第2号 平成24年11月15日(木曜日)
平成二十四年十一月十五日(木曜日)午後零時十一分開議
出席委員
委員長 後藤田正純君
理事 階 猛君 理事 津村 啓介君
理事 吉田 統彦君 理事 和田 隆志君
理事 木村 太郎君 理事 平 将明君
理事 加藤 学君 理事 遠山 清彦君
小野塚勝俊君 岡田 康裕君
奥野総一郎君 川口 博君
後藤 祐一君 末松 義規君
空本 誠喜君 玉木 朝子君
玉木雄一郎君 長島 一由君
花咲 宏基君 松原 仁君
向山 好一君 森本 和義君
吉田おさむ君 渡部 一夫君
あべ 俊子君 石原 伸晃君
今村 雅弘君 小泉 龍司君
古賀 誠君 竹本 直一君
長島 忠美君 大山 昌宏君
黒田 雄君 樋高 剛君
村上 史好君 石井 啓一君
鳩山 邦夫君
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国務大臣
(内閣官房長官) 藤村 修君
復興副大臣 今野 東君
法務副大臣 山花 郁夫君
財務副大臣 武正 公一君
厚生労働副大臣 櫻井 充君
農林水産副大臣 佐々木隆博君
経済産業副大臣 近藤 洋介君
国土交通副大臣 長安 豊君
外務大臣政務官 村越 祐民君
決算行政監視委員会専門員 平川 素行君
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委員の異動
十一月十五日
辞任 補欠選任
森本 和義君 空本 誠喜君
伊吹 文明君 長島 忠美君
河野 太郎君 あべ 俊子君
村上誠一郎君 竹本 直一君
中後 淳君 大山 昌宏君
同日
辞任 補欠選任
空本 誠喜君 森本 和義君
あべ 俊子君 河野 太郎君
竹本 直一君 村上誠一郎君
長島 忠美君 伊吹 文明君
大山 昌宏君 中後 淳君
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本日の会議に付した案件
東日本大震災復興予算の使途に関する決議の件
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○後藤田委員長 これより会議を開きます。
行政監視に関する件について調査を進めます。
この際、東日本大震災復興予算の使途に関する決議を行いたいと存じます。
第百八十回国会閉会中、去る十月二十三日の行政監視に関する小委員会において、東日本大震災復興予算の使途について、政府に対する質疑及び小委員間における自由討議を行いました。
本件につきましては、小委員会における質疑及び自由討議を踏まえ、理事会等におきまして、各会派間で御協議いただきましたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの案文がまとまりました。
便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。
東日本大震災復興予算の使途に関する決議(案)
未曾有の被害をもたらした東日本大震災からの復旧・復興を早期に実現していくことは、喫緊の課題となっており、被害を受けた被災地の一刻も早い復興のためには、復興に真に役立つ必要な施策を、被災地の要望に基づき、速やかに実施しなければならない。このため、政府は、東日本大震災関係経費として、平成二十三年度第一次から第三次の補正予算及び平成二十四年度予算において、将来の増税による国民負担等を財源にして多額の予算を計上し、復興関連の各事業を実施しているところである。
本委員会は、予算の計上及び執行の適正について徹底した検証を行うために行政監視に関する小委員会を設置し、第百八十回国会閉会中の十月二十三日に同小委員会を開会して、東日本大震災復興予算のうち、国内立地推進事業費補助金及び中小企業組合等共同施設等災害復旧事業、地域医療提供体制の再構築、鯨類捕獲調査安定化推進対策、東日本大震災に係る復旧・復興関連事業(道路関係)、庁舎の耐震改修、アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流、被災地域における再犯防止施策の充実・強化、国立霞ヶ丘競技場災害復旧事業について、集中的に討議し、その内容を精査した結果、被災地の事業再建や医療に係る予算措置が円滑には執行されず、復興に支障が生じている一方で、被災地以外を対象とした事業など被災地の復興に直接役立つものとは認められない事業が、関係各省において様々な形で実施されていることが明らかになった。これらの不適切な予算執行は、事業を所管する各省の被災地との関連が弱い事業への予算要求と財務省の形式的な査定結果に加え、政務三役の監督不行き届きから生じたものであり、次のとおり改善を求めるべきとの結論に至った。
政府は、この結論を重く受け止め、被災地の現状を的確に把握した上で、復興庁の総合調整機能及び財務省による厳格な予算査定等を通じ、復興関連のすべての事業を総点検し、優先順位及び予算の配分を抜本的に見直すべきである。その上で、不適切と認められた予算の執行停止も視野に入れて、被災地に必要かつ十分な支援が確実に届くよう最大限の努力をするよう求める。特に、被災地において本格的に復興予算が必要になる際に、その財源が枯渇するような事態は徹底して回避すべきである。また、必要があれば、その前提としての東日本大震災復興基本方針の見直しにも躊躇すべきではない。さらに、東日本大震災が空前の規模であったことにかんがみ、現在被災地において喫緊の課題となっている地盤沈下対策や土地かさ上げに対する支援を十分に講じることなどの必要な措置を前例にとらわれることなく検討、実施することを求める。また、これらの反映状況につき講じた措置について、本委員会に対し平成二十四年度末までに報告するよう求める。
なお、今回の小委員会においても、これまでの小委員会と同様、各省からの資料提出や事業の説明姿勢は、不十分、不適切なものであった。徹底した反省を行うとともに、改善し再発防止に取り組むべきである。
一 国内立地推進事業費補助金及び中小企業組合等共同施設等災害復旧事業
国内立地推進事業費補助金については、その経済波及効果、特に被災地に対する詳細な定量的分析を厳密に行うとともに、補助の採択の審査基準を明確化し、本補助金が真に被災地支援に資するものであるかどうかの説明責任を果たすべきである。
中小企業組合等共同施設等災害復旧事業については、被災者からの要望に対して十分対応可能となるよう必要な予算額を確保すべきである。また、事業者の本格的な復興に長期間を要するとの事情を十分に踏まえ、複数年度にわたる事業継続が可能となるよう、繰り越しの要件の緩和、都道府県に対する基金の造成等について検討すべきである。さらに、特に大きな被害を受けた中小企業の申請者に対する支援体制の強化を図るべきである。
二 地域医療提供体制の再構築
医療施設等災害復旧費補助金の民間医療機関に対する補助要件の緩和と補助対象の医療機器への拡充を早急に検討するとともに、医師等の人材確保への対応を強化すべきである。また、地域医療再生基金については、既に再建した民間医療機関に対しても遡及適用できるよう検討すべきである。さらに、地域医療の復興に向けて、創意工夫によりまちづくりと一体になって行われている取組に対しては積極的に後押しすべきである。
三 鯨類捕獲調査安定化推進対策
本事業については、被災地の鯨産業の復興に直接関連したものとは認められず、復興予算として支出したことに疑問がある。にもかかわらず、農林水産省による本事業の被災地の復興との関連性に係る説明が極めて不十分であったことは遺憾である。被災地の鯨産業に対する本事業の貢献について徹底した検証を行うとともに、鯨産業復興のために真に政府が果たすべき役割について再検討すべきである。
四 東日本大震災に係る復旧・復興関連事業(道路関係)
道路に限らず、全国防災対策事業の予算措置に上限を設定することや全国の防災事業と被災地の復興事業について予算区分上明確に切り分けることの重要性を認識すべきである。今後被災地における復興予算が不足する事態を防止するための方策として、全国防災対策事業については、復興財源の趣旨を尊重し、緊急性等の観点から一層厳しく対応すべきである。
五 庁舎の耐震改修
本事業については、被災庁舎以外に復興財源を使用せず、緊急性等の観点から一層厳しく対応することを検討すべきである。また、将来における倒壊した被災地の自治体庁舎の建て替え費用の手当てについて十分な配慮を行うべきである。さらに、本小委員会の討議の過程で、国土交通省の資料提出に不手際が見られたことについては、十分に反省し改善すべきである。
六 アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流
本事業については、被災地の復興に直接関連したものとは認められず、復興予算として支出したことに疑問がある。また、外務省において補助対象の団体における具体的な交流の実施状況を即答できないなど、ガバナンスの欠如が認められた。本事業が真に被災地の復興に資するものであったかについて真摯な検証を行うとともに、今後の青少年交流プロジェクトについては、内容の改善、透明性の向上、効果的な風評被害対策の在り方の観点から、抜本的な見直しを行うべきである。
七 被災地域における再犯防止施策の充実・強化
本事業については、復興予算として支出することの合理的な説明はなかったことから、今後、復興予算での予算要求はやめるべきである。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
お諮りいたします。
ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○後藤田委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決定いたしました。
この際、ただいまの決議につきまして政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。藤村内閣官房長官。
○藤村国務大臣 ただいまの御決議にありました東日本大震災復興予算の使途に関する決議につきましては、その趣旨を踏まえ、被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外は厳しく絞り込むなど、政府として適切に対処してまいる所存でございます。
○後藤田委員長 次に、武正財務副大臣。
○武正副大臣 財政当局といたしましても、被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外については厳しく絞り込むとの方針のもと、ただいまの東日本大震災復興予算の使途に関する決議の趣旨を踏まえ、査定のあり方も含め、適切な予算編成作業に取り組む所存であります。
○後藤田委員長 次に、今野復興副大臣。
○今野副大臣 復興予算が国民から幅広い理解を得るには、大震災直後から今日に至る復旧復興の進捗状況や今後の課題を踏まえ、被災地の復旧復興に真に直結するものを最優先し、復興増税を含む財源の性格にふさわしい予算にしていかなければならないと考えております。
このため、国会における議論や、現在、復興庁との連携のもとに財務省が中心に行っている平成二十三年度補正予算及び平成二十四年度予算についての精査、あす開催される行政刷新会議の新仕分けにおける議論なども踏まえつつ、予算執行や平成二十五年度予算編成に取り組んでいく所存であります。
○後藤田委員長 次に、近藤経済産業副大臣。
○近藤副大臣 国内立地推進事業費補助金につきましては、大震災を契機に産業の空洞化が加速するのではないかという強い危機感のもと、サプライチェーンの維持強化を通じて被災地の復興を進める観点から措置されたものであります。この点を含め、本事業についての説明責任を果たすべく努めてまいりましたが、今般の決議の趣旨を踏まえ、被災地への波及効果の定量的分析を初め、本事業が被災地の復興に資するものであることについて、しっかりと説明させていただく考えであります。
中小企業組合等共同施設等災害復旧事業につきましては、これまで、被災各県におけるニーズ等を踏まえて、累次の補正予算等により二千三億円を措置し、累計で三百二十九グループ、国費で千九百三十七億円、国費と県費を合わせて二千九百六億円の支援を実施してきております。先般、さらに予備費八百一億円を措置したところであり、来年度においても、かさ上げや区画整理のおくれ等のため、現状として申請が困難となっている事業者を支援すべく、必要な予算を要求してまいります。
また、こうした事由により事業が進んでいない場合にも安心して事業を続けていただけるよう、事務手続が過度に煩雑にならないよう必要な措置を講じます。申請者への支援については、引き続き、県とも協力し、地元に対して一層の支援、協力を行ってまいります。
以上です。
○後藤田委員長 次に、櫻井厚生労働副大臣。
○櫻井副大臣 ただいま御決議の中で御指摘いただいた地域医療提供体制の再構築につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、災害復旧費補助金の民間医療機関に対する補助要件の緩和と補助対象の医療機器への拡充、地域医療再生基金の活用など、さらなる見直しを進め、被災地の地域医療提供体制の復興支援に、引き続き全力で取り組んでまいります。
○後藤田委員長 次に、佐々木農林水産副大臣。
○佐々木副大臣 農林水産省といたしましては、決議の趣旨を踏まえ、鯨類捕獲調査安定化推進対策につきまして、南極海調査捕鯨の副産物の販売に当たり石巻周辺地域の鯨関連産業の需要に優先的かつ最大限に対応することにより、同地域の鯨関連産業の復興という本事業の効果の発現に努めるとともに、今後、調査捕鯨の安全かつ円滑な実施を確保するために必要となる経費は、復興予算ではなく、一般会計予算の中で対応してまいります。
以上です。
○後藤田委員長 次に、長安国土交通副大臣。
○長安副大臣 復興事業のうち、全国防災対策事業につきましては、復興財源の趣旨を尊重し、緊急性等の観点から、一層厳しく対応するよう努めてまいります。
庁舎の耐震改修につきましては、決議の趣旨を踏まえ、一層厳しく対応するよう努めてまいります。
○後藤田委員長 次に、村越外務大臣政務官。
○村越大臣政務官 アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流事業、キズナ強化プロジェクトについては、御指摘の趣旨を踏まえ、参加者に被災地の状況をより深く理解させ、情報発信が行われるよう、引き続き内容の改善に努め、事業のフォローアップについても、効果の検証を含めて体制を整えて取り組んでまいります。
○後藤田委員長 次に、山花法務副大臣。
○山花副大臣 法務省の関係の復興関係予算については、大変厳しい御指摘をいただきました。当委員会の決議を受けまして、今後、適切に対処してまいりたいと思っております。
なお、今後の予算要求についてという決議でございますけれども、今執行中の予算についても、いまだ契約に至っていないという意味で未執行の部分もございます。この見直しも含めて、適切に対処してまいりたいと思っております。
○後藤田委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係各方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十七分散会