衆議院

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第4号 平成17年7月15日(金曜日)

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平成十七年七月十五日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 遠藤 武彦君

   理事 井上 喜一君 理事 石田 真敏君

   理事 後藤田正純君 理事 中馬 弘毅君

   理事 中村 哲治君 理事 永田 寿康君

   理事 堀込 征雄君 理事 山名 靖英君

      今村 雅弘君    大前 繁雄君

      奥野 信亮君    櫻田 義孝君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      砂田 圭佑君    永岡 洋治君

      西野あきら君    早川 忠孝君

      古川 禎久君    増田 敏男君

      三ッ矢憲生君    水野 賢一君

      望月 義夫君    森山  裕君

      阿久津幸彦君    岩國 哲人君

      生方 幸夫君    田村 謙治君

      高山 智司君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    中山 義活君

      野田 佳彦君    松崎 哲久君

      松野 信夫君    村越 祐民君

      長沢 広明君    東  順治君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   議員           佐田玄一郎君

   議員           早川 忠孝君

   議員           宮腰 光寛君

   議員           山口 泰明君

   議員           渡辺 博道君

   議員           岩國 哲人君

   議員           辻   惠君

   議員           堀込 征雄君

   議員           長沢 広明君

   議員           山名 靖英君

   議員           横光 克彦君

   総務副大臣        今井  宏君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   衆議院調査局第二特別調査室長           高部 正男君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十五日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     大前 繁雄君

  中川 秀直君     柴山 昌彦君

  西村 明宏君     菅原 一秀君

  井上 義久君     東  順治君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     石崎  岳君

  柴山 昌彦君     中川 秀直君

  菅原 一秀君     西村 明宏君

  東  順治君     井上 義久君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(佐田玄一郎君外九名提出、第百六十一回国会衆法第二号)

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(仙谷由人君外四名提出、第百六十一回国会衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 第百六十一回国会、佐田玄一郎君外九名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び第百六十一回国会、仙谷由人君外四名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久保信保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 この際、山名靖英君から発言を求められておりますので、これを許します。山名靖英君。

山名議員 委員長並びに理事の皆さんの御了解をいただきまして、先日七月八日、当委員会の質疑の中で、民主党永田議員の質問に対し、時間切れのために答弁できなかった部分について発言をさせていただきたいと思います。

 永田議員は、全く質疑通告のない内容で、我が党に対し、言いがかりで筋違いの質問をされましたけれども、その中でも、看過できない内容について反論をさせていただきたいと思います。

 永田議員は、東京都議会に係って、もしも衆議院が解散するとしたら、その日付は十月三日以降であろうと。なぜなら、公明党や支持団体の方々の住民票が東京都に移されている疑念があって、これをそれぞれの選挙区に戻すには三カ月かかるから、十月三日以降でないと投票日が設定できないというような話を言う人がいる。こう発言をしております。

 これは、あたかも公明党及び支持団体が、さきの都議選のために住民票を移動していたかのような印象を与える、極めて悪意に満ちた発言であります。そして、その後の参考人招致要請の話と何の関係があるんですか。何の根拠があってそのような発言をしたのか、いつ、どこで、だれが、どのように言ったのか明らかにすべきです。

 また、住民票移動の事実が本当にあったのか、調査したのか。あなたの全く根拠のないデマに基づく発言は、国会の品位を喪失させるのみならず、公党並びに支持団体の名誉を著しく毀損させる誹謗中傷そのものであり、断じて許すことはできません。

 永田議員は、私は真実とは思っていませんよと言って、言い逃れを試みています、客観性を装っています。しかし、さきの郵政民営化法案採決の本会議の際、あなたは、住民移動云々、こういう不規則発言をしていることは、周りの議員全部聞いています。確信犯だ。こんな発言が許されるなら、国会の品位も威厳も存在しません。

 我々国会議員は、国民から負託を受けた重い立場であり、その発言にはおのずと重い責任が問われるのであります。私は真実とは思っていないがの言葉で濁しながらデマを取り上げられたら、悪いイメージだけが残ってしまい、大きな誤解を与えてしまうんです。それがあなたのねらいというんなら、こんな卑劣なやり方の誹謗中傷発言は断じて容認できません。国会議員としての見識を疑わざるを得ません。このような事実に基づかないあなたの発言は、まじめに支援活動を行った党の支持者の真心を踏みにじる暴言であり、ひいては、有権者の公正な政治参加を妨げるものであります。

 永田議員は、過去に三度も懲罰動議を出され、その品位のなさは懲罰動議の常習犯であるところであるが、我が党は、先週の当委員会における永田議員のいわれなき公党への誹謗中傷発言に対し、八日、懲罰動議を提出いたしました。我が党は、民主党に対して誠意ある回答を今週中にされるよう要求しているところであるが、永田議員は、みずからの発言のお粗末さを自覚し、猛省し、直ちに発言の撤回及び議事録削除並びに公の場での陳謝を強く求め、答弁といたします。

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 おはようございます。自由民主党の柴山昌彦でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、整理をさせていただきたいんですけれども、今回の改正案、政治団体のする同一政治団体に対する寄附の上限を与党案では五千万円というふうにされていますけれども、一方、政治活動を本来の目的としない企業、団体のする政治活動に関する寄附の上限は、これは一億円という数字が出ています。この二つはバランスを欠くのではありませんか。簡単に整理をしていただきたいと思います。

佐田議員 本改正案では、同一の政治団体間の寄附の上限を年間五千万円としたところでありますけれども、これは、いわゆる個別制限、つまり、ある政治団体が一つの政治団体に対してする寄附の制限でありまして、これに対しまして、御指摘のとおり、企業、団体のする寄附については、上限が、これは資本金にもよりますけれども、年間一億円とされているところで、これはいわゆる総枠規制、つまり、一つの企業、団体が複数の政党、政治資金団体に対してする寄附の総額に関する制限であるところであります。

 したがって、御指摘の点は、個別制限と総枠制限という趣旨の異なる規制を比較するものでありまして、バランスを失するとの指摘は当たらないものと考えておるわけであります。

柴山委員 個別制限というお話だったわけですけれども、とすれば、受ける政治団体、これを分ければ、複数の政治団体をつくれば、結局、上限額の潜脱ということが容易にできてしまうのではないか、むしろ、こうした上限規制を設けるよりは政治資金の透明性を図るための努力をすべきでないか、こういう意見があるところだと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

宮腰議員 確かに、ある政治団体が複数の政治団体を設立いたしましてそれぞれが寄附を行えば、個別制限の趣旨を潜脱することができないわけではありません。

 しかしながら、政治団体は、政治資金規正法上、収支報告書の提出を義務づけられておりまして、政治資金の流れが国民の監視の目にさらされているところであります。収支報告書に記載されました政治資金の流れを追跡することによりまして、政治団体が関連政治団体を複数設立し、個別制限の趣旨を潜脱している実態が明らかになった場合には、国民の厳しい批判を浴びることとなろうと思います。

 もっとも、常識的に申し上げまして、政治団体を不必要に多数設立するということは極めて不自然でありまして、考えられないことだと私どもは認識いたしております。

柴山委員 一方で、二十二条の一項に関して、政党や政治資金団体に係る寄附、これについてはなぜ上限を設けなかったのでしょうか。

早川議員 御承知のとおり、政治資金規正法は、議会制民主主義の健全な発展を図るため、政党本位の政治資金制度の確立を図ろうとするものであります。政党は、政治活動の中心となるべき存在であることから、政党の政治活動の自由を妨げることがあってはならないというふうに考えております。

 このような点を踏まえまして、与党案におきましては、政党、政治資金団体以外の政治団体からの寄附に上限を設ける一方で、政治団体から政党及び政治資金団体に関する寄附については上限を設けないこととしたものであります。

柴山委員 次に、今回、民主党から出ている案について質問したいと思います。

 ここで、迂回献金の禁止に関して、条文で言えば二十二条の六の四ということになると思うんですけれども、特定の政治団体に対して寄附をすることを条件とした寄附の禁止ということを明定されているわけですけれども、条件というのはどういうことなんでしょうか。これは、停止条件、要するに条件が成就した場合には効力が認められる、そういうような意味なんでしょうか。

辻議員 お答えいたします。

 民法上の停止条件とか解除条件とか、そういう意味ではありません。寄附をする際に付される条件であって、寄附の受領者が特定の政治団体に対して寄附をするという約束のことであります。

 それで、このような条件を付した法案というのは少なからずありまして、一例としては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の三十五条の三の一号で、当該接客業務受託営業を営む者の使用人その他の従業者で法律に規定する業務の一部に従事するものに対し、「受託接客従業者でなくなつた場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させること。」というような規定がございます。

 したがって、このような規定ぶり、条件を付することはほかの法律でも見られる例であります。

 以上でございます。

柴山委員 今、要は要するに、特定の政治団体に対して寄附をすることを約束するというような趣旨のことだというようにおっしゃったんですけれども、そうしたら、一たん寄附をした後に、事後的に、あれは、では特定の政治団体について寄附をすることにしましょうというようにした場合、これは当該寄附につけられた法律行為の付款ではないわけですけれども、こうした事後的な約束についてはどういうことになるんでしょうか。

辻議員 お答えいたします。

 それは、この法律の条項の脱法行為というか、ないしは潜脱する目的に出たものが明らかな場合には、この法案でこの規定に違反するということになりますが、そうでない場合には、法律違反にはならないということであります。

 これは、前回の答弁でも出ておりますけれども、迂回献金の禁止ということをこのような形で明定することにより重要な意味がある、こういうことで御理解いただければと思います。

 以上でございます。

柴山委員 明定することに意義があるというようにおっしゃったんですけれども、そうしたら、約束をすることはしないけれども、特定の政治団体に対してこのお金のうち幾ら幾らを寄附してくださいねというようにお願いをするということ、相手方は何にも承諾もしませんというような場合には、これはどうなるんですか。

辻議員 今おっしゃっているのは、やはり立証の問題だと思うんですね。だから、規定は規定としてきちっと今回改正案としてお認めいただいて、あと、いろいろな種々のケースについては、その規定の趣旨を逸脱するものであればこの規定の違反になりますし、そうでない場合には規定の守備範囲には達していないということでありますから、個々のケースの立証の問題とこの規定をこのように設けることの意味というのは、これはまた別の問題だろうというふうに考えます。

 以上です。

柴山委員 立証の問題というようにおっしゃったんですけれども、これは、後ろの方で、二十六条の二で罰則規定がついております。辻委員、法曹の先輩として尊敬申し上げておりますけれども、罪刑法定主義という重要な原則がありまして、要するに、構成要件というのは明確性ということが非常に強く求められています。また、さっき、脱法行為とおっしゃいましたけれども、類推解釈、これは厳に禁止しなければいけないということになります。

 とすれば、結局、こういう法律を設けても実際に機能する場面はないと私は言わざるを得ないと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

辻議員 脱法行為とか潜脱というのは、どの法律、法規についてもやはり事例があります。だから、判例でいろいろ裁判所があえて認定をしている例というのはもう本当にたくさんあるわけですよね。ですから、この法規だけがとりわけ構成要件として明定さを欠いているということではありません。そこの点についてはきちっと申し上げておきたい、このように思います。

柴山委員 一応、次の質問に移ります。

 今回、不実記載についての過失犯というのを設けられております、二十六条の四の二ですけれども。こうした過失による不記載というような犯罪はほかにどのようなものがあって、どういう法定刑が認められているんでしょうか。

辻議員 いろいろ調査をしてまいりましたけれども、現時点で明らかになっている範囲では、過失による不記載罪という規定はほかにはございません。

柴山委員 非常に、現行の法制度あるいは実際の妥当性という点からも、今回のこの御提案されているものについてちょっと疑問があるんじゃないかなということを申し添えまして、再度、与党案に対する質問をさせていただきたいと思います。

 さて、政治資金団体に係る寄附、これについて、金銭の場合は振り込みをしてくださいというような規定を設けられるわけですけれども、そうなりますと、金銭、あるいは例外として定められている不動産譲渡、貸し付け、これ以外のものは一切禁止される、そういうことになるんでしょうか。客観的な相場がある動産ですとか有価証券の場合はこれを許容してもいいように思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐田議員 本改正案の趣旨は、政治資金団体にかかわる寄附については、その透明性を確保するために、原則として銀行等への振り込みによることとして、寄附が行われたことについて客観的な記録を残すことにありまして、寄附の目的物に客観的な相場があるかどうかは関係がないということであります。したがって、政治資金団体にかかわる寄附については、御指摘のような動産や有価証券といった銀行等への振り込みの方法によることができないものの寄附は、原則としてできないこととなるわけであります。

 なお、政治資金団体は政党のために資金上の援助をする目的を有する団体でありまして、このような規制を設けても特段の支障を生ずるものではないと考えておるところであります。

柴山委員 ありがとうございます。

 もうほとんど時間がなくなりましたので、国庫納付制度についてお伺いしたいと思います。

 今回、違反をされて納められた寄附について国庫納付制度というものが定められたんですけれども、この法的性格はどういうものなのか、没収とは異なるのでしょうか。

宮腰議員 今回の国庫納付の制度は、刑法の付加刑としての没収ではありませんで、法的に一定の者の所有権を剥奪して、これを国庫に帰属させるという性格のものであります。

 一方、没収は刑法上の付加刑でありまして、主刑たる禁錮や罰金にあわせて付加される刑罰であります。

 今回の改正におきましては、違法な方法でされました寄附について、刑事罰の規定を設けない一方で、そのような寄附の授受をそのまま認めることは妥当ではないという政策判断によりまして、このような制度を設けたものであります。

柴山委員 以上で質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 次に、東順治君。

東委員 公明党の東順治でございます。

 私も、先ほど山名議員から答弁のございました、先般の永田寿康さんの我が党に対する、まるで集団的住民移動があったかのようなあの発言につきまして、ちょっと看過できませんので、ひとつ質問をさせていただきたいと思う次第でございます。

 最初に、総務省に伺いたいんです。

 それは、選挙人名簿の登録及び縦覧制度というものがございます。これは、縦覧制度で、期間を設けてあるいは日にちを設けて、だれでもが縦覧できる、見ることができる、そこでおかしいなという疑義が生ずれば異議を申し立てることができる、こういう制度であるとこう承知しておりますけれども、なぜこれを聞くかと申しますと、もしこういう大量の住民移動等があれば、最近は選挙オンブズマンというような組織もどんどんふえてきていますし、あるいは、意識的に不審に思っているそういう人物がいるならば、当然のごとくこれを縦覧して、そして、おかしいなと思ったら異議を申し立てるのではないか、このように思います。

 したがって、まず、今回の東京都議選につきまして、選挙登録時の異議申し立て、これはございましたか。

久保政府参考人 東京都選挙管理委員会に確認をいたしましたところ、今回の東京都議会議員選挙に関します選挙時登録、これにつきまして異議の申し出は、都内の全市区町村選挙管理委員会に対し一件もなされていないものと聞いております。

東委員 一件も出されていない。

 ただ、これは、選挙時登録の登録時の縦覧、異議申し立てのみではなくて、通例、年に何回か、いわば定時登録というのもやっていますね。今回は、この六月二日にも定時登録というのをやっていますね。ここで五日間の縦覧期間がある。そこでの異議申し立てというのはございましたか。

久保政府参考人 東京都選挙管理委員会に確認をいたしましたところ、本年六月二日の定時登録におきまして異議の申し出は、都内の全市区町村の選挙管理委員会に対し一件もなされていないものと聞いております。

東委員 一件もなされていない。

 この二つの、選挙時登録の縦覧そして異議申し立ては一件もなされていないというようなことから考えますと、果たしてこういう大量移動というようなことがあるのか。私はとても考えられないな、こう思います。

 続きまして、仮にこの住所移転の事実がないにもかかわらず、虚偽、不正の転入届を出した場合に、法的な措置、これはどうなっていますか。あるいはその刑罰ですね、すべて含めて。

久保政府参考人 選挙人名簿に登録させる目的を持って転入届に関し虚偽の届け出をすることによって選挙人名簿に登録をさせた者は、公職選挙法第二百三十六条第二項の詐偽登録罪に該当し、六カ月以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処することとされております。

 また、住民票は、刑法第百五十七条第一項に規定する権利義務に関する公正証書の原本に該当するというふうに解されておりまして、住民票の記載事項について虚偽の届け出をした場合には、公正証書原本不実記載罪として、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処するものとされております。

 なお、刑罰ではございませんが、虚偽の転入届をした者は、住民基本台帳法第五十一条により、五万円以下の過料、これに処することとされております。

東委員 やはり非常に厳しいですね。三つの法律で網がかけられている。一つは公職選挙法で、半年以下の禁錮または三十万の罰金。今度は刑法で五年ですよ、五年以下の懲役もしくは五十万円の罰金。今度は住民基本台帳法というんですね、この法律で五万円以下の過料。こういう三重に重い監視の目がある。そして、犯したときにはその罰が下される。こういう状況下にある。

 これは、多分、昭和二十五年ぐらいから施行されているんじゃありませんか。

久保政府参考人 公職選挙法は昭和二十五年に施行されております。

東委員 わかりました。

 つまり私が言いたいのは、要するに、こういう縦覧制度がある、そして異議申し立ての制度がある、なおかつ、重い法律でもってがんじがらめにがちっと監視の目がある。こういう中で、今どき、大量の住民移動なんというようなことが、荒唐無稽としか考えられないじゃないか、私はこのように思うんですよ。

 そこで、総務省選挙部長、聞きたいんですが、こういう縦覧制度とか、あるいは公職選挙法等で設けられている監視の法律といいますかあるいは罰則、それらが設けられた目的、何のためなのか、ここはどう解釈しておられますか。

久保政府参考人 選挙人名簿の縦覧の目的でございますけれども、直接的には、選挙人に対しまして名簿の登録に関する異議の申し出の機会を与え、登録漏れ、あるいは選挙権のない者の登録とか二重登録を予防して、名簿の正確性を期することにあるものとされております。

 また同時に、新規の名簿登録者を広く選挙人の監視のもとに置くこととなるものでございますので、不正転入に対する抑止機能をも果たしているものと考えております。

    〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕

東委員 ありがとうございました。

 まさに私もそう思います。つまり、制度でもって予防効果というものを事前にきちっともう働かせるようにしている。つまり、そういう集団住民移動みたいなことはやっては絶対だめですよという予防効果、あわせて、重たいこういう刑罰というものを伴った法律、しかも三本というところで抑止機能、ぐっと抑えている、この予防効果と抑止機能、これが設けられているという趣旨は、つまり、そういったことをしてはなりませんよということだというふうに、私もそのように思います。

 そういう状況下で、果たして、しかもこの不景気に、例えば他県から東京都に大量に住民移動、では、移動した人の仕事、職場先はどうなるんだ、あるいは移転先の家賃というのはどうやってこれは払うんだ、あるいはまた子供の転入はどうなるんだ、というような事柄が等々生ずるわけで、私は、これは荒唐無稽としか言いようがない。もっと言えば、やはりためにする、卑劣な、他党とかあるいは支持団体に対するこれは誹謗の何物でもない、中傷の何物でもない、こう考えざるを得ない。私は、これは極めて自然だと思いますよ。

 そこで、民主党の堀込答弁者、指定させていただきますが、お伺いしたいんですけれども、私たちが議論をしているこの場というのは、政治倫理を確立するために設けられた特別委員会ですよ。(発言する者あり)いや、そうだ。特別委員会ですよ。こういう場で、先ほども……(発言する者あり)倫選特も倫理が入っているじゃないですか、何を言っているんだよ。

 それで、先ほど山名委員が答弁なさったように、私も長々とこういう嫌な永田氏の発言なんて引用したくないんですけれども、こういう言い方をするんですね。いわゆる公明党の支持団体の方々の住民票が東京都に移転されている疑念がある、こう言って、そう言う人もいるんですよ、こう言うんですよ。では、そう言う人もいるというのは、そのそう言う人というのは一体どこのだれなのか、これをはっきりさせる、これが大事。(発言する者あり)では、はっきりさせなさいよ。そして、どこでいつそういう話を聞いたんだ、こういう話ですよ。本人確認したんだ、こういう具体的な事実が大事。

 しかも、彼が言うように、そういう集団移転なるものが仮にあったとするならば、何年の何月何日なのか、これを言わなきゃだめですよ。いつ、何人が、どこからどこへ移転したのか、あるいはまた移転先等移転後の住所はどこなのか、これを明確にしなきゃだめですよ。それで、移転先の住所の番地はどうなっているんだ、あるいはまた、移転するときの手段というのはどうやってやったんだ、引っ越し業者にお願いをしたのか、あるいは自前のトラックなのか。こういう証拠があるなら、一件でも挙げてこういう発言をするならするんであって、そういう証拠も何にも挙げずに、どこのだれだかわからないとかなんとか言いながらこういうことを平然と言い放つ。(発言する者あり)そして、今私が発言をしていると、こうやって横からやじを飛ばす。どういう神経をしているのか。

 ここは政治倫理を確立するための委員会ですよ。そういう中で、果たして、こういう事実が一つもなくて、何の裏づけもなしに発言したということであれば、これは全くもって私は許しがたいと思いますよ。大変な話ですよ、これは。しかも、事は刑事罰につながる話ですよ、刑事罰に。刑事罰につながる話を平然と何の証拠もなく言い放つ、そして開き直る、こんなことが許されていいんでしょうか。この特別委員会の委員として否ですね。人間としての最低のモラルじゃありませんか、そういう具体的な裏づけなんということをきちんと挙げて言うことは。(発言する者あり)しかも理事ですよ、彼は、本当に今おっしゃるように。あきれます、僕も。そう思うんですね。

 したがって、もうここは素直に、申しわけありませんでしたと謝罪をして、発言を全面撤回して議事録削除をする。この議事録というのは後世永遠に残るんですから、こんな議事録が残っていたら、永田さんにとっては大変な恥ずかしい話ですよ、大恥ですよ。したがって、もう素直に、この発言の全面撤回、そして、大変御迷惑をかけましたというおわび、議事録の全面撤回、これをやって当たり前、当然ではなかろうかと私は思いますが、堀込答弁者、いかがお考えでございましょうか。

    〔後藤田委員長代理退席、委員長着席〕

堀込議員 今、縦覧制度の総務省に対する質問もしていただきまして、私も改めて勉強させていただきました。それから、この問題についてわざわざ公明党の国対委員長が質問に立たれて、大変重要な問題だというふうにおとらえになっていることも受けとめさせていただきました。

 私どもとしては、しかし、永田議員は私どもの党で若き有望な議員でございまして、とりわけ政治と金については真剣に取り組んできた議員でもございます。全体の文脈としては、やはり、政治と金あるいは政治モラルの向上というようなところの中で、とりわけこういうことに熱心だった公明党さんに大変期待をして申し上げたというような全体の文脈もございますので、御理解いただければありがたいなというふうに思っております。

 しかし、この問題は、きのうも理事懇で実はいろいろ議論をさせていただきました。それから、私ども、決算行政監視委員会の岡田代表発言とこの永田先生の発言につきまして懲罰動議も出されておりますので、今御質疑あったことや、あるいは、国対委員長という要職にありながら、わざわざ委員会に来て、重要問題としてとらえて御質問なさったということも私どもは議運、国対にもちゃんと申し上げて、その協議の場で円満に解決が可能かどうか、私どもの考え方もその場で申し上げながら努力をさせていただきたい、このように思っています。

 とりわけ、きのうも理事懇の締めくくりで遠藤委員長が名さばきをいただきまして、この委員会はこの法案を中心に円滑な運営をしようというさばきもいただいておりますので、そういう線に沿って両党間の協議が行われれば、このように思っている次第でございます。

東委員 さすがに人柄でもって鳴る堀込さんですね。しかし、民主党という枠の中で精いっぱい言えるまでおっしゃったんだろうな、こう思います。

 私は、こういうことになりますと、これはもうひとり公明党の問題じゃありませんから、政党間のモラルの問題でもあるし、国会議員の質というのが問われているという話ですから、もう素直にやはり謝罪をして、そして議事録削除、これをやられるべき。

 例えば、これまで我が党は、どういうんでしょうね、強い組織力を持っておられるそういう支持者の皆様方の力ということかもしれませんが、時折、根拠のない憶測、邪推に基づいたこういう卑劣な誹謗中傷があるんです。例えばあったとしても、間違いであったということがはっきりすれば、きちんとわびてきていることも事実なんです。

 例えば朝日新聞。これは一九九三年六月二十七日の東京都議選、平成五年ですね。同じ年の、もう本当に近接した七月十八日、衆議院選挙。ダブルと言っていいぐらいの短い間隔での衆議院選挙と都議選があった。このときに、朝日新聞の徳島版が「総選挙を顧みる」という企画で、衆議院選挙が終わった直後、その七月二十日に、座談会記事の中でこういうくだりを書いている。それは、「創価学会員の住民票が東京都議選のために大量に異動され公明党陣営は慌てている」つまり、地元は衆議院を抱えている、同時に東京都議選があっているから、地元から大量に動員されて、地元徳島の陣営は慌てている。その後にこう……(発言する者あり)静かにしなさい、あなた。その後にこんなことを書いている。こんなうわさが広がっていた、こう書いているんです。その翌日、朝日の朝刊で、「おわび」ということで、きちっと囲みで、大変こういうことを言われること自体が残念なんですけれども、やはり一つの見識なんでしょう、翌日きちんとおわびを出した。このようにありましたが、「本社が県内の選管に取材したところ、うわさのような事実はありませんでした。十分な裏付け取材をせず、掲載したことで、関係者並びに読者にご迷惑をおかけしました。おわびします。」これは明確に出しているんです。

 それから週刊ダイヤモンド、これは二〇〇三年九月六日、ここでも同じような表現を書いちゃって、それに対して、やはり事実無根であるということが週刊ダイヤモンド自身がわかって、「訂正とお詫び 本誌七月五日号百四十四ページ「新・永田町の暗闘」の連載記事中、「同日選では公明はお得意の住民票の移動ができない」の記述を削除します。」おわびの上、削除しているわけです。こういうことなんですよ。

 あるいはもっといえば、平成十五年の四月八日付、鹿児島は南日本新聞という新聞。ここで、いわゆる県会議員選挙が過熱して、思わず、これは自民党さんだったんですけれども、自民党さんの陣営が、まるで、鹿児島県市区の有権者数がこの半年で一万ぐらいふえたと聞いた、公明党の影響も考えられるのではないかなんという発言をなさった。これが大騒動になっちゃいまして、そして、結局、自民党さん御自身がこれは事実があるや否やで確認をされて、当時の森山選対委員長が、本人も言葉足らずの面があったと言っており、意図的に有権者がふえることはあり得ない、結果的に公明党に迷惑をかけたことについておわびしたいと釈明したという記事が南日本新聞に載っている。

 どうですか。もうやはりおわびしなきゃこれはだめですよ、削除しなければ。私はそう思います。

 そして、最後に申し上げたいのは、あなたはそんなことを知っているか知らないか知らないけれども、我が党の支持者の皆さんというのは、本当に手弁当で、この都議選だって、夏の暑い熱暑の中を献身的にボランティアで一生懸命支援活動をなさっている。つまり、我が党がいただいた一票一票というのは、そういう皆様の熱い思いと涙と汗の結晶なんですよ。そういう皆さんの心を何の証拠もなしに公然とこういう委員会の場で言い放つということは、本当にこれは言語道断ですよ、許されない。ただ一つ許される道は、それは、発言の撤回とおわびと議事録削除でございます。このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、堀込征雄君。

堀込委員 済みません、今度は質問席から質問させていただきます。

 七月十二日、これも共同系の新聞でございますが、私の長野の新聞なんかはトップ記事で、「旧橋本派の政治資金報告書」「総務省、受理せず」「使途説明求める」、こういう記事が出たわけでございますが、総務省、受理せず平成研に訂正を求めている、これは事実ですか。

今井副大臣 おはようございます。

 堀込委員さんの御質問でございますが、この件につきまして私たちもその報道は目にいたしましたけれども、御案内のように、この十六年度分の収支報告書については現在形式審査をしているところでございまして、個々の政治団体の収支報告にかかわる形式審査の内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。

 なお、この種の政治団体は約四千団体を超えるわけでございまして、現在、これに対する形式審査を行っているところでございまして、報道のような収支報告の受理を事実上保留している、こういう事実はないものと承知しております。

堀込委員 この新聞だと、受理を保留し、過去の支出を明確にするよう求めている、こうなっていますが、それは事実でないと。

 さらにこの記事だと、訂正命令を出す可能性がある、こう言っていますが、訂正命令というのはどういうときに出て、あるいは、今度のこの件で訂正命令の可能性というのはこの新聞記事のとおりあるんでしょうか。総務省、どうですか。

久保政府参考人 ただいま副大臣が御答弁申し上げましたように、平成十六年分の収支報告書、これは今形式審査中でございますので、その点につきましてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 そこで、政治資金規正法の話をさせていただきますと、同法第三十一条に、報告書等に形式上の不備があり、または記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、「当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、または当該報告書等の訂正を命ずることができる。」と定めております。

 形式上の不備がある場合と申しますのは、添付すべき書面が添付されていない場合でありますとか、記載すべき事項の記載がない場合のように、一見して不備であることが明白な場合を言うものとされております。

 また、記載すべき事項の記載が不十分であるときといいますのは、収支報告書の記載の内容が明確ではなく適正でない場合や、収入または支出の積算に誤りがある場合のように、記載上の適確性を欠く場合を言うものとされております。

 したがいまして、一般論として申し上げますと、政治団体に十分な説明を私どもが求めました上で、なお形式上の不備または記載事項の不備があって、どのように訂正すれば正確性が回復されるのかといった事実関係が客観的に明らかになっている場合には、訂正を命ずることができるものと考えております。

堀込委員 だんだんわからなくなる。何でこういう新聞記事が出たか、今答弁を聞いていると、だんだんわからなくなるんです。

 形式審査の最中だと。三月三十一日に出した収支報告、全国に何万もある、あるいは何千何万ある。私なんかの政治団体でも、例えば領収書の日付と収支報告書の日付が違うねと注意されたり、会計責任者の判こが落ちているよとか、そういう形式審査をやっているわけですね。だから、何でこういう記事に、今形式審査の最中に、これは総務省から漏れることは多分ないんだろうけれども、どう想定していますか。形式審査の最中にこういう記事が出るというのはちょっと解せないんですが。

久保政府参考人 御指摘ございますように、一部の報道にそういったことが掲載されたということは私ども承知をしておりますけれども、繰り返しになりますけれども、現在、私ども、収支報告書の形式審査、これを行っている最中でございまして、政治資金規正法第二十条の二によりまして、収支報告書はその要旨が公表された日から閲覧に供する、こうなっております。

 また、形式審査中の収支報告書に関しまして、情報公開法に基づく開示請求というのがあった場合も不開示としております。

堀込委員 要するに、どこかでだれか関係者がしゃべって記事になったということ、総務省からは出ないはずだ、こういうことなんですね。

 そこで、もう一つ新聞記事を聞いておきますが、〇四年の報告書で、これは今審査中の報告書ですね、平成研は十五億円余りの使途不明金をこの中で処理している、これも明確に報道されているんですが、これは答弁できないかもしれませんが、報道されているので、そういう事実はあるんですか。

久保政府参考人 先ほど副大臣から答弁がございましたように、平成研究会の平成十六年分の収支報告書につきましては、現在形式審査中でございますので、その内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

堀込委員 この繰越金の話なんですが、つまり、前年度の収支報告書があって、繰越金がことしの収入に入っている。この数字が違えばきっと形式審査で注意するんでしょう。ただし、この新聞記事のように、一般論として、支出を不明金として処理した、こういう場合は、修正を求めるとか訂正命令をやるとか、そういうケースになるんでしょうか、どうでしょうか。

久保政府参考人 先ほど申し上げましたように、政治資金規正法第三十一条というのがございまして、私どもに与えられております権限、これは形式審査権というふうに限られております。立入検査あるいは押収とかそういった実質調査、これは行うことができませんので、審査には一定の制約というのがございます。

 これは過去の話で恐縮でございますが、過去には、会計帳簿等が捜査機関に押収されているような場合、あるいは火災等で帳簿が滅失をしたといったような場合など、政治団体側で収支報告書を正確に記載することが不可能だといったような場合には、形式審査を通じて確認できた範囲内で要旨の公表とか収支報告書の閲覧というのを行わざるを得なかったといったような事例があったと承知しております。

 私どもといたしましては、収支報告書の形式上の不備をなくして、また、記載すべき事項の記載が十分なものとなりますよう形式審査を尽くし、より正確な要旨の公表あるいは収支報告書の閲覧ができますように努力してまいりたいと考えております。

堀込委員 そういうことでございます。多分、最初の例は鈴木宗男元議員の例だと思うんですけれども、要するに、書類がなきゃないで、それはそれしか公表できないんだという立場でございます。

 佐田先生、今お聞きになったように、これは新聞報道されているのであえて聞くんですが、使途不明金として収支報告書で、これは今答弁できないというふうに中身は言いましたが、少なくともそういうふうに報道されているわけであります。さらに報道を言うと、九六年から二〇〇一年ごろまで選挙のお金で使ったんだよ、それは会計責任者が収支報告にしないでみんな繰り越しにしちゃった、だから繰越金が十八億か何かになって、実際とえらい離れちゃっている。その会計責任者の、これは有罪が確定していますが、滝川さんが連絡がとれなくてわからないというような、要すれば全国的にそういう記事になっているわけです。

 そういう報道がされているんですが、先生、あえて感想がございましたら。

佐田議員 先生、収支報告書につきましての繰越金のお話なんですけれども、私も、もちろん会計責任者でもありませんし、過去の、要するにどういうふうな会計になっていてどうということは知る立場にありませんので、大変申しわけありませんけれども、ちょっとその辺はお答えはできない、知りませんのでお答えできない、こういうことであります。

堀込委員 そこで、これは事件が事実なのかどうかは私も断定できないと思いますが、少なくともそういう疑惑が持たれている。そういう意味では、私どもは、どうしてもこの残高証明というのは法定すべきだろうと。少なくとも、預貯金は残高証明を出させる、現金もちゃんと記載するというような証明書が必要だ、それが、今のこういう批判に対する私どもの国民に対する答えとしては非常に有効ではないか、こういうことで私どもの法案に入れているわけでございます。

 これは与党案にないわけでありますが、いかがでしょうか。

宮腰議員 政治団体は、政治資金を銀行預金として保有することもあれば、現金として保有することもあるわけであります。残高証明を求めることができますのは銀行預金として保有するものに限られておりまして、現金で保有する政治資金につきましては残高証明を求めることはできないということでありますので、残高証明の添付を義務づけてみても実効性は低いものとならざるを得ないというふうに考えております。むしろ、法律で一律に規制を設けるよりも、それぞれの政党、政治団体の自主的な判断にゆだねることが適当であるものと考えております。

 なお、我が党におきましては、内規を策定いたしまして、党所属国会議員の資金管理団体や支部につきまして、十二月末時点における残高の証明書を党本部へ提出することを義務づけることといたしまして、党改革を進めているところでございます。

堀込委員 よく答弁もわかるんですが、ただ、収支報告書の残高、預貯金が幾らで、これは金融機関の証明書があります、現金は幾らあります、あるいはそのほかの財産は幾らありますとちゃんと分けて報告するというのは、これは収支報告書の記載の話ですから、法定しても、内規でやっていらっしゃるというお話もございましたが、そう難しい話ではなくて、実効性という話もありましたが、これだけ世論から、国民から政治と金の問題が言われていますから、私は、やはりやった方がいいんではないかというふうに思っておるところでございます。

 次の問題に移ります。

 確認をさせていただきますが、与党がこの法案を提案した契機、既に先日の議論の経過でも、日歯マネーにかかわる橋本派の一億円献金とかそういうものが契機で、そういう国民の批判に対するためにこの法案を提出した、こういうふうに答弁していらっしゃると思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。

山名議員 先ほど、先生がみずからお述べになりましたように、今回の改正の目的は、昨今の政治資金をめぐるいろいろな問題等がございまして、それを踏まえた形で、やはりもう少し政党及び政治資金団体以外の政治団体間における多額の寄附ということについては抑制をする必要があるんじゃないか、とともに、政治資金団体に係る寄附については、透明度をさらに上げるためにも、振り込み制という形をとった方がいいのではないかという形で今回の改正に至ったわけであります。

 いずれにしましても、いやしくも国民の皆さんから疑惑を持たれるようなこういう資金の流れ、こういったものはやはり是正をし、その透明度を高めていく、こういったことによって政治資金に対する国民の信頼をやはり大きく助長させていこう、こういうことが今回の改正案に至った目的でございます。

堀込委員 至った目的はわかりました。

 そこで、何を問題にしたか。つまり、料亭で一億円渡ったことが問題なのか、あるいは領収書も発覚されない裏金が問題なのか、あるいは巷間言われている、裁判の証言で出てきていますが、迂回献金が問題だったのか、どういう問題意識なのか。

 与党案を見ますと、一億円は大きいから五千万にすればいいんだという法案なんですよ、簡単に言うと。これでは、今言ったような法案提起の契機としてはインセンティブは弱いと思うんですが、日歯マネーと今度の事件、どういうところに問題があると思っておるんでしょうか。

佐田議員 先生は今、どういう反省があるのか、そういうお話だと思うんですけれども、私は報道でしか知りませんけれども、要するに、その他の政治団体からその他の政治団体、今まではそれは基本的には量的制限がなかった、これに対しては、やはり規律を持たせる意味で上限を持たせる。ただ、先般の例えば日歯の問題、それとかまた山梨の山教組の迂回の問題、こういうことも踏まえて考えたときに、いろいろな意味で、例えば不記載のもの、これは当然刑事罰がついておるわけでありますから、いやしくもそういうことで疑惑を国民に向けられないように、しっかりと透明度を増し、そして上限も設けていく、こういうことの上に今回我々は法案を出させていただいたわけでありまして、したがって、その他の政治団体からその他の政治団体、これは繰り返しになりますけれども、それの上限を決め、そして迂回献金、我々は、迂回献金というのは、だれだれさんに渡してということで間接的に政治団体を介してその人に行く、こういうことの不透明さを解消するという意味におきまして、反省に基づき、やはりきちっと、そういうことはありませんけれども、そういう疑惑が持たれる以上は、やはり政治資金団体、これの出し入れというのは、各党がしっかりと透明度を増して銀行振り込みにしていく、こういうふうにしたわけでございます。

堀込委員 日歯マネーはいろいろ使われていまして、一つは贈収賄で、これはもう判決が終わっていますし、それから業務上横領の話もあった。あるいは選挙に使った、これも公選法違反で判決が終わっているんです。残っているのは村岡先生の公判なんですね、今やっているのは。

 いずれにしても、その中で、日歯のマネーが料亭で一億円渡された。これは、一億円の額を五千万にすれば国民の不安が解消されるという話じゃないと思うんです。やはりそこは、現金で、あるいはあの場合は小切手でしたか、渡されているわけですね。ここはちゃんと、政治団体間の寄附でも一定額以上は、例えば銀行振り込みにすべきじゃないかというふうに私どもは思って、あの事件を反省しながらこの振り込みの問題も実は提起をしているわけでありまして、そういう意味では、これだけでは私どもは大変不十分だと思っております。

 今、答弁者の佐田先生の方から迂回の話がございましたので、ちょっとそちらへ。今の振り込みの話は、この事件を反省しながら私どもが思っているということだけ御理解をいただければというふうに思っています。

 国政協による迂回献金はなかったというふうに、佐田先生を初め、何度もこの席で答弁をいただいています。

 ただ、四月六日の村岡先生の公判で、日歯の前会計担当常務の内田裕丈さんの証言だと、例えば二〇〇〇年十二月に橋本元総理に一千万円出した、現金で献金した、秘書から領収書は国政協が発行すると連絡があり、結局、国政協から領収書が発行され処理されたこともある、こういう証言もあります。

 そのほか内田被告は、二〇〇三年夏ごろ、吉田先生、前の衆議院議員ですね、お渡し願いたいと自民党の元宿事務局長に五千万円の現金を渡したと証言して、〇三年の収支報告書では、七月に五千万円日歯連から国政協に寄附されて、国政協が、自民党からですか、七月から十月の七回に分けて、吉田前議員の自民党愛知県第三選挙区支部に五千万円が寄附をされる。多分、調査されてわからないところを私も理解をするんですが、ただ、こういうことが行われているんじゃないかという国民の批判もあることも事実なんですね。

 だから私は、そういう意味では、ちゃんと迂回献金というのは規定をして、確かに、皆さん答弁をいただいているように、条件つき寄附の特定というのは非常に難しい、あるいは、一度国政協なり党に入ってしまえば、これは自民党さんだけじゃなくてうちもそうですけれども、もうお金はみんな一緒になってしまうわけですから、何がそのお金だったかわからないというところは確かにあるわけではありますが、しかし、国民からこれだけ迂回に対する批判があるわけでありますから、やはりちゃんとした禁止規定を置いた方がいい、こういうふうに思いますが、重ねてどうでしょうか、与党の方では。

宮腰議員 何度もお答えをさせていただいておりますが、迂回献金の定義につきまして、憲法は、罰則をもってある行為を禁止するには、構成要件が明確で、禁止される行為とされない行為の区別を明確にすることを求めているわけでありまして、迂回献金を定義するのは非常に困難であるということにつきまして、今ほど委員御指摘の中にもあったと存じます。

 罰則の実効性の問題につきましても、仮に条件つきの寄附を禁止したといたしましてでも、一体、条件つきというものをどのように立証するのか、また、立証ができるのかという点につきましても、立証は極めて困難であるということだというふうに思っております。

 犯罪事実の証明が困難なため事実上立件ができないような法律の規定をつくってみても、不必要に国民の権利、自由を制約するだけであって適当でないということから、このたびの改正案に盛り込まなかったということでございまして、御理解をいただきたいというふうに存じます。

堀込委員 私どももこの法案をつくるときに随分これは議論しまして、今の御指摘、答弁いただいたような、立証可能かどうか、実効性あるかと随分議論したんですよ。相当難しいことも承知をしておるんです。

 今、与党の皆さんも、答弁を聞いていると、できれば法定したかった、しかし、なかなか犯罪事実の立証も困難だし、これはちょっと法定しても余り効果がないし、そういう法律はつくるべきでないと。私は、できれば法定したかったけれども、いろいろな検討をしてみると、犯罪事実の立証が困難だからやめた、こういうふうに受けとめておるわけでございます。

 しかしこれは、さっき私が申し上げましたような、村岡先生の公判で幾つかの証言なんかも出ているわけでありまして、国民からの批判が結構あるわけでありまして、きちんと法定することが、私は、そういう意味では、政治と金の公明性あるいは国民に対する政治の信頼をかち取る意味で極めて大事だ、こういうふうに思っておりますので、ぜひこの再検討をいただきたい、こういうふうに思っております。

 るる申し上げてまいりました。私どもは、今申し上げましたように、この間、先日来、与党の皆さんの答弁も聞いていて、結構、あの事件に対する反省、そしてどう対応しようかという議論は一致するところもあると思っていますし、あるいは、私どもが申し上げて、もうちょっとこういうふうに加えた方がいいんじゃないかという点もたくさんあるというふうに思っています。

 過去、この委員会では、幾つか実は今の選挙制度から政治資金規正法から、何回か歴史としては与野党協議なんかをしながら、合意を得ながら実は法案を成立させてきた、こういう歴史をずっと持っているわけでありまして、私は、この問題もそういう議論をさせていただきたいな、修正協議といいますか与野党協議といいますか。

 あるいは、場合によれば私はさらに、私ども民主党は公選法の問題も今法案を出しているわけでありますが、例えば、電話運動の運動員を車上運動員並みにある程度特定してもいいんじゃないかとか、あるいは、私が昔新進党のころ、自民党の瓦先生と、今の並立制ができたときに、ビラの七万枚とかはがきの三万五千枚とかを決めた張本人の一人でございますが、並立制も三回やって、例えば七万枚の個人ビラ、初日に証紙をみんなで張らなきゃいかぬとか、いろいろな問題点があるというふうに思っていまして、こういう問題をできれば含めてでございますが、まずは、この法案について与野党の協議をしながら前向きな議論をしたいなというふうに私どもも思っていますが、与党の考え方はいかがでございましょうか。

佐田議員 先生のお話もわかるんでありますけれども、提案者といたしまして我々は我々の法案がベストというふうに思っておりまして、ぜひ先生、そういう協議をするべきだという、いろいろな場で協議をしたらいいんじゃないかという意見は意見として私も理解ができないことはないんですけれども、基本的には、この委員会においてしっかりと審議をしていただきたい、こういうふうに思っております。

堀込委員 時間が来ましたけれども、ぜひとも、この委員会、公職選挙法もそうですけれども、選挙制度、政治資金はそういう歴史を負っているので、ぜひそういう協議で、出した法案ですから、これが最善だとおっしゃるのはそのとおりでございましょうが、そういう場もぜひ前向きにとらえて検討いただきたいと思います。

 これは、今この委員会で議論を尽くしてほしいというお話もございましたが、委員長にお願いをしますが、そういう意味で、ぜひ、修正なり前向きな協議ができますようなお取り計らいをいただければ大変ありがたいというふうに要請をして、質問を終わりたいと思います。

遠藤委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 もう今、堀込委員から質問がありまして、ある意味では今の政府案、ちょっと足りないところがあるぞというはっきりとした指摘だったというふうに思うんですね。これをやって、それでこの政治と金の問題について幕引きを図られたんでは困るんです。我々は、やはり本来であれば、この村岡さんの公判のときのいろいろな記事を読んでみましても、では、我々国会は何をやったんだ、もっとこの本質を参考人を呼んでしっかりあぶり出して、そこからしっかりとした法律案をつくってもよかったんではないか、これを思うくらいでございますので、今回のいろいろ議論を今聞いておりましたけれども、やはり、積極的に前向きに政治と金の問題、しっかりもっとやるべきだと思うんですね。

 私は一つ申し上げますが、企業献金というのがありますね。企業には、今、企業はだれのものか、株主のものであるとか、営業している者のものだ、または労働者のものという話があります。株主は何を要求するか。利益を要求するんです。例えば一億円を企業が出した、それに見返りのないくだらない献金はするなと株主が言うかもしれない。ただお金を出したのでは、これは株主に対する背信行為ではないかというような企業の考え方は当然あると思うんですね。ですから、もともと献金については何らかの見返りを求めている、こういうことを考えるのが、この大きな問題をしっかり我々があぶり出す一番基本にあると思うんですね。

 例えば、政策まで金で買えるのか。または、ある人に金を渡したいけれども、こういう方法でやればある人に金が渡せる。今回、この村岡公判で随分明らかになったんじゃないですか。それをやめさせるのがこの法律案じゃないんですか。単なるここで法律案を審議した、だからこれで政治と金の問題は幕引きを図る、これではならないと私は思っているんですね。

 つまり、最近の話でも、経団連が各党のマニフェストを見てから政治献金を決めるなんという話がありました。これだっておかしいんじゃありませんか。私は、そういう面から見ても、今度の政府案では足らないところが随分ある。――与党案ですね。政府案じゃなくて与党案にはそういう問題点がまだまだあると思います。

 辻委員、一つ、一番我々がやりたい仕事として、はっきり今度の村岡公判で、あの人に渡したい、それでお金を預かったと言っているんですよね。だから、これが立証できない、いろいろ言っていますが、私は、やはりこれをはっきりさせておかないと大きな問題点が起こるし、やはり証人喚問というのは国会でも必要だったと思うし、今言った立証するためにも本当の事実をやはり国会で知るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。もし与党に言うこともあれば、あわせて言ってください。

遠藤委員長 中山委員に確認をさせていただきます。ただいまの発言で、冒頭の発言で政府案、つい先ほどは与党案、どちらについて発言をなさっていますか。

中山(義)委員 失礼しました。与党案です。

遠藤委員長 与党案ということで訂正させていただきます。

早川議員 多岐にわたる御質問だったように思います。

 まず、与党提案については、御承知のとおり、政党または政治資金団体以外の政治団体間の寄附のやりとりについて上限を設けるということと、それから政治資金団体に係る寄附については、これは銀行振り込み等の方法によるという形で透明化を図る、この二つの内容を持っているわけであります。

 例えば、企業等がさまざまな献金をされるということについて、これは、そもそも政治活動に関する寄附というものが、政党や政治家の政策やあるいは政治理念、政治信条に共鳴して、その活動を資金面で支援するために自発的に拠出されるものというふうに考えております。そういう意味では、民主政治、議会制民主主義の基盤をなす政党活動に対するこれは必要なインフラであると私は考えているところであります。それで、寄附の額等の多寡とか、あるいは、この寄附を行う者と寄附を受ける者との関係といったことはさまざまな事情によって決まるところでありますので、これは、基本的には、政策に共鳴して、その政治活動を資金面で支援してくださるという構造には全く何ら関係がないところだと思います。

 そこで、企業の献金の問題でありますけれども、企業はそれぞれ経営者の経営判断に基づいて事業活動や社会活動を行っているところでありまして、政治活動に関する寄附もその一環として行われているものというふうに理解しております。

 そこで、そのような政治活動に関する寄附をするかどうか、また、その額をどの程度とするかといった経営者の経営判断につきましては、これは商法等の定めるところに従い、また、それぞれの会社の定款あるいは内部規則等によって決定をされ、それぞれの会社の株主が適切に監視をされているものというふうに承知をしているところであります。

 そういうことでありますので、それぞれの企業が行う献金が一概にこれを禁止されなければいけないものだというふうな立場には立っていないところであります。

 それから、経団連の献金の問題についてお触れになられました。

 これは、いわゆる八幡製鉄事件についての最高裁判決が言っておりますように、会社も、自然人たる国民と同様に、国や政党の特定の政策を支持、推進し、または反対するなどの政治的行為をする自由を有するということにされているわけであります。会社経営者の団体であります経団連におかれて、そのような自由のもとに独自の判断で献金をするとかあるいはしないとかという決定をされることについて、私どもが特に意見を述べる立場にはないというふうに考えております。

辻議員 お答えいたします。

 今回の政治資金規正法で何が問われているのかということだと思うんですね。それはまさに政治と金ということで、不透明な金の動きで政策が買われるということを、再発を防止しなければ国民の政治不信を払拭することはできないというところにあります。

 その点において、では、橋本派に対する一億円のやみ献金問題の実態はどうなのかということを、もっと徹底して国会の立場で、政治資金規正法改正、どの点を改正すれば防止できるのかということを明らかにするためには、やはり、証人喚問とかいうことで何が問題だったのかというのを国会の立場で明らかにしないと、本当に防止に適切な法改正はできないんですね。

 そういう意味において、事実の解明をネグレクトしている、そして、政治資金規正法改正という形だけでもしお茶を濁すとすれば、何も学ばなかった、国会に問われている役割を果たしていないということになると思います。こういう点において、証人喚問をぜひとも実現させていかなければいけないというふうに思います。

 政治資金規正法について、与党提案では、迂回献金とか、あと、政党や政治資金団体を加味して、お金の動きが不透明になっているという点について何ら規制する対象に加わっていないわけでありますから、決定的に不十分であろうと。民主党の提案、まだまだ村岡裁判や証人喚問の実現の中でさらにつけ加えなければいけない点も出てくるとは思いますが、当面、必要最低限の改正項目は盛り込んでいる、国民の政治不信にこたえる提案になっているだろうと、このように考えております。

 以上です。

中山(義)委員 今、辻さんの方も答弁をして、もうそのとおりだというふうに思うし、先ほど堀込委員も質問した趣旨というのは、与党案では足らないぞ、やはり民主党案も入れて、もうちょっと、村岡公判の例を見るまでもなく、我々がもともと不審に思っていることが随分あるわけですよ。先ほどから言っているように、企業が悪いということを言っているんじゃないんです。企業は何とか自分たちの利益をつくるために献金をして、もしそれが全然利益のないところに何の意味もない献金をしたらば、株主は、それは背信行為だと思うのではありませんかと。

 だから、企業献金が悪いというわけじゃなくて、企業は別な方法で経団連とかいろいろなところへ行くと思うんですね。お金というのは回っていくわけですよ。そのときに、先ほど言いましたように、例えば民主党のマニフェスト、自民党のマニフェスト、公明党のマニフェスト、それをそれぞれ見てそれに金をつけるというようなことになれば、何か政策を金で買っているんじゃないかという不信を国民に持たれませんかという、そういう質問をしているんです。

 ですから、我々は、今の日本の企業さんだってぎりぎりのところでやっている、金を出す限りは何か見返りを求める、こういうものが背景にあるかもしれない。特に最近は、会社は株主のものだなんて言っている者もいますから、金もうけだけで会社を考えている人もいる。そうなってくると、そういうようなことがあって経団連も、一番経団連に合った、我々の考えているところにお金を出そうじゃないかというようなことも出てくる。こういうことを言っているわけですが、この辺は、与党案もそういうものについて、いや、それは向こうの考えることで、私どもの判断ではないと言ったけれども、やはり、法的にもこういうことは頭に入れた上で、マニフェストとかそういうものが金で買われる、つまり政策が金で買われるわけですよ。私の言っていること全然違いますか。

 先ほどから大きな問題になっているのは、日歯連の問題も、一億円という大きなお金が出ている、そして政策を金で買っている、ここが問題なんでしょう。だから我々は、問題点というのは、本来は証人喚問をして、その実態を徹底的に暴くのが本来我々の仕事なんですよ。それをやっていないで、想像だけでやったんではいけない。だけれども、村岡公判を見る限りにおいてもかなりいろいろなことが出てきているんですよ、それに似たようなことが。そういう面で与党案の提案者からも答弁をいただきます。

早川議員 先ほども答弁申し上げましたけれども、そもそも、企業や団体が一定の政治団体に対して資金面で援助するということ、このこと自体は法的に規制がされていないのが現状でありますし、また、今後とも、そういった政党活動が健全に行われるための献金というのはやはり必要になってくるだろう。特に、政党の活動を支えるという意味では非常に重要な要素であろうと思います。

 そこで、例えば、日本経団連等がマニフェストを見て、それに対して、それを自分たちの希望するものと合致しているか否かということを判断するというのは、これは、特定の政策についてこれは賛同するという行為そのものであって、それでもって特定の利益を享受するといういわゆる贈収賄的な要素をそこに認めることは非常に困難であると私どもは理解をしておりますし、また、そういったことまでは規制の対象にすべきではないのではないかというふうに考えているところであります。

 結果的には、こういった司法判断というものがどういうふうになるだろうかという意味で、先ほど御説明を申し上げましたとおり、八幡製鉄事件に関する最高裁判所の判決の考え方、これに基づいて考えているというのが基本的な立場でありますので、ぜひこれは御理解を賜りたいというふうに思っております。決して、政党やあるいは政治活動に対しての具体的、個別的な干渉を日本経団連がしているというふうな理解をしているわけではないのであります。

中山(義)委員 そうすると、経団連の例は、非常に大きく物をとらえて、個別のというよりも、マニフェストは、自分たちの考えている、経済界に一番合っているというような考え方なんでしょうけれども、日歯連の場合ですと、これは今のお話ですと、なかなか要件が難しいというけれども、内田さんという人は、吉田議員に渡してくれとこう言われてお金をと書いてあるんですね。

 そうなってくるとこれは、先ほどお話があったように、これからの司法のいろいろ結果によってというと、何かいつも法律案は後追いになってしまうんですね。やはりこれは、あくまでも私たちが考えたってこれは迂回献金であるし、間違いなく吉田さんという前議員が何かの目的でお金をもらって何かをしてあげたに違いない、こういうふうにとれるわけですね。これだって、この法律案が通ってしまって、結局そういうところまで及ばない、後でもう一回次のまた法律改正のときにというと、また何年もかかってしまうわけですよ。

 だったら、我々の民主党案の方はもうそこまで考えているわけですから、この辺、ちょっと答弁していただけませんかね。今、四月七日の公判の例だって、もう既に、吉田さんに、あの人に渡してくれ、はっきり出ているんだ。

早川議員 日歯連事件の問題でありますけれども、これは、昨年の十一月に自民党の内部で、迂回献金と言われている事実についてそういったことがあったかどうか、その調査をさせていただきました。結果的には、そういった事実は確認ができなかったわけであります。しかも、今、個別の刑事事件についての、その中での証言等について言及をされましたんですけれども、残念ながら、その中身については私どもが承知をする立場にはございません。

 ただ、このいわゆる日歯連の献金問題に関して、こういった問題で国民の政治に対する信頼を損なうことがないように、かかる事態を厳粛に受けとめて、いやしくも国民から疑惑を招くことがないようにしていかなければならないということで、今回の法案の提案によって政治資金のより一層の透明化を図るということと、それから、所属国会議員の資金管理団体や支部の収支報告書の要旨を党のホームページに掲載する、また、残高証明書と監査意見書の党本部への提出を義務づける、寄附を受領するときには原則銀行振り込みとする、そういったことを内容とする内規を策定して党改革を進めているところでございます。

 与党としては、一日も早く審議を進めていただいて政治資金規正法の改正を実現して、国民の皆さんに対する、これは政治の信頼回復に努めていかなければならないというふうに考えているところであります。

中山(義)委員 いろいろお話がありましたけれども、やはり、きょうこういう審議をして、数からいけば与党案でいってしまうとなって、これで幕引きを図られたんでは、本当にこれでいいんですかということになりますよ。

 国民の皆さんは何を思ったか。やはり政治不信、政治と金の問題ですよ。本来であれば国会で証人喚問をして、村岡さんが四月七日に裁判所でいろいろ話をされた、同じことをここで、なぜこういうことが起きたのか、そういう解明をやはり我々がすべきだと思うんですよ。これで幕引きを図ったんでは、何だか知らないけれども、アリバイ工作でただこの法律案を審議して、我々はそういう意識を持ったというだけじゃありませんか。やはり、野党案にはかなり厳しいところまで入っている。それは、我々自身、提案する側だって厳しくなるわけです。でも、あえてそれをやろう、その意欲がやはり委員会に見えなければいけない、私はこう思うんですね。

 あえて私は言いますが、さらに、証人喚問とかそういうものは絶対やらなきゃいかぬ。絶対に予算委員会でもこういう委員会でもしっかりとしたものを国民に見せて、はっきりとした実情を示してから法律案はつくるべきだと思います。じゃないと、法律案が後追いしてしまう。結局、裁判所でいろいろなことがあった、あのときに裁判所でこれだけ証明したけれども、何だか法律案が全然それに伴っていないというんでは困るわけですよ。

 そういう面で私たちは、あえて証人喚問やさらにこの野党案もしっかり入れて、野党案もできれば皆さんから承認をいただいて、絶対に野党案は採択をしてもらいたいし、しっかりとしたこの我々の考え方をお認めいただいて、少しでも国民に信頼されるようにひとつよろしく皆さんにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

遠藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私は、まず、先ほど来議論のある迂回献金について御質問します。

 企業、団体というのは政治家個人には献金はできません。政党に限られております。その上、量的規制があります。それで、それを免れる目的で、政治団体等を経由して政治家に献金をしますと政治資金規正法に抵触する違法行為になると思いますけれども、与党提案者のこの点での基本認識、まずお伺いしたいと思います。

早川議員 具体的な事案についてのお答えはなかなかできないところでありますけれども、少なくとも、今回の事案に関連して自民党の内で調査をさせていただいたところ、迂回献金の事実はないという調査結果でありました。

 そこで、今、ちょっと委員の質問を具体的に聞き漏らしましたので、お答えするところがちょっと間違っていれば、また再度御答弁を申し上げます。

佐々木(憲)委員 いや、私は、要するに、政治家個人に企業や団体は献金はできないわけです。量的制限ももちろんありますから、したがって、一定の規制がある。それを免れる目的で、政治団体を経由して政治家に献金をするとなれば、これは政治資金規正法違反に当たるのではないか、そういう認識はあるのかと、こういうふうに聞いたわけです。先取りして言いますと、これは予算委員会で総務大臣もお答えになっていますけれども、政治資金規正法違反になりますというのが回答でございます。

 それを前提としてお聞きしたいんですけれども、私はここに、先ほどからいろいろ議論になっております、昨年十一月九日付で調査報告書というものが自民党の側から出されました。「日本歯科医師連盟事案に関する党の調査報告について」、これは、私も昨年十月十九日に質問をいたしまして、小泉総理が、我が党の武部幹事長に対しまして、指摘されていることについて、自民党として調査、確認するよう指示するという約束をされて、このような調査結果というものが報告されているわけです。

 そこで、具体的にお聞きをしたい。

 この国民政治協会、国政協の発行した日歯連の領収書というのがあります。私はここにそれを持っておりますが、これは情報公開でだれでも手に入るわけですが、この中に具体的な議員名が書かれているわけです。

 これは、例えば、平成十二年七月十一日付の領収書のこれは欄外に書いてあるわけですが、石原伸晃というふうに書いていまして、石原氏の場合は、これが一つの事例ですけれども、資金の流れというのが極めて明確でございまして、国土交通委員会の理事会で自民党理事が報告した内容も全く同じなんですけれども、例えば、二〇〇〇年の七月十一日に日歯連から国民政治協会に一千万円、これが迂回をして、七月三十一日に自民党から東京都第八選挙区支部へ一千万円。同様に、日歯連から二〇〇一年六月二十一日、一千万円、六月二十九日、東京都第八選挙区支部へ一千万円。それから、日歯連から二〇〇一年十一月十四日、一千万円、十一月二十九日に東京都第八選挙区支部へ一千万円。日歯連から二〇〇二年五月十四日、一千万円、五月三十一日、同支部へ一千万円と。しかも、先ほど言ったように、一番最初の二〇〇〇年の七月十一日の領収書に、欄外に石原伸晃と書いてあるわけです。

 この関係についてどのような調査をされたか。例えば国政協に、どのような趣旨でこのお金は受け取ったんですかというそういう聞き取り調査というのはされたんでしょうか。

    〔委員長退席、石田(真)委員長代理着席〕

早川議員 党の調査の内容でありますけれども、これは、平成十六年の十月十九日から十一月八日まで、党スタッフ数名及び会計と法律の専門家で調査チームをつくって実施をしております。それで、調査内容でありますけれども、主に、関係者からの聞き取り調査、それから、党や国民政治協会の当時の内部資料、それから、金融機関の入金状況を示す資料などであります。一応、調査の内容はその程度でございます。

 さらに、先ほど、ちょっと具体的なケースについての御指摘がございました。これは石原前国交大臣のケースの場合でありますけれども、国政協に入金された寄附金につきましては、国政協の必要経費等を控除した後、国政協内部での稟議決裁に従って、ほぼ一定の時期に党本部に寄附をされております。党におきましては、内規、慣行等に照らしまして、個別の政策立案、調査の必要経費や党勢拡大のための政策活動費を支出しているところであります。

 そこで、政策立案及び政策普及のための調査等または党勢拡大活動のために、議員や政党支部に対する政策活動費の支給の時期あるいは金額等については、政治状況や支給しようとする議員または政党支部の従前の政治活動、党に対する財政や選挙への貢献度等を考慮して政策活動費の支給を決定することとなっております。

 したがいまして、国政協及び党本部はそれぞれの判断に従って政治資金を取り扱っておりまして、いわゆる迂回献金との指摘は当たらないものであります。

 石原議員が支部長を務められます選挙区支部につきましても、当時の執行部が、党勢拡大等を考慮して適宜支給したものと思料されるところであります。

 以上です。

佐々木(憲)委員 この石原氏の事例は極めて突出しておりまして、時期も金額も極めて異例な形で、いわば日歯連からの資金が連動して渡っている。この渡っている事実は、これは国交委員会の理事会でも自民党の理事も認めているわけです。

 それで、今の説明ですと、国政協から入金をした、入金から党本部に行って、内規に照らして、慣例に従って支出した、これは、事実上いわば迂回献金の流れを認めたようなことであって、ただ、その理由として、それぞれの判断でやったという説明をしただけであります。

 例えば、国政協が日歯連から受け取ったときにどのようなやりとりがあったかということは調べたんでしょうか。

早川議員 ただいまの御質問でありますけれども、いわゆる国政協から、国民政治協会から自民党に対しての寄附等については、それは当然、その時点において当時の党の内規に従って処理をされているということが確認をされているところであります。

 それから、個別の支出、政党の支部あるいは議員に対しての党本部からの寄附等につきましては、先ほど御説明したとおりに、政策立案及び政策普及のための調査等のために政策活動費として支給されているということであって、決して、寄附者の意思に拘束をされて特定の議員への政治寄附をした事実はないということを確認しております。

佐々木(憲)委員 いや、私が聞いているのはそんなことを聞いているんじゃないんです。国政協が日歯連から受け取ったときにどういうことがあったのかということを調査されたのかと聞いているんですよ。つまり、日歯連が特定の議員に渡せと言ったのか、それともそうでなかったのか。

 では、そういう調査はされていなかったということですね。

早川議員 党の調査の結果としては、そのような事実は確認をしておりません。

佐々木(憲)委員 国政協が受け取ったときに、日歯連からの何らかの指示があったのかなかったのかという調査はしたのかというのを聞いているんですよ。調査したのかしていないのか、はっきりさせてください。

    〔石田(真)委員長代理退席、委員長着席〕

早川議員 お答えいたします。

 具体的な調査をしているわけでありますけれども、しかしながら、調査の対象とした具体的な名前とか人数とかいったことについては特に明らかにする必要はないわけで、国会や報道等で問題が指摘された関係者からは可能な限り事情を徴して、そのような指摘される事実がないということを確認したわけであります。

佐々木(憲)委員 さっぱり要領を得ないわけでありまして、具体的な名前が書いてあるんですよ、名前が。したがって、名前が書かれているこの事実について、当然、委員会で指摘をしたわけでありますから、その後確認をするとか、どういう意図でそれを受け取ったのか、渡してくれと言われたんじゃないかというのを確かめるのは当たり前じゃないですか。そういうことがされていないというのがよくわかりました。

 それから次に、平成十三年六月二十九日付の領収書には古賀と明確に書かれております。これは五百万円であります。これは、党本部にどのように渡り、名前のあった本人に渡っていたのかどうか、どのような形で調査をされたか、それから、受け取った国政協が一体どのような目的で渡したのか、こういうことは調べましたか。

早川議員 お答えをいたします。

 これは、今、お名前の挙がった議員に対して金銭が渡った事実がないということを確認しているところであります。

 なお、先ほどいろいろ御指摘があった中身でありますけれども、言ってみれば、党としては、党にあいさつに来られる方が、寄附をされるとかあるいはされないにかかわらず、当該企業・団体を取り巻く状況や関係する議員について話題にされることがある。その際、議員の日常の政治活動や選挙区事情が話題として上がることもありまして、この議員は政策をよく勉強しているので党内でもっと活躍の場を与えてやってほしいとか、あるいは、選挙基盤が弱いので党勢拡大を支援してやってほしいなどとの希望を伝えられることがあるわけであります。こういったあいさつを事務局で受けた場合には、あいさつを受けた時日及びその状況について執行部に報告をするところでありまして、しかしながら、党として、その寄附者の意思に拘束されて特定の議員へ政治寄附をすることはないわけであります。

 しかし、このような問題によって国民の政治に対する信頼を損なわぬよう、厳粛に受けとめて、いやしくも疑惑を招かないように、党内において極めて厳しい内規を策定、実施をしたところでありますとともに、政治資金の一層の透明化について、政治資金規正法の改正案を本国会で審議をいただいているところであります。

佐々木(憲)委員 今の答弁は、何か半分は迂回献金があったかのような答弁でありまして、しかも、調査も、具体的な事実関係を調査するようにという国会からの要請に対してまともに調査もしていないということが判明しました。

 したがって、何かこの報告書というものは、一体効力があるのかという疑いさえ持たれるわけです。つまり、受けた側は銀行口座に入金されていることを確認したということで、しかも、あとの分配は「内規・慣行等に照らし、」と、「慣行等」とは一体何か、これだって極めてあいまいで、よくわからない。指名献金というのが慣行になっているのかもしれないし、そんなことはさっぱりわからない。

 したがって、これで何か否定したかのようなことを言われますが、これは迂回献金の否定に一切ならないですよ。「支給することはありません。」と一般論を言っているわけで、具体的な事実があれだけ指摘されていながら、具体的な調査がされていない。しかも、あいさつのときに特定の議員の名前が出るとか、あるいは、資金の流れはそうだけれども意図は違うとか、こういうことでは、半分認めたようなものでありまして、この調査というのは全くでたらめだということがよくわかりましたね。

 それから、次にお聞きしたい。村岡公判、先ほどもありましたが、橋本元首相の秘書は、国政協と領収書で調整した記憶はある、領収書が国政協から行くと自分が電話したと証言しているんです。それで、日歯連側も、後で国政協から領収書が行くよと橋本事務所から連絡が来た、こういう証言。つまり、出した側と受けた側の証言が一致しているんですね。つまり、迂回献金があったということを公判で証言しているわけです。証言というのは大変重いんです、これは宣誓して証言するわけですから。

 それで、日歯連側はまた、迂回献金についてこう言っているんですね。議員に献金した後で国政協から領収書が来たことがある、名前を指定した人は三、四人くらいで、五百万か一千万くらいを希望として伝えたという証言もある。迂回献金、法違反が行われていたと証言していることは、これは重大でありまして、この点に関連して、自民党としては当事者にどういう調査、確認をされたのか、この内容についての説明をしていただきたいと思います。

早川議員 これは、先ほど御説明を申し上げました当事者等からの聞き取りをいたしまして、その事実がないということを確認しております。

佐々木(憲)委員 その当事者とはどういう方ですか。つまり、証言をされた元橋本首相の秘書あるいは日歯連側、この証言をされた方に確かめたんですか。

早川議員 国会やあるいは報道等で問題が指摘された関係者からは可能な限り事情聴取をしたということでありまして、具体的な名前やあるいは人数は、明らかにする必要はないと考えております。

佐々木(憲)委員 いやいやだから、調査をするというのは、これは指摘されているわけだから、その指摘されたことが事実かどうかということを、これは公判でも証言されているわけですから、当然調査するのは当たり前じゃありませんか。可能な限り調査したが、具体的事実は公表できないと。何の調査にもなっていないじゃないですか。何の証明にもなっていないじゃないですか。

 これだけ具体的に公然と裁判所で証言が行われて、マスコミにも書かれて、国会でも取り上げられているんだから、そういうことがあったのかないのかと当人に確かめるというのは当然じゃありませんか。それで、なければないと報告すればいいんですよ。やったんですか。

早川議員 既にお答えしたところでありますけれども、関係者からの可能な限りの事情聴取をして、そのような事実がないと確認をしたところであります。

佐々木(憲)委員 だめだ、そんな答弁は。答弁になっていない。具体的な事実関係がこれだけ出てきているにもかかわらず、そのことについて何の調査もしていない。なかったと言ったって、何の証拠もないということがきょうの質疑で明らかになった。

 以上を述べて、時間が参りましたので、終わります。

遠藤委員長 この際、議員横光克彦君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 横光克彦君。

横光議員 社民党の横光克彦でございます。

 今、委員長のお計らいをいただきました。きょうは、委員外議員という立場でこの委員会で発言の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。委員長を初め、与党、野党の理事の皆様方、そしてまた委員各位の皆様方に、冒頭、心からお礼を申し上げたいと思います。

 質問に入らせていただきますが、今回、こうして貴重な委員会で十五分という時間をいただきまして、しかも、自民党の皆さん方の時間をいただきました。非常にありがたいと思っておりますが、しかし、それはそれ、これはこれとして、質問は自民党の与党案を中心に質問をさせていただきたいと思っておりますので、そこのところは御理解をいただきたいと思っております。

 今回の政治資金規正法の改正案、与党、民主党それぞれ出ているわけでございますが、先ほどからお話しございますように、こういった法案を出さざるを得なくなったそのきっかけというのは、日歯連の事件であるということは、これはそれぞれの議員も異論はなかろうかと思うんですね。この日歯連の事件ではどのような問題が浮き彫りになったのか、そこのところをまずしっかりと押さえておかなければならないと思うんですね。

 巨額の金が政官界にばらまかれていた実態、そして、複数の政治団体や政党を経由させるひもつき献金、迂回献金などの横行、そして、政党支部を活用した実質的な政治家個人への献金、政治家側のずさんな献金処理、性格的には企業献金に近い、業界の政治団体による献金が青天井である、こういったさまざまな問題点が浮き彫りになったと私は思っております。

 したがって、この疑惑の解明は、これはもちろんのことでございますが、こういった日歯連事件の教訓を踏まえた法改正でなければならない、そういった踏まえた上での法改正の実現こそが今私は求められていると思うわけでございます。

 今回の事件において、先ほどからずっと各委員お話しございますように、最も大きな、重要な課題の一つは、私はやはり迂回献金の問題ではないかと思うんですね。以前の自民党総務局長だった鈴木宗男氏は、迂回というより指定献金と呼ぶべきだ、こういった発言をして、自民党の政治資金団体を通じた迂回献金の存在を認めている発言をしておるんですね。にもかかわらず、与党案ではこの迂回献金についての規制は設けられておりません、先ほどからるる、なぜか、こうだという説明をしておりますが。

 小泉さんも、調査の結果迂回献金はないと、きょうも提案者はそういう御答弁をされておりました。しかし、そんなことを国民はだれも信じておりませんよ。先ほど説明があったように、あれだけはっきりと証言した中でそういった実態が裁判所では明らかになっている。それを、党内ではそういったことがないと言っても、国民はそれは信用しません。

 そうなると、結局、与党がこういったみずからの政党が起こした不祥事について何ら反省の姿が見えないというふうに受け取られますよ、これは。やはり、野党案より厳しい法案を出してしかるべきであるところを、迂回献金はないと言い張ってこれを禁止しようとしない。それは、さまざまな理由が先ほどから言われております。しかし、そんな理由は私はクリアできると思います、本気でやる気であるならば。

 もう答弁は同じ答弁しかいただけないと思いますので、まず、迂回献金を禁止しなかったのは、いろいろな理由を説明されておりましたが、私はやはり、法律で、迂回献金がなかったと言うのならば、余計今からつくっておくべきであると。何ら不都合はないじゃないですか、ないんなら。

 しかも、あなたたち提案者はないと言っている、しかし、鈴木さんのように、あるいは裁判所ではあるというような実態が見えてきている。であるならば、これからそういうことが起きる可能性がある。規制というのは、先ほど言いましたように、不祥事が起きたのを二度と再発しないためにつくる規制と、これから起こる可能性があるところにあらかじめ規制をつくっておこう、二つあると思うんです。この迂回献金は、あなたたちがないと言うなら、これから起こる可能性もあるということを踏まえてつくるべきだ、このように思うんですが、いかがですか。

佐田議員 先生に繰り返しになるようなことを申し上げて恐縮なんですけれども、要するに、この迂回献金の定義、民主党さんは政党並びに政治資金団体を迂回してやるというふうな定義をされているようでありますけれども、迂回献金の場合は、その名前どおり、例えばだれだれさんということで、政治団体から政治団体、それを介してまた特定な方にやるというのも迂回献金になろうかと思います。

 そういうことを考えたときに、例えば今回の日歯連の問題、そして、または山梨県の教職員組合の問題、こういうことも踏まえて、やはり少しでも疑惑があるのであるならば、透明度を増していくという考えは確かだと思います。

 繰り返しになりますけれども、我々もそれなりに調査をさせていただきまして、迂回献金の定義というものはありませんけれども、我々なりの調査そして定義を考えながら、迂回献金はなかった、こういうふうに結論をさせていただいておるわけでありまして、しかしながら、それでも疑惑を抱かれないように、例えば、今回の法律にありますような、政治資金団体に対するお金の出し入れについては銀行振り込みによってしっかりとガラス張りにしていく、こういうふうにさせていただいた次第であります。

横光議員 迂回献金を、立法技術上困難だとか立証が不可能だとかいろいろな理由を述べておられますが、やはりここは、法律でしっかりと迂回献金を禁じて違法行為であることを明確にすれば、違反者に対して捜査当局の摘発が可能になるわけで、非常に抑制効果が上がる、このように私は思っておりますので、これからこういった迂回献金が実際に起きたときに、ああ、あのときつくっておけばということにならないように、ぜひとも慎重にこの委員会で審議していただきたいと私は思っております。

 また、これまた同じ質問でございますが、与党案によれば、例えば今回の日歯連盟は、旧橋本派のような派閥、政治団体ですね、ここには五千万円までしか献金できなくなることが強調されております。随分低くしたんだということを言っております。一見、確かに前進のように見えますが、実態はどうですか。ほとんどこれは、一億を五千万に下げたからといって何の実効性もないんじゃないですか。

 二〇〇三年の政治資金収支報告書、この中央分と地方分、これに基づいて、業界団体系などの政治団体から現職国会議員の資金管理団体と政党支部への献金の実態では、これはもうマスコミが全部調べたんです。それでは、与党案の規制対象となる献金、つまり五千万円以上の献金というのはたったの二件なんですよ、膨大な献金がある中で。それを、ハードルをちょっと下げただけで何の意味があるんですか。しかも、みずから起こした不祥事でしょう。それで、野党は三千万に下げているわけですよ。それさえも高いわけでしょう。せめて野党と同じ、あるいは野党より低くするというのが、国民から見ると普通の姿なんです、与党提案者の法案としては。

 では、公明党の提案者にお聞きしたいんですが、先ほどの迂回献金の件、自民党さんが調査した結果、なかったということを本当に信じておられるのか。それとも、裁判の状況とかいろいろな状況を見て、どちらを感じておられるのか。本当に迂回献金の必要性をないと思っているのか。あるのならば、なぜもっと与党内で法案をつくるときに強力に推し進めなかったのか。以前の公明党はそういう政党だったと私は思うんですね。このことが一つ。それから五千万にしたということ、何で実効性のないような五千万円にしたのか。この二つについて公明党の意見をお聞かせください。

山名議員 迂回献金の問題につきましては、与党協議の中で私どもも、やはりこういった疑いがある以上、今回の改正の中できちっとしたことをうたう必要があるんじゃないか、こういうスタンスで臨んで、いろいろ議論をしてまいりました。

 先ほどのお話のとおり、日歯問題等でそういうことを調査したことをどうのこうの云々、これについては私ども知り得ない立場でございますから、それ以上に、余りにも一億円という金額が国民にとって巨額のものであり、やはりここにおのずと規制は必要であろうと、こういうふうには考えながら、まずその透明度を高める、こういうことも今回の中身にしたわけでございます。

 先ほどからずっと迂回の話が出ていますように、我々も主張してまいりましたが、また専門家の御意見も伺ってまいりましたが、やはりなかなか、先ほどのお話のとおり、構成要件が明確でないものを法律でうたうこと自体がいかがなものかと。これは、ただ、そういうことによってこれをもう終わりにするということではなくて、引き続きやはり協議をしていきましょうよ、こういうことでとりあえずまとまったといいますか、合意のできたものについて今回の改正案の提出となった次第であります。

横光議員 私は、この問題が国民の政治の信頼を取り戻せるかどうか、あるいは、政治浄化ということで非常に大きな課題にこれからもなると思いますので、引き続き、ぜひともこの問題は腰を引くことのないように対応していただきたいと思うんですね。

 堀込先生が残していったこの新聞がありましたので、これをちょっとお尋ねします。

 私はこんなにでかく載っているとは知らなかったんですけれども、こんなことがやはり政治資金収支報告書のある意味では不備の面ですよね。こんなことが起きて、しかも、先ほどの総務省の話を聞いていると、何ですか、形式審査をしておると言うんですが、結局個別のことには答えられないということですけれども、仮に、では一般論で、こういうように例えば一億という使途不明金というものがはっきりしない中では、この収支報告書は最終的には受け取らないんですね。

久保政府参考人 これは先生御承知のとおりのことになりますけれども、政治資金規正法の第三十一条というのが私どもに与えられております根拠条文でございまして、報告書等に形式上の不備があり、または記載すべき事項の記載、これが不十分であるというときには、説明を求め、そしてまたは訂正を命ずることができるという規定がございます。

 私ども、一般論でございますけれども、政治団体に十分な説明を求めた上で、なお形式上の不備または記載事項の不備があって、どのように訂正をすれば正確性が回復されるのかといった事実関係が客観的に明らかになっているような場合、このときには訂正を命ずることができると考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、収支報告書の形式審査、これを尽くしまして形式上の不備をなくし、記載すべき事項の記載が十分となりますように努力をしてまいりたいと思っております。

横光議員 これは報道ですけれども、総務省の方も、使途不明金がはっきりしない、「いいかげんな報告を受け取り、官報で公表することはできない」と大体同じようなことを言っておるんですが、これは、形式審査というのが、先ほど言われているように、立入検査等いろいろの強い力が発揮できない、ただただ形式審査ということでは、私は、こういった問題は最終的には解明できないといいますか、いつまでたっても同じことが繰り返されるんじゃないか。やはり収支報告書ですから、使途がわからない、報道ではこれだけの巨額の金がありながら、総務省がこれに対応できない。恐らく形式審査でいくだけでしょう。

 私は、そういうことを考えますと、やはりこれは、政治活動の介入を防ぐには、なかなか行政が介入できないと思う。防ぐには、やはりこういった問題が発生した場合は、独立した第三者機関が審査していかなければこういった問題は解決できないんじゃないか、こういったことを感じた次第でございます。

 いずれにいたしましても、今回の与党案、私は、ただただ国民に改正しましたよというお墨つきを与えただけに終わるんじゃないか、国民はこのことによって政治への信頼を回復するというところまでいかないんじゃないか、そういった危惧を感じているということを申し上げまして、質問を終わります。

 きょうは、重ねて、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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