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第7号 平成14年6月6日(木曜日)

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平成十四年六月六日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 赤城 徳彦君
   理事 亀井 善之君 理事 細田 博之君
   理事 望月 義夫君 理事 茂木 敏充君
   理事 中山 義活君 理事 堀込 征雄君
   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君
      逢沢 一郎君    太田 誠一君
      金田 英行君    栗原 博久君
      小西  理君    小林 興起君
      坂井 隆憲君    竹下  亘君
      中本 太衛君    野中 広務君
      林 省之介君    林  幹雄君
      平井 卓也君    松野 博一君
      柳本 卓治君    阿久津幸彦君
      佐々木秀典君    手塚 仁雄君
      藤村  修君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    山花 郁夫君
      山元  勉君    福島  豊君
      山名 靖英君    中井  洽君
      大幡 基夫君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    保坂 展人君
      西川太一郎君
    …………………………………
   議員           亀井 久興君
   議員           保利 耕輔君
   議員           町村 信孝君
   議員           中山 義活君
   議員           堀込 征雄君
   議員           山花 郁夫君
   議員           西  博義君
   議員           中井  洽君
   議員           木島日出夫君
   議員           穀田 恵二君
   議員           阿部 知子君
   議員           保坂 展人君
   議員           西川太一郎君
   衆議院調査局第二特別調査
   室長           牧之内隆久君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月六日
 辞任         補欠選任
  高鳥  修君     中本 太衛君
  松岡 利勝君     林 省之介君
  佐藤 観樹君     藤村  修君
  北川れん子君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     高鳥  修君
  林 省之介君     松岡 利勝君
  藤村  修君     佐藤 観樹君
  阿部 知子君     北川れん子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(保利耕輔君外六名提出、衆法第一六号)
 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(岡田克也君外九名提出、衆法第一四号)


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     ――――◇―――――
赤城委員長 これより会議を開きます。
 保利耕輔君外六名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案及び岡田克也君外九名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 大分論議も押し迫ってきて、やればやるほどこの法案が実効性に問題がある、こういうことがわかってまいりまして、私ども、どうしても本来は修正をお願いしたい、何としても修正をかち取って実効性のある法律にしたい、この強い意思で最後の質問に臨むわけでございます。きょうは、自由党さんを初め各党の方の御意見も含めて、提案四会派でまとめたものを御質問したい、このように思っております。
 まず初めに、第百五十回国会で十分に論議をしまして結局は私設秘書を外した、しかし今回、私設秘書が入った、この理由についてどうもまだ明確な答えが返ってきていないような気がする、こう思うんですね。私どもは、やはりこれからも地方議員の私設秘書とかいろいろ含めて、本当は非常に実効性のあるものにしたいと。しかし今回の場合は、とりあえず公設秘書から、私設秘書を入れたと。この理由についてもっと明確にお話をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
保利議員 再三お答えを私もしてまいりまして、御理解をいただけないということは極めて残念でございますが、同じような御答弁を繰り返さざるを得ないということでございます。
 私どもが前国会からずっと主張してまいりましたこと、あるいは議論をしてまいりましたことというのは、公設秘書というものが非常に議員に密接な関係を持っておって、公設秘書が影響力を行使し得る、そういう非常に強い立場にあるということから、そしてまた、犯罪の構成要件というのを明確にしなきゃならぬということから、公設秘書に限らせていただいたわけでございます。
 その後いろいろな問題もございましたけれども、考えてみますと、議員の周辺で働いておりますのは公設秘書だけではございませんで、私設秘書もある。そこをよく考えてみますというと、どうも公設秘書と私設秘書との間で、仕事の内容、いろいろ違いはあると思いますけれども、同じような仕事をしている場合もある。したがって、影響力を及ぼすという点からいえば、私設秘書も公設秘書と並んで影響力を及ぼし得る立場にあるかなというようなことを考えましたがゆえに、私設秘書に今回広げさせていただくということにいたしたわけでございます。
 なお、詳細な点について亀井議員から答弁をしていただきますので、お聞き取りいただきたいと思います。
中山(義)委員 今回、規制の範囲を拡大していきましたね、規制の範囲をいわゆる公設秘書から私設秘書に。この拡大がやはりどの範囲までが適正であったか。今回は公設秘書から国会議員の私設秘書までというところが、適正なその広げた範囲だ、こういうふうにお考えになっているのか、今後も何かあればこの規制はまだ広がっていくのか、その辺も明確に御答弁をいただきたいと思います。
亀井(久)議員 今御答弁をいたしましたことと本質的に何ら変わるところではございませんけれども、私ども、一番留意をしたといいますか、検討いたしましたポイントは、やはり私設秘書という存在が非常に幅広く解釈をされる。議員によってその政治活動もまちまちでございますし、それを補佐する私設秘書の役割というものも千差万別でございますから、それを私設秘書という一つの定義でくくるということについても、相当な問題があることは御承知だと思います。
 前百五十国会において公設秘書に限定をしたということは、申し上げるまでもなく、犯罪の構成要件というものを明確にしなくてはいけない、そうした観点から、法律上その存在が明記されております公設秘書というものに限定をしたところでございます。これを私設秘書に拡大をするということについては、罪刑法定主義の観点からも、今申し上げましたように、この人が私設秘書であるかどうかということ、そしてまた、公設秘書との区別というものがどうであるかというようなことも、一般の方々から見れば、その区別というものは判然としないわけでございますし、また、国会議員に使用されているという立場からすれば、その職務においても実態に変わりがないということでございます。
 今日、政治に対する国民の信頼が著しく損なわれているということ、そしてまた、私設秘書の犯罪が現に出てきておる、そういうことから考えてみれば、やはりこれは国民の声にこたえていく必要があるであろう、そういう観点から私設秘書を加えたわけでございます。その際に、申し上げましたように、私設秘書というものの定義をきちんと決めませんと、その辺があいまいになったままでは罪刑法定主義になかなかこたえるわけにもいかないということでございましたので、私設秘書の定義というものを明確にした上で加えさせていただいたということでございます。
 あくまでもこの犯罪主体の中核は公設秘書であるという考えでございまして、その点は、百五十国会における私どもの考え方と基本的に何ら変わるものではないということだと思います。
中山(義)委員 今の御答弁で結構明確になってきていることがあるんですね。つまり、罪刑法定主義ではっきり公設秘書を対象として選んだ。しかし、世の中の実態が変わって、実態に合わせると、どうしても私設秘書も入れなきゃいけない。実態、そこを考えているわけです。
 そうすると、今の実態はもっともっと広がっているわけですよ。例えば、御兄弟であるとか御家族であるとか、そういう人たちだって可能性があるし、または私設秘書も、地方の私設秘書までいろいろかかわってくるという実態が、罪刑法定主義となかなか合わないというところでいろいろ矛盾があって、答弁する側も、今、先生のお顔を見ていると若干お困りになって、ちょっと自己矛盾がおしゃべりになっている方にもあるんじゃないかという、そんな気がしたりしております。何となく、そういう面から見ますと、世の中の実態が変わってきているということは事実なんですね。
 それともう一つは、今まで幾つかの問題点を先生方が百五十国会で述べているんです。この三つとちょっと矛盾しないかどうか、再度確認をしたいと思うんです。
 まず、これは山本有二提案者が言ったことですが、罪刑法定主義における明確性のもとにおいて、公設秘書は範囲が明確であるし、公務員であることは明らかであるので、あえてこの公設秘書だけについては、罰則規定の犯罪の主体に入れることにした。これは一番初め、さっきの説明ですね。
 二番目は久保哲司さんなんですが、処罰の範囲を公務員でない私設秘書に拡大することは不適当である、私設秘書については、国会議員との関係の程度はさまざまであり、一律に処罰の対象とすることは不適当である。
 それから三番目が、これはやはり久保哲司さんですが、「刑法のあっせん収賄罪では私設秘書を処罰の対象としていない。犯情の重い刑法のあっせん収賄罪においてすら処罰の対象とされていない私設秘書を、より犯情の軽い本罪において処罰の対象とすることはバランスを欠く結果になってしまう」、こう言っているわけです。
 これをまず、言ったことは絶対、撤回して、今度の法律にするんだと。これは撤回をしたわけですね、前に言ったことを。それか、もし撤回をしていないというなら、どういうような論旨なのかちょっと私ども、よくわからないので、今の点について、撤回をして先ほどの説明をされたのか、撤回はしていないのか、その辺、どうでしょうか。
保利議員 後で補足答弁をしていただこうと思いますけれども、私どもとしては、公設秘書というのは非常に強い公的性格を持っておるということで、犯罪の対象に入れたわけでございます。その強い公的性格を持っているという点については変わりがございませんので、そこの考え方は変わっているわけではありません。
 ただし、私設秘書というのは、当時の議論では私的なものでございますから、公的性格というものがあるのかどうかということでございます。形式的に言えば、公的性格はないわけでありますけれども、実質的にいろいろ考えてみますというと、公的性格を帯びているのではないかというような議論に立ち至りまして、私設秘書を入れる方が妥当であろうという結論に達したわけでございます。
 全部のお答えになっているかどうかわかりませんけれども、私からそのようにお答えをさせていただきます。
中山(義)委員 ということは、前回、百五十国会で公設秘書のみとしたことは撤回をする、これは間違いであった、こういうような判断でございますか。ちょっとその意味合いが今の……。
保利議員 前回、公設秘書に限らせていただいたということは間違いであったとは私は申し上げられないと思います。それを含めておりますので、今度の改正案というのは。
 したがいまして、公設秘書も当然犯罪の対象になったままでございますから、そういう意味では、間違いであったとは私は申し上げられないと思っております。
中山(義)委員 そうすると、つまり、今回はさらにこの法律の精度を高めるために規制を拡大した、こういうふうにとってよろしいんですか。つまり、規制を拡大して、さらにこの法案を実効性のあるものにした、こういう意味合いでとっていいんですか。
保利議員 拡大という言葉がそのまま適当なのかどうかというのは私もよく考えてみないとわからないのでございますけれども、そこのところは、今私どもが御提案申し上げていることから御類推をいただきたいと思います。
中山(義)委員 御類推をいただきたい、では、私の想像でいえば、拡大をすればそれだけ実効性が上がるというふうに、私側からとればそういうふうにとれるんですね。
 としますと、今の私設秘書の場合も、いわゆる都会議員の場合なんかは公設も私設もなかなか区別がつかないし、本当に公設秘書がないんですが、実際は、いわゆる、東京都でくれる調査費を、これを人件費に充てて秘書的に使っているというようなことで、ある意味では非常に公設的な、東京都のお金を使って、調査員みたいな形で使っているような状況もあるわけですね。
 ですから、先ほど言ったように、公設秘書だけだというならわかるんですが、それを撤回したということは、そこに自己矛盾があって、つまり、私ら、結論から言うと、規制を拡大した方がより実効性が上がるんでしょうということを質問しているので、この辺には明確に答えていただいて、もし答えられないのであれば、いや、前回の問題と今回の問題は自分たちもちゃんとした矛盾を抱えている、このようにはっきり申し上げた方がいいんじゃないですか。
亀井(久)議員 先ほども御答弁いたしたと思いますけれども、百五十国会のときの私どもの考え方と、今回の私どもと、基本的な考え方というものは何ら変わっているとは思っておりません。
 このあっせん利得収賄罪の犯罪主体に秘書を加えるという、そのことを判断いたしますときに、当然のことながら、法律上その立場がはっきりとしております公設秘書というものをまず加えるべきではないかという、国会議員の持っております権限を行使し得る立場にあるということもはっきりしているわけでございますから、その意味で公設秘書に限定をしたということでございます。先ほど来申し上げておりますとおり、私設秘書についても、国民のサイドから見れば、これはなかなか区別がつきにくいということもあり、また、現に私設秘書の犯罪が出てきたというようなことから、国民の政治不信が非常に大きくなってきている。そういったことを判断いたしまして、その定義を明確にした上で私設秘書を加えたということでございます。
 これは、私設秘書を犯罪主体に最初からする、そういう考え方ではなく、この犯罪主体の中心、中核はあくまでも公設秘書である、そういう考え方で構成されました百五十国会の法案、これに新たに私設秘書を加えたということでございまして、決して、基本的な考え方が変わっているということではないというように私は思っております。
中山(義)委員 ここのところは難しい論議なんですね。つまり、今までの考え方は変わらない、しかし、実態が、私設秘書のやっている犯罪がふえていて、毎日の新聞に私設秘書の名前が載っていく。そうなってくると、これは、待てよ、公設秘書も私設秘書も一般の国民から見ると同じだ、こう見ていると。だから、私設秘書も入れないと、なかなか実効性が上がらない、こういう決断になったというふうな判断でいいんですよね。さっきから確かめているんですが、そういう判断ですよね。要するに、拡大をしたんですよね、範囲を。どうですか、そういう考え方でいいんですか。実態に合わせたならば私設秘書も入っちゃった、それでいいんですか。それを再度確認します。
保利議員 先ほどからお答えを申し上げましたとおり、公設秘書というのはまさに公的なものでございます。私設秘書というのは公的性格がないのではないかという議論で、この対象から外しておりました。しかし、国会議員における私設秘書というのは公的性格を帯びているんではないか、帯びているがゆえにいろいろなあっせん行為ができるのではないか、いろいろあると思いますが、そういう力があるんではないかと。そこへ思い当たりましたがゆえに、私設秘書へ広げたということでございます。
 拡大という言葉について、私は慎重に先ほど御答弁させていただきましたが、範囲が広がったということは事実でございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
中山(義)委員 ですから、そうなってくると、公的性格というのは、やはり地方議員も当然公的な性格を持っていますね。その議員さんと一緒に活動する者も、やはり公的な性格を持っていることは間違いないんです。
 この間から言っていますように、都会議員で五期、六期なんて、背中にコケが生えてくるような人になってくると、これはもう役所の中での一番の顔ですよ、本当に。知事だって一期しかやっていないんですよ、ここのところ。しかも、四期、五期、六期なんかやっている議員がいたら、その方がその中では歴然とした顔ですよ。中には、本当にその中で力を振るって、その先生の顔は議長さんよりも偉いとか、雰囲気ですよ、そういう感じですよ。例えば、議長さんのお部屋に行ったって、秘書課があって、わあっと秘書がいて、それはすばらしい部屋を持っているし、二人だけで話ができるような部屋もうんとあるということを考えてみたときに、やはり、公の、公設の秘書に類する人たちは地方にもたくさんいるということです。
 それから、仮に、国会議員の先生方や地方のあれでも、ちょっと奥さんがかわりに電話しますといって、奥さんが役所に電話するなんということもあり得るわけです。これはききますよ。私、何々議員の家内でございますがと。しかも、それが、四期、五期やっている役所で名前の売れた先生だったらどうしますか。私みたいに一期か二期しかやらないで全然役所に知られていない人間は何もできませんが、五期、六期もやっている先生は、電話一本で何でも、そういうことがあるじゃないですか。
 だから、公的な範囲というものは、やはり強力な議員さん、これはもちろん、国会にもいますけれども、地方にもいるんです。何期もやっていて、本当に力のある地方議員さんがいるということを確認していただいて、そこは公的なにおいが多分にするわけですね。どうでしょうか。
町村議員 中山議員の奥様が大変にお力がある方だと私はびっくりいたしまして、私はいまだかつて、私も当選六回でございますが、私の家内が役所に電話をしたというのは、寡聞にして女房から一度も報告を受けたことがございません。我が身の力のなさを今恥じているところでございます。
 しかし、どう考えても、確かに範囲が広がったことは、私ども今回追加したんですから、それを否定するものでも何でもございませんが、当選回数が多い議員の秘書さんは公的な性格を帯びる、では、当選一回の議員さんの秘書さんは力がないから公的性格を帯びないか、やはりそういうものではないんだろうと私は思うんですよね。あくまでも公設秘書というものがあった上での私設秘書、公設秘書のない地方議員さんの私設秘書、やはりそこにはおのずと違いがある、こう考えるべきなんじゃないんでしょうか。
西川(太)議員 僣越でございますけれども、今の町村先生の御答弁で十分かと思いますが、先ほどかなり具体的にいろいろわかりやすいお尋ねがありましたけれども、私は、中山先生と同じように、また、お名前を出して恐縮ですが、手塚先生初め、同じ職場というか議会に身を置いた者として、地方議員がすべからく影響力を、日活の映画みたいに、そういう余計なことを言っちゃいけません、そういうことをするようなという、もちろん、頭からそういうふうに先生もお思いになってないと思いますけれども、私どもの経験からいって、地方議員の秘書というものは、国会法百三十二条で規定されている国会議員の公設秘書、またそれと判然と区別がしがたい私設秘書とは、やはり実態として、先生も経験でおっしゃるので私も経験から申し上げますが、実態として、親族や私設秘書がそのようなことにばかり狂奔しているんじゃない、私はそう思っております。したがって、これは投網を広げるような形で全部を安易に入れてしまうということはいけない、こういうふうに信じております。
中山(義)委員 私は、いろいろなわかりやすい話をしたつもりで、五期の人と二期の人が全然権限が違うとかなんとかというんじゃなくて、だんだんそうやって力をつけてきて、地方で厳然たる力を持っている地方議員さんはうんといますよということを言っているんです。その人がその名前を使って秘書さんが何かやった場合に、大きな影響力があるということを言っているんです。
 ですから、公設にある者の秘書というのは、その公設にある者、これはいろいろなケースがあると思うんですが、これを国会議員に限定するということにやはり問題点があると思うんですね。どういう形で社会の実態が動いているか、実態に合わせて今回も拡大をされてきたんだ、私はそう思っているんです。それでないと、今回の論議はおかしいわけですね。では、私設秘書を入れたという論理は何なのか。これは、あくまでも世の中の実態を考えて拡大をしたんだという判断が一番正しいわけですよ。
 だとすれば、もっともっと実態に合わせる場合には、公にある者、つまり、地方の議員、特に政令指定都市、大きな都道府県、こういうところの議員の秘書を入れるべきじゃないですか。それじゃないと、矛盾があってしようがないわけです。いつまでたってもこの矛盾が解決できない。では、何のために拡大したのか。
 公設から私設秘書に拡大した論点というのは、世の中の実態に合わせたことは間違いないんです。そういう答弁も端々に聞こえるんです。だったら、もっと世の中の実態に広く合わせましょうという我々の非常に前向きな修正案に、ぜひうんと言っていただきたい。これが世の中の実態に合っていると私は確信をして先ほどから質問しているので、再度御答弁をお願いします。
保利議員 法律的な形式論と実態論というのは、ちょっと違うところがあると思っております。これは国会の場で、法律をつくる場所でございますから、法律的な検討というのを立法的な点から見れば考えていかなきゃならない点だろうと思います。
 そういう意味で、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、国会議員には公設秘書がある、これは極めて公的な性格が強い、公的そのものであります、公務員でございますから。それと相並んで仕事をしている国会議員の私設秘書というのは、やはり公的性格を帯びているのではないかというのが法的な解釈論でございます。
 実態がそうだったからということもあるかもしれませんけれども、法律論的にいえば、そこのところをそういう形で整理をいたしたというわけでございますので、法律論的にいって、それでは、地方にそのことがそのまま適用されるかというと、現在はそういう状態ではないわけでございますので、地方議員の秘書は外しているということでございます。
 ちなみに、先生の御議論を聞いておりますというと、都会議員は大変有力な先生方がたくさんいらっしゃるということでございますが、都会議員そのものは犯罪主体に現行法で置かれているということでございますし、また、秘書さんがこのあっせん利得行為というのを単独でやらない限りは、秘書さんをそのあっせん行為の主体として縛ることはできないという現在の現行法の体系でございます。
 そういう意味でいえば、秘書さんが単独で先生に何も相談をせずにやるということがあるのかどうか、その辺はまた御議論いただきたいと思うし、また、もう一つ、都議会あるいは県議会の中で、こういった問題についてのどういう御議論があるのかということを私は知らないものですから……(発言する者あり)法律論的に申し上げておるわけでございますけれども、この辺のところを御理解いただきたいと思います。
中山(義)委員 本人捕まえちゃえという不規則発言がありましたけれども、ところが、私たちも、いろいろな人が介在してやったときに、選挙法じゃないので連座制はないんですよ。要するに、秘書という人間を介在すれば罪は免れるとなると、地方議員は、この網かけがなければ、全部秘書がやった場合には自分のところへは来ないということで、逆に捕まらなくなっちゃうんですよ。
 だから、私たちが言いたいのは、要するに、公職にある者と、この範囲はやはり本来は相当広いものでなければいけないし、地方議員の先生方だって誇りを持ってやっていると思うんですよ。自分たちは公職にあって、やはり世間の見本である、手本である、そういう人間になろうと思っている人がほとんどだと思いますから、自分の秘書が悪いことをすれば、当然、これは罪の対象になるというふうに思えるような誇り高き地方議員ばかりだと私は確信をいたしております。
 この論議をいつまでやっていても、これは平行線をたどります。しかしながら、あくまでも実態に合わせた実効性のある法律にしてもらいたい。そしてまた、一年半後に、やはり地方議員の秘書も入れておけばよかったなんということを絶対に考えないで、またそのときには何かわけのわからない矛盾に満ちた答弁になる、こう思いますので、この点についてはぜひとも御理解をいただきたい。または、絶対に本来は変えてもらわなきゃいけないと私は確信を持って、一応この質問は終わります。
 もう一つ。私は、この間からお話ししているんですが、鈴木宗男さんが自由党の達増議員の質問に答えて、お金を集めることは、いわゆる政治資金は負のイメージがあるが、集めることに対してこれは善意でお金をくれているんだという論議がありました。しかし、お金を幾らでも集める、四億四千万円というお金は、我々からすれば、異常な金額だと思うんですね。そこには必ず、見返りを求めて、口ききの対価としてお金を出しているというふうに私らは思うような節がたくさんあります。
 特に、金額がでかい、企業が出しているもの、企業というのは利益を考えて毎日毎日活動しているわけでございますから、利益抜きにお金を出すことはあり得ないんです。そういう面では、李下に冠を正さず、そういうところに疑いがあるわけですから、我々は、この請託という、どうしてもこの言葉の中で、ほとんどの口ききに対して対価を払う、これが切り抜けられている、ここに大きな問題点があると思います。
 この請託という言葉について、保利先生、どういうふうに考えますか。この請託というのは、簡単に証明ができるものなのか。それとも、請託というのは、請託を受けただろう、受けなきゃこんなお金は出さない、そういうところで、私どもはどういうような、恐らくあるなという判断で、参考人として引っ張ってこれるのかどうか。今回の場合は、そういう形で来ましたよね。それで、実際、お金をもらうことは悪くない、むしろ使い方を精査すべきだ、こういう答弁をしました。しかし、お金がうんと集まること自身について、請託というものが見えなくても、何かそこに犯罪のにおいというものがあるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
保利議員 お答えになるかどうかわからないんですが、私も、請託という言葉については、その言葉の意味を随分考えてみました。いろいろ関係者の方と相談をいたしましたが、仲介と請託はどこが違うんだろうかというような議論もしてみました。
 いずれにいたしましても、請託にいたしましても仲介にいたしましても、二人の人がいて、その間に取り持つ人がいて成立をする概念だ、私はそう思っております。したがって、このあっせん利得罪においては、あっせんをお願いする人とあっせんを頼まれる人、それを中に入ってあっせんをする人、この三者がいることによって成立する概念ではないかと私は思っておりますので、そういう意味で、請託という要件をこの犯罪構成要件の中から外していいんだろうかというところは、大変疑問に思っておるところでございます。
 したがいまして、私どもとしては、請託というのはぜひ入れておかなければならない要件だ、このように思っておるわけでございます。
中山(義)委員 あとの質問については次の委員の質問にお任せをしたいと思うのですが、どちらにしましても、実効性の上がる法律でなきゃ困るということなんですよ。
 ですから、私は、今回のこの法律の中でもまだ不十分なところは、公共事業を受注した企業から政治献金はもらっちゃいけない、こういうわかりやすい法律の方がいいわけですね。要するに、税金が還流することのないように、税金でやる仕事をこちらから持っていって、口をきいて、その税金から自分の後援会にお金が入ってくるというような、こういうことはまずいということを総理大臣が言っているんですから、総理大臣がちゃんと、アドバルーンだけじゃなくて、ここへ法律をしっかりと出してもらいたい、このように私は思うわけでございます。
 今後も、とにかく実効性の上がる法律であってもらいたい、世の中の実態が変わったときにはまた変えなきゃいけない、そういうみっともないことはやめて、十年先ぐらいまで考えた実効性のある法律をやっていただきたい、このように要求して、次の質問者にかわります。
赤城委員長 次に、大幡基夫君。
大幡委員 このあっせん利得処罰法は、そもそも、二年前の総選挙の直後に、公共事業や予算など、国民の税金を食い物にする口きき政治を断ち切るために野党四党が提起したものであります。ところが、当時、与党側は、この野党提案に耳をかさず、抜け穴だらけの現行法を成立させたわけであります。当時、私設秘書を対象にすることを全面拒否した与党が、今回の法改正に踏み切らざるを得なかったことは、野党側が指摘した、抜け穴だらけで実効性がない法律であることをみずから認めたものであるというふうに思います。
 ところが、今回の与党改正案は、この私設秘書を対象に加えたのみであります。野党改正案が提起しているように、犯罪構成要件から請託や職務権限にかかわる規定を外し、第三者供賄の処罰規定を盛り込むなど、抜け穴をすべてふさいで、実効あるものにすべきであります。
 そこで、お聞きしますが、犯罪の構成要件に、「その権限に基づく影響力を行使して」というのがありますが、これは事実上の職務権限規定で、先ほどもありましたように、いわゆる大物議員などは、現職閣僚とは違って、国等の契約や行政上の処分には法的な権限はないことから、立法の障害になっています。
 既に百五十回国会で、与党側は、例えば、公共事業の入札行為は行政処分ですが、どこどこの建設会社を入れろ、こう電話で言っただけではだめだ、つまり、議員の権限、質疑権などの影響力の行使がなければ罪に問われない、そういうことを承知の上で、現行法を成立させました。しかし、その後の事態は、鈴木宗男議員の問題を初め、この構成要件が立件の障害になっていることは明らかだというふうに思います。この事実上の職務権限規定が各種犯罪の立件の障害になっているとは考えませんか。答弁を求めます。
西議員 「権限に基づく影響力を行使して」ということが要件としてふさわしくない、こういう趣旨の御質問だったかと理解をいたします。
 これは、既に、一年半前の議論で相当議論が行われているところでございますが、若干その繰り返しになるかもしれませんけれども、あっせんの方法を、公職にある者が、この法令に基づいて、その有する権限に直接または間接に由来する影響力、これを行使したということに限定をいたしませんと、公職にある者等の身分を有する者が行政府の職員に対して、公務員に対して行うあっせん行為のほとんどが逆に対象になってしまうということになります。そうなりますと、処罰範囲が非常に広がってまいりまして、公職にある者が正当な政治活動をするということをかなり萎縮させる、そういう側面があることも事実でございます。
 したがいまして、今回のこの権限に基づく影響力の行使につきましても、私どものプロジェクトでも十分議論をいたしました。しかし、やはりそれは、先ほど申し上げました意味でも必要であろうということに結論をしたわけでございます。
 なお、もう一点申し上げたいと思いますが、この「権限に基づく影響力を行使して」ということは事実上職務権限規定ではないかというような趣旨の指摘があったと思いますが、これは、あっせんを受けた公務員が行う職務に関して、我々、公職にある者が何らかの権限を有しているかどうかということを問題にしているわけではございません。我々の権限は、公職にある者が、あっせんを受けた公務員に対して、その権限に基づく影響力を有しているかどうか、ここに議論があるわけでございまして、そういう場合に初めて問題になる、こういうことでございまして、権限に基づく影響力の行使というのは事実上の職務権限規定であるということについては、指摘は当たらない、こういうふうに思っております。
大幡委員 私、今の答弁を聞いて、本当に全面的な検討をしたのかということについて大きな疑問を持ちます。つまり、一年半前の百五十回国会で、国会議員の権限とは何かという問題で、国政調査権や質疑権等々、国会議員としてのいわば直接の権限を行使する、つまり、質問するぞというふうに言えば行使だ、しかし、質問するぞというふうに言わなければ、この権限の影響力の行使にならない、つまり罪に問われない。だから、大物議員は電話するだけでどんどんどんどんわいろが入ってくるという仕組みになっている。
 それで、西議員に聞きたいんですが、私は直接かかわっていませんが、第百四十五回の国会で、国会議員の地位利用収賄罪の処罰に関する法律案というのが公明党も共同提案で出されています。この中には、請託の問題も、また権限に基づく影響力の行使の問題も、入っていない。野党のときにはこういう提案をしていて、何で今回、請託だとか、これをいわば外すんですか。その整合性についてお答え願いたいと思います。
西議員 今にわかに持ち出しておられますので、私、その中身については詳細に記憶はしておりません。いつのことでしょうか。(大幡委員「百四十五回」と呼ぶ)何年のことか、今百四十五回と申し上げられましても、ちょっと時代がわからないわけでございますが、いずれにいたしましても、このあっせん利得処罰法の法律にはそれの根拠になるいわゆる目的というものがございまして、国会議員の清廉潔白性とそれに対する国民の信頼を得る、こういうもとから立法が組み立てられているわけでございまして、その観点からして、私どもは、請託というのは、当然これは今回の法律の構成要件になるというふうに理解をして、前回の審議からそういう与党としての提案をいたしておるわけでございます。
大幡委員 私、本当に、いかに真剣に議論をしたかなどということが、でたらめだということが浮き彫りになったというふうに思います。
 前に進みますが、同時に、対象となる行為が契約の締結、行政処分に限定されていて、調査や企画立案などの政策過程への関与、例えば、公共事業の箇所づけや業界の利益擁護のための税の特別措置等のあっせんを得ても対象外になっています。この問題について、本法の保護法益を害しているというふうに思うんです。この点について、与党案の修正を受け入れるということがどうしても必要だというふうに思うんですが、いかがですか。
町村議員 御指摘のように、契約の締結、行政庁の処分、この段階にやはりあっせん行為というのが特定の者の利益を図るという性格が非常に顕著であるということで、これを対象にしているわけでありまして、これによって、こうしたあっせんをやって報酬を得るということが、この法律の目的であります公職にある者の政治活動の廉潔性とか清廉潔白性、また国民からの信頼を確保するという目的に照らして必要かつ十分なのではないだろうか、こう思っております。
 これ以外の、契約の締結とか行政庁の処分以外についてあっせんを行うことまで、これ全部対象ですよということになりますと、昨日も申し上げましたけれども、地域住民の声とか幅広い国民の声を政策に反映させようという、当然政治家としてやるべき政治活動が過度にやはり阻害をされる、そういう自由な政治活動を萎縮させてはいけないということもやはりあるわけでありまして、そのバランスというものが求められているのは当然のことだろう、こう思います。
大幡委員 一年半前の百五十回国会で、同じ質問に対して当時自民党の尾身議員がこう言っているんです。私どもは、予算の箇所づけ、そういうものは特定の者に対する利益を供与するものではない、だから法案の対象にしない、こう言ったんです。しかし、この一年半、口きき政治と言われる一連の腐敗事件というのは、この予算の箇所づけが特定の者に対する利益を供与するものとして最大限利用されているというのが現実であります。
 そして、いわば予算の箇所づけ、つまり特定の者の問題でも、そのあっせん行為によってわいろを受け取らなければ政治活動の自由は全面的に保障されるわけで、そういう意味では、一年半前に与党が答弁した、予算の箇所づけは特定の者に対する利益を供与するものではない、この答弁は明らかに現実に合わない、そういう認識だというふうに思うんですが、再度お願いします。
町村議員 今、委員は、予算の箇所づけにかかわる何かさまざまな不正が頻発したという趣旨の御指摘がありましたが、具体的に何をもってそう言っておられるのか、ぜひ具体的にお示しをいただきたい。私は余り記憶力が悪いものですから、どういうケースを指しておられるのか、どういう報道があったのか、今一生懸命思い出しているんですが、なかなか思いつかないわけであります。
 例えば、国道三十六号線の拡幅工事、ここにできるだけ予算を投入してほしいという要請をすること、これも道路予算のうちのある種の箇所づけですね。どうしてそのことが特定の者の利益というものにつながるのか。それは、周辺住民の混雑が緩和されるから、周辺自治体、町内会などから要請を受けて、やることはある。どうしてそれが特定の業界、企業の利益につながるのか、私はどうも御指摘の趣旨が理解できません。
大幡委員 もう質問に、すりかえ、甚だしいと思うんです。
 それで野党提案者にお聞きしたいんですが、今までの犯罪の構成要件等にかかわる与党の答弁に対して、どういう考えをお持ちでしょうか。
中井議員 三日間にわたっていろいろな御議論をいただきまして、私どもは私どもの考えを申し上げて、与党側が私どもの考えを受け入れて法案修正に応じてくれる、これを強く希望してきましたが、残念ながら受け入れられないという状況下にあると聞いて、がっくりいたしております。
 この御議論、いろいろ聞く中で、やはり一番は、地方議員さんの私設秘書あるいは公職にある者全般の私設秘書をなぜ入れないのか、与党側のいろいろな御議論を聞いていますが、僕は、これはさっぱりわかりません。
 要するに、国会議員の私設秘書を今回網をかけることになった。そうすると、危ないから、この人たちを地方議員の私設秘書に回して抜け道を行くんかな、実はこう勘ぐらざるを得ない議論であったか、こう思っております。まだまだまだまだ抜け道を自分たちでつくっていかれるんかな、悪く言えばそう思わざるを得ない。
 今日の実態にかんがみて、いろいろと私どもが提案いたしました、地方の首長さん、首長さんは大統領制みたいな選挙でありますし、地方議員さんはまるっきり四年間、しかも、地方の相手方の役所は転勤みたいなのはほとんどありませんから、国会と全く違う中で地方議員さんが力をお持ちだ。国会の質問なんか、私どもの党なんか十分とか十五分とか、予算委員会になったら四分というときがあります。地方議会においては全員、実は同じ時間帯で質問が許されております。大半が与党であります。そういうことも考えますと、本当にここら辺をきちっとやらずにどうするんだ、この思いがいたします。
 あとのことは、私どもは割り切りだと。私どもは、企業の献金禁止、共産党さんも含めて、こういう割り切りの中で、ここまで踏み込めば国民の信頼というものに十分こたえられるだろう、こういう思いで法案をつくりました。公明党さんや保守党さんは野党のときと与党のときところっと違うということは、もう仕方がないというか唖然とする思いでもございますが、ここら辺を割り切っていただけるかどうかというところであります。自民党の今の実態から見ると、到底割り切れないどころか説明もつかないんだろう、こんなふうに、ある意味では哀れにも思うところでございます。
 以上、言い過ぎたかもしれませんが、答弁といたします。
大幡委員 私も、今回の議論での与党の姿勢というのは、腐敗政治容認の姿勢を示すものだということをつくづく思います。以上指摘して、質問を終わります。
赤城委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 私の質問でもう最後ですから、いましばし御協力をお願いいたします。
 ただいまの中井野党提案者の御発言で、与党提案と野党提案の差が非常に明確になったかと思いますが、私ども野党は、この場で審議していることが本当に抜け道なく実効性を持つことを願って、きょう三日目の審議に入ったわけです。
 冒頭、まず保利与党の提案者にお伺いしたいんですが、きょうお話を伺いまして、保利先生は三つのことをおっしゃいました。今回の改正案でも、犯罪の主体は公設秘書であるが、実態に合わせて私設秘書も入れることにした、私設秘書も公的性格を帯びている、この三つをきょうお話しになりました。その三つの確認点に基づいてお伺いいたしますが、きょう審議しておりました中で、実態で私設秘書に問題が起きたから、今回は法案もそこまで踏み込んだと。
 では、今後、実態において、地方議員の秘書あるいは地方議員の親族の方がかかるあっせん利得にかかわった事例があれば、さらに法案の改正を重ねられるのでしょうか。明確にお願いいたします。
西川(太)議員 それは、先生、仮定のことであります。今後そういうことがないように、まず国会が身を正して、この法律を立法することによって模範を示していく、こういうことを地方議会に対しても明確にしていくわけでありますし、それから、今お触れになりました私設秘書以外の親族も加えていくというようなことは範囲を広げ過ぎる、こう思っております。
 したがいまして、仮定のお尋ねでありますので、それはやはり実態を踏まえながらやっていかなければいけない、こう思います。
阿部委員 そこが私どもの野党案との違いだと思うのです。私どもは想定し得るから入れているのであります。
 そして、きょう、保利与党の提案者はおっしゃいました、実態が私設に及んでいるから法案改正をしたと。私どもは、そのようにびほう策を重ねていくような仕組みでは本当に抜け道だらけになるということでお伺いいたしました。再度、保利提案者に御確認いたします。
保利議員 先ほども御答弁をさせていただきました、先生いらっしゃったかどうか記憶がございませんが。実態とおっしゃっておられますが、私ども、法律をつくる場合には、実態面のことを頭に入れるということは当然のことでありますが、それ以上に、やはり法理論的な問題として考えていかなければならない問題がある、そのように考えまして、公設秘書というのを国会議員は持っておる、その公設秘書と並べたときに、私設秘書というのは、あくまでも形の上では私人でございますし、公的性格というのはないのかもしれませんけれども、ただ、よく見てみるというと、公設秘書と並んで議員の影響力を行使し得る立場にいるという点から国会議員の私設秘書に拡大をした、こういうことで御理解をいただきたいと思うのであります。
阿部委員 私は、先生の発言をしっかりと聞いてさっきの三点をまとめました。実態に合わせると、私設秘書に今回拡大することにした、私設秘書も公的性格を帯びている、先生はきっちりそのようにおっしゃいましたし、私も聞きました。
 それゆえに、私どもは、地方議員の実態、彼らもまた国民に対しての政治の信頼性、この法律で守られるべき法益を持って存在しております。そして、その実態が、例えば家族であるとか私設秘書であるとか、そういうものも含めて政治活動にかかわらざるを得ない状況がある中で、私どもは、そこまで含めて、今回、法の規制を拡大すべきだというのが野党提案です。
 恐縮ですが、野党提案の趣旨、やはりこの場で明確にしていただく必要が再度あると思いますので、野党提案者の方にお願いいたします。
保坂議員 お答えします。
 与党の側の我々野党案に対する反論としていろいろなされておりますけれども、公職にある者、つまり、政治家そのものがあっせん利得行為の犯罪主体の中心の核でありまして、公設秘書が核にはなりません。公設秘書が核であってこの法律があるのではなくて、公職にある者、国会議員の場合は、政治家と不可分一体で動いている公設秘書、公設秘書と今区分がつかない私設秘書ということが、すべてこれを包括してやっていこうというのが、ようやく今たどり着いた思いをそこに、与党の案がそこに気がついていただいたということですけれども、そこを地方にきちっとスライドさせれば、当然、公職にある者、政治家を不可分一体に支える私設秘書が含まれてくるのは当然で、論理的にはもうほとんど説明がつかない論理ではないかと思います。
 我々野党の方は、自由濶達な政治活動は大いにやっていただきたい、しかし、自由濶達なあっせん利得行為は厳しく禁じたい、こういうことでございます。
阿部委員 もう一つ、抜け道をつくらないために、ぜひとも野党案の中で審議を深めていただきたい点がございます。
 いわゆる第三者供与というんでしょうか、その処罰規定がないために、政党支部や政治資金管理団体、また親族や秘書が受け皿となり、見返りの収受が行われ得る。特に、企業、団体、政治家の資金管理団体への献金が禁止されて以来、とある政党は、政党支部七千を数えておりますし、お一人の政治家が複数の支部を影響下に置くケースも多いと言われております。
 政党支部を政治家個人の財布として悪用するものという批判もございますが、今回、この第三者供与を入れなかったことにつきまして、与党側の御提案者の見解を伺います。
町村議員 平成十三年末、自民党の全国の支部は、七千百二十三の支部を持っております。あたかも、先生のお言葉をかりますと、すべてが政治家の個人の財布の支部であるかのごとき御発言でございましたが、とんでもない誤解でございまして、きちんと我が党の支部の実態というものをよく把握した上で御発言をいただきたい。
 私ども、支部をつくるに当たっては、必ず、党員を求めたり、規約を求め、そして総会を開き、その中で予算、決算の監視を行いということをきちんとやっておりまして、国民、地域住民のための政党支部という実態を兼ね備えたものでなければ、そういうことができないという実態にあるということをまず御認識いただきたい。
 ぜひ、社会民主党さんも、全国に七千余の支部をおつくりいただくように御努力を賜ればと、こう思っております。
 ちなみに、共産党さんは、二万とも三万とも言われる支部をお持ちであるという情報も得ているところでございます。
 そういう中で、第三者供与のお話がございました。政党支部あるいは資金管理団体、これと議員個人との関係というのは、基本的にはこれは第三者、別個の人格を持っておりますから、第三者であります。ただ、政治家個人とその個々の支部の関係というのは、これまたいろいろあろうかと思いますので、もしこれが、ある政党支部が、私、自民党の支部にそういうのはないと思いますが、完全にある政治家個人の事実上の支配下にある、実質的処分権も持っているという場合には、本人が収受したものとみなしていいわけでありますので、これは第三者供与の処罰規定を設けなくても、本法の保護法益というものは十分に保護されるという考え方になっているわけでございます。
保利議員 先ほど御質問がありました点についてちょっと補足をさせていただきたいと思います。
 私設秘書ということについて、先生いろいろ御議論なさいましたけれども、我々は、国会議員の私設秘書と地方議員の私設秘書とは厳密に分けて考えております。その点をごっちゃにされますと、理屈がわからなくなってくるということがございますので、その辺はひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
阿部委員 決してごっちゃにはしておりませんで、地方議員にはいわゆる公設の秘書というものはないのでございます。しかしながら、実態において、その議員の活動を支えているたくさんの私設秘書がおられます、ないところももちろんございますが。
 そのことも含めて、野党案の意味を先ほど野党提案の方で申し述べさせていただきましたので、今、町村議員が御回答くださいましたので、その点について、いま少し私ども野党サイドの提案の趣旨を明快にしたいと思います。
 確かに、自民党の支部七千百二十三、社民党もつくればよろしいとおっしゃってくださいましたが、私どもは、やはり政党支部の数の問題、非常にさまざまな問題をはらんでいると社民党としては考えております。
 しかし、本日、この場は野党提案という形でくくっておりますので、そのことも含めて、この第三者供与の処罰規定を強く埋め込みました野党案についての、再度御提案の確認をお願いいたします。
堀込議員 先ほど先生と町村先生の議論を聞いておりまして、どうも誤解をしているなと。
 私ども、ここ数年かけて与野党で話し合いまして、政治資金規正法の改正を何度もやってまいりました。その中で、企業・団体献金を政治家個人に禁止しようということで一致をして、現在はそうなっているわけであります。したがいまして、かつては政治家個人の資金管理団体のみ、実はこれも一つだけ、企業・団体献金はいいだろう、しかも、その上限は五十万円であったわけであります。しかし、それを禁止した途端に、今、政党支部が企業・団体献金の受け皿になって、しかも、五十万円という枠も取っ払われてしまいましたから、事実上政治家個人の財布がわりになっているだろう。
 私どもは決して、政党の支部を幾つつくる、制限するとか、そういうことを言っているんではありません。企業・団体献金禁止の、この間の、政治資金規正法を与野党を通じて協議をしてきた流れの中で、その受けられる支部だけはちゃんと選管なり総務省に届け出をして、それは抑制的にやっていこうではないか、こういうことを言っているわけであります。先ほど町村先生は、政治活動の自由を縛るとか、幾つあってもいいんじゃないかというお話でございましたが、私どもも幾つあってもいいと思っています、ただ、企業・団体献金を受けられる支部の制限をしたい、こういうことを一つ申し上げておきます。
 第三者供与の話をいたしますと、きのうも御質問がございましたが、この法案、もし先国会で野党案が通っていれば、幾つか起きた事件について、この法律で取り締まることも可能ではあったのではないかという印象を持っています。相次ぐ不祥事に対して、脱税だとか政治資金規正法記載漏れだとか、そういうことで今捜査が行われているようであります。そういう意味では、私どもは、せっかく、政治公務員の廉潔性、それに対する国民の信頼を得る、こういう法律でありますから、そういうものにこたえた法律にすべきだろう、こういうふうに思っております。
阿部委員 本日のこのあっせん利得法の改正案とあわせて、私ども四野党、政治資金規正法等改正案を、やはり今、町村先生から返されたような御意見があるゆえに、早急に与野党で審議に入りたいと思っております。与党側もぜひ御尽力いただきまして、審議の俎上に上るようによろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
保利議員 今の点は、議運で御協議なさることかと思います。
 最後に、私、一言だけ御発言させていただきたいと思いますが、大変、四日間にわたりまして真摯な御論議をいただいたことに対して、私、心から感謝を申し上げたいと思います。
 この議論を通じて、国民の間にあるいは有権者の皆様方に、政治家には高い倫理性が求められるんだということをまず御理解いただきたいなということを思います。
 それから同時に、我々政治家も秘書に対して大変大きな監督責任を持っているんだ、秘書が、秘書がということで逃げ道をつくるとかそういうことではなくて、秘書のやることに対しては政治家が厳然として責任を負わなければならないということについて、私は、国民の皆様に御理解をいただきたい、このように思う次第でございます。
 ありがとうございました。
赤城委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
赤城委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。望月義夫君。
望月委員 私は、自由民主党、公明党及び保守党の与党三党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に対し、与党案に賛成、野党案に反対の立場から討論を行うものであります。
 いかなる政策の実行も、国民の信頼、国民の高い信任を得られなければ成り立ちません。今、政治に対する国民の信頼を裏切る行為が相次いで生じ、厳しい政治不信を招いていることは、極めて残念なことであります。
 このときにおいて、深刻な政治不信を重大に受けとめ、信頼回復への第一歩として、与野党が、いわゆるあっせん利得処罰法を見直し、その改正案を提出したことの意義は高いと評価するものであります。
 まず、与党案と野党案の最大の違いを挙げるとするならば、法律の導入によって何を目指すのかという基本的な理念、考え方において大きな食い違いがあることであります。言いかえれば、法案の法的性格ないし保護法益において根本的な隔たりがあるということであります。
 与党案は、主権者たる国民から国政等に関する権能を信託された代表である公職にある者は、みずからの良心と責任感を持って政治活動を行わなければならないとの観点から、公職にある者の政治活動の性質に着目し構成されており、その保護すべき法益を、公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性及びこれに対する国民の信頼としているのであります。したがって、与党案の罪は、公務員の職務自体の性質に着目し構成されている刑法のわいろ罪とはその趣旨を根本的に異にしているのであります。
 しかるに、野党案は、野党の構成要件にあるわいろという概念規定から見て、あっせん利得罪を刑法のわいろ罪の一類型あるいはあっせん収賄罪の延長線上でとらえようとしていると言わざるを得ません。そうであるとすれば、刑法体系の中で、刑法の一部改正として汚職の罪の中に規定されるように組み立てるのが本来の筋だと考えますし、また、なぜ私設秘書と親族を対象とすることができるのか、理解に苦しみます。
 私は、野党案の法的性格、法的位置づけに根本的な疑念を抱くものであります。
 次に、政治活動の自由への配慮について申し上げます。
 私は、国政においても地方議会においても、何物にも拘束されない自由な政治活動が保障されていてこそ、政治の進運が図られると考えております。この点について、与党案では十分な配慮がされていると考えますが、野党案の構成要件を見ても、このような観点からの検討が十分にされているのか疑問であります。
 今回、与党案では、議員秘書あっせん利得罪の犯罪主体に、公設秘書のほかに、衆議院議員または参議院議員に使用される者で政治活動を補佐するもの、すなわち、いわゆる国会議員の私設秘書を追加することとしておりますが、構成要件の明確性の観点から十分に吟味されているものであり、評価するとともに、国外犯の規定の整備、施行期日においても妥当なものであると考えます。
 以上、与党案につきまして賛意をあらわし、したがって、野党案については反対であることを表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
赤城委員長 次に、阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党並びに社会民主党・市民連合の四会派共同提案の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に賛成し、与党共同提案の同改正案には、その余りに不十分な内容から反対する討論を行います。
 そもそも、現行法が審議された一昨年の第百五十回国会において、我々野党は、与党案は抜け道が多く、法の実効性に乏しいことを厳しく指摘しました。また、私たちがあれほど口を酸っぱくして私設秘書問題等の重要性を訴えたにもかかわらず、与党は全く聞く耳を持たず、私設秘書を犯罪の主体に含めない現行法の制定に至ったわけです。
 しかし、その後も政治と金をめぐる事件、疑惑が後を絶たず、公設、私設を問わず秘書による公共事業等への口ききの不祥事が相次いで発覚し、三権の長までが議員辞職する事態となりました。図らずも我々の主張の正しさが証明されてしまったわけで、与党各党は猛省と国民への謝罪をまず行うべきであります。
 にもかかわらず、与党は、本委員会質疑においても、第百五十回国会で繰り返していた罪刑法定主義に反するから私設秘書は加えないとの詭弁を撤回しないまま、今回みずからの改正案に私設秘書を加えることの自己矛盾、それも、国会議員の私設秘書に限定するという不合理、どれもこれも論理的な説明をなし得ておらず、到底国民の理解を得られるものではありません。
 また、与党の改正案は、我々野党が改正案で示しているその他のさまざまな抜け道をふさぐ手だてには一切手をつけておりません。
 野党四党が法案をもって強く主張していることは、第一に、処罰の対象に私設秘書並びに父母、配偶者、子及び兄弟姉妹を加えること、第二に、「権限に基づく影響力を行使して」という構成要件を削除すること、第三に、請託を要件から削除すること、第四に、公務員の職務全般を対象とすること、第五に、第三者に供与させる場合も処罰すること、第六に、収受のほか、その要求、約束も処罰の対象とすること、第七に、報酬の範囲を財産上の利益に限らず、これをわいろに改めることであります。
 我々野党は、国民の政治に対する信頼を回復したい一心でみずからを律し、徹底的に抜け道をふさぐ努力を重ねてまいりました。なぜなら、そのことが政治体質の抜本的改革につながるものと確信するからであります。
 我々は、国民の信頼を取り戻せるならと考え、与党に再三修正協議を呼びかけてまいりました。しかし、与党はこれをはなから拒否するだけでした。国民にわびることもせず、できるだけ抜け道を残しておきたいという与党の相も変わらぬ姿勢を、国民は決して許すことはないでしょう。
 国民の政治不信は、今や極限に達しております。まさに、口きき政治との決別こそ強く求められているのです。国民の信は我が野党案にあることを最後に申し上げ、野党案に賛成し、余りに不十分な与党案には反対する討論を終わります。(拍手)
赤城委員長 次に、東祥三君。
東(祥)委員 私は、自由党を代表して、ただいま議題となっております民主、共産、社民、自由党提案の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に対して賛成、自民、公明、保守党提案の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対の立場から討論を行います。
 そもそも、我々野党は、百五十回国会でこの法律が審議されたときから、この法律には重大な欠陥があると主張してきました。さらに、百五十一国会において、野党が共同提案で、このあっせん利得処罰法の処罰の対象に私設秘書を含める等の内容の修正案を提出しましたが、与党は審議すら拒否した経緯がありました。
 しかし、元自民党の鈴木宗男議員、加藤紘一前議員、井上裕元参議院議長の本人や秘書等の疑惑が噴出し、社会的批判が高まると、小泉総理は慌てて、あっせん利得処罰法の処罰対象に私設秘書を含めることを検討することを表明し、その内容の修正案を与党で提出したのであります。
 小泉総理、政府・与党が、あっせん利得処罰法の処罰の対象に、私設秘書を含めるべきであるとの野党の主張には耳を傾けずに拒否しながらも、いざマスコミが騒ぎ立てると過敏に反応して前言を翻し、すぐに私設秘書も対象とするべきだとの指示を出したのであります。まさに、口先だけの場当たり的無原則、無責任政治と言わざるを得ません。
 また、与党提出の修正案には、これまでの審議で明らかになったように、新たに犯罪の主体となる私設秘書について首長、地方議員の秘書が対象外となっている、犯罪の主体に父母、配偶者、子、兄弟姉妹が含まれていない、犯罪の構成要件に請託が含まれており、しかも「その権限に基づく影響力を行使して」という文言があるため立証が極めて困難である、対象となる行為が契約、行政庁の処分に限定されている、第三者供与の処罰規定が明記されていない、罰せられる行為が収受のみである等の問題点が多々あるため、法律の実効性は著しく低くなると考えられます。
 なお、我々野党は、この法律の実効性を高めるため、与党に修正協議を求めましたが、与党は全く耳を傾けませんでした。それのみならず、実情をさらに深く理解するための首長あるいは地方議員の参考人招致を提案しても、前向きな対応を全く示されませんでした。全く残念でなりません。このことは、政府・与党は政治と金の問題に対して真正面から取り組もうとする意思すら持っていないことを証明すると同時に、国民の期待を裏切る行為であるということを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
赤城委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 私は、日本共産党を代表して、野党四党共同提出の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に賛成、与党提出の同一部改正案に反対の討論を行います。
 今国会最大の課題の一つは、鈴木宗男議員、加藤元自民党幹事長、井上前参議院議長らの、本人と秘書のかかわった不正腐敗に端を発した政治と金の問題に徹底したメスを入れ、その解決のために抜本的な対策を講じることでありました。その解決策の一つとして、昨年三月に施行されたあっせん利得処罰法の抜け穴をふさぐ野党改正案を提出したのであります。
 野党案は現行のあっせん利得罪の抜け穴と言える請託や職務権限を犯罪構成要件から外すこと、対象を国会議員の公設秘書を私設秘書に広げるにとどまらず、政治的公務員の私設秘書、父母、配偶者、子、兄弟姉妹を加えること、さらに、第三者供賄の処罰規定を盛り込むことなど、本法を真に実効あるものにするための改正案であり、すべての国民の期待にこたえる内容となっており、賛成するものであります。
 これに対して与党案は、国会議員の私設秘書を対象に加えるというだけのものです。しかも、野党の建設的修正提案さえ一顧だにせず全面拒否するというものであり、国民の声にこたえるものになっておりません。今日、横行する口きき利権政治を根絶するためには、野党案を実現するとともに、加えて、野党共同提案の公共事業受注企業等からの献金の禁止を中心とする政治資金規正法等の一部改正案の実現こそが必要であることを強調して私の討論を終わります。(拍手)
赤城委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主、自由、共産、社民四党提出の野党案に賛成、自民、公明、保守党提出の与党案に反対の立場で討論を行います。
 残念なことに、昨年発足した小泉政権のもとでも、郵政選挙違反事件に始まり、加藤紘一自民党元幹事長秘書の脱税、口きき事件や鈴木宗男氏事件、井上裕前参議院議長秘書事件と、政官業の癒着構造、金まみれの口きき政治は相変わらず横行しており、国民の政治への信頼は地に落ちた状態と思います。
 本来、口きき政治に大きくメスを入れ、政治倫理の確立と国民の政治に対する信頼の回復のきっかけとなることが期待されておりましたのがあっせん利得処罰法でした。しかし、与党が成立を強行した現行法は、立証困難な請託や事実上の職務権限規定を構成要件としており、また、第三者供与規定がない、対象行為が限定されている、何よりも公設秘書に限っているということなど、多くの抜け道、限界があるものとなっています。このことは、これまでに適用例が一例しかなかったことや、当時、この委員会の鈴木宗男筆頭理事の疑惑、事件に何ら効果が見られなかったことからも明らかではないでしょうか。
 国民の期待する改正のかなめは、法の抜け穴をふさぎ、実効ある手だてをとることです。これは、党派を超えて国民から求められていることであるとも思います。しかし、今回、与党は、みずからの案に拘泥し、法の実効性を高めるための野党の修正要求を真っ向から拒否して、単に国会議員の私設秘書を加えるだけの、抜け道を許すものとしようとしています。このような与党の対応は、決してこの間の政治と金にまつわる事件を真摯にみずからのこととして受けとめたものではなく、小手先の改正でお茶を濁そうとするものであり、極めて残念です。
 最後に、またまた不祥事が続発し、何年か後に再びあっせん利得処罰法の改正問題が必要になるといったことが極めて高く案じられる今日、私ども四野党の提案をやはりこの際皆さんで議決していただきたく申し上げて、私の反対討論、そして野党案への賛成討論といたします。(拍手)
赤城委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
赤城委員長 これより採決に入ります。
 まず、岡田克也君外九名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
赤城委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
 次に、保利耕輔君外六名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
赤城委員長 起立多数。よって、本案は可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
赤城委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時二十三分散会


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