衆議院

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第8号 平成19年6月12日(火曜日)

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平成十九年六月十二日(火曜日)

    午前九時十九分開議

 出席委員

   委員長 今井  宏君

   理事 井上 喜一君 理事 鈴木 淳司君

   理事 棚橋 泰文君 理事 鳩山 邦夫君

   理事 林  幹雄君 理事 細川 律夫君

   理事 渡辺  周君 理事 井上 義久君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      遠藤 武彦君    小里 泰弘君

      越智 隆雄君    近江屋信広君

      大塚  拓君    木原 誠二君

      木原  稔君    倉田 雅年君

      谷畑  孝君    中馬 弘毅君

      土井 真樹君    中森ふくよ君

      西村 明宏君    野田 聖子君

      萩原 誠司君    福田 峰之君

      藤野真紀子君    船田  元君

      松本 文明君    山内 康一君

      山口 俊一君    近藤 洋介君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      中井  洽君    長安  豊君

      野田 佳彦君    松本 剛明君

      村井 宗明君    江田 康幸君

      佐藤 茂樹君    佐々木憲昭君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   議員           後藤 茂之君

   議員           西村 康稔君

   議員           早川 忠孝君

   議員           大口 善徳君

   議員           東  順治君

   総務大臣         菅  義偉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     土井 真樹君

  木原 誠二君     越智 隆雄君

  倉田 雅年君     山内 康一君

  中井  洽君     長安  豊君

  佐藤 茂樹君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     木原 誠二君

  土井 真樹君     小里 泰弘君

  山内 康一君     倉田 雅年君

  長安  豊君     中井  洽君

  江田 康幸君     佐藤 茂樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(東順治君外五名提出、衆法第三九号)


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     ――――◇―――――

今井委員長 これより会議を開きます。

 東順治君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案及びこれに対する松本剛明君外三名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江屋信広君。

近江屋委員 自由民主党の近江屋信広であります。

 私からは、政治資金規正法改正に関しまして、不動産取得規制についてまずもって質問させていただきたいと存じます。

 お手元に配付いたしております「小沢氏が公表した資金管理団体「陸山会」の支出や資産」、これを皆さんに配付いたしております。二月二十日、民主党の代表の小沢一郎氏が公表した資金管理団体、陸山会の支出や資産の一覧でありますが、小沢代表が代表者を務める資金管理団体が所有する不動産は、そこに記載しております十二物件、総額十億円以上というものであります。しかも、小沢氏個人の名義で登記しているという実態がございます。我々の感覚からすれば、一人の政治家の政治活動にこういう十二物件も、しかも、都内の高級物件を主体にした総額十億円を超える事務所などが必要なのかなと疑いたくなるところであります。

 しかし、政治活動は多種多様でありますので、不動産を所有する必要に迫られる政治団体もあるかもしれません。しかしながら、政治家が代表者を務めることになっている資金管理団体の不動産の所有状況を我が党で確認いたしましたところ、これは平成十七年末の数字でありますが、一万一千六百十五団体のうち、わずか二十三件にすぎないということを聞いております。

 そこで、法案提出者にお尋ねいたします。

 一人の政治家の資金管理団体が総額十億円以上、十二物件もの不動産を所有しているということについて、民主党の提案者に、どのような感想をお持ちになられるでしょうか、その点をお伺いいたしたいと存じます。

松本(剛)委員 委員長の職権で立てられた委員会とはいえ、法案の審査をする委員会だというふうに承知をしておりますので、そういう中でのあえて御感想をという近江屋先生の御質問だろうというふうに思います。近江屋先生は、私どもより、政治資金のことも含めて、政治のあらゆることを大変よく御存じの方だろうと承知をしておりますが、その上での御質問ではなかろうかというふうに思います。

 その近江屋委員に申し上げるのは僣越であることを承知で申し上げますが、政治資金規正法は、第一条に、「この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」となっております。

 そして、第二条では、「この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。」「政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。」このように記されております。

 お尋ねの、我が党小沢代表の資金管理団体陸山会の不動産については、御案内のとおり、昨年五月に一部一方的な報道がなされ、私どもも改めて耳にしたところであります。今申し上げた法律の趣旨にもありますように、「いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、」「公明正大に」また「これに対する判断は国民にゆだね、」というふうにありますので、明らかにすることが最も重要であり、昨年の五月の、一方的な報道であるというふうに申し上げてよいかと思いますが、であったとしても、さまざまなことを感じる方がおられる以上は内容を整理して説明する必要があるのかなというのがその時点での私の感想であります。

 その後、整理をし、今まさに近江屋先生が御紹介されたように、内容をすべて公開いたし、これに対する判断は専ら国民にゆだねということで、この法にのっとると同時に、法の趣旨にのっとって説明が十分にされたのではないかというのが私の今の感想でございます。

 という内容であり、この法の趣旨は、もう先生もよく御存じのとおり、国民の皆さんからまだ説明が必要だと言われることがないようにするということが極めて重要だろうというふうに思っております。

 以上です。

近江屋委員 今、松本提案者からるる説明がありましたが、昨年五月に報道された、これは国民の判断にゆだねる、その上で説明責任を果たすための公表をしたということでありますが、私から見るところ、これはちっとも説明になっていないのではないか、不十分な説明だったという印象を持っております。世の中はそんなに甘くないのではないかと思います。やはり十億円以上、十二物件も不動産を都内に、特に赤坂に六件とか、異常なことでありますから、世の中は甘くないということを厳しく認識していただきたいなと思います。

 それから、政治家の財布として機能する資金管理団体でこういう多額かつ多数の資産形成がされているということは、政治家個人による資産形成、いわゆる蓄財をしていると世の中から疑いの目をかけられても仕方がないものでありまして、このことに対応するために、今回の法案に不動産の取得規制を盛り込んだものと思います。

 そこで、この不動産取得規制の立法趣旨について、改めて与党の提案者から御説明をいただきたいと存じます。

後藤(茂)議員 現行法上、政治団体の不動産の取得等には、政治資金の運用、八条の三に当たる場合を除きまして特段の規制がないわけであります。しかし、資金管理団体による不動産の取得が国民の浄財をもとにした政治資金の使途として適切なのかという問題が昨今指摘されているところでございます。これはもう委員のおっしゃるとおりでございます。また、政治団体に法人格がない場合に不動産の登記を代表者名義とせざるを得ないわけでございますが、政治家個人の資産形成と疑われるおそれがある、そういうことも指摘をされております。

 しかし一方で、政治団体が安定的な活動拠点を確保するために土地建物を所有することが必要な場合もあるだろうというふうに思います。これも全面的に否定し禁止するのでは、七万団体にも及ぶさまざまな政治団体の政治活動の自由及び財産権に対する過度の制約を課すことになるおそれがないだろうか、そのことも心配したわけでございます。

 そこで、結果といたしまして、政治団体のうち、特に政治家個人との人的、資金的一体性が強く、寄附制限上の特典も認められている資金管理団体については、国民の政治不信を招くことのないようにするために、特に不動産の取得等に関し規制を設けるということにしたわけでございます。

近江屋委員 二月二十日に小沢代表が公表いたしました資産について説明された際に、確認書なるものが示されました。これは平成六年と平成十七年の確認書というものであります。この確認書は、陸山会代表者の小沢氏と小沢氏個人が締結したものでありまして、資金管理団体の資産は小沢氏個人の資産ではない旨の内容が書かれております。

 この確認書が本当に平成六年や平成十七年当時書かれたものであるかについては相当疑問のあるところであります。このことは、先日、予算委員会の集中審議におきましても、我が党の松浪健太議員が指摘したとおりであります。この確認書には、今日問題になって指摘されていることに答えている内容が書かれておりまして、平成六年、平成十七年当時から現在をすべて見通していたのだとすれば、大変すばらしい予知能力があるのかなと感心するわけであります。

 松浪議員から、確認書が本物なのか否か、鑑定のためには原本を出していただく必要があるとのことでありましたが、いまだ原本による鑑定ができず、疑念が残ったままでありまして、残念な限りであります。

 さて、また、これらの不動産が本当に政治活動のために必要なものであるかどうか、その点についても国民から疑念が持たれております。小沢代表の説明によれば、各事務所の使い道につきましては、みずからの政治活動のための事務所のほかに、秘書の寮といった福利厚生施設も完備されているようであります。また、書斎や執筆活動の拠点のためだけの事務所も都内の一等地にあると、今回配付された資料の中にもございます。そのほか他団体に賃貸している物件まであるとのことであります。果たしてこれらが政治目的のための物件と言えるのでありましょうか。疑念が募るばかりであります。

 そこで、民主党の提案者にお伺いいたします。

 こういう公党の民主党の党首にかかわることですので、民主党の松本政調会長も党幹部だと思いますが、やはり当然、党内で小沢代表に対して、事実関係はどうだったんでしょうか、そういう十二件のマンションの実態はどういうものか調査をしている、当然そのような対応をしていると思いますが、いかがでございましょうか。その点をお聞かせください。

松本(剛)委員 近江屋委員にお答えを申し上げます。

 その前に、近江屋委員も十分これまでの議論の経緯を承知の上での御発言だと思いますが、先ほど、陸山会所有の不動産と小沢一郎個人の蓄財と資産形成をあえて混同されるような御発言をされておられました。これは既に、政治団体の所有物件と個人の物件は混同できないということは予算委員会などの議論でも明らかになっている内容だと思いますので、その点は御撤回をされるべきだと思いますが、私どもの方からそのことを要求させていただきたいと思います。

 その上で、政治団体、小沢代表の不動産の所有の内容については、今まさに先生がおっしゃっていましたが、私どもとしては説明を、党内外を問わず、先ほど特に申し上げましたが、国民に対する説明が政治資金に対しては何よりも必要であります。そしてそれが、おっしゃったように、もし政治資金規正法の趣旨にのっとっていない形であるとすればもちろん問題になるというふうに思いますけれども、しっかりと公開をし、政治資金規正法の趣旨にのっとった目的で利用されているということを説明なされたものというふうに私どもも承知をいたしております。

近江屋委員 先ほど松本提案者は、るる、国民の批判にさらすということが政治資金規正のあり方だと言われました。政治資金管理団体がそういう十二件、十億円ものマンションを保有しているということについて、まさに国民から批判を受けているのでありまして、決して蓄財と混同とかいうことではありませんで、蓄財という疑いを持たれておりますので、しっかりとした党内調査をしていただきたいと存じます。

 私どもとしては、小沢氏のマンションの、玄関の表札に資金管理団体名ではなく単に小沢と個人の名字が出ているだけの物件とか、表札に何も書いていない物件がありまして、また、物件の幾つかは人が住んでいる気配が全然ない、電気のメーターもゆっくり回っている、待機電力になっているような物件もあると聞いております。このような使用状況に照らしたときに、本当に政治活動のためだけに十二物件、総額十億円余りの不動産を所有している必要があるのだろうかという疑念は、まさに国民の偽らざるお気持ちだと思います。

 そこで、みずからはそのマンションを使用せず第三者に賃貸して賃料を得ているだけなどといったような事情がある場合には、これは運用であると思うのであります。

 総務省にお尋ねいたしますが、その点、いかがでございましょうか。

久元政府参考人 政治資金規正法八条の三は、政治資金が国民からの浄財で拠出されているということから、政治資金がリスクの高い方法で運用されることを禁止しようという趣旨でございます。

 そして、その運用の方法としては、リスクがないあるいはリスクが極めて低いと考えられる方法に限定しております。そして、この運用とは、一般的に申しますと、金銭等を利殖その他の目的のために将来資金として回収することを前提に財産の形態を変えるというふうに考えられているところでございます。したがいまして、それ以外の運用方法は現行法上は認められているというふうに考えております。

 なお、具体的な事実の当てはめにつきましては、具体的事実関係を承知する立場にありませんので、お答えを控えさせていただきますことをお許しいただきたいと存じます。

近江屋委員 当該資金管理団体の政治活動に関係のある第三者へ賃貸しているのか、それとも全く関係のない第三者に賃貸しているのかという、賃借人と資金管理団体またはその代表者との関係ですね。関係者なのか第三者なのか、その関係が運用であるか否かを判断する一つの事情と考えますが、総務省としてはこの点いかがでしょうか。

久元政府参考人 運用であるかどうかということにつきましては、今委員が御指摘の点を含め、さまざまな事情が勘案されるというふうに存じます。

近江屋委員 さまざまな事情が勘案されるということでありますが、はっきりいたしませんが、結局、運用であると疑わしいものも確証が得られずに終わるということになりますけれども、今回の与党改正案ではこの点についてどのように対応されるのでありましょうか。与党法案提出者にお尋ねいたします。

西村(康)議員 お答えをいたします。

 今議論がありましたとおり、資金の運用として、不動産に運用することは禁じられておる。ただし、政治活動の目的で所有することは、法は今許しているというわけであります。

 過去、政治活動の目的に使うために不動産を所有してきた、これは許されるわけであります。我々は今後は資金管理団体による不動産の取得を一切禁じるわけでありますけれども、過去のものも何らかの形で一定期間内に処分することを課すことができるのかどうかということも議論をいたしましたけれども、これは法制局との関係で、財産権の過度な侵害に当たるんじゃないかということで、そこは難しいんじゃないかという結論になりました。そのかわりに、過去に取得した不動産が本当に政治目的に使われているかどうかということを、国民のチェックを受ける、批判を受ける、監視を受けるという視点から、何に使っているのかということをしっかり報告してもらおうという規定を盛り込みました。

 これについては、その用途、何に使っているのか、それから使用面積、それから使用者、使用者と資金管理団体及び代表者との関係、使用料の額等々をしっかりと記載していただいて、政治活動目的に使っているということを報告していただくということでありますし、その報告は公表されますので国民のチェックにさらされる。かつ、虚偽の記載があれば罰則があるということでありますので、これは非常に重い規定であるというふうに思っております。

近江屋委員 不動産が運用されているか否かという立証というのは難しい面がある、これはやむを得ない点もあろうかと存じます。ただ、やはり既に所有している不動産についてはしっかりとした現況の報告を詳細にしてもらうというのは適切な対応ではないかと思います。虚偽記載にはしっかり罰則がついているということは理解いたしました。

 続きまして、民主党の修正案では、資金管理団体のみならず、政党を除くすべての政治団体を不動産取得の規制対象としております。立法するに当たりまして、現在、政治団体は七万余あるわけでありますが、それについて調査をされたものと思いますけれども、その七万の政治団体で不動産所有がどのくらいなされておるのか。面積とか資産規模について、調査されておることとは思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。

松本(剛)委員 お尋ねのことでございますが、平成十七年十二月三十一日現在の政治団体数は七万百三十三、うち土地建物、地上権、借地権を保有しているものは、私どもが把握をしている限りでは五百七十九というふうに承知をいたしているところでございます。

 以上です。

近江屋委員 七万の団体のうち五百七十九にすぎないという説明でありました。しかし、政党以外の政治団体すべてについて投網をかけるような民主党の修正案というのは、やはり過度に広範な規制ではないか、広過ぎる規制をかけるやり方ではないかという印象を持ちます。

 また、立法目的と手段の関係。立法目的は要するに政治家が個人的な資産形成を図る、すなわち蓄財を阻止するという目的でありますが、その手段としては政治家と一体的な関係を持っている政治資金管理団体を規制すれば足りると思うのでありますが、民主党の修正案ではそうではなくて、代表者が政治家ではないというほとんどの政治団体、大半の政治団体に投網をかけるようなやり方は、そうした立法目的と手段との関係において合理性がないのではなかろうか。

 やはり、過度に広範な規制ではないこと、それから目的と手段の関係で合理性があるということが法律の合憲性ということだと思いますので、その点はやはり与党案が適切な合理性のある措置ではなかろうかと思うのであります。

 続きまして、経常経費の改正に関連する質問であります。

 今回の案のように、支出についての透明性を高める必要性が議論されてきましたが、収入の面で隠匿、隠すということがあっては、幾ら支出面で透明性を確保しようとしても意味をなさないことではなかろうかなと思います。

 その関連で、少し民主党提案者にお伺いいたしたいのでありますが、本年一月、外国法人からの民主党群馬県連に対する違法献金の疑惑が問題となりました。その際、当初は領収書等が不明であり調査ができないようなお話でありましたが、その後、領収書がマスコミによって明らかにされ、民主党関係者も領収書の存在を認めたとの報道があったと思います。

 これは一議員だけの問題ではありません。民主党の県連が関与した公職選挙法にかかわる疑惑でありまして、民主党の方でしっかりとした調査を行っているものと思いますが、民主党案提出者にお伺いいたします。民主党群馬県連に対する違法献金疑惑の実態について調査をしたでありましょうか。もし調査をしたのであれば、どのような方法で行われたのか、参考までにお伺いをいたしたいと存じます。

松本(剛)委員 近江屋先生に、まず、法案の審議の場でございますので、先ほど与党案と民主党案のことについてお話がございましたので、私どもの考え方も申し述べさせていただきたいと思っております。

 不動産の取得の禁止について、資金管理団体に限定をするのが適当であるというお話でございましたが、そもそも、当初からお話を申し上げているように、政治資金規正法の改正の大きな論議を引き起こしたのは、やはり経常経費の使途を明らかにすべきであるということも大きな国民の関心であり、またいまだに関心であると思います。もっとも、まだ説明を要するというふうに多く指摘されているのも経常経費の説明の部分であるということも我々は認識を共有すべきではないかというふうに思っております。

 その上で、全政治団体に規制をかける。これは、不動産の取得の禁止、それから経常経費の領収書添付は、私どもはいずれも修正案では御提案をさせていただいたわけでありますが、これについては広過ぎるのではないか、こういうお話がございました。

 しかし、私どもとしては、政治資金というものに与えられた使命、また政治資金について税制上の優遇など一定の取り扱いで特別な扱いを認められているということにかんがみると、先ほどの国民の疑惑を招くことのないようにという政治資金規正法の趣旨にのっとるとすれば、やはり昨今の状況にかんがみ、政策的な判断として、政治団体全体に不動産の取得もこれからは禁止をした上で、また同時に有価証券などの運用も禁止をした上で広く規制をすべきではないかというふうに思っております。

 また、資金管理団体に限定をされるのが適当だというお話でございましたが、近江屋委員御自身が既に実践をされたように、資金管理団体がなくても政治活動ができることはよく御理解をされていることだろうというふうに思っております。国会議員が資金管理団体なしで活動をした場合に、その政治資金に対する規制というのは、やはりまさに政治資金規正法の趣旨にのっとれば広く公開をすべきであるということにかんがみれば、むしろ広く国民に理解できるようにすることが最も肝要なことではないかということでこのような議論がされているというふうに私どもは承知をいたしております。

 その上で、今、私どもの群馬県連のことについてお尋ねがございました。

 繰り返しになりますが、私どもは法改正案を提案しているのであって、個々の事例にお答えをするという立場にはないというふうに思っておりますが……(発言する者あり)

今井委員長 静粛にお願いいたします。

松本(剛)委員 よろしいでしょうか。

 私ども民主党としては、群馬県連に対し、そういう報道があったことも踏まえて調査を行いました。また、当時代表であった角田議員に対しても事情を聴取いたしました。

 甚だ遺憾ながら、結論としては、私どもの党でできる限りのことをいたしましたが、確認をできないということでありまして、その説明ができないことに対する、角田議員の説明責任を果たし得ないということの責任は角田議員にあるということで、党として角田議員に対して処分をいたしたところでございます。

 以上です。

近江屋委員 そのことに加えまして、民主党議員への陣中見舞いを民主党県連で受けていたということも指摘されているわけでありますが、当該議員からも事情聴取をしたと思いますけれども、議員からの聞き取りの結果を明らかにしていただけませんでしょうか。

 なお、ちょっと結論としては遺憾なものがあるという松本提案者のお話でありますが、今後の調査予定、それから公表の時期、どういうふうなお考えなのか、教えていただきたいと存じます。

松本(剛)委員 繰り返しになりますが、政治資金に関しては、国民の疑惑をもし招いたとすれば、それが一方的なものであっても積極的に説明をする必要があるというのが私どもの認識であり、御指摘の問題についても、発端はある意味では一方的な報道かもしれませんが、説明の必要があるということで調査もし、また本人にも強く説明を求めたというのが私どもの理解であります。

 ただ、残念ながら、本人自身も説明できる材料の持ち合わせがなく、また、それについて現段階で確認をできるというものもなく、私ども党としては……(発言する者あり)

今井委員長 続けてください。

松本(剛)委員 私ども党としても、速やかに、かつできる限りのことをするということが最も求められているという認識のもと、そのようにさせていただきましたが、先ほど先生も御指摘のとおり、私どもとしても、甚だ遺憾ながら、到底説明責任を果たし得ない状態であるという認識。ただし、党としてできることは現段階ではすべて行ったというふうにも思っております。

 以上です。

近江屋委員 公党の責務として、しっかりした調査、そしてしっかりした説明責任を果たしていただければなと思います。

 続きまして、民主党県連には、外国法人のほかに、最大の後援者である労働組合からの陣中見舞いも当然あろうかと思いますが、県連の収支報告書に記載しなかった寄附はありませんでしょうか。その点、お答えいただきたいと存じます。(発言する者あり)

今井委員長 近江屋さんに申し上げます。近江屋さんの発言時間は終了しておりますけれども、次の山内君の質問の範囲の中でお願いをいたします。

 松本剛明君、答弁お願いします。

松本(剛)委員 大変声の大きい方がたくさんいらっしゃるので、改めて御質問をお願いいたします。

近江屋委員 民主党県連には、外国法人のほかに、最大の後援者である労働組合からの陣中見舞いも当然あろうかと存じます。県連の収支報告書に記載しなかった寄附はありませんでしょうか。その点をお伺いいたします。(発言する者あり)

今井委員長 その持ち時間の範囲でやります。(発言する者あり)山内さんの質問の持ち時間の範囲で許可いたします。

 松本剛明君。(発言する者あり)最後の答弁にします。議事進行します。

松本(剛)委員 私も、衆議院に所属をする議員として、ぜひ委員長初め与党の理事にこの場で御確認をいただきたいと思います。

 同じ党内であれば、今後はそれぞれの党の事情によって自由に持ち時間が使えるということをこの場で自民党として御確認をいただきましたら、私も引き続き答弁をさせていただきたいと思います。理事間の協議なく一方的に可能だということをぜひ与党の皆さんにも御確認をいただいた上で、答弁を申し上げたいと思います。

今井委員長 後日、理事会で協議いたします。

近江屋委員 今現在の私の質問に対しては、結果として答弁拒否でありましたという認識をいたしまして……(発言する者あり)質問してくださいという松本提案者の話がありましたので私は再質問したのです、それに対して。(発言する者あり)

 それでは、私の質問を終了させていただきます。

 以上です。

今井委員長 以上で近江屋君の質問を終了いたします。

 次に、山内康一君。

山内委員 自民党の山内康一でございます。

 近江屋委員のように長年党職員として政治にかかわってきたような方とは違いまして、私はほんの二年前まで普通にサラリーマンをやっておりました。そういった普通のサラリーマンの目線で、国民の目線で、素朴な質問を含めて御質問申し上げたいと思います。もしかすると、的外れな質問あるいは重複する質問もあろうかと思いますが、御容赦いただいて、御答弁をいただければと思います。

 まず最初に、私の基本的な考えを申し上げますと、今国会は非常に与野党激突の法案が多くて、今も大変緊迫しておりましたが、野党の審議拒否というのか与党の強行採決というのか、どんな言い方をするにせよ、非常に与野党の激突の多い国会で、結果的に国民の皆様の政治全般に対する信頼を損なってきたということがあろうかと思います。こういった政治に対する信頼を取り戻していくということがこの法改正の一番の趣旨だと思いますが、こういった法案まで与野党で激突するというのは余りよくないのかなと思いまして、ぜひ与野党協力していいものをつくっていければなと思います。

 その観点では、民主党さんが独自案を取り下げて、与党案を基本にした修正案を出し直していただいたということは大変評価すべきだと思っております。ぜひもう一歩進んで与党案に全面的に御賛同いただければと思いますが、そういった問題意識のもとに質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、既に初日の審議で相当議論があった部分で、多少重複があろうかと思いますが、与党法案提出者に対して御質問いたします。

 与党案では資金管理団体の不動産の取得を制限しております。それに対して民主党の修正案では政党以外の政治団体の不動産の取得を制限し、与党案に関しては資金管理団体だけに絞っておりますが、その理由について御答弁をお願いいたします。

後藤(茂)議員 お答えいたします。

 資金管理団体は、政治家本人が代表者である政治団体のうちから一つを選んで、その者のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定をするものでございます。資金管理団体は、政党から政治家への寄附がさらに当該政治家の資金管理団体へ寄附されるいわゆる特定寄附を初め、政治家がその資金を自己の資金管理団体へ寄附し管理させるという形態が政治資金規正法上も認められております。

 このように資金管理団体については政治家個人との人的、資金的一体性が強く認められていることから、国民の政治不信を招くことのないようにするために、資金管理団体を利用した政治家個人の資産形成の防止及び政治資金利用の適正化を図る必要性が大きい。そこで、政治団体のうち資金管理団体に限り不動産の取得等に関し規制を設けることとしたものでございます。

山内委員 それでは、ちょっと事前通告に漏れているのですが、基本的な考え方を民主党法案提出者の方にお伺いしたいと思うんです。

 先日の平委員からの質問とちょっと重なる部分もありますが、新しく政治団体が不動産を所有するということが民主党の修正案においては難しいと思うのですが、例えば、いろいろな政治団体、看護政治連盟とか環境問題の政治連盟とかあるいはスポーツ関係とか、さまざまな業界団体等の政治連盟があります。そういった団体がこれから先新たに不動産を取得することができなくて、そして、もう既に持っている、今既にある団体の不動産取得に関しては特に問題ないということであれば、新規に参入してくる団体にとって非常に不利益をこうむるおそれがあるんじゃないかなと思います。

 例えば不動産政治連盟さんとかがこれから不動産を取得できないということになると、ちょっと……。今不動産を持っていない団体にとって非常に不利な制度になってしまうかと思いますが、そういった不利な点をどうカバーしていくのか、そういった点についてちょっと御意見をお聞かせいただければと思います。

松本(剛)委員 繰り返しになりますが、まず、質問時間というのが、委員長が質問時間の終了を発しているにもかかわらず、多数の与党は何でも自由にできるということが国会の運びということで本当に許されるのかどうかということを改めて確認させていただきたいと思います。

 また……(発言する者あり)

今井委員長 お静かにお願いいたします。

松本(剛)委員 先ほどの近江屋議員の御質問でありますけれども、献金を受けてもしくは資金を受けて適法に記載がなければ、当然適法でないということになりますから、私ども、現段階で適法でない処理がなされたというふうには承知をしておりませんということでございます。

 その上で、今、山内議員の御質問でございました不動産政治連盟なるものが、不動産の取得を目的にした政治連盟であるとはちょっと思えないわけでありますが、政治活動において不動産の取得をもって政治活動を行うということが有利である場合もあるという今のお話であろうというふうに思っております。これは賃貸で行うのか取得をして行うのかというのは、そのときのさまざまな情勢等によって、費用、コストなども時によって違うという意味では、確かに御指摘のとおりだろうというふうに思います。

 私どもは、当初の案では、今回の問題、経常経費に対する公開ということをまず主眼にいたしまして法案を策定いたしました。そして、その段階で、不動産取得についても、今、近江屋議員とも議論をさせていただきましたが、疑惑を持たれる方もいらっしゃるという御指摘があることを議論いたしましたけれども、これは、政治資金規正法にのっとらない形での不動産の取得、運用等はもちろん問題であることは言うまでもありませんが、今おっしゃったように政治活動に資するものである、趣旨にのっとった不動産の取得というものは必要であれば認められるということでこれまでの法律は運用されてきたということでよいのではないかということで、当初の案では、不動産の取得を禁じない案を国会に提案させていただいたところでございます。

 ただ、与党の皆さんの方から、やはり不動産の取得についても大きな疑念を抱いているという御指摘があり、また、今後、国民の皆さんの浄財である政治資金の使い道として不動産の取得というのは外すのが望ましいのではないか、こういう政策的な御判断での御提案であったというふうに私ども受けとめましたので、第一党である、また与党である多数の皆さんの御提案であるということを真摯に受けとめ、そういった使い道であるとすれば、不動産の取得と同時に、株式などについても資金の運用を禁止すべきであるということで御提案をさせていただいたというところでございます。

 当然、制度を変更いたすわけでありますから、制度の前と後という部分は出てまいりますが、大切なことは、政治資金についてやはり国民に広く理解を得、また信頼をしっかりとかち得ていくということでありまして、今の日々起こってくることの中で、政治資金について必要な手だてを講じていくということが優先をされるべきではないかというふうに私ども認識をしているということを申し上げたいと思っております。

 その意味で、ぜひ山内委員におかれましても、資金管理団体に限定をしているという問題、先ほど与党案に賛成をしてくれればという御発言がございましたので、私どもの方からも申し上げたいと思いますが、私どもはこの間、私どもの案、そして修正案、そして、私自身は昨日の筆頭間の協議でも本当に踏み込んだ議論がなされたというふうに承知をしております。山内先生自身も、資金管理団体を持たずしても政治活動はできるということは御自身の実践の中でよく御理解をされていることと思いますので、国会議員の政治活動というのを広く明らかにするということからすれば、資金管理団体に限定をするということはかなりの部分が抜け落ちるということも先生自身よく御理解をされた上だと思いますので、私どもも歩み寄ってまいりましたので、むしろ、国民に対する真摯な信頼をかち得んとする自民党の若い議員の方としては、党内で私どもの意見にも真摯に耳を傾けるべきだという声を出されてはいかがかというふうに申し上げたいと思います。

山内委員 実は、おっしゃるように私も資金管理団体を持っておりませんので、そういった側面もあるのかなという気もいたします。

 続きまして、不動産の所有に関してお話をしたいと思います。

 与党案に関しては、資金管理団体の不動産所有は望ましくないという前提に立っていらっしゃいますし、民主党に至っては、さらに政党以外の政治団体まで含めて不動産所有禁止という方向に踏み出していらっしゃいます。基本的には不動産の所有は望ましくないということに関しては、与党、野党双方ともに同じような方向性なのかなと思うんですけれども、既に所有している不動産を保持し続けるということに関して、法律的には問題は全くないんだと思うんですけれども、ただ、倫理的な問題として何か出てくるのかなと思います。

 先ほど与党案の提出者からは、本当に政治目的に使われているか否かというのをちゃんとモニターしていくといったような御発言がありました。それに関して、与党案に関しては先ほど御説明がありましたが、民主党側の法案提出者にお伺いしますが、そういったもう既に持ってしまっている不動産は、例えば、多過ぎるかなと思った部分はこれからちょっとずつ処分していくとか、あるいは与党案のようにきちんとモニターしながら政治活動と関係ないものを精査していく、そういったことを考えていらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

松本(剛)委員 先ほど申し上げたとおりでございますが、不動産の取得を禁止するかどうかということに関しては、繰り返しになりますが、極めて政策的判断だというふうに認識をいたしております。

 その意味で、私どもは当初案で提案をしなかったわけでありますが、与党の皆さんがこの際広く国民の理解を得るために不動産の取得を禁止すべきである、こういう御提案があったものと真摯に受けとめ、議論をさせていただいたわけでございます。

 そして、先生御自身もおっしゃっておりましたように、経常経費の領収書添付も含めて、今度は資金管理団体のみに限定をされているということが本当に実効性のある、国民の信頼をかち得ていくのにそれで適当なのかどうかということが大きな議論になっているのではないかというふうに私ども理解をしているところでございますので、その点についてもこの場をもってしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 その上で、先ほどの御指摘でありますが、私どもは与党の原案に修正をお願いしておりまして、今御指摘のあったような報告などの部分については与党の原案を基本的に受け入れておりますので、当然、先ほど西村議員だったでしょうか、御説明のあった内容をそのままやっていただくという形を私どももいわば提案申し上げているというふうに御理解をいただいてよいのではないかというふうに思っております。

 その上で、倫理的にというお話でありましたが、先般、御党の平議員も、政治活動に利用するのであれば不動産を取得するというのも一理ある、こういう表現だというふうに記憶をしておりますが、このようにおっしゃいました。これは倫理的な問題ではなく、政策的な判断として今後国民の信頼を得るのにさらにこういう手だてをとってはどうかという御提案をいただいたというふうに理解をしておりますので、そのように取り扱うべきものというふうに理解をいたしております。

山内委員 もう一度民主党の提出者にお伺いします。

 それでは、所有している不動産物件を例えば人に貸し出していくといったようなことは政治活動とはちょっと無関係なように感じますが、そういった不動産の扱いはどうお考えなんでしょうか。

松本(剛)委員 私どもが承知をしている限りは、政党においても不動産を貸し出しをされたり一時レンタルをされたりということもされておられるというふうに理解をいたしております。まさに政治活動、政治資金規正法の趣旨にのっとった活動であるかどうかということが最大のポイントではないかというふうに理解をいたしております。

山内委員 ということは、もう一度民主党案の提出者にお伺いしますが、例えばアパートみたいな形で普通の人に貸し出して家賃を取るというのは許されるということなんでしょうか。

 もう一度繰り返します。例えば、持っている不動産の物件を一般の人にアパートみたいに賃貸ししたりするということは許されるということなんでしょうか。

松本(剛)委員 繰り返しになりますが、個別のそれぞれのケースについては、また、一般という方がどういう関係なのかということも含めて、政治活動に当たるのかどうかということが判断の基準になるのではないかというふうに理解をいたしております。

 不動産の運用ということに関しては、先ほどからも議論がありましたが、不動産を運用するということはというか、金銭を運用するということは、金銭を何らかの形にかえてそこから利益を得、また、それを金銭として回収するというのが基本的な運用の形だというふうに理解をいたしております。その意味で、政治資金規正法の八条の三も、政治資金をちょうだいした時期と支出をする時期というのが常に一致をしているわけではありませんから、その間は資金を当然置いておくということになる。それは、お金をリスクのある運用をしてはいけないというのが八条の三の趣旨であろうというふうに理解をいたしております。

 今の不動産の賃貸については、やはり、その賃貸の相手先、形態、そしてその賃貸の内容等の趣旨に係るものというふうに理解をいたしております。

山内委員 では、次の質問に移りたいと思いますが、有価証券の取得についてお尋ねします。

 民主党案では、有価証券の取得等の制限という項目がありますが、そもそも、今の法律、現行法でも、八条の三で有価証券の取得に関しては制限する条項がありますので、もう既に制限されているにもかかわらず改めて修正案の中に含めているその意図についてお伺いをいたします。

近藤(洋)委員 山内委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、八条の三で確かに運用について規制をしているんですね。私どもの案では、その目的にかかわらず取得してはいけない。すなわち、運用というのは、利殖を目的にして、もうけることを目的にして売ったり買ったりする、こういうことを運用と言うわけでありますが、こういうことをしてはいけないということで制限をしているわけです。これが八条の三であります。

 ところが、私たちは、その目的のいかんにかかわらず、株式等、これはゴルフ会員権なども含まれると思うんですけれども、株式なりの有価証券を所有してはいけない、こういうことで制限をしているものです。この心は、やはり株式等の有価証券は値段が上がったり下がったりするものでありますから、結果として利殖につながってしまう。こういうことであるので、こういうものを回避することから、取得そのものを制限した、禁止した、こういうことであります。

 かつて、リクルート事件というのがありました。委員、御記憶かどうかわかりませんが、未公開株を取得して、結果として大変値上がりをしてしまった、こういうことがあります。すなわち、株式なり有価証券は取得するだけで大きく値段が変動するわけですから、結果、売買をしなくても利殖につながるないしは大きく値段が下がって元本割れになる可能性があるわけですね。そういうことから、今回基本的に大きく不動産も取得を制限した、禁止したわけでありますけれども、この筋を通して変動額の大きい株式等の取得そのものを禁止した。基本的に考え方が運用と禁止と取得禁止はやはり違うということで、幅を広げて案をつくった、こういうことでございます。

山内委員 済みません、余りその違いというのがわからなかったんですけれども。

 本当に素朴な質問なんですが、例えば取得の制限というのは、お金を出して取得するのが禁止ということであって、例えば亡くなった方が民主党さんに寄贈しますみたいなのは許されるということなんですか。それは取得と言わないんですか。済みません、素朴な質問ですが。

近藤(洋)委員 だめです、結論からすると。取得することがだめですから。持ってはいけないということが民主党案であります。現行法は、持っていいけれども、利殖を目的に売ったり買ったり、動かしてはいけないというのが現行法なんですね。私たち民主党案は、持つこと自体がいけない、こういうことであります。御理解いただけましたでしょうか。

山内委員 はい、よくわかりました。ただ、例えば、お亡くなりになる方が財産を残して、どこかの政党に寄附したい、そういったよき意図まで封じるような気がいたしますので、これはどうかなと個人的には思うところであります。

 次の質問に移りたいと思います。一つ、政治資金規正法ということに関して。

 私が公募で支部長になって、選挙に出る前、選管からいろいろなマニュアルをどかっと渡されて、さっぱりわからない、政治の世界のこともわかりませんし、会計も詳しくない。そういった状況で非常に苦労した思い出があるんですけれども。現職の国会議員であれば、秘書がいて、手伝ってくれる人もいると思うんですが、そうでない地方の議員さんあるいはこれから立候補を予定している人たちにとっては、今の政治資金規正法というのは大変難しいというか、複雑で、やりにくい法律じゃないのかなと思います。結果的に、本人は悪意じゃなくても、意図せずして、政治資金規正法を知らない間に破っていた、そういう事例というのは恐らくたくさん出てくるんじゃないかなと思います。

 そういった意味で、どうやってこれから政治資金規正法をもっとシンプルでわかりやすくしていく、そういう工夫というものが必要ではないかと思うんですが、その点に関して、与党、野党、双方の提出者にお伺いします。どうすればシンプルでわかりやすく、かつ、公正なものができるのか。よろしくお願いします。

西村(康)議員 山内委員御指摘のとおりでありまして、政治資金規正法というのは、国民から求められる透明性と、そのために必要な公開する情報の事務作業の負担、事務量の負担、このバランスからさまざまな規定が定められておるわけでありまして、我々与党案も、そうした観点から今回の改正案を提出させていただいたわけであります。

 ただ、定められたルールは、これは我々政治家はもちろんそうでありますし、これから立候補する方、立候補を考えておられる方、あるいは地方議員も含めて、しっかりと守っていくことが大事だと思います。

 この点、我々自民党といたしましては、党改革の一環でこれまでも講習会を開いたり、あるいはコンプライアンス室というものを設置いたしまして、弁護士さんにも来ていただいてさまざまな相談に乗っていただく、報告書の書き方等についても相談できるような仕組みをつくっておりますし、これから、地方、あるいは立候補を予定されている方に対しても、そういった講習会を開くことも検討しておりますので、ぜひ御参加いただいてそういった中でまたいろいろな御意見をいただければというふうに思います。

武正委員 山内議員にお答えをいたします。

 先ほど来、政治資金規正法の一条、二条が何度となく当委員会で答弁あるいは質疑でも使われております。国民の不断の監視と批判のもと、そしてまた、二条では判断は国民にゆだねると。

 ですから、判断材料をいかに我々は提供すべきか、こういったことできょうの審議も行われているものというふうに理解をしておりますので、事務の煩雑さとか、あるいは地方議員さんとか、いろいろな御指摘があるかもしれませんが、これは、今、国民の皆さんが納税努力を、個人事業主あるいは不動産を所有されている一般の方々がさまざまな手段で、例えば青色申告会とかいろいろな形で努力をされている、そういったことを含めると、やはり我々はいろいろ手間がかかるということで責任放棄を許されようはずはございません。

 そういった意味で、民主党は一万円超と。そして、政党を除くすべての政治団体ということで修正案を出し、また、昨日は与党筆頭者に民主党筆頭者からさらにその政治団体を政治家にかかわるという三類型に絞って御提示をしたのでございますが、それについても拒否というようなことに相なったわけでございます。

 何よりも重要なのは、政治資金の透明性を高め、国民の政治不信を招かないようにするという政治家の責任感というふうに考える次第でございます。

山内委員 それでは、同じ質問を総務省さんにもお願いします。

久元政府参考人 私どもは法を執行する立場でございます。そういう意味からいいますと、現行の政治資金法の内容というものをできるだけわかりやすく説明していく責任があるというふうに考えております。

 私どもは、いろいろなパンフレットも作成しているところでありますが、そういうものを都道府県選挙管理委員会にも渡して配布していただいているところですけれども、ただいま委員からはなかなかわかりにくいという御指摘もございましたので、これを見直して、できるだけよいもの、わかりやすいものにしていく努力を一生懸命させていただきたいと存じます。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

今井委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 まず、質問に入ります前に、我が党の細川律夫筆頭理事が、先週の委員会後、次回の委員会の開催をめぐりまして、大変誠実に、真摯に与党と筆頭間協議をしてまいりました。そして、我々は、最も関心の高い政治と金の問題について与野党が罵声を飛ばしながら国民の前で対立をして進めるべきものではない、できれば成案を得たいということで、これまでも真摯な協議をしてまいりました。

 実際、細川理事がぎりぎりの努力をされまして、昨日はさらなる修正協議を持ちかけました。しかし、残念ながら、与党の中では我が党から持ちかけました修正の中身すらも満足に議論されず、そして本日の委員会開会の運びとなってしまいました。

 先ほどの理事会でも、委員長に対しまして、どうして野党が真摯に議論をしようとしているのに与党並びに委員長は職権でこの委員会を開会したのか、非常に今回の強権的なやり方に対しまして、まず冒頭、強く遺憾の意を表明し、抗議をするものであります。

 残念ながら、この問題は、国民の強い不信感のもとで開かれてしまいました。松岡前農水大臣の事務所費の内訳につきまして新聞社が調査報道をしまして、本来光熱費がかからない事務所になぜ光熱水道費が計上されているのかということから疑念を持たれて、この政治と金の問題が大きな政治テーマとなったわけでございます。

 この点につきましては皆様方も同じ思いであろうかと思いますけれども、この問題で、残念ながら、松岡前農水大臣はみずからの命を落とすという極めて不幸な結果を招きました。そしてまた、その翌日には、緑資源機構の前身でございました森林開発公団の元理事がやはり命を落とされる、自殺をされるという何とも重苦しいような、被害者を出したわけでございます。

 あえて被害者と申し上げましたのは、政治と金の問題、政治家と金をめぐる問題が出てくるときには必ずだれかが命を落とす。過去にも、当事者あるいは疑惑を持たれた政治家本人あるいは秘書が命を落としまして、やみからやみのうちに真相がわからなくなったまま何か終わってしまった。そして、いつも残るのは、必ずそうしてだれかが命を落とすことによって、限りなく国民には、政治の世界というのはそういうものだ、だれかが命を落とさざるを得ないほど非常に不可解なやみに覆われているものである、そんなことが私は政治不信あるいは政治家不信につながっていったのだろうと。

 そして、この問題がいつまでも払拭されないまま、しばらくすると忘れ去られ、そしてまた何か事件が起きると急遽クローズアップされる。そのたびに取り繕い策のような法の改正が行われても、結果として根本的な問題の解決策に常にたどり着けないまま今日を迎えているわけであります。

 前回の委員会でも自民党の委員の方がおっしゃっていました。政治家というのは残念ながら子供たちがなりたいという職業ではない、尊敬される仕事ではないんだというようなことをぜひ自分は払拭したいと。まさにその思いで私も政治家になったわけでございます。

 残念ながら、欧米に比べますと、日本の政治家というのは、映画でも小説でもそうです、出てきますと悪い側で必ず出てくるわけであります。よかれあしかれは別にして、外国に行きますと、不正を暴く上院議員の物語があったり、あるいは大統領がテロリストと戦ったり、英雄視して扱われる部分というのはまだあります。日本では、政治家が英雄視されて物語の主人公になったことはまずない。このことは、やはり政治の場に身を置く者として、本当に残念だなという思いがしているわけでございます。

 そこで、ちょっと質問に入らせていただくわけでありますけれども、松岡前農水大臣が疑惑を持たれていました緑資源機構の問題で、五月の二十四日、公取から独占禁止法違反で告発を受けて、東京地検が関係者六名を逮捕しました。告発を受けた法人が四団体、そして逮捕された人が六名、うち民間が二人、独立行政法人を含む公益法人から四名ということになっているわけでありますけれども、こうした公益法人の数というのは一体今幾つあるのでしょうか。そして、私は先日の内閣委員会でも質問しましたけれども、公益法人に天下りをした方は何人いるのか。今そういう最新の数字がありましたら、お答えいただけますでしょうか。

久元政府参考人 平成十六年十月一日現在のいわゆる公益法人の数は二万五千五百四十一というふうになっております。

 それ以外の資料は、現在手元には持ち合わせておりません。

渡辺(周)委員 ここに官庁のOBが天下っている。ここに天下っている官庁のOBは何人いるか、何団体に何人いるか、その数字は持ち合わせていますか。

久元政府参考人 恐縮でございますが、手元には持ち合わせておりません。

渡辺(周)委員 これは持っていないですか、数字は。

 総務大臣、わかりますか。

菅国務大臣 私も、それについては理解をしていません。

渡辺(周)委員 では、ちょっと質問を変えます。公益法人の中で、政治献金をしている団体、公益法人は幾つあるか把握していますか。これは把握しているでしょう。

久元政府参考人 政治資金規正法上の寄附につきましては、法律にのっとって、収支報告書の中に記載をして報告をしていただくということになっておりますが、現在の私どもの持っているデータの中で、寄附をしている公益法人が幾つあるのかということについては、すぐ集計できる仕組みにはなっておりません。

渡辺(周)委員 すぐ集計できる仕組みにはなっていないというのはどういう理由ですか。公益法人が寄附をしている。わからないですか。

菅国務大臣 多分、こんなことだというふうに思います。

 公益法人、今、二万五千という話をさせていただきましたけれども、国所管が六千八百、都道府県が一万八千八百あります。都道府県の分は都道府県の専管になっておりますので、その全体を掌握し切れていないのは多分そういうことだというふうに思います。

渡辺(周)委員 その点について、これは国では把握していないんですか。都道府県が所管している分については把握をしていないと。しかし、調べようと思えば、都道府県に確認をとればできるということですね。

菅国務大臣 それについては、調べれば、私は可能性があるというふうに思います。

渡辺(周)委員 ぜひこれは調べていただきたいと思うんですよ。

 公益法人というのはどういう法的根拠によって立つのか、また、公益法人とは一体どういうふうに規定されているのか、その点についてお答えできる方はいますか。

久元政府参考人 間もなく制度改正が施行されると思いますが、現行法上は、社団法人と財団法人が公益法人であるというふうに考えております。

 公益法人につきましては、私ども収支報告をいただく報告書の中に、法人の形態の区別ということは、様式上、現在の法律及び施行規則によりましては区別をしておりませんので、果たして寄附をした団体が公益法人であるのか、あるいは株式会社であるのか、それ以外の団体であるのかということにつきましては、これは一つ一つ確認する必要が出てまいりますので、ある程度、例えばこういう範囲で公益法人は幾つあるのかとか、そういうような観点から御指摘いただければ、そのデータなりは用意をさせていただくことはできようかと思います。

渡辺(周)委員 大臣、これはあるいは委員長にもお願いしたいんですが、公益法人で政治献金をしている団体、国が所管しているもの、地方が所管しているものを含めて、これはぜひ調べて出していただきたいですね、実態解明のために。委員長、それは、この委員会として私はこうした資料を出していただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

今井委員長 後日、理事会で協議いたします。

渡辺(周)委員 大臣、いかがですか。

菅国務大臣 今、選挙部長が答弁をしましたけれども、これが公益法人でどうかというのは、なかなか、正直言って難しい部分があると思いますけれども、先ほど言いましたように、国が六千八百、地方が一万八千八百ですから。ただ、私ども、そういう要望であれば、できる限りのことはさせていただきたい、こう思います。

渡辺(周)委員 では、国の六千八百の中で政治献金をしている公益法人については、国の方では調べようと思えばすぐわかりますね。今はデータがないというのは、この場にないんですか、それとも総務省として持っていないということですか。時間を置けば出せるということでしょう。

久元政府参考人 収支報告は、私どもの責任で保管をしております。

 ただ、この収支報告の中で、先ほど申し上げましたようにその法人あるいは団体の形態について区分をしておりませんので、一つ一つの収支報告書の中でこの法人がどういうような形態に当てはまるのかということを確認する必要が出てまいりますが、先ほど大臣からできる限りのことをさせていただくという御答弁がありましたので、そういう大臣の御指示の方向に沿って私どもは作業をさせていただきたいと存じます。

渡辺(周)委員 それについては、委員会で、ぜひ理事会の中で協議しながら、強く求めていきたいと思います。

 そして、総務大臣からは前向きな答弁だと受けとめておりますけれども、この松岡前農水大臣への公益法人からの献金というのは、新聞報道ですけれども、九六年から二〇〇五年の十年間で六百八十六万円あったと。この額を大きいとするか意外と少ないとするか、評価は分かれると思いますけれども。その中で、例えば林野弘済会百八十四万円、林業土木コンサルタンツ九十六万円、日本森林技術協会三十六万円等々とございました。

 この中で、こうした公益法人が政治献金できるということについては、法制度、法律上どうなっているのか。個別の事案についてでなくてもいいです。

 実はこういう例があるんですね。林野弘済会というのは、私もこの問題を昨年の行革の特別委員会で取り上げました、もう八割が林野庁からの随意契約を受けている。そして、林野庁の所有している、つくばにある研究施設でありますとか、あるいは物品の購入あるいは出版物の発行、こういうものはこの弘済会がもうほとんどというか全部随意契約でやっているわけですね。実質的にはこれは役所と一緒なんですね。もう表裏一体。

 こういうところが、実は公益といいながら、公益法人だと規定されていながら、実は政治献金してもいいと。つまり、献金をすることによって、特定の政治家に対して、あるいは政党に対してもそうでしょうけれども、これはもしかしたら与党に限らず野党にだって過去あったかもしれない、今もあるかもしれない。そこまで残念ながら今回は調べがつきませんでしたけれども。やはり、こういう公益を名乗る、うたう団体が献金をするということは、私自身はこれはやめなきゃいかぬというふうな思いなんですけれども、法律的には公益法人の献金はどういうふうに認められているんですか。

久元政府参考人 政治団体が公益法人から政治活動に関する寄附を受けるといった場合につきまして、公益法人であるという理由からの特段の制限は課せられていないところでございます。

 なお、これは公益法人を含む政治資金規正法上のルールということになりますが、国から直接補助金等の交付の決定を受けた会社その他の法人は、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間は、政治活動に関する寄附が禁じられているところでございます。ただし、一定の補助金等については適用除外とされているというのが現行法の規定の基本的な仕組みでございます。

渡辺(周)委員 政治資金規正法の寄附等に関する制限という中に、第二十二条の三、今ありました「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」また、二項に「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をしてはならない。」というふうにあるわけでございます。

 この公益法人が幾ら民法を根拠に設立されたとはいえ、政治献金を、少なくとも随意契約で受けているような公益法人はやはり規制すべきだと私は思うわけであります。

 結果的に、今回の松岡前農水大臣の例で見ますと、農水行政あるいは林野行政に極めて強い影響力を持つ方が、その所管する省庁から八割もの随意契約で仕事を受注している、委託されているというところが、その発注先のトップの大臣に献金をするということ自体が、もうこれはどう考えてもおかしなことだと思うんですけれども、今回の点については全く違法性はなかったということなんでしょうか。

久元政府参考人 事実関係につきまして承知をしておりませんので、そのことについてのお答えは控えさせていただきたいと思いますけれども、契約関係にあるということだけで寄附が制限されるという法制度には現在はなっていないところでございます。

渡辺(周)委員 そこで、大臣の御見解、それから与党、野党の提出者にぜひ伺いたいんです。

 今回の私が申し上げた話、公益法人、特に国から随意契約で多額の受注をしているような、公益といえども団体が政治献金をすることについて、まず大臣、それから与野党の提出者の方にお伺いしたいと思うんですが、これはやはり法規制すべきだと思いませんか。その辺についての政治家としての御見解をぜひ伺いたいと思います。

菅国務大臣 例えば委員から御指摘がありました松岡大臣のものでありますけれども、松岡大臣も、実は平成八年から十年まで資金の提供を受けていたのでありまして、ここ十年近くはなかったということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、私ども政治家、特に内閣にある者については、それは当然、まず政治家としての判断のもとにそうしたことは行うべきでないというふうに思いますし、政治献金規正法というのは公開によって国民の皆さんの判断を仰ぐことになっていますので、私どもの役職の中ではそうしたことは当然みずからこれは慎むべきことだというふうに思います。

東議員 渡辺委員のその御指摘というものは、政治家としての倫理性という観点から見て、あるいはまた国民にどのようにそういうものが映るかという観点から見て、私は、現行法の中で違法性はないとはいえ、現閣僚としてそういったことが指摘されるということは甚だ残念なことであろうというふうに率直に思います。

 したがって、いたずらな疑義あるいは不信感みたいなものを国民の中に惹起させることを考えれば、私は検討の余地ありというふうに考えます。

鈴木(克)委員 先ほど来の渡辺委員の御議論、非常に傾聴をいたしておったところでございます。

 委員は今、公益法人の政治献金ということで御議論をされておるわけでありますが、あえて広げるならば、公益法人の政治活動というところまでやはり踏み込んでいくべきではないのかな、このように思っております。言うまでもありませんけれども、公益法人は、民法三十四条、祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他の公益に関する社団または財団にして営利を目的とせざるものは主務官庁の許可を得てということになっておるわけでありまして、当然そういった設立の理念からいっても、政治献金はもとより政治活動もやはりここでしっかりと考えていく必要があるのではないかな、このように思っております。

 先ほどの御指摘でございますけれども、まさにこの御指摘は、いわゆる公益法人に関する法制と同時に政治資金規正法と両々相まってやはり検討すべきではないかなというふうに思っております。我々としては、今後、しっかりとそういった御指摘を踏まえて検討させていただきたい、このように思っております。

 以上です。

渡辺(周)委員 問題意識が一緒だと思うのが、かつて、平成十三年二月十五日の予算委員会で公明党の若松議員が、KSD事件の後だったと思いますけれども、国会で片山虎之助総務大臣に質問しているんですね。「公益法人が任意団体を隠れみの、トンネルにして公益法人の資金を使って政治献金等をしている実態を見ますと、」ちょっと途中略しますけれども、「何らかの形で阻止すべきだと思いますが、総務大臣のお考えはいかがでしょうか。」というふうに質問しているんです。やはり公益法人、あるいは公益法人が任意団体を隠れみの、トンネルにして、とにかく、公益法人というその性質よりも、資金、原資はどこにあったかということを使って政治献金している実態を見たら、これは阻止すべきだと公明党の若松さんは言っているんですね。

 これは公明党のお考えも同じだと思うんですけれども、先ほどの答弁ではいま一つ歯切れが悪かったので、やはりこれは与党として、政治資金規正法は今回で終わりじゃありませんので、公益法人の中で、本当に公益に資するもの、あるいは国からの随意契約を受けているもの、どう見たってこれは国の機関の一部ではないかというようなところはやはり制限をすべき、阻止すべきだと思うんですけれども、もう一回、与党の答弁者、どうでしょうか、それは御検討できませんか。

東議員 先ほど私個人として、倫理性とかさまざまな観点から検討の余地あり、こういうふうに私は申し上げました。委員から事前にその点についての質疑通告ということがあれば私もさまざまな党の議論等を踏まえながらの答弁ができますが、いきなりのことでございますので、それで今そのように答えているわけでございます。決して歯切れが悪いとか何とかということではないというふうに思います。

 公益法人改革の中でそういったことも検討すべき課題であろう、こういうふうに考えます。

渡辺(周)委員 いや、公益法人改革ではなくて、これは政治資金規正法の寄附の制限の中にやはり書くべきだと思うんです。ですから、公益法人改革の議論もしながら、あわせてやはり政治献金、政治活動、これが果たしていいのかということについて、ぜひこれは御検討を進めなければいけないテーマだというふうに思います。

 今、急な質問だからと言うんですけれども、そもそも急な質問になったのも、本日、職権で委員会が立てられたからでございまして、これが与野党の理事の協議の上で委員会開会日があれば、私ももうちょっと質問の内容を、もう少し時間があればデータを集められましたし、そして通告もできたんですけれども、残念ながらきょうはこういう形になりました。

 ぜひ公益法人の寄附あるいは政治活動については、与野党がここで議論しなきゃいけないと思いますよ。これから参議院選挙の中で、官庁のOBの方が出馬をされます。役所というところは直接政治運動、選挙運動ができませんから、こうしたさまざまな公益法人を使って、こういうところの事務局長とか専務理事の方は大体その役所の、出身官庁のOBです。これは天下りの議論のときにもさんざんやりましたけれども、こういう方々が事務局長とか専務理事でどんと座っていて、その業界、役所のOBが参議院選挙で与党から出る。出るとなると、例えば運輸関係、観光関係あるいは建設関係とか、そういう団体に票と金の話がちゃんとおりてくるんです。

 こういう話は私の地元でもたくさん、笑っていらっしゃいますが、多分もうわかっている話だと思います。つまり、役所は直接やれないから、その途中にクッションを置いて、入会カードで運動が展開されるわけですよ。これはみんな選挙をやっていれば地元で、いや、また参議院選挙でパーティー券が回ってきた、上部団体から言ってきて、この地域で割り当て何枚だ、冗談じゃないよとぶつぶつ言っているわけですね。

 結局、役所のOBを出すためには、その所管している役所の傘下にありますこうした公益法人がみんな政治運動をするんです、選挙運動をするんです。それによって、行政の中立だと建前は言いながら、実際的、実質的には、その役所のOBのために票と金を出さなきゃいけない。こういうまさに古い体質の政官業一緒になった政治活動、これは本当にもうやめなきゃいけないというふうにつくづく思っているわけでございます。

 もう時間が残り十五分ほどになりました。今回のこの委員会で政治資金の問題は終わりじゃないです、政治資金規正法、政治改革は終わりじゃないんです、これからずっと続く話でありますから、ぜひこのことについて、皆さん方にも、今後この特別委員会を頻繁に開いていただいて、そしてその中でやはり協議をしようということを申し入れたいと思います。

 さて、それでは今回の法案についての質問をさせていただきます。

 繰り返しになるかもしれませんけれども、与党提案者に対して、領収書添付の義務づけ基準が一件五万円以上、これによって、事務所費の実態が領収書の分割によって隠ぺいされるのではないかということが何度も指摘をされました。本当にこれでいいのかということが一点。

 それから、答弁を聞いていると事務作業が煩雑になるとよく言いますけれども、そんなに大変なことなんでしょうか。大体、自分のところの政治資金団体の中身も本人が把握していない。にもかかわらず、国の財政を立て直すとか、国家の経営が、果たしてそんな大言壮語をしていいのだろうか。自分の財布のこともよくできないやつが本当に国の大きな財布に対してできるのだろうか。そういう疑念を持って、理由を聞くと、いやいや、事務作業が煩雑になるとか政治活動の自由が侵害されるということを理由にしますけれども、その理由は永田町の中では通用するかもしれませんけれども、世間一般にはこれはもう通用しない話だ。

 ぜひこの点について、もう一回納得のいく答弁をしていただけますでしょうか。なぜ一件五万円以上か。事務所費の実態がこれで本当に透明になるかということについて、与党提案者、いかがでしょうか。

東議員 前回の当委員会でも、何度も何度もこの辺の質問に対する答弁をさせていただきました。

 一つは、これまで五万円以上の領収書添付の歴史的経緯という観点、これは大事なことだと思いますよ。それともう一点は、ただいま委員御指摘の、五万円だったらそれ以下がさまざまに細かく分割されていくんじゃないかということなんですが、その論理というのは一万円でも同じことなので、それは余りどうかというふうに思います。

 それよりも、先ほどから出ている事務的負担と透明性というところのバランスの問題だというふうに思います。政治団体といっても大から小まであるわけで、保管義務と領収書を添付するということは、例えば帳簿につけていた細かな項目というものを一々に転記をして、そしてかつ領収書添付ということになるんですから、実態の上で事務的負担というのは大きくなってくる。政治団体が大きくなればなるほど、私は、そのために新たに人件費がふえてきたりとかいうことも考えられるだろうと。

 それよりも、実際に一万円と五万円を比べたときに、事務的負担というのは、かかる割には効果は余り変わらない、五万、一万というような経緯がこれあり、それからまた、物価の変動等があり、例えば千円以上というふうにされていた時代、それから一万円以上というふうにされていた時代、それがまた今度は五万円以上というふうに改正をされてきているわけです。こういう歴史的経緯を踏まえなきゃいかぬだろう。

 それからもう一つは、現行法で政治活動費も五万円以上の添付義務ということが支出のところで課せられているわけです。あるいは、政党交付金も五万円以上ということで義務化されているわけです。そことあわせて、経常経費についても五万円以上、こういうバランスをしっかり見てやったということが私どもの案でございます。

渡辺(周)委員 一万円でも五万円でも一緒というのは、やはり一万円の方が透明性は高まるわけですね。こんなことはもう多分わかってておっしゃっているんだと思います。

 五万円よりも一万円の方が透明性が高まるんですよ。それで、事務作業のことをおっしゃいますけれども、ほとんどの議員さんの事務所は経理の女性、あるいは秘書が当然つけていると思いますよ、事務所で預かっているお金について。ひょっとしたら、会館の下の売店で買ったお茶や水だってつけて、レシートをちゃんととってあるでしょう。これはみんなやっていることなんですよ。もう本当にこれは永田町の論理でありまして、永田町では通用するかもしれないけれども、五万円以上だったら、まだそれでも何も進まないより、五万円以上でも何でも、半歩でも進んだ方が改革だというような理屈なんですね。

 今、過去の議論の話をおっしゃいましたけれども、政治資金規正法の過去の歴史を考えれば、これはなかなか進まないです。だから、やるときは一気にやらないとだめなんです。一気にやった方が透明性は高まるわけです。これから多分この議論になったら、では次に政治資金規正法を改正しようとなったときに、残念ながら今のこの体制のままでは進まない。政権交代が起きない限り、私はドラスチックな政治資金規正法の透明化は進まないだろうというふうにこれは思わざるを得ないです。

 ですから、やるときにやっちゃわないとだめだということで民主党案に対しての評価をするわけでありますけれども、民主党の提出者に伺います。一万円以上にした方が当然透明性は高まるんです。また、事務の煩雑さという意味で、皆さん方の事務所で事務は煩雑ですか。そこのところはどうなんでしょうか。お答えいただけますか。

武正委員 お答えをいたします。

 一万円超ということで、今回民主党案を提出させていただきました。何度も繰り返しますが、国民の不断の監視と批判のもと、判断を国民にゆだねる、やはり判断材料をしっかりと提供していこうという趣旨でございます。企業経営者の方に聞けば、おれたちは一円から領収書を全部保管しているよ、七年間は。税務署さんは三年に一回ぐらい調査に来られるんだ、そのときにきちっと全部保存しているんだよと。そういった、やはり国民の皆さんの感覚からして、何で五万円以上なんだと。

 しかも、歴史的というお話がありましたが、昭和五十五年に一万円以上を五万円以上に変えたわけです。しかも、その相手先というか、団体の代表者名も書かなくていいと、もう後退に後退を重ねたのが昭和五十五年。ここがやはり問題であったわけでありますし、この間もお話があったように、公明党さんはそのときに反対をされております。そういった意味では、やはりこの昭和五十五年に戻すべきであり、また煩雑さということは、先ほど触れたように、やはり国民一般の感覚からして信じられないところだと思いますので、今回は、やはりまず前進ということで、一万円超とさせていただいたところでございます。

 また、加えて、三月十三日、民主党鳩山幹事長名で、我が党はこれから一万円超の領収書を五年間保存するということとさせていただいております。

渡辺(周)委員 今のお話を聞いていて、もう時間もありませんから、私自身、もうこの政治と金の問題はもともと、自分でこんな自虐的なことを言っちゃいかぬでしょうけれども、さっき触れましたけれども、やはり政治家って何かうさん臭いと思われているんですね。昔は自分の将来に投資してくれ、自分の政治活動に参加してくれということで金を集めた。どんな形で金を集めたって勝手じゃないか。また、そういうものだと世間も見ていた。

 戸川猪佐武さんとか大下英治さんとかという方の政治小説、ドキュメンタリーノベルというんでしょうか、ああいうのを読みますと、びっくりするような話が出てくるわけですよ。自民党総裁選挙をやったら、ニッカとかサントリーとかへ行って二億円使ったとか三億円使ったとか、段ボールの箱に入って金が運ばれたとか。それが一種の政治のドラマの一つで、言い方は悪いですけれども、誤解を恐れずに言うと、当時の政治の醍醐味みたいなところがあったんですね。

 ところが、今はもうそういうものが許されなくなった。昔は、おれが集めたからどんなふうに配ろうと勝手じゃないかと。地方に応援に行ったら、派閥の子分のために、例えばブロックぐらいあるような、れんがぐらいの大きさの札束が渡されたとか、地方から上がってきたら引き出しを開けて渡されたとか、それは小説の中でよく出てくるわけでございます。

 私だって野党の中で暮らしてきましたので見たこともございませんけれども、でも実際そういうことが、何か政治風土とか政治文化みたいにされてきた。しかし、残念ながら、もう今時代はそれを許さなくなった。もうそれが命取りになるんですね。

 ぜひそのことについて、我々はみずから、やはり潔いと、政治家というのはうさん臭いと思っていたけれども、どうせ何か悪いことをどこかでしているんだろうと思われていたけれども、でも時代が変わってきて、政治家は潔いと。あるいは素直だ、正直だと、まだ大分よくなったなと思われるようなことをやはりやっていかなきゃいかぬというふうに、本当に思うんです。

 最後の質問になりますけれども、不動産以外の有価証券の取得に関して、与党案は制限をしていない、民主党案はすべての政治団体も含めて制限をしているということでありますので、この違いについてお尋ねをしたいと思います。与党提出者、なぜこれは制限をしなかったのか、そして野党民主党の提出者には、なぜ制限したのか、この点について明確なお答えをいただきたいと思います。

大口議員 先生のこの質問に答える前に、今の五万円について言えば、税金を原資とする政党交付金については、これは民主党さんも五万円でいいとおっしゃっているわけでございますね。やはり最も厳格であるべき政党交付金について五万円ということも与党案の大きな根拠でございます。

 それから、有価証券をなぜ対象にしなかったかということでございますけれども、これにつきましては、政治資金規正法の八条の三で政治資金を投機的なものに運用として使ってはいけないということで非常に厳格に規定しております。株式等の場合、その種類とか銘柄を見れば大体その目的というものは判定ができるわけでございまして、そういう点では、この八条の三で株式等については十分規制ができる、こう思います。

 そしてまた、保有を一切禁止するということになりましたら、遺贈でありますとか寄附でありますとか、こういう寄附者の方々、あるいは自分の亡くなった後のそういう思いというものを寄附する、遺贈することも封ずるということになってしまいます。

 目的はあくまで国民から不信を抱かれないような形にするということでございますので、そういう点からいえば、この八条の三で規制しやすい株式等についてはこれで十分ではないか、こう思っております。

近藤(洋)委員 渡辺委員にお答えいたします。

 民主党案では、御指摘のとおり取得を禁止させていただいているわけでありますけれども、政治資金規正法の趣旨にかんがみて、国民の浄財である政治資金について、やはり投機的なものを禁止しているわけであります。利殖行為となる運用も現在禁止しているわけでありますが、この趣旨を徹底すれば、価格が非常に乱高下する商品について取得自体を禁止することが趣旨徹底だろう、こういう判断でございます。

 有価証券、とりわけ株式については、現在の日経平均株価を見ても、いっときのバブル期の半分になっているわけであります。銘柄によっては大変大きく変動するわけで、これは不動産と比較にならない投機商品になり得る、こういうことであります。特に株式については、政府に近い人、政府に近い議員によるインサイダー取引の懸念もある。取得するだけで、先ほど言ったように、リクルート事件を見ても、そもそも最近のそういった問題については株を通じて不透明な取引が行われるという事例も重ねているわけでありますから、これは取得自体をしっかり禁止するということが適切だろうということで修正案を提出させていただいたということでございます。

渡辺(周)委員 私もこれは同感でありまして、このインサイダーが本当に濃厚になるんですね。例えば環境だとかエネルギーだとかITだとかというさまざまな分野で新しいビジネスの規制を緩和するということになれば、その緩和を検討しようじゃないか、あるいはそういう議員の勉強会をつくろうじゃないか、議員連盟をつくろうじゃないかという時点でもう既に、どの分野の規制緩和が行われる、あるいはどの分野のビジネスが恐らく急速に発展するだろうということは想像に非常にやすいわけであります。

 私は、最終的には政治家が株を持つことも、自分が何も持っていないから言うわけじゃありませんが、やはり規制すべきだろうと思います。そうしないとアンフェアな結果を生んでしまうわけなんですね。特に、政府に近い人、与党で政策立案、政策決定の近いところにいれば、どの分野にこれから政策の重点が移る、あるいはどの分野に予算がつくことによって、どのビジネスの分野がこれから注目され、脚光を浴びるということになれば、その関係する企業の株というのは当然のことながら上がることはわかっているわけでありますから、その点につきまして、やはりこれはこれから与野党で真摯に協議をすべきじゃないかなというふうに思いますけれども、最後にその点につきまして、株の保有について今後はどうあるべきかということを、与党の提案者の方そして民主党の提案者に最後にもう一回、一言ずついただきたいと思います。

大口議員 例えば公明党の場合、公明党の議員の場合は、株式の保有等は内規でこれはやらないことになっております。

 それからインサイダー取引につきましては、当然インサイダー取引の規制がありますから、これはインサイダー取引できちっと厳正にやればいい、こういうふうに思っております。

近藤(洋)委員 民主党としては、不断の監視、そして国民の批判にたえ得るような透明、公正な制度をつくっていく、こういうことを引き続き提案していくということを申し上げたいと思っております。

渡辺(周)委員 我々はやはりみずから、政治と金の問題については我々からやはり思い切った改革をやらないとだめなんだ。かつては許されたことが今はもう許されない、そういう時代になりました。

 最後に一言申し上げれば、国会議員の年金が、これは民主党の若手が中心になって、七割も税金が投入されているような国会議員年金というのは、果たしてこんなものが許されるのだろうかということで、なくなりました。今まで批判すらされなかった議員宿舎が、これはもう議員宿舎ができたといってそこに住んだというだけで世論の指弾を受けるという、ある意味では非常に政治家を取り巻く環境、見る目が厳しくなったわけであります。

 最後に残ったこの政治と金の問題、まだまだやるべき問題はあるわけでありまして、この点につきましては本当にぜひとも真摯な議論をしていく、そして、できれば本日の議題となっております修正案につきましても何とか与野党で成案を得たい、そのことを心から祈念申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今井委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 民主党の野田佳彦でございます。

 少し自分のポリティカルメモリーから話をさせていただきたいと思います。

 私が初めて政治を意識した瞬間というのは三歳半でございまして、昭和三十五年十月、当時の社会党の委員長の浅沼稲次郎さんが右翼の少年に日比谷公会堂で刺されて亡くなるというシーンが当時の白黒のテレビで何度も放映されて、大きなおじさんが眼鏡を飛ばして倒れる、すごい怖いシーンが続きまして、政治家というのは怖いんだなと。もちろん、これはその後の沢木耕太郎さんの本なんかを読んで追体験もしているんですが。その後、保育園に入ったころに、今度は海の向こうのジョン・F・ケネディの暗殺が入ってきて、内外ともに政治家というのは命がけの怖い仕事なんだというのが私の幼児体験です。

 しかし、長じて、社会に関心を持ち始めたころ、高校生のころだったと思いますが、田中金脈問題が明らかになり、続いてロッキード事件が起こり、加えて、私の住んでいる千葉県では、林幹雄さんもいらっしゃいますけれども、金権風土を象徴する事件が続いたころでありまして、どうも命がけで政治をやっているというよりも、政治を通じて金をもうけるような風潮が日本ではあるんではないか、そういう印象を強く持ちながら、いずれは立花隆のようにペンを通じて政治を正していきたい、これが自分の大志とは言えないんですが、寸志ぐらいの最初の志の芽生えであります。

 そのうちに、学校に入って政治学の勉強をしているときに、ある注目すべき政治家の存在を知りました。ヘンリー・ジェームズといいます。これはイギリスの十九世紀の政治家です。ロイド・ジョージやピットやディズレーリだったら知っている方はたくさんいますが、今はイギリスの国民も知らないヘンリー・ジェームズという政治家は、一八八三年に腐敗防止法をつくったときの立て役者であります。私はこの人をとても尊敬いたしました。当時の英国の政治風土は、例えば三千票の票をとるのに日本円にして一億五千万円もお金を使う、一票五万円で票の売り買いが買収、供応等で行われていた。その時代に、その金権政治をやめようと立ち上がった政治家がヘンリー・ジェームズであって、私はこの人を物すごく尊敬しています。

 そういう政治家になりたいと思って初めてチャレンジした選挙が、九三年のあのときの国政選挙、政治改革が最大の課題でございました。そして、何とか当選をさせていただいて、百二十八国会だったと思いますが、選挙制度改革、政治資金規正法と腐敗防止、そして政党助成、この三つを柱とする政治改革関連法の審議に入りました。

 いろいろ紆余曲折がありました。もともと政治改革は、リクルート事件で倒れた竹下内閣の後の海部内閣、宮沢内閣、そして九三年当時できた細川連立内閣、三内閣にまたがる六年越しの政治課題でございましたから、本当に熱い議論がありました。衆議院で修正が行われて、そして参議院では否決をされたと記憶をしています。そして、両院協議会で衆議院の修正案どおり通った。しかも、その後にも、法案が成立した後も、施行前のさらなる修正があって、総総合意ですよね、与野党が真摯な議論を政治改革協議会を経て行って、最後は、細川総理と当時の河野総裁の間でサインを交わして、お互いが最後に万年筆を交換したという大変感動的な場面がありました。

 私は、政治改革というのはかくあるべきだと思います。政治資金規正法あるいは公職選挙法、与野党がやはり共通の土俵に上って、いろいろ立場を超えて成案を得ていく努力を丁寧にやっていくというのが政治改革の議論の基本だと思います。

 たまたま、この倫選特のキーパーソンは、細川理事、そして井上理事、そのときの政治改革関連法のまさに成立に向けて努力をされた人たち。答弁に立っている東さんも大口さんもそうですよね。そういう関係者がいながら、何できょうのような職権で立つような事態になるのか。

 最後に申し上げたいと思いますが、今井宏委員長もまさにそのときの同志でございまして、私は、あの同じ政党の中で、政治改革と地方分権に熱心な今井委員長を当時同僚として大変心服し、尊敬をしていましたが、そういう共通体験がありながら、その基本を忘れて何できょうは職権で審議をするんですか。金曜日に審議が始まったばかり、わずかな時間でした。きのう筆頭間協議があったそうです。まだ緒についたばかりです。しかも、与野党合意して委員会を立てていくべきです、これは定例日があるわけじゃないわけですから。きちっとそれをやっていって、審議が煮詰まったら採決だと思いますが、どうやらきょうは場内では採決をするかどうかという協議もするという不穏な動きであります。

 ぜひ、委員長、なぜ職権で委員会を立てたのか、抗議だけではなく、理事会では御説明があったんでしょうけれども、この委員会でも御説明をいただきたいと思います。

今井委員長 委員長としてこの委員会に責任を持つ立場で、今までの経過、そして総合的な判断を勘案しまして、委員長として判断をさせていただきました。

野田(佳)委員 総合的というだけでは何の御説明にもなっていないと思うんです。

 私が推しはかるに、これはそもそも、この法案の提出が遅過ぎるんですよ。六月の二十二日が会期末という中で、この法案だけではありませんけれども、大体、重要法案というのは三月の中旬ぐらいまでに提出をして、丁寧な議論をしていって採決をするというのが筋じゃないですか。今国会については、教育三法もそうですし、今参議院に行ったあの人材バンク、いわゆる天下りバンク法もそうです、もう全般的に法案提出がおくれているんですよね。

 特に、この政治資金規正法は、昨年から、例えば佐田大臣の辞任があったり、ことしの冒頭からずっと与野党いろいろと事件がありました。国民注視の中でどういう議論が行われるか、どういう法改正が行われるかという大事なテーマだったんですが、民主党は三月には法案提出をしています。与党はいろいろ曲折があったんでしょう、与党案が出てきたのは五月三十日ですよ。これが多分、委員長が総合的と言いましたけれども、拙速で粗い委員会運営になっている最大の原因だと私は思います。

 本来は、こういう永田町の議論だけではなくて、それは今年金だって領収書を持っていかなきゃもらえない時代ですよ、五万円がどうだとかなんとか永田町だけで議論していることに怒りを覚えている人はいっぱいいるはずなんです。そういうときに、わずかな時間で、まあ、きょうは採決はないと信じますけれども、本来は外部の有識者も含めて参考人質疑をやったりしながら丁寧に成案をまとめていくというのが、政治改革論議の基本中の基本だと私は思っております。

 そのことは、ずっと公明党の中で政治改革の旗振り役でやってこられて、そして、私のカウンターパートとしていっときは国対委員長もやられた東さん、この大幅な法案のおくれがこういう混乱をするような委員会運営につながっているのではないか、こう思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

東議員 冒頭から野田委員の政治というものに対する深い御見識、あるいはみずからが志された背景、それからまた日本の政治が大きく動くど真ん中に当選されてこられてというお話を聞きながら、私も思い起こしておりました。

 そういう中で、政治の信頼というもの、それから政治というのは、常に不断の改革が続いていかなければよどんでくる。流れだって、とまったら瞬間にボウフラがわいてくるということから考えますと、振り返ってみたら、常に常に政治改革の熱い議論というものはずっとやってきたように思います。

 今回、端緒はいわゆる資金管理団体の事務所費問題という具体的な問題が噴き上げてきて、そこから議論が起こりました。もとより我が党も、政治腐敗ということに対しては、あるいは金権政治ということに対しては毅然たる姿勢で正していかなきゃいけないというものが我が党の党風でございます。したがって、この事務所費問題が出てきたとき、直ちに党として政治改革本部を開きましてどうするかという議論を始めました。

 公明党案というようなものを提出するんだったらば、これは恐らくスピーディーに早く出せたと思いますが、しかし、私どもは自民党さんと与党を組む与党の一角として、ともに連立与党という立場でございますので、それもちょっと早計過ぎる、やはり与党としての案というものをきっちり提出しなきゃならない。

 他方、自民党さんを見ますと、大変大きな政党ですから、当然御意見がいろいろ党内にあるわけです。私どももいろいろと御意見を申し上げるけれども、ああ、いいねと言う人もいれば、いや、ちょっとそこはどうかなというふうに思われる方もいて、恐らく意見を集約されるということに対して大変なエネルギーが要ったんだろうと思います。

 そういう中で、事が事だけに、非常に重要な案件ですから、やはりしっかりと意見集約をしていく中で、与党案としてこれだったらきちんと議論をし協議をしてきたかいがあったという、いいものをつくることの方が大事だろうということで、先ほど御指摘の日にちに提出ということになったわけでございます。相当真剣な議論を自民党さんもされた、我が党もしたという中でのことでございます。

 国民はともかくこの事務所費問題の決着がどうなるのかということを大きく注視をしているわけでございますから、出した限りはしっかり議論をしていきながら、しかし同時に、国会というのは終わりのあることですから時間との闘いもある。そこで、精力的に議論をしていきましょうよと先週の金曜日にやって、そして週が明けて、この火曜日の委員会の提案ということできょうの委員会質疑ということに至っていると私は理解をいたしております。

野田(佳)委員 あの法案の大幅な提出のおくれは、公明党案だったらもっと早く出せたけれども、自民党の意見調整を待ちながら与党案をつくるのに手間取って五月三十日になったという御説明だと思います。

 確かに、大きな政党で、いろいろな意見があって、それを待って、調整をしてという経緯はわかります。ただ、その結果が余りにも遅過ぎたがために、きのう何か夜討ちのように職権できょうの委員会を立てられて、朝から審議という、こういう余りにもイレギュラーな形にあらわれているんですよね、現実問題として。これは、本当に、大幅な法案提出おくれの弊害が顕著に出ている委員会に今なっているということを私はあえてまた申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、きのう、細川筆頭と井上筆頭との間で筆頭間協議が行われたようであります。具体の中身についてはこの後一つずつ詳しくお聞きをしていきたいと思いますが、概括的に申し上げれば、細川筆頭の方からは、例えば我々は支出の明細や領収書添付義務を一万円超と言ったけれども五万円以上でもいいというようなことも提案をされたそうですし、網をかぶせる政治団体も、これは政党を除くすべての政治団体だったんですが、かなり絞った政治団体の提言もされているようです。成案をまとめるために、野党の方からは、民主党からはかなり提案をしている。

 だけれども、それを与党はのまなかった。自民党はのまなかった。具体的な提案は何もなかったと私は聞いていますが、これでは余り誠意がないんじゃないでしょうか。お互いに与野党で納得のできる法案をつくっていこうという姿勢が見えないんじゃないでしょうか。

 筆頭間協議が昨日不調に終わったということについて、東さんはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。

東議員 我が党理事から伺ったところによりますと、与野党の筆頭間に協議の中身は一任をいたしておりますということを伺いました。そういう中で、与党筆頭からこうこうこういうことの議論をいたしました、今御指摘あったように細川筆頭理事からはまさに一万円ではなくて五万円でもいいよという発言もあったやに伺いまして、そうですかと。ところが、先ほどからの各委員の御質問を聞いていると、一万円しかだめだということになるからどうなっているのかなと思いながら私は伺っておりました。

 いずれにしても、真摯に協議をしているというふうに私は理解しておりまして、恐らくこの委員会が終わってまた協議があるのではないでしょうか。このように理解しておりますけれども、その辺のところはどうなんでしょうかという思いはございます。

野田(佳)委員 この委員会が終わった後も真摯な筆頭間協議ないしは政党間協議があるならば、私の質問の前提は全く違ってきます。それはそれで引き続き審議を充実したものにしていこうということで、具体の内容にどんどん入っていきたいと思います。

 本当にそれでよろしいんですね、今の公明党のお立場でお話をされましたが。確認をさせていただきます。

東議員 終わった後に引き続き協議をするというふうに私は理解をしておりますが、何なら確認をさせていただいても……(野田(佳)委員「いやいや、結構です」と呼ぶ)いいですか。私に入っている情報が違うのかもしれませんが、私は少なくともそのように今とらえております。

野田(佳)委員 法案提出者もこれから協議が必要だという認識だということがよくわかりましたので、委員長はそのことを踏まえて改めて対応をしていただきたいと思います。

 さて、そういうことでしたら具体の内容で申し上げさせていただきたいというふうに思いますけれども、その前に、民主党の提案者にも、きのうの筆頭間協議が不調に終わったことについて、中身についてのやりとりも御存じだと思いますが、どういう御意見をお持ちですか。

武正委員 野田委員にお答えをいたします。

 先ほど御指摘のように、民主党におくれること三カ月で与党が案を提出した。それを受けて、六月六日、我が党民主党の岡田克也政治改革推進本部長が、石原自民党改革実行本部長、そして東公明党政治改革本部長に文書で修正協議を呼びかけたわけでございます。しかしながら、その御返事は、今お話がありましたようにこの筆頭間協議なり委員会でということで、ある面、そうした呼びかけが拒絶をされたというところでございました。

 ただしかし、民主党は、政治と金をめぐるこの委員会での議論というものは、国民の政治不信を払拭するためにも歩み寄りが必要だろうということで修正案を金曜日に提出させていただきました。なおかつ、今御指摘のようにその一万円といったところは与党の案に乗って、ただ、対象団体はやはり政治団体、これもまた政治家にかかわりの深い三類型に絞って御提案をしたと聞いておりますが、しかしながら、昨日午後八時ごろでしょうか、与党筆頭からはそれも難しかろうというような御返事があったと。あわせて、委員長職権できょう委員会が立てられるという、こうした一連の与党の対応というものは大変遺憾であるということを言わざるを得ません。

 ただ、今公明党の東本部長から、まだまだ協議の余地はあるという大変心強い御発言がありました。私は、やはり本委員会として、委員長、与野党の理事、そしてまた委員の皆さんが半歩半歩歩み寄って成案を得ていくべきということをお願いしたいというふうに思います。政治資金規正法は、再三ここで挙げておりますが、二条に国民の判断にゆだねるということがあります。やはり国民の判断にゆだねる、それにふさわしい成案を得る御協議をお願いしたいと思います。

野田(佳)委員 ありがとうございました。

 さすがに東さん、以前の国対委員長ですから、円満な国会運営と充実した審議をよく念頭に置いた先ほどの御発言だったと思うので、大変うれしく思いました。

 引き続き、内容の面ですが、きのう細川律夫筆頭から与党の筆頭に提案をした政治団体の範囲なんですが、これを申し上げますので、与党の提案者はどう受けとめられるか、ぜひお考えをお聞きしたいんですけれども。

 不動産の取得、保有が禁止される政治団体、これは資金管理団体に加えて以下のようなものを提案をしています。従来は民主党は政党を除く政治団体だったんですが。まず一つ目は特定の公職の候補者が代表者である政治団体、これは資金管理団体とつけかえ可能な政治団体がいっぱいありますよね、その辺のことだと思います。それから、特定の公職の候補者を推薦し支持することを本来の目的とするまたはこれをその主たる活動として組織的かつ継続的に行う政治団体、これは一種の後援会のようなものとか労働組合がつくっているようなものかもしれません。それから、三つ目が衆議院議員または参議院議員が主宰するまたはその主要な構成員である政治団体、これは研究会であるとか議連のようなものだと思います。

 このように、従来の政党を除くすべての政治団体からは絞り込んで提案をしています。これについて与党提案者はどういうふうに受けとめられますか。

大口議員 民主党から非常に前向きな努力の跡を私も感ずるわけでございます。

 ただ、今回なぜ資金管理団体に限定をしたのかということは、政治家個人と資金管理団体が資金的、人的に一体性がある、政治家個人の財布がわりだという資金管理団体を規制する、そして、政治家が代表である幾つかの政治団体のうち資金管理団体を一つ政治家が指定するということでこの範囲が非常に明確である、こういうことで、ここにターゲットを絞って、不動産の禁止、そしてまた収支報告書の五万円以上の明細の記載、領収書の添付という形にしたわけでございます。

 そして、民主党御提案のあれでいきますと、イ、ロ、ハとあるわけでありますが、イについては特定の公職の候補者が代表者である政治団体ということであるわけですけれども、与党の場合、そのうちの一つを指定するということでちゃんと届け出を出すということで、非常に特定性ということが手続上明確にしておるということが言えます。

 また、ロについては、これは二号団体でしょうか、三条の一項二号だと思うわけでございますけれども、これにつきましても、支援する団体というものが候補者の支配下にあるというようなものではないのではないか。そういう点では、この団体を使って蓄財をするというふうなことになるのかという点がございますし、また、届け出というものがないわけですので手続上はっきりしていないという面がございます。

 ハにつきましては、これは五条でございますか、いろいろな研究の目的のためにこういうものをつくるということでございますが、これは衆議院で、複数の場合もあるしいろいろな場合があるわけです、政策集団というようなことでもあるんでしょう。これは政治家個人と団体の人的、資金的な一体性はないのではないか。

 私どもは、申し上げておりますように、本当に政治家の財布がわりである人的、資金的な一体性のある資金管理団体が、不動産を持ったりあるいは会計について透明性をきちっとやらなければその政治家に対する不信を払拭できないということから、そういう意図、趣旨、立法目的でもってやっておりますので、民主党さんから御努力いただいたこの三類型の団体へ適用をすべきではないかという案については、今のところ受け入れるという考えはございません。

早川議員 ただいま公明党の大口議員から答弁がありましたけれども、基本的には同様でありますけれども、第一に考えなきゃいけないのは、現在の民主主義国家において、要するに政治団体の活動の自由をしっかりと確保しなきゃいけない。結社の自由というのは非常に尊重しなければならない。そういうことから、いわゆる国民の権利義務を制約するということについては慎重な対応が必要だろう、この観点から考えなければならないというふうに思っております。

 そういう意味で、今回、急遽、昨日の段階で筆頭間での御提案があったということでございますけれども、構成要件の考え方からすると、いささかその観点からいっていかがかと思う点がございます。例えば不動産、有価証券の取得、保有の禁止ということになりますけれども、既にこれまでの答弁で出ておりますけれども、遺贈の場合とか、あるいは寄附の場合、こういったことを禁止するということになると、政治団体の活動の基盤を安定させて議会制民主主義の根幹をしっかりと確立するという一方の要請からすると、果たしてそれが妥当であるかどうだろうか。これは株式等の有価証券についてもまた同じことがあろうかと思います。

 そういったようなことで、いわゆる人的、資金的な政治家との関連が非常に強い政治資金管理団体について一定の不動産の取得を禁止するというのが、当面、一番穏当な対応であろうということで与党の提案をさせていただいているわけでありまして、それ以上に、多様な政治団体の中でこういった新たな規制を導入するということの相当性については、相当慎重に検討をしなければならないのではないか。そういう観点から、直ちにはその協議が進行しないのであろうというふうに思っております。

 以上であります。

野田(佳)委員 それぞれ公明党、自民党から御答弁がありました。

 民主党が具体的に従来の修正案より踏み込んだ提案をしたことについては、特に大口さんの方は一定の評価をされたようですが、ただ、お二人の回答は、やはり資金管理団体に網をかぶせるところからは一歩も出ていないんですよね。そこが多分最大の問題だと思うんです。

 資金管理団体といっても、二〇〇〇年の法改正で企業・団体献金の受け皿ではなくなって、本当にその利点が政治家にとってあるのかどうか。特定寄附ぐらいなものだと思うんですね。加えて、その解除、変更というのは割と容易でありますから、ほかの政治団体に移しかえるということはすぐできることで、私はこの資金管理団体だけに網をかぶせるというのがざる法になる最大の要因になると思っています。

 特殊法人改革を思い返していただいても、特殊法人の税の無駄遣いとか天下りをやっていたら、今度は何とか財団法人とか公益法人の方に向かったり独立行政法人に向かったように、一部だけ網をかぶせたらほかに流れるというのがこれまでの改革の教訓じゃないですか。資金管理団体だけに網をかぶせるのは、私はざる法になると思いますよ。その点をどうお考えですか。

大口議員 これにつきましては、例えば不動産の場合は現況の報告ということをこれからきちっとやっていく。これは虚偽の報告をすれば刑罰の対象になります。それから、五万円以上の明細の記載等々につきましても、これも違反しますと会計責任者は罰則、代表者もその監督に過失があれば罰則が設けられている。そういう点で、構成要件を明確にしなきゃいけない、こういうことだと思うんです。

 民主党さんが出されたものが構成要件的に本当に明確なのかどうか。届け出というものがあるということは非常に明確性を担保するものではないかな、こういうふうに考えております。

野田(佳)委員 ただいま大口さんの方から、虚偽記載の問題とか、あるいは五万円超の話とかお話にありましたので、ちょっとそちらの質問をしたいと思うんです。

 不動産の取得等についてどこまで網をかぶせるかはちょっと隔たりがあると思いますが、支出の記載だとか領収書の徴収義務を、これは資金管理団体だけではなくて一定の政治団体まで網を広げて、五万円以上までと細川さんの提案では言っているわけですね。一万円超という主張をおいておいて。

 そうすると、これも御存じの上で今お答えになったと思いますけれども、政治資金規正法の九条では、政治団体の会計責任者は、すべての支出並びに支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日を会計帳簿に記載しなければならないんですよね。そして、十一条が、一件五万円以上のすべての支出について領収書を徴収しなければならないんですよね。会計帳簿をつくって五万円以上の領収書をとることは、あまねく七万の、大きい小さいに関係なくすべての政治団体がやっていることなんです、既に。やっていることなんです。領収書をとっているんです。徴収しなければならないし、大口さんがおっしゃったように二十四条ではペナルティーがあって、違反をすれば三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処することになっているんです。

 既に、事務が煩雑だとか小さいところが困るとかいろいろなお話がありましたけれども、これは記載義務はあるし会計帳簿をつくらなきゃいけないし、一万円を超える領収書は徴収義務があるんです。ならば、それを収支で報告して添付する義務を課すことに何で問題があるんですか。お答えをいただきたいと思います。

大口議員 先生の御指摘についてもいろいろと私たちも議論をさせていただいているわけです。

 その中で、東提案者からも、前回、何回も説明がありましたように、経常経費と政治活動費というものに現行法は分かれていて、そして、経常経費につきましては、これはある意味では団体の生活費に当たる、金額もそう変動しない、こういうことで現行法上これについては領収書の添付や五万円以上の記載ということが義務づけられていなかったわけですね。

 今回、資金管理団体等のこういう問題がありました。そういうことで、これは政治家個人と人的、資金的一体関係にある資金管理団体についてはまずきちっと透明性を確保しなきゃいけない、こういうことで今回この与党の案になった、こういうことでございます。

野田(佳)委員 まずということは、次を引き続きやっていくということで、これはとりあえずということですか。

 それは、先ほど申し上げたように、今の御説明では十分納得できませんし、先週の議事録を見ますと、私どもが政党を除くすべての政治団体ということで網をかけようという議論に、東さんはすべての政治団体を規制するということは事務的負担を考えれば乱暴だと言っているんですね。ただ、さっき申し上げたように、これは会計帳簿に全部その支出は記載しなければいけないし、残さなければいけないし、加えて五万円を超える支出は領収書を徴収しなければならないんですね、すべてが。あまねく七万の政治団体が。ということは、私どもは全然乱暴な議論をしていません。

 加えて、その政治団体の範囲をきのうの細川提案のように絞っていこうとする努力をしているわけですから、もっと与党の方からも歩み寄って、どこまでが可能なのかという議論をもっとすべきではないですか。いかがでしょうか。

東議員 先ほどから伺っていると、帳簿に記入する、そして領収書を徴収する、その徴収された領収書を添付するだけだから事務的負担は別にそうかからないじゃないかというような趣旨に伺えますが、領収書添付だけではなくて、帳簿に記入したことを同時に全部一々転記しなきゃいけないんですよ。転記をする作業なんというのは、政治団体のサイズにもよりますけれども、結構な作業になるということが一つ。

 それから、さっき大口さんの方からも答弁がございましたが、そもそも経常経費というのは何ですかという、そもそも論になるわけです。生活費という話がありましたが、その団体なりを運営する事務的経費なわけですから、それで人件費だとか事務所費だとか高熱水費だとか備品・消耗品という項目があるわけで、この支出というのは毎月そんなに変わらない。つまり、経常の支出だということであって、そこに領収書をつけるという発想ももともとない。したがって、全政治団体に政治活動費のところのみ領収書添付義務、記載の義務ということが課せられていたわけです。

 それが今回、たまたま本当にあり得べきことではないことが現実に起こった。つまり、政治活動費を事務所費に流し込んで支出したんじゃないかという考えられないことが起こったから、政治家のペナルティーとして資金管理団体のところを、本当は必要ないんだけれども経常経費のところも領収書を添付するかね、それで帳簿の細かな内容を転記させるかね、こういう意味合いなわけですから、それを何ら関係のない政治団体まで全部広げてしまうということは、それは乱暴だというふうに私は申し上げたわけでございます。

 それから、先ほどの筆頭間協議の話で、ちょっと私は言葉足らずだったのかなと思ったんですが。

 つまり、きょうもこうして二回目の議論をしておるわけですね。それで、野田委員と私どものやりとりの中で議論というのはより煮詰まっていく、そのプロセスの中に今あるわけでしょう。ところが、それがもう終わったかのようにおっしゃいましたが、もちろん、きのう協議した内容では、御党が提示された内容はとてものめませんよ、その理由というのは今答弁しているような理由でのめませんよということで終わっているわけで、なお議論は今続いているわけです。昨日の筆頭間の協議で御党提案のものはのめません、そういう意味では終局したということかもしれませんということでございますので、なお残された時間も、さらにきょう議論をして、場合によってはやはり与党案の方がきちっとしているね、こういう判断が働けば、これからの運営についての協議ということで終了後ということになるかな。丁寧に言えばこういうことでございます。

野田(佳)委員 いずれにしても、きょうのこの委員会で討論、採決というのは早いという御認識でよろしいですか。

東議員 それは、まさに、答弁者たる私たちの仕事ではございませんで、この委員会の理事間の仕事でございまして、それに対する判断とかどうすべきだということを私どもに求められても、これは対応のしようがない。

野田(佳)委員 委員会運営はそうです。ただ、法案答弁者として、今、議論が少し煮詰まってきたというお話の印象があったじゃないですか。そういうことを含めて引き続き議論をしていく中で、きのうは民主党からの提案しかないですよ、与党が野党も含めて成案を得る努力をするのかどうかを私は聞きたいんですよ。その前に時間切れというやり方はおかしいということがきょう一番申し上げたいことなんです。その点はどうですか。

東議員 重ねて恐縮ですが、我々答弁者がもう時間切れだとかどうだという判断はすべきことではない。むしろ、筆頭理事間あるいは委員会の委員長を中心とする理事会の御判断に私どもはゆだねる、こういうことでございますよ。

 ただ、前回、今回と議論を重ねていく中でしっかり深まってきている、民主党さんも歩み寄ってこられている。一万円、一万円とあれだけおっしゃっていたのが五万円とおっしゃり始めているわけですから、これはこの議論のたまものだなというふうに先ほどから思っておりました。

野田(佳)委員 委員会のあり方はもちろん委員長、理事間で決めることですが、むしろ政治改革を推進する公党の幹部としてお伺いをいたします。

 先週、岡田克也政治改革推進本部長から政党間協議の申し出をさせていただきました。この委員会でもそのやりとりは東議員とありました。そのときの議事録を拝見いたしますと、まず一回目には、委員会の筆頭理事間でよくその中身も含めて協議をまずもってしていただくことがいいのではないかということをおっしゃって、さらに岡田委員が重ねて聞きますと、そこはまず筆頭理事間の協議の状況を見てということにさせていただきたいと思いますと、「まず」と二回使っている。しかも、岡田さんのお部屋に石原幹事長代理とお訪ねをされたようで、お留守だったので名刺を置いてきたようですけれども、名刺に「公明党副代表 衆議院議員 東順治」「現場にての協議にまずはゆだねたいと存じます。」と。まずは、まずはと。まずはの後は次はがあるわけであって、これは当然ですよね、まずはの後は次はですよ。

 筆頭間協議が不調だったらば党の責任ある人が引き取って、私は九三年当時のあの政治改革関連法案の審議の話を冒頭に申し上げました、真摯に政党間協議を行うべきだと思います、筆頭間協議がだめだったらば。もう一度お伺いをしたいと思う。やる気があるのかどうか。

東議員 私は、正式な形でそのまずはの協議の結論というのは正直伺っていないんです。私は、民主党さんが提案なさったその紙を手元に今持っているだけでございまして、そのまずはの結論のところをきちんと伺ってから今の御質問に対する考え方を固めたい、こう思います。

野田(佳)委員 政治改革の推進の旗振り役で、しかも公明党の副代表の方がまだ筆頭間協議の中身をよく聞いていないという状況で、まず少なくともきょうは討論、採決はあり得ないと確信をさせていただきます。

 筆頭間協議というのは、もちろん細川さんもタフネゴシエーターで、井上さんも経験者でありますけれども、会社でいうと営業部門ですね。製造部門がそちらにいらっしゃるわけで、製造部門と営業部門をまとめる本社の中枢の人たちが、こういう大事な議論は、やはりひざ突き合わせて最後は議論して、ぎりぎりまで成案ができるかどうかということを努力することを国民は見ていると私は思います。いかがですか。

東議員 きのう夜遅くまで協議というのはなさったんでしょう、筆頭間で。私も九州から帰ってきてずっと待機をさせていただいていたんですけれども、終わりましたということは受けたものの、内容的にそれがどうだこうだという確たる報告といいますか、内容についての連絡というものはいただいていない。御党からの提案の紙で、ああ、こういう提案をしたのかということを承知しておったわけです。あの紙の提案を見る限りにおいては、私としてはちょっとこれをのむのは無理があるかなという率直な実感を持ってこの委員会に来たというのが偽らざる状況なんですよ。

 それで委員会運営の話とかいろいろ出るので、それは委員長中心の理事会にお任せをすべきものだと思いますという答弁をしているわけでございます。

野田(佳)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、議事録に残る形で、まずは筆頭間協議とおっしゃっているわけですから、採決の場合に政党間協議がなかったら、私は、東さんという立派な政治家が議事録でうそをついたことになると思いますよ。そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

今井委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 前回、八日の質疑の中で、与党提案者の東議員は、対象を資金管理団体だけに限定したということについて、今はもう情報公開の時代です、国民の監視と批判に明確にさらされるわけです、もうそういう時代なんですからという答弁をされましたね。しかし、与党と民主党は、昨年の政治資金規正法の改正で、情報公開法の開示期間を限定するという規定をつくったわけですね。情報公開法に基づく収支報告書等の開示請求に対して、要旨の公開が行われるまでは開示決定を行わないという規定を設けたわけです。これは、情報公開の時代だ、あるいは、国民の監視と批判にさらさなければならぬという立場から見ると、逆行しているのではないかと思うわけです。

 情報公開法の開示規定の限定を緩和するつもりはあるかないか、与党提案者、民主党、それぞれに聞きたいと思います。

早川議員 お答えいたします。

 前国会の改正についてでありますけれども、これは、収支報告書の要旨が公表される前の収支報告書等に対して開示請求があった場合には、要旨が公表された日から三十日を経過する日までの間に開示決定を行うこととするものであります。要旨の公表前の収支報告書を不開示としてきた従来からの取り扱いと何ら異なるところはございません。さらに、九月三十日という要旨の公表期限の法定によりまして、従来よりも都道府県の要旨の公表時期が前倒しされることになりまして、全体として情報公開の強化に資したものであるというふうに承知しております。

近藤(洋)委員 佐々木委員にお答えいたします。

 昨年の改正は、九月三十日という要旨の公開期限を法定化したということでございますけれども、従来よりも都道府県届け出分の要旨の公開時期が実質的に前倒しされることになった、こういうふうに解釈しておるわけでございます。全体としては情報公開の強化に資することになるのではないか、こう期待しておるところであります。

 ただ、一般論でありますけれども、情報公開については不断の検討が必要でありまして、実質さまざまな運用の中で情報公開に逆行するようなことになる事態があるとすれば、それは見直さなければいけない、こう思っておりますが、現時点においては委員御指摘の点については問題はないのではないか、こう考えております。

佐々木(憲)委員 政治資金の流れを確認するためには、次の年の九月まで約十カ月間待たなければならぬという規定になるわけですね。これは、国民の不断の監視と批判のもとに置くことによって不正あるいは不当な政治資金の授受を未然に防止するという法の目的から見て逆行していると私は思いますよ。

 総務省は、これまで、国会の答弁で再三にわたって、形式審査だけを行っているんだ、個別具体的な事実関係は把握しているわけではないと答弁してきたわけですね。そうであれば、提出された報告書の形式が整っていれば、そのまま公表するということでいいと私は思うんですね。

 東提案者は前回の質問のときに、これは情報公開というのは当然であって、今や時代の流れであるとおっしゃっていたわけですから、きちっと公表する方向に踏み出すというのが当然だと思うんですが、いかがでしょうか。

東議員 私が前回の委員会で情報公開の時代という言葉を再三にわたって使いましたのは、やはり世の中というものがそういう姿で、さまざまな情報というものが、その気になれば国民はしっかりアクセスできて、そして国民の前に明らかになる、そういう時代性を強調する意味であの言葉を使ったわけでございます。情報公開法がどうだこうだというところまで踏み込んで言ったつもりはございません。

 しかし、その上で、昨年の改正前から、要旨公表前の収支報告書等に対して開示請求があった場合には、政治資金の収支についての的確でない情報が国民に公になることにより、政治資金の収支について国民の関心と批判を適正ならしめるという法が定めた政治資金の収支公開事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、情報公開法第五条第六号に該当するものとして不開示としていたものというふうに聞いておりますという、こういう理解でございます。

佐々木(憲)委員 私は納得できないですね。届け出がされているわけですから、しかも、それが受け付けられて、形式的にはこれで結構ですよと。それを、何もわざわざ十カ月も非開示ということはないわけで、これは請求があれば当然公開する、公開することによって、間違いがあったらそれは訂正する。間違いがあるかもしれませんから公表しません、こういう話じゃ全く納得できませんよ。これはぜひ検討をしていただきたい。

 次に聞きたいのは、公開の方法であります。

 これまで、要旨の公表後に閲覧ということしか認められておりませんでした。私は、多面的な公開が必要だと思っております。例えば、公開期間の延長はもちろんですが、インターネットの上でデータベース化などして公表する、これは大変大事なことだと思っておりますが、与党、民主党、それぞれお聞きしたいと思います。

早川議員 収支報告書の公開につきましては、既に総務省のホームページで公表されているところであります。また、情報公開請求によりコピーを取り寄せることができることになっておりますから、そういう意味で情報公開は全体として進んでいるというふうに認識しております。以上の対応で当面十分ではないかと考えております。

 インターネット等については、これは時代の変化に応じて検討されることでありますけれども、私は、現在の方法で十分公開は進んでいるというふうに考えております。

近藤(洋)委員 佐々木委員にお答えいたします。

 委員が御指摘された、収支報告書等のインターネット上での公開、データベース化でありますが、積極的に進めるべきであろうと我々は考えております。特に一々役所に行って閲覧をしなければいけないというのは前時代的でありまして、これは即座に改正すべきであろう、こう思っておるわけであります。

 民主党としては、第百六十三回特別国会に提出した政治資金規正法改正案の中で、公表の日から五年間、収支報告書等に係るデータベースをインターネットを通じて一般の利用に供することをもう既に提案しております。残念ながら廃案になりましたが、この考え方自体は生きております。

 また、既に民主党としては個人の資産を自主的に公開しておりますが、政治資金収支報告書についてもインターネットで公開するのが常識であろう、こう考えておるわけであります。今民主党の政治資金規正法改正の修正案に御賛同いただき、そして成立の後に速やかに検討し提出をさせていただきたい、こう思っておるわけであります。

佐々木(憲)委員 これまでリクルート事件など自民党の政治腐敗事件がたび重なったことを背景にしまして、一九九〇年、第八次選挙制度審議会で答申が出されました。その中には、「政治資金制度の改革に当たっては、政治資金の調達は政党中心にするとともに、」「将来の姿としては、政党がより近代化し、政党への相当規模の公的助成が行われ、政党の基盤が整備されるとともに、国民の政治意識が向上し、政党を中心に国民が政治参加する体制が確立し、政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい。」つまり、政治資金は個人のもので支えられるのが望ましい、こういう答申が出たわけです。

 九三年に自民党が下野して細川連立政権が誕生した。そのとき細川首相は所信表明で、「政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗のおそれのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切る」と廃止を表明したわけですね。企業・団体献金の廃止。もちろん、我々は政党助成金の導入に反対であります。しかし、個人に頼るべきである、こういう方向を出したことは評価をしているわけであります。

 そういう意味で、九〇年代から行われてきた法改正というのは、企業・団体献金を次第に規制して個人献金に移行していく、こういう方向で進んできたと思うんです。ところが、政治献金は企業献金というのが一向に減らない。それどころか、日本経団連が二〇〇三年からは政党に通信簿をつけまして、それで献金促進策を導入して、我々から言わせれば、これは政策買収じゃないかと思えるような状況になっているわけです。

 そこで、政治資金として企業・団体献金を禁止していく、そして個人献金に切りかえる、こういう方向について自民党、公明党、民主党、それぞれ見解を伺いたいと思います。

後藤(茂)議員 政党の存立基盤は、各政党において異なるものだと思います。国民政党である自由民主党におきましては、個人献金、そして団体献金、党費、事業収入、それから政党助成金も含めましてバランスよい資金調達が必要であるというふうに考えております。

 もちろん、御指摘のような観点から個人献金がなかなかふえていかない状況については、我々としてもさらなる努力が必要であるというふうに考えてはいます。しかし、企業献金につきましては、企業は社会的存在として政治に参加する権利があるというふうに考えておりまして、企業献金全体を禁止すべきであるという立場は全くとっておりません。

東議員 我が党も、基本的に、将来のあるべき姿というのは個人献金をもとに政治が動いていくべきであろう、こういうふうに考えております。

 資金管理団体という制度が導入されたこと自体も、政治家が直接お金にタッチしないように、そういう発想の中から資金管理団体というのはできた。企業・団体献金というものも資金管理団体は直接は取り扱わないというようなことになって、全体の方向としてはそっちの方向に向かっているというふうに考えておりますので、基本的にはそういう考え方です。政党なんかに献金をしていくということを主として、政治家はやはり個人献金というものを中心にしながら献金を考えていくべき、このように考えています。

鈴木(克)委員 それでは、民主党の考え方を御答弁させていただきたいと思います。

 佐々木委員のおっしゃる、企業・団体献金はやめるべき、減らすべきということについては、まさに傾聴に値する、基本的にはそのように考えております。

 ただ、いわゆる献金そのものと同時に、政治資金の流れをいかに透明にできるかというのがやはり大きな問題ではないのかな、かように考えております。私どもはかねてから、政治資金規正法等の一部を改正する法律案を何度も繰り返し国会に提出をしてまいりました。そんな中で、いわゆる俗に言う迂回献金を禁止するというようなことを提案してきたわけでございますが、いずれにいたしましても、今般出した修正案によって、今よりもかなり飛躍的にといいますか、政治団体の支出の透明度を増すことができる、このように考えております。

 いずれにしても、企業・団体献金については委員のお考えはまさに傾聴に値する、そのように考えております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 もう時間がなくなったので終わりますけれども、やはり基本的な政治資金規正法の考え方というのは、主権者である国民が支持する政党に寄附をする、それによって成り立っているものである、したがって公開をしっかりやらなければならない、こういう考え方ですよね。

 しかし、企業というのは、あるいは特定の目的を持った団体というのは、これは主権者とは言えないわけでありまして、社会的存在ではありますけれども主権者ではないと思うんです。つまり、企業は利益を目的とする組織ですから、その利益が上がるかどうかがその企業の活動の中心目的であります。したがって、献金をするということになりますと、当然その見返りを求めるということにならざるを得ない。そういうことになりますと、政治と企業との癒着というのが起こってまいります。したがって、私は、議会制民主主義、民主主義というものをしっかりと確立していくという観点からいいますと、企業・団体献金は禁止をし、献金は個人に限る、政党助成金は廃止する、こういう方向が望ましいと思いますので、このことを最後に指摘しまして、終わりたいと思います。

今井委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 八日と本日、二度にわたって審議が行われています。しかし、与党案では余りにも抜け道が多く、国民の不信を払拭できる内容とは思いません。国会終盤を迎えているとはいえ、今も議論になっておりますが、国民が本当に納得できるような法改正にすべきだというふうに私は冒頭申し上げておきたいと思います。

 さて、既に指摘されていることですが、与党案、民主党修正案のどちらで法改正されたとしても、この間問題になってきた松岡前農水大臣、佐田前行革担当大臣、さらには伊吹文部科学大臣の事務所経費の真相を過去にさかのぼって明らかにさせる強制力は持っていません。

 そこで、与党案、修正案の両提出者に伺います。

 指摘した三人の前現閣僚らの姿勢は、「国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。」あるいは「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とした、一九八五年に議決した政治倫理綱領に照らし合わせて適切だと考えますか。もし不適切だとしたら、お亡くなりになった松岡前大臣はちょっと別かもしれませんが、法改正後に事務所経費問題で疑惑をかけられている方々に対し、当委員会の総意として説明責任を果たすよう強く求めるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか、答弁願います。

後藤(茂)議員 政治にとりまして国民の信頼が大切であるということは、まさに委員の御指摘のとおりだというふうに思います。国会議員というものは、疑念を持たれた場合には、いつでもみずからの責任で国民に対してきちんと説明をする責任がある、そのように思っております。それぞれの委員がみずからの責任においてきちんと説明を果たしていくことが重要だと思います。

 それから、お尋ねの件でございますけれども、ただいま提出をしている法案についてのことでございますれば、これは権利の侵害に対する不利益不遡及という一般的な考え方もございますので、御指摘のようなそういう施行期日を設けております。そうした中で、それぞれの委員がみずからの責任において判断することでありますけれども、法律上は施行期日以降のことであるということは申し上げたいと思います。

武正委員 お答えをいたします。

 昭和六十年に議決された政治倫理綱領、大変、政治家たる者、国民の信頼に心を砕くべきであるという思いを改めて強く持つところでございます。

 御指摘の法律と、そして一方で政治家としての説明責任、法律が通ってもその不遡及原則に基づいて過去のそうした支出についての説明責任を法律として求めることができないというのは、この委員会でも議論があるところでございます。質疑があったところでございます。そういった意味では、やはり説明責任を果たしていくべきというところで担保がされるものというふうに思います。

 加えて、閣僚の皆さんは、閣僚に就任するときにそれぞれ内閣としての申し出に合意をされております。例えば株式について、保有をして、それがまた運用に当たらないように、それを預けようとか、やはり閣僚たる者は政治家以上の強いそうした倫理性あるいは説明責任が求められておりますので、それが現安倍内閣での三大臣にあっては果たされていないということは極めて遺憾であるというふうに思う次第でございます。

菅野委員 政治倫理綱領に定められていても、それを実行しない、これが今日の実情だというふうに思っています。

 この法案が成立しても過去に遡及できないということも事実です。ただし、これをどう実現していくのかという国会内の意思というものをしっかり政府に対して、閣僚ですから、示していくべきことは必要なんだというふうに私は思っています。そのことを行えるのは、政治倫理の確立ということを命題とした当委員会の責務だというふうに私は思って今答弁を求めたところでございます。大きな課題はあるとしても、私はこのことを今後も強く求めていきたいというふうに思っています。

 次に移ります。

 これも前回の質疑で共産党の佐々木委員が指摘されていましたが、当初の民主党案には人件費について業務に従事した者の数を記載することとしていましたが、修正案では省かれました。人件費に名をかりて不当な支出をしていないか、あるいは人件費を不当に切り詰めていないかをチェックするために、ある種必要な手だてだと考えておりました。

 そこで、当初案では人数記載の義務づけを課した理由を修正案提出者にお伺いいたします。また、与党提出者には、民主党の当初案では人数記載の義務が盛り込まれていたことをどのようにお考えでしょうか。答弁願いたいと思います。

武正委員 菅野議員にお答えをいたします。

 民主党の三月六日提出の案では、御指摘のとおり人数の記載を義務づけておりました。経常経費についての領収書添付はこの人件費を除いた部分ということで法案を提出しておりましたが、やはり国民の皆様の政治資金にまつわる透明性を求める声に対応したいということから、人数記載を提出いたしました。民主党の中の議論では、例えば事業所に義務づけられております源泉徴収届け出、これを税務署の方に届け出をするというようなことも議論としてあったところも付言をさせていただきたいと思います。職員のプライバシー等を考えて領収書添付については見送ったところでありますが、そこをさらに半歩、一歩前進ということで提案をさせていただいたところでございます。

早川議員 人件費につきましては、極めて個人のプライバシーにかかわる点が大変多うございます。私どもは、現段階で特に人件費についての人数の記載の義務づけが求められているというふうには考えていないところであります。

菅野委員 この点も抜け道と言われても仕方がない点だというふうに私は考えております。最低限の報告義務として、当初、今答弁あったように人数だけでもというふうなことは追い求めていく課題だと私は考えております。これからもしっかりと議論していきたいというふうに思っています。

 政治資金の管理のあり方については、外部の識者の方々やさまざまな団体の方々が具体的提案を行っています。先日の審議で、与党提出者の東議員が、同僚の日森議員による外部監査の義務づけをどう考えるかという質問に対して、傾聴に値する旨の答弁がなされました。同様に、外部の識者の方々からは、資金管理団体にとどまらず、政党支部、後援会その他の政治団体とあわせて政治資金収支報告書を連結公表させることで政治家の財布の透明化を図るべきとの指摘があります。この点について、与党案、修正案、各提出者はどのようにお考えでしょうか。答弁願いたいと思います。

西村(康)議員 今、連結公表の御指摘をいただきましたけれども、まず、どの範囲を連結の対象とするのか、これは明確にするのが非常に難しいわけでありますし、そもそも、御指摘があった政治資金管理団体とか政党支部とかあるいは後援会とか、それぞれ政治資金の収支は報告をし、公開をされているわけでありますし、その団体間の資金のやりとりも報告、公開されているわけでありますので、これは現行法上しっかりと公開されて国民の判断にゆだねられている、こんなふうに考えております。

武正委員 菅野議員にお答えをいたします。

 ちょうど今、参議院ではいわゆる自治体再建法案というものが審議中と聞いておりますが、あれも、一般会計だけでなくて特別会計、あるいは第三セクター、いわゆる連結財務諸表、これも自治体にきちっと義務づけていこうという趣旨で改正をと聞いておるところでございまして、やはりお金の流れ、これは資金管理団体だけではだめですよ、政治団体あるいは後援会、そしてまた今政党支部ということも含めた御提案だったというふうに思います。連結公表の定義の問題はありますが、政治資金の透明性を高めるために一考に値する御指摘だというふうに考える次第でございます。

菅野委員 このことも今回の法案には盛り込まれていないわけですけれども、私は、重要な課題だ、今後の検討課題だということを申し上げておきたいというふうに思っています。

 最後になりましたが、前国会の政治資金規正法の改正で、収支報告書の要旨公表前に情報公開法の開示請求があっても不開示とすることが決められました。私はこの措置に反対なのですが、政治資金の透明化を図るのであれば改正前に戻す必要はありませんか。あわせて、収支報告書は閲覧だけでなくコピーも可能にするようなことが検討されてもいいと思いますが、与党提出者はどうお考えになっておられるか、答弁願いたいと思います。

早川議員 もう既にお答えをしたところでありますけれども、現在、総務省のホームページで収支報告書は公開されております。さらに、情報公開請求によってコピーを取り寄せることができることになっております。前国会の改正によりまして都道府県の要旨の公表時期が九月三十日ということで、この要旨の公表期限の法定により従来よりも前倒しされました。

 以上によりまして、全体として情報公開は進んでいるという認識でおります。

菅野委員 質問は終わりますけれども、政治家の資金のことだから国会議員みずからがそのあり方を決めるというのは一見して筋が通った主張に見えますが、自分たちが決めたルールを守らないケースが後を絶たない、そのことに国民は不信を抱いています。会期は残りわずかとなりましたが、私は、外部の識者の方々や国民の意見に丁寧に耳を傾け、法改正に反映させていくべきだと考えております。拙速に採決することに反対し、私の質問を終わります。

今井委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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