第6号 平成23年8月10日(水曜日)
平成二十三年八月十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 新藤 義孝君
理事 太田 和美君 理事 小林 興起君
理事 辻 惠君 理事 中塚 一宏君
理事 柚木 道義君 理事 木村 太郎君
理事 平 将明君 理事 東 順治君
稲富 修二君 小原 舞君
神山 洋介君 小山 展弘君
斉木 武志君 柴橋 正直君
城島 光力君 田中美絵子君
高橋 英行君 玉木 朝子君
中川 治君 長島 一由君
福田衣里子君 藤田 一枝君
藤田 大助君 藤田 憲彦君
三輪 信昭君 森岡洋一郎君
森本 和義君 吉田 統彦君
逢沢 一郎君 伊吹 文明君
古賀 誠君 坂本 哲志君
中村喜四郎君 細田 博之君
村上誠一郎君 石井 啓一君
小泉 龍司君 鳩山 邦夫君
…………………………………
内閣総理大臣 菅 直人君
総務大臣 片山 善博君
外務大臣 松本 剛明君
財務大臣 野田 佳彦君
文部科学大臣 高木 義明君
厚生労働大臣 細川 律夫君
農林水産大臣 鹿野 道彦君
経済産業大臣 海江田万里君
国土交通大臣 大畠 章宏君
防衛大臣 北澤 俊美君
国務大臣
(行政刷新担当) 枝野 幸男君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(公務員制度改革担当) 中野 寛成君
国務大臣
(消費者及び食品安全担当)
(原発事故の収束及び再発防止担当) 細野 豪志君
国務大臣
(社会保障・税一体改革担当) 与謝野 馨君
国務大臣
(国家戦略担当) 玄葉光一郎君
国務大臣
(東日本大震災復興対策担当) 平野 達男君
財務副大臣 五十嵐文彦君
会計検査院長 重松 博之君
会計検査院事務総局次長 小武山智安君
会計検査院事務総局事務総長官房審議官 野崎 郁弘君
会計検査院事務総局第一局長 鈴木 繁治君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 久元 喜造君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 實重 重実君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院長) 寺坂 信昭君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 班目 春樹君
決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
平成二十年度一般会計歳入歳出決算
平成二十年度特別会計歳入歳出決算
平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書
平成二十年度政府関係機関決算書
平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書
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○新藤委員長 これより会議を開きます。
平成二十年度決算外二件を一括して議題といたします。
本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。
この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
引き続き、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君、文部科学省初等中等教育局長山中伸一君、農林水産省農村振興局長實重重実君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
―――――――――――――
○新藤委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。各党の質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。
○柚木委員 民主党の柚木道義でございます。
きょうは、貴重な質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。
早速質疑に入らせていただきたいと思います。
平成二十年度決算ということで、資料の一に、二十年度の幾つかの代表的な指標、そして直近で二十二年データとして同様の指標をこちらにお示しさせていただきました。
ちょうど平成二十二年というのは、民主党政権になって最初の予算編成のときでございまして、今回二十年度決算ということで、ここで幾つか指標を比較していただきますと、社会保障給付費が九十四兆から百六兆円ということで伸びております。もちろん自然増等もありますが、政権交代後の成果として、十年ぶりに診療報酬をプラス改定、医療崩壊に一定の歯どめがかかった部分。
そしてまた、出生率も二年ぶりに、わずかではございますが、一・三七から一・三九ということで上昇に転じております。子ども手当の議論はあるところではございますが、それに加えまして、例えば保育所の整備を、昨年度から五年間で二十六万人の待機児童解消に向けて年間五万人ペースで整備を進めていたり、あるいは出産一時金の増額、妊婦健診の公的助成の実施、さらには小児用肺炎球菌ワクチン接種等の公費助成など、子育て支援全般的にパッケージで行ってきた部分の一定の成果と考えることもできると思っています。
また、自殺者数につきましても、五百五十人ぐらい減少に転じております。さらには高校中退者数につきましては、これはもう本当に直近のデータでございますが、約一万二千人。高校授業料の無償化というのもマニフェストの見直しも含めた一つ大きな論点になっておりますが、こういう数字をしっかりと踏まえた上で、私は、見直すべきものは見直しますが、数字が徐々に成果が上がりつつある、こういったものについては見直しながらもしっかりと前に進めていく、こういうことで国民の皆さんの御期待にしっかりとこたえていくことが重要だと思っています。
質問に入ります。
こういった状況があるわけですが、次の資料二をごらんください。「失われた二十年」ということで、製造業の空洞化あるいは失業率の推移について図にいたしております。
ごらんをいただきますと、実は今、円高で大変厳しい状況にございます。しかしながら、既にこの間、製造業の雇用については千五百万人が一千万人。五百万人の減少、全体の三分の一が既に雇用を失われているという状況。そして、実は、リーマン・ショックの影響等ももちろんございました、失業率については、この間、全体で二百万人増というトレンドになっています。こういう前提のもとで、円高対策でございます。
野田大臣にお伺いいたしますが、きょう発売の文芸春秋、私も早速ゲラを拝見いたしました、「わが政権構想」。この中に、冒頭からこう書かれています。第一の国の危機は国内産業の衰退、具体的に言えば空洞化問題。物づくり企業の間では、日本での生産維持は今やミッションインポシブル、つまり不可能になってきたと述べられています。さらに、「雇用なくして、被災地の再生なし。産業なくして、雇用なし」、雇用を生み出すため、企業の重点投資を促す思い切った政策を加速すべきともあります。大臣、私も全く同感でございます。
そこで伺います。
大臣は、現状の超円高で進む国内企業の海外移転、失業率の悪化を食いとめるためのさまざまな介入を今既に行われ、昨日の参議院の財金の中でも、今後もしっかりとした対応を介入以外にも行っていくと述べられてはおられます。
ただ、やはり市場に明確なメッセージとして伝わる意味におきましては、空洞化を食いとめるために、国内の雇用を守るために、では一体、対ドルでいえば円がどの程度の水準が適正と言えるのか、こういったことにつきましても、やはりしっかりとしたメッセージを発信していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、水準の話なんですが、水準とか相場観を私の立場でコメントすることは、さまざまなマーケットへの影響がありますので、そのことについては控えさせていただきたいと思いますけれども、昨今の為替市場における一方的な偏った円高の動きというのは、せっかく日本が震災から復興に向けて全力で取り組んでいるときに、経済や金融の安定を損なう悪影響が出るというふうに思います。したがって、投機的な動き、無秩序な動きを抑制するため、その対応として八月四日に介入に踏み切った次第でございます。
その後、おとといの朝にG7の電話会談がございました。これからも引き続き緊密に関係各国と連携をとりながら、適切に協力をしていきたいというふうに思いますし、その意味からも注意深くマーケットを注視していきたいというふうに考えております。
○柚木委員 実は、本当は総理にも少し伺いたいんですが、ちょっと後ほどの社会保障と一体改革のところであわせて御認識を伺いたいと思います。
今、野田大臣の方からの御答弁がございました。確かに、今所管大臣としてのお立場がおありかと思います。ただ、例えば今まさに緊縮財政で景気悪化、雇用悪化で暴動まで発生しているイギリスの状況なども含めて、イギリスでは若い人たちが二割の失業率ですね、全体でも七・七ポイント。今後の国内の状況を考えると、もう少し現場の企業、私も岡山県水島のコンビナートが選挙区でございます、本当にこのままいくと、申しわけないけれども、国内の雇用のことを構っていたら会社がつぶれてしまう。移転もやむなし。もっと言うと、例えば関係の部品メーカーの方々、もちろん海外にもう移転している。あるいは、移転したくてもできるところばかりじゃないんですね。では、そういうところはどうなるのか。今後、廃業、こういったことがふえてくることも懸念されます。
そういう意味で、ここの図で見ていただきますと、実は、ちょうど完全失業率が一たん上がって下がっている二〇〇三年から四年ぐらいにかけて行われた、当時の小泉政権下における溝口財務官時代の介入、このときには総額三十五兆円にわたる介入、なおかつ、二〇〇三年から四年にかけて一年二カ月にわたって徹底した介入、当時対ドルで百二円、これ以上の円高は阻止する、こういうメッセージが投機筋等にも伝わった結果、この状況が改善をされ、ごらんいただいてもわかりますように失業率の低下、もちろんその後リーマンでまた上がっていますけれども、実際に製造業の就業者の割合も、減少がやや鈍化して一時期上昇に転じています。
今回の介入におきましても、日本のためだけではありません。日本の円高是正そして経済の安定化がまさにアメリカの国債も買い支え、あるいは日本が回復すればいろいろな意味で原材料、輸入品もふえ、アジア諸国あるいは対EU含めて世界経済の安定化にもつながる。そういう意味では、世界経済の安定化のためにも、日本の円の適正水準化、これについて、引き続きのさらなる徹底した介入と同時に、例えば、いろいろな具体的な手法が考えられると思います。日銀、中央銀行に為替レートを目標に金融政策を行わせるといったような取り組みも私は検討していいと思います。そういったことも含めたお取り組みを、まさに大臣御自身がこの「わが政権構想」の中で述べていただいている、本当に雇用なくして被災地の復興もなし、こういった認識でお取り組みをお願いして、次の質問に入りたいと思います。
財政再建待ったなし、これは今回の円高、世界同時株安の状況でもはっきりしてきておるところでございますが、私は、資料の三を皆さんにごらんいただきたいんですが、今回、社会保障と税の一体改革の中で、二〇一〇年代半ばをめどに景気回復を前提条件に段階的に五%を一〇%に引き上げる。そのとき、もちろん議員が身を削り、国家公務員の皆さんにも同じように御努力をいただく、低所得者の方々への負担軽減、中小企業事業主も同様、そういったこともしっかりやる、そういう前提条件。もちろん、社会保障という意味でいえば、医療機関や介護施設など、報酬上に消費税がちゃんと算定をされている、いないの問題もあります。こういったことも踏まえて進めていくべきではございますが、この五%の内容について、実は図では、三%は機能強化に使う、つまり安心を守る、そのために使う。そして、残りの一%は機能維持、さらに残りの一%は消費税がふえた分だけ公共調達コスト等がふえる分となっています。
ただ、今回、この野田大臣政権構想の中にこう書かれています。持続可能な社会保障は国民生活の安定や雇用、消費の拡大を促し、経済成長につながりますと。私は、おっしゃるとおりだと思うんですが、そうであるならば、ぜひ提案をさせていただきたいことがございます。
資料四をごらんください。ちょっとパネルは用意できていないんですが、四項目、今回消費税が、仮に国民の皆さんの御理解もいただけて、我々も身を削った上で負担をお願いできるとしたときに、現状、先ほどの図は、実は三%機能強化と書いていますが、うち二%は財政均衡分です。残りの二パーも、これははっきり言えば財政均衡と言わざるを得ない。そうすると、一%分、約二・七兆円、今回の一体改革成案の中にも具体的なメニューが示されています。事実上一%しかそういう機能強化に使われないということになっているんですが、この1から4の分野をごらんください。
もちろん、今回、高額療養費制度の拡充であったり、あるいは世帯で医療や介護やいろいろな費用の負担上限を設ける総合合算制度など、セーフティーネットはこの一%、二・七兆の中に入っているんですが、ほかの分野を私はもっと議論できると思うんです。
例えば一番、雇用創出効果のある分野。これは、例えばエコポイントのときには六千八百五十億円の投資に対して八千億円の効果という試算も、大阪大学の小野先生も試算をされています。あるいは、今後、介護、保育施設の整備などを進めることで、当然建設関係の需要も生まれる、そこで働かれる方々の雇用が生まれる、周辺にいろいろな商業施設もできて、全体での波及効果も考えられる、こういう分野。
あるいは、医療イノベーション分野でございまして、医薬品、医療機器、国内で約二兆円の輸入超過になっています。それぞれ八兆円、二兆円の薬と機器の市場の中でそういう状況がある。
医療システムというのを書かせていただきました。日本はこれまで、例えば原子力発電のシステムをパッケージで輸出する、高速鉄道あるいは町全体のそういったデザイン、スマートシティー、いろいろな分野で、原発については今後いろいろな議論があるでしょう、しかし、そういうインフラに加えて医療システムについても、既に始まっておりますけれども、医療技術あるいは医療者、そういったものを各国に輸出することによって、日本に対してのいろいろな意味でのインバウンドの効果もある。
そして二番、消費性向の高い方々、お年寄りよりは若い方、あるいは高所得者よりは失業されている方、もちろん子育て世帯や主婦の方、こういった方々にこの五%の中身をある意味では投資という形で充当していくことによって、単純に財政均衡、借金返済とすることよりも、私は、長い目で見れば中長期的に財政再建へつながっていくというふうに考えています。
ちなみに、四番は、医療費適正化可能な分野として、例えば企業の健診データなどをもっと戦略的に活用すれば、ある大手企業で、これをやることによって一億円ぐらいの社員の方々の医療費の適正効果につながるとか。あるいは、ゲノム解析、遺伝子情報でございますが、これに集中的に投資をして、効果が高くて副作用が低い治療法をもっと進めていけば、これによって医療費の適正化につながるとか。あるいは、医療機器の内外価格差の解消、ステントやカテーテルあるいはペースメーカーなど、ほとんどが輸入、なおかつその内外価格差によって、一つの手術をするための患者一人当たりの削減効果は数十万円から数百万円、こういう試算もございます。あるいは、急患のトリアージ、救急搬送で来られた方をどの病院に搬送して、どういう形で治療いただくのか、入院いただくのか、大学病院に患者が集中している状況を適正化すれば一・六兆円の適正化というのが出ております。
こういうことを行うことによって、私は、この五%の中身についてもぜひ精査をして、そして財政の改善につなげたい、こういうふうに考えるわけですが、野田大臣、ここにこういった形で書かれておられるわけですが、私のこういった考え方についての御所見をぜひ教えていただきたいと思います。
○野田国務大臣 社会保障と税の一体改革、成案をまとめさせていただきました。私は、この問題は、どの政権であっても避けて通れない、先延ばしのできない大事な課題だというふうに思っています。
社会保障給付費については、先ほど委員御指摘のとおりなんですが、OECDの中で日本は水準以上であります。だけれども、その分、教育であるとか公共事業はOECDの中で最低レベルです。社会保障は自然増があります。その自然増は毎年一兆円を超える。その部分を補うために、これ以上公共事業であるとか科学技術を削っていいかという議論に尽きると私は思います。
そのためには、歳入改革をやらなければなりません。その財源としての消費税、二〇一〇年代半ばまでに段階的に一〇%に引き上げということになっていますが、使い道は、まさにこれは社会保障に使わなければいけませんが、その社会保障分野の中でも、委員御指摘のとおり、さまざまな御提案がございました。その中でも、本当に生きたお金の使い方をするという発想は大事だと思いますので、大変興味深い、示唆に富んだ御指摘として受けとめさせていただきたいというふうに思います。
○柚木委員 済みません。本当はこの後、玄葉大臣、細川大臣と伺いたいんですが、持ち時間厳守ということでございまして、済みませんが、総理に伺いたいと思います。
今のお話、申し上げました。私は、先ほどの円高の是正についても、菅総理が当時財務大臣時代に、当時九十三円ぐらいだったと思いますが、もう少し円安に突き進むことが望ましいとも述べられておられました。ぜひ、現状について、為替の状況についての御所見を伺いたいのと、もう私の持ち時間も最後になろうかと思いますので、社会保障と税の一体改革、まさに菅総理がおっしゃってこられた強い経済、財政、社会保障、この実現のためには、今申し上げました資料四の1から3あるいは4の部分。もっと言うと、高齢者医療の窓口本人負担をふやすとか、あるいは受診時に定額の負担を別途お願いするとかいういわゆる負担増メニューは、私は、受診抑制、そして健康悪化、もっと言うと、総医療費増大で財政再建の逆にマイナスにもなりかねない。こういうことを考えると、1から4のところをしっかりと進めていただくことが、総理がおっしゃってこられた強い経済、財政、社会保障の一体的な推進につながっていくと思われます。
ぜひ、この一体改革に向けて総理の御決意と、そして円高の今の状況の是正についての御所見を伺いたいと思います。
○菅内閣総理大臣 円高に関して、国内企業の海外移転への影響を含めて、さまざまな懸念があることはよく認識をしております。私が財務大臣のときにも、大変この問題では頭を悩ませたところであります。
ただ、この適正水準といったことについては、これは財務大臣当時もそうですし、今の立場でも、直接的に触れることは控えるべきだと思っております。
そして、消費税を含めた社会保障と税の一体改革の議論において、先ほど資料を示していただきました。
従来、社会保障といえば、負担という言葉で多く語られてきたわけですけれども、私は、ある意味では、投資的な要素あるいは雇用を生み出す要素、そういう意味での経済的な効果が、かつての公共事業やそういったものに負けないぐらい存在をしていると思っております。
そういった意味で、ここに挙げられた幾つかの問題は、そういったことにまさにつながるところでありまして、医療のイノベーションを含めてしっかり取り組むことは、医療の質を上げると同時にそうした経済の効果もつながってくる。柚木さんの考え方と共通のものを私も感じております。
○柚木委員 持ち時間が来ましたので、終わります。
玄葉大臣と細川大臣、関係のある分野できょう御質問できなくて本当に申しわけありませんでしたが、やりとりをお聞きいただいたと思っておりますので、ぜひ、財政再建と本当にこの一体改革の中身については、今後、与野党協議も含めてしっかりと議論を深めていく中でのお取り組みをお願いして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○新藤委員長 この際、藤田憲彦君から関連質疑の申し出があります。柚木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田憲彦君。
○藤田(憲)委員 民主党の藤田憲彦です。
社会保障と税の一体改革の関連質疑をしたいと思います。
私が現在、政調会長補佐として担当しております社会保障と税にかかわる共通番号制度、この共通番号制度は、これまで、例えば国民総背番号制度であるとか、あるいは納税者番号制度ですとか、さまざまな言葉で語られてまいりました。長い期間検討されてまいりました。
今回、この番号の呼び名が、一般公募によってマイナンバーということで決まったと伺っておりますけれども、政府・与党社会保障改革検討本部において、この六月末に、社会保障・税番号大綱、この番号大綱というものが発表され、この秋の臨時国会にも法案が提出される予定である、そして平成二十七年からは運用を開始する予定であるということで、決してこれは遠い未来のことではないと理解をしております。
しかし一方で、この番号制度に関しては、一般の方々にまだまだ理解が進んでいる状況ではないというふうにも思います。したがって、ここで改めて、国民の皆さんにこの番号制度の概要とその必要性について、与謝野大臣にお伺いしたいと思います。
○与謝野国務大臣 お答えします。
社会保障・税に関わる番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であると考えております。
この制度の導入は、まず第一に、より公平公正な社会、第二に、社会保障がきめ細やかかつ的確に行われる社会、第三に、行政に誤りや無駄のない社会、第四に、国民にとって利便性の高い社会、五、国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会、このような社会の実現を目指すものでございます。
○藤田(憲)委員 ありがとうございます。
端的に言いますと、例えば番号制度が導入されれば、これまで大きな問題になりました消えた年金問題ですとか、あるいは当然、税の捕捉率ですね。税率を上げるということだけではなくて、税をいかにきちんと捕捉していくかというところ。あるいは、今回の大震災のような際に、災害時の本人確認の迅速化といったさまざまなメリットがあるということを私も理解しております。
ただ一方で、私は、自分の選挙区の大田区の有権者の方々からお話を聞きますと、やはりこの番号制度というところで個人の情報が捕捉をされるということで、セキュリティーは大丈夫なのか、こういった懸念、不安を持っていらっしゃる方もたくさんいるというのが実態であります。
したがって、この番号制度の設計においては、セキュリティーについても万全を期す必要があると思っておりますけれども、この点、いかがでしょうか。
○与謝野国務大臣 番号制度の導入に当たっては、国民の利便性や個人情報の有効活用にも配慮しつつ、国民の間に生じ得る、第一には国家管理への懸念、第二に個人情報の追跡に対する懸念、第三に財産その他の被害への懸念に対し、制度上の保護措置とシステム上の安全措置を適切に講ずる必要がございます。
また、番号制度システムにふぐあいが生じた場合、国民生活に与える影響が大きいことから、バックアップ体制やバックアップシステムの整備など、ふぐあい等が発生した場合に迅速に対応できるよう番号制度の制度設計を行う必要があると考えております。
○藤田(憲)委員 ぜひ、セキュリティーには万全を期していただきたいと思います。
私は議員になる前に、会社員の時代に、電子マネーでおサイフケータイに関連して特許を六本取得してまいりましたが、その開発に当たっての一番大きな課題はセキュリティーでした。したがって、セキュリティーについては万全を期していただきたい。
しかし同時に、番号制度においてもう一つ重要なのは、管理の主体、運営の主体がだれになるかという点であります。
我々はマニフェストにおいて、この点において、歳入庁を設置して番号制度を導入すると訴えております。では、その歳入庁というものが今現在どのような検討状況であるのかという点について、これは菅総理にお伺いしたいと思います。
○菅内閣総理大臣 民主党は年金制度を一元化することを提案しておりまして、このような制度のもとですべての給与所得者が同じ年金制度に加入することとなることも含めて、歳入庁の創設ということを、税と社会保障の分野あわせて対応できるものをつくっていこうとマニフェストにも掲げられております。
現在の状況は、先ほど与謝野大臣からもお話がありました共通番号制度を中心に検討を進めてきております。今後は、年金制度改革や社会保障・税に関わる番号制度の議論も踏まえながら、国民の皆様の視点に立った徴収体制の構築との観点からこの歳入庁構想も検討してまいりたい、大きな課題だと考えております。
以上です。
○藤田(憲)委員 歳入庁の創設というのは、これは番号制度にかかわるものだけではなくて、社会保障と税の一体改革にも本質的にかかわってくる問題だと思います。
例えば、平成二十二年度の税制大綱の中では、共通番号制度においての所管官庁に関しては歳入庁が適当であるというふうに書かれていて、これが平成二十三年度税制大綱ですと、歳入庁の創設を前提としつつも、既存の官庁のもとでの検討の方向性も考えるというふうに、私からすると、どんどんどんどん後退しているのではないかという懸念があります。
そこで、今回、このパネルと、皆様には資料をお配りしておりますけれども、この六月の三十日に発表されました社会保障と税の番号大綱の中においては、個人に付する番号の制度の所管は総務省とするという記述があります。これは、先ほど私が申し上げたマニフェストにおける記述とは異なると理解をしております。一方で、住基ネットを基本とするということも理解しておりますから、総務省が制度の所管とすることを真っ向から否定するものではありません。
しかし、それは少なくとも、きょうここにお集まりの議員の皆さんの中では、この点について周知を図られていないというふうに思います。やはり、歳入庁というところを前提として議論を進めてきたという点が、どんどんどんどんこういった形でなし崩しになってはいけない。すなわち、共通番号制度においても総務省が所管ということで、どんどん歳入庁の設置が難しくなるような状況を招いてはいけないというふうに思います。
もう一つ、一点だけ質的に異なる点があります。
それは何かと申しますと、歳入庁というのは、すなわち、今でいえば日本年金機構あるいは国税庁を一体化する機関でありますから、税金と社会保障の情報を自身で持っている官庁になるわけです。情報を持っている官庁であれば、当然、その情報の流出においては気をつけなければいけません。しかし、総務省は基本四情報の氏名と住所と生年月日と性別という四つの情報を持っているわけですから、情報を保有している機関ではないということです。したがって、この大綱の中においては制度の所管が総務省となるということは、これは歳入庁の創設が間に合わないということだけではなくて、質的に変化を及ぼし得るということであります。
この点についてはもっといろいろ御質問もしたいところでありますけれども、時間になってしまいましたので、私の質問は以上といたしますが、この点を踏まえた上で、ぜひ、大綱それから秋の臨時国会に向けての法案の提出に向けて検討を進めていただきたいと思います。
以上です。
○新藤委員長 この際、辻惠君から関連質疑の申し出があります。柚木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻惠君。
○辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
本日の朝刊各紙を見ましたところ、特例公債法案の成立の見通しが立って、菅総理大臣、月内にも退陣表明をされるというような記事が躍っております。
私は、この二年間の民主党政権、来し方を考え今日を思うときに、非常に残念な思いがいたしますし、また菅総理大臣御自身も非常に悔しい思いでいらっしゃるのではないか、胸中を察するに余りあるところがございます。しかし、現実は冷徹なものでありますから、現在のそういう状況を踏まえて、政権与党としてもう一度国民の皆さんにしっかりと信頼をしていただけるような、そういう政治に向かうための総理大臣としてなすべきことをぜひなしていただきたいなというふうに思うものでございます。
今週の月曜日に、内閣の支持率も民主党の支持率も大きく低下をしたという報道がございますが、その原因を考えるときに、一つは、国民の皆さんから期待をされてきた具体的な成果ということがなかなか示し得ていないということが一つであります。もう一つは、地域を回っておりますと有権者の方々から本当に何度も聞かされる話でありますけれども、民主党は与党の中でどうしているんだ、内部抗争を繰り返していたのでは仕方がないんじゃないかというような御指摘があるわけであります。
今、前者の点については、いろいろな意見に分かれるところでありますから、衆知を集めて、今後しっかりとした政策を再度練り上げていく必要があると思いますが、後者の点について、菅総理大臣にやはり最後の見識を示していただきたいなというふうに思うものであります。
全党一丸になって頑張ろうということが、今、国民の皆さんに民主党として、また政権与党としておこたえする道である、民主党の党員全員がやはりもう一度全党一丸になって頑張りたいという思いを持っていると思います。菅総理も同じ思いでいらっしゃることと思いますが、そういう御理解でよろしいでしょうか。
○菅内閣総理大臣 まず、悔しい思いとか残念な思いということを言われましたが、私はそういう思いは持っておりません。
内閣としてやらなければならないこと、特に三月十一日以降、私は、この震災に対する復旧復興、内閣一丸となって頑張っていただきましたし、与野党一丸となって頑張っていただいていると。そして、原発事故に対しても、七月十九日に発表しましたように、これ以上の大きな事故には広がらないで収束の方向に向かっている。私は、そういった意味で、やらなければならないことはやってまいりましたし、また、二十年来の課題でありました社会保障と税の問題についても一定の方向性を党として、内閣として決めることができました。
残念ながら、そういったことについて十分国民の皆さんに理解をいただけていない、その大きな責任が私にあることは、そういう意味では残念といえば残念なところはありますけれども、やるべきことはやっているという意味で、私は、残念とか悔しいという思いは決してありません。
そしてもう一点、我が党の支持率が下がった二つの原因。一つは、その成果、これは今のような中身が必ずしも、あるなしと伝わる伝わらないの問題と、もう一つ、内部抗争という表現をされました。
私もやはり、国会で与党、野党がある意味で議論し合う、あるいは批判し合うというのは、国民から見ても当然のことであるわけですけれども、与党の中で、そうした状況が単なる議論を超えて抗争と言われるようになっているとすれば、それは大変、与党としてあるべき姿ではない。
それはもちろん、代表でもある私に最も大きな責任があります。しかし、党にもルールがあるわけでありますから。昨年の九月に私が皆さんの支持で党の代表にならせていただいた中で、それを超えて、野党が出す不信任案に賛成するといったようなことは、これはまさに議論を超えているわけであります。
そういう点で、今後の党運営を含めて、本当に今、辻さんが言われたように、そういったことも含めて、一定のきちんとしたルールの中で、守るべきものは守って、一体としてやっていく、そういう党に立て直していかなければならない、こういう思いを私も持っております。
○辻委員 昨年の九月十四日の代表選挙で菅総理が再選されたときに、ノーサイドだ、四百十二人内閣だ、全員が一致で頑張ろうということをおっしゃられました。まさに菅総理は、そのとおり進もうという決意を示されたものだと思います。
しかし、残念ながら、その直後の十月に、小沢一郎さんに対して東京検察審査会が二度目の起訴相当議決をしたということで、強制起訴にされるという中で、国民世論にやはり配慮をする、そういう立場もあって、最終的に、ことしの二月に小沢一郎さんに党員資格停止という処分が下された。これがやはり、国民の目には、内部抗争しているのではないかというふうに映っているのも事実であろうというふうに思います。
私は、政権を担う、そういうリーダーのお立場で、マスコミや国民の世論に配慮しなければいけないということについては、もちろんよく理解しておるつもりであります。ただ、起訴されたからといって、無罪の推定という大原則があるわけでありますから、党員資格停止処分まで踏み込むのは私はいかがかとは思いますけれども。
その点について、ことしの六月三十日に、東京地裁が小沢さんの三人の秘書の裁判で、政治資金収支報告書の報告を小沢さんにしたという秘書の供述調書、検察官調書、全部これを証拠請求を却下したということが決定として下されているわけであります。つまり、マスコミや世論がいろいろ取り上げたその前提事実が、実はなくなってしまったんだという事実がこの六月三十日の証拠決定で明らかになっただろうというふうに思います。
そういう意味におきまして、マスコミ、世論に配慮をしながら党内でのいろいろな処分も含めた処遇をされたという前提事実を欠くに至っているわけでありますから、マスコミや世論にもう気を使う必要がない、配慮する必要がない。配慮をした前提の事実が実はもうなくなっているんだという事態になっているわけでありますから、ここはもう一度、去年の九月十四日の御決意に戻って、全党一丸、そういう立場に立てば、小沢一郎さんに対する党員資格停止は撤回をしてしかるべきだろうと私は思いますが、この点、いかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 私は、少し異なることを辻さんは一緒に言われていると思います。
つまり、党が一丸となってというのは、まさに、みんながそれぞれの役職なりいろいろなことで頑張ろうということで、私はほとんどの方、すべての方と言ってもいいぐらい、この党は、特にこの震災あるいは原発について、それぞれの立場で頑張っていただいている、このように思っております。
そのことと小沢一郎元代表について、これはいろいろな意見があることは承知しております。決して、何か一方的に、私がこの人をやっつけようとかということで処分を決めたわけではありません。党の基本的なルールにのっとって、きちんとした議論を積み重ねて、そして、何度も何度もいろいろな議論を積み重ねた中で、党として、正式な手続のもとで党員資格停止というものが決められたわけであります。
もちろん、大きな状況が変化した場合に、改めて何らかの形で手続をとるということは一切ないとは申し上げませんけれども、何かそのことをまた政治的に判断すると、もう世論には配慮する必要がないとかあるとか、そのことはちょっと性格が違うんじゃないでしょうか。辻さんは弁護士でありますから、法律手続上、もしそういうことを言われるのであれば、党内手続にのせた上で改めて議論されるのは結構ですが、党が一丸となるという問題とこの問題をごっちゃにすべきではない、これが私の見解です。
○辻委員 復旧復興に向かう党内が一丸となって頑張るという意味で、先日、小沢さんについても、復興の中でしかるべき役割を果たすべきだ、そういう附帯がなされている。そういうことも含めて、もう一度、民主党のリーダーとして、しっかりと党内一丸となって頑張れる体制をおつくりいただくことが、やはり最後の花道にふさわしいのではないかというふうに思います。
そのことを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。
○新藤委員長 これにて辻惠君の質疑は終了いたしました。
この際、小林興起君から関連質疑の申し出があります。柚木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小林興起君。
○小林(興)委員 民主党・無所属クラブの小林興起でございます。
与えられました時間の中で、総理に御質問させていただきたいと思います。
菅総理、三月十一日、あの大震災が起こりまして以来、総理としては、国民の先頭に、政治家の先頭にも立っていただいて、東日本、東北地方の復旧復興に連日努力をされていることは敬意を表したいと思うところでありますが、これに今原発も加わって、大変な状況でございますね。
しかし、もう一つ忘れてならないことは、この東日本の問題に加えて、やはり政権交代という戦後の歴史の中で大変大きなことが起きた、起こした。その原動力の一人、民主党のリーダーとしての菅総理が頑張ってそういうことも起きたわけでありまして、私も前回の総選挙で、菅総理とともに、池袋の駅頭で万々と集まった多くの人々に向けて政権交代の必要性を説いたことを今思い出すわけであります。
そういう頑張られた菅総理でありますが、今、政権交代ということが起こったその理由、また政権交代が国民に求められた基本的な問題、そういうことについてどう考えていらっしゃるのかをお話ししていただけたらと思います。
○菅内閣総理大臣 小林議員とも長いおつき合いでありますが、私は、政権交代には二種類の政権交代があると思っております。
つまり、従来の五五年体制下では、ほぼ自由民主党が中心となった政権の中で、いわゆる総理がかわるという形での政権交代でありました。しかし、九三年の政権交代、二〇〇九年の政権交代は、自由民主党が政権から外れた形で、それ以外の党、特に二〇〇九年は我が党が中心の政権交代になったわけであります。そのときには、五五年当時の政権交代とは別の意味があると思っております。つまりは、基本的に政策なり方向が大きく変わる。そして、国民の皆さんは、その新たな政権にまさに期待をされたんだと思います。
そういった意味で、私がよく申し上げるのは、やはり、そういう中心になる党がかわったような大きな政権交代の場合には、少なくとも四年、衆議院の任期程度はその党が中心の政権を運営してみて、その中でトータルで、改めて次の選挙の段階で国民から審判を仰ぐ、こういう形の政権交代であるべきだと。残念ながら、現在、その途中でありまして、いろいろ課題があることは承知をしておりますけれども、こういったものをしっかりとやり遂げることで、例えば二年後の任期満了選挙といったものの中で国民の審判を仰ぐべきではないか、こういうふうに考えております。
○小林(興)委員 政権交代を起こしたのは、やはり私は、国民の現状に対するその当時の行き詰まり、打開してほしい、そういう思いが非常に強く、当時政権党であった自民党の政策ではこの日本を新しく切り開いていくことはできないということの中で起きた大きなうねりだったと私は思うんですね。
その一つとして、私が自民党から追放されたということとも連係するわけでありますけれども、郵政民営化、ありましたよね。何かいきなり法案を出してきて、反対した自民党の政治家を全部追放するというめちゃくちゃなことをやって、その結果どうなったか、荒涼たる日本になっていく。
その郵政民営化法はひどかったということは今になったらだれでもわかるわけですけれども、その見直しをしようということも政権交代後の大きな話だったわけであります。ところが、この法案を、審議してはすぐ途中でとまってしまうという中に、やっと今度、八月末まで国会があるわけですね。その中で、今議論が活発に行われているかといいますと、この郵政改革法、行われるどころかまだ審議入りもしていない、こういう状況なんですけれども、これについて総理はどう思いますか。
○菅内閣総理大臣 二つの意味で残念だと思っております。
一つは、言うまでもありませんが、四月の十二日に特別委員会が設置されて、もう四カ月になろうかといたしておりますけれども、残念ながら、野党の了解がなかなか得られない中で、しっかりした審議に入れていないという面での残念さであります。
もう一点は、やはりこの郵政事業そのものが、この間、明確な方向性を出す、そういう改正案を含めて物事が決まらないという中で、例えば被災地においても、壊れたあるいは流された郵便局を新たにつくるときに、どういう経営形態を将来見通して、どういう配置にしようかといったようなことも含めて、物事が決まらないことによる事業運営の非常に困難さがますます増している、こういう状況であります。
そういった意味で、ぜひとも、この国会で審議入りを私からもお願いいたしたい、このように思っております。
○小林(興)委員 審議をしている中でいろいろ意見があってまとまらないというなら、それも一つの問題でしょうけれども、審議もしない、これは私は非常に、やはり総理のリーダーシップにも問題がある。
というのは、政権交代がそもそも起こったその一つの流れの中で、この郵政民営化法の問題点、それはいろいろと郵便局がどうだこうだということもありますけれども、一体だれがこの郵政民営化を当時進めてきたのか。世間では小泉、竹中さんという名前が挙がりますけれども、そんなものではない。その背景に年次改革要望書、アメリカから繰り返し繰り返し要望されてきた、そういう日本に対する内政干渉ともいうべき公文書が存在していたわけでしょう。それを政府は公にもしないで、そして郵政民営化法。
小泉さんが民営化、民営化と言って、道路公団を民営化した。では、まあ郵政民営化も株式会社をつくればいいんじゃないかというぐらいに我々も考えていた。ところが、出てきた法案は分社化。何でこんなばらばらに、郵便局は、今言った被災地でばらばらになっているからどうしようもないという話が出た。まさにかつては一体だったわけでしょう、郵貯も簡保も、そして郵便事業も。一体としてきちっと明治以来運用してきたこの日本の歴史、文化、伝統というものをぶっ壊して分社化する案が出てきた。
その後ろに、年次改革要望書を読めばわかるとおり、それはお金だけを、郵貯、簡保だけを抜き出して、そこだけを利用しようという、外資にたたき売ろうという、まことに情けない、そういうものがあった。これに対しては反対運動も起きたけれども、それをマスコミを使って、大テレビ、大新聞もちっともこの本質を書かないために、何か便利になる、民営化がいい、それだけの話でもって流されていった。
まさに、外国による内政干渉を受けているだけではこの国はよくならないということが明らかになったのがこの郵政民営化法の問題点であるとするならば、菅さん、日本はやはり明治以来、あの日本の啓蒙思想家の有名な福沢諭吉先生が言うように、独立自尊。この国は、もう外圧をいかに受けようとも、あの明治の厳しいとき以来、きちっと日本国というものを独立国として守っていくんだ、それには日本人の持つ知恵とか文化とか歴史とか、そういうものをしっかりとプライドとして持って頑張っていけば、どの国にも負けないというより、世界一の、ナンバーワンの国家になれる、そう政治家も国民も思って努力してきた国でしょう。それがもう、最後の小泉・竹中政権なんていうのは、どこの国の植民地かわからないような、何でも自分の考えで言っているかのように見えて、全部読むと年次改革要望書の言うとおり。
皆さん、こんな情けない、外国は、それは日本のためにいいことも言うかもしれないけれども、みんな自国の利益、国益を追求していく。その相手の国益をそのまま受けて、はあ、そうですかなんて言っていたんじゃ国の発展もあり得ない。まともな国をつくろうというのが政権交代の意義ですから、そのシンボルとしての、郵政民営化によってぶっ壊された郵便事業、菅さん、こういうものをしっかりと直していくことが国民の期待にこたえる政権交代の一つの意義だと思うんですけれども、菅総理のこの問題にかける決意、日本をきちっとしていくんだ、まともな国家にするんだ、そういうものをもう少し私は語ってもらいたいと思います。
○菅内閣総理大臣 二〇〇五年の郵政解散、私もよく覚えております。その中で、当時の小泉総理は、命をかけるんだ、そういうあいさつをされ、そして刺客を送り込む。つまりは、政策の中身というよりは、小泉流のいわばやり方、パフォーマンスという言葉は余り使いたくありませんが、そういうあり方に国民の皆さんがある意味熱狂をして、ああした結果が得られた。その背景の中には、今、小林さんが指摘をされたような問題点も数多くあったと思っております。
二〇〇九年の選挙は、そういった意味では、二〇〇五年の選挙の結果に対する国民のまさに意思があらわれた。その中では、この郵政というものに対しても、従来の小泉政権の主張をもう一回見直す必要があるという声もたくさん入っていたということは、そのとおりだと思っております。
そういった意味で、この法案の重要性は政権交代のまさに原点の大きな一つであり、また民主党と国民新党との間では、その点についての合意をしっかりと重ねていたしているわけでありますから、党としては、あるいは私の内閣としては、この問題に決して後退することなくしっかり取り組んでまいりたいし、しかし、そのことを実行するためには、野党の皆さんの御理解もいただいて、まずは国会の場で法案が審議をされていって、場合によったらいろいろな意見を入れた修正案などが議論される、そのことが何よりも必要だと思いますので、そういった立場から、野党の皆さんにもぜひ審議への参加について心からお願いを申し上げたいと思います。
○小林(興)委員 総理、先ほど申し上げましたとおり、三・一一の後の東日本の大震災の復興復旧、これはもう大変大事な問題であり、取り上げなければならない急務でありますけれども、しかし、それと並んで、政権交代をしたという国民の気持ち、思い、そういうものを踏まえて、民主党のリーダーとして、菅さん、もう八月で退かれるという話もありますけれども、とにかく国会は八月末まであるわけですから、まだ半月もある。
その中にあって、これとこれとこれ、こういうものはしっかりとやっていくんだというその決意をして、まさに命をかけて、この政権交代をした新しい流れを定着させて、政権交代、ではまた交代すればいいって、行ったり来たりするのが日本の政権交代ではなくて、日本は、平家から源氏にかわったらもう平家は出てこない、徳川から明治にかわったら徳川はいなくなる。もう新しい時代が生まれたんですから、菅さん、これがもとに戻るなんてことはないわけでしょう。
そういうことの中で、しっかりと民主党が国民の期待にこたえられるように、今の支持率を毎日毎日毎日上げていって、八月のやめるときには、菅さん、もっとやっていただきたいというぐらいの立派な総理になっていただきたいと思いますので、最後の決意を語ってください。
○菅内閣総理大臣 政権交代というものそのものは、議会制民主主義の中で、平家から源氏という例えが挙げられましたけれども、私は、ある幅で交代があるのが議会制民主主義の本来期待されている立場だと思います。
それはそれとして、今、小林委員の方から、しっかりしたことを最後の最後まで責任持ってやれということは大変力強いお励ましとして受けとめ、私も精いっぱい、こういう立場にある限り全力を挙げて取り組んでまいります。
○小林(興)委員 頑張ります。菅総理、最後まで頑張ってください。
○新藤委員長 小林君の質疑は終わりました。
次に、木村太郎君。
○木村(太)委員 おはようございます。
まず、菅総理、私、この二十年度決算、議論が始まった冒頭に当時の菅財務大臣にお聞きしたことを、きょう改めて確認させていただきたいと思います。
きょう、委員会の最後、自公政権時の予算、あのとき民主党の皆さんは反対したわけですが、この二十年度決算を総理として心から是認していただきたいという気持ちを持っているのか、ぜひ民主党の皆さんにお答えください。
○菅内閣総理大臣 国会における決算の審査というのは、執行された予算が所期の目的を果たしているかどうかなどについて審議、検討いただくものでありまして、極めて重要なものと認識をいたしております。
政府としては、これまでも決算に関する国会の議決や会計検査院の検査報告などを予算へ反映するなどの取り組みを進めてまいりました。しかし、無駄削減や予算執行の見直しに終わりはありません。これまで御審議いただいた内容等も踏まえて、今後の予算編成やその執行に十分反映させていただくので、ぜひとも御承認をいただきたいと思います。
つまり、この予算そのものは、我が党がまだ野党時代に編成されたものでありますが、それに反対だったから、賛成だったから、決算に対してどうだということではなく、決算は決算として、今申し上げましたような観点からしっかり審議をいただいてきたわけでありますので、そういったことも含めて、ぜひ御承認をいただきたい、このように思っております。
○木村(太)委員 先ほど与党の委員からもお話ありましたけれども、二年前の総選挙、民主党の皆さんは、裏づけのないマニフェストを掲げまして、無駄を削って予算の組み替えをすれば十六・八兆円という財源が出て何でもできるとの訴えをしたわけであります。
岡田幹事長が、先月二十一日記者会見で、国民の皆さんに対して謝罪の会見をされました。翌日には、自公民の幹事長会議で同じような姿勢を示したわけであります。そして、昨日は、三党幹事長会議におきまして、民主党のマニフェストの主要政策の見直しということについて合意したということであります。
ただ、菅総理は、先月の二十二日の参議院での答弁において、方向性は間違っていない、相当部分は実行されている、財源問題でやや見通しが甘かったと答弁しているんですね。これは、謝罪なんですか。方向性は間違っていないとか、相当部分は実行されている、やや見通しが甘い。菅さんらしい、男らしくない、潔くない、謙虚な姿勢がない、そういうふうに私は受けとめましたが、これは謝罪なんですか。
○菅内閣総理大臣 まさに、その場でも申し上げましたように、マニフェストには多くの政策課題が盛り込まれております。そして、その幾つかについては、少なくとも、第一弾、第二弾と実行されているものもあり、国民の皆さんの期待にこたえているものもあります。しかし、中には、当初、いろいろな無駄の削減等から捻出できると見込んだ財源が、必ずしも見込みどおりに捻出できないことなどから実行できなかった、あるいは実行が難しくなっている課題もあるわけであります。
そういった意味で、マニフェストについて、できるものについてはしっかりやってきた。しかし、現段階で、あるいは見通しとして、将来の段階でも難しいものがあるということを認めたわけであります。
あわせて、三月十一日の大震災がありましたので、大震災に伴ういろいろな財政出動というのは、マニフェストがあるからこれはお金がないんだとは、そういう形で一概に言うわけにはいかない。優先度そのものを、マニフェストも含めて判断することが必要な段階にあるということも含めて、私からは、マニフェストについて、必ずしも当初考えたとおりに実行ができていない、あるいはできないものがあるということについて、この国会の場で国民の皆さんにおわびを申し上げたところであります。
○木村(太)委員 そうしますと、謝罪の気持ちから、きのうの三党合意ということでよろしいんですね。
○菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、すべてができなかったということを申し上げているわけではなくて、できない部分があったということを率直に認め、そういったことについておわびを申し上げたということです。
○木村(太)委員 少し具体的に触れていきたいと思いますが、いわゆる事業仕分け。私は、ある面では、あの手法というのも我々も率直に受けとめたいと思っています。ただ、パフォーマンス的なものもかなりあるということは、国民の皆さんも大分気づいていると思います。事業仕分けで、あの場では無駄と決めつけておきながら、名前を変えて実質的には事業が続いているものもありますし、こういったことがだんだんにわかってきたわけであります。
私は、まず、国権の最高機関であります国会におきまして、この委員会が事業仕分け、予算の無駄削減、不正な予算の執行を防ぐ、こういった機能を果たすことが最もベストなことだと思いますが、総理、どう思いますか。
○菅内閣総理大臣 予算について、そして決算について、最も決定権を含めてそれを有しているのは、言うまでもありません、国会であります。
と同時に、事業仕分けという一つのやり方で、これは自治体でもいろいろと例がありますし、御党でも、それをある意味進めようという皆さんもおられますけれども、そういった形で事実関係を洗い出して、それをオープンの場で議論して、そして一つの方向性を見出していくという、そのやり方については、私は、それはそれとして意味のあることだと。最終的な権限は国会にあるということは、私はおっしゃるとおりだと思っております。
○木村(太)委員 ぜひ委員長にお願いしたいんですが、今総理もそういうふうにおっしゃってくれましたので、ぜひそういう方向でこの委員会のあり方というものを進めるよう、みんなで取り組むよう、委員長のまたリーダーシップをお願いしたいと思いますが、どうですか。
○新藤委員長 行政監視委員会として事業仕分けを取り組むべきだ、こういうことで理解してよろしいですか。はい。
後刻、理事会で協議したいと思います。
○木村(太)委員 そこで、一部の国民の皆さんにとって必要な事業なのに、犠牲になっている例があるんですね。例えば、腎疾患対策事業予算も私はその一つだと思っております。
透析患者は国内に二十九万七千人いらっしゃいまして、腎疾患対策費、慢性腎臓病特別対策事業、腎疾患対策研究事業、この三つの柱から成っております。自公政権のとき、三億四百万円余であったのに、今、二億三千七百万円余まで減額されているんです。一億二千七百万人の全国民的な享受を受ける予算ではありませんが、二十九万七千人の透析患者の皆さんにすれば極めて大事な予算だと思うんですが、総理、無駄な予算なんですか。
○菅内閣総理大臣 実は、私が国会に出て最初に質問をした問題が、この腎移植と透析の問題でありました。当時からいろいろな問題点があったわけでありますが、現在も透析によって多くの患者の皆さんが生活が維持できる、一方では非常に大きな負担があるという状況は、私も承知をいたしております。
そういった中で、今その予算について、こういうものは意味のない予算かと言われましたけれども、この慢性腎臓病というものは、大変、ある意味、患者さんの数も多いわけですし、そうならないための努力があることが、御本人にとっても、またいろいろな費用的な面でも最も好ましいわけであります。
そういった意味で、今御指摘になった、何か無駄な費用かという表現をされますと、どの部分ということは申し上げにくいわけですけれども、基本的には腎疾患に対する対策の費用というのは意味のある費用だ、予算だと考えております。
○木村(太)委員 意味があるのに予算は大幅に削る、これが実態なんですよ。
もう一つ例を挙げますね。
子ども農山漁村交流プロジェクトという事業が、自公政権時に我々がつくりまして、平成二十年度からスタートさせました。簡単に言いますと、子供たちが農家などに民泊をしまして、農山漁村の体験をするという事業であります。
これ、自公政権時の予算と比べて政権交代後どうなっているか、お聞かせください。
○山中政府参考人 お答え申し上げます。
子ども農山漁村交流プロジェクトに係ります文部科学省関係でございますけれども、平成二十一年度までは、豊かな体験活動推進事業ということで、文部科学省の全額国庫負担による委託事業として実施したものでございます。これが、二十二年度からは、三分の一の国庫補助事業ということになったところでございます。
また、平成二十二年度以降は、国が行う学校・家庭・地域の連携協力推進事業、この中の、大きな枠の中の一つのメニューとなったために、単純に予算額での比較はできませんが、国からの補助による事業の実施件数及び国からの補助金額ということで申し上げれば、平成二十一年度が三百六校、約四億二千万円であったものが、平成二十二年度は五十九校、約二千三百万円、二十三年度は、現在、申請に基づき交付手続を行っているところですが、おおむね二十二年度と同程度の規模ということになっております。
○實重政府参考人 御説明申し上げます。
子ども農山漁村交流プロジェクトは、農山漁村での小学生の宿泊体験活動を推進する施策でございまして、農林水産省は、小学生を受け入れるための地域の受け入れ体制の整備を支援しております。
この予算でございますが、平成二十一年度におきましては、子ども農山漁村交流プロジェクト対策事業といたしまして、六億四千万円で実施したところでございます。
平成二十二年度におきましては、二十一年度の事業仕分けの評価などを踏まえまして、三億八千八百万円、対前年度六一%に予算額を縮減いたしまして、対象となる受け入れ地域を重点化いたしました。また、中間団体を通さず、国が直接受け入れ地域に対して支援することといたしました。
平成二十三年度におきましては、このプロジェクトを初めとする都市と農村の交流に関するさまざまな事業を大ぐくり化いたしまして、メニュー化いたしまして、食と地域の交流促進対策交付金としたところでございます。これは予算額が全体で十七億三百万円でございまして、子ども農山漁村交流プロジェクトは、この予算の内数として実施することとしております。
○新藤委員長 総務省久元喜造自治行政局長。簡潔に願います。
○久元政府参考人 総務省は、今のプロジェクトの普及啓発の部分を担当しておりますが、二十一年度が約一千六百万、二十二年度が約三百八十万、二十三年度が約三百六十万でございます。
○木村(太)委員 今、答弁をそれぞれいただきました。このように大幅に縮小されているんですね。
そこで、例えば和歌山県なんかでは、三十一校が実施する予定だったのが全部できなくなりまして、見かねて県が単独で支援して、十五校実施する、十六校は断念せざるを得ない、こういった事例もあるんですよ。私の地元の方でもこれを行っている農家の方がいまして、皆さん大きな憤りを持っております。
きょう、お手元に、資料として許可をいただいたお手紙の資料をお配りしておりますが、これを体験した子供たちや御父母あるいは先生方から、受け入れてくれた農家の皆さんへの気持ちをあらわした手紙をお配りしております。
例えば、いろいろ書いてある中で一文取り上げますが、「また行きたいと思いました。体に気をつけてお元気でいてください。今度、室蘭にもきてください。」とか「ほんとうにありがとうございました。」とか、とにかく感謝の気持ちの手紙があるんですね。
三枚目には、お父さんお母さんからも、「とても貴重な体験をさせていただき、ひとまわり大きくなったような感じで、頼しく見えます。二日間とても楽しかったと、毎日黒石での事を話してくれます。本当にお世話になりました。ありがとうございます。」これはお父さんお母さんからの手紙です。
その次は、先生からの手紙です。後半の方に、「子どもたちにとって大切な経験になったことを強く感じました。訪問中の子どもたちの表情は本当に明るく、笑顔で活動していました。それは工藤さんの熱心さ、温かさに触れ、あの子たちの心が大きく動いた証と感じました。」と先生が書いているんです。
こういった手紙がやりとりできるこの事業、事業仕分けで土俵の上に上げて、今答弁あったように大幅に縮減させる、これは正しいことなんですか。
○菅内閣総理大臣 今のお話を聞いた中で言えば、子供たちにそうした体験をさせることをすることは大変有意義なことだ、このように考えております。
事業仕分けについて今それぞれ指摘をされているわけですが、先ほどの腎疾患対策事業費は、私が了解しているところでは、事業仕分けで取り上げられてはいないというふうに聞いております。ですから、予算が減っていることは確かですが、事業仕分けによって削減されたということではない、そのように理解しております。
今御指摘の子ども農山漁村交流プロジェクトについては、今のお話を聞く限り、もちろん一つの有意義な事業だと考えますけれども、そうした議論がこの仕分けの中でどう反映されたのかということまで詳細はわかりませんけれども、そうした議論も含めて次の予算の中で議論されるべきではないかと思っております。
○木村(太)委員 つまり、菅民主党政権に反省していただきたいのは、選挙のときだけ裏づけのない耳ざわりのよい話をして、いわゆる選挙至上主義に走り、実際に必要なものがどんどんどんどんおかしな方向になっているのがたくさんある、こういうことなんですよ。ぜひ猛省を促したいと思います。
では、次に入ります。
パネルを用意しましたが、八月一日、我が党の国会議員三人の入国を拒否した韓国側の対応をどう思いますか。今後、我が党の国会議員がこのような措置がとられることのないよう、政府としてどう対応するんですか。
○菅内閣総理大臣 本件については、極めて遺憾と感じております。
八月一日、松本外務大臣から、申駐日韓国大使に対して、今回の措置は極めて遺憾であるとして、しかるべく申し入れを行ったところであります。
○木村(太)委員 五月二十四日に、韓国の特別委員会の委員長である姜昌一議員らが、我が国の国後島を訪問しております。菅総理は、五月二十日の参議院の予算委員会におきまして、事実を確認中、きちっとした対応をとりたい、こう答弁しているんですが、その後、どのような対応をとったんでしょうか。
姜議員らが国後島に向けて樺太から出発しようとしていた。五月二十二日、菅総理は、来日中の李明博大統領と首脳会談を行っていたわけですが、そのとき、抗議も含めて、日本の総理として、適切な、毅然とした姿勢で対応したんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 まず、御指摘の日韓首脳会談でありますけれども、五月に行いました日中韓サミットの機会に、それぞれの首脳とバイでも首脳会談を行ったものであります。
その際、李明博韓国大統領は、宮城県を訪問した後、温家宝中国首相とともに福島の避難所も訪れていただき、被災者を激励していただきました。また、福島においては、私も含む三首脳で福島産の野菜などを一緒に食することで風評被害の対策に取り組んでいただいたほか、観光の促進といった面でも大きな成果があったと考えております。
このような中で行われた日韓首脳会談の最大の目的は、もちろんこの東北地方の復興も大きな課題でありますが、それを含めて、防災、原子力安全などに資する議論でありまして、その面では大きな成果を上げることができたと考えております。
また、その段階で、御指摘の韓国国会議員の北方領土訪問の可能性については、報道はあったものの、その時点では事実関係は明らかではなく、本件について私から取り上げることはいたしませんでした。
他方、本件については、首脳会談に先立って行われた日韓外相会談において、私の指示で、松本外務大臣から金星煥外交通商部長官に対し、我が国政府の立場を強く申し入れたところであります。
また、その後、事実関係が確認された後には、松本外務大臣から申駐日韓国大使に対し抗議をし、我が国政府の立場についてしっかりと申し入れを行ったところです。
○木村(太)委員 抗議をしても、このパネルの写真にあるとおり、竹島における韓国側の不適切な対応がますます進んでいる。ヘリポートの改修工事、しかも、これは大震災が起きてから工事に着手しているんですね。また、海洋科学基地建設計画もしかりであります。そして、宿泊施設もどんどんどんどん進めていっている。抗議しても動きはとまらないじゃないですか。
しかも、十二日には韓国の国会が竹島で行われるということが報道されております。また、韓国の聯合ニュースによりますと、十四日には与党のハンナラ党代表が竹島を訪問し、我が国の終戦記念日である十五日には野党民主党代表も竹島を訪問して声明書を発表する、こういうことになっているんですよ。そうしますと、これまで以上の対応をしなきゃいけない。
時間が来ましたので、そのことをお答えいただいて、終わります。
○菅内閣総理大臣 先ほど冒頭申し上げましたように、今回の一連の経緯、極めて遺憾と思っております。そして、この竹島問題に関しては、我が国の態度は、立場は一貫しており、粘り強く冷静に、大局的観点に立って対応してまいりたいと考えております。
○木村(太)委員 終わります。
○新藤委員長 木村太郎君の質疑は終了しました。
この際、平将明君から関連質疑の申し出があります。木村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平将明君。
○平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。
質問通告していないんですが、きょうの各紙朝刊を見ると、総理退陣の法案のめどが立ってきたということで、総理は月内退陣へという見出しが躍っております。国益を考えれば、この会期内に次の首班指名をするべきだと思います。総理がこのまま新たな首班指名をせずに八月末に国会を閉じてしまって、次の国会を召集するのも菅総理、そしてその間、外交上も、もうやめるのはわかっている総理がそのまま居続けることになるということを考えれば、この会期内、八月末までに新たな首班指名をして次の国会までの時間も新たな総理で対応する。それを考えると、民主党代表選は二十一日に新代表を決めてもらわなければいけないと思います。
この会期内に新たな総理を指名する、首班指名をすることが私は国益にかなうと思いますけれども、菅総理のお考えをお伺いします。
○菅内閣総理大臣 きょうの朝刊各紙でいろいろとそうしたことが報道されていることは承知をいたしております。また、その中でも報道されておりますが、私は、六月二日の我が党代議士会で申し上げたこと、あるいはそれに関連して記者会見で申し上げたことについて、私が申し上げた事柄については、きちっとそのことを私としてやるべきことはやらなければ、こう考えております。
今いろいろと日程上のことを言われましたけれども、きょう午後にも議論があります公債特例法の問題、あるいは再生可能エネルギーの審議なども進んでおりますので、私として今何か私の方から日程的なことを申し上げるのは余り適切ではない、こう思っております。
○平(将)委員 ぜひこの国会内に首班指名ができるように総理には決断をしていただきたいと思います。
それでは、質問通告をしている事柄に移りたいと思います。まずは事業仕分けについてお伺いします。
今世界的にも、EU、アメリカ、財政問題が顕在化をしてきて、世界じゅうに不安が広がっています。我が国の財政再建問題も待ったなしだ、そのように思います。
さらには、復興財源の捻出といったものも我が国には加わっております。関東大震災のときの事情をよくよく調べてみると、その際の財源確保、時の大蔵大臣を務めた井上準之助さんが「帝都復興秘録」というところでその内容を言っておりますけれども、増税によらずに歳出削減をして、そして余剰金を捻出して、そしてその余剰金を国債、新たな復興債の利払いに充てる、そういう努力もしているわけであります。
私は、財源確保、まずは歳出削減が王道だと思います。歳出削減といえば民主党政権で目玉でありました事業仕分けがあるわけでありますけれども、私は、今こそ事業仕分けをやって歳出削減に真剣に取り組むべきだと思います。最近、すっかりその話を聞きませんけれども、その後どうなっているんでしょうか。枝野担当大臣。
○枝野国務大臣 行政刷新担当大臣としてお答えをさせていただきます。
歳出削減の重要性については御指摘のとおりだというふうに思っております。それについては、いわゆる事業仕分け、行政刷新で行っております、狭い意味での無駄の削減にとどまらず、有効であったとしても、全体の財政状況の中で必要性の相対的に低いものについては大幅に削減をするという努力が必要だと私は思っております。
ただ、そうしたことを進めていく前提としても、狭い意味での無駄をしっかりと削減していく努力というものを積み重ねていかなければならないと思っておりまして、そのための手段としての事業仕分けについては、過去三回行いまして、一定の成果を上げているものと思っております。
ただ、これについては、事業仕分けのマインドを各府省の中にまずは定着させていくこと、このことが重要であるというふうに考えておりまして、各府省における事業仕分けともいうべき行政事業レビュー、いわゆる国丸ごと仕分けの取り組みを進めているところでございます。これについては、本年六月に毎年継続して行っていくことを閣議決定したところでございます。
本年については、震災対応がございましたが、これによって若干おくれておりますが、この行政事業レビューをしっかりと進めていくことで、まずは各府省の中において、狭い意味での無駄がないかどうかという点検を進めていただこうと思っております。
その上で、各府省のレビューでの点検が十分なものとなっているか、点検結果が的確に概算要求等に反映されているかについて行政刷新会議においてチェックを行い、さらに見直しの余地があると考えられる事業がある場合には、行政刷新会議の判断により、当該事業を対象として事業仕分けを行ってまいりたいというふうに考えております。
○平(将)委員 事業仕分けの手法は有効だというふうに思っておりまして、私も、河野太郎さんと一緒に自民党与党時代に取り組みました。予算は、一度ついてしまうと固定化をするし、ほっておくと肥大化をしますし、既得権益化をするんだと思います。そこに切り込むには、やはり相当な政治的なパワーと強力なツールが要るんだと思うんですね。
政治家になって私は実感するのは、予算をつけろというところでは政治家というのは大変大きなパワーを発揮しますけれども、予算を削れという部分については、なかなか政治家が力を発揮する場面というのはないんだと思います。
私は、民主党の事業仕分けがパフォーマンスではないんだというのが問われるのは、民主党政権がつくった予算に対してまさに事業仕分けの手法を使って、現場の目、専門家の目、国民の目を入れて厳しく切り込んでいくことが重要だと思うんです。政治的に対立をしている政権がつくった予算をばさばさ切るのはある意味簡単です。しかしながら、民主党がつくった予算といえども、事業仕分けの手法を使って切り込んでいく、私はそこが大事だと思うんですね。
ですから、今こそ事業仕分けなんですよ。なぜ今事業仕分けが何となくやりにくい雰囲気になっているかというと、東日本大震災があって、国民ももういろいろなことで手いっぱいだ。ここで事業仕分けができないというのは、やはりパフォーマンス化し過ぎたんだと私は思います。
そこで、大事なのは、事業仕分けを日程化する。概算要求が出てきた時点で、今、担当大臣、必要があればやると言いましたけれども、ちゃんと行政事業レビューをやって、その後しっかりまた事業仕分けをやるんだという日程化をビルトインしないと、これは多くの審議会はそうかもしれませんが、形骸化をしてしまうんですね。私は日程化をすべきだと思いますが、担当大臣、どうですか。
○枝野国務大臣 御指摘のとおり、なかなか、予算をつけることについて政治が力を発揮する場面が多くても、予算を削る方について少ないということは、私も十七年ぐらい前に、前回与党であったときに、与党の会議で一人だけ予算を削れという話をさんざんして異端児扱いをされたことを思い出しておりまして、そうした声がほかにもいろいろ出てくるようになったことは大変よかったなというふうに思っているところでございます。
御指摘のとおり、だれがつくった予算であれ、予算を使っていくとそこには必ず無駄が生じてくるし、あるいは時期が変わってくることによって必要性が変わってくるということは当然あり得ることでございますので、民主党政権がつくった予算、あるいはそれに基づく決算であっても、事業仕分け等の手法を用いてしっかりとチェックをするということは私も大変重要なことであるというふうに思っております。
そして、これをしっかりと定期化するということの必要性も御指摘のとおりだと思っておりまして、そうした観点から、国丸ごと仕分け、行政事業レビューを定例化する、毎年行うということまで閣議決定したところでございます。
ことしの分については、まさに震災対応との関係で、行政事業レビューの公開プロセスをどう組むのかというのが率直に言ってなかなか事務的に難しいところがあり、また、この行政事業レビューの公開プロセスを経て、そこでも不十分だということをいわゆる事業仕分け本体で取り上げる、こういうプロセスで全体について定常化していくということが重要であろうかなというふうに思っておりますので、御指摘の点を前提に、ことしできるかどうか、率直に申し上げて震災対応との関係でなかなか申し上げられませんが、定常化する方向で進めてまいりたいと思っております。
○平(将)委員 ことしは難しいという話でしたけれども、今こそ歳出削減なんだと私は思います。
事業仕分けをやると、これは本来議会の役割だという指摘が出てきます。私もまさにそのとおりだと思います。しかし、議会ができていないから、事業仕分けがあれだけ国民の支持を得たんだと思います。
私は、ぜひ提案をしたいのは、先ほど木村太郎理事からもありましたけれども、行政事業レビューを毎年やる、そうすると各省庁は予算のついている事業については事業シートを作成しなければいけない。この事業シートが概算要求のころ上がってきます。このシートがあれば、例えば決算行政監視委員会でそのシートを総点検して、そしてこの委員会で、仕分け人というか参考人というかは別として、あのような事業仕分けの手法を活用して、本来その役割を担う国会が、衆議院でいえばこの決算行政委員会が歳出削減に取り組む、こういうことが重要だと思いますけれども、まずは担当大臣の御意見をいただきたいと思います。
○枝野国務大臣 行政事業レビューの一つの大きなポイントは、一部の人たちでチェックをするのではなくて、事業シートをつくっていただいて、これを公開して、そして、行政刷新会議にとどまらず広く多くの皆さんにチェックをしていただくということが一つのポイントだというふうに思っております。その中で、国会、特に行政監視委員会という立場の皆様には、行政刷新会議の立場としても大きく期待をするところでございます。
具体的なことについては、行政府の側が立法府のことについて具体的に申し上げることは僣越でございますので、委員会の中で御検討いただければというふうに思っております。
○平(将)委員 今、枝野担当大臣からそういうお話もありました。ぜひ事業仕分けの手法を活用して決算行政監視委員会がその役割を担うということを、委員長、リーダーシップを持って検討していただきたいと思います。
○新藤委員長 当行政監視委員会の与えられた権能に照らしてしっかりと議論していきたいと思いますし、理事会で協議いたします。
○平(将)委員 委員長、ありがとうございます。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
皆さんのお手元の一番の資料を見ていただきたいんですけれども、これは二〇〇九年衆議院選挙のときのマニフェストであります。この顔を見たくないと思っている方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、しばらく我慢をしていただきたいと思います。
私は、政治家の仕事は何が期待されるかといえば、国家の取締役として歳入歳出全体をコントロールすることなんだと思います。歳入をどうやってふやしていくか、もしくは歳出をどうコントロールしていくのか、歳入歳出、資金繰り、そういうものをしっかり見ながらマネジメントをしていく、資金繰りをつけていく、これがまさに政治家の仕事なんだと思います。
このマニフェストでは、先ほどからも指摘をしておりますが、子ども手当、農家の戸別補償、高速道路無料化など、十六・八兆円、民主党は政策経費としてやります、国の総予算二百七兆円を全面的に組み替えれば幾らでも捻出できるんだと言いました。結果、幾ら捻出できたのでしょうか。これは野田大臣ですか。はい、野田大臣。
○野田国務大臣 マニフェストでは、財源として、第一に歳出削減、予算の組み替え、二つ目に埋蔵金等の活用、三つ目に租税特別措置などの見直しの三つを挙げております。
二十二年度、二十三年度予算編成を振り返りますと、歳出削減等については、事業仕分けなどにより、二十二年度予算で二・三兆円、二十三年度予算で少なくとも〇・三兆円、計二・六兆円を捻出いたしました。埋蔵金等については、二十二年度予算で六・三兆円、二十三年度予算で二・七兆円、計九・〇兆円を捻出いたしました。租税特別措置等の見直しについては、二十二年度で一・一兆円、二十三年度で〇・二兆円、計一・三兆円を捻出いたしました。以上、合わせますと、若干の重複を考慮しても、十兆円を超える財源を捻出したというふうに思います。
これらの財源は、マニフェスト主要事項の実現に必要な三・六兆円のほか、社会保障費の自然増、年金財源、税収の落ち込みへの対応などにも充てられました。また、埋蔵金は恒久的な財源ではありませんので、マニフェスト関係予算三・六兆については歳出削減と税制改正という恒久財源で対応しており、責任ある財政運営に努めてきたところでございます。
○平(将)委員 何か野田大臣が言うとそれらしく聞こえるのですが、まず十六・八兆出しますよと言いました。マニフェストにその詳細が書いてあります。この二番の資料はその使い道ですが、三番を出していただければと思います。まずは、皆さんが約束をした政策経費は毎年出ていくんです、十六・八兆。それは四年後に実現するとしてもですよ。毎年、十年間で百六十八兆出ていくんです。今ここで震災大変だ、大変だ、この財源どうするんだと言っていますけれども、その財源、十兆、十三兆を今議論しているんです。それを上回る経費を、毎年私たちはやってみせると言いました。
しかも、今の説明、ストックとフローがごちゃごちゃ。しかも、ではフローでいきましょう、事業仕分けでいきましょうといって、三兆だ四兆だと言っておりますが、例えば、サブプライム直後の、景気対策を含めた予算から一兆円減らしましたねと。これはぶくぶく景気対策でやっているところですから、そういうのは除いて、私も、事業仕分け、かなりやっていますから、中身を精査させてもらいました。フローで二兆六千五百億円ですよ、出たのが。ですから、一五・七%なんですね。二百七兆円の国家総予算を全面的に組み替えれば二十兆、三十兆出てくると言ったけれども、フローでは二兆六千五百億だと。
これは国民の皆さん、非常にわかりにくいと思いますが、例えて言うならば、このコップが大体二兆円だとすれば、あなたたちが約束したのはこれですよ、十六・八兆というのは。これだけやってみせますよと言っておきながら、この程度の財源しか出ませんでしたね。
そして、総理が、やや見通しが甘かった、やや見通しが甘かったと。全然じゃないですか。これがここまで来ていれば、やや見通しが甘かったという話ですけれども、けたが違うんですよ。けたが違う。こんなのは一期も国会議員をまじめにやっていればわかる話で、このマニフェストが出たとき、私、一期生でしたけれども、こんなめちゃくちゃなマニフェストを出すのかと思いましたよ。同期の杉村太蔵君だってわかりますよ、この程度のことは。それを、あなたたちはできるといって出した。
私、ぜひ総理にお伺いしたい。これ、本気でできると思ったんですか、総理。
○菅内閣総理大臣 マニフェストについては、党内でも議論を、必ずしも二〇〇九年に限らず、何度も繰り返して行ってまいりました。二〇〇九年の議論の中で、今御指摘のありましたように、総予算二百七兆円の全面組み替えによってこうした財源が捻出できる、そういう形で議論が進み、私も期待感も含めて何とかそれを実現したい、このように考えたところであります。
○平(将)委員 本気でできると思ったのか、思わないのか。総理、もう一度。
○菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、これは党の中でいろいろな会議を重ねて議論を積み上げて、こうした形ができてくる中で、私も党の役員の一人をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、この二百七兆円の全面組み替えによってこうした形が可能であろう、あるいは可能にしなければならない、このように考えたところであります。
○平(将)委員 驚きましたね。本気でできると思っていたということなんですよ。
私は、こんなのは、特別会計の中を見ても、例えば外為を見たってその他の会計を見たって、例えば借方、貸方、その負債の方は政府の短期証券になっていたり、ただただ、そんな二百何兆円お金があるという話ではありませんよ。
私は、できると思っていたというのであれば、これは先ほど言ったように、我々政治家に望まれているのは、国民を代表して予算をつくる、歳入歳出をコントロールして、資金繰りをして、そして、やりたい政策はいっぱいあるけれども、その制約の中で予算を組んでいくということを我々は国民から望まれているんですね。しかしながら、けたがわからないということは、孫にたばこ屋の留守番をさせたら、百円おつりを上げるところを千円上げちゃった、こういうレベルですね。
私は、できないと思っていたけれどもできるとうそをついたのか、できないと思っていたけれども政権がとれるから見て見ぬふりをしたのかと思ったら、できると思っていたと。私は、政治家としてのリテラシーとしては極めて問題だと思いますよ。
ちなみに、次の総理候補と言われている野田大臣も、本気でこれはできると思ったんですか。野田大臣。
○野田国務大臣 国民にお約束をした以上、必死に着実に実施をしていかなければいけないという思いでやってまいりました。
ただ、私、平成二十一年度の二次補正から、そして二十二年度の本予算、ここまでは副大臣として予算編成にかかわりました。その後、大臣としてさらに四回予算編成をやっています。
いわゆる埋蔵金のところであるとか租税特別措置等については、それなりに頑張ってきたつもりですが、一番難しいのは、やはり歳出の見直しを、組み替えていくというところ、ここは大変厳しい状況であることを今実感しているところでございます。
○平(将)委員 私も、組み替えて財源を出して自民党がつくった政策を組み替える、これは一つの選択肢だと思いますよ。ただ、けたが違いますよねと。しかも、野田さんよく御存じのように、十六・八兆を新たにやるんだけれども、それ以前にプライマリーバランスの問題もあるわけですよ。それを全くゼロの状態で政権をバトンタッチするわけではありませんよね。それを含めた上でこの十六・八兆と言ったと。時間がないですから、指摘だけしたいと思います。
もう一つは、五番を出してください。
十六・八兆、あれもやります、これもやりますと言いましたが、皆さんは、「年金制度を一元化し、月額七万円の最低保障年金を実現します。」というふうに約束をしています。しかしながら、十六・八兆の中にこれを実現するための政策経費は一円も入っていません。
この間、与謝野大臣と委員会でやりとりをやらせていただきました。このマニフェストと税と社会保障の一体改革の成案と、整合性はどうなっているんだと。与謝野大臣は、マニフェストのところは一行も触れていないと言っていましたよ、みずからの成案に対して。それでいいんですかと言ったら、平先生、それはもし実現をしたとしても、七万円をもらえるのは四十年後だからという発言がありました。
このマニフェストを見て、おじいちゃん、おばあちゃん、七万円もらえるんだ、民主党に入れようと。四十年後なんてどこにも書いていないじゃないですか。まさに詐欺的ですよ。
菅さんが財務大臣のときに、霞が関なんて大ばかですよと言っていました。私はそういう下品な言葉は使いませんが、民主党なんか大ばかですよと言われてもしようがないですよ、こんなの。
最後、コメントをいただいて、終わります。
○菅内閣総理大臣 指摘をいただいているところ全部が根拠がないとは申し上げません。私どもも、先ほど申し上げたように、いろいろな時代にマニフェストをつくり、ある時期は、消費税を三%ふやすことで年金の資金に充てるといったようなマニフェストを掲げて選挙を戦ったこともあります。
二〇〇九年のマニフェストについて厳しい御指摘をいただきましたが、そういう御指摘も含めて、今後しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○平(将)委員 この二年間で明らかになったことは、歳入歳出のけたの違いもわからない、政権担当能力がないということですから、ぜひ一刻も早く下野をされることをお勧めします。
ありがとうございました。
○新藤委員長 平将明君の質疑はこれで終了しました。
この際、村上誠一郎君から関連質疑の申し出があります。木村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村上誠一郎君。
○村上(誠)委員 私は、国家として日本が今完全にメルトダウンしているんじゃないかという気がしております。国家は何のためにあるのか。一言で言えば、国民の命を守ることであります。そのためにこそ国家は存続しなければならないし、必要な領土、主権、政府の機能の維持が不可欠であります。
特に私は、後で質問しますが、福島原発の事故はいまだに国民の生命、健康に深刻な脅威を与え続けており、その収束に責任を負うはずの日本という国家は、政府の大失態によって、なすすべもなく手をこまねいているということを指摘しておきたいと思います。
まず、松本さんにお聞きします。
ここにありますように、戦後、民主党内閣になってから、外交が最悪の状態になっております。特に普天間問題の失敗により、日米関係が戦後最悪になりました。鳩山さんは前に、最低でも県外と言って、オバマさんにトラスト・ミーと言って、そして党首討論においては、自民党はくい一本打てない、最後には、私には腹案があると言った。そして、やめる寸前になって、抑止力の重要性がわかったと。そして、ことしになって、うそも方便と。これはもうはっきり申し上げて、政治家以前の問題であります。
特に私は、その後、去年、二〇一〇年の九月七日、尖閣諸島の中国漁船の衝突事件、そして二〇一〇年の十一月一日、メドベージェフ・ロシア大統領が国後島を視察、そしてまた十一月二十三日、北朝鮮による韓国延坪島の砲撃、この一連は決して偶然ではないと思います。
松本さんにお聞きします。私は、この外交の失態により、もうほかの国々は、池に落ちた犬はみんなでたたけ、日本だけなら怖くないということでやってきたと思いますが、あなたはどのように考えておられますか。
○松本国務大臣 国際社会においては、正義と信頼もあれば、他方で厳しい競争の現実もあるということを認識せよということであれば、そのとおりであろうというふうに思っております。
今お挙げになった外交上の案件がそれぞれどういう背景で、またどのような関連があるかということについては、私どもも、今後の外交を展開する以上、必要な分析は行うところでありますが、諸外国の行動について私どもの方から論評をする立場にはないということを申し上げさせていただきたいと思います。
○村上(誠)委員 私は、尖閣事件の対応について、本当に日本は情けない対応をしたと思います。中国船長を逮捕しながら、中国の圧力に屈して釈放した。世界のメディアは、日本は中国に屈服していると。日本の国益は大きく損なわれたと思います。そしてまた、船長の釈放を政治判断とせずに、那覇地検の判断というふうに、政治家が責任をとるべきところを責任転嫁した。そして、衝突の映像は、国民の知る権利として公開すべきであったにもかかわらず、ネットに流出して、政府の信念のなさが露呈したわけであります。
特に私が気の毒だと思うのは、海上保安庁の職員は本当に愛国心に基づいて出た行動だと思います。そのために彼が役職をやめざるを得なかったというのは、私は政治家として本当に情けないと思いますが、松本さん、どう思いますか。
○松本国務大臣 昨年九月の対応につきましては、まさに法治国家として法に基づいて行われたものだというふうに思っております。
海上保安庁の職員についてのコメントは、所掌でもありませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
○村上(誠)委員 幾ら政府の答弁とはいえ、私は政治家の良心を疑います。
そして私は、中国の脅威の本質は、東シナ海、南シナ海をすべて中国の海であると考え、沖縄までが中国の焦点に入っている、みずからの力の増大をきっかけに主張しているところに中国の脅威の真の本質があると考えております。
残念ながら、民主党内閣、菅内閣は、この問題について本当に腰の据わった対応をしているんだろうか。廊下外交で下を向いて文書を読み上げるのでは私は外交にならないと思いますが、松本さんはどう思われますか。
○松本国務大臣 ちょっと今手元を探しておりましたけれども……(村上(誠)委員「自分で考えて言ってください」と呼ぶ)正確な文書がありませんが……(発言する者あり)文書を引用する際は確認をしたいと思ったところでありますが、先般の六月二十一日の2プラス2でも、中国には建設的な役割を国際社会の中で果たしていただきたいということを日米の共通の認識として文書にもさせていただいたというふうに理解をいたしております。
私どもとしては、これは私どもの考えに全く一致をしているところでありますので、そのようになるべく努力をするのがまさに外交の務めであろう、このように考えているところであります。
○村上(誠)委員 今、中国は南シナ海でこん棒外交を行っているというような記事があります。簡単に申し上げれば、ベトナムとフィリピンは中国にじゅうりんされているわけであります。特にフィリピンは、御承知のように、一九九二年にアメリカのスビック海軍、クラーク空軍両基地を議会の要請で引き揚げました。その間隙をついて、あっという間に南沙諸島と西沙諸島に来ております。そしてまたベトナムも、あれだけアメリカと激しい戦いをしたにもかかわらず、一番今頼りにしているのがアメリカであります。
そしてまた、この南シナ海の危機で同盟強化が求められるわけですが、沖縄の普天間基地から県外、国外移設を叫んでいた民主党政権が、尖閣諸島で中国漁船の体当たり事件が発生した後、同諸島を日本の安保条約の対象とすることを公言してほしいと米国に泣きついたこととよく類似していると思いますが、松本さんはどのような見解を持っていますか。
○松本国務大臣 どの部分に御答弁を申し上げていいのかわかりませんけれども、日米の安保条約の解釈については、日米間での認識の一致が改めて表明されたものだというふうに考えております。
南シナ海の問題につきましては、私どもとしても、航行の自由の観点、そしてまた国際法が遵守されるべきという観点から、先般のASEAN関連外相会合におけるARFなどでも議論が行われ、私どもの主張を申し上げてきたところであり、また、そういった主張が地域においても受け入れられつつある状況だというふうに理解をしております。
○村上(誠)委員 時間がないので、まとめてお聞きします。
このような状況において、あなたはどのような方法で日本外交を立て直すつもりであられるのでしょうか。
また、鳩山氏は日米中が正三角形の位置関係にあると言っていましたが、あなたは日中米の関係はどのようにとらえておられますか、どうあるべきだと考えておられますか。
それから最後に、外国人地方参政権は民主党の公約でありますが、私が懸念することは、今、中国から公称で約十万人来ていると言われています。しかし、大体、一人頭もっと連れてきている。そうしますと、そういう人たちにもし参政権を与えて、例えば沖縄だとか対馬に住民移動して住民投票した場合にどうなるのか。そこら辺について、外国人参政権に対するあなた自身の考え方を説明していただきたいと思います。
○松本国務大臣 どのように立て直すのかということについて、現状の外交についての認識が、私はお預かりをしている間、四カ月、五カ月でありますが、ベストを尽くしてまいりまして、現在、でき得る限りのことはさせていただいているというふうに思っております。
今後についてお話を申し上げれば、長い時間を要することになろうかと思いますが、基本的には、今の御質問との関連でも申し上げれば、私どもとしては、日米の関係というのは最も重要な二国間、基軸の関係としてしっかりはぐくんでいかなければいけないと思っておりますし、同時に、一衣帯水の隣国である中国、そして韓国等を含めた、また、東南アジアのアジア諸国との関係を重視すべきことであることは申し上げるまでもありません。もちろん、新興国であるアフリカの各国であったり、ブラジル、南米の各国であったりとか、日本の幅広い外交というのが日本の国益に資するものだと思って、幅広く展開をしてまいりました。
また、日米中について、三カ国の関係はどうなのかという御下問でありましたが、我が国とそれぞれの国との関係というのは多様でありますので、一律に比較をするということは私自身は行ってきていないところであります。
○村上(誠)委員 何というか、時間がないから明快な御答弁がございませんけれども、菅さんが居座り二カ月間で物すごく外交が停滞してしまいました。特に、米国においては、新共同宣言を発表する予定でしたが、政局の混迷で断念しました。また中国では、七月に予定した日中ハイレベルの経済対話開催もできない。トルコから、原発輸入の見直しもできない。ベトナムも、日ベトナムの原子力協定の国会承認も難航。そして韓国とは、ことしの後半の李明博大統領の訪日が流動的になっている。オーストラリアについては、日豪の関連法案が国会議事中断で協定が発効できないと。まさに日本の外交はがたがたであります。
私は、やはり外交の基礎が今失われていると思います。日本の外交の最優先課題は、日米同盟において緊密で実質的な関係を維持することにあると。十一月のアジア太平洋経済協力会議で、TPP等の問題についてもっと向き合わなければならないし、そして、日本の原子力の平和利用を、脱原発ということを一方的に言えばその手段を失うし、周辺国への抑止機能を減らすことになりかねない。尖閣諸島、北方領土、竹島問題に見られるような、周辺国に非常に軽く見られて、指導者の資質に欠ける首相は早期に退陣すべきだということだと思います。
お時間があるので、これで結構です。
では、次に移ります。
それで、最初に申し上げたように、福島の原発の事故は、いまだに国民の生活と生命の健康に非常に重要な、深刻な脅威を与えております。
それで、今まで民主党政権がやってきたいろいろなミステークを一つ一つ検証していきたいんですが、まず、細野さん、メルトダウンはいつ始まって、メルトダウンはいつわかりましたか。
○細野国務大臣 メルトダウンをという御質問でございますけれども、この言葉は必ずしも国際的に明確な定義をされている言葉ではありませんので、溶融ということでお答えをしたいと考えております。
五月十六日に、東京電力から、運転データやプラントの挙動を示すデータ類が提出をされております。それによりますと、一号機につきましては、地震発生後三時間から四時間で損傷が始まっております。続きまして、二号機につきましては、地震発生後七十七時間から八十時間で損傷が始まっていると。三号機については、四十四時間後から溶融が始まっている、溶け始めているということでございます。
○村上(誠)委員 一々説明を聞いていたら長いので、はっきり申し上げます。
この原子炉の中の溶けたのは、今、津波が起こって電源が喪失してからメルトダウンが始まったと言われていますが、地震直後にメルトダウンが起こったという説もあります。何はともあれ、実は三月十一日中にメルトダウンは始まっています。そして、官邸には三月十一日の午後十時にはベントをすべきだという報告が上がっているわけであります。そして、それにもかかわらず、再三によく質問を受けるのは、三月十二日の朝六時、菅さんがテレビカメラを連れて福島原発に視察に行った。そのときに、前回の質疑では班目委員長が、一国のトップリーダーをそんなところに連れていくのは軽率であったということをお認めになりました。
そして、私がもう一つ言わせていただきたいのは、実は三月十一日中にやっておれば、これが風の流れですが、こういうふうにメルトダウンが起きる前にやっていれば飛び散らなかったし、夜中にやっておれば、これはドイツの気象庁の予想でありますが、このように外へ、陸から海へ流れたということで汚染されなかったわけであります。そしてまた、残念なことに、実は三月十二日から十五日の間にほとんど放射能物質が飛び散ったのであります。
細川さんにお伺いします。
枝野さんは全然、直ちに影響がないと、はっきり言ってうそを続けておりましたが、チェルノブイリにおいてポーランド政府はどのような対応をなさったか御存じですか。
○細川国務大臣 せっかくの御質問でございますけれども、私は承知いたしておりません。
○村上(誠)委員 これは重要な問題であります。ポーランド政府は、チェルノブイリが爆発してから四日以内に全児童にヨードを飲ませたわけであります。なぜ日本はその対応をとらなかったんですか。細川さん、答えてよ。なぜポーランドがやって日本はやらなかったのですかと聞いているんです。
○細川国務大臣 村上委員にお答えをいたします。
私は厚生労働の担当をいたしておりまして、食品衛生法を所管いたしておりまして、食品の関係からの放射性物質……(村上(誠)委員「わかった、わかった。では、委員長、答えられないなら答えられる人にやらせてください」と呼ぶ)そういうことで、ヨードの関係については……(村上(誠)委員「そんな縦割りでは誠実にならないぞ」と呼ぶ)私の方からは、その点についてはお答えは控えさせていただきます。
○村上(誠)委員 まことに情けない話であります。
これは、今、松本市の市長をやられている菅谷昭さんが「チェルノブイリ診療記」というのを書いています。
秘密主義だった当時のソ連は隠ぺいします。このために住民の避難がおくれました。上空から放射性物質が降下しているにもかかわらず、子供たちは外で遊んでいました。この子たちが、やがて次々に甲状腺がんを発症することになるのです。甲状腺は、子供の成長に欠かせない甲状腺ホルモンをつくり出します。そのときに沃素が必要となりますが、放射性沃素が体内に入ると、甲状腺は、通常の沃素と区別できないので、そのまま取り込んでしまいます。体内に入った放射性沃素は、放射線を出し続けます。これが内部被曝です。これがやがてがんを引き起こしやすくします。事故直後のソ連とは別に、独立国で白ロシアの隣のポーランドは、いち早く子供たちに無機ヨード剤を服用させたために、甲状腺がんの増加は報告されていません。無機ヨード剤を投与すると、これが甲状腺に入って、後から来る放射性沃素の侵入を防止する効果があります。政府が迅速な対策をとったかどうか非常に明暗を分ける問題ですと書いてあります。
菅さん、あなたは一番原子力のことがお詳しいようですが、ポーランドさえこうやった。これははっきり言って、総辞職問題物ですよ。
そして、私の聞いているところによれば、アメリカは多量のヨードを用意してくれていた。ところが、あなたは最初に、この原発事故が起こったときに、アメリカの協力要請も断り、国家の安全保障会議も開かなかった。これに対して、あなたはどのように考えていますか。
○菅内閣総理大臣 まず、間違いを正確に申し上げておきたいと思います。アメリカの協力要請を断ったことはありません。根拠もなくそういうことを言うのは、私は適切ではないと思っております。
それから、沃素については、当時から自治体に配付する等で、基本的には原子力安全委員会とも相談して、どういったタイミングで、どういう形で飲むように指示するか、そういうことを検討いたしていた、このように承知しております。
○村上(誠)委員 相変わらず、はぐらかしと言いわけの答弁で、聞いていても意味がありません。
はっきり申し上げます。海江田さんの心中は察するに余りあるものがあります。
最初の初期段階で、消防署員や警察官に協力をしてもらわなきゃならなかった。そのときに多分、海江田さんは、消防署員が手伝わなかったら処罰するなんということを言っていないのに謝らされた。
そして、浜岡の原発についても、海江田さんが発表する予定だったのを上司にとられた。そして、そのために全国の原子力発電がとまりそうになった。海江田さんは、死に物狂いで全国を回って、原子力発電がとまらないように努力した。そうしたら、また打ち合わせもなく一方的にストレステストを入れた。
私だったら辞表をたたきつけますが、海江田さん、私は海江田さんの気持ちを思いやることがあるんですが、ただ、これだけは看過できないことがあります。実は前回の委員会で、経産省から、一万一千トンの低レベルだといって海水に流した許可はだれが出したと言ったら、海江田さんだと言っていました。あのときの一万一千の低濃度のあれは本当に妥当だったんでしょうか。
○海江田国務大臣 村上委員にお答えをいたします。
委員御指摘の海水への放出というのは四月の四日のことだったと覚えております。これは、四日から最終的には十日までというおよそ一週間にわたりましたが、この低濃度の汚染水の放出につきましては、片一方でやはり高濃度の汚染水が出ておりましたので、その高濃度の汚染水を何とかしてとどめるためにということで、これは私が最終的には判断をいたしました。もちろん、途中で専門家のアドバイスはいただきましたが、最終的には私でございます。
○村上(誠)委員 低濃度といっても、法令限度の百倍です。班目委員長、これが低濃度と言えるんでしょうか。
○班目参考人 明らかに法令限度は超えてございます。しかしながら、当時、もっとはるかに高濃度の汚染水が場合によってはあふれ出すというおそれがあるということから、緊急避難的にはやむを得ない処置であろうという判断を原子力安全委員会としても助言してございます。
○村上(誠)委員 前回の委員会でも明らかになったのは、一万一千トンを流すときにGPSをつけずに流して、どこに流れたかどうかも把握できていない。
そして、もっとはっきり言わせてもらえば、今、班目委員長はオーバーリミットだと。実は、トレンチから流れたのが四千七百テラベクレル、要するに許容度の二万倍は、何リットル出ましたか、班目委員長。
○班目参考人 申しわけございません。数値をちゃんと覚えていませんけれども、何リッターどころではなくて、何立米のオーダーでございます。
○村上(誠)委員 委員長、それでは困りますね。毎日新聞にちゃんと五百立米と出ているんですから。
それで、もっと重要なことは、委員長、この間質問をしてまだ答えをいただいていないんですが、海水の投入を、真水も含めて、今まで何十万トン投入したんでしょうか、保安院長。
○寺坂政府参考人 各原子炉あるいは燃料プールに対します海水注入、相当量で、ちょっと今トータルの数字は持ち合わせてございません。
○村上(誠)委員 三カ月前に質問したんですよ。そのときに、東電の常務もあなた方も答えられないから、三カ月間もずっと待っていたんですよ。
はっきり申し上げましょう。今まで海水や真水を投入したのが、多分数十万トンだと思います。そして今残っているのが十二万トンですから、それはどこに行ったか。単純な話です。海水と地下水で太平洋に流れ出したということであります。
それで、私が今一番心配しているのは、宮古に五月一日に行ったときに、宮古の漁師さんが私に言いました。私は実は、家も船も流された、しかし、福島の漁師さんとお百姓さんはもっと大変だ、なぜならば、この原発問題があるからだと言っていました。
このままいけば、来年の、一年ぐらいたつと、アリューシャン列島を通って、ずっと回っていって、下手すればサンフランシスコから全世界にばらまかれてしまう。このときにおける海洋法違反や風評被害に対して、政府はどのように責任をとるんですか、細野さん。
○細野国務大臣 先ほど村上委員の方が御指摘をされた、低レベルの汚染水とはいえ、決して法定限度を下回っていないそういう汚染水を出さざるを得なかったことに関しては、関係者として本当に申しわけなく思っております。
ただ、その一方で、当時、高レベルの水をどうとめるのかということを、関係者一同、本当にもう全員それこそ不眠不休の体制でやっておりました。何としてもそれを移送させるスペースをつくらなければならなかった、こういう事情があったわけです。きちっとそれを国際社会に対して事前にお伝えできなかったことは反省をしなければなりませんけれども、あのやったこと自体は、当時の状況ということを考えれば、やむを得なかったのではないかと考えております。
今御指摘の海洋への汚染水の状況なんですけれども、もちろん、汚染をしたことについては事実でございますので、これは日本としてもしっかりと責任を考えていかなければならない問題であると思っております。
ただ、その一方で、今の……(村上(誠)委員「もういいよ」と呼ぶ)御質問の部分ですので。
今の、それこそダムのところ、港のような形になっているんですが、そこの濃度などはしっかり調べておりまして、地下水を通じたり、それこそかつてサブドレーンを通じて流れていたような状況があったわけですが、そこがどういう状況かというモニタリングはかなりしっかりしております。そこの数値自体は安定をしておりますので、それこそ大量の海洋汚染を続けてきているという状況ではない、そのように考えております。
○村上(誠)委員 時間がないので、質問にないことを答えないでくださいよ。
もっとはっきり言えば、あなたはそんなのうてんきなことを言っているんだけれども、事態はそんなに甘いものじゃないんですよ。毎日の潮が満ちたり引いている間も出ていっているし、あなた、大体、琵琶湖を基準以上に汚染するために何グラムあればいいと思いますか、セシウムが、汚染された。まあいいや。答えましょう、答えられないから。百グラムあれば十分なんですよ。日本全国を汚染するには五キログラムで済むんですよ。そして毎回、あの地下水からどんどんどんどん流れていく。そして四千七百兆ベクレルも流してしまった。それを国民にも言わない。
そして、もっと大きいのは大気汚染ですよね。これが福島大学がつくった大気汚染図ですが、これも実は、先ほど申し上げたように、三月十二日から十五日までが勝負だったんです。
ちょっと委員長、お許しください。これは実は、委員部がけちってカラーコピーしなかったから、カラーが飛んでいるので見えないんですけれども、実は、これで大体おわかりいただけると思うんですが、三月十一日から十二日の間、大変な範囲が汚染されているんです。さっき枝野さんがいなくなっちゃったから、追及しようと思っていたのをやめておったんですけれども、まさに三月十二日から十三日、これは国立環境、あれがやってくれたんですけれども、本当に良心的なところはこういう調査を出しているんです。ところが、SPEEDIは、こういうことだからできないというふうに、気象学会も含めて、勝手に発表するなという言論統制までやっていたんです。これで本当に国民の健康が守れるんだろうか。特に私は、このままいけば、一番大きな問題は、今やっていることが全く無意味になってくるんです。
細野さん、簡単に答えてください。今、あなた方が水棺化ができると言ったけれども、これでおわかりのように、最初から水棺化なんかできっこないんです。なぜかといったら、さっき言ったように、原子炉に穴があいているから水が漏れているんです。漏れているところに水をじゃんじゃん投下したら汚染水があふれ出したということなんです。
もう一方、問題なのは、この循環型冷却機能というのは、海水をほうり込んでいますから、正直言って、原子炉の中がこの建屋ぐらいの、百トンぐらいの塩になっているわけです。それがどろどろになっていますから、石川先生に言わせると、大体、お汁粉状になっている、そして高濃度の汚染である。それをサイクル化してやっても、必ず配管が腐食するし、必ず失敗すると言っていました。
今、細野さん、五三%、五七%の稼働でこれを延々と続けて何の意味があるんですか。
○細野国務大臣 現在、循環注水システムで入れている水は、もちろん汚染をされたものからとっているわけですけれども、放射性物質を取り除き、そして塩も取り除き、油も取り除いておりますので、真水とは言いませんけれども相当程度浄化した水を入れることができていると考えております。
それで、安定して冷却する水をある程度の量を確保するということが重要でございますので、今やっておりますのは、稼働率をできるだけ上げる。間もなく東芝のシステムも試験運転に入れますので、それをすることによってできるだけ安定的に水を入れる状況を確保したいと考えております。
○村上(誠)委員 こういう人が担当しているからどうにもならないですね。
班目さんも御存じだと思いますが、前回、民主党が参考人で見えた松浦さんは、この冷却機能システムが一〇〇%稼働して意味があると言っていたんだ。まして、五三%とか五七%とか、よくて七〇%の目標というのは何の意味もない、そのように、民主党さんが呼んだ松浦参考人がおっしゃっていました。
そして、もっと言うならば、今回、アレバ社と、キュリオン社はアメリカがやっていますけれども、このアレバ社が、六ケ所村の悪夢というのがあるんですね。最初、六ケ所村の使用済み燃料の再処理プラントシステムについて、七千六百億円で見積もられたけれども、結局、二兆千九百三十億円まで及んでしまった。それで、実際に動いていないから、使用済み燃料棒が各原子炉のプールにあるだけになっているんです。
それで、もう結論を言います。はっきり言って、このアレバ社とアメリカのやっていることが、本当にいつまでやって、どれだけ払うのか、どういう契約になっているんですか。
○細野国務大臣 これは東京電力とそれぞれの会社との契約でございますので、すべての情報を政府が持っているわけではありませんが、済みません、事前に御通告いただかなかったのですぐ手元にないんですが、しっかりと契約をして、それこそこれは国民のいろいろなことにも影響を及ぼしますので、金額もある程度確定をして、東京電力の方からお知らせをしておるところであります。
○村上(誠)委員 アメリカのゼオライトは日本の五倍なんです。日本のゼオライトでもできるのに、わざわざアメリカから五倍のゼオライトを輸入してやって、それも効果のないことにずっと延々とやるつもりなんです。
もう時間がないので、はっきり申し上げます。このままやっていたら、福島原発はいつまでたっても収束しません。海江田さん、もうそろそろ発想の転換を考えなきゃだめです。スリーマイルズ島は十六時間で冷却機能が復活して、十五年間冷やし続けて、そしてやっと取り出したんですよ。
もうはっきり申し上げます。今回の原子炉は、もういろいろぼこぼこになっていますから、取り出せないものばかりです。だから、一番最初に申し上げたように、まず、この中にある溶けた原子炉の燃料棒がどこでとまっているのか、デブリといいますが、それを早く確定することであります。そして、それを確定することによって、取り出せるのか取り出せないのか。
それから、二番目に大きく残っているのは、使用済み燃料棒であります。あそこの福島第一だけでも三千四百四十六本あります。特に、三号機に入っているのはMOX燃料といってプルトニウムを練り込んだ燃料棒ですから、大変デンジャラスなものであります。それも含めて三千四百四十六本、六ケ所村がふん詰まりしているのに、どこへ持っていくのか。
そしてまた、はっきり申し上げますが、今言った十二万トンの汚染水をクリーンにしたとしても、コンデンスした濃度の高い廃液が出ます。これもアレバ社なんか持って帰ってくれません。
そして、一番大きなのは、この間物すごい数値が出た、建屋自体の瓦れきであります。あの瓦れきから土から含めて、持っていくところはもうどこにもありません。
私は、直ちにまずやるべきことは、実は、ダムをつくる場合、ダムはコンクリートの壁を築いただけでできるんじゃありません。下に水が漏れないように、このようにカーテングラウトというのをつくります。まず一番最初にやらなきゃいけないのは、地下水が中を通って海水に出ないように、この周りをきちっと覆って、地下水が第一原発の地下を通り抜けないように早く手当てをすることです。
それからもう一点は、今申し上げた、溶けた酸化ウランがどこにあるのか早く測定すべきだと思います。なかなか近寄れないとするならば、建屋の横に穴をあけて、ガンマ線やそういうものをはかっていって、どこにあるか至急把握すべきだと思います。そして、それに対してどのようにするのか。簡単に言えば、最初申し上げたように、取り出せるものと取り出せないものを早く識別して、その最終的処理までどうするかということをそろそろ考える時期に来ているんじゃないかと思います。
実は、前回の住田参考人が言っていました。今回の問題についてですが、内閣は秘密主義で、みんなの公の英知や世界じゅうの知恵や経験やツールを集めようとしていない。そして、あれから三カ月たっても一向に改善されない。
これも早く総理におやめいただいて、新しい担当者、大山巌のような懐の広い司令官を置いて、児玉源太郎のような頭の切れる参謀を置いて、一日も早く対応を見直すべきだと私は思います。
特に、最後に申し上げたいのは、このように囲って、早く、中の汚染水が外に出ないようにとめつつ、どのような段階から廃炉に向かっていくか。このままいけば、数十兆、何十兆という、冷やすために十年、二十年間だらだらやるわけですから、そしてそれにかかる人件費や経費を考えたら、当然国家の国庫に影響を与えることになります。
きょうは本当はそこまでもっと突っ込みたかったんですが、時間がないからやめますが、委員長、おわかりのように、今回の追及でもまだまだ足りないわけであります。決算監視行政委員会でまたこういう機会をきちんと持っていただいて、しっかりやっていただきたいと思います。
以上であります。
○新藤委員長 それも後ほど協議をいたします。
それでは、村上誠一郎君の質疑は終了いたしました。
次に、東順治君。
○東(順)委員 公明党の東順治であります。
きょうは、菅総理と選挙制度について、選挙制度の改革について議論をしたい、こう思っておりますが、それに先立ちまして、ここのところ、私ずっと実は気になっていることがございますので、その辺ちょっと触れたいと思います。
かつて国会の爆弾男と言われた往年の政治家、野党でございました、楢崎弥之助氏、菅総理とは社民連時代に行動をともにされたこの楢崎弥之助氏、この方は菅総理にとってどういう人物であり、お方ですか。
○菅内閣総理大臣 私は、最初の選挙は無所属でやりまして、その後、江田三郎議員がつくられた社会市民連合に参加をいたしまして、私も代表の一人になりました。その後、江田三郎さんが亡くなられて、五月さん、あるいはそういった皆さんと、翌年に田さん、楢崎さん、そういった皆さんと一緒に社民連という政党をつくりました。そのとき以来、私にとっては大変尊敬すべき先輩議員であり、今日も大変ある意味で私のことを心配してくださっております。
〔委員長退席、平(将)委員長代理着席〕
○東(順)委員 私も、同郷の福岡ということで、楢崎氏とは親しくおつき合いがあった時期もございました。
この方が、たしかあれは十五年前でしたね、当時すい星のごとくあらわれた、当時の若き菅直人という政治家のことを私に語っておられたことがございました。
今、楢崎氏は九十一歳ですね。この楢崎氏が、七月二十一日でしたか、菅さんに書面を送られた。「政治は国民のためのものであって、菅直人君の権力欲を満足させるためにあるのではない。古くからの同志である私だからこそ、あえて断腸の思いで、日本国民の為に辞任せよと言いたいのである。これは私の遺言である。」というところまで言及された書面でございました。
これは民主党の国会議員の皆さんにも配付されたというふうに伺っておりますが、こうもおっしゃっています。君の即刻の辞任こそが国民に安堵感と少なからぬ希望の光を与えるであろうと。大変に重たい言葉でございます。遺言ということまでおっしゃっておられる。十五年前のあの日、しみじみと、いわば師弟関係というんでしょうか、菅さんとこの楢崎氏との関係というような意味合いも込めておっしゃっておられました。
そういう方から、ここまでの、いわば突き詰めた、本当にすさまじい文書が来た。これに対して、菅総理、あなたは何らかの返答をなさったんでしょうか。いかがですか。
○菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、私と楢崎元議員との関係は三十年前にさかのぼって、先ほど申し上げたような経緯であります。
それから、楢崎先生が、正確な日にちは忘れましたが、今言われたような時期に上京されて、私に会いたいというお話がありましたので、ちょっとその週は大変、委員会等で時間がとれないので、翌週にしていただけないかということを申し上げましたが、どうしてもその週でということで上京されて、実は江田さんとも大変親しい関係でありまして、江田さんがお会いをいただいて、そしてその場から電話をいただきました。電話で楢崎先生ともお話をいたしました。その中ではそういったことを厳しくは言われなかったんですが、その後、そうした文書を出されたことは承知をいたしております。
それについて、私の方からどのように申し上げていいのか、いろいろ古いおつき合いの中でも、今でも大いに頑張れと言っていただける方、あるいは、楢崎さんも一般的にはそうなんですが、いろいろな意見を言っていただける方でありますので、その意見にはしっかり真摯に耳を傾けているつもりであります。
ただ、反論とかそういうことをすることは私としては避けようと思いまして、現在のところ、お話を電話で聞いたのと、そして文書をいただいたのと、それにとどめております。
〔平(将)委員長代理退席、委員長着席〕
○東(順)委員 政治は菅直人君の権力欲を満足させるためにあるのではないというような言葉、そして、即刻辞任せよ、これは私の遺言である、ここまで、かつてのいわば師弟関係のような、そういう方から、楢崎氏といえば、政治にまだまだ力があって重量感があって信義もあった、そういう政治の時代の我々の大先輩ですよ。私も、党派こそ違え、あの人の気迫に満ちた強烈な国会質問というのは鮮明に覚えていますよ。
菅さんが青春時代に師事されたこの方が、九十一歳という高齢を押して、それこそ断腸の思いでこういうことを迫られるということに対して、やはり僕は、人間として、自分の今の思いを率直に、やはり誠意には誠意といいますか、そういう思いを持ってきちんとこたえられることが大事だと思いますよ。電話という話じゃないと思います。
それが実はずっと僕は気になっていたので、この話を一度、いい機会ですから菅さんに確認しようと思って、きょうはこの話を持ち出したんです。よくわかりました。
それで、あなたは退陣をするということがきょうの新聞各紙に躍っている。恐らくそういうお気持ちなんでしょう。しかし、問題は、この八月という月内に退陣をされる、いつやめられるのかということでございます。
なぜかならば、国会は八月三十一日に閉じられます。そして、次に国会は臨時国会というものを召集しなきゃいけない。第三次補正という大事な審議が待っている。臨時国会というのは、あなたの後の新しい総理が召集をする国会です。したがって、いつやめるのかということをもうそろそろ明言されないといけない時期に来ているんだろう、私はこういうふうに思います。
その辺をあいまいにしていると、ひょっとして、総理という座と民主党代表という座を、いわば総代分離みたいなことで、総理はやるけれども代表は代表選挙として選んでほしいというようなことに持っていってしまうんじゃないかというような勘ぐりさえ出てくる。そういうことですから、やはり国民の前でそろそろ明言をなさった方がいい、このように思いますが、いかがですか。
○菅内閣総理大臣 まず、楢崎先生は、私にとっても本当に尊敬すべき、大変お世話になってきた方でありますし、今でも私のことを思っていろいろと言っていただいていると思います。
ただ、たしか権力欲というかそういう表現があった、私も事前に聞いていれば現物を持ってきたんですが、確かにそういうことを言われましたが、私自身は、別に私が何か権力欲を満たすために総理として居続けたい、そんなことは一切考えておりません。
私は、常に今の内閣が今やるべきことをやれているかどうかということを私なりに考え、あるいは、場合によっては多少第三者的な人にも聞いております。例えば、現在でいえば、復旧復興について内閣は機能しているか。中には遅いと言う方もありますけれども、外国の方などからいうと、いや、よくやっているんじゃないのという声もたくさん出ております。また、原発事故に対しても、当初、本当に私もどこまで拡大するのかと心配しましたが、七月十九日のステップ1の終了を含めて、一定の方向での収束の方向に向かっております。
そういった意味で、私は、内閣が機能しているかどうか、それが私の最大の責任だと考えておりまして、それに加えて、社会保障と税の問題なども含めて前進をしている、そういう考えの見方の中で今の立場にいるわけであります。
やめるやめないという私の出処進退については、六月二日という一つの経緯がありました。余り細々とは申し上げませんが、不信任案は皆さんから出されて、野党から出されて、残念ながら党内でそれに同調する動きがかなりあったものですから、そのこと自体は、代表選で一定のルールで選ばれた代表を、同じ与党内で野党が出した不信任案に賛成するという行動自体、かつていろいろな歴史的な例がありますけれども、私は必ずしも大義名分はないというふうに思っておりましたけれども、結果としてそういう動きになったときに、内閣がこのままで機能するんだろうかということを考えまして、私としては、一定のめどが立てば次の若い人たちに譲りたいから、一定のめどが立つまでは私に責任を持たせてほしいということを代議士会で申し上げ、そして大部分の人がそれを了として、不信任案は我が党が大半が反対をされましたので、大差で否決されたわけであります。
そして、そのときから申し上げているように、一定のめどというものについてもその後聞かれましたので、まさに具体的に一つの、具体的には法案二つと第二次補正でありますが、それが成立したときをもって一定のめどと私は考えるということは一貫して申し上げてきたわけであります。そのことは今も変わっておりません。
今いろいろと日程上のことを言われましたけれども、今まだその二つの法案が国会で審議をされている中でありますから、そのときに私が何か日程のことを申し上げるのは、今の段階では適切ではないのではないか。そういったものが成立したときには、私としては、これまで申し上げてきた私の言葉をきちんと実行に移したい、こう思っております。
○東(順)委員 九十一歳の高齢を押して、かつての関係性の中で上京をしてこられて、そして遺言とまでおっしゃるような思いでおいでになって、その人に直接会わずに電話で済ますということは、私は、人としての振る舞い、わきまえということでいかがかなというふうに思ったものですから伺ったんです。今、先ほどおっしゃったような心情を直接ひざを交えてお伝えすればよかった、私はそう思いますよ。それが人間としてのありようだろうというふうに思います。
それから、もう一回重ねて確認しますが、それでは総理と民主党代表という座を総代分離という形は一切考えておられませんね。確認をさせてもらいます。
○菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げましたように、私が申し上げたことは、六月の二日の代議士会とその後の記者会見で申し上げたことであります。
代表を選ぶというのは、党のいわばルールであります。そして、総理大臣を選ぶというのは、言うまでもありません、国会で選ぶわけであります。私が一定のめどが立った段階で若い世代に譲りたいと言ったのは、別に、何かそれを分けて、こちらは譲るけれどもこっちは譲らないとか、そういったことで言ったのではなくて、まさに責任を引き継いでもらいたいということを申し上げたわけで、その言葉で御理解をいただきたいと思います。
○東(順)委員 よくわかりました。
さあ、話を変えます。選挙制度の改革ということでございますが、きょうの読売新聞に、今大きな問題になっております衆議院の一票の格差ということで、野田財務大臣のまさにひざ元、千葉四区が、二・三倍を超えて二・四四二倍という格差が出ているということが報道されておられました。
まさに衆議院の方も参議院と同じく、この一票の格差問題、参議院はもう五倍ぐらい開いておりますけれども、衆議院の方も二倍以内に抑えよう、そのためには、一人別枠方式という、これが一票の格差の大きな要因だ、こういう判断が出ていて、衆議院選挙に当たって、この一票の格差問題ということに早く決着をつけなさいということが迫られております。まさに、国勢調査人口の公表の日から一年以内に選挙区の改正案を内閣総理大臣に勧告をする、そしてその期限が平成二十四年二月二十五日、来年の二月二十五日、こう迫っているわけです。
そこで、総理に伺いたいんですが、通常であれば、この選挙制度の改正ということについて、与野党で議論を重ねまして、本当は今国会で取りまとめて改正すべきというようなことが常道です。しかし、残念ながら対応はできておりません。さまざまなことがございました。したがって、この改正の時期ということについて、今、菅総理としてはどのようにお考えですか。
○菅内閣総理大臣 最高裁の判決など、いろいろな指摘があることは承知をいたしております。そういった中で、定数の是正という問題と、あるいは委員からも後に出るのかもしれませんが、選挙制度というものとの考え方とは、当然これは重なってくるわけであります。つまりは、今言われた一人別枠方式というものを廃止するということだけでいくのか、制度も含めて見直すのかということもあるわけであります。
そういった意味で、まさに議会政治の根幹にかかわる問題でありまして、私も、できるだけ早い時期、つまりは、次の任期やあるいはそれに至るまでのいろいろな手続を考えますと、できるだけ早い時期にこうしたことについて各党間での合意を得ることが重要だとは思っております。
しかし、私の今の立場で、今の時期に、いつごろまでにこういうふうにということまで申し上げることは、私の中にもまだ、状況について、そこまではいっておりません。主に、この問題は、党内では幹事長を中心に党内的な議論をし、場合によっては他党の皆さんとも議論をさせていただくことになろう、こう考えております。
○東(順)委員 今総理は非常に重要なことをおっしゃいました。一人別枠方式を廃止して、一票の格差という問題にとどまらない、選挙の制度というものをやはり根底からもう一回見直さなければいけないという問題をはらんでいるのではないかということを今おっしゃいました。私も全く同感なんですよ。むしろ、今の法改正をして二倍以内におさめるという、それだけで終わっては決してならない、選挙制度ということを本当に根本的に見直す時期に今来ているのではないか、こういう問題意識を私は持っています。
なぜかならば、大変に政治が漂流をしてしまった、国民はストレスがたまる一方である、政治が常に不安定だ。先ほどもお話が出ていましたけれども、郵政民営化というものをテーマにどんと選挙をやった、ワンイシューです。そうすると、刺客を送るだどうだこうだという大騒ぎになっちゃって、物すごいスイングの仕方をして、当時は自民党さんが大勝ちをされた。そして今度は、これまでの政治は厳しいからだめだから、一度民主党さんに政権をとらせてみたいというような空気が日本列島にだあっと充満した。そうしたら今度は、事実上、政権交代というものがテーマになった衆議院選挙が前回行われた。まさに日本列島が、ええじゃないか運動みたいな、民主党でええじゃないか、ええじゃないかみたいな、そんな空気になっちゃって、今度は民主党さんが大勝された。
物すごいスイングなんですよ。どんと寄ったら今度はどんとこっちに反動としてスイングされる、そのたびに百名前後の新人議員が生まれる。(発言する者あり)まあ前後の中に入ります。どちらの選挙をやったときも、やはり物すごくスイングをする。これは、やはり政治が不安定になるに決まっているわけです。また、経験不足の新人が百名も百五十人も一回の選挙でどっと出てくるということは、政治の底が浅くなることは決まっているわけです。だから、こういうふうになっちゃって、結果的に政権交代が自己目的化するような状況を繰り返して、そして今に至っている。そうすると、やはり政治というのは漂流し始める。政治不信というのがどんどん度を深めていく。
これは、やはりそろそろ選挙制度ということを根本的に見直さなきゃいけない時期に来ているのではないか。なぜかならば、今の小選挙区比例代表並立制という選挙制度で過去五回選挙をやった。それまでは、最初のうちはノーマルだった。そのうち、郵政改革だ、政権交代だ、こう来たら物すごい大揺れが始まっちゃって、結局、二大政党というもので事実上九割近くの議席をとっちゃうということになってきたんですね。だから、そこからねじれ国会というのが生まれてきて常態化してき始めている。
私は、この辺の政治の漂流の主なる原因というのは今のこの選挙制度にあるのではなかろうか、そういう問題意識を持っておりますが、これはいかがですか。
○菅内閣総理大臣 私も十三回選挙をやり、幸い十回当選をさせていただき、いろいろな変化を体験してまいりました。
九三年当時、私はまだ、当初は社民連という小さな政党、さきがけという政党に移っておりましたが、やはり政権交代というものを実現するということが大変重要だと。当時は五五年体制が長く続いて、自民党のいわば一カ二分の一、いろいろなことがあって、自民党がずっと万年与党、他が万年野党でありました。
政権交代のためには、思い切って小選挙区中心の選挙制度がいいのではないか、九三年には多分、御党を含めて、あるいはいろいろな離合集散がありましたが、最終的にはそういうことで国会で合意をして今の制度になったわけであります。
特にこの二〇〇五年と二〇〇九年の選挙で、自民党が衆議院で三百議席を超え、我が党が百議席前後になり、その後の九年ではちょうど逆のような数になる。これほど大きな変化を、本来ならそれぞれの党の中でしっかりと吸収できて国民の信につなげていかなければならないわけでありますが、確かに、そうした中で、果たして国民の皆さんから見てそういった大きな変化がいいことになったのかどうかという御指摘は、私も指摘としてはよくわかります。
そういう中で議論を行うこと、九三年当時もいろいろな制度について議論しましたが、思い出しておりますが、議論を行うことは私は有意義であろう、こう思っております。
○東(順)委員 そこで、なぜそういうことになるのか。考えたら、やはり小選挙区という制度は民意を集約する制度ですね、比例という制度は民意を反映させるという制度です。問題は、この民意の集約と民意の反映のバランス問題なんだ。
今の小選挙区比例代表並立制というのは、小選挙区を一としたら、一対比例は〇・六なんだ。バランスが悪過ぎる。だから、比例の方がぐっと圧殺されて、民意の集約の方がぐんと大きくなっちゃって、すごいアンバランスになってくる、ここから生じてきているんですね。だから、民意の集約があり過ぎちゃっていて、そして、さっき言ったような物すごい大きなぶれが出てくる。
これはほどよいそういうバランスというのを取り戻さなきゃいけない、そうしないと、民意の集約と反映というそのちょうどいいバランスがとれなくなってきたら、こういう政治が不安定になってくるというふうに私は思います。それがしかも今は参議院の方まで、そのまま政党政治という形でがんと行っちゃっていますから、ねじれ国会という形が常態化し始めてきているわけです。
そういうふうに思うので、私は提案です。あの当時、大議論になりましたね。やはりドイツ型の併用制というものが非常にいいのではないか、それが安定した政治を生んでくるのではないか。穏やかな多党制。二大政党制ということは維持されつつ、そして、第三勢力としての中ぐらいの政治勢力、これがあった方が非常に政治が安定してうまく進んでいく。つまり、ドイツ型の併用制ですね、これがいいということが大議論になった。
そして、いやいや、それでもって小選挙区比例代表並立で選挙をずっと五回やってきた。そうしたら民意が集約され過ぎちゃって、結果的に今のような政治状況になってしまった。だから、この経過の中で、そろそろ本気になってあの併用制ということを実現してみようではないかというふうに、私はその必要が今出てきているというふうに思います。
つい先日のプライムニュースか何かを見ていましたら、石原東京都知事も、この国を立て直すためにはドイツ型の併用制しかないよということをどんとテレビで言っておられましたね。あの点においては私は全く同感で、ドイツ型の併用制は超過議席というのを生みますから、これはなかなか混乱するので、超過議席のないドイツ型の併用制、いわば日本版の併用制みたいなもの、あの当時は連用制という言葉でよく使われましたけれども、そういうふうに思いまして、この根本的な議論から出発をしないと、場当たり的な急場しのぎの、一時緊急避難的に二倍以内に抑えようというようなことで終わってしまったら、日本の政治は立ち直れないというふうに思います。
私はそう思いますが、総理、いかがですか。
○菅内閣総理大臣 九三年当時の議論を思い起こしておりましたけれども、それまで私が、それこそ楢崎先生などと一緒におりました社民連という政党は、今御指摘のドイツの併用制というものがいいのではないかということを主張した時期もありました。九三年の中では、たしか当初は二百五十、二百五十の並立制というものが提案され、その後、いろいろな変化の中で現在の形になってきたと思っております。いずれにしても、今御指摘の問題を含めて議論をしていくということについては、私も重要だと思っております。
ただ、そのこととこの定数是正という裁判所から指摘されている問題とのいわば時間的な問題は、ある意味では一票の格差についてもしっかりやらなければいけない、場合によっては定数削減という問題もしっかりやらなければいけない。そういったものを含めての議論が必要だと思います。
○東(順)委員 あなたは平成三年九月の本会議質問で、こういうふうに発言をされている。「私たちは比例代表制を基本とし、個人名投票をあわせて行うドイツ型の二票制の比例代表制が望ましいと考えます。その理由は、国民の声を正確に反映すると同時に、長年我が国でなれ親しんできた個人名投票も当選者の半数の決定について生かされるからであります。」と、明確にドイツ型の比例選挙が望ましいということを発言され……(菅内閣総理大臣「それは何年ですか」と呼ぶ)これは平成三年九月。それで、法案の提出者にもなられている。こういうことがある。
きのう官邸で記者の質問に、これまで自分が言ってきたことにはちゃんと責任を持ちます、こう言いましたね。責任を持ってくださいよ、これ。総理をやめても、これから民主党の大幹部で残るんですから。多分、民主党の中にも影響力のある大幹部で残られるんでしょうから、この発言を重要視されてしっかりやっていただきたい。
あろうことか、民主党は、比例を八十削れなんて言っているんですよ。こんなことをやるとますますアンバランスになっちゃう。そういうことを言っている政党ですから、そこの政党にあなたは戻られますから。過去はあなたは明確にこういう発言を何度もやっておられますので、どうぞひとつしっかり根回しをし説得をしてほしい、このように思います。
野田財務大臣にも伺いたかったんですけれども、時間がございませんので、これで終わります。
ありがとうございました。
○新藤委員長 以上をもちまして平成二十年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
―――――――――――――
○新藤委員長 平成二十年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成二十年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、平成二十年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 政府は、財政規律を維持し、財政に対する信認を確保するため、平成三十三年度以降において国と地方の公債等残高の対国内総生産比を安定的に低下させるよう、歳入・歳出両面にわたる取組を行う必要がある。効果が不透明な施策については費用対効果の観点から見直すとともに、新たな政策の財源は既存予算の削減等によって安定的に確保することを原則とし、国の総予算の全面的な見直しを徹底すべきである。あわせて、国の資産売却、国家公務員の総人件費削減等を強力に進めていくべきである。また、特別会計については、ゼロベースで見直しを行い、事務事業の聖域なき見直し等により、無駄の排除や資金等の有効活用を徹底すべきである。
2 GDPギャップの解消はデフレ脱却や円高対策の観点からも重要である。公共事業は即効性ある有効需要を創出するとともに、将来の経済成長の芽となる内需拡大のための基盤づくりに資するものであり、高速道路等のミッシングリンクの解消、アジアの活力を取り込む港湾・空港の整備等を積極的に進めるべきである。また、事業を進めるに当たっては、国民にとって真に必要なものかどうか見直し、優先順位付けを行うとともに、既存の社会資本ストックの急速な老朽化に対応し戦略的な維持管理、更新を進めるべきである。
3 独立行政法人改革に当たっては、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、高額な給与・報酬等の見直しなどを行い、更なる無駄の削減をして、抜本的な見直しを進めるべきである。また、公益法人については、非効率な事業を洗い出し、全面的に見直すべきである。
公務員制度改革については、国家公務員制度改革基本法にのっとり、内閣による人事管理機能の強化を図り、幹部人事の一元的管理に関する制度を確実に実施すべきである。また、天下りを根絶するため、定年まで働ける環境づくりを行うべきである。
4 年金、医療、介護等については、国民の信頼を得られる持続可能なシステムとするため、給付と負担の関係を明らかにして、明確なビジョンを示すとともに、質の高い医療・介護サービスを安定的に提供するため、的確な医師の需給見通しを踏まえた医師養成数の増加、処遇の改善による医療・介護従事者の確保を進め、国民各層が納得できる社会保障制度を確立すべきである。特に、医療・介護・健康関連分野については、安全の確保や質の向上を図りつつ利用者本位の多様なサービスが提供できる体制を構築すべきである。また、少子化の流れを食い止めるため、保育所等における待機児童の解消策の強化、出産環境の整備充実等の子育て支援に積極的に取り組むべきである。さらに、住宅セーフティーネット対策の強化による高齢者世帯等の居住の安定を図るとともに、障害者の移動の利便性及び安全性の向上を増進するため、公共交通機関のバリアフリーの促進や障害者に対する支援策の一層の充実を図るべきである。
5 雇用対策については、経済成長政策を戦略的に実行して、経済成長による雇用の拡大を基礎とすべきである。失業しても速やかに再就職することが可能な社会の構築に全力を尽くすとともに、働きかたの多様性を維持しつつ、正規雇用の維持・拡大、非正規労働者の待遇改善、総合的な就労・生活支援、若年者を中心とした雇用対策の拡充などにより、国民すべてが意欲と能力に応じて働ける社会を実現すべきである。
6 学力の向上やいじめ、不登校等各般の課題に的確に対応した質の高い学校教育を実現すべきである。そのために、学校教育に関する公財政支出の確保等に努め、よりきめ細やかな教育指導を実現できるよう、質の高い教員を確保し、現場の教職員に対する適切な支援体制の整備・強化や、不登校児童生徒を支援しているフリースクール・サポート校等との一層の連携の推進に努めるとともに、地方公共団体間の財政力による教育費格差の解消に努めるべきである。また、高等教育の教育費負担を軽減するため、経済的支援に積極的に取り組むべきである。
7 地産地消、農商工連携などの推進や、国産木材の利用率の向上、水産業の安定した経営への支援等を通じ、農林漁業の持続性強化や食料安全保障の確立を図るべきである。さらに、口蹄疫問題については、再発防止に万全を期すとともに、影響を受けた方々の生活支援・経営再建対策に取り組むべきである。
8 ODAについては、透明性・効率性を確保するとともに、他の援助国や国際機関、NGOとの協調・連携を深めることで、援助対象国のニーズに合った無駄のない援助を行うべきである。
9 地方警察官の増員を行う場合には、警察官一人当たりの負担人口や事件、事故の発生状況等都道府県間の各種負担の差異にも配慮して、警察官定員の適正な管理に努めるべきである。また、犯罪被害者団体、被害者支援団体への財政支援を含め、犯罪被害者のための施策を拡充していくべきである。
10 東日本大震災への対応に当たっては、前例にとらわれないあらゆる必要な措置を早急に実施し、速やかな被災者の生活の回復と被災地の復興の実現に全力で取り組むとともに、本震災を契機に、将来にわたり災害に強く、持続可能な地域社会の実現に努めるべきである。また、地震及び津波に伴い発生した原子力発電所事故については、情報公開を徹底し、国内外のあらゆる英知を結集して一刻も早い収束を図るとともに、健康及び環境への被害の拡大回避、地域住民等に対する補償・救済対策に万全を期するべきである。
二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については不法又は不当な収入支出は認められないため異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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○新藤委員長 これより平成二十年度決算外二件を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決を行います。
まず、平成二十年度一般会計歳入歳出決算、平成二十年度特別会計歳入歳出決算、平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新藤委員長 起立総員。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
次に、平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新藤委員長 起立総員。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○新藤委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。野田財務大臣。
○野田国務大臣 ただいま御決議のありました財政健全化につきましては、社会保障と税の一体改革を進めるとともに、震災復興の財源について、将来世代に負担を先送ることなく、今を生きる世代で連帯して負担を分かち合うことなどを通じ、着実に推進すべきものと考えています。今後とも、財政運営戦略に基づいて、歳入歳出の両面にわたる取り組みを行ってまいる所存であります。
また、国の資産の有効活用や、特別会計の見直しにつきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
○新藤委員長 次に、片山総務大臣。
○片山国務大臣 ただいま御決議のありました地方における公債等残高の改善及び教育費格差の解消につきましては、御趣旨を踏まえ、地方の自主的かつ安定的な財政運営に必要となる一般財源総額を適切に確保すること等に全力で取り組んでまいります。
また、国家公務員の総人件費削減につきましては、平成二十五年度までの間、給与減額支給措置を講ずる給与臨時特例法案を国会に提出しているところであり、引き続き、関係閣僚と連携して、着実に取り組んでまいります。
独立行政法人改革につきましては、行政刷新会議と連携しつつ、着実に取り組んでまいります。
○新藤委員長 次に、大畠国土交通大臣。
○大畠国務大臣 ただいま御決議のありました公共事業の進め方につきましては、社会資本整備重点計画を見直しし、維持管理等も含めた社会資本整備のあるべき姿とその推進方策について国民にわかりやすくお示しすることにより、真に必要な社会資本整備を戦略的に進めてまいります。
また、高齢者世帯等の居住の安定確保につきましては、公共賃貸住宅の供給の推進、高齢者世帯向けの民間賃貸住宅への円滑な入居の推進やその供給支援等について、厚生労働省とも連携して取り組みを進めてまいります。
さらに、公共交通機関のバリアフリー化につきましては、今般、平成三十二年度を目標年次とする新しい整備目標を設定したところであり、その達成に向け、取り組みを進めてまいります。
○新藤委員長 次に、枝野国務大臣。
○枝野国務大臣 ただいまの決議により指摘をちょうだいいたしました点につきまして、行政刷新担当大臣として御説明申し上げます。
まず、独立行政法人改革については、すべての独立行政法人の事務事業及び資産を精査し、昨年末に、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針として、廃止、移管等を含めた講ずべき措置について閣議決定したところです。現在、基本方針のフォローアップを行っており、事務事業の見直しを着実に実行してまいります。また、制度、組織の抜本的な見直しについても鋭意検討を進めてまいります。
次に、公益法人については、各府省において、法人に対する支出及び権限付与の見直し、不要、過大な資産の国庫納付要請などを行ったところであり、その状況について内閣府において取りまとめ、詳細な情報を含め、公表いたしました。今後とも、不断に見直しを行ってまいります。
以上、決議の趣旨を踏まえて、関係各大臣との連携のもと、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。
○新藤委員長 次に、中野国務大臣。
○中野国務大臣 ただいま御決議のありました公務員制度改革につきましては、幹部人事の一元管理、退職管理の一層の適正化、自律的労使関係制度の措置など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を推進するための法案を今国会に提出しているところであり、御決議の趣旨を踏まえ、改革に取り組んでまいります。
さらに、天下りの対応につきましては、再就職等監視委員会の委員長及び委員候補の名簿を国会に提出し、御同意をお願いしているところであります。
また、警察官増員に当たっての定員の適正な管理につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも、各都道府県の人口、事故、事件の発生状況等を考慮して、各都道府県間の治安体制の均衡と我が国全体として必要な限度の警察力の確保に努めてまいる所存であります。
○新藤委員長 次に、細川厚生労働大臣。
○細川国務大臣 ただいまの御決議により指摘をされている点につきまして御説明いたします。
年金、医療、介護、子育てなどの不安をなくし、国民が安心して暮らせる社会保障制度を構築することは、極めて重要な課題であると認識しております。
我が国の社会保障は、高度経済成長期であった五十年前にその骨格ができましたが、当時と比べ、人口構造が変化するとともに、若い世代においても非正規雇用が増大するなど、社会構造の大きな変化により、新たな生活リスクに対応できなくなっております。
これらを踏まえ、政府・与党社会保障改革検討本部において精力的に議論が進められ、二〇二〇年ごろまでの社会保障に係る給付と負担の見通しや、医療、介護サービスの需給の状況、そのために必要な費用やマンパワーについて推計を行った上、本年六月三十日、社会保障・税一体改革成案が取りまとめられました。
成案に示された社会保障に関する充実、重点化・効率化の改革項目については、工程表に沿って関係者の理解と国民合意を形成しつつ、関係府省との協力も得ながら、着実にその遂行を図り、より受益感覚が得られ、納得感のある社会保障の実現を目指してまいります。
医療、介護の分野におきましては、地域で尊厳を持って生きられる社会を目指し、支援を必要とする人の立場に立った包括的な支援体制を構築していきます。
子ども・子育て支援につきましては、総合的な対策である子ども・子育てビジョンを昨年一月に閣議決定し、例えば保育サービスの毎年約五万人増や、新生児集中治療室の増床など、基盤整備を拡充することといたしております。平成二十三年度予算においても、待機児童解消を図るための保育サービスの充実や、出産環境の整備充実に取り組んでいるところであります。
また、幼保一体化を含めた子ども・子育て新システムの実現に向け、平成二十三年度中に必要な法制上の措置を講じることとされている税制抜本改革とともに、早急に法案を提出するため、内閣府を初めとした関係府省とともに精力的に検討を進めてまいります。
雇用対策につきましては、厳しい雇用情勢に対応するため、経済対策に基づき、新卒者、若年者対策の強化等を図るとともに、「日本はひとつ」しごとプロジェクトに基づき、東日本大震災による被災者の雇用の安定確保に全力で取り組んでいるところであります。
また、引き続き、新成長戦略に基づき、今国会で成立いたしました求職者支援法によるセーフティーネットの整備や、若者、女性、高齢者、障害者の就業率の向上、ディーセントワークの実現など、各般の取り組みを実行してまいります。
以上でございます。
○新藤委員長 次に、高木文部科学大臣。
○高木国務大臣 ただいま御決議のありました医師養成数の増加につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、新成長戦略や厚生労働省の必要医師数実態調査の結果等を踏まえ、必要な取り組みを進めてまいります。
また、質の高い学校教育の推進等につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、教育の機会均等など、教育水準の維持向上が図られますよう、教育環境の整備に努めてまいりたいと思います。
○新藤委員長 次に、鹿野農林水産大臣。
○鹿野国務大臣 ただいま御決議のありました農林漁業の持続性強化や食料安全保障の確立を図ることは非常に重要であると認識しております。
このため、地産地消等の取り組みとあわせ、農林漁業者等がみずから加工、販売事業に進出する取り組みや農商工連携の取り組みを総合的に促進し、農山漁村の六次産業化を推進してまいります。
あわせて、国産木材の利用率の向上について、路網整備、森林管理の専門家等の人材育成、公共建築物等における国産木材の利用の促進などを通じて、建築材からエネルギー源に至るまで、さまざまな形での木材利用を推進してまいります。
さらに、水産業の安定した経営への支援については、本年度から導入した資源管理・漁業所得補償対策を着実に推進してまいります。
また、口蹄疫につきましては、昨年公表された口蹄疫対策検証委員会の報告書や高病原性鳥インフルエンザの発生状況等を踏まえ、本年四月に家畜伝染病予防法を改正し、発生予防、早期通報、迅速な初動対応に重点を置いて防疫体制を強化することとしており、引き続き、都道府県等と連携しつつ、口蹄疫の侵入防止に万全を期してまいります。
あわせて、影響を受けた方々の生活支援、経営再建対策として、取り崩し型と運用益型という二つの種類の基金を設置し、畜産再生のために必要な事業やその他の幅広い事業に対応できるようにしたところであり、これらを活用しながら、被害を受けた地域の振興、発展に向けて努力してまいります。
○新藤委員長 次に、松本外務大臣。
○松本国務大臣 ただいま議決されました政府開発援助についての指摘事項につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも、援助対象国のニーズに合った効果的、効率的な援助を実施すべく努力をしてまいる所存でございます。
○新藤委員長 次に、細野国務大臣。
○細野国務大臣 まず、犯罪被害者等のための施策の推進につきましては、犯罪被害者支援団体への財政支援を含め、被害者の方々の視点に立った施策を推進し、犯罪被害者及びその御家族の権利利益の保護が図られる社会の実現に努めてまいる所存です。
次に、東京電力福島原子力発電所事故について、政府は、東京電力とともに、いわゆる道筋に沿って事故の早期収束を目指し、全力で取り組んでおります。
事故を収束する上で最も重要なことは、現場の作業環境の改善や作業員の健康管理です。政府としては、地下水汚染の拡大防止策といった課題とあわせて、責任を持って取り組んでまいります。
また、被災者の方々の一日でも早い帰還に向けた取り組みが必要です。そのため、環境モニタリングの強化、放射性廃棄物の処理、除染の実施などの取り組みを一層加速させてまいります。
加えて、今般の事故に伴う補償の問題については、今国会で御審議いただき、本日公布、施行された原子力損害賠償支援機構法の枠組みを活用して取り組んでまいります。
さらに、事故の状況や事故の収束に向けた取り組みについて、被災者、国民の皆様及び世界に向けて透明性を確保して説明することが必要であり、わかりやすい情報発信に尽力します。事故の早期収束に向けて世界の英知を結集することが重要であり、米国などの関係国や国際原子力機関などの国際機関との密接な連携協力を推進してまいります。
○新藤委員長 次に、海江田経済産業大臣。
○海江田国務大臣 ただいま御決議のありました東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に当たっては、これまでも、国内はもとより、アメリカ、フランスを初めとする諸外国やIAEAと連携し、技術や知見を結集して取り組んでまいりました。
去る七月十九日には、「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」のステップ1の目標である、放射線量が着実に減少傾向となっている状態がおおむね達成されたことを公表いたしました。
今後は、ステップ2の目標である、放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている状態を達成するため、原子炉の冷温停止状態の実現などに向け取り組んでまいります。
情報公開については、特に海外向けなど、必ずしも十分でなかった点があったことを踏まえ、より一層迅速で透明性の高い情報公開、情報発信に努めてまいります。
原子力事故の被害を受けた方々に対する賠償につきましては、東京電力が原子力損害賠償法に基づき適切に対処することができるよう、今般成立した原子力損害賠償支援機構法及び平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律による支援を行ってまいります。
加えて、県民の方々の健康不安を解消するべく、平成二十三年度第二次補正予算により、福島県の実施する県民健康管理調査を財政支援いたします。
○新藤委員長 次に、平野国務大臣。
○平野国務大臣 ただいま御決議のありました東日本大震災への対応につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、七月二十九日に決定されました東日本大震災からの復興の基本方針に基づき、地方の声に十分に耳を傾けながら、政府一体となった取り組みを国の総力を挙げて進めてまいりたいと考えております。
○新藤委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
本日をもちまして、二カ年にわたりまして行っておりました平成二十年度決算外二件、すべて審査を終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会