衆議院

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第4号 平成25年6月3日(月曜日)

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平成二十五年六月三日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 谷畑  孝君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 今村 雅弘君

   理事 河野 太郎君 理事 松本 文明君

   理事 武藤 容治君 理事 柚木 道義君

   理事 三宅  博君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      勝沼 栄明君    菅野さちこ君

      工藤 彰三君    小林 茂樹君

      國場幸之助君    笹川 博義君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      田畑  毅君    武村 展英君

      辻  清人君    中山 展宏君

      福田 達夫君    牧島かれん君

      村上誠一郎君    八木 哲也君

      山田 美樹君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    野田 佳彦君

      古川 元久君    河野 正美君

      田沼 隆志君    西岡  新君

      三谷 英弘君    吉川  元君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         新藤 義孝君

   文部科学大臣       下村 博文君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   山本 一太君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)     稲田 朋美君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   財務副大臣        山口 俊一君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   衆議院委員部長      岸本 俊介君

   参議院委員部長      郷原  悟君

   国立国会図書館調査及び立法考査局財政金融調査室主任            山口 和之君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴木 繁治君

   会計検査院事務総局第二局長            藤崎 健一君

   会計検査院事務総局第四局長            田代 政司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  國分 隆之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉崎 正弘君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 新美  潤君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  森  雅人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     石川 昭政君

  坂本 剛二君     白須賀貴樹君

  島田 佳和君     湯川 一行君

  武井 俊輔君     岩田 和親君

  野田 佳彦君     奥野総一郎君

  古川 元久君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     牧島かれん君

  岩田 和親君     八木 哲也君

  白須賀貴樹君     越智 隆雄君

  湯川 一行君     島田 佳和君

  奥野総一郎君     野田 佳彦君

  玉木雄一郎君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     山田 美樹君

  牧島かれん君     中山 展宏君

  八木 哲也君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     青山 周平君

  山田 美樹君     坂本 剛二君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     熊田 裕通君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十一年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十一年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十一年度政府関係機関決算書

 平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十一年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十二年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十二年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十二年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十二年度政府関係機関決算書

 平成二十二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十三年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十三年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十三年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十三年度政府関係機関決算書

 平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十三年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

谷畑委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件を議題といたします。

 これより総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官國分隆之君、総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君、総務省自治財政局長佐藤文俊君、総務省情報流通行政局長吉崎正弘君、外務省大臣官房参事官新美潤君、財務省主計局次長福田淳一君、文部科学省高等教育局長板東久美子君、文部科学省研究開発局長戸谷一夫君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、厚生労働省医政局長原徳壽君、厚生労働省社会・援護局長村木厚子君、厚生労働省保険局長木倉敬之君、林野庁長官沼田正俊君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長新原浩朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省海事局長森雅人君及び防衛省防衛政策局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。

秋本委員 自由民主党の秋本真利でございます。

 決算の委員会のトップで質問させていただくということで、大変光栄に思います。こういった機会を与えてくれました委員長あるいは大臣、そして理事の皆様方、委員の皆様方に感謝をして、早速質問に入りたいというふうに思います。

 福島の事故後、日本の国民の原子力政策に対する不信感というものは日に日に高まっていると言ってもいいというふうに思います。もうその信用は失墜していると言っても間違いありません。

 そして、そこに来て、今回、エネルギー・原子力何とかかんとかという民間の団体が大臣に提言書を出した。そして、この提言内容に経産省の職員が関与していたのではないかと国会で質問が出たり、あるいは多くの報道機関で報道がなされました。

 またしても原子力村かというような論調の報道が多かったわけでございますけれども、大臣は職員の関与を否定しておりますけれども、そもそも、疑念を抱かせるようなことがあったということ自体が私は問題ではないかと思っておりますし、そういったことが今後あってはならないだろうというふうに思っているわけでございますので、ぜひ、大臣にしっかりと監督をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 そして、提言内容についてでございますけれども、規制委員会に対するものがありました。独立はいいけれども孤立はいかぬというような体で、原子力村の住人から意見を聞け、コミットさせろというような趣旨でございましたけれども、これはとんでもない話だと私は思っております。

 IAEAの基本安全原則や安全要件にも、規制機関は利害関係者から不当な圧力を受けないように、全ての機関から独立であること、政治や経済からも不当な影響を受けずに独立した判断をすべきだというふうにされています。まさに、原子力村の住民はもちろんでございますけれども、我々政治家も、規制機関の判断に影響力を行使するというのはもってのほかだというわけであります。経済的な圧力も判断に影響してはならぬとしているわけであります。

 さらに、我々自由民主党の衆議院議員選挙の公約にも、「独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先します。」というふうに公約で国民とお約束をしております。我々自民党の政治家こそが、この規制機関をあらゆる不当な圧力から守らなければならないと思うわけであります。特に、その代表である経産大臣には、率先躬行しこれを厳守していただきたいと思っておりますけれども、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 こういった規制機関の独立性、極めて重要だと思っております。ただ、独立するというのと孤立するというのは違うというのが、恐らく専門家の間の意見なんだと思います。

 私も五月に米国を訪問いたしまして、原子力関係の権威の方々、いろいろな議論もしてまいりましたが、独立性、インディペンデンス、これは重要だが、孤立、アイソレートしてはいけない、こういう意見をさまざまいただきました。そして、委員も御案内のとおり、今後の安全性につきましては、バックフィット、常に新しい知見を取り入れる、こういった姿勢というのは必要なんだと思っております。

 そして、原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を最優先する、そしてその安全性については、昨年成立をいたしました原子力規制委員会設置法に基づいて、原子力規制委員会が新たな規制基準のもとで判断していくということになっております。その安全性についての判断は、規制委員会の専門的、そして独立的な判断に委ねる、これが国会の決定でありますから、その方針に沿って原子力政策を進めてまいりたいと考えております。

秋本委員 具体的な内容に入っていきたいというふうに思います。

 まず、「もんじゅ」についてお伺いをしたいと思います。一万点もの点検漏れが報告されておりますけれども、現時点での未点検は何点になっておりますでしょうか。

戸谷政府参考人 御説明申し上げます。

 今御指摘の未点検機器の関係は、当初、九千八百四十七件ということでございました。今時点で、原子力規制委員会等と確認をいたしまして、未点検機器ということで残っておりますのは二千十四件ということでございます。

秋本委員 「もんじゅ」の関係の予算でございますけれども、交付金が、二十二年度から二十五年にかけて、千六百七十九億、千六百四億、千四百九十、千四百六十八。そして、研究費全体が、二百三十三、二百十六、百七十五、百七十四億円。そして、点検、検査費用が、七十九億、八十六億、二十四年は四十億、そして五十六億と、右肩下がりなわけであります。

 こういうふうに、点検するに当たって、全体の予算も減っていますけれども、右肩下がりに、二十三年と四年を比べれば半減しているわけでございますけれども、こういった予算を逆さまに読んで、「もんじゅ」から上がってきた予算の要求がこれだけ少なければ、ちょっとおかしいんじゃないか、点検していないところがあるんじゃないかということで、予算から逆読みして、これはおかしいんじゃないかというふうに、査定の時点で文部科学省の方で気づくというようなことはなかったんでしょうか。

 こういった点もダブルチェックをしっかり今後していただいて、こういったことがないように努めてもらいたいというふうに思います。どうでしょうか。

戸谷政府参考人 「もんじゅ」に係る経費につきましては、これまで、各方面からの強い御批判、御指摘もございまして、必要最小限度につきまして精査して毎年度計上するという考え方で実施をいたしておる次第でございます。

 今御指摘の二十三年度と二十四年度の点検関係につきまして、半減ということでございまして、これについては御指摘のとおりでございますが、これは実は、二十三年度につきましては、試験運転を実施するということを前提といたしまして、従来よりも点検項目を倍程度見込むといったようなことがございまして、その分、点検経費を増額して計上したという経緯がございます。しかしながら、二十四年度につきましては、福島事故を受けまして、運転再開をどうするかといったようなことを今後議論として積み重ねていくということもございまして、二十四年度につきましては、最低限の維持管理にとどめたという事情でございます。

 ただ、この点検項目の内容につきましては、今御指摘のように、今後、原子力規制委員会等の厳しい指摘もございますので、それを踏まえて我々としても精査してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

秋本委員 ぜひ、何重ものチェック体制をしいて、こういったことが二度と起きないように、国民の不信がさらに高まるといった事態が起きないように、ぜひ万全を尽くしていただきたいと思いますので、厳にお願い申し上げます。

 そして、「もんじゅ」とセットのような施設でRETFという施設がございます。これが、「もんじゅ」とは少し離れておりますけれども、東海村の方にあります。これをちょっと調べてみようと思ってホームページを見てみたんですけれども、リンクがかなり切れていますので、この辺は徹底してリンクをもう一度張り直していただいて、ちゃんと情報公開に努めていただきたいなというふうに思います。

 そして、この施設、RETFという、リサイクル機器試験施設というものらしいですけれども、現状、どのような状態で施設としては存在しておりますか。

戸谷政府参考人 御指摘のRETFでございますが、これは正式にはリサイクル機器試験施設というふうに申し上げます。

 これの当初の目的につきましては、高速炉の使用済み燃料の再処理の試験研究を行うということで構想しておりましたところでございますけれども、最前来御議論になっております「もんじゅ」などの運転計画のおくれに伴いまして、平成十二年度に、建屋の完成をもちまして、一旦そこから先に進めることを中断しているということでございまして、現状におきましては、その維持管理を行っているという状況でございます。

秋本委員 この施設、ちょっと調べてみたんですけれども、八百億円以上のお金をかけて建物は建てました。でも、今答弁にあったとおり、ただ建っているだけで何も動いていない、そこにあるだけなんですよね。

 そこにただあるだけなのかなと思って、さらにいろいろ調べてみたら、この施設、使用可能だというふうに地元の自治体から判断をされまして、固定資産税ほか税金が課せられております。

 この単年当たりの額と、今まで県や東海村の方に払った税金の総額、そして、どうしてこのような状況になったのか。全く使われていない、ただの建物が建っているだけだというのにもかかわらず、相当程度の税金が課せられているんだろうというふうに思います。また、それをずっとそのまま放置をして、相当程度の期間払い続けていたんだと思いますけれども、これが総額が幾らになって、どうしてそのような形で放置するに至ったのかということについて説明していただきたいというふうに思います。

戸谷政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、このRETFにつきましては、施設として完成をしているということで、課税権を有します課税当局、これは地方自治体ということになるわけでございますが、そこの現地調査の結果、固定資産税の課税客体という判断が下されたということでございまして、平成十二年度から、固定資産税、都市計画税を毎年支払うといったことでございます。

 この固定資産税あるいは都市計画税につきましては、減価償却が進みまして若干減っておりますけれども、十二年度当初は約一億円程度、二十四年度につきましては、固定資産税、都市計画税で約六千四百万ばかりを支払っております。それから、不動産取得税が平成十二年度当初に、これは県から課税されるということでございます。そういったものも合わせますと、これまでの総額といたしまして、約十三億五千万の固定資産税が支払われているという現状でございます。

秋本委員 使ってもいない施設にもう既に十数億円の税金を払っているという自体が私はいかがなものかなと思います。

 それに、これは「もんじゅ」が完成した後の燃料を処理する工場だということは、「もんじゅ」よりさらに先にならないと有効利用できないということなんですよね。「もんじゅ」が少なくとも二〇五〇年までは完成しないと言っているわけだから、二〇五〇年以上先まで税金を支払い続けるということになっちゃうんですよ。

 これはもう明らかにおかしいというふうに私は思いますので、ぜひ大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、稼働する見込みが当分の間ない以上、これをほかの形で利用するであるとか、あるいは税金が発生しないような形で何かしら方策をとるとか、何かしらの政治的な判断が必要だというふうに思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のRETFについては、当初の目的が高速炉使用済み燃料の再処理であるということから、「もんじゅ」等の運転計画のおくれに伴い中断せざるを得ない状況であるということについては、おわかりになっての御質問だと思います。

 多額の経費を費やした施設が長期間にわたり利用できない状況にあり、その中で、御指摘のとおり、固定資産税等の経費が支払われているということは、そのとおりであります。このため、会計検査院の指摘を踏まえ、速やかに利活用方策を決定することが望ましいと考えておりまして、原子力機構においてその方策を検討するよう指示しているところでございます。

 一方で、このRETFの本来の使用目的は高速炉燃料の再処理の研究開発であり、施設の今後のあり方については、現在政府で検討している核燃料サイクル政策の方向性を踏まえ決定する必要があります。そのため、今後、政府で決定する核燃料サイクル政策の方向性を踏まえ、当該施設の利活用方策を原子力機構が速やかに決定するよう、文部科学省としても指導してまいりたいと思います。

秋本委員 核燃料サイクルの行方を見るという話ですけれども、私個人的には、核燃料サイクルはもう破綻しているというふうに思っております。こういった政策はすぐにやめて、しっかりと出口のある政策に方向転換するべきだと私は思っておりますので、少なくとも今の現状のまま、二〇五〇年に「もんじゅ」が動くまでずっと税金を払い続けます、箱はそのままですなんてことがないように、大臣にぜひ鋭意努力していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 核燃料サイクルの方に進みますけれども、核燃料サイクルは、今私言いましたとおり、個人的な考えはどうかと言われれば、先ほど述べたとおりでございます。

 使用済み核燃料プールでございますけれども、原発賛成、反対でも、原発を動かせば必ず使用済み核燃料が出てくるというわけでございまして、全国の貯蔵プール二万トンのうち、一万四千トンぐらいがもう既に埋まっているということでございます。原発五十基全て動かせば、年間で約千トンぐらい使用済み核燃料が出てくるというわけでございますから、単純に割り返しても五、六年で燃料プールがいっぱいになれば、当然、それ以上物理的に原発を動かすことができなくなるというわけでございます。

 しかし、個別に原発をそれぞれ見ていくと、さらにもっと状況は厳しくて、九州の玄海原発などは、もう本当に数年でプールがいっぱいになってしまう状況だというふうに思いますけれども、実際、今通常運転を開始したとしたら、そこから何年でいっぱいになるという試算が出ているでしょうか。

糟谷政府参考人 お尋ねの玄海原発でございますけれども、今一号機から四号機ありますが、仮にこの四基全部一斉に稼働した場合の試算では、あと約三年で使用済み燃料プールがいっぱいになるという計算でございます。

 他方で、九州電力は、平成二十二年の二月に、使用済み燃料プールの容量拡大、これをリラッキングといいますけれども、これを計画して工事の申請を出しておりまして、ちょっと震災が間に入りましたので時間がかかっておりますが、原子力規制庁において安全の審査中でございます。リラッキングが終わりますと、現在三年のところが約十年に延長できるというふうに承知をしております。

秋本委員 リラッキングということでございますけれども、それも規制委員会の答えを待ってということで、かなり時間もかかるわけですし、もう三年で原発は物理的に動かせないという状況、せっぱ詰まった話であります。

 こういう話を、私、党の部会なんかでもすると、必ず言われるのが、むつをつくっている、むつに運び込めば、むつは五千トンの容量があるから、千トン仮に全部出てきたとしても五年はもつというような話をしますけれども、本当にこのむつを動かせば、全国の原発の使用済み核燃料をそこに運べるのか。

 まるでそういったような説明をしますけれども、一つお伺いしたいのが、むつ、本年十月に竣工するというような話も聞いていますけれども、これは新規制基準に合った形で本当に十月から動くのかどうかということをまず一点、お伺いしたいことと、全国、東電や原電以外の使用済み核燃料もこのむつに運び込むことが可能なのかどうか、この点について確認をしたいというふうに思います。

糟谷政府参考人 むつの中間貯蔵施設でありますが、事業者は、ことしの十月の事業開始を計画しております。

 他方で、原子力規制委員会は、核燃料サイクル施設の新規制基準をことしの十二月に施行させるべく準備をしておられまして、事業開始に向けたプロセスについては、こうした状況を踏まえながら、事業者と原子力規制委員会との間でやりとりを行っているというふうに承知をしております。

 それから、むつの中間貯蔵施設でありますが、東京電力及び日本原電が株主でありまして、この両電力会社の使用済み燃料を受け入れるという計画であるというふうに承知をしております。

秋本委員 つまり、むつは、でき上がっても、東京電力と原電以外の使用済み核燃料を運べないんですよ。だから、五千トンあるというのは全くのマジックでございまして、実際はそこの原発のプールにしか運び込めない、外に出せないわけですよ。むつに持っていくというのは、全くあり得ない話であります。

 ですから、これはしっかりと対策をとらなきゃいけない。でも、とらなきゃいけないけれどもとれないということで、がんじがらめでここまで来てしまって、核燃料サイクルは、サイクルといっても全くうまく回っていない現状が誰の目で見ても私は明らかなんだろうというふうに思います。

 十八・八兆円と言われるバックエンドの費用でございますけれども、この中には、この試算にも幾つか問題がありまして、全部言うと時間が過ぎてしまいますので幾つか指摘させてもらいますが、劣化ウランや回収ウラン、あるいは使用済みMOX燃料の処理コストは含まれていないというふうに言われております。十八・八兆円、さらに膨らむことはもう間違いないわけであります。

 使用済み核燃料が出てくる、この使用済み核燃料を処理する再処理工場はうまく回らない、うまく回ったとしても、出てくるプルトニウムを燃やす「もんじゅ」は完成しない、高レベル放射性廃棄物を埋めようといっても、地層処分する候補地すら見つからない、全くもって、サイクル、どこを一つとってもうまくいっていないわけであります。

 もうこの政策からは一刻も早く撤退をして、しっかりと出口のある政策を打ち出して、原発のバックエンドの問題に区切りをつけるということが我々の世代に課せられた使命、次の世代にツケを回しちゃいけないというふうに私は思っております。

 ぜひ茂木大臣、この核燃料サイクルに対してどのような所見をお持ちになっているか、お伺いいたします。

茂木国務大臣 核燃料サイクルの必要につきましては、ちょうど選挙期間、先生の御地元に私応援に伺ったときもお話をさせていただいたか、こんなふうに思っております。

 核燃料サイクルにつきましては、プルサーマルを進めることでウラン資源を約一割から二割節約ができるとともに、高レベル放射性廃棄物についても、直接処分をする場合と比べて、体積を四分の一ぐらいにできます。また、放射線の有害度が天然ウラン並みになるまでの期間についても、直接処分と比べますと十分の一以下に低下をする、経済性だけではなくて、そういった点も総合的に勘案をしながら、このサイクルをしっかりと進めていきたいと考えております。

秋本委員 まだまだ言いたいことはたくさんあるんですけれども、時間が来てしまいましたので、残念ですけれども、これで終わりにします。

 どうもありがとうございました。

谷畑委員長 次に、武村展英君。

武村委員 自由民主党の武村展英でございます。

 本日は、貴重な時間を頂戴しましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

 本日、地元から女性部長が傍聴に来られているということで、緊張もひとしおでございます。

 早速、御質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、衆議院決算行政委員会での審議がおくれている状況について御質問をさせていただきます。

 衆議院での決算審議、議決の状況、参議院での決算審議、議決の状況、これにつきまして、衆議院事務局及び参議院事務局に御質問をいたします。

岸本参事 お答え申し上げます。

 決算が早期提出されるようになりました平成十五年以降、おおむね七カ月程度、長い場合でも一年以内で審査を終了しておりましたが、平成二十年度決算は一年九カ月程度かかっております。平成二十一年度以降は、御承知のとおり、きょう実質的な審議が開始されたということで、おくれている状況にはあります。

 以上です。

郷原参議院参事 参議院における決算の審査状況について御説明申し上げます。

 参議院におきましては、決算審査の充実や決算の早期審査等に関し、議長の諮問機関であります参議院改革協議会を中心に、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。

 特に、決算の早期審査につきましては、平成十五年一月二十九日の参議院改革協議会報告におきまして、決算審査の結果を決算提出の翌年度の予算編成に反映させるため、常会中に決算審査を終了するよう努めるものと決定されました。

 実際に、平成十三年度決算から十九年度決算までの七年間は、常会中に決算の議了が実現しておりました。平成二十年度決算以降につきましては、常会終了後四カ月から九カ月で議了しております。直近では、平成二十二年度決算を、去る五月二十二日に議了したところでございます。

 以上でございます。

武村委員 配付資料の一ページにその状況をお配りしております。審議のおくれがなければ、二年後の通常国会で審議を終えるというのが通常となっております。

 ただいま御答弁をいただきましたように、参議院では、参議院改革の中で審議の早期化が図られています。おくれても最大一年間、一方で、衆議院では、現在、二十一年度決算が二年おくれ、二十二年度決算が一年おくれという状況でございます。

 国会での審議というものは、政治状況によって大変難しい状況もあろうかと思います。しかしながら、これほどのおくれといいますのは、国民の皆様から見てみれば、到底理解が得られるものではないというふうに考えます。委員長に対しまして、今後、委員会での審議の早期化を促していただきますよう御要望を申し上げます。

谷畑委員長 武村展英君の貴重な提言につきまして、私どもも心苦しく思っております。

 今の問題につきましても、ぜひ、理事会でしっかりと協議をしながら、前へ行けるようないい形での方向を我々も決意をして進めていきたい、このように思います。

 ありがとうございました。

武村委員 委員長、ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 決算の審査を衆議院で終えた場合、どのような結論を下すのか、そしてまた、衆議院としての意思、これをどのように表明するのか、すなわち、決議の内容についてお伺いをしたいというふうに思います。

 衆議院での過去の決議の内容、そしてまた参議院での過去の決議の内容、そしてまた都道府県議会での決議の内容について、衆議院、参議院、国会図書館にお伺いをいたします。

 参議院におかれましては、昭和四十二年に決算の議決方式を改めた、この経緯についてもお伺いをいたします。

岸本参事 お答え申し上げます。

 衆議院の決算の議決方法ということだと思いますが、衆議院では、決算について、議決案を作成して、それを議決するという格好をとっております。議決案の内容につきましては、三点、主に分かれていまして、一番目が、本院から政府に対する指摘事項、二番目は、検査院が指摘した不当事項について本院が同意する旨、三番目は、今申し上げた一、二以外については異議がないという三部構成でとられております。

 基本的には、どの部分が正しい、どの部分が正しくないという仕分けをして議決案をつくるというのはおおむね帝国議会から続いていまして、戦後も、第一回国会、昭和二十二年十一月に決算審査方針を決めておりまして、多少の変遷はありますが、基本的に、現行方式が決められたということになっております。

郷原参議院参事 参議院におけます決算の議決方式について御説明いたします。

 参議院におきましては、昭和三十九年度決算までは、一に、内閣に対する警告、二に、警告を与えるほかは異議がない旨の議決案を一括して採決しておりました。この方式では、議決の意義が明確でなく、また、一括して採決していたため、警告決議に対する各会派の意思を率直に表明することができませんでした。このため、当時の参議院決算委員会理事会におきまして見直しの議論が行われ、検討の結果、昭和四十年度決算からは、決算本体に対する参議院の評価を明確にするため、まず、決算本体を是認するか否かについて採決を行い、次に、内閣に対する警告の議決を行うことについて採決するように改めたものでございます。

 以上でございます。

山口国立国会図書館専門調査員 お答え申し上げます。

 都道府県の現状でございますけれども、全国都道府県議会議長会事務局の調べ及び我々が調べた限りでは、個々の会計に係る決算の一部を認定し、または認定しないという事例は見当たりませんでした。意見を付して認定する事例はございます。

 なお、複数の会計について、ある会計の決算は認定しないが、他の会計の決算は認定するというような事例は見受けられました。例えば、一般会計に係る決算は認定しないが、特別会計に係る決算については認定するというような事例はございます。

 以上でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 地方自治法の中では、第九十六条三号、この中で、決算を是認することということが定められております。決算を是認するかどうか、全ての地方公共団体について、基本的には議会の意思表示が明確になされているところと理解をしております。

 配付資料をお配りしております。資料2が衆議院の前回の決議内容です。資料3が参議院での前回の議決内容というふうになっております。

 衆議院におきましては、資料1、一ページ目を拝見しますと、平成十五年から二十年度の議決が全て是認というふうになっております。しかしながら、資料2、実際の議決案を見ますと、そのことは明確にはなっておりません。資料2、三ページ目にございますが、二で、会計検査院の指摘について不当と認める、そして三のところで、それ以外については異議がない、このようになっております。全体として是認するか是認をしないのか、こうした結論はどこにもございません。

 その一方で、3、参議院の決議内容を見ていただきたいというふうに思います。参議院におきましては、先ほど御答弁の中にもございましたが、以前は衆議院と同様の決議内容をされていたわけでございます。しかしながら、参議院改革の中で、参議院としての意思表示を明確にする、そのために議決方式を改められました。資料3、四ページ目の冒頭にございます、「本件決算は、これを是認する。」こうした決算に対する結論、これが明確になされているわけでございます。

 地方自治法の中で、決算を全体として是認するかどうか、このことについて決議を求めることを規定している、これは立法府として規定しているわけでございますが、当の衆議院自体がそうした結論を明確にしていない。このことはぜひとも私は改善をすべきであるというふうに考えます。

 委員長に、このことにつきましても御要望を申し上げます。

谷畑委員長 しっかりと受けとめて、また議論していきます。

武村委員 次の質問に移ります。

 次は、国の会計処理、これを発生主義、複式簿記で行うことの必要性について御質問させていただきます。

 二月十二日の予算委員会の中で石原慎太郎議員の質疑がございましたが、この点に関しまして、まず事実確認をさせていただきたいというふうに思います。参考資料の4にその審議の状況を添付いたしました。

 何事でもそうですが、私が日常心がけておりますのは、やはり事実関係、実態把握、これを正確に行うこと、これが最も重要だというふうに思っています。実態把握を正確に行うことがなければ、誤った情報によって政策判断を間違えてしまう、そういった結論になりかねません。

 二月十二日の予算委員会での議論では、石原議員の主張と財務省の見解が異なっていて、それが物別れに終わっているように感じます。まず、この点につきまして、事実確認をさせていただきます。

 石原議員の主張は、東京都では、発生主義、複式簿記、こうした方法による会計処理が行われ、財務書類を作成しているということでした。一方で、国では、明治時代から単式簿記による会計処理がなされて、健全なバランスシートが我が国にはない、こうした主張をされているわけです。そして、そういった国は国際的に見ても我が国しかない、こうした主張をされておりました。

 一方で、財務省の御見解といたしましては、七ページ目の議事録、下線を引いております、下線のうち、下の方の下線でございますが、国の財政活動についてより一層国民の理解を促進するため、平成十五年度分、平成十七年九月の公表から、毎年、発生主義、複式簿記といった企業会計の考え方及び手法を参考として国の財務書類を作成して、公表している、これが財務省の見解でございます。

 まず、このやりとりを踏まえまして、発生主義、複式簿記による財務報告について、我が国及び諸外国の状況はどうなっているのか、この点を改めて確認させていただきたいというふうに思います。

 麻生大臣の御答弁では、資料七ページの、下線が引いてございます、財務諸表というものは、間違いなく作成しておりますのは日本、アメリカ、イギリス、フランス、そして、ドイツだけが作成をしていない、このようにお答えをされています。

 改めまして、財務省と国会図書館にお伺いをいたします。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 予算、決算等についての各国の比較でございますが、ただいま御質問にありましたとおり、我が国では、予算、決算とも基本は現金主義でやっておりますが、発生主義による財務報告をいたしております。同じような方式をとっているのが、五カ国でいいますと、アメリカ、フランスでございます。イギリスは、予算とか決算の一部は発生主義的な考え方をとっていると言われておりますが、発生主義により財務報告もいたしております。ドイツでは、予算、決算とも現金主義をとっておりまして、我が国でつくっておるような発生主義による財務報告は行われていないものと認識しております。

山口国立国会図書館専門調査員 御説明申し上げます。

 先ほど財務省の方から御報告があったとおりでございますけれども、イギリスでは、予算、決算とも発生主義が導入されております。予算には、発生主義ベースの予算額と現金ベースの予算額の双方が計上され、議決されます。決算についても同様に、発生主義ベースと現金ベースの金額を計上した決算書が作成され、議会に提出されています。

 アメリカでは、予算は現金ベースの管理が中心です。決算に関しては、政府が、現金ベースの財政収支実績を議会に提出するほか、発生主義ベースの財務書類を作成し、議会に提出いたします。

 フランスでは、予算、決算とも現金ベースで作成されています。政府が決算を議会に提出する際に、発生主義ベースの財務書類を添付することが義務づけられています。

 ドイツにつきましては、予算、決算のいずれについても、発生主義に準拠した財務書類は作成されておりません。

 以上でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 ただいま国会図書館にお調べいただきました点につきましては、資料の5に添付をさせていただいております。

 ここでまず確認をしなければならないのは、予算・決算制度では予算統制を行わなければなりませんので、いずれの国でも、予算・決算制度は現金主義ベースでの国会での議決を必要としている点です。それに加えて、決算ベースでの財務書類、これがイギリス、アメリカ、フランス、日本で作成をされ、ドイツでは作成をされていない、こうした調査結果かと思います。

 そこで、もう一度、財務省に御確認をさせていただきたいというふうに思います。

 我が国で作成している財務書類、これは発生主義、複式簿記による会計処理によって作成されているという理解でよいのか、改めてお伺いをいたします。

福田政府参考人 現在作成いたしております国の財務諸表等におきましては、企業会計を参考に、会計や財政の専門家等から成る財政制度審議会における検討を経て取りまとめられた省庁別財務書類基準に基づき、発生主義、複式簿記の考え方や手法によって作成、公表しているところでございます。

 なお、近年は、日々の取引の執行について複式簿記の考え方に基づくシステム入力を行っているものもあり、一部手作業も残っておりますが、そういう形で国の財務諸表の作成、公表の早期化を図っているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 ただいま御答弁をいただきましたように、国でも、平成二十三年度から財務書類作成システムを導入されている。私は、これが一番大きな、画期的な動きであるというふうに思っています。

 それでは、さらに財務省にお伺いをしたいと思います。

 東京都や大阪府で発生主義、複式簿記により財務諸表を作成されている、こうしたことがよく言われますが、国と東京都、大阪府との大きな違いは何でしょうか、財務省にお伺いをいたします。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都や大阪府では、道路などのインフラ資産について固定資産台帳が整備され、個別に価格管理されているほか、財務書類を作成するシステムは、建物等の公有財産システム等、他の財務情報と連携したものとなっておると伺っております。

 これらの財務データに基づき、全体の財務諸表のほか、局別財務諸表や事業別財務諸表も作成できるなど、一般企業の会計処理に近いシステムを導入されていると聞いております。

 一方、国においては、御指摘のありました平成二十三年度の予算執行より、日々の取引の執行についての複式簿記の考え方に基づくシステム入力を行っておりますが、国の庁舎など国有財産については、日々のシステム入力と連携している固定資産台帳ではなく、法定書類である国有財産台帳の価格に基づき計上しており、一般国道や橋梁などの公共用財産については、法定された資産台帳に価格管理が求められていないため、道路、港湾など各資産への事業費等を基礎として取得原価を推計していることなど、一般企業が採用している発生主義、複式簿記による会計処理とは若干異なる部分もございます。

 以上でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 ただいま御答弁いただきましたように、国と東京都、大阪府との大きな違い、これは、平成二十三年度決算からシステムが導入されておりますが、一部、複式簿記、発生主義による会計処理がなされていない、それがインフラ資産に関するものである。私は、このインフラ資産、これが実はストック情報として最も重要であるというふうに思っています。

 システム化を現在されていないインフラ資産の台帳整備、これを徐々に図っていくべきだというふうに考えますが、財務省の御見解をお伺いいたします。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のインフラ資産などの、財務情報としての各資産の把握、管理を行う固定資産台帳の整備が必要との御指摘、こういう御指摘を一般的にいただいていることは承知しております。

 しかし、インフラ資産についての台帳整備を行うためには、個々のインフラ資産の資産価格を設定する作業や、その後の価格管理のためのシステム改修等など事務処理体制の構築が必要であり、それだけのコストと見合う効果の見きわめが必要であることから、慎重に検討する必要がある事柄であろうと思います。

 いずれにせよ、そのような御指摘をいただいているので研究は進めてまいりますが、費用対効果という面で慎重な検討が必要だと考えてございます。

谷畑委員長 武村委員、時間が来ておりますのでまとめてください、お願いします。

武村委員 ありがとうございました。

 このインフラ資産というものは、今後、老朽化するインフラ資産が増加することが予想される中で、非常に重要だというふうに思っております。ぜひとも前向きに御検討いただきますことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、二十一年から二十三年度の決算に関しまして、震災復興関連の質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、東日本大震災の発災から、今日で丸二年と三カ月余りが経過をしようとしております。被災地の課題は、時の経過とともに形を変えながら、被災者の皆さんに日々重くのしかかり続けております。

 去る四月三十日にも、私は、福島県のいわき市を訪れまして、現場の状況をさまざまお伺いしてまいりました。

 福島県の発表による被害状況即報によりますと、福島県全体の避難者数約十五・二万人のうち、福島県内への避難者数が約九・七万人、福島県外への避難者数が約五・五万人。訪問したいわき市の他市町村からの避難者受け入れ数は、約二・四万人となっております。実に、当該市の人口の約一割弱に相当をする避難者の方を受け入れておることになるわけでございます。

 この避難者の受け入れによって、復興作業員の受け入れと相まって、住宅の不足、交通渋滞、医療機関の混雑、介護施設における待機者の増加や介護職員の不足、災害ごみの増加とあわせての処理量の増加など、受け入れ自治体としての課題も顕在化をしてきております。

 これまでの復興交付金については、対象地域が限定的で、より柔軟な活用や新たな支援制度が必要とされる中、平成二十五年度からは、コミュニティ復活交付金などが創設をされております。

 そこで、まずお伺いをいたします。

 受け入れ自治体であるいわき市等からも要望を受けていると思いますけれども、避難者への行政サービスの提供に伴う職員の不足、そして、職員人件費等に対する財源の確保について検討する必要がある、こう考えておりますけれども、現在の検討状況について、政府参考人にお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 避難者の受け入れに伴って、受け入れた団体が負担する経費につきましては、特別交付税措置を講じております。この場合、これまでは、地方団体に対して調査を行って、個別の受け入れに要する経費を積み上げて算定するという方法をとってまいりました。

 こうした中で、御指摘にもありましたが、多くの避難者を受け入れているいわき市などからは、この受け入れの経費には、消防や救急など、個別事務に係る経費の積み上げではなかなか把握し切れない財政需要があるというような意見で、今のやり方は必ずしも実情にそぐわないのではないかというような声もいただいたところであります。

 また、復興庁からも、長期避難者の生活拠点の形成を推進する観点から、この財政措置のあり方の見直しをしてほしいという要請もいただいておりました。

 そこで、我々といたしましては、今回、原発避難者特例法の避難住民の受け入れに伴う経費の市町村分の算定方法について、見直しを行うことといたしました。

 具体的には、それぞれの経費を積み上げるというこれまでのやり方を改めまして、避難住民一人当たりの標準的な受け入れに要する経費というものを出します。これを四万二千円程度と想定いたしておりますが、この単価に避難者の数を掛けて算定するという方式に変えたいと考えております。これは今年度からやろうと思っております。このことによって、受け入れ市町村への財政措置が大幅に充実されることになりまして、受け入れ市町村の要請に応えられるものと考えております。

伊藤(渉)委員 非常に前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 自治体が抱えている課題は日々変化をしながら、大変な中でお仕事をしていただいておりますので、総務省のバックアップ体制を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 また、長期避難者等のための生活拠点の整備、この検討、いわゆる仮の町構想についても、非常に重要な課題でございます。

 被災住民の皆様からは、ふるさとを捨てるなんてできない、先祖が苦労してつくってきた土地だから、こんな声も聞かれる一方で、原発廃炉には数十年かかると聞く、半永久的に帰れないかもしれないとの言葉も聞かれます。もう戻らないと決めた方もおみえでございます。仮の町のあり方も、集約型や分散型などまちまちでございます。非常に困難な道のりではありますけれども、意見を集約し、具体的に前に進めていかなければなりません。

 そこで、お伺いをいたします。この長期避難者の生活拠点、いわゆる仮の町の形成について、取り組みの現状について、復興庁浜田副大臣にお伺いをいたします。

浜田副大臣 まず、伊藤委員におかれましては、昨年の衆議院選挙で再選されて以降、福島県担当議員になっていただきまして、数多く福島県に入っていただいていることに厚く御礼申し上げたいと思います。

 御質問いただきました、長期にわたる避難生活を安心して過ごしていただくための方策でございますけれども、仮設住宅等から早期に安定的な居住生活環境にお移りいただくことが重要と考えております。

 長期避難中の生活拠点、いわゆる仮の町の確保、整備等につきまして具体的検討を進めるため、国、福島県、被災自治体及び避難者受け入れ自治体で構成する協議会を設置いたしまして、現在、受け入れ自治体ごとに事務レベルの協議を進めているところでございます。

 復興庁としては、これにあわせまして、予算としても、平成二十五年度予算において、避難者の増加に伴う受け入れ自治体の生活基盤の整備や避難者の支援事業を一体的に実施するための、今御指摘いただきましたコミュニティ復活交付金をつくらせていただきました。

 また、今総務省から御答弁いただきましたように、原発避難者特例法の避難住民の市町村の受け入れ経費への特別交付税措置について、個々の経費の積み上げ算定にかえて、包括的に算定、措置するため、避難者住民一人当たりの標準的受け入れ経費の単価を用いる方式に見直すこととされたところでございます。

 このように、長期避難者の生活拠点の整備に本格的に取り組むための枠組みも固まったことから、近いうちに長期避難者等の生活拠点の検討のための協議会を開催し、受け入れ自治体と避難元自治体の方々との具体的な意見交換を行いたいと思っております。

 また、これらの取り組みと並行して、生活拠点の中心となる災害公営住宅について、平成二十六年度からの順次入居開始に向け、先行的に五百戸の整備に着手しているところでございますが、いわゆる仮の町のあり方については、これまでの関係自治体との協議を踏まえ、分散型での整備を前提に取り組んでいるところでございます。

 今後、福島県、被災自治体及び避難者受け入れ自治体との具体的な協議を早期に進め、できるだけ早い時期に受け入れ自治体ごとに生活拠点の一定の方向性を取りまとめるべく、努力していく所存でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 大変御苦労の多い職責かと思いますけれども、引き続き被災地のためにお力添えをお願いしたいと思います。

 続きまして、話はがらりとかわりまして、海事行政について何点か質問をさせていただきたいと思います。

 四面を海に囲まれた我が国におきまして、少々データは古いですけれども、輸出入の貨物の、トンベースでは九九・七%の輸送を担う外航海運でございますけれども、我が国の経済、国民生活を支えるライフラインとして極めて重要でございます。

 この輸送の基盤である日本籍船、日本の旗を持った船ですけれども、及び日本人船員は、我が国の管轄権、保護の対象であり、経済安全保障の観点から、平時より一定規模を確保することが必要でございます。それとともに、海上輸送の安全の確保及び環境保全の観点からも、極めて重要な施策でございます。

 例えば、東日本大震災の際も、日本商船隊の船舶でありながら、外国籍船であるために、我が国の管轄権が及ばず、日本への寄港が拒絶されたケースもある、こういうふうにお伺いをしております。

 世界単一市場たる外航海運分野における国際競争が激化をする中で、我が国の外航海運においては、昭和六十年のプラザ合意後の急速な円高などによるコスト競争力の喪失から、安定的な国際海上輸送の核となるべき日本籍船は減少の一途をたどってしまいました。

 そこで、まずお伺いをいたします。

 日本籍船の最も多かった昭和四十七年の千五百八十隻から、また、日本人船員のピークであった昭和四十九年の約五万七千人から、それぞれ最も減少したとき、これは、いつ、どの程度まで減少をしたのか、政府参考人の答弁を求めます。

森政府参考人 お答えいたします。

 外航海運事業に従事する外航日本籍船でございますけれども、委員御指摘のとおり、昭和四十七年の千五百八十隻がピークでございましたが、円高等による競争力の減少に伴って、平成十九年、これがボトムでございまして、九十二隻まで減少をしました。

 また、日本人船員につきましては、昭和四十九年五万六千八百三十三人をピークに減少を続けまして、平成二十一年、二千三百十二人まで減少しております。

伊藤(渉)委員 極めて重要な事柄であるにもかかわらず、余り知られていない事実ですので、改めて答弁をお願いいたしました。

 実に、日本籍船、ボトムのときに九十二隻、そして日本人船員は約二千三百人でございます。こうした状況は、非常時における対応を含めて、我が国の経済、国民生活の向上にとって不可欠の安定的な国際海上輸送を確保する上で懸念をされる状況となっておりますことは、言うまでもないわけでございます。

 では、続いてお伺いをいたしますが、非常時等において一定規模の国民生活、経済活動水準を維持する輸入貨物量を全て日本籍船で輸送し、その職員を日本人船員で賄うものとして試算をすると、最低限必要な日本籍船の隻数及び日本人船員数はそれぞれどうなるか、重ねて政府参考人の答弁を求めます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年にトン数標準税制を導入する際に、平成十九年の交通政策審議会で、一定規模の国民生活、経済活動水準を確保するために必要な日本籍船、それから日本人船員を試算いたしております。

 まず、日本籍船でございますけれども、これにつきましては、最低賃金の水準とか、あるいは生活保護世帯の水準を参考にいたしまして、通常時の経済活動水準のおおむね三割強を維持するために最低限必要な日本籍船として約四百五十隻という試算をいたしております。

 また、日本人船員につきましては、今申し上げました四百五十隻の船舶職員、具体的には、船長、機関長、それから航海士、機関士各三名、計八名を全て日本人船員で賄うといたしまして、それに予備員率を掛けた数といたしまして、トータル五千五百人の日本人船員が必要という試算が出ております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 要するに、実に、現在、少しふえつつあるわけですが、必要な隻数の約五分の一、船員数は約二分の一未満、こういう状態になっているわけでございます。安全保障ということがこれだけ叫ばれている状況の中ででございます。

 その後の海上運送法の一部改正によって、日本籍船及び日本人船員の増加傾向が見られるようになりました。日本船舶・船員確保計画では、平成二十一年から二十五年度の五年間で日本籍船を二倍に、日本人船員を平成二十年から三十年度までの十年間で一・五倍にとの目標を立てて、鋭意施策を推進しているところでございます。

 そこで、これも政府参考人にお伺いをいたします。最新の数値で、この目標に対して現在どの程度進捗が図られているか、答弁を求めます。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十年度の海上運送法の改正及びトン数標準税制の創設によりまして、日本籍船の増加及び日本人船員の確保、育成のための日本船舶・船員確保計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けた事業者については、通常の法人税にかえてトン数標準税制が選択できるようになりました。

 これに基づいて、日本船舶・船員確保計画の認定を受けている事業者は十社ございますけれども、日本籍船の増加につきましては、平成二十四年度末時点で計画開始時と比べて約一・八倍に増加しておりまして、五年間で二倍という目標は十分達成できるものというふうに考えております。

 また、外航日本人船員につきましては、最も少なかった平成二十一年度が二千三百十二人でございましたけれども、平成二十三年度は二千四百八人となっており、ようやく下げどまりから増加に転じているという状況でございます。

 このように、日本船舶・船員確保計画に基づく各社による日本籍船の増加及び日本人船員の確保、育成は、計画どおり進捗していると理解をいたしております。

 国土交通省におきましては、さらに、さきの東日本大震災の経験のもとに、昨年、海上運送法を改正するとともに、本年度からトン数標準税制を拡充いただきまして、日本籍船の増加、日本人船員の確保、育成を従来よりも加速するとともに、従来、その適用対象が日本籍船だけに限られていたトン数標準税制を、一定の外国籍船に拡充していただきました。

 今後も、これらの施策を含めて、官民連携したさまざまな取り組みにより、日本籍船の増加、日本人船員の育成、確保に万全を期してまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 時間の関係で最後の質問とさせていただきますので、浜田副大臣にはもう一問残しておりましたが、御容赦をいただきたいと思います。

 最後、麻生副総理にぜひお伺いをしたいと思います。

 冒頭でも申し上げたとおり、我が国の海外との物流は、申し上げるまでもなく、海と空を使うしかございません。海上運送が占める割合は、改めて申し上げますが、トン数ベースで約九九%、貿易額ベースでは約七五%、残りは航空輸送ということになります。そのうち日本船社が扱っている割合は、トンベースで輸入が約六割、輸出が約三割と承知をしております。

 そこで、副総理にぜひお伺いをいたします。

 経済成長、デフレ脱却を念頭に掲げて積極的な経済外交を展開する安倍政権にとって、貿易の足元である日本船社の海上輸送の競争力を高めつつ、つまり、貿易の際に必ず発生する輸送そのものでも収益の増大を図りつつ、日本籍船及び日本人船員の増加を図り、経済安全保障も強化をしていくことは極めて重要な課題と考えますけれども、副総理の所見、御感想をお伺いして、私の質問を終わります。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおり、四海、海に囲まれておりますので、日本の場合は間違いなく、貿易は全て海ないし空ということになろうかと存じます。したがいまして、トン数ベースでいきましたら九九%は船に頼っておりますので、そういった意味からいきましても、船というのは極めて重要というのは御指摘のとおりだと存じます。

 激減した最大の理由は、多分、コストが一番大きな理由でありました。特に、一ドル二百四十円が百二十円まで、いわゆるドルが暴落をしたというあの時期ぐらいから、急激にこの傾向ははっきりしたのが一つ。

 加えて、インド洋の、右にアンダマン海からジブチの沖まで、いわゆるインド洋という長い中において、海賊という、最近は余りはやらないんだと思いますけれども、そういうのがえらい勢いでアフリカの角と言われる地域で出てきて、極めて危険な状態がある、襲われるというのが日常よく行われるようになりましたので、私どもとしては、たしかジブチ国と話をして、あそこに基地を置く。これは、たしかアメリカもジブチに基地を置いております関係もあって、アフリカでアメリカの基地があるのはジブチだけだと思いますが、日本も海上警備の対策上、そこに人を置かせていただく等々で、船舶を扱います船員の安全保障ということを考えてやらないと、ただただ、船員をふやせ、船をふやして、安全保障は自分でやれみたいな話ではとてもできませんということで、いろいろなことをさせていただいて、少しずつではありますけれども、船籍はもちろんですけれども、人もふえてきております。人の給与の問題とかかわってきますので、ここのところがなかなか難しいところだとは思っております。

 いずれにしても、今、運輸省から話がありましたように、これは機関士とか航海士とか船長とかいうような技術を伴います人たちを主にして、我々としては、今後とも、安全保障の観点からも、この点はきちんと確保した上で、海上警備等々に含めまして、小銃等々の小火器は持たせるのを認めたり、いろいろなことをしておりますけれども、そういった形で、この種の安全保障というものは、今後とも大事な観点として目を配っておかなければならぬところだと考えております。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、決算行政監視委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 財務大臣、主計局の中には司計課という部署があります。御存じのとおり、決算を担当する部局なんですが、その他の主計局の予算をつける予算係に比べて、大変小さな部局になっております。

 これは、私はある意味、これまでの予算、決算に対する財政当局あるいは政府の一つの考えというか姿勢、こういったものがあらわれているんだと思っています。つまり、高度経済成長時代には、つけるべき財源もありますから、各予算係がしっかりそれぞれの役所ごとにあって、それぞれ毎年予算査定をしていくということなんですが、司計課という主計局の中で決算を担当するところは、どちらかというと小さな世帯で、決算について、予算に比べて余り力が入ってこなかったんじゃないのかというふうに思います。

 ただ、低成長時代に入って、財源を効率的に使わなきゃいけないというときには、決算というものは極めて大事だというふうに思っておりますし、その意味では、当委員会は、予算委員会、あるいはそれ以上に重要な役割をこれから果たしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っています。そういう意味では、行政側のお金の使い方をチェックするという観点で、これは与野党を超えて、立法府がしっかりとチェックを働かせていくという観点から、きょうはできるだけ今後につながるような建設的な質問、議論ができればと思って、質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、当委員会の決議でも問題になりました、原子力関係予算の独立行政法人あるいは関連公益法人への支出について質問したいと思います。

 お手元にお配りをしております資料一をごらんいただければというふうに思います。

 これは、原子力研究開発機構、JAEAと訳しますけれども、平成二十三年度のこのJAEAから公益法人等への支出の一覧になっております。これを全部足し合わせますと、まあ中身を見てもらうとわかるんですが、学会とか一般公益法人とか、いろいろなところを書いていますけれども、合計八千四百九十六万円ということなんですが、年会費とか、学会に対する「賛助会費(年会費)」と書いていますけれども、こういったものの支出の一覧が書かれております。

 これは、今申し上げたように、二十三年度において合計八千四百九十七万円に及ぶんですけれども、例えば、このうち最大の交付先である五十四番を見ていただきたいのですが、若狭湾エネルギー研究センターというのがあります。ここに、その大宗である三千百五十万円が交付をされております。

 「交付先が定める最低限の会費」とかという欄がありますけれども、ここを見ていただくと、一口十万円の年会費なんですね。一口十万円の年会費です。この年会費、一口十万円が合計三千百五十万円支払われているということは、年会費を三百十五口、支払っているということになります。年会費でありますから、一口払えば法人としては十分だと思うんですが、三百十五口も払っておりますけれども、文科大臣、このことについてどう思われますか。

戸谷政府参考人 この二十三年度の若狭湾エネルギー研究センターへの支出でございますが、一口十万に対しまして、三千百五十万ということで、三百十五口、確かに非常に多いということでございます。

 これにつきましては、私どもとして事情を確認したところ、この若狭湾エネルギー研究センターが使用しておりますのは、加速器を使うといったようなこととか、ほかの科学機器等を使うといったようなこと、あるいは共同研究といったようなことも含めてこういった会費支出ということにしていたということでございますが、私どもとしては、必ずしもこれは明確ではないということでございまして、是正措置を求めたところでございます。

玉木委員 これは、我々の政権のときにも問題だということで、是正あるいは指摘をさせていただいたんです。

 驚いたのは、めくっていただいて、これは資料の裏に書いているんですが、その翌年の二十四年度の結果がどうなったかということなんですが、ここに一覧がありますけれども、まず総額、先ほど申し上げた八千四百九十七万円が三百三十四万円に減っているんですね。若狭湾に限って言うと、三千百五十万円、一口十万円が三百十五口だったんですが、思い切って、一口、十万円に減らしていただいているんです。

 というのは、逆に心配なんですが、これほど減らしても行政運営上大丈夫なのかということでありまして、率でいうと、全体額でいうと、よく一割削減しろ、二割削減しろと予算の世界ではよくあるんですが、九六、七%削減しています、全体で。若狭湾に限って言うと、九九・七%削減です。そういうことが可能である。

 その結果、起こることは二つです。行政に多大な迷惑と支障を来しているか、それまで計上された予算が全く意味がなかったということのどちらかなんですけれども、二十四年度、大胆な削減をしていただいた上で、現在、行政運営において何か支障が生じておりますでしょうか、文科大臣。

戸谷政府参考人 この公益法人等への会費の支出に関しましては、各方面からの強い御指摘も受けまして、私どもといたしましては、基本的にはゼロベースで全部見直すということにさせていただいたところでございます。基本的には、その研究開発機構が、これは研究機関でございますので、学協会等にやはり参加をして最新の情報を得るとか、学会等に参加をするとか、そういったところから見ますれば、最低限一口というのが原則であろうということで、全般的な見直しをしていただいたということでございます。

 あと、先ほど申し上げましたように、若狭湾エネルギー研究センターの会費支出につきましては、果たして会費としての性格なのか、あるいはほかのものの性格も入っているのかどうか、そういったようなことも含めまして、全般的な精査を行ってこういう状況にしたということでございまして、二十四年度の方針につきましては二十五年度も引き続き堅持をいたしておりまして、この関係におきまして、現時点において特段大きな支障があるといったような状況ではございません。

玉木委員 特段支障が生じないという明確な答弁をいただきましたけれども、裏返して言うと、支障が生じない予算がつき続けて、これは実は民主党政権も反省しなければいけません。我々が政権にあった初期の段階にもこれを許していた経緯があります。ですから、これは、誰が悪いというよりも、こういうことが生じてしまう仕組みをやはり直していかなければいけないというふうに思っています。

 私の同僚議員の花咲宏基議員がこの問題に長く取り組んできておりまして、細かい指摘も、彼がいろいろな資料を集めてやってくれたんですが、こういうことが起こる一つの背景は、やはり独立行政法人制度、もっと言うと独立行政法人に対する運営費交付金の制度に内在する問題点もあろうかと思っているんですね。

 つまり、こういうことが生じないように一体誰がチェックをするのか、このことのいわゆるガバナンス、これが非常に不明確になっていると思うんですね。

 これは、そもそも独法ですから、ある程度自由なお金を渡して、その裁量の中でやっていただくので、独法のトップがその適正性を判断するのか、あるいは主務大臣としての文科大臣が判断するのか、あるいはもっと広くお金を見ている財務大臣がこれを見るのか。

 このことについて、こういうことが起こらないように、あるいは今もひょっとしたら、指摘はされていませんけれども、同じようなことが他省庁でも起こっているかもしれない。こういうことを、誰が、その効率性、財政の規律やガバナンスといったことをチェックすることになっているんでしょうか、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 これは玉木先生、予算の執行の話ですから、執行されるのは所管しておられる大臣ということになろうと思います。

 独立行政法人のヘッドが、そういう経営感覚がしっかりしているのがいるという保証などありませんから。したがって、きちんとした人を選ぶというのは、御自分たちでもやられたから、よく御理解しておられると思います。

 そういった意味では、再発防止を含めて、きちんとした、こういった御指摘を受けていろいろしておられるんだと思いますので、所管大臣というものが直接担当されるというのがしかるべき形だと存じます。

玉木委員 制度上はもちろん主務大臣だと思うんですが、下村大臣、ただ、現実問題として、こういうことをしっかりチェックできる自信がおありですか、失礼ですけれども。

下村国務大臣 既に報道されているかもしれませんが、きょう、この日本原子力研究開発機構、新理事長を任命いたしました。「もんじゅ」の問題等、この機構の中で、国民の皆さんから、安心、安全の部分で非常に、十分な対応ができていないということについて、改めて機構全体がしっかりと対処する必要があるというふうに思います。

 その上で、今回のような御指摘も含めて、第一義的には新しい松浦理事長のもとで、私の方できょう改めて、機構の抜本的な見直し、安心、安全だけでなく、こういう部分についても求めましたので、まずは新しい理事長のもとで対応していただきたいと思いますが、その上で、しっかり所管大臣としても対処したいと思いますし、また、国会が、当決算行政監視委員会がぜひ有効機能することによって、今後ともいろいろと御指摘もいただければと思います。

玉木委員 正直申し上げて、ここは私も悩ましいと思います。我々も与党としていろいろな経験をしていく中で、どこでどうチェックを働かせていくと、こういう、まあ無駄と簡単に言ってしまってはいけないのかもしれませんが、もっと効率的にできるはずなものが、そうならずに、去年もついたからことしも同じ予算がついていくということをどうやって避けられるのかなというのを、頭を悩ませてきたところであります。

 その意味では、昨年の一月二十日に独立行政法人の制度及び組織の見直し基本方針というものを閣議決定し、その中で、主務大臣によるガバナンスが不十分であることや、運営費交付金の使途が不明確で無駄や非効率な業務運営について指摘をしているわけであります。

 その意味では、制度ができてからもう十年ぐらいになるんですか、この独立行政法人、私も当初の特殊法人の整理合理化計画と言われていたころにも仕事に参画したことがあるんですけれども、この独法制度についてはそろそろ見直しの時期に来ているのではないのかなというふうに思っておりまして、我々の政権のもとでは法律をつくって出そうということで考えておったんですけれども、この独法改革について、行政改革担当大臣、稲田大臣の考えをお聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 玉木委員が御指摘のとおり、国民からいただいた税金の使い道というのは、きちんと明確にして、そして透明性、国民に対する説明責任を果たしていかなければならないと思っております。

 その意味におきまして、独立行政法人改革、それは、今御指摘になった二十四年一月の閣議決定は凍結はいたしておりますけれども、今、私のもとで、独立行政法人改革について有識者の会合を開き、そして横ぐしをきちんと刺す形で独立行政法人改革について早急に取り組んでまいりたいと思っております。

玉木委員 独立行政法人改革はぜひ進めていただきたいと思います。我々も、類型化をして類型化ごとにガバナンスのあり方を考えようとか、いろいろな工夫はしてきたんですけれども、なかなか百点満点の答えが正直出なかったところでもありますので、財政の効率的な運営といった観点から、財務大臣も含めて、ぜひ積極的な改革を進めていただきたいということを強くお願いしたいと思います。

 もう一つ、JAEAに関して、お手元に資料を配っておりますが、契約について一点、御指摘申し上げたいと思います。JAEAのいわゆる関連法人、関連法人というのは一定のいわゆる天下りの方が行っている、そういったところとのJAEAの契約に関して少しまとめた表であります。

 そもそも、平成二十三年度、この決算行政監視委員会の審議の対象になっております二十三年度の随意契約の比率と、いわゆる競争入札のうちでも一者応札の比率、まずこのことについて教えていただければと思います。

戸谷政府参考人 二十三年度におきまして、原子力研究開発機構と関係法人との間の随意契約につきましては、二千五十一件でございます。それから、全体の件数に占めます一者応札の比率につきましては、平成二十三年度におきましては、六十六件ということで、全体の二・四%ということでございます。

玉木委員 一者応札の比率が、今、二・四%ということでお答えいただきまして、これは平成二十年、二十一年から比べると落ちてきていますね。ですから随分改善が進んでいると思うんですが、きょう、そういう中で指摘をしたいのは、お手元に配っている資料二です。

 これまでの随意契約の見直し、あるいは一者応札になっているところを見直して、競争性を入れよう、透明性を入れようという改革を進めてこられたと思うんですが、そういう中で、これは見ていただくとわかるんですけれども、いわゆる競争入札になったもののうち、関係法人のみによる応札の結果を少し整理したものであります。

 一番目に書いてあるピンク色の契約の相手方ですけれども、関係法人のみが……(発言する者あり)色がないですか。済みません。一番上の一番ですね。一番のところを見ていただくとわかるんですが、関係法人のみによる応札が行われております。

 これが実は、ずっと一から十四まで書いておりますけれども、関係法人とJAEAが競争入札をやったときに、ちゃんと競争入札にはなっています。ただ、そのときに競争相手といって入ってくる人も関係法人なんですね。

 問題はここからで、ここを見ていただくとわかるんですが、一〇〇%二者応札になっています。つまり、一番の法人と、トップ一、トップ二、トップ三と右の方に書いていますけれども、一番多いのは、ちょっと個別名は控えますけれども、二番の法人が、二者応札、二者入ってきて一者がとりましたというのが一〇〇%二者応札なんですね。では、この相手方の二番目の法人を見ると、二番目の法人も、競争入札といいながら二者応札でとって、相手は誰かというと、一番の法人なんです。

 ここを見ていただくとわかるんですが、ほぼ同じようなところでぐるぐるぐるぐる回していて、競争入札には形式上なっていますけれども、極めて限られた数社で入札を行っており、かつ、実際に落札していっているという形態があります。

 JAEAさんの見直しの中で、複数機関からの入札において、当該機関の間で入札の適正さが阻害されると認められる一定の資本関係または人的関係がある場合については同一入札について参加は認めないということにしているんですが、実は、これらの法人は一つの共通点があります。

 それは、全て、JAEAの退職者を全部受け入れています。巧みに基準にひっかからないのは、役職員になっていなかったり、あるいは役職員の人が天下ったりしていなくて、普通の人が、あるいはそんなに高いランクじゃない人が行っていたりするので基準にひっかからないんですけれども、これは外形的に見ると、競争入札とはいえ、一〇〇%二者応札になっていますので、こういったことについてはいわゆる入札の適正さが阻害されていると疑われる余地があるのではないかなと思うんですが、この点についてどうお考えでしょうか。

戸谷政府参考人 今先生御指摘の二者応札の関係につきまして、少し事実関係を御説明させていただきますと、いわゆる関係法人との契約につきましては、二十四年度のあれで見ますと、原子力研究開発機構全体四千百十一件の契約のうち、関係法人との契約が六百四十九件ございます。全体契約額が千二百四十六億円のうち、関係法人との契約金額といたしましては百七十八億円ということでございます。

 今先生が表にまとめられましたものにつきましては、これは全て、二者応札の際、相手方もやはり関係法人だったということでございまして、先ほど申し上げました六百四十九件のうち百五十三件がそういったものであるということでございまして、残りの四百数十件等々につきましては関係法人以外の応札もあるというのが実情でございます。

 ただ、先ほどの先生の御指摘のように、関係法人間のこういった応札の状況につきましては、いろいろ懸念を招くということも私どもとしても心配はいたしております。

 ただ、この間、原子力機構からいろいろ実情等の把握にも努めているところでございますが、基本的には、今回、問題となって、問題といいますか、掲げられている契約内容を見ますと、大半のところはかなり原子力施設の運営委託的な、いわゆる人出し的な事業ということでございまして、こういったところにつきましてはほかの第三者の参入がなかなか厳しいというのも実情でございまして、そういった面につきまして、さらに改善、ほかの企業の参画の余地がないかどうかということについて、原子力機構に対しても促してまいりたいというふうに考えております。

玉木委員 原子力行政については、きょうも審議がずっと行われていますけれども、いろいろな疑念が生じています。私は、正しく原子力行政を進めていくべきだという立場でありますから、そういったお金の関係とかいろいろなことで、とにかく何かおかしなことが行われているんじゃないよという、そういう透明性や、あるいは公明正大にやっているということを、絶えざる努力の中で開示をしていかなければいけないと思っています。

 ですから、こういう外形的に二者応札が一〇〇%を占めているようなこと、もちろん専門性があるところはわかります。ただ、例えば、施設のメンテナンスとか、コンピューターシステムを入れるとか、必ずしもここに限らなくてもできるのじゃないかと言われるようなものについてはやはり厳しく見直して、そういった疑念を抱かせないような運営をしっかりとやっていただきたいということを、主務大臣たる文科大臣にもお願いしたいと思います。

 次に、茂木大臣にお伺いしたいと思うんですが、最終処分事業についてであります。

 これは、今、核燃料サイクル事業をどうするのかという議論が行われておりますけれども、いずれにしても、全量を中間貯蔵にするというようなことでなければ、やはり最終処分場というのは必要ですよね。ですから、これを選定していくということをやっていかなければいけないわけですけれども、なかなか進んでいない。今の仕組みができて十年ぐらいたつと思いますけれども、なかなか難しいということだと思います。

 その意味で、これまで、そういった最終処分場を選定する、あるいはそういったことの理解を促していくといったことに投じた予算というのは総額どれぐらいになるのか、もし数字があれば教えていただきたいのと、なければ結構なんですが、あわせて、その予算の効果といったものをどう考えているのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

糟谷政府参考人 まず、予算の広報、普及費の総額でございますが、通告をいただいておりませんでしたので、手元に持ち合わせておりません。申しわけございません。

玉木委員 通告していたと思うんですが。

 広報に関して言うと、では、少し例を申し上げると、地層処分実規模設備整備事業というのがあります。これは、北海道の幌延に、高レベル放射性廃棄物の地層処分の理解を求めるために、実物大の、実規模の設備をつくって、非常に地下深く埋めると安全ですよということの理解を図る事業を行っております、そんなに大きな事業ではありませんけれども。それで、例えば、年間八千人が来場されて、アンケートをとると、来たときよりも帰るときに、地層処分というのは安全だねというふうに理解が深まった人がふえていますというアンケートがあります。

 ですから、そういう意味では私は効果があると思うんですが、問題は、ではそういうことをどれだけやったら実際に処分地が見つかるのか、あるいは自治体が手を挙げるのか。ここは直接つながらないと思うんですね。

 もう一つ、これは国の直接の予算ではありませんけれども、例のNUMOもいろいろな活動をやっておられて、広報活動、芸能人も入れたりしてやっています。お手元にNUMOの広報事業を一つ掲げてあるんですが、ヤマトオサガニというのがありますね。一見するとこれはNUMOの宣伝に見えないんですけれども、何が言いたいかというと、ヤマトオサガニというのは地中深くで一万年もの間守られていたということなので、地層深く埋めれば安全ですよ、そういう広報になっているんです。

 ただ、これは委員の皆さんも見ていただくとわかるんですが、こういうことを幾らやっても、では、うちの自治体で、最終処分場、わかりました、受けましょうといって手を挙げるところは出てこないと思うんです。

 広報自体の必要性は認めますけれども、目的に明確にひもづけされた、そういう予算、事業をやっていかないと、だらだらと少額の予算を毎年積み重ねても最終処分場は見つかってこないと思うんですけれども、これについて茂木大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 基本的に玉木委員と認識を同じにしていると思います。

 私もこの資料の三を拝見させていただきまして、これは十年ぐらい前の広告のようでありますけれども、どう見ても化石の広告にしか見えないという形でありまして、どこの代理店を使ったのかわかりませんけれども、こういったことだけやってもうまくいかないんだと思っております。

 国民の理解を得ること、これは極めて重要でありますけれども、これまで十年間以上立地選定が進んでこなかった、この背景の一つには、安全性ばかりが強調されて、国民の不安に真摯に向かい合ってこなかったのではないか。それからもう一つは、応募プロセスで地元の発意を前提にしておりましたので、どうしても地元が負う説明責任であったりとか負担が重い、こういう問題があった、このように考えております。

 このような反省を踏まえまして、この五月から、最終処分事業の取り組み強化に向けて、総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物小委員会での検討を開始したところであります。

 具体的に申し上げますと、幾つかの視点があるんですが、時間の関係で幾つかのポイントだけにさせていただきますが、例えば、将来の選択の余地を担保する観点から、処分後一定期間の回収可能性の維持を制度上明確化する、こういったことも場合によっては必要だと思っております。

 同時に、調査の受け入れを前提として住民に説明を行う、説明会をやるということになりますと、どうしても地元の負担が重い、またいろいろな反対等々が起こるということから、調査受け入れを前提とせずに、地元住民とのオープンな場での理解を得られるような仕組みを整備することなど、これまでの反省を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。

 いずれにしても、こういった広告は二度とやらせません。

玉木委員 ありがとうございます。

 私、この最終処分地の選定も含めて、やはりそろそろ国の責任、国が主導的に前に出ていく必要があると思っています。

 原発は、つくるときには立地交付金や、サイトをつくるためには国が物すごく入っていって、お金まで出してつくるんですが、後処理の方ですね、ここについては事業者が基本的にはやってくださいというスキームになっています。ただ、これについても私はそろそろ見直すべきではないかというふうに思っています。

 今のバックエンドの最終処分場の選定の問題についても、手挙げ方式でいつまで待っていても来ないと思うので、例えばきちんとした、原発を建てるときと同じような、活断層がないかとか、そういうのも国が積極的にやって、ある程度前面に出ていくというようなことも必要だというふうに思っています。

 その意味では、国の関与を強めるという意味では、今の賠償スキームについて、一点、最後にお聞きしたいと思います。

 現在の東電の総合特別事業計画については、柏崎刈羽の七つの原発については原則動くことで計算をしていると思います。そして、上場を維持し、上場を維持しているからこそ低い調達コストで銀行も貸してくれる、さまざまな資金が回っていくというスキームになっていますけれども、四月、あるいは先月から、今月から動くことになっていることが前提で組まれている総合特別事業計画は、既にその予定から収益はもうずれてきていると思うんですね。

 その意味では、私は、そろそろこの特別事業計画、あるいはそれを支える賠償スキームそのものをもう見直すべきだと思っております。上場を維持したまま単に賠償を払うだけの東電であれば、人材の流出はとまりませんし、本当に最高の成長戦略は、安価で安定的な電力を供給していく、その意味では、東電に、私はもっと前向きで積極的な役割を果たしていっていただきたいと思っています。

 その意味では、廃炉の問題、あるいはもう使えなくなった原発については、例えば、公的なセクターが引き取るとか、あるいは一気に税金を投入して処理をしてしまう。多年度にわたって、例えば会計処理を柔軟化するという話が出ていますけれども、そういう、長く延ばして電気料金から薄く取っていくということは、私はもう先延ばしにすぎないんじゃないかというふうに思っています。

 不良債権の処理と一緒で、やはり国が決断をして、しっかりと、例えばグッドとバッドを分けるとか、そういうことも含めて、そろそろ法律の見直しの時期が来ておりますけれども、国の関与を具体的に強めていく、それは財政的な負担も含めて、決断すべきときが来ているんじゃないかと思いますけれども、経産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 時間は何分ありますか。

谷畑委員長 もうありません。短くお願いします。

茂木国務大臣 まず、廃炉につきましては、研究開発を含め、国が前面に出られる部分、出なければいけない部分、それは既に平成二十四年度の補正予算、そして二十五年度の予算を含め、研究開発の費用等を確保いたしております。

 総合事業計画は、柏崎刈羽の再稼働の問題だけではなくて、廃炉であったり、また賠償であったり、電力の安定供給、全体的に考えて東電として決定されたものだ、このように理解をいたしております。

玉木委員 福島第二原発をどうするのかとか、今の総合特別事業計画の中には入っていない、ただ、極めて重要な要素があります。

 こういったことについても整理をして、次に見直す際には、現実的で、現実に向き合っていくような、そういう方針を明確に示していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 終わります。

谷畑委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 辻元清美です。

 きょうは、決算行政監視ということで、私は、行政監視という立場から、この数日、週末からもまた慰安婦問題について国際的に議論が出ておりますので、行政の答弁などの継続性ということを再点検させていただきたいと思っております。

 といいますのは、先週の金曜日、五月の三十一日に、ジュネーブでの国連の拷問禁止委員会で、旧日本軍の慰安婦問題で日本に対して勧告がまとめられました。これは、国会議員を含む政治家や地方政府高官によって事実を否定する発言が続いていると批判し、その後なんですけれども、日本政府が直ちにとるべき対応として、当局者や公的人物による事実の否定や、それによって被害者を再び傷つける行為に反論することを挙げられております。

 また、昨日は、TICADで来日されております国連の事務総長が、これは橋下徹大阪市長の一連の発言についてですが、批判をされる。

 さらには、先日、アメリカの知日派のアーミテージ元国務副長官も、安倍政権は右翼のナショナリスト政権と思われていると、日本をおもんぱかって、警鐘を鳴らしているわけです。

 このアジアとの関係、そしてアメリカとの関係だけではなくて、国際的に非常にまだこの火種は消えておりませんので、きょう、官房長官、関係大臣に、しっかり打ち消すところは公式の場で打ち消しておいていただいた方がいいのではないかという観点で、行政監視の立場で質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点。官房長官、事実関係なんですが、実は先日、三月八日、予算委員会で私、安倍総理と慰安婦をめぐる質疑をしたときに、前回の安倍政権でもこの問題が国際的にさまざま非難決議などが出されたことを引き合いに出しまして、ブッシュ大統領との会談で安倍総理が慰安婦問題について言及されたと思うがと私が質問いたしましたことに対して、びっくりしたんですけれども、安倍総理が私に、「今、事実関係において間違いを述べられたので、ちょうどいい機会ですから、ここではっきり述べさせていただきたいと思いますが、ブッシュ大統領との間の日米首脳会談においては、この問題は全く出ておりません。」と答弁されたわけです。

 しかし、外務省や首相官邸のホームページでも、この会談で慰安婦問題が取り上げられ、そしてブッシュ大統領との間で話し合われたことが、既に公式に出ておりました。

 これに対して質問主意書を出して、安倍総理の答弁が間違っているということを確認させていただいたと思いますが、正式な国会の場でも御答弁を官房長官からいただきたいと思います。このときの、全く出ていないという安倍総理の御発言は、事実誤認であったということでよろしいですか。

菅国務大臣 事実関係でありますけれども、総理が、議会において慰安婦問題の話をした。ブッシュとの会談の中で、慰安婦の問題について、昨日、議会においてもお話をした、自分は元慰安婦の方々に、人間として、また総理として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況に置かれたことについて申しわけないという気持ちでいっぱいであると述べた、議会でこういう発言をしましたと、そのことをブッシュ大統領に話した。そういうことが事実だと思います。

辻元委員 ということで、ブッシュ大統領との会談でもやはりこの問題を取り上げたということなんですよ、官房長官。官房長官も記者会見で、これははっきり言えば間違いだったということをお認めになったと思います。外と中での言うことを変えたら、ダブルスタンダードだと思われるわけですよね。

 ですから、小野寺防衛大臣にお聞きしたいんですけれども、小野寺防衛大臣がシンガポールで、おととい、六月一日にアジア安全保障会議で講演をなさいました。これはやはり、歴史認識についての日本に対するさまざまな誤解についても、はっきりと日本の立場を示しておかなきゃいけないということも一つ趣旨にあったかと思います。

 その中で、小野寺大臣が、さきの大戦でアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた、歴代内閣の立場を引き継ぐものであるということを言及されたと聞いております。この歴代内閣の立場を引き継ぐというのは、これは村山談話や河野談話を引き継ぐということも含むと認識してよろしいでしょうか。

小野寺国務大臣 御指摘のシャングリラ会合でありますが、これは、アジア太平洋地域のほか欧州の国防大臣等が参加して、地域の安全保障情勢やそれぞれの国防政策等について意見交換を行う国際会議ということであります。各国の国防当局の相互理解と信頼醸成を図る重要な機会であると思っております。

 御指摘ありましたように、私はその会議におきまして、国益の防衛、紛争の予防というテーマでスピーチを行いました。ここで行いました内容というものは、今委員がお話しされたように、官房長官を初め安倍内閣が累次にわたって答弁をしている内容、そのことについて紹介をさせていただいたことであります。

辻元委員 今問いましたのは、ちょっと改めて問いますが、これは歴代の内閣の立場ということですから、村山談話や河野談話を踏襲しての御認識での発言ということでよろしいでしょうか。防衛大臣としての発言です。

小野寺国務大臣 安倍内閣の歴史認識、私は内閣の一員でございますので、その認識としての立場ということで、官房長官から累次の場でお答えしておりますが、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えということであります。

辻元委員 これまでの歴代内閣の考えを引き継ぐということですが、官房長官に改めてこの場でお聞きしておきます。

 村山談話は継承されているという理解でよろしいですね。

菅国務大臣 そのとおりであります。

辻元委員 河野官房長官談話は引き継いでいるという認識でよろしいですね。

 いつもこれを聞きますと、慰安婦の方の辛酸に同情するとかいろいろおっしゃるんですが、大分問題になっておりますので、引き継ぐのであれば引き継ぐとはっきりおっしゃっていただきたいと思います。

菅国務大臣 私たちは、第一次安倍内閣で河野談話について閣議決定をいたしました。そこには、そのような趣旨を閣議決定の中に書いていますから、その閣議決定が全てであります。

辻元委員 その閣議決定というのは、私が質問主意書として提出したものに対する答弁書でよろしいですか。

菅国務大臣 そのとおりであります。

辻元委員 これは私、菅さんに助け船を出しているつもりなんですよ、本当に。これははっきりさせておいた方がいいですよ。橋下さんのことと安倍さん、ごちゃごちゃになっているんです。後でちょっとそれを申し上げます。

 私、先日、外国人記者クラブでの記者会見もした後、多くの記者に、どう違うのか、同じじゃないのかというような質問を受けたわけですよ。ですから、改めてということです。

 その閣議決定の内容というのは二つあるかと思いますが、一つは、また私、質問主意書を出しました。そして、今回、そこに対して、安倍内閣は河野官房長官談話を引き継ぐのかということに対して、前回私に答弁をした答弁書と同じ態度でございますという、ちょっと回りくどい答弁をいただきました。前回というのは平成十九年三月十六日の答弁書で、ここでは、「政府の基本的立場は、官房長官談話を継承している」という答弁書でございます。

 ですから、もう一度確認いたします。今の安倍内閣は河野官房長官談話を継承している、これでよろしいですね。

菅国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、やはり閣議決定というのは極めて重いですよね、第一次安倍内閣の閣議決定ですから。そこが現在の内閣も全てでありますし、これについて、前の閣議決定を否定するとかそういうことは全く、見直しをするとかいったことはありません。閣議決定が私は全てだと。現在の安倍内閣においても全てであります。

辻元委員 ですから、河野官房長官談話を現内閣も引き継いでいるということでよろしいですね。

菅国務大臣 閣議決定の中には、先ほど委員から読み上げがありましたけれども、そういうこともはっきりと入っています。

辻元委員 実は、数日前の国連の委員会で、勧告を受けましたので、外務省がこれに対して政府の立場の説明をしております。私、取り寄せまして、テープ起こしをしました。

 一九九五年の当時の村山総理大臣、二〇〇五年の小泉総理大臣が、それぞれ総理大臣としての談話というものを発表しておりまして、その中で、慰安婦問題を含む過去の問題について、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えた、そういった歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省、心からのおわびの気持ちを表明しているところでありますと。

 村山談話と小泉談話のことは表明しているわけですけれども、河野官房長官談話を継承するということは見当たらないんですね。

 外務省の政府参考人に聞きますが、この委員会での政府の説明では、河野官房長官談話を引き継ぐとはっきり表明しましたか。アジアの女性基金でこういう支援をしているとか、そういう説明ではなく、核心はここなんですよ。引き継ぐかどうかを国際的にちゃんと表明するかどうかなんですが、いかがですか。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 国連拷問禁止委員会における日本政府に対する勧告に先立ちます政府報告の審査の際におけるやりとり、そして日本の代表の方からの説明ぶりについては、おおむね委員がおっしゃったとおりでございます。そして、日本のこの問題についての立場も今官房長官から御説明があったとおりでございますので、私からは繰り返しません。(辻元委員「河野官房長官談話の継承ということを表明したかどうかと聞いたんです」と呼ぶ)

 私の今手元にあるものでは、日本政府からの説明は、おおむね、ちょっと長くなりますが申しますと、拷問禁止条約は、我が国が同条約を締結した……(辻元委員「いや、その部分だけで結構です」と呼ぶ)はい。

 慰安婦問題については条約の対象外であることと、あと、今おっしゃったように、村山談話や小泉談話について言及しつつ云々、おわびの気持ちを表明していることというふうになっております。

辻元委員 私も、どこを見ても、これは慰安婦問題について国連で問題視されていることに対する政府の反論というか、何か今の内閣は河野官房長官談話を継承するということを言うなと徹底しているように、菅さんもなかなかそれを御自身の言葉でおっしゃらないんですね。ですから、海外から見たら、一体どうなっているんだと思うわけです。

 慰安婦問題を国連の場で問題にされているときに、河野官房長官談話というのはどこを見ても出てこないですよ、村山談話は出てくるけれども。これはまた後で取り上げたいと思います。

 さて、そこで、歴代の内閣の姿勢を踏襲しているという御発言でした。政府委員にお聞きしたいんです。

 歴代の内閣の姿勢というのは、内閣官房内閣外政審議室が、河野官房長官談話を出すときに、「いわゆる従軍慰安婦問題について」という調査報告書を一九九三年の八月四日に出されました。この調査報告書に基づいて歴代の内閣が認識を示し、そして答弁をしてきたと考えていいかどうか。

 といいますのは、国会の場ではたびたび取り上げられておりまして、例えば平林官房外政審議室長も、これはもう随分昔ですけれども、一九九七年に答弁をしております。これは典型的な答弁ですが、「政府といたしましては、二度にわたりまして調査をいたしました。一部資料、一部証言ということでございますが、先生の今御指摘の強制性の問題でございますが、政府が調査した限りの文書の中には軍や官憲による慰安婦の強制募集を直接示すような記述は見出せませんでした。」これは、見出せなかったということは官房長官談話をつくったときから政府は認めております。ただ、総合的に判断した結果、一定の強制性があるということで先ほど御指摘のような官房長官の談話の表現になりましたと。

 これは、私に対する、先ほど閣議決定と言った、強制性のくだりも同じ趣旨です。ちょっと紹介しますと、「関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日の内閣官房長官談話のとおりとなったものである。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」。

 これはもう随分、一九九七年から、塩崎元官房長官も同じような答弁をされておりますし、村岡兼造元官房長官も同じような発言をされておりますし、さらに、今回提出させていただきました橋本内閣における高市早苗議員に対する質問主意書の答弁も同じような内容です。

 これは、政府としては、先ほどの「いわゆる従軍慰安婦問題について」を基礎にした一貫とした姿勢の答弁であると考えられますが、その理解でよろしいでしょうか。政府委員に聞きます。

國分政府参考人 平成五年八月四日に外政審議室が発表した「いわゆる従軍慰安婦問題について」は、政府において、平成三年十二月から五年八月まで関係資料の調査を行うとともに関係者からの聞き取り等を行い、これを総合的に判断して結果を取りまとめたものであるということでございます。

辻元委員 歴代の内閣はそれに従って答弁をして、今日まで答弁をしてきたと理解してよろしいですね。

國分政府参考人 政府参考人の立場で申し上げられますのは、今の政府文書の位置づけということになります。

辻元委員 歴代の内閣の答弁を点検いたしましたが、同趣旨の答弁をされております。

 そこで、橋下大阪市長の発言が今問題になりました。皆さんのお手元にお配りしているんですが、まず安倍総理がどんな答弁をしてきたか。これは資料の一ページ目です。「さきの第一次安倍内閣のときにおいて、質問主意書に対して答弁書を出しています。」これは、私の質問主意書に対して歴代の内閣と同じ趣旨の答弁をしたということです。「これは安倍内閣として閣議決定したものですね。つまりそれは、強制連行を示す証拠はなかったということです。」これは、河野官房長官談話が成立したときから同じ認識を政府は示していらっしゃいます。

 この後です。「つまり、人さらいのように、人の家に入っていってさらってきて、いわば慰安婦にしてしまったということは、それを示すものはなかったということを明らかにしたわけであります。しかし、それまでは、そうだったと言われていたわけですよ。そうだったと言われていたものを、それを示す証拠はなかったということを、安倍内閣においてこれは明らかにしたんです」と言っていますね。

 実は、橋下大阪市長のこの間の発言もこれと同じような発言をされていて問題になっているわけです。ちょっと言いますと、「証拠が出てくれば認めなきゃいけないけれども、今のところ二〇〇七年の閣議決定では」、これは先ほど菅さんがおっしゃった、安倍総理がおっしゃっているのと、「そういう証拠がないという状況になっています」とか、「ただ今のところはね、軍自体が、日本政府自体が暴行、脅迫をして拉致をしたという、女性を拉致したというそういう事実は今のところ証拠で裏づけされていないので、そこはしっかり言っていかなきゃいけないと思います」。

 これは、安倍総理が家に入って強制的に連れてきたことはないと言っているのとほぼ同趣旨に、これを橋下さんが五月十三日に発言されているんですが、海外ではどうも、この安倍さんの発言と橋下さんの発言はえらい似通っているな、どう違うんだろうというふうにとられているということを官房長官は御認識なさっておいた方がいいと思います。

 その上で申し上げたいと思うんですが、官房長官も、この閣議決定の中身というのは、そうしますと、次のページを見ていただければわかるんですが、その次のページの下です。先ほど申し上げましたように、線を引いてあるところだけ、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである。」というところだけを抜き出して強調されているわけです。

 しかし、その上には、先ほど政府委員から説明がありましたように、調査によって、このときの調査は、官房長官、慰安婦の方の証言だけではないんですね。私、河野元官房長官にお聞きしに参りました。その前の加藤紘一元官房長官にも、一体どういう経過だったのかお聞きになった方がいいと思います。かなりのことをやられたようですね、やはり国家の威信がある意味かかっていますから。元軍人、元朝鮮総督府関係者、元慰安所経営者、慰安所付近の居住者とか、かなり広範にわたって調査をされておりました。その結果、記述は見当たらなかったが、総合的に考えて河野官房長官談話のようになったと。

 私に対する閣議決定の中身もこういうことなんですよ、官房長官。この記述がなかったというところを安倍総理が特段強調して何回も発言されているんですが、歴代の内閣の答弁と変わらないんですね。という認識で私はいいと思っておりますが、いかがですか。

 ですから、変わらないんだったら変わらないで、しっかり発言をしないと、安倍さんの発言を引いて橋下さんも発言されているわけです。これは総理大臣の名誉のために申し上げているのは、官房長官はよくわかると思いますよ、同じことを発言されていますので。ですから、全体の閣議決定の中身は歴代内閣の答弁と一貫性を持ったものである、何も安倍政権のときに別の新しい答弁をしたとは思っていないんですが、官房長官、ここは確認させてください。いかがですか。

菅国務大臣 まず、橋下市長は野党の共同代表であります。そこの発言について私から発言することは控えさせていただきたいと思います。

 ただ、政府の立場は明確になっておりまして、今委員からもありましたけれども、その委員の質問主意書に対して、今言ったことを私たちは、閣議決定は極めて重いですよね、そういう形で返答しているわけですよね。それと同時に、その中に、政府の基本的立場は官房長官談話を継承する、そういうことも書いていますね、閣議決定の中に。

 ですから、安倍内閣としては、第一次安倍内閣のときに行った閣議決定がこの河野談話については全てであるということを私は先ほど来申し上げているところであります。

辻元委員 もう一つ、「いわばその重たい閣議決定をしたのは初めてであります。」と、安倍総理が、これも残念ながら、先ほど申し上げました、証拠はなかったというところだけを取り出しておっしゃっているわけですね。歴代の内閣と同じことを言っているにもかかわらず、一部だけ取り出して、そして初めてなんだということを強調されることによって誤解が増幅していると思います。

 そして、初めてかどうかというのを、次のページを見てください。

 二〇〇七年にこれを私が内閣に出しましたが、その十年前に、橋本内閣のときに、高市さんに対しての答弁書を閣議決定しております。この線を引いたところを見ていただければわかるんですが、「軍や官憲による慰安婦の強制連行を直接的に示すような記述は見られなかった。」しかし、総合的に考えて河野官房長官談話になったという同じ答弁なんです。初めて安倍政権で閣議決定したのではないんですよ。既に十年前に、橋本内閣のときにもされているわけですね。

 質問主意書を出したのを官房長官は御存じだと思いますが、改めて問うたら、高市さんの質問は教科書問題についてだ、質問の主意書のタイトルが違うというか、そういう御答弁だったんですよ。

 しかし、高市さんはどういう質問をしているかというのは上に書いてありますけれども、先ほどあった政府の調査結果、この強制性について疑義はないのかと。強制性の問題について、既に軍や官憲によることはなかったと答弁しておりますので、何も安倍政権で初めて新しいことを閣議決定したわけでもないし、歴代の内閣の答弁を安倍政権も引き継いで素直に答弁されたという認識で、私はここをはっきりさせておいた方がよろしいかと思いますので、あえて官房長官にお聞きをいたします。

菅国務大臣 そこは委員、当時、自民党の高市衆議院議員の質問というのは、慰安婦問題の教科書掲載に関する再質問に対しての答弁ですよね。委員に対しての答弁というのは、慰安婦の問題への認識に関する質問に対する答弁書、そういうことですから、これはやはり、初めて具体的な形でここの部分について質問されたんですから、私は、総理が初めて答えると言ったことについて、それを否定することはおかしいと思います。

辻元委員 ちょっと苦しい答弁じゃないでしょうか。

 見ていただいたら、三枚目、高市さんの質問の内容も書いてあるんですよ。これは、タイトルは教科書の記述に関する質問主意書ですが、直接の質問は、やはり強制性についてこれは証拠も見つかっていないんじゃないかという問いかけで、私と同じ質問なんです。

 官房長官、私はなぜこういうことをこの前も申し上げたかといいますと、やはり国際的に日本が孤立することも避けなきゃいけないし、橋下市長の発言をめぐって、きのう国連総長が発言されるとか、それから国連の拷問禁止委員会で勧告が出るとか、ここ数日だけでもこういうことが起こっているわけですよ。

 ですから、最後に申し上げたいんですけれども、安倍政権で初めてあたかも何か新しい閣議決定をしたというようなこと、そして、それが強制性を示す証拠はなかったという部分だけを全体を見ずに取り出して御発言をされることは、私は、今後控えられた方がいいのではないかと思います。

 最後に答弁を求めて、終わります。

菅国務大臣 ここは非常に見解の相違になるんだろうと思いますけれども、強制性の定義について質問されたのは、実はこれは答弁書というのは初めてでありますから、そこの部分について、そして、その部分についてはまた第一次安倍内閣の閣議決定の中で、そこの全体の文章の中で官房長官談話を継承するということも含まれているわけですから、やはり私は、第一次安倍内閣で決めたことが全てであって、第二次安倍内閣も全くそこについては変わっていないということであります。

辻元委員 行政監視の立場から、これからも点検していきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、話題がかわりまして、福祉、医療の面から質問をさせていただきたいと思います。

 早速ではございますけれども、まず、現在いろいろと話題になっているところでありますけれども、生活保護費の執行状況についてお尋ねいたしたいと思います。

 生活保護に関しましては、今国会におきましてもさまざまな議論がなされているところでございますが、我が国の生活保護費の状況、どの程度の人数の方に支給され、あるいは世帯の方に支給され、総額で幾らぐらい執行されているのか。まず、現状についてお聞かせいただきたいと思います。

村木政府参考人 生活保護費の直近の決算状況を申し上げます。

 生活保護費等負担金につきましては、平成二十三年度の決算額で、二兆七千三百一億九千三百九十二万六千円となっているところでございます。

河野(正)委員 どれぐらいの人数、世帯が支給されているのか、お聞かせいただけますか。

村木政府参考人 二十三年度の被保護者世帯数百四十九万八千三百七十五世帯、被保護者数で申し上げますと二百六万七千二百四十四人でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 これもまた巷間いろいろと議論されているところではございますけれども、このうち、外国人世帯に支給されている実績というのはどのような状況でしょうか。支給件数、支給総額についてお答えください。

村木政府参考人 外国人に支給されているものでございますが、私ども、福祉行政報告例で、世帯主が外国人の保護世帯数ということだけがデータがございます。世帯数にしまして四万四千三百六十四世帯、総世帯の三%に当たるものでございます。その世帯人員、これは日本人を含んでいる可能性がございますが、七万三千三十人、総人員の三・五%ということでございます。

 金額についてはこの分だけの集計というのがございませんので、人数だけ申し上げたいと思います。

河野(正)委員 このように、生活保護世帯、非常に多くの予算が執行されているわけでございますけれども、生活保護費全体で、不正受給として明らかになった例、摘発した例というのがあると思います。以前、北海道におきましては、介護タクシーの不正利用で、通院費に数億円支払っていたということもあったかと思います。また、飛行機で通院を認めていたというような例もあったと聞いております。

 これらの実情を踏まえまして、不正受給の実態、把握している範囲で構いませんので、お聞かせいただきたいと思います。

村木政府参考人 生活保護の不正受給でございます。

 平成二十三年度の不正受給額で申し上げますと、百七十三億一千三百万円でございます。件数は三万五千五百六十八件ということでございます。

 個別のことは申し上げませんが、先ほど先生が例に引かれました通院移送費等の不適正な事例でございますが、例えば、北海道でございましたが、タクシー業者と共謀して、二億円を超える移送費を払っていたというような事例もございました。こうした事例につきましては、今、通院移送費の事務取り扱いを明確化して、きちんと基準を定めて、それによって支給をしていただくように徹底をしているところでございます。

河野(正)委員 不正防止対策ということで、通院は今若干触れられましたけれども、その他、どういうふうにきちんとやっていっているのかということについて。

村木政府参考人 不正の件数を先ほど申し上げましたが、この多くのものは、収入を申告しないということが多うございます。そうした意味で、今、課税調査による稼働収入の把握、それから年金調査による年金収入の把握等を強化しておりまして、そうした意味で不正の発見というのは効果を上げておりますし、早期に発見ができる傾向にあるというふうに思っております。

 その上で、今、国会で御議論をいただいております生活保護法の改正でございますが、この改正案の中に、地方自治体の調査権限の拡大でございますとか、罰則の引き上げ、あるいは不正受給に係る返還金の上乗せ等々の不正対策の強化を盛り込みまして、今御審議をいただいているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 やはり、生活保護費は非常に大きな額となっておりますので、今いろいろと世間の注目を集めているところでございますので、しっかりと、不正のないように、適正に必要な方に支給していただきたいと思います。

 次に、身寄りのいない受給者がお亡くなりになった場合、残った生活保護費は葬祭費用等に充てておられると思いますけれども、それでも余ったいわゆる遺留金というのがあるそうですが、どのように処分されているのか、これを国庫にきちんと戻されているのかどうかについてお尋ねいたします。

村木政府参考人 生活保護受給者の方が亡くなられて相続人がいない場合の取り扱いでございますが、まず遺留金品については、保護費、これは実際には葬祭にかかるお金でございます葬祭扶助に充当し、それでもなお残余が生じた場合は、通常の民法の規定に基づき処理をされるところでございます。

 具体的には、保護の実施機関が相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求いたしまして、選任された相続財産管理人に残余の財産を引き渡して、公告等が行われ、相続すべき者等がいない場合には国庫に帰属をするという扱いでございます。

河野(正)委員 今ちょっと触れられたかと思うんですけれども、受給者がお亡くなりになった場合でその方が家などの財産をお持ちだった場合、これをどのように処分されているのか、もうちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

村木政府参考人 御自宅をお持ちの方ということですが、通常、自宅の財産価値が非常に大きい場合等は、生活保護がもともと利用し得るみずからの資産等を生活の維持のために活用するということが要件になっておりますので、高額な資産を処分して生活に充てていただくということがまず第一でございます。

 そうではなくて、そんなに大きなものではなくて持っているおうちがあるという場合でございますが、最近、平成十九年度からは一つ新しい制度を導入しておりまして、御自分が住まうための不動産を持っている方につきましては、不動産担保型生活資金というものを創設しまして、まず、生活保護を受給する前にその貸し付けを活用していただくようにお願いをしているところでございます。

 そういった貸し付けも御利用なさらずに、今のように、不動産を利用して、そしておうちを残して亡くなられた場合は、先ほど答弁いたしましたように、葬祭扶助に充てた上で、最終的に民法のルールに従って財産を処分していくということでございます。

河野(正)委員 今度は話をちょっとかえまして、仮に相続人が見つかって遺留金を引き渡すということになっていれば、これを適当と考えるのかどうか。生活保護受給者の方が遺産を残してしまうということの是非について、非常にナーバスな問題であるとは思いますけれども、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

村木政府参考人 この点は、国民感情としていろいろなお考えがあるということは私どもも承知をしております。

 ただ、先ほど申し上げたように、基本的には持っている資産をまず活用していただいて、その上で生活保護を受けていただくということでございますので、基本的に、生活保護を受ける方々は、高額な資産を保有するということは想定をしていないということでございます。

 それから、実際には、やりくりで貯金を少しずつされていくという方がいらっしゃいますが、その場合も、一旦支給をした生活保護費でございますので、生活保護の趣旨、目的に反しない場合は、その保有を認めているところでございます。ただ、それも基本的には、活用すべき資産としてまずそれを生活費に充てていただくということにしておりますので、通常は高額な預貯金等は生じないというふうに考えているところでございます。

 その上で、そういった財産について、亡くなった後で預貯金が残ったとしても、これは一旦支給したものでございますので、一般の相続の取り扱いの例に基づき処理をしていくということになろうかと思います。

 税金で出たものをどうするかということでいろいろなお考えがございましょうが、また、生活保護を受けている人だけ民法の一般のルールと変えるということもまた、少し慎重に考える必要があるかと考えているところでございます。

河野(正)委員 生活保護費をそういうふうに残さないようにということで、葬祭費用だけではなく、供花、お花を供えたり永代供養費などに充てるということで、無理して遺留金をゼロにしてしまう。相続財産管理人というのが非常に経費もかかるんでしょうから、そういったふうに対応するという自治体もあるように聞いておりますけれども、残してしまうと自治体としては面倒なことになってしまうので使ってしまえということであれば、いささかこれは無駄遣いというお考えになるんじゃないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

 また、相続財産管理人等に支払う経費等もお聞かせいただきたいと思います。

村木政府参考人 先ほどの永代供養等々のところは、申しわけございません、私も、ちょっと細かいところ、実際の運用でそのようなことが行われている例を詳しく存じませんので、今直ちにお答え申し上げられませんが、確かに、残余の財産が出た場合に、先ほど申し上げたように、民法の規定と同様に相続財産管理人の選任をするわけでございます。これには一定の費用がかかりますので、残余の財産が少ない場合には、管理人を選任する費用の方が高くなるということで、管理人が選定をされずに、そのまま、自治体がその費用をプールしたままになっているというようなところは聞くところでございます。

 取り扱い、なかなか悩ましいところではございますが、先ほど申し上げたように、生活保護だけ民法と違う扱いを相続についてできるかどうかというところは、なかなか私どもも踏み切れないところでございます。慎重に検討する必要があると考えているところでございます。

河野(正)委員 生活保護に関しましてはいろいろと国民の大きな関心事にもなっておりますので、いろいろな問題が含まれていると思いますけれども、私としては、先ほど、家を持っているといただけないということもありますけれども、そういったものを担保にするということも今後考えられておりますので、そういったふうに、割と気楽にと言ったらおかしいかもしれませんけれども、生活保護を一時的にはいただける、ただ、本当に危機的状況等を脱したら、すぐに生活保護から離脱してまた自分で稼いでいくというように戻れるように、入りやすく出やすくするような制度づくりというのが必要じゃないかなと考えております。

 次に、多少話題をかえまして、地上デジタル放送についてお尋ねいたします。

 国としては相当な予算を投じて移行事業をされたと思いますけれども、総予算、一体幾らぐらい投じられたのか、お聞かせいただきたいと思います。

吉崎政府参考人 地デジ関連の事業につきましては、例えば受信相談ですとか、中継局を整備する場合の支援ですとか、あるいは低所得世帯へのチューナー支援ですとか、いろいろございます。平成二十年度から五年間で、累計としましては二千三百六十億円要しております。

河野(正)委員 そういうことで、我々、地デジというのを享受するためには、専用テレビに買いかえていくのか、もしくはアナログテレビのままでも専用チューナー等を取りつけるということになるのかなと思っております。

 今もお答えいただきましたけれども、先ほどの質問とも関連しまして、低所得者世帯には国が専用チューナーを無償配付するという対応をとられたと聞いております。実際はどのように配付されたのか、また何万台、総額で幾らぐらいの配付事業となったのか、お聞かせください。

吉崎政府参考人 経済的な理由で地デジに対応できないということになると非常に困るということで、そういう世帯が取り残されることがないようにということで、受信機器購入等支援事業というのを行いました。

 対象者としましては、NHKの受信料全額免除世帯、これは生活保護世帯ですとか、あるいは市町村民税非課税の障害者世帯などが入りますが、そういう世帯を対象といたしまして、地デジチューナーの配付、アンテナの改修といったことを行いました。

 平成二十一年十月から二十四年九月までに約百二十万件の支援を行っております。金額ベースでいいますと約四百五十億円ということでございます。

河野(正)委員 そういった事業をしていただきまして、全ての世帯が地デジを見られる状況にあるという認識でよろしいでしょうか。

吉崎政府参考人 昨年三月末の被災三県のアナログ停波で、原則的には全家庭が見られることになっておりますが、しかしながら、例えば共同受信施設の整備ですとか高性能アンテナをつくっていくということがまだ三年計画で残っておりまして、そのために、約八万世帯、暫定的にBSでテレビを見ているという方がおられます。

 しかしながら、それらについてもほぼ対策が見込めておりますので、一応地デジは完了したというふうに考えております。

河野(正)委員 それでは次に、医師不足関連問題について質疑をさせていただきます。

 医療を取り巻く財政状況は極めて厳しい、このように考えているのは私だけではないと思っております。かつては医療亡国論などという意見もありまして、非常に厳しい状況が続いているわけなんですが、超高齢化社会を迎えて、医療への期待は非常に高まっているのではないかなと思っております。

 国民の医療、介護へのニーズが高まり、それに医療機関や介護施設が十分に応えていくには、医療従事者の増員が必要であると考えております。また、医師不足ということも言われております。こういった医療費の総額を抑えたままでは、医療従事者を増員していくということは極めて不可能な問題であると考えております。

 さきの民主党政権のときにはしっかりとした対応をしたと考えていらっしゃる先生方もおられるかもしれませんが、極めて不十分な状況であると思っております。

 政権交代が行われまして、今後どういった方針になるのか。今後、診療報酬など、しっかりと経済状況に見合うだけの手当てをして、医師を初め医療従事者を確保していく意気込みがあるのかどうか。麻生財務大臣にお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは基本的に、河野先生、一九九〇年で約二十兆、二〇〇〇年で約三十兆、そして二〇一一年で四十一兆になっておりますので、十兆ずつこれはふえてきている。もう御存じのとおり、よく年間で毎年一兆円ふえているという数字がこの数字のものなんですけれども、これがこのままでいけるはずがないのであって、基本的には、高齢化より、少子化による部分の方を言われませんでしたが、少子化が問題なのであって、高齢化したら悪いなんという話はありません。少子高齢化が問題なんだ、私らはそう認識しております。

 したがいまして、そういった部分に関しては、ジェネリック等々の、あれは後発医薬品と訳すんですかね、医者の方がお詳しいんだと思いますが、後発医薬品と訳されていると思いますが、この通称ジェネリックと言われるものを使う比率というのが日本の場合はかなり低いのを、やはりその部分を上げていただくというようなことをやって、医薬品にかかりますコストを下げるとか。

 また、予防というものをやってみますと、健康な方で、同じ七十歳でも、片っ方は何百万円、片っ方は一万円もかからぬという人の差というのを考えますと、これはトータルで物すごく大きい。我々福岡県はえらい高いものになっていますけれども、長野県はえらい低い。県によってえらい差が出ていますという事態はどう考えるべきかなどなど、考えるべき問題は多いのであって、通常的にやるより、地域的にかなりこれだけ差が出てきているという事態は、その地域における行政のあり方、また医療行政のあり方等々、いろいろな話があります。

 今、社会保障改革国民会議でしたか、あそこでいろいろ検討されておられると思いますけれども、この問題は極めて厳しい問題だと思いますので、これはすぐ単価とか医療費とかいう話ばかりに行きますけれども、その前の段階からきちんと対応しないとこの問題はなかなか解決を見出せない問題だと理解をしております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 ジェネリックに関しましては、品質の問題とかいろいろありますので、これはまた別の機会に御質問いたしたいと思います。

 控除対象外消費税の問題も含めて、今しっかりと検討していかないといけない問題がたくさんあると思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、東北地方を中心に医学部を新設しようという意見もあるように聞いております。東北地方は、震災以前から極めて医師や看護師数が不足しているというふうに聞いておりました。東北地方に医学部を新設すれば、地元で医学部進学を身近に感じて志す方もふえるかもしれませんし、また、卒業後に医師として当地にとどまる方もいらっしゃるかもしれません。

 そういった意味では、将来的には長期的に効果が出てくるのかもしれませんが、新設することになれば、教授であるとか准教授を初めとして、その地域に働いていた多くの臨床のお医者さんが教育者や研究者として臨床の現場から離れてしまうということも危惧されるかと思います。当然、教授選挙等で他の地域からエントリーされてくる先生方もおられるでしょうけれども、短期的に地域の臨床医が激減してしまうという可能性を秘めておると思っております。

 こういった意味で、現時点で、医学部新設に関する政府としての御見解はいかがでしょうか。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御指摘のように、地域における医師不足というような実態がございます中で、地域医療の現状を踏まえた形での医師確保対策を行っていくというのは極めて重要であるというふうに考えております。

 一般的に、全国の医師の数を考えていくということで、医学部の入学定員の増加につきましては、文部科学省と厚生労働省とが連携をいたしまして、平成二十年度より医学部の入学定員の増加を行ってきております。

 全国的に見ますと、七千六百二十五名、これが十九年度の数でございましたけれども、現時点、二十五年度では九千四十一名ということで、千四百十六名の医学部の入学定員の増加をしたというところでございます。

 この増加をした入学定員の最初の卒業生が来年以降出てくるということでございますので、まだ地域において目に見える形の効果が出ていないかと思いますけれども、今申し上げましたように、来年度以降、この増加した分の卒業生というのが医療の現場に入ってくるという状況がございます。

 また、その定員をふやすだけではなくて、医師不足の偏在対策というのも重要であるというふうに考えております。

 先ほど先生の御指摘の、定員をふやすだけではなく、医学部の新設についてどうかということでございますけれども、中長期的に見ますと、医師確保対策として医学部新設が必要だという御意見があります一方で、先ほど先生御指摘のように、医学部の新設によって、短期的には、教員確保のために、医療現場から、医師がむしろ病院から引き抜かれるのではないかというような、地域医療への影響ということについての懸念についての慎重な御意見もあるという状況がございます。

 医学部の新設の問題につきましては、こういったさまざまな御意見も伺いながら、これまでの定員増の効果とか、あるいは社会保障制度改革全体の検討を踏まえながら、関係省庁とも連携して対応していきたいというふうに考えております。

河野(正)委員 厚生労働省の方はいかがでございますでしょうか。簡単にで結構です。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど文部科学省の方からもお答えがございましたけれども、基本的には、一義的には文部科学省の所管でございますけれども、やはり地域でのいろいろな影響、関係者も、賛成、反対の両方の御意見があると聞いておりますので、地域の医師不足を解決することは何よりも重要であると認識しておりまして、関係者の意見も伺いながら、東北地方も含めて、地域での医師確保対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 先ほど麻生大臣もおっしゃいましたように、高齢化であるとともに少子化の時代でもありますので、医師の養成については極めて慎重に議論していかなければならないのかなと思っております。

 また、先ほどちょっと触れられましたけれども、医師国家試験の合格者数がほとんど変わらない状況が近年続いております。来年度から、定員増で対応された部分の方々が卒業生という形で出てくるというふうに伺っております。

 実は、研修医を養成していく、医師として一人前にしていくためには非常に大変だということで、医師臨床研修費補助金というのがあると聞いておりますが、これが年々減っていっているという状況でございますが、その辺についていかがでしょうか。

原政府参考人 お尋ねの医師臨床研修費等補助金につきましては、平成十六年度からの臨床研修の必修化に伴い、つくられたものでございます。

 ただ、これにつきまして、近年の財政事情を踏まえた政府全体の予算削減方針のもと、ここ数年間は毎年一〇%程度ずつ削減しているところでございます。

 ただ、研修医の質を維持するという観点から、診療現場への直接の影響が比較的少ないもの、事務的な経費等、業務の効率化が見込まれる経費から削減を行っておりまして、診療現場に直接関係する経費は削減の対象とはしないように配慮しているところでございます。

河野(正)委員 来年度以降、ずっと医師国家試験合格者は一定数をうろうろしていたわけですが、ふえてくるというふうに思いますので、こういった迎え入れる方の補助金等々もしっかりとふえる方向で考えていただきたいと思います。

 また、国公立はいいと言ったらあれですけれども、私立医科大学や私的病院などもかなり頑張って研修医教育を行っている実情があると思います。また、さきの東日本大震災におきましても、私立医科大学等々から、延べ一万人以上ですか、たくさんの方が医師派遣という形で被災地に向かっております。

 医師国家試験合格者数がふえるであろう来年以降、しっかりとこういった私立医科大学や臨床研修病院等々に対する配慮が必要不可欠だと思っておりますが、厚労省の方はいかがでしょうか。

原政府参考人 先ほども述べましたとおり、来年一気にふえるわけではございませんけれども、徐々にこれからふえてくるということで、それに対して、しっかりと研修の質が落ちないような形で工夫をしていきたいと考えております。

河野(正)委員 しっかりとやはりこういった補助金をきちんと出していただいて、そういうふうに研修医がちゃんとトレーニングを受けて、一人前の医師になっていくというシステムをつくっていただきたいと思います。

 時間が終わりましたので、最後に一点お聞きしたいんですけれども、専門医制度というのがありまして、厚労省等がきちんと医療法上で見ているわけですが、この専門医制度を第三者機関に移行しようということがあるそうですけれども、これについて、ちょっと一言だけいただけますでしょうか。

谷畑委員長 原医政局長、簡潔に。

原政府参考人 専門医制度につきましては、これまで各学会が独自の方針で制度を設けて運用してきておりまして、近年、その学会が乱立して認定基準が統一されていない、したがって、専門医の質が学会によってばらばらである、担保されていないというような状況があった、また、国民にとっても非常にわかりにくいということになった、そういうような指摘がありました。そのため、今回、検討会を設けて検討していただきました。

 この中の一つの大きな柱として、専門医を認定していく第三者機関というものをつくっていこうということになっておりまして、関係の方々によるプロフェッショナルオートノミーのもとで、しっかりとした専門医制度をつくっていただくことになっております。

河野(正)委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。

 官房長官、ちょっとお時間がないということなので、時間となったら御退室いただいて結構ですので、よろしくお願いします。

 まず、端的に、祝日についてです。

 私が祝日について重視しているのは、四月十日の予算委員会でもお伝えしたとおりでございまして、国民の一体感、リズム感をつくる大切なものだ、祝日は必ず私は国旗を事務所で上げているということをお伝えしました。

 先日の質疑で、建国記念の日も、今回の主権回復記念日以上に盛大な政府主催式典を開催いただくということをお約束いただきましたので、よろしくお願いいたします。

 あと、十一月三日、文化の日を明治の日と改めることについても御検討をお願いします。

 きょうは、十一月二十三日の勤労感謝の日についてです。

 私はこの日に結婚をした、入籍をしたんですが、この勤労感謝の日は、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。」とあるんですけれども、これは余りぴんとこないんですね。伝統に根づいたものとはちょっと思いにくい。誰もが知っているとおり、これは戦前は新嘗祭だったわけですね。収穫祭です。新嘗というのは、その年に収穫された新しい穀物をなめる、食するということで新嘗祭だったわけで、五穀の収穫を感謝する一年で最も大切な行事だったわけですが、これはもう非常に歴史も古くて、古事記ですと、アマテラスオオミカミがやったと書いていたり、非常に古い伝統です。

 この日は、陛下はもちろん、全国の農山漁村、神社などでその年の収穫をお祝いしてきた。国民と天皇が一体となって神様に感謝してきた国民的な祭典だった。しかし、これが、GHQの占領政策によって天皇の行事から切り離される形で改められたのが、この勤労感謝の日と認識します。

 これは、GHQが、再び日本が敵対化することを恐れた、天皇陛下を中心に団結することを恐れていた、だから、日本人のアイデンティティーを破壊するための一環として祝祭日の精神をゆがめたという意見がありまして、私もそう思います。

 だから、今、国民の多くの方は、新嘗祭をそもそも知らないですね。少なくとも千三百年以上伝統があるこの祝日の真の意味を知らない。外国から押しつけられたものになってしまっている。宮中祭祀では新嘗祭は今はやっていますけれども、国民は勤労感謝の日と分断されている。これはあっていいのかなという非常に強い疑問がございます。

 お尋ねします。この日を、十一月二十三日を新嘗祭に戻すべきではないでしょうか。少なくとも、宮中祭祀では新嘗祭なわけです。だけれども、国民としては勤労感謝の日。分断しているわけですね。これはやはりおかしいと思います。官房長官のそのことについての御意見も含めてお答えください。

菅国務大臣 十一月二十三日というのは本当にいい日だなというふうに思います。

 いずれにしろ、戦前は新嘗祭であったということは事実でありますし、昭和二十三年に議員立法で国民の祝日に関する法律が制定をされた際に、勤労感謝の日とされた。ただ新穀感謝を意味するものではなく、国民がお互いにその勤労と生産に感謝するという趣旨でこの勤労感謝の日が制定されたんですね。

 前の質疑のときもお話をさせていただいたかと思いますけれども、国民の祝日というのは、国民がこぞってお祝いをし、感謝をし、そしてまた記念をする日である。そういう意味においては、広く国民の皆さんの理解を得て初めて定められる、そういうふうに思います。ですから、国民の祝日というのは基本的に議員立法で制定をされておるわけであります。

 ですから、議員の今の主張、賛同される方もいらっしゃると思いますし、また、そうでない方も当然いらっしゃると思います。ですから、議員の中に、こぞってお祝いをし、感謝し、また記念をする日だ、そういう国民の理解を広めていくことが大事だろうというふうに思います。

 いずれにしろ、国会で十分御論議をいただいて決定をする筋合いのものである、このように考えます。

田沼委員 国民こぞってというのはよくわかるんですが、一方で、やはり伝統にも根づかないといけないと思います。じゃないと、根づきませんよ。なので、やはり、古来からの流れ、千三百年という重みをぜひお考えいただきたいし、長官の答弁ですと、国民の啓発というのを私たちもやらなくちゃいけないということもよくわかりますので、ぜひそのことも念頭に置いていただいて、私たちも頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間かもしれませんが、もう一問、大丈夫でしたら。

 では、端的に、昭和の日がございますが、この説明文がまたあれなんです。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」という説明、天皇という言葉がない。

 これは明らかに昭和天皇誕生日だったわけですね。天皇のことが何でないんだ。私も一歳の子供に説明するときに、この日何なのと、それは昭和天皇陛下のとしますよ、やはり常識的に考えて、まだ今は通じませんけれども。説明文も大事です。それによって式典とかの内容も変わると思いますから。なので、昭和天皇という文言を入れた説明にすべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。

菅国務大臣 この日の制定に際しても、それぞれ、これも議員立法でありまして、当時、議員の中でさまざまな議論をされました。その結果として、今のが妥当だろうという形の中でこの日に制定をされたという経緯がありますので、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 いずれにしろ、やはり議員立法で決められたものでありますから、そうした議員の皆さんの議論というものが当然最優先されることであります。

田沼委員 よくわかりますけれども、やはり、昭和天皇陛下がおられたことのありがたさ、特に、終戦前後のあの勇気ある振る舞いというのは、私たち国民全員が知るべき歴史だと思うんです。だから、ここで天皇という言葉をぜひ避けないでいただきたいなと、これは長官に言うことじゃないかもしれませんが、それを啓発していきたいと思いますので、どうか御理解、非常に強く思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、決算審査について財務大臣にお尋ねしたいと思います。

 五月の十二日に日経新聞でも出ておりましたけれども、国の決算文書に百六十二カ所のミスがあった。〇九年度から十一年度の国の債務に関する計算書、この決算のまさに書類の中で数字が一致しないというミスがあったという報道がございました。当局の方にお聞きしたところ、これは特に、地方の出先機関でのシステムの入力ミスが主な原因だというお話でした。これは非常に、やはり国の決算でございますから、あってはならないミスであると考えます。

 ですので、まず大臣、このことをどう思うか、この再発防止についての決意などもあわせてお答えください。

麻生国務大臣 これは委員御指摘のとおり、国の決算のいわゆる参照書類ということになりますので、国の債務に関する計算書ということでありますから、国庫債務負担行為の債務負担額などに、複数の省庁で、今言われましたように百六十二カ所の誤りがあることが判明をしております。過日、平成二十一年度から二十三年度分の正誤表を国会に提出させていただいたところです。

 国会に提出した書類に誤りがあったということでありますので、これはまことに遺憾なことなのであって、今後、このようなことが生じないように再発防止に全力を尽くしてまいりたい、さように思っておりますが、システムの入力ミスなんというようなものが、一、二回調べればすぐわかりそうなものだと思いますけれども、なかなかさようなわけにいかなかったというところが、私どもとしては甚だ情けないという感じがいたしております。

田沼委員 一つの観点では、やはり、地方出先機関が余りに多過ぎて、入力方法についての徹底が十分できなかったのかなという気もしなくもありません。再発防止策としては、マニュアルを配付して研修を徹底するとか、わかりやすいシステムに改修するとか、そういう御意見をお聞きしましたけれども、個人的にはやはり、巨大過ぎる中央官庁支配が一つの原因でないかなという気もしなくもありません。

 地方のことは地方で決められるように地方分権改革を進めることによっても、また一つこういったミスも起こりにくくなるのかなと思いますので、念頭に置いていただければというふうに思います。

 次に移りまして、教育行政について。下村大臣、いつもありがとうございます。またお尋ねさせていただきます。

 私、特に、毎回教育委員会についてばかり質問しておりまして、ミスター教育委員会みたいになっておりますけれども、今回もその方向で質問させていただきたいと思います。

 前回の予算委員会では、今の教育再生実行会議案に出てきている、教育長を責任者とするだけでは不十分ではないかと指摘をさせていただきました。一番大事なこと、住民の皆さんの民意が反映されないですし、首長とそれから教育長、教育委員会との間での権限の分散という問題が、例えば予算と実施する側の部分で分散している現状は変わらないわけです。なので、そこの部分、今後中教審で詳細設計をされるということですので、そこでぜひ私は議論していきたいと思いますが、きょうは、委員会と学校現場との関係についてお尋ねしたいと思います。

 教育委員会の中には、指導主事さんが多くおられます。学校現場を指導されている。いわゆる助言、指導、指導行政と言われております。これが非常にまた責任が曖昧でございます。この指導助言がどこまで教育委員会の責任になるものなのかがはっきりしません。私も千葉市の市議会議員でしたので、実態としては、教育委員会の指導主事さんの影響力というのは極めて大きいですね、学校現場に対して。ですけれども、学校の最終責任者は校長先生です。何か起きると、校長先生、出てこいとなるわけですね。でも、校長先生には人事権も予算権もないわけです。これは非常に厳しいと思います。

 大阪の市立桜宮高校の体罰事案もありましたけれども、このときも、教育指導主事が校長先生に確認したそうです。その際、校長先生は、体罰事案が発覚することを恐れて、調査を拒否したそうですね。調査拒否というのはおかしい話ですけれども、上下関係ならばあり得ないことですが、校長先生と指導主事さんは個人的な関係があったそうです、信頼関係だと思いますが、それで、校長先生が調査を拒否したということを認めてしまったそうです。校長先生は、ある意味、声を荒げて調査を拒否した、そんなことはやらないんだということを言われたそうでございます。

 だから、教育委員会に責任がもしあるならば、指導主事と校長先生との関係というのは、上下、いわゆる指揮命令関係になるはずで、学校長は拒否できるはずがないわけであります。逆に、学校長が拒否できるのでしたら、それは学校長に責任があることになりますけれども、校長先生には権限がないわけですね。権限がないのに責任をとれというのが今の状況です。

 結局、今回の桜宮に関しては、体罰事案を隠すためだけに校長先生は調査を拒否して、指導主事はそれを認めてしまった。だから、調査できなかった。結局、隠蔽されてしまったわけです。それで、最終的に自殺を招いてしまったわけでございます。これはやはり、曖昧さが生む、非常に問題、なれ合いと言わざるを得ません。

 もともと、指導主事さんと校長先生もお互い知り合いです。あるときは指導主事ですが、あるときは校長ということで、お互い教員同士でございますので、かばい合う傾向が強い。これは指摘もされていましたね。いわゆる教育村とよくやゆされているわけでございます。この組織のあり方、なれ合い的なあり方、曖昧なあり方というのは、何としても正さなければならないと私は思っております。

 教育委員会が人事権も予算権もルールの制定権もあるんですが、それを持ちながら、結局、学校の責任というのは校長先生だというこの状況を改めるためには、責任と権限を一致させるべきだと考えます。具体的には、校長先生にもっとしっかりと、責任があるならば、権限もおろすべきだというふうに考えます。

 教育委員会がやることは、大きな方針決定と、それから事後的な監査ですとか、せめて情報提供ですね。指導とか助言というのは曖昧なのでやめるべきだと考えます。でないと、同じことがまた起きる。これは桜宮だけじゃありません。全国、千葉も全部そうです、同じ構造です。

 ですので、大臣にお尋ねします。

 教育委員会の指導主事の指導行政から脱却して、権限を学校に移して、責任と権限の所在を明確にすべきではないでしょうか。お答えください。

下村国務大臣 そもそも、桜宮高校のお話が出ましたが、では校長先生が権限を持っていたら拒否しなかったのかというと、これは別だというふうに思うんですね。ですから、拒否した校長先生にやはり問題があるというふうに思います。

 その上で、そもそも指導主事の役割というのは、これは教育委員会に置かれ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事するということにされているわけでございます。

 指導主事には豊富な教職経験を有する者が任用されるということが通例でございますけれども、これは、指導主事の職に高度な専門性が求められる一方で、教員の職務内容と密接な関係があるため、多くの人事交流が行われている結果であり、御指摘は当たらないというふうに思います。

 しかし、できるだけ学校現場に、校長先生にもっと権限を移譲して、適切な能力を持っている校長先生であれば適切な判断ができるというふうに思いますし、そういう方向性については同意できる部分が私もございます。

 今後、学校や教育委員会がそれぞれ果たすべき責任を明確にするということがそういう意味でも必要でありまして、このことを含めまして、教育行政における責任体制をより一層確立できるよう、また教育委員会の抜本的改革案も含めて、今、中教審で議論していただいているところでございます。

田沼委員 大臣、ありがとうございます。大きな方向性は一緒というふうに御答弁いただき、ありがとうございます。

 いろいろ細部の設計はこれから中教審の中でも議論されていくと思いますので、私もそのときにもまたいろいろ提案をしたいと思いますけれども、やはり、非常に曖昧になっている現場というのは、これは私も市会議員として何度も見てまいりましたので、その問題認識について、人事交流が行われること自体が問題である点もあると思います。きのうの指導主事はきょうの校長、きのうの校長はきょうの指導主事という形で非常に一体的になってしまっているので、本来でしたらこのキャリアパスというのも分けるべきではないかということも個人的には思っております。細かいことはまた御提案させていただきますが、指導行政からの脱却ということをぜひこれからも御検討いただければというふうに思います。

 次に、今度は、教科書と教材について、幾つか大臣にお尋ねします。

 まず、検定、採択の見直しについてです。

 四月十日の予算委員会で、我が党の中山成彬議員の質問に対して、大臣もそうですが、総理も、検定の見直しをされるというお答えをいただきました。総理は、検定基準に改正教育基本法の精神が生かされていなかったんじゃないかというふうにも御答弁されていたと思います。この見直しというのは非常に必要なことであると、私も非常にうれしく答弁をお聞きしました。また、その日の午後の私の質疑に対して大臣からも、採択の方も、ぜひ国民の皆さんに理解していただく形で、より望ましい採択が実現できるように努力したいという言葉をいただきました。

 そこで、お尋ねしたいんですけれども、検定及び採択の見直しというのはわかるんですが、具体的にどのような方針になっていくのか。あと、そのスケジュールなどがもしあれば、お答えいただければと思います。

下村国務大臣 我が国の伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことができるよう、改正教育基本法や新学習指導要領の趣旨を踏まえた教科書で子供たちが学ぶことが重要であるというふうに考えております。

 教科書制度については、自民党の教育再生実行本部の提言を初め、さまざまな御指摘がございます。現在、さきの予算委員会等で御指摘をされたことを踏まえまして、今、自民党の中の教育再生実行本部において、引き続き教科書制度のあり方について検討されております。

 見直しの具体的なスケジュールについては現時点ではまだ決めておりませんが、文部科学省としても、自民党の取りまとめを踏まえまして、教科書検定採択制度の現状と課題を整理し、できるだけ速やかに取り組んでいく予定でございます。

田沼委員 わかりました。ぜひお願いします。

 関連するんですが、今度は教育委員会制度の方になるんですけれども、教育再生実行会議での先ほど話題に出た改革案、教育長が責任者になるという案がございますけれども、教科書採択がどうなるかがちょっと見えなかったんですね。

 今の制度ですと、教科書採択は基本的には教育委員会、合議制の中で決められているわけですけれども、それで、その下の選定委員会などがあるわけですけれども、この実行会議の案に今後移るという場合に、教科書採択の採択権者はどこになるのかというのがもしあれば、お尋ねしたいんです。

 というのは、私がなぜここまで教育委員会制度にこだわるかというと、やはり非常に形骸化していたわけです。千葉市議会議員として、千葉市以外も見ましたけれども、まともな審議がされないで教科書が決まっていくことが大変多くございました。教育基本法が変わったのにと、応援しているんです、でも、それが反映されずに決まってしまうことに非常に心を痛めてきたわけでございます。なので、今回の教育委員会制度の改革を通じて、採択権者が誰になって、それで、きちんと新しい改正教育基本法の理念に基づく採択になるのかが非常に気になるわけでございまして、この採択権者が誰になるのかということに関しての構想をお聞きできればと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、教育委員会の見直しについては、四月十五日、官邸に設置された教育再生実行会議から、抜本的改革の方向性について提言をされました。

 今までは教育委員会が教科書採択をするということでございましたが、文部科学省として、この教育再生実行会議の提言を踏まえまして、四月の二十五日に、今後の地方教育行政のあり方について中教審に諮問をいたしました。今後、中教審においてしっかりと議論をいただいた上で結論を得、来年の通常国会に法案が提出できる準備をしてまいりたいと思います。

 この教育再生実行会議では、委員御指摘あるいは御承知のように、教育長に対して首長が任命責任、罷免責任を持つということで、教育長に対する役割を明確化させようと。教育委員会のあり方については詳細は中教審で議論をしていただこうということになっておりますので、教科書採択権者のあり方について、今後の教育委員会制度の全体の議論を踏まえて、まずは中教審で議論をしていただき、その結果を踏まえて検討していきたいと考えております。

田沼委員 了解いたしました。

 恐らく大臣の言わんとされることは、首長が教育長を任命、罷免も含めてするということで民意もある程度伝わるんじゃないかということを言われているんだと思いますが、私たち日本維新の会は、やはり首長の直下として教育長的な方がいるべきであるというふうに考えております。その方が直接的に民意が伝わる。今の教育再生実行会議案ですと、ある程度現場の声というのもやはり重視していないといけないという面もあろうかと思っておりまして、今まではほとんど現場優先の採択になってきたわけですね、それを非常に危惧しておるわけでございます。

 ですので、首長が教育長を選ぶという中でも、きちんと民意を得た、現場優先のみならず民意を得た教科書採択になるように、ぜひ大臣にもリードしていただきたいなというふうに思います。

 次に、また教材に関してもう一つ強い疑問があることがございまして、これは、副読本、副教材に関してでございます。

 副読本とか補助教材、今、現場で相当使われています。これが検定がないわけですね。なので、社会科になって恐縮ですが、例えば、学習指導要領で、アジア唯一の立憲国家になったと日本のことを書くようにというのがありますが、明治憲法のことについて、それに違反した副読本もある。あるいは、ファシズム化した日本とか、全体主義、国粋主義という一方的なタイトルのものもある。あるいは、尖閣諸島を領土問題だとする、本当は領土問題は存在しないわけですが、そういった誤った記述のものですとか、いろいろな不適切な副読本、副教材があるそうですね。私の同僚議員の方が、千葉市議会議員のときに、そのことについて指摘をしていました。

 結局、教育基本法が変わり、学習指導要領も改正されたけれども、自虐史観のものもしっかり残っていたりするわけでございます。いろいろな御意見があると思いますが、少なくとも、検定を通っていないものが現場でかなり使われているという実態がございます。

 これは非常にゆゆしき問題であろうと考えておりまして、これは千葉市でも聞きました。そうしたら、校内で選定委員会を設けて、ちゃんと慎重に選びますと言っていました。それから、保護者の負担にも余りならないようにという観点もあるそうですが、やはり、指導要領とか教育基本法の理念に沿っているかどうか、検定的な内容のチェックというものがあるかどうかというと、ないんですね。千葉市に関してはです、ほかの自治体は違うかもしれませんが。でも、多くの自治体も同じようであるのではないかというふうに想像します。結果として、全くおかしな副読本が採用されている事例があるわけでございます。

 そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、教育基本法や指導要領の趣旨を反映していない副読本や補助教材が散見されると思いますけれども、これについて何らかの対策が必要ではないでしょうか。お答えください。

下村国務大臣 各学校におきまして、地域の実情や児童生徒の興味、関心、意欲、理解の状況等に応じ、特に掘り下げた指導を行うなどの必要がある場合には、教科書を補充するため、教科書以外の教材が用いられております。

 その使用に当たっては、教育基本法、学校教育法、そして学習指導要領等の法令の趣旨に従っていること、また児童生徒の発達段階に即したものであること、そして政治、宗教について不公正な立場のものでないことなどについて十分留意する必要がある。委員御指摘のとおりであります。

 これを担保するため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十三条第二項におきまして、教材の承認等の取り扱いについて、教育委員会において規定を設けることを定めており、権限と責任を有する教育委員会において適切に内容を確認するなど、不適切な教材が使用、採用されないよう管理に努めていくべきと考えております。

 その上で、仮に教材の使用について不適切な実態があるのであれば、文部科学省としても、必要に応じて指導を行い、教育基本法や学習指導要領に即した教育が保障されるように取り組んでまいりたいと思います。

田沼委員 非常に前向きな御答弁、感動を持って受けとめました。ありがとうございます。

 あとは各自治体への徹底という部分が大事になってくると思いますので、局長名で通知を出されるか、大臣名で出されるかわかりませんが、ぜひその方向で、不適切な内容をチェックするようにしていただければというふうに思います。

 残り時間がちょっと少ないので、最後に、御皇室のことに関してもう一度触れたいと思います。先ほど昭和の日で言い切れなかったんですけれども、一点だけ。

 学習指導要領の中に、天皇についてきちんと教えるという部分が、あるはあるんですけれども、実態としては国事行為などにとどまっております。あるいは国体に参加したり、象徴という部分だけでございまして、とうとさが伝わらない。とうとさが伝わらないというのは、天皇陛下は国民統合の象徴である、我々のリーダーであるという部分が子供に非常に伝えにくいという現状があると思います。

 学習指導要領の中で、この天皇、皇室について、もっと詳述化、詳しくして、しっかり教えられるように改正すべきと考えますけれども、大臣の見解をお尋ねします。

下村国務大臣 児童生徒に、天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であることを理解させ、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすることは、大変重要であるというふうに考えます。

 そのため、新しい学習指導要領やその解説では、天皇の地位等に関する記述を充実したところであり、学校教育においては、小学校、中学校及び高等学校を通じて、発達段階を踏まえながら、社会科や公民等で日本国憲法を学習する中で、天皇の地位や天皇の国事に関する行為について指導しているところでございます。

 例えば、小学校の学習指導要領解説においては、国会の召集や栄典の授与といった国事行為のほか、新たに、全国植樹祭や国民体育大会への出席、被災地への訪問、励ましなどの具体的な事項を取り上げることを示し、歴史に関する学習との関連も図りながら、天皇についての理解と敬愛の念をさらに深めるようにすることとしております。

 文部科学省としては、各学校において、学習指導要領に基づき、児童生徒にしっかりと天皇の地位や役割について指導が行われ、天皇についての理解や敬愛の念が深まるように取り組んでまいりたいと思います。

田沼委員 それはわかります。ただ、やはりもう一息……

谷畑委員長 持ち時間が来ています。簡潔にまとめて。

田沼委員 はい。終戦直後の、私はどうなっても構わない、国民を救ってほしいと言われた昭和天皇のお言葉などもぜひ取り入れていただきたいという思いだけお伝えさせていただきまして、私の質疑を終わります。

谷畑委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 この決算行政監視委員会におきまして、平成二十一年度決算、二十二年度決算、二十三年度決算、これが実質的に審議を進めることができるということになったことにつきまして、まず本当に心から喜ばしく思っております。三年分おくれた分、しっかりと充実した審議を通じて取り返してまいりたい、まずもって、その決意を述べさせていただきます。

 まずは、それを踏まえてですけれども、一票の格差の問題について伺いたいというふうに思います。

 この一票の格差の問題、本当に毎年毎年、さまざまな国政選挙が行われて、そのたびごとに一票の格差の訴訟が起きて、それで有効だ無効だという話が出てくる、その問題についてであります。

 昨年末に行われました衆議院選挙につきましては、既に、高裁レベルでは、ほぼ全ての判決で、いわゆる一票の格差の問題に基づいて違憲状態にあるというような判断がなされ、そして複数の判決では、実際、違憲、無効というような判断まで出ているところでございます。

 これについて、現在、〇増五減での公職選挙法改正案が出ておりますけれども、正直、この改正では、最高裁が求めております、いわゆる一人別枠方式の廃止というものに踏み込むことができていないということだけではなく、いわゆる一票の格差、いわゆる投票価値が二倍を超えているところがもう既に多く存在するということから、残念ながら、〇増五減というものをやったとしても、これは最高裁に評価されない、憲法上、やっても意味がないと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういった改正になるというふうに考えております。

 そこで、我々みんなの党といたしましては、この〇増五減、五人、まずは定数を減らすという、その趣旨を踏まえまして、十八増二十三減という公職選挙法改正案というものを提出させていただきまして、ぜひともこれを審議しようよというような話をさせていただいておりますけれども、残念ながら、この審議がいまだ行われていないというような状況でございます、これは参議院の側ですけれども。

 その問題はありますけれども、きょうは参議院の側についての一票の格差の問題について伺っていきたいというふうに思います。

 ことしの夏に参議院議員選挙が予定されておりますけれども、この夏の参議院選挙、いわゆる一票の格差の問題、最大で何倍あるというふうになっておりますでしょうか。

米田政府参考人 お答えいたします。

 ことしの夏に行われます参議院通常選挙についてでございますけれども、直近の国勢調査は、平成二十二年の国勢調査が確定値で出ております。この平成二十二年国勢調査の人口では、いわゆる一票の格差につきまして、昨年成立をいたしましたいわゆる四増四減による格差の是正後でございますけれども、議員一人当たりの人口が最大となりますのは兵庫県でございます。最小となりますのは鳥取県でございまして、この間の格差は四・七四六倍となっております。

三谷委員 もう既に四増四減をした後も、四・七四六倍、ほぼ一人当たり〇・二票ちょっとぐらいしか認められていないというような選挙法というようになっているわけでございます。

 一方で、衆議院の一票の格差についてですけれども、昨年十二月に行われた衆議院選挙の一票の格差というのは最大何倍でしたでしょうか。また、今まさに議論されております公職選挙法改正案によれば、一票の格差というのは最大で何倍になるというふうに想定しておりますでしょうか。

米田政府参考人 昨年十二月十六日執行の衆議院総選挙時におきます衆議院小選挙区のいわゆる一票の格差でございますけれども、平成二十二年国勢調査の人口、これは最も最新のものでございますが、これによりますと、人口が最大となりますのは千葉の四区、六十万九千四十人でございました。最小となりますのは高知三区、二十四万一千二百六十五人でございましたので、この間の格差は二・五二四倍となっておりました。

 また、現在国会で御審議をいただいておりますいわゆる区割り改定法案、この法案による区割り改定後におきましてこの一票の格差がどうなるかということでございますが、平成二十二年国勢調査人口によりますと、人口最大となりますのは東京の十六区、五十八万一千六百七十七人でございます。最小となりますのは鳥取の二区、二十九万一千百三人でございますので、この間の格差は一・九九八倍となっております。

三谷委員 ありがとうございます。

 先ほどお答えいただきましたとおり、公職選挙法改正案というものをやればおよそ二倍というふうになるということになるのに対して、参議院選挙の方につきましては、四増四減を行った後でもまだ四・七四六倍というようにあるというふうになっております。

 二〇一二年十月十七日の最高裁判決におきまして、前回の参議院議員選挙については違憲状態であるというように判示をされておりますが、その後に改正されました公職選挙法、十一月十六日に四増四減されました。そのことによって最高裁が言う違憲状態というものを脱したというふうに判断されておりますでしょうか。

新藤国務大臣 参議院の一票の格差是正、これについての選挙制度のあり方は、これはそもそもが議会政治の根幹にかかわるものであります。したがって、国会において、各党各派における議論に基づきまして、この法の改正がなされているということがあります。それからもう一つは、最高裁の判決という司法の要請に応えて、そして立法府がそれを措置する、こういう側面がございます。

 各党各会派による議論を経て、立法府においての昨年の十一月十六日の四増四減、この格差是正を行う公選法の改正、議員立法が行われました。これは、みんなの党、御党は反対されておりますが、しかし賛成多数によってこれが成り立ったわけであります。

 裁判所による司法上の要請を受けて、国民の代表である国会が法改正を行った、そして司法からの要請に応えた形での立法が行われたということであります。ですから、私どもとしては、これも、行政府は法に基づいてそれを適切に執行していく、こういうふうに私は考えているわけであります。

三谷委員 今、お答えいただきました。

 しかしながら、この二〇一二年十月十七日の最高裁判決、これの趣旨というものを、ぜひとも多くの皆様に御理解いただきたいというふうに思います。

 こちらの最高裁判決でどう書いてあるかといえば、都道府県単位で選挙区の定数を設定する現行の方式を改めるなどの立法的措置を講じ、できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要があると。今の選挙制度というものは残念ながら都道府県単位となっておりますけれども、それを超えるべきだというような判断がされていること。

 そしてもう一つ、「憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」と。衆議院と比べて参議院の方は一票の格差は緩くて構わないということではないんだということを最高裁判所が明確に判断しているわけでございます。

 もしかしたらこれは余計なことかもしれませんけれども、安倍総理大臣、安倍政権においては、憲法改正等々というものを念頭に置いているというような報道もなされているところでございます。

 衆議院選挙の場合は、公職選挙法を改正することによって、そして衆議院を解散するということをすれば、違憲状態というものを脱することはできるんです。しかしながら、参議院選挙においては解散というものがありません。そうすると、一旦違憲状態というふうに判断された場合には、その後、幾ら公職選挙法を改正しても、六年間はその違憲状態の国会議員というものが居残り続けざるを得ないということになるわけです。

 当然ながら、憲法改正というものをやるという前提には、違憲状態で選ばれた国会議員というものがこれをやるべきではないというような声が高く大きくなってくるということは当然予想されますので、そういうことを考えても、ことしの夏にはもう間に合わないかもしれません、しかしながら、この一票の格差の問題、参議院についてもしっかりと議論して進めていく。これは決して国会の方に委ねていればいいというようなことではないんだということをぜひとも御理解いただければということをお願い申し上げます。

 続きまして、エネルギー政策について伺ってまいります。

 まずは、昨今非常に問題となっております「もんじゅ」の問題でございます。

 この高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」ですけれども、先日、こちらについては約一万点の点検漏れが見つかり、原子力規制委員会は、この「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構に対して運転再開準備の停止を命じました。このニュース、改めて、トラブル続きの「もんじゅ」に対する不安というものを強めたと言っても過言ではありません。

 なお、この「もんじゅ」をめぐっては、原子炉の下に活断層が通っているという可能性も指摘されておりまして、規制委員会は来月中旬にも現地調査を行うという方針だとも言われております。

 そこで、伺います。

 現時点におきまして、この「もんじゅ」の運用について、そして運用の再開についての見通しを教えていただきたいと思います。

下村国務大臣 今回の「もんじゅ」の保守管理の不備に係る組織的要因について、原子力規制委員会は、トップマネジメントのコミットメントの不在、経営層、発電所幹部による安全最優先の明確な方針の欠如、組織内における問題意識の共有化の欠如等の指摘を行っているというふうに承知をしております。

 このような厳しい評価を受けたことについて、地元を初め国民の関心事である「もんじゅ」の安全性への信頼を著しく傷つけたものであり、まことに遺憾であります。

 文部科学省としては、今回の評価を大変重く受けとめ、原子力機構に対し、独立行政法人通則法第六十五条の規定に基づく是正措置を行ったところでございます。

 その後、日本原子力研究開発機構の理事長が辞意表明され、そしてきょう、新しく松浦新理事長を、私の方で任命いたしました。きょう、松浦新理事長には、新たに、この原子力研究開発機構について、抜本的な改革をみずから率先することによって、国民の信頼を取り戻す新理事長として対応していただきたいというお願いをいたしましたし、また、私が本部長を務め、外部有識者の参加もいただきながら、これから日本原子力研究開発機構改革本部を設置しまして、原子力機構の組織体制、業務を抜本的に見直した上で、安全を最優先とする組織に改めるための改革案を取りまとめることにしております。

 文部科学省としては、今後、原子力機構の抜本的な改革を行うことにより、地元を初め国民の理解を得られるよう責任を持って対応してまいりたいと思います。

三谷委員 そもそもこの「もんじゅ」につきましては、一九九五年にナトリウム漏えいによる火災事故が発生し、私もそのビデオ、ナトリウムが漏えいした直後のビデオを見ておりますけれども、本当に危険な状況になっていたということがありますから、その影響から、二〇一〇年まで運転休止状態が続いていたということもむべなるかなというふうに考えております。その際の事故の対応のおくれや事故隠しというのが問題となったという経緯もございます。

 さらにその後、原子炉内中継装置の落下事故というものも起きて、その後、事実上試験運用もなかなか進んでいない状況にあったということは周知の事実ではないかというふうに考えております。

 さらに今般、この一万点の点検漏れ、さらには活断層というものが、原子炉、この「もんじゅ」の下に通っているということすら明らかとなってしまえば、「もんじゅ」の再稼働というものは事実上不可能になるのではないかと考えております。

 この「もんじゅ」の現在のエネルギー戦略の中での位置づけというのは、核燃料サイクルの中の重要な一つの構成要素をなしていると理解しておりますけれども、「もんじゅ」が運用停止になれば、再稼働が不可能となれば、原子力のサイクルは事実上ストップになるということになろうかと思います。

 本日、自民党の秋本委員の質問の中にもありましたように、核燃料サイクルというのも、破綻していると言ってもおかしくない状況でありますけれども、そのことによる原子力政策への影響というのはありますでしょうか。

下村国務大臣 「もんじゅ」については、まず第一に、安全確保のための方策に万全を期することが重要であるというふうに考えます。

 そのような中で、御指摘のように、昨年、「もんじゅ」の保守管理の不備が発生したことはまことに遺憾でありまして、現在、先ほど申し上げましたように、私を本部長とする日本原子力研究開発機構改革本部において原子力機構の改革案を取りまとめるということとしております。

 一方、現在、より効果的、効率的に研究を推進すべきという観点から、科学技術・学術審議会のもとで、もんじゅ研究計画作業部会におきまして、高速増殖原型炉として達成すべき研究開発項目や、高レベル放射性廃棄物の減容のための研究開発課題について、いつまでにどのような成果が得られるのか、改めて専門家による技術的な検討を行っているところであります。

 今後の原子力機構改革の検討も踏まえながら、新たな研究計画の検討を進めてまいりたいと思います。

 文部科学省としては、これらの検討の結果を踏まえまして、今後のエネルギー戦略の検討の中で「もんじゅ」の位置づけを明確にしてまいりたいと考えておりますが、その大前提として、安全確保を最優先する組織改革の達成の必要があると認識しております。

三谷委員 ただいま新たな検討というふうにお答えいただきました。しかしながら、ぜひともお伺いしたいと思います。

 この「もんじゅ」について、今まで、研究開発、維持管理、事故対応等々を含めて、さまざまな予算がかかったのではないかというふうに考えておりますけれども、今までにこの「もんじゅ」をつくってから今日に至るまで、「もんじゅ」に対して費やした予算というのは総額で幾らなのか、それから、本日、運転を停止している状況にありますけれども、この停止している毎日毎日、本日も維持管理にかかっている費用、一日幾らぐらいかかるのか、お答えいただきたいと思います。

戸谷政府参考人 「もんじゅ」に対しましてのこれまでの予算額ということでございますけれども、昭和五十五年度から平成二十五年度までの予算額の総額といたしまして、九千八百三十億円ということでございます。このうち、建設費が五千八百八十六億円、それから運転維持費等が三千九百四十四億円ということの内訳でございます。

 なお、この建設費のうち一千三百八十二億円につきましては、国の予算ではございませんで、民間拠出ということでございます。

 それから、一日当たり幾らかというお問い合わせでございますが、今、年間の「もんじゅ」につきましての維持費が百四十億円ということでございますので、これを単純に三百六十五で割りますと、四、五千万ぐらいという計算になろうかと存じます。

三谷委員 今まさにお答えいただきましたとおり、「もんじゅ」にはもう既に一兆円近くの予算が投じられている。そのうちの一千三百億円は民間の費用だということですから、八千五百億円強という国の予算が投じられている。しかも、一日四、五千万円、これの維持管理にお金を費やしているということです。

 そういう意味で、新たな検討をこれから行っていくというのは、若干、予算というものを軽く見ている。税金をしっかり使っているんだということですから、効果を出していただくという観点から、早急に結果を出していただきたいというふうに考えております。

 この「もんじゅ」計画、先ほども申し上げたとおり、さまざまな問題が山積している状況ですから、現在の核燃料サイクルというものの位置づけも含めて、これは端的に、計画は中止すべきではないのかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

下村国務大臣 そもそも、「もんじゅ」の発想としては、核燃料廃棄物を使って、より軽減化する、また、それを利用することによって新たなエネルギーを供給する、こういう夢のような計画の中でのスタートであるわけでございます。その間、点検の不備やいろいろな事故が積み重なって、それからまた、機構そのものが十分な安全管理ができていないという中で、今日のような状況になっているわけでございます。

 しかし、未来に向けて夢が実現する可能性があるのであれば、それをきちっと達成していくことも一方で求められていることでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、まずは、専門家による今後の「もんじゅ」のあり方について検討していただき、その上で、政府全体の中で判断すべきことであるというふうに考えております。

三谷委員 先日の福島第一原発の事故というものを見ても、前回の原発事故に関しては、非常に高温になったという状況で、とにかく冷却するために水をかけるというような応急措置をずっと講じてきたわけですけれども、今回、「もんじゅ」というものはナトリウムを使っておりますから、高温になったということで、では水をかければ冷却できるかというとそうではなく、ますますもって爆発をしてしまうというような危険な代物ですから、ぜひともしっかりとその位置づけを見直していただく、早急に結論を出していただきたいということを、一国民として心からお願いさせていただくという次第でございます。

 それでは、エネルギーに関連して、いわゆる再生可能エネルギーについて伺ってまいります。

 現在、原子力がとまっているということで、発電のための化石燃料の輸入費用が高額に上っているという声もあるところでございます。果たしてそうなのかどうかということも含めて伺っていきたいと思っておりますけれども、まず、現在の総エネルギーにおける再生可能エネルギーが占めている割合はどの程度なのか。そして、日本に先行して再生可能エネルギーの利用が進んでいると言われるドイツでは、総エネルギーの中の再生可能エネルギーがどれぐらいを占めているのかということについて、お答えいただきたいと思います。

新原政府参考人 お答えをさせていただきます。

 まず、日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合でございますが、最新の統計データ、これは二〇一一年度末時点のものでございますけれども、水力発電を含めた場合、一〇・三%、水力発電を除いた場合、一・四%となっております。

 これに対して、ドイツの発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合でございますが、これは二〇一二年末時点でございまして、水力発電を含めた場合、二一・九%、それから水力発電を除いた場合、一八・六%というふうになっております。

三谷委員 ありがとうございます。

 水力発電を含めるかどうかという点も大きく影響しますけれども、日本では再生可能エネルギーというものが、風力、地熱、そして太陽光等々、まだまだ使えていないというような状況にあるのではないかと考えております。

 ドイツでは、電力供給に占める再生可能エネルギーの割合というものを、二〇二〇年に三五%、二〇五〇年に八〇%とする野心的な目標というものを定めているということでございますから、日本においても、再生可能エネルギーをどれぐらい使っていけるのかということをしっかり考えていかなければなりません。

 続きまして、再生可能エネルギーではありませんけれども、日本とドイツのエネルギーの自給率はそれぞれどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とドイツのエネルギー自給率におきましては、IEA、国際エネルギー機関の作成しております統計に基づいて計算いたしますと、原子力を国内で産出したエネルギーに含めない場合、日本は四%、ドイツは二九%になるという状況でございます。

三谷委員 原子力を国内で産出したエネルギーに含めない。原子力のそもそものエネルギーのもとはウランですから、基本的にはこれは輸入に頼っているわけですよね。そういう意味でいくと、基本的には、日本ではエネルギー自給率というのは非常に低い状況にある。これに対して、ドイツでは日本に比べて高いという状況にあるわけでございます。

 このエネルギー自給率というのは、どうしても安全保障の問題にもかかわってまいります。どうして再生可能エネルギーというものを考えていかなければいけないかということを考えると、やはりそれは安全保障というのも一つ着目していかなければいけない、そういう点ではないかと思います。

 食料の自給率というものが低いということになると、何とかこれを高めていかなければいけない、みんながこれは口をそろえて一生懸命言うわけです。でも、エネルギー自給率を高めていくということを言うと、言ったってどうせそれは絵そらごとでしょうというような話で終わってしまうというのが今の全体的な流れでございまして、そうではないでしょう、日本にはさまざま、日本全体には眠れるお宝があるんだ、実際、それをもう既に使っている国も数多くあるということであれば、日本でもそういうものを使っていかなければいけない、そして、もしそれがなかなか使っていけない状況にあるのであれば、それがどうして使っていけない状況なのか、使えない状況なのかということをしっかりと考えていかなければならないというふうに考えております。

 それでは、ドイツでは再生可能エネルギーが普及しているという点につきましてですけれども、ドイツでは再生可能エネルギーが普及しているけれども、その分電気料金が高いというふうに言われるわけであります。

 そこで、伺います。日本に比べて、ドイツでは果たして電気料金がどれぐらい高いのかということについて、お答えいただきたいと思います。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたIEAの統計によりますと、二〇一二年末の電気料金でございますが、このときの為替レートは一ドル約八十円ということで計算してございます。一ドル八十円という当時のレートに換算しますと、産業用は日本が十五・五円に対しドイツは十一・九円、家庭用は日本が二十二・一円に対してドイツは二十七・〇円ということになってございます。

三谷委員 ドルで今計算されましたけれども、皆さんに今お配りをしております、日本とドイツの電気料金の比較の表があります。

 この右側の表になりますけれども、日本では一キロワットアワー当たり二十六・七円に対し、ドイツでは三十七・一円ということで、確かにドイツの方が高いというように見えるわけですけれども、しかしながら、これは税金部分を除くと、日本とドイツはもう、ほぼほぼ変わらない。日本は二十五・四円に対して、ドイツでは二十六円というふうになっているわけでございます。しかも、この二十六円のうち、再生可能エネルギーの買い取り価格というのは六・九円というものが含まれているわけですから、再生可能エネルギーを使っていくということであっても、値段的には全然変わらないということになっているわけでございます。

 そういう意味で、しっかりと日本でも再生可能エネルギーというものを使っていくということによって電力というものを供給していくということを一生懸命考えていかなければならないというふうに考えております。

 そこで、実際に再生可能エネルギーが日本で普及する上での課題というものを考えていかなければならないわけですけれども、ちょっと時間の関係もありますので、一つ、太陽光について伺っていきたいというふうに思っております。

 この太陽光、もちろん風力も含めてですけれども、フィード・イン・タリフ、そういう仕組みがあります。この固定買い取り価格制度というものを設けて、民間の電気よりも高い値段で買い取ってあげるよというような、そういう制度というものを設けることによって、初期投資をした事業者がしっかりとその初期投資分を回収できるような、そういった制度的な担保を行っていこうというような制度ですけれども、実際問題、これがワークしていないというような話が耳に入ってきております。

 具体的にどういうことかと申しますと、電力会社に対して、生まれた電気を全部買い取ってくれというようなことで、買い取りが義務づけられているわけですけれども、実際には、電力会社から接続を拒否されたり、電力の容量に制限を設けられて発電規模というものを縮小せざるを得なかったり、遠い連系点への接続を求められたりして、コストがかさんで、実質的に事業を断念したりというケースが多発しているというような話がございます。

 これは、公益財団法人自然エネルギー財団が国内の太陽光発電事業者を対象にアンケートを実施したところ、アンケートに回答した七十九社のうち、接続拒否を受けた事業者が二〇%、制限を受けた事業者は三七%に上ったというふうになっております。事業を断念した理由のうち、電力会社に系統接続を拒否されたという理由が二五%、土地が調達できなかったという理由に次いで最も多かったという結果が出ているわけです。

 これでは、フィード・イン・タリフ、FITを幾ら設けたって意味がないのではないかと思うんですけれども、その点の見解を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 固定価格買い取り制度は極めて私は重要だ、そのように思っております。その上で、委員が先ほどいい資料を御提示いただいたんですが、日独の電気料金比較、税金を除けば大体一緒になる。ただ、ドイツの場合、石炭火力が半分いっているわけですから、これによって随分違うんですよ。日本も高効率の石炭火力をやることによって、当然この部分というのは下がってくる。こういうことはフェアに比較していただけると大変ありがたい、こんなふうに思っております。

 その上で、ドイツの固定価格買い取り制度におきましては、再生可能エネルギーを優先的に接続し、利用することが系統運用者に義務づけられております。そして、仮に、系統の増強を行わなければ再生可能エネルギーを接続させることができない場合であっても、系統運用者は、経済的に合理的な範囲内で系統を増強し、接続する義務、こういうのがございます。

 恐らく、委員、先月ドイツに視察をされたので、こういったことを研究されてきたのかなと思っておりますが、我が国の場合は、固定価格買い取り制度のもとでは、法律上、電気事業者は、電力系統への接続の申し込みがあった場合には、これを拒んではならない、こういうふうに規定されておりますが、同時に、例えば物理的に受け入れ可能な量を超えることが見込まれる場合等には、接続の拒否が可能である、こういったことも規定をされております。

 先ほど、固定価格の買い取りの料金、日本が月当たり百二十円の賦課金に対して、ドイツの方は月当たり千六百円、相当、国民負担も大きなところを望んでいる、こういった要因も考えなくちゃいけないんですが、やはり接続を、これから相当、配電網、送電網というのを強化していかなきゃならない。

 御案内のとおり、ドイツをごらんいただいても、風力に適しているのは北なんですね。昔で言うプロイセンです。一方で、産業地帯があるのは南なんですよ。昔のバイエルンですよ。ですから、そこの間の接続線というのをつないでいかなきゃならない。

 日本も同じような状態でありまして、風力に適しているのは、北海道であったりとか、東北の一部ということになってまいりますので、地域内の送電網の整備、こういったことが重要でありまして、このための実証実験を行う予算、平成二十五年度予算で二百五十億円計上してございます。

 同時に、どうしてもやはり風力、これは太陽光もそうなんですけれども、この出力変動が非常に大きくなってまいりますので、これを大量に受け入れるためには、どうしても蓄電池を使っていくということが必要になってまいりまして、電力会社の変電所側に大型の蓄電池を設置し、その変動を系統側で安定化する実証実験、これは平成二十四年度の予備費でありますが、二百九十六億円計上してございます。

 今、揚水発電によってこれをやっているんですけれども、これですとキロワット当たり大体二万三千円ぐらい。これが、今この蓄電池でやりますと四万ぐらいかかっちゃう。これを、できれば二万三千、四千円と下げることによりまして、ここの分野でも、ある意味、日本が最先端を行ける、こういったことも同時に達成をしていきたい、こんなふうに考えております。

三谷委員 今お答えいただきましたとおり、ドイツ、デンマークに視察に行ってまいりました。みんなの党の場合は、海外に視察に行って、そうやって得た知見をまずはしっかりと国会の委員会で生かしていくということで、外遊に終わらせない、まずはその覚悟を評価いただきたいなというふうに思います。

 まずは、先ほど、エネルギー調達先というものをフェアに見ていただきたいというような話がありました。実際、これはまさに、アメリカのシェールガス革命というものから、LNGというものを日本が輸入するですとか、サハリンからパイプラインを引いて天然ガスを輸入するですとか、さらには、先ほどまさに大臣がおっしゃいました、本当に、季節によって、そのときによって電力の変動が激しいということであれば、まさに今ロシアから熱い視線を投げられている、電力を輸入してくれという話を進めることによって、そういう電力の融通というものを受けていくということによって、一つ一つ、今大臣がおっしゃったことにはしっかりと応えていくことができるのではないかと私は考えております。

 時間がないので、次へ行かせていただきます。残りわずかの、五分の時間なんですけれども、短く伺っていきます。

 まず、バイオマス発電というものについて。

 これは、ウッドチップというものを使っていくということになるわけですけれども、花粉症対策というものを考えても、一生懸命、今から無花粉杉というものを植えていく。それによって、伐採した杉をウッドチップにしてバイオマス発電をするということもできるのではないかというふうに考えております。

 その点についてお答えいただきたいと思います。

江藤副大臣 ずっと大臣の御答弁で、私は副大臣で申しわけございませんが、私の方から答弁させていただきます。

 花粉症対策は、今は品種改良等進んで、もう花粉の量の少ない品種等はありますが、一応、人工林一千万ヘクタールのうち、その三分の一については、今後、針葉樹と広葉樹をまぜようという方針を組んだり、なるべく花粉の少ない苗を植えていただくような指導はしておりますけれども、民有地については、値段が若干張るものですから、これはオブリゲーションとして課すことはなかなか難しいです。

 それから、発電という話になれば、ペレット工場をつくって、ペレットにすれば熱量は上がります。しかし、設備投資に多額の金がかかる。それから、もう一つは、チップで燃やすという方法もあります。今、会津若松で一個だけ稼働しておりますけれども、五千キロワットで大体二十二億円ぐらいかかります。

 あと、安定供給、それから、林家に対してどれぐらいの材価でチップを買い取るのか、この二つの課題を解決しなきゃなりませんので、非常に有望なお宝だというお言葉を使われましたけれども、そう思いますけれども、これから越えなければならない壁はまだたくさんあるなというふうに認識しております。

三谷委員 ありがとうございました。

 続きまして、全く話はかわりまして、優秀な頭脳の国際流出という点について、簡単にお伺いしたいと思います。

 「がんワクチン治療革命」の著者でございます中村祐輔博士、医療イノベーション推進室室長でいらっしゃいましたけれども、この方は、残念ながら、ゲノムのそういった研究を進めていくという観点から、シカゴ大学に行ってしまったというような話がございます。海外に行った理由というのは、その理由の四〇%が日本の政治に対する無力感、そして二〇%が日本政府がゲノム対策研究をサポートしてくれないというような話だったというような話が出ておりますけれども、最近、ノーベル賞受賞者でも、海外の大学で博士をしている教授、教鞭をとられているという方も少なくないところであります。

 そういった方々が日本でそういった研究を進めるということを妨げている原因というものと、それをどのように解決されていくのか。

 本当に時間が限られておりますので、短くお答えいただきたいと思います。

下村国務大臣 すぐれた人材の国際的な獲得競争が激化する中、我が国としても、独創的な研究成果を生み出す世界第一線級の人材の確保に努めることは、委員御指摘のように大変重要なことであるというふうに考えます。

 我が国の研究人材の流出については、御指摘ありましたが、ゲノム解析の研究で知られる中村祐輔教授や、がん遺伝子研究の世界的権威である伊藤嘉明教授が研究の場を海外へ移している事例がございます。

 一方、約千人の研究者を対象とした科学技術政策研究所の調査によれば、近い将来、日本を離れて海外で研究活動を行う予定の研究者は約二%ということであります。

 また、海外に移る理由として最も強く意識されるのは、海外の著名な研究者のもとで研究ができるということが挙げられます。

 我が国の研究開発の全体的な傾向として、研究の国際化に十分対応できておらず、被引用数が高い傾向にある国際共著論文の割合が小さいとの分析結果もあり、国際的な研究ネットワークを構築することが課題となっております。

 こうしたことから、若手研究者育成のための海外派遣を支援するとともに、優秀な研究者が集う魅力的な研究環境を整備するため、世界トップレベル研究拠点プログラム等の拠点形成や、スーパーコンピューター「京」、そしてエックス線自由電子レーザー施設SACLAといった最先端の研究施設の整備など、戦略的な取り組みを進めております。

 今後策定される科学技術イノベーション総合戦略等を踏まえ、世界で最もイノベーションに適した国、そういう国をつくり上げるための取り組みを、決意を持って、強力に推進してまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 山本大臣をお呼びしてしまっているので、ぜひとも、あと一点だけお伺いさせていただければとお願いを申し上げます。

 ビッグデータについて、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 ICT成長戦略の推進として、ビッグデータの利活用というものがございます。私も、ビッグデータというものを使ったプレゼンを受けましたけれども、本当にここまでわかるのかというような感銘を受けて、拝見をいたしました。

 そこでなんですけれども、このビッグデータですが、個人情報保護法との関係でどこまで使えるのかが曖昧だというような声もあります。今のうちにしっかりと、何をどこまで使えるのかということを整理しておいた方がいいのではないかと考えておりますけれども、この点について、山本大臣の御見解を伺いたいと思います。

山本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 短く、簡潔にお答えします。

 ビッグデータの中でも、特にパーソナルデータの取り扱い、今委員がおっしゃったように、データの活用とプライバシー保護の両立に配慮したデータ利活用ルールの策定が大事だと思っています。

 今、規制改革会議の方もやっていますけれども、私が担当するIT総合戦略本部のもとに新たな検討組織をつくって、データの活用とプライバシー保護との両立に配慮したルールの策定をしっかりやってまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 内閣府特命で金融やデフレの担当をされている、また、今回案件になっております〇九年度の決算のもとをつくられた、予算をつくられた麻生大臣にまずお聞きをしたいと思います。

 安倍内閣のもとで三本の矢が打ち出され、当初はかなり市場もよく動いていたみたいですが、どうも最近は逆の方向に株価は激しく動いているようです。また、円安等によって非常に、輸出企業はプラスかもわかりませんけれども、庶民の食卓に欠かせない小麦粉やパン、それから食用油、そういったものの値上がり、あるいはガソリンや軽油等の値上がり等も進んでおります。

 そういう中で、生産を基本に据えた指標を見ますと、例えば経産省の鉱工業統計、リーマン・ショック前と比較して、付加価値生産額、機械の稼働率、ともに一五%以上低下したままです。以前の生産水準に復帰するのは容易ではないということだろうというふうに思います。

 十五年間続く長期のデフレ不況、この期間にちょうど麻生大臣も政権を担当されておられまして、リーマン・ショックの後で大変な御苦労もされたことだろうというふうに思います。

 少し過去を振り返りますと、〇八年度、二回にわたって補正予算が組まれ、また、〇九年度の予算では三回にわたって約七十五兆円の経済対策、懐かしい言葉ですけれども、いわゆる三段ロケットが発射をされました。加えて、〇九年度には、予算成立直後に十五兆円規模の大規模な経済対策も実施をされました。しかし、結果を見ればデフレからは脱却できず、逆に、国の赤字国債は、〇九年度一年間だけで約四十兆円も増加をしてしまいました。

 そこでお聞きします。

 振り返って、麻生内閣時代の三段ロケットで、御自身が不十分だったと考える点はおありでしょうか。また、今回の安倍内閣の三本の矢、これは三段ロケットの経済対策とどこがどう異なっているのかをお聞かせください。

麻生国務大臣 最初の方の御質問に対して言わせていただければ、全治三年を要しますと申し上げたのが一年で終わったのが一番問題だったと思っています。それが全てです。

 それから、三段ロケットと今回の三本の矢とどう違うのかというのは、あのときはリーマン・ブラザーズという金融システムが破壊される直前だったという状況と、今回はデフレ不況からの脱却という、主たる目的が、あのころはリーマン対策というのが主眼の一番だったので、今回のようにデフレ不況からの脱却というのとは置かれている前提条件が全く違ったというのが、三段ロケットと三本の矢の一番の違いといえばそうだと思います。

吉川(元)委員 確かにあのときは、非常に大きな経済的な危機といいますか、アメリカ発の危機の中で経済運営も大変だったと思います。

 ただ、私、非常に思うのは、リーマン・ショックの後に世界の経済指標を見ますと、経済の回復について日本だけがずっと取り残されている。これは、確かにショックに対して一時的に対策をとらなければいけないということとあわせて、やはり長期にわたってその対策が必要だったんだろうというふうに思います。今のお話ですと、三段ロケットはあえて短期の危機に対応するものであったというお話ですけれども、それはやや近視眼的ではなかったのかなというふうにも思います。

 続いて、これは甘利大臣の方にお聞きしたいというふうに思いますけれども、このデフレ下の十五年間、国民生活はずっと悪化の一途をたどっておりましたが、ただ、企業収益を見ますと、これは悪化の一途をたどったというわけではありません。

 九七年度の企業の経常利益はおおよそ二十八兆円程度でしたが、〇六年には史上最高の五十五・四兆円、二倍近くに膨れ上がっております。また、法人企業統計の直近の数字を見ましても、一一年度で四十五兆円を上回っておりまして、これはバブルの絶頂期の八九年の三十九兆円よりも高い数字になっております。

 他方、国税庁の民間給与実態調査を見ますと、これは有名なお話ですけれども、九七年をピークに民間労働者の賃金は低下の一途です。単純に九七年と一一年を比較いたしますと、額で六十万円、率にして一二・五%も年収ベースでの賃金はダウンをしております。

 企業業績が改善、あるいは改善というよりも過去最高水準、そういうところにありながらも、賃金は減少する一方だった。逆に言えば、三段ロケットもそうかとは思いますが、これまでの累次の経済対策、景気対策の恩恵というのは、一部の企業にだけ及んで、働く人や生活者に対しては十分に行き渡らなかったのではないかというふうに思います。

 この原因をきちんと、なぜそうなっているのかということを突き詰めなければ、今回の三本の矢も、この十五年間繰り返されてきた経済対策と同じ結果になるのではないかというふうにも危惧するわけです。

 そこで、甘利大臣の方に尋ねますが、この間、企業の収益がずっと上がって、過去最高益ということもありました。それがなぜ賃上げに連動をしてこなかったのか、その要因をどのようにお考えなのかを尋ねます。

甘利国務大臣 バブルが崩壊をしまして、三つの過剰ということが言われておりました。債務の過剰、雇用の過剰、設備の過剰、これを何とかしなければならないと。企業は、財務体質を強化するために債務を減らしていった。その際には、賃金を犠牲にしながら体質を強化していったということなんだろうと思います、結果からいえば。

 そこで、では企業が、本来だったら、財務体質が強化をされてくると次にどういう行動に出るかというと、打って出なければいけないわけですね、設備投資に打って出るということになります。

 その際に、我々が今、当時を振り返ってアベノミクスで反省をしているのは、実は、デフレマインドが払拭をできないから、設備投資を、背中を押す環境になかったんだと思うんですね。

 つまり、デフレというのは連続的に物価が下落をしていく。ただ物価下落だけだったら悪いことじゃないと思うんですね、生産性が上がって物価が下がっていくんだったら。雇用と賃金を犠牲にしながら、巻き込みながら物価が下落しているところに一番問題があって、ということは、お金を持っていれば、黙っていればお金の価値がどんどん上がってくるわけです、周りの水位がどんどん下がってくるわけですから。つまり、お金は使わない方が価値が上がってくるというマインドになっちゃうわけです。これが、設備投資に対してデフレが与える悪影響だと思うんですね。

 ですから、景色を変えていって、必要な設備投資があるんだったら、来年やるよりことしやった方がいいですよと。というのは、物価は少しずつ上がっていくんですから、お金の価値はただ持っているだけでは下がっていきますからという環境をつくっていかなきゃいけない。

 それとあわせて、どういうところに設備投資をしかけていくか。これは乾坤一てきの勝負になるわけですから、企業は。その道を開いていく。そこにいろいろな障害物があって、こっちの方向に道を開いていこうとしても、こんな規制があって投資環境がよくないというのであれば、そこの障害物をどかしていくということにつながっていくんだろうというふうに思っております。

 そこが、過去を振り返って、何をすべきかという点で我々が今一番参考にしている点であります。

吉川(元)委員 デフレ下で設備投資が進まないということ、お金を持っていた方が得だということだというお話でしたけれども、やはり企業が設備投資をする場合には、価値がどんどん減っていくとかふえていくとかというよりも、まず設備投資をして、それによって物をつくって、果たしてそれが売れるのかというのが一番大きな問題なんだろう。そう考えたときに、やはり最終消費がどれだけ力強く回復をしていくのかが景気の回復の一番肝要なところではないのかというふうに思っております。

 そこで、麻生大臣にお聞きをしたいんですけれども、今も言ったとおり、賃金を含めて家計の所得が高まらなければ、国民に景気回復が実感をされないというのは当然のことです。ましてや消費もふえませんから、消費がふえなければ、幾らお金を持っていても企業は投資をしないということです。政府と日銀は二%の物価上昇をすると言っていますけれども、これも、消費がふえない限り、やはり難しいのではないか。

 ところで、安倍内閣が進める三本の矢ですけれども、日銀が通貨供給量を二倍にふやして、インフレ期待で円安、株高が進んで、企業の投資意欲、今ほど説明がありました、企業収益も増加するということですけれども、これは、その後におくれてでも給与というものは上昇するというふうに考えておられるんでしょうか。また、どのような形でそれは実現されていくとお考えでしょうか。

麻生国務大臣 通常、経済が回復していく場合には、まずは設備投資等々、また政府支出。GDPに占めます三つの大きなものは、御存じのように、設備投資と個人消費と政府支出、そのほかにも純輸出とかいろいろありますけれども、大きくはその三つ。そのうちの中で今二つとまっておりますので、まずは政府支出等々がスタートするということを私どもは考えて、二本目の矢の、財政の柔軟な対応ということを申し上げてきております。

 その上で、今言われましたように、賃金が伸びてこなかった、いわゆる労働分配率がふえなかった大きな理由というのは、企業の経営者の立場として、私どもから見ると、少なくとも東証上場企業でどれくらいでしょう、四〇%を超えているぐらいの企業が、もう四二、三%はいっていると思いますが、ほとんどの企業が実質無借金になっておられるほど自己資本比率が上がり、財務内容をこの数年間で改善をされたのは間違いないと思います。

 その分を、基本的には、設備投資をするか、株主配当をするか、いわゆる労働分配率を上げるかの三つのうちのどれにも使われず、自己資本比率だけをずっと高めてこられたという背景は、多分、今、甘利大臣が言われたように、しかるべきリスクをとってやるものを、何となくリスクテークをするという、経営者の社長の意欲、決断力、そういったものが非常に大きかったと思いますが、やはり組合の方も組合の方で、解雇をされるよりは、賃金を抑えて就業率を維持という方をとられた。

 いろいろな気持ちがお互いにあって複合的に出されたのが今だと思いますが、少なくとも私どもは、今回、内閣の方から、いわゆる企業の経営者に対して賃上げを要請したわけです。大体、これは連合の仕事であって、私どもの仕事じゃありません、はっきり言って。連合の方は何をしておられたんだか知りませんけれども、私どもは少なくともそれをやらせていただいて、結果として、この六月、ボーナスが出ると思いますけれども、間違いなくボーナスは上がる、そう思っております。

 まだ景気の回復感がないとよく言われますけれども、それはまだ実質に収入が入ってきていませんから、勤労者は。ベースアップ、ベアと違いますから、一時金の方、基本的に六月以降ですから、六月に入ってから実質賃金として、いわゆる一時金が入ってくる等々が今から始まるということになろうと思いますので、給与がいつ上がるのかと言われれば、私どもは、企業としてそういったものをしていただかないと、御指摘のありましたように、非常に大きな、七割近く占めるこの消費という部分になかなか波及してきません。

 ただ、幸いにして、景気がよくなるであろうという先行き期待感が、少なくとも、いわゆる資産を持っておられる、フローとストックでいえばストックを持っておられる方々の支出が間違いなくふえて、デパート等々を見ていると高額商品等々が比率が高くなってきたり、いろいろな形で指標としては上がってきているのは確かですけれども、一番肝心なところは、賃金というところが一番大きな要素を占めると私どもは思いますので、この部分を、今、たくさん賃金を払っていただいたらその分だけ安くしますとか、いろいろな税法をやっておるのは御存じのとおりなので、そういった形のものが浸透していくのに少々時間がかかることは確かだと思っております。

吉川(元)委員 一時金のお話、それから、ことしの春闘を前にして、安倍総理、果敢にも経済団体に賃上げ要請に行ったというお話がありました。

 ただ、これは恐らく、働いている人の実感としては、一時金ではだめなんですよね。毎月の決まった給与がふえるということ、これを通じてやはり消費というのはふえていくと思うんです。

 恐らく、一時金というのは変動しますから、いいときはいいかもわかりませんけれども、翌年になったら一気に減るということも、これは過去に何度も働く人たちは経験をしてきました。実際に、ことしの大手の賃上げ、第一次集計では、賃上げ率は実は、総理が要請にわざわざ行ったんですけれども、残念ながら昨年を下回る結果になっております。

 また、安倍内閣で行われている政策も、果たして給与を上げるような方向に動いているのかというのは疑問に感じざるを得ません。

 例えば、自治体の財政権を侵して、地方交付税あるいは義務教育国庫負担金を減らして、平均七・八%の賃下げを地方公務員に求める、教員に求める、こういうことが行われているんです、片方で。まず隗より始めよという言葉がありますけれども、民間に行く、給与を上げてくださいと言うんだったら自分のところを上げればいいですし、また、そもそも地方の公務員に対して給与を下げろという権限がないにもかかわらず、こういうことをやられる。

 教員は、今、学校現場は大変ですから、本当に休みなく働いています。また、地方公務員の多くの方も、震災からの復興やあるいはその応援、そのために、あと非常に大量の、今回補正予算を含めてつきましたので、それを何とかこなそうということで、もう本当に毎日夜遅くまで仕事をしております。そういう人たちに対して給与を減らせと、何の権限もないのにそういうことが行われるというのは、言われていることと少し逆行しているのではないかというふうにも思います。

 そこで、これはまた甘利大臣にお聞きをいたしますが、今ほど、総理の方は確かに経済団体の方に行かれました。残念ながら月例給の方は余り上がりませんでしたが、ボーナスは多少上がるかもわかりません。ただ、やはり給与、労働条件というのは、基本的に労使の間で交渉をして、民間の場合は争議権を背景にしながら決定をしていくというのが基本だというふうに思います。

 そういう中で、では政府として、政治として、賃金を上げるために何ができるのかということを考えれば、それは、いわゆる労働市場においていかに労働者側が有利に交渉ができるか、そういう条件を政策的につくっていく、それが一番大切なのではないかというふうに思います。

 といいますのも、この間、小泉構造改革の時代からずっと労働市場というのは規制緩和されてきました。労働力が流動化をする、これは、そう望んでいる方もいらっしゃるかもわかりませんけれども、望んでいない方もいらっしゃいます。そして、実際に規制緩和によって起こったことは、正規の労働者がいわゆる派遣などの非正規に代替をされていった、そういう経過があるわけです。これが、働く者にとって、例えば労働市場において交渉する際に力になるかといえば、逆に、労働側の力を弱めるということにもつながっていくというふうにも考えます。

 そこで、今、労働分野の規制緩和等々もいろいろと規制改革会議の中でも少し議論をされているというふうに聞いておりますけれども、働く者の交渉力を高めるような、そういう改革というものはお考えでしょうか。

甘利国務大臣 一部、誤解で伝わっていますけれども、別に首を切りやすくするための改革をやっているのではなくて、企業というのは同じことをやっていたら必ずだめになってしまうんですね。新しいこと、競争力のある分野にどんどん進出していかなきゃならないし、競争力を上げていかなきゃ、勝てない限り、企業は倒れてしまうんですよ。倒れてしまったら全員失業なんです。

 そこで、生産性の高い分野に、能力の高い、スキルの高い人間をどんどん投入していかなきゃならない。そういうふうに企業も、生産性の高い分野に行くときに、労働力がついてきてくれなければ仕事にならないわけであります。

 そこで、失業なき労働移動、その間にスキルアップをしたりスキルをチェンジしたりする、そういう工程を入れていって、日本が、企業全体で競争力を持って、雇用吸収力を持つ。競争力がついて利益力がずっと上がっていけば、給与にも当然反映してくるわけであります。そういう構造改革をしようとしているのであります。

 企業が同じことを百年やっていて永続するのであるならば、何もそんな必要ありませんけれども、同じことをやって百年間存続する企業はありませんから。そこで、時代の変化を先取りして企業が変わっていくために、働く者もスキルアップをし、スキルをチェンジし、それに対応していく、その環境を整えようということをしているわけでございます。

吉川(元)委員 もう時間が来てしまいましたが、もちろんスキルアップをすることを私は否定するわけではありませんし、成長分野に労働力が入っていくこと、これもおかしなことではありません。簡単に言えば、給料を高くすれば、恐らく若い人を含めてそちらの方に入っていく。ところが、実際には、若い人が就業しようとしても、例えば、今はもうITはそうでもないかもわかりませんが、そういうのが起こったときでも、若い人はなかなか正規としては入れなかったという経験もあるわけです。

 ぜひ、規制改革の雇用ワーキンググループの構成メンバーを見ますと、経営者ばかりで、いわゆる労働を代表するような人が一人もいらっしゃいませんが、そこからの声もしっかりと聞いて、今後の政策を立てていただければというふうに思います。

 以上で終わります。

谷畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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