衆議院

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第3号 平成13年11月21日(水曜日)

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平成十三年十一月二十一日(水曜日)

    午前十時二十二分開議

 出席委員

   委員長 中馬 弘毅君

   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君

   理事 細田 博之君 理事 望月 義夫君

   理事 伊藤 忠治君 理事 堀込 征雄君

   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君

      逢沢 一郎君    臼井日出男君

      太田 誠一君    梶山 弘志君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      小西  理君    高鳥  修君

      竹下  亘君    谷本 龍哉君

      中本 太衛君    馳   浩君

      林  幹雄君    松野 博一君

      水野 賢一君    山本 公一君

      阿久津幸彦君    池田 元久君

      岩國 哲人君    佐々木秀典君

      佐藤 観樹君    島   聡君

      手塚 仁雄君    中村 哲治君

      松崎 公昭君    久保 哲司君

      福島  豊君    中井  洽君

      大幡 基夫君    吉井 英勝君

      今川 正美君    原  陽子君

      井上 喜一君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   衆議院調査局第二特別調査

   室長           牧之内隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  小林 興起君     林  幹雄君

  高鳥  修君     中本 太衛君

  平井 卓也君     梶山 弘志君

  柳本 卓治君     山本 公一君

  永田 寿康君     島   聡君

  北川れん子君     原  陽子君

同日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     平井 卓也君

  中本 太衛君     高鳥  修君

  林  幹雄君     小林 興起君

  山本 公一君     柳本 卓治君

  島   聡君     中村 哲治君

  原  陽子君     北川れん子君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 哲治君     永田 寿康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案(内閣提出第二四号)




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     ――――◇―――――

中馬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。

谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。

 本日は、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案について質問させていただきます。風邪ぎみで聞き苦しいですが、お許しください。

 まず、この法案の背景についてなんですけれども、いろいろな進んだ技術を使って、それが効率的にうまく機能するのであれば、選挙においてもそれをどんどん使うべきだと個人的には私は思っております。

 ただ、一方には、伝統的な自書式というものにこだわる意見もありまして、国会の関連を見ましても、ボタンで採決すれば早いのになと思うのですが、それが起立採決であったり、あるいは青札、白札を持って一々投票する。こういうものを守るべきだという意見も一方にはあると思います。

 そこで、今回、地方においてこれを試験的に行おう、行えるようにしようという話だと思うのですが、なぜこういう制度をつくる必要が出てきたのか、その背景となる状況を教えていただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 電子投票制度そのものについては、これは長い議論の経緯がございまして、電子式投開票システム研究会という超党派の議員連盟がございまして、ここではもう十数年前からこの研究を進めております。また、当委員会におきましても、八年ほど前に、中馬委員長が団長になりまして、ヨーロッパ諸国の電子投票をやっている実情をつぶさに視察してまいった、そういうことがございまして、国内では大変長い議論がありまして、今回、試行的でございますけれども、まず、地方公共団体の長あるいは議員の選挙に関して電磁的記録式投票機を使って選挙ができる、こういうふうにしたものでございまして、考えてみれば、感無量という気がいたすわけでございます。

 具体的に、なぜそういう問題が提起されてきましたかといいますと、一つは投票時間の延長という問題がありまして、午後八時までということになったものですから、その開票事務に携わる職員の皆さんが、その作業が深夜に及ぶ、そういう問題もございまして、特に地方公共団体から、ぜひ私どものところで試行的に実施するような手当てをしてくれないかということがありましたものですから、この特例法を考えた。

 総務省の中では、平成十一年度から、そういう地方公共団体の御意見を踏まえまして、電子機器利用による選挙システム研究会というものを立ち上げて議論をしまして、今回の法律案になった。具体的には、広島市とかあるいは岡山県の新見市とかから、実施したいという要請が行われております。

 なお、きょうこれから中核市の市長さんとの懇談会があるのですけれども、この席でも、高知市の方からそういう要望があるということをお聞きしておる次第でございます。

谷本委員 わかりました。

 ヨーロッパ、ベルギー、オランダ等の例を視察されたと思うのですけれども、今、開票の短縮ということを言われました。これも一つ含むと思うのですが、今回、自書式にかわってこういう電磁的記録式投票を行う。一つのメリットは開票作業を短縮することだと思うのですが、そのほかに、この制度を導入することでどういったメリットが生まれるのか、もしございましたら教えていただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 まず、投票する際に、従来の紙による投票と違いまして、機械を使って投票するわけでございまして、まず、疑問票が生じない、それから無効票が生じない、こういう利点がございまして、投票者の意思が正確に反映される、こういうことですね。

 それから、今度は集計の方ですけれども、これが、開票の時間が短縮される、それから開票事務の従事者の皆さんが大幅に人員的にも削減できるし、時間的にも削減できる、こういうことでございまして、選挙をした人は投票の結果を迅速に知ることができる、こういうことがあります。

 なお、これは言うまでもないことですけれども、投票用紙の印刷とかあるいは調製というのも不要になるわけでございまして、そういった意味でもメリットがあると思います。

谷本委員 わかりました。

 では、次に行かせていただきますが、この電磁的記録式投票、非常にこれだけではイメージが難しいのですけれども、私どもは銀行のATMのようなイメージかなというのを思うのですが、これは、ただ、やり方はいろいろあると思います。具体的にはどういう方法で、どういった機械というものを想定されているのか、また、投票した後、今度は開票に至るまでの作業が今までとはまた変わってくると思うのですが、その辺はどういうふうに考えられているのか、教えていただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 これはいろいろな機械が開発されておりまして、この間、沖縄のサミットのときにも模擬的に行われたり、それから衆議院の議員会館でもそうしたことが行われておりましたり、あるいは、各種の電子機器の展示会等でも電子投票コーナーがありまして、そこでいろいろな形のものが提示されておるわけでございますが、大別いたしますと、一つはタッチパネル方式という方式、それは、画面に出てきた候補者の名前を選択的に手で触れて投票するというものです。それから、二つ目はボタン式という形で、パネルに並んだ候補者一覧のボタンを押すということによって投票の意思をあらわす。それから、テンキー方式といいまして、候補者に対応する番号、テンキーを押すことによって意思を投票に伝達する、こういうふうな三つの分類があるんですが、大体、今国内で開発されている機器は、私の知るところではタッチパネル式のものが多いように思います。

 具体的にそういうものを使いましてどういう手続で開票が行われるのかということですけれども、機械を操作することによって候補者を選択して、その候補者の氏名を機械の表示によって確認する、そしてその機械を操作することによって候補者を選択したことを電磁式記録媒体に記録をする、そして具体的にフロッピーを持っていくことによって開票所でそれを集積する、こういう仕組みで行われると思います。

谷本委員 わかりました。

 基本的なところを三点ほど聞かせていただいたんですが、次に、これが一番問題になると私は思っているんですけれども、この方式にした場合の不正あるいは改ざんについてちょっと聞きたいんです。

 まず、こういう電磁式の投票方法に変えた場合にはどのような不正が行われる可能性があるか、どういうものを想定しているか、また、それに対してどういうふうな対応策を考えていらっしゃるかというのを一点聞きたいと思います。

 それと、関連してですけれども、フロッピーディスクで記録をとるわけですから、紙に書いた場合には、後でもう一度確認をして調べるというのが可能だと思うんですけれども、フロッピーの場合には、これがまさに本物である、すりかえられてはいないというふうにどうやって証明するのか。例えば、選挙前の予想と全く違うような結果が出た場合やあるいは接戦になった場合に、どちらかからそれは何か操作があったんじゃないかという訴えがあった場合に、どういうふうに、これは不正は、改ざんはなかったと証明するのか、その点を教えていただきたいと思います。

大竹政府参考人 まず、不正防止についてのお尋ねの件でございますけれども、投票データの改ざん等の不正の防止につきましては、まず「電磁的記録式投票機は、電気通信回線に接続してはならない。」としてございます。これによりまして、ハッカー等、投票機への不正アクセスによる改ざんは防止できるもの、こういうふうに考えております。

 それからまた、電磁的記録式投票機につきましては、選挙人自身による投票の記録以外の投票データの記録はできない、このようにしてございます。さらに、投票データの閲覧、消去もできない構造、このように考えてございます。

 それから、操作の関係でございますけれども、電磁的記録式投票機の操作でございますとか、あるいはフロッピーディスク等の記録媒体の着脱につきましては、これはパスワードでございますとかあるいは暗証番号、これを利用いたしまして、正当な権限を有する者以外のアクセスを排除する、このようにしてございます。これらの対策によりまして、不正防止を図れるものというふうに考えてございます。

 それから、第二点目のすりかえ防止ということでございますけれども、投票が終了いたしますと、電磁的記録式投票機からフロッピーディスク等の記録されましたものを取り出すわけでございますが、この取り出しました電磁的記録媒体につきましては、堅牢な容器に入れまして、その容器が本物であることを識別できる封印をする、こういうふうに考えてございます。そして、その封印をした上で、開票所に送致をする。

 さらに、この封印容器につきましては、従来の投票箱と同様でございますけれども、投票所内で投票管理者によって施錠する、そしてまた、開票所におきましては開票管理者によってのみ解錠することができる、このようにしてございます。こういうことによりまして、すりかえ等の防止は担保できるものと考えております。

谷本委員 この不正の部分というのは、非常に選挙の根幹にかかわる部分でございますので、万が一そういう訴えなりそういうことが起こったときにも、万全で対応できるようなことをしっかりと考えていただきたいと思います。

 十五分という短い時間で、最後の質問をさせていただきますが、もう一点は、今度は秘密保持の問題でございます。

 投票を電磁式にフロッピーディスクに記録させる、そのフロッピー内の情報というのはどういう形で蓄積されているのか。例えば、だれがだれに投票したというものがわかる形で蓄積されているのか、それとも、単に数だけでなっているのか、その辺の個人の投票の秘密を保持する点についてはどのようになっているか、教えていただきたいと思います。

大竹政府参考人 選挙におきましては、投票の秘密の確保、これが最大の要素であろうと考えてございます。したがいまして、特例法におきましては、選挙の公正を確保いたしますために、電磁的記録式投票機が具備すべき条件を定めているわけでございますけれども、その中に、投票の秘密が侵されないことと一つ入れているわけでございます。

 具体的にどのようにして投票の秘密を侵されないようにするかでございますけれども、記録されました投票内容からは選挙人を特定することができるような情報は盛り込まないということでございまして、電磁的記録媒体に、選挙人を特定する情報はもちろんでございますけれども、投票内容を記録します場合に、投票時間でございますとか、選挙人を特定することが可能な情報と関連づけることにつきましても、これは記録しないというふうにしてございます。そういうことによりまして、投票の秘密は確保できるものと考えてございます。

 さらにまた、投票機につきましては、投票の際に画面で操作するわけでございますけれども、その画面の角度につきましても工夫をいたしまして、さらにはまた遮へい物等を利用いたしまして、候補者を選択する操作中におきましても他の選挙人のところから見えないようにする、このようなことを考えてございます。

谷本委員 持ち時間が終わりましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中馬委員長 次に、井上義久君。

井上(義)委員 まず、今回の電磁的記録式投票制度について、平成十二年八月に出されました電子機器利用による選挙システム研究会の中間報告によりますと、電子機器の導入形態について三段階に分けているわけですね。

 第一段階は、選挙人が指定された投票所において電子投票機を用いて投票する段階、第二段階が、指定された投票所以外の投票所においても投票できる段階、それから第三段階が、投票所での投票を義務づけず、個人の所有するコンピューター端末を用いて投票する段階と、この三段階に分けているんですけれども、今回は、この第一段階、選挙人が指定された投票所において電子投票機を用いて投票する段階の試行ということなんだろう、こう思うんですね。

 諸外国、特にアメリカとかドイツとかのいわゆる先進諸国の状況を見ると、もう既にこの第二段階に入りつつあるんじゃないか、少し日本の場合はおくれをとっているんじゃないかな、こういうふうに思うわけですけれども、将来のこの電子投票に対する見通しといいますか計画といいますか、それについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 ただいま井上議員がおっしゃったように、このシステムが発展していく過程において三段階に考えられるだろう。究極のものは、各家庭とか事務所から、自分のパソコンからインターネットを通して投票できるようにすれば一番便利である。それは、在外邦人の選挙制度なんかが、これができると世界じゅうから一発にしてできるわけですから、大変便利な効用というものが想定されるわけですけれども、やはり各国とも一挙にそこには行かなくて、第一段階から順番にやっているという状況だろうと思います。

 第一段階の中のまた第一段階、第二段階、第三段階みたいなのがありまして、今お話がありましたオランダとかベルギーとかアメリカも、大きく分類すれば今も第一段階の中だと思いますね、きちっと決めた投票所の中で投票するという形ですから。それはだんだんと熟度が高まってくれば、それを専用線でオンラインをして投票所以外のところでもできるようにする、あるいは今度は、専用線でなくて、一般のインターネットの回線を利用してどこからでもできるようにする、そういうふうなものが考えられるわけですけれども、今、世界的な実施状況も第一段階の中にあるだろう。第二段階にこれから入ろうとするところがあるということは理解できるわけですけれども、日本は、第一段階のまさにその入り口で、今度試行的に都道府県の長あるいは議員のところからスタートしようということでございまして、将来的な課題としては、第二段階、第三段階というものも視野に入れて検討し、検証していく必要がある、このように考えております。

井上(義)委員 試行段階ということなんですけれども、どうもこの法案の趣旨説明なんかを聞いていますと、地方自治体でやりたいところがあれば手を挙げなさい、やっていいですよ、こういうふうにちょっと受けとめられるのです。

 もし国がこの問題を将来の方向性として本格的にやろうということであれば、やはりもう少し国が積極的に、できればぜひやってくださいよ、国が全面的に支援しますよということが必要だと思いますし、また実際にやったら、きちっとそれを検証するということもしなければいけないのではないか、その辺の積極的な姿勢が余り見えないのではないか、こういう指摘があるのですけれども、この辺についてはどうですか。

遠藤(和)副大臣 先ほども議論がありましたように、十年間ずっと議員連盟でやってきまして、この委員会でも八年前に視察いたしまして、電子投票を推進したいという人たちから見れば大変生ぬるい。

 一番効果があると思われるのは、参議院が非拘束名簿比例代表式という選挙になって、候補者の数が二百人以上になる、こういうふうな選挙制度というのはまさに電子投票に向いている話だと私は思うのですね。しかも、それはインターネットですから、世界じゅうの在外邦人まで入れれば、そこで一番効果があるのではないか、もっと積極的にやったらどうか、こういう意見があるのはよく承知しているのです。

 一方、初めてやることだからそんなに急いでやらないで、ゆっくりプライバシーの保護だとか選挙の投票の秘密だとか、そういうものが守れるように、あるいはハッカー対策なんかも十分やって、もうちょっと慎重にやれ、こういう両方の意見がございます。

 そういうところで、今回、意欲的にやろうという自治体の皆さんには、そういう法律をつくりましたから、法律がきちっとありますからできますよ、若干の補助金もつけさせていただきまして、パイロット的に実施していただく、こういうところの調整をして、調整の結果、この法案になった、こう御理解をいただきたいと思います。

井上(義)委員 それで、ちょっと中身に入ります。

 四条二項で、電磁的記録式投票機、これを電気通信回線に接続してはならない、こういうふうに規定しているわけです。セキュリティーの問題だと思いますけれども、法案の中にこれを明記した理由は何なのかということと、それでは、直接接続でなければいいのか。例えば、投票所からいわゆる開票所にオンラインで、別な読み取り機を置いて、オンラインで開票所にそれを送る。この方がフロッピーを車で運ぶよりも早いし安全ではないか、こういう議論もあるのですけれども、これもやはり認められないのかどうか、このことについてちょっとお伺いします。

大竹政府参考人 電磁的記録式投票機を電気通信回線に接続することをこの法律では認めていないわけでございますけれども、これにつきましては、電気通信回線を通じまして、電磁的記録式投票機への不正アクセスのおそれがあるということから、投票内容の改ざん等により選挙の公正が害されるおそれ、そういったものから今回の特例法におきましては接続を認めない、このようにしているところでございます。

 次にお尋ねがございました、電磁的記録式投票機を電気通信回線に直接接続しなくとも、投票の結果を投票所から開票所に送信することはどうかということでございますけれども、そういった場合におきましては、投票所で開票まで行ったことにならないかという問題があろうかと思います。さらにまた、投票所ごとの得票状況がわからないか、そういったことも防止することができるのかという問題もあるかと思います。

 現在の公選法におきましては、開票は開票所で行うという一大原則があるわけでございまして、この一大原則を大きく変更することになるのではなかろうかと考えてございます。したがいまして、現段階におきましては、投票結果の送信についても認めないこととしているわけでございます。

井上(義)委員 その次に、同じ選挙で投票方法が異なることになるのですね。例えば、一つの県議会選挙あるいは知事選挙があった。そうすると、ある地域では例えば自書式だった、ある地域では記号式だった、ある地域では電磁記録式であったと。

 現行の公選法では、記号式かもしくは自書式というのは、一の選挙区については同一の選挙方法にするということが決められているのですけれども、今回、そういう一部の地域で選挙方法が変わるということについて、有権者の理解が得られるのかどうかという問題。

 これは、実は政令指定都市で、一部の区でもやらせてもらいたい、一遍に導入するのは難しいという声があって、私どもとしては、その声もそのとおりだな、できればそういう方向にした方がいいのじゃないか、こう思っているのですけれども、そうすると、一つの政令市で市長選挙をやる、あるいは市会議員の選挙をやる、かなり身近な選挙で、片方は自書式です、片方は電磁投票式ですと。

 私は、電磁投票式というのは一種の記号式だと思っているのですよ。だから、少なくとも、この電磁投票をやるところは選挙区全体がやはり記号式でやるようにしなければいけないのじゃないかな、こう思うのですけれども、この投票方法が異なるということについてどれだけ有権者の理解が得られるか、この問題についてちょっとお伺いします。

大竹政府参考人 現行の公職選挙法におきましては、今御指摘ございましたように、一つの選挙につきましては同じ投票方法をとるという原則をとっているわけでございます。

 今回の特例法におきましては、都道府県の選挙において、電磁的記録式投票を導入した市町村のうち、さらに都道府県の条例で定めるものについては電磁的記録式投票を行うことができるとしているわけでございまして、ただいま委員御指摘ございましたように、一の都道府県の中におきまして、市町村ごとに投票の方法が異なることもあり得るわけでございます。

 今回、この特例法におきまして、このように都道府県の選挙におきまして一部の市町村での導入を認めている理由でございますけれども、第一点といたしまして、都道府県の選挙におきまして、当該都道府県内のすべての市町村が電磁的記録式投票を採用しない限り、電磁的記録式投票を採用できないといたしますならば、有権者の少ない町村等、必ずしも電磁的投票を採用することを望まない団体がいます場合には、当該都道府県におきましてはこの投票方法によることができなくなるわけでございまして、やはりこれは適当でないと考えております。

 さらにまた、そういった小規模の団体で必ずしも望まない団体におきましても、県の方から、県が電磁的記録式投票を採用いたします場合に、当該町村に強制することになりかねないということがございまして、そういった面についても適当でなかろうと考えている次第でございます。

 さらにまた、電磁的記録式投票を市町村の選挙で採用している市町村から見ますれば、これにつきましてはやはりせっかくの投票方法の採用でございますので、都道府県の選挙についても早急に導入してもらいたいというのがそういう市町村の希望であろうと考えております。

 それから、開票事務につきましては市町村単位で行うものでございますから、ただいま申し上げましたように市町村単位で投票方法を変えたといたしましても、必ずしも開票手続の同一性でございますとか一体性が損なわれることにはならないものと考えておるような次第でございます。

 いずれにいたしましても、都道府県におきましては、この電磁的記録式投票を行うか否かにつきましては、一の選挙における平等性の確保といった面と、さらには、ただいま申し上げましたようなさまざまな諸点を総合的に勘案した上でその採否を決めることになるもの、このように考えております。

井上(義)委員 選挙についてはいろいろな議論があって、今、国政選挙については自書式ということになっているのですけれども、私は、記号式の投票方法というのが今後の選挙の方向だろう。特に、電磁式投票というのは一種の記号式投票ですから、この電子投票を普及する上でも、記号投票をやはり積極的に普及していくということが非常に大事ではないか、こういうふうに私は思うわけでございまして、国政選挙についてはまた各党間で、ぜひ記号式投票になるように議論したいと思いますけれども、地方自治選挙については記号式が採用が認められているわけですから、ぜひこれを積極的に普及するように総務省としても頑張ってもらいたい。

 そういう前提で、記号式の採用の現状、それからメリット・デメリットが何なのか。私は、開票事務の簡素化とか無効票の防止とか、あるいは将来の本格的な電子投票の導入に備えて積極的に普及を図るべきじゃないか。このことについて総務省はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 国政選挙におきましては、平成六年だと記憶しておりますが、衆議院選挙で記号式投票が一たん導入されたのですね。しかしながら、一回も実施されることなく、平成七年に議員立法で自書式に変更になりました。

 一方、地方自治体の方は、おっしゃるとおり、平成十二年の十二月三十一日現在で、地方公共団体の長の選挙は五県、五百三十二市区町村、それから、議会の議員の選挙では三十一市区町村で、これはただし補欠選挙とか便乗選挙ですけれども、導入されております。

 おっしゃるとおり、記号式投票制度にいたしますと、まず疑問票とかあるいは無効票がなくなります。それから、開票事務が迅速化されます。効率化にも資するというメリットがあります。若干デメリットとして考えられることを強いて考えれば、立候補届け出前に投票用紙を作成できない、みんな確定してからでないと投票用紙がつくれない、こういうものが考えられます。あるいは、候補者が多数いる場合は、ちょっと投票しようとする候補者が見分けられないかなということが、強いて挙げればデメリットとして考えられるのではないかと思いますけれども、電子投票制度ということを考えますと、やはり記号式の方にしていただくことがなじみやすい、このように考えております。

井上(義)委員 ぜひ普及をよろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わりにします。

中馬委員長 次に、島聡君。

島委員 民主党の島聡でございます。

 片山大臣におかれましては、きのうに引き続きの私の質問でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法、非常に長い名前の法律でありますが、いわゆる電子機器の導入形態というのは、今ほかの議員おっしゃったように三段階あるのです。その第一段階がこれだという話であります。第二段階というのは、指定された投票所以外の投票所、第三段階というのが、投票所での投票を義務づけず、個人の所有するコンピューター端末を用いて投票する、いわゆるe選挙、e投票というものであります。

 最終的には、多分これはe投票を目指す。また、これをe投票まで目指す第一段階と考えなければ、今回のこの法律に基づくものはかなりコストが高いなという感じを持っています。そこまでやらなければいけないという前提で、きょうは質問をさせていただきたいと思っています。

 恐らく第四段階があるんでしょう。第四段階とは何かといったら、いわゆる半分の直接民主主義といいますか、いろいろな住民独自のテーマに関しては、その意思を、住民投票の感覚ですから、いろいろな議論すべき点は、憲法の問題も含めて多々あると思いますけれども、そこまで、第四段階まであると私は思っておりますが、大臣にまず最初にお尋ねしますのは、これはまず第一段階である、e投票まで進めていく考えがあるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 今、島委員いろいろ言われましたが、我々もまだ漠としておりますけれども、やはりIT時代で、日本を五年後には世界で一番進んだIT国家にする、こういうことをe―Japan戦略に従いまして今着々とやっていっている段階で、選挙や投票だけこのままほっておいていいのかなという問題意識も少しありまして、いろいろなところからの要望もありますので、地方選挙のトライアルとしてやってみよう。これがうまくいったら、今委員が言われたように第二段階、第三段階、あるいは第四段階があるかもしれませんが、そこまでの的確な見通しを持っているわけではありませんけれども、とにかくここの第一段階でやってみていろいろなことを検証してみよう、こういう考えでございまして、それがうまくいくのなら、やはり今言ったようなことに進んでいくのが私は適当ではないかと思っております。

島委員 今おっしゃったように、これがうまくいったらという話なんですね。一般的にみんな、本当にうまくいくのかなというのと、何となく機械で大丈夫かなという心配をしていることがあると思うのです。今まで紙に書いていたのがボタンでやる。そのときの機械、ひょっとして大丈夫かなと思っているところがある。

 これから先は、プリペア・フォー・ザ・ワースト、私は、進んでもらうために、ここで失敗してもらったら困るので、だからこういうことを準備していますかという観点で三、四問質問をしますから、お願いします。

 四条の六で、電磁的記録媒体を電磁的投票機から取り出せるものとするというのがありますね。これは事前に聞きましたら、フロッピーとかあるいはCDとか、どんな形でもいいのですけれども、それで取り出すのだそうです。それでファイル、複製を残していくのだそうであります。

 こういう、残していくのだけれども、その残して複写したものをあっという間に、例えば私に、委員長そこにおられる、あるいは大臣そこにおられる、この距離で、その複写したコピーを持っているものを完全にだめにすることができますかといったら、できるのです、この距離だったら。もっと遠くても大丈夫。

 今言ったように、プリペア・フォー・ザ・ワーストだから、その観点で話をするのですが、EMP兵器というのがあるのです。EMP兵器というのは、これは大きなことからいえば、核爆発なんか起きたときに上空で放出されるガンマ光線が電子を生みます。それは、いわゆる雷みたいなものなんです。そういうのを電磁でぱっとやると、フロッピーディスクなんかでも、電磁波ですから、だめになるという話。

 それは、EMP兵器というのはすごく大きな話なんですが、今回のサイバーテロで、EMPの小型版でTEDというのがあるのですけれども、そういうのは大体、インターネットで見ると、英語を読める人だったら五百ドルあればできる、一週間でできる。

 地方選挙で、大変物すごくもめているところがありますよね。見ているとどうも危なっかしい、ぎりぎりだ、負けそうだ、混乱するときがあるのです。そういうときに、例えばそんなものが五百ドル、一週間でできる。データを簡単に破壊できる。フロッピー、CDを持っている。そうすると、そこのものとフロッピーと違うじゃないかといったら、かえって混乱しますよね。そういうことになりますよね。そういうところまで、四条の六で「取り出せるものである」とするけれども、そこまで準備していますか、こういう質問です。

山名大臣政務官 御指摘の点では、確かにそういった事態が想定されるわけでございますが、今回の投票機といいますか、これにつきましては、今おっしゃいましたEMP、電磁波等に絡む破壊を防止するために、それを取り出して運ぶ際の容器、これを厳重な封印容器を使いまして、その封印容器には破壊行為を防止するためのかなり堅牢ながっちりしたものを使おう、こういうふうに考えておりまして、そういったEMPに対する防御はかなり万全である、このように認識をいたしております。

島委員 あくまでプリペア・フォー・ザ・ワーストですから、コストとの関係もあるでしょうから、ただ、今も申し上げたように、一回失敗すると次に進まないから、そういう準備のためにやってくれということを幾つか言います。

 次に行きます。

 同じく四条七号で、「権限を有しない者が電磁的記録式投票機の管理に係る操作をすることを防止できる」、防止するようにするとある。それを事前に聞いたら、パスワードとかIDカードで管理するんだという話であります。どういう形にするか知らないけれども、パスワードとかIDカードを持たすとすると、カードのパスワードなんてすぐとれるのですよね。

 実は、私もカードのパスワードを盗まれた経験がある。内閣委員会で質問したら、公安委員長もとられたと言っていましたけれども、どうやってやるかというと、これはカードをリーダーというのでもって、これぐらいの大きさのものなんですが、それぐらいのものをすっと通すと、パスワード、ID、全部とられちゃうんです。それは、例えばゴルフのロッカーの中に預けていくと、それをとって、そしてパスワード、IDをとって、それでカードを偽造するというふうに使われるわけでありますが、そういうこともできるんですよ。やっと刑法が改正されて、そういうようなことをやったら、刑法でできるようになったそうであります、前は罰せられなかったんですけれども。パスワードやIDカードだというんだけれども、そういうことも意識しているのかどうか。

 それからもう一つ、今パソコンなんか、あるいはこの新しくつくった機械、これを廃棄するときがあるんですね。今パソコンなんかを廃棄しますと、コンピューターなんかを廃棄しますと、そうすると、完全に壊せばいいんだけれども、そのままにしますと、その中にIDやパスワードというのが残っているときがあるんです。もちろんそれを一回ごとに変えればいいんだろうけれども、そういうことを意識していないと、盗もうと思ったら盗めるんです、ID、パスワードは。そういうことまで意識して対策は練っていますか。

山名大臣政務官 現実に起こるかどうかという想定としては大変難しいわけでございますが、正直、パスワードなりあるいは暗証番号、これを使いまして、管理者ごとに、管理者の権限といいますか、こういったものを割り当てることによりまして、それぞれの権限者が責任を持ってこれを管理する。そして、少なくとも投票の不正なりあるいは投票の秘密が漏れるようなことのないように、また不正なアクセスが断じて起こらないように、これはがっちりと私たちも防御してまいりたい、こういうことを考えて取り組みをしております。

島委員 大臣、ちょっと今の質問を聞かれまして、今たまたま例を二つ出したんですよ。ここまで準備しなくていいと思うのも一つの判断だし、私のように少し知っているだけでもすぐ思いつくんです。きのうこれを聞いて、総務省の説明を聞いて、これはクリアできると思ったんです。やろうと思えばですよ、意思と能力の問題だから。ただ、制度的には、能力が、意思があればできるというんだったら、準備していかなきゃだめだということですよね。

 例えば、そういうときに、これはいわゆる公務員の方、一生懸命やっておられますけれども、こういうのはイタチごっこなんです。何か機械をやっても、新しいものを考えるという話になっていくんです。そうなってくると、例えば、こういうことをやる人は、ある意味で物すごくそういうことに習熟した人、こういう言葉を使っていいかどうかわからないけれども、おたく的な人なんです。

 そういう方々は、実際、ひょっとしたら公務員のような枠にはなじまないような人もいるかもしれない、例えば夜だけ仕事をしたいとか。でもその方が仕事がよくはかどる、そういうことを守れと言ったら。そういうときの対応として、例えばこの前、任期つき公務員採用みたいなのがありましたよね。一回目だから、そういうのでこういう準備をされた方が、今私はぽっぽっと、きのう聞いて、聞いたその瞬間にこれはクリアできると思ったんだから、ということは、もっといろいろなパターンがあるわけです。そういうときに対応するために、一つの提案として、例えば任期つき採用公務員なんてありますから、特別な人を雇って準備をするということを提案していきたいと思います。質問通告していませんから、お答えになれないかもしれません。感想をちょっと言っていただきたいと思います。

片山国務大臣 今回は、意欲のある地方団体が、自分でそれではやりましょうということでやってもらう、基本的にはそうですね。それで、今幾つかの市、そんなに多くないですけれども、特定の市から強い希望が出ていまして、そこではやはりそれだけの意欲があるんだから、今委員が言われたようなことを含めて、私は十分な準備と対応をしてもらわなければいかぬと思いますし、私どもの方も、これは言いましたように、これをこのままで終わらせるんなら、これだけ手間暇かけて法案を出して、予算をとってやる必要ないので、やはり次の段階につなげていくということですから、我々の方もしっかりそれを指導できるようなことも考えにゃいかぬと私は本当は思っておるんです。

 IT戦略本部なんというのも政府にありますし、専門の職員もおりますし、そういうところとよく連携して、今委員が言われたように、例えばそういう特殊な能力や技術のある方を任期つきで場合によっては御協力いただくようなことを含めて、幅広く検討いたしたい、こう思っております。

島委員 ここから先がなかなか大変なんですね、今言ったように、コストと安全性の問題というのは。いわゆる九月十一日以降世界が変わったとよく言われるのですが、つまり、今までは市場効率主義だけでやっておけばよかったのに、その中に安全性というのをきちんと考えなくちゃいけなくなったという話なんですね。

 とりわけこのサイバーの社会というのは、愉快犯的な人が結構発生する形も多いですね。だから、本当はもっと幾つかやり方があるのだけれども、余り言うと、それをやるといけないから、これ以上のことは言いません。本当はもっとやり方があるのですけれども、これ以上のことはこの場では言いませんが、こういうコストとセーフティー、安全の関係でありますと、いろいろなことがあるのだろうけれども、特殊機器になっちゃいますね、ある意味で。だから、ある程度高くなるのかなというふうに思いますが、事前にはちょっとお聞きしておるのですが、これから算定の基準になるので、どれぐらいの装置になるというふうにお考えか、お答えください。

山名大臣政務官 これは予算要求ベースでありますけれども、大体一台当たり四十万円を予定しております。これの諸外国の例を見ましても、大体三十万円から五十万円という費用になっているようでございますが、ただ、今後この導入がそれぞれの市町村等で広がっていけば、コスト面ではかなり格安になるのではないか、こういうふうに思っております。

島委員 今大体三十万から五十万、真ん中とって四十万というふうに今後はちょっと算定をします、いろいろなシミュレーションで。結構高いですよ。御存じのように、コンピューターだったら、大体今二十万切っているのがほとんどですからね。

 それで、高いものを導入するという話。今申し上げたような特殊装置なんかをつけたりするわけでしょうからそうなるのかな、あるいは少ないからそうなるのかなと思いますが、ただ、それだけやる、この現下の財政状況の中において、また地方自治体の財政状況の中においてやるということは、結構大変だというふうに思うわけです。今聞いていたら、疑問票がなくなるとか無効票がなくなるとか集計が楽になるとか、確かにそうで、疑問票がなくなるというのは非常にいいことだと思います。

 ちなみに、私は前回の選挙で、三百三十九票差で、惜敗率で復活になりました。そのとき、島と鳥というのがどうだというのがありましたから、もしあったら当選したかもしれないと思っていますから、そういう意味では、大丈夫、いいのかなと思っています。

 例えば、今幾つか市は具体例が挙がっていると言われましたけれども、十万人ぐらいの市だとすると、事前にちょっと聞きましたら、投票所が五十カ所ぐらいだろう、十万人ぐらいの市で。一つの投票所に五台から六台ですね。四十万とすると、大体一番高くて六掛ける四十、二百四十万、周辺機器を入れますから三百万ぐらいになるんだそうです、一つのところに。そうしますと、三百掛ける五十だから一億五千万なんです、一つの算定ですけれども。

 十万人ぐらいで一億五千万かけて、それから、例えば統一地方選から統一地方選まで、県議、市議、首長、県知事、やるとして四回ぐらい。一回につき四千万ぐらいですね、非常に細かい数字で恐縮ですが。それだけ入れてやった場合に、市町村から考えれば、どんな政策効果、どんなことが政策評価的にあるとお考えですか。

片山国務大臣 今希望を表明されているところは、もう島委員御承知だと思いますけれども、一つは広島市なんですね。広島市は秋葉市長さんが大変御熱心で、もう相当前から私のところへ言ってこられております。

 それからもう一つは、私、地元が岡山県なんですけれども、岡山県の新見市長さんなんですよね。それで新見市長さんに、あなた何でやりたいんだ、新見というのは二万四、五千か、せいぜい二万六千ぐらい、何でしたいんだと言うと、やはり今、広域ネットワークの光ファイバーを圏域でやろうということを一生懸命おやりになっている。そのためにやっていただくように我々の方も応援しているのですけれども、そういう中でぜひこれをやってみたい、こういうことに興味があるというのが一つと、全国で最初にやりたい、全国で最初にやることによってプラス・マイナスを明らかにしたい、知名度みたいなことも考えているんでしょうか、そういうことを言われるので、大変私も、委員が言われるように、これは地方団体にとって高いあれだと思いますよ。

 したがって、我々の方も半分ぐらいは、最初ですから、応援をしてやろうかということも考えていまして、その裏負担ということもないですけれども、そういうことについても、どういう対応ができるか今検討しておりますけれども、しかしここで、コストが高い、手間がかかる、効果が定かでないからといってやらぬでいいのかどうかという問題だと私は実は思っているんです。

 アメリカは、フロリダのあの大統領選挙の、悪いと言いませんよ、悪いと言いませんけれども、言っているんだけれども、ああいうことで、大々的に電子投票の研究に入っていまして、そういうふうなこともいろいろ聞いているものですから、IT先進国家、世界で一番進んだあれだ、こういうことを言っているときに、選挙の今までのやり方や、選挙の管理や投票が今までのようなことでいいのかなということを含めまして、そういう問題意識があるんですよ。

 だから、選挙運動についても役所の方で研究会をつくっていただいて、今インターネット等を含めてどういう新しい選挙運動ができるか研究しておりますから、そういう大きな一環としてこの問題もとらえておるわけであります。御理解賜りたいと思います。

島委員 本当に地方自治体にとっては大変だし、最初にやる地方自治体はいいかもしれないけれども、では次はどうするんだという話になってきますよね。

 今おっしゃったように、e―Japan戦略、二〇〇三年までに世界最高の先進国家にするという話であります。確かに、本当に具体的に考えていった場合、選挙というものをやっていくのが一番いいと思います。だから、私は、電磁投票だけで終わったら本当に意味がないなという感じは持っていますね、それぞれの人間が家でやれるようになってくるといいと思うんですけれども。

 もう一つ、今度は全国レベルの話に行きますね。全国レベルでもし導入したらどうなるかという話であります。

 これも事前にちょっと聞いてきましたら、何か五万カ所ぐらい投票所があるそうでございまして、五万カ所やって、三百万なんですよ。今、今回はパイロットだからいいという話なんだけれども、パイロットということは、これから先、それをふやしていくかどうかというようなことのためにやるんですよね。そうすると、三百万で五万カ所、一千五百億円の大きな事業になります。

 その一千五百億円の大きな事業、今大臣、確かに、大きな方向性、感想としては私も賛成なんですけれども、パイロットということは、これをスタートして次へ進めなくちゃいけないわけですよね。e投票まで進むかどうか定かではないと先ほどおっしゃったけれども、でも、将来いったら一千五百億円という話になるので、そこのときにどういう政策価値を与えるのかということがないと、なかなかこれは、パイロットです、はいどうぞというわけにはいかないと思うんです。逆に言うと、今おっしゃった、e―Japan戦略に基づいて二〇〇三年、これは本当にあとすぐです、あとすぐのところにきちんとやるための一つの戦略的な目標として最終的にこれを導入するのだとなったら、これは意味があると思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 今、千五百億円と言われると、なるほどな、こういうことに実はなるんですけれども、選挙のやり方が全部変わってくる。投開票のやり方が変わってくれば、私は大変大きな効果があると思うんです。

 今、島委員が言われましたね、疑問票、無効票がほとんどなくなるということ、それから開票が即座ですよね。今、開票ということに大変な手間と人間とお金がかかっているんですよ。参議院の、非拘束にしましたよね、この前の選挙、これで開票を、マスコミの皆さんは自分の都合がいいものだから即日開票をやれと言うわけでしょう。選管の方は大変なものですから、そこでいろいろな綱引きがあったんですが、やはり御無理を願ってやっていただいたんですが、そういうことの苦労というのがなくなってくる。それから、機器の方は進んできますから、私は、世界的にもしそういう大きな流れになれば、コストもどんどん下がってくると思いますよ。

 だから、そういう意味で、方向としては正しいので、少なくともその方向には乗っていくべきではなかろうか。ただ、進度は、進みぐあいは、状況を見ながら、お金のぐあいを見ながらまた進めていく必要があるし、それは関係の地方の選管やいろいろな選挙関係のそういう有識者の方も御意見を聞きながら進めていこうと思っています。

 とにかく最初の一歩を、小さな一歩かもしれぬけれども、やったということが意味があるのではなかろうか。だから、そこではコストの問題ももちろんあるんですけれども、そこはちょっと目をつぶらなきゃしようがないのかな、こういうふうに思っているわけであります。

島委員 だから、非拘束に反対したんです、我が党は。そういう話なんであります。

 今おっしゃったように、最初ですから、今後、ひょっとしたらだんだん下がっていくかもしれないということもあると思います。ただ、この法案をきちんと審議していく過程においては、やはり将来的なことを見据えた上でやっていかないといけないなということをつくづく思うわけであります。

 また、先ほど、投開票がすごく大変なんだとか、マスコミの人が早くやってくれと言うんだという話もされまして、何か一生懸命出口調査をして、どっちが早いかということを競っているようなところもありますから、そういうことなんでしょうが、e選挙の方の話にちょっと入りたいと思います。

 e選挙をやろうと思った場合には、幾つか、三つぐらい壁があると言われています。一つはセキュリティー。そのセキュリティーというのは、簡単に言えば、さっき言った、途中でハッカーが起きて、なりすまし投票したりとか、そういう話もあると思います。

 ちょっと技術的なことだからお聞きしますが、総選挙や通常選挙の場合は、都道府県選管と中央選管はオンラインで結ばれているんですよね。その事実関係だけ、まず教えてください。

大竹政府参考人 通常選挙それから総選挙につきましては、中央選挙管理会と都道府県選挙管理委員会につきまして、投開票のオンラインシステムを共有してございます。これはあくまで、市町村の選挙管理委員会が開票が終わりましたものを都道府県の選挙管理委員会が集計し、それを総務省あてに送っていただいているということでございます。

島委員 あくまで選管と選管の話だという話でありますが、でも一応オンラインでやっているということは、前提として、それは安心だ、ハッカー等はないんだ、そういう前提で使っているということでよろしいですか。

大竹政府参考人 この投開票のオンラインシステムにつきましても、私どもなりの精いっぱいのセキュリティー対策をとっているわけでございますけれども、これはあくまで投票結果の速報体制のためのオンラインでございますので、そういった意味におきまして、セキュリティー対策も、私ども今現在やっている段階で十分ではなかろうか、このように考えております。

島委員 一生懸命やっていらっしゃることはわかりました、とりあえず事故はないという話なので。

 ということは、前提として安心だと思ってやっているんですから、e投票も安心なんでしょう、やったとしても。そういうことですよね。大臣、どうですか。

片山国務大臣 そういういろいろな対応をとりながらやっていくということで、それは安心という前提がなきゃ、なかなかこういうのを導入ということになりませんので、そういうふうに考えております。

島委員 そういうことですから、e投票も多分実現に向けても大丈夫なんだろうと思うんです。私どもも、電子投票、そこまで考えるべきだなと思っています、我が党としましては。

 もちろんハッカー対策というのは極めて大事で、また個人個人でやって、なりすましというのがあります。なりすましというのは、一人一票原則というのをだめにすることになりますから、当然、電子認証システムなんかも準備しなきゃいけない、そういうことになりますね。それはまさに、世界一のIT先進国家にするなら、そういう面も全部準備していかなくちゃいけないと私は思っています。

 そして、例えば、今大臣がおっしゃったように、いわゆる新しい選挙、IT選挙のための研究会でしたか、名前を忘れましたが、インターネット選挙を含めての研究会をやっていらっしゃるときのその委員会は、いろいろな提言をしておりますが、IT時代の選挙運動に関する研究会ですね、第一回会議の委員は、一つのミッションを実現するために、いつまで、何をやるかということをはっきりすることが必要である、例えば、次の衆議院選挙までには法律を通すとか工程表や目標値をもって実現のためのプロセスをはっきりしたいというふうに言っています。大臣として、リーダーとしての役割というのは、目標、大きな方向性を示すことも大事だけれども、いつまでに、限定的にこれをやるということも必要だと思うんです。

 今の全体の話の中で大臣もお認めになっているのは、例えば、第一段階だけだったらこれはコスト的になかなか大変だ、第三段階まで行っていいんだ、そこまで言ったかどうか知らないけれども、そこまで見通さなくちゃいけないという話であります。今すぐにはだめだとしても、第一段階、第二段階、第三段階、これはちょうどこのIT時代の選挙運動に関する研究会で委員もそう言っているわけですから。

 これは来年の十月までと聞いていますが、具体的に、今の第一、第二、第三の段階、きょうはすぐには言えないかもしれませんが、時間をきちんと区切るということだけは言っていただけませんか。

片山国務大臣 詳しい話は場合によっては選挙部長から、私は研究会の詳細な状況を存じ上げませんけれども、恐らく委員さんの中には、今委員が言われたようなそういう御発言やお考えがあったと思いますよね。

 ただしかし、島委員、ちょっと気が早いと思いますね。まだこの法律を通す通さないという、トライアルのトライアルで、地方選挙で意欲のあるところにやってもらおうというときに、おまえ、いつまでに第一段階を終わって、次は第二段階はいつで、第三段階、第四段階、それはある程度やらせてみていただいてから、さっきのいわば工程表というのか進捗プログラムというんでしょうか、そういうものを考えさせていただきたいと思うんです。

 今我々は、e―Japan戦略の中で、特に電子政府、電子自治体というのを大きな目標にしているんです、課題に。そこで、少なくともこの二年間で、再来年までには国と地方の申請、届け出をオンライン化したい。これは一〇〇%いくかどうかわかりませんよ。しかし、かなりの部分できると私は思いますし、それから電子入札、御承知のように、大きいものはもう始めておりますよね。これも、国、地方をほとんど電子入札にしよう。それから、入札以外の調達もやろう。それから、今我々考えているのは電子納税ですよ。電子申告、納税、これもやっていこう。こういう中でやはりこのことも考えておるわけでありまして、もう少しこれが固まってくれば、見通しがついてくれば、私は、e―Japan戦略の中に入れたり、それに基づくアクションプランの中に入れるべきことではなかろうか。そういうことになれば、いつまでに大体どうやろう、こういうことになると思います。

島委員 それでは、そういう工程表というのは経済財政諮問会議でもよく使われる言葉なんで、総理のそういう方針だから、総務大臣もそういう方針だろうと思ってお話ししたわけでございます、諮問会議の議事録を見ているとそうじゃない場合もあるようでありますが。

 次に、きのうもプロバイダーの方で大臣と議論させていただいたんですが、IT時代の選挙運動に関する研究会を立ち上げられて、私の年来の主張であるインターネット選挙についても御議論をいただけるという話でございますが、また先送りになるんじゃないかと心配しておりますけれども、ちょっとお聞きします。

 きのう、プロバイダー法のときにも議論をしたんですが、例えば、インターネットのホームページというのは、皆さんの定義でいうと文書図画であります。ですから、そのホームページで、例えば、きのうも言いましたように、片山総務大臣の現実とか、島聡はけしからぬみたいなことを書くというのは、これは怪文書なんですね。皆さんの定義によりますと怪文書。怪文書だったら、公職選挙法二百三十五条の二項で、虚偽事項の公表罪、当選を得させない目的をもって公職の候補者に関し虚偽の事項または事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役もしくは禁錮刑に当たるというのがあります。日本のホームページに虚偽の表示がなされた、ホームページは文書図画だから、私はこれは怪文書だと思うんですが、恐らく統一地方選挙でも同じことをやりましたら、今言ったようなことが出てくるかもしれない。そうですね。

 これは今のままですと、例えば、ホームページを見る人に、片山総務大臣の現実というのを書かれたら、片山総務大臣が、いや、それは違うというふうにホームページで反論するようなことは多分できないと私は思うんです。そうすると、プロバイダー法がまだ成立していませんけれども、もし成立したとして、情報発信の情報開示、それはすぐできるんでしょうか、情報発信者、怪文書の特定。

片山国務大臣 選挙運動期間中にホームページ上で候補者に関する虚偽事項を記載して誹謗中傷して当選を得させない、こういうことなら、もうそれはずばり適用があると思います。事案によってはいろいろあるかもしれません。

 それから、プロバイダー法が通れば、そういうことで、名誉毀損的なことを誹謗中傷すれば、プロバイダー法の適用に遭って、損害賠償云々だとか発信者の開示だとか、そういうことになると思いますよ。それはずばりプロバイダー法の適用があると私は思います。

島委員 問題は、そうやってやっているうちに選挙が終わっちゃうということですね、そういうようなことを言っているうちに。

 要するに、議員の皆さん、例えば統一地方選挙でもあると思うんですが、選挙をやっているうちに、どこかのホームページで誹謗中傷されるとします。ホームページを見る人は、ホームページを使う人なんです、インターネットを使う人なんです。そこに抗弁の機会が、今のままだったら、今の法体系ではできないでしょう。それはいかがですか。

片山国務大臣 プロバイダー法は、これはいわば、プロバイダーの賠償責任の範囲は御承知のとおりですから、これは民法上の不法行為だとか公選法にひっかかる場合はそっちでやっていただく、こういうことで、プロバイダー法ができたからどうということは、御承知のとおり、ありません。

島委員 済みません、質問の意図がきちんと伝わらなかったようで恐縮ですが、要するに、インターネットで誹謗中傷されて、私はホームページを持っている。島聡のホームページで、あれは違う、あんなことが書いてあるけれども、あれは全くの間違いだということを、インターネットのホームページをその場で改ざんして反対意見を言うということは、多分今の解釈だとそれは文書図画ですからできないんでしょう、そういう話をしているんです。

大竹政府参考人 公職選挙法上、インターネットによる選挙運動につきましては、これは文書図画に当たるということから、選挙運動はできないと解しているわけでございますけれども、ただいま議員御指摘ございましたように、インターネットで誹謗中傷されたホームページが掲載されて、それに反論するためにみずからのホームページにその反論文を載せるということでありますと、その載せました反論文そのものが選挙運動性があるのかどうなのか、選挙運動用の文書図画と認められるのかどうか、それによって、当該行為ができるかできないかが判断されることになると思います。

 すなわち、ホームページに掲示されました内容について、単なる反論でございまして、その反論自体の中に、選挙運動性と申しましょうか、当選を得または得させるためのさまざまな行為でございますけれども、そういった選挙運動性がなければ、単なる反論であれば、それは選挙運動文書図画にはならないだろうと解しております。

島委員 ということだそうですので、どんどん反論しましょう。私、次からどんどん反論をしたいと思う。大分、だんだん解釈が成ってきたようでありますが、どんどんやりましょう。

 次へ行きます。今度はプロバイダー法なんですが、例えばこの前の大統領選挙のときに、例えばきのう例に出されたゴア副大統領なんかはインターネットが得意だったので、ゴアと検索しますと、ゴアさんがつくった正式のホームページと、ゴアさんをパロディーした誹謗中傷のホームページがつくってあって、そちらにアクセスするようなものがあったんですよね、私もそれをよく見ていたんですけれども。

 先ほどプロバイダー法の適用と言われましたから、例えば私のホームページはアメリカにプロバイダーがあります。だけれども、アメリカのプロバイダーに関しては、このプロバイダー法の規定では、日本に営業所がなければ何もできないという話なので、ということは、今度の選挙のときに、アメリカに置いてあるプロバイダーだけで、言いたいこと、誹謗中傷をやりまくっても、それはどうしようもないというふうな判断になりますか。

片山国務大臣 その場合は、少なくともプロバイダー法の適用はないということですね。

島委員 公職選挙法的には適用できるということですか。

大竹政府参考人 公職選挙法上、誹謗中傷に対しましては虚偽事項公表罪という罰則を設けているわけでございますけれども、この国外犯適用の問題に関しましては、当該行為が国外で行われまして、それが専ら国内に向けてなされていると判定される場合におきましては、国内法で、現在の虚偽事項公表罪の適用もあり得るということでございます。

島委員 ただ、だれがつくっているかわからないとどうしようもないですよね。

大竹政府参考人 あくまで違反行為の摘発でございますから、相手方が特定されない以上は、なかなか実態的には実行は難しいだろうと考えております。

島委員 今いろいろ言っているのは、別に、こんなふうでしょうと言っているんじゃなくて、いわゆるサイバー社会の中において公職選挙法が合わなくなっている事例として言っているんです。だから、これはサイバー社会に応じて、サイバー社会には全く合わなくなっていますから、IT時代の選挙運動に関する研究会というのを、一年ですから来年十月ぐらいまでだと思いますが、できるだけ早く結論を出して、大分解釈は変わりつつあるようでありますから、解釈を変えるだけだったら、これは立法府ですから、解釈を変えるというだけじゃなくて、立法府としてきちんとしていく必要があると思いますので、お願いをして、早く迅速な結論を出してもらいたいと思います。

 最後にもう一点だけこれも聞きます。

 私、五月十八日に質問の主意書を出させていただきました。その質問主意書、インターネット等使用に関する質問に対する答弁書が返ってきていまして、テレビ電話に関して聞いたんです。

 テレビ電話を用いて選挙運動を行う場合には、例えば、通話の最中に当該テレビ電話のディスプレーに出る。つまり、電話とテレビ電話、画像になるとまた文書図画と言われるといけないし、テレビ電話がどんどん普及してきて、電話は自由なんだから、でも選挙運動をやるときに画像に映ったらどうするんですかと聞いたら、簡単に言えばこういうことだと思うんですが、候補者以外、運動員はいいですよ、候補者は映っちゃいけませんよ、そういうことですね、大ざっぱに言えば。

大竹政府参考人 テレビ電話につきましても、画面はこれはあくまで文書図画に当たるわけでございますので、その文書図画の内容自体に選挙運動性があるかどうかの判定になるんだろうと思います。したがいまして、運動員が単に映っている場合におきましては、そのものによって選挙運動性があるとは言えないと考えております。

 ただし、単に運動員が載ったとしましても、その背景に殊さら候補者のポスター等を掲示しまして、それを多数の人に送付信する、こういったものにつきましては、これは選挙運動性がある文書図画として違反することになるだろうと考えております。

島委員 これはドコモの新しい携帯電話なんですよ。テレビ電話なんです、簡単に言えば。例えば、今の解釈をそのまま私なりに解釈すると、選挙運動中に私が電話で、頼むよと言いますよね、いろいろな意味で。そうすると、ここに僕の顔が映りますね。今のお話を厳格に適用すると、選挙運動中だけはここにテープか何か張っておかなくちゃいけない。そうですよね。そういう何か冗談みたいな話になっているんです。

 ですから、もう何度も言いますけれども、できるだけ早く時代に合わせてください。できるだけ早く時代に合わせてください。私どもは議員立法で法案を出しています。これは必ず、各党各会派で頑張ってやってくださいという答弁しか返ってこないでしょうから、ですから各党各会派にお願いをしますが、皆さんも、間もなくこれを使われるようになったら、こういうのを使われるようになって、選挙運動になったらここに張らなくてはいけないとか、そういうばかげたことを立法府の者がやっていたら、まるっきり何かギャグの世界になってしまいますので、できるだけ早く結論を出して実行していただきたいと思うんですが、大臣、最後に答弁お願いします。

片山国務大臣 第三世代の携帯電話なんかを予想して公職選挙法はできていませんから、それはかなり解釈も運用も無理があることは事実ですね。これはそういう意味で、今インターネット時代の選挙運動ということを研究していますから、委員の御要請のようにできるだけ早くまとめるように努力いたします。

島委員 終わります。

中馬委員長 次に、東祥三君。

東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。

 総務大臣、私は議員になって十一年目になりますが、国会に来てやはり一番驚いたのが、国会の中の投票方式といいますか、とにかくおくれている。参議院においてはボタン式が採用され、衆議院においてはまだ記述式、または記名投票ということで、前代未聞の、世界の中でも最もおくれている。それが日本の特徴だといえばそうなのかわかりませんが、今回、アメリカ、ドイツ、イギリス等で徐々に徐々に普及しつつある電子投票システム、また、本当に電子投票システムを模索しているのかどうなのかよくわからない。

 また、先ほど総務大臣が言われたとおり、それぞれの地方公共団体で、いわゆる電子投票方式を採用したいところにはやらせてあげようという、ある意味で、総務大臣として、総務省として、また日本政府として、今後極めて重要な選挙における投票方法というものを将来どのように見据えているのか、その一つの試金石としてとらえなければ、全くの意味のないものになってしまうのではないのか。

 この法案そのものが包含しているものはものとして、まず総務大臣として、投票方式の将来像といいますか、それについてお聞かせ願いたいと思うのですが、ただ、同僚議員の方々も同じような質問をしているので、その辺も踏まえた上で改めてお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、我が国は今のe―Japan戦略で、五年までに世界で最も進んだIT国家になりたいということで、万般の各分野におけるIT化を推進いたしているわけでありますが、一方、選挙手続の中でも投票というのは最も中核的な部分でございますけれども、この投票につきまして、幾つかの地方団体から熱心に、電子投票をやらせてほしい、今の制度では禁止しているので、少なくとも風穴をあけてくれ、こういう強い要請がありまして、選挙制度、選挙の投開票の仕組み、あるいは選挙運動等について、いつまでもこれまでのやり方を踏襲するのがいいのかどうか、私自身も疑問を持っておりましたので、そういうことで、地方選挙において、トライアルのための今の禁止を解除する法制が必要ではなかろうか、こういうふうに思ったわけであります。

 先ほどの質問でも、第一段階、第二段階、第三段階という話がありましたが、まず小さな第一歩でありますが、投票所における電子投票をまずやってみて、これでいろいろな教訓を選んで学習しまして、それがうまくいくということなら、あるいは次の第二段階、先ほどの御質問だと、決められた投票所以外の投票所でも投票できる、あるいは、そのうち在宅だとかなんとかというようなことになるんでしょうけれども、そういうことのためのまずいろいろな実験をやる。しかも、地方団体が意欲を持ってやりたいと言うんなら、地方選挙についてその団体の意思としてやることは私は結構ではなかろうか。これが次の段階に進んでいくことを私どもとしては期待いたしているわけであります。

東(祥)委員 地方自治体のある意味で主体性、それを受けて、とにかくまず第一歩を踏み出してみようと。日本人は好きなんですね、第一歩というのが。一歩前進だ。必ずしも一歩前進にならないことが多い。そういう意味では、大目標というものをちゃんと定めておかなければ、その一歩も一歩でなくなるかもわからない。

 そういう意味において、もちろん、かんかんがくがくの議論で結論は出ないのかもしれませんけれども、やはり最終的には、国政選挙において莫大な開票作業に伴う労力、また、極めて時間を浪費してしまうといいますか時間がかかってしまう、そういう意味においては、私は機器に関しては素人でありますけれども、当然そういう電子投票システムを導入することによって、国政選挙まで、効率性、そしてまたむだな労作業を省いていけるというのは、それは当たり前のことなんじゃないのか。

 そういう意味では、アメリカにおいても、二〇〇〇年の大統領選挙のごたごたを踏まえた上で、さらに普及化していくんでしょう。イギリスにおいても、七月の一日に英国の何かノリッジ市というところで、一万数千の有権者だと思いますが、開票と同時に、わずか八分足らずか十八分足らずか、それで開票結果が出てしまう。それはある意味で、政治家が口を開けばIT、ITというふうに言っているその延長線上に来ていることなのか、よくはわかりませんが、選挙に伴う労作業と時間、それを節約するというのはだれもが基本的に反対しないことなんだろう。

 そういう意味で、総務省として、今の大臣の言葉の中には出てきておりませんけれども、今回これを導入するに当たって、目標として、やはり国政レベルまで電子投票方式に持っていく、そういう目標があってやろうとしていることなのか、その辺が全然わからないので、そういう枠組みの中に位置づけなければ、よく言われる一歩でも何でもなくなってしまうんじゃないのか、ただその新しい事実がそこに起こったということとしかとらえられないのではないかと私は思うんです。大目標はどこにあるのか、それぐらい別に言っても全然おかしくないと思うし、そうしなければ官僚の方々は動かないんだろうというふうに思いますし、やはりそこに大方針というか、それが片山大臣のある意味で真骨頂なんだろう。

 片山大臣が今言われていることは片山大臣ではなくても言えることでありまして、そういう意味では、片山大臣が大臣としておなりになっている、そこにこの電子投票制というものを、別に優先順位として余り高くない、そういう意味ではどうでもいいことなんだということなら、それはそれでいいし、そうではなくて、それと日本の国政、将来の投票方式、それをとらえた上でどのように位置づけているのか、それを僕は聞きたいんですよ。

片山国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、我々は、e―Japan戦略に基づいて、電子政府、電子自治体を実現いたしたい。その中にはいろいろなことがありますよ。先ほども言いましたが、申請、届け出を二年間で全部オンライン化してしまう。それから、ワンストップサービスというものを持ち込もう。あるいは、電子入札、電子調達、電子納税、そういうことを考えておりまして、その中には当然、電子投票といいますか、電子選挙というか、e選挙といいますか、そういうことももちろん目指しているわけであります。

 だから、このトライアルによってある程度確証が得られれば、私は、場合によってはe―Japan戦略の一つの項目にしてもいいし、アクションプランの対象にしてもいい、こういうふうに思っておりますが、まず、しかし、いろいろな問題点があるに違いない、セキュリティーを含めて。いろいろな問題点、あるいは現行を変えることに対するいろいろなネック、支障、そういうものを検証してみる必要があるんではなかろうか。それを、一方では地方団体の強い御希望があるのなら、そのトライアルをやってみることが意味がある、こういうわけでありまして、それはもう、これで終わるだけなら余り意味がないので、やはりe選挙までつないでいく。

 だから、地方選挙でうまくいくのなら、これは国政選挙についても発展的な拡大を目指していく、こういうことでございまして、ただ、今からそう自信を持って、全部大丈夫ですというところまで行っておりませんので、まず実験をこれからやってみよう、こういうことでございますので、その辺を御理解を賜りたいと思います。

東(祥)委員 意は今伝わってきているわけでありますが、将来的に選挙の投票の方式というのを記述投票から電子投票へと変換していく目標、これはだれもがある意味で共有していることだろうと思うんですけれども、そうすると、技術の日進月歩のこの状況というのは目を見張るものがあるわけでありますが、ただ、そういうことを想定した場合、電磁的記録投票機というのをある意味ではオンラインで結ぶことが当然となってくると思われるわけです。

 その観点から考えますと、本法案の第四条第二項に、「前条の規定による投票に用いる電磁的記録式投票機は、電気通信回線に接続してはならない。」わざわざこの規定を置いているわけですね。私は素人ながらに考えるんですが、セキュリティーさえしっかりしているならば、あえてこの部分を導入しなくてもいいんじゃないのか。技術者は、あるものをつくったときに、当然、技術者の良心として、その自分自身の魂を具体化している技術の中にいろいろな問題が惹起することを想定した上で、そういうものをつくっているんだろうと思うんです。そこにあえて本項を僕は入れる必要はないんじゃないのかというふうに思うんですが、これは削除したらどうですか。

片山国務大臣 そうですね、そういう御意見があってもいいと思いますけれども、今、回線をつなぎますと、不正アクセスでこのトライアルが妨害される、余りないかもしれませんけれども、可能性としてはそういうことがある。それから、今は、今の仕組みは、投票所は投票所なので、開票所で開票するんですよ、開票区で。ところが、これをつないじゃいますと、投票所で開票したようなことに結果としてはなるおそれがあるので、そこのところも法制論として整理しないと、なかなかどちらというわけにいかないので、とりあえずはこのトライアルでは今委員が言われたような条文を入れたわけであります。詳しい、もう少し技術的なことは選挙部長からお答えいたします。

東(祥)委員 そうしますと、だから本法案のある意味で骨子をなすかもわからない、そういうことも聞いているんですけれども、基本的には、今回の電磁的記録投票機というのは、要するにフロッピーですね。ある投票所で投票してもらったフロッピーを持っておく。しかし、そのフロッピーがひょっとして何らかの形で壊れるかもわからない。もう一つ予備的なものを持っているわけですよ。そういうものでしょう。そこに、そういうものががっちりちゃんとしているならば、ここの第四条第二項を削除して、この部分を別に入れなかったとしても、ある人はひょっとして接続を試みるかわからない。接続して妨害されるということがあるとするならば、それを徹底的に取り締まれるセキュリティーをつくればいい。しかし、そこで接続されて、だれか途中で見たいという人がわかったとしても、問題は、その投票機にちゃんと集計されている票が担保されていればいいんではないんですか。そうすると、この第四条第二項というのは別に入れなくていいじゃないですか。

 つまり、同じように、アメリカにしてもイギリスにしても、これは選挙部長に僕は頼んでおきましたけれども、同じようなものを採用していて、わざわざ電気回線につないではならないなんという、そんな法律の立て方をしているのか。そんなことは僕はないと思うというふうに申し上げているんですが、その点は後ほど聞きますけれども、基本的な考え方としてはそうなんじゃないですか。僕は接続せよと言っているんじゃないんですよ。将来のことを考えて、別にこの条項を入れなくたって、セキュリティーさえちゃんとしっかりしていれば別に問題ないじゃないか。これを削除すればいい。

片山国務大臣 後ほど詳しく選挙部長から御答弁させていただきますけれども、やはりセキュリティーの万全が確保されているかどうか、そういうところですね。回線につなぐと不正アクセスがどんどん、今いろいろな議論がありますから、そういうことで、今回は、今言ったように単体で、投票所ごとのあれでやりますので、トライアルの第一段階ですから、そういうことで、当面はこれでどうだろうかという判断であります。

大竹政府参考人 先ほどから大臣から御答弁申し上げておりますように、今回、オンライン化を認めないとしておりますのは、それは二つ理由があると思います。

 一つはセキュリティーの問題でございまして、やはりオンライン化しますと、そのセキュリティー対策を講じる必要があるわけでございますけれども、現段階におきまして、果たしてどこまでセキュリティー対策がとれるのか、あるいはコストの面もございます。そういったことから、現段階では、そういったことで、セキュリティー対策につきましては、オンライン化に伴うセキュリティー対策までは備えることはできないということから、オンライン化そのものを認めないというふうにしているわけでございます。

 もう一点は、セキュリティーと申しましょうか、投票の結果自体が投票機本体に残されていれば、情報そのものはオンライン化してもいいじゃないかというお話でございますけれども、これにつきましても、先ほど大臣から御答弁ございましたように、開票の問題がございまして、現行の法体制では、開票はあくまで開票所で行うということで、投票所で開票を行わないという法体制をとっているわけでございます。

 もし法体系全体を、各投票所で開票を行うという体系をつくれば、委員御指摘のような体制もつくれるかと思うわけでございますけれども、現行の法体系の中で、この電磁的記録式投票を行う投票所のみ開票を行うことを認めるというのはやはりどうかなということで、今回はそれについても認めていないとしているわけでございます。

 それから、諸外国についてお尋ねがございましたけれども、私ども、電子投票が行われておりますのは、オランダ、ベルギー、ブラジル、そしてアメリカの一部というふうに承知しているわけでございますけれども、ベルギーあるいはブラジルにつきまして調査いたしましたところ、これにつきましては、フロッピーディスク等の記録媒体を用いた集計手続を明文化しているわけでございます。すなわち、フロッピーディスク等を開票所に持ってこいというふうに明文化しているわけでございまして、その意味におきましてオンライン化は禁止しているわけでございます。しかしながら、オンライン化そのものを法の明文上禁止している措置は講じられていないようでございます。あくまで、開票の手続を決めることによって、間接的にオンライン化そのものが禁止されているということでございます。

東(祥)委員 技術的なことというのはよくわからないのですが、今の選挙部長のお話を聞いていても、この第四条第二項を削っちゃって、そしてもし何らかのAという人間がオンラインに接続してくる、接続してどういうセキュリティーの問題が起こるんですか。

 先ほど言ったとおり、今この法案で考えられているのは電磁的記録投票機ですから、そしてそれはフロッピーなんでしょう。フロッピーに、集票された、投票された結果がそこに出ているんでしょう。そして、それは投票所で行われて、それをだれかが開票所に持っていって、そして集まったフロッピーをサメーションして全体の集計結果が出るんでしょう。ここに、この第四条第二項を削除して、どこかがオンラインと接続して、どういうセキュリティーの問題が起こるんですか。

大竹政府参考人 オンライン化いたしました場合におきまして……

東(祥)委員 オンライン化したと言っていないんですよ。これの削除のことです。

 僕が言っているのは、オンライン化すべきだと言っているんじゃなくて、先ほど大臣が言われるとおり、まだ最初の一歩だと言っているわけです。当然、将来を考えたときに、電子投票制に変換させていく目的、できるかどうかは別として、そういうことを考えた上でこの電子投票システムというものを導入するのは当たり前だろう。こういう前提で考えていった場合、電子投票のある意味で現段階における技術的水準からいくならば、オンライン化させることは当然なんだろう。そういう想定のもとにこの法案を読んだときに、第四条第二項、オンラインに接続させてはならないという条項を削除してもいいんじゃないか。オンラインすべきだと言っているんじゃないんです。これを削除しておいて構わないんじゃないですか、そのときにどういうセキュリティーの問題が起こるのかということを聞いているんです。

大竹政府参考人 今回御提案申し上げておりますこの法案におきましては、オンライン化することによるメリットというものを実は持っていないわけでございまして、すなわち、オンライン化させないところにある意味では積極的に意味を持たせているわけでございます。

 委員御指摘のように、今後の展開を考えていった場合に、オンライン化を禁止する措置が今後の展開のために邪魔になる、むしろ障壁になるというお考えであろうかと思いますけれども、今回の法案はあくまで現段階の第一歩の法案でございまして、今後さらに電磁的記録式投票が進化していく場合におきましては、当然ながら法体系全体の見直しにかかってくるわけでございまして、その段階においてオンライン化等についても検討されるものと考えております。

東(祥)委員 僕の答えにちゃんと答えていない。私の質問が悪いのかわかりませんけれども、この条項を、第二項を削除しておいて、だれかが電気通信回線に接続した場合、どういうセキュリティーの問題が起こるのかと僕は聞いているんですよ。それに対して答えてくださいよ。

大竹政府参考人 この現在の法案におきましては、接続をしないという前提でつくられているわけでございますので、そもそも投票機が接続をしない前提でございますので、今お話ございました、だれかが接続するということは想定されないものと考えております。

東(祥)委員 大臣、わかる。

片山国務大臣 やはり、つながれると、不正で投票内容を改ざんされるおそれがある、不正アクセスによって。そういうことのために、とりあえずは委員が言ったようなフロッピー方式ですから、特につながないということに意味を持たせてそういう条文を書いた。セキュリティーの確保さえ万全の対応ができれば、別にこの条文、私も要らないと思いますけれども、今そこまでの自信はない。だから、それではややこしい事態の可能性を封じておく方がいいのではなかろうかという発想であります。

東(祥)委員 それとも、選挙部長が言いたいのは、総務省が考えているこの電磁的記録投票機というのは、その物理的なものそれ自体が電気通信回線に接続することができない、そういう機器を想定している、そういうことですか。

大竹政府参考人 現在のこの法案におきましては、先ほど御指摘のありました第四条第二項におきまして「接続してはならない。」としているわけでございまして、ただ、その機器そのものが接続の機能を持っていることを否定するものではございません。あくまで「接続してはならない。」ということで、積極的に接続することを禁止しているということでございます。

東(祥)委員 そうすると、その機器それ自体が接続できる可能性がある。あったとしても、別にオンラインで投票結果を得るということじゃないわけで、フロッピーだと言っているわけですから、そうすると、今大臣が私の質問をおもんぱかってくれて発言してくださっているわけですけれども、フロッピーである限り、別にセキュリティー上の問題というのはちゃんと配慮した上で総務省として考えているんじゃないの。だから、この部分を削除したとしても何ら不都合ないんじゃないのかと私は思うのですが、あえてこういうことを入れる必要ないじゃないですか。

 それとも、これを書いておかないと、セキュリティー上、つまり、フロッピーにおける投票結果におけるセキュリティーというのは何かといえば、途中で投票の内容が改ざんされてしまうだとか、投票結果においておかしなものが出てくるというのがセキュリティーという問題ですよ。そうすると、それをちゃんと担保するために、もう一つの、二つフロッピーを持っているんでしょう。もしおかしなものがあるとするならば、そこがちゃんとチェックできる体制であるならば、別にセキュリティー上の問題というのは生じないじゃないですか。それを私は聞いているんですよ。

大竹政府参考人 この法案におきましては、接続しないことを前提として法体系をつくったわけでございまして、そういった意味で、セキュリティー対策についても、オンライン化を前提としたセキュリティー対策をとっているわけでございません。したがいまして、もし接続いたしました場合におきましては、外部からのハッカーが侵入いたしまして投票結果の内容を改ざんする、そういったおそれがあるわけでございますので、そういったことによりまして接続を禁止しているということでございます。

東(祥)委員 技術的にそこまで解明されているんですか。僕はちょっとクエスチョンだな。あくまでもオンラインと接続した上での投票機器じゃなくて、先ほどから言われているとおり、フロッピーに基づくそういう機器を前提にしているわけでしょう。そこにどこかが、例えば東という人間がオンラインで接続しようとした。接続する人間というのは、ここに書いてあったとしてもやってくるわけですから。結局、もしこれを書いていればその部分は阻まれて、書いていなければそのハッカーからのそういう導入を制御することができない、論理的におかしいんじゃないか。これを書いていようが書いていまいが、先ほど言われたとおり、機器として電気通信回線に接続することができることを排除していないと言っているわけですから、そうであるとすれば、そこに邪魔を入れたいと思う人間が出てくれば、技術的には可能じゃないですか。私の言っている趣旨と違いますよ。

大竹政府参考人 この四条第二項の規定につきましては、選管側の、選挙管理委員会側の機器のありようについての規定でございまして、選挙管理委員会として接続してはならないとしているわけでございます。

 したがいまして、選挙管理委員会がこの機器に接続しない以上は、外部からの侵入等もあり得ないわけでございまして、そういった意味においてセキュリティーを完全ならしめようとしているところでございます。

東(祥)委員 それもおかしいじゃないですか。だって、フロッピーでやると選挙部長がおっしゃっているんだから、どうして選挙管理委員会のメンバーがオンラインで接続するのですか。そういう建前になっていないでしょう、法律は。フロッピーなのでしょう。初めから電気回線を使ってやるという形になっていないわけですから、なぜあえてこの四条二項を入れるのか。論理的におかしいですよ。技術的にも僕は聞いていて何を言っているかわからない。

片山国務大臣 回線接続を全く否定している機器だということではありませんから、ひょっとそれをつなぐことによって投票内容の改ざんなんかが起これば、トライアルとしてこの信憑性の議論になりますから、とりあえずは、今回は回線というものは一応つなげないようにしておこう、こういうことでございます。

 私は、セキュリティーが万全の対応をとれるのなら、これは回線をつなぐことを何ら否定する必要はない、こう思っておりますけれども、最初の段階でございまして、いろいろな危険防止についての十分な自信がないということもあるいはあるのかもしれませんが、とりあえずそういうことで、そこのハッカー侵入の可能性を封じた、こういうことでございます。

 この問題は、御指摘いただきましたので、なお引き続き、技術的な解明を含めて検討させていただきます。

東(祥)委員 どうぞよろしくお願いします。

 時間になってしまいました。

中馬委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大幡基夫君。

大幡委員 今回の法案によって、地方自治体の議員及び長の選挙において電磁式記録式投票機の投票が可能になるというふうになるわけですが、今回の投票方式をめぐって、電子式投票とかさまざまな言われ方をしています。

 そこで、これについて最初にお聞きしたいんですが、旧自治省に置かれた電子機器利用による選挙システム研究会が昨年八月にまとめた中間報告書があります。この報告書で電子機器の導入形態について触れていますが、その中でも、導入に当たって解決すべき課題として、投票の秘密の確保あるいは障害者への対応、ネットワーク化の問題、コンピューター投票における本人確認や投票の自由の確保の問題など、さまざまな課題を提起しています。我が党も、オープンネットワークの利用については、本人確認の問題だとか、あるいは自由な意思による投票確認の問題、そして悪用の危険などから、現時点では選挙の方法として具体化することはふさわしくないというふうに考えています。

 今回の法律による電磁式記録投票機による投票制度というのは、いわば地方自治体が現行の投票方式にかえて電磁式記録式投票機を用いた投票方法を採用するものだ、つまり、広く言われているインターネット選挙とかネットワーク化とはいわば区別されるものだということについて、まず大臣から確認願いたいと思うのです。

片山国務大臣 言われるとおりでございまして、将来はそういうところにつながっていくのか、それはわかりません、このトライアルの結果を見て。しかし、今の段階では、とにかく自書式の投票にかえてこういう機械を使っての電子投票ができる道を開いた、そういう意欲のある地方団体にはそういうことをやっていただいてもいいよ、ただ、指定された投票所においてやってほしい、こういうことでございますから、言われた意味では、委員の言われるとおりであります。

大幡委員 それでは、法案の具体的内容あるいは制度導入の具体化について質問したいと思うのです。

 選挙にとって一番大事なことは、投票の秘密が守られることだというふうに思います。今回の電磁式記録式投票機による投票自体の長所を指摘する人でも、安全性の確保について心配する声も少なくありません。つまり、フロッピーディスク等の記憶媒体による方法というのは、データ処理に関してはすぐれている。しかし、秘密の確保に対しては、不正にデータにアクセスされやすいという要素もある。そういう点では、いわばシステムについて、知識のある者による不正なデータへのアクセスの危険もつきまとうというか、想定する必要がある。

 そういう点では、今回、法案には投票機が備えるべき要件として秘密の確保がうたわれていますが、実際にこのことをどのように担保するのか、伺いたいと思います。

大竹政府参考人 今回の特例法におきましては、権限を有しない者が電磁的記録式投票機にアクセスいたしまして投票の秘密を侵すことがないようにということから、まず第一点といたしまして、電磁的記録式投票機につきましては電気通信回線への接続を認めない、そういうことによりまして、電気通信回線を通じました不正アクセスを防止しているところでございます。

 さらにまた、電磁的記録式投票機につきましては、権限を有しない者が管理に係る操作をすることを防止できる機能を有することを条件としてございます。これによりまして、電磁的記録式投票機の不正操作を防止することができるものと考えてございます。

 さらにまた、投票が記録されました電磁的記録媒体、フロッピーディスク等でございますけれども、これにつきましては、投票管理者が一人または数人の投票立会人とともに開票管理者に送致しなければならないとしてございまして、送致の途上におきましても、投票の秘密が侵されることがないようにしているところでございます。

 さらにまた、電磁的記録式投票につきましても、投票用紙での投票と同様に公職選挙法の投票の秘密侵害罪の規定を適用することとしてございまして、投票の秘密を侵す行為につきましては罰則をもって禁止しているところでございます。

 以上でございます。

大幡委員 今言われたように、当該データへのアクセス権の制限、つまり、権限がない者のデータへのアクセスをできなくさせる、これは基本中の基本なんですが、投票所や開票所における作業についても、IDを持ったいわゆる集計担当者が集計作業をする際に開票立会人の確保なども必要だ、これも言われました。こういうダブルチェックの対応というのが必要だというふうに思います。

 あわせて、機械やシステム上、投票の秘密を確保することは当然なんですが、同時に、マンパワーといいますか、これにかかわる技術者、選管職員のいわば規律の弛緩だとかミスの防止など、人間的な面からも対応が必要だと思うのです。

 そういう点では、教育、研修などの徹底だとか、あるいはまた、アクセス権限を持つ職員に与えられるID、パスワードが選管職員一般を含めて他人に知られることのないような措置など、投票の秘密が確保されないような事態に決して陥ることのないような万全の措置をとられたいというふうに思います。この点どうですか。

大竹政府参考人 投票所におきましては、通常の投票と同じように、選挙管理委員会が選任いたしました二人ないし五人以下の投票立会人立ち会いのもとに、電磁的記録式投票が行われるわけでございまして、そういった意味におきまして、選管職員以外の監視等の機能は残しているところでございます。

 さらにまた、開票所におきましても、通常の開票と同じようでございまして、候補者が届け出ました十人以下の開票立会人の立ち会いのもとに開票を行うとしているところでございます。

 それから次に、権限を有しない者が電磁的記録式投票機を操作することを防止するためには、システム操作に当たりましては、パスワードでございますとかあるいは暗証番号を付与いたしまして、これによってアクセスの制御手段を講ずる必要があるわけでございますけれども、こういったパスワード等につきましては、不正なシステムを防止するために、この管理には万全を期す必要があるものと考えております。

大幡委員 私、今回の制度で実際にどうやるかということをいろいろ検討してみたのですが、今回の制度では、これまでの自書式においては問題にならなかったことへの対応というか検討も必要になるというふうに思うのです。

 例えば、現行制度では、不在者投票などいわゆる投票所で行われなかった投票も、各投票所で通常の投票と同じ投函箱に投函されて、開票作業の際には、いわゆる不在者投票と通常投票の票の区別がつかない状態になっているわけですね。

 ところが、今回の投票でいえば、いわゆる不在者投票だとか郵便投票などの自書投票の票については、いわば投票所で従来の選挙と同じ投票箱に入れられるところまでは同じなんですが、その不在者投票などの自書投票の結果が独立して開票され集計される。それをデータにして打ち込むわけです。

 つまり、現行では、投票用紙をまぜることによって、不在者投票の票がどれだけとかそういう区別はないのですが、今回の場合は、そういう自書式の投票が独立していわば開票される、その結果が明らかになる。つまり、第三者の目に触れるということになるわけですね。極端な例を言うと、ある投票所なんかでいくと、その不在者投票がほんの一握りとなってくると、事実上だれがだれに入れたかということがわかるということも考えられるのですね。

 こういう事態をどういうふうに考えるか、どういうふうに対応するかという見解をお聞かせください。

大竹政府参考人 従来から、点字投票でございますとかあるいは在外投票、洋上投票、こういいました少数の投票につきましては、各選挙管理委員会に対しまして、その投票の秘密の保持に十分留意するよう助言を行っているところでございまして、今回の新しい制度ができました場合につきましては、不在者投票あるいは点字投票、仮投票、こういったものが従来の、同じように投票用紙による投票として残るわけでございますので、これにつきましても、投票の秘密の保持に万全を期すように助言してまいりたいと考えてございます。

 制度的には、不在者投票につきましては、外封筒を開きました後に内封筒を取り出しまして、その内封筒を、複数が混同いたしまして、そして内封筒を開示する扱いになってございまして、外封筒、すなわち投票した人と、中の投票用紙とが直結しないような形での工夫はされているところでございます。

 さらに、指定投票区制度がございまして、これは複数の投票区の不在者投票を一括して処理することができる、不在者投票の投票を集積する投票区でございますけれども、この指定投票区制度を活用いたしまして一括して処理する数を多くするということで、そういった面の投票の秘密の確保についても資することができるのではなかろうかと考えております。

大幡委員 要するに、農村部なんかで一つの投票所で不在者投票が、都市部は不在者投票も相当なものだと思うけれども、農村部なんかだったら一つの投票所で二人とか三人とかということは十分あり得るんですね。そうすると、だれがだれに入れたかという、有権者台帳もチェックしますから、そういうことなんかもあり得るということで、万全の検討ということを重ねてお願いしたいというふうに思います。

 次に、有権者への対応の問題なんですが、今回の制度について、有権者の中で操作に混乱が生じないかという心配の声も聞かれています。

 例えば、お年寄りの中には、銀行のATMについても、あれはややこしいから使わない、こういう方も少なくないというふうに聞いたわけです。ましてや、使用頻度の少ない投票機の場合はなおさらそうなわけで、この点で、投票機を投票する人ができるだけわかりやすく扱いやすくするということがまず第一に大事だと思うんです。

 同時に、有権者への周知徹底というのをわかりやすく丁寧にやるということも非常に大事だというふうに思います。新しいシステムを広く一般に利用してもらう、そういうわけですから、必要な公開資料の事前配付だとかあるいは投票所での対応など、こうした周知徹底をどのように進めていくというふうに考えておられるのか、お聞かせください。

大竹政府参考人 委員御指摘のとおり、電磁的記録式投票機につきましては、操作が簡単で、高齢者のみならず、どの有権者にとってもわかりやすく扱いやすいものであることがまず重要であろうと考えております。

 また、この法案におきましては、身体の故障等によりみずから電磁的記録式投票機を用いた投票を行うことができない選挙人に対しましては、代理投票の制度を設けておりますし、そのほかにも、みずから電磁的記録式投票機を操作することが困難な選挙人につきましては、投票機の操作補助の制度を設けておりまして、機械にふなれな方々に対しましても対応を図っているところでございます。

 さらに、電磁的記録式投票を導入いたします場合には、自書式による投票方法でございますとか、手順等、大幅に変更が生じるわけでございますことから、有権者に対しまして、あらかじめ、システム導入に当たって十分な広報、PR活動を重ねることが必要であろうと思っております。

 さらにまた、必要に応じましてデモンストレーション等を行いまして、投票の際に誤りのないように万全を期していく必要があろうと考えております。

大幡委員 私も幾つかの機械で実際にやってみたんですけれども、本当にそういう事前の周知徹底という問題が非常に大事だというふうに思うんです。

 今言われたように、確かに代理投票ということもできるし補助制度もあるんですが、しかし、やはり選挙権の行使としては、障害者の方なども、基本的には本人みずからが投票できるという、やはりそれを何より重視することが大事だと思うんです。

 今回の法案でも、いわゆる音声の活用というのは禁じてはいません。しかし、障害者をサポートするという立場で、より積極的な対応ということを、あれば推進することが必要だと思うんですが、この点どうですか。

大竹政府参考人 今回の特例法におきましては、対象となります投票につきましては、点字投票、不在者投票、仮投票を除いた、投票日当日の投票所におきますところの通常の投票でございますけれども、電磁的記録式投票機に例えば音声によりますところの投票手続案内の機能を付加することによりまして、視覚障害者に対しましての電磁的記録式投票が、視覚障害者におきましてもこの電磁的記録式投票が可能となるようなことも考え得ると考えております。

 いずれにいたしましても、投票機の指定につきましては市町村選管が行うわけでございますけれども、市町村選管につきましては、障害者に対応した機器の開発に即しまして、こういったものに対する選定等に考慮するようにしていただきたいと考えておるところでございます。

大幡委員 次に、選挙の公平性にかかわる問題なんですが、電磁式の記録式投票機の画面に候補者の一覧表がどのように表示されるかによって、選挙の結果にも影響が出るということが考えられるというふうに思うんです。

 私は、現在、記号式投票というのが首長選挙だとか補欠選挙では活用されている、定例のいわゆる議員選挙では記号式投票を活用している自治体がないというふうに聞きました。つまり、一つには数多くの候補者がいるということもあるかもしれませんが、並べる順番、どういう順番で候補者名を書くかによって、いわば微妙な影響が出てくる、そういうことのいわば一つになっているんじゃないかなというふうに考えるんです。

 今回の参議院の非拘束の名簿の際にも、私どもの経験では、順番による影響というのが、実際、投票行動にあらわれていたんです。そういう点では、この掲載、つまり掲載位置による有利、不利などの問題をクリアする、特に、一つの画面に表示できないような候補者が多数出た場合への対応の問題だとか画面表示のあり方については、どういう検討がされているのか、聞かせてください。

大竹政府参考人 候補者が多数の場合におきましては、電磁的記録式投票機の表示の装置の画面に一覧がない、一つの画面ではおさまらないことを考えるわけでございますけれども、そういった場合におきまして、技術的には、五十音を表示した画面を出しまして、候補者の読みの頭文字を押しますと、その音で始まる候補者の一覧が表示されるとか、あるいはまた、画面を超える大きさのサイズでレイアウトを作成いたしまして、連続的にスクロールによって候補者を選定していくとか、いろいろな方法が考え得ると思うわけでございます。

 具体の投票機の表示の方法につきましては、これを採用いたします地方自治体が条例で定めるとなっているわけでございまして、条例におきましては、特定の候補者に対しまして、有利、不利の問題が生じることのないように適切に対応してまいる必要があるわけでございますけれども、これは機器の開発等の関係もございまして、今後一つの検討課題だろうと考えております。

大幡委員 私も五十音のものだとか、実はやってみたんですよ。

 言われたようにスクロールというのは、ふだん全くコンピューターになじみのない方にはなかなかわからないシステムで、そういう意味では、僕は、機器の設定というか表示問題なんかでは、技術的な検討と、いわばアドバイスや援助というのは非常に大事な問題になってくるというふうに思うんですが、そういうことに対応する総務省の体制だとかシステムという問題では、現状どうなんでしょうか。

大竹政府参考人 現在総務省におきましては、電子機器を利用した投票につきましての研究会を持っているわけでございますけれども、その研究会の中に、新しい電磁的記録式投票機におきますところの技術的基準をどうしたらいいのかという検討部会を今設けていただいておりまして、その部会におきまして、投票機の技術的基準を今検討していただいているわけでございます。

 この技術的基準の検討におきましては、機器、ハードの面の基準と、あるいは管理の、ソフトの面の基準、こういった両面にわたりまして今御検討願っているところでございまして、こういったものによりまして、今後必要な助言等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

大幡委員 その点、本当にきめ細かく対応することを求めたいというふうに思います。

 次に、地方自治体に対する対応についてなんですが、今回、この電磁的記録式投票機を用いた投票方法の導入をするかどうかは、いわばその地方自治体にゆだねられる、そういう制度であります。同時に、この投票機の導入というのは、午前中の議論であったように、かなりの経費がかかります。当面の問題として、採用するかしないかというのは地域の実情も考慮して対応すべき問題で、この点で、採用について当該自治体の判断を尊重して、いわば総務省の側から意図的に採用を求めたり、あるいは採用を求めているというふうな誤解を与えるような対応を避けるということも大事だし、もちろん同時にブレーキをかけるということも必要ないというふうに思うんです。この点での地方自治体に対するいわば対応について、どのように考えておられるか。

大竹政府参考人 今回の特例法におきましては、委員御指摘ございましたように、みずからの判断と責任において電磁的記録式投票を導入しようとする地方公共団体の意欲的な取り組みに道を開くというものでございまして、そういったことから、特定の地方団体に対しまして、私どもの方から採用を迫ったり、あるいは逆に抑制したりということは全く考えてございません。あくまで意欲のある団体が自主的にみずからの責任と判断において採用していただくものと考えております。

大幡委員 私が聞いたところによると、将来、一台当たりの単価は二十万とか三十万とかというふうな展望というふうに聞きましたが、午前中の質疑では、一台三百万円という話もありましたし、少なくとも百万以上は、あれは一投票所ですか、いわば一台百万以上で、そういう試算も聞いているんですが、現在、この投票機について、どれぐらいのメーカーが実用段階の投票機もしくは技術を開発しているのか、その価格は、今言いましたいわば百万円以上というか、大体どれぐらいの価格になるかという見込みについてお聞かせ願えるかと思うんです。

大竹政府参考人 電磁的記録式投票機の単価でございますけれども、私ども、現在、概算要求の中において、これを導入しようとする地方団体に対する補助金を新設すべく、概算要求で予算要求をやっているわけでございますけれども、その積算単価におきましては、一台当たり四十万円と想定してございます。これは、諸外国の例でいきますと、大体三十万から五十万という例がございますことから、おおむね四十万程度でできるのではなかろうかと考えているところでございます。

 ただし、一投票所におきましては、一つの機械だけでは済まないわけでございまして、大体五台ないし六台設置していただく必要があろうと考えてございます。したがいまして、一つの投票所につきましては、四十万円をもし六台備えることになるとすると、二百四十万円かかるということでございます。

 それから、現在、機器の開発状況についてでございますけれども、電子機器メーカーを中心に数社で今いろいろと鋭意開発されているところと承知しております。

大幡委員 今言われたのは、一台当たりの単価を四十万円で計算しているということですか。そうしたら、当面、百万円以上かかるということはないという判断ですか。

大竹政府参考人 投票所におきましては、この機器につきまして、一投票所に一台というわけにまいりませんし、有権者の便あるいは機械の操作にふなれな方等のことも考えますと、やはり最低五、六台は備えておく必要があるだろうと考えてございます。したがいまして、一台四十万と積算してございますけれども、一投票所につきましては五台ないし六台必要になりますので、六台ですと二百四十万の機器導入費がかかってくるということでございます。

大幡委員 特に、その積算というのがちょっとよくわからないんですが、当初の機械というのは相当高額になる、百万以上という話があるんですが、それだけに、採用する自治体に対するいわば補助の問題というのは、この制度が広がるかどうかという点では重要なポイントになるというふうに思うんです。総務省が考えている実際の補助制度の内容について聞かせてほしい。

大竹政府参考人 この新しい投票機を導入いたしました場合には、御指摘のとおり、当初の段階におきましては、これは試行実施ということもございまして、機器もかなり割高になろうと想定してございます。その場合におきましても、私どもが現在想定しておりますのは、当初段階でも一台につき四十万円程度で取得できるんじゃなかろうかというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、当初の導入経費につきましてはかなり割高になることも予想されますことから、助成がなければ地方公共団体にとりまして相当の負担になるというふうに思われるわけでございます。そのために、地方公共団体によりますところのこの投票方法が円滑に執行、実施できますためには何らかの補助も必要であろうということから、総務省といたしましては、現在、平成十四年度予算の概算要求といたしまして四億四千万円を要求しているところでございます。

 この試行団体に対します補助の内容でございますけれども、これは予算の範囲内で、機器の調達に要する経費の二分の一以内程度を助成することを現在検討してございます。

 しかしながら、これは来年度予算にかかわる問題でございますので、詳細な内容につきましては、年末に向けまして、現在、財務省と協議中でございます。

大幡委員 二分の一ということは、仮に機械が、今はこれを四十万円と想定しているが、百万円かかった場合はその二分の一を持つ、そういう判断ですか。

大竹政府参考人 単価につきましては、今確たるものはないわけでございますけれども、私どもが情報を収集している段階では、百万円を超える単価というものは聞いてございません。

 したがいまして、私ども、予算要求単価で四十万円ということで計上しているわけでございますけれども、その程度におさまるのじゃなかろうかと予想してございます。

大幡委員 この補助金の問題というのは、当該地方公共団体が投票機を採用したことをもって対象となる。法的には、自治体が投票する機械を決める、選べるということになっていますから、この面でも、採用する機械を誘導することなく、公正な対応というのが求められているというふうに思います。

 この点、最後、大臣にお聞きしたいんですが、この電磁式投票が今後どうなるかは未知数です。しかし、採用する自治体がふえてきたら、相当大きな予算が動くということになります。選挙というのは、本来、すべてにわたって公正に行われるべきものだ。この投票機の採用において不明瞭な手続が行われたら、選挙そのものの信頼を失うということにもなりかねません。こうした事態に陥らないように、公平公正な投票機の採用のために格段の注意が必要だ、いささかも不正が行われないという特別の対応が必要だというふうに思うんですが、これをどう確保するのか、この点で大臣の意見をお聞かせください。

片山国務大臣 言われるとおりで、地方団体のいろいろなお金も結局は国民の税金に由来するわけでありますから、すべてが公平公正に行われなければなりませんが、特に選挙に関するものでございますから、委員の言われるように、契約手続等につきましても万全を期してまいりたい、こういうふうに思っております。恐らく、すべての地方団体にずうっとこれが広がっていくようなときには、電子入札、電子調達のそういう仕組みになっているかもしれませんから、これはインターネットでやるわけですから、そういうことを含めて、とにかく御心配のないような対応をしてまいりたいと思います。

大幡委員 選挙にかかわる問題、選挙の自由、それから秘密の確保、民主主義の根幹にかかわる問題ですから、この制度を導入の道を開いたからには、そのいわば本来の趣旨がきちんと生かされるようにきめ細かな対応を要求して、私の質問を終わります。

中馬委員長 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 私は、今回提出されていますいわゆる電子投票特例法に入る前に、二、三、片山大臣なり選挙部長にお尋ねをしておきたいと思うんですが、まず最初は、参議院選挙に関して、非拘束名簿式のことに関してであります。

 ことし七月に行われた参議院選挙は、比例代表への非拘束名簿式の導入で開票作業が大幅におくれて、最後の当選者が判明するまで約十五時間ほどかかったというふうに聞いております。ちなみに東京都では、政党が十四、比例代表候補二百四人の合わせて二百十八種類に票を分類する作業に大変な時間がかかったと聞いております。前回は、翌日午前二時までに都内市区町村の約八割以上が開票作業を終了した。それに比べて今回は、午前三時を過ぎても確定したのが四割程度で、結局、翌日の午前七時過ぎまで集計作業が続いたらしいんですね。徹夜の開票作業で疲労こんぱいの選挙管理委員会関係者からは、もう限界だというふうな声が漏れております。

 そこでお尋ねするんですが、選挙制度が複雑になっているにもかかわらず、投開票環境の整備が後回しになっている現状についてどう思われるのか、片山大臣の御見解をお伺いします。

片山国務大臣 今回の参議院選挙は、拘束式を非拘束式に改めましたから、特に比例は、今までは党だけでよかったんですけれども、人が今言われました二百四人ですか、候補者ごとに、こういうことでございますから、大変な作業になったわけでありますが、私は、それにしては、大体午前五時ごろにわかりましたから、よくやっていただいた、こう思っております。

 それは、選管が相当いろいろな工夫をしてもらったと思います、知恵を出して。それから、総務省の選挙部の方もいろいろな形で応援をした。その結果が、我々が思ったよりは早く、しかし、それにしては前よりは遅いわけでありますけれども、結果がわかったわけでありまして、今委員が言われる投票環境、開票環境の整備については、我々としては努力した、しかし、それでも百点では必ずしもなかった、こういうふうに思っておりますが、この点につきましては、今回の電子投票とは別に、今後とも努力してまいりたいと思っております。

今川委員 もう一つ、衆議院選挙でも、小選挙区比例代表並立制が導入された九六年から、無効票の割合がかなりふえています。さきの参議院選挙でも、約二百八十万票、選挙区選挙の全体の四・八九%もの無効票が発生してしまいました。半数ぐらいは意識的な白票としても、誤記などによって投票意思が反映されなかった例も少なくないと思うんですね。

 そこで、今回の参議院選挙の無効票の多さを片山大臣はどう見ておられるか、御見解を聞かせてください。

片山国務大臣 これは予算委員会でも御質問いただいたような気がします、ほかの党の方だったかもしれませんが。

 ただ、ずっと調べてみますと、余り違わないんですよ、余り違わない。今まで過去六回行われました拘束名簿式比例代表制のもとにおける無効投票率の平均は四・五六%なんです。選挙区選挙は過去十八回の平均が四・八八%で、今回は比例が四・二一%ですから、今までの六回が四・五六%ですから、それよりは低い。それから、選挙区の方もこれは四・八九ですから、平均が四・八八ですから、〇・〇一。それから、無効投票の総数もほとんど違わないんです。拘束を非拘束に直したにしては、私は無効票がむしろ少なかったなと思っております。

今川委員 次に、現行制度における電子機器利用の現状なり今後の方向について、二、三お尋ねをしておきたいと思います。

 電子投票の導入を検討する前に、現行制度における電子機器の利用についてあらかじめ点検しておく必要があると思うのですが、各選挙管理委員会では、現行の選挙制度の枠内で、選挙人名簿の電算化あるいは不在者投票管理システムや投票用紙読み取り機の導入などを行っていますね。選挙事務の迅速化、効率化のためには、電子機器の普及はもう不可欠でありますが、その有効性について質問したいんです。

 第一に、不在者投票管理システムと投票管理システムについてです。導入している市町村の数、そのうち試行中はどの程度か、両方とも導入している数、システム導入のメリットと問題点は何なのかについて、これは選挙部長の方にお尋ねします。

大竹政府参考人 お尋ねございましたシステム導入市町村の数についてでございますけれども、平成十二年一月一日現在におきまして、不在者投票管理システムの導入団体につきましては百七団体でございます。うち試行中が十八団体でございます。それから、投票管理システムの導入団体につきましては四十七団体でございまして、うち試行中が十団体でございます。それから、両方のシステムを導入しております団体は四十七団体でございまして、うち試行中は十団体となっているわけでございます。

 この不在者投票管理システムにつきましては、バーコードを利用いたしましたシステムでございますけれども、これを導入いたしますと、二重投票の防止が図れるほかに、不在者投票所の数をふやすことができる、こういうメリットがあります一方で、どうしても機器の購入経費が割高であるというふうな点が指摘されているところでございます。

今川委員 同じような意味で、二点目に、記号式投票用紙読み取り機についてはいかがですか。

大竹政府参考人 記号式投票の読み取り機につきましては、平成十二年一月一日現在におきまして、導入団体が六百三十三団体でございます。うち試行中が六十七団体であると承知しております。

今川委員 三点目に、自書式投票用紙読み取り機についてでありますが、これは平成十一年の統一地方選挙において導入されたばかりで、その信頼性というんですか、メリットなり問題点についてはどうお考えでしょうか。

大竹政府参考人 自書式投票読み取り機につきましては、今回の非拘束名簿式の導入に伴いましてかなりクローズアップされたわけでございますけれども、この読み取り機につきましては、機器の信頼性が確立されれば、開票作業の効率化が図られるという問題があるわけでございますけれども、今まだ読み取りの正確性につきましては必ずしも人間の読み取り能力に及ばないという評価が一般的でございまして、また、機器の導入経費につきましても、かなり高価であるというような問題点が指摘されていると承知しております。

今川委員 次に、記号式投票の推進に関してお伺いします。

 電子投票を導入する前提条件として、全国的に記号式投票が進められる必要があると思うんですが、これは副大臣にお伺いしますけれども、まず、私はこの六月六日の特別委員会でも質問いたしましたが、平成六年の政治改革協議会では、小選挙区比例代表並立制を導入する公職選挙法改正について、投票方法は記号式でと一度は決まった経過がありましたね。平成七年の法改正では、自書式投票に変えられた形になりました。さきに質問した現行制度における電子機器の普及を考える際にも、また、今回の電子投票の導入を考える場合にも、地方自治体の選挙だけでなく、国政選挙においても記号式投票が行われる方が望ましいのではないかと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 全くおっしゃるとおりでございます。

 記号式投票の経緯を若干今お述べになりましたけれども、平成六年でございましたか、衆議院選挙におきまして記号式投票制度を採用しようということを閣法で出しまして、それが成立いたしたわけでございますが、それが一度も実施されることなく、平成七年に、当時の与党でございました自社さの皆さんからの議員立法でもって自書式に変えた、こういう経緯があるわけでございます。

 今回の法案は、地方自治体の首長さん、そして議員の皆さんですけれども、先ほどもお話がありましたが、将来は国政選挙におきまして、特に参議院の選挙制度が非拘束比例代表制という形になっておりますし、在外投票の制度もできましたものですから、そういうものを考えますと、こうした選挙でこそ導入すると初めて大きな効果が得られるというものはあるわけですね。したがいまして、その前提といたしまして、自書式から記号式にこの選挙制度の投票形態を変えていただくということが大変大事な課題ではなかろうかと思っております。

今川委員 そこで、現行法における記号式投票についてですが、これは選挙部長にお尋ねしますけれども、議会議員なり首長における選挙で、導入実績についてちょっとお伺いしたいと思います。

大竹政府参考人 記号式投票の採用状況でございますけれども、平成十二年の十二月三十一日現在におきまして、首長、長の選挙におきましては五県、五百三十二市区町村、それから議会の議員の選挙におきましては三十一の市区町村でございます。

 ただし、この議会の議員の選挙につきましては、この三十一市区町村いずれも補欠選挙あるいは便乗選挙のみとなってございます。

今川委員 市町村長の選挙では、一九八三年をピークに五百数十でほぼ横ばいのようですが、その理由は何でしょうか。それと、国政選挙は不在者投票が自書式なので、混乱を招くので実施しないという自治体もあると聞いておるんですが、その点いかがでしょうか。

大竹政府参考人 記号式投票の導入団体につきましては、今委員御指摘ございましたように、ほぼ横ばいの状況になっているわけでございますけれども、記号式投票につきましては、先ほどからお話ございますように、投票の効力の判定が容易であるとか、あるいは開票事務の迅速化、効率化に資するといったメリットがあるわけでございますけれども、一方で、立候補の届け出の締め切り前に投票用紙が作成できませんことから、それからまた候補者が多数の場合にはなかなか対応しにくいという面もございまして、現在の状況になっているものと考えております。

 各地方公共団体におきましては、これらのメリット、デメリット双方を比較考量の上、現在の採用数になっているもの、こういうふうに考えてございます。

今川委員 現行法においても記号式投票の普及をやはり図っていく必要があると考えるんですけれども、具体的な施策についてお聞かせください。

大竹政府参考人 記号式投票につきましては、これは地方自治体がそれぞれ条例で定めるところによって導入することができるとなっているわけでございまして、この採用につきましても、自書式とするか、あるいは記号式投票とするかにつきましては、各自治体の判断にゆだねられているところでございます。

 ただし、今回、電磁的記録式投票の法案をお願いしているわけでございますけれども、こういった導入の観点からは、記号式投票は、現在の自書式投票に比べますと、新しいシステムになじみやすいという面もございまして、そういった面からいきましても、記号式投票のさらなる導入促進に向けまして、私どもとしましても制度の周知にさらに努めてまいりたいと考えております。

今川委員 そこで、本法案についてでありますが、これは、これまでに各委員の皆さん方からそれぞれ同じような御質問があったと思うのですが、やはり一番肝心なところは、投票の秘密という、ここが一番大きなポイントだと思います。

 そこで、まず電子投票を実施する上で一番問題になる点は、今申し上げた投票の秘密がきちんと確保されるかどうかという点であると思うのですね。まず、第四条二号で、電磁的記録式投票機についての条件の一つとして「投票の秘密が侵されないものであること。」というふうに規定をされております。

 まず、この規定が、きのう事務当局からかなり具体的な説明を聞いて、イメージがはっきりわかないから、こういう点で漏れるんじゃないかとか、いろいろな疑念が先に立っておったのですね。そういった意味では、こういう委員会の席に、シミュレーションじゃないけれども、具体的な機材でもあって、ここをこうするとかというのがあれば、よりイメージがはっきりして、なるほど秘密がきちっと確保できるというふうなことができるんですけれどもね。

 そこで、今申し上げた第四条二号で、この規定が具体的にどういう内容を指しているのか、まずその点をお伺いしたいと思います。

大竹政府参考人 特例法におきましては、選挙の公正確保という観点から、電磁的記録式投票機が具備すべき条件を定めておりまして、その中で、投票の秘密が侵されないことというのを挙げているところでございます。

 具体的には、有権者が投票いたすわけでございますけれども、その投票の記録された内容から、投票内容からは、だれが投票したのか、その選挙人を特定することができませんように、記録媒体に選挙人を特定する情報を盛り込まないということにしてございまして、投票した選挙人が記録媒体上特定されない工夫をしてございます。

 さらにまた、単に特定だけにとどまりませず、例えば、投票内容を記録します場合に、投票時間等を設定いたしますと、投票時間等とそれから投票した選挙人との関係で、その関係が推定されることもあり得るわけでございますので、こういった投票時間など選挙人を特定することが可能な情報につきましては、一切盛り込まないというふうにしているところでございます。

今川委員 先ほど申し上げましたように、昨日、事前のレクチャーの中でいろいろとやりとりをして、一定程度理解もできたのですが、いわゆる不正とか改ざん防止について、具体的にどのような措置をとろうとなさっているのか、その点をできるだけ具体的に御説明ください。

大竹政府参考人 投票の改ざん防止という観点でございますけれども、今回の特例法におきましては、権限を有しない者が投票機にアクセスすることを防止したい、それによって投票の改ざん等の不正行為を防止する、こういうふうにしているところでございます。

 まず第一点目としては、電磁的記録式投票機につきましては電気通信回線への接続を認めないとしてございまして、これによりまして、電気通信回線を通じました不正アクセスを防止しようとしているところでございます。

 さらにまた、電磁的記録式投票機につきましては、権限を有しない者が管理に係る操作をすることを防止できる機能を有することを条件としてございます。すなわち、権限を有しない者が電磁的記録式投票機にアクセスすることを防止するということでございまして、これにつきましては、パスワードでございますとか暗証番号等によって確保していく、このようになろうかと思っております。

今川委員 それでは、次に移りたいと思うのですが、都道府県選挙管理委員会との関係について伺います。

 第六条で、電磁的記録式投票機を市町村の選挙管理委員会が指定する際、第三条第二項の規定による投票に用いる電磁的記録式投票機の指定の場合は、「あらかじめ、都道府県の選挙管理委員会に協議し、その同意を得なければならない。」としてありますね。この規定を設けた意味はどこにあるのか、まずちょっとお伺いしたいと思います。

大竹政府参考人 都道府県の選挙におきましてこの電磁的記録式投票を採用いたします場合には、まず市町村が電磁的記録式投票を採用していることを条件としているわけでございますけれども、都道府県の選挙におきますところの電磁的記録式投票機につきましては、これは都道府県の選挙ではございますけれども、その機器の指定につきましては市町村の選挙管理委員会が行うこととしてございます。

 これは、仮に都道府県の選挙管理委員会が、市町村が採用しております投票機と異なる投票機を決定することがありますれば、不経済であるばかりでなく、市町村は当該機種と異なった新しい別の機種を採用する必要があるわけでございまして、そういったことの観点から、市町村の選挙での電磁的記録式投票機の導入を要件といたしまして都道府県の選挙にも認めようとするもともとの趣旨を没却することになりかねないわけでございますので、市町村の選挙管理委員会が機器につきましては指定することができるというシステムをとっているわけでございます。

 一方で、しかしながら、都道府県の選挙でございますので、その管理主体でございます都道府県選挙管理委員会が、投票の中核をなしますこの機器の決定及び変更等に何の権限もないとするのもこれまた不適当であろうということから、市町村選挙管理委員会が都道府県選挙に用いますところの投票機を指定しようとしますときには、あらかじめ都道府県選挙管理委員会に協議いたしまして、その同意を得るようにしているところでございます。

今川委員 今の点をもう少しちょっとお聞きしたいんですが、一方、第三条第二項は、既に電子投票を行うという条例を定めた市町村のうち当該都道府県の条例で定めるものの区域内の投票区に限り、電子投票を実施することができるというんですね。

 そうすると、例えばまず市町村がA社の機械を導入して、その後、県もやりたいとなった場合に、他の市町村がB社の機械を多く導入しているとしたら、改めて別の機械を導入しなければならないということになるのか、あるいは初めから、市町村は投票機を導入する際に、県の選挙管理委員会に協議して同意を取りつけないといけないということになるのか。

 後者の場合、当該市町村の議員または長の選挙は、まさにこの当該市町村の自治事務であって、そういう選挙の仕事を行うのに際して、いわゆる同意を要する協議というのは少しきつ過ぎはしないかなとも思うんですが、いかがですか。

大竹政府参考人 都道府県の選挙の際に用います投票機の指定につきましてでございますけれども、これは、先ほど申し上げましたとおり、市町村の選挙管理委員会が指定することとしてございます。したがいまして、A市あるいはB市がそれぞれ異なった機種の投票機を指定いたしまして保有している場合におきまして、例えばA市におきましてはある機械、B市におきましては別の機械を指定すること、これは可能であるわけでございます。

 ただし、その指定の際に、これはあくまで県の選挙でございますので、県の選挙に使いますところの機器につきましては、あらかじめ協議、同意という手続を経ることにしまして、都道府県選挙管理委員会と市町村選挙管理委員会との連携を保っていこうと考えているところでございます。あくまで、機器の選定、指定につきましては、市町村の選挙管理委員会の判断が優先されるものでございます。

今川委員 次に、費用対効果の点で少しお尋ねしたいと思います。

 実は、広島の広島市は非常に電子投票に積極的な御姿勢であるんですけれども、実は、広島市の選挙管理委員会と少しやりとり、聞き取りをしまして、その中で次のようなことをおっしゃっていました。

 電磁的記録式投票機を導入するとなると、その前に周知啓発や投開票にかかわる職員の研修にかかる経費もまたかなりなものではないだろうか、あるいは、現在では、どんな機材か、単価、先ほども質問があっていたようですけれども、幾らぐらいのものを想定するのか、あるいは機材の購入か、場合によってはリースなのか、いろいろなやり方があると思うんですね。どれくらいの自治体が実施するかも今のところわからないで、非常にシミュレーションが難しい、そういう御意見を伺いました。

 そういった意味で、自治体の議員または長の選挙は、一つの自治体では言ってみれば四年に一回ずつしかやらないわけですね。一方、導入費用に加えて、保管の費用だとか更新費用だとか、維持管理費用なども当然かかってきますね。費用対効果の面で果たして割に合うのかなと思うんですが、この点、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 厳密に割に合うか合わないか、それは割に合わないという意見も確かにあると私は思いますよ。

 ただ、何度も言いますように、これは小さな第一歩で、将来のこういうe選挙システムへの移行の前提だと考えて、しかもパイロット事業ですから、最初にやっていただく、こういうことですから、我々も機器の購入については、二分の一ぐらい国が補助しよう、二分の一以内で補助しよう、それから、本来の地方選挙は地方交付税で見るわけですけれども、これをどういう見方をするかについても検討いたしたい、こう考えております。

 ただ、長い目で見れば、私は割が合うと思うんです。最初にやって、しかも四年に一遍のあれでやるとすれば、やはり割高になることは否めないと思いますけれども、それを補って余りある効果があるのではなかろうか、そういうことを私は期待いたしております。

今川委員 次に、総務省は、かつては電子投票についてはかなり慎重な姿勢じゃなかったかと思うんです。ここに来て、本当に目覚ましくというのですか、非常に意欲的に、積極的になられたように思うんですけれども、以前から出されていたいろいろな問題はほぼクリアされたというふうにお考えなんでしょうか、大臣。

片山国務大臣 制度化には、やはり役所ですから慎重ですよ。これは一種の制度化ではありますが、地方選挙に限って、その地方団体が手を挙げた場合にトライアルをやっていただく、こういうことでございまして、何度も申し上げますけれども、二〇〇五年には世界で一番進んだIT国家にする、電子政府、電子自治体にする、今いろいろなことの電子化を、申請、届け出から始まって、納税もあるいは調達も入札も、こういうことでございますので、そういう中で、こういうトライアルを始めることは我々は必要ではなかろうか。

 トライアルには我々は積極的なんです。トライアルを積み重ねていって、ちゃんとした自信が持てれば、制度化についての着手に入っていく、こういうことでございまして、制度化そのもの、特に国政選挙にこれをどっと持ち込もうなんということは、今直ちには考えておりません。

今川委員 最後になりますが、私の意見なんですけれども、前回の場合にも申し上げたんですが、私どもは、こういう電子投票というのは、メリットそれからデメリット、両方あると思うんですね。

 ただ、実際に積極的な自治体で先行されてみて、いろいろな課題といいますか問題点が恐らく出てくると思うんですよね。そういった意味で、先ほども申し上げたとおり、秘密をきちっと守れるようにということであるとか、あるいは、伝え聞くところによると、各業界、業者さんは売り込みに必死で、あちこちの自治体でやってくれ、それはそれでいいんですけれども、そうした場合に、ややもすると、これが普及すればするほど、やはり業界間の談合であるとかいろいろな癒着であるとか、そういうことも常に私たちはきちっと監視をしながら、問題のないようにこれは実施をしていかなければならないと思うんですね。

 メリットとしては、それはもう言うまでもなく、例えば障害を持っている皆さん方にとっては非常に便利な機材でもありますから、例えば視覚障害者の皆さんにとってもちゃんと対応できるような準備とか、そういう備えもきちっとやりながら、いわゆる投票者の中に不公平が生じないように、そういう手だてもきちんとやっていかなければならないと思うわけであります。

 ちょっと時間を余らせましたけれども、これで私の質問を終わりたいと思います。

中馬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 この際、先刻の理事会において協議いたしましたとおり、本案に対する修正案を委員長から提出いたします。

    ―――――――――――――

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中馬委員長 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正案は、お手元に配付してあるとおりでございます。

 修正の要旨は、第一に、指定都市の議会の議員または長の選挙の投票については、指定都市は、条例で定めるところにより、当該条例で定める当該指定都市の区の区域内の投票区を除き、電磁的記録式投票機による投票によることができるものとすること。

 第二に、公職の候補者に関し電磁的記録式投票機において表示すべき事項は、公職の候補者の氏名及び党派別とするものとすること。

 その他所要の規定の整理を行うものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

    ―――――――――――――

中馬委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、委員長提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中馬委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中馬委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時一分散会




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