衆議院

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第2号 平成18年12月6日(水曜日)

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平成十八年十二月六日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 仙谷 由人君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北村 誠吾君

   理事 柴山 昌彦君 理事 渡海紀三朗君

   理事 平田 耕一君 理事 古川 元久君

   理事 松本 大輔君 理事 古屋 範子君

      赤池 誠章君    飯島 夕雁君

      今村 雅弘君    上野賢一郎君

      浮島 敏男君    江藤  拓君

      小野 次郎君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    桜井 郁三君

      杉村 太蔵君    鈴木 馨祐君

      玉沢徳一郎君    冨岡  勉君

      中山 泰秀君    西本 勝子君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      藤井 勇治君    藤田 幹雄君

      古屋 圭司君    保坂  武君

      茂木 敏充君  やまぎわ大志郎君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      岩國 哲人君    小川 淳也君

      吉良 州司君    玄葉光一郎君

      武正 公一君    長妻  昭君

      西村智奈美君    鉢呂 吉雄君

      松本  龍君    三日月大造君

      森本 哲生君    漆原 良夫君

      神崎 武法君    鈴木 宗男君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         尾身 幸次君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         若林 正俊君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   法務副大臣        水野 賢一君

   外務副大臣        浅野 勝人君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   会計検査院事務総局第四局長            帆刈 信一君

   会計検査院事務総局第五局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            関戸 秀明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小貫 芳信君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  別所 浩郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 明雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   玉木林太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 金子 順一君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  西川 孝一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        岩井 良行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        小野 邦久君

   参考人

   (日本中央競馬会理事長) 高橋 政行君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十三日

            補欠選任

             亀井善太郎君

同月二十四日

 辞任

  塩川 鉄也君

同日

            補欠選任

             桜井 郁三君

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  鉢呂 吉雄君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     鉢呂 吉雄君

十二月六日

 辞任         補欠選任

  亀井善太郎君     二階 俊博君

  坂井  学君     飯島 夕雁君

  桜井 郁三君     佐藤ゆかり君

  杉村 太蔵君     藤田 幹雄君

  中山 泰秀君     やまぎわ大志郎君

  西本 勝子君     大塚  拓君

  保坂  武君     今村 雅弘君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

  赤松 広隆君     西村智奈美君

  金田 誠一君     三日月大造君

  武正 公一君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     北村 茂男君

  今村 雅弘君     保坂  武君

  小野 次郎君     安井潤一郎君

  大塚  拓君     西本 勝子君

  二階 俊博君     片山さつき君

  藤田 幹雄君     杉村 太蔵君

  やまぎわ大志郎君   上野賢一郎君

  長妻  昭君     武正 公一君

  西村智奈美君     小川 淳也君

  三日月大造君     金田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     越智 隆雄君

  北村 茂男君     坂井  学君

  小川 淳也君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     中山 泰秀君

  森本 哲生君     赤松 広隆君

    ―――――――――――――

十二月四日

 平成十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十七年度政府関係機関決算書

 平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

十一月十七日

 中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況及び国家公務員の再就職状況に関する予備的調査要請書(松本剛明君外四十五名提出、平成十八年衆予調第二号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百六十四回国会、内閣提出)

 平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百六十四回国会、内閣提出)

 平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百六十四回国会、内閣提出)

 平成十七年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十四回国会、内閣提出)

 平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百六十四回国会、内閣提出)

 平成十七年度一般会計歳入歳出決算平成十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十七年度政府関係機関決算書

 平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――

仙谷委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事長小野邦久君及び日本中央競馬会理事長高橋政行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仙谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、人事院事務総局給与局長関戸秀明君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、総務省自治行政局長藤井昭夫君、総務省自治行政局公務員部長上田紘士君、総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、総務省自治財政局長岡本保君、法務省矯正局長小貫芳信君、外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省国際協力局長別所浩郎君、財務省大臣官房審議官中村明雄君、財務省主計局次長松元崇君、財務省主計局次長真砂靖君、財務省国際局次長玉木林太郎君、厚生労働省大臣官房長太田俊明君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、厚生労働省医薬食品局長高橋直人君、厚生労働省老健局長阿曽沼慎司君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、厚生労働省政策統括官金子順一君、社会保険庁長官村瀬清司君、農林水産省生産局長西川孝一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長岩井良行君、国土交通省大臣官房審議官川本正一郎君、国土交通省住宅局長榊正剛君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仙谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

仙谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木馨祐でございます。一期生でございますが、しっかりと質疑の方を進めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 本日は、麻生大臣、若林大臣、山本副大臣、江崎政務官におかれましては、お忙しいところお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 決算行政監視委員会ということで、まずは外交の問題について伺いたいというふうに思っております。

 私が思いますに、国際政治の舞台というのは本当に魑魅魍魎ばっこする社会でございまして、条約とか、いろいろ表に出てくる、そういう表の部分というのは恐らくは非常に表面的なものであって、その実態というのはもっと深いところ、その裏の部分というものをいかにしっかりと認識し、把握し、そして、それに対して適切な、日本の国益に一番資するオプションをとっていくか、それがまさに外交政策なのではないかというふうに私は思っている次第でございます。

 その一つの検証といたしまして、本日は、国際機関、これもまたいろいろな御意見があるかと思いますが、それと日本とのかかわりというところで、日本の国際機関に対する拠出、そういった切り口からまず質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 私の問題意識、問題認識をまず簡単に申し上げますと、国際機関と申しましても、世の中いろいろな国際機関がございまして、国連、これは一国一票というシステムであります。逆に、ブレトンウッズのIMFですとか世界銀行、そういった機関につきましては、拠出比率によって投票権が変わってくる。例えば一五%の拠出をすれば一五%投票権がもらえる、そういう仕組みでありまして、国連とは非常に違う構造となっているわけであります。

 そういった違う構造を持っている国際機関に対して、日本としてどういったかかわり合いを現在しているのかというところで、一つ資料を示したいと思うのです。きょうお配りしています横紙をごらんいただければというふうに思っております。

 まずごらんをいただきたいのは、IMFクオータというふうに書いてございますところと、国連通常予算分担金と書いてございますところ、または、最後の項の国連分担金とIMFクオータの比率というところでございます。この中で、日本の部分を見てみますと、IMFクオータについては六%強、アメリカの三分の一、そしてドイツに極めて近い水準。一方で、国連の通常予算の分担金というところで見ますと、アメリカに極めて近い、一九%超、そしてドイツの二・五倍近くというような拠出構造となっているわけでございます。

 こういうところについて質疑を進めていく大前提といたしまして、まず最初に、外務省また財務省の事務方で構いませんけれども、実際に国連分担金またはIMFのクオータというものがどういう形で決定をされているのか。それについて、一つ参考資料として同じくお配りしてございます、英文になってちょっと恐縮なんでございますけれども、これはIMFと国連、両方の公式のホームページからとってきたものでございます。

 ここの下線部のところをごらんいただきますればわかりますように、双方とも、例えばIMFにつきましては、各国の経済的な地位、相対的な地位によって決定をされる、そして、その地位の決定についてはGDP等のファクターが考慮される。そしてまたもう一枚、国連のベーシック・ファクツと書いてある紙でございますけれども、そこにつきましては、同じく、総体のGDPのシェアに占める相対的な地位、そういったものが決定材料になると書いてございます。

 そこを踏まえまして、実際にどういった算出根拠でこの数字が計算をされているのかというところについて、お答えをいただきたいというふうに思っております。

長嶺政府参考人 国連についてお答え申し上げます。

 国際連合、国連の分担金の各国の負担割合でございますけれども、今委員御指摘のございました国連の文書にもございますとおり、まずは、国民総所得、GNIでございますが、これの全世界合計に対するそれぞれの国の国民総所得の割合を基礎といたします。その上で、途上国につきましては対外債務額の一二・五%を控除いたします。さらに、一人当たり所得が世界平均を下回る国に対しましては、最大八〇%を割り引くという操作をいたします。最後に、シーリングといたしまして、上限二二%、それから、後発途上国のシーリング〇・〇一%、これを適用し、また、フロア、下限でございますが、これを〇・〇〇一%ということで算定されるということになっております。

 当然のことながら、割引が行われますのでその関係で、その分につきましては、日本を含みますいわゆる先進国がそのGNPの大きさに比例してそれを負担している、こういう形になっております。

玉木政府参考人 IMFについてお答えいたします。

 IMFは、国際的金融機関として、その出資額でありますクオータを加盟国の経済の規模やその国際経済上の位置づけ等に基づいて決定しております。実際には、五年ごとに行われます一般的な増資の検討等の機会に、GDP、経常収支の動き、外貨準備等を用いた理論上の値、計算クオータと呼んでおりますが、この理論上の値を参考としつつ、加盟国の合意に基づいて決定しております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 いろいろなファクターがあるにせよ、基本的には、世界経済の中での恐らくGDPですとかそういったものが大きな決定の根拠になっているのかなというふうな理解で構わないかと思いますが、そのことを考えれば、基本的には、IMFにおいても国連においても、恐らく各国の出資比率と拠出金というものはそんなに大きな乖離があってはいけない。また、同じく考えれば、例えば、ドイツですとかアメリカだとかそういった先進国と比べた場合に、日本というものは恐らくは同じような立場、地位であるというふうなことが考えられますので、その二つの、対IMF、対国連というものの相対的な関係を考えれば、そういうアメリカですとかドイツというものが参考になるのかなという気もいたします。

 また、最近、中国経済というものが非常に大きく成長をしているところでございまして、その中国というものもだんだんとそういった先進国の状況に近づいている状況であるべきなのではないかというふうに、私個人的には考える次第でございます。

 そこで、この横紙の一番右の部分、国連分担金とIMFクオータの、要はこれはパーセンテージの比率を単純に出したものでありますけれども、ここをごらんになっていただければわかりますように、日本については三・一八、圧倒的に大きい数字となっております。逆に、中国については〇・五五、非常に圧倒的に小さい数字でございます。

 例えば日本について、同じような先進国と思われますアメリカとかドイツと比べた場合に、ある意味、一国一票である、要は、幾ら払っても余りメリットがない国連に対しては多く出しているのに、そうではなくて拠出金と投票権がリンクする、出せば出すほど決定権をもらえる、そういうIMFについてはなかなか多くの拠出をさせてもらえていない、そういう状況をここで数値化できているものに近いのかな。非常にラフな議論で恐縮ではございますけれども、そういうことが言えるのかなというふうに思っております。

 そういう中で、先ほど申しましたように、国際社会というものは、表に出てくる規則ですとか計算式、そういうものは、別にただの理論ではなくて、もっと裏の、本当に国際社会がどういう意図を持って日本というものを考えているのか、そういう本当の国際社会と日本とのかかわりというものがある意味浮き彫りになるのではないか。そして、もしかしたら、その実態に応じて計算式というものがつくられてしまっているのではないか、そんな疑念すら、この最後のパーセンテージの余りに日本に対する大きな数字というものを見るにつけ、考えてしまうわけでございます。

 そこで、外務大臣、また財務省の政務官であられます江崎政務官、お二方から、今のこの数値、この横紙の実態、そういったものを踏まえながら、国連、そしてIMFにおける我が国の拠出比率ですとかまたその算定式、そういったものの妥当性についてどういう御認識を持たれているのか、そういったところをコメントいただければというふうに存じます。

麻生国務大臣 今委員のお尋ねのように、国連の日本の分担金、よく言われますように通常一九%、正確には一九・四六八%が日本の分担金の比率ですが、これが、日本の経済実態とか、また常任理事国の分担金、例えば中国、ロシア等々の分担金に比べて過大ではないかということに関しましては、私も同じく過大だと思っております。

 この分担金比率の見直しを今やることになって、これをもう少し公正というか公平なものにする方がいいのではないかということで、日本としてはこれは案を出すということになって、日本も案を出しております。大ざっぱに申し上げますが、一つ簡単な第一案と二案とを本年三月に提出した分ですが、少なくとも常任理事国については下限を決めろよ、最低三%出せ、もしくは五%だということを出しますと、それはロシア、中国の分担金比率が上がる、これが私どもの出した案です。これは、一%上がりますと、全額でいきますと大体七十三億円ぐらいになります。それが一つです。

 それからもう一つは、いわゆる低所得割引の調整というのが先ほど役人の方から説明しましたようにありますけれども、経済規模の大きい国では、GNI、グロス・ナショナル・インカムの話でいきますと、一%以上の中、ロ、それからブラジル、インドに対しまして割引の度合いを引き下げる、いわゆる割引してありますので、その度合いをこの一%以上のところは引き上げるという二案を出しておりまして、それでいきますと日本の分担金比率は一五%ぐらいになろうと思います。そういったのも一つの案。

 何も、我々が安くしてもらいたいということよりも、もっとちゃんと出すべきものは出すべきじゃないかということを申し上げているのであって、それによって国連全体の使い前がふえることにもなるということだろう、私どもは基本的にそのように思っております。

江崎大臣政務官 IMFにおきますこのクオータでございますが、委員御指摘のとおり、加盟当時の一九五二年には約二・九%と大変低かったわけでございますが、現在は、このお出しいただいた委員の表にもございますように、六・一%ということで、世界第二位の出資国とはなってございます。

 しかし、我が国はかねてより、このIMFの出資比率については、世界経済の実態を反映した数値にすべきである、クオータ比率にすべきであると主張してきてございまして、実態と乖離したクオータ配分につきましては調整を早急に行うという考えを常にとってきております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 国連の分担金を一五%ぐらいにという話ではありますけれども、例えば、現実を見ますと、日本より恐らく豊かなアメリカにつきましては、ここにありますように、GDPの二七%強に比べまして分担金はそれ以下の比率、逆に日本は、引き下げてもGDPの一〇%というものよりははるかに多い数字であるわけでございますから、もっともっとこれからもしっかりそういった方向で調整をして、より国連自体が信任を得られるような、信頼性があるような、そういった交渉をしっかりと国としてやっていっていただきたいというふうに思っております。

 また、同じく、IMFのクオータにつきましても、途上国との関連というものではいろいろと御意見もあるでしょうし見解の分かれるところとは思いますけれども、私個人的な考え方としても、どうしても日本とドイツが同じような、本当に〇・二%ぐらいしか違いがないわけですね。そういう中で、投票権もすなわちドイツと日本は同じぐらい。何でそこに抑えられてしまっているのか。国連を見てみたら一九%と八%です。国連だったらヨーロッパ諸国と日本というのはこんなに違うのに、何で投票権がついてくるIMFにおきましてはほとんど同じ割合しか拠出をさせてもらっていないのか。

 そこら辺の本当に裏にあるもの、そういったものとしっかりと対峙をしていっていただく、そういった努力を今後ともしっかりと続けていっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 また、私が作成いたしましたこの一枚紙の表でございますけれども、これは中国と、ほかのいわゆるG7諸国でございます。中国経済というのは今、G8プラス1、そういう先進経済国、そういったところに加盟しようというほど目覚ましいものがある状況の中で、いつまでもこういう、国連への拠出を決めるときには途上国の顔をして、それ以外のときには先進国の顔をする、そういった状況というのは、しっかりと我が国としても考えていかなくてはいけないというふうに思っております。

 そういう中で、この問題についての最後に財務省の方に質問をしたいのでありますけれども、十月でしたか九月でしたか、IMFのクオータの見直しというところで一つの動きがありました。単純化して簡単に言いますと、日本は引き下げられてしまいました。わずかな比率ですけれども、日本の引き下げというものが行われました。要は、今おっしゃっていた方向とは一見して逆の方向の引き下げでありました。

 それで、その結果何が行われたかといいますと、中国、韓国、そしてブラジルでしたかね、途上国四カ国については引き上げを行う。すなわち、日本の投票権を抑えるかわりに、かわりと言ってはなんですけれども、ほかの各国の分もありますけれども、その見返りとして中国の発言権を増す、そういう試みが行われ、実際にそういった見直しが行われてしまったわけであります。

 私といたしましては、やはり日本政府としてそういった方向の取り組みというのは、もしかしたらもう一度考え直すべき点もあるのではないか、果たしてそれが本当に正しい方向性であるのか、そういった懸念を持つところでございますけれども、その判断の根拠等につきまして、江崎政務官の方から御見解をいただければと思います。

江崎大臣政務官 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のこのクオータの見直しは、二段階に分かれてございます。今、日本の比率が一たん下がると御指摘いただきましたところは第一段階のフレーズでございまして、今後二年以内に二段階にわたってクオータの調整が行われるという改革パッケージを本年九月に合意してございます。

 そして、最も是正が必要な中韓を含む四カ国が第一段階として調整がされます。その結果として我が国の出資比率もやや低下する。数字で申しますと、〇・一〇九%マイナスということでございます。一方で、御指摘のありました中国は〇・七三九%ふえるということで、今の段階では微調整というふうに受けとめていただければと思います。そして、二年以内には、第二段階のクオータ調整において、より広範囲な出資比率の調整が行われるということでございます。

 この改革パッケージ全体が実施されることによりまして初めて出資比率の改革の意味があるものと考えておりまして、この第二段階の中身につきましては、まだ今議論がされているさなかでございますので申し上げられませんが、一応、この二段階方式のパッケージと御理解をいただきたいと思います。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 そういう会計の議論が行われる場合によく言われますことが、IMFの実際の信任というものが得られないんだ、途上国に対してもしっかりと見直しを行わなくては信任が得られないんだ、先進国の日本としては、そのために、やはり身を切ってでも犠牲になってそれを一歩進めることで日本の信任も上がるんだというようなことも言われるわけではありますが、私の考えといたしましては、本当にそうなのかと。

 IMFに対して日本の政府というのは、別に彼らを弁護する立場ではなくて、しっかりこちらが要求するものは要求していかなくてはいけないのではないか、そういうふうに考える次第でございますので、今後のそれは取り組みということでしっかりと見守らせていただきたい。偉そうでありますけれども、そこは国会議員の立場といたしましてしっかりとウオッチをさせていただきたいというふうに思っている次第であります。

 では次に、もう一つ日本にとって非常に大事な案件でありますエネルギーについて質疑を移したいというふうに思います。

 これも同じく十月ごろの話でありましたが、サハリンにおきまして、サハリン1、2とよく耳にするプロジェクトがあるのでございますけれども、そのサハリン1の石油と天然ガスの天然ガスの部分について、その供給が恐らく中国に行きそうだ、そういった動き。実際に、覚書がそこの開発主体でございますエクソンと中国の間で結ばれたというような動きがあったわけであります。

 それは恐らく、日本に対して天然ガスの供給というものがなされなくなる可能性が高い、そういう問題なんだというふうに私は認識しておるのでございますけれども、ただ、普通のガス田、油田の開発の案件でございましたら、それはビジネスベースの問題ですから、お金が多い方にオイル、ガスが行く、それは当然のことであります。

 しかし、これで問題なのは、このサハリン1というものに対しては経済産業省が国として旧通産省時代に出資をしている案件である。すなわち、日本として別にオイル、ガスのビジネスをするためではなくて、しっかりと日本の安定的なエネルギーの供給を確保する、そういう目的で出資をしたものというふうに私は理解しておりまして、そういった案件が、結果的にガスの部分だけについても、中国という、今非常に資源あさりをしておりますけれども、そういった国にとられてしまったということはどういうことなのか。そういう状況が起きる前に日本政府として何かできたことはないのか、そういった疑念を、またそういった懸念を覚えてしまうわけであります。

 そういったことに関しまして山本副大臣にお尋ねをいたしたいというふうに思います。

 国が出資したということは、先ほど私も申し上げましたように、エネルギーの安定的な供給の確保というものが政策目的としてあって、だからこそ国民の税金というものをそこにつぎ込んだ、恐らくそういう状況だというふうに思います。それが結果的に一部にせよ中国に行ってしまう。オイルは来ているんだからいいんだ、そういう話でいいんでしょうか。私は、そこには非常に懸念を覚えてしまうところでございますので、そこについての御見解また御認識を伺えればというふうに思います。

山本(幸)副大臣 ただいま御指摘のように、このサハリン1プロジェクトは国家プロジェクトとしても大変重要だと考えて出資したわけでございます。供給源の多様化とか、あるいはその近接性から大変、日本にとってもメリットがあるし、ロシアにとってもメリットがあるというようなことでございますが、御指摘のように、石油についてはこれはもう既に輸出が始まっておりまして、我が国の輸入量の約六%に相当する日量約二十五万バレルが見込まれるわけでございますが、天然ガスについては、コンソーシアムと中国のCNPCとの間で売買契約に向けた覚書が結ばれまして、交渉している。

 ただ、他の需要者との交渉を妨げるものではないということで、日本側の需要方も、交渉責任者のエクソンモービルの子会社との間では今商業ベースで続いているわけでありますが、日本の需要者はLNG対応で考えておりまして、このエクソンモービルの方はパイプラインじゃないとだめだというようなことで、そこがそごがございました。

 その点は、実際に出てみるような段階になって最終的に決まっていくものですから、一番最初にちゃんと詰めていなかったという意味では、この点は確かに御指摘のとおり反省すべきところがあると思ってもおりますが、その意味では少し懸念すべき状況ではあるということで、私どもも、何とかLNG対応でやってもらえないのかということで、今のところは全力を挙げて先方に対して申し入れをしているところでございます。

 ただ、これが本当にうまくいくかどうかというのは、ちょっとまだ交渉をやってみないとわかりませんので、また全力を挙げて今のところはやらせていただくということでございます。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 実態を申し上げれば、本当に日本というものの需要者、需要家はほとんどがLNGを望んでいる、逆に、開発主体のエクソンモービルはこれまでLNGを供給したことがない、そういう状況であったわけでございまして、今後のこういう開発につきましては、そういった点もしっかりと御留意をいただいて、ある意味、もらえると思ったものが来なかった、そういった状況が将来ないように取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に移らせていただきます。

 同じくエネルギー問題というふうに言われる東シナ海の問題であります。

 この問題につきましては、実際に中国のねらいというものが、本当にエネルギーの確保にあるのか、それとも、その海域が彼らの軍事戦略上必要なものだからああいうことをしているのか、そこは議論が分かれるところではありますけれども、これはいろいろ議論も言い古されていることでございますので、ここは非常に質問事項を絞っていきたいというふうに思っております。

 昔から、試掘に関する議論というものがこの海域についてはありました。何かといえば、今、日中の中間線、その境界上の、またがっているようなガス田について中国側が開発しておる。そこの営業が開始された段階かどうかわかりませんけれども、一定の段階で、日本としてしっかりと意思表示をするべきではないか。そういう中で、どういう意思表示をするのかという議論がなされてきたわけであります。

 私個人的には、これは中国側が営業を開始した、試掘ではなくて営業を開始したらこちらも試掘をするんだ、我々も開発に乗り出すんですよという意思表示をしっかりすることが、恐らく外交交渉上必要なのではないかというふうに思いますが、その点につきまして麻生外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 これは試掘というオプションを除外しないというふうな御見解もあるかと思いますが、除外するのかどうか、その点について伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 過日ハノイで行われましたAPECで、安倍総理と胡錦濤国家主席、また李肇星外務大臣と私との間で、この地域のものについては共同開発という方向で早期解決を目指すことで一致いたしております、この点につきましては。

 それで、これはもめているところでもありますので、双方で、これは両方でやった方が利益が出る。片方だけでやった方がコストが高い、両方でやって共同開発した方がプロフィタビリティー、利益率が高いのではないかという話やら何やらをして、双方で、主権的な権利は確保しつつ、いわゆる東シナ海を平和の海とか友好の海とかいうものにしていくべきではないですかと。

 仮に中国が生産活動を開始する場合には、適切に対応しなくちゃいかぬところだと思いますが、試掘につきましていろいろ御心配があっております。鉱業権者はたしか帝国石油だと思いますが、これは民間ベースの話ですから、帝国石油の判断によろうと思いますが、経産省としては、これは多分試掘権というものを、鉱業権の設定の段階で、許可をした際に鉱業権というのを帝国石油に渡しておりますから、その渡した段階において、試掘をされるときに当たってはぜひ経産省にも相談するようにと、帝国ホテルじゃなくて帝国石油に求めたというように承知をいたしております。

 まだ試掘の計画が発表されているというふうには聞いておりませんので、試掘実施の相談がある場合には、当然のこととして、当然の権利だと思いますので、今言われたように試掘する権利を認めないというようなことではないということだと思います。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 まさに、今麻生大臣おっしゃったように、共同開発というものが合意をされたということではございますが、実はこの共同開発というのは、恐らく、日本が思っている共同開発と中国が思っている共同開発というのは違う。海域すらずれている状況で、これはまた交渉だと思いますので、その一つの方法として、やはり日本として断固たる措置もとり得るということを、今おっしゃっていただきましたように、しっかりとお示しをいただきたいというふうに思っております。

 また、この点は問題ございまして、今おっしゃいましたように、帝国ホテルではない帝国石油が開発主体でございまして、あの海域においては、中国側は国、だからお金をじゃぶじゃぶ使える、逆に日本側は民間、だからコストを考えてしまう、そういうアンバランスがあります。これはエネルギーの開発の問題だけであればいいんですが、実際、安全保障の問題であった場合に果たしてこれでいいのか、そういった懸念もございます。

 今後、石油の開発主体につきましても、そういうエネルギー戦略ではなくて、安全保障戦略ですとか海洋戦略という問題が絡む場合には、国の関与、官から民へというのも非常にいいんですが、そういう場合に限って国の関与というものをふやしていく必要があるのではないか、そんな気がいたしますので、御検討をお願いしたいと思います。

 きょうは、お忙しい中、若林大臣にも御臨席をいただきました。先ほどから申し上げております中国でございますけれども、地球環境問題を考えたときに、中国がどうなるか。あの国の人がみんなステーキを食べ始めて車に乗り始めた瞬間、地球はぶっ壊れる、そんな話があるわけでございます。中国が今後、環境問題というところでいかに積極的に取り組んでいくか、そのことが非常に大事な問題でありまして、二〇一三年以降の、京都議定書の次のポスト京都議定書に中国を含めた途上国というものをいかにインクルードするか、そのシビアな交渉というものが今後一番重要な課題であるというふうに考えております。

 そういった点を踏まえまして、この前までナイロビに御出張されていたと伺っております若林環境大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 果たして、二〇〇八年の日本で行われるサミットまでにその大きな方向性が出るというふうに言われておりますけれども、そういう中で、実際に途上国を入れることが可能なのかどうか、どうやったら入れることができるのか、そういった見通し等について伺えればというふうに思います。よろしくお願いいたします。

若林国務大臣 中国が地球温暖化対策としての気候変動枠組み条約の中にどう乗っていくのか、中国のみならず途上国をどう巻き込んでいくのかというような趣旨のお尋ねであったかと思います。

 御承知のように、京都議定書批准国で削減義務のある国は、我が国やEUなど先進国で、三分の一程度の排出量を占めているのみでありまして、現状においても、途上国には排出義務は課されておりません。アメリカを含めて、義務の課されていない国が三分の二の排出をしているというのが現状でございます。

 中国などの主要排出途上国を中心に、今、排出量が急増いたしておりまして、途上国全体の排出は今後も増加を続けて、十数年後には先進国を上回るというふうに予想されているわけでございます。

 その意味で、次期枠組みについては、途上国も含め、すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むことを可能にするよう、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効のある枠組みを構築することが重要でございます。

 このため、まず、最新の科学的知見に基づいて、条約の究極目的の達成に向けた長期目標の構築、削減ポテンシャルやその道筋について国際的合意が必要であり、その合意の基礎となる共通認識の醸成に向けて、米国はもとより、中国、インドなどの主要排出国に対してさまざまなレベルでの参加を働きかけておりますし、省エネルギーや環境対策に係る協力や情報提供をしているところでございます。

 また、条約の主要な交渉を促進するために、直接的な交渉を促進するために、昨年の英国でのG8サミットの成果を受けて、中国、インドを含む主要二十カ国によるG8気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話、いわゆるG8対話が行われております。二〇〇八年に我が国が主催するG8サミットにはこのG8対話の結果が報告されることになっておりまして、G8日本サミットが次期枠組み交渉の方向を示す重要な役割を果たすものと期待されておりまして、このG8のプロセスを最大限に活用してまいりたいと思います。

 なお、中国でございますが、先週末に訪中をいたしまして、日中韓三カ国の環境大臣会合に出席するとともに、周生賢国家環境保護総局長ともバイの会談を行いましたが、中国は環境問題の深刻さを十分認識しておりまして、真剣に取り組み始めているという強い印象を持ちました。

 周総局長からは私に対して、国民の健康、社会の安定、国際的イメージの観点から、環境問題が中国政府にとって重要な課題になっている、特に、飲用水源の汚染防止対策などの施策を透明性を高めて実施していきたいというような説明がございまして、中国がこの三月に採択した第十一次の五カ年計画でも、政府の責任として達成しなければならない約束性の目標として、GDP当たりのエネルギー使用量を二〇%削減する、主要汚染物質排出量を一〇%削減するといった数値目標を明示しております。

 こうしたことから、中国政府は環境問題に対処することの必要性、重要性は認識しており、環境問題に本気で取り組まなければ自身の経済成長も阻害されるという危機感を持って環境政策を進めているというふうに認識いたしました。

 ただし、ナイロビでのCOP12での中国の対応は、将来の削減目標の設定、削減義務を課されることを非常に警戒いたしておりまして、後ろ向きの姿勢に変わりは見られませんでした。中国が汚染物質の大量排出国である責任を自覚して地球環境保全に前向きに取り組みますように、日中の環境をめぐります技術協力も含めましてその関係を強めつつ、中国にもその実力に応じて国際的責任を果たしていくように働きかけていかなければならない、こういう認識を持っております。

仙谷委員長 鈴木馨祐君、申し合わせの時間が既に経過しておりますので、御協力を願います。

鈴木(馨)委員 はい。質疑時間が終わっておりますので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

仙谷委員長 次に、冨岡勉君。

冨岡委員 自由民主党の冨岡勉でございます。

 厚生労働委員会が並行して行われておりますけれども、きょう私が質問させていただくのは、厚生労働委員会に関する三点ということでございます。お手元に資料がお届けしてあると思いますので、それを順次見ながら質問を始めさせていただきたいと思います。

 まず最初の質問ですけれども、私は、医療産業を厚生労働行政の決め手というか、そういう戦略産業として育てる分野をつくっていきたいと常々考えておりました。国会の方に来て、いろいろな分野を見させていただいたんですが、その中で幾つかは、トヨタとかあるいは半導体技術に次ぐ戦略産業として育てていくに値するようなものが見つかった、そういうふうに思っております。きょう最初に取り上げますのは、再生医療、特に自家細胞を使った産業を何とか世界に広め、また外貨を獲得できるような分野に育てていきたいという趣旨から質問をさせていただきます。

 再生医療というとなかなか遠い話のようではございますけれども、実際は非常に身近なものです。例えば、髪の薄い方、身長が少し低い方、あるいは女性ですと、色の黒い方とか、何とか改善したいな、胸も少しは大きくなりたいなという方がたくさん世の中にはおられます。そうしますと、今までだと、それを補整するのに、異物、薬物、胸だったら数十年前はシリコンを入れたりなんかしたわけですけれども、どうしても自分の細胞でないとなじまないし、うまくいかない場合が多かったわけでございます。

 なぜそういうことがあったかというと、がん細胞だったら、小さなシャーレの中でほっておいてもどんどん増殖する能力を持っていますけれども、正常の細胞というのは、シャーレの中に置いて培養してもわずかにしかふえなくて、死滅してしまいます。いろいろなグロスファクター、つまり成長ホルモン等を入れても、なかなかそれが継代できなかった時代は長く続いたわけでございます。

 ところが、日本の岡野教授、個人名を出させていただきますけれども、その方が、女子医大の先生が、それを層状に培養するような発見というんでしょうか、パテントとしても成立しているようですけれども、そういうのができてきた。そうしますとどういう現象が起こるかというと、例えば角膜だと、酸とかで傷害されたら失明してしまうんですね。ところが、今までだと死体からの移植でしかなかったものが、自分の細胞を培養することによって自分の角膜に使うということができるようになってきた、こういう経過でございます。

 ただ、現在問題になっておりますのは、その自分の細胞が薬なのか、薬事法で扱うものか、それとも医療器具として扱うものか、それが非常に行政としては悩ましいもので、そこの取り決めがないというのが現状でございます。きょうこうして質問させていただきます観点から申しますと、私自身は、そういう自家細胞を使ったような研究というのは早く進めていただきたいという趣旨からでございます。

 そこで、まず最初にお尋ねをいたします。再生医療の日本における現状について簡単に御説明いただければと思います。

宮坂政府参考人 我が国におきます再生医療の現状という御質問でございますが、我が国におきましては、ヒト幹細胞を利用いたしまして治療を行います再生医療、この実用化に向けて精力的に従来からも研究が進められてきたところでございます。その中でも、臍帯血の体外増幅や人工材料と培養組織を組み合わせました組織工学の領域におきまして、世界に先んじているものと承知をいたしております。

 具体的には、臍帯血移植に向けました体外増幅技術なり、細胞シート化技術を用いた角膜上皮シート、それから重症心不全を治療いたします心筋パッチなどの臨床研究が世界に先駆けて実施されているところというふうに承知をいたしております。

 以上です。

冨岡委員 現状認識としては、厚生労働省としては世界に先駆けているというコメントと拝見するわけでございます。ただ、例えばアメリカで承認されている自分の皮膚を用いた自家皮膚細胞移植というものが、日本のメーカーで、日本・ティッシュ・エンジニアリングというところが四年前に申請したんですが、まだ認可がおりていない。これは、後からその研究を始めた韓国なんかはもう既に臨床的に行われているという現況がございます。

 そういう観点からいうと、取り組みとしては確かにいろいろな、切り口からいえば一歩先んじているかなと思いますけれども、今申しましたような部分については、どうもちょっと引いているという感じがするんです。そこの点につきましては何かコメントがあるでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 人の細胞や組織を利用した製品を御本人の体に戻して治療に役立てる、これは、先生御承知だと思いますけれども、アメリカにおきましても連邦の医薬品関係の法規制のもとにございます。これは日本も同様でございます。そういった意味では、私ども、現在いろいろなこういった申請も出ておりますけれども、それは通常の手続に従って薬事法の体系の中でもちろん処理をいたします。

 お尋ねの、何か対応として思うところがあるのかというようなお話だと思いますけれども、もともと、こういった医療が今後とも発展する可能性を秘めているということは私どもも十分高く評価しております。ただ、法規制において、個別の製品の安全性、そういうものについてどうチェックをするかというのは、またそこは安全性の面からきちんと担保しなければいけないだろうというふうに考えております。

冨岡委員 そういうことだろうと思うんですけれども、ちょっとここで資料の一の一をごらんになっていただければと思います。自家細胞研究治療に対してどのような扱いかというのが今ちょっとそこに書いてあるわけです。

 問題になるのは、許認可がおくれているというのは、薬とかあるいは医療器具、例えばピンセットとか、これはもう定型的な、形も材質も成分もすべて同定されて、それを申請して、そしてそれを審議するわけです。ところが、細胞になりますと、全部違うわけですね。皮膚といっても、自分の皮膚と息子の皮膚もまた違うし、同じくくりではどうしても、許認可という意味では、均一のものを許可するという発想になじまないわけなので、これが今ポイントになっています。

 つまり、薬でもない、医療器具でもない、生もの、生きた細胞を扱う法案が今から要るのではないか、それが今問題になっているわけなのです。それも、自分の細胞、人でいえば他家細胞、他人の細胞、そして異種細胞、犬とか猫とか豚とか、これは全く別枠にして扱えばどうかというのを今論じているわけでございます。

 その資料の一の一を見ていただければ、自家移植は、したがって薬事法等既存の法にはなじまないということを皆さんどうぞ御理解いただければと思います。

 この見解につきまして、コメントというか、医療研究に関してどのような規制等があるかを含めてお答えをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 研究段階のところから、国として定めておりますいろいろなガイドラインなどを申し上げますと、まず、ヒト幹細胞を使用する臨床研究に関するガイドライン、これといたしますと、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針、これが定められております。これは、ことしの九月から施行されています。この指針におきましては、自家細胞を使用した臨床研究につきまして、他家細胞と同様の安全性及び倫理性を求めているということでございます。

 それから、ヒト由来の細胞、組織を加工した医薬品などにつきましては、その品質及び安全性の確保のために必要な基本的な条件につきまして、平成十二年の十二月に、ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針、これを定めまして、治験計画の届け出を行う前に厚生労働大臣によりまして安全性及び品質の確認を行うということにしております。これは、治験までの段階です、研究それから治験。

 それから、医薬品としての規制は、現在のそういう薬事法に基づきまして、有効性それから安全性につきましては私どもの方でチェックをしているということでございます。

冨岡委員 指針が出ているのは私も存じ上げているわけでございますけれども、先ほども言及しましたように、安全性という点は、確かに、細胞を扱うわけですから、これが自分の細胞であれ、がん化を起こしたりなんかする可能性もあります。ただ、厚生労働省のいいところだと思うんですけれども、いろいろ法案とか指針をつくると、いわゆる自分の細胞じゃなくて他家細胞まで含めた指針等をどうも認識されて、一歩進んだ案といえばもう本当にありがたいんですが、そういう指針のように拝見したわけでございます。

 したがって、ここは自分の細胞というのをどうも切り離して物を考えた方がいいように思いますけれども、その観点からどういうふうにお考えか。また、これはやはり諸外国の流れと比較しながら日本の体制を整えていかなくてはいけないというふうに思っておりますので、今申しました二点についてコメントをいただければと思います。

高橋政府参考人 まず、お尋ねの中で、自家細胞、自己由来の細胞を利用した場合、それから、ほかの、他人の細胞を利用した場合、これは他家細胞、他家組織でございますけれども、御指摘のとおり、自家細胞を利用した場合には、御本人の細胞を用いますので、提供者から伝播する感染症などのリスク、こういったものはないわけでございます。ただ、これは自家、他家共通する問題でございますけれども、目的外の細胞の混入とか、あるいは培養などにおける原材料あるいは培地からの感染リスク、こういったものはあるんだろうというふうに考えております。

 ですから、御自分の体からの由来のものだという、その点に関してのリスクのなさというものはもちろんございますけれども、自家、他家共通のリスクというものはやはり存在するんだろうというふうに考えております。

 それから、諸外国におきましては、先ほどちょっと触れましたが、アメリカにおきましては、人の細胞や組織を利用した製品を取り扱う施設につきましては、自家細胞、他家細胞いずれかにかかわらず、その施設を登録するという必要がございます。それから、製品そのものにつきましては、一部のものを除きまして、市販前に医薬品等として承認を受ける必要があるということでございます。これは医療機関において医療として行われる場合も含むということで、むしろ日本の場合よりも規制が広く及んでいるのではないかというふうに私ども見ております。

 それから、EUにおきましては、一部の加盟国におきまして、現在、医薬品または医療機器として規制を受けているということでございますが、EU全体としては、現在、どういうふうにするかということにつきまして議論をしているというふうに聞いております。

冨岡委員 アメリカにおいても、これは細胞を、生きているもの、命あるもの、物として、ちょうど中間みたいな扱い方をしているので、どうも完全に分離したような扱い方をしていないようなんですが、私自身、これは薬でも医療器具でもない、やはり新しいジャンルの法案がどうしても必要になってくると思います。生きていますから、いろいろ変わっていきます。だから、それを広くコントロールする、あるいは網羅するような概念と立法の措置が必要ではないかと考えているわけでございます。

 資料の一の二を見ていただければと思いますけれども、要するに、同じようなことになると思いますけれども、ここを読んでいただければ、やはり既存の法案の枠外に出てしまうものがどうしても考え方としてはあるのではないかというふうに思いますので、そういう意味でもう一度検討をしていただきたいと思っております。

 それで、我々も、議員立法というんでしょうか、勉強会から始めて、こういったような違った法案、生ものというんでしょうか、細胞を扱うような法案が必要ではないかというように考えまして、いろいろ勉強、研さんを積んでいるわけでございます。

 自分の細胞をつくる場合でも、今までは一人の手でやっていたんですけれども、これを何十人、何百人の細胞を扱ったり、あるいは組織的にやるなら、どうしても機械が要ったり、会社組織というんでしょうか、大学の研究室あるいは病院の研究室だけではどうしてもできないという状態になってまいります。昨日の日経新聞に、川崎重工業だったと思いますけれども、自家細胞の細胞を自動的に十人分までつくれる機械を開発した、信州大学にこれを納入している、そういう記事が出ておりました。つまり、そういうレベルまで話が進んできております。

 したがって、ちょっとお聞きしたいのは、この細胞加工技術の活用を図るために、外部委託できる業務として、医療法の第十五条の二ということになりますか、そういう点でそこの部分を扱う必要が生じてくるのではないかと想定されますけれども、そういった観点からどのように今後厚生労働行政としてはお考えになっているのか、お考えをお聞きしたいと思います。

松谷政府参考人 自家細胞、組織培養の関係でございますけれども、この品質、安全性等の確保につきましては、今御質疑等がございました薬事法の規制、あるいはそれにかわるべき何らかの手だてということが検討されているというふうに伺っております。今お尋ねの外部委託の関係につきましては、技術的に外部委託するものとして成熟されている段階にあるかどうかというのは現段階ではちょっとわかりませんけれども、いずれにしても、品質、安全性等の確保ということは最重要課題だというふうに思います。

 自己細胞、組織培養に係る法案では、外部委託を委託加工業として位置づけるというようなことも検討されるというふうに伺っておりますけれども、そういったようなことにつきましては、先ほど申し上げた品質、安全性等の確保、あるいはその技術の成熟性というようなことを考えながら、とりわけ慎重に検討すべきものであるというふうに考えております。

冨岡委員 本当に慎重に慎重を重ねて取り扱わないと、やはりいろいろな弊害も目についてきます。すぐに思いつくのは、コンタミネーション、相手の細胞が入ってしまうような事故というんでしょうか、それとか、がん化を起こす、いわゆるコントロールできなくなるような危険性もやはり潜む。ただ、既存のそういった動物実験ではほとんどそういうことは起こっておりません。

 そこで、この案件の質問の最後になりますけれども、我々は、この大きな流れをやはり認識しながら、国民に安全、安心な医療、そして医療技術を提供していかなくてはいけない責務を負っているわけなんですけれども、この問題につきまして、石田副大臣の全体の流れから推しはかったお考えがございましたら、お答え願いたいと思います。

石田副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今まで局長等もお答えさせていただきましたが、いわゆる自家細胞、組織利用製品というのは、例えば、人の口腔粘膜の細胞を採取し、加工し、処理した後、やけどの治療のために本人に戻して使用する、こういうものであると認識しておりますが、このような製品については、今先生もお触れになりましたけれども、本人の細胞を用いることから、提供者から伝播する感染症等のリスクはないけれども、目的外の細胞の混入、培養等における原材料からの感染リスク、こういうことも考えられるわけでございます。

 御指摘の法案については、先生等もいろいろと御検討されているようでありますけれども、現在の要綱案を拝見すると、やはり医療行為の一部として扱う、こういう内容であると思いますが、現在のところ、医学的判断に、すべてをお医者さんにゆだねる、そういたしますと、製品の安全性等について国がチェックをしない、こういう形にもなってまいりますので、これはとりわけ慎重に検討しなければいけない、このように考えております。

 なお、米国では、やはりこの自家細胞、組織利用製品についても、連邦食品医薬品化粧品法等において、我が国の現状の規制と同様、個別の製品ごとに承認制度の対象とされているものと承知しております。

冨岡委員 私自身も、慎重に扱うという意見には賛成だし、何らかのそういった監視機構あるいは報告義務等は当然加味されたような法案もしくは機構が必要になるということは十分承知いたしておりますので、何も議員立法でなくて、厚生労働省側から積極的に提案をして、やはりプロの皆様方ですので、本当に私は期待して推移を注視しておりますので、よろしくお願い申し上げます。一点目はそういうことでございました。

 次に、質問の第二点目でございます。有床診療所についてお尋ねをいたしたいと思います。

 御案内のように、有床診療所といっても何かなという方もおられるかもしれませんけれども、大きく分けると、病院と診療所に分かれるわけです。一般の方は、病院病院と言って二つとも同じようにしておりますけれども、診療所というのは、ベッドがないもの、あるいは、あっても十九床以下。今までの規定でありますと、四十八時間以内に、患者さんを一たん入院させても退院させる義務がある、そして、看護基準あるいはお医者さんの基準等が非常に緩和されたものが有床診療所という定義でございました。

 今般、有床診療所が、四十八時間規制が撤廃されて、一般の病床として、ほぼ百八十万床ぐらいベッドがあるんです、その中にどぼんと投げ込まれる。つまり、加算されたような制度に変わろうとしております。いろいろな例外規定はあるにしても、そういう状態が起こっております。

 ただ、私がこの席から質問させていただきたい趣旨としては、非常に厚生労働行政もいいことをたくさんやっているんですけれども、どうも、壊してしまって取り返しのつかない、あるいは非常に不都合が生じているような部分が最近特に散見されるわけでございます。障害者自立支援法とかいろいろ、療養型の病床群、非常に国民が今不安に思っています。この有床診療所も、十六万床ぐらいあるんですけれども、二万三千ぐらいは療養型に属しております。したがって、ここでは有床診療所という言葉を使っておりますが、療養型病床群についても同じような考え方が成立する面があります。

 したがって、現在の有床診療所の位置づけ、百八十万床のうちの十六万床をこれから一体どうしていくのか。あるいは、介護保険等の適用、つまり、特養が三十六万、あるいは老健が二十四万床、床というかベッドがあります。あるいはグループホームが九万ぐらいある。どうしても、急性期から慢性期、そして居宅、介護施設へと流れていくんですけれども、国民が一番不安に思っているのは、自分が今どこに行けばいいのか、今ここは一体どこなのか、どういうことが権利として主張できるのか、それが今は制度的にどうもわからなくなっている。

 そこで、この有床診療所の位置づけを一体どう考えればいいのか、大きな流れとしてのまず副大臣のお考えを、これは最後になるのかと思いますけれども、順番はあれしても、現況をどう認識しているのか、お答え願いたいと思います。

石田副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 有床診療所は、外来を行いながら入院医療も提供できる、地域住民の医療ニーズに柔軟に対応できる小回りのきく医療施設であり、いわゆるかかりつけ医として地域で重要な役割を担ってきたものと認識をしております。

 このたび、いろいろと改革もございまして、今後、有床診療所は、地域における回復期リハビリテーションの提供、また、在宅医療を支援する役割の一つとして、在宅における療養を補完する入院医療の提供等に大変大事な役割を果たしていただける、このように考えております。

冨岡委員 大学では模範解答になりますけれども、そのとおりだろうと思っております。八十点とか九十点がつくかな。確かにそのとおりでございます。

 ただ、有床診療所が今、政府の方針なのかどうかわかりません、現実的には一千床ずつ減っているわけなんですね。これを容認しているというふうにどうしてもとらざるを得ないような現況なんですけれども、果たして、減少しているベッド数が、適正かどうかは別として、原因は何というふうにお考えなんでしょうか。

松谷政府参考人 有床診療所の数についてでございますが、ついせんだって発表になりましたけれども、平成十七年医療施設調査によりますと、平成十七年十月一日現在で一万三千四百七十七カ所でございまして、平成十六年と比較いたしますと、一千二百八十八カ所、先生おっしゃるとおり減少しております。

 その原因についてでございますが、例えば、全国有床診療所連絡協議会の報告書によりますると、一つには患者さんの大病院志向、二つ目には病院と診療所の入院基本料の格差の拡大、三つ目には看護職を初めとする人手不足、四つ目に病院と診療所との医療機能の格差の拡大といったようなことの理由が挙げられております。

冨岡委員 ますます加速して減少しているという認識でございますけれども、副大臣もお答えになったんですけれども、これは、最後までいくと、ふえる政策がない限り、多分、限りなくゼロに近づいていくんですけれども、それを容認するというお考えなんですか。そこら辺をちょっと整理していただきたいと思います。そして、もしそうでないなら、どういう対策が今までとられていて、それが多分効果がないわけなので、その整理をちょっとしていただけませんか。

松谷政府参考人 有床診療所につきましては、先ほど副大臣から答弁申し上げましたように、地域において小回りのきく医療施設ということで機能してまいったわけでございます。

 その機能は、戦後すぐからしばらくの間は、いわゆるかかりつけの、すぐの、小外科等も行うお医者さん、そういう機能は今でも残っているわけでございますけれども、今後は、回復期のリハビリテーションであるとか在宅医療であるとか、療養を補完する入院医療といったようなことが中心になっていくというふうに考えておりまして、そのため、今回の医療法改正におきましても、入院期間の四十八時間規制といったものを撤廃いたしまして、その設置について、今申し上げたような機能の提供に資するものとして入院の規制というものをなくして、より有床診療所としての機能が発揮しやすくするようにしたところでございます。

 今後、このような手だてをしていくことによりまして、有床診療所はそれなりの機能を病院と連携しながら果たしていけるようになるものと考えております。

冨岡委員 病診連携ということで、流れとしては診療所の役回りというのをクリニック化していくというのはわからぬでもないんですけれども、ちょっと資料を見てください。

 二の一、二、三とあるんですけれども、非常に地域での評価は高いんですね。今申されましたように、地域住民の評価は非常に高うございます。これは、資料二の三ページにも書いているように、非常に患者全体が、八十数%、こういう施設が身近にあって安心して行けるんだと。

 小児科もそうですし、今問題になっている産婦人科なんというのは、有床診療所、ベッドを持っているのが産婦人科のお医者さんの八十数%に上っています。ベッドがなくてはならないのが産婦人科とか、外科、半分ぐらいですね、それから内科もそうでしょう。そういった非常に身近にある部分がどんどんなくなって、今現況としては、町に安心して出産できる場所がなくなった、簡単な手術でも大病院に行かなくちゃいけない、そういう弊害が顕在化している、そういうふうに私自身は認識しているところでございます。

 その点について、私のこの考え方はどうなんでしょう、いや違うんじゃないというような考え方があれば、ちょっとコメントをいただきたいと思います。

松谷政府参考人 有床診療所の地域における役割というものは、先生今おっしゃられたとおり、いろいろな場面がございます。産科の診療所もその一つでございますし、小外科を行う診療所というようなものもその一つでございます。

 先ほど申し上げましたように、今後、在宅における療養を補完する入院医療の提供あるいはリハビリテーションの提供といったような、これからの高齢社会を支えるものとしても大変意義のあるものというふうに考えておりまして、有床診療所の機能というのは地域においてそれなりに発揮していただくべきものというふうに私どもは思っております。

冨岡委員 減っている原因が、医療提供側の高齢化とか、あるいは看護師さん、パラメディカルというのでしょうか、いろいろな医療従事者の人員の確保が難しくなったとか、いろいろ分析していけばあるかと思いますけれども、どうもそういうスタッフが確保できないというのが、資料の二の二ページをちょっと見ていただければと思うんですが、一般病床の入院基本料が余りにも差があり過ぎているんですね。

 例えば、最後の方を見てください。看護職一人以上五人未満の三十日以降が二百八十点。これは一点が十円になりますから、二千八百円で、本当、電気代も出ないぐらいの値段ですよ、冷暖房とかを加味すると。これは病院だと一万数千円、千二、三百点になりますね。その差はおよそ五倍ぐらいになってしまいます。

 では、同じ患者さんがそこにおるのに何でこれほどの格差をつけるのか。これは明らかに、有床診療所から患者さんを追い出すか、入れさせない政策としか考えられないような基準点数だと思いますけれども、この点に関しましては、一体何でこういうことになったのか、今その原因がここら辺に収れんされるのではないかと私自身も思うわけなんですが、その点についてコメントをいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 まず、有床診療所の診療報酬の組み立て方についてでございますけれども、有床診療所につきましては外来機能に重点を置いた評価を行っておりまして、再診料、医学管理料におきまして、病院よりも高い点数が設定されているわけでございます。

 一方、入院料につきましては、有床診療所が医療法上、施設設備の基準あるいは医師等の配置基準が病院に比べて緩和されているということ、それから、通常、入院業務の従事者数と外来業務の従事者数とが明確に区分されていないという状況がございますので、有床診療所におきましては、病院と異なって、業務内容にかかわらず看護職員総数に応じた評価とするなど、それぞれの特性に応じた基準を設定して評価をしているところでございます。

 平成十八年度の診療報酬改定について申し上げますと、マイナス改定という大変厳しい状況下におきまして、医療経済実態調査の結果も踏まえながら、有床診療所につきましては、在宅医療の重点化を図るという観点から、副大臣からもお話がございましたけれども、在宅医療を補完する入院医療の提供等に着目いたしまして、医師数に応じた加算額の引き上げ、あるいは短期入院に係る入院料の引き上げ等を行ったところでございます。

 こういった急性期入院医療の評価につきましては、先ほど御紹介ありましたけれども、まさに短期の入院に係る評価を引き上げる一方で中長期の入院に係る評価を引き下げておりまして、全体としてほぼプラス・マイナス・ゼロ、こういうことでございます。そういう意味で、まさに地域の在宅医療を補完するというところは評価するという姿勢で今回の改定に臨んだわけでございます。

 今後とも適切な評価に努めていきたい、このように考えております。

冨岡委員 いろいろな基準があるのは、あっていいんですよ。ただ、現実的に原因と結果があるわけなんで、お答えになった、今まで累々と必要性を述べられた、ただし現実的に毎年二千床ほど減少している。そして、国民は今不満を持って、何とかおらが村、おらが町に産婦人科とか簡単に入院されるものが必要だ、こういうふうに言っておられるわけですね。

 それであれば、どういう対策をこの有床診療所に対して今後やられるのか。保険点数もその一つでしょうけれども、それを含めた検討が必要ではないかと私は思うんですけれども、石田副大臣、コメントがもしございましたら。

石田副大臣 冒頭の私に対する御質問の中で、これからの有床診療所はこういう方向でということもお話をさせていただいたと思いますが、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、一般病院と診療所が全く同じ土俵というよりは、それぞれの役割分担というんでしょうか、診療所はかかりつけ医、また在宅の医療にぜひ力を入れていただきたい、こういうこともございますので、そういう方向で考えていただければよろしいんじゃないか、こういうふうに考えます。

冨岡委員 制度というのは、なかなかつくるのは難しいんですけれども、壊すのは簡単に壊れていきます。ただし、つくり始めると本当にまたお金がかかるし、非常に労力が要ります。既存の有床診療所をもっと観点、切り口を変えてうまく利用するのが、今後、厚生労働行政では、不必要なものにお金を使わない、本当に有効的な部分、例えばグループホームでもいいんですよ、転換していっていいんですから。ただ、マンパワーの点とかというのはまだいろいろ課題は残っておりますけれども、ぜひ、こういう観点から、もう一度、有床診療所の有効活用という視点で物を考えていっていただければと思っております。

 次に、第三番目としましては、看護師の卒業後研修制度という観点から質問させていただきたいと思います。

 まず、離職者の数がございますので、ちょっと見てください。資料三の四になりますね。いろいろな職域で職を離れる理由としては、結婚するとか、夫が職場をかわったとか、あるいは進学をするとか、いろいろあるんですけれども、新卒者の離職率が一〇%になんなんとする、こういう現実的な数を見せつけられたときに、一体これは何なんだろうかと思うわけでございます。

 つまり、医療というのは、もちろんドクターも要りますけれども、我々が最初に接するのは、受付あるいは体温をはかったりする看護師さんですね。入院してもそうです。私も二度ほど入院しましたけれども、毎日、楽しみは食事ですよ。それと、きょうはどの看護師さんが来てくれるかなと思って、若い人だったらいいなとか、そういう楽しみみたいなものが当然あるわけなので、婦長さんが来たら、ああ、婦長さんというような感じで、ちょっと、そうなっていたのを思い出します。

 そういった一番医療の現場におられる方が看護師さん。特に新卒の方なんというのは、もう本当に初々しくて、やはり、何とか育ててあげたいな、あるいは育ってほしいなという気持ちで患者さんも見ている。ところが、その新卒のかわいい看護師さんが突然来なくなった。あれ、あの人はどうなったのと婦長さんに聞くと、いや、やめたんですよと。何なんだろうと思うのが、やはり十人に一人ぐらい起こっているという現実でございます。やはり、質と量とをキープしていかないと、この看護行政も回らないというか進まないわけなんです。

 そこで、まず、この新卒者の離職率が何でこのように高いのか、その原因についてどのように分析されているのかをお尋ねしたいと思います。

松谷政府参考人 今、先生お示しされた調査でございますけれども、日本看護協会の調査によりますると、約五万人いる新人看護職員のうち、一年以内に勤務先を退職した方が平成十六年で約九%あるということでございます。

 また、同じ年、平成十六年に実施した別の調査によりますると、新人看護職員の職場定着を困難にしている要因につきましては、基礎教育終了時点での能力と看護現場で求められる能力との間のギャップという答えが最も多かったというところでございます。

 なお、看護職員の離職につきましては、全体では一一、二%という率となってございますけれども、これは、全産業の平均離職率一六%、あるいは女性の離職率でいいますと二〇%ぐらいでございますが、それに比べますと看護職員の離職率は低い部類になっております。

冨岡委員 いろいろな統計のとり方によっては当たり前じゃないかという考え方もないとは言えませんけれども、それにしても一〇%というのは、やはり我々、一生懸命育てる側におった立場からいえば、この数値をもっと低くする責務があるんじゃないかなというふうに私自身思っているところであります。

 ちょっと見ていただきたいのは、何で離職するのか、その一つの原因が資料三の二にあるのではないかと思います。

 看護職というのは、先ほども申しましたように、一番患者さんに接する職種でございます。また、それを伝えるというんでしょうか、医師と患者さんの間でうまくソフトランディング、いろいろな会話をソフトランディングさせるような役目を担っています。

 しかしながら、今、現場は本当にいろいろな医療器具がはんらんしています。例えば、心電計、あるいはドリップインフュージョンといって点滴を自動的に調整するような器械、あるいは呼吸器、ありとあらゆるものが、現場の看護師さんに責任が負わされているというか、そういう状態にあるのではないかと思います。

 三の二にありますように、どういう職種が、ヒヤリ・ハットというんですかね、あっと、大事に至らなくてもこういう頻度で報告されているわけで、これは年齢別あるいは配属年数別に見ると、三の三にありますように、主にやはり一、二年目まででそのほとんどが終わってしまいます。終わってしまうというか、大部分がそういう範疇に入ってしまうということでございます。

 そこで、このようなヒヤリ・ハット、恐らく看護技術力不足に起因するものというふうに思っていますけれども、これの全体の対策等を、今どのような対策が行われて、先ほどちょっとお答えになったかもしれませんけれども、全体のヒヤリ・ハット、あるいは一、二年目に多いというのをどのように分析されているのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。

松谷政府参考人 日本看護協会が平成十六年に行った調査によりますと、新人看護職員の職場定着を困難にしている要因の中には、先ほど申し上げました基礎教育終了時点の能力と看護現場で求める能力のギャップのほか、看護職員に従来よりより高い能力が求められるようになってきていること、あるいは自分が医療事故を起こすのではないかという不安で萎縮してしまうといったようなことなどが挙げられております。

 特に新卒の看護職員が仕事をやめたいと思った理由として、医療事故の不安に加えまして、今先生御指摘のヒヤリ・ハット、いわゆるインシデントレポートを書いた、そういったような経験等がその理由として多くなっているというふうに承知しております。

 私どもといたしましては、この結果を重要視しているところでございまして、現在行っております新人看護職員の医療機関での研修を担う指導者等に対する研修の中でも、医療安全の確保の重要性について重点を置いて行っているところでございまして、この点につきましては、さらに力を入れてやっていきたいと思っております。

冨岡委員 やはりここら辺が重要になってきますね。そこのヒヤリ・ハットは就業年数一、二年の方でほぼ終わるということなんですけれども、では、もっとトレーニングしたり、職場というんですか現場というんですか、例えば外科系、内科系でいろいろテクニカルに学ばなくてはいけない部分があるので、つまり、卒業後の研修制度がどうしても必要じゃないかというふうな考え方がやはり出てくるわけなんです。

 これは、医師、それから歯科医師、次には薬剤師というふうに進んでいっているようなんですけれども、それにしても取り組みが非常に遅いというふうに考えております。来年度は新人看護師の研修の制度化に関する検討を行うというふうに聞いていますけれども、果たしてこれは施行されるのかどうか、またその概略、概要についてちょっと教えていただければと思います。

松谷政府参考人 医療の高度化、あるいは患者さんニーズの増大、多様化といったようなことを踏まえますと、新人看護職員の臨床能力は現場の期待するレベルになかなかマッチをしないということで、必要な能力を身につけていただくということは大変大事なことでございますので、新人看護職員の資質の向上を図っていくことは重要な課題でございます。

 厚生労働省におきましては、先ほど申し上げましたように、新人看護職員の医療機関での研修を担う指導者等に対する研修を行っております。その中で、看護職員として必要な姿勢及び態度、修得すべき知識や技術の目標を示しているところでございますが、一方で、そうした研修について、今後医療機関の自主的な取り組みを超えて、さらに何がしかの研修についての制度化をすることが必要であるという指摘が、昨年開催されました医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会の報告においてもされたところでございます。このため、今後、研修内容や研修方法、研修期間等、制度のあり方、実施についての課題等について具体的な検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

 なお、本年度は、新人看護職員の資質に関する同様の問題意識のもとに、まず看護の基礎教育の充実についての検討を進めているところでございまして、今その最終作業に入っているところでございます。

冨岡委員 検討を行うということは大変ありがたいことなんですけれども、昨年度から実施している新人の助産師に対する医療安全モデル事業について、これが十七年度に十八カ所、あるいは十八年度に二十六カ所行われているわけなんですけれども、やはり検討委員会だけで検討するんじゃもう遅いというふうな印象を持っています。

 こういった新人助産師の医療安全モデル事業を活用するというか、これを進化させて、こういった検討委員会で討議されているような役割を負わせるようなことをお考えでないのか、ちょっとその見解についてお伺いしたいと思います。

仙谷委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡単に答えてください。

松谷政府参考人 先生お述べになられましたように、昨年度から助産師につきまして新人助産師に対する医療安全推進モデル研修事業を行っているところでございまして、これらの事業の成果を踏まえまして、研修方法等についての検討などを行うことといたしまして、助産師の資質の向上、医療安全の確保に努めていきたいと思っております。

 また、看護師の研修につきましても、その成果を援用するということは大変大事なことだと思っております。

冨岡委員 どうもありがとうございました。

仙谷委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 先月十日に平成十七年度決算検査報告が公表されまして、税金の無駄遣いまた不適切な会計処理など四百七十三件、総額四百五十二億円が明らかとなりました。これは本委員会終了後報告を受けることになっておりますが、この件につきまして質問を行ってまいります。よろしくお願いいたします。

 私は、この臨時国会で、きょう本委員会を開きまして前年度の決算報告を聴取できることは、大変大きな意義があるというふうに考えております。今回の議論を来年度予算の編成また審議に反映できるよう、今後も決算審査の充実を図ってまいりたいと考えております。

 さて、今回の報告書の内容は、不正な会計経理また不適切な予算執行など、国費の無駄遣いを検証したものがほとんどであります。四百七十三件、また四百五十二億円の指摘は、件数としては過去最高、二十年間の中で最多であります。歳出削減が叫ばれる中、税金の無駄遣いが一向になくならないのでは国民の納得は得られるものではないと思います。今回指摘を受けました関係省庁が確実に改善策を図られるよう、しっかりと対応していただくことが求められております。

 初めに、この平成十七年度決算検査報告につきまして財務大臣の御感想をお伺いいたしたいと思います。

尾身国務大臣 十七年度の決算検査報告における指摘事項は、ただいまお話しのとおり、四百七十三件、四百五十二億円となっておりまして、多くの無駄遣いが指摘されておりまして、まことに遺憾なことであると考えております。特に、厚生労働省のすべての都道府県労働局で不正経理が行われていることなどは、歳出全般にわたって無駄の排除を厳しく求められている今日、極めて残念な結果であると思います。

 これを踏まえまして、先日、十一月十四日の閣僚懇談会におきまして私から閣僚の皆様方に、予算の厳正かつ効率的な執行と適正な経理、今回の検査報告や国会での決議、決算審議の内容、予算執行調査の平成十九年度予算編成等への的確な反映などにつきまして改めてお願いをしたところでございます。

 財務省といたしましては、検査報告等の趣旨を十分に踏まえるとともに、納税者の立場に立って、限られた財政資金の有効活用の観点から、引き続き、歳出の無駄を徹底的に排除するなど、平成十九年度予算編成に向けて、予算の質の向上、効率化に積極的に取り組んでまいりたいと決意をしている次第でございます。

古屋(範)委員 尾身大臣の方から、閣僚懇談会で御指摘をいただいたということでございます。また、今御答弁の中でも触れられておりました、今回の報告の中で特に目を引きますのは、新聞報道もされておりましたけれども、厚生労働省の出先機関である全国四十七すべての労働局で不正あるいは不適切な会計処理が行われていたとの会計検査院の指摘でございます。全国すべての労働局に腐敗が広がっていた。憤りを覚えるのは私一人だけではないというふうに思います。

 一昨年でありましたか、広島と兵庫の労働局で不正経理が発覚をいたしまして、職員が逮捕される事態になったということでありまして、検査院が二年越しで全国の労働局を検査したということでございます。そして、その結果、昨年度までに指摘された額を含め、平成十一年度から十六年度までの不正、不適切経理は、何と総額七十八億円に上ると認定をされたところでございます。

 こうした労働局の不正に関しまして、一昨年から指摘をされており、これまでも不正経理等の事実が明らかにされた段階で厚労省は改善の取り組みを行ってきたものというふうに考えますが、今回、四十七局すべてで不正経理が確認をされ、手法などもある程度共通されるというようなことも考え合わせますと、これは組織的あるいは体質的な問題ではなかったのかと言わざるを得ないわけであります。

 このように労働局でこれだけ大きな不正が長く見逃されてきた背景といたしまして、中央省庁からの出先機関であるために検査院の検査また内部監査が及びにくいとの指摘もございますが、厚労省としてどのようにお考えでありましょうか。

    〔委員長退席、古川(元)委員長代理着席〕

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、今御指摘のございました広島労働局の不正経理事案を踏まえまして、平成十六年四月以降、全国の労働局に対しまして独自の調査を行うとともに、会計経理の適正な執行等について指示を行っておりましたけれども、その後、国会での御議論を踏まえて、平成十六年十二月より、会計検査院における検査が開始されることになったわけでございます。

 この検査に対しましては、厚生労働省の調査結果を提出するなどして協力し、事態の把握に努めてきたところでございますが、遺憾ながら、主に適正な執行の指示以前の平成十一年度、十二年度を中心とした事案が指摘されたところでございます。

 これまでの労働局の組織に係る問題点といたしまして、会計法令の遵守に係る意識が職員の間で徹底されておらず、労働局において会計組織としての内部牽制が働いていなかったとの指摘を受けたところでございまして、これらの点につきましては、内部牽制体制の確立、契約事務の適正化や綱紀の厳正な保持等、不正経理の再発防止に取り組んできたところでございます。

 今後、さらに内部監査の強化を図るなど、再発防止策を徹底することによりまして、不正経理等が現に行われていないことを本省でも点検、確保してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 独自の調査もしていらしたということでありますが、なかなかすべてを明らかにすることができなかった、そして、今お話しのように、やはり職員のそうした意識の徹底の不足が原因ということでございますが、厚生労働省におかれましては、今回の検査院の指摘を受けて、労働局職員の大量処分を発表いたしました。その処分だけで確かに問題が解決するものではないと思います。不正に使われた税金、これはすべて国に返還するのが当然であります。

 今回、免職一人を含む百二十人を懲戒処分、また千三百十二人が訓告や厳重注意などの矯正措置とする、合計千四百三十二人の処分をされたということでありますが、こうした人も含めて、昨年までの公表分を合わせますと、処分者は四十七労働局で二千五百人を超えるという大量のものであります。こうしたずさんな経理が全国に広がっていることが浮き彫りとなったわけであります。特に、空雇用また空出張などで捻出された裏金は職員同士の飲み代に消えていった、また空残業の手当は個人支給、伝票を偽造し着服するなど、言語道断と言わざるを得ないわけであります。

 今回の大量処分の内容、主要なものと、不正に使われた額の返還について、御説明いただきたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の会計検査院の不正経理等の指摘を受けまして、まず処分でございますけれども、人事院の定める懲戒処分の指針を参考にしつつ、国家公務員倫理審査会への協議事案につきましてはこれを協議の上で、一名を懲戒免職、四十三名を減給、七十六名を戒告するなど、非違行為を行った者及び管理監督責任を有する者につきまして、御指摘ございましたように、合計千四百三十二人を厳正に処分したところでございます。

 次に、返還でございますけれども、今般会計検査院から指摘された不正経理のうち昨年までに判明したものにつきましては、既に返還の措置を講じたところでございます。また、今回新たに判明した不正金につきましても、国庫に損害を与えた二億九千三百二十万円を関係職員等から速やかに返還させることとしております。

 現在、相当数の労働局におきましては返還が終了したところでございますけれども、残りの労働局につきましても、年内に返還が終了するように早急に対応を行ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 新たに三億近い返還ということでありまして、非常に高額なものであると思いますが、こうした労働局の不正経理問題、この労働局の仕事と申しますのは、非常に重要な役割を担っていらっしゃるというふうに認識をいたしております。労働問題に関する監督指導、また職業紹介、高齢者の雇用確保など、そうした業務に携わっていらして、地域の労働者、失業者、高齢者にとっても身近な相談窓口であるわけであります。

 私も、先日、ハローワークプラザ渋谷に参りまして、ここでは全国十二カ所にことし四月に開設いたしましたマザーズハローワーク東京がありまして、女性の雇用、再就職、いわゆる再チャレンジに非常に積極的に取り組んでいらっしゃる。中には保育施設もあり、保育情報なども非常にきめ細やかに提供してくださって、女性の雇用に大きく貢献をしていらっしゃる。言葉は悪いかもしれませんが、お役所仕事ではなく、非常によくやってくださっているという印象を持ったわけであります。

 しかしながら、今回の不正問題で、労働行政に対する国民の信頼は失われたと言ってもいいと思います。御説明いただいた処分に関しましても、もし民間の会社であれば解雇というようなこともあり得る問題でありまして、処分が甘過ぎるという声もございます。

 これほどの不正で刑事責任を追及すべきケースが、先ほどおっしゃっていました秋田労働局職員のほかにないのか、きっちりと調査をしていただきたいと思っております。国民の信頼回復のため、二度とこうした不正を繰り返さないために、ぜひ組織を挙げての抜本的な再発防止の策をとっていただきたいと思います。

 実効性ある再発防止策につきまして、具体的な取り組みを大臣政務官にお伺いいたします。

松野大臣政務官 今般、会計検査院の検査結果におきまして不正経理等の指摘を受けたことは、極めて遺憾であります。国民の信頼を損ねたことに対しまして、深くおわびを申し上げる次第であります。

 検査結果は、国会での御議論を踏まえ会計検査院において厳正に行われ、当省といたしましてもこれに全面的に協力をしてきた結果取りまとめられたものであり、当省として重く受けとめております。

 この検査の過程で、私的着服を行う等、犯罪事実がないか、多くの関係者から聞き取りを行うなど綿密な調査を行った上で、私的着服の事実が明らかになった個人については、告発を行う等、厳正な対応をとったところであります。

 不正の事実が判明をした平成十六年以降、会計法令を遵守した会計事務の適正な執行について指示を行うとともに、昨年七月には、不正経理を実行し、または指示した者について懲戒免職を原則として対応することなど、再発防止策を講じてきたところであります。

 さらに今後は、新たに外部の専門家の参画による法令遵守体制の整備を図るとともに、内部監査については一層の強化を図ることによって、再発防止を強化、徹底することとしております。これによって、不正経理等が現に行われていないことをしっかり点検、確保してまいりたいと考えております。

    〔古川(元)委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 ただいま政務官からも外部監査の導入、また内部監査機能の強化というようなお話もございましたが、この再発防止策の一つといたしまして、やはり人事交流というものが挙げられると思います。これまで労働局の人事はどのような形でそれぞれ採用、異動などが行われてきたのでしょうか。また、国や県の目が届いていない状況下で何度人事交流を行っても、その効果が本当に上がるのかということも疑問になるわけであります。

 そこで、この際、半数以上の人を思い切って入れかえるなどの人事交流がなければ、やはり、内々といいますか、なれ合いになった体質の改善は図れないと思います。人事が硬直化しているところにこうした問題が起こるというふうに考えますが、この件に関しまして御感想をお伺いいたします。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の不正経理等につきましては、御指摘ございましたように、職員の大半が県内異動であった中で、従来、会計組織としての牽制機能が十分に機能していないなど、会計法令の遵守に対する意識が徹底されていなかったことが要因の一つとなっていたものと考えております。

 昨年度までに判明した兵庫労働局の事案等を受けて、本年度からは、公共職業安定所長につきましては労働局を超える人事異動を実施したところでございまして、さらに、来年度は、職員につきましても労働局を超えた人事異動を全国的に実施することとしております。

 こういった取り組みを通じまして、人事面からも不正経理の防止を図るとともに、組織機能の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 ただいまお答えにありましたように、そうした人事交流によりましてまさに新組織として生まれ変わることができれば、国民の信頼回復というものもできるかと思います。ぜひ抜本的な出直しを図れるよう、強く要望するところでございます。

 また、再発防止策の一つといたしまして、内部監査の強化、徹底ということが挙げられておりましたけれども、会計検査院に指摘をされる前に、各省庁がそれぞれ自分自身、適切な処理が行えるよう、内部監査の体制整備が必要であろうと考えます。

 会計検査院におかれましては、今回、内部のチェックに任せてはおけない、そういう強い姿勢で臨まれたというふうに感じますが、各省庁の内部監査のあり方、実態についてどのような御認識をお持ちか。また、今回、全国の出先機関を対象とした検査院の大がかりな検査は初めてでありますが、そこで、この労働局不正問題を教訓に、それぞれ各省庁の出先機関に対する検査の強化を図るべきと考えますが、これについての御所見をお伺いいたしたいと思います。

大塚会計検査院長 会計経理についての不正、不当な事態を未然に防止し、早期に発見してその是正を図るためには、各府省等における内部監査、内部牽制等の組織の内部統制が、その実効性を高め、チェック機能を十分に果たすことが極めて重要と認識しております。

 各府省の内部監査に関しましては、平成十四年次に、国の機関における内部監査として行っている会計監査について横断的な検査を実施し、その結果を決算検査報告に掲記しております。そこでは、国の機関における会計監査が権限及び業務に一定の独立性が確保されている形態は少なく、多くの省庁で、監査対象である会計担当課内の組織が会計監査業務を担っており、また、監査計画の重点事項に関する調整や監査結果の活用などにおいて、中央と地方の監査機構間の連携が十分なものとはなっていないことなどを明らかにいたしました。

 このため、会計検査院では、一定の独立性を確保し、監査計画、監査マニュアル等の作成による監査内容の標準化、監査の効率化と監査結果の有効利用によって監査の実効性の向上を図り、もって会計監査が本来備えるべき機能を十分に発揮することができるよう、実施体制について一層の整備を図ることが望まれるとしたところであります。

 こうした検査に当たりましては、従来から、各省庁等の本省、本部等だけではなくて、実際の会計経理の現場であります、いわゆる出先機関の検査にも検査院としては力を入れてきました。先ほど来問題となっております労働局の事案につきましては、一部の労働局において不正経理が見受けられましたことなどから、検査の対象を拡大して、全国の労働局に対する検査を実施したものであります。

 今後とも、先生の御指摘も十分踏まえまして、出先機関に対する検査の重要性には十分留意してこれから検査活動に取り組んでまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ただいま、中央と地方との検査機能の連携強化というような重要な課題もございました。そうした御努力を重ねてきていただいているというふうには思いますが、今回の報告での労働局のこういった不正経理、これ以外にも、無駄遣い、また不適正な会計処理も数多く指摘をされておりまして、会計検査院の厳しい目、今後ますます重要になってくると思われます。

 昨年、公明党が推進をしていた会計検査院法の改正で検査対象の拡大などが決まりまして、制定以来ほとんど手つかずだった会計検査院の権限の強化が実現をいたしました。今後さらにこの機能を強化し、会計処理の適正化に全力を挙げていかなければならないわけであります。

 会計検査院は、憲法第九十条で規定をされた憲法機関であり、立法府たる国会、また行政を執行する内閣、そして司法機関である裁判所という、いわゆる三権と同格のチェック機関でもあります。憲法機関である以上、会計検査院が常に国民の側に立って、また国民の目線で税金の使い道に厳しい検査をし、そして次の予算に反映させることができる、そうした独立性を確保する権限を与える必要があると思っております。

 そこで、会計検査院の機能強化につきまして、検査院に、検査に関係する法令の制定また改廃に関する国会、内閣への意見申し出権を付与する、独自の職員採用制度を導入する、国会同意人事の対象人事である検査官任命の際の決算委員会の関与、職員へ税理士、公認会計士など専門職を任期つきで採用する、あるいは罰則規定の新設などが課題として挙げられておりまして、さらなる検討が急がれております。

 現在、財政再建に加えまして、人口減少、少子高齢化の中で、大切な税金を効率よく使うために会計検査院の役割はますます重要になっております。私は、税金の無駄遣い、その一掃に向けましてさらなる存在感の発揮が期待される会計検査院の抜本的な機能強化を図るべきと考えますが、これについての御感想をお伺いいたします。

大塚会計検査院長 会計検査院の機能強化につきましては、先生御指摘のように、昨年十月に会計検査院法を改正していただきました。そして、国や国が資本金の二分の一以上を出資している法人の契約の相手方について検査権限が拡大されたり、会計検査院が必要と認める事項等について随時国会及び内閣に報告できることとされたりするなど、会計検査院の機能強化を図っていただきました。

 会計検査院としましては、与えられた権限を背景に、国等の契約の相手方の事務所に実地に赴き検査して指摘をいたしましたり、現在まで、計五件の会計検査院法三十条の二に基づく報告を国会及び内閣に行ったりしております。

 また、公認会計士を特定任期つき職員として採用し、その専門的な知識経験を生かして独立行政法人、国立大学法人等の財務分析の検査などに従事させることで、検査の充実強化を図っているところであります。

 会計検査院といたしましては、まずは、与えられた権限を活用して厳正に検査を行ってまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 さらなる会計検査院の充実強化をよろしくお願い申し上げます。

 最後の質問になりますが、こうした中で、公務員、これは国家公務員、地方公務員を問わず、また全議員に対してもでありますが、国民の視線というものは非常に厳しいものがあると感じております。

 今までの質問とは違いますが、先日人事院より報告がありました、年金の官民格差の問題についてお伺いをしてまいります。

 十一月十六日、人事院より発表されました、いわゆる民間企業のサラリーマンと国家公務員が生涯に受ける上乗せ年金、これは退職金も含めてでありますが、その額を比較した実態調査の報告についてでございます。

 厚生、共済年金の一元化後は、公務員の方がサラリーマンよりも生涯に受け取る額が二百四十一万六千円、八・八二%少ないとしております。民間との格差を埋める新年金制度が必要と人事院は結論づけております。これに対しまして自民党の中川幹事長も、人事院は公務員天国のための組織なのかと言われてしまうというふうに語っていらっしゃいました。私も同感でございます。

 人事院によりますと、国家公務員は、退職手当と職域加算を合わせ、生涯に平均二千九百六十万円を受け取ることになっている。これに対しまして、民間、平均的水準は退職一時金と企業年金を合わせると二千九百八十万円、公務員より二十万円ほど多い。さらに、職域加算を廃止すると公務員は民間の水準より二百四十一万円低くなってしまう。少なくともこの格差を解消する措置が必要だとしております。

 この調査方法につきましては、問題が多いことが指摘をされております。

 読売新聞等の報道でも、まず、調査対象とする民間企業を従業員五十人以上に限っている、また、勤続年数二十年以上の公務員と会社員を比較したために、転職の比較的少ない大企業のサラリーマンの処遇を強く反映した結果になっているという可能性が高いわけであります。そもそも、中小零細企業には企業年金を持たないところも多いわけでして、今回の結果を民間の平均と果たして呼んでいいのかどうかは疑問であると思います。

 また、公務員は天下り先でも退職金を受ける例が多いことも考慮をされておりません。

 さらに、共済年金は職域加算を除いた部分も実際の受給額が厚生年金より多い、公務員は身分が安定して転職が比較的少ない、勤続年数が長い、しかし、この部分も比較の対象としていないとの指摘でございます。

 また、公務員の都合のよいデータにより、官優遇の象徴とされてきました職域加算を形を変えて温存しようとしているのではないかとの指摘もございます。

 このような人事院報告をもとに新年金制度を検討するのであれば、不公平感というものはますます大きくなっていく、国民の理解は得られないと思います。

 人事院は、四月の閣議決定により、基準にのっとって調査を行ったとおっしゃると思いますが、本当に今回の調査結果、その見解が妥当であるとお考えになっていらっしゃるのか、また、読売の指摘についても人事院はどうお考えか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

谷政府特別補佐人 今回の調査は、本年の四月二十八日の閣議におきまして、平成二十二年に国家公務員共済の職域部分を廃止し、新たな公務員制度としての仕組みを設けること、並びに、その仕組みについては、人事院における諸外国の公務員年金並びに民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果を踏まえて制度設計するということが決定されまして、内閣から人事院に対して調査の実施及び見解表明の御要請がございましたため、この御依頼に基づきまして、専門機関といたしまして責任を持って調査を実施いたし、その結果及び見解をお答えしたものでございます。

 したがいまして、これからこの制度設計につきましては、政府及び与党においていろいろ御検討の上、案をおつくりになるものと考えております。

 それで、マスコミからいろいろ御意見があるということは十分承知をいたしておりますが、率直に申し上げますと、中には、調査の趣旨や内容が十分伝わっていないのではないか、これは私どもの責任もございますけれども、と思われますもの、あるいは、今後の制度設計の内容にかかわっていくような性格のものもあるわけでございます。

 しかし、人事院が行いました調査の内容、見解に関するものにつきましては、御意見の趣旨をしっかりと受けとめまして、必要な説明を行うなどしてまいりたい。

 この調査につきましては、私どもとして、調査の設計及び集計の仕方等につきましては、専門家の方の御意見も十分お聞きしまして、自信を持って行った調査でございます。ただ、調査の性格は先ほど申し上げましたような趣旨のものでございます。

古屋(範)委員 今、閣議決定に基づき専門家による調査をしたというお答えでございますが、そうしたものが国民の不信を招いてしまうのではないか、本当に官民格差があるのかないのか、官が優遇されているのではないか、こうした感を抱いてしまうわけであります。

 しかし、今回の調査は、そうした意味では逆官民格差という結果でございました。実態を正確に反映しているかどうか、こうした人事院報告をもとに年金の検討が進むということであれば、国民の年金制度への信頼はさらに遠のいてしまう、不公平感がますます大きくなってしまうのではないかという感が否めません。

 ぜひ、こうしたものも再調査をした上でさらなる検討が必要ということを最後に申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

仙谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

仙谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木宗男君。

鈴木(宗)委員 財務大臣、また外務大臣、お忙しいところを御出席ありがとうございます。

 今、尾身大臣の顔を見ながら昔を思い出しますね。昭和五十五年、まだ尾身大臣が、当時の通産省から科学技術庁に出向されておって、総務課長をやっていましたね。あのころの大蔵省の主計官が米沢主計官、例の電電公社、米沢総裁の息子さんでしたね、文部科学技術担当主計官でした。当時の尾身総務課長は、熱心に、科学技術立国元年ということをうたって、大幅な予算増を大蔵省にかけ合っていました。米沢さんがいつも、いや、鈴木さん、あなたのところの総務課長にはいつも攻められていますよと言ってえらい困っておった。しかし、米沢さんは非常に人間味があるものですから、尾身総務課長の意向をきちっと踏まえて、あのとき大幅に、倍額の科学技術予算をとったことがありましたね。今、私は感慨深く思い出しております。

 尾身大臣というのは、当時から果敢に、やはり信念を持って行動しておったな、その結果、今財務大臣だな、こんなふうに思うとき、この日本財政の立て直しだとか、あるいは今国民が求めている無駄をなくすという意味について、果敢に切り込んでいっていただきたい、私はこう思いますので、まず大臣の決意のほどを伺いたい、こう思っています。

尾身国務大臣 当時の科学技術庁の官房総務課長として中川一郎大臣にお仕えをいたしましたときの政務の秘書官が鈴木議員でございまして、大変お世話になりました。ありがとうございました。

 財政は非常に厳しい折でございまして、国、地方合わせた債務残高がGDPの一五〇%ということでありまして、財政を再建するということが我が国の最大の課題であると考えております。成長なくして財政再建なしという考え方のもとで全力を尽くして財政再建を実現したいと考えておりますので、また御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

鈴木(宗)委員 大臣、政治家というのはめぐり合わせがありますから、やはりその任についたということは重いことですから、しっかり果敢にやっていただきたい。本当に当時、尾身さんは総務課長のときから政治家になりたいという希望を持っておったわけですからね。あのころは、たしか当時、日産の石原俊さんでしたね、経済同友会代表幹事が一生懸命また尾身さんをよろしくなんということを言ったことも今思い出してきました。

 とにかく、多くの人がやはり期待もしているし、その期待に沿って、もう尾身大臣も二十三年間、連続国会議員を務めて各種の要職をこなしてきているわけでありますから、私は、今回の組閣の中でもまさにうってつけの起用だ、こう思っていますので、さらに頑張っていただきたいな、こんなふうに思っています。

 そこで、財務大臣、今やはり国民は、無駄あるいは公務員や政治家の特権というものに対して大きな関心だとかあるいは怒りみたいなものを一番感じていますね。

 きのう、これは議運の方ですけれども、赤坂の新宿舎、八十平米で家賃月九万二千円の提示をした。いわゆる相場からいうと五十万、安くても四十五万が相場だというんですよ。私はやはり、この数字を見たとき、国会議員が特権意識を持っている、国民はそうとると思うんですよ。

 これは財務省が決める話ではないです、まず議運で決める話なんですけれども、予算はまた国民の税金を使うわけですよね。この建物等を含めて、PFIも使っていますけれども、これは税金の一部。いずれ維持費等も、衆議院の職員等もつくわけですから、これは税金とは無縁でない。そういうことを考えた場合、この議運での議論なんというのが、これから財政再建だ、国民にやはりそれなりの負担なんかもまたさらに求めることもあるし、消費税の議論も出てくることを考えたとき、まずはやはり国会議員がそういう特権意識を持ってはいかぬというベースに立つのが基本だと私は思っているのです。

 そういった意味で、この新赤坂宿舎が、相場では四十五万から五十万だ、そこに九万二千円という数字を議運で議論されていることについて、財務大臣はどう思いますか。

尾身国務大臣 このあたりの問題については、私は、正直なところを申し上げまして、建設費とかあるいは価格とかいうことについてお話を伺ったことはございません、新聞記事では見ておりますが。そういうわけで、その水準が妥当かどうかということについては、議院運営委員会で国会のあり方として正式に決めていただくわけでございますから、その決定を待ちたいと考えております。

鈴木(宗)委員 決めるのは議運で決めるから、今の大臣の答弁でいいんですけれども、私が聞いているのは、間違いなく、相場観として四十五万から五十万だ、その中で提示が九万二千円ということは、相当な開きがありますよね、一般常識から見て。それについて大臣は、決めるのは議運で決めるから、それは私もよく知っているんです。大臣として率直な感想、これは妥当なものかな、あるいは、一般的な国民感覚からすればやはり相当ずれているかなという、その大臣の率直なお気持ちを聞かせていただきたいんです。

尾身国務大臣 実を言うと、私は、質問の予告もございませんでしたし、この問題について調べたこともございません。したがいまして、これについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 これは、私もきょうの新聞を見てわかったものですから言っているので、これは質問予告だとか通知で答える話じゃないと思って、その点は、難しい話ではないものですから、大臣の率直な思いだけを聞かせていただければいい、こういうことなんですけれども。

 ぜひとも大臣、財政の切り込みをするときに、この無駄をなくす、その中で、まず公務員だとか国会議員というものをやはり国民はよく見ています。今、政務調査費問題で東京の目黒区のことを連日テレビで放送して、議長はやめるわ、また次の議長もどうだとかといって、区議会議員さんも六人もやめたなんという例も出てきています。そのぐらいやはり国民の目というのは私は厳しいと思うんです。

 そういった意味で、私は、まずはこの国会議員の中の特権をなくしていくという意味において、例えば、財務大臣、我々国会議員は通信交通費を月百万円もらっております。これは、東京の人も沖縄も北海道も一律百万円ですよ、九州も。これなんかもあしき慣例で、今、北海道や沖縄の人は月四往復のパス代をもらっています。あと、バスだとか民間の私鉄なんかは全部、今、日本全国ただで国会議員はパスをもらっていますね。あるいは、選択制で、JRのグリーンはただで乗れるパスも来ている。そのとき、通信交通費で百万円使うといったら大変ですよ、現実問題。

 電話代も安くなったものですから、これも議運で整理したらわかると思いますよ、今恐らく平均五万円使っていないはずです。あと、切手で手紙を出すというのも、政治家が出せるのは自筆だけですから、印刷物は該当はしませんからね、法律が変わってから。そうなった場合、本当にこの百万円の通信交通費なんかが妥当かどうかということも、逆に財務省から問題提起した方がいいと私は思いますよ。その方が国民の理解も得られると思いますよ。

 どうしてもやはり甘えといいますか、なかなか触れたがらぬ。ここはやはり果敢に、我々も血を流します、身を削りますという姿勢を見せる。私は、改革というのは、下からの盛り上がりでできるのが改革だと思っております。上からの押しつけの改革はうまくいかないと思っていますよ。

 そういった意味で、この赤坂の家賃問題にしろ、たまたまきょう新聞に出ておったものですから、私はこれはいかがなものかなと。せめて三分の一だとかそのぐらいならば国民も理解しても、六分の一だ、五分の一だとなると、ちょっと理解が得られるのかなという感じを持ったものですから、私は大臣に言っているんです。ぜひとも大臣、この衆議院の予算についても、査定するのは財務省の主計局なんですから、そこの責任者として、私はやはり問題提起をぜひとも財務省からやってもらいたい、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 これは、先ほど申しましたように、議院運営委員会でいろいろなことを考え、また、私どもの事務方とも相談をした上で決定しているものであるというふうに考えておりますし、今、私自身のことも含めて、実はどういう給料になっているか、いわゆる歳費になっているかということも、二千万円台であるということは承知をしておりますが、今お聞きしたようなことについては、甚だ申しわけございませんが、私自身、余り詳しく知っておりません。したがいまして、それについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 財務大臣、財務大臣の人柄も知っていますし、慎重な答弁はわかるんですけれども、やはりこれは、月百万円、給料以外の百万円ですからね、通信交通費。しかもこれは、領収書も何も要らぬお金ですよ、言ってみれば。渡し切りのお金ですから。これを、例えば今大臣、中身を知らないといったら、逆にこれがまた私は誤解を生んでは困ると思います。当然、大臣も通信交通費の百万円は知っていると思うんです、それは事務所できちっと適正に使われているはずですから。ですから、そういったものに対して、今現実に合っているかどうか、あるいは国民の目から見て、やはり是正する、正すものは正していくという方がいいんじゃないかという思いで私はお話をしているんですよ。

 ですから、それは議運で決める、決めるのは議運です。要求するのも、議運で最終的に衆議院の予算を要求していますけれども、しかし、査定をするのは財務省なんですから、財務省主計局なわけですからね。この点、私は、国民の理解、応援を得るためにも、逆に財務省からそういう問題提起をした方がいいんじゃないか、あるいは検討した方がいいんじゃないでしょうかという提案というか、相談の話なんですよ。それについて大臣はどうお考えですかということなんです。

尾身国務大臣 重ねて申し上げますが、この問題は、議院運営委員会でいろいろと御検討いただいておりますし、私どもの方も私どもなりに検討していると思いますが、質問の予告もございませんでしたので、これについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 大臣、ぜひとも一回、これは事務方とも協議していただいて、この通信交通費のあり方等、あるいは国会議員の特権も含めて、どっちみち公務員に対しても、今やはり宿舎等でも国民からはいろいろ指摘があるわけでありますから。同時に、赤字で大変だということで、政府・与党は、国有財産も売るということで決めているわけですから、財産の償却も決めているわけでありますから、その検討にも入っているわけでありますから、ぜひとも大臣、これは一度、事務的にも検討すべく勉強していただきたいな、このように私はお願いをしておきます。

 続いて、これも私は、先般たまたま、友人である松山千春さんから指摘を受けたんですけれども、松山さんが十一月の十八日に府中刑務所に慰問に行ってこられました。松山さんは、去年も八王子の医療刑務所なんかも慰問しているんですけれども、松山さんいわく、収容者が大変オーバーで、刑務官の作業がきついということを現場の人が言っておったと。それで、宗男さん、一体どうなっているんだという指摘があったんですね。

 きょう、矯正局長さん来られていると思うんですけれども、法務省、来ていますね。そこで、今、刑務所、拘置所の収容の実態はどうなのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

水野副大臣 刑事施設、刑務所とか拘置所でございますけれども、この収容人員は、平成十年以降、先生御指摘のとおり急激に増加をしており、特に受刑者等の既決の被収容者にあっては、平成十八年十月末現在に約七万一千四百人が収容されておりまして、収容率、定員に対しては約一一七%と、御指摘のとおり収容状況は一段と厳しくなっております。

 この過剰収容状態の解消のためには、これまでも既存の刑事施設の増築等により収容定員の拡大に努めてきているところでございますが、十九年度にはPFI手法を活用した刑務所が三つ新設をされる予定になってございます。こうした状況を踏まえて、これは刑務官の増員なども当然必要になってくるわけでございますから、十九年度の要求におきましては、新設の刑務所の適切な運営及び矯正処遇の充実強化を図るとともに、過剰収容のため職員の著しい業務負担がございますので、刑務官等について六百五十七名の増員と、業務の民間委託のための経費等を要求しているところであり、引き続き、今後の収容動向を踏まえながら、必要な要員の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

鈴木(宗)委員 水野副大臣、定員の方で今、六百五十七人の要求ですか。削減は何ぼで、純増は何人要求になりますか。

水野副大臣 今申し上げたのは、増員要求数が六百五十七で、定員合理化数が三百十ありますので、これを差し引きいたしますと、純増という意味で申し上げますと三百四十七名の純増ということになります。

鈴木(宗)委員 財務大臣、定員は総務省の管轄ですから、そこで枠は決められます。しかし、今副大臣のお話しされたPFI予算だとか、法務省関係の予算なんか、特に国の基本に関する治安にかかわる人たち、これは警察も含めて、やはり国民の生活、安心、安全にかかわっている分野は、一律定数削減なんという枠ではかわいそうだし、また現実的でないと私は思うんですね。あるいは、財務省でいうならば税関もそうですよ。これだけ旅行者がふえる、外国からも来るとなると、当然、今の数では足りなくなる。あるいは刑務官なんかももちろんそうですね。

 そういった意味では、財務大臣、定数の問題についても側面から、そういった治安、国民の安全、安心にかかわる業務についてのサポートと、予算については厳しい中でもぜひとも配慮をいただきたい、私はこう思うんですね。

 特に、拘置所。私も四百三十七日いました。私は、悪いことしていないという自信を持っていますからね、国策捜査にひっかかった。これはちなみに言っておきますけれども、国会でいろいろ言われましたけれども、ムネオハウスなんていうのも、あれは佐々木憲昭さんの捏造用語であって、島の人はムネオハウスなんてだれも言っていませんからね。そんなので騒がれましたけれども、私は四百三十七日東京拘置所にいても、刑務官はよくやっていますよ。

 しかも、今いろいろな外国人犯罪が多くて、言葉が通じない中でも身ぶり手ぶりで、それは本当に頭が下がる思いで刑務官はやっています。特に、あの名古屋の刑務所の事件で、何かしら刑務官に対して間違ったイメージが出ていますけれども、それは一握りの不祥事はあったとしても、大方、必死になって、一生懸命、二十四時間頑張っていますよ。そういった人には、やはり勇気と誇りを与えなければいけません。そのためには、処遇改善等、やはり働きやすい環境をつくってあげるというのが大事だと私は思っているんですね。

 そういった意味で、定員については総務省ですけれども、ほかの、予算等については財務省の管轄でありますから、ぜひとも側面支援をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 財政、大変厳しい中でございますが、安心、安全というのは大変大事なファクターであるというふうに考えておりまして、その点については配慮をしてまいりたいと考えております。

鈴木(宗)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、総務省等とも連携をとりながら、また私は、これは内閣のプレーアップにもつながる、こう思いますので、それぞれ協力体制をとって、いい予算をつけていただきたいな、このように思っています。

 麻生外務大臣がお見えですのでお尋ねしますけれども、私は質問主意書を出しまして、きのう返ってきた答弁書があるんですよ。これは官房長の方で結構ですけれども、私は、例の外務省が保管するワインについて、いかほどあるかということで、八千本あるというのは前からの答弁でいただいているんです。

 ところが、私はこの十一月に出した質問主意書で、そのワインの、十万円以上のワインは何本か、五万円を超えるものは何本か、購入価格が二万五千円を超えるものは何本か、あと、一万円を超えるものは何本かと質問したら、答えが振るっているんですね。「お尋ねの点を確認するためには、改めて詳細な調査を要するため、お答えすることは、困難である。」八千本のリストがあると言いながら、何で、詳細な確認を必要とするためお答えすることは困難である、こういう答弁になるんでしょうか。

 しかも、これは閣議決定ですよ。これは各閣僚の皆さん方も署名していると思いますけれども、国民に対する情報の透明性だとか情報の開示の上で、私は質問主意書を出しているんです。

 少なくとも、八千本というのは国民の税金で買ったものですよ。八千本あります、きちんと保管されております、リストもありますと前回答弁で言っておきながら、では、その値段の高いものについてどうなっているかとただしたら、答えることは困難であるという答弁書、私はこれはちょっと国民をばかにしたものではないかと思うんですよ。

 この点、官房長、なぜこういう答弁書になっているのか。少なくとも、国民の税金を何と考えているかということで、私は、速やかにそのリストを提出していただきたい、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

塩尻政府参考人 ワインの管理、使用でございますけれども、これは答弁書でもお答え申し上げましたとおり、物品管理簿等、必要な帳簿を備えて適切に管理、使用をしているということでございます。

 その物品管理簿でございますけれども、そこに記載されておりますのは、どういうお酒の種類なのか、あるいは、いつ購入したのか、いつ使ったのかというようなことを書いております。

 それで、御質問のそれぞれのワインの金額、これについては、物品管理簿には記載されていない。それを調べるということであれば、もとの書類に戻って一々照会しなければいけない、調査しなければいけないということで、すぐにはお答えができないということを申し上げたということでございます。

鈴木(宗)委員 官房長、今の答弁で国民は納得すると思いますか。私の質問主意書では、きちっと予算計上しています、さらには、購入の金額も控えてありますというんですよ。それを今回私は、十万円以上幾ら、五万円以上幾ら、二万五千円以上幾ら、一万円以上幾らかというと、答えることは困難であるという答弁書ですよ。

 簡単じゃないですか、買ったときには何年物を何ぼで買いましたというリストがあるというならば。これは委員長、今の答弁で国会議員の皆さん方、どうです、納得できますか。国民の税金で買っているんですよ。

 大臣、今の官房長の答弁が、ていよく切り抜けたいというか、正面から答えないというか、私は何も難しい話をしているんじゃないんですよ。調べればわかる話をしているんです。ワインの八千本といったら、大した数じゃないでしょう、はっきり言って。そこらの酒屋さんなんかでは、その程度のワインを扱っているところは何百軒、何千軒ありますよ、今。

 私が言いたいのは、国民の税金を自分の懐が痛まないからといってそういうふうに軽く扱うところに、私は、逆に信用されない。国民の声援や応援を受けずして何でいい外交ができますか。外務省は一生懸命頑張っておっても評価されないのはそこですよ。

 この点、ちょっと委員長、私はしっかりとした答弁を求めたいと思います。

塩尻政府参考人 お答えがちょっと重複することになるかもわかりませんけれども、物品管理簿については、先ほど申しましたように、分類、あるいは、いつ購入したのか、いつ使用したのか、あるいは、受け払いの状況というのが記載してございます。

 ただ、お尋ねのそれぞれのワインの価格、これについては、もとの書類に戻って調べなければいけないということで、できないということではございませんけれども、非常に時間がかかる、相当の作業が必要だということで、お答え申し上げている次第であります。

鈴木(宗)委員 では、官房長、今の答弁を聞くと、これは調べたら出せるということですね。官房長、その場でいいですから。調べたら出せるということの理解でいいですね。

塩尻政府参考人 申し上げたとおり、それぞれについてもとに戻らなければいけないということで、時間もかかりますし、それなりの作業をしなければいけないということでございます。

鈴木(宗)委員 今の答弁からしても、控えがあるというんですから、調べたらわかる話ですから、これはぜひとも今国会中に資料としてきちっとリストを出していただきたい、私はこう思いますので、お願いします。

麻生国務大臣 リストがありますので、鈴木先生、これは調べようと思ったら調べられないわけじゃありません。それは膨大な、八千本というのは、酒屋をやっているわけじゃありませんから、そんな簡単に、オンラインで全部出てくるわけでもありませんし、受け払いもありますので、八千本を調べるといったら、かなりの行政コストがかかるということは覚悟せないかぬ。新たに予備費を出すか、どうやって調べさせるかというのは別にして、ずうっと洗い出すというのは、結構な騒ぎですよ。それだけは、行政コストのことだけはよろしくお願いします。

鈴木(宗)委員 今の大臣も、これは余計な話なんですよ。管理している者がいるわけですから、ビンテージで、大体この値段は、このときの値段はこうというのは、ある程度前もってわかりますよ。しかも、十万円以上というのは何本ありますか、五万円以上というのは何本ありますか。大臣、そういうかけ離れた話はいけませんよ。全部が、八千本が十万円以上じゃないんですから。中には安いのもありますから。私も中身を知らないで言っているわけじゃないんですから、外務省の中を。ここはしっかり、委員長、この国会中に出していただきたい、こんなふうに思っております。

 あともう一つ、官房長、あなた方は閣議決定の答弁書で、「お答えすることは、困難である。」と書いているんですよ。今のあなたの答弁からしたら、ちょっと閣僚もなめられているんじゃないですか。調べたら出せる、時間がかかりますというんならわかりますよ、答弁書で。そうじゃないですか。「お答えすることは、困難である。」なんという木で鼻をくくったような話はおかしいですよ。

 この点、外務大臣、これは外務大臣が起案をしているものじゃないけれども、私は、やはり国民に対する情報開示、透明性の上から、もっと親切な文言であるべきだ、こう思うし、今の答弁とはそごがありますから、ぜひともこれは大臣、事務方を指導していただきたい、こう思います。

浅野副大臣 鈴木委員の御指摘に従いまして、当面、まず一本一本を全部さかのぼって、いつ購入して、幾らだったかということを八千本全部洗い出すというのは、この国会中にやることは困難でございますので、毎年の購入総数と本数はできるだけ早くお答えをさせていただきます。

 ただし、この国会といって、答えが一日、二日、会期をずれてしまうと、ここでうそを言ったということになりますから、できるだけ早くということで御了解を賜りたいと存じます。

鈴木(宗)委員 浅野副大臣、ありがとうございます。私は、何も外務省に嫌みを言っているわけじゃなくて、正直に答えてくれればいいんですよ。これは正直に答えてくれればいい。

 閣議決定で、答えは困難だと言って、ここでは、いや、調べたらわかります、時間がかかるかもしれませんと。これでは何の閣議かというのと、今までの答弁が、全部そうですよ、確認することは困難ですと言ってきていますから、私は逆に、これから確認できる機会があるし、答弁は変わってくるな、こう思いますね。

 最後に、委員長、私は、外務省の在外勤務手当について一問、大臣に対して質問したいと思います。

 私は、この在外勤務手当、本省で七十万もらっている人が、国内で七十六万六千円ですかもらっている人が、海外に行くと、例えばワシントンならば百三十一万六千円、約倍近くもらっているということで、これは今大きな話題になっております。財政審では在外公館手当も削減だといって、私は、財政審というのは、OECDのデータもありますから、客観的なデータに基づいての御意見だと思っていますよ。

 外務省の給料は、外務人事審議会で外務省独自で査定するんですよ。これは言ってみればお手盛り的なものが多いんです。インナーでやっていますから、仲間内でやっておりますから。しかも、それは官房長だとか会計課長が入って、説明して、資料をつくってやっているわけですから。これは国会議員の皆様方もよく勉強して頭に入れておいてください。

 そういった意味で、この在勤手当、本省での倍近く海外に出たらもらうというのはいけないと私は思っています。

 同時に、皆さん、外務省で今この方は、現役のスイスの我が方の日本大使館のナンバーツー、公使です、「女ひとり家四軒持つ中毒記」という本まで書いていますよ。在外に出れば家四軒持てますよといって。四回在外勤務すれば、そのぐらいお金がたまると自慢して書いていますよ。

 この実態からしても、在勤手当なんかは私は見直すべきだと。今財政審で出ている、財務省もまたその方向だと言われておりますから、私は、ここは公平の原則で、必要なものはつけてやった方がいい、足りないものはつけてやった方がいい、国益のために、外交をよくするためには。しかし、無駄なものをつけてはいけません。

 特に、今、この在勤手当というのは税金がかからないんです。みんな蓄財に回っていますよ。これは月刊現代の七月号にも出ている。外務省の今休職事務官である佐藤優さんが、検事の取り調べで、外務省はあなた方クラスで平均七千万円貯金を持っていると。何でこんなに貯金がたまるかと思ったら、捜査で調べたら在外手当がみんな貯金に回っている、こういうことをきちっと書いていますよ。

 そして、塩尻官房長、あなたと国会で対峙してもいいと佐藤さんはここに本で書いていますよ。ルーブル委員会についても、塩尻さんの答弁はうそだ、私が現にやったんだから、国会で私を参考人に呼んでくれたら、国会で決めてくれたら私が堂々と塩尻さんと相対してもいいと言っています。

 ぜひとも、委員長、佐藤さんでも一回参考人で呼んで実態を聞くのと同時に、財務大臣、私は、この在勤手当も、必要なものはつければいいけれども、渡し切りで税金のかからぬお金が蓄財に回ることは逆に税金の無駄遣いだ、こう思います。

 この点、予算に向けて無駄なものは切るという意味で、財務省の考えが賢明だと私は思っておりますので、財務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

仙谷委員長 割り当て時間を経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

尾身国務大臣 在勤手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給されるものであり、その額は、在外職員がその体面を維持し、かつ、その職務と責任に応じて能率を十分に発揮することができるよう在外公館の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して定めることとされております。

 財務省といたしましては、こうした在勤手当の趣旨を踏まえ、国ごとの物価水準等をも勘案し、適切な予算をつくってまいりたいと考えております。

鈴木(宗)委員 ありがとうございました。

仙谷委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 それでは、まずは行政監視にかかわる件、安全にかかわる件について確認をしたいと思います。

 きょうは都市再生機構の小野理事長にもお越しをいただいておりますので、小野理事長、いらっしゃいますか。

 先般、十一月二十九日、これは都市再生機構の方で発表をされました昭和六十三年に設計瑕疵があったという住宅の問題。それは、基礎部分に加えて、十分な安全を確保すべき機構の分譲住宅として不適切な部分があった。その後、構造計算書を再計算して、再々計算して、その中になおも不適切な部分があったということについての報告、そして処分について記されております。そんなことは説明を求めません。

 昨日、その件について都市再生機構の方から文書をいただきましたが、機構が今まで建設した分譲住宅の棟数は一万一千六百一棟、そのうち構造計算書がない棟は何棟あるんですか。

小野参考人 お答え申し上げます。

 私どもが住宅公団設立以来つくりました分譲住宅の総数でございますけれども、これは一万一千六百一棟でございまして、そのうち、調査をした結果、十一月末現在で構造計算書の存在の確認ができないもの、紛失したものでございますが、この総数は千四百十五棟でございます。

三日月委員 理事長、今しれっと言われましたけれども、それをどうするんですか。

 四月に私は委員会で質問をして、理事長にそのことの再調査、追跡調査、安全確認を求めて、理事長もそのことについて、迅速に住民の方にも説明をしながら対応するという旨の御答弁をいただいているはずです。いかがですか。

小野参考人 存在が確認できないもののうち、既に私どもで簡易耐震診断をやったり、そういう形で安全性を確認したものが千二百二十棟ございます。いまだその状況に至っていない、現在そういう確認中のものが千四百十五棟、こういうことでございます。

 これは、新耐震のもの、旧耐震のものを合わせまして全体で一万一千棟近くございまして、そのおよそ七割ちょっとが存在が確認できる、それ以外が存在が確認できないということで、大変な棟数でございますので、四月の段階でも記者発表させていただいてと先生にお答えをしたと思いますけれども、全体の検証をして安全を確認するのは大体一年ぐらいかかる、こういうことでございます。

三日月委員 その今言われた千四百十五棟がまだ確認できていないんでしょう。千四百十五棟は構造計算書がない。

小野参考人 端的に申し上げると、構造計算書の存在を確認できない、紛失をしてしまったということでございます。

三日月委員 それをどうやって確認するんですか。

 ちなみに、今お配りしています資料の十五ページ、十六ページのところに、今回発覚をした、報告をされたこの都市再生機構の不適切事案について記しています。この設計をなさったのは日匠設計さん。

 当然のことながら、そういう不適切事案があったんですからそのことについて踏み込んで、再調査、安全確認すべきじゃないですかと問うたところ、これはいかがですか、三十一棟について簡易チェックを実施し、また、日匠設計が設計した分譲住宅の棟数は現在把握していない状況と。日匠設計に確認したところ、現在在籍している者は、これは再就職の方ですね、したことがあると聞いていると。

 また、あちこち飛んで申しわけないですけれども、三番のところ、日匠設計が昭和六十一年から平成二年までに三十一件の設計を行ったと聞いたがと、これはまるで他人事じゃないですか。ちなみに、今回明らかになっただけでもこういう調査しかできていないんですよね。

 これは、全体の中で千四百十五棟の構造計算書がない、一体どうやって調査されるんですか。

小野参考人 まず、千四百十五棟、構造計算書がないことは事実でございますけれども、構造図はあるのでございます。構造図に基づきまして、現存の建物と、例えばスパンの長さとか構造図どおり計算書の階高があるかとか、そういう簡易チェックを実施するわけでございます。もちろん、基準法上の法令を守っているかどうか、いろいろな鉄筋の数とかそういうことも調査をいたしますが、それで通常の、簡易耐震診断と言っておりますけれども、このチェックによって相応の安全性は確認できる、こういうことでございます。

 それと、日匠設計の件でございますけれども、これは、御案内のとおり、八王子の分譲住宅で私ども大変大きな瑕疵問題を引き起こしてしまいました。これは大変申しわけないことと思っております。

 これの実施設計、基本的な設計は別の業者の方なんですけれども、実施設計及びこの二棟につきまして構造計算書を紛失したものでございますから、構造計算の再計算、それと再々計算を日匠設計に依頼したわけでございます。そこで一部工学上の不適切な誤りがあったということが明らかになったわけでございますが、この日匠設計がその当時、前後五年間に同じような分譲住宅を設計したんじゃないかということをとりあえず調べまして、それが三十一件ということでございます。

 なお、過去十年間は私ども、賃貸は別でございますけれども、ほとんど分譲住宅は供給いたしておりませんので、まずこれはないということを確認できますが、六十二年、六十三年を相前後して五年間で三十一件で、それ以後もあるんじゃないか、平成七年ぐらいまであるんじゃないかというふうにも考えられますので、それは現在調査中でございます。

 以上でございます。

三日月委員 今、日匠設計のことを言われましたから問いますが、十六ページのところに、日匠設計の担当者の説明は次のとおりですとあって、つらつらと述べられた後に、機構の職員に十分な説明を行わなかった点については申しわけないと思うが、何々から何々までは、ベストの方法ではなく、詳細な検討が不十分であった面は認めるものの、不適切または誤りと指摘を受ける内容ではないと考えていると。

 機構としての調査報告で、最終的に理事長を初め皆さんの処分を発表された文書の中に、よくもまあこういう形でいけもしゃあしゃあと、不適切もしくは誤りをされた設計会社の発言を載せられますね。

小野参考人 私ども、大臣のきつい指示を受けまして社内の調査をしたわけでございますけれども、関係者の調査といたしましては、社内だけではなくて関係者の調査をしなければいけないわけであります。その中に、当然、日匠設計が入ってくるわけであります。

 日匠設計の幹部に聞きましたところ、その幹部は、自分たちは、工学上の判断としてこういうものでぎりぎりいいだろう、こういうことを判断していたと。ただ、これは、我々の判断によると、やはり本来、新規に私どもが設計するとすればこういう判断はとらない、こういうことでございますので、日匠設計の判断はその点では不適切であった、こういうことでございます。

三日月委員 いや、それだったらそれで、報告書にきちんと載せるべきだと思います。機構の判断とこの設計会社の判断が違う、しかし、機構の判断でいって日匠設計の方が誤りだということをもって報告をすべきだと思うんです。

 しかも、先ほど、今回の二棟については日匠設計の分で、ほかのものは紛失をされて、でも構造図があるからそれでもって調査しているんだというお話がありましたけれども、今回明らかになって処分をされた日匠設計のも、もともとは構造計算書紛失のところから始まっているんじゃないですか。それを再計算、再々計算した業者がこういう不適切、誤りをされているわけで、他の構造計算書がない物件の調査にしても、一事が万事、一体どういう調査をしているのかということについて、我々は不信感を持たざるを得ません。

 国土交通大臣、この点、管理監督をするお立場にいらっしゃって、いかがお考えですか。余りにもひどいですよ。何回目ですか、都市再生機構の処分は。

冬柴国務大臣 何度目かと言われますと、三度目になります。

 それで、都市機構の前身である住宅・都市公団が分譲した住宅において、工事上の瑕疵があるだけではなく、保存しておくべき構造計算書を紛失したり、また、紛失した構造計算書の再計算に当たり、たび重なるミスだけではなく、誤って不適切な計算も行われていたということが明らかになりました。まことに遺憾でございます。

 したがいまして、先ほど委員がおっしゃいましたように、十一月二十九日付で、私より都市再生機構理事長に対し、文書をもって厳重注意処分を行った次第でございます。

 多くの住民の方々に御不便や御迷惑、御心配をかけている現在の状況を一刻も早く解消する必要があると思います。したがいまして、都市再生機構におかれましては、住民の方々と誠意を持って話し合いを行い、信頼の回復と一刻も早い解決に向けてしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げた次第でございます。

三日月委員 当然のことだと思いますし、そしてまた、たび重なるさまざまな不適切事案ですよね。過去のこととはいえ、次々と明らかになってきています。このことの調査、報告を求めたいと思います。委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

仙谷委員長 後に理事会で検討いたします。

三日月委員 それでは、せっかくの機会ですので、歳出歳入、財政状況のことについても触れながら、その他の行政監視のあり方について問題提起をしてまいりたいと思います。

 まず初めに、資料の一ページ目に、これはもう既に皆さん御案内のとおり、この国の財政状況、特にストック、債務の状況について記しています。

 先般出されました財政制度等審議会の平成十九年度予算の編成等に関する建議の中で、イザナギ景気、五十七カ月を超える戦後最大の景気回復局面が続いているという状況であるにもかかわらず、毎年財政赤字を発生させているという現状は、財政運営の常軌を逸している事態だというふうに厳しく指摘をされ、そして、このグラフのとおり、一貫して債務をふやし続けているという状況。

 二〇〇六年の骨太の方針ですか、基本方針二〇〇六の中で、二〇一一年度には国、地方の基礎的財政収支を確実に黒字化するということと、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高の対GDP比の安定的引き下げということが示されましたけれども、私の問題意識は、この債務を一体どうやって返していくんだという明確な目標が今の財政当局には欠けているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 二〇〇六年度の一般会計の規模、八十兆でございますが、概算をいたしまして、歳入は、法人税プラス税外収入で五十兆、国債発行が三十兆、こういうことになっているわけでございます。

 現在、国、地方を合わせました我が国の長期債務残高七百七十五兆円は、GDP対比で一五〇%を超えておりまして、これは、二番目がイタリーの一二〇%でございますが、世界最大であるということでございまして、ヨーロッパの諸国、アメリカも含めましたこれらの国々は、大体五〇%から七〇%ぐらいのGDP対比の債務残高になっております。

 他方、国民負担率、税金に加えまして年金、医療、介護保険などの掛金を加えたものの所得に対する比率でございますが、我が国は三八%でございます。この三八%という水準は、実はほかの国と比べて非常に低い。ヨーロッパの国々が大体五〇%から六〇%程度、高福祉の国と言われているスウェーデンは七一%であります。

 今、日本の所得、四百三十七万円という所得が平均でございますが、仮に一人当たり百万円とわかりやすく計算をいたしますと、日本の場合には、所得百万円に対して三十八万円の負担をしている。他方、スウェーデンは、百万円の所得に対して七十一万円の負担をしている。そのかわり、医療あるいは年金などはほとんど心配ない程度に充実をしている、こういうことでございまして、アメリカが実は国民負担率三二%でありますが、アメリカは健康保険の国民皆保険がございませんで、したがって、負担率に直すと八%ぐらいの差があると言われております。これを足しますと、日本と同じ比較をしますと、約四〇%の負担率になるわけでございます。

 以上を総合してみると、日本は債務残高が世界一、他方、国民の負担というのは世界一低いと言っても過言ではないわけでありまして、先般の財政制度等審議会におきましても、我が国は中福祉・低負担の国であるというふうに言われているわけでございます。

 さはさりながら、この状況を見て、無駄や非効率な歳出を放置したまま負担増を求めるということになれば、国民の理解を得ることは困難でございまして、負担を最小化するために、第一に歳出削減を徹底して行っていく必要がある。このために、十九年度予算については、厳しい歳出削減方針を貫いて、一歩でも財政健全化に近づけていきたいというふうに考えているわけでございます。

 このように、歳出削減を徹底して行った上で、それでも対応できない高齢化に伴います社会保障の増大、あるいは少子化などに対する負担などもあるわけでございまして、こういうことに対して安定的な財源を確保するために、抜本的、一体的な税制改正を推進して、将来世代への負担の先送りをしないようにしていきたいと考えている次第でございます。

 現在の諸情勢を勘案いたしますと、十九年度予算の歳出削減の状況、あるいは来年の夏ごろに判明する二〇〇六年の決算の状況、あるいは医療制度改革を踏まえました社会保障の給付の実績等を見る必要がありまして、これらを踏まえて、税制改正の抜本的あるいは本格的な議論を行うのは来年秋以降になるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、財政再建の重要性にかんがみて、二〇〇七年度予算については、従来の改革努力を継続して徹底した歳出削減に取り組んでまいりたいと考えております。

 プライマリーバランス、今の問題につきましては、二〇一〇年代半ばに債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるということを目標にしておりますし、また、フローの面では、二〇一一年のプライマリーバランスを黒字化する、こういう目標をとっているわけでございます。

 プライマリーバランスを黒字化いたしますと、名目金利が名目成長率を上回らない限り債務残高の対GDP比は低下することになるわけであります。ただし、名目金利が名目成長率よりも高い状況のもとでは、プライマリーバランスが黒字であっても債務残高の対GDP比が上昇することがあり得るわけでございまして、そのことに対して、まず、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化する、そして、その上で、二〇一〇年代半ばに債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるという二段構えの目標を掲げて取り組んでいきたいと考えているところでございます。

三日月委員 るる御丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございます。国民負担率の話は、別途またいろいろな角度から、さまざまな社会保障の枠組みと含めて議論をしなければいけないんでしょうし、同時に、短期的な、中期的なプライマリーバランスをまず黒字化して、そのことでもって二〇一〇年代の半ばに向けて債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるんだと。

 私が申し上げたいのは、この二ページにもありますように、諸外国に比べて、ストック、債務の部分を減らすという目標がこの国は明確じゃないんじゃないですか、志がやや低過ぎませんかと。これだと、将来世代に負担を先送りしないといみじくもおっしゃいましたけれども、我々の世代もしくは子供の世代も含めて、本当にこのままの借金が社会保障、年金、介護、医療のものも含めてすべて我々に回ってくるんじゃないか、もう既に回り始めているんじゃないかという不安を増大しかねません。政府として、財政当局として、もっと踏み込んだ明確な目標を、長期は無理にしても、少なくとも中期については数字で明らかにすべきじゃないかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 ただいま申し上げましたように、二〇一一年、現在二〇〇六年でございますから、この五年以内ということでございますが、プライマリーバランスを黒字化する、そして、二〇一〇年代の半ばまでに対GDP比の債務残高を引き下げていくということでございまして、私どもは、現在の厳しい財政状況をこの二つの方向で改善をしていきたい。その過程におきまして、成長なくして財政再建なしという考え方を一つ基本に据えまして問題を解決していきたい。

 確かに、おっしゃるように、もっと早くこれを解決しろという御意見もあろうかと思いますが、私ども、特に十九年度予算につきましては、断固たる決意で歳出の削減を図り、合理化を図るということで、この目標に一歩でも近づけていきたいと考えている次第でございまして、タイムスケジュールという点から見ましても、二〇一一年、プライマリーバランスを黒字化するという目標は、かなり厳しい目標でありますが、これを必ず実現していきたいと考えている次第でございます。

三日月委員 今年度になってからこのフローの二〇一一年という数字が明確になって、目標の期限が区切られました。したがって、それを達成してから、ストックの、債務の解消についても、削減についても努めていくんだということは、一定、理解します。しかし、この部分の、特に債務を減らしていくということについての明確な目標をより早く立てていく、財務大臣、私の考えについては理解いただいていると思うんですけれども、なかなかまだそのことについての他の省庁や政府・与党内での合意や検討が進まないということなのかもしれませんが、ぜひ要請をしておきたいと思います。

 きょうは総務大臣にもお越しをいただいております。国もさることながら、地方の自治体も大変なことになっているところが多うございまして、夕張市の三百六十億円ですか、債務を返していかなくちゃいけないんだと。市税は上がる、さまざまな行政サービスのコストが上がるということも連日報道をされています。住民の方にも一定の責任があるんでしょうから、理解をするんですけれども、現行の自治体の財政再建制度のあり方について、見解をただしたいと思うんです。

 財政再建に至る基準が、債務総額ですとか特別会計、公営企業、第三セクターなど、自治体の財政に影響を与えるにもかかわらず、それが基準に加えられていない。また、自治体から申請がない限り財政再建団体にならないといったような形で、透明性及び迅速性の面でいささか欠陥があるように思えてなりません。この政府の見解と検討進捗状況についてお伺いしたいことが一つと、また、地方公共団体がこういう状態に陥ることになる、もしくはそれを救済していくに当たっての国の責任というのはどのようにお考えなんでしょうか。すべて自治体だから、自己責任だから、三位一体改革で財源もやっているから自分たちでやれというんでしょうか。そのあたり、お聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、現在の再建制度というのは普通会計の実質赤字というフロー指標のみを用いていまして、さらに、申し出による再建を行う仕組みであって、この点については、私も改善をする必要性を感じております。こうした中で、竹中大臣のもと私も副大臣として、再建法制の見直しについて、現在、新しい地方財政再生制度研究会というものを設置して御議論をいただいております。

 そこの内容でありますけれども、地方公共団体の各会計をカバーする新たなフロー指標や、公営企業、公社、第三セクター等を含めた実質的な負債をとらえるストック指標を導入しよう、二点目としては、これらの指標に基づいて、財政悪化の早い段階から自主的な財政健全化を義務づける早期再生のスキームを導入する、こうしたことを今検討してもらっているところであります。

 そして、今月中にこの検討結果の報告を受けることになっておりますので、こうした結果を踏まえて、新たな、今御指摘をいただきましたそうした点も踏まえての再建制度というものを次の通常国会には出して、成立をさせていきたいというふうに考えております。

 総務省としての責任ということでありますけれども、各地方団体に対して、やはりみずから財政状況を分析して、事務事業の見直しや歳出全般の効率化を行うとともに、計画的な財政の健全化、こうしたものに取り組むように、私ども実は要請をしてまいりました。

 そうした要請をすると同時に、今資料をいただきましたけれども、現在、夕張市以外にも十七年度の決算による赤字団体というのは市町村で二十五あるわけでありますし、これからも公債費の増加や高齢化の進展、生活保護世帯の増加など、非常に悪化傾向というのはありますので、そうしたものを踏まえまして、この新たな再生法制の整備に取り組んでいくとともに、歳出の抑制にも努めながら、しっかりと連携をしながら対処していきたいと思っています。

三日月委員 当然、国の責任だけではなくて、住んでいる方も含めて、その自治体の行政当局も含めて、自治体の財政状況については監視をしていかないといけないのかもしれませんが、今大臣が言われたとおり、都道府県で二、そして市町村で二十六、今赤字の団体があり、かつ、実質公債費比率一八%以上という団体に至っては現在二二%に上る状況で、これは五ページのところに入れているんですけれども、やはり予備軍がたくさん出てきているんですね。

 地方の本当に厳しい財政、やりくりをされている自治体や何かの状況が目に浮かぶわけなんですけれども、ぜひ、先ほど検討の方向性の二つ目におっしゃいました、破綻してから救うということに偏りがちな今の制度を、早期に発見をして、都度都度修正、再建を要請していく、金融機関に一部施されたああいう制度の構築を私どもは求めていきたいというふうに考えておりますので、今後の検討状況を見守って、次の国会にもまた備えていきたいというふうに思っています。

 国も地方もこういう財政状況の中で、今談合が頻発をしています。談合列島と言われてもいたし方のない、談合による税金の無駄遣いが次々と起こっているわけですけれども、いわゆる官製談合、知事が次々と逮捕をされたり失職をされたりするこの状況、公共工事の発注、受注、入札制度の現状について、これはとかく国交大臣と言われることがあるんですけれども、私は、政府として官房長官に、今の現状と政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 ただいま三日月議員の方から入札談合事件が相次いでいるじゃないか、こういう御指摘がございました。まさに、このところ目に余るようなこういった事件、不正行為が行われているような事件がたくさん続いているわけでありまして、こういうことがあってはならないというふうに思っているところでございます。

 政府のレベルでは、ことしの二月に策定をいたしました公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議、ここでの取りまとめに従って、幾つか施策を既にやっております。

 一つは、一般競争方式に移行する。予定価格の二億円以上の工事というのは基本的にそっちに移っていく。一般競争入札であります。もう一つは、総合評価方式の目標値を設定するなど、いわゆる総合評価方式、これの拡充でございます。それから、入札ボンド制度というのがよく取りざたされますけれども、これの導入など、一般競争方式の拡大と総合評価方式の拡充に関する条件整備というのをやってまいっておるわけでございます。

 一方で、国のレベルはこういう形で進んでいますけれども、まだまだなのは地方の方でありまして、地方公共団体に対しても、国の取り組みを踏まえた入札契約の一層の適正化を要請してきているところでございます。

 地方公共団体においても、現在、さきの打ち続く入札談合事件で全国知事会がプロジェクトチームを設置いたしました。公共調達の適正化に向けた検討が行われているものと承知をしているわけでございますが、政府としても、不正行為の排除の徹底を図るべく、入札契約の改善に向けた取り組みをさらに徹底してまいりたいと思います。

 それから、国会では官製談合の防止法が今かかっているわけでございますので、一日も早くこれが成立をし、施行され、そして適用されて、こういうことが起きたときの適切なる処置ができるようにしてまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 官製談合防止法については、それぞれ各党から提案がなされて、そして再発防止に向けた、また発注者側の責任のあり方についても規定を定めながら、再発の抑止を何とかやっていこうという検討がなされていることは私も承知しているんですけれども、後で聞こうと思ったことに官房長官は踏み込んでお答えいただきましたので、あえて重ねてお伺いします。

 地方公共団体の取り組みがまだまだ甘いんだという御指摘がありました。これは、公正取引委員会の報告の中でも、コンプライアンスマニュアルはあるんだけれども、しかし、そのマニュアルの中に入札談合等関与行為について明記をしているところが、地方公共団体も、そして政府出資法人も問わず少なかった等々、まだまだ地方公共団体及び政府出資法人の取り組みは非常に進んでいないと言わざるを得ないと思うんです。このあたり、国としてもう少し具体的に、知事会は知事会でやられるのも結構です、今回、都道府県の知事が次々と逮捕されているわけですから。国として、地方公共団体及び政府出資法人の入札契約の適正化に向けて、どのような取り組みをなされるおつもりでしょうか。

塩崎国務大臣 私も、前回の独禁法の改正のときに、自民党の中で独禁法調査会の事務局長をやっておりました。その際に、こういう今申し上げたようなことが、国がやれと言っても、やはり地方は自治がございますので、地方ではそこはやっていないというようなことで、ストレートにはいかないものですから、我々としても非常に悩んだわけでございます。

 政府としては、各発注者の入札契約の実態調査の結果とか、全国知事会の動き、先ほど申し上げたような動きもございまして、公共工事の全発注者に対して入札契約の適正化のための取り組みを徹底するよう入札契約適正化法に基づく要請を国としては行おう、こういうふうに思っているところでございます。

三日月委員 当然、自治があるわけですから、そのあたりの監視だとか、そして要請が及ばないということはわかりますけれども、しかし、補助金にしろ交付金にしろ、国からそれぞれの地方の事業についてお金のやりとりがあるわけです。そういう中で、こういう入札行為の適正化に向けた、やはり監視のシステム、起こった損害をきちんと取り戻していくシステム、これをつくっていく。入札ボンド制度の検討は、私も国土交通委員会の中でしっかりとやっていきたいと思うんですけれども、ぜひこのあたりは強く要請をしていきたいと思います。

 さらに、この談合と公務員の方の再就職、天下りですね、これが絡んで不正の温床になっているという事件、事案が散見されます。防衛施設庁もそうでした。道路公団もそうでした。成田公団もそうです。

 私のきょうお配りした資料に、六ページですか、これは道路公団の一件が、また国土交通省直轄の公共工事の中で、国土交通省から問題になった四十五社に対して百九十八人の方々が再就職をされていたという数字。また、一枚めくっていただきますと、公団から問題のあった四十五社に四十三名が再就職をされていたという数字。また、八ページには成田の空港会社、これは国からこの空港会社に十五名ですか、再就職をなさっていた。そして、もう一枚めくっていただくと、受変電工事関連で成田の空港会社から請け負った業者に再就職をなさっていた八名の方のリストを入れさせていただいています。

 ちなみに申し上げれば、これは十ページのところなんですけれども、こういう道路公団、そして空港会社、この談合事案に絡む、不適切な事案に絡んだ企業から、自民党の政治資金団体、国民政治協会にどれだけ政治献金が出されていたかということで、平成十五年、十六年、十七年と見ましたところ、三億九千二百十一万六千円もの政治献金が行われている。この献金自体どうのこうのというものではありませんけれども、しかし、天下りがセットになった、税金を食い物にした談合が起こって、そして、そのことによって得られた不正な利益が政治の側に還流をするというこのシステム、これは非常に大きな問題だと思うんですけれども、まず、このあたりについての官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 天下りと、先ほど来お話がございます官製談合、これは、私どももずっと自民党の中でも独禁法調査会などで見てまいりまして、本当に根深い構造的な問題ではないかというふうに私も個人的に思ってまいりました。したがって、何か一つを直せばうまくいくかという問題ではなくて、むしろ、いろいろな問題がリンクして、言ってみればビルトインされたようなものになっているんではないかという感じがいたすわけでございまして、これまで、政府もさまざまな努力をしてきたわけでございます。

 そういう意味で、天下りが単なる天下りだけではなくて、今お話のあったような、特に、出身元との接触を通じて官製談合がどうも行われていたんではないのかというようなことが間々見られているわけであります。

 天下りというと、官から民に行くケースが全部入っちゃうような感じで、全くこういうものと関係ない形で官から民に行かれる人たちももちろんおられるわけで、そういう人たちの問題まで一緒くたにすべてが悪というか、要するに官から民に行くこと自体、そういうことになってはいけないと思いますが、少なくともお土産つきで行くようなものについては、徹底的に原因はもとから絶たなきゃいけないということで、制度的に温床になっているものについては見直しをしていかなければならないだろうというふうに思っております。

三日月委員 そうなんです。まさに今言われたことには私は認識を一にするんですけれども、公務員の再就職のあり方について、もう少し検討を深めた方がいいんじゃないかという指摘と提案をさせていただきたいと思うんです。

 十三ページ、十四ページのところに、人事院が承認をした府省等別の再就職の方の人数と、そして各府省承認分の、要は、一定クラス以上の方は人事院承認、そしてそれ以下の方は各府省別に承認というリスト、人数ですね、掲載させていただいているんです。

 私は、官民の人事交流を否定しません。技術的なこと、さまざまな交流、あってもいいでしょう。しかし、それを人事院一括、各省庁別に、各部局ごとに、例えば国土交通省航空局だったら、航空関連の業者から、何々さん、どんな人を下さい、だれか再就職してもらえませんか、わかりました、ではといって、例えば航空局の総務課、人事課みたいなところが就職のあっせんをするという仕組みではなくて、人事院として、公正な人材活用システムというのがあるんですね。

 これは最新のパンフレットをもらいましたけれども、「このシステムを利用して、これまで五十人が企業に採用されています。」五十人しか採用されていないんですね、堂々と何かパンフレットをつくられているんですけれども。この十三ページ、十四ページのところでも、括弧内の、そして太い印をつけた方しかこのシステムを利用できていないんですね。

 ここで一つ提案があるんですけれども、今まさに根っこから絶やしていかないといけないんだと官房長官言われましたけれども、公共工事を受注する企業、公共調達を請け負うような企業への再就職は、もうこの公正な人材活用システムでしか再就職できないと取り決めをしたらどうですか。各部局に、A社から、何歳ぐらいのどんな人に来てほしいんだけれどもと言われても、いや申しわけない、これまではできたけれども今は人事院でしかできないことになっているんです、ここに登録してください、ここから紹介をもらってくださいということにすれば、もう少し公正な再就職のシステムができるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、天下りプラス官製談合という、恐らく日本のユニークな問題ではないかと思うんですが、こういうことが起きる原因というのは一体どこにあるんだろうかということは、やはり深く考えなきゃいけないと思うんです。

 官の雇用慣行のお話が今出ておって、天下りということになっております。一方で、民がどういう場合に官の人間を受け入れられるのか。つまり、労働市場のモビリティーの問題であって、本来は、民でも官でも、優秀なものを持っている人は来てほしい。その人が行くこと自体はとてもいいことだと思うし、本当の意味で官にいつも優秀な人がいるのもいいことだし、その優秀な能力を今度は民に行って発揮して、その企業にとってプラスになることをやること自体も悪いことではないんだろうと思うんですが、そこに、人間関係とかそういうことで古巣との関係で行く、実はそんなに能力はないけれども古巣との関係があるがゆえにいろいろなことができるというだけで行くとか、そういうような問題がいっぱいあるんだろうと思うんです。

 そこで、実は我々は民の雇用慣行を変えるということは法律でできるわけではないわけでありますから、そうすると問題は、我が国全体の労働市場のモビリティーを上げていく中で官と民との間の人材交流が、人の移動がたくさん行われて、官にもいつも優秀な人がいて、民にもそれぞれ官の経験を持って優秀な人がいるという状態が私はいいんではないかと個人的には思っているんです。

 しかしながら、公務員に関しては今もう既にでき上がったいろいろな問題のある制度があるので、それをどういうふうに正していったらいいのか。人間というのは世界どこへ行ったってそうやることは変わらないわけであって、どこでも悪いことの誘惑というのはあって、それをどういうやり方で阻止するのか、あるいは予防して抑止していくのか、その制度を持っていないといけないと思うんです。

 今、一つ提案されているのは、中馬プラン、民主党の皆さんから大分御批判をいただいておりますけれども、これは、官から民に行くときに今は二年のクーリングオフ期間というのがありますが、これをやめて、そのかわり、接触をして、さらに民間企業に対して利益を引き出すようなことをした場合には刑事罰をかけるという提案をしているわけであります。今は刑事罰は別な法律にしかないということです。

 そういうものは一つの考え方としてあるもので、アメリカなんかは、一切電話も何もできないという状態が例えば一年続くとかいうこともあるわけですが、日本の場合にはまだそういうところまでいかないにせよ、刑事罰で、不正なことをやった場合あるいは不正と思われるようなことをやった場合、意図的にやった場合にはさらに厳しいということになっているのがアメリカの仕組みでありますが、そういう仕組みを持っているわけであります。

 ですから、今、三日月先生がおっしゃっているようなさまざまな問題を防ぐためにどうしたらいいのかということと、官と民のそれぞれの優秀な人たちの能力をどうやって国レベルで活用していくのかということを、両方一遍に達成するためにいろいろなことが考えられていて、中馬さんが出している案というのは、私は、言ってみれば一つの解として考えていくべきものではなかろうかというふうに思います。

 いろいろな考え方があろうかと思いますが、しかし、何らかの形でブレークスルーをつくっていかなきゃいけませんので、その行為規制と監視体制と、それから罰則というのがあって、なおかつ、罰則というのはあるだけじゃだめで、執行をどうやっていくのかということもセットでやっていくということがなければいけないので、天下りという、何か官から民に行くことが全部天下りで、それが全部悪いんだということで整理するのは少しお気をつけをいただいた方がいいのかなと思っていますし、それは政府の中でもいろいろな考えがありますし、与党の中でもいろいろな考えがあるので、これから、この中馬プランを一つのたたき台に我々としては議論を進めてまいりたいと思っています。

三日月委員 いや、御聡明な官房長官にしては随分回りくどい御答弁をいただいて私は残念なんですけれども、私、何も官と民の人材交流、再就職、天下りそのものを、すべてが悪につながっているなんて一言も言っていませんよ。そういう事案がありましたよね、かつ、官房長官もお認めのように、出身元、古巣に気を使う、そこといろいろな関係が断ち切れないんでしょうねと。日本のユニークな問題だ、これも理解します。そして、人材のモビリティーをいかに高めていくか、これも考えましょうと。

 しかし、それを考えるに当たって、各省庁別、部局ごとに今再就職のあっせんや情報提供が行われている、これこそまさに、官房長官御自身が認められた古巣との関係、出身元への気遣い等々、これにつながっているんじゃないんですかと。したがって、官民の人材のモビリティーを高めるためにも、せっかく用意をしているこの公正な人材活用システムで一括でプールして、一回部局と業者との関係を断ち切って、そして、それぞれが生かされるところに再就職をするというシステムをつくればいいんじゃないんですかと提案しているんじゃないですか。

 何も私、中馬プランの説明を求めているわけではなくて、そういう官民の人材の移動の仕方についてぜひ一考賜れませんかと申し上げているんです。

塩崎国務大臣 今の手に持っていらっしゃるパンフレットを私、ちょっと持っていないので、何という制度かちょっとわかりませんが、人事院がやっているものでしょうかね、プールしてということでありますが。

 それはいろいろなやり方があると私は思いますが、あっせんをしてやるということ自体が不正行為の温床になっている可能性があるということは、私もそう思います。したがって、何か別の考え方でやらなきゃいけないということで、中馬プランというのは一つの案ですよということを、実は私も、刑事罰を設けて行為規制をやって、自由に、私は横滑りといつも呼んでいるんですが、優秀な人はどんどん行ったらいいじゃないか、また、優秀な民間の人も官に来たらいい、こう言っているわけです。

 今のようなものが、プールをすることによってそれで果たして本当に有効に機能するかどうかというと、五十人しか今いないというようなお話、ケースがありました。だから、それは一つのやり方ではありますけれども、本来、やはり優秀な人間の出会いというのは、どういう出会いでやるべきなのかというのはいろいろ考え得ると思いますし、そのときに大事なのは、行為規制というものがどの場合でもやはり必要であって、あっせんについては、おっしゃるとおりいろいろな問題があることはわかっております。それは私もそのとおりだと思いますが、今お示しになっているものが一番いい解かどうかはよくわからない。まだいろいろ検討の余地があるだろうということだと思います。

三日月委員 ぜひこれから検討を一緒にしていきたいと思いますし、少なくとも中馬プランを議論するときにこのシステムについて知らないなんということがないように、人事院総裁もきょうお見えですけれども、しっかりと官房長官にこの資料を渡していただいて、少なくとも中馬プランを議論するんだったらこのシステムについても御理解いただくような、そういう対応を求めておきたいというふうに思います。

 最後に、これは少し外れますけれども難病対策について、きょうは厚生労働副大臣もお見えいただいておりますのでお伺いしたいんです。

 資料につけています。特定疾患治療研究事業ですね、十八ページ、十九ページ。これは、ことしの初めも私、予算委員会の分科会の中でこの問題の指摘をさせていただきましたけれども、確かに予算額は年々増加しています、この厳しい財政難の折に。しかし、所要額と交付額との差がどんどん開いて、十九ページですね、各都道府県でこれは約六〇%しか必要なお金がいただけていない。その分の過不足、特に不足の部分をすべて都道府県でカバーしなければならない状況になっている。

 この状況について、政府は、厚生労働省はどのように考えて、今後いかなる対応をとられるおつもりか最後に伺って、詳しくはまた今度やることにいたします。

石田副大臣 簡単にお答えしたいと思いますけれども、この事業につきましては、毎年の予算の範囲内で事業費の二分の一を上限として補助をする、こういうことはもう御存じだろうと思います。

 そういう厳しい財政状況の中で、先生おっしゃるように、六〇%だ、本来国が出すべきものを六〇しか出していないということも承知をいたしておりますので、これにつきましては、明年度の概算要求におきましても本年度より五十八億円増の概算要求をいたしておりまして、その乖離を縮めるべく努力をしているところでございます。

三日月委員 ぜひ推移を見守りたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

仙谷委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、貴重な時間、御質問をさせていただく機会を賜りまして、どうもありがとうございます。

 まず、日本中央競馬会の会計処理に関して不適切な事案があったのではないか、まだ公表されていない案件があるのではないかということをお尋ねしたいと思いますが、きょうは高橋競馬会理事長が来ておられると思いますけれども、御答弁いただければと思います。

高橋参考人 今、先生の方から御質問でございますが、具体的に何かあるでしょうか。言っていただければお話し申し上げますけれども……。(長妻委員「具体的にないんですか、不適切な事案というのは、未公表の」と呼ぶ)

 この委員会があることに先立ちまして、我々の方で、契約上何か不都合な点がないかということについてちょっと調査をしております。そのことをお話し申し上げたいというふうに思います。

 実は、我々、役務契約につきましては、契約金額に応じまして競争参加資格者というものを定めておるわけでございます。それで、十六年の契約について、それが定められた内規がございまして、それに基づいてやられているかどうかということについて調査をしました。つまり、参加資格要件のない者に入札を行わせるとか、あるいは参加資格要件のある者を何か排除しているかとかいうような点について調査をいたしました。その結果についてちょっと申し上げたいと思います。

 そういたしましたら、平成十六年の契約でそういったものが十一件あったということがございます。どうしてそんなことが起こったかということでございますが、それにつきましては、その前年に格付審査基準というものが改正をされておったわけでございますが、担当者がそれを失念いたしまして、従前の等級格付のままに入札公示を実施してしまったということが十一件あったということをまず申し上げておきたいと思います。

 それからもう一つは、契約については、物品の調達手続の規則というものを我々は持っておるわけでございますが、その中では官報公示をやりなさいということになっておりまして、それがしっかりと行われているかどうかということについても調べました。

 その結果によりますと、やはり一部、この公示を行っていないという事例があることがわかりました。

 原因を、どうしてかということですが……(長妻委員「それは何件ですか」と呼ぶ)それは、全部で百三十六件ございました。これも、年初からの契約を年度末に集中してやりますので、緊急やむを得ない契約があったとか、あるいは官報による公示の期間が十分に確保できなかったというような理由などもございまして、そういう結果になっております。非常に私としては残念なことであったというふうに思っております。

長妻委員 この百三十六件官報不掲載というのは、これは閣議決定違反となるわけですか。

高橋参考人 今の公示の件、これはいわゆる特定調達に係る手続、こういうふうに我々言っておるわけでございまして、平成七年の政府調達に係る協定というものがございまして、それに基づきまして国とか地方公共団体、それからJRAといったような特殊法人もこの対象になっておりまして、その協約に基づきまして我々が内規を定めてやっておるというものでございます。

長妻委員 これは政府の協定、協約に違反をした、百三十六件あるということでございまして、そしてもう一方、先ほど言われた十一件に関しては、参加資格要件のない者に入札を行わせて参加資格要件のある者を排除した、こういうケースが十一件ある、理事長もお認めになられました。

 これは資料をいただきましたけれども、四ページにその十一件のリストがございますが。これに関して、事務所等の清掃の事業十一件、この入札でございますけれども、本来は、この入札というのは、三百万円以上一千五百万円未満だから、Cランクの会社のみ応札資格がある、そういうふうに言わなきゃいけないところを、それよりも大きい会社、AランクとBランクだけしか参加できませんよ、つまりCは参加できない、こういう内規に反した行為があって、しかも受注したのが全部同じ会社なんですね、一つの会社です。この会社は、常勤役員がすべて、全員日本中央競馬会の天下りの人が占めておられるファミリー企業が落札をされている。

 これは、うがった見方をすると、あえて等級を意図的に変えてファミリー企業に受注させた、こういうふうに言われても仕方がないんではないかと思うのでございますけれども、これに関して、何で公表をされなかったんですか。

高橋参考人 先ほども申しましたように、政府調達、そういうものに関しましては公表しろということになっていまして、我々はそういう内規も持っておるわけですね。しかしながら、失念をしておりまして、公表をしていなかったということです。(長妻委員「何で記者発表をしなかったんだと。不祥事を自発的に発表しなかったんですか」と呼ぶ)

 そのことでございますが、我々も、本当の単純ミスでございましたので、これにつきましては、十六年分についてはそういうことの誤りがあったということに気がつきましたので、次の十七年度からは早速、そういうことのないようにしっかりと規定に基づいていたしたということで御理解願いたいと思います。

長妻委員 これは単純ミスと言われましたけれども、官報公示に関しても、百三十六件、金額にして二百九十四億六千五百六十六万円、一般競争入札十五件、指名競争入札二件、随意契約百十九件ということで、競争入札に関してもこれだけの金額、件数を告示していないということで、これは、海外の方が応札しようとしても、和文と英文で官報に出すということが決められているのに、それを出さなかったら海外の方は全くわからないじゃないですか。

 こういうようなずさんな、単なる事務ミスとは思えないようなことをされておられるということで、これは理事長自身はこの二つの案件についてはいつ御存じになったんですか。

高橋参考人 これは具体的な契約はそれぞれの競馬場、事務所でやっておりますので、私としてはすぐにこれを知るということはございませんで、具体的にいつかというふうに聞かれましてもあれですが、まず、契約の分の方ですけれども、それについては去年の夏ごろ、そういうことを聞きました。

長妻委員 そしてもう一点、今言われた二つの不適切な処理でございますけれども、そのことが、ここ、今私の手に持っておりますけれども、この紙に書いてありました。この紙にも同じ指摘が書いてあるんですね。この紙は何かといいますと、右上にマル秘とございまして、「平成十七年九月二十日 農林水産省生産局総務課長殿 会計検査院事務総局第四局 農林水産検査第三課長 実地検査の結果について」、日本中央競馬会会計実地検査の結果についてこういう書類が十五ページございますけれども、この中に既に昨年の時点で指摘が中央競馬会になされているわけでございます。

 この書類というのは、会計検査院が作成された書類でございますか。

大塚会計検査院長 十一月二日に事務総局が先生よりお預かりした文書については、私も拝見いたしました。しかし、その作成の経緯について私も事務総局も承知しておりません。作成の経緯の明らかでない文書については、本院が作成した文書であるか否かに関してはお答えできません。また、JRAの契約については、検査を継続中であり、どのような文書のやりとりを行っているかについては、検査の過程のことでありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

長妻委員 そうしましたら、院長にお尋ねしますが、先ほど高橋理事長も認められた二つの不適切な事案というのは、これは検査をきちっとして明らかにされる、そういうおつもりはございますか。

大塚会計検査院長 会計検査院といたしましては、JRAの契約につきまして現在検査を継続中でありまして、どのような検査を行っているかについては答弁を差し控えさせていただきますが、ただいまの議論も踏まえまして検査を続けてまいりたい、こんなふうに思っております。

長妻委員 これは仮にですけれども、仮に会計検査院が知っていて、今の二つの案件、中央競馬会もこれは不適切だとはっきり認めた案件を知っていながら公表しなかったということになると、これはどういう理由なのか聞かなければいけませんし、その理由が不適切であれば、問題ではないか。言葉は悪いですけれども、もみ消されたのではないかというふうな疑念を私は抱いてしまうのでございます。

 過去、中央競馬会を検査院が指摘して公表したのは、一番最近はいつになりますか。

大塚会計検査院長 過去十年間にわたりまして二件の検査報告があるというふうには承知しておりますが、具体的に最も最近のものはいつなのか、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど報告させていただきます。

長妻委員 日本中央競馬会というのは会計検査院の検査対象だと思いますけれども、会計検査院からの天下りはおられますか。

大塚会計検査院長 私が、会計検査院が把握している範囲では、一人というふうに聞いております。

長妻委員 一人おられるということで、その方は何代目か御存じですか。脈々と天下られているというふうに聞いているんですが。

大塚会計検査院長 何代目かというお尋ねでございますけれども、本院が把握している範囲では今まで一人であるというふうに聞いておりますので、正確に把握できるのは一人だというふうに承知しております。

長妻委員 中央競馬会はどうですか。

高橋参考人 過去の話ということになるわけでございますが、私どもで承知しておりますのは、JRAから要請いたしましてお越しいただいております検査院出身の方は、現在の方を含めまして八人目、こういうことでございます。

長妻委員 八人目。これは何で会計検査院、やましくなければ言われないんですかね、知っていながら。こういう体質が問題だと思うんですが。

 一人平均四年といたしますと、八代目、四、八、三十二年、三十年以上にわたって会計検査院のOBが、顧問という肩書が多いということを聞いておりますけれども、検査対象である日本中央競馬会に脈々と天下りをされておられる。

 農林水産省担当ですね、このJRA、中央競馬会は。その天下りの方は、農林水産省担当の部局に会計検査院時代にいたことはありますか。

大塚会計検査院長 同人は、農林水産省構造改善局、現在の農村振興局を所掌する農林水産検査第二課に在籍していたというふうには聞いておりますが、JRAを担当する検査課には在籍したことはないというふうに聞いております。

長妻委員 しかし、農水省関係の部局にいて、その関連のところに天下っていく、こういうことが本当にいいのかどうか。

 そして、この天下った方は、会計検査院の立入検査が日本中央競馬会に入るときに概況説明、一番初めにいろいろ説明するときに、その天下りの方も後輩が来るのに立ち会ったということも聞いているんですが、それも事実でございますか。

大塚会計検査院長 通常、会計実地検査の初日には、検査に先立ち、相手側から業務の実施状況等についての概況説明を聴取することとしておりますが、その際に、今当該問題になっているOBの顧問が陪席したということが過去にはあったというふうには聞いております。

長妻委員 後輩が、怖い会計検査院が立入検査に来る。しかし、そこには先輩がいて、説明にも立ち会って、にらみをきかせていたのかどうかわかりませんが、陪席をしている。

 私、この天下った方にお話を聞くことができまして、こう言われていました。検査院の検査が入るときは立ち会うときもある、初日の概況説明に立ち会う、おおむね三月、七月に立ち入りがある、最近は早まっている、毎年三カ所ほど競馬場にも実地検査に行く、自分も検査員と一緒に競馬場への実地検査についていったこともある、十回はいっていないと。現場まで一緒にずっと先輩がついていくわけですね。こういうことがあっていいんでしょうか。

 この方は顧問という肩書ですけれども、先ほど申し上げた、官報に掲載しない、これはミスだ、不適正だと言われましたけれども、官報に掲載しなかったその件については、アドバイスを求めておりますか、中央競馬会は。

高橋参考人 特別にアドバイスを求めてはおりません。

長妻委員 ちょっと私が聞きましたのは、官報に掲載するしないの基準づくりに対して大所高所からアドバイスを求めた、こういうことは聞いているんですが、どういうことでございますか。

高橋参考人 我々は、今来ていただいている方に個別案件についてアドバイスを受けるということではなくて、今おっしゃったように、一般的に会計規程をどういうふうに改正するかとか、あるいは会計処理の方法をどんなふうに改善したらいいかとかというような、一般的な形でのアドバイスをいただいているということでございます。

長妻委員 まさかないとは思いますが、その天下った方が、逆に会計検査院に対して、こういうことは公表しないでいいよというようなアドバイスをしていたとしたら、これは大変問題だと思いますので、こういう疑われることを会計検査院もしない方がいいと思うんですが、概況説明に天下りの人が立ち会うということについて、院長、全くこれは問題ないんですか。

大塚会計検査院長 概況説明に陪席することによりまして、会計検査院の行っている検査の公正性、適正性が損なわれることはない、こんなふうに考えております。

長妻委員 損なわれることがないというふうに断言していいんですかね。ますますちょっと私自身は疑惑の念を深めるのでございますけれども、公表基準というのが、私、会計検査院に聞きましたら、非常に恣意的になっているのではないかというふうに思います。

 どういうものは公表してどういうものは公表しないのか、ある方に聞きました。これは幹部の方に聞きましたら、公表するしないはいろいろなことを勘案するんだけれども、まず金額、金額が小さいものは悪くても公表しない、あるいは悪質性があるかどうか、あるいは公表の意義があるかどうか、ほかの機関にもあるおそれがあるときは公表するんだ、あるいは国民の関心の高い事項であるか、いろいろな縛りがあるんですね。ですから、いろいろ総合的に総合的にと言われますけれども、何か都合の悪いものとかOBがいる先とか、何かそういう非常に不透明なんですね、国民の皆さんから見ると出す出さないというのが。

 この基準をやはり明確にしていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、会計検査院の現職の方と会計検査院のOBの方に、私、お伺いしましたところ、会計検査院の最大の問題は、相手が公表に同意しないと公表しない、こういう不文律があることだ、長妻さん、国会でこの点をただしてください、そういうふうに私はOBの方に頼まれました。事実かどうかは知りません。しかし、このOBの方や現職の方が私に訴えた中身というのは、非常に信憑性が高いんじゃないかなと最近思うようになっておるわけでございます。公表する、しないの基準をぜひ明確に打ち出していただきたいんですが、どういうことですか、公表する、しないの基準は。

大塚会計検査院長 会計検査院が特定の事案を決算検査報告に掲記するかどうかは、一件ごとに、その事実関係や指摘の規模、発生原因等を総合的に検討して判断することにしております。したがいまして、一定の条件あるいは数値に該当していれば自動的に掲記するというような、いわゆる掲記基準は設けていないところであります。

長妻委員 これは大変申しわけありませんけれども、今後、会計検査院の検査対象にOBが天下っている、そこに対する甘い検査があった場合、いや、OBがいるから甘いんだというふうに私は、申しわけないですけれども、疑ってしまいます。そういう意味でも、天下りをやめて、公表基準を明確に、基準、ガイドラインは打ち出していただきたいということをお願いを強く申し上げます。

 そして、次の問題でございますけれども、皆様方のもとに国土交通省総合政策局からいただいた資料をお配りしておりますけれども、この資料の中で三枚の、私は何か裏金帳簿の疑いがあるのかなと思うような帳簿をいただきました。

 ここを見ますと、例えば一月十六日、忘年会二次会等振り込み七万九千円。三月十六日、総務課三万円。確定申告還付金四人分二十八万三千二百円、これは収入です、こっちは。それと、用地ヒアリング精算、七月三日、十六万八千九百二十五円。あるいは、ビールとか懇親会代、打ち上げ、弁当代等々、いろいろなことが書いてございます。

 しかし、これを見ると、毎月毎月、例えば一月では一月十六日に一月分ということで二万八千円の収入がある。これは、いろいろな福利厚生費として職員の方から会費を受け取って入金しているということで、国土交通省によると、親睦会費を書いた覚書メモだ、こういうような御説明でございました。

 しかし、職員の会費だけでやっているんだったら私は問題ないと思うのでございますが、ほとんどの収入はある出版社からのものでございまして、この出版社が五回に分けて、この帳簿はことしの一月から八月二十二日までで切れておりますけれども、その間、五回に分けてトータルで七百五万四千三百四十三円振り込まれているわけでございます。一月十六日に三百万円、四月五日に二百六十一万円、五月十五日に二十万円、五月十五日に、同じ日に分けて四十一万円、六月十五日に八十一万円と、五回振り込まれておりますが、この五回の入金というのは、それぞれ、いつ作業をした、そして何の対価なのか。五回、それぞれ簡潔にお示しいただきたいと思います。

    〔委員長退席、古川(元)委員長代理着席〕

冬柴国務大臣 国土交通省の中に国土環境・調整課という課がありまして、そこには課員がおおむね二十人、ふえたり減ったりするときはありますけれども、勤めております。この仕事は、用地を取得した、あるいはその上の建物を取得したという場合に、どれほどその所有者に対して、あるいは地上権の場合もありますけれども、補償をするかということを決める、そういう課でございます。

 そういう特殊な仕事がありまして、このような仕事は、国土交通省の中でも、本省だけではなしに地方には八つの支局、これも整備局とまた別に運輸局がおります。また、その下には三百四にわたる地方事務所もあります。そういうところがそういう仕事をするわけでございます。したがいまして、大変技術的で、そして、その時々の補償をどれくらいしたら正当かということを知るには、非常に技術的な点があります。十分そういう知見を持った、経験も持った人たちがその調整課にはいるわけでございます。

 したがいまして、その中の九人の人が、第一法規という出版社でございますが、そことの間で契約を結びまして、そして書籍の執筆をした。それは、仕事上のいろいろな知見に基づいて、第一法規の方からその人たちにぜひ執筆をしてほしいということでやられたと私は聞いております。したがって、そういうものの、請負契約になりましょうか、そういう執筆料というものがそこに入っているということでございます。

 今示された資料は、その調整課の二十人の方々の共通の収支といいますか、共通のお金をそこに記載した私のメモでございまして、公的なものではございません。

長妻委員 今、請負契約と言われましたけれども、だれとだれが、あるいは法人でも結構ですけれども、どことどこの契約ですか。

冬柴国務大臣 そのような出版を企画いたしました第一法規という株式会社と九人の人たちの間で結ばれたものでございます。

 ただ、九人の人たちは、私はこの性格はわかりませんけれども、研究会というものをつくっておりまして、その研究会は民法上の組合だろうと思いますけれども、せんじ詰めれば、九人の一人一人と第一法規との間の執筆という形の請負契約であろうというふうに思います。

長妻委員 民法上の組合と言われましたけれども、この研究会は、聞いておりますのは、用地補償実務研究会、これを職場の中でつくって、民法上の組合として請負契約を結んでいる、そこでお金が入ってきていろいろなものに使っていると。個人でも使っているんでしょうね、地方税も払われておりますので、個人所得として計上されておられるんではないかとも推察しますが。

 何でこれを私は問題にしておりますかというと、第一法規からお金は入っているんですが、何の対価なのか実態がわからないんですね。説明を何度聞いてもお示しいただけない。

 六月五日に入金があった八十一万円については、これを書きましたということで、コピーを持ってきていただきました。百七十四ページ分のこれを書いたんですと。ただし、去年の仕事なので、一年以上たって入金されるのは私もどうなのかなとも思いますが、八十一万円分はある。

 しかし、八十一万円分といっても、ほとんど条文がただ丸写しですね。土地評価事務処理要領、別記一、十六条、九条とか、地価公示法九条とか、若干解説もありますけれども、これが八十一万円の対価とは私は到底思えないのでございますが、それ以外の四回については、いつ仕事をしたのか、どのページを書いたのかわからないということでありまして、本当に実態がある労働の対価なのかどうかというのを確認したいんですが、事務方の方、いかがですか。

川本政府参考人 お答えいたします。

 この件につきましては、第一法規出版の方に確認をしましたところ、追録三百六十八ページ、四百六ページ、八十二ページ、それから、ただいま先生がお話になりました百七十四ページ、それぞれについての執筆作業に対する対価であるというふうに聞いております。

長妻委員 いや、第一法規に確認したと今言われましたけれども、この九人の方に、いつ作業をしたんだい、こういう確認はされたんですか。

冬柴国務大臣 この作業は、私が冒頭申し上げましたように、第一法規と九人の人たちのプライベートの仕事でございます。したがいまして、我々はそれを確認したり、またこういう場で公表したりすることは適当ではないと私は判断をいたします。

長妻委員 プライベートということは、では、その仕事は職場ではしていないわけですか。

冬柴国務大臣 職場ではいたしておりません。就業時間が終わってから自宅で、あるいは一部は職場でやっているかもわかりませんけれども、終わってからの仕事でございます。

長妻委員 これは、しかし私は問題があるんじゃないかと思うんですね。こういうものを、職場でこれをつくっているわけですね、こういう帳簿も。全く勤務時間外に全部、こういう帳簿もつくっているんですかね。私はそうは思えないんですけれども。

 そうしましたら、問題がなければ、それぞれ、過去四回の作業がいつからいつまでした作業なのか、あるいは、どの部分のこれはコピーですよというふうにいただきたいんですけれども、それもだめだということでありますね。そうしたらば、どうやってこれを確認すればいいわけですか。

 そして、この中を見ますともう一点、これは私も理解ができないんですが、ここには実名の課長補佐の名前が書いてありますが、あえてI補佐と言います。I補佐という補佐に、この方は国土環境・調整課の方ですけれども、ことし一月から八月にかけて、六回に分けて合計百五十一万六千円が渡されているんですね、I補佐ということで。

 これは、贈与税が発生するのかどうか。一人当たり年間百十万円までは非課税ですから、百十万を超えれば贈与税がかかってくると思うんですが、その贈与税の問題と、そもそもこのI補佐というのは、この作業にかかわった人なんですか、執筆した人なんですか。

冬柴国務大臣 執筆にかかわった人ではありません。

 この補佐は、常に席にいる人でございまして、所員が、昼食あるいはいろいろな買い物がそこに書かれていますけれども、そういうものをその方に預けまして、そして逐次それを支出していただいた、そういう関係である。

 それは、私は、補佐という名前が出た以上は、私ども国土交通省の職務に関係があることをやったのかどうかということは調査する必要があるという判断のもとに調査をいたしました。そうしますと、そういうことが明らかになりましたので、それは、金銭を受託、いわゆる消費寄託しただけでありますから税は発生しない。それは、税務当局もそのように言っていますし、事実もそうであると確認をいたしました。

    〔古川(元)委員長代理退席、委員長着席〕

長妻委員 不可解なのは、ほかでは別に打ち上げ費用とかビール代とかいっぱいこれはありますけれども、何でこの方を経由して支払わなきゃいけないんですか。どうしてこの方に百五十一万六千円が直接渡っているんですか。

冬柴国務大臣 その点ももちろん問いただしましたけれども、それは、昼食代等を都度支払ったものでありまして、一遍に百五十一万が渡されたものではございません。そういう事実関係を我々は承知いたしております。

長妻委員 一遍に渡されていないというと、例えば、一月十六日は三十万円、これは昼食が三十万円ですか。一月二十五日は十万円、二月二十四日が三十万円、四月三日が三十五万円、六月三十日が十六万六千円、七月三十一日が三十万円ということで、こういうような形になっております。

 そして、地方税を払ったというので、名前がいっぱい書いてあって、お金がある。あるいは、先ほど申し上げた確定申告の還付金、あるいは確定申告五人分、五十一万六千九百円を払っているということで、もし本当に個人のものであれば、仮に一〇〇%個人のプライベート契約であれば、こんなところに載せないで、個人が本当にもらって個人で確定申告をして、個人所得としてなぜ処理をしないんだろう、こういう疑問もあり、本当に税務が、税金関係がきちっとなされているのかということも懸念されるわけですが、今後もこういうのは全く問題ないということで続けるおつもりですか。

冬柴国務大臣 きょう、長妻委員から御指摘がありましたこういう疑惑を、国民の疑惑を受けるようなことはやめようと私は思います。

 ただ、このような特殊な分野での知見というものを持っている人たちがいるわけでして、そういうものが地方、先ほども言いましたけれども、三百四の地方事務所の人たちは、毎日、土地の収用あるいはそれに伴う補償等の事務に携わっているわけです。またそれは、地方の団体、市町村もそういう作業が要るわけでございまして、これに対してどれだけの補償をするのが適当なのかという一つのメルクマールが必要になるわけでございます。そのときにこの人たちの知見というものは大変大事なものでございますから、これは相当高い、高価な本でございますけれども、そういう人たちが買っているわけでございます。国土交通省は、ちなみに一冊も買っていません。けれども、それは知見を持っているからでございまして、地方ではそういうものを買っている。

 ですから、そこの兼ね合いでございまして、国土交通省として出版したものではございませんので、そこのところを今後、こういう会計処理が適当なのかどうか、それは我々の内部で十分に検討して、疑念を国民が持つことがないような、そういうことを考えていきたいと思っております。

長妻委員 いや、業務に必要であれば国土交通省が仕事の中で出版されればいいんじゃないですかね。

 それで今、国土交通省は一冊も買っていない、こういうふうに大見えを切られましたけれども、事務局、どうですか。一冊も買っていないんですか。

冬柴国務大臣 本省では一冊も買っておりません。

 今委員から出していただいたこの一覧表を見ていただいたらよくわかると思いますが、平成十七年度における本省と第一法規出版株式会社との契約金額は、二千二十万三千五百九十四円と書いてありますが、この中には一冊も入っていません。これは、現行法規総覧等、加除式のものが、これは本省の備品として買い入れているものでございます。

 下にいろいろと書かれております。この人たちが書いた本でございますけれども、これについては、国土交通省の購入部数はと書かれておりますが、本省ではなしに、先ほど言いました出先機関、整備局あるいは運輸局、八局ずつありますが、その下にも三百四の事務所があります。そういうところが、その中の予算あるいはお金からそれぞれに買っているものでございまして、国土交通省が買ったものではございません。

長妻委員 本当に、トリックのような答弁はやめていただきたい。国土交通省は一冊も買っていませんと大見えを切って、地方だって、地方の整備局等は国土交通省ですよ。普通の人はそう思いますよ。それはちょっと非常にトリック的な答弁だと思います。

 次に、社会保険庁にお尋ねいたしますけれども、国民の皆様方がまじめに納めておられる厚生年金や国民年金の保険料が、納めた記録が消えてしまって、あなたは納めていないよということを宣告されてしまう。こういう方々がおります。あるいは、もう厚生年金、国民年金を受給している、年金を受け取っているにもかかわらず、ちょっと金額が少ないんじゃないかというふうに思って、受け取りながらも疑問に思って社会保険庁に問いただすと、済みません、納付記録を消してしまったので、回復すればもっとあなたは多くもらえるんですよということで、年金の給付金額がふえた、こういうことをかち取った方もいらっしゃるということで、非常にずさんでございます。

 この八ページでございますけれども、これは、年金記録の強化体制ということで、窓口やインターネット等での受け付けによって納付記録の漏れがないのかどうか、これを確認した社会保険庁の資料でございますけれども、これまで窓口に、記録が大丈夫かということで調査に来られた方が四十一万二千六百五十人おられた。その中で、いろいろ窓口でも調べたら、ほかの年金手帳番号があった、別の番号にあったから記録はありましたよ、あるいは旧姓で登録されていました、ありました、その他いろいろ調べて、消えていたと思ったんだけれども記録が見つかりましたというふうに助かった方を除いて、それでもわからないという方が八千四百二十二人おられた、二%。

 そして、この九ページでございますけれども、個々の事業所をお尋ねしましたら、東京でございますが、北区の北社会保険事務所では、八月二十一日から十一月二日まで窓口に記録相談に来られた方が千二百四十八人。その方のうち、どうしても記録が見つからないから、あなたは記録はないです、あるいは一部ないです、こういうふうに宣告されてしまった方が三十二人おられます。つまり、相談に来た方の二・五%はもうどうしようもないと言われてしまった。もちろんその中には、ひょっとすると本人の記憶違い、払い込んでいると思っても払い込んでいない方もいらっしゃるかもしれませんが。池袋社会保険事務所では、一千四百九十三人が同じ時期に相談に来られて、九人の方が、あなたの言い分はだめです、それは記録はないんです、こういうふうに言われる。

 そして、十ページ目でございますけれども、これのトータルの数字が社会保険庁から出まして、同じ時期、八月二十一日から十一月二日までインターネットや窓口で相談にあった方がトータルで四十二万四千九百五十四人おられた。その中で、もう決定して、あなたの言い分はだめですよ、一部も含めて、すべても含めてその言い分は認められませんよというふうに社会保険庁からけられた方というのが五千百八十一人、全体の一・二二%ということでございます。

 仮に、この一・二二%という数字を、日本の厚生年金、国民年金の被保険者が約六千五百万人、受給者が約三千五百万人、足し算すると一億人の方に一・二二%を掛けますと、百二十二万人。つまり、百二十二万人ぐらいの方が、自分が考えている納付の記録と、実際社会保険庁まで行って調べるということですから、よっぽどこれはただの記憶違いじゃなくて、記憶を確かめて行った方がほとんどだと思いますけれども、それでも、それは払っていないんだよと言われてしまった方がそのぐらい多くいるのではないか。

 そして、十一ページ目には、五十八歳通知ということで、五十八歳の誕生日の後に納付記録を送ってチェックをしていただく、こういう制度が始まりました。その中で今まで延べ四百十四万六千五百六十五人の方に郵便で納付記録が間違っていませんかというふうに送りましたら、そのうちの八・八%である三十六万六千五百四十四人の方から、間違っているから訂正してくれ、こういう訂正要求が来た。しかし、それをどういうふうに訂正したのかというのは調べられない、答えられない、こういうふうに社会保険庁から冷たい返事が返ってきております。

 そして十二ページ目は、今度は、年金を実際に受け取っているにもかかわらず、おかしい、おかしい、この受給額は少な過ぎるんじゃないかなどなどいろいろな疑問があって、一回受け取っている年金の裁定というのを変更するという方々が、平成十五、十六、十七年度で十一万六千百三十人いらっしゃる。これは、社会保険庁が払う金額を決めた後にミスを認めて金額を増額したのか、減額した部分も一部あるということですけれども、では、増額したのは何人ぐらいいるのかという数字も出せないということで、消えた年金記録ということで我々民主党としてもプロジェクトチームをつくって取り組んでおりますけれども、これに対してほとんど答えられないということであります。

 ぜひ、きちっと答えていただくのに加えて、日本じゅうの厚生年金、国民年金の被保険者と受給者全員に緊急調査、全員に納付記録を送って緊急にチェックしていただく、こういう措置をするべきではないかと私は思うんですが、その二点に関して御答弁をいただければと思います。

仙谷委員長 村瀬長官、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

村瀬政府参考人 まず、委員御指摘のいろいろな資料の件についてお話し申し上げたいと思いますが、初めの、八ページ以降で御提示ありますのは、八月から十二月にかけまして、特別強化月間という形で、加入記録について個々人の希望によりましてしっかり見ましょうということでやらせていただいた結果でございます。

 それから十一ページは、平成十六年から五十八歳通知ということでやらせていただいておりまして、その部分について返ってきた結果でございます。

 それから十二ページ以降は、実は五十八歳通知をする前のデータでございまして、裁定請求時に一たん裁定をさせていただきまして、その後記録が新しくわかったということで裁定を変えさせていただいたということでございますので、資料はいろいろなのが入っているということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 それから、今まで社会保険庁の記録管理という観点での仕事でいいますと、平成九年に基礎年金番号が定められましたときに、従来の方々に対して、基礎年金番号について全件チェックを個々の被保険者にお渡しをいたしましてさせていただいております。また、その段階で九百万人の方々が記録をしっかり訂正をされていただいている。

 その後、名寄せ等も含めまして、さらに平成十八年までかけて現在やっておりますけれども、約九百万人の方々が名寄せ関係の訂正をさせていただいているということで、記録につきましては既にいろいろな手だてを講じているということでございます。

 ただし、それでもやはり裁定時に記録が修正されるケースが多いということで、先ほど申し上げましたように、平成十六年から五十八歳通知を差し上げて、まず自分の記録をしっかり見てください、そして、六十歳裁定時についてその記録のターンアラウンドで裁定をさせていただく、こういう準備をとっておりまして、そういう点では着実に記録管理は進んでいるんだろうというふうに思います。

 それを受けまして、さらに現在、平成二十年度から、ねんきん定期便という形ですべての個々人に対して加入記録並びにその年金見込み額も含めまして御提示する方法を考えておりますので、これを着実に実施していけば、先ほど委員がお話しありましたような形の、国民の皆さんに年金制度そのもの、また御自身の加入記録について信頼ある形に変わっていくのではなかろうかというふうに私は考えております。

長妻委員 まだまだ大きな被害が長官が考えられている以上にございますので、徹底的に究明したいと思いますので、よろしく御協力いただきたいと思います。

 終わります。

仙谷委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 岩國哲人でございます。民主党を代表いたしまして質問させていただきます。

 最近、新聞、テレビ等で毎日のように報道されておりますのは、県庁の裏金づくり、これが大きな問題となっております。それに加えて、総務大臣御存じのように、知事自身の裏金づくり。役所で裏金をつくって、知事自身も個人ベースで裏金をつくる、この知事の裏金づくり、最近広島県等で問題になっておりますが、この実態は把握しておられますか。まずその点をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 今、広島と言われましたか。広島について私は理解を……。ちょっとお待ちください。岐阜とか長崎県については把握していますけれども、広島については私はまだ把握をしていません。

岩國委員 岐阜とか長崎、これについては県庁の、役所としての組織的な裏金づくり。私が今、特に総務大臣に御意見を伺いたいと思いましたのは、広島県知事の、これはもう既に新聞等にも発表されております。ですから、こういったことについて、総務大臣として、我々議員を含めて、それぞれの政治資金の収支報告書というのが総務省に出されておりますね。知事もそれぞれに出していらっしゃると思いますが、収支報告書がかなり偽装されているんじゃないかという疑いが新聞等で報道されております。これについて総務大臣は御存じかどうか、またそれについて調査されたのか、三番目に、それについてどういう対応を考えておられるのか、以上三点、お願いいたします。

菅国務大臣 大変失礼しました。広島県のは、多分一年かそれ以上前のことであったと思います。それについては掌握しております。

 詳細については、事務方に答弁させてください。

久元政府参考人 私ども、政治資金規正法を所管させていただいておりまして、法律の規定に基づいて、政治団体からの収支報告を受ける立場にあります。

 委員御指摘の、都道府県知事の後援会、あるいは党の、政治団体の収支報告書につきましては、総務大臣が所管している分については私どもが受けておりますが、それ以外のものにつきましては、それぞれの都道府県の選挙管理委員会がこれを受理して、そして適切にこれを公表している、こういうことでございます。

岩國委員 私が総務大臣にお伺いしたいのは、こういう事実を知っておられるということを今答弁していただきました。十一月二十九日の新聞に、知事の裏金発覚相次ぐ、収支報告形骸化のおそれ、これはごく最近の新聞です。こういう収支報告に対する信頼感が大きく揺らいでいる。それ以上に問題なのは、行政の責任者である知事とか市長のそういう裏金づくりということがこの国で行われているとすれば、それに対して総務大臣としては、この収支報告のあり方について、どこを改善しなければならないのか。

 例えば、伝えられる広島県知事の場合ですと、表の収入は二百六万、裏の収入は八千三百万、静岡県知事の場合、表の資金管理団体では百九十万の収入、裏で一億二千万の収入。なぜこのように裏と表と大きく違い、しかも表はごくごく小さい金額で、裏でパーティーその他、支援団体、党の方からお金が入っているのか。これでは収支報告を出す意味がほとんどなくなってきているんじゃないか。

 これについて、所管の大臣としてどういう認識を持っておられるのか、どのような対応をしようと考えられておるのか、何も対応は考えておられないのか。これは、行政に対する信頼感を大きく揺るがせることになると私は思います。どうぞ、お願いします。

菅国務大臣 あってはならないことであって、当然それぞれの、政治資金規正法等、その枠内でしっかりと私は届けるべきである、こう思っています。

岩國委員 大臣として、もう少し真剣にこういうことに取り組んでいただきたいと私は思うんです。

 収支報告はただ受け取るだけ、それでいいのかどうか。やはり総務省という権威のある役所に出す以上、それは信頼あるものが出ているものと一般の国民も思うわけです。それが形骸化しているとなれば、何らかの対応をお考えにならなきゃいかぬでしょう、行政に対する信頼を保つためには。それが総務大臣として一番大切なお仕事じゃありませんか。

 それに対して、収支報告のあり方を、例えば、県の方に出す、もう一つは中央の方に出す、このように二カ所に分けて出すという仕組みも私は問題があると思います。また、資金管理団体というものを特定しながらも、別の財布は二つも三つも四つもあるというやり方。さらにこうした知事、市長の場合には、行政の権限を持っている人間が、ある意味では公権という、公の権利、公の職権というものを利用しながらこれだけの、最近報道された知事による資金パーティー、知事さんは一人平均四千万円の収入を上げている。

 我々国会議員以上に集めているということに対して非難するつもりはありませんけれども、当然そこには、公権力、行政権力というものが影響することによってこういうお金を集めることが可能になっているわけです。これに対してどのような認識を持っておられるのか、どう対応されるのか、もう一度お答えください。

菅国務大臣 先ほど指摘のありました、表が百数万円で裏が全くそれと単位の違うようなことというのは、これはあってはならないことであるということは当然のことであるというふうに思います。

 ただ、総務省の権限でありますけれども、総務省は、政治団体が提出された届け出書類や収支報告書の形式的な不備等に係る形式審査権に限られている、このこともぜひ、現状ではそうなっておりますことも御理解をいただきたいというふうに思います。

岩國委員 形式的な審査権という一つの壁があるというお話ですけれども、その壁をどのように打破するのか、具体的な方策は御検討になっているのか。そのままで仕方がない、あってはならないこと、あってはならないことがあってはいけないからこそこういう仕組みをつくっているわけであって、その仕組みが機能していないとすれば、機能するように担当の所管大臣としては考えなきゃいかぬのじゃないでしょうか。

菅国務大臣 当然、先ほど御指摘のあった二つの知事の点につきましては、それは法律に基づいてしっかりと出すべきである。これは当然のことであるというように思いますし、また、政治資金の問題については、それぞれの政党や政治家の政治活動の極めて重要なことでありますので、従来も、それぞれの各党会派で協議をした結果今日の法律があるわけでありますので、そうしたことの議論もまたさせていただきたいというふうに思います。

岩國委員 大臣にさらにお伺いいたしますけれども、こうした知事、市長の資金パーティーというものについて、大臣自身は、個人的な御見解でも結構です、これからも自由に続けさせた方がいいのか。相次ぐ役所の裏金づくり、あるいは毎月一人ずつ知事が逮捕される、このような事件が相次いでいる中で、知事、市長の資金パーティーというのは禁止するか自粛させるかが私は必要ではないかと思いますけれども、大臣自身の個人的な御見解でも結構ですから、御答弁いただけますか。

菅国務大臣 知事や市長の政治資金のパーティーを自粛するあるいは禁止するということでありますけれども、現在の法律の中にはそうしたことはないということも事実であります。しかし、それだけの権限も所有していることも事実でありますので、法律で認められているとはいえ、それはそれなりに、個人個人がしっかりとした、市民や国民から見て変に思われることのないような形でやはり行うべきである、こう思います。

岩國委員 最近総務省が、多選の問題、多選の弊害について検討され、多選禁止が法律的にどのように可能であるかということについて取り組んでいらっしゃることを私は評価したいと思います。同時に、すぐにもやれることは、こうした知事、市長が資金パーティーを自粛するような指導もされるべきではないかと私は思います。

 最近、総務事務次官の名前で、各都道府県知事、それから各政令指定都市市長に通達といいますか、メッセージを発信されましたね。これは十一月七日付の文書ですけれども、こうした不祥事の再発防止を期すために、全体の奉仕者であることを改めて強く自覚し、と。私は、こういったことをさらに実効性あらせるために、もう少し総務省が踏み込んで、行政全体の国民からの不信というものを払拭するためにもっと努力されるべきではないかと思います。

 例えば、横浜市で起きた事件を大臣も横浜御出身の国会議員として御承知だと思いますけれども、区長がそのようなパーティーを開いた、町田市の市長選挙に関連して。これが市議会でも大きな問題になっております。これは、決して法律的にはそれを禁止するものはなかったかもしれない。しかし、公務員としてそのようなことはやってはいけないことである。それは、横浜市長自身がそのような資金パーティーを毎年のように開いておるということが、結果的には、上のやることを下も見習う、自分たちもやっていいんだろうという雰囲気をつくり出したことは私は否定できないと思います。

 この件について、大臣はどのようにお思いになりますか。

菅国務大臣 私も町田市の問題については新聞報道等で知っているわけでありますけれども、あの問題については、政治資金規正法上問題があるという形で法的な処置がされたというふうに思います。

 また、横浜市長のパーティーにつきましては、これは法律で実は認められておるわけでありますし、私が、それがいいとか悪いとか言う立場にはないというふうに思っています。

 ただ、やはり市長として、先ほど申し上げましたけれども、市民から見て著しく常識を逸脱するようなことは、やはり御本人の判断で自粛すべきかなというふうに思います。

岩國委員 先ほど、知事のいわゆる裏金報道について質問させていただきましたけれども、この広島あるいは静岡以外の知事についても、既に報道されている県はほかにどこがありますか。

久元政府参考人 委員御指摘の、いわゆる裏金という問題と、それから、知事が開催する政治資金のパーティーの問題を、委員、一緒に御指摘されましたので、ちょっと恐縮ですが理解できないところがあるわけですけれども、私どもは、政治資金パーティーの状況ということにつきましては、総務省が所管する政治団体については総務省が把握をして公表しておりますし、都道府県選挙管理委員会が所管する政治パーティーにつきましては、それは都道府県の選挙管理委員会がこれを受理して公表し、私どもはその要旨の報告を受けておりますので、その範囲で私どもは承知をしているということでございます。

岩國委員 総務省として、既に新聞で報道されている県の名前を挙げてください。

久元政府参考人 政治資金パーティーにつきまして、地方紙も含めましてさまざまな報道がなされていることは承知しておりますけれども、それにつきまして、私ども、すべて把握する立場にはないというふうに思っております。

岩國委員 資金管理団体の収入として総務省に報告がなされているものと違う、いわゆる裏金という表現で新聞は報道しておりますけれども、収支報告書にあらわれていない大きな収入がある、それが報道されている県は、この二つだけですか。二つ以外にはありませんか。総務省として、知らぬ存ぜぬ、新聞は一切見ておりませんということはないでしょう、総務省のネットワークの中で。この二県以外にはないということをはっきりおっしゃってください。

久元政府参考人 資金管理団体の制度がありますけれども、法律上、後援団体のうちから資金管理団体を一つ指定することになっておりますけれども、資金管理団体以外の団体が政治資金を取り扱ってはいけないということにはなっておりません。

岩國委員 問題となるような、表の収入とかけ離れた大きな収入がある県は、この二つの県以外にはないということですね。答弁はそのように理解してよろしいですか。

久元政府参考人 政治資金の収支報告につきましては、法律に基づきまして、私どもは総務大臣として、また、都道府県の選挙管理委員会は都道府県の選挙管理委員会として受理をして、そしてこれを公表するということがそれぞれの役割であります。

 しかし、そういうふうに報告を受けて公表されたもの以外につきましては、さまざまな報道があることは事実でありまして、私ども、その報道のすべてについて承知する立場にはないということはぜひ御理解をいただきたいと存じます。

岩國委員 新聞に報道されているかされていないかさえも確認がとれないということですか、この二県以外には。おかしいじゃありませんか。もちろん、いろいろな情報を持っていらっしゃるでしょう。少なくとも、活字になっている、一般国民の、納税者の目に触れているものがありながら、それはこの二県以外にはないということなんですか。この二県以外には活字にもなっていないということですか。

久元政府参考人 私どもは、選挙制度なり、また政治資金制度を所管する立場からさまざまな情報を収集しておりますし、また、ほかの部局につきましても、それぞれの立場からいろいろな情報を新聞報道などを見ながら収集することについては努力しておりますけれども、そのすべてについて私どもが把握をする立場にはないということを申し上げているところでございます。

岩國委員 そのすべてについては知らないけれども、一部については知っているというふうに理解すればいいんですか。一つも知らないのか、すべては知らないのか、どっちなんですか。あなたの日本語はとても理解に苦しむわけです。三番目、四番目はないということなのか、四十七の知事について全部を知っているわけではないが、一部は知っているということなのか。

久元政府参考人 これは事実関係の問題でありますので、私どもがどういうような新聞の報道などを承知して整理しているのかということにつきましては、突然のお尋ねでございますので、この場で今すぐに申し上げるべき材料は持ち合わせておりません。

岩國委員 それでは、この委員会に提出してください。この二県以外に、表の金と裏の金と非常に大きな隔たりがあるもの。

 そうした収支報告書を形骸化しようとしている。収支報告書というのは皆さんのお仕事ですよ。皆さんのやっている仕事を形骸化しようとしていることに対して、大臣、なぜそれに対する対応策をお考えにならないんですか。自分たちがやらなきゃいけない、そして国民から委託されて、その責任でもって実行している収支報告書の制度そのものが今形骸化しようとしているのであれば、それに対して何らかの手を打つというのが責任ある公務員の仕事ではありませんか。大臣、最後に一言。

菅国務大臣 ぜひ分けてお考えをいただきたいと思いますけれども、都道府県知事や政令指定都市の市長の資金管理団体については都道府県の選挙管理委員会が取り扱っておるわけでありますから、それについてはやはり都道府県で責任を持ってしっかりと審査してもらう。私ども総務省は、国に届け出があったものについては私どもは責任を持って対処する、そういうことであります。

 ただ、いずれにしろ、国といえ地方といえ、政治資金そのものは、やはり政治資金規正法に基づいて、表も裏もそれはあるわけはないわけですから、実態に即して届ける、それが当然のことだというふうに考えています。

岩國委員 大臣御承知のように、国会の中でもこの政治資金の取り扱いについては問題が非常に大きくなってきております。これは国会としても真摯に取り組むべき問題だと私は思います。同時に、国会と同等に、あるいはそれ以上に、納税者の皆さんの不信を買うかもしれないこういう知事、市長の資金パーティーのあり方と、またその報告のあり方について、ぜひ総務省としてももっと踏み込んだ検討と対応策というものを御検討いただきたいということを要望しておきます。

 次に、質問をかえまして、寒冷地手当についてお伺いしたいと思います。

 これは、戦後間もなく寒冷地に対する手当として行われたわけですけれども、今現在、地方公務員に対して幾ら支給されておるのか、国家公務員に対して幾ら支給されておるのか、そして、それは十年前に比べてどれだけ減額されたのか、それをお答えいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員に対する寒冷地手当の支給総額の実績でございますけれども、申しわけございません、十年前のものはちょっと、あらかじめ私承っておりませんでしたので、手持ちがございませんが、私の手元に持っておりますのは、平成十五年度で六百六十四億円でございます。それから、一番近い統計は平成十七年度でございますが、この年が四百九十九億円というふうになってございます。

真砂政府参考人 国家公務員の方でございますが、十七年度予算で百三十七億円、十八年度予算で百四億円という形になっております。

岩國委員 いわゆる温暖化現象ということに伴って大幅な見直しを私はかつて要求し、二年前にそれは実行に移されたわけですけれども、この寒冷地手当というのは民間企業においてどの程度支給されているのか。特に北海道において、北海道で採用され北海道で勤務している民間企業、北海道電力とか、あるいはJRもそうでしょう、そういう人たちにも寒冷地手当は支給されているのかどうか。こうした地場企業、地元企業と言われるところにもそれは支給されているのか、公務員だけが支給されているのか、この点についてお答えください。

関戸政府参考人 寒冷地手当の民間における支給状況でございますが、私どもが、国家公務員の寒冷地手当の支給対象地域に限定しておりますけれども、その地域に属する七千五百七十四事業所に対して、十五年十月一日現在で、これは十六年に見直しをするときの調査でございますので、寒冷地手当に相当する手当がどのように支給されているか調査をしたのですけれども、その結果では、北海道にある事業所については八〇・七%、約八割の事業所で寒冷地手当等が支給されていたという実態でございます。

 この中の、北海道にもともとお住みになっている方とか地場の企業についてどのくらいあったかということ、詳細は明らかではございませんけれども、北海道にある事業所の中でかなりの部分は、地場の企業というか北海道の中に本社がある企業でございまして、その中に、その地域にいて、最初から採用されて勤めておられる方も相当あると思いますので、そういう方にも支給されている、相当支給されている実態があるというふうに私どもは見ております。

岩國委員 それでは、北海道電力で採用され、あるいは北拓銀行で採用された民間のサラリーマンにも支給されているということですね。

 本社が東京にあって転勤で北海道へ行くから手当を受けるというのを除外して、北海道に本社があり、北海道でしか転勤はない、そういう人を対象にして、同じように、札幌市役所あるいは北海道庁、そういうところ、勤務体系は、採用されて、そしてほとんど一生涯転勤はない、それと比較しなければ意味がないじゃありませんか。

関戸政府参考人 お答えをいたします。

 実は、先ほど申し上げました十五年時点における調査でございますが、調査自体において、そういう特定をした調査というのは行っておりません。したがって、今お挙げになったような特定の企業についてどうであるかというのはわかりません。

 ただ、私どもが国家公務員の寒冷地手当というものをどうするか、適正な支給というのはどうなるかということを調査した場合に、北海道なら北海道の事業所で働いている人がどのくらい受けているか、その全体の平均を調べておりますので、それで国家公務員の適正な水準の参考になるものということでやったものでございます。

岩國委員 国家公務員であれ、そして特に地方公務員の場合に、転勤というものはなくて、ほとんど四十年間を北海道の中で勤務される。同じような民間企業の形態と比較しなければ、意味がないじゃありませんか。日本通運の、あるいは三菱銀行の札幌支店、そういう場合には寒冷地手当があってもごく自然だと思います。しかし、採用されてから定年に至るまでずっと同じ勤務地で勤務する、そういう人と手当の体系を比較しなければ公平とは言えないと思います。私もその結果をいただいておりますけれども、この七千五百七十四事業所の中に、そのような勤務体系だけを選んで調査しておられないということですね。

 そういう気がないからじゃないですか。結果的には八割が支給されておる、そういう都合のいい数字を引っ張り出すために、全国企業の北海道勤務、北海道への転勤というデータだけを集めて、そしてこのような寒冷地手当という制度が、札幌で採用され、札幌で定年になる人にまで支給をされておるということじゃないんですか。

関戸政府参考人 北海道について、実は、民間準拠ということで考えたときに、北海道の事業所についてまずどうするかということを考えたということでございますが、北海道については八〇・四%、約八割の事業所がその従業員に対して支給をしているということでございますので、先生御指摘のところというのは、八〇%というよりも、その率と、多少はあるかもしれませんけれども、一般的に、いろいろな方にすべて支給されているのではないかというふうに考えております。

岩國委員 私は、その推測は間違っていると思います。少なくとも甘いと思います。

 札幌市役所の人でどれぐらいの比率で転勤ということがあるのか、北拓の場合もどれだけ北海道以外のところへの転勤があるのか。およそ転勤ということとほとんど無縁の事業所において、それと同じ民間企業とを比較しなければ、私は正当化できないと思います。

 民間で働いている人が、北拓で、あるいは北海道電力で採用され、寒冷地手当というものをもらわない、しかし、公務員であれば全員が寒冷地手当をもらえる、この官民の差があるとすれば問題だと思うんです。そういう意識を持って調査されたかどうか、お答えください。

関戸政府参考人 先ほども申し上げましたように、具体的に明らかにした、特定した調査は行っておりませんので、その詳細というものをそのまま客観的な数値であらわすことはできません。ただ、北海道の事業所、調べた事業所の中でというのは、北海道の地域の中に本社を持つ企業であり、また、寒冷地手当、ほかの寒冷地に本社を持つ企業というのが相当数ございますので、先生御指摘のように、その地域で採用された職員については、もうほとんど支給されていないとかというようなことはないというふうに考えております。

岩國委員 私は、調査は必ずしも十分だとは思いません。したがって、北海道の地元企業が新入社員を採用したときに、普通の給料以外に寒冷地手当という名目でそういうものを支給しているかどうか、再度私は実態調査をしていただきたいと思います。

 次に、質問をかえまして、生活保護についてお伺いいたします。

 憲法第二十五条で規定された、最低限の生活を保障するという意味で始まったこの生活保護ですけれども、生活保護予算、これについてお伺いいたします。

 生活保護世帯、人員、それから生活保護支給額、この三つの数字を見ますと、ふえたり減ったり、当然のことですけれども増減しております。どういうときに増加し、どういうときに減少するのか、この予算について御説明いただけますか。

御園政府参考人 生活保護は、委員御承知のとおり、生活に困窮する方々が、その利用し得る資産なり稼働能力その他、あらゆるものの活用を図ってもなお最低限度の生活が維持できない場合に、それをカバーするためのセーフティーネットとして発足して運用しております。

 申請していただいて、それで要件に適格した方に対して生活保護を適用しておりますので、どういうときにというのは、まさにその申請者が来られて、受給要件に合致された方に支給しておりますが、過去の傾向から見れば、一概に、私どもきちんと分析したわけではございませんけれども、景気の動向にほぼ対応したような形で、景気がよくなると減り、景気が悪くなるとやはりどうしてもふえてくるという傾向があることは事実だと思います。

岩國委員 景気の動向というのは大きな要素、ファクターであるという御説明ですけれども、そうすると、小泉内閣が始まってから約五年間、イザナギ景気を超える景気、このように政府は発表しております。イザナギ景気を超える景気であるならば、その間、保護世帯はどれぐらい減ったのか、御説明いただけませんか。

御園政府参考人 手元にある数字で申し上げますと、生活保護世帯、今ここにある数字だけで申し上げますと、平成七年の段階で六十万余世帯でございましたが、その後増加してまいりまして、平成十七年度で百四万世帯と増加してきております。ただ、ここのところ増加の傾向は頭打ち状態になってきている状況だというふうに認識しております。

岩國委員 私が厚生労働省からいただいたこのデータに基づけば、イザナギを超えると言われているこの五年間に、生活保護世帯も、被保護人員数も、それから、そのために使われた税、保護費も、どんどんふえているじゃありませんか。この五年間で、生活保護のために使われたお金は約倍増しております。八四年から九二年まで、この間は、世帯数、金額、それから人員、これはすべて減っております。いわゆる好景気と言われたときなんです。

 かつての好景気のときには、生活保護世帯の数も人員も減っていきました。そのイザナギ景気とかなんとか言われた過去の好景気に比べて、今回の好景気は生活保護世帯をふやす好景気になっているんじゃありませんか。そのことについて疑問を感じられたことはありませんか。景気はよくなった、よくなったと言われながら、生活保護を必要とする人の数はふえている。それは、目の前で、しっかりと自分たちはどういう仕事をしたのか、どれだけのお金を使ったのか、どれだけの人を救わなければならなかったのか。

 新聞で報道されているイザナギを超える景気どころか、イザナギをひっくり返したような不景気がこの数字からは読み取れるわけです。景気の動向、よくなれば減り、悪くなればふえる、さっきの答弁は全く間違っているじゃありませんか。

御園政府参考人 過去の傾向の中でそういう傾向もあるというふうなことを申し上げただけだというふうに御理解いただきたいと思います。

岩國委員 過去のデータはそのようになっております。なぜ小泉内閣になってから、好景気になっても生活保護がふえていったかということを、御自分の仕事をしながら疑問に感じたことはありませんか。全く疑問を感じておられないから、さっきのような、失礼ですけれども、のうてんきな答弁になってしまうわけです。

 好景気だったら減るはずのものが、皆さんが使っておられる国の予算はふえて使っておられるでしょう。しかも、この十年間、毎年毎年予算に計上したもので足りなくて、毎年一割から二割の積み増しの補正予算を続けているでしょう。なぜこんなに狂うのか。政府の見通しが間違ったのか、皆さんの見通しが間違ったのか、両方間違えたのか。いつも生活保護のそういう苦しい実態というものを過小評価、過少報告しようとする姿勢が、私はこういうところにあらわれていると思うんです。ぜひ、その実態についてきちっと分析をしていただきたいと思います。

 さらに、追加してこの委員会に私は報告してもらいたいと思いますけれども、窓口で、生活保護をお願いしに来られた人たち、その人たちに書類も渡さないで断っている。窓口の門前払いの実態というのは、皆さんの方で実態を調査しておられるかどうか。実態調査をしておられるとしたら、この委員会に私は報告していただきたいと思います。

 要するに、予算の適正な使い方、予算の適正なつくり方ができているかどうか、これはこの決算委員会の一番大きな使命だと私は思います。だからこそ要求をします。予算となぜ違って、毎年補正予算を組まなければならなかったのか、もう一つは、窓口で拒否した件数はどれぐらいになっているのか、そのことをお願いして、次の質問に移ります。

 財務大臣にお伺いいたします。

 国債の利払いは、ゼロ金利以前とゼロ金利実施後とではどれぐらい変化があったのか。ゼロ金利によるメリットは、国債の利払いに関してはどのように推移したのか、お答えいただけませんか。

尾身国務大臣 財務省では、毎年、将来における国債の償還財源見通し等を展望するために、国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算を公表しているところでございます。

 これによりますと、十八年度予算の利払い費は九兆円となっているわけでございますが、十年後の平成二十八年度におきましては十四・五兆円となっているわけでございます。

岩國委員 財務大臣、大ざっぱに言って、国債の個人所有と、個人以外の、いわゆる機関投資家、銀行、保険会社の比率は、今現在どういう比率になっておりますでしょうか。大ざっぱな数字で七割、三割とか、八割、二割とか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 家計の保有割合というのは今五%弱でございます。

岩國委員 言ってみれば、九五%はいわゆる法人、機関投資家の所有で、利払いはほとんどそういうところの利ざやとして国から払われているわけです。ゼロ金利ということでもって今金利は低目に抑えられていますけれども、このゼロ金利政策が解除された場合に、この国債利払いはどれぐらいに増加すると見通しておられますか。現在の利払いに比べてはるかに多いはずです。お答えください。

真砂政府参考人 今先生の御質問で、量的緩和政策をとらない場合の金利が幾らかということでございますが、それは一定の仮定を置かざるを得ないものですから、試算は難しいと思います。

 そこで、先生の御指摘に合うかどうかわかりませんけれども、例えば、既発債を含めた各年度における利払いの表面利率の加重平均をとりまして、これが、平成十二年度末の二・七%から、平成十七年度末までには一・四%まで低下しております。仮に、平均金利が十二年度末以降一定であるという大胆な仮定ではございますけれども、これを置きますと、例えば、平成十七年度について言えば、利払い費は約十四兆円程度と試算されますので、十七年度決算に比べて七兆円程度上回るという試算はできようかと思います。

岩國委員 こういう試算までしていただいて、ありがとうございました。

 大臣、おわかりのように、今は七兆円で済んでいるものが、ゼロ金利が解除され、そして景気が回復すれば十四兆円に倍増するわけですね。税収の中から十四兆円、そのほとんど、九五%が、個人納税者じゃなくて法人、銀行、機関投資家というところに支払わなければならないわけです。七兆円でも大きな負担、ましてや、近々のうちに十四兆円の支払いに利払いがふえていく、これは大きな問題じゃありませんか。

 その点でお伺いしたいのは、いつまでも国債という利払いの負担のついている形でもって国が借金をするから、利払いがこうやってどんどんかさんでいって利払い地獄に陥っていくわけです。利払いから解放されるために、国債という、機関投資家、法人あるいは非常に高額所得者、そういう人たちに税金が移転していかないために、政府紙幣を発行すべきじゃないかと私は思います。

 政府の信用で、今、五百円玉、百円玉を政府は発行しておられます。五百円玉、百円玉だけでなくて千円札も一万円札も、日銀紙幣だけに頼っているからこそ、日銀の紙幣をいただくために日銀に国債を出して、そして毎年毎年利払いという負担を引き受けなきゃならない。この利払い地獄から逃れる道は、私は、国債を政府紙幣にかえて、利払い負担のない形の資金繰りというのを考えていかなければ、この財政再建は難しいと思います。

 財務大臣の方でそういう政府紙幣の発行ということについて検討しておられるかどうか、御答弁いただきたいと思います。

尾身国務大臣 政府が金利負担のない政府紙幣を発行して財源とすることは、無利子、無期限の国債を中央銀行に引き受けさせて財源を調達することと経済的には同じでありまして、通貨の安定を損ない、いわゆるハイパーインフレーションをもたらすようなことになるんだろうというふうに考えております。

 各国におきましても、通貨の安定の観点から、中央銀行に紙幣の発行権限を付与していますけれども、それが一般的でありますが、我が国においても、明治十五年に中央銀行として日銀を設立し、紙幣発行権限を与えて以来、日本銀行が紙幣を発行しているところでございます。

 仮に、今の日本におきまして政府が日銀券のかわりに紙幣を発行した場合には、我が国の国債の信認にも悪影響を及ぼし、我が国経済に致命的な打撃を与えるものと考えております。

 したがいまして、現在、我々といたしましては、政府として紙幣を発行することは考えておりません。

岩國委員 私は、尾身大臣の御答弁には二つの点で間違いがあると思います。

 一つは、ハイパーインフレーションを起こすと。どれだけの金額を発行するかはこの国会が決めることじゃありませんか。どこかコントロールのきかないところがどんどん政府紙幣を印刷して、にせ札をつくっている、そんなことじゃないんです。国債を幾ら発行するか、政府紙幣を幾ら発行するか、国債十兆円分は政府紙幣十兆円分で肩がわりする。

 今、既に財務省の方でも四十年という非常に長期な国債も考えておられる。永久国債という発想もあるわけです。前例もあります。そういう節度のある政府紙幣の発行によって税負担、金利負担を軽減するということは、当然、責任ある財務省として、もっと真剣に考えるべきだと私は思います。ハイパーインフレーションを起こすという、私は、いいかげんな結論に結びつける、だからやめるということにはならないと思います。

 二番目、よその国でやっていないからやらない。今日本の現状を大臣、御存じですか。どれだけ多くの借金を持っているか。そんな前例がどこの国にありますか。前例のない異常な日本だからこそ、前例のない異常な手段もとらなければならないところへ来ているという、その切迫感、緊迫感がないじゃありませんか。

 再度、御答弁をお願いします。

尾身国務大臣 だれでもお金を借りるときには金利を払うのが当然でありまして、政府といえども、金利をなしに借金をすることはできないと思っております。

岩國委員 政府紙幣を借金と考えているところが私はお考えが足りないと思うんです。

 政府紙幣の発行は、株式会社でいえば、自己株式を、自分の株式を発行することなんです。他人資本を入れることじゃありません。社債を発行するか、株式を発行するか。日銀が紙幣を発行するというのは、日銀が借金をしていることじゃないでしょう。国が紙幣を発行している。それでは、五百円玉、百円玉は、自分が借金をしていることなんですか。そうではないでしょう。国にはそういう通貨発行権というのがあって、それを日銀に今、委託しているだけでしょう。なぜ国自身がそれをやろうとしないのか。

 さらに、私は、財務省はもっとまじめに勉強し、研究し、そして国民にとって異常なこの事態をどのような方法で切り抜けるのかについて研究していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

仙谷委員長 次に、平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十七年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 財務大臣から各件について説明を求めます。尾身財務大臣。

尾身国務大臣 ただいま議題となりました平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外一件及び平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十七年度一般会計予備費予算額三千億円のうち、平成十七年四月十九日から同年十二月十三日までの間において使用を決定しました金額は、九千九百六十億円余であり、その内訳は、災害対策費として、港湾等災害復旧事業に必要な経費等の二件、その他の経費として、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等の十三件であります。

 次に、平成十七年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成十七年六月十七日から同年十一月二十九日までの間において経費の増額を決定しました金額は、七百七十五億円余であり、その内訳は、道路整備特別会計における道路事業の調整等に必要な経費の増額等五特別会計の十五件であります。

 次に、平成十七年度一般会計予備費予算額三千億円のうち、平成十八年三月十七日から同年三月二十二日までの間において使用を決定しました金額は、百十一億円余であり、その内訳は、豪雪に伴う道路事業に必要な経費等の二件であります。

 次に、平成十七年度各特別会計予備費予算総額一兆六千五百二十一億円余のうち、平成十八年三月二十二日から同年三月三十一日までの間において使用を決定しました金額は、二十億円余であり、その内訳は、道路整備特別会計における豪雪に伴う道路事業に必要な経費等二特別会計の二件であります。

 次に、平成十七年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成十八年三月二十二日から同年三月三十一日までの間において経費の増額を決定しました金額は、七百六十七億円余であり、その内訳は、労働保険特別会計徴収勘定における労働保険料の他勘定へ繰り入れに必要な経費の増額等三特別会計の三件であります。

 以上が、予備費使用総調書等についての概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。

仙谷委員長 これにて説明は終わりました。

     ――――◇―――――

仙谷委員長 次に、平成十七年度一般会計歳入歳出決算、平成十七年度特別会計歳入歳出決算、平成十七年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十七年度政府関係機関決算書並びに平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書、以上の各件を一括して議題といたします。

 まず、財務大臣から各件について概要の説明を求めます。尾身財務大臣。

尾身国務大臣 先ほど、平成十七年度一般会計予備費予算額三千億円のうち、平成十七年四月十九日から同年十二月十三日までの間において使用を決定しました金額は、九千九百六十億円余と申し上げましたが、正しくは九百九十六億円余の誤りでございまして、訂正をさせていただきます。

 次に、平成十七年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、平成十七年度の国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額につきましても国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十七年度の一般会計の決算につきましては、歳入の決算額は八十九兆二億円余、歳出の決算額は八十五兆五千百九十五億円余であり、差し引き三兆四千八百六億円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に平成十八年度の一般会計の歳入に繰り入れております。

 なお、平成十七年度における財政法第六条の純剰余金は九千九億円余となります。

 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額八十六兆七千四十八億円余に比べて二兆二千九百五十四億円余の増加となります。この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額二兆三千百八十九億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純減少額は二百三十五億円余となります。

 一方、歳出につきましては、予算額八十六兆七千四十八億円余に、平成十六年度からの繰越額二兆二千五百六十六億円余を加えました歳出予算現額八十八兆九千六百十四億円余に対し、支出済み歳出額は八十五兆五千百九十五億円余であり、その差額は三兆四千四百十八億円余となります。このうち平成十八年度への繰越額は一兆九千百四十三億円余であり、不用額は一兆五千二百七十五億円余となっております。

 なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は三千億円であり、その使用額は千百八億円余であります。

 次に、平成十七年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十一であり、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりでございます。

 なお、歳入歳出決算に添付されている国の債務に関する計算書による債務額につきましては、平成十七年度末における債務額は八百九十一兆五千三百三十四億円余であります。

 このうち、公債につきましては、平成十七年度末における債務額は六百七十兆六千七百四十八億円余であります。

 次に、平成十七年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いにつきましては、同資金への収納済み額は六十兆六千九百六十六億円余であり、一般会計の歳入への組み入れ額等は五十九兆九千七百二十四億円余でありまして、差し引き七千二百四十二億円余が平成十七年度末の資金残額となります。

 次に、平成十七年度の政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりでございます。

 次に、国の債権の現在額につきましては、平成十七年度末における国の債権の総額は三百二十三兆三千百十八億円余であります。

 その内容の詳細につきましては、平成十七年度国の債権の現在額総報告のとおりでございます。

 次に、物品の増減及び現在額につきましては、平成十七年度末における物品の総額は十兆五千九百六億円余であります。

 その内容の詳細につきましては、平成十七年度物品増減及び現在額総報告のとおりでございます。

 以上が、平成十七年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書等の概要であります。

 なお、平成十七年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用や経理の適正な運営に努めてきたところでありますが、なお会計検査院から、四百七十三件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。

 今後とも、予算の執行に当たっては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。

 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。

 次に、平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書を、会計検査院の検査報告とともに国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要について御説明いたします。

 平成十七年度中に増加しました国有財産の総額は十三兆七千五百二十四億円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産の総額は二十三兆七千七百七億円余でありまして、差し引き十兆百八十三億円余の純減少となっております。これを平成十六年度末現在額九十五兆二千百九十八億円余より差し引きいたしますと八十五兆二千十四億円余となり、これが国有財産法に基づく平成十七年度末現在額であります。

 以上が平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。

 次に、平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要について御説明いたします。

 平成十七年度中に増加しました無償貸付財産の総額は三千八百八十五億円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は四千六十四億円余でありまして、差し引き百七十九億円余の純減少となっております。これを平成十六年度末現在額一兆九百二十二億円余より差し引きいたしますと一兆七百四十三億円余となり、これが平成十七年度末現在において国有財産法に基づき無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。

 以上が平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要であります。

 なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書を添付しております。

 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。

仙谷委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要の説明を求めます。大塚会計検査院長。

大塚会計検査院長 平成十七年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。

 会計検査院は、平成十八年九月八日、内閣から平成十七年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、平成十七年度決算検査報告とともに、平成十八年十一月十日、内閣に回付いたしました。

 平成十七年度の一般会計決算額は、歳入八十九兆二億余円、歳出八十五兆五千百九十五億余円、各特別会計の決算額の合計額は、歳入四百五十二兆一千四百十億余円、歳出四百一兆一千八百三十五億余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を確認いたしました。

 また、国税収納金整理資金は、収納済み額六十兆六千九百六十六億余円、歳入組み入れ額五十一兆四千百二十六億余円でありまして、会計検査院ではこれらの受け払い額を検査完了いたしました。

 政府関係機関の平成十七年度の決算額の総計は、収入四兆七千百四億余円、支出四兆一千二十八億余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を検査完了いたしました。

 平成十七年度の歳入歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について、書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して七百余事項の質問を発しております。

 検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。

 まず、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項は、合計三百九十件、百四十一億八百五万余円であります。

 このうち、収入に関するものは、六件、三十五億七千四百九十三万余円であります。

 その内訳は、租税の徴収額が適正でなかったもの、保険料の徴収額が適正でなかったものなどとなっております。

 また、支出に関するものは、三百四十八件、九十六億八千八百四十八万余円であります。

 その内訳は、会計経理が適正を欠くなどしていたもの、工事に関し設計が適切でなかったもの、保険の給付が適正でなかったもの、医療費の支払いが適切でなかったもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなどとなっております。

 以上の収入、支出に関するもののほか、郵便貯金預入金等について職員の不正行為による損害が生じたものなどが、三十六件、八億四千四百六十三万余円であります。

 次に、平成十八年中におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求いたしましたものは十四件であります。

 その内訳は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資された物品の時価評価額の算定に関するもの、民営化に伴う資産の承継・評価に関するもの、国立大学法人の附属病院に係るセグメント情報に関するもの、第一種公衆電話の設置及び管理等に関するもの、土地改良負担金総合償還対策事業における土地改良負担金対策資金の資金規模に関するものなどとなっております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は四十一件であります。

 その内訳は、偽造クレジットカード解析システムの運用状況に関するもの、私立高等学校等経常費助成費補助金に係る加算単価の算定に関するもの、圃場整備事業等により整備された農地の維持・保全等に関するもの、補助金の交付等を受けて取得していながら公営住宅等が建設されていない土地に関するもの、放送大学の運営に必要な業務の委託契約に関するものなどとなっております。

 次に、特に掲記を要すると認めた事項は四件であります。

 その内訳は、相続税物納制度において、物納申請された財産に係る収納・引受事務及び引き受け後の処分が長期化しており、処理未済事案が累積しているなどの事態に関するもの、道路工事を鉄道事業者に委託するに当たって、委託後の事業の進捗状況等の把握を適切に行う必要がある事態に関するもの、道路管理者が整備した有料駐車場が低利用となっているなどのため、駐車場の利用方法の改善等について検討することが必要な事態に関するもの、関西国際空港の経営において、長期有利子債務の確実な償還を図り、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善に努めることが必要な事態に関するものとなっております。

 次に、平成十八年中におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して報告いたしましたものは五件であります。

 その内訳は、さきに御説明いたしました土地改良負担金総合償還対策事業における土地改良負担金対策資金の資金規模に関するもの、関西国際空港の経営において、長期有利子債務の確実な償還を図り、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善に努めることが必要な事態に関するもののほか、高速道路の建設事業に係る入札・契約制度の見直しの状況等に関するもの、成田国際空港株式会社における空港施設等の整備事業に係る入札・契約の実施状況等に関するもの、財投機関における財政投融資改革後の財務状況と特殊法人等改革に伴う財務処理の状況に関するものとなっております。

 次に、平成十八年中におきまして、国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしましたものは七件であります。

 その内訳は、政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果に関するもの、独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧中小企業総合事業団)の実施する高度化事業に関する会計検査の結果に関するもの、特別会計の状況に関する会計検査の結果に関するもの、地方財政の状況に関する会計検査の結果に関するもの、各府省等におけるコンピューターシステムに関する会計検査の結果に関するもの、社会保障費支出の現状に関する会計検査の結果に関するもの、中心市街地活性化プロジェクトの実施状況に関する会計検査の結果に関するものとなっております。

 最後に、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認め、検査報告に掲記いたしましたものは十四件であります。

 その内訳は、防衛施設庁における建設工事及び委託業務に係る入札・契約の実施状況に関するもの、政府開発援助の状況に関するもの、都道府県労働局の会計経理の状況に関するもの、外国産米の在庫及び損益の状況に関するもの、長岡郵便局等における別後納郵便物の料金の不適正な収納等に関する検査状況に関するものなどとなっております。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。

 次に、平成十七年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。

 会計検査院は、平成十八年九月八日、内閣から平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を終えて、平成十七年度国有財産検査報告とともに、平成十八年十一月十日、内閣に回付いたしました。

 平成十七年度末の国有財産現在額は八十五兆二千十四億余円、無償貸付財産の総額は一兆七百四十三億余円になっております。

 検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、平成十七年度決算検査報告に掲記いたしましたものは七件であります。

 その内訳は、不当事項といたしまして、水田農業構造改革対策の事務処理に使用するプログラムの開発委託契約に係る会計経理に関するもの、意見を表示しまたは処置を要求した事項といたしまして、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資された物品の時価評価額の算定に関するもの、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、滑走路等に設置された管路等の埋設深さに関するもの、特に掲記を要すると認めた事項といたしまして、相続税物納制度において、物納申請された財産に係る収納・引受事務及び引き受け後の処分が長期化しており、処理未済事案が累積しているなどの事態に関するもの、国会及び内閣に対する報告といたしまして、財投機関における財政投融資改革後の財務状況と特殊法人等改革に伴う財務処理の状況に関するもの、国会からの検査要請事項に関する報告といたしまして、特別会計の状況に関する会計検査の結果に関するもの、特定検査対象に関する検査状況といたしまして、社会保険庁が設置した年金・健康保険福祉施設の整理合理化の実施状況に関するものとなっております。

 以上をもって概要の説明を終わります。

仙谷委員長 これにて平成十七年度決算外二件の概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

仙谷委員長 この際、資料要求に関する件についてお諮りいたします。

 平成十七年度決算の審査に当たり、決算の検査報告に掲記されました会計検査院の指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、財務省当局に対してその提出を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仙谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

     ――――◇―――――

仙谷委員長 この際、御報告いたします。

 去る十一月十七日、議長より本委員会に送付されました、議員松本剛明君外四十五名からの中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況及び国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の要請につきましては、理事間の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る十一月二十二日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十二分散会


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