衆議院

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第5号 平成23年7月14日(木曜日)

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平成二十三年七月十四日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 新藤 義孝君

   理事 太田 和美君 理事 小林 興起君

   理事 辻   惠君 理事 中塚 一宏君

   理事 柚木 道義君 理事 木村 太郎君

   理事 平  将明君 理事 東  順治君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      小原  舞君    岡田 康裕君

      神山 洋介君    小山 展弘君

      斉木 武志君    坂口 岳洋君

      柴橋 正直君    城島 光力君

      白石 洋一君    田中美絵子君

      玉木 朝子君    中川  治君

      中屋 大介君    長島 一由君

      仁木 博文君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    藤田 大助君

      藤田 憲彦君    三輪 信昭君

      森岡洋一郎君    森本 和義君

      吉川 政重君    吉田 統彦君

      逢沢 一郎君    伊吹 文明君

      坂本 哲志君    下村 博文君

      中村喜四郎君    村上誠一郎君

      石井 啓一君    小泉 龍司君

      鳩山 邦夫君

    …………………………………

   法務大臣

   環境大臣         江田 五月君

   財務大臣         野田 佳彦君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)           平野 達男君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       堀部  貢君

   会計検査院事務総局第三局長            小林 誠治君

   会計検査院事務総局第四局長            太田 雅都君

   会計検査院事務総局第五局長            斉藤 邦俊君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  川上 景一君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           小河 俊夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 法昌君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田中 一穂君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  加藤 利男君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月六日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     木村 太郎君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     岡田 康裕君

  高橋 英行君     坂口 岳洋君

  玉木 朝子君     吉川 政重君

  藤田 一枝君     中屋 大介君

  吉田 統彦君     磯谷香代子君

  坂本 哲志君     下村 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     吉田 統彦君

  岡田 康裕君     稲富 修二君

  坂口 岳洋君     仁木 博文君

  中屋 大介君     藤田 一枝君

  吉川 政重君     玉木 朝子君

  下村 博文君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     白石 洋一君

同日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     高橋 英行君

同日

 理事河野太郎君同月六日委員辞任につき、その補欠として木村太郎君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

新藤委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新藤委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、木村太郎君を理事に指名いたします。

     ――――◇―――――

新藤委員長 平成二十年度決算外二件を一括して議題といたします。

 各件審査のための分科会審査につきましては、第百七十四回国会において終了いたしております。

 この際、各分科会における審査について御報告申し上げます。

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府本府、警察庁、金融庁、外務省及び環境省所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、警察官の負担人口等の都道府県格差、国家公務員の天下り状況の調査等であります。

 第二分科会は、総務省、財務省、文部科学省及び防衛省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、義務教育費国庫負担率引き上げの必要性、財政再建に向けた政府の取り組み等であります。

 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、口蹄疫の拡大防止策と畜産農家への支援策、高齢者医療制度の改革方針等であります。

 第四分科会は、法務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、高齢者の居住安定確保、海洋立国を目指す現政権の意気込み、新たな検察審査会制度等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

    ―――――――――――――

新藤委員長 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官川上景一君、内閣府北方対策本部審議官小河俊夫君、警察庁長官官房審議官田中法昌君、金融庁総務企画局長森本学君、国税庁次長田中一穂君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君、国土交通省都市局長加藤利男君、海上保安庁長官鈴木久泰君及び環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

新藤委員長 これより、各件に関し、行財政の適正・効率化について重点事項審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 きょうは、質疑の時間をとっていただきましてありがとうございます。

 まず冒頭、枝野官房長官に質問いたします。

 ちょっと事前通告ではないんですが、私も先ほど知りましたので長官に確認をいたしますが、八月の十五日の終戦記念日に、韓国の国会の中に独島委員会、日本でいうと竹島委員会ですね、こういう委員会があるそうですが、その委員長が八月十五日に竹島で委員会を開くという記者発表を韓国でしたそうですが、御存じですか。

枝野国務大臣 詳細は承知しておりません。

下村委員 これはとんでもないことでありまして、我が国に対する挑戦とも言えることでありまして、これはぜひ事実確認をして、事実であれば日本政府として厳重に抗議とそして中止要請をぜひしていただきたいと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 事実関係を詳細に調査いたしまして、それを把握した上で適切に対応したいと考えております。

下村委員 三月の十一日に東日本大震災が起きました。国家の基本要件として、領土、そして国民、主権がありますが、その三つとも、我が国は今までおろそかにしてきたのではないかということを、この東日本大震災を受けて、改めて我々は謙虚に反省しなければならないことであるというふうに思います。

 きょうは、そういう中で、領土問題、特に尖閣諸島の問題を中心に質疑をお願いしたいというふうに思っております。

 今までも何度か取り上げたことがございました。昨年の九月二十四日の中国漁船船長の問題、偶発的なことではないと思っておりまして、中国の戦略の中の一環であるというふうに私は考えております。

 その中で、ことしの六月の十七日、これは沖縄返還四十年の記念日でございますが、このときに、中国漁船千隻が尖閣諸島を取り囲んで、そして、そのうちの一部が上陸するという計画があった。しかし、三月十一日の東日本大震災を受けて、この華人連盟の代表の言葉をかりれば、水に落ちた犬に石を投げるようなことを華人がしたら世界から批判されるということで、六月の十七日は延期をしたというふうに聞いております。

 しかし、我々はいろいろなこともあるかもしれないということを予測しながら、そして地元の、尖閣諸島は石垣市の施政下でございます、この石垣市のある石垣島で、尖閣諸島を守る集会、これは石垣市始まって以来の、一般の方々を含めた大勢の方々が来て盛大な集会が開かれました。

 この六月の十七日の前後、中国漁船等がどんな動きがあったかどうかについて、まず海上保安庁に確認をいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、六月十七日は沖縄の返還の日でありますので、これに対して中国や台湾の活動家の抗議活動等が予想されたことから、海上保安庁におきましても、外務省等の関係省庁と連携して、事前にできる限り正確な抗議船等の情報を収集するとともに、その時々の状況や情報に応じて巡視船等の勢力を配備し、そういう抗議船の領海内への侵入阻止、あるいは領海内に侵入した場合は速やかな排除ということを適切に実施することにしておりました。情報もいろいろ入っておりましたけれども、幸いにも、六月十七日のところで外国船舶が大挙して押し寄せるという状況には至りませんでした。

 ただ、その後で、六月二十九日に、台湾活動家の乗船する台湾漁船が午前六時四十三分に尖閣諸島周辺の接続水域に入域した事実がございました。接続水域というのは、十二海里から二十四海里までの、領海の外側の水域でございますが、これに対して直ちに巡視船により警告を実施いたしまして、十一時七分に接続水域を出域いたしました。帰っていったということでございます。

下村委員 六月二十九日に動きがあった。

 六月の十七、十八ぐらいには我々も石垣におりましたが、その石垣のときの我々の情報では、四十隻ぐらいの中国漁船が香港の港に待機している、それに対して海上保安庁の艦船十四隻が石垣島及び尖閣諸島周辺で警戒に当たっていた、また、海上自衛隊も十隻の戦艦とP3Cによる哨戒活動を強化していたというふうに聞いておりまして、未然の対応をしていくことが求められることであるというふうに思います。

 先ほど、昨年の九月の二十四日の中国漁船船長の事件は偶発的ではないというふうに思っている理由として、中国が、以前の中国の政策と昨年とで明らかに大きな方向転換をしているんですね。

 その中の一つとして、もともと、一九九二年に、中国は領海法によって、尖閣諸島を領土というふうに中国国内法によって一方的に法律で定めたわけでありますが、さらに昨年、海島保護法という法律を制定しました。これは、無名の島を命名し、国家主権を主張する、また、海域の管轄を強化し、海洋権益を維持、保護する、そして、堅牢な海上防衛の前線を築く、この目的が海島保護法で、その中に尖閣諸島が該当している。これを法律によって、昨年三月、中国が定めました。

 そして同時に、昨年の七月に、国防動員法というのもやはり中国は定めたわけですね。この中国の国防動員法は、政府が動員を決定すれば、対象者は国内だけでなく、海外に在住する中国人も対象になる。ですから、日本国内に在住している約六十五万人の中国人も、この動員、徴用の対象になる。あるいは、中国国内で活動する外国企業、日本企業ですね、それから居留権を持つ外国人、日本人に対しても対象になる。

 こういう法律を次から次へとつくって、そして、今中国は、ある意味では南沙諸島と同じレベルで、東シナ海に対して、あるいはその橋頭堡とも言える尖閣諸島に対して着々と準備を進めている、こういう状況なわけです。

 ですから、それ以前の日本政府の対応と、それから現在における日本政府の対応というのは、当然、延長線上では済まないわけでありまして、先ほどの国家の基本要件の一つとして、やはり日本政府が、領土については明確に守るということをしていく、それは、相手の対応が変わってきているわけですから、それに合わせて日本政府はどうしていくかということが今求められているわけであります。

 これは、菅政権がいつまで続くかどうかわかりませんけれども、しかし、これについてはしっかり対応してもらわないと、国家としての存在そのものが、これは国際社会から見てもなくなっているというふうに思われるようなことにならないようにしっかり対処していただきたいと思うんですね。

 そういうことを前提として、まず一つ。この六月の十日に、地元の中山石垣市長が政府に対して尖閣上陸の要望書を出しているというふうに思いますが、これについて政府はどのように対応しているのか、お聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、本年六月十日、石垣市長から、内閣府特命担当大臣、沖縄及び北方対策担当としての私あてに、上陸の要請書が参っております。

 その内容は、一つは、尖閣諸島での疎開船遭難事件の慰霊祭の実施、それからあわせて、固定資産税課税のための実地調査、それから自然環境、生態系の現状把握のためと、三つの理由で、それぞれ上陸の要請が来ているところでございまして、このうち、特に慰霊祭については、御遺族の方々の御要望を重く受けとめつつ、政府の賃借の目的を踏まえ、現在、政府内部で検討を行っているところでございます。

下村委員 枝野長官、御承知のことだと思いますが、戦争中に尖閣諸島で亡くなった方々に対して、昭和四十四年に、当時の石垣市長が尖閣諸島の一つである魚釣島に行って、そしてそこで、台湾疎開石垣町民遭難慰霊之碑、これを建立したわけですね。しかし、その後、現地の尖閣諸島での慰霊祭ができなくなってしまったということで、現在は、石垣島の石垣市内にある新川というところに尖閣列島戦時遭難死没者慰霊之碑を建立して毎年慰霊祭を実施しているんですね。

 これは我々も、六月の十八日に、石垣島でやむを得ず対処せざるを得なくなった慰霊之碑のところへお参りに行ってまいりました。遺族の方々は、一日も早く実際に亡くなった尖閣諸島で、魚釣島でやりたいと。これについては、実際は、もうことしは過ぎてしまった、七月の四日ですから。

 だから、いつまでも検討検討では間に合わないわけですけれども、いつまで検討するつもりですか。

枝野国務大臣 御遺族の皆さんの御心情というものは重く受けとめているところでございます。

 一方で、これはもう御承知のとおり、魚釣島の賃借の目的であります平穏かつ安定的な維持及び管理というこの必要性を踏まえながら、関係省庁においてそれぞれの立場から慎重に検討を行っていただき、それを総合調整しているところでございます。

 残念ながら、今の段階で、具体的にいつまでにというお答えを申し上げることはできる段階ではございませんが、今申し上げた検討の趣旨と遺族の皆さんの思いというものを大変重く受けとめるという状況の中で、努力をしてまいりたいと思っております。

下村委員 前回よりは多少は前向きになったかもしれない答弁のように聞こえるんですが、実態は変わっていないわけですよね。

 それで、前回も平穏かつ安定的な維持管理とおっしゃっていましたけれども、実際に尖閣諸島の慰霊碑があるわけですね。そこで慰霊祭を遺族の方々が行いたい、それで上陸したいということが、なぜその平穏かつ安定的な維持管理に抵触するんですか。長官の言われている、何をもって平穏かつ安定的な維持管理と言えるんですか。

枝野国務大臣 まさに平穏かつ安定的な維持及び管理に影響を及ぼすことがないかどうかということを慎重に検討しているところでございまして、平穏かつ安定的な維持及び管理に影響を及ぼすということが明確であれば、逆に答えははっきりしているわけでございますが、まさにそういったことがないかどうかを慎重に検討しているということでございます。

下村委員 長官、政治家として、そんな答弁は、それは国民が納得できるような答弁じゃないですよ。単なる逃げですよ。自分たちの親、亡くなった、その遺族の方々が慰霊祭に行きたいというだけの話ですからね。それを平穏かつ安定的な維持管理という言い方にすることによって、単に逃げているだけですよ。それは理由になりません、そもそも。だから理由にならない理由で答弁しているんですよ。

 この辺は、もう結論を出して、それはきちっと行ってもらうということについて、何ら問題ないんじゃないですか。遺族の方々が慰霊碑のところで慰霊するということに対して、この平穏かつ安定的な維持管理と全然相矛盾する内容、行為、行動では全くないと思いますよ。それは判断すればいいわけですよ、政治家が政治家として。どうですか。

枝野国務大臣 御指摘の趣旨は私も理解をいたしますし、御遺族の皆様の思いというものは重く受けとめているところでございます。

 一方で、今回のこの土地の賃借目的に照らしたときに、この目的に反する結果にならないような慎重な検討ということも必要であるということは、御理解をいただきたいと思います。

 ただ、御指摘の趣旨はしっかりと受けとめながら努力をしてまいりたいと思います。

下村委員 いや、全然目的に反しないことだと思いますね。何をもって目的に反するというふうに言われるわけですか。

枝野国務大臣 先ほども申しましたとおり、明らかに、だれがどう考えても平穏かつ安定的な維持管理に反するということがあれば、逆に、結論はすぐ、だめですという答えが出るわけでございます。でも、そういった状況ではないということでございます。

 一方で、平穏かつ安定的な維持管理に影響を及ぼすことがないかどうかということは、しっかりと慎重に、関係省庁を含めて検討をいたしませんと、結果的にこの目的に反することになってはいけないということで、慎重な検討をしているということでございます。

下村委員 ただ単に遺族の方々が慰霊碑にお参りに行きたいということについて、だれが見ても、これについては、平穏かつ安定的な維持管理に反することではないというのは、国民的な感覚としては常識だと思いますよ。それを、そのようなことを言うことによって結果的には認めないということ自体が、まさに不作為の作為といいますか、政治家としての判断を回避している、当事者能力がないとしか言いようがないですね。

 それから、市長は、ほかにも二つ、政府に対して要望していましたね。ほかの二つについてはどうですか。

枝野国務大臣 一つには、固定資産税課税の調査については、これは何度も同じことを御答弁申し上げておりまして恐縮でございますが、地方税法四百八条の趣旨、それから、島の現況に変化がないこと、徴税費用最小の原則等を踏まえて総合的に判断した結果、平穏かつ安定的な維持及び管理という目的を踏まえ、上陸を認めないという結果になっております。

 環境問題の調査については、所有者の皆さんの意向も踏まえ、先ほどの趣旨に照らして、現時点では上陸を認めないという判断をいたしております。

下村委員 では、環境問題について確認しますと、現時点では認められない。では、いつになったら、どういう状況で認めるんですか。

枝野国務大臣 あらゆる状況の可能性をすべて網羅的に検討しているわけではございません。現時点において認めないという判断をしているということを申し上げたものでございます。

下村委員 全く当事者能力がない政府としか言いようがないですね。

 東日本大震災に対する復旧復興対策、これは野党の立場で最大限協力する、これは当然のことだと思っているんですね。

 自民党は、既に五月の二十四日までに、第三次提言を含め五百七十七項目、政府に対して提案、申し入れをしております。政府では、なかなかそれについて、今の答弁のように検討検討で、実際に、法律としても、あるいは予算としても、ほとんどがまだ手当てしていないという状況でありますが、我々は、このことについて足を引っ張るつもりは全くないわけであります。

 これは、国民の立場から協力するのは与野党を超えて当然のことだと思う。ただ、だからといって、連立を組むということになると、例えば領土問題も全然違うわけですね。全くやる気がない。全く日本の領土のことを考えていない。そういう政府と同じことをやるなんということは、これは全くできない話であって、ですから、復旧復興については協力できるところは協力するけれども、外交とか防衛については、まさに、左と右といいますか、水と油というか、国民のことを考えているか、国のことを考えているか考えていないか、これはもう明らかであるということを指摘を申し上げたいというふうに思います。

 もう一度、総務省の方にもちょっと確認をしたいと思うんですが、今までも何度か取り上げたことであります。先ほどの、枝野長官からも話がありましたが、地方税法四百八条に基づく上陸のことであります。

 これについて、上陸調査をしないでも課税できるというのが地方税法第四百八条における評価だというふうに言っているわけですが、一方で、「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」というのも、この地方税法四百八条の中に書いてあるわけです。

 そして、さらにこれについて、昭和五十七年の千葉地裁判決の中で、これは単なる訓示規定と解することはできない、市長が本来遵守しなければならない強行規定であるという判例の結果も出ているんですね。

 実際に、ここは四十七年間、過去一度も地元自治体が固定資産税の調査ができていないところなわけです。別に一年間だけという話じゃない、一度もできていないんだ。だから、一度することによって、地元の市長として上陸調査をして、固定資産税について改めて確認したいという要望については、これはもっともな話だと思うんですね。

 これについて拒否し続ける理由というのは全くない話だと思いますが、いかがですか、総務省。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 先ほど官房長官からも一部御答弁をさせていただいたわけでありますが、固定資産税の評価に当たってどのような調査をすべきかは、課税庁である石垣市が判断すべきものでありますけれども、尖閣諸島への上陸実地調査については、課税庁たる石垣市が尖閣諸島に上陸せずに調査をし、固定資産税を課したとしても違法ではないとの地方税法第四百八条の解釈及び尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借の目的を総合的に勘案した結果、政府としては、尖閣諸島への上陸を認めないとの結論を出したわけでありまして、その旨、石垣市の方に返事をさせていただきました。

 今お話がありましたように、実地調査は必ずしも全部の資産について細部の一々にわたってまで行われなくとも、その固定資産の状況を知り得る程度に行われれば足りるとの解釈もあるわけでございまして、これは四百八条の抜粋でございますけれども、そういうようなところを勘案して、このような方針を出させていただいておるところでございます。

下村委員 鈴木副大臣、先ほど申し上げましたように、三月の十一日の東日本大震災の後を受けて、我が国の国家のあり方、領土の問題、主権、国民、これはやはり国会が、あるいは国会議員が責任を持って対処する、それが今、国民に問われているというふうに思うんですね。

 その中で、今のような、十年前から繰り返しているような答弁で本当に済むのかということについて、胸に手を当てていただいてよく考えていただきたいと思うんですよ。

 それから同時に、先ほど冒頭申し上げましたように、昨年の九月の中国漁船の問題。これは、中国の海島保護法とか、それから国防動員法、この法律制定というのが連動している中での対応なわけですね。その中で、日本政府が今のような状況をずっと言い続けることが日本国民に対して許されるのかというのが、今、民主党政権に問われているんだと私は思いますよ。

 ですから、官僚のつくった答弁を同じように読み続けることが、本当に政治家鈴木副大臣としていいのかということをよく考えていただきたいと思うんですよ。

 それというのも、そのことによって、中国が一九七二年に中国の領土だということを国内法によって決めたわけですけれども、この尖閣諸島周辺には莫大な石油資源が埋蔵されている、開発拠点としての尖閣諸島の価値がさらに高まっているわけですね。この固定資産税に関しては、最高裁が平成十八年七月七日に、その土地に収益性があるかどうかではなくて、つまり、三十七年間全然状況は変わっていないということではなくて、その土地の取引価格が固定資産税における適正な時価である、つまり、周辺のそのような状況を踏まえて固定資産税価格というのは決まるんだというふうに最高裁でも判決が出ているわけです。

 ですから、尖閣諸島は、取引価格が高くなるのが当然であって、昔のような状態であるはずがないんですね。そのことも踏まえて、これは一般市民じゃないですよ、民間人じゃないんです、現地の市長が、施政下にある、その監督責任者である市長が、固定資産税の評価で上陸したいということについて、先ほどの答弁が通用すると本当に思いますか。どうですか。

鈴木(克)副大臣 再度のお尋ねでございますが、現在、政府としては、先ほど来申し上げたような方針で事を進めさせていただいておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど来のお話も、一人の政治家としてまた真摯に受けとめさせていただいて今後対処させていただきたい、個人的にはそう思っておりますが、先ほど来の答弁については現在の政府の考え方であるということを御理解いただきたいと思います。

下村委員 鈴木副大臣も政治家であれば、それは個人的な思いが違うということであれば、しっかりとこれはもうあなたのときからはっきり変えてほしいと思うんですよ。これはしっかり総理あるいは大臣と相談して、やはり決然たる……。

 尖閣諸島は我が国の領土なわけでしょう。我が国の領土であるにもかかわらず、そこに市長が上陸できない、行けない。それを政府がストップをかけているということ自体が政府として異常な状況じゃないですか。どう思いますか。

鈴木(克)副大臣 先ほど、私の思いも含めて御答弁をさせていただきました。

 繰り返しになりますけれども、現在の政府としての考え方は先ほど来御答弁をさせていただいておるとおりである、このように御理解をいただきたいと思います。

下村委員 全くふにゃふにゃに民主党閣僚はなってしまったとしか思えません。皆さんの感覚とは別に、今、地方議会というのは怒り心頭なわけです、何をやっているんだ、民主党政権はと。

 この中で、この尖閣の問題も、石垣市長がこの違法状態を解消するための尖閣諸島への実地調査を要望している、これについて当然だと。石垣市長の施政下にある尖閣諸島への上陸について、当然だ、応援する、同意すると、全国の二百八十五議会、二千八百八十七名の地方議員が支持する署名を行っているんですね。

 だから、これは石垣市だけの問題じゃなくて、地方議会そして地方議員がこれだけ全国津々浦々から、この石垣市長に対する賛同、そして日本政府に対する抗議といいますか要望、これをあらわしているんです。これに対して、政府としてどういうふうにとらえますか。

枝野国務大臣 地方議会の皆さんなどからもそうした声が上がっていることは大変重く受けとめているところでございます。

 ただ一方で、私どもは政府として、この尖閣諸島が我が国の固有の領土であるという国際的にも歴史的にも明確な厳然たる事実に基づいて、その領土をしっかりと保全し、その領土の保有というものについての平穏かつ安定的な維持管理というものを維持するべく最大限の努力をしてきているところでございます。

 現に、これは幾ら口で言ったりデモンストレーションをやったりしても、平穏かつ安定的な維持及び管理のもとにこの領土を確保するということはできませんので、政権交代以来、今、大畠大臣にも御苦労いただいておりますが、実際にこれを確保するための海上保安庁を質、量ともに増強するということに向けて、財政的な制約のある中ではありますけれども、最大限の努力をしているところでございます。

下村委員 いや、完全に答弁をすりかえているんですけれども。石垣市の市長が上陸をして固定資産税の調査をするということが、なぜ平穏かつ安定的な維持及び管理に反するんですか。それについて端的に答えてほしいと思うんです。

 全国のそれぞれの地方議会、二千八百八十七名は、自分の施政下なんだから当然のことだと言っているわけで、それを今まで政府は今のような答弁をしてきたわけですけれども、それは理由にならないでしょう。

 市長が自分の地元のところに行って調べるということがなぜ平穏かつ安定的な維持管理に反するんですか。きちっと答えてください。

枝野国務大臣 おわかりになってお尋ねになっているんだというふうに私は思っておりますが、だから、私は今申しましたとおり、実際に平穏かつ安定的な維持及び管理のもとで我が国の領土をしっかりと守るためには、実際にそれを実行するための力、つまり海上保安力を実質的にも質、量ともに高めることが不可欠であり、そのことのために、財政的な制約がある中ではございますが、最大限の努力をしているところでございます。

下村委員 全く口先だけで、全く準備を、努力をしているというふうには見えない、少なくとも、現象的にはまだ全く変化がないということを指摘したいと思います。

 それから、三番目のことですが、自然保護の問題ですね。これについては、検討するという話でありましたので、この問題について確認を申し上げたいと思うんです。

 まず、政府が昨年の三月十六日、生物多様性国家戦略二〇一〇を閣議決定しておりますけれども、この内容についてちょっと簡単に説明していただけますか。

江田国務大臣 生物多様性国家戦略二〇一〇というものを出しております。平成二十二年五月に公表したものでございますが、これは昨年三月に閣議決定された生物今の二〇一〇で、おおむね十年で達成すべき短期目標として、二〇二〇年までに、生物多様性の状況の分析、把握、保全活動の拡大、維持、回復を行う、こういう目標を掲げてございます。

 環境省で、自然環境保全基礎調査を初めとした調査の実施により、生物多様性の状況の把握に努めておりまして、一九五〇年代の後半から現在までを評価期間として、我が国の生物多様性の状況を評価した生物多様性総合評価報告書、これを今申し上げました平成二十二年五月に公表いたしました。これが御指摘の国家戦略というものでございます。

下村委員 ありがとうございます。

 その中に、「とりわけわが国に生息・生育する種に絶滅のおそれが新たに生じないようにすると同時に、現に絶滅の危機に瀕した種の個体数や生息・生育環境の維持・回復を図る。」という項目があるかと思いますが、御存じでしょうか。

江田国務大臣 委員御指摘のとおりのものがあることは存じております。

 若干敷衍いたしますと、現在、自然公園法とかあるいは自然再生推進法、種の保存法を初めとした法律等に基づいて、重要地域の保全や、あるいは自然再生による生態系の維持、回復、絶滅危惧種の個体数、生息、生育環境の維持、回復等の取り組みを実施しておるところでございます。

下村委員 我が国の絶滅危惧種のうちで、尖閣諸島関連でどのような種類の生物を指定しているか、そして、この絶滅危惧種に尖閣諸島でなった原因についてどのように把握しているか、お聞きしたいと思います。

渡邉政府参考人 尖閣諸島の野生生物のうち、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に選定されておりますのが二十四種ございます。そのうち、尖閣諸島に固有の種として、センカクモグラあるいはセンカクサワガニなど十種が挙げられているところでございます。

 減少の要因でございます。絶滅危惧種として選定された尖閣諸島の固有種について見てみますと、もともと、数あるいはその分布が限定されているということが要因として挙げられていますけれども、その生息、生育環境にヤギが影響を及ぼしているものもあるというふうに考えているところです。また、固有種以外の絶滅危惧種の中には、例えばアホウドリのように、過去の人間による捕獲の影響も考えられるというふうに指摘しているところでございます。

下村委員 かなりの絶滅危惧種がある、そしてその要因として野生化したヤギの増殖、これは民間の方が、民間の方といっても富山大学の横畑准教授ですけれども、島に上陸ができませんから、外部から見た調査であっても、少なくとも三百頭のヤギが生息していて、そして絶滅危惧種等がこのままであれば壊滅してしまうのではないか、こういう調査結果について発表しております。

 この中で、生態学会というところが、尖閣諸島は島の大部分が厚い樹冠に覆われた森林であり、その地表の状況は衛星写真でわからない、実際に地表の状況を上陸して直接知る必要があるというふうに言っておりますが、これについては環境省はどのように考えていますか。

渡邉政府参考人 そういった御指摘があることを承知しております。

 環境省といたしましては、尖閣諸島における自然環境につきまして、これまで航空写真の解析などによって、植生の分布や土壌の侵食の状況、こういったことについておおよその情報は得てきているということから、現時点ではこの情報を活用して自然環境の状況について判断をしてきたという現状でございます。

下村委員 だから、航空写真ではわからない、地表の状況については直接知る必要があるということを先ほどの富山大学の横畑准教授が発言をしているんですね。

 さらに、日本哺乳類学会というところは、野生ヤギの駆除の要望を出しています。政府はこれを御存じかどうか、このヤギを駆除しないで絶滅危惧種の保存というのは可能なのか、これについてどう判断されているか、環境省、環境大臣にお聞きします。

江田国務大臣 先ほど、生物多様性全体、我が国における生物多様性の維持あるいはその再生についての取り組みについてお話を申し上げましたが、特にそのうちで尖閣諸島でどうなっているかというところへ委員の御質問が今向かっているわけでございます。

 それについて、尖閣諸島に絶滅危惧種が二十四種ある、そのうちの十種は尖閣諸島に固有のものである、こういうことはわかっておりまして、同時に、今政府参考人から答弁させましたとおり、この絶滅危惧というものが野生化したヤギによって生じている部分も危惧されているところだ、これも私どもは認識をしているところでございます。

 ヤギの駆除ということももちろん一つの方法ではあると思いますが、しかし一方で、尖閣諸島の賃借目的である平穏かつ安定的な維持管理ということも重要な目的でございまして、その間の調整をどうとっていくかということで、航空写真等による調査によって今の状況というものを把握しており、ヤギの野生化というのは相当長期にわたって行われているものだと思いますが、今、それでもこういう状況にある、これをしっかり把握して、今後の生物多様性の維持、再生に努めていこうと考えているところでございます。

下村委員 江田環境大臣、端的にお答えをいただきたいんですけれども。

 私が申し上げたのは、野生ヤギが増殖している、これを駆除しなければ絶滅危惧種の保全というのは難しい、これが日本哺乳類学会の政府に対する要望だと。これに対して端的にどうお答えをされるのかどうかということをお聞きしているのですけれども。

江田国務大臣 先ほど申し上げましたとおりで、野生ヤギが相当長期にわたってここで生息したことによって野生化していて、そして、ヤギというのは、御承知のとおり、草をずっと食べていくわけですから、草が生えていた土地が草の生えない荒れ地になっていくという傾向がある、このことはよくわかっております。

 しかし、今の尖閣諸島の状況というものは航空写真などによって把握をしておりますので、そうすると、野生ヤギによって荒れ地化している場所はこういう場所だというようなことはわかっているわけでございまして、そういう全体的状況を認識した上で、さらに、尖閣諸島というものについて、平穏で安定的な維持管理というために必要な措置をとっていく、あるいはとらないでいくということがあるので、その間の調整で考えてみますと、今、全国的な観点から、ヤギの生息による影響というものの危険度といいますか、これが必ずしも緊急に迫った高さがあるということではないと思っておりまして、現時点で直ちにヤギの駆除を行うということは考えておりません。

下村委員 環境大臣としてはちょっと残念な言葉ですね。実際に絶滅危惧種、先ほど大臣みずからもお答えになったように、尖閣諸島にしかいない危惧種が十種類あるわけですね。これが、このままだとすべてなくなってしまうかもしれない。こういう状況の中で、環境大臣としてどうするかということをこれは最優先で考えていただきたいですね。

 同じように、沖縄県の条例、自然環境保全条例、この第八条の中で、「市町村は、国及び県の自然環境の保全に関する施策に協力するとともに、当該市町村の区域の自然的社会的諸条件に応じて、自然環境を適正に保全するための施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」これがあるんですね。これを受けて、石垣市では、このために尖閣諸島に上陸して実地調査を行いたいというふうに希望しているんです。

 これに対して環境大臣はどのようにお考えになりますか。

江田国務大臣 国は、もちろん、生物多様性の保持のために努力をする責務を負う。これは国民に対しても世界に対しても、あるいは未来に対しても負っていることは当然だと思っておりますし、同じような目的を市町村が掲げて活動していたことは大変貴重なことだと。その意味で、石垣市が今委員御指摘のような方針を掲げていることは大切なことだと思っております。

 そして、尖閣諸島においての絶滅危惧種等の状況については今申し上げたとおりで、確かに野生化したヤギの影響というものは私ども認識はしておりますが、しかし同時に、行政にはさまざまな責務というものがあって、尖閣諸島における平穏かつ安定的な我が国の領有の維持管理、これが賃貸借の目的であるということもございますので、政府全体としてこれは考えていかなきゃならぬということをそれぞれ勘案いたしますと、ここでヤギの駆除のために上陸をする、そういう必要は今のところないものと思っております。

下村委員 江田環境大臣、ちょっと正確に質問について答弁をお願いしたいんですが、私が今質問したのは、石垣市長は、これは政府の方針でもありますけれども、沖縄県においても自然環境保全条例というのをつくった、この自然環境保全条例がきちっとそれぞれの地域で施策として行われているかどうか、それを確認するために調査をしたいと。ヤギの駆除だけの話じゃないんですね。尖閣諸島における自然環境条件の保全状況について上陸して視察をしたいと。これが石垣市長の要望なんです。このことについて環境担当大臣としてどうお考えになりますかということをお聞きしているんです。総理としての答弁じゃないんですね、これは。環境大臣としてどうお考えですかということをお聞きしているんです。

江田国務大臣 環境大臣として、全体的に生物多様性を重視するということが必要であることは、今るる申し上げたとおりでございます。しかし、国の施策はそのことだけではなくて、多様な政策目標というものがございまして、尖閣諸島をどういうふうに扱っていくかということは、これは政府全体で考えていかなきゃならぬ課題で、環境大臣だけで考えることではない。

 その上で、枝野官房長官からもるる答弁がありましたが、国の機関を除き上陸等を認めないという、これがこの地域の所有者の意向であると。そして、賃借の目的というのは、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためということでございますから、その間を勘案し、今、石垣市が考えておりますことについて、政策目標について、私ども国としてはどうするかということは、先ほどから答弁しているとおりでございます。

下村委員 平穏かつ安定的な維持管理ということをお題目にして、もう全く思考停止している政府としか言いようがありません。このままでは、尖閣諸島に生息している生物、これがもう絶滅してしまう、こういう可能性が非常に高いと思います。これをそのまま放置する今の政府、看過できません。

 委員長、これはぜひ次の委員会で、自然関係、生物関係の専門家を呼んで、国会で確認すべきであるというふうに申し上げたいと思いますので、取り計らいをよろしくお願いいたします。

新藤委員長 これは後刻理事会で協議をいたします。

下村委員 先ほどの墓参の問題ですけれども、政府は、北方領土の墓参に当たっては、遺族に必要な援助を行っているんですね。北方領土に対して、墓参、遺族に必要な援助を行っている、尖閣に対しては援助を行わないと。これはどうしてですか。

枝野国務大臣 北方諸島については、残念ながら、いわゆる領土問題がロシアとの間で存在をしております。我が国としては、明確に、北方四島は歴史的にも国際法的にも日本の領土であると考えておりますが、領土問題が存在をしている地域であります。

 一方で、尖閣諸島は領土問題は存在をしません。明確に日本の領土であるという地域でございまして、両者を同一次元で論評すること自体が、私は、尖閣諸島が我が国の固有の領土であって、領土問題が存在しないという前提と考えると、ちょっと視点が違うのではないかと思っております。

下村委員 全く感覚がずれているとしか思えないし、それは国会の中で言っているだけなんですね。

 枝野長官、この八月末で中学校の教科書採択が決まるんですよ。今七社の教科書があるんですね。その中で、今、枝野長官がおっしゃったような、北方領土あるいは尖閣諸島、尖閣諸島に限定してもいいんですけれども、竹島、ありますが、例えば尖閣諸島、先ほどから繰り返し繰り返し、我が国の固有の領土だと言われていますけれども、尖閣諸島が我が国の固有の領土だと明確に書かれている教科書は、七社のうちどの程度あるというふうにお考えですか。

枝野国務大臣 学習指導要綱や、それからそれに基づいての教科書の検定については、これはもちろん、我が国の国としての姿勢といいますか、そうしたものに沿ったものでなければいけないというふうに思っておりますが、直接的に政治が介入する性格のものではないということで制度が組み立てられていると承知をいたしております。

 そうしたことの中で、具体的にどういった社がどういった記述をしているのかということについては、私は承知をしておりません。

下村委員 全く答弁になっていない。別に政治的に介入するとかしないとかいう話を言っているんじゃないんですよ、私は。

 ちなみに、我が国固有の領土だというふうに明確に言っている教科書というのは、自由社と育鵬社の二社しかありません。

 例えば教育出版は、「日本海に位置する竹島については、日本と韓国の間にその領有をめぐって主張に相違があり、未解決の問題になっています。また、東シナ海に位置する尖閣諸島については、中国もその領有を主張しています。」これしか書いていないんですね。ですから、この教育出版の教科書を採択された中学生が読んだら、もちろんそういう感覚でいるわけですから、政府が固有の領土だ固有の領土だと言っていること自体が全く理解できない、わからないということになると思うんですね。

 これに対して別に政治介入するとかしないとかいう問題ではなくて、これは明々白々なわけですから、固有の領土だというのは。それを子供たちにきちっと教えるということは当然のことじゃないでしょうか。どうですか。

枝野国務大臣 先ほど申しましたとおり、学習指導要綱や教科書検定について直接コメントすることのできるシステムではないと思っておりますが、私は、尖閣諸島については日本の固有の領土であって、ここには領土問題は存在しないということをすべての日本の子供たちが知っていただきたいと思っておりますし、そのために政府として努力をするべきだと思っております。

下村委員 教科書問題は官房長官の管轄じゃないかもしれませんけれども、しかし、政府を代表する立場として、今のコメント自体もいかがなものかというふうに思います。

 時間がありませんので、次に移ります。

 六月の十五日、沖縄県の仲井真知事が尖閣諸島の周辺海域の安全対策強化を要望しているというふうに思います。これについて今政府はどのように対処しようとお考えなのか、お聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 六月十五日、沖縄県の知事から、内閣官房長官としての私と同時に沖縄担当大臣としての私に対して御指摘のような御要請がございました。

 私自身、実は、新藤委員長の三代前になるか四代前になるか、当委員会の委員長を務めさせていただきまして、その折に尖閣諸島を上空から委員会視察として視察をさせていただき、ここに対する海上保安庁の領土保全の実態、状況等を調査させていただきました。そのときに、私自身、率直に申し上げて、唖然といたしました。我が国の固有の領土である尖閣諸島をしっかりと領土として保全をし、我が国の領土、領海における我が国国民の権利をしっかりと守っていくに当たって、海上保安庁が努力をされておりますが、残念ながら、質、量ともに装備が不足をしている、体制が不足をしていると実感をいたしました。

 それ以来、私自身、個人としても、海上保安庁の質、量ともに強化に向けて努力をしてきているところでございますが、今回の御要請を踏まえて、質、量ともに海上保安庁の体制を強化して、例えば周辺漁民の皆さんが安心して水産業、漁業に従事をしていただけることを初めとして、我が国の領海として当然の権利、主権の行使に不安なく国民の皆さんが対応していただけるよう政府を挙げて努力をしたいと思っております。具体的には、国土交通省において海上保安庁の質、量ともの充実に向けて御尽力をいただくようお願いをしておりますし、それについては総合調整の立場から、もちろん、他にも大変重要な政策課題がありますが、ここに対しては政府としての限られた資源を優先的に投入していくべきであるという立場で総合調整をしているところでございます。

下村委員 今、枝野長官からお話がありましたが、何年前になるんですかね、当委員会で上空視察を行ったということでございます。

 これは新藤委員長にちょっとお願いがありますが、ほかの衆参委員会でも今まで尖閣諸島の上空視察は恐らく十数回はしているというふうに思うんですね。ただ、先ほど指摘申し上げましたように、上空視察ではわからない、例えば自然環境の破壊の問題とか、それから、もう四十七年以上、実際に固定資産税調査もされていませんから、どんな状況なのかということも地元の自治体も把握していない中で、私は、国会として当委員会できちっと上陸して、そして実地調査をするということをぜひ提案したいと思います。どうでしょうか。

新藤委員長 行政監視委員会の機能に照らして、しっかりと理事会で協議をしたい、このように思います。

下村委員 ぜひこれについては、そのようになったら、政府も協力をしていただきたいと思います。

 先ほどの仲井真知事の六月十五日の要望について、具体的に三つありますので、これはちょっと地元の沖縄県からも要望されていますので、一つ一つちょっと確認をしたいんですけれども、まず一つは、漁業者の安全操業の確保に向け、万全を期すための適切な対策を講ずること。先ほど答弁の中にありましたが、これとあわせてもう一つ具体的に、二番目ですけれども、我が国の領海及び排他的経済水域における漁業秩序を回復し、漁業者が安全に操業できるよう、中国、台湾等の外国漁船の取り締まり強化について、船舶等の性能高度化や適切な保安要員の確保等抜本的な措置を講ずること。

 この二点について、ちょっと具体的に答弁をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、漁業者の安全操業の確保でございますが、私どもとしては、尖閣諸島周辺海域において中国あるいは台湾の漁船の違法操業等を発見した場合は、これを直ちに退去警告を行って退去させるということで安全操業を確保するということをやっておりますし、それから、取り締まり強化についての船舶等の性能高度化あるいは要員の確保等でありますが、これは、かねてより、私どもの巡視船等は老朽化しておりますので、代替整備ということを緊急にやっておりますが、特に第十一管区、沖縄の船については優先的に最新鋭の船舶を配備するというようなことをやっておりますし、また、要員につきましても、必要な要員をどんどん配備するということで詰めておるところでございます。

下村委員 一番目の漁業者の安全操業の確保ということについては、ちょっとこれは国交大臣にお聞きしたいんですけれども、行きますと、必ず地元の方々が、尖閣諸島に避難港の整備、これをぜひしてほしいと。あの周辺は非常に海が荒れているところなんですね。しかし、だからこそというところもあるかもしれませんが、非常に漁獲高が確保できる漁場でもあるんですね。しかし、避難港があれば漁業についても非常にプラスになると。大きな避難港は要らないと。実際にかつての写真で見たことがありますけれども、昔は避難港があったんですね。小さな避難港があって、日本漁船が入れる程度の小さな避難港さえあれば十分だと。これをぜひ整備してほしいというのが必ず地元漁民の方々からの要望でありますけれども、これについてはぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、国交大臣、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 下村議員の御質問にお答えを申し上げます。

 ただいまの避難港の整備ということでございます。この件については、石垣市長、それから石垣の市議会議長、それから漁業関係者の皆さんから、今御質問の内容にありましたように、避難港をぜひ整備してほしいという要請を受けております。私も、先ほど海上保安庁長官からも答弁させていただきましたが、安全に操業できるような環境をつくる、こういうことも私どもの仕事の一つでありますから、大変大事な御指摘あるいは要望だと受けとめております。

 そこで、避難港の整備につきましては、周辺海域のいわゆる気象条件は御指摘のように非常に荒れるということもある、こういうことから、避難の需要等もいろいろと要望いただいておりますので、その内容というものは大変大事だろうと思いますし、総合的に勘案して検討しておりますが、最終的には政府全体で結論を出すべきものと思っておりますが、御指摘の点は、安全操業上非常に大事な視点だと私は受けとめております。

下村委員 よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

新藤委員長 これにて下村博文君の質疑は終了いたしました。

 続いて、藤田憲彦君。

藤田(憲)委員 民主党の藤田憲彦でございます。

 本日、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私からは、きょう、いただいた時間の中で二つ、一つは事業仕分け、それからもう一つは政府の公共調達について質問してまいりたいと思います。

 枝野官房長官が行政刷新担当大臣に新しくなられたというところで、本当は枝野長官に伺いたいところではありましたけれども、今、政府が震災の復興に向けて一丸で取り組んでいる中で、既存の進めてきた政策あるいは方針が一部変更等々になるのは、これはやむを得ない事情もあると思いますけれども、ただ、事業仕分けが今後どうなるかということについては、まず、この方針を政府の方に伺ってまいりたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 これまで三回にわたって事業仕分けを実施してまいりました。一昨年の秋、そして昨年の春と秋という形で行わせていただきました。これによって、行政の透明性が高まるという形、あるいは行政の大幅な無駄の削減というところにも結びつけることができたというふうに認識をさせていただいております。

 今後についてでありますけれども、これは各府省に仕分けのマインドといいますか、しっかりとした透明性や公開性といったものを定着させていく必要があるというふうに私どもは考えておるところでございまして、各府省における事業仕分けというべき、国丸ごと仕分けというふうに申し上げておるところでございますけれども、まずはこの行政事業レビュー、これをしっかりと取り組みを進めるということが重要ではないかというふうに考えておりました。このため、まずはレビューの取り組みを進めていくという形をさせていただきますと同時に、各府省においてもしっかりとまず点検をしていただきたいというふうに考えております。

 その上で、各府省の行政事業レビューでの点検が十分なものとなっているのか、あるいは、点検の結果、的確に概算要求に反映されているか等についてチェックを行わせていただいて、さらに見直しの余地があるというふうに考えられた場合には、行政刷新会議の判断によって、当該の事業を対象として事業仕分けというものも行うことになるというふうに考えておるところでございます。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 私自身、昨年の事業仕分け第三弾の仕分け人の主査を務めまして、そして今でも党の政調会長補佐として行政刷新を担当いたしまして、党の行政刷新プロジェクトチームでも事業仕分けのレビュー等々を行っているところであります。

 事業仕分け、今お話を伺いますと、事業レビューシートに関してはことしもしっかりと各省庁に行うということでありましたが、実際に仕分け人を経験した私自身の経験からしても、事業仕分けというとどうしても予算の削減の結果のところばかりを求めるのでありますが、私自身が経験をした過程からいいますと、やはりそのプロセスが重要である。そのプロセスで最も重要なのが、各省庁から各事業の状況を事業レビューシートによってあらわしてきた、これは私は大変な財産だと思っております。

 例えば、その事業の予算の概要、それから事業の細かい内容だけではなくて執行率、そして委託関係、それから競争入札の状況ということが各事業にわたって詳細にわかるということは、これは非常に行政においては一つの大きな前進だと思っておりますし、こういったところはぜひとも継続をするべきだと思っておりました。その意味で、今園田政務官からお話を伺い、事業レビューシートに関してはことしもしっかりと継続をするということであれば、まず最低限のレベルで、行政の透明化、これを担保することはできるのではないかと私は思います。

 しかし一方で、私がぜひ政府にお願いをしたいことは、今ほど、見直しの余地のあるかないか等々によって事業仕分けをことし行うかどうかということを今後決めるというお話だったかと思いますが、もし事業仕分けを行う場合には、やはり、これまで第三弾まで行ってきたわけでありますから、そのいわゆる総括といいますか、今後の見直しもあわせて検討すべきではないかと私は思っています。

 といいますのも、事業仕分けそのものに関しては、例えばパフォーマンスではないかとか、権限が与えられていないではないかとか、実効性がないではないかといったような、さまざまな批判も出ました。私は、批判自体は、出てくるのはむしろ健全であると思っております。これまで国が行ってこなかったものを、我々が政権を担って、そして初めて行ってきたものでありますから、さまざまな検証をした上で、一つ一つ改めるべきものは改めていく、こういうことを継続していくことによって、事業仕分けというものが定着して、そしてよりよいものになっていくというふうに私は思います。

 これは、事業仕分けを今後もし行う際にはぜひ参考にしていただきたいと思うんですが、私自身の経験からすると、主に三点、改善をしていただきたいという点があります。

 まず、第三弾、そして特別会計もそうですが、多くの議員の方々に前回は負担をかける形で、昨年のちょうど夏、各省庁とのヒアリングを行いましたが、もしことし以降やっていくとして、同じ負担を各与党の議員にかけていくのは難しいのではないかというふうに思います。

 そうしますと、事業仕分けのかかわり方において、なるべく各議員への負担というものを配慮した形で、これはどの程度まで事務局が事務局サイドで進めていくかという問題もありますけれども、ぜひこの辺の分担というものを、これは党との調整になってくると思いますが、これはぜひ考慮していただきたいという点が一点。

 それからもう一点は、事業仕分けの本番に関することでありますけれども、私が経験をした中で言うと、率直に言いますと、議員として参加をしている仕分け人と、それからいわゆる外部有識者として参加をしている仕分け人との間では、やはり目的なりアプローチがかなり異なっていて、率直に言えば、クオリティーにもかなり差があったというふうに私自身は認めざるを得ないと思います。

 事業仕分けが最終的に結論を導き出すまでの間に、これは、結果的に各一人がどのような判断をするかということの集計で結論を決めておりましたけれども、私自身の経験からすると、本番の議論の中では、例えば廃止ですとか半減というのは、これは議論として結論を導き出すのは多少困難だなと思うものであっても、実際取りまとめてみると、例えば外部有識者の方々の中にはやはり、かなりもう最初から廃止というようなことで結論ありきのような意見が多く散見されまして、その中から全体の意見の集約という形の中でいうと、私自身がこの仕分けの議論で携わったものと、必ずしも結論が本来あるべきものではなかったのではないか。

 したがって、仕分け人の品質基準とアプローチについても、やはり改善をしていくべきではないかというふうに私は思っております。

 それからもう一つは、最後の点でありますけれども、事業仕分けの対象の選定であります。

 第三弾の事業仕分けにおきまして、具体的に申し上げますと、まず我々党のプロジェクトチームで対象を選定したわけでありますけれども、結果的に本番に上がるものは、やはり、党の私たちが選んだものがかなりの部分削除され、落ちているというものがありました。そうしますと、これは最初の第一点目の問題にも通ずるんですけれども、議員サイドから上がってきたものが政府の側にうまくバトンタッチできていないのであれば、これはやはりなかなか議員からのサポートも得られない、こういった不満もかなりあったかと思います。

 したがって、こういった一つ一つの点をぜひとも検証していただいて、私としては、事業レビューシートというものをしっかり精査した上で、ことしも事業仕分けは行うべきだと思いますが、こういった点をぜひ改善した上で取り組んでいただきたいと思いますが、改めて園田政務官の御意見を伺いたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 先生御指摘のとおり、さまざまな形でまだまだ手法についての改善の余地というものは、私自身も含めて考えていかなければならないというふうに思っております。

 その中で、さまざまなやり方があろうかというふうに考えておるところでございますけれども、やはり基本というところは、しっかりと外部性というものとそれから公開性というもの、これが国民の衆目といいますか目の届く中で行われていく。すなわち、今までの行政主体の中身というものは、先生が御指摘のとおり、プロセスにおいてもそれがなかなか見えづらいというところがございました。したがって、それをよりオープンにしていくという考え方と方向性というものはやはり間違ってはいなかったのではないかというふうに思っております。

 その中で、より改善をしていくという先生の御指摘はしっかりと踏まえてまいりたいと思っておりますし、また、内部統制的な中にしっかりとそのプロセスというものを組み込んでいくというものは、大変重要な取り組みであるし、これからも継続して行う必要があるというふうに私は思っておりますけれども、そういったプロセスをしっかりと、まずは各府省がきっちりと行政事業レビュー、国丸ごと仕分けの取り組みを行う。

 そして、ことしは震災の発災によってなかなか公開プロセスというものまでは至りませんでしたけれども、しかしながら、レビューシートというものを作成していただいて、それがちゃんと公開されることによって、国民の皆さん方あるいは国会の皆さん方のチェックも同時に受けるという点においては、私は、一歩前進をしている、着実に前進をしているというふうに評価をしていただけるものではないかというふうに考えております。

 それを踏まえて、今後もさらに改善、あるいは、より質の向上が図れるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 継続は力なりという言葉がまさにありますが、この事業仕分けにおいても、やはり継続をし、改善をしていくことによってよりよいものに発展をしていくというふうに思いますので、震災の復興の中で優先順位の変更等々はあろうかと思いますが、ぜひともその方向で進んでいただきたいというふうに思います。

 そして次に、政府の公共調達に関してでありますけれども、行政刷新といいますとどうしても事業仕分けばかりが先に立ってしまいますけれども、一方で、政府の公共調達の見直しという点は極めて重要ではないかと考えています。

 ことしの四月に行政刷新会議の公共サービス改革分科会が発表いたしました公共サービス改革プログラムというもの、公表資料としてインターネットで内閣府でも出ておりますので、私もこれを拝見いたしました。率直に言いまして、これは大変よくできているというふうに私自身思います。

 この中で、まず冒頭、書いてある内容を見てなるほどというふうに思いますのは、政府すなわち日本国は、日本の国内の中での最大の購買者であると。その金額が一年間で約十一兆円に上るということがこの公共サービス改革プログラムの中で書かれているわけであります。

 やはり、これから復興財源をどうするのかということも大きな話題となっておりますけれども、財源を見つける上において、私たちがこれまで一貫して主張してきた、税金の無駄遣いをできるだけ減らしていく、一円も許さないという厳しい姿勢で臨んでいくためには、調達の改善というものは不可欠であろうかと思います。

 一方で、この公共サービス改革プログラムをどういう形で国会議員あるいは一般の方々に敷衍していくか、これも大変重要な点であろうと私は考えております。

 そうしますと、この公共サービス改革プログラムの中で、今年度もう取り組みを開始するもの、いわゆる試行を開始するものとして、共同調達、それから競り下げというものがこの中で記載をされておりますが、事業仕分けと異なりまして、この共同調達なり競り下げなりがどういったものなのかということについては、まだまだ我々を含めて理解が進んでいない状況ではないかと危惧しております。

 したがって、まず冒頭、この共同調達それから競り下げというものが概要としてどういうものであって、それから、これにどういうふうに取り組んでいくのかということについて、御説明いただきたいと思います。

園田大臣政務官 先生も御指摘のとおり、今年度からこの共同調達であるとかあるいは競り下げというものをしっかりと、試行も含めて行ってまいりたいというふうに考えていたところでございます。

 取りまとめをさせていただきました公共サービス改革プログラムに従って、これについて、昨年から行政刷新会議のもとで分科会を設置させていただきまして、議論をしてまいりました。

 これまで、いわば各府省がそれぞれ個別に、あるいはばらばらにと言ってもいいのかもしれませんけれども、あるいは出先機関も含めてばらばらに調達していたという部分がございました。そうしますと、これを同じ仕様で使うと、例えば文房具用品であるとかあるいはコピー用紙であるとか、そういったものについては、ほぼどれも、どの府省がどのように使おうが、恐らく仕様としては統一的なものがとれるのではないかというふうに私どもも考えていたところでございます。

 であるならば、それはばらばらに調達をするということではなくて、それをいわばなるべく集約する形で調達をするという形をとることができれば、事務経費の負担であるとかあるいはさまざまな調達に係るコストというものも同時に引き下げをすることができるし、あるいは物品そのものについても、大量に一括して購入するわけでございますので、そういった点ではよりコスト的にも下げることができるのではないかということが一つございます。

 それから、競り下げにつきましては、これは今民間でもかなりの部分で実施を行っているという事例がございました。すなわち、これはインターネット、ITを駆使しながら、幾つかの会社が同時に、まず入札価格の目標となるものがありまして、それに従って、そこからスタートをしていくわけでございますけれども、例えば、ことし試行で行わせていただいた中においては、やはりコピー用紙もありましたけれども、開始価格から、約一時間から二時間というところで、入札に係るそれぞれの企業がコンピューター上にみずからの価格を入力していただいて、そしてそれがある一定の時間まで来るとどんどんどんどん競り下がっていくという状況がございました。

 これは諸外国でも既に例がありました。したがって、こういったことも導入をしていこうではないかということで、その方向性をしっかりと見定めていく必要がある。

 また一方では、その影響というものも考えられるので、そういったところも含めて、まずは、この競り下げという方式も導入することができるかどうか試行的に今年度からやっていこうということで、まずは内閣府からスタートをさせていただきまして、内閣府で既に二件、そして防衛省でも、封筒でありますけれども一件、試行の実施がございました。

 今後は、各府省において全体的に約四十件ほどを見込んでおりますので、こういったところも行うことによって、さらにその影響等も踏まえながら、しっかりと、有益、有効なものであるかどうかの検証を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

藤田(憲)委員 この共同調達なり、競り下げなりという方式の試行、これはぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 共同調達というのは、これは一言で言えばいわゆるまとめ買いでありますので、逆に言えば、これまで各省庁ごとにばらばらに調達がなされていたということは、およそ一般企業の調達戦略からすれば、やはりかなりこれはコスト削減感覚が乏しいだろうという批判は免れないというふうに思います。

 もちろん、調達をする物品において、特殊なものであれば、これはもう特殊なものとして各省庁ごとに分かれてくるわけでありますが、少なくとも、例えばトイレットペーパーであったりコピー用紙であったり一般文房具類であれば、これはどの省庁においても共通に消費され、使用されるものでありますから、これらをまとめ買いするということによってコストを下げていく努力をするのは、これは当然のことであろうと思います。

 それから、競り下げに関しては、これは例えば日本郵政株式会社ですとかそういった大手の会社でどんどん導入が進んでいるものでありますけれども、いわゆる一般競争入札であれば、通常、札を入れて、要は値段を入れて、それで一発で決まって、一番安く提示した価格の業者が落札をするという形でありますけれども、競り下げに関しては、インターネットを利用して、ある程度業者間での匿名性が担保された形の中で、そこからさらに三十分なり一時間なり、その最低価格よりもさらに安い価格を札を入れることができる。これによって、より効率的な調達が図られるのではないかという趣旨での試行であろうかと思います。

 したがって、先ほど申し上げましたとおり、十一兆円の調達価格を効率化していくという観点からすれば、当然これはぜひとも進めるべきであるというふうに、これは我々も総意として進めるものでありますけれども、ただ、現実に、これを試行する上において、特に競り下げについて反対意見も出ているということも我々は承知をしております。そういった反対意見がどこから出ているかといえば、これは、中小企業団体初め、主に官公需を中心とする中小企業の団体から、この競り下げの導入に関しては反対だという意見が出ていると伺っております。

 では、なぜそういった団体がこの競り下げに対して反対を述べているのか、その理由について端的にお聞かせいただければと思います。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先ほど先生からも御説明がございましたけれども、競り下げというものは、いわば入札の瞬間に入ったときから数十分、あるいは、長いものでもそんなに時間がかからない、一時間、二時間程度で落札価格が決まっていくという形になります。そういったときに、次々次々、その入札価格というものがいわば競い合う形で下がっていくという形になりますと、例えば事務用品の事業者であれば、どうしても大手の方がそういった安い価格というものを入札しやすくなるのではないかという危惧がやはり一方ではございます。

 そういったところからすると、どうしても、いわば中小企業者にとりますと、そういった競り下げ方式が本格的に導入されると、やはりそういった大手の方がとっていかれるのではないかという心配が一方であるというのは私も聞かせていただいているところでございます。

藤田(憲)委員 特に競り下げに関しての反対意見の趣旨が、逆に大手の会社に発注が集まるのではないかと。それは、やはり、価格競争におけるたたき合いになったときに、体力の大きい大企業がそういう安値競争にたえ得るというお話が上がってきているということだと思いますけれども、私は、競り下げの本来の趣旨からすれば、きちんとPRをしていくことによって、こういった主張については少なくともある程度安心をしていただけるのではないかというふうに思っています。

 といいますのも、例えばトイレットペーパーなりコピー用紙なり、少なくとも一般の汎用品であれば、その品質についても、多く調達する汎用品において幅がない中においてでいいますと、やはりある程度の価格の限界が生じてくるに違いない。そういった意味において、大手だから必ずしも価格が下げられるというものではないものも多く含まれるのだろうと思います。その意味で、試行が例えばトイレットペーパーなり封筒なりコピー用紙から始まっているということも、そういう観点からであろうかと思います。

 もう一つ、競り下げということが行われることの中で、インターネットを通じて匿名性を業者間で保たれた中で行うということ、これが私は非常に重要だというふうに思っています。これまでの調達においてでありますと、やはりお決まり業者というような雰囲気がどうしても霞が関の調達の中にあったのではないか。どうしても大手でないと入りづらい、なかなか中小は参入すらさせてもらえないという声が逆に私のところにも届いています。

 しかし、これがインターネットにおけるいわゆる匿名性が保たれた形であれば、多くの業者が、そういったいわゆる下請、発注元の関係を超えて直接参入するということができるのであれば、私は、これはむしろ中小企業にとっての参入機会が高まるのではないかという観点が一つ。

 それからもう一つは、官公需法という法律の中において、中小企業が公共調達において受注をする契約目標が定められているということ、これも私も承知しておりまして、この契約目標の中小企業が占める割合が、昨年の目標で五六・二%。確認したところによれば、ことしも引き続きその五六・二%を維持するという話であります。

 ということでいえば、実は、政府の公共調達においては、中小企業における発注枠が確保されているんだ。ということであれば、これをきちんと中小企業の事業者の方々にアピールしていくことによって、私は、必ずしも中小企業の締め出しにはつながらないのではないかというふうに思うわけです。

 したがって、私は、こういう観点から、ぜひとも先ほどの試行をより進めて、むしろ中小企業の事業者にとってより発注機会が与えられるような仕組みにしていっていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、それを実現するためには、この競り下げなりあるいは共同調達なりで、いかに多くの事業者がここに参入できる下地をつくっていくかということであろうかと思います。

 先ほど詳細な質問はいたしませんでしたが、現実に、この競り下げの試行等々をするにおいて、実際に参入した事業者の数は余り多くなかったというデータもあります。ということは、むしろ中小企業の事業者においても、参入障壁を下げるような仕組みであるにもかかわらず、なぜ現実には、参入している事業者の数がそれほど伸びないのか。私は、試行においては、ぜひこの点をしっかりと重視して、問題点をあぶり出して、改善していただきたいというふうに思うんです。

 私自身の推察でいいますと、やはりこれは、仕様にある程度問題があるのではないか。当然、発注するからには仕様というものが存在をするわけで、特に企業においては、この発注をするための仕様というものが、まさにノウハウの塊そのものであろうかと思います。

 例えば、いかに中小企業において参入しやすい状況をつくったとしても、現実に、例えば納入場所が全国各地に複数に張りめぐらされているようなものにたえ得るような仕様として定められていれば、やはり大手のような全国規模の営業所を持っていないと参入できないという現実の参入障壁が数々生じてくるのではないか。

 したがって、共同調達においてもそう、そして競り下げにおいてもそうでありますけれども、この仕様を、できるだけ中小事業者においても参入しやすいような形でこれをつくり、そしてこの試行を進めていくことが私は大事ではないかと思っておりますけれども、この仕様の明確化について、行政刷新会議としてはどのように考えているのか、園田政務官にお伺いしたいと思います。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。先生御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 ことしの一月に、分科会において、中小企業団体からヒアリングをまず行わせていただいております。今後も、この競り下げの試行によって、さまざまな形で御意見をまたちょうだいしていきたいというふうに思っておるところでございますけれども、その中で、一方の意見では、やはり厳しい、先ほど申し上げたように、価格競争を激化させる形になるのではないかといった点や、あるいは、中小企業の発展に寄与するものとは考えられないというような懸念をする声が聞かれておりました。

 それに対しまして、先生が御指摘をいただきましたように、やはり中小企業団体にとりましては、こういった入札に参加の機会というものがこういう形でふえていくということは大変前向きにとらえていただいている企業の方もいらっしゃいまして、お声もありまして、やはりそういった新しい取引先を開拓する有効なツールの一つとして取り上げることができるのではないかというような前向きな意見もいただきましたし、また、入札にかかる事務コスト、これもある面、インターネットによるそういった参加でありますので、こういった点もさらに引き下げることができるのではないか。中小企業の皆さん方にとってみれば、一方ではプラスの面もあるということも、ヒアリングの中では御意見としてございました。

 今先生も御指摘のように、もっともっとこういったことが有益な、有効なツールであるといった点も、さらに中小企業の皆さん方には知っていただきたいというふうに思っておりますし、より多くの皆さん方にまず参加をしていただくということは大変重要なものではないかというふうに思っておりますし、また、その中において、さまざまな、今御指摘をいただいた入札の仕様という点においても見直さなければいけないというものがあれば、必要に応じて、やはりしっかりと私どもにおいて見直すということを行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

藤田(憲)委員 時間が参りました。

 この試行を通じて、やはり、この公共サービス改革プログラムの中にも記載されておりますけれども、こういった仕様の明確化というのは、随意契約から競争入札に向かわせるということもあわせてやっておりますけれども、その中の一者応札の問題を改善するにもこれは有効であろうかと思います。

 この公共サービス改革プログラムの中では、平成十七年度、金額ベースにおいて、随意契約四六%だったものが、平成二十一年度は二二%に下がったと。これは成果でありますけれども、一方で、一者応札が件数ベースで三三%ある。この問題を改善するにも、やはり仕様の明確化が必要だというふうに思いますので、この辺はぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、最終的に競り下げを実施していく上においては、きょうは野田財務大臣、五十嵐財務副大臣もいらっしゃっておりますけれども、会計法なり予決令なりといういわゆる財務省所管の法律の改正も伴うと思いますので、行政刷新会議とよく連携をしていただいて、我々も党の方でサポートしていきますので、この試行を進めて、なるべく本格導入が早くなることをお願い申し上げまして、私の質問といたします。

 ありがとうございます。

新藤委員長 藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 きょうは、まず、今回の東日本大震災におけます宅地被害について質問をさせていただきたいと思います。

 七月二日に、私、仙台市内の宅地被害の現場を視察してまいりました。仙台市におきましては、中心部から五キロから七キロほどにあります昭和三十年代後半から五十年代にかけて造成された団地におきまして、地盤の崩落や地すべり等が発生をしておりまして、非常に多くの宅地が被災をしております。ちなみに、仙台市の方でまとめたところによりますと、仙台市内では、十宅地以上まとまって被害が及んでいる箇所が六十五カ所に及んでいる、こういうことでございます。

 まず冒頭、今回の大震災で仙台市のみならず各地で宅地被害が起きておりますので、その全体的な状況について説明を求めたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の東日本大震災におきまして、御指摘のように、内陸部を中心に宅地にも甚大な被害が生じているところでございます。

 その宅地被害の状況の把握につきましては、地震発生直後より被災宅地危険度判定が実施されておりまして、東北地方、関東地方を中心に、九県五十二市町村において判定を実施いたしております。

 その判定結果によりますと、七月十一日現在で、六千三百十三件の判定が行われまして、そのうち危険あるいは要注意と判定された宅地が合わせて三千六百五十四件に上っております。

 特に、今先生から御指摘ございました仙台市について見ますと、仙台市におきましては、郊外の丘陵を中心に、二千百四件の宅地につきまして危険あるいは要注意と判定されているところでございます。

石井(啓)委員 今回の震災でもかなりの宅地がこういった被害を受けておりますけれども、これは今後全国で起こり得る被害だというふうに思いますし、また、私も視察をしてみて、やはり擁壁ですとか人工のり面にかなり甚大な被害が及んでおります。あるいは、場合によっては数十軒の地区そのものが地すべりで崩れている、こういった状況もありまして、住民自身による復旧というのも非常に困難な被害の程度である。こういったことを考えますと、私は、今回の震災を契機に、宅地被害への対策を確立しておく必要がある、こういうふうに思っております。

 国土交通省におきましても、宅地被害への対策、既存の政策、いろいろなメニューを持っているというふうに承知をしておりますが、その中でも、特にきょうは四点、説明をしていただきたいと思います。

 まず一つ目に、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業、二つ目に、災害関連急傾斜地崩壊対策事業、三つ目に、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業、四つ目に、防災集団移転促進事業、この四つにつきまして、その施策の概要と、それから、過去の震災時、例えば中越地震のときなどもこの制度について特例措置を設けて実施されているというふうに伺っておりますので、その特例措置の中身についてもあわせて御説明をいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 宅地被害への既往対策のうち、四事業についてのお尋ねでございます。

 まず、一点目の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業でございますが、これは、余震等によりまして二次災害の危険性があって、一定の要件を満たす大規模盛り土造成地における宅地や周辺の公共施設等に対する被害を防止するために、地方公共団体等により行われる事業でございます。

 また、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業でございますが、これは、風水害、震災等によりまして急傾斜地に新たに崩壊が生じ、放置すれば次期降雨等により人家等に被害を与えるおそれがある場合に、都道府県により、緊急的に急傾斜地崩壊防止工事を実施するものでございます。

 また、三つ目の事業でございますが、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業、これは、激甚災害に伴い、がけ地に崩壊等が発生し、これを放置すると人家等に著しい被害を及ぼすと認められる箇所におきまして、直接人命保護を目的として、市町村により、がけ崩れ防止工事を行うものでございます。

 最後の四点目の事業、防災集団移転促進事業でございますが、これは、災害が発生した地域等におきまして、住民の生命、身体及び財産を保護するため、市町村等により、住居の集団的移転を促進する事業でございます。

 以上がそれぞれの事業の概要でございますが、これらの事業につきまして、これまでどういう特例措置を講じてきたかというお尋ねでございます。

 過去の震災におきましては、平成十六年の新潟県中越地震等に際しまして、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業におきまして、自然斜面から擁壁等の人工斜面への適用を拡大してきたことがございます。

 また、平成十六年の新潟県中越地震に際しまして、防災集団移転促進事業において、住宅団地の規模要件が定められているわけでございますが、この規模要件の引き下げ、十戸から五戸への緩和といった特例措置が行われているところでございます。

石井(啓)委員 宅地被害の実態、それから既存の政策、過去の震災時の特例措置、確認をさせていただきましたが、今回の東日本大震災におきます宅地被害対策におきましても、過去の震災時の特例措置にまさるとも劣らない、そういった要件の緩和なり、あるいは補助率の引き上げ、こういったことを行うべきだというふうに考えております。

 この点について、国土交通大臣それから財務大臣、それぞれの御答弁をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 石井委員からの御質問にお答えを申し上げます。

 後ほど財務大臣からもこの御質問に関しての御答弁があると思いますが、まずは国土交通省関係での御答弁を申し上げさせていただきます。

 先ほど、これまでの災害等を経てどのような対策をやってきたか、こういうことについては局長の方から御答弁があったわけでございますけれども、平成十六年の新潟県の中越地震等の事象を踏まえて、擁壁等の人工斜面への適用拡大ですとか、あるいは、防災集団移転促進事業についても、住宅団地の規模要件を十戸から五戸への緩和とかいう意味での工夫がされてきたところであります。

 私も現地を見させていただきまして、石井委員と同じように、従来の災害とは大きく異なる規模でございまして、この件も踏まえて、今回の震災の実態に対応した工夫というのが必要だろうと考えております。

 したがいまして、過去の事例等も参考にしながらも、地域の方々がこれからも安心して住むことができるように、地元の自治体と連携をとりながら、市民の方々の負担の軽減というものを含めて引き続き検討をし、第三次補正予算について方針を固めていきたいと考えているところであります。

野田国務大臣 宅地被害に関する支援制度としましては、被災された個々の宅地の補修について、ただいま執行中の平成二十三年度の一次補正予算においても、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資の金利引き下げ等を盛り込むとともに、宅地のみに被害が生じた場合の融資制度を新設したところでございます。

 また、石井委員御指摘の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業など四事業の制度の趣旨と過去の実例については、大畠大臣ほか御説明がございました。ただいま大臣から、過去の事例も踏まえてよく検討するというお話がございましたので、その検討状況を踏まえて大畠大臣とよく協議をさせていただきたいというふうに思います。

石井(啓)委員 大体この手の話は、事業官庁は比較的前向きにやろうという意思を持っているんですけれども、査定官庁である財務省がイエスと言うかどうかというところが最大の役所内におけます関門になっておりますので、財務大臣には特段の御配慮を要請しておきたいと思います。

 それで、要件の中で、例えば急傾斜地崩壊対策事業については、人工斜面も対象にするということとあわせて、通常の制度ですと、がけの高さが十メーター以上、人家に被害があった場合は五メーター以上になっているんですけれども、中越地震のときは、人家に被害があり、二次的被害が生じるおそれがある場合は三メーター以上、このがけの高さの要件もかなり緩和しているんですね。同じく、がけ崩れ対策事業についても、通常の制度ではがけの高さが五メーター以上のを、やはり三メーター以上にしている。

 今回、仙台市においては、中越地震のときの三メーターというがけの高さをさらにもう一段引き下げて、二メーターぐらいまでしていただけないかという具体的な御要望も寄せられておりますので、そういった点もぜひ頭に入れて御検討をしていただきたいと思います。

 コメントがあれば、一言、ぜひお願いします。

大畠国務大臣 私ども国土交通省として、東北地方整備局を初めとする職員のメンバーが現地に入って、被災状況等をつぶさに見、どのような形の支援を行ったら地域の方々の生活再建ができるか、こういうことについても調査をしておりますので、そういう調査を踏まえて、実態に即した支援ができるように工夫をしてまいりたいと思います。

石井(啓)委員 期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、私は、現地に行きまして、住民の方々とも意見交換をしてまいりました。

 それで、宅地被害に遭われた被災者の皆さんは、引き続き住み続けることができるのかどうか早く結論を出してほしいという強い要望もございましたし、引き続き続けるとして何か対策をやるということであれば工程表を早く出してほしい、あるいは、移転をするのであれば移転の工程表も出してほしい。ですから、先行きがどうなるのかということを早く示してほしい、これはもっともなことだと思いました。そういう強い要望が寄せられております。

 一方で、住民の被災者の方の窓口になっております地元の市あるいは県においては、予算がないので対策が進まない、こういうことで被災者に説明されている状況で、全く進んでいない状況なんですね、対策も何も。ほとんど進んでいない状況なんですよ。余震が来るたびに、もっと崩壊していくんじゃないかというような心配を抱えて、危険なのでもう避難されている方もいらっしゃいますけれども、そういう状況でございます。

 そこで、先ほど大臣からも三次補正ということがありましたが、三次補正予算におきましては、この宅地被害対策の十分な費用を計上していただきたいと思いますし、また、先ほど言いました、対策の要件の緩和だとか補助率の引き上げ、そういったことについては、三次補正を待たずに、なるべく早期に方針を示していただきたい。そうでないと、地元の自治体もなかなか進んでいかないということがございますので、この点、よろしくお願いしたいと思います。

 国土交通大臣、財務大臣、それぞれの答弁を求めたいと思います。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 ただいま、地域の方々の立場に立って早期に方針を示すべきではないかという御質問を賜りました。

 もう既に、三月十一日に大震災を受けて住宅に住めないという状況が四カ月過ぎたわけであります。その間、なかなか進んでいないかという御指摘に対しては大変申しわけなく思いますが、現在、復興対策本部において、きょうも復興担当大臣もおいででございますが、復興の基本方針というのが今月中にまとめられるという予定でありますし、その内容を踏まえて、自治体とも連携をとりつつ、必要な措置の具体的内容について検討を進めてまいりたいと思います。

 なお、第三次補正予算というものを念頭に置きながら準備を進めておりますが、その前に基本的な考え方については方針を示すべきだ、こういう御指摘もいただきましたので、この件については、体制がとれ次第、方針を地域の方々にも示すことができるように努めてまいりたいと思います。

野田国務大臣 宅地被害については、石井委員の御提起もございましたし、先月末に復興構想会議のまとめられた提言の中にも、大規模な被害を受けた住宅の再建や宅地の復旧のための支援についての言及がございました。こうした復興対策に向けての御提言などを踏まえまして、先ほど国交大臣が御説明されたとおり、政府の復興対策本部において、その基本方針を今月中に取りまとめる、加えて、被災地の御要望もよくお聞きしながら策定をしていくという段取りを踏むことになっております。

 こうした議論を経て、今後の補正予算における取り扱いなども含めまして、関係府省とともに幅広く議論しながら検討をさせていただきたいというふうに思います。

石井(啓)委員 大畠大臣、十分な予算を計上するというところもちょっと答弁をいただきたいんですけれども。お願いします。

大畠国務大臣 この事業を進めるためには、御指摘のように十分な予算を確保することが必要でございまして、財務大臣からも御答弁を賜りましたが、これについては、石井委員の御指摘を踏まえて、私ども国土交通省としては、改めて十分な予算を確保するように力いっぱい努力をしてまいりたいと思います。

石井(啓)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それで、宅地被害のことを申し上げてきましたけれども、津波の被害に遭われた被災者の方の最大の関心事の一つが、被災した土地の買い上げにあります。特に、移転する場合の買い上げですね。

 ついては、先ほど、既存のメニューの中の一つでございます防災集団移転促進事業、これをやる場合には被災した跡地を買い上げするという制度がありましたけれども、そういった施策を初めとして、被災した土地を買い取るための十分な予算を今後確保していただきたいと思います。

 この点について、国土交通大臣とそれから復興担当大臣、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 ただいまの御質問でありますが、私ども国土交通省として、被災地の再建のための一つの大きな事業として、ただいま御指摘をいただきました防災集団移転促進事業というものがございます。

 これについては、先ほど説明もさせていただきましたが、住民の方々の生命あるいは身体、財産を保護するための住民の集団移転の促進事業であります。

 この件については、市町村等が実施する移転先の土地の買い上げや移転先の住宅団地の造成等を国が支援するものでありまして、今回の被災地の現状を私も見せていただきましたが、この御指摘の事業というのは大変大事な柱になるだろうと考えております。

 この件につきましても、予算を含めて、第三次補正予算において必要な額はしっかりと確保するように努めてまいりたいと思います。

平野国務大臣 このたび復興、防災担当大臣を拝命しました平野達男でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 議員御指摘のように、今回の被災の大きな背景となっているのは津波でございます。これから復旧復興計画をつくっていくわけでございますけれども、その復興計画をつくる段階でやはり一番問題になるのは、今まで工場があったところでまたそのまま工場が再開できるかどうか、それから、住宅であったところにまた引き続き住めるかどうか。津波の場合は、今回は海岸防災施設を大きく乗り越えて被害が発生しております。その海岸保全施設自体も壊れております。

 これから、その土地利用計画、今自治体が盛んにいろいろシミュレーションを行っておりますけれども、結果として、従前地住宅地であったところが使われなくなる、従前農地であったところが農地として使われなくなる、そういうところが出てくるだろうと思います。その場合に、買い上げというのは、先ほど国土交通大臣からもお話がございましたけれども、一つの大きな手段になるかと思います。

 ただし、どういう考え方でどういう単価で買っていくか、買い上げるか、あるいはほかの手段がないか、今回の場合は被災地が非常に広範でございますので、そういった点も含めて、これから自治体といろいろ協議を重ねながら詰めていくことも大事ではないかというふうに思っております。

石井(啓)委員 関連してですけれども、先週末、岩手県の沿岸の被災地を回ってきましたけれども、思っていた以上に実は各自治体において復興基本計画の骨子の作成というのが進んでいるんですね。もう既に住民と意見交換をしながら各自治体でプランニングをしておりまして、中には、もう移転先の場所まで何か明示しているような基本計画の骨子をつくっている自治体もございます。そういった自治体では、骨子をこの七月に発表して、さらに住民と意見交換をした上で、九月には自治体としての復興基本計画をまとめたい、こういう意向が強くございます。

 ついては、その復興基本計画をまとめるに当たっては、大概の沿岸の被災した自治体においては住居の高台移転を考えているんだけれども、その高台移転のための財政支援や、先ほどの質問で申し上げましたけれども、跡地の買い上げ等に関する国の方針を八月にはぜひ示してほしい、それでないともう九月のまとめには間に合わないんだ、こういう強い御要請を受けてきました。

 私は、国としてぜひこの自治体の要望にこたえていただきたい、こういうふうに思いますけれども、これは復興担当大臣の御答弁をお願いします。

平野国務大臣 委員から今御紹介ございましたように、実は、国交省大畠大臣の指導のもとで、震災後の一次補正の段階から予算を計上しまして、自治体の復興計画策定のいろいろな支援をしております。各自治体は、いろいろシミュレーションしながら基本方針をつくると同時に、委員まさに御紹介ございましたように、土地利用計画にまで今着手しているところがございまして、自治体によっては、山の方のこういうところに住宅地を確保したいという計画まで詰めて、一部の自治体は地権者交渉までやっているという段階まで来ています。

 そういう中で、委員の御指摘のように、防災集団移転事業の土地の買い上げについての方針を示していただきたいという要望は私ども受けております。

 これから、各自治体にこの防災集団移転事業の概要をきちっと説明すると同時に、各自治体のそういった要望等も踏まえまして、国交省あるいは農水省さん等とも連携をとりながら、この制度については検証をしてまいりたいと思いますし、方針が出せるかというのは、土地の買い上げについては、一律に方針を示すのはなかなか難しいかなという感じも私自身は持っています。ただ、自治体が復興計画をつくるときに支障にならないように、必要な措置はきちっととってまいりたい。このことについては、国交大臣、農水大臣等とも連携しながら詰めてまいりたいというふうに考えております。

石井(啓)委員 国の方針が決まらないと、自治体としては、自分たちがつくった復興の基本計画が絵にかいたもちになりかねないという懸念を強く持っておりますので、ぜひ政府としてサポートしていただきたい、こういうふうに思っております。

 それでは、続いて次のテーマで、社会保障・税一体改革について、残りの時間で質問をさせていただきたいと思います。

 六月三十日に社会保障・税一体改革案をまとめられて、公にされました。その中で、特に年金制度について取り上げたいと思いますけれども、民主党さんが従前からおっしゃっていた年金の抜本改革、これについては「新しい年金制度の創設」ということで項目がございまして、ただ、その中身については、従来言っていたこととほとんど変わらない。要は、具体的な数字がよくわからない、幾ら保険料を払って幾らもらえるようになるのかがさっぱりわからないということでございますが、今後の工程については、「国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、実現に取り組む」というふうに、これも抽象的に書いてあるだけで、一体これはどういうふうにするつもりなのかなというところが大いに疑問でございます。

 まず、何で今回具体的な数字を示されなかったのか、このことについて、これは副大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 新しい年金制度については、今先生も引用してくださいましたけれども、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、その実現に取り組みたいということを明記させていただきました。

 そして、御指摘の所得比例年金の受給額あるいは最低保障年金の支給制限年収など、この詳細については、現在、民主党の中で検討が進められているものと承知をしております。

 そうした内容も踏まえて、引き続き政府として検討を進めさせていただきたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 もう少し具体的に言うと、これは社会保障・税一体改革なんだよね。社会保障でどれだけ財源が必要になるのか、それをどうやって税は財源を確保するかということの一体改革ですよね。そうすると、この新しい年金制度で一体幾ら税財源が必要なのか、これがわからないと、税の一体改革の議論につながらないんじゃないのかというふうに思うんですよ。その肝心なところが全くわからない。それで何でこの税の一体改革に入っていくのか、そこの関係性が私は全く理解できないんですが、どうですか。

大塚副大臣 委員におかれては、ここは共有していただいていると思うんですが、新しい年金制度は、現行年金制度から段階的に移行する。あるとき突然現行年金制度がなくなって、新しい年金制度だけになるわけではないという、その移行期間が必要でございます。

 そういたしますと、今回お示ししている税の部分につきましては、現行制度の改革、もちろんそのほかに医療や介護もありますけれども、年金については現行制度の改革を、その内容を反映した税の面における対応と理解をしております。

 そして、新しい年金制度、これが、例えば最低保障年金をどの段階から満額支給はしない制限年収にさせていただくか等によって必要な財源は変わってまいりますので、その点については、先ほど申し上げましたように、与党内での検討も踏まえて、しかるべき時期にお示しすべきものというふうに考えております。

石井(啓)委員 これは、ちょっともう時間がありませんので、また場所を改めてじっくりやらせていただきますけれども、はっきり言って、今回、何にも具体的な検討はなされていないということでありまして、民主党のマニフェストを読むと、二十四年度には制度の骨格を示して、二十五年度から制度をスタートさせるなんて書いてあるんだから、きちんとそのとおりやってください。そうでないとこれは完全なマニフェスト違反だということを申し上げて、私の質問を終わります。

新藤委員長 これにて石井啓一君の質疑が終わり、あわせて重点事項審査を終了させていただきます。

    ―――――――――――――

新藤委員長 引き続きまして、全般的審査を行いたいと思います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻惠君。

辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 きょうの各朝刊を見ますと、「首相「脱原発」表明」ということで一面が飾られていて、「依存段階的下げ」というようなことでありますが、中身をいろいろ読んでいきますと、具体的なプロセスが一向に明らかになっていない。エネルギー政策の見直しというのが、昨年の六月のエネルギー政策の基本計画、三年ごとの見直しで見直されたわけでありますけれども、電力については発電量の五三%を原子力に依存するんだということがうたわれていて、それの根本的な変更にわたるような昨日の表明であったと思います。そういう意味におきまして、今問われていることについて、もっと地に足のついた議論をやっていくべきではないかというふうに私は思います。

 主に海江田経済産業大臣にお尋ねしたいと思っておりますけれども、十分ぐらい御到着まで時間があるということですので、その前段として、事実関係について当局の方からお伺いをいたしたいというふうに思います。

 七月六日にストレステストというものが衆議院の予算委員会で議論になって、海江田大臣も、ストレステストで原発の耐久性を調べる必要があるんだということを述べられ、一方で、菅首相は、ストレステストの実施が原発再稼働判断の前提であるというふうに踏み込んで述べられたことによって、その位置づけなり、違うのではないか、閣内が不一致ではないかというような問題でありました。

 そこで、このストレステストというのは本来どういうものなのかということについてお伺いしたいと思います。意味からすると、耐性試験ということでありますが、EUで、三月十一日の東日本大震災を受けて、欧州委員会の理事会で実施を決議して、六月一日から実施をしてきた。原子力発電施設の安全裕度の再評価なんだというふうにEUでは述べているようでありますが、このことの意味について簡単に御説明いただけますでしょうか。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 EUにおけるストレステストの概要でございますが、EUにおきましては、東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえまして、いわゆるストレステストを本年六月一日から実施しているところでございます。

 ストレステストの評価にかかわる具体的な進め方といたしまして、事業者による自己評価をまずやりまして、この自己評価を各国規制機関がチェックを行う、さらには各国規制機関間で相互にレビューを行う、そういう対応になっております。最終評価は十二月末に取りまとめるということでございます。

 それで、ストレステストの評価の目的と評価の内容でございますが、評価目的といたしましては、大規模な自然災害によりまして安全機能を喪失するということを踏まえまして、原子力施設の安全裕度の再評価を行うという位置づけになっているところでございます。

 具体的には、評価の内容としては、事故発生の契機となる自然現象として地震と溢水、これは洪水等でございます、これを対象として、安全機能の喪失が対象でございますが、これが、すべての交流電源の喪失と最終的な熱の逃がし場の喪失、さらにはこの複合を考えると。それで、評価におきまして、多段階、多層の対策で安全を確保するという考え方でございます深層防護、この深層防護に従って、シビアアクシデントの防護策とかそれから緩和策の確認を行うということが求められているということでございます。

辻委員 原発事故を受けて、三月三十日に緊急安全対策を指示している、また、六月七日にシビアアクシデント対策ということで改めて指示を出していると。それに加えて、第三弾の、チェック項目みたいな位置づけなのかと思いますけれども、これまでの安全対策と質的に異なるものというのは、どういう点なんでしょうか。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 これまでの緊急安全対策につきましては、まずはシビアアクシデントを防止するために必要な消防車、ポンプ車等の設備を要求し、基準を設ける等のことを行ったり、シビアアクシデント対策につきましては、必要な設備の改善などの具体的な対策を行いまして、それを国がチェックするという対応をとってきたところでございます。

 今回のストレステスト、これは、基本的には、現在ある原子力発電所の状況を踏まえて、それがどれだけの津波や地震などに対して耐え得るのか、その安全余裕をコンピューターで評価した上で、その余裕がしっかりあるのかどうかということを確認するというところでございますので、追加の対策というよりも、現状どれだけ安全かということを確認する、そこが質的に違うということでございます。

辻委員 これまで二度の安全対策の指示というのは、安全性の向上に資する具体的な項目だということで、今回のストレステストというのは、いわば、機能停止とかいうところが、ぎりぎりどこまでどう耐えられるのかということを評価するんだという意味なのかなと。

 深層防護の考え方というのも、必ずしもよくわかりませんけれども、何段階かに分けて、ぎりぎりのところまで、この施設は耐え得るのかということをチェックするということなのかなというふうに思うんですけれども、このストレステストというのは、今の日本の法体制のもとで、どういう法規に基づいて位置づけられるものであり、その効力というのはどういうものであるのか。その点はいかがでしょう。

海江田国務大臣 辻委員にお答えをいたします。

 今回導入しますストレステストは、シビアアクシデント対応と同様、法的根拠を持つものではございませんが、今般の原子力発電所事故の影響の大きさなどを踏まえると、住民、あるいは広く国民に十分な御理解をいただくために必要な手続だと考えております。

辻委員 法律的な根拠に基づくものではなくて、ただ現場のいろいろな判断で、必要性に応じていろいろ指示が出るというのはそうなんだと思いますけれども、そのことによって、例えば原発の再稼働をすべきか、その可否をそれに依拠して決めるということは、これは法律的根拠に基づくものではないという理解でよろしいんですか。

海江田国務大臣 これは総理自身がお話をしております。

 現在の法律では、先ほど保安院からもお話があったと思いますが、まず定期点検があるということで、これは別段事故があってとまったわけではございません。法律で定めのあります十三カ月たったところで、およそ三カ月ぐらいかけて安全性をまずしっかりと確認する、そしてその安全性を確認したところで、従来でしたらいわゆる合格証を出していたわけでございます。

 例えば玄海などの場合は、その合格証を出す前にまさに三月十一日の大きな事故があったわけでございますから、その事故から、三月の末の時点で幾つかの教訓が得られました。それは、当初予定していたよりもはるかに高い津波が襲ってきた、そして全交流電源が喪失をされた。そういうことがある中でも、まさに緊急的に対応できる電源車の配備でありますとか、あるいは水を、万やむを得ない場合は海水も使わなければいけないわけでございますから、海から海水を持ってくるためのホースでありますとかあるいはポンプでありますとか、そういうものの設備を整えるということで、そうした措置を講ずるように命じたところであります。

 そして、その後、六月の七日に、まさにシビアアクシデントになっても、これは主に水素爆発なんかの危険性ですね、やはり今回の教訓は、水素爆発することによって大気中に大量の放射性物質が飛び散りましたから、シビアアクシデントになって、まさに炉心に事故が起きても、それが水素爆発という形で環境中に大量の放射性物質が飛散しないようにどういう手順が組まれているのか、それから実際にどういう手当てが行われているのかということをやったわけでございます。

 そういうものでいわば合格の基準を出そうとしたわけでございますが、大変残念なことに、これはまさに原子力安全・保安院、そして私の経済産業省の時点での法律的な手続による合格証の発行ということでございますが、それではだめだ、国民に信頼をされないということでございますので、超法規的に安全委員会をかませてと申しましょうか、安全委員会のアドバイス、それから安全委員会との協議も行って、そしてさらに国民の理解を得るための努力をしなければいけない、こういう考え方でございます。

辻委員 今日の状況の中で、原発の危険性についてのチェックというのは、何重にもチェックをするということは基本的に正しいことだというふうに思います。緊急安全対策、シビアアクシデント対策に加えて、ストレステストで合格かどうかを決めるのも、これも政治の判断であり得べきことだというふうに思いますけれども、物事はやはり一人が何かツルの一声で語ってそれで決めていいものではなくて、それまでの各関係当事者を含むいろいろな合意形成、そこでの問題についての議論の状況、そして次はどういうふうにやっていくのかという予測可能性をお互い協議をして形成していく、そういう流れの中で政治の判断も下されるべきだと私は思います。

 そういう意味で、確かに現在の国民感情からすれば、脱原発の方向というのはそれに沿ったものであろうというふうに思いますけれども、段階的にその依存度を下げていくために具体的にどういうプロセスで、国民世論の形成を議論を通してどういうふうに進めていくのかという道筋が示されなければいけないというふうに思います。

 昨日の菅首相の脱原発表明というのは、国民の間でその点についての議論が煮詰まっていないだけではなくて、閣議の中でも議論が十分にはされていない。冒頭申し上げましたエネルギー政策の基本計画の昨年度の見直し、三年ごとでありますけれども、それは途中で見直してもいいわけでありまして、それについての議論を重ねていくということが重要だと思いますけれども、それを行わない。それで脱原発宣言というのは、これはだれでも言えることを言っただけのものであって、これでは政治家として責任ある発言ではないというふうに私は思わざるを得ません。原発の現場、被災地の現場にやはり足をきちっと置いて発言をし、かつ具体的な政治家としての対応をすべきだろうと私は思います。

 海江田大臣は、閣内において原発を所管する責任大臣として、三月十一日以降、最前線で体を張って頑張ってこられた。浜岡原発の突然の停止の話や、太陽光パネル、一千万戸にこれをつけるんだという話、これは海江田大臣を通り越して菅首相が突然語られたというふうに伝わっております。

 我慢に我慢を重ねてこれまで内閣の中で首相を支えてこられたと思うのでありますけれども、七月七日のときに、時期が来たら責任を自分もとろうというふうに思われたというのは、これまで我慢に我慢を重ねてきたものともっと質的に違うようなことがストレステストをめぐって起こったのではないかと私は思うわけでありますけれども、そのあたり、政治家としての御見解を伺いたいというふうに思います。

海江田国務大臣 我慢の限度であったんではないだろうかというお話がありましたが、ちょっと違うんですね。

 本当のことを言いますと、やはり玄海の岸本英雄という町長です。私は実際に伺ってお話をしたのはあの日が初めてでありますが、それまでにも何度か経産省にお越しをいただきまして、随分いろいろな話をしたんです。随分いろいろな話をしまして、そして岸本町長にとっても恐らく苦渋の選択だったと思うんです。ところが、私が行って、玄海の二号と三号、これは定期検査が終わって安全でございますからどうぞ再稼働してくださいということを言って、そして彼は私の言うことを信用してくれたんだと思いますね。だけれども、それが結果的にああいうことになって、彼の信頼を裏切った。もう少し平たく言うと、やはり彼に恥をかかせたということでありますよ。

 本会議の席で公明党の委員の方が、ルース・ベネディクトの「菊と刀」ですか、あれを引きまして、日本人というのは恥の文化だということを言っておりました。あの本は私も昔読みまして、自分でかいた恥というのは自分で恥をそそぐこともできますけれども、彼はいわば私に恥をかかされたわけでありますから、やはりそれは、だれか恥をかかせた人間が責任をとらなければ彼はその恥をそそぐことの一歩にはならないと思いましたから。それから、彼は佐賀の人間ですから、佐賀というのは御承知のように葉隠れ武士のふるさとでもありますから、そういうことをそんたくしますと、やはりだれかが責任をとらなければいけないと。

 それから、今の政治は、これはだれかを考えて言うことじゃありませんけれども、やはり本当に言葉が軽くなっていますよ。それに対しては、本当に何とかしなきゃいかぬなという思いは前からありましたから、そういうことでああいう発言をしたわけでございます。

辻委員 御自分の心境を、信なくば立たずという言葉で語られた場面があったと思いますけれども、原発の現場の方々の信頼関係を失うようなことを行っては政治は成り立たないということであろうと思います。そういう意味で、今、海江田大臣の御発言というのは、まさに政治家の原点を踏まえられた御発言だろうというふうに思います。

 ではどうするのかという話を考えたときに、五十四基既存のものがあって、新設予定のものが十五基あり、今、五十四基のうち稼働しているものが二十基前後だ、しかも、それは定期検査で来年のうちには一たん停止をしてしまう。そうすると、今とまっているものをどうするのかということを含めて、脱原発依存だという方向性で進むにしても、ではどうするんだ、どこからどう始めるのかということがやはり政治家には問われてくるわけであります。

 そういうことをよくよく考えられた上で、中期的、長期的にどういうふうにしていくんだという見通しも念頭に置いた上で、大臣として、玄海の原発の稼働要請ということで動かれたのではないかというふうに思いますが、玄海にまず要請を行われたというその判断の根拠というのはどういうものなんでしょう。

海江田国務大臣 先ほど申し上げました、三月三十日の緊急安全対策と、それから六月七日のシビアアクシデントに対する対策がとられたということがまず前提としてありますが、私はやはり現場に行って見なければいけないと思いまして、実は、先ほどお話のありました岸本町長あるいは古川知事との際、当初の日程には原発の発電所に行く予定は入っていなかったんですが、非常にタイトな時間でしたから短い時間でありましたけれども、私は、やはり一つは、この種の原発事故というのは、ヒューマンエラーということを言われますけれども、どういう人が原発の発電所の所長をやっているかということは、もし一たん何かが起きたときにどういう形で収束をするかということでは、大変重要な要素ではないだろうかと思いますので、とにかく所長に会わせてください、社長や副社長は別に来なくても結構ですから所長に会わせてくださいということで、余り時間はなかったんですけれども、少し言葉を交わして、どういう人かなということを私は私なりに見させていただいた。

 それから、各種のそういった緊急時の発電の装置、これは電源車でありますが、それが置かれているのも確認しましたし、さっきお話をしたポンプそれからホースがどこにあるかということも確認しまして、あそこは、行ってみますと、特に、ほかの発電所は海辺ですから海から水を引くわけですが、あの場合は大きな池がありまして、その池から水を引っ張ってくるとまさに淡水で炉の冷却ができるということもありました。

 それから、御案内のように、二号機、三号機というのは福島の原子力発電所と形が違いますし、それから、特に三号機は、まだ、それこそ経年もさほどしていない。一号機は、三十六年ぐらい経年しておりますから、比較的高経年の炉なわけでございます。

 それから、実際行ってみますと、その地形もわかります。それこそ浜岡や福島、太平洋岸の発電所と違って、それは、玄界灘、波が荒いということが言われておりますが、波が荒いのと津波が高いのとは、またこれは違うだろうと思いまして、そういった地震あるいは津波、これの発生する可能性なども、数字はありましたけれども、一応この目で見て、安全だというふうに思いましたので、私はそれでよろしかろうと思ったわけでございます。

辻委員 今の御答弁で、津波に対する危険性は一つの判断要素としてお考えになったと。また、地形とか、それから経年が高経年かどうか、もう三十年、四十年たっているのを再稼働するかどうかというのはやはりこれはまた判断が必要であるけれども、玄海の二号、三号機というのは十年、二十年以内であるという、それも判断要素とされた、そしてまた、地元の意向、受け入れる素地があるような、関係性があるという中で玄海をまず選ばれたということをお伺いさせていただいたと思いますけれども、やはり、段階的な縮小に向けて、大臣として、今おっしゃったような要素を含めて、どのような方向性でこれまで考えてこられていたのかということについて、御見解を承りたいと思います。

海江田国務大臣 ストレステストをやるということは私も賛成でございますので、これからはそういう形でストレステストが一つの基準になろうかと思いますが、今、辻委員は、これまでどう考えていたのかという質問でございます。

 私は、まず私どもの法律に基づいた安全基準があったところで再稼働をして、そして再稼働をしながらストレステストのような、私はストレステストということを最初の段階では使っておりませんでしたけれども、さらなる安全基準ということで、まさにこのストレステストに当たるようなものをやっていって、これはヨーロッパでやっておりますが、まさに動かしながらやっているわけでありますから、再稼働したものあるいは今現在運転中のものにもそういうさらなる安全基準をかけていって、そしてその中で、この基準から外れるものについては、あるいはストレステストの場合は余裕度ということでありますが、その余裕度に幅がないと申しますか、あるいは余裕度のないと申しますか、そういうものはやはりお引き取りを願うという形でやっていくのがいいのではないだろうかというふうに思っておりました。

辻委員 脱原発依存ということを考えるに当たっても、やはりエネルギー基本計画の見直しを多岐にわたる方面から重層的な観点で具体的に考えていくべきであろうと。何か一言物を言ったらそれで解決するというような話では全くないということだろうと思います。

 現地にも足を運ばれ、現地の、地域の責任者の皆さん方ともいろいろ話し合いを進められて、具体的な道筋も考慮しながらこの脱原発依存の方向性を進めようとされている海江田大臣こそ、私は、これからのエネルギー政策転換の最適任者だろうというふうに思います。

 そういう御期待をも含めて、このエネルギー政策の転換について、再生可能エネルギーの方向にシフトしていくべきだという議論がありますけれども、重点的にどのようなエネルギーに注目をしていこうというふうに考えておられるのか、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。

海江田国務大臣 これはまさにこれから議論をしていかなければいけない点でございますが、確かに、再生可能エネルギーの割合をふやしていくということは、これはもう一つの大きな流れになろうかと思います。

 それと同時に、もう一つやはり考えなければいけないのは、分散型発電といいますか、今度の問題でも、それこそ私なんかは東京の人間でございますが、東京の人たちというのは、まさに自分のところに原発は置かずに福島県にお願いをして、そして福島県で大量に電力を発電してそれを東京まで引っ張ってきて、東京だけじゃありません、一都八県でありますけれども、東京電力の範囲内でそうやって電力を消費しているということでありますが、やはりこれからは、よく地産地消というようなことも言われますが、分散型でそれぞれの必要に応じた規模の発電をして、そしてそれを消費していくという形にしなければいけないと思っております。

 あともう一つだけ言わせていただけますと、私は今まだ経済産業大臣という立場でありますから、省エネということも大切でございますが、やはり日本の経済全体のことも考えなければいけないわけでありますから、特に空洞化が起きる、あるいはそれによって雇用が失われるということ、このことは日本の経済だけじゃありませんで、社会にとっても大変大きな影響を与えますので、そういうことも考えて、しっかりとしたエネルギー政策をつくっていかなければいけない、そう考えております。

辻委員 太陽光発電のシェアを広げていくにしても、雨の日も曇りの日もあれば、夜は太陽光は照らないということでありますから、やはりそれをまとめて蓄電をするということが非常に必要だろう、各地域にその蓄電機能が、蓄電所ができるというようなことになれば、まさに電力の地産地消が実現するだろうと。

 そして、それがまた、リチウムイオン電池で日本のシェアが本当に圧倒的だったのが、今は韓国に追い上げられているという状況の中で、政府の側でも、いろいろ補正予算をつけていただいたり、予備費から出していただいたりとかいうことで、成長戦略的な観点からも、今大臣おっしゃった雇用拡大の観点からも、この蓄電池を初めとしたところの政策を強化するということが必要であろうというふうに私も思いますので、その点もぜひお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

新藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十分開議

新藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、たくさんの大臣に来ていただいております。手際よくやっていきたいと思います。

 事前に質問通告をしているんですが、官房長官が記者会見の都合があるのと、経済産業大臣、海江田大臣が、復興特がやっておりますので途中で退席ということでございますので、多少順番が変わりますので御容赦いただきたいと思います。

 まず、事業仕分けについてお伺いをしたいと思います。

 税と社会保障の一体改革も出てまいりましたし、政府の財政再建計画、プライマリーバランスを今後五年、十年間どうしていくのか、それにあわせて、東日本の大震災があり、復興財源といったものも捻出をしていかなければいけないと思います。いろいろ、さまざまなことをやりながら財源を見つけていかなければいけないんだと思うんですが、やはり王道は、歳出削減、不要不急な政策は予算を切っていくということだと私は思います。

 民主党政権が誕生して、事業仕分けというものが行われました。我が党の中では非常にこれを否定的にとらえている議員が多いですが、私は、自由民主党時代、無駄撲滅チームで、初めて国政に事業仕分けという手法を使って歳出削減に切り込んでいく。予算というのは既得権益化をしますし肥大化をしますから、かなり強力なツールでやっていかないと、なかなかこれはメスを入れられないということなんだと思います。

 今こそ私は事業仕分けをすべきだと思うんですが、今回の内閣改造で、専任で大分活躍されたんだと思うんですが、蓮舫大臣が外れた。官房長官が兼務だということで、官房長官は大変多忙だと思いますけれども、今回兼務をされた。どうも事業仕分けに民主党政権は飽きてしまったんじゃないかなというような思いをしておりますが、今回兼務をされた。今後、民主党として事業仕分けをどうしていくのか、今後の事業仕分けの予定はどうなっているのか、枝野官房長官にお伺いいたします。

枝野国務大臣 お待たせをして失礼いたしました。また、質疑の順番、御配慮いただきましてありがとうございます。

 事業仕分けを初めとする行政刷新の重要性ということについては、震災を受けてもいささかも変わりはなく、震災のための財源が必要になるということの中では、むしろ、より重要度が増しているというふうに位置づけているところでございます。

 たまたま閣僚の数との関係で今回私が刷新大臣を兼務することになりましたが、そして担当の副大臣役としては仙谷副長官が担当するということでございまして、補佐官という立場から行政刷新を今度新たに対応していただく蓮舫大臣を含めて、この二年間で担当させていただいた三人の大臣がそれぞれの立場でしっかりと強力に進めていくということで、もちろん専任でやっていただくことがより望ましいのかもしれませんが、そうしたことの中では、しっかりとこの重要度を踏まえた対応ができるようにという体制を組ませていただいているところでございます。

 そうしたことの中で、これまで行ってきた事業仕分けを踏まえた特別会計改革それから独法改革、規制改革などを着実に進める一方で、事業仕分けの一つの発展系としての行政事業レビューをしっかりと進めていく。震災直後、一たん停止をいたしましたが、しっかりとこれをやっていくということで、恒常的な仕組みとして再開をいたしました。これによって、事業仕分けの趣旨のかなりの部分のところは対応できるというふうに思っております。

 その上で、次回、事業仕分けのあの形式を行うかどうかということについては、この行政事業レビューの効果の状況を見ながら、また、これまでの事業仕分けの効果面と、それから若干の問題点があったとすれば、その検証も同時に進めながら判断をしていきたいというふうに思っているところでございます。

平(将)委員 蓮舫大臣ともいろいろな委員会で議論をさせていただいたんですが、今、与野党対立をしながら争って政権交代をしていく中で、例えば、対立をしている自民党、公明党のつくった予算を政権交代して切り込んでいく、これは意外と簡単な話なんです。

 私は、事業仕分けの真価が問われるのは、民主党政権がもし続くとしたら、私は続くと思いませんが、続くとしたら、民主党政権がつくった予算に対しても、外部の目を入れて、専門家の目を入れて、現場の目を入れて、霞が関や政治家と違った視点で切り込んでいく。これをやれば、私は、もうパフォーマンスではない、これは有効なツールだということをずっと議論させていただいたんです。

 そういった中で、行政事業レビュー、有効だと思います。私は、何回も蓮舫大臣に、行政事業レビューの事業シートをつくるということをぜひ閣議決定してください、そして、その閣議決定をしてもらえれば、その後、政権がかわっても、政府がやらないのであれば議会がやる、そういうやり方もできるので、そういうお願いをしてきたところであります。

 もう一つ大事なのは、私は日程化だと思っていて、毎年やるんだ、例えば概算要求が出てきたこの時期には必ず事業仕分けをやるんだ、その機能を日程化してビルトインをしていくというのが大事で、確かに事業レビューも大事ですが、それは各省庁が自主的にやるということですけれども、これもほっておくと恐らくマンネリ化をするんだと思います。

 そういった意味では、私は、政権交代をすると、下手をすると、事業仕分け、だんだんフェードアウトしてなくなるんじゃないかなという思いをしているんですが、私はぜひ日程化をしてもらいたいし、必要であれば、こういう行政監視委員会、決算委員会で、各省庁がつくった事業レビューのシートをベースにしてこういうところでも議論をするというのが大事だと思いますけれども、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 大変な後押しをいただいて、大変ありがたく思っております。

 御指摘いただいたうち、行政事業レビューにおける事業シートの作成、この事業シートの作成を含めて、行政事業レビューについては六月七日に閣議決定をいたしておりまして、これは単年度のことではなくて、毎年実施をしていく、それで毎年シートをつくっていただくということを閣議決定いたしました。

 その上で、行政事業レビューの公開プロセス、あるいは全体としての事業仕分けを日程的に恒常的に定例化していくということは、大変貴重な御提言だというふうに思っております。

 ただ、率直に申し上げますと、三月十一日の大震災を受けて、まずは各省ともこの震災対応に全力を挙げて、二カ月ほど、チェックというよりも、まずできることをどんどんやっていくというような状況でございました。

 そして、現在も、この行政事業レビューを実施していただくということは、これは納税者の視点からも、震災対応において各省大変多忙の中においてもしっかりやっていただくということを閣議決定いたしましたが、では、この公開プロセスや、あるいは事業仕分けそのものを今の状況のもとですぐにできるのかということになりますと、これは、刷新会議あるいは刷新会議事務局にとどまらず、各省に相当な事務作業の協力をお願いして実施ができるものでございますので、今の震災状況の優先度を考えたときに、今直ちに、いつ次回行って、そこから恒常化するということを申し上げられる段階ではないと率直に思っております。

 ただ、今の御趣旨は私もある意味同感でございますので、直ちには行えないにしても、どういった形で恒常的なシステムとして組み込んでいくのかということについての検討は、刷新会議とその事務局内において急がせたいというふうに思います。

平(将)委員 やはり、基本的に事業仕分けはパフォーマンスではないので、こつこつとやることが大事だ、私はそのように思います。

 それと、事業レビュー、各省やって、仕分け人を入れて同じようにやるんですが、そもそも各省の審議会だって、本来、有識者を入れて、そういう外の意見をいただいて方向性をつくっていくんだけれども、時がたつとどうもやはり役所のコントロール下に置かれるわけでありますから、各省の行政事業レビューをやればいいという話ではないと思います。

 蓮舫さんにも言ったんだけれども、余りパフォーマンス化をしないで、パフォーマンスととられると、この震災の後で何をやっているんだと言われるんですけれども、もうちょっと地道な作業をやるという発想で取り組んでいただきたいと思いますし、ぜひ委員長には、我々この委員会で、原発の事故調査のときに、有識者、参考人を呼んでのかなり自由な形での議論をさせてもらいましたけれども、各省から事業仕分けのシートが六月に出てきますので、こういうのをベースにして、この委員会でもそういう議論をしてみるというのをぜひ委員長の方でも御検討いただきたいと思います。

 枝野長官、もう結構ですので、どうぞ。

 それでは、ちょっと順番を変えまして、海江田経産大臣にお尋ねをいたします。

 東電の賠償スキーム、これから後も復興特別委員会で河野太郎さんがお待ちになっているので、早目にお渡しをしたいと思いますが、私は、会社の経営とかしてきまして、今回の賠償スキームはやはりすごい違和感を感じます。

 今回出てきたスキームで、もう大臣は何回も説明をされていると思いますが、余り下手なことは言えませんけれども、賠償の債務はどんどん膨らんでいくんだと思います。そのときに、やはり株主、債権者、経営者、それがしっかりと責任をとった上で、国が足りないところを助けていく。もしくは、被害に遭われた方に対して、東京電力だけではどうもお金が足りないというところは、それは政府がサポートをしていくべきだと思います。

 政府が示されている今回のスキームを見ると、どうも株主、債権者、経営者に対する責任のけじめのつけ方が不十分だと思いますけれども、その辺は、大臣、どうお考えですか。

海江田国務大臣 平委員にお答えをいたします。

 まさにその点が、私どもも大変留意しなければいけないという点でございまして、今、株主、債権者の例が出ましたけれども、それと例えば、私どもが優先をさせなければいけない、原子力事故によって損害をこうむった賠償の権利のある方々を、債権が保護をされる順番を考えますと、それこそ会社更生法などでは電力債を買っていた方が一番最後になってしまうということでございまして、やはりこれはおかしいのではないだろうかということで、私どもとすれば、あらゆるステークホルダー、この中には株主も入ります、それから債権者、この債権者は融資をした債権者もございますし電力債などを買っておる人たちも入りますが、まずそういったステークホルダーに応分の協力をしていただく。

 ただ、これはあくまでも民民の関係でございますから、ですから、どういう協力がありましたかということをやはりしっかりと報告していただくという形で、今委員も御指摘のありました、まず被害に遭われた方々の賠償を優先させなきゃいけないということをそういう形で担保しようと思った次第でございます。

平(将)委員 よく言われるのが電力債ですよね。社債は、担保つき社債ですから、今避難をされていたり原発の事故で経済的な被害をこうむった人に対する賠償の債権よりも上位に来るということでこのスキームだというんですが、それは担保がついているものはしようがないですよ、そのとおりにやらざるを得ないので。しかしながら、やはり、東電が責任をしっかりとって、そして法律の法的整理で本来では責任を問われる順番にしっかりと責任をとってもらった上で、足りないところは政府が出すということは当然だと思うんですね。

 これは政府のスキームでいくと、今言ったロジックでいくんですが、結局は、ステークホルダーといいますけれども、多分それは社債を保有している人間とか銀行のことをおっしゃっているんだと思うんですが、この間枝野さんとも議論しましたけれども、何の法的根拠もないのに債権放棄しろというようなことになれば、どういうルールでこの国の経済は動いているんだという不信感にもつながると思うんですね。

 私は、会社更生法を適用して企業再生機構か何かを担い手にして再生をさせる、一時国有化をして整理整頓をする。一時国有化をすれば資金繰りの心配も出てきません。何でこういうオーソドックスな処方せんをやらないのか、その理由がいま一つわからないんですけれども、もう一回説明してもらえますか、大臣。

海江田国務大臣 今お話をしました、電力債を購入している方々というのは損害賠償の債権者よりも優先をされるということは、これはまさに会社更生法の順番でございますので、その意味では難しかろうということになりまして、では、例えば金融機関が貸している、まあ、この場合、貸し手責任というのは余り合う言葉かどうか疑問でございますが、そういう意味での債権者の責任はどうなのかということでございますが、これも、いわゆる債権放棄だとかいう話の前に、例えば、では金利はどうなるのかとか、いろいろな順番があろうかと思います。

 それを今、政府の側がこうしろああしろということではなしに、そこはまさに民民の関係でお話し合いをいただいて、そしてこういう結論になりましたよということをはっきり、これは報告をするということは公表をするということでありますから、それを通じて、やはり多くの国民の皆様方が納得ができるのかあるいは納得ができないのかということも、それからのプロセスとして明らかになってこようと思っております。

平(将)委員 そうすると、ずるずるの関係で、甘い話が出てきたら、この救済スキームは進めないということでよろしいですか、大臣。

海江田国務大臣 今、甘い話がという少し抽象的なお話でありましたけれども、やはり国からの援助を受けるに当たっては、当然のことながら、そうした計画を出さなければいけないということになっております。

 そして、その計画をしっかりと、デューデリでございます、今はまだ機構の法律も成立をしておりませんから正式なデューデリジェンスではございませんが、プレデューデリともいうべき、会計の専門家でありますとか、あるいは法律の専門家でありますとか、企業再生の専門家でありますとか、そういう方々がもう既にプレの段階で入っているわけですから、そういう方々がしっかりとチェックをする、そういうものだと考えております。

平(将)委員 一番の違和感は、株主は、株ですから、当然リスクを頭に入れて株を購入していると思うんですね。確かに、東電というのはつぶれないだろうと思っているし、配当も多いねと思っているかもしれませんけれども、あくまで民間会社の株ですから、当然リスクを認識して株を持っているはずです。

 今、貸し手責任という言葉がどうかと言いましたけれども、銀行も、たとえ東電といえ、どこの企業でもそうですね、デフォルトする可能性も意識しながら融資をしているのは当たり前の話ですね。社債も、担保つきですからかなり守られてはいますが、その中でリスクはゼロではない。これは当たり前の話であって、本来、リスクを認識しているステークホルダーと、そういうリスクと全く無縁のところにいる電力の利用者もしくは国民というのがあれば、当然、株主、銀行などの貸し手、あと、法律上担保がついている部分は優越するのは当然としても、社債、そういうのをしっかり整理をして、けじめをつけてから国が出ていくというのが当然だと思うんですね。

 でも、政府のスキームはそうなっていませんよね。ここの違和感は多分国民はぬぐえないと思います。どうですか、大臣。

海江田国務大臣 例えば、株主につきましても、これは、株を持っていることによる、受けるいろいろな権利と申しますか、ございますね。例えば、株が値上がりをしたとき、それを売ってキャピタルゲインを得るというのも株を持っている大変大きなメリットになろうかと思いますが、他方、配当というものもございます。特に、電力株などの場合、比較的高齢者の方々が買っておるというような事実もございまして、そういう方々の動機というものを聞いてみますと、それはやはりかなり安定的な配当というものを期待していたわけでございます。

 ところが、今回のような事故が発生をしたことによって、しかも、東京電力が最大限のリストラをやって、そしてその中で、賠償金の支払いをやる、資産の売却もやる、それから利益が出た場合はやはりそれもしっかりと賠償に回していく、あるいは本当に安全確保のための設備投資に回していくということになりますと、この配当も、実質的には、これからかなり長期にわたってほとんど配当が出ないということもあろうかと思います。

 それからもう一つは、優先株などということも言われておりますが、優先株が発行されることによって、結果的に、株の一株当たりの権利がございますが、これが希釈をされるというようなこともございまして、株主の責任ということで、すぐ減資だというようなことを考えられる方もいらっしゃいますが、そこへ至るまでの間にいろいろなプロセスがございます。

 そうしたプロセスを、着実にと申しますか、やはりそれは順番があろうかと思いますから、それをどういう形で、東京電力と株主との間でそういう話し合いがあって、それが現実に行われたかということを一つ一つしっかりと明らかにしていって、そして国民の方々の御理解を受ける、こういうことになっております。

平(将)委員 全然説明は納得がいかないんですけれども。

 それは、高齢者が株を持っているか持っていないかなんか関係ないですよ。結局、株はリスクをとって買っているわけですから。かなりリスクは少ないという意識の中でやっているでしょうけれども。でも、ツケ回しされる国民や利用者は、全くそういうリスクの判断をしないままに、結局、電気料金で高くなって、負担をせざるを得ない。それは、東電が経営努力でやるといいますが、電気の料金はたしか東電が勝手に決められないと思いますよ、政府がこのぐらいの値段でいいでしょうと許可しなきゃできないでしょう。

 二千億だ、三千億だと利益が出てくるのであれば、本来は電気料金を下げておけばよかったという話なんですよ。ですから、そこも全部コントロール下であって、問題を顕在化させないまま、株主や債権者や銀行や経営者の責任を顕在化させないまま、うやむやにできるスキームなんですよ、やろうと思ったらできますよね、うやむやに。そして、何年かの間、ずっとちょこっとずつ、リスクをとる決断を何もしなかった人たちに負担をさせるスキームじゃありませんか。

 会社更生をして、一時国有化をして、しっかり整理整頓をして、そしてまた前向きにスタートをしていこう、足らざるところは国家がしっかり担いますよ、今ある機構で。これで何が問題なんですか。これが問題だというわかりやすいものを、余り時間もありませんので、ちょっと短く答弁ください。

海江田国務大臣 先ほどもお話をしたつもりでございますが、やはり、守らなければならないのは、今度の原子力の事故によって被害を受けた方々に対する賠償責任をしっかり果たすということ。それから同時に、今現場で働いている、これは関連会社というんですか、あるいはゼネコンなどは、関連会社という関係がなくても、事故の収束に向けてまだ一生懸命働いている方々がいらっしゃるわけでありますから、そういう方々に対する支払いがしっかりと行われるようにということは、やはり私は、今の段階では、何物にも増して優先されるべきではないだろうかというふうに思っております。

 先ほどの株主の話も、配当の一例として申し上げたわけでありまして、決してお年寄りがいるからこれを配当しなければいけないなどと言ったつもりではございませんで、そういう例で、お話をなるべくわかりやすく、皆様方の御理解をいただけるように話をしたつもりでございますが、また、これは委員会でもございますので、ぜひ復興特の方でも御議論いただければ幸いでございます。

平(将)委員 時間も余りありませんけれども、今大臣がおっしゃった、被害を受けた方に対する賠償責任を果たすのは当たり前ですよ。東電ができなければ、足りないところを国がやるんです、当たり前です。あと、現場で頑張っている人たちも守らなきゃいけません、これも当たり前です。

 しかしながら、株主や銀行や、債券は担保つきですから制限はありますけれども、こういう人たちはしっかり責任をとってもらう。不安を起こさないように一時国有化をする。その前にはちゃんと法的整理をして、一時国有化をして、やって何の問題もないじゃないですか。

 さらに言えば、百歩譲って政府のスキームでやるとしたら、ほかの原子力発電を持っている電力会社に負担させるというのも、これも何か後づけの話だし、さらに言えば、百歩譲って、資金繰りが間に合わないから東京電力に機構からお金を出しますというときはいいかもしれないけれども、出資をするとなったら、それは出資のときは一時国有化ですよ。

 トリガー条項をつくって、ちゃんと国が責任を持って整理整頓をしますということをやらなければ、これはだれも責任を持たないまま、ずっとずるずるいけるスキームなんですよ、わかっていると思いますけれども。やろうと思えばいろいろなことができますねと経産省の方は来られたけれども、それはやろうと思ったらできるけれども、やる気がなければずるずるいけるスキームなんですよ。

 これはまた、この後河野さんが多分やられるでしょうから、次の委員会で話をしたいと思います。

 大臣、あともう三、四分しかありませんが、古賀さんのお話をちょっと伺いたいと思います。

 古賀さん、何かあしたまでにやめろと言われているというふうに聞いています。これは、古賀さん個人の問題というよりは、彼はかなり公務員制度改革とか天下り規制を一生懸命やってきた官僚だと思いますし、私、こういうことがあったんです。この間、NHKのテレビ入りの予算委員会で天下りのことをがんがんやったら、ニューオータニのエレベーターで元事務次官の人に会って、平さん、ひどいじゃないですか、何でああいうのをテレビで言うんですかと食ってかかられたんです。それで、あれを書いたのは古賀ですかとその人は言っていましたよ。随分この人は嫌われているんだなと思いましたが、好き嫌いで役人を首にしていたら、役人も言いたいことを言えなくなると思います。

 古賀さん、退職勧奨となっていますけれども、その理由、法的根拠、これは何ですか、大臣。

海江田国務大臣 まず、人事の権限は私でございますので、きょうまでとかあしたまでとかいうことではございません。それは誤解のないようにおっしゃってください。

 それから、今、エレベーターでどなたかがおっしゃったということですが、これも私はあずかり知らぬことでございまして、気に入る、気に入らないという話ではございません。

 やはり本来でしたら、それは勧奨退職というものはない方がいいということは民主党の全体の確認事項でございますが、その場合はやはり定年退職までしっかりと公務員の方々がいられるというようにしなければいけないということがございまして、そこへ至る過渡的な存在として退職勧奨ということも、今、万やむを得ないかなと思っております。

 その上で、これはあくまでも勧奨でございますが、やはりその目的というのは、人事の刷新と申しますか、人事の停滞、より効率的な人事を行うということから、そういうことをまれにやるわけでございます。

平(将)委員 人事の刷新でやめろ、退職勧奨しろということなんでしょうけれども、今の答弁、ちょっと納得いかないですね。

 結局、この古賀さんというのは、公務員制度改革を一生懸命やってきて、どうも民主党の公務員制度改革は後退しているんじゃないかと。それを、委員会で参考人で来られたときに、仙谷官房長官が、こういう場であんたが出てくると、あんたの将来に傷がつくよと。恫喝発言といって問題になりましたね。恫喝されたとおりになっているんじゃないですか、恫喝されたとおりに。恫喝して、結局、やめろでしょう。これは私はおかしいと思いますよ。政権に対して批判的なことを口にしたらやめろと。これだと、公務員の中立性も担保できないし、言いたいことも言えない。私、停滞すると思いますよ。

 これは撤回すべきだと思います。大臣、一言最後に言っていただいて。

海江田国務大臣 政権に対して何か気に食わないことを言ったからなどということは、私はそれこそ毛頭考えておりません。

 それで、私は、そういう私の意向を次官を通じてその職員にお伝えをしてございますが、職員もいろいろなことをおっしゃりたいでしょうから、ぜひ私のところに来てお話をしてくださいということは言ってありますので。

 ただ、私も今こういう状況で、なかなか役所にいる時間が大変短いですから、あしたまでなどということは言っておりませんので、そこはいつでもお越しいただいて、そしてお話を聞くつもりがございます。そのことをお伝え申し上げます。

平(将)委員 話を聞くなら、退職勧奨をする前に聞かなきゃだめだと思いますね。処分を決めてから、処分というか、そういうのを決めてから話を聞くというのもちょっとおかしな話だと思います。

 時間ですから、大臣、どうぞ。ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 放射性物質を含む汚泥の肥料利用についてということでありますが、先般、新聞報道で、下水処理施設の汚泥の件で記事が出ておりました。私も大田区なんですが、大田区の地元で、汚泥から高レベルの放射性物質が検出されたというような出来事もあって、特に子供を持っているお母さん方がかなり神経質になられております。

 報道によると、農水省は、下水処理施設などの汚泥から放射性物質が検出されている問題で、六月二十四日、汚泥を肥料として広く流通できる放射性セシウム濃度の基準を一キロ当たり二百ベクレル以下と定めて、福島県などの十五県に通知をした。また、平成二十四年度までの特例措置として、一定の地域内で集めた汚泥をその地域内で流通する場合に限り、農地土壌のセシウム濃度より低ければ、同じく千ベクレル以下でも利用できるとしたということであります。

 これは大分不安が広まっていて、原発の事故の周辺地域は当然放射能が高くなるわけでありますけれども、気にする人は、そうじゃない西日本の方から野菜を買ったりとかいう人も中にはいるんです、それがいいかどうかは別として。これが、この報道を見て、放射能に汚染をされた汚泥が肥料になって全国に流通するのか、では、どこから私たちは野菜を買えばいいのかという不安の声も上がっています。

 今回のこの農水省の対策というか、これについて、大臣から、簡単で結構ですから御説明をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 ただいまの、いわゆる下水道等の汚泥が肥料原料として利用されていることから、非汚染農地への放射性物質の広域拡散というものを防止する、こういうふうな観点から、汚泥中の放射性セシウム濃度が二百ベクレル以下のものに限り肥料原料として利用を認めるということにいたしたところでございますが、これは、二百ベクレルは、汚泥肥料を長期施用しても事故前の農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲におさまる水準だ、こういうふうなことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

 また、集落排水汚泥などの地域内で利用されているものにつきましては、汚泥中の放射性セシウム濃度が農地土壌の放射性セシウム濃度よりも低く、かつ千ベクレル以下のものであれば、特例として地域内の利用を認める、こういうふうにしたところでございますが、この千ベクレルは、原子力安全委員会が定めた施肥作業時の外部被曝の安全基準を考慮したものでございます。

 仮に、放射性セシウム濃度が二百ベクレルの汚泥を利用した汚泥肥料を原発事故以前の平均的な放射性セシウム濃度の農地土壌に施用した場合、米の移行の指標の〇・一というものを用いますと、一〇%移行するということを用いますと、玄米の中の放射性セシウム濃度は三・〇ベクレル程度でございます。この値というものは、食品衛生法上の暫定規制値の五百ベクレルと比べて極めて小さく、農作物の安全性が大きく損なわれるということはない、こういうことでございます。

平(将)委員 知らない人が見ると、高濃度の汚泥がたくさん出ていますね、あれが肥料になって全国に出回るのかという印象を受けるんだと思うんです。今の大臣の説明だと、二百ベクレルというのはかなり低い数字で、今ニュースになっているようなものは当然そこには入ってこないんだということだと思いますので、しっかりとまたそれも広報していただきたいと思います。

 あとは、そこまでやるかどうかですけれども、やはり、地域の方々とお話をしていると、かなり神経質になっています。汚泥を利用した肥料のマーケットの規模を聞いたら、それほど大きくないんですよ。ですから、この際、原発が収束して世論が落ちつくまでは一たんこういうのを流通をとめるとか、そういう措置も考えてもいいのかなと思いますので、ちょっと意見として言わせていただきます。

 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 次は、順番を変えまして、貸金業法の改正についてちょっとお話をさせていただきたいと思いますが、お手元に資料を配らせていただきました。

 実は、貸金業法改正をして完全施行から一年がたったんですが、かなり無理筋というか、多重債務者の問題を解決するのに、本来社会保障で対応しなければいけないところを、金利をがんと抑えて、総量規制まで入れて、そういう経済政策で対応したという、かなり無理な政策であった。これは自民党時代に成立をして、民主党政権下で完全施行されたわけでありますけれども、かなりマーケットがゆがんでおりますので、これを直さなければいけないだろうという問題意識を持って、超党派で勉強会をやってまいりました。八回ほど勉強会をして、この間、中間取りまとめを出しました。

 民主党は、樽床さんとか田村謙治さんとか、参議院の藤末さんとか大久保さんが入っています。自民党は、私、河野太郎、竹本直一さん、平沢先生、そのほかにも、公明党の遠山先生や、みんなの党、たちあがれ日本など、比較的金融に詳しい先生方が入っている勉強会でございます。

 これについて少しお伺いしたいんですが、実は、中間取りまとめをする前の六月二十七日に、貸金業法改正完全施行から一年たちました、金融庁は現時点で制度について見直すべき点はないと結論づけたといった報道がありましたけれども、これはどのような分析に立ってそのような結論に至ったのか、自見大臣にお伺いいたします。

自見国務大臣 平議員にお答えをさせていただきます。

 今先生御指摘のように、これは自民党の時代に多重債務者の問題が大変大きな社会的問題になりまして、当時、与謝野金融大臣だったと思いますけれども、おまとめになられまして、山本大臣のときに公布、そして渡辺大臣のときに施行ということで、これは一段階、公布、施行、二年半以内に完全施行が、昨年の六月十八日、御存じのように施行されたわけでございます。

 改正貸金業法の完全施行に際しまして、私が大臣になって何日か後でございましたけれども、大変社会でも大きな問題になったものでございます、全会一致ということで国会を通過したわけでございますけれども、やはり細心の気配りが政治家として要る、こう私は思いましたので、改正貸金業法のフォローアップチームというのを施行したすぐ後につくらせていただいて、きめ細かいフォローアップをやらせていただいたと思っております。

 その一環として、関係者へのヒアリング、利用者への意識調査等の実態把握に努めてきたところでございますが、これによりますと、多重債務相談所を含む貸金業またはやみ金に関する相談は、改正貸金業法の完全施行以降落ちつきを見せておりますし、日本信用情報機構によれば、貸金業、五件以上無担保無保証借り入れの残高がある人の数は、多重債務問題が問題になった平成十九年と比べて減少している。具体的には、平成十九年三月では百七十一万人おりましたが、平成二十三年の三月で七十万人と、約百万人近い減少だということも、これは一つのメルクマールでございますが、そういったこともございまして、平成十九年と比べて減少している、こういったことではないかというふうに認識をいたしております。

 こういった現状を踏まえて、当初懸念されたような深刻な状況には陥っておらず、現時点では制度につき見直すべきではないというふうに今の時点では考えています。

 ただし、金融庁といたしましては、今後、実態把握をしっかり進めながら、貸金業の貸し手、借り手の状況をよくフォローアップしてまいりたいというふうに思っております。

平(将)委員 時間がないので、こちらからいろいろお話をさせていただきたいと思います。

 まずは、グレーゾーンというのは、大臣御承知のとおり、利息制限法より上、出資法より下ですね。小口の金融、個人の金融、短期の資金繰りはそこでやっていました。それは二十兆円のマーケットがありました。ある日突然、国が、これは違法だといって禁止をしてしまった。では、この二十兆円がどこに行くんですかという話なんですね。大きな規模ですよ。

 今大臣もおっしゃられましたけれども、この新聞記事によると、東金融担当副大臣は、貸金業ややみ金に関する相談は減っている、自殺の理由に占める多重債務者の割合も減少しているというふうに言っておりますが、多重債務者は減るんですよ。なぜなら多重債務ができないようになっているから。当たり前なんですよ。でも、借りられなくても、借りられないから返済困難者が減ったのかといったら、全く減っていないですよ。多重債務者は減るんです。法律をつくったから当たり前なんです。多重債務できないんですから。でも、返済困難者は減っていません。

 それと、よく話に出るのは、多重債務原因の自殺者が減りましたねと言うんですね。それはそうですよ、多重債務できないんですから。しかしながら、多重債務の自殺者は減りましたが、生活苦で自殺する人はふえていますよ。さらに言えば、こういうことをやると、金融から借りられないから、業者から借りられないから、友達や親から借りてトラブルになるんですよ。親子関係の自殺もふえています。家族関係の自殺もふえていますよ。

 だから、そういう木を見て森を見ないような政策をやっちゃだめなんですよ。二十兆円、お上がだめだと言ったんだから。だから、もうちょっとちゃんとやってくださいよ。

 自見大臣、いいことを今からお話ししますので、金融庁へ帰ってよく話をしてください。

 金融庁は、金が借りられないときあなたはどうしましたかと。やみ金に行った人間は減っていると言うんですよ、金融庁は。こういう数字を出しているんだよ、やみ金。法律が完全施行の前は、やみ金に行ったというやつは三%だった。でも、その後、完全施行した後には〇・三%になった。その半年後には二・一%になったというんですね。

 確かに、三%から比べれば〇・三というのは激減ですね。しかし、私、もう金融庁とか役所は当てにならないんですよ。警察も金融庁も、多重債務者の自殺は減っています、では周りを見せろと言ったら、周りはふえているわけですよ。今回だって、やみ金から金を借りたのは、三%が〇・三%になった、十分の一になった。

 私、金融庁に言って、資料を取り寄せましたよ。そうしたら、質問項目が違うじゃないですか。三%のときは、過去三年間でやみ金からお金を借りた人はいますかと聞いているんですよ。そうしたら三%だった。その次の調査では、完全施行をしたのが六月です、そのわずか五カ月後に、完全施行になってからやみ金からお金を借りた人はいますかと聞いているんですよ。わかりますか。三年間でやみ金に手を出したやつは何%いるかと前回聞いているわけですよ。その後、完全施行をしてわずか五カ月後に、この五カ月間でやみ金に金を借りた人は何人ですかと聞いているんですよ。こういうことを平気でやるんですよ、大臣。

 結局、結果三・〇が〇・三、当たり前じゃないですか。三年間と、わずか五カ月ですよ。その後、翌年の四月、完全施行から十カ月たったときは、二・一%、ふえているんじゃないですか。一年もたっていないのに。その前は三年間で三%だったんです。今度は十カ月でも二・一%までいっているんですよ。こういういいかげんなことをやって、自殺者は減った、やみ金に手を出したのは減ったと。

 この間、うちの勉強会で警察が来て、やみ金全然ふえていません、先生方は何かそうやって言うけれども、思い過ごしじゃないですかみたいなことを言っていましたけれども、おとといのNHKニュース、七人のグループが五千人に対して五億円の違法貸し付けをしていたと出ていますよね。警察は何をやっているんだという話ですよ。これを氷山の一角だと思っているんですか。

 だから、多重債務はなくなるんですよ、法的仕組みで金借りられないんだから。それと、世界では当たり前の金利を取っても日本では違法なんだから、本当におっかないやくざがやみ金をやっているんじゃないんですよ。しかも、金を借りた方も、今まで世界で当たり前の金利で金を借りているんだから、やみ金を恨んでいないんですよ。ああ、貸してくれてありがとうございましたと思っているんですよ。そういうところを直視しないで、よくもまあ、何でもありません、何の問題もありませんということを出してきたなと思います。

 そういった中で、超党派で、弁護士の方々も勉強会をやられるそうでありますが、ちょっと我々の中間取りまとめを見ていただきたいと思います。ちょっと冷静になって議論をしたいと思います。

 やはり上限金利は、金利とリスクは当然比例しますから、ですから、金利をがっと抑えれば、資金の供給が減るのは当たり前。そして、小口、短期、こういったものは、ある程度金利を取らないと資金は供給ができません。ですから、私たちは、冷静な議論をして、世界標準並みにしましょうということで、全銀協TIBORプラス二五%、インフレになったりなんかするとまた条件が変わってきますから一定にはしないけれども、TIBORプラス二五%にしましょうと。

 二番目の、総量規制、これは撤廃しましょうということです。これも、何で所得の三分の一にしたんですかという話をしたら、あるシミュレーションをして、これなら返せるからといって三分の一に決めたという説明を受けました。しかしながら、アベレージを上限にするなんてとんでもない話ですよ、その人はフローだけ見たってわからない話ですから。ですから、こういう、国民全体を禁治産者扱いするような法律は、私は全然ナンセンスだと思います。大きなお世話ですよ。ですから、こういうのは撤廃をしていただきたいと思います。

 そして三番目には、カウンセリング制度。実際、カウンセリングは余り有効に機能していません。なぜなら、カウンセリングに行くと、過払い請求をやってくれる司法書士と弁護士を紹介してくれるだけなんですよ。そうじゃなくて、その人の生活態度とか金銭に対する意識とかメンタリティーとか、そこに問題があるわけですから、それは新たな制度をつくる必要があると思います。

 そして、その他の要改善事項というのが、これは大きくなったんですが、議論をしていく中で、やはり各議員から物すごく問題が提起をされました。

 過払いは、この五年間ぐらいで三兆円、貸金業者からクライアントに戻っているんですね。これは別に構わないですよ。そうすると、弁護士、司法書士の、アベレージでいくと大体報酬は三割強ですから、三兆円の約三割として、約一兆円が弁護士、司法書士の報酬になっているんです。これも、ルールどおりやっていれば何の問題もありません。

 しかし、この財政逼迫の折、国税庁、二〇〇九年六月に調査しました、一年間。過払い訴訟の代理人を務めた弁護士や司法書士八百名のうち、約七百名が申告漏れをしていましたねということなんですよ。弁護士ですよ、司法書士ですよ。

 国税庁を呼んで、これはこの後どうなったんだと言ったら、調査していませんと言うんですよ。一兆円の金が業界に行っているんですよ。八百人のうち七百人が申告漏れをする人たちですよ、業界ですよ。ここをしっかりやって税収を上げなくてどうするんだということで、国税庁に対しては、引き続きちゃんと調査しろと。

 日弁連は日弁連でしっかりやっているでしょうけれども、これに対しては、監督権がないんですよ、弁護士は自治だから。調べようがないんですね。私たちはちゃんとやっていますと、弁護士に頑張ってもらうしかないんです。だから、これはちゃんと説明責任を果たせと。

 司法書士は、法務省が監督しますから、ちゃんと監督してくださいと。そのかわり、過払いのたぐいはもう司法書士さんやってくださいという手もあるかもしれません。

 そして、これは参議院でも附帯決議になりましたが、過払い請求をやって貸金業者からお金を取ります、それをクライアントに払うときにいろいろなトラブルが起きる。だったら、クライアントに直接支払うようにしなさいと。

 それと、今、ばんばん広告を打って、社員を雇ってコールセンターみたいなことをやっているんだけれども、本来弁護士がやらなきゃいけないところまでもそういうアルバイトや何かにやらせているんじゃないかという非弁行為も問題になっているので、実態調査をすべきだというふうに思います。

 そこで質問をさせていただきますが、まずは、国税庁、もしくは財務大臣、一兆円のお金が行っているところがこんなにずさんなことをやっていて何で調査しないんですか、二〇〇九年六月にこれが出て。これは引き続きやっていただきたいと思いますが、どちらでも結構です。では、国税庁さん、お願いします。

田中(一)政府参考人 お答えをさせていただきます。

 二つ論点がございまして、一つは税務調査を実際にやっているかやっていないかという論点、もう一つは、その行いました税務調査の内容を公表するかどうかという論点でございます。

 今先生から御指摘のありました内容でございますけれども、平成二十年の七月から平成二十一年の六月において行いました調査につきまして、当時、社会的に非常に関心が高い事項ということで、一般的な一年間の所得税とか消費税の調査の状況を発表いたしますときに、参考資料として公表をさせていただきました。

 その後、当然、毎年毎年税務行政を行っているわけでございますが、その中で、税務調査を実際に行ったかどうかという話をしているわけではございませんで、公表の内容について、毎年同じ業界のデータを公表する、そういう手法をとっていないということでございます。

 実際に税務調査をするかしないかというのは、これはもう私ども、常に課税上有効な資料情報の収集に努めておりまして、それは業種、業態、あるいはどういう方かを問わず、課税上問題があると認められる場合には、これは厳正な税務調査を行うことにしておりまして、そこは適正、公平な課税の実現というのは本当に大事だと思っておりますので、今後とも、このような基本的考え方に基づきまして、適時適切に調査してまいりたいと考えております。

平(将)委員 そのとおりなんですが、一回国税庁さんが二〇〇九年六月に発表したのは衝撃的数字なんですよ。弁護士の人というのはちゃんとやっていると思っているんですから、世の中の人は。しかも、一兆円の資金が数年間である業界からある業界に行くというのも、これも歴史的にほとんどないようなことなんです。ですから、このままいったら弁護士の信用は地に落ちますよ。一回やった以上は、どこかで同じようなことをやって、改善されましたというのを出してもらわないと、どうにもならないと思いますよ。

 これは、今、弁護士はこういう状況ですが、法務大臣にお伺いします。江田大臣、弁護士業界はこういう状態なんですよ。今、検察がぼろぼろで、これで弁護士も信頼を失ったら、司法は崩壊しますよ。大臣、コメントをお願いします。

江田国務大臣 弁護士というのは、弁護士法上、人権の擁護と社会正義の実現を使命としているわけでありまして、しかも、委員先ほど御指摘のとおり、法務省が監督する、そういう立場になっていない。まさに弁護士自治、弁護士お一人お一人、あるいは所属の弁護士会、さらに日本弁護士連合会、こういうものがしっかりとこの規律を守っていく、そういう仕組みになっておるのでありまして、弁護士の皆さん方の自覚、これは本当に大切。

 そういう弁護士が、今、八百人中七百人ということを御指摘になりましたが、それがどういう事実であるかは別として、そういう状況にある、これは事実だと思います。まことにこういうことはあってはならぬことだ、強くそう思っております。

 法務省は、弁護士さん方の弁護士法というものを所管しておりますが、監督する立場にはありませんが、監督する立場の弁護士会あるいは日弁連とよく協議をしながら、必要な助言等はしっかり行っていきたいと思っております。

平(将)委員 本当に高い倫理観が要求されるんですよ、弁護士の先生は。だから信頼があるんですよ。でも、そうなっていないところがある。だから、国家の機能として自治を認めなきゃいけないのはわかります。しかし、普通のビジネスと同じようなビジネスをやっていて、そこで倫理が崩壊をしているということでありますから、これがこのままいくのであれば、ちょっと何か考えなければいけない。

 あと、非弁行為もありますね。これも調べようがないですね、監督官庁がないから。でも、それをいいことにしていませんかということだけ指摘させていただきたいと思います。

 それでは、与謝野大臣、大変お待たせをして済みません。

 社会保障と税の一体改革で、あと残り少ないんですが、先般、与謝野大臣、大変御苦労されて社会保障と税の一体改革を発表されました。私が衝撃を受けたのは、ほとんど自民党、公明党の政権のときにやったものが出てきただけじゃないかと。

 民主党は、七万円の年金を税方式でやるとマニフェストに書きました。さっき大塚副大臣がそれは将来的な話だと言いましたけれども、マニフェストを見たら、普通の人は、ああ、もらえるのかなと思っています。しかも、あれは平成二十四年もしくは二十五年までに制度設計をして、法案化をすると言っています。今回、与謝野大臣が出された社会保障と税の一体改革は、当然そこまで視野に入っていますよね。それで、この中には何も入っていないんですね。

 ですから、そういった中で、与謝野大臣、まず、これはほとんど自民党案だと私は思います。それと、与謝野さんは民主党の政治家ではありませんが、民主党を中心とした内閣の閣僚として、マニフェストとの整合性をどう考えているのか。大臣、お願いします。

与謝野国務大臣 この案は一晩にしてできた案ではございません。福田内閣時代の社会保障国民会議の考え方、また麻生内閣時代の安心社会実現会議の考え方、また、参考としては、公明党が出されました福祉に関するビジョンももちろん我々は読んだ上で、いろいろ物事を考えたわけでございます。

 したがいまして、やはりそういう積み重ねの上でできた案でございまして、似ているじゃないかと言われれば、この種の問題は、だれが考えても、現実的に可能な案をつくろうと思いますと、大体同じところに落ちつくのではないかと思っております。

 民主党は数々のマニフェストで国民にお約束をしておりますが、私としては、今回の案は、民主党のマニフェストに触れているところは一つもない、そう思っております。

平(将)委員 そこまで答弁されるとはちょっと想定をしていなかったですね。

 そうなんですよ。我々政治家は、国家のマネジメントですよ、歳入と歳出、それと資金繰り。やりたいことはいっぱいあるけれども、現実の資金繰りを直視して、何ができて何ができないのか、本当はこのぐらいやりたいけれども半分ぐらいしかできませんね、そういうことを我々は国家の取締役として期待をされているんだと思います。

 ですから、与謝野大臣おっしゃるとおり、現実を直視すれば、できることは決まってくるんですよ。しかしながら、民主党のマニフェストは、全然そんなことは書いてなかったんですよ。あれもやります、これもやりますということですね。

 最後に、では野田大臣にお伺いします。

 一つは、とはいうものの、これはまだ道半ばですね。それで、民主党のマニフェストは反映をされていない。さらには、財政再建、今後十年間の中長期展望から見ても、まだまだこれでは不十分だ。税と社会保障だけじゃなくて、社会保障プラス、例えば復興財源をどうするのかとか、プライマリーバランスの十年後の黒字化をどうするのかとか、さらには民主党のマニフェスト予算をどうするのかという、こちらと税の一体改革の全体像がなければ、リアリティーのある議論はできないと私は思うんですね。ですから、私は、やはりそういう絵を出して、現実を直視して議論をしたい、これが一点。

 もう一つは、マニフェストは反映していないんですよ。しかしながら、民主党の立場としては、マニフェストとは矛盾しないと言っているわけですよね。もうそろそろ、できませんでしたと。だれが見てもわかっていた話ですよ、できないことは。僕は、野田大臣はわかっていたと思いますよ、こんなの無理だ、十六・八兆、どうやって出すんだと。

 ですから、もうそろそろ、これはできませんと、その上で、しっかり与野党で現実的な議論をしましょうと言うべきだと思います。大臣、最後、コメントをください。

野田国務大臣 まず、お尋ねの税と社会保障の一体改革は、これは財政健全化との同時達成というのが目標でございます。その意味で、社会保障改革については、民主党のマニフェストが反映されていないという一刀両断の話ではなくて、民主党内のさまざまな議論を経て、社会保障のあるべき姿をきっちりと盛り込んでいるということが前提であることは、まず確認をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、財政運営戦略自体は、二〇二〇年まで見込んで、いわゆるプライマリーバランス、対GDP比を黒字化するという中で、今回の措置というのは二〇一〇年代半ばまでの措置でありますので、財政運営戦略上の財政健全化の道筋という意味ではまだ道半ばであります。

 これと、加えて、御指摘のあった復興財源をどうするかという議論があります。これは、歳入と歳出の両方、幅広い検討をしながら与野党で協議をしていかないと、第三次補正予算としてまとまりません。その議論を経た後に、実は、中期財政フレームというのは年央に見直すことになっています。向こう三年間、ローリングさせながら、財政運営戦略を実現するための考え方なんですが、だから、今回の一体改革、復興財源の議論を経た後に中期財政フレームの見直しをさせていただき、いずれもが整合的にならないと現実の話ではありませんので、現実的な、整合的な議論に詰めていきたいというふうに思います。

平(将)委員 野田大臣はよくおわかりだと思いますが、大体は絵をかけるわけですよ。そういった中で、では十年後、慎重シナリオでは二十六兆円足りませんねと。今回は、これは正直言って、ただ二〇一五年の足らず前を足しただけですよ、数字でいけば。さらに、今後どうしていくのか。民主党のやることをやるんだったら十六・八兆を乗っけなきゃいけないわけですから。その中での税制のものをやれば、もう民主党のマニフェストは破綻をしているのは明らかなので、これはもう取り下げます、その上でリアリティーのある議論をしましょうとやってくれないと、やはりプロの政治家の議論にならないと思います。

 終わります。ありがとうございました。

新藤委員長 平さんの質疑は終わりました。

 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。

 鹿野大臣、引き続きお残りいただきまして恐縮でございます。また、復興特と兼ね合いで、大畠大臣、平野大臣、大変忙しい思いをさせて恐縮でございます。

 私は、全国に名立たる水産基地気仙沼市の問題にきょうはちょっと絞ってお伺いさせていただきたいと存じます。

 最初に、失礼になるかもしれませんけれども、三大臣、これまで気仙沼には直接足を踏み入れられましたでしょうか。座ったままで結構でございます、イエスならイエスと。平野大臣、いかがですか。イエス。国交大臣。鹿野大臣。わかりました。ということは、私がきょう質問したいことは実感として非常におわかりいただけるんだろうというふうに思います。

 先般、「復興への提言 悲惨のなかの希望」ということで大震災復興構想会議が提言を行いました。その中で、いろいろな提言があったんですが、絞ってちょっと伺いたいんですが、「地域類型と復興のための施策」というところの類型一に「平地に都市機能が存在し、ほとんどが被災した地域」云々というところがございます。それから、類型二に「平地の市街地が被災し、高台の市街地は被災を免れた地域」、こうありますけれども、まさに気仙沼市という市が全くこのとおりだなというふうに私は思うんです。

 お手元にこの写真は行っていますでしょうか。これを見ていただければわかるんですが、今私が申し述べたことを実に典型的に物語っているのがこの気仙沼市だなと思います。リアス式海岸で、一気に津波にやられた。お手元の写真はちょっと見にくいかもしれませんけれども、青い線が入っていると思います、両方とも。薄く入っていますか、青い線が。

 これは、左側が平成二十二年十月十八日の気仙沼市の航空写真です。つまり、被災前ですね。発災後、右側、平成二十三年四月六日の気仙沼市の航空写真でございます。多少見にくいと思いますけれども、青い線で描かれていると思いますが、この青い線のところまで津波が襲ったという線なんです、これは。被災前の二十二年十月十八日の写真は、見事に住宅地がもうびっしりと建ち並んでいますね。このリアス式の奥まった港の海岸のそばから、ずうっと平地にかけて住宅が建ち並んでいます。その後背地はもうすぐ山になっている。今度は右側、発災後は、津波が青い線のところまで押し寄せてきて、見ていただきたいと思うんですが、平地は全部やられています。軒並みやられています。そして、高台のところは助かっています。

 私は、この気仙沼に二回行ってまいりました。高台に気仙沼小学校や中学校、ここが避難所になっていました。自衛隊もこの高台にテントを張って、さまざまに救援活動をやっておられた。病院も高台。その他、高台に建っている住宅はみんな助かっていた。平地はもうほとんど全滅です。私は、この高台から平地を望んで、息をのみました。まさに、高台が天国とすれば、平地は地獄だなと思いました。天国と地獄だと。すさまじいなと。

 人々は、当然この平地に居を構えて、びっしり生活をするわけですね。なぜかならば、職住がもうまさに隣接ですから。気仙沼という町は全国に名立たる水産基地ですから、だから、魚というものでもってすべてなりわいをしている町ですから、魚を水揚げし、加工をし、あるいは魚を売り、あるいは全国から集まってくる漁師の皆さんを接待する料亭、ホテルは泊まる。さまざまに、つまり、すべては魚に始まり魚に返るという町ですよね。そこでなりわいをしていくためには、平地で生活するしかない。だからびっしりと平地に住宅が建ち並んでおるわけです。ところが、リアス式ですから、あの強烈な津波が一気に来たときに、平地が全部やられた。そして、まさに高台天国、平地地獄、天国と地獄ということになったわけですね。

 そこで、この構想会議では、高台への集団移転ということをうたっていますね。まさにそうでしょう。私も、地元に行って、気仙沼の市長さんやいろいろな人と話しました。被災地の被災された方々ともいろいろお話を聞きましたけれども、これからは、家を失った平地の人たちをどう集団移転させるかということなんですね、高台に。しかも、高台は、もう助かった家がざあっと建っていますから、本当に高台に移転させるとなると、山を切り開いて、造成して、山奥の方に皆さんに移っていただくしか行き場所がない。ということは、大変お金がかかるんですよ。

 そこで伺いたいんですけれども、集団移転をする際に、今、希望している方たちが現在三地区で五百世帯余りだそうです。現時点ですよ。ただし、七月いっぱいまでずっとアンケートで応募をさせるそうです。この方たちが、どのぐらいまでになりますかね、想定できますかねと言ったら、僕はびっくりしたんですけれども、これは平地でやられた人たちが七千戸から八千戸あると。だから、この七千戸から八千戸のうち、四千、四千五百、つまり七千から八千の半分ぐらいの方たちは高台移転を希望されるんじゃないですかねと、こういう見通しを述べておられましたよ。そうすると、莫大なお金がかかっちゃう。

 今、この造成費を含む移転費用というものについては、国が四分の三、地方自治体が四分の一を負担する。その地方の四分の一負担分の一部を特別交付金で賄うということをやって、実質、地方負担は六%、国の負担は九四%という形になる。こういう仕組みになっている。ところが、この六%の地方負担ですら、とてもとても、気仙沼市としてはもう財源がございませんということで、やはりすごく困っているし悩んでいるんですね。集団移転したいという人たちの思いは非常に強くて、今は五百世帯ぐらいだけれども、四千から四千五百ぐらいまで伸びてくるんじゃないかと。こういうことになってくると、とても足らない。したがって、こういう点を、国としてどのように考えていったらいいのか。

 平野大臣、防災副大臣のときに、たしかこの件について書面か何かで陳情を受けておられるんじゃないかと思います。地元はそうおっしゃっていました。そういうことなので、まず平野復興大臣に伺いたいんですが、現実に、集団移転する人たちはたくさん希望してくる。お金がない。国も、もう精いっぱい考えて、六%だけ出せばいいですよと言っているんだけれども、六%すら、とてもじゃないけれども払えない。

 つまり、移転の費用が、事業費、一戸当たり一千六百五十五万円という限界がある。ところが、先ほど言ったように、今、高台にはほとんど家が建っていますから、本当に山の中を造成し、山奥へと切り込んでいかなきゃいけないから、とても一千五、六百万や二千万のお金じゃ足らない。下手すると、四千万ぐらいかかっちゃうんじゃないか、一戸当たり。そうなってくると、とてもお金が足らない。

 仮に、移転戸数を五百戸として、そして事業費を、それでも一戸当たり二千万円というところで、ぎりぎり最低抑えて見積もったとしても、市の負担金額が二十二億円になる。この市は年間三百億の予算でやっている。それを、二十二億円出せと。それで、二年間で移転完了させたとしたら、年間で十一億円ずつ出していかなきゃいけない。これは、とてもそんな財源は捻出できませんと。

 私も、テレビの番組で、ちょうどその高台移転のことで気仙沼を取り上げて、その番組をたまたま見たんですけれども、本当に市長さんはもう困っておられた。市民の願いと、思いと、市は金がないという板挟み、サンドイッチマンになっちゃって、本当に頭を抱え込んでおった。ということなので、結論を言いますと、お金は何とかなりませんかということの悲痛な地元の声なんですね。

 それに対して、まず平野復興大臣から、そしてまた大畠国土交通大臣から、それぞれお答えをいただきたいと思います。

平野国務大臣 気仙沼市も、今復興に向けて復興計画を策定中であるというふうに承知しております。

 その中で、今委員からも御紹介ございましたけれども、従前地住宅であったところが、どうしてもやはりこれは住宅地として使えないというところも多々あろうかと思います。その場合に、高台に移転するか、どこに移転するか、そういったことも今気仙沼市の中では地権者あるいは被災者の方々とのさまざまな意見交換がされているというふうに理解しています。最終的には、そういった議論を踏まえまして、そこに復興計画という具体的なものが出てくると思いますが、その段階で総事業費等々も出てくることになるかと思います。

 今、私は、防災集団移転事業、現事業を前提とした事業で計画をつくるべきだ、つくってくださいということを各市町村にはお願いしておりますが、そういった全体の負担の問題等々につきましては、そういった計画策定、事業費が出てきた段階での負担能力等々の問題も含めて、これは自治体、県、市町村、国の中で協議をしていくテーマになるというふうに思っております。その結果として、私の方から国交大臣に、あるいは財務省にも場合によったら必要なお願いをしなければならないときはお願いをする、そういうつもりで今臨んでおるというところでございます。

大畠国務大臣 ただいまの御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 基本的には平野復興担当大臣の方から御答弁があったものでありますが、私ども国土交通省としても、今回の東日本大震災の現場を見させていただきまして、過去の例とはさま変わりといいますか、大きく異なる事象でございます。

 例えば、防災集団移転促進事業実施状況という表が私の手元にありますが、昭和四十八年から四十九年にかけて熊本県の方で三百二十九戸の移転というのがありましたし、大きいものとしては、東京都、昭和五十八年から五十九年にかけての三宅村での三百一戸というのがございます。

 しかし、今回のこの事象といいますかケースの場合には、先ほど御紹介がありましたように、ひょっとしたら四千五百戸ほどの集団移転が必要なのではないか、こういう御指摘をいただいておりますが、こういうことを考えますと、地元の負担というのは非常に莫大な予算になっておりまして、とてもそれでは計画すらできないというのが実態だろうと考えております。

 そういう意味で、現場を御視察いただいた上での御指摘でございますが、実質的に九四%を国が負担する、こういうことでありますけれども、その残りの六%というものを自治体としてとても負担できる額ではない、こういう実態から、今回の東日本大震災のケースにおいては、地域の実態に即して新たな考え方で臨むことが必要ではないかと考えておりまして、この件についても、復興担当大臣とも連携をとり、新たな枠組みで第三次補正予算に組み込むべく取り組んでいるところでございます。

東(順)委員 大畠大臣、歯切れいいですね。

 つまり、今すばらしい答弁をなさったのは、これまでのこの防災集団移転促進事業というもの、この事業に係る事業費として、国庫補助対象事業となっているものから見ると、一戸当たり限度額が一千六百五十五万というんですね。今大臣が答弁なさったのは、第三次補正でも何でも必要なものは入れ込むよということですから、つまり、この限度額を撤廃するよと。地元はこれを待ち望んでいるんだ。

 それで、先ほど平野大臣が、下で住めなくなった人たちは山間部へとおっしゃいましたね。ほとんど住めなくなっているんですよ。ところが、七千から八千戸、ほとんど住めなくなっているけれども、そのうち四千五百と私が申し上げたのは、そういう人たちが多分集団移転するだろうと。その他の人たちは、例えばもう気仙沼に住むことをあきらめて自分の意思でよそに移住するだとか、あるいは、これまであった家に盛り土をして何とかそこに残るだとか、そういう個人の意思も働くだろうから、恐らく半数ぐらいだろうというふうに地元は見ている。しかし、それはわかりませんよ、七月いっぱいの応募を全部締め切ってみないと。もっとふえるかもわからない。

 それで、おっしゃっていたのは、もうこれから気仙沼が水産基地として、これまでのように全国に名立たる水産基地として生き残っていくためには、職住分離するしかない。職場はこの海沿いだ、住まいは山の上だ、高台だと。ここを明確に分離していかないと、水産基地として生き残っていく道はない、こういうふうにやはり地元は思っておられるんですね。

 それで、三大臣とも現地に入っておられるからよくおわかりだと思います。私も二回行って、つくづくそう思いました。こんな地形というのはめったにないぞと。そこが一気に直撃されているから。したがって、今国交大臣がお答えいただいたように、上限をぜひ取っ払っていただきたい。

 そして、まさに気仙沼というのはすごいんですね。漁船は、三千百隻の約九割、二千八百隻が被災しているんだ。漁業施設は三十一漁協の全部が被災している。水産加工施設は百二経営体のすべてが被災している。冷凍冷蔵施設は九十工場のほぼすべてが被災。養殖施設は九百五十二経営体のほぼすべてが流失。気仙沼は、水揚げ量は十三万トンで全国第四位、金額にして二百八十億円、全国第三位という大変な水産基地ですから、ここを見事に復興させるためには、まさにそのポイント、急所は、職住を完全に分離してやるしかないんだろうというふうに思います。そういう意味で、地元の自治体を預かる市長さん初め皆様も必死です。

 したがいまして、ぜひとも、先ほどの国交大臣の答弁、これはすばらしい答弁でございますので、第三次補正、これが出てきたときには、見事にこれをきちっと入れ込んでいただきたい。

 それで、この復興会議で高台移転という提言はなされておりまして、気仙沼が象徴的だから僕は取り上げたんですが、その他さまざまに、職住を離して、そして高台で生活せざるを得ない、新しい住居を高台に持っていくしかないという必要性に迫られているところはたくさんあると思います。ぜひその発想でもってお願いを申し上げたいというふうに思います。

 そこで、農水大臣、この気仙沼という水産基地、今一応、応急復旧の段階ですね。現時点でどのぐらいまで応急復旧されているというふうに御自身は気仙沼を見ておられますか。市場の問題、それから冷凍施設、冷蔵施設、そのほかインフラがございますね。等々を含めて、どういうふうに見ておられますか。

鹿野国務大臣 今委員からのお話のとおりに、気仙沼は我が国を代表するところの水産物の生産、そして流通の拠点である、こういうふうな中で、何とか一刻も早く復旧復興に向けて取り組んでいかなきゃならない、こういうふうなことで、私も参りました。そしてまた、御党からも、ここは何としてもカツオだ、こういう具体的な御提言もいただきまして、えさだぞ、油だぞ、氷だぞ、こんなふうな御指摘もいただきまして、御提言をいただいたところでございますけれども、とにかく、そういう意味で、一部でもとにかく何とか操業ができ、そして、それが水揚げされるように、このようなことから、瓦れきの撤去によって航路を確保いたしまして、そして、少なくとも市場の前の岸壁くらいは何とかかさ上げをしなきゃならない、こんなようなことで、六月の二十八日からカツオの水揚げがされたということでございます。

 しかし、これはあくまでも一部でございまして、これから本格的な復旧復興に向けてはいろいろな施策というふうなものを、例えば共同利用の施設のこととか、あるいは機器等の整備とか、こういうようなことにおいてこれからも当然取り組んでいかなきゃならない課題が大きいものと思っておるところでございます。

東(順)委員 おっしゃるように、平地が、いわゆる水産の市場や冷凍や冷蔵施設や加工施設等々が、一日も早くどう本格復旧するかということに気仙沼に住んでいる市民の皆さんの生活が全面的にかかっているわけですね。そういう意味で、今地元としても一生懸命にやっておられるようです。

 例えば、七月十日にカツオが百十五トンようやく水揚げした。それが七月十一日、翌日には一気に二百三十三トン水揚げとなってきた。あるいは、これまではまき網で水揚げされていたものが、七月十三日、きのう初めて宮崎からの一本釣りのカツオが二十七トン、ついに水揚げされた。しかし、まだまだである、最盛期は一日三百トンだと。三百トン水揚げされるためには、応急復旧ではなくて本格復興をしなければそれは無理だということで、ネックになっているのが地盤沈下で冠水地区があるんですね。

 この冠水地区をどうもとに復旧させるか、あるいは護岸というものをどの高さまでもう一回復旧させていくのか等々の問題がある。それによって気仙沼市としては九月までにゾーニングをして復興の青写真をつくりたい、こういうふうに思っておられる。その冠水地区をどうするか、つまり護岸をどの高さまで復旧させるかとか、こういったことは、管理者は宮城県、県が管理者ですから、県と市がよく話し合って調整をして、そしてどういう復興の青写真をつくるかということでもって、それが決まったら一気に応急復旧から本格復興へだあっと入っていける。そうなってくると、最盛期の三百トンの水揚げももう一回復旧できる可能性があるというふうにおっしゃっているんですね。

 そこで、確かに県と気仙沼市の中での青写真づくり、ゾーニングの問題なんですけれども、ここには国の直轄施設がないものだから、ぜひこの際、地盤のかさ上げも国の補助制度の対象にしてもらえないかということも、大臣、地元から要望が出ておるようですね。一つ、被災地域における計画的復興及び新都市建設のための土地区画整理事業について国の全面的な財政支援をお願いしたい。これは国交大臣、国交省にこの要請が出ておるようで、これをもっと砕いて言えば、さっき言ったように、冠水の部分だとか土地のかさ上げにもうちょっと力をかしてくれませんか、県と市だけに任せるのではなくて、国の補助制度の中にバックアップで入れてもらえませんかという意味だそうです。

 その陳情が土地利用という観点で国交省にも出されておるようでございまして、その辺のところもぜひ入れていただきまして、次なる補正予算のときにぜひ考慮していただきたい、こう思いますが、いかがですか。

大畠国務大臣 地盤沈下という事象も各所で起きておりまして、この被害の状況については、港あるいは町の中も見てまいりました。

 ここのところについて、いわゆるかさ上げをしてほしいという要請も受けておりまして、正直なところ、この事業を行うには二、三年ぐらいかかるのではないかという感じも持ちますが、いずれにしても、東議員からの御指摘もございまして、他のところからも御指摘をいただいています。そして、陳情といいますか要請もいただいております。

 私ども国土交通省としては、もう一度その地域で日常の生活ができる、仕事ができる、あるいは被災する前以上に町のしっかりとした基盤をつくる、そういうことを念頭に置きながら、復興担当大臣を中心に、今、基本方針ですとか、あるいは町をどういう形でやっていくか、先ほど御指摘いただきましたように、住むところは高台に、そして仕事の場は海の近くに、そういう基本的な考え方もございますが、そういうものとあわせて、ぜひ、災害に強い町をつくるという意味から、そういうビジョンを各自治体でもつくっていただきまして、国交省としてはそれを応援していきたい、そう考えているところであります。

東(順)委員 歯切れがいいですね。

 おっしゃっておりましたよ。まさに、高台の奥の山間部を造成して、そこに、今まで海沿いに住んでおられた方たちに集団移転していただくのがこの気仙沼の今回の津波災害の出口戦略だと言っていました。いつまでもいつまでも仮設住宅で生活をしていただくわけにはいかないと。だから、そこは本当に国にしっかりお金の面倒を見ていただいて、そして、思い切った山間部に造成して、人々が住めれば、気仙沼の出口戦略は大成功である、そうしたら、全国に名立たる水産基地気仙沼が再びよみがえると、大変な思いで取り組んでおられますよ。

 いまだに市長さん初め対策本部の人たちは、みんな防災服ですよ。一生懸命頑張っておられる。涙が出るぐらいに頑張っておられます。どうかその思いをしっかり酌んでいただいて、今のような歯切れのよい思いを現実の行動にしっかり移していただいて、バックアップをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

新藤委員長 これにて本日の質疑並びに全般的審査を終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十三分散会


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