衆議院

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第7号 平成19年6月8日(金曜日)

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平成十九年六月八日(金曜日)

    午後二時二分開議

 出席委員

   委員長 今井  宏君

   理事 井上 喜一君 理事 鈴木 淳司君

   理事 棚橋 泰文君 理事 鳩山 邦夫君

   理事 林  幹雄君 理事 細川 律夫君

   理事 渡辺  周君 理事 井上 義久君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      遠藤 武彦君    小里 泰弘君

      近江屋信広君    大塚  拓君

      木原 誠二君    木原  稔君

      篠田 陽介君    平  将明君

      中馬 弘毅君    中森ふくよ君

      西村 明宏君    西本 勝子君

      野田 聖子君    萩原 誠司君

      福田 峰之君    藤野真紀子君

      松本 文明君    松本 洋平君

      山内 康一君    山口 俊一君

      岡田 克也君    近藤 洋介君

      鈴木 克昌君    高山 智司君

      武正 公一君    中井  洽君

      野田 佳彦君    松本 剛明君

      村井 宗明君    佐藤 茂樹君

      高木 陽介君    佐々木憲昭君

      菅野 哲雄君    日森 文尋君

    …………………………………

   議員           後藤 茂之君

   議員           西村 康稔君

   議員           早川 忠孝君

   議員           大口 善徳君

   議員           東  順治君

   総務大臣         菅  義偉君

   法務副大臣        水野 賢一君

   財務副大臣        田中 和徳君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   藤岡  博君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡本 佳郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      松本 和良君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月七日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     松本 剛明君

  吉良 州司君     武正 公一君

  笹木 竜三君     鈴木 克昌君

同月八日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     西本 勝子君

  木原  稔君     松本 洋平君

  倉田 雅年君     篠田 陽介君

  谷畑  孝君     平  将明君

  福田 峰之君     山内 康一君

  野田 佳彦君     岡田 克也君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     倉田 雅年君

  平  将明君     谷畑  孝君

  西本 勝子君     木原 誠二君

  松本 洋平君     木原  稔君

  山内 康一君     福田 峰之君

  岡田 克也君     高山 智司君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  高山 智司君     野田 佳彦君

    ―――――――――――――

六月八日

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(岡田克也君外五名提出、衆法第六号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(岡田克也君外五名提出、衆法第六号)の撤回許可に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(東順治君外五名提出、衆法第三九号)


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     ――――◇―――――

今井委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 岡田克也君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

今井委員長 東順治君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、松本剛明君外三名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。武正公一君。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武正委員 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提出者を代表して趣旨説明をいたします。

 与党案は、資金管理団体による不動産の取得等の制限並びに資金管理団体による人件費以外の経常経費についての収支報告書への明細の記載及び領収書等の写しの添付の義務づけを行うものであります。しかし、対象が資金管理団体に限られること、不動産以外の株式等については取得等の制限を設けていないこと、また、収支報告書への明細の記載及び領収書等の写しの添付等を義務づける支出の基準額が五万円以上とされていることといった不十分な点があり、修正が必要であると考えます。

 以下、修正案の概要を御説明いたします。

 第一に、政党以外の政治団体による不動産及び有価証券等の取得等を制限することとしております。資金管理団体に限らず、政党以外の政治団体について制限を課すとともに、株券その他の有価証券等についても取得してはならないものとしております。

 第二に、政治団体による収支報告書の記載並びに領収書等の徴収及び領収書等の写しの収支報告書への添付についてであります。まず、資金管理団体に限らず、すべての政治団体は、経常経費のうち光熱水費、備品・消耗品費及び事務所費について、収支報告書に、支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載するとともに、収支報告書の提出の際に、領収書等の写しをあわせて提出しなければならないこととしております。また、収支報告書への明細の記載並びに領収書等の徴収及び領収書等の写しの収支報告書への添付を義務づける支出の基準額について、現行及び与党案では一件五万円以上でありますが、これを一件一万円超に引き下げることとしております。

 第三に、施行期日等でありますが、この法律は、平成二十年一月一日から施行することとし、政治団体による収支報告書の記載並びに領収書等の徴収及び領収書等の写しの収支報告書への添付については、平成二十年の収入及び支出に係る収支報告書から適用することとしております。また、政党以外の政治団体による不動産及び有価証券等の取得等の制限については、この法律の公布の日から起算して一月を経過した日から施行することとし、法改正前から引き続き所有している不動産及びこれと密接に関連する不動産並びに有価証券等については適用しないこととしております。なお、これらの不動産については用途その他の個々の利用の現況を、有価証券等については保有の目的を収支報告書に記載しなければならないこととしております。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今井委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、法務省大臣官房審議官三浦守君及び民事局長寺田逸郎君、財務省理財局次長藤岡博君、国税庁次長加藤治彦君及び課税部長岡本佳郎君並びに国土交通省自動車交通局技術安全部長松本和良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田陽介君。

篠田委員 自民党の篠田陽介でございます。

 きょうは、この倫選特で、トップバッターとして質問の機会を与えていただきました。理事の皆様方、どうもありがとうございます。

 私は初当選の新人議員でございます。私は、国会改革を私の一つのライフワークとしてこれから取り組んでいきたいということで取り組ませていただいております。特に、自民党の中に、棚橋会長のもと、改革加速議員連盟を組織しておりまして、その中で私は国会改革の委員長を務めさせていただいております。政治とお金の問題が出てまいりました。それで、我々も早速、資金管理団体所有の不動産を見に行ったり、そして、自民党の執行部に、一刻も早く法改正を視野に議論をしていくべきだという提言を二月にまとめさせていただいた次第であります。

 私は、秘書を九年半務めた経験もありまして、いろいろと国会職員、あるいはこの国会の組織はほかの省庁あるいは地方組織に比べて改革がおくれているなというのを本当に感じております。

 特に、今子供たちに話を聞きますと、一番なりたくない職業は政治家だと言われております。私は、これを変えていきたいと思っているんです。将来的に子供たちが堂々と、大人になったら政治家になりたいと、ベストワンにならなくても、なりたい職業のせめてトップテンには入りたいということで、まずは足元を見詰めて、おくれている国会改革から取り組んでいきたいという思いで今取り組みをさせていただいております。子供たちに堂々と将来政治家になりたいと言ってもらえる環境づくりが大事だと私は思っておりますので、これは与党、野党問わずにこれから協議をしていきたいと思っておりますので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、今国会の政治とお金の問題は、国会改革の観点からいっても、やはりきちんと説明できる、説明責任を果たせる制度にしていかなければ、私はこの環境づくりが大変厳しいものになるというふうに考えております。

 先ほど民主党の修正案も聞かせていただきました。いわゆる不動産取得の件につきまして、これは後ほど平先生の方から集中的に質問に立たせていただきますが、この修正案についても、現行持っている不動産については特に何も規制をかけないということ。私は、これは逆に既得権になっちゃうんじゃないかなというふうに考えています。例えば、その中で、賃貸に回したり、いろいろな税金が発生してきたり、贈与税がかかってきたりしたときに、果たして、これからの分は規制をする、では今の分を規制しないというのはどうなのかという疑問も感じております。

 いずれにいたしましても、私は、今回のまず与党案について、与党の政治資金規正法の改正案、この趣旨や意義をまずお尋ねしたいと思っております。

後藤(茂)議員 ただいまお尋ねがありました今回の政治資金規正法改正の背景、意義についてでございますが、今回の法改正の背景には、資金管理団体における事務所費を初めとした経常経費の使途の不透明さと、資金管理団体による巨額の不動産取得が、国民の浄財をもとにして、そうした預かったお金を使っての政治資金の使い道として果たして適切なものなのか、そういう非常に強い世論が高まったことがあるというふうに考えております。

 今回の改正によりまして、国民が抱く政治と金の問題に対する不信感を払拭いたしまして、政治と金がより国民の前で透明にされることに大きな意義がある、そのように思っております。

篠田委員 ありがとうございました。

 今回、与党案と、そして野党の修正案が出てきております。その違いについてお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 特に、与党案については、資金管理団体に限って、経常経費におきまして五万円以上の領収書の添付を義務づけると。他方、民主党案については、資金管理団体以外の政治団体にも、一万円という基準をつけて領収書の添付を義務づけるという違いがあります。

 私は、この五万円と一万円、どう違うのかと。国民の皆さんも非常に関心があるところだと思っております。ですから、まず与党案そして後に民主党案について。

 まず、与党案について、経常経費について領収書添付を五万円としたことについての根拠、その目的というのをお聞かせいただきたいと思っております。

西村(康)議員 お答えをしたいと思います。

 委員御指摘のとおり、現行法の政治活動費の収支報告への明細の記載及び領収書の写し等の添付の基準額や領収書徴収の基準額も勘案しまして、一件五万円以上の支出について義務づけることというのが私どもの案であります。

 この五万円については、より透明性が求められております政党助成金についての規制が、政党助成法により、人件費その他の総務省令で定める経費以外の額について、一件当たりの金額が五万円以上のものについて報告と領収書の写しになっていること、そしてまた、求められる政治資金の透明性と事務の煩雑さ、事務負担とのバランスを考えて、五万円という基準を設定したものであります。

篠田委員 ありがとうございました。

 続いて、民主党に質問させていただきます。

 民主党案については、政治団体にも及んで領収書添付を一万円以上とすると書かれておりますが、この一万円ということの根拠をお尋ねいたします。

武正委員 今国会が、政治と金にまつわる国民の疑惑を払拭するためにさまざまな取り組みをしてきたことは、委員御承知のとおりであります。

 民主党は、かねてから、この政治と金にまつわる透明性の確保ということに党として取り組んでまいりました。例えば、衆議院議員の資産をホームページで公開したり、あるいはまた、この後、今お尋ねの一万円超の領収書については、四月より衆議院議員がこれを五年間保存するということも、党として周知徹底したところでございます。

 今お尋ねの点でございますが、民主党案は、基準額を一万円超としております。これは、既に多くの国民の皆さんから、それぞれの確定申告あるいは企業の納税にかかわる書類の提出等、そうしたこととの比較で、できれば一円からというような声も多くある中、我が党とすれば、そうした政治と金の透明性確保からいえば、やはり一万円超がふさわしいのではないのかなというふうに考えて提出したところでございます。

 また、昭和五十五年の政治資金規正法の法改正で、当時は一万円以上だった領収書の添付義務が五万円以上に後退をした経緯もありますので、改めて、この一万円超ということで提出をさせていただいた次第でございます。

篠田委員 どうもありがとうございました。

 この一万円なのか五万円なのかということについてなんですが、私も秘書の経験がありまして、いろいろな事務処理等をやっていました。正直、一万円でも五万円でも、どうなのかと言われたら、私もよくわかりません。作業量が多い事務所は大変になる、煩雑になるというのもよくわかりますし、ではなぜ五万円なんだ、なぜ一万円なのかなということについて、正直わからないというのが私の考え方であります。

 ただ、透明性を高めることイコール五万円だからいいということ、一万円だからいいということとは、私の考え方ですけれども、ちょっと違うんです。私は、透明性を高めるということといわゆる説明責任を果たせるということは別だと思っているんです。

 その中で、私も、秘書として携わってきて、事務作業として、この場合はどうしたらいいのかな、どこに記載をしたらいいのかなという、わからないようなケースがたまに出てくることがあります。それで、きょう、皆様に改めて、皆さんもう当然御承知だと思いますが、現行制度での「収入・支出項目の分類基準表」という紙を参考のためにお配りさせていただきました。

 いずれにしましても、このどこかの項目に当てはめなければいけないわけです。ただ、そのどこに当てはめるかということは、いわゆる経理担当者、その秘書、スタッフ個人のパーソナリティーによるところがかなり大きいんじゃないかというふうに私は考えておるところであります。

 それで、例えばのケースについて、ちょっと質問をさせていただきます。

 例えば、事務所の秘書が、地元で講演会の集会がありましたということで新幹線に乗っていきました。それで、一泊をして帰ってきましたと。電車と新幹線に乗って片道八千円、大体、浜松ぐらいでしょうか、八千円かけて行った。それで、一泊して宿泊代が一万二千円かかった。そして、帰りはまた八千円で帰ってきたと。新幹線代が八千円プラス八千円で往復一万六千円、そして宿泊代で一万二千円、計二万八千円かかったと。では、これはどこに記載をしたらいいのかということがよく問題となってきております。

 そこで、参考のためといいますか、それぞれの見解といいますか、今、法案改正に携わっている先輩の先生方に、例えばこのケースだったらそれぞれどこに記載をするのかなという、私も悩むところがありますので、お尋ねをさせていただきます。

 まず、与党案の方にお願いします。

西村(康)議員 お答えをしたいと思います。

 例示で挙げられました、秘書の方が地元に戻るのはいろいろなケースが考えられると思いますので、具体的な事例に当てはめないと断定することは難しい面がありますけれども、このお配りいただいた分類表の「政治活動費」の中の「組織活動費」の右の方の「内容」のところに、「大会費、行事費、組織対策費」等が例示で挙がっておりますので、お尋ねの電車代とか宿泊費につきましてはこの項目に計上することが考えられるんじゃないかというふうに思います。

篠田委員 同じケースの場合、民主党の法案作成者はどう思いましたか。

近藤(洋)委員 お答えいたします。

 委員は、武部議員の秘書をやられて、実務経験がもう十分ある方でありますから御存じかと思いますけれども、御案内のとおり、政治資金は国民の浄財でありますから、公明正大に、疑惑を招くことのないように処理しなければいけないわけであります。

 お尋ねの、秘書の方の講演会行事出席のためということでございますが、こちらの方は、政治活動の一環として行われたのであれば、「政治活動費」の中の「組織活動費」、費目は「組織対策費」に当たるのがよいのではないかと。ないしは、場合によっては、研修費、調査研究費というところもあろうかと思いますけれども、基本的には「組織活動費」に分類するのが適当だろうと考えます。

篠田委員 それでは、総務省にお尋ねします。このケースは、総務省でしたらどうお考えでしょうか。

久元政府参考人 具体的な事実関係によると思われますので、必ずこの費目に当たるというふうになかなか断定し切れないと思いますけれども、私どもも、この「政治活動費」の「組織活動費」の中に当たるのではないか。今委員がお配りになったこの表の中でも、「大会費、行事費、組織対策費」といったものが説明の例示として挙げられておりますので、まずはこの費目に入れることが考えられるのではないかというふうに思います。

篠田委員 ありがとうございました。

 それで、今のお答え、政治活動費の組織活動費だということでありますが、総務省、済みません、もう一件ちょっと追加で質問させてください。

 例えば、秘書といってもいろいろな形態があります。後援会組織、資金管理団体で給料をもらっている秘書の方もいれば、あるいは政党に属している職員の方もいます。例えばこれが後援会活動だ、資金管理団体主催の後援会の行事に自民党の政党支部に所属をしている秘書スタッフ、職員が出張した場合、これはどちらの収支報告書に記載をすればいいと思いますか。

 質問通告はしておりませんで、突然のことで済みませんが、お願いいたします。

久元政府参考人 資金管理団体の秘書の方が行ったのであれば、資金管理団体の収支報告書に記載するということになろうかと思います。

 政党の支部職員が行った場合には、この政党の支部の収支報告書に記載をするということになろうかと思います。

篠田委員 ありがとうございます。

 今お答えありましたけれども、非常に悩むんです、どこに記載をするのかということを。私も質問を受けたりすると、その会合の趣旨によっても違うわけです。自分の秘書スタッフの身分によっても記載する項目が違ってくるんです。ですから、いかようにもできると言ったら変な話なんですけれども、領収書添付によって果たして説明責任がつくのかということについて、私は疑問に思っているんです。

 民主党案でしたら、このケース、例えば新幹線代八千円だということで八千円の領収書をもらってきたら、これは領収書を添付しなくていいんですね。しかしながら、往復料金でまとめて領収書を下さいと領収書をもらってきた場合は領収書を添付するというふうになっちゃう。だが、与党案の場合は全く添付をしなくていいということ。また、事務的作業に携わっていて、こういったところでの混乱があるのは事実なんです。

 何が言いたいかといいますと、私の考え方は、領収書を幾らの基準でどうするかということじゃなくて、説明責任を果たせればいいんじゃないかと思っているんです。透明性だ、あとは情報公開だ。それが必要なときに情報公開すればいいわけであって、ちゃんと説明責任ができる、ついては、事務所の秘書もきちんと自信を持って、この項目に入れるんだ、この項目に入れればいいんだということがわかるようにすれば、政治とお金の問題、説明責任が果たせてクリアになってくるんだと私は考えているんです。

 ですから、幾らからを基準に公開すればいいのかという議論ではなくて、私の考え方としては、いわゆる事務所費の問題、これは大ざっぱな支出項目が問題になったと思っているんです。その中にいろいろなものを入れてしまうということ。その内訳がちょっと見えてこないという中で、収支報告を見ると事務所費にどんとお金が入っていると、これは何なんだということで浮いたふうに見えるということで問い合わせがあって、今回の問題に発展してくると思うんです。

 ですから、私が考えているのは、事務所費という項目をまず一回廃止して、改めて項目を細分化して、それで自信を持ってその項目に記載できるような制度にすることが、ひいては説明責任が果たせる制度になるのかなというふうに私は考えております。これは私見でありますが。

 そこで、まず、現行の政治資金規正法についてのお尋ねをさせていただきます。

 いわゆるつけかえとも言われておりますが、政治団体が政治活動費として計上しなければならない支出を経常経費として支出すること、これは違法であり五年以下の禁錮または百万円以下の罰金が取られるというふうに承知をしておりますが、このような行為が収支報告の虚偽記載として処罰された実例があるのかどうなのかということをまずお尋ねさせていただきたいと思っています。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては事案を網羅的に把握しているわけではございませんので、あくまでも把握している限りで申し上げますと、例えば、経常経費であります人件費を水増しして収支報告書に記載したという事実で有罪判決が下された事案があるというふうに承知しております。

篠田委員 ありがとうございます。

 要するに、今の御答弁でしたら、人件費について水増しで記載をしていてということであります。私が質問したのは、いわゆる政治活動費と経常経費の虚偽記載でありますから、これは水増しで処罰されたということがあったということでありますが、いわゆるつけかえをして、これで処罰された例はないということでよろしいんでしょうか。

三浦政府参考人 先ほど申し上げましたように、網羅的に承知しておりませんので、そういう事案がないという形で御説明することは難しいわけでありますが、今申し上げました人件費を水増ししたという事案について、その水増しをした支出が本来政治活動費として計上すべきものであったかどうか、私どもは事実関係としては正確に承知していないというところでございます。

篠田委員 ありがとうございます。

 先ほど、たまたま秘書の出張の例を挙げて述べさせていただきましたけれども、例えば、これを事務所費で計上している事務所も、どこの事務所とは言いませんが、私はあるのじゃないかなと思うんです。ただ、それが見解の相違なのかどうなのかということはわからないわけでありまして、ここは私は、例えばそういったケースにおいては、明確にここなんだよということをきちんと教えてもらうような組織も必要だと思っていますし、総務省さんも、こういうケースはどうですかという問い合わせがあったときに、これはここに入れてくださいときちんと丁寧に説明することも私は必要だと思っているんです。

 今、本当に事務所のそれぞれの経理担当者は困っていると思うんですよ。たまたま私のこういった質問のケースも、ではこれから事務所費に入れたらいいのかと逆に言ってくる人がいるんです。いや、事務所費に入れたらだめだよ、きちんと政治活動費に入れなさいというふうに指導するんですけれども、現場の混乱といいますか、きちんとそれぞれやっていると思うんですよ。

 やっていると思うところが逆に混乱を来してしまうということは私はいけないと思っているので、総務省さんもきちんと、それぞれの事務所から問い合わせがあったときには懇切丁寧に答えていただきたいなというお願いもありますし、また、その制度自体も説明責任を果たせる制度にしたいな、してもらいたいなというふうに私は思っているんです。

 先ほども申し上げましたけれども、この事務所費ということで、我々改革加速議連の中で提言を取りまとめ、実は二月の十五日に自民党の執行部に出させていただきました。

 この事務所費問題についての提言というのは、いわゆる不動産取得は禁止すべきだということが一つの柱、そして、もう一つは、事務所費という項目を廃止をしましょう。そして、廃止をして、事務所費の中身として、こうこうこれですよと挙げられている賃料損料だとか、公租公課、保険料、通信料、そして修繕費のほかに、例えば交通費だとか、飲食費の雑費だとか、こういったものを新設することによって、私は、領収書添付の基準の議論じゃなくて、きちんと、ぱっと見て、ああこのぐらい使っているんだな、じゃ、おかしなことはしていないだろうということが、まず一見して安心してもらえるような制度、安心するというか、経理担当者も自信を持って経理ができるようになる。

 また、マスコミの方もいろいろな政治家の収支報告書とか、よくばあっとチェックすると思うんですが、そういったときに、ああ、これなら別に悪いことはしていないんじゃないか、おかしなことはしていないんじゃないかという、お互いにとってプラスになるんじゃないかなということで、二月に提言を取りまとめ、自民党の執行部に提出をしたという経緯はあります。

 しかしながら、今回の与党案については、自民と公明さんの中でいろいろな協議があったと思います。その中で、この中で外されたということについては、私は、その辺の経緯は何も言いませんけれども、まずは、いずれにしても、説明責任がきちんと果たせる制度になればいいなというふうに思っておりますので、これは私の意見としてとどめさせていただきます。

 それで、最後の質問になりますが、今回、与党案、いわゆる今回のこの規制、五万円以上は領収書添付をするということは、すべての政治団体ではなくて、政治家個人が持っております資金管理団体に限って法改正を行うということにしておりますが、この資金管理団体に限って行うということの理由を教えてください。

早川議員 政治団体、さまざまな形態のものがありますけれども、資金管理団体というのは、政治家が、本人が代表者である政治団体のうちから一つ選んで、その者のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定するものであるという性格のものであります。

 この資金管理団体でありますけれども、いわゆる特定寄附の受け皿、政党から政治家への寄附がさらに当該政治家の資金管理団体に寄附される、こういった特定寄附を初め、政治家がその資金を自己の資金管理団体へ寄附し、管理させる、そういう形態が政治資金規正法上に想定されているところであります。政治家が自己の資金管理団体に対してする寄附につきましては、年間百五十万の個別制限がないとか、あるいは、特定寄附については寄附の総額制限、年間一千万円の制限がない、こういった特殊性があります。

 このように、資金管理団体につきましては、政治家個人との人的、資金的一体性が強く認められることから、国民の政治不信を招くことのないようにするために、政治資金の使途に関し、支出の透明性を高め、収支の公開を図る必要性が大きいと考えたわけであります。

 そこで、本改正案では、資金管理団体に限って、人件費以外の経常経費についての収支報告書への明細の記載及び領収書等の写しの添付を義務づけることにした次第であります。

篠田委員 どうもありがとうございました。

 今回の政治資金規正法の改正案、与党案と、そして民主党の修正案が出されたわけであります。

 また、政治とお金の問題、やはり透明性を高めるということと同時に、繰り返し申し上げますが、説明責任をきちんと果たせる制度にしたいなと私は思っているんです。やはり、政治に携わる者がきちんと、これだけこれに使っているということ、今までは入り口の部分が厳しく問われましたけれども、これからはやはり出口も問われる時代になってくると思っております。

 その中で、私は、国会改革の委員長として、今、もっともっと取り組んでいきたいことが実はあるんです。例えば領収書の要らない文書通信交通滞在費だとか、いわゆる立法事務費だとか、その辺もこれからはきちんと使途を明らかにしなければいけないなと思っております。また、その議論はこの法案とはまた別の話でありますが、そういったことにもメスを入れていきながら、また、衆議院、参議院の事務局組織のあり方といったことも同時にやっていかなきゃ、国会の改革が一番おくれているねということで、やはり国民からそういった目で見られるんじゃないかなというふうに考えております。

 また、参議院選挙がまたあります。自民党の政権公約がこのたび出されました。その中に政治改革、党改革へと不断に努力をするというのがありましたけれども、我々は改革議連として、この中に国会改革が入っていないということで、国会改革も取り入れさせていただきました。政治改革、党改革、そして国会改革に不断に努力をすると参議院の選挙公約に入れていただきましたので、これは自民党の執行部にも重ねて御礼を申し上げます。

 参議院が終わりましたら、また引き続き、この政治とお金の問題を含めて国会改革に取り組んでいきたいと思いますので、どうぞ先輩方、また御指導、御鞭撻をいただきたいと思いまして、次に、不動産の問題について平議員が質問に立たせていただきます。

 どうもありがとうございました。

今井委員長 次に、平将明君。

平委員 自由民主党の平将明でございます。

 私は、一昨年、初当選をさせていただきました。それまでは中小企業の経営をやっておりましたし、毎月毎月、企業経理で月次決算なんというのをいろいろ苦労しながらやっておりました。私も今、篠田さんと一緒に改革加速議連で事務所費問題、政治資金にかかわる問題に取り組ませていただきました。不動産の取得の禁止をするべきではないか、そういう提案もいち早く自民党の中でさせていただいたところでございます。

 今、政治と金の問題に関しては、政治家やその団体に対する国民の目は大変厳しいものになっているなというふうに思います。やはり、我々政治家自身がしっかりと襟を正していかなければいけないと思います。

 あわせて、私も、一昨年初当選をいたしまして、政治家の事務所もしくは資金管理団体の会計のやり方と、やはり民間企業のやり方というのは本当に抜本的に異なっている。それは当然、収益を目的とした組織と政治活動をする組織というのは違うんだと思うんですが、その辺が国民の目から見ると大変不思議に思える、わかりにくいといったことを招いているんだと思います。

 そんな中で、今回、自民党そして民主党あわせて政治資金の規正の改革ということで議論されるということは本当に重要なことであるし、これは与党、野党問わず、しっかりと取りまとめていかなければならないと思っております。

 そのような中で、まず一つは事務所費の支出による不動産の取得についてお伺いをしたいというふうに思いますけれども、私も小沢代表の世田谷の物件を現地へ見に行ってまいりました。非常にいい住環境のところでありました。前に小川が流れていまして、道路に面している宅地であります。

 そのようなことも見てまいりましたが、一般論として、政治資金の使途として、事務所費から支出をして不動産を購入する。政治活動に使う、例えば政治活動の拠点としてそれを利用するということであれば一理あるかなと思うんですが、経常経費である事務所費から支出をして土地を購入し、アパートを建設する、それを例えば第三者に貸すとか、もしくは資産価値が高まるような形で不動産を買い増していく。

 例えばその世田谷の物件を見ると、道路に面して、二メーター間口で、ぐうっと奥まって胃袋の形で広くなっているという土地に、まずは独身者向けと言われている建物が建っていました。その前に面するところも同じ政治団体の所有なんですが、そこはまだ建物が建っていない。その現況から見ると、恐らく一番最初にその二メーター間口の奥まった土地を多分買ったんだろうと思います。その後、正面の土地を買い増したということになると思うんですね。私は、中小企業をやる前に、実は不動産会社に勤めていたんですが、その二メーター間口の奥まった土地というのは地形が悪いですから、また建築基準法上もいろいろな制限がありますので、実際に正面の土地に比べると多分四割ぐらい安いんじゃないかなと思います。そして、その後に道路に面した土地を買えば、これは町の不動産屋さんや開発業者がよくやることですけれども、奥まった土地の含み益は一・五倍、一・六倍になるという話なんですね。

 ですから、そういうことを考えて、別にこれは個別的な事案ではなくて結構ですが、経常経費の事務所費から支出をして資産価値が高まるような形で不動産を買い増していく、こういったことは政治資金規正法の趣旨から見てどうなのかなといったところを、まず総務省にお伺いしたいと思います。

久元政府参考人 現行の政治資金規正法第八条の三におきましては、政治資金の運用方法は、銀行等の預貯金、国債証券、地方債証券等の取得や、元本補てんのある金銭信託といった、特定の安全かつ確実な方法に限定されているところであります。したがいまして、金銭等の運用として不動産の取得等を行うことは禁止されているところであります。

 一方、例えば、政治団体がその事務所の用に供するなど運用以外の目的で不動産を取得することは、現行法上禁止されていないところであります。あとは、こういうような法律の解釈にのっとって、それぞれの具体的な事実関係にのっとり解釈されることが適当ではないかと思います。

 適法に不動産を取得するための費目につきましては、事務所費になろうかというふうに思います。

平委員 今の答弁をお伺いしますと、不動産を買うときは経常経費の事務所費から支出をするのは適当である。しかしながら、これも一般論ですよ、一般論として、例えば、土地を購入してアパートをつくって第三者に貸すとか、資産価値を増すような形で土地を買い増していくということは、一般論として趣旨に反するということでよろしいでしょうか。

久元政府参考人 不動産の取得が金銭等の運用に当たるかどうかということであろうかと思います。

 一般に、金銭等を利殖その他の目的のために、将来、資金として回収する目的を持って財産の形態を変えるということが運用であろうかというふうに思います。そういうような形での取得であれば運用という形になろうかと思いますし、本来の事務所の用に供するために取得をした不動産が、将来、資産価値が高まって、これを売却したときに売却益が出るということはあり得ようかと思います。

平委員 結果として売却益が出てしまったものはしようがないということですね。

 この件に関しては、おのおのの提出者の方にもお伺いをしたいと思います。今、総務省としてはそういう見解でありましたけれども、政治資金の問題は政治家みずから襟を正す問題だと思いますので、法案提出者の方にも今と同じ質問をお伺いしたいと思います。

 まず、与党の方。

西村(康)議員 今総務省からも説明のあったとおりでありますけれども、政治資金規正法第八条の三で、不動産取得などによる政治資金の運用は禁じられております。

 委員御指摘のように、マンションやアパートを購入して第三者に貸すことや、あるいは資産価値が高まるように不動産を買い増していくといったことは、一般的に政治活動用に使っているとは考えにくく、国民から見て、私的な資産運用をしているのではないかという疑念を抱かれても仕方がないと思います。

 今のような点を踏まえて、政治家と一体性が強い政治家自身の資金管理団体で疑惑を招くような資産を購入することは不適切と考えて、今回この改正案を提案しているところであります。

平委員 同じ質問を民主党の修正案提出者の方にもお伺いをしたいと思います。

松本(剛)委員 平先生に御回答申し上げます。

 今、総務省の方からも御説明がありましたように、事務所用の不動産の取得が法の目的で適法であるかどうかということが大変重要な点であろうというふうに思います。

 ですから、先生がお話しのように、資産価値が専ら高まるように、そしてそれによって利益を得るということが目的であり、転売をするなどして利益を得るとすれば、当然それは政治資金の使途として現行法でも認められないものであろうというふうに思っておりますが、事務所の利便性を上げる必要があるなど、事務所として、もしくは政治活動に必要な不動産の取得として適法であるというふうに認められれば、政治資金規正法の趣旨にかなったものというふうに思っております。

 先生もよく御案内かというふうに思いますが、政治資金規正法は、基本理念として、第二条で、「国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、」ということになっておりまして、やはり明らかにするということがまず第一の大きなポイントではなかろうかというふうに思っております。

 その上で、先ほど篠田先生の御質問でもありましたけれども、個別具体の事案に従ってその処理をなさるべきであるということがさまざまありました。それぞれのケースというのは、一般論で断じ切れないものがあろうかというふうに思いますが、最も大切なことは、国民の判断にゆだねられるように一切を明らかにすることではないかというふうに私どもも考えているところでございます。

平委員 今回質問をすることになりまして、与党案、そして民主党案は撤回する前の民主党案をいただいておりましたので、そちらの方を読み込んで質問の準備をしていたわけでありますけれども、きょう、撤回をされて修正案ということになったわけであります。

 先ほども申し上げたとおり、自民党の中の改革加速議連でいち早く、不動産の所有を禁止すべきではないかという意見を出させていただきました。今回民主党側から出た修正案も不動産の取得を禁止するということになったことは我々としても非常にいいことだなと思いますが、さきに出した法案では不動産取得の制限が盛り込まれていませんでした。今回修正案で不動産取得の制限を盛り込んだというのは、どのような問題認識によって変化をされたのか、民主党の提案者にお伺いしたいと思います。

松本(剛)委員 平先生に御回答申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、私も、最も大切なことは、国民の判断にゆだねられるようにすべてを明らかにすることではないか、このように思って申し上げさせていただきました。

 不動産の取得につきましては、先ほど平先生も、事務所として使うのであれば一理ある、このようにおっしゃられたとおりでありまして、私、ひょっとして、その質問の趣旨は、むしろ当初の民主党案を、不動産を禁止する案ではなくて、民主党案をもう一度出せ、こういう御趣旨での御質問かというふうに思ったわけでありますが、まさに、おっしゃったように、不動産を事務所として使うということは一理あるであろうというふうに思っております。

 先ほども御議論がありましたように、適法な不動産の取得、そしてそれに基づく政治活動というのは現行法では認められているというお話でありました。もちろん、政治資金の使途として適法でないものは認められないということでありました。

 しかし、不動産というのは、先ほど先生も不動産会社に御勤務であったということであるように、また、政治資金規正法では、元本割れの資産運用もしくは投機的な資産運用というものに対しては、浄財である政治資金という観点からいたしますと適当でないという趣旨の内容が盛り込まれております。そういった趣旨から、不動産の価額については、私が申し上げるまでもなく、先生の方がよく御存じだろうというふうに思いますが、そういう要素がある。そういう趣旨を持って、恐らく与党の皆様は不動産の取得を禁じられたのではないかな、このように解しました。

 政策の判断として、そういった運用は、やはり政治資金の運用として、不動産の取得、価額が上がったり下がったりする可能性のあるものに政治資金を投入するのは適当でないという判断で禁じられたのではなかろうかと解釈をいたしまして、そのように解釈をするとすれば、そのような考え方も一理ある、このように考えたところであります。

 ただ、その一理ある考え方を、筋を通すとすれば、やはり株式等、価額の変動の激しいものも含めるべきだろうということで、私ども修正案の中では、これについても加えさせていただく形をとったところでございます。

 また、私どもとしては、今回、私どもの提案を撤回させていただいて修正案という形で本日提出をさせていただきましたのも、やはり、政治に対する信頼を回復するというのは、まさに国会における建設的な議論のベースにほかならないわけであります。であればこそ、これまでも、政治資金規正法、公職選挙法は、与野党議員の議論の中から法改正が行われてきたものというふうに理解をいたしておりまして、第一会派また第三会派の与党の自民党、公明党さんが一緒になって提案をされたということであれば、その提案に対して、私どもとして、この点はぜひ御修正をいただくべきではないか、こういう考え方に基づいて、私どもの基本的な考え方は当初提出の形で示させていただいたわけであります。

 与党のお考えも提出されたことを踏まえた上で、私どもとして、改めて議論の俎上にということで、修正案という形で提出をさせていただいたところでございますので、先生にまた御意見をちょうだいしながら、ぜひこの国会でしっかりと実効性のある改正を行うことが必要ではないか。そのためには、私どもの修正案は有意義なものとしてぜひ真摯に御検討いただき、御賛同いただきたいということを申し上げたいと思っております。

平委員 両方の提案者とも不動産取得を制限するということで一致したということは、非常にいいことだと思います。

 先ほども言ったとおり、結果として利益が出てしまったらしようがないという部分はあるかもしれませんけれども、それは後づけの理屈であって、一般の有権者、国民から見て非常にわかりにくい形で不動産がとられている。また、PL、BSの複式簿記じゃありませんから、やむを得ないといえばやむを得ないですけれども、本来、経常費の事務所費というと、我々普通に考えると、事務所をレンタルして、事務所費、家賃を払うというイメージがあるわけでありますから、それは億の単位の不動産を購入するというのはやはりちょっと違和感を禁じ得ないんだと思います。そういった意味では、両方の提案者から、不動産の取得に対して制限をするということが一致をしたということは非常にいいことだと思います。

 あわせて、不動産の取得の制限に関連をしてですけれども、今既に持っている不動産に関しては、それは売りなさいとかそういうことはない。そのような中で、収支報告の際に、その不動産の用途、利用の現況を報告するということになったんですよね。与野党ともそうでいいんですね。ということになったと。ですから、それは実際どういう使われ方をしているんだ、どういう用途で所有されているんだということが国民の前に明らかになるようになったということだと思います。

 ちょっとわからないので教えてほしいんですが、その際に、収支報告をしました、実際に、あからさまに目の前に不動産というものの利用状況とかが出てきました。そのときに、これが明らかにこの法律から見て不適切だとなった場合に不動産の取り扱いというのはどのようになるのか、ちょっとその辺を、言っている意味わかりますか、総務省。

久元政府参考人 私ども現行法の解釈として申し上げますと、先ほど申し上げましたように、現行の政治資金規正法上は運用上の制限をしているわけであります。これに明らかに反する取得をした場合には、これに違反するということになりますが、現行法上この規定に対する罰則というものは設けられていないところでございます。

平委員 明らかにその収支報告書に記載をされている内容から見て、これはいわゆる投資目的であると判断をしたときは現行法の中で対応される、それに対して罰則はないということだと確認をさせていただきました。

 次に、不動産の所有の制限についてお伺いをしたいんですが、与党案、民主党案、それぞれのスキームの中で、与党案はそのかかる対象が資金管理団体に限定をされている、民主党案では政党以外の政治団体を対象としているということであります。これは全体にかかわるあれですけれども、不動産の所有の制限について、与党案は資金管理団体だけに限定、結果的にそうなると思うんですけれども、その限定をした理由を、民主党さんの方は政党以外の政治団体も対象にしている理由をお聞かせいただきたいと思います。まず、与党の方からお願いします。

早川議員 お答えいたします。

 政治団体には本当にさまざまな形態のものがあるわけであります。それからまた、不動産の取得の形態にもいろいろありまして、政治団体に対して寄附とかあるいは遺贈とか、そういう形で政治団体が不動産を取得する場合があります。

 そういうことを考えますと、あらゆる政治団体について、不動産の取得等を制限することになりますと、政治活動の自由を制限する、あるいは、そういった形態で取得した不動産の今度は利用等について、いわゆる財産権に対する過度の制約となるおそれがあるわけであります。そういうことで、その政治家と個人的な関係、一体関係にある政治資金管理団体に限定して不動産の所有の制限を課するということにしたわけであります。

武正委員 今の御質問でございますが、今政治団体が七万余、それに政党約一万弱、資金管理団体一万強、残り五万というようなことになろうかと思います。今そうした政治団体で不動産所有というものが約一%というような数字も聞き及ぶところでありますが、まず、民主党は政党以外の政治団体を対象というのは、なぜ資金管理団体だけがだめでそれ以外がいいのか、これがやはり説明がつかないのではないのかというところがございます。また、資金管理団体で所有はしていなくても、国会議員を例に挙げれば、政治団体で不動産を所有している例というのも挙げられるわけでございます。

 また、規制の対象が政党以外ということでありますが、政党はやはり法人格の取得が可能であり、不動産登記を政党名でできる、あるいは政党助成法や政治資金規正法により、我が国では政党中心の政治、政党の重要性を認めている、こういう理由であります。

 また、加えて、これは既に今国会でも言われておりますように、例えば、自民党さんでも資金管理団体を持っておられない国会議員さんが五十名近くいらっしゃる、こういったこともありますので、やはり政党以外の政治団体に対象を広げるべきであろう、このように考えるところであります。

平委員 両党の意見はわかりました。

 それで、ちょっと視点を変えると、私は持論として、二大政党制に日本はなるべきだなと実は思っていまして、やはり政権交代可能な二大政党をつくって、政治は緊張感を持っていかなければいけないなと思っています。

 その一方で、社会が成熟してきて、国民の価値観が多様化をしてきたという現状もあると思うんですね。そうした中で、比較的小さな政治団体、結局、自民党でも民主党でも公明党でも、またこの国会に議席を多数有している政党でもない政治団体がしっかりと活動できる環境もあわせてやはりつくっていかなければいけないんだろうというふうに考えています。

 その際に、政党以外の政治団体すべて、抜け穴をなくそうという趣旨は、それはそれでわかるんですけれども、小さな政治団体、結社などが政治活動をするときに、例えば、本部を、建物を所有できないといったことができてくると思うんですね。借りればいいじゃないかと思うかもしれないですけれども、そういう一種の権威づけをするためにも、本部を、土地を所有して、建物を所有してということもあるんじゃないかなと思います。

 この政党以外の政治団体全部を対象にしてしまうと、例えば、新党大地というのは、あれは政党じゃないですね。ですから、新党大地なんかは持てないんですね、党本部が。全然この政党にシンパシーはないですけれども。そういう事例で、そういう小さな政治団体の活動をちょっと制約するのではないかなという懸念がありますけれども、その辺は、民主党の提案者の方、いかがでしょう。

鈴木(克)委員 御答弁をさせていただきます。

 平先生、改革議員連盟ですか、本当に御活躍をされておるということで、大変敬意を表しておるところでありますが、いずれにいたしましても、今おっしゃったように、我々が今取り組んでいかなければならないのは、まさに国民の政治不信を払拭することだというふうに思います。そして、今この場で議論をしておりますように、政治と金の問題を、国民の信頼を回復していくということが最も大事だというふうに思っております。

 そういう中で、今不動産の所有の制限を資金管理団体に限定するか、そしてまた、政党を除く政治団体にするかということでございますが、いずれにいたしましても、今おっしゃいました抜け穴の問題をきちっとしない限り国民の信頼を回復することはできない、このように私どもも思っております。

 したがって、今回私どもは政党以外の政治団体について制限をするというのは、まさに抜け道をふさいでいくんだということで、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 そこで、小さな政党といいますか、今、新党大地さんの例をお挙げになって、そういうところの政治活動を阻害するのではないのかということでありますが、先ほど私どもの武正議員も申し上げました約六万五千、七万近くある政治団体の中で、実際に今土地とか建物を持ってみえるというところは五百ということです。

 それが多いか少ないかは別として、だからといって抜け道をふさがないということの方がやはり大きな問題であって、もう一方では、今までお持ちになっておったところは別に制限をする、保有を認めないということではないわけですから、私はこれは小さなところの政治活動を阻害するというようなことにはならないんじゃないかな、そういうような判断をいたしておるところでございます。

平委員 これからますます社会が多様化をしていく中で、やはり少数の意見というものをしっかりと政治の世界でくみ上げていく、もしくはそういう政治活動をしっかりと担保していくというのは極めて重要だと思います。

 特に、大きな流れとしては多分二大政党制時代に入っていくんだと思いますから、なおさらそういうことは大事だと思うし、今持っているところは関係ないと言いますけれども、これから新たに生まれてくる芽をつぶさないようにしなければいけないと思います。

 どちらもわかるんですよ、言っていることは。言っていることはわかるんですが、国会は大きな政党同士で議論しているから、どうしても小さな政治活動をしている意見がなかなか反映されないと思うんですよ。ただ、それは民主主義にとって極めて重要なことだと思いますから、一定の配慮をやはり少し議論していただきたいなというふうに思います。意見として言わせていただきます。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほど篠田議員からも指摘がありましたけれども、私も会社の経営をやって、ある程度会計というのはわかる部類に入る人間だと自分で思っていましたけれども、やはり政治の世界に入ってくると、会計の処理の仕方が全然違う、感覚的に違う。それはやむを得ないんだと思うんです。

 しかしながら、戸惑うのは、企業経営をしていれば、会計士なり税理士なり、いっぱいいるんですよ、相談する相手は。逆にこっちがどの会計士を選ぶか、どの税理士を選ぶか、どの会計事務所を選ぶかというのができるんですけれども、リアルな現実として、スペシャリストが余りに少ないという現状があると思います。ですから、その辺については、政治にかかわる会計のスペシャリストの育成みたいなものをぜひしていただきたいなというふうに思います。

 我々は、企業会計でやっていましたから、全部帳簿に載せて、いつでも説明をできるということにしたいと思うんですけれども、会計の微妙なニュアンス、さっきのどの科目に入れるのかとかどう処理するのかという企業会計と違うところのアドバイスは、どこに聞いても、総務省に聞いても、何かわかったようなわからないような答えが多いし、そうすると、先輩議員のだれだれさんはこういうやり方をやっていますよ、だれだれさんはこういうやり方をやっていますよというところで判断せざるを得ないですね。

 そうすると、そのだれだれさんというのが、実はそれはだめですよと社会から糾弾されると全部だめだと。これは、政治家としては極めてリスクなわけでありますので、その辺の育成にちょっと取り組んでいただきたいなというふうに思っております。これも意見として言わせていただきます。

 最後に、政治資金管理団体等で例えば不動産を持つ、もしくは財産を持つというのは、私は別の問題もはらんでいるんだろうなと思います。それは相続の問題です。

 例えば、ある政治家が土地を持っていました。例えば有価証券でもいいですよ、有価証券も持っていました。その人が亡くなりました。そうしたら、その政治団体の後継者がそれを引き継ぐんですね。大抵の場合は息子だとか娘さんとかだと思うんですね。中小企業とか企業であれば株式は課税されますから、今自民党で事業承継を一生懸命やっていますけれども、そこで当然、相続税が出てくるわけです。

 やはりこの違いを見ると、これは政治の世界で世襲化を促進する効果があるんだと思うんですよ。ですから、私は、ここはやはりきれいに、資産は持たないということをするべきだろうというふうに思います。

 時間も来ましたからやめますけれども、民主党さんの修正案では有価証券という話もあったけれども、そういった意味では有価証券も一緒ですよ。不動産も有価証券も、あわせてそれは持たない方向に持っていくべきだと私は意見として思います。

 この辺について、では最後に与党、民主党提案者から一言ずついただいて、終わりたいと思います。

西村(康)議員 今委員御指摘というか御意見のとおりでありまして、我々、国民から疑念を持たれるようなことをしないということ、個人に私的に相続されるようなことがないように、そういったことも含めて、今回、政治家と一体性の強い資金管理団体について、不動産の取得を禁じたところであります。

鈴木(克)委員 まさに今議員のお尋ねになった点は五月の二十三日の予算委員会で私どもの岡田議員が国税庁と尾身財務大臣に尋ねたところでございますが、国税庁としては課税上問題があると認められた場合は税務調査を行うなどして適正公正な課税の実現に努める、それから尾身財務大臣も、国税当局は適正公正な課税の実現に努めているものと確信をしておる、こういうことでございました。

 したがって、いわゆる政治団体の資産が相続とか世襲をされていくということを前提としていないのが私どもでございまして、やはり今議員のおっしゃったように、そのときにきちっとしていくということだというふうに思います。今回、そういう意味でも、この提案というのは、私どもはむしろそういった方向で進んでいくことではないのかな、このように考えております。

 以上であります。

平委員 終わります。ありがとうございました。

今井委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 今回、ようやく政治資金規正法の改正案の審議がスタートいたしまして、これについては、これまでも新聞やテレビ、マスコミ等でもずっと報道されましたように、今国会、特に政治と金に対するさまざまな指摘がございました。そういった中でこの問題がクローズアップされてきて、与党の中で、まあ、我が党公明党も提案者等を初めいろいろな協議をした中で、ようやく法案提出、そして審議入りという段階、これに敬意を表したいと思います。それとともに、今回、民主党の方も修正案という形で、これまでの民主党案を取り下げて再度提出をし直すというような形で、議論を深めていかなければいけないと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、先ほどからの自民党の委員の御質問とも若干重複する部分もあるかと思いますけれども、その点は御容赦願いたいと思います。

 まず、今回の規正法の改正案、なぜこれをやらなければいけないのか。これは、今、新聞、テレビ、マスコミでも報道されてきたというふうに申し上げましたけれども、例えば事務所費の問題、松岡前農水大臣がお亡くなりになられて、まことにお悔やみ申し上げたいと思いますけれども、その事務所費でのいわゆる水の問題、これもマスコミで取り上げられて、逆に言えば、それがおもしろおかしく取り扱われた部分もあったと思うんですけれども、やはり政治と金の問題というのは襟を正していかなければいけない。さらに、民主党代表の小沢党首の不動産の取得の問題、これもクローズアップされましたし、そういった中で今回の改正の背景、その意義について、改めて与党の提出者にお伺いをしたいと思います。

東議員 今、高木委員お尋ねの中で、みずから御発言がございました、一つは資金管理団体における事務所費を初めとする経常経費の使途の不透明さ、それからもう一つは資金管理団体が巨額の不動産取得をする、これが国民の浄財をもとにした政治資金の使い道として果たして適切なのか、この二つの問題が大きくクローズアップされた、これが背景にあると私も認識をいたしております。

 そういう観点からして、やはり政治と金というのは絶えず国民の監視あるいは熱い視線の中で位置づけられるものでありまして、政治家のお金の使い道、使途というものは、当然のごとくそういう国民の大きい関心と監視の中にあるということから考えたらば、こういう問題が惹起したら、いち早く改正ということを考えていくことが我々政治家の大きな役割であり使命である、このように考えておりまして、したがって、不信感というものをぬぐい去って政治と金の透明化をより前進させるということが今回の意義だ、私はこう思っております。

高木(陽)委員 今、提出者の方から意義が述べられましたけれども、政治と金の問題を考える場合において、今回法律改正するということで審議をしておりますけれども、大切なことは、やはり政治家たる者、説明責任を果たしていくということが一番大切なのではないかなと思うんですね。法律があるからその法律にのっとってやる、当然なんですけれども、疑惑を持たれた場合には、またはそういう指摘を受けた場合には、政治家みずからが国民の前にしっかりと説明をしていく、こういった姿勢がやはり問われているのではないかな。

 その上にあって、国会議員だけではありません、地方の議員の方、政治に携わる方々はたくさんいらっしゃいます、そういった中で政治家たる者が、本当に国民から、有権者から、納税者から、なるほどしっかりやっているな、こういう信頼感を得ていくことが一番必要であろうかな。

 ただ、そういうような中にあって、今回さまざまな問題点が指摘されましたから、あえてここで法改正をしていく。ただ、これまでの政治資金規正法の改正というものを見てみますと、何か問題が起きると、それを追っかけるようにして改正をしていく。ところが、次にまた新たな問題が起きて、次また改正をしていく。こういうようなパターンが多かったのではないかな。

 やはり、法律を改正していくとともに、私たち政治家というものがもう少し説明をしていくということ、これは政治と金の問題だけではありません、今、年金の問題もいろいろと議論がされておりますけれども、そういった問題をしっかりと説明していくという姿勢を確立していきたいと思いますし、この審議を通じながらお互い確認をし合いたいと思います。

 その上で、今回の与党の改正案のポイント、これを簡単に述べていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

東議員 しっかり説明をしていくということは当然非常に大事なことだ、私もこのように思っております。納得がいくまで説明をするということが大事で、一わたり説明をするじゃだめなので、納得がいくまで説明をすることが説明責任を果たす、こういうことだと私は思いますので、全くの同感でございます。

 さて、今回の与党案のポイントでございますが、一つは、先ほどからお話が出ていますように、不動産の問題です。資金管理団体が、土地もしくは建物の所有権または建物の所有を目的とする地上権もしくは土地の賃借権を取得し、または保有してはならないものとする、これが一つでございます。

 二つ目は、資金管理団体に対し、人件費以外の経常経費の一件当たり五万円以上の支出について収支報告書への明細の記載及び領収書等の写しの添付を義務づける。ただ、この経常経費は人件費は除いている、こういうことでございます。

 この二つがポイントでございます。

高木(陽)委員 ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。

 今、提出者の方からお話がありましたポイント、不動産の問題と領収書添付の問題。この不動産でございますけれども、これはなぜ不動産を禁止しなきゃいけないのか。

 ここら辺のところも、先ほどの自民党委員の中でも、政治団体もいろいろな団体がある、こういった言い方の中で政治活動の自由の部分を触れておられました。この不動産所有の禁止、この取っかかりは小沢民主党代表の不動産取得のことがかなりクローズアップされてからこの問題というのは議論が深まってきたとは思うんですけれども、なぜ不動産所有を禁止するのか、この点について伺いたいと思います。

大口議員 高木委員に御答弁申し上げます。

 今委員からもありました、そしてまた自民党の先生からもあったわけでございますけれども、政治団体の中には政治結社でありますとか、あるいは業界団体の政治連盟とか、あるいは労働組合の政治委員会ですとか、さまざまな政治団体があるわけです。そして、そういう政治団体は、安定的な活動拠点を確保することも非常に必要であるということが一方にあるわけですね。そういう点で、これを全面的に禁止するということになりますと、その政治団体の政治活動の自由とか、あるいは財産権に対する過度の制約、こういうふうになってくるわけでございます。

 そこで、私ども与党案は、資金管理団体に限って、これは今まで何回も答弁がありますように人的、資金的に政治家個人と資金管理団体が一体化しているものについては、政治資金でもって不動産を取得するということについて八条の三の政治資金を運用するということによるチェックしかできないということでありますと、非常に国民の不信といいますか、こういうものが今回高まったわけであります。そこで、これにつきましては八条の三だけでは足りないということで、土地の所有権、建物の所有権または建物の所有を目的とする地上権、賃借権というものについて保有してはならない、こういう規制をかけたわけであります。

 以上です。

高木(陽)委員 自分の資金管理団体を見てみても、不動産を取得できるだけの資金が集まっていないなと素朴に自分自身も思うんですが、それを取得できる資金管理団体をお持ちの方々というのはすごいな、こういうように素朴に思うし、多くの国民の方々も、浄財の政治資金が運用されている、そう思ったときに、果たしてこの不動産取得というのはいかがなものかと思っているんじゃないかな、こういうふうにも思うんですね。

 そんな中で、今回、今国会が始まってから、この政治資金規正法問題、特に与党の中でいろいろと議論を重ねてまいりました。公明党は、公明党としても途中経過、途中段階でさまざまな提言をされたり提案をされてきたと思うんですけれども、この与党案のまとまる過程の中で公明党としていろいろと取り組まれた状況、いろいろとあったと思うんですけれども、その点について簡単に御説明いただければと思います。

東議員 今日、法案を提出して議論をいただくまでの経過というものを簡単に御説明申し上げます。

 この事務所費問題というのが惹起をいたしまして、加えて、不動産を取得するということが大きく国民の間で話題に上りまして、これはいかがなものかということになりまして、四月十七日に、私たちは党の政治改革本部におきまして、個人の資金管理団体について、五万円以上の経常経費、人件費を除く経常経費の支出については収支報告書に領収書の添付を義務づけるということが一つ、それから二つ目は不動産の所有を禁止する、この内容を柱とする骨子というものをまとめました。

 これをまとめたことによって、さらに、その翌日でしたか、我が党太田代表が安倍総理と協議をいたしまして、安倍総理の方からも、今国会に提出する、太田代表の要請によって提出するという意思を表明なさった。それから与党の政治改革プロジェクトチームというところで本格的な議論が始まったわけでございます。

 両党が案を出し合いまして、そこで不動産の所有の禁止については両党とも案を出す段階から意見は一致いたしておりました。ところが、人件費を除く経常経費に領収書添付ということについては、これは大きく意見が分かれまして、先ほど来御質問の中にも出ておりましたけれども、事務所費という項目を除いて、そして、さらに細かく科目をふやしてやることでいいのではないかという意見であったり、あるいは政治活動の自由を著しく脅かすことになるのではないかという意見があったりで、自民党さんもでっかい政党ですからいろいろな意見が党内にさまざまある、それらを背景にしながらプロジェクトチームに出てこられる。私たちは、いや、びしっと経常経費に五万円以上の領収書を添付すべしということで、相当ここは意見が分かれまして、何度も何度も激しい協議を行いました。

 そういう中で、なかなか合意に至らなかったんですけれども、それでも国民に対する不信、疑念はやはり払拭していかなきゃいけない、この気持ちにおいては見事に一致をしておりましたから、粘り強い協議を続ける中で、最終的に自民党さんも私たちの案というものに合意を示してくださいまして、最終的に領収書添付義務づけということを盛り込む法律案、そして、あわせて不動産の取得の禁止ということを盛り込んだ法律案ということになった次第でございます。

高木(陽)委員 今お話がありましたように、紆余曲折というか、それぞれ違う政党ですから、同じ連立政権、連立与党を組んでいるとはいえ、考え方というのは違う部分があって当然だと思います。

 そういった中で、お互いが話し合いをする中でやってきた。特に、安倍総理と我が党太田代表との話し合いの中で、今国会で法案提出する、成立を図っていくんだ、こういった話し合いがなされたというのも大きな要因だったと思います。そういう意味では、やはり国民に対してしっかりと信頼回復をしていかなければいけないという、安倍総理、太田代表、そしてまたその当事者でずっと協議された方々の御苦労というものを本当に評価したいと思います。

 せっかくここまで来ましたから、私思うんですけれども、民主党との修正協議というのはなかなかできないんですけれども、本当はこういった問題は与野党一緒になってできるといいんだろうな、こういうふうに若干、若干というか強く思っております。ただ、どうしても、選挙を前にしているという、参議院選挙がだんだんと視野に入ってきた。そうなってくると、それぞれの党が独自色を出してくる、こういった部分もなきにしもあらずなのかなという気もしないではないです。しかしながら、大切なことは国民がしっかりと理解をして納得をしていただくことだと思いますので、この審議の過程の中でもしっかりと議論を進めてまいりたいと思います。

 その上で、規制対象を今回与党案は資金管理団体に限定をしている、ここのところでさまざまな新聞論調を見てみましても、抜け道ができちゃうんじゃないかなとか、いろいろとさまざまな指摘、御批判等も見受けられます。そういった問題について、資金管理団体になぜ限定したのか、この部分を明快にお答えいただければと思います。

東議員 先ほどから何度も何度も使われているワーディングがございます。それは、政治家個人との人的、資金的一体性が強いという言葉でございます。ここが資金管理団体の特異性でございまして、確かに政治団体は約七万あります、さまざまな政治団体がございますが、それは政治家が絡んでいる政治団体もあれば、全く政治家が絡んでいない政治団体もたくさんあるわけで、そういう中で政治家個人との資金的、人的一体性が強いという、これが資金管理団体の特異性でございます。したがって、そこについて何らかの改正をきちんとやって切り込んでいこうということが一つ大事。

 それから、事務所費問題というのは、資金管理団体の事務所費問題として惹起してきたわけですから、そこをきちんと考えていこうということがございます。

 それから、いわゆる全政治団体、七万に及ぶ全政治団体に既に政治活動費というのは五万円以上の領収書添付義務というのが課せられているわけですから、お金の出というようなところを考えたときに、やはり政治活動というところはその時々の政治活動のボリュームによってお金の出る量が多かったり少なかったりしていくわけで、したがって、ここに五万円以上を、どういうふうに使われているかというために政治活動のところは全政治団体に五万円以上の領収書が添付される。

 他方、経常経費というのは、これはもう読んで字のごとし、常に使われるいわゆる事務的経費といいますか、そういうことが常識なんですね。ところが、今回の問題はそういう常識を覆すような、そういうことがあるだろうかと本当にびっくりするような形でこの一例が出てきた、これが今回の問題の惹起でございます。

 したがって、経常経費というのは、いわばその政治団体にとって必要不可欠な生活費である、内容について詳しく報告させてみても余り意味がない。しかし、その政治活動費に比べ通常は支出に大きな変動がないとはいいながら、考えられないことが起こったとしたら、つまり、政治活動費で支出すべきはずのものを、ここに領収書添付義務があるものだから経常経費の方に回して、そこに領収書添付義務がないからそこで支出をしたという考えられないことが実際に起こったとするならば、これは大変だということで、資金管理団体の経常経費のところに領収書添付義務ということをやはり課さざるを得ないだろうとなった。

 ただ、それを七万の全政治団体に一気に網を広げると、しかも事は経常経費なんですから、政治活動費はすべて添付義務があるわけですから、それは余りにも行き過ぎだろうということから考えて資金管理団体というところに限定して、しかも経常経費のところに五万円以上の領収書添付義務を課したということでございます。

高木(陽)委員 今、少し次の質問にもかかわる御回答が出てきたんですけれども、領収書添付の基準の五万円。これは民主党側が一万円。一万円なのか五万円なのか、三万円がいいのか、または五千円がいいのか、または一円がいいのか、いろいろな意見があると思うんですけれども、ここの部分ですね。

 よく私もテレビの討論会等に出させていただいたときに感じるんですけれども、政治資金というのは税金なんだと勘違いされているテレビのコメンテーターの方々も結構いらっしゃって、まさに政党交付金はそういった部分では貴重な税金から各政党に交付されているということで、これの使途については五万円超の公開基準というのがございますね。一般の政治資金の場合には、例えば献金ですとか、または事業収入ですとか、さまざまな形で、本当に国民の、これも浄財なんですけれども、こういったものの使われ方もきっちりと公開していかなければいけない、透明性を高めなければいけないということなんですが、税金とは違う部分がある。ただ、政治資金については税制上かなりの優遇措置がなされているということもありますので、この点はさらにしっかりと透明性を高めていこう、これはすごく必要なことだと思います。

 その上で、五万円というのと民主党が言っている一万円、ここら辺の差、何か民主党の方がいいんじゃないかと多くの国民の人たちも言ったり、またはコメンテーターがテレビで言ったり、そこのところを、なぜ五万円なのかの部分をもう少し御説明をいただければと思います。

東議員 確かに、それだけを聞きますと、それは低い額の方にした方がいいじゃないかと思いがちですが、なぜ与党案が五万円以上になったかは、二つの観点がございます。

 一つは、現行の政治資金規正法の資金管理団体のいわゆる政治活動費というフィールドが五万円以上の領収書添付義務となっております。それから、政党交付金の支出の領収書添付義務も五万円以上になっています。この五万円以上というところに整合性を持たせた形で、資金管理団体の経常経費も五万円以上とすべきであろうというふうに考えました。

 それは、それなりの背景があるわけです。これが二つ目の観点です。

 その背景というのは、確かに、民主党さんがおっしゃっているような一万円以上の時期もございました。それは、昭和五十年の政治資金規正法改正から一万円とされたんですけれども、その後、当時の物価の上昇あるいはまた報告義務者の事務的な負担、事務的負担は一万円の方が当然多くなってくるわけですから、それに比べて五万円としたときも余り事務的な負担の程度は変わらないね、むしろ物価上昇や事務的な負担というものを勘案したときに五万円ということが適当ではなかろうかということで、その後、昭和五十五年に五万円に改正をされているわけです。先ほどどなたか後退とおっしゃったけれども、そうじゃないわけですね。当然のごとく改正をされたわけでございまして、こういう背景がある。

 例えば、昭和二十三年は千円だったんですね。ところが、当然、余りにも明細の報告の事務負担が多過ぎるというようなこともあり、物価の上昇というものもあり、千円が一万円になり、そして五万円になった。こういう背景、経緯というものがあるわけです。

 そういうこともしっかり踏まえて、リーズナブルな、きちんとしたものをつくらなければならない、こういうことで五万円以上ということになったわけでございます。

高木(陽)委員 今お話ありましたように、この政治資金規正法というのは、ずっと変わらずに来たわけではなくて、機会あるごとに改正されてきた。そういった流れ、背景といったものをしっかりと認識しないと、提出者が答弁で今言われましたように、一部だけをとらえると、あっ、こっちの方がいいねという部分があると思うんですね。全体をしっかりと見据えながら、その中でちゃんと説明をしていかなければいけないな、このように私も痛感をいたします。

 時間も限られておりますので、最後に民主党の方々に御質問させていただきたいと思うんです。

 民主党が当初法案を提出して、この委員会が始まるときにその民主党案を一たん取り下げる、それで与党修正案を提出されるという、不動産の問題を取り入れたと思うんですけれども、もともとこの不動産の問題というのは、今回の法案を提出する前に、この国会に入っていろいろと議論をされておりました、委員会ではなくて。そういった中で、なぜ修正案を提出されたのか、なぜ取り下げたのか、前の民主党案というのはだめだったのか、ここら辺のところをちょっと伺いたいと思います。

松本(剛)委員 高木先生に御回答申し上げたいと思います。

 先ほどもありましたが、私どもは、民主党案を提出するに当たりましては、検討を重ねた結果、そのような形が望ましいということで提出をさせていただきました。

 当然、御指摘のように不動産もしくは資産の取得に対しても、既に議論があったところでありますけれども、先ほども御回答申し上げたように適正であるかどうかということ、そして、政治資金規正法の基本理念に従って明らかにするということをまず旨とすべき、こういうことを考えた結果、現行法でも十分に明らかにすべき内容になっている、これを明らかにしないということであれば問題でありますが、という形で臨むべきではないかという判断をいたしまして法案を提出いたしました。

 この不動産の取得に関しては、先ほども現行政治資金規正法の八条の三の精神をおっしゃいましたように、また、先ほど自民党の方の御質問にありましたように、政治活動の事務所として使うのであれば一理ある、まさにここの政策判断、制度設計の判断だろうというふうに思っております。

 今回、政治の信頼を回復するためには、まさに建設的な政策議論のベースである国会の信頼回復の問題でありますから、与野党が協議を重ね、しっかりした政治資金規正の改革案を早急につくるべきではないか、こういう思いで、私どもとしては、与党の皆さんが出されたお考え、その判断を一定程度尊重し、私どもとしての意見を修正案という形で加味をして御議論に付していきたい、このように思ったわけでございます。

 先ほど高木先生の御質問の中で、与野党の中で、紆余曲折と言うかどうかという話でありましたが、与党の中での御議論を重ねて案が出された、いわばリーグの中のプレーオフで一つの形が出たんだとすれば、今度は与野党の中での議論をしていく中でしっかりと国民の信頼が回復できるものを積み上げてまいりたいと思っております。

 その点で、一つは、資金管理団体に絞っているのか、政治団体に広げるべきなのか、こういうお話であります。

 現行法は政治団体で義務をかぶせておりますし、今おっしゃったように政治団体は政治資金に対しては一定の税制上の優遇もあるわけですから、そのことを考えると、やはり一定の義務を課される。その一定の範囲がどの程度であるかというのは、一つの判断ということになろうかと思いますが。他方で、先生おっしゃったように、政治資金の中で不動産を取得するというのはそれなりの金額が必要であるということを考えれば、その義務というのはある程度負うべきではないかということで、私どもとしては、資金管理団体ではなく、やはり政治団体を規制の対象、ベースとするべきだということ、これは領収書についても、また資産の運用の問題についても、そのように思っております。

 資金管理団体が、いわば一体化という形で先ほどおっしゃっておられましたけれども、現行の制度の中では、相当に、資金管理団体をもってその政治家もしくは国会議員の活動を代表する資金の管理と言えるかどうかということにはかなりの疑問がある。先ほど申し上げたように資金管理団体を持っておられない方はもちろんでありますし、資金管理団体の指定をされておられる方でも、それよりはるかに大きな金額を別の団体で実質的に動かしておられる方もおられるわけでありますから、今大切なことは明らかにする、明らかにするという旨を実現するためには広く政治団体に対して行うことだ、このように判断をし、その点を修正案で提出させていただきました。

 また、五万円と一万円の問題でありますが、国民の理解を得るという意味で、現在さらなる国民の理解が必要だという段階に来ているとすれば、今の五万円から一万円に引き下げるという形が必要ではないかというふうに私どもは判断をし、提案をさせていただいているところでございます。先ほど政治活動費との整合性という話がありましたが、これは両方そろって引き下げるということを私どもも御提案させていただいているわけでございます。

 ここに、昭和五十五年に政治資金規正法が改正をされた十一月十九日の参議院での議事録がございます。公明党の当時の多田副委員長がおっしゃっておられますが、当時の法案で、「これはもとの政治資金規正法がもともとざる法なんだという意見もございます。それに対して今度の改正案では、第十二条の政治団体の支出について一万円以上のものに限っては提出義務がある、こういうふうにあったものを今度は五万円以上のものについては報告するというように大分これは後退しているわけです。」、「後退」とおっしゃっておられます、改正ではなく。「ですから、私は、それを含めて、やはり国民の強いそういう批判にこたえて抜け穴を封じ、またざる法でない、収支も厳しくするし、支出もはっきりと報告するようにする、そしてまた罰則もつける、そのようにすべきであると、このように思います」、このようにおっしゃっておられまして、当時の精神というのがやはりここは生かされるべきではなかろうかというふうに思っております。

 由緒ある、また見識のある高木先生のことでございますから、私どもの修正案の意義、そしてまた公明党の皆さんが積み重ねてこられた議論の重みというのを受けとめて、ぜひこの修正案に対する真摯な御検討をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、私どもとしては、党として修正案に対する協議を呼びかけさせていただいております。私ども責任者の、今質問します岡田副代表から呼びかけさせていただいておりますが、残念ながら呼びかけをまだお受け取りをいただいていないというお話もお聞きをしております。ぜひ高木先生の方からも真摯に協議に応ずるように党に働きかけをいただきますようにお願いを申し上げて、答弁といたします。

高木(陽)委員 時間が参りました。

 ただ、一言申し上げたいのは、今回、法改正になります。冒頭にも申し上げましたけれども、何か問題が起きると法改正をしていく、まあ、これは問題は解決していかなきゃいけないので法改正も必要なんですけれども、大切なことは、国会議員というのは選良と言われている、本当に一人一人の政治家が説明責任を果たしていく、それをしっかりやっていれば法改正する必要はないわけです。ここのところをやはりしっかりと肝に銘じながら今回の法改正に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 以上で終わります。

今井委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 まず、今、我が党の松本政調会長が最後に述べたところでありますが、先般、民主党案と与党案がそろったところで、我々はあえて修正案という形で論点を絞り込んで出し直しをさせていただきました。でき得れば、こういう問題ですから与野党できちんと協議をして合意が得られればいいという思いで、自民党の政治改革本部長である石原さんと公明党の同じく政治改革本部長である東さんに政党間協議を申し入れをしたところでありますが、残念ながら振られてしまいました。

 しかし、きょう、それから来週の審議をやりながら論点が明確になったのであれば、やはりきちんと政党間で協議をするということは、私は国民に対する責任ではないかと思いますが、東さん、いかがでしょうか。

東議員 昨日ですか、正式に文書でもってお申し込みをいただきました。私も自民党の石原さんとも協議をいたしまして、審議がもう始まる、この審議の質疑、答弁という状況も刻々と進んでいく、その中でさまざまに問題点や論点というものも浮き彫りになってくる、同時進行、並行してこの委員会の筆頭理事間でよくその中身も含めて協議をまずもってしていただくことがいいのではないかという結論に私どもはなって、そういうことをお答え申し上げさせた、こういうことでございます。

岡田委員 そうしますと、当面筆頭間で協議するとして、将来的には政治改革本部長間での政党間協議ということも視野に置いておられるというふうに考えていいですね。

東議員 そこは、まず筆頭理事間の協議の状況を見てということにさせておいていただきたいと思います。

岡田委員 この問題は、先般、予算委員会の集中審議のときに総理にも申し上げましたが、国民と政治、政党あるいは政治家をつなぐその信頼というところが問われている非常に重要な問題ですから、ぜひこれはそれぞれの党を代表してしっかりと責任を持って協議する、でき得れば合意をする、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。

 さて、きょうは政治資金規正法の改正について議論したいと思いますが、その前に同じく東さんにちょっとお尋ねしたいと思います。

 先般、松岡前農水大臣がお亡くなりになりました。大変お気の毒だと思います。

 ただ、予算委員会あるいは国会の場で松岡さんは何度も同じ答弁を繰り返されて、それが果たして説明責任を果たしているのかということが議論になりました。そして、総理もその松岡発言をいわばかばい続けたわけであります。公明党は、東さんも、そして太田委員長も、松岡さんの答弁は説明責任を果たしていないということを何度も言われたわけでありますが、今こういう事態になって、総理のかばい続けた姿勢、それについてどういうふうにお感じか。与党である公明党が説明責任を果たしていないと何度も公の場で言いながら、結局それは総理の耳には届いていなかった、少なくとも総理はそのことを受け入れようとしなかったということだと思いますが、そのことについてお考えを聞かせていただきたいと思います。

東議員 私も、松岡前農水大臣のああいう非業の死と申しますか、これについてはもう本当にいたたまれない思いでいっぱいになりました。私も直接熊本の葬儀に参加をさせていただきました。

 確かに、今岡田委員おっしゃっているように、もう亡くなられた後いろいろなことを言うのは大変申しわけない思いでいっぱいなんですけれども、正直、説明責任がきっちり果たされていたかということを思うと、それはやはり少し足らなかったなという思いを抱いております。

 そこで、総理がどうしてと今おっしゃいましたが、これは私は総理じゃありませんので、総理の胸のうちまではわかりませんが、恐らく推察するに、農業問題、農政問題については大変な知識と行動力というものを持っている第一人者だろう、こういう御認識を松岡さんに対して総理はお持ちではなかったのかなというふうに思います。世界との農業交渉やさまざま非常に重要な時期が来ているから、ここは経験と見識と行動力を持っている松岡さんに頑張ってもらいたいというような思いがずっと総理におありだったんじゃなかろうかと思います。それ以外に私はお答えのしようがないんですが、だから、もっともっと農政の分野でしっかり力を発揮してもらいたい、そういう思いがあったのではなかろうかと推察をいたします。

岡田委員 仮にそういうことであったとして、しかし、あの答弁を擁護し続けたということが日本国総理大臣として果たして適切な対応であったのかどうかということについて問うているわけです。

東議員 総理もそういう周囲の声、状況というのは当然わかっておられたわけですから、個人的に今は亡き松岡氏にもう少しきちんと説明をできませんかというような話ぐらいはなさったのではないかと推察はします。ただ、私はそのことを確認したわけではありません。

 それ以上のことは御当人に聞いていただかないと、私はわからないという感じですね。

岡田委員 この問題は、私は安倍総理の総理としての資質を問われた事態だったと思うんです。同時に、説明責任を果たしていないと何度も公に公明党の太田委員長初め幹部が言われながら、ずっとそのことが実現しなかった。そういう意味では、私は、公明党自身もこのことについて適切な対応ではなかった、党としてのあり方を問われるような、そういうことだったというふうに思っております。

 もし何かありましたら、どうぞ。

東議員 党のありようがいかがなものかというのはちょっと言い過ぎじゃないでしょうか、私はそう思いますよ。

 公明党が公明党がとおっしゃいますが、自民党さんの中にもいろいろなことをおっしゃる方がたくさんおられたわけで、あるいはまた、我が党幹部のそういうコメントなんかが新聞やテレビを通じて官邸にも届いておっただろうし、それ以上こちらがどうだこうだと言うのは、閣僚任命は総理の専権事項ですからね、だから、あの時点で私どもは党としての主張性というのは精いっぱい出させていただいていた。それを公明党としてどうか、だらしないんじゃないかと言われるのは、ちょっと心外な感じがいたします。

岡田委員 ですから、連立与党のトップが公式に発言しながらそのことが全く実現しない、それをそのまま放置しておいたということは、結局ポーズで言っていたと言われても仕方がないんじゃないかということを私は直截に申し上げたいわけであります。

 さて、法改正の問題について議論を進めたいと思いますが、まず先ほど来たびたび議論になっております資金管理団体に限定をしているということについて議論したいというふうに思います。

 今回の問題、確かに松岡前大臣については資金管理団体の経常経費の問題でありました。しかし、資金管理団体だけこういったことが発生するんでしょうか。ほかの政治団体についても同じような可能性は十分あるし、今までにもそういうことはあったというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

東議員 それは、全くないだろう、これからもないだろうというようなことは決して言えないと思います。

 その気になれば政治活動費というものを経常経費というところに流し込んでやるということは、それはあるかもしれませんが、しかし、極めて特異な今回の事例だと僕は思いますよ。こういうことが本当にあるんだろうかと私もびっくりいたしました。やはり政治活動は政治活動費というフィールドできちんと支出する、経常経費というのは経常経費のフィールドできちんと支出をするということが当たり前の常識ですから、その常識を覆すようなことが起こったというのはまことに情けない。しかし、そんなに頻発して起こるようなことではないだろうというふうに思っている次第でございます。

 したがって、ほとんどの方はまじめに一生懸命政治活動をやっておられる。それから、そういう政治家にかかわる後援団体だとかその他の政治団体というのもある。しかし、同時に、先ほどから申し上げているように全部の七万の政治団体のうち、つまり、政治資金管理団体あるいは政党本部、支部、そういうものを除いたいわゆる政治家がかかわるその他の政治団体と政治家と全く関係のない政治団体、これは例えば思想、結社のいろいろな団体だとか、あるいは労働組合系の団体であるとか企業系の政治団体であるとか、全部ひっくるめて五万あるわけですから、これが混然一体となっているわけですから。しかも、ほとんどのところが多分経常経費ですからきちんと支出をされておられる、政治活動は政治活動費としてきちんと支出されておられる、そこは領収書添付義務はもともとついているということですから、そういうまじめにやっておられるほとんどのところに経常経費というものに領収書をつけることによって事務的な負担を増させてみたり、全部に網をかけるみたいなことは、果たしていかがなものかというふうに思います。

 平たい言葉で言えば、本当に一握りのそういう不祥事、政治家の不祥事みたいなものが一気に五万の世界に広がっていくということは、私は多分迷惑だと思いますよ。政治団体でも、小さな政治団体から大きな政治団体からいっぱいある。大きな政治団体にしてみれば、その領収書添付義務、そして同時に項目をきちんきちんと転記をしなきゃいけないんですから物すごい事務的負担が出てくる。そういうことを果たしてやらせていいのか、それが私の率直な思いですね。

 だから、ここは政治家にある種のペナルティーという意味と警告効果、こういうことが起こったら直ちにこうなるんですよという意味で経常経費のところも領収書添付をする。それともう一つは、長くなって恐縮ですけれども、時代性を考えて、今はもう情報公開の時代です、例えば今まで資金管理団体で支出されていたお金が経常経費まで領収書添付義務がついたものだから、急にそこは支出金額が少なくなって、自分が関連する後援団体や政治団体の支出がぼんとふえたりしたら、そんなものは一目瞭然で、情報公開の時代なんですから直ちにたたかれますよ、メディアや何かで。また、そういうことを平気でやれるような時代ではないし、そういうことに対する警告の効果も今回の法改正はあると私は思っております。

岡田委員 ですから、まず資金管理団体に限るという前提を置いていろいろ理屈を立てようとすれば、今の東さんのような説明になるんだと思います。問題は、本当に資金管理団体に限るということが合理性があるかどうかということを議論しているわけですね。

 それは極めて例外だと言われるかもしれませんが、現にそういったことが起きた。そして、これからも法の網をくぐり抜けてそういったことをしようという政治家が出てこないという断定はできない、むしろ出てくるんじゃないか。何しろ一国の総理大臣がそれをかばうような国ですからね。そういう中で、やはりきちんと国民の理解を得られるように広く網をかけるというのは私は当然のことだと思いますが、いかがですか。もう一回言ってください。

東議員 では、七万の政治団体すべてにかけるんですか。そこから生ずるところの事務的な負担だとか、しかも事は経常経費ですよ、政治活動費は既に領収書は添付義務を課せられているんですよ。僕はそれはちょっと乱暴だと思います、逆に。

岡田委員 これは乱暴でも何でもなくて、政治活動費については領収書を添付しているが経常経費についてはしていないというのは、経常経費というのは、その性質からいって、わざわざ領収書を添付しなくてもわかり切ったことだということですね。しかし、そのことを奇貨としてそこに領収書のとれないお金を流し込んでいるんじゃないかという疑惑が持たれているわけですから、やはりその疑惑にきちんとこたえていかなきゃいけない。

 七万の政治団体と言いますが、今だって政治活動費については五万以上とはいえ全部領収書の添付が義務づけられているわけでしょう。政治活動費について、その中身から見ると余り知られたくない、それについて五万円以上について領収書の添付が義務づけられているのに、どうして経常経費について領収書の添付をしたらだめなのか、私は全く理解できないわけですね。

 ちょっとお聞きしますが、今の政治資金規正法で、資金管理団体とそのほかの政治団体で入りのところは若干の違いがありますね、先ほど来議論に出ています、私はこれは本当に小さな違いだと思いますけれども。出のところは全く同じ扱いをしていたのに、今回例外扱いすることになるんですよ。初めてだと思いますよ、資金管理団体とそれ以外の政治団体で出のところで区別するのは。そこまでする理由がどこにあるんでしょうか。

東議員 まさにそれが、先ほどから申し上げているように政治家との一体性が一番強い団体という意味です。であるがゆえに、資金管理団体に特化して経常経費のところに領収書の添付義務をと言っているわけでございます。

 そもそも政治資金規正法というのは、政治資金の収支の公開を通じて政治活動が国民の監視と批判のもとに行われるようにするという方法を政治資金適正化の基本的な手段にしています。したがって、仮に、ある政治家の資金管理団体が平成二十年分の収支報告書から急に支出を減らして、関係する後援会がその役割を代替するというようなことがあれば、それは収支報告書で明らかになるわけで、そのような動きは国民の監視と批判に明確にさらされるわけです。もうそういう時代なんですから。したがって、私どもは、総合的に見て資金管理団体の経常経費のところに領収書添付ということが非常に妥当ではなかろうかなと。

 おっしゃるように全部やってしまったら、それは確かに安心かもしれませんよ。しかし、何かまるで性悪説のように、もう最初からそうやって、逃げていって経常経費のところを使うんだということを前提にして、そうやって追い込んでいくことが果たしていいことなんでしょうか。しかも、相手は政治家だけじゃないんですよ。政治家と全く関係ない政治団体がたくさんあるんですよ。(発言する者あり)違いますよ、バッジついていませんよ、何言っているんですか。さまざまにありますよ。組合の団体もあれば企業の団体もあれば、さまざまありますよ。そういうところにそういう制約の網みたいなことを果たしてかけていっていいのかというふうに思います。

 したがって、これから先また検証ということもあるわけですから、本当に、ここは単に対立点を出すみたいなやり方でやっていくんではなくて、一歩前進ということで、私たちのこの案の方がやはり妥当だと思います。

岡田委員 私は一歩前進だとは全く思わないわけですね。資金管理団体だけ特別扱いをするという悪い先例をつくることになるというふうに思っているわけです。これを一つの突破口にして、同じようにしてさらに見えなくしていくことが起こりかねないということも懸念しているわけです。

 それでは東さんにお聞きしますけれども、資金管理団体の指定というのは、これは何か具体的な要件があるんですか。ある政治団体、複数の政治団体の中でこれは資金管理団体にするという指定行為は、何らかの基準があって、その基準に基づいてなされるんでしょうか。

東議員 もともとこの資金管理団体というものは、この制度が導入されたということは、いわゆる政治家にはそれぞれ自分の関係した政治団体はいろいろあるけれども、政治家に直接お金を扱わせない、本人が代表者である政治団体のうちから一つを選んで、その政治家のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定をするということで、つまり、平たく言えば政治家の財布といいますか、そういう団体というものをつくることによって、そこにいわば一本化して政治家が政治のお金をいただく、そして使うという形をその資金管理団体というものを通してやりましょうということでできた制度ですから、これは非常に意味のある団体ですよね。であるがゆえに、先ほどから出ているように、特定寄附だとかさまざまな特典があるわけです。

 したがって、政治家が資金管理団体というものを通してお金の出と入りというものをきちんとしていく、これは非常に大事なことだと思いますよ。この資金管理団体ができる前というのは、まさに、さまざまに小口の政治団体とかいっぱいある中でお金をある意味で政治家が直接タッチしていた、そういうような状況、その反省の中から生まれてきたのがこの資金管理団体というシステムですから。そのように私は認識しております。

岡田委員 私の質問には答えていただいていないんですけれども。

 まず、資金管理団体とそれ以外の政治団体でどこが違うか。これは予算委員会で使った資料ですが、おさらいのために、(パネルを示す)おっしゃるように資金管理団体だけに特定寄附に関する制限がないことと、それから特定寄附と自己資金による寄附について制限がない、ここの部分だけ違うんですね。

 しかし、この上限がないというのはそう大きな問題ではないですね。これはほとんどの人は適用はないです。自分の資金管理団体に百五十万円以上寄附しているという人が一体何人いるんでしょうか。あるいは、政党が政治家個人に寄附して、特定寄附ですね、そこから資金管理団体にお金が流れるということがどれだけあるんでしょうか。

 かつて、二〇〇〇年より前は企業・団体献金が認められていましたから、企業・団体献金が認められるのは資金管理団体だけでしたから、これはそれなりの違いがあったんですね。しかし、政党以外に企業・団体献金は認められなくなって、今や政治団体、その中の資金管理団体と資金管理団体以外の政治団体の違いというのはほとんどなきに等しい。

 それで、私の先ほどの質問ですけれども、指定がえというのは簡単にできちゃうんです。ある政治団体を資金管理団体にしていた、ある日突然気が変わって違う資金管理団体に指定がえする、これだって自由なんですよ。そういう実態がある中で資金管理団体だけ厳しくするというのにどれだけ意味があるんですかということを私は東さんに問うているわけです。いかがですか。

大口議員 指定がえも、岡田委員がおっしゃるとおり、もちろんできるわけであります。政治家本人が代表者であれば、その政治団体について資金管理団体と指定すればいいわけです。

 ただ、政治家がこれは政治家の資金の受け皿として指定するという意味は政治的に非常に大きいんです。いろいろな政治団体のうちでここを資金管理団体として指定するその重みといいますか、それは政治家も自覚をしている、こういうように思っています。そして、そういう指定した資金管理団体については、特定寄附において、そしてまた個人の寄附について、総枠あるいは個別の枠というものが外されるということによって政治資金規正法上もこれを資金の受け皿というふうに、法律上そういう位置づけをしているということですので、それ以外の政治団体とは法律上の位置づけが違う、こういうことです。

岡田委員 寄附する個人から見ると、それが資金管理団体であってもそれ以外の政治団体であっても、基本的にそこに差はないわけです。これは資金管理団体だからここに寄附しよう、ここは資金管理団体じゃないから寄附するのはやめよう、そういう話は基本的にないんです。しかも、その資金管理団体以外の政治団体の長が政治家本人であれば、もうほとんど区別はないということになりますね。

 だから、そこをわざと違うように言っている、政治家との一体性があるとかそういうことを言っているのは、私はそれは国民に対してごまかしていると思いますよ。ちゃんと説明していないと思いますよ。いかがですか。

大口議員 私どもは、政治資金規正法上、資金管理団体とそうでない政治団体の扱いを異にしているわけですね、法律的に資金管理団体とそれ以外を区別しているということをしっかり重視している、こういうことでございます。

岡田委員 公明党にばかり聞いてもいかがかと思いますが、自民党はどうですか、今の議論を聞いていて。

後藤(茂)議員 政治団体と政治資金管理団体のそれぞれの区分の考え方等につきましては、たびたび発言が続いているところで、同様に考えております。

 実を申し上げますと、政治団体の中には政治家とは全く関係のない、いわゆる政治上の主義主張を行うような、専らそういった活動を行うような政治団体もあるわけでありまして、こうしたところにまで本当に今回の政治家と政治家の金というような観点で議論がされる中でこうした規制を加えていくということになりますれば、よく注意して見ないと、七万ある政治団体の中に例えば主義主張を行うという意味での政治活動、あるいは結社の自由、そういうことについてやはり問題が起こることもあるのではないか。

 確かに、その他の政治団体の中に後援会とかいろいろな団体もありまして、政治家との関係の深い団体もあろうかとも思いますけれども、しかし、こうした政治家と関係のあるその他の団体と政治資金管理団体をはっきりと区別していく、政治団体と政治家と関係のあるその他の政治団体を区別していくということも法律上難しい、そういうふうにも思っております。

 確かに、おっしゃいましたように最初は法人寄附があった、それがなくなってからは政治資金管理団体とその他の政治団体の差が大分小さくなっているのではないかという御指摘も、それはそのとおりかとも思います。しかし一方で、政治資金管理団体というのが、政治家との一体性ということで特定寄附についての特別扱いあるいは政治家個人の寄附についての歳入面における特別な扱いが認められていることも事実でありますので、そういう意味では、政治家と一体として考えられる団体として政治資金管理団体をまず規制の対象として拡大していくという御提案を与党としてさせていただいております。

岡田委員 実態は全く違うわけですね。

 例えば、今お話の中で政治家と全く関係のない政治団体がたくさんある、それは事実であります。しかし、そういったことも含めて政治資金規正法は全体に対して少なくとも政治活動費については網かけをしているわけですね。だから、国民の浄財である政治資金について不断に国民の監視の目のもとにさらすことで公正さを確保していこうと。これは別に政治家が中心になった政治団体だけではなくて、政治団体すべてについてそういう考え方に基づいて政治資金規正法があるわけですから、ここで突然、いや、政治家に関係ない政治団体についてはそこまで網をかぶせるのはおかしいという議論というのは、今の政治資金規正法の考え方とは全く矛盾する考え方だというふうに私は思うわけですが、いかがですか。

東議員 経常経費というのは、そもそも、先ほどから申し上げるように、その性質から見て政治団体にとって必要不可欠な生活費、内容について詳しく報告させてみても余り意味がない、通常、支出に大きな変動がないというところから、もともと政治資金規正法で経常経費には領収書添付義務がないわけです。それが今回あり得べからざることが起こったということで、政治家に対するペナルティーで資金管理団体だけおかしな話だけれども経常経費のところを特例として領収書添付義務を課そう、こういう考え方ですから。それを七万の全団体に広げるということは、これは不自然だと思います。

 それと、仮にもし政治活動費として本来計上すべきものを経常経費として計上した場合は、当然のごとく違法で、虚偽記載とかいろいろなことで刑罰の対象となり得るわけですから、その政治活動費をこれを奇貨に何でもかんでも経常経費でやろうなんていう、そういう流れにはなりませんと私は思いますよ。

岡田委員 虚偽記載で違法になりかねないようなケースについて日本国総理大臣はそれを守り通したわけですから、そういうことだから私は言っているわけですよ。

 そして、今、資金管理団体の指定がえが容易にできるということを申し上げましたが、もう一つ、お金の流れも自由にできるということですね。資金管理団体とそのほかの政治団体の間ではお金が自由に行き来するという問題です。

 予算委員会で使った資料をもう一度使わせていただきますが、これは別に悪いことをしているということではもちろんなくて、たまたま総理の収支報告書を絵にしてみたものであります。(パネルを示す)

 総理の場合は、この晋和会が資金管理団体ですね。それ以外に、東京政経研究会、これは当時の秘書さんが代表をしておられる。同じ事務所にありますね。お金が五百万、この政経研究会から来ている。この資金管理団体から地元の政治団体三つに対してそれぞれお金が直接あるいは間接に行っている。つまり、お金の行き来がこれだけあるわけですよ。これは別に総理だから、安倍さんだからということじゃなくて、そういうことは結構日常的に多くの政治家の中であるんだと思うんですよ。

 こんなにお金の行き来があるということですと、経常経費もこれはそれぞれ計上されているんですけれども、晋和会では八千二百万、東京政経研究会では千百万。ところが、同じ事務所にあるというんですね。すると、経常経費の例えば光熱水費なんかどうしているんだろうか。まあ、総理は一定のルールで分けているとおっしゃいました。それはそれで一つの正しい判断でしょう。しかし、やり方によっては、そういうことについて恣意的にどちらかに一方的に計上するということがあるかもしれない。領収書の添付があれば、そういうことについておかしなことをしていればわかるけれども、結局、そういうこともわからなくなっている、そういう問題があるわけですよ。こういう実態がある中で、資金管理団体だけやっているということはごまかしだということを私は申し上げているわけです。いかがですか。

大口議員 今回、資金管理団体については五万円以上という形で領収書添付または明細を明記する、こういうことなのでその資金管理団体の経常経費というのは明らかになってくるわけですね。政治団体とその資金管理団体について、例えばつけかえをやるというようなことがあれば、これはやはり政治資金規正法の虚偽記載になるわけですよね。

岡田委員 つけかえというとそういうことになるかもしれませんが、例えば同じ事務所を共有している場合とか、それから、そもそも領収書がなければチェックのやりようがないということを申し上げているわけです。だから、ちゃんとチェックできるように、資金管理団体だけの領収書を添付したって、それだけではチェックのしようがないわけですから、ほかの政治団体も含めてきちんとチェックできるようにするのが私は当然のことじゃないかというふうに考えるわけです。もう一度答弁してください。

東議員 先ほどのパネル、今お持ちですか、私もこの間予算委員会でその議論を伺っておりましたが、結論として、安倍総理も、結局その資金管理団体の晋和会のところにほとんどのお金がどんと集まっていますね。当然行き来はあるにしても、やはり主たる政治団体という、いわば代表的な意味合いを持った資金管理団体という位置づけがその図の中ではっきりしていますよね。だから、資金管理団体というのはそもそも他の政治団体と違うわけですから、政治家との資金的、人的一体性というものを持っているというのが図らずもその図がしっかり示していると私は思いますよ。

 それと、とにかく政治家というのは細かく網をかけておかなきゃみんな何をしでかすかわからないぞという、いわば性悪説的な感じで見ていきますと、もう一方で政治活動の自由という、本当に担保されなきゃいけない非常に大事なその活動の自由ということを侵しかねませんよ、余りそうやって細かく細かくやっていくということは。私は、率直にそう思います。

岡田委員 私は、これは安倍さんの例を挙げましたが、安倍さんの金の流れが問題であるというふうに言っているわけではないんですね。ただ、自由にお金が行き来するという一つの例として挙げたわけで、ほかの政治家だと資金管理団体に集中していない政治家もいるかもしれません。ただ、制度上はそういうことができるということを私は申し上げているわけです。

 やはり説明責任ということをどう考えるかという問題だと思うんですよ。今、政治活動の自由が妨げられると言いましたけれども、経常経費について領収書を添付したらなぜ政治活動の自由が妨げられるんですか。たしか公明党の中でどなたか、東さんたちじゃなかったかもしれませんが、こういう発言をしていましたよね。経常経費について領収書添付を義務づけないということを自民党は強調するけれども、それを余り強調されると、実は経常経費に領収書のとれないようなお金がたくさん入っているんじゃないかというふうに疑いを持たざるを得ないと。これは公明党の議員さんの発言ですよ。ですから、今あなたは同じことを言ったんだけれども、つまり、政治活動の自由がこれで制限されかねないと。そんなことはないはずでしょう。いかがですか。取り消しませんか、発言を。

東議員 私は、そういう制度上のことで先ほどの言葉を使ったわけじゃないんです。そうやって、いわば性悪説的な感じで、法の目を細かく細かく網羅させない限りは何をしでかすかわからないというような、そういうことを前提に法改正みたいなことを考えていき始めると、やがて一番大事な政治活動の自由ということを侵しかねないんじゃないですかという意味のことを言っているわけです。そういうことなんです。

 だから、今回のことも、事は経常経費なんですから。それを、一部の人の本当にびっくりするようなことが露見したわけですから、それが全部に蔓延するというふうに考えることは乱暴だと先ほどから私は申し上げているんです。

 それで、政治活動費のところはもうすべて領収書添付義務が七万全部についているわけですから。重ねて恐縮ですけれども。

岡田委員 ですから、資金管理団体に限定するという大前提を置いていろいろ説明を考えれば、今この議論の中で東さんがいろいろおっしゃったことになるんだと思うんです。しかし、公明党はもともと政治と金の問題については非常に厳しい党だったはずですね。ですから、私は東さんのその答弁を聞くと非常に残念だし、東さんとは平成二年の初当選以来、政治改革に一緒に取り組んできた仲ですから、その東さんにそういう発言をされてしまうと、与党、野党というふうに分かれてしまった今とはいえ、大変残念な思いがするということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、不動産の問題について、国税庁を呼んでいますので、国税庁にお聞きしたいと思います。

 予算委員会でもお聞きしたわけですけれども、不動産の所有をこれから資金管理団体については制限されるということですが、政治団体に不動産の所有を認めると、適正な課税がなされないままそれがいつの間にか個人のものになってしまうおそれがある、こういう議論があるんですが、国税庁はそういう議論を認めるんですか。

加藤政府参考人 税法に則して申し上げますと、通常の政治団体、これは税法上人格のない社団に該当します。この人格のない社団が解散などをいたしましてその財産が個人に移転する場合は、その移転する利益は個人の一時所得となります。したがいまして、税法に従ってその一時所得については個人に申告義務が課されるわけでございます。この申告について、もしいろいろな資料や情報等で適正な課税上問題があるということですと、それは税務調査などを行うというのが私どもの基本的な方針でございます。

岡田委員 国民の中には、いや、政治家の政治団体について非常に国税庁は甘く対応しているんじゃないか、適正な課税をしていないんじゃないか、こういう見方があるわけですけれども、そういう見方に対して国税庁はどういうふうにお答えになりますか。明確に否定されますか。

加藤政府参考人 私ども国税庁といたしましては、税務の適正な執行という使命のもとで、いかなる状況においても公平に適正に課税を実現する努力をするつもりでございます。

岡田委員 私は、政治団体の不動産所有を制限するという案を民主党も出したわけで、そのことに反対しているわけではないんですけれども、それの理由というのは、先ほど来議論されていますように、国民の浄財である政治資金について、それはリスクの高い運用を許すべきではない、得することもあれば損することもあるわけですからね、結局、国民の浄財がせっかく集めたのに無駄になってしまうかもしれない。そういう意味で、不動産、私は当然株もそうだと思いますよ、そういうものを制限するというのは一定の合理性があると。したがって、そういう案を私どもは出しているわけであります。

 ただ、不動産所有を認めると、適正な課税がなされないまま不動産がいつの間にか個人の所有になってしまうおそれがあるという物の言い方は、国民にすごく誤解を与えるし、もしそういうことがあるのなら、これは大変なことですよね、政治家だけ特別扱いするという。

 ところが、実は、不動産所有を認めると、適正な課税がなされないまま不動産がいつの間にか個人の所有になってしまうおそれがありますというのは、さきの予算委員会での安倍総理の答弁なんですよ。私はこれを聞いて本当にびっくりしたんですけれども、一国の総理大臣です、国税庁も当然総理のもとにあります、その総理が、政治団体について、いつの間にか個人財産になっちゃうおそれがあるんだというふうに言うというのはいかがなものか、これまた資質を疑わせる発言じゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがなんでしょうか。適正な課税をしないままという。いかがでしょうか。東さん、どうですか。そういうことはあるんですか、ないんですか。

東議員 あのときの総理とのやりとりというのは私はつまびらかにしておりませんが、そういうおそれというものがあるために、私は、個人にはそもそも資金管理団体の名のもとに不動産を所有すること自体でそういう疑念やそういう声を惹起させること自体が問題なので、不動産は所有すべきではないというふうに考えているわけです。そう思いませんか。それで民主党さんも不動産は所有すべきではないというふうに修正されたんでしょう、考え方を変えられたんでしょう。

岡田委員 それは違うんです。我々が言っているのは、そういうリスクの高い運用を政治資金ですべきではない、そういう視点から不動産や株は除外すべきである、制限すべきであるということを申し上げているんです。いつの間にか何か適正な課税がなされないまま個人財産になってしまうというようなことをもし政府が認めたら、これは大変なことだと私は思いますよ。

 ですから、きょうは安倍総理がいませんから私はこれ以上申し上げませんが、やはり責任ある立場にある者はもう少しわきまえて発言すべきじゃないか。あの後、財務大臣はそれを打ち消す発言をされましたからね。いわば閣内不一致であったわけですけれども、もう少しそういったことについてきちんとした答弁を総理であればされるべきだというふうに申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 以上です。

今井委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川律夫でございます。

 与党提案の政治資金規正法案についてまず伺いますが、まず、質問に当たって、与党案が提案をされましたときの新聞を読み返してみました。五月三十一日の読売新聞の見出しは、「「領収書義務」効果は疑問 規正法与党改正案「支出付け替え可能」」となっていて、与党案は抜け穴が大きいとの批判も強いと記載をされております。また、その同じ日の読売新聞の別の紙面での見出しでは、この与党案、「小沢氏狙い撃ち」というふうに記載をしております。どの新聞の論調も、政治資金の規正は穴だらけであって、与党の真の目的は民主党代表を批判することにあるというものであろうかと思います。

 私は、こういう新聞などでの論調の政治不信を払拭するためには、この法案審議でいやしくも党利党略があってはいけない、そういう印象を与えてもいけないというふうに思っております。それで、党利党略ではなくて、国民の政治不信をなくすにはどうしたらいいか、そういう観点から政治資金規正法の改正案は議論をしていかなければならないというふうに思っております。

 そういう意味では、今回のこの与党の政治資金規正法の改正案、そして民主党のそれに対する修正案が出ておりますから、できればこの審議を通じて政治資金規正法の改正案が与野党合意に至るようにぜひしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味で、岡田克也委員の方から冒頭に話が出ておりました政調同士の話し合いができなかったところでございますから、そういう意味で、筆頭間協議ということに任されてきましたので、ぜひ筆頭間で、私も野党の筆頭ということで、与党の筆頭としっかりその点について話し合いをまずしていきたいということでありますから、ひとつ、与党の筆頭にはよろしくお願いをしたいというふうに思っております。

 先ほど、岡田克也委員からの質問でも、資金管理団体に限って規制をしても意味がないんではないか、政党を除くすべての政治団体に適用すべきではないか、こういう議論がずっとなされてまいりました。

 そこで、私は、具体的にお話をさせていただきたいと思いますけれども、その前に、もう一度確認的にお聞きをいたしますけれども、規制を資金管理団体に限ったということの趣旨を、ごく簡単にわかりやすく説明してもらいたいと思います。

大口議員 細川委員に申し上げます。

 今までも申し上げましたように、政治団体は七万ある、さまざまなものがある、こういうことですので、そのすべてに網をかけるべきかどうかということですと、やはり政治家個人の財布がわりといいますか、まさしくその部分が不透明であると国民の信頼を損ねるという資金管理団体に、これは政治家がいろいろな政治団体の一つを指定するわけですから、そこにターゲットを絞って、資金的、人的一体性の極めて強いこの資金管理団体について規制をさせていただいたということでございます。

西村(康)議員 そもそも今回の問題の発端が、政治家の資金管理団体による事務所費が多いんじゃないかという議論、あるいは資金管理団体による多額の不動産の取得、こういったことから、まずこの資金管理団体について規制をしよう。さらに言えば、先ほど来答弁のありますとおり、政治家個人と資金的、人的にも一体性が強いこの資金管理団体について規制をしようというものであります。

細川委員 政治家がかかわる政治団体というのは資金管理団体だけではないわけでございます。

 私のことを申し上げますと、まず政党の支部がございます。これは国会議員の政治活動のためだけではないんですけれども、政党助成金の受け皿にもなっていまして、私の政治活動の重要な分野を担っております。同時に、私も一応政治資金管理団体を一つ持っております。そしてまた、もう一つそれとは別に、やはり私の後援をしてくださる方と勉強会とか懇談会とかいろいろやるための政治団体があります。

 これら三つの団体は、それぞれ別に会計帳簿を持ちまして、収支報告もいたしております。具体的にそれらの会計規模を申し上げますと、政治資金管理団体では年間七百万弱。もう一つの政治団体は九百五十万円。そして政党支部の方は二千万弱のお金になっております。

 この三つが私の政治団体でありますけれども、そのほかに個人の政治活動がありまして、それには国から支給されます文書通信交通滞在費を充てている、こういうことになっておりますけれども、政治家が関係している政治団体というのは大体こんなものかなというふうにも思います。

 そこで、与党の皆さんも、今回こういう政治資金管理団体に限ってという規制で提案をされておりますけれども、具体的に、皆さん方、御提案者それぞれが政治団体をどれくらい持っておられるか。私が今三つあるというふうに申し上げましたけれども、どれくらい持っておられるんでしょうか。提案者にひとつお答えをいただきたいと思います。

今井委員長 提案者全員ということですか。

細川委員 はい。簡単でいいですから。

東議員 私の場合は、一つは政党支部、もう一つは資金管理団体、ビジョン21という二団体でございます。政党支部とそれから資金管理団体と。

 政治資金規正法にのっとってきちっと届け出ておりますので、公開されておりますので、それ以上知りたければ、どうぞ見られてください。

後藤(茂)議員 それぞれ政治資金収支報告書等を提出しておりまして、正確な報告を行っておりますので、どうぞ、幾つかの政治団体がございますから、ごらんをいただきたいと存じます。

 政治資金管理団体と、それから政党支部、その他、地区の後援会が三つ、政治団体となっております。

大口議員 私は、政党支部、それから資金管理団体が一つ、政治団体は二つでございます。

西村(康)議員 資金管理団体が一つと、政党支部、それから後援会があります。三つです。

早川議員 西村議員と同様であります。(発言する者あり)

細川委員 いやいや。資金管理団体の関係で、なぜそこを規制するかということを聞くために私は質問しているんですから。

 皆さん方が関係をする政治団体、三つもあれば、四つもある、五つもありますね。

 そこで、私がお聞きしたいのは、複数持っておられる政治団体の中で資金管理団体の意味をどういうふうにとらえておりますか。幾つもありますね。関係されているのが今言われたように複数ありますね。資金管理団体はそのうちどういうような意味を持たれておりますか、皆さんには。

大口議員 資金管理団体が政治資金の受け皿です。そういう位置づけでございます。

後藤(茂)議員 お尋ねでありますので、私は、それぞれ政治資金収支報告書を見ていただければ非常に明確になることだというふうに思っておりますけれども、考え方といたしましては、政治資金管理団体は、例えばパーティーを開くだとか、そういうことにつきまして資金を受けるという形の団体として扱っておりますから、そういう意味では、そこで受けた資金管理団体の資金が他の団体に交付されているということは運用としてはあると思います。

細川委員 国会議員の中に政治資金管理団体を持っていない国会議員も結構多いわけですね。一昨年ですか、二〇〇五年末の時点で七十二人が資金管理団体を持っていないんです。ということは、資金管理団体は余り必要ないんじゃないか、そういうことでしょう。(発言する者あり)一割ですよ。多いじゃないですか。皆さん方は、先ほどお二人に聞きましたけれども、資金管理団体を非常に重要そうに言われましたけれども、実際はそうではないんじゃないですか。

 現実に資金管理団体にどんなメリットがあるかといったら、政治家がみずから管理団体に寄附をする、その額が多いくらいですよ、実際のメリットというのは。だから、こういうものをなくして別のところでやれば、幾ら資金管理団体を規制してもそこがしり抜けだと言われるんですよ。先ほど読み上げた新聞の論調は当たるじゃないですか。

 それでは次に、収支報告の五万円、一万円でちょっとお聞きします。

 東さんは、一万円にすると非常に手間暇もかかる、そういうことを言われましたけれども、しかし、政治団体は帳簿をつけなければいけない、経理をきちっと帳簿につけなければいけないということは法律で規定をされていますね。そして、これを記載しなかったりあるいは虚偽の記載をしたりしたら処罰されるということも規定をされていますよね。そういう帳簿をきちっとつけていたならば、それを収支報告することについてはそんなに手間暇はかからないはずですよ。経常経費なんですから、そんなにあるはずないですから。そう思いませんか。

東議員 政治団体でも、大きいところと小さいところとさまざまありますね。それから、確かに帳簿につけているんですけれども、それを例えば一万円以上ということになると、もともと帳簿につけているものを、五万円でも一万円でもそうですが、全部一つ一つ転記をするんですよ。だから、かなりの事務的な量になろうかと僕は思いますよ。

 それとともに、先ほども申し上げたように、五万円以上の領収書添付というものがなされている背景と経緯、そこをやはり踏まえなきゃならぬと思いますよ。例えば政党助成金というもの、これはオール国民の税金ですから、最もチェックが厳しくなきゃいけない。特に透明性というものが本当に高くなきゃ大変な話ですよね。国民の寄附という浄財も当然ですけれども、特に税金ですから、政党交付金も五万円以上の領収書添付ということが義務づけられているわけです。

 しかも、この政党交付金というものが導入されたのが平成六年です。まさに細川内閣が誕生した翌年ですよ。日本列島が本当に政治的関心がむちゃくちゃに高かった、熱い、列島フィーバーのときですよ。選挙制度が中選挙区から小選挙区に変わる、あの時期に政党交付金制度というものも導入された、それで領収書添付義務、五万円ですよ。

 この政党交付金導入時も、最終的には当時の連立与党、それから自由民主党が賛成しているわけです。当然、賛成したということは五万円の添付にも賛成しているわけです。反対は共産党のみなんですね。平成六年の一月二十九日の衆参の本会議ですよ。先生はあのときは連立与党におられたんじゃないですか、違いますか。おられたでしょう。私もいましたよ。先ほどの岡田さんもいましたよ。みんな賛成しているんですよ、五万円。こういう経緯をよく踏まえておかないと、突然一万円なんて言い出しても、どういうことなんですかと逆にこちらは聞きたいぐらいでございます。

細川委員 それでは、民主党の方が一万円に限る、それについては民主党の方から説明をお願いいたします。

武正委員 お答えをいたします。

 先ほど来、昭和五十五年の政治資金規正法の改正というのが一つのターニングポイントだったという御議論があろうかというふうに思うんですね。あのときは与党は一万円から五万円への引き上げに賛成をされて、野党はそれに反対ということでありまして、ここが一つのポイントだったんじゃないのかなというふうに思いますので、やはりそこに立ち戻る必要があるというふうに考えるわけでございます。

 先ほど東委員からの性悪説という立場に立たないというようなお話でありまして、別に性善説、性悪説ということを言うことをよしとはしませんが、ただ、政治資金規正法の第一条、「国民の不断の監視と批判の下」、この文言というのは非常に重いものがあるというふうに思うわけでございます。これイコール性悪説とは言いませんが、やはりこういった条文のもと我々は説明責任を果たさなければならないし、そしてまた、厳しいそうした国民の批判のもとにさらされるだけ、それをわかりやすく開示すべきであろうというふうに思っております。

 また、事務の煩雑ということはこの後もいろいろ議論があろうかというふうに思いますが、それはいろいろなやり方で、例えばそれこそ税理士さんに、どこの企業もそうですけれども、月々いろいろな形でサポートしてもらいながらそうした煩雑さをクリアしている。その価格も非常に今は安くもなっている、こういったことも付言をさせていただきます。

細川委員 先ほどもお話をいたしましたけれども、政治資金規正法の第九条は、政治団体の会計責任者は、会計帳簿を備え、これに政治団体に係る次の事項を記載しなければならないとあって、すべての支出並びに支出を受けた者の氏名及び住所、そして、その支出の目的、金額、年月日ということになっております。そして、報告をするということは、この会計帳簿の管理がしっかりしていれば、これを収支報告書に、私は、先ほども申し上げましたように、容易であるというふうに思っております。

 そこで、今度は総務省にお聞きをしますけれども、政治団体はきちっと会計帳簿をつくって支出の額とか目的とか年月日すべてを記載しなければいけないことになっておりますけれども、会計帳簿そしてそれに基づく収支報告が正確さをきちっと期しているのかどうか、これを会計帳簿で確認する権限というものはありますか。

久元政府参考人 総務大臣あるいは都道府県の選挙管理委員会には、会計帳簿の検査を行ったり、直接これを確認するといった権限は与えられていないところでございます。

細川委員 一般の企業会計なら、税務署がいつでも立入検査をする可能性があります。その点、選管は、あるいはその他の公務員は、立ち入りなどの調査権限はあるのか。そして、この規正法九条、会計帳簿にきちっと記載しなきゃいかぬ、そういう実効性は具体的に担保されているのか。総務省に聞きます。

久元政府参考人 実効性の担保ということでありますが、現行の政治資金規正法は、総務大臣や選挙管理委員会に立入調査権を与えるというような形ではなくて、罰則でもって、すなわち、会計帳簿を備えず、またはこれに記載すべき事項の記載をせず、もしくはこれに虚偽の記入をした者は、三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処する旨の定めをする、こういうことで実効性を制度的に担保しよう、こういうような考え方がとられているところでございます。

細川委員 今、帳簿を備えなかったり、あるいは記入をしなかったり、あるいはまた虚偽の記入をしたり、そういうことをした場合には三年以下の禁錮、五十万円以下の罰金に処するという規定があるんですけれども、それでは、この条文を適用して摘発をしたことがありますか。これは法務省に聞きます。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 私どもの方で把握している限りで申し上げるわけでございますが、承知しているところでは、平成十四年、八王子区検察庁におきまして起訴をした事件、それから、平成十八年に大津区検察庁において起訴をした事件がございます。いずれも、政治資金規正法第九条の違反によりまして被告人らが有罪判決を受けたものと承知しております。

細川委員 この二件というのは、会計帳簿がこの九条に違反をしたということで摘発をされたんでしょうか、それとも、たまたま別の関連の事件でその帳簿が九条違反ということで摘発されたんでしょうか。

三浦政府参考人 私どもの方で承知している限りでございますが、いずれも、団体におきまして会計帳簿を備えつけていなかったという事案であったと承知しております。

細川委員 政治団体が六万とか七万、たくさんありますね。それで、その帳簿をきちっとつけて収支報告をしなければいけないというようなこと、しかも、刑罰でそれを担保している。しかし、それがいまだ、たった二件摘発をされただけだと。

 私は、これは本当に、そういうことを規制していても、実際に担保になっていないんじゃないかと。だって、そもそも選管の方は権限がないんですから。告発しようにも何も権限もなければ調査もできない。だったら何にもできないじゃないですか。関連のことで、たまたま帳簿がなかったということで多分摘発されたんだと思いますけれども、それでもたった二件、何万もある中で。私は、そんな実態ではないんじゃないかと。だから、私は、政治資金規正法がこの点でもざる法になっているのではないか、こういうふうに思います。

 そこで、総務大臣、せっかく政治資金規正法で、政治団体は会計帳簿をつけて収支報告しなきゃいかぬ、しかし、実態は今申し上げたようにそういう点はざる法になっている、その点、総務大臣はどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 政治資金というのは、先ほど来お話がありますように、国民の皆さんの不断の監視と公開のもとにさらして、それについて批判を受けるということになっておるところでありますけれども、私どもに立ち入り権がないということは、やはり政治活動の自由だとか、あるいは行政の関与というのは最小限にすべきだろう、そういう中で今日の政治資金規正法というのはできているのではないかなというふうに私は思います。

 ただ、私は、国民の皆さんが非常に政治資金についても関心が高まっておりますので、透明性を向上させるということは大事なことであるというふうに思っていますので、それぞれ各党会派でその点についてはやはり詰めていただきたいと私は思います。

細川委員 もう時間が来たようでありますけれども、この会計帳簿、その収支報告、これをせっかく政治資金規正法で規定をしていても、それが刑罰で担保されながらも実際には担保されていないという、非常にざる法的になっている。したがって、今度の政治資金管理団体に限っての規制とかその金額を五万円というようなことにして、これがやはりざる法としてしり抜け的になっては、決してこれからの政治のためにはよくない。やはりここで、しっかり国民の皆さんに厳しく監視、そして批判もしていただけるように、透明性をしっかり、この際、政治の力でやっていかなければいけないということを最後に申し上げまして、これで終わりにしたいと思います。

今井委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 今回、政治資金規正法の改正という運びになったわけですけれども、これは今まで何度も答弁者の方からも御議論いただいております。一つは我が方の小沢代表の不動産の問題、また、昨年末から始まりました安倍内閣の閣僚の事務所費問題というのがきっかけとなっての政治資金規正法の改正ということは、皆さんもう御承知のとおりだと思うんですけれども、今回、我々民主党の方は、まず小沢代表がみずから政治資金規正法上に求められていること以上の情報公開をして、国民の皆様にこういう内容であるということを公開しました。その結果、それは不適切じゃないか、いや、適切だ、いいじゃないか、いろいろな議論が巻き起こって、そして、我々民主党といたしましても、不動産のみならず、有価証券なども含めて投資目的のものは政治団体が持つのはよくなかろうということで修正案を出させていただきました。

 あと残る論点は、当然、領収書の問題と事務所費の問題、こういった問題になると思うんですけれども。

 政治団体あるいは政治活動をするのに不動産が必要かということに関しましては、例えば自民党の本部ですとか、結構立派な建物があって、ああいう活動にはやはりあれだけのものが必要なのかなというふうにも思うんです。一説には国有地の上に建っていてすごい安い値段で借りているとか。まさに不動産を持つというのが、自民党の若手の議員の皆さんからも発言がありましたけれども、既得権になっているんじゃないかというようなことはよく言われているわけですけれども。

 まず一つ伺いたいんですけれども、土地は国有地だというふうに伺っておりますけれども、自民党の建物というのは、だれが所有していて、一体幾らで取得したものなんですか。また、それは政治資金収支報告書にはどういう欄に記入されているものなんですか。これは総務大臣、お願いします。

菅国務大臣 自由民主党本部の平成十七年分の政治資金収支報告書を確認いたしましたところ、平成十七年十二月三十一日現在で、土地についての記載はなく、建物については、所在は東京都千代田区永田町一丁目十九番地の二、面積は一万三千六百六十三・四三平米、取得の価格は十五億五千二百三十万円、取得年月日は平成七年十一月三十日との記載があるところです。

高山委員 自民党の方は、平成七年に十五億円ということで党本部を購入されているということですけれども、これはだれから買ったんですか、総務大臣。

水野副大臣 建物の関係のことでございますから、登記記録及び閉鎖簿記録によると、当該の建物については、昭和四十一年に新築をされ、財団法人自由民主会館を登記名義人として登記されましたが、その後、平成七年に売買を原因とした所有権移転の登記がされて自由民主党が登記名義人となっているということから、財団法人自由民主会館からということでございます。

高山委員 これは、当然、民主党の提出者の方も、今回修正案に不動産の取得を禁じることも加える上でいろいろ検討もされたと思うんですけれども。私もいろいろ議事録を見ておりましたら、財務金融委員会でも、自民党に対して銀行団から百億円近い融資がなされた、それで八十億円まだ残高があるというようなお話もあったんですけれども。

 平成七年に十五億円で買ったものが、今平成十九年ですよね、幾らぐらい価値があるのか私もわかりませんけれども、八十億円も融資を得ているわけですね、自民党が党として。これは十五億円で買ったというのが不当に安い値段で買っているのか、それとも、今八十億円の融資を受けているのが無担保融資をしているのか、いずれにしても資金が不明朗だなという印象を持つ方が多いと思うんですけれども、提出者はこれはどういう検討をされて、また、今財務金融委員会でもしわかっていることがあれば、どういう議論になっているのか、教えてください。

近藤(洋)委員 お答えいたします。

 高山議員御指摘のとおり、自由民主党は、今現在わかっているのは、二〇〇五年末の水準でありますけれども、約八十億円、大手都市銀行から融資を受けておるわけです。とりわけ、りそな銀行から五十三億円。これは、二〇〇二年から十一倍に増加している、そして、選挙のたびに、総選挙の直前に大型の融資を受けている、こういうことが明らかになっております。

 このりそな銀行の融資は公的資金が注入された直後にふえ始めている、こういう状況でありまして、この件について財務金融委員会の理事会で、どのような条件で、どういった担保の状況なのか資料を提出するようにと再三にわたり要求をしているところでありますが、残念ながら、自民党の理事の方々からはしっかりしたお答えをいただけない、幹事長のところまで話を持っていったのだけれども拒否をされている、こういうことであります。理由は民民の取引だということでありますが、しかしながら、政党は公的な存在である、さらに、りそな銀行も公的資金が入っている、こういうことからぜひ必要であると。金融当局の方も当事者が合意をすれば公表していいという話でありましたし、求めている最中であります。

 ちなみに、自民党本部の登記簿を我々が調べたところ、登記簿には抵当権の登記はありません。すなわち、銀行団は自民党本部の土地を担保に融資をしていない。したがって、政治資金収支報告書から明らかなところは、見るべき担保がない中で八十億円の融資が行われている、こういうことであります。

 以上でございます。

高山委員 ありがとうございます。

 修正案で我々も土地の問題についてはほとんど解決がしたと思っておりますので、改めて本来の事務所費の問題について伺っていきたいと思うんです。

 これはそもそも、年末に佐田玄一郎元行革担当大臣が不適切な会計処理があったということをみずから認められて、安倍総理も不適切な会計処理があったんですかということで辞任を認められたということですけれども、これは総務省の事務方で結構ですけれども、問題となった佐田玄一郎政治研究会ですか、これは資金管理団体なんでしょうか、佐田先生の資金管理団体というのは何という名前なのか、御答弁願えますか。

久元政府参考人 佐田玄一郎政治研究会は資金管理団体ではございません。資金管理団体は赤城倶楽部という名称でございます。

高山委員 また、その後、伊吹文部大臣も、事務所費といいますか、家賃がただの議員会館に事務所を置いているにもかかわらず、事務所費が通年で四千万近く計上されていたということで、問題となった構造改革研究会というのがありますけれども、これは伊吹大臣の資金管理団体ですか。

久元政府参考人 資金管理団体ではなく、その他の政治団体でございます。

高山委員 私は与党の提出者の方に、これは後で伺いますけれども、ほとんど問題となっているのは資金管理団体じゃなくてむしろ政治団体ですよね。こちらが問題となって、今、事務所費問題、政治と金の問題が国民の間でふつふつとどうにかしなければいけないとなってきて、資金管理団体しか規制を強くしないということであれば、一体これは何のための議論だったのかなというふうに、国民の皆さんには納得していただけないんじゃないかなと私は思いますよ。

 さらに伺いますけれども、安倍内閣の閣僚の皆さんが代表者を務められている政治団体ですね、資金管理団体は皆さんお持ちでしょうから、その他政治団体、安倍内閣の閣僚が代表を務めるその他政治団体は幾つあるんですか。

久元政府参考人 安倍内閣の閣僚が代表を務める政治団体の中で、政党本部、支部、資金管理団体以外の団体、つまり、その他の政治団体の代表になっているものは八団体でございます。

高山委員 十七閣僚でも八団体もある。しかも、そもそも閣僚の事務所費問題が問題となったのは、ほとんどその他の政治団体の方ですよね。だから、ここをまずやらなければこれは全くざる法になってしまうなという印象を私は持ちますけれども。

 先ほど提出者の方に同僚の細川委員が伺いましたところ、資金管理団体のほかに政党支部また政治団体を持たれている方が各党それぞれいらっしゃいましたけれども、念のため民主党の方にも伺っておきますけれども、民主党の方、近藤委員で結構ですけれども、どういう政治団体あるいは資金管理団体、政党支部を持たれているか、ちょっと御答弁願えますか。

近藤(洋)委員 ぜひお答えさせていただきたいと思います。

 私の場合は政党支部も含めて四つであります。そして、武正議員は政党支部も含めて三つ、鈴木議員も三つというふうに承っております。

 以上でございます。

高山委員 先ほど与党側だけ聞いてみたいな話があったので、念のために今伺ったんです。

 そうすると、まず端っこから聞いていきますけれども、公明党ですと、大口先生はほかに政治団体を持たれているということですけれども、政治団体の経常経費に領収書をつけるということになると物すごく不都合があるんだと。どういう不都合があるのか、ちょっと教えてもらっていいですか。先生御自身の問題として。

大口議員 私個人の問題というよりも、これは制度の問題ですからね。制度としていろいろな政治団体が七万あるわけですよ。その中でどう規制していくかという中で、何回も言っておりますように、人的、資金的な一体関係が一番強い資金管理団体について規制をする、こういうことであります。

高山委員 何か今のはちょっと答弁としては不十分だなという印象を国民の皆さんは持たれたと思います。

 では、自民党の先生、今ちょうど目が合ったので西村先生に、政治団体もお持ちだということですけれども、その政治団体の経常経費に領収書を添付するとどういう不都合があるんですか。

西村(康)議員 今同じく与党の大口提案者から説明もありましたけれども、制度としてどういう制度がいいかというのを議論しているわけでありまして、我々、政治資金管理団体に限って今回規制を強化することにしたのは、平成六年の、これは与野党合意で政治家が一つ政治資金管理団体を指定する、そしてそれを公表して主として政治活動の基盤となる、資金のやりとりをする窓口となるということを決めたわけでありますので、かつ、今回問題となった資金管理団体の不動産の取得の問題等々含めて、資金管理団体に限って規制をするということにしたわけであります。

高山委員 制度ということですけれども、制度を変えるには立法事実が必要だと思うので、実際、資金管理団体と政治団体の方では会計の方法が恐らく違ったりするんでしょうね。

 ちょっと、もう一回、与党の、今聞いていない後藤先生に伺いますけれども、後藤先生は後援会を三つ持たれているということですけれども、そのうち一つが資金管理団体。そうすると、あとの二つと資金管理団体では会計の方法が全然違うわけですね、そこをちょっとお答えください。

後藤(茂)議員 それぞれの政治団体は、政治資金規正法に基づいて同様の規制のもとに報告をしたり運用をしたりしております。

高山委員 それぞれの政治団体及び資金管理団体は今は同じなんですよ。今度、資金管理団体のところだけ領収書を添付する、それ以外の政治団体のところには領収書を添付しないということですけれども、どういう立法事実があるか、御自身の例で伺いたいので、先生の資金管理団体とほかの政治団体でどういう会計の違いがあるのか、あるいは政治団体の方にもし領収書を添付するとなるとどんな不都合があるのか、ぜひ説明してください。

後藤(茂)議員 それぞれの政治資金管理団体、政治団体があるわけでありますけれども、政治資金管理団体というのは政治家のために政治資金の拠出を受ける団体として政治家が指定する団体ということで、これは法律上、政治資金規正法上、きっちりと決められているわけであります。

 もう一度、たびたび説明するようで恐縮でございますが、特定寄附については、例えばこれは……(高山委員「会計処理の話だけでいいですから」と呼ぶ)

 会計処理のことにつきましては、それぞれ地域の後援会は地域の後援会活動を正確に的確に反映するように経理をしておりますし、それから政治資金管理団体は政治資金を例えばパーティーをするとかいう形で集めるというときに、政治資金管理団体として政治家の活動のために資金を拠出していただくための受け皿として使っている、政党については政党の地区支部の活動をしっかりやるために使っておりまして、その活動を的確に報告するように、これは会計責任者が責任を持って政治資金管理団体、政治団体の報告を政治資金収支報告書という形で法律にのっとって御報告をしているということでございます。

高山委員 今の後藤先生の説明はそれぞれの政治団体の性格づけの違いであって、今私が問題にしているのは経常経費の話なんですよ。これは家賃だとか光熱水費、電気代とか水道代、そういうものですよね。これが先生の場合、後援会と資金管理団体とで大幅に異なるわけですか。だから領収書をつけるに当たっては区別しなきゃいけないんだ、こういうことなんでしょうか。もう一度御答弁願えますか。

後藤(茂)議員 そういう意味では別に特別に性格が違うということはありません。それは先ほど申し上げたとおりです。

高山委員 今、経常経費という意味では特別に性格が違うというわけではありませんというような御答弁を提出者の方からいただきました。

 それでは大口委員の方に伺いますけれども、とすれば、なぜ資金管理団体と政治団体で経常経費の扱いにおいて差をつけるんですか。

大口議員 何回も同じ答弁になるんですけれども、政治資金規正法上、資金管理団体というのは、政治家が一つこれを指定する、そして基本的にこれを政治資金の受け皿とする、そのために、特定寄附でありますとか、あるいは個別の枠、総枠ともに制限がないという形で政治資金法上特別扱いしている団体なわけですね。まさしく、そういうことからいって政治家個人と資金管理団体というのは一体性が強い。

 ところが、それ以外の政治団体は、もう何回も話しますけれども、例えば政治結社でありますとか業界団体の政治連盟とか労働組合の政治委員会とか、そういうさまざまなところは政治家が代表でないところもかなりあるわけですね、そして、政治家が代表であっても、それは個人性というよりも団体性が強いところもあるわけです。その他の政治団体というのは、資金管理団体以外は非常にさまざまな類型があるわけですね。

 ですから、政治資金規正法上、資金管理団体という形で特別の地位を与えた、政治資金法が特別の地位を与えた団体についてその政治家個人との一体性に注目して規制を今回かけたということです。

高山委員 それでは、まず政治家との一体性ということですけれども、これは先般の予算委員会でも伺ったんですけれども、安倍内閣の閣僚の長勢甚遠法務大臣のことについて伺います。

 総務大臣、これは前回も伺いましたけれども、長勢法務大臣の資金管理団体の所在地と名称、その代表者、またそれと同じ住所にある団体の名称、代表者、これはこの間は細かく通告していたけれども、もしあれでしたら、同じ答弁書がありますのであれですけれども、これを今お答えいただけますか。

菅国務大臣 済みません、通告がなかったものですから今持ってきておりませんので、しばらくお待ちいただけますか。

高山委員 では、ちょっととめてください。

今井委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

今井委員長 速記を起こしてください。

 久元選挙部長。

久元政府参考人 長勢大臣の資金管理団体の名称は長政会、主たる事務所の所在地は東京都千代田区神田神保町二の十となっております。また、新時代政策研究会の主たる事務所の所在地は、東京都千代田区神田神保町二の十、代表者名は大堀幸男というふうになっております。

高山委員 今、私、議事録を総務大臣にお渡ししたので総務大臣に御答弁願いたいんですけれども。

 この点に関して、まず、長勢大臣がその大堀さんという方がどういう方だということをおっしゃっているかということと、また、これはどういう団体なんですかというような話を、私、ラインマーカーを引いておいたと思うんですけれども、長勢大臣が自分のどういう団体なんだというふうに答弁されているか、ちょっとその答弁書を見ればわかると思うんですけれども、御答弁願えますか。

菅国務大臣 長勢国務大臣が当時答弁をしていますのは、ずっと私の政策秘書をしておりまして、現在は法務大臣秘書官をしている、そういう答弁をされております。今マークしてあるのはそういうことですけれども。(高山委員「いや、次のページなんですけれども」と呼ぶ)次のページはない。(高山委員「いや、あるんです、そこにあるんです」と呼び、その他発言する者あり)

 日本精神科病院協会政治連盟からの私の政治活動一般に対する支援という趣旨というふうに理解をしておりますということと、政治活動に対する御支援という趣旨のものと考えている、これが、マークしてあるのはこのことです。

高山委員 今やはり不都合なことを聞かれたなということでいろいろなやじが飛んできましたけれども。(発言する者あり)

 まず、私が今指摘したいことを二点言わせていただきます。

 これは政治家の方が代表者じゃなくて秘書さんが代表者を務めている政治団体というのもあるんですね。そういうこともあるでしょう。だけれども、この長勢大臣の答弁を伺っていますと、あたかも自分のもう一つのお財布のように、いや、私に対して来た寄附が、これをまた返しましたですとか、自分が完全にコントロールしているんですよ、この答弁を聞いていますと。やはり、私はこういうのは問題だなと思いますよ。

 資金管理団体を指定して、そこのお財布を見ておけばその政治家に対するお金の出入りがわかるんだということを先ほどから与党の提出者の方はおっしゃっていますけれども、これは安倍内閣の閣僚だけでも八つも政治団体を持っているわけですよね。また、長勢大臣のように、今の八つの中にはこれは入っていないんですよ、秘書さんが持っていて、その秘書さんの政治団体を自分の財布のように使っているということがあるのであれば、やはり政治団体そのものに規制をかけていかないと、資金管理団体だけ特別なんだということでは、なかなか国民の政治不信というのは払拭されないなと思います。

 民主党の方は政治団体と資金管理団体を区別していないわけですけれども、念のため民主党の提出者にも伺いますけれども、先ほども伺いました民主党の提出者の方も政治団体をお持ちでいらっしゃるということですけれども、経常経費に関して資金管理団体と一体どういう会計上の違いがあるのか、また、仮にそこに領収書を添付した場合にどういう不都合があると考えているのか、答弁願えますか。

近藤(洋)委員 経常経費について全く困ることはございません。むしろ逆に、領収書を添付するという形になった方が規律も働き、またよりよい政治活動ができるのではないか、こう思っております。

 また、委員御指摘のとおり、私の場合も後援会ともう一つ地元に政治団体を持っておりますけれども、必ずしも代表者が私ではございません。後援会の同志が代表者を務めているわけです。

 その御指摘のとおり、やはりさまざまなトンネルの団体ができてしまうという懸念が生じるのではないか、こう思っておりますので、民主党案のように広く領収書を求めるという案が適切だろう、こういうふうに思って提出をしているところでございます。

高山委員 これは与党の方の話を聞いていますと、何か政治家との一体性が重要だということもおっしゃっていましたけれども、例えば先ほどの長勢大臣の例でいえば、これは表面上は政治家との一体性はわかりませんよ。同じマンションに入っている資金管理団体だということをだれかが気づかなければ、政治家との一体性はわかりません。例えばこういうことがこのまま本当に放置されていいのかどうか。

 これは今改正の話をしているわけですからね。現行は合法だからいいんだという話じゃないですよ。国民の皆さんが、政治資金を政治家がどういうふうに使っているんだ、こういう疑念にこたえるに当たり、本当にこういうことが放置されていいのかどうか、これは考える必要があると思います。

 また、先ほどから何度も政治団体は全部で七万ぐらいあるんだ、だから大変なんだというお話がありましたけれども、これは、きょうは呼んでいませんけれども、きのう聞きましたら全国で中小企業が四百三十万社あるんだという話ですよ、四百三十万社。ここの人たちというのは皆さん大変だから、税務申告のときには領収書をつけない、あるいは帳簿もつくらない、私のところは小さいですからとか、そういうような、何か特例とか、こういうのが働くんでしょうか。それとも、政治家だけ特別に何か領収書はつけなくていいだとか、つけないだとか、そういうことがあっていいのかどうか。

 私が今議論しているのは経常経費の話ですよ、経常経費の話。これは与党の提出者の方にも伺いたいんですけれども、今私が議論しているのは政治活動費の話じゃないですよ、経常経費。中小企業であっても事務所の家賃を払うことはあるでしょう、また、光熱水費、当然払うことはあるでしょう。政治団体であっても当然家賃を払ったり光熱水費を払ったりすることはあるでしょう。そういう費用に関して、一般の企業とどう違うのか、提出者の方に御答弁願えますでしょうか。お願いします。

東議員 まず、政治団体というものと中小企業の税務申告とか今おっしゃいますが、そもそも政治資金というのは、政党交付金を除いて税金ではないんですよね。一般の寄附金なわけですから、それを比べながら論じるというのはいかがなものかなというふうに思います。

 それともう一つは、経常経費だからこそ本来ならば領収書添付の必要なし、しかし、今回は資金管理団体の事務所費問題という考えられない問題が惹起したので、ペナルティーの意味で資金管理団体だけ経常経費に領収書添付義務を課そうというふうに考えているわけですから、その辺を御理解いただければと思います。

高山委員 今一般の会社とは違うんだというようなお話もありましたけれども、国税庁の方に伺います。

 最近、はなし家の方ですとか歌舞伎俳優の方ですとか、御祝儀を申告漏れだというような話があったんですけれども、きのういろいろ伺って資料もいただいておりますけれども、これは御祝儀というのでいただいて、どういう所得になって課税対象になっていくのかというのをまず御説明いただけますか。

田中副大臣 お答えをいたします。

 葬祭料だとか香典または一般的な祝い金などとして受け取る金銭で、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては非課税という原則になっております。

 しかしながら、事業所得者が襲名披露の際に受け取る金銭については、その事業の遂行に付随して生じた収入と認められることから、事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなり、所得税の課税対象であるということでございます。

 いずれにしても、国税当局としては、個々の事実関係に基づいて、法令等に照らして適正に取り扱うということになっております。

高山委員 先ほど提出者の方から、今問題となっているこの政治資金は税金じゃないんだ、もとは個人の献金だったりなのでちょっと色合いが違うというようなお話がありましたけれども、聞いていた献金してくれた人は、冗談じゃないと思った人は大勢いると思いますね。

 これは国税の方に伺います。

 政治資金だということで政治家が寄附を受けることがあるわけです。我々国会議員は歳費ということでいただいておりますけれども、もちろんそこに所得税だということでかかってくるわけですけれども、政治家の場合、そこに寄附でどんどんどんどんお金をいただくことがありますね。これは税法上どういう扱いになっているんですか。そこも課税所得なんでしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 一般論でございますけれども、政治家個人が提供を受けました政治資金につきましては、所得税の課税上、雑所得の収入金額として取り扱っております。この雑所得の金額は一年間の総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算することとされておりますので、この総収入金額から政治活動のための支出を含む必要経費の総額を差し引いた残額が課税の対象となります。残額がない場合には課税関係は生じないこととなります。

高山委員 今の国税の答弁を翻訳しますと、いただいた政治資金は政治活動の経費に使っていれば非課税なんだということですよ。ですから、政治活動費以外に使った場合どうなるのかということをまず伺います。

 国税の方にもう一回伺いますけれども、そうしますと、政治献金としてもらっていて、自分の歳費などの所得とも合わせて総額の所得があるわけですけれども、その中で政治活動以外のものに支出をしていた場合、これは課税対象になるんでしょうか、それとも非課税なんでしょうか、教えてください。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げた点に加えまして、御指摘の、政治家が提供を受けた政治資金を私的に費消していたような場合、その私的に費消した金額は雑所得の計算上必要経費にはならないということでございます。

高山委員 私が言いたいのは、とにかく政治資金としていただいたお金は政治資金にきちんと使っていれば非課税でいいと思います。けれども、もしこれが何に使われたのかわからない架空計上があるとか、あるいは政治資金以外に流用があった場合には、これは脱税なんですよ。脱税というのは、まさにまじめに税金を納めている皆さんが被害者じゃないですか。だから、お金がどういうふうに使われたのかということをきちんと明確にしなければいけないんだというのが私は政治資金規正法の趣旨の一つだとは思いますけれどもね。

 その中で、また国税に伺いますけれども、普通の会社の場合、申告に当たっては領収書を添付する必要はないと思うんですけれども、仮に事務所費が、家賃無料のところに入っているのに家賃がこれだけ計上されているよとか、これは一例ですけれども、一般論で伺いますけれども、非常に不自然だなと思うような経費の計上が申告してきた書類にあった場合、国税の方はどういう調査をされているのか、教えてください。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 いろいろなケースがあると思いますので、一般論で申し上げますと、いろいろな資料、情報を収集した上で、出されました申告書ともよく比べた上で、必要があれば税務調査等を行いながら、適正公平な課税の実現に努めているということでございます。

高山委員 これは聞くまでもないことで、事前に国税の方から資料をもらっているのであれですけれども、要は、本当にきちんと支出があったかどうかということを一番決定づけるのはやはり領収書なんですよ。だから、領収書を一円から添付するのが本来当たり前ですよ、政治家とはいえ。特にこれは経常経費ですからね。

 それが、いや、五万円以上なんだ、いや、資金管理団体だけなんだと。こういう議論が国民に本当に納得してもらえるのか。普通の一般企業あるいは一般の個人事業主でも同じですよ、申告の仕方としては。政治家だけを特別扱いするということが本当に一般の国民の人から理解を得られるのか。

 例えば、今一番問題になっている年金の記録が、だれのものかわからなくなっている。この場合は一般の市民の人は三十年も前の領収書を持ってこいと言われて、政治家は去年の領収書も五万円以上のを出すのが面倒くさいだとか、そんなことが本当に通るんでしょうか。私は物すごいアンフェアな感じがいたしますね。

 ですから、私は、これは与党の提出者の方に伺いたいんですけれども、一般の企業とか一般の個人の方に比べて、どうして政治家を特別扱いしなきゃいけないんですか。そこを答えてください。

東議員 御質問の御趣旨がいまいちよくわからないんですが、これは特別扱いなんでしょうか。

 要するに、政治活動とかいうものと企業活動、これはおのずから違うんじゃないでしょうか。(高山委員「経常経費は同じでしょう」と呼ぶ)いやいや、そういう意味ではなくて。だから、全然違うフィールドでやっていて、同じフィールドだったら特別扱いだというのはわかりますが、政治活動という活動に挺身しているその活動と一般の企業活動を比べるというのは、僕はよくわからないですね、正直申し上げて。

高山委員 提出者の東先生も本当はわかっていらっしゃるのかわかりませんけれども、一般の企業とかいろいろな職種があるわけですね、デザイナーの人であればこういうのは経費として認められるであろうけれども、不動産の人はこういうのは経費として認められませんね、いろいろあると思いますよ。だけれども、これは経常経費ですよ、事務所の家賃だとか水道代、電気代。これは一般の企業とどう違うんですか、政治団体だと。どう違うのか、ちょっと教えてください。

東議員 逆質問していいかどうかちょっとわからないんですが、これまですべての政治団体に政治活動だけ領収書添付が義務づけられて、経常経費というのは全然義務づけられていなかったんですよ。これは間違いだったということの御認識なんですか、逆に伺いたいんですけれども。そこら辺の認識がちょっとかみ合わないなという感じがするんですけれどもね。

高山委員 私は全く答える義務はありませんけれども、今、古い政治家の答弁だなと思いました。

 まさに時代が今変わってきて、全部きちんとオープンにしましょう、政治活動で、そういうふうになってきたわけですよ。それなのに、例えば経常経費で領収書をつけるかつけないかということでどうしてこれだけもめなきゃいけないのか。国民の皆さんにしてみたら、なかなか納得いかないと思いますよ。

 民主党の方はまだ一万円ですよ。自民、公明党案は五万円。しかも、聞くところによれば、もともと自民党の中には五万円の領収書添付すらする必要がないじゃないかという人も大勢いたということも聞いていますよ。

 では逆に、私は公明の提出者の方に伺いたいんですけれども、五万円以上の領収書をつけなくてもいいんだというのがどうも自民党の中では大勢だったそうですけれども、公明党がそこをきちんと説得してやった理由というのは何なんですか。やはり社会の基準が変わってきたんじゃないんですか。

東議員 社会の基準が変わってきたから変わってきていないからということではなくて、つまり、政治活動費で支出計上をしなければいけないものが領収書添付の義務のない経常経費の方に流れているんじゃないかということで、そういう、もしあり得べからざることが実際にあるんだったら、経常経費に領収書添付義務をしましょう、こういうことから五万円という主張をし始めたんです。

高山委員 今の東先生の説明だと、佐田玄一郎元行革担当大臣が不適切な経理処理があったということでやめられたことは、全然フォローできていないわけですね。

 佐田議員の場合は、全く事務所の契約もしていない、そこに事務所がないところにずっと家賃を七千万円も計上していた。そこに事務所がないわけですよ。全くの架空計上。それがどうして気づかなかったかといえば、ここに計上さえされていれば家賃が払われているものなんだなというふうにみんな思っていたわけです。もし領収書がついていれば、そんな架空の契約をしていたら領収書をつけられないわけですから、こんな七千万も架空計上する前に国民の方の監視できちんと気づいたわけですよね。

 だから、私としては、普通の一般国民に対してきちんと領収書をつけなさい、あるいはそれこそ年金の話でいえば三十年も前の領収書を持ってこいと言っているこの安倍内閣において、どうして政治家だけが五万円以上の領収書をつけるのがそんなに大変なんだという議論になるのか、なかなか理解できませんけれども、質疑時間が来ましたので、終了いたします。

今井委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 与党と民主党それぞれにお聞きをしたい。

 提案されている法案の適用範囲、これはどこまでかという点ですが、これまで事務所費等で疑惑を受けた政治家、一々名前は挙げませんけれども、これがこの法案によってさかのぼって適用されて解明されることになるのかどうか、その点をまず聞きたいと思います。

東議員 この法が成立後遡及するということはありません。法施行後でございます。

武正委員 お答えいたします。

 同じく法律不遡及ということでございます。

 ただ、つけ加えれば、過去の分、施行前の分については、やはり説明責任ということをしっかりと国会等で果たしていくことで担保ができるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 両方とも二〇〇八年分の収入及び支出に係る収支報告書からの適用ということですので、現在疑惑を受けているものについては明らかにならないわけです。

 大体、現行法においても、政治活動費だけでなく経常経費についてもすべての支出について会計帳簿へ記載し、一件五万円以上の領収書の徴収が決められているわけですね。現在あるものを明らかにすればいいわけであります。

 そもそも政治資金規正法というのは、国民の疑惑を招くことのないように、事実を記載し政治資金の収支を公開することによって国民の監視のもとに置く、このことが法の目的の基本的な考え方であります。その精神に照らすと、疑惑を持たれた政治家が、今言われたようにみずから事実を公表することが求められるわけであります。

 しかし、それが現実に行われていないから問題になり、法律をつくろうということになったわけですね。ところが、過去は問わないというわけで、今現実に問題になっているこれらの疑惑を持たれている政治家の解明にこの法律が果たして役に立つかというと、非常に問題だ、簡単に言うと役に立たない、そういうふうに私は思わざるを得ません。

 次に、総務大臣にお聞きします。

 現在の政治資金規正法での明細報告の対象は政治活動のみで、備品・消耗品、事務所費は対象となっておりません。しかし、政党助成法では、使途報告の義務づけは、政治活動費だけでなく経常経費のうち備品・消耗品費、事務所費は対象となっております。現行法で政党助成法の方は対象が広いわけですね。その理由はどういうところにあるのか、お答えをいただきたい。

菅国務大臣 政党助成法における使途等の報告のあり方については、政党交付金が国民の税金であるという、貴重な財源で賄われているものであることから、政党の事務負担や政治資金規正法の規定内容等総合的に勘案しながら検討が行われてきたものというふうに思っています。その結果として、備品・消耗品費、事務所費については、多様な経費が含まれており、公費により賄われた使途を明らかにする意味合いから個々の支出について明らかにすることが適当である、こう考えられたからだというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 その立場に立ってそれぞれ与党、民主党にお聞きをします。

 今回の改正では、報告書の対象を経常経費のうち備品・消耗品費、事務所費のみならず光熱水費も対象にしていますね。これに対して現行の政党助成法は光熱水費については報告の必要はないと、そのままになっているわけです。

 今大臣から御答弁がありましたように、これはむしろ政党助成法の場合は税金で賄われているわけですから当然もっと広げなきゃいけない。光熱水費を対象にするというのを今提案されているわけですね。したがって、政党助成法が置き去りにされるということになりますと、これはバランスを欠くのではないか。政党助成金も同じ基準とすべきではないかと思いますが、それぞれお答えいただきたい。

東議員 お答えいたします。

 政党交付金につきましては、その使途等に関する報告書を、政党本部ならば外部監査、内部監査、それから政党支部ならば内部監査を受けた上で提出しなければならないとなっております。つまり、政党助成法第十九条でございます。その際、政治活動費のみならず、一部の経常経費、つまり備品・消耗品費と事務所費、これについては領収書の写しの添付が義務づけられているわけでございます。

 今回、ここまでの厳しい制度のない資金管理団体に対しまして人件費以外の経常経費について収支報告書への明細の記載及び領収書の写しの添付を義務づけるということでございますけれども、政党交付金の支出について政党助成法上は特段新たな措置を講じないとしても、今申し上げたように内部監査、外部監査で、国民の税金ですから、そこら辺の厳しいチェック体制をしいておりますので、バランスを失するものではないというふうに考えております。

武正委員 お答えいたします。

 今国会では、政治団体の支出、特に経常経費につきまして不透明である、こういった問題認識からこの法案の審議に至ったわけでもございます。そうした国民の政治不信が高まったことを受けて、今回の法案では政治団体の支出の透明度を向上させる点に絞ってきた経緯がございます。

 今の御指摘、光熱水費をなぜ政党助成法も対象としないのかということは、当然、民主党の修正案が成立した後、政党の支出明細の記載や領収書添付の対象となる支出の範囲を拡大するため、政党助成法の改正に取り組みたいと考えております。

佐々木(憲)委員 今、与党の答弁の中で、監査があるから光熱水費は対象にしなくていいと。これはちょっと質の違う話で、対象範囲を、税金で賄っている政党助成金の場合はより対象を広げていく、つまり、税金で賄われていない政治資金規正法の方を広げていながら税金で賄われる方は前のままでいいという、これはちょっと、先ほどの大臣の税金で賄われているからこそより厳しい公開が義務づけられているんだという御答弁があったわけですから、そういう観点からいうと、これは当然是正するという立場に立たないと著しくバランスを欠くというふうに私は思うわけです。

 さて次に、今回、民主党の最初提案されたものが撤回されましたね、最初に民主党案にあった人件費の問題ですが、人数の記載の義務づけ、会計帳簿等の保存、収支報告書の閲覧期間の延長が含まれておりましたが、なぜか今度の修正案ではこれが落ちておるんですね。これは何で最初に提案したのに修正案の中に入れなかったのか、その理由をお聞かせいただきたい。

武正委員 お答えいたします。

 与党が政治団体の支出の問題に対して対象を資金管理団体に限定したり、支出明細の記載や領収書添付の対象となる支出の基準額を五万円以上とするなど、民主党はやはりこれはざる法であるというふうに考えるわけでありますが、ただ、その大きな穴を修正することが国民の政治不信を払拭するには何よりも大事であると考えまして、今回は、人件費以外の経常経費や政治活動費についての明細の記載や領収書の添付に関する改正と不動産や有価証券の取得制限に関する改正の二点に絞りまして、与党案の修正案として提出した次第でございます。

 今御指摘の、三月に提出した民主党案に盛り込んでいた会計帳簿等の保存や収支報告書の閲覧などの期間を現行の三年から五年に延長すべき、また、人件費については、人数を、総人数というんですか、数の記載を義務づけるべきであるという考えは何ら変わっておりません。

佐々木(憲)委員 変わっていないのであれば、入れた方がよかったと私は思うんですね。なぜ落としたのか、理由がよくわかりません。

 今、これまでお聞きしたことを振り返りますと、民主党案も与党案も、現在疑惑をかけられている、問題の解明を求められている政治家への適用というのは、過去は問わないという形でこれにはどうも役立たないんですね。しかも、整合性からいうと、ちょっとこれはアンバランスがあるという感じがいたします。

 最後に総務大臣にお聞きします。

 三月十六日の当委員会で、私は、佐田玄一郎政治研究会、佐田玄一郎前行革担当大臣の資金管理団体と代表を務めている支部、この三つの政治資金収支報告書の訂正があったのかどうかとお聞きしたんです。その時点では訂正というのはまだないと。つまり、不適切な記載があって大臣をやめるというんですから、これは極めて大きな問題があったんだろうと思うんです。つまり、大臣をやめるほど重大な記載上の問題点があったというふうに思うんです。当然、その修正をするのは当たり前なんですね、正しく修正すると。あれから二カ月、三カ月たっておりますけれども、修正が一体されているのかいないのか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 佐々木委員から通告のありました佐田玄一郎政治研究会、佐田玄一郎議員の資金管理団体であります赤城倶楽部及び佐田玄一郎議員が代表者であります自由民主党群馬県衆議院議員比例区第二支部について、総務省及び群馬県選挙管理委員会において確認しましたところ、平成十八年十二月二十八日以降、収支報告書の訂正は行われていないところであります。

佐々木(憲)委員 みずからこれは重大な過失があったというふうにお認めになった、そういう方が修正もしない、あるいは閣僚をやめただけで説明もされないということになりますと、これは国民の政治不信を一層あおる、あおるといいますか拡大することにならざるを得ないと思うんです。そういう意味で、今度の改正というのは、疑惑を持たれた政治家の解明にしっかりと役に立つようなものにすべきだと私は思いますが、出された法案を見ましても、そういうふうにならないというのはまことに残念でございます。

 この点を指摘しまして、質問を終わらせていただきます。

今井委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 最初に、今回の法改正は、民主党の提出者がおっしゃっているように、これだけ広がってしまった政治不信をどう払拭していくのかということに最大の眼目があるというふうに思っています。

 その意味では、今の議員も触れられましたけれども、佐田行革担当大臣、不正経理問題で、今お聞きしたら修正も行われていないということですね。それから、亡くなられた松岡前農水大臣の光熱水費の問題、さらには伊吹文科大臣の四千万円という事務所費、この問題が実際に解明されないということになるんだと思います。

 どの問題についても、真相が全くわからないままやみに葬られていくということで大変残念に思っています。そのことの解明が、実は国民の政治不信を払拭していく大きなターニングポイントといいますか、課題になっているというふうに思うんですが、大変残念だということをまず申し上げておきたいと思います。

 最初に与党にお聞きをしたいと思うんですが、報道によりますと、これはあくまでも報道なんですが、与党案の作成段階で、人件費を除く五万円以上の経常経費について領収書の添付を義務づけるということに対して、これは自民党内というふうに報道は書いてありましたが、政治活動の自由が妨げられるという意見が噴出をしたという報道がございました。

 東さんからさっきお話がございました。そういうことをおっしゃっていたし、たしか伊吹文科大臣も、そういうふうにやると私の政治活動が規制をされるということをおっしゃっていたように思うんですが、それは事実なんでしょうか。事実であるとすれば、経常経費の支出を透明化する、領収書をつけるということがなぜ政治活動の自由を妨げることになるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。

東議員 先般の予算委員会で、私はこのことに触れました。きょうもまた政治活動の自由ということに触れたんですが、ちょっと説明させていただきます。

 私は、政治活動というものと経常経費というもの、二つのフィールドのある資金管理団体の収支の問題で、政治活動の自由を言うのは政治活動のフィールドの方じゃないのか。それを、経常経費に領収書をつければ政治活動の自由が脅かされる、それは間違いであるという認識をもともと持っているんです。

 先ほどここで申し上げた政治活動の自由という意味は、余り細かく細かく全政治団体に経常経費まで全部網をかけていこうとする、すべてともかく投網をかけて、いわゆる窮屈に窮屈にしていくという方向性が政治活動の自由というものを脅かすことになるのではないかということであって、経常経費に領収書を添付ということが政治活動の自由を脅かすとは私は思っておりません。政治活動の自由というのはあくまでも政治活動の世界での話でありまして、そのように認識しております。

日森委員 それは当然だと思うんですよ。しかし、実際に、報道によると、経常経費を透明化すると政治活動の自由が妨げられるんだというまことしやかな話があって、結局、この法案が出るのが随分おくれたんだという話がありました。とんでもない話だと思うんですが、実際、そういう認識でいるとしたら、そういう人がいらっしゃるとしたら、これは大変問題だと言わざるを得ないと思うんです。

 例えば、民間でいうと、先ほどお話が出ましたけれども、領収書がなかったら必要経費は落とせませんよ。これはもう常識の話で、それが一般的なんです。だから、領収書を添付するということが当然で、もちろん与党もそうお考えになったんでしょう。

 そこで、これは何度も御答弁いただいている話なんですが、五万円と一万円の話なんです。

 東さん、五万円というのが、規正法の政治活動の分野の基準がそうなんだということや、それから、これは昭和五十年ですか、一万円から五万円になった、これは社会の物価が上がったりしたんだから、そういうことで五万円ということを整合性を持ってやったんだ。本当にこれは合理的な理由になっているんでしょうか。つまり、五万円であれば、今広がっている国民の政治不信を払拭できるぞということも判断基準にして五万円というふうにお決めになったのかということが一点です。

 それから、民主党の提案者にもお聞きしたいんですが、一万円という、これはもう明確におっしゃっていましたが、ともかく国民の政治不信を払拭するために一万円という基準にしたんだというふうにおっしゃっていましたし、これはなぜ一万円なのか、合理的理由は一体何なのかということについて、それぞれ与党と民主党にお聞きをしたいと思います。

東議員 僕が五万円が合理的であると思う根拠は、一つは、これまで政治活動費も五万円以上の領収書添付義務、こうありました。そことの整合性ということがあるでしょう。もう一つは、これは大きいんですけれども、政党交付金の支出という、いわゆる国民の税金を使う、その使い方、ここでも五万円以上の領収書添付義務がある。これはやはり、それなりの大きな論拠だと僕は思います。

 この政党交付金を調べてみますと、各党とも、大体五万円の領収書で一〇〇%近く使い道が捕捉できているんですね。だから、確かに一万円の方がいいのにという意見もありますけれども、ここは透明性と事務的負担量のバランスだと思います。そのバランスを考えたら、私は五万円の方がより適正だ、このように思います。

近藤(洋)委員 日森委員にお答えいたします。

 一万円の根拠はということでございますが、私ども民主党は、そもそも、昭和五十五年の改正、一万円から五万円に引き上げた、これが間違いであった、こういう認識に立っております。したがいまして、委員御指摘のとおり、政治不信を正すために、さらには政治資金規正法の本旨、規律を正す、襟を正すという本旨に照らして、本来の一万円の姿に戻す、こういうことでございます。五万円では、ざる法と言われる規正法の網がほとんど埋まらない、与党案に対して、各社、世論もそういう形になっているわけでありますから、ここは本旨に戻す、こういうことであります。

 なお、事務量の煩雑さというのは、少なくとも全くないという認識に立っております。

日森委員 東さんは五万円で自信をお持ちなので、それはそれで結構なんですが、逆に言うと、支出を五万円以下にできるわけですよね。そうすれば領収書の添付は必要ないということにもなるわけですよね。私、そもそもそういう人が多いということを言っているんじゃなくて。

 亡くなった方の例で大変恐縮なんですが、松岡農水大臣は、九七年から二〇〇五年まで、これは交際費の関係なんですが、総額八千六百万円の支出をしていたということなんですよ。すべて一件五万円以下ですよ。領収書の添付は要らないということになるでしょう。ということも可能なんですよ。

 こういうことが可能であるとすると、本当に政治不信を払拭できるのかどうなのか。やはりそうなのかということになるんじゃないか。だから、五万円というのは、ちょっとこれは合理的な基準じゃありませんよ。ただ他の法律と比べて、そこに水準を合わせたということだけで、今の状況とかを本当に判断したものじゃないのじゃないのかという気がしてならないんですよ。

 本来でいえば、民主党の方もおっしゃっていましたが、一万円じゃなくてすべて明らかにするということが恐らく前提なんだと思いますが、そういう意味からいうと、五万円というのはざる法だ、こう言わざるを得ないというふうに思っているんです。

 そこで、もう一つ問題なんですが、資金管理団体、これも先ほどから議論がありました。与党は資金管理団体だけに限定している、これはどうしても納得ができません。七万とか政治団体があるから、これは大変なことなんだというお話をされましたけれども、しかし、事務的にはそれはできる話で、これは何で資金管理団体しか規制しないのかというのが納得できないんですよ。もう一度、なぜ政治団体を対象にしなかったのか。しないことによって、先ほど出ましたけれども、どんどんお金をつけかえているわけですよ。ということも実際にあるわけですから、これは国民の政治不信を払拭できますか、資金管理団体だけで。

 これをちょっと東さんにお答えいただきたいと思います。

東議員 答弁が繰り返しになって恐縮なんですけれども、前段の、五万円だったらば、それを細かく割って五万円以下に分散すれば領収書が要らないじゃないかという話ですが、それは一万円の場合も同じことが言えますよね。一万円以下に細かく割ったらということが一つ言えるということと、一件五万円以上ということを偽って、分割してやるということになると、これは虚偽記載になりますよ。だから、そんなに軽々しくそういうことができることではないということで、刑罰の対象になりかねないということもやはり言えると思います。

 それと、後段の部分は、これは先ほどから何度も申し上げていますように、政治家との一体性の最も強い特異な政治団体は資金管理団体ということ。それと、やはり七万という膨大な数の団体、これには政治家と全く関係ない団体もたくさんある。そういうところまで経常経費に領収書添付義務を課すことが、やはり事務的な負担量とかいろいろなことを考えて、本当にいいのかねということから資金管理団体に特化をさせていただいた、こういうことでございます。

日森委員 先ほどもお話がありましたが、それは民間では当たり前にやっている話で、そういうことをきっちりやることが政治不信を払拭するための一つのステップになるんだというふうに私たちは思います。

 時間がありません。ちょっとはしょって最後の質問をしたいと思うんですが、申しわけない、これはまた与党の東さんにお願いしたいと思うんです。

 先ほどもありました。一人でたくさん政治団体を持っている方もいらっしゃるわけですね。そういうこともありました。そういう意味では、政党支部だとかその設立要件を厳格化していくということも含めて、政治資金規制のあり方についてさらに抜本的に強化、透明化していくということが検討されてしかるべきではないかというふうに思うんですよ。これで終わっちゃいけないということですね。

 その一つとして、昨今言われているんですが、先ほど、政党助成金ではそうでした。そうでしたが、総務省や都道府県選管に届け出る政治資金収支報告書について外部の第三者の監査を義務づけるとか、そういう意見が識者の間でかなり出ています。それぐらい厳格にしないと、国民の側で信頼しないんじゃないのかという意見があると思うんですね。

 こういうことについて、与党の提出者に今のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

東議員 ただいまの御意見は一つの見識だと思います。確かに、透明性というものを高め続けていく努力というのは、これは一方で必要なこと。同時に、政治活動の自由ということを狭めていく、萎縮させていくということもやっちゃいけない。この両方のバランスでやはりこれから考えていくべきことなんだろうなと思います。ただし、ただいまの御意見は、そういう意味では傾聴に値する一つの御意見だなと私は思います。

日森委員 時間が参りました。そういう思いがあるならば、今回ももっと厳しい、国民がそうかと納得できるような与党案を出すべきであったでしょうということだけ申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。

今井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十分散会


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