衆議院

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第5号 平成18年5月30日(火曜日)

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平成十八年五月三十日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 伊藤 達也君 理事 北村 誠吾君

   理事 柴山 昌彦君 理事 平田 耕一君

   理事 前田 雄吉君 理事 松本  龍君

   理事 斉藤 鉄夫君

      赤池 誠章君    今津  寛君

      浮島 敏男君    大野 松茂君

      坂井  学君    鈴木 馨祐君

      土屋 正忠君    冨岡  勉君

      中山 泰秀君    西本 勝子君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      若宮 健嗣君    池田 元久君

      太田 和美君    岡田 克也君

      川内 博史君    玄葉光一郎君

      田名部匡代君    福田 昭夫君

      松本 剛明君    佐藤 茂樹君

      亀井 久興君    鈴木 宗男君

      古屋 圭司君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   財務副大臣        竹本 直一君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   会計検査院事務総局第四局長            帆刈 信一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長)    高松  明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大谷 泰夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 太田 俊明君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           高橋 直人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  遠藤 武彦君     亀井 善之君

同日

 委員亀井善之君が死去された。

同月十六日

 辞任

  杉村 太蔵君

同日

            補欠選任

             亀井 久興君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  金田 誠一君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     金田 誠一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度決算外二件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長高松明君、内閣府政策統括官榊正剛君、総務省大臣官房審議官大谷泰夫君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省大臣官房審議官杉田伸樹君、財務省主計局次長鈴木正規君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、厚生労働省大臣官房審議官宮島俊彦君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、厚生労働省職業安定局長鈴木直和君、厚生労働省政策統括官太田俊明君、農林水産省大臣官房審議官高橋直人君、国土交通省大臣官房審議官大森雅夫君、国土交通省河川局長渡辺和足君及び国土交通省道路局長谷口博昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。

土屋(正)委員 平成十六年度の決算について質問をいたします。

 本来なら平成十六年度の所管事項について質問すべきところでありますが、平成十六年度は災害の多発した年、こういうことが特徴づけられて、こういう角度から質問をいたそうと思って準備をしていましたところ、先週の土曜日、ジャワ島中部地震が発生をいたしました。平成十六年度の所管事項ではございませんが、緊急でありますので、お許しをいただいて、まず冒頭に質問いたしたいと存じます。

 まことに大規模な地震のようでありますが、まず、最新の情報と現時点での日本政府の支援対策について、主要な点についてお尋ねをいたしたいと存じます。

佐渡島政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、二十七日の朝に発生しました御指摘のジャワ島中部地震でございますけれども、その後の報道等によってさらに大きい数字が出ておるようでございますが、先方政府の所管の省庁の発表した数字によりますと、インドネシア社会省の発表でございますけれども、二十九日の正午時点で四千三百十五名ということでございます。さらに、国連のOCHAという援助を統合する機関がございますけれども、そこが二十八日夜に発表した数字によりますと、七千四百四十六名の負傷者が出ております。それから、約十三万人の避難民が発生し、約二万五千棟の建物が損壊したというふうに、これは報道の方で出ております。

 邦人の安否の確認でございますけれども、在留届を提出していただいておりました邦人九十一人、全員の無事を確認し終えております。それから、ツアーで旅行に出ておられた方は、日本旅行業協会を通じまして、七社十九人の無事を確認いたしております。それから、在留届を出しておられた邦人の方以外で現地に渡航をして、あるいは滞在をしていたと思われる方、四十七人ございますけれども、その方々についても全員の無事を確認いたしております。邦人の安全確認につきましては、さらに念を入れるということで、引き続き安否確認を継続いたしておる状況でございます。

 それから、体制の方でございますが、二十七日の午前に情報を受けました外務省としては、直ちに在外公館その他を通じまして関連情報の収集を開始いたしております。その後、二十七日の夜でございますけれども、省内にジャワ島中部地震の対策連絡室を設置いたしまして、三点ございます、一、現地邦人の安全対策に万全を期すこと、二、現地被害状況を正確に把握すること、三、現地への効果的な支援を行っていくことを決めました。

 さらに、緊急援助チームを翌二十八日に現地に派遣することも決定をいたしております。二十八日に入りまして、混乱の続きます現地から情報を収集するとともに、その分析に努めまして、同日の夜には、インドネシア政府から要請を受けまして、それに基づきまして、医療関係者等から成る緊急援助隊医療チームを派遣することを決めております。

 このほかに、総額で約一千万ドル相当の無償資金協力、それから、シンガポールにテントその他の備蓄を置いておりますけれども、約二千万円相当の緊急物資供与をすることを決定いたしました。そのような状況で、関係の省庁と必要な情報交換も開始しております。

 それから、こういう緊急援助の活動と同時に、総理の方から、二十八日にユドヨノ大統領に対して、多数の方々がお亡くなりになったことに対して哀悼の意を表明するとともに、被害の早急な回復と復興を祈念して今後も最大限の支援を惜しまない旨のメッセージを発出いたしております。それから、麻生外務大臣の方からもハッサン外相に対して同様のメッセージを出しました。

 それから、さらに二十九日の夕刻でございますけれども、インドネシア政府の方から、医療関係者のニーズが依然として非常に高いというお話を受けました。諸外国の軍隊からのものも含む医療支援に関する要請を行ってまいりましたので、二十九日の夜でございますが、国際緊急援助隊として自衛隊の医療支援隊等を派遣するということを決めております。

土屋(正)委員 現在進行中のことでありますので、どうぞひとつ前向きに、しかも、日本はアジアの一員として非常に注目をされている、頼りにされているところでありますし、インドネシアの独立について、日本が積極的にかかわってきてその独立を支援したという過去の歴史も多いわけでありますので、どうぞひとつ積極的な人道支援をお願いいたしたいと存じます。また、この途中においても、しかるべき場所において国会に報告をしていただくことを希望いたしたいと存じます。

 さて、平成十六年、この決算年度中の十二月二十六日に発生したスマトラ沖地震の津波被害に対する日本政府の支援対策、これはもう既にある程度固まった数字があると思いますので、これらについての大枠の主要な点について御報告をいただくと同時に、他国と比較をして日本の支援はどうだったのか、そして日本の支援に対する被災国のリアクションはどうだったのか、これらについてお尋ねいたしたいと存じます。

杉田政府参考人 一昨年十二月に発生いたしましたスマトラ沖大地震及びインド洋津波被害の被災国に対する当面の支援ということで、五億ドル相当の無償支援を実施したところでございます。このうち二・五億ドル、半分でございますけれども、それは二国間支援に、残りの二・五億ドル相当、これは国際機関経由で供与したということになっております。

 二国間援助につきましては、インドネシアに百四十六億円、スリランカに八十億円、モルディブに二十億円のノンプロジェクト無償資金協力を実施したほか、インドネシア、スリランカ、モルディブ、タイに対して四百万ドルの緊急無償資金協力等を実施いたしました。さらに、スリランカに対しましては、昨年六月に約百億円の円借款の供与に関する交換公文を締結しているところでございます。

 国際機関を通じた支援、総額二・五億ドルでございますけれども、これにつきましては、ユニセフ、国連世界食糧計画、WFP、国連開発計画、UNDP等の十五の国際機関を通じまして、各被災国の被災者に対して支援を実施しているところでございます。

 以上の資金協力のほかに、インドネシア及びスリランカに対しまして、二〇〇五年中に支払い期日が到来する公的債務の支払い猶予を実施したところでございます。

 他の主要援助国の動向でございますけれども、アメリカは九・五億ドル、フランスは約四・五億ドル、ドイツは約六・八億ドル、豪州は約八億ドルの緊急人道支援あるいは復旧復興支援を表明しているところでございます。

 ただし、この数字でございますけれども、アメリカは中長期の復興支援、それから、豪州はインドネシアの借款を含む今後五年間の中長期の支援、ドイツは三年ないし五年の中長期の支援、フランスも中長期の復興支援というものをそれぞれ含むということでございますので、日本の支援の額とは一概に比較はできないということになるかと思います。

 それから、日本の援助に対する被災国の受けとめ方ということでございます。今申しましたとおり、二・五億ドル相当の二国間支援ということをやっているわけでございますけれども、これについては迅速かつ効果的に実施されて、着実に成果を上げている。国際機関を通じた支援につきましても各被災国において有効に活用されているというふうに承知しておりますけれども、こうした支援に対しまして、各被災国から高い評価がされて、さまざまな形で謝意表明というものがされております。

 例えば、インドネシアから、ユドヨノ大統領より小泉総理に対して謝意表明がなされておりますし、最近訪日いたしましたクントロ・アチェ・ニアス復興庁長官、被災した箇所の担当の長官でございますけれども、この方からは、我が国の関係者に対して、日本の支援プロジェクトがアチェで真に必要とされている、迅速かつ着実に進展しているということに対しまして高い評価が表明されておりますし、外務大臣あての感謝状というものも寄せられております。

 また、スリランカについても、クマラトゥンガ前大統領から小泉総理に対して謝意を表明する書簡が送付されておりますし、モルディブについても、ガユーム大統領あるいはジャミール外相等より我が国の支援に対して謝意が表明されるなど、我が国の支援というものが高く評価をされていると考えております。

 それから、国際機関からも、さまざまな機会に、我が国の支援に対して高い評価と謝意というものが表明されているところでございます。

土屋(正)委員 今の説明でわかったことは、他国と比較をすると金額もそこそこ、そして、その中身は俗に言う真水であった、こういう受けとめ方にいたしておきたいと存じます。どうぞこれからも真に必要な的確な援助を行っていっていただきたいと存じます。

 次に、大きな二点目として、国内の地震災害についてお尋ねいたしたいと存じます。

 記憶も新しいところでありますが、平成十六年十月二十三日午後五時五十六分、中越地震が発災をいたしました。震源は小千谷市で、マグニチュード六・八、直下型で震度七という大きな地震でありました。死者四十六名、負傷者四千二百一名という大きな影響を及ぼしたわけであります。一時期避難民が八万人と言われたのでありますが、幸い当該年中に、根雪を迎える前に大多数の人たちは避難所からそれぞれ移ったわけでありますが、現在、長岡市の仮設住宅には、二千三百十二世帯七千三百六十九名、四月末現在でまだお住まいになっている、このようなことを聞いております。非常に大変な状況であります。

 とりわけ山古志村は、私どもの同僚の長島前村長から聞いたところによりますと、最近では、新築再建したのはたった一戸、帰村したのが二十世帯、一部一時帰宅のようなものが八十世帯、こういう状況のようであります。

 これらについて、なぜ二千三百世帯がまだ仮設で暮らしているのか、いろいろな要素があると思いますが、主要な点についてお尋ねいたしたいと思いますし、また、その解消についてどのような努力をしているのか、お尋ねしたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 新潟県がこの四月末現在でいまだ応急仮設住宅に入居されているという方を調査いたしますと、委員御指摘のとおり、二千三百十二世帯七千三百六十九人というふうになっております。同じく一月に応急仮設住宅の入居者世帯に行いました調査によりますと、全体の九一・四%の方が既に生活再建方法を決定いたしております。

 ただ一方で、生活再建方法が未決定の世帯も残っておられまして、その理由としては、生活再建資金のめどが立たないとか、再建方法や用地選定を迷っているという理由が挙げられておりますが、生活再建方法が決まった方、九一・四%でございますが、その方々もまだ応急仮設住宅に入居されておるということでございます。

 これは、例えば山古志村でございますと、今国土交通省の直轄事業でトンネルを抜いていただいておりますが、これがことしの秋でないと実は貫通しない。それが供用しないと建てかえしようにも資材を搬入できないみたいな、そういう事情がございましておくれている。

 それから、集団防災移転事業というのをやはりやっておるわけですが、この事業につきましても、今現在計画を策定している段階でございまして、いわゆる住民の方の意見調整とか県市の間の調整とかそういうところで、まだ土地の方の着工という段階でございまして、建物着工段階に実はまだ至っていないというところがございまして、そういうものができ次第、順次家が建てられて仮設住宅から転居されていくということになろうかと思っております。

 そういう意味では、今現在、国土交通省さんの方でインフラ整備を一生懸命やっていただいておりますので、それを一日も早くやっていただくとか、集団移転の事業を早く進めるということが一番肝要なことかというふうに思っておるところでございます。

土屋(正)委員 お年寄りなど、再建の気持ちはあるものの資産がなかったり、あるいは自分の家族関係その他でもってなかなか難しい面があるやに聞いております。また、この仮設住宅の入居が二年ということが一つの基準だろうと思いますが、柔軟に対応して、ひとつこれからもきめの細かい対策をお願いいたしたいと存じます。いざとなるとき頼りになる政府、こういうことで頑張っていってほしい、このように申し上げておきたいと思います。

 さて、これらに関連して都市型の地震対策について、今後の問題としてお尋ねいたしたいと存じます。

 早いもので、阪神・淡路大震災から十一年がたちました。平成七年の一月十七日午前五時四十六分ごろ発災をしたわけであります。私も、当時武蔵野市長でありましたが、その直後に直ちに援助隊を出し、また給水部隊などを出したわけでありますが、それから十日後に現地へ入ってつまびらかに見て回りました。非常なショックを受けたわけであります。細かいことはさておき、私は、十一年たってみると、だんだん事柄、これからの都市型の災害に対してどのようなことが本当に必要なのかということが落ちついて見えてきた、こういう気がいたします。

 一番の問題点は、やはり死者が六千四百三十四名になったわけでありますが、この死者並びに負傷者のほとんどは、圧死あるいは建物の下敷きになった、家具の下敷きになって逃げられない、その結果としての焼死、こういうことなわけであります。焼死している人を細かく分析してみると、結局、逃げられたのならばそのまま焼死しないで済んだ、こういうケース、あるいはほとんど圧死になって、動けない、こういうことが分析として挙げられてきているだろうと思います。

 最近も専門家のお話も聞いたわけでありますが、こういうことからわかることは、何といっても、今後の都市型の対策として、建物と家具、この二つの倒壊を重点的に防止していくということが非常に大事な施策になってくるんじゃないか、こういうことを実感いたしております。首都圏の南関東のM七程度の地震の発生確率というのは、文科省の地震調査研究推進本部の推定によれば、今後十年以内に三〇%の確率、今後五十年以内に九〇%程度の確率。すごい確率であります、九〇%といったらほとんど来るということですから。

 こういうことを前提にした上で、防災から減災へということにカーブを切って積極的に取り組む、きょう言ってあしたというわけにはなかなかいかないんですけれども、こういう思い切った施策を政府全体でとっていくことが大事なんじゃないか、このように考えております。

 時間が余りありませんので立て続けに申し上げますが、一点目として、民間建造物。公共の建物を耐震補強するのは当たり前であります。これは予算において集中的、優先的にやっていくわけでありますが、問題は民間の建造物であります。これらについての積極的な耐震改修促進、こういうことを積極的にやるべきじゃないか、こういうことが第一点であります。

 とりわけ幾つかの自治体で先進的に補助制度をつくっているところもあるわけで、武蔵野市の場合なども、十万円のときはほとんど応募者がいなかったんですけれども、これを五十万円にしたら二十倍から三十倍の応募者が出た、こういうケースもございます。結局、思い切った施策しかないんじゃないかという気がいたします。国の融資制度その他についてお尋ねしたいわけであります。

 二点目として、不動産担保による政策金融の採用により高齢者等の補助制度を確立できないかということを提案いたしたいと存じます。

 御承知のとおり、高齢年金生活者は、ストックはあるけれどもフローがない。これを、ストックをどうやってフローに変えていくかということで、リバースモーゲージ制度があるだろうと思います。ただ、リバースモーゲージ制度の難点というのは、債権がいつ回収されるかわからない、不定期債権である、こういうところに問題があるんですけれども、これはやはり政策金融の出番ではないか、このように考えます。こういうところにこそ政策金融を積極的に打って出て、高齢者の対策がとれないか。

 また、三点目として、家具の転倒防止器具の無料取りつけ等を国の方針として打ち出し、各都道府県、市町村に積極的に政策誘導できないか。これは、中越の地震のときも、家具の転倒によって負傷したという例が三〇%か四〇%の割合であるわけです。こういうものを少しでも防ぐ。

 家具の転倒防止というのは、実は一万円とか一万五千円ぐらいでできるんです。現に、自分のところの例を引いて恐縮でございますが、家具の転倒防止を六十五歳以上に無料でやりますといって一万五千円の単価でやったらば、何と、今まで十件とか二十件だったのが三千七百件、平成十七年度の一年間で、こういう実績もあるわけです。だから、わずか一万円とか一万五千円でできるんです。何かきっかけがあればできるんです。こういう即効性のあるものを政府の方針として、これは政府が直接やるわけにはいきませんけれども、できないか。

 この三点について御質問いたします。

後藤大臣政務官 ただいま土屋委員から幾つか御質問をいただきましたが、まず、御指摘のありましたとおり、本当に阪神・淡路大震災で亡くなられた方の九割が建築物の倒壊等によるものであるということで、建築物の耐震化が非常に重要な課題であるということはまさにそのとおりだと思っておりますし、今、日本の現状、大規模地震がいつどこで起きても不思議でない状況だ、そういうふうに認識をいたしておりまして、特に、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震などが発生した場合の被害が甚大だということで、今しっかりとした目標を定めて耐震化を進めていきたいというふうに考えておるわけであります。

 特に、今後十年間で地震による死者数を半減させるということを昨年三月の中央防災会議においても目標とするという決定をいただきまして、この目標を達成するために、いわゆる改正の耐震改修促進法に基づいて国が定めました基本方針では、建築物の耐震化率、現在七五%でございますが、それを、平成二十七年までに九割にまでするという目標を定めて、今いろいろな対策に取り組んでいるところでございます。

 先ほど御質問のありました民間建築物の耐震改修、耐震診断等についての政府の施策でございますけれども、今言ったような観点から、国土交通省では、住宅・建築物耐震改修等事業によりまして、建築物の所有者が耐震診断や耐震改修を行う場合の事業につきまして地方公共団体と一緒に費用の補てんを行うということで、補助事業を行っております。ことしは、平成十七年度の二十億円から百三十億円に大幅に増額するという額の増加だけではなくて、地域要件を撤廃する、あるいは補助率の大幅なかさ上げを行うとかいうことをいたしております。

 また、平成十七年度からは、地域住宅交付金制度を創設しておりますので、地方公共団体が提案事業として自発的に行われます地域住宅計画に基づく事業、耐震改修の事業を含みますけれども、その補助事業に対しても助成を行っております。

 それから、先ほどお話のありました老朽化した戸建て住宅の耐震化について、リバースモーゲージのような融資制度という御指摘でございましたが、土屋委員は武蔵野市におきまして本当に先進的な、住宅に根抵当を設定されて年金払い型のいわゆる福祉資金貸付事業を早くから導入されて、先駆的な取り組みをされていることに大変敬意を表しているところであります。老朽化した戸建て住宅の耐震化につきましても、必要な住宅改修資金の確保を支援することは重要だというふうに考えておりまして、住宅金融公庫においては、住宅の耐震改修工事を行う場合の必要な資金の融資事業を進めております。

 また、高齢者が持ち家のバリアフリーリフォーム等を行う場合、この場合は耐震改修とセットでできるわけでございますけれども、その場合には、生存時に毎月利息のみを返済する、そして死亡時に元金を一括して返済するという、いわゆる高齢者向け返済特例制度というのを設けておりまして、機能的には相当にそういうものに近いものができているというふうに思います。リバースモーゲージというような仕組みを幅広くいろいろな問題に使っていくという点では、いろいろまた検討すべき点があるだろうというふうに思っております。

 その他、お尋ねがたくさんでありましたけれども、耐震改修あるいは耐震診断、そして今社会に広がっております安心、安全に対する不安に対してしっかりとした対応を、できる限りの政策を集中いたしまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

土屋(正)委員 それでは、三項目めの風水害対策について、時間がなくなりましたので、一つだけ意見として申し上げておきたいと存じます。

 この年は、何と十個の台風が上陸をして、全国あちこちで道路決壊、土砂崩れあるいは堤防の決壊等が相次いだときであります。死者の数も二百名近くになり、非常に大変なときであります。ぜひ道路局並びに河川局におかれましては、災害列島、こういう認識の上に立って今までも対策を立ててこられたわけでありますが、特定財源の積極活用などを含めて、これらについて前向きに、安全、安心こそ国民生活の基礎である、こういう立場でもってお取り組みをいただければと存じます。答弁の時間がなくなったようでありますので、要望ということにさせていただきたいと存じます。

 以上をもって終わります。

筒井委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 私は、きょう、旧日本軍が製造し中国大陸に遺棄してまいりました化学兵器、遺棄化学兵器の問題について質問をさせていただきます。

 私がこの問題に関心を持ちましたのは、旧軍が毒ガス兵器をつくった、そのほとんどが、私が住んでおります広島県でつくられておりました。瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大久野島という島がその工場だったんですが、第二次世界大戦が終わるまでは、その大久野島は地図に載っておりませんでした。また、本土側を海岸線を呉線が走っているんですけれども、当時、この大久野島に近づくと、呉線を走っている列車、車内で放送があって、皆、窓側のカーテンといいましょうかシャッターを全部おろすようにということで、一般国民からもその大久野島、陸から見えるんですけれども、一切見えないようにということで、それだけ戦略上重要なところだったんだと思います。そういう島が広島にありまして、私もこの問題に関心を持つようになりました。

 終戦時、一説には百万発とも二百万発とも言われておりますが、そういう化学兵器が中国大陸に行って、戦争が終わった。その遺棄化学兵器の処理、これは戦後長らく放置をされてきたわけですけれども、化学兵器禁止条約によりまして、生産国がその処理の責任を負うということになり、日本もその条約に署名をいたしましたので、日本がその処理を行わなければならない、今こういう立場にあるわけでございます。

 一部に、終戦時にそれはもう中国側もしくは参戦してきたソ連軍に撤収をされたものであるから、日本には責任がないという説もございますけれども、そういうことをおっしゃる方もいらっしゃいますが、化学兵器禁止条約によって、日本はその責任を負うということを調印したわけでございますので、ここは日本が責任を持って対処をしなくてはいけない、このように思っております。

 中国大陸広く分布していた遺棄化学兵器、これは中国側の努力で終戦時に一カ所に、全部ではありませんけれども、かなり多くの部分が吉林省のハルバ嶺というところに集められて地下に埋められているということで、私も八年前にそれを見てまいりました。

 この中国遺棄化学兵器の処理は、その後、内閣府の中に遺棄化学兵器処理対策室ができて、進んでいる、このように聞いておりますが、経緯、現状、予算がどのぐらいなのか、また今後の予定、そして今抱えている課題等あると思いますので、このことについてまずお伺いをいたします。

高松政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、今先生御指摘のとおり、化学兵器禁止条約に基づきまして、中国に存在しております、旧軍により遺棄されました化学兵器を廃棄する義務を負っているところでございます。

 遺棄化学兵器の大部分は吉林省ハルバ嶺に埋設されていると推定しております。推定埋設数は三十から四十万発と考えております。また、ハルバ嶺以外の中国各地におきましても、遺棄化学兵器が種々発見されておりまして、日本政府は、平成十二年の黒竜江省北安市以来、発掘回収事業の実績を重ねまして、これまでに計十回事業を実施し、約三・七万発を発掘回収しております。

 本事業に係る予算につきましては、平成十六年までの予算執行額は三百十五億円、平成十七年度予算額、これは補正後でございますが約百九億円、平成十八年度予算額につきましては約百七十七億円をつけていただいております。

 現在、中国各地で発見されております個別の、個別と申しますか少数の遺棄化学兵器の発掘回収事業を取り進めるとともに、最も多くの遺棄化学兵器が埋設されております吉林省のハルバ嶺におきまして処理事業を推進することが非常に重要と考えておりまして、安全や環境に十分な配慮を払いつつ、また中国の法律を遵守して、廃棄技術や、廃棄処理施設の立地場所、またその基本設計等について日中間で鋭意検討を進めております。特に、ハルバ嶺におきまして処理事業を実施するために、中国での事業主体といったものを日中政府間で合意する必要がございまして、現在、中国側との折衝を鋭意進めているところでございます。

斉藤(鉄)委員 聞くところによりますと、どういう技術を選ぶか、またそのやり方等によって、数千億円から兆というオーダーまで最終的にはかかるという話も聞いております。そういう意味では、中国側の理解を得ながら合理的な方法でやることが必要だ、このように思いますので、その点について、またぜひ御努力をいただきたいと思います。

 もう一つ問題は、このハルバ嶺に全部集められているわけではありません、まだいろいろなところに残っております。そういう野原に遺棄された化学兵器に地域の住民の方が近づいて、毒ガスとは知らないわけですから、それを持ち運んだり、また子供たちがそれをつついて遊ぶということで、多くの人が被害に遭っております。

 二〇〇四年には、いわゆる敦化事件ということで、子供たちが河原に突き刺さっていた毒ガス弾をつついて遊んで、傷ついて、今も苦しんでいる。また、二〇〇三年には、いわゆるチチハル事件、これは、亡くなった方もいらっしゃいますし、子供を含めた四十三人の方が障害を負って現在も苦しんでいらっしゃるという問題がございます。

 このような、処理の問題とは別の地域住民の方の被害について、日本政府はどのような対応をとっているんでしょうか。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました黒竜江省のチチハル市の事件、それから、吉林省の敦化市の、旧軍によります遺棄化学兵器による毒ガス事故が発生したこと、これにつきましては、政府として極めて遺憾であると考えております。被害者の方々に対しては、心からお見舞いを申し上げてきておるところでございます。

 これらの事故に関しまして、我が国としては、中国側と密接に協力をしながら、中国側から事故の通報があった直後から、まず事実関係の調査チーム、それから本件事故の被害をもたらしましたドラム缶それから砲弾をこん包するためのチーム、それと医療専門家チームを派遣する等、迅速かつ誠実な対応を最大限行っております。

 また、このような毒ガス事故の発生も踏まえまして、今後、遺棄化学兵器の処理を実施していく中で中国人及び日本人の関係者が万が一事故の被害に遭う場合を想定いたしまして、これに迅速かつ適切な対応がとれますよう、現在、中国におきます遺棄化学兵器処理事業の一環といたしまして、医療体制の確立ということについて日中間の専門家で検討をしております。今のところ、手元にあります資料によりますと、既に計六回にわたって医療専門家同士の話し合いをしております。

 我が国といたしましては、今後、このような被害が生じないようにするためにも、一番の根本的な解決策というのはやはり事業を早く完結することだと心得ております。化学兵器の禁止条約に基づきまして、できるだけ早く処理をするために、今、内閣府の方からも紹介がございましたけれども、中国側と緊密に協力をしながら対応を図っていきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 遺棄化学兵器の処理、また、処理に伴って負傷される方、それから、処理とは関係なく、野原に捨てられた化学兵器に何らかの原因で接して負傷される方、それぞれに対しての救済スキームというのは、これは日本軍がつくった化学兵器による被害ですので、日本政府としてきちっとした対応をすることが非常に重要だ、私はこのように思います。

 日本での毒ガス被害者、これは、例えば大久野島で働いていた方が被害を受けて、今もたくさんの、二千人以上の方が苦しんでいらっしゃいますけれども、その方々にはいわゆる被爆者援護法に準用した援護手当が施されております。まさに健康手当等、被爆者援護法と全く同じものが施されているわけです。

 被爆者援護法におきましては、在外被爆者、海外にいらっしゃる被爆者についても、それに準じて救済の手を、援護の手を差し伸べていこうという動きに今なっているわけでございまして、同じような考え方で、海外で旧日本軍の毒ガスによって傷ついた方に対して、日本の毒ガス被害者を救済しているスキームを適用して救っていくということも今後考えていくべきではないか、このように思いますが、これについてはいかがでございましょうか。

岡島政府参考人 まず、私の方からは、日本におきます毒ガス障害者対策につきましてお答え申し上げます。

 第二次大戦中、広島県大久野島にありました旧陸軍造兵廠忠海製造所、福岡県北九州市にありました旧陸軍造兵廠曽根製造所、神奈川県寒川町にありました旧相模海軍工廠におきまして毒ガス製造等に従事した方のうち、毒ガスによる健康被害を有する方に対しましては、健康診断の実施、医療費及び各種手当の支給などの措置が講じられているところでございます。

 このうち、厚生労働省におきましては、動員学徒等、国との雇用関係に基づかない方を対象としておりまして、対象者の数は平成十七年三月末現在で二千四百八十六名となっているところでございます。

佐渡島政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府としての考え方ということでございますけれども、日本政府、日本と中国、大陸との間では、一九七二年に日中共同声明が発出をされておりまして、それに、さきの大戦に係る請求権の問題というのは存在していない、こういう仕切りになっております。したがって、被害者個人に対する補償とか、あるいはその代替措置ということに関しては、この法律の仕切りに従うというのが基本中の基本ではないかと心得ております。

斉藤(鉄)委員 在外被爆者の場合におきまして、いわゆる被爆者援護法が、これは最高裁判決の言葉ですが、国家補償的な配慮によるものであるという理論的なバックグラウンドがございます。この国家補償的配慮によって、被爆者には援護の手が差し伸べられている。そして在外被爆者にも、これは、ある意味では社会保障としては考えられない、外にいる人に対しての援護の手ですから、これも国家補償的な配慮という論理を使わなければ当然できないわけですけれども、それが被爆者の場合は行われている。

 国内の毒ガス被害者については、この被爆者援護法と同等の援護措置が行われている。これは最高裁判決はありませんけれども、当然これは国家補償的な考え方によるものだと思います。その論理の延長線からいけば、外にいらっしゃる毒ガス被害者についても援護の手が差し伸べられるべきではないか、私はこのように考えております。

 時間が来ましたので、きょうはここで終わりますけれども、今後ぜひ、我々の先輩がやったことでございますので、その責任は我々がきちんととらなくてはいけない、こういう趣旨から、またこの問題を取り上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 本日は、当委員会の趣旨、国民の皆さんからいただいた血税をどのように使われているか、あるいは行政がきちんと機能しているかどうか、これをしっかりと監視するのが当委員会の趣旨でございますので、その観点に即して、社会保障関係あるいは公共投資関係について、大きく二つに分けて昨今ある問題を質問させていただきたいと思います。

 まず、社会保障関係についてでございますけれども、近年、公立病院への治療費の未払いが急増しております。自治体へのアンケート調査によりますと、都道府県や政令指定都市が運営する全国の二百四十八の公立病院では、患者からの治療代の未払いが昨年三月末で一病院当たり約三千三百万円にも上っており、朝日新聞の調査によりますと、この三年間で一・五倍に増加しているという現状がございます。

 その理由として考えられますのが、まず第一は、貯蓄ゼロ世帯や生活保護世帯の急増を背景とした低所得者の急増ではないか、そのように考えられます。また、第二に理由として考えられますのが、平成十四年の十月、高齢者の一割負担の徹底、あるいは十五年四月、サラリーマン本人負担の二割から三割への引き上げなど、相次ぐ医療費の自己負担の増加が原因として考えられると私は思うんです。

 政府は、この十八日に参議院の方に送りました医療制度改革法案でも、さらに高齢者の負担増などを推し進めようとしているというふうに私は思います。これが結局、低所得者を中心とした治療代未払いを一段と増加させて、ひいては低所得者が病院に行きにくい状況をつくってしまうのではないか。所得が低ければ病気になっても病院にも行けない、そういうことになるのではないでしょうか。政府の施策が格差社会を助長するのではないか、その一面もやはりここにあらわれているのではないかというふうに私は思っております。

 政府は、この治療代未払いの増加の現状について一体どう認識されていますのでしょうか。お答えいただきたく思います。

岡島政府参考人 まず、未収金についてでございますけれども、四病院団体協議会が加入病院に対しまして実施しました実態調査におきましては、医療機関の種別では、公的医療機関での未収金額が多い、都道府県別では、近畿、東海地方から東側の都道府県で未収金額が多いという傾向が見られることなどが指摘されております。こういった分析結果を見ますと、医療機関の性格や地域的要因などの要因も影響しているものと考えられます。患者負担の増にその原因があると断じることは適切ではなく、その背景はさまざまであると考えております。

 保険診療における自己負担に関しましては、今般の医療制度改革におきまして、急速な高齢化に伴う医療費の増大を見据えまして、現役並み以上の所得のある高齢者については、現役世代との負担の均衡を踏まえ、現役世代と同様の三割負担とするなど、高齢者に応分の負担をしていただくこととしております。

 さらに、高齢者の高額医療費につきましては、現役世代と異なり、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほか、外来に係る自己負担限度額を設けることで外来診療にかかりやすい環境を整備するとともに、現役世代よりも自己負担限度額を低く設定するなど、きめ細かな配慮を行っているところでありまして、必要な医療を妨げることにはならないと考えております。

 いずれにいたしましても、国民に良質で適切な医療を提供していくためには、医療機関の経営が健全でかつ安定しているということが重要でございますので、未収金につきましても、患者もそういった地域医療を支えるという観点を自覚していただき、医療に係る費用の一部を自己負担分として負担していただくべきものと考えております。

前田委員 もっともらしい答えで納得してしまいそうなんですけれども、現状は本当にそうじゃありませんか。実際に、お金がないから払えない方が出てきているんじゃありませんか。今、地域間での格差を原因だとか、あるいは背景にはさまざまな理由があると言われましたけれども、今までとられた負担の急増というのは、本当に高齢者にとって病院に行けない状態をつくり出しているのではないかというふうに私は現状として思います。だから、お金がないから払えないんじゃないですか。

 ですから、私は、今いろいろな要因を言われましたけれども、現状としてあるこの未払いの問題を、では、当面の対策はどういうふうにされるんだ、あるいは中長期的にどういう対策をとられるのかということを、その考え方をしっかりとお聞きしたいと思います。

宮島政府参考人 未収金の問題でございますが、この問題、三つのサイドの問題かと思っております。

 一つは、患者、国民サイド。これは、国民皆保険という中で、医療サービスは自己負担と保険料や税金で支えられているということで、やはり払っていかなければならないということ。

 それから、医療機関サイドにおきましては、クレジットカードによる支払いや、一部負担が納めやすくなるような工夫とか、支払いの督促などの徴収努力をしていただくということが必要であるというふうに思っております。

 また、医療保険制度におきましては、先ほどのお答えにもありましたように、低所得者についての高額療養費の配慮をしておりますし、今回の改革でもその限度額は引き上げないということをやっております。

 やはり未収金の問題は、大部分が入院に伴うものです。入院すると、三割負担なり何割ですと、いっぱいお金を払わなきゃいけない、それが払えないということなので、実は、来年の四月より、七十歳未満の方、これは七十歳以上の方は既にやっているんですが、七十歳未満の方についても、入院して高額の医療費がかかった場合、医療機関での窓口の支払いは高額療養費の制度における自己負担限度額にとどめるということです。

 要するに、二百万円ぐらいの医療費がかかったら、その三割負担だと六十万ぐらいを一時的に医療機関に払わなきゃいけないんですが、自己負担限度額は八万円強ですから、八万円強を医療機関に払えばいい、あとの残りの差し引いた金額は医療機関の方にじかに払うというようなことを考えておりまして、こういった取り組みによって一定の改善を期待しているところでございます。

前田委員 今、七十歳以上の高齢者の医療負担があり、高齢者の長期療養者が未払いだ、多くがそうであるというお話がありましたけれども、今回の医療制度改革法案の中に、この七十歳以上の長期入院患者の食費、居住費を自己負担にするということがありまして、これは一般世帯の方で月額五万二千円ぐらいということも挙がっております。ということは、さらに長期療養の患者をふやしてしまうことになるのではないかというふうに私は思います。そうすると、また一段と未払いの問題を拡大してしまうことになるのではないかというふうに懸念しておりますので、こういうことをきちんとお考えいただいて、これは参議院でも質疑が続いておりますので、そちらできちんとまたお答えいただきたいと思います。

 問題は数多くありますのでちょっと先に行かせていただきますけれども、今度、国民健康保険の未加入者の増加の問題を取り上げさせていただきたいと思います。四割未納の国民年金だけではなくて、国民健康保険についても保険料の徴収対策が大きな課題になっていると私は思います。これについて、政府の対策をお聞きしたいと思います。

 ニートやフリーターがふえる中で、国民健康保険の保険料を支払われていない、いわゆる医療保険の未納者がふえている現状でございます。平成十六年度の未納率は、全国平均で九・九%、若年層が多い大都市圏では一三・三%にも上ります。

 私は、これは一般商店の皆さんや、それから退職されて職が今ない方を助ける最後のとりでだと思います、セーフティーネットだと思いますので、この深刻な問題についてどのようにお考えになるのか、お聞きしたいと思います。

宮島政府参考人 御指摘ありましたように、市町村国保の保険料の収納率は低下傾向が続いております。特に都市部の若年層の納付意識の低下というのがその大きな原因であろうというふうに思っております。国民健康保険、保険料が主な財源ですので、その収納対策は極めて重要だと思っております。

 私ども、昨年二月には、各市町村に収納対策緊急プランの策定を行ってもらうなど、市町村の収納の現場の職員にはいろいろ努力をお願いしているところでございます。その中で、新しい対策として今後考えておりますのが、クレジットカードや携帯電話を活用した徴収でありますとか、都道府県の方にもバックアップしてもらうために、共同収納センターを都道府県で設置しますですとか、あるいは、介護と同じように、六十五歳以上の高齢者の年金からの国保の保険料の天引きの徴収等、そういったものを実施する予定でいるところであります。

前田委員 これは地方の都道府県あるいは公共団体に押しつけにならないように、きちんとした施策をとられて、この未加入問題、ぜひ解決していただきたいと思います。

 次は、保険の免責制度、これについて伺いたいと思います。

 谷垣大臣、五月の二十三日の閣議後の記者会見で、この保険の免責制度の導入について触れられておりますけれども、政府は、これからまとめる歳入歳出一体改革の中で、医療費を抑制するためにさらに患者負担の増加を検討しているという内容でございました。それが医療費の一定額を患者負担にする保険免責制度の導入であるということです。

 しかし、考えてみると、低所得者を中心に患者負担をこれ以上増加させれば、治療代の未払い問題にも見られるように、社会の格差がますます拡大してしまうんではないか。加えて、治療代未払いで公立病院の経営が悪化すれば、それはまた新しい財政負担の増加につながりかねない。財政健全化の観点から見ても、私はこれは逆行する考えではないかというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。

 では、まず財務省の方にお伺いできますか。

谷垣国務大臣 私どもは、これは今までもいろいろ御議論を賜ったことがございまして、今委員がおっしゃったような御意見もあったところでございます。

 ただ、やはりこの医療費の増嵩を、どうやって持続可能なものに考えていくかということになりますと、やはりこのところも、何というんでしょうか、あらかじめ排除するということじゃなく、きちっと御議論をいただいて、今の段階で私、まだこれだけこうということは申し上げません。きちっと御議論をいただいて一定の結論を出していただきたい、こう思っているわけでございます。

前田委員 ぜひ、これは参議院においても医療制度改革法案のまだ審議中でありますので、しっかりと御議論をいただいて、その対象であるということを今確認させていただきます。

 また、私は、制度を変えることは混乱を招くということもあると思うんですね。保険免責制度の導入になれば、病院で診療を受けた際にどの程度の負担額になるのか、これは患者にとっては非常に不安になります。

 制度の改変で現場が混乱した例を一つ挙げましょう。

 ことしの四月、診療報酬改定の折に、使い捨てのコンタクトレンズを購入した患者さんが、この診療報酬の改定によって医療費を過剰に請求された事例があるわけです。これがまた相次いでいるんですね。中には、自己負担額の十倍以上にもなった人もいるぐらいであります。これはどうしてかというと、一部の社会保険事務局が、これは東京、愛知の一部ということらしいんですけれども、疾患の疑いがなければ再検査は保険適用外ということで、そういう判断を下されて、コンタクトレンズの販売のところに隣接している眼科医に行ったら、その眼科医さんが違った説明を受けていまして過剰請求をしてしまったということが、過剰請求の原因であったというふうに言われております。コンタクトの検査料の変更でさえこのようなありさまなんです。

 今後の対応をする中で、保険免責制度の導入などをもし実施したら、現場の混乱はもっとひどいことになるのではないですか。私は、保険免責制度の導入というのは国民の皆さんには到底理解しがたい、不安を招いてしまうのではないかというふうに思っておりますけれども、厚労省の方はいかがお考えでしょうか。

宮島政府参考人 コンタクトレンズについての御質問ですが、これは、コンタクトレンズをつけますと目の疾患が発生する蓋然性が高いということで、その継続管理のための検査は保険給付の対象になります。しかし、御指摘ありましたように、必ずしも疾患に罹患してないのではないかということで、自由診療の検査として医療機関で保険給付の対象外ということで、そういう数倍もの患者負担になったという事例であります。

 厚生労働省としましては、四月末に、こういう検査は保険適用されるということで、医療機関への周知を図ったところでありまして、御指摘のような患者への過剰な請求は行われなくなっていると考えております。

 保険免責制とこれとの考えというのは、必ずしも、免責制というのを、いろいろな考え方がありますから、直接どうかということはあるんですが、昨年、医療制度改革の中で免責制の議論をしたときは、自己負担の上昇によって過度の受診の抑制がないかとか、受診抑制で重症化しないかといったさまざまな議論が行われました。今回の法案には盛り込まないというようなことで、今国会において、今健康保険法等の改正案についての御審議をお願いしているということでございます。

前田委員 このコンタクトレンズの件は、私は、制度の改変によっていかに混乱するかという例で挙げさせていただいたわけで、保険の免責制度の導入があれば、これはまた非常に現場が混乱すると思いますので、先ほど財務大臣が言われたように、きちんとした議論の中で、十分な審議の時間の中で、私はこれは審議させていただきたいことであるというふうに思っております。

 次に、がん対策について伺いたいと思います。

 がんは日本人の死亡原因の第一位であり、年間三十万人以上もがんで亡くなっておられる方がある、まさに深刻な国民病とさえ言えるものであるというふうに思います。ですから、このがん対策は緊急の課題であり、一刻も早いがん治療に向けた総合的な対策を講ずることが求められているというふうに私は思います。

 しかし、これまでの政府の対応は、必ずしも患者やその家族の期待にこたえるものではないと私は思います。患者や家族は実際に受けられる医療サービスに対して不安や不満を抱いているのが現状であると思いますが、厚生労働省は、今これをどのように感じられていますか。患者さんあるいは家族がどのような不安、不満を抱いているとお考えですか。

岡島政府参考人 先生御指摘のとおり、我が国におきまして、がんは死亡原因の第一位でございまして、国民にとって重大な脅威となっているということは私どもも認識しております。がん対策は重要な政策課題として取り組んでおりまして、厚生労働省としましては、国家戦略として累次の対がん十カ年総合戦略を策定し推進してきたところでございます。

 さらに、がんの予防、早期発見の推進、それから、がん医療水準の地域格差の是正、がんの在宅療養、緩和医療の充実、それから、がん医療技術の開発振興といったことが課題となっておりまして、そういった課題により的確に対応する必要があるというふうに考えております。

 昨年には、国民、患者の視点に基づいて今後のがん対策を推進していくために、がん対策推進アクションプラン二〇〇五を策定し、がん医療の均てん化、地域格差の是正を推進するためにがん診療連携拠点病院の整備を進めるということ、それから、患者、家族の方の不安や不満の解消を図っていくために、本年度からはがん情報ネットワークの構築ということを推進していくこととしております。

 厚生労働省といたしましては、このような総合的戦略を関係省庁と連携して全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

前田委員 我々民主党は、国、地方公共団体の責務を定めた、がん対策の基本的な枠組みを定めるがん基本法の制定を早くから強く求めてきているものでございます。そして、患者、家族の立場になって、積極的に患者の求める情報を提供し、患者が納得できる治療体制を構築することが大切であるというふうに考えております。さらに、今も言われましたけれども、がん情報のネットワークの構築やがんの登録制度、これを創設すべきではないか。とにかく、総合的な、一元的ながん対策を強力に推進することが現在必要であると思います。

 先般も、我が党の山本議員は国会審議の場で、みずからもがんと闘っている現状を踏まえて、がん対策の推進を切々と訴えてこられました。我々は、とにかく一刻も早く国民の期待にこたえたがん対策の推進を実現できるように全力を挙げていきたいと思っておりますが、ぜひ政府・与党としてもがん対策に積極的に取り組んでいただきたい。いかがでしょうか。この辺、どうお考えでございますか。

岡島政府参考人 先ほどと重なる答弁になりますけれども、厚生労働省としましては、がん対策の国家戦略として第三次対がん十カ年総合戦略を策定し、その具体的行動計画としてがん対策推進アクションプラン二〇〇五を策定しまして、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 特に、がん情報ネットワークにつきましては、国立がんセンターにがん対策情報センターを設置しまして、そして、各がん診療連携拠点病院の相談支援センターと連携した相談体制を平成十八年度中に構築していく予定でございます。

 また、がん対策基本法案につきましては、与党と民主党からそれぞれ国会に法案が提出されているところでございまして、今後、国会におきまして御議論されるものというふうに理解しております。

 いずれにいたしましても、政府としましては全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

前田委員 とにかく、一刻も急ぎましょう。そうでないと、今苦しんでおられる患者の皆さんや家族の皆さんが大変です。それをお願い申し上げておきます。

 次に、若年雇用と若年者間の格差の問題について伺いたいと思います。

 最近は、企業の求人も活発化してきまして、ようやく新卒者の採用も好転してきたようですが、むしろ反対に、若年雇用の問題とか若年者間の、とにかく若者の間での格差の拡大が私は深刻化しているように思います。また、これからさらに深刻化するのではないか、そういうふうに思いますが、厚生労働省はどのようにお考えでございますか。

鈴木(直)政府参考人 若者の雇用情勢の認識というお話でございますが、今も御指摘ありましたように、若者の雇用失業情勢、全体としてこのところ改善をしてきております。新規学卒者については、高校生、大学生ともに今春の内定状況は改善しております。それから、若者の就職意欲、これも高まっているというように考えておりますし、フリーターについては二年連続で減少してきております。そういう意味で、全体として改善傾向にあると考えております。

 ただ、そういう中で、若年者については改善傾向にはあるといっても、例えば失業率について見ますと、全体の失業率に比べて相対的にかなり高い水準にある、それから、フリーターの二年連続減少と申し上げましたが、フリーターの中でも二十五歳以上の層、ここでは減少幅が小さい。この年齢層の中には、いわゆる就職氷河期の時期に正社員となれずにフリーターとなっているという人がいるというふうに考えております。それから、ニートなどの無業者についてはいまだに多い。そういったことを考えますと、若者の雇用情勢、改善傾向にありますが、なお厳しい状況もあるというふうに考えております。

前田委員 今御説明あったように、本当になお厳しい現状にあるということです。平成十六年度でさえ、フリーターは二百十三万人、ニートは六十四万人、合わせて二百八十万人近い数字に上がっているわけであります。

 これまで十年間、二十歳代をフリーターやニートで過ごした人の中には、正社員として本当にやっていけるんだろうか、また、やっていけるだけの職業訓練を受けていない、そういう不安を持った方が多いわけであります。雇用情勢が改善したからといって、こういう人たちがすぐに正社員として雇用されるかどうか、これは、現状は極めてやはり厳しいと言わざるを得ません。

 現在、新卒採用で雇用される若者と、既に三十代になっている若者、こうした若者の間で格差、これは処遇の格差であり所得の格差であるわけですけれども、これが固定化しかねないような状態にあると思います。政府はこれまで、製造業への労働者派遣の解禁や有期限労働契約の延長といった労働市場の緩和を行ってきたわけであります。こうした政策がフリーターを初め非正規雇用の増加を助長してきたという指摘も強いわけであります。

 少し具体的な話をしますと、厚生労働省が三月に出された数字ですけれども、フルタイムで働く男性労働者の〇五年の平均月給、残業代を除く月給ですけれども、正社員が三十四万八千百円、非正社員が二十二万一千三百円、七割ぐらいしかないわけですね。愕然とするぐらいの格差があるわけであります、現実として。

 また、先ほど人材派遣の話をしましたけれども、最初は秘書、通訳など専門十六業種限定だったのが、これを九六年には二十六業種に拡大して、一部を除いて九九年には原則自由化になったわけであります。また、二〇〇〇年には、労働基準法の改正で、労働時間の管理を本人に任せる裁量労働制度の対象を専門職から企画立案部門の社員などに広げたわけであります。給与の物差しが時間から成果に変わったんですね。正社員の給与の格差が実際に拡大していることになっているわけであります。

 そうした現状があり、実際、この十五年間で非正規雇用者は九百万人弱から一千六百万人余りに増加しているわけであります。

 規制緩和が雇用をふやした面はあっても、他方で、有効なセーフティーネットを講ずることなく、若年雇用の問題、そして若者の間で大きな格差の問題が起きていると私は思うんですね。こうした施策の責任、政府の責任は非常に大きいと私は思いますよ。フリーターを初め非正規雇用の増加を助長した、そういう指摘があるというふうに先ほど私は発言しましたけれども、政府の施策の責任についてどうお考えですか、厚生労働省。

太田政府参考人 今御指摘いただきましたように、近年、非正規雇用者数が増加しているわけでございますけれども、その要因につきましては、経済産業構造の変化や価値観の多様化などによりまして企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていること、すなわち、労使双方のニーズがその背景にあると認識しているところでございます。ただ、このような中で、今御指摘いただきましたように、フリーターやニートなどの若年層の非正規雇用や未就業が増加していることにつきましては、将来の格差拡大につながるおそれもありまして、今後十分注意が必要と考えているところでございます。

 私どもとしましては、例えば、ハローワークで正社員求人の確保でございますとか正社員就職の取り組みを積極的に進めているところでございますし、特に若者につきましては、昨年度は二十万人、今年度は二十五万人ということで、フリーターを常用雇用化するという目標を立てまして、できる限り正社員になっていただく、こんな取り組みも進めているところでございます。

 それからもう一つは、非正規労働者の中で最も数の多いパート労働者につきましては、パート労働者の均衡処遇に取り組む事業主への支援の強化あるいは公正な処遇が確保される短時間正社員制度の普及等によりまして、だれもが安心して働くことができるような労働環境の整備を進めているところでございます。

前田委員 私は、今まで若者の雇用あるいは待遇の格差が出てきてしまっている、これはこういう政策を進めてきたことに非常に責任があるというふうに重ねて発言をしておきますけれども、是正すべき措置はぜひきちんととっていただきたい。やはり、こういった非常に厳しい時代は、小さな命の子供さんとかあるいは若い弱い人たちにしわ寄せが行ってしまう。ですから、これにきちんと対処していただきたいというふうに思います。

 さらに、政府の方は、若者自立・挑戦プランというのを進めてこられましたけれども、これを私はずっと見させていただいて、非常に厳しい言い方ですけれども、目立った効果はあらわれていない。十五歳から二十四歳の若年層の失業率、この三月で九・八%ですよ。依然として高水準のまま、これが現状であります。新卒など一部を除いて、若者を取り巻く雇用環境は依然として極めて厳しい、それが今の実情であると思います。

 今後、厚生労働省は、こうした現状を打開するのにどのような施策をとられようとしているんでしょうか。きちんと御説明いただきたいと思います。

鈴木(直)政府参考人 若者自立・挑戦プランの効果が上がっていないのではないかという御指摘でございました。ただ、若者対策、各省庁と連携をしながらこのところ取り組んできておりまして、確かに若年者の失業率、相対的にかなり高い水準にございますが、このところ若年者の失業率も低下傾向にはございます。ただ、いずれにしても厳しい状況にあることは事実でありまして、これから若者の雇用の改善、関係省庁とも連携をとりながら積極的に対応していきたいと考えております。

 その中で、先ほどの答弁でもちょっと指摘がありましたが、フリーター二十万人常用雇用化プランというのをやっております。これについては、最終的な集計はまだでございますが、二十万人は達成する見込みで、それから今年度は二十五万人という形で実施をしたい。

 それから、若者の働く意欲を高めるための若者自立塾事業、若者の置かれた状況に対応した専門的な相談あるいは地域の支援機関のネットワークを活用した自立支援を実施する地域若者サポートステーション、そういったことも今年度は考えております。

 いずれにしても、この若者対策、関係省庁とも十分連携しながら積極的に対応していきたいと考えております。

前田委員 ぜひ若者の皆さんにとって意欲ある働き場所がしっかりと見つかるように御支援いただきたいと思います。

 次に、公共投資関係について思うところを質問させていただきます。入札制度の見直しであります。

 橋梁建設工事に続いて、今度は防衛施設庁の発注工事でも談合が発覚するなど、公共工事をめぐって不祥事が相次いでおります。政府は、こうした事態も踏まえて、来年度にも入札のあり方を抜本的に見直す、そして公共工事の入札参加者をあらかじめ指名する指名競争入札制度を原則廃止する、一般競争入札へ全面移管を実施する方針をとるというふうに報じられておりますけれども、この一般競争入札は、参加者が不特定多数となるために談合が成立しにくい、そう言われております。また、競争を通じて落札価格が低下する、そういう効果も期待できるわけであります。

 しかし、私は、そうした方針を出されるんだったら、どうしてもっと早くやってこなかったのか。官製談合事件が次々と出たからやるというのでは、遅きに失しているんではないか。私は、来年度などと言わずに今すぐやったらどうですか、そういうふうに思いますが、国土交通省のお考えをお聞きしたい。

大森政府参考人 先生御指摘のように、一般競争入札は、手続の客観性、透明性が高く、また競争性が高いというメリットを有しております。しかしながら一方で、不良不適格業者の排除が困難であり、結果として公共工事の質の低下を招くおそれがあるとか、また発注者の事務量が大きくなるといった問題もあるということで、従来から、大規模工事を除いては指名競争入札によって工事の発注を行ってきたところでございます。

 ところが、先生今おっしゃられましたけれども、昨年、橋梁談合事件などが発生をしたということで、より手続の客観性、透明性、また競争性を高める観点から、国土交通省では、一般競争入札を今年度から二億円以上の工事にまで拡大し、さらには二億円未満の工事についても積極的に試行することとしたところでございまして、現在その着実な実施に取り組んでおります。

 また、各省におきましても、先般、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議におきまして、今年度から二億円以上の工事は基本的に一般競争入札に移行するといった内容の取りまとめを行ったところでございます。

 今後の入札契約制度の方向性としては、御指摘のように、さらなる一般競争入札の拡大が必要であると認識しております。ただ、その拡大に当たりましては、一般競争の導入に伴う問題に対応するための条件整備が重要であるということを考えておりまして、例えば、競争参加者の経営状況のチェック機能を有する入札ボンドの導入等に向けて取り組んでいるところでございます。

前田委員 理由はいろいろ述べてこられましたけれども、とにかく、いいことは早くやりましょう。それが国民の皆さんの希望です。いいですか。

 次に、小中学校の耐震化の話をお伺いしたいと思っております。

 小中学校の校舎や体育館の耐震化が非常におくれている。耐震性が確認されているのは全体で五一・八%にすぎない。二〇・三%は耐震性がない、そんな数字が上がっております。首都圏の直下型地震や、我が東海地域の東海大地震、その危険性が指摘されているにもかかわらず、耐震診断の実施率すら六割を切る現状であります。

 子供たちが長く過ごす学校であります。我が党の方は、チルドレンファーストということを言いまして、政策の中に、今参議院の方に学校安全基本法を出させていただいておりますけれども、こうしたこともありますが、とにかく、これまたぜひ小中学校の耐震化を急いでいただきたい。これについてどのようにお考えでございますか。

馳副大臣 学校施設は、子供たちが暮らす大事な場所でもありますし、一たん災害の場合には防災の拠点となるところでありますから、一刻も早く耐震診断をし、耐震の関連の工事をすべきであるというふうに考えております。

 平成十七年度の補正予算では耐震関連において二百七十七億円、平成十八年度の当初予算においては一千九億円の予算措置をいただいておりまして、三位一体の改革もありまして、文部科学大臣が基本方針、基本計画を定めて、それに従って設置者である市町村が施設整備計画を定めて行っていくということになっております。

 基本的には、平成十八年度の予算措置をいただいた中で、公立学校施設の耐震化が二・八%進捗し、耐震化率が五八・〇%になるものと見込んでおります。

 今後ともより早く施設整備を進めていきたいと思っておりますし、また国土交通省さんの事業にも御協力をいただいて、平成十八年中に耐震基準をしっかりと図るということもしておりますので、今後とも一層協力しながら取り組んでいきたいと考えております。

前田委員 今、耐震化率の進捗の見込みの数字もきちんと挙げていただきましたので、ぜひそれを実現していただきたいと思います。

 最後の質問になります。道路財源の一般財源化の話であります。

 公共事業予算の抑制が続く中で、道路整備がピークを越えて、十八年度中には道路財源から払っていた旧本四連絡橋公団の債務処理も終わるわけであります。このため、十九年度は七千億円前後の道路予算が余る見込みではないかと思いますけれども、この道路特定財源の一般化の問題は、これからまた財政論議の一つの焦点になると思いますが、こうした問題について財務当局はどのようにお考えなのか、お聞かせください。

谷垣国務大臣 今おっしゃった特定財源ですね、これは、一般論としまして、厳しい財政事情のもとでありますから、広く有効に活用していく必要があるというのが大原則だと思います。財政の硬直化を排除するという観点から、原則として一般財源化を推進すべきであるというのが私どもの基本的視点でございます。

 そこで、道路特定財源でございますが、これは長い間、受益と負担ということで、自動車利用者の負担によりまして道路整備財源に充ててきたという経緯がございますが、近年、道路歳出を抑制してまいりました。そういうこと等々によりまして、また今お話しのような事情もありまして、十九年度には税収が出ていく方を大幅に上回っていくということが見込まれておりますので、道路特定財源については抜本的な見直しが必要だということになってきておりまして、現行の税率水準を維持する、それから、一般財源化を図ることを前提として、平成十九年度以降の歳出及び歳入のあり方に関する検討とあわせて、納税者の理解を得つつ、具体的な改正の案を作成する、これは行革推進法の中に書き込んでございまして、今後、この方針に沿ってきちっと議論を詰めていきたいと考えております。

前田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、この問題、また議論させてください。

 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 本日は、BSE問題、米国産牛肉の輸入再々開問題の前提となる事項について数点、さらに医療保険の診療報酬改定に係る医療療養病床の点について、医療保険点数について数点お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 まず、米国産牛肉の輸入再々開問題についてでございますが、今、委員長を初め決算行政監視委員会の先生方のお手元に資料をお配りさせていただいております。これは、昨年十二月に、農水省、厚労省が米国内にある日本向けの食肉加工処理施設を調査したときの詳細な調査報告書であります。表題には、「米国における日本向け牛肉輸出認定施設等の査察及び調査結果報告書」と書いてございます。

 これをぺらぺらとめくっていただくと、膨大な墨塗り、黒塗りになっているということが一目で委員長初め先生方にも御理解をいただけるのではないかというふうに思います。

 この墨塗りの法的根拠とか、なぜ黒塗りなのかということについては後でお伺いをさせていただきますが、まず、先日、五月十七、十八、十九日と日米専門家会合と称する会合があった。そして、六月一日から十四日までの間、全国十カ所で、厚生労働省、農林水産省主催で消費者や事業者の皆さんとの意見交換会、リスクコミュニケーションが行われるということになっております。

 そこで、質問でありますが、仮に輸入再々開ということを決定するのであれば、今度こそ輸入再々開決定以前に、三十五施設と言われる米国内の日本向け食肉処理施設のすべてを、昨年十二月の検査項目、調査項目よりはふやして事前の調査をするのが日本の政府としての方針であるということをまず確認させていただきたいというふうに思います。

松本政府参考人 米国産牛肉の輸入手続再開のための必要な措置ということにつきましては、議員御案内のように、先日開催されました日米専門家会合におきまして米国側と意見交換を行っておりまして、日本側の事前調査の実施についても議論したところであります。

 今後、六月一日から六月十四日まで、全国十カ所で意見交換会を行いまして、その結果を踏まえまして米国側と輸入手続再開のための措置の調整を行うこととしておりまして、現時点におきましては輸入手続再開のための措置は決まってはおりませんが、厚生労働省といたしましては、事前の現地調査の結果、問題がないと判断された施設のみを輸入手続の再開の対象とするべきではないかと考えているところであります。

川内委員 厚生労働省としてはという言葉でございますが、私が聞いたのは、日本の政府として、政府の方針として輸入再々開決定以前に三十五施設の調査をするという方針でよろしいかと。

 これは、例の質問主意書の答弁書に対する答えと同じように、特定の行為を指すものではないが現時点の方針としてはそうであるという御答弁で結構ですから、政府としては現時点では輸入再々開決定以前に三十五施設を調査するということでよろしいか、もう一度答弁してください。

松本政府参考人 繰り返しになりますけれども、六月一日から全国で十カ所の意見交換を行いまして、そこでいろいろ考え方等御説明しますが、米国側と輸入手続再開のための措置の調整を行うということは、そのリスクコミュニケーションが終わってからということを考えておりますけれども、現時点でそういう観点から、措置が決まっていないということでありますけれども、厚生労働省、農林水産省、すなわち輸入にかかわるということにおいては日本国政府ということになろうかと思いますけれども、事前の現地調査の結果、問題がないと判断された施設のみを輸入手続の再開の対象とするべきというぐあいに考えておる、現時点ではそのように考えておるというところでございます。

川内委員 今のお言葉は非常に微妙な言葉ですね。輸入再々開の決定をすることは施設の調査とは関係がないというように聞こえますよ。輸入再々開の日米両国政府間の合意があった後、施設を調査し、問題がないところから牛肉を入れるというふうに聞こえるんですが、私の理解は間違っているのか。私は、この理解は実は国民には全然、多分理解されないであろうというふうに思いますけれども。

 もう一度、政府の方針としては、輸入再開以前の施設の調査という言葉の意味は、輸入再々開決定以前の施設の調査という言葉の意味は、事前にすべての施設を調査した上で、問題がないということを判断し、輸入再々開を決定する、あるいは日米両国政府で合意をするという流れになるということを確認させてください。

松本政府参考人 繰り返しになりますけれども、これから意見交換会を行いまして、その結果を踏まえまして米国側と輸入手続再開のための措置の調整を行うということにしております。その措置が決まりましたところで、措置は具体的にまだ決まっておりませんけれども、政府といたしましては、事前の現地調査に行って、そこで問題がないと判断された施設のみを輸入手続再開の対象とすべきというぐあいに考えておるというところでございます。

川内委員 輸入再開のための措置を検討する、そうすると、輸入再開のための措置という言葉の中の輸入再開のためという言葉は、輸入再々開決定のためという読みかえでよろしいですね。

松本政府参考人 それで結構でございます。

川内委員 だから、輸入再々開決定のための措置を話し合う、決定するために施設の調査を事前にさせていただくということになりますよね、現時点の政府の方針は。輸入再開の措置という言葉は、輸入再々開決定のための措置であるということ、今、そうですとおっしゃられた。輸入再々開を決定するための措置の中に施設の調査が含まれる、そして、問題がないとされたところから肉を入れるということであれば、事前に三十五施設を調査する、再々開を決定する前に調査をすると。

 では、施設ごとに入れるというのが今回の日本の方針ですか。問題がない施設から入れるというのが今回の日本政府の方針ですか。

松本政府参考人 現時点の考えでは、決まったわけではないということで前置きはありますけれども、事前の現地調査の結果、問題がないと判断された施設のみを輸入手続の再開の対象とすべきというぐあいに考えておるというところであります。

川内委員 いや、だから、事前の調査で問題がないとされた施設のみを輸入再々開の対象施設とするということですよね。それはすなわち、アメリカ側が希望している三十五の施設のすべてが調査の対象であり、その三十五施設が調査をされ、問題がないとされた施設から牛肉の輸入が再開をされる、再々開をされるというのが現時点の政府の方針であるということですね。

松本政府参考人 今後のことにつきましては、当然、米国側と再開のための措置の調整を行うということで、現時点では、ずばりこれということで決めたわけではありませんけれども、現時点での政府としての考え方は、三十五施設について事前の現地調査を行って、問題がないと判断された施設のみを輸入手続の再開の対象とするべきだというぐあいに考えておるというところであります。

川内委員 それでは、その調査をされた調査報告書は、昨年十二月のこの墨塗りだらけの調査報告書のような報告書であっては困るわけでございます。国民の皆さんに、その三十五施設がどのような施設であるのかということについて、正確に情報は公開をされなければならないというふうに思いますが、厚生労働省、農水省の見解を承りたいと思います。

松本政府参考人 今後の話ですけれども、事前調査の結果をどうするのかというお尋ねであります。

 事前調査の結果につきましては、結果を取りまとめた後、速やかに公表することとしておりますけれども、どのような形で公表するかについては今後検討することとしております。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま厚生労働省の方から今後の話について御答弁ございましたけれども、今後の話はもちろん今後の話ということですが、私ども同じ見解でございますが、昨年の十二月のその調査報告につきまして、今回、今議場にも配付になっているこういう格好で、本物はもちろんそういう黒塗りはございませんけれども、なぜ公表がそういうことになったかについてちょっと御説明させていただかないと、今後のこともなかなかおわかりいただけないのではないかということで、ちょっとお話し申し上げます。

 昨年の十二月に実施をいたしました日本側の査察結果報告書は、企業の営業情報、事業内容に関する情報とか、いろいろなものが入ってございます。それから、外国政府との、この場合にはアメリカ政府ということになりますけれども、その協議内容を多く含んでおりまして、本来であればこれはなかなか、情報公開法に基づく開示請求によっても不開示となるようなものではないのかなというふうに私ども考えております。

 ただ、今回の米国産牛肉の輸入問題に対する国民の関心の高さにかんがみまして、日本の査察作業の状況につきまして、できるだけこれはやはり出した方がいいだろう、そういう観点から公表することにいたしまして、その公表の仕方について、もちろんこれは相手がある話でございますので、アメリカ政府とも協議の上、行政機関が保有する情報の開示に関するルールでございます情報公開法の考え方に従って、開示すべきでないと判断された情報を除いたすべての情報について公表したところでございます。

 したがいまして、よくごらんいただきますと、それぞれの施設の中身の方には確かに黒塗りがございますが、最初から五ページほどだと思いますが、全体で概括をした報告については黒塗りは全くございませんので、そこを見れば今回の調査の概要は大体わかるということでございまして、今後のことについても、それからひとつお考えをいただければと考えます。

川内委員 最初の五ページを見れば大体わかると。大体わかるじゃ、自分たちだけ全部知っていればいいんだという非常に不遜な言い方に聞こえますよね。

 例えば、この黒塗り報告書の二十五ページを委員の先生方に見ていただきたいんですが、二十五ページの3に「国内規制を含む食品衛生対策」という項目があり、FSIS検査、これはUSDAの一部門の検査ですけれども、食肉検査官は何名、獣医官何名、ノンコンプライアンスレコードの交付は幾つだというようなことが全部黒塗りになっていますね。

 さらには、ここの(3)の「BSE検査」という非常に肝になるところがありますが、この「BSE検査」のところを見ると、歩行困難牛が月何頭以下、なお、CNSは何頭と。このCNSというのは神経症状を呈する牛のことですけれども、これらが黒塗りになっている。

 これらの情報というのは、官が把握すべき情報であるし、公開をされてしかるべき情報なわけですね。これらはすべて、アメリカ側から日本の農水省、厚労省がこれは消してくれと言われて、そのまま消して出しているわけです。

 情報公開法上は何と書いてあるかというと、公にすることにより、当該法人等または当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものについては黒塗りにしていいですよというふうに情報公開法上は言っている。他方、国民の健康の保護に関する事項については黒塗りにする必要はないと。人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は黒塗りにしなくていいと情報公開法上は書いてある。

 そうすると、いいですか、この情報公開法の判断の主体は政府ですから、政府が人の健康の保護に関して重要な情報であると判断すれば、黒塗りにする必要はないわけです。アメリカからここは消してくれと言われたものをただそのまま消して出すのではなくて、もう少し詳細に、報告書の出し方についてはアメリカ側と協議しますというぐらいは言わなきゃいけないんじゃないですか。アメリカから言われたものをそのまま黒塗りにして出すというのではだめですよ。

 次の調査の報告書については、どの情報を墨塗りにし、黒塗りにし、どの情報を出すかは、日本側の主体的な判断により、アメリカと協議をして報告書を公開いたしますというふうに答弁していただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、今回の報告書も、アメリカ側と、どこまで公表できるかどうか、その範囲につきましては協議を行っているわけでございます。

 したがいまして、それはもちろん、今後報告書を、これは仮にということですが公開することになれば、どういった範囲までにするかについては、これは当然、今ちょっとアメリカ側の言うなりというようなお話ございましたけれども、それは私どもとしてもアメリカ側とどこまでやるかについては協議をしていくということになろうかと思います。

川内委員 今高橋審議官は前回の報告書も協議を行ったと言っているが、では、協議を行ったのであれば、アメリカ側がここは消してくれと言ってきたけれども、日本側が、いや、これは公開すべき情報であるとして公開をした箇所というのがこの報告書の中にありますか。

高橋政府参考人 今回の報告書の内容の範囲につきまして、アメリカ側は当初は個票の部分については公表はやめてくれというような話もございましたけれども、そこは私どもで、日本政府側としても交渉いたしまして、できるだけ、今黒塗りが確かに多うございますけれども、個票の部分についてもあわせてこういった形で公表できるところまではこぎつけたということでございます。

川内委員 だから、それは調査を公表するかしないかということを協議されたのかもしれないが、公表の中身について私は聞いているわけで、協議して公表したというんじゃなくて、それはアメリカ側の要望を踏まえて公表したというふうに正確に答弁すべきだったですよ、さっき。協議して公表したのではなくて、アメリカ側がここは黒塗りにしてくれと言うことをすべて黒塗りにしてきて、その要望を踏まえて日本側として判断して公表したんだというふうに正確に答弁をされるべきではなかったか。

 きょうは三十分しか時間がないので、このようなことを余り長々と議論する時間はないわけでございますが、とにかく、次回の報告書については、公表をすべき箇所というものについてアメリカ側としっかりと協議をしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。少なくとも、検査官の人数とか、神経症状を呈している牛が何頭その農場から出ているかなんというのは、これは公開されなければおかしいですよ。

 では、次の論点に移らせていただきます。

 もう一つ、輸入再々開となる場合に大きな論点となるべき課題があると私は思っておりまして、それは、日本側の検疫の段階で、特定危険部位、SRMの付着検査。これは、目に見える形で特定危険部位が肉についているなんというのは余りにもお粗末な違反なんですね。例えば脊髄液が飛び散って肉に付着している、これは目に見えないですから、脊髄液が飛び散って肉に付着しているようなものの検査というものが必要だと私は思いますが、いかがでしょうか。

松本政府参考人 まず、対日輸出条件の確保というための輸出プログラムの遵守というのは、第一義的には米国政府の責任において行われるべきものと認識しておりまして、SRMの除去につきましても、FSISの検査官ですとか施設側において目視により適切に除去されていることを確認すると理解しております。

 日本側におきましては、米側の遵守状況を検証するというため、昨年十二月十二日に輸入再開後、検疫所におきまして、全ロットを対象に、一定数を抽出し開梱してSRMの混入等について現場で目視によりまして確認を行うなど、輸入牛肉の検査体制を強化してきたところであります。

 委員御指摘の、脳や脊髄等の中の中枢神経の組織を検出するという方法で調べるべきではないかということでありますけれども、当該中枢神経組織に含まれますグリア細胞繊維性酸性たんぱく、GFAPというものでありますけれども、それを指標とした方法というものは確かにございますが、この方法の安全規則への導入ということにつきましては、諸外国においても採用されていないこと、また、検査というのは一定の精度が要求されますけれども、検査精度の確保が難しいということなど、まだ課題が多うございまして、現時点におきましては、輸入時検査にこのような方法、当該方法を導入することは困難であるというぐあいに考えております。

川内委員 現時点においては検査方法を導入することは困難であると考えている。他方、もしその困難が排除できる要因が新たに生まれてくれば検査も検討するということになろうかというふうに思いますので、今後、この点についてはしっかりと私も詰めさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、医療保険のことについて、最後、五分間で聞かせていただきます。

 平成十八年度の診療報酬改定の中で、医療療養病床における医療区分一の患者さんの中に、介護保険の仕分けでいくと要介護度四あるいは要介護度五の人たちが含まれていることを厚生労働省として認識をされているのか。またはその割合について、医療区分一の方たちの中で要介護四、五の人たちがどのくらいいらっしゃるのかということについて教えていただきたいというふうに思います。

宮島政府参考人 御指摘の医療療養に入院している医療区分一に該当する患者ですが、これは医療の必要性が低いということで、これも医療従事者が実際にサービスを提供した時間を勘案して設定したものであって、要介護度に着目した分類じゃないんです。医療保険ですから、あくまで医療に着目したということです。したがって、医療区分一で医療の必要の低い中にも要介護の高い患者が一定程度は存在しております。それは承知しております。

 それで、その割合なんですが、この医療区分の適用は本年七月から、ちょっと準備期間が要りますので本年七月からの適用なので、実績はありません。実績はありませんが、中医協の下で専門組織が十七年に行った医療区分とADLに関する調査があります。それですと、医療区分に該当する患者のうち、今おっしゃられた要介護度の四とか五に該当する患者の割合、これは推定ですが、おおむね四分の一程度かというふうに思っております。

川内委員 その医療区分一の方たちの中で、要介護度四、五の方たちというのは、今回の診療報酬改定で医療区分一の保険点数が非常に低くなってしまったために、医療療養病棟にいられなくなってしまうというようなことが考えられる。いずれ介護保険に移行するとしても、三年後に参酌基準が見直されるまでの間は不安定な状況に置かれることが想定をされる。

 その間の適正な経過措置というものを設けるべきではなかったのかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

宮島政府参考人 まず、医療区分一の患者さんの点数ですけれども、今回の改定でも、医療区分一でADL区分三の方の診療報酬はADL区分一に対しても高くは設定している。ただ、全体的には下がったということでございます。

 これを、経過措置というお話ですが、やはり今回の考え方、あくまで医療の必要な程度に応じて、医療の必要の程度の高い方は高い点数、低い方は低い点数というふうに設定しておりますので、その原則を曲げることはこれはなかなか難しいというふうに思っております。

 ただ、実際に、医療療養病床でおられる患者さんが行きどころがなくなるということは困る事態になりますので、私ども、医療区分一の患者さんが入る医療療養病棟について、介護保険移行準備病棟として、コストを下げる、お医者さんの数や看護職員の配置を薄くしてもいいと。というのは、それは医療の必要は少ないけれども介護の必要が高いわけですから、お医者さんや看護職員の数は薄くしても介護職員をふやせばこの方たちの診療報酬上の評価は下げずにやれるというような選択肢を設けたということでございます。

 それから、参酌標準の関係ございますが、これも二十年度まで第三期ということでございますが、第三期の中でも老健施設や特定施設の参酌標準、必要定員総数は増加をしておりますし、また、介護療養と医療療養の中で、介護の方から医療の方に移って介護の方にすき間ができて、そこの方に今の医療療養の方から移っていくというようなことも可能ですので、そういったような取り組みの中で、第三期介護期間においても、医療区分の要介護四、五の方について、それぞれ老健施設や介護療養施設等で受け入れていっていただけたらというふうに考えているところでございます。

川内委員 だから、介護の方にスムーズに移行できればいいですが、三年間は移行が難しいわけです、参酌基準が変わるのは三年後ですから。そこまでの間、医療区分一で、しかし要介護度四、五の方たちについては、非常に難しい状況に置かれる。

 人を減らせばいいんだ、コストを減らせばいいんだと今おっしゃられたが、手がかかるという意味においては、医療であろうが介護であろうが手はかかっているわけで、病院に今人が余っているわけじゃないですから、現場を余り御存じないような経過措置を設けられても余り意味がない。

 したがって、要介護四、五は、医療保険の点数でいけば千三百点、千二百点の点が今与えられている。しかし、医療保険の今回改定された点数だと八百八十点しかないわけですから、これは大変なアンバランスが生じるわけで、そこをどうこの三年の間、経過措置を設けるのかというのは若干の工夫が必要である、もうちょっとよく考えていただきたいなということも、また今後議論をさせていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

筒井委員長 この際、分科会の件について申し上げます。

 分科会審査は、来る六月五日月曜日及び六日火曜日の二日間行うことになりましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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