衆議院

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第6号 平成20年6月6日(金曜日)

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平成二十年六月六日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 枝野 幸男君

   理事 木村 太郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 平田 耕一君 理事 福井  照君

   理事 松野 博一君 理事 前田 雄吉君

   理事 横光 克彦君 理事 上田  勇君

      あかま二郎君    赤池 誠章君

      伊藤 忠彦君    石原 伸晃君

      岩屋  毅君    浮島 敏男君

      江藤  拓君    木原  稔君

      坂井  学君    杉村 太蔵君

      冨岡  勉君    西本 勝子君

      林   潤君    平口  洋君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      牧原 秀樹君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    山本  拓君

      与謝野 馨君    太田 和美君

      金田 誠一君    小宮山泰子君

      高山 智司君    津村 啓介君

      寺田  学君    長妻  昭君

      平岡 秀夫君    松本 大輔君

      和田 隆志君    坂口  力君

      富田 茂之君    鈴木 宗男君

      玉沢徳一郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    増田 寛也君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   財務副大臣        森山  裕君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   会計検査院長       伏屋 和彦君

   会計検査院事務総局次長  増田 峯明君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第三局長            真島 審一君

   会計検査院事務総局第五局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          木下 信行君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          新島 良夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  麻生 太郎君     あかま二郎君

  冨岡  勉君     伊藤 忠彦君

  西銘恒三郎君     赤池 誠章君

  西本 勝子君     平口  洋君

  福岡 資麿君     牧原 秀樹君

  平岡 秀夫君     和田 隆志君

  松木 謙公君     長妻  昭君

  松本  龍君     太田 和美君

  丸谷 佳織君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     麻生 太郎君

  赤池 誠章君     西銘恒三郎君

  伊藤 忠彦君     冨岡  勉君

  平口  洋君     西本 勝子君

  牧原 秀樹君     福岡 資麿君

  太田 和美君     松本  龍君

  長妻  昭君     松木 謙公君

  和田 隆志君     平岡 秀夫君

  富田 茂之君     丸谷 佳織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十八年度一般会計歳入歳出決算

 平成十八年度特別会計歳入歳出決算

 平成十八年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十八年度政府関係機関決算書

 平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十八年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

枝野委員長 これより会議を開きます。

 平成十八年度決算外二件を一括して議題といたします。

 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社西川善文取締役兼代表執行役社長の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房郵政民営化推進室木下信行室長、厚生労働省職業能力開発局新島良夫局長、厚生労働省保険局水田邦雄局長、社会保険庁石井博史運営部長、国土交通省大臣官房榊正剛建設流通政策審議官及び国土交通省道路局宮田年耕局長の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。

 また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照委員。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 まず、御出張、大変お疲れさまでございました。総理に、地球環境問題、温暖化対策への基本姿勢につきまして、ヨーロッパ各国首脳と会談を終えられたばかりでございますので、お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、このパネルをごらんいただきたいと思いますが、これは日本人がほとんど知らなかったことでございます。もう既にEUの方は、イギリスで一五%、ドイツで一八%、温暖化ガスが削減されております。国家戦略として、国家戦略の基本としてこの温暖化対策を据えることによって、環境技術、環境ビジネスが世界を席巻しているという状況に立ち至っているわけでございます。

 もとはといえば、日本の方が環境技術は世界一、太陽光発電も世界一だったわけでございます。ニクソン・ショック、オイルショックをいかに乗り越えたかということを参考にヨーロッパが戦略を打ち立てたという状況を見ますと、まことにせつない思いがございます。

 水の技術、環境の技術で世界に貢献する、これがこの国の形の基本ではないかと思いますときに、今回の洞爺湖サミット、極めて重要なタイミングだと思います。サミットを控えて、総理の御所見をまずお伺いをさせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 気候変動問題、これは今国際的な大きな話題になっており、また各国もそのことを意識して政治を進めなければいけない、そういう状況になってきております。ここ数年そういう高まりがありまして、我が国もこの問題に真剣に立ち向かうということであります。

 しかしながら、民間におきましては、それは気候変動問題ということもあるのでありますが、一方、いわゆる省エネルギー、省エネですね、そういうことについてはもう随分前から本当に真剣に取り組んできたということでありまして、例えばテレビなんかにつきましても、今、液晶になって昔のブラウン管の消費電力の半分、そしてさらにそれが最新式はそのまた何分の一かになってしまうというぐらいに、省エネについては一生懸命やっている。

 冷蔵庫にしてもそうです。十年前の冷蔵庫に比べれば今は消費電力が五分の一になっているといったようなこともありますし、また、こういう電球、室内用の白熱電球、これも蛍光化するということで、メーカーはあと三年ちょっとたちましたらもう今までのものは生産、製造を廃止するというぐらいに考えているところでありまして、自動車もそう、あらゆる分野においても、また産業、いわゆる工場を持っているようなところにつきましても、競争力をつけるという観点から省エネをし、かつ省エネの製品をつくるというように、本当に真剣に立ち向かっていると思います。

 今、グラフをお示しになりましたね。何か一九九〇年ベースにしますと日本はおくれているじゃないか、せつないというふうなお話があったけれども、しかし、それは現実は、我が国はもう一九九〇年代には既に省エネ時代に入っているんですよ。ですから、そこをベースにしますと、そのグラフで見る限り、日本はいかにもおくれているように思えますけれども、もう既に一九七三年の第一次石油ショック、あのときから日本は省エネが始まっているんです。ほかの国はおくれているんです。

 だから、一九九〇年以降はほかの国は一生懸命努力をしているということでありまして、我が国も、進んでいるからといって悠長な構えをしている、そういうつもりはありませんよ、今なお省エネ努力をしている。そして、今現在をいえば、GDP一単位当たり、日本は一番進んでいますね。世界の中でも一番進んでいる国だというようにも言われておるわけでございまして、なおその省エネを国を挙げてさらに進めていこう、そういう考え方をしているわけであります。

 そして、そういう面で世界をリードしているという自信もないわけじゃないんですよ。そういう面ではできるだけ世界に貢献していきたいというようなことでもってクールアース・パートナーシップといったようなことも始めまして、おくれている国に対しては積極的に支援していこう、こういうようなことももう既に始めているわけであります。

 そういうことで、我が国はこの分野において世界の先端を走っていこう、そのことが世界のためになるんだ、人類のためになるんだ、ひいては日本人のためになり、かつ日本の産業のためにもなる、こういうふうに考えておるわけでありますので、今後、本当に力いっぱい、政府はもちろんのこと、民間にも働きかけて、そしてまた国民の方々にも協力をお願いして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 力強いリーダーシップでサミットの大成功を祈念申し上げたいというように思います。

 次に、郵政民営化について増田大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 これはパネルを見ていただきますと、特に高知県、もう本当に極めて田舎なものですから、バイアスがかかっているとはいっても、地方の人の標準的な心象風景がこのパネルにあらわれているというふうに思っていただければと思います、お手元の資料にもございますけれども。

 郵政民営化によりまして、郵便事業の会社、郵便局の会社、そして銀行の会社、保険の会社ということに分かれました。ドイツの例、それからニュージーランドの例を見ましても、どうも貯金の会社が田舎の方では撤退をし始めるというような事例があって、ニュージーランドにしてもドイツにしても、結局、銀行の会社を郵便事業の会社の子会社にしたということがございます。

 最初の見直しが来年の三月、四月というタイミングを踏まえて、いかに大臣が、今までのパフォーマンスをごらんになって、これからどういう改革を続行されていくのかということについて伺いたいと思います。

 ドイツにしてもニュージーランドにしても、およそコペルニクス的転回をしたわけです。つまり、貯金の銀行をいわば郵便配達の会社の子会社にしたということをしたわけですから、改革するに遅過ぎはないわけでございますので、ぜひ抜本的な改革についてどのようにお考えか、大臣としての所見をお伺いさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 郵政民営化についてお答え申し上げます。

 法律が施行されまして三年ごとの見直しが、今先生お話しのとおり、来年三月がちょうどその時期ということで、昨年十月から民営化会社、各社スタートいたしましたけれども、これはそもそも、今回民営化したという目的が、地方の利用者の皆さん方も含めて国民の利便を向上させる、そして経済を活性化させる、こういう目的で民営化をしたわけでございますので、そういう目的に照らして問題が生じているかどうか、これは郵政民営化委員会の先生方にその点をよく議論していただきたい。

 まさに委員から御指摘ございましたけれども、郵便局の設置状況ですとか、それから顧客への金融サービスの提供状況も含めて、そこはまず民営化委員会の先生方に総合的にこの見直しを行っていただきたい、こういうふうに思っております。それを受けまして、この委員会の先生方、当然、中立的そして専門的立場から審議を行って出された意見でございますので、それを踏まえまして、政府としてこの問題に適切に対応していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

福井委員 どうもありがとうございました。

 先ほどのパネル、これは高知県とか地方の私たちの心象風景をあらわしているものでございます。もう地方は捨てられているのではないか、忘れられているのではないかという絶望感で本当にいっぱいになっているわけでございます。

 銀行と保険が私たちの郵便局の業務から切り離されるのではないか、以前は郵便と一緒に年金も持ってきてくれたではないか、小包をとりに来てくれたではないか、今度は年金を持ってきてくれるどころか、とりに行くところもなくなる、県で一カ所しかなくなるということでございます。後ほど社長にもお伺いしますけれども、そういう、一体全体どうなるんだろうという心配が地域全体を覆っているということでございますので、ぜひ大臣のそういう地方の人の心情に合った改革をお願い申し上げたいというふうに思っている次第でございます。

 きょうは、西川社長にもお越しをいただきまして、本当にありがとうございました。

 郵政民営化に当たりましては、現場の声を聞くことが一番大事ではないかというふうに思っているわけでございます。

 いろいろ資料を拝見させていただきますと、荷物を限界以上に背負わされたラクダの状況に似ているわけでございます。ことわざですけれども、一片のストロー、わらをちょんと載せれば、もうすべて、ラクダの背骨から砕け散ってしまう、そういう直前の状況に等しいのではないかというようなことがかいま見られるわけでございます。

 そういう現場の局長、あるいは待ち時間がふえたというふうに訴えている国民の声、これをどういうふうに受けとめているのか、西川社長の方から御答弁を賜りたいというふうに思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 郵便局は民営・分社化後も引き続き三事業共通のお客様との接点でございまして、郵便局が現場力を発揮し、日々の営業に邁進できる環境を整備することが、グループ全体の重要な経営課題であると認識をいたしております。郵便局が現場力を十分に発揮できる環境を整備するには、何よりもフロントラインの意見に真摯に耳を傾け、提起された課題の解決に積極的に取り組んでいくことが不可欠と考えておりまして、私自身もこの二年半、できるだけ機会をつくりまして、全国の郵便局の訪問あるいは各地での郵便局長方との意見交換会を行ってまいりました。

 こうしたコミュニケーションがバックにございまして、今から三カ月前になりますが、郵便局の営業力強化、業務品質の向上を図るため、過剰な業務負担の削減等の取り組みを取りまとめました郵便局活力向上宣言というものをまとめまして、局会社から全郵便局に示したところでございます。

 この各種取り組みを確実に、そしてスピーディーに実施していくことが、郵便局のモチベーションを高め、そしてお客様サービスの向上につながっていくというふうに確信をいたしております。

 また、これにとどまらず、フロントラインを通じましてお客様の声を積極的にお聞きいたしまして、さらなる取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 どうかよろしくお願いを申し上げます。

福井委員 ありがとうございました。

 ただ、いろいろ現場で伺いますと、分社化した会社間の連携は必ずしもうまくいっていないという指摘もありますし、待ち時間がふえた、サービスが劣化したという声が上がる一方で、社長の配下の皆さん方には大変なしわ寄せが行っているというようなことでございます。現場の声にのっとって、国民の利益、便益全体がプラスになるようにぜひ御指導をお願い申し上げたいというふうに思っているわけでございます。

 次に、国土交通省の関係でお伺いをさせていただきたいと思いますが、今、パネルをごらんいただきまして、ちょっと、質問に入る前に、いろいろな事業の紹介をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。

 今ごらんいただいているのは、北海道の小樽の臨港線という道路でございまして、小樽運河を埋め立てるに当たりまして、大変な反対運動がありました。これをコペルニクス的に転回をいたしまして、埋めてなおかつ景観整備をするということで、観光客もふえました、そして、ホテルもふえて倉庫もお店になったということで、どこを見てもすばらしいという事業が展開をされていたわけでございます。これもガソリン税で支弁をした、遊歩道もガソリン税で支弁をしたということについては余り知られておりませんので、ぜひ皆さん方に御紹介をさせていただきたかったわけでございます。

 次に、富山県八尾で、これは越中おわら風の盆という、本当に胡弓の音がしみ込むようなしっとりとしたお祭りがある。その皆さんが踏みしめる道路は、アスファルトの舗装を引っぺがしまして、石畳で舗装させていただいております。歴史的町並み整備事業ということで、観光客はふえるし、それこそ町のすべての産業が潤っているという事例でございます。これもガソリン税で支弁したということで、だれも知らないうちに地域に役立っているということでちょっと御紹介をさせていただいたわけでございます。

 次に、これは京都の宇治市の宇治橋ということで、もう千年間ここに橋がございました。三の間から川にバケツでお茶の水をくんだり、それから擬宝珠ということで、環境整備、昔のとおりの橋を復元させていただきました。これも道路事業で、街路事業でやらせていただいたわけでございます。隣の直轄の河川事業も、石で護岸を張っているわけでございます。これも道路事業でございます。

 これでもかと出したいわけですけれども。

 今度は川越の城下町地区ということで、これも、菓子屋横丁で、普通のアスファルトじゃなくて石をずっと敷き詰めまして、観光客はふえるし、お祭りはできるし、地域にとってすばらしいという事業でございます。これも皆さんが気がつかないうちに、道路事業、ガソリン税を使わせていただいたということでございます。

 もっとあります、ますます。

 これは路面電車走行空間改築事業という街路事業で、富山のデザインされた路面電車、これが皆さん方に喜ばれているという事例でございます。今まで外出をしなかった人もこの路面電車ができたので外出するようになった、今まで自動車を使っていた人も路面電車に転換をしたということで、地球環境にも貢献している。これも皆さん方が気がつかない事業の一部でございます。

 それから、広島県廿日市市、これも路面電車とバスが同じレベルで乗り継げるという、非常に皆さん方の志の高い事例でございます。

 次に行きます。

 今度は神戸の震災の復興事業で、これも道路事業、街路事業でやらせていただきました。初期消火の用水としてせせらぎを整備して、ふだんのときは景観整備、そして、いざというときは消火用水としてできるようにしたということでございます。

 もっと行きまして、今大臣のところですけれども、山手幹線で、全く今までは道路がありませんでした。住宅街のところを街路を抜きまして、これで、ふだんはこうやって生徒、学童が歩いていますけれども、いざというときには緊急消防活動ができるというようなことをさせていただいたわけでございます。

 最後に、大変長くなりましたが、高知県の連続立体交差事業、これもガソリン税で支弁しておりますけれども、鉄道高架をする九割が道路事業。そして駅前広場ができて、路面電車を延伸して、今まで操車場だった土地を町にして、すべてがうまく回転するようにしたというのも街路事業でやらせていただいた。

 やっとこれで終わったわけでございますけれども、以上でございます。

 ということでございますけれども、道路事業の信頼を取り戻すために予算執行のあり方とか関係法人のあり方の見直しについてるるやってきたわけでございますけれども、これだけやらせていただいて皆さん方になかなか理解されないということを何とか乗り越えて、早く国民の皆さん方の御理解を得て、道路事業、街路事業、補助事業も直轄もさせていただきたいと思いますので、現在のところの見直しにつきまして、平井副大臣から御答弁いただきたいと思います。

平井副大臣 委員御指摘のとおり、必要な社会資本整備を通じて国民の期待にこたえていきたいと思っています。そのためには、一刻も早く国土交通省も身ぎれいにして信頼を回復したい、そのように思っています。

 総理から御指示をいただき、そして冬柴大臣を本部長にして、徹底した無駄の排除に取り組んでおります。ただし、この無駄という言葉は、物差しがあるようで今までなかったんです。そこで、今回、道路関係五十法人に関しては、国民の目線という新しい物差しでいろいろ改革のプランをつくらせていただきました。

 また、仕事のやり方に関して言っても、国土交通省の仕事のやり方は、やはりちょっと世間の一般常識からかけ離れた部分もありました。残業のやり方、タクシー代の問題、これも世間の常識に合わせた線で改革をしていきたいと思います。そのためには、職員一人一人と問題意識を共有するというところから我々は始めています。ですから、一過性の見直しにならないように、不断にフォローアップをしていきたいと考えています。

 あと、公益法人に関しては、国からの支出を徹底的に見直す、つまり、国からの支出を減らすことによって公益法人にスリム化してもらうことを目標にしています。そのために、今回は、人件費とか役員数にも具体的な数値目標を入れて期限を切っています。そのことを御報告させていただきたいと思います。

 いずれにせよ、四月十七日に発表した取りまとめは、スタートラインに我々は立ったという認識でありまして、改革本部はこれからも外部有識者のお力もかりながら、不断にフォローアップをし、また、新たに提起される問題に関しても適切に対処していきたいと思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 後期高齢者、それからねんきん特別便について、一括してお伺いをさせていただきたいと思います。

 るる御説明もさせていただきましたけれども、今、私たち地方の人間にとりましては、もう捨てられているのではないか、忘れ去られているのではないか、そういう絶望感でいっぱいになっているわけでございます。現場のつかさつかさの社保庁の職員あるいは市町村の職員、もう一生懸命頑張っているということをわかっていながら、でも、やはりまだまだ足らないんだということでございます。

 マニュアルどおりやっていたのでは間に合わないというのが、今、私たちがせっぱ詰まった状況にあるということでございます。その現場の職員一人一人の心がマニュアルを超えるように、全人格と全人格で皆さん方の疑問に答えるように、人生を支えるように、そんな行政が求められているということでございます。

 そこで、このねんきん特別便、訂正なしと回答された場合であっても、御本人の記録がある可能性が高いと考えられる方には、お一人お一人に特別便をお送りして、電話をして、そしてその後、戸別訪問までさせていただくということにつきましては、国民だれも知りません。そんなことまでやってくれる予定があるんだということについては、だれも知らないわけでございます。

 ぜひ、きょうの機会に、また、そういう予定であるということについて御紹介をいただきたいというふうに思いますし、それから、この後期高齢者医療制度の問題につきましても、現在の、きょうこの時点でおっしゃれる範囲内で、その見直しについて現状認識を教えていただきたい。順番にお願い申し上げたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私の方からは、御指摘いただいた事柄のうち、年金記録問題、特別便の状況について御報告申し上げたいと思います。

 御指摘いただきましたように、この記録問題については、現在、ねんきん特別便をお送りいたしまして、国民お一人お一人に御自身の記録を御確認いただくとともに、漏れや誤りがないか確認をいただいているということでございます。現状、三月末までに一千三十万人の方にコンピューター上の突き合わせをやって、記録が出たと思われる方に御送付をし、その後引き続き、四月、五月には約三千四百万人の受給者の方にその確認のものをお送りし、そして、この六月から十月まで残りの六千二百万人の現役加入者に対して、さらにまた特別便を送り続ける、こういう取り組みをしてございます。

 そうした中で、御指摘をちょうだいいたしました、訂正なしということで御回答いただいた受給者の中にあっても、中身から見まして、その方の記録である可能性が高いと考えられる方につきましては、改めて電話や訪問によりまして、結びつく可能性のある記録について具体的な情報を提供申し上げて、記録の十分な確認についての問い合わせ、いわゆる入念照会というものを行わせていただいているところでございます。

 現在、七万人弱について進めてきてございまして、私どもの予定といたしましては、このような形での対象者はさらに多くいらっしゃるということで、さらにその体制の強化を現在しておりまして、七月末までに私どもが現在予定しております方々に対する照会というものをやり切っていきたいというふうに考えているわけでございます。

 それから、こうした入念照会のほかにも、ねんきん特別便のフォローアップ対策といたしまして、関係団体の御協力をいただいて、例えば施設に入所されている高齢の方ですとか、あるいは障害をお持ちの方、こうした方々に対して周知の広報、あるいは障害をお持ちの方に関しては、その障害の特性に配慮した相談会の実施、あるいは職員による戸別訪問の実施、そうしたことをきめ細やかに対応させていただこうということで、その関係団体とも相談を今進めている、そういう状況でございます。

 今後とも、議員の御指摘の趣旨を十分に受けとめさせていただいて、丁寧な対応を旨として、信頼回復に向けてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

枝野委員長 厚生労働省水田保険局長、端的にお願いいたします。

水田政府参考人 私から、長寿医療制度についてお答えさせていただきます。

 この制度は、今後、高齢化に伴いまして医療費の増加が見込まれる中で、現役世代と高齢者の負担のルールを明確にしまして、高齢者にも若い人にも納得して負担していただける仕組みとするものでございまして、国民皆保険制度を持続可能なものとするために必要なものであると考えております。

 しかしながら、制度につきまして、例えば保険料負担のあり方をめぐりましてさまざまな御指摘があることを踏まえまして、現在、与党のプロジェクトチームにおきまして、制度の実施状況の検証を行いながら、順次、運用改善策の取りまとめが行われているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、この取りまとめを踏まえまして、必要な手だてを講じていきたいと考えておりますが、同時に、制度の趣旨や高齢者お一人お一人にとって具体的に何が変わるかにつきまして正しく理解されるよう、広域連合や市町村を通じて広報や周知に努めてまいりたいと考えております。

福井委員 ありがとうございました。一生懸命応援しますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、総理、手短で結構でございますので、総理は愛と思いやりの方だというふうに認識をさせていただいております。今、新自由主義、いろいろな世界の流れがございまして、私たち、特に地方の心はもうすさんでいるわけでございます。私たちの心を抱き締めるように、総理のそのお口から、地方を大事にしているんだ、私は一人一人を大事にしているんだということをぜひおっしゃっていただいて、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

枝野委員長 時間が経過しておりますので端的にお願いいたします、福田総理大臣。

福田内閣総理大臣 地方のことについて言及されまして、先ほど、いろいろ写真でもって各地区の状況などもお示しいただきましたけれども、地方は、やはり日本全体の活力を維持していくためにはとても大事だと思いますよ。地方が元気でなければ日本は元気にならないというように思っております。

 ですから、そういう観点からさまざまな取り組みもスタートしております。地方切り捨てとかいったような声が起こらないように、そして地方が本当に自分の力でもって伸びていけるような、そういう応援をしたいというように思いまして、いろいろな政策を打ち出しておるところでございます。

 地方あって日本ありというようにも思います。しかし、日本全体として、地方が元気であるということと、日本全体が力強く国際社会の中で伸びていくというために、どういう整合性をとっていくかということも大事だと思いますので、全体を見て、しかるべき方策を今後も考えていきたいと思います。

 そういう意味におきましても、委員におかれては、その観点からぜひよい案を出していただきたい、こう思っておるところでございます。

福井委員 ありがとうございました。終わります。

枝野委員長 次に、上田勇委員。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、福田総理には、食料サミットを初めとする欧州出張から昨日御帰国をされて早々に当委員会に御出席をいただきまして、大変にありがとうございます。

 ちょっと本題に入る前に、きょうは、とても信じられない、極めて残念な報道がございました。財務省の職員が深夜に公費でタクシーに乗り、特定の運転手を指名する見返りに現金、金券等を受領していた、しかも、その中には非常に長期間にわたって相当な金額を受け取っていた者もいたという調査を昨日発表いたしました。

 この問題は同僚議員がこれまで調査をしてきて、きょうも取り上げるというふうに聞いておりますので、内容に踏み込むことはいたしませんけれども、これは結局は、税金で支出をしたものの中から賄賂をもらい、接待を受けてきたということになるわけでありまして、到底許されることではないというふうに考えております。とんでもないことだというふうに思っております。

 本来であれば、少しでも、そういうふうに割引ができるのであれば、それは割引をしてもらって公費の支出を削減していく、そういうような努力をしていかなければいけないときに、公費で、税金で支出されているものの中からそういう接待を受けたり物をもらったり、到底信じがたい、許されない行為だというふうに思っております。

 そこで、額賀大臣に、この事件をどのように受けとめられているのか、今後どういうふうに対処をされるおつもりなのか、また、再発防止についてどういうお考えをお持ちなのか、お聞きいたします。

額賀国務大臣 この問題は、上田委員が御指摘のように、財務省職員の場合、三日前に私は報告を受けまして、国家公務員としては公正に国家国民のために奉仕しなければならないということが前提でありますから、あるまじき行為である、国民の皆さん方に不信の念を抱かせることがあってはならない、まずは事実関係をすべて明らかにして国民の前に公表し、と同時に、再びこういうことが起こることがないようにしなければならないということで、全職員に対しまして、ヒアリングなり、事情を聴取しました。その結果、スピーディーに、昨夜、マスコミの皆さん、国民の皆さん方にそれを中間報告的にオープンにさせていただいたわけでございます。

 その中で、上田委員が御指摘のように、三百八十三人にわたって金品の受け取り、サービスを受けていたという実態が明らかになったわけでございます。

 これについては、私は、まず関係先、今後、タクシー会社等も裏づけをきちっとした上で、全容を解明し、厳正に処分をさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、再びこういうことが起こることがないように、特定のタクシー会社は使わない。当然のことながら、公務員としては金品を受け取るようなことがあってはならないということを全職員、いや全公務員に徹底させるように政府としては対応していかなければならないというふうに思っております。

 その上で、全容を明らかにし、処分をきちっとした上で、今後国民の皆さん方の信頼を回復するために全力投球をしていきたいというふうに思っております。

上田委員 大臣、この事件は、国民の行政そして公務員に対する信頼を大変損なう事件でありますし、公務員倫理規程にも抵触する問題ではないかというふうに思っております。そういう意味では、国家公務員倫理審査会にも報告をしていただいて、厳正に対処していただくことをお願い申し上げます。

 そして同時に、本当にタクシーをそんなに利用する必要があるのかどうか。深夜、残業が多いとはいっても年に百五十回も終電が終わるまで残業する必要があるのかどうか。仕事のあり方、やり方や本当にその内容も含めて、ぜひ大臣また副大臣にもそういった点もしっかりとチェックをしていただきたい、監督をしていただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 それでは次に、財政健全化の問題について、総理に基本的なお考えを伺いたいというふうに思っております。

 日本の財政が非常に深刻な状態にあるということは周知のとおりであります。国の公債、すなわち借金の残高というのが、国だけでも五百五十三兆円、これは年間の税収の十年以上に相当するというものであります。これ以上将来の世代に負担を先送りするということは許されないわけでありまして、二〇〇一年度から本格的な財政再建に取り組んできているところであります。

 ちょっとこの間の財政の状況変化をパネルでつくらせていただいたんですが、お手元には資料の一として配っております。

 この間、社会保障関係費は五兆円、二八・五%伸びております。このパネルでいうとブルーの部分、上に出ている部分であります。公共事業関係費が二・四兆円、二五%削減する、そのほかの支出については、ピンクの部分でありますけれども、全部削減をしてきた。そういう取り組みをしてきた。社会保障関係費が増額するというのは当然のことでありますし、これからもそれは当然ふえることだというふうに思っております。

 この結果も、さまざまな制度改正を行ってその伸びを抑制してきた上でこういう結果になっているということでありますので、こういうのがこれまでの取り組みの結果であります。

 現在、社会保障関係費の伸びをこれから大きく抑制していくというのは限界があるんじゃないか、そういう限界感も感じられているところであります。将来に対する安心を確保していくという意味では、社会保障関係費も十分な額を確保していかなければいけない、これも当然の主張なんだというふうに思います。また、少子化対策とか子育て支援とか、新たな財政需要もいろいろ言われております。

 一方で、財政健全化の取り組みが緩むと、これは先ほども申し上げましたけれども、結局将来の世代にツケを先送りすることになりますし、また、株式市場とか国債の市場に対する悪影響ということも懸念をされるわけであります。

 そうなると、これから歳入歳出一体改革でさまざまな、税制改正も含めて議論が行われるんでしょうけれども、まずやらなければいけないことは、経済を活性化して税収の自然増を図っていくということが一つあるんだというふうに思います。もう一つは、行政の中のさまざまな財政支出を、これはあらゆる分野について歳出を見直して、本当に必要な分野だけに必要な資金が行けるような、そういう財政構造改革も引き続き行わなければいけないことだろうというふうに思っております。こうした努力というのは、これからむしろ一層強めていかなければいけないことなんだろうというふうに思っております。

 そこで、大変こういういろいろな要請がある中で、難しい、困難な状況の中ではありますけれども、ぜひ福田総理に、内閣としての財政健全化に向けての基本的な考え方と、それを達成していくための御決意を伺いたいというふうに思います。

額賀国務大臣 上田委員のおっしゃるとおりでございます。財政再建は、我が国政府あるいは日本国の最大の目標の一つであります。経済成長と財政再建は車の両輪であると思っております。

 御承知のとおり、史上最悪の債務残高を抱えております。その中で、委員がおっしゃるように、社会保障の給付というのは現在九十兆円でありますが、二〇二五年にはこれが百四十兆円余りに急増していく。このサービスをどういうふうに確保していくかということも大きなテーマであると同時に、また、財政再建をどういうふうにきちっと後世の世代に先送りしないようにしていくかということが課せられた政治課題であるというふうに思っております。

 財政再建については、委員御指摘のとおり、二〇一一年度にはプライマリーバランスの黒字化を図るということ、さらに、今回の財政制度審議会においては、将来、利払い費を含めた財政収支を、これ以上借金をふやさない、そういうふうに改革をしていかなければならないという提言を受けているわけでありますから、我々は、こういう方向に向かって政策を進めていかなければならないというふうに思っております。

 そのために、今、これから、来年度予算の概算要求、それから骨太方針をつくっていくわけでありますけれども、二〇〇六年の基本方針を堅持して、やはり財政再建の旗を掲げていかなければならないというふうに思っております。

 そのためには、無駄を省き、歳出改革を行い、そしてその上で国民の皆さん方にサービスを、これをなくしていく、マイナスにしていくことができないという分野については安定した財源も確保していかなければならない。そういうことについて、秋の税制の抜本改正時に、これは与党だけではなくて与野党の間でしっかりと議論をして、国民の皆さん方に将来の展望を示していくことが大事なことであるというふうに思っております。

福田内閣総理大臣 今の我が国の財政状況を見れば、これはもう何としても悪化した財政状況を健全化させると申しますか、回復させなければいけない、健全化に向けて回復させていかなければいけない、これはもう当然のことでございまして、もう委員もよく御案内のとおりで、今の委員のお話にもそういう気持ちがよく込められたと思っております。

 私に課せられた仕事は、限られた状況の中でいかにしてそれを有効に活用していくかということであると同時に、今あるいろいろな問題点、指摘がございますので、そういうものを合理化していくかと申しますか、無駄を排除していくかということに最大限力を振るっていかなければいけないだろうというように思いまして、格段の注意を払ってまいりたいというように思っております。

 そして同時に、成長する芽を摘んではいけないということよりか、むしろ、成長の芽をさらに大きく育てるための施策も必要だということもありますので、両方にらみながら、今鋭意努力をしている最中であります。特に、最初に申し上げました無駄をなくすということについては、これはもう徹底した無駄の排除ということに心がけてまいりたいと思っております。

 そういう意味において、委員にもいろいろと御協力をいただいておりますけれども、今後ともよろしくお願いしたいと思っております。

上田委員 今御答弁にあった歳出改革の中で、今度の国会で非常に大きな議論を呼んだのが道路特定財源の問題であります。道路特定財源の一般財源化などを含みます抜本的な改革を総理が決断された、そのことは高く評価をし、私たちも全面的支持をしているところでございます。

 道路事業にも、地域経済の活性化だとかあるいは生活の利便性の向上のために必要なものもたくさんあるのも事実で、私も地元は横浜という都市部でありますけれども、そこでもやはり、あかずの踏切の解消とか、生活関連のさまざまな道路、渋滞緩和など、いろいろなニーズがあるのは事実ではあります。

 ただ、国民は、そうしたことも含めて、従来の特定財源、硬直した構造というのはやはり改革をしていかなければいけない。そして、これまで国会の議論や、またさまざまなところで明らかになってきた、いろいろな執行の面での無駄遣い、そうしたことも改めていかなければいけない。そしてさらに、やはり事業計画についても大胆な見直しを行って、本当に必要な分野に政策経費、限られた財源でありますので、それを充ててもらいたいというのが要望だというふうに思っております。

 そのためには当然、今申し上げましたように、道路事業を実施する際にいろいろな無駄を排除して効率化をしていく、これも取り組んでいかなければいけない。これから中期計画の見直しに入るわけでありますけれども、そこでも、本当に必要なもの、その必要性や効果についてこれまで以上に厳正に審査をしていただいて、できるだけ事業を縮減し、その財源を本当に必要な政策分野に配分をしていく、そうした取り組みが必要であろうというふうに思っております。

 ぜひ総理に、今後の方針、御決意を伺いたいというふうに思います。

福田内閣総理大臣 道路の予算と申しますか、また執行に当たりまして、いろいろな問題が指摘をされました。そういうような指摘を踏まえまして、今般、特定財源の一般財源化といったようなことも方針として打ち出しました。そしてまた、閣議決定までいたしたわけでありますので、これが既定方針でございます。来年度からは、それに向けていろいろな作業を進めていく、こういうふうなことになります。

 もちろん、無駄を排除するというようなことは当然でございますけれども、その根底となるのは、やはり道路をどれぐらい必要とするかといったようなことですね。そしてまた、その計画をどうやってつくっていくのか、そういう問題があります。現在は十年計画でありますけれども、それを五年にするということも既に申し上げておりますけれども、その五年計画をどのようにするのか。それは計画そのもののスピードの問題もあります。量とスピード、それをどのように決めていくかというのは、これはよく吟味しなければいけない。

 また議論も、恐らく相当な議論を積み重ねて決定していかなければいけないということでありますので、この秋に向けまして、専門家で構成されることになります第三者委員会でもって、交通需要の推計とか、そしてまた費用対効果の分析も含む事業評価といったようなことについて、この手法も含めて検討していかなければいけない、そんなふうに思います。

 そういうような過程において、コストの縮減ということをあわせ考えるわけでありますけれども、そういうようなことについて国民の理解を求めるということも当然必要であろうかと思います。各方面の意見を集約して新しい計画をつくっていくということであります。

 そういう中においては、与党のみならず、各党間における意見を聴取するというようなことも必要であろうし、また、国会における議論も必要だというふうに思っております。今回は、そういうような形でもって、できるだけ多くの皆様方の御理解を得られたものにしたいということを考えております。そういうことについて、関係閣僚会議でも具体的な方策、段取り等を決めてまいりたいと考えておるところであります。

上田委員 総理、大変ありがとうございます。

 必要なもの、要望のあるもの、これはたくさんあるわけで、それを積み重ねていくと、今の限られた財源の中ではもうパンクしてしまうわけであります。ここは本当に厳正に必要性、効率性をちゃんと見きわめながら、これは道路に限ったことではありません、あらゆる政策分野について、これから本当に厳しく見ていかなければいけないだろうというふうに思っております。そのためにも、総理また財務大臣にも、ぜひそういった観点からのリーダーシップを発揮していただきたい。それが将来の世代に対する責任だというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、七十五歳以上の方々を対象とした長寿医療制度について若干お伺いしたいというふうに思います。ちょっと時間がなくなってきましたので、少しまとめてお伺いをすることになりますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。

 一昨日、厚労省では、もとの国民健康保険の保険料と比べて約七割の世帯で保険料が下がったという調査結果を公表いたしました。これは、以前から言っていたこととおおむね一致をしているというふうに理解をしておりますけれども、しかし一方で、所得の低い世帯でも四割近くが今度は保険料が上がっている、これはこれまでの説明と随分違うのではないかというふうに感じました。

 このような結果になった理由は、厚生労働省の方からいろいろとお伺いをいたしました。従来市町村が単独で行っていた保険料の助成措置が今回廃止をされたというようなこともあるというふうにも伺っておりますけれども、今回、こういう結果が出ました。

 そこで、重要なことは、やはり、所得の低い方、低所得の方々で今回保険料の負担が上がった方に対してどういう対策を講じていくかということであろうというふうに思っております。

 今、ここに掲示をさせていただきましたけれども、これは、自民党、公明党の与党で、低所得者の負担軽減に主眼を置いた保険料の軽減策について、三日の日に合意をされました。その骨子がここに書かれております。また、お手元の資料の二にも書かれているとおりでございます。

 基本的には、七割軽減世帯、つまり年収百六十八万円以下の世帯でありますけれども、そのうち被保険者全員が年収八十万円以下の世帯は九割軽減をする、また、所得割を負担する、これは年収百五十三万円以上の世帯でありますが、そのうち二百十万円程度までの人は、所得割を五〇%程度軽減をするというような内容になっております。しかも、これは二〇〇九年度からしかできない部分もあるので、今年度の当面の対策としては、七割軽減世帯のうち、八月まで年金から保険料を支払っていただいた方は、十月から保険料を徴収しない。結果として八五%ぐらいの負担軽減になるわけでございます。

 こうした主な措置について合意をされたわけでありますけれども、これらの措置によって、これはあくまで試算でありますけれども、保険料が減少すると言われている世帯の割合が、現在では六九%ということでありますけれども、それが七五%までになる。特に低所得の方々に対する軽減効果が高いというふうに推計をされております。

 政府においては、こういうさまざまな問題の提起、また従来の説明との違い等が出てきたところでありますので、早急にこの軽減策を実行に移していただきたいというふうに思いますが、これは非常に国民の関心の高いことでありますので、ぜひ総理から御決意を伺いたいというふうに思います。

福田内閣総理大臣 この長寿医療制度につきましては、四月の施行以来、いろいろな問題点が指摘をされてまいりました。定着をさせなければいけないと思いつつも、そういうような現場の状況も十分に把握をしながら、また丁寧に把握して、見直すべき点があれば迅速に対応していかなければいけない、こんなふうに思っておるところでございます。

 先日、与党のプロジェクトチームでもって、低所得の方を対象としました保険料の軽減措置の提案をまとめていただきました。これは大変参考になる内容と考えておりまして、政府としても、こういうような提案も踏まえまして、第二回目の保険料の天引きが迫っておりますけれども、それが実施される来週ごろには制度定着のための必要な措置はとっていきたい、このように考えているところでございます。

 いずれにしましても、定着をさせるために、そしてまた多くの国民の方に納得いただけるような努力をしてまいりたいと考えております。

上田委員 時間になりました。ほかにも通告していた内容がありまして、西川副大臣にもお越しいただいているんですが、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

枝野委員長 次に、横光克彦委員。

横光委員 民主党の横光克彦でございます。

 総理、海外出張、御苦労さまでした。大変お疲れだと思いますが、早速質問に入らせていただきます。

 現在、我が国の国と地方を合わせた長期債務残高、いわゆる借金ですね、これが約八百兆になんなんとするという報告が財務省からございました。大変な財政危機ではあります。このことを強調して、政府は、二言目には財源がない、財源がないという理由で地方や障害者や高齢者に痛みを押しつけてきたわけでございますが、その一方で、税金の無駄遣いが次から次へと明るみになる、さらには、アメリカに対しては、米軍再編経費や地位協定などで膨大な税金をつぎ込もうとしております。

 我々民主党は、今年度のいわゆる思いやり予算に初めて反対をいたしました。なぜか。つまり、検証が十分でない上に、思いやり過ぎている部分があるからでございます。国民が給料が上がらない中、今、生活必需品を初めあらゆるものが上がり始めております、物価が。四苦八苦しております。そういった中で思いやり過ぎがあるとすれば、やはりこれは国民から到底理解も納得もしてもらえるものではありません。

 思いやる相手を間違っているのではないかと思われるような一つの事例を挙げます。

 お手元に配付しておりますが、去る五月二十一日の東京新聞の記事によりますと、全国の在日米軍基地で、米兵やその家族にレンタカーを貸し出す際、軍用車両有料道路通行証明書が渡されており、そのため、これら利用者は高速道路等を無料で通行し、その料金を日本政府が肩がわりしている、こうされております。

 レンタカーを利用してのレジャー代をも税金で負担しているということは、これは到底国民感情からすれば受け入れられるものではございません。総理、即刻中止してください。

福田内閣総理大臣 御指摘のレンタカーの運用実態、これにつきまして、現在、防衛省が在日米軍に照会中であるという報告を受けております。ただ、政府として、この運用実態について米側がどういう回答をしているか、その回答を踏まえて対応したいと考えておりますけれども、いずれにしても、日米地位協定、これは適切に運用されなければいけないと考えております。

横光委員 何を言っておるんですか。この報道があったのは五月の二十一日ですよ。もう二週間たっておるんですよ。まだそんな返答待ちなんですか。何ですか。それは、しかし、おかしいじゃないですか。何でアメリカはすぐ回答しないんですか。なめられているとしか言いようがないですよ、これは。こんなことを国民が許すと思いますか。

 地位協定第五条二項には、軍用車両は確かに通行料は無料になっております。しかし、レンタカーまで無料とは一言も書いておりませんよ。勝手な解釈をされて、それに、はいはいと言って金を差し出すほど、私たちの国、今、余裕はないでしょう。速急に回答してもらって、しかも、過去に払った分まで積み上げて返却してもらうべきだと私は思っております。ぜひこのことを実行していただきたいと思います。

 この事例のように、本当に、米軍のグアム移転でも住宅建設の日本側の負担が余りにも高過ぎる、これは石破防衛大臣もお認めになっておりますが、このように積算根拠があいまいなままアメリカの言いなりになってしまえば、その負担は国民にしわ寄せが行くだけなんですから、この問題はきょうは取り上げませんけれども、こういった事例がいっぱいあるということ、しっかり対応しなければならないということ、このことを申し上げておきます。

 次に、きょうの報道で、原爆症の訴訟、これで国側が「上告断念へ」あるいは「断念の方針」と、いろいろ書かれております。いい報道がなされております。しかし、この「断念へ」、「へ」というものをきょうはなくしてもらわなければなりません。そのことをちょっと確認させていただきたいと思います。

 原爆症認定をめぐる集団訴訟では、去る二十八日と三十日に仙台高裁と大阪高裁で全員勝訴の判決が言い渡されました。これで、各地裁判決六回と合わせて国が八回負けているんですね。国の八連敗という異常な事態になっております。さらに、この両判決は、四月から始まりました原爆症認定の基準である新たな審査の方針では不十分であるということを示すものでもありました。

 総理、原告の平均年齢は七十七歳なんです。しかも、訴訟の中で、三百五名の原告のうち、既に四十九名の方々が亡くなられているんです。一割強ですよ。大阪高裁では九名全員が勝訴しましたが、国の行った控訴のために、この間に三名の方が亡くなっている。そして、裁判所に来ることができた四名のうち、三名の方は車いすなんです。

 これは一体何を物語っているのか。一刻の猶予もないということなんです。これ以上原告を苦しめ死を待つということは、私から言わせれば、犯罪としか言いようがないと思います。

 総理、この原爆症認定問題は、今後、被爆者を広く救済する立場に立つのか、それともその逆なのか、それが問われる極めて政治的な問題だと思うんですよ。今まさに総理は政治的決断が迫られていると思います。新聞報道では「上告断念へ」ということでございますが、ここの場ではっきりと、上告を断念するということを言明いただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 今回の判決の対応につきましては、現在、厚生労働大臣が詰めの検討を行っております。判決は重く受けとめておりますので、適切な判断をしなくてはならないと考えております。

 原爆被爆者の方々におかれましては、これはもう長年にわたり数々の大変な御労苦をおかけしてきている、こういうことと考えております。

 今回の判決結果は、これは来週の上告期限に向けて現在厚生労働大臣を中心にして関係省庁間で詰めておるところでございますので、そういう状況であるということをただいま申し上げておきます。

横光委員 あいまいな答弁ですが、上告はしないというふうに受けとめました。それでよろしいですね。はい。

 それで、総理、この上告をしないということは大変重い決断になろうかと思います。しかし、私から言わせれば、余りにも遅過ぎたなと。本当に多くの方々が亡くなっているんですね。

 ですから、この上告をしないということは、被爆者救済という被爆者援護法の立法趣旨に立ち返って、今回の大阪高裁判決の趣旨を尊重した原爆症認定を行うということだと思います。となりますと、現在提訴しております三百五名の原告の方々、この方々は、みんな裁判所で放射線の影響が疑われることについて立証がなされておるわけですから、当然、原爆症、認定されてしかるべきだと思います。

 総理、もう一度お答えいただきたいんですが、上告を断念するとともに、大阪高裁だけでなく、残りの原告全員を、三百五名を原爆症と認定し、そして訴訟の全面早期解決を図る、一括救済を図る、こういうことでよろしいですね。お答えください。

福田内閣総理大臣 委員の方から、来週の上告期限、私はそれまで検討しますというふうに申し上げたものを、上告しないと断定的におっしゃられましたけれども、それを検討している最中である、これは申し上げておきますよ。それは、私が私の気持ちだけで判断するという問題ではありませんから、いろいろな方がこれに関係しているわけですから、そういう方々の意見をよく聞いた上で、私自身納得しないといかぬでしょう、納得した上で決めたいというように思います。

 そして、今のお話でございますけれども、基本的には、新しい基準によって一人でも多くの方を認定していきたいというように考えております。

 昨年来、専門家によります検討や与党における検討を経て、本年三月に新基準が定められました。新基準におきましては、今回の判決の対象となったような方についても個別に総合的に判断を行う仕組みが設けられておるということでございますので、この仕組みを利用しながら、迅速かつ積極的な認定を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。

横光委員 上告の期限までとか言っておりますが、もう法務省も厚労省も、後は総理の判断を待つだけと、お帰りになるのを待っていたんじゃないですか。総理が一言、それで決断すれば、もうこれ以上苦しまなくて済むんですよ。何で週をまたぐ必要があるんですか。それが一つ。

 それから、もし全員救済をしないということになれば、これは一部だけ救済するということになる、上告断念すると。そうなりますと、同じことが繰り返されるんですよ、総理。もう後がないんですよ、皆さん。現在、先ほど言ったように、この間にどれだけ多くの方が亡くなっているか、この裁判の結果を聞かずして。だから、上告断念ということは非常にいい決断だと思いますが、その上に、現在、訴訟があるすべての、地裁を含めての三百五名の原告の救済を図る、ぜひこのことを実行していただきたいと思っております。

 それから、総理、ぜひ一度被爆者の方々に会っていただけませんか、そして話を聞いてくれませんか。やはり、原爆被害の実態は、被害者から聞くことなしには私は理解することは到底難しいと思うんですよ。この上告断念がはっきりする前が一番いいんですが、した後でも結構ですので、ぜひ被爆者の生の声を聞いていただきたい、このことを強くお願いしておきます。

 次に、クラスター爆弾の件についてお尋ねいたします。

 これは、事実上即時全面禁止するという条約案が参加百十カ国の全会一致で採択されました。画期的なことだと思っております。歴史的な合意だと思っております。

 このクラスター爆弾は本当に恐ろしい爆弾でございまして、対人地雷、そしてこのクラスター爆弾は、まさに悪魔の兵器と言っていいわけでございます。これが日本も賛同して採択されたわけですが、この採択に至るまでには、日本の現場のいろいろな意見を押し切って、最終的には総理が決断されたということを聞いておりますし、その御英断には本当に感謝を申し上げます。

 しかし、総理、この禁止条約が採択されたからといって、すべてが万々歳というわけではありません。まず、この条約に従って、いかにして廃棄を実効あるものにするかということがこれからの課題でございます。

 私たちの国の自衛隊が持つクラスター爆弾をすべて廃棄処理する、これは当然のことですが、もう一つの問題は、クラスター爆弾を大量に保有して使用してきたアメリカやロシア等の軍事大国が、このダブリンの会議には参加しておりません。こういった大国を説得するのはもちろんですが、とりわけ問題ですのは、アメリカに対して、この条約の重さと廃止に向かう国際世論の流れを説明して、絶対に使用してはならない、そして条約に一刻も早く参加すること、この二つを強くアメリカに働きかけること、このことを総理にお願いしたいと思います。どうぞ。

福田内閣総理大臣 このダブリン会議での条約、これは、クラスター弾がもたらす人道上の懸念に対処するために作成されたものでございまして、この署名に向けて、安全保障上必要となる措置についての検討を並行して進める、今後、具体的な対応ぶりを真剣に考えてまいりたいと思っております。

 一般論として申し上げれば、クラスター弾の人道上の懸念に実効的に対処するためには、可能な限り多くの国が関連の国際約束に参加するということが重要でございます。

 政府といたしまして、このような観点からも、米ロ等を初めとする主要な生産国及び保有国が参加する特定通常兵器使用禁止制限条約、いわゆるCCWの枠組みにおいても引き続き積極的に貢献していく、そういう考えでございます。こういう中で、米国等との間でも引き続き緊密に意見交換を行ってまいります。

横光委員 緊密に意見交換どころではなくて、これほど正しいことが今回全世界で百十カ国で採択されたんですから、正しいことを堂々と言うことには何をはばかることもございません。正しいことを対等に堂々と主張することこそが私は同盟関係であると思っておりますので、ぜひアメリカに対して、クラスター爆弾を使用しないこと、条約に参加すること、このことをこれから強く働きかけていただき、この条約が実効あるものにしていただきたい、そのリーダー役を日本が担わなきゃならない、このように思っております。

 また、いま一つ、総理に強い指導力を発揮していただかなければならない重要な課題がございます。対人地雷もクラスター爆弾も悪魔の兵器と私は先ほど申しましたが、もう一つ悪魔の兵器がございます。それは、劣化ウラン弾です。

 劣化ウラン弾は核兵器ではありませんが、放射能汚染と被曝をもたらし、兵士のみならず一般市民まで、さらには環境までもが破壊されるという非常にまた恐ろしい兵器でございます。これが、一九九一年の湾岸戦争以来今日のイラク戦争まで、アメリカ、イギリス軍等により繰り返し使用されてきました。

 クラスター爆弾は、広い地域を無差別に攻撃する。この劣化ウラン弾は、対戦車をピンポイント的に攻撃すると言われておりますが、物すごい貫通力で、これが当たれば戦車が焼けてしまうというほどの力なんですね。そして、ウランが発散する。健康被害のみならず、土壌まで汚染する。これは長期間に及びますね。いわゆる使用後も被害が出るわけです。使用後も長らく被害に苦しむというのは、先ほどの原爆症認定訴訟でもおわかりのように、被爆国日本が経験していることであり、劣化ウラン弾は、核兵器ではないとしても、放射能汚染を生ずる恐ろしい兵器ですが、これも一刻も早くこの地球上からなくしていかなければならない。

 対人地雷とクラスター爆弾はなくなっていくんです。この地球上からなくなっていくんです。この劣化ウラン弾もそういった方向にしなければならない。究極の悪魔の兵器は核兵器でございますが、核兵器廃絶という国是のためにも、一つ一つ恐ろしい兵器をなくしていく努力をしなければならない。

 そこで、このウラン兵器に対して、劣化ウランのことについて国連で、劣化ウランを含む武器・砲弾の使用の影響に関する決議が昨年の暮れに採択されました。これにアメリカは反対しました。しかし、私たちの国は賛成しました。当然のこととはいえ、これもまた評価に値するんです。

 この決議を受けて、日本政府としての見解を五月末までに国連事務総長に報告することになっております。五月三十一日に日本政府が見解を表明したとお聞きしております。その内容をお配りしておりますが、それを見て私は、びっくりというかがっくりいたしました。なぜ日本はこのような見解しか出せないのか。

 この二番を見てください。結論は導かれていないと認識している、日本は引き続き国際機関が行う調査の動向を注視していく。何ですか、これは。こんな消極的な姿勢でどうするんですか。これでは他人事じゃないですか。何でもっと強い姿勢を示せなかったのか。結局、放射能汚染にかかわる兵器でございますので、我が国は唯一の被爆国ですので、放射能汚染を生ずるこの劣化ウラン弾は禁止、使用すべきではないというぐらいの趣旨の見解を出すべきではなかったか、私はこのように思いますが、総理、いかがですか。

福田内閣総理大臣 御案内のとおり、我が国は、昨年の国連総会でもって、劣化ウラン弾に関する決議に賛成票を投じました。これは、劣化ウラン弾が健康や環境に与える影響について行われております国際機関の調査の動向などを注視していくという立場から賛成したものであるということであります。

 また、我が国は、この決議に基づいて、本年五月に国連に対して我が国の見解を提出いたしました。この見解の中でもって、関連する国際機関に対し、現地調査を継続し、さらなる情報収集を行い、当該国際機関の見解を提示することを要請するとともに、我が国としては、本件に関しまして、市民社会と対話を行っていくという考え方をいたしたところであります。

 引き続きまして、我が国としての対応は、本件問題をめぐる国際的な動向を関心を持って注視してまいりたいと思っております。

横光委員 もう終わりますけれども、本当に余りにも消極的な後ろ向きの日本の見解であると言わざるを得ません。

 今、市民社会とこれからもいろいろと協力するとおっしゃいました。総理、この問題はもっともっと詳しくやりたかったのですが、時間がありません。「ウラン兵器なき世界をめざして」、こういう雑誌がございます。これは、言われたように、市民社会、NGOの皆様方が編集した本でございます。ウラン兵器禁止を求める国際連合、ICBUWの本でございます。お忙しいかと思いますが、ぜひ一回、目を通して、そして、世界の平和に向けて我が国が貢献できる道は一体何なのか、我が国が進むべき道は何なのか、その判断材料にしていただければと思います。

 終わります。

枝野委員長 この際、長妻昭委員から関連質疑の申し出があります。横光委員の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭委員。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。本日は質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 総理、海外、お疲れさまでございました。

 まずは総理、自民党の総裁でもありますので厳重抗議を申し上げたいのは、自民党の茂木敏充衆議院厚生労働委員長が、私がこの委員会で発言した内容を議事録から、私の了解もなく、理事会の合意もなく削除いたしました。その発言内容というのはこういうことです。与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府のと。この発言が気に食わないということで、職権で削除すると。

 言論は言論で言ってください。ぜひ総理からも厳しく注意をいただきたいというふうに思います。

 そして、タクシーの問題でございますけれども、きょうは官房長官お出ましでございます。この水増し請求なども含めて、最新の全省庁の結果を、概要を教えていただきたいと思います。

町村国務大臣 ちょっと確認しておりませんが、資料が配られておりますでしょうか、各委員のところにも。(発言する者あり)はい。一番最後の二枚が各省庁職員タクシー利用についてとなっておりましょうか。済みません、ちょっと資料の順序が違っていますか。一ページ目ですか。どうも失礼しました。

 いずれにしても、この各省庁職員タクシー利用状況ということで、各省庁の、期間はちょっとそれぞれ違ったりしておりますけれども、タクシーを利用した際に金品を授受した職員数、タクシーを利用した際に金品を授受した職員がタクシーを利用した回数、それから、金品を授受した回数のまたその内訳ということで、一部まだ調査中というものもございますが、今この時点で判明している職員の数が、各省庁全体で五百名余。それから、タクシーを利用した際に金品を授受した職員がタクシーを利用した回数は、約七千九百回余。それから、利用した際に金品を授受した職員が、運転手から金品を授受した回数が一万二千四百回余ということで、さらに、現金を受け取った金額、これは財務省の場合でありますが、百八十七万五千円。これは特定の者のものであるようでございますが、そのような結果が出ております。

長妻委員 この委員会は行政監視の委員会ですので調査をさせていただきましたけれども、まず、私のところに、タクシーチケットを料金水増しして渡して、毎回乗車運賃の一割を現金でキックバックする、こういうことが霞が関で常態化している、こういう情報から調査をしたわけであります。

 そうすると、今おっしゃられた一人の主計局の職員、この方は埼玉県に住んでおられる方で、五年間で七百五十回タクシーで帰宅をされた。その七百五十回すべてで毎回一割のキックバックがあって現金をもらっているということでございまして、この方の運賃は二万五千円、毎回二千円から三千円を受け取っていた。トータルで、五年間で受け取った金額の総額は百八十七万五千円ということでございます。

 この方がタクシーの料金を水増し請求していたという事実は今確認中だそうでございますけれども、我々が受けた情報と非常に似ている方がおられたということで、まだまだおられる可能性が私はあると思いますので、ぜひ徹底調査をして、こういうことは中止していただきたい。

 総理、感想を一言お願いします。

福田内閣総理大臣 今回の事件を聞きまして、びっくりしました。そういうことがあるのかな、こういう思いでありますけれども。

 いやしくも公務員たるもの、倫理については厳しく律せられているわけでありますので、国民から疑念を抱かれるようなことは一切すべきではない、当たり前のことでありますので、その当たり前のことがどうして守られないのかな、そういう思いであります。

長妻委員 そして、後期高齢者医療制度に入りますけれども、多分、総理とか閣僚の皆様に厚生労働省から正確な説明が入っていないんではないかという懸念がありますので、ちょっと説明をさせていただきたいと思います。

 結局、七十五歳以上の方を別枠にする、先進国ではあり得ない制度でございますけれども、障害者の方は任意とはいえ六十五歳以上でございます。

 別枠にすると、当然ながら、後期高齢者一人当たりの保険料の伸び率を七年後と比べた推計、これは厚生労働省が推計した資料でございますが、このパネルでございますけれども、後期高齢者は一人当たりの医療費の伸びに比例して一人当たりの保険料も伸びていくということで、七年間で三九%伸びる。つまり、一・三九倍になるという試算が出ております。当然、後期高齢者は、寿命が延びれば延びるほど、お医者さんにかかる割合がふえますので、一人当たり医療費がふえて伸び率も高くなる。そして一方、同じ基準で見た平成二十年度から二十七年度、七年間の若人、国保でございますけれども、七十四以下の方の一人当たりの保険料の伸びは一・二三倍、二三%伸びるということで、後期高齢者の方の伸びの約半分ということになりました。

 これまでは同じ保険者であれば老いも若きも全く同じ一人当たりの保険料の伸び率だったわけですが、今度は後期高齢者は非常に急激に伸びていく。これは、厚生労働省の幹部の方も、退職された方が、この後期高齢者医療制度で日本人の寿命の延びがとまるというふうに言われているとおり、そして、厚生労働省のこの制度を導入した課長補佐が、ことし一月の金沢でのこの制度の説明のフォーラムでこういう発言をしております。もともと今回の医療制度改革は、医療費が際限なく上がり続ける、その痛みを後期高齢者みずから自分の感覚で感じ取っていただくと。

 つまり、七十五歳以上の方が病院に行けば行くほど、保険料が急激に上がって、自分の首が絞まる。それで医療が抑制するということで、究極の抑制策で、我々は、必要な医療までも抑制されるんではないか、こういう懸念を持っております。

 そして、次の二枚目でございますけれども、もう一つ、これも厚生労働省が意図的に説明していない問題でありますが、後期高齢者医療制度が導入された場合とされていない場合、同じ平成二十年度、これも厚生労働省の試算でございますけれども、七十五歳以上の医療費トータルに占める税金の投入額が、制度導入のない場合は五五%、しかし、後期高齢者医療制度を入れると五二%ということで、税金の投入比率が三ポイントマイナスになっている。絶対金額も、税金の投入が今度の制度で七十五歳以上の医療費から六千二百億円マイナスになったと。

 こういうところが、きちっと堂々と国民の皆様に説明しないために非常に混乱ができているし、そもそも、この七十五歳以上で切り分ける制度そのものに私は無理があると思います。

 総理も失礼ながら後期高齢者の、そろそろそういう時期ではないかと思いますけれども、これは一たん白紙に戻す、七十五以上で分けるというのはもうやめるというお考えはございませんか。

福田内閣総理大臣 この制度がどうしてできたかという経緯をやはり振り返ってみる必要があるのではないかというように思いますよ。

 平成十一年度でしたか、健康保険組合の中でもって、保険金を払えない、こういう不払いが生じたんですね。そういう運動が起こったということがありまして、これでは今までのというかそのときの保険制度ではやっていけないんだ、その原因は何かといったらば、高齢者がこれからどんどんふえていくんだ、そして同時並行に医療費が当然ふえるんだ、こういうふうなことでもって、そういうときにどうやったらば、そういう高齢者の医療も維持していかなければいけないかということを、当時、本当に危機感を持って考えた、そして、いろいろな制度を考え始めた、そういうことがあったわけですね。

 そういうことから、平成十二年ですか、参議院の国民福祉委員会でもって、老人保健制度にかわる新たな制度の創設について附帯決議がされまして、平成十四年の改革では、対象年齢を七十歳から七十五歳に段階的に上げていこうということ、それから、公費負担の割合を当時三割あったものを段階的に五割に引き上げていこう、こういうふうなことも決めたわけですね。そして、今回七十五歳、段階的に引き上げた結果五割というようなことも最終的な決定になり、高齢者の医療費を公平に分かち合う仕組みが制度化された、こういう経緯があるんです。その経緯をやはり振り返らないで、そういうものが今回できてしまったから悪いんだというようなことは、ちょっと今までのことを考えれば余りにも極端な意見ではないのかなというように思います。

 ですから、そういう観点から考えると、過去にさかのぼるということでなくて、将来にわたって高齢者の医療を守っていく、そういう基本認識を持った上で新制度の定着を図っていくというのが、これが普通ではないかと思いますよ。

 そしてまた、保険料が、高齢者の場合に伸び率が高いというお話がございましたが、これも必ずしもそういうわけじゃないんです。近年の高齢者の一人当たりの医療費の伸びは低下しておりますので、そういうことを考えますと、必ずしも高齢者の方がふえていくということではなくて、むしろ確実に言えることは、高齢者の医療費を支えるための現役世代の負担、これは今支援金というふうに言っておりますけれども、これの伸び率は少子高齢化の影響によりまして、構造的に高齢者の保険料の伸び率を上回る、こういうふうにも考えられているわけであります。

 いずれにしても、高齢者の医療費の負担を国民皆で分かち合って、そして制度を持続可能なものとしていくことが必要であるというように思っております。

長妻委員 これは、やはり総理のところには本当の説明というのが多分上がっていないんだろうと。つまり、公費の投入が上がると言われましたけれども、公費の投入比率が下がっているということで、非常に厚生労働省、政治家に対しても、意図的かどうかわかりませんけれども、きちっとした説明がない。しかも、七十五歳以上で切り分ける医療保険制度というのは世界にありません。先進国にはありません。

 我々は、広域で、老いも若きも薄く広く支え合う制度というのも提唱して、今、国会でも論戦に臨んでおりますので、ぜひ総理には一たん白紙に戻すという御決断をいただきたいというふうに思います。

 そして、年金の問題でございますけれども、消えた年金問題でございます。これは、これまで記録が戻って取り戻したお金の最高額が、二千八百二十三万円取り戻した九十六歳の男性がおられる。この方は、十九年分の厚生年金が抜けておられたわけであります。一千万円以上取り戻した方は、今現在判明した方だけでも百二十四人おられる。

 しかし、これは本当に氷山の一角でございます。いまだに五千万件中統合された記録、つまり記録がくっついたものは、そのうちの五百四十一万件、たった一〇%ということです。しかも、記録がくっついた方の中でお金が戻った方は、社会保険庁によると、恐らくまだいないというふうに社会保険庁は言っておりまして、非常に窓口が混乱しているので、最長でもお金が振り込まれるまで一年近くかかると。こういう、非常に手続が遅くなっている。

 こういう意味でも、我々は、もう国家プロジェクトとしてきちっと解決してほしいと何度も総理に委員会でも申し上げましたが、全く対応がなされておりません。我々は、解決された方というのはほんの一部で、多くの方がまだ未解決のまま放置されているという懸念を持っております。

 我々民主党が政権をとれば、こういう年金通帳というものを発行して、ここをATMで印字をすれば、幾ら払ったか、そして老後幾らもらえるか、これを持っていれば、社保庁で記録がなくなっても確実に証明できる。こういうものを導入してほしい、導入してほしいと何度も何度も政府に申し上げているんですが、政府は、だめだ、だめだ、将来的にカードを入れるんだ、こういうようなことを言っているところであります。

 そして、今回の問題の抜本解決の一つは、紙台帳がキーポイントで、厚生年金、国民年金の納付記録が記された紙台帳というのは、日本全国八・五億件あるということが確認されました。これをコンピューターデータと照合してデータを正しくするということは絶対に不可欠なんですが、我々が申し上げたら、やっと政府は、今年度まず三千三百万枚だけは一年間かけてやると。しかし、そのペースでいくと二十五年かかるんですね、全部終わるには。しかも、社会保険庁解体は平成二十二年の一月で、あと一年半であります。

 ぜひ、あと一年半で八・五億件を照合してコンピューターデータを正しくする、国家プロジェクトでやるというのをトップリーダーである総理がここで明言していただきたいと思うんですが、いかがですか。

福田内閣総理大臣 最初に、年金記録問題に対して、これは本当に国民の皆さんに御迷惑をかけているわけでありまして、その解決に向けて、国を挙げて取り組んでいる最中でございます。

 ことしの十月までに約一億人のすべての受給者、現役加入の方々にねんきん特別便をお送りする、そしてまた、住民基本台帳ネットワークなどを活用しまして、旧姓を届けていただくとかいったような確認作業を行っているといったような、非常に丁寧な作業を進めております。そんなようなこともありまして、現状で事務処理に時間がかかっているということで、この面においては本当に御迷惑をかけておるところでございます。

 現在、記録が見つかってから増額された年金をお支払いするまでの期間につきましては、六カ月程度かかっているというところを三カ月以内に短縮すべく、職員の配置の見直し、それからコンピューターシステムの改善等を進めているところであります。そしてまた、この五月からは、記録が見つかったすべての受給者の方に対して、社会保険事務所の窓口で年金見込み額を試算してお渡しする、そういう取り組みも始めております。今後、さらなる改善に向けて取り組んでまいります。

 また、この記録問題に対します体制でありますけれども、社会保険庁の職員数を、昨年十二月段階の約九千人を今一万三千人へ増員いたすということもいたしておりますほか、ねんきん特別便の送付、確認作業につきましては、市町村、企業、労働組合、そしてまた福祉関係者など多くの関係者にも御協力をいただいておりますので、まさに国を挙げた体制というような取り組みを進めているところであります。

 次に、紙台帳のことでありますけれども、八億件以上というような膨大な紙台帳の数でございますので、コンピューター記録と紙台帳との突き合わせの取り扱い、これは実現可能性のある方法の検討を行った上で、計画的、効率的に進めることが必要である、こういうふうな考え方をいたしております。

 今現在、今年度中には国民年金特殊台帳、この突き合わせを行いますとともに、市町村が保管する国民年金被保険者名簿の件につきましては、平成二十一年度以降の作業の具体的方法の検討や準備作業を今進めております。一番分量の多い厚生年金被保険者名簿、これは六・八億件でございますけれども、本年一月から約二万件のサンプル調査を行っているところでありますけれども、今月末をめどにその調査結果及びこれを踏まえた作業方針をお示ししたいと考えているところです。

長妻委員 いや、ちょっとびっくりするんですが、まだ紙台帳の準備作業、これは、二十五年どころか、途中でうやむやになる危険性を非常に感じておりまして、これはもう総理のトップリーダーの指導力で決断いただくしかないんです。人、物、金を集中投下して、一気に対応策をやる。小出しにして、途中で、皆さんが忘れればそのままやめてしまおうということでは困るので、ぜひよろしくお願いをしたい。

 そして、もう一つ大きな問題がございます。

 今、社会保険庁のコンピューターには、国民の皆様の厚生年金、国民年金の納付記録が三億データ入力されております。これが表でございますけれども、そのうちの、三億のうちの五千万件は未統合記録で宙に浮いている。これは大問題になりました。では、統合記録である二・五億件は、これは持ち主がわかっているから安心だねというふうに世間ではなっておりますが、それは間違いで、この統合記録にも紙台帳からの入力ミスで受給額が減る入力ミスが発見されております。多くの困っておられる方が、この二・五億件の中にもおられると思います。

 そこで、我々は、二・五億件を数千件ピックアップしてサンプル調査をして、どれだけ間違いがあるのかを調査してくれと何度も何度も申し上げましたけれども、政府は、いや、それは困る、今五千万件で忙しいからだめだ、だめだと。私は、こちらのサンプル調査、二・五億もしたら、また問題が出て、パンドラの箱がもう一回あいてしまう、それを避けているんではないかという疑念を持ってしまうんですけれども、これももう総理の決断で、二・五億の中のサンプル調査をやるというのを明言していただきたいんです。

枝野委員長 福田内閣総理大臣、端的に御答弁をお願いいたします。

福田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、例えば厚生年金被保険者名簿、これは六・八億件ありますけれども、本年一月から二万件のサンプル調査をしているというところであります。

 そして……(長妻委員「こっちです」と呼ぶ)五千万件ですね。(長妻委員「いやいや、二・五億件」と呼ぶ)

枝野委員長 総理、統合記録の二億五千万件についてのサンプル調査をするかという質問であります。

福田内閣総理大臣 それは、本年四月以降、すべての年金受給者と現役加入者にねんきん特別便をお送りしているわけですね。そして、国民お一人お一人に記録を確認していただいておる、そういうような作業をしているわけです。

 そして、紙台帳の記録とコンピューター記録との突き合わせ、これは対象となる記録が八億件超と膨大でありますので、実現可能性のある方法を検討して、今月末をめどに作業方針をお示ししたいと考えているんです。

 ですから、御懸念の点については、ねんきん特別便を初めとした、以上の方法、取り組みを進めることが有効だと考えているわけです。

長妻委員 これは事前にきちっと質問通告しておりまして、舛添大臣は何度も申し上げても全くゼロ回答なので、最後は総理に決断いただくしかないということで、本当に、我々きょうここで質問しているわけです。

 つまり、もう入力済みの、持ち主がわかっている二・五億データ、これは安心だというふうに世間ではなっていますが、そうではないので、このデータから数千件をピックアップして、本当に紙台帳からの入力ミスがないのか、人まで当たって、本当に受給漏れがないのかを、どのぐらいの確率で発生しているのかを当たってほしい、サンプル調査してほしい、これを申し上げているんです。

枝野委員長 総理、端的に御答弁をお願いします。

福田内閣総理大臣 ですから、今答弁したとおりなんですけれども、紙台帳の記録とコンピューターの記録との突き合わせ、これは対象となる記録は八億件超あるんですよ。そこで、実現可能性のある方法を検討して、今月末をめどに作業方針をお示ししたい、こういうことを申し上げている。(発言する者あり)

枝野委員長 双方とも不規則発言はおやめください。

福田内閣総理大臣 その中には、サンプリング調査によって、結果、状況がわかるというものもあるわけであります。

長妻委員 ちょっと総理はあえて意味を別の意味にとられて答弁されているのかどうかわかりませんけれども、五千万件は一定の状況が明らかになりましたけれども、それ以外の消えた年金問題もまだいっぱいあるので、それをぜひ、サンプル調査や調査要請、我々は何項目にわたって出していますけれども、全部ゼロ回答なんですよ。ここで一気にうみを出していただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、次の質問ですけれども、ここは決算行政監視委員会でございまして、今、平成十八年度の決算を審議しているところでございますけれども、平成十八年度の特別会計と一般会計を合わせて重複を除く日本国の支出というのは、お伺いすると二百五十兆円あるということでございます。

 これは財務大臣にお伺いしたいんですが、この二百五十兆円、日本国の総支出の中で無駄遣いというのは大体幾らぐらいある、あるいはあったと思われますか。

額賀国務大臣 これは、私ども、予算編成をする際に、あるいはまた決算の場合も、どういうふうに無駄を徹底して排除していくかということに心を砕いているわけでございまして、今年度予算においても、御承知のとおり、随意契約とか独立行政法人に対する支出は厳格に査定をさせていただいているわけでございます。

 これは、一概に、では二百五十兆円の中でどれが無駄だったかということは、なかなか私の立場からはきちっと言いにくいところもあるんですけれども、各省庁の予算執行における不適切な支出については、会計検査院の決算報告もあるわけでございますから、それに基づいてお話をさせていただきますと、十八年度決算においては総額三百十億円の指摘がなされているわけであります。このうち、我々は今年度予算で百五十二億円の削減を行って反映をさせていただいているわけであります。

 例えば、前年度と比較して予算額が減ったり、各省庁の執行額が予算と比べて少ない場合でも、社会状況の変化を初め、いろいろな要件によって無駄というものの概念が変わってきたりしているわけでありますから、無駄の総額はこうですねというのはなかなか、その状況の変化にもよるわけであります。

 ここ一両年、非常に適切だったものが、数年後には無駄である場合だってないことはない。そういうことは、時代の変遷と予算の執行状況とをよく見きわめながら、我々は考えていかなければならない。

長妻委員 私は本当に耳を疑うんです。二百五十兆円の決算なんですね、ここで今議論しているのは。そのうち、会計検査院の指摘の三百十億円ぐらいが問題で、これはけたが、三百十億円、そしてそのうちの百五十二億円を削減したということで、こんなちょっとしか無駄がないはずはないわけでありまして、我々が試算をして積み上げると、少なくとも一年間に十五・三兆円、歳出をカットできる。

 そして、日本の国には、もう一つ、税金の無駄遣いを自動的に生み出す仕組みが各省庁に埋め込まれている。これは、頭文字をとってHAT―KZと申し上げているんですが、H、ひもつき補助金システム、A、天下りあっせん仲介システム、T、特別会計システム、K、官製談合システム、Z、随意契約システム。

 これは、先進七カ国を調べましたら、日本型のこれほどの仕組みはどの国にもありません。使途が決まっている金が地方に流れる、その比率も日本は七カ国で一番。天下りあっせんを国がしている国は日本だけです。

 そして、特別会計の規模が、一般会計と特別会計を比べて、日本は特別会計の方がべらぼうに大きい。ところが、先進七カ国を調べると、ほかの国は一般会計よりも特別会計の規模の方が小さいんです。透明性が高い。

 官製談合は、お役所が主導して天下りを目的にする官製談合、これはイタリアが若干、裏組織との絡みで官僚がしているという事例はありましたけれども、日本は天下り目的で官製談合がある。

 そして、随意契約ということで、これらにメスを入れて、二百五十兆円のうちたった百五十二億円しかないなんてばかなことはあり得ないわけで、我々は、この問題について、この天下りにも調査をいたしますと、驚くべき数字が出てくるわけであります。

 平成十八年度、国からの天下りだけで二万六千六百三十二人が四千六百九十六法人に天下って、一年間でその法人に、団体に、十二兆六千四十七億円が流れるということで、この十二兆のうちの、契約で流れているのは五兆七千八百五億円ですが、九八%が随意契約で流れている。

 しかも、今までは、随意契約が、天下り団体、問題でありましたけれども、今度、我々が調べますと、各省庁や各省庁所管の独法が発注する入札で九九%以上の落札率があるものをピックアップして、今、資料をお配りしておりますけれども、そこにも天下り団体との癒着が疑われるんではないのかというような数字が出ました。

 例えば、平成十八年度総務省、四百十六契約中百五十一契約が落札率九九%以上でした。そのうちの八十五契約が天下り先としていた。平成十八年度農水省、全部の契約、競争入札が五千九百二十二契約の中で二百八契約が落札率九九%以上、そのうちの九十一契約が天下り先としておりました。国交省は、三万三百六十四契約中、九九%以上の落札率が二千二百四十七契約、しかし、情報はまだ出してきておりません。

 独法からの契約も、厚生労働省所管の独立行政法人から発注した契約の全契約が八千八百二十五契約中、四千六百十一契約が落札率九九%以上で、そのうち五百四十五契約が天下り先と契約をしているということで、国立病院の入札というのも大変大きな問題があります。

 医療費を削減する、生身の人間から削減する前に、こういう不透明な契約も変えていく必要があると思うんですが、総理に、この九九%以上の、天下り先への落札の調査、これを明言いただきたいんですが。

額賀国務大臣 今委員が御指摘の十二・六兆円という御指摘がありましたけれども、その十二・六兆円の内訳のうちで、一つは、中小企業向けの国民生活金融公庫などに対する融資が四・五兆円、それから個人向けの住宅ローンだとか低利、無利子の奨学金、科学技術振興などが三・八兆円、それから国立大学の交付金や私学助成が一・三兆円、それで九・何兆円であります。

 そういう中で、私どもはしっかりと無駄を排除するために努力をしてきておりまして、二十年度予算では随意契約によって三百八十五億円、それから予算執行調査の上で三百四十二億円、それから、会計検査院の御指摘については先ほど言ったように百五十二億円と、徹底的に無駄の排除に努力をしてきているということを国民の皆さん方にぜひわかっていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘をもういただいておりますけれども、政府、行政における無駄、これの問題というのは、私も看過できないというところにあると思います。ですから、これはもう徹底した無駄の排除ということを目指して頑張ってまいりたいと思っております。

 九九%の……(長妻委員「九九パー以上の相手先の天下り調査、癒着がないかどうか」と呼ぶ)それから、天下りにつきましては、これも、本来あるべきことでないことが、そういうようなお金との関係でいろいろ問題が生じているということ、これはすべてがというわけではないかもしれませんけれども、事実として数多く見られるということもございますので、こういうことは全く排除しなければいけないというように思います。

 ですから、その排除の方法についていろいろ工夫いたしますけれども、天下り問題については、私ども十分な関心を持って、必要なことはやってまいりたいと思っております。

長妻委員 何かちょっと、総理、本当に腹に落ちて御理解をいただいて、徹底的に調査をしていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、今現在も続いている、そして今後三年間も続くというふうに政府は言っておられるわたりの問題であります。

 例えば、事務次官経験者のわたりというのは、この自治事務次官である小林さんという方は、一番初めには、財団法人に一番上に天下る。これは役所があっせんをしました。そして、二番目もあっせんをしました。三番目もあっせんをしました。四番目もあっせんをしました。

 つまり、私はおかしいと思うのは、我々民主党は、あっせんを全面禁止しろ、先進国で国が天下りをあっせんしている国はほかにはないということを調査した上で法律も出しましたが、政府は、天下りは続けたい、続けたいの一点張り。しかも、二回目のあっせんというのは、一回目、まずこの小林さんという方は民間人になったわけですよね、財団ですから、民間人になって国と基本的にはもう縁が切れた方を何で霞が関の官僚の方が、人事が正規の職としてまたあっせんする。二回目もする。三回目もする。

 こういうあっせん自体はもうきょうやめてください、きょうから。このぐらいは、総理、決断できると思いますので、ぜひお願いします。

福田内閣総理大臣 度の過ぎたわたりという慣行は決してよくないと私は思います。ですから、よくないという前提で対処してまいります。

長妻委員 私は、このぐらいのことは総理大臣の権限で、日本国、できると思いますよ。これさえも総理の権限でできない国なんですか、日本は。

 これはもうきょうからやめると。今も日々やっていますよ、わたり、二回目、三回目の紹介を。総理、決断ください。

福田内閣総理大臣 私は、そういうことが今現在進行中だと……(長妻委員「いや、進行中です」と呼ぶ)進行中ですか。どこであるんですか。具体例を示してください。その上で私は申し上げたいと思います。(発言する者あり)

枝野委員長 不規則発言はおやめください。

長妻委員 いや、今も進行中ですよ、二回目。資料をいっぱい持ってきていますよ、お役所が。

 ぜひやめるということを言ってください。

福田内閣総理大臣 ですから、わたりといって、私は、適材適所というのはあっていいと思います。だから、これは四回目でしょう。こんなのは、私はちょっとやり過ぎだと思いますよ。(長妻委員「じゃ、二回はいいんですか」と呼ぶ)二回と四回は全然違いますよ。

 ただ、問題は、こういう独立行政法人、そしてまたそれに関係する団体ですね。基本的には独立行政法人というのは、民間の仕事をしているわけじゃないんですよ、政府の仕事の一部をやっているわけでしょう。でしょう。その下でやっている財団法人もいろいろな財団法人があるんだと思いますよ。民間の傾向の強いもの、もしくは本当にその独立行政法人、要するに政府の仕事の一部を扱っているところもあるかもしれぬじゃないですか。ですから、それはやはり適材適所ということもあると思います。

 ただ、もしそういうような独立行政法人が、その独立行政法人がやるべき仕事をまた別の財団をつくってやるとかいうようなことがあった場合に、その必要性はあるのかどうかということはありますよね。本来ならば独立行政法人で処理すべきことではなかったのかと思います。ですから、その辺のことも含めて、適材適所で考えるべきだというふうに私は思っております。

 ただ、こんな四回のことを示してこれでどうかと言われたら、私は、やり過ぎだ、こういうのはあってはよくないというふうに言うことは、これはもう断言いたします。

枝野委員長 長妻委員、質疑時間が終了しております。これを最後にしてください。

長妻委員 私は、四回はだめ、これは当たり前ですけれども、二回目もだめなんですよ、二回のわたりも、もう民間人ですから。

 年金、医療を削る前に天下りを削れ、社会保障を削る前に税金浪費の仕組みを削れ、消費税を上げる前にさっき申し上げたHAT―KZシステムを削れというのが国民の皆さんの声だと思いますので、ぜひ総理、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

枝野委員長 以上をもちまして平成十八年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

枝野委員長 平成十八年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 これより議決案を朗読いたします。

    平成十八年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案

  本院は、平成十八年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。

 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。

   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。

  1 国の財政は、公債残高が年々増加の一途を辿り、非常に厳しい状況にある。二〇一一年度には国と地方の基礎的財政収支を確実に黒字化する財政健全化の目標に向け、あらゆる分野における歳出改革に全力で取り組むなど、歳出歳入一体改革を着実に進めていくべきである。また、ODAについては、納税者への説明責任を果たすため、個々の事業の必要性の検証を徹底するとともに、事業に対する事前評価を含めた情報開示を一層推進するべきである。

  2 我が国における本格的な人口減少社会を迎えるに当たって、国民の希望する結婚や出産、子育てを実現できる環境を早急に整備することが喫緊の課題となっている。このため、保育所の受入れ児童数の拡大、多様な保育サービスの拡大、放課後児童対策の拡充を図るなどの少子化対策を積極的に推進するべきである。また、将来の社会を担う若者の雇用・生活の安定を図るため、フリーター常用雇用化の一層の推進を図るとともに、ニートの職業的自立の支援を行う地域若者サポートステーションの拡充強化等に努めるべきである。

  3 耐震偽装対策として建築基準法が改正される中で、住宅着工件数が落ち込み、経済に影響を与えるなどの混乱が生じた。政府は、建築確認手続が円滑に行われるよう改正建築基準法の運用の改善に努めるべきである。また、低額所得者、被災者、高齢者、障害者等の住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、いわゆる住宅セーフティネット法に則り、公的賃貸住宅の供給の促進、民間賃貸住宅への円滑な入居の促進等の施策を、着実に推進するべきである。

  4 道路特定財源の使途について、不適切な関連支出などの問題が生じていることは遺憾である。政府は、無駄を排除し、支出の適正化・効率化を図るとともに、交通需要を適切に把握し、国民にとって真に必要な道路計画の策定を進めるべきである。また、道路関係公益法人に対する支出の削減や業務・組織形態の見直しなどを進めるとともに、道路特定財源を来年度から確実に一般財源化すべきである。

  5 食品表示の偽装や輸入食品の安全性の問題等、食の安全・安心を脅かす事態が頻発していることから、食に対する信頼を取り戻す有効な対策を講ずるべきである。また、食料自給率向上のため、農林水産業に従事する意欲と能力のある担い手の育成を進め、生産の場である農山漁村の活性化を図るべきである。

  6 国民に信頼され、豊かさを実感できる社会保障制度の確立に向け、公的年金制度の長期的安定の確保について徹底した検討を行い、今後の国の役割及び国民負担の将来像を早期に提示すべきである。また、年金記録問題への対応については、国民の信頼回復を一刻も早く図るため、ねんきん特別便等の通知を確実に行うとともに、記録確認の周知、相談体制の充実に万全を期すべきである。

  7 地域医療や救急医療等における医師不足等の諸問題は深刻な状況となっており、引き続き国民に対する医療提供体制の整備強化に全力で取り組むべきである。また、高齢者の医療サービス提供体制を充実させるとともに、介護を担う優れた人材の確保を図るため介護従事者等の処遇改善策を講ずるべきである。なお、後期高齢者医療制度については、施行状況を検証した上で根本的な対策について徹底的な議論を行うべきである。さらに、新型インフルエンザについては、その発生が国際的にも予断を許さない状況になっていることから、ワクチン等の医薬品の研究開発を促進するとともに、抗インフルエンザ薬及びプレパンデミックワクチンの必要な量の備蓄に努めるべきである。

  8 地球温暖化対策等の環境問題に関しては、政府として、京都議定書の温室効果ガス六%削減約束の確実な達成に努めるとともに、更なる排出量の削減のため、森林吸収源対策の推進、バイオマス等の再生可能なエネルギーの導入促進等を図るほか、全ての主要排出国が参加する実効性のある新たな枠組み作り、排出削減と経済成長の両立を目指す途上国への支援等、地球環境問題に対する国際社会全体の取組にリーダーシップを発揮すべきである。

  9 公務員制度の総合的な改革を推進するため、基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、公務員制度改革を総合的に推進する機関を設置し、速やかに取り組むべきである。さらに、行政と関係の深い公益法人について、契約の在り方、役員報酬等の集中点検を実施するとともに、退職管理の適正化を進め、いわゆる天下り問題の根絶を図るべきである。また、イージス艦機密情報の持ち出しやイージス艦と漁船との衝突事故、前事務次官の収賄事件、防衛調達に関する水増し事案など自衛隊に関する不祥事が続発しているのは遺憾である。政府は、厳格な情報管理体制の確立や再発防止を図るとともに、公務員による不正行為や行政執行の怠慢に対する厳正な処分の徹底等を行うべきである。

 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。

   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。

 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。

  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。

以上が、議決案の内容であります。

    ―――――――――――――

枝野委員長 これより平成十八年度決算外二件を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。前田雄吉委員。

前田委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、平成十八年度決算を議決案のとおり決するに反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、平成十八年度予算は、国民の間の格差拡大を推し進める予算であったことであります。

 平成十八年度予算は、小泉内閣最後の予算でありました。小泉総理は、その任期中に、国民生活を無視し、国民の間の格差を拡大させる政治を続けました。

 この平成十八年度予算に組み込まれたのが定率減税の廃止でありました。定率減税の廃止を含め、税、保険料など約九兆円の国民負担増を押しつけ、三位一体と称して地方交付税などの地方財源を五兆円も削減しました。その結果が、現在の国民生活の困窮であり、地域の低迷であります。昨年の夏の参議院選挙の結果が、私たちの主張が正しかったことを証明したものであると思います。

 反対の第二の理由は、この小泉内閣最後の予算には多くの無駄遣いが含まれていたからであります。

 子供の無駄遣いと違いまして、私たちが指摘しておりますのは、国家を挙げた数兆円もの壮大な税金の浪費であります。

 本年三月、民主党が要請した予備的調査の報告書が提出されました。これによると、四千七百の天下り団体に約二万六千人の天下りOBが在籍し、平成十八年度通年で何と十二・六兆円もの税金が投入されているのであります。

 もちろん、その一部は国民にとって有益なものであることはわかっております。しかし、天下りの在籍人数に応じて資金が交付される、随意契約が多発している、一般競争入札といいながら、さまざまな条件をつけて実は天下り団体のみが入札に参加できるようにするものなど、本当に国民生活を考えて税金を使っているのか、天下りOBの給料を払うために事業を発注するのではないかと思われるものが数多くあります。このような無駄遣いを放置したまま定率減税を廃止するなどは、もってのほかであります。

 今国会の道路特定財源の議論の中でも同様の無駄遣いが数多く明らかになりました。結局、現在の政府では、役人の無駄遣いの根絶は全くできないのであります。

 加えて言うならば、平成十八年は、現在大きな焦点となっている高齢者医療やいわゆる消えた年金問題の発端となった年であります。

 平成十八年通常国会で、政府・与党は、高齢者医療制度の創設を含む医療保険制度改革法案を、野党の反対を押し切って強行採決の上、強引に成立させました。これに基づき、同年十月から、高齢者の窓口負担の引き上げ、ホテルコストの導入などを行いました。

 いわゆる消えた年金問題では、本日の長妻議員の質疑でも明らかになったように、いまだこの問題の全体像は全く不明であります。速やかに補正予算を編成するなど政府を挙げて対応すれば、これまで大きな問題にはならなかったと考えます。

 これまで述べてきましたように、平成十八年度予算の背景にある小泉政治と私たちの政治理念は根本から異なるものであります。私たちは、国民を代表して、この平成十八年度決算に反対の意思を明確にするものであります。

 なお、本議決案は、民主党・無所属クラブがこれまで当委員会で指摘しました事項を中心に作成しましたものであり、その過程では与党とも協力してまいりました。特に、道路、医療、年金については、民主党の主張である「国民の生活が第一。」に基づいたものであり、国民の皆様の声に沿った内容であることを確信しております。

 全九項目の指摘事項は、与野党合意、すなわち衆議院が一体となって政府に是正を求めるものであります。政府において、国会が一致して改善を求めていること、すなわち全国民が改善を求めていることの重さをかみしめ、厳正なる対応をされることを要請します。

 今申し上げましたように、私たちも指摘事項には異論がありません。しかし、本議決案には賛成することはできません。その理由は、議決案第三項、決算のうち、前記以外については異議がないとあるからであります。よって、本議決案に対して反対をいたします。

 国の財政状況が厳しい中、決算の重要性はますます高まっています。決算の議決のあり方について与野党が協力して見直すことを提案いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)

枝野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 これより順次採決いたします。

 まず、平成十八年度一般会計歳入歳出決算、平成十八年度特別会計歳入歳出決算、平成十八年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十八年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

枝野委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。

 次に、平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成十八年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

枝野委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。大田国務大臣。

大田国務大臣 ただいま御決議のありました財政健全化につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも安定した成長を図るとともに、まずは、二〇一一年度には、国、地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成するべく、歳出歳入一体改革を引き続き徹底して進めてまいります。

枝野委員長 次に、高村外務大臣。

高村国務大臣 ただいま議決されました政府開発援助、ODA事業に係る検証や評価、情報開示の推進につきましては、御趣旨を踏まえ、今後一層努力してまいる所存でございます。

枝野委員長 次に、舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 ただいまの御決議により指摘されている点につきまして御説明いたします。

 まず、少子化対策につきましては、人口減少が現実のものとなった今日、国民の希望する結婚や出産、子育てを実現できる環境を早急に整備することが我が国の経済社会の持続的な発展のためには不可欠であり、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に沿った取り組みを進めてまいります。

 保育サービス等については、新待機児童ゼロ作戦を展開し、サービスの質、量の拡充を図ってまいります。また、新たな次世代育成支援の制度的枠組みについて、税制改革の動向を踏まえ、速やかに検討を進めてまいります。

 また、年長フリーターに対する支援に重点を置いたフリーター常用雇用化プランを推進するほか、地域若者サポートステーションの設置箇所数を拡充するとともに、訪問支援等を行うモデル事業を新たに展開し、さらなる取り組みの強化を図るなど、我が国の将来を担う若者が安定した職業につくことができるよう支援してまいります。

 食品の安全につきましては、輸入食品の安全性確保対策等の強化について関係行政機関と連携して取り組み、国民の健康の確保を図るために全力を尽くしてまいります。

 年金制度につきましては、平成十六年の制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を将来にわたって持続可能とするための改革を行ったところであり、今後、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的改革を実施した上で、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担二分の一を実現するとともに、平成二十一年までに財政検証を行ってまいります。

 また、年金記録問題につきましては、昨年七月五日に取りまとめられた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」等に基づき、ねんきん特別便の送付など、各般の取り組みを着実に進めてまいります。

 医療問題につきましては、地域に必要な医師を確保することは喫緊の課題であり、昨年五月末に政府・与党で取りまとめた緊急医師確保対策に基づき、病院勤務医の負担軽減や、大学医学部の養成定員増など、各般の対策を着実に実施するとともに、将来を見据えた改革を行うため、あるべき医療の姿を示す安心と希望の医療確保ビジョンを策定し、医療関係職種間の業務の分担と協働・チーム医療の推進等、医療提供体制の整備強化に取り組んでまいります。

 また、高齢者に対して、必要かつ適切な医療が受けられるよう、とりわけ後期高齢者にはその心身の特性にふさわしい医療が提供できるよう、診療報酬においても引き続き適切に対応してまいります。

 また、介護従事者等の処遇改善策については、介護従事者等の処遇の改善に資するための施策のあり方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じてまいります。

 また、長寿医療制度については、制度の骨格について見直すことは考えていませんが、制度の実施状況の検証結果を踏まえ、必要な手だてを講じてまいります。

 また、新型インフルエンザについては、新型インフルエンザ対策行動計画や、今国会で成立した感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等を踏まえ、ワクチン等の研究開発や抗インフルエンザ薬等の必要な量の備蓄等、万全の対策を講じてまいります。

 以上でございます。

枝野委員長 次に、冬柴国土交通大臣。

冬柴国務大臣 ただいま御決議のありました、改正建築基準法の施行に伴い、混乱が生じ、建築着工が大幅に減少した問題につきましては、心よりおわび申し上げます。昨年の秋以降、建築着工や建築確認件数は着実に回復してきているところでありますが、建築確認手続の円滑化が図られるよう、引き続き運用の改善やきめ細かな情報提供に取り組んでまいる所存でございます。

 また、住宅セーフティーネットの構築につきましては、住宅確保要配慮者の方々の居住の安定が図られるよう、公営住宅の的確な供給に加え、高齢者、子育て世帯向けの地域優良賃貸住宅や、都市再生機構賃貸住宅等の公的賃貸住宅の供給を推進するとともに、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援するあんしん賃貸支援事業の推進等を着実に行ってまいる所存でございます。

 道路関連公益法人や道路整備関係の特別会計関連支出につきましては、徹底した支出の無駄の排除に努めるとともに、新たな整備計画については最新の需要推計等を基礎とすべく検討を行っているところでありますが、いずれにしても、真に必要な道路整備は計画的に進めてまいります。

 今後、関係各大臣との連携のもと、去る五月十三日に閣議決定された道路特定財源等に関する基本方針に沿って進めてまいる所存でございます。

枝野委員長 次に、若林農林水産大臣から発言を求めるのでありますが、本日は出張中で出席がかないません。理事会の協議によりまして、今回は特に今村農林水産副大臣に発言を許します。今村農林水産副大臣。

今村副大臣 ただいま御決議のありました食に対する信頼を取り戻す有効な対策につきましては、消費者の信頼を揺るがすような事案が相次いだことを重く受けとめ、食品表示の監視体制の強化を図るとともに、食品事業者団体に対し、自主行動計画の策定と、これに即した対応を要請したところであります。引き続き、関係機関と連携を強化しつつ、消費者の信頼確保に努めてまいる所存であります。

 また、食料自給率向上のための担い手育成、農山漁村の活性化につきましては、平成十九年度から導入した水田・畑作経営所得安定対策を着実に推進するなど、担い手の創意工夫による経営発展を促すとともに、関係省庁とも連携し、政府全体の活性化策である地方再生戦略等の施策に着実に取り組んでまいる所存であります。

枝野委員長 次に、鴨下環境大臣。

鴨下国務大臣 ただいま御決議のありました地球温暖化対策等の環境問題につきましては、みずからが率先して京都議定書に掲げる六%削減目標の達成と、さらなる継続的な排出削減のため、京都議定書目標達成計画に基づく対策の実行に全力で取り組んでまいります。

 また、二〇五〇年までに世界全体の排出量を半減し、今後十年から二十年でピークアウトするため、主要排出国とともに国別総量目標を掲げて主導的に取り組むとともに、途上国支援のための新たな資金メカニズムを構築するなど、国際社会全体の取り組みにリーダーシップを発揮してまいります。

枝野委員長 次に、渡辺国務大臣。

渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました公務員制度改革につきましては、本日成立をいたしました国家公務員制度改革基本法に基づき、総合的かつ集中的に推進をしてまいります。

 また、退職管理の適正化につきましては、昨年の通常国会で成立した国家公務員法等改正法で導入された各般の措置を実行することを通じて、天下りを根絶してまいります。

枝野委員長 次に、町村内閣官房長官。

町村国務大臣 ただいま決議のありました公益法人の集中点検につきましては、国からの支出に依存する法人など、行政と密接な関係にある公益法人について、決議の趣旨を踏まえ、支出の無駄を徹底的に是正するよう取り組んでまいる所存であります。

枝野委員長 次に、石破防衛大臣。

石破国務大臣 ただいま御決議のありました防衛省・自衛隊をめぐる一連の不祥事への対応につきましては、現在、文民統制の徹底、厳格な情報保全体制の確立、防衛調達の透明性向上につき、首相官邸に設置された防衛省改革会議において、有識者の方々を交えて高い見地から議論が行われているところでございます。

 防衛省としては、御指摘の趣旨を踏まえ、今後、防衛省改革会議において取りまとめられる改革の基本的方向性を受けて、防衛省内に設置した各種検討会等においても、実務レベルの議論を進め、早期に防衛省改革のための具体的施策をお示しできるよう最善を尽くしてまいります。

 以上であります。

枝野委員長 次に、増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいま御決議のありました公務員制度の総合的な改革につきましては、総務省といたしましても、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存であります。

枝野委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 以上をもちまして平成十八年度決算外二件の委員会審査はすべて終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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