衆議院

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第6号 平成21年6月24日(水曜日)

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平成二十一年六月二十四日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 秋葉 賢也君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 武藤 容治君

   理事 山口 泰明君 理事 平岡 秀夫君

   理事 横光 克彦君 理事 福島  豊君

      安次富 修君    赤城 徳彦君

      近江屋信広君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    坂井  学君

      桜井 郁三君    菅  義偉君

      杉田 元司君    杉村 太蔵君

      冨岡  勉君    中川 昭一君

      西本 勝子君    額賀福志郎君

      原田 憲治君    広津 素子君

      宮下 一郎君    村田 吉隆君

      矢野 隆司君    山本  拓君

      渡辺 博道君    泉  健太君

      小川 淳也君    太田 和美君

      金田 誠一君    小宮山泰子君

      高山 智司君    寺田  学君

      長妻  昭君    松木 謙公君

      松本 大輔君    松本  龍君

      森本 哲生君    遠藤 乙彦君

      坂口  力君    糸川 正晃君

      前田 雄吉君    渡辺 喜美君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   佐藤  勉君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   財務副大臣        竹下  亘君

   会計検査院長       西村 正紀君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第五局長            真島 審一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十四日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     安次富 修君

  棚橋 泰文君     村田 吉隆君

  玉沢徳一郎君     亀岡 偉民君

  中川 昭一君     原田 憲治君

  安井潤一郎君     近江屋信広君

  渡部  篤君     西本 勝子君

  笹木 竜三君     高山 智司君

  津村 啓介君     小川 淳也君

  松本  龍君     森本 哲生君

  漆原 良夫君     遠藤 乙彦君

  鈴木 宗男君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     石原 伸晃君

  近江屋信広君     安井潤一郎君

  亀岡 偉民君     渡辺 博道君

  西本 勝子君     渡部  篤君

  原田 憲治君     中川 昭一君

  村田 吉隆君     棚橋 泰文君

  小川 淳也君     太田 和美君

  高山 智司君     笹木 竜三君

  森本 哲生君     松本  龍君

  遠藤 乙彦君     漆原 良夫君

  糸川 正晃君     鈴木 宗男君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     北村 茂男君

  太田 和美君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     杉田 元司君

  長妻  昭君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     玉沢徳一郎君

  泉  健太君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十九年度政府関係機関決算書

 平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度決算外二件を一括して議題といたします。

 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長香川俊介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

川端委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。

 また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口泰明君。

山口(泰)委員 自民党の山口泰明でございます。

 麻生総理並びに閣僚の皆様には、連日の激務、大変お疲れさまでございます。

 世界が百年に一度と言われる金融危機、経済危機のあらしに見舞われている中、先進諸国は、一致してこの経済危機を克服すべく、財政出動を中心に、考えられるあらゆる経済対策を打ち出しております。

 麻生総理は、就任当時から、政局よりも景気回復との国民生活保護を最優先と考え、かたくななまでにその姿勢を堅持され、今日に至っております。

 昨年度の予算の一次、二次補正、今年度本予算、それに続く第一次補正予算と、切れ目なく、あらゆる方面にわたる経済対策が打ち出されてきました。総理に就任されて八カ月余りに四度の予算を組むという、まさに激動のかじ取りでありました。雇用不安等はまだまだ厳しい状況ではありますが、このところの経済指標も好転してきております。このことは、これまで全力で事に当たってきた麻生総理のリーダーシップのたまものだと私は思います。

 本日は、麻生総理の真の姿を国民の皆様に知っていただく絶好の機会であります。それらを知らぬままに、国民の皆様の政権選択に瑕疵が生じるようなこととなれば、我が国民は麦秀の嘆となるでありましょう。全力で今日まで景気回復に取り組まれた総理、一連の経済対策を行うに当たり、総理はどのようなねらいを持って取り組まれたか、また、ここまで対策を実施したか、どのような成果、手ごたえを感じておられるか、どうぞ、国民の皆様におっしゃりたいことをはっきり、そしてまたわかりやすく、麻生節でお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 では、これまでのということですので、少々時間をいただきますけれども。

 御指摘のとおり、当初よりあのような景気、十―十二と急激に景気指標というものが落ちてまいりましたので、それに対応するべく、これはどう考えても政局よりは経済政策、景気対策というものに主力を置いて、当面の最優先課題は景気対策、これに絞ってきたところです。

 御指摘のありましたように、四度にわたって、補正予算、本予算、半年余りで合計四回の予算編成ということで、国費で約二十六兆円、事業規模で約百三十兆円という、過去に例のない大規模な対策を速やかに実施に移すことに全力を挙げてきたのがこの半年、約九カ月だと思います。

 経済対策の中には、いわゆる定額給付金の支給や雇用調整助成金の拡充、高速道路料金の大幅な値下げ、また、エコカーの購入補助、エコポイントの活用促進など、景気が底割れをしそうだという雰囲気になる中で民需主導の成長を促していかねばならぬ、その意味で数々の政策は盛り込んだと思っております。

 特に、中小また小規模企業に対しましては、四十七兆円の資金繰り対策ということをやらせていただき、政府系の金融機関によります無担保無保証融資、いわゆるマル経というものですが、マル経融資の上限を従来は一千万だったものを千五百万円に引き上げたり、拡大したりいたしております。

 また、こうした経済対策を実施していくことによって、実質の経済成長率というものの押し上げや、雇用の創出、雇用維持の効果が期待されるものだと私は考えております。

 実際に、定額給付金については、当初は批判も大変多かったと記憶いたしますが、多くの国民の喜ぶ声もまた聞かれているところでもあります。

 高速道路の大幅値下げにつきましては、ゴールデンウイークを中心に多くの方々に利用をしていただきました。交通量は、本四架橋でこの間約二倍になりましたし、また東京湾アクアラインとかその他の一般高速道路でも一・四倍ぐらいに利用者がふえておる。

 また、エコポイントやエコカーへの補助金も大きな反響を呼んでおります。先日立ち寄りました大型電気店においては、エコポイントの対象になっておりますテレビ、四十六インチ以上を大型と言っておりますが、この売り上げは前年比ちょうど二倍になっておるということでもありました。

 雇用情勢は厳しい。これは先行指数じゃなくて遅行指数でまいりますので少しおくれておるとは思いますが、鉱工業生産指数が伸び、輸出が伸び、また消費者の態度指数などというものも幾つかの指標で明るい兆しが見えつつある、そう思っておりますので、さらに、こうした当面の景気・雇用対策に加えて中長期的なことを考えないと、目先よりその先どうなるかという点に関しましては、低炭素革命などを推進するために、未来開拓戦略等を実行して、国民が回復を実感でき、さらに、将来に夢、希望というものを見出せるような社会を目指していくべきだと思っております。

 また、これまで、いわゆる安心、安全、社会保障、そういったほころびとかいろいろな表現がありますけれども、こういったことを修復することも極めて重要な要素だと考えました。したがいまして、雇用というものを扇のかなめにして、介護、医療、子育て、教育、そういった五つの領域にわたって国民の安心を確保するということを考え、そして、高齢者にだけでなくて、母子家庭を含めていわゆる現役世代の支援を含めて、全生涯、全世代を通じて切れ目のない生活の安心保障というものを再構築していくことなどを考えて、安心社会の実現に取り組んでいきたいと考えております。

山口(泰)委員 これからも、ぜひやれることはどしどしやっていただいて、そして、不安をなくすために、よりよい政府広報もしていただければ大変ありがたいと思います。

 今、総理からも御説明ありました。今回の緊急経済対策は思い切った対策がとられているわけであります。太陽光発電、エコカー、さらにはエコポイントの活用によるグリーン家電の普及事業など、厳しい景気状況の中でも大きく売り上げを伸ばしている業種もあるわけです。

 しかしながら、景気が上向きかげんとはいえ、地方の実体経済、とりわけ地方の中小企業はまだまだ厳しい状況であることに変わりはありません。我が国の経済社会を支えているのは紛れもなく中小企業であります。

 昨年来、中小企業に対し、思い切った金融面での支援を含めて、例えば緊急保証枠を二十兆円から三十兆円に拡大したとか、据置期間の延長を図るとか、あるいはセーフティーネット貸付枠を拡大してきたとか、打つ手はしっかり私は打たれていると思います。

 どうぞ二階大臣、大臣が中小企業の味方なんだということを国民の皆さんにわかりやすく語っていただきたいと思います。

二階国務大臣 山口先生から今お述べになりましたとおり、中小企業対策というものは極めて重要な国の政治の柱でありますが、特に、麻生内閣におきましては、この点を最重要視して対策に取り組んでまいりました。

 産業、雇用、そしてお互いの暮らし、これらを支える四百二十万人に及ぶ中小企業の関係者の皆さんが、このたびのリーマン・ショックを初め原油の問題もそうでありますが、大変、経営状態が苦境に陥った時期がありました。今もなおその状況は続いておるわけでありますが、それでも一時をしのぐことができた。それは中小企業本来の力でありますが、同時に、政府としても、ここ数年、中小企業対策は三千億、四千億程度の予算を投入して懸命に取り組んでまいりました。今回の経済危機対策におきましては、御承知のとおり、二兆七千億円の中小企業対策を講じたわけであります。

 そして、私どもは、総理の御指示で、倒産を一人でも、一件でも少なくするようにやれ、こういうことでありますが、私は、何の罪もない中小企業の皆さんが、国際的な、こういう濁流のような流れの中に押しつぶされるというようなことはあってはならないという観点から、先ほど総理の御答弁にもありましたが、四十七兆円規模の資金繰りを行いました。そして、信用保証及び貸し付けにおきましても、七十四万件、十四兆七千億円の融資をさせていただいております。

 そしてよく、お金を借りに行っても、遅いとか、あるいはすぐ貸してくれないとかといって、いろいろなことを言われる方もいらっしゃいますが、私どもは、全国に九百カ所の相談窓口を設置して、土曜、日曜をいとわず対応してまいりました。昨年は、暮れの三十日までやれという与党のお達しがありましたので、我々は当然のことと思って、暮れの三十日も出勤して、みんなが対応してくれました。

 それでも、一日五百億円の融資がなされたことを思えば、やはりみんなが頑張っていただいてよかったなという思いがしたわけでありますが、特に金融庁の御協力をいただいて、私どもは、全国二百カ所で金融問題の御相談に応じております。そこで質問していただき、意見を述べていただいて、こういう苦情があるというようなことをつぶさに承って、我々は、与謝野大臣と速やかにそうした問題に対して対処をしてまいりました。

 そして、返済でありますが、これを少し延ばしてもらいたいというのと、それから既往の債務に対して何とかならないかという御相談、そうしたことも現実的に対応いたしております。

 時間がありませんから短くやりますが、例えば、私ども、たくさんの企業の中に将来一人でも多く雇用をしていただきたいというお願いをしましたら、いち早く手を挙げてこられたのが千四百社ありました。続いて、地方のいわゆる自治体の皆さんの協力を得てお願いをしましたところ、何と五千八百社が手を挙げてくれました。そうした企業の中に、上場を希望しておる企業というのは二百ないし三百社あるわけであります。二百ないし三百社が、この不況のときにも中小企業が上場しようという意欲を持っておるということに我々は注目をしなければなりません。

 そして、我々は、中小企業の皆さんに対して、国等の調達、国等がいろいろなものを買い入れる場合に、中小企業にたくさん発注が行くようにしてもらいたいということで、各閣僚の御協力を得ながら取り組んでまいりましたが、昨年に比べて一兆円プラスしまして、五兆二千億円が中小企業から購入をすることになって、シェアは五二・四%、過去最高でございます。

 地球温暖化の問題もいろいろ意見がございますが、私は、中小企業の皆さんの協力なしにこの地球温暖化問題、マイナス一五%ということを実行するにも、やはり中小企業の皆さんの協力が必要であります。

 他の問題について、総理の御答弁にもありましたので重複を避けますが、いずれにしましても、我々は、中小企業は日本の宝だと思っております。我々は中小企業の皆さんと手を組んで対アジア政策等も取り組んでいきたい、このように思っておる次第であります。

山口(泰)委員 ぜひその意気込みでよろしくお願いいたします。

 雇用も聞こうと思ったんですが、時間がありませんので、先ほど総理もちょっと触れられましたので、社会保障全般についてお聞きしたいと思います。

 年金、医療、介護などの社会保障制度は、国民生活を支える最も重要な社会基盤であります。これらの制度を将来にわたって持続できるよう、しっかり守っていくことが必要であります。

 先日厚生労働省から示された年金制度における世代間の給付と負担の試算では、若い世代ほど負担に比べて給付の割合が少なくなっていくことが示されました。年金制度は現役世代が高齢世代を支える制度でありますので、将来の年金額に不安を持たれる方もおられますが、だからといって若い世代の人が損をするわけでもなく、納めた保険料以上の年金を受けられることになっています。しかし、保険料が納められない方が低年金になるという問題も事実であります。

 また、高齢化の進展でふえ続ける医療費をどう賄うのか。限りある医療資源を効率的に活用することも必要ですが、小児科、産科や緊急医療体制の確保、病院勤務医の労働環境の改善など、喫緊の課題が山積をしております。国民が安心して医療を受けられるサービス基盤が揺らいでおります。

 介護につきましても、介護労働者の労働条件の悪化による人材不足が非常に深刻化しております。介護労働者なくして介護保険制度も成り立っていきませんので、その改善に早急に取り組む必要があると思います。

 年金、医療、介護の各制度について、無駄を省き、改善をしていくことは当然であります。私は、国民生活の基盤である社会保障制度がその機能を失うことなく、国民が安心して生活できるような生活水準を維持していくためには、低所得者にも配慮しつつ、必要な財源を確保していくことが大前提ではないかと考えます。

 舛添大臣の御所見をお願いいたします。

舛添国務大臣 今山口委員がおっしゃったように、国民の安心の基礎が社会保障制度でありますので、これを機能強化していく、これは非常に重要であります。

 ただ、負担と給付、次の世代に負担を先送りするということがあってはいけません。日本の社会保障制度は、自助、みずから助ける、共助、みんなで助け合う、そして公助、最後は税金で面倒を見ます、こういう三本柱になっているわけですから、お金が天から降ってくればだれも苦労はいたしません。

 やはり負担と給付ということを考えますと、昨年末に中期プログラムを策定しましたけれども、消費税を主な財源として社会保障をやるんだということ、それで財源をしっかり確保する、さらに、やはり社会保障の機能を強化する、効率化も図る、こういうことをしっかりやって持続可能な制度にしないといけません。この持続可能性ということが非常に大切なポイントでございますので、全力を挙げて国民が安心できる社会保障制度の構築を行いたいと思っております。

山口(泰)委員 少子化対策についてでありますけれども、私もかつて内閣府の副大臣のときに少子化問題も担当をさせていただきました。我が国が直面する課題としては大変重いものがあると私は思います。

 合計特殊出生率が平成二十年には一・三七となるなど、三年連続で上昇し、明るい兆しが見えてきたわけなんですけれども、フランスなどに比べるとまだまだ低い水準であります。

 保育所の拡大、育児休業制度の改革、働き方の見直し、乳幼児医療の充実など、課題がたくさんあるわけでありますけれども、私は、少子化担当大臣としては最適任者である小渕大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 委員が御指摘のように、平成二十年の合計特殊出生率は一・三七になりまして、三年連続で回復ということでありますので、これは歓迎すべきことだと思っております。しかし、少子化対策待ったなしの状況でありますので、国の最重要課題として、引き続き、気を緩めることなく、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。

 政府といたしましては、これまでも、保育所の整備の前倒し、また出産育児一時金の拡充や妊婦健診の公費負担の拡充等に取り組んでまいりました。そのほかにも、地域の中での子育て力の向上支援や、不妊治療また一人親家庭など困っている方に対するきめの細やかな支援を実施してきたところであります。

 しかし、先ほどお話にありましたフランス、二・〇二に回復しましたけれども、と比べまして、例えば、子供、家庭にかける予算は、日本は三分の一から四分の一というような状況であります。今後、しっかりと少子化に歯どめをかけ、少子化対策を抜本的に拡充していくためには、しっかりとした安定財源を確保した上で、でき得る限りの少子化対策を全力で取り組んでいく必要があると考えております。

山口(泰)委員 ぜひ、立派なお子さんを産んだ後も少子化対策をやっていただきたいな、こう思います。

 次に、大臣、住宅関連業界のことをちょっとお聞きしたいんですけれども、住宅関連は、私もガス屋出身でございますので、この業界のシェアは大変広いわけであります。

 現在、土地や建築資材及び工賃等も落ち着きを見せ、なおかつ、我が国の緊急経済対策でも、住宅投資の活性化に向けて、最高六百万円という過去最大の住宅ローン減税など、思い切った措置が講じられているところであります。

 こうした措置は国民のマイホームの実現を政府が強力に後押しできるはずでありますが、先週発表された月例経済報告を見ると、「住宅建設は、大幅に減少している。」となっております。新聞報道ではマンションのモデルルームへの来場者が非常に好調というような記事があるにもかかわらず、住宅建設が大幅に減少しているのはどうしてなのか。

 住宅ローン減税等の実施にもかかわらず、住宅着工が伸び悩んでいる状況や、その要因について、金子大臣はどうお考えなのか。ここは大臣、大臣の話を聞いたら、早速家を建てたいな、こういうような御答弁をいただければありがたいかなと思います。

金子国務大臣 御指摘いただきましたように、過去最大の住宅ローン減税を通させていただいておりますけれども、先月まで住宅着工が非常に落ち込んでまいりました。

 ただ、アンケート調査がありますが、消費者の、購入者のマインドというのは、実際に法案が通る、つい先般、先週でありますけれども、贈与税の五百万の法案も通させていただきました、こういう法案を待っているというところがアンケートで出てまいりました。住宅ローン減税も、この三月、委員の御努力をいただきまして通させていただきました。そういうものを少し見合わせているという状況が続いてきたのかと思います。

 しかし、御指摘いただきましたように、ゴールデンウイークのモデルルームの来場者数、大手六社でいきますと、去年に比べて四〇%ふえてきている。成約率も、今まで六割に下がっていたんですけれども、七〇%を超えてきたということであります。

 もう一つ、随時の補正予算も含めてでありますけれども、金融機関がなかなか貸さなかったんですが、今度は、住宅支援機構でありますけれども、十割ローン、正規雇用じゃなきゃだめよ、非正規じゃだめよといったような、職業で区分してしまっていた民間の金融機関だったんですけれども、こういう一律の、職業による区別をしないフラット35というものも、今度の補正予算も含めて予算措置をきっちりつけさせていただきました。こういうものの効果というのは、早晩、急速にあらわれてくることを期待しております。

 特に、若年層の方の年収がまだ余り上がってこないんですけれども、一方で新新住宅価格なんという、新価格、新新価格なんという去年異常に高かった値段というものが、在庫が一万二千戸台から八千戸台に落ちてきた。これも一つの明るい材料でありまして、今度は、今の贈与税、五百万の贈与税非課税にあわせて適正な価格のものが供給されてまいりますので、需要がそれなりに期待をさせていただいていいんじゃないかと期待をしているところであります。

山口(泰)委員 そういう施策がまだまだ一般の人に知られていない面もありますので、ぜひこれからも広報活動をしっかりとやっていただきたいと思います。

 最後は、安心、安全の社会ということで、ちょっと総理に御質問したいと思います。

 実は私は、平成八年に当選をいたしました。私の地元であります埼玉県は、警察官一人に対する人口負担率が全国一でありました。自来、私は、県民や国民の安心、安全確保のため、警察官増員は一貫して私のライフワークとしてまいりました。

 麻生総理が自民党政調会長時代の平成十三年には、直接この件で当時の埼玉県公安委員長でありました私のおじと一緒に陳情を申し上げたこともございますし、警察官の増員の割り振りが総務省であるということから、総理が総務大臣のときにも警察官の増員でお願いに上がっております。

 これまでも何度もこの問題にかかわってこられている御縁で総理に質問させていただきますが、平成二十年度には、全国的に地方警察官の増員が見送られました。厳しい財政事情はあるのでしょうけれども、果たしてこれでよいのかということです。刑法犯認知件数は減少したとはいえ、いまだに治安状況が良好であると言われた昭和四十年代とは大きな隔たりがあります。

 平成二十一年度は地方警察官が若干の増員となっておりますが、犯罪防止と治安確保の担い手である警察官の増員についての考え方及び今後とも警察力を充実させるとの総理の御決意をぜひお願いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 記憶のあるところですけれども、たしか埼玉県は一人当たりの警察官の県民の割合が七百を超えていて、日本で一番警察官の過重労働が高いということになっておったと思います。そのころの全国平均は五百五十幾つだったと思いますので、それから考えましても、どう考えても埼玉県は高い。これは急激に人口がふえていった関東近県が相対的にそういったことになっていたんだと思いますが、以後、警察官の増員をやらせていただいて大分比率は変わってきておりますのは御存じのとおりで、今は五百五十七が五百九人ということになっておりますので、その過重は一割ぐらい状況が変わってきたとは思っております。

 それに伴ったわけではありませんけれども、確かに犯罪発生件数等々の数値を見ますと随分変わってきたというのは、グラフを見ましても、この意味からいきますと、これは平成十四年ぐらいをピークに、大分、いわゆる犯罪発生件数が当時の二百八十五万件から、今平成二十年で百八十二万件までとかなり減ってきているとは思いますが、しかし、これはかつての昭和四十年代に比べましても、その当時は百四十万件ぐらいですから、それに比べましてまだ高いというのは現実だと思っております。

 警察官数がふえれば自動的にすべてよくなるというほど単純なものではないと思いますが、いろいろな意味で、地域でも防犯意識などなどいろいろなものが向上した部分というのもかなりございまして、そういった意味では、いろいろな団体の御支援もいただいて、今後ともこの問題を、警察官だけじゃなくて、地域全体、また政府全体として考えていかねばならぬ大事なものであって、治安がいい、こういったものは日本にとって大きな財産、私は基本的にそう思っておりますので、今後とも治安というものにつきましては意を砕いてまいりたいと考えております。

山口(泰)委員 ありがとうございます。

 きょうは石破農水大臣が海外出張中で、私も農家の長男でございまして、後継者問題とか減反問題を聞きたかったんですけれども、次回に回したいと思います。

 最後の一言を総理に申し上げたいと思います。

 政治は国民との約束であります。内外の山積する問題も、雑音に惑わされず、得意冷然、失意泰然という言葉が私は大好きでございますので、これからも堂々と王道を歩んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

川端委員長 次に、福島豊君。

福島委員 総理、また閣僚の皆様、大変御苦労さまでございます。

 本日、私は、まず財政再建の話について申し上げたいと思っております。

 現在、政治に課せられた最大の課題は何か。現在の世界的な不況から一日も早く我が国の経済を脱出させる、これが一つだと思います。そしてもう一つは、同時に、世界でも最悪とも言っていいほどの我が国の財政、その再建をいかに果たすのか。もちろん、これは経済の再生ということが前提でありますけれども、しかし、将来に向かって財政をいかに再建するのか、このことについての道筋というものが明確に示される必要がある。

 今、政権に対してのさまざまな批判があるわけです。その批判の一つというのは、国、地方合わせて約一千兆円の債務、これだけ借金を重ねてしまったのは政治のあり方が悪いんじゃないか、こういう率直な意見なんだろうと私は思います。私の地元の守口市でありますとか門真市、地方自治体は財政再建のために必死に努力しています。国はそういう努力が足りないんじゃないか、こういう批判なんだと思います。

 きょうも新聞に出ておりますけれども、昨日、公正取引委員会が国交省に対して、官製談合だ、そして是正措置を講ずべきだ、こういうことを指摘いたしました。このように、無駄遣いということが次から次へとぽろぽろ出てくる。ですから、今の国民が政権を見ている構図というのは、思いというのは、官僚依存だ、だから無駄遣いがおさまらない、だからこれだけ借金がふえちゃったんだと。

 私は、事実とは少し違うと思うんです。無駄がないとは言いません。無駄は省かなきゃいけませんけれども、しかし、今、日本の財政が抱える構造的な問題ということを真正面からとらえる必要がある、これが前提です。

 図表を、パネルをきょうはつくってまいりましたけれども、短期間ですとなかなかわかりません。十年前と比べてみました。政府は歳出削減に向けてさまざまな努力をしている。例えば公共事業関係費について言えば、十年前の十三兆から二十一年度の予算では七・一兆、五兆九千億削っています。そしてまた、その他歳出でも十二兆から九兆七千億、二兆二千億削っています。

 しかし、こういう努力はしているんですけれども、明確に、社会保障関係費十九兆から二十四・八兆、五兆八千億ふえている、高齢化が進行していますから。ですから、歳出を見直していっても社会保障関係費がどんどん伸びていくのでほぼ相殺されてしまう、これが今の日本の財政構造です。

 しかも、税収はどうなっているか。これは三年間の平均値をとっておりますけれども、十年前は四十九・一兆の平均値、今は四十七・八兆です。法人税も所得税も伸びない、しかし社会保障関係費は伸びていく。

 無駄遣いがないとは言いません。無駄は徹底して排さなきゃいけませんけれども、日本の財政が抱える構造的な問題が何かということを真正面からとらえなきゃいけませんし、そしてまた国民の皆さんにもそのことをはっきりと申し上げる必要がある、私はそう思っているわけであります。その理解を共有していただく必要がある。この点について総理の御見解をお聞きしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 福島先生、十年の長さでこれを出しておられますけれども、これはわかりやすい図だと思っております。

 はっきり申し上げて、九〇年代以降税収が伸び悩むという状況の中にあって、少なくとも経済を下支えするためには、公共投資の追加はもちろんです。また、累次の経済対策を実施するということなどによって、少なくとも日本は高齢化が急速に、世界で一番最速で進んでいると言われております、こういう状況の中にあって、社会保障関係費の伸びというものが毎年一兆とかよく言われるような形で極めて伸びてきておりますので、そういった状況の中にあって、少なくともバブル崩壊以降の日本の中にあって、GDPを約五百兆というものをほぼ維持して、あの時代、一番、五百兆をと言われたものを割らずにここまで来れる。

 すなわち、大恐慌にならずに不況という状況でとめられた大きな背景には、財政による出動が大きかったと、私自身は、今振り返ってそういう判断をいたしております。

 しかし、結果としては、今御指摘ありましたように、平成二十一年度末で、地方債を含めまして八百十六兆円。そうなっていますと、GDP比で一六七、八%になろうと思っております。そういった財政が危機的な状況にあるということも確かです。

 今後、少子化というものが、先ほど一・二六から一・三七というお話が小渕大臣の方から上がっておりました。しかし、現実問題としては、今から二十年先の話ですから、今生まれている話は。そういった意味では、社会保障費の増大というものがさらに見込まれる。

 そういう状況にありますので、持続的な経済成長を図って、パイをある程度大きくしない限りは社会保障関係費を生むものが出てきませんので、そういった持続可能な社会保障制度というものをきちんと確立していくためにも、少なくとも中長期的に見まして、財政再建というものは正面に据えて、きっちりおなかの中におさめて、目先は景気。これは、パイを大きくするためには、世界的に縮小しております、そういった中にあって、パイを大きくするということは避けて通れない、一番大きな優先順位だと私は思いますが、続いて、財政再建というものに対しては責任を持って取り組んでいくというのが一番大事な姿勢だと思っております。

福島委員 総理の強い決意をお聞きいたしまして、ぜひしっかりとレールを敷いてほしいというふうに私は思いますが、ただ、無駄はだめです。無駄はやはり徹底してやらなきゃいけない。

 きょうの各紙が「国交省また官製談合 公用車管理巡り」と。これも、官僚のOBが天下って、天下り先に受注させる。そして、そこに談合がある。慢性談合病というような造語もありますけれども、無駄をどう省くのかということが一方でなきゃいけません。財政の基本的な、構造的な課題をどう認識するかということと同時に、無駄の問題もやる、そういう関係なんだと私は思います。

 次のパネルをお示しします。これも、与党は無駄に対して切り込みが足りないんじゃないかといつも御指摘されますから、つくってきました。

 二十一年度の予算、公益法人向け支出三千九百二十八億円の減、特別会計支出等の見直し一兆二千四百億円の減、行政コストの節減、効率化、これは去年話題になりましたタクシーの問題とか広報費とか、五百五十七億の減、政策の棚卸しで、一般会計五千五百億の削減、特別会計三千三百億の削減、独立行政法人向け財政支出千三百七十七億円。

 ですから、しっかりやっているんだということを訴えたいわけでありますけれども、引き続いてこれはやらないとだめです。先ほどの官製談合のような話は本当に撲滅しなきゃいかぬというふうに私なんかは思います。

 二十二年度の予算をどうしていくか。骨太二〇〇九を昨日決めていただきましたが、新たな行革の取り組みとして、新たな定員合理化計画をつくる、出先機関改革を進める、俸給表水準の見直しをする、公益法人等の役員の退職金等の点検をする、こういったことが一連挙げられております。

 問題は、具体的にどのようにこれを進めていくのかということでありますし、わかりやすい歳出改革の姿、方向性、こういうものを示す必要があると思います。この点についての総理の御決意をお聞きしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今御指摘ありました、そこに徹底した無駄の削減ということで、これは政府として無駄の削減に努力するというのは当然のことなのであって、最も重大な課題の一つだと考えております。

 平成二十一年度の予算編成におきまして、行政支出の総点検という会議が、民間の視点から見直すべき点などにつきましていろいろ御指摘をいただいて、これらを踏まえまして、公益法人への支出を平成十八年度支出実績で約四割という数字をそこに挙げられておりますが、そういったことを確実に今やらせていただきつつあるところで、徹底した支出の見直しということを今やらせていただきつつあるところであります。

 また、無駄の削減ということに関しましては、本来、予算執行の責任を有するべき各省庁におきまして、少なくとも率先して取り組むべきものであるというのは当然のことです。その上で、行政支出総点検会議からの指摘というものを受けまして、各省庁にプロジェクトチームを設置して、無駄の削減に取り組ませているところでもあります。

 こうした取り組みの成果というものを国民に広く明らかにする必要があるという御指摘だと思って、この資料をいただいたんだと思いますが、透明性を高めながら進めていくということによって、政府全体というものは引き続き徹底して無駄の排除に取り組んでいく決意でありまして、やはりこういうような透明性を広げる、大きくするということは、こういったものを排除していく、または無駄遣い、そういったものに対する対策としては最も効果の高いものではないか、私自身はそのように考えております。(発言する者あり)

福島委員 補正予算はどうなんだ、こう御指摘が場内からありますけれども、経済対策で何をするのかという話と、そしてまた歳出を不断に見直していくという話と、これはまた両方やらなきゃいかぬ話なんだと思います。もちろん、補正予算で経済対策をやっているから、その中身をどうするんだ、きちっと、どういう使われ方をしたか、これは総理を筆頭に責任を持ってやはり点検していただく必要があるというふうに私は思っております。

 今回の骨太の二〇〇九、さまざまな議論がありまして、最終的に社会保障関係費の二千二百億円の削減ということについては見直しをすると。私は、これはよかったと思っています。やるべきだったと思っています。ただ、これに対しては、きょうの各紙を見ると、「改革後退」であるとか「針路失う」とか、「歳出抑制棚上げ」である、こういう話。

 小泉総理の、小泉改革の中で歳出削減を行ってきました。聖域なき歳出改革ということで一律やられた。これはこれで意味があったというか目的があったんだと私は思いますけれども、しかし、現実問題としては、社会保障関係費の削減の中で、医師不足の深刻化、介護従事者の不足、こういうさまざまな社会保障のほころびが出てきたわけで、当然そういうことを踏まえながら、歳出改革をどうするのかということについて見直しがあってしかるべきだ。それは後退でもないんです。修正というだけに私はとどまると思っています。

 ですから、同時に、いろいろと書いてありますけれども、このことによって歳出改革が後退するんじゃないか、これは私はあってはならないというふうに思うんです。

 この点については、来年の予算編成に向けてどうするか、まさに財務大臣の双肩にかかっていると私は思いますけれども、改革の後退だということでは決してないということについて明確に御説明いただければと思います。

与謝野国務大臣 基本方針二〇〇六に書かれております歳出改革については、この路線を堅持するということは明確にしております。

 ただし、二〇〇六の解釈として私が与党の皆様方に申し上げましたのは、社会保障費の自然増はやむを得ないことである、これは高齢者がふえる等々の理由によって社会保障費はやむを得ざることとして自然にふえていく、ですからこの自然増はそのまま認めます、こういうことを申し上げました。ただし、認めますと申し上げても、やはり社会保障の御関係者は、自然にふえるというままに放置しておくのではなくて、できる限りの無理のない節約をやっていただきたい、これは国民に対する責任であるということを申し上げました。

 仮に節約が可能になった場合は、これは社会保障分野に再び回すという御説明を申し上げまして、基本的には、基本方針二〇〇六に書いてございます歳出削減の基本方針は貫いたつもりでございます。

福島委員 社会保障以外の分野、これも歳出改革の中で極めて重要であります。そこのところについて、徹底して私は御努力いただきたい。先ほども、さまざまな課題が書かれております。具体化するのは、財務省、しっかりやっていただかないとと私は思っております。

 そしてまた、財政制度そのものを見直してはどうか。これは前も財務大臣と御議論させていただきましたけれども、スウェーデンでは、九二年、そのとき金融危機もあったわけですね、財政再建をしなきゃいかぬと、リンドベック委員会というものを設置して、そして検討の上、財政法の改正をした。その中では、三カ年の歳出総額を決める、そして二十七の歳出分野へ配分をする。こういう総枠を決めて、その中でしっかりやりなさい、こういう改革をした。単年度方式の積み上げ方式でやると、どうしても総合的な無駄というのがなかなか省きにくい。そういう努力をスウェーデンがされたんだと私は思います。

 そういった予算編成のあり方そのものをどう考えるか。今のシーリング方式、これが果たして大胆な歳出の組みかえということにつながるかどうか、こういうことも私は考える必要があると思います。

 そして二つ目は、安心社会実現会議、総理のもとに置かれております会議ですが、先日、報告を取りまとめられた。社会保障勘定を分離してはどうか、国民にとってわかりやすい制度にする。これが二つ目の柱。

 三つ目の柱は決算であります。決算を徹底し、きちっとする。無駄は許さない。会計検査院が指摘したことでも、各省庁が是正をしないでほったらかしにしている、こういうことが多々あります。そういうことはやめさせなきゃいけない。

 こういった三点にわたって、財政制度全般についてやはり改革をしていくんだ、こういう方向性をぜひお示しいただければと思います。財務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 基本方針二〇〇六の中で示されている財政再建の方針は三つございます。一つは歳出改革であり、一つは歳入改革、一つはやはり経済成長による税収増、こういう三つのことを期待しまして、プライマリーバランス、二〇一一年達成という目標を立てたわけでございます。

 歳出改革については、極めて大胆な歳出改革策をとっておりまして、二〇〇六年の歳出から十四兆円の歳出を削減するという計画を立てまして、基本的には、当初予算においてはその方針は守られているわけでございます。

 したがいまして、スウェーデンの財政再建の例、あるいはアメリカ等の財政再建の例、いずれの経費についても、いわばキャップをかけて歳出を抑制する、そういう考え方もあったわけですが、日本も同じように、実は基本方針二〇〇六ではすべての歳出にキャップがかかっている、同じような状況になっております。

福島委員 そこは若干私は財務大臣と見解を異にするところでありまして、これは一律ということではなくて、先ほども言ったように、社会保障は、この間何が起こったかということを考えると、やはり大事にしなきゃいかぬ。要するに、重みづけをどうするか、資源の配分をどうするか。これはまさに政治でなければできないわけで、私は、そこのところの配分の転換、切りかえということが余り十分ではなかったような気がいたしておりますし、ぜひ、これからの御検討の課題にしていただきたいというふうに思います。ありますか。

与謝野国務大臣 基本方針二〇〇六をよく見ていただきますと、二千二百億などという数字は実は書いてございません。社会保障関係費の自然増を認めるにしても、一兆一千億ぐらい五年間で節減できないかというのが基本方針二〇〇六の付表についてあります。これを五で割ると確かに二千二百億になるわけですが、現在の経済や社会の状況を見たり、医療、介護の現場を見ますと、やはり物事はきちんと実情に合った物の考え方をしていかなければならないということで、基本方針二〇〇九の考え方、書き方は若干変わっているわけでございます。

福島委員 続いて、介護の問題について舛添大臣にお聞きをいたしたいと思います。

 最近、介護をめぐってさまざまなことが起きております。三月には、「たまゆら」という無届けの施設が火災に遭いまして、多くの高齢者が亡くなられた。四月には、歌手で有名でありました清水由貴子さんが介護疲れから自殺をされる。介護のあり方そのものが揺らいでいるのではないか。介護従事者の不足もしかりであります。

 先日の朝日新聞の報道では、介護施設の整備が半分程度にとどまる、これは、二〇〇六年から二〇〇八年、介護保険の施設の計画の半分程度しか実は整備できていないんじゃないかと。この点については、厚生労働省としては、この計算の仕方に少し問題があるんじゃないか、疑義があるんじゃないか、こういう御指摘があると思います。しかしながら、現実問題として、想定されるほどに整備が進んでいないという事実はやはりあるんだろうと私は思うんです。

 また、前回の介護保険制度改革の中で、小規模多機能型居宅介護、これは地域密着型サービスの一つのかなめとして導入された。現在でもふえてはおります。ふえていますけれども、二万七千人程度の利用にとどまっている。ということから考えると、介護ニーズというものに対して十分こたえ切れていないという現実があるのではないか、このように思うわけであります。

 私は、将来に向かって改めて、かつてゴールドプランというのをつくりました、リバイズといいますか、認知症もふえているそういう実態も踏まえながら、新しいビジョンをつくり、国民の皆様に、安心してください、こういうことを訴えるべきではないかというふうに思うわけでありますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 介護の基盤整備を含めてさまざまな施策をやっております。そういう中で、先ほどの朝日新聞の記事の調査、どういうやり方でやったか、ちょっと詳細は不明でございますけれども、我々も今調査をしているところでございまして、これが出てき次第、また公表したいと思います。

 今回、補正予算におきまして、介護施設とか介護拠点を緊急に整備しようということで、三年間、助成金の拡充をやりたいということをやっております。いわばニーズを先取りして、前倒しで整備をやるという発想でやりたいというふうに思っております。介護人材に対する処遇の改善、これも補正で一万五千円程度の給料が上がるようにということでやっておりますから、今回、施設の整備もありますので、できるだけ介護をめぐるインフラストラクチャーの整備ということを緊急に集中的にやりたいと思っております。

福島委員 ぜひ、安心の将来を確保するために、舛添大臣には頑張っていただきたいと思っております。

 そしてまた、診療報酬の問題についてお聞きをしたいと思っています。

 二十年度の改定におきましては、勤務医の労働環境の改善、医師不足ということを踏まえてしなければいけない、重点的に対応しよう、こういう話になって改定がなされたと思っております。

 しかし先般、中央社会医療協議会、中医協で検証部会というものが設けられて、実際に検証作業というものをしていただいているわけです。その中で、実際に勤務環境が改善されたという人に比べて、改善されていない、悪化した、こう答える医師の数の方がはるかに多い。こういう実態が浮き彫りにされたわけでありまして、二十年度の改定というのは極めて限定した効果しか持たなかった、これが実態なんだろうと私は思います。

 また、民間病院も五割程度が赤字だというふうに病院関係の方からはお聞きをいたしております。そうした中で、勤務医の環境というものがなかなか改善されないというのは当然だろう、当然の結果じゃないか。

 しかし、これをやはりいつまでも放置しておくわけにはまいりません。補正予算で地域医療再生基金というのをつくらせていただきましたけれども、この基金も、現場の医療機関にどれだけ回るのだろうか、こういう指摘もあるわけでありまして、二十二年度の診療報酬の改定、これは来年度の予算編成に絡む非常に重要な話でありますけれども、こうした医療現場の実態ということを踏まえて、きちっとした対応をしていただく必要がある、このように私は思っておりますが、舛添大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 いわば日本の医療が崩壊の危機に瀕しているというような御批判がありましたから、さまざまな施策を行っております。例えば、お医者の数を一・五倍にするという形で、今年度の入学者の定員というのは七百名近くふやしました。それから、直接的な財政措置で、緊急医に対して手当てをしております。

 ただ、やはり、今委員がおっしゃったように、診療報酬改定、これはいわばお医者さんたちの給料を決める話ですから、病院の売り上げを含めて、これは非常に重要であることは論をまちません。それで、例えばハイリスクの分娩の管理費というのを倍に上げたんですね。それで、大きな病院なんかの産科の経営状況が非常によくなっております。

 だから、この診療報酬改定ということは非常に重要なので、産科とか小児科、緊急医、こういう方たちの処遇の改善が行えるような診療報酬の改定を行いたいと思っていますし、そのためにも、中医協を、みんなが、国民がそこで議論をして政策を実現できる場にする改善の余地もあるかなということも思っておりますので、全力を挙げて日本の医療体制の再構築を行いたいと思っております。

福島委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思うんです。

 今、救急車のたらい回しということが問題になっております、引き続き問題になっている。中小病院の救急医療を引き受けるところが減ってきている、これが現実だと思います。なぜかと言えば、先ほども言いましたように、五割が赤字じゃないかと。経営が悪くなりますと、採算の悪い部門というのは撤収する、これが民間病院の経営の行動だと思います。そういったことから救急を引き受けないところがふえてきている。そういったこともぜひ踏まえながら対応していただきたいと思います。

 最後に、若干時間が残っておりますので、雇用の問題についてお聞きをいたします。

 舛添大臣には、現在の大変厳しい雇用情勢の中で、雇用調整助成金の拡充や訓練・生活支援給付の創設、さまざまな雇用保険法の改正と、課題に取り組んでいただいているというふうに思っております。

 その中で、現在各地域で進行しておりますのが雇用創出の基金、基金を活用した雇用創出の事業であります。これについては、今までも都道府県の知事会などから要請があります。もうちょっと使い勝手をよくしてくれないか、要件を緩和してくれないか、ぜひこういう事業をやって雇用をつくり出したいんだけれどもと、特に人件費比率の緩和というようなことも指摘をされております。

 今までも見直しをいただいておりますが、これから実際の事業の進捗状況を踏まえて、何しろお金が余っても意味がない、使ってもらって雇用をつくるというところに最大のポイントがあるわけでありますから、柔軟にさまざまな意見を聴取しながら対応していただきたいと思いますが、その点について、最後、御決意をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 さまざまな雇用対策を行っておりまして、雇用調整助成金の活用は皆さんから大変喜ばれています。

 今おっしゃってくださった雇用創出の基金、さまざまありますが、雇用を創出するわけですから、使ったお金のほとんどが人件費に行くのは当たり前ですね。だから、八割ぐらい人件費でやってくださいよということを言っていましたが、しかし、現実の運用でそうもいかないということになれば、まあ二分の一でいいですよというような形での要件緩和はいたしております。

 ポイントは、この基金を使って日本の各地で新しい雇用が生まれることでありますので、そういう本来の目的に沿う形での弾力的な運用を今後とも考えたいと思っております。

福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。

川端委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 民主党の横光克彦でございます。

 質問に入る前に、ちょっと通告しておりませんけれども、国民の声を代弁させていただきたいと思います。ですから、答弁は求めません。

 日本郵政社長人事についてでございますが、去る六月十二日に、総理は、西川社長ではなくて鳩山前総務大臣を事実上更迭されました。しかし、世論調査によれば、この対応には国民の約八割が、麻生総理の判断はおかしい、西川社長こそやめさせるべきだと、圧倒的な声なんですね。

 そして、六月十七日に行われた党首討論では、麻生総理は、民間の人事に余り政府が介入すべきではない、こうおっしゃいましたが、日本郵政は現在政府が一〇〇%株式を保有する特殊会社なんですよ。人事権は総務大臣にあるんですよ。ですから、本来ならもっとしっかりと政治介入してリーダーシップを発揮すべきだった問題であると思います。

 また、マスコミ報道では、認可権を持っている総務大臣に判断ができないように、小泉元総理やあるいは竹中元総務大臣、さらには菅元総務大臣、こういった人たちが横やりを入れたと、報道ですよ、横やりを入れたと報じておるんですよ。何の権限もない者が何で横やりを入れるんですか。こういった自民党の体質こそが、世間では政治介入というんだと思います。

 二十二日、一昨日、政府は西川社長の続投をお決めになったようでございますが、総理としては、疑惑に満ちた西川社長をどういう理由で再任されたのか、また、今の日本郵政に対して国民が抱いている疑惑に対してきちんと説明責任を果たしていく必要がある、このことを申し上げておきたいと思います。

 我々は、去る五月十五日に、社民党そしてまた国民新党とともに、西川社長を東京地検に刑事告発いたしております。

 党首討論でも鳩山代表が申し上げました。国民に疑惑の念を抱かれながらきちんと説明責任を果たしていない西川社長には、我々が政権をとったときにはおやめいただくと。この毅然とした対応を行うことが、国民に百三十八年間信頼され続けてきた郵政、郵便局を守ることだということを申し上げておきたいと思います。

 総理、八割の国民がおかしいと言うこの民意を侮れば……(発言する者あり)

川端委員長 不規則発言はおやめください。静粛にしてください。

横光委員 この民意を侮れば、いずれ厳しい鉄槌が下されると思います。まず、このことを申し上げておきます。

 それでは、質問に入ります。

 まず、きょうの毎日新聞の朝刊を見てびっくりしたんですが、与謝野大臣にお伺いいたします。与謝野大臣に企業から迂回献金があったのではないかという報道がされております。

 報道によれば、後援団体として総務省に届け出されている政治団体、ここから与謝野大臣の資金管理団体に、一九九二年から二〇〇五年まで、毎年二百五十万から六百五十万、計五千五百三十万円が献金されていたということです。ここまでなら何ら問題ありませんよ。しかし、報道は、この政治団体から政治資金管理団体への献金の原資、もとの金は、商品先物取引会社オリエント貿易などグループ五社の幹部社員の給与から天引きされた、そのように報道しておるんですね。

 こうであれば、まさしくこれは政治団体を通じての企業献金を行ったということであり、これが事実であれば政治資金規正法に違反するわけでございますが、この報道は事実ですか、事実ではありませんか。それだけで結構ですから。(発言する者あり)与謝野財務大臣。

川端委員長 その前に申し上げます。

 不規則発言は慎んでいただきたい。静粛にお願いを申し上げます。

与謝野国務大臣 私は、政経政策研究会、すなわち加藤氏が代表を務める政経政策研究会から、昭和五十六年より平成十七年まで、私の政治団体であります駿山会に月二十五万の政治献金をいただいており、これにつきましては政治資金規正報告書で報告をしております。

 また、政経政策研究会がどのように資金をお集めになっていたかは全く知りませんでしたし、その当時は知る必要性も感じておりませんでした。

横光委員 事実ではないというような御答弁でございますが、大臣は商品先物業界を指導監督する通産大臣も経験されている、後には金融商品取引法を扱った金融担当大臣をやられている、ここにはしっかりと職務権限というものがあるんですね。ですから、職務にかかわる企業から献金をもらっておいて、今のように何も知らなかったということが本当に通るのか。会社に利便を図ったのではないかという国民の疑惑がどうしてもつきまとうのは当たり前でございます。

 きょうはこの問題に深く入りませんが、このように政治献金、政治資金に関しましては非常にグレーなところが多いんですね。恐らく与謝野大臣は、これを読んだ方たちは、それはほとんどがグレーだと思っていますよ。黒でもない、白でもない、しかし事の真相はわからない、知らないと言うんですから。

 しかし、こういった問題をもうなしにしよう、要するにグレーをホワイトにしよう、そういった意味で、私たちは企業・団体献金禁止、政治資金規正法の改正案を提出したわけでございます。(発言する者あり)ちょっとうるさいな。(発言する者あり)

川端委員長 静粛にお願いをいたします。静粛に。

横光委員 この企業・団体献金の自民党と民主党の比較をごらんになってください。

 我々は、法施行から三年後に全面禁止を打ち出しました。そして、パーティー券購入も三年後に全面禁止。ただ、三年間の間は公共事業受注企業からの寄附は禁止する、一億円以上の契約をしているところは即禁止です。そして、個人献金にシフトする、税額控除を優遇してシフトする。我々は、こういった法案を既に六月一日に衆議院に提出いたしております。

 一方、自民党の改革実行本部の六月十一日に答申した内容は、こういうことでございます。いろいろ書かれておりますが、「一年以内に結論を得る。」これは、つまり何もやらないということですね。ですから、いろいろな問題があるというのをもうわかっていながらも何もやらない。

 これが民主党と自民党のはっきりとした差でございますが、民主党の案につきまして、麻生総理大臣、どのように評価されますか。

麻生内閣総理大臣 まず最初に、西川さんの話だけ一方的に出ていましたので、これは誤解を招きかねませんから、こういった話ははっきりさせておいていただきたいと思います。

 まず、郵政民営化というものは、御存じのように政府の方針です。民営化の趣旨というものは、御存じのように、政府の介入を最小限にするということだったんじゃないんですか。私は、日本郵政という会社、これは株式会社、一〇〇%政府が持っている民間の会社ですから。基本的には民間の会社ですよ、株式会社ですから。そういった民営化の趣旨からも、人事に介入するのは極めて慎重であるべきだ、まず基本的にそう思っております。

 民主党が政権をとられたら直ちに解雇されるということですけれども、そういったのは法とまた事実というものに照らした上でやられないと、これは民営化というものの趣旨にそもそも反することになりかねませんし、そういった意味では、我々としては、取締役の認可などというものは、法律と事実に基づいて、予断を持って判断をすべきものではない、まず基本的にそれだけはっきりさせておきたいと思います。

 その上で、政治資金のあり方についてのお話がありましたが、これはもうたびたび申し上げておりますように、民主主義のコストをどう負担するかというところがその根本的な点だと思っておりますので、各党が議論をされるというのは大事なことだと思っております。その上で、企業もしくは労働組合を含めて、団体も政治活動の自由というものは、政治献金などの活動は認められているということを申し上げておきたいと思います。

 また、その民主党の今そこに書かれております中には書いてありませんが、民主党の法案は、私の記憶では政党助成金の増額ということが書いてありましたね。これは、政治活動に関する公費負担の拡充を検討するということが含まれていたわけでしょう。したがいまして、民主主義のコストとして公費依存の度合いをどうするのかということにつきましてもこれは議論が必要なんだ、我々はそう思っております。

 また、そもそも、今回の民主党のというか横光さん以外に民主党から出されておりますこの企業・団体献金の禁止というのは、これは小沢代表代行のいわゆる政治資金にかかわる秘書逮捕がきっかけ、これが最初だったんだと私は思います。先日、第一回目の党首討論だったか、あのときに、鳩山代表は、説明責任については第三者委員会報告書を見てほしい、そう言われましたので読ませていただきましたが、報告書には国民の疑問には全く答えておられないと思いましたので、そういった意味では、この間行われました、先ほど場外発言も出ていましたが、西松建設の違法献金事件の公判で指摘されました天の声の疑惑などを含めて、これは民主党や小沢代表において説明責任を果たすのが、これの方が先決ではないか、基本的にはそう思っております。

横光委員 小沢前代表のことは後で説明いたしますが、今、結局、企業、団体全面禁止には全く積極的でないという姿勢でございます。

 そもそも、私もこれはすべて悪だとは思っておりませんよ。しかし、先ほどから言っていますように、これまでの我が国の歴史から見てくださいよ。いろいろな政治と金の事件や疑惑が後を絶たないじゃないですか。ロッキードやリクルートや佐川、ゼネコン、日歯連事件、いとまがありません。ですから、こういったものが結局癒着の温床になっていると国民はもう重々知っているんですよ。それが政治不信になっているんですよ。だから、そこを断ち切らなきゃならない。そこで、我々はこういった法案を出したんです。大変な激論をいたしました。

 小沢さんの問題は今司法の場に移っておりますが、これはまだあくまでも疑惑の段階でございまして、しかし、疑惑をかけられたこと自体、確かに我々は反省をして、そして、それを教訓としてさらにこういった法改正に取り組んでいるんです。ところが、そちらの方はどうですか。二階さんやいろいろな疑惑の方がおられるけれども、黙して語らず、何一つ語らず。そして、反省の姿さえ見えない。結局そういった状況であるわけです。

 それで、総理、歴史は繰り返すといいますが、十六年前、細川連立政権が誕生したとき、つまり自民党が下野したとき、あのときに、改革というのは政権がかわると大きく進んだんです。その一つが選挙制度ですね、中選挙区から小選挙区。いま一つが、この政治と金の問題なんですよ。

 つまり、あのとき、政党助成金、国民に政治活動の負担をお願いするという制度が成立したわけですが、制度をお願いする大前提として、そのかわり、企業献金は徐々に徐々に減らしていき、最後は禁止しますという法案も出しておるんですよ。それは当時の政治資金法ですが、こういう法案が成立した。これが成立したときにも、当時は大変だったんです。十五年前は大変だった。そして、当時の経団連の平岩外四会長が、この法案の成立を受けて、もう経団連は企業の献金のあっせんはしませんと決断したんです。そして、いずれ全廃に向かうよう努力します。

 つまり、十五年前に我々がこうして出した法案は、既に企業献金禁止の流れはもう始まっているんですよ。

 この法案は、九条は、「これを禁止する措置を講ずる」。ですから、これはもう義務ですね。九条は二〇〇〇年に、五年後に確かに成立いたしました、個人への献金は。でも、十条は、最後に「寄附のあり方について見直しを行うものとする。」これもほぼ義務に近いものですが、このときにはもう自民党が政権に戻っていたものですから、一切これをやろうとしませんでした。つまり、それから今日までこの十条は残っておるんですね。そして、いろいろな問題が起きているわけです。

 ここまで十年間もこの問題を、十条をほったらかしてきたのは、やはり我々野党も含めて国会の不作為と言えるかと思いますが、すべての責任は、政権与党の皆さんがこれを率先してやらない限り成立しないんですね。そういった意味では、その責任は非常に自民党にある、このように思っております。国民から政党助成金をもらいながら、一方ではこの約束事を守らずに企業・団体献金を受け続ける、これを二重取りだと非常に国民の批判は高いんです。世の中ではこういうことを、やらずぶったくりと言うんですよ。

 どうですか、総理。もうこういった流れを一掃するために、ぜひともこの法案に賛成をしていただきたい。そして、いろいろな国民に対する不信感を払拭しようではありませんか。私は先ほど歴史は繰り返すと申しましたが、そのときがいよいよ来ようとしていると思うんですよ。十六年ぶりに政権がかわる可能性が出てきているんです、国民の意識の中から。十六年前に大改正した、そして今度もし我々が政権をとれば、この十条は実施するわけです。大改革は始まるんです。その政権前夜に、我々はもう法案を提出しているんですよ。ですから、政権をとれば、皆さん方がどう反対をしようが、これは実行に移されるんです。

 どうですか、総理。ここで十六年前と同じように、一緒に合意したじゃないですか、あのときは。一緒にこういった問題を改革に取り組もうじゃありませんか。いかがですか。

麻生内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、政治資金のあり方というものにつきましては、これは民主主義のコストをどう負担するかという話と密接にかかわっておりますので、いろいろ議論されることはよいことだ、これはたびたび申し上げているとおりでありまして、問題は、各党で議論して決めた法律をそれぞれの政治家がきっちり守るか否かが一番問題なんだ、まず基本的にそう思っております。

 また、個人献金の方がいいということをおっしゃりますけれども、個人献金であっても、最近の報道によれば、鳩山代表は亡くなった個人から献金を受けているとの事例があったりしておりますので、同じ個人でも大分違う意味を持つんだと思いますが、個人献金であるからすべて善ということにはならないのではないかという点も、これはもう御存じのとおりだと思っております。

 したがいまして、これでいろいろ各党で議論をしてやっていくのは大事なことだということはたびたび申し上げておるとおりですが、問題は、それができ上がった後、決められた法律をおのおのの政治家が守るということと、その透明性ということが最も大事なんだと思っておりますので、おのおのの政治家がしっかり説明をされていくということが今後とも必要だと思っております。

横光委員 当然、法律は守らなければなりません。しかし、さはさりながら、いろいろな問題が浮上している。ですから、これはもう根元を断ち切るしか解決の方法がないという状況に来ておるんですよ。フランスやカナダを見てくださいよ。いろいろな企業献金の腐敗が起きて、とうとう企業・団体献金を全廃したじゃないですか。そして、個人献金にシフトしておるんですよ。そういった先進国もあるんですよ。できないわけない。

 それで、こうしていろいろな問題が起きるたびに小手先の法改正をやってきましたよ。法改正をやってきたけれども、またその網の目をくぐっていくというイタチごっこが今日まで続いております。とりわけ、九条は成立しましたが、政党支部には献金できる。個人はだめだけれども、支部。そのためにいっぱい支部ができた。そして、先ほどのような還流、政党支部を通った、個人、議員に金が渡るというのがごく当たり前になっておる。国民もこれは重々知っておるんですよ。

 ですから、こういった問題、とりわけこの金が公共事業受注企業からの献金、そして個人に行ったとするのならば、やはり、税金の還流ですから、これは国民が許しません。ですから、小沢さんの問題を……(発言する者あり)

川端委員長 静粛に願います。

横光委員 我々は反省して、教訓として法改正を出しているじゃないですか。あなたたちは何だ、反省の気持ちもないのか。(発言する者あり)

川端委員長 静粛に願います。

横光委員 そういうふうに我々はしっかりと、疑惑をかけられたことに対しては、先ほどから申し上げておりますように、小沢さんみずからが、これはもう根元を断ち切るしかないと。それを受けて党内では大変な激論をしましたが、やはりここは我々みずからが身を削らなければ国民の信頼は取り戻せない、改革は進まない、そういったことを民主党は決断したんですよ。

 あなたたちは、やじばかり飛ばして何ら行動しない。それか、これまでも企業献金をもらい続けることしか頭にないんです。そして、何かといえば、政治活動には金がかかる金がかかると言いますよ、与党の皆さんは。それは確かに政治活動には金がかかります。たくさんあるにこしたことはありません。事務所も持てる、私設秘書もたくさん持てる、会報も毎月出せる、それはお金がかかります。

 しかし、かかるかかると言う前に、金をかけない努力をしていますか。例えば私なんかは、ホームページを見てくださるとわかりますけれども、本当に三千万足らずの政治資金収入で一年間国会活動をやっておるんです。十五年間やってきているんです。それでもやってこられるんですよ。

 ですから、みんなで努力しようじゃないですか。企業・団体献金がなくても政治活動できるんだと。企業献金なんか受けていませんから。ですから、できるんですよ、やろうと思えば。それをやらないで、片一方は国民から受け取る、片一方は企業から受け取る、こういった形はもうやめにしよう、こういうふうに思うわけでございますが、どうですか、総理、努力してみようではありませんか。いかがですか。

麻生内閣総理大臣 たびたび多くの政治家の方々がこれまでも努力をしてこられたんだと思っております。これは、その努力を否定された上に立ちますと問題なのであって、努力をされて、これまで随分改革をされてきたんだと思います。

 その上でも、なおかつ、その網の目をくぐってやられる方がおられるといって逮捕、起訴ということになっていっているわけでしょう。決められたところで、また守らなきゃ同じですよ。

 したがって、我々としてはきっちり守るという姿勢が最も大切なのではないかということを私はたびたび申し上げておるので、いかにも自民党だけが守らぬかのごとき話をつくられると、それはちょっと違うんじゃありませんかという気になるということだと申し上げておるんです。

横光委員 本当に改革をしようという、お互いにすねに傷を持つとすれば、お互いに努力するしかないでしょう。ですから、改革しようという気持ちがもうさらさらない。

 例えば、斉藤大臣にお尋ねしますが、公明党はこの我々の案には賛成ですよね。どうぞ。

斉藤国務大臣 この十六年間全然進歩がなかったというようなお話を先ほど横光委員はされましたけれども、例えば、政治家個人への企業・団体献金は禁止しようということも、この十六年間のステップでございます。

 公明党としては企業・団体献金はいただいておりませんので、この方向性についてはそういう方向になるべきかなと思っておりますが、しかしながら、今、党内でしっかり議論をしているところでございます。例えば、民主党さんは三年後に全面禁止と書いてあるけれども、即刻禁止でもいいのではないかという意見もあるし、しかしながら、これまでの政治文化ということを考えればここは慎重に議論しなければいけないという議論も党内にございます。党としての態度を決めたいと思っております。

横光委員 非常に公明党は前向きですね。それはそうでしょう、クリーンな政党です。しかし、連立を組んでいるから苦しんでおるようでございますが、ここはしっかりと連立そのものも含めて論議していただきたい、このように思うわけでございます。

 この問題は、国民の声を聞くのは一番は選挙ですね。しかし、世論調査というのも国民の声でございます。六月十六日の朝日新聞の世論調査。民主党が打ち出した、企業・団体献金を三年後に全面禁止する法案を提出したことを評価するは六三%、評価しないが二一%。とりわけここに注目してくださいよ。自民党支持層でも、五二%対二八%と、評価する。自民党支持者の人たちでも、こういった問題はもう民主党の案がいいんだと、五二%対二八%の差がある。ここのところをしっかり考えてくださいよ。

 私は、こういった国民の世論を侮れば、必ず、いずれ審判のときに鉄槌を下される、こう確信いたしております。

 それでは、ちょっと世襲の問題に移りたいと思います。

 世襲の問題も本当にいろいろ言われております。これは結局、党内でまとめれば済むことですから、何で自民党の皆さん方はこれをやらないんですか。やはり世襲の問題はいろいろな問題が含まれているでしょう。それは国民が選ぶんだから何ら問題ない、それはそうですよ。しかし、国民が選びやすいような形になっておるんですね。やはり、立候補する場合はどうしても平等性あるいは機会の均等というものが必要になってきます。しかし、世襲制があるためにそこが損なわれてしまっている。

 例えば、百メーターを競走する。新人がスタートラインに立ったそのときには、もう世襲の議員は地盤、看板、かばんをひっ提げて五十メーター先からスタートするようなものなんですよ。これじゃ新しい候補者はなかなかゴールにたどり着けない、こういった弊害も言われております。また、ある方はこういうことを言っておるんですね。世襲候補は一回戦、二回戦などをシードされて決勝戦だけを戦うようなものであると。まことに言い得て妙でございます。

 本当にこういった問題を解消するためには党内で努力しないと。総裁が一言、世襲はちょっと問題だな、まとめてくれと言えば、こういうことはまとまるんですよ。

 我々は、配偶者、三親等内の親族は次の選挙には同じ選挙区から出ることを認めないという形で、これは職業選択の自由を侵すものでも何でもありません。禁止するんじゃありません。制限するだけでございます。

 自民党の方はどうですか。オープンプロセス、スクリーニング、何かわけのわからぬ英語を使って、最後には、引退する議員の後継者については、まあ、これは継承を禁止する。とにかく公認の条件が全く、いろいろ書かれておりますが、完全に制限はしない、これまでどおり世襲候補も認めるということになっております。

 これも大きな違いでございますが、総理、この世襲の制限についてどういうお考えでしょうか。

麻生内閣総理大臣 国会議員の世襲制限というか、この問題は、政治家として有能かつふさわしい人を国民が広く選べるような仕組みというのをどのようにつくるかというのが基本的な問題なんだ、まず基本的にそう思っております。この点は別に御異論はないと思います。

 このような観点から、自民党では、すべて公募とかいろいろな形で厳正な調査をやって、勝てる候補とか有能な候補者を選ぶようにしているというのがこれまでの経緯でして、今後ともこれまでも、我々は、全県下の公募をやらせていただいたりしたこともありますし、参議院の候補者も公募で決めさせていただいた、たしか愛知県なんかそうだったと思いますが、積極的に予備選挙などを活用させてきていただいておりますことをまず冒頭に申し上げて、いかにも自民党は何もしておらぬかのごとき話は我々としては聞けません。

 加えてもう一点。

 先ほどちょっと世論調査の話をされて、世論調査がすべてかのようなお話でしたが、その点に関しましては、小沢代表の説明は十分でないという世論調査が圧倒的に多かったというのも事実だったと思いますが。

横光委員 私は、世論調査がすべてだと言ったんじゃありません、非常に参考になると。今の支持率の問題、それから企業献金の問題、世襲の問題、これも、国民の過半数がやはり制限すべきだという世論調査が出ております。

 今、総理は世襲のことを言われましたが、本当に、条件つき公認であり、何ら制限になっていない、やる気のない党改革の報告だと思っております。

 時間がなくなってまいりました。

 昨年の九月の所信表明演説で総理は、私は決して逃げない、こう明言されました。しかし、あれから言葉とは裏腹に逃げて逃げて逃げまくり、今日に至っているわけでございます。私たちの任期もあと七十九日、もうわずかしかございません。逃げるわけにはまいりません。審判のときを待ち望んでおられる有権者に、もう解散の時期を私は明らかにすべきではないかと思いますが、それは答弁を求めません、どうせ言うことは決まっているので。

 一億二千万人の国民の中で、ただ一人解散権という伝家の宝刀をお持ちなのは総理だけなんです。しかし、この伝家の宝刀は、抜いたときに切れ味が鋭くなきゃ意味がありません。もう何回も抜き損なったでしょう。そして、今さびついていると思います。今度抜いたときには竹光だったかもしれぬ。しかしまた、抜けなくなるかもしれない。そういったことさえあるわけでございます。

 政治においてやはり何よりも大事なのは、私は信頼だと思います。今、この信頼が本当になくなっている。この信頼を何とか取り戻さなきゃならない。そういった意味で、私たちは、この企業・団体献金、世襲制を打ち出して、少しでも信頼を取り戻すために改革する、努力する民主党。片一方は、何ら改革する意欲が見えない自民党。たった三十分間でしたが、きょうは、国民の前で民主党と自民党の違いがかなりはっきりわかったと思います。

 これは今度の審判のときの大きな判断材料となると思いますし、私たちが政権交代を強く訴えてきたのは、何も民主党のためでもありません、また、協力してくれる野党のためでもありません、立候補する候補者のためでもありません、すべては国民のためなんです。これを申し上げて終わります。

 ありがとうございました。

川端委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。横光君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。端的に御答弁いただければと思います。

 まず、ちょっと異例ですけれども、やじについて、自民党の山本拓衆議院議員、これは限度を超えるやじ、前回の予算委員会でも私自身の声が聞こえなくなりました、自分のしゃべっている声が。委員長、再度注意をいただければありがたいんですけれども。(発言する者あり)

川端委員長 静粛に願います。

 不規則発言は慎んで、議事進行に御協力を各位にお願い申し上げます。

長妻委員 それでは質問を開始いたしますけれども、まず、いよいよ国民の信を問う総選挙というのが近づいてまいりました。麻生総理に端的にお伺いしたいんですが、解散というのは麻生総理が御自身の手でされるということでございますか。

麻生内閣総理大臣 基本的に、しかるべき時期に私が決断をして解散をさせていただきたいと思っております。

長妻委員 我々がいろいろ考えるに、今度の総選挙といいますのは、総理大臣はだれか、これを決める選挙でもある。我が党は鳩山由紀夫代表、自民党は麻生太郎総理大臣、どちらが日本国のトップリーダーにふさわしいのか、こういうことだと思いますが、今、先ほどやじを言われている山本拓衆議院議員を初め、自民党の総裁選を前倒しにしよう、麻生おろしをしようという方々がいらっしゃるわけですが、麻生総理が御自身の手で解散をするという御決断をここでもう一回言っていただきたい。

麻生内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりです。

長妻委員 そうすると、総裁選の前倒しをして、またころころかえるということはしないということですね。

麻生内閣総理大臣 これは御存じかと思いますが、総裁と内閣総理大臣、私は内閣総理大臣という立場で解散権を持っておるという点はきちんと分けてお考えになっておかぬと、混線されると国民も迷惑されますので、きちんとされておいた方がいい、まずそう思っております。

 党内事情についていろいろ御心配いただきましてありがとうございました。

長妻委員 いや、党内事情じゃないんですよ、麻生総理。茶化さないでください。総理大臣を決める選挙で、麻生太郎総理か鳩山由紀夫総理かという選挙のときに、直前に違う総理になると、それは全然話が違って、マニフェストも含めて違うことになるわけで、それでお伺いしているわけですよ。麻生総理で、もう総裁選はされない、前倒しはないということですね。

麻生内閣総理大臣 それによって民主党の党内が大変なことになるというのは、我々のかかわり合うところではありません。(発言する者あり)

川端委員長 静粛に願います。

長妻委員 そして、非常に重要なのが、自民党の皆さん、お忘れになっておられるかどうか、四年前の総選挙のマニフェストというのが、我々もマニフェストを掲げましたが、自民党が政権の座を維持されたということで、この四年前のマニフェストを、やはり本当に四年後きちっとそれが実現されているのか検証するというのは、これはヨーロッパ、イギリスでも行われているところでございますので、若干これを検証させていただきたいのでございます。

 これが一番メーンにあったページの、自民党の四年前の選挙のマニフェストでございますけれども、非常に不可解なのは、郵政民営化が真ん中に来ておりまして、左上に、郵政民営化をすると年金、医療など社会保障の充実が可能になる、これはどうしてなのか理屈がわかりませんが、そして、郵政民営化をすると、右下に、戦略的外交の推進ができると。

 こういうことになっているんですが、今回はちょっと社会保障について質問しますが、郵政民営化で、なぜ年金、医療など社会保障が充実するのか。どういうメカニズムになるんですか。

麻生内閣総理大臣 正直申し上げて、事前に質問をいただいていなかったので、ちょっとお答えは、ちょっと正確な記憶ではありませんので……(発言する者あり)

川端委員長 静粛に願います。

麻生内閣総理大臣 やじは静かにしようという御提案に従って、ぜひ控え目にお願いしておきたいと存じます。

 「郵政民営化なくして、小さな政府なし。」ということは、郵政民営化というのは、百三十年ぐらい続いた大きな巨大な官の組織だったのを民営化するということによって小さな政府ということを目指す、それによって、いろいろな条件というものが出てきて効率がよくなるということを長期的に考えればということでこの案が出されたんだ、たしかそういう記憶だったと思います。

長妻委員 そうすると、年金、医療というのは、この四年間で、自民党のマニフェストどおりよくなったとお考えですか。

麻生内閣総理大臣 私は、こういった年金とか医療とかいうものを考えましたときに、御党でも、今の年金は四十年間は今の現状を維持するかのごとき話が書いてありまして、私は、そう簡単にすべてが直ちによくなるという感じを持っているわけではありません。

 しかし、今言われておりますように、こういう少子高齢化という状況の中におって、我々は、今後ともこういったものに関しましては不断の努力を続けていかざるを得ないのであって、社会保障の関係については明らかにほころびが出てきているということは事実でありますから、そういったものに関しましては、我々は、それを直すべく、ほころびを修復すべく、いろいろ努力をさせていただいております。

長妻委員 今、年金ですけれども、いろいろな問題が日本の年金はあるんですが、例えば国民年金の問題でありますが、国民年金だけの受給者は一カ月平均四万八千円ということでございまして、これは生活保護を受けておられる方の半分以下の水準にもなりますし、平成十九年七月時点で、生活保護を受けている四人に一人が年金受給者だと。生活保護を受けている単身世帯に限ると、三人に一人が年金受給者。

 つまり、年金だけでは生活できないで生活保護を受けざるを得ない。生活保護は全額が税金ですから、国家財政もそっちの方が大変なんですね。そういう意味で、一元化、最低保障年金という抜本的改革に踏み切らないとだめだということを申し上げているんですが、政府は微修正だと。

 そしてもう一つ、麻生論文というのがございまして、これは中央公論という雑誌に載った論文でございますけれども、二〇〇八年の三月で、麻生総理が就任する前でございますが、こういうことを言われておられます。「私は宙に浮いた年金問題で民主党が作った国家プロジェクトという考え方に賛同するものである。」ということで賛同いただいているんですが、実際に総理になった後、全然国家プロジェクトという発想がない。

 例えば、今、記録が戻って現金が、差額分が振り込まれるまで平均十・五カ月かかっているということで、麻生総理は、昨年の十二月五日、衆議院の予算委員会で「まあ三カ月、それぐらいのところが常識的かな、」と言われているんですね。ところが、今も十カ月。全然、人、物、金、投入していない。夕方の余った時間、片手間仕事でやっているようなイメージで、いまだにこの問題が続いている。そして、紙台帳八・五億件、全部照合しろ、これはもう当たり前です。そうしたら、内部文書で、十年以上かけてやると。

 そして、今百人に一人が時効消滅している。申請漏れとされて、申請しても時効にかかって年金を受け取れない、一部受け取れないという方がおられるということで、こういうことに対して、何で国家プロジェクトでやらないんだろう。

 しかも、びっくりするのは、今回、補正予算、非常に大盤振る舞いしましたが、ほとんどこの消えた年金問題は入っていないんですよ。雇用が足りないというんだったら一気にやるべきだと思うんですが、国家プロジェクトでやるという御決意を、今からしても本当はしようがないんですけれども、きょうからやるという決意をいただけませんか。

麻生内閣総理大臣 この問題は、長い期間かかっていろいろな問題が出てきておるのはもう御存じのとおりですが、昨年の十月までに一億九百万の方々にねんきん特別便をお送りするなど、国を挙げて取り組んできたところだと思っておりますが、なお完全な解決までには時間がかかるということは確かだと思っております。

 作業スタッフは今一万人を、ちょっと舛添さんがおられたらお答えが正確なんだと思いますが、一万人を大幅に超える規模の作業スタッフを導入しているところだと聞いております。

 年内には、三月までにいただいたねんきん特別便の回答を確認すると言っておりますので、来年一月の日本年金機構の設立までには一区切りがつけられるよう、これは補正予算などにおきましても予算を確保したところでありまして、この点につきましては引き続き力を尽くしていきたいと思っております。

 また、御指摘のありました八億件を超えます紙台帳とコンピューター記録の突き合わせにつきましては、今年度中に画像検索システムというのを整備した上で、来年度にはすべての被保険者、受給者について計画的に行うこととしております。このように……(長妻委員「いつまでですか、結論は」と呼ぶ)

 なお、御指摘の、今年度中に画像検索システム、これはいつまでかということは、正確に、八億人でありますので、それをきちんと今何月何日までということを言える段階にはないというように理解をしております。

 いずれにいたしましても、これは国民一人一人に密接にかかわります年金問題のことですので、国家プロジェクトとして取り組んでいるつもりであります。

長妻委員 これは間違いなく、自民党政権であれば紙台帳の照合は十年以上かかります。やる気がありません。これはもう断言させていただきます。

 そして、先ほどちょっと最後に申し上げたのが、百人に一人が年金が時効消滅しているというのは、これは平成十九年度の数字が出ましたけれども、申請を忘れたという、社会保険庁はそういうふうに言っているんですが、忘れたということで五年の時効が経過してしまって、申請をしたけれども、それが遅かったので五年より前の受給額はもらえない、時効消滅というのが、平成十九年度、二万千八百二十八人もが時効消滅されている、年金額。これは申請した人の百人に一人なんです。

 私はいろいろな事例を調べましたら、単純に忘れたという単純な問題だけではありませんで、説明がおかしかったり問題があったりしまして、結局、平成十九年度、三百六十五億円がもらうべき人に行かないで消滅して、政府の金庫の中に残った、こういうことでございますが、これはぜひサンプルで実態調査していただけませんか、サンプル調査を。

麻生内閣総理大臣 これは、長妻先生、保険料を一定期間納付すると受給権が発生するわけですけれども、それに当たって、加入権、加入の記録などというものの情報を確認したりするのは当然なんだと思いますが、何歳から受給したいとかいろいろ書く紙がいっぱい、受給する紙があるんだと思いますが、それに、加入者自身に裁定の請求をしていただく必要がある。御存じのとおりです。

 こうした受給権というのは、いつまでもずっと未確定にしておくことはできないというのは当然のことなんでして、一定期間、五年ということで、経過をした場合は権利が消滅、いわゆる時効制度というものは、国の他の債権債務と同様で、どうしてもこれはある程度必要なものなんだ、私どもはそう思っております。

 なお、申請忘れなどによって受給権を失うというような事態というものは、これは悲しい話ですから、そういったことが起きないように、受給年齢に達する前に、年金加入記録の事前通知とか裁定請求書の事前送付といった対応を講じてきていると理解をいたしております。こうした対応によって、受給ができなくなるというようなことを少しでも避けたいと思っているのが、正直な今の私どもの考え方の基本です。

長妻委員 いや、麻生総理、ぜひ実態を把握していただきたいのは、申請忘れだけじゃなくて、間違えた説明を受けたとか、複雑な制度で、それを意図せずに本当に失念していたと。例えば、六十歳で厚生年金を受給される方は、言われたように、申請書類を出します、六十歳で。ところが、厚生年金の一階部分の基礎部分は六十五歳でもらう。そうすると六十五歳でももう一回出さなきゃいけない。年金は一回申請を出せば自動的に全部もらえると普通は思う方が多いんじゃないでしょうか。

 こういう、あるいはいろいろな例外的な、年金の申請をしないとプラス部分が出ないとか、そういうものがあり過ぎて、非常におかしな状況になっているので、一回調査をしていただいて、あるいは社保庁の職員の説明も間違った説明をして、申請がもうできないと勘違いされる、こういう方もいらっしゃいますので、ぜひ調査をしていただきたい。それだけお願いします。

麻生内閣総理大臣 この種の話はえらく複雑な手続が多いのはもう御存じのとおりなので、この点は、今後とも簡素化されてもっと簡略化されるべきものというのはいっぱいある、私どももそう思います。

 ただ、もう法律が決まっていますので、その上で、今御指摘の点につきましては、どのような対応ができるかにつきましては舛添大臣に検討させてみたいと存じます。

長妻委員 それと、先ほども質問が出ました与謝野大臣の案件でございますけれども、本日報道された政経政策研究会というのに被推薦書というのを出されたと思いますが、これは大臣が了解して出されたんですか。

与謝野国務大臣 これを出しましたのは、昭和五十六年八月二十九日付で被推薦書を出しておりますが、当然私が了解して出したわけです。

長妻委員 そうすると、何年間、与謝野大臣の推薦団体として続いていたわけでございますか。

与謝野国務大臣 私が平成十二年の選挙で落選するまでの間でございます。

長妻委員 これは、そうすると、与謝野大臣が通産大臣、一九九八年から九九年だと思いますが、そのときもそうだったと。

 結局、マスコミ報道によりますと、与謝野大臣が被推薦書を出したことで、それが要件ですので、この団体は税の優遇が受けられる、寄附した方に。そして、マスコミ報道だと、献金した社員らが税金の優遇を受けていた、税金が戻ってきたと。これは推薦状がないと受けられないということなんですが、この団体というのはどのような団体か、会社の社員が入っていたかというのは全く御存じなかったということで。

与謝野国務大臣 お時間を五分ほどいただいて詳しく説明しますが、この団体の責任者をやっておりました加藤氏とは昭和五十年前後に知り合いになったんですが、まだ親しくはなかった。ところが、私は昭和五十一年に初当選したんですが、昭和五十四年に落選をしまして、落選をしているときに、亡くなりましたけれども私の親友と加藤氏が訪ねてこられて、一回ぐらいの落選でくじけることなく、選挙をやったらどうかと激励をいただきまして、五十五年の選挙で私はカムバックをいたしましたけれども、その間、このお二人には本当に一生懸命応援をしていただきました。

 それ以来の、今から考えますと三十年以上も前の話でございますが、本当に私のことを応援してくださった方でございまして、非常に善意の応援者として、私はその後も大切におつき合いをさせていただきました。

長妻委員 余りお答えになっておられないんですけれども。

 そしてもう一つ、これもマスコミ報道によりますと、平成十八年四月二十五日、衆議院の財務金融委員会、この当時、与謝野さんは金融担当大臣であられた。このときの審議はいわゆる金融商品取引法の審議で、野党の質問者が、何で商品取引というスキームの中に、規制の中に商品先物取引を入れないんだ、何で規制をかけなかったのかという質問をしたときに、与謝野大臣の答弁が非常に消極的な答弁だったと。それをもって報道では関連性が報じられております。

 これは、その以前に、報道されている商品先物取引会社などから、いろいろな依頼というか話というか陳情などは全くなかったのでございますか。

与謝野国務大臣 実は、加藤氏の政経政策研究会は、平成十七年十月二十九日をもって献金を終了しております。これは、しばらく前より加藤氏が病気療養中と伺っておりましたし、また、東京にも出てこられなくなり、私の政治団体の責任者から、この献金を続けることは心苦しい状態であるとの報告がございまして、閣僚就任とともに自然に政治献金は終了いたしました。

 これとは無関係に、商品業界から法案についての陳情というものは一切ございませんでした。

長妻委員 これについては、また今後ともいろいろな局面になったときにお話を聞かなければならないというふうにも思います。

 次に、これも官製談合の話でございますが、昨日、公正取引委員会が国交省に官製談合防止法を適用したということでございまして、ここでもやはり天下り団体が非常に主要なプレーヤーとなっているわけであります。

 そして、気になりますのは、麻生総理が前回の党首討論でも、天下り団体への資金の流れについて消極的な発言、つまり、その資金の流れを、無駄を徹底的に見直すということについて消極的な発言をされたと私は考えております。

 この天下り団体、例えば、昨日の、問題となった公用車業務の請負で、北協連絡車管理株式会社なんです。これは新たな問題だと思うんですが、この株式会社は、昭和六十一年に官僚OBによって創業された。七人、今天下りがいる。平成二十年度、売り上げは二十四億九千万円でありますが、そのうち、国交省からの受注が二十四億四千万円ということで、九八%が国交省からの受注の株式会社。これは、我々が言うところの創業型天下りということで、公益法人調査とか、実は我が党が調査をした天下りの調査にも、株式会社でありますのでこういう団体はひっかかってこないんですね。

 そういう創業型天下りというものが、私が調査しただけでも、今回の事件とは別にも、北陸建設サービス株式会社、株式会社国際開発システム、株式会社保健医療ビジネスなどなど、非常に政府の実態調査が届かない、官僚のOBが株式会社を設立して、そこで国からの受注を受けていく。しかも、公益法人の業務を不透明な形で営業譲渡を受けるような例も見られておりますので、この調査をすると同時に、麻生総理に御決断いただきたいのは、官民人材交流センターも含めて天下りのあっせんは一切やめる、これを御決断いただきたいんです。

麻生内閣総理大臣 わたり、並びに、よく言われますそういうような天下りの件につきましては、たびたび答弁を申し上げてきたとおりでありまして、今後ともきっちり対応させていただかねばならぬところだと思っております。

 ただ、一切、人材交流センターもだめだというお話ですけれども、私は、その点に関してはなかなか納得できるところではありません。基本的には、少なくとも定年前でやめていった人たちに再就職の話などをきちんとどこかのところでやる、権益、権威、予算、そういったものを使って押し込んでいるのではなくて、きちんとした第三者でやるものまでだめだというような話は私は現実的ではない。

 また、その人たちを、定年をずっと延長させて六十何歳まで置いておくということになりますと、これまた全然別の意味が、問題が起きてくる。

 私は基本的にそう思っておりますので、人材交流センターというのは、私どもとしては、考え方としては、解決策の一つの方法として正しい、少なくともこれは完璧と言うつもりはありませんけれども、一つの方法だ、私どもはそう思っております。

長妻委員 結局、国が天下りをあっせんしている国は、先進七カ国、日本以外ありませんので、麻生総理、それはぜひ見直していただきたい。

 最後に、今まではだれを政治家に選んでも世の中は変わらない。これは何でかというと、選ばれた政治家が官僚の手綱を握っていない、コントロールできずに行政が変わらないからでありまして、一つの提言として、人事評価基準、どういう官僚が出世するかの基準を百八十度変えるということが非常に重要だと我々は思っております。

 例えば、ここにも書いてございますが、必要性の低い天下り団体を廃止する、そういうお役人が出世できる。必要性の低い経済規制を廃止して、担当部署も削減する、そういう人が出世できる。必要性の低い業務、支出を削減する人が褒められる。アフターサービス、現行制度の不備を見つけ、是正させる、そういう人が出世できる。攻めの情報公開、国民の生命財産にかかわる事案については自発的に調査を実施し、結果を速やかに公表する。こういう人たちがどんどん出世できるような基準に変えていけば、公務員の皆さんは劇的に国民に奉仕する集団に、時間はかかると思いますけれども、変わる可能性があるというふうに思うわけであります。

 現在の人事評価基準は全くこれと逆で、役所を肥え太らす方に動くと出世する。これを改めるというのが一つ重要なポイントだと我々は思いますが、最後、麻生総理、これに対してお答えいただきたい。

麻生内閣総理大臣 ここに書いてあります中で、ちょっと時間がないので、例えば、「節約し予算を余らせる。」いいことです。基本的には、こういったようなところがきちんと対応……(発言する者あり)やじは要らない。節約して予算を余らせる等々の御提言があっておるんだと思いますが、行管というか、今の総務省の中で、今この人事評価については、いろいろな形で新しい角度から見直すべきではないかということで、これはたしか総務大臣のときぐらいからスタートしたと思いますけれども、大分前からこの話がスタートをさせていただいて、目下検討中というのが現状だと思います。

 いずれにしても、少なくとも今までと違う角度から見直すべきだという点は、私も、長妻先生、全くその点に関しては、御指摘として、どういった点を具体的にやっていくというのは、これは多分、人事評価シートとして出てきているんだと思いますけれども、いずれにしても、こういったようなものを一つの案として、私どもとしても今後検討させていかねばならぬと思っております。

長妻委員 以上です。質問を終わります。

 ありがとうございました。

川端委員長 以上をもちまして平成十九年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

川端委員長 平成十九年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 これより議決案を朗読いたします。

    平成十九年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案

  本院は、平成十九年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。

 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。

   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。

  1 世界的な金融・経済危機から脱却するために、景気回復を最優先としつつ、年金・医療・介護・子育てをはじめ、社会保障制度の抜本改革を早急に実行する一方、不要不急の経費の見直しや無駄の削減による歳出改革を継続し、中長期的には財政の健全化に努めるものとする。

  2 地域経済を立て直すためにその実情に応じた地域の再生を推進すべきである。

    また、国直轄事業の費用負担の在り方については、積算等の透明性を確保すべきであり、改善に向けた見直しを早急に行うべきである。補助金等の使用状況について、地方自治体において不適正経理が行われていた事案が多数報告されたことを踏まえ、地方自治体に改善を求めるべきである。補助金等に係る国の画一的な基準設定が地域の実情に応じた柔軟な対応を妨げている側面もあることも踏まえ、補助金等の基準の弾力化等の見直しを早急に行うべきである。同時に、直轄事業や補助事業の在り方そのものについて、国と地方の役割分担を明確化し、国から地方に事務事業、権限及び財源を移譲する等、抜本的な地方分権改革を行う中で、見直すべきである。

    さらに、道路特定財源の一般財源化の趣旨を踏まえ、道路に係る歳出の改革を図り、適正に使用すべきである。

  3 年金記録問題への対応に当たっては、発生原因の徹底究明と再発防止に全力で取り組むとともに、標準報酬等の遡及訂正事案への対応等を可及的速やかに進め、正しい年金記録に基づく年金の支払いに万全を期すべきである。

  4 医師不足等の地域医療の課題に対応するため、医師、看護師、医療事務者等地域医療の人的基盤を構築するとともに、地域の医療体制が損なわれることのないよう公的病院等に対する手厚い支援に努めるべきである。

    現在の介護現場においては労働条件の悪化により人材不足が深刻化するなど危機的な状況にある。高齢者等が安心して暮らすことのできる社会を実現するため、介護労働者の賃金向上を含めた処遇改善策を積極的に推進すること等により、介護を担う優れた人材を確保するとともに大規模な雇用創出を図るべきである。

    また、保育の充実、幼児教育の推進、乳幼児医療の充実など子育て支援・少子化対策を強力に実施すべきである。

  5 高齢化が進む原子爆弾被爆者の早期救済を図るため、原爆症認定集団訴訟の解決に向けて適切に対応するとともに、原爆症認定を迅速化し、認定対象疾病の拡大の検討を可及的速やかに進めるべきである。

  6 世界に先駆けた低炭素・循環型社会を構築するため、太陽光発電及び次世代自動車の普及を促進するとともに、マルチモーダルシフトを強力に推進し、これらの環境対策を通じた景気回復・雇用創出を積極的に後押しすべきである。

    また、情報通信技術を活用したテレワークは、ワーク・ライフ・バランスの実現、人口減少・少子高齢化時代における労働力確保、低炭素社会の実現の観点から有効なものであり、より一層の推進を図るべきである。

  7 宇宙政策の推進に当たっては、政治主導を貫き、政府全体が一丸となって、総合的な施策を強力かつ計画的に推進できるよう、予算配分及び組織・人的体制を充実させるべきである。その際、省益を排し、国家戦略としての宇宙政策を推進するにふさわしい人材を積極的に登用すべきであり、その趣旨を体した能力・実績主義に基づく人事政策により徹底すべきである。また、科学技術の大型プロジェクトについては、経費の効率性及び成果の活用を検証し、国民に対する説明責任を果たしていくべきである。

  8 在日米軍関係施設の設置・移転等に関する日米間の協議及びその実行並びに各種の経費負担関係については、米国に対して国民・地域住民の視点を踏まえた主張を行うなどとともに、国民に対する説明や情報公開を十分に行い、地域住民の理解を得られるよう努めるべきである。

  9 消費者行政については、消費者被害の予防や被害の救済の視点から、関係行政機関は民間事業者に対する指導・監督を適切に行うとともに、これらの関係行政機関に対する監視が適切に行われるべきである。

 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。

   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。

 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。

  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。

以上が、議決案の内容であります。

    ―――――――――――――

川端委員長 これより平成十九年度決算外二件を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決を行います。

 まず、平成十九年度一般会計歳入歳出決算、平成十九年度特別会計歳入歳出決算、平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十九年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

川端委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。

 次に、平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

川端委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

川端委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。与謝野財務大臣。

与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました金融経済危機からの脱却につきましては、政府は、当面、景気対策を最優先で進めるため、経済危機対策等を着実に実施してまいります。

 財政健全化につきましては、短期は大胆、中期は責任との方針のもと、経済成長や社会保障制度を持続可能なものとするため、不要不急の支出の見直しや無駄の排除などの歳出改革を継続しつつ、成長力の強化や歳入改革の取り組みを着実に進めてまいる所存であります。

 また、補助金等のあり方につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも不断に見直しを進めてまいる所存であります。

川端委員長 次に、佐藤総務大臣。

佐藤国務大臣 ただいま御決議のありました国直轄事業の費用負担のあり方及び地方自治体における補助金等の使用状況につきましては、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存であります。

 また、地域の再生の推進につきましては、その御趣旨を踏まえ、地方の元気の回復を実現すべく、今後ともより一層努力をしてまいる所存であります。

 地方分権改革の推進につきましては、国政の最重要課題の一つであると考えており、御決議の趣旨を踏まえ、その推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存です。

川端委員長 次に、金子国土交通大臣。

金子国務大臣 ただいま御決議のありました国直轄事業の費用負担に係る積算等の透明性の確保につきましては、都道府県等に提示する負担金予定額通知の内訳内容等を従来よりも詳細化してこれを説明し、御疑問に誠意を持って対応してまいります。

 また、道路に係る歳出の改革及び適正な使用につきましては、地域にとって必要な道路整備を着実に推進できるよう、引き続き、徹底したコスト縮減や無駄の排除に努め、道路整備事業の効率的かつ効果的な執行を進めてまいる所存であります。

川端委員長 次に、舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 ただいまの御決議により指摘されている点につきまして御説明申し上げます。

 社会保障制度につきましては、中期プログラムに基づき、将来世代に負担を先送りしないよう安定財源を確保するとともに、機能強化と効率化を図り、持続可能で国民が安心できる制度を構築してまいります。

 年金記録問題につきましては、すべての受給者及び加入者約一億九百万人に対するねんきん特別便の送付や、標準報酬等の遡及訂正事案に係る戸別訪問調査の実施等、着実に取り組みを進めてきているところであります。

 今後は、正しい年金記録に基づく年金の支払いをより迅速に行うことができるよう、年金記録問題への従事者数を全体で一万人を超える規模とすることや、作業の効率化等により、集中的、計画的に取り組みを進めてまいります。

 なお、このような問題が二度と生じることのないよう、年金記録問題検証委員会の報告書の指摘を厳粛に受けとめ、業務改革を進めるとともに、平成二十二年一月の日本年金機構の設立に向け、全力で取り組んでまいります。

 医療問題につきましては、地域に必要な医師等を確保することは喫緊の課題であり、大学医学部の定員増を行ったほか、医師等の勤務環境を改善するため、産科、救急、僻地の医師への手当への支援、医師事務作業補助者の設置の促進、病院内保育所の設置の促進等を進めております。

 僻地や救急部門などを中心に、地域医療の担い手として重要な役割を果たしている公的病院については、必要な医療が確保されるよう、取り組みを支援しているところであります。

 また、平成二十一年度補正予算に計上した地域医療再生基金事業により、今後、地域医療の課題の解決に向けた取り組みを進めてまいります。

 介護を担う人材の確保及び雇用の創出につきましては、平成二十一年四月の介護報酬の引き上げに加え、介護職員の賃金の引き上げ等に取り組む事業者への助成など、各般の処遇改善、人材確保策を推進するとともに、介護基盤の緊急整備等により、介護分野における雇用の創出を図ってまいります。

 さらに、少子化対策につきましては、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現と、子育て支援サービス、給付の拡充を車の両輪として進め、例えば安心こども基金等を活用した保育サービスの集中整備、地域の子育て支援の拡充に取り組むほか、育児・介護休業法の改正を行ったところであり、これとともに、今後、次世代育成支援のための新たな制度体系の創設に向けた検討を進めてまいります。

 原爆症対策につきましては、一連の高裁判決を踏まえ、原爆症認定集団訴訟の解決に向けて適切に対応するとともに、原爆症認定について迅速な審査を行います。

 また、甲状腺機能低下症と慢性肝炎、肝硬変の取り扱いについて、六月二十二日に開催されました原子爆弾被爆者医療分科会において、当該疾病を積極認定の対象疾病に位置づけるよう、審査の方針が改定されたところであります。

 以上でございます。

川端委員長 次に、塩谷文部科学大臣。

塩谷国務大臣 ただいま御決議のありました幼児教育の推進につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、幼児の望ましい発達をもたらすという教育的な効果に加え、子育て支援、少子化対策としての効果についても十分に発揮されるよう、幼児教育の一層の推進を図ってまいります。

川端委員長 次に、小渕国務大臣。

小渕国務大臣 ただいま御決議のありました少子化対策につきましては、我が国の合計特殊出生率が一・三七と、三年連続で上昇しているものの、第二次ベビーブーム世代が三十代であるのもあとわずかであり、引き続き待ったなしで取り組まなければならない課題と考えています。

 国民の結婚、出産、子育てに関する希望が実現できる社会となるよう、今後、安定財源を確保しつつ、少子化の流れを反転させるような抜本的な拡充に取り組んでまいります。

川端委員長 次に、斉藤環境大臣。

斉藤国務大臣 世界に先駆けた低炭素・循環型社会を構築するため思い切った環境政策を積極的に行うことは、経済を牽引し、雇用を確保するとともに、将来に向けても日本社会の持続的発展に結びつくとの考えから、先般、「緑の経済と社会の変革」を取りまとめたところでございます。

 その内容については、御指摘の太陽光発電や次世代自動車の普及促進等とともに、省エネ家電の普及のためのエコポイントの活用によるグリーン家電の普及促進事業や、地域の温室効果ガス排出抑制等のための自主的な取り組みを支援する地域グリーンニューディール基金などの事業を盛り込んだところです。

 決議の御報告を踏まえ、今後、我が国が世界最高水準の技術を持つ環境分野への戦略的な投資を景気回復や雇用創出につなげていくべく、環境先進国としてふさわしい取り組みを関係省庁とも連携しつつ強力に進め、緑の経済と社会の変革を実現してまいります。

川端委員長 次に、二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいま御決議がありました環境問題への取り組みにつきましては、経済情勢が厳しい今こそ、我が国が強みを有する環境・エネルギー分野等への大胆な投資を行い、新たな市場と雇用を創出する視点が重要であります。

 先日取りまとめました未来開拓戦略の中でも、太陽光発電の導入加速、グリーン家電の普及促進、環境対応車の普及促進等を盛り込んでおり、引き続き、これらの環境対策を通じた景気回復、雇用創出を着実に実施してまいります。

川端委員長 次に、野田国務大臣。

野田国務大臣 ただいまの御決議により指摘されている点につきまして御説明いたします。

 まず、テレワークにつきましては、IT新改革戦略において、二〇一〇年までにテレワークに従事する者の人口を就業者人口の二割とすることを目標としており、これに沿って政府一丸となって推進してまいる所存であります。

 次に、宇宙政策の推進につきましては、宇宙基本法に基づく宇宙基本計画に沿って、宇宙開発戦略本部を中心に政府一体となって宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。

 また、科学技術の大型プロジェクトにつきましては、実施主体である府省等が得られた成果等の検証、評価を実施し、結果を公表することとしております。これからも国民への説明責任が果たされるよう、研究開発評価の適切な実施を推進してまいります。

 消費者行政につきましては、消費者庁が消費者の立場に立った消費者行政を一元的に推進できるようにするとともに、消費者委員会が消費者行政全般についての監視機能を十分に果たすことができるよう、設立準備に全力で取り組んでまいります。

 以上、御決議の趣旨を踏まえて、関係各大臣との連携のもと、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。

川端委員長 次に、中曽根外務大臣。

中曽根国務大臣 ただいまの決議で言及のありました在日米軍に関する件につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも、地元の方々に十分に理解していただくよう引き続き丁寧に説明していくとともに、地元の声によく耳を傾けつつ、米側との協議を進めてまいる所存でございます。

川端委員長 次に、浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 ただいま御決議のありました在日米軍施設の設置、移転等につきましては、これまでも、地元の皆様の声を十分踏まえ、米軍、米側との協議を行うとともに、地元の皆様の御理解が得られるよう説明に努めてきたところでございます。

 特に在日米軍の再編につきましては、抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減させるため、実現する必要があると考えており、御指摘の点もしっかりと受けとめ、今後とも努力してまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

川端委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 本日をもちまして平成十九年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会


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