衆議院

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第2号 平成16年11月16日(火曜日)

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平成十六年十一月十六日(火曜日)

    午後二時三十分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 武彦君

   理事 後藤田正純君 理事 中馬 弘毅君

   理事 二階 俊博君 理事 井上 和雄君

   理事 永田 寿康君 理事 堀込 征雄君

   理事 山名 靖英君

      石崎  岳君    今村 雅弘君

      奥野 信亮君    櫻田 義孝君

      砂田 圭佑君    中西 一善君

      西野あきら君    西村 明宏君

      馳   浩君    早川 忠孝君

      古川 禎久君    増田 敏男君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      森山  裕君    阿久津幸彦君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      高山 智司君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    中村 哲治君

      中山 義活君    野田 佳彦君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      村越 祐民君    井上 義久君

      長沢 広明君    吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           漆原 良夫君

   議員           冬柴 鐵三君

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   法務副大臣        滝   実君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大竹 邦実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十三日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     石崎  岳君

  坂本 剛二君     西村 明宏君

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  中川 秀直君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  馳   浩君     中川 秀直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案(冬柴鐵三君外二名提出、第百五十九回国会衆法第三号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(第二十回参議院議員通常選挙の結果概要)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、今井総務副大臣及び松本総務大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。今井総務副大臣。

今井副大臣 皆様、こんにちは。ただいま、委員長のお許しをいただきまして、ごあいさつを一言させていただきます。

 このたび、総務副大臣に拝命いただきました今井宏でございます。

 遠藤委員長を初め、理事の皆さん、委員の皆様の今後とも御指導をいただきながら、懸命にその使命を果たしていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。

 よろしくお願いします。(拍手)

遠藤委員長 次に、松本総務大臣政務官。

松本大臣政務官 引き続き総務大臣政務官を務めることになりました松本純でございます。

 全力で尽くしてまいります。どうぞ、先生方の温かい御指導、御鞭撻、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

遠藤委員長 第百五十九回国会、冬柴鐵三君外二名提出、永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴議員 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案について、趣旨を説明させていただきます。

 ただいま議題となりました永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案について、その趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。

 外国人のうち我が国の永住権を持つ者は、平成十五年末現在において、一般永住者二十六万七千十一名、特別永住者四十七万五千九百五十二名の計七十四万二千九百六十三名に達しますが、この法案は、これら永住外国人に対し地方選挙権を付与することを目的として制定しようとするものであります。

 その思想的根拠としては、地方のことはその地域に住む住民が自主的、自律的に決定するのが好ましいこと、成熟した民主主義国家として、この住民には、地域に特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる外国人たる住民の意思を、日常生活に密接な関連を有する地域の公共的事務の処理の決定に反映すべきものであること、特に、日本で生まれ、育ち、生計を営み、そして骨をこの国に埋めていこうとしている在日韓国人など特別な歴史的背景のある人々に対しては、その人たちが望むならば、限りなく日本国民に近い扱いがされてしかるべきであること等に基づくものであります。

 しかし、周知のとおり、現行地方自治法及び公職選挙法は、国政選挙はもとよりでありますが、地方選挙においても、我が国が重い歴史を担うこれら永住外国人たる住民に対し、地方選挙権すら与えていません。

 これに対し、日本社会に深く根差し、既に在日四世以降が約十四万人も永住権を持ち、もちろん租税も負担して、我が国の発展に寄与し、日本国民とともに地域においてコミュニティーを構成しているいわゆる在日の人々について、地方参政権を付与すべきであるとの意見が地方自治体の議会からほうはいとして起こり、当方の調査によると、平成十六年十月二十一日現在では、その数は千五百二十地方自治体にも及び、属する住民は国民の七五・八九%にも達している事実に加え、大韓民国民団の地方参政権獲得に向けての長年の地道な運動や、国会議員間の交流である日韓議員連盟総会の数次にわたる共同声明において明確に表明されてきたものであります。

 重ねて、平成十年十月八日、大韓民国金大中大統領の公式訪日に当たり行われた我が国の国会における演説の中において、私は、六十万在日韓国人の未来を考えないわけにはまいりません。特に、地方参政権の獲得が早期に実現できれば、在日韓国人だけではなく、韓国国民も大いに喜び、世界もまた、日本のそのような開かれた政策を積極的に歓迎してやまないでしょうと述べ、また、盧武鉉大統領は、平成十五年六月九日の我が国国会演説で次のように述べています。終わりに、議員の皆様に一つお願いの言葉がございます。六十万人の在日韓国人は、これまで、日本で地域社会と韓日両国の関係発展に向けて大きく貢献してきました。私は、この方たちが日本社会の堂々たる一構成員としてさらに積極的に貢献していけることを心から期待してやみません。皆様が議論していらっしゃる地方参政権が彼らに付与されれば、韓日関係の未来に非常に大きな役に立つことでしょうと、その必要性を強く要請されたことは周知のとおりであります。

 私ども本法案提出者は、以上のような背景及び思想的根拠をもとに本法案を提案したものでありますが、本法案は、その構成上三点について特に配慮して起草した点がありますので、まずそれを説明申し上げます。

 第一点は、被選挙権を付与の対象から除外したことであります。

 これは、被選挙権の付与が許されないという理論的結論を前提に立案したものではなく、現時点における国民感情等をおもんぱかり、本法の早期成立ということを何よりも優先させ、その付与は将来の議論にゆだねようとする政策的判断に基づくものであります。

 重ねて、平成七年二月二十八日の最高裁判所判決が被選挙権の付与については何ら言及していないことも、右政策判断に影響があったことは明らかにしておきます。

 第二点は、選挙権の付与に申請主義を採用し、永住外国人選挙人名簿への登録を取得の要件としたことであります。

 永住外国人への選挙権の付与を強く求める声があることはさきに述べたところでありますが、永住外国人のすべてがそれを望んでいるわけではなく、逆に、日本国への取り込みであるとして強く反対する人々もいます。自国民の取り込みであるとして反発する国があるとすれば、そのような国の国民は、選挙権を取得すると、本国において不利益扱いを受けることになるおそれもあります。

 そこで、真に選挙権の取得を望み、かつ、有権者として日本の地域社会で一定の役割を果たしていく意思のある永住外国人に限りこれを与えることとし、一律に選挙権を与えるのではなく、具体的には、永住外国人選挙人名簿への登録を申請し、これが登録されて初めて選挙権が付与されるという形の申請主義を採用したものでございます。

 第三点は、我が国と国交のない国の国籍を持つ永住外国人に対しては、当分の間、本法により地方選挙権を付与しないこととしたことであります。

 このような永住外国人が本法に基づき我が国の地方選挙権の付与を求めるとしても、その国交のない本国がその付与に強く反対している場合にあっては、我が国の地方選挙権を取得した者に対し、その者にとって不利益となる扱いを行うおそれが十分に予測されます。

 そこで、国交のない国と我が国との間で、将来何らかの交渉が持たれ、付与を容認する意思が確認されるまでの間、これを付与しないこととする制度を採用したものであります。

 次に、法案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、永住外国人に対し地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を付与するため、地方自治法及び公職選挙法の特例を定めることを目的とするものであります。

 第二に、選挙権を付与される者の要件は、一つ、出入国管理及び難民認定法別表第二の上欄の永住者、または、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者であること。ただし、当該永住外国人に係る外国人登録原票の国籍欄に国名が記載されている者であること。二つ、永住外国人の選挙人名簿に登録された年齢満二十年以上の永住外国人で引き続き三カ月以上市町村の区域に住所を有するものであることとするものであります。

 第三に、選挙権を要件とする各種資格の取り扱いについては、国政に直接的に影響を及ぼすものでない限り、認めることといたしております。

 そのほか、詐偽登録及び所定の届け出義務を行わなかった者に対する罰則を規定する等、所要の規定を定めております。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げ、趣旨の説明は終わります。

遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省民事局長房村精一君及び法務省入国管理局長三浦正晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

後藤田委員 自民党の後藤田正純でございます。

 このたびは、大変重要な、また難しい議題につきまして、冬柴議員、漆原議員を初め公明党の皆様方が長年お取り組みをいただいておりますことに、改めて敬意を表したいと思っております。そしてまた、永住外国人の皆様方におかれましても、日本国、我が国を本当に大きな発展に導いて、日本国の大きな構成要員として日々御努力されていることに対しましても、この場をかりて敬意を表したいと思います。

 ただし、昨今の日本、我が国が置かれている国際状況の変化、また憲法の解釈、または法律、そして日本が島国であり、他国に比べて単一民族に近い国であること、また国際的な比較等に基づいて、また相互主義の観点から、さまざまな世論、意見があるということは提出者の方々も御承知のとおりと思います。

 その点につきまして、時間は限られておりますが、御質問並びに確認をさせていただきたいと思います。

 まず、平成七年の最高裁第三小法廷判決につきまして、憲法上の論点につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 これは長年繰り返しされております議論でございますが、まず、憲法第十五条の公務員の任免権につきましては国民固有の権利であるということ、つまり、その「国民」というのは日本国籍を持つことであるということ。一方で、憲法第九十二条では、地方自治体の組織及び運営は法律で定める。そして、憲法九十三条二項に言う「住民」という表示がございますが、これは、「地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解釈するのが相当」であるというような憲法の規定がございます。

 このような規定は、「我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。」という結論がまずなされております。

 一方で、傍論として、本件につきましては、「専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。」としているという、この二つの解釈がまず大きな論点かと思いますが、その部分につきまして、やはり、住民が選挙することを定めた九十三条と、その住民は日本国民を意味するものとしているということを考えたときに、この時点で既に論理矛盾を抱えているんではないかと指摘する世論がございますけれども、まず、その点につきましてどのように整合的に理解をされているのかを御質問させていただきたいと思います。

冬柴議員 最高裁判所、平成七年二月二十八日、第三小法廷判決はいわゆる請求を棄却いたしております。請求というのは、地方参政権を付与すべきであるという請求に対して棄却をしたわけでございます。

 しかしながら、その理由等の中で、先ほど後藤田議員も御指摘のように、傍論部分ではありますけれども、第三小法廷の判決、五人の裁判官一致した意見でこのように述べております。

 外国人に対しては、この憲法そのものが地方選挙権の付与を保障したものではない。けれども、我が国に在留する外国人のうちでも、永住者等であって、その居住する地方公共団体との間に特段に緊密な関係を認められるそのような永住外国人に対して、法律をもって地方の選挙権を付与する措置をとるということはこの憲法に反するものではない。このように述べているわけでございます。これは、我々が納得できる明快な理論でありまして、その結論においても妥当だと私は思っております。

 これを論理矛盾だと言う人があるというお話でございますけれども、決して、よく読めば論理は矛盾いたしておりません。

 それは、憲法十五条は日本国民と言っておりますけれども、九十三条の地方公共団体の長及びその議員は、「その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と規定しているわけでございます。

 御案内のように、住民ということの概念につきましては、地方自治法に規定があります。それによれば、詳しい説明は省きますけれども、住民は、言うまでもなく日本国民たる住民と、いわゆる我が国に在留する外国人たる住民、この二種類があるわけでございます。

 それで、憲法が地方参政権を憲法上保障したのは、その前者の日本国民たる住民に対して地方選挙権を保障したという趣旨でありまして、その後者、日本に在留する外国人たる住民はどうなるのかということになりますと、憲法は直接保障はしません。憲法では保障はいたしません。これは、十五条に照らしても保障はできない。

 しかしながら、立法政策として、国権の最高機関たるこの国会で、こういう人たちに対しても、一定の要件を満たす在留する外国人に対して、地方の選挙権、被選挙権は言っていません、選挙権を付与する、そういう措置をとることは、これは国会の判断によって決めるべきことであって、憲法上禁止されるものと解することはできない、解しなくてもよろしい、こういうことを言っているわけでありまして、私は、これをとって論理矛盾があるというようなことを言うのはごくわずかな人であって、学者、あるいは、私も法律実務家ではありますけれども、実務家はこの議論は容認すると私は思います。

 それから、学説においてもそれとよく似たものがあります。

 例えば、許容説と言われているそういうものでございますが、国交、防衛、幣制などを担当する国政と、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務を担当する地方公共団体の政治、行政とでは国民主権の原理とのかかわりの程度に差異があることを考えると、地方公共団体レベルの選挙権を一定の居住要件のもとで外国人に認めることは立法政策にゆだねられていると解される。これは、代表的には中村睦男北海道大学教授の説でございますが、学説的には許容説と言われているものでございまして、最高裁の判決はまさにこの許容説をとったものと理解できるわけであります。

 私は、そういう意味で、その結果は妥当なものである、重いものである、このように感じているものでございます。

後藤田委員 今おっしゃられたように、憲法上で保障される権利と立法政策において保障される権利、二つ考え方があるということだと思いますが、やはりこの二つを、どちらの立場の方がより国民の皆様にわかりやすく論理的に説明するかということを、我々立法府の中でも表現していかなくてはいけないと思っております。

 その中で、地方公共団体の公共的事務というものについて、これについての解釈が、その二つに並んで並行して分かれているような私は思いがございまして、それは何かといいますと、永住外国人の方々もいわゆる公共サービスを受けている、そしてまた、それに対して物を言う権利があるんだということでございますが、その公共サービスと並んで、警察権の行使だとか、または有事の際の国と地方のあり方、そしてまた教育行政についての諸課題、例えば歴史教科書問題、また、エネルギー政策におきましては原子力発電所等の政策につきまして、公共サービスというものに対して、やはり、大きな広い意味での考え方と狭い公共サービスというものの考え方、二つあると思いますけれども、その点について提出者の御見解を聞かせていただきたいと思います。

冬柴議員 地方公共団体というものの団体自治、これは地方分権の要請に基づいて行われるものだと思いますが、大日本帝国憲法では地方自治という章がありませんでした。しかしながら、新しい日本国憲法におきましては、「第八章 地方自治」、そういう章を設けて明定をいたしております。

 九十二条、先ほど後藤田議員もほぼその全文を読み上げられましたけれども、地方公共団体の組織及び運営については、地方自治の本旨に基づき、法律をもってこれを定める、このように書かれているわけであります。その「地方自治の本旨」というのは、地方のことはそこに住む住民が自主的、自律的、また主体的に決めていく、いわば、その住民とその住民が選んだ長及び議員がその町づくりを行うことによって個性あふれる元気な地方ができる、そういうようなことであると思います。

 今までの日本は極端な中央集権制度、行政システムをとりましたけれども、このような憲法は、これを、地方分権ということで、日本の国土の中の一定の範囲、この中のことはそこのいわゆる団体によって自主的、自律的にできるだけ決めていこう、こういう制度である。しかしながら、それは無限に広がるものではなしに、国民の代表である国会、すなわち国権の最高機関が定めた法律の範囲内で組織や運営というものは決められるということが定められているわけでございます。

 したがいまして、なるほど警察権もその中にありますし、いろいろな挙げられた問題がありますけれども、それは、国会が決めた範囲、例えば国民保護法制というものが来年には提案されると思いますけれども、それについて、国民保護法制についても地方にお願いすることがたくさんあるわけでございますが、その範囲も、国会、いわゆる国会の法律で決められる範囲で行われるものであります。

 したがいまして、その中には、住民サービスだけではなく、いわゆる国民の権利を制限し義務を課する、そのような部分も当然にあるわけでございますけれども、それは法律の範囲内ということで調整がされている、このように思います。

 したがいまして、民主主義から由来する住民自治というところで、その議会あるいは長の選挙に、在留する一定の要件を満たした外国人がそれに加わるとしても国の主権と衝突することはない、私はそのように考えております。

後藤田委員 繰り返しになりますけれども、例えば、こんなことがあってはいけないんですけれども、日本に敵対する国の国籍を持つ永住外国人の方がいたとして、その方が選挙権を行使して国と地方の協力を阻害すれば日本の安全が脅かされるという、これはもう本当に最悪のケースを考えて申し上げますけれども、そういった場面だとかそういったケースも想定して提出者の皆様はこの法律を出されたのか、いま一度質問したいと思います。

冬柴議員 敵対する関係にある外国人という人が日本に永住する、在留しているということは当然あるわけでございますが、その方たちの意識が、あるいは帰属意思がどちらにあるかということは、あらかじめ想定して断定すべき事項ではないのではないか、私はそのように思います。

 古い話でございますが、第二次世界大戦のときに日本は連合国たるアメリカと戦いました。アメリカの国には日本国籍を有する青年がたくさんいました。彼らは、「外人部隊」という映画で非常に有名になりましたけれども、日本との戦いにアメリカの兵の中にまじって戦ったわけであります。

 私は、そういう例を持ち出すまでもなく、日本で生まれ日本で育ち、そして日本で学び、結婚をし子供をもうけ、そして交遊関係も家族も全部日本にいる、このような永住された外国人、やがて亡くなれば日本の土となっていく人たちが、その人がたまたま違う国の人だからということで、その国と日本が対立したときにどちらに対するより帰属意識を持つかということは、私は、その人その人ごとによって違う、そういうふうに思います。外国人だからその所属する国に利益に働くだろうということをあらかじめ予想することは許されない。

 もう一つ根拠があります。世界には二重国籍を認める国がたくさんあります。そういう国だったらその事態はどう考えたらいいんでしょうか。私は、その二重国籍を持っている人がそのどちらの国により帰属意識を持って戦うであろうから、あるいは外国に有利に働くだろうからということは、もう予想できなくなるわけであります。

 そういう理由から、今の話は、私は、本法案の成立には障害になる事項ではない、このように確信するものでございます。

後藤田委員 私もそうあってほしいというふうに思いますが、やはり我々政治家としては、国民の生命財産を守るという立場がございますので、その点につきましてもこれからより慎重に議論をしていく必要があると思います。

 加えて、今おっしゃったアメリカの例でございますが、これは欧州も同じでございます。日本は他国に比べ単一民族に近い国であり、アメリカや欧州はいわゆる多民族国家であるという、その点もやはり大きな違いとして我々日本は考えなくてはいけないんではないかと思っております。

 今、いわゆる外国人永住者の国籍取得の状況でございますが、欧州につきましては地方参政権も認めている場合が多い。しかし、中国、日本、そして韓国、北朝鮮は認めていないというのが現状でございます。

 その点についてお答えをいただきたいのと、もう時間でございますので、もう二点目は、被選挙権の問題につきまして、冬柴議員は、以前、平成十二年の五月二十三日の当委員会でお答えしておりますのは、将来的に被選挙権も付与するおつもりなのかというお尋ねについては、私は現時点におきましては被選挙権を付与することは考えていないと。私はということと、現時点ではというお答えをされているようでございますが、今後、その被選挙権についても、この法律を提出する機会と同時に、現段階ではっきりした態度を示されるべきではないかと考えておりますが、その二点について最後お答えをいただきたいと思います。

遠藤委員長 予定の時間が参っておりますので、簡明な答弁をお願いします。

冬柴議員 後ろのお尋ねからお答えいたしますと、私は、参政権を付与しても、地方の部分であればいいのではないか。いわゆる外国人の首長さんというものが出てくるためには、その外国人の何倍もする日本人の投票、支持がなければ当選することはできないわけでございます。それほどの信を集める立派な外国人の人が出てくるということは、私はそれはすごいことだと思います。

 そういう国家になりたいなとは思いますが、今、この時点でそのような提案をいたしますと、今でも、選挙権だけでもこれほどの議論があるのに、被選挙権ということになりますと、なお大きな議論を巻き起こすことになろう。

 また、先ほども申しましたけれども、最高裁の平成七年二月二十八日の判決は、国会において選挙権を付与する措置をとることは憲法の禁ずることではないということで、被選挙権には論及をしておりませんでした。

 そういうこともありまして、私は、このたびは選挙権を付与するということにとどめ、将来の子孫がこの法律が運用されるその実績を見ながら議論をし判断するであろうということでございまして、私は、理論的に、国政選挙は全然だめですよ、選挙権も被選挙権もだめですけれども、地方の選挙権についてはそのような考えを持っているということを申し上げたいと思います。

 ヨーロッパその他の外国における……(後藤田委員「一国主義と多民族国家の違いです」と呼ぶ)日本も、さかのぼれば、本当に単一民族かどうかわかりません。これはそうは簡単に言えないと思いますけれども、歴史をひもとくと。しかし、単一民族だということで、同じ言葉を話す、同じ黄色人種の日本人、これは単一民族と言っていいと思いますが、では、多くの民族が混在するアメリカと日本という場合で、日本の場合は血統主義というものを国籍に採用してありますので、このような永住者とかそういうものが出てきますが、アメリカでは出生地主義をとっております。したがいまして、お父さんもお母さんも日本人であっても、その子供がアメリカで生まれたときには、国籍留保の届け出をしない限りアメリカ人にこの子供はなるわけでございますから、日本で今問題になっているような永住者とかそういう人たちは、日本もいわゆる血統主義を廃止して出生地主義をもしとるならば、ほとんどもう解決している問題ですね。ほとんど全部日本人になると思う。そういう実態がある。

 しかし、その中にあって、ヨーロッパなんかでも、こういう地方参政権を認めている国はたくさんあるわけであります。その理由は、いろいろ分析しますと、私は、植民地支配をした国の宗主国とそして支分国の間では、例えば英連邦、イギリスの連邦国家というのは、ほとんど地方参政権を相互に付与し合っているという事実があります。オランダはオランダ語を解する国の間では地方選挙権を与えるとか、そういう、また違う要素でこの選挙権というものが付与されているという事実があることを私の意見として申し上げたいと思います。

後藤田委員 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、山名靖英君。

山名委員 公明党の山名靖英でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 提案されたこのテーマにつきましては、既に平成十年十月、もう六年前に基本的な法案が提案をされました。そして、今日まで既に八日間、およそ十三時間近い論議が行われたわけであります。きょうの九十分の質疑を入れれば、もう十四時間以上になるわけでございます。

 この問題については、極めて国民的な関心も強いし、まさに、賛否両論いろいろあるわけであります。

 一方で、冬柴幹事長を初め私ども公明党がこの永住外国人参政権付与問題に極めて熱心に取り組んでいる、なぜ公明党はそんなに熱心なんだ、うがった見方をする向きもややあるようでございます。極めて政治的な意図を持っての批判も一方であるわけでありますが、少なくとも私たち公明党は、先ほど来より提案者からいろいろな説明等もございましたとおり、まさに、日本における近代国家としての、民主主義国家としての大きな脱皮のチャンスではないか、この参政権付与によって、大きく国際社会の中で、まさに、憲法前文ではありませんが、名誉ある地位を占める大きな流れをつくり出すことができる、こういうところからの取り組みをしているわけでございます。

 我が国会での議員連盟、たくさんの議員連盟がありますが、恐らく最大の数を誇っているのは日韓議員連盟じゃないかと思うんですね。正式な数はわかりませんが、恐らく三百人以上が入っている。そして、毎年、日韓両国で議員連盟がお互い交流をし、そして分科会を開き、いろいろな論議をしている中で、この参政権問題もまたそのテーマの一つとして従来からありました。そして、お互い、その結論としての総会共同声明の中で、この参政権問題についてはそれぞれがしっかりと取り組んでいこう、日本に期待する、こういった総会での共同声明という形でもなされているわけであります。

 先ほどありましたように、地方議会でも多くの議会がこの問題を取り上げ、そして、決議として、また意見書として提出をされている。極めて大事なテーマでもあります。

 そこで、今回こういった形で本日参政権質疑に至ったわけでありますけれども、ここで、改めて提案者冬柴幹事長より、みずからの思いそして決意というものをまずお聞きしたい、このように思います。

冬柴議員 私は、この日本を構成する国民とともに日本に在留する、そしてまた、先ほど来何回も言っておりますけれども、生まれ、育ち、そして生活の本拠を置き、やがて亡くなれば日本の土に帰っていくというそういう人たちを、もちろん、国籍が違うわけですから、国籍が違うということによる合理的な差別はあるとしても、例えば日本国憲法十五条には、公務員を選定し及び罷免することは日本国民固有の権利であるというふうに書かれているこのこと、日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するというふうに書かれた日本国憲法の前文、こういうものに照らせば、日本国民でなければ担うことのできない事務も当然にあります。

 けれども、それ以外のことについて、同じコミュニティーを構成し、PTAでも役員をしていただいているそのような人たちを、日本人と限りなく近い扱いをしてしかるべきではないか、私は、法律的な観点というよりも、私の常識としても心からそのように思うわけでございます。

 なぜそういう差別をしなければならないのだろうかというふうに思うわけでございまして、私は、そのような出発点から、地方参政権、地方選挙権、これに限って国会がその立法政策として付与することができるという考え方は正しい、ぜひ我々が代議士である間にこれを提案し成立させたい、こういう強い思いがあるわけでございます。何とぞそれは理解をしていただきたいなと。

 日韓議連の私はメンバーでもあります。日韓議連には在日韓国人の地位向上委員会という小委員会というものがありますが、長く私はその日本側の小委員長を務めさせていただいております。そこでは韓国側の議員と毎回激しい議論をするわけでございますが、民主主義社会の中にあって最も根本的なものは参政権である、このような重い歴史を持った、長年日本に住む同胞たちにその一番大事な根底の地方選挙権はせめて早く付与してやってほしい、こういう韓国側の議員の熱心な議論も聞くにつけ、私はこれを本当に成立をさせたい、こういうふうな思いでおりますし、私は途中で投げ出すことは絶対しない、こんな決意もしているわけでございます。

山名委員 今回の参政権付与問題は、先ほどからもお話がありましたように、平成七年二月二十八日の最高裁判決によるところの、地方における参政権付与はいわゆる立法政策上のものである、こういったところからその流れというものが加速していたわけであります。

 私は、憲法十五条一項に定める公務員の選定、罷免、これの「国民固有の権利」というこういう項目については、まさにこの「固有の権利」というのは、参政権そのことを言うのではなくて、むしろ、この「固有」というのは、日本国民から奪えない、そういう権利を言うんであって、日本国籍そのものを指すわけではないというふうに思っておりますし、また、そういう通説ではあろうかと思っております。

 先ほど、傍論と本論の論議が出ましたので、あえて私はこのことにはもう触れないと考えておりますけれども、やはり最高裁の判決も、地方における法律上の措置というものを地方にゆだねている、こういったことで私は画期的な判決ではなかったかと思っているわけでございます。

 ところで、一方で、この問題の論議をする際に多く出される論議の一つが、そんなに参政権が必要ならば、これは極端な言い方だとは思いますけれども、帰化すればいいんじゃないか、こういう意見が非常に多く出されているわけであります。帰化して日本人になれば、地方選挙権のみならず、国政選挙権も被選挙権も当然これは与えられるわけだから、それで問題すべては解決するじゃないか、そのためにはいわゆる現行の帰化要件も緩和しよう、こういったことであります。

 私は、この帰化すればいいじゃないかという論法は、極めて雑な、乱暴な論議ではないかというふうに基本的には思っておりますが、提案者の御所見をお伺いしたいと思います。

冬柴議員 私も山名委員と同じ意見でございます。

 帰化をするかしないかということは、すぐれて、その個人の意思が尊重されてしかるべき基本的人権の中核にあると私は思います。日本国憲法二十二条二項にも、何人も「国籍を離脱する自由を侵されない。」こういう規定があります。また、世界人権宣言十五条の二項にも、「何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。」こんな規定もあります。

 すなわち、こういうものを見てみますと、何々するためには国籍を変更する、すなわち帰化したらいいじゃないかというのは、これは乱暴な意見だと私は思います。

 もし、私が外国へ行って、そして同じような立場にあったときに、日本国籍を放棄すればこうしてあげようと言われたときに放棄するだろうかと考えたときに、私はやはり、自分の父や母、祖父や祖母をはぐくんでくれた日本のこの国、文化や伝統そして豊かな自然を持つこの国を離れることは絶対にないと思います。私は、そういう考え方を持つのが人情だろうと思います。

 しかしながら、帰化したいという人に対しては、日本の国はもっと今以上に簡略にと申しますか、すべきだと思いますけれども、帰化しなければ不利益を受けるというようなことは許されない、こういうふうに私は思っています。

山名委員 そこで、もう一つ論議の大きなポイントの一つは、要するに相互主義の観点から、韓国においてはいわゆる韓国在住の外国人に対する参政権付与については法案が凍結をされているんじゃないか、したがって、日本だけがそういうことを認めるのはどうかと、こういう論議がございます。

 諸外国においても、EU、ヨーロッパ諸国においては、いわゆる市民権という形の参政権付与が、フランスやドイツなんかは憲法を変えてまで行っているわけでありまして、そういう諸外国における参政権付与の実態と、加えて、先ほど申しました、韓国における相互主義の観点からのこの問題について今どのような状況にあるのか、このことについてお伺いしたいと思います。

冬柴議員 まず、諸外国の事例につきましてはいろいろな研究がございますが、国立国会図書館の調査及び立法考査局政治議会調査室が調べてくれた詳細なデータがあります。それによりますと、現在までに十カ国ですか、が地方参政権の付与をしております。また、十七カ国が、一定の条件がありますけれども、付与を認めている。合計二十六カ国があります。

 その中では、例えば北欧のスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドのように、何年以上の合法的在住ということのみを要件として選挙権も被選挙権も、地方選挙ですけれども与えているという国、一つのそういう例があるとともに、先ほど私ちょっと言いましたけれども、イギリスのように、英連邦市民、アイルランド市民というものに対して国政レベル選挙被選挙権、地方選挙はもちろんですけれども、与えているという国もあります。したがいまして、このイギリス連邦市民というのは、イギリスが植民地経営をした国がほとんどでありまして、もちろんアイルランド、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ等々、相互にそういうものを認めるようになっている例があります。

 詳しくは、そのような研究がありますので後にやっていただくとしまして、韓国の問題に相互主義の関係で若干質問がありましたので答えさせていただきますと、私は、日本と韓国との間で相互主義というのは、これは、グルンド、基礎が違うんじゃないかというふうに思います。

 日本は、残念ながら、一九一〇年併合以来約三十六年にも及ぶ植民地支配をした国、その間に日本に移住してきた人という方は、戦前は日本人だったわけです。日本人であり、選挙権、被選挙権もありました。兵役の義務もあって、第二次世界大戦は日本の兵として戦い、戦死された人もたくさんいらっしゃるわけであります。また、選挙権も当然あったわけでありまして、東京都から選出された国会議員、二回当選した、いわゆる韓国出身の方が国会議員に当選をしていられるという事例もあります。地方には三十数名の方が地方議員として当選をしていられるということがあったわけです。

 それを、日本が敗戦、そして日本との講和条約によって、従来そのように日本人として名実ともに扱われていたその外国出身の人に対して突然国籍を喪失させて、そして、その人たちの意思を問うことなくみんな帰してしまっているわけですから、こういう関係の中で、今日本には、先ほどの提案理由の説明にも、数十万人の方がこちらにいらっしゃる、韓国には、日本人で五年以上いわゆる在留している人は恐らく三百人ぐらいだろうというふうに言われているわけでありまして、これを比較して、向こうが与えないからこっちは与えないとかいう議論のグルンドが違う、私はそう思います。

 しかしながら、韓国でも長期居住外国人選挙権付与条項というものが提案をされました、閣法として。これは、二〇〇二年二月二十五日に政治改革特別委員会において可決をされたわけでございます。それが可決されれば、あとは本会議にかければ、一院制ですから成立するわけでございますけれども、韓国には、委員会決議の後で、法制司法委員会、日本にはこれはありません、法制局のような仕事をする委員会があります。そこで議論をしたところ、いろいろな議論がありました。

 その日が国会の最終日であったわけでございます。その日に本会議にかけないともう廃案になってしまうというところから、この条項だけではなしに、公職選挙及び選挙不正防止法改正案というものの中の一カ条にこの長期在留者の地方選挙権付与の条項があったわけですが、その部分については議論が収れんしないから、それを留保して、それ以外の部分は、もうきょうが最終日だから本会議に上げようということで、二月二十八日にそれを除く部分は可決された、成立した、しかしここの部分は留保された、こういういきさつがあります。

 今後どういうふうになっていくかは、韓国の国会のことでございますので、私も日韓議連の中でこの行方等はまたただしていきたいと思いますが、現状はそういうことでございます。

山名委員 もう時間もないわけでありますが、私は、永住外国人、これは法令上定まっていないわけでありますけれども、学説、判例等によりますと、日本に居住する人たちで、その生活本拠を持って、自己の国籍をも含むほかのいかなる国にも増して日本と深く結びついている、こういう人たちをいうわけであります。

 特にその中でも、特別永住外国人と言われる方たちは、戦前から日本に在留しておりまして、戦後のサンフランシスコ平和条約によって日本国籍を離脱した平和条約国籍離脱者及びその子孫をこの特別永住外国人というわけでありますが、日韓併合以来、いわゆる皇国臣民化といいますか、こういった政策の中で創氏改名を言われたり、また日本人という国籍を剥奪されたり、こういうことをまさに政治的にされている、こういう人たちであるわけです。

 少なくとも、先ほど提案者からありました、日本で生まれ、育って、学んで、そして必死で働いて日本社会に溶け込んで、もう本国には帰らない、骨を日本に埋める、こういう永住外国人の人たちに、やはり差別なくより日本人に近い権利を与える、すなわち地方における限定した形の選挙権を与えるということは、まさにこれからの日本が、多民族文化を共有し、そして共生文化をそれぞれ共有したすばらしい国である、また、そういった人権問題も見事にクリアした人権国家日本だ、こういうことを国際社会の中にもしっかりと植えつける大きな私は意味があるんじゃないか、そういう意味でもこの参政権付与をぜひ行っていかなきゃならないというふうに考えております。

 時間が参りましたが、もう論議は私は尽くされた、そういう意味では、少なくとも我が国会が決断を下して採決をすべきこういうときではないかと、こういうふうに思っております。最後にその点だけ提案者にお聞きして、終わりたいと思います。

冬柴議員 全く同感でございます。一日も早い審議の終結及び採決が求められる事案だろうと思います。論議は尽くされているように思われます。

山名委員 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。

 まず冒頭、ちょっと委員長に一言お願いを申し上げたいと思います。

 日歯連に絡む政治家と金の問題について、ぜひ事実関係を明らかにする十分な議論を本委員会で行っていただけるよう、冒頭におきまして委員長へ伏してお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 私、この質問をする前、この趣旨説明を聞くまでさまざまな実は疑念があったんです。ただ、この趣旨説明を見ますと、これは全部賛成しているわけじゃないんですけれども、非常に丁寧に、本気で書いているなというのがわかりました。このことを、まず敬意を表明したいと思います。

 その上でなんですけれども、先ほど山名議員からも御指摘がありました、余りに公明党が積極的過ぎやしないかという疑念があるんだと。そこの部分、大変失礼ではあるんですけれども、本当にしっかりとした趣旨説明をしていただいたということを考えて、ぜひそこのところをお伺いしたい。

 この法律、永住外国人へ地方参政権を付与すべきとする理由は、純粋に、憲法論、法律論からいって、あるいは国の立法政策という観点からの議論においてのものであるのか。確認だけです。

冬柴議員 何の予断もありません。私は、このような方々をあとう限り日本人と等しく扱う社会でありたい、それだけでございます。

阿久津委員 今の言葉を私は信じているんですけれども、信じれば、逆に言うと、この趣旨説明を縦、横、斜めどう読んでも、突然にいわゆる北朝鮮の部分を除外にしている、これが、逆に言えば、冬柴先生の説明を聞けば聞くほど矛盾に満ちていて、理解できないんです。その上で幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 その前提として一つだけ確認させてください。

 先ほど、山名議員からの質問で相互主義の話がございました。先ほどの冬柴先生の答弁では、この法案は相互主義の考えをとっていないという御理解でよろしいんでしょうか。

冬柴議員 そのとおりでございます。

阿久津委員 それでは、もう時間も限られておりますので、この法案の第一章第二条の二号及び附則第三条第一項の解釈、この部分に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 本法案第一章第二条、「永住外国人の定義」の第二号に特別永住者を含むことが明記されている一方、附則の第三条、「永住外国人の定義の特例」において、外国人登録証明書の国籍の記載が「国名によりされている者に限る。」とあります。これは朝鮮籍を除くという意味ですか。また、朝鮮籍の人はどこの国の国籍を持っているのか、お答えいただきたいと思います。

冬柴議員 私は、特定の国の名前を挙げてこれを除外するとかいうことを言いたくないがゆえに、外国人登録原票の国籍欄に国名の記載がない人は除くという書き方をしたわけでございます。

 現在、日本の国と国交がなくて、そして、登録原票にも国名欄に書かれているのが国名ではないというのは、朝鮮という字が書かれているところだけを指します。台湾はどうなんだという議論がありましたけれども、これは中国と書かれてあります。中国はまさに国名でございます。

 したがいまして、今お尋ねのように、除外されるのは、そのように朝鮮と国名欄に書かれている人たち、それを指すわけでございます。

阿久津委員 今の答弁であればもう冬柴先生はおわかりだと思うんですけれども、第一の矛盾点としては、そうしますと、特別永住者、これは、韓国籍、それから台湾、これはイコール中国ということですね。そうすると、無国籍も含まれてしまうということは当然わかっていますね。いかがでしょうか。

冬柴議員 無国籍の人は含まれません。

阿久津委員 無国籍はこの対象にならないんですか、この法案の読み方は。特別永住者に無国籍は入るんではないですか。いかがですか。

冬柴議員 これは政府の方から技術的に答えていただいた方がいいと思いますけれども、私は、特別永住者の中に無国籍の人はいない、私はそのように思います。

阿久津委員 法務省の入国管理局長がいらしていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問、無国籍の特別永住者の存否ということ……(阿久津委員「特別永住者の中に無国籍が入るかということです」と呼ぶ)はい。

 統計上、若干名は見られます。

阿久津委員 つまり冬柴先生、今のところは矛盾点なんです。少人数であっても、逆に、もう冬柴先生はよくおわかりですから、そこのところにまずこの法案の矛盾点があるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 続きます。

 なぜ、それらの人々への選挙権付与を除外するのかというのは、この趣旨説明に書いてあるとおりでよろしいんですか。確認です。

冬柴議員 そのとおりでございます。

阿久津委員 大韓民国の憲法第三条が規定している領土条項に基づいて、「北韓地域は大韓民国の主権が及ぶ領土の一部であり、したがって北韓地域に居住する住民または北韓の海外公民の実体法的地位は、大韓民国国民である」とされていることを御存じですか。

冬柴議員 私は詳しくはわかりませんけれども、我が国と、いわゆる北韓という朝鮮民主主義人民共和国と称している国とは国交がありません。したがって、日本は日本独自の判断で外交なりを行っているわけでございまして、その範囲で、この外国人登録原票の国籍欄にこのような北朝鮮人民共和国という書き方はしない。それで朝鮮という書き方で来ているわけでございまして、そういう国は我が国では承認もしていなければ見たこともない、そういうことでございます。

阿久津委員 であれば、お言葉を返すようなんですけれども、この冬柴先生の趣旨説明、二ページ目の「第三点」のところで、「このような永住外国人が本法に基づき我が国の地方選挙権の付与を求めるとしても、その国交のない本国がその付与に強く反対している場合にあっては、我が国の地方選挙権を取得した者に対し、その者にとって不利益となる扱いを行なうおそれが十分に予測されます。」なぜ、いいですか、大韓民国は我が国とも国交のある友好国です。その友好国である大韓民国が、北韓地域は大韓民国の領土で、北韓の海外公民の実体法的地位は大韓民国国民であると言っているのを信じないで、このいわゆる北朝鮮のそこに配慮をするんですか。おかしいじゃないですか、法律的に。

冬柴議員 その国がどのような外交政策をとるかということはその国の主権の範囲でありまして、日本の政治、日本の見方というものは、外国がどのようなことをおっしゃっているかということではなしに、日本の国が主体的にどのように考えるかということであります。

 例えば……。まあ、それ以上は申し上げません。

阿久津委員 例えばの後を聞きたかったんですが。今のお答えそのものが矛盾しているんです。

 それでは、なぜ除外するんですか。なぜ除外するんですか。今のこの趣旨説明の書いてあることを冬柴先生は今否定されたんですよ。つまり、我が国のこの国の立法政策に従って我が国で決めればいいことでしょう。他国がどう言おうと関係ないということですよね、ちょっと強調して言えば。だったら、なぜ北朝鮮がとやかく言うから反対するんですか。

 それから、もう一つつけ加えれば、先ほど後藤田委員の質問のときに非常にいい答弁を冬柴先生はなされました。帰属意識の話です。日系アメリカ人が米国のために命を張って戦った話を引用されました。私の記憶にあるのが間違いでなければ、たしかハワイだったでしょうか、ダニエル・イノウエ・セネターもそうだったと思うんですけれども、つまり本人の問題なんですよ。本人が、申請主義なんですから、その申請主義に基づいて、おれは構わないんだ、何を言われようと構わないんだ、私は自分の一票を行使したいんだ、そういう思いで申請される意思のある方を、その意思を行使する前になぜ除外するんですか。

冬柴議員 あなたの熱意は私にも伝わってまいります。

 私も、最初の提案のときにはこれを除外する規定は置いてありませんでした。しかし、二回目に提案するときはこれを入れたわけでございます。

 一回目は、申請主義で十分、今多くの反対をしていられる方々、これは朝鮮という国籍が書かれている者だと思うんですけれども、大変激しい運動をされるわけです。しかしながら、永住者に当然与えるというようなことにすれば、これはその人の意思が反映しないから、そういうことは許されない。そうであれば、日本の地方自治の政治にも自分の意思を反映させたい、住民の一員として町づくりに参加したい、こういう真摯な意思のもとに、申請した人だけに与えたらいいんじゃないか、嫌な人は申請しないんだからそれでいいんじゃないか、こういうことで私は第一回目そのように書いたわけでございます。

 しかしながら、これに対して二つの方向からのいろいろな意見がありました。

 一つは、なぜ、我々が嫌がっているのに、そこへ日本に同化させるような規定を置くのかという運動が非常に激しかったわけでございます。そこまで配慮してもそれは足らないということでございます。

 それからもう一つは、日本の国民感情として、そういうまだ国交がなくて、今ももっと厳しい条件になってきておりますけれども、そこに帰属するというそういう人たちになぜそこまでするのだというもう一つの意見もありました。

 それで、私どもも熟慮に熟慮を重ねた結果、当分の間、その人たちについて我々はこの選挙権を与えないということにするけれども、国交が回復するとか、あるいは一つの条件が整えば、それはそのときには与えたらいいと。そういうことに、この法律を早く成立させるというか、そういう意味からも、現時点における国民の多くの人々の意見なり、そしてそのような気持ち、国民感情ということを考えたときに、私は、理論的にはあなたがおっしゃるとおりだけれども、そういう条文を入れる方がいいのではないか、そういう思いからこの条文をつくっているわけでございます。

阿久津委員 聞けば聞くほど、冬柴先生のお話の中で矛盾点が露呈されてしまっていると私は思います。

 今度は自民党に配慮されているんですか。自民党に配慮されて、これを入れれば自民党が納得するから、あるいは納得する可能性があるからという意味ですか。ちょっと失礼な質問ですが。

冬柴議員 私ども、自由民主党との間では、平成十一年十月五日に連立政権政策合意を締結いたしまして今日まで満五年余、連立関係を維持しております。その間、自由民主党との連立政権政策合意は、私もその当事者となって交渉をいたしまして、この法律は、当時の自由党、自自公でございますが、三党において成立させようという約束をしたわけでございます。

 したがいまして、私はみじんも今疑っておりませんし、その人におもんぱかってこういう法律を、そこの部分をつくったということはございません。

阿久津委員 ちょっと法務省に確認したいと思います。

 一九九一年四月、いわゆる入管特例法が制定され、朝鮮籍、韓国籍、台湾イコール中国籍及び無国籍の方々を統一して特別永住者として永住できることとした在留資格の一元化の趣旨に附則第三条第一項は反しないか、お答えできるでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の附則の三条の解釈につきましては、私どもこれは申し上げる立場にございませんので、委員御質問の件につきましてはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

阿久津委員 もう答弁されているんですよ。一九九一年四月十二日、入管局長の答弁で、さまざまな在留の資格をもって日本に居住しておられる方々につきまして、同じ歴史的な経緯があるということにかんがみまして、それらのさまざまな日本における在留の資格というものを新しい特別永住という形で一本化したということ、私は、これはまさにこの法の附則第三条第一項に反している答弁だと思うんですけれども、御感想はいかがですか。ちゃんと答えてください、ちゃんと。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、特別永住という、本邦に在留する資格の付与に関しての事柄であるかというふうに思いますが、本法案は選挙権の問題でございまして、ちょっと異なるかというふうに考えます。(発言する者あり)

阿久津委員 何を言っているか本当にわからないという声が出ています。

 もう時間がほとんどなくなりましたので、最後に、冬柴先生の方に質問させていただきたいというふうに思います。

 公明党は、特に冬柴先生を中心にこの問題を非常に熱心に研究されて、ある意味ではもう知り尽くされていると思うんです。先ほどの被選挙権のお話で、あそこまで踏み込んでいただいた御答弁には私は敬意を表します。しかし、いかにこの趣旨の法律を通したいからといって、何でもかんでも政治的に判断して妥協すればいいという話では私はないと思うんです。

 最後に一点だけ伺いたいと思います。

 公明党は、民主党が政権を獲得したときには、永住外国人への地方参政権付与法案の成立に向けて御協力いただけるかどうか、それを聞きまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕

冬柴議員 仮定の質問でございますので、答弁は控えさせていただきます。

阿久津委員 お心をしっかり理解した上で、また今後ともよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

中馬委員長代理 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 阿久津議員の問題意識を引き続きまして質問させていただきます。

 内容に入ります前に、この問題についてどのような議論をこれまでしてきたのか、これからするおつもりなのかということについてお聞きいたします。

 これまで、この永住外国人地方参政権付与法案について与党内でどのような調整がなされてきたのでしょうか。

冬柴議員 まず、自由民主党との間では、この連立合意をするに先立ちまして、私も当時公明党の幹事長でございました。自由民主党の当時の幹事長の森喜朗先生との間で、この問題について強く議論をいたしました。

 その結果、当時の内閣総理大臣小渕恵三先生の政治決断もありまして、当時、自民党内では、賛否両論本当にあったと思います。その中で、永住外国人地方選挙権付与についてはこのように書かれました。「衆議院倫理特委」倫理特別委員会ですね、「に継続審査中の「永住外国人に対する地方選挙権附与に関する法律案」のうち、地方分権関連法成立に伴う修正等を行った法案を改めて三党において議員提案し、成立させる。」ということで、もちろん、私どもが提案してからその日までに、地方分権推進法に基づく地方分権一括法、四百六十五本の法律が成立しております。それで、名前も自治省から総務省に変わったり、そういうものを書きかえて改めて提案して、そして成立をさせるという議論をしたわけです。

 しかしながら、その後いろいろやりましたけれども、なかなか自由民主党さんの方の内部の調整がつきにくくて、その後たくさんこれは署名していますけれども、なかなか進まなかったというのが事実です。

 平成十二年一月二十日には、三党の合意ですが、森先生も私も署名していますが、「三党は、今通常国会冒頭に「永住外国人に対する地方参政権付与に関する法律案」を提案する。但し、党内手続きが間に合わない政党にあっては衆・参委員会採決までにこれに提案者または賛同者として加わるよう努め成立を期する。」こういう約束をしたこともあります。

 自来、いろいろと論議を重ねてきたことは事実でございますが、なかなかいろいろとこれには意見がありまして、いまだ自由民主党が提案者に参加するということはできなくて、今回も公明党だけで提案をすることを余儀なくされたわけでございますが、それには事前に自由民主党の御了解を得て、そして私どもだけで提案させていただいている、これが事実でございます。

中村(哲)委員 民主党もかつて同趣旨の法案を出していたのを御存じでしょうか。御存じであるのならば、その評価をお聞かせください。

冬柴議員 何もかも申し上げますと、私が全部つくりまして、そうしたら、それが新聞に載りましたら、民主党の方から、ある人から、ぜひ説明に来てほしいと。説明に行きました。随分、数十名の方が聞いてくださいました。それで、共同提案にさせてほしいということで共同提案になったわけでございまして、だから、あなたが同趣旨のと言われるけれども、全く同じでございまして、趣旨じゃなしに、点、丸までみんな一緒でございます。

 ですから我々は、そのときには本当にこれを民主党と共同提案をしたわけでございまして、民主党と成立させようという気持ちで提案したのが事実でございます。

中村(哲)委員 私は、この委員会での過去の冬柴議員の答弁も読ませていただきました。非常に哲学的であり、また、質問者に対して真摯にお答えをされている、そういった答弁であったと思っております。きょうの法案の趣旨説明においても、非常にすばらしい考え方で書かれていることに関しては共感しているわけでございます。

 しかし、この取り扱われ方に関しては、私は非常に今問題があると思っているわけでございます。

 この法案は、地方自治の部分に限った参政権とはいえ、外国人に初めて参政権を付与する法案であります。議論にもあるとおり、国のあり方そのものにかかわる法案であります。

 自民党と公明党が連立政権を運営なさってもう五年になります。その間には二回の衆議院選挙と二回の参議院選挙がありました。私の目から見ますと、選挙運動も含めて両党の一体化はますます進んでいる、私の目からはそのように思えます。だから、やはり与党内でもっときちんとまとめて提出をなさるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕

冬柴議員 党にはそれぞれ党の考え方があります。大きくは、公党間の合意でございますからこれが揺らぐことは考えておりませんけれども、しかし、現実に、党内手続というものを経て、そして法律を提案するということは、いろいろな手続があります。

 したがいまして、それはそれぞれの党の内部において真摯に取り計らわれているわけでございまして、私どもは、その結論を待って提案するということをすればいいけれども、それでは余りにも、衆議院が解散されて、今まで議論をずっとしてきたのに、解散されるごとに廃案になって、私は、これは四回目提案していますよね。

 ですから、こういうことが起こらないようにしたいわけでございますけれども、ただ、その中には、本当にいろいろな国家観とか、そういうものがいろいろありまして、党内で自由民主党さんも非常に苦慮をして調整をしていただいているその姿はわかっておりますから、私どもは、とりあえず我々だけで出させていただきますよ、それは結構ですという合意のもとでやっているわけでございまして、必ず採決までに意思を統一するという合意もあるわけでございますが、そのように努力をしていただけるものと期待をしている次第でございます。

中村(哲)委員 私の手元に、四年前、平成十二年十一月十六日の当委員会での議事録があります。その中で、冬柴委員はこのようにおっしゃっております。

 「その後、私どもは与党に入りまして、連立与党に入る平成十一年十月四日の三党合意の中で、自由民主党、自由党、公明党の三党合意の中で、これについては改めて成案を得て、成立をさせるという合意ができたわけでございます。したがいまして、これに基づいて、その後、自由党あるいは保守党と我々との間でこの法案を提案してきた。残念ながら、自由民主党の中でまだ一部意見の調整がつかないということで共同提案ができなかったんですけれども、しかし、公党間の約束として、これを成立させるということは約束されているわけでございます。」

 四年前に既にこういうふうにおっしゃっているわけです。何も進んでいないじゃないですか。私の見方はうがった見方かもしれませんが、多くの国民は、今から申し上げるようなことを思っていると思います。

 自民党と公明党はもうほぼ一体化している。選挙運動も一体化している。しかし、今の自民党の政策に唯々諾々と従っていくだけでは今までの支持者は離れてしまう。例えばイラク攻撃の問題、皆さんは支持者にどのように説明されているんでしょうか。そういった中で、こういった地方参政権の問題をある種ガス抜きの材料にして、法案審議だけして、また採決は行わない、どうせ、採決をしても自民党は賛成できないから採決まで持っていけない、そういうことになっているんじゃないですか。

 私は、民主党も同じ考えだけれども、採決をすべきでないと思っているのはその点にあるんですよ。本当にきちんと与党内でまとめてきてくださいよ。本当に大事な法律であり、重要な時代の変換点にかかわる法案であるからこそ、本気度が本当に求められているんじゃないですか。

 決意は、このときも、四年前もお聞きしております。一生懸命取り組みますという趣旨の御答弁をされております。しかし、四年たってもこの状態です。改めて、どのように今後議論を進めていかれるおつもりですか。自民党にまた任せきりで、お願いして、いや、取り組んでいただいているんですけれども、いいんです、いいんです、そのようにお答えなさるんでしょうか。改めて決意をお聞かせください。

冬柴議員 一つの法律や制度をつくるというには長い時間が必要でございます。私は、違うことを言って申しわけないですけれども、前職弁護士ですから、貧しい人が訴訟に巻き込まれたときにその弁護士費用を国が立てかえる制度が必要だ、このように思いまして、衆議院の法務委員会で十六回、予算委員会で七回質問を重ねました。合計二十三回。そして、私が当選してそれを最初にしたときには、この国の法律扶助に対する補助金は七千二百万円でした。しかしながら、ことしは四十億五百万円の予算が組まれております。その間に民事法律扶助法というものが成立をしました。

 そのように、一つの大きな仕事をなし遂げるためには十数年これに費やしているわけでございまして、これはまだ提案して六年足らずでございまして、これから頑張って、最後まで、私はこれを正しいと信じるがゆえに、いつまで議員をやるかはわかりませんけれども、議員である限り、また、公明党がこれを承継してきちっと成立をさせるためにあらゆる努力をしていく。

 党にはそれぞれの考え方、アイデンティティーがありますから、押しつけることはできません。私どもにも自由民主党から言われてもできないこともありますし、また、自由民主党にもそういうものはありましょう。しかし、連立を組んだときに約束したその事項は誠実に守らなきゃならないということは、私は当然だと思っています。したがって、粘り強くこれを実現するまで努力をしなければならない、このように思っているわけでございます。

中村(哲)委員 残念ながら、私の聞いた限りでは、言いわけはおっしゃっているけれども、まあ約束は守られなくても仕方ないというふうにおっしゃっているように思います。

 連立政権を維持するということは非常に重要なことでしょう、公明党にとっては。でも、こういうふうに、いつまでたってもどうせ今の自民党の状態だったら通らない案を、支援者との関係なのかもしれませんけれども、出し続けられているということに関しては、私は非常に問題があると感じております。

 内容に入らせていただきたいと思います。

 一九五二年の法務府の民事局長の通達によって旧植民地の方々の日本国籍は剥奪されました。この事実については、皆さん御存じない方がたくさんいらっしゃるかもしれませんので、資料を用意させていただきましたので、ごらんになってください。

 外国人に対する地方参政権の問題を考える際にこの点を避けて議論することは私はできないと思っております。当時の政策判断の選択としては、この国籍を喪失させる、剥奪させるという方法のほかに、国籍の選択制という方法もあり得たと思います。私は、一九五二年通達は、今の時代から見れば政策的に誤りであったと思います。提出者におかれましてはどのようにお考えでしょうか。私は国籍の選択制をとるべきであったと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

冬柴議員 私は、当時の法務省民事局長の一片の通達によって、今まで日本国民であった、先ほども申しましたけれども、兵役の義務も課せられ、そして戦場に行き、負傷をし戦死した人がたくさんいらっしゃるわけですね。また、選挙権もありました。ある人の話ですけれども、選挙のポスターがハングルで書かれていたと。日本語を読めない人のためにハングルで書かれていたポスターが張られていたという戦前のその日本、そういうもので日本人として子孫ももうけ、そして生活の本拠を日本に置いているその人たち、帰るところもないその人たちの国籍を一方的に喪失させる、これは、今の人権感覚では私は相入れないですね。

 こういうことが今日起こっているわけでございまして、それが法務省の一片の通達で行われたことに対して、私も当時の議事録を調べてみましたけれども、大阪府選出の代議士さんが、これに対して異を唱えられた人が一人いられる。すごく私は感激しましたけれども、今にして思えば、この通達はもっと配慮をすべきであった、国籍選択を、彼らにやはりその機会を与えるべきだったというふうに心から信じております。

中村(哲)委員 私の質問に対して真摯に賛意を表していただきまして、本当にありがとうございます。

 自民党の皆さん、今提出者がおっしゃったように、日本の国籍を強制的に与えられた人たちは、今度は強制的に奪われたという経緯がこの問題にはあるんです。そういった経緯があるにもかかわらず、今度、それじゃ国籍をまた取ればいいじゃないかと言うことは、ある意味で、非常に人の心の中に土足で踏み込むような主張であるということもぜひ理解していただきたい、私はこのように思います。

 政府にお聞きいたします。なぜ、このときに国籍の選択制をとらなかったんでしょうか。

滝副大臣 ただいま冬柴議員さんから御発言もございましたけれども、中村委員の方から政府としての考え方、こういうことでございますから、お答えをさせていただきたいと存じます。

 この問題は、日本国との平和条約発効、これによって生じたものでございまして、この民事局長の通達の問題は、日本国と各国との平和条約の解釈を明らかにしたというのが法務省の見解でございます。

 特に、平和条約の第二条(a)項において、「日本国は、朝鮮の独立を承認して、」「朝鮮に対するすべての権利を放棄する。」こういうことを規定するということは申すまでもないんでございますけれども、この規定というものは、日本が朝鮮に属すべき人に対する主権を放棄したことを意味いたしますので、平和条約の発効によりまして、朝鮮に属すべき人は日本の国籍を喪失したものと解釈されていたわけでございます。

 それで、このことは法務省だけが言っているんじゃございませんで、昭和三十六年四月五日の最高裁大法廷判決においてもそういう趣旨のことを判示されているところでございます。

中村(哲)委員 我が院、衆議院調査局第二特別調査室がおつくりになっている、この法案に関する資料があります。その五十六ページに、今、滝法務副大臣がおっしゃった点についての、調査室としてのまとめたものがあります。

 それを読ませていただきますと、一九五一年、昭和二十六年九月、「日本は連合国との間で「日本国との平和条約」(サンフランシスコ平和条約)を締結した。平和条約においては、朝鮮について日本がその独立を承認し、朝鮮に対するすべての権利、権原、請求権を放棄するものとされ、また台湾についてもその領域に対するすべての権利、権原、請求権を放棄するものとされた。しかし、平和条約は日本が放棄した領域の帰属先については直接的には規定しておらず、また国籍の変動についても何らの規定も設けていなかった。」

 一九五二年、昭和二十七年四月、「平和条約発効、朝鮮人・台湾人の国籍の変動についてはその解釈に委ねられ、「法務府民事局長通達」により「朝鮮及び台湾は、条約の発効の日から日本国の領土から分離することになるので、これに伴い朝鮮人及び台湾人は、内地に在住している者を含めてすべて日本国籍を喪失する。」ものとされた。」

 つまり、条約は直接国籍を奪うべきとは言っていないんですよ。その解釈で、法務府、今の法務省が、国籍を奪う、そういうふうに判断をしたということなんですよ。滝副大臣は、条約からそのまま自動的にこういった政策判断が導かれるような答弁をされたんですけれども、違うんです。

 もう時間が参りましたからやめておきますけれども、この田中宏さんのお書きになった「在日外国人」という本の七十二ページに、吉田首相の当時の手紙が出ております。マッカーサー元帥に対する、今の時代から見れば民族的差別ととられるような内容の手紙であります。こういったものが背景にあってこの民事局長通達というものは出された、そのことを私は改めて申し上げて、時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

滝副大臣 ただいま委員から御意見がございましたけれども、これは平和条約の解釈により法務省がとったものでございまして、その前提として、実は、昭和二十年の十二月に、現在の公選法の前身の衆議院選挙法の一部改正がございました。その一部改正の提案理由説明でもこう言っているんですね。

 ポツダム宣言の受諾によりまして朝鮮及び台湾は早晩帝国の領土より離脱し、したがって、朝鮮及び台湾人は原則として帝国の国籍を喪失するものと考えられますがとこういうふうに述べておりまして、ただし、この平和条約が締結されるまでは暫定的に選挙権の停止、効力を停止する、こういうのが当時の解釈でございまして、以後、政府の見解は、そういうようなポツダム宣言、あるいはそれに付随して述べられておりますカイロ宣言をそういうふうに受けとめてきたということだけは申し上げておきたいと存じます。

遠藤委員長 中村委員、簡潔に。

中村(哲)委員 時間が参りましたので終了させていただきますということを申し上げたのに対して答弁をされておりますわけですから、非常に遺憾に思うわけでございますが、今おっしゃったことでも、条約の解釈を法務省がされたということなんです。政策的な判断で、実質的な理由を、国籍の選択制をとらなかったという理由をおっしゃっているわけではありません。その点について答弁不足であるということを改めて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 提出されております法案にかかわって、幾つか政府参考人の方に少し確認的に伺っておきたいと思います。

 外国人登録をした外国人、納税の義務が生じます。何かこの永住外国人の間で、外国人登録原票の国籍が、例えばA国の人は納税義務が生じる、B国の人は納税義務が課されないとか、A国ともB国とも国籍の記載はない、もともとの領土的に言えばC国に当たるそういう人には納税義務を課すとか、何かこの外国人登録原票によって納税に差別を設けるようなそういう法律があるのかと。あれば伺っておきたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもすべてについて把握する立場にはございませんが、私どもとして、ただいま委員御指摘ございましたように、原票の記載の仕方によって差を設ける制度というものについては承知しておりません。

吉井委員 納税義務は平等なんです。登録原票によって差別されているということはありません。憲法十四条の法のもとの平等の原則は、日本国民ということですが、永住外国人に対しては行政的差別が許されるなどということはもちろんないわけです。

 そこで、永住外国人の方たちの間で、納税についてはそうなんですが、そのほかにも、登録原票によって何か行政的差別を認めているような法律があるのなら、こちらの方も伺っておきます。

高部政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、私どもとしてすべてを承知する立場にございませんが、私どもとしてそのようなものがあることは承知いたしておりません。

吉井委員 九一年四月十二日のあの入管局長答弁というのは、先ほど来紹介もありましたが、韓国、北朝鮮を出身地の違いで差別はしないということは、これは明らかにされ貫かれてきていることであります。

 提出者の冬柴さんも私も関西ですから、周りにたくさん韓国の方、北朝鮮の方がいらっしゃって、私もずっと学校のときから一緒に学んでまいりました。ですから、私たちの間でそういう差別的な意識もないし、行政上も差別はされない、そういうことで来ているわけですが、今度の法案の附則三条では、国籍条項を入れることによって、この点では、差別が持ち込まれる法律が初めて生まれてくると。私は、こういうことは、やはり法律によって差別を持ち込むということは、これは正しいことではないというふうに思っております。

 次の論点で、国民主権の立場から、日本の国家権力にかかわる国政の選挙については、永住外国人の場合、日本国籍を取得しない限り認められないというのは、これは当然だと思うんですね。これは国民主権、国家主権から当然ですが、しかし、地方自治が地方住民の手で担われるということ、そこに住んでいる住民すべてに本来地方参政権が認められるべきだ、この点は、先ほどの冬柴さんの提案理由の説明の基本的な考えとしては入っていたように思うんですが、日本国籍を持たないからということで地方参政権を認めないという差別的扱いを行う法的根拠はまたないわけですよね。

 そこで、法律をもって選挙権を付与する措置を講じるということは憲法上禁止されているのかどうなのか、この点も念のために政府参考人の方に伺っておきます。

高部政府参考人 平成七年の最高裁判決におきまして、その傍論の中で、立法政策の問題だというふうに触れられた判決については承知しているところでございます。

 ただ、ただいまのお尋ねのように、それが憲法上許容されるかどうかという点について私どもが明確にお答えすることは、差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

吉井委員 最高裁判決の中で、先ほども既に提案者からも紹介されていましたように、我が国に在留する外国人のうちでも、永住者等であって、その居住する地域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる者について、法律をもって選挙権を付与する措置を講じることは憲法上禁止されているものではないということがはっきり示されているでしょう。きちんとお答えください。

高部政府参考人 ただいま御指摘ございましたように、平成七年の二月の判決におきましては、憲法が外国人に対して選挙権の保障をしているものではないということで請求を棄却しておりますが、その後、傍論の中で、今御指摘がございましたように、「選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」という判断が示されているところでございます。

吉井委員 ですから、地方参政権を認めるということは何ら問題がないわけです。

 永住外国人に地方政治への参政権を認めるということは、これは世界の流れです。相互主義で、自国民が地方参政権を許されている国から来ている外国人に対しては地方参政権を認めているという国を含めて、先ほどもありましたように、永住外国人に地方参政権を付与している国というのは、これは、いろいろなところで調べたところでは、先ほども十カ国プラス十七カ国、ただし、この十七の中には一つダブルカウントになっているのがありますから、二十六カ国という話で、そういう状況にあります。

 それで、日本に永住している外国人の方も、住んでいる地域の住民として地方自治の担い手なんですね。外国籍であっても、地域住民として生活し、納税を初めとする一定の義務をきちっと負っている、そういう人が住民自治の担い手になるということは、これは憲法の地方自治の原則と合致するものですよ。最高裁も違憲ではないと言っておるわけですし、世界の多くの国の流れもそうなっている。

 私、この点では思い出すんですけれども、アメリカはまだではあるにしても、アメリカの独立運動の契機になった一七七三年のボストン茶会事件、これはやはり、代表なくして納税なし、納税者の政治参加を求めた民主主義の運動でもありました。もちろん独立戦争とつながっていくわけですが、納税義務を課す一方で政治参加は拒否ということになれば、これは民主主義の原理にやはり合わないわけですね。

 もちろん、納税義務と選挙権付与というのは直接リンクするものとは必ずしも言えないし、これを余り言いますと、これは、戦前の制限選挙のように納税額で差別されてしまう。選挙権の有無にかかわってくるとか、これはまたそれはそれで民主主義の原理に反しますから、私は単純にそう言うわけじゃありませんが、しかし、納税を求める永住外国人については、国籍その他で行政的差別をすることなく地方参政権を保障する、これが世界の流れであるし、本来的には、提案者としても、その方向を目指して取り組んでいくというやはりそういう立場をきちっと貫くべきではないかと思いますが、最後に、この点だけ提案者に伺います。

冬柴議員 納税義務と選挙権はリンクしないということも、今吉井議員がおっしゃったとおりでございますが、しかしながら、議会制度と税金という問題、これは、英国におけるテニスコートにおける誓いとか、今引用されました代表なくして課税なし、こういう法諺からも明らかなように、税金を払っているじゃないですかということは非常に説得力があるんですね。

 しかし、税金を払わない人もたくさんあって、その人たちにも選挙権が与えられているわけですから、制限選挙ではありませんので、これをリンクして考えるということはいけないけれども、しかし、心の底で、やはり税金もたくさん払っていただいているじゃないかということは言いたい一つの言葉ではあります。私の趣旨説明にもそのような趣旨を入れたのは、そういう趣旨でございます。

吉井委員 言いたいところですが、時間が来ましたので、終わります。

遠藤委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 速記をしばらくとめてください。

    〔速記中止〕

遠藤委員長 速記を起こしてください。

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長岡田薫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 去る七月に行われました第二十回参議院議員通常選挙の結果の概要について、政府から説明を求めます。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 引き続き総務大臣を拝命いたしました麻生太郎です。

 副大臣及び大臣政務官とともに全力を尽くし職責を果たしてまいる所存でありますので、遠藤委員長を初め、理事、委員の皆様の格段の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げる次第です。

 この機会に、第二十回参議院議員通常選挙の結果の概要について御報告をさせていただきます。

 今回の選挙は、本年七月二十五日に任期が満了となりました参議院議員の通常選挙であります。また、非拘束名簿式比例代表制が導入されて二回目の参議院議員通常選挙であり、前回を通じて初めて、国政選挙で初めての期日前投票制度が適用に相なりました。

 選挙すべき議員の数は、比例代表選挙が四十八人、選挙区選挙が七十三人、合計百二十一人であります。

 選挙当日の有権者数は約一億二百五十九万人で、前回の通常選挙に比べ百二十八万人増加をいたしております。

 次に、投票の状況について申し上げます。

 七月十一日の投票日は、一部の地域を除き、ほぼ全国的に晴れまたは曇りの天気でありました。投票率は選挙区選挙で五六・五七%でありまして、前回に比べて〇・一三ポイント上昇いたしております。

 次に、立候補の状況について申し上げさせていただきます。

 比例代表選挙につきましては、名簿を届け出た政党は八政党、前回に比べて六政党の減、その届け出名簿に登載された候補者数は百二十八人、前回に比べて七十六人の減、競争率は二・七倍でありました。

 選挙区選挙につきましては、候補者数で百九十二人、前回に比べて百人ちょうどの減、競争率は二・六倍でありました。

 次に、当選人の状況について申し上げさせていただきます。

 党派別に申し上げますと、民主党は比例代表選挙で十九人、選挙区選挙で三十一人、合計五十人ちょうど、自由民主党は比例代表選挙で十五人、選挙区選挙で三十四人、合計四十九人、公明党は比例代表選挙で八人、選挙区選挙で三人、合計十一人、日本共産党は比例代表選挙で四人、社会民主党は比例代表選挙で二人、無所属は選挙区選挙で五人と相なっております。

 なお、女性の当選人は十五人で、前回より三人下回っております。

 次に、党派別の得票率の状況について申し上げます。

 比例代表選挙では、民主党三七・八%、自由民主党三〇・〇%、公明党一五・四%、日本共産党七・八%、社会民主党五・三%、諸派三・六%となっております。

 また、選挙区選挙では、民主党三九・一%、自由民主党三五・一%、公明党三・九%、日本共産党九・八%、社会民主党一・八%、諸派・無所属一〇・四%となっております。

 以上をもちまして、今回の参議院議員通常選挙の結果の御報告を終わらせていただきます。

遠藤委員長 次に、第二十回参議院議員通常選挙違反検挙・警告状況について説明を求めます。警察庁岡田刑事局長。

岡田政府参考人 平成十六年七月十一日に行われた第二十回参議院議員通常選挙における違反行為の取り締まり状況について御報告いたします。

 選挙期日後九十日に当たります平成十六年十月九日現在で集計いたしました数字は、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。

 検挙状況は、総数で四百七件、三百九十九人となっており、前回の通常選挙における同時期の四百七十三件、八百六十九人と比べますと、件数で六十六件、人員で四百七十人減少いたしております。

 罪種別に申し上げますと、買収二百三件、二百六十六人、自由妨害九十二件、四十四人、戸別訪問六件、九人、文書違反十一件、十六人、公務員の地位利用五十一件、十五人、その他四十四件、四十九人となっており、買収が検挙事件のうち件数で四九・九%、人員で六六・七%を占め、最も多くなっております。

 次に、警告状況を申し上げますと、総数が三千百六十四件であり、前回の三千七百五十八件と比べ五百九十四件減少いたしております。

 なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものであり、総件数の九八・四%を占めております。

 以上、御報告申し上げます。

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十七分散会


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