するというくらいなものを相談してみたいと思います。
木下委員 時間ですので、終わりにさせていただきますが、扇大臣のおっしゃったこと、ぜひとも実行していただきたいのと、それと、利ざやが出るような割引、これは根本的に変えなきゃいけない。
 普通、大体一〇%らしいですよ、組合員の利用の割引率は。それが、道路公団は三〇%ぐらいやっている。そのあいた二〇%が全部利ざやになっているんです。なぜそんな利ざやが出る割引率をつくったのか、ここを根本的に見直していただきたい、それだけ要求して、終わりにいたします。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 さきに本委員会におきましてお尋ねをいたしました件につきまして、国家公安委員長、大臣にお伺いいたします。
 田中実さんの件につきまして、拉致されたのではないかという上でいろいろ捜査をしていただいておると思いますが、その後どのような経緯をたどって今日に至っているか、御説明いただきます。
谷垣国務大臣 塩田委員からは、たしか一月ほど前にこの件について御質問をいただきまして、率直に申し上げまして、前回御答弁申し上げたときからえらく進んだことを御報告できる段階になっておりません。その点、大変残念に思っております。
 そこで、結局、前回お答えしたのと同じようなことを申し上げることになるわけですが、去年の十月四日に兵庫県警に対して、御指摘の方を被害者とする国外移送目的略取等を内容とする告発状が提出されているわけでございます。警察は、これは北朝鮮による拉致の可能性も含めていろいろなことを想定しながら、必要な捜査を行っているというふうに承知をしておりますが、もう少し具体的に申し上げますと、警察は、関係者からの事情聴取、それから付近の聞き込み等の裏づけ捜査、それから国内外の関係各機関との情報交換、こういったことを積み重ねまして、証拠の収集に努めているところでございます。
 前回、六月四日だったと思いますが、議員から御質問をいただいた後も警察でこういう捜査を継続しているところでございますが、現時点で北朝鮮による日本人拉致容疑事案と判断するところまでには至っておりません。
 しかしながら、先ほど申し上げたように、そういう可能性も十分視野に置きながら鋭意捜査を進めていくというふうに承知しておりますし、国家公安委員会としても引き続き警察当局を督励していきたいと思っております。
塩田委員 拉致という問題、これは既に北朝鮮の最高責任者が拉致をしたという事実を認めて謝罪をしたわけですね。警察庁が把握をしておられる、発表された十件十五名のほかに、先ほど申し上げました田中実さん初め相当数の方がまだおられるということについても申し上げたわけでございますが、既に韓国で辛光洙が逮捕されて、今北朝鮮へ帰っておりますけれども、その判決の中で、現に認めた、また実行犯と見られる人の名前も言っている、そういうこともあるわけですね。そういった、ほかにもいろいろ状況が出ておるんですね、事実を把握しておられるかどうか、その辺、お答え願いたいんです。
 拉致というのは、大臣も御存じのとおり、これは我が国の主権が外国の権力によって侵害された、国民が自由を奪われた、現に奪われているということですね。国の責務というものは、何としても国民の生命と財産、人権を守る、その一番大きな役割、責務を持っておられるのが警察なんですね。そこが本当に真剣にこの問題に取りかかって問題を早く解決してもらいたい。事実を解明し、要求すべきものは要求して、外交問題としてでも早急に解決していかなければならないことだと思うんです。
 せんだっても申し上げたんですけれども、私が前の委員会で取り上げた直後に、写真週刊誌で本人の実名が出て、写真まで大きく取り上げられて、一般に出ているわけですね。そこでのやりとりまで出ておりますね。国民は、いろいろな情報、特にマスコミ関係の方が非常な危険の中をそういった人たちに接触をして取材をしている、こういう中で、そういった情報がいろいろ私のところにも入ってくるわけです。国民一般も、いろいろなうわさから事実らしい話として受けとめて、不安になっているわけです。どうして警察はもっと早くやらないんだ、手を入れないんだ、こういうことなんですね。
 いろいろな情報、その一つを申し上げますと、警察が入っていってもなかなからちが明かないのは何かあるんじゃないか、こういうことも言われているし、あるいは司法取引等で、日本の場合に限らず、韓国等の間でそういった話があるんじゃないか、辛光洙はそれだけしゃべって北朝鮮へ帰ったわけですから、そういったケースも考えられるし、あるんじゃないかと。
 それからまた、田中実さんについては、いろいろと話をマスコミがした中では、日本の国内にいるということは言わない、また、北朝鮮以外の外国にいるとも言わない、今北朝鮮にいるということを前提に話をしているような筋もあるということですね。
 そういったことがいろいろうわさされ、また情報が飛び交うわけですね。国民はますます不安であるし、警察に対する信頼というものを疑っている、こういう中で、捜査を早く進めて一般に公表してもらいたい、早く、いつまでかかるのか。これについてお伺いしたいのと、それが非常に日数を要するのは、やはり、兵庫県警が中心になって、山形へ行ったり青森県へ行ったりしてやっている、そことの連携もうまくいかないんじゃないかとか、あるいは裁判等の証拠固め、あるいは公訴維持のためにいろいろな資料をつくらないといけない、そのために非常に慎重に取り組んでおられることはわかるんですけれども、どうなっているんだと。前にも申し上げましたけれども、やはり、国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会、そしてまた現在の警察制度、都道府県ごとの捜査によってやっているという問題等があるんじゃないか。
 そしてまた、アメリカに連邦警察がございますが、ああいったものが日本でも必要じゃないだろうか。大きな、都道府県にわたる、あるいは海外との関係等も含めて、特定の事件については連邦警察に当たるような国の警察の制度をやはり設けて取り組まないと、国際化している犯罪が横行している中で、そういうものに対処する体制が必要じゃないか。戦後、アメリカによって与えられた現在の警察制度ですね、枠組みは変わっていないわけです、多少手直しはしてきておりますけれども。仕組み全体、大枠は変わっていない、これはやはり抜本的に考え直す必要があるんじゃないか、このように思うんですが、この点についても大臣のお考えをお伺いいたします。
谷垣国務大臣 お尋ねの田中実さんの件につきましては、先ほども御答弁を申し上げたように、北朝鮮の拉致の可能性も視野に入れながら、今捜査を進めているところでございます。
 そして、今委員もお触れになりましたけれども、御質問の後も公刊物で報道があった、それを含めて過去にいろんなものが出ておりますので、こういう表現が妥当かどうかはわかりませんが、その情報が果たして正しいのかどうかというようなこと、当局は、今、つぶすといいますか、そういうことは十分やっているというふうに考えております。
 それから、今、いろいろ多岐にわたる御議論でございましたけれども、この件について、いろいろ、例えば司法取引みたいなものがあるのではないかというようなことが巷間言われているということをおっしゃったわけでありますが、我が国の制度には司法取引というようなものはございません。したがいまして、司法取引があるから手を緩めているというようなことは一切ございませんで、先ほど申し上げたように、北朝鮮による拉致の可能性も視野に置きながら、法と証拠に照らしてきちっとやるという原則は踏まえてやっているというふうに考えております。
 それからもう一つ、これは地元の警察本部が捜査を担当しているわけですけれども、日本国内でもあちこち捜査に実際行かなければいかぬというようなことで、果たしてそれぞれの地域の警察の連携というものは十分にいっているのか、そういうようなことを考えると、いわばFBIみたいなものが日本にも必要ではないか、こういうお考えも承ったところでございます。
 もう私が申し上げるまでもなく、日本は、戦後、一番最初は市町村警察ということで始めまして、どうもそれではやはり広域にわたる捜査など必ずしもうまくいかないということになりまして、現在、都道府県警察がそれぞれ執行権を持つということになっております。
 ちょっと議論が広がりますけれども、こういう捜査を遂げていくときは、私は二面必要なんだと思います。一つは、地域に密着しなければ捜査というものはうまくいかないし、犯罪の抑止もうまくいきませんので、その意味においては、都道府県警察が執行権を持ってやっているというのは、もっともっと地域に密着してやらなきゃならぬという面があると思うんですが、他方、委員の問題意識、私も非常に共感する部分がございまして、こういう国際的な拉致の問題であるとか、あるいは、ちょっと事案が違いますけれども、サイバーテロみたいなものを考えましても、それぞれの都道府県警で全部そういう情報を集めて捜査を遂げろといいます場合に、例えば警視庁のような大きなところならできるかもしれませんが、小さなところではなかなか手に余るということも場合によってはあるかもしれない、こういう御議論がこのごろ随分ございます。
 それで、FBIのような、これはアメリカでも、聞きますと、FBIは、FBIとそれぞれの、例えばニューヨーク市の警察とかそういうところの権限、なかなか実は難しいところがあって、その調整に苦労するという話も聞いておりますけれども、こういういろいろな国際的な関係なんかが出てきた場合に、果たして今までの日本の制度だけで十分なのかどうかということは今部内でも議論をしております。
 つまり、国が出るべきところはもう少し前に出なきゃならぬ必要があるんじゃないかというような議論もいたしておりまして、これは警察制度の根本にかかわることでもございますので、少しお時間をいただいて、私どもも十分勉強したいと思います。
 ただ、現在の都道府県警察を中心にした制度のもとで、委員が御懸念のように、それぞれの連携がうまくいかなくて捜査が進まないんじゃないか、こういうようなことがあってはいけませんので、それは十分連携ができるように、地域が異なるところでも警察力が十分発揮できるように、私どもとしても十分指導をしていかなければいけないことだと思っております。
塩田委員 警察制度自体の根本的な問題につきましては、大臣、そういう問題意識を持っておられるということはよくわかりました。その線に立って十分に検討を進めていただきたい、このように思います。
 そして、拉致という問題は、本当に、単なる犯罪じゃなくして、国家の犯罪、そして、現在、日本の主権が侵されている、国民が自由を奪われているというこの現状に立って、これは本当に本腰を入れて、徹底的に取り組んで、早く問題解決していただきたい、このように強く希望いたします。
 特に、兵庫県警から山形県や青森県へ一々班を編成して出かけて、何日も泊まってやっているという、そして、地元警察も連携はしているとしても、主体は何といっても兵庫県警であるというところにやはり問題がかなりあるんじゃないかと思います。そういった点につきましても早急に是正を図って善処していただきたい、このように思います。
 ありがとうございました。
 続きまして、扇国土交通大臣にお伺いいたします。
 日本の海運の問題でございます。
 以前にも、この委員会でも、また他の委員会でも取り上げまして、お伺いをし、またお訴えをしたところでございます。扇大臣は、特に神戸で海を見、船を見ながらお育ちになったわけでございまして、格別の関心がおありだと思いますので、我が国の海運の現状につきまして、ひとつ率直に御意見を賜りたいと思います。
 我が国は、言うまでもなく海洋国であります。島国であって、海を渡って、あるいは海を越えていかなければ他の国に行けない、こういう状況。そして、貿易立国であって、資源がほとんどない中で、大量の物資を輸入して、加工して、また輸出をするというのが日本経済の基本でございます。その際に、大量の物資を輸入しあるいは輸出するのは、やはり船でございます。
 海洋国家と一口に言いましても、どれぐらいの日本の立場があるかといいますと、世界において、海岸線の長さ、これは二百国近くある現在の世界の国の中で第七位ですね、大国中国よりも大きい海岸線を持っている。それから、排他的経済水域の面積にいたしましても、全世界の中で第七位の大きさを持っている、大国、海洋国家でございます。
 そして、日本の経済の血液といいますか、動脈ともいうべき石油の輸入は、タンカーでもって毎日運ばれてきている。一日六十五万キロリットル、大型のタンカーにして二隻分。これは、毎日入ってこなければ日本の経済は回っていかない。油が本当に日本の経済の血液でございます。そのほか、LPガスにしましても、あるいは石炭、あるいは鉄鉱石、綿花といった重要な我が国の輸入品、これはほとんどが外航船舶によって運ばれてきている。
 こういう状況の中でありますが、御承知のとおり、我が国の船舶、約二千隻外航船があるとして、そのうち日本の国の旗を掲げておるのは約五%、百隻しかないというような現状に至っておるわけです。
 これが、どういった問題が起こるかといいますと、端的に、先般TAJIMA丸という船の問題がありました。パナマ船籍だったんですか、外国の船籍であるために日本の警察権力が及ばない、日本人が殺害されたにかかわらず、洋上に一カ月とめられたままで手がつけられなかった、こういったことが起こっているわけです。
 すなわち、日本の旗を掲げていない便宜置籍船、パナマあるいはリベリア、マルタだとかの外国に、相当数の日本の船は籍が置かれておるわけです。一番多いのはパナマでございますけれども、こういった船籍を他の国に日本の船が置かざるを得ない、置いておる現状、これは一体どこから起こっているのか、これについて大臣のお考えをお聞きいたします。
扇国務大臣 今塩田議員がおっしゃいましたように、我が国は、少なくとも国土の十二倍の海域を保有しております。そういう意味では、我々は海洋王国として、海運王国として、少なくとも経済の大きな役割を果たしていると私は思いますし、国際貿易の少なくとも九九%、これを我々は海上輸送によって経済的にも活動しているわけでございます。
 問題は、なぜ日本の国旗を有する、いわゆる船の籍ですね、これを外国にするのか。これを専門用語で便宜置籍船、こういう名前をつけるそうですけれども、要するに、便宜置籍船という、外国に籍を移さざるを得ない、そして、今塩田議員がおっしゃいましたように、私の手元にございます数字をもってしましても、今少なくとも千九百八十八隻あります中で、今おっしゃった九割がこの便宜置籍船、外国の船籍であります。そして、日本の船籍は百十隻。そういう意味で、九割が外国の置籍船である、外国に船の籍を移しているというのが現実でございます。
 どうしてこういうことになったのかなということは、御存じのとおり、要するに船舶の登録要件、これがとても緩やかなのが、今先生がおっしゃいましたパナマとリベリア、これは大変船を許可します容積が緩和されておりまして、緩いんですね。そして、なおかつ、そこへ行きますと、便宜的に登録されました船は船舶の税金が安いのです。ですから、みんな日本の船舶を保有する。
 船舶にとって、このコスト安という、コスト減というものが一番大きな要因になるものですから、税金が安くて、なおかつ登録要件が緩くて、そしてみんな日本の船を持っている人は、パナマとかあるいはリベリアへ船の籍を移して、そして安い税金で、あるいは緩やかな条件のもとで活躍しようということで、急激に外国海運企業が、いわゆる国境のないグローバルな市場の中で競争が始まったわけですね。
 その競争に日本が今おくれているといいますか、日本の規制が厳しいということもありますし、また税金、そういう意味では、コストの差というものは大きな競争の阻害要因になっている、私はそう思っていますので、少なくとも日本人一人の船員の人件費、これは東南アジアの船員の数倍になっているんですね。ですから、どうしても日本人船員の乗り組む船というのが、日本船籍はコスト面では競争に勝てないということで、今申しました便宜置籍船、籍を外国に移してということで、そういうことが行われているというのは、これは世界じゅうでのグローバルな競争に、コスト縮減の一因として日本がそれに、船の会社としては、経済上どうしても便宜置籍船を利用せざるを得ないというのが今現状でございます。
塩田委員 私も大臣がお答えになりました認識と同じでございます。そこに問題があると思います。
 船員コストの問題も言われましたけれども、それも含めまして、海運業界というのは、世界的なグローバルな競争の中で、必死になって競争してやっておられる。そのために、やはり利益を上げるため、赤字にならないために、一生懸命にいろいろな面でコストの削減をやっている。それがこういう結果になってきておると思うんですね。
 そこで、外国の船じゃない、日本の船が外国の旗を掲げてやっていることにおいていろいろな不都合が起こるということは、先ほど申し上げました平時でもTAJIMA丸のような問題が起こるわけです。有事の際には、これは本当にもっと大変ないろいろな問題が起こると思うんですね。外国の籍ですから、我が国の所有している船でありながら、我が国の物資を運びながら、外国籍の船であるということにおいて、有事の際にはなおさら大きい問題が起こると思うんです。
 そこで、抜本的に解決する道は、大臣が言われましたように、税金が高過ぎる、パナマ、リベリアは安いから、その競争の上で向こうに行ってしまうということですから、我が国はそれに対抗して、税金を、登録免許税とかあるいは固定資産税だとか、そういったものを安くする。あるいは船員につきましても、諸外国で所得税を免除しているところがある、地方税もない、そういうところもあるわけですね。ほとんど外国に出ていって、その地方自治体の住民としては暮らしていない、暮らしている日数が少ないわけですからね。そういったいろいろな、国策上もあると思うんですけれども、税金を免除している。
 そういったことを考えますと、思い切って、これは大蔵省に対する国交省としての、予算のときにもっとひとつ元気を出して、徹底的に取りついてこれを実現してもらう、減税を実現するということをぜひとも図ってもらいたい。アメリカなんかにおきましては、戦時のことを考えて、徴用船というのをつくりまして、そしてそこへ百何十億円に当たるような金を出している。有事に備えているということですね、ほかの国もあると思いますが。
 それからまた、有事の場合に、他の国の船籍であった場合に、やはりそこの制約を受けるんじゃないか。あるいは国民が徴兵される、徴兵制度のあるところでは、乗っている日本の船、乗っている船員が徴兵されたり、あるいは動員された場合に、いなくなっちゃうわけですね。フィリピンの船員だけで七割を超えている、九〇%が外国人だという今の船員の状況、これでは本当に非常にまずいことが起こるんじゃないか、このように思います。
 養成の問題、船長と機関長は必ず乗せるということを言っていますけれども、国際船舶制度、これでもっていろいろやっておられますけれども、なおそういう事態が起こっているし、船長と機関長だけでは、これは突然なるわけないんですね。やはりアプレンティスあるいはオン・ザ・ジョブのトレーニングをやらないと、そこまでいかない。そういった養成を計画的にやるためにも、今、商船大学を出ましても、船に乗れない、それで電気会社あるいはIT産業に従事するために商船大学へ行って電気工学科で勉強している、船は関係ありません、そういう学生もいるわけですね。
 そんな状況の中で、本当に日本の伝統ある海運、海員の養成ができるのかどうか、この点について非常に心配でございますので、この点についてお伺いしたいのと、今の税金の問題、これも経済特区、日本の場合、特区制度ですね、その特区制度でも、ひとつリベリア並みあるいはパナマ並みの税制にしてやってみるということも視野に入れて、ぜひとも前向きにこの問題に取り組んで解決の方向で頑張っていただきたいと思いますが、お伺いいたします。
    〔委員長退席、水野委員長代理着席〕
扇国務大臣 今、塩田議員から、二十一世紀の国の海運の、いわゆる国際海運のあり方というものは大変大事な点だと私は思います。
 まず、税制の問題をおっしゃいましたけれども、日本船籍の税額というのは約五千七百万円なんですね。そして、パナマの船籍の税額が約二千百万円。そういう意味では、この約三千六百万円の差、約三倍ですね、この差があるということが大きな問題の一点。
 それから、国土交通省としましても、日本船籍の減少というものに対応するということで、国際船舶にかかる登録免許税、今先生がおっしゃいましたこの登録免許税を船価の千分の四からこれを千分の一・五にする。また、固定資産税もおっしゃいました。これも、課税標準額の十分の一からこれを十五分の一にそれぞれ軽減するということもいたしておりますので、税制上の優遇措置というものもできる限り私たちも働きかけてやっておりますけれども、国際力の協力あるいは強化、そういう意味においては、税制のあり方については、今おっしゃったように今後も大きな問題の一つだと私は思っています。
 それから、もう一点おっしゃいましたのは、現在日本の船員、コスト高とさっき私は申しましたけれども、昭和五十年に約五万五千人いたんですね。これが、日本の船員さんの数が、五万五千人から、平成十四年ですけれども四千人へと、十四分の一ですね、こういう、本当に減少しておりまして、五万五千人が四千人まで減ってしまった今の日本の船員さん、これをどうするかというのが今の人材育成という大きな問題点の二つ目でございます。
 これは、少なくとも、今おっしゃいましたように、平成十一年ですけれども、いわゆる船長と機関長の二名が乗り組めばよいということで国際船舶制度というものを創設したわけですけれども、その船長と機関長というだけでも足りないということになりますので、国土交通省としましては、少なくとも、この国際船舶制度というものを活用しまして、日本船舶と日本人船員の維持確保、このためには、所管します独立行政法人の航海訓練所それから海技大学校、海員学校、それらにおきまして、今の不足している日本人の船員の養成というものに大きな力を入れ、なおかつ、訓練していかなければ、やがて日本人船員というものがほとんど数えるほど、いなくなるというか、また後継ぎがいなくなる。やはり海にあこがれるということが大事なことですから、そういう意味では、これらの独立行政法人を活用しながら養成に精を出していきたい、これが大きな二点の今後の問題だと思っております。
塩田委員 国の命運にかかわる問題でございます。海運の一層の発展のために、また人材育成のために、大臣、頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
水野委員長代理 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 私は、六月四日の決算委員会で、道路公団幹部と国会議員との間で酒食を伴う会議が行われていた、この問題について質問をいたしました。本日も引き続き、この酒食会議、これについて質問をするものであります。
 先ほどもありましたけれども、道路公団に関しては、今後の経営形態をめぐる問題、あるいは人事問題、あるいは総裁御自身に関する問題も含めて、大変いろいろと取りざたをされております。そういう状況だけに、こういう酒食会議などという不明朗な部分については、ユーザーや国民に対してきっちりとこれを説明していく、こういうことが今緊急に求められているのではないか。そういう意味で、ぜひ明確にお答えをいただきたいと思います。
 最初に、国会議員との酒食を伴う会議についてでありますけれども、九八年度、平成十年度から〇三年度の間、秘書を除く国会議員との間の酒食会議の件数が、これは公団の報告で八十三件となっておりました。
 そこで、各年度ごとに、出席した国会議員の数は何名になっているのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
藤井参考人 まず、平成十年に国会議員の方々と二十三件、御一緒に会議を持たせていただいております。十一年は二十六名、十二年は十五名、十三年は十三名、そして平成十四年は四名、かような数字になっております。
 なお、議員事務所、いわゆる秘書の方々との数は、この中に含まれておりません。
大森委員 それは人数の数ですか。前回いただいた件数とそれは全く同じ数になっておりますけれども、件数と人数とを混同されているんじゃないでしょうか。
藤井参考人 人数について申し上げますと、平成十年は二十三件で二十三名、十一年は二十六件で二十六名、平成十二年は十五件で十五名、十三年は十三件で十三名、十四年は四件ですが五名の方でございます。
大森委員 先般の委員会でも指摘をしましたように、この酒食を伴う会議についてはいろいろ問題がある、これは総裁御自身もそう考えたから、総裁自身が出席された分については返金をされるということをされましたし、国会議員の一部の方も返金をされました。そういう意味で、今回のこの一連の会議の正当性、妥当性、有効性、これはやはり問題があると言わざるを得ないと思います。
 そこで、前回も要請し、その後も再三要請してまいりましたけれども、これをきちんと解明していくためにも、公団で作成された会議開催伺い及び会議、酒食等についての請求書、これはぜひ至急提出をしていただきたいと思います。御答弁をお願いしたいと思います。
藤井参考人 先生からのお申し出のとおりに、私ども、今出すべく準備をいたしております。なぜおくれているかといえば、その中で不透明なところが若干ございますので、それを出すということは、それはきちっと、公文書としての意味がございますので、可能な限りはチェックをさせていただいております。
 なお、可能でない部分は、ここは可能でないということはそこでつけさせていただこうと思っておりますが、もう数日を経ずに先生のお手元にお出しできるかと思っております。
大森委員 可及的速やかに提出をしていただきたいと思います。
 そこで、今度は、国会議員に続いて、各省庁との酒食等を伴う会議についてお聞きをいたします。
 九八年度から〇二年度の五年間において、道路公団が各省庁に対して会議費を使用した回数及び件数、これを各年度ごとの数字でお示しいただけますか。
藤井参考人 私ども、各省庁との開催状況では、平成十年に七十件、十一年度に五十五件、十二年度に三件、十三年度に六件、平成十四年度に四件、合わせて百三十八件、トータル額では四百五十二万円に相なります。
大森委員 今お示しをいただいたように、九八年度と九九年度がずば抜けて件数が多くなっているわけですが、この二年間だけで、百二十五件四百十五万円の会議費が使用されております。しかも、百二十五件のうち、料理屋、レストランや、酒やビールが出た会議が四十件以上であります。うち一人当たりの費用が五千円を超えた会議は二十六件となっております。
 九八年、九九年の数字でありますけれども、九八年といえば、前回も申し上げましたように、一月には道路公団の井坂元理事が収賄容疑で逮捕される。しかも、九〇年代、九五年ごろから、いわゆる官官接待、これが食糧費の名目で、税金で飲み食いをする、中央の官僚、各省庁の官僚を接待する、これが大問題になっていた時期でありました。藤井総裁自身も、当時建設省の事務次官として、こういう補助金等を使った食糧費の接待等についてわざわざ通達も出される、こういうことであったわけでありますけれども、公団においては、九八年、九九年、こういうような状況があるわけであります。
 官官接待問題あるいは井坂元理事の収賄事件を受けて、道路公団としてどのような、この間、この時期、綱紀粛正について措置をとってこられたんでしょうか。
藤井参考人 平成十年一月三十日付で、井坂理事による収賄事件の発生を踏まえまして、日本道路公団役職員倫理規程というものを制定いたしました。それに伴う具体的な非違防止、要するに間違ったことをしないという、非違防止対策というものを講ずべく、日本道路公団役職員倫理規程の制定に伴う非違防止の推進方策というものを監察室、監査役につくっていただきまして、監査役から全社的に通知をいたし、またその説明会もしていただきまして、全社的な徹底を行いました。その際、平成十年の二月一日付で、監査役付の要員が足らなくなりましたので、二名から四名に増強をさせていただきました。
 なお、補足でございますが、当時、関係者の処分としては、井坂理事は解任、総裁、副総裁、担当理事については給与の減額、あるいは関係した職員等については戒告等々の処分を行いました。
 特に、再発防止策の中心になるのが、今言った倫理規程の制定とそれに伴う非違防止対策でございますが、事件が、外債の発行ということに伴うものが直接的な原因でございました。したがって、外債発行の体制を直さなきゃいけないということから、主幹事候補の選定基準や主幹事決定方法の明確化の改善策を変えまして、そういう委員会制度で、大勢の合議制でそれを決めるというような方式もとらせていただきました。
大森委員 確かに、九七年、非違防止の手引とか役職員の綱紀粛正等にかかわる倫理規程等を出されておりますけれども、これが九七年。ところが、九八年、九九年における実態は、こういうものが全く通用していなかったということ。私、「会議開催伺」、提出されたものを見て、大変びっくりしているところであります。
 以下、若干具体的にお聞きをしたいと思うんですけれども、例えば、平成十年、九八年四月一日でありますけれども、旧建設省横浜国道事務所長と公団側の所長が横浜市内の料理屋で会合を持っております。その費用は三万四千五百六十一円。同じ日、全く同じ日ですね、旧建設省横浜国道事務所の、今度は副所長と公団の副所長が同じ横浜市内の料理屋で会合を持っている。その費用は十万八千二百十六円。いずれも、一人当たりでいえば一万二千円であります。しかも、会議の議題は、違うところで行われておりますけれども、同じ圏央道事業連絡調整会議、二つの会合とも全く同じであります。
 こういう会議費の使い方、これは明らかに不正常であり、おかしいということが言えると思うんですが、総裁はいかがですか。
藤井参考人 今先生が御指摘の会議は、圏央道の事業連絡調整会議、つい先日、圏央道の収用法に係る案件の決定も国土省にしていただいたわけでございますが、この圏央道というのがおくれたために、非常にいろいろな問題を投げかけておりました。
 そこで、このための、どうやったら進めることができるかということで、いろいろなレベルで打ち合わせをしたというふうに聞いております。そのことが、たまたま同じ日に、違ったレベルの方々が、平たく言えば、上の方々といいますか、管理者レベルの人と実務者レベルの人と、こういうふうに言えば早いかもしれませんが、そういうような会議を行ったというふうに聞いております。
 こういうことは、その後、私ども、やはりそうはあっても、なるべく簡便にすること、あるいはなるべく時間の中で済ますように、ただ、忙しいですからなかなか五時前にとれない人もいるかとは思いますが、なるべく、世間から見ても、やはり信頼を失わないようにということで、厳しく指導をいたしております。
 その結果が、十三年以降、そういう数になってきたものと思っております。
    〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
大森委員 これはやはり率直に認めるべきだと思うんですよ。そういう言い分は全く、それこそ、ユーザー、国民から見て通らない話だと思うんですね。
 そこで、大臣、同じ議題の会議、同じ日に同じ事業所の所長、副所長同士が別の料理屋で、一人当たり一万二千円使って会議を行う、こういうのが一事が万事、行われていたわけでありますけれども、率直に、今の質問と答弁について御感想をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 これは大森議員が言っていただいたおかげで、私も、少なくともこの表が、十三年度、十四年度、私の手元にも来ました。これは大森議員が資料請求なすったおかげで、私も生まれて初めて見せていただいたんだと思いますけれども、やはり会議として必要不可欠なもの、あるいは何をしゃべったかわからないもの、それから今総裁が申しましたけれども、国会議員と打ち合わせしたもの、そしてそれはどういう目的であったのか。会議自体、私も何度も打ち合わせしていますけれども、残念ながら私は一遍も入っていませんけれども、少なくとも会議の目的、それから使途、そしてどこで、いつ、だれと、何をしたかという情報公開をすれば、少なくとも多くの皆さん方に疑義を持たれない。
 しかも、この資料も大森議員が請求されて、随分出てきませんでした。私もやっとこの十三年、十四年、きょう十年からの細かいのもまたおっしゃいましたけれども、十三、十四年度ですけれども、この場所ですね、これ、公表すれば皆さんおわかりになると思うんです。私、これを見ただけではどういう店屋さんかわからないんですよね。かね田だとか樽八何とかだとかあるいは鳥甚だとか日吉だとかといろいろ書いてあるんです。由紀という、バーでしょうか料理屋でしょうか、右近というのも出てまいります。ですから、私は、これを公表することはいいことだと思うんですけれども、これが屋台なのか、今大森先生はただ料理屋、料理屋とおっしゃいましたけれども、どの程度の料理屋なのか。また、そこへ行かなきゃ話ができなかったのか。そういう意味では、今後いやしくとも、三つの条件を道路公団にも要請したいと思います。
 そして、我々もそうですけれども、どうしても時間的に、委員会が済んでから、食事なのに、飲まず食わずで打ち合わせということもできないですから、それ相応の、世間で社会通念的な、妥当な場所で、そして軽食を食べながらということもあり得るだろうと私は思うんですね。
 ですけれども、少なくとも、一つは、まず真にやむを得ないという場合にこれは限定するということ、先ほども総裁、少し言っていましたね、時間が何とかと言っていました。必要最小限の費用で開催する。なおかつ、これは、会議の目的、あるいは相手がどういう方であるか、あるいは、社会常識に照らして、この人とこれくらいの料理を食べてもこれは疑義を持たれない、打ち合わせの、万やむを得ない、時間的に食事はわきだった、会議が主で、どんなことをしたかというのをするべきであって、私は、それを公表しない方がおかしいので、私の手元に来ましたこの料理屋の名前というのも、料理屋なのか何屋さんなのか知りませんから、これも全部公表すれば、世間の皆さんが、ああ、これは正常な会議で、万やむを得ず食事したんだなとか、そういうことを思ってくださるように、公表しないから疑われるんです。
 国会議員の名前を出すことをとても怖がりましたけれども、国会議員の名前を使われているかもわからないんですよね、これは。疑っては切りがありません、余計なことを私が言うと問題になりますけれども、これを表に出せば、出た名前の人は、これは僕じゃないよと言えば、それはおかしいということになるので、公表しないからおかしいので、私は、全部国会議員も、堂々と、打ち合わせしたんなら打ち合わせしたと言えばいいと思いますから、今後は、すべて公表して明快にしてもらう、それでなければ体質改善はできないと思っています。
大森委員 すべて明らかにするということが一番解決の近道だということは、そのとおりだと思います。
 今既に公開されているものでなお幾つかお聞きをしますけれども、先ほども、酒食を伴う、酒やビールが伴うものについて申し上げました。
 例えば、九八年四月二十日、会議の議題は、高松西インターチェンジ―高松中央インターチェンジ間事業展開調整会議というんですが、旧建設省香川工事事務所長、公団所長ら十七名の会議であります。料理とは別に、ビール二十本、日本酒二十二本、冷酒十四本、これは、店舗の中身がどういうものであるかは別として、こういうぐあいになっているわけです。
 さらには、九九年の三月十七日、これは、会議の議題は、今治小松自動車道引き継ぎに関する打ち合わせ、旧建設省松山工事事務所と公団副所長ら総勢十六名の会議であります。料理とは別に、酒三十八本、ビール二十九本であります。
 公団の方は、予算事務提要に従って会議費というのを定義づけておりますけれども、それによると、「会議用、式日用の茶菓弁当、非常炊出賄等の食料の代価」となっております。こういう会議で使用された会議費は、この会議用の茶菓弁当に当たらないということは明らかですね、総裁。
藤井参考人 今先生が御指摘いただきました高松西―高松中央、これは、いわゆる四国の最後の高速道路の連結の、言ってみれば打ち合わせの最後の会議だったと思います。そういうこともあって、私は、想像でございますけれども、かなり長時間にわたってやった結果、終わってからうれしくなってやったんだろうと思いますが、こういう場合であっても、今後、私が今、十三年、最近強く指導して、データでごらんになっていただければおわかりになられますけれども、昨今は、そういうものであっても、今までとは違って、今、大臣から強く御指摘、御指導いただきましたように、だれが見てもまあまあと思われるように厳しく範囲を絞り、しかも、可能な限りは普通の時間帯でやる、どうしてもやる場合でも簡便なものにしていくということを徹底させていきたいと思っております。
 そういうことが、この会議のいろいろな問題でも数として成果が出てきておると思いますが、十四年、十五年、こういった方式で一層身を慎み、かつ、やはりパブリックな仕事をしているわけでございますから、オープンに、だれから見られても恥ずかしくないように、堂々と出させていただけるような体制でやっていきたいと思っております。
大森委員 あわせて、実は、「会議開催伺」のとおりに飲食が行われていないという可能性もあることも浮かび上がってまいりました。
 これは、九八年八月二十六日の会合でありますけれども、このときの「会議開催伺」、これを見ると、事業計画連絡会議の議題で、時間は十六時から二十時、場所は花山、相手方は、当時、総務庁ですね、総務庁行政監察局総括副監察官ほか二名となっております。公団側は、企画部長ほか二名の総勢六名、弁当代一人当たり、これは二千七百円でありますが、消費税を含む総額一万七千十円を支出したことになっております。
 そこで、総務省に伺いますけれども、会議伺いに記載している関係者はこの会議に出席をされていたのでしょうか。
田村政府参考人 お答えいたします。
 平成十五年六月二十四日付の新聞で、旧行政監察局を含む他官庁職員と日本道路公団との会議に関する報道がなされた件につきまして、行政評価局において当時の職員から事情を聞くなどして調査したところ、日本道路公団の資料に記載された食事つきの会議をした事実はなかったので、その旨、私どもから日本道路公団に申し伝えておるところでございます。
大森委員 確認をいたしますが、今、食事をした事実について否定されたのか、会議に出席したことはどうですか。
田村政府参考人 会議に出席した事実はございません。
大森委員 これは大変おかしなことだと思うんですね。食事はもちろんのこと、会議自体に出席していないということで、これは、当時、食糧費の官官接待が大問題になった際に、空接待等が大変問題になりました。架空の伝票をつくり上げてプールするということが大変問題になったわけでありますけれども、これと同様のものであれば極めて重大な問題と思いますけれども、道路公団はこれについてどうお答えになりますか。
藤井参考人 先ほど総務省からそのようなことが申し入れがございました、JHに対して。
 そこで、私どもは、事前にチェックをしておりましたけれども、さらに、そういう申し出がございましたので、直ちに、会議開催状況について、JH側の出席者に、複数でございますけれども、確認をさせていただきました。そうしたら、出席者等について一部変更、これは、部長が出る予定のものがその筆頭課長が出たということでございますが、一部変更はあったものの、同日に総務省との会議は開催されたということが確認されております。その旨は、総務省に、こういうことでお伝えいたしますということをお伝えしております。
 いずれにいたしましても、私どもの事業を円滑に推進していくために、こういった簡便な会議、あるいは、その場合に、これは場所が花山というところだそうですけれども、お弁当をとるなどのような形態等のものはやはり普通の許されるものという理解のもとに当時これが行われたというふうに聞いております。
大森委員 いずれにしろ、公的文書である「会議開催伺」にかかわる事実関係が全く食い違うわけでありますから、これは、公団自身がさらに調査すると同時に、国土交通省、旧建設省も出席した省庁としては一番多いですから、調査機関として妥当かどうかということはありますけれども、しかし、これはきちんと事実関係を監督官庁として調べ上げていただきたい。いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 平成十年、十一年、このころでございますと記憶の範囲が割と確かでないところもあるかとは思いますが、今のような御議論があります。したがいまして、私どもも、出席したとされている職員について、十分調査して必要な対応を考えるということにしたいと思います。
大森委員 公団の酒食会議に出席した省庁というのは十省庁相当に上るわけでありますから、それらのすべてについてきちんと掌握、調査をしていただきたいと思います。
 今も申し上げましたように、九八年度で七十件の各省庁の出席のうち、旧建設省が五十八件、あと、警察庁、旧文部省、総務庁、旧運輸省、労働省などなどでありますけれども、会議費の使用相手として圧倒的に旧建設省が多いわけです。これは、国土交通省からいただいた資料によれば、各道路公団法その他の法律で、旧建設省あるいは国土交通省が公団に持っている許認可権限は二十八件。こういう許認可にかかわってそういう酒食等の接待を受ければ、当然これがゆがんでくる。そういう危険性が極めて強いと思うんです。
 特に、直接監督する部門があると思いますけれども、そういう部門もこの酒食会議に出席しているわけですね。例えば、平成十年、九八年の四月三日には、旧建設省の公団監理官四名で八万二百四十四円の飲食を行っております。会議の目的は、公団の事業について、何とでもとれる議題でありますけれども、公団監理官といえば、国土交通省の組織規則でも、直接道路公団の運営一般にかかわって管理監督する、そういう部門であります。同様に、道路公団の建設部門を所掌する高速国道課の調整官も同じ四月二十四日、料理屋で一人一万二千円の接待を受けているわけであります。
 このように、公団の運営一般あるいは建設部門の直接の管理監督を含めて所管する部門が料理屋で接待を受けるということになれば、所掌事務がゆがめられることになっていくんじゃないか。道路局長、この辺はいかがですか。
佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、なお、私どもの出席したとされている職員について、十分ヒアリングしたりしながら事実を確かめたいと思っております。
 中には、一応既に、名前として挙がっているものですから本人たちも気にしまして、こういう状況でありましたよという報告もいただいたりしております。中には、会費としてはお払いした、しかしながら、会費制でやったと認識したけれども、会費を払ったけれども、一応載っているというような状況であるとか、あるいは本人が出席はしていませんというようなこともありますので、これは多少時間がかかるかもしれませんが、記憶の範囲、かなり古い話でもあります。その辺を確かめながら考えてまいりたいと思っております。
大森委員 平成十年でいえば、当時の道路局長、四月一日でありますけれども、一人当たり二万五千円、旧建設省から道路局長ら二名、合計七名で、これは一連の省庁の酒食会議では最高でありますけれども、十七万五千円という「会議開催伺」となっております。これは平成十年度事業計画打ち合わせとなっておりますけれども、年度初めの宴会としか言いようがない、そういうことだと思うんですね。九八年、当時の井坂公団理事が収賄容疑で逮捕される、そういう年の年度初めに十七万円を超える宴会が行われていた。やはりこれは感覚の麻痺と言うしかないと思うんですね。
 時間が参りましたので、道路公団も、また藤井総裁もいろいろな意味で今重大な局面に立たされているわけでありますけれども、それだけに、既に十三年度以降改善した事項ではなくて、過去のこういう不明朗な部分について洗いざらいユーザーやあるいは国民に明らかにしていくということで、そういう御決意を、私、もう時間が来ておりますので一言ずつ総裁と大臣にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
山口委員長 時間が来ていますので、では一言ずつ。
藤井参考人 平成十年七十件でございました。昨年四件、一昨年六件でございます。
 一生懸命、これが真にやむを得ないものになるように、もっとうまく時間内にできるように努力し、かつ、国民に常に見えるような形でやっていくように努めてまいりたいと思います。
扇国務大臣 大森議員がおっしゃったことは、民間の会社としても私は全部公開すべきだと思います、民営化しようというときなんですから。ただ、打ち合わせすることがいけないような感覚にとられては困りますので、今総裁が言いましたように、時間内に、そして国民の前にこういう打ち合わせをするのは必要だと。これは、特に国土交通省、四省庁統合しましたのでしょっちゅう打ち合わせいたします、陸海空ですから。そういう意味では、国民の目に堂々とこの会議はこういう目的だと開示できるという、さっき三条件を出しましたので、それを守っていきたいし、また公団にも、その体制を今後とっていくという方針に私は指導していきたいと思っています。
大森委員 終わります。
山口委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。ようやく大臣にも席に着いていただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。
 少子化が進む中で、安心して子供を産み育てる環境づくりの一環として、妊娠、出産から小児期に至るまで高度な医療を提供するための医療施設を全国的に整備し、母子保健医療体制の充実を図る、こういう厚生労働省のうたい文句で全国の何カ所かで小児医療施設が整備されまして、現在まで多くの子供さんたちや母親、御家族の皆さんが大変喜んでいる、そんな状況になっているというふうに思っています。
 家族にとっても子供にとっても、病院の存在は、子育ての中でも安心して医療が受けられる意義は大変大きいと思いますし、その充実強化を望む声は年々高まっているというふうに思います。反面、高度で精密な医療を進める中で問題点も出てきているというふうに思います。
 医療技術が進歩すればするほど、医療施設の整備、スタッフの充実はより重要となってくるというふうに思いますが、小児医療に対して国としてどう考えておられるのか、問題はあるのか、今後こうした医療施設の充実をどう進めていくのか、大臣にお伺いしたいと思いますし、現在、こうした子供病院の整備状況がどうなっているのか、施設整備は補助があるというふうに思いますけれども、運営の支援というのはどのようになっているか、お答えをいただきたいと思います。
岩田政府参考人 私の方から事実関係の御説明を先にさせていただきたいと思います。
 総合的に高度な小児医療を行っている病院、病棟、これらが日本小児医療施設協議会を形成しておりますが、ここに加盟しております医療施設が二十五でございます。このうち、小児専門の病院として独立設置されておりますのが全国で十七施設あるというふうに聞いております。
 これに対する助成金でございますが、昭和四十六年から小児医療施設整備の国庫補助を実施してきているところでございますが、平成十五年度、今年度から、独立型の小児医療施設、いわゆる小児病院ですが、その場合について、従来は施設整備の国庫補助対象基準面積が最大で千三百平米でございましたけれども、十五年度からは、そういった小児専門病棟の場合で病床が百床を超えるような場合については、国庫補助対象面積を最大四千平米ということで、補助対象の基準の拡大を図ったというところでございます。
 運営費の問題は、診療報酬のあり方の問題かと思いますけれども、十四年度の診療報酬改定において、小児医療提供体制について配慮を行っていただいたというふうに思っております。
坂口国務大臣 小児病院の問題につきましては、大変経営上難しい状況が各地で続いていることを私もよく存じております。
 それで、これは、今局長からも答弁ありましたとおり、診療報酬の問題と大きくかかわっていると思っています。現在の診療報酬は、どれだけ検査をして幾ら、薬を出して幾ら、こういうことが中心になっているものですから、どういたしましても、小児科の場合には、検査項目も少のうございますし、あるいはまた薬も少ない。急性期の疾病が中心でございますから、長い、慢性の、大人のような薬は出ない。また、入院等につきましても、短な入院で退院をするというようなことが中心でございますので、やはり小児病院というのが、現在の診療報酬体系との間で見ましても、非常にいろいろ難しいであろうということは想像がつくわけでございます。
 したがいまして、こうしたことを診療報酬体系の見直しの中でぜひ少し見直していきたいというふうに考えておりまして、来年はまた診療報酬の見直しの年に当たるわけでございますので、ことし一年間しっかりひとつ検討を重ねまして、そして、いわゆる小児病院がやはりそれなりにやっていけるような体制というのを確立したいというふうに思っている次第でございます。
山口(わ)委員 大臣から、今、これからの課題ということで、十分考慮していくというお話がございましたけれども、少し現状を申し上げたいと思うんですが、私は長野県なものですから、長野県でたまたま、五月四日の地元紙、信濃毎日新聞ですけれども、この中で、長野県にこども病院が開設をされまして、それ以来赤字がずっと続いているわけです。一般会計の負担は、初年度から大変な財政負担が県の負担として強いられている状況がありまして、これ以上の負担は難しいということから、増設をしまして、周産期医療の充実も図りまして、増改築をしましたけれども、いまだに病棟二カ所が使用開始のめどが立っていないという状況が出ているわけです。
 ですけれども、このこども病院に対する期待は非常に高いわけで、実は手術は二年待ちという、大変皆さん待ち望んでいる状況もあるわけなんです。こんな中で、やはりほかからの病院の紹介を断ったりするケースも出てきているということで、家族や患者に大変大きな不安を与えているという新聞記事が、これは五月四日の新聞記事ですけれども、ございました。
 そして、五月二十五日に田中知事は、来年度から、特に要望の強い慢性呼吸器管理病棟を新設したりすることで、年間に五千万から八千万の経費負担を県でしていこうということで考えているというお話がありましたけれども、ずっとこういう状況を見ていますと、県がかなりこの病院に対して負担をしていかない限り、患者さんが十分な治療が受けられないという現状があるわけです。
 全国的にも子供病院はそうたくさんはないというふうに思っているんですが、実は、この病院というのは、長野県内だけの患者さんじゃないわけですね。県外からもたくさん患者さんが入っているということで、県としての問題というよりは、むしろ国としてやはり小児医療に対する支援をきちっとしていかないと、診療報酬だけで本当に解決できるのかということが私は非常に心配になるわけです。
 例えばですが、子供病院に患者さんが入りますと、先ほど大臣がおっしゃったように、急性期の患者はいいんですが、特にがんの患者さんですとか、例えば一つの個室、クリーンルームというんですか、そういうところに入った場合には、母親は、一緒に介護、そこに入って看護はできません。ですから、母親は別のところで待っていなければいけないという状況がありまして、なかなか部屋がないわけですね。母親が寝泊まりする部屋がない、家族が寝泊まりする部屋がないということで、実は、この病院では、知事が決断をしまして、サポートセンターをつくりました。病院の中に家族が寝泊まりできる部屋をつくったわけですが、これも全部県の負担になるわけです。
 こういうふうに、子供が入院するという場合は、大人と違いましてさまざまな問題が出てきますし、それを一つ一つサポートしていくということが非常に大事になってくるわけです。そういうことから考えても、やはり国の財政支援というのは非常に大事になってくるというふうに思うわけです。
 こうした子供病院の特質から考えて、もちろん診療報酬の改定も必要ですし、医療制度の改正も必要ですけれども、それだけではなかなか解決できない問題があるというふうに思うんですが、その点について、どういう財政支援をこれから考えていかれるのか、これはぜひ考えてほしいという私の思いから質問させていただきますが、お答えをいただきたいと思います。
坂口国務大臣 財政支援というのは、率直に言ってなかなか難しいことだというふうに思いますけれども、県立病院なら県立病院、あるいは市民病院なら市民病院でおやりをいただく場合には、それは何がしかの県なり市なりの御支援があるんだろうというふうに思いますけれども、そういうふうな、子供病院だからというので国からの財政支援というのもなかなか難しいというふうに、私は率直にそう思っております。
 それで、今お話しのように、御両親でありますとか、そうしたおうちの方の宿泊場所の問題等は、これはいろいろの場所で起こっておりまして、そうしたものを建設したりといったことが行われたりもしているところでございますが、結局は、病院のあり方をどうするかということが今問われていると思っております。
 子供病院の場合には、いわゆる小児科だけありますところと、それから、このごろは、関連の科目が子供さんの場合に非常に必要な場合がございまして、それで、整形外科でございますとか小児外科でございますとか、あるいは皮膚科でございますとか、そうしたたくさんの連携の中でやっていかなきゃならないような問題もあるものでございますから、総合病院の中のいわゆる一つの小児科という形の場合には、比較的ほかの科との連携というのがうまくいくわけでございますが、子供さんだけの、小児科単独といった場合に、そうした連携もなかなかままにならないということで、いろいろ問題が起こってきているわけでございます。
 今後、小児病院のあり方としてどういう形が最も望ましいかといったこともあわせてひとつ検討をしなければいけないことだというふうに思っておりまして、そんな話も今進めているところでございます。
山口(わ)委員 ぜひ検討していただきたいと思うんですが、やはり子供病院に対する住民の皆さんの要望というのは物すごく強いわけですね。
 ここは特殊な病院ですから、外来患者さんというのは特別な紹介がない限りないわけでして、本当にほかの医療機関では難しい患者さんがこの子供病院に来て、本当に総合的な、神経科から、もちろんさまざまな、呼吸器科ですとか、そういう本当に、大人でいえば総合病院のような体制の中で、子供病院の果たす役割というのは非常に大きいというふうに思っているわけです。
 特にことしは、少子化社会対策基本法ができたり、あるいは厚生労働省では次世代支援対策法案も、今審議されている最中ですから、お母さんたちが本当に安心して子供を産み育てる環境がやはり非常に大事だというふうに思うわけです。特に医療に対する不安は、もう子供は産みたくないというふうにもしなってしまったら大変ですので、そういった意味で、きちっとやはり支援をしていくことが必要だというふうに思いますので、その辺はぜひこれから考えていただきたいというふうに思います。
 それから、小児医療という特殊事情もありまして、重症度の高い患者さんが非常に多いわけです。高度専門医療を事故のないように確実に実施しなければいけません。医療機器や治療薬も進歩する中で、例えば注射薬にしても、〇・〇数ミリリットルというような単位で行わなければならないわけですし、昔は五百グラムという出生児はなかなか助けることができませんでしたけれども、今は五百グラムでもちゃんと医療の支援で生きていくことができる時代になったわけです。それだけに、本当に小さい子供さんに対する治療というのは細心の注意を払わなきゃいけないということがありまして、現在の医師や看護師の設置基準はまだまだ改善しなければいけない非常に低い水準ではないかというふうに私は思うわけですね。
 特に深刻な問題は、医師や看護師などスタッフの圧倒的な不足、あるいは過重労働が顕在化しているというふうに思うんですが、この長野県のこども病院の例でいいますと、一人の看護師が、日勤で四から八人なんですね。つまり、日勤で四から八人の患者さんを診ているわけです。夜間では一人で十人は当たり前という実態になっているわけですね。夜勤も、普通でしたら、基準ですと大体月に八回ぐらいが通常だと思うんですが、ここの病院では月に十回から十三回、そういう状況が当たり前になっているということで、身体的にも精神的にも非常に厳しい労働条件で働いているという状況があるわけです。
 私の友人なんかも、一年もたなくて、体を壊してしまって退職せざるを得なくなったという状況も出ているということで、こうした職員の設置基準を大幅に改善することを国として、厚生労働省としては考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
篠崎政府参考人 先生の御指摘の件でございますけれども、平成十二年の第四次の医療法の改正におきまして、一般病床につきましては看護職員の配置基準を患者三人に一人というふうに引き上げたところでございます。また、先ほど来大臣も申し上げましたように、平成十四年度の診療報酬の改定におきまして、急性期の小児入院医療における手厚い医師そして看護師の配置を評価いたしまして、小児入院医療管理料というものを再編成いたしました。
 また、先ほど先生は慢性の方を申されましたけれども、救急のことについても、これは財政的に負担が非常に大きい部門でございますけれども、小児救急医療体制の整備というものを促進することにいたしておりまして、二次医療圏単位で小児救急医療支援事業というのを行っておりますし、また、二次医療圏単位では対応が難しいものにつきましては、複数の二次医療圏を対象といたします小児救急医療拠点病院運営事業というものを行っておりまして、それに対する運営費の補助を行うというようなことで小児医療の充実に努めているところでございます。
山口(わ)委員 現在それだけ充実しているにもかかわらず、今、病院の体制はまだまだ大変厳しいわけですね。やはりこういう病院の実態を何とか解決していかなきゃいけないんではないかというふうに思うんです。
 例えばですけれども、外国に比べますと、この看護職員の数というのは非常に少ないんじゃないかというふうに思うんですね。外国の様子を聞きますと、看護職員の数をふやすことによって、逆に入院の期間が非常に短くなるというケースも出ているわけなんです。
 ですから、入院を長くすればするほど、子供さんたちにとっての精神的な圧迫も多いし、成長に対するさまざまなブレーキがかかってしまうということもありますから、看護職員の数をふやしていくということはやはり必要なことだというふうに思っていますから、その点はもっとこれから努力をしていただきたい。
 ちょっと調べますと、日本の看護婦の数というのは、アメリカの五分の一という状況で、ドイツの三分の一しかいないという状況もありまして、最近では医師も過労死をする時代になってしまったというくらい大変な労働強化の中で、それでも子供さんたちの医療を何とかしなきゃいけないというふうに皆さん努力されているわけですから、やはりこの辺は厚生労働省としても、本当に過労死なんということは昔はなかったですね。でも、そういうことが起こってきたということを考えたときに、やはり病院の体制、全体とすれば看護師の数は割合にあるわけなんですが、特に病院の看護体制というのは、まだまだ劣悪な労働条件があるというふうに私は思っていますから、その辺はぜひ考慮していただきたいと思うんです。
 実は、ちょっと気になることがありまして、最近の新聞で見たんですが、政府はこれまで禁止していた病院など医療機関全般に労働者派遣を導入する方向であるという報道がちょっとありましたが、これは事実なのかどうか。
 派遣労働というのは今非常に職種は限られています。つい最近、労働者派遣法が改正になりまして職種の拡大がありましたけれども、医療に対しては細心の注意を払わなければいけないし、労働者派遣が現実になりますと、一人の患者さんに対して看護師が入れかわり立ちかわり、本当に何人もかかわっていくということで、継続して観察しなければいけない患者さんに対して、労働者派遣というのはやはり絶対やるべきではないというふうに私は思っていますが、その辺は厚生労働省としてはどう考えていらっしゃるんでしょうか。こういう報道がちょっとありましたので、気になりましたから、骨太方針の中にあったようですけれども。
篠崎政府参考人 労働者派遣の問題につきましては、私ども、患者の視点から見た規制緩和と申しますか、そういうものの検討会を大臣の命を受けまして設けました。先ほど、その検討会の報告書がまとまったわけでありますが、今回の法律改正を受けまして、従来とは違った形の紹介型派遣につきましては、医療関係職種としての院内でのチームワークというものもとれるというようなことでございますので、従来の方針を変えて、紹介型派遣については医療関係職種も解禁の方向というような検討会の報告をいただいたところでございます。
 私どもは、それを受けまして、今後、いろいろ手続がございますので、適切に対応していきたい、このように考えております。
山口(わ)委員 これは私は非常に重要な問題だと実は思っているんです。正規の職員で患者さんを定期的にきちっと観察をしながら診ていっても、なおかつ医療ミスが起こる時代なんですね。医療ミスの物すごい増加というのは本当に大変な状況で、実は私どもも、医療ミスを防止する議員連盟もできたくらい、真剣に考えていかなければいけない状況が来ているわけです。正規の職員でさえそうなのに、派遣労働でできるんでしょうか。もし、これを厚生労働省が許して、医療ミスが多発するようなことがあったら、一体どう責任をとるんでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。
坂口国務大臣 派遣といいます場合にはさまざまな形が考えられますけれども、例えば看護師さんが何らかの御家庭の理由でしばらくお休みになるといったときに、そうすると、病院としましてはそれにかわるべき人を採用しなきゃいけないわけですね。
 そうした場合に、その看護師さんにおやめをいただいて、そして別な人を雇うということは、現在の状況の中ではそれは私はでき得ないと思うんです。やはりその人には、一定期間、お休みをいただいている間、どなたかでつないで、そしてまたもとの方にお勤めをいただくということにしなければならないというふうに思っております。
 そうした意味からいきましても、いわゆる派遣業というのは、私は、病院の中におきましても必要な場合というのはかなりあるというふうに思っております。今先生が御指摘になりますように、もう常時派遣でずっといくというのは、それは問題だというふうに私も思いますけれども、必要な場合があるというふうに私は理解をいたしております。
 今回、普通の派遣業の場合には、どなたが、どういう人が来るかわからない、顔を見ないで決めて、そして来るという形になっているわけです。それでは、その病院の本来のいわゆる行き方というものもあるわけでございますから、そこを理解してもらっているかどうかというのがわかりませんので、前もって、紹介型と申しまして、一度紹介を受けて、そして面接をしてもらって、この人ならということで、その人にしばらくお願いをする、こうしたことはこれからも必要だというふうに私は思っております。
山口(わ)委員 厚生労働省は今までこの派遣労働に対しては非常に否定的な考えをしてきたというふうに聞いています。それはやはり医療関係者間の十分な連携の確保がより重要になってきているということがありますし、医療関係側が医療スタッフを事前に特定できないという問題や、あるいはスタッフの異動が頻繁になるので職場のコミュニケーションがとれないという問題がありまして、厚生労働省側としては、今までこの派遣労働はやはり抵抗してきたのじゃないかというふうに思うんですね。
 ですから、一たん許しますと、どんどん規制というのは緩くなってしまうということがありまして、本当に適正な医療をきちっと、特にこの子供病院のような、精密な医療、そして子供さんの大事な人格をきちっと保護していくような医療に対して、この派遣労働がいいとは私は決して思わないわけです。ですから、そういう意味では、これからこの派遣労働を認めていくようなことだけはぜひしないで、本当にきちんとスタッフを正規で採用するようなことを考えていただきたいというふうに要望しておきます。
 もう一つは、特に子供病院の場合は非常に高度な医療ですから、それに対する、例えば医師の場合は研修制度ができたようです。ですけれども、看護師の場合は研修制度がまだできていないということで、この研修制度ができませんと、高度な医療に直接対応するのが非常に難しい場合もたくさん考えられるわけですね。
 子供病院の場合は、突然新しい看護師が入ってきても、その看護師を現場の違う看護師が仕事をやりながら研修するというふうにならざるを得ないということで、非常に手がないところへ、大変なところへ持ってきて、現場で研修をするということになって、これも医療の現場で大変悩んでいることの一つなんですけれども、研修制度というのは、やはり別にきちっとそういう制度をつくる必要があるのではないかというふうに思っていますが、それが一つ。
 済みません、時間がなくなりましたので、もう一つ大事なことは、子供病院の場合は、治療するというだけではなくて、子供さんに対するケアというのが、特に精神的なケアが大切になってくるわけです。家族に対してもそうなんですが、長野県のこども病院の場合には、各病棟に二人保育士が配置されていまして、この保育士が子供さんのケアをずっと担当していることになるわけです。特に長期入院の子供がいますから、こういう子供さんに対してのケアは非常に大切だということで保育士が対応しているわけですけれども、厚生労働省の指導によりますと、正規職員でなくてもいいという指導をされているというふうに聞いています。正規職員でないということは、どうしても臨時やパートですとやめてしまう方が出まして、なかなか継続して保育ができないということが現場の声として上がってきているわけですが、その辺につきましては、厚生労働省が本当にそういう指導をなされているのかどうかというのと、やはり病院という特殊な、小児病院という特殊な機関の中で、保育士も必要ですし、院内学級も、これもなかなか十分に対応できなくて、長野県の場合も地域の学校の負担でこの院内学級をやっているというような状況ですが、そういうさまざまな他のケアですね、医療以外のケアについてはどう考えていらっしゃるのでしょうか。
篠崎政府参考人 先生の方から最初にございました看護師の研修、オン・ザ・ジョブ・トレーニングにつきましてお話を申し上げますと、平成十四年三月に、五番目のナショナルセンターといたしまして、国立成育医療センターがスタートをいたしました。ここで成育医療の専門家の育成あるいは教育研修というものを行っておりまして、小児医療に従事する看護師に対する研修につきましても、国内外から希望者を受け入れているところでございまして、今後もその充実に努めていきたいと考えております。
 また、本年度から新たに看護師に対します臨床技能向上推進事業というのをスタートさせまして、特定の看護分野における臨床現場での実践能力の高い看護職員を養成する、そういう事業に取り組んでおるわけでございます。御指摘の小児医療につきましても、新生児集中ケアに関するそういう研修をメニュー、予算ではございますが、その中に入っておりますので、この事業も積極的に、また全国的に進めていきたいというふうに考えております。
真野政府参考人 小児医療の診療報酬におきまして、昨年、その評価の一環といたしまして、小児に係ります療養生活の指導体制に係る加算というものを設定いたしました。御指摘のとおり、常勤の保育士の配置それからプレールームの設置等、適切な療養生活の指導体制を確保してほしいということで、加算を設定いたしました。
 その我々の条件といたしましては、今申し上げましたように、プレールームの設置や常勤の保育士の確保ということでありまして、その雇用形態につきましては各医療機関がそれぞれ御判断をいただくものだというふうに考えておりますが、決して非常勤でいいという指導はいたしておりません。
 それから、その他のコメディカルのあり方、それから福祉の分野とのサポート、それにつきましては、小児医療あり方そのものとの議論であろうかと思いますが、そういう部分を診療報酬でどういうふうに評価していくかということに関しては、中医協でも御議論をいただきたいというふうに思っております。
山口(わ)委員 小児医療につきましては、本当に母親の強い要望もありますし、やはりこの少子化という中で、病気をきちっと治していく。しかも、子供さんが成長していくわけですから、そういう中で本当に成長に合った治療そしてケアをきちっとしていくためには、さまざまな費用がかかるというふうに思うわけですね。ですから、単なる診療報酬だけではなくて、やはりそういう周辺の支援も厚生労働省としてはぜひ考えていただきたいというふうに思います。
 最後に、時間がなくなりましたので……
山口委員長 もう時間は終わっておりますので、質問は遠慮してください。
山口(わ)委員 済みません。質問じゃないんですが、簡単に抗議の申し入れをしたいというふうに思っているんですけれども、実は、鹿児島市内で開かれた公の討論会で、森喜朗議員が、子供をたくさんつくった女性が、将来国が御苦労でしたと言って面倒を見るのが本来の福祉です、ところが、子供を一人もつくらない女性が、好き勝手と言っちゃなんだけれども、自由を謳歌して、楽しんで、年とって、税金で面倒を見なさいというのは本当におかしいですよというとんでもない発言をなさったわけですね。
 今、本当に厚生労働省もそれから内閣府も少子化に対して気を使って、子供さんをこれからたくさんふやしていきたい、医療もそして教育も十分なことをしながら、やはり子供さんに対するケアをしていきたいと考えていますし、女性は第一、子供を産む機械じゃないわけですね。女性の役割を子供を産み育てというふうに限定する……
山口委員長 簡潔にお願いいたします。
山口(わ)委員 女性べっ視、女性差別発言にほかなりません。
 こういうことは国会議員として許されない発言だというふうに思っていますので、抗議をいたしまして、終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。
山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十分散会


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