衆議院

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第2号 平成25年11月20日(水曜日)

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平成二十五年十一月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松浪 健太君

   理事 今村 雅弘君 理事 河野 太郎君

   理事 平  将明君 理事 橘 慶一郎君

   理事 武藤 容治君 理事 柚木 道義君

   理事 桜内 文城君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    池田 佳隆君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    勝沼 栄明君

      菅野さちこ君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      國場幸之助君    坂本 剛二君

      笹川 博義君    島田 佳和君

      白石  徹君    瀬戸 隆一君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    武村 展英君

      辻  清人君    橋本 英教君

      比嘉奈津美君    福田 達夫君

      前田 一男君    牧島かれん君

      村上誠一郎君    八木 哲也君

      湯川 一行君    階   猛君

      野田 佳彦君    馬淵 澄夫君

      河野 正美君    谷畑  孝君

      宮沢 隆仁君    石井 啓一君

      濱村  進君    井坂 信彦君

      吉川  元君    小泉 龍司君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         岸田 文雄君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済再生担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)     稲田 朋美君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   復興副大臣        谷  公一君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務副大臣        関口 昌一君

   財務副大臣        古川 禎久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴木 繁治君

   会計検査院事務総局第二局長            藤崎 健一君

   会計検査院事務総局第五局長            太田 雅都君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  桝田 好一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   松山 健士君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  渡会  修君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 福島  章君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   太田  充君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤田 利彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 康裕君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     八木 哲也君

  國場幸之助君     田畑 裕明君

  武井 俊輔君     比嘉奈津美君

  石井 啓一君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     石川 昭政君

  比嘉奈津美君     岩田 和親君

  八木 哲也君     池田 佳隆君

  濱村  進君     石井 啓一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     熊田 裕通君

  石川 昭政君     前田 一男君

  岩田 和親君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     橋本 英教君

  牧島かれん君     湯川 一行君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     國場幸之助君

  湯川 一行君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十一年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十一年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十一年度政府関係機関決算書

 平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十一年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十二年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十二年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十二年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十二年度政府関係機関決算書

 平成二十二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十三年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十三年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十三年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十三年度政府関係機関決算書

 平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十三年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

松浪委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官桝田好一君、内閣府大臣官房長松山健士君、消費者庁審議官菅久修一君、総務省行政評価局長渡会修君、総務省自治行政局公務員部長三輪和夫君、総務省自治財政局長佐藤文俊君、総務省総合通信基盤局長吉良裕臣君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、外務省大臣官房審議官金杉憲治君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、外務省大臣官房審議官福島章君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、財務省主計局次長福田淳一君、財務省主計局次長太田充君、国税庁次長藤田利彦君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省健康局長佐藤敏信君、厚生労働省社会・援護局長岡田太造君、厚生労働省政策統括官唐澤剛君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、中小企業庁事業環境部長松永明君、国土交通省大臣官房長武藤浩君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君及び防衛省大臣官房衛生監鈴木康裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松浪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

松浪委員長 これより、各件に関し、国の財政等の概況及び行財政の適正・効率化について重点事項審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 きょうは、麻生副総理・財務大臣、そして甘利大臣初め政務の皆さん、そしてまた、各省庁の皆さん、こうして質疑の機会をいただいておりまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、きょうの報道も含めて、年末に向けて、特に社会保障分野、自然増の取り扱いでありましたり、あるいは診療報酬改定など、民主党政権時代には、私も与党内で医療、介護のワーキングの座長をさせていただきましたり、あと、最後、きょう、野田前総理もいらっしゃいますが、財務政務官の方も務めさせていただきまして、社会保障分野については、私自身も、与党時代も含めて、ずっと取り組ませていただいてまいりました。

 そういった中で、今回、消費税も八%の引き上げが決まり、自然増部分についても一兆四千五百億の財源がこの消費税増分の中に含まれ、そしてまた、診療報酬改定分も含めた医療の充実についても、満年度で約八千億、そしてまた、八%時でも、五千億の充実分の中の一千億が医療の施策に充当される、こういったことでございまして、昨日衆議院を通過いたしました社会保障制度改革プログラム法案、今隣でまた委員会をやっていますが、私も三度質疑に立たせていただきまして、社会保障の充実と適正化についての議論も重ねてまいりました。そういったことを踏まえて質疑をさせていただきたいと思います。

 自然増の扱いから先に言っていたんですが、診療報酬について先にお伺いをさせていただければと思います。

 委員の皆様方にも、お手元の資料二ページ目をごらんいただければと思います。

 これは、民主党政権の成果と課題ということで、私自身が、まさに成果もあれば大いなる課題もあった、そういった謙虚な反省に基づきながら、党の立て直しに努めていかなければならないという中で作成した資料でございます。

 医療、介護の再生につきましては、自然増、これは小泉政権時代に二千二百億円ずつ削減、そしてまた、診療報酬についても、左下の資料にございますが、十二年度改定を最後に、十四、十六、十八、二十と自民党政権の中でのマイナス改定の流れを、二十二年、二十四年と民主党政権になって十年ぶりのプラス改定という形の流れになりました。

 そういった中で、医師不足の解消、あるいは介護サービスの拡充、特に救急搬送のたらい回しというようなことが社会問題になったり、そしてまた患者さんが入院した瞬間に次の転院先も探さなきゃいけなかったりして、医療難民というような言葉も生まれたり、さらには介護難民というようなことまで社会問題となって、そういった流れの中で、我々の政権下では何とかそこに歯どめをかけた。歯どめをかけただけであって、まだこれからが本当に真価が問われる、そういった状況ではないかというふうに考えております。

 そういった中で、今回、診療報酬改定、年末に向けて与党内でもさまざまなお取り組みがなされておられるようですが、まず、財務大臣、基本的なことを確認させていただきたいんです。

 今回、消費税の引き上げ分、八%時におきましても、消費税が上がる物価上昇分、これについては二千億円が充当されています。そしてまた、それとは別に、先ほど申し上げましたが、全体として八%時では社会保障の充実分が五千億、その五千億円のうちの一千億円が医療の充実分ということで計上されています。

 そうすると、当然、診療報酬の改定に際して、私は引き上げがまだ必要だという認識でございますが、消費税の引き上げ分に充当される診療報酬二千億と、そしてそれとは別に通常の改定分、これは一千億の中からどの程度充当されるのかということになるんだと思いますが、通常の診療報酬の改定財源、これはそれぞれ別ということが基本の認識だと思いますが、それでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 柚木先生の御主張は、薬価の財源を活用して、診療報酬の本体部分のいわゆる経費を引き上げるべきという趣旨なんですね。今ずっと言われましたけれども、多分そういうことを言っておられるんだと思います。

 この点につきましては、先日、十一月の十五日でしたか、経済財政諮問会議において議論となったところであります。

 このとき、まず民間の議員の方からは、診療報酬本体部分というものを引き上げると患者の負担がふえるということになりますので、消費税を引き上げるというタイミングを考えれば本来引き下げるべきではないか、また、薬価の引き下げ分の財源を診療報酬本体に流用するということは問題ではないかという御意見がありました。

 私の方からは、その場では、医療費の増というのは企業とか家計にとりましては負担の増になるわけなので、足元の医療経営というのを見ますと、御存じのように改善をしてきておるのははっきりしております、したがいましてこうした負担増は本来回避すべきなのであって、薬価改定からは御存じのように財源が生まれるわけではありませんといった点を申し上げたと記憶します。

 さらに、総理の方からも、新たな国民負担につながることは厳に抑制する必要がある、また、診療報酬のあり方初め、自然増、高齢化とかに伴い自然にふえていきます自然増を含みます社会保障の歳出の合理化とか、また効率化に最大限に取り組む必要があるのではないかといった御指摘をいただいたところです。

 こうした議論を踏まえまして、医療費また社会保障費につきましては、自然増を含め、合理化、効率化に最大限に取り組んで、診療報酬本体も絡めまして、極力その水準というものを抑制する方向で今後の予算編成においては調整をしてまいりたい、私どもとしては基本的にそのように考えております。

柚木委員 今の御答弁について少しこの後深めていきたいんですが、もう一遍、大臣、済みません、冒頭お尋ねをしました基本的な確認をぜひ御答弁いただきたいんですね。

 消費税の引き上げ分は、診療報酬、例えば三%上がればその分三%、当然いろいろな仕入れ材料とかも含めて引き上げになるわけで、そのための財源が二千億円、今回、まさに隣の厚労委員会でやったプログラム法の議論の中でもこれは明確に明記されています。そしてまた、それとは別枠で医療の充実分、これが一千億円、数字も入っております。

 ということは、消費税が引き上がった部分を診療報酬で手当てする部分と、それから、それ以外の医療の充実に対して、引き下げという方向感のお話はありましたが、しかし、一千億円については医療の充実分で明確に計上されていますから、それは、プラスかマイナスかというのは今後わかるわけですが、消費税の引き上げ分を診療報酬で対応される部分と、それ以外の医療の充実分を診療報酬で対応される場合には、これは違うという理解がないとその先の議論に進めませんので、もう一遍御答弁お願いできますか。

麻生国務大臣 これはもう長い間の議論の一つですけれども、診療報酬を引き上げるかどうかは別にして、少なくとも、消費税が上がることによって、納入される品物、ガーゼから注射器に至るまで、消費税のかかります部分が上がりますので、その部分につきましては、いろいろな形で対応していくということになろうと存じます。

柚木委員 ありがとうございます。

 昨日、自民党さんの議連の三百人の皆さんが集まられて、そういった取り組みについても、多分、与党の中でも議論がなされておると思います。まさに消費税が引き上がる分と、そしてそれ以外の医療の充実分、これはプラスかマイナスかは別として、別だという認識は、今の御答弁で間違いなかったわけですね、財務大臣。うなずいておられます。ありがとうございます。

 その前提でお話をさせていただきますが、今、私は、薬価財源を医科本体あるいは全体のネットでの改定財源に充当するということを一〇〇%是とするかどうかというのは、私の中にもそれは考えがございます。そのことは、大臣はそういう考えだというふうなことを言われたんですが、私の中でちょっとそれぞれ考えがあるので、この後議論させていただきたいんですが、そもそも、私の認識は、先ほどの、民主党政権でネットプラス〇・一九と、それから〇・〇〇になっているのは〇・〇〇四ということなんですが、二十二年度、二十四年度改定で、これはネットプラスです。そして、当然、医科本体部分についてはさらにプラスということになっております。

 ですから、ぜひ、財務大臣、今回、医療経済実態調査の中で、確かに一定の経営状況の改善が見られる部分もあれば、しかし、ここから先が重要でございまして、例えば救急搬送の部分、大臣も御地元で病院経営もなされておられましてよく御存じと思われますが、例えば産科救急、小児救急、あるいは重症の患者さんの救急、一般救急、それぞれ消防庁の方で毎年調査をしております。

 なぜこういう調査がされるようになったかといえば、二〇〇六年、奈良県で妊婦の方が、十九の病院、これがたらい回しと言うと現場の方には大変酷なんですが、受診不能状態ということで受け入れができずに妊婦さんが亡くなられ、私、そのときに現地に伺って泊まり込みで、いろいろな、それぞれの御遺族の方、あるいは現場の病院、当事者であるお医者さん含めて、奈良の県庁にも伺いました。議論をさせていただいて、そして、全国二十四時間、いつでも誰でもちゃんと妊婦さんが、特にハイリスクの出産でも受け入れができる総合周産期母子医療センター、この完備がおくれていたんですね。奈良県が一番おくれていた。当時の柳沢厚生労働大臣にも質問をさせていただいて、一年間前倒しでの整備をここで御答弁いただきまして、このやりとりは翌日の全国紙の一面で報道されました。

 そして、そういうようなことがあって、平成十九年度以降、各救急搬送の、いわゆる今調査しているのは四回以上のたらい回しがどういった件数で、その増減についても調査がされてきております。

 この推移、私もきのう改めて調べました。調べてみて、ちょっと残念だったのは、十分に改善されているとは言いがたいんですね。ざっくりと言いますと、産科救急は、私も質問させていただいて以降、約千件あったたらい回し件数が五百件まで、二分の一まで減ってきています。ただ、それ以外の、重症患者さんのたらい回し件数や、あるいは小児科の救急搬送の件数、四回以上、これはふえてきているんですね。

 そういうことも含めて、これは田村厚生労働大臣もそういった趣旨のことを言われていると思いますが、やはり全体としての、今の財務大臣がお答えになった経営状況、あるいはお医者さんの給料を含めた状況と、しかし、地域ごとの、あるいは診療科ごとの、まだまだ不十分な体制整備、こういったことがあるわけでございます。そして、そういったことの解消に向けての取り組みを進めていこうと思えば、当然、そういったところに対して改定財源を増額する、あるいは予算上の対応もとる、こういったことも、来年度の予算の中にも含まれているわけですが、行っていかなければならないわけでございます。

 したがいまして、少なくとも、マイナス改定、こういうことであっては、まさに道半ばのこの取り組みが途中で頓挫してしまう、そういった危機感を持っております。

 私の認識は、二十二年、二十四年とプラス改定、民主党政権のときにしておりますが、まさに、救急でいえば、まず止血をして、そして、ようやく手術が、何とか今命が助かって、これからリハビリをして社会復帰していく、このプロセスにまだある状況だというふうに認識をしております。

 ぜひ、財務大臣、御答弁の中で本体プラスマイナスというような御趣旨のお話がありましたが、医科本体と全体の診療報酬のネットプラス、ここは丁寧に区別をしていただきまして、先ほど、全体でのネットについてのプラスマイナスという御趣旨の御答弁だったと思います。薬価財源が医科本体プラス財源にこの間回ってきたというところについての議論はあったわけですが、それを別財源で確保することも含めて議論が今進んでいくと思いますが、少なくとも医科本体についてのプラス改定ということでなければ、例えば、先ほど申し上げたさまざまな不足診療科への手当ても含めて、これは進んでいかないわけであります。

 少なくとも医科本体については、充実するところは充実する、そういうふうな御認識でよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 これは質問通告が全然来ていませんから、全体としてしか申し上げられませんけれども、診療報酬を上げたら間違いなく、医療の、救急医療、また産科の入院等々に対する対応が給料を上げればよくなるか。そんな簡単なものじゃないですよ。隣にお医者さんがいるからよく知っているだろうけれども。よく知っていますよ、自分のところでもやっていますからわかりますので。

 これは、医者のモラルの問題であってみたり、そのときにたまたま急患が重なってみたり、それはいろいろな状況が重なりますので、診療報酬さえ上げれば片づくというような単純な話ではないと存じます。

柚木委員 まさにそれは全く同じ認識でございまして、私が政務時代、あるいは与党の責任者の時代にも、それこそ予算上の対応、あるいはコンビニ受診、救急車をタクシーがわりに使うようなそういった感覚も含めて現場が疲弊をし、そして、まさに今の搬送件数がふえている要因の大きなものとして、軽症、中症以下の患者さんの搬送件数がふえていることもあって、その結果、本当に命にかかわる重症な患者さんが受け入れ不能なことも起こり得るわけですね。

 ですから、そこについては、例えば、医療機関によっては、そういった部分に対しては患者さんに救急車の利用料をいただいたり、あるいは、外来受診についても、紹介状なくいきなり大病院に行っていただく場合にはそこは御負担もいただく、そういったことは、実務は私自身が先頭に立って取り組んできた部分でもありますので、財務大臣がおっしゃっている部分は認識を共有させていただいています。

 その上で実は今質問をさせていただいておりまして、予算上の要望も、今回、救急医療体制の充実、二十三億一千九百万円、これは、概算要求段階でも新規枠も含めて要望されております。周産期の医療体制の充実についてもそういった要望が入っています。

 ですから、これは、何も診療報酬だけで対応するということではなくて、予算的な施策の取り組み、あるいは、それこそ我々政権のときにも、例えば分娩一時金、これは一分娩一万円だったと思いますが、そういった手当てをして、そして、産科、小児科、いわゆる不採算部門、リスクの高い部門、こういったところについての手当てもさせていただいたり、つまり、経営上のインセンティブも高めたり、いろいろな取り組みをセットで取り組んでいく、それは今大臣のお答えになられた趣旨のとおりだと思います。

 そういったことを含めても、やはりまだまだ地域によっては、例えば、私の地元、岡山県倉敷市でございますが、旧三市が合併して一つの市になっています。ところが、そのうちの旧市の一つでは、公立病院であるにもかかわらず、産科のお医者さんが十年間一人医長で取り組んでこられて、その方というのは、夜、とにかく倉敷市内から外に出ない、お酒も夜飲まない、そういった状況で十年間続けられて、そして、ついにおやめになって、お産ができなくなって、倉敷市の中心部まで出てきて出産をする。私の地元でも、そういった意味ではお産ができなくなってしまっているところがふえてきている。全国的にも、里帰り出産しようと思って戻ったら、そこで産めないからまた戻ってきてというような状況も起こっているわけです。

 ですから、そういったことを対応していこうと思ったら、やはり、予算措置はもとより、診療報酬上の対応でさらなる充実に努めなければ、そういった、お産ができない、あるいはハイリスクの分娩で奈良県のようにお亡くなりになってしまうような事例が今後も起こらないとは限らない。

 実際、奈良県の後も、幾つかそういった不幸な事例がありました。東京都内でもありました。それぞれ、私、現場に行ってお話も伺ってまいりましたが、現場の方からお話を伺う中で、そこの診療報酬や、あるいは予算上の対応でさらなるサポートをいただくことで現場も頑張っていける、受け入れ体制が整っていく、そのような話でございました。

 ですから、今後の、年末に向けての改定の議論、中医協の中でも議論はもちろん行われますが、与党の中でも、そういった、どこを重点化すべきかという議論も行われるというふうに聞いております。

 不足診療科である産科、小児科、あるいは最近では外科、麻酔科も同様でございます。そしてまた、診療所の中でも、有床診療所を初めとして、そういった救急から退院できなければ、転院できなければ救急の病院の病床が埋まってしまいますから、まさにそこで後方機能の充実がなければさらなる救急患者を受けられないというようなことも含めて、全体の医療連携、あるいは地域包括ケア、在宅医療の推進、こういったことを進めていく中で、重点化すべき、充実すべきはしっかり改定財源の中でも充当いただく、そういった認識についてはぜひ共有いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 医者が偏在しているという話です。

 御存じのように、小児科、それから産婦人科医、また今、麻酔科もそうかな、総じてそういうところのお医者さんというのになり手がないという状況というのは、これは何ですか、給料のせいですか。柚木先生はどう思っておられるのか知りませんけれども、そういう状況が、果たして、いわゆる皮膚科は多い。なぜなら、急患がないから。それは、水虫で急患はありませんわな。それは確かにそのとおりなんですけれども、そういった形で、お医者さんのなり手が多いけれども、どの科に配属もしくは希望するかというのは、個人のモラルの問題とか、士気の問題とか、矜持の問題とか、いろいろなものを含めて、これは全体的に今後考えていかねばならぬ問題なんだとは思います。

 子供さんが産まれる確率の高い、平均年齢が若い人の住んでおられるところと高齢者の多いところで医者の配分が違ってくるのは当然なんですが、そういったバランスやら何やらというものを含めまして、今後、いろいろな意味でこれは、もう一つ、改めて、少子高齢化の中にあって、考えていかねばいかぬ大事な問題だろう、私どももそう思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういった偏在の部分も含めて、ぜひ、今後の改定の作業の中で、先ほど、診療報酬の消費税が上がる部分についての手当ても消費税の中でされている部分と、そして、それとは別に、医療の充実分に一千億円計上されていますから、その中で、それぞれが、これは別だという御理解をいただいておりますので、この部分について、しっかりと、充実分については今おっしゃっていただいた部分に充当いただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 それで、実は、経済財政諮問会議の中で、自然増についても、これは総理御本人も、安倍総理も、これについては適正化、つまり削減というようなこともお話をされているようです。

 しかし、冒頭申し上げましたように、今回、診療報酬改定のみならず、自然増部分についても、消費税の引き上げ財源の中に含まれております。ですから、これを削減するということになると、では、その消費税のために確保しておいた自然増部分はどこに使われるのかというような話にもなりかねませんし、そうすると、やはり国民の皆さんに、社会保障を充実する、あるいは安定化、つまり持続させていく、そしてもちろん効率化も必要なわけですが、その効率化とは別に、自然増部分についても、消費税の中に含まれているにもかかわらずそこを削減するということになってしまいますと、これは本当に約束違反ということになってしまいます。

 ですから、今回も、充実が三・八兆、そして適正化が一・二兆、プラマイ、ネットで二・八兆というのが政府の方針でもございます。その一・二兆についての適正化というのは、もちろん今後の議論で進んでいくと思われますが、自然増、年間約一兆円、高齢化と医療の高度化分ですね、これまで切り込むということになると、消費税を何のために上げるのかというような話にもなるわけであります。

 効率化、適正化の一・二兆についての取り組みは、私も進めていくことの認識は共有しています。ただ、自然増部分についてまで切り込むとなると、これはもう消費税の引き上げの財源、そこにも切り込んでしまうことになりますので、そこはしっかりと確保いただいた上で、しかし、必要な適正化、効率化、まさにコンビニ受診だったり多頻度受診だったり、病院に患者さんが来ていなかったら、患者さん同士で、あの人は最近見ぬな、病気かなというような、何かブラックジョークのようなことにもなりかねない、そういったようなことについての適正化は必要ですが、自然増部分については、しっかりと消費税の中で明記されているわけですから、確保いただいた上での適正化、効率化に努めていただくということで、財務大臣、御認識はよろしいですか。

甘利国務大臣 冒頭、経済財政諮問会議においてそういう議論が出たということでありますので、担当大臣としてお答えをいたします。

 自然増分についても、効率化、合理化できる部分は当然あろうかと思います。自然増が、中身の精査をしっかりされた後の増であるならば、それはきちっと対応すべきものだと思いますけれども、自然増の中身が、こういう方法をとればさらに合理化、効率化ができるという部分はあろうかと思います。

 医者から出される薬を全部飲むと病気になるぞというようなブラックジョークもかつてあったわけでありますし、そこはいろいろと、情報化の進展に従って、より効率化できるところもあるでしょうし、いろいろな対応をしながら合理化、効率化を図っていく中で、言い値の自然増というものが精査されてくるという場面もあろうかと思います。

 そういう意味で、自然増分についても聖域なく見直していくという表現を民間議員から出されたわけでございます。

麻生国務大臣 今、自然増の話が出ましたけれども、例えば医療費について申し上げれば、平成二十六年度の概算要求では、前年度比プラスの三千五百億円の自然増が要求をされております。三千五百億、自然増として。

 このうちの薬価、薬で見ますと、御存じのように市場実勢価格というものがありますが、これと薬価を一致させるというのは大原則です。その薬価調査の結果、薬価の値下がりというものがわかれば、以前の高い薬価に合わせて予算を計上するということになると、それは過大計上ということになります。

 そういうことを是正するのは当然でして、これによって別に財源が生まれるわけではありませんから、そういった意味では、後発医療、いわゆるジェネリックと称する後発医療とか、特許の切れた薬というものを大幅に引き下げれば、自然増と呼ばれる経費増加であっても、これは抑制ができるということになろうと存じます。

 一口に自然増と言われても、これはどうしても上げるのは避けがたいというものもありますし、そうじゃないものもありますので、単に過大計上である場合とか、運用や制度の見直しによって抑制できる場合もあろうということだと存じております。したがって、自然増というものは聖域のごとく扱うべきものではない、自然増を含めまして、あらゆる経費の合理化とか効率化とかいうものを最大限に取り組んで、二十六年度の編成に当たってまいりたい、そのように考えております。

柚木委員 両大臣から御答弁をいただきましたが、私が今非常に危惧いたしますのは、確かに私もこの後、まさに参照価格制度も含めて質問させていただいて、後発医薬品の使用促進、さらには生活保護の議論の中で医療扶助についても、私は当時、財務政務官、担当でもありましたから、いろいろな問題点があることは認識しています。

 ただし、そのことの適正化をしっかりと進める部分と、しかし、高齢化、長生きできるようになって、当然のことながら医療費がふえていきます。それは、ある意味では、健康寿命、世界で一番、WHOから、コスト、アクセス、クオリティー、世界でトップの評価をいただいている日本の医療制度の宿命でもあるわけです。

 長生きできることによって、当然、最後いろいろな形で、大臣はこの間、御認識も御発言されていますけれども、終末期医療も含めていろいろな医療費がかかってきて、もちろん、適正化するべきは適正化すべきですが、長生きできることによって発生する医療費にまで切り込むということは、これまでどおりの医療が、あるいは介護も含めて、確保できるのかどうなのかという問題にもかかわってくるわけでございます。

 ですから、逆に私が申し上げたいのは、一口に自然増削減ということであっても、どこをどう適正化するのかという議論なくして、総枠で削るというようなことになってしまうのであれば、これは大いに私は危機感を認識せざるを得ない。

 そして、他方で、国土強靱化法案、今議論もされていますが、公共事業二兆円、景気対策五兆円、あるいは復興法人税の前倒し廃止で九千億円。もちろん、経済をよくしなきゃいけませんが、そういったところは、ある意味、何兆円単位でどんどんお金が出ていく、あるいは、企業へのそういった後押しがされていく中で、他方で、国民一人一人から見れば、消費税は、上がった分は国民は確実に負担するわけですよ、八パー、一〇パー、国の税収がそれによってどう変動しようが。国民の方は必ず八パー、一〇パー分負担されるわけです。

 もちろん、低所得者対策をやりますよ。でも、国民の皆さんには、そうやって消費税が上がる分、あるいは、アベノミクスで、給料が上がればいいですけれども、物価も二%目標で上がっていくとしたら、あるいは、年金は今後マクロ経済スライドで減っていく、年金の受給者の方々は給料がありませんからまさに生活費が純減になっていくわけですね。その中で、医療費の窓口負担も、前期高齢者一割から二割という方向性も示されておりますし、そしてまた、介護の保険料、サービスの利用料、あるいは、要支援を国から市町村へ移すことによって自治体間格差も発生してくる。

 そういうような状況の中で、さらに、自然増、社会保障を消費税で確保されているにもかかわらず、そこをカットしていくということで、本当に国民の皆さんの御理解が得られるのかと私は非常に危惧をいたします。

 一体改革担当大臣、自然増についての認識は、私は、そういう意味では異にしていると言わざるを得ません。しかし、同時に、そこをおっしゃるのであれば、公共事業予算についてもしっかりと切り込んでいただくということでなければ、国民の皆さんに消費増税は御理解いただけないと思いますが、そういった御認識はお持ちでいらっしゃいますか。

甘利国務大臣 政府は、全ての項目について聖域なき見直しをしていくという宣言をしているわけであります。

 これは、社会保障分野についても、社会保障というタイトルを上げれば中を精査しなくてもいいということではないということを言っているわけであります。精査をすれば、国民から預かる大事な税金でありますから、無駄を排するというのは責務だと思います。これはこういう分野だからそういう切り込みは許さぬということは許されないということを申し上げているわけであります。

 もともと、消費税を引き上げるという原点は、社会保障が赤字国債でなされているとするならば、これは持続可能性が危うくなるわけであります。日本の財政が破綻した方向に向かっていく中で、社会保障の継続性が危ぶまれる、だからきちんと恒久財源を手当てする。つまり、赤字国債で賄っていれば将来の持続可能性が危うくなる、それを、ちゃんと将来にわたって確保できる財源をつくっていくんだ、こういう原点もあるわけであります。

 でありますから、赤字国債の部分以外の、ただ拡充に充てろと言われたら、相変わらず残りの部分は全て赤字国債で賄うということは、社会保障の継続性を確保する努力が全くなされないということになりますから、そういう点も加味して消費税の引き上げというのはお願いしているわけでありますし、そういう中で、聖域をなくして、公共事業もそうです、社会保障も、あらかじめ、この看板が見えないか、だから踏み込むなということではなくして、全てについて、無駄があったら切り込んでいきますよという基本的な理念を示しているというふうに御理解いただきたいと思います。

柚木委員 最後に、公共事業も含めてという御発言があったので、そういう意味では、社会保障の充実は認めないけれども公共事業はということではないということは、少なくとも今確認をさせていただけたと思います。

 資料の五ページ目におつけをしておりますが、確かに、そういう御認識については、この間、平成二年以降二十五年度までのデータで見て、実は、平成十年ぐらいまでは公共事業による関係費の国債発行残高の方が上回っているんですね。それ以降については社会保障関係費の部分のウエートが高まってきている部分と、そして、これはまさに小泉政権下において公共事業の予算もカットしていったことによって、相対的にウエートが減ってきているということでございます。

 私が逆に今後危惧するのは、二十五年以降、今、財務省の方で作成をしていただくようにきのうも通告でお願いをしていますが、逆に我々の政権下でも、見ていただくと、下振れしている三角の部分、公共事業予算を、まさにいろいろな御批判もいただきました、コンクリートから人へというフレーズ自体。しかし、どこかで財源を捻出しないと社会保障の予算を確保できないわけですから、我々はそこで切り込んで、そしてペイ・アズ・ユー・ゴー、これは省内の中だけの切り張りじゃなくて、政府予算全体の中での切り張りを行って、社会保障の財源を確保して、そしてプラス改定ということもやってきたわけですから。

 この公共事業予算の方がまた今後、国土強靱化という名のもとに、国民生活強靱化であればまだわかりますが、国土強靱化というような部分でまたこのウエートがふえてきて、その結果、社会保障の部分が侵食されるということになれば、お金に色はありませんから、結果的に、消費増税部分が全部社会保障に充実される、これは法律で決まっていますから当然ですが、それ以外の予算も含めて社会保障の分野が侵食をされてしまう、そういったことを私は危惧しているわけであります。

 今、一体改革担当大臣、経済財政担当大臣の方からも、公共事業の方も切り込んでいくということでありますから、今後の、来年度の予算編成の推移も私は重々注意をさせていただきながら取り組んでいきたいと思っています。

 私も適正化の部分の認識も持っておりますので、後発医薬品について少し質問させていただきたいと思うんですね。

 参照価格制度、これはいわゆる薬価の基準額のようなものですが、やはり、後発医薬品の使用の促進を進めていくという観点に立てば、いろいろな形での取り組みが必要だと思っています。

 財政審、私も何度も出席させていただきましたが、議論の中で、薬剤費の効率化、この具体的な施策の一つとしての価格制度、言及もなされております。これについては平成十年ごろから何度も俎上に上がってきましたが、この導入によって結果的に患者負担、つまり、それで先発品を利用しようと思ったら、その分、患者さんが負担をしなきゃいけなくなりますから、そういった部分も含めて、いろいろな声もあって、これまでは見送られてきたという経緯もございます。

 ただ、ジェネリックを推進するというお話になりますと、いろいろな形でインセンティブ、施策が必要になってくると思います。

 現在の診療報酬体系では、患者負担金ベースで見ますと、場合によっては後発医薬品を選択した方が高くなってしまうということもあり得るんですね。逆に安くなったとしても数十円から数百円程度というようなこともあって、この程度の差額ならば先発品の方がいいという選択をされる方も当然出てきます。

 これは財務省、厚労省、有識者の皆さんも指摘をされておられます。ドイツ、フランス、欧州各国などの後発品を非常に高いウエートで使われている国々では、箱ベースでも、いずれも八〇%以上これを使用されているわけですが、こうした国は、実は参照価格制度を導入して、そして、あえて先発品を選んだ場合にはこの差額が自己負担になるという仕組みをつくることで進んでいるという状況でございます。

 ですから、こういったことも含めて、日本と単純比較するわけにもいかない部分もありますが、何らかの施策を講じて、そして後発品の利用促進を進めていくということが必要だと思いますが、これについて御所見はございますでしょうか。

麻生国務大臣 今、フランスの、ドイツもそうですけれども、参照価格制度の例を引かれました。これは、御存じのように、ジェネリックを使う、ジェネリックまでは政府が払います、しかし、それ以上のものは御自分で御負担ください、簡単にはそういうことになっているんです。

 ジェネリックを基準とする参照価格というものを設定して、そして高いのをとった場合はその差額をいただきますという話というのは、これは一つの考え方としてはわからぬわけではありませんし、私どもとしてこれは大いに参考にすべきものだと思いますが、これを仮に日本で今導入したとしましょう。そうしたら、先発品を長くこれまで使ってこられた方々は、自己負担が急激にふえる可能性というのは否定できないと思います。

 そういうことを考えますと、ある程度、この薬価の話につきましては今後時間をかけて検討しないと、急激に、フランスの制度でうまくいっているから、ドイツでもこれをやっているからというわけにはなかなかいかぬのではないかというのが一つです。

 二つ目、日本の場合は、後発医薬品と言われるジェネリックを使っている比率は四〇%なんですよね。アメリカの場合が九〇%、フランス、ドイツの場合が大体七〇とか八〇とか、そういった話になっているんです。いろいろな国によってその比率が違うんですけれども、私どもとしては、効能においてはほぼ全く同じということなのであれば、政府できちんとやるべきは、後発医薬品の部分はともかく、少なくとも、それ以外のもので、もう特許が切れたにもかかわらず薬価だけが高いというようなものの改定をするとか、いろいろな形のものを考えて、みんなで自然増というものを抑えていくという努力をしないと、今のままでいこうといっても、それはなかなか難しいんじゃないでしょうか。

柚木委員 そういった認識については共有いたしますし、先ほど患者負担の部分の問題点についても指摘をさせていただきましたので、関係のそれぞれの意見も聞きながらしっかりと進めていただきたいと思うんです。

 ちなみに、麻生大臣は、後発医薬品を利用されておられますか。

麻生国務大臣 余り医者に行ったことがないので。

柚木委員 健康に非常に注意をされておられますから。

 お医者さんにかかった場合には、処方で、御自分で判断される場合に、後発品を希望される、そういうお考えはおありですか。

麻生国務大臣 医者に聞かれた場合、効果が変わらないなら全然構いません。

柚木委員 資料の三ページ目、四ページ目をごらんいただきたいんですが、これは後発医薬品の利用の割合、数量ベースと金額ベースで出ておりまして、共済組合を見ていただきますと、これは補正前後、それぞれ、一番上のところ、三・四%が共済組合分ですね。周りと比較していただいて一目瞭然で、非常に利用率が低いわけですね。補正前後、それぞれ三・四と三・五ですから、他と比べると、他の国保とか健保組合、協会けんぽ、それぞれの後発医薬品の利用の割合、これは金額ベースで見たときに非常にギャップがあります。

 ですから、今、財務大臣として、まさに公務員の皆さんを含めて、共済の利用割合、こういうところを率先垂範で高めていただかないと、そもそもの後発医薬品の使用促進は進んでいきませんから、大臣みずからが、自分としてもそういう選択はするというような御答弁も今ありましたが、こういった点も含めての取り組みをしっかりといただけるということでよろしいですか。

麻生国務大臣 今御指摘になっておりました話ですが、厚生労働省の調査によりますと、健康保険組合及び国保のジェネリックを使っている比率は二二%から三%にあるのに対して、共済組合は二一・八%でありまして、〇・二低いということなので、極端に低くなっているというわけではないと思っております。

 また、いずれにいたしましても二〇%台ですから、そういった意味では、私どもとしては、後発医薬品の使用比率を高めるという点から、後発医薬品の利用促進に関しての広報誌やら、また、服用する薬を後発医薬品に切りかえたときの差額を当該組合員に通達する等々、いろいろ取り組みを行ってきておりますので、こういった取り組みは、後発医薬品の使用比率を高めるという努力を今後とも続けていかなければならぬと考えております。

柚木委員 ぜひそこはしっかりと進めていただきまして、このデータについても、直近のデータもぜひまたお示しをいただいた上でお取り組みをお願いしたいと思います。

 そして、その場合に、効果が同じであれば使いたいという御答弁もあったわけですが、効果だけではなくて、後発医薬品の安定的な供給体制、こういったものがなければ、使おうと思っても在庫がないとか調達ができていないとか、そういう事例もこれまであるわけでありまして、そういった安定供給についての使用環境整備については、これはまさに政府としても、予算的な支援も含めて、トータルで適正化が拡大していくということであれば、後発品の使用促進に対してのいろいろな体制整備についてのこういった支援についてはぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 薬が足りなくなるという話は、先生、これはよく医者が言うんですけれども、大体発注していない場合が多いんですよ。

 私のところで、おまえ、足りないと言うけれども、何で前の週に発注していないんだ、これだけ減っているじゃないかという薬の管理が、やはり基本的には、一人ではとても間に合っていないとか、いわゆる薬品を扱う部分と、医薬分業になってきているせいもかなりあるんですけれども、そういった意味で、薬の発注をきちんとする人がいるような大きな病院とそうじゃない病院との差というのは、これは残念ながら、人間には限界がありますから、忙しいととてもじゃないということになるので。

 そういった点も含めて、これは一概に、医薬品が足りないという部分は、それは配達するとか配給するとかいうような部分と少し違う、いろいろな部分もこれはあわせて考えませんと、私どもやっておりますので、一千ベッドぐらい持っていますから、そんな中で見ていると、きちんとそういったものをしているかしていないかというのは、ついております看護婦が、この薬だけが足りなくなってきているとかいうことをあらかじめ薬の方に連絡しておく等々のあれが抜けている、私どもの見た最近の例ではそれが一番多いというのが現実だと思います。

柚木委員 そういった事例はもちろんしっかりと対応しなきゃいけませんが、ちゃんと使用促進のために、流通の体制整備であったり、さらに言えば、今回、後発品を促進していく、参照価格の議論をしていくということであれば、そういった部分に対しての、逆にいろいろな形でのフォロー、サポートも必要だと思いますから、そこの部分については、製薬メーカーあるいは流通段階でのさまざまな支援、日本ブランドの活用で海外に対しての展開をしていく、いろいろな形での、ある意味ではサポート、支援もセットでやっていただかないと、そこだけ削りますよということであっては、全体的な、例えば国際競争力が落ちてしまうとかも含めて、そこの環境整備はセットでお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと時間がありませんので、予防接種についてもぜひ質問させていただきたいんですね。

 実は、予防接種法の改正で、これは我々の政権のときに、この間、子宮頸がんワクチン、そして小児Hib、肺炎球菌、これを定期接種化する、そういった流れの中で、この間の通常国会で予防接種法改正が行われ、そしてそこに附帯決議がつけられております。

 そこの中には、それに加えて、今後、成人用肺炎球菌、あるいはおたふく、水痘、B型肝炎、さらに言えばロタウイルスワクチン、こういった部分が、日本はワクチン後進国という状況でございまして、生まれてくるときの死亡率は低いんですが、乳幼児段階での死亡率は実は高いというような状況もあって、このワクチンギャップを解消していかなくてはなりません。ですから、今回、附帯決議の中でそういった点について、二十五年度中に結論を得る、そして必要な財政上の措置を講ずることに努める、あるいは検討する、こういった文言がございます。

 これは、我々政権が続いていればそこはしっかりやっていくという認識でやってきておりましたが、この点について、我々政権のときには四大臣合意という形で、財務、総務、厚労、そして官房長官だったと思いますが、こういった形でちゃんとそれぞれの省庁が歩速を合わせて定期接種化に向けた議論を進めていくという進め方をしてまいりました。

 ぜひ、今後、これは厚労省の審議会の中で今の残りの四ワクチンあるいは五ワクチン、結論が出た場合には、速やかに関係各大臣が合意をして前に進めていただく、こういった方向感について、よろしいでしょうか。

佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。

 今先生の御質問の中にありましたように、四ワクチン、それにロタウイルスを含めましたワクチンにつきましては、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会等で検討をさせていただいております。

 現在、具体的には、接種の対象者、それから接種の回数、具体的にどういうスケジュールで接種していくのか、さらには経済学的な評価、こういったことも含めて技術的に検討を行っていただいておりまして、こういう結果ももうぼちぼち出始めますので、そういう結果も踏まえて、関係省庁と事務的には協議を行っておりまして、引き続きその協議を進めてまいりたいと考えております。

柚木委員 財務大臣の時間がありますから。総務副大臣、そこは調整、ちゃんとしていただいているんですかね。

関口副大臣 今御指摘いただきましたように、二十五年度に結論を得るということ、これは、附帯決議、大変重要であります。そうした流れに沿って、今後もしっかり検討して、協議してまいりたいと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 財務大臣、最後、一言だけ答弁。

 今、総務と厚労は調整をするというふうなことで言われておりますので、ぜひ、財務省においてもしっかり対応いただきたいと思います。

麻生国務大臣 四省庁でよく協議させていただきます。

松浪委員長 財務大臣、結構です。ありがとうございました。

柚木委員 ありがとうございます。

 それぞれの省庁間でしっかりと連携をいただきまして、残りのワクチンについても、定期接種化に向けてしっかりと進めていただければと思っております。

 あと、そのために、一つ、きょうは主計局の次長にも御答弁をお願いしておりますが、このワクチン、子宮頸がんの副作用問題等もあって、非常に全体の接種率が低下をしてきております。子宮頸がんに限っていえば、私の地元でも、十分の一以下に今接種率が下がってきています。

 こういったことが起こるというのは、実は、予防接種法改正の中でも、PMDAの体制整備、審査部門の増員だけではなくて、副作用の被害が生じたときの迅速な対応も含めた安全管理部門のこういった人員の体制整備のおくれなども、今回の、子宮頸がんが定期接種化されているのに接種勧奨しないというような大変な状況が今起こっているわけであります。

 今後、PMDAの人員拡充につきましては、概算要求で要望も上がっていると思います。これは個別のちっちゃい話じゃないんですね。ワクチン全般にかかわる、国民の皆さんの健康、命にかかわる、こういった施策の体制整備を進めていかずして、幾ら推奨したところで、仮に副反応が起こったときに、こういうような状況も起こるわけでありますから、ぜひ、財務当局におかれましても、審査部門と同様に、安全部門の充実というものも御認識をいただいて、お取り組みをいただきたいと思いますが、福田次長、いかがですか。

松浪委員長 福田主計局次長、申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔に願います。

福田政府参考人 御指摘のとおり、副作用、感染症等の安全対策業務も重要であるという認識のもとにこれまでも対応しております。

 PMDAの具体的な人員につきましては、これから予算編成過程で検討させていただきたいと思います。

柚木委員 以上で終わります。

 甘利大臣、残りの質問ができませんで、済みませんでした。

 どうもありがとうございました。

松浪委員長 次に、菅野さちこ君。

菅野委員 おはようございます。自由民主党の菅野さちこでございます。

 本日は、平成二十一年度から平成二十三年度の決算について質問させていただきます。

 冒頭、さきの伊豆大島における台風二十六号の土砂流による被害及びフィリピン台風三十号による被害に遭われました皆様に心よりお見舞い申し上げ、東日本大震災による被災地福島の選出の議員として質問に入らせていただきます。

 まず第一に、財政健全化についてお尋ねいたします。

 現在、安倍政権下では、アベノミクスは順調であり、円高是正、株価の上昇と、各国からの評価も上がってきております。これからは第三の矢である成長戦略が軌道に乗り、成果が発揮されることを期待しますが、他方で、財政の健全化についても重大な課題と認識しなければならないと思います。

 こうした中、四年連続して新規国債発行額が税収を上回っていたところ、自民党政権になり、平成二十五年度におきましては逆転、正常化したところは評価されるべきではございますが、平成二十五年度末の公債残高は七百五十兆円ほどが見込まれ、国民一人当たりの債務残高は約六百万円近くとなっております。

 本日議題の、平成二十一年度から平成二十三年度決算におきましても、毎年の公債残高は上昇しており、この間、東日本大震災及び欧州金融危機の対策としての側面は否めませんが、この決算審査におきまして、残高の増加幅の妥当性についてどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

 また、現政権におきまして、六月制定の骨太の方針及び八月に定められた中期財政計画におきまして、今後の、平成二十六年度、平成二十七年度の各年度四兆円程度の改善を目標にしていますが、達成の意気込みをお伺いいたします。

古川副大臣 菅野先生にお答えをいたします。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、中期財政計画におきまして、平成二十六年度、そして二十七年度、国の一般会計のプライマリーバランスを四兆円ずつ改善していくということになっております。

 それで、どうやってこれを達成していくのかというお尋ねかと思いますけれども、まず、歳出面におきましては、要求時点から施策の優先順位を洗い直した上で、無駄を最大限に減らしつつ歳出削減に取り組むとともに、税収の動向なども踏まえまして、優先度の高い施策について重点化を図る、めり張りをつけるという方針で予算を編成していきたい、こういうふうに考えております。

 また、歳入面におきましては、今般、消費税率の三%引き上げを実施するということになりましたけれども、これによる税収が見込まれます。それとあわせまして、経済対策パッケージというものを果断に実行しまして、強い経済を取り戻すべく、手を打ってまいります。

 こうした、歳出そして歳入両面にわたりまして手を打つことによりまして、二十六年度、二十七年度、プライマリーバランス四兆円改善ということを達成してまいりたいというふうに思っております。

菅野委員 ぜひ達成していただきたいと思っております。

 続きまして、同郷であります根本復興大臣に、復興予算関連について質問させていただきます。

 まず、復興事業の実施状況につきまして、去る十月三十一日に、会計検査院により国会に報告書が出ております。これは、平成二十三年度、二十四年度の予算の執行状況を検査したものですが、多数かつ多額の事業が実施されている一方、多額の事業費が翌年度に繰り越されております。

 震災時には私も避難を経験し、そして被災した者として、今なお、福島は、多くの、十四万人ほどの方々が県内外に避難生活を余儀なくされており、また、汚染水処理の問題、原発収束の問題、風評被害等、多くの課題を抱えております。

 検査院からは、平成二十三年度、二十四年度に計上しました復興予算十九兆八千九百四十九億円のうち、二二・八%、約四兆五千三百四億円が繰り越し及び不用となっていたことがわかりました。

 こうしたことからも、復興事業が有効かつ効率的に実施されるよう、優先順位、予算の配分や人的、技術的支援を行い、既存の制度の見直しも含め、不適切な事業や障害となっている事項について検証、見直し、国に対し、円滑に復興事業が実施されるように求めております。

 未執行率が二二・八%と指摘されていることについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

根本国務大臣 菅野委員今お話しのように、平成二十三年度及び平成二十四年度の復興関連予算の執行状況、歳出予算現額が約十九・九兆円、未執行額は約四・五兆円、未執行率は約二二・八%となっております。このような未執行額がどうして生じたか。この要因は、主に、まちづくりや除染実施の計画策定について地元との調整に時間を要したことなどにより生じたものと考えております。

 具体的には、例えば地元との調整にどのような時間を要したか。インフラなどの復旧やまちづくりに当たって、被災自治体の復興計画を具体的に事業化するための調整、あるいは地元住民との合意形成、これに時間がかかって執行がおくれた、あるいは、除染については、地元住民の同意や仮置き場の確保などの調整に時間を要した、こういう要因があると思っております。

 このような要因がありますから、我々、重要だと思うのは、津波被災地などにおいての住宅再建・まちづくりと、除染を初めとする原子力災害からの復興再生、このための具体的な加速化措置を講じていく、これが事業促進に当たって非常に重要な課題だと思っております。

 例えば、住宅再建・まちづくりについては、住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースを設置しております。第三弾で用地取得加速化プログラムの策定、これも最近取りまとめましたが、具体的な促進のための加速化措置を三回にわたって取りまとめました。

 多少紹介いたしますと、第一弾では、住まいの復興工程表。これは、津波被災地の皆さんが高台移転は一体どうなるのか、仮設住宅に住んでおられる方が先が見えない、こういう声がありましたから、住まいの復興工程表、これを公表して、具体的に、どの市町村でどこの地区に例えば復興公営住宅ができるか、あるいは用地が供給されるか、こういう復興加速化措置、これが第一弾。文化財の発掘調査の簡素化や迅速化なども盛り込みました。

 そして、第二弾は、用地取得の困難な場合の課題に速やかに対応できるように、手続の簡素化。

 あるいは、第三弾では、土地収用手続や財産管理制度、この手続を画期的に短縮する用地取得加速化プログラムを策定しました。

 さらに、発注者を支援する、そのために、被災自治体への職員派遣を進めております。全国自治体からの職員派遣のさらなる強化、これに加えて、職員派遣の観点からは民間実務経験者の活用、あるいはCM方式の導入など、発注方法などの工夫を実施しております。

 さらに、除染を初めとする原子力災害からの復興再生、これについては、除染・復興加速のためのタスクフォースを設置して、除染とインフラ復旧工事、例えば、インフラ復旧と除染を同時に一体的に施工する。そうすると、これは時間が短縮できますし、除染の進捗状況についての総点検を環境省に要請して、復興の動きと連携した除染を推進しているところであります。

 いずれにしても、大事なのは、具体的な課題を一つ一つ解決して加速化措置を講じていく、これが復興の加速化への対応ということですから、菅野委員、地元を歩いてさまざまな課題に耳を傾けられて、さまざまな提言もいただいておりますが、我々、被災地における課題へきめ細かく対応することによって、復興の加速化にこれからもしっかりと取り組んでいきたいと思います。

菅野委員 ありがとうございます。ぜひ、きめ細やかな対応を引き続きお願いしたいと思います。

 続きまして、復興予算関連で質問させていただきます。

 本来、復興予算は、災害救助、災害廃棄物処理、復興関連公共事業、原子力災害復興関連経費に使われることになっておりますが、さきの検査院の報告でも、復興が進まず繰り越しが多い理由として、各地域における復興建設資材等の調達のおくれ、作業員の不足というケースが多いと書かれています。

 これらの諸課題の解決はなかなか困難と思われますが、どのように考えて対応されるのか、お聞かせください。

根本国務大臣 今私が申し上げました復興加速化措置、これに加えて、委員の問題意識だと思いますが、復旧復興事業における資材不足、作業員不足、この問題も、我々、この対応が必要だと認識しておりまして、これまで、私のもとに設置した関係省庁の局長クラスで構成される住宅再建・まちづくりタスクフォースですが、そのタスクフォースにおける対応、そして、国交省や復興庁などの関係省庁、関係自治体、業界団体で構成される復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会、これを各県に置いております。この二つの仕掛けによって、必要な措置を推進してまいりました。

 資材不足については、骨材の地域外からの調達、あるいは公共事業で生コンプラントの設置をするなど、地域ごと、資材ごとに、関係者によるきめ細やかな需給対策を実施しております。これは、各県で連絡協議会をつくって、その地域の何が不足しているか、きめ細かに需要を把握して、そしてそれに対する対策を実施する、きめ細かにやってまいりました。

 人員不足については、復興JVの導入やあるいは公共工事設計労務単価の引き上げ、これによって広く人材を集める。もう一つは、人材をできる限り効率的に活用することが必要ですから、発注ロットの大型化などの人材不足対策、これらを講じてまいりました。

 これからも、加速化措置を着実に実施する、そして、事業の進展状況あるいは社会状況の変化に伴って生ずる課題、これらに柔軟かつ迅速に対応して復興の加速化を図ってまいりたいと思います。

菅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 また、被災県では、二〇二〇年度のオリンピック実施に向けまして、建設資材そして人材がとられてしまうのではないかと心配しておりますので、その辺をしっかりと確保していただきたいと思います。

 引き続き、根本復興大臣にお尋ねいたします。

 今般の会計検査院での検査の結果、復興予算の使い道が疑問視されるケースが多く見られます。平成二十四年度までの二年間で予算計上された千四百一事業中三百二十六件、二三%に当たりますが、復興に直接関係ない事業とされております。また、十六事業は、被災者への効果は少なく改善が必要なもの、復興事業の経費の積算が不適切なもの、事業の執行に当たり制度改善が必要なものとして指摘されています。

 平成二十四年度までに約二十兆円もの予算措置がなされておりますが、一向に復興は進んでおりません。避難した住民一人一人の生活の自立支援が最重要であり、国が率先して行うべきと思われますが、根本復興大臣は、これらの検査院からの指摘をどのように受けとめておられるのか、お聞かせください。

根本国務大臣 今回の会計検査院の報告については、委員が今お話しのように、二十三年度及び二十四年度、この二年度の復興関連予算、これで措置された千四百一の事業のうち三百二十六事業が復興との関連が薄いと判断されております。

 これは、昨年十一月に復興推進会議決定において使途の厳格化をしたわけでありますが、このときの使途の厳格化の基準を、当時既に執行済みだった事業を含む平成二十三年度及び平成二十四年度の事業に当てはめて、昨年十一月の使途の厳格化の基準を、その前の二年度分の事業に当てはめて会計検査院が独自に分類したものであります。事業の詳細については公表されておりません。事実関係はそういうことであります。

 いずれにしても、平成二十四年度補正予算、平成二十五年度の当初予算、要は、平成二十四年度補正予算以降の復興関連予算、これについては、使途の厳格化を図りました。

 具体的には、被災地域の復旧復興に直接資する施策のみを復興特別会計に計上するということを基本として、使途の厳格化を図りました。さらに、本年七月には、既に予算化されておりました、既に支出済みの全国向けの基金事業、これについても、執行の見合わせ、国への返還を要請しております。

 今後とも、国民の皆さんに誤解を招くことのないように、復興関連予算の適切な執行、そして、今お話のありました復興加速措置、これをしっかりと講じていきたいと思います。

菅野委員 最後になりますが、復興予算は、平成二十四年度までに計十七・五兆円が支出されています。多額の予算の割には復興全体が進んでいないと、私が地元に戻りますと、地元の方々からよく言われております。

 先日、与党で取りまとめられた第三次提言、「原子力事故災害からの復興加速化に向けて」において、新しい生活を選びたいという人も出てきているという認識のもと、「今後の新しい生活を選択するために必要な判断材料を、国は自治体と共働して提示し、それぞれの判断に応じた支援を行う責任がある。」とされています。

 地元被災者の一人として、私も全く同じ気持ちでございます。こうした対応は各自治体が行うべきでありますが、一人一人の生活の自立支援は国が率先して行うべきであると思っております。

 福島は、いまだもって十四万人もの人々が県内外で避難生活を余儀なくされております。福島原発が立地されている相双地区は、気温も温暖で、広い敷地内に、中には牛を飼い、米をつくり、畑を耕し、暮らしておりました。その中の飯舘村という地区は、自治体の中で独自の自治組織をつくり、医療、教育、福祉が充実しており、日本で一番住みたい町として脚光を浴びておりました。しかし、その地域も、避難困難区域として、戻ることができません。

 仮設住宅にお住まいの方々は、夏は暑い中で、冬は大変寒い、狭い住居の中で、本当に困難な生活を余儀なくされています。体を動かすことが少ないために、お年寄りは足腰が弱くなり、病院通いがふえております。また、希望を失った方々が、本当に今の状況は戦争のときよりもひどいとおっしゃって、泣いておられました。こういった状況を一日でも早く解決し、以前のような安心で安全な福島を取り戻し、避難者の人々が本当に明るく元気に過ごすことができるもとのような生活に一日も早く戻してあげたいと思っております。

 そのためには、国が全面的に出てこの問題を解決しなければならないと思っております。今後は、被災して何もなくなった方々に対し、手に職をつけ、一人で生活していけるようにすることも本来の復興支援の手だての一つではないかと思っております。

 復興大臣はこれらのことについてどのように思われていらっしゃるのか、今後の対応をお聞かせいただきたいと思います。

根本国務大臣 菅野委員は、被災者のお一人であられ、そして、被災者の皆さんに丁寧に耳を傾けておられます。私も、菅野委員と同じように、痛いほどよくその気持ちはわかります。菅野委員と同じ意識を私も共有しております。

 御指摘のように、被災者の方々が自立して生活再建を進めていく、これは非常に重要だと思います。このため、さまざまな考えを持った被災者お一人お一人の気持ちに寄り添って、その選択をきめ細かく支援する必要があると考えております。

 先日いただいた与党提言にありますように、新しい生活を選択するために必要な判断材料、例えば線量低減や帰還時期に関する見通しなどを示していくことが重要だと思います。

 政府としては、早期の帰還を目指す地域については、インフラ整備や生活環境の整備を推進する、長期に避難を余儀なくされる方々には、町外コミュニティー、要は復興公営住宅で安定した生活を営んでいただく、そのための整備、そして、新しい生活を選択される方には、適切な賠償の検討のほか、住宅や就職の支援などを進めていきたいと思います。

 いずれにしても、先ほど、飯舘村の例の御紹介もありました。被災者の方々が安心して生活を営めるように、雇用の場の確保、医療、福祉、教育などのさまざまな課題について、各府省、福島県などと協力して取り組んでいきたいと思います。

菅野委員 ありがとうございます。大変心強い答弁をいただきました。

 最後に、確かに当委員会は過去の数値を扱うべきではありますが、今、現に被災県の諸課題となっていることを一日でも早く解決できること、被災地の人たちが一日も早くもとの生活を取り戻し、明るく元気に暮らしていける、その手だてをしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 私も、被災県選出、福島県選出の衆議院議員として、ふるさとを忘れず、ふるさとに寄り添い、ふるさとのために生きるを政治信条に、しっかりと、渾身の努力をしてまいる所存でございます。アイラブ福島をウイラブ福島にして、心を一つに、復興を加速して、頑張ってまいりたいと思っております。

 本日は、財務省、そして根本復興大臣からの真摯な答弁、ありがとうございます。これで質問を終わらせていただきます。

松浪委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十三分開議

松浪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会、宮沢隆仁であります。よろしくお願いいたします。

 本日は、私の元職場のお話になりますので、簡単に自己紹介から始めさせていただきますが、私は、順天堂大学医学部を卒業しまして脳神経外科医になりました。そして、約十五年ぐらいしてから防衛医科大学校病院というところに就職しまして、そこで約十六年勤務しておりました。そこを退職した後に、こうして国会議員になったわけです。

 その防衛医科大学校病院の私の元同僚から、たくさんいるんですけれども、かなりの陳情がございまして、私の選挙区でもないんですけれども、ただ、私の元職場でもありますし、問題点はかなり私にも見えておりますし、ここはいい機会なので、防衛医科大学校という組織を改革するための質問ということで、よろしくお願いいたします。

 防衛医科大学校病院というのは所沢にあるんですが、設立して、防衛医科大学校の卒業第一期生が私の一個上、昭和五十五年卒から始まっております。第一期生が五十七、八歳になっておりますので、医科大学校としてはかなり成熟してきている大学だろうと思います。

 ところが、設立の経緯はいろいろありまして、それをここでお話しすると時間がなくなっちゃいますのでお話しいたしませんが、当時としては新設医科大学校でしたので、今現在、さまざまな問題点、ひずみが出てきております。

 それで、この後、防衛省の方からいろいろ説明していただこうと思うんですが、私に陳情してきた医官とか普通の職員、パラメディカル、コメディカル、ナース等がどのようなことを私に訴えているのかというのをまず先にお話しさせていただきたいと思います。

 まず、旧国公立系の医科大学病院というのは五十三病院あります。そして、その中で、例えば職員の数だとか、そういうのをランキングづけしたものが既に厚労省のホームページにも出ているんですが、それをまとめたものをお話しいたしますと、看護師の数についてですが、五十三病院中五十三位、最下位です。それから、薬剤師の数、五十二位。理学療法士も五十二位。診療放射線技師、五十二位。作業療法士、四十九位。そのほかの職種でもほとんど、あと事務職員が五十三位、これも最下位ですね。

 そういう意味で、絶対数からいっても、八百床という規模の病院にしてはかなり少ない。少ない中で、職員たちは疲弊しながら頑張っているという状況がまずあります。

 それから、いわゆる決算の状況なんですが、普通、私立の病院であれば、これぐらいの支出に対してこれぐらいの収入というデータは出るはずなんですが、防衛省にもう一回確認しましたけれども、医科大学校病院だけを抽出してデータはなかなか出せないということをおっしゃっていました。

 その後、財務省のホームページから、防衛省直属の自衛隊病院全体に対する決算状況というのを評価したデータがありましたので、それをちょっとお読みいたします。

 まずは、今申しましたように、病院単位での収支データが、十六カ所ある自衛隊病院全てで存在しないということです、個々の病院について。

 ただ、平成十九年度に自衛隊病院全体の歳出歳入を書いてある表がありまして、歳入が合計百六億円、歳出が三百二十三億円、それを比率でいきますと、歳出対歳入が三〇五%、人件費対歳入が二〇六%。これは、私立の病院ではこんなことはあり得ないことです。繰り返しますが、これは防衛医科大学校病院単独のデータではありません。

 それから、そこで財務省として問題点をいろいろ指摘しているんですが、歳出の約四分の三が人件費である。そして、これは病院ごとに歳出対歳入比率に大きなばらつき。それから、平時における収支指標は極めて悪い。歳入歳出両面での抜本的な改善、効率化が不可欠。しかも、病床利用率、病院の機能を評価する上で重要な指標なんですが、これが平均で二八%、物すごく低いですね。医官の医療技術の維持向上の観点等からも問題との指摘もあります。

 そこで、防衛省としては、職員しか診ない病院がかなりあるんですが、それを一般市民にオープン化して、収支を上げようと一応努力をしているようです。それが、私が集めることのできたデータであります。

 そして、私のところへ陳情してきた医官ほか職員の言葉をそのままお伝えしますと、悪化の一途をたどっている、あるいは、いろいろなところへ訴えても、のれんに腕押しでどうにもならない、悲惨な状況である、こんな言葉でみんな私に言ってくるんですね。

 そこで、最初の質問に行きますが、まず、防衛省の方から、このような現状を踏まえた上で、とりあえず防衛医科大学校病院に絞らせていただきますが、なかなかデータを出すのは難しいかもしれないんですけれども、収支決算状況ですとか歳入歳出についてどのようにお考えか、ちょっとコメントをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医科大学校の歳入歳出に関してでございました。

 とりあえず数字を申し上げますと、三年度で、歳入については、平成二十二年度が百十五億、二十三年度は百二十一億、二十四年度が百二十七億でございます。歳出の方でございますが、同じく、二十二年度は百九十八億、二十三年度が二百一億、二十四年度が二百億というふうになっております。

 委員御指摘のように、これは医科大学校全体を指しておりますので、病院そのものではないというところはございます。

 以上です。

宮沢(隆)委員 データについてはよくわかりました。

 そのような状況についてどのように評価し、どのようにお考えになっているのかをちょっとお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、その大きさの規模、二百億前後の規模ということに関してでございますが、先ほど委員からも御指摘がありましたように、八十医学部がある中で、旧国公立病院というのがございますけれども、その中でも、他学部のない、単科の医科大学、これが三つございます。旭川と浜松、それから滋賀にございますが、これはいずれも二百六十から二百八十億程度ということですが、病床の数、それから学生さんの数が防衛医大と若干違いますので、規模自体を一概に論ずるのはなかなか難しいと思っております。

 もう一つ、歳入と歳出の関係ですが、これは、国の機関として防衛医科大学校が存在するという制約上、どうしても、そこで上がりました診療報酬については、歳入として国に計上される。教育分と診療分をなかなか分けることができないということがございますので、この辺のところの限界をいかに、実際に診療しておられる先生方にきちっと適切に診療していただくように努力をするかというところに今後も意を用いてまいりたいというふうに思っております。

宮沢(隆)委員 恐らく、かつてのほかの国公立大学病院のように、赤字経営でも、国立だからいたし方ないというようなスタンスなのかもしれませんが、少なくとも、国立でも収益を上げて黒字にすべきだろうと私は思いますし、それができなければ、職員自体のモチベーションが上がらないだろうと思うんですね。逆に、それをよしとする職員だらけであれば、それはもう病院そのものの存在が問われると思います。

 それで、防衛医科大学校病院の特徴としまして、今、年度末に財務省に結局収益を上げなきゃいけないとおっしゃいましたが、やはりそれが一時期問題になったことがありますね。

 平成二十年ごろだったと思うんですが、防衛医科大学校病院を独法化しようという話があって、私はそのころ在籍していますので、結構、仲間の中で話題になっておりました。その当時の普通の職員としての感想としては、普通の私立の病院のように、頑張った分、例えば給料が上がるとか、あるいはいい機械が買えるとかという方向に行くのであれば独法化の方がいいのかな程度にしか考えていませんでした。ただ、こうやって防衛医科大学校病院の収支決算等を見てみますと、やはりこれはもっと深い問題だなというのがよくわかりました。

 まずは、独法化の話がかなりのところまで行って、なぜそれが結局、見直しあるいは頓挫してしまったのか、そこら辺をちょっとお答えいただけますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医科大学校の独法化の議論についての経緯でございますけれども、御指摘のように、平成十八年から、まず大学運営の活性化、効率化の観点から検討を進めてまいりましたけれども、医科大学校の設立の趣旨もございます、これと、合理化、効率化を重視する独立行政法人制度というものの関係について再整理する必要があるということで、一旦、平成二十年十二月に、仕切り直しをするという決断をいたしました。

 それ以降、再度検討を行わせていただいて、特に、自衛隊病院との連携を強化しなければいけないということとか、医官を養成します防衛医科大学校の任務を独立行政法人に委ねた場合に、指揮命令等が十分確保されずに任務等に影響がある場合があるのではないかというような危惧がございましたので、平成二十二年に、防衛省としては防衛医科大学校についての独法化は見送るという結論にさせていただいたところでございます。

宮沢(隆)委員 恐らく、法的な処理にしても相当複雑なので、そういうところもネックになったんであろうと思うんです。

 ここで一つのアイデアなんですけれども、独法化しなくても、何らかの法律を変える等で、いわゆる一般会計から特別会計に移して、そして病院自体が独立採算でできるような方向に持っていくことというのはできないんでしょうか、あるいは検討されましたでしょうか、ちょっとお聞きします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 特別会計についてでございますが、防衛省としてお答えするのが適切かどうかはちょっとわかりませんけれども、現在のさまざまな状況を考えると、新たに特別会計をつくるというのはかなり困難ではないかというふうに考えております。

宮沢(隆)委員 ただ、この問題は、防衛医科大学校を今後どうしていくかということにかなり深くかかわる問題なので、ここでさっと、難しいと思いますというお答えになるのではちょっとまずいかな。本当に重要な問題だと思います。ですので、本格的に検討をしていただきたいと思います。まさに、病院が存続するかしないかの問題にかかわってくる事柄であろうと思います。

 ただ、私も、独法化がベストとは思っていませんので、そこは本当に、法的手段を駆使して、それこそアイデアを振り絞って新しい方法を見出していただければと思います。

 その次は、私、災害特の委員でもあるんですが、首都直下地震それから南海トラフ地震、両方ともかなり勉強させていただいて、そのときのやはり医療チームの重要性というのは改めて再認識したんですが、では、防衛医科大学校が災害のときに、過去にどうだったんであろうか、あるいはこれからどうするんだろうかというのは物すごく気になるんですね。

 それで、実はその点は、平成二十四年三月五日に、予算委員会第一分科会において議論されております。そこで、その当時の、三・一一のときに防衛医科大学校はどのような行動をしたんですかという質問に対して、下条大臣政務官が答えています。それをそのままちょっとお読みしますと、防衛医大自体は、発災後直ちに、医師二名、看護師二名、薬剤師一名から成る防衛医大DMATにより、入間基地の広域災害拠点の立ち上げをまず行いました、東京立川のDMATセンターにも、調整要員、医師一名を派遣いたしました云々と書いてあるんですね。

 この一文を読んで、失礼ながら、そのレベルかよと、私は、ちょっと言葉が悪いですけれども、思いました。少なくとも数十人単位で組織をつくって、災害現場に派遣してもよかったんじゃないかと思いました。その当時、私はもう既に退官していましたので、そのときの状況はわからないんですが。

 もう一つのエピソードとして、その当時、私の脳外科の後輩が救急部に所属しておりまして、まさに三・一一のときに、私を行かせてくださいと上層部に進言したそうです。そうしたら、待てと。最終的に、結局行かなくていいという話になって、防衛医官が災害地にすぐ飛んでいかなくて、防衛医大はどういう存在意味があるんですかというようなことを言って、即やめちゃったそうです、防衛医科大学校病院自体を。その彼は今、別の病院で教授をやっておりますが、そういうこともあったんですね。

 それが防衛省の内局等に伝わっているかどうかは知りませんが、やはりちょっと、今後の災害時のことを考えても、心もとないなと私自身思うんですが、その当時の、三・一一時の対応についてはどのようにお考えでしょうか。

若宮大臣政務官 お答え申し上げます。

 宮沢委員におかれましては、十六年間の長きにわたりまして、脳外科という、本当にまた大事な、重要な部署で実際の仕事に従事されて、敬意を表するところでございます。また、内情につきましても、後輩、同期の皆様方から、実際の内容を非常によく御存じのところだと思いますので、これからもどうぞいろいろとお力添えをいただければと思っております。

 御質問に対します御答弁でございます。そもそものところの部分をちょっと御説明申し上げさせていただければと思っております。

 自衛隊の災害派遣に関しましては、自衛隊法の第八十三条の規定に基づきまして、「都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。」ということになってございます。

 この派遣することが要請できる部隊等につきましては、防衛省設置法第二十七条に定められております自衛隊の部隊または機関とされておりまして、防衛医科大学校は該当いたしてございません。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、東日本大震災におきましても、埼玉県との協定に基づきます防衛医大DMATの入間基地への派遣、そのほか、東北防衛局からの依頼に基づきます宮城県内の遺体安置所支援を行う当該防衛局職員等のメンタルヘルスケア、あるいは官庁間の協力に基づきます御遺体の御検案支援等を実施させていただいたところでございます。

 このほか、これからも、南海トラフですとかいろいろ御懸念のところを重々私どもも承知いたしてございますが、大規模災害に際しましては、現地の自治体の状況あるいは自治体の御要請等に応じて適切に対処してまいる所存でございます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 先生おっしゃるように、三・一一のときの自衛隊全体としてのファンクションとしては、僕は非常によかったと思っています。ただ、その中で、防衛医科大学校は何してたのということを考えたときに、やはりちょっと物足りなさを感じているというのが私の実感であります。

 それからもう一つ、災害についてですが、これも防衛医官から私が教わったんですが、CBRNEという言葉がございますね、ケミカル、バイオロジカル、ラジオロジカル、ニュークリア、エクスプローシブ、これに対応できる病院、例えば国立大学病院というのは、日本には多分防衛医大しかないだろうと思うんですね。

 そういう特性を考えたら、改めて、防衛医科大学校病院のあり方、今後の方向性というのは本当に根本から考え直してもよろしいんじゃないか、私は心からそう思います。

 最後に、小野寺大臣に来ていただいて非常にありがたいと思っておりますが、今までのことを三つまとめますと、結局、今の防衛医科大学校病院は中途半端である、それから魅力がない、ブランド力がない、だから人が集まらない、それから災害時の対応が十分とは思えない、大体サマライズするとそんなような意見が現場からは来ているんです。

 そのような意見をお聞きになった上で、今後、防衛医科大学校をどのような方向に運営されていくのか、ちょっとコメントを最後にいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 ことし三月だと思います、防衛医大の卒業式に宮沢委員も同席をしていただきまして、ありがとうございました。その際に、医大病院を視察させていただきました。委員と同じような内容の現地の状況について説明を受けました。私も問題意識は同じく持っております。その中で、そのあり方について、私どもとしてしっかり対応することが大切だと思います。同じ問題意識を持っていることは事実です。

 それから、特に災害派遣について、これは実際管理をしております私の例えば指示、あるいは自治体の要請等で派遣することができるんだと思いますが、今回の東日本震災の実績を見ても、防衛医大が持っている本来の役割に即して、本当に十分機能していたのかどうか、そこは検証する必要があるということで、例えば災害派遣についてどのような対応が速やかにできるのか、どのぐらいのボリュームでできるのかということは、私の方から指示を今検討するようにしております。

 いずれにしても、委員の御指摘の内容については、私も現地の医師、看護師等からお話を伺いましたし、また、当初お話しされました医師、看護師あるいは薬剤師、理学療法士、作業療法士のアンバランスの問題、これが逆に入院患者の抑制にもつながっているというふうに伺っております。今、看護師の養成についても省内で検討をしているところでもありますので、御指摘をしっかり踏まえて対応していきたいと思っております。

宮沢(隆)委員 前向きなお返事をありがとうございました。

 これで終わります。どうもありがとうございました。

松浪委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 今、大学病院の脳外科の先生の御経験からの発言の後に、私は、町の精神科の医者でございます。本日は、税金の公平負担という観点から御質問をいたしたいと思います。

 私は、今お話ししましたように、地元の町で、以前、国民健康保険の運営協議会の委員というようなものを医師会を代表してやっておりました。その際、年金ほどではないのかもしれませんけれども、非常に国保税の収納率が悪いというのに驚きました。夜、町長さんなども集まっていろいろ会議をして、その中で主たる議題というのは決算報告だったんじゃないかなと記憶しておりますけれども、強烈に印象として残っておりますのが、専用の軽自動車を購入したり、夜勤をするような職員が、夜間、家庭訪問などをやったら収納率がちょっと上がった、よかったよかったというような話があったというふうに記憶しております。

 やはり公平に、納めるべきものは納めていただかなければいけないし、受け取るように体制を整えなければいけないということから、現在、国として、国保税あるいは国保保険料、収納率の現状をどのように捉えられておられるかということをお尋ねいたしたいと思います。

土屋副大臣 河野先生がおっしゃるように、国保の収納率は、地方の自治体においては本当に頭の痛い問題だと思います。平成二十三年度の保険料収納率は八九・三九%となっておりまして、前年度から〇・七八%上昇いたしました。これは、後期高齢者医療制度が施行されて以降最高になったんですけれども、収納率は二年連続で上昇してはおりますけれども、各保険者による収納率向上に向けた取り組みが一定の効果を上げているものと考えておりますが、まだ九〇%を下回っておりますので、引き続き、各保険者による一層の取り組みが必要であると考えております。

河野(正)委員 納めていない方には資格証などというものを発行して計算するんですけれども、一点十円で計算はできるものの、十割を窓口でいただかなければならないということで、極めて医療機関は厳しい立場にあるかなと思います。これはきちんと公平に、国民皆保険制度の根幹でもありますので、お支払いいただきたいというように思っております。

 また、現場の方々は大変な苦労をされていると思いますし、何で役所の職員が一生懸命取り立てをしなければいけないのかなという疑問もあるんじゃないかな、内心思われる方もいらっしゃるかもしれません。また、正当な業務をしていながら、時として罵声を浴びたり、粗暴な行為に出る方もおられるということで、非常に危険であり、大変な任務をされている、現場は苦労されていると思います。

 また、本年の七月には、兵庫県の宝塚市におきまして、税金徴収に不満を持った市民が市役所に放火するという事件が起きております。宝塚市庁舎の被害額は約一億四千七百万円、業務にもしばらくの間支障を来したというふうに報道されております。極めて不幸な事件だと思いますので、やはり、現場の方の苦労を考えますと、国としてしっかりとしたシステムを構築していくことを提起していかなければいけないのかなと思います。

 そこで、まず一つの案ですけれども、最近はどのような町に行きましても、多い少ないの差はあれ、コンビニエンスストアなどがあるかと思います。納付をコンビニで払い込みができるような自治体あるいは保険者はありますでしょうか。そういった数を教えていただきたいと思います。また、あわせて、利用実績としてあれば、件数と総額、あるいはパーセント、教えていただきたいと思います。

神田政府参考人 御指摘の、保険料の多様な徴収方法についてでございますけれども、平成二十三年度の徴収方法別の保険者数ということで申しますと、千七百十七の保険者のうち、コンビニ収納を採用している保険者は六百四十八保険者、全保険者の約三八%、クレジットカード決済を採用している保険者は二十六保険者、全保険者の一・五%というふうになっております。

 このような多様な徴収方法によって収納した件数、収納総額については、収納方法別の内訳については把握しておりません。

河野(正)委員 いろいろ努力されているんですが、あと、もしわかればですけれども、口座とオンラインで連動して、預金口座を持つ金融機関が即時に引き落とせるというデビットカードというのもありますけれども、これを使うことができる自治体というのはあるんでしょうか。

神田政府参考人 デビットカードの決済を採用している保険者もあると思いますけれども、保険者数については現在把握できておりません。

河野(正)委員 御承知のように、カード等を利用する場合は金融機関が入ってくるわけでございますので、利用に際して、集める方、納める方双方、もしくはどちらか一方が手数料を支払うことになると思っております。

 今お尋ねしましたコンビニ決済、クレジットカード、デビットカードの手数料というのを幾らぐらい支払わなければいけないのか、そういった手数料を取られるということだと思いますので、そういうものを国として把握されていれば、一回当たり、もしくは金額の多寡で予算を組んでいくのか、そういったことも含めて情報を教えていただきたい。

神田政府参考人 コンビニ収納等の収納方法を用いる場合の手数料についてでございますけれども、それは基本的に市町村の負担となります。

 その手数料の負担方法については、例えば、一件ごとに手数料を負担する方法、それから、業務委託に伴い、包括的に手数料を負担する方法などがありまして、市町村ごとに異なっている状況にございます。

 具体的な額についてでございますが、網羅的に把握しているわけではございませんけれども、例えばコンビニ収納ですと、一件当たり五十円から六十円程度というふうに承知いたしております。また、クレジットカード決済などですと、収納額の約一%などというふうになってございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 やはり、そういうふうに、集めるのにも非常に経費がかかっていくということになると思います。

 自治体等の負担分については、各自治体でそういうふうに、一%とか、一件五十円、六十円お払いになっているということですけれども、これを各自治体はどのように処理されているか、そういったことを国として把握されていれば、教えていただきたいと思います。

神田政府参考人 御指摘の、収納のための手数料についてでございますけれども、これについては、市町村の事務費ということで負担しているということになります。

河野(正)委員 私の出身地でもあります糟屋郡篠栗町におきましては、住民からの要望を受けて、平成二十四年四月からコンビニ納付をされているということです。この結果、二十三年度の国保税納付率が九一・三八%から九四・五八%に改善したということです。ほかにも要因があったというふうに伺っておりますが、コンビニ納付を行うことで改善の一助になっているのかなと思います。

 また、ちなみに、篠栗町におきましては、保険税に限らず、他の町税も含めての実績が二万三千七百六十一件、納付額が二億五千百五十一万五千三百二十八円。手数料は、先ほど言われましたように、一件当たり五十七円、手数料の負担額が百三十五万四千三百七十七円だそうです。やはり、経費をかけてもしっかりと集めておられる。

 次に、福岡市におきましては、本年五月以降、携帯やスマートフォンで納税が可能というシステムを構築されたと報道されております。あらかじめインストールしておいたアプリケーションソフトを起動して、カメラ機能を使って納付書に印字されたバーコードを読み取れば、あと暗証番号などを入力すれば、口座から自動引き落としというふうになるということです。

 福岡市の方からいただいた資料によりますと、平成二十四年度のコンビニ納付実績は二四・五%、また、二十五年六月からはモバイルレジというのを導入した。モバイルレジとコンビニの、先ほども言いましたように、一件当たりじゃなくて業務委託予算として、データ作成も含めて三千八百五万を計上されているということだそうです。

 そういったように、いろいろな各市町村独自の取り組みとして頑張っておられると思いますけれども、こういった取り組みのほかに、実際に自治体でやっている例を把握されていれば、教えていただきたいと思います。

神田政府参考人 コンビニ収納やカード決済以外の取り組みといたしましては、コールセンターを設置して、電話により保険料の納付を勧奨するという保険者が二百三十二保険者、全保険者の一三・五%、金融機関のキャッシュカードのみで口座振替の手続を可能とする、いわゆるマルチペイメントシステムを利用することによって口座振替を推進している保険者が五十四保険者、全保険者の三%、などの取り組みを行っているものと承知いたしております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 またちょっと話がかわりますが、二〇〇七年のある新聞報道によりますと、先ほどから、市役所の職員の方とかは非常に苦労されているということを言いましたが、兵庫県で、公営住宅の家賃を滞納したまま転居してしまう、そして、連絡がつかなくなったり回収困難になったり、あるいは公立病院の未収金とか、ほかにも、滞納した税金の取り立て、こういったものは市の職員さんとか県の職員さんでは非常に厳しいということから、さらに、業者に委託する例があるそうです。

 業者の話によれば、支払い能力があるのに返済しない例が多いんだ、役所は取り立てが厳しくなく、債務者にとっても支払い順位が高くないということで、なかなか公的機関は払っていただけないような状態にあるというふうに聞いております。

 回収業者に委託する自治体がふえたことに関して、また、こういうことを利用するということに関して、総務省の方に御見解を伺いたいと思います。

佐藤(文)政府参考人 総務省におきましては、平成十九年に公立病院改革ガイドラインというのを策定いたしまして、御指摘の未収金対策も含めて、公立病院の経営改革を促してきております。また、平成二十年には、特に、医業未収金の徴収対策を講じる際の留意事項について通知を出して、取り組みを促しております。

 そこで、現況でございますが、民間事業者への回収委託だけを取り出して調査することはいたしておりませんけれども、そうした回収の委託でありますとか、あるいは病院の内部の回収体制の充実などを含めて未収金の管理強化に取り組んでいる病院は、全体で九百のうち約半数というふうになっております。

河野(正)委員 今、医療機関のことを随分言われましたけれども、やはり私としてここで提起したいのは、そういうふうに税金の徴収というのが非常に厳しい状況にあるということを御理解いただきたいと思いました。

 そうしまして、繰り返しになりますけれども、税金はやはりしっかり納めていただく、一〇〇%納めるべきものは公平性からしても納税してもらうというように対策が必要だと思いますけれども、この点につきまして、麻生財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 税は、これはもういろいろな税がありますけれども、自分が住んでいる地方、国等にとりまして、社会というものを成り立たせていく上において、みんなで負担し合うという意味においては、納税者が不公平感、あいつは払っていないとかいう話になると、これは近所みんな知っていることになりますので、そういった意味では、適正とか公平な課税とか、そういった徴収というものに当たりましては、これはきちっとしたものをやっていかないと、いろいろな意味で、長い時間をかけて不満というものになってくるというのは甚だ問題だと思っております。

 このような観点からすれば、やはり高い納付率というものを維持していくというのは大変大事だと思っております。しかも、期限内に納付を確保するという観点からいきますと、やはり広報とか、三月十五日がとか周知をさせるということは、これは滞納の未然防止という意味においてもすごく大事だと思いますし、また、今言われましたように、コンビニ納付やら電子納税の導入など、納付の手段というのも、我々の若いころとはもう全然違って、いろいろな納付の仕方になってきていると思っております。

 いずれにしても、厚労省の今お話があっていましたが、平成二十四年度の国税ですよ、地方税じゃなくて、国税の納付率は九八・六ということになっておりまして、このところ、二十四年、三年、六年、平成二十年度以降、大体九八%台ということになっておりますので、こういったものは一〇〇%というのはなかなか難しいとは思いますけれども、こういったものがきちっと捕捉また徴収ができているというのは大変大事なことだと思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。ぜひ、引き続きしっかりとやっていただきたいと思います。

 また、先ほどからちょっと話にも出ましたけれども、医療機関の未収金問題というのがございます。

 例えば、医療機関などでも、休日に入院費など高額に、支払いに来られる方もおられるんですけれども、なかなかそれを払っていただけなかったり、あるいは夜間救急外来に来たとき、持ち合わせがないとか、あるいは旅行者であったり外国人であったりということで、後から請求をかけることになります。こういったものにも非常に労力がありまして、なかなか払っていただけない病院というのもあります。

 実は、東京都の場合、八つの都立病院があるそうですが、一一年度の未払い治療費の累積額は十一億四千九百万円というふうに報道されております。

 国として、医療機関の未収金の実態というのをどのように把握されていますでしょうか。

神田政府参考人 医療機関の未収金についてでございますが、平成二十五年三月にまとめられました調査によりますと、平成二十三年度末時点で、一医療機関当たり五千三百万円、百床当たりの未収金額は一千七百万円というふうになっておりまして、少しずつ増加している状況にございます。これは、医業収益に占める割合で申しますと約一%ということでございます。

河野(正)委員 非常にそういったところが、診療報酬がこれから、きょう午前中もお話があったかと思いますけれども、なかなか上がっていくのかどうかわからない中で、一%、こういった、もらえるべきものがもらえない。あるいは、先ほどのように、こういう未収金対策であればクレジットカードなどを利用していけばいいんでしょうけれども、クレジットカードの手数料が一%とか三%、六%とかいうところもあると思いますので、そういうふうになってくると、医業をやっていく上での利益というのは全然なくなってしまって、むしろそこで赤字になってしまうということがあると思いますので、診療報酬がそれだけ上がればいいんでしょうけれども、厳しい中では、こういった問題はきちんと対応していかなければならないなと思います。

 また、日本病院会が行った二〇一二年度のアンケートでも、一病院当たり年間平均一千万円を超えているというような状態だそうです。東京都の方は、一生懸命頑張って、非常勤職員や、弁護士さんを委任契約などされているということだそうです。

 そういったことに対して、またあるいはカード使用とかに関して、補助とかを病院に対してしていくようなお考えはありますでしょうか。

神田政府参考人 患者の自己負担金につきましては、基本的に、医療保険制度においては、医療機関において徴収するということになってございます。したがいまして、まずは、未収金が発生しないように病院で取り組みをしていただくということが大事かというふうに考えております。

 具体的には、生活困窮で払えないという方については、医療ソーシャルワーカーを配置いたしまして、一部負担金の減免ですとか生活保護あるいは無料低額診療などを御紹介するといった相談体制の整備、また、入院時のオリエンテーションを行いまして、例えば高額療養費制度というものが使えるというようなことについても説明、確認を行うという取り組みを行うことによって未然防止を図っていくことが大事かというふうに考えております。

 各医療機関の取り組みとしては、電話の督促、文書の督促が九〇%ぐらいの病院で行われております。また、訪問によるところも六割ぐらいはございます。

 これについての補助ということでございますけれども、基本的には、今申し上げましたように、未収金に対する補助というのは行っておりませんけれども、例外的に、民間の救急医療センターにおきましては、救急医療の円滑な運営を確保するという観点から、不法滞在の外国人であって、重篤な外国人救急患者の救命医療を行って、無保険者について、医療について努力したにもかかわらず回収ができないという場合について、二十万円を超える部分を救急医療センターの補助金額に加算して補助をしているという取り組みはございます。

河野(正)委員 やはり病院、医療機関がしっかり取れということだと思いますけれども、先ほどから言っておりますように、役所であれ医療機関であれ、窓口の方にその責務を負わせるというのは厳しい問題なんじゃないかなと思っております。

 また、自治体等とは異なり、医療機関の場合は、三割負担とか二割負担とか、これを窓口でお預かりする。本来であれば医療機関は十割もらえるんですが、そのうち七割が保険者等から払われ、三割が窓口でいただくということで、いわゆる代理徴収みたいなことになるんじゃないのかなと思っております。これを、弁護士でもないような一病院事務員が取り立てに行っていいのかなということを聞いたこともございまして、これは弁護士法違反じゃないのかなといったことを言われる先生もおられました。

 こういったことについて法的にいかがなものなのかということを、厚労省、あわせて法務省としての見解も伺いたいと思います。

神田政府参考人 一部負担金の法律関係についてでございますけれども、医療保険各法におきましては、保険医療機関から療養の給付を受ける者は、一部負担金を当該保険医療機関に支払わなければならないというふうにされております。また、保険医療機関側は、当該一部負担金の支払いを受けるべきものというふうにされております。また、保険者は、療養の給付に要する費用の額から、一部負担金に相当する額、例えば三割部分を控除した額を保険医療機関に支払うというふうにされておりまして、一部負担金を受領する責任は保険医療機関にある旨規定したものでございます。

 この規定に基づきまして、保険医療機関は、一部負担金の未払い等があれば、先ほど申し上げたような督促等の取り組みをしているというふうに理解いたしております。

小川政府参考人 御指摘ございました弁護士法は、無資格者が、他人の法律事務の取り扱いを業とすることですとか、他人の権利を譲り受けてその権利の実行を業とすることなどを原則として禁止しておりますが、病院で診療を受けた患者の窓口負担の支払い義務につきましては、保険関係の諸法令により定められておりまして、債権者である病院がこれを回収すること、そのことについて弁護士法上の問題は生じないものと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 実は、二〇〇九年七月ごろの新聞によりますと、厚生労働省は、医療機関の経営を圧迫している患者の医療費未払い問題への対応ということで、悪質事例には、国民健康保険を運営する市町村による回収の代行を強化する等のことから、いろいろ事業を行っていくということですけれども、厚生労働省の事業、二〇〇九年の七月の新聞で、二〇一〇年度から本格実施ということで書いてあったんですけれども、この辺について、厚生労働省、どうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。

神田政府参考人 医療保険各法の規定におきまして、まずは、保険医療機関が善良な管理者と同一の注意をもって支払いを受けることに努めたにもかかわらず、なお支払いが行われないときには、保険者は、当該保険医療機関の請求に基づき強制徴収ができる、滞納処分ができるということになってございます。

 医療機関における一部負担金の未収金につきましては、先ほど申しました医療機関の未収金問題に関する検討会というものがございまして、そこで、主な原因としては生活困窮という原因と悪質滞納という理由があるということで、特に生活困窮については一部負担金の減免制度の適切な運用で対応する、また、悪質滞納については、保険者徴収制度の適切な運用が未収金の発生を抑制する上で効果があるというふうにされたことを踏まえまして、平成二十二年九月に、具体的な基準を設けたところでございます。

 具体的には、善良な管理者と同一の注意をもって保険医療機関が支払いに努めたという具体的な基準として、被保険者とか被保険者以外の少なくとも一名に対して少なくとも一月に一回電話で支払いを催促してその記録を残す、療養終了三カ月以内及び六カ月経過後に内容証明の取り扱いをする郵便による督促状を送付して記録を残している、療養終了から六カ月経過後に少なくとも一回は支払いの催促のために被保険者の自宅を訪問して記録を残しているというような基準を設けております。

 また、保険者は、処分の対象となる一部負担金の額が六十万円を超えているか、保険料をお支払いできる所得や財産があるにもかかわらず支払いの督促や催告にも応じなくて保険料を滞納している場合など、滞納処分を実施する状態にあることを確認した上で保険者徴収を実施するということになってございます。

 具体的に、その後の状況で申しますと、平成二十四年四月一日現在で、保険者徴収三百三十八件、実施額が七百二十万円というふうになってございます。具体的に回収できた額は三百八十万円ということでございます。これは、検討会の前では八十六件で、回収できたのは三十四万円ということでしたので、その後かなりふえているということでございます。

松浪委員長 申し合わせの時間が過ぎております。

河野(正)委員 済みません、最後に一言だけ。

 診療報酬の総額がどんどん大きくなるということで、医療費を上げたくないということはあるんじゃないかなと思いますけれども、診療報酬は必要があって膨れていっておりますし、単価が上がっているということはなく、ニーズがふえたので診療報酬全体がふえていく、そういうことで、先ほどからの質問にあったと思いますが、医業に係る仕入れ費用や人件費、非常に大きくなっております。やはりしっかりと回収していただくというシステムはつくっていかなければならないなと思います。

 本当は、医療とマイナンバーをリンクしていけば効率的な医療ができるんじゃないかなということを伺いたかったんですが、時間も来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

松浪委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんな党の井坂信彦です。

 本日は、補正予算、そして財政規律ということで、まず財務省及び財務大臣にお伺いをいたします。

 まず初めに、私、予算書を見るといつも思うわけでありますが、新年度当初予算の金額、この隣には大体前年度の当初予算の金額が並べて書かれています。去年の当初予算とことしの当初予算を比べて、ふえたのか減ったのか、どういう変化があったのか、こういう比較をする資料がいつも配られるわけですが、本来は、前年度の決算見込み、あるいは、どうしてもそれが実務上無理なのであれば、前々年度のもう確定した決算、こういった決算、一年間に使ったお金の総額と新年度の予算を比較すべきではないかというふうに思うわけですが、これについて、まず参考人にお伺いをいたします。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 当初予算を御評価いただくに当たりまして、前年度の当初予算の比較というのがまずもって一つの大きな視点であるというふうには考えますけれども、議員御指摘いただきましたように、前年度の補正後の予算、あるいはその決算の見込み、あるいは前々年度の決算というものと比較をするという視点も重要であるというふうに私どもとしても考えております。

 こうした視点を踏まえてということだろうと思いますけれども、財政法の第二十八条におきましては、国会に予算を提出いたします際、その参考資料として、前々年度の決算それから前年度の決算見込みというものを、当年度の予算と比較する表を提出しなければならないということになっておりまして、二十八条に基づく参考書類の一ページ目にこういう項目が記載をされておるというところでございます。

 当初予算につきましては、こうした書類を参考にしていただいて、前年度の補正後の予算、あるいは決算の見込み、さらには前々年度の決算との比較も含めて、多角的な視点から御審議を頂戴しているものというふうに考えてございます。

井坂委員 なぜこういうところをお伺いしたかといいますと、当初予算と補正予算の規模、日本の場合は、ほかの先進国に比べても、当初予算に対する補正予算の割合が非常に大きいのではないかというふうに考えているわけであります。すなわち、補正がもう本当に微修正の範囲であれば、当初と当初を比べて比較というのも意味があることだと思いますが、日本の場合は非常に補正予算の規模が大きい。

 各国比較でありますけれども、当初予算に対する補正予算の割合ということで、イギリスの場合は一・六%、ドイツは一・七%、フランスは一・九%、いわゆる補正予算はあくまで微調整、微修正という規模にとどまっておりますが、日本の場合は、二〇〇八年に七%、二〇〇九年一五・八%、二〇一〇年が四・八%、二〇一一年は一六・三%、そして二〇一二年、一番直近の決算書で計算しましたところ、一一・三%、こういうことになっています。

 明らかに、日本の補正予算の規模は、諸外国に比べて一桁多いのではないかというふうに考えます。補正予算の本来の趣旨から外れて、これは異常な大きさの規模ではないかと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

麻生国務大臣 これは、その年々、補正予算が発生する事情がその時々によって、三・一一が起きてみたり、いろいろするのも大きい。加えて、災害が毎年秋にということ等もありまして、いわゆる災害による緊急等々が多いなどなど、大きなものが背景にあるんだと思います。

 いずれにしても、私どもとしては、こういった緊要、緊急になった場合のいわゆる支出を行う場合には、きちんとしたものを策定して出さなきゃならぬ。先ほど言いました財政法二十九条で決まっております。

 例えば、今回の例でいきますと、今回策定をいたします五兆円規模の経済対策を実施するためのいわゆる補正予算というものにつきましては、これは、当初予算作成後の十月の一日に、私どもは、消費税率引き上げというものを判断したことを受けて、来年の四月に想定されますいわゆる需要減、経済成長率の鈍化等々の反動減というものに対する対応というものをやっておかないと、来年の経済成長率に大きな影響を与えるというようなことを考えて、補正予算というものを組んでその対応を考えておく必要があるという観点から編成するものでありますから、補正予算の規模というものをもって、本来の趣旨から外れているかどうかを論ずるというのは、少々適当ではないのではないかと思っております。

 また、諸外国の補正予算の話もあっておりましたけれども、その国によりましても、その時々の必要性に応じて決定されるものだと承知しておりますので、これは予算の規模をもって単純に比較できるものではないというように考えております。

 いずれにしても、その時々の事情に応じて、臨機応変にやっていかなければならぬという意味で、額が大きいではないかという御指摘に関しては反論するつもりもありませんけれども、私どもとしては、適切にそういったものに対応していかないと、天災の百貨店というのはいかがなものかと思うけれども、とにかく最近は竜巻から津波まで全部、地震含めて全て起きるような列島に住んでおりますので、そういったことも常に、我々としては、これまで長い間そういったものにこういう手法でやってきたんだと思って、なるべくそういった差がないように努めるという努力はきちんとやっていくべきものだ、私もそう思います。

井坂委員 大臣がおっしゃった、まさに財政法二十九条、規模ではなく中身、もちろん、あらゆる予算に必ず意味があり、用途があり、意味のない予算を組んでいるとは申し上げませんが、しかし、理由があれば毎年補正予算を五兆、十兆、十五兆当たり前、こういうことではないと私は思うわけです。

 もちろん、大臣がやっておられた、リーマン・ショック、百年に一度であった、あるいは三・一一、これも百年に一度の災害と言われる、まさにこういう場合は、財政法二十九条の、予算作成後に生じた事由に基づく特に緊要、緊急に必要となった経費の支出、ここに当たるだろうというふうに思うわけですが、一方で、もう毎年この間、五兆、十兆当たり前の補正予算が組まれている。毎年、この緊要となった経費の支出と言えるのかというと、ここは大いに疑義があるものであります。

 次の質問で具体的に申し上げますが、例えば、高齢者医療費の一割負担の財源、あるいは安心こども基金など、本来は当初予算で組むべき毎年の事業を、これも補正予算にだらだらと計上し続けている例があるように見受けられます。補正があるものだという前提に立った、いわば当初に回さずあえて補正に回す、こういう予算策定は改めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のありました七十歳から七十四歳までの医療費の自己負担割合の軽減、いわゆる二割から一割という件につきましては、六年前、平成十九年度の補正予算の成立というもの以降、毎年の補正予算で翌年度の実施に必要な経費を計上してきた。御指摘のとおりです。

 もう一点、安心こども基金につきましては、待機児童解消のためということで、集中的な保育所整備等を目的とした、各都道府県に設置されるものということになっておりまして、平成二十年度以降、第二次補正予算ということで、毎年の補正予算において計上し、基金の積み増しということなり延長を行ってきたというところだと思っております。

 これは、毎年計上されるのだから予算の編成時点において計上するべきかどうかは、これはきちんと確定しておりませんので、その後、年度中に計上の必要性が確定するという事情に基づいて、毎年、補正予算に計上してきたものであります。

 ただ、本年八月に策定をいたしました平成二十六年度の概算要求基準におきましては、既存のあらゆる予算措置について、従来の計上方法にとらわれず、ゼロベースで見直しを行うということにされておりますので、平成二十六年度予算の編成過程において、こうした方針も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 およそ、あらゆる行政ニーズが、やはり年度の途中に起こってくるわけです。普通は、そういうものを全て当初予算の中に織り込んで一年間の予算を組んでいく。だから、予算をつくってからニーズができたから補正なんだと言い出したら、もうどんどんどんどん補正に回ってしまうのではないかなと思うわけです。

 当初予算というのは、日本の場合はシーリングで非常に上限が厳しく定められている。その一方で、補正予算というのは、これは景気対策とか、年度によっていろいろな目的はありますが、主に予算を使い切ることが目的化しがちではないか。結果的に、査定の厳しさですとか、査定の思想そのものが異なっていやしないかということについて、大臣にお伺いをいたします。

麻生国務大臣 先ほども申し上げましたように、この補正予算につきましては、財政法二十九条におきまして、法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補うというのと、予算編成後に生じた事柄によって、特に緊急を要するとなった経費の支出を行う場合などに策定し、国会に提出できるということになっております。したがいまして、補正予算というのは、毎年の国の歳出歳入計画として策定する当初予算と全く異なる状況下で策定されるものであるということは確かだと存じます。

 しかし、いずれの場合であっても、これは甘い査定によって財政の規律が緩いというような形になってはならぬのであって、補正予算につきましても、財政状況が厳しいので、そういったことも踏まえて厳格に査定をされていく必要はあるというのは当然のことなのであって、真に必要な経費に重点化をしていくという心構え、姿勢というのは常に我々としては持っておかねばならぬところだと存じます。

井坂委員 もちろん、総論でおっしゃれば、厳しく査定をして、めり張りをつけて、重点化していく、こういう御答弁になろうかと思います。

 今の日本の、当初予算を厳しく絞って、補正でばんと出していく、こういうやり方、例えるならば、お昼御飯がお小遣い制で、牛丼やコンビニ弁当でぎゅうぎゅうに、かつかつにやっている、でも、毎晩銀座で豪遊して、そちらの方は青天井だ、こういう日々を続けていたら、財政規律というものはあってないようなものだというふうに私は考えるわけです。

 もし毎晩飲みに行くのであれば、そこまで含めてお小遣い制にしていく、そこで初めて、月々の支出というものが変わっていく、きちんと抑えられていく。当たり前の話で、各国、そういう当たり前の当初予算と補正予算のすみ分けをしていると考えますから、日本は本当に一桁補正が多い、理由はともあれ明らかに一桁多いということ、これは、ぜひ、財政規律をつかさどる財務大臣には、前向きな御認識、同じような御認識をいただくべきだというふうに思います。

 最後に、この件で一点ですけれども、例えば仮に、この間、毎年、景気対策というような形で五兆円規模補正予算をやる、もしこういうような形が今後も続くのであれば、これは当初予算で景気枠五兆円というものをむしろ組むべきではないかというふうに考えるわけです。半年かけてしっかり、通常の予算と同じように査定をして、そして春の通常国会で、二月、三月としっかり国会審議をして、そして四月から一年間かけて、まさに補正のような、短期間にとにかく執行率を上げろ、そういう無理のない、適切な執行をしていく、これが景気対策としても正しいあり方なのではないかと考えます。

 また、先ほどの災害のように、年度初めにどうしても見積もりあるいは使途が限定できないようなもの、ただし、何だかんだ毎年見込まれるというものは、まさにこれは予備費、財政法二十四条の予備費というような、そういう当初予算の計上の仕方もあるのではないか。とにかく、見込まれるものはきちんと予測して、当初予算でしっかり財政規律を守っていくべきだ。

 財政規律と補正の問題、こういったことについて最後に御認識をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 まず最初に、今回策定をいたします五兆円の話ですけれども、五兆円規模の経済対策を実施するための補正予算というのは、これは十月の一日、いわゆる消費税率の引き上げの判断というものを受けて、その引き上げによる反動減対策というものが主たる目的なので、その後の成長率の底上げというのを図っておかないと、今後の日本の経済成長なり景気回復の腰折れになるということに対応するために、これは本年度特有の事情でありまして、毎年五兆円を引き上げるというような景気対策を行うといったようなことを前提としてやっているわけではありません。これがまず一点です。

 したがって、私どもとしては、こうした事情が毎年繰り返して生じるわけではありませんので、当初予算で景気枠五兆円というものをあらかじめ組むといったことは適当ではない、そう思っております。

 そして三点目は、井坂先生の言われるように、きちんとした対応をできるだけ当初予算で、見込みのあるものということなんですが、見込みが最も難しく、後から違っているじゃないかということになりますと話が非常に込み入りますので、私どもとしては、なるべくきちっとしたものにして、確実なものだけ計上していこうとすることになりますものですから、どうしても意識としては少し違ったものになっているんだとは思います。

 しかし、今言われましたように、当初予算と補正予算との差額が、普通だったらこんなものが日本だとこんなじゃないかという御指摘は、私どもとしても、これは心しておかねばならぬところなので、きちんとそういったものを認識して対応していきたいと考えております。

井坂委員 財務大臣、ありがとうございました。

 続きまして、大きな二点目は、社会福祉法人の会計基準及び内部留保についてお伺いをいたします。

 少し前の報道ではありますが、全国の特養がため込んでいる内部留保は、合わせると二兆円あるんじゃないか、こういう報道がありました。これもまた分散型の隠れた埋蔵金では、こういう意見も当時あったと思います。

 ことしの五月に厚生労働省が発表した調査結果では、一施設平均の内部留保が三億一千三百七十三万円ということであります。多過ぎるじゃないかとまず当局に問いかけをしましたら、内部留保が全部悪いわけではありません、当然、施設の建てかえとか、今後行う事業のために計画的に積み立てておかなければいけないものもあるんだ、こういうお答えでありました。社会福祉法人にとって適正な内部留保の金額というものはケース・バイ・ケースだというふうにおっしゃるわけです。法人の規模や今後の事業計画により一概には定められない、それはそうでしょう。

 一方で、では、将来の施設改修に備えた積み立てをちゃんとみんなしているのかといえば、まさに先月末に会計検査院が指摘をしておりますが、そういう積み立てがきちんとできていない法人も多いのではないか、こういう指摘も一方で出ているわけであります。

 福祉事業の維持に必要な積み立てをきちんと行っているのか、逆に、それ以外の、目的が不明確な内部留保をだらだらとため過ぎていないのか、いわゆる望ましい内部留保とそして望ましくない内部留保を分けてチェックするべきだというふうに思いますが、しているのか、そして、しているならどのような方法でチェックをしているのか、厚生労働省にお伺いをいたします。

岡田政府参考人 社会福祉法人の内部留保の問題でございますが、先生御指摘のように、社会福祉法人は、保育所であるとか特別養護老人ホームなど、非常に幅広い事業もございますし、それから施設の規模も大小さまざまということがございますので、一概に適正な内部留保の金額を判断するということは難しいんじゃないかなと思っているところでございます。

 一方、御指摘のとおり、特別養護老人ホームにおきまして、多額の次期繰越活動収支差額を保有しているにもかかわらず、将来の施設改修などに備えた目的積立金を計上していないことなどの実態について、会計検査院から改善の御指摘があったところでございます。

 これにつきましては、厚生労働省といたしましては、この会計検査院の指摘を踏まえまして、計画的に将来の施設改修などのための積み立てを行うことにつきまして、周知徹底を図るなど、必要な措置を講じていく予定としているところでございます。

 また、現在、厚生労働省におきまして、そうした社会福祉法人の会計のあり方についてさまざまな御指摘を受けているところでございますので、社会福祉法人の関係者のほか、会計の専門家など、有識者の方にお集まりいただきまして、社会福祉法人の在り方等に関する検討会というのを今行っているところでございまして、その中で、財務諸表の公表を通じた法人経営の透明性の確保について検討していきたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 透明性の確保ということで、大体、事前に当局にお伺いすると、透明性を確保して世に会計の現状をオープンにすれば、おかしなことがすぐ指摘されるでしょう、こういう話になるわけですが、しかし、私はそれは違うというふうに思うんですね。

 そもそもの監督官庁である厚生労働省がきちんと基準をつくって、適正な内部留保のあり方、規模、あるいは使途、目的、こういったものをきちんとチェックして、逆に、わけのわからないため過ぎについては、これはまた指導、さらにはそれをきちんと社会還元に回させていく、こういう当たり前のことが今できていないのではないかという疑念のもとに、本日、続いて質問をさせていただきます。

 措置費で運営されている施設あるいは保育所、こういった施設は、運営費の三割を超えてお金を余らせてはいけないというルールがあるということであります。

 現状、どうなっているかというと、だから、それを避けるために、三割を超えてお金が余った場合は、その余った分を積立金という名目に回して、余っていませんよ、こういう会計の見せ方をしている施設が、実態はほとんどだというふうに実は現場から聞いております。

 目的を持った定期的な積立金であればまだ問題はないわけですが、こういう余った分をただ余った分だけ無計画に積立金として名目変更している、このような現状は把握されていますでしょうか。

岡田政府参考人 社会福祉法人が経営します保護施設などの措置施設でありますとか保育所では、年度ごとに必要な額を措置費または運営費として国と地方自治体が支弁しておりますので、基本的には、その経営に必要な額ということで、余り残高を生ずるということは想定していないというところでございますが、今御指摘の積立金は、長年経営している中で、社会福祉法人は御承知のとおり非営利法人ですので、利益の配分とかを行っておりませんので、そうした黒字経営を行っていればだんだんたまっていくという形で積立金が生じているというケースもあろうかと思います。

 ただし、措置施設などにつきまして、運営費につきましては、長期に安定的な運営を確保するため、将来発生が見込まれる経費といたしまして、使用計画を策定の上、人件費の積立金であるとか施設整備費などの積立金として積み立てができるというような形で運用させていただいているところでございます。

 さらに、運営費の適正な執行によりまして、適正な運営をしっかりとしてもらう。まず、施設の運営に必要なサービスがきちっと提供できるようなことをやっていただくということをしていただいた上に、長期に安定した経営を確保するために将来発生が見込まれる経費を計画的に積み立てるというようなこと、そういった条件を満たした場合に、当期末支払い資金残高としての保有を認めるというような扱いをしているところでございます。

 この当期末の支払い資金残高につきましては、措置費などの性格上、過大な保有を防止する観点から、当該年度の運営費収入の三割以上の保有になるところとしているところでございます。

 しかし、具体的に各法人がどういうような形で会計処理しているかについては、現状では把握していないというところでございます。

井坂委員 まさにルールは、そういう無定見な積み立ては許さないというルールになっているにもかかわらず、現場では本当にそういうふうにしているかというチェックがされていないというふうに思うわけですね。

 借金や増税で福祉事業の財源を確保している今の財政難のこの時代に、目的が不明確な多額の内部留保を抱えている社会福祉法人、こういうものがあるとすれば、これまで補助金や免税などで優遇する財政的な余裕があるのか、こういう意見も一方であるわけです。

 一定基準以上の内部留保を持つ社会福祉法人についてはまず内部留保を優先して使ってもらう、こういう仕組みも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

岡田政府参考人 社会福祉法人につきましては、社会福祉事業を実施することを目的として設立された法人でございまして、剰余金につきましては、まず、ちゃんとした社会福祉事業に活用してもらう目的で、例えば、建物の修繕などについて積み立てていただく必要があるというふうに思っています。

 社会福祉法人につきましては、新しい会計基準を策定いたしまして、財務諸表上、人件費積立金であるとか施設整備費積立金のように積立金の目的を明確にするような形で新しい会計基準を策定したところでございますので、それに基づいて会計を処理するように現在指導を行っているところでございます。

 また、社会保障制度改革国民会議におきまして、非課税扱いとされているにふさわしい地域貢献を行うべきだ、社会福祉法人がそういった地域貢献を行うべきだというような提言をされていることがございますので、そういう点も踏まえまして、剰余金がある場合には地域貢献のために活動していただくということも必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、財務諸表の公表など社会福祉法人の透明性の確保も図りつつ、地域の社会福祉の担い手であります社会福祉法人がさらに地域貢献に取り組んでいきますように、先ほどの検討会におきまして、取り組みの推進のための方策について検討させていただいているところでございます。

井坂委員 基準の明確化と、そしてそれを透明化してさらすだけでなく、その基準どおり本当に各法人がそういうことをやっているのかどうかという個別の監査、ここが最大のポイントだと思いますから、ぜひそこまで踏み込んでやっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 三点目に、もう時間が少ないので、フィリピン台風被害に対する災害派遣、ちょっと幾つか飛ばして質問をさせていただきます。

 実際、八日に災害があって、十日の午後にフィリピン政府から日本に要請があり、すぐに医療チーム派遣命令を出した。そのチームが、マニラ到着が十一日、タクロバン現地到着が十二日、そして本格的な治療開始が十五日ということであります。七日かかったんですが、別にこれはとりたてて遅いわけではないと事前に当局の方からは伺っております。ただ、要請がなければ動くことができない、ここが一つのネックかなというふうに思っております。

 米国、これはフィリピン政府と軍事協定を結んでいる、こういう特殊な関係上、災害発生から六時間以内に現地入りをしたというふうにも聞いております。日本は、軍事協定ということではありませんが、フィリピン政府と災害支援協定、例えばこういうことで要請を早く出してもらう、あるいは要請がなくても行って現地で準備が始められる、こういった協定についてはいかがお考えでしょうか。外務省にお伺いいたします。

金杉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、アメリカの場合は、米軍中心の速やかなオペレーションというのが展開をされましたけれども、その背景には、米軍要員の待遇に関する訪問米軍地位協定というものが二国間で締結されていたという背景があると思います。

 一般に、災害支援の実施に当たって、必ずしも二国間の協定が必要ということはないと思いますけれども、より円滑な災害支援の実施に向けてどういうことができるのかということは不断に見直していきたいと考えております。

 以上でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 今はフィリピンの個別の話ですけれども、私は、日本の外交あるいは大きな意味での安全保障ということを考えたときに、日本が近隣の国、直接災害支援に駆けつけられる国、また駆けつけるべき国交のある国というのは、数えれば限られているというふうに考えるわけです。

 それぞれの国ごとに憲法が違う、法制が違う、日本との関係も違う、個別の事情はあるわけですが、日本が迅速に対応できる東アジア地域など、こうした対象国にまず限って、近隣の国々には速やかに、まず最低限、要請を出してもらう。日本の災害支援はすぐれているんだ、そして迅速に、ほかの国に要請を出すよりも、うちに早く出してくれれば真っ先にやれるんだ、こういった災害支援実績のPRですとか、あるいは個別の国ごとの営業、交渉、こういったものを進めていけないかというふうに考えるわけですが、その点について御答弁をお願いいたします。

松浪委員長 福島大臣官房審議官、申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

福島政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、フィリピンを含みます東アジア、東南アジア地域の多くの国々も参加いたします国連人道問題調整事務所、OCHAと言われておりますが、そこの傘下にございます国際捜索救助諮問グループというものにメンバーとして入っておりまして、災害時における捜索救助に関しまして、国際的、地域的な協調、連携を行っているということでございます。

 また、我が国の自衛隊につきましては、国際協力機構、JICAとともに、ASEAN地域フォーラムのもとで行われます災害救援実動演習に積極的に参加するなどを通じまして、東アジア、東南アジア地域の国々との意思疎通を図るということをやっております。

 今後とも、我が国の緊急援助が迅速かつ円滑に実施できるように、御指摘のような意思疎通促進に努めてまいりたいと思います。

井坂委員 多国間の取り組みはいろいろされているわけですが、ぜひ二国間の取り組みを個別にきちんと、近隣の国に絞ってやっていただきたい、そちらも御検討をお願いいたしまして、質問を終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

松浪委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、法人税制に関して何点かお聞きします。

 二〇一二年度から、企業の繰越欠損金の控除制度が変わりました。それまでは、七年間、欠損金を一〇〇%控除することができましたが、それが、期間は九年間に延長され、八〇%控除になりました。

 端的にお聞きしますが、一二年度以降の法人税収入にどのような影響を与えたのか、お答えください。

星野政府参考人 先生御指摘の繰越欠損金控除制度の改正による増収額でございますけれども、平年度ベースで千七百八十八億円と見込んでいるところでございます。

吉川(元)委員 なぜこのようなことを質問したかと申しますと、毎年巨額の欠損金が控除され、また翌年に繰り越されております。国税庁の会社標本調査を見ますと、二〇一一年度で約九・七兆円が所得から控除され、約七十六兆円が翌年以降に繰り越されました。

 言うまでもなく、家計は赤字でも繰り越しの控除はできませんし、それから、失業状態でも前年度所得に基づいて住民税を支払わなければいけない、あるいは社会保険料負担をしなければなりません。企業だけがなぜ赤字を何年にもわたって控除できるのか、これはなかなか国民の感覚からはかけ離れているのではないかというふうにも思います。

 それはさておき、この繰越欠損金の控除制度によって、大量の公的資金注入を受け、その結果として業績回復をしながらも、繰越欠損金の制度の恩恵を受けて納税を逃れる、例えば、ことしの三月期になって十八年ぶりに納税をした金融機関もあるというふうにも聞いておりますし、この制度はやはり問題がないとは言えないのではないかと思います。

 一番の問題というのは、やはり課税ベースを大きく縮小させることです。一一年度の法人課税対象の所得というのは約三十四兆円です。先ほど言いましたとおり、九・七兆円ということですから、十兆円近い控除が行われている。パーセンテージでいいますと、課税ベースを二五%小さくしているということにもなります。

 これらを勘案すれば、法人への課税に際し、企業の収益だけに着目するのではなくて、企業が社会的に受けている公的サービスに対するコストとしての税負担というものもしてもらわなければいけない、そのためには景気変動に左右されない課税ベースの拡大が必要だと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは外形標準課税の話をされたいのかな。今の質問の最初の方の話と後の話と少し論点が違ってきたように、時間をまとめて二つ一緒にしようとしているのかどうかわからぬけれども。気持ちはわかるけれども。外形標準課税の方が一番の問題の方、後の方が。(吉川(元)委員「そうですね」と呼ぶ)そうだね。

 これについては、御指摘のありましたとおり、課税ではなく、事業規模に応じていわゆる課税する、景気に左右されないものだという点は、ある意味、利点のある税法なんだと思いますし、これに加えて、現在、地方税においては、法人課税の一つの形態であります法人事業税というものについて、これは応益負担、応益に負担をするというものをもとに、現在既に一部では外形標準課税というのは取り入れられております。そういう実績もある。

 ただし、この外形標準課税というのを今後実際に全部で行っていくということにした場合は、赤字法人であっても、間違いなく課税されるということになります。そういうことになるとどういったような影響が出てくるかというのはちょっと考えないかぬところで、建物が大きいから、おまえ、面積に応じてということになりますと、取り壊してやめちゃうとか、いろいろなことが起きたのも事実でもありますので、ちょっと検討していく必要があろうと思います。

 いずれにしても、課税ベースを拡大するわけですから、課税ベースを拡大するということになると、これは法人税を下げろとかいう話がよくありますけれども、その分だけ課税する対象を拡大していただきますということを申し上げると、それをするぐらいだったらもう法人税は今のままでいいとか、いろいろ皆さん、それぞれの企業にはそれぞれの事情がおありですから。

 これはやはり、国、地方を通じた法人実効税率というもののあり方というのをどうやってやるかというのはいろいろこれまでも議論がされてきたところなので、これはちょっと、吉川先生、この段階でどちらがどうとか言うわけにはいきませんけれども、確かにおっしゃるように、これまで累積欠損というのを、ずっと繰り越しというのをやってきて、昔は五年、それが七年になって、おととしだから、民主党政権のころにこれを九年にしたのかな、何かえらい勢いで延ばされたんですよ。

 だから、そうなってくると、七年だったら今ごろちょうど税収が入ってくるところが幾つもあったんですけれども、九年になっているものだから入ってこないというところがある。それは、私どもの方からいえば間違いなく、あんた、去年何でこんなことしたのなんて思わないわけじゃないですけれども。

 でも、現実問題として、今私どもとしては、法律はきちんとそうなっておりますので、その上で対応していかねばならぬところだとは思いますけれども、この繰り越しはどうするかということについては、これは今後、景気がよくなってきた段階でもう一回考え直さないかぬということもあり得るのかなとは思っております。

吉川(元)委員 いろいろまじってしまいまして、申しわけありません。

 ただ、確かに、外形標準課税について言えば、単純に入れればいいということではないと思います。特に、中小企業を含めていろいろな影響が大きく出てきますし、また、何に対して外形として見るのかというような問題もあると思います。

 それから、やはり課税ベースの問題に関して言うと、例えばドイツなんかも法人税を下げましたけれども、その際、非常に課税ベースを広くとったということがあると思います。今まさに、法人税の税率を下げる下げないとかいろいろな議論はありますけれども、その際にはきちんと、やはり課税ベースのことについて考えていかなければいけないというふうにも思っております。

 それにあわせて少し、もう一点、租特の関係をお聞きしたいと思います。

 透明化法に基づいて、通常国会に二〇一一年度の租税特別措置に関する報告書が提出をされております。これを見ますと、適用法人が九十二万法人、一一年度の法人数は二百五十八万ですから、全体の三五%に租特というのは達しております。もはや特別というふうに言えるのかどうか、その整理や見直しというのは不可欠なのではないかというふうにも思います。

 そこで一点、数字についてお聞きしますけれども、報告書では、軽減税率、税額控除、特別償却、準備金等の損金算入のそれぞれの額が示されておりますが、総額でどの程度の減税になっているのか、尋ねます。

星野政府参考人 先生御指摘になられました租税特別措置の適用実態調査報告、これは法人税関係の租特を対象としておりますけれども、これに基づきます租特の減税総額でございますが、約九千億円と見込んでいるところでございます。

吉川(元)委員 そういう形での減税というものがずっとこの間行われているということで、そういう意味でいいますと、やはり課税ベース自体がいろいろな形で小さくなっている、その点についてはやはり問題意識を持たざるを得ません。

 加えて、消費増税に対する経済対策として、復興法人税の前倒しの廃止で約九千億円、それから産業競争力強化法案に盛り込まれている投資減税やあるいは事業再編減税等々で七千三百億円。法人税の一%というのは大体四千億円程度だというふうに思われますので、これだけで四%以上の減税になる。さらに、今後、先ほど言われましたとおり、実効税率の引き下げ等々が検討対象になっているということで、そういう意味でいうと、企業に対する減税というのは大盤振る舞いになっております。

 一方で、四月以降、消費税が五から八に引き上げられて、これはいろいろ言い方はありますが、単純に言えば八兆円の国民の負担増になる。

 言ってしまえば、とめどもなく企業に対する減税は進んでいって、他方で国民に対する増税が進む、こういう形が残念ながら続いているというのが今の現状だと思います。

 日本の財政を預かるトップとして、この点についてどのようにお考えなのか。税率引き下げだけでなく、先ほど少し外形標準課税の話もありましたけれども、法人税制そのものの抜本的な改革というものも必要なのではないかというふうに思いますが、その点について、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、消費税の増税によりますいわゆる税収というか、税源につきましては、社会保障関係に全部還元されるということにもうきちっとルールで決まっておりますので、これは基本的に国民生活に還元されるということになっております。

 加えて、今回の経済政策パッケージの中におきましては、消費税増税に伴いまして、個人の負担を軽減させるというものの中で、よく言われるように、生涯で一番大きな買い物は住宅ということになりますので、住宅ローンの減税をやる。また、住宅取得に係るいろいろな給付措置、軽減します。また、非常に簡素な給付措置も低所得者対象にやりますといったものを盛り込んで、個人個人の家計に対する対応もかなりやらせていただいたと思っております。

 さらに、経済政策パッケージに盛り込まれております中で、投資減税というものは確かに法人に対する減税ではあります。しかし、赤字法人がとにかく多い中で法人税を下げたって、赤字は法人税を払っておらぬわけですから。そういった意味では、私どもとしては、経済の好循環をやっていくためには、投資したら減税してあげますということにしないとと思っておりますので、今後とも、そういった意味で、企業が元気が出てくることによって雇用につながり、賃金の上昇につながるという方向に持っていかないと、国民生活を豊かにするということはなかなか難しいと思っておりますので。

 決して法人の負担ばかりを軽減させているというわけではなくて、個人につきましてもいろいろそれなりの対応はさせていただいている、私どもとしてはそう考えております。

吉川(元)委員 ちょっと時間の関係もあって、これ以上議論することはできないんですが、社会保障に還元しているというのは、お金には色がついておりませんので、これは少し議論のあるところだというふうに思います。

 また、この間の日本経済の最大の問題点というのは、やはり、企業にお金が積み上がっていく。家計と、それから政府や地方自治体含めて公的部門の資金が不足をするというのがずっと続いてきて、結果として、国は巨大な財政赤字を抱えておりますし、家計についても、貯金できない世帯というのは三割を超える。一方で、内部留保というふうにもいろいろ言われますが、現預金で二百兆円というような、そういうお金が他方に、企業の側にある。これは、やはり社会的な均衡といいますか、バランスというのを非常に欠いた経済状況に今なっているんだというふうに思います。

 もう少しこの点について議論したいんですが、ちょっと時間がありませんので、次の質問に移りたいというふうに思います。

 次に、教育関係予算について麻生大臣の方に尋ねたいと思います。

 十月二十八日の財政審で、教員定数の削減や、あるいは教員給与の引き下げ案という提案をしたというふうに聞いております。

 過日、この案件について文部科学委員会で少し、高校無償化の法案の際に、下村大臣にこの財政審の議論をどう思われますかということを尋ねました。そうしたら、下村大臣の方からは、財政審の議論というのは木を見て森を見ない議論だ、教育がいかに大切かを全く認識していない非常に短絡的な議論というふうに答弁をされており、また、教育は未来に対する先行投資だとも答弁をされました。この点に関しては、私も下村大臣と全く同じ考えです。

 そこでまず麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、現在、日本の教育関係予算というのはOECDの中で非常に低い、最低ラインというふうに言われておりますが、この点をどのように受けとめておられるのか、答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは通告を受けていないので、私どものあれですし、これはちょっと文部省所管の話で、私の個人的見解を聞かれても余り意味がないような気がしますけれども。

 基本的に、今の話でいって、文部省からよく言ってきている話を私どもから見た場合に、教職員の人数をふやせという話がよく聞かされますけれども、少子化が進んで子供が減ってきている中で学校の先生の数はどんどんふえる、子供の教育水準のレベルというのは、その結果上がったか。

 昭和二十年、二十五年生まれといったらこの辺にいっぱいいますけれども、この人たちは六十人のすし詰め教室を食らった人たちですけれども、この人たちより今の三十人学級の方がレベルが高いか、こちらは低いのかと言われると、違うんじゃないんですかねと下村さんにちょっと一回だけ話をしたことがあるんです。これはなかなか意見の分かれるところでありまして、私らのような戦時中の、戦争前に生まれたのと大分状況が違いますから、少し違ってくるとは思いますけれども。

 いずれにしても、子供に教育費というのがどこでどうするかというと、ちょっと文部省の今のあれは人件費に偏り過ぎておりはせぬかというのがいろいろな識者の方々の言われるところで、文部省の中で使われている費用の部分が人件費というものに偏り過ぎているという御批判はいろいろあるところと伺っております。

吉川(元)委員 確かに、昔は、五十人、六十人の学級もありました。もちろん、その時代、果たしてそれがよかったのかという議論もあると思いますし、今、いわゆる学校現場というのは、特に、右肩上がりの経済成長でなくなったという中で、家庭の環境だとか、あるいは子供たちの置かれている状況、さまざまな問題が出ております。いじめの問題一つとってもそうですし。

 そうした問題に対応していくためにも、教育というのはやはりマンパワーだというふうに思いますし、幾ら設備が立派であっても、そこで教える先生方が一人一人の子供と向き合う、そういう時間だとか、人的な余裕ということが、やはり教育においては必要なんだろう。工場とは全く違うわけでして、そこら辺も含めて、やはり、私は、定数は増員をして、少人数学級を実現していくことが必要だと思います。

 関連しまして、実は、文部科学委員会の中で議論させていただきまして、私もそうですけれども、与党の先生方も含めて、非常に不安に感じている点が一つあります。

 といいますのは、今回、高校無償化、公立高校の授業料不徴収というのをやめます。そして、所得制限を入れて、大体八百億円程度の財源をつくって、それを、所得の低い方、あるいは私立に通う高校生のための給付型の奨学金等々、そういう低所得者や、あるいは公私間格差を是正するための新しい施策を盛り込んでおります。

 ただ、これは本来、予算関連ということなので、予算と一緒に審議しなければいけないけれども、来年四月に実施をしたいという文科省の強い意向のもとで、予算が編成中にもかかわらず、この法案を審議しました。

 我が党としては、これは実質的な無償化の廃止ですので、後退だということで、反対をさせていただきました。ただ、そこでできた予算について、きちんとこれが教育に使われる、給付型の奨学金や、あるいは公私間格差の是正、さらには低所得者への支援ということできちんと使われるのか、余ったんだから返してもらいますよというようなことになったのでは、これは文部科学委員会の中で議論してきたことと違うのではないかというようなことも議論させていただきました。

 この点について、所得制限で生み出された財源についてどのようにお考えなのか、お聞きします。

松浪委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁願います。

麻生国務大臣 ちょっとはしょって恐縮ですけれども、これは与党間でさまざまな議論があったんですが、いわゆる所得制限の導入、九百十万によって捻出される額が約八百九十億円ということになりますので、これをいわゆる教育費負担の軽減に必要な経費に充てるということで合意がなされたというように承知をいたしております。それに基づいて、来年度予算編成に向けて、今から予算編成が行われるので、今から関係者間でいろいろやっていくことになろうと思います。

 他方、そもそも、高校無償化の財源の捻出というものは歳出全体の見直しの中で行うものなんじゃないんですかということで、こうした経緯も踏まえる必要もあるのではないかという点が一点であります。

 そして、今回の所得制限の導入によって得られる財源というものの使途については、今御指摘になりましたように、これは最大限有効に活用してもらわなければならぬのであって、これらのさまざまな事情というものを、私はいろいろとわかりますので、事情を十分に勘案していきながら、今後、十二月にかけて、予算編成の過程の中で慎重に検討していく必要があろうと考えております。

吉川(元)委員 確かに、予算編成の途中であるということで、あれだと思いますけれども、与党合意をしっかり守っていただいて、できれば、ぜひ文部科学委員会に大臣みずから来ていただいてお話を伺えればというふうに思っておりますし、ほかの文部科学委員もそのように思っておりますので、その点も最後お願いをいたしまして、私からの質問として、終わります。

    ―――――――――――――

松浪委員長 これより全般的審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 決算行政監視委員会で質問させていただける機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 当委員会の所管事項には、総務省が行う評価及び監視並びに総務省が評価及び監視に関連して行う調査の結果についての調査に関する事項、これについて含まれるというふうにございます。私は、昨年十二月の初当選以降、総務委員でございますので、本日の質問をきっかけにさらに総務省について深く理解を進められると思うと、いい機会を与えていただきまして、大変ありがたいというふうに感謝をしているところでございます。

 本日、全般的審査ということでございますけれども、まずは行政評価の現状について確認をさせていただきたいというふうに思います。

 行政評価と一言に言っても、概括的に大きく二つあるかというふうに考えております。まず一つには、総務省の行政評価局が主体となって政策評価、調査を実施するもの、もう一つは、内閣官房から各府省において自律的に評価をするという取り組みでございます、行政事業レビューとして公表されるもの、こういった二つがあるというふうに認識しております。

 これは、一方では、行政機関が行う政策の評価に関する法律という法律に基づいているものと、もう一方は、閣議決定に基づいているというふうにも存知しておるわけでございます。

 前置きはこのくらいにして、行政評価の仕組みがうまく機能しているかどうかというところについて確認をしてまいりたいというふうに思います。

 近年におきまして、総務省行政評価局による各府省の政策マネジメントサイクルの評価活動、これについて、行政のどのような問題を把握して、どのように改善を指摘してこられたのか、お聞かせください。

渡会政府参考人 それでは、三つ例示を挙げて御説明させていただきたいと思います。

 まず一つ目でございますけれども、道路橋等の社会資本につきまして長寿命化計画というのがございますけれども、そのライフサイクルコストの縮減効果を把握できていないという状況が見られましたところから、効果を算出するための手法等を検討するよう、二十二年に勧告しております。これは、PDCAで言いますと、Aの段階の取り組みが不十分だという指摘をしたというふうに言えるかと思います。

 二つ目でございます。二十三年三月に発生いたしました東日本大震災に関係する申請手続につきまして調べましたところ、罹災証明書根拠法令がないために、市町村によって対象範囲やら発行スピードに大きな差があるという実態を把握いたしましたので、罹災証明書を法的に位置づけた上でマニュアルを作成するよう勧告しております。これは、PDCAのDの段階の実態を踏まえて、Pの段階の不備を指摘したものと言えようかと思います。

 三つ目でございます。法曹養成制度に係る政策につきまして、二十三年度に調査いたしました。司法試験合格者数三千人という年間数値目標は、これまでの達成状況との乖離が大きく、また需要の拡大、顕在化も限定的であるということから、その目標を速やかに検討するよう勧告いたしました。これは、PDCAのPそのものの見直しを求めたものと言えるかと思います。

 今後とも、PDCAサイクル全体を通じた行政運営の改善につながるよう、さまざまな指摘を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 今、非常に具体的に、PDCAサイクルの中でどの段階においての問題であるかということも踏まえて御答弁をいただいたわけでございますけれども、最初に挙げていただいた、社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視、この件について少し深掘りをさせていただければというふうに思うんです。

 事前にいただいた資料によれば、法令台帳等の整備も不十分であった、あるいは定期点検、補修等の実施が不十分、点検結果等のデータベース化が進捗していない、その上で長寿命化計画の策定が不十分であるというふうに御認識をされていらっしゃるというふうに伺っております。

 そういう意味におきましては、先ほど、A、評価の部分で、非常に適切であるとは思うんですけれども、本来であれば、Aの段階において、次につなげるようにしっかりと対策を打たなければいけない、次のPにつながるようにしなければいけないというのがあると思うわけでございますけれども、では、なぜそこのAの段階で不十分な状況になったのか、さらにはPにおいてどういうことをやるべきであったのかということについてはどのように分析をされていらっしゃるかについてもお聞かせ願えますでしょうか。

渡会政府参考人 さまざまな要因がそれぞれにあろうかと思いますけれども、一般論で申し上げますと、Pの段階、法令案を作成するとか予算を要求するとか、その段階で各省は非常に緻密な議論を積み重ねておりますけれども、いざその政策が実施に移されたときに、行政の現場が霞が関の会議室から随分遠いところにございますので、必ずしもよく見えていない、その現場の実態が十分に把握できないところから、CとかAとかいうところが不十分になっているのではないか、そのような感想を持っております。

 以上でございます。

濱村委員 ありがとうございました。

 そうはいっても、距離が遠いからとかということは余り理由にならないなというのは思っておるんですけれども。

 せっかく具体的な事例を通してお話をさせていただいておりましたので、具体的にお話を進めさせていただきたいと思うんです。

 いわゆる計画策定のためにどのようなリソースが足らないかというと、人員不足である。その人員におけるスキルも不足しているかもしれないし、本当に人がリソースとして足りていないというところもあるかと思います。あるいは、財政的な側面で不足している、そういった制約があるということで、評価としてはそういう評価が出ているんだけれども、なかなか次の段階には自分たちだけでは進めないということも明らかになって、その上で、次の計画の策定というのが不十分なままになってしまったのではないかというふうに思っております。

 その上で、これを解決されるためにシステム開発を行おうとされている、標準的にどのような定期点検の仕組みを構築すればよいかということを定量的に評価できるように、健全度を推計するシステムを開発中であるというふうに伺っております。

 こういったリソース不足とか制限に対してシステム開発で解決を図るということは非常によいことではあると思いますので、しっかりとこういうことを、地公体と連携していただきながら、今後も続けていっていただきたいというふうに思います。そうでないと、PDCAサイクルを回すといっても、お題目だけであって、どの段階でどういう問題が出てきて何を解決すればいいのか、あるいはそれが実際に解決されているのかどうかというのが適正に判断できなくなってくるかと思いますので、より成熟していっていただければというふうに考える次第でございます。

 今、これまでのお話を踏まえて、総務省の評価活動について、十分に機能しているという認識であるかどうか、あるいはまた今後の課題についてどのようにお考えか、副大臣の方からお聞かせください。

上川副大臣 総務省の評価の活動でございますけれども、毎年度、十個程度のテーマを決めまして、そして、一年間をかけまして各府省の行政の実際の現場を実地に調査分析して、対策を勧告するものであります。行政の改善に大きな役割を果たしているというふうに考えております。

 加えて、調査分析の過程におきましては、現場の声を集める、またさまざまな角度から検証する、こうした行為を通じまして、行政の現場で不断の改善努力が刺激されて図ることができる、こういう面でも大変意義があるというふうに思っております。

 担当しております立場で、現在の状況を十分というふうに満足することなく、絶えずよりよい評価とまた課題の解決を目指すべきというふうに考えておりまして、その際、全ての評価を一つの考え方、物差しで行うのではなくて、一つ一つの行政課題を丁寧に、絶えず、効果的な手法は何かとか、あるいは考え方、取り組みを模索しながら進めていくことが大切だというふうに考えております。

 今後、非常に社会経済の情勢が変化に富んでいるということで、さまざまな施策の新しい分野も出てきておりますので、そうした課題にも前向きに、果敢に取り組んでまいりますとともに、また、既に指摘したさまざまな問題に対しましても、フォローという形で、実際にそれが解決に結びついているかどうかということにつきましても重点を置くように、これからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。

濱村委員 ありがとうございます。

 手法も絶えず新しいものを取り入れながらやっていただくということと、しっかりフォローしていくということが非常に大事なのかなというふうに、私も同じ認識でございます。

 その上で、今の評価のあり方、PDCAサイクル、マネジメントサイクルとして非常に一般的なものでございますけれども、一方で、まだまだ埋もれていることもあるのではないかというふうに思うわけでございます。

 どういうことかというと、例えば工事とか開発におきましては、各工程や、あるいは各タスクと呼んでもいいかもしれないですけれども、こういった工程において、バッファー、昔はサバを読むというような言い方をしておりましたけれども、こういった各工程ごとのバッファーを積んでやってきたわけですけれども、今現在、そのバッファーを工期全体に対して一本化するというようなマネジメントの仕方があるというふうに認識をしております。

 これは、なぜそういうことが生まれたのかというと、PDCAサイクルでやってしまうと、おのおのが、自分がせっかくつくり出したそういった余裕というのをなかなか吐き出さないというような問題点もあるというふうに指摘があったわけでございます。

 こういった問題点に対して解決をするために、クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント、CCPMというものがあるんですけれども、こういったものが今現在出てきている。これは公共工事の場でも結構使われているような手法でございますけれども、この手法自体、非常に私はいいことなのかなと思います。バッファーを全体で見て、そのバッファーに対する消費率をモニタリングしていく、それに対して、危険信号なのか、まだ大丈夫なのかというのをしっかりと判断していくという意味では、いいやり方だとは思うんですけれども。

 実はこれも弊害があって、皆さん御存じのとおりで、今、公共工事におきまして入札率が非常に低くなっている。その理由としては、こういったマネジメントにおいてサバというかバッファーの部分、余裕の部分をどんどんどんどん削られていっている。削られていった結果、これだけでできるんですよねということを役所の方からもう提示してしまう。そうすると、公共工事をつかさどる側の業者としてみれば、非常に低い値段で入札に応じる必要がある。そうしなければ結局食っていくことができないということで、低かろうが何だろうが入札に応じていくというような状況が生まれている。

 これは、マネジメントについて、方法論としてはいいことが出てきそうなんだけれども、うまく適用され切っていないなという現状をぜひ認識いただいた上で、正しく運用されるように改善を図っていっていただきたいなというふうに思っております。この改善の取り組みについては、我々もしっかりと今後とも見ていかなければいけないというふうに考えております。

 さて、もう一方の行政評価の話に移りたいと思いますが、行政事業レビューについてお伺いしたいというふうに思います。

 ちょうど先週、行政改革推進会議におきまして、いわゆる秋のレビューが実施されました。その結果も踏まえて、どのような行政改革の取り組みを御検討されておられるのか、お聞かせください。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、先週、秋の行政事業レビューを行ったところでございます。

 行政改革、特に無駄の排除は、国民の信頼を取り戻す上でも非常に重要な取り組みだと思っております。自民党政権下でも、無駄撲滅、今ここに河野先生がいらっしゃいますけれども、中心に取り組み、また、民主党政権になってからは、行政事業レビューという、全ての事業についてのレビューシートを公開するという、非常に画期的な取り組みがなされました。そのよきところは安倍政権でも引き継ぎをし、そして、やはり行政事業レビューのいいところは、各府省がみずからPDCAを回すというのが一番効率的な事業の無駄を排することだと思っております。

 その上で、レビューシートを公開することによって、国民の目、オープンガバナンスを実現するという意味から、外部チェック、明確化、重点化、そして今回、私が担当するようになりましてから、基金シートというものも創設をしたところであります。また、総務省が実施する政策評価との連携についても、レビューシートを見て、その政策評価との連携もできるように改善をしているところでございます。

 今後とも、行政事業レビューの本質であるところの、各府省みずからPDCAサイクルを回すことができるように、質の高い行政の実現に向けて行政改革を進めてまいりたいと思っております。

濱村委員 ありがとうございます。

 各府省がみずから自律的に行っていくことの大事さを強調していただいたわけですけれども、本当に私もそこは共感するわけでございます。秋のレビューにおかれましても、大切なそもそもの目的とかビジョンというものを共有した上でお話を進めていらっしゃるということに対しては、非常に共感をしているところでございまして、今後の政策にぜひ反映していっていただきたいというふうに考えるわけでございます。

 今後の政策ということについて今少し触れさせていただいたんですが、今後の政策に触れる前に、一点だけ確認をさせていただきたいことがございます。

 世界経済フォーラムが年に一回、世界各国の国際競争力を分析して評価、格付するような、国際競争力報告というのが発表されております。その中で、日本は、革新性と洗練性の要因におきまして、昨年度は世界二位だったんですけれども、今年度は三位に落ちてしまいました。そうはいっても、実は、その中の大事な大事な指標でありますビジネスの洗練度につきましては一位をキープしているんですね。その一方で、研究開発イノベーションについては五位をキープしております。

 この五位を捉えて、安倍総理は先日、日本再興戦略におきましてもおっしゃっておられるわけですけれども、今後五年以内に日本のイノベーションランキングを世界一位にするということを明言されていらっしゃいます。

 さらに加えて、総理は、世界で最もイノベーションが起こりやすい国を標榜していらっしゃいますけれども、ここで言っているイノベーションというのは何を指していらっしゃるのか。ビジネスイノベーションというものを含めた広い範囲でのイノベーションなのか、テクノロジーにおけるイノベーションを指した狭義のものなのか、これは甘利経済再生担当大臣に御答弁を願いたいと思います。

甘利国務大臣 日本が生きる生命線というのは科学技術立国だと思いますから、科学技術におけるイノベーションというのは中心的な役割を果たしますけれども、それも含めて、ビジネスモデルの革新であるとか、あるいは大学におけるいろいろな意味でのイノベーションが起きていくことが大事だと思います。

 科学技術のイノベーションはワン・オブ・ゼム、非常に重要ではありますけれども、その中の一つだというふうに捉えておりまして、本当のコアの科学技術のハード的なイノベーションとビジネスモデルまで含めたソフトのイノベーション、言ってみれば、新たな創造性が次々日本から発信されていくということが大事だというふうに考えておりまして、それらを全部含めてイノベーションと我々は理解をいたしております。

濱村委員 ありがとうございます。

 今、新たなものが発信されていくことが重要であるというふうにおっしゃっていただきましたし、その上で、科学技術立国を推進していくに当たっても、テクノロジーにおけるイノベーションはその中の一つですということがお話としてありました。

 その上で、先ほどのランキングの話に戻りますけれども、ビジネスの洗練度において一位を保ち続けるためには、ビジネスイノベーションについても必要であるという考え方を私は持っておりまして、政府におきましては、ビジネスイノベーションについてはどのように捉えて、どのように取り組んでいかれようとされているのか、お話を伺えればと思います。

甘利国務大臣 アベノミクスにおきましては、世界で一番企業が立地しやすい国を目指すというふうに掲げております。

 これは、企業が商売として立地しやすい、ですから、研究開発の環境がいいとか、あるいは研究開発に関する公的な施設、あるいは大学とのコラボレーションがしやすいということももちろんありますけれども、ビジネスマンが日本に滞在しやすいということは、家族も一緒に来た場合には、例えば、医療の心配とか学校の心配がない。ビジネス回りの環境の整備も、ビジネス本体の整備とあわせて並行して進められる、そういう意味で、ビジネスが立地しやすいということを掲げているところでございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 ビジネスマンが暮らしやすい、そのために医療や学校といった環境整備をされている、このこと自体、すばらしいなというふうに思っております。ぜひ、これをさらに進めて、立地しやすい国づくりもそうなんですけれども、あるいはRアンドD、研究開発をしやすい国にしていくというのもあるんですけれども、こういった状況をどんどんよくしていく、環境改善していくということは非常に大事なんです。

 話を少し広げますけれども、国際競争力における比較というのはさせていただいたんですけれども、日本の企業は、今、自分たちをどのように捉えているのかという話をさせていただきます。

 今現在、各企業において、リスクをとらないこと自体がリスクであるというようなことが言われ始めている状況です。その中で、企業は、イノベーション創出に頭をひねっているところでございます。私も、昨年までは民間企業におりましたが、イノベーション創出の必要性というのは感じつつも、なかなか企業というのはそれに取り組むことができない状況にもありました。

 イノベーション、イノベーションと言っているんだけれども何なのかという話もあるんですけれども、私が考えるには、単一の技術力だけではなかなか難しいのかなというふうに思っております。要素技術がさまざま組み合わさって、スマートグリッドとかHEMS、BEMSのようなものもあります。こうした全体として、システムも含めて価値を提供できるようなものというのも一つイノベーションだと思います。

 あるいは、パソコンからのブルーライト、これを避けるため、軽減するために眼鏡を開発したようなところがございます。そうすることによって、目が悪い人に向けての市場であった眼鏡市場に対して、目が悪い人以外にも眼鏡をかけさせるということで、市場の全体的な規模を大きくしたというような事例があります。これも私はイノベーションなのかなというふうに考えております。

 こういったイノベーションということをどんどん推進していかなければいけないというふうに思うわけですけれども、特に大企業においては、なかなかイノベーションが進まない現状がございます。このなかなか進まない現状の分析について少し話をしたいんです。

 なかなか成功事例が出てこないというところでありますが、なぜ日本の大企業においてビジネスイノベーションが創出し切れないのか、どういった課題があるというふうに認識されていらっしゃるか、お聞かせ願えればと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員お話ございましたとおり、イノベーションというのは非常に広い概念でございますので、一言で申し上げるのは少し難しいところがあるわけでございますが、特に、先ほど先生御指摘になりましたような、新しい、要素技術を超えたようなサービスを提供していく場合に、やはり既存の企業の枠を超えたイノベーションということが必要になってこようかと思います。

 そういう観点から申しますと、残念ながら、これまでの日本の大企業といいますのは、どちらかというと、いわゆる自前主義、自分の企業の中で持っている技術あるいはノウハウで完結するということになりがちではなかったかというふうに考えております。

 そういう観点から申しますと、まさに、例えばベンチャー企業と大企業が結びついていくことで、大企業からすれば、ベンチャー企業が持っている、つまり自身にはなかった技術やノウハウを取り込むことができる、あるいは逆に、ベンチャー企業から見れば、そのベンチャー企業の持っている技術以外の技術と組み合わせることによって、より大きなビジネスを生み出すことができるということがあるのではないかというふうに考えております。

 こうしたことも踏まえまして、現在御審議をいただいております産業競争力強化法案におきましては、企業がベンチャーファンドにより出資、投資をしやすいような税制措置を講じることで、より大企業とベンチャー企業の距離を縮めて、ベンチャー企業の技術と大企業のビジネスのノウハウが結びつくような環境をつくりたいというふうに考えております。

濱村委員 ありがとうございます。

 私も、イノベーションがなかなかできないいろいろな理由があると思うんですけれども、大きく三つあって、社外の人間を巻き込むことに対して経営者の理解が得られない、二つ目には、プロトタイプ手法というのがなかなか受け入れられない、三つ目には、失敗を多く生み出すことについてなかなか経営者が容認してくれない、こういった背景があると思います。

 ちょっと時間がないので、ここら辺はもう割愛して、そういうところもあるという上で、最後、経済政策について少し御質問をさせていただきたいと思います。

 せっかく内閣府大臣官房長松山さんに来ていただいたのに、申しわけございません。

 海外企業の日本への誘引について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 国家戦略特区等を審議されているところではありますけれども、先ほどの、またちょっと世界経済フォーラムで申しわけございませんけれども、ここの評価によれば、日本の市場規模は世界四位で、結構いい評価なんですね。そう考えますと、海外企業というのは、もう既に日本という魅力的な市場に入ってきているのではないかというふうに考えております。

 その上で、特区を用意することで、どういった世界企業に日本に入ってきてもらいたいというふうにお考えでいらっしゃいますか。お聞かせ願えますでしょうか。

甘利国務大臣 国家戦略特区は、この法案が通りましたら直ちに特区諮問会議を設定いたします。ここは何をするかといいますと、まずコンセプトを決めます。どういうコンセプトの産業集積を図るかということであります。これはもちろん、日本が強みとして直ちに即効性を発揮できるような分野にしたいと思います。

 その後に、場所の指定を行います。そのコンセプトに沿って、全国で三カ所から五カ所の場所を指定したいというふうに思っております。これは諮問会議で指定いたします。指定しましたら、そこの指定地域ごとに戦略特区会議というのを設定いたしまして、具体的な設計をしていくわけであります。

 確かに日本は魅力的な市場だと思いますけれども、先進国比較をしますと、まだまだ対内投資は足りないです。ですから、目標を決めて、倍増、三倍増計画をしていきたいというふうに思っております。

 その際には、先ほど申し上げましたように、ビジネスが立地する際に、商売回りのことだけじゃなくて生活回りのこともやっていく、それから、対内投資を進めていくために、ワンストップでいろいろ対応できるような窓口をしっかりしていくことが大事だと思います。

 企業が投資をしていく際には、予見可能性ということが大事です。規制に関することとか、あるいはいろいろ、金融に関することとか、あるいは行政の対応等について、これができるだけワンストップで回答ができるように整備をしていって、そういう投資に関する予見性を高めていって、障害物をできるだけ早く取り除いていく。規制緩和は十六項目ありますけれども、それに合わせて、そういったこともやっていきたいと思いますし、そこの特区独特の、追加の規制緩和が必要とあれば、それは率先して取り上げて、法改正が必要なら、そういう対処をしていきたいと思っております。

濱村委員 ありがとうございます。

 丁寧にお答えいただきまして、本当に、今後の検討も非常に重要でございますけれども、その中でぜひ、日本は、失われた二十年とよく言われるんですけれども、その中で、改善する取り組みについては二十年間しっかりとノウハウを蓄積してきたというふうに思うんですね。このやり方、トヨタではないですけれども、かんばん方式とかカイゼンとかとよく言われますけれども、そういう、やり方でいえば、世界各国がまだまだ学びに来たいという魅力的な国だというふうに私は思っております。

 そういった開発拠点が集積するような地域もぜひつくっていただけることをお願いして、私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

松浪委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 久しぶりにこの委員会で質疑に立ちます。

 昨年、一昨年と、与野党を超えて、この決算行政監視委員会では行政監視、いわゆる国会仕分けを実現したわけです。憲政史上初ということで、その当時は、大いに与野党の議員が行政の無駄を見つけて、そして正すということをやったわけでありまして、傍聴席にもたくさん人がいらしたというのは記憶に新しいところでございます。

 しかしながら、今、どうでしょうか。傍聴席はおろか、この議場にすら人がまばらということです。

 委員長、今、定足数を満たしているかどうか、確認していらっしゃいますでしょうか。

松浪委員長 満たしていません。

階委員 満たしていますか。

松浪委員長 満たしていません。

階委員 満たしていない。満たしていなければ、今、審議できないんじゃないですか。

松浪委員長 今、声をかけているんですけれども。

階委員 では、そろうまで質疑はできません。

松浪委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、武藤(容)委員長代理着席〕

    〔武藤(容)委員長代理退席、委員長着席〕

松浪委員長 速記を起こしてください。

 これより会議を続行します。階君。

階委員 やはりこの決算行政監視委員会は、果たす使命が大きいと思っていますから、ぜひ与党の皆さんも来ていただいて……(発言する者あり)河野太郎先生も昨年、一昨年と一緒に事業仕分けをこの国会でやったわけですから、せっかくいい仕事をしてきた決算行政監視委員会を……(発言する者あり)暴言はやめてください。失礼ですよ。河野太郎さん、今何と言いましたか。

 我々が与党のときだって、与党の定足数が足りないということで委員会をとめられたこともありました。

 本題に入ります。

 今、被災地で復興予算の問題が取り沙汰されておりますけれども、主に執行がおくれている理由は何だというふうに復興大臣はお考えでしょうか。

根本国務大臣 お答えいたします。

 平成二十三年度及び平成二十四年度の復興関連予算の執行状況は、歳出予算現額が十九・九兆円、未執行額は約四・五兆円、執行率約七七・二%となっております。

 これらの未執行額は、主にまちづくりや除染実施の計画策定について、地元との調整に時間を要したことなどにより生じたものと承知しております。

階委員 今、七七・二%という数字が出ました。

 これを子細に見ますと、私がきょうお配りしている資料一の方です。この資料一で、これは平成二十三年度の予算と平成二十四年度、この年から復興特会とかができたものですから、これは特会に係る予算なんですけれども、平成二十三年度の方は二年間にわたっての累計の執行率であります。その累計の執行率が八一・八%。なお、繰り越されたものが三・八%ということになっております。

 この要因が、きょう私の手元にあるのが、会計検査院法第三十条の三の規定に基づく報告書「東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について」ということで、例えば平成二十三年の第三次補正に掲げられた災害復旧等事業費、水産に係るものですが、二千三百四十六億円計上されましたが、執行率は一七・九%ぐらい、事故繰越率は三九・九%ということで、作業員が足りないということが事故繰り越しの理由になっているということです。

 それから、公立学校施設災害復旧費というところを見ますと、事故繰越率は二五・五%。これは他事業との調整がつかなかったということで、先ほど大臣がおっしゃったことに関係するかと思います。

 また、平成二十四年度の復興特会でいうと、繰越率、これはまだ一年間だけですから事故繰り越しではなくて普通の繰り越しなんですが、これが三二・八%、執行率の方で見ますと六三・四%ということで、大変高い状況になっております。

 こうした調査結果を踏まえて、今申し上げた会計検査院の報告書では四つのことを指摘しているわけです。「事業の実施計画や規模等は適切かなどについて的確に検討する」、それから「事業実施の障害となっている事項について不断に検証して、必要に応じて見直す」、三点目として「復興事業が有効かつ効率的に実施されるよう優先度等も考慮するなどして予算の配分や人的・技術的支援を行う」、四点目として「事業が適切に実施されているかなどについて確認して、不適切な事態や障害となっている事項については、既存の制度の見直しも含めて迅速な措置を講ずる」といったことが会計検査院の所見として述べられております。

 そこで、私からは、今、不適切な既存の制度の見直しも含めてということがありましたけれども、既存の制度を見直すという中で、やはり住宅再建を進めるためには、用地の取得に関する制度を見直さなくてはいけないのではないかと考えております。

 お配りしている資料の二というところをごらんになっていただければと思います。

 復興庁の方でも御尽力いただいていると思います復興加速化プログラム、こちらで現行制度の運用の円滑化を図るためにいろいろなことはやっていると思いますが、この手続の流れというところで見ますと、事業認定の申請準備から始まりまして、実際に申請して、事業認定の告示、それから収用裁決の申請準備をして、実際に申請して、収用裁決、ここまで終わって補償金の支払いがなされて、権利取得、明け渡しということで、土地が使えるようになって工事が始まるということで、いろいろ期間を短縮するために御努力されているんだと思いますけれども、それでもなお、この明け渡しのところまでいくには一年半から二年程度かかるのではないかというふうに言われております。

 他方、そのような期間、着工をおくらせていいのかどうかということで、資料三をごらんになっていただければと思います。

 これは岩手県の方で作成した資料でございますけれども、一番下に表があります。権利者調査の状況、平成二十五年九月末現在ということなんですが、私はこの数字を見て衝撃を受けました。

 県と市町村で、復興のために必要な土地、契約の件数にすると約二万件ありますが、懸案事項がないというのが八千件ぐらい。残りの一万二千件のうち、懸案件数が四千件ぐらい。この懸案件数という中には、多数の権利者がいて、また抵当権なども付されている、あるいは行方不明、所有者不明というのがありますということで、こういう、特に多数権利者については、どうやってその人たちと接触して同意をとるかということがあります。こういった懸案件数が四千件近く。

 そのほかに、不明、分類困難が八千件近くあります。この不明、分類困難というのは、まだその権利者の調査すらなされていない、まだこれから調べるということです。特にこの件数は市町村の方で多い。市町村はマンパワーが足りないですから、かつ、その契約予定件数も多いです。高台移転であるとか、その他いろいろな事業でたくさんの土地を契約して、そして公用地として取得しなくてはいけない。

 こういうことですから、今のままいくと、どんどん復興がおくれていきかねない。ですから、先ほどの会計検査院の指摘にあるように、既存の制度の見直しというのもしていかなくてはいけないと思っております。

 この点について、復興大臣、御所見をお伺いします。

根本国務大臣 私も、委員と同じ問題意識を共有しております。ですから、復興加速措置、三弾にわたってまとめました。

 特に、第三弾でまとめた用地取得加速化プログラム、これは、用地取得の迅速化のために、復興事業のための特別措置を盛り込んでおりまして、なお、私は、それぞれの制度、深掘りをさせましたから、これはいろいろ新たな特別立法という議論もありましたが、今の制度の枠組みの中で最速のスキームをつくったつもりであります。

 例えば財産管理制度、これは委員が大変詳しいわけでありますが、財産管理制度も、家庭裁判所への提出書類の簡素化など、自治体の事務負担の軽減を図っておりますし、あるいは財産管理制度や土地収用制度の手続に要する期間、これの大幅な短縮も図りました。財産管理制度では、全体で手続に半年以上かかると自治体が懸念されておりましたが、これも、裁判所の審理、これはきちんと資料を整えていただければ最短三週間で可能になりますし、土地収用手続では、事業認定、申請から認定まで、通常三カ月かかるところを二カ月。

 それから、復興事業については、収用手続についても、任意買収に取りかかったと並行して土地収用の進行、これをルール化しようということで、これは早まりますから、という対応措置もやりました。

 加えて、権利者調整や補償説明事務を補償コンサルタントに外注することを促進しようと。さらに、実際運用する市町村の皆様がこの用地取得手続に必ずしも十分に精通されていないということもありますので、やはり私は、具体的な制度の加速化措置を講じましたが、これに加えて、実務者支援チームによって被災市町村をきめ細かく支援する必要がある。ですから、被災市町村に実務者支援チームを送り込む。そして、外注に必要な仕様書、積算基準、あるいは外注事例を提供する。あるいは補償コンサルタントのリストを提供する。

 要は、今回、委員もこれまでさまざまな提言をしていただきました。そこで、我々も、財産管理制度あるいは土地収用手続、ここまで迅速化した事例は今までにないと思いますが、今回、それらをまとめて、用地取得加速化プログラムという形でお示しをいたしました。

 これから大事なのは、委員のこの資料三にもありますように、こういう状況、これは精査しなければならないと思いますが、やはりそれぞれの市町村でどういう課題、問題を抱えているのか、これは事案に即して丁寧に我々も支援していく必要があると考えております。

階委員 多分、大臣のところにも、被災地の首長さんなどから、土地の問題が大変だ、これが最大の復興のおくれの原因だというお話は届いていると思うんですね。

 きょう、ぜひ委員の皆様にも資料三の実態というのを御認識いただきたいと思います。こういう実態をもとにして、どうやったら復興を進めていくか、既存の制度だけではもう回らないんじゃないかということで、そこは今までも努力されてきたことは十分認めますけれども、もう本当に事態は深刻だということで、ぜひここは、与野党を超えて議員立法でもしていったらどうかというぐらいな話だと思っております。政府の方ではなかなか立法に取り組んでいただけないようなので、これは議員立法でやるしかないのかもしれません。

 ただ、もう一つ言われていることとして、資料四を見ていただきたいと思います。これはことしの三月なんですが、国交省の方から、土地区画整理事業の早期工事着手等に向けた方策ということで、これも御努力されたんだと思いますが、この一の「早期工事着手のための方策」という中で、「また、仮換地指定の前であっても、法第七十八条第一項に規定する損失補償を伴う場合を除き、土地区画整理事業の工事実施に関する地権者の同意(いわゆる起工承諾)を得られた箇所から順次工事を実施することが可能」というのがありまして、これによって実際工事が始められているところもあるんです。

 今何が問題かというと、虫食い状に盛り土がされている、かさ上げのための盛り土がされているということで、これもまた効率的な工事ということでいうと、かえってこれから工事の進捗が遅くなるのではないかということで、ここは一歩進めて、起工承諾を得られないところでも順次工事を実施するようなことも考えないといけないのかなと思っております。

 これも被災地からの切なる要望でございまして、大臣の御見解をお願いします。

根本国務大臣 これは土地区画整理法の運用の問題だと思います。

 起工承諾、これについては、この通知については、工事の早期着手のために、仮換地指定前でも工事実施について地権者の同意を得られた箇所から順次工事を実施する方策であって、これは任意、法定外の手法であります。

 それで、今の盛り土の問題はちょっと私も検討させていただきたいと思います。委員はよく勉強されていて、盛り土の問題は私も聞いております。たしか、これは土地区画整理事業の手続の運用の問題ですから、私がこの法律の運用についてこの場で断定的に解釈をする、これは控えたいと思いますが、盛り土の問題で委員が指摘されたことについても私も検討を指示しておりますので、しかるべく検討して、どういう運用になるのかということを明らかにしていきたいと思います。

 今直ちに区画整理法の運用についてこの場で、今先生のおっしゃったのは、起工承諾を盛り土の場合でもやればいいじゃないかという御趣旨……(階委員「いえ、違います。起工承諾を不要として着工を進められるようにしたら、虫食い状にならないのではないかという問題意識です」と呼ぶ)今の運用では、仮換地指定を行った後、地権者の同意がなくても工事を実施することは可能ということで、起工承諾という手続をとっているわけですね。

 だから、そこは実態がどういう状況なのかということで、私も今つぶさにそこは頭が整理できませんので、今の体系の中では、仮換地指定前であっても地権者の同意で工事を実施することが可能で、仮換地指定までに、土地区画整理事業の都市計画決定、事業の認可、そして、地権者から選挙で選ばれる土地区画整理審議会での仮換地指定についての審議という手続を経た上で、地権者の同意なくして工事を実施することが可能となっている、これは実際の運用であります。

 今の盛り土の問題についても、これがどういう対応になるのか、それは私もちょっと、具体的な専門的な内容ですから、検討をさせて、しかるべき対応を考えてみたいと思います。

階委員 あと、自力再建をしたいと考える方も結構今いらっしゃると思うんですが、その場合に、自分はどれだけのお金を用意すればいいんだろうということで、あるいは、どれだけお金がかかるんだろうかという、要するに入りと出のお金の見積もり、これがなかなかわかりづらいんですね。

 いろいろな制度がありますけれども、それを個別に説明されてもなかなかわからないということで、例えば資料六のような、これは宮古市の事例ですけれども、一応フローチャートになっておりますけれども、これを多分仮設住宅にお住まいの御年配の方が見ても、まず、ちょっと字が小さ過ぎてよく見えないというのもありますし、非常に細かい話が多くて、ぴんとこないと思うんですね。

 私が被災地を回っているときに、釜石市のガイドブックというのが大変いいなと思ったので、その後、資料七からつけさせていただいておるんです。

 シミュレーションということで、防災集団移転促進事業、つまり高台に移るときに自力で再建する場合、それから高台に移るときに復興公営住宅に入居する場合、これはシミュレーションの二です。それから、土地区画整理事業、自分の土地を土地区画整理でかさ上げするなどしてそこに家を建てたり、あるいは公営住宅に入居する場合ということで、それぞれの場合に分けて、次の八ページ、九ページ、十ページに、幾らお金がかかるかというのを見積もって、それに対して補助が幾ら受けられるのかというようなことから、最終的にどの程度の負担があるんだろうということを示したものです。こういうものが身近に入手できると、非常に私は自力再建をしようとする方の参考になるんではないかと思っております。

 ただ、そこでちょっと戻っていただいて、資料五なんですけれども、岩手県の沿岸十二市町村の住宅再建に係るガイドブック等の作成状況ということで、これは復興庁の協力によってまとめたものなんですが、ちょっと釜石市の例をさっき挙げたんですが、ここに大槌町とあるのは誤表示です。済みません、訂正させてください。

 ガイドブック、先ほどのシミュレーションの形式を盛り込んだものが、釜石と大槌町ぐらいなんですね。ほかのところはなかなか、さっきの宮古市の事例のように、一応ガイドブックなるものは、あるいはサポートブックみたいなものはつくったりしていても、わかりづらいということで、私は、被災者に寄り添ってこういう情報提供はするべきだと思っていますから、こういうガイドブック、シミュレーションを含んだ形式で、ぜひ、岩手県に限らず、自治体ごとにつくるべきではないかと思うんですが、大臣、この点、いかがでしょうか。

根本国務大臣 委員の貴重な御指摘だと思います。

 被災者の住宅再建支援に当たっては、これまで、国としても、被災者向けに生活再建ハンドブックを作成して、住宅再建に関する支援策や相談窓口などについての情報提供を行ってまいりました。また、住宅金融支援機構を通じて、住宅再建相談会の開催やホームページ上での資金繰りシミュレーションを可能とするなどの取り組みを進めてきております。

 これは復興庁としての支援措置ですが、被災自治体が各地域の住宅事情や復興まちづくりの状況などに応じて実施している専門家による住宅ローン相談会の開催、あるいは、今委員の御提言のあった住宅再建支援策に関するパンフレットの作成、配布などの取り組みに対して、復興交付金を活用して支援しております。

 実は私もこれを見させていただいておりますが、市町村によって、今、釜石でも、住宅を建てる方への補助制度も独自のものも用意しておりますので、これは、市町村によってシミュレーションについての前提に多少幅が出てくると思います。一般的な住宅再建ハンドブック、これは国でも用意しておりますが、先生の御趣旨からすると、市町村によってそれぞれの独自の補助制度もありますので、これは市町村によってわかりやすいハンドブックをつくることが効果的かなと思います。そこは我々も復興交付金を活用して支援をしておりますので、そういう形で支援をしていきたいと思います。

階委員 シミュレーションの中で、収入の部を見ていただくと、結構影響が大きいのは、被災者生活再建支援金のうち、加算支援金二百万円が入るかどうかというところなんですね。仮設住宅でいろいろお話を聞くと、結構言われるのが、この加算支援金、いつまで申請が認められるのかということです。これは、私の知り合いの弁護士の方が、仮設住宅を回っていると一番多く寄せられるのはそういう声だと言っていました。私も、回ったときにそういう声を聞きます。

 そこで、生活再建支援金、資料八、手書きの十一ページを見ていただきたいんですが、今、こういう通達、平成二十三年十一月三十日の通達によって、「再延長については、一年を超えない範囲の期間を繰り返し設定できる」ということが一番下に書いてありますけれども、ここは、一年ごとに再延長ということではなくて、復興には長い期間がかかるということで、前広に延長期間を定めていただいた方が安心できるのではないかということです。

 例えば、今、加算支援金を申請済みの世帯が、さっきの会計検査院の調査結果によれば十万世帯あるんだそうですが、全壊と半壊、合わせて四十万戸くらいあるわけです。ですから、まだ三十万戸ぐらいは全壊、半壊で加算支援金を申請していない。もちろん全てが申請するわけではありませんけれども、こういう状況の中で、今後も申請が続々見込まれる中で、前広に申請期間延長を認めていいのではないかと思うんですが、この点、簡潔にお願いします。

根本国務大臣 被災地でのまちづくり、住宅再建、委員がおっしゃられるとおり、これはかなり時間がかかりますから、私も、時間軸を持って考えていく必要があると思います。そこの問題意識は私も共有をしております。

 今のお尋ねの支援金の申請期間の延長、これについては、内閣府の担当統括官名で出されてありますが、やむを得ない事情によって被災世帯の世帯主が期間内に支援金の支給の申請をすることができないと認めるとき、こういうケースでは、都道府県の判断で申請期間を延長することが可能となっております。

 具体的に、例えばですが、東日本大震災被災地における加算支援金の申請期間、既に、岩手県、宮城県及び福島県においては平成三十年四月十日、千葉県においては平成二十七年四月十日まで延長されているところであります。東日本地域においては平成三十年四月十日まで延長されております。内閣府において、被災された方に着実に支援金が支給されるよう、関係都県の状況をよく伺いながら適切に支援されるものと承知をしております。

 内閣府通知においては一定の目安を示しておりますが、延長及び再延長の判断は都道府県が行うこととなっておりますので、所管の内閣府において、関係都県の状況をよく伺いながら、適切に助言されるということを私も期待しております。

階委員 大臣、申しわけないんですが、この後、稲田行革担当大臣にも質問しなくてはいけないので、手短に答弁をお願いします。

 震災関連死について二、三お伺いしますけれども、まず、震災関連死の数をどのようにして把握されているのかということをお願いします。

根本国務大臣 震災関連死の数につきましては、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、東日本大震災による負傷の悪化等により亡くなられた方で、当該災害弔慰金の支給の対象となった方の数の集計結果を活用して、東日本大震災における震災関連死の数を把握しております。

 これに当たっては、全国の地方公共団体の協力を得て、当該集計結果を半年に一度、復興庁に御報告いただいているところです。

階委員 災害弔慰金の支給結果をもとに数字を出しているということで、資料九、十二ページから十四ページにかけて、これは、岩手、宮城、福島の各自治体ごとの災害弔慰金の支給に関するデータなんです。

 審査会に申し立てられた件数が、例えば、十二ページ、岩手でいいますと五百五十三件。県設置とか市町村設置とあるのは、因果関係に疑問がある場合は市町村の窓口ではすぐには払えないということで、審査会に審査を申し立てるわけですね。これが当該自治体にあれば市町村設置ということになるんですが、自治体では審査会がなくて、県に委託して設置しているものもあるということで、審査会の審査の件数というのが、県の場合と市町村の場合で、五百五十三件、百十八件というのがあるということであります。そのうち、因果関係ありやなしやということで、県設置でいうと三百五件と二百四十六件、あるものが三百五、ないものが二百四十六ということです。

 ただ、ここで御注意いただきたいのは、発災から六カ月を境にして、発災から六カ月を過ぎると、因果関係があると認められるものと認められないものの数字が逆転するわけですね。県の場合でいうと、六カ月より前であれば、因果関係ありと認められたものは二百七十七、なしと認められたものが八十二、それが六カ月を過ぎますと、因果関係ありが二十八、なしが百六十四と逆転します。

 次のページ、宮城に行きますと、そもそも宮城の場合は県の審査件数自体少ないんですけれども、六カ月前であると、因果関係ありが三十五、因果関係なしが四十一なんですが、六カ月を過ぎると、そもそも申し立て件数自体が激減しておりまして、因果関係ありはゼロでして、因果関係なしも一というような状況です。

 これを見て何を言いたいかというと、二枚ぐらいめくっていただきますと、手書きの十五ページです。これは、中越大震災のときの関連死認定基準というものを、今回の震災の後も、参考にしてくださいということで、国から自治体に配ったものです。

 死亡までの経過期間、これが六カ月以上経過すると、震災関連死でないという推定が働くということになりまして、これだとなかなか、審査会の方で、因果関係があるとは認めにくいのではないか。

 こういうことを踏まえると、震災関連死の認定が適切になされるために、この基準はあくまで参考程度のものであって、実態に照らしてきちんと審査してくださいねというようなことを改めて国から自治体に言うべきではないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

根本国務大臣 復興庁が行っている震災関連死の数の把握、これは先ほど申し上げましたとおりの対応であります。我々がやっている集計、数の把握、これは、個々の被災者に対して震災関連死として認定するという性質ではないことについては御理解いただきたいと思います。もういただいていると思います。

 災害弔慰金制度、これは内閣府が所管しております。災害弔慰金の支給に当たっては、この制度に基づいて、市町村が個々の被災者に対して適切に認定を行っているものと承知をしております。内閣府からは、その適切な認定のために、都道府県を通じて市町村に、過去の災害、これは今この資料にあるとおりだと思いますが、過去の災害における災害関連死に係る災害弔慰金の支給判定に関する事例について情報提供していると伺っております。

 これらを踏まえて、内閣府において適切に対応されるものと思っております。

階委員 因果関係ありなしにかかわらず、そこで亡くなっていることは間違いないわけですね。こうした事例の中に、実は今後の震災関連死を防ぐヒントが隠されていると思っております。

 これからまだ仮設住宅で長く住まわなくてはいけない方もたくさんいらっしゃるわけで、かつ、東北は寒いですから、これから厳しい、寒い冬の時期になるわけで、過去の事例を分析して、震災関連死の再発に役立てるべきではないかと思っております。この点について、大臣のお考えをお伺いします。

根本国務大臣 委員がおっしゃられるとおり、東日本大震災の被災者におかれては、いまだに仮設住宅などで不便な生活を強いられている方が多くいらっしゃる、その仮設住宅暮らしが非常に長期にわたることになるということは、私も、委員と同じように認識をしております。

 その対応ということですが、やはり第一には、住宅再建を早く進めて、仮設住宅などから恒久的な住宅に一刻も早くお移りいただけるように、住宅再建・復興まちづくりの加速化に取り組んでいくことが必要だと考えております。

 第二に、それまでの間についても、委員が御指摘のとおり、適切に、健康面、生活面での総合的な対策を講じることが重要であると考えております。被災者の皆様のさまざまなストレスを軽減するため、国、地方公共団体、民間団体などが連携して、被災者の見守り活動などの孤立防止や心のケアにも取り組んでいるところでありまして、この点からも、このテーマ、問題にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

階委員 私がいただいた資料をもとに震災関連死の数を推計したところ、大体、九月末現在で二千七百五十六人ぐらいでした。直接亡くなった方がことしの八月九日時点で一万五千八百八十三人、行方不明者が二千六百五十六人ということですから、震災関連死の数がいかにふえているかということも御認識いただきたいと思います。

 震災関連死を食いとめるということは二次災害を防ぐということでもありまして、ここは、復興庁、ぜひワンストップでお仕事をされていただきたいと思います。内閣府の仕事だというのではなくて、震災関連死をぜひ食いとめるためにあらゆる手だてを講じていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それで、復興予算については、いかに復興を迅速に進めるかというだけではなくて、復興予算の流用をいかに防ぐかという論点も非常に大事です。実はその点に関しては、ここの決算行政監視委員会で昨年、国会仕分けの対象にもしました。

 取り上げた七つの事業についてこの委員会で決議した内容と、それに対して政府はどのように対応したかということの決議の反映状況というのを一覧表にしたものが十八ページです。これも後でごらんになっていただければと思うんです。

 行革担当大臣にお伺いしたいのは、今回、先ほども質問に出ていました行政事業レビューの中で、昨年これだけ問題になった復興予算の流用について、事業レビューでは取り上げられなかったのではないか、これは報道ベースで聞いておりますけれども、実際どうだったのか、また、仮にそうだとすれば、なぜ取り上げなかったのかということについて御説明いただけますか。

稲田国務大臣 行政事業レビューは各府省の全事業が対象で、今、レビューシート約六千が公表されております。したがいまして、復興関連事業についても、他の事業と何ら変わることなく、復興庁等においてその使途の点検、検証、もちろん行政事業レビューの対象となっております。

 その行政事業レビューで公表されたものについて、行政改革会議によりチェックをして、十一月六日の同会議において、復興関連事業についても、さらに見直しの余地があると考えられる事例として、改善の方向性について指摘をしているところでございます。

 復興予算については、今後とも、行政事業レビューにおいて、事業のPDCAサイクルの徹底の観点から、予算の使途を含め、適切な検証と改善を進めていくことはもちろんのことでございます。

 また、先ほど委員御指摘のように、衆議院の決算行政監視委員会において指摘された七点については、ほぼ改善がされているかと思います。

 全国向けの予算、基金については、二十四年度補正予算及び二十五年度当初予算において、これを原則全廃しております。また、全国向け基金について、執行済みのものなどを除く千四百二十八億円について、財務大臣及び復興大臣から国への返還等を要請するなど、使途の厳格化が行われているものと承知をいたしております。

階委員 行政事業レビューのシートは全事業についてつくっているんだと思うんですが、いわゆる公開の場で、この事業はどうなのかというのが、今回、件数が少なくなる中で、復興事業は取り上げられなかったと伺っております。

 私としては、行政は行政で自己チェックというのが大事なんですけれども、やはり国会の場で、行政府の予算の使われ方は問題ないかどうかチェックする、我々がやった国会仕分けという取り組みが大事だと思っています。

 国会仕分けをやるときに、総務省の行政評価局にも大変御協力いただきました。今後、国会仕分けをやるとなった場合、総務省としてはどのような御協力をいただけるのか、御答弁願えますか。

上川副大臣 決算行政監視委員会におかれましては、決算の審査そして行政監視に関しまして精力的に調査を進めておられることに対して、心から敬意を表したいというふうに存じます。

 当委員会の国会版事業仕分けにつきましては、立法府における行政の監視として、これまで大きな成果を上げてこられたというふうに承知をしているところでございます。

 当委員会の御関心事項につきましては、行政評価局の持っております有益な情報につきまして、必要に応じて積極的に提供するなど、これからも連携をしてまいりたいというふうに思っております。

 国民のために不断の行政改革ということでございますので、それに向けて協力、連携をしてまいりたいと思います。

階委員 実は、この質問は新藤総務大臣にしたかったところでありまして、と申しますのも、新藤総務大臣が、この決算行政監視委員会の委員長だったときに、リーダーシップを発揮されてこの国会仕分けを始めたということで、そのときに、民主党政権だったんですけれども、民主党政権としても、行政の無駄遣いを排するためには、この国会の場で、公開の場で与野党が全力を尽くして事業の点検をしていくべきだということで、野田総理のときにこういうことを始めたわけですね。

 今、政権はかわりましたけれども、ぜひ、この国会仕分けという憲政史上初の取り組みをさらに大きく発展させていただけるよう委員長に切にお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

松浪委員長 後刻、理事会で協議いたします。

 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 本日は、この決算行政監視委員会におきまして、特に平成二十三年度の決算についてお尋ねをしていきたいというふうに考えております。

 その平成二十三年度が、まさに東日本大震災の発生した年でありまして、その年は計四回の補正予算が編成されております。タイミング的に申しますと、三月十一日、年度でいいますとその前の年度ですけれども、に大震災が発生して、その後、一次、二次というふうに補正も組まれて、震災対応といいますか、復旧復興予算がつくられたわけでありますが、私、当時参議院におりましたけれども、大震災からの復旧復興という意味でいえば余りにこれは遅いのではないか、政府の意思決定のスピード感というものが欠けているんじゃないかということを参議院の予算委員会なりで何度か指摘した記憶がございます。

 遅いというのも問題なんですけれども、その中身。もう既に平成二十五年度になっておりますので、平成二十三年度に編成されました震災復旧復興の予算、そしてその執行であります決算がどういうものであったのか、今ちょうど振り返るべきときに来ていると思います。

 金額からいいますと、今、復興特会に寄せ集められておりますけれども、例えば今年度予算を見ますと、財務省でつくられておる資料からしますと、復旧復興事業の規模と財源というペーパーがございまして、これによれば、平成二十三年度及び昨年度、二十四年度の予算が十七・五兆円、事業費として歳出に立っております。本年度は、それにまた三・三兆円加えまして、二十五年度予算のところで二十・八兆円。それから、二十六年、二十七年度、二十七年度までが集中復興期間というふうにされておりますので、その間に二十三・五兆円からそれを超える規模の事業費が既に確保されております。

 もちろん、あれだけの大震災でしたので、大変な金額の復旧復興事業費がかかるというのもわかるんですけれども、今ほど階委員からも御指摘があったように、復興予算については被災地以外の流用が多々見られたことも報じられておりますし、この決算行政監視委員会でも問題視されてまいりました。

 そもそも、二十三年度、二十四年度の予算が十七・五兆円ですけれども、そのもととなった数字が一体どこにあるかといいますと、東日本大震災からの復興の基本方針という東日本大震災復興対策本部のペーパーが、閣議決定に近いものだと聞いておりますけれども、あります。平成二十三年七月二十九日であります。当時、民主党政権、菅内閣のもとにあったわけですけれども、そこで規模と財源についてのくだりがあります。

 規模につきましては、事業規模、「平成二十七年度末までの五年間の「集中復興期間」に実施すると見込まれる施策・事業の事業規模については、国・地方合わせて、少なくとも十九兆円程度と見込まれる。また、十年間の復旧・復興対策の規模については、少なくとも二十三兆円程度と見込まれる。」というふうにここに記載されているわけですね。

 そのもとになったのは一体何かといいますと、内閣府の、被害総額十六・九兆円いう数字であります。ある種、この十六・九兆円という被害想定金額がひとり歩きしたのではないかというふうな指摘も各方面からされておるところでございます。

 まず、内閣府にお尋ねしたいんですけれども、この十六・九兆円の積算の根拠といいますか、考え方について、大まかなところをお教えください。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 内閣府が平成二十三年六月に行った被害額の推計でありますけれども、これは関係各県、各府省からの建築物、ライフライン、社会基盤施設などのストックの被害額に関する情報をいただいて、これを積み上げて取りまとめたものであります。この推計は、基本的に、被害を受けた建物とかのストックについて、減価償却を反映させた額ではなくて、再調達に必要な額、つまり建てるのに必要な金額ということで積み上げているところであります。

 当時、私ども、十六・九兆ということで推計を申し上げたんですが、民間でも同等の推計がありまして、少ないところで十四兆、多いところで二十二兆を超えるものがありますけれども、民間の平均をしても、幅があるもので、下の方をとっても十六・一兆ぐらい、それから、大きい方をとっても十七・五兆ぐらいでありますので、そんなに大きな違いはないというふうに考えております。

 その後、平成二十三年度の国民経済計算において、減価償却を反映させた東日本大震災による資産の減少額は約九・二兆、反映させると九・二兆となっていますので、そういう意味では過大であったとは考えておらず、大体妥当な数字じゃないかというふうに認識をしているところであります。

桜内委員 ありがとうございます。

 恐らく、問題点としましては、今、再調達価格というふうにおっしゃいました。これはもちろん一つの考え方でありまして、これをもとに被害額の推計を行っていく。もちろん、これは復旧復興していくわけですから、新しく同等のものを買う。その場合、幾ら、これまで中古品というか、例えば中古車を持っていたからといって、次に買うとき新車で買うのか中古車で買うのかという問題はあろうかと思いますけれども、再調達価格でもって見積もりをするというのは一つのやり方だとは思います。

 ただ、何が問題かといえば、まさに、今は復興特別会計というものが設置されているわけですけれども、この復興に係る事業費の見積もりにおいて、この被害額をほぼそのまま、十六・九兆円という数字から、先ほど申しましたように、平成二十三年度、二十四年度の復旧復興事業費が十七・五兆円という形で予算化されてきているんですけれども、それがその後本当につながるのかというところなんですね。

 といいますのは、内閣府からもあらかじめ資料等いただいたんです。今おっしゃった十六・九兆円の見積もりの方法ですとか、あるいはその内訳、詳細な資料をいただいたところなんですけれども、例えば、一番規模のでかい被害額というのが住宅なんですね、宅地、建築物。これは民間の住宅であります。それが五・六兆円。それから、民間企業の土地、建造物等が四兆円程度ということで、民間なり個人の所有のそういった住宅ですとか土地あるいは建造物について、これは全部公費で、新しく住宅を買ったりとかすることを復興予算でしているわけではもちろんありません。

 そういった意味でいえば、当時、私、記憶しておりますけれども、二重ローン問題というのが大変大きな政治課題としてありました。私も、その二重ローン問題の解決のための法案づくりに参議院の側で随分当時の与党とも折衝したわけですけれども、まさに、そこは本当にスピード感が求められる。日々の資金繰りにも関係しますからね、特に事業資金の場合は。大変スピード感が求められるにもかかわらず、半年以上たって、非常に予算を使うことを渋った。これは政府なのか与党なのか知りませんけれども、大変残念な結果。一応法律はできましたけれども、非常に不十分な、不本意な法案になってしまったと私は記憶しております。

 そういった意味でいうと、住宅は、もちろん、頭金ぐらいは政府が出すという仕組みもあってしかるべきだと思いますけれども、基本はやはり民間からのローン、それに対して保証をつけてあげるとか、そんな復興の施策があったと思います。

 また、民間企業のそういった建造物であるとか施設の復旧復興という意味でいえば、これも、基本はやはり民間の資金でもってやるべき話であって、その金融をどうつけてあげるかというのが政治の仕組みだったと思うんですけれども、そこも含めて、この復旧復興事業規模十七・五兆円と実際に二十三年度、二十四年度で予算をつけてしまったということは過大だと思われませんか。

谷副大臣 復興庁の立場で言うのもどうかとも思いますけれども、ただ、今、十九兆円と桜内委員御指摘がありましたけれども、その後、政権交代して二十五兆円となっています。それで、二十五兆円の見積もりも、必要な事業費を積み上げて、あるいは実績プラス今後の見込みを出したものでありますので、御指摘のように、過大ということはないのではないかと認識しています。

 また、それに、復興事業は、委員御指摘のように、単なる壊れてそれを再建するだけではなくて、丘陵地帯を削り、山を削り、新しいニュータウンもつくらなきゃならない、防潮堤も新たに整備しなければならない、道路もかさ上げしなければならない、そういった要素も十分加味した復興でなければならない、そういうふうに思っております。

桜内委員 我が国は地震国ですので、復旧復興の経験は数多くあります。一九九五年の阪神・淡路大震災、西村副大臣も大変な経験をされたと思うんですけれども、そういった意味では、例えば高台に移転するというのを私は一概に否定するつもりもありませんけれども、やはり効率的な復旧復興のあり方というのをもう少し検討したらよかったのではないかなというふうに考えております。

 例えば、よく言われておりますけれども、神戸の長田区は大変な被害が出ました。そして、そこを、新しいまちづくりということで、商店街もぴかぴかにつくり直したんだけれども、しかし、つくり直すのに余りに時間がかかったために、事業主が、そこではもう仕事ができないということで出払った後でして、もうシャッター街になっているというふうに聞きます。

 そういった意味で、高台移転ももちろんいいのかもしれませんけれども、まだ十分に完成もしていない。もう震災が起こってから二年半以上たつわけですよ。そういったときに、やはり、スピード感というものを先ほど少し申し上げましたけれども、そのスピード、それから、一体どういうふうな復興事業をやっていくのかというところで、お金のかけ方も随分違ってくると私は思うんです。

 そういった意味で、今、副大臣が、必要な事業をというふうにおっしゃったのも理解しないつもりはないんですけれども、しかし、もっと効率的な予算の使い方、復興事業のあり方というのを本来検討すべきだったんじゃないかなというふうに考えるんですが、もう一度、そこはいかがでしょうか。

谷副大臣 確かに、どういう事業をするにしても、そのやり方が一番合理的なのか、効果的なのか、無駄はないのかというのは常に検証しながら行う必要があるかと思います。

 我々も、復興事業を進めるに当たって、より効率的なやり方がないのかということも常に考えてはいるつもりではございますけれども、今後とも常にそういう問題意識を持って取り組まなければならないと思います。

 ただ、地域における復興の姿というのは、これからの東北、これからのそれぞれの地域の将来を見越して、地域がみずから主体的に計画をする、国はそれを後押しするというのが基本でございますので、地元の意向も十分尊重しながら進めていかなければならない、そう思っております。

桜内委員 確かに、その地元の意向というのは、特に被災地の意向ですね、そこに暮らす方々がたくさんいらっしゃるわけですから、最優先するのは私も当然のことだと考えます。

 しかし、残念ながら、私、この予算が過大だということの指摘と、それから、この決算行政監視委員会でもって、昨年、国会版事業仕分けという形で被災地以外への復興予算の流用が大変大きく取り上げられたことがありました。

 私自身、当時参議院におりましたけれども、そういった問題が昨年の夏に起こる前、例えば平成二十四年度予算に関して、参議院の予算委員会において、例えば北海道の一般の国道の整備費、事業費に使われているですとか、あるいは小笠原のなぜか離島振興費まで復興特別会計からお金が出ているとか、そういった指摘をした記憶があるわけです。

 これまでの平成二十三年度予算で申しますと、特に補正予算、一次から三次まで見ますと、三次が一番、規模が十兆円以上と大きかったんですけれども、非常に執行率が低いんですよ。災害廃棄物処理、これは恐らく瓦れき処理が主だと思うんですけれども、これが四三・二%、繰越率五三・四%。それから、公共事業、災害復旧、これは執行率がわずか一五・一%、繰越率六一・九%、不用率も二二・九%、不用が二割超えているわけですよ。

 こういった予算をつくっておきながら、先ほど谷副大臣は、必要な事業にというふうにおっしゃったんですけれども、こういった数字をごらんになって、この決算行政監視委員会でまさに決算を見て言っているわけですけれども、必要な事業と本当に言えるとお考えでしょうか。

谷副大臣 お答えします。

 二十三年度の復興関連予算における公共事業などについては、委員御指摘のように大変執行率が低く、三二・二%で、多くが繰り越されている。それで、繰り越された額は実は二十四年度に消化されているわけでございますけれども、二十三年度の計上が、今の時点で見て適正であったかどうかということを考えるならば、多くの繰り越しあるいは不用、そういったことから見て、我々自身としても、当時は私は野党でございましたけれども、反省するところがあるかと思います。

 ただ、当時の与党に同情するわけではございませんけれども、全体の絵姿がよくわからなかった、しかし、一日でも早い復興をという非常に強い被災地の思いがあった。それで、少なくてもお金の心配はさせてはならない、被災地に金がないから復旧速度を緩めることがあってはならない、そういう強い思いもあったことも事実ではないかと思います。

桜内委員 そこはやはり、当時民主党政権だったので、谷副大臣に余りぎりぎりとその責任であるとか反省とかを求めるつもりも正直ないんですけれども、当時、ここにいらっしゃる先生方、特に野党であった自民党の方々、やはり歯ぎしりするような思いだったと思います。私も野党でしたので。

 さっき、スピード感が全くなかったというのを申しました。なぜかというと、三次補正というのが十兆円を超える本格的な復旧復興予算だったわけですけれども、この成立が平成二十三年の十一月二十一日なんですよ。半年以上たって、ようやく本格的な復興予算ができた。

 何でこんなにおくれたのかというと、それは、財源確保法の成立が十一月三十日、これとあわせてようやく、この三次補正予算では復興債の発行とかそういった規定もあったやに記憶しておりますけれども、その関係で、要は、復興債の発行、そしてその償還財源を担保する復興増税をのまなければ本格的な復興予算をつくらないといった、当時の、あれだけの大震災から半年以上ですよ、これは本当に政治の怠慢だと私は歯ぎしりする思いで、野党の側におりましたけれども、見ておりました。

 そうはいっても、では、できた予算がどうだったのかというと、今言ったとおり、無駄が多かったというふうに私も言いたくはないんですけれども、繰り越しが多い、不用が多い、執行率が低い。そして、昨年のこの委員会での国会版事業仕分けにおいても、被災地以外の流用が多額にわたって指摘がなされる。それだけ時間があったんだったら、もっとちゃんとした予算をつくれよというのが恐らく国民の声であったと思うし、国会の雰囲気であったとも感じております。

 特に、一つ、私自身、問題意識を持っておりますのが、先ほど申しました、災害廃棄物処理という言い方をしておりますけれども、これは環境省になるのかもしれませんが、瓦れきの処理ですね。

 瓦れきの処理、東日本大震災におきましては、まさに日本全国で負担を共有しよう、負担し合おうという思いで、瓦れきを大変遠くまで、多分、四国であるとか九州までトラックで運んで、分別の上、処理していく、燃やしていく、こういった処理をとられたと思うんですけれども、しかし、千年に一度の大災害ということは、千年前にそんな車なんかもあるわけもなし、普通に考えれば、そういった瓦れきが大量に出た場合には、やはり埋めちゃうわけですよ。埋め立てに使うですとか。

 そういうことをやれば、もっと早く、被災地の底地のかさ上げですとか、あるいは土地をもう一度使うことができる、そういったやり方もあったと思うんですけれども、今の瓦れきの処理に関する法規制、どうしても、そうやって運んだ上で、さらに分別までしてやるようなことだったのか、あの緊急事態において、そこをなぜ臨機応変に変えられなかったのか、その理由についてお尋ねします。

梶原政府参考人 災害時の瓦れきにつきましては、今委員おっしゃられるとおり、できるだけ早く処理をするということが一つの大きな原則だと思っております。

 それで、例えば、先ほど阪神大震災の例もございました。阪神大震災の場合も、約二千万トンほどの瓦れきが出ておりまして、処理には三年ぐらいかかったということでございます。

 今回、東日本大震災につきましては、例えば岩手県と宮城県、ここが非常に多いわけでございますが、この二県を例にとりますと、地震そのものとそれに続きます津波で、海岸部分だけで、岩手県全体の一般廃棄物の八年分、宮城県に至っては、宮城県全体の十三年分の瓦れきが出てきたということでございます。

 これらにつきましては、埋め立てられるものは埋め立てるということではございますけれども、やはりコンクリート殻とかアスファルト殻とか、そういった再生利用に使えるようなものが結構多くて、実際、これまでの処理といたしましては、分別等々を行いながら、この両県でございますと、八四%ほどのものは再生利用をし、かさを減らすという意味で、燃やせるものは燃やし、そして埋め立てるものは埋め立てるといったような対応を、それぞれの自治体ごとあるいは県ごとに計画をつくって、処理をさせていただいておる、こういうことでございます。

桜内委員 おっしゃるのが全く理解できないと言うつもりはありませんけれども、あれだけの大災害で、まさに瓦れきの処理にスピードを要する。そして、再利用、たくさんされたかもしれませんけれども、やはりそれはコストがどうなのかというのは考えなくちゃいけないわけですよ。

 少なくとも、平成二十三年度の補正では、三度の補正、合わせて七千三百七十八億円、瓦れきの処理に使っているわけですよ。その後も入れれば、これは幾らですか。ちょっとその金額と、金額に見合うリサイクルの効果が本当にあったとお考えなんですか。そこをぜひお答えください。

梶原政府参考人 今、予算の件でございますが、二十三年度につきましては、一次補正と二次補正、合わせて、事業費としては七千三百七十六億円、これ以外に人的支援の話で二億円ほど入っておりますけれども、二十四年度の当初予算額としまして三千四百四十億、二十五年度としまして千二百四十七億ということで、合わせて一兆二千六十三億円の事業費を計上させていただいております。

 この経費につきましては、先ほど申しましたように、全体としては二千万トンの瓦れき、それと津波堆積物、これについても一千万トンを超えるものでございます。これらの予算を使いまして処理をし、ようやく宮城と岩手については約九割まで今処理率が来ておりまして、本年度内にはほぼ、この両県については処理ができるというレベルまでなってまいりました。

 そういう意味においては、大変多くの予算額を使わせていただいてはおりますけれども、そしてまた三年という年月がかかっておりますけれども、効果があったものではないかというふうに考えてございます。

桜内委員 効果というのは、かけた費用に対して、瓦れきの処理にそこまでお金をかけるべきだったのかということですよ。

 今部長がお答えいただいたように、一兆円を超えているわけですよ。三年間かけて瓦れきを処理しました、それは立派ですよ。でも、一兆円もかけてやるような仕事なのかということですよ。

 埋めてしまえば済むものもたくさんあるわけですよ。リサイクルも大事かもしれない。でも、この緊急時ですよ、千年に一度の。もっと早く処理しなくちゃいけないというときに、一兆円かけて、三年かけてやっている場合だったのかというのが、まさにこの決算行政監視委員会で、環境省の、部長のいらっしゃる廃棄物・リサイクル対策部というのが本当に仕事をちゃんとやっていたのか、効率的に、予算をなるべく少なく使って効果を上げるという仕事ができたのかということを、反省もあれば、反省を含めてお答えください。

梶原政府参考人 今委員がおっしゃられるように、効率的に処理を行うというのは極めて重要だと思っております。

 そういう意味においては、今回の予算の執行についても、我々としては効率的にやってきたつもりでおりますけれども、さらには、今後、委員がおっしゃられるように、来てほしくない巨大な地震というものの想定もございます。一番大きな数字では、首都圏直下型では一億トン近く、南海トラフでは三億五千万トンクラスの瓦れきの発生もあるというふうに予測されてございます。そういう意味におきましては、いかにして効率的に処理ができるかということを今後とも考えてまいりたいというふうに考えております。

桜内委員 効率的な処理というのは、恐らく埋めることだと思うんですよ。過去の、例えば百年前に大きな地震があったとき、あるいは二百年前にあったとき、トラックで運ぶなんてできないわけですよ。当たり前ですけれども。

 そういったお金をどういうふうに効率的に使うのか。これは全て税金ですよ。あるいは、公債によって調達した財源ですよ。そこのところはぜひ踏まえて、震災の復興にもちろん瓦れきの処理というのは大事な要素だと思いますけれども、遅いし、お金がかかり過ぎだし、もっとやり方があるんじゃないですか。

 これは、法律上、そのように処理しなくちゃいけないというふうに何か限定があるんですか。

梶原政府参考人 法律上の規定でございますけれども、法律上は、瓦れき処理は廃棄物処理法上の一般廃棄物処理ということになっておりまして、市町村がこれを処理するということになります。その際、廃棄物処理法上の処理基準というものがかかります。

 ただ、そのときに、処理のやり方としては、今回のように非常に大規模な形でごみが出てきた場合には、責任を持っている市町村単位ではなかなか処理ができないということもあり、今回、東日本大震災の廃棄物の特別措置法といったようなものもおつくりいただきまして、例えば国が代行をする、あるいは、地方自治法の規定で、県が委託を受けて代行して処理を行うといったような規定もございます。

桜内委員 役所の方に立法が適切だったかどうかと問うつもりもないんですけれども、これだけの大震災であれば、そのような都道府県連携とかというのももちろん必要なんでしょうけれども、そもそも、とにかく分別せずにさっさと埋めてしまうとか、その方が恐らくはコストもかからず、そして瓦れきの処理も早く済んだというような意見もあるわけですよ。

 そういった意味でいうと、これはやはり立法上、先ほどおっしゃいましたこれからの南海トラフ地震、あるいはもう一度この東京に大地震が来る、こういったものを想定したときに、今と同じような体制でやっていると、被害想定額、聞くところによれば、ちょうど十倍の百六十九兆円という話も聞いたりします。こんなの、とても財政がもつわけないんですよ、こんなやり方をやっていれば。そこはしっかりと、このような大震災が起こったときにどのように瓦れき処理をやっていくのか。通常時のやり方をしていちゃだめなんですよ。ということを、ぜひ今後研究しておいていただきたいというふうに考えます。

 そして、少し予算の枠組みそのものについて古川副大臣にお尋ねをいたします。

 平成二十三年度、二十四年度の復旧復興事業費が合わせて十七・五兆円。このうち、東京電力に対して求償権を持つ金額、いずれ返ってくる金額も幾らかあるとお聞きしておりますし、また不用額も兆円単位で出ていると聞きます。にもかかわらず、今年度、平成二十五年度予算で三・三兆円程度積み増しがされておりますし、来年度、再来年度においては確実に見込まれる事業として二・七兆円程度積み増しをさらに考えていらっしゃって、集中復興期間、平成二十七年度までの間に総額二十三・五兆円程度事業費を見積もられている。

 これはちょっとやり過ぎという感じをお持ちになりませんか。これだけ不用が出ていて、かつ被災地以外の流用がこれだけ指摘されている中、これを改めようというお考えはないですか。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 まず、二十三年度、二十四年度の分で不用がたくさん出ておるということでございましたが、二十五年一月の復興財源のフレームの中では、二十三年度決算の不用額として一・一兆円、そして二十三年度及び二十四年度の東電求償経費として除染等の費用約一兆円が控除されているわけです。

 これはそれぞれ理由のあることでして、不用というのは、要するに、必要のない予算を計上したのではなくて、その執行に滞りがあったということです。ですから、その後にしかるべきタイミングでその財源を活用して事業を執行するわけでありますし、また東電の求償にかかわる分につきましては、これは一時的に国が肩がわりをするわけですけれども、やがて東電に求償するわけですので、そういう意味では、この復興財源フレームから除いて考えるべき性質のものであろう。こういうことから、御指摘の一・一兆円、一・〇兆円の不用というようなものが出てきておるということになるわけです。

 さらに御指摘の、今度、二十五年度で三・三兆円をさらに積んでいるのではないかということでございますが、その内訳を申し上げますと、公共事業費や施設費が約〇・九兆円、震災復興特別交付税が約〇・六兆円、東日本大震災復興交付金が約〇・六兆円、災害関連融資関係経費が約〇・一兆円、災害廃棄物処理事業費が約〇・一兆円、災害救助等関係経費が約〇・一兆円ということで、三・三兆円という必要額を計上させていただいているところです。

桜内委員 ありがとうございます。

 今お聞きした範囲で、それが本当に必要なのか、もちろん、不用にならないようにしっかりと執行も見据えながら計上されているとは思いますけれども。

 これまでの過去の実績といいますか、執行の実績。二十三年度、二十四年度の不用がこれだけ出る。あるいは繰り越しがこれだけ出てきた。さらには被災地以外にこれだけ使われてきた。もうそれは大分なくなってきているとは思いますけれども。冒頭の内閣府に対する質問にもありましたけれども、もともとの被害額の想定自体が誤っているとは言いませんけれども、被害額そのまま、民間の住宅であるとか企業の建造物あるいは施設等の被害額も含めて、このような巨額の復旧復興事業費を見積もって、まず総額ありきでやった感は否めないなというふうに考えております。

 それでまた、総額が、それは大きければ大きいほど、復興も幅広くできていいということもあるんでしょうけれども、それにしても、繰り返しになりますが、タイミングが余りに遅きに失した。二十三年度の十一月まで半年以上かかって、ようやくこういうふうな、後で見るとややずさんな内容の予算になってしまったというのは、これはまさにこの決算行政監視委員会において二十三年度決算を審議する以上、しっかりと反省して、今後に活用すべきことだと思います。

 その点について、二十三年度予算総体について、特に復興予算について、財務省の御見解をお願いいたします。

古川副大臣 二十三年度予算につきましては、一次補正から順次、二次、三次、四次と続くわけでございますけれども、先ほど委員も御質問の中で少し触れておられました、遅いのではないかと歯ぎしりをする思いで聞いておったということでございまして、私も当時のことを思い出しながらお聞きしておったわけです。

 ここで一つ、補正予算について振り返ってみますと、五月に一次補正、そして七月に二次補正が編成されておるわけですけれども、これは、いわゆる一刻も猶予のならない、被災者の救助等々、あるいは原子力被災者の支援、こういうものでございまして、いろいろな財源を活用して、とにかく急いでということでございました。

 しかし、一方で、本格的な復興、それは、被災者の皆さんが将来に対して安心感が持てるような、そして将来のビジョンはこうですよというようなことを示せるような、本格的な復興の総合的、計画的なビジョンといいますか、青写真というものを示さなきゃいけない。それが、七月末に復興の基本方針ということで策定をされたわけであります。そして、この基本方針に沿って、復興のために効果の高い必要なものを重点的に措置したものが三次補正であって、これが十月に国会に提出されて、成立したのが十一月だった。

 ですから、本当に一刻も早い方がいいわけでございますけれども、予算の内容からしますと、七月末に策定されましたこの基本方針、これを具現化するために、最低限、このような時間をとったものではないだろうかというふうに思っておるところでございます。

 いずれにしましても、今のこの内閣においても、復興を加速化するためには、これは全力を挙げていくわけでございます。

桜内委員 ありがとうございます。

 東日本大震災からの復興というのは日本全体の大きなプロジェクトでありますので、ぜひリーダーシップを発揮して、政府としても頑張っていただきたいと思います。

 時間も余りないので、最後に少し、ちょっとこれはさすがに変じゃないかという点だけ指摘をして、お答えをいただきたいと思っております。

 二十三年度の三次補正で、基礎年金の二分の一国庫補助について二・五兆円程度歳出が組まれて、その財源として、何と、財源確保法がちょうど成立したときでもありましたので、この財源の確保のために、通常の、一般の普通国債ではなく復興債が発行されて、その財源が充てられております。

 これはさすがに、復興の名をかりて、つなぎといいますか、基礎年金の二分の一国庫補助というのは今後とも恒常的に続く話でありまして、復興と何の関係もない。これこそ、一番規模の大きな復興予算の流用といいますか、復興財源の流用のようにも感じるんですけれども、この点について財務省はどうお考えになりますか。

古川副大臣 お答えいたします。

 二十三年度の一次補正の段階では、復興財源をどうやって確保するかということがまだ具体的に決まっていなかった段階でありました。しかし一方で、もうこれは一刻も猶予がない、お金は必要だということでございましたので、年金臨時財源二・五兆円を復興事業の財源として活用したという経緯でございます。

 おっしゃるように、この年金臨時財源は、本来、基礎年金国庫負担分を二分の一に引き上げるために確保しておった財源だったわけでして、したがいまして、それを活用したその穴を埋めるために、事後において復興債で補填をすることになったという経緯でございます。

 したがいまして、迅速な復興を進める観点から、一時的に年金臨時財源を活用しつつ、後に発行が可能となった復興債によってその補填を行うことで、事後的に復興債を第一次補正予算における復興事業の財源にしたというふうに観念できるわけでございますので、これは決して流用したというようなことではなくて、復興事業に充てる財源を賄うという意味で復興債の趣旨に沿ったものである、このように考えております。

桜内委員 誠意あふれる、なかなか厳しい、苦しい答弁だったかと思うんですけれども。

 やはり、当時、二十三年度はまだ復興特別会計がなかったものですからそういうやり方もできたんだと思うんですけれども、その後、平成二十四年度、四月一日からは復興特別会計が設置されて、その目的のところで、復興の用に供するといいますか、そういった限定がついているわけですよ。ですので、二十三年度に限っては今おっしゃったような特別なこともできたんでしょうけれども、復興債が財源ですから、それはいかがなものかということは指摘しておきます。

 もう一つ、もう時間がありませんのでこれも指摘だけになるかもしれませんけれども、全国に設置された基金に対して、財務省が、これは恐らく史上初めてだと思うんですけれども、何かしらの法的根拠に基づかずに、ある種行政指導的に、余ったお金を一千億円程度実際に返還してもらってきたというふうに報道されておりますし、復興庁もそういうふうな発表をしております。

 これは復興庁になるかもしれませんけれども、こういった事態は余りに格好悪いので、これこそ、どういう予算だったのか、返せというふうに後で言われるような予算をつけたということは、これは財務省が反省すべきなのか、復興庁が要求してとってきたので反省すべきなのか、ちょっとどっちかわかりませんけれども、一言お願いいたします。

谷副大臣 御指摘のあれは前内閣でも一部返還しました。それで、我々の内閣でも、基金について、一千億を超える返還要請を行ったところです。主に二十三年度三次補正ですから、当時は復興庁はございませんでしたので、復興庁というよりも政府全体として、こういう計上のやり方がよかったのかということは大いに反省をしなければならないと思います。

 計上した事業そのものはやはり全国的に地域の実情に応じた必要な事業だと思いますので。ただ、計上の方法が復興特会というのはやはりいかがなものかなということで、今要請をしているということでございます。

松浪委員長 古川副大臣、もう時間が過ぎておりますので、簡潔に。

古川副大臣 では、簡潔に申し上げます。

 使途の厳格化という観点から、本年七月に、財務大臣及び復興大臣から国への返還等の要請を行って、既に七割程度の返還が確実に見込まれておる状況になっております。

 今後とも、使途の厳格化ということを心がけてまいりたい、こう思っております。

桜内委員 ありがとうございました。終わります。

松浪委員長 この際、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君から訂正発言を求められておりますので、これを許します。

梶原政府参考人 大変申しわけございません。

 先ほど予算額を申し上げるときに、二十三年度一次補正と二次補正と申し上げました。一次補正と三次補正の誤りでございます。

 どうも失礼いたしました。

松浪委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 午前中の重点事項審査では、財政の問題として、補正予算の財政規律や社会福祉法人の内部留保について伺いました。午後は、テーマ自由の全般的質疑ということですので、大きく二点、アメリカによる盗聴問題と食品偽装問題についてお伺いをいたします。

 まず、米国政府による先進国首脳に対する盗聴問題についてです。

 菅官房長官は、十一月五日の記者会見で、米国による安倍首相の携帯電話の盗聴の可能性について問われて、盗聴はない、根拠はあるが言えないということでありました。

 それでは、以前の首相については盗聴はあったのかなかったのか。民主党政権時代の野田総理、菅総理、鳩山総理、そして自民党政権時代の麻生総理、福田総理については盗聴の事実はあったのかなかったのか、また確認はされたのか。盗聴の有無と確認の有無についてお答えをいただきたいと思います。

加藤内閣官房副長官 井坂委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今御指摘の官房長官の御発言について、総理についての、携帯電話を含めて情報保全については万全を期しているんだ、そういう意味で問題はないと認識している、そういう意味での御答弁だったというふうに思いますし、また、その具体的な対策については、事柄の性質上、控える、そのように述べているところでございます。

 一方、歴代の総理に対する盗聴の事実の有無等については、従前から、政府の情報収集能力にかかわることであり、これを明らかにするということは政府の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあるということで、お答えを差し控えさせていただいているところでありますけれども、いずれにしても、当時においても情報の保全については万全を期していたもの、このように承知しております。

井坂委員 官房長官の記者会見では、盗聴の有無については一切答えていない。要は、万全を期しているので、ないものと認識している、そういうことだったということでしょうか。

 官房長官が、同じく、国家安全保障に関する特別委員会の答弁でも、今我が国においては、通信傍受というのはないというふうに考えております、こういうふうに答弁をされているわけですけれども、これも、安倍総理の件と同様に、何か根拠があって通信傍受がないと答弁されたのか、また根拠についてお伺いをしたいと思います。

加藤内閣官房副長官 今の国会における菅官房長官の答弁についてでありますけれども、まず、米国の国家安全保障局による通信記録の収集問題を含めて、日米間ではしかるべく意思の疎通を図っているということ、それからもう一点として、先ほどと重複いたしますけれども、常日ごろ情報保全については万全を期しているということ、その具体的な中身についてはこれまでもお答えすることは控えさせていただいておりますけれども、そうしたことを踏まえて、長官は、そうした通信傍受の事例は認識していない、そのように発言されたというふうに承知をしております。

井坂委員 ちょっとよくわからないので再度お聞きしますけれども、つまり、アメリカとの意思疎通によってあるなしを言っているわけではなくて、日本の体制が万全なので、ないものと認識している、こういうことなんでしょうか。

加藤内閣官房副長官 いや、意思疎通を図っているという中での、そうした意思疎通のやりとりといいますか、そういう意思疎通、それに、我が国として情報の万全を図っている、そういったことを踏まえて、先ほど申し上げた通信傍受の事例は認識していない、こういうふうに述べているということであります。

井坂委員 同様に、外国政府の日本国内における盗聴活動についてお伺いをしたいと思います。

 日本国内で、盗聴に関する法制度というのは、憲法による通信の秘密の保障ということで、あるいは犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、こういうものがあって、犯罪捜査に限って盗聴が認められているというふうに認識をしております。

 基本的に、日本国内における通信傍受は原則違法だということでありますけれども、日本国内で外国政府が通信傍受を行っていた場合は、それは違法ということになるんでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の日本国内で外国政府が通信傍受を行っていた場合について、仮に、電気通信事業者がサービスを提供しております携帯電話による会話等、他人間の通信を通信当事者の同意を得ないで受信する場合を想定しているものだというふうにすれば、一般的には、電気通信事業法第四条第一項に規定します電気通信事業者の取り扱い中に係る通信の秘密を侵し、違法と考えられるところでございます。

井坂委員 一般的にはそういうケースは電気通信事業法違反であるということであります。

 次に、似たような事例で岸田外務大臣にお伺いをいたしますが、十月二十五日の記者会見で、米国による盗聴疑惑に関連する記者の質問に答えて、一般論として申し上げれば、公館などに対する情報収集活動は、こうした使節団等の通信の自由、秘密を保障している外交関係に関するウィーン条約の観点といった点から問題はあると思っているというふうに述べておられます。

 そこで、日本国内にある外国の大使館や軍事施設などが日本政府機関や政府首脳の携帯電話を通信傍受するということについては、どのような認識になるんでしょうか。

岸田国務大臣 日本国内にある大使館そして軍事施設などが携帯電話を通信傍受することについてどういう認識かという御質問です。

 まず大使館の方ですが、一般論として言えば、仮に我が国に所在する諸外国の大使館が我が国の法令に反する形で通信傍受を行った場合、そのような活動につきましては、外交関係に関するウィーン条約第四十一条一において規定される外交官の接受国法令尊重義務に反するということになると思います。

 そしてもう一つ、軍事施設という御質問をいただきましたが、外国の軍隊が接受国の法令を尊重しなくてはならないことは、当該軍隊を派遣している国の一般国際法上の義務であります。日米地位協定第十六条が米軍の構成員及び軍属による日本国の法令の尊重義務を定めているのも、かかる考えに基づくものであります。

 一般論で言えば、仮に在日米軍が我が国の法令に反する形で通信傍受を行った場合、当該活動はそのような義務に反することになると認識をいたします。

井坂委員 一般論で言えば、大使館の場合はウィーン条約の接受国法令遵守義務違反、軍隊の場合も、一般国際法上の義務や、日米の場合は地位協定というようなルールがあって、それに反する形になるということであります。

 続きまして、本日いろいろお尋ねすると、特に前段の総理の盗聴の有無ということに関して、なかなか、自分の国の情報収集能力をつまびらかにするものなので、言えないというようなことになってしまうわけですけれども、今ちょうど国会で特定秘密保護法案の審議が進んでいるわけでありますが、こういう米国の盗聴疑惑に関する日米間の意思疎通であったりそういったことは、現行法上の、今ある秘密法制の対象になっているのか、あるいは、特定秘密保護法になると、今のままでいくとするとどうなるのかということについて外務省にお伺いをしたいと思います。

秋葉政府参考人 お答えいたします。

 外務省では、現行法に基づきまして、秘密保全に関する規則というのを定めております。秘密保全の必要性が高く、その漏えいが国の安全、利益等に損害を与えるおそれのある文書などにつきまして、秘密保全の必要性に応じて、極秘あるいは秘といった秘密指定を行っております。

 お尋ねの日米間のやりとりにつきましても、この規則に基づきまして、しかるべく秘密指定がなされております。

井坂委員 特定秘密保護法案の二十三条になりますけれども、人を欺き、暴行、脅迫等々いろいろ書いてあって、電気通信の傍受、不正アクセス行為その他で特定秘密を取得した者は十年以下の懲役というようなことになっています。

 これは、外国政府もしくは外国政府機関に所属する人物が盗聴により政府の特定秘密を取得しようとした場合も、そのまま特定秘密保護法が適用され、処罰されるということになるのかどうか、法案担当の内閣の方にお伺いいたします。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 電話を不法に傍受し特定秘密を取得したときは、本法律案第二十三条に規定する、特定秘密を保有する者の管理を侵害する行為に該当し、処罰対象となり得ると考えてございます。

 また、本法案の第二十六条では、今申し上げました第二十三条の罪については刑法第二条の例によるとしており、国外犯も処罰対象としているところでございます。

 したがいまして、電話を盗聴して特定秘密を取得した場合は、その実行行為が国内で行われたか、国外で行われたかを問わず、本法律案の第二十三条に違反するものと考えております。

井坂委員 外国政府の国内の通信傍受は、まず一般的に通信事業法違反、それで大使館などがやっていれば接受国法令遵守義務違反、さらには特定秘密の保護法にも触れるのではないかということであります。

 明らかに日本のさまざまな法律に触れる行為になると思うんですけれども、この盗聴の有無ということについてしっかりアメリカに確認をして、それに対して適切な措置をとるというのが普通の流れではないのかなというふうに思うんですが、この間のいろいろな、ほかの方の議事録なんかも見ておりますと、結局、実際に、本当に確認をとって、確認をとった結果、なかったんだというような形に、どうも、なかなかはっきり、この間、お答えをいただけていないように思うわけであります。

 日米関係、相手国との関係上という枕言葉が必ず入ってきて、盗聴の有無をまるで探らないかのような答弁がこの間続いているのではないかと思うんですけれども、そういったことが国益であるというふうに判断をされているのかどうかについてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 米国家安全保障局、NSAの通信記録の収集問題につきましては、今国際的にもさまざまな報道が流れております。大きな関心を集めています。そういった中でありますので、我が国としましても、我が国はどうなのか、日米間はどうなのか、こんな問題意識を持ちながら、これまでも実態把握のための意思疎通をずっと続けてきております。

 今後とも、この問題につきましては、さまざまな報道ですとか動き、こんなものを念頭に、しっかり関心を持っていかなければいけないと思っておりますし、その関心のもとに、引き続き、しっかりと米側と実態把握のための意思疎通を図っていきたいと思っております。

井坂委員 実態把握のための意思疎通と言われれば、なるほど、それはそうだなと思うわけでありますけれども、要は、有無の確認ということをずっとこの間されている、今そういうことをおっしゃったという認識でよいのでしょうか。

岸田国務大臣 意思疎通の中身については、事柄の性格上、詳細は申し上げることは控えなければいけないと思いますが、我が国と米国の間がどうなのか、その実態を把握するための意思疎通を行っているということであります。

井坂委員 実態把握の意思疎通ということで、有無の確認をしていますということすら理由があって言えない、何かそういう扱いになるんでしょうか。

岸田国務大臣 ですから、今、実態把握そのものについて意思疎通を行いながら努めている、要するに、実態把握のための意思疎通を行っているということであります。

 その具体的な詳細については、現状、今引き続き意思疎通を図っている最中でありますし、この場でちょっと明らかにするのは適切ではない、そのように思っております。

井坂委員 ちょっとしつこくて申しわけないかもしれない。有無の確認というのは、何か、それはさすがに詳細と言えるようなことではないと思うんですけれども、有無の確認ということすら、そんなことすら詳細という範疇に入って、それはもうこういう場では明らかにできないということになってしまうんでしょうか。

岸田国務大臣 有無の確認と実態把握、これは重なるのかどうなのかということかと思いますが、こうした事実、実態につきまして把握をしなければならない、そういった問題意識で意思疎通を図っているということであります。

 さまざまな点につきまして幅広く意思疎通を図り、そして実態を我が国としてしっかり把握し、我が国にとってどういった問題点があるのか、こんな点について確認をしていきたいということで努力をしている、こういったことであります。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。

 ちょっと御専門の方にお伺いしたいんですが、本日、なかなかはっきり、事柄の性質上ということでしょうが、御答弁いただけないことが多かったというふうに思うわけです。そのような情報、例えば有無の確認ということすら言っちゃいけないというようなこういう情報は、では一体今どういう範囲で共有をされているのかなとか、あるいは、その範囲外は漏らしてはいけないというのは、これは今現在どのような法制度によって定められているのか、ちょっと専門の方にお伺いしたいと思います。

秋葉政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの情報の性質に従いまして、省内で、誰々までが情報を共有できるということを定めておりまして、省内でシェアをしておるという状況でございます。また、必要に応じ、もちろん内閣等との情報もシェアいたします。

井坂委員 今、秘密保護法の審議と同時並行だったので、ちょっとこういうことを質問させていただきました。

 続いて、食材の誤表示それから偽装問題についてお伺いをしたいと思います。

 十一月六日の参議院の消費者問題特別委員会で、山田太郎議員の質問で、現在、消費者庁が何件くらいの事例を把握し、どれくらい調査中ですかという質問に対して、そのときの森大臣は、報道で把握している件数が五十件で、今は調査中だという答弁でした。

 その後、現在、食材の誤表示、偽装問題について、把握している件数はどれくらいで、調査に着手している件数はどれくらいなのか、数字をお答えいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 阪急阪神ホテルズに関する報道があって以降でございますが、食品表示の問題で報道されておりますホテル、百貨店などの件数でございます。報道ベースで消費者庁で把握しているところではということでございますが、これまででおよそ二百件ほどというふうに承知をしております。

 このうち何件について景品表示法上の調査を行っているかということにつきましては、調査中の個別事案に関することとなりますので、お答えは差し控えさせていただければというふうに存じます。

井坂委員 食品に関する法律はいろいろあるわけですけれども、経済産業省の不正競争防止法、それから消費者庁の景品表示法、主にはこの二つが適用されることになるのかと認識をしております。

 この一連の食品偽装について、私から見れば、より厳しいのは不正競争防止法の方なんですが、今の政府の対応を見ておりますと、消費者庁が中心となって景品表示法を中心に対応する、こういうふうに見えるわけですが、なぜ、不正競争防止法の適用ではなくて景品表示法の適用の方ばかりやっておられるのかということについて、お答えをいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法は、事業者が供給します商品、サービスにつきまして、一般消費者に著しく優良であると誤認される表示というものを不当表示ということで禁止しております。

 今般問題となっておりますメニューまた料理の表示につきましては、事業者がみずからさまざまな創意工夫をしまして消費者に訴求するという、いわゆる宣伝、広告の面を有しているわけでございますけれども、このような表示につきまして、景品表示法で禁止しております優良誤認表示、これが疑われる事案が見られたということから、まず、現在、消費者庁では、景品表示法に違反する事実があったのか否かということにつきまして、当事者などからよく話を聞くなどして必要な調査を進めております。

 また、それとともに、消費者庁が中心となりまして、各府省庁等と連携いたしまして、関係団体等に対しまして、景品表示法の不当表示の考え方などの周知徹底を図っているというところでございます。

 十一日に開催されました食品表示等問題関係府省庁等会議でございますけれども、これは、今般の食品表示問題に対しまして、関係府省庁等の担当局長等が集まりまして、情報の共有を図るとともに、政府一丸となった取り組みについて協議するため設置されておりまして、今後の対処方針等を決定したものでございます。

 今般の食品表示問題に対しまして、景品表示法を中心に今回対応しておりますが、その他、不正競争防止法などの関係法令の適用というのをもちろん排除するものではないというふうに考えております。

井坂委員 消費者庁のお答えなので、不正競争防止法ではなくて、景品表示法がいかに適用されるかというお答えが中心で、一番最後に、不正競争防止法の可能性を排除するものではない、こういうことでありました。

 一方で、先ほど引用しました参議院の委員会の方では、委員の方がこういう例を出して、ホテルのレストランで外国産の牛を和牛ステーキといって出したら景品表示法の違反になるのですかと委員がお尋ねをしたところ、経済産業大臣の政務官が先走ってしまって、一般論として、不正競争防止法二十一条違反だと。景品表示法違反ですかと聞いたら、不正競争防止法違反だと先走り答弁をされたぐらい、別に、景品表示法が主で、不正競争防止法がサブだ、従だ、こういう関係では全くないと思うんですね。

 むしろ、景品表示法の方がある種行政指導という意味合いで、不正競争防止法の方は民事、刑事で罰則もある、こういうことでありますから、私は、排除しないとかそういうレベルではなくて、不正競争防止法の適用、こちらもメーンで考えていくのが当たり前ではないかというふうに一方で思っているわけであります。

 次の質問なんですけれども、過去の例として、中国産のウナギを国産と偽って販売した水産会社、あるいはみそ漬け牛肉の産地を偽った料亭関係者など、食品の産地を偽装した業者に対しては、不正競争防止法に基づいて刑事罰が実際に科されているわけであります。

 今回、先ほど、報道ベースで二百件、調査中は言えないということでありましたけれども、今回の事例の中で、不正競争防止法の観点から、先ほど申し上げたウナギあるいはみそ漬け牛肉のようなことと同等のことをやっているだろうというような食品偽装については、あるというふうにお考えでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、前提として申し上げますと、不正競争防止法では、不正の目的をもって商品や役務等の原産地、品質、内容等について誤認させるような表示をした場合、あるいはこうした誤認をさせるような虚偽の表示をした場合について刑事罰の対象としておりまして、いずれの場合についても、いわゆる故意、罪を犯す意思というのが要件となっております。それが景品表示法とは差があるということでございます。

 いずれにいたしましても、先生のおっしゃったような、例えば、過去の例で申し上げれば、中国産ウナギの事例というのは、最終的に裁判所でそうした要件を満たすものと認定された案件であるわけでございますけれども、今問題になっております景品表示事案も含めて、個別の事案について、それがこうした要件を満たす、つまり、公訴の提起の対象になるかどうか、あるいは最終的に罰則の適用をするか云々という点については、最終的には裁判所で判断がなされるものでございますので、当省として言及をすることは差し控えたいと思います。

井坂委員 総論として、私は、今回の対応が非常に甘いのではないかというふうな疑念を持っているわけであります。

 関連してなんですけれども、消費者庁は、十一月六日にホテルの関係団体、それから八日には旅館、ホテルの組合連合会そして日本百貨店協会、こういったところに、業界団体に指導を行ったということでありますが、事例に挙げられているような個別の百貨店やホテルに対して直接の指導、あるいはそういった厳しい対応ということはされているんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁としましては、ただいま御指摘のありましたとおり、これまで、ホテル関係の団体などに対しまして、景品表示法の不当表示の考え方などの周知徹底を求める、さらに、それぞれの業界におけます表示の適正化に向けた取り組み状況の消費者庁への報告というのを求めたところでございます。

 また、十一日に開催されました食品表示等問題関係府省庁等会議、この場におきまして、各省におきまして、所管する業界に対して景品表示法の考え方などの周知徹底を行うとともに、各省の所管する業界における表示の適正化に向けた取り組み状況につきまして、次の会議で報告を行うという方針が決定されたところでございます。

 これらの取り組みによりまして、関係団体を通じまして、その傘下の各事業者に対して景品表示法の考え方などの周知徹底が図られるほか、各事業者の表示の適正化に向けた取り組み状況などの把握が図られるものというふうに考えております。

井坂委員 業界団体を通して、そこから啓発、見つけたら直してね、そういう形になってしまうと、結局、そこで見つかって、直しておしまいということになりかねないのではないかというふうに考えるわけであります。

 先ほど経済産業省の話にもありましたけれども、もちろん、個別の事案の悪質性の有無、判断というのは、これは経済産業省の守備範囲ではないわけでありますけれども、とはいえ、これだけ件数があって、不正の目的なしの、全て、全件が単純ミスだなどということは私はあり得ない、当然、そういう事例が複数あることは容易に想像できるわけでありますから、国としては、景品表示法を中心でやっていく、しかも、業界団体傘下で、個別の話はそこに任せていく、こういう甘い対応でいいのかというふうに思うわけで、またこの問題については引き続きやっていきたいというふうに思います。

 時間が来たので、以上で終わりにいたします。どうもありがとうございました。

松浪委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社民党の吉川です。

 きょうは、茂木大臣にも来ていただいておりますので、まず、東京電力の風評被害の補償の打ち切りについて何点か尋ねたいというふうに思います。

 十一月一日の文部科学委員会で、東電の山口副社長に、茨城県内で一方的に補償を打ち切った件数は何件あるのかと問いただしたところ、二十二件の補償打ち切り事案のうち、事前に電話での連絡をしなかった、あるいは、異議があった場合は再度の検討を行わせていただく旨のなお書きを欠いた件数が一件あったというふうに答弁をされました。

 この問題では、社民党は、茨城県に調査団を派遣して、補償打ち切りのお知らせが届いた事業者さんからもヒアリングをしてまいりました。東電側は、一方的に補償打ち切りの通知を出したのは一件だけと答弁しておりますが、実際には、事前に電話連絡といっても、補償打ち切りの通知の届く数日前に電話がかかってきた、あるいは、三月以降、半年以上にわたって補償がされていないので、事業者さん側が一体どうなっているのかという問い合わせで、事業者さん側から電話をしたものも、電話連絡をしたというカウントをしているというふうにも聞いております。

 文部科学委員会の質疑で、当時は経産省の磯崎政務官に来ていただきまして、この事案について尋ねたところ、協議をした件もあれば電話をしたということもあるということで、とにかく事前に協議等したという報告を受けているというふうに答弁をされました。これは茂木大臣も参議院の予算委員会の中で同様の答弁をされていたというふうに思います。

 ただ、しかし、先ほど指摘をさせていただいたとおり、いわゆる丁寧な電話もなく、なおかつ協議と呼べるような内容のないもの、あるいは全く何もなかったものも少なくとも一件あったということが判明をしております。

 経産省として、東電に対し、どういう形で電話をしたのかとか、あるいは事前の協議はどのように行っていたのか、あるいは誠実に行っていたのか等々について、きちんと確認をされていたのでしょうか。まず、その点をお伺いします。

茂木国務大臣 御指摘の一件につきましては、東電に適切に対応させます。

 その上で、仮に不適切な賠償打ち切り等の事実が明らかになれば、さらに東電に対してしっかり対応するよう指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 東電側は二十二件ということなんですけれども、三月以降、賠償金をとめられている事業者というのは実は五十九社あることが我が党の調査で判明をしております。文書や打ち切りの通知を送りつけるというのは非常に不誠実だと思いますけれども、理由を何も示さないまま、三月以降の支払いを、事業者さん側から見れば放置をされている、非常に無責任な対応だと思いますけれども、この点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 風評被害につきまして、これは精神的賠償と違って、一律の賠償ということにはならない。毎回の申請ごとに個々の御事情に応じた判断が必要であるため、東電として、支払いの手続期間の短縮に向けて、書類確認三週間以内などの目安を設けて取り組んできたものの、申請から支払いまでに期間を要すること、こういうのがこれまでにもあった、このように承知をいたしております。

 その一方で、その間、被害者の方への連絡をしなかったということについては、親身、親切な賠償という観点から不適切と言わざるを得ない、このように考えております。

 東京電力に対しましては、今後このようなことがないよう、総合特別事業計画の五つのお約束などに沿った適切な賠償支払いを行うよう指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今まさに大臣が触れられました総合特別事業計画ということです。

 前回の文部科学委員会の中でも、これは下村大臣の方からの答弁だったわけですけれども、特別事業計画に照らしても不誠実な対応だというふうな御指摘がありましたし、被害者の方が実態が踏まえられていないと受けとめているとすれば、東京電力の対応が不十分であると言わざるを得ないとまでおっしゃっております。私も全く同じ意見であります。

 今ほど大臣の方から少し御紹介がありましたが、総合特別事業計画を見ますと、五つの約束、迅速な賠償のお支払いであるだとか、そういった親身、親切な賠償だとか、そういう五つのお約束を高らかにうたっておりますが、この間の対応を見ますと、とても親身、親切とは言いがたいというのが実情ではないかというふうに思います。

 加えて、今ほど、期間のことを少し大臣が答弁されましたけれども、三月から二回にわたって事業者の方に補償の請求を既にさせているわけです。半年間も放置をして、しかも、半年前にさかのぼって補償を打ち切るというこのやり方。

 特別事業計画の中に盛り込まれた支払い手続期間の設定の目安では、もちろん、先ほど、風評被害と精神的な被害との違いがあるということはあるにしても、その中では、請求書類の到着から三週間をめどに必要書類の確認を終了、合意書を返送後一、二週間をめどに支払いをすることになっております。つまり、被害者の方が請求書を送付してから四週間から五週間、どんなにおくれても二カ月以内には支払いも完了していなければいけないというふうにも読めるわけです。

 ただ、この間の東電の対応ということを見れば、これは明らかにこの総合特別事業計画に違反をしているのではないかと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 総合事業計画の中で五つの約束、それは明記をされております。

 その一方で、今御指摘のありました、書類確認三週間以内、これは、東電として、支払い期間の短縮に向けて、書類確認三週間以内だの、目安を設けて取り組んできた、こういう報告として盛り込まれている項目だ、このように理解をいたしております。

 先ほども申し上げたように、短ければ短いほどいいわけでありますけれども、個々の事情は異なりますから、申請から支払いまでに期間を要することはあり得る、このように考えております。

 一方で、その間、何もしなくてもいいのかということになると、そこは違ってくるということでありまして、被害者の方への連絡をしなかったということについては、親身、親切な賠償という観点から不適切だ、このように考えております。

吉川(元)委員 私も、全く不適切な対応だと思います。

 半年も放置をするという、これはもちろん、事業者の方にとってみれば、当然この補償はされるものだと思って、いろいろな資金繰りだとかを含めて考えておられるわけで、ある日突然、半年後に、いやいや、実はもう風評被害の補償については打ち切りです、しかも、半年前にさかのぼって打ち切りですというふうに言われれば、これは恐らく事業者にとっても、不意打ちといいますか、寝耳に水の話なんだろうというふうにも思います。

 原子力損害賠償の中間指針を見ますと、風評被害の賠償期間にはもちろん一定の限度がある、買い控えや取引停止等が収束した時点が終期、終わりだというふうにして、当面は、客観的な統計データを判断材料にするとしております。

 私も、風評被害への補償というのは未来永劫続けるべきではないと思いますし、本来、風評被害そのものをなくさなければいけないというふうにも思います。

 ただ、残念ながら、いまだに汚染水は漏れ続けておりますし、事故が収束をしていない以上、事故から二年が経過したのだから、新規取引先の開拓や新規事業への展開は可能なはず、だから補償を打ち切るというのは、私は、これはやはり不誠実な対応なのではないかというふうにも思います。

 中間指針が、最終的に、個々の事情に応じて合理的に判断することが適当、そう述べているように、加害者、東電でありますけれども、被害者に対して誠実過ぎるくらいの対応をすべきだというふうにも考えます。

 審査に時間がかかって半年間放置していたなどというのは、全く、これはもう言語道断であって、少なくとも、例えば、打ち切りの判定を行っているなら行っている、今、ぜひ皆さんの御意見を聞かせてほしい、そういうことを、実際に担当者が被害者のところに出向いて話を聞いたり、あるいは、打ち切りの基準について丁寧な説明会を開くといった、そういう努力をなぜ行ってこなかったのか。これがますます不信につながっているのではないかというふうにも思いますし、もちろん、先ほど言ったとおり、経済的な負担もありますが、この東電の対応に対する不信感というものも増幅をさせているのではないかというふうにも思います。

 そこで、補償の打ち切りの際にどのような手続を踏むべきかについて、基準とまでは言いませんけれども、ルール的なものをつくって、また、それを東電側に守らせ、そして被害者の方々に通知する必要があるというふうにも思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 風評被害につきましては、当然、客観的なデータ、市場価格との乖離であったりとか、そういったものをベースに判断をされるべきものでありまして、精神的賠償のような一律の賠償ではなくて、毎回ごとの申請に応じて、個々の実態に応じた判断が必要になってくると考えております。

 これまでも、経済産業省として、東電に対して丁寧な対応の実行について指導してきておりますが、その一方で、委員からも御指摘があったように、引き続き、東電の手続のあり方について問題があるようであれば、誠実な対応を行うよう指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 この点に関して、最後に一点だけ。これはお願いといいますか、できるのかどうかわかりませんが、実はこの問題に関して、東京電力はホームページで、十月五日付のお知らせということで、風評被害についての補償の打ち切りについてという、これは東京新聞に載った記事に対する反論といいますか、が載っております。

 それを読みますと、風評被害による減収等の損害につきましても、個別に御事情を詳しく伺った上で、当社事故との相当因果関係の有無等を協議させていただいており、賠償を一方的に打ち切るといった対応はしていません、そういう記述が、ちょっときょうはまだ確認できていないんですけれども、少なくとも、きのうの段階まではまだそういうものがホームページ上に載っているわけです。

 国会審議の中で明確にはっきりしたのは、一件は確実にそういうことをやっていないというのははっきりしていますし、それからまた、茨城県知事との話し合いの中でも、不誠実な対応があったということについて東電自身が認めているわけですから、これは一企業のホームページの話ではありますけれども、こうした誤解を招くようなものについては指導をするなり、そういうことが必要ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 事前の協議もなく、お支払いできないとの通知をした事案が一件あったのは事実であります。

 当然、東京電力という大きな企業でありますから、世の中に対して誤解を受けるような広報等々は是正をする必要がある、このように考えております。

吉川(元)委員 ありがとうございました。

 では、ちょっと話題をかえまして、地方自治体の臨時職員、非常勤職員の問題について、総務省の方に尋ねたいというふうに思います。

 質問に入る前に、実は、重点事項審査の際に財務大臣の方にちょっとお聞きしようと思ったんですが、時間の関係でできませんでしたので、国家公務員の定数管理も総務省の方で、行管局の方でやられているということですので、一点、お願いをしたいことがあります。

 実は、この間、徴税体制ということで、滞納税額というのは年々減少しております。九九年度段階で二兆七千億円余りあったのが、一二年度段階では一兆二千億まで減少を続けております。これは非常に大きな成果であり、国民の納税意識の高まりもあると思いますが、同時に、国税職員の努力というものもあったというふうに考えております。

 実は、今、国税の新規滞納の半分を超えるものが消費税になっております。来年四月に消費税が五から八に引き上がりますけれども、過去の国税の新規の滞納がくっとふえた時期があったのが、九七年、九八年がふえております。それまで三〇%以下だったのが四〇%ぐらいまで消費税の滞納額が占めております。これは、消費税が三から五に上がった関係で滞納もふえた、そう考えますと、来年四月以降、五から八にふえたときに、また滞納額がふえるということは十分考えられます。

 それへの対応ということも含めて、国税職員、恐らく定数の削減等々というのが今後議論されるかもわかりませんが、その中でも、しっかりと徴税をしていくという国税職員の定数の削減がないように、まずお願いをしたいというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 地方自治体の臨時、非常勤職員の処遇についてです。

 さきの通常国会の決算委員会の分科会で、国家公務員の職場の臨時、非常勤問題について、田村厚生労働大臣に私の方から質問いたしました。ハローワーク職員の実に六割が非正規職員で、企業に正規職員の求人をふやしてくれとお願いする立場のハローワークの職員の過半数が非正規という、これは余り冗談にもならないような実態になっております。官製ワーキングプアだとか、あるいは役所はブラック企業、そういう声さえ聞こえてくる現状というのは非常に放置できない問題でもあるというふうに思います。

 そこでお尋ねをいたしますが、九五年から昨年までの十八年連続して地方公務員の数は減少しております。他方、自治体職場での臨時、非常勤がふえ続けています。これは総務省の調査ですけれども、二〇〇八年に臨時、非常勤職員は四十九万七千七百九十六人、それが二〇一二年の調査では六十万三千五百八十二人で、四年間で実に十万五千七百八十六人ふえております。他方、地方公務員の総職員数は、同じ時期に約十二万人減っております。正規職員の減少と臨時、非常勤職員の増加の数がほぼ一致をしている。まさに、正規を低賃金で不安定な臨時、非常勤に代替しているというふうに言ってもいいのではないかと思いますけれども、この点についての総務省の見解を尋ねます。

関口副大臣 今御指摘をいただきましたとおり、総務省の行った調査、平成二十年から二十四年にかけて、臨時、さらに非常勤職員の数が十万人増加しております。さらに、正規職員は十三万人減少しているということ。こういう実態を見ると、臨時、非常勤職員が正規職員の代替になっているという指摘があるのも事実であるかと思います。

 しかし、個別の行政分野ごとに見ますと、例えば待機児童の解消のための保育園の新設、さらには少人数学級の開設といった多様化、高度化する行政ニーズに対応するため、臨時、非常勤職員の働く場がこれまで以上に広がっているというのも事実であります。そうした中で、働く側にとっても、多様なニーズを求めるということ。こうした中で、地方公共団体がよりよい行政運営のためにさまざまな工夫を重ねてきた結果、このような数字が出てきているのも一因であると思われます。

吉川(元)委員 さまざま多様な働き方であるとかニーズであるとかということは、お話としては全くわからないというわけではありませんけれども、ただやはり、余りにもこの数字自体が符合している。職場でお話を聞きますと、やはり実態として、正規を雇えないから臨時、非常勤をという話も、これはもうたくさん、行けばどこでもそんな話はございます。

 今おっしゃられたとおり、まさに臨時、非常勤の方について言えば、大体六割ぐらいが正規の職員の方と同様の勤務状態、勤務時間で働く一方で、年間の賃金でいいますと二百万円以下というような話も聞いております。さらには、費用弁償であるはずの通勤費が支給されていないような、そういう自治体もある。副大臣がおっしゃられるとおり、さまざまなニーズによって非常勤がふえているというのであれば、また、その職場の中で主力として働いているというのであれば、きちんとした処遇をすべきであるというふうにも考えます。

 もう時間が余りありませんので、最後に一点だけ尋ねたいと思いますけれども、今現在、地方自治体の非常勤の職員については手当が支払われなくなっております。

 この点について、私も議員立法で出させていただきましたけれども、そういうふうに職場の中で主力になっているというのであれば、あるいは重要な戦力だというのであれば、それに合った処遇、少なくとも、さまざまな手当についても支給できるように法改正が必要だというふうに思いますけれども、この点についての総務省の御見解を尋ねます。

関口副大臣 御指摘いただきましたとおり、今国会において、地方自治法の一部改正ということで、御党を含めて野党の皆さんから、総務委員会において今議論しているところであります。

 この内容とすると、手当を支給できるような形にしてほしいということであるかと思いますが、これはしっかり国会の場で議論していただいて、各党会派で審議をしていただければと思います。

 そして、従来どおりの報酬が支給されていないということ。二十一年、通知を行っておりまして、それを、例えばあらゆる機会を捉えてその通知の徹底をして、地方自治体に対しても助言をしているところでありますが、こうしたことをしっかりと丁寧に行っていきたいと思っております。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。

松浪委員長 次に、長崎幸太郎君。

長崎委員 長崎幸太郎です。

 まず初めに、本日、こういう機会を与えていただきました委員長初め与野党理事の先生方に、心から感謝を申し上げます。

 時間も限られておりますし、本日最後ですので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 先般、来年四月からの消費税の増税が確定されることになりました。ここに至るまでの過程で大変な御努力、御苦労があったことに対しまして、心から敬意を表したいと思います。

 本日は、甘利大臣に、ぜひとも日ごろ考えていることを御提案申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 言うまでもなく、我が国の財政悪化の要因ですけれども、これは税収の減少と歳出の増加であります。歳出の増加のほとんどは社会保障費でありますが、しかしながら、恐らく委員の先生方も皆さん、そうだと思いますが、社会保障費、特に医療費と介護費の削減というものは限界があると思います。そもそも、高齢化が進むにつれて、高齢者は若年層よりも医療費がかかるわけでありますし、また、もちろん介護もさようであると思います。

 したがいまして、社会保障費の増加の抑制といいますか削減に関しまして、これは限界があるとすれば、財政の健全性とそれから社会保障費の増加をいかに両立させるか、これに頭を悩ませるわけですが、その答えが消費税の増税である、このように私は理解をしております。

 ただ、今度は、消費税の増税をすると、経済の活力といかに両立するか、ここが恐らく、ことしの秋、増税を最終的に御判断されるに至るプロセスにおいて一番御懸念された部分であると思います。

 すなわち、社会保障費の増加というものが財政の悪化を通じ、これを解消しようと思って消費税の増税をすることで経済活力の低下というものが危惧されている、こういう構図にあると思いますが、これはすなわち、社会保障費の増加というものが経済活力の低下に結びつく、こういう構図であるというふうに要約されると思うんですけれども、果たして、この構図というものは絶対不可変なものなんだろうか、全く変えることができないものなんだろうか、ここに問題意識を持っております。

 確かに、私自身、財政当局で職を奉じていたことがありますが、このときに関しましても、社会保障費、特に医療費、介護費、こういうものは、いわば、言葉は悪いですけれども、砂漠にまく水のようなもので、使い切りの消費的経費、こういうものであるというふうに認識されていましたし、恐らく、今も財務省の財政当局の方とお話をしても、そういう認識である場合が多いんだと思いますし、これが世間一般のお考えであると思います。

 であるがゆえに、そういう使い切りで消えてしまう経費であるがゆえに、だから抑制をしないといけないんだという議論になってくるわけですけれども、これだけでいいんだろうかと思います。

 と申しますのは、原点に立ち返りまして、極めて単純な図式で考えると、社会保障費の支出、医療費の支出、介護費の支出というものは、いわば個人消費であって、この個人消費というのは、御承知のように、GDPの構成要素であります。こういう単純な構図は言うに及ばず、もっともっと単純に考えますと、金が出ていくという面においては公共事業と全く一緒ではないかと思うんです。

 もう釈迦に説法なんですが、公共事業が景気対策たり得るのは、それによって道路ができるからとか、道路の穴が塞がるとか、トンネルが五メーター掘られるからとかいうわけではなくて、金が出ていくからであるのは言うまでもないことだと思います。そして、金が出ていって、これが経済に波及をしていくと、いわゆる乗数効果を持ってくるからだということになろうかと思います。

 そうであるとすると、医療費や介護費も金が出ていくという部分においては全く一緒でありまして、だとすると、これをいかに効率化するかというこれまでの視点に加えて、政府から一旦出した後、あるいは支出した後の経済波及効果をいかに高めていくか、ここについても考えないのは、片手落ちとまでは言いませんけれども、ちょっともったいないのではないか。どうせ出すお金ですから、であれば、それが後々ずっと社会経済全体にしみ渡っていくような、それがゆえに経済活力を持つようなことを、政策として、そういう視点を持って考えていくことが必要なのではないかと思います。

 民間保険会社の研究によりますと、そもそも公共事業よりも社会保障費の粗付加価値、生産額というのは高いんじゃないかという調査結果もあるようですが、この適否は別にいたしましても、そもそもの規模がまず極めて大きなものがあります。国民医療費と介護費を合わせて四十数兆円です。これは結局、公共事業の数倍の規模がありますので、ほんのちょっとでも経済波及効果、乗数効果を上げることができれば、グロスの額は物すごく大きなものになるのではないか。

 それともう一つは、先ほども補正予算の議論がされていましたけれども、公共事業の場合は極めて裁量的に増減するものであります、政権がかわれば一気に何分の一になったり、またもとにようやく戻すことができたり。ところが、社会保障費に関しては、基本的に自然増で、毎年毎年右肩上がり、高齢化が進む二〇二五年、三〇年までは間違いなく上がることは見通すことができているわけですから、実際それをどう活用するかはまた別の問題としても、そこに携わる人たちは、自分たちが食べている、飯の種と言ったらあれですけれども、お金が今後右肩上がりに伸びていくんだというのは容易に見通すことができるわけですから、であれば、新たに人を雇いましょうとか、人を育てていこうとか、あるいは設備投資をしましょうとか、こういう先の見通しをつけた投資というものができるものであると思います。

 したがいまして、波及効果というものを高める、乗数効果というものを高めるような政策をぜひ検討していただいて、いわば、これまで砂漠にまく水だった社会保障費というものを、そういうふうに認識されていたものを、そうではなくて、後々後世にリターンがある投資である、投資マネーであるというふうな認識に変えていくことが、私は、役に立つ、こうすることで経済に活力をもたらし、国民所得を上げ、ひいては税収の自然増に結びつけることで、先ほど、一番最初に申し上げた社会保障費の増加と経済活力の維持というものの関係をよりよいものにすることができるのではないかと思いますが、この点に関しまして、ぜひ大臣の御見解を賜りたいと思います。

甘利国務大臣 非常にいい視点というか、おもしろい視点だと思います。お金が出るということは必ず何らかの経済効果はありますが、それが付加価値の再生産につながっていくような、そういう視点を持つということは非常に大事だと思います。

 医療の世界で産業論を言いますと、医は仁術で商売の話なんか持ち込むなということではね返される風潮はあったのでありますけれども、しかし、同じ支払えるお金が、例えば日本から医薬品の新たなものが、画期的なものが生まれてくるとか、医療機器が生まれてくるとか、あるいは公的な保険間のいわば一つの穴を埋めるような私的な保険が生まれるとか、いろいろ社会保障も、経済的な視点から見ると実は付加価値を創造していく新たなフロンティアになっているのかもしれませんし、そうだと思います。そういう視点が非常に大事だと思います。

 そこで、日本の現状を見ますと、医薬品や医療機器で、これだけ科学技術創造立国でありながら、入超であります。しかも、相当な規模の入超であります。こんなことでいいのか。それには制度上の問題点がある。研究で勝って成果で負けると言われますが、研究ではアドバンテージを持っていながら、それを製品化、商品化、サービス化していくときに、許可、認可がおりるまでの手順が煩雑過ぎるとか複雑過ぎるとか、そこで後発部隊に全部先を越されてしまって、結局、よその製品を買わなきゃならないというような点が指摘されます。

 これを抜本的に見直して、社会保障の分野でも新たな付加価値を生む余地は多々ある、そこをしっかり見ながら取り組んでいく、極めて適切な視点かと思います。

長崎委員 ありがとうございます。

 ドクターなんかと話をしていても、こういう話をすると、我々の活動というものが、単に金食い虫のようにちょっと今まで肩身が狭かったけれども、そうではなくなる可能性があるんだねということで、私は、必ずや医療界の御了解もいただける発想だと思います。

 ぜひ、社会保障費の増加が経済波及効果を持って経済の活性化に結びつき、それがさらに国民所得を上げて税収に結びつく、こういう循環をつくることは、産業育成のほかに、例えば今大臣がおっしゃるように二兆円の輸入超過というものをなるべく少なくしていくとか、あるいは一旦出したお金が医療機関とか福祉機関に滞留せずにどんどん波及をする、例えば設備投資をどんどん推進していくようなそういう施策とか、いろいろなものがあり得ると思います。

 私は、ぜひこういうものを諮問会議で取り上げていただいて、この大きなお金の流れというものを国策として御検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。ぜひお願いいたします。

甘利国務大臣 従来の常識からいうと金食い虫の部分が実は付加価値を生む余地がたくさんある、それはすばらしい視点だと思います。ぜひ諮問会議でも勉強させていただきたいと思います。

長崎委員 もう時間もぎりぎりになってきたと思いますが、その観点の一つといたしまして、今度は別にお伺いいたしますが、国内の診療機関が保有する医療機器、これにつきまして、できれば政府が買い上げて外国に無償供与をしていただいたらどうだろうかと思います。

 こうすることで、国内医療機関の医療機器に対する新陳代謝が促進されますし、また、そもそも直接的な効果として、外国の医療水準の向上に効率的に寄与できる。さらには、もともと医療機械というのは、我々がコンピューターを使うのと全く同じで、マッキントッシュとウィンドウズと同じように、なれが、チョイスの、選択するときの大きな分かれ道になると言いますが、今のうちから発展途上国のドクターに我が日本製の機器になれていただいて、将来、彼らが経済成長したときに我が日本製の医療機械を購入していただくような潜在的なお客さんになっていただく種をまく意味でも、外国への協力を通じて日本の医療機械を、何らかの形で、政府の力で、国際協力という形で外国に送っていただけたらどうかと思いますが、この点につきまして、いかがでしょうか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、人間の安全保障に直結する地球規模の課題として、保健医療分野での取り組みを重視しておりまして、医療の国際展開を支援しているところでございます。

 御指摘の点につきましては、無償資金協力におきまして、リサイクル可能な機材等を途上国に提供するための輸送費用を支援するという制度がございまして、この制度の活用がまずは考えられるところでございます。

 この制度のもとでは、医療機器自体の購入はちょっと想定していないということ、また、相手国の法令上それが受け入れ可能であるかどうか、あるいは受け入れのためのしっかりした団体があるかどうかといったような幾つかの前提条件はございますけれども、途上国側の要請に応じましてそのようなことを検討していきたいと考えております。

長崎委員 きょうはどうもありがとうございました。これで終わります。

松浪委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十七分散会


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