衆議院

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第4号 平成16年4月28日(水曜日)

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平成十六年四月二十八日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 石井  一君

   理事 後藤田正純君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 中野 正志君 理事 平井 卓也君

   理事 奥田  建君 理事 五島 正規君

   理事 今野  東君 理事 山名 靖英君

      大野 松茂君    岡本 芳郎君

      梶山 弘志君    城内  実君

      倉田 雅年君    小林 興起君

      佐藤  勉君    斉藤斗志二君

      柴山 昌彦君    田中 英夫君

      竹下  亘君    津島 恭一君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    蓮実  進君

      早川 忠孝君    松岡 利勝君

      宮澤 洋一君    武藤 嘉文君

      村上誠一郎君    谷津 義男君

      渡辺 博道君    泉  健太君

      岡島 一正君    加藤 尚彦君

      北橋 健治君    小林 憲司君

      鈴木 克昌君    都築  譲君

      西村智奈美君    本多 平直君

      前田 雄吉君    松崎 公昭君

      河合 正智君    東  順治君

      古屋 範子君    古賀潤一郎君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第四局長            友寄 隆信君

   会計検査院事務総局第五局長            円谷 智彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           安藤 隆春君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  古田  肇君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            遠藤純一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            太田 信介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      寺坂 信昭君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

            補欠選任

             柴山 昌彦君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     大野 松茂君

  斉藤斗志二君     倉田 雅年君

  津島 恭一君     蓮実  進君

  萩生田光一君     小林 興起君

  橋本龍太郎君     渡辺 博道君

  福井  照君     田中 英夫君

  宮澤 洋一君     梶山 弘志君

  森田  一君     佐藤  勉君

  山本  拓君     葉梨 康弘君

  泉  健太君     加藤 尚彦君

  内山  晃君     鈴木 克昌君

  岸本  健君     前田 雄吉君

  橋本 清仁君     本多 平直君

  東  順治君     河合 正智君

同日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     城内  実君

  梶山 弘志君     宮澤 洋一君

  倉田 雅年君     斉藤斗志二君

  小林 興起君     萩生田光一君

  佐藤  勉君     竹下  亘君

  田中 英夫君     福井  照君

  葉梨 康弘君     山本  拓君

  蓮実  進君     津島 恭一君

  渡辺 博道君     橋本龍太郎君

  加藤 尚彦君     泉  健太君

  鈴木 克昌君     内山  晃君

  本多 平直君     橋本 清仁君

  前田 雄吉君     岸本  健君

  河合 正智君     東  順治君

同日

 辞任         補欠選任

  竹下  亘君     森田  一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における参考人出頭要求に関する件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)

 平成十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)

 平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)


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     ――――◇―――――

石井委員長 これより会議を開きます。

 平成十四年度決算外二件を議題といたします。

 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成十四年度決算外二件審査のため、四つの分科会を設置することとし、区分としては

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計

 第二分科会は、内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省、財務省、文部科学省所管

 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省所管

 第四分科会は、法務省、国土交通省所管

以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、日本銀行及び公団、事業団等、いわゆる特殊法人並びに独立行政法人の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 分科会審査は、来る五月十七日月曜日及び十八日火曜日の二日間行います。

    ―――――――――――――

石井委員長 総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官安藤隆春君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省経済協力局長古田肇君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、厚生労働省老健局長中村秀一君、農林水産省大臣官房長小林芳雄君、農林水産省農村振興局長太田信介君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

石井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

後藤田委員 自民党の後藤田でございます。

 三十分しかないので、ポイントを、問題意識を浮き彫りにさせて、また、今後の質疑に備えたいと思います。

 きょうは、四つ伺いたいことがございます。

 一つは、ウルグアイ・ラウンド対策費についての、使われ方だとか効果だとか、そういった点について、どのように農林水産省さん、そしてまた会計検査院の方々が監査をし、調査をしたのかという点を伺い、二つ目には、ゴールドプランにつきましてでございます。これにつきましても相当多額なお金が使われましたけれども、それについて、その計画、そして実施、そしてその間にどのような問題点が生じたか。三つ目は、ERATO、いわゆる創造科学技術推進事業についての質問であります。四つ目には、核燃料サイクルについて。この四つを、三十分で終わるかどうかわかりませんが、随時質問させていただきたいと思います。

 まず、ウルグアイ・ラウンド対策費についてでございますが、私としては、最近といいますか、近年、まだまだ私も若輩でございますので、僣越なんですが、農林水産省さんの改革姿勢、農政改革については大変評価しておりますし、同時に、すばらしい対策をこれから打とうとされているということを申し上げたいと思いますけれども、やはり過去の対策費についてのきちっとした反省と、そしてそれを国民の皆様方に説明するという作業は、これは政治、行政ともにするべき課題だと思っております。

 まず、ウルグアイ・ラウンド対策費の総額、そして、何年間、どのような背景でどのように使われたか、これについて農林水産省さんにお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘ございましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策についてでございます。

 平成五年年末のラウンドの合意を受けまして、平成七年度から六年間、事業費ベースでいきますと六兆百億円の規模でスタートいたしました。平成六年十月から実施されております。

 この対策につきましては、毎年度、当初予算とそれから補正予算におきまして、必要な予算額を確保しながら推進してまいりました。

 その過程の平成九年でございますが、当時の財政構造改革という流れの中で、閣議決定を踏まえまして、総事業費六兆百億円は確保しながらも、例えば農業農村整備事業の対策期間の延長、これは二年間でございます。それから、全体の事業といたしましても、いろいろな対策の中身を見直すというようなことを講じまして、平成十四年度にすべての事業が終了した、こういった経過でございます。

後藤田委員 当初のこの計画の背景ということについてはお答えがなかったんですけれども、私が理解しておりますのは、いわゆるWTO貿易交渉の中で、ミニマムアクセスを初めとしたいろいろな海外とのやりとりの中で、国内対策として六兆百億ものお金、これは少額ではありませんですね、多額のお金を費やした。そして、農業の構造改革を図るという名目のもとに、では、実際はどうだったか。

 私の地元も、もちろんきょう御臨席の先生方のお地元にも、これは果たして農業構造改革に関係あるのかというような事業も多々散見をされる。例えば、融資事業につきましても、結局、会社に金を借りさせて、その後は面倒を見ずに、会社がつぶれてしまったというようなお話も聞きますし、ホテルを初め、本当に農政改革と関係あるのかなという事業が、私もよく見受けられるんですね。

 これにつきまして、農林水産省さん、中間報告を最近まとめられたというふうに聞いておりますが、その点も踏まえて見解をお聞かせいただきたい。

 同時に、会計検査院の方におかれましても、今おっしゃられました事業の総額、そしてまた、その期間の間で、皆様方が監査をされた中でどのような問題点が指摘されたか、例がありましたら挙げていただきたいと思います。まず農林省。

小林政府参考人 ただいま御指摘ございましたラウンド対策を受けた対策の目的をちょっとお答えさせていただきますけれども、今御指摘ございましたように、こういった国際協定の関係を受けまして、農業合意が我が国の農業、農村に及ぼす影響、この緩和というのが一つでございました。

 また、あわせまして、望ましい農業構造の実現を図るという形で、さまざまな設備の合理化強化とか生産性向上ということでございまして、具体的な事業は、一つは農業生産基盤の整備でございます。また、さまざまな生産高度化などのための施設整備、さらには担い手に対する農地の利用集積、新規就農、こういった総合的な対策を講じたわけでございます。

 これにつきまして、私ども、平成十二年七月に中間評価を行いました。これは、農政の課題といいますのはいずれも効果発現には非常に長時間を要する、こういった特性がある中で、いろいろな切り口でやったわけでございますが、その結果として、総じて言いますと、事業の執行水準が低いものとか、それから諸情勢の変化の中で目標達成が必ずしも十分でない事業、こういったものが見受けられたことも確かでございますが、全体として見ると、それなりの効果を上げているものとなっているというふうに評価されています。

 少し例示として申し上げますと、圃場整備で、特に担い手育成型という形で、そういうところのソフトの効果もあわせてやっていこうという、そういった事業では、担い手の経営規模が約二・五倍拡大するとか、それから労働時間の六割の短縮、こういった効果があらわれております。

 ただ、一方で、農地の利用集積という、この対策でいいますと、担い手に農地の過半を集積するという目標、これがあったわけでございますが、それに対して、達成率は五四%という形で、これはなかなか低水準の目標を達するようになったということでございます。

 いずれにしましても、今私ども、食料・農業・農村基本法、それから計画を受けた施策をやっているわけでございますが、特に十二年度から政策評価に取り組んでおります。こういった中間評価を、さらに全体の政策評価の中で今後ともきちんとした評価を実施し、その成果についても、これはもちろん農政全体の話になりますけれども、成果の検証を特にきちんと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

友寄会計検査院当局者 ウルグアイ・ラウンド対策費についての会計検査の実施状況についてでございますけれども、ウルグアイ・ラウンド対策費は、主に特定の地区の事業効果を早期に発現するために予算を重点的に配分する措置に充当されたり、特定の施設について手厚く予算を配分する措置に充当されたりしたもので、予算を配分する段階での措置であると認識しておりますが、その予算額が多額に上っておりますことから、予算の執行結果を検査する会計検査院としましては、これらの事業の計画、実施状況、また経理処理が適切か、その効果は達成されているかという観点に留意して、重点的に検査しているところでございます。

 その検査の結果というお尋ねでございますが、これらの対策費が投入された事業や施策について会計検査を実施しまして、個別の工事の設計、積算、施工等に係る指摘はそれなりにありますが、これらの中で主なものについて申し上げますと、十三年度決算検査報告に、農村公園等に設置する安全さくについて間伐材を使用することにより環境及び経済性に配慮するよう改善されたものでありますとか、また、さらにさかのぼりますと、十一年度決算検査報告に、農業集落排水事業における汚水処理区の設定に当たりまして、経済性の検討を十分行うことにより、事業の効率的な実施を図るよう改善されたもの等を指摘しているところでございます。

後藤田委員 ありがとうございます。

 今、官房長がおっしゃったように、評価される点もあれば、そうじゃない点もあるということを真摯に受けとめながら、そして、特に、いわゆる土地集積の点について若干まだ課題が残るという点がございましたので、この点については、六兆もの過去の対策費、もちろん国と地方、さまざま分かれておりますけれども、むだにしないような形で、ぜひこれから、食料・農業・農村基本法、基本計画の実施に努めていただきたいというふうに思いますので、その点についての決意を一言、きょうは大臣もいらっしゃらないんですけれども、官房長として一言。六兆百億も使っておいて、今おっしゃった集積がなされなかった。だけれども、これからそういった点も含めて食料・農業・農村基本計画をもう一回見直していくという作業を今されておりますけれども、その決意を、むだ金にしないようなその思いを、ちょっと一言で聞かせていただきたいと思います。

小林政府参考人 御指摘にありましたように、今、大きな農政改革の見直しをやっております。その中で、やはり政策効果というのをどうやって達成するか。先ほど申しました政策評価というシステムができまして、そういったものをあわせてやっていく形になっておりますので、これからの私どもの政策が本当に実効が上がるように、また、それが、透明性といいますか、国民の皆さんによくわかるように、そういったことを心がけてこの改革に取り組んでいきたいと、省を挙げてそういった方針で取り組んでいるところでございます。

後藤田委員 農水省さん、ありがとうございます。以上、ちょっと時間があれでございますので。

 次に、ゴールドプランについてでございますけれども、これにつきましても、背景といいますか、また、その背景に基づく予算総額、そしてその結果どういう効果があらわれているかということについて、厚生労働省、そして同時に会計検査院さんの方からも、その事業評価について、あわせて簡単に御説明をいただきたいと思います。

 そして、もう一括でお答えいただきたいんですが、例えば老健施設だとか特養とかを経営されている方々また事業者が、実質、都道府県からというようなお答えだったようでございますが、結局、国から都道府県を通じてということでありまして、補助金を受けているわけですね。その受けていらっしゃる事業体の経営者、事業者というのは、まあ国会議員含めて、政治家に対して政治献金をしているかどうか、そこら辺についてお調べになったことはあるか。

 これは基本的に、私はできるはずもないと思っておりますけれども、そういうことで国の政策、いわゆる老健施設を含めた政策が、そういった団体の方々によって、お金によって動かされているとしたら大問題だと私は思っておりますので、この点についてお聞かせをいただきたい。

 これはもういろいろな問題がこれから出てくるかと思います。我が党もそれに関する候補者も立てているようでございますが、私はそれがどうこうと言っているわけではありませんが、きちんとそこら辺、襟を正してやっているかどうかを確認したいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ゴールドプランについてのお話がございました。ゴールドプランと申しますのは、特別養護老人ホームなど介護サービスの基盤を整備するための計画でございまして、平成二年度から何度か行っておりますが、現在のゴールドプランは三度目のプランでございまして、介護保険がスタートいたしました平成十二年度から今年度までの五カ年のプランで、国の高齢者保健福祉の基盤整備などを充実するためのプランになっております。

 実際に使いました経費につきましては、五カ年で、ゴールドプラン21関係諸費につきましては一兆二千六百七十四億円でございます。その中で、今先生から老人保健施設や特別養護老人ホームというお話がございましたけれども、施設整備に関しましては、国費で、五年間で五千二百三十四億円、このほかに、当初予算のほかに、三年間、補正予算が組まれておりまして、千四百八十五億円。六千七百十八億円というのが、この期間の支出した経費でございます。

 効果につきましては、例えば介護保険では、スタートいたしましたときに二百十八万人の方が要介護認定を受けておられましたけれども、現在三百七十万人を超えるということで、ゴールドプラン21がスタートした平成十二年、介護保険がスタートしたときと同時でございますが、この間、要介護認定に該当する要介護者が七割以上ふえている。こういった方々のニーズを満たすための基盤整備には相当効果があったのではないか、こういうふうに考えておりますし、施設整備などにつきましては、五カ年間で、老人保健施設それから特別養護老人ホームなど、目標達成が確実になっておりますし、非常に悩んでおられます方が多い痴呆性高齢者のためのグループホームなどは、既に計画を四三%上回って達成されているような状況でございます。

 それから、先生お話がありました二点目の、こういった事業者の方が政治献金しているかどうかということについてでございますけれども、私ども、そういった政治献金の状況について行政として調査をしたことはございませんけれども、いろいろ、例えば老人福祉施設協議会という、全国社会福祉協議会の中の部会がございますが、そこが政治連盟をつくって活動されているというようなことは承知しておりますので、私、確実なことは申し上げられませんけれども、政治献金もなされているのではないかというふうに認識いたしております。

 なお、こういう政治献金することについての是非につきましては、政治資金規正法については私どもの所管外でございますけれども、国から補助金を受けた場合には、交付決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない、こういう規定があるようでございますが、先生からちょっとお話がございましたように、国の方の施設整備費の補助などにつきましては、都道府県に補助をするといういわゆる間接補助になっておりますので、一般的に申し上げますと、総務省の方から聞いておるところでございますけれども、こういった今の政治資金規正法の二十二条の三第一項の規定には該当しないというふうに伺っておりますが、詳しくは、所管ではございませんので、所管課の方にお問い合せ願いたいと存じます。

後藤田委員 ちょっと時間がないので、済みません、検査院さん、もう結構でございます。

 今の御指摘にありますとおり、これは間接補助であれば別に補助金を受けていても献金してもいいんだというようなことであれば、ちょっとこれは今後調べさせていただきますが、ひょっとしたら問題になる可能性ありますから、十分御注意をいただきたいというふうに思っております。

 それと、最後に一点、老健施設を経営されている方が、介護士さんだとか理学療法士さんだとかを輩出する学校をつくっている人がいるんです。彼らが、自分たちが供給者である、いわゆる学生、そういった療法士さんの供給者であるということを優越的な地位として、いろいろな病院にいろいろな圧力だとか、そういった話も聞きますので、ここら辺は十分に注意を払っていただいて、それを一回調べていただきたい、アンケートでもとって。

 おれのところにあいさつに来ていないじゃないかというような話を、何校も病院の院長は言われたというような話もあります。その点、一回確認をしていただきたいと思っております、そんなことがあるとしたら大問題ですから。その点は、後ほどで結構ですから、ちょっと教えてください。

 次に、ERATOへ行きます。

 ERATOにつきましては、これは八一年創設から、平成十四年度には総括実施型研究として変わったということでありますが、私が調べましたら、この創設の背景には、要は、我が国のみずからの進路を開きという国益を重視した表現、一方で、国際社会に対する相応の貢献というふうになっております。これは、いわゆる技術者に対して新しい技術を生むために援助をしているという事業なんですね。

 だけれども、一覧を見てみますと、いわゆる青色ダイオードで今有名になっております中村氏がカリフォルニア大学、柳沢さんという方がテキサス大学、この両名はアメリカの大学なんですよ。その他は国内の大学でございます。国の税金を補助金として文部科学省さんを通じて援助しているのに、目的が、みずからの国益、一方で国際社会に貢献すると書いてあるんだけれども、国益を考えると矛盾する場合がこれから出てくると思うんですね。

 つまり、海外に、国益に反して技術の流出支援に結果としてなっているとしたらこれは大問題ですよ。カリフォルニア大学で学んでいる人に日本の税金が行って、そしてカリフォルニア大学を初めとしたアメリカの企業がその技術を買い取って、それで日本に攻めてきたとしたら大問題なんですよ、これは。

 これについて、文部科学省さん、まとめて、一言、御見解をいただきたいと思います。

田村大臣政務官 先生おっしゃられましたとおり、創造科学技術推進事業、ERATO、これに関しましては、十四年度から制度を衣がえということで名称が変わったわけでありますけれども、今まで七十七課題、総額で千二百六十三億円、これに対して支給いたしてきております。

 創設当時の目的でありますが、おっしゃられた部分、そのとおりでございまして、技術的、特に、当時キャッチアップ型の科学技術から、何とか先端技術といいますか、革新技術を、日本でも基礎研究の分野も含めてこれから見出していきたいということで、非常にすぐれた研究者、指導者といいますか、そういう方々のもとで比較的流動研究的なものができるシステムをつくって、それでいろいろなものをこれから発見、発明していただこうということで実は創設されたわけでありますけれども、おっしゃられますとおり、二件ほど海外でやっておるという事例がございます。

 そういう意味では、海外に知的財産権みたいなものが流出するおそれがあるんじゃないかという御指摘もあられたと思いますが、基本的に科学技術振興機構の中において、申請者は別なんですけれども、中で研究する方々はその職員となっていただいて、そしてその方々にお金が出るというシステムであります。

 しかも、知的所有権に関しましては、例えば今言われた中村先生の事例なんかでいいますと、向こうの大学とこの機構が半々ぐらい所有権をそれぞれ持ちまして、それからのいろいろな派生したものに関してはその所有権を主張しようという話になってくるんだと思います。

 ただ、一方で、では、全く、すべてその研究の成果というか、ある意味で研究の途中過程における蓄積も含めて、外に、海外に出ないかというと、それはいろいろな意味で、その成果というものが流出するということはないとは言えないわけでありますが、それはある意味、日本の国内において研究された方においても、その後、海外に出て行かれるということがあれば、そちらの海外でその方の今まで蓄積されてきた研究の成果というものが流出をするわけでありまして、ある意味で、基本的な基幹部分はこの制度では押さえておるんですが、その後の部分に関しては、特にこの場合、日本の研究者に対してついておりますそういうような研究費でございますので、最終的に日本にやはりもう一度戻ってきていただけるような、そういう日本の研究環境というか、そういうものを整備していきながら、そういう方々をこちらに戻していく、そういうものが流出しないように努力していく、このように考えております。

後藤田委員 今いみじくも田村政務官が、キャッチアップ型というようなお話もありました。同時に、その事業が終わった後に、皆さん、技術者は海外に自由に行けるということのお話ありました。ということは、この事業自体、アメリカの大学を特定して金を出すということは明らかに間違いですよ、これは。キャッチアップ型じゃないんですよ、もうこの今の時代は。

 日本の技術が基礎にあって、それをアメリカの大学の環境がいいからといって行って、そこでいつの間にか何億円で買われてしまうとか、うわさによると、ある方は日本で研究した資料を全部根こそぎ持っていって、向こうで技術が流出している。こういうことに日本の文部科学省が手をかしているということになると、これこそ大問題でありますので、もう一回これは省内で調べていただきたいと思います。

 以上、もうこれは時間がないので、お願いいたします。

 最後になります、時間がないので。核燃料サイクルについてであります。

 昨今出ましたエネルギー白書を見ますと、サイクル推進が国の基本的な考え方という文言があります。

 しかし、今いろいろな国民世論、研究者の間では、特に原子力委員会でも、白紙から、あり方を見直す、そういう議論がある。六ケ所の安全性についてトラブルは避けられないとの意見もある。原子力発電は、収益性があるといいながら、経済的、財政的措置を検討している。一方で、軽水炉サイクル、燃料効率は約一・一倍に対して、高速増殖炉サイクルは約六十倍である。欧米各国は、技術面、経済面から、高速増殖炉サイクル構想から相次いで撤退しています。

 そして、日本は、本来過渡的な位置づけでありました軽水炉サイクル、これが突如主役になってきた。これは経済的にも資源的にもメリットが少ないということは、これもまた欧米では路線転換、凍結がなされているという中、それで、建設費も二兆円の工場、実際に動かすと総額十九兆円のコストが発生する。再処理工場建設費の以前の前例を考えれば、もっと膨らむんではないかというようなお話もあります。

 そんな中で、これからこの事業についてどういう方向で考えているのか、国民的議論と原子力委員会の中立的な議論をきちんと見守ってやっていくのかどうか、その点についてお答えいただきたい。

 閣議決定で決まっているということで、政府の答弁は予想されるわけでありますが、私は別に原子力に反対なわけではないんですね。しかし、いわゆるサンクコスト、走り出してしまったからもうとまらないんだというようなことがあったら、これは絶対におかしな話になってしまう。不作為、大問題に多分数年したらなる可能性もなきにしもあらず。だから、これはきちっと国民的議論にもう一回ゆだねて、原子力委員会、中立的な研究者の意見を見守って、慎重に考えていただきたい。その点について御意見いただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、いわゆるエネルギー白書、エネルギーに関する年次報告につきましては、現在、エネルギー政策基本法に基づきまして、平成十五年度においてエネルギーの需給に関しまして講じた施策の概況など、これについて初めての白書でございますけれども、その取りまとめを行っているところでございます。

 それで、核燃料サイクルについてでございますけれども、核燃料サイクルに関しましては、供給安定性などにすぐれております原子力発電の特性を一層改善するものであり、これを推進することをその基本的考え方としております。安全の確保と核不拡散、これを前提といたしまして、また、原子力発電全体の経済性あるいは国民理解の確保の状況、そういったものを踏まえまして、的確に核燃料サイクルを進めることが重要と認識をしているところでございます。

 こうした考え方につきましては、昨年十月に閣議決定いたしまして、国会にも御報告しておりますエネルギー基本計画に明記をされているところでございまして、そうした議論の結果と認識をしているわけでございますけれども、こうした核燃料サイクルの推進に当たりましては、安全確保を前提にいたしまして、地元の御理解を得つつ、一つ一つのプロセスに着実に取り組んでいくことが重要と考えてございます。

 なお、幾つか今先生から御指摘をいただいたわけでございますけれども、六ケ所再処理工場の安全の確保、これにつきまして、事業者自身の品質保証とか自主保安、そういった努力は当然のことといたしまして、私ども経済産業省といたしましても、厳正な規制を行いまして、原子力安全委員会とも連携しつつ、その安全の確保に全力を尽くしてまいる所存でございます。

 それから、いわゆる経済的措置に関しましては、電気事業の小売自由化範囲の拡大に際しまして、これは昨年電事法の改正をお認めいただいたところでございますけれども、原子力のバックエンド費用についてどのような措置を講ずるべきか、そういう観点から、現在、関係の審議会で検討が行われているところでございまして、核燃料サイクル政策の是非自体とは少し違った議論というふうに認識をしているところでございます。

 それから、欧米に関しましては、エネルギー政策そのもの、本来、各国の資源状況、エネルギー安全保障、そういった考え方に基づきまして独自に判断をするべきものと認識しておりますけれども、例えば、フランス等、これは核燃料サイクル政策を明確に採用しております。それから、アメリカも、先進的核燃料サイクルの研究プログラムの予算化を行ったというふうに承知しております。

 それから、最後に、原子力委員会の議論でございます。

 原子力委員会におきましては、現行の原子力長期計画、これの改定の準備作業に着手しているというふうに承知をしております。今後の議論につきましては、現時点でのコメントは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、原子力長期計画とエネルギー政策が調和のとれたものとなるよう、その推移を見守ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

後藤田委員 きょう、ちょうど、私の後だと思いますが、財務大臣もお座りになっていますから、最後に今の問題を申し上げますと、閣議決定で決まった、大臣もお座りになっていたと思うんですが、だとしたら、きちっとエネルギー白書に、軽水炉サイクルだとどうなんだ、高速増殖炉とセットしたらどうなんだ、あと、ワンスルーの場合はどういうコストなんだということをきちっと明確にした上で、国または民間、そして地方公共団体、交付金の問題も含めて、予算、どれだけの金がかかって、どれだけのエネルギー安全保障に関係して、どれだけ国民の電力安定供給にかかわるかということを明確に出すべきなんだけれども、エネルギー白書にはそういったことは全然書かれていない。ワンスルーについてはどうだ、比較したらどうだ、当然財務省は検討されていると思いますよ、主計局あたりは。

 それでも、閣議決定で決まってしまったからもういくんだというようなことであったら、私は大変な将来的な禍根を残すというふうに思っておりますので、財務大臣、私はお呼びしておりませんけれども、これは不作為ということになりかねませんので、この予算措置についてきちっとやっていただきたいと思います。(発言する者あり)わかりました。そういうことでお願いしたいと思います。

 以上です。

石井委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 今、私、この場を見渡しまして、私が昨日十五時三十分に、警察庁の控室にお越しいただきまして、質問のレクをさせていただきました。その折に要求しました本日の答弁者がお越しになっていない。

 各都道府県警で、保存文書の破棄が続いております。保存文書の破棄というのは、証拠の隠滅につながる重大な問題であると思います。ですから、保存文書を破棄しました愛知県警の和田本部長を警察控室に昨日要求したわけでありますけれども、お越しになっていない。これは、うそをついて答弁者に加えていただけなかったという、これはもう本当に、どういう、何の権限をもって警察庁の控室が私の答弁者の要求を拒否することができるんでしょうか。まず、どなたか、お答えいただきたい。

安藤政府参考人 今先生のお話のように、昨日、当庁の控室に対しましてそういう要請があったことを承っておりますが、全国の警察活動につきまして、国会でそれを代表して御答弁申し上げるのは警察庁の幹部ということで、それで十分その内容につきまして御報告できるという判断でございます。

前田委員 いや、私は、何の権限をもって、控室に要求した答弁者がここの席に座れないかという、それをお答えいただきたいんですよ。

安藤政府参考人 先ほど私が申し上げましたような理由で、警察庁が代表しまして御答弁申し上げれば十分でございますし、また、警察本部長というのは、御案内のとおり、非常に管内の治安の最高責任者でございますので、そういう点を配慮していただければありがたいと思います。

前田委員 これは本当に一体どういうことですか。私は、何度も言っておりますけれども、実際に破棄した県警の本部長、残念ながらきょうの新聞に神奈川県警も載っております。昨日の段階で明らかになっていたのは愛知県警でありますので、愛知県警の本部長に直接私は伺いたかった、十分に現地の責任者から、警察行政全体にかかわる文書の破棄について、どのようなことかというのを伺いたかったんですね。これについて、何の権限をもって控室は私の答弁者の要求をけることがあったんですか。ちょっともう一回しっかり答えてください。

安藤政府参考人 そういう要請がありまして、控室としましては、先生の御要請に対しまして、先ほどのような理由でそういう対応をしたということでございまして、決して御無礼なことはなかったと思います。

前田委員 これは終わっていませんよ、本当に。では、私が納得するように、どうして昨日私に対してそういう説明がないんですか、お答えいただきたい。

安藤政府参考人 詳細につきまして、そのやりとりにつきまして、私もつまびらかに承知しておりませんが、そういう、先ほど言いましたような理由でこちらとして対応したということだと思います。

前田委員 昨日、警察の控室の方たちは、わかりました、何度も、私は二回確認しました、審議官と愛知県警本部長だと。にもかかわらず、この席に呼んでいただいていないというのは非常に遺憾であります、何の陳謝もないんですから。もう一回答えてください。

安藤政府参考人 事実の詳細につきましては私も承知しておりませんが、そのやりとりにつきまして失礼な点があったかどうかというのは、そういうことがあればまた調査いたしますけれども、一般的に、先ほど言いましたように、警察庁の方で代表して都道府県警察のいろいろな問題につきましてお答えするということで、それは第一義的にはそれで十分じゃないか、こういう判断だと思います。

前田委員 これは、政府参考人と一般の参考人という形でこの委員会に呼べるわけですので、私は、この警察行政全体にかかわるゆゆしき文書の破棄に関して、それでは納得できないということで本部長を呼んだんですよ。今、調査されると言いましたけれども、確実にそれをやってくださいよ。いいですか。これはまず初めに強く申し入れておきます。

 本当に、先週、当委員会で私が、警察庁の内部文書である会計検査院の検査官個人別応問状況、これを開示させていただきましてから、心ある全国の現役の警察官の幹部の皆さんから、新しい資料の提供やまた内部告発を寄せていただいています。追って、整理いたしまして、当委員会で連休明けにまた開示させていただきたいと思っております。

 また、その一方で、もう私の周辺に変な人たちも寄ってきておりまして、きょうは議事録にとどめるという意味を込めて質問させていただきたい。

 まず初め、四月二十四日、私の自宅には不審者が侵入してまいりました。そして、同日、事務所にとめてありました街宣カーのスピーカー、七十万円のスピーカー二個が盗難に遭いました。捜査状況について、どのようにお答えいただけますか。

安藤政府参考人 今、先生御指摘の事案につきましては、これは平成十六年の四月二十四日の夕刻から翌日の夕刻にかけて、愛知県春日井市坂下町の先生の後援会事務所駐車場で発生した事案でございまして、街宣用のスピーカー二台、これは、詳細に申しますと、廃車済みの車両の街宣車、ハイエースですね、この屋根に取りつけておりましたスピーカー二台をスパナ等を使用して取り外し窃取した事件ということでございます。

 これにつきましては、愛知県警の方で、四月二十五日に今の事件の被害届を春日井警察署におきまして受けまして、直ちに警察本部に本件の発生について速報するとともに、初動捜査であります現場鑑識活動、それから周辺の聞き込みなど、これは所要の捜査を集中的に推進をしてまいったわけでございます。

 また、再発防止ということで、愛知県警本部につきましては、警察署に対しまして、事務所の警戒を強化するなどしまして、重点的なパトロールというようなことをやっております。そういうことで、今鋭意捜査中ということでございます。

前田委員 それから、これは昨年の五月、駐車中の私の車に中型のダンプが、これは当て逃げをして、廃車になり、そのまま逃げたという事案がありました。この件はその後どうなっているか、伺いたいと思います。

安藤政府参考人 この事件につきましては、平成十五年五月二十六日に、これは同じ春日井市でありますが、上条町の先生の事務所の駐車場内で、先ほどのような中型ダンプに当て逃げされた事件というのが発生をいたしたわけであります。それで、警察といたしましては、直ちに鑑識活動を行うなど、愛知県警として所要の捜査を今進めておると承知しております。

 ただ、これはちょっと細かくなりますが、発生した場所が駐車場内ということで、道交法の世界では、道交法に沿いますと、駐車場内における駐車車両に対する接触、衝突というのは、いわゆる交通事故扱いではありません。交通事故扱いというカテゴリーですと当て逃げ事件ということですが、駐車場内ということで、これは刑法の二百六十一条の器物損壊容疑事案として捜査を今行っておりますが、まだ捜査結果が得られているということじゃありませんが、それは十分、鋭意捜査をしたいと思いますが、ちょっと、愛知県も一年に六千八百件ぐらい当て逃げ事件というのがございまして、そういう言いわけをするわけじゃなくて、これも含めて捜査をしておりますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。

前田委員 いや、もう本当に、笑って、にこにこして答えてもらうような話じゃありませんよ、いいですか。これはやはり厳重に、こうした不審者に対してはあるいは事案に関しては取り締まっていただきたい。こういう変わったことが私の周辺ではいろいろ起きますけれども、これから、先般質問させていただきました警察の不正経理の件に関して進めさせていただきます。

 先週の委員会で質問させていただきましたことですけれども、不正経理が報道されたすべての警察の都道府県名を答えてほしいということをお聞きしましたけれども、お答えになったのは三県だけでありました。これについて、また改めて、私は先週答弁を要求しておりますので、もうお調べになったと思いますので、お答えいただきたい。

安藤政府参考人 前回、官房長の方からお答えしたとおりです。これまで、関係道県警察における調査の結果、一つ、北海道旭川中央警察署におきまして平成七年五月分及び平成九年九月分の捜査用報償費、それから北海道弟子屈警察署におきまして平成十二年度分の捜査用報償費及び捜査費、さらに、静岡県警察の総務課におきまして平成七年度分の旅費、そして福岡県の銃器対策課におきまして平成十年四月から十一年七月までの捜査報償費及び捜査費に関しまして、不適正な予算執行が判明しているところであるということでございまして、警察といたしましては、そういう調査の結果、不適正な予算執行が判明しているのは以上の県ということであります。

 先生が今御指摘なり御質問されております、新聞報道において、これまで警察の会計経理につきましていろいろ、憶測も含めましてさまざまな報道がなされていることは我々も十分承知しておりますが、警察として不適正と判断しているものは、あくまでもさきに申し上げました北海道、静岡及び福岡の事案のみでございます。

 以上がお答えといたします。

前田委員 警察として不適正だというふうに認めたものはそれだけだということですけれども、この文書保存の期間五年間、この期間におきましてさまざまな報道がなされているわけでありますよ。それぞれに対してきちんとお調べになっていますか。もしお調べになっていたら、そんな三県ぐらいの答えで返ってきませんよ。どうですか、総括審議官。

安藤政府参考人 今申し上げたとおり、我々警察といたしまして不適正と把握している県は、以上の三県ということでございます。

 それで、先ほど申し上げましたように、いろいろな憶測も含めて報道がされておるということでございますので、これについて全部警察の方で内容を掌握しているわけではございませんが、例えば、警視庁の銃器対策課に関する報道につきましては、この報道がいろいろされておりますが、これは、平成十一年の四月九日に、そういう写真週刊誌におきまして、警視庁銃器対策課の捜査費に関する証拠書類を偽造するなどして裏金づくりをしているという記事が掲載されたわけでありますが、これに対しまして、警視庁では、この年の四月初旬から下旬にかけまして、関係者の事情聴取をするとともに、帳簿の照合をするなどしまして調査を実施し、その結果、記事にあるような不正は認められなかったということが確認されたとの報告を警察庁は受けております。

 こういう形で、全部ではございませんが、過去においてそういう内部的な調査といいますか、そういうこともしておる次第でございます。

前田委員 今、ゆゆしき発言がありまして、内容を全部掌握していませんがということがありました。これは、内容を全部掌握していないから、だから不祥事が各地で出てくるんでしょう。もう一度、これは、私、来週またこの場に立たせていただきますので、それぞれの不祥事が出てきた報道があったところをきちんと調べ直してお答えいただきたい。

 では、先般の私の質問に小野国家公安委員長が一歩踏み込んだ御答弁をいただきました。どんな答弁かといいますと、ちょっと読み上げます。

 警察庁からこれまで、国の会計事務あるいは会計監査にふなれな部局に対しましては、会計検査を受ける前に、必要かつ十分な検査を短期間に効率的に行うことができるようにという意味で、担当官が指導、連絡に赴きまして、その機会を利用いたしまして監査を実施しているとの報告を受けておるわけでございますけれども、誤解を招くということがあるのであればということで、本年度からはこれをしないものと承知をいたしているところでございます。

同様の発言が、吉村政府参考人からもありました。

 つまり、これは、警察庁本庁から各都道府県警に職員が派遣されている、このことを示しているわけでありまして、先週私が開示させていただきました会計検査院の応問状況、これと同様に、警察庁が各都道府県の県警を指導しているわけでありますよ。こういう答弁をいただいているわけであります。

 具体的に、ふなれな部局への指導、このふなれというのは何を意味しますか。お答えください。

安藤政府参考人 本庁の会計課が、会計検査院の実地検査に当たりまして、事前に、担当といいますか、都道府県警察に赴く、指導、連絡を行うということにつきましてでございますが、これは、御案内だと思いますけれども、会計検査院の実地検査に当たりましては、各種書類の準備が、かなりいろいろ作成する必要があるということでございます。とりわけ警察の経費につきましてはちょっと複雑でございまして、経費が国費と補助金それから純県費、この三本柱といいますか、三区分と複雑になっておりまして、これを、正確な負担区分に基づいて会計検査を受けるための書類の作成というのが非常に必要であるわけであります。

 そういう理由で、警察庁からこれまで、担当官が事前に指導、連絡に赴いて、会計検査を受ける前に、十分な検査を短期間で効率的に受けることができるよう、会計検査で求められます書類の作成について指導していたということでございます。これにつきましては、今先生御指摘のように、いろいろ誤解を招くということで、今年度から、この警察庁による指導、連絡につきまして行っておりません。

 それで、ふなれという、具体的にはどういうことかというお尋ねでございますけれども、都道府県警察における毎年の会計検査院による検査というのは、警視庁では、これは大きいですから、毎年行われているわけでありますけれども、県によって多少ばらつきはありますけれども、多くの県ではおおむね数年に一度程度しか行われない、これは体制上の問題があると思いますけれども。そういうことでありますので、数年に一度ということになりますと、当該県の担当者につきまして、やはりふなれな部分がどうしても出てくる。先ほど言いましたように、ちょっと複雑な、国費、補助金、純県費の三区分、こういうことでございますので、やはり正確な書類の作成になれていないということで、事前に指導、連絡に行ってまいったということでございまして、それ以上のものではございません。

前田委員 では、警察庁から派遣される方、何課のどういう身分の方が派遣されるのか、お答えください。

安藤政府参考人 これは、警察庁会計課の中にあります監査室の職員でございます。

前田委員 監査室の職員ですね。

 先週、私が、会計検査院の応問状況、これを書いたのはだれかということを委員会でずっと議論させていただきました。会計検査院の監査を受けるその現場には、三者がいる。一方は、もちろん検査をされる会計検査院の検査官の方。もう一方は、受けている方の都道府県警の会計課の職員の方。そしてそこに立ち会われているという警察庁長官官房会計課監査室の職員の方。この職員の方じゃありませんか。

 それで、私は、この前の応問状況作成は、当然、質問している会計検査院の検査官の方がつくられて、はい、これがすべて、質問した内容ですよと警察に渡すわけがない、警察庁に渡すわけがない。だから、この方も消える。そして、質問を受けている都道府県警の会計課の職員の方、これも、自分のところだったらわかるけれども、応問状況は各県にまたがっておりました。したがって、この方も消える。あの応問状況をつくったのは、長官官房の会計課の監査室。一致するじゃありませんか。

 やはりそうした会計監査の状況にあって、例えば、一つ例を挙げましょう。今、総括審議官もおっしゃられましたけれども、この指導に警視庁へは毎年行っておられると言われた。そうですね。それで、じゃ具体的に、現実に、警視庁で九八年、銃器対策課、先ほどもおっしゃられましたけれども、領収書、これが偽造されていた。全く架空のでっち上げの二人の人物の名前があった。その二人の方が告訴しまして裁判になったわけでありますけれども、本年一月二十日に最高裁の小法廷におきまして上告が棄却されている。つまり、司法の場で、この一月の二十日に、警視庁の銃器対策課において偽造の領収書が作成されている、こうしたことが確認されているわけであります。

 実際に警視庁で、偽造の領収書がそこでつくられている。毎年、警察庁の長官官房会計課監査室の職員の方は警視庁へ行かれていて、どうしてこの事実を発見できなかったんですか。お答えください。

安藤政府参考人 今おっしゃいますように、警視庁につきましては、各県同様、監査が毎年行われるということを事前に指導ということでございますが、御指摘のこの警視庁銃対課の事案というものでございますが、ことし一月二十日に上告不受理ということでありましたのですが、先ほど申しましたように、平成十一年の四月に写真週刊誌で報道された、その後、関係者から、これは総務部と生活安全部の幹部が手分けしまして事情聴取をして、写真報道されたもののコピーというものが現実とどうかということについて鋭意調査したんですが、結論的に言いますと、一つは、写真週刊誌に掲載されました領収書とされるものの写真の被写体であると、つまり、そのものだと推認される領収書様のものは、調査の結果存在しないと。

 それからもう一つ、現金出納簿とされるものの写真の映像があるんですが、これは警視庁が保管している真正な書類に類似しておりますが、あくまで写真の映像であり、真正な書類の映像であるか否かは確認できなかったと。

 さらに、現金出納簿等とされるものの写真の映像には、真正な書類と内容が一致しない部分が存在することですね。

 それから、写真週刊誌の記事に掲載された内容につきまして捜査員等にただしましたけれども、これらの捜査費は適正に執行されている、こういう報告を受けておりますので、当時、そういう調査結果を踏まえた判断がされたということでございます。

前田委員 今さまざまな、領収書が違うとかなんとか、それは出ていないとかいろいろ言われましたけれども、司法の場で、明らかに領収書が偽造されているということが認められているわけですよ。言い逃れも甚だしいじゃありませんか。もう一回、総括審議官、お答えいただきたい。

安藤政府参考人 今申し上げましたように、要するに、警視庁の中の調査の結果、先ほどのような結論に達したということでございますので、警視庁の判断はそういうことだと承知しております。

前田委員 これではもう、今、警視庁の中あるいは警察庁が赴いての調査で、中での判断では、結局それが見つからなかったということですね。ということは、警察庁自体に調査する能力がないということじゃありませんか。

 一方では、司法の場で認められていることなんですよ。警察庁が、これははっきりと調べられぬかったと言われるんだったら、調査の能力がないということじゃありませんか。お答えいただきたい。

安藤政府参考人 これは、お尋ねの銃器対策課の訴訟の当事者はあくまで警視庁でございまして、訴訟の結果を受けての対応につきましては、警察庁としてはコメントする立場にないというのは我々考えておるわけでございます。

 先ほど言いましたように、警視庁におきましては、報道を受けた、平成十一年四月に報道がありましたけれども、その後、内部調査を実施して、その結果、不正が認められなかったということで、警視庁から警察庁に対し報告がなされておるということでございます。

前田委員 いや、それは警視庁の話だから私どもは関係ありません、コメントできません、そんな問題じゃありませんでしょう。実際に警察庁がそこに赴いて調査をした結果発見できなかったというのは事実、今明らかになりましたよ。警察庁は、自分のところで、警察庁自体で内部監査が行えないというこの事実をどうやって説明されますか。審議官、もう一回。

安藤政府参考人 先ほど、警視庁の方で調査をしたということでありますが、これは、警察庁が、先生御指摘のように、事前に調査、指導という分野ではなくて、警視庁が調査したこの事実につきまして警察庁が一緒に調査するとか、当時そういうことはしておりません。

前田委員 ちょっと何かだんだん答弁が、さっきは警視庁に赴いて捜査をしたと言っていて、今度は一緒に捜査をしているということはないとか、ちょっと答弁が整理されていません。これはもう一度、次回私は厳しく追及させていただきます。議事録をもう一度私も精査しまして、またこれは、答弁がちぐはぐなものになっておりますので、もう一度追及させていただきます。

 先に進ませていただきますけれども、実際に、今言われた長官の官房会計課監査室の職員が各都道府県に行って、そこで会計監査を受ける準備を一緒にしている、ここまで明らかになってきました。これは、北海道もそうです、福岡もそうです、各地で不正経理が行われてきている。現地に警察庁から赴かれていって、その結果、そこで不正経理が行われていたということは、指導というのは不正経理の隠ぺいの指導ではありませんか。お答えいただきたい。

安藤政府参考人 警察庁の会計課の職員が、会計検査院の検査の前に事前に各県に指導、連絡に行くということは、目的は、先ほど申し上げたような検査を迅速に効率的に受ける、あくまでもこういう理由でございまして、それ以上のものではございません。

前田委員 でも、実際に北海道警においても福岡県警においても、そして先ほどから答弁がちぐはぐしている警視庁においても、特に警視庁の場合は司法の場で認められた領収書の偽造、これがあったにもかかわらず、長官官房から、警察庁職員の方が行かれて指導をして、不正が出てきている。どういうことですか、これは一体。つまり、その指導自体が不正経理の隠ぺいであるとしか考えられない。

 この点ももう一度、きちっと納得ができるような形で答弁を整理されて、次回、私はまた質問しますので、お答えいただきたいと思います。

 次に、私が先週質問させていただきまして、四月二十三日付で、平成十六年度の会計監査実施計画、これが作成されるという文書が出されておられます。

 この会計監査実施計画、何に重点を置いて監査されるのか、お答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 今御指摘の新たな会計監査実施計画についてでございますが、これは、警察庁におきまして、本年四月一日に施行されました会計の監査に関する、これは国家公安委員会の規則ですが、及び警察庁の行う会計の監査に関する訓令に基づきまして、このたび、十六年度の会計監査実施計画を作成いたしたわけでございます。

 それで、この中身でございますが、要するに、一連の不適正な事案を受けまして、従前より監査の体制を一段と強化するということでございます。

 五月から順次会計監査を実施していく予定でありますけれども、このたび強化される主な点というのは、一つは、これまでの警察庁と管区警察局による会計監査は、毎年度すべての都道府県警察に対して実施していたわけではない、これは体制上の理由でありますけれども、今年度からは、すべての都道府県警察に対して実施することにいたしました。

 それから二つ目は、会計監査の実施体制につきましては、従前でありますと、対象部署の規模に応じまして、三名体制から、多いところは八名という体制であったわけでありますが、今年度からはそれを上げまして、六名程度から十名程度に増強する、こういう強化をしております。

 さらに、これまでは、会計職員のみでこの監査、各県に対しまして実施しておりましたけれども、今年度からは、会計職員だけじゃなくて、捜査経験を有する職員を新たに加えることにしておりますし、三つ目のポイントといたしましては、従前も、警察署に出向いての監査とか、捜査費を執行しました直接の捜査員に対する聞き取り調査というのをやっていたんですが、その調査の機会をふやすことにいたしました。

 それから、最後、四つ目でございますが、会計監査の実施状況を、今度からは国家公安委員会に対しましてきちっと報告するということによりまして、警察の会計経理に対します国家公安委員会の管理機能の強化を図る。

 こういう主な四点の強化をいたして、これから都道府県警察に対して計画的に実施してまいりたい、そして国民の信頼を確保するように努めてまいりたいわけでありますが、先生今御指摘の、何に重点を置いて監査を行うのかという御指摘でございますけれども、これはもちろん重点を決めてやりますけれども、監査の重点項目につきましては、これを申し上げるということは、やはり都道府県で、抜き打ちといいますか、かなりそういう監査の実効性というものを確保しなきゃいけませんので、これにつきましては差し控えさせていただきたいということでありますが、いずれにしても重点項目を、その時々の最重点を重点項目にさせていただいております。

 以上です。

前田委員 これは、私の手元にいただきました長官官房会計課、実施計画の作成についてという文書の中で、「会計監査実施計画は、警察庁長官を会計監査責任者として計画するものと管区警察局長を会計監査責任者として計画するものを取りまとめたもので、」と書いてありますけれども、これは、要は、責任者が長官とそれから管区警察局の長ということですね。

 私は、この管区警察局の長ということで、ちょっとここに疑問があるなということがございます。何かと申しますと、実際に九州管区警察局では保存の書類を破棄していますね、保存期間内の文書を。そこの責任者の九州管区警察局長は、会計監査の責任者をやっても、また目こぼしがあったらどうするんですか。

 今回は、私は要求しますよ。これは、九州管区の警察局長は外していただきたい。直接、この九州管区については、警察庁長官にやっていただきたい。いかがですか。

安藤政府参考人 監査の実施の主体というのは二つ、御指摘のように、警察庁長官の定める計画の場合と管区警察局長の定める計画というのがあるその理由は、要するに警察庁だけで、体制で、全都道府県を監査、一年でできないということで、警察庁がやる部分の補足といいますか、補完的に、管区の方でも監査を鋭意やるということでございます。

 そういう理由でこの二つの組み立てがなっておるわけですが、今御指摘のように、九州管区におきましてまことに遺憾な会計文書の廃棄事案が起きたわけでございますが、これの事案の概要は、これは三月二十四日に警察庁の方から、平成十年度の会計文書を保存期間満了後も引き続き保管を継続されたいという連絡、指示をしたわけでございます。

 これは御案内のとおり、五年をたちますと会計文書は廃棄をするという規定がございます。それを、こういう、今のような事情がありますので、各県に対しましてそういう連絡をしましたのですが、非常に残念なことでございますけれども、会計課の担当官が、警察庁からこの指示を受けて、九州管区の各都道府県には鋭意迅速に連絡をしたんですが、肝心の、九州管区の中の一部でございますが、広域調整部というところには連絡をするのを怠ったといいますか、そういう連絡の不徹底というものがございまして、さらには担当の庶務係長が、大分から出向しているわけですが、四月一日に辞令を受けて大分の方で着任するということで、その前に、本来これは指示がなくても三月三十一日まで保存しなきゃいけないのを、そういういろいろな条件が重なりまして廃棄をしたということでございます。

 それで、これに対しまして、御案内のとおり、九州管区のいろいろな各級の幹部につきまして厳正な処分をしたわけでございますが、この事案をもって九州管区の警察局長がその監査実施計画の責任を負えないということは、我々としては考えておりません。この件につきましての責任ということは十分承知しておりますけれども、それを踏まえて、むしろそれを挽回する意味でも、さらに徹底した監査をしていただけるんじゃないかと思います。

前田委員 もうまさしくトカゲのしっぽ切りそのものじゃありませんか。やはりこれは、実際、現実の問題として、この保存文書が破棄されているわけでありますよ。証拠の隠滅にも等しいことですよ。この責任を、ここに私も資料がありますけれども、関係者十人の処分ということですけれども、九州管区警察局の局長がすべての責任をこの九州管区については負っているわけですよね。でしたら、どうしてこの九州管区の局長の処分がなされないんですか。そうしたいいかげんな処分をしているから、どんどん、愛知県でもあり神奈川県でも出てくるわけですよ。

 私は、この九州管区の警察局長の会計監査の責任者としてのこの監査実施計画というのは絶対納得できない。もう一度御答弁いただきたい。

安藤政府参考人 この九州管区の文書廃棄事案につきましては、先生御承知のような範囲の処分がされておるわけでありますが、管区の局長につきまして処分がされていないという事由でございますが、やはり公務員の処分というものは、具体的な事実といいますか、そういうものに基づいて処分をされるということでありまして、この事案におきましては、広域調整部に会計課の担当官が連絡をしなかったということでございますが、警察庁の先ほどの三月二十四日の指示について、管区警察局長には報告がされていなかったわけでございまして、上に、急いでいたこともあるかもしれませんが、報告がされていなかったということで、懲戒処分としては、局長については特段の措置は必要ない、こういう判断に至ったところでございます。

前田委員 実際に、私もそれは一回やったら、僕はもっと厳格に求めますよ。幹部だけを守って、部下の皆さんを切っていくというのは、これから九州管区の皆さんはやる気なくしますよ。一生懸命やっていても、結局、局長には何も及ばずに、どんどんトカゲのしっぽ切りで処分がされていく。こうした事態があるから、どんどんと、今どうですか、犯罪の検挙率も落ちてきていますでしょう。やる気がなくなるようなことを、一般の警察官の方にさせてはいけない。

 ですから、またこのことも、九州管区警察局長が会計監査の責任者になることだけは絶対に納得できません。これはまた党に持ち帰りまして要求させていただきます。

 さらに続けますけれども、これは、先ほどからもう明らかになっています。警視庁の偽造領収書も、警察本庁から行って、監査室の職員の方が行かれて指導をしても、そこでも明らかにできなかった。実際にある事件が、不正経理がつかめなかった。内部的なこうした監査がいかに力のないものか、また警察庁自体に内部監査の能力がないものかというのが、きょうの質疑で明らかになったと思います。

 もう外部機関の監査を入れるべきじゃありませんか。いかがですか、総括審議官。

安藤政府参考人 警察の会計監査におきましては、御案内のとおり、捜査協力者を初めとしまして、捜査に密接な関連を有する情報に接することでありますので、外部機関の第三者による監査を導入することには問題があるというふうに我々は考えておるわけでございます。

 また、会計監査は、警察が執行するすべての経費が対象になる、警察活動すべてにわたるわけでありますが、これをやはり実効ある監査をするには、警察の組織とか捜査等の実務に精通している者が当たるのが適切である、また、そういうことでないと実効ある監査ができないものと考えております。

前田委員 これは、警察の会計に精通している方、外部にも見えますよ、会計検査院の方が精通していますよ。会計検査院の方をここへ入れたらどうですか、この監査に実際に。

 そして、まず、とりあえず今不祥事が起きているところ、道警、福岡県警、そしてこの証拠隠滅の可能性が高い九州管区警察局、そして神奈川県警、愛知県警、ここに会計検査院の方と同じように行かれて、実際に会計検査院の監査をもう一度受け直したらどうですか、総括審議官。

安藤政府参考人 会計検査院という制度がございまして、会計検査という第三者機関が鋭意、毎年、都道府県警察を監査しておるわけでございますので、その適切な御指導を受けつつ、適正な予算執行に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

前田委員 今、ちょっと言われましたね。私は聞きましたよ。皆さんも聞かれたと思います。適切な指導を受けということを言われましたね。

 実際に受けてくださいよ。受けて、今私が挙げたところの警察、県警本部、九州管区警察局、会計検査院の検査をもう一度受け直してください。どうですか、審議官。

安藤政府参考人 私が申し上げた適切な指導というのは、その現場で毎回検査を受けるということが、そういうことを表しまして、適切な指導ということでありますし、これは、会計検査院の方でどうされるかは、それは会計検査院の御判断だと思います。

前田委員 ということは、会計検査院の判断で、じゃ、今度ここへ入ると言われたらオーケーなんですね。

 実際、これから、私どもまたこれは党に持ち帰らせていただいて、党の方から会計検査院に正式に要請させていただきたいと思っております。

 さらに、特に私はゆゆしきことだと思っておりますのは、三月二十四日、警察庁が各県警本部に指示して、九八年度分の会計文書を将来の調査に備えて保存するようにと言われているはずでございますね。どうですか。

安藤政府参考人 三月二十四日に、各都道府県に対してその旨の指示をしました。

前田委員 実際に指示をされていて、神奈川県警、どうですか。大量破棄ですよ。指示にも何も従っていない。もういっそのこと、全都道府県の監査終了後まで、すべてのこうした会計文書の破棄を禁止する通達を出されてはどうですか、審議官。

安藤政府参考人 けさ、報道にありました神奈川県の警察の事案につきましては現在調査中でございますが、今御指摘のように、これはまだわかりませんけれども、三月二十四日以降に、指示を受けて紛失したのか、いわゆる一般の行政文書と、この事態が、紛失する、廃棄したりどこかへやっちゃったというなら問題ありますけれども、そういう三月二十四日の以前に各所属で誤って廃棄してしまったというのが結構多いんじゃないかと思います。

 いずれにしても、早急に調査をして、事案を、特に廃棄の時期とか原因、どうしていたということを解明、調査をして結果を出してまいりたいと思います。

前田委員 私の質問は、すべての都道府県警への監査が終わるまで文書の破棄を禁止する通達を出したらどうかということでございます。どうですか。

安藤政府参考人 そういう趣旨といいますか、三月二十四日に出しました。これは電話連絡でございますけれども、平成十年度につきましては、規定によりまして、御案内のとおり、廃棄することになっているのを当分の間そういうことを延期する、こういうことで指示は徹底しておると思います。

前田委員 徹底していないから神奈川県警みたいに出たわけでしょう。

 ですから、重ねて、監査が終わるまで全都道府県警、文書を破棄するなと再度言うべきじゃありませんか。それが国民に対して、納税者に対しての当たり前の態度じゃありませんか。どうですか。

安藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、神奈川県の事案につきまして、三月二十四日の指示が徹底しないでそうした廃棄した事案というのもあろうかと思いますけれども、古い事案といいますか、そういうものを今調査しております。いずれにしても、三月二十四日の指示はさらに徹底をしてまいりたいと思います。

前田委員 今、私はしっかり聞きましたよ。いいですか。さらに徹底するよう指示したいということですので、きちんと再度、各都道府県警に対して文書の破棄をしないようにという指示を再度してください。確認します。いいですか。

 それから、ちなみに、保存文書の管理、この管理規程について御説明いただきたい。そして、この管理規程に反した場合、どういう罰則が下されるのか、御説明いただきたいと思います。

安藤政府参考人 警察庁の文書管理規程ということでありますが、正確には、警察庁における文書の管理に関する訓令というものがございます。これは、平成十三年三月に、いわゆる情報公開法の制定に伴ってこの定めを抜本的に見直したわけでございます。

 その文書の中身でございますが、文書の種類ごとの保存期間というのが定められておりまして、第一種から第六種に区分しておりまして、それぞれ、三十年、十年、五年、三年、一年、一年未満の保存期間を設けておるわけでございます。

前田委員 それに反した場合の罰則規定はどうですか。

安藤政府参考人 これは訓令でございます。罰則がございませんが、これに反して職員が違反する行為をすれば、それは懲戒処分の対象になるということだと思います。

前田委員 懲戒処分の対象になるということですね。これもしっかりと伺いました。

 では、愛知県警、これは非常にさまざまな文書を破棄しているわけでありますよ。これに対してまだ処分がなされていません。いいかげんな、九州管区のような処分がなされているから、こうやって、愛知県もそして神奈川県も、どんどん破棄する事実が出てくるわけじゃありませんか。

 これは、愛知県の文書破棄について御説明いただきたい。また、どのように警察庁からは処分を、先ほど懲戒処分という言われ方をしましたけれども、どのような処分を指導するのか、お答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 先ほどの点、一点訂正、ちょっと正確に申し上げますと、懲戒処分に当たるような行為であれば懲戒処分ですが、監督上の措置というようなこともございます。それはレベルによるということであります。

 先生御指摘の愛知県警察の事案でございますが、これは、三月十二日に愛知県警察本部の総務部と警務部に係ります会計文書が情報公開請求を受けたということで、直ちに該当所属で点検しましたところ、一部の所属で、保存すべき文書を誤って廃棄していたことが判明いたしたのが一つの事案である。

 それから、加えまして、先ほどから出ております三月二十四日に、警察庁からその保管を継続されたいと、平成十年度会計文書ですね、これの連絡を受けたことから、またこの愛知県警では、全所属に対しまして文書の保管状況の確認を求めたところ、この警察庁の連絡以前に、保存すべき文書を誤って既に廃棄してしまっていた所属があることが判明いたしたわけで、まことにこれは遺憾なことでございます。

 廃棄及び亡失しました書類は、合計二十二の所属で、旅費、捜査関係等合わせまして六十二文書であると報告を受けております。

 こういうことで、愛知県警においてこういうような事案が起きたということはまことに遺憾でございますが、今後、愛知県警察におきまして、適切な再発防止策を講じるなど、会計文書の適正保管、管理に努めるものと承知しております。

 加えまして、先ほど御指摘の処分につきましてでございますが、今現在、廃棄した具体的な日時といいますか、時期と、それから、どういう背景といいますか、理由があるのかということを鋭意調査しておりますので、この調査が出次第、その結果を踏まえまして厳正に対処するものと承知しております。

前田委員 今せっかく総括審議官にお答えいただいたわけですけれども、新聞記事の方が詳しく載っていますよ。ということは、やはり総括審議官、又聞きだからはっきりとつかめられていないわけで、やはり愛知県警の県警本部長に来ていただいて、どうして、どういう状況でという説明をきっちりいただかないといけない。

 あと、実際、処罰については具体的に調べてからだと言われますけれども、大体どんな方針の処罰を考えられていますか。もう一度お願いします。

安藤政府参考人 前段の御質問につきましては、愛知県警から、今調査中で、調査の範囲内で報告を受けているということでございますので、警察庁としましては、先ほど言ったような御答弁になるかと思いますが、いずれにしても、調査をした上できちっと厳正に処分する。

 その処分の中身でございますが、これは、御案内のとおり、事実を確定しませんと、どういう処分、どういう責任を問えるかということでございます。それを踏まえて厳正に対処してまいりたいというふうに思っています。

前田委員 とにかく、厳正に対処という言葉をいただきましたので、実際に処分が出てから、総括審議官のお答えとどう違うのかということを見せていただいて、また御質問させていただきます。

 やはりこうした甘い、九州管区警察局に見られるような、処分が甘い、だからどんどんと再発してしまう。厳格な処分を望みたい。これは、納税者の皆さんに対して、やはりきちんと説明する、あるいはきちんと対処する意味からも、厳正にやっていただきたいと思います。実際、今捜査中だから上がってきたことだけしか答えられないということでしたけれども、新聞の方が詳しいような答弁はされぬようにしてください。

 次回、私は、非常にゆゆしきこの会計文書の証拠隠滅、誤ったと称して続いている重大な警察の不正経理に関する問題ですので、委員会に、一般参考人として、九州管区の警察局長、愛知県警本部長、神奈川県警本部長を要求しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石井委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 国会の中で、決算行政監視委員会、初めて質問させていただくことになりましたけれども、この間の決算報告をずっとお伺いしてまいりまして、まさに天文学的な数字の羅列に、私がこれまでよってきた日常感覚はまさに非常に大きく揺れ動いております。

 国と地方を合わせて長期債務残高が七百兆円を超えるということになりますと、一体この国はどうなるのかなと改めて感じるわけでございますけれども、きょうは外務副大臣等にもお越しをいただきまして、ODAに関して総論的なところで少し議論させていただきたい、こういうふうに考えております。

 「会計検査のあらまし」、こちらの方を拝見いたしました。会計検査院の方で、毎年度ODAの援助対象国について、大体七カ国から十三カ国ということだそうでございますけれども、年によって七十件から百十五件程度のプロジェクトを対象に会計検査を行っているということだそうでございますけれども、このうち、毎年度、毎年度、効果が十分に発現していないというようなケースが四、五件ほどあるということでございます。

 そこで、まず最初に会計検査院の方にお伺いをしたいのですけれども、平成十四年度検査の概要はいかようでしたでしょうか。どのように行って、そしてどういう結果が出ているのか。そしてまた、過去の決算検査報告において掲記した事業について、再度現地での調査を行ったということでございますけれども、状況の改善は見られたのかどうか、そこから伺いたいと思います。

森下会計検査院長 御説明申し上げます。

 ODA事業は、我が国の多額の予算を投じて実施されているものでございまして、ODAの効率的、効果的な実施を図ることが大変重要でございます。また、ODAの問題について国民の関心も非常に高いということがございます。それらのことから、会計検査院では、重点的に検査の対象として取り上げているところでございます。

 ODAの検査に当たりましては、外務省、国際協力銀行、独立行政法人国際協力機構などの検査を実施いたしますとともに、被援助国に職員を派遣いたしまして、ODA事業の現地調査を実施しております。その結果として、毎年度、決算検査報告に、援助の効果が十分発現していないといった事態を掲記しているところであります。

 十四年度決算検査報告において特定検査対象に関する検査状況として取り上げました政府開発援助についての概要を御説明申し上げます。

 十二カ国、百十四の事業に対する現地調査を含む検査を実施いたしました。その結果、無償資金協力において供与された機材が適切かつ効果的に維持及び使用されていなかったり、プロジェクト方式技術協力において継続して行われるべき研究活動が行われていなかったり、草の根無償資金協力において、購入された機材が目的に沿って有効に使用されていなかったり、事業が未実施であったりなどして援助の効果が十分発現していないと認められるものがございました。また、債務救済無償資金協力において供与された資金等の一部が相当期間使用されないままになっているという事態も見受けられたところでございます。

 これらにつきましては、我が国の援助実施機関においては、需要予測を十分に行うこと、機材、資金の使用状況、事業実施の確認等について一層留意するということとともに、相手国に対し適時適切な助言を行う必要があるということを所見として述べております。

 さらに、過去の決算検査報告において、援助の効果が発現していない事態として掲記した事業につきましても、昨年、再度現地調査を実施いたしました。その結果、状況が改善して当初の計画を達成したものがあったり、それから、当初の計画は達成しておりませんが状況が改善しているといったものが見受けられた一方で、状況が改善していないと認められるものも見受けられたところでございます。

 これにつきましては、援助事業終了後も中長期的な援助効果の発現状況を確認したり、長期間その状況が改善されなかった事業については重点的にその原因を究明したりして、そういったフォローをする必要があることを所見として述べているところでございます。

西村(智)委員 特記すべき事項としてまた指摘をされたということでもあり、過去に掲記をされた案件についても、改善されたものも見られる一方で、依然として状況は変わっていない、状況の改善が見られないということでありました。

 外務省の方、副大臣にお答えをいただければよろしいかと思いますけれども、会計検査院からの今のような指摘でございますが、こういった事実、状況の改善が見られなかったり、あるいは案件で十分に効果が発現していなかったという状況が存在しているということを、会計検査院の現地検査の前に把握していらっしゃいましたか。

逢沢副大臣 ただいま会計検査院の方から、十四年度の決算について、経済協力案件についての概要といいますか、そういうことで報告がございました。

 相手国の事情などによるところもございますけれども、必ずしも援助の効果が十分発現していない案件について指摘を受けたということは、いずれにいたしましても、経協、ODAを所管する外務省として大変残念なことであるというふうに受けとめております。当然のことでありますけれども、そういった会計検査院からの指摘、意見をしっかり真摯に受けとめる、そして状況を改善する、そのことに全力で当たっているところでございます。

 多くの案件について御指摘をいただいておりますので、後ほど局長の方から、場合によっては個別具体的な、正確なことがお答えできるかと思うわけでございますが、会計検査院から指摘を受けるまでもなく、実施をいたしましたODAの案件が、必ずしも、外務省、日本政府が期待をしたとおりの効果を上げていない、そのことに気づく場合もございますし、ほとんどがそういうことであろうかと承知をいたしておりますが、場合、状況によりましては、会計検査院の指摘を待って改善に着手するということも若干含まれようかと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、国民の貴重な税金を原資にしてのこの経済協力の案件でございます。相手国と適切にやりとりをしながら、必要に応じた適切なフォローアップをきっちりやっていって、ODAに対する国民の信頼度をより高めることに引き続き努力してまいりたいと存じます。

西村(智)委員 検査院の検査の前に把握ができていなかったかどうかというのは、やはり私は大事な問題であろうというふうに思っております。

 今、副大臣は、場合によってはそういうこともあるかもしれないし、そういうこともまたあってはならないとおっしゃったというふうに理解をしておりますけれども、これを一つ一つやっていきますと時間が幾らあっても足りませんので、先に進むことにいたしますけれども、それでは、会計検査報告についてどういう対応をとっていらっしゃるか、とりわけ無償資金協力の部分についてお答えをいただければありがたいと思っております。

逢沢副大臣 検査により幾つかのことが指摘をされる、それを受けての活動、またチェック、あるいは、先ほど申し上げましたように、外務省独自のフォローアップにより、これが必ずしも十二分に、当初期待していたほどの成果といいますか、効果が上がっていない幾つかのケースが出現をいたしているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、援助を供与した相手国に、一義的にはその援助事業を正確に実施する義務といいますか、責務といいますか、そういったものがあるわけでございます。

 途上国固有のさまざまな、必ずしも行政機関が約束どおり十分機能を発揮しない、あるいはまた、首都におきましてはまだしも、地方に行けばさらにそういった体制が不十分である等々、さまざまな背景、理由があるようでございますけれども、そういった状況をしっかり把握しながら適切な対応をとらせていただいておりますし、また、適切な対応がとれるような体制づくりということについても努力を重ねさせていただいているところでございます。

古田政府参考人 若干、ただいまの副大臣の御答弁に、具体的な案件に即して補足をさせていただきたいと存じます。

 無償資金協力ということでお尋ねでございましたが、今回の会計検査院の決算報告の中で、一つ、無償プロジェクトとして、インドのオスマニア総合病院の事業が指摘されておるわけでございますが、これにつきましては、既に、今回の指摘を待つまでもなく、具体的にこの案件が十分動いていない、機材がきちんと稼働していないということを把握いたしまして、今、副大臣からお話ございましたように、相手国の自助努力を促しながら、なおかつ、私どもの方で機材の修理でありますとか維持管理について側面援助できることはやっていこうということで、フォローアップ調査あるいはフォローアップ事業ということで、スペアパーツの供給、あるいは補修、管理の指導ということで、不可欠なものについては手を施しておるということで、先方からは感謝をされるとともに、改めて、維持管理、運営についての意識の高揚ということで話をしておるところでございます。

 それから、先ほど御指摘ありました、かつて検査院から指摘のあった事項について、これについて手を施しておらなかったのではないか、こういう御指摘がございましたが、今回、検査院の方から、過去、二十一件選んで、その後の進捗状況の御報告があったわけでございますが、この中身を見ますと、私どもとしては、御指摘をいただいた件の中で、フォローアップを通じて何らかの改善を望めるものについては、先方と協議をしながらその努力を促しているところでございますし、また、先ほどのインドの例のように、フォローアップ事業という格好でさらなる支援をしていくということもやっておるわけでございますが、二十一件中、状況が改善し当初の目的を達成したものが二件ございました。それから、当初の目的は完全には達成しておりませんが、状況が改善しつつあるということで御指摘いただいたものが十一件ございました。

 残り八件が状況が必ずしも改善していないということでございますが、そのうちの二件につきましては、私ども、その後の先方とのやりとりの中で、遅延していたものが再び動き出す、あるいは相当進んでいきつつあるということで、二件についてはかなりの改善を今や期待できるようになったということでございます。

 最後に残る二十一件中六件が、過大な需要予測でありますとか、あるいは採算に合わないということで、完全に工場を閉鎖してしまったとか、あるいは火災で当該物件が焼失してしまったとかいったようなことで、改善が見込まれないものがある、こういう実情でございます。

 私どもとしては、この六件については大変遺憾に思っておりまして、今後の無償資金協力あるいは草の根無償資金供与について、こういった過去の実績の反省に立って十分注意深くやっていきたいというふうに思っておるところでございます。

西村(智)委員 答弁が非常に御丁寧で、長くいただけるものですから、時間がもう残り半分になってしまいました。

 一義的には相手国がきちんと使っていただくことだというふうに御答弁をいただきましたけれども、これはやはり日本の国からの政府開発援助として日本の税その他のお金として出ていくわけでございますから、きちんとそれは効果が出るように使われなければいけない、そういう種類のお金だというふうに思っています。

 やってみたら失敗した、最初の契約内容、FSが不十分だったからこういうことになった、そういうことでは済まないわけでございまして、ぜひとも、今ほど指摘されたような、みずからおっしゃっていただいたようなケースが二度と生じないようなモニタリングや、あるいはそれぞれの段階での調査を行っていただきたいと思うものです。

 会計検査院の現地検査だけではございませんで、実は、このODAについては、平成十四年度からの総務省の行政評価局の方でも政策評価を行っている。これは、一般的には、必要性と有効性と効率性、この観点からそれぞれの政策評価を行うということなんですけれども、特にODAに関しては、効果の持続性というところが特有であるという観点からも調査が行われて、ことしの四月、今月でしたけれども、評価の結果及び意見というものが通知されておりますね。

 ここで、大まかに言って意見が二つ述べられていたというふうに思いますけれども、これにどう取り組んでいかれますか。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、総務省による総合性適格評価としての経済協力に関する政策評価書が出されているわけでございます。

 その評価書におきましては、各援助形態間あるいは各府省間との連携、またNGOの役割、大変重要なものでございます、NGO等の民間援助団体との連携、あるいは現地機関及び実施機関の機能、役割の強化等に積極的に取り組むことが重要というふうに指摘がされているわけでございます。

 この評価、意見についても、当然のことでございますけれども、外務省としてもしっかり受けとめさせていただき、それぞれの指摘を踏まえ、より一層ODAの有効な実施に努めているところでございます。必要ならば、局長の方から、具体的に、その評価、意見を受けてどのような行動あるいはまた対応がなされたかということについては答弁をいたさせたいというふうに存じます。

西村(智)委員 日本のODA、平成十四年度の段階で、無償資金協力が二千二百二十八億、円借款が六千八百七十八億、技術協力が五百十五億、これは合計しますと一兆円近くに上る数字だというふうに思います。一九九五年のODAのピーク時から比べると、恐らく三分の二程度に減っているんだろうというふうには思いますけれども、依然として大きい額であることには間違いがない。

 日本にとって大きなお金であるのと同時に、被援助国にとっても、これはやはり大きなことだろうと思うんです。案件によっては、これで母子保健医療などが改善されて命が救われるというようなケースもあったと思いますし、また、案件によりましては、ダムサイトの建築などで村ごとに移転する必要が生じたようなこともあったと思うんですね。

 こういうふうに、このODAについては、影響はこれはもう本当に多様で大きいということでございますので、ぜひとも、国際社会の中で日本のODAがどのような評価を得ているのか、それから、国際社会のそれぞれの地域での生活環境がどう変わるのかということには関心を払い続けていただきたいと思っております。

 ところで、日本のODA予算がこうやって減らされている中で、国際社会の方からは、減らしてくれるな、そういう要求の声も出ているやに聞いております。OECDの開発援助委員会の方からもそういう声が上がっているというふうに聞いておりますけれども、谷垣財務大臣、先週ですか、世銀とIMFの合同開発委員会に出席されてこられたというふうに伺っております。そこで演説をされて、これからは、これらの開発援助というようなものは量よりも質重視だというような趣旨の御発言をされたと。報道資料でございますので、それ以上のことはこれからお伺いをしたいと思うのですけれども、そのようにおっしゃった御趣旨を、真意といいますか、意味をお聞かせいただきたいと思います。

 そして、さらに、同じ報道の中で、乳幼児の死亡率低減のためには、診療所の数だけではなくて、診療所へのアクセス道路の改善が大切かもしれないというふうに述べたということでございますけれども、それは本当でしょうか。

谷垣国務大臣 私も海外へ参りますと、今委員が御指摘になりましたように、特に発展途上国から、DAC主要国のODA実績というような議論がいろいろありまして、もっとふやしてほしい、こういうようなお声もよく聞いておりますが、先日、四月の二十五日、世銀、IMFの合同開発委員会で、今新聞報道を引かれたようなこと、私、申しました。ミレニアム開発目標というのがございますけれども、これは国際社会が一体となって取り組むべき課題だけれども、これを達成していくためには、資金量をふやすことよりも、援助の現場でベストプラクティスを積み上げていくことが大事だということ、それで援助の質を高めていくことが大事だと申しました。

 真意は何かとお尋ねになりましたけれども、真意はもうまさにそういうことでございまして、そのとき申し上げたことは三つで、一つは、それぞれの途上国でそれぞれの実情に合ったまずきちっとした戦略文書、PRSPみたいなものをつくるべきである。それから第二に、援助が効果を上げるためには、みずからの制度、政策環境の中で何が問題かということをやはりよく検討してもらって、それを解消していくような取り組みが必要じゃないか。それから三番目に、援助の協調、ドナーもたくさんおりますけれども、そういう援助の協調も必要じゃないかということを申し上げまして、そして、開発効果を高めるかぎは成果を重視した運営にあって、これは非常に多くのセクターが一つの目標を達成するのでも絡むわけですので、その例として、識字率の向上ということをとれば、例えば農村の電化率の向上というものも必要かもしれないし、あるいは、乳幼児死亡率を減少させていくためには、診療所をつくるだけではなくて、それに対するアクセスもどう考えていくかというような多面的な取り組みが必要ではないかということを申し上げました。

西村(智)委員 乳幼児の死亡率の低減のためには、あるいは識字率の上昇のためにはということで、多面的な課題の中の一として言われたということでしょうか。アクセス道路の改善が必要かもしれない、あるいは電化施設の整備が必要かもしれないということですね。

 でも、私、これを拝見したときに、原因ですとか背景が特定できないまま、結局、その地域で乳幼児の死亡率がなぜ高いかということについては、これは調査をしてみないとわからないわけでございますから、あるいは、例えば識字率が低いという地域があったときに、なぜそこで低いかというのは調査をしてみなければわからないわけですから、わからないときにこうおっしゃる大臣は非常に勇気がおありだなというふうに思ったわけでございます。私はとてもそんなことは申し上げられないというふうに思うんですね。

 それで、大臣に、引き続きまして、先ほどの合同開発委員会で演説をされてきたその大臣に、今後のODA予算のあり方について、ほんの短くで結構でございますけれども、お考えを、方針を明らかにしていただきたい。

谷垣国務大臣 今、西村委員から、勇気あると、多分お褒めいただいたんじゃないだろうと思いますが、言っていただきました。

 私は、やはり多面的に考えなければいけないということを申し上げたかったわけでありまして、先ほど申しましたように、戦略文書みたいなものをきちっとつくって、どこに阻害要因があるかというのは各国によって個別でございますから、そういったことをやはり理解した運営が必要じゃないかということを申し上げたかったつもりでございますが、ちょっと委員には十分受けとめていただけなかったのかもしれません。

 今後のODA予算につきましては、御承知のように、新しいODA大綱というものができましたので、それを踏まえて、きちっとやはり有効に使っていただけるようなものを予算としてつくっていかなければいけない、こう考えております。

西村(智)委員 はっきり私申し上げたいのは、識字率と電化施設の整備率というのはそれほど関係がないのではないかというふうに思います。また、乳幼児の死亡率低減のためには、道路よりももっと優先的に取り組むべき課題があるのではないか、あるかもしれないというふうに申し上げておきたいと思います。

谷垣国務大臣 それはおっしゃるとおりだと思います。

 私は、これは財務大臣としての経験から申し上げるわけではございませんで、私も、国会議員になりましていろいろな活動を見てまいりましたけれども、例えば、今申しました乳幼児死亡率の低減のためには、ユニセフは、経口補水薬をどうするかとか、あるいはいろいろな予防接種の普及に取り組んでまいりまして、随分成果を上げたと思います。ポリオ撲滅みたいなものも大きな成果がございまして、私も、この今挙げたこと一つだけで足ると言っているわけではございません。

 かつて、モザンビークで私も診療所を見に行きまして、すぐそばだから歩いて行ってくれと言われまして、二時間、四十度の炎天下の中を歩いて、丸木橋を渡ったりしたこともございますが、そういう中で、やはりこういう診療所に対するアクセスのようなものがいざというとき必要だなと思いましたことをこういう形で申し上げたわけでございまして、幅広く見ていけというお気持ちは、私もそのとおりだと思います。

西村(智)委員 ODAの予算が減ってまいっております。ただ、さまざまな、ODA大綱などを見させていただきますと、日本の外交政策の一として、ODAは非常に重要である、その位置づけは新ODA大綱の中でも変わっていないというふうに思うんですね。ただ、額がこれは減ってきている中でございますから、まさに大臣が先ほどおっしゃった量より質ということで申しますと、非常に有効に使わなければいけない、こういうふうに考えております。

 ただ、有効に使うというときに、今現在の体制で果たしてどうなのかということでございます。これは、スタートしたときから指摘をされてきておりますけれども、もうとにかくODAに係る省庁、府省が、今は十三でしょうか、非常にそこから生まれてくる非効率があるのではないかというような指摘が各所でなされているわけでございますけれども、その分散から生まれる非効率、これをどういうふうに解消していくのか。

 ODA大綱の中では、外務省が中心となって連携を強化するというふうに書かれております。連携というのは、今いろいろなところで言われておりますけれども、言葉で言うほど簡単には達成できないものだというふうに思うんですね。どうやってこれを解消していくつもりなのか、お伺いします。

逢沢副大臣 非常に厳しい財政事情の中で、ODA予算を効果的に、効率的に使っていかなくてはならない、当然のことというふうに思います。

 そこで、先ほど委員御指摘の、総務省による総合性適格評価の中に、重要なこととして、いわゆる各府省庁間がよく連携をとるようにということが指摘をされているわけでございます。

 総務省から指摘を受けるまでもないことでございますけれども、省庁間の連携、調整としては、ODA大綱の改定、国別援助計画といったODAの重要な課題については、局長、課長レベルの府省庁間会議で意見交換、調整を十二分に行う、そこで練る、そして、最終的には、総理大臣のもとで開催される対外経済協力関係閣僚会議で審議、決定をする、そういうものをきちんと位置づけているわけであります。その他、資金協力会議あるいは技協についての連絡会議、ODA評価連絡会議等を開催し、まさに政府間の横の連絡調整、それをしっかりとらせていただいております。

 こういう努力を通じて、外交の重要なツールの一つであるODAを機動的に、的確に運用してまいりたい、そのように承知をいたしております。

西村(智)委員 しっかりやっていただきたいと御期待を申し上げて、時間になりましたので、まだ予定していたこともたくさんございましたが、次回に回したいと思います。

 ありがとうございました。

石井委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 本日、初めて決算行政監視委員会で質問をいたします、公明党の古屋範子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、奨学金制度についての質問を行ってまいります。

 総括質疑ということでありますので、その前に、まず初めに、平成十四年度決算検査報告についてお伺いをいたします。

 平成十四年度決算検査では、三百三十七件の報告事項が報告され、約四百億円という税金のむだ遣いが指摘をされております。これは、前年に比べまして、件数、金額ともに大幅に増加しており、予算執行の適正化が求められているところでございます。

 厳しい財政事情などを背景として、財政の現状や課題に対する関心が著しく高まっており、行政改革が強く求められている今日、この検査結果を十分に踏まえ、今後の予算編成に反映するため、徹底した事業の見直しを図るべきであるというふうに考えます。この平成十四年度決算検査報告について、谷垣財務大臣の御所見をお伺いいたします。

谷垣国務大臣 今委員が御指摘になりました平成十四年度決算検査報告、これは、不当事項が前年度に比べて件数、金額ともに増加しているわけであります。これは、一面では、会計検査院が非常に努力されて検査をされたということもあるのだろうと思っておりますが、この金額、件数、ふえていることはまことに遺憾なことだと思っておりまして、この検査報告を踏まえて、予算編成等に関連する事柄につきましては、関係各省庁とよく協力をしながら、これは予算編成にできる限り反映していくべきものだ、こう考えております。

 また、あわせて、厳正な予算の執行というのを各省庁に、これはお願いというよりか、財務当局としてはむしろ、指導すると言うとちょっと言葉が強いかもしれませんが、指導するぐらいのつもりでやっていかなければならないと思っておりまして、予算の効率化あるいは合理化、適正かつ効率的な予算執行ということに向けて、さらに意を用いてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 さらにむだゼロに向かいまして御努力をお願いしたい、このように思います。

 次に、奨学金制度について質問をしてまいります。

 今日、主に、長引く不況の中、またリストラや給与カットを初めとして実質的な収入減が親たちを直撃し、教育費負担の圧迫は、今や多くの家庭が抱える共通の話題、課題となっております。そうした中、子供たちが安心して勉強に専念できるための奨学金制度は、何より心強く、大変に貴重な制度であります。

 平成十三年、日本の合計特殊出生率は一・三三と過去最低を記録しておりますが、少子化の要因の一つとして未婚率の上昇などさまざまな指摘がございます。

 総理府の一九九七年九月の男女共同参画社会に関する調査では、出生率減少の理由といたしまして、子供の教育にお金がかかる、これが五八・二%、第一位となっており、また九九年二月の調査、少子化に関する世論調査でも、子育てのつらさについて最も多かった回答が、子供の将来の教育にお金がかかる、これが四四・四%と、世論調査の結果を見る限り、教育費の負担が家計に重くのしかかっていることが言えます。

 さらに、文部科学省の子どもの学習費調査、二〇〇〇年度調査によりますと、幼稚園から高校まで、四歳から十八歳までの十四年間すべて公立で学んだ場合、その学習費総額は五百六万円、大学進学の場合、さらに初年度納入額、入学金と年間授業料を合わせまして、国立大学で約七十七万円、また私立大学で平均約百二十八万円が必要となります。

 こうした実情を考えますと、少子化の大きな要因の一つとなっている家計の教育費負担を軽減する政策はまさに国の重要課題であり、そして、柱としての奨学金制度は大変に重要な役割を果たしていると考えます。

 そこで、初めに奨学金事業の意義について文部科学副大臣にお伺いいたします。

原田副大臣 ただいま先生が御指摘いただきましたように、教育の大事さ、それはもう否定する者はいないわけでありますが、あわせまして、教育また教育費の重圧というのもこれは本当に大きなものになってまいりました。いろいろな困難を乗り切りながら今日まで日本が発展してきたのも、私は日本の教育がしっかり果たしてきたのではないかな、そういうふうに思うわけでございますし、また、その中で、御指摘のような奨学金事業が担ってきた役割というのも、これはもう非常に大きいものがある、こういうふうに思っております。

 奨学金制度は、人材の育成と教育の機会均等、この大きな課題を実現すべく施行されておるところであります。人材の育成は、何といっても持てる力を、経済的な理由のためにそれが育たないというのは非常に問題でありまして、しっかり人材の育成を進めなきゃいけませんし、あわせて教育の機会均等、これはもうだれにもひとしく教育が行き渡らなきゃならないわけでありますから、そういう観点からも、この奨学金事業が進められてきているところでございます。

 あわせて、これが結果的に家計に占める教育費の負担を軽減するということもあろうかと思います。実はこの奨学金制度、本格的には、我が国の場合に、昭和十八年からこの奨学制度が創設されたところでありまして、平成十五年度末まで六十年間に貸与した学生生徒数は七百十万人に及ぶ。その事業規模、累計で六兆一千二百億。これだけの人材を私どもはこの奨学制度によって支え、そして世の中に送り出してきたということに誇りを持たなきゃいけませんし、しかし、あわせてこれからがまたもっと大事なことである、このように考えているところでございます。ゆえに、今後ともこの奨学制度をさらに充実させていかなければならない、こういうふうに思っておるところであります。

 平成十一年度に、いろいろそのときの社会経済事情を踏まえて、従来は日本育英会が中心でありましたけれども、奨学制度、質量ともに大きく発展したところであります。十六年度、今年度におきましても、貸与人員九十六万五千人、事業総計六千八百二十億、こういう事業規模で、いかなるニーズにもきちっと対応できるように今取り組んでおるところであります。

古屋(範)委員 大変歴史があり、また多くの人材を輩出してきたこの日本の奨学金制度という御答弁であったかと思います。

 次に、育英奨学金事業の推移についてお伺いをいたします。

 学びたいという意欲のある人はだれでも学ぶことができるというのが文化国家の最低の条件であると思います。私も奨学金制度はそれを達成するために必要不可欠な柱であると考えております。憲法第二十六条には、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定をしております。

 私ども公明党は、勉強意欲のある学生に平等に経済的支援をするべきとの観点から、一貫してこの奨学金制度の拡充に全力で取り組んでまいりました。その結果、十六年度予算においては、無利子、有利子合わせ、貸与人数が九十六万五千人に上り、百万人の大台が目の前というところでございます。我が党は、野党時代の一九九九年四月から、日本育英会の第二種奨学金制度、これは有利子でございますが、きぼう21プラン奨学金として、希望者のほぼ全員が利用できる抜本拡充した結果、貸与人数が約十万人から二十五万人と大きく拡充をされております。

 そこで、この五年間の奨学金の推移について、無利子、有利子、各金額と人数を御提示いただきたいと思います。

遠藤政府参考人 平成十一年度からの数字を申したいと思います。有利子で申しますと、貸与人員が二十四万四千人、貸与金額で一千六百六十億円でございます。無利子の方が四十万一千人、二千百二十一億円となっております。平成十二年度で申し上げますと、有利子が二十七万六千人、一千九百五十三億円、無利子の方が四十一万五千人、二千百九十八億円。平成十三年度でございますけれども、有利子の貸与人員が三十三万一千人、二千四百四十六億円、無利子が四十二万二千人、金額が二千二百八十六億円。平成十四年度で申しますと、有利子の人員が三十九万二千人、金額で二千九百五十二億円、無利子で申しますと、四十万五千人、二千二百十四億円。平成十五年度でございますが、有利子が四十四万人、三千四百五億円、無利子が四十二万七千人、二千三百八十五億円。そして平成十六年度の予算が、有利子で五十二万七千人、四千三百十六億円、無利子で四十三万八千人、二千五百四億円、こういう数字になっております。

古屋(範)委員 年々拡充をされているということであろうかと思います。

 この奨学金でございますけれども、今、返還金の滞納者の増加の問題が最近深刻化をしております。現在、そのほかに緊急採用奨学金、また入学資金用の奨学金、法科大学院生の、海外留学希望者を対象とした奨学金制度も我が党の主張を反映していただいたものであるというふうに認識をしております。

 次に、この奨学金の返還金の滞納についてお伺いをいたします。

 会計検査院の検査によりますと、育英会におけるこの返還金の滞納が年々ふえており、十三年度末の延滞債権額は千五百六十二億に達しており、予測される全体の回収不能額は四百四十四億円になると見込まれております。奨学金は、返還された奨学金を後進育成のための資金として循環運用する制度であると理解をしておりますが、これ以上回収不能額がふえることになりますと、奨学金制度の根幹を揺るがしかねない重要な問題であるというふうに認識をいたしております。

 実は、私の夫も、大学に入る前に父親を亡くし、この育英会の奨学金を受け大学を卒業いたしました。結婚しましてからもこの返還をしばらくの間していたという記憶がございます。この育英会の奨学金があって、大学を卒業して現在があるというふうに、大変ありがたいというふうに私自身も考えております。

 この返還金の滞納額またこの滞納者の増加の原因について、文部科学省にお伺いをいたします。

遠藤政府参考人 今御指摘がございました検査院の回収不能見込み額、四百四十四億円ということでございまして、これは要返還債権に係ります平成十四年度中の回収状況をもとに、これまで要返還総額が一兆七千六百三十一億円ございますけれども、これの十三年度末の滞納額千五百六十二億円のうちの将来の回収不能額を推計した想定の金額ということでございますが、返還金の滞納が増加いたしますことは、今後、奨学金事業を推進していく上で大きな障害となるもの、私どもそう思っておるわけでございます。

 原因でございますけれども、さまざまな要因が絡んでいると考えられるわけでございますが、一つには、やはり社会経済状況あるいは雇用情勢等の影響、または病気など家庭の特殊事情等による経済的な問題がある、こう思っております。

 それからもう一つは、これまでの事業規模の拡大に伴いまして、返還意識の低い者の絶対数がふえてきているということが懸念されるということも一つございます。

 それから、従来、日本育英会でこの事業をやっておりましたけれども、返還金回収業務実施体制、必ずしも事業規模の拡大や奨学生の状況等に対応した、十分でなかったということも要因の一つになっているのではないか、こう考えておる次第でございます。

古屋(範)委員 さまざまな原因が考えられるということでございますけれども、先ほど指摘をいたしましたように、この遅延債権全体について予測される回収不能額が四百四十四億ということで、新たな機構に移行するに当たり、滞納のさらなる増加が懸念される中、これらの不良債権は早急に償還されなければならないというふうに考えます。この具体的な方策について、まず文部科学省にお伺いをいたします。

 また、今後は、返す能力のある奨学金貸与者に対しては回収対策を強化すべきであり、さらに、確実に返していただくことのできる返還金回収システムを構築すべきであると考えます。そうすることにより、新機構の財政基盤が強化をされ、それが新たな奨学金を必要としている一人でも多くの後進育成のための資金として活用することができるというふうに考えることができます。

 この質問に関しては、副大臣のお考えをお伺いいたします。

原田副大臣 御指摘のように、この奨学金は、先輩たちの返還金を踏まえて、また後進、後輩たちがその奨学金を受ける、こういうシステムになっておるわけでありますから、これはあくまでも借りた金は返してもらわなきゃなりません。ところが、先生御指摘のように、なかなかそれがはかばかしくないというのも事実でございます。私どもとしても、この返還金の回収業務については、特段の注意を払っておるところでございます。

 具体的には、先ほど原因は局長からお話しになりました。ちょうどその裏返しになりますけれども、まずは奨学生に対する返還意識の徹底、これが必要だろうと思っております。奨学生募集のときの説明会やら返還説明会等で、その辺の重要性等についてしっかり彼らに認識をしてもらうということが第一であります。

 二番目に、返還の方式といたしまして、いわゆる振替口座、これを進めるということが大事であります。どうしても、一回一回の返還になりますと、悪気がなくても忘れるということがございますが、銀行での振替口座をすることによって、これも九四%近く新規返還者には振替口座が普及しているということであります。まだ累積では七〇%ぐらいですから、その辺もこれからの問題になります。

 さらに三点目といたしまして、連帯保証人、保証人に対する請求の早期化、これが挙げられます。実は今までは、滞納一年になったときに、やおら親、主として親でありますけれども、保証人としての責任を追及するようなところがありましたけれども、今後は保証人に対する請求を、滞納三カ月以上過ぎますと直ちに連絡する、こういうこともやろうとしております。

 なお、個別返還指導の早期化という制度をこのたび導入いたしました。これは、いろいろあれしますと、やはり特別な事情がある方がおるわけですね。そういう人に対して、ただ一律にやるだけじゃなくて、その人には特別に会って返還条件を話し合うというようなことも、これに応じた対応をすることによって最終的にはしっかり返していただくような、そういう制度を考えておるところでございます。

 いずれにしましても、一層の回収向上に努めてまいりたい、こう思っております。

古屋(範)委員 さらにきめ細やかなこの回収システムの構築をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、日本育英会の業務は、平成十六年四月、この四月から独立行政法人日本学生支援機構に継承されました。新たな独立法人に引き継がれ、より充実した内容にするためには、少子高齢化社会の重要な制度として奨学金制度をとらえていくべきであり、そのためにはより効率的な運用を図るための回収と的確な実態の把握に努めるとともに、回収の実を上げるべく、日本学生支援機構にお願いしたいというふうに思います。

 これまでも、苦しい国の財政事情の中、公明党の強い主張を取り入れていただき、学ぶ意欲と能力のある学生が経済的な面でも心配することなく安心して学べるように毎年充実が図られており、文部科学省も大変努力をしていただいているというふうに思います。

 私は、将来的には、学費は奨学金貸与を受けて社会人になって自分で返すという形が理想であり、希望者すべてが無利子で貸与が受けられる制度の創設が図られるべきであるというふうに思います。

 日本の世界に誇るべきものはやはり人材であると思います。この人的資源、現在のさまざまな困難な課題、経済的な課題、また年金を初めとする社会保障制度、環境、さまざまなこの難局を乗り越えるためのその根源的な力は、やはり教育ではないかというふうに思っております。そして、日本でも、欧米のように、高等教育について親に負担をかけず公的補助、奨学金で支えていくという、教育立国を目指すべきであるというふうに思います。

 最後に副大臣の御決意を伺い、私の質問とさせていただきます。

原田副大臣 御指摘のように、この奨学金事業の重要性、来し方そしてまたこれからもさらに充実をしていかなければいけない、さらに、その過程で、御党、公明党は大変大事な役割を果たしていただいたということについても、心から敬意を申し上げたいと思います。

 それで、この奨学金の中身につきましては、もう既に御説明しましたように、有利子、無利子、こういうことがございます。御指摘のように、できることなら、無利子の枠をできるだけ大きくするということが非常に大切でありますけれども、これはもちろん、きょうは財務大臣、副大臣、おいででありますけれども、財政との話し合いもしっかりやらなきゃいけないわけであります。

 もとより、有利子の場合でも、いろいろ、最近の事情、例えば実際は金利が非常に安くなってきたというようなこと、さらには卒業後に例えば病気なんかになったときには返還をしばらく猶予するとか、さらには仮に亡くなったりする場合にはそれを免除するというような、いろいろなことがきめ細かに対応されているようでございます。

 しかし、全体としては、この奨学金の意味をしっかり踏まえて、さらなる充実、それがやっぱり教育立国日本の今後のあるべき姿ではないか、こう思うところであります。

古屋(範)委員 さらにこの奨学金制度の拡充を強く望み、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

石井委員長 次に、平成十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 各件に対する質疑は、去る二十一日に終局いたしております。

 これより平成十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)外二件について、一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。今野東君。

今野委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております平成十四年度一般会計予備費及び平成十四年度特別会計予備費の使用について承諾を与えることに賛成、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額について承諾を与えることに反対の討論を行います。

 予備費は、予見しがたい予算の不足に充てるため設けるものでありまして、事前に使途が定められておりませんが、平成十四年度一般会計の予備費においては、例えばハンセン病訴訟における和解の履行に必要な経費七十億円余り、九州南西海域における不審船船体引き揚げ等に必要な経費五十八億円余りとして使用しており、おおむね妥当と認めます。

 平成十四年度特別会計の予備費についても同様であります。

 なお、国会の事前議決の例外である予備費を、当初予算において過剰に計上することのないよう十分検討、精査すべきことを指摘しておきます。

 次に、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額については、ダム建設、道路事業、港湾整備事業などの公共事業を中心に、一般会計からの受け入れが予算額に比して増加することに伴い、当該事業の経費を増額するとしておりますが、一般会計から予算を繰り入れて、当該事業の経費を増額させ、真に必要なのかどうかわからない不透明な公共事業を行うことについては、承諾できません。

 一般会計から特別会計への繰り入れについては、国の長期債務残高が五百五十兆円にも及ぶと言われている今日、財政の健全化に向けて、見直しの必要性が指摘されているところでありまして、特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額は厳格に運用すべきであります。

 これらについて、政府に強く反省を求めるとともに、予算の厳正かつ適正な使用を要求するものであります。

 以上、各案件に対する態度とその理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

石井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石井委員長 これより採決に入ります。

 まず、平成十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。

 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石井委員長 起立総員。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石井委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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