衆議院

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第5号 平成18年6月9日(金曜日)

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平成十八年六月九日(金曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 恒夫君

   理事 井上 喜一君 理事 遠藤 武彦君

   理事 鈴木 淳司君 理事 棚橋 泰文君

   理事 鳩山 邦夫君 理事 笹木 竜三君

   理事 寺田  学君 理事 佐藤 茂樹君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      小里 泰弘君    近江屋信広君

      大塚  拓君    木原  稔君

      倉田 雅年君    近藤三津枝君

      田中 和徳君    平  将明君

      谷畑  孝君    西村 明宏君

      萩原 誠司君    福田 峰之君

      船田  元君    松本 文明君

      水野 賢一君    望月 義夫君

      安井潤一郎君    山本 幸三君

      山本 有二君    小川 淳也君

      大串 博志君    近藤 洋介君

      高山 智司君    伴野  豊君

      細川 律夫君    牧  義夫君

      三日月大造君    井上 義久君

      上田  勇君    佐々木憲昭君

      菅野 哲雄君    滝   実君

    …………………………………

   議員           岩屋  毅君

   議員           大野 功統君

   議員           鳩山 邦夫君

   議員           佐藤 茂樹君

   議員           田端 正広君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田 康敬君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 深田 博史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           江嵜 正邦君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     平  将明君

  近江屋信広君     近藤三津枝君

  古賀  誠君     山本 幸三君

  藤野真紀子君     安井潤一郎君

  高山 智司君     小川 淳也君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     近江屋信広君

  平  将明君     稲田 朋美君

  安井潤一郎君     藤野真紀子君

  山本 幸三君     古賀  誠君

  小川 淳也君     高山 智司君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

六月八日

 公職選挙法の一部を改正する法律案(鳩山邦夫君外四名提出、衆法第三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(鳩山邦夫君外四名提出、衆法第三三号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 鳩山邦夫君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。鳩山邦夫君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山(邦)議員 ただいま議題となりました自由民主党並びに公明党共同提案の公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概略を御説明申し上げます。

 もとより、選挙権は、国民主権を宣言する日本国憲法において、国民の最も重要な基本的権利の一つであることは言うまでもありません。今国会では、在外投票制度の対象選挙を衆議院小選挙区選挙及び参議院選挙区選挙の在外投票を可能とする公職選挙法の改正を行ったことは各位御高承のとおりであります。

 我々は、選挙権が国民にとって重要な参政権の一つであることから、でき得る限り国民すべてが実際に選挙権を行使できる環境を整備する必要があると考えております。

 また、今日、国際化が進み、国外に出国する邦人が、平成十六年は一千六百八十万人を超え、年々増加しています。現在の法体系の中では、国外出張、海外旅行などで一時的に国外に滞在する邦人が国外において投票する方法がなく、選挙権を行使するには一時帰国して投票するしかございません。

 我々は、これら邦人が将来、選挙権を行使できるよう制度を整備することが望ましいと考えております。しかしながら、今直ちにすべての人に選挙権を行使させることは、選挙の公正の確保や、国外における不在者投票の現実的な実行可能性を考慮すると、現状では極めて困難であると判断しておりますが、将来のことは将来のこととしてまた検討していかなければならないと考えております。

 我々両党は、このような共通の認識のもと、真摯に協議を積み重ねた結果、今回、国外における不在者投票制度の創設等の提案に至ったことをまず申し上げる次第です。

 さて、現行の公職選挙法におきましては、国内に住所を有し、一時的に国外に滞在する有権者が選挙の投票を国外で行う方法は、船員が船舶内で行う不在者投票以外にございません。このため、こうした一時的な国外滞在者のほとんどは、事実上、選挙権を行使する機会が非常に限られたものとなっております。

 その中でも、法律の規定に基づき、国の任務を担い、国の命令を受けて国外に派遣される者につきましては、一方で日本国憲法及びこれを受けた公職選挙法の規定により選挙権の行使を保障されておきながら、他方で派遣を定めた別の法律をもってその行使の機会が事実上奪われるという状況が生じております。

 そこで、こうした状況を改善すべく、国外において公正、適正な選挙の実施が確保されることを前提に、これらの者の選挙権行使の機会を回復する措置を講ずる必要があります。

 また、南極地域観測隊の問題もございます。南極の厳しい自然環境のもとでは他の地域への移動もままならないため、南極地域においては投票用紙の送致を伴う通常の不在者投票の実施は事実上不可能でございます。

 南極地域観測隊は、昭和三十一年以来、四十七次にわたり南極地域に派遣され、大きな学術上の成果を上げてきたものでありますが、その一方で、その隊員の選挙権の行使の機会は閉ざされ続けてきました。

 そこで、こうした南極地域観測隊員につきましても、その選挙権行使の機会を確保するための措置を講ずる必要があります。

 以上が、この法律案を提出した理由であります。

 次に、この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。

 第一に、国外における不在者投票制度の創設であります。

 まず、法律の規定に基づき国外に派遣される組織のうち、その長が当該組織の運営について管理または調整を行うための法令に基づく権限を有すること、当該組織が国外の特定の施設または区域に滞在していることという二つの要件を満たす組織であって、当該組織において不在者投票が適正に実施されると認められるものとして政令で定めるものを特定国外派遣組織と定義しております。

 そして、この特定国外派遣組織に属する選挙人で国外に滞在するもののうち職務等のため選挙の当日投票することができないと見込まれるものの投票については、政令で定めるところにより、不在者投票の方法により行わせることができるものといたしております。

 なお、今回の国外における邦人の不在者投票は、国政選挙だけではなく地方選挙についても対象といたしております。

 第二に、南極地域観測隊の隊員等のファクシミリ装置による投票についてであります。

 南極地域観測隊の隊員等で、南極地域にある科学的調査の業務の用に供される施設または本邦とその施設との間において南極地域観測隊を輸送する船舶に滞在するもののうち職務等のため選挙の当日投票することができないと見込まれるものの衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙における投票については、政令で定めるところにより、ファクシミリ装置を用いて送信する方法により行わせることができるものといたしております。

 第三に、施行期日でありますが、第一の国外における不在者投票制度の創設につきましては、公布の日から起算して九カ月を超えない範囲内において政令で定める日から、第二の南極地域観測隊の隊員等のファクシミリ装置による投票につきましては、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から、それぞれ施行するものといたしております。

 以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容の概略であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官和田康敬君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、外務省大臣官房参事官深田博史君及び経済産業省大臣官房審議官江嵜正邦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 自由民主党の鈴木淳司でございます。

 質問に入ります前に、冒頭まず、昨日五十歳の若さで惜しくも早世をされました西田猛議員に対し、哀悼の意を表しますとともに、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 さて、今通常国会もいよいよ会期末を迎えようとしております。慌ただしい日程の中ではありますが、残された時間、しっかりと議論を進めたいと思います。

 さて、今、イラク・サマワの地は、灼熱の中、気温は摂氏五十度ぐらいあるのでしょうか。そんな中、サマワに派遣されている自衛隊の隊員を初めとする皆さんが、国の命を受けて海外に派遣をされ、過酷な環境下で懸命にその職務を遂行いただいておるわけでありますが、その任務に従事するがゆえに国民の基本的な権利でもあります選挙への参加ができない、すなわち選挙権の行使ができずに棄権せざるを得ないといった状況をいかに打開するかという問題に対し、制度上大変に難しい問題がある中、自民、公明両党での真剣な協議を経て、今回、議員立法の形で公職選挙法改正案が出されましたことに対し、まずもって提出者の皆様方の御労苦に心から敬意を表したいと思います。

 それではこれより、今公職選挙法改正案に対し、提出者並びに政府に対し、基本的事項の確認の意味でお尋ねをしてまいります。

 まず、今回の改正に至る議論の発端と経緯についてお尋ねをいたします。

 今回の公職選挙法一部改正案に盛られた、法律の規定に基づき、国の任務を担い、国の命令を受けて国外に派遣される者のような対象の方々の投票権の有無が大きく取り上げられましたのは、恐らく平成十五年の衆議院議員選挙における、国連平和維持活動、いわゆるPKOにて東ティモールに派遣された陸自隊員の例が最初ではないかと思うわけであります。

 また、その後のイラクにおける人道復興支援活動に従事する隊員等、その部隊の所在する県の知事選やあるいは参議院選挙の際の投票権の有無が大きな問題とされるに至ったと承知するわけでありますが、今回の法改正に至る一連の議論の経緯を改めてお尋ねしたいと思います。

久保政府参考人 現行法上、一時的に国外に滞在する選挙人が投票を国外で行うという方法につきましては、船員である選挙人が船舶内で行う不在者投票しかございません。

 このために、御指摘にございましたように、現在、イラク特措法に基づいてイラクあるいはクウェートに派遣されている陸上自衛隊員及び航空自衛隊員、またPKO協力法に基づいて各国に派遣されております国際平和協力隊員などの方々は、現地で投票することができないということになっております。

 このため、特に、一昨年、平成十六年の参議院議員通常選挙でありますとか、あるいは昨年の衆議院議員総選挙、また、山形県知事選挙や兵庫県知事選挙の際に、これらの方々が選挙権を行使できないということが問題ではないのかといった形で取り上げられまして、国会でも御質疑がございましたし、また報道でも大きく取り上げられたという経緯がございます。

 一時的な国外滞在者の国外での投票制度を設けることにつきましては、日本国の主権の及ばない場所での投票でございますし、また、どのような方を対象にするのか、あるいはどのような方法で投票を認めていったらいいのかといった解決しなければならない課題が多々ございまして、私ども関係省庁とも議論を重ねてまいりましたが、なかなか結論に至らないといった状況がございました。

 そこで、このたび与党におきまして、選挙の公正かつ適正な実施の要請との調和を図りながら検討がなされた結果、今回、議員立法という形で法案が提出されるに至ったものと承知しております。

鈴木(淳)委員 今回は、今御説明があった経緯で改正案が提出されるに至ったわけでありますけれども、これまで国会審議においても、またそのほかさまざまな機会において、商社や大企業、公務員の皆さん等、出張などでその職務上一時的に海外に滞在する場合などの、一時的な国外滞在者の投票権の問題というものがたびたび指摘をされてまいりました。

 しかしながら、問題の所在を知りながら、政府として本格的に対応してこなかった、というよりは対応し得なかった、できなかった理由とは一体何か。今一部御答弁がありましたけれども、一時的国外滞在者への投票権の付与にこれまで道が開けなかった理由について、改めて担当者の御答弁をいただきたいと思います。

久保政府参考人 先ほどの答弁と重複をしようかと思いますけれども、一時的な国外滞在者の方々が国外でどういった形で投票を行うことになるのかということにつきまして、私ども議論をしてまいりました。我が国の主権の及ばない場所での投票になってくる。それから、まず対象者でございますね、どこで区分ができるのか、限定できるのか、できないのか。

 また、これは具体の投票方法とも結びついてまいります。極端なケースでいいますと、在外選挙のように在外公館で投票するようにすればいいじゃないか。こうなりますと、在外投票の場合も有権者八万人で、これも外務省の負担がなかなか大変だということですけれども、一時的な滞在者になりますと何百万という単位にもなってくるということもございます。

 また、郵便投票、これは在外投票の場合には選択制で郵便投票も可能だ。極めてこの在外投票というのは配慮しなければいけない要素がありますのでそういう形になっておりますけれども、郵便投票を導入するとなりますと、投票立会人もおりませんし、国内の場合でありますと寝たきりの老人の方とか重度身体障害者とか限られた方にしかやはり今認めていない、これとの関係をどう考えるのかといったようなことで私ども頭を悩ましてはいるんですけれども、なかなかこういう形でといったところまで実はいかなかったということでございます。

 このたび、与党の案では、法律の規定に基づいて国外に派遣される一定の組織に属する選挙人に限定をして、そして国外での不在者投票制度を創設するといった形で改正案が取りまとめられたものでございまして、私ども、この審議の推移を見守ってまいりたいと考えております。

鈴木(淳)委員 さて、今回、国外における不在者投票制度という形で、在外の国際貢献活動等に従事されている皆さんに選挙権の行使の機会を与えようという本改正案でありますが、特定国外派遣組織という定義で国外不在者投票に道を開くことになります。

 その特定国外派遣組織を政令で定めるのでありまして、法律の規定に基づき派遣される組織のうち、その長が「当該組織の運営について管理又は調整を行うための法令に基づく権限を有すること。」「当該組織が国外の特定の施設又は区域に滞在していること。」の二つの要件を満たす組織であって、当該組織において不在者投票が適正に実施されると認められるものとして政令で定めるものを特定国外派遣組織と定義し、その組織に属する選挙人で国外に滞在する者のうち、勤務等のために選挙の当日投票できないものと見込まれる者の投票を不在者投票の方法により行わせることとしたわけでありますが、その政令で定めるところの特定国外派遣組織には果たしてどのような組織が具体的に今想定されているのかについてお尋ねをいたします。

佐藤(茂)議員 今御質問のございました特定国外派遣組織として想定しておりますのは、現状では、五つの法律に基づいて国外に出ている組織を想定しております。

 具体的に申し上げますと、まず一番目は、PKO協力法に基づき派遣されております自衛隊、選挙監視要員に係る組織、また文民警察要員に係る組織、こういうものが一つでございます。二番目の大きな組織としては、テロ特措法に基づき派遣されている自衛隊でございます。三番目が、現在イラク特措法に基づいて派遣されている自衛隊でございます。四番目に、今ジャワ中部地震でも出ておりますけれども、国際緊急援助隊法に基づき派遣される救助チーム、医療チーム、専門家チーム、そして自衛隊、こういうグループが四つ目でございます。五つ目が、防衛庁設置法に基づいて国外訓練のために派遣される自衛隊、こういう組織を現状では想定しております。

 なお、これらの組織は、今回の改正法に定める要件に一般的に該当する組織というように見込んでおりますけれども、これらの組織であっても、その組織形態は個々の派遣ごとに異なりますことから、政令では、これらの法律の規定に基づき国外に派遣された組織のうち、総務大臣と関係大臣、その派遣する所管大臣が協議して定めるものという規定ぶりになっております。

 以上でございます。

鈴木(淳)委員 今五つの法律に基づく派遣組織というお話がありましたが、仮に現時点で総選挙あるいは自治体選挙等がありましたら、果たしてどのぐらいの人数の方に不在者投票の権利が与えられると想定されるのか、お尋ねいたします。

久保政府参考人 ただいま提案者の方から想定される法律はこうだというお話がございましたけれども、それを前提として、現在どうなっているのかということを申し上げますと、合計で約一千四百名の方が国外におられます。

 まず、イラク特措法に基づきましてイラク・サマワに派遣中の陸上自衛隊約六百名。それから、イラク特措法に基づいてクウェートに派遣中の航空自衛隊約二百名。PKO協力法に基づいてゴラン高原に派遣中の陸上自衛隊の隊員、司令部要員二名を含みまして四十五名。それから、国際緊急援助隊派遣法に基づきましてインドネシアに派遣中の国際緊急援助隊の医療チームが十二名。同じく自衛隊の医療援助隊約百五十名。それから、グアムにおけます日米共同訓練へ派遣中の航空部隊の隊員が約二百五十名。そして、平成十八年度米国派遣訓練に派遣中の海上自衛隊の航空部隊の隊員が約百八十名といった内訳になっているものと承知しております。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 先ほど提出者の方からも一部御答弁がありましたけれども、具体の組織を定めるに当たっては、その決定に際し大変難しい問題が存在すると思われます。

 すなわち、国外に派遣をされている組織は多様でありまして、派遣時期が短期だったり、あるいはその人員が極めて少ないといった場合には、そもそも選挙の公正な管理執行上、難しい問題があるのではないか等々の課題があると思われますけれども、それらについての考え方、整理の仕方はどうでしょうか。

大野(功)議員 今鈴木先生がおっしゃった点が、まさに我々が議員立法で提案した大きな大きな理由でございます。

 これはどこかで仕切りをつけなきゃいけない。では、一体、何人ならいいんでしょうか、どのぐらいの派遣期間ならいいんでしょうか、それをどうやってコントロールするんでしょうか、こういう問題が山積しております。しかしながら、我々としては、法律によって参政権を奪ってしまっているわけです。だから、それを回復してあげるのは当然じゃないか、これをやるのが政治的責任じゃないか、こういう思いで、今回、仕切りをつけさせていただいております。

 まず、期間でございますけれども、期間につきましては、衆議院、参議院、知事選挙、地方選挙、もうばらばら、ばらばらと言っちゃ悪いんですけれども、長短がございます。一番長い参議院ですと十七日、町村の首長あるいは議員ですと五日、こういうことでございます。

 そこで、どのぐらいの期間だったらいいんだろうか。なるべく大勢の方々に不在者投票権の行使をしてもらいたいという要請の一方、もう一つは実現可能性の問題があります。そこで、我々は、期間につきましては一週間以上、こういうようなめどで考えております。

 それから、人数の方は、選挙をやるとしますと、御存じのとおり、まず選挙管理人が要ります。それから立会人が要ります。事務をとる者が二人要る。最低四人要るんじゃないか。そういうことを考えますと、やはり十人以上ということで考えさせていただきたい、こういうことであります。

 政令でこういう法律に基づいて派遣される人というのは決まっておりますけれども、具体的にどうやって決めるのかという問題につきましては、派遣が決まったら、要するに、例えば自衛隊が派遣されることになれば、防衛庁と総務省、防衛庁長官と総務大臣が協議して決める、こういう形になっております。

 以上です。

鈴木(淳)委員 難しい課題があろうと思いますが、できる限り多くの方々が救済できるように、ぜひ御検討もしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと質問の順序を変えます。せっかく御答弁がありましたので、関連する部分を先に質問します。

 先ほど、選挙の期間についてもお話がありました。

 今回、国外における不在者投票については国政選挙のみならず地方選挙にまで対象を広げたわけでありますけれども、特に、市町の議員や首長といった極めて短期間の選挙の場合に確実に対応できるのかという問題があると思います。とりわけ町村におきましては、そもそも選挙期間が五日間というふうに大変短いわけでありますけれども、対応は可能でありましょうか。

大野(功)議員 大変的を得た質問でございますけれども、これは関係者に鋭意頑張ってもらって、やっていかなきゃいけない事項ではあります。

 しかし、選挙期間の短い、先ほど五日ということを申し上げましたけれども、そういう場合でも、日本の近くに特定組織が存在している場合と遠くにいる場合、それから投票用紙を運ぶ手段、いろいろな要素があって、一概に地方選挙で短いから排除する、こういう考え方はとれないと思います。

 実行可能なことは実行を目指してやる。実行できないと思われたら、例えば、投票の締め切り時間、投票日の八時以降に届いたら無効になってしまいますから、こういうことは十分検討するとしても、実行可能なことはできる限り救済していこう、こういう気持ちで我々はこの法案をつくったわけでございます。

鈴木(淳)委員 今回の対象と想定されるところの、法律に基づき派遣される組織以外の組織については考慮の対象としなくていいのか。もちろん、冒頭、趣旨説明の中でありましたけれども、できる限り道を開いていきたいけれども、当面、直ちには難しいというお話もありました。それについて、これから考慮の対象としていくのか。

 また、今回の改正を機に、この先恐らく、他の組織や海外出張の商社マンや公務員等も、さらには海外旅行者までも含めた一般的な不在者投票を要求する声が高まるものと思われますけれども、これらへの対応はいかに考えておられるでしょうか。

岩屋議員 委員御指摘のように、できるだけ多数の方に投票権の行使の機会を保障したい、これが私どもの立法の心でございまして、さまざまな可能性を私どもも検討したわけでございますが、一方で、選挙が公正かつ適正に実施できなければならないということでございますので、おのずから制約が出てくるわけでございます。

 適正な執行ということになりますと、まず、選挙人の範囲が確定できること、それから、本人の確認ができること、さらに、その組織の長が管理者として適切な執行ができること等が条件になるわけでございまして、そうなりますと現段階ではこの法案に言います特定国外派遣組織以外のものは想定しにくいというのが現状でございます。

 しかし、委員がおっしゃいましたように、今回の改正を契機に、一般的に不在者投票を求める声が高まってくるということを私どもも想定しておりますので、特定国外派遣組織において実施される不在者投票の実施状況を見守った上で、慎重かつ前向きに検討していきたいと考えております。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 それでは、国外不在者投票制度について、その投票が適正に実施されるための要件について、以下、具体的に確認をしてみたいと思います。

 その長が当該組織の運営について管理または調整を行うための法令に基づく権限を有すること、当該組織が国外の特定の施設または区域に滞在していることというのは、それぞれいかなる権限であり、またいかなる意味でありましょうか。

田端議員 お答えいたします。

 特定国外派遣組織については二つの要件がございまして、御指摘のように、まず第一の、「当該組織の長が当該組織の運営について管理又は調整を行うための法令に基づく権限を有すること。」ということは、例えば、イラク特別措置法に基づいて国外に派遣されている自衛隊の隊員等について言えば、自衛隊法第十四条等に基づいて当該部隊の長が当該部隊の隊務を統括しているということを指しているわけであります。

 また、国際緊急援助隊の派遣に関する法律に基づいて派遣されている国際緊急派遣隊員について言えば、同法第六条の規定に基づいて外務大臣が有する国際緊急援助隊の活動調整権限であり、それがその団長に委任されているということでございます。

 この要件は、組織の長が投票管理者として職務を行うに当たって、その者が当該組織の運営について有している管理、調整権限を背景とする必要があることから設けられた規定でございます。例えば、現在、指定施設、病院等で不在者投票が行われている制度についても、当該施設の管理者、つまり病院長が有する施設管理の権限を背景にして不在者投票管理者の職務を適切に行っているということと仕組み的には同じ考え方であるということであります。

 また、「当該組織が国外の特定の施設又は区域に滞在していること。」ということは、この組織の構成員が滞在している場所が一定の地理的範囲内に含まれていることを意味しています。この要件は、国外における不在者投票の事務の円滑、適正、そして実行可能性という観点から設けられたものであります。

 この特定の区域の範囲については、個別組織の指定に際して、当該組織の任務、当該組織の規模、当該派遣地域の交通事情その他の状況を総合的に勘案して、当該組織において円滑に不在者投票事務が執行できるかどうか、そういう範囲であるかどうかという観点から判断されるものと考えております。

 あちこちに散らばっていてはそういうことはなかなか難しいということであり、これら二つの要件を満たすことによって国外での不在者投票が可能になるという制度であるということでございます。

鈴木(淳)委員 今の二つ目の「特定の施設又は区域に滞在していること。」について少しお尋ねをしてみたいと思います。

 当該組織の活動形態、今お触れになりましたPKO並びに国際緊急援助活動等のように広く広域に展開をして、いわばイラクのサマワのような宿営地での一体的な活動以外の形態というものも多かろうと思うわけでありますけれども、それについては特定の施設または区域の滞在とみなし得るものかどうか、また、隊長がいわゆる不在者投票管理者となってその全容を把握し得るものというふうに考えていいのかどうかについてお尋ねいたします。

佐藤(茂)議員 今田端議員からも基本的なことは御答弁いたしましたけれども、具体的には実際に派遣されるPKOの協力隊あるいは国際緊急援助隊の実態に応じて判断をすることとなると思うんですけれども、そのとき考えるものといたしましては、当該組織の任務、規模、派遣地域の交通事情その他の状況を総合的に勘案して、当該組織において円滑に不在者投票が執行できる範囲であれば特定の施設または区域に滞在していると言えるというように私どもは考えております。また、組織がこうした意味での特定の施設・区域に滞在していれば、当該組織の長が法令に基づく組織の管理、調整権限を有している場合は、当該組織の長は不在者投票管理者としてその全容を把握できるものと考えております。

 その上で、例えば今国際緊急援助隊がジャワ中部に行っておりますけれども、大小さまざまな組織がある一定の地域に偏在しているわけですね。大きな組織でいえば自衛隊もいれば救助チームもいる。しかし、そこまでの大きな組織じゃないけれども、少人数で専門家チームがいる。そういう場合にも、専門家チームは、同じところで同じ法律に基づいて、国際緊急援助隊法に基づいて出ているのであれば、大きな組織に属している一員とみなして不在者投票が可能になるようにしようというのが私どもの法案の立法の趣旨でございます。

 以上でございます。

鈴木(淳)委員 先ほども申し上げましたけれども、できる限り多くの方々がこれで救済できるように、ぜひそんな配慮が必要かというふうに思います。

 さて、今回可能となる国外不在者投票でありますけれども、例えば自衛隊の宿営地内での投票のように、ある面で閉鎖的、特殊な環境下における不在者投票であるというふうに思われます。その閉鎖的、特殊な環境下、状況下での不在者投票にあって、選挙の公正な管理、執行体制というものをいかに構築するのか、これについてはどのような配慮がなされるのかについてお尋ねをいたします。

久保政府参考人 今回提案されております法律案におきましては、公正あるいは適正な不在者投票を国外で担保するといったことで、幾つか法律上明確にその点について触れられていると思います。

 まず、対象の選挙人は、法律の規定に基づいて国外に派遣される組織のうち、その長が当該組織の運営について管理または調整を行うための法令に基づく権限を有すること、そして当該組織が国外の特定の施設または区域に滞在しているという要件を満たすことによりまして、具体的には、国内でいいますと病院とか特別養護老人ホーム、あるいは船舶とかいったような施設での不在者投票に類似の形での不在者投票といいますか、これを私どもも、この法律案が成立いたしましたら、立法趣旨あるいはこの場で御議論をいただいた点を踏まえまして、手続について具体的に政省令で規定をしていきたいというふうに考えております。また、関係省庁等とも連携をしながら、公正、適正な不在者投票の実施に向けて、管理、執行上の留意点などにつきまして関係者についての周知あるいは研修といったことにも努めてまいりたいと考えております。

鈴木(淳)委員 最後に、南極地域観測隊の隊員等のファクシミリ装置による投票について簡単にお尋ねいたします。

 今回の法案の中で、少し省略をしますが、当該地域に同行する選挙人で当該組織の長の管理下で南極地域における活動を行う者とは具体的にどのような活動、業務を行う方のことでありましょうか。また、従前、船員に関してはその業務の特殊性から不在者投票あるいはファクシミリ投票というものがあったわけでありますけれども、南極観測船の乗組員の取り扱いというものはこれまでどうだったでしょうか。また、今回の改正において観測船の乗組員が南極観測隊員と一体とみなされるものかどうかについてお尋ねいたします。

佐藤(茂)議員 今鈴木委員お尋ねの、当該組織に同行する選挙人で当該組織の長の管理下で南極地域における活動を行う者というのは、南極地域観測隊そのものではないんですけれども、報道関係者または大学院生、また環境省の役人の方、こういう方々が隊員とともに南極地域における活動を行うために同行されているわけでございます。これらの者は隊員ではございませんけれども、その活動計画を隊に提出し、南極地域においては隊長の指示に従い、昭和基地等において隊員と起居をともにするなど隊員とほぼ同様の扱いを受けている者であるということから今回の対象に含めたわけでございます。

 もう一つの問題でございます、南極観測船の乗組員の従前の取り扱いはどうであったのか。

 実は、現在南極観測船「しらせ」は洋上投票が可能な指定船舶には指定されていないため、その乗組員はファクシミリ送信による洋上投票を行うことはできないわけでございます。今回の改正で「しらせ」の乗組員というのは南極地域観測隊員等には含まれませんけれども、「しらせ」についても、今回の法改正に合わせまして総務省令を改正して、洋上投票が可能な指定船舶に指定させる予定で今私どもは進めております。

鈴木(淳)委員 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 国家の命を受けて、国民を代表し、またその期待を担って過酷な環境の中で海外においてさまざまな活動をしていただいている方々に対し心からの敬意を表しつつ、その方々がなお一層誇りを持って職務に御精励いただける環境づくりに努めていくことが我々の責務であるということを改めて自覚し、また決意しつつ質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 今回は議員立法ということで公職選挙法の一部を改正することになったわけですけれども、今国会ではその前に在外投票制度の方も改正となっておりまして、私も、なかなか倫理選挙のことは随分複雑で、ちょっとごっちゃになっていたものですから、まず一回政府委員の方に整理をさせていただきたいんですけれども、今回の議員立法で出された法案というのは、参議院、衆議院に限らず、市町村の選挙、知事の選挙、そういったものもすべて投票できるということになるのでしょうか。

久保政府参考人 先般閣法で提出をいたしまして、小選挙区あるいは参議院の選挙区まで拡大をするといった中身で御議決をいただきました、成立させていただきましたのが在外選挙でございます。これは、国外に転出をしている、つまり住所を国内に有していない方々の選挙権の話でございまして、国政選挙は年齢満二十歳以上で日本国籍を有する者が選挙権者になっておりまして、住所要件というのはございません。したがいまして、国内に住所を有していなくてもこういった方々は国政選挙には当然参加できるはずでございまして、具体の投票の制度を整備していくというのがいわゆる在外選挙の話でございます。

 今回、今御議論をいただいておりますこの法案は、国内に住所を有しておって、したがって国内の選挙人名簿にも登録されているといった方々であるにもかかわらず実際の投票行使の手段がないといった方々でございます。国内の選挙人名簿にも登録をされておりますから、言うならば地方選挙の参政権、これは三カ月以上の住所要件というのが地方選挙の場合には選挙権の要件になっておりますけれども、これをもう満たしているという方々をどうしようかという問題であると承知をしております。

高山委員 今回は、自衛隊の派兵ですとか、そういった本当に実際上の問題が起きていて、これを解決せずそのまま放置してしまうのは本当に政治の無責任だなということで、本当に、立法をされた諸先生方は、御英断といいますか、きちんとされたんだなというふうに思うんです。

 これはちょっと議員の先生方に、今回の立法趣旨も踏まえてなんですけれども、選挙権というのはなるべくやはり行使されなければいけないということですけれども、これは地方選挙においても今後これは拡大された方が望ましいというような、今の閣法で出してきた在外投票制度ですけれども、地方の選挙においてもこれは拡大した方が望ましいというふうにお考えですか。それとも、やはり地方にもう住民票がないわけだから、これは難しい、そこまでの必要はないというふうに現時点で考えられておりますか。どうでしょうか。

鳩山(邦)議員 今おっしゃる件は今回公選法を改正した在外投票のことなんですけれども、在外投票という仕組みは、住民票を抜いて、そして海外に住所を有して三カ月ということになっていますけれども、いわゆる地方公共団体の住民から抜けているという考え方でございますから、これは今のところは国政選挙、転出前のところに投票権を認めるという考え方はとっておりません。

高山委員 あと、これもまた政府の方にちょっと確認で伺いたいんですけれども、今回の費用負担といいますか、在外投票する場合、これは外務省の方で費用を負担してもらえるのか、それとも総務省が負担するのか。それとも、例えば埼玉県の選挙であれば埼玉県がこれは費用負担をするのか。どこが費用負担をする問題なんでしょうか。

久保政府参考人 今回の法案は、先ほども御議論がありましたように、地方選挙についても対象といたしております。したがいまして、対象となる選挙によってこの経費負担は異なってくると思います。

 国政選挙が対象となっている選挙につきましては国が経費を負担する、私どもの方の予算、総務省の予算に計上するということになってまいりますし、対象の選挙が地方選挙の場合には各地方公共団体が負担をするというふうに考えております。

高山委員 今回のではなくて、この間成立した閣法の在外投票の方で伺いたいんですけれども、今までにも何回か行われていると思うんですけれども、これらの費用というのは外務省にお願いしていると思うんですけれども、これは外務省が負担しているんですか、それとも総務省が負担しているんですか。

久保政府参考人 外務省と私どもとそれぞれ関係の部分がございますから、それぞれ分けて、外務省分、そして、これは後ほどまた外務省の参考人からお話があろうかと思いますけれども、私どもの総務省所管分という形で、昨年九月の衆議院議員総選挙の在外投票関係では、在外投票郵送費、そして在外投票用物資の作成費といった形で一千五百万円の予算を計上しているということになっておりまして、また、外務省の方も別の予算があるということでございます。

深田政府参考人 外務省は在外部分で選挙を行うときのいろいろな協力をやっておるわけで、例えば公報とか、それから実際に投票所を大使館等で開設して、そこで投票した投票用紙を運ぶ、あるいは投票のときの警備員を雇う費用とかいったようなものを負担しておりまして、二年前の参議院選挙の例でいきますと約四億円ほど負担をしておるということ。これは、投票用紙を運ぶクーリエも含めた費用でございます。

高山委員 そうしますと、今回のこの議員立法で出されました方の法案ですけれども、例えば、当然知事選であるとか市長選が今後もあると思うんですね。そのときに、兵庫県で全部これは丸抱えになる話なのか、あるいは外務省も、今言っていただいたようなクーリエですか、何かそういうことで御協力いただけるのか。

 ちょっと外務省に特に伺いたいんですけれども、今回のこの議員立法で法案が成立した場合、そして、それで地方選挙が行われた場合に、外務省としては費用面も含めてどういう協力を考えているのか、お答えください。

深田政府参考人 先ほどもお話がありましたように、外務省は、在留邦人を対象といたしました在外選挙につきましては数々の協力を行っておるところでございますけれども、不在者投票につきましては、国内選挙制度の延長ということで検討されておるものでございますので、もちろん外務省として協力できるところがあれば協力する所存でございますけれども、基本的には費用も含めて関係省庁あるいは地方自治体によって必要な諸措置というものが担保されるもの、こういうように理解しております。

 外務省として例えば協力することがあるとすれば、国内の選挙の延長であっても国外でそういう選挙を実施するわけですから、そういうことを実施するに当たって、例えばその当該国の了解を得る必要があるならばそういうことも了解を得るといったような協力はやっていきたい、かように考えておるところでございます。

高山委員 後に提出者の方にもこの費用負担の問題の考え方だけ少し伺いますけれども、まずその前に総務省の方に伺いたいんですけれども、ファクスで投票する洋上投票というのは、このファクスの機械であるとか、いろいろなもろもろの投票用紙とか、これはだれが用意して、費用負担はどこが行っているんですか。

久保政府参考人 現在、洋上投票は、御指摘のように、これは指定港といいますか、五十幾つかの大きな港を持っている市町村の選挙管理委員会、ここからファクス用紙を積み込んでいって、その指定港がファクシミリ受信装置を持っておりまして、そこに対してファクシミリを送信するということになっておりまして、そうしたことに必要な経費、洋上投票の場合は国政選挙でございますから、基準法に基づいて必要な額を国の予算で措置している、そういうことになっております。

高山委員 そうしますと、外務省の先ほどの答弁ですと、いろいろ手伝いはするんだけれども、きっちりと、費用負担に関してはそういう地方自治体が持つべきなんだ、そういう意味なんでしょうか。ちょっと、もう一度確認させてください。

深田政府参考人 費用負担を含めて、実施に必要な措置につきましては、関係省庁あるいは地方自治体において担保されるというのが私どもの理解でございます。

高山委員 提出者の方に伺いたいんですけれども、今回、例えば国の命令というか日の丸を背負ってサマワの方に行かれる、それで、とある県の県知事選なりなんなりがあった。これは、我が県の誇りであって、みんな港まで行って万歳して出ていった、そういう人たちですから、当然これは選挙権をきちんと行使してもらった方がいいだろうとは思うんですね。

 今伺いますと、費用負担の問題はその県の問題だと。これは当然、地方自治の問題ですから、論理的には私はおかしくはないと思うんです。けれども、実際問題、例えば自衛隊であれば日の丸を背負って行くのに、たまたまこの県が、あるいはここの部隊が選ばれている話なわけですよね。しかも、今聞きましたら、この間の参議院選挙では外務省で四億円もかかっていると。総務省の方でいろいろな物資を用意するだけでも千五百万円かかっているということですから、そんなに安くない額だと思うんですけれども、要するに、単に自治体負担ということで本当にこれはいいのか。

 あるいは、自衛隊を例えば派遣するのであれば防衛庁との間で何らかの費用負担の話もすべきなのか、それとも、これは選挙一般のことだから総務省が考えるべきなのか。ちょっとその辺の基本的な考え方だけ、これは通告なしで大変恐縮なんですが、お願いできますでしょうか。

大野(功)議員 確かに、例えば自衛隊のサマワ派遣の例をとりますと、六百人ぐらいサマワにいる。しかし、例えば山形県の知事選、あるいは兵庫県の知事選、それぞれ三百五十人ぐらいだと思います。地方選挙の場合は、ばらばらになっていますので、六百人の構成員が何県にまたがっているか、こういう問題も出てくるわけでございます。現状でいいますとそういう問題点、それから、先ほども外務省の方からクーリエ等で協力する。実は自衛隊も、船舶投票という制度につきましては自衛隊の飛行機で投票用紙を運ぶとか回収するとか、そういうことには協力している面もございます。

 原則は、まさに先生おっしゃったとおり、あるいは担当の方から申し上げたとおり、やはり地方選挙は地方で持つんだ、中央選挙は中央で持つんだということではありますけれども、私は、今のような事情を考えまして、ここは今後きちっと意思統一をしてやっていかなきゃいけない、そのために協議をしていかなきゃいけない、このように思っています。

高山委員 ありがとうございます。

 やはりこれは理屈といいますか現行法の枠内だけで考えていったらなかなか難しかったので、議員立法という形を今回はとられたと思うんですね。

 ですけれども、地方自治体が今もう選挙が多くて本当に困っちゃうよというような状況に例えばなっているとすれば、やはりこれは、我々議員も含めて、選挙できちんと投票するというのは民主主義の基本ですから、だからその実施の面でも、ちょっと今後私は政府の方にもこれは注文をつけたいですし、あと、きょう提出者としてお越しの先生方にも私もちょっと働きかけていきたいと思います。

 サマワに行くのに人も出している、しかもお金もすごいかかってしまう、これはやはり日の丸を背負って行ってもらっている方に、あるいはその地域の人に対して何らかの手当てがあってしかるべきかなと私は思いますので、その辺はぜひ一緒に考えていければなと思っておりますが、提出者の方で何かあれば一言お願いします。

鳩山(邦)議員 おっしゃるとおりだと思います、先ほどから承っておりまして。

 それは、国の任務で出かけていく、そこにいろいろな地方選挙がある。やはりその点は、原則からいえば地方自治体が費用負担すべきだということになるでしょうが、しかし、国のために行っているわけですから、その辺を、とにかく国が責任を持つという考え方があってもいいなというふうに私は思います。

 また、地方選挙が今多過ぎるとおっしゃったわけですが、来年統一地方選挙があります。でも、これがまた、統一率がどんどん合併等で下がっていきまして、だから、この辺の再統一とか、一年分を統一するとか、そういう選挙の統一の問題も具体的に議論をしないとこの辺でも不便が起きるなと思っております。

高山委員 ありがとうございます。

 それでは、あとはちょっと細かい話ばかりなので政府に対しての質問が多くなると思うんですけれども。

 今回、住民票は日本にある方で海外へ派遣している人の選挙ということなんですけれども、これは選挙期間中になったときに実際我々もそういう方にも働きかけといいますか選挙活動をしなきゃいけないなと思うんですけれども、例えば、私たち衆議院の場合には公選はがきがあるんですけれども、私は埼玉なんですけれども、これを神奈川の何か知人だとかあるいは東京の人とかに、今頑張っているというのを見せようと思って出したりすることはできるんですか、今の普通の衆議院選挙で。

久保政府参考人 選挙法には二百五十五条の三というのがございまして、国外犯を定めていると。もともと原則としてはこれは国内法でございますので、国外で罰則をかけようと……(高山委員「そういうことじゃない、埼玉から神奈川にはがきをやっていいんですかということです」と呼ぶ)

 選挙運動には区域の定めはございませんので、恐らくその事例というのは、法定の選挙運動用のはがきであるとかいうものであれば構わないけれども、そうでない限りはやはり文書図画の規制に服するというふうに考えます。(高山委員「公選はがき出せないんですか」と呼ぶ)

鈴木委員長 高山君、再質問をしてください。(高山委員「国内の中での話。選挙区外へ出せないのか、公選法の絡みで」と呼ぶ)

久保政府参考人 国内の中での話でございますか。選挙運動というのは区域の定めはございませんから、可能ではないかと思いますけれども。

高山委員 では、そういった中で、例えば、私の選挙区内から今回みたいにサマワの方に行かれた方がいたときに、そういうところに、はがきは出せるんですか。もうそこにいないことはわかっているわけですから。どうなんですか。

久保政府参考人 先ほどの話のちょっと続きになってまいりますけれども、国外犯の規定がある場合には処罰の対象になるということがございまして、選挙運動の規制につきましても、例えば、国外でその行為がすべて完結していると公職選挙法の対象外であるということになりますけれども、具体の事実認定の話になってまいりますから、そのケースがどうだという話にも関係してまいりますのでなかなかお答えしづらいんですが、行為の一部が国内でなされているということになりますと公職選挙法の規制に服するということになってまいると思います。

高山委員 いや、処罰もいいんですけれども、私が伺いたいのは、私の選挙区から自衛隊の方が例えばサマワに行ったときに、そこに公選はがきですとかが出せるのか、あるいは証紙を張った法定ビラ、こういうものを配りに行くことは可能なんですか。

久保政府参考人 幾つかのケースをまとめておっしゃっておられますので、一つ一つ解きほぐして申し上げますと、文書図画の規制でございますね。これは国内でありますと、頒布の場合には選挙運動用通常はがき、そして国政選挙の場合にはビラ、議員立法で二年前にできましたパンフレットというのもございますけれども、これに限って枚数とか規格とかの定めがあると。通常はがきでございますから、これは国外に使うということはもう考えられないと思います。

 それから、ビラの場合には頒布方法というのが限られております。新聞折り込みのほか、選挙事務所に置いてとか街頭演説の場合。そうなりますと、郵送というのはこれもやはり公選法に触れる、公選法では認められていないというふうに考えております。

高山委員 そうすると、では、証紙を張ったビラなんかを手で持っていくのはいいんでしょうかね。自分の友人がいるから、ちょっと配ってくれよとか、そういうことはいいんでしょうか。あるいはポスターなんかはどうなんですか。張ってもいいんですか、宿営地の中に。

久保政府参考人 これは、先ほど申しました、行為がその着手から終了まで一貫して日本国内でないということになった場合には、国外犯で禁止をしていない限りは可能であるということになってまいります。

高山委員 あと警察の方にも来てもらっている

と思うんですけれども、選挙違反の取り締まりのことを伺いたいと思うんです。実際、これはもう机上の空論かもしれませんけれども、その選挙違反の取り締まりは警察が行うんですか、それとも、自衛隊の宿営地の場合にはどうなるんでしょうか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 公職選挙法違反が仮にあるとすれば、警察が捜査するものというふうに考えております。

高山委員 今の自衛隊の宿営地の中で選挙違反が行われたかどうかとか、こういうことも警察の方で行うというようなことですか。

和田政府参考人 もちろん国外犯の規定のある違反についてでございますけれども、別にどの地域内で行われたかということは問いません。

高山委員 あと投票日当日ですけれども、これは総務省の方に伺いますけれども、近所の自治体でバスを出して、みんなで乗ってください、はい投票に行きますよ、行っていない人はいませんねと集めて投票に行かせて、ばあっとバスで送り迎えしてみんなまとめて投票に行かせるとか、これは合法なんですか違法なんですか。

和田政府参考人 一般論でお答えを申し上げます。

 買収罪というのがございまして、公選法の二百二十一条でございますけれども、金銭、物品その他財産上の利益を供与するといったようなことで、当選を得、もしくは得しめ、または得しめない目的でそういうことを行うということであれば、これは買収罪に該当するということになってまいります。

高山委員 これは同じ宿営地内の話ですけれども、さあ、きょうは投票だから皆さん何時にどうですよとか放送を流したり、あるいは上官の人が投票を促したりということがありますね。これは別に構わないんでしょうか。そういうことをやらない限り、ある意味、今選挙をやっているという雰囲気にもならないと思うんですけれども。

久保政府参考人 具体の事実認定にかかわる話については御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、財産上の利益の供与、それも投票を得、もしくは得しめ、または得しめない目的でもってなされるということであれば買収罪でございますけれども、それでない限りは当該構成要件には該当しないということになってまいります。

高山委員 まだ時間があるようなので、今回のこの法案から離れて、先ほどの閣法の方にちょっと移りたいと思うんですけれども、これは外務省の方にも伺いたいと思うんです。

 いわゆる先進国というんですか、きちんと大使館があったり、こういうところはわかるんですけれども、交通事情や通信事情の悪いところで投票の希望があった場合、これはどのような対策をとられているんですか。

深田政府参考人 在外選挙の場合であれば、在外公館に出てきて投票する以外に郵便投票というような方法も取り入れておる。したがって、交通事情等で在外公館に来られない方については、そういう郵便投票で投票を実施する、こういうことも可能でございます。

高山委員 郵便投票ということでしたけれども、インターネット等を用いた投票は考えていないんですか、外務省の方で。まず外務省の方に伺いたいんですけれども。

深田政府参考人 現在のところ、インターネットを通じた投票につきましては、まだ技術的な諸問題もさらに検討する必要がございますので、考えてはおりません。

高山委員 では、総務省に伺いますけれども、在外投票でもインターネットを用いる。今、洋上投票ですとかいろいろ聞くと、ファクスが出てきたのを二重の封筒に入れてとか、かなり面倒くさいことをやっているなという印象を受けたんですけれども、インターネットで、メール等はかなりいろいろな僻地でも使えるようですから、そういう方法というのを検討はされているんでしょうか。それとも何か違法性があるんでしょうか。そこだけお願いします。

久保政府参考人 電子投票の一環の話になってまいりますけれども、電子投票を議論するときに、よく第一段階、第二段階、第三段階といったような区分をして議論をすることがございます。平成十四年に、希望をするといいますか、条例でやろうとしている地方公共団体に限って地方公共団体の選挙には電子投票というのを行っておりますけれども、これは機械を投票所に備えつけて行うという形でございます。

 今委員御指摘のインターネットは第三段階と呼んでおりますけれども、インターネットで投票を行うということにつきましては、まず、立会人がいない。恐らく在宅で行うということも委員は想定してお話しになっておられると思いますけれども、在宅で行うと極めて便利でございますけれども、第三者の立ち会いがいない中で行うということになりますと、投票の公正であるとかあるいは投票の秘密とか、そういったことをどう考えるのかという議論がまずあろうかと思います。

 その上で、投票情報のセキュリティーの確保の問題でありますとか、成り済ましとか改ざんとか、これは行われてはなりませんので、そういった意味での本人確認、個人認証、これをどうやって克服していくべきなのかといった技術上の問題点もあろうかと思います。

 国内の場合には、公的個人認証というのが住民基本台帳ネットワークを基礎にして立ち上がっておりまして、各種届け出といったことが電子上の世界でなされるようになってまいりましたけれども、国外の場合は住民票がありませんから公的個人認証も使えないといったような問題もありまして、私どもとしても将来の課題であるというふうに意識はしております。

高山委員 今総務省の方で私が聞こうと思っていたことまで答えてくれたんですけれども、そうしますと、国内においてはインターネットを利用した投票というのは今後はこれを積極的に導入していく、そういう方向なんでしょうか。

久保政府参考人 まず、電子投票自体が今地方公共団体でのみできる制度になっておりまして、それを国政選挙にも導入するかどうかということにつきましてもいろいろな御議論がございます。私ども、その点も含めまして、今委員御指摘のインターネットをどうするのか、これも含めまして、各党各会派でも御議論を賜りたいというふうに考えております。

鳩山(邦)議員 きょうの立場を離れますが、私、自民党の選挙制度調査会長をいたしておりまして、電子投票をぜひ導入したいと思っています。しかしながら、電子投票をやりましても、まだ、回線をつなぐとハッカーがやってくるとかいろいろなことが考えられるので、いろいろな段階があるんだろうと思っております。

 それから、民主党さんが前から提唱されておられますインターネットを使った選挙運動の問題、これもぜひ前向きな案をまとめていこうと思っておりまして、与野党協議に移っていきたいというふうに考えております。あらゆる面でそういうものを利用していきたいと思うんですが、そうしますと常にまた成り済ましとか誹謗中傷とかいろいろな問題がありましょうから、ぜひ与野党で話し合ってそうした問題を一つずつクリアしていきたいと思いますし、電子投票は国政への早期導入を皆さんと一緒にやっていきたいと思っております。

高山委員 今、提出者の方からも非常に前向きな答弁もいただきました。

 それで、私、先ほどから指摘させていただいております今回の費用負担の問題も考えまして、実際、クーリエに全部本当の紙を運ばせて、こういったことがコスト的にどうなのか。

 ただ、民主主義というのはもう突き詰めて言えばすごい無駄の塊のようなものであり、時間もかかるしコストもかかるけれども、でも国民主権のためにはやはりそういうのはしようがないんだということに立っているわけではありますけれども、ただ、合理化できる部分がどうも電子投票なんかでは随分あるのかなというふうに私も思っておりますので、ぜひとも、またいい案を考えていければと思います。

 今回は、提出者の方々、本当に、法律や役人の理屈で乗り越えられない壁を政治家の御決断で、いい決断をされたなというふうに私も思っておりますので、いい法案ができればと思っております。

 きょうは終わります。

鈴木委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田学と申します。よろしくお願いいたします。

 幾度かこの倫選特にて公選法並びに政治資金関係の質問にも立たせていただきましたが、数回重ねるうちに、公選法の審議の仕方、政治資金の審議の仕方、この委員会で法案をどのように扱うのかということが、まさしくこの委員会の、今はやりの言葉で言うと品格をあらわすようなことがあるのではないかなと思っております。そういう意味において、国民の権利を拡充する今回の法案のようなものはできるだけ迅速に、もちろん、さまざまな部分で疑問点があるのであれば審議を重ねることは大事だと思うんですが、迅速にやらなければいけないという側面を持っていると思います。

 片や、国会議員の権利を拡充するような話、端的に言うと政治とお金のような話は、国民が注視していることもあり、そして、政治の今までの歴史にさまざまな汚点を残したこともあって、これこそ慎重に審議しなければならない。こういうものを軽々に審議してしまうのであれば、それこそこの委員会の品格というものが問われるのではないかなという思いがあります。

 独自に考えた迅速にやるものと慎重にやるものの二つなんですが、以前、四月の委員会で、迅速にやる方の国民の権利及び選挙に関してできるだけ適した環境を整えるということをお願いする意味で、手話、字幕をつけるべく政見放送の収録方法についての質疑をさせていただきました。そのとき、本当に、委員長の方から、「政見放送のあり方に関して、委員長としてもしっかり整理をいたしまして、場合によれば、理事の間で御協議をしていただくことも考えたいと思っております。」という過分なお言葉をいただきました。

 そういう意味もありまして、非常にお忙しいこともあって理事懇の中、理事会の中ではこのことが議題に上りませんでしたけれども、せっかく前回の委員会において委員長が御発言いただいたことでもありますので、委員長にこの機会に数点お伺いしたいんですが、政見放送のあり方について整理をされるということでしたけれども、どのような問題点が考えられたのでしょうか、お願いします。

鈴木委員長 委員長に対する質問でございますので、お答えいたします。

 御存じのように理事会の場での協議は時間的な制約もありまして、この問題について具体的な議論はまだ私の方からも提起をいたしておりませんし、されてもおりません。ただ、私なりに資料を総務省その他から取り寄せて、研究はしておるところでございます。

 例えば手話あるいは字幕、それと、寺田委員のおっしゃるのは政見放送の収録の問題が主な御主張と思いますが、今、鳩山議員からもお話がございましたようにインターネット選挙なりなんなり、国民の選挙に対する参加意識を高めるという意味ではこれも同じようなテーマだと思いますので、願わくば、各党の間でこの手話通訳あるいは字幕、政見放送ビデオの収録方法その他についての具体的な協議が、水面下でとは申しませんが、各党間で共通の認識のもとで進むことを委員長は期待したいと思いますし、また、その促進に個人的にも努力したいと思っております。

 以上であります。

寺田(学)委員 そのお言葉をまた信じて、何分力のない野党でございますので、こういうところはお願いするだけお願いして、皆様のお力添えを心からお願いして、本問の方に入っていきたいと思います。

 今回、イラク・サマワに駐屯されている自衛隊の方々の投票の機会を拡充するという意味では、非常に喜ばしい方向性の法案だと思っております。ですので、問題点がない限り賛成する方向で機会の拡充というものに少しでもお力添えできればなと思っておるんですが、今まで審議されているとおり、投票機会が法的なことによって消滅されている方、ないしは自分の意思によって投票する機会が十分じゃない方、さまざまいると思うんですが、いずれにせよ、できる限り政府ないしは国会としては、投票という参政権の中核をなす行為に関しては十分な環境を整えるべきことだと思っております。

 まず一般的なこととしてお伺いしますが、投票機会を拡大すべき範囲、できるできないというものは後ほどお伺いするとして、私たちとして、拡充すべき範囲はどれほどのものになるのか、今回この法案を提出された皆様にお伺いしたいと思っています。

岩屋議員 委員御指摘になりましたように、できるだけたくさんの方々に投票の機会を確保したいということで私ども検討したわけでございますが、先ほども鈴木委員にお答えしましたとおり、投票の、選挙の公正を確保するという要件を満たすということを考えますと、どうしてもおのずから制約が出てくるわけでございまして、この法案に言います特定国外派遣組織に該当する組織でなければ、現段階の投票方法におきましては範囲を拡大するというのはなかなか難しいものがあるなと。

 ただ、これは前向きに検討していくべき課題だというふうに考えております。

寺田(学)委員 イラクに駐屯されている方であるとか南極で観測のお仕事に勤められている方等々のお話は、以前から国会の方でも、そして質問主意書の方でも指摘をされておったようです。平成十七年の六月二十七日に参議院の方から我が党の辻議員が質問主意書を使ってこの点に関して言及していて、政府としても、「選挙人間の公平や選挙の公正の確保に留意しつつ、慎重に検討してまいりたい。」ということでした。

 そういうことでもありますので、選挙人間の公平という観点と、そして選挙の公正さという二方面から質問を続けさせていただきたいと思います。そういう意味で、できる限り幅広い方に機会を与えるべきである、そしてまた、その中で実務的に限定され得る範囲というのはあると思っています。

 選挙部長にお伺いしたいんですが、今回こういう形で議員立法でなされたわけですが、現状において、拡大すべき範囲というのは、それは希望としてかなり広がるんですが、可能な範囲という意味でいうと、やはりここの部分が限界と当たるんでしょうか。いかがでしょう、御見解をお願いします。

久保政府参考人 在外に住んでおられる方、あるいは在外に一時的に滞在しておられる方だけではなくて、委員御指摘のように、選挙権を有しておられる方に対してできる限り投票行使の機会は与えるべきであることは言うまでもないと思います。

 それが、特に制度によってそういった行使の機会が閉ざされているということにつきましては、やはりいろいろな角度から検討して、できる限りそれを開いていくということでなければならないと考えておりますけれども、一方で、選挙というのは公正公平、そして適正な投票手段というのが確保できるのか、選挙が公正を欠くということになりますと、すべてが失われるといいますか信用自体がなくなるということでございますので、そこの兼ね合いをどう見つけていったらいいのかというのが重要な観点だろうと思います。

 在外に住所を有しておられる方で国内に有していない、これにつきましては閣法で平成十年に道を開いたわけでございますけれども、比例代表に限るといったようなことでございましたので、最高裁からも憲法違反になるという御指摘があったものですから、この国会で、それについては選挙区選挙にも拡大するといった形での閣法を提出させていただいて、成立をいただきました。

 また、一時的な滞在者の方につきまして、これは御指摘がございましたように、国会の質疑でもありましたし、質問主意書も民主党の方からも出まして、私ども、関係省庁とも何回も何回もどうしようか、どうすべきなんだろうかということで協議を重ねてまいりました。

 ただ、どの範囲の方々といいますか、これは国内に住所がある方で一時的に外国に滞在しておられる方といっても、法律の規定に基づいて、まあ命令といいますか、そういった形で国外に一時的に滞在をさせられている方から旅行者まで含めましていろいろな形があって、これは全部入れますと延べ一千万人以上海外に出ておられるということにもなっておりますので、どこで対象者を、限るということがいいのかどうかはありますけれども、そこについての踏ん切りというか決断がなかなか私どもできませんでした。

 また、これと裏腹の関係になってまいりますけれども、投票方法が実はまた結びついてくるといいますか、在外公館で投票ができる、あるいは郵便投票は一般的に使っていいということになりますと、これは旅行者の方々もあるいは可能かもしれませんけれども、郵便投票というのは国内でもまたそれなりに問題がございますけれども、重度身体障害者の方あるいは要介護五ですか、これも二年前の議員立法で道を開いていただきましたけれども、寝たきり老人の方に限って郵便投票は国内では認めているということとのバランス。そしてまた、在外公館投票は、現在、在外選挙人名簿八万人が有権者ですけれども、それでも、このたび選挙区選挙に広げるに際しましては、外務省の負担との関係で随分外務省と協議を重ねてきて、ようやく成案を得たということでございますので、そこもどういうふうに考えるべきか、いろいろなことを御議論いたしましたけれども、そこでこのたび与党の方からこの法案が提出されておりますけれども、私どもといたしましては、現実的な線で一時的な滞在者の方について不在者投票の道を開かれた法案ではないかというふうに考えております。

大野(功)議員 どこまで拡大できるか、こういう問題でございます。そこにまさに線を引く、これが政治家の役割でございました。

 我々は、まず第一の原則として、法律によって投票権の行使を奪われた者は回復してあげなきゃいけない、その場合に法律に基づいてという要件をどう考えていくか、これは随分検討しました。

 例えば国会議員の海外視察、これも法律に基づいています。しかし、投票のとき、選挙のあるとき外国へ行っている国会議員はいないだろうな、こういう議論もやっておるわけでありまして、いろいろな出張があって、その中でどこで線を引くのか、これは非常に難しい話でございました。

 そこで、基本的には、国のために法律に基づいてということで線を引こうじゃないか、これが原則だ。あとの原則は、今御説明のありましたとおり、公平な選挙ができる、公正な選挙ができる、この原則が一つ。もう一つの原則は実行可能である、こういうことでございます。

寺田(学)委員 今御丁寧な答弁をいただきまして、投票機会を回復させる線引きをどこにするのかというのは、それこそ政治であると。おっしゃられるとおりだと思います。そういう意味で、まずは法律によって投票の機会が妨げられている方の投票の機会を回復しようというお考えに立たれたんだと思います。

 そういう意味において一個御質問なんですが、とすれば、地方公共団体に属している職員がある種職務として海外出張を命じられたり、または、どのような条例になるかわかりませんが、条例によって海外に長期的に出張されて投票の機会が失われた場合、起こり得ることだと思うんですけれども、この場合においてはその投票機会の回復というものは図られるのでしょうか。

大野(功)議員 第一に申し上げたいことは、我々は、国家公務員であるあるいは地方公務員であるという区切りで物事は判断しない、こういうことであります。我々が判断したのは、法律によって海外に派遣される者と。そこで公務員も民間の人も区別しておりません。その法律は何ぞや。これが、政令で書きますけれども、五つございまして、繰り返しになりますけれども、テロ特措法、イラク特措法、国緊隊法、PKO法、それから防衛庁設置法、この五つになるわけでございます。

 例えば、地方公務員という切り口で見ますと、そういう切り口はとっていませんけれども、そういう目で見ますと、例えばPKOには選挙監視団の要員として地方公務員の方が行っていらっしゃいます。あるいは文民警察という活動も、警察の地方公務員である方が、身分は一応中央からということになるようでありますけれども、そういう形で地方公務員の方も参加されている、こういう状態でございます。

寺田(学)委員 おっしゃられる明快な基準というのはよくよく理解できるんですが。

 いわばPKOの形で、国家公務員だろうが地方公務員だろうがとにかく法律で規定された組織に属している方であれば機会が回復されるということなんですが、また違う見方をすれば、公権力によって海外に出張しなきゃいけないということに関して言うと、条例であろうとも、それは市長から行ってこいと言われようが、法律で行かなきゃいけないということになったということであろうとも、自分自身の意思とは別に、公権力――公権力という言い方はよくないのかもしれませんが、自分の行きたい行きたくないという理由ではなくて職務として行ってこいと、しかも、その職務というのは、民間企業ではなくて、国であるのか地方であるのか、ある種公的なために頑張って行くという意味では同じ部分に入るのではないかなという思いがあります。

 まさしく、先ほどから述べられているとおり、どこまで選挙機会、投票機会を回復させるかということはいろいろ議論しながらやっていかなきゃいけないと思うんですが、今法律という枠組みで一歩やられたのであれば、まずは、お国のためという言い方はしませんけれども、お国のためなのか県のためなのか市のためなのか、公的なために選挙機会が失われたのであれば、回復するという考え方もこれからの議論としてあると思うんですが、いかがですか。

大野(功)議員 私たちは、地方公務員、国家公務員という切り口では考えていない。それからもう一つ、民間人、公務員という切り口も考えておりません。法律に基づいておれば、その法律によって派遣される者は、地方公務員であろうとも国家公務員であろうとも、民間の人であろうとも公務員であろうともと、こういう考え方でございます。

 今申し上げたように五つの法律につきまして政令で書くわけでございますけれども、先生まさにおっしゃったように、それは今現状で五つがいいなという判断でございますから、将来先生のおっしゃるような状態が出てくれば新たに政令に書き加えていけばいい、私どもはそういうふうに思っております。

寺田(学)委員 まさしく、投票機会が回復されるかどうかというのは、政令で定められるかどうかというところにかかってくるんだと思います。そういう意味で、今回、イラクの件であるとか五個のことに関して政令で定めて機会を回復しようという形になっておりますが、これからいろいろ、これに限らず、これと同類の形で海外にお仕事をしに行かれる方、法律によって行かれる方がふえてくるんだと思います。そのときに、それを、まさしくこの法律で当てはまるような、機会が回復されるような組織となるかどうかというのは、だれがどのように決めて、そしてその決めるときの基準というものはある種公正でなければ選挙人間の公平というものは担保できないのではないかなという思いがあります。

 一例でありますけれども、例えば五人ぐらいの組織を組成して、法律によって海外にお仕事をしに行って選挙機会がともすれば喪失されると。そのときに五人の人たちでも回復されるのか、人数という区切りはある程度考えられているのか、そこら辺の基準というものが何かおありでしたら教えていただきたいと思います。

大野(功)議員 これも基準をつくるのが大変難しい問題かと思います。

 先生御存じのとおり病院での不在者投票というのは五十床、それから船舶投票でございますと船のトン数が二十トン以上、こういう考えで今やっておりますけれども、先ほどの御質問でもお答えしましたけれども、投票をやるためには、投票を管理する人、立ち会う人、それから事務者は二人要ります、最低四人要るということであります。したがいまして、五人では、四人で管理して一人だけ投票かという状態でありますし、そうなりますと、どのぐらいが適当なのかな。

 やはりなるべく大勢の人に投票権の行使を回復させてあげたいという要請と、それが実現可能かという問題と、両方ございます。そういうことを勘案しながら十分協議を重ねて、我々としては、今、十人ということで考えているところでございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。

寺田(学)委員 恐らく、ここでなぜ十人なのかと言っても、それはおおよそ十人というのが適しているという、いわば政治的な意味があるんだと思いますので、それ以上は突っ込みませんが、本当にでき得る限り投票機会を回復しようというのとともに、運用面で効率的というか公正というか、実質的な運用ができるような仕組みというものにしていかなきゃいけないんだと思います。

 投票機会を回復するのはどのラインがいいのかということを政治的に判断するというのも一つでしょうし、その判断の中には、どこまでの人であったら投票することが技術的に可能であるかということもいろいろ勘案しなければいけないことだと思います。

 そういう意味において、前に質問した高山委員がインターネットのお話をされていました、このインターネットということに関して言うと、まだまだ完全に成熟した技術ではありませんのでさまざまな落ち度はあると思うんですけれども、インターネットというものをこのような今回の法案のケースに限り認めていくというのも考慮の中に入れてもいいことだと思うんですね。今回、法案を作成するに当たって、このインターネットを使って何かしら工夫してみようとかいうことを作成中にお考えになられたかどうか、お考えになられたとしたらどのようなことをお考えになられたのかということをお伺いしたいです。

佐藤(茂)議員 私も、寺田委員よりはちょっと年齢は上ですけれども、若い政治家として、インターネットに着目するというのは非常に必要だと思っております。技術も年々進歩していくわけですから、社会の選挙制度もそういうものは重視していかなければいけない。

 今回のこの法案の議論の中でインターネットの活用というものを重視したという段階では今はないんですけれども、しかし、近くでは、韓国なんかでは、二〇一二年から国政にインターネットの投票を活用するというような報道もされているくらいでございますから、今後、国外における不在者投票であるとか、また今国会で改正しました在外投票制度ですね、こういうものに、国外における投票を行いやすくする手段としてインターネットを用いることは非常に魅力的な方法であり、将来的には私どもも検討の対象にしなければいけない、そのように考えております。

 ただ、インターネットを用いた投票には、先ほどからもありましたけれども、やはり克服すべき問題も幾つかありまして、投票の秘密の確保をいかにきちっと担保するのかということと、あとは個人認証、本人確認の問題ですね、こういう問題もしっかりと担保できるのかというさまざまな課題がなお存在しておりますので、現段階ですぐに導入というのは困難だと思いますが、将来的には私どもは当然検討していかなければいけない、そういう手法であるというように考えております。

寺田(学)委員 選挙部長にインターネットの利用に関して一般的なこととしてお伺いしたいんですが、今、提出者の方から、インターネットを選挙に組み入れる際に関して秘密を守れるかどうかという点と、本人確認がしっかりできるかどうかという点がありました。その秘密の確保という面において一点お伺いします。

 ファクスで洋上から投票するということも今権利として認められているんですが、ファクスで投票するのと、インターネットにおいて、さまざまなやり方はあると思いますけれども、何かしらのホームページに飛んでいろいろな認証をした上でだれに入れたかどうかというのを、クリックするのか書くのか、やっている中でしかわからないようにインターネットにて投票するのとでは、秘密の確保という意味において、ファクスとインターネットは今の現状の技術を勘案した上でどちらが優位に立っていると思われますか。

久保政府参考人 私はどちらが優位とかそういうことを技術面から断定できるような能力はございませんけれども、一つ言えますことは、ファクシミリ投票は平成十一年に議員立法で洋上投票という形で、遠洋航海に行っておられて投票の当日に投票所にといいますか立ち寄れない船員の方に限って認められた。それをこのたび南極観測隊の方にもファクシミリ投票を認めていこうという御議論が今されているということでございまして、インターネットという場合、これは恐らく投票所かどこかに行ってインターネットでやるという話ではなくて、多分、在宅に広げていこうというのがあろうかと思います。そうしますと、ファクシミリ投票との比較よりは、むしろ郵便投票との比較ということもインターネットの場合には重要な要素になってくると思います。

 今、洋上投票としてやっておられますファクシミリ投票は、これは投票立会人も不在者投票管理者もいて、そこの場で行われているということでございまして、もちろん、送信の際の電波の状況によっては投票を受信することができないといった事態もあるようでございますし、また受信した投票内容が判別できないといった事態も現実に起こっているようでございます。ただ、そこにつきましては、実務上は、投票を受信する指定市町村と投票を送信する指定船舶の間でそういった送受信の状況を常に電話で確認し合って行っておられるというふうにお聞きをしております。

 技術的にファクシミリでもやはりいろいろな問題点は現実に起きていると思いますし、そこを恐らくあえて議員立法で乗り越えて制度をつくっていただいたというふうに考えております。

 インターネットの場合は、在宅の場合は先ほど言いましたが、これをどう考えるのかという問題と、それから技術的には成り済まし、改ざん、本人確認、あるいはセキュリティーをどう克服していくか。先ほど提案者からはもう技術的には相当進んできたという御議論がございますけれども、私どもとしては、各党各会派で御議論をいただきたい、こういうふうに考えております。

寺田(学)委員 質問時間が間もなく終わりそうなので、少し考えを述べたいんですが、インターネットで投票するという段階に進む前に、IT技術を駆使して日本国外にいる方の投票の環境を整えるということもいろいろやれると思います。

 今、今回の法案においてどのような手続で不在者投票が行われるのかということを見ると、投票用紙を郵送したりということがあるので、そういう部分で言うと、だれに投票するかどうかということをインターネットでやるのはまだまだいろいろ問題があるとすれば、投票用紙をPDFという形で送ってみるというのも一つの便利なやり方でもあると思います。もちろん、やられているかもしれませんが、そういう形でIT技術というものも利用して、でき得る限り投票機会というものを幅広く確保していく形を、省内においても、そして議員においても、頑張っていただきたいし、頑張りたいという思いがあります。

 冒頭、本件とは関係なく政見放送の手話、字幕の件についてお話をしましたけれども、せっかく鳩山先生が自民党の中で公選法の改正においては非常に強い影響力をお持ちになられる、そういうお立場にいらっしゃるということもありますので、簡単にこの場をかりて概略を申しますと、政見放送を撮るときに、今ビデオの持ち込みを認められているのは衆議院しかない。今度行われる参議院選挙というのは放送局に行って一発撮りする以外にないということになると、字幕であるとか手話というものは、一発撮りの場合だと何をしゃべられるかわからないのでやれないと言うのです。要は耳が不自由な方々にできれば手話、字幕がつけられるように、衆院のようにビデオを自分たちでつくって持っていくという形にしてくれたらありがたいなという話をしておりました。

 我が党としてはいつでもその法案、法修正に関しては頑張るつもりでありますので、ぜひとも御興味を持っていただいて御尽力していただければと思います。そういう気持ちを伝えておいて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山(邦)議員 そういうようなことをよく考慮していけるような選挙にしたいなと思っておりますので、いろいろとまた教えてください。

寺田(学)委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。

 先ほどの提案理由説明によりますと、選挙権が国民にとって重要な参政権の一つであることから、でき得る限り国民すべてが実際に選挙権を行使できる環境を整備する必要がある、このような説明がありました。ところが、この法案を見ますと、主な対象を、特定国外派遣組織の自衛官、それから南極観測隊に限られているわけです。

 そこで事実を確認したいんですが、この南極観測隊について言えば、一九九九年、洋上投票の制度が設けられたときに当然これは想定できたものではないかと思うんですが、当時、国会で南極観測隊の投票についての議論があったのかどうか、選挙部長に答えていただきたい。

久保政府参考人 ファクシミリ装置を用いて投票を送信するということを認めた洋上投票制度は、先ほどもお話に出ておりましたけれども、平成十一年、議員立法によって設けられております。

 その際の提案理由では、「船舶が外洋を航行中である場合は、現行の制度では、不在者投票用紙の送致が困難である」という問題があるとの指摘がなされておりまして、そのために設けられたというわけでございますが、平成十一年の七月二十六日に衆議院の委員会で御審議があり、八月六日に参議院の委員会で質疑が行われておりますけれども、この提案理由あるいはその質疑の中身をちょっと見てみましたけれども、南極観測隊については、特に御議論、言及がなかったというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 特定国外派遣組織と言いますが、このほとんどが自衛官であります。こちらは投票箱まで持ち込んで、国政選挙だけではなくて地方選挙も対象となる不在者投票として扱われる、こういう位置づけですね。しかし、南極観測隊は衆議院総選挙、参議院通常選挙に限られる、洋上投票の扱い。何でこういう差別をつけるんですか。

佐藤(茂)議員 多分、佐々木委員は今回の不在者投票制度において結果として自衛隊が非常に多いことを気にされている向きもあるかと思うんですけれども、今、私どもは、先ほどから答弁者も述べておりますけれども、法律に基づいて派遣されている特定国外派遣組織という考え方になっております。今は五本の法律で、どうしても中身を見ると結果的に自衛隊の比率は多いんですけれども、それは、今後も法律に基づいて派遣されていく特定国外派遣組織というのは、自衛隊に限らず、いろいろな方がこれから国際貢献をしていく組織として出されていくものであるがゆえに、私どもは、何らかの基準をつくるために、法律に基づいてという考え方にさせていただきました。

 現行行われている公職選挙法上の技術的な制度として、特定国外派遣組織については、不在者投票という仕組みを採用したために国政選挙、地方選挙を問わず対象とさせていただいたわけでございます。

 南極地域観測隊につきましては、要するに南極地域という、これは特殊な地域事情によるわけでございまして、南極地域からの移動が極めて困難であります。事実上ほとんど不可能なんですね。年に何回か行き来するという、そういう形しかできない。それで、投票期間内に、選挙期間内に帰国しての投票というのはもちろんなかなか難しい。また、投票用紙の送致を伴う通常の方法ができれば不在者投票もできないことはないんですけれども、そういう投票用紙の送致を行うこともなかなか難しい。ですから、今現在の日本の選挙制度の中で活用できるものは何か。そのときに考えましたものは、遠洋漁業等に従事する指定船舶の船員と同様の方法をとるしかない。これは、平成十一年に議員立法で特殊例外的に認められた洋上投票という制度を拡充することによって今現在は対応するしかない。そういう判断をさせていただいて、今回このような形にさせていただいたということをぜひ御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 今の説明は、地理的な理由、それから技術的な理由ということを挙げられましたけれども、それは理由にならないと思うんですね。この科学技術の発達した時代にいろいろな方法はあるはずであります。選挙の公正公平を確保して、国民に投票する機会を平等に保障するという視点にきっちり立てば、それは方法は可能だと私は思うわけです。それをわざわざ区別をして出してきた、それが問題だと言っているわけです。

 現行の在外投票制度は、国外に三カ月以上住んでいて在外選挙人名簿に登録されている者を対象としております。イラク派遣の自衛隊は三カ月のローテーションで交代している。もともと、三カ月ですから投票権は発生しない。今回提案された法案では、そこに投票権を与えるというものであります。しかも、政令で対象を広げることができる。例えば一時的に訓練で海外に派遣されている自衛隊の場合も、短期間でもこれに入ることが可能となる。

 そういうことになっているわけで、今までは国会の中で、先ほどもありましたが、ビジネスによる出張者も含めるべきだという議論がなされていた。ビジネスで住所を異動せず数カ月出張している人はたくさんいるわけです。なぜそういう人たちを対象にしないのか。この法案ではそれを排除して自衛官だけ対象にする、これは平等の原則に反するのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

大野(功)議員 なぜ自衛隊員ばかり投票権行使を拡大するのか、こういう御質問でございます。

 問題の発端は、昨年の山形県の知事選で、山形県の駐屯地から――サマワへ派遣された者約六百人でございますが、そのうち三百人が知事選の投票権行使ができませんでした。それから、兵庫県は三百五十人の者が兵庫県知事選の投票ができませんでした。国のために行っているのにどうしてこういうふうな現象が起こるんだろうか、こういうことも一つ我々が考えなきゃいけない問題であります。(佐々木(憲)委員「ビジネスマンはどうするんですか、どういうふうに違うんですか」と呼ぶ)それから始まっているんです、それから始まっている。

 我々は、海外の、投票権を考える場合に、あらゆる人に投票権を行使してもらいたい、こういう気持ちはあります。しかし、先生御存じのとおり、ただいま現在でも百一万人の永住者がおる、在外者がいる。在外者は幸い国政選挙は救われます。ビジネスマンあるいは海外に出張している者につきましても、これは年間に、先ほども鳩山筆頭から御説明しましたとおり、一千六百八十万人の人間が一年間で海外へ出ているわけですね。

 選挙というのはどういうことを考えたらいいのか。平等、公正にやらなきゃいけない、それから実施が可能でなきゃいけない、こういうことがあるわけでございます。我々は、最初の哲学は、一つはまず法律で、将来理想像は先生がおっしゃるようなことかもしれません、しかし、法律で投票権の行使を奪ってしまっている、そういう方の投票権行使を復活させてあげるというのが政治家の責務じゃないだろうか、政治の責務じゃないだろうか、ここから出発をしているわけです。

 我々はあらゆる場合を想定して検討しました。海外ロケも、それから公務員の出張も、国際会議の出張、国会議員の海外視察、いろいろなことを検討しましたが、今回は、今申し上げたような考え方、そして選挙で一番大切ないわゆる公平な選挙、正しい公正な選挙、そして実行可能性、こういうことで考えておるわけでございまして、その点につきまして、当該組織において選挙人の範囲が確定できること、それから、本人の確認、それからその長が不在者投票の管理者としてしっかりしていること、こういうことが条件となります。

佐々木(憲)委員 質問したことに端的に答えていただければいい、背景説明はわかっておりますので。あらゆる人に行使してもらいたいというのは、私もそうだと思うのです。それなら、なぜそういうふうにしなかったのかということを聞いているわけであります。

 今公務員も検討したというふうに言いました。ビジネスマンだって当然検討の対象になる。鳩山提案者にお聞きしますが、将来、当然公務員もビジネスマンも対象にしていく、そういう可能性を広げるべきだと思うんですが、そういう決意はありますか。

鳩山(邦)議員 大野功統提案者から御説明申し上げましたように、我々この問題を検討し始めたときに、国外にいる人で住民票は国内に置いたままはどういう種類があるだろうかと、本当にオリンピックの選手団から、いろいろなあらゆるケースを想定したわけですね。

 だから、将来的には日本国民であるならばだれでも日本の選挙で国であれ地方であれ投票権が行使できるようにすべきと思いますが、公正あるいは適正な執行というようなことを考えますと、まずはこういうような仕組みでやってみようという意味で我々は風穴を大きくあけたというふうに自負いたしております。

佐々木(憲)委員 ともかく、現在一時的に国外に滞在する選挙人については一千六百八十万人ですね、その中で今回対象はいわば千四百人ですよ、本当に微々たるものなんです。これは一歩といえば一歩でしょう。しかし、まだまだ対象を広げなければならないというふうに思います。といいますのは、昨年九月の最高裁大法廷の判決で、国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置をとる必要があるというふうに出ているわけですね。当然そうすべきであります。

 先ほどコストの問題がいろいろ議論になっておりましたが、これは民主主義のコストだ。そういう点でいえば、政党助成金が三百二十億円出ているんですから、それならそれをやめて国民の投票権を保障するのが筋ではないかと我々は思うんです。

 そこで、最後に、選挙権の保障という点でいいますと、十八歳選挙権の問題というのもございます。確認をしたいんですが、世界で選挙権年齢が二十歳以上の国、二十歳未満の国はそれぞれどれだけあるか、特に十八歳選挙権の国は幾つあるか、選挙部長、お答えいただきたい。

久保政府参考人 平成十六年十二月十日現在の国立国会図書館の資料などによりますと、百七十七カ国の下院選挙におけます選挙権年齢につきまして申し上げますと、二十歳以上の国は日本、シンガポール、マレーシアなど二十カ国でございます。二十歳未満の国は百五十七カ国でございまして、うち十八歳の国はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア等百四十九カ国となっているものと承知しております。

佐々木(憲)委員 いわば二十歳以上の選挙権というのがある国というのは非常に少数派なんですよね、世界で言えば。十八歳選挙権が圧倒的ですから。そういう意味で、我々は十八歳選挙権を当然実行すべきだというふうに思っております。これは各党でも当然そういう方向で賛成していただくべきだというふうに私は思うんですけれども、今回のこの法案は、そこまで展望して国民の選挙権を広げていく第一歩というふうに位置づけなければならないというふうに思っております。

 今回の法案は、自衛隊のイラク派兵が長期に及ぶもとで、海外派遣自衛隊員の選挙権付与を中心に今国会の会期末のぎりぎりになって法案を提出されている、ここに問題があるわけです。我が党は、自衛隊のイラク派兵は憲法違反であり反対でありますが、そしてまた即時撤退を主張しております。そもそも海外へ派兵しなければ自衛隊の選挙権の問題は発生しないんです。派遣された自衛隊員でも、憲法上の個人の権利については可能な限り保障しなきゃならないというふうに我々も思いますけれども、今後、さらに国民の投票権を広げていくという立場に立って、お互いにその点で前向きにやっていければなというふうに思いますので、その点を主張いたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 多くの議論がなされました。本当に今も佐々木委員がおっしゃったように、今後多くの人が選挙権行使できるようにどう持っていくのかという観点から議論されたというふうに私は思っておりますが、まず初めに、船舶における洋上投票、それから南極観測隊員などファクスで投票を行う選挙人は国政選挙のみが対象となって、そして、今回の法改正で投票権が保障される自衛隊員など特定国外派遣組織は、国政選挙とともに地方選挙も投票対象として保障されている。今議論されているように、投票機会を平等に保障するという観点から、私は条件をそろえていくべきだというふうに思うんです。

 これは、私も、洋上投票を実現する会で地元で議論してきた経過がございますから、技術的な問題というのは非常に厳しい問題があることは承知しておりますけれども、この点に関して今後どのように対処なされていくのか、選挙部長の答弁をお願いします。

久保政府参考人 御指摘にございましたように、現在、洋上投票の対象選挙は衆議院議員の総選挙と参議院議員の通常選挙に限っておりますけれども、その理由でございますが、投票用紙などを交付、受信をいたします指定市町村の選挙管理委員会におきまして、全国の地方選挙の期日などの実態を常時把握する必要が出てくる、地方選挙でやろうとしますと。それからまた、投票を受信の都度、投票送信元と受信状況に関する電話連絡、確認を行わなきゃいけない。これは地方選挙になりますと、その負担はまた相当過大になってくるんではないかということがございます。

 それからまた、今度は、不在者投票管理者となります船長などにおきましては、地方選挙の日程などをこれまた常時把握をするといった必要がございますし、選挙の公示があったことや立候補者の氏名などを船員に知らせるといったようなことに努めるといった必要も出てまいります。それから、投票送信用紙の請求、保管あるいは投票の管理等の事務、これがまた船長におきましては過大になるんではないかといった課題があるというふうに承知をしております。

 したがいまして、御指摘の対象となる選挙を地方選挙まで拡大すべきではないのかといったことにつきましては、現時点では非常に難しい課題ではないかと考えておりますけれども、投票機会の確保は重要な課題であるというふうに考えておりますので、今後の実施状況等を見て検討していくべきであろうというふうに考えております。

菅野委員 乗り越えなければならない課題は大きいというふうに思いますけれども、やはりそこは総力を挙げて乗り越えていただきたいという思いでいっぱいでございます。技術的な部分で困難だとは承知しておりますけれども、そこを多くの知恵を出し合って、地方の選挙にも参加できるような体制をつくっていくということが法のもとの平等を保障するというふうに私は思っています。後でまた別のところでも議論していきたいというふうに思っています。

 今回の法案の提案理由説明を見たときに、特定国外派遣組織に限定した流れというのはわかります。

 ただ、提案理由では、一般的な国外滞在者に投票権の機会を拡大するという趣旨でもって冒頭流れていて、途中で「極めて困難であると判断しております。」ということでなっているわけですね。だから、この「極めて困難である」というふうに判断したということは、乗り越えなければならない大きな課題が存在するということだというふうに思うんですけれども、これを、一般的な国外滞在者の中から、今議論になったんですが、自衛隊だけを対象とした合理的理由というのは何なんですか。それから、将来的にわたって他に該当する組織をどう想定しておられるのか。この二点について答弁願いたいと思います。

佐藤(茂)議員 菅野委員の御質問にお答えしますが、私ども、まず結論から申し上げますと、今回の法案で自衛隊だけを対象にしているということは毛頭考えておりません。

 確かに、きっかけは、先ほど答弁者の大野議員が答弁しましたけれども、昨年の山形県知事選、また昨年の兵庫県知事選でイラクへ行っている自衛隊員が投票できなかったということがきっかけでございますが、立法者の最初からの趣旨として、それをきっかけにして、自衛隊に限らず本当に国の任務で国外に出かけておられる方々、そういう法律に基づいて出ておられる方々すべてを何とか投票権を回復させよう、そういうことを私どもの考え方の趣旨としておりまして、現状でも自衛隊以外でこの特定国外派遣組織に該当する組織としては国際緊急援助隊が今ジャワにも行っております、そこに派遣される医療チーム、専門家チームには自衛隊員以外もいらっしゃいますし、また、PKO協力法などに基づいて派遣される選挙監視要員とか文民警察官なども想定しているわけでございます。

 さらに、将来的にどうかというお話でございましたけれども、その組織については現段階では具体的にまだ想定されておりませんけれども、しかし、これから日本も国際貢献をもっともっとしていこうということでございますから、今後新たに組織を国外に派遣することを定める法律が制定されまして、それが今回の法律で言う特定国外派遣組織として指定される要件を満たすことも十分考えられるので、我々は、今回、先ほど答弁者の代表が申し上げましたけれども、風穴をあけさせていただいた。これを土台として、どんどんそういう失われている投票権を回復していただけるような流れをつくっていきたいという考え方で今回法律を提案させていただいたわけでございます。

菅野委員 今も、私の前に佐々木委員が議論しているんですが、一千六百八十万人中、出発に当たって対象は一千四百人という状況ですね。そして、この提案理由の趣旨からすれば、一般的な国外滞在者の投票権をどう確保していくのかということからこの提案理由がなされていて、最終的に千四百人が対象になった。

 そうしたときに、例えば三カ月未満の出張者とか短期留学者、あるいは旅行者等の投票の機会を確保していくということが本当に打ち出されなければならないという大きな命題を背負っているというふうに私は思うんです。それから、投票権の公正、平等の観点から、あるいは、今のこの特定の人たちだけが選挙権を認められて、私たちに選挙権はどうして認められないんですかという国民的批判にどう対処していくのかということにも備えなければならないというふうに思うんです。この点をどう考えておられますか。

岩屋議員 菅野委員おっしゃいますように、私ども、千四百名に限定しようとしたということではなくて、議論をしてみた結果、限定せざるを得なかったということなので、そのようにまず御理解をいただきたいと思います。何度も御答弁申し上げておりますが、選挙の公正を確保するためには、本人が確認できたり、選挙がきちんと管理できたりというその要件を満たさなければなりませんので、今回はこういう形にならざるを得なかったということでございます。

 在外公館においても投票できる方法がないかということも考えたんですけれども、千七百万人の皆さんを在外で投票させるとなりますと、大変に在外公館は事務が膨大なものになりますし、一年じゅう地方選挙なんかやっているわけですから、これはなかなか物理的に困難だろう。それから、郵便投票についても、先ほど答弁しましたように、国内においても極めて限定されているということなので、これもなかなかすぐには拡大できない。

 したがって、今回は、小さく産んでとは言いませんが、確実に生み出して、将来これをしっかりと育てていきたい、こういう趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。

菅野委員 今、地方の自治体の選挙について触れていました。一年じゅう地方では自治体選挙が行われているという状況から、ある意味では否定的な見解が示されたんですけれども、そうであるならば、洋上投票を行ったと同じように、当面は国政選挙からというスタイルも考えていいのではないのかなと私は思います。ここは大きな検討課題だというふうに私は思っています。検討するに当たって、山形県知事選挙や他の知事選挙との関係を云々されました。そうじゃなくて、やはり法のもとの平等という観点から出発すべきだと私は思っているということを強く申し上げておきたいというふうに思っています。

 そして、私は、洋上投票を実現するという議論の中でなぜ国政選挙しか該当しなかったのか、その大きな理由というのは、地方議員選挙まで含めたならば本当に期日に間に合うのかなというところも大きな議論だったというふうに思うんです。町村議会議員選挙、町村長選挙は五日間です。そして、市長、市議会議員選挙は七日間です。これに対して、不在者投票用紙をどのような形で送ることができるのかな。そして、投票したものをどうやって国内に持ち込むことができるのかな。そして、立候補者の公約をどのようにして海外にいる人たちに知らしめることができるのかな。地方を認めるに当たってこの辺の技術的な観点をどのように議論されたんですか、答弁願いたいと思います。

大野(功)議員 要するに、できる限り大勢の人に投票してもらいたい、こういう点を少しだけ言わせていただきたいと思います。

 我々はそういう大きな望みを持っています。しかし、始めるところは、やはり投票権の行使を奪われたところから始めるべきじゃないか。旅行者であれば選択できるんです、いつ旅行するか。こういう問題も考慮しました。

 そこで、今現実にどういう問題があるのか。ここで御記憶いただきたいのは、特定国外派遣組織というのをつくっております。だから、この特定国外派遣組織が責任を持って投票用紙を運んでいく、あるいは投票用紙を回収して持って帰る、こういうことの中心になると思います。今、海上自衛隊は船舶投票を認められておりますけれども、船舶投票の場合も自衛隊が投票用紙を持っていくケースが多い、こういうことでございます。これが投票用紙の問題。

 それから、情報をどう提供するのかいうことでありますけれども、今、船舶投票をやっております海上自衛隊では、新聞をきちっとファクスで送っているとかあるいは公報を送っている、こういう努力をいたしております。この点につきましては、今後、ファクス送信等の手段を用いて選挙人の投票に必要な情報は適時適切に提供されることは当然でございますので、この辺は十分慎重にやってまいらなきゃいけない、このように思っています。

菅野委員 時間ですから終わりますけれども、今重大な問題を答弁したと私は思うんです。そういうふうな状況が存在する人しか投票できないということじゃないですか。一般的な国外滞在者という観点から検討したんだけれども、技術的な点を加味してずっと検討していったならば、自衛隊だから航空機で選挙公報とか投票用紙を運んでいって、そういう条件のある人しかできないということじゃないですか。違うんですか。

大野(功)議員 今後、運搬手段が、あるいはインターネット投票、こういうものが進歩していけば、これは当然そういう世界が開けてくる。しかし、今投票をやる場合に、まず公平な選挙をやってもらわなきゃいけない。それから、実現可能性をどう考えるか。短い期間にどうやって投票するんですか。そういうことを考えれば、今、特定国外派遣組織、こういうもので請け負ってやってもらう、請け負うと言うとおかしいですけれども、中心になってやってもらうこと以外に考えられない。これが今の現実でございますから、やはりもう少しその世界が開けてくるようにこれから議論をしていかなきゃいけない。

 我々は大きな大きな目標を持っています。しかし、この第一歩は小さいかもしれない。しかし、鳩山先生がおっしゃったとおり、これは大きな風穴だと思います。そういう意味で御理解をちょうだいしたいと思います。

菅野委員 質問を終わりますけれども、私は、初めて今ここに立ってこの法律案を質疑いたしました。こんな問題が質疑の中で私は明らかになったというふうに思っています。公平公正、一般的な国民にどう公平公正に適用していくのかというのが公職選挙法の趣旨じゃないですか。それを限定的に運用していく、風穴をあけるためと言っても、限定的に運用していくことに対しては、私は理解を示すことはできません。そのことを申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 鳩山邦夫君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十八分散会


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