第6号 平成18年6月8日(木曜日)
平成十八年六月二日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕
主査 伊藤 達也君
赤池 誠章君 坂井 学君
中山 泰秀君 矢野 隆司君
池田 元久君 筒井 信隆君
前田 雄吉君 佐藤 茂樹君
江藤 拓君
第二分科会〔内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省、財務省及び文部科学省所管〕
主査 松本 龍君
今津 寛君 鈴木 馨祐君
西本 勝子君 安井潤一郎君
吉田六左エ門君 太田 和美君
玄葉光一郎君 亀井 久興君
鈴木 宗男君
第三分科会(厚生労働省、農林水産省及び経済産業省所管)
主査 平田 耕一君
浮島 敏男君 北村 誠吾君
土屋 正忠君 広津 素子君
岡田 克也君 田名部匡代君
松本 剛明君 東 順治君
古屋 圭司君
第四分科会(法務省及び国土交通省所管)
主査 斉藤 鉄夫君
大野 松茂君 柴山 昌彦君
冨岡 勉君 藤井 勇治君
若宮 健嗣君 金田 誠一君
福田 昭夫君 保坂 武君
平成十八年六月八日(木曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 筒井 信隆君
理事 伊藤 達也君 理事 北村 誠吾君
理事 柴山 昌彦君 理事 平田 耕一君
理事 吉田六左エ門君 理事 前田 雄吉君
理事 松本 龍君 理事 斉藤 鉄夫君
赤池 誠章君 今津 寛君
浮島 敏男君 大塚 高司君
大野 松茂君 木原 誠二君
坂井 学君 鈴木 馨祐君
薗浦健太郎君 土屋 正忠君
冨岡 勉君 中山 泰秀君
西本 勝子君 広津 素子君
藤井 勇治君 矢野 隆司君
安井潤一郎君 若宮 健嗣君
池田 元久君 太田 和美君
逢坂 誠二君 岡田 克也君
玄葉光一郎君 神風 英男君
田嶋 要君 田名部匡代君
福田 昭夫君 馬淵 澄夫君
松本 剛明君 佐藤 茂樹君
東 順治君 江藤 拓君
鈴木 宗男君 古屋 圭司君
保坂 武君
…………………………………
財務大臣 谷垣 禎一君
農林水産大臣 中川 昭一君
国務大臣
(防災担当) 沓掛 哲男君
国務大臣
(金融担当) 与謝野 馨君
国務大臣
(食品安全担当) 松田 岩夫君
総務副大臣 山崎 力君
財務副大臣 竹本 直一君
厚生労働副大臣 赤松 正雄君
文部科学大臣政務官 有村 治子君
国土交通大臣政務官 後藤 茂之君
会計検査院長 大塚 宗春君
会計検査院事務総局次長 石野 秀世君
会計検査院事務総局事務総長官房審議官 大濱 正俊君
会計検査院事務総局第一局長 諸澤 治郎君
会計検査院事務総局第四局長 帆刈 信一君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 榊 正剛君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 齊藤 登君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 竹花 豊君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 縄田 修君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 岡本 保君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 大谷 泰夫君
政府参考人
(財務省主税局長) 福田 進君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 大島 寛君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官) 西阪 昇君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 松本 義幸君
政府参考人
(社会保険庁長官) 村瀬 清司君
政府参考人
(社会保険庁運営部長) 青柳 親房君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 岡島 正明君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 西川 孝一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 山田 修路君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 和泉 洋人君
決算行政監視委員会専門員 藤野 進君
―――――――――――――
委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
冨岡 勉君 金子善次郎君
西本 勝子君 橋本 岳君
太田 和美君 小川 淳也君
岡田 克也君 森本 哲生君
金田 誠一君 北神 圭朗君
田名部匡代君 吉田 泉君
亀井 久興君 糸川 正晃君
浮島 敏男君 阿部 俊子君
坂井 学君 藤野真紀子君
若宮 健嗣君 上野賢一郎君
池田 元久君 佐々木隆博君
北神 圭朗君 長島 昭久君
福田 昭夫君 山口 壯君
糸川 正晃君 滝 実君
小川 淳也君 近藤 洋介君
玄葉光一郎君 鈴木 克昌君
長島 昭久君 仲野 博子君
松本 剛明君 郡 和子君
山口 壯君 福田 昭夫君
吉田 泉君 津村 啓介君
東 順治君 高木美智代君
郡 和子君 市村浩一郎君
近藤 洋介君 田島 一成君
津村 啓介君 泉 健太君
佐藤 茂樹君 福島 豊君
高木美智代君 漆原 良夫君
土屋 正忠君 中川 泰宏君
鈴木 克昌君 岩國 哲人君
漆原 良夫君 井上 義久君
阿部 俊子君 浮島 敏男君
上野賢一郎君 若宮 健嗣君
金子善次郎君 冨岡 勉君
中川 泰宏君 土屋 正忠君
橋本 岳君 西本 勝子君
藤野真紀子君 坂井 学君
泉 健太君 田名部匡代君
市村浩一郎君 松本 剛明君
岩國 哲人君 玄葉光一郎君
佐々木隆博君 池田 元久君
田島 一成君 太田 和美君
仲野 博子君 金田 誠一君
森本 哲生君 岡田 克也君
井上 義久君 東 順治君
福島 豊君 佐藤 茂樹君
滝 実君 亀井 久興君
同月六日
辞任 補欠選任
太田 和美君 三日月大造君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
佐藤 茂樹君 上田 勇君
西本 勝子君 長崎幸太郎君
池田 元久君 津村 啓介君
坂井 学君 とかしきなおみ君
岡田 克也君 柚木 道義君
金田 誠一君 川内 博史君
小宮山泰子君 山井 和則君
田名部匡代君 大串 博志君
津村 啓介君 古本伸一郎君
福田 昭夫君 長妻 昭君
松本 剛明君 三谷 光男君
三日月大造君 逢坂 誠二君
上田 勇君 福島 豊君
東 順治君 伊藤 渉君
浮島 敏男君 小川 友一君
大串 博志君 北神 圭朗君
逢坂 誠二君 岡本 充功君
川内 博史君 馬淵 澄夫君
長妻 昭君 神風 英男君
古本伸一郎君 松原 仁君
山井 和則君 篠原 孝君
伊藤 渉君 田端 正広君
福島 豊君 高木美智代君
小川 友一君 浮島 敏男君
とかしきなおみ君 坂井 学君
長崎幸太郎君 西本 勝子君
岡本 充功君 太田 和美君
北神 圭朗君 田名部匡代君
篠原 孝君 玄葉光一郎君
神風 英男君 福田 昭夫君
馬淵 澄夫君 金田 誠一君
松原 仁君 池田 元久君
三谷 光男君 松本 剛明君
柚木 道義君 岡田 克也君
田端 正広君 東 順治君
高木美智代君 佐藤 茂樹君
同月八日
辞任 補欠選任
赤池 誠章君 薗浦健太郎君
若宮 健嗣君 大塚 高司君
太田 和美君 田嶋 要君
金田 誠一君 神風 英男君
同日
辞任 補欠選任
大塚 高司君 若宮 健嗣君
薗浦健太郎君 木原 誠二君
神風 英男君 逢坂 誠二君
田嶋 要君 馬淵 澄夫君
同日
辞任 補欠選任
木原 誠二君 赤池 誠章君
逢坂 誠二君 金田 誠一君
馬淵 澄夫君 太田 和美君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成十六年度一般会計歳入歳出決算
平成十六年度特別会計歳入歳出決算
平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書
平成十六年度政府関係機関決算書
平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書
主査からの報告聴取
――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
平成十六年度決算外二件を一括して議題といたします。
第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る五日、六日の二日間にわたり審査を行いました。
この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
第一分科会主査伊藤達也君。
○伊藤(達)委員 第一分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣本府、警察庁、金融庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査を行いました。
主な質疑事項は、動物愛護の推進と今後の取り組み、国内外における地球温暖化対策への政府の取り組み、エコツーリズムの現状と今後のあり方、足利銀行及びりそな銀行の破綻処理と政府の関与、貸金業の高金利、過剰融資問題等に対する取り組み、外務省職員の不祥事処分、上海総領事館員自殺問題等、台風災害対策及び防災無線整備等地域防災対策の現状と課題、電話機リース契約をめぐるトラブル問題とその解決策、国立国会図書館・公立図書館機能の重要性及びあり方、衆議院事務局における人件費と業務査定の必要性、衆参両院事務局における人件費削減の対応及び契約のあり方等、会計検査院の天下り問題及び社会保険庁の年金保険料不正免除問題、京都府城陽市における産業廃棄物と見られる再生土搬入問題、ごみの焼却処分が環境に与える影響と今後の取り組み、環境の視点に立った地域振興、震災対策及びヒートアイランド対策の推進、駐車違反確認事務の民間委託の実施状況と今後の対応、改正道路交通法施行による新たな駐車違反取り締まり対策等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○筒井委員長 次に、第二分科会主査松本龍君。
○松本(龍)委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、防衛庁、防衛施設庁、総務省、財務省及び文部科学省の所管について審査を行いました。
主な質疑事項は、情報通信技術を用いた子供の安心・安全対策の必要性、地上放送のデジタル化が受信障害対策に与える影響、三位一体改革の評価及び課題、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会報告における新型交付税導入のあり方、日本郵政株式会社における社長の適任性及び法令遵守体制の問題性、市町村振興宝くじ収益金の取り扱いと総計予算主義との離反性、地方の医師不足に対する総務省の取り組み状況と地方医療のあり方、治安維持の観点からの税関の役割の重要性と取り組み、小泉内閣五年間における教育行政の成果、発達障害児に対する教育のあり方及び子供の心の発達についての研究の重要性、児童・生徒の読書活動充実の必要性及び学校図書館のあり方、高等教育の重要性の認識及び奨学金事業の役割、自衛隊の国際協力支援活動の重要性及び一般法制定の必要性、神奈川県に所在する在日米軍施設の整理・再編の影響、地方財政計画と決算の乖離及び地方財源不足解消の必要性、地方議会選挙における選挙権・被選挙権の規制緩和の必要性、死因究明のための法医解剖スタッフ養成の必要性、大学病院で従事する大学院生等の負担軽減及び待遇改善の必要性等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○筒井委員長 次に、第三分科会主査平田耕一君。
○平田委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の所管について審査を行いました。
主な質疑事項は、地域医療における医師確保対策、コンピューター・カレッジ等におけるリース契約のあり方、新人看護職員の臨床研修の制度化の必要性、水道施設の耐震化の進捗状況、療養病床の再編が小規模病院に与える影響、生活習慣病の現状及び今後の対策、戸山研究庁舎建設時に発見された人骨の身元確認の必要性、介護職員基礎研修導入の今後のスケジュール、高齢者専用賃貸住宅制度における入居者保護のあり方、内部障害者に対する支援策のあり方、身体障害者補助犬の育成及び普及に係る取り組み、中心市街地の活性化に向けた町中居住及び空き店舗活用策、京都議定書におけるCO2削減約束達成に向けた取り組み、品目横断的経営安定対策の周知徹底の必要性、農業経営基盤強化措置特別会計における決算剰余金等の状況、都市近郊の農業の振興策、カネミ油症事件に対する取り組み、米の登録検査機関による産地、品種、銘柄等の証明体制のあり方等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○筒井委員長 次に、第四分科会主査斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、法務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。
主な質疑事項は、道路関係四公団民営化後の評価と経営情報等の積極的な開示の必要性、まちづくり交付金の交付実績と評価、下水道施設の地震対策等整備推進の必要性、埼玉県における地下鉄七号線の延伸の必要性、関西副首都構想の推進、琵琶湖等の湖沼の汚濁負荷メカニズム解明に向けた取り組み、家島諸島周辺海域における建設廃材等不法投棄対策、近傍同種家賃の基準による公団賃貸住宅の適正な家賃算定の必要性、瀬戸大橋通行料金引き下げの実施可能性、知床の世界自然遺産登録後に講じられた観光振興策、裁判員制度の円滑な実施に向けた取り調べの可視化導入の必要性、債権法改正に向けた取り組み、道路特定財源の見直しに対する納税者の理解の必要性、航空整備士養成に対する国の支援・指導の必要性、鉄道貨物輸送へのモーダルシフトの推進に向けた取り組み、水島港等の港湾の整備及び瀬戸内海航路の確保の必要性、障害者に配慮した司法アクセスへの取り組み、登記のオンライン申請の現状と今後の取り組み等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○筒井委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
―――――――――――――
○筒井委員長 この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官榊正剛君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、警察庁生活安全局長竹花豊君、警察庁刑事局長縄田修君、総務省大臣官房審議官岡本保君、総務省大臣官房審議官大谷泰夫君、財務省主税局長福田進君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁運営部長青柳親房君、農林水産省総合食料局長岡島正明君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、農林水産省生産局長西川孝一君、農林水産省農村振興局長山田修路君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
―――――――――――――
○筒井委員長 これより、各件に関し、国の財政等の概況について重点事項審査を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。
○土屋(正)委員 私は、主として三点について質問をいたします。
第一点は、国民年金の現状と今後についてであります。二点目として、歳出削減のための職員数等の削減についてであります。三点目としては、所得にかかわる課税の見直しについてであります。前二点は、主として歳出と歳入の適正に関すること、三点目は今後の税制について、こういう点から質問させていただきます。
まず第一点目の、国民年金の現状と今後についてであります。
このところ、国民年金、社保庁をめぐる話題は、残念ながら後ろ向きの話題が多いわけでありますが、とりわけ、またかといったような報道がなされました。社会保険庁の各社会保険事務所が、納付率を上げるために、保険料を徴収して納付率を上げるのならいいんですけれども、分母を下げて、減免して、そして結果として納付率を上げるといったような操作を行っていたという趣旨の報道が行われました。
不正というか不適正というか、これら申請のない減免処理を行っていた件数や総額、そしてまた法律上の根拠、これは法令違反なのかどうか、これらについて、基本的な点で明らかにしていただきたいと存じます。申請主義との関係も含めて御答弁をいただきます。
○青柳政府参考人 国民年金の免除の問題につきましてお尋ねをいただいたわけでございます。
今回の事案は、電話や訪問を行いましても免除あるいは納付猶予の申請をいただけない方に対しまして、本人の申請の意思を確認しないまま承認手続を行ったというケース、それから、電話等で御本人の申請意思は確認させていただいたわけでございますが、その後に職員が申請書を代筆させていただきまして承認手続を行った、この二つのケースがございました。
免除あるいは納付猶予につきましては、あくまでも本人の申請に基づいて行われるということが国民年金法令上、規定されているわけでございますので、今般の事案は、その意味で、法令に規定する手続に反するものであるというふうに認識をしております。
また、その全体像はどうだということでのお尋ねでございますが、五月二十九日の段階で、第一次調査報告書というのを取りまとめさせていただきました。
この中では、まず第一の類型、すなわち、個々人の申請の意思を確認しないまま承認手続を行ったという事例が、十の社会保険事務局管内の四十三の社会保険事務所において確認されました。また第二の類型、すなわち、電話等により個々人の申請意思を確認させていただいた後、職員が申請書を代筆し、承認手続を行ったという事例が、二十二の社会保険事務局管内の七十七カ所の社会保険事務所において確認されたところでございます。両者合わせまして、二十六の社会保険事務局管内の百カ所の社会保険事務所におきまして、トータルで約十一万件の事例が確認されたところでございます。
これらに係ります免除、納付猶予等の対象月数につきましては、今後さらに調査を進めさせていただく中で確認を行ってまいりたいというふうに考えております。
また、不適正な手続の類型別の件数あるいは数値の精査につきましても、これを行う必要がありますことから、第一次調査報告以降も、全事務局に対しまして改めて確認の調査を行っているほか、今後、全国の免除等の申請書類を、今週の金曜日からを予定しておりますが、全件、およそ二百七十万件ほどございますが、これを確認させていただきまして、不適正な事例の有無について詳細に調査をさせていただく予定でございます。
○土屋(正)委員 今の点でもう一回お尋ねしますが、これは法令違反ですか、法令違反じゃないんですか。法令違反だと、国家公務員法違反ということになると、その処分はどうなるんですか。これについてお答えください。
○青柳政府参考人 最終的な整理は、先ほど申し上げました全件の調査を待ってから結論を出したいと考えておりますが、現時点であえて申し上げれば、第一の事例、すなわち、本人の申請の意思を確認しないまま承認手続を行ったということは、現時点では明らかに国民年金法令に違反するのではないかと考えておりますが、第二の、電話等で本人の申請意思を確認した後に職員が申請書を代筆し、承認手続を行ったということにつきましては、手続には違反するけれども、法令違反とまではなかなか言いがたいのかなというのが、現時点の考え方でございます。
ただし、この点については、繰り返しになりますが、全件調査をした後に、改めて、きちんと整理をさせていただきたいと考えております。
○土屋(正)委員 未納問題というのは、平成十六年は、民主党の代表がやめたり、あるいは大臣が責任をとってやめたりというような事態にまで発展した、政治的な大問題だったんですよね、この年度は。たしか、平成十六年の四月のことだと思っておりますが。こういうことですから、やはりきちっとした対応をしないと、これから国民年金に対する信頼といったようなものが、もう今もかなり揺らいでいるんだけれども、今後ともさらに揺らぐ可能性がある。
しかも、今新しく法律改正が予定されている議論の中には、今は国民年金というのは国税徴収法の例によって徴収するわけですけれども、さらに、かてて加えて、医師法だとかあるいは他の法律などの保険医療機関として取り消すような行政処分の話まで出ているわけですよね。これはかなりすれすれの法律だと思うんですけれども、こういうことまでして未納問題をやろうとしているわけですから、私は、これは要望しておきますけれども、ある一定の段階できちっとした公式な報告を必ず国会に、あるいは国民の前にしてほしいと思っております。
先ほどの私の質問について、一点目は明らかに法令違反の疑いがあるけれども二点目はどうかというようなことですけれども、本人の意思を確認したって、わざわざ親切に、その本人にかわって申請書をつくるなんということを役所はやりませんよ、ふだん。普通は、行政書士みたいなことを兼務しているわけじゃないんですから。その点については、そういう答弁を聞くと、かなりいいかげんだなという気がします、率直に言って。ですから、これは他の行政事案との関係もありますので、きちっとした対応をお願いいたしたいと存じます。
次に、二点目として、国民年金の未納が国家財政に与える影響についてお尋ねいたしたいと存じます。
統計を調べてみますと、平成三年以降、ずっと右肩下がりで、二〇%以上低下しているわけであります。平成三年というのは、平成元年に可決された、いわゆる二十以上だったら学生でも強制加入させて納付義務をつける、こういうことが通ったことであります。よくちまたで言われたことは、平成元年は消費税が導入されたときでありますが、消費税の導入についてはあれだけもめておいて、学生の、当時月額一万円ぐらいだったと思いますが、月額一万円、年間十二万円ぐらい取られる、こういうことについてはあっという間に通っちゃった。これは、逆に言えば納めなくてもいいことねと。
今まで学生割引というのはあったんですけれども、学生から年金を取るという発想はそれまでなかったわけですから、こういうことについて、国民の雰囲気はがらっと変わった。それからですよ、納付率が下がったのは。極端に下がり出したのはそれをきっかけなんです。平成三年に施行されたんです。それ以後、たった十二、三年間で二〇%下がったんですよ。こういう状態をどう見ているのか、お尋ねをいたしたいと存じます。
さらにもう一点お尋ねしたいのは、地方分権一括法との絡みであります。
地方分権一括法が施行され、国民年金事務は国の事務とされたわけでありますが、印紙の検認事務の廃止は平成十四年四月からでありました。それまで各地方自治体は、国民年金の印紙を買って、それをぺたぺた手帳に張っておったわけですね。こういう制度がなくなったのが平成十四年からですけれども、平成十三年から十四年にかけて、平成十三年が七〇・九%、平成十四年度は六二・八%、一年間で何と八・一%も低下しているんです。こういうことについてどのように社保庁は考えているのか、お尋ねいたしたいと存じます。
また、納付率一%の上昇による収入額というのは、私どもの試算では三百億ちょっとになるだろう。一〇ポイント下がれば三千億、二〇%だったら六千億、こういう巨額な歳入がなくなるというふうに思っておりますが、仮に現段階で一%というのはどのぐらいなのか、お尋ねいたしたいと存じます。
○青柳政府参考人 まず、順番がちょっと後先になりますが、後段の方でお尋ねがございました地方分権一括法で国に収納事務を移したことに伴う影響についてどのように見ておるかということから、技術的な問題でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
国民年金保険料の収納率、ただいまお尋ねにもございましたけれども、収納事務を市町村が担っていただいていた平成十三年度には七〇・九%、これが国に移管した平成十四年度には六二・八%となりまして、八・一%と大幅な低下があったというのはお尋ねのとおりでございます。
この主な要因といたしまして、私ども三つの要因があるのではないかと考えております。
第一の要因は、平成十四年度に国に事務が移管されたことから、保険料の免除制度の適用基準が、それまで市町村ごとにある程度特例というようなものが認められておりましたものを全国一本に一元化いたしまして、その適用をいわば全国一律で行うこととしたということによりまして、前年度まで免除対象になっていた方が十四年度は免除の対象から外れた。しかし、保険料は納付いただけなかった。こういうことによる要因が、八ポイントのうちの大体半分に当たる四ポイント相当ではないかと見ております。
第二の要因といたしまして、実は、この市町村からの移管に先立ちますところの平成七年度におきまして、従来はいわば未加入という形になっておりました多くの方々につきまして、二十に到達した際に年金手帳を送付いたしまして、職権で適用するという取り扱いに変えさせていただきました。このために、保険料を納付すべき対象者はずっとふえ続けたわけでございますが、この方々がなかなか保険料を納めていただけない。また、当時を思い起こしていただければ、御存じのように、バブル崩壊後の厳しい経済情勢の中でリストラ等による離職された方が国民年金の方にかわられたわけですが、その方々の納付状況が相対的に低かった。こういうことが低下要因の四分の一程度、二ポイント程度を説明するのではないだろうか。
したがいまして、平成十三年度までには市町村において活用されていた納付組織、こういったものが活用できなくなったことや国への事務移管に伴う事務対応のおくれ、まさに市町村から国へ移したことに伴う要因として見られるものは低下要因の四分の一程度、すなわち二ポイント相当ではないかと分析しているところでございます。
その他のことは副大臣の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
○赤松副大臣 土屋委員先ほど御指摘の、今回の社会保険庁の事件といいますか出来事につきましては、本当に私も、唖然とするというか非常に大きなショックを受けました。
社会保険庁の小林次長がある新聞のインタビューに対して、インタビューというか感想を聞かれたときに、この二年の自分たちがやってきたことは何だったんだ、そういう思いがするということを言っておりましたけれども、私自身も極めて、先ほど御指摘になった平成十六年のあの年金未納騒ぎのときからのこの二年間の懸命な努力、お互いの、私たち全員の強い気持ちというものを大きく踏みにじられたような感じがいたしまして、大変に大きな問題、そう受けとめて、徹底した事態の解明というものをしていきたい、そんなふうに思っております。
今御指摘の、平成三年のいわゆる二十歳以上の学生強制適用ということが一つの分水嶺になって、その後、国民年金の納付率の低下というのが非常に大きく顕著な傾向を示してきた、こういうことについての年金財政に与える影響という問題ですが、まず、直接的に年金財政の長期的な影響という観点からしますと、保険料収入は減少しますが、同時に、一方で未納期間分については年金が支給されないということで将来の給付額もそれに応じて減少するということで、第一義的にはそういう影響というものは大きくはない、そう思っております。
ただ、そうは申しましても、保険料の未納は、先ほど来御指摘のように、制度に対する信頼を大きく損ねる、また将来の無年金者や低年金者の増加という事態を招く、こういったこともあり、制度の根幹を揺るがす問題につながりかねないということから、ありとあらゆる知恵を結集して徹底した収納対策を講じていく必要がある、そんなふうに考えているところでございます。
○青柳政府参考人 申しわけございません。先ほど、一点お答え漏れがございました。
納付率一%当たりいわばどのくらいに相当するかというお尋ねにつきましては、お尋ねの中でも大体の数字を委員からお示しいただきましたが、私ども確認いたしましたところ、やはり一%当たりが大体三百億円であるというふうに確認できました。
○土屋(正)委員 部長がなかなか苦しい答弁の中からお答えされているんですけれども、それは少ししんしゃくするにしても、今のような答弁で、はい、そうですかというわけにいきませんよ。いいですか。免除基準を全国一律にしたこと、それから平成七年度でいわゆる満二十歳以上を強制加入したこと、三点目はバブル崩壊だと。確かにそういう要素もあるかもしれない。だけれども、言っておきますけれども、その程度でごまかされませんよ。
いいですか。第一点目は、それまでだって機関委任事務だったんでしょう。自治事務ならば全国ばらばらに違いましたという言いわけはできるけれども、機関委任事務だったんだから、機関委任事務としてやっておきながら全国ばらばらだなんというのは、それまでいかにいいかげんにやっていたかということになるじゃないですか。そんなことは答弁にならないんですよ、公の答弁に。
それから二点目の、平成七年度に二十歳を入れたからと言いますけれども、そうなんだけれども、そのときは、八二・九%、七九・六%、七六・六%、緩やかなカーブで落ちてきたんですよ。これは確かにそういう要素があるかもしれない。しかし、平成十三年と十四年の間、たった一年間で七〇・九%から六二・八%に、八ポイントもおっこちているんですよ。説明になっていないじゃないですか。そうでしょう。
かてて加えて言えば、バブル崩壊と言われたのは平成三年とか四年ですよ。日銀の三重野総裁が平成の鬼平だとか言われて、総量規制をやったのは平成三年ですよ。だから、急にこの年になってバブル崩壊が始まったわけじゃないんですよ。そういうことを踏まえてお答えいただかなければいけないと思っております。
それから、副大臣からお答えいただきましたけれども、まあそういう要素があるだろうと思っております。ただ、現在は保険料が入らなくてもいわゆる年金として支給される金額が少ないんだからというのは、今は五十兆とか六十兆とかいう基金があるからそうおっしゃっていられるわけで、他国のように二年分とか三年分しか持っていなければ、これは現状は積立方式ではなくて賦課方式ですから、だからなかなかそうも言えないんじゃないかな。お立場上、はい、そうですかというわけにはなかなかいかないんでしょうけれども、私は意見として申し上げておきたいと思います。
それから、重ねて質問を申し上げたいんですが、この点について最後の質問ですが、そもそも、機関委任事務を国の事務として分離的な自治にしたこと自体が問題だったんじゃないか、一年間で八ポイントも下がっているんですから。
よく考えてみれば、例えば、私の住んでいる武蔵野市なんかも、武蔵野社会保険事務所というのが管轄しております。ところが、武蔵野、三鷹、小平、東村山、清瀬、東久留米、西東京と、実は七市を管轄しているのであります。しかも、社会保険事務所というのは必ず駅前にあるわけじゃありませんから、非常にわかりにくいところにある。それまでは、自分たちが選んだ市長、自分たちの選んだ議員がいる市役所、市役所を知らない人というのはめったにいませんから、そこは市役所がやっていたんですよ。ところが、今は七市を管轄して、よくわからないところにいる。これでは当然、納付するという意欲も劣ってくる、このように考えております。
そこで、政策提言として申し上げたいのは、この際、地方自治体の法定受託事務ということにして、地方自治体が改めて収納事務を行う、こういうふうに将来改正していったらどうですか。その方が必ず上がりますよ。それについてお尋ねいたしたいと存じます。
○赤松副大臣 六期二十二年にわたって市長をやってこられた土屋委員の、そういう御経験に基づく御提言をいただきました。
ただ、それこそ大激論の末、平成十四年四月から市町村から国に移管されたこの仕組みというものを、また収納事務を市町村に戻すということにつきましては、極めて、もう一遍立ち返った議論をしていかなくちゃいけないということ。あるいは、多くの市町村では、保険料収納事務の移管を受けて国民年金関係事務の体制を既に縮小しているということもあり、再び国民年金保険料の収納事務を行う体制をつくるというのはなかなか困難なことだなというふうな側面が、御承知のようにございます。
国民年金事業は国が責任を持って実施しなければならないと考えておりますけれども、その効果的、効率的な運営のためには、市町村を含む関係機関とさまざまな連携を強めていく必要があり、現行制度におきまして、国民年金に関する各種届け出の受理や口座振替等の関連制度の紹介等の面で、御承知のように市町村の協力をいただいているわけでございます。
今後の運営に当たりまして、国、市町村が相互に連携を図っていく必要性がますます高まっていくと考えておりまして、引き続きさまざまな形で市町村の御協力を得ながら、今の仕組みの中で最善を尽くしていきたい、そんなふうに考えていると言っておかざるを得ないということを申し上げておきます。
○土屋(正)委員 今の段階で副大臣から、前向きに検討しますとかそういう御答弁が出ないことは、私もよく承知をいたしております。しかし、今はやはり時代に合った、国民年金というのは、これから高齢化社会を迎える際に最大の課題の一つで、来年の参議院選も年金問題じゃないかと言われるぐらいの話ですから、国民の関心が高いことですので、やはり改善すべきところがあったら改善する。場合によっては、例えば社保庁の職員を地方自治体に移して、そしてさらに徴収事務を含めてやるといったような、法改正も含めて、今後そういう視野も入れて御検討いただきますよう要望をいたしておきたいと存じます。
ただ、地方自治体も嫌がりますけれどもね。これは基準財政需要額でちゃんとカウントされなくて、人件費なんか持ち出しになるから嫌がるけれども、しかし、国家全体の社会保障政策を考えた場合にはその方がいいんじゃないか。例えば戸籍事務なんかにしても、これは法務省の法定受託事務で市町村がやっているわけですから、そういった意味でお願いいたしておきたいと存じます。
大きな二点目で、歳出削減のための職員数の削減についてでありますが、五月二十六日にいわゆる行政改革推進法が成立をしたわけであります。これに従って、平成十七年度末と比較をして、国家公務員の場合には、平成二十二年までの五年間の間に五%以上の純減、そして、法五十五条において、地方公務員の場合には四・六%の純減を期待しているわけであります。
そこで、具体的にお尋ねしたいわけでありますが、国家公務員の場合には、当然雇用関係は国にあるわけですから、これは執行責任でいいわけであります。しかし、地方自治体の場合には、国との関係は上下主従の関係から対等協力の関係へ、こうなったわけでありますから、一律に命令するわけにはまいりません。助言という格好になるわけですが、しかし、助言といっても、なかなかやらないところもあるかもしれない。そうなった場合に、結局、地方交付税の基準財政需要額等でもって一定の削減を図っていくということになるんだろうと思います。具体的な方法、手順はどのようなことを考えていくべきなのか。また、自民党内では八%という意見も出ているわけでありまして、これらの見通し並びに手順についてお尋ねいたしたいと存じます。
とりわけ、都道府県などは、教員とか警察官などは法令で定められている定数があるわけでありますから、こういうものを除いたところでやるというのは非常に大変だろうと思います。例えば、東京都なんかの場合には、七万人が教員、そして四万四千人が警視庁職員、その他の知事部局の職員というのはわずか五万五千ぐらいしかいないわけであります。
こういう角度からすると非常に難しい問題があると思いますが、どのようにお考えか、お尋ねいたしたいと存じます。
○山崎副大臣 ただいま御質問の件でございますけれども、委員御案内のとおり、昨今の厳しい行財政状況にあって、地方公共団体も徹底した行政改革を進めていただきたい、進める必要があるというふうに認識しております。
そして、昨平成十七年三月の新地方行政改革指針におきまして、総務省として、地方公務員の総数に関しまして、これも委員御指摘のとおりでございますが、今後五年間に、過去五年間、平成十一年から十六年の純減実績である四・六%を上回る純減の必要があるのではないかということで、各団体に、これは自主的な取り組みを要請したところでございます。もちろん、先ほども御案内のとおり、主従関係ではございませんので、あくまでも各自治体に自主的な取り組みを要請した。
こういった中で、現時点で、集中改革プランにおいて定員管理の数値目標を公表している団体がかなりございます。そういった中で試算したところ、東京都など職員の多い団体でまだ未公表のところもございますものですから確たることは言えませんが、そういう変動の可能性があるという前提で、平成十七年四月一日から二十二年四月一日までの五年間の間の地方公共団体全体の純減率といいますか数字は六・二%という数字が出ておりまして、これはもう明らかに地方公共団体において真剣な取り組みをしていただいた、そういう積み上げの数字がこういう数字でございますので、真剣な取り組みをしていただいたものと考えております。
今後、行政改革を進めなければいけませんが、やはり住民の理解を得ながら進めるということが大切でございまして、各団体で一定の定員管理の数値目標を掲げるということも重要であると思っております。しかしながら、個々の団体において画一的な取り組みをしろということはなくて、各団体において、住民ニーズを踏まえながら、あくまでも自主的に取り組んでいただくというふうに考えております。
○土屋(正)委員 六・二%の削減が各地方自治体からの調査の結果見込まれているということについては、それはなかなか結構なことだろうと思います。
なかなか地方公共団体も、国家公務員もそうでありますが、いわゆる分限で定数を削減するということは事実上不可能でありますから。分限の場合には、仕事そのものがなくなったとか、本人の身体的な状況などは別にしても、つまり、使用者側である市町村側が、あるいは都道府県側が分限でやるというのは、実際上、これは不可能であります。
となると、結局どういう格好でリストラをやってきたかというと、定年でやめていく職員を補充しないで、不補充で全体としての数を減らしていくという手法をどこでもとっていくのだろうと思います。
そういうことですと、これから三、四年というのは、いわゆる団塊の世代が退職年齢を迎えるわけでございますから、ある面では非常にいいチャンスであるということは我々もよく承知しております。現に、私も昨年の八月まではそういう職にいたわけでありますが、このチャンスを逃すなということで、いろいろな計画を立てていた最中であります。でありますから、六・二%削減というのは、そういうことを見越した上で頑張っていくという数字だろうと思いますので、タイミングとしては非常にいいタイミングだろうと思います。
しかし、私は同時に申し上げておきたいのは、団塊の世代がやめて、経過措置があったとしても、やがてそれは定年退職した後の年金受給者になるわけですから、社会的コストというのはなかなか減らないわけですね。ですから、こういう人たちをどのように再雇用していくかとか、活用していくか、新しい行政需要に振り向けていくかという、やわらかな行政組織をつくっていかなきゃならないんだろうと思っております。
そこで総務省に申し上げたいのは、恐らくこういうことになると、地方財政計画の中で、十万人規模を想定した標準財政規模の中から、当然のことながら、地方交付税の基準財政需要額を削減していく、こういうことをやるわけであります。その際、申し上げたいのは、やはり地域社会に与える影響、地域経済に与える影響というのは非常に大きいわけです。
例えば、これはある有名な中核市でありますが、都道府県庁所在地ですけれども、ここの第一の産業構造はサービス業なんですね。サービス業はどこかというと、県の出先機関とか、国の出先機関とか、市町村の職員とか、何と驚くことにこれが第一位なわけですよ。こういうところというのはあちこちにあるんです。小さなところに行くと、もっと深刻なところがあります。
私は、今から二十数年前に初めて、まだ他の市町村をよく知らなかったときに、ある小さな村に行って、ここに共働きはありますか、共働きの職員は何人いますかと言ったら、村長さんから怒られたんです。何を言っているんだ、共働きなんてとんでもないと。役場というのは一番安定職場なんだから、結婚したら一人やめてもらうんだ、一家に一人だと。つまり、役場がメーン産業になっているわけですよね。農業だめ、漁業だめ、最近は建設業もだめ、どうすればいいんだ、この際役場もだめか、こういうことになるんですよ。これは本当は竹中大臣にお尋ねしたかったんですけれども、破綻法制だとか、そういう発想だと私はちょっと問題があると思っております。
では副大臣に、せっかくのあれなんですけれども、私は、地方自治体、地域社会は共同体である、こういう角度から、今、段階補正とかあるいは密度補正とかと補正に対して非常なバッシングがありますけれども、目配りをちゃんとしていただいて、総務省はやはり地方自治体の弱いところにしっかり目配りをして、ある程度きちっとした手当てをしないと、行政改革推進法に従って一直線で行ったら、これはかなりまたぼろぼろになりますよ。私は、自民党としても来年の参議院選挙が心配だ、こう思っているぐらいであります。まあ、それは余計なことですけれども。
だから、地方の弱い団体をどう守るか、そういう角度でひとつ御答弁を。
○山崎副大臣 個人的なことになるかもしれませんが、大都市部の武蔵野市長経験者から、私、青森県の選出の参議院議員でございまして、まさにそういう立場の方から今のような御質問を受けて、本当に、地方に対する理解が都市部でも進んでいてくれればなという気持ちがいたしました。
そういった中で、今の御質問でございますけれども、当然、我々としては、地方自治体が今後とも円滑な行政、財政執行ができるという立場を守らなければいけないという考え方で取り組んでまいることでございますし、具体的な例で言えば、先ほどの御質問の中にもありましたけれども、今の交付税というのは人口規模十万人の団体を標準にして算定して、そして、特に財政力が弱いことが多い小規模な市町村につきましては、一人当たりの行政経費というのがどうしても標準団体十万人規模に比べれば高くなる、こういう実態が現実としてございます。割高にならざるを得ません。
そういう増加経費につきまして、その人口規模に応じた割り増し算定というのは今までやってきたところでもございますし、今後とも、具体的な形は今後のいろいろな額その他によって変わることはございますけれども、その考え方で、いわゆる地方自治体、地方の財政力等の弱い自治体に対しての手当てはしっかりやっていきたいというふうに考えております。
○土屋(正)委員 ありがとうございます。それでは、ぜひその方向でよろしくお願いをいたしたいと存じます。
次に、三点目に、所得にかかわる課税の見直しについてでありますが、本当に私も、国会議員になって、国家財政が極めて深刻な危機にあるということについては日一日と実感をしているところであります。そういう角度で申し上げさせていただきたいわけでありますが、いずれ、遅かれ早かれ、それを地方税にするか国税にするかという議論はさておくにしても、あるいは他の目的税にするかということはさておくにしても、消費に関する税をふやさなきゃならない、こういうことが起こってくるだろうと思っております。
これは将来の政策論議、政権論議にもかかわることでございますから、それは大きな議論として残しておくにしても、その前提として、国民の皆さんは、ある程度水準の高いサービスを受けるには適正な課税はやむを得ないというふうに考えている方が多いと思うんですけれども、その前提として、不公平感があっちゃいかぬ、こういうことだろうと思います。
所得に関する税率が、小渕内閣のときに所得税三七%、地方税一三%になりました。最高税率六五%を一挙に五〇%まで下げました。あのときは臨時国会でやって、その後なかなか予算編成が決まらなくて、宮沢先生が大蔵大臣であって、地方自治体の関係者はかたずをのんで見守ったということがあります。
しかし、それはともかく、また平成十九年度以降も所得税四〇%、地方税一〇%、最高税率は五〇%ということになっているわけでございますが、この最高税率の変遷と考え方についてお尋ねいたしたいと存じます。ちなみに、昭和四十九年は最高税率は七五%、住民税と合わせて九三%という高額だったわけであります。
二点目として、諸外国との比較でありますが、例えば、仮に夫婦と子供二人で年収三千万円程度の給与所得があった場合に、日本の場合には九百十八万円、アメリカが八百五十六万円、イギリスが千三十八万円、ドイツが九百九十八万円、フランスが九百四十五万円。このように、アメリカを除くと、三千万円レベルで日本が一番安くなっているわけであります。アメリカは国民健康保険もないような社会でありますから、これはまあ別にしても、こういう状況についてどのようにお考えになるか。ちなみに、今のは財務省のホームページから調べさせていただきましたが、こういうことについて一体どう考えたらいいのでしょうか、御質問させていただきます。
○谷垣国務大臣 今、土屋委員がお引きになった所得課税の現状は、おっしゃるとおりでございます。それで、今度の国会で、地方住民税の方はフラット化して一律一〇%、所得税の方は最高税率四〇%、だけれども、その両方を足したものは従来と同じだという形で通していただきました。
小渕内閣以来といいますか、それ以前から最高税率を下げてまいりましたのは、諸外国における、所得税をフラット化していこう、そういう中で、国民の事業意欲や勤労意欲というものにも配慮して最高税率を下げていこうという流れがございまして、こういう形になっているわけであります。
私は、そのほかに所得課税の担うべき考え方としては、今、不公平があってはなかなかこれからの税制が整わないだろうというお話がございましたけれども、国民の公正感というものが、結果の平等と機会の平等をどの辺に国民が公正であるという感じを持つのかといったような問題。それから、課税ベースをどういうふうにしていくのかという問題がございますし、特に所得税は基幹税でございますから、国の財政のあり方というものもよく考えなきゃなりません。
委員の今の御質問の背景にあるのは、所得税は基幹税であるから、それから所得再分配機能というものも一番持ち得る税制であるから、これだけ財政が厳しく、また特に消費課税というものがあると、これは昔から逆進性ということも言われてきたので、もう少し所得課税に基幹税としての役割も果たさせ、あるいは所得再分配の機能も果たさせたらどうかという御趣旨かなと思って聞いておりました。
私は、委員がおっしゃいましたように、消費税というものが、やがてお願いをしなきゃならない時期がいつか来ると思っております。そのときには、当然のことながら、消費課税だけではなくて、所得課税のあり方、最高税率はどうするのか、所得課税にどういう機能を担わせていくのかということを議論せざるを得なくなってくるというふうに考えておりまして、そのときに考うべきことは、今申し上げたようなことを考えるということだろうと思います。
ただ、まだ消費課税までいじらない現状で考えますと、最高税率五〇%という今の形というのは、事業意欲とかあるいは勤労意欲を考えますと、それで、国際的に見て、今、実効税率等々もお話がございました。アメリカに比べると高いけれども、ヨーロッパに比べるとやや低いという感じのところにあるわけでございますが、そんなに大きく違うわけではございません。だから、現状では、私は、まあ、所得課税のあり方というのはこういうところかなと思っておりますが、今申し上げたようないろいろな税制を考えていくときに、やはりもう少し所得税の果たす役割というものを考えていかなきゃならないのじゃないか。
現時点で申し上げられることは、このぐらいのことではないかと思っております。
○土屋(正)委員 大変整理された御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
おっしゃっていることと同じでありますが、これを国民感情から表現すれば、金持ちだけ優遇しているんじゃないの、こういうふうなとらえ方をされたらば、やはり問題がある。
私、消費税というのはなかなかいい税だと思うんですよ。消費税が何でいいかというと、いろいろ会社の中で操作をして法人所得が上がらないようにしている会社がありますね。昔は有名な会社でありました。今ちょっといろいろ問題があっている会社で、有名な超大会社にもかかわらず、不動産関係、鉄道関係をやっていた会社だけれども、法人所得がなかなか上がらない、上げない、こういうことをやっているところがありました。こういうことをやっている会社があるんですね、時たま。しかし、消費税はかかるわけですよ、取引すれば。だから、なかなかいい税なんですよ。
それから、ある人が言ったんですけれども、消費税というのは不良外国人も払うし、やくざも払う、これはなかなかいい税だと。こういう点では、私、確かにそういう要素はあるだろうと思うんです。
しかし一方で、きのうきょう働きに出たような人が上げる所得、あるいは年金生活者が払う、何か物を買い物する、これにもかかってくるというのが現状ですから、逆進性を云々し出したら切りがないんですけれども、消費できる能力がある人は所得は当然高いということは言えるわけですけれども、それにしても、これとあわせて所得課税の見直しをやる必要があるだろう、このように考えております。
これまた財務省の資料をお借りして申し上げますれば、フランス、ドイツ、アメリカ、イギリス、日本と比較をした場合には、実効税率からいきますと、一千万レベルで日本が一番低い、二千万レベルでフランスが一番低くて、その次は日本、三千万レベルについても三〇%程度の実効税率であります。
でありますからして、やはりこの辺のことは、消費税を見直すときには、消費税の論議だけではなくて所得税の論議もあわせてして、今はもうプライマリーバランスだけで十兆円だとか十数兆円だとか絶対的に足らないわけですから、こういうこともあわせて論議をしていってほしいと思います。重ねて要望をいたしておきたいと存じます。
○谷垣国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。税制というのはどれも完璧な税はございませんで、消費税の場合には、委員のおっしゃったように、脱税等をやっておられる方でもなかなか消費税は逃れにくい、今までアングラに流れていた金でも消費する場合は取れるというメリットがございます。
他方、所得税の場合には、今のようないろいろな操作によって、我々も十分に把握して取らなきゃいけないんですが、なかなかそこのところが難しい場合もあり得るということもございます。他方、所得再分配や何かはよくできる、こういうところもございます。
組み合わせて議論しないと、一つだけに焦点を当てるのはやはり税制をゆがめることになるのではないかと思っておりますので、今後、十分に議論をさせていただきたいと思っております。
○土屋(正)委員 どうもありがとうございました。以上をもって終わります。
○筒井委員長 次に、神風英男君。
○神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。
先日、五月三十一日に農水委員会で国営土地改良事業について質問をいたしましたが、本日は、それに引き続く形で質問をしていきたいと思っております。
まず最初に、今回の特別会計の改革の中で、国営土地改良特別会計については平成二十年度までに一般会計に統合すると決まっておるわけでありますけれども、もともとこの特会というのは、昭和六十一年度に、国の財政の効率的な使用によって事業進度の促進を図り、事業の早期完成を目指すという形で導入をされたわけでございます。
しかしながら、この国営土地改良特別会計の導入によって、一体、日本の土地改良というのはどれぐらい本当にスピードアップが図られたと評価をされているのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
○山田政府参考人 ただいまお尋ねのありました、六十一年度にこの特別会計が設けられまして、その結果のスピードアップの状況についてお尋ねでございます。
先生御案内のように、六十一年度から現行の特別会計となりまして、国、市町村及び農家の負担分は一般会計から繰り入れ、それから、道府県の負担分は財政融資資金を借り入れて事業を実施するという形になっております。
こういうふうに、道府県の負担分を一般会計で賄うのではなくて、財政融資資金を活用できるということになりましたので、全体として国営事業のスピードアップが図られているわけでございますが、この特別会計の改正前後の平均工期を比較してみますと、改正前の昭和六十年度においては平均工期が十八・五年でございましたが、平成十八年度では十三・八年ということで、四・七年、約二五%工期が短縮しているという状況にございます。
○神風委員 先般の農水委員会で、国営土地改良事業によって一体どれぐらいの農地を造成しながら、そのうちどれぐらいが遊休農地化をしているのか、どれぐらいの面積で、どれぐらいの割合であるのか、全国的にその総計を示していただきたいという形で質問をしたわけでありますが、その回答としては、土地改良事業についての文書の保存期間が十年である、つまり、十年間という保存期間を過ぎると、その資料は基本的には廃棄をする、廃棄をしなければならないということで、すべてを把握したデータは存在しないという回答でございました。
また同様に、これはかつて、平成十六年でありますが、松野議員が土地改良事業の実態に関する質問主意書を提出されて、農林水産省が行っている土地改良事業は多額の税金を投入している割には真に農家のための事業となっているのか、あるいは費用対効果を満たしているのかという問題点について質問をされたわけでありますが、これについても、やはり同じような趣旨で、十年以内のものについてしか把握をしていないという回答であったわけであります。
この文書の保存期間の規則というのは農水省だけに限った問題ではないわけでありますが、ただ、三十年以上にもわたってかかるような土地改良事業について、一体どれぐらいの税金を投入して、どれぐらいの農地をつくり、それで今どれぐらい耕作放棄というか遊休農地化してしまっているのか、それについて示していただきたいというときに、単に、文書の保存期間が十年しかないからそれは把握できないんだという回答というのは、納税者として納得がいかないと思うわけであります。
それについて、ぜひ国の財政を預かる立場にあられる財務大臣の方から御所見、また、これからそういった見直しをされていくようなお考えがあるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 今御議論の点は、情報公開法に保存期間十年となっている、それがいいのかどうかという御議論だと思います。
これは、事業が三十年もかかったというお話でございますけれども、三十年の事業が終わって、その後、事業終了後十年という形で決められている、行政文書というものは膨大でございますから、やはり一定のルールに基づいて処理をしていかなきゃならぬということがあろうかと思います。
私どもは、一応この十年というルールで、これは全部が十年ではございませんけれども、これについては十年というルールでやっているわけでございますので、今後、それでいいのかどうか、また御議論があれば御議論をしていただきたいと思っております。
○神風委員 同様に、これも先般の農水委員会で、第四次土地改良長期計画について質問をいたしました。
この第四次土地改良長期計画というのは、平成五年度から十八年度、十四年間にわたって総額四十一兆円の事業費で進められたものでありますが、その中の農用地造成事業として、これは一兆四千百億円をかけて農用地十万ヘクタールを造成するというものであったわけであります。ところが、これが平成十四年度に打ち切られて、十五年度から十九年度までの五年間の新たな土地改良計画に切りかわったわけであります。
その中で、この第四次計画の成果について伺ったわけですが、この農用地造成事業についても、一兆四千百億円の予算のうち、平成十四年度までの進捗率が八二%であるということでありますから、農用地十万ヘクタールの造成目標ということであれば、普通、常識的に考えれば八万二千ヘクタールが造成完了であるのかなということで質問をしたわけでありますが、実際にできているのは二万三千ヘクタールであると。
その状況について、なぜこうなっているのかという形で伺ったところ、目標自体が投資額を幾らにするのかという目標であって、一体どれくらいの農地造成が必要なのかといった視点からの目標ではなかったという趣旨の答弁でございました。
さらに、これについては、公共事業一般がすべてそういう形になっておりましたという答弁であって、大変驚いたわけでございますが、これについても財務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 御指摘の案件、予算額は八〇%まで進捗しているけれども、事業量、実際の整備は二〇%程度ということでございますが、農水省からは、高品質作物の需要の増加などを受けた高度整備の実施によって単価が上昇した、そういうこと等の結果であるというふうに聞いております。
そういうこともあったろうと私も思いますが、率直に申し上げて、金は八割使ったけれども進捗率が二〇%ということであるとすれば、将来見通しについて結果として十分なものではなかったと言えるのではないかと思っております。
私どもも、こういう点は査定の方法等、また十分議論をしなきゃいけないと思っております。現行の長期計画では、投資額ではなくて、担い手集積の達成度合いというような成果目標を定めてやろうというふうに手法を変えたところでございますが、そういうことも含めて、予算の査定の手法等についても、我々もよく研究しなければいけないと思っております。
○神風委員 ぜひ御検討の方、お願いしたいと思います。
第四次計画の農用地造成事業十万ヘクタールの目標について、今後どうしていく計画であるのかということを同じように先般質問をしたわけでありますが、それについては、農地の造成目標として、造成面積として平成二十七年までに約一万ヘクタールを見込んでいるという回答でございました。この一万ヘクタールという数字の根拠は、どういう形でこれが出てきているのか、それについてお答えをいただきたいと思います。
○山田政府参考人 前回もちょっと御説明をいたしましたけれども、新しい基本法、食料・農業・農村基本法に基づいて基本計画というものを定めております。その基本計画の中では、自給率の目標ですとかそういったことを決めておりますが、その際の前提として、平成二十七年度の時点で農地面積がどのくらいかということを見込んでおります。
これは四百五十万ヘクタールと見込んでおりますが、それに対して、現在の状況からどういうふうに改廃が進んでいくかということを推計いたしますのと、一方で、いろいろな対策をやって、あるいは耕作放棄地を解消していくとかそういう対策をやって、全体として四百五十万ヘクタールの農地を確保していこうというふうに試算をしているわけです。そのときに必要なというか、予定をしている農地の造成面積が一万ヘクタールである、こういうふうに食料・農業・農村基本計画の前提の考え方として試算しているということでございます。
○神風委員 最初、平成五年に第四次の計画がスタートして、十四年間という十八年までの目標でスタートして、それが十四年に打ち切られて、その後五カ年の計画に切りかわったわけですよね。これは、土地改良長期計画という形で五カ年の長期計画はある。それでは、その中では、当初第四次計画で示していた十万ヘクタールというのはどういうふうに反映をされているんですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
先ほど財務大臣からも御答弁ございましたけれども、第四次の土地改良長期計画までは、事業量ですとか整備の面積といったことも含めて計画の中に決めていたわけですけれども、新しい今の土地改良長期計画におきましては、そういった事業費ですとか数量的な目標というよりは、むしろ成果、どれだけ担い手に農地が集まったかとか、そういう観点から目標を定めるということにいたしました。
したがいまして、第四次までの長期計画の考え方と新しい長期計画の考え方は全く考え方を異にしておりますので、特に十万ヘクタールを新しい計画の中で、特段評価をして扱っているということはございません。
○神風委員 農地造成という対象というか、その作業自体は同じ活動であるわけでありまして、何かお話を伺っていると、ルールが急に変わったから成果がよくわからないというような話に聞こえてくるわけです。
つまり、平成五年から始まった第四次長期計画のときには十万ヘクタールの農地が必要であった、それが十五年からの五カ年計画によってはまた変わって、さらに二十七年までの間に今度は一万ヘクタール今必要なんですと。その整合性を少しきちんと整理をして説明していただきたいんですが。
○山田政府参考人 第四次土地改良長期計画において十万ヘクタールという農地造成の面積の目標をつくっていたわけでございますが、その長期計画のもとになりますのは、旧農業基本法の中で、農産物の需要と生産の長期見通しというのをつくるということに当時なっておりました。その長期見通しについて、一定の需要と生産の見通しをつくっていって、どういう政策を講じていくかということをこの長期見通しで策定したわけですが、その前提といたしまして、長期見通しでは平成十二年の農地面積を五百万ヘクタールというふうに想定いたしておりました。
一方、改廃等の趨勢の状況を見ますと、四百九十万ヘクタール程度になるというふうに趨勢値から想定をされましたので、先ほど言いました需要と生産の長期見通しの目標を達成していくためには十万ヘクタールの農地を造成していく必要があるということで、当時、ほぼ同じ時期に策定されました土地改良長期計画においても、この十万ヘクタールというものを前提として、その政策的な整合性をとっていたということでございます。
○神風委員 そうしますと、今から振り返ると、第四次長期計画のときの十万ヘクタールという目標というのは、意味がなかったという理解でよろしいんですか。
○山田政府参考人 意味がなかったというか、当時の政策、旧農業基本法に基づいて実施をしていこうという政策のもとで、必要な農地面積を推計して、そのために必要な農地がこれだけだということで、その当時必要な農地造成ということで規定をしたということでございます。
それで、今の時点ではどうかといいますと、先ほど言いましたけれども、食料・農業・農村基本法、新しい基本法のもとに新しい基本計画をつくって政策を推進していくということになりましたので、その中で、自給率目標なり、そのために必要な農地面積を想定している。その中で、今の時点で必要な農地造成面積は幾らかということを今の基本計画を定める際に検討いたしましたところ、一万ヘクタールであったということでございます。
そういう意味では、それぞれの時点でどういう農地造成が必要かということを政策全体の中で決めているということでございます。
○神風委員 この第四次の土地改良長期計画によりますと、平成十四年度までの投資額が一兆一千五百二十一億円でありまして、八二%の進捗状況であったわけでありますが、逆に、これから逆算というか推測をしますと、これから一万ヘクタールの農用地をつくっていくということになれば、約五千億円の事業費をかけるということですか。
事業費についても何も今の計画では示されていないわけでありまして、全く整合性というか、三つの計画を見ていても、どこでどうつながっているのかがわからないわけです。事業費についても何も語られていない。これは約五千億円程度をかける予定である、計画であるという理解でよろしいんですか。
○山田政府参考人 先ほどお話をいたしましたし、財務大臣からもお答えをいたしましたけれども、土地改良長期計画の中では、事業費の目標というのはもう設定をしないということで考え方を変えておるわけでございます。したがって、幾らかという数字は今はありません。
一方、食料・農業・農村基本計画の中で、自給率目標を達成していくために必要な農地面積というのを前提として想定をしておりますけれども、その中では、一万ヘクタールの農地造成というのを見込んで、平成二十七年の農地面積を四百五十万ヘクタールと見ているということでございます。したがって、一万ヘクタールに対応する予算が幾らかという試算は現在ありません。
そういう状況でございます。
○神風委員 予算の試算がないということですが、ちょっと財務大臣に御所見を今の件でお伺いしたいと思います。
○山田政府参考人 先ほど御答弁をいたしましたけれども、土地改良長期計画の中では、事業費はもう設定をしないで成果目標に変えている。一方で、食料・農業・農村基本計画の中では、食料自給率を達成するために必要な農地面積を想定しているということでありまして、食料・農業・農村基本計画の中で、それぞれの予算が幾らかということを想定している計画ではないということでございます。
○神風委員 通常、普通の民間企業であっても何であっても、何らかの計画というか事業をなそうと思えば、どれぐらいの期間で、どれぐらいの目標があって、どれぐらいの経費というか事業費がかかるかという形で算定をされて進められていくと思うんですが、全くそういう構造にはなっていないということでよろしいんですか。
○山田政府参考人 先ほど申しておりますように、食料・農業・農村基本計画においては、自給率の目標ですとかその前提となる担い手の数ですとか、あるいは農地面積をこのくらいという想定をしておりますが、予算額を幾ら投入するとかそういう目標は一切規定をしていないということでございます。
○神風委員 予算額の目標というよりは、どのぐらいかかるかというお金の手当ての見通しというのは普通あると思うんですが、それは全くないということですか。
○山田政府参考人 自給率の向上については、財政的な支援をして達成していく方法もありますし、ほかにもいろいろな形で、特に自給率の問題ですと、例えば消費者の方々にできるだけ国産を食べていただくとか、そういうこともありますので、必ずしも予算をこれだけかけて自給率を上げるというものではなくて、全体としての施策の中から自給率を上げる、あるいは必要な農地を確保していくということですので、必ずしも予算額が自給率なり農地面積の確保とは関係を、全く関係していないとは言いませんけれども、予算額が規定をしているというものではないということでございます。
○神風委員 ちょっと財務大臣に伺いたいんですが、目標があって、これだけの農地をつくろう、これだけの期間がかかりますよと。その中で、それでは一体どれぐらいの事業費がかかるか。それは、自給率の方が先に決まっていてそれに合わせるだけだから、幾らかかるかは想定できない、こういう状況で、財務大臣としていかがお考えですか。
○谷垣国務大臣 今、農水省の方から御答弁がありましたような手法をとりましたのは、これはもう今さら申し上げるまでもございませんが、あらかじめこれだけ投入するという目標をつくってしまいますと、いろいろな事情の変化があったり、あるいは、今のお話の中にもありますけれども、手法の変化というものもあったんだろうと思います。それが全部縛られて、これだけ投入しなきゃならないということになりますと、財政の硬直化にもつながりますから、私どもは、それは避けようということで、今のように手法を変化してまいりました。
したがって、どのぐらい投入するかというのは毎年の予算編成の中で決めていく、こういう考え方をとっているわけでございます。
○神風委員 それでは、ちょっと改めてまた伺いますが、平成十七年で既に三十八万五千ヘクタールが日本全国で耕作放棄地になっているわけですね。農地でありながらもうつくられていない、それが三十八万五千ヘクタールある。その一方で、新たにそれなりのコストというか事業費をかけて、これから一万ヘクタールの農地を、約九年間、十年間ですか、かけてつくっていこうと。これは全く矛盾している話ではないですか。
○中川国務大臣 今、谷垣大臣からも、また山田局長からも御答弁がありましたが、とにかく何兆円かけて農地を造成するんだ、その考えはもちろん百八十度変わったわけではございませんけれども、この十年間、平成五年に大飢饉も経験いたしましたし、また、食料・農業・農村基本法、基本計画というものを策定しているわけでございます。その大きな柱の一つは自給率の向上ということで、カロリーベースで四〇を何とか四五にしていこうという大きな目標のために、やるべきことをやっていく。
一つは、今参議院でも審議をしていただいております経営所得安定対策、これにおいて、三十七万ヘクタールの耕作放棄地を何とか、やる気と能力のある農業者あるいは農業集団に施策を集中することによって、耕作放棄地から耕作地に変えていこうという大きなインセンティブにしたいというふうに考えております。
と同時に、一万ヘクタールを新たに造成することによって、先ほど申し上げたような目的を達成したい。その場合には、ただつくって後は生産者の手を離れて知らないよということではなくて、消費者に支持されるような、あるいは実需者に支持されるような農産物を、農業サイドが知恵を絞って買ってもらうという観点からも、この自給率向上に大きな、大事なポイントだろうというふうに思います。
そういう観点で、平成四年ですか、昔策定されたときと農業、食料をめぐる状況が大きく変わっている、時代に対応していかなければならないという観点から、必要な耕作放棄地も耕作地にする、それでも一万ヘクタールの農地がそういう目的に対して必要であるという観点から、こういう施策をまずありきと。財源については、財務省とも御相談をしながら、お認めいただきながら、そういう目的に向かって邁進をしていくということが我々に与えられた農政の最大の責務だということで、こういう手法に転換をしたところでございます。
○神風委員 これまでの話を聞いていても、普通の人が聞いても、三十八万五千ヘクタールも耕作放棄になっている農地が日本全国でありながら、しかもそれがまだ増加をしている状況にありながら、さらに一万ヘクタールをつくると。先ほどの第四次計画の十万ヘクタールの目標ではありませんけれども、この一万ヘクタールの目標自体がどれだけ本当に信憑性があるのか、必要性があるのかというのは非常に疑問だと思います。納得できる、される方というのは非常に少ないんだろうと思っております。
ただ、今の農用地造成事業というのはこの第四次土地改良長期計画の中のごく一部であるわけでありまして、全体でいえば四十一兆円という大変大きな額の事業であって、今、在日米軍の再編問題で三兆円というのが非常に話題になっておりますけれども、その十倍以上のお金をかけている。既にもう七割ですか、二十八兆六千七百七十六億円は使用済み、使ってしまったお金であるわけでありますから、日本の中で一体どれだけの農地をつくっていて、どれだけ無駄になっていて、その無駄も全体では今把握できていないわけですから、その上で本当にどれだけの農地がこれから必要なのか。本当に皆さんが納得いくような形で、これまでの計画の整合性も含めて、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
大臣にもう一度、御決意のほどをお願いしたいと思います。
○中川国務大臣 御指摘はそのとおりだというふうに思います。
食料に対する不安は国民の中にも強くあるわけでございますから、そういう意味で、食料政策を中長期的にきちっとやっていく。そのために膨大な財源がかかるわけでありますけれども、その趣旨というものが国民に理解をされ支持されるという前提で、耕作放棄地の解消あるいは新規に農地を開発するということにつきましても国民の御理解を前提にして、財務省にも御配慮いただきたいというふうに思います。
○神風委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
余り時間がなくなってしまいまして多少中途半端で終わるかもしれませんが、次に、農業集落排水事業について伺いたいと思っております。
この農業集落排水事業については、これまで行政指導によって基本設計の発注先を日本農業集落排水協会、現在は社団法人の地域資源循環技術センター、いわゆるJARUSと呼ばれるところですが、このJARUSとなっていたわけであります。今でもこのような行政指導というのは続いているんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
農業集落排水事業につきましては、行政指導といいますか、それぞれの事業主体であります地方公共団体が適切と思われる施設を選定していただいて発注していただくということが原則であるというふうに考えております。
○神風委員 行政指導は行われていないということですね。
○山田政府参考人 行政指導とおっしゃっている意味がよくわからないんですけれども、要するに、旧集落排水協会の施設を使いなさいとか、そういう行政指導をしているという御質問であるとすれば、そういうことは全くございません。
○神風委員 このJARUSの件については、平成九年当時、知事会、市長会、町村長会、また県、市、町の議長会の六団体から、地方分権に関する国の意見についての問題点の中で次のように指摘をされているわけであります。日本農業集落排水協会による設計指導について、農林水産省はそれは市町村の判断によるものと主張をしているが、現実にはほとんどの事業が同協会で扱われている、つまり、選択の余地がないんだ、こういった批判があるわけでありますが、現在、これは改善をされているんでしょうか。
○山田政府参考人 集落排水事業の設計について社団法人の地域資源循環技術センターが受注している受託のパーセントでございますが、現在、平成十七年度で二七%ということでございます。先生お話ありました平成九年当時は相当高い率だったと思いますが、現在はそういう状況になっております。
○神風委員 このJARUSの会員名簿を見ると、正会員として千十団体もの市町村が会員となっているわけでありまして、各市町村が農業集落排水事業を実施しようと思えば、ある意味では、このJARUSに入会しなければならないと思うような節があるのではないかなと思うわけであります。
正会員の入会金十万円、年会費二万円であるわけでありますが、今の各自治体の財政事情としては本当に一円たりとも無駄にしたくはないという中で、こうした負担をどうお考えになりますか。
○山田政府参考人 ただいま御質問がありましたJARUSの正会員なり特別会員につきましては、集落排水事業等について、その趣旨に賛同いただいている方になっていただくというようなことではないかというふうに思っておりまして、そこに入らなければ事業ができないとか、そういうことでは全くありません。
○神風委員 あわせて、このセンターの場合には賛助員として企業や公益法人等も入会をされているということでありますが、これは何社ぐらいの会社が賛助員としてここに入会をされているんでしょうか。
○山田政府参考人 賛助員についてのお尋ねでございますが、現時点では三百七十九団体というふうに聞いております。
○神風委員 これも同様に、例えば地域で農業集落排水事業を行いたい、とりたい、そういう企業がいた場合には、やはりこのJARUSに賛助員として入会しないとなかなか仕事がとれないのではないかというような思いがあるのではないかなと思うわけでありますが、そういったことにはなっていないですか。
○山田政府参考人 集落排水事業の実施につきましては、事業主体でございます市町村等がみずからどういう施設にするかというのを決めて発注していくということでございますので、必ずしもJARUSに入っている、あるいは賛助会員になっているものと契約をするということではなくて、それは、それぞれの自治体が法令あるいは条例に基づいて適切に発注をしている。競争入札をしたり、あるいは随意契約の場合もあるかもしれませんが、そういうことであるというふうに考えております。
○神風委員 これは、農業集落排水事業においてJARUSの賛助員の場合と賛助員でない場合、その工事の受注の割合というのはどれぐらいになっているんですか。
○山田政府参考人 先ほどお答えをいたしましたけれども、事業主体でございます市町村等が法令あるいは条例に基づいて発注をしているということでございますが、それぞれの事業主体が、どのメーカーあるいはどの会社に発注をしたのか、あるいは入札でどの会社が落札したのかということについては、現在のところ、農林水産省では把握をしておりません。
○神風委員 この賛助員についても、入会金が三十万円、年会費は十五万円となっておりまして、企業から見れば、やはりこれは大きな負担につながっているのではないかなと思うわけであります。
先ほどの正会員の会費等も含めて、会費、賛助費、入会金の合計が一億二百九十六万円。これは平成十六年度収支計算書によりますと一億二百九十六万円となっている。収入合計が八億二千八百六十万円でありますから、およそ一二%を占めている。そのうち、また農水省からの補助金の年収比率というのが九%であるわけでありまして、合計すれば二割以上をこういった資金で賄っているのが今のJARUSであるということでありますが、農業集落排水事業を実施するに際して、どうしてもこの社団法人が必要だということは言えるんですか。
○山田政府参考人 この社団法人は、農業集落排水事業についての技術開発ですとか、あるいはその普及ですとか、そういったことを行う、あるいは研究を行っているということでございまして、例えばJARUSで小規模な集落にも適したような集落排水のシステムを開発するとか、そういったことも行っているところでございます。
先ほども言いましたけれども、私どもは、別に、JARUSだけがこの事業をやるとか、そういうことを考えているわけではなくて、JARUSが研究をした成果も生かせるものであれば、あるいは各事業主体の方でこの方式を採用しようということで有効に使っていただけるのであれば、それはそれで大変結構なことであるというふうに考えております。
○神風委員 これまでJARUSの歴代の理事長、常勤の理事長というのは構造改善局次長がずっと占めてこられたわけでありまして、それが今年度の総会では東大の教授にかわったということでありますが、ぜひこれからも前向きな検討をお願いいたします。
ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、田嶋要君。
○田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。四十分、よろしくお願いいたします。
主に、農水大臣を中心として、米国産牛肉の問題に関してお伺いをいたします。
農水大臣、いろいろと農林委員会の方でも質問されておるわけでございますが、私、非常に大変な時期に大変な職責で、そういうような状況に今あるなというふうに大臣のことを思っておるわけでございますが、このBSEの問題、昨年の十二月に解禁をしたときも、いろいろなアンケート調査では、国民の過半数以上の方がいろいろ懸念をされて、拙速ではないかという意見があった。そういういわば逆風の中において解禁をし、それ見たことかという人もいたと思いますけれども、一カ月余りでまた禁止をする羽目になったわけでございます。そして、今リスクコミュニケーション、札幌から始まって全国各地でやっておられるということでございますが、世の中の空気としては、何だかもうそろそろまた再々開の感じだねというような状況になっていると思うんですね。
しかし、日本で禁止がされた一月の二十日以降、これは日本だけではなくて、近隣の諸国においてもいろいろなことが発生をいたしました。香港では三件骨が見つかった、台湾では一件骨が見つかったという状況でございます。ほかのアジアの国における見つかったものに関しては、聞くところによると、いわゆるSRM、特定危険部位ではなかったということを聞いておるわけでございますが、私は、それがSRMだったかどうかということよりも、それぞれの国がアメリカと合意している輸入条件を、アメリカのいろいろな処理事業者、輸出事業者が守って輸出をすることができなかったという意味においては、日本で一月に起きた、あれはSRMだったわけですが、そのケースと何ら変わりはないのではないか、私はそのように思っておるわけでございます。
そうした中で、今まさに多くの人がXデーというか再々開の日が近づいているような予感をしておるわけでございますが、今回、再々開をするということは、もうこれはまさに重大な決断を迫られているというふうに思っておるわけですが、そこの辺の状況、つまり、もう既に一度失敗をしている、一度失敗をして、しかもその後、日本のみならず、アジアのほかの国でもいろいろと問題が出てきた。これはアメリカが言うように、マイナーな手続上のミスと言うには余りにも次から次へ、大体月に一回は出てきている計算ですね、月に一回ですよ。日本で一月、香港で三月、四月、五月、台湾で四月ですから、これは月に一回ぐらいこれからも出てくるんじゃないかな、多くの人はそう思っていると思うんです。
だから、状況というのはむしろ、何か最初、日本で出たときは、ひょっとしたらマイナーな手続ミスなのかなと思った方もいるかもしれないけれども、しかし、その後の状況を見ていると、ああ、これは相当重症だな、やはり構造的な問題だなというふうに世の中の人は多く受けとめている、私はそう思うわけであります。
農林大臣、そういった今まさに胸突き八丁のところに来ておると思いますが、その大変な重大な決断を迫られているということに関しての御認識をまずお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 田嶋委員御指摘のように、去年の十二月十二日に再開決定をして、一カ月ぐらいで米国産牛肉から特定危険部位が成田で発見をされた。したがいまして、家畜伝染病予防法に基づきまして、動物検疫の手続をストップしているわけでございます。また、御指摘のように、香港、台湾でも、アメリカと各国との間で約束されたルールに違反をした事例が合計四件発生したというふうに聞いております。
今田嶋委員も御指摘になりましたように、根本的に安全性の問題があるかどうかということは別にいたしまして、日本とのルール、あるいは台湾、香港とのルールがそれぞれ違っておりますけれども、いずれにしても、ルールに合致しなかった。これは施設だけではなくて、アメリカの政府の機関もルールどおりにやらなかったということは、ダブルで見逃されたということになるわけでございますので、このルール違反ということは、やはり私は、軽いとか重いとかいう以前の問題だというふうに思っております。
発生以降、再発防止それから原因の徹底究明ということで鋭意今作業を進め、御指摘のように、現在全国十カ所で説明会を開き、今までやってきたこと、あるいはこれからやろうとしていること、あるいは国民の皆さん方のいろいろな御意見を聞いているところでございまして、これは最終的にはリスク管理の判断は厚生労働省と農林水産省でやる仕事でございますけれども、今はとにかく一つ一つ作業を進めていく。決していついつまでにやるとかいうタイムスケジュールを念頭に置いたものではなくて、今は日本としては、説明会をやって、これに全力を投入して、そしてこれについてのいろいろな作業あるいはまた御意見を賜るということに今集中をしているところでございます。
○田嶋(要)委員 そういたしますと、急いで再々開をしようとしているわけではないということでございますね。
○中川国務大臣 いわゆる拙速ということは避けなければならないということは、常にアメリカ側にも申し上げているところでございます。
○田嶋(要)委員 私どもは、急いでいないとしても、今のような状況でアメリカの牛肉を再開することは、日本にとってもアメリカにとっても、長い目で見たらマイナスだろう、私はそう思っております。
そういった中で、今まさに状況が非常に緊迫をしてきていると思いますが、そこで大臣にちょっとお伺いしますけれども、大臣は牛肉は食べられるんですか。
○中川国務大臣 大好きであります。
○田嶋(要)委員 再開されたら、アメリカ産牛肉は当然食べられるという御予定でございますか。
○中川国務大臣 リスク管理機関の作業がきちっと終わって、手続どおりに輸出再開がなされるとするならば、私は、リスク管理された牛肉であれば、どこの国のものでも食べたいというふうに考えております。
○田嶋(要)委員 大臣、ステーキを食べられるとき、オージービーフかUSビーフかわかりますか、大臣は。
○中川国務大臣 オージービーフ、つまりオーストラリアのビーフか、あるいは米国産か、今米国産はありませんけれども、あるいは日本産か、ニュージーランド産かという、いわゆる産地あるいは部位については、ステーキの場合には特にその情報を聞いて判断をしております。
○田嶋(要)委員 しかし、一たん解禁をされて、もし、大臣のように食べる食べるという方はいいんですけれども、やはり一人一人いろいろな考え方があるわけでございますね。
せんだって、私も若者の五十人ぐらいの集会でこの話をいたしました。US、解禁になっても食べないという人が三分の二、手を挙げている、そういう状況があるわけでございます。大変関心が高い状況でございます。
そういった中で、仮に、大臣がもう食べない人だ、そういう若者たちと同じように解禁後も食べないといった場合、では、今のまま解禁をしていくと、解禁後どういうことになるわけですか。食べたくないと思っていても解禁されてくる。食べていても、それがUSビーフかオージービーフかは普通はわからないわけでございます。どういうふうにしなきゃいけないんですか、その食べたくない人は。
○中川国務大臣 食べたくない人は、無理して食べろということは、幾らリスク管理機関であろうと政府であろうと、差し出がましいことではないか、こういうふうに思っております。
○田嶋(要)委員 まあそうなんでありますが、スーパーでは原産地の表示がされておるわけでございますけれども、私たちの生活で肉を食するときに、原産地が明確になっているケースというのは、家で食事をするときぐらいではないかなというふうに思うわけですね。
そこの問題というのを余り小さくとらえない方がいいのではないかな。つまり、解禁をするのであれば、食べたくない人の権利というか、あるいは心配を、しっかりと担保できるような制度をセットにして導入することが私は不可欠ではないかなというふうに思うんです。
多くの人が、もう解禁されるんでしょう、そういうふうに半ばあきらめぎみですね。それが六月か七月か八月かわからないけれども、まあ解禁されるということで、幾ら反対しても解禁されるであろうと。そうなったら解禁された後の話を考えるしかないわけでございますが、そうなってくると、食べたくない人が避けられるような制度をつくっておかなければいけないというふうに思いますが、大臣はいかがお考えですか。
○中川国務大臣 何でもそうでしょうけれども、特に食品の場合には、やはり情報を知りたい、これは安全、安心という観点からも、あるいはまた満足感という観点からも、そういうニーズが強いというふうに思います。
したがいまして、今田嶋委員はステーキという前提でお話になりましたが、ステーキであれば、御指摘のように原産地、原産国は表示をされているわけでございますし、また、より肉に近いといいましょうか、加工度の低いものについても、今後表示の義務づけというものが行われるわけでございます。
それから、昨年からは、いわゆる外食産業で、できるだけ食品の原産国を表示するようにしていただきたいというガイドラインを実施いたしまして、一部でやっているわけでございますので、消費者に対してきちっと情報を与えると同時に、食事を出す方、レストランであろうがお肉屋さんであろうが、こちらもやはり消費者のニーズにこたえていくということが、ある意味ではお店屋さんやレストランにとってもプラスになるんだということで、インセンティブになることも考えられるのではないか。
他方、複雑な食事の中では、この肉はどうなんだ、この野菜はどうなんだと一々やるということは、かなり技術的にもコスト的にも面倒くさい、面倒くさいというか手間がかかるという状況もございます。それから、余りそれを厳しくやり過ぎると、WTO上の問題も出てくるという可能性もございます。
いずれにしても、消費者の皆さんができるだけ情報を知りたい、また供給する側も、きちっとした情報を与えることによってある意味ではメリットになるという前提は、私は今後も大事なポイントだろうというふうに考えております。
○田嶋(要)委員 ガイドラインを使っての、基本的には義務ではなくて自主的なそういった取り組みというのが大変盛んになってきているというふうには承知をいたしております。
今そういった取り組みの中で、外食産業は、大体どのぐらいの原産地表示の自主的な取り組みが進んでいるか、そういうデータはございますか。
○岡島政府参考人 お答えいたします。
昨年七月に、外食産業における原産地表示に関するガイドラインを策定したところでございまして、まさにその実施状況につきまして今月、六月一日から六月二十一日まで、外食産業界の主要な団体の協力を得て、原産地表示の実施状況などに関するアンケート調査を今実施しているところでございまして、夏にはその調査結果を取りまとめる予定でございます。
○田嶋(要)委員 データはないという意味でしょうか、今は。今の時点では、どのぐらいの普及かということはわからないということですか。
○岡島政府参考人 今お答え申し上げたとおり、現在調査中でございます。
○田嶋(要)委員 大手はかなり積極的に、先ほど大臣おっしゃったように、それを一つの売りとしてはっきりと表示をして、お客様の不安にこたえるというか、安心を求める消費者ニーズにこたえていこうという機運が大分高まってきたのかなという感じはいたしますが、一方で、小さなお店、チェーンとかそういうのではないのが数的には圧倒的でございまして、そういうところは団体にはなかなか所属をしていないというようなお話もございます。私は、そういう関係者の方からいろいろと聞いた感じでは、やはりそういうところも含めて、今まさに義務化の方向も検討したらどうなのかな、そのような感じを強く持っております。
特に、野菜とかに比べまして肉、牛肉の場合には、その原産地表示を義務化されても、実務上それは十分に可能だという意見を私は聞いておるわけでございますが、ぜひ、今回まさに再々開を目の前にしているとするのであれば、私は、理想的には、その再々開と同じタイミングでこの原産地表示の問題も義務化をしていっていただきたいというふうに考えておりますけれども、これは農林大臣でよろしゅうございますか、大臣、御意見をいただきたいと思います。御所見をお願いします。
○中川国務大臣 再開と同時に義務化をということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、技術的にあるいはコスト的な面ということもあるわけでございます。ステーキについてはきちっとやる、あるいはことし十月からさらにやっていくということでありますけれども、食材を一々情報で出すということについてはなかなか、他方では、さっき言ったWTO上のいわゆる非関税障壁的な問題にもなりかねませんし。
ですから、これはもうガイドラインで自主的にということ、それから、やれるところからやっていくということでございまして、今回の再開に当たっては、再開する場合には、セットで、牛肉についてすべて原産地表示をということは、これは現時点ではなかなか難しいことだというふうに御理解いただきたいと思います。
○田嶋(要)委員 大臣、確認ですが、そのWTOの関係があるから義務化はできないということですか。
○中川国務大臣 日本の判断でどんどんやっていくということによって、TBT協定によってWTO上の問題になりかねない。つまり、相手方から見て、これはもう、ちょっと非関税障壁ではないかという紛争になりかねないということも現にWTOの世界ではよくあることでございますので、TBTがあるから何もやらないということではなくて、余りにも、向こうから見てこれはひどいということであれば、TBT協定上の問題になりかねないということでございます。
○田嶋(要)委員 しかし、きょう財務大臣も奥にいらっしゃいますけれども、私は大変重要な問題だと認識をしておるんですね。
これは、いつ再々開されるかによって、大臣は今、再々開とともにというのは難しいというような御意見ですけれども、これは、だからもう一度確認しますが、再々開されたら、中川大臣のようなお考えの方はいいですよ、食べる、気にしない、アメリカビーフを食べる。だけれども、私が直接聞いた若者の間でも、肉をいっぱい食べそうな若者の間でも、半分以上の人が手を挙げているんですよ、アメリカの肉は食べないと。そう言っていて、解禁だけされちゃった。そうしたらその人たち、どうするんですかね。
例えば、牛どん屋さん、大手三つありますけれども、吉野家とすき家と松屋というのがありますと、吉野家はアメリカの肉を使うと言っているわけです。すき家は今オーストラリアの肉でしているわけですね、アメリカの肉は使わない。松屋は今中国の肉を使っている、でもアメリカの肉は使うかもしれない。要するに、この大手の牛どん屋さんを見ても、方針まるっきり違うわけですよ。それぞれが戦略を立ててそうやっている。経営上、今一番ダメージを得ているのは吉野家ですね。吉野家は米国産の解禁を待っている。しかし、ほかの二社は戦略転換をして、今まさに業績はいいわけですね。そういう違う結果が今もたらされている。
消費者は、その牛どん屋さんのことはいいですよ、はっきりわかるから。米国産牛肉は嫌だなと思えば、吉野家に行かずに、解禁後、使っていないゼンショーさんのすき家に行けばいいわけですね。でも、大臣みたいな人ばかりじゃないんですよ。半分以上の方は、心配だ、子供に食べさせたくない。大手のチェーンに行けば表示をしているところもあるでしょう、自主的に。だけれども、解禁されちゃったら、もうありとあらゆるところに、次第に普及をしていく。
そういうときに、片っ方の、国内の表示のルールが未整備のまま解禁したら、そういう方々の不安、守れないんじゃないですか。それはもう本当に一番基本的な、食の安心と安全、我が国の食の安心と安全を守るというその基本にもとると私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○中川国務大臣 食べる人ばかりじゃないでしょうという御指摘でありますが、食べない人ばかりでもないでしょうと。そういう前提で、今どんぶりチェーン店、大手三社の事例を出されました。この会社は米国産を使っております、この会社はオーストラリア産を使っておりますという表示がきちっとされていれば、これは消費者の皆さんの御判断ですから、私はこの店では食べるけれどもこの店では食べないということにもなるんだろうと思います。
ちなみに、ある地域の牛タンの産地の人たちに聞きますと、オーストラリア産で牛タンを代替したんだけれども、どうもいい味が出ないというような御意見もございますので、どっちが多いか少ないかということは別にしまして、売る側も、また消費者側にもいろいろな御意見がある、私は当然だろうというふうに思いますので、そういう御意見をしっかり受けとめながら、これから何が作業ができるのかという、次のステップに進んでいきたいというふうに考えております。
○田嶋(要)委員 長い御答弁ですけれども、私の質問には答えていないと思うんですね。
だから、いいんですよ、食べる人も食べない人も、いっぱい、いろいろいるのは当たり前ですよ。食べる人は食べればいいんですよ。食べたくない人が、どうやって食べたくない選択を守れるんですかということです。家でずっと料理をする、スーパーで表示のあるものを買って。だけれども、そんなことは事実上無理じゃないですか。この状態で解禁していいんですかね。私は、多くの人はおかしいと思っていると思いますよ。
きょう、文科の方、いらっしゃっていますよね、文部科学の政府委員。その典型例として一つ確認をさせてください。
小学校とか幼稚園も給食、うちの娘も週に二回は給食と言っていますけれども、肉も出ますよね。これ、食べたくないといって外に食べにいく小学生はいないわけだから、だから給食は食べますよ、それは。肉を食べるのであれば、これ、アメリカ産ですかなんて聞く小学生もいないでしょうから、そうすると出てきたものは食べなきゃいけない。どういう方針ですか。
○西阪政府参考人 お答えいたします。
学校給食におきまして、食材の安全性に配慮するということは学校給食の基本でございまして、これまで、学校給食の実施者に対しまして、安全性について十分配慮するよう指導してきているところでございます。
ただ、具体的に、学校給食におきましてどのような献立をするか、あるいはどのような食材を用いるかというのは、それぞれの学校給食の実施者が判断することでございます。具体的には、それぞれの学校あるいは市町村の教育委員会におきまして、食材の委員会あるいは献立の委員会をつくりまして、保護者の意見等も十分反映した形で、それぞれ御判断いただいて決めていただいているという状況でございます。
○田嶋(要)委員 私、聞いているのは、アメリカの牛肉が入ってきた後、食べたくない、子供の食生活、心配をしている親御さんはいっぱいいらっしゃいますね。そういったことがある中で、学校給食は、子供には選択権がないわけですけれども、どういうふうにされる予定ですかということを聞いておるんです。もうそれぞれの地域にお任せですか。
○西阪政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、それぞれの学校給食の実施者におきまして、食品の安全性の関係省庁の判断等を踏まえまして、それぞれで判断されていくものというふうに考えております。
○田嶋(要)委員 これは、今一番、最たる例として学校給食ということなんですが、いわゆる普通の仕事をしている大人なんかも、外食する限りは、今のところは常にリスクを負いながら食をしていくということになると思うんですね。だから、それはやはり再開とセットですよ。再開とセットでやはり義務化ということをしていかないと、これは無理ですよ。
財務大臣、こういった基本的な食の安全みたいなところには、ちゃんと予算は充実していきますよね。どうでしょうか。
○谷垣国務大臣 私の話は、予算の効率化、重点化は進めなければならない、その努力はしていただかなきゃならないと前置きが必ずつくわけでございますが、しかし、食の安全、安心というのは極めて国民的関心事でありますから、その必要な施策が動かないというようなことじゃ困るということだと思っております。
○田嶋(要)委員 答弁はそこまでだと思いますけれども、やはりこれは、めり張りのある予算という中でも、食の安全という問題はこれからますます関心が高まってくると思います。
せんだって、BSEで香港にも視察に行ってきましたけれども、今一番香港で心配しているのは、中国からの野菜の農薬の問題ですね。そういったところに関しての、やはり予算の問題。
それから、もう入っちゃうということを国民の多くがあきらめちゃって、入っちゃうんだ、仕方がないと。であれば、セカンドベストとして、やはり表示ぐらいはしっかりとしてもらわないと、これは生活できないですよ。それは回り回って供給者にもマイナスですね。アメリカの肉にとってもマイナスですよ、それは最後は。だから、余り拙速に再開をすることによって、だれも得をしない状況をつくっちゃうんじゃないかということを私は大変心配しておるわけでございます。
ちょっと時間がなくなってきましたので次の質問に行きますけれども、再々開を控えて、新聞記事等にも出ておりますが、成田に滞留している千三百七十トンというのがあるわけでございますが、あれに関しては、今行き場を失っておるわけでございます。アメリカ政府も、そしてアメリカの食肉輸出連合会も、損害賠償等はしないということで、これは日本政府が全面禁止したからこういうことが起きたんだということを言っておるわけでございますが、これは大変お気の毒だなと私は本当に同情するわけでございます。
日本政府がいいよといって十二月に再開をして、わあっと入ってきたら、ある日突然、はい、だめということで日本の通関を通らないという状況が起きてしまっているわけですが、そのボリュームが千三百七十トンでございますが、責任は日本政府にあると思いますが、今、これは宙ぶらりんの状況ですね。これはどうされる予定ですか。
○中川国務大臣 責任は日本側にあるとは私は理解をしておりませんで、アメリカ側の、ルールが守られなかったことによって、文字どおり家畜伝染病予防法に基づいて、これでは動物検疫はできないということでストップをしたわけでございます。
御指摘のように、現在、成田等でとまっているものがあるわけでございますけれども、これはあくまでも、再開決定をした後でございますけれども、再開決定をした場合には、いろいろな方針について、説明会でもこういう方向でやっていきたいという方針というか考え方を今国民の皆さんにお示ししているわけでございまして、決して決定事項ではございませんけれども、そういった場合には、全箱について確認を行って、そして問題がなければ輸入手続の停止の解除をするという方向で現在検討をしているという状況でございます。
○田嶋(要)委員 これは全箱を見れば輸入できるんですか。
○中川政府参考人 事務的な手続でございますから、私の方から今考えていることを御説明申し上げたいと思います。
まず、前提としまして、アメリカ側でも、この今、成田その他のところでとまっております一千トン余りのものについて、一月の二十日にとまるまで、二十五のアメリカの施設でこれは処理されたということがわかっておりまして、その点につきましてはアメリカ側でもチェックをいたしまして、それぞれ問題がないということがわかっております。
そういうことをベースにし、また、輸入手続の再開に当たっては、日本からも、それぞれの施設について改めて事前確認の調査をしようと思っております。
まずそういうことが全部クリアをされて、再開になる。その際に、それぞれ全箱あけて確認をして、そして通関をさせようということでございます。
○田嶋(要)委員 十二月に問題が起きて、そこでとまって、その後、今日までに追加的にいろいろ安全性の確認をされておるのは全くそのとおり、おっしゃるとおりだと思います。
しかし、あそこでとまった、全部とめたわけですね。何とかラム社の一社だけじゃなくて、全部とめた。これは、アメリカの肉の危険性がそういう深刻なものだというふうに思ったから、全部とめたということなんですね。
きょうは松田大臣もたまたまお見えでございます。ちょっと組織の話まで質問できそうにないものですから、別件でお伺いします。
今のこの関連でございますが、ことしの二月の十五日にこういう御答弁がございますね。その十二月にとめた話ですよ。「輸出プログラムが守られていない、いなかった。したがって、評価は成立していない。」というように御答弁をされておるわけでございます。
つまり、日米のリスクが同等である。その同等ということの前には、安全委員会の附帯決議の中で、それは輸入プログラムが守られていればという条件があるわけですね。その条件が見事に崩れた、十二月に。したがって、大臣がお認めになっているとおり、輸出プログラムは守られていない、その前提が崩れたから、したがって評価は成立していない。アメリカの肉は日本の肉とリスクは同じではなかった。
だから、そこにある千三百七十トンはリスクの高い肉というふうに言わざるを得ないわけですね、この今の時点では。つまり、これは箱を開いて中を見たから入れていいという話には私はならないと思いますけれども、松田大臣、どうですか。
○松田国務大臣 すぐれてリスク管理側の問題でございます。先ほど農林大臣が既に御答弁あったとおりでございます。
私から申し上げておきたいことは、国民の食品の安全を守る、これは最大の使命でございます。そのために輸出プログラムをしっかり守っていただくという前提で評価ができております。
その前提である輸出プログラムがしっかり守られる体制ができるのかできないのか、今一生懸命御努力いただいているところでございます。それをしっかり見守らせていただいているというのが私の立場でございます。
○田嶋(要)委員 せんだっての農林委員会の中で、農水委員長として統一的な見解を出す、つまり、その千三百七十トンをどういう根拠で流通させることができるのかということに関して統一見解を出すということを、意見をもらっているというふうに伺っておりますが、であれば、一つ確認をさせていただきたいのは、アメリカのあの肉が再々開をされても、その統一見解が出てくるまでは、この千三百七十トンというのは日本の通関を通して日本に流通させることはないということでよろしゅうございますか。
○松本政府参考人 成田の、成田といいますか、米国から出荷されてまだ通関が終わっていない約千トンのものでございますけれども、これは、まず、アメリカの方で今般調査されて、十二月十二日から一月二十日までの間、米国の方で輸出プログラムがちゃんと遵守されたかどうかということについて書類等で検証された結果、問題を発見されなかったということで報告を受けております。
この取り扱いにつきましては、今、全国十カ所で行っております米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会におきまして、考え方を説明しておりますけれども、日本側による対日輸出認定施設の事前調査の際、この二十五カ所についても立ち入りまして、米国側が調べたという記録についても日本側として検証をし、特段の問題がなければ、その時点では書類上は輸出プログラムが一応担保されておったというぐあいに判断されると思いますけれども、その後、輸入手続を解除して、実際に物は日本にあるわけでございますから、その物を全箱あけて確認を行うということで、その確認をした後、その結果問題がなければ輸入を認める、そういうことで考え方を説明しておるということでございまして、今、消費者、事業者等から御意見を伺っているというところでございます。
○田嶋(要)委員 ですから、全面ストップをしたときの肉なわけですよ。つまり、評価委員会の方の説明ですけれども、リスク評価として、要するに、安全性が日本と同等でない肉なんですよ、今そこにある肉は。それを、事後的に箱を調べた、書類を確認したということで、なぜそれが輸入可能になるんですか。
それは、再々開が決定すると入ってくるのに時間がかかりますよ。タイムラグがありますね。その間、せっかくそこにたまっているんだから、まあそれは肉も腐っていないでしょうし、そういう現実的な見方はわかりますよ。それから、今実際にアメリカからも賠償はしてもらえない、困っちゃっている人たちがいるんだから。私は、これは日本政府の責任だと思う、大臣はそうは思っていらっしゃらないけれども。困っちゃっている人がいる。救済策として考えられる選択肢だと思います。
だけれども、理屈からいっておかしいんじゃないですか、もともと全面ストップしたんだから。だから、輸入できない肉なんですよ、あそこに滞留しているのは。そうですよね。おかしいんじゃないですか、それは。
○松本政府参考人 一月二十日の時点でと言いましたのは、輸出プログラムに違反している、遵守していないというところで、かつ、その残りの施設についてもその状況がよく把握できないということで輸入手続を保留しておるというところで、現在とまっておるというところでございます。
その時点におきましては、その問題の施設、アメリカの、その当時登録されておった施設が輸出プログラムがどうであったか、守っているのかどうかということを確認できなかったという状況でありました。
ですから、その時点では、輸出プログラムが遵守されていないということで、リスク評価が成立していないということになろうかと思いますけれども、その後の調査で、少なくとも問題なく、二施設については遵守されていなかったと発表しておりますけれども、その残りの、実績のあります二十五施設の事前調査におきまして、米国側の調査におきまして、残っておる書類上で、そこの輸出プログラムについては一応遵守されておったというようなことで報告を受けておるということでございます。
これはアメリカの調査でございますので、我が方としては、再々開前にその施設についても事前に調査をし、それらの記録を見て、輸出プログラムが実際遵守されておったのかどうか、十二月十二日から一月二十日までの間の作業において輸出プログラムが遵守されておったのかどうかということについて検証をし、それぞれ検証上問題がないということになれば、実際滞留しておる、倉庫にある、その実際のものは日本にありますので、それは全箱開梱してSRM混入等の有無を確認するということで、やるということで考えておるところでございます。
○田嶋(要)委員 一たんリスク評価が成立しないという結論を得られたものが、その後の確認をして、箱を全部あけて、そして輸入できるということに切りかわるというのは、どうもおかしいと私は思いますけれども、時間の都合でそこでとめたいと思います。
それから最後、残り時間、ちょっとお伺いしたいんですが、今リスクコミュニケーションということで、国民とやっておられるわけでございますが、これは、役所がいろいろ知っておる情報は基本的には国民に全部開示をしていく、少しでも情報公開をして国民の安心感に対する納得感を得よう、そういう目的でやられているということでよろしゅうございますか、大臣。
○中川国務大臣 基本的には、こういう問題ですから、我々が知っている情報は国民の皆さんにきちっと御説明をして御判断を仰ぎたいと思います。
ただし、日本においてもあるいはアメリカにおいても、個人情報保護という観点もございます。したがいまして、よく国会でも提出されますように、黒塗りの部分があったりしているわけでございますけれども、そういう守るべき権益、法益というものもございますけれども、それを除けば、できるだけ公開をしてお知らせをしたいというふうに思っております。
○田嶋(要)委員 その中では、アメリカ政府からこれは言ってくれるなと言っていますからその点は答えられませんという、そんなような回答というのはあるんでしょうか。北海道でも二時間半やられたそうですけれども、どうなんですか。
○中川政府参考人 例えば、日本がアメリカに行って調査をした報告書などにつきましても、アメリカ側に確認をしております。その中には、この部分についてはそれぞれの企業の競争上の条件を阻害する可能性があるので、ここは非公開にしてもらいたいというふうなアメリカ側の要望もございます。
○田嶋(要)委員 競争上非公開にしてほしいかどうかは、その会社が判断することだと思うんですね。
これ、墨塗り本と言われています、有名な本になりましたけれども、こういうのを平気で私たちに配ってこられるわけでございますが、社外秘のため入手できないけれども現場で確認したところ概要は以下のとおりであったということで、見に行った方々は全部情報をとっているわけですよ。これが何で国会議員にこういうものとして出てくるんですか、本当に。これ、真っ黒ですよ。
だから、いろいろな方が指摘されていると思いますが、これは開示してくれるなと言っているのは、アメリカ政府が言っているんですか。つまり、霞が関には墨塗りのないバージョンが全部あるということでよろしゅうございますか。
○中川政府参考人 もともとそれは、原本といいましょうか調査報告書は、もちろんそこのところに記述がございます。
ただ、それはアメリカの要請ということもありますけれども、こういった情報の取り扱いは、アメリカも日本も基本的に同じと思います。日本におきましても、情報公開法がありまして、具体的な情報開示請求があっても、一定の判断に基づいて不開示になる場合があるというふうに私どもは理解しております。
○田嶋(要)委員 やはり、これでは安全性の判断が全くできないと思います。一番肝心な日本に向かってのEVプログラムというところだけ、全部削除ですからね。これは、霞が関だけ情報を持っていて、民には知らしむべし、そういうことですかね。全く理解できない。こういうことをやっているから、国民は信用しないんですよ。
だから、その点をしっかり反省していただいて、全部情報を出すべきですよ、これは。これじゃ判断できないということを最後に申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○筒井委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十六分休憩
――――◇―――――
午後一時四十七分開議
○筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより全般的審査を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
○大野(松)委員 自由民主党の大野松茂でございます。
災害対策、防災対策につきまして、何点かお尋ねをさせていただきます。
昨年も、夏には猛暑、また日照り続きによるところの水不足や、あるいはまた台風、また集中豪雨などがございました。冬には豪雪などと、異常気象に伴う災害が各地に発生いたしまして、大きな被害を生じたところでもございます。殊に、決算審査の対象となっております平成十六年には、観測史上最多となる十個の台風上陸、あるいはまた、阪神・淡路大震災以来の最大震度七を記録した新潟県中越地震の発生など、自然災害による甚大な被害が発生した災害史上特筆すべき年となりましたことは御案内のとおりでございます。
その後も、福岡県西方沖地震、千葉県北西部地震、宮城県沖地震が相次ぐ中で、首都直下地震や東海地震等の切迫性が指摘されています。
行政として各種防災対策の万全を期して進められているわけでありますけれども、災害時においては、みずからの身を守る自助とともに、助け合う共助とがかみ合って、それらが一体となって機能することが被害を最小化することになります。
自然災害の多い我が国としますれば、子供のころからの備えが肝要でありますが、そこで、防災教育、安全教育につきまして、文部省にまずお伺いをさせていただきます。
災害から命を守り、暮らしを守り、また暮らしを再建、復興させていくためには、地域への関心をもっと高めること、と同時にまた、人と人とのつながり、地域コミュニティーが非常に大きいと思っております。
子供を核としての親の緊密な連携、連帯を強めることも、欠かせない大きな力になるはずであります。常に、災害に備える、防災意識の向上を図り、自助、共助の精神を養っていくためには、子供のころからの、学校や地域における助け合いやボランティア精神など、共生の大切さを教えていくことが重要であると思っております。
学校における防災教育について、文部科学省としてどのような取り組みをされているか、お尋ねいたします。
○有村大臣政務官 防衛問題を初めとして、治安や守り、安全について、日ごろから献身的な御活動をいただいております大野先生からの御提言、心から傾聴させていただきました。
児童生徒が、生活を安全に営むために必要な知識や技能を持ち、また、地震や台風などの災害時においては、自分の命は自分で守らなきゃいけないんだという心構えを持つとともに、地域で助け合ってお互いの命を守り合うという安全の基本認識や、そのためのすべ、わざを身につけるための防災教育は、極めて重要だと私どもも考えております。
学校教育においては、具体的には、保健体育など各教科での指導のほか、学校行事としての避難訓練をするなど、実践的な指導を行っております。また、防災教育を充実させるため、防災教育教材や教員用の資料などを作成、配付してまいりました。
時間の関係で一点だけ、大変いい例がありましたので、大野先生の御指摘も踏まえ、御紹介をさせていただきます。
直近の例では、昨年、インド洋津波の発生や相次ぐ国内の地震を受けて、津波防災教材を内閣府がつくられました。これは、江戸時代、大津波が和歌山、紀州の村を襲った際に、ある村人が、みずからの財である貴重な稲わらを積み上げた稲むらに火を放ってでも、村落の人々に津波の警告をして、そして村の人々を高台に導いて命を救ったというお話でございます。
この内閣府がつくられた教材を、本当に賛同しました文部科学省は、各都道府県の教育委員会などを通じて、教育現場にこのお話を御紹介させていただきました。まさに、大野先生御指摘の、地域コミュニティーにおける自助、互助の精神を体現した好例だと思っております。引き続き、防災教育の一層の充実について図っていきたいと考えております。
以上です。
○大野(松)委員 ありがとうございます。
多くの小学校あるいは中学校が、災害の避難場所に指定されております。避難場所には、非常用の飲料水なども常時用意をされております。学校における避難訓練はもちろん大切なことでありますけれども、あわせて、学校そのものが地域の防災の拠点であることを、常日ごろから子供たちに認識させていくということも大事なことと思っておりますので、引き続きお取り組みをお願いいたします。
次に、企業の防災に対する取り組みにつきましてお尋ねをいたします。
災害による被害を軽減するためには、国や地方公共団体が、面的整備や建築物の耐震化、避難体制の整備などを図っていくことが極めて大切であります。地域の住民や企業が防災対策の必要性を認識されて、行政、企業、住民が連携して地域の防災力を向上させていくことも、大きな課題ではないかと思っております。
実は、先ごろ、東京の大手町、丸の内、有楽町地区を視察いたしました。地元企業が共同して、災害に強い町づくりを目指しまして、防災意識向上のための講演会や啓蒙活動、また、帰宅困難者の避難訓練等の活動、帰宅困難者に対する避難場所の提供、あるいはまた、食料の備蓄を進めておりまして、大変感銘を受けたところでございます。このような取り組みが各地に広がっていくことが望まれることであります。
また、災害が発生をいたしましたときに、企業の事業が中断した場合には、地域社会に対する影響も極めて大きいことから、業務が中断しないこと、万一中断いたしましても短期間で事業を再開することが求められるわけであります。このために、企業が、事業継続計画、いわゆるBCPでありますが、これを策定して、事業継続の取り組みを進めていくことが必要であると思われます。
こうした防災対策における行政と企業の協力のあり方や、事業継続計画、BCPの推進について、国はどのような取り組みをされているのか、お伺いいたします。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、災害対策の充実のためには、公助はもとより、自助や共助の取り組みを一層進めていく必要があるというふうに考えておりまして、私どもでは、減災社会の実現に向けまして、備えを実践する国民運動を展開しようということで、住宅の耐震化や防災まちづくり、企業防災といった、各個人や地域コミュニティーにおきまして、日ごろから、みずからの生命財産や地域の暮らしを守る取り組みを促進するということにいたしております。
委員御指摘の、大手町、丸の内、有楽町地区の企業が設立いたしました、東京駅周辺防災隣組ということでございますけれども、これは、地域企業による先進的な取り組み事例というようなことで、高く評価されているところでございます。
私どもでは、この取り組みを全国各地に広めるために、「みんなで防災」といったようなホームページを用いまして、こういったような先進事例の紹介や、こうした活動に役立つ情報を提供したり、全国の防災まちづくり関係者の交流の場を提供しているところでございます。
それから、事業継続計画の観点でございますけれども、これは、昨年八月にガイドラインをつくりまして、その推進に努めているところでございますが、東海、東南海・南海、首都直下地震といったような大規模地震の地震防災戦略というのをつくっておりますが、その中では、この事業継続計画を策定している企業の割合を、大企業ではほぼすべて、中堅企業においては過半を目指すというようなことで戦略を立てて、それに対して努力をしたいというふうに思っているところでございます。こういった目標を実現するために、現在、多くの企業がガイドラインを活用できるように、業種別に、きめ細かく充実を図っていきたいというところでございます。
さらに、今年度からは、このガイドラインに即しまして、企業防災のために、日本政策投資銀行が関連融資制度というのを創設しました。この制度を活用いたしまして、事業継続計画の普及、促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○大野(松)委員 それぞれの取り組みの積極的な展開を強く期待いたしているところでございます。
次に、都市の水害対策、このことについてお伺いいたします。
ここ数年、相次ぐ台風の襲来や集中豪雨によりまして、風水害による甚大な被害が各地で生じております。また、昨年八月には、アメリカでハリケーン・カトリーナによる大規模水害が発生をいたしたことでもありました。一たび都市部で集中豪雨等に襲われますと、地下街や地下室の増加等もありまして、甚大な人的、物的被害が発生いたしますとともに、都市機能が長期にわたって麻痺するおそれも予想できることであります。
こうした事態に対処するために、政府におきましても、中央防災会議に大規模水害対策に関する専門調査会を設置されて、対策を検討しているとのことでございますが、政府としては今後どのように首都圏における水害対策を進めていかれるおつもりなのか、防災担当大臣からお聞かせいただきたいと思います。
○沓掛国務大臣 お答え申し上げます。
近年、我が国では、台風や集中豪雨により、甚大な洪水、高潮災害が発生しております。世界的にも、昨年のハリケーン・カトリーナによる大災害など、大規模水害が多発しているところであります。
このような状況から、首都を含めた大都市地域において、大河川の洪水や高潮により、広域かつ甚大な被害が生ずるおそれがあり、こうした大規模水害への対策の具体化が課題となっております。
このため、大規模な地震、火山噴火の対策と同様に、六月二日に開催の中央防災会議におきまして、大規模な水害対策について政府全体として検討する専門調査会の設置を決定したところでございます。
この専門調査会におきましては、首都地域の利根川及び荒川の洪水並びに高潮を対象に、地下鉄、地下街への浸水等も対象とした被害想定を行い、それを踏まえまして、大規模水害が予想される場合の関係機関の警戒体制のあり方、大規模水害発生時の応急・救援体制のあり方、緊急的な復旧復興対策や事前の備えなどについて検討を進めることといたしております。
実は、この利根川が大きく破堤したのは昭和二十二年の九月十四日から十五日でございまして、これはキャサリン台風の影響によるものでございますが、当時、栗橋一帯が水没し、大きな被害が発生いたしました。千百人を超える死亡者が出るという大きな被害を受けました。しかし、昭和二十二年というのは戦後二年目でございまして、国力もなく、また、いわゆるGHQの占領下にあったわけでございますので、資源にも乏しく、この復興のために関係者は筆舌に尽くしがたい苦労をしたということが語り継がれております。
そういう地域でもございますので、今後、速やかに専門調査会での検討を開始し、一年程度で取りまとめた上、関係省庁と連携して必要な対策を推進してまいりたいと考えております。
○大野(松)委員 ありがとうございます。
最近、各種災害に備えてハザードマップを示しておられます。そのことによって、地域の皆さん方が災害に備えるという大事な心構えを持っていただけるんですが、一方で、ハザードマップを示すということは行政の責任も明らかにすることになりますものですから、一層、引き続いてのお取り組みをお願いしたいと思っております。
最後になりますが、政府の防災体制について、防災大臣に引き続きお答えをお願いします。
平成十三年の省庁再編によりまして、旧国土庁防災局から内閣府に防災行政が移管されまして、内閣府が防災に関する大きな役割を担うことになったわけであります。また、あわせて、防災担当大臣が新設された防災行政の中心的役割を担うことになりまして、それぞれの災害に的確な対応をしてこられましたことに敬意を申し上げているところでございます。
しかしながら、現実を見ますと、内閣府が防災対策をすべて所管しているわけではなく、各省庁が協力して防災行政を進めていくことになっているわけでありますが、予想される首都直下地震等の大規模災害の発生時に、被災者の救助等を初めとした各種対策について総合力を発揮していくために、どのように各省庁が連携を確保していくことになるのか、大事なことだと思っております。
また、防災担当大臣は、各省庁を取りまとめ、防災行政を進めていく上で非常に重い責任を負われているわけであります。大臣の御決意をお伺いいたします。
○沓掛国務大臣 お答えいたします。
防災担当大臣は、災害予防、応急対策、復旧復興に関する基本的な政策について企画立案するとともに、各省庁が行う防災施策の総合調整を行っているところでございます。
また、発災時には、必要に応じて、私が本部長である非常災害対策本部や関係省庁連絡会議を開催するなどして、関係省庁が把握した被災地の情報を互いに共有し、これを踏まえ、内閣府が中心に、政府一体となって災害対応を行っているところでございます。
今、委員御指摘のありましたように、首都直下型地震のような超大規模な、そういう災害のときにおきましては、総理大臣が本部長である緊急災害対策本部を設置し、私が副本部長としてそれを補佐するということになっております。
このようにして、私といたしましては、政府における防災行政の責任者として、関係省庁がその持てる能力を最大限に発揮して災害対策を推進できるよう、先頭に立って取り組んでまいる所存であります。引き続き、政府一体となった防災施策の総合的な推進に努めてまいりたい。
その第一は、やはり国民の生命、身体、財産をしっかりと守っていくということが第一であり、それからまた、先ほどありましたBCPの問題等により、民間機関それからまた復旧復興、そういうことを一元的にやっていけるように対応していきたいというふうに考えております。
○大野(松)委員 ありがとうございました。
実は私、先日、久しぶりに吉村昭さんの「関東大震災」を読みました。二十万人の命を奪った大災害を克明に描いているわけでございますが、今日におきましても地震災害への備え、対策の万全を期すことの大切さを、改めてこの中から認識をいたしたところでございます。引き続き、大臣を初め皆様方の御苦労をお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。
○筒井委員長 次に、佐藤茂樹君。
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
ただいま自民党の大野先生から、防災という観点からの御質問がございましたけれども、私も、同じく安心、安全の社会をつくるため、現下の課題、問題となっていることにつきまして、大きく二点お尋ねをしてまいりたいと思います。
一つは、シティハイツ竹芝、これは東京都港区なんですけれども、このシティハイツ竹芝におけるエレベーター事故の件につきまして、まず最初にお尋ねをしてまいりたいと思います。
六月の三日、午後七時半ごろでございますが、東京都港区の公共住宅シティハイツ竹芝で、都立高校二年の市川大輔さん十六歳がエレベーターに挟まれて死亡されました。市川さんは高校の野球部の部活動からの帰りだったそうでございますけれども、私は、この亡くなられた市川大輔さんの御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
この痛ましい事故の件を最初にお聞きしたいのですけれども、事故の概要と、事故を起こしたエレベーターがどういうエレベーターだったのか、まず最初に国土交通省にお尋ねをしたいと思います。
○和泉政府参考人 お答え申し上げます。
六月三日に、先生御指摘のとおり、東京都港区のシティハイツ竹芝におきまして、男子高校生市川大輔さん、十六歳の方でございますが、十二階のエレベーター出入り口に挟まれ、亡くなられる悲しい事故が発生したことは、まことに遺憾でございます。亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。
港区及び東京都から、今回の事故は、十二階エレベーター出入り口で、市川さんが後ろ向きで自転車とともにエレベーターからおりようとしたところ、ドアが開いたままの状態でエレベーターが上昇し、エレベーターの出入り口の天井部分とエレベーターの床部分の間に挟まれたことにより、全身を強く圧迫され、病院に搬送されたものの、間もなく亡くなったとの報告を受けております。
一方、事故を生じたエレベーターの概要でございますが、シンドラーエレベータ株式会社製の住宅用エレベーター、定員二十八名のものでございます。当該建築物の施設管理者は財団法人の港区住宅公社、エレベーターの管理委託先はエス・イー・シーエレベーター株式会社。今回の事故のあったエレベーターを含む当該建築物の住宅用エレベーター二基について、平成十五年十二月以降、少なくとも十八件のふぐあいが発生したということもございます。うち四件につきましては、公社が管理人等から連絡を受け、保守業者に対応を指示したとの報告を受けてございます。
○佐藤(茂)委員 そこで、この事故をきっかけに、今、もう日本じゅうにエレベーター恐怖症とでも言うべき社会不安が大きく広がっておりまして、きょうは、時間を使いまして、その問題を最初にお尋ねをしてまいりたいと思うんです。
そこで、きょうは警察の方にも来ていただいておりますけれども、警視庁捜査一課と三田署で、きのうですか、家宅捜索にも入られたという報道もございますけれども、捜査状況と、原因究明の状況が今どうなっているのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
○縄田政府参考人 お尋ねの事案につきましては、現在警視庁において捜査中の事案でございまして、詳細、答弁を差し控えさせていただきたいと存じますけれども、警視庁におきましては、事故発生当日、現場の実況見分を行いました。翌六月四日から現場におきます検証、これは断続的に行っております。さらに、捜索、差し押さえ等も行っております。それから、六月七日、製造会社、管理会社等の関係箇所の捜索、差し押さえを実施いたしております。また、事故当日から継続して関係者あるいはマンションの方々等々から事情聴取をするなど、所要の捜査を推進しているところでございます。
なお、原因等々、そこら辺の問題につきましては、これからの捜査ということでございますし、捜査中のことでもあります。詳細、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○佐藤(茂)委員 とうとい、十六歳というこれから前途有望な、そういう少年が亡くなっているわけですから、ぜひしっかりとした捜査をお願いしたいと思うんです。
先ほど国交省からもありましたけれども、今回、私もこの報道で見ましたときに、極めてびっくりしたわけですね。市川さんが自転車を引きながら後ろ向きでこのエレベーターからおりようとしたところ、突然エレベーターが扉をあけたまま上昇していって、救急隊員が駆けつけたときにはもう市川さんはうつ伏せ状態で、上半身だけがエレベーターの箱の中に入って、体は挟まれていた、十二階のところで。
こういう極めて異常な事故なんですけれども、建築基準法の施行令では、エレベーターは扉が閉まり切るまで動かない仕組みにするように安全装置の設置を義務づけているはずなんですね。ですから、つくった段階でそういう検査をパスしたから設定されているはずなんです。そういう意味で、ドアが閉まらないまま動き出すというのは通常とても考えられない、そういう事故だと私は考えます。
国土交通省にぜひお聞きしたいのは、過去にこのエレベーターのこういう事故で、今回と同様の事故、トラブルの事例というものを把握されているのか、まず伺いたいのと、また、今回の事故の原因について、国土交通省としてはこの原因をどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
○和泉政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事故と同じように、エレベーターのドアが開いたままかごが上昇したことによって人的被害が生じた事例、極めてまれでございますが、昭和五十九年に、横浜市におきまして、これはスーパーでございましたが、一階でエレベーターからおりようとした乗客がドアに挟まれまして、そのままエレベーターが上昇したために、二階の壁とエレベーターの間に挟まれまして死亡した事例、これが一件ございます。
もう一件は、平成十五年に、福島県におきまして、これは地下歩道から地上の道路に出るエレベーターでございました。エレベーターに乗ろうとした乗客が押していたベビーカーがドアに挟まれ、そのままエレベーターが上昇したため、乗客がベビーカーに乗っていた幼児を床におろしたところ、そのお子様がエレベーターと床のすき間から昇降路内に転落して、これは軽傷を負った。こういった二件でございます。
以上の二件でございますが、しかしながら、これはともに油圧式のエレベーターでございまして、今回のようなロープ式のエレベーターについては、把握できている範囲では、ほかには事例を承知してございません。
今先生御指摘のように、さまざまな安全装置が建築基準法に基づきまして義務づけられているわけでございまして、一般的にはこういったケースは想定できないわけでございますが、現在、警察の方でもさまざま捜査しているところでございますので、その状況も見守りながら、十分な検討をしてまいりたい、こう考えております。
○佐藤(茂)委員 ちょっと今のお答えで、個別名は結構ですけれども、昭和五十九年と平成十五年に事例があったということなんですが、油圧式。これは、今回のいわゆるシンドラーエレベータとは違うメーカーのものですね。ちょっと確認で聞いておきたい。
○和泉政府参考人 違うメーカーのものでございます。
○佐藤(茂)委員 それで、そうしたら、港区のシティハイツ竹芝だけかと。実は、この事故をきっかけに、もうさまざまな、実はこういうふぐあいがあった、あったということが、全国からいろいろ声が寄せられております。私もきょうのお昼のニュースは見ていないんですけれども、朝の例えばテレビ報道なんかですと、何と全国百七十八件、あるテレビ局がつかんでいる数ではそれぐらいいろいろな、大小あると思うんですけれども、ふぐあいが出てきている。
例えば、直後に有名になったのが、同じシンドラーエレベータ製のエレベーターを設置している東京工業大学のすずかけ台キャンパス、これは横浜市の緑区にあるそうなんですけれども、これも、エレベーター内に学生がとじ込められるとか、停止時に床との段差が生じるとか、異常音がするとか、停止するはずの階を通過するとか、扉が外れるとか、もうさまざまなトラブルが昨年八月以降、昨年八月というのは八月に設置された以降ですね、十カ月間で、わかっているだけでも十四件そういうふぐあいが起きている、そういうことがわかっておりますし、そういう類似した問題が起きております。
五月十六日には滋賀県の栗東の県営住宅で、夜に五人の方が、エレベーターがとまったまま、このシンドラーエレベータのつくったエレベーターがとまったまま、一時間閉じ込められる、そういう事故を初め、もう全国的に今広がってきておるわけですね。確かに、このシンドラーエレベータの本社というのはスイスにあって、エレベーターの世界のシェアでは二位だということなんですけれども、しかし問題は、その品質がどうなのかということが、やはり今日本の国内においては非常に不安がられている。
これは何も日本だけじゃないんですね。きょうの朝刊各紙見ておりますと、アメリカでもやはりニューヨークで死亡事故が起きている。また、香港でも同じように十一歳のお子さんがシンドラー製のエレベーターで亡くなられている。さらに中国でも何件かそういう事故が起きているということから見ますと、私は、やはりこの事故をきっかけに、行政当局としても、余り甘い対応をするんではなくて、国民の不安を払拭するためにしっかりとした対応をしていただきたい。
そのために、今回の事故の重要性を考慮して、私は特に、この当該メーカーの同タイプのエレベーターがどこにどれだけあるのか、まずしっかりと緊急に全国調査して、過去にふぐあいがあったのかどうか、それを把握して、その上で、住民の皆さん、また利用者の皆さんが安心していただけるような、そういうきちっとした総点検を早急にしていただきたい、そのように考えておりますが、国土交通省の見解を伺いたいと思います。
○後藤大臣政務官 ただいま佐藤先生から御指摘ありましたとおり、国民の不安を払拭しなければならない、そのとおりだと思っております。
今回の事故原因についてはいまだ調査中でございますけれども、港区から、設置されていたシンドラーエレベータ製の二基のエレベーターは、以前から異音の発生、振動、あるいはドアの開閉異常等のふぐあいが出ていたという報告を受けておりますし、今御指摘のありました東京工大のすずかけ台キャンパスにおいても、シンドラーエレベータ製のエレベーターで同様のふぐあいがあるとの報道もあったことから、現在、特定行政庁であります横浜市を通じて詳細を調査しているところでございます。
また、その他マスコミ等におきましても、大変な数のシンドラー社製のエレベーターについての報道があるところでございまして、国土交通省といたしましては、昨日、特定行政庁に対しまして、シンドラーエレベータよりリストの提供を受けました事故機と同型のドア安全装置、制御装置等を有するエレベーター十三台につきまして、過去の事故、ふぐあい等の調査報告を六月十六日の金曜日までにするようにというふうに要請をしたところでありますし、十三台以外のシンドラーエレベータ社製のエレベーターで、特定行政庁が把握できるものについて、報告期限を六月二十八日といたしまして、御指摘のありましたように、過去の事故、ふぐあい等の調査報告をすべしということで要請をしているところでございます。
○佐藤(茂)委員 私もそのペーパー、きのう早々、見させていただきました、徹底をしたと。ただ、そこで出てきているのは、全く同型の、安全装置まで含めてすべてが一緒のエレベーターということで、十三基だけ今回明らかにされているんですね。ところが、さいたま新都心の合同庁舎の、国土交通省そのものの関東地方整備局が入っているそのビルのエレベーター自体が、この五年間で四件そういうふぐあいが起きているということも公表されている。しかし、そのエレベーターなんかはこの十三基の中に入っていないんですね。
だから、全く同型ということでいうと十三件なのかもわからないけれども、しかし、今全国でトラブルを起こしておられる、また、ふぐあいの声が上がっている、そういうエレベーターというのは、もう数限りなく、この十三基に限らずに出てきているわけでございまして、ぜひ、そういうものを掌握されたら国民に情報を公開する、そういうことを速やかにしていただきたいと思うんですけれども、国交省の考え方をお聞きしたいと思います。
○後藤大臣政務官 もう少し丁寧に御説明をした方がよかったかもしれませんが、十三基以外につきましても、所有者からの定期検査報告書あるいは国、特定行政庁等からの計画通知等によって把握をしておりますもの、先ほど御指摘のあったようなものはその中に入っておりますが、それについても過去の事故やふぐあい等を調査、報告して、そして国民の皆さんにわかるようにしていきたいというふうに思っております。
○佐藤(茂)委員 そこで、これは当初の報道で若干気になる報道がございました。今政務官もおっしゃいましたように、今回市川さんの事故が起こったこの港区住宅公社が過去のトラブルについて調べたところ、〇三年四月以降ですから、三年前から約四十一件にも上ると。住民の複数の声を聞いても、これはもう大変いろいろなトラブルが相次いだということが声に上がっているんですね。
ところが、当初の報道では、保守会社がどう言っていたか。今の保守会社はエス・イー・シーエレベーターという保守会社なんですけれども、四月と五月のいずれの点検でも異常が見つからなかった、そういうふうに言っているわけですね。直前では、事故の起こる九日前に点検が行われていた。ところが、見つからなかったと言っている。これだけ住民の声としてトラブルがいっぱい起こっていると言っているのに、保守会社が点検したら、そんなの大丈夫でしたよと。このギャップというのはそもそもどこから出てくるのか。
さらに気になるのは、読売新聞の例えば六月六日夕刊によると、区住宅公社側が昨年四月以降、保守管理の委託先を二度切りかえていたんですね。それにもかかわらず、エレベーターの故障が多発しているということが新たな保守管理をする委託先に伝えておられなかったことが六日わかったというように報道されている。
つまり、一九九七年にこのエレベーターが製造された。そのときから二〇〇四年まではシンドラーエレベータが、製造元ですけれども、これが保守管理をやっておった。ところが、二〇〇五年からこの四月まで日本電力サービスというのが請け負った。日本電力サービスから今はエス・イー・シーエレベーターというものに保守管理の会社がかわったんですね。ところが、トラブルに関する引き継ぎというのが一切なかったとこの報道ではされている。このような、エレベーターの保守会社へのトラブルに関する引き継ぎというのは、本来どうあるべきなのか、それをまず見解を伺いたいと思います。
また、点検直後にトラブルという状態というのは、住民はもう不安が募るばかりなんですね。一体本当に点検しているのかと。だから、今回の事故を再び起こさないためにも、エレベーターの保守とか管理のあり方というのを再度徹底する必要があると考えますけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。
○後藤大臣政務官 今佐藤委員から御指摘のありましたとおり、今回事故を起こしましたエレベーターの保守管理業務は、シンドラーエレベータ株式会社が十六年度まで、十七年度は日本電力サービス中央営業所、そして十八年度はエス・イー・シーエレベーター株式会社ということで、過去三年間で二回かわっております。
情報がどのように引き継がれていたのかどうか、そうした点につきまして、東京都、港区等に確認をしたところ、建築物の施設管理者であります港区住宅公社やこれらのエレベーターの保守管理会社の間でエレベーターのトラブルやそれに対して講じている措置等について、どのように承継されたかについては、現時点では必ずしもはっきりしていないということでありまして、必ずしも新聞報道のように何もされていなかったということが確認をされてはいないということだそうでございます。
しかしながら、今先生が御指摘ありましたように、保守管理会社がエレベーターの検査を行うに際しまして、過去の保守管理の記録の確認をするなどによりまして前回の検査結果の内容やあるいは改造、修理箇所の把握等を行いながらやっていくということ、これはもうまさに当然で、重要なことだと考えております。
そして、これまでも定期報告などを行っていく場合に、国土交通省におきましては、エレベーターの検査資格者の試験等を行う関係団体が作成しております検査業務基準等を通じましてその趣旨の周知に努めてまいったところでありますけれども、今後、こうした事態も踏まえまして、保守管理の記録の承継をさらに徹底してやっていく方策等を含めまして、保守管理のあり方につきまして、社会資本整備審議会に設けております建築物等事故・災害対策部会において審議をしていただき、検討していく必要もあるというふうに考えております。
○佐藤(茂)委員 ぜひお願いしたいと思います。
私は、この件で最後にしておきたいんですけれども、JALの相次ぐトラブルのときであるとか、さらには、近くは六本木ヒルズの自動回転ドアの事故のときにも言われたんですけれども、有名なのにハインリッヒの法則というのが言われているんですね。一つの重大事故の裏には二十九件の軽微な事故があって、その背後には冷やりとする事例が三百件起きている、そういう法則なんです。個々のトラブルや故障の原因、今回はもう死亡事故ということですが、この事故の原因を追及して、再発防止策をとることがいかに大切かということをこのハインリッヒの法則というのは教えていると思うんです。
私は、冒頭申し上げましたように、今本当にこの問題で、日常生活に欠かせないような日本社会になっているエレベーターに対する恐怖、不安というものが全国に広がっているわけですから、ぜひこれは国交省として力を入れてやっていただきたい。緊急点検のお話は伺いました。報道によると、十五日に社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会の臨時会合を開かれる、そういう報道も伺っておりますけれども、国交省としても早急に住民や利用者の不安を払拭するような対策を講じる必要があると思います。
最後に国交省としての方針と具体的対応策を伺っておきたいと思います。
○後藤大臣政務官 委員御指摘のとおり、六本木ヒルズの痛ましい事故の前にも、予兆となるようないろいろな小さな事故等が生じていたということが指摘をされております。建築設備につきましても、やはり冷やりとする、はっとしたりする、そういう情報は、比較的軽度な負傷事故等を含めた情報につきましても収集をし、その分析を行いまして、重大事故の発生防止の施策等を検討するということは非常に重要だというふうに考えておりますし、また、事故の内容、原因、対策等を広く国民の皆さんに周知して注意喚起をしていくということも非常に重要だというふうに考えております。
そうした観点から、国土交通省では、これまでも地方公共団体、消防等の関係団体から事故情報の報告、提供を求める体制を整備してきておりますけれども、しかし、加えて、国自身においても建築物における事故情報を広く収集し、また、国民や設計の専門家に提供するというようなネットシステムの整備の検討なども取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
今御指摘をしましたような、こうしたネットシステムによる事故情報の収集、活用等にかかわる検討結果等も利用するということも含めて、社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会に御審議をいただきまして、重大事故の発生を抑止し、国民の不安を払拭できる施策の充実に努めてまいる、そういうことで今後しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○佐藤(茂)委員 それでは、続いて、残り六分ぐらいございますので、文部科学省、せっかくお越しいただいておりますので、公立学校施設の耐震化推進につきましてお尋ねしたいと思うんです。
というのも、六月二日に公表されました公立学校施設の耐震改修状況調査の結果というのがございます。手元にあるんですけれども、私ども公明党は、従来から学校施設の耐震化推進というのは早急にやるべきであるということを強く主張してまいりました。それは、公立学校施設というのは、昼間は児童生徒が一日の大半を過ごす学習生活の場である、そういう子供さんたちがそこで過ごしておられる。さらに、災害発生時には地域住民の避難場所となるということでいうと、学校施設というのは極めて重要な役割を担っている。だから、その耐震化を早急に進めるべきであるというのが私どもの考え方でございます。
この六月二日に公表されました調査結果によりますと、前年比で少し耐震化は進んだとはいえ、例えば、小さいお子さんの公立幼稚園の耐震化率というのは五〇・五%、耐震診断実施率に至っては三一・七%なんですね。小中学校の耐震化率というのは五四・七%、耐震診断実施率六七・九%というようになっております。
この数字にあらわれているように、比較的小さな子供さんたちの通う学校施設で耐震性が確保されているものは、大ざっぱに言っていまだに約半数にとどまっている、そういう現実が明らかになっているわけです。
今回の調査結果を全般的にどのようにとらえておられるのか、文部科学省の見解を伺いたいと思います。
○有村大臣政務官 佐藤委員が御指摘いただきましたように、六月二日に公表いたしました調査では、公立小中学校の耐震化率は五四・七%にとどまっております。熱心に取り組んでいただいている自治体があるものの、全体としては耐震化が十分に進められているとは言えない状況だと認識しております。
御指摘のとおり、避難場所、そして児童生徒たちが一日の大半を過ごす場所ということを考えれば、やはり安全性を確保することは根幹的な課題だと認識しております。国の財政状況が極めて厳しい中ですが、その優先順位を変えてでも、やはり耐震関連予算の確保に最優先で取り組んでいきたい。また、まだまだ課題があるという認識の中で、この思いを共有していきたいと考えております。
○佐藤(茂)委員 今有村政務官からもありましたように、ほかに細かい質問を用意したんですが、もう時間もないので最後に聞きたいんですけれども、私は、ほかの予算を削ってでもこの公立学校施設の耐震化というのは進めるべきだ、そのように訴えたいと思うんですね。
なぜかというと、やはり小さなお子さんというのは弱いです。それは、昼間もし地震なんかがあったときには一番被害に遭われるわけですし、逃げるのもなかなか、そんなに大人のようにスムーズにいかない。さらに、災害のときには地域住民がそこを頼りに行くんです。
ところが、どうなっているかというと、現状では、一般の住宅とか建築物が約七五%耐震化されているにもかかわらず、いざとなったときに逃げる避難会場となる小中学校の耐震化率というのは五四・七%と完全に逆転現象になっているんですね。家が倒れて学校へいざ逃げようと思ったのに、学校の方が倒壊している率が高い、そういう現状があるわけです。
私は、そういう意味でぜひ力を入れていただきたいと思うのは、国土交通省所管で、昨年の臨時国会で耐震改修促進法も改正をいたしました。きょう財務大臣が見えられておりますが、耐震改修の促進税制もことし大きく改正して、一般の住宅と建築物というのは、さらに耐震改修、耐震診断が進んでいく可能性がどんどんあるんです。それが、今このままの延長線上でいくと、学校施設の方は本当に大丈夫なのか、耐震化は遅々として進まないのではないか、そういう懸念を持たざるを得ないんです。
私は、住宅が、今七五%の耐震化率を十年後に九〇%にします、そういう目標を掲げられているように、学校施設についても、ぜひ年次を区切った数値目標を明確に定めて、学校施設の耐震化をこういうようにしますと将来の方向性を明確にして、耐震化の施策というものをどんどん進めていくべきではないか、そのように考えますが、文部科学省の見解を伺っておきたいと思います。
○有村大臣政務官 耐震化推進のためには、まず耐震診断を実施していただくことが重要だと考えております。そのため、文科省としても、国土交通省所管の補助事業を活用していただくなどして、ことしじゅうに耐震診断を完了するよう各地方自治体に対し強く要請をしてまいりました。にもかかわらず、佐藤先生御指摘のとおり、耐震診断が実施されず、またことしじゅうに実施する予定もないという市町村が百七十三に上ります。
その中で、私も時間を気にしておりますので短くしますが、やはり耐震診断の実施状況は、各地方自治体の耐震化に対する姿勢や命を守るためのかたい決意を示すものと考えております。今回、初めて学校設置者別の、各自治体、市区町村の具体名を挙げて課題のあるところの公表に踏み切りました。それもこのような哲学が背景にあってのことでございます。これを契機に各地方自治体の意識や地域コミュニティーの世論、関心を高めていくようにしていきたいと思っております。
今、具体的に御提唱いただきましたが、今回の実名公表も含めて、具体的に耐震化がさらに進められるよう、またこれを実施するための財政における優先順位についても、各省庁と連携しながら引き続き最大限の努力をしていきたいと考えております。
○佐藤(茂)委員 最後になりましたけれども、今御答弁いただきませんでしたけれども、何年か先には学校施設の耐震化はこうします、率をこの程度にしますという、やはりお母さん方も、通っておられる子供さん方も安心していただけるような、そういう将来の方向性というものを早急に示すように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、前田雄吉君。
○前田委員 民主党の前田雄吉です。
きょうは、まず初めに、証券市場の開放について伺いたいと思います。
日本の証券市場は、昨今、いろいろな問題点が指摘されています。私は、余りにも日本の証券市場が保守的で閉鎖的である、そういうように思います。
こうした問題点がいろいろ発覚してくるには、次のようなことがあるのではないか、そういうふうに思っています。スーパーリッチな一部の人間のみによって市場が荒らされる、村上ファンドのインサイダー取引が発覚する等々、こうした問題点がここにあるというふうに思っております。
現状として、私は考えますけれども、国民経済の中で大きな力を現実として持っている産業に対しては、市場は開放されるべきではないか、そのように考えております。新しい血が入ってこそ市場の活性化が望まれるわけで、例えば、私は一般論として申し上げますけれども、パチンコホールの上場、これもあっていいのではないか、そのように思います。
企業会計の透明性が公的に担保されればということは、もちろん投資家保護の観点から当然でありますけれども、これが担保された場合に、一大国民産業になっておりますこの産業が、年間三十兆を超えて、遊技人口一千五百万人を超えているという現状でありますので、もう上場は考えられてもいいのではないか、そう思います。
現在、このホールの上場というのは認められておりません。しかし一方で、上場企業のダイエーあるいは西友、一〇〇%の子会社がホールを営業していた事実もあります。私はこれは不公平ではないかというように思います。
金融大臣はこのパチンコホールの上場問題に関してどのような御認識をお持ちなのか、伺いたいと思います。
○与謝野国務大臣 特定の業種が東証上場から排除されるべきでないという先生のお考え方は、まさにそのとおりであると私は思っております。
しかしながら、東証というのはやはり、みずから規則を持ち、みずから上場の基準を持っているわけでございまして、ある会社が新たにそこに上場したいという場合は、東証が既に発表しております上場基準に照らして、その基準に該当するかどうかということは、東証自体がやはり御判断されることだろうと私は思っております。
その点はきちんと公平に審査をしなければならないというのは当然のことであると思いますけれども、特定の業種だからだめだという立場は東証もとるはずもないことだろうと私は確信をしております。
○前田委員 私も、企業会計の透明性が公的に担保されればという条件のもとで、多くの企業、いろいろな業種の企業の上場が望まれればいいというふうに思っております。
所轄の、今度は警察庁に伺いたいと思います。
一部のパチンコホール業が上場できない理由が、風俗営業法、風営法の中で管理されているからではないかという議論もありますけれども、この点について警察庁はどのようにお考えなんでしょうか。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、パチンコ営業につきまして、風俗営業法で規制の対象といたしております理由は、パチンコ営業が遊技の結果に応じて客に商品を提供する営業であり、その営業の形態によっては客の射幸心を著しくそそるおそれがあるため、風営法において規制をしているところでございます。
私たちの知るところでは、さまざまな企業が多様な観点からさまざまな規制を受けているであろうと承知をしておりますけれども、こういうパチンコ営業に対する規制の趣旨自体で株式が上場されるかされないかというようなことについては、私ども警察の立場では判断をすることができない、判断を超える問題だというふうに考えております。
○前田委員 私の地元の名古屋はパチンコの発祥の地でありますので、多くの皆さんが楽しまれています。ですから私は、先ほど申し上げたように、企業会計の透明性が公的に担保されればという、投資家を保護する観点からはこれは当然の話だというふうに思っております。一大国民産業にも市場が開放されるべきであるというふうに私は考えます。
業界としても、有限責任中間法人としてパチンコ・トラスティ・ボードという組織をつくっております。これは、公認会計士あるいは弁護士も何人も集まられて、先ほど申し上げた企業会計の透明性を公的に担保できるような形にしておられます。私は、こうしたパチンコ・トラスティ・ボードのような企業会計の透明性を担保する組織というのは非常に有効ではないか。まずこれについて、パチンコ・トラスティ・ボードについてどのように金融大臣はお考えなのか、どういう御印象を持たれるのか。
そして、証券市場が直接、上場を認める認めないという判断を下すよりは、こうした新しい公的な機関を正式に公益法人として認定した上で、そこが上場の決定をしたらどうかというふうに私は思います。私は個人的に考えますけれども、第三者の機関に上場の認定をさせた方が、業界がよりディスクローズされるのではないか、脱税等なくなって健全に経営されるのではないかというふうに思っております。
より多くの業界の皆さんに対して市場への参加を開くべきではないかと私は思いますけれども、金融大臣、もう一度お考えをお聞かせください。
○与謝野国務大臣 今の考え方は、財務内容をきちんと報告しているかどうかという点、これを第三者に見てもらったらどうかという考え方でございますが、この世の中には監査法人というものもあって、何もわざわざ第三者を特定の企業分野の審査に設立するということは、多分、屋上屋を重ねることであって、そのことをもってして東証の上場基準をクリアできるというふうには私は考えておりません。
○前田委員 でしたら、そうした監査法人にきちんと監査していただいた上で、こうした業態が上場にチャレンジされるというのは、私はいいことだと思います。ありがとうございました。
次に、今皆様にお配りした資料がございます。「計算証明規則に基づく証拠書類の提出」というものであります。これは何かといいますと、各省庁から毎月決裁書が会計検査院にコピーされて送られているわけです。簡単に言えば領収書の束が送られているわけですね。その総量たるや、一年間で何と四トントラック七十五杯分あるというんですね。
私どもは、まず平成十六年度の四月、五月の旅費について、すべての省庁を調査させていただきました。それだけでもかなりな段ボールの中にいきまして領収書の束をめくっていったわけでありますけれども、その中から発見されたものがあります。これからお聞きしたいのは、高級官僚のお手盛り手当について伺いたいと思います。
皆さん、まず資料一ですけれども、たまたまきょうは国土交通省のこうしたものを取り上げますけれども、外国留学旅費の中に、本俸以外に毎日九千六百円、旅費じゃありません、日当として出されています。ここに例を挙げたこの方は、コーネル大学留学のため、滞在期間中、九千六百円掛ける三百六十五、三百五十万四千円という日当が払われるわけであります。
私は、苦しい会計の中で、普通の会社だったらこんなことは認められぬと思いますね。財務大臣、政府の公約として、二〇一一年にプライマリーバランスの均衡あるいは黒字化、それで十五兆円から十七兆円足りない、不足だ、十兆は歳出の削減で何とかする、あと七兆円は増税ということになるという話が漏れ聞こえますけれども、私は、一般のサラリーマンの皆さんがこれを見たら激怒されると思いますね。納税意識がなくなり、七兆円も絶対納めないという気持ちにもなると思うんです。
この日当について、九千六百円掛ける三百六十五日の日当について、どうしてこれがついているのかを、まず財務大臣、御説明いただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 海外に留学する職員につきましては、行政官長期在外研究員制度というのがございまして、その制度によって、研修制度の一環として派遣されているという形をとっております。それで、そこに派遣される職員は、所属省庁の身分を持って出張命令、研修受講命令というんだそうですが、その命令を受けて派遣されて、研究に従事している。
したがって、これは今、日当とおっしゃいましたけれども、大きく言えば旅費の中なんですが、派遣期間中の滞在費として、勤務に対する報酬である俸給等とは別に、今おっしゃったように、一日九千六百円支給しているということでございます。
それで、こういう派遣職員の滞在費につきましては、長期の研修ということでありますので、通常の旅費として支給する額よりも、通常の出張でありますとホテルなんかに泊まる、こういうことになると思いますが、長期であれば契約して何か住宅を借りるとかいうような形になると思いますが、そういうようなことで、大分入用額も違うということがあろうかと思いますので、通常の旅費として支給する額よりも減額して、こういう形になっているということでございます。
○前田委員 これは年間三百五十万ですね、日当でもらえるわけで、本給以外に月三十万円ですよ。家を借りるにも、こんな莫大な費用は必要ないわけです。
皆さん、これは、国土交通省だけでこの月に十人がこの日当をもらっております。そうすると、全省庁を合わせればどれぐらいになるか。私は、本当に一生懸命働いておられるサラリーマンの皆さん、商店街の皆さん、汗水垂らして働いていて一日何千円もうかるかという世界もあると思うんですが、そこから考えると、これは非常にばかげた手当だと思います。ですから、厳しくこうしたものを査定していただきたいと思いますね、こうした旅費を。
それから、資料の二を見ていただけますか。下の方です。これまた、あいた口がふさがりません。赴任旅費です。確かに、御家族そろって引っ越される、新任地に赴任される、そのときに、御家族の旅費もいいです、それは当たり前でしょう。奥さんの旅費もいいでしょう。お子さんの旅費もいいでしょう。しかし、皆さん驚くなかれ、一番下、丸が二つ囲ってあります。「扶養親族移転料」というところに、わざわざ御丁寧に、六歳未満、六歳以上十二歳未満、十二歳以上という欄がありまして、それをずっと横に行くと、何とこれまた日当がついているんですね。どうして赴任する高級官僚の家族の子供さんに日当が出るんですか。わずかな額ですけれども、こうしたばかげた手当はきちんと今見直すべきだと思いますよ。
皆さん、このフォーマットは何も国土交通省だけじゃないんです。ほかの省庁もこのフォーマットを使っているわけですよ。ということは、ほかの省庁も、私は調べましたけれども、全部こうやってあるんです。
財務大臣、まず、この日当はどうしてついているかという御説明をいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 この扶養親族移転料ということでありますが、職員の赴任に伴いまして、扶養している子供だとか奥さん、それに要する費用に充てるための旅費でありますが、鉄道賃といった運賃のほか、御指摘のように、日当、宿泊料などが支給されているわけであります。
それで、このうち日当につきましては、その考え方は、旅行している間の昼飯代といいますか昼食費、それから旅行に伴う諸雑費を賄うためということでありますが、子供を含む扶養親族が移動する際もこれらの費用がかかるということから、扶養親族移転料として支給しているわけです。
ただ、扶養親族のうち子供につきましては、大人ほどかからないんじゃないかということから、減額して支給するために、年齢の区分の記入を求めるということにしているわけであります。
○前田委員 では、私は思いますけれども、確かに引っ越しの最中に御飯を食べる、お昼御飯で日当が要るという話でしょうけれども、実際に本給をもらっているわけですね。引っ越ししなくても御飯食べるわけですよ。だから、私はこうしたばかげた手当はなくすべきじゃないか。
二〇一一年、プライマリーバランスを均衡にする、そして黒字化するという大命題に向かってこれから努力されるわけでありますので、財務大臣、こうした手当はまず第一に削減されるべきではないか、私はそういうふうに思います。いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 これは、私、実はまるでドメスティックな立場でございまして、留学したこともございませんし、海外研修というような経験もございませんので、では本当に肌身に触れてわかるかというと、実はそういうことはないのでありますが、ただ、海外に実際に研究員として駐在することになりますと、やはりそれなりの費用はかかるのかなと私は思うわけであります。
実は、前田先生からこういう質問項目をいただきまして、さて、では民間ではどうなっているのかということも気になりまして、公務員だけがお手盛りでやっているようなことであると、相当これはどうかなという気もしたわけでありますが、もっとも、民間企業で海外留学制度というようなものを持っているところがどれだけあるのかということが一つあろうかと思います。
それで、ちょっと私も調べさせてみまして、まだ十分材料は整ってきておりませんが、民間の中で海外留学制度を持っているようなところは、同じような制度があるようでございます。ただ、この辺も、実情がどうなのかというようなことも少し勉強してみる必要があるのかなと思っております。
○前田委員 私もキャンベラに留学しておりましたけれども、一日に使うお金が千円未満でした。ですから、よく御研究いただいて、歳出削減の十兆円、いや、それ以上に、十五兆円、十七兆円必要かもしれませんので、やはり、汗して働く皆さんがおかしいと思われることがないような手当の制度にぜひしていただきたいと思います。高級官僚のお手盛り手当はぜひやめていただきたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。
きょうは、いわゆる昨今の社会保険庁問題について多少質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず冒頭に、政府参考人の村瀬社会保険庁長官にお伺いをしたいんです。
就任されておよそ二年近くになろうとしているわけですが、いろんな経過があって御就任された。就任されたときも大変苦しい状況だったというふうには思いますけれども、よし、引き受けてやろうということで長官の職につき、半年、一年とたつにつれ、改革の実といいましょうか実感も上がってきたのかなというように、昨年なんかの新聞などのインタビューなんかを拝見しますと感ぜられるわけであります。
そこで、一昨年の就任当初のお気持ち、よし、こんな気持ちでやろうというような心構えみたいなものはいかなるものであったかということと、そうは思ってはいたけれども、結局、今、二年たってみたら、収納率は上がらないぞ、あるいは今回のような偽装免除事件といいましょうか、こんなことも発生しているということで、これまたなかなか困った状況になっているわけでありますけれども、就任直後に比べて、現時点で御自身としてこれまでの評価とか今後の展望みたいなもの、就任当初と今の気持ち、この二点、簡潔にお伺いできますでしょうか。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
一昨年の七月、私は民間から社会保険庁長官として就任をさせていただきました。
そのときの気持ちは何かといいますと、やはり、国民の皆さんからさまざまな御批判、御指摘がございまして、何としてでも社会保険庁を変えなきゃいかぬ。特に、そのときには保険料の無駄遣いの問題であるとか国民向けのサービスがなっていないとかということがありまして、そこを早急に変えていきたいと。その中で、私自身は、職員が危機感を共有して一人一人意識を変えていけば、必ずや社会保険庁は国民の皆さんの信頼に足る機関になるだろう、こういう形で取り組んできたつもりでございます。
そのために、できるだけ現地へ行きたいということで、現地を訪問しまして職員との対話をしてきた。その中で、先ほど委員おっしゃいましたように、私は、根本的に変わったとは思いませんけれども、徐々によくなりつつある傾向は出てきたんだろうと。
例えば、お金の無駄遣いにつきましては相当絞り込みましたし、それから、国民へのサービスという観点からいえば、例えば土曜日開庁をするだとか夜間に訪問をするだとか等々、職員の意識も随分変わってきたんだろうというふうに感じた次第でございます。
それから、先ほど収納率の問題がありましたけれども、収納の額そのものよりも、収納に対して職員が動く、行動を起こす時間というのが極めて多くなってきておりまして、そういう点では着実に変わりつつあるというふうに私自身は思っていたさなかに、今回、こういう問題が起こったということで、正直言いまして、私自身が一番びっくりしていると同時に、現地へ行ってこれだけ回って対話してきた、これが何だったのか、私自身はこれを徹底的に、自分自身を含めて、解明をしたいというふうに思っております。
したがいまして、先ほど委員おっしゃいました、現在どう思っているかということについては、私自身は、やはり全容をしっかり解明させていただいて、本質は何なのかということをまず明確にして、国会並びに国民の皆さん方にお伝えする、それが第一点の原点の出発点であろう。それと同時に、二度とこういうことが起こらない仕組みをやはり構築することだろう、こんな形で考えております。
○逢坂委員 それでは、もう一人、政府参考人として青柳運営部長さんにお越しいただいておりますけれども、お手元に、国民年金保険料の免除者数及び納付率等の推移という資料を配らせていただきました。
これをごらんいただきたいんですけれども、免除率を見ますと、平成七年から平成十三年まで一貫して上昇でございます、一七・六%から二四%。それから十三から十四年は、今度は一気に六%ほど落ちている。それから、納付率でございますけれども、八四・五%が平成七年度で、十三年が七〇・九%、一貫して減少。十四年には、さらに一気に八%近く納付率が落ちているということでございます。
この中身について若干お伺いをしたいんですが、まず、七年から十三年度まで免除率が一貫して上昇、かつ納付率が一貫して減少している、この詳細な要因分析について、いかなるものかということを社会保険庁に、ここしばらくの間、問い合わせをしておりましたが、昨日の午後の時点で、それについての詳細な要因分析はないんだという話を事務方から受けておりますけれども、これは事実かどうか、事実であるかないかということだけをまずお伺いしたい。
それからもう一つが、十四年に一気に納付率、収納率が下がった理由でございますけれども、これが、これから私がしゃべることでよいかどうかを御確認いただきたい。
まず一つは、十三年から十四年にかけて収納体制が変わっております。市町村から国へ収納の主体が移ったわけですね、現年分の収納の主体が。それから、免除の基準が変わりました、十三年から十四年で。したがいまして、この制度改正による理由で約六%近く納付率が下がったんだということが一つの理由。それから、制度改正以外の景気低迷などの理由によって約二%が下がっている。
すなわち、収納体制と免除率の変更がなければ、多分、十四年度の納付率というのは六八%ぐらいになったんだろうという分析をしているようでございますが、青柳部長、これで正しいでしょうか。
○青柳政府参考人 ただいま、まず平成十三年までの納付率の低下、免除率の上昇についての要因分析をしているかどうかということの確認、あわせて、十三年度から十四年度にかけてどのような要因でこのような大幅な納付率の低下が生じたかということについての確認、二つの御確認を求められたと承知しております。
まず、一点目については、当時そのような形の分析が行われていなかったということは事実でございます。
ただし、これは二点目ともかかわるので申し上げますが、二点目のまさに分析をいたしますときに、平成七年度に、実は私どもは、職権適用という形で、年金手帳をすべての二十になった方にお送りをして、保険料を払ってくれというふうな形の仕事に切りかえをいたしました。
この七年度以降の職権適用をしたことによりまして、従来は届け出がない限り未加入者という形でいわばほうっておかれた方々を被保険者として把握をして、保険料を払っていただくという対象に加えていったということによりまして、実は、未加入者が大幅に減ったかわりに、その方々は必ずしも納付に結びつかず、納付率が低下したということがございました。
また、委員が御指摘ございましたように、当時の厳しい経済状況、こういったいわばトレンドとしての傾向がこの六年度から十三年度までにかけての納付率の低下ということにいわば背景としてあったのではないだろうか。
したがいまして、十三年度から十四年度にかけても、そういった傾向に加えまして、御指摘のありました二つの要因、市町村から国に切りかえたことの体制の不備と免除基準を統一したこと、これらがこの原因になったと総合的に判断しておるところでございます。
○逢坂委員 平成七年から十三年までの分について、詳細な要因分析はないかというふうに話したら、事務方の方は、きのうの午後の時点では、現時点ではないというふうに言ったわけですが、今部長の方からそうではないという話があって、ちょっと私としては不満なわけでありますけれども。先ほど村瀬長官も言われていたとおり、きちんと、何が原因なのかというところをはっきりしなきゃいけない今のこの時期に、そういうあやふやなことをされていては非常に困るわけであります。
私は、ここで二つの問題を指摘したいと思います。
まず一つは、今回のこの原因といいましょうか、社会保険庁がいろいろトラブルを抱える要因になった問題点は、その平成十三年から十四年の変化にあったのではないかということですね。
一つは、免除事由の変更による、免除率を十三年から十四年にかけて約六%減をしているわけであります。かつては、前年の所得のあるなしにかかわらず、前年の所得の多寡にかかわらず免除をしていた。それを、天災だとか失業などに十四年から限定をしたということでありますけれども、ここにやはり相当な無理があって、現場ではそういう免除の基準を変えたことに徴収が追いつかなかったのではないかということを一つ指摘したい。
それから、もう一点でございますけれども、市町村から国へ収納体制が変更になった、これは地方分権一括法の絡みで変更になったわけですが、やはりこのことが現場に相当な無理を強いたのではないかということですね。
お手元に資料を配付しておきましたが、国民年金事務の移管前後における事務処理体制の変化についてということで、十三年度と十四年度のものでございます。十三年度、国は五千六百五十六人、十四年度もほぼ横ばいの五千八百五十人ということで国の体制はなっている。ところが、十三年度は市町村が担っていたわけですので、事保険料の収納に限って言うと、全国で七千三百人の方がこの仕事に従事をしていた。
ところが、この部分が国に移管をされるわけであります。結果、ほんの少しの国の職員の増加でこれを賄ってきているということでありますけれども、この変更によって現場では相当な無理を強いられていたのではないかというふうに思うわけですが、青柳運営部長、いかがでしょうか、この点。
○青柳政府参考人 ただいま委員から大変現場に無理を強いていたのではないかというお尋ねがございました。
確かに、人数をごらんいただきますと、ただいまお示しをいただいた資料によりましても、相当人数は減っておるではないか、こういう御指摘もあろうかと存じます。
私ども、しかしながら、このような形で体制を組むことにつきましては、まず十四年度への切りかえの時期におきましては、国民年金推進員という形で、専ら徴収を行っていただくための職員の増を計画的に図っていくという形で、いわばその急激な変化というものに少し時間をかけて対応したという経緯もございます。
また、何よりも大きいのは、平成十六年の年金制度改正によりまして、市町村の所得情報を私ども利用させていただけるようになりましたので、いわばこの所得情報を活用して、所得の状況に応じた強制徴収でありますとか、あるいは免除の勧奨でありますとか、こういうことができるようになったということがございます。
したがって、一年度限りでいえば、確かに委員の御指摘のように、非常に無理なところがあったのではないかという御意見もあろうかと存じますが、その後、時間をかけてではございますけれども、段階的に体制整備を図っていったという点について、ぜひとも御理解を賜りたいと存じます。
○逢坂委員 免除の方については余り言及がなかったようでありますけれども、私は、以前、北海道のニセコというところで町長をやっておりましたが、年金の収納事務についても直接目で見、あるいは、いろいろな事案について私もかかわったことがございますけれども、この免除の基準が変更になったときに、地元の皆さんはみんな何と言っていたか。去年までと私の生活、収入その他変わらないのに、ことしから急に納めてほしいと言われる、これは払えませんよというような声がやはり相当あるわけでありますね。
そのときの切りかえというものは、例えば一年前から説明をしてやっていたというものではなくて、いわゆる年金の納付書が来るそのときに、あなたは今度該当にならないみたいな、ある種、寝耳に水のような状態で被保険者の方のところへ行っている。これでは払えなくなるのは当たり前だというふうに私は思うわけであります。
そして、その証明ということになるかどうかはわかりませんけれども、十四年以降、今度は免除率が一八、一九、二一というふうにどんどん上がっていくわけでありますね。すなわち、現場の実情、実態を思えば上げざるを得ないということがあったのではないかということを指摘したいと思います。
それからもう一つですが、先ほど、推進員を計画的に配置している、段階的にやっているんだ、それから、十六年から所得情報も得られるではないかという話がありましたけれども、それは、現場の方で対応できないできないという声に応じてやってきたのではないか。
しかも、これはお手元の資料の国民年金事務に従事する職員数調べというのがございますけれども、これを見ていただければわかるとおり、国が徴収するようになった十四年、千八百五十八人の推進員がいます。以降、千九百、二千五百、三千百、ことし、平成十八年度は三千三百ぐらいになるというふうに聞いておるのですが、例えばことしの計画などを定めたのは十五年度というふうに事務方の方から聞いているのですが、十四年のときに、十三年の、あるいは制度変更を、かっちりと将来を見通そうとしたときに制度設計をしていたものではないんですよね。要するに、現場でもう困って困って対応できないからということでやっていた、こういう事実があるのではないかということを私は指摘したい。
あわせて、実は、私のところへ、当時の私の地域を所管する社会保険事務所のみならず、他の地域の社会保険事務所の方も非公式にいらっしゃって、私はニセコという町の町長をしておりましたが、町長さん、本当はこういう話をしちゃいけないんだけれども、我々事務所では、市町村から収納体制が国に変わったら収納できない、だから何とかなる方策はないだろうかということを、これは一度ではありません。ただ、非公式に来られて、事務会議でも何でもありませんから資料がないのですが、そういう訴えをしていっているわけですね。私は、これは分権一括法で国の事務になったのだから、それは国がやるというのが大原則だと思うけれども、その主張はよくわかると。
例えば、私どものところは二十の市町村がある。それを今度は一つの事務所が担う。面積は四千三百平方キロです。小樽というところから端の島牧という村まで行くには多分三時間ぐらいかかるでしょう。二十の市町村でやっていたものを一つの事務所でやる。そして、そこに配置された推進員は三名でございます。二十の市町村がありますから、どんなに少なく見積もったって、担当していたのは二十人の市町村の年金収納事務者がいたというふうに思います。多分、大きな市などもありますから、もっと多かったのだとは思うのですが、やはりこういう体制の変化、ここをちゃんと対応しなかったことに今回の大きな引き金になっている要因があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
そして、このときに、現場からの声というものは社会保険庁の方へ届いていなかったのでしょうか。この点、青柳部長、お願いします。
○青柳政府参考人 お答え申し上げます。
当時のやりとりの詳細については、私も詳細を承知申し上げる立場ではございませんが、いろいろ残っておりますものによれば、例えば、当時、各現場の、当時はまだ県の保険課、年金課というような組織であったかと思いますが、そういうところから、こうやって仕事を切りかえるについては幅広く意見を聴取して、およそ六百項目にも及ぶ意見が提出されたということを承知しております。
この中では、必要な人員の確保や事務執行体制の確立あるいは市町村との協力、連携の維持といったようなこと、あるいは、さまざまな仕事を外部委託するというような業務全般にわたる見直しというものが提言されておりました。その中で、例えば先ほど話の出ました国民年金推進員という形で専任に徴収する人間というものを確保してほしいということに、少し時間はかかっておりますが、段階的にこたえてきたということでございます。
また、市町村との協力、連携につきましては、正直申し上げて、非常に協力をしていただけている市町村もございますれば、これはもう縁が切れたのだから国民年金の仕事は余り協力をしたくないという市町村も残念ながらございます。私どもは、そういうことで、なるべく市町村の協力を得ながらさまざまな仕事をしていくということを十四年以降も基本方針としておりまして、その流れの中に、所得情報を活用していただくという仕事の組み立て方もあるものというふうに承知をしております。
したがいまして、私どもは、この仕事が市町村と全くかかわりなく進められるものであるとは決して思っておりません。また、現場の意見についても、そういうことで、時間は多少かかっておりますが、段階的に酌み上げながら仕事をさせていただいているということでございますので、十四年度に切りかえたときの不十分さは、御指摘の点が多々あろうかと存じますが、私どもとしては、その後も引き続き、最善の努力を図らせていただいているものと承知をしております。
○逢坂委員 また村瀬長官の方にお伺いをしたいのですけれども、今私が指摘した十三年から十四年への変化、このときに、現場で相当の混乱があった。
今、青柳部長は、必ずしも混乱というような表現ではございませんでしたが、いろいろな声があったということを話をされましたけれども、しかも、その後の対応がリアルタイムに、迅速にやられたのではなくて、段階的にという言葉を使われましたけれども、私にしてみると、場当たり的に追加してきたとしか思えないのですが、こういう実態があったことを、長官は就任時にお聞きになっていたでしょうか。特にこの十三年、十四年のトラブルですね。現場から悲鳴のような声が上がっていたということを聞いていたかどうか、お伺いします。
○村瀬政府参考人 就任をさせていただいた以降、各事業課から、自分のところが抱えている問題点、これからの対策という形で話を聞いておりまして、国民年金の収納が極めて大切である、その大切な中で、十四年に地方から国に移行した、また、その中でこれから何をしようとしているかという話につきましては、私自身は聞いておりますし、確認をしております。
○逢坂委員 これが、実は、私が昨日まで資料を求めていて、今長官が聞いていたというその内容、十三年から十四年に現場からどんな声があって、どんな対応をしているんだというものについて、出していただきたいと言ったら、きょうの午前中までは、その資料はない、見つからない、ありませんということだったわけですね。ところが、きょう、本会議が始まる直前になって私の事務所へ、昨夜、偶然見つかりましたと言って、ある種、私の事務所の秘書が走って私のところへ持ってきたわけであります。一体これはどういうことなんですかね。
要するに、今、これからちゃんと改革をしなければならないと言っている。そして、私は何も暴こうとかということで言っているのではなくて、問題の所在はここにあるのではないかということを言っているわけで、それに対して、ではという気持ちで、きちんとあけっ広げにやっていくということがやはり大事なんじゃないか。
ここは実は長官も、それから、きょうは大臣は来ておりませんけれども、現場が信用できないとかというようなニュアンスの発言をされているようでありますけれども、この十三から十四年の変化のときの現場の悲鳴、これは相当なものであります。そして、その状況をきちんと対応もせずにここまで引っ張ってきて、そして今、現場が信用できないなんと言われたら、現場の職員の気持ちは、本当に悔しくてしようがないと私は思いますよ。こういう実態をわからずに新しい目標設定をするだけでは、これはうまくいかないのです、長官。このところを十分に御理解いただきたい。
長官は、就任時、これは全国の社会保険事務局長会議、二〇〇四年の八月二十五日に行われた会議の冒頭のあいさつの中で、こんなことをおっしゃっております。現状認識をまずきっちりと共有したいということを言っているんですね。本来、こういう会議は早く開くべきだったけれども、私も現状認識をちゃんとまず知りたかったので、それを知った上で共有したいと言っています。それからもう一つは、こんな話もされているんですね。すべての解が私は現場にある、このように思っているのですというふうに言っているわけであります。
ですから、そのすべての解が現場にあることは私も本当にそのとおりだと思うのですが、もっと現場の声をちゃんと聞いて、現場の人を責めるだけではこれはうまくいかないということを私は強く主張したいと思いますが、長官、いかがでしょうか。
○村瀬政府参考人 私自身も、委員おっしゃるように、国民年金の収納それから社会保険庁の事業をやっていく以上は、現場に解があるというふうに今も思っております。したがいまして、現場との対話を徹底的にやらなきゃいかぬということで今までも取り組んできたつもりでございます。
その中で、現場との話し合いの中で、否定的だけじゃなくて、やはり前向きに、自分たちがどういうふうに仕事をやっていくのか、その中でどういう問題点があるのかということを導き出すのがやはり一番大事な話だろうというふうに思っております。
したがいまして、今回の問題で、全件調査を含めて実態解明をさせていただきたいということで、解明チームをつくって、具体的には、明日から各地区に人を派遣して実態を解明するつもりでおります。その中で、今回の問題の本質がどこにあったのかということをしっかり調べた上で、先ほど申し上げましたように、国会並びに国民の皆様方にはっきり申し上げたい、このように考えております。
○逢坂委員 私の方から何点か指摘をしたいと思いますが、収納というのは、これは実務をやっていればよくわかるんですが、特に私は青柳部長に申し上げたいんですが、一回収納できない、滞納が出てしまったら、それをもとの状態に戻すというのは、これは至難のわざなんですよ。だから、収納の現場での合い言葉は何かといえば、残すな、残すな、新規の滞納を発生させるなというのが、実はこれが現場の合い言葉なんですよ。一回滞納を発生させて一年、二年たってしまったら、それを回復するなんというのは、これはもう容易なことではないんです。にもかかわらず、十六年になって所得情報が得られるようになったから収納しやすくなるような話をしたり、段階的にやっていたなどということでは、全く現場の実情に合っておりません。この点は、まず強く言っておきたいと思います。
それで、今回の原因について、私は考えるに、一つは、十三年までの市町村が担っていた時代について、必ずしも十分な対応がないままにずるずるずるずると収納率を落としてしまったのではないかということが一つであります。それからもう一つは、十四年度体制への変更、これへの配慮不足であります。現場の実態を本当に聞いたでしょうか。現場の皆さんが声を上げられないというようなことがあったのではないでしょうか。
そして、十四年度以降、さらに状況が悪くなりそうだということで、大変失礼ながら村瀬長官にお願いをして来ていただいた。ところが、基盤がぐらついているところに長官が来られて、新しい対応、対応といったって、足をけがしている人を相手にして、さあこれから体力強化です、きょうからマラソンをやりましょう、競歩をやりましょうと言っているようなものなんですよ。足の骨が故障しているのに、無理やり引っ張り出されるものだから歩けないというようなことも生まれるということなんですね。こういう点がやはり今回の大きな原因にあるのではないかということなんですね。
ところが、村瀬長官は、朝日新聞の「be」という人の特集で、きょうちょっと持ってきたんですが、これは昨年の七月三十日の「be」の中のインタビューで、「今や、社会保険庁の中で最も実務に通じているのは、僕ですよ」と発言をしているようなんですが、これは本当に大間違いだと私は思わざるを得ないんですよ。
ですから、私は村瀬長官もどちらかといえば被害者ではないかという気すらするんですよ。実態をちゃんと教えられていなかったのではないかということですね。だから、私は村瀬長官も本当に気の毒だという気持ちがあります。
そこで、最後ですが、長官の任命権者、厚生労働大臣が任命権者でありますけれども、それを代行する立場の副大臣にお伺いをしたいんですが、これまでの対応について、やはり政府の責任は相当大きいと言わざるを得ない。そして、そのぐらついた実態の上に村瀬長官を据えたということについても、相当な問題があるのではないかということを私は指摘をしたいんですが、いかがでしょうか。
○赤松副大臣 先ほど来、逢坂委員の切々たる御主張をしっかりと目に押さえさせていただきました。
午前中の土屋委員に対する御質問にも答えましたけれども、今回のことに関しまして、先ほど村瀬さん自身も、この二年、一体何だったのかという御発言もございました。今もお話にありましたように、村瀬さんが長官になられたとき、まさに鳴り物入りで、大変な期待を負って就任されたわけでありますので、先ほど御自身の言葉にありましたように、村瀬長官自身にとっても極めて重要な、今、この問題解明についての責任というのは相当のものがあると思います。それを自覚しておられると思います。
また、厚生労働省としましても、社会保険庁のみの問題、当然そういうことではなくて、しっかりとこの問題、私たちの問題としてとらえていきたい、全面的に解明されるまで全力を挙げて取り組みたい、そのように思っております。
○逢坂委員 私は、だから今社会保険庁は、削減ではなくて強化が必要だと思うんですね。そういう中で、例えば、五月三十日に行政減量・効率化有識者会議から、社会保険庁を三千人減らした方がいいというような提案もされているんですが、全くとんちんかんな提案だということを指摘申し上げて、終わりたいと思います。
どうもありがとうございます。
○筒井委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。
本日は、この決算行政監視委員会にて質疑の機会をいただきました。きょうは私、先ほど来同僚議員も指摘をさせていただいております年金の不正免除の問題、これにつきまして質疑をさせていただきたいというふうに思います。
この通常国会も間もなく会期末を迎える、会期も残すところあとわずかということであります。この国会を振り返りまして、私自身は、昨年の閉会中から耐震強度の偽装問題にかかわってまいりました。本国会でも、予算委員会ではたびたび、この耐震強度の偽装問題並びに四点セットと呼ばれるような防衛庁の談合問題あるいはBSE問題等々、まさに偽装、人を欺くというようなことが繰り返しなされているのではないか、これが今国会の冒頭からの議論の中心ではなかったかと思われます。そして、今回、この年金納付の不正免除、まさに年金偽装と呼ばれる問題。
偽装に始まり、偽装に終わるとなってしまっては、国会の機能を果たしていない、私はこのことを強く感じ、本日の質疑をさせていただきたいと思っております。
今回の年金の不正免除問題、これは、年金の納付率が極めて低いという状況から、村瀬長官が社会保険庁の新長官となられて、納付率を上げていくということで高く掲げられた目標に対して、職員の方々が努力をした結果、その納付率が上がるという結果に対して、成果に対して、ある一定の評価を与えなければならないといったときに発覚した問題でもあります。
これは、納付率を上げるというその数値を、ある意味、偽装、ごまかして結果をもたらそうとした。耐震強度偽装におきましても、さまざまな事情があるにせよ、極めて重要な構造計算の数値を差しかえ、そして、時にはそれがプレッシャーであったり、あるいは、時には早く工期に間に合わせるためにといった自己の欲求に見合うような方法で行った偽装。こうした両点は、ある意味、極めて自己中心的な利益を得るために行った行為、あるいは責任を回避する無責任の構造という部分においても酷似しているのではないかと私は思うわけであります。
こうした偽装の根底に流れているもの、それは、私はそもそもの制度の欠陥であると思っています。今日、耐震強度偽装問題におきましても、確認検査制度というものが極めて問題ある制度であるということは、担当主務大臣からも明確に御答弁をいただき、そして、早急なる基本法の改正、いわゆる建築基準法の改正なることがさきの委員会の中でも行われてまいりました。
しかし、本委員会、本院においては、この不正免除の問題、数値を改ざんした、あるいは差しかえた、あるいは見逃したということが、本質の議論に届くことなく、ただただ責任論に終始していることは、私はまことに残念でならないきわみであります。
数値を動かしていく、単に分母をいじる。本題である給付を高めるためにどのような取り組みをすればいいのか、あるいは、本題である給付を高めるためにどのように制度を変えていくべきかということの議論を、社会保険庁なりが、あるいは主務官庁である厚生労働省並びにその委員会なりで十分に議論が行われずに、二年前の年金改革で改革が終わったということで置き去りにされてしまったことが、私は最大の原因、要因ではないかと思っております。
国民の信頼を得るためにしっかりとした制度設計を行うためには、まず本質的な議論を行わねばならない。そのためにも、この偽装問題、不正な免除問題というものについては、徹底的にうみを出し切って、そして新たな制度の構築についての議論に踏み出さねばならないということを、私はこの耐震強度偽装問題と重ねて思うわけであります。
この私の意見に対しまして、きょうは、厚生労働大臣はお見えいただいておりませんが、副大臣にお越しいただいております。副大臣並びに長官から、端的にお答えを、御所感をいただきたいというふうに思います。
○赤松副大臣 今回の問題の基本には制度上の問題があるんではないかという馬淵委員の御指摘でございますが、今、御自身からも御指摘ありましたように、一昨年の制度改正におきまして、私ども、保険料の上昇をできる限り抑制しつつ上限を固定する、また基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げ等を行うことによって、長期的な給付と負担の均衡を確保して持続可能な制度とすることができる、こういうふうなことを考えてまいりました。あわせて、国民年金の保険料について、多段階免除制度や若年者の納付猶予制度の導入など、収納対策のための制度的な対応も行ったということは御承知いただいているところだと思います。
今回の問題は、法令で定められたルールにのっとって業務を進めるという公務員が当然守るべきことを逸脱したものであって、社会保険庁において法令遵守の意識が現場の職員に残念ながら徹底されていないことなどがこのような事態に至った原因であると考えております。
国民年金制度は、その役割をきちんと果たすためにも、未納、未加入問題についてはこれを重く受けとめておりまして、今後とも、国民の老後生活等の安心を確保するため、年金制度の意義や一昨年度の制度の改正の内容を意を尽くしながら説明して、十分御理解いただけるよう努めていきたいということでございます。
つまり、この問題をしっかり事態の真相究明のためにやる。同時に、制度のもたらすさまざまな問題、今、馬淵委員が御指摘の問題も同時並行でしっかり考えてまいりたい、そんなふうに思っているところでございます。
○村瀬政府参考人 社会保険庁は実施庁でございます。保険者でもございます。現行制度をしっかり運営していく責任がございます。
したがいまして、今回の問題の本質は何であるのかということについて、先ほど申し上げましたように、全件調査をした上で、実態解明、本質を見きわめたい、それで御報告を申し上げたいというふうに考えております。
○馬淵委員 今、副大臣と長官から御答弁をいただきました。副大臣からは、現行の制度の中でしっかりと今改革を進めているんだという意味の御意見をいただき、また、長官からは、実施庁として調査をまず行っていく中で本質を見きわめたいという御答弁でございました。
さて、きょうは、皆様のお手元に、委員長のお許しをいただきまして資料の配付をさせていただいております。これは、まさに今長官がおっしゃった、調査を実施されている、その第一次の報告でございます。
一枚目には、国民年金の保険料の免除等に係る事務処理に関する第一次調査結果の概要ということでのこの紙を載せております。
これは、一連の問題の中で国民の不信を招いたこの不正免除、いわゆる事務処理の中で二月に京都で発覚した京都事案、あるいは四月に大阪で発覚した大阪事案、こういったことが再三報告がなされる中で、全庁的にはどういうものかということをしっかり調査を行うということで、この五月の二十七日、全国の社会保険事務局長会議を催され、そして、その事務局長会議の中で全国的な調査の実施を命じられ、さらには別室において細かいヒアリング、また、四十七都道府県におかれましてはそれぞれの事務局において待機をしながらその調査報告を上げるという、まさに土日を徹しての作業を行われ、その二十七日の機会をもとに二十九日にまとめられた第一次調査報告書、これが提出をなされたその抜粋でございます。
この二十九日の調査報告書の、第一次調査の結果の概要としてこれを見ますと、その事務処理については、(1)、(2)、そして(3)という形で大きく三分類がなされております。
これは、(1)、(2)については、いわゆる本人の確認をしなかった等々において不適正な処理を行った、そのように認めておられる事例であると理解をしております。
そして、(3)でございますが、報告を受けて「全ての事務所が適正な事務処理を行った事務局」という分類されたのが(3)でございますが、これは「全ての事務所が適正な事務処理を行った事務局」ということで社会保険庁として分類をされたということでよろしゅうございますでしょうか。部長からで結構です。
○青柳政府参考人 ただいま委員の方からも御紹介ございましたように、二十七日から二十八日、最終的に報告書をまとめたのは二十九日でございますので、この間にかけて、いわば適正な事務処理を行ったと思われる、すなわち、その時点で不適正と思われるような事務処理が発見できなかった事務所、事務局という意味では、おっしゃるとおりでございます。
○馬淵委員 二十九日の時点ではそうだということでお答えをいただきました。
さて、ここを見てみますと、全部で二十一の事務局がございます、北海道から始まり、岩手、宮城、そして宮崎まで。この二十一の事務局の中で丸印をつけておるものがございます。これは岩手と和歌山の事務局であります。
すべてのこの事務局の報告書、私も所管からいただきまして、一枚一枚これを見せていただきました。そうしますと、岩手の事務局の報告書、この中に「不適切」と記されているものがございました。すべての事務所が適正な事務処理を行ったということで岩手の事務局が入っているにもかかわらず、その書面には「不適切」と書いてある。私は勘違いしていたのかなと思いまして、これを中身を見てみました。
資料の二枚目をごらんください。岩手社会保険事務局からは、ごらんのように、五つの事務所からの報告を一枚にまとめられております。ここで、宮古と花巻、これらの社会保険事務所においては、不適切と思われるものが一枚ずつあるということで、「不適切と思われるもの二枚」、このように記されています。
そして、不適切と思われるものについての「経過」を見ますと、これは、いわゆる半額免除承認者のうち、若年者納付猶予につけかえるという処理を行った、これがこの半額免除承認。本来であるならば、本人が半額免除ということを要望しているんだけれども、若年者納付猶予という処理に変えたというものがあったということが記されております。
そして、この「経過」の下段の方にありますように、これは、「引き続き半額免除を希望する者については、電話連絡するよう記載している。その結果、電話連絡は一件も無かった。」ということで、「問題点」の指摘として、「免除申請書の若年者納付猶予欄に「○」がなされているかどうかの確認が不十分だったかもしれない。」つまり、これもまさに、既に議論がなされておりました、本人の意思の確認なきままに申請を行ったと同等に考えられるのではないかと思われる事案であるというふうに私は感じたわけです。
さらに、この全国の四十七都道府県の事務局の書類、これを、段ボール二箱ほどございましたが、眺めていきますと、和歌山の事務局の書類に目がとまりました。資料の三をごらんください。これは資料の四のヘッダーになるんですが、資料の四、これは和歌山の事務局でございます。和歌山は、和歌山西、和歌山東、田辺、それぞれの社会保険事務所で独自に作成したもので確認しました。ここに「不適切なものはありませんでした。」このように書かれています。
そして、これを見ますと、「対象者」「国民年金保険料免除・若年者納付猶予申請書に基づき、」云々となっておりまして、ここで「対象者」というのは、国民年金の保険料免除の方々の中で、そして、「半額免除承認者の利益を考え、承認替えしたもの」、このように書いてあります。
何のことかなと思いまして、これも確認をしてみますと、いわゆる半額免除承認を申請された方を、その要件としては若年者納付猶予の要件に見合っているがためにかえたものという御説明でありました。
このように、同じような処理を行っているものがそれぞれの保険事務局では、不適切とそれぞれの社会保険事務所が述べているんですけれども、二十九日の段階では適正な処理になっている。和歌山においては、不適切でなくこれは適切だ、このように述べられている。そして、最終的には、この資料の最初にありましたように、「(3)全ての事務所が適正な事務処理を行った事務局」に分類をされている。
これは一体どうなっているんですかと私は社会保険庁の方にも御説明に来ていただきました。すると、当初、私への御説明は、これは若年者納付猶予申請も同時にされていらっしゃるんです、このようにお話しされたわけです。同時にされているから、要件は同じなので、半額承認よりも年金権をお守りするということで、いわゆる三分の二ではなく、追納すれば年金権が全額生まれるということでありますので、この者については承認がえ、申請をかえたんです、両方に丸がついていました、このようにおっしゃっていました。
さて、ここで質問させていただきますが、まず、半額免除と若年者納付猶予とは何がどのように違いますかね。これは端的にお答えいただけますか。
○青柳政府参考人 お答えします。
半額免除は、保険料は半額になりますが、この保険料を払わなければ未納の扱いということになる。一方、若齢納付猶予の方は、保険料を払わなくても未納ということにはならない。
ただし、給付への反映ということで考えますと、半額免除は、未納であればもちろん給付には全く反映しない。それから、若年者納付猶予についても、これは年金の受給資格に結びつく期間としてはカウントされますが、給付の方については、例えば三分の一の国庫負担相当分はほうっておけば反映されないということになっております。
○馬淵委員 そうですね。そういう御説明を私も社会保険庁からいただきました。そして、それでこれはかえたんだというふうにおっしゃっていました。
しかし、まず最初に、一点目でお尋ねしたい。ここで、大事なポイントでお尋ねしたいんですが、一次調査報告書では、ここにありますように、適正な事務処理を行ったと分類をした岩手、和歌山なんですが、これは適正なんでしょうか。社会保険庁、お答えください。
○青柳政府参考人 一次調査を行いました段階におきましては、本人の意思表示が一定の形であったということでございましたので、実はヒアリングの対象から外して整理をその時点でさせていただきました。
ただ、この点については、その後、この事例に限らず、各社会保険事務局から、当初私どもが想定していた以外のさまざまなケースが浮かび上がってまいりました。したがいまして、その点については六月五日付で、ただいま御指摘のありました件も含めて、再調査をするということで今行わさせていただいているところでございます。
○馬淵委員 そういうお話があったから処理したんだということでありました。六月五日に再調査ということでありますが、少なくとも、この一次調査の結果の段階で適正な事務処理ということで分類をされた。そしてそれは、若年者納付猶予という申請も、本人の意思であるんだということの確認を少なくとも聞いていたんだというお話でありました。そして、先ほどの御説明の中で、半額免除と若年者納付猶予の違いの部分においてはお聞きをしました。追納すればある意味では実がつく、年金権は確保できるわけですから、若年者納付猶予を勧めたんだということの理解はできます。
では再度、改めて御質問をします。分母に影響を与えるのはどちらですか。
○青柳政府参考人 半額免除は、納付をいただければ分子、分母ともに算入されます。未納の場合には、分母には算入されますが分子には入りません。若齢納付猶予については、分母からも分子からも外れる形となります。
○馬淵委員 つまり、若年者納付猶予にすれば、これは分母から外れるんですね。本人の意思があったから納付猶予にしたという御説明ではありましたが、本人の意思があったかどうか。では、すべてについて一遍見せてくださいよ、こう社会保険庁に申し上げたんです。個人情報ですからということで私の方になかなか御指摘いただけなかったんですが、では個人情報はすべて消してくださいということで墨塗りにしていただきました。ざっと三センチほどの書類でしょうか。最初、私に説明があったのは、三つとも丸、つまり全額免除、半額免除、若年者納付猶予、ともに本人の意思が示されているものですという話でありました。すべてそうなんですかとお尋ねをして、持ってきていただきました。見ると、そうでないものも入っています。
お手元の資料の五番と六番と七枚目をごらんください。ここにありますように、三つとも丸がついている。一番上の欄です。「全額免除」「半額免除」「納付猶予」、これはいずれもが本人の意思があると思われるという話でありました。確かにそうかもしれません。
二枚目、これは三つとも丸がついています。これも三つともに意思がある。しかし、一枚目は確認はしていませんが、二枚目については、電話で確認をして、「若年」と上に書いてあります。つまり、本人は納付猶予を選択したということになります。
三枚目をごらんください。これは「半額免除」と明確に御意思を記されています。そして、この「半額免除」の右の欄には、半額免除より納付猶予を優先して審査を希望する、これは消えていますが、希望しますかというところで「いいえ」と書いてあります。つまり、本人のノーという意思が確認されているにもかかわらず、これは分母から差し引かれるという若年者納付猶予の選択に差しかえているんですよ。
そして、こういった物件がどれぐらいあるんですかとお尋ねをしましたら、御回答いただきました。これは、改めて社会保険庁からこの数だけ言ってください。
○青柳政府参考人 馬淵議員から御提出いただいております資料の八ページにもございますが、和歌山東社会保険事務所については若年者納付猶予を承認した件数十件、岩手の花巻社会保険事務所におきましては同二十一件、同じく岩手の宮古社会保険事務所におきましては同二件となっております。
○馬淵委員 これらの件数は、繰り返し申し上げますが、分母に影響を与える若年者納付猶予に、本人の意思は確認せず、あるいはないにもかかわらず、半額免除からこの社会保険事務所が差しかえたものなんですよ、一次調査の段階で。
そして、先ほどごらんいただいた二ページ、三ページの書類にあるように、不適切と思われるという指摘があるにもかかわらず、社会保険庁は、一次調査としてはこれを適正な事務所類に分類されているじゃないですか。これは、いや、後で調整します、もう一度見ますという話じゃなくて、長官が、それこそ全国に号令をかけて、指示をした上で、それでもまだこのように、これは単純ミスの話じゃないですよ。もう二十六日、二十七日の段階で、国会ではさんざん議論があって、そして全国でも注目する中で事務局長会議が開かれた。
私も奈良の社会保険事務所、社会保険事務局に参りました。お訪ねすると、ちょうど調べている真っ最中でしたよ。保険庁本庁とのやりとりをしている真っ最中だということで、二十九日の午後にもまだやりとりをされていました。しかし、その中で、私がちょっと現場から、その事務所からいただいた資料や、あるいは今回、二十九日の四十七都道府県分のいただいた資料、段ボール箱二箱でありますが、それを確認しただけでも見つかってくるじゃないですか。一体これはどういうコンプライアンスがきいているんですか。
長官、マネジメントとして、あなたがおっしゃっているように、本当に組織を変えるという強い御意思があるのならば、このような形で次から次へと、調査をかけてもかけても後から後から、他人から指摘されなければ出てこない状況が今の社会保険庁の実態じゃないですか。
長官、これはあなたが、自分は実施庁の長であるからといって、今一生懸命やっているんだというお言葉が空虚に聞こえますよ。いかがお考えですか。
○村瀬政府参考人 今委員御指摘のように、五月二十九日に発表させていただいた第一次調査、その以降もいろいろな案件が正直言って出てきております。したがいまして、先ほど六月五日に再調査を出したという形で御報告申し上げましたけれども、六月五日に再調査を出しまして、現在、各事務局が自主点検の再調査を実施しております。遅くとも今週中にまとめたいというふうに思っております。
それと同時に、第一次報告書の中で、私は部下を信じたいということをお話ししましたけれども、残念ながら信じ切れないということで、他人チェックをやりますということで、この六月九日から約二百七十万件の免除、猶予申請書につきまして全件チェックを開始いたします。期間的には、まだ最終の詰めができておりませんけれども、多分六月の二十日ぐらいまでには完了できるんじゃなかろうかというふうに思っております。これをやることによって、先ほど委員お話ありましたように、しっかりチェックしているかどうかというのは明確にわかると思います。そこを見た上ではっきり方向づけをしたいというふうに考えております。
○馬淵委員 長官、私も民間の会社におりました。小さいながらも会社の経営も経験してまいりました。私は、巷間言われるようなノルマ主義あるいは成果主義、目標が悪いなどとは申しません。いや、むしろ、そういった目標や成果をしっかり掲げてそれに邁進するという、その組織のマネジメントというのは重要だと思っています。
しかし、そこに必要なことは何か。単に目標の数値を掲げるだけではなくて、その目標達成のためのいわゆるビジネスプロセスやあるいは業務手続そのものをしっかりと見きわめるという、プロセスのリエンジニアリングなんです。そのことの御指導、インストラクションなくしてそのような目標というのは、ただ単に空虚であるとしか私は言いようがないと思う。
長官は、部下を信じたいと申し上げたが、しかしそれができないということで、第三者にゆだねるしかないとおっしゃった。そして、五月二十九日の我が党の松井参議院議員の決算委員会での質問で、きょうはお見えになっていませんが川崎厚生労働大臣に、もううそをついたら首が飛ぶんだという政治責任をかける決意があるのかという質問をされた。それに対して大臣は、私が政治生命をかけたら正しく報告してくれるという人たちを相手にしているんだったら、こんなことを申し上げませんよ、こういうふうにおっしゃっていますよね。これはすごいことですよ。
これは、主務官庁である厚生労働省と、そして実施官庁である社会保険庁の長官が、二人がそろって、いや、もう信じられないんだ、第三者に任せているんだと、国会で堂々と述べているんですよ。あなた方、これはおかしいと思いませんか。これは一体どういうことでしょうか。
きょうは副大臣ですけれども、副大臣、では、あなたは副大臣として、ナンバーツーの責任者としてきょうおいでになられている。もう官僚の答弁書は要りませんよ、政治家として語ってください。
あなたは、この場面で、この委員会で、このような状況の中で、もう二度と起きない、そして、そのことが起きたときには自分が政治家として首をかけることができると言明できますか。端的にお答えください。
○赤松副大臣 まず、先ほどの馬淵委員が御指摘の書類、そして、岩手と和歌山を大丈夫なところと分類していたということにつきまして少し感想を述べさせていただくと、私は、やはりこういう形で整理しないで、まだ問題を残しているところというふうに分類すべきだったんじゃないのかなという感じがいたします。(馬淵委員「後で言ったってしようがない。答えだけ言ってください」と呼ぶ)
今の件につきましては、私は、しっかりと現場の皆さんの行為というものを信じたい、そんなふうに思っております。
○馬淵委員 いや、もう信じたいという話じゃなくて、一番信じたいのは国民なんです。国民がこの制度の抜本的改革がなされたとだまされていたと、今、大きく思っているわけですよ。だから現場でもこのように、納付率を上げるなどということができないから、偽装を行うという現実があるんじゃないですか。
村瀬長官、私は、あなたが民間の知恵を生かして目標設定やノルマ設定ということをやられたことについては、それは一つのビジネスの方法を持ち込んだとして評価したいと思っています。しかし、あなた自身が、その組織をまとめる上でもはや直属の部下として信用できないというお話であるならば、あなたの責任は、長官をやめるのではなく社会保険庁を解体することじゃないですか。社会保険庁を解体して、それこそ我々が主張している歳入庁をつくる、その道筋をつける歴史ある長官として、あなたは社会保険庁を解体するぐらいの意思を今、この委員会の場でお示しいただくことはできませんか。いかがですか。
○村瀬政府参考人 委員の質問の中で、先ほど私が他人チェックという話の部分につきまして、全然社会保険庁以外の人がチェックするというようなニュアンスのお話がありましたけれども、私が申し上げているのは、今までの報告は、自主点検、事務所長がみずから点検をして、こういう状況でございましたという報告に基づいてまとめたものでございます。それを社会保険庁の他の部局の人間が行って、それが正しいかどうかということを見るということで、通常で言いますと監察でございますけれども、これを徹底的に庁内でやります。それで、それをやった結果が正しいか正しくないかということは検証委員会で見ていただこう、こういう形でございますので、そこはまず御理解をいただきたいと思います。
それからもう一点、社会保険庁の組織云々という問題でございますけれども、これは、さまざまなところで御議論いただいた上で、ねんきん事業機構という形で与党の方で御審議いただいて、法案として出させていただいております。私はそれがベストの案だろうというふうに思っております。
○馬淵委員 いずれにせよ、第三者が監察であろうが、では村瀬長官、私はもう時間がありませんので最後です。
長官御自身は、そのねんきん機構が今ベストであろうかと考えるというふうにお話でありましたが、では長官御自身、このような調査の結果、もう二度とない、このようなごまかしはないんだということをこの場で言明なされますか。そして、それができなければ、自分がもう解体する以外にないということを、それこそ国民の皆さんにお伝えして、自分が責任をとるまで言明されることできますか。それを端的に最後にお答えをいただいて、私の質問とさせていただきます。
○村瀬政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、私が今やらなきゃいかぬことは何かといいますと、まずは全件調査、これによって実態を解明することだと思っております。
それと同時に、やはり二度とこういうことが起こらないのを仕組みとしてどうつくれるか、これを早急につくることであろうというふうに考えております。
○馬淵委員 今も十分なお答えとは言えませんが、引き続きこの問題は、国民の注視の中でございます、しっかりと国会でただしていくことを改めてつけ加えて、私の質疑とさせていただきます。
以上です。
○筒井委員長 次回は、来る六月十二日月曜日午後零時四十五分理事会、午後一時委員会を開会し、締めくくり総括質疑を行います。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十七分散会