衆議院

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第2号 平成16年4月14日(水曜日)

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平成十六年四月十四日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 石井  一君

   理事 後藤田正純君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 中野 正志君 理事 平井 卓也君

   理事 奥田  建君 理事 五島 正規君

   理事 今野  東君 理事 松崎 公昭君

   理事 山名 靖英君

      城内  実君    小島 敏男君

      斉藤斗志二君    鈴木 淳司君

      津島 恭一君    野田  毅君

      萩生田光一君    橋本龍太郎君

      早川 忠孝君    福井  照君

      宮澤 洋一君    武藤 嘉文君

      村上誠一郎君    森田  一君

      谷津 義男君    山本  拓君

      泉  健太君    内山  晃君

      岡島 一正君    岸本  健君

      北橋 健治君    小林 憲司君

      都築  譲君    西村智奈美君

      橋本 清仁君    東  順治君

      古屋 範子君    古賀潤一郎君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官   諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第五局長   円谷 智彦君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)   梅津 準士君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   佐々木豊成君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西江  章君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)   遠藤  明君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   政府参考人

   (特許庁長官)      今井 康夫君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     野田  毅君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     鈴木 淳司君

  松岡 利勝君     小島 敏男君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     松岡 利勝君

  鈴木 淳司君     岡本 芳郎君

同日

 理事松崎公昭君同日理事辞任につき、その補欠として五島正規君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十二日

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

同月十三日

 平成十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)

 平成十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)

 平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――

石井委員長 これより会議を開きます。

 まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事松崎公昭君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、五島正規君を理事に指名いたします。

     ――――◇―――――

石井委員長 平成十四年度一般会計歳入歳出決算、平成十四年度特別会計歳入歳出決算、平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十四年度政府関係機関決算書並びに平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書、以上各件を議題といたします。

 まず、財務大臣から各件について概要の説明を求めます。谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 平成十四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、平成十四年度の国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額につきましても国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十四年度の一般会計の決算につきましては、歳入の決算額は八十七兆二千八百九十億円余、歳出の決算額は八十三兆六千七百四十二億円余であり、差し引き三兆六千百四十七億円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に平成十五年度の一般会計の歳入に繰り入れております。

 なお、平成十四年度における財政法第六条の純剰余金は三千八百七十四億円余となります。

 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額八十三兆六千八百八十九億円余に比べて三兆六千億円余の増加となります。この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額二兆九百八億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は一兆五千九十一億円余となります。

 一方、歳出につきましては、予算額八十三兆六千八百八十九億円余に、平成十三年度からの繰越額四兆千五百五十一億円余を加えました歳出予算現額八十七兆八千四百四十一億円余に対し、支出済み歳出額は八十三兆六千七百四十二億円余であり、その差額は四兆千六百九十八億円余となります。このうち平成十五年度への繰越額は三兆二千二百七十三億円余であり、不用額は九千四百二十五億円余となっております。

 なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は二千億円であり、その使用額は三百五十八億円余であります。

 次に、平成十四年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十七であり、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりでございます。

 なお、歳入歳出決算に添付されている国の債務に関する計算書による債務額につきましては、平成十四年度末における債務額は七百三十九兆七百十七億円余であります。

 このうち、公債につきましては、平成十四年度末における債務額は五百四兆三千四百八十七億円余であります。

 次に、平成十四年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いにつきましては、同資金への収納済み額は五十三兆三千四百二十五億円余であり、一般会計の歳入への組み入れ額等は五十二兆六千四百七十八億円余でありまして、差し引き六千九百四十七億円余が平成十四年度末の資金残額となります。

 次に、平成十四年度の政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりでございます。

 次に、国の債権の現在額につきましては、平成十四年度末における国の債権の総額は三百四十五兆九千九百九十億円余であります。

 その内容の詳細につきましては、平成十四年度国の債権の現在額総報告のとおりでございます。

 次に、物品の増減及び現在額につきましては、平成十四年度末における物品の総額は十三兆九千百十三億円余であります。

 その内容の詳細につきましては、平成十四年度物品増減及び現在額総報告のとおりでございます。

 以上が、平成十四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書等の概要であります。

 なお、平成十四年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用や経理の適正な運営に努めてきたところでありますが、なお会計検査院から、二百七十二件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。

 今後とも、予算の執行に当たっては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。

 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。

 次に、平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書を、会計検査院の検査報告とともに国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要について御説明いたします。

 平成十四年度中に増加しました国有財産の総額は四兆四千十三億円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産の総額は二兆五千七百十九億円余でありまして、差し引き一兆八千二百九十四億円余の純増加となっております。これを平成十三年度末現在額百九兆九百四十四億円余に加算いたしますと百十兆九千二百三十九億円余となり、これが国有財産法に基づく平成十四年度末現在額であります。

 以上が平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。

 次に、平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要について御説明いたします。

 平成十四年度中に増加しました無償貸付財産の総額は千五百九十一億円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は千五百七十六億円余でありまして、差し引き十五億円余の純増加となっております。これを平成十三年度末現在額一兆五百六十億円余に加算いたしますと一兆五百七十五億円余となり、これが平成十四年度末現在において国有財産法に基づき無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。

 以上が平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要であります。

 なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書を添付しております。

 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。

石井委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要説明を求めます。森下会計検査院長。

森下会計検査院長 平成十四年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。

 会計検査院は、平成十五年九月二十六日、内閣から平成十四年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、平成十四年度決算検査報告とともに、平成十五年十一月二十八日、内閣に回付いたしました。

 平成十四年度の一般会計決算額は、歳入八十七兆二千八百九十億二千百六十四万余円、歳出八十三兆六千七百四十二億八千九百九十二万余円、各特別会計の決算額の合計額は、歳入三百九十九兆七千四百五十六億三千六百三十七万余円、歳出三百七十三兆八千九百七十七億二千三百七十一万余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を確認いたしました。

 また、国税収納金整理資金は、収納済み額五十三兆三千四百二十五億六千五百十四万余円、歳入組み入れ額四十四兆八千百六十二億八千二百八十四万余円でありまして、会計検査院ではこれらの受け払い額を検査完了いたしました。

 政府関係機関の平成十四年度の決算額の総計は、収入五兆八千六百三十八億四千四百十一万余円、支出五兆九千九百六十九億五千七十九万余円でございまして、会計検査院ではこれらの決算額を検査完了いたしました。

 平成十四年度の歳入歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について、書面検査として計算書二十万余冊及び証拠書類七千九百九十九万余枚について、また、実地検査として検査対象機関の官署、事務所等三万四千八百余カ所のうち三千三百余カ所について検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して八百余事項の質問を発しております。

 検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 不当事項は、法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項でありまして、検査報告に掲記いたしましたものは、合計二百七十二件、百八十八億二千九百十二万余円であります。

 このうち、収入に関するものは七件、六十二億三千四百三万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収が適正でなかったものが三件、十三億千五百四十四万余円、保険料の徴収が適正でなかったものが二件、四十九億千三百九十一万余円、職員の不正行為による損害が生じたものが二件、四百六十七万余円。

 また、支出に関するものは二百二十六件、百十二億六千九百八十三万余円でありまして、その内訳は、会計経理が適正を欠いていたものが六件、六十九億六百八十万余円、委託費の支払い額が過大となっていたものが二件、九千五百八十八万余円、保険給付金の支給が適正でなかったものが三件、四億七千三百三十二万余円、医療費の支払いが適切でなかったものが二件、十五億四千四百五十七万余円、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが二百九件、二十億六千九百三十八万余円、職員の不正行為による損害が生じたものが一件、六千九十六万余円、その他、介護給付費の支払いが適切でなかったものなどが三件、一億千八百八十九万余円であります。

 以上の収入、支出に関するもののほか、職員の不正行為による損害が生じたものが三十九件、十三億二千五百二十五万余円あります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 平成十五年中におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求いたしましたものは五件であります。

 その内訳は、厚生労働省の診療報酬における基本診療料等の届け出の受理に関するもの、農林水産省の一般国道の道路敷となっている国有林野の取り扱いに関するもの、卸売市場施設整備事業の実施に関するもの、日本育英会の育英奨学事業における延滞債権の評価及び回収施策の策定に関するもの、理化学研究所の物品の管理に関するものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは三十八件であります。

 その内訳は、裁判所の電話等の利用契約における割引制度の適用に関するもの、内閣府(内閣府本府)の改修工事に伴う建物等の国有財産台帳への価格登録に関するもの、内閣府(防衛庁)のデータの入力等に使用する入出力装置の借り上げに関するもの、総務省の消防防災等施設整備費補助事業で整備する防火水槽に係る補助金の基準額の算定に関するものなど三件、法務省の通信ネットワーク等の通信回線に係る通信料の割引制度の適用に関するものなど二件、財務省の信用保証基金による保証事業の債権管理等に関するもの、文部科学省の社会参加促進費補助金により整備されたパソコンの管理及び活用に関するものなど三件、厚生労働省の調剤報酬における調剤基本料の請求に関するもの、農林水産省の農業構造改善事業等により設置した農畜産物処理加工施設等に関するものなど五件、国土交通省の自動車整備近代化資金による債務保証等に係る貸し付けに関するものなど二件、環境省の廃棄物処理施設整備費国庫補助金の交付額に係る事務費の算出方法に関するものなど二件、日本道路公団の通行料金別納制度による通行料金の割引に関するものなど、国の出資団体等に係るもの十六件であります。

 次に、特に掲記を要すると認めた事項について御説明いたします。

 これは、事業効果または事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは、アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に関するもの、地籍調査事業の実施に関するもの、公営住宅における収入超過者、高額所得者等に対する措置の実施に関するもの、港湾における大規模地震対策施設の整備及び管理に関するものの四件であります。

 最後に、特定検査対象に関する検査状況について御説明いたします。

 これは、本院の検査業務のうち特定の検査対象に関する検査の状況について記述したものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは十八件であります。

 その内訳は、政府開発援助に関するもの、無償資金協力のうち一般プロジェクト無償及び水産無償における施設の建設、資機材の調達等の手続及び契約状況に関するもの、租税特別措置法(法人税関係)の実施状況に関するもの、社会保険庁が設置した厚生年金老人ホーム等及び政府管掌健康保険保養所等の事業運営の現況に関するもの、国営諫早湾干拓事業の実施に関するもの、公共工事の品質を確保するための監督・検査体制等の整備状況に関するもの、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給構造高度化勘定の決算状況に関するもの、農林漁業金融公庫の融資及び財務の状況に関するもの、中小企業信用保険事業における収支状況に関するもの、新事業の創出、育成に係る金融支援施策の実施状況に関するもの、中堅企業等に対する金融環境対応融資制度の実施状況に関するもの、高速道路等における有料道路自動料金収受システムの利用状況に関するもの、石油等の探鉱投融資等事業に関するもの、特定住宅金融専門会社に係る譲り受け債権等の回収業務の実施状況に関するもの、北海道、四国及び九州各旅客鉄道株式会社の経営状況に関するもの、日本貨物鉄道株式会社の経営状況に関するもの、国の情報システムの調達に関する契約と行政の情報化の推進体制に関するもの、地方公共団体に対する財政資金の流れに関するものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。

 続きまして、平成十四年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。

 会計検査院は、平成十五年九月二十六日、内閣から平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を終えて、平成十四年度国有財産検査報告とともに、平成十五年十一月二十八日、内閣に回付いたしました。

 平成十三年度末の国有財産現在額は百九兆九百四十四億九千十八万余円でありましたが、十四年度中の増が四兆四千十三億九千三百二十三万余円、同年度中の減が二兆五千七百十九億七千八百四万余円ありましたので、十四年度末の現在額は百十兆九千二百三十九億五百三十七万余円になっております。

 また、国有財産の無償貸付状況につきましては、十三年度末には、一兆五百六十億七千七百六十六万余円でありましたが、十四年度中の増が千五百九十一億八千五百九十七万余円、同年度中の減が千五百七十六億八千四百三万余円ありましたので、十四年度末の無償貸付財産の総額は一兆五百七十五億七千九百六十万余円になっております。

 検査の結果、平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、平成十四年度決算検査報告に掲記いたしましたものは四件であります。

 その内訳は、意見を表示しまたは処置を要求した事項といたしまして、農林水産省の一般国道の道路敷となっている国有林野の取り扱いに関するもの、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、内閣府(内閣府本府)の改修工事に伴う建物等の国有財産台帳への価格登録に関するもの、国土交通省の国が設置した空港内駐車場の運営に関するもの、特定検査対象に関する検査状況といたしまして、厚生労働省の社会保険庁が設置した厚生年金老人ホーム等及び政府管掌健康保険保養所等の事業運営の現況に関するものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

石井委員長 これにて平成十四年度決算外二件の概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石井委員長 この際、資料要求に関する件についてお諮りいたします。

 平成十四年度決算の審査に当たり、決算の検査報告に掲記されました会計検査院の指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、財務省当局に対してその提出を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

     ――――◇―――――

石井委員長 次に、歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府食品安全委員会事務局長梅津準士君、警察庁長官官房総括審議官安藤隆春君、総務省行政管理局長松田隆利君、財務省主計局次長佐々木豊成君、国税庁課税部長西江章君、厚生労働省健康局長田中慶司君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長遠藤明君、社会保険庁次長小林和弘君及び特許庁長官今井康夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

石井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井卓也君。

平井委員 自由民主党の平井卓也であります。

 きょうは、最近、参議院の決算委員会とか内閣委員会、経済産業委員会でもシステム関連の質問というか、質疑が結構あります。私、もともと、このシステムの投資に関する問題点、これは自由民主党の中にe―Japan重点計画特命委員会というものがありまして、その中の戦略強化チーム、こういうものばかり専門的にやるチームがありまして、そこの、最近よく言われているレガシー担当主査というのをやらせていただいておりましたので、実は三年前から取り組んでいる問題であります。

 それで、このシステム投資に関しては、勉強すればするほど非常に難しいということもよく存じています。ITの投資がこれだけ大きくなっている。ITは投資した時点で不良資産になりやすい、陳腐化が始まる。また、投資したけれども使わないものもあるし、複数年度にわたる投資計画というのはなかなか立たない。しかし、投資したけれども業務の効率化にもなかなかつながらない、そんなこともあるし、省庁横断的に取り組むという体制がなかなかできなかったことがある。しかし、この三年間いろいろやる中で、大幅に改善され、前進した部分もあると思います。

 そこで、これは自民党の自慢話をするわけではありませんが、この分野に関してやっと民主党さんの問題意識が追いついてきた。それは大変評価したいなと思います。こういう問題に関して言えば、与党も野党もないので、わかる人はわかるというようなことではないかと思っています。そういう意味で、今、この問題に関しては、問題点を指摘する段階ではなくて、解決策をどのようにつくっていくかというところ、そして、それに向かってどのような問題意識、共通認識を維持していくかということが重要だと思います。

 そういうことにかんがみまして、きょうは、基本的な理念といいますか、取り組みについて、各担当に質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず総務省さん、刷新可能性調査が終了しているシステムについてお聞きしたいと思います。

 業務・システム最適化計画の策定が完了しているシステムはどれか、またデータ通信役務サービス契約による調達を行っているシステムはどれか。残債という言葉は使っていいかどうかわかりませんが、未償却残高、もしくは契約を解除するときの、何というか、違約金といいますか、手切れ金というか、そういうものが含まれるシステムはどれだけあるか、そのことをお聞きしたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府における電子政府の推進ということでございますが、平井先生等の御指導をいただきながら、平成十五年七月に政府としては電子政府構築計画というものをつくって、推進をしているところでございます。

 その中で、IT化に対応した業務改革、そして業務・システムの最適化ということで作業を進めさせていただいているところでございまして、その中に、ただいま先生御指摘のレガシーシステムですが、その定義は、大型コンピューター等を使用しまして、随意契約の長期継続により多額の経費を要しているシステム、そういうシステムが三十六、現在あるわけでございますが、そのレガシーシステムの見直しにつきまして行動計画をつくりまして、推進をしているところでございます。

 平成十五年度までに、まず第一段階の刷新可能性調査、これが終了しましたシステムは、総務省の総合無線局管理システム、経済産業省の特許事務システムなど、三十六のうち十二システムが刷新可能性調査が終了しているわけでございます。それに基づいて業務・システム最適化計画をつくって、刷新可能性調査が終了しましたものからそういう計画をつくってシステムを見直していくということになるわけでありますが、現在、電子政府構築計画に基づきますガイドラインに沿って計画策定作業が進められておりますけれども、現時点で完了しているものはございません。平成十七年度末までにできる限り早期に最適化計画を策定して、見直しを実施してまいりたいと考えております。

 なお、この電子政府構築計画におきましては、レガシーシステムとは別に、いろいろな新たなシステムの策定も進めているところでございますが、このうち、バックオフィス関連の人事・給与等業務・システム最適化計画については、この平成十六年二月に策定しているところでございます。

 それから、今先生御指摘のデータ通信サービス契約による調達を行っているというシステムでございますが、これにつきましては、厚生労働省の社会保険オンラインシステム、経済産業省の特許事務システムなど、十一システムがございます。

 以上でございます。

平井委員 局長、これからこの問題、内閣委員会の答弁の中に、システム規模の妥当性は検討したが、個々の契約、調達のチェックについての権限、立場ではないというような発言をされていますが、こういう取りまとめ役なんですから、これから一歩踏み込んで、やはりだれかがトータルで見ていかなきゃいけないので、そういう意味で、頑張ってください。問題点は、過去指摘したとおりであります。

 それでは、一番早くこの問題に具体的な成果をあらわそうとしている特許庁さんにお聞きしたいと思います。

 三月末の刷新可能性調査に加えて、業務・システム最適化計画の策定もほぼ終了されています。また、予算額は、十五年度が二百八十億円程度、十六年度は、残債処理も含むので五百三十億円程度だと承知しています。これも参議院の方の経済産業委員会の中で、一括償還で金利を約二十億というような答弁を確認しているんですが、ぱっと言われても、二十億の金利というのはすごいなというような気もしますし、システムそれぞれ個別にその金利も違うだろうし、発生時点も違うだろうし、そういうことについてちょっとお聞きしたいなと。

 また、やはり常々心配するのは、業者の言いなりになっているんじゃないかというのをみんなに言われるでしょう。そういうことは私もずっと心配して見ていますが、なかなかそういうことにはなっていないようですが、海外とのシステムの類似の比較であるとか、民間のシステムとの比較とか、一番先駆的に取り上げているわけですから、さっきの金利の問題も含めて現状を御報告いただきたいと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 データ通信サービス契約でございますけれども、平井先生が主要メンバーをなさっておられます自民党のe―Japan特命委員会から、そこの脱却を図るということで御指摘を受けているところでございます。

 特許庁といたしましては、昨年、外部の専門監査法人を用いまして徹底したシステム監査を実施したところでございます。そして、価格はおおむね妥当であるけれども、この調達方法を見直すことによってコスト低減の余地があるという監査結果をちょうだいし、それを踏まえまして、今般、先生御指摘のように、いわゆる残債二百七十七億円を含む五百二十九億円のシステム予算を十六年度予算として計上させていただいたわけでございます。

 今御指摘の二点、一つは金利の問題でございます。

 特許庁のデータ通信サービス料というのは、料金を六年間で払うということになっております。この未払いの残高、いわゆる残債が六年間続きますので、この金利を合計いたしますと二十億円になるということでございます。

 また、先生おっしゃいました、システムの残債について業者の言いなりになっているのではないかということでございますが、これにつきましては、先ほどお話し申し上げましたように、第三者の監査法人、これは公募によって選びまして、特許庁とのおつき合いがない会社でございますけれども、この会社によりまして徹底したシステム監査を行っております。そして、国際的な評価手法にのっとって、類似の、なかなか難しい、こういうシステムの民間のシステムとの比較をしていただきまして、先ほど申し上げましたように、価格はおおむねで妥当だと。

 しかし、調達方法、このデータ通信サービスを変えることによりましてさらに効率化が図れるということでございましたので、私どもとしては、残債を支払いまして、今後、競争入札ということを導入して、先ほどの金利効果とともに調達のコストを何とか削減をしていきたい、このように思っております。

平井委員 我々、期待していますよ。削減効果は、最低でも二割、できれば四割ぐらいやると、これは評価が高くなるのではないかと思います。

 それで、この問題の根本にはやはり予算制度みたいなものもあるし、財務省の方でも、刷新可能性調査を十分に考慮しながら、これから柔軟な対応をしていこうということだと思います。

 やはり、このシステムを投資した時点で、それだけのいわばローン残高みたいなものが残るというのはいかがなものかというふうに私自身ずっと思っています。なぜ国庫債務負担行為とか、もっとそういうものを柔軟に使えなかったのか、そういう問題意識がやはり徐々に出てきたわけですけれども、これはぜひ財務当局としても、各府省と十分に問題意識を共有して、相談に乗ってあげるというか、このシステム投資は難しいんですよ。

 そういう意味で、財務省さんにお聞きしたいのは、この問題について、基本的にはどのように協力していくというか、取り組んでいくかということについて、簡単にお聞かせください。

佐々木政府参考人 先ほど来のお話の中で、自民党のe―Japan重点計画特命委員会の御議論を踏まえまして、電子政府構築計画が取りまとめられ、それに基づきまして各府省が行動計画、さらにはその刷新可能性調査を行っているということでございますが、財務省といたしましても、その刷新可能性調査の結果や今後の業務効率化に向けた検討などを踏まえまして、国庫債務負担行為の活用など、効率的なシステムの構築、運用に向けまして、今後どのような手法をとるべきかについて各府省との間で十分に議論を行い、限られた財政資金の中での予算の効率化に努めてまいりたいと考えております。

平井委員 ぜひ頑張ってください。

 それでは、社会保険庁さんにお聞きしたいと思いますが、これももういろいろなところで指摘されて、いろいろ袋だたきに遭っているし、かわいそうな気もしないではないんですが、現在行っている刷新可能性調査というのは非常に重要だと思います。今までシステム監査もしていなかったし、大きいシステムの中でそういうことに取り組んでいく。データ通信役務サービスの契約の見直しとか、会計法の原則である一般競争入札を含めて、これから頑張っていかれようとされていると思うので、ここは余り細かいことはお聞きしません。どのような決意で取り組んでいるかについて、一言お聞きさせていただきたいと思います。

小林政府参考人 平井委員中心に、自民党のe―Japan特命委員会の方からの御指摘、取りまとめに基づきまして、私どもの方でも行動計画を昨年取りまとめさせていただきまして、社会保険オンラインシステムにつきましても、その中での見直しの主要項目として位置づけております。

 具体的に現在の状況でございますけれども、外部調査業者にお願いをさせていただきまして、刷新可能性調査を本年の一月から来年、十七年の三月にかけて実施させていただいております。

 この中で、御指摘の点につきましても、重要な検証対象ということで考えております。データ通信サービス契約の見直しでございますとか、随意契約から競争入札への移行等の課題につきましても、その検証の対象とさせていただいております。

 今後、この調査結果を踏まえまして、契約方法につきましても、より競争性が高いあるいは効率性が高まるという方向での見直しを行ってまいりたいと考えております。

平井委員 このデータ通信役務サービスとか、このレガシーの問題とかというのを考えてみると、当初は、非常に画期的なアウトソーシングという見方もできるし、私がもしその現場の担当者だったらそういうふうな判断をしたと思いますが、長く続けてしまった、時代が変わってしまったということだから、今回見直すいいチャンスですから、ぜひそのチャンスを生かしていただきたいと思います。

 それでは、会計検査院にお聞きしたいと思うんですけれども、十四年度の検査院報告で、情報システム調達に関する件を取り上げていただきました。これは、非常に高く評価しているわけでありますが、非常に難しい問題なので、常に勉強しながら、情報を取り入れながら、そして中身に対していろいろ検討を重ねなきゃいけないんだと思います。

 十五年度も、当然こういうものは常にモニタリングしていないとよりよい形になりませんので、十五年度ではどのように取り上げていただけるのか。また、これは、行政評価局との連携を強化しないと十分な機能を発揮できない部分もあると思うんです。そのことについてお聞きしたいと思います。

円谷会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院では、ただいまの厳しい財政状況のもとにありましても、IT関係の予算が非常に多額に上っておる、それからまた予算の伸びも大きいといったことから、検査の基本方針におきまして、重点分野の一つということに位置づけて検査を実施しているところでございます。

 そして、今まで話に出ておりますように、その競争性とか透明性とかあるいは公正性、こういった観点に問題があるのではないか、あるいは長期にわたる契約の継続性に問題があるのではないか、こういったような指摘が各方面からなされておりましたことから、昨年、全省庁横断的に検査いたしまして、その結果を十四年度の検査報告に掲記したところでございます。

 会計検査院といたしましては、IT社会の形成が国家戦略として位置づけられておりまして、引き続き多額の予算の執行が見込まれるということから、その施策の実施に伴います情報システム調達等につきましては、今先生御指摘ありましたように、今後とも継続的に、重点的に検査をやってまいりたいというふうに考えております。

 また、ただいまお話ありましたように、総務省の行政評価局との関係につきましては、これまでも毎年定期的に連絡会を開催してきているところでございまして、今後とも、情報の交換というものを十分行いながら、検査に遺漏なきよう期してまいりたい、このように考えております。

平井委員 わかりました。

 ぜひ、その目ききを育てること、それと、やっぱり一歩踏み込まないと、この問題というのは真実が見えてきません。そういう意味で、積極的にお取り組みいただきますようにお願いをさせていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと総務省さんにお聞きしたいんですが、ことし四月から、政府では電子申請が本格的にスタートします。国が扱う手続の九八%がオンラインで可能という状況になるんです。

 しかし、ほとんどがウィンドウズベースなんです。この問題は、実は私、マックユーザーの方々からたくさんメールをいただきまして、マックでは、例えばアクセスできないようなシステムがある。そういうことに対応していただいて、登記情報システムなんかはうまく対応できるようになったんですが、これは、問題点、よくわかっていますよ。国がどこまでできるかという問題、すべきかという問題もあるんだけれども、一方、せっかく電子政府というものを構築したけれども、アクセスできないという国民の方々が、恐らくマックユーザーというのは三百五十万とか、もしかしたら四百万ぐらいいるんだと思うんですけれども、そういうのをやっぱり見過ごしちゃいけないなと思うんです。

 これは、国としても、コストもかかることかもわかりませんが、ある程度対応していただきたい。私も、この問題に携わってから、もうしようがないから両方使っていますが、そういう意味で、どのような取り組みをされるか、ちょっとお聞きしたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 電子申請でございますが、国が扱っております手続というのは一万三千ぐらいあるわけでございますけれども、それを十五年度末までに九八%程度はオンライン申請が可能なようにそれぞれなっているわけでございます。

 今後、それを利用していっていただくということで、電子政府構築計画におきましては、インターネット普及率、今、世帯でいいますと五割ぐらい、事業所でいきますと八割弱でございますが、それを目指して、利用していっていただくような取り組みをこれから進めていきたいと考えているところでございます。

 今御指摘のお話でございますが、各府省の電子申請システムにつきましては、御指摘のように、ウィンドウズOSには対応しているわけでありますが、マックOSには対応していないという状況でございます。まずは、国民等利用者の多くがウィンドウズOSを利用しているということで、電子申請システム整備に当たりまして、それぞれウィンドウズOS対応ということでやっておられるということでございます。

 しかしながら、今先生御指摘のようなお話がございますので、政府といたしましては、去る三月三十一日に、CIO連絡会議におきまして、行政のポータルサイトの整備方針を決定いたしております。

 その中で、e―Govといいまして、いわばインターネット上の政府の窓口のようなものでございますが、それを整備しておるわけでございますが、そこの中に、電子申請等の受け付け等に係る各府省共通の機能を整備する、各府省のいろんな手続もそこで受け付けられるようにしていくということにしておるわけでございまして、この各府省共通の機能につきましては、国民等利用者の要望を踏まえながら、多様なOSへの対応に留意して整備をしていくということにいたしております。

 今後の整備に当たりましては、技術動向等も踏まえながら、御指摘のマックOSを含めまして、多様なOSへの対応ができるように具体的にやっていきたい、こう考えております。

平井委員 これで質問を終わらせていただきますが、この問題は、与党も野党もないし、省庁の垣根もないし、いかに共通の問題意識を持ち続けて、常にモニタリングしていくかということだと思います。それと、ここにいる皆さんそれぞれがあと五十センチ踏み込む、そのことが、最終的なよりよい形をつくると思いますので、今後とも、どうぞ皆さん方の努力をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

石井委員長 次に、山名靖英君。

山名委員 公明党の山名靖英でございます。

 それでは、早速でありますが、質問をさせていただきたいと思います。

 せんだって、お聞きしたわけですが、岩手県で財政品質向上運動標語というのを募集いたしましたところ、大変ユニークな標語が出てまいりました。「低コスト 知恵と工夫と 行動で」あるいは「アイデアで 無理ムダ斑の ない予算」。さらには「チョットまて ほんとに必要 その事業」。中には「我が家でも 経費節減 発泡酒」。

 要するに、国民の皆さんはみずからの家計を、知恵と工夫で大変な状況を乗り切ろうとしておられるわけでございまして、そういう意味では、国も地方も、行政含めて、行政のむだを廃していく、税金のむだ遣いをなくしていく、こういうことは当然の流れであります。

 今通常国会の冒頭で、我が公明党の神崎代表が、そういう意味の税金のむだ遣い一掃のための取り組みを小泉総理が先頭になってやるべきだという提案をいたしましたところ、直ちに各省庁間でのそれぞれの代表が集まりまして、行政効率化関係省庁連絡会議といった、まさにそれぞれの省庁が努力してむだ一掃の取り組みをやろうというスタートをされたところでございます。今後、この連絡会議の取り組み、非常に期待もしておるわけですが、なかんずく会計検査院の持つ使命、役割というのはこういうときに一層高まっているというふうに認識をしております。

 最初に、会計検査院長から、まさに行政のむだ、会計処理の一層の透明性、効率性、こういったものを含めて、今後の取り組みの決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

 十四年度では二百七十二件、百八十八億円の不当事項があったと先ほど御報告をいただきました。こういったものが国民の前に明らかになることは大事なことでありますし、また、なくなることが必要だと思いますので、まず御決意を、これは簡単で結構ですから、総論としてお願いします。

森下会計検査院長 最近、国の公債の発行残高、平成十四年度末で見ますと、五百兆円を超えているような、こういう厳しい財政状況にあります。したがいまして、予算の節減、経費の節減、税金のむだ遣いをなくすという国民の思いはますます大きくなっているというふうに感じております。会計検査院といたしましても、内閣から独立した財政監督機関として、そのようなことに寄与するような活動を引き続きやっていきたいというふうに考えております。

 会計検査院は、会計検査院法にも規定されておりますように、国の会計などを検査して、そしてその適正を期し、かつ是正を図るという使命を帯びております。そのような使命はますます重いものとなっているというふうに感じております。

 従来も、会計検査院といたしましては、経済性、効率性、そして有効性の観点などからの検査をやってまいりました。引き続き、そのような検査を厳正に実施しながら、税金のむだ遣いをなくすよう努力してまいりたいというふうに思います。

山名委員 ぜひ、厳しくチェックをしながら、国民の期待にこたえていただきたいと思います。

 きょうは、特に食の安全の問題について若干の質問をしたいと思います。

 最近、食を取り巻く環境というのは大きく変化をいたしまして、いろいろな問題が後から後から出てきておるわけであります。まさに食の安全が崩壊の危機にあると言っても過言ではないわけであります。BSEの問題、あるいは最近は鳥インフルエンザの問題、耐性菌、こういったテーマも出てきているわけであります。

 そこで、まず最初に、これは農水にお聞きしたいと思いますが、農林大臣、例のBSE問題で、米国牛肉が完全輸入禁止措置ということで入ってきていないわけですね。だから、例の吉野家の牛どんなんかは完全に牛肉から撤退、最近はオーストラリア肉を使っているようですけれども、牛肉を撤退して鳥肉を使ったら、今度は鳥インフルエンザで鶏肉まで影響を受けちゃって、そういうレストラン関係は今大変な状況になっておるわけですね。

 我が国は、全頭検査というものを当然主張している、検査がきちっと白にならなきゃ輸入はできないと。アメリカでは、全頭検査の意向はないと。こういったことで、非常にこの交渉は平行線をたどっているように見受けられますけれども、当然、これからの交渉事でありますから、積極的な形での交渉は必要でありますけれども、今日までの進捗状況、今後の見通しがどのようになるのか、この辺からまずお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 米国産牛肉のことに関しましては、まず、私は基本的には、平成十三年、我が国でBSEが発生をして、そしてあのときの混乱、消費がもう三割以下に落ちる、全頭検査、特定危険部位の除去、こういうことで、九割を超える状況下にようやく回復をした。最近も、BSEが発生をいたしましても、国内におきましては、そのような全頭検査並びに特定危険部位の除去、こういうことで、十一頭、十二頭目が発生をいたしましても消費の状況は変わらないわけでありますので、やはり国民の健康保護、そして食の安全、安心、このことを考え、特にあの平成十三年の時点のことを私は基本に考えていかなければならないのではなかろうかと。

 そういう視点に立ちまして、アメリカとの関係におきましても、私のレベル、閣僚レベル、あるいは事務レベルでのいろいろの協議をいたしております。そういう中では、私は、やはり消費者の食の安全、安心の確保、そして日本が国産牛肉について講じている措置、このことを丁寧に説明いたしておるわけであります。そういうようなことで、お互いに、輸入再開、これをいたずらに長引かせるということは考えてないわけでありますが、やはりそういうような視点で、我が国でとっておりますことと、また何といっても消費者のニーズに合うものでなければならないわけでありますので、再三そのことにつきましては丁寧に説明をし、今日まで来ておるわけであります。

 そういう中で、先般も、ベネマン農務長官から書簡をちょうだいいたしまして、私も返書を出したわけであります。これにつきましても、突然、今までの協議ということでない中で、OIEで協議をすると。

 このOIEにつきましても、実は本年五月、総会が開かれまして、いろいろ、御承知のとおり、BSEにつきましてはまだ発生して二十年に満たないわけでありまして、科学的な知見、それぞれ国々によって異なるわけでありますし、特定危険部位の問題も違うわけであります。

 私も、昨年末、OIEの事務局に参りまして、特に、日本におきましては二十三カ月、二十一カ月の若齢牛の発生もあるわけでありますので、そういう面での我が国の考え方も主張してまいったわけでありますが、ベネマン農務長官からは、四月中にその結論を出してというようなお話もありますので、私は、それはやはり少し、今までの交渉の経緯から、突然そういうことをおっしゃるのはおかしいんじゃなかろうか、こういう返事をいたしまして、その後、来週になりますか、もう一度日米で協議をしよう、こういう状況にあるわけであります。

 私は、やはり国民の食の安全、安心、こういう視点で、我が国と同等の検査、これが基本的なことと思っておりまして、この考え方をもとにこれから協議を進めてまいりたい、このように思っております。

山名委員 BSE問題はそういうことで、今後の牛の問題、肉の問題については交渉をさらに積極的にお進めいただきたいと思います。

 それから、二つ目の鳥インフルエンザ、私も京都出身でございまして、京都府の丹波町で今回の大量の鳥インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザというウイルスが発覚しまして、二十五万羽近い鳥が処分をされたわけであります。

 十三日、昨日午前零時をもって終息宣言が行われまして、すべての制限が解除されて、これでやっと平常に戻るのかなというふうに期待をしておりますけれども、全国の関係の養鶏農家あるいは関連業者、国民の皆さんに大変不安を醸し出した事件でもありました。

 終息宣言があったからこれですべてが終わったわけでは断じてないわけでありまして、特に、いまだに風評被害というのは禍根としてずっと残って、まだある意味では広がっている。ですから、もう一日も早い関係業者の皆さん、農家の皆さんの立ち直りというための行政としての一層のバックアップが必要であろうかと。また、消費者の皆さん、国民の皆さんに対しては、安心、安全宣言という形での啓発もやはり大事ではないかというふうに思うところでございます。

 もう一点は、丹波町の浅田農産の養鶏場に隣接する山を削って二十五万羽近い鶏の死骸が埋却されているわけですね。果たしてそれで終わりでいいのかという疑問なり不安というものはぬぐえないんですね。あそこの町に行けばあそこの地域に二十五万羽の鶏が埋まっているんだ、こういうイメージは極めて深刻であります。だから、埋却してそれで終わりではなくて、やはり次の打つ手としては、完全に消し去る方法、すなわち焼却、こういったものもあわせて考えていかなければ、町のこうむる被害というものは永遠に続くわけであると思っております。

 そういうことも踏まえながら、今後、農水省としてあるいは厚生労働省として、きょうは環境省は来ていただいておりませんが、どういった今後の対策を考えていらっしゃるのか。もう既に防疫マニュアルの改正、あるいは今回、今出ておりますが、家伝法の改正等、一定のそういった見直しの流れにはなっておりますけれども、こういった法案が早く成立をすることを望むとともに、今後の鳥インフルエンザ対策としての取り組み、厚生労働省にとっては感染ルートの解明、ワクチン等の問題もございますけれども、こういった今後の取り組みの問題について、そのお考えをお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 私ども農水省といたしまして、まず、御承知のように、山口県あるいは大分県につきましては早期通報という形で、終息をし、さらに、昨日午前零時をもちまして、京都府の関係につきましても終息宣言を発出することができたわけであります。この間、京都におきましては、知事さんあるいは地元の町長さん初め、本当に、国民の皆さん方に大変御協力をちょうだいいたしましたことを心から感謝を申し上げる次第でございます。

 引き続き、この防疫マニュアルの徹底、そしてさらに、今回の三つの例を十分反省し、各都道府県と緊密な連携をとり、情報の一元化、このようなこと、そしてさらに、今も一週間に一遍ずついわゆる死亡の調査をしております。これもずっと続けていかなければならないことでありますので、今後の対応につきましては、関係府省と十分連携をしてその対応をしっかりやってまいりたい。それと同時に、今国会に提出しております家畜伝染病予防法の一部改正、これも早期に成立をさせていただきまして、早期発見、早期通報、そういう中での対応ができるようにしっかりやってまいりたい、このように思っております。

 また、私も地元に参りまして、あの養鶏場の中に入りまして、そして、ちょうど埋却の関係につきまして、仕事をされておるところにも行きました。あのことにつきましては、大変地元の森林組合の御協力もちょうだいいたしまして、隣接地にその埋却の場所を確保していただくことができたわけでありまして、あれができなければやはりその作業がおくれるということになりまして、十三日までというようなことにはならなかったわけであります。

 このことにつきましては、家畜衛生上の問題はないわけでありますが、町長さんともお話しを申し上げ、京都府ともお話しを申し上げまして、三年後にこれを移動する等々の問題につきましては考えることになっておりますので、十分京都府とも連携をとりまして、その対応をしっかりやってまいりたい、このように思っています。

 全般的に、この鳥インフルエンザの問題、発生をした、そして今日までの経緯、このことをしっかり受けとめて、万全な体制を引き続きしいてまいりたい、こう思っております。

田中政府参考人 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、大量のウイルスが体内に入りました場合にはまれに人にも発病するというふうにされているところでございます。また、人インフルエンザに同時感染しますと、人から人への強い感染力を有する新型インフルエンザに変異するおそれがあるということでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、本年一月、鳥への感染が確認された直後より、人への感染、健康被害の防止という観点から、鳥の処分に従事する者などに対します感染防御措置及び健康監視の徹底、抗インフルエンザウイルス薬による治療体制の確保等の対策を講じてきたところでございます。

 また、現在、新型インフルエンザ対策に関します検討小委員会におきまして新型インフルエンザ発生時の総合的な対策について検討を行っておりますほか、ワクチンの開発に向けましてWHOが主導します研究に国立感染症研究所が参加する等の取り組みも行っているところでございまして、今後とも、鳥インフルエンザによる人の健康被害防止のための取り組みに万全を尽くしてまいりたいと考えております。

山名委員 ぜひ今後とも全力を挙げてこの対策に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、内閣府の方にお聞きしたいと思いますが、食の安全の大変な使命、役割を担って食品安全委員会というものが昨年の七月に設置をされております。これは、国民の食に対する安心の確保、それから安全対策、有害な要因が健康に及ぼす影響等について科学的な知見からリスク評価をする、それをリスク管理への勧告を各省に行う、こういった役割を持っておるわけですが、先ほど言いましたBSEや鳥インフルエンザあるいは耐性菌、こういった問題で食の安全が問われるときに、まさにこの委員会の持つ役割というのは一層高まってきていると思いますし、私は、この委員会の機能というものは、独立性を持ちあるいは透明性を持って強化されていかなきゃならない、こういうふうに思っているところでございまして、そういう意味で、内閣府として、今後この食品安全委員会の機能強化についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

梅津政府参考人 先生御指摘のとおり、食品安全委員会は、昨年七月発足以来、科学に基づく中立公正ないわゆるリスク評価の実施と、消費者や関連事業者との情報、意見の交換、そのための情報収集に取り組んでおります。

 具体的には、これまで添加物、農薬など二百八十一品目について厚生労働省、農林水産省からリスク評価の要請を受けまして、うち六十六品目について既に評価結果を通知しております。それから、検討過程の透明性を確保するため、毎週一回の委員会会合は公開で開催しまして、その配付資料や議事録をホームページで公表しております。さらに、全国各地でこれまで三十回を超える意見交換会を開催してきたところでございます。直近では、鳥インフルエンザの問題につきまして、鶏肉、鶏卵の安全性に関するわかりやすい科学的説明や、あるいは京都市での専門家による講演会の開催等を行ってまいりました。

 御指摘のように、今後とも、評価結果に対するフォローアップや、あるいは先生御指摘の耐性菌など国民の関心の高い個別テーマに関する意見交換会の開催を初め、食品安全委員会の独立性、中立性をより一層発揮しまして、科学に基づき透明性のある食品安全行政を一層推進してまいりたいと思っております。

山名委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、やはりこの食の安全の問題については、これからのまた大きなテーマだと思っております。利益の追求のみで走ってきたそういう生産者あるいは食品事業者、また少しでも安いものを手に入れたいという消費者の心理、こういったものが相まっていろいろな問題を引き起こしていることは現実、事実だと思っております。

 そこできちっとした国民の安全、食の安全、健康増進、こういったものにぜひとも今後とも取り組んでいく必要があろうかと思っておりますので、各関係者の皆さんの一層の御奮闘を祈念いたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石井委員長 次に、奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。

 皆さんも、寝る前あるいは朝起きたらすぐに、イラクの三人の拘束された方々がどうなったのかな、早くいいニュースに接して、そしてまた自分たちの仕事にも集中して専念できる、そういう状況が早く訪れますことを皆様とともに願い、また祈りながら、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 本来、十四年決算で、八十三兆七千億近い十四年決算の大きな視点での話をすべきなのかもしれません。そういった点でいえば、ちょうど谷垣大臣にもお越しいただいておりますので、昨年は、やはり三位一体ということで、地方財政の改革、あるいは政府からの権限移譲、あるいは仕事の移譲といったものがどういうものになるかということを多くの方が真剣に議論していたと思うんです。私も、そういった中で、総理やさきの財務大臣、総務大臣にも質問させていただきました。

 大きな考え方の中で、前の塩川大臣あるいは片山大臣と私たちと、やはり地方分権の推進という中でそんなに考え方は違わないな、あとは、現実の選択手法というか、そういった選択肢が何になるかというところで少し違うものかなというふうに思っていたんです。ところが、これが、さきの国会が終わってからか、選挙が終わってからかわかりませんけれども、出てきたものは全然話が違うものですね。

 ぜひ谷垣大臣にも、やはり前の大臣の考え方や、この国を少しでもよくしようという思いの中で訴えてきたこと、そういったことを、大きな省庁をつかさどることになりますけれども、地方の方々のだまし討ちだというような声が出ているようなもの、それをやはり大臣の立場でしっかりと、すべての人のために認められるよい形にしていっていただきたいということを自分の強い意見としてお伝えしたいというふうに思います。

 きょうは、警察の不正経理疑惑という点に集中して質問をさせていただきます。

 今さら私がするまでもなく、今国会でも、予算委員会あるいは内閣委員会を中心に多くの方が取り上げております。そしてまた、一つのテーマとしては、余りありがたくないけれども、長い歴史を持ったテーマでもあります。今回、私があるいは私たちが何回も取り上げていくという中では、どうしても、今までの個人的な一つの不正経理疑惑、あるいは一つの部署としてのものではない疑いが非常に強い、ぜひそこのところをただしていきたい、そういう思いがあります。

 近年でも、警察庁自身の方での規則の改革といったものもされておりますし、また、一番近いところでは、予算執行検討委員会ですか、そういった中で予算執行を指示し、あるいはまた監査を強めるといったことも聞いておりますけれども、そもそもそこに至る原因が何だったのか、その辺を、きょうこの決算の委員会にお越しの皆さんやあるいは国民の皆さんとともに考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。

 言うまでもないことですけれども、北海道の旭川中央警察署、あるいは元釧路方面本部長の発言、あるいは元弟子屈警察署次長の会見、あるいは静岡県警本部における不正支出、さらには元警視庁の警備部におりました、これは少し古いですけれども、実務を行っていた大内さんという方の発言や著書、そういったものが私の質問のベースにあるというふうにお考えいただければというふうに思います。

 きょうは、内閣委員会も開催されております。やはりまた、こういった不正経理の疑惑といったもの、あるいは不正経理で明らかになったものというのは争点になっているんだというふうに思います。

 きょうは会計検査院の方に、やはり国のこういった会計をしっかりと監査するといった立場から、簡単にで結構ですけれども、警察関係に関する会計検査院としての検査の方法あるいは対象箇所数、そういったものを簡単に一般論として御報告いただければと思います。

森下会計検査院長 警察で使用されております予算のうち、国費で支弁されているものを中心に会計検査院は検査の対象といたしております。

 そして、検査をする箇所といたしましては、各都道府県の県警といったところ、約五十カ所ございます。その五十カ所につきまして、予算の規模の多いところ、少ないところなどを勘案しながら、毎年検査を実施するところ、それから何年かに一回検査をするところということを考えて箇所を選定しております。一年一年の検査期間の間で大体十カ所ぐらいを検査する、あるいはしてきているわけでございます。

 検査に当たりましては、一般的に警察の予算は、ただいまいろいろ問題になっております捜査費のほかにも、物品の購入でありますとか、施設の整備、それから役務契約などがございます。そういったものもあわせて検査をし、そして、最近非常に報道でなされております捜査費の問題も検査の対象として取り組んでいるわけでございます。

 特に、捜査費の検査の方法について申し上げますと、まず、捜査費につきましては、関係の書類が警察の方の手元に保管されております。したがいまして、実地検査に出かけまして、そしてその関係の書類、まず会計関係の書類を精査いたします。そして、その後に、それらの書類をもとに関係者の方からいろいろな説明を聴取する。こういった手法を用いまして、その支出、捜査費の使用が捜査の目的にかなった使用になっているのかどうかということを検査してきているわけでございます。簡単に申し上げますと、警察の捜査費の検査はそのようなことでございます。

奥田委員 毎年いろいろな報告を受けます。十四年度決算報告でも、三万五千近い検査対象箇所から、九・五%ぐらいですか、三千数百カ所の実地検査、書類検査も含むんですか、実地検査ですね。実地検査をして、そして大体三百三十件強の指導、指摘、是正事項といったものを挙げていただいておるわけですけれども、過去何年でも結構です。ここ数年のうちに、警察関係でそういった是正の指導といったものはどういうものが挙がっているか、これも簡単に御報告ください。

森下会計検査院長 警察に関します検査報告に掲記した事項でございますが、最近におきましては、平成十一年度決算検査報告において、警備艇建造契約における一般管理費等の積算を業務の実態に適合するよう改善させたものという改善処置済み事項を取り上げております。

 平成十三年度検査報告におきましては、職員の不正行為により損害が生じたもの、これは物品を不正領得したという事案でございますが、これを検査報告に掲記しているところでございます。

奥田委員 会計検査院においては、今報道などで問題になっている捜査費あるいは旅費といった部分での指摘事項はないと理解してよろしいですね。

森下会計検査院長 そのとおりでございます。

奥田委員 いろいろな外から来る情報をすべてうのみにするわけにはいきませんけれども、実務の経験を持った方が、そして実名を挙げて、そしてまた、その内容を見ると、ある程度理解できるようなというか、フィクションかノンフィクションかというとノンフィクションなんだろうなというような話が幾つか出ております。

 また、その職務における立場からいっても、大きな責任を持って指導、指揮していく、そういった方々の一つの告発といいますか、発言も出ております。またあるいは、現職の方の一つの証言といいますか、内部告発も出ているという話も聞いておりますけれども、そういった方は、現職で名前を挙げてという方は私の方ではなかなか確認できませんけれども、そういった内部告発あるいは外部からの情報、こういったものを会計検査院はどういうふうに扱っているのか。規則上の話と、そして現実の対応といったものを聞かせていただきたいと思います。

森下会計検査院長 最近、さまざまな捜査費についての報道がありますし、それから、いろいろな関係者の証言のようなものがあるということは、我々、十分承知をしておりますし、また、強い関心を持ってそれらの情報を収集しているところでございます。

 検査に当たりましては、それらの内容をよく吟味して、そして、それを検査の中でどのように生かしていけるのか検討したいというふうに考えているところでございます。

奥田委員 今、一般論としてのお話だけ聞きました。

 こういった著書、検査院の方は読んだことがあるか、そこまではわかりませんけれども、多分警察関係の方は目を通したことはあるんだというふうに思います。二年ほど前の本ではありますけれども、「警視庁裏ガネ担当」という、そういった実務をやっていたという方の告白とされている著書でもございます。

 この中で、実名を自分が名乗ったときに、一つの審査要求というものを会計検査院の規則にのっとって出しているということを書いてあります。この審査要求、会計検査院は、受け取ってどういう判断をしたのか。これは却下されたというふうに書いてありますけれどもね。却下された後に、まだ、会計検査院の方には、外部情報取扱要領ですか、そういった規則があるというふうに聞いております。この規則にのっとってどういう対応をしたのか、御報告をいただけますでしょうか。

森下会計検査院長 そのような審査要求が会計検査院にございました。

 ただ、その審査要求は、会計検査院法の要求者の要件を満たしておりませんために、受け付けることができなかったわけでございますけれども、そこでお示しになっているいろいろな警察内部でのそういう旅費の取り扱いなどについては、貴重な情報であるということで、私どもも、それを外部情報の提供ということで受け入れて、検査の参考にさせていただいたわけでございます。

 それによって、それは機動隊の活動旅費に関するものであったというふうに理解しておりますが、それにつきましては、私どもは、その費目について実際に検査を行いました。ただ、その検査の結果、我々が機動隊員などに当たりまして確認した範囲内では、旅費が機動隊員に支給されていないという事実は見当たらなかったということでございます。(発言する者あり)

奥田委員 質問は私です。

石井委員長 静粛に願います。

奥田委員 機動隊の活動旅費、この部分でのそごはなかったということでしょうか。

 その調べ方というものについても少しお話をいただけますか。実地で当たったというふうにお話を聞きましたけれども、どういった実地検分であったのか、御報告をお願いします。

諸澤会計検査院当局者 私ども、その当時の調査の取り組みについて補足して御説明をさせていただきます。

 私ども、まず最初は、対象といたしました警視庁の会計実地検査におきまして、検査期間の中で、実際の機動隊員の方にお話、事情を伺った、そういう実績がございます。(奥田委員「何人」と呼ぶ)一人でございます。

 そして、その後……(発言する者あり)失礼いたしました。そして、実地検査期間経過後、私ども引き続き検査に取り組みまして、私どもが合計で二十名の機動隊員の方を選定いたしまして、どのような形で旅費を受け取ったかということについての御協力をいただき、それぞれの口座への振り込み状況、それから、それらの経費の、例えば諸経費等の差し引きの状況などを確認いたした、そういう検査を行ったわけでございます。

奥田委員 一人の実地と、二十人ですか、聞き取りをしたというのは。大体、旅費というのは、これは月末精算して、一月分を渡すということですよね。私らにすれば、普通は、別に入るにしても、口座に入る、あるいは給与明細の中にそういったものが載ってくるということが当然だと思うんですけれども、そういった点は調べていらっしゃいますでしょうか。

 あるいは、この問題は、彼が、この著者が、問題提起したとすれば、二〇〇〇年ごろの話ということになりますけれども、そういった時期に合わせて、それからすぐに行動しているか。

 例えば、この審査要求というのが二〇〇一年の時点で出ています。それは要件を満たさなかったということで、外部情報取扱要領という中での扱いにしたという報告ですけれども、二〇〇一年あるいは二〇〇二年のうちにそういった調査をされたのかということを御報告いただきたいと思います。

諸澤会計検査院当局者 正確な時期につきましては、申しわけございません、手元に資料がございませんが、私が記録に当たり確認をいたしました限りでの御説明を申し上げますと、そのような情報提供を受けた後、直後の検査で取り組んだと記憶しております。

奥田委員 あと、給与明細とかそういったことは。

諸澤会計検査院当局者 そのときに私どもが把握し得る、あるいは御協力いただける範囲での記録を見ているということでございます。具体的な資料一つ一つについて、大変申しわけございませんが、今、私自身が正確に御説明はできませんけれども、関係の資料につきましては当たっているということを、私自身、記録の上で確認をしております。

奥田委員 著書の中では、警視庁機動隊三千人のこういった旅費の中で、月額一億円、年にして十二億円。もし同じような処理がされてこういうおかしな資金が、まだはっきりと出てきたという報告は聞いていませんけれども、あったとしたら、今、日本の機動隊員は八千人近くいると聞いていますけれども、それだけのものがおかしな資金還流をしているという大きな事件になるわけです。それを、やはりそういうことはないとはっきり言えるための調査というものは、そこの後ろにあってしかるべきだというふうに思います。

 今、おととしですか、警察庁の旅費の規程なんかも変わったというふうに聞いています。それはそれでいいことなんでしょうけれども、そういった旅費規程が変わった、そういった根拠というのは何だと思いますか、会計検査院。

諸澤会計検査院当局者 最近、警察庁の方で旅費の取り扱いが変わったということは、私も承知しております。

 その背景にありますものは、警察庁の説明によれば、最近の機動隊の活動の内容が変わってきたこと、それから、制度全体の見直しの中で適正な会計経理をより進めることという説明を受けておるところでございます。

奥田委員 警察庁の方からも、安藤総括審議官に来ていただいております。

 今、二年ほど前だったと思うんですけれども、警察庁の旅費規程が変えられました。ここについて、警察庁全体でもいいですし、機動隊に限ってでもいいですけれども、どのくらいの一つの経費としての削減というものが現実に出てきているのか、そのことを御報告いただきたいと思います。

安藤政府参考人 お尋ねの件は、機動隊の日額旅費を二年前に廃止したという件であると承知しておりますが、その背景は、機動隊が、従来、部隊出動を除きまして、昔は常時訓練を行っておったわけでありますが、そういうことを踏まえまして、これは警察学校に入校している学生と同様、長期間の研修とか訓練というものに該当するということで、従前は日額旅費を支給していたわけであるわけであります。

 しかしながら、御案内のとおり、昨今、外国人犯罪とか、ひったくりとか路上強盗など、街頭犯罪が増加いたしまして、機動隊の方も、従来の集団警備といいますか、治安警備、災害警備に集中できなくなりまして、警察全体で機動隊を多角的運用をする、例えば、繁華街の街頭警戒とかターミナル駅の警戒等、こういうものにここ数年は投入される傾向が顕著になってきたわけであります。

 そういうことを踏まえまして、まさに、ここ数年の傾向からしまして、従前の機動隊員の訓練がかなり減少してきたということでありますので、これまでの日額旅費というものを廃止するということにいたしたわけであります。(奥田委員「数字だけで結構です」と呼ぶ)はい。

 総額としましては、日額旅費の廃止に伴う減としましては、全国の機動隊及び管区機動隊で約十二億円ということでございます。それから、日帰りの在勤地内旅行の日当が原則不支給となるということに伴う減としまして約八億。合わせまして約二十億を減額措置しております。

 以上です。

奥田委員 ちょっと席でうなずいていただけばいいんですが、機動隊の分で十二億、一般警察の分で八億、合計二十億の減額という御報告でよろしいですか。総額からすれば、これは、何%かといったら大変な額だと思うんですよね。

 あともう一つ。日額旅費はなくなったけれども、出動旅費というんですか、出動手当、こういったものは残っているわけですね。この総額というものと、この取り扱いがどうなっているのか。著書によると、そういったものが隊員本人に渡っていなかったというようなことを書かれてもいますので、そういったものが隊員に対して今どういう形で渡っているのか、そのことも御報告いただきたいというふうに思います。

安藤政府参考人 機動隊員が出動しました旅費につきましての手続は、これはほかの部署と同じでありますけれども、旅費につきましては、国家公務員等の旅費に関する法律それから警察庁旅費取扱規則に基づいて支給しておるということでありまして、手続は省略いたしますが、平成九年度から平成十三年度にかけまして、これは各県若干ばらつきがありますけれども、出動旅費につきましては、機動隊員のそれぞれの個人の口座に振り込みをするということをやっております。(発言する者あり)いえ、早いところでは平成九年度から……(発言する者あり)

石井委員長 静粛に願います。

安藤政府参考人 警視庁は平成十三年度からでございます。

 以上です。

奥田委員 それはそれで、口座振り込みで、そしてまた各個人のところに入っているということが事実であれば、それは問題のないことであるというふうに思います。

 ただ、今、審議官からも、こう報告を受けておりますという話しか聞けないわけですね。やはりそこのところでしっかりとした調査というものを、こういったものはテレビでも新聞でも毎日のように目につくわけです。また、ほかの事実を認めたものやそういったものも重なって、多くの規制改革、規則改定というものをやっているわけですけれども、これはもう組織的なものなのかどうかという大きな、警視庁全体の、警察庁全体の信頼にかかわってくる部分でありますので、ぜひとも、私どもの治安を、生活を守っていただいている警察の信頼回復のためにも、私たちも納得できるそういった事実というものをしっかりと示していただきたい。

 こういった事実を示していただかなければ、こういう捜査費とか、相手がいて、その相手の立場を守らなきゃいけないというものとは違って、一つの国から出る、あるいは都道府県から出る経費、日常経費と言ってもいいと思います、そういった手当の部分ではっきり説明ができない。隊員の方だって、現実におかしなことがあれば、会計検査院やあるいは警察庁の方にいろいろな情報は来るでしょうし、あるいは調べようと思って、本当に口座に入っていたのか、明細としてどんな明細をもらっていたのか、そういった協力をしてくれる方というのは幾らもいると思いますので、そういった点をぜひはっきりさせていただきたい。

 ほかのいろいろな事実の疑惑というものと重なって、とてつもなく大きなことが、許しがたいことが行われているんじゃないかというような気持ちに私もなります。現場で毎日働いていただいている警察官あるいは警察職員の皆さんの信頼回復のためにも、ぜひこういった事実関係というものをはっきりさせていただきたい。

 私の方は、こういった問題についてはまだ足を踏み込んだばかりなので、もうしばらく事の推移を見守って、また出てくる記事なんかで勉強もさせていただきたいというふうに思いますけれども、会計検査院にとっても、やはり検査院の意義というものが問われている部分でもあるというふうに思いますので、しっかりと仕事で皆さんにこたえていただきたいというふうにお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石井委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 私も、この委員会に入らせていただきまして、非常にうれしく思っております。

 これまで、この決算行政に関する部分というのは、なかなか重みというか、今まで少しやはり決算がおくれていたところもあったというふうにお伺いをしておりますけれども、与野党の先生の皆様の御努力によってこうして決算が次第に重みを持ってきたこと、このことは非常にすばらしいことだというふうに思っておりますし、私もまたその委員会の職責を全うするために皆様と力を合わせて頑張ってまいりたいというふうに思います。

 私も、奥田議員に引き続き、この警察、いろいろな不正経理疑惑についてどうしても指摘をしなければならないというふうに思っております。

 何せ、私もこの国が大好きであります。この国が大好きだからこそ、こうして国のため、国民のために国会を目指し、今この場に立たせていただいている。それは、きょうこの委員会に入られている皆様すべてがそうだと思います。

 そういう中で、何より大切なのは信頼であります。その信頼を担保するのが検査院の検査であるというふうに私も思っております。そういった視点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この警察不正経理疑惑というものについて、大変残念な事件でありますし、早期にすべてを洗い出しをし、そしてさらに前向きな問題について我々は取り組んでいくべきだというふうに思っておりますが、警察もまた信頼回復が必要でして、一度この機会にすべてうみを出すことがやはり必要だというふうに私は思っております。この後、刷新何だかを会議をしたとかいって、結局はまた二、三年後にいろいろな方々が内部告発をしてその泥沼の繰り返しということになれば、これこそ警察全体の士気にかかわる問題であります。

 そこで、お伺いをいたします。

 この一連の警察不正経理、さまざまな不祥事が続いておりますけれども、検査院として、このことについてどのように取り組まれるおつもりでしょうか。院長、お願いいたします。

森下会計検査院長 警察の捜査費などにつきましては、北海道警を初めとして、さまざまな報道などがなされております。そのことは、私ども強い関心を持って情報を収集しているところでございます。

 今回報道されました事案については、警察庁において予算執行検討委員会というのを設けられてその調査が行われております。それから、県警においてもその調査をされております。そのような調査の状況を、私どもは、その進行状況についても非常に注視をしているところでございます。

 したがいまして、その調査の結果、あるいはどのような内容のものが出てくるのか、それらを十分踏まえた上で、我々は検査箇所を選定しなければいけないというふうに現在考えております。

泉(健)委員 これまで検査院が出されている検査結果に、この不正経理に関することで記載がなされたことはございますか。

森下会計検査院長 これまでのところ、警察の捜査費に関する指摘事項というものは、検査報告に掲記したことはございません。

泉(健)委員 ということは、非常にわかりやすく言えば、やはりだめだということなんです。国民は、一つ一つのすべての細かい議論についていく時間も、やはり一人一人仕事がありますから、そんな暇もありません。

 簡単に結論から申せば、検査院は、この警察の長年やってきたことに対して見抜くことができなかったということが言われてもこれは仕方がないことだというふうに思います。我々国会としても、この件について今まで取り組みが甘かったことは真摯に反省をしなければならないというふうに思います。

 しかし、そういう中で、何が問題で発見に至らなかったのか、何が問題でこういうことを洗い出すことができなかったのかということを考えなければなりませんが、この点について理由を説明いただけますでしょうか。

森下会計検査院長 確かに、これまでのところ、捜査費についての指摘事項というのを検査報告には取り上げていないわけでございますが、これまでも捜査費につきましては厳正な検査を、いろいろな手法を工夫しながらやってきたつもりでございます。

 そして、今いろいろと報道されておりますような内容については、その実態がどうであるのかということをよく把握した上で、我々の検査がどうであったのかということを検証していきたい、こういうふうに考えております。

泉(健)委員 やはり今のお言葉をお伺いしていると、検査院として厳正なというところはあるんでしょうが、やはり踏み込みが足らないのではないかなという気がします。

 率直に申しまして、先ほど奥田議員からも指摘がありましたが、旅費についても、現場の警察官あるいは署員に何らかの形で聞くような方法があれば、これはその人間の口座にそのもの振り込まれているかどうか、すぐ確認をとれるはずであると思います。

 あるいは、後ほどまた指摘をしますが、私の地元の京都府警でも、大変残念ですが、時間外手当が勤務時間に比べて格段に低かったという事例も出ているわけです。これも恐らく聞けばすぐわかる話でございます。

 ただ、私は、今この時点で検査院をただ責めるというのではなくして、もし聞く権限がないんだというのであれば、それは我々で改めていかなければならない問題ですが、この件について、そういった踏み込んだところまで聞く権限は持っておられますでしょうか。

森下会計検査院長 会計検査ということ一般について言いますと、会計検査というのは、その会計経理を実際に行った担当者が会計検査に当たる我々に説明をしてその責任を解除する、こういう仕組みででき上がっている制度でございます。

 したがいまして、我々は、警察の捜査あるいは検察の捜査のように、こちらから乗り込んでいって、強制捜査権を持って行うというものにはなじまないということでございます。国際的にも、外国の制度においても、そのような強制捜査権は持っておりません。

 したがいまして、我々は、あくまでもそういう任意のいろんな説明者とのやりとりの中から問題点を発見するという検査をしてきているわけでございます。

泉(健)委員 この点は、やはり国会で少し考えていかなければならないと思います。警察という捜査機関による不祥事に関して言えば、非常に、内部ということもあり、警察そのものの捜査が及びにくい、そしてまた、会計検査院としても、そこには踏み込みは難しい。私は、ここに何かしらの空白ができているような気がしております。これは、与野党を通じて、一つの大きな問題としてこれから取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 そして、警察庁にお伺いをしたいと思いますが、検査に対して、これは全面的に協力をされていますでしょうか。

安藤政府参考人 会計検査院の検査につきましては、十分御指導を受けて、十分な体制で取り組んでおります。

泉(健)委員 例えば、今ほど言いました旅費あるいは時間外手当、このことについて検査院の方が、ぜひ現場の方々に聞いてみたいということがあれば、それには原則答えるということでよろしいでしょうか。

安藤政府参考人 そのとおりでございます。

泉(健)委員 検査院、こういうふうに申しておりますので、旅費、時間外手当等に関しても、聞けば答えるというふうに言っておられますので、これは説明を求める範囲でできるのではないかなというふうに思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 そこで、次の問題に移りたいと思います。

 これも大変残念なんですが、月刊現代という雑誌にまた記事が出まして、どうやら、検査院の方が各署に来るときに、それをすべてマニュアル化しているものを警察がつくっていると。正式名称を言いますと、「会計検査院検査官個人別応問状況」というマニュアルをつくっているということが今回明らかになってまいりました。

 ここに記事を持ってきておりますけれども、要は、警察庁の幹部というか、警察庁の長官官房室会計監査室の方が実際にこの検査の場に同席をされ、それをメモにとって、そのメモにとったものをまた国の方に持ち帰りをして、全国にマニュアルとして流しているというような中身の記事が書いてあります。

 まず、お伺いしますけれども、検査院長、この警察庁作成「応問状況」というマニュアルを御存じでしょうか。

森下会計検査院長 月刊現代という雑誌にそのような記述があるのを読みましたけれども、どのようなものか、そのものは私ども承知しておりません。

泉(健)委員 それでは、検査院、ほかにどなたか来られておりますか。重松事務総局次長も来られていますでしょうか。

 検査院としては、このマニュアルの存在は御存じでしたでしょうか。

重松会計検査院当局者 私ども、先ほど院長が答えましたように、週刊誌等で言われていることは承知しておりますが、そのものを見たこともございませんし、内容も承知しておりません。

泉(健)委員 そうですか。

 では、今、私が説明した、少し概要がありますけれども、これについては、院長、どう思われますか。こういったものが出てきたということに対してどう思われますか。

森下会計検査院長 そういうものが本当に存在したのかどうかもわからないのでコメントのしようもございませんが、一般的に考えられますのは、やはり会計検査を受けた側では、どういう検査であったのかという記録は、警察に限らず、残される。それがまた後々、次の検査のための参考にもなるし、検査を受けていないほかの部署に対する指導の一助ともなるという、善意に解すればそのようなところがあろうかと思います。

泉(健)委員 次に、警察庁にお伺いをします。

 この「会計検査院検査官個人別応問状況」、これは警察庁にはございますか。

安藤政府参考人 警察庁におきましては、お尋ねのような会計検査のためのマニュアルといったものを作成している事実はございません。

泉(健)委員 証拠の原本がもし出てくれば、これは虚偽の答弁にもなるかもしれませんが、本当にその答えでよろしいですか。

安藤政府参考人 今申し上げましたように、そうしたマニュアルといったものを作成している事実はございません。

泉(健)委員 それは、公的にも、あるいは警察の職員さんが私的にもそういうことはつくられていないというふうで、よろしいでしょうか。

安藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、警察庁としてこうしたマニュアルというようなものを作成している事実はございません。

泉(健)委員 おかしいですね。だれがつくったんでしょうね。非常に事細かに書いてあります。

 一部読ませていただきますと、例えば、領収書に住所の番地まで書かない、その理由に対して応答することになっているんですけれども、余り警察からお金をもらったという話は聞きませんが、進んで協力する人はいるんでしょうか、なぜ住所に地番を書かないのですかという想定問答集があったりするわけですね。あるいは、金額に関しては、年間六十万、そういった捜査費の収入があれば、申告させてはどうですか、脱税に手を貸しているのではないですか、ペンネームで申告すればいいのではないですか。こういったさまざまな、検査院が質問するような項目について、あらかじめこうして書いてあるわけですね。

 それでもやはり警察の方では、こういったものはないというふうに認められているということで、とりあえずのところはわかりました。

 それでは、検査院、お伺いをします。

 この会計検査院の国費捜査費検査に関して、警察庁長官官房室の会計監査室の方がこの検査に同席をされていますでしょうか。

諸澤会計検査院当局者 私どもの都道府県警察における実地検査の際に、警察庁の会計課監査室の方が立ち会っているということは事実でございます。

泉(健)委員 同席の理由、そして、これはどちらからの要望かというふうにお伺いをしたいと思います。

諸澤会計検査院当局者 会計検査院といたしましては、都道府県警察における国費の執行を検査しているのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、警察庁も都道府県警察と同じ受検庁の立場にある方というふうに考えております。(泉(健)委員「もう一問。こちらからの要望」と呼ぶ)私どもの方が要望しているということはございません。

泉(健)委員 許可はしているわけですか。

諸澤会計検査院当局者 ただいま申し上げましたように、私どもとしては、受検庁の立場にある方のお一人というふうに考えております。

泉(健)委員 警察庁、まず、なぜ同席をする必要があるのか、そして、これは警察庁が要望されていることでしょうか。

安藤政府参考人 今の同席する必要性につきましてごく簡単に申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、都道府県警察の会計機関が執行する予算につきましては、国庫が支弁する経費、国費ですね、それから、都道府県が支弁します経費、純県費というのがあります。さらには、都道府県に補助される経費、補助金。こうした三本立てとなっておりまして、大変複雑な経費区分になっておるという前提がございまして、そういう警察会計の特殊性から、警察庁の立場で、必要に応じまして都道府県警察の説明の補足を現地で行うことによりまして、会計検査の円滑を図っているものであるわけであります。

 具体的に申し上げますと、例えば、警察庁において調達しまして各部局に配付する物品として、中央調達物品があるわけでありまして、警察用の、例えば航空機とか車両とか船舶、通信用資機材とか、こういうものにつきましては、警察庁におきまして、整備数量とか配分先を決めて、購入に関する契約手続をみずから行っているというようなことがございますし、警察用車両につきましても、これは国費で購入をするということでありますし、都道府県警察職員の俸給などは純県費、他方、警察用車両の燃料費などは補助金となっているということで、その経費の負担区分が複雑になっている。

 こういうことなどの事情によりまして、会計検査におきまして、都道府県警察の説明に対して、やはり警察庁が補足説明をする必要があるということで、我々のそういう要望もございまして、警察庁の職員が立ち会っているという背景だと思います。

泉(健)委員 では、警察庁、この会計監査室の職員さんには、同席をされているということで、メモを常にとらせていますでしょうか。その中身について、議事録というかメモというか、話し合い、指摘をされた事項についてメモはとられていますでしょうか。

安藤政府参考人 これは都道府県警察が受検するということですから、都道府県警察の会計担当者は、そのいきさつにつきましての簡単な備忘録という面もあるでしょうけれども、警察庁の担当者はただそういったサポートをするということでありますので、メモはございません。

泉(健)委員 では、都道府県で行われた検査の結果は警察庁に報告をされますでしょうか。指摘事項、こういう点が指摘をされましたよということについては報告をされますでしょうか。

安藤政府参考人 会計検査院の検査を受けました都道府県警察におきましては、先ほど申しましたような状況につきまして記録をした文書を作成しまして警察庁に報告してきたということは、以前はあったと承知しております。

泉(健)委員 現在はどうでしょうか。

安藤政府参考人 現在はございません。

 より正確に申し上げますと、平成十五年に一県、平成十三年に一県からそれぞれ報告があったと承知しております。

泉(健)委員 以前あったものが、最近はそういう形になってきた理由は何でしょうか。

安藤政府参考人 これは本来、県が自主的に作成して、県の自主的な判断で各県に報告されてきたものですから、そういう各県の自主的な判断でそういう流れになってきたんじゃないかというふうに思っております。

泉(健)委員 細かい話をいろいろお伺いしましたが、その応問マニュアルというものには、まず検査日、これが書いてあります。そして実施県、もちろん書いてあります。さらには検査員の特定された名前まで、すべて書いてあるそうです。

 そして、その想定問答集のトータル、各都道府県で一生懸命検査院が検査に行かれたんだと思います。その検査の、恐らく、立ち会いをしている方というのは、ごく少数がそれぞれの場所では立ち会いをされているわけですね。検査院の方か警察の方しかおられない。そういう中でトータル二千四百六十二問の想定問答集ができ上がったそうでございます。

 これを検査院さんがつくられているとは私は思いません。警察さんは、こういった外部の状況から判断しても、これは我々がつくったものではないというふうにおっしゃられますか。

安藤政府参考人 先ほども申し上げましたように、警察庁におきまして、そのような文書、マニュアルを作成した事実はございません。

泉(健)委員 検査院長、こういったことが実際には文書として出てきている。恐らく、場合によっては今後その実物を皆さんにお示しできるかもしれないと私は思っておりますけれども、こういった細かな検査員の名前まで書いた、検査をしている方の名前まで書いたものが、トータル二千五百問近くの想定問答集ができ上がっている。

 私は思うんです。例えば、我々は、センター試験あるいはTOEICという英語の試験、いろいろありますけれども、どんな試験であれ、試験が終われば問題を回収いたします。あるいは、その問題というものは写し取ったりしてはいけないというふうになっているものと思います。幾ら、皆さんが頭の中にあるものを整理されたかもしれない、そういった努力の積み重ねでつくられた想定問答集かもしれませんけれども、こういった存在、このそのものの存在は、会計検査の緊張感を非常におとしめているというふうに私は懸念をするわけです。

 そして、これは、先ほどまさに御自身がおっしゃられたように、ほかの省庁でもこういったことが行われているような御趣旨の発言がございました。どうやら検査院としても毎年一つや二つ新しい質問項目というものを考えてこられるらしいので、すべてがマニュアルではないということらしいんですけれども、しかしながら、これはやはり大きく反省をすべきではないか。あるいは、一度この体制というものをもう一回洗い直しをする必要があるんではないか、私はそのように思いますけれども、検査院長はどのように考えられますでしょうか。

森下会計検査院長 ただいまの取り上げられておりますそのマニュアルというものの性格ということ、その性質でありますとか作成目的とか、そんなことはさっぱりわかりませんので、何とも感想の申し上げようもございませんけれども、私どもといたしましては、検査の手法は逐次新しい手法、それから、いろいろな情報をもとにして検討した検査手法を考え出しながらやってきているということでございます。

泉(健)委員 検査院にいま一度お伺いをいたします。

 検査院は、円滑な検査を行うこと、あるいは不正を発見すること、どちらに重点を置かれて検査をされていますか。

森下会計検査院長 どちらかというふうに一方的に決めるわけにはまいらないと思います。やはり、最終的な目的は、不正があればそれを見逃さないという検査をするということでございます。

 ただ、検査に当たりましては、我々は、限られた人員と限られた時間の中での検査でございますから、その検査の効率性といいますか、検査を円滑に進めるということについても意を用いる必要はあろうというふうに考えております。

泉(健)委員 事務総長の主導で何か特命事項というものもつくれるというふうにお話をお伺いしておりますので、ぜひ、そういったことも含めてこの件については強い決意で臨んでいただきたいというふうに思います。

 さて、先ほど奥田議員からも御指摘がありましたけれども、捜査費について最後にお伺いをしたいと思います。

 警察の捜査費が問題になっているわけですが、私は、その捜査費の問題は、やはり支出の基準がないところに大きな問題があるというふうに思っております。幾ら捜査というものは費用対効果は考えられない、必要なときには必要だとはいえ、それは中身にもよる話でして、これはある暴力団員の話ですが、まさにその人間の生活費になりかねないような状態で捜査費が支出をされている。それは内部協力者だという位置づけにはなっているものの、非常に不透明であり、不適切な関係も及ぼしかねないという状態にまで来ているものもございます。

 そういった状況を変えるために、いろいろ調べてみましたけれども、実は捜査費というのは会計法上もカバーをされない、行き届かない範囲だと。警察の本部長まで財務省からお金が渡ってしまえば、会計法上は、その後はこの捜査費に関しては扱っていないというお話をお伺いしました。というと、この捜査費に対して、何かしらの基準、そういったものを定めようとすれば、検査院の計算証明規則というところしかないというふうに私は思っております。だからこそ、責任は重大だというふうに思っております。

 先ほどは、その検査に関して踏み込みをすることは難しいというふうにおっしゃられましたが、こういった計算証明規則、これは警察からの要請に基づいて検査院みずからが承認をされているものでございます。この現状の、支出基準がないものに対して計算証明規則十一条で認められている、この趣旨、理由について説明をいただきたいと思います。

重松会計検査院当局者 御説明いたします。

 ただいま御指摘ございましたように、捜査費につきましては、情報提供者の領収書等を証明責任者に保管させまして、本院には支払い明細書を提出させるとともに、領収書そのものにつきましては、実地検査の際に提出させ、検査することとしております。

 お尋ねの理由でございますが、このような取り扱いを承認しておりますのは、捜査費は捜査上の情報収集活動等に使用される経費でございまして、情報提供をした者の氏名等が部外に知れた場合には、その者に不利益が及ぶということも考えられるわけでございます。また、その場合には、相手方の任意の協力によって行われる捜査活動に現在及び将来にわたって支障を来す結果ともなりかねないという事情がございます。そういった点を考慮いたしまして、情報提供者の領収書は、多数の手を介して行われる一般的な計算証明の方法によらず、証明責任者に保管させておいて、実地検査で改めて検査をさせていただくということにしておるところでございます。

泉(健)委員 この規則、検査官会議でそれぞれ承認をされるというふうになっていると思うんですけれども、各省庁から要請を受けた場合に、検査官会議でこれを変更したり、新たに条件をつけるということはございますでしょうか。

重松会計検査院当局者 捜査費の領収書等の手元保管につきましては、承認期限を一年ということにしておりまして、毎年度見直しをしているところでございます。検査官会議で審議をして承認をするということになっております。

 また、承認に当たりましては、承認の対象となる経費につきまして、使途等を確認することができるよう、協力者の領収書その他の証拠書類を整備するなどして適正な管理を行い、本院の検査に支障がないようにするということがちゃんと行われているかということを条件としているところでございます。

泉(健)委員 これで終わりにしますけれども、一応、この決算行政委員会にも非常に大きな権限があるというふうに私は思っております。それは、国会法百五条において、この委員会の中で与野党一致した決議を上げることによって、特定の問題に対して検査院に対して要請ができるというような制度があるというふうに認識をしております。

 これから、こういったことも含めて、我々委員会一同、一生懸命このさまざまな行政のむだ、税金のむだ遣いについてはやはり取り組んでいかなければならない、その決意を込めまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

石井委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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