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第5号 平成17年5月18日(水曜日)

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平成十七年四月二十二日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕

   主査 鈴木 恒夫君

      井上 喜一君    大野 松茂君

      中山 泰秀君    藤井 孝男君

      岡本 充功君    長浜 博行君

      細川 律夫君    松崎 哲久君

      東  順治君

 第二分科会〔内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省、財務省及び文部科学省所管〕

   主査 松本  龍君

      石田 真敏君    斉藤斗志二君

      津島 恭一君    橋本龍太郎君

      増田 敏男君    石田 勝之君

      加藤 尚彦君    樽床 伸二君

      古屋 範子君

 第三分科会(厚生労働省、農林水産省及び経済産業省所管)

   主査 菅  義偉君

      今村 雅弘君    柴山 昌彦君

      平沼 赳夫君    武藤 嘉文君

      内山  晃君    河村たかし君

      前田 雄吉君    徳田 虎雄君

 第四分科会(法務省及び国土交通省所管)

   主査 山名 靖英君

      遠藤 武彦君    後藤 茂之君

      谷川 弥一君    福井  照君

      山本  拓君    岡島 一正君

      末松 義規君    橋本 清仁君

平成十七年五月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 細川 律夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 菅  義偉君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 津島 恭一君

   理事 長浜 博行君 理事 前田 雄吉君

   理事 松本  龍君 理事 山名 靖英君

      井上 喜一君    石田 真敏君

      今村 雅弘君    斉藤斗志二君

      柴山 昌彦君    谷川 弥一君

      中山 泰秀君    橋本龍太郎君

      平沼 赳夫君    福井  照君

      藤井 孝男君    増田 敏男君

      三ッ林隆志君    山崎  拓君

      山本  拓君    渡辺 博道君

      石田 勝之君    泉  健太君

      岩國 哲人君    内山  晃君

      岡本 充功君    河村たかし君

      末松 義規君    鈴木 克昌君

      樽床 伸二君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    松崎 哲久君

      東  順治君    古屋 範子君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   外務大臣政務官      河井 克行君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   会計検査院事務総局第四局長            千坂 正志君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田村 政志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 篠田 研次君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小井沼紀芳君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           石井 道遠君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         河崎 広二君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     坂本 哲志君

  内山  晃君     井上 和雄君

  岡本 充功君     岸本  健君

  加藤 尚彦君     小林千代美君

  末松 義規君     長島 昭久君

  樽床 伸二君     島田  久君

  橋本 清仁君     田村 謙治君

  今村 雅弘君     谷  公一君

  斉藤斗志二君     川上 義博君

  柴山 昌彦君     萩生田光一君

  井上 和雄君     市村浩一郎君

  石田 勝之君     三日月大造君

  岡島 一正君     稲見 哲男君

  河村たかし君     樋高  剛君

  小林千代美君     高山 智司君

  島田  久君     岩國 哲人君

  田村 謙治君     渡辺  周君

  長島 昭久君     山井 和則君

  東  順治君     田端 正広君

  古屋 範子君     赤羽 一嘉君

  市村浩一郎君     下条 みつ君

  岸本  健君     松野 信夫君

  高山 智司君     長妻  昭君

  樋高  剛君     金田 誠一君

  松崎 哲久君     田嶋  要君

  山井 和則君     黄川田 徹君

  赤羽 一嘉君     福島  豊君

  川上 義博君     斉藤斗志二君

  坂本 哲志君     石田 真敏君

  谷  公一君     今村 雅弘君

  萩生田光一君     柴山 昌彦君

  稲見 哲男君     岡島 一正君

  岩國 哲人君     樽床 伸二君

  金田 誠一君     河村たかし君

  黄川田 徹君     末松 義規君

  下条 みつ君     内山  晃君

  田嶋  要君     松崎 哲久君

  長妻  昭君     加藤 尚彦君

  松野 信夫君     岡本 充功君

  三日月大造君     石田 勝之君

  渡辺  周君     橋本 清仁君

  田端 正広君     東  順治君

  福島  豊君     古屋 範子君

同月二十六日

            補欠選任

             山崎  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     西村 康稔君

  斉藤斗志二君     井上 信治君

  橋本龍太郎君     佐藤  錬君

  武藤 嘉文君     渡辺 博道君

  山本  拓君     城内  実君

  石田 勝之君     古本伸一郎君

  内山  晃君     馬淵 澄夫君

  岡島 一正君     泉  健太君

  岡本 充功君     川内 博史君

  加藤 尚彦君     大島  敦君

  河村たかし君     田島 一成君

  末松 義規君     村井 宗明君

  松崎 哲久君     樋高  剛君

  東  順治君     井上 義久君

  古屋 範子君     池坊 保子君

  柴山 昌彦君     坂本 哲志君

  泉  健太君     荒井  聰君

  大島  敦君     中村 哲治君

  川内 博史君     岸本  健君

  田島 一成君     近藤 洋介君

  樽床 伸二君     本多 平直君

  樋高  剛君     津村 啓介君

  古本伸一郎君     辻   惠君

  馬淵 澄夫君     西村智奈美君

  村井 宗明君     城島 正光君

  井上 義久君     東  順治君

  池坊 保子君     太田 昭宏君

  中山 泰秀君     川上 義博君

  荒井  聰君     山内おさむ君

  井上 信治君     斉藤斗志二君

  川上 義博君     中山 泰秀君

  城内  実君     山本  拓君

  佐藤  錬君     橋本龍太郎君

  坂本 哲志君     柴山 昌彦君

  西村 康稔君     今村 雅弘君

  渡辺 博道君     武藤 嘉文君

  岸本  健君     岡本 充功君

  近藤 洋介君     河村たかし君

  城島 正光君     末松 義規君

  津村 啓介君     松崎 哲久君

  辻   惠君     石田 勝之君

  中村 哲治君     加藤 尚彦君

  西村智奈美君     内山  晃君

  本多 平直君     樽床 伸二君

  山内おさむ君     岡島 一正君

  太田 昭宏君     古屋 範子君

五月十八日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     三ッ林隆志君

  武藤 嘉文君     渡辺 博道君

  岡島 一正君     中根 康浩君

  加藤 尚彦君     鈴木 克昌君

  河村たかし君     泉  健太君

  樽床 伸二君     岩國 哲人君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林隆志君     大野 松茂君

  渡辺 博道君     武藤 嘉文君

  泉  健太君     河村たかし君

  岩國 哲人君     樽床 伸二君

  鈴木 克昌君     加藤 尚彦君

  中根 康浩君     岡島 一正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

細川委員長 これより会議を開きます。

 平成十五年度決算外二件を一括して議題といたします。

 第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る四月二十五日、二十六日の二日間にわたり審査を行いました。

 この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査鈴木恒夫君。

鈴木(恒)委員 第一分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣本府、警察庁、金融庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査を行いました。

 主な質疑事項は、対中国ODAの現状と効果及び今後のあり方、日中関係の現状と中国に対する所見及び外交施策のあり方、銀行の他業禁止違反及び提案型融資による被害者救済措置の必要性、愛・地球博会場南部隣接地の保安林における鉱山開発による環境破壊問題、水俣病対策の現状及び今後の取り組み、琵琶湖等湖沼の水質保全対策、食品安全委員会のBSE対策に係る中間とりまとめの法的根拠と食品健康影響評価の位置づけ、地球温暖化対策に係る京都議定書目標達成計画案の実現及び環境教育の必要性、宮城県村田町竹の内産業廃棄物最終処分場の現状、不法投棄による住民への影響と未然防止及び健康被害の補償制度の必要性、外国人犯罪多発に対処する方策及び捜査体制の強化、地震・防災対策における救命ライフラインシステムの整備等今後の取り組み、日韓シャトル首脳会談開催の経緯及び次期開催に向けての自治体誘致活動の現状、竹中国務大臣の政治資金及び資産の保有・運用状況、郵政民営化に伴う事業形態、株式の保有等の経営上の問題点等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 次に、第二分科会主査松本龍君。

松本(龍)委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、防衛庁、防衛施設庁、総務省、財務省及び文部科学省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、防衛庁における機密情報及び潜水艦・艦船等の技術情報管理の強化の必要性、自衛隊演習場における事故発生時の自治体・住民に対する説明責任、横田基地と在日米軍再編問題との関係、英語教育の必要性とネーティブスピーカーの積極的な活用、鳥取県湯梨浜町のウラン残土撤去問題における取り組み状況、文部科学省庁舎の建てかえに伴う仮庁舎問題及び中央合同庁舎七号館PFI事業、初等・中等教育における和楽器教育の普及の必要性、地方税の徴収率向上のための方策、地方公務員の寒冷地手当、特殊勤務手当のあり方、成年後見制度を利用した場合の選挙権の取り扱いを見直すことの必要性、シベリア等強制抑留者に対する政府の措置、地方公共団体の監査機能及び外部監査制度の導入状況、横田基地に関する在日米軍再編協議の状況と基地周辺対策、義務教育国庫負担金の税源移譲に伴う一般財源化にした場合の問題点、国公立学校における義務教育のあり方と塾等の補助学習との関係、幼稚園と保育所一体型の総合施設としてのあり方、文化・芸術に係る振興状況及び今後のあり方、愛国心と宗教心の必要性及び教育行政における教職員組合との関係等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 次に、第三分科会主査菅義偉君。

菅(義)委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、少子化対策の現状と今後のあり方、有料老人ホームのあり方と利用者保護の必要性、政府の社会保障制度の一体的見直しについての基本的な考え方と今後の取り組み、小児医療における医師不足の現状と人材確保対策、社会保険庁改革の進捗状況及び年金福祉施設の売却方針、使用済み核燃料再処理工場の安定的な稼働とガラス固化体の安全性確保、我が国におけるエネルギー政策上の原子力発電の位置づけ及び国と民間電気事業者との関係、介護保険施設等の整備・充実及び施設設置者への資金的援助の必要性、アトピー性皮膚炎患者の実態及び支援策、先天性胆道閉鎖症患者の実態及び支援策、医薬品等に係る承認審査体制の充実の必要性、新潟市の政令指定都市移行問題及びそれに伴う農林水産行政に係る権限の移譲、林業に係る国産木材の需要拡大に向けた長期的戦略の策定、国有林野事業を特別会計で経理することの是非、花粉症の現状認識と現行の対策の問題点等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 次に、第四分科会主査山名靖英君。

山名委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、JR立川駅の安全確保に係る駅及び駅周辺の総合開発、砂防指定地域の指定権限を国から地方へ移譲することの必要性、関西文化学術研究都市の方向性及び周辺道路網の整備の必要性、大阪地区における環状線京橋等駅舎のバリアフリー化の促進、静岡地方法務局伊東出張所と熱海出張所の統廃合問題と適正配置の必要性、中国残留邦人の継子・養子家族及びマンデート難民への在留特別許可並びに難民認定基準の国際基準への見直し、長崎県の離島における雇用促進及び公共事業の重要性、紀伊丹生川ダム建設中止に係る諸問題、静岡県西部の三遠南信自動車道等における道路整備の必要性、淀川におけるスポーツ施設等河川敷の利用のあり方、富山県におけるLRT導入の推進、公共交通の安全対策及び地方公共交通への財政支援の必要性、竹ノ塚駅踏切死傷事故について国土交通省の認識と今後の対応、マンションにおける外断熱の顕著な有効性、チャイルドシート着用の徹底化及び子供の安全確保の必要性、改正船舶油濁損害賠償保障法施行による鳥取県境港への北朝鮮籍船舶の入港状況及び韓国、中国、台湾との関係悪化に伴う観光への影響等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

細川委員長 これより全般的審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事河崎広二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、総務省行政管理局長藤井昭夫君、総務省行政評価局長田村政志君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、外務省大臣官房審議官篠田研次君、外務省大臣官房参事官小井沼紀芳君、外務省経済協力局長佐藤重和君、財務省大臣官房総括審議官石井道遠君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、財務省主計局次長松元崇君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君、文部科学省初等中等教育局長銭谷眞美君、文部科学省スポーツ・青少年局長素川富司君、厚生労働省老健局長中村秀一君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、国土交通省道路局次長増田優一君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君及び国土交通省鉄道局長梅田春実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

細川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 本日は、質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。時間もございませんので、大きな質問を幾つかさせていただきます。

 まず、財務大臣にお伺いしたいと思います。

 さきの財政演説で、財務大臣は、新規国債について発行予定額を四年ぶりに前年度よりも減額されたというようにおっしゃいました。しかしながら、平成十七年度末の国及び地方の長期債務残高は対GDP比で一・五倍、また公債残高は一般会計税収の約十二年分に相当するという、世界最大の借金大国になっているということでございます。

 どうしてこのような事態になってしまったのか、お伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今柴山委員がおっしゃいましたように、我が国の今の財政状況、本年度末になりますと、国の公債残高が五百三十八兆円程度、地方と合わせますと七百七十四兆と、主要先進国の中でも最悪の状況になっているわけです。

 なぜこういう状況になったのかということでございますが、主としてこのように公債残高が積み上がってきたのは平成に入ってから、九〇年代でございますけれども、長引く不況を克服していくために、財政にその下支えをする役割が期待をされて、累次の経済対策あるいは減税措置が打たれまして、一方、景気が低迷しておりますので税収が落ちてくる、そういうことが背景にあったと思います。

 多分、委員がおっしゃりたいのは、ではそれならば、なぜその時点でそういう事態を回避するような措置をとってこなかったのか、なぜ今の状況をあらかじめ予防するような政策決定が行えなかったのかということだろうと思います。

 これはなかなか評価も難しいことでございますが、この公債発行残高ががんとふえたのは、いわゆるアジア金融危機以降、日本の金融システムも動揺した平成十年代に入ってからということではないかと思います。

 具体的に言いますと、小渕内閣のときに、小渕総理が六兆円の減税というものを公約にされまして総理になられまして、公債発行額がばんとふえたわけでございます。そのときに小渕総理が世界一の借金王ということをおっしゃったことは、委員も記憶に新たなところではないかと思っております。

 そこで、要するに、このときに公債発行額ががんとふえたことの功罪がどうだったのかということに触れなければなりません。あの当時は、御承知のように、金融も非常な状況でございまして、私は、このような措置があの緊急事態を乗り切るのにはかなりの効果があっただろうと思います。

 そうしますと、この金融危機みたいなものをなぜ生んだのかという問題になってくるわけです。

 実は、そこに橋本元総理が座っておられますので、ある意味ではちょっと申し上げにくいことがあるわけですが、橋本内閣時代に、いわゆる財革法というものをつくられて、当時の財政状況を克服しようという大きな努力がなされたわけでございます。現在我々が財政再建を考えていくときにも、今効力を停止しておりますこの法律は一つの手がかりになるわけでございます。世上、あのときの非常な景気の低迷を生んだのは、これはもう橋本先生がそこにおられて大変申し上げにくいんですが、橋本内閣のときの国民負担の、いわゆる九兆円と言われておりますが、それが原因だという見方もございます。

 しかし、子細にあの当時の資料を点検してみますと、いわゆる国民負担が強化をされて、財政再建の努力がなされて、それはもちろん経済にある意味での影響がございました。それを乗り切り、ようやく日本経済がそれを吸収してきたかな、吸収しつつあるなと思ったときに、いわゆるタイのバーツの下落から始まります金融危機が起こりまして、そしてそれが日本の金融秩序にも火が噴いて、いわゆる長銀や日債銀を初めとする大銀行の破綻につながっていった。それを乗り越える努力が小渕さんのああいう政策であったのではないかと思います。

 したがいまして、こういった一つ一つの政策については、現在でもそれぞれ評価がございます。当時でもございました。小渕さんの六兆円減税というのは間違っているという意見が与党の中にも強くあったのは事実でございます。

 そういう中で、現在、この六兆円減税等々をどう評価していくかというのは大変難しい問題でございますけれども、ああいう苦境をようやく乗り越えることが私どもはできつつあると思っておりまして、そうしますと、今度は財政再建に本格的に着手しなければならない時期に来ているのではないか。

 大変私の視野も限られておりますけれども、委員の御質問に的確なお答えかどうかわかりませんが、そんなふうに私はこの何年間の財政の足取りを見ているわけでございます。

柴山委員 まさに、重みのある歴史、財政事情だったと思いますが、そのような中で、アメリカは二十世紀の末にクリントン政権で、御指摘のような世界的な金融不安の中、財政均衡を達成しております。アメリカにできてなぜ日本にはできないのか、財務大臣の御意見を伺いたいと思います。

田野瀬副大臣 私の方からお答え申し上げたいと思うんですが、米国の連邦政府の財政収支についてでございますけれども、先生おっしゃるように、一九九二年度がピークでございまして、約二千九百億ドルの赤字を計上しております。ところが、一九九〇年代の歳出歳入両面からの財政健全化への取り組みに好景気も相まって、一九九八年度には約七百億ドルの黒字を計上しておるところでございます。

 こういう健全化に向かってどういう施策をとったのかということでございますが、九〇年及び九三年の包括財政調整法、いわゆるOBRA90、93などで、裁量的経費の上限等を定めるキャップ制度や、義務的経費の支出を新たに求める場合や減税を行う場合にそれに見合った財源を必要とするペイ・アズ・ユー・ゴー制度を導入いたしました。また、それ以外に、国防費や社会保障費等の歳出抑制及び所得税、法人税の増税等の歳出歳入両面からの取り組みを実施しておりまして、財政を健全化させたと私ども承知しておるところでございます。

 また、こうした財政健全化への取り組みが長期金利の低下につながりまして、民間の設備投資等を促進させて、安定した経済の拡大に寄与した、こんな評価も承知をいたしております。

 我が国政府としても、こうした事例を念頭に置きつつ、二〇一〇年代初頭の国、地方を通じた基礎的財政収支の黒字化を目指して、歳入歳出両面からバランスのとれた財政構造改革を強力に推進してまいりたい、まいらなきゃならない、こんなふうに考えております。

柴山委員 これからのかじ取りが大変難しくなってくると思います。

 そのような中で、例年決定されるさまざまな政策税制、各省庁であるんですが、その利用の度合い、歳入の欠缺に結びつく度合い、またそうした政策税制の効果、こうしたものをそれぞれきちんと逐次検証されているのでしょうか。

田野瀬副大臣 これにつきましても私の方から御答弁申し上げたいと思うんですが、先生おっしゃる政策税制すなわち租税特別措置は、特定の政策目的を実現する観点から、公平、中立そして簡素という租税原則がございますけれども、その例外措置として講じられてきているものでございまして、常にその政策目的、効果や政策手段としての適正性を十分に吟味いたしまして整理合理化を行っていく必要があると思います。先生おっしゃるとおりでございます。

 そのための前提として、従来より、関係省庁に対しまして、毎年度、租税特別措置の利用状況調査票の提出を求めております。さらには、租税特別措置の要望書において、施策の必要性、これまでの政策効果、施策の達成目標、達成目標に達していない場合のその理由などについて記載を求めております。各省においてこういった、事前、事後の客観的な政策評価を求めることによって、租税特別措置の政策効果の把握に私どもとしては努めてきたところでございます。

 こうした取り組みを行う中で、利用実績が低調である租税特別措置や既に政策目的を達成したと思われる租税特別措置などについて縮減、廃止を行う一方、真に有効な政策措置を集中、重点的に講じてきておるところでございます。

 今後とも、必要に応じまして、要望書の記載内容の充実を図るなどにより、関係省庁の協力を得つつ政策効果の把握に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

柴山委員 今御指摘のように、基本的には各省庁自身がそうした政策の検証を行っているということだと思っております。本当に各省庁自身がそのような検証を正しく行っているのかどうかということも、システムのあり方として検討をし直さなくてはいけないのではないかという問題意識を提示させていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 今、テレビの番組などでも格差社会ということが大変言われております。野党の皆様からも折に触れて自殺者の増大などについて指摘がされているところです。こうした社会の格差化、諸外国との比較ということで結構なんですけれども、大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 日本の戦後社会が目指して達成してきたものはいろいろあると思いますけれども、貧富の格差の少ない、あるいは地域地域をとりましてもそれぞれの地域の格差の少ない、均衡ある国土の発展という理念もそうでしょうし、あるいはジニ係数等を見ましても、一番格差の少ない社会をつくってきたことは間違いのないところだろうというふうに思います。これが戦後日本の達成した大きな成果であったと思います。

 ところが、今、いろいろなところに格差が生じてきているじゃないかという御指摘がございます。これはジニ係数なんかの面でも若干あらわれてきているところでございますし、また、景気回復といっても地域によって大変格差がある、職種によっても格差があるということもその一つなのかもしれません。

 これは私の見方でございますが、やはり戦後、ある意味で非常に成功した体制をつくってきた。その体制が、今のグローバル化や少子化、あるいはさらに言えば人口減というような社会の中で、活力を生む体質では必ずしもなくなってきたという現実があって、それを乗り越えていかなきゃならないということが今あるんだろうと思います。そういうミスマッチみたいなものが、さっきおっしゃった財政赤字を生む一つの原因にも、必ずしも金が一番効率的なところに流れていかないということもあったんだろうと思います。

 したがって、それを克服しようとして現在構造改革というものが行われているわけですが、それは、今まで手厚く均衡ある国土をつくり、非常に所得の格差も少ない社会をつくってきたいろいろな規制を、ある意味では取っ払っていく作業とも共通しているところがありますので、ある意味では、委員のおっしゃるような現象が出てきているというのも構造改革の中に含まれる一要素なのかもしれないというふうに思っております。

 できるだけ規制をなくして、民間に任せて、個人でできることは個人でやっていくようにというのが今の構造改革の一つの流れでございますけれども、そうしていくと、一方、セーフティーネットみたいなものはきちっと整備をしていかなければならないだろうというふうに思いますし、ある程度今までのぜい肉を落としたときには、私は、家庭のきずなとか地域社会のきずなとか、そういったものをもう一回どうやって再興していくかということも考えていかなきゃならない時期が来るのじゃないか、こんなふうに思っております。

 今までよりももう少し自由度を拡大していく方向に持っていきたいと思いますけれども、何か額に汗をしないでえらく大金を得るというようなことは、やはり日本社会に余り横行させてはいかぬのではないかなというふうに思っております。

柴山委員 そういう社会情勢の認識の中で、今後の税制について、時間もありませんので一言だけお伺いしたいと思います。

 直間比率の是正ということはよく言われておりますが、外国との比較の関係で、所得税を払っている人が少ないのではないか。要するに、フラットな水準でより多くの人に納めてもらうために、一方では所得の把握にさまざまなコストがかかるという問題もあると思います。所得税のこれからのあり方。また、今、相続税を払っている人が大変少ない、一方では物納で苦しんでいる人たちがいる。相続税の今後のあり方。それぞれについて一言ずつ大臣の所見をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 所得税について、柴山さんは今、日本の場合、課税最低限をもっと下げていって、所得税を払う人のベースを広げていくべきではないかという御主張が多分背後にあるんだろうと思います。

 実はそこのところがなかなか難しゅうございまして、かつては日本は課税最低限が一番高い国であって、むしろそれを下げていくべきではないかというような議論が行われておりまして、若干ながらその課税最低限を下げていくような税改正がなされてきたところでございます。ところが諸外国の方は、その間、控除等を拡大した結果、課税最低限が上がっていくというような現象がございまして、特にイギリスの場合が顕著でございます。

 これはちょっと冗談めいて申しますと、あそこの首相であるブレアさんもそれから私のカウンターパートであるゴードン・ブラウンさんも、現職のときに赤ちゃんをつくられて、そのために扶養控除を拡大したのと、どういう影響があるのかわかりませんけれども、課税最低限が上がっていったというようなイギリスの現象等がございまして、日本は今必ずしも課税最低限が高い国というわけではなくなっているということがございます。

 むしろ所得課税のこれからの課題といたしましては、所得税というのはもう御承知のように基幹的な税制でございますから、やはりある程度税源を集めてくれるという機能を担ってもらわなければなりませんし、それと同時に、所得税というのは所得再配分の機能も果たし得る税制でございます。したがって、今後はそれを少し考えていかなければならないんではないかなと思います。

 こういうふうに申します背景には、もう一つ、三位一体との関係がございまして、これは麻生大臣にお考えいただくことでございますけれども、地方の地方住民税、これに税源移譲していく。こちらの方は、どちらかというと均等化をしなければならない。それとあわせますと、所得税の方は所得再分配の方に少し機能を重点化させていくということが必要ではないかなと思っておりますが、これからそういうあたりを十分議論させていただきたいと思っております。

 それから、相続税は、これまで相続税の負担は累次の減税や各種特例の拡充でかなり緩和されてきたのではないかと思いますが、経済のストック化とか、あるいは所得税、消費税、ほかの税目とのバランスを考慮しますと、資産の再分配機能というのも、ここも全く無視するわけにはいかないのではないかと思います。それから、近年、社会保障がある程度充実してまいりまして、家族で老後扶養を行う形態から、社会全体で老後扶養をしていこうということになってまいりましたので、このため、相続時に残された資産の一部を社会に還元する視点も必要ではないかというふうな議論も行われているところでございまして、税調でも、去年十一月にいただいた答申でございますけれども、課税ベースを広げていく方向で検討せよというような議論が行われております。

 他方、今おっしゃったような事業承継等、あるいは委員の選挙区は都市近郊でございますので、農地等の相続で御苦労されている方があるいはあるのかもしれません。私ちょっとよくわかりませんが、想像でそういうことを感じます。ただ、これに関しましては、平成十五年度の税制改正で、相続時精算課税制度、これは、相続時に精算することを前提に生前贈与に対する税負担を大幅に軽減したというようなことで、事業承継を円滑にする道を開いたのではないかと思っております。

 農地については、租税特別措置として納税猶予の制度等々がございますので、こういうものをやはり活用していただくということではないかと思っております。

柴山委員 質問時間が終わりましたが、麻生大臣に一つだけぜひお伺いしたいと思います。

 今、公務員改革の一環として、組織の効率化ということがうたわれているわけですけれども、その一つの方策として、アウトソーシングあるいは市場化テストということが行われております。

 しかしながら、こうした分野になじまない、いわゆる弱者保護、公的なセクションというものについてこそ、むしろ効率化、透明化のメスを入れていくべきではないかと思うのですが、こうした分野の合理化、組織改革というものについて、大臣、どのようにお考えかということを最後にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 官と民と言われますけれども、その間に多分もう一個、公、いわゆるパブリックセクターという部分の考え方が最近余り言われず、官と民の間にもう一回公という部分があるという認識を持っていないと、この種の話はなかなか難しいんだと思っております。今、ボランティアという組織が一つのものに、NPOとかNGOとかいろいろな表現がありますけれども、基本的にはそういうことなんだと思っております。

 今、アウトソーシングになじまない部分というものに関して、役所で、簡単なところでいえば、例えば税金、例えば給与計算、いろいろありますけれども、そういったところは、今幸いにして情報通信技術が非常に発展をいたしましたので、行政手続をオンライン化するという法律が通って、これによって、いわゆるバックオフィスと言われる部分のかなりの人たちが、逆に、機械、情報通信技術によって置きかえることが可能。その方たちのいわゆる回せる部分というのは結構出てくるはずであります。これは、かかってその市における経営者の能力にもよるんだと思いますが。

 そういったところで、今言われたような部分に関しては、むしろ人というものを、これは減らせるところを減らさねばならぬとは思いますが、いわゆる治安とか、よく言われる部分につきましては、これまでも減少させる中にあって増員させてくるということをやってきておりますので、私どもとしては、そういっためり張りをつける、いろいろな表現があろうかと思いますが、そういった形で、つけるところと減らすところはきちんと分けてやらぬといかぬというように考えております。

柴山委員 本当は森岡政務官にも質問を御用意しておりましたが、大変申しわけございません、質疑時間が終了いたしました。以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょう、中山大臣に質問してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 近年、全国の幼稚園、学校などで、建材、塗料などに含まれます化学物質により、子供たちが頭痛、腹痛、吐き気、のどの痛み、疲労感などに襲われるといういわゆるシックスクールが報道、報告をされております。校舎の新築改築、また床のワックスの塗料、こういった化学物質過敏症となり、それが慢性になっていく、こういうことに悩まされる例も少なくないと伺っております。また、これが不登校の原因になると指摘する専門家もおります。

 学校に通う児童生徒の安全や命が脅かされる事件が今各地で相次いでおりまして、社会問題化しております。このシックスクールの問題は、子供たちが安心して学べる環境づくりという観点からも大変重要な問題であると考えております。本日、この問題について質問させていただきます。

 私、神奈川が地元でございますが、神奈川県立保土ケ谷高校で、教職員また生徒約百人が、建材などに含まれる化学物質の影響でシックハウス症候群と見られる症状を訴えているという記事がございます。五月十三日付神奈川新聞、また各紙に報道をされております。

 この保土ケ谷高校では、四月下旬から五月の上旬にかけまして、生徒、教職員がシックハウス症候群と見られる症状を訴え、不安を訴える保護者の意向を受けて、現在、事実上休校が続いているということでございます。私も、この関係者からお話を聞く機会がございました。

 この始まりと申しますのが、雨漏りの工事、屋根の工事でございまして、これが昨年九月に行われまして、神奈川県教育委員会が、国の基準、学校における室内空気汚染対策というものに基づく揮発性有機化合物の正式な検査を定期的に始めたのが、何とことし一月以降ということで、その間ほっておかれたということでございます。

 今回、シックハウス症候群に見られる健康被害、また休校という事態にまで発展したのは、この社会問題化しているシックスクールへの認識の甘さ、県教育委員会の対応のおくれが大きな原因ではないかと考えます。この対応のおくれは、県教育委員会の認識の甘さではないか。また、問題の重要性を全く感じていなかった、どうにかなるのではないかというような感覚があったのかもしれません。危機管理能力が欠けていたと言えるわけであります。そのために、対応が後手後手となってしまった。

 こうした経緯につきまして、大臣、この県立保土ケ谷高校の問題についての御見解をお伺いいたします。

中山国務大臣 お答えいたします。

 このシックハウス症候群、一時大問題になりまして、いろいろな対策がとられてきたんですけれども、またここに参りまして、今古屋委員から話がありましたように、事もあろうに学校でそういうふうなことが報道された、ショックだったわけでございます。

 学校というのは、多様な教育活動の場でありまして、特に児童生徒が一日のほとんど大半を過ごす場でありますから、その環境というのは安全でかつ快適なものでなければならない、このように考えているところでございます。

 御指摘のありました神奈川県立保土ケ谷高校におきますシックハウス問題につきましては、これは県の教育委員会からの報告があるわけですけれども、これによりますと、今お話がありましたように、平成十六年九月に屋上の防水工事を実施したところ、教師、生徒数人が身体的症状を訴えたことから、十二月から、北の棟の最上階の音楽室及び書道室、平成十七年四月下旬からは、西の棟の最上階、それから北の棟の最上階全体を使用中止にしたということ。

 それから、平成十七年五月でございますけれども、全校生徒を対象にアンケート調査を実施したところ、三百八名の生徒が何らかの症状を訴えたことから、専門医とかあるいは学校医による診療相談を実施するとともに、スクールカウンセラーを配置して生徒や保護者の相談に応じている。そして、対策検討委員会を校内に設置しまして、詳細な調査を行いますとともに、外部の専門家の助言を得ながら、教室使用の再開に向けて、原因の特定、対応策の検討及び実施、再発防止のためのマニュアルの作成を行っていること。原因と考えられる物質をできる限り除去するために対策工事を実施している、こういったことを聞いているわけでございます。

 文部科学省といたしましては、これまで、学校施設整備指針の改定とかあるいはパンフレットを作成いたしまして、都道府県教育委員会など学校の設置者に対しましてシックハウス対策に対する取り組みを依頼してきたわけでございますが、そういった中でこのような事態が発生したということはまことに遺憾であると考えておりまして、今後とも、神奈川県の教育委員会とも十分な連携をとりながら、情報提供とかあるいは技術指導など適切な対応を行ってまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 公明党といたしましても、この化学物質過敏症が社会問題化いたしました一九九九年以来、党のアレルギー疾患対策プロジェクトで患者、研究者からの意見を伺うなどして取り組んでまいりまして、政府でも、室内指針値の策定を推進し、治療のためのクリーンルームの設置など、相模原にございますけれども、強く推進をしてきたところでございます。

 こうしたシックスクール症候群、学校環境衛生に対する取り組み、今大臣の御答弁にもございましたように、数年、非常に活発化してきているというふうには思っております。学校環境衛生の実態調査の結果を踏まえた学校環境衛生の基準の改定、また有害化学物質の室内濃度削減に向けた啓蒙パンフレット、シックハウス対策参考資料の作成など、より具体的な取り組みが行われていると思います。しかし、今回の保土ケ谷高校の問題を考えますと、そのようなさまざまなものができているとはいえ、政府の取り組みが学校の現場にまだまだ浸透、認識されていないのではないか。

 例えば、一昨年七月に全国の教育委員会等に通知されました学校における室内環境汚染対策につきましては、室内空気を汚染する化学物質が発生しないまたは少ない建材の採用について配慮するとか、また、工事発注の際には十分な養生及び乾燥のための期間の確保、そして竣工建物の適切な引き渡し、定期環境衛生検査の実施などが既に周知をされております。

 しかし、保土ケ谷高校では全くこの認識がなく、適切な対応どころか、屋根の工事だから室内空気とは関係ないのではないかと考え、生徒のいる間に工事を行っていた。できれば夏休みの間とかにすべきではなかったのか。この事実は、やはり子供たちの命を預かっているという認識が非常に欠けていると思います。

 この政府の指針、通知が現場では徹底されていない、機能されていない現状をどう思われるのか。また、今後のこうした事故を防ぐために、シックスクール事故発生現場からの報告を義務づけるとか、またシックスクール危機管理対応マニュアルなどを作成して現場に研修機会を設けて徹底するなど、このような強力な指導が大事なのではないかと思いますが、この点、いかがでございましょうか。

中山国務大臣 今委員から御指摘ありましたように、このシックハウス症候群への対策といたしまして、まず、学校環境を衛生的に保つためのガイドラインということで、学校環境衛生の基準というのを改定いたしまして、この基準値を超えた場合には換気など適切な措置を講ずるように、これは都道府県教育委員会等に通知して指導に努めてきたところでございます。

 また、学校の施設あるいは設計上の留意点を示しました学校施設整備指針というのも改定いたしまして、今御指摘ありましたように、建物等の受け渡しをする場合には、シックハウス対策の観点から、学校施設について配慮する事項等についてパンフレットを作成する、そういったことで都道府県教育委員会等に対して周知を図ってきたところでございます。

 まさに今、話がありましたように、保土ケ谷高校みたいな事件が起こるわけで、これはちょっとした工事だからまあいいのかな、そういう安易な気持ちもあったのかもしれませんが、まだまだ周知徹底がしっかりしていなかったのではないか、このように思うわけでございまして、御指摘を踏まえまして、文部科学省といたしましては、学校におきますシックハウスの発生という事態を未然に防ぐために、今後とも研修会などの機会を通じまして一層指導の徹底を図ってまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、このような事故が二度と起こらないような対策、よろしくお願い申し上げます。

 建物の化学物質だけではなく、床のワックス剤ですとか、あとは害虫などを駆除するための農薬の散布、薬の散布、またプールの塩素、改修改築、増築工事など、学校内での化学物質の制限をさらに進める、また教師、関係者の理解を深める、登校可能な環境というものを目指すべきではないかと思っております。化学物質過敏症は確かに個人差があるものでございますが、過敏症の子も含め、やはりすべての子供たちが安心して通える環境づくりというものの整備が急務であると考えております。

 こうした子供また教職員の健康を守る観点から、まず、現行の学校環境衛生の基準を踏まえた検査を実施し、基準を超えた場合には、換気の励行、原因究明、原因物質の低減などの迅速、適切な措置が講じられますよう、国として各都道府県の教育委員会また学校等へ指導することが肝要ではないかと思いますが、これについての大臣のお考えを伺いたいと思います。

 また、あわせまして、原因物質の空気中の濃度を低減するために、校舎を改修したり、換気設備を設置する場合も出てくると思います。この費用の負担は少なくなく、やはり国庫補助を充実させることも不可欠ではないかと思いますが、この国庫補助充実についてもあわせて文部科学省のお考えを伺いたいと思います。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから御指摘にあります学校環境衛生基準でございますけれども、これにつきましては、先生御指摘もございましたように、基準値を超えた場合には適切な事後措置を講ずるということが書かれておるわけでございまして、御指摘にありますように、換気の励行、そのための設備の整備というものが重要でありましょうし、また、発生源を特定して、除去が可能であるならば直ちにそれを除去する、それに対する対応をする、適切な措置を講ずることが必要だろうと思います。

 都道府県教育委員会に対して、今までも通知等で指導しておりますけれども、いろいろな研修の機会等を通じまして、適切な事後措置が一層図られますように対応してまいりたいと思っております。

大島政府参考人 工事の支援についてお答えをしていなかったので、補足させていただきたいと思います。

 学校施設、その安全性の確保、先生御指摘のように極めて重要な課題と認識しております。そういった学校施設の整備の際における経費ということについては、これを国庫補助の対象ということで、化学物質が発生しないあるいは少ない建材の採用とか、換気設備の設置、こういったものについての配置を促すような形をとっておりますので、今後とも、設置者の適切な対応を促しつつ、安全、安心の学校づくりの実現に向けまして努力してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 子供たちが長時間過ごす学校の環境衛生、こういうものに関しまして、ぜひ今後とも強力に推進をしていただきたいと思います。

 私もアレルギーに関しましてはみずからの課題といたしまして取り組んできたところでございますが、次に、アナフィラキシーの自己注射について確認をしてまいります。

 食物アレルギーによる重いアナフィラキシー、この救命用の自己注射というものが三月に承認をされまして、この五月中にも実際に処方できるようになり、これは、家族それからアレルギーを持つ方々からも非常に関心が高まっているところでございます。これも、公明党のプロジェクトチーム、特に江田康幸議員が中心となって、粘り強く取り組んできたところでございます。

 この食物アレルギーによるアナフィラキシーというものは、予測できない場面で死に直面するという、非常に厳しいわけでありまして、発症から三十分以内にこの注射をすることが不可欠である。ですから、発見がおくれたり、あるいは救急車を呼んだり病院に搬送する、そのようなことがおくれますと、その間で命を落とすというケースが非常に多いわけでございます。

 この注射でございますが、これは見本でありますけれども、このようなものでありまして、これを太ももに刺しますと自然に液、薬品が注入されるということで、緊急の場合には服の上からでも、ばんと強く刺せばいいというものでございます。

 この自己注射でございますが、緊急時に、一刻を争うというような必要性があるわけでございますけれども、子供たちが学校に行っている間にこのようなことが起きるという場合もございます。やはり保護者また周りにいる先生方の迅速なサポートが求められているところでございます。

 この注射の認可と同時に、日本学校保健会より、食物によるアナフィラキシー学校対応マニュアル、このようなものが各学校に五部ずつ、公立小中学校に配付をされまして、その中には、こういった緊急対応ですとか学校に携帯してくる際の対応というようなことがきちっと盛り込まれております。このマニュアルが実際に生かされるよう、学校での薬剤の保管、教職員による援助、家族からの申し出があったときなどの環境整備というものが大事、本当にこれが初めでありますので、初めの対応というものが非常に大事ではないかと思っております。

 学校現場での理解が得られるよう周知されることが重要でありますけれども、学校現場での環境整備につきまして、御所見をお伺いいたします。

素川政府参考人 食物のアレルギーによるアナフィラキシーショックでございますけれども、養護教諭等を対象とする研修会におきまして、アレルギー疾患の研修課題の中でもアナフィラキシーショックについての知識の普及に努めているところでございますが、先生今御指摘ございましたように、日本学校保健会からのパンフレットの中に、具体的に細かく記述がございます。これを通じまして学校での校内研修をしていただくことが必要かと思いますけれども、私どもにおきましても、今御指摘のございましたアナフィラキシーに係る自己注射器につきまして、学校でどのようなサポートができるか、環境整備はどのようにすべきかということについても調査研究をし検討して、各学校において適切な対応ができるように考えてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 まだまだ知らないという関係者が大変多いと思います。この注射使用のための学校の環境整備に、まず各学校長また養護教諭、校医に対する研修が重要であると思います。この研修には、アナフィラキシーをよく知っている専門医である日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会に講師をお願いするなど、食物によるアナフィラキシーの対応についてしっかり理解を深める研修を行うことが重要ではないかと思います。

 この小児アレルギー学会の専門医の要請についてのお考えをお伺いいたします。

中山国務大臣 御指摘ありましたように、このアナフィラキシーなどのアレルギーに関します理解促進のための研修というのは極めて大事である、このように考えております。

 このため、これまでも独立行政法人教員研修センターにおきまして、文部科学省の指示によりまして、各地域の教育センター等で研修の企画等を担当いたします指導主事、学校栄養職員、養護教諭等を対象とした研修会を実施しまして、アレルギーについての周知を図っているところでございます。

 その際、アレルギー学会、今御指摘ありましたけれども、学会等の専門家を講師として要請するなど、その内容の充実に努めてきたところでございまして、今後とも、アレルギー対策の重要性にかんがみまして、その内容がより充実したものとなりますように、研修内容とかあるいは講師等について検討を進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 もう時間でございます。

 アレルギーのお子さんは、ただでさえ学校へ行けない、あるいは、学校へ行ってもいじめやそういったことから不登校になり、非常に苦労されているわけでございます。この対策。また、これからは、できれば患者本人が意識を失っている場合にはかわって第三者が注射できるとか、それも保護されるための環境整備、また救急救命士が自己注射を打てるような法整備も急がなければいけないのではないかというふうにも考えているところでございます。

 まずは、学校の現場におきましてこの周知徹底をよろしくお願い申し上げます。

 以上で、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

細川委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 きょうは、大臣にもお越しをいただきまして、この決算行政監視委員会での質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、京都の民主党の衆議院議員として今二年近く仕事をさせていただいておりますけれども、きょうは、引き続き学校現場のことについて質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、大臣に早速お伺いをしたいんですが、大臣は、学校現場であってもなくても結構です、身近なところでセクハラということについて何か具体的にお話を聞かれたことというのはございますでしょうか。

中山国務大臣 セクハラにつきましてはいろいろなところで話を聞いてきたわけでございますが、特に文部科学大臣になりましてからは、児童等に対するセクハラということについて人一倍敏感になったというか、関心が強くなった、このように感じております。

泉(健)委員 最近は、全国のさまざまな事業所でもこういったセクハラについては体制が整えられてきた。そして、それぞれ、さまざまな相談件数や告発件数もふえているわけですが、きょうは、その中でもこの数年間非常に増加傾向にあるスクールセクハラということについて私は質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 このことを調べるに当たっていろいろと資料を取り寄せたわけですが、本当に毎日のようにいろいろな報道が出てきておりまして、例えば、スカートが短いということをホームページで生徒の名前を出しながら中傷したケース、あるいは生徒にわいせつ行為を働いたケース、あるいは学校外で未成年の生徒に対して不適切な性的関係を持ったケース等々、もう本当に枚挙にいとまがないという状況であります。

 そして、一つ一つの事例の結果、破廉恥先生、過去最多というような状況が現在でありまして、大変残念なことだというふうに思います。先生はもう聖職者ではないなんという話がされてしまっている昨今ではありますが、やはり学校の先生はモラルというものがより高く問われるのが当然だというふうに私は思っております。

 千葉県の教育委員会が先ごろ学生対象、児童生徒対象にアンケートをとりましたら、先生からセクハラを受けたことがあるというのが二十人に一人という結果が上がってきました。これまたとんでもない結果でありまして、一概に児童生徒の申告すべてを正確な調査と言うことは難しいにしろ、それぐらい多くの生徒がこういったことについて見聞きをし、あるいは体験をしている可能性があるということについては、やはりこれは憂慮すべき事態だというふうに私は思っております。

 実際に、知り合いの学校の教師をしている仲間、あるいは現在はもう既にスクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワークというところがありまして、そこの亀井代表という方からもお話をお伺いしていまして、幾つものそういう事例を私のところにも寄せていただいているところです。

 そういった中で、先ほど私は統計を少し口にしましたけれども、実は文部科学省の統計で、平成十五年にいわゆる懲戒処分を受けた先生の数、わいせつ行為に係る懲戒処分等を受けた人の数がとうとう百九十六名と、過去最高になっております。そして、そのうち、最も厳しい懲戒免職が百七名ということで、これまた初めて三けたに上っているという、大変これは憂慮すべき事態だというふうに思っているわけです。

 こういった状況について、大臣、どう思われますでしょうか。

中山国務大臣 御指摘がありましたけれども、平成十五年度中にわいせつ行為等により懲戒処分を受けた公立学校の教員は百五十五人ということで、前年より七人増加ということになっているわけでございます。

 教員というのが児童生徒の模範たる立場にあるということにかんがみますと、懲戒処分等を受ける者が毎年多数に上ることは大変残念なことでございます。特に、児童生徒に対するわいせつ行為というのは、これは児童生徒への多大な影響を与えることを考えますと、このような行為というのは教員として断じて許されるものではない、このように考えております。

 文部科学省としては、教職員の一層の服務の確保を図り、学校教育に対する国民の信頼を損ねることのないように努めてまいりたいと考えております。

泉(健)委員 今、大変残念、許されない、そして服務の確保というお話がありましたけれども、具体的にどんな取り組みをされていますか。

中山国務大臣 ただいま申し上げましたけれども、教員が児童生徒に対してわいせつな行為等を行うことは、教員が児童生徒に対して大きな影響力を持っている存在であることにかんがみれば、絶対にあってはならない、先ほども言ったとおりでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、平成十六年の十二月に通知を発出いたしまして、処分基準を作成し、あらかじめ教員に示すなどの抑止を図ること、特に児童生徒に対するわいせつ行為等については原則として懲戒免職とするなど、非違行為があった場合には厳正な対応をすることなどにつきまして、各都道府県教育委員会等に指導したところでありまして、今後とも、教職員の一層の服務の確保を図ってまいりたいと考えております。

泉(健)委員 先ほど大臣は百五十五名という数字を挙げられました。さらに、これに訓告、諭旨免職を加えると、百九十六名という私が言った数字になるわけですが、このペースでいくと、早晩この懲戒処分等の人数は二百名を超えるということになりつつあるわけですね。

 今お話がありましたが、実は、私は、この問題を調べていく中で、やはりまだまだ文部科学省の取り組みが弱いのではないかということを指摘せざるを得ないというふうに思っております。

 大臣がおっしゃられました、平成十六年十二月、基準を作成して、各都道府県そして政令市の教育委員会に対して指導をされたということでありますが、これは新聞報道でも明らかなとおり、現在六十ある政令市と都道府県の中で、その指導にこたえたのは、大臣、幾つですか。

中山国務大臣 お答えいたします。

 平成十七年四月一日現在の懲戒処分の基準の作成状況について、各都道府県、指定都市教育委員会からいただいた報告によりますと、今六十という数字がありましたが、全体六十のうちで、懲戒処分全般に関する基準を作成しているのは二十教育委員会、それから懲戒処分の一部に関する基準を作成しているのは二十九教育委員会となっておりまして、このうち、わいせつ行為等に関して懲戒処分の基準を作成しているのは二十五都県市の教育委員会となっております。

 ちなみに、これは昨年の十二都県市に比べますと倍増しているところでございますが、まだまだ少ない、御指摘のとおりだと思いまして、文部科学省といたしましては、引き続き、基準を作成していない教育委員会に対しまして、懲戒処分基準を作成、公表するように指導しておるところでございます。

泉(健)委員 文部科学省は、これは最大限、指導が精いっぱいだというふうに考えられていますか。これだけ指導して、現在まだ半数の教育委員会がその基準の明文化を図っていない。処分、どんなことをすればどういうふうになってしまうのか明確にされていないということについて、大臣、これはもう現在やっている指導以上のものはないとお考えですか。

中山国務大臣 文部省の指導には限界があるわけでございますが、きょうみたいに、このような形で取り上げていただいて、マスコミ等を通じて広く国民の知るところとなれば、これは教育委員会等も、じっとしてはおられない、自分のところも早くしなきゃいけない、そういう動機づけにもなるんじゃないかな、このように考えております。

泉(健)委員 そうしますと、私は文部科学省のホームページを見ましたけれども、平成十六年四月には懲戒処分の公表に関する取り組み状況についてという表を出されておりますけれども、これはことしはもう出されていますか。

銭谷政府参考人 ことしの四月一日現在、懲戒処分の公表に関して、各都道府県、指定都市教育委員会から状況について御報告をいただいているところでございますけれども、その概要は、行った懲戒処分をすべて記者発表している県市が三十六、重大な案件のみ記者発表し、その他は資料配付等で対応している県市が十二、すべて資料配付等で対応している県市が八、重大な案件のみ資料配付等で対応している県市が四という数字でございます。

 すべての教育委員会におきまして、一定の処分の公表が行われているところでございます。

泉(健)委員 時間が大変短いものですから、聞いたことに答えていただきたいんですが、ホームページにことしの分を四月一日現在ということで載せておりますかという話です。

銭谷政府参考人 ことしの分については、まだ載せておりません。

泉(健)委員 局長、今大臣が、まさにこういうやりとりを通じてという話をされました。そういうところでマスコミに取り上げていただいてという話もしたわけですから、ぜひやはりこれは記者発表をしていただきたいというふうに思います。やはり十六年度からかなり文部科学省の取り組みでまた進んだ部分もあるわけですから、ぜひこれを発表していただいて、さらにその徹底を促していただきたいということを私はまず第一の要望としてお願いしたいと思っております。

 さらに言えば、この文部科学省の中での「懲戒処分等の状況」ということで、これには、例えば交通事故や体罰や争議行為、さまざまな懲戒処分ということが一覧に載っている資料があるわけですが、この中には、例えば体罰でいえば、事細かに体罰の中身について資料があるわけですね。

 例えば、被害の状況、骨折なのか打撲なのか、鼻血なのか髪を切られるのか、これが授業中であったのか放課後であったのか学校行事であったのか、そういったことが資料としてついたものをいただいたわけですが、わいせつ行為についてはこういったことはいただいていないということがあります。同様の事実確認とその調査結果の蓄積というものはされているんでしょうか。

銭谷政府参考人 御説明を申し上げます。

 懲戒処分等について調査を行う際に、その状況について各都道府県教育委員会等から簡潔に御報告はいただいているところでございます。

 わいせつ行為等に係る懲戒処分につきましては、処分事案の相手方、つまり被害者について、どういう状況であるかということは御報告をいただいております。例えば、先ほど申し上げました百五十五人、平成十五年度間にわいせつ行為で懲戒処分を受けているわけでございますが、その相手方が、自分の学校の児童生徒が八十五人であるとかといったことはわかっておりますけれども、それ以上の詳しい状況分析等は実施をしていない状況でございます。

 いずれにいたしましても、各教育委員会において事実関係をよく把握し、厳正に対処していただくことが重要であるというふうに考えております。

泉(健)委員 大臣、私は、実はきのうも支持者の方から急に携帯電話に電話をいただきました。そこはわいせつ事案ではないんですが、今まさに子供がいじめを受けてけがをしている状況だ、今学校に来ているんだ、校長先生と話をしているんだという状況の電話をいただきました。私はそのとき言ったんです、まずは冷静になってください、お互いの言い分もあるでしょうからと。そういう中で、しかしとにかく大切にしていただきたいのは、家に帰って自分の子供さんを抱き締めて話を聞いてあげてください。不登校にしろ何にしろ、一番大切なのは、最初どれだけその傷を少なくしてあげるかだということを私はその保護者の方に話をさせていただきました。

 このいわゆるわいせつ事案というのも同様のところがありまして、先生に無理やり黙ってろと言われて、例えば我々と同じ世代やもっと上の世代でもいまだにそれを言えていない、そういう方々もいるというふうに私は思います。そしてまた、現在進行形で同様の被害を受けているかわいそうな子供たちもいるかもしれない。本当にそれは一人の人生、人格、これが否定をされかねない大切な状況だというふうに思っています。

 そういう中で、今の局長のお話がありました。確かに、プライバシーを丁寧に丁寧に守りながら調査をしていかなくてはならないという問題です。しかし、現在ほとんどその実態が明らかになっていないということも、ぜひ文部科学省、これを御承知いただいて、その実態の把握と、そして特に加害者側からもしっかりと話を聞いて、その話だけを信用してはいけませんが、どこでどういう状況でこういうことになったのか、それを防ぐためにはどんな対策が必要なのかということが、そこから見えてくるはずなんですね。ですから、ぜひともその調査というものを徹底していただきたいということも、重ねて私はお願いを申し上げたいというふうに思います。

 また、これについては、警察の方でも事実関係というものは明らかになっている部分があるというふうに思います。そういう中で、警察からも私は資料を取り寄せておりまして、例えばこんなものがあるんですね。警察の平成十七年三月三日の広報資料「子ども対象・暴力的性犯罪の再犯防止対策について」というものがありますが、この中で、これは教師だけではないんですけれども、過去、犯罪で子供対象、暴力的性犯罪をした人の中で、そこからさらに、以前同じ犯罪を起こしていたという人の割合が四割近くいる。こういうところから、よく一般に言われる再犯率が高いなんて話になるわけですけれども、こういう性犯罪の特性というものがちゃんと文部科学省の中で議論をされているのか。他省庁のこういった資料が使われているのかということも、これはしっかりと私は問いただしていかなきゃならないというふうに思います。

 この資料は、これまで文部科学省の中で使われたことはありますか。

銭谷政府参考人 大変恐縮でございますが、私自身、その資料については承知をしていないわけでございますけれども、先般来、いろいろな性犯罪が起きまして、私どもとしても警察や法務省と必要な連絡をとるなど協力を深めていく必要性は痛感をしているところでございまして、今後しっかりとその連携に取り組んでいきたいというふうに思っております。

泉(健)委員 やはりそうなんですね。ですから、ぜひこの性犯罪の特性ということについても、文部科学省の方で本当に慎重に、そしてまた迅速に検討していただきたいというふうに思います。

 加害者がなぜこういった行為に至ってしまったのかということが第一点、そして、被害者の心のケアについて各都道府県の教育委員会がどういう取り組みをしているのか、これについてもぜひとも調べていただいて、後ほど資料をいただければというふうに思います。

 そして、さらにお話をしたいんですが、大臣、自民党の方でいえば、最近は性教育についてのさまざまな取り組みをなされているというふうに私は認識をしております。それはそれで賛否両論もあると思うんですが、しかし性犯罪については、賛否両論というのは基本的にないと私は思っておりまして、その意味では、より取り組みやすいし、より取り組まなければならない、優先的に取り組まなければならない課題だというふうに思っております。

 そういったことで、大臣自身も言及をされたことでありますが、性教育の問題のみならず、学校の中でのスクールセクハラ、これは、さらに言えば、実は先生同士のものや、あるいは先生と保護者というものであったり先生と学外の別な生徒や若者であったり、いろいろなケースがあるわけですが、そういったことについて、過激な性教育実態プロジェクトチームということ以上にこの取り組みを進めていただきたいというふうに思いますけれども、ここまでの時点で大臣にその御決意をもう一度お伺いをしたいと思います。

中山国務大臣 今、いろいろお話があった中で、一つは、そういうセクハラが児童生徒に与える影響、心身に与える影響、これはずっと尾を引くものだ、そういう意味で、その児童生徒の一生を左右するような実は重大なものであるということをまず認識しなきゃいけないと私は思っております。

 それから、先ほど来話になっていますけれども、累犯といいますか、一度そういうことを犯した人はまたそういうことをやりがちだということは、これは学校現場だけでなくていろいろなところで指摘されていまして、情報の共有をするべきではないかとか、いろいろなことで取り組みが進んでいるわけでございますから、そういう意味で、学校内におけるセクハラ、スクールセクハラと今言われましたけれども、これについても私たちはもっともっと情報を集める必要がある。

 今お話がありましたけれども、原因の究明も含めて、なぜそうなったのか、どうしたらいいのかということについては、まず文部科学省の中で検討委員会を設けるなりして、これはもちろん文部科学省だけではできませんので、先ほどお話がありましたが、文部科学省としても性教育に関していろいろな調査等を行っていますから、そういったことを踏まえまして、さらに一段と、そういったセクハラ等についての対策をどうするか、こういったところまで議論を深めてまいりたい、このように考えております。

泉(健)委員 ただいま大臣から本当に前向きなお言葉をいただきまして、私は感動しております。検討委員会の設置も含めてということでのお話です。先ほども話をしましたが、今こういった問題を扱う防止の全国ネットワークというものもできておりますので、そういったところ、あるいは弁護士の方々の中でも専門的に研究をされている方がおられます。ぜひそういった実態をよくよく把握をしており、かつ第三者である方々、これは教育現場の方々ばかりですと本当のことがなかなか言いにくいということもよくある話ですので、こういった第三者、市民団体、NPO、専門家という方々に関しても、ぜひ意見をよく聞いていただきたいというふうにお願いを申し上げたい、そういうふうに思います。

 とはいえ、私は、文部科学省にもこれまでの取り組みの中でやはり過失があったのではないのかなということまであえて言わせていただきたいんです。といいますのは、平成六年から一貫してこの数というものはほぼ増加傾向なんですね。

 以前、平成十三年から十四年にかけて、中教審の場なんかでも、今後の教員免許制度のあり方ということについては議論がなされているんです。そういう中で、教職の適格性あるいは教員免許の更新という問題についても議論がなされているんですね。そういう議論があった後に、この教員の免許の法律が改正をされて、そして、教員として不適格な者が二年間で教職に復帰できるということについては、これを期間を延長して三年間というふうに改正をされた。改正をされたにもかかわらず、一方でわいせつ事案は残念ながら全く減っていないんですね。これは、残念ながら効果がなかったと言わざるを得ないわけなんです。いろいろ取り組みをしているでしょう、指導もしているでしょう。しかし、効果が出ていない。この現状をやはりもう一回重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 その意味では、教員採用制度や免許制度について、中教審が平成十四年に答申を出して以来、文部科学省でどのような話し合いがなされているのか、ちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。

銭谷政府参考人 御説明を申し上げます。

 今先生お話がございましたように、教員免許につきましては、平成十四年に教育職員免許法を改正いたしまして、わいせつ行為などによりまして懲戒免職となった教員の免許状をすべて失効させることといたしまして、加えて、再授与を受けることが可能となるまでの期間を、それまでの二年から三年に延長したところでございます。

 さらに、現在、中央教育審議会におきましては、今後の教員免許制度について、教員免許の授与時の適格性の確保、それから失効後の再授与の仕組みのあり方を含めた教員免許更新制の導入について精力的に御検討いただいているところでございまして、私どもといたしましては、こういった検討結果も踏まえながら所要の制度改正を検討し、教員の資質の維持向上が図られるように一層努めてまいりたいと考えているところでございます。

泉(健)委員 私も国会議員にならせていただいてよくわかるんですが、今の答弁は、イコールなかなか物事が進んでいないということのお答えなのかなというふうに感じざるを得ません。もっと積極的に、表に見える形でこういったことについて議論を進めていただきたいというふうに思いますし、特にその中でも、懲戒免職の処分を受け、その情状が重いと認められるときに限ってというふうに今の免許法ではなっているわけでして、その情状が重いと認められるときということが入っていることによって、結局、いわゆる内輪意識の中で処分が甘くなっているというケースがあるというふうに話がなされております。

 では、どうぞ。

銭谷政府参考人 先ほどの説明が十分でなかったかもしれませんが、これまでの免許法上は、懲戒免職を受けた者のうち情状の重い者が免許の取り上げというような形になっていたわけでございますが、平成十四年の免許法の改正によりまして、懲戒免職となった教員の免許状はすべて失効させるというふうに制度改正をしたところでございます。

泉(健)委員 済みません、そこは私の誤りでした。申しわけございません。

 そこは改正をされたということで、その方向性は私は正しいというふうに思っています。

 しかし、そういった中で実際に懲戒を受けた中でも、その懲戒という処分にもいろいろありますでしょうし、それが公表をされて、そして職を辞して、そこで被害がおさまるというケースもあるというふうには思うんですが、例えば、懲戒処分ということの中には当然入ってこないのかもしれませんが、そういったわいせつ行為等で、把握し切れない部分もあると思うんですが、自主的に退職をされるとか、そういったケースというのも私はあるというふうに思うんですが、その辺についての調査はなされておりますか。

銭谷政府参考人 本日の冒頭、先生の方から、わいせつ行為によって処分を受けた教員の数につきまして、百九十六人というお話がございました。大臣の方から、そのうち懲戒処分を受けた者が百五十五人という御説明を申し上げたところでございますが、この百九十六と百五十五の差の数でございますけれども、それが訓告とか、あるいは諭旨免職ということで、いわば自発的に免職になったという人が含まれているところでございます。

泉(健)委員 こういった諭旨免職についても教職の免許は失効ということになるんでしょうか。

銭谷政府参考人 諭旨免職の場合は失効ということにはならないわけでございます。

泉(健)委員 大臣、やはりその辺なんですね。諭旨免職、これはならないわけですから、言ってみれば、それなりに各都道府県の教育委員会もその後採用されるときにはまた調査をするとはいえ、もう一回教職にすぐ立てるという状況が残されているということも、ぜひ、もう一回検討していただきたいと思うわけです。

 中には、これまで私の聞いているケースでは、幾つかの学校でセクハラを起こし、そして毎回転勤をするわけですね。最後に大きな問題を起こしてやめて、過去の小さな事例までが表に出てくるなんというケースがありまして、やはり最初の身近な小さいセクハラというものを見逃さずにしっかり対処をする必要があるのではないかなというふうに私は思います。

 時間がなかなか少ない状況ですから、そろそろまとめに入らせていただきます。

 まず、先ほど大臣には、調査をぜひお願いしたいという話をさせていただきました。そして、検討委員会、御言及がありましたので、その検討委員会という中には民間の市民団体や弁護士、専門家をぜひとも入れていただきたいという話をさせていただきました。

 そして、さらにつけ加えれば、まだまだ現場の都道府県教育委員会、取り組みがばらばらです。ガイドラインをつくっているところもある、パンフレットを配ったところもある、相談窓口をつくったところもある、でも、まだばらばらなんですね。先進的な取り組みをしたところが、そこだけだということで、逆に、取り組みをしていない都道府県、政令市はたくさんあるということを大臣にぜひ覚えておいていただいて、学校現場での、できれば生徒の方にまで、こういう場合はセクハラなんだよ、ちゃんと相談するんだよというメッセージが届くように、いろいろな広報物をつくって周知徹底をしていただきたい、これをお願いしたいと思います。

 また、こういった免職あるいは停職、そして戒告等々を受けた先生に対する改めてのいわゆる再教育、再研修の場が、しっかりとセクハラということについて確保されているのかどうか、これも本当はきょうお伺いしたかったんですが、ぜひ、そういった場も確保をしていただきたい、そういうふうに思っております。

 まだまだこの問題、これからも取り上げていきたいと思いますし、大臣には、ぜひお力を入れてこの問題に取り組みをしていただきたいということを最後にお話をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩でございます。

 きょうは、もう既に衆議院の方では委員会あるいは本会議の手続も終わって審議が終わっておるということになっている介護保険の関連のことについて、この決算行政監視委員会で三十分お時間をいただきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私も、きょうお越しいただいた中村局長を初め厚生労働省の皆さんと同じように、介護保険が健全に持続的に安定的に成長していくということについては本当に切望しておる者の一人でございます。介護保険の充実によりまして健全なビジネスあるいは雇用が創出をされるということは望ましいことであると思っていますけれども、そのことと、介護保険という制度を悪用して国民あるいは被保険者を食い物にする不正や悪徳、こういったものが行われるということとはまた紙一重であるという視点に立って、そういうことが行われてはいけない、まさに介護予防ということが今回の改正案の柱なんですけれども、そういう不正予防ということもきちんと念頭に置いて行政を行ってほしい、そんな思いで幾つか質問をさせていただきたいということでございます。

 まず初めに、お手元に配付をさせていただきました資料の1でございますけれども、これは当委員会の理事であります前田議員の資料請求に対する回答文でございます。このことにつきましては、実は、四月二十六日付で私の方からも厚生労働省に調査を依頼し資料を請求しているところでございますけれども、この文面にあるような形で、余りにも冷たい御返答をいただいたものですから、改めて前田議員に問題視をしていただき、決算行政監視委員会の理事として同じ資料請求をさせていただいたところ、全く同じ内容の回答が返ってきたということでございます。

 問題視しているのは、この上の方なんです。「当省として、今後、介護予防サービスの内容を検討していく上で必要となる情報ではないことから、改めて調べることは考えていない」というようなこの文面なんですけれども、私どもが請求した調査依頼というものは、全国で四十三カ所行われている介護予防のための筋力向上トレーニング、マシントレーニングを行っている自治体において、そのマシンがどのメーカーのものであるか、あるいは契約形態はどんなものであるかということをお問い合わせさせていただいたわけでございます。

 このモデル事業に対しては国のお金も当然入っているわけでありまして、私ども、国政調査権というものを背景にして厚生労働省に対して調査依頼、資料請求をしたことに対してこのような回答をいただいたわけでございますけれども、厚生労働省として、何か筋トレマシンの業者を隠ぺいしたいというような思惑、意図があったということなのでしょうか。このあたりについて御意見をいただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございました介護予防市町村モデル事業に関するお話でございます。この事業は、今回の介護保険制度改革で、予防重視の観点からさまざまな予防制度を取り入れる、十八年度から実施することといたしておりますが、これを市町村に実施していただく場合のさまざまな問題点を把握するために、平成十六年度、委員から御指摘ございましたとおり、六十九の市町村でモデル事業を実施したところでございます。その中で、マシンを使った筋力向上事業をやっているのが、委員からお話がございましたとおり、四十三の事業であったということでございます。

 この事業につきましては、ちょっと御説明をさせていただきますと、二分の一国庫補助で、補助金を申請してきたのが四十七市町村、合計で七千八十万円の国庫補助をいたしておりまして、平均いたしますと一市町村当たり百五十万円の事業になっております。

 私どもの問題意識といたしましては、筋力向上トレーニングなりマシンを使ったものを行ったりする場合に、実際上、例えば、対象者の選定、事故が起きないか、どういうふうに実施した場合に人が集まりやすいか、また利用者の方々の送迎の問題等さまざまな問題がある。そういったことを検証するために行ったものでございまして、マシンそのものについては、ここに書かせていただきましたように、大変申しわけないんですが、余り関心がなかった点でございますので、報告書にもその辺の内容がなかったものでございますので、この旨お答えをさせていただいたところでございます。

 また、国会審議のプロセスで、下に書いてございますが、マシンを用いた筋力向上トレーニングにおいても、マシンの費用については、十八年度以降の実施の場合にも、個別に介護報酬の対象とすることは考えていない旨御答弁申し上げておりますので、そういったことも含めて、四月二十六日の段階には中根委員にもこういうお答えをいたしましたので、その旨を御報告したところでございます。

中根委員 中村局長はマシンについて関心が薄かったということであろうかと思いますけれども、局長が関心が薄いということと、今御答弁いただいたように、国費が七千八十万円ですか、入っている、そして、私はそのことについて関心を持たせていただいて調査をお願いしたということについて、局長が関心が薄いからといって、こんな冷たい回答をする、全く答えるつもりはないという冷淡なことを言うというのは、ある意味では、これは厚生労働省の姿勢が問われることになろうと思いますし、国会あるいは国会議員というものに対するとらえ方が、やはり局長の中で非常に軽いものとしてしか見られていない。少なくとも、私、中根康浩とか前田雄吉議員は、そういう存在であるということであろうかと残念な思いがするわけでございます。

 これは四月二十六日に資料請求をしたわけで、すぐにお願いできるとは思っていませんでした。当然、四十三の自治体に最低電話をするなりなんなりをするということの作業が必要でありますのであれですけれども、四月二十七日には委員会で介護保険法の改正案については採決が行われたわけですし、その後、五月十日には本会議での採決も行われた。私としては、採決に際しての賛否を判断する重要な判断材料にさせていただきたいというふうに思っていたわけでございますので、そういった意味でも、局長の関心がなかったということだけでこのことを素通りさせることはやはりできないというふうに考えさせていただいております。

 それから、個別に介護報酬の対象とするということではないということは委員会の審議の中でも明らかになっていますけれども、しかし、マシンを使って介護予防サービスを提供すれば、おのずと介護給付費用の中にこういったものも含まれてくるということは当然そういうふうに考えるべきであろうと思います。「個別に介護報酬の対象とすることは考えていない」、すなわち、筋トレマシンを加算の対象にしないということであっても、これは、全体としては介護予防あるいは介護給付の対象になっていくわけで、保険あるいは税金の対象になっていくわけでありますので、局長あるいは厚生労働省の御対応というのは不的確であったと指摘せざるを得ないと思います。

 それと、局長は関心がなかったというふうにおっしゃいますけれども、局長は、このマシンあるいは介護予防、筋トレということに関して大いに関心があったはずであろう。私は、これはきょうのストーリーにはなかったことかもしれませんが、今関心がなかったというふうにおっしゃるものですから、関心があったんじゃないのというふうに、そういうことをこれから指摘していかざるを得ないということでございます。

 厚生労働省は、きょうは固有名詞をなるべく避けて質問をしなければいけないというふうに言われておりますので、固有名詞はなるべく避けていきますけれども、2、3の資料、この中に、メーカー名として十七あるのが酒井医療という会社でございます。これは資料として出てきますので固有名詞を挙げますけれども、酒井医療という会社から十七購入している。それから、鍛錬という会社から十四購入しています。

 厚生労働省として、この酒井医療とか鍛錬とかというのはどんな会社か、あるいはそれぞれの会社が売っている価格は幾ら程度のものか、把握していらっしゃいますか。お尋ねします。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員からお示しいただきました資料、経過の引き続きの御報告でございますが、私ども、個別のメーカー名について余り関心がなかったと申し上げたわけですが、委員の方から、国庫補助も入っている、こういうことをきちんと調べるべきではないかという御指摘を踏まえまして、二枚目、三枚目にございますように、筋力向上プログラムを実施した四十三の市町村に対しまして、マシンのメーカー、台数、契約方法等を照会し、まとめて御提出したものでございます。以上が御報告でございます。

 そこで、今お尋ねいただきました酒井医療なり鍛錬、ここが多くの自治体に、十七自治体、十四自治体に入っているということでございますが、私ども、マシンメーカーの会社の実態を把握する立場に余りないものですから、二社について余り詳しい実態を承知しておるものではございません。

 酒井医療については、みずからマシンを販売しているということで、この酒井医療のマシンはもともとはドイツで製作されたマシンで、当初は輸入して販売されておられたようでございます。最近は、国内でも、先方からの契約をとって販売し、やっているものでございますが、もともとはドイツ製の機械というふうに承知しております。六台セットがフルセットで売られているということでございますが、一台ずつ売ることもあり、マシン一台当たりの平均価格はおおむね百万円、こういうふうに聞いておりますけれども、実際の市町村の購入価格などを見ますと、ある市町村では、酒井医療機器のエクステンションのマシン一台百四十一万円で購入されているというようなケースがございます。

 鍛錬というところは、製造メーカーでございますが、東京ネバーランドという販売業者を通じて販売しているようでございます。四台セットが一セットであるようでございますが、四台セットの価格が百七十八万五千円というケースが見られましたので、一台当たりの平均価格は四十万から五十万円、こういうふうに承知しております。鍛錬の方は国内で開発したメーカーだ、こういうふうに承知しているところでございます。

中根委員 指摘されたから出させていただいたということなんですけれども、指摘してすぐ出していただいたわけでもないし、むしろ、指摘したから出させてもらったという消極的なことではないやり方をこれからはお願いしたいというふうに思います。

 それで、今、メーカー、販売、話が出ましたけれども、あるモデル事業をやった自治体に伺わせていただきました。その関係者の話によりますと、あるというふうにしておきますけれども、あるNPOが平成十三年に開発したものをその自治体ではモデル事業として平成十六年に購入して使用している。そして、そのNPOと同じ市谷のビルの中にある、ある会社から買ったというふうにその方は証言をしておられるわけでございます。

 その会社は今、販売業務は例えばきょう現在は行っていずに、介護予防筋トレマシン販売局という名称を使って一応存在しているということなんですが、そのマシン、あるとかそのとかということばかり言いますから申しわけないんですけれども、あるNPOが開発したマシンを、同じ事務所にある、ある会社を通じて購入して、その会社は介護予防筋トレマシン販売局という名前に変わっている。

 それで、その販売局を通じて買ったマシンは、今局長が名前を出していただいた東京ネバーランドというところがメンテを行っているということでございまして、なかなかこの筋トレマシンの製造、販売あるいはメンテについては、いろいろと、NPOとか、あるいは名前を変える必要が何かあった会社とかがかかわっているようでございます。

 そして、このNPO、あるNPOとさっき称しましたこのNPOなんですけれども、このNPO法人が、実は販売者の一つであったというわけであります。メーカーは、この資料で出していただいたように、酒井医療とか鍛錬とかということなんですけれども、販売については、こういうふうに一つのあるNPOがかかわっているということは多分明らかな、確かなことであろうというふうに思っています。

 そして、このNPOは、介護保険の今回の改正案やあるいは介護予防について、さまざまな形で数多く研修会などを行っているわけなんです。つまりは、研修会あるいは講習会を行った上でマシンを販売したということだというふうに思っています。

 そのことについて少し触れていきたいと思います。

 さっき中村局長はこのマシンについて関心がないというふうにおっしゃっておられましたけれども、このNPOの研修会に厚生労働省の職員の方が何度も何度も講師として出かけていっているわけでございます。これは、あえてこの委員会では固有名詞は出しませんけれども、皆さん、ホームページをごらんいただけば、ホームページ上でも明らかになっていることでありますので、一目瞭然であります。

 例えば平成十五年の五月二十三日の金曜日の研究会には、十四時から十六時、審議官が一名。平成十五年の七月二十五日の金曜日のNPOの総会には、十六時二十分から十七時五分に局長が一名話をしておられる、十七時十分から十七時五十五分には審議官が一名話をしておられます。それから、平成十五年の十月六日月曜日の講習会には、十三時三十分から十四時三十分、課長補佐が一名。平成十五年の十二月八日の月曜日の研修会には、十時から十時十五分、局長が一名あいさつ、十時十五分から十一時十五分、課長が一名お話をされておられます。平成十六年の六月二十一日の月曜日、十六時五十分からは課長が一名。六月二十二日の火曜日には、九時から十時、それから十三時十分から十四時十分で課長が二名、十五時二十分から十六時三十分、計画官の方が一名。それから、十七年の三月三日の木曜日の事例報告会というものに際しましては、十三時五分から十三時十五分、来賓あいさつとして局長が一名、十三時十五分から十四時の基調講演に課長が一名講演をされておられるわけでございます。

 このNPOが行っている研修会とか講習会とかというのは、ホームページでもごらんいただけばわかりますけれども、今回の介護保険改正法案、介護予防、そして、その中には、筋力向上トレーニング、マシン、こういったものを含めた研修あるいは講習内容ということになっているわけでありまして、先ほど局長は、マシンについては、あるいはメーカーについては関心がなかったというふうにおっしゃっておられますけれども、必要以上に、十分以上に関心を持っておられたというのが事実であろうと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 今NPOの件につきましていろいろ御指摘がございましたので、お答えを申し上げます。

 御指摘のNPOは、福祉政策の分野で先駆的な自治体で構成されている会員市町村が高齢者保健福祉や子育て支援などの施策を展開していくため、都道府県や市町村の職員を対象として、人材育成を行ったり、情報提供などの政策的支援を行う目的で、介護保険導入前から活動されておりましたけれども、平成十三年に、法人を取った方がいいということで設立されましたNPO法人でございます。

 また、先ほど来話に出ております筋力向上トレーニングの機器につきましては、これらのメンバー市町村から、介護予防に取り組むに当たって、当時販売されていた機器が高額であったため、安価な機器を求める声が多くあったことから、これを受けて開発されたものと承知しております。

 こうした開発の経緯もあり、当該NPOは、平成十五年度末までの間、メンバー市町村等にこの安価な機器の紹介を行っていたことは事実でございますが、御指摘ありましたように、NPOとして販売は行っていなかったと聞いております。

 それから、当該マシンのメーカーが業界の慣例により直販ができなかったので、購入を希望する市町村が、当該NPOの関連会社、これが今委員から御指摘があった同じビルにある会社ということだと思いますが、平成十五年度末まで販売代理業務を行っていましたが、利益を目的としたものではなく、価格設定もマシン本体価格に運搬や設置にかかる費用を足して設定していた、こういうふうに聞いております。

 それから、そのNPOに対しまして、私どもの職員がさまざま講師で行っている、こういう御指摘がございましたが、このNPOの研修会は、メンバー市町村を中心とする市町村職員、一部都道府県職員も入った職員を対象に国の施策の動向などを講義するものであり、公務の一環として出席いたしております。当然、講師料は一切受け取っておらず、また、交通費につきましては、自費または実費弁償しているところでございまして、これらの一連の手続は、国家公務員倫理法上適切な取り扱いを行っているものでございます。

中根委員 御説明いただいたことはそのとおりまずは受けとめさせていただきますけれども、きょうはそういう言葉を聞くつもりはなかったんですけれども、先ほど局長は、マシンや介護予防については関心がなかった、だから私どもに資料提供をする必要はないということをおっしゃったものですから、このように、そうじゃない、厚生労働省は、局長も含めて老健局、皆さん当然のことながら、マシンを含めた介護予防あるいは介護保険の改正案について、関心があるとかないとかというレベルじゃなくて、改正法案の当事者でありますので、十分関心を持っていろいろと取り組んでおられた、そして、こういうNPOの研修会や講習会にも参加をしていたということで、関心は当然あるわけであります。その共通の関心項目だったわけですので、何でこのマシンについて我々が資料請求、調査依頼をしたことについて関心がなかったと言って拒否をしたのかということを先ほどから申し上げているわけでございます。

 そして、今、公務でNPOに出かけていっているということでございますけれども、公務ということであると、要するに、講師料や何かももらっておられない、したがって、例えば休暇をとって行っているということではない、まさに公務として行っていると。それでは、このNPOは特別なのか。あるいは、何かそのほかのNPO法人が局長や課長に介護保険について話してほしいという依頼があったら、ほかの場合でも公務として出かける可能性はあるわけですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 このNPOは百を超える市町村が参加しておられますし、研修会には会員外の市町村なども来られているということで、私ども、どこで線引きをするかというのは悩ましい点もあったりするわけでございますが、介護保険あるいは通常業務につきまして、多くの市町村の方が集まる場面、事業者の方が集まる場面、あるいは高齢者の方御自身、例えば老人クラブ連合会とか、そういった場面、業務の繁閑、支障がない限りできるだけ多くの場に出席し御説明をし、また御意見を賜るように心がけているところでございます。

 したがいまして、いろいろ説明してくれないかというような御要望を承ることが多いわけでございますが、そのときそのときの業務の状況、それからその会の趣旨、集まっておられるメンバーの方、私どもも御説明あるいは広報の一環になるわけですから、あくまでもそこの効果との関連で判断をさせていただいております。

中根委員 それから、このNPOは、政策指南役というものを設置して登録して、勉強会などに派遣する事業も行っているわけであります。派遣に際しては、派遣された政策指南役に交通費、実費あるいは若干の謝礼を払うということになっておるわけでございまして、ホームページ上でもこれは明らかになっているわけなんですけれども、この政策指南役のリストの中に、厚生労働省の職員と思われる、同姓同名の別人なら別ですけれども、そういった方々も登録されているわけでございます。

 時間がないのでまとめて質問を申し上げますけれども、先ほど申し上げたんですが、市谷のビルの中にこのNPO法人とか、あるいは先ほど指摘した会社とは別の団体がまたあるわけなんです。その会は介護オンブズマンのような業務、国の介護相談員派遣事業に基づいた派遣事業をサポートする業務を行っている会がそこにあるわけなんですけれども、その会が行う研修について、厚生労働省の老健局の計画課の名前で、指定都市あるいは中核市介護保険担当課あてに事務連絡が通知をされているわけでございます。

 これは配付させていただいた資料の4でございますけれども、このNPOやそこにある会社、あるいは同じ住所、同じビル、同じ部屋の中に存在している、ここに具体的に書いてありますので、介護相談・地域づくり連絡会、こういったものについて、この研修会は三万五千円の研修費を払って参加をしてもらうというものでございますけれども、要するに、こういった特定の法人、特定の団体、特定の会社について、余りにも厚生労働省が肩入れをし過ぎているのではないかということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 そんなことで老健局はここまでで結構なんですけれども、今申し上げましたように、私どもが関心を持って、そして国政調査権を背景として質問をさせていただいていることについては、くだらない質問だなと思うことは恐らくあるでしょう。あるでしょうけれども、私どもは、いろいろな判断に基づいて、必要だと思って請求させていただいたり調査をお願いしているわけでございますので、パブリックサーバントとして、国民全体の奉仕者として働いていただいておる国家公務員の皆さんについては、つまらないと内心思ったとしても、国民の代弁者として私どもは働かせていただいているという自負は持っておりますので、ぜひとも真摯に、誠実に対応していただきますようにお願いを申し上げます。

 最後に一つだけ、年金について。福祉施設、本来給付に回るべきものがむだな福祉施設として使われていた。そして、そのことがこれから売却をされていくというようなことになっていくわけなんでございますけれども、実は国保についても同じことが繰り返されるのではないかという心配がありますので、一つだけ指摘をしておきたいと思います。

 山口県の国保連合会が二十一億円を使って国保会館をつくっている。それから、滋賀県の国保連合会が六億円余りを使って国保会館を新築している。国保は、厚生労働委員会でも国保の改正法案が審議をされたわけなんですけれども、国費が半分入っている、そして、それぞれの自治体においては赤字が続いていて、非常に厳しい状況が続いている。にもかかわらず、年金で指摘をされた流用、むだ遣いにつながるおそれのある箱物が、保険料や税金を使ってまたこういうふうに、今指摘したように滋賀県や山口県などでつくられているということがあるわけでございます。

 こういったことが保険料のむだ遣いあるいは国保財政の圧迫につながりはしないかというふうに心配をさせていただいておりますけれども、厚生労働省としてはどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。

中村政府参考人 中根先生の国政調査権の件、大変失礼をいたしました。今後とも気をつけさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それから、事務連絡の件でございますが、一つだけ御説明させていただきたいのは、介護相談員というのは、介護保険を入れるときに当時の厚生大臣が、それまで市町村の措置制度であったということで、市町村の力が強いので事業者の方に対して指導監督できたけれども、介護保険になると契約制度でございまして、事業者に対して利用者の方が弱い立場に置かれるのではないか、したがって日本型のオンブズマン制度が必要じゃないかということで、介護相談員という方が施設などに行って、入所者の方が直接施設に言えない苦情などを聞いて、それを胸にしまって帰ってきて市町村なり都道府県に伝えて改善を図る、こういうまさに利用者のためのオンブズマンでございまして、私どもがこれをいわば介護相談員の方々にお願いしてやっていただいている。

 四千五百人くらいまでできてきたということで、私どもの大事な制度だと思ってやっておりますので、そういう観点から計画課の方で広く呼びかけているという点でございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。

 資料の御請求の点については、心して対応させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

水田政府参考人 国民健康保険団体連合会についてお尋ねがございました。

 この団体は、都道府県知事の認可のもとに、国保の保険者が共同して国保の審査、支払い等の業務を行うものとして設立されている法人でございまして、国保保険者、市町村、国保組合を会員として自主的に運営されているものでございます。

 各都道府県の国保連合会における事業の実施に当たりましては、都道府県の指導監督のもとに、その必要性、妥当性等を十分に勘案して、理事会等の内部手続を経て適切に行われるものと理解しております。

 会館、事務所をどうつくるかということにつきましては、基本的には、団体事務でございますし、都道府県の指導監督ということで関係しているもの、このように承知しております。

中根委員 終わります。ありがとうございました。

細川委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 本日は、決算行政監視委員会に関する質問を私、二題用意させていただいておりますので、手短にそれぞれ御答弁いただいて、きょうは皆様に御指摘をさせていただく中で対応をお願いし、そしてその変化を見た上で、また後日改めて質問させていただくかもしれないということをまず冒頭にお話しさせていただきたいと思います。

 最初は、外務省関係の質問でございます。私、この五月の上旬に、NGOの活動を拝見させていただきに東南アジアの国々にお邪魔をしてまいりました。東南アジアの国々で実際に活動されているNGOの皆様方からの御意見の中で、いろいろ外務省に関する御意見を伺ってきました。折しも、ことしの三月に、総務省行政評価局より、外交・在外業務実施体制及び運営に関する行政評価・監視結果報告書というものが出ました。この報告書の中で指摘をされておる案件でもありますし、また、これまでかねがね指摘をされてきたODAの問題などを含めて、きょうは質問させていただきたいと思います。

 まずは、NGOと外務省との関係でございます。

 NGOの皆様方はどのように外務省のことを見てみえるのか。今回の総務省の行政評価局の採点表によると、「NGOとの新しい関係」、こちらの総括表を見ますと、ほとんど、七項目のうちの六項目が、実績や成果が上がっており改善が進められているというふうになっておりますが、現地NGOの皆さん方のお声は、そうではないものが多かったように思います。

 今回の総務省の評価、これを受けて外務省としては、現状で満足をされているのか、それとも、さらなる改善点、どういうものが必要だと認識をされているのか、まず答弁いただきたい。

河井大臣政務官 お答えをいたします。

 先生、実際に現地に行かれて見てきたということで、鋭い御指摘をいただいたものと思っております。

 私も、去年の秋に政務官として外務省に入るまでは、どうもNGOと外務省は余りうまくいっていないんじゃないかとか、重視をしていないんじゃないか、そういうふうな認識も抱いておりましたけれども、今実際、政務官として経済協力を担当しております。外務省とNGOというのは、あくまでも車の両輪として、両方とも欠くべからず、重要な考え方を持って、国際協力においてNGOの役割を高く評価いたしておりますし、これからも積極的にそういうふうな認識を持っていきたいと考えております。

 具体的には、NGOに対する支援の強化といたしまして、去年二十八億円余りNGOに対する支援の無償資金協力を行っております。また、NGOの中には、まだまだ組織が強くないところもあります。人材が育っていないところもあります。そういうところに対して、三億円、NGO活動環境整備事業というものを今つくっております。また、先生が行かれた国にあるかどうかはわかりませんですけれども、十二の主要な途上国におきましては、現地の大使館とそれぞれのNGOの皆さんとの定期協議会、ODA大使館と言っているんですけれども、これを開催しております。また、本省におきましても、一年間に七回のNGOと外務省の定期協議会も行ってきております。

 御指摘のとおり、NGOとの支援強化、連携強化は、しっかりと念頭に入れて仕事をしていきます。

岡本(充)委員 きょうは、総務省の行政評価局長さんにも来ていただいておると思いますけれども、今回のこの行政評価で見ると、あたかもNGOと外務省の関係は実に実績が上がっていて、そして効果が出ているかのごとくとらえられてしまうかもしれない。しかし、現地の声はそうじゃなかった、私はそう思っている。これを指摘としてさせていただく中で、今回の評価は、確かに外務省改革の一環で、外務省が挙げた項目に基づいて見ていったと言うけれども、この枠を超えて、実際にNGOの声として、分厚い評価書をいただきましたが、この評価書の最後の方にも載っているけれども、実際、生の声としていろいろな御指摘、御不満があるわけですから、それを拾うような評価をしていかなきゃいけないと思うんです。

 今後の評価のあり方、今の評価のままでは現状をうまく反映していないんじゃないか、そのように思うんですが、それについての御答弁。

田村政府参考人 ただいま御指摘の外交・在外業務実施体制及び運営に関する行政評価・監視では、まず、御指摘のように、外務省みずから策定した外務省改革行動計画に基づき適切に措置を講じているかどうか、講じている場合にはその実績や成果が上がっているかということで評価をしたものでございます。

 御指摘のように、ヒアリングした関係団体がNGOを代表する関係団体三団体でございますので、その意味ではカバーの範囲が狭いわけでございますが、その中におきましてもやはりいろいろな意見が出ておりまして、NGO諸団体への職員派遣で職員派遣期間を延長してほしいだとか、国別援助計画の政策協議の際のタイムスケジュールを事前に提示してほしいだとか、あるいはNGOの支援無償資金協力の審査期間の短縮化、審査基準や処理期間の明確化、そういった細かい意見がいろいろ出ておりますので、そこも含めまして総括的には改革を進めているという評価をしておりますが、そういった今委員御指摘のいろいろな細かい問題もあわせまして外務省に通知をしているところでございますので、それをまた踏まえて、さらにNGOとの新しい関係が構築されることを期待しております。

岡本(充)委員 今総務省から御答弁をいただきましたけれども、実際の声を拾っていく作業というのは大変な、膨大なものであります。

 もう一つ私が聞いてきた声としては、現地での大使館とNGOとの関係ということについて見たときに、今河井政務官の方から話がありました、NGO大使館を設置した、また会議を定期的にやっていると。場所によっては、一月に一回やっているところもあるかもしれませんが、開催の間隔がもっと間遠なところもあるようですし、その会議も、残念ながらNGOとともにという形ではなく、車の両輪といいながら、実は片っ方のタイヤは大変いいタイヤで、片っ方はぼろぼろのタイヤだ、しかも小さなタイヤだと。こういう両輪では回らないわけです。

 そういう意味では、私は、NGOがちゃんと対等な両輪として回れるように、政府としてもそのことに心して外務省そして在外公館に指示を出すべきだと思うわけです。

 そういった中で、特に今回、外務省のこの評価の中に載っていたNGOとの連絡センターだとか、それからNGOに対するさまざまな意見交換会、主に東京のものが多い。私は、現地に行って、しかも現場で、大使館の中じゃないですよ、大使館の中でクーラーのきいたところで会議をやっているんじゃなくて、現地に出ていって、汗をかきながら、どういう仕事をしていて、どういうことが問題なのかというのを見てくるべきだと思うわけですよ。

 政務官、どうですか。

河井大臣政務官 御指摘のとおりだと考えておりますので、なお一層、真の車の両輪となるように、しっかりと指示をしていきたいと考えております。

 その一方で、やはりNGOの中には、最初言いましたとおり、なかなかまだ人が育っていない、お金が十分ない、そういう人たちもいますので、それについては外務省が、今一生懸命外務省改革の中で応援をしている、一生懸命手助けをしているということも御理解をいただければありがたいと存じます。

岡本(充)委員 ありがたい御答弁、ありがとうございます。

 続いて、ODAのことについて少し聞きます。

 ODAの評価のあり方、これについては、大変残念なことながら、平成七年、平成九年の行政評価で、特に平成九年で問題を指摘されておきながら、また同様に今回も、第三者機関による評価は同様の改善の措置が必要だという指摘を受けている。本来であれば、一回指摘を受けておきながらまた改めてことしも、八年たって同じことを指摘されるということはあってはならないと思うんですけれども、これに対して外務省としてどのように認識をし、そして今度こそは改善をするという思いがあるのか。

 またもう一つ、総務省の方にもあわせてお聞かせいただきたい。

 こういう体制で、一年ごととか一年半ごとにフォローアップをしているんだという説明は聞いている。だけれども、同じことがこういうふうに繰り返されるのであれば、行政評価のあり方として、もっと長期のフォローアップをしなきゃいけないんじゃないか。改善ができていなくて結局今回も指摘を受けるわけだから、だとすれば、その改善がしっかりなされない場合には、もっとほかの措置を考えなければ同じことが繰り返されていく、そのように思うわけですが、その改善点について。それぞれ手短にお答えいただきたいと思います。

河井大臣政務官 お答えいたします。

 まず、評価についてですけれども、先生も御指摘いただきましたが、有識者とかNGOの代表者からODA評価有識者会議、これによる第三者評価を実施しております。また一般の国民の皆さんに実際に現場に行っていただく民間モニター事業というものも、ことしは九十人行っていただいております。それから外部監査、抜き打ち監査ということで、外務省改革の文脈で現状のところでき得る限りのことは行っている、そういうふうな認識でありますが、なお一層、改革には終着駅はありませんので、しっかりと指示をしていきたいと考えております。

田村政府参考人 お答えいたします。

 私の方も、フォローアップで十分な成果が出ていない場合には、再度行政評価・監視をすることも含めて対応を考えてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 きょうは財務省の副大臣も来られているようでございますからぜひ御指摘をさせていただきたいんですけれども、こういう後追いで行政評価をする、政策評価をするということは、極めて重要なテーマにもかかわらず、残念ながら今総務省で何人これに当たっているかといったら百八十人だという話なんですね。

 このぐらいの分厚い本はそうなかなかないですけれども、これに似たような、大変大きな行政評価・監視結果報告を年に何回か出して、それを定期的にフォローアップするといっても、かなりマンパワーとしても不足があるし、やはり、私きょう別に局長さんの肩を持つわけじゃないけれども、確かに、やっていることに物理的にも限度があるんですね、言われなかったけれども私はそう思う。だからこそ、ぜひ政府部内でも、こういう行政評価のあり方、そしてその後の後追いのあり方というのを一度話題に出していただきたい、そう思うんですけれども、いかがでしょうか。

田野瀬副大臣 ただいまの御指摘、我々といたしまして財務省内でしっかりと検討させていただきたい、また予算の査定におきましてもしっかりとさせていただきたい、このように思います。

岡本(充)委員 続いて、もう少し外務省の方に伺いたいと思います。

 今、ODAの抜き打ち査察をしているというお話でしたが、私が現地で聞いた話では、どうも事前に通告があったり、事前にある程度の調整をしたりしてODAの査察に行っているケースが多いようにも思うわけですけれども、無通告と、そして通告して行ったODAの査察、それぞれの数、今おわかりですか。

河井大臣政務官 原則的には、抜き打ちはあくまで抜き打ちなんですね。ところが、相手国が絡んでいる場合は、外交的な配慮もございますので二週間前に通報をすることにいたしております。

 去年の実例で言いますと、草の根・人間の安全保障無償が九百件、NGOを含むその他の無償資金協力が五十件、それらは抜き打ちで行っております。円借款につきましては、平成十四年度から、相手国の実施機関に対してそういう形で抜き打ちによる外部監査を導入いたしております。

岡本(充)委員 今、抜き打ちでやっているというふうに言われたけれども、実際には、現地で情報をかなり皆さん御存じで、来られるという話が聞こえているという話も言ってみえます。どういう形で抜き打ちをされているのか、また後日、ちょっと時間もないものですから、させていただきたいと思います。

 それからまた、無償資金協力に係る一般競争入札の実績ということで実績表をいただきました。平成十六年の四月から七月分は一〇〇%一般競争入札になったと言っています。しかしこの一方で、これは日系企業に限っているわけでありまして、現地企業を含めて、そしてまたもっと言えば、今回行政評価の対象になっていませんけれども、現地での実際のそのさらに先の事業について、残念ながらこれ、資料は今回なかったわけです。

 ちょっときょうは指摘にとどめさせていただきますが、この部分も本来であれば一般競争入札をしなければいけないわけですし、そしてまた、もちろん、きちっとその業者ができるかどうかの評価をしてやらなきゃいけないのも事実ですけれども、できる限り有効にODAを使っていかなきゃいけないと思っています。

 私が見させていただいたある病院、病院に行ってきました。この病院の中では、実際に検査の機器があってもこの機器が使われていない、実際に例えば手術室があってもその手術室が使えない、こういったまま放置されているケースがあるわけです。

 これは日本としては、いい援助をした、検査ができるようになったじゃないか、例えばそこに手術ができるようになったじゃないかといって手術キットを送ったかもしれないけれども、これだけではだめで、そこに例えば技術指導。もちろん技術指導しているんだと言うかもしれない、でも実際に検査をやっている人の検査技術を見れば、例えば超音波の検査をしているその検査の技術を見れば、どう考えてもまだまだこれでは十分とは言えない。

 検査をして、そして、では今度は治療をしなきゃいけない。治療の手段は今ないんです。検査をしたらそのままお手上げです。はい、あなたはがんですと言われたら、ああ、がんですかといって、そのままなんですよ、今。こういうことが本当に検査をする意味なのか、そこまで考えてもらいたいんですね。検査のキットを送るのなら、その治療もなければ、がんだと診断してそのまま放置しておくということが、果たしてそれが有効なのかどうかというのはだれが考えてもわかる援助の仕方だと思います。

 さて、そういった中で、もう一つ指摘をさせていただきたい。今般のウズベキスタンの情勢について、今いろいろ新聞報道等がありますが、これも同じように、大使館のあり方、大使館などの業務の見直しというのが今回のこの評価書の中にも入っております。大使館の業務の見直しという観点で考えたときに、今回のウズベキスタンの情勢把握、どのような形で行っているのか。日本の大使館が本当に現地に行っているのか。

 危ないから行けないんです、もしくは行く手段がないんです、こう言うかもしれない。だけれども、僕もう時間がないから先に言っておきますけれども、例えば近くまで行っておくとか、タシケント、首都から現地までは距離があるわけです。近くまで、行けるところまで行っておいて、入れるようになったらさっと入るようにしないと、入れるようになってから、やおらよいしょと立ち上がって、ゆっくり首都のタシケントから現地まで行っていたら、その間に情勢は変わってしまうんです。

 近くまで行って、入れるようになったらぱっと入れる、こういうような体制で情報収集をしたり、現地に実際に現地人のスタッフを派遣するなり、こういう形で情報収集をしないと。ちょっと事前にお話を聞いたら、大使館の中で情報収集をしています、大使館の現地職員の中に親戚がいる人が一人いた、その親戚の人からの情報だけです、これが日本の情報技術力なんですか。私は大変情けない。現地スタッフのいとこだか何だか知りませんが親戚が一人そこにいて、その親戚の人からちょっと聞いた話が日本の外交の大きな柱になっているようでは大変情けないと思うわけです。

 そういう点もあわせて指摘をさせていただきながら、今回のウズベキスタンの情勢、欧米各国と並んで安全保障理事国に入ろうと日本ならではの取り組みをされていると思いますので、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

河井大臣政務官 フェルガナに在留しております日本人は二名だというふうに考えておりますが、お二人ともお元気であります。

 それで、今先生も御指摘の、タシケントから当地まで二百三十キロ離れている、あるいはいろいろな道路の状況等々を考えて、現状のところではその市内に日本の大使館から職員は派遣はいたしておりません。おりませんが、さまざまな情報源と連絡をとったり、あるいは関係各国と情報交換、そしてウズベキスタンのいろいろな治安とか情報当局から接触とか、内話と言うんですが、そういうものが拾えておりますので、現地に行くことも重要ですけれども、現地に行く以外の手段でもできる限りの情勢の把握に今努めております。

 また、きょう、ウズベキスタン政府によって、駐在各国大使が参加をする視察団が派遣される予定になっております。これはまだ流動的なんですけれども、実現されましたならば、我が国の楠本駐ウズベキスタン大使もこれに参加をする予定にしております。

 いずれにしても、情勢の把握と邦人の安全確保には全力を挙げて取り組んでおりますことを報告いたします。

岡本(充)委員 ほかの情報把握の方法といっても、政府機関が治安部隊を出して撃ったとかいう話なんだから、当然、政府の方が、これだけ人を撃っちゃいましたなんという話をするはずがないのが一般的なんですよ。だから、政府から聞いた話は一方的な話なんだ。また、その一方で、もう一つの情報源、多分現地の新聞です。現地の新聞だって同じです。

 私は、やはり現場を見ていただきたい。NGOの話もそうです、ODAの話もそうです、現場を見ていただきたい。大使館から外へ出ていただきたい。外へ出て実際に情報収集をしていただきたいという御指摘を最後にさせていただいて、時間の関係もありますので、次の話題に移らせていただきます。この問題については、また後日、追ってお話をさせていただきたいと思っています。

 もう一点だけ、お話をちょっとつけ加えさせていただくと、外務省の中でこのウズベキスタンを担当する中央アジア、コーカサス部門は、課ではなくて何か室みたいなんですね。こういう中央アジアも大変重要な日本の外交相手でありますし、また、これから資源の問題でも、そしてまた、これから先イスラム各国とおつき合いする中でも極めて重要な国の一つになっていくわけですから、しかもなおかつ、中央アジアといいながら欧州局に入っているというところですから、近々の組織改正の折には、ぜひこういった部局にも十分なる対応をしていただきたいというふうに思って、指摘をさせていただきます。

 さて、今回の質問、もう一つ、全く話は変わるわけですけれども国土交通省の方にお伺いしたい。

 今回のJR西日本の事故は大変悲惨なものでありますし、二度とあってはならないというか、残念ながらJR西日本ではこれまでも多数の、複数名以上の死者が出る列車事故が起こっているわけでございます。JR西日本で繰り返されるということは、先ほどの指摘ではありませんけれども、前回の信楽鉄道のあの大きな事故を含めて、その反省が本当に、真に生かされているのかどうか、私は甚だ疑問でありますけれども、鉄道の安全、これは電車だけではないんですね。今回指摘をさせていただきたいのは、踏切の件について御質問させていただきたいと思います。

 踏切の安全を確保する、また、踏切の改良をするという意味で、平成十三年に踏切道改良促進法という法律が改正されました。時限立法で今年度までというふうになっていると承知をしておりますが、この踏切道改良促進法によって、この趣旨では、文字どおり踏切道を改良して、それを促進していこうという話だった。実際に施行された平成十三年から何件、これを適用されて改良が促進されたんでしょうか。

蓮実副大臣 お答えいたします。

 踏切道改良促進法では、踏切道の改良事業を促進するために、五年間の期間を区切って、集中的に改良する必要のある踏切道を国土交通大臣が指定をし、道路管理者と鉄道事業者が協力をして改良しなければならないことになっております。

 平成十三年の改正では、この法律の期間を五年間延長するとともに、次の二つの新たな制度を創設いたしております。

 一つは、改良の必要な踏切道の指定について、地域の実情にきめ細かく対応するため、都道府県知事が鉄道事業者、道路管理者等の意見を聞きまして、国土交通大臣指定の申し出を行うことができることといたしました。二つには、改良の指定が行われた踏切道について、道路管理者と鉄道事業者との協議が成立しないときには、国土交通大臣が裁定を行うことができることになりました。

 これまで新たにこれらの制度を適用した事例はありませんが、平成十三年の改正以降、国土交通大臣は、立体交差化百八十カ所、構造改良百四十五カ所の合計三百二十五カ所の踏切道を指定しておりまして、平成十五年度末までに、そのうち約九割が改良を実施しております。

 現行の踏切道改良促進法は今年度で最終年度を迎えることになりますが、事故の防止、円滑な交通の確保の観点から、改良の必要な踏切道はまだ多く残されておりますので、来年度以降の法改正について積極的に検討をしてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 簡単に言うと、平成十三年に改正したんだけれども、この改良促進法に基づいて改良促進された踏切はゼロなんですよね。平成十三年に踏切を改良しようという意図を持って国会に提出して、法律改正して、ゼロ。これはやはり、本当に改良する意欲があるのかと疑われてもいたし方ないと思うわけです。

 そういった中で、私、今回指摘をさせていただきたいのは、例えば、国土交通省鉄道局長、道路局長、あと都市・地域整備局長の連名になった平成十三年十月一日の踏切道の拡幅に係る指針について、こういう指針も平成十三年に出ています。この指針によると、こういう踏切道の拡幅について、また改良について意欲的にやっていくということを私は感じるわけです。

 こういった中で、実際に、地方自治体と、その道路を管理する道路管理者と鉄道事業者との間で協議をしていく。この協議の場、幾つかあるわけですけれども、例えば、愛知県の場合には、愛知県の中で連絡調整会議というのがある。これは年に何回開かれているかといえば、年に一回しか開かれていない。年に一回しか開かれないこの連絡調整会議で、踏切道の改良をしようと言っていく。なおかつ、改良促進だといって促進法はつくったけれども、一件も適用しない。これでは踏切道が改良していくとは思えない。事故があって、死者が出なければ物が変わらないというのであれば、これはJR西日本のことを責める資格は国土交通省にないですよ。だから私は指摘させていただいている。

 未然に防がなきゃいかぬ。未然に防ぐという意味において、この踏切道拡幅に係る指針の中にも示されている、この指針に基づいて国土交通省、例えば地方整備局でもいい運輸局でもいい、今回の事故があったからだけじゃないけれども、それぞれの事業者さんと地方自治体との間で交渉がうまくいかないときには、そこに仲介に乗り出すべきだ。その乗り出す意欲がおありかどうか、副大臣、ぜひお答えいただきたいと思います。

蓮実副大臣 岡本先生御指摘のように、協議が難航している事例があれば、交通の安全確保は優先して行われるべきでありますので、国土交通省として、調整が円滑に進むよう、鉄道事業者はもちろんのこと、道路管理者も含めて指導をしてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 ということは、ここで確認をさせていただきたい。地方の村長さん、町長さんが困ったときには、地方の整備局、運輸局のそれぞれ鉄道部長さんなりにお願いに行けば、そこで調整に乗り出していただける、そういうふうに理解してよろしいですか。イエスかノーで端的にお答えいただきたい。もう一つ聞きたいから手短にお願いします。

蓮実副大臣 もちろん対応してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 もう一点、確認。

 この指針の三項、基本方針、踏切道の拡幅と踏切道の統廃合についての考え方の中で2、立体交差化の工事協定が結ばれている場合でも一時的な道路拡幅はやっていくんだ。こういう協定があったとしても、こういう取り決めがあったとしても、一時的な道路拡幅という名のもとで、もう一段の道路拡幅はやれるというふうに国土交通省として指針を出している、そう認識しているんですけれども、それで正しいのか。さらには、それについて鉄道事業者がノーという場合は、国土交通省として指針に基づいて指導していく、それは当然であるということを改めてお答えいただきたいと思います。

蓮実副大臣 先生が言われるとおり、対応してまいります。

岡本(充)委員 人命にかかわる大変重大なことでございます。皆様方もきょうお聞きのとおりでございますので、鉄道の安全もさることながら、踏切道の安全についても国土交通省、ぜひ万全を配していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 民主党を代表して、質問いたします。岩國哲人でございます。

 ただいま、我が党の岡本委員から、国土交通関連のJR西日本の事故についての質問がなされておりましたので、流れとして、私は順番を変えまして、国土交通に対して質問させていただきたい、そのように思います。

 こうした人命の尊重ということは、何も鉄道事業に限ったことではなくて、あらゆる省庁にも関係し、とりわけ、こうした事故につながるという危険度においては国土交通関連が著しく他省庁よりも大きいことは言うまでもありません。したがって、私も昨年は国土交通委員会に所属し、いろいろな質疑を重ねてまいりましたけれども、こうした鉄道の問題についても、あるいは道路の問題についても航空の問題についても、いろいろな法案は次から次へとできて、改正改正とおっしゃるけれども、その割には、どうも皆さんの意識というものがそれに伴ってグレードアップしていないんじゃないか、そういう懸念を、今回の事故において特にそのように思います。

 例えば、民営化に伴って、JR西日本のこうした一つの支社長の方針というものが出されました。先般、共産党の委員からもこうした引用がなされておりましたけれども、この平成十七年度の支社長方針というのは、社長の言葉以上に、恐らく現場にとっては非常に具体的で、よりインパクトの強いものだろうと思います。この書きぶりから見ても、私にもそれはよくわかります。

 この支社長方針の五つの重点項目、一番が「稼ぐ」と来ていますね。民営化されれば、とにかく稼がなきゃいかぬ、これが意識の切りかえ、第一条です。

 今の小泉内閣の民営化するという言葉は、至るところで、本当にお客さんへのサービスを向上させるということよりも、結局は稼げ稼げという、要するに、一部の民間企業に見られ、そして批判されたようなことの繰り返しが今小泉内閣のもとに、民営化といえば、これですよ、稼ぐということがトップに出てくるような、こういう思想、洗脳教育が国民を対象にして行われているのは、一番いい、わかりやすい例がこれだと思うんです。安全よりも、お客さんへのサービスよりも、自分の会社の利益を上げること、稼ぐということが第一。

 しかも、事故がないときにこういうことが行われているなら、まだ私は許せると思います。この支社長方針の中に、二番目の「目指す」というところがある。これは、安全を高めなさい、そういうことがいろいろ書いてありますけれども、その安全を高めなさいという第二項目の中に、経費節減というのが入っておるんですね。

 安全を高めるためにはお金もかかるでしょう、人手もかかるでしょう、それが世間の常識といいながら、一方では経費節減と言われたら、現場の人はどう考えますか。アクセルを踏めと言われて、ブレーキも踏みなさいと言われている。アクセルとブレーキ、右足でアクセル、左足でブレーキ、こういう運転ぶりでは、脱線につながりますよ、車の事故につながりますよ。事故を起こしなさいと言わんばかりのことが具体的にこうやって方針として出ておるじゃありませんか。

 こういうことについて、国土交通省としてはこれをいつ見たのか、これについて何らかの監督なり指導をしたのかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 先生御指摘の文書でございますが、これは、事故が起こりましてから私どもは拝見させていただきました。社内の文書でございますので、私どもがとり得るような情報ではございません。

 この件につきましては、私ども、安全が輸送の最大の使命であるということは、JR西日本に対してもでございますが、いつも申し上げているところでございます。安全でなければ、そもそも収入なんかあり得ないわけでございますから、そういう点で、私どもは絶えず申し上げているところでございまして、安全なくして収入はない、稼ぎはないというふうに理解しております。

岩國委員 社内資料については一切目を向けない、手を出さないというのが国土交通省の監督省としての方針であるということをまず確認させていただきます。

 それでは、どの範囲まで皆さんは目を通すのか。監督官庁と言っておられるが、文書にも全然目を通さない監督官庁はあり得ないと思う。監督官庁として目を通す範囲を限定して具体的に教えていただきたい。社長の書いたものまで、株主に対して出したものまで、この二つに限定されているのか。こういう大事な、安全につながるものについての社内文書には一切手を出さない、目を向けないということであるか確認をさせていただきたい、それが一点。

 二番目。安全こそ第一ということを強調しておられるんだったら、強調したことが実際に守られているかどうかということについては全くチェックがなされていないのか。言いっ放しで責任の投げっ放しに終わっているのかどうか。

 三番目。安全なくして収入なし、大変すばらしい言葉を局長はおっしゃいました。それは、守られればすばらしいということだけの話です。安全なくして収入なし、これを守っている鉄道事業会社が何社あるのか。私は、すべての電鉄会社がそれを守っていただきたいと思う。私がよく使っておる東急電鉄にしても、あるいはその他の私鉄にしても、恐らくそれを守っておられるでしょう。問題は、民営化されたところ。官から民へと民営化されて、頭の切りかえがきちっと本当にできているのかどうか。

 民間企業の経営者というのは、何十年と競争の中に、そしてお客さんとの、いろいろな苦情も受けながら、それぞれに切磋琢磨して現在の事業を経営しているわけです。官から民へ、頭の切りかえ、リセットがきちっとできているかどうか。もっと私は国土交通省としては責任を持つべきだと思うんです、一般の鉄道会社以上に。言っていることがおわかりになりますか。官の手で民営化したからこそ、官は責任を持たなければならないんです、ほかの鉄道事業会社と違って。そういう意識を持って徹底的にやっておられたかどうか。

 安全なくして収入なしとおっしゃった。しかし、世間の常識は、安全あれば収入なしなんですよ。安全のことに投資をしたら収益は減る、これが悲しいながら世間の常識ですよ。

 JR西日本もやってきたことは、収入を上げながら安全投資を減らしておったじゃありませんか。国土交通省の言っている方針と全く逆のことを堂々とやって、それは決算にあらわれておるでしょう。収益は上がる、安全投資は減る、歴然としたチャートができておるじゃありませんか。それを知りながら、安全なくして収入なし、そういうお題目だけ言っていて、それで責任を果たせるんですか。どうぞ、答弁してください。

梅田政府参考人 社内の情報をどこまでつかんでいるかという御指摘でございます。

 JR西日本の場合は、七つの支社がございます。したがいまして、七名の支社長がおりますが、その支社長がどういう具体的な日常的な文書を発出しているかというのは、先ほど申しましたように、役所に報告するような事柄ではございません。

 役所は、当然でございますけれども、法律に基づいて行政をしております。したがいまして、必要な情報は必要な範囲で私どもの方に報告が来るようになっております。したがいまして、営業の方針とかあるいは個々の細かい指示文書等につきましては、報告するような対象になっておりません。

 私どもといたしましては、重要な文書、具体的に言いますと、例えば運賃とか料金に関するような情報、あるいは施設の整備についてのいろいろな情報、こういうようなものはとらえるようになっております。

 それから、もう一つでございますが、私ども、いろいろ指導したり勧告したりしております。例えば、JR西日本に関しましたら、平成十二年に全般的に大きな監査をやりました。これは本省とそれから地方局と一緒になってやりました。その後、十三年から昨年まで十八回、私ども、保安監査に入っております。その都度テーマを決め、その都度悪い点については監査の中で見てまいります。その際には、当然でございますが、社内文書等も必要な範囲で見せていただくことになります。

 そういうことで、私どもといたしましては、行政の面でできるだけ監督をしていきたいということでやってきたつもりでございます。

 それから、先生今御指摘のとおり、JR西日本は昔国鉄でございまして、いわば役所の一機関でございました。今は、例えばJR西日本に関して言いますと、東急と同じような民間の会社になっております。長いこと国鉄でございましたので、昔の国鉄のいろいろな意識が残っているかもしれません。今回、そういう点がいろいろ指摘されているのもよく存じ上げております。

 JR西日本は、大臣の指示によりまして、五月の末までに安全性向上計画を策定して出すことになっております。その中で、そういう意識の面を含めまして、企業風土を変えていくというようなことを私どもは求めていきたいというふうに考えております。

岩國委員 法律によって見なくていいとか、そういったことがあるとしたら、私は、そうした法律こそ変えなければ大変危険なことだと思うんですね。国土交通省をまるで免責するような法律が現在存在するとするならば、こういう事故の根源はJR西日本とか東日本の経営者のところにあるのではなくて、そういうところを監督指導する、国民の立場で監督指導する官庁の責任を軽減し、あるいは免除するかのごとき法律があるとすれば、私は、これこそ、こういう法律こそ改正しなきゃならない。今の答弁を聞いて、私は背筋の寒くなるような思いをいたしました。

 必要とされる範囲で見ているということを今局長は答弁されました。必要とされる範囲で見ているのならば、この書類は必要とされる範囲の文書ではなかったんですね。こんな大事な文書が現場に支社長方針として出されている。稼げ稼げと言われているこの文書は、必要とされる範囲の対象ではなかったということですか。おかしいじゃありませんか。

 この中にもっと大事なことが書いてあります、昨年度は大きな事故が多発しましたと。これは、会社みずから、昨年度は重大な事故が多発したということを告白しておられる。イエローカードをみずから出しているんです。交通信号でいうならば黄色い信号を出しているのに、監督官庁はそれに目を背けて、黄色い信号、イエローカードにも気がつかないふりをして一年間を過ごしている。そして今回のこの事故ですよ。恐らく、こういうことはもう既にどこかでも起きかかっているかもしれませんよ。こういうような、事故につながるような、しかも、私たち会社は昨年たくさんの事故を起こしましたとおっしゃっているような文書にさえも目を通さないということは、私はおかしいと思いますよ。

 一体何を読んでおられるのか。読まない、聞かない、アクションもとらない、これが国土交通省の方針とすれば、我が国からこういう鉄道事故が絶えることはないでしょう。

 そして、今度は、民営化の弊害について、郵政民営化との関連について質問させていただきます。

 国鉄を民営化した、私は、この鉄道の民営化については必ずしも非難するつもりはありません。鉄道事業というのは郵便事業と違って、遠くまでお客さんを運べば、それに比例して収入は入ってくるんです。つまり、これは民営化しやすい性質の事業なんですよ。郵便は違います。郵便は、遠くまで運んで、八十円じゃなくてその倍いただきますという事業ではないんです。ここに根本的な違いがあるんです、鉄道と郵便は。郵便は民営化しにくい性質の事業、鉄道は民営化しやすい事業。それでもいろいろな問題はもちろん起きています。

 そうした事業の違いもわからないで、現在の小泉内閣は郵政民営化にまっしぐらに走っておられる。これは、事業のやり方、事業のあり方を全くわからない人たちが今日本の郵政を危険なことにしようと。私は、アメリカで、イギリスで、フランスでずっとそういう郵政を見てきました。最近の動きも見ております。そして、アメリカが、郵便事業というものは国が直営でやるべきだという結論を、悩み、議論し、そして議会で二回も廃案にした後、大統領の報告、これで決着がついているわけです。世界最大の郵便国。彼らは知っています。なぜなら、政治家がそういう事業を理解しているからです。日本の政治家は事業を理解していないから、他国のことも模範としようとしない。そして、郵政を民営化しようとしています。

 国土交通省にそれについてどうお考えになりますかということを聞くつもりはありません。私が言いたいのは、JR西日本が民営化された結果、こういう利益中心主義に走らざるを得なかった、そういうプレッシャーの下にあった。そして、それに対して十分な気遣い、心遣いを国土交通省はしていなかった。チェックもしていないから、こういう内部文書で、重大事故が多発したと。

 これは大変な文書じゃありませんか。人命尊重を最重点に置かなきゃならない国土交通省そして鉄道事業会社が、重大な事故が多発しましたと堂々と自分たちの社内の文書でこれは認めている。こんな前例は今まであったんですか。いや、そんなことはもう、東日本でも何とか日本でもどんどんそんな事故は起こしておりますし、社内文書もそれは認めますよということなんでしょうか。

 このJR西日本が、特に私鉄との歴史、最も活発にやっておったのは関西地域でしょう。関西地域の南海、近鉄、阪神、阪急、京阪、いろいろな競争相手の中、激戦の中に民営化でほうり込まれた。どうするか。生き残るためには稼がなきゃいけません。生き残るためにはお客さんをもっととらなきゃいけない。お客さんをもっととるためにはもっとスピードを上げなきゃならぬ。つまり、安全軽視の経営をせざるを得ないのは、この関西だったんですよ。競争相手が多いから。そして、その作戦は見事に成功している。この関西の五つの私鉄、乗客をどんどん減らしていきました。

 国鉄民営化以来、この関西の五つの私鉄会社の失った乗客はどれぐらいだったか御存じですか。お答えください、何割減らしているのか。

梅田政府参考人 手持ちの資料がございませんので正確なことは申し上げられませんが、私の感じでいいますと、民営化のときは、民間が大体七に対してJRが三ぐらいの比率だったと思います。今は、ほぼ拮抗しているような状況ではないだろうかというふうに考えております。

岩國委員 私の手元資料によりますと、JR西日本はこの十五年間に乗客を二割ふやし、私鉄は二割減らしております。これだけ急激なお客さんの変化があって、もっと多く、もっと速く、この事業方針は見事に成功しているんです。だからそれが収益につながっているんですね。速く走らせることによってお客さんをもっと多くとる。そして、このJR西日本の、お客さんを競争会社からとる、もっととれ、もっととれ、お客さんをとるだけじゃなくて結局その命までとってしまった、これが今度の事故ですよ。こういう方針は徹底的に見直して、必要だったら、いろいろな法律の改正にも取り組む、私は、そういう覚悟でぜひ臨んでいただきたい。

 このJR西日本その他の鉄道会社に対して、どれぐらいの手間と金をかけているのか、私は何度も資料請求しました。出てこないじゃないですか。業務の一端としてそのことをやっておりますという程度であって、私は、そういう責任体制のない、そして目的意識に欠けているような監督体制ということに一番の問題があるような気がします。もうこれはJR西日本の問題ではない。私は、JR西日本は加害者じゃなくて被害者だと思いますよ。国土交通省の監督行政、指導の欠陥の、私は、JR西日本はお気の毒だけれども加害者じゃなくて、これは被害者ですよ。ほかにもそういう被害者をつくらないように、真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げて、次に、厚生労働省に質問いたします。

 厚生労働省の方で生活保護予算、これは、この十年間、毎年ふえっ放しですね。ふえた上に、さらに年度末になると、私は、ここは決算委員会ですから、予算と決算の食い違いについて質問してみたいんです。この決算委員会で当然これは問題にしなきゃならぬのは、なぜ当初予算の見込みがこんなに外れてしまったのか。十年間も外れっ放しということは、これは珍しいことですよ。外れるのが当たり前ということでしょう。どこにその外れの原因があるのか。ことしもまた外れるのか、ことしはどれぐらい外れると見込んでいらっしゃるのか、それをお答えいただけますか。

森岡大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 岩國先生御承知のとおり、生活保護の被保護者数というのは、景気や雇用情勢の影響のほか、高齢単身世帯の増加とか母子世帯の増加、こういうものの影響を受けまして、平成七年をボトムにいたしまして、以降ずっとふえてきておるわけでございます。このため、生活保護世帯がふえ、そして生活保護費についても毎年毎年増加しているというのは御承知のとおりでございます。

 平成七年度の補正後の予算が一兆一千二百十六億円であるのに対しまして、平成十六年度の補正後の予算は一兆九千百四十六億円となっております。被保護者数は、平成七年度には約八十八万人であったものが、直近の平成十七年一月には約百四十四万人、被保護世帯数は平成七年度には約六十万世帯であったものが、直近では約百一万世帯、こういうふうになっておるわけでございまして、先生今御指摘ございましたけれども、当初予算も毎年毎年ふやしておるわけでございまして、ところが、平成十六年度につきましては、当初予算一兆七千百七億円に対しまして、前年度精算不足分、前年度の足りなかった分ですね、二百六十七億円を加えて、二千三十九億円を補正予算として計上している次第でございます。

 被保護者数とか保護費というのは、さまざまな社会経済要因の影響を複合的に受けるものですから、その動向を適正に見込むことは実際なかなか難しい面がございまして、毎年毎年当初予算もふやしておるわけでございますけれども、それでもなお足りないというのが現状でございまして、このことについて御理解をいただきたいと思います。

岩國委員 いいですか。私は、先般の予算委員会でも、予算審議に当たっても当初予算とそれから補正予算、大体、毎年毎年、補正でこんなに大幅に、当初予算の一割、二割はオンしてやってくる、結果はそうなっているでしょう。当初予算の段階から、年内に補正予算でまた一五%ふやしますよという補正予告つき、修正予告つきの予算を我々はこの予算委員会で審議させられているようなものです。予算の権威はどこにあるのか、決算の責任はどこにあるのか。私は、余りにもこれは安易ではないかと思います。これは、予算書のほかの項目にも随分こういうのがあるんです。しかし、一番目立つのはこれです。

 そして、ことし特に私がこれを取り上げたのは、今内閣は増税に踏み切ろうとしている、新年度。増税に踏み切ろうというときには、生活に苦しむ人が減ってから税金を上げるものでしょう。当初予算は毎年毎年ふやすわ、それでも足りなくて補正予算でもふやすわ、苦しみもがいている人がいるという前提で皆さんが予算をつくっているときに、財務省は今度は税金をふやします。矛盾しているじゃありませんか。景気の実態は悪くなっている、生活に苦しむ人はふえている、だからこそ、この生活保護予算がふえているんです。我々国会も矛盾していますよ。生活保護世帯がふえているのであれば、増税を認めるような予算は採決されるべきじゃないんです。

 税金をふやしていいようなことであれば、生活保護世帯が減っていなきゃいかぬ。現に、今から十三年前、十四年前、景気のよかったときには生活保護予算は減っておるでしょう。そのときには税金をふやすことも可能でした。一般社会も常識としてそれを受け入れました。にもかかわらず、ことしはおかしいじゃありませんか。税金と生活保護予算が両方とも上がっている。

 同じ内閣でありながら、景気は悪くなる、景気は苦しくなるという大臣と、景気はよくなる、だから税金をふやしてもいいという大臣と、これは閣内意見の不統一じゃありませんか。それが大きな問題。

 二番目に、毎年毎年これはマンネリみたいに、補正するのが当たり前みたいに、では、昨年度は、もう既に昨年のお金は使ったはずです。それに対して私が請求しても、生活保護世帯の数がわからない。数もわからない人にお金を渡しちゃったんですか。世間ではこういうことは認められませんよ。お金を渡したにもかかわらず、何人の人にお金を渡したかわからない、こんなことを決算でやっておるんですか。

 一年たったらまたここで、私、同じ質問をしなきゃいけませんよ。副大臣、あなたは政治家としてこれはおかしいと思いませんか、役人が書いたような答弁をさっきお読みになりましたけれども。政治家の一人として、同じ内閣の中で、生活に苦しむ人はふえるという予算をあなた方は出しておられる、一方では、景気はよくなるから税金をふやせるという判断の大臣がいる、おかしいじゃありませんか。まず答えてください。

森岡大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今までの趨勢を見ておりますと、大体、生活保護を受ける人たちの伸び率と失業率というのはリンクしてきております。そんな関係から、厚生労働省といたしましても、生活保護予算というものを当初予算で予測しながら組んでおるわけでございます。ところが、先ほど先生おっしゃったように、増税と果たしてリンクするかというと、そんなものではないんじゃないかなというふうにも考えております。

 私も、先ほどおっしゃったように、別に役人の答弁を読み上げておるだけではございませんで、政治家としてお答えをさせていただいているわけでございまして、これからも予算が正確になるように努めていきたいと考えております。

岩國委員 私は、森岡さんの後援会へのいろいろなレターを私のところにもいただいて読ませていただいて、大変正義感に満ち満ちたことをお伝えになっていらっしゃる、すばらしいと思っています。

 しかし、正義感という観点からいえば、あなたのやっていらっしゃることは、私は間違っていると思いますよ。世間一般は苦しんでいる、だからこれだけの税金を使わせてくださいという予算を出しておきながら、一方では、財務省は、税金をふやすような方向でいる。

 財務省として、どういう景気判断をしていらっしゃるのか。生活保護予算を今まで十年間ふやし続けた成果として、生活に苦しむ人がもう少なくなりました、職場もふえました、ことしは暮らしがよくなります、よくなりますから税金ももう少し払ってくださいよ、これが常識でしょう。どういう考えで、財務省は景気観測をしておられるのか、そして生活保護世帯がふえているという現実を認定しながら税金をふやそうとしているのか、お答えください。

田野瀬副大臣 お答え申し上げます。

 現在の経済状況でございますが、定率減税の導入時と異なっておりまして、不良債権処理や産業再生等の構造改革の進展により、企業部門の有利子負債がバブル崩壊後最低の水準にまで低下するなど、経済の体質強化が実現されつつあります。

 こうした中、企業部門は、収益の改善や設備投資が増加するなど好調でありまして、また、有効求人倍率の上昇とともに、失業率がここ十年来初めて趨勢的に低下するなど、雇用情勢の改善が家計部門にも及びつつあるなど、大局的に見れば緩やかな景気回復が続いておると認識をいたしております。

 また、定率減税の見直しに当たっては、民間部門に過度の負担が生じないよう配慮したところでありまして、定率減税の縮減を含めた今般の税制改正による平成十七年度の増収額は千七百億円弱となっていることから、景気に対する影響は大きいものではない、そのように考えておる次第でございます。

 こうした要因を加味した上で策定した平成十七年度の政府経済見通しにおいては、今後についても、世界経済の回復が続く中で、企業部門が引き続き改善することを背景に、景気回復が雇用、所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きが強まり、消費が着実に増加することによって、民間需要を中心に緩やかに回復すると見込んでおりまして、生活保護世帯がふえる中にあっても、こういう判断の中で増税をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。

岩國委員 国土交通の方、お忙しいと思いますから、どうぞ御退席いただいて結構です。

 もう質疑時間が終わりましたので、最後に申し上げたいと思いますけれども、今、財務省の御答弁の中に、有利子負債がどんどん減っていった、収益が改善したと。大企業はよくなっていますよ、当然です。これは私が取り上げたゼロ金利政策が、一般大衆が得べかりし利子を全部プールして、どんどんそういった大企業へ、大きな借金を使っているところへやれば、大企業は楽になりました。

 しかし、私が聞いているのは、森岡さんにさっきお伺いしているのは、生活保護世帯、一般庶民の暮らしはどうなのかということです。丸の内のかまどの話をしているんじゃないんです。全国津々浦々の、毎年毎年これだけの生活保護をいろいろな複雑な思いをして受け取っていらっしゃる、そういう苦しい保護世帯の皆さんに予算を組んでおきながら、丸の内は好景気でございます、雇用も改善したとおっしゃるけれども、ニート、フリーターはふえておるじゃありませんか。これも厚生労働省の方で私は質問したかった点でありますけれども、財務省と厚生労働省が認識をこれほど異にしていることを私は見たことがありません。ほとんどおっしゃっていることは逆向きのことですよ。

 雇用情勢についても、あるいは有利子負債が減っていったということについても、こういった大企業に目を向けて、大企業のかまどが勢いよく燃えているから、だから税金をというんだったら、増税のやり方も、そっちへ向けて増税をやるべきじゃありませんか。一般の人に影響のないような増税をするのが筋というものじゃありませんか。

 そういった点で、この閣内意見の景気認識の不一致ということについて、そして経済実態の認識の不一致ということについて、もっともっと今までの予算書と決算書をよく見て、どれだけ見込み外れがあったのか、そこから多くのことを学ぶことができるんではないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 きょうは、住宅行政について質問させていただきたいと思います。

 先ほど、岩國議員がずっと強調されておられましたけれども、役所も、現場に行って、見て、その実態を肌で感じて、皮膚感覚で行政をやらないと身が持たない、そんな状況になってきたと思うんです。JR西日本の事故も、まさしく現場の立場に立って皮膚感覚で見られなかったから、安全をおろそかにし効率を高めようとしてああいった事故につながった。非常に痛い経験ですけれども、大きな示唆だということを、私も岩國議員と同感するものであります。

 きょうは都市再生機構についてお伺いするんですが、住宅もまさしくそうです。住宅に住んでいらっしゃる、公団住宅に住んでいらっしゃる方がどんな状況なのかということをしっかりと把握した上で初めて、国土交通省も都市再生機構を管理監督することが可能になるんだろうと思います。

 私も外務省という役所にいましたけれども、単にデスクに座ってペーパーワークだけやっておけばこれで仕事をやっているというようにゆめゆめ思わないようにしていただきたい、そこを強調させていただく形で、きょうは質問させていただきます。

 まず、今回のこの住宅関係の法律の附帯決議というものがこの前出たわけでありますが、そこの第六項目、第七項目について話を進めていきたいと思います。

 第六項目は、ちょっと読みますが、「都市再生機構の都市再生業務に係る勘定においては賃貸住宅業務とその他の業務との区分経理を行うとともに、賃貸住宅業務に係る収益については、当該業務」、つまり賃貸住宅業務の「運営に支障が生じないよう、当該業務」、つまり賃貸住宅業務へ「優先的に充当すること。」というふうに書いてあるわけです。

 何が書いてあるかというと、賃貸住宅について、今住んでいらっしゃる方に不便が生じないように、利益が出ているのであれば、そこをきちんと、その利益の中から生活に支障がないように最大限優先的に配慮しろということが書かれてあるわけです。これは附帯決議ですから、国会の意思がここで固まったということでございます。

 では、行政のトップである大臣がどういうふうに答えられているかというと、これはことし四月二十二日の衆議院の国土交通委員会で北側大臣が阿久津委員への質問に対して、まさしく阿久津委員が、賃貸住宅事業の収益はそこに住む人々の居住の安定、住環境整備に優先的に還元すべきというふうに理解していいですかと言ったら、北側国土交通大臣が、当然そういうことだというふうに私は理解をしておりますと、ここでしっかりとそこを確認をしているわけです。

 ただ、ではその実態はどうですかというと、今回の法律だけじゃなくてその前から、住民の皆さんが非常な不便を感じているというのがわかるわけです。今資料をお配りしていると思いますけれども、私の選挙区にある国立富士見台団地の外壁塗装、また小平団地の外壁塗装の実態、これをちょっと例に挙げます。

 多摩の自治協議会という方々の資料なんですけれども、これは国土交通省監督下の都市再生機構の資料によっても確認されておりますけれども、ここで今どんな状況かというと、一九六五年に住まわれた方、これが、この公団、つまり都市再生機構の方針で大体十八年をめどに外壁塗装をやり直しますよというふうに、ずっと言ってきているわけです。そして、一九六五年に十八年プラスした一九八三年には、一年間で団地全体の外壁塗装を完了しちゃったわけですね。

 そして、今度は第二期の塗装ということで、一九八三年に十八年足して二〇〇一年になるわけですけれども、そうしますと、今度は、二〇〇一年までに終わったところは、二〇〇〇年に三百九十九戸、二〇〇一年に四百四十戸。全体が千数百ぐらいのところで、まだ八百三十九戸しかできていない。そして、二〇〇二年に二百八十戸終わり、二〇〇三年に二百十戸、そして二〇〇四年に百三十戸、まだ実施していないところが五百戸余りある。

 こういうのを考えますと、まだあと二、三年かかるかもしれない。そういうことであれば、同じ条件で入っていながら外壁塗装に数年間、五、六年間の差が出てくるわけですね。これは、生活の上でやはり非常に支障を来しているというふうに感じざるを得ないんです。

 それで私、では今賃貸住宅の経営状況がそんなに悪化していて大変なのかということをチェックしてみました。そうしたら、ずっと黒字を続けているわけですよ。例えば、平成九年からやってみると、住宅勘定で一兆一千八百億円黒字が出ていて、平成十年も一兆一千五百億円。そして、あと、十一年から十五年の間に、大体五千億円から七千億円ぐらいずっと黒字を続けております。

 ただ、十六年の事業年度になって、五千億円だったのが千六百三十三億円まで急激に減っている、こういうことなんですけれども、本来、それだけ黒字を続けていながら、十八年度をめどに外壁塗装を行っていたものが、何で急にこういう数年間をかけて延ばし延ばしやられるのか、その理由についてお伺いしたいと思うんです。

河崎参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のありました収支のことについて、私どもの提出した資料が余りよくなかったのかどうかあれでございますが、ちょっと補足させていただきますと、賃貸住宅事業に係る損益を他の事業と区分して経理をすることといたしましたのが平成九年度以降でございます。それ以降の賃貸住宅部門の収支を申し上げますと、平成九年度が十六億の赤字、平成十年が十三億の赤字、平成十一年が四十二億の赤字、それから、平成十二年になりますと黒字に転換しまして二十八億の黒字、十三年度が二百二十三億の黒字、十四年度が三百七億の黒字、十五年度が四百七十一億の黒字といったことで、トータルいたしますと、七年間で九百五十八億の黒字というのが実態でございます。

 そこで、外壁の塗装の関係でございますが、私ども機構といたしましては、とにかく団地の安全とか安心な居住環境づくりに努めていく、そのために、外壁塗装とか、そのほか給水管の取りかえといったような計画的な修繕があるわけでございますが、これを実施しております。

 ただ、最近では、やはり効率的な管理の実施という観点から、例えば、十八年たったらすべて画一的に一挙にやってしまうといった形はとっておりませんで、具体的に言いますと、事前にそれぞれの団地の外壁の点検を行いまして、その経過年数あるいは損耗の状況を踏まえて、緊要度というものを見てやるという形をとっております。したがいまして、やる場合には、当然モルタルの浮きだとか、あるいは亀裂の激しい外壁、共用部分の修繕を行った上で、棟単位で全面的な塗装を行うというふうにやっているわけでございます。

 先ほど申しましたように、そういった形で点検をしながら、実は、十八年にならなくても早くやらなきゃいけないという団地もたくさんあるわけでございまして、そういった意味では、外壁の損耗の状況を踏まえて、十八年を待たずに早期に実施する場合や、十八年以降になっても若干お時間をちょうだいするという場合があるということでございます。

 そういった意味で、きょう先生御指摘になりました富士見台団地と小平団地につきましては、二回目の周期が参っているわけでございますが、損耗の状況とか緊要度を勘案した結果、十三年度から段階的に実施をするといった形でこれまで進めてきているわけでございます。

 ただ、小平団地でまだ五百九十八戸あるいは富士見台団地で五百九十一戸がございますので、損耗の状況とか緊要度を勘案しつつ、できるだけ速やかに実施をしたい、このように考えているところでございます。

末松委員 都市整備公団、あなたが言った数字がどこに書いてあるんですか。きのうもらった資料なんですよ。あなたの方は数字を持っていて、私の方は数字を出せといって全然違った数字を出されて、実は赤字でしたと。それはあなた、おかしいじゃないですか。

 それから、八三年のときには一年間で全部やり終えているんですよ。それで今九百億円の黒字が出ているんだったら、それだったらそこで、一番緊要で必要だということであれば、まさしくこの附帯決議にあるように当該業務へ優先的に充当するというのは当たり前じゃないですか。

 国土交通省は、そういうことについてはどう考えているんですか。

山本政府参考人 今回、都市再生機構につきまして国会に機構法の改正法案をお願いしておりますけれども、その趣旨は、ニュータウン事業等に係る財投資金につきまして、繰り上げ償還の措置を講じて財政基盤の改善強化を図るというのが趣旨でございますが、その前提として、機構の経営の効率化、合理化について最大限の自助努力をした上で、財政当局において、法律措置を前提に、公明正大に財投資金の繰り上げ償還の措置を講ずるんだ。それで、中長期的に財政基盤を改善して、本来の機構の仕事であります都市再生の仕事と賃貸住宅の的確な管理という仕事に長期的には集中できるようにしていく、これが今回お願いしている趣旨でございます。

 先ほど機構の理事からも答弁申し上げましたように、かつて、賃貸住宅関連において維持修繕業務をかなり画一的にやってきた。最大限の自助努力の中で業務の効率化を図らなきゃいかぬということで、現実に現場で物を点検した上で必要な管理をやるんだというふうに機構は言っております。(発言する者あり)その当たり前のことをやると言っておりますので、しっかりやってほしいと考えております。

末松委員 だから、あなたに一回住宅に行ってもらいたいんですよ。繰り上げ償還のために機構の経営を合理化してどうこう、自助努力させると。ではそれが、今住んでいる人が非常に不便を感じて、安定的、快適な、快適と言わないまでも安全な、そういった生活ができるということを犠牲にして、それで繰り上げ償還までするんですかということを一番不安に感じているわけですよ。

 自分たちが犠牲になるんじゃないか、そうじゃないだろう。機構自身が徹底的に世間からたたかれて、ああいうふうないろいろないいかげんなこともやって、そして必要ないじゃないかとか言われて、名前まで変えてやってきた。そういうところが一番の大きな原因であるはずにもかかわらず、人々の生活しているところを犠牲にして今度は合理化の名のもとにやっていこうとするから、みんな不安に感じているわけですよ。

 だから、そういった意味で、例えばここに挙げた例であっても、小平とかあるいは国立とか、こういったことであっても、数年間でどうしてもやらなきゃいけないという話ではなくて、むしろ、そこをしっかりと優先的にやっていくんだというのが国会の意思であるこの附帯決議にもなっているし、大臣も答えているわけですよ。そこはきちんと踏まえてやってくださいね。

 だから、利益が上がってきました、その上げた利益をすぐにどんとこちらの方に振りかえるという不安に住民がみんな駆られるわけですよ。そういうことのないようにしてくれというのをちょっと確認したいんですけれども、では、公団理事、お願いします。

河崎参考人 私どもといたしましては、とにかく賃貸住宅経営をやる際に、安心、安全、良好な居住環境の提供というものをまず第一義に考えて、そのために必要なことを最大限やっていくという形で進めようと思っております。

 先ほどの修繕の話ですけれども、ただ、その場合でも、かつてはいろいろな経緯の中で画一的にやったということもあったんですが、やはり急がなきゃいけないもの、少しは我慢していただけるというものがそれぞれあるものですから、それを的確に見ながら、居住環境というものを十分重視しながらこれから管理を進めなきゃいけない。

 特に今、市場家賃制度になってきておりますので、そこで管理の手抜きをするとかそういうことをやりますと、必ず空き家とかいろいろな形でしっぺ返しを我々は受けるような格好になりますから、我々自身がそういう市場の中で、市場家賃制度で経営をしているんだという前提の中で、そこできちっとした管理をやるというのは大前提だろうというふうに考えておりますので、ぜひその辺を御理解いただきたいと思います。

末松委員 そういう点で、利益もどんどん上がってきているという話がありますから、そこはきちんと経営管理しながら、家賃も上げますよというふうな形で言いながらサービスが悪くなるという話は、これは許せない話でありますから、そこはしっかりと、今うなずいておられますけれども、きちんとやってくださいよ。

 それから、私の方からもう一点お伺いしたいんですが、今度はこの第七項なんですね。「都市再生機構の建替事業に際しては、居住者や地方公共団体と充分な意志の疎通が行われるとともに、余剰地の活用については福祉施設、公園、公営住宅等公的な利用が図られるよう配慮すること。」こういう形で書いてございます。

 これも、なぜこんなことが書かれなきゃいけなかったか、当然理由があるわけです。この理由は、今実際に、住宅が建てかえで高層化する、あるいは高度化していく中で、都市再生機構の持っている土地に余剰の土地が出てくるわけですけれども、これを公園とかあるいは公営住宅、福祉施設、こういったものに優先的に考えていくべきだというふうに国会の意思として確認した。

 当然、北側国土交通大臣も、四月二十七日にきちんと、この余剰地、空き地、これについては、地方公共団体、また地域の住民の方々との相談の上やっていくことがまず第一義だ、こういうところから考えられた計画を国としてしっかり支援をしていくということが大事だ、こういうふうに行政のトップも言っているわけですね。

 では、これだけ国会の意思も確認されて、行政の意思も確認されているのに、何で私が質問しなきゃいけないかというと、例えば今、第二番目の資料にございますが、久米川団地というのがやはり多摩の方にございます。

 現場でどんなことが行われているかというと、ここに平成十七年度、平成十八年度ということでスケジュールが案として示されているんです。これは平成十七年の四月二十七日ですから、ほとんどつい最近の話で、まさしく国土交通大臣が答弁されたその日なんですけれども、そこに、多摩の自治協議会の方々に対して事前説明会ということで、都市再生機構の職員の方が来て、そして、この久米川団地の余剰地、空き地についてこうやりたいんだ、御意見を伺いたいという事情説明会の中でこの資料が配られたと聞いています。

 どういうことかといいますと、要は、もう既に都市再生機構の方でこれを民間に売り渡すということで、真ん中の方に「募集条件整理」そして「公募」「契約引渡し」というのが予定として入っているわけですね。これは、今附帯決議の中にあった、居住者とか地方公共団体と十分な意思疎通というものが全くされていないじゃないか。されていなくて、自分たちは引き渡ししますから協力してくださいねということを言ってきているという話を私は聞いているんですよ。これは全く相談になっていない、一方的な説明を押しつけているだけにすぎないというふうに、住民の方々が大変、そして地方公共団体の方々もそう思っています。

 西東京市にひばりが丘団地がございまして、けさも西東京市長の坂口光治市長とも話をしたんですけれども、このひばりが丘団地にしても、きちんと余剰地については市の方で、公園とか防災、そういったことについて使えればとか、あるいは緑が少なくなって困っているのでそこを使いたい、そういう意思を持っているんですけれども、そこで公団の人が来て同じように、こういうふうに民間に売却したいんですというふうに言っているかどうかというのは、まだ市長にはその話は上がっていないと言っていました。

 要は、実態的にこういうことが行われているというのはおかしいじゃないか。その辺はどう説明するんでしょうか。

河崎参考人 久米川団地につきましては、平成元年に建てかえ事業に着手をいたしました。それで、場所がかなり都心から離れておりますところなものですから、従前居住者用の賃貸住宅、それから従前居住者の中で分譲住宅を希望される方、そのための賃貸住宅供給をまず先行させまして、その後、順次新しい入居者の方々のための建設を行う、その際に、やはり地域の賃貸住宅事情というものを勘案して、徐々にやってまいりました。したがって、現在のところ、分譲住宅と賃貸住宅を合わせて千百十九戸の供給をしております。

 それで、残る土地が一・六ヘクタールということになりまして、その中で、地域の賃貸住宅事情として、そろそろ全体として限界に達してきているのではないかというのが考え方として一つございます。それからもう一つは、この間の経緯の中で、特殊法人改革の中で、私どもの分譲住宅についてはもう完全に撤退をする、それから賃貸住宅についても新規はもうやらないというふうな方針が示されたこともございまして、この一・六ヘクタールについては、特段民間でなきゃならないとか、そういうことは私どもも思っておりませんけれども、他の土地利用に転換を検討せざるを得ないということで、昨年の十二月から、東村山市と公的利用も含めて事前の協議を行いました。

 その結果、この団地については、実は既に、都営住宅二百一戸あるいは保育園、市立公園あるいは道路用地という形で、公用、公共的な利用というものはかなりやっているんですが、それ以上の公的利用というのが現段階では非常に難しいかなというふうな感触をいただいておるところでございます。

 ただ、都市再生機構法十四条の規定がございますので、そういう事前の協議を踏まえて、正式な照会文書を東村山市に四月に提出したところでございます。(末松委員「十四条というのは何ですか」と呼ぶ)協議です、地方公共団体との協議事項でございます。それを提出したところでございまして、まだ返事はもらっておりません。

 ただ、事前の協議の段階で、東村山市との協議の中でなかなか公的利用というものが、いいものが出てこないというところがあるものですから、住民の方々にもこの時期に早く説明しておく必要があるだろうというふうなことで、実は、四月に住民の方々に、民間の活用も含めた余剰地の活用の今後の進め方について御説明をさせていただきました。

 先ほど先生がお示しされたスケジュールでございますが、これは、我々なりのスケジュールの案でございまして、当然、相手のある話でございます。というのは、市からの協議がどうなっていくかということがございますし、市の協議が終わった後に、今度は東京都と協議をしなきゃならないという点もございます。

 その中で手続を進めていって、最後の一・六ヘクタールの利用というものを確定して進めていくということでございますので、先生お示しになりましたこのスケジュールというのは、あくまで我々なりの案でございまして、これに完全に固執をする、固執をしてもう見切り発車するという形でお示ししたものではないということを御理解いただきたいと思います。

末松委員 そういうふうな印象を与えるような持っていき方をしているわけですよ。十二月からずっとこの協議を市と続けてきて、住民には一切示さずに、そして、四月になってから、あなたは住民説明と言いましたよね。国会のこの附帯決議には「居住者や地方公共団体と充分な意志の疎通」という話があるわけですよ。

 説明して、あなたのこの案をもうそのまま通すようなことを、現場ではそういう印象だったというのを多くの方から聞いているんですよ。あなたはそこに行っていないからわからないかもしれないけれども、説明のやり方はそういう形になっているんですよ。いかにも決まって、これでないと困るんです、市とも協議がほぼ調ったような印象を与えるようなことを言っているわけですよ。そういうのがおかしいでしょうと。

 それで今、都市再生機構法の地方公共団体とのあれは十四条なんですけれども、それには居住者は入っていないわけですよ。ただ、附帯決議には居住者が入っているわけですよ。今回、そこはもう決まって、最後の段階で住民にぱっと説明して終わりというんじゃなくて、十分な意思疎通というのは、そこはきちんと、住民の皆様にもまず当初から入っていただいて、そういう形でやっていくということで、私は、機構法には書かれていないから、こっちの国会の意思の附帯決議を軽視していいとは思わないんですが、そこはきちんと踏まえられますか。

河崎参考人 法律上の規定は別といたしまして、私どもが団地を管理し、それを建てかえするなり、あるいはストックの再生を行うというときに、やはりそこに住んでおられる方のコミュニティーの維持でありますとか、あるいは居住環境の確保というものが、そのまま新しい団地になってもいい団地につながっていくというふうに考えておりますので、当然、そこに住んでおられる方々と十分な意見交換をやって事業を進めていく必要があると思います。

 久米川団地の場合も、実は、先ほどちょっと長い経緯を御説明したんですが、その過程の中で、やはりいかに団地の居住環境をよくしていくかというようなことについて、いろいろこれまでも話し合いをやりながら、公共団体も含めてやってきているわけでございます。

 最後の一・六ヘクタールのところで、うちとしていよいよ賃貸住宅をやることができなくなってきたな、最後どうするかというところで、私どもの職員も、今の私どもが置かれている経営上の非常に厳しい実態を踏まえて、自分で使えない土地はできるだけ早く何とかしたいという気持ちを持っておりますので、ちょっとそういう印象を与えたのかもしれませんが、その辺は十分慎重にこれからはやっていきたい、このように考えております。

末松委員 それでやってください。

 もう時間がございませんが、最後に、蓮実副大臣がおられるんで、こういうふうな余剰地の活用については、やはりどうしても国の協力が必要なんですよ。やはり公園だって、地方公共団体が買えないんですよ、もう金がなくて。そういった意味で、防災のための公園とかそういった公共施設ということに対して、北側大臣も言われていましたけれども、しっかりとそこを副大臣からも決意をお伺いしたいと思います。

蓮実副大臣 都市再生機構が賃貸住宅を建てかえる際には、地方公共団体と連携を図りながら、余剰地を活用して、少子高齢化への対応のために、高齢者支援や子育て支援の施設もあわせて建設するなど、住宅政策上の課題に適切に対応してきております。

 現在、国会で審議いただいております地域住宅特別措置法案では、新たに都市再生機構と、都道府県、市町村などが参加する地域住宅協議会を設置することとしておりますので、建てかえ事業でも都市再生機構と地方公共団体が一層の連携を強められると考えております。

 いずれにいたしましても、都市再生機構が賃貸住宅の建てかえ事業を実施する場合には、末松先生御指摘のように、ことし四月二十七日、附帯決議で「都市再生機構の建替事業に際しては、居住者や地方公共団体と充分な意志の疎通が行われるとともに、余剰地の活用については福祉施設、公園、公営住宅等公的な利用が図られるよう配慮すること。」という決議ができておりますので、これを十分踏まえるのは当然であり、居住者との信頼関係を尊重して、十分な意思の疎通を図りながら、居住者が安心して住み続けることができるよう努力していく必要があると思っております。

末松委員 そういう形で頑張ってください。そして、副大臣もぜひこの現場に行ってください。

 それをもって終わらせていただきます。ありがとうございました。

細川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十五分散会


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