衆議院

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第3号 平成21年7月3日(金曜日)

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平成二十一年七月三日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 下村 博文君 理事 菅  義偉君

   理事 中馬 弘毅君 理事 原田 義昭君

   理事 山口 泰明君 理事 井上 義久君

      伊藤 忠彦君    稲田 朋美君

      猪口 邦子君    上野賢一郎君

      浮島 敏男君    大高 松男君

      大塚  拓君    木原  稔君

      北村 茂男君    篠田 陽介君

      土井  亨君    土井 真樹君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      船田  元君    松本 文明君

      村田 吉隆君    安井潤一郎君

      山内 康一君    渡部  篤君

      大口 善徳君    佐藤 茂樹君

      佐々木憲昭君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   議員           後藤田正純君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           村田 吉隆君

   議員           大口 善徳君

   総務大臣         佐藤  勉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     葉梨 康弘君

  小里 泰弘君     猪口 邦子君

  越智 隆雄君     北村 茂男君

  木原 誠二君     安井潤一郎君

  棚橋 泰文君     山内 康一君

  永岡 桂子君     大高 松男君

  藤野真紀子君     篠田 陽介君

  高木 陽介君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     小里 泰弘君

  大高 松男君     永岡 桂子君

  北村 茂男君     越智 隆雄君

  篠田 陽介君     藤野真紀子君

  葉梨 康弘君     伊藤 忠彦君

  安井潤一郎君     上野賢一郎君

  山内 康一君     棚橋 泰文君

  大口 善徳君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(村田吉隆君外四名提出、第百七十回国会衆法第三号)

 政党助成法の一部を改正する法律案(葉梨康弘君外二名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ち、民主党・無所属クラブ及び国民新党・大地・無所属の会所属委員に出席を要請いたしましたが、出席が得られません。

 再度理事をして出席を要請いたしますので、しばらくの間お待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こしてください。

 再度出席を要請いたしましたが、民主党・無所属クラブ及び国民新党・大地・無所属の会所属委員の出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 第百七十回国会、村田吉隆君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び葉梨康弘君外二名提出、政党助成法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長門山泰明君及び法務省大臣官房審議官甲斐行夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘です。

 冒頭、民主党さんがきょうも出てまいらないということに、私も大変な憤りを感じております。

 昨日、私も答弁者、提案者でもあるんですが、きょうはもしかしたら民主党が出てくるかもわからないということで、政治と金の問題、それから政治資金規正法の問題について質疑をしてくれということで、私もバッターに選んでいただきました。政治資金規正法のいろいろな問題について聞くために、質問も準備をさせていただきました。ところが、夕刻の理事会において、やはりあしたも出てこないということになりまして、急遽また質問を変えなきゃいけない、そんな羽目に陥ってしまった。

 提案をしている以上、真摯に説明するというのはまさに当たり前のことでございます。私自身も提案、答弁をしながら、またこうやって質問もしているわけで、そんなに暇じゃないんですけれども、民主党に対して質問をしたいというのに相手が何でいないんだろうかという大変な憤りを感じます。

 これは佐々木憲昭先生とは私は見解は異にするんですけれども、こんなことが続きますと、本当に政党助成金をそんな政党に対して渡していいんだろうか、そんな議論も出てまいるんじゃないかということを実は危惧をしております。(発言する者あり)だから、見解は異にしております。

 国会議員というのは、国会で議論をするのが我々の仕事でございます。職場放棄をするということは、そもそも、まさに民主主義の常道を完全に逸脱した行為であるということを冒頭申し上げたいと思います。

 そこで、後藤田提案者にお聞きいたします。

 公選法の改正案が出ておりますけれども、今回供託金を引き下げることにした理由について、簡単にお尋ねしたいと思います。

後藤田議員 現行の供託金の制度といいますのは、当選を度外視している売名目的の、いわゆる泡沫候補の立候補を防止するという観点からそもそも設けられているものと承知しております。

 ただ、現行の供託金の額の水準につきましては、国際的に見ても高過ぎるという指摘もございまして、実際、国政選挙において、政党要件を満たす政党が、供託金の没収の負担を懸念しまして、候補者の擁立を控える動きがあるものと報じられているところでございます。しかし、現行の政党本位の選挙制度のもとで、政党要件を満たす政党が候補者の擁立をためらうような仕組みは好ましくないと考えております。

 そこで、本法案は、いわゆる泡沫候補の立候補を防止するという現行の供託金制度の趣旨を維持しつつ、政党要件を満たす政党が供託金の没収の負担を懸念することなく候補者を擁立できるよう、国政選挙について供託金の額及び没収点を引き下げることとしております。

葉梨委員 昨日、自民党それから公明党の質疑者から鳩山民主党代表の各種の疑惑についていろいろと質疑があったわけでございますが、きょうは多少別の観点から私も質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、選挙部長さんにお伺いをいたします。

 政治資金収支報告書をつくりますとき、最後に宣誓書というのを添付して報告をされるわけでございますけれども、これは会計責任者以外の者が作成することはできるんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治資金規正法の収支報告書につきましては、政治団体の会計責任者に対しまして、同法二十九条において、真実の記載がなされていることを誓う旨の文書、今、宣誓書とおっしゃった文書でございますが、この添付が義務づけられておりまして、その宣誓書には会計責任者が署名し、または記名押印するということとされているところでございます。

 ごく例外的に、会計責任者に事故がある場合、あるいは欠けた場合に、職務代行者の方が報告書の提出なり宣誓書の署名、記名押印をするということはございますが、基本は冒頭申し上げましたとおりでございます。

葉梨委員 鳩山由紀夫さんの政治資金管理団体は、友愛政経懇話会でございます。その友愛政経懇話会の会計責任者H氏は、鳩山由紀夫さんの政策秘書をされている方でございます。先般、今回の偽装献金疑惑について、公設秘書、これが友愛政経懇話会の事務担当者をしておりますK氏でございますけれども、このK氏の独断でやりましたと。そして、このH氏は、報告も受けていないし、それを全然気がつかなかったというようなことを言われておるわけでございます。

 さて、この友愛政経懇話会が報告をいたしました政治資金収支報告書について、会計責任者であるH氏は、その提出時に宣誓書を作成するに当たって、この政治資金収支報告書に目を通す必要はないということでございましょうか。部長さん、お願いします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治団体の会計責任者は、当該団体の会計事務を最終責任者として担当される方ということでございます。したがいまして、政治資金規正法に基づきます収支報告書、会計帳簿の記載義務者となっているところでございます。

 この収支報告書の提出義務者であります会計責任者が、いわばその報告の内容が真実であることを証する、これが宣誓書でございますことから、通常は会計責任者の方は、自分で直接作成していない場合には丁寧に報告書に目を通されるものというふうに思っております。

葉梨委員 通常は当たり前のことだろうというふうに思います。目を通していなければいけないし、また、これは目を通さなければならない理由もあるんですね。

 つまり、この友愛政経懇話会の会計責任者であるH氏でございますけれども、このH氏本人が、この友愛政経懇話会に対して、平成十二年に百万円、平成十三年に百万円、平成十四年に百五十万円、平成十五年に百五十万円、平成十六年に百五十万円、平成十七年に百五十万円、平成十八年に百五十万円、平成十九年に百五十万円、平成十二年以降十九年までの間に合計一千百万円の寄附を個人でこの友愛政経懇話会にしているんです。

 ですから、Hさん、自分も寄附をしているわけですからね。それなのにこの報告書に目を通していないということは、一般的には考えられませんね。

 それだけではございませんで、いわゆる政策秘書なり公設秘書がこのような形で政治資金管理団体に寄附をするということ、これは表になっているので明らかなんでしょうけれども、これは、前にいわゆる秘書の給料の天引き疑惑がございまして、強制しちゃいけないという申し合わせになっているわけでございます。ですから、明らかにこのH氏は任意で、みずからの意思で寄附をしているわけですから、それが記載されている報告書を自分がチェックしないということはあり得ないし、また、今選挙部長のお話にもあったように、法律的にもこれをチェックしないことはあり得ないということなんです。

 ところが、その政治資金収支報告書、六月三十日に訂正をされましたけれども、このような形で一ページすべてが消されている、訂正されているというか、消去されている、こういう収支報告書ですね。ですから、訂正というより、これは消えた政治資金収支報告書、消えた年金じゃございませんで、消えた政治資金収支報告書。消しちゃったわけです。

 ただ、こういったものは、消しゴムで消せばいいというものじゃないですよね。しかも、これだけたくさんの人たちです。その中には、亡くなった方もいます。大学の名誉教授の方もいれば、全国の中小企業団体の理事の方もいる。非常に有名な方、鳩山事務所とも多分おつき合いがあるだろうという方のお名前も、亡くなった方の名前も散見される。そういうような収支報告書であるわけなんです。それを、ざっと目を通して全く間違いに気がつかないということは、一般的にはあり得ないわけです。

 ですから、六月三十日の釈明の中で、これは政策秘書も知らなかったことでございますというような説明がありましたけれども、実際、その説明自体が果たして本当なのかどうかということは疑念を挟まざるを得ませんし、その説明自体が崩れてくるということになりますと、それは実は鳩山氏本人が知っていたんじゃないかというような疑いも非常に出てくるんじゃないかというふうに思っております。

 そして、この六月三十日の収支報告書の訂正、これについて、昨日はその議論はございませんでしたけれども、本日、その六月三十日の訂正自体が大きな問題をはらんでいるんじゃないかという観点から、これからちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 まず、選挙部長さんにお伺いをいたします。

 政治資金収支報告書について虚偽の訂正を行った場合は虚偽記載罪に該当するでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案につきましては、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、政治資金規正法では、故意または重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者または虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処する旨の定めがございます。これは、収支報告書の提出時のみならず、訂正という形で収支報告書に虚偽の記入をした者につきましても罰則の対象となり得るものと解されているところでございます。

葉梨委員 それでは、政治資金収支報告書の虚偽記載罪の構成要件についてお伺いをいたします。

 故意、重過失によりということでございましたが、そこら辺のところ、法的なところを法務省から少し教えてください。

甲斐政府参考人 一般論として申し上げますと、政治資金規正法第十二条第一項もしくは第十七条第一項の報告書またはこれにあわせて提出すべき書面に虚偽の記入をしたと認められる場合に、同法二十五条一項第三号の虚偽記入罪が成立し得るものと承知しております。

 また、同法第二十七条第二項により、重大な過失により虚偽記入罪を犯した場合にも処罰され得るものと承知をいたしております。

葉梨委員 重大な過失によりということも入るわけで、後でもちょっと論証してまいりたいんですが、故意の場合には、もしかしたらこれは誤りかもわからないなというような未必の故意も故意の中に入るというふうに、これはこの罪だけじゃなくて一般論ですけれども、解釈されると思いますけれども、法務省から教えていただきたいと思います。

甲斐政府参考人 一般論として申し上げますと、犯罪の構成要件として必要とされます故意には、いわゆる未必の故意も含まれているというふうに理解されているものと承知をいたしております。

葉梨委員 法的な関係はまとめてお伺いをいたしましょう。

 ちなみに、政治資金収支報告書の虚偽記載罪の公訴時効は何年でございましょうか。

甲斐政府参考人 収支報告書の虚偽記入罪の法定刑は、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金と定められております。刑事訴訟法により、その法定刑の場合の公訴時効の期間は五年であると承知をいたしております。

葉梨委員 それでは、ちょっとこちらで調べたことを幾つか御説明も申し上げたいというふうに思います。

 まず、六月十六日の某新聞で、いわゆる鳩山代表に対する幽霊献金、故人献金、亡くなった方の献金の疑惑が発覚いたしました。六月三十日の記者会見によれば、弁護士も交えた二週間にわたる詳細な調査の後、同日、政治資金収支報告書を訂正したと発表が行われております。したがって、同収支報告書の訂正については、鳩山代表自身がその内容を見ているというふうに考えざるを得ませんし、自身が責任を持つことは明らかでございます。その収支報告書が正しい、真実のものであることについても、やはり鳩山代表自身が責任を持っていただかなければならないというふうに思います。

 さて、弁護士からこの事務担当者に聴取をしたところ、このような借入金というか、このような処理は平成十七年ごろから行っていた、もしかしたらその前も行っていたかもわからないというようなことでございますけれども、もともと、どういう処理にするかというか、借入金ですから、これは鳩山代表からすると貸付金ということになるわけですね。ですから、どういうことかといいますと、自分の財産なわけです。

 その説明でいうと、ぼおんと大きな金額をどこかに預けていたわけです。そこからお金を出して、この友愛政経懇話会という方に使った。それを、個人献金というか、個人献金はたくさん、たんまりあるんですけれども、それが少ないからと、いろいろな人の名前を使って寄附をした形にした。

 ただ、ちょっとこれは考えていただきたいんですけれども、通常の場合、通帳でしょうね。現金でということもあるかもわかりませんけれども、そんな多額なお金は通帳だろうと思います。弁護士さんも、相当な金額をそこに預けていたんですよということは言われています。そこから幾らかのお金が出て、こちらに移っていくわけです。ですから、最初に幾ら預けて友愛政経懇話会に幾ら渡ったかというのは、もとの金額と今の残額の差額を見れば明らかですね。わかりますよね。

 何もそれは、平成十七年だろうが、十八年だろうが、十九年だろうが、十六年だろうが、十五年だろうが、例えば、そのお金を預けたのが平成十二年だったとしましょう。十二年に一億円預けたとしましょう。それが今、残額は七千万円しか残っていませんねといったら、やはり三千万円は貸付金、三千万円の借入金がありますよということですね。そんなのは預金通帳を見れば簡単にわかります。そういうような会計処理をしているということをちゃんと発表もしています。

 ですから、この借入金の欄の金額をちゃんと書いていくためには、そこまでちゃんと見なければ、これは少なくとも重過失になるし、先ほど言いました未必の故意といいますか、そこまで調べないで報告をしたということになっちゃうわけです。

 しかも、それだけではございませんで、政府の方で収支報告書の保存期間というのがございます。選挙部長さん、保存期間は三年でしたでしょうか。お答えください。

門山政府参考人 報告書の保存期間は三年でございます。

葉梨委員 報告書の保存期間は三年なんですね。ですから、そういうこともあって十七年以降の訂正をしたということなんでしょうけれども、十六年以前の、だれが寄附をしたというのはわからないか。わかるんですよ。官報を見ればいい。こっちの方では日付まではわからないけれども、そこら辺はわかるわけです。

 そこで、実は、昨日なんですけれども、私も急に質問の内容を変えるということになりましたので、夜、うちに帰りましてから、たまたま手元に平成十六年分の収支報告書のコピー、写しをいただいたものですから、それと訂正された十七年、十八年のを突き合わせてみたんです。

 必ずしも正確じゃないかもわからないんですが、十六年分の友愛政経懇話会の収支報告書、これを見ますと、六月三十日の鳩山代表の収支報告書訂正において、このような形で、亡くなられたとか、あるいは所在不明になったという人たちの名前、同じ名前がたくさん載っています。平成十七年の収支報告書の訂正で、この人たちはいませんよ、実際に献金もしていませんよという方が四十一人、計で六百万円以上。それから、平成十八年分の訂正で、やはりこの人たちはいませんよ、亡くなっているかもわかりませんよというふうにされた方が約七人で二百万円。

 それ以前までは、きのう十二時までそれをやっていたので、徹夜になっちゃうので、それ以前のものまでは調べてないんです。ただ、二、三時間それをやっただけでこれぐらい出てくるわけですから、二週間も弁護士も入れたチームでやっていて、十六年とか十五年とか調べられないなんということはあり得ないはずなんです。いずれにしても、十六年にはそういう人たちの名前に係る個人献金というのが、本当の献金か、亡くなった人からの献金かわかりませんけれども、約八百万円あるんです。

 通常、政治家として考えて、今申し上げたように、ある年に何十人、何百万円の個人献金がばっさりと、選挙もありませんよね、十六年、十七年、確かに十七年の十月に選挙がありましたけれども、そんなに状況が変わるわけではないし、民主党も、たしか、十六年、十七年、十七年は郵政選挙がございましたけれども、自由党とも合併して、よし、これからやっていこう、しかも鳩山代表は大幹部でございますよね。十六年の八百万円、約五十人です、五十人もの個人献金が十七年にばっさりなくなっちゃう、そういうことは通常考えられるんでしょうか。御感想だけ。済みません。

後藤田議員 我々政治家、まじめに御寄附をいただいて政治活動をしている者からすると、全く常識を逸していると今のお話を聞いて思います。感想として申し上げます。

葉梨委員 そうしますと、十六年だけしか見ていないので、私は十六年だけで申し上げますが、これは十五年、十四年も多分一緒だと思います。平成十六年分について、官報ないしあるいは預金通帳から見れば、少なくともおおむね八百万円ぐらいの金額はもしかしたら借入金、つまり、いわゆる亡くなった方からの献金かもわからない。

 選挙部長さんにお伺いをいたします。

 政治資金収支報告書で借入金という欄がありますね。あの借入金というのは個人からの借入金を計上しているわけですけれども、累計を記載しなきゃいけないですね。それだけお答えください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 借入金につきましては、借り入れる先は個人とは限らないとは思いますが、借り入れた先がどなたであり、幾ら借り入れたということは記載いたしますのとともに、借り入れの残高がどれだけあるかということも記載すべきこととなっております。

葉梨委員 その残高ということです。

 それでは、二点、選挙部長さんからお答えを願いましょう。

 平成十六年以前の友愛政経懇話会に係る政治資金収支報告書、これについては修正はなされていますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 去る六月三十日に鳩山由紀夫議員の資金管理団体であります友愛政経懇話会から訂正願がございまして訂正されましたのは、平成十七年分から平成二十年分の政治資金収支報告書でございます。なお、同日以降、友愛政経懇話会から収支報告書の訂正願の提出はございません。したがいまして、お尋ねのような平成十六年分以前の収支報告書の訂正というのは行われておりません。

葉梨委員 ここのところは、実は弁護士の方も、平成十七年からこのような偽装が始まったということじゃなくて、それ以前から行われている可能性も高いということは言われているわけですね。

 今お話しになったように、平成十六年以前については明確な意思として政治資金収支報告書の修正、訂正を行う意思は鳩山さんのところにはないということになるわけですが、修正後の平成十七年、十八年、十九年の友愛政経懇話会による鳩山由紀夫さんからの借入金の訂正内容についてお尋ねします。

門山政府参考人 友愛政経懇話会の平成十七年分から平成十九年分の収支報告書を確認いたしましたところ、鳩山由紀夫氏個人からの借入金といたしまして、まず平成十七年分でございますが、訂正前の残高は八千万円でございました。これが、訂正後の残高が八千七百八万円に訂正されております。

 それから平成十八年分でございますが、訂正前の残高は八千万円でございましたが、訂正後の残高は九千二百四十九万二千円となっております。

 さらに、平成十九年分の訂正前の借入金残高は八千万円でございましたが、訂正後の残高は九千七百七十一万二千円となっているところでございます。

葉梨委員 そうなんですね。だから、これは二つの問題がある。

 つまり、弁護士の方も平成十七年以前にこのような偽装献金が行われていた可能性というのをしっかり認めていながら、平成十六年以前の政治資金収支報告書は訂正しようとしない。ですから、虚偽記載の状況というのをそのままにしようとしているということです。先ほど申し上げましたとおり、この虚偽記載罪の公訴時効は五年でございますので、平成十六年分の報告書というのは平成十七年の三月に提出されますから、十六年分の報告書の虚偽の記載、これについては現在でも刑事罰の対象になります。

 それだけではございません。弁護士の方も認めておられるとおり、平成十六年以前にも同じような形でやっていた。ただ、これは私は本当に貸し付けだったのかどうかというのは非常に疑問がございます。

 この経理担当者というのは、平成十四年に鳩山代表の資産報告書の補充報告をするときに、八千万円を友愛政経懇話会に貸し付けるという補充報告をこの事務担当者であるK氏がみずから行っていて、その判こが議員課にも残っております。

 ですから、そのような形で貸し付けを行うという会計処理があるということが頭にある方であるにもかかわらず、そのやり方を知らないで寄附という形に偽装したという言いわけは立たないんですけれども、百歩譲って、もしも貸付金だったものをちょっと間違えて寄附としてしまったというふうにいたしましても、じゃ、平成十六年分の約八百万円に上るこの疑惑のお金はどうするのでしょうか。

 これがもしも彼らの言い分のとおり貸付金ということであれば、借入金の訂正は累計ですから、もしこの約八百万円が丸々貸付金という形で計上しなければいけないお金だったら、平成十七年の収支報告書の訂正は、八千七百万という形の借入金残高ではなくて、より多い金額を計上しなければならないんです。そうしなければうそなんです。平成十七年以前からやっているということを認めているわけですからね。

 しかも、借入金は残高ですから、みずからの預金通帳があるわけですよ。どこかにあるんでしょう、彼らの説明が正しいとすれば。そうすれば、最初に預けたお金と実際に使われたお金、その差額が貸付金としての鳩山代表の資産なんですよ。そして、その残額というのをここに記載しなければならないんだけれども、単にその年その年に偽装献金となった分の金額だけを借入金残高としてしまっているから、平成十七年は約八千七百万、平成十八年は約九千二百万、平成十九年は約九千七百万、これしか残高が残っていないんです。

 この借入金の訂正というのは、こういうような流れがわかった上でこのような金額に借入金を訂正するというのは、これは故意が非常に疑われると思います。実は八千七百万の借入金残高じゃないということをわかっていながら八千七百万であるというふうに訂正をするということは、先ほどの選挙部長の答弁によれば、これ自体が虚偽記載罪に当たるんですよ。六月三十日の訂正報告というのは実は虚偽訂正だ、その疑いがある。ですから、これ自体が虚偽記載罪に当たる可能性があるんですよ。

 そして、その六月三十日の訂正報告を行ったのは、判こを押してありますのは会計担当者でありますし、また、それを事務的にも仕切ったのは弁護士さんでもありますし、そしてそれをちゃんと監督したのは鳩山さんでもあります。六月三十日、このときの訂正について、鳩山代表自体がチェックしていないということはあり得ないんです。あり得ないにもかかわらず、大いに虚偽の可能性があるというふうに思われるような訂正報告を行っているということです。

 ですから、この面でも、何で六月三十日にこのようなでたらめの疑いが大いに疑われるような訂正報告を行ったんだということについても、これは鳩山代表御自身から聞くしかない、あるいは弁護士さんからも聞くしかないということで、改めて、この偽装献金疑惑の問題だけではなくて、なぜ虚偽の可能性が疑われるような訂正報告を行ったのかということについて、御自身から参考人としてでもお話を伺いたいということをお願いしたいと思います、委員長。

河本委員長 理事会で協議いたします。

葉梨委員 そのことを、委員長、各理事の皆様によろしくお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 私も、葉梨委員と同様、昨日に続きまして野党第一党の民主党の委員の皆さんが当委員会を審議拒否されたことに対しまして、強い憤りを感じるものでございます。

 といいますのも、本来、この委員会では、今かかっております二法案に加えて、民主党さん提出の政治資金規正法も審議をされる予定で協議されていたというようにお聞きをしております。法案提出者でもあります民主党の岡田克也幹事長は、与党に早く審議に応じていただきたい、そういう大口をたたいておられたというようにも私はお聞きをしております。

 ところが、審議に入ろうとしたら突然の審議拒否をされる。これはとんでもないことでございまして、みずからの出した法案を審議したくないという、国民にとっては全くわけのわからぬ反応を民主党さんはされているんだということを私は指摘しておきたいと思います。

 仮に、同法の提案者として、鳩山代表の問題を追及されるのが嫌だからであるとか、そういう理由でこの特別委員会に出てこないとしたら、これは全く国会を愚弄するものであり、また、この問題に対して本当に国民の疑問にきちっと答えようとしない、そういう政党が今の民主党であるということを私は指摘しておきたいと思います。

 その上に立ちまして、きょう三十分時間をいただきましたので、鳩山代表の偽装献金問題、私は、疑惑という言葉はもう既に超えて、問題だと思っております。疑惑、疑いのある段階から、鳩山代表みずから六月三十日に認められたわけですから、問題である。これを徹底的に今後も時間をかけて追及していきたいと思っております。

 あわせて、時間がありましたら、私は実は今回の公選法の一部を改正する法律案の提案者なんですけれども、そちらの方ではなくて、政党助成法の一部を改正する法律案につきましても、時間の許す限り御質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、鳩山代表の偽装献金問題でございますけれども、民主党の鳩山由紀夫代表は、六月三十日の会見で、二〇〇五年から二〇〇八年までの四年間に少なくとも約九十人から百九十三件、延べ百九十三人ですけれども、総額二千百七十七万円分に上る収支報告書の虚偽記載を認められたわけであります。既に死亡した人や一度も献金したことがない人の名前を個人献金者として政治資金収支報告書に載せていたという大変許しがたい行為を認められたわけであります。

 この件に関しての報道の中で、七月一日の読売新聞には見事にポイントがまとめてあるなと思いましたのは、「鳩山代表の資金管理団体への寄付を否定した主なケース」ということで、メンバーの声を載せておられるんですね。

 例えば、職業、住所ということで、元教師、東京の方ですが、記載寄附額百十七万円、一言、「亡くなって八年。あり得ない(妻)」。医療関係者、北海道、記載寄附額三十万円、一言、「こちらこそ理由を知りたい(妻)」。元教師、東京、十二万円、「逆に(寄付を)もらいたい」。主婦、東京、十三万円、「冗談じゃない。許せない」。会社経営者、東京、三十四万円、一言、「道義的に疑問を感じる」。元会社員と長男、東京、計二百十五万円、一言、「総理を狙う人のやることか(妻)」というように、一同に憤りに満ちた反応を示されているわけでございます。

 この四年間でこれ以外も含めて百九十三件というのは大変多い数でございまして、また、きのう来の質問でも明らかになっておりますけれども、収支報告書は修正されたけれども、それによると、名前を明示している人、献金者というのが約八割が偽装だった、そういう実態であります。

 これは単に修正をすれば済む話ではございません。故人も含め虚偽の人物の名をかたって収支報告書を提出し、国民を欺いていたことが発覚したわけでございます。政治資金の入りと出を国民に明らかにする、また透明性を高めるという政治資金の収支報告制度の信頼性を根本から揺るがす問題であると言わざるを得ません。この疑惑によって、平たく言うと、政治資金収支報告書全体の信頼が問われている、多くのまじめに報告をしている政治家が同様の疑惑の目を国民から向けられたら迷惑千万である、私はそういう問題であると思っております。

 ですから、与野党を超えて、きょうは共産党さんも社民党さんもおられますけれども、この問題に対して徹底して追及し、明らかにしていくことが我々国民を代表する国会の使命である、そのように私は考えているわけでございます。

 六月三十日の鳩山氏の会見を拝見いたしまして、私なりに今の段階で率直な感想として、問題点、疑問点を八点述べさせていただきたいと思います。

 まず第一点は、みずからの手で積極的に疑惑を解明して国民の前に説明責任を果たそうという姿勢が鳩山代表にはほとんどない、全くない、そういう点でございます。

 二点目に、全容解明にほど遠い内容の説明であったということであります。この二点についてはまた後で触れたいと思います。

 三点目に、何ゆえこれだけ大がかりの偽装が行われたのか、理由や動機について全く不明瞭な説明しかされておりません。

 四点目に、この問題が、企業・団体献金の問題でなく、みずからの個人献金に対する疑惑だという事の本質が全くわかっておられない、支離滅裂な説明をされていたということです。これは後で触れたいと思います。

 五点目に、鳩山氏自身が全く関知していなかったのか、納得のいくきちんとした説明がなされるべきであります。

 というのは、例えば二〇〇一年二月に他界されている都内の元高校教諭、これは鳩山代表の恩師であります。逆に言ったら、鳩山氏は元教諭の教え子なんです。あるいは小学校時代の元教諭というように、もともと鳩山代表しか知らなかったような方々の名前が勝手に使われている。秘書が面識もないような人物をどうやって選んだのか、鳩山代表の指示はないのか、そういうことを私は訴えたいんです。

 要するに、秘書や事務所がもともとそういう方々の、鳩山代表の小学校や高校時代の教師の名前や住所を知っているとは考えにくいわけでありまして、教師の名前の利用というのは、やはりどう考えても鳩山代表の指示と考えるのが自然ではないか、私はそのように思うわけであります。

 六点目に、個人口座を任せた担当秘書が四年で約二千百万円を不透明に引き出していたことに気づかない金銭感覚のなさ、国民感覚とのずれについても、私は全く理解しがたいものがあります。さらに、個人の金と政治資金が長年にわたってごちゃまぜにされていたのに、どのように使われたのか鳩山氏本人が関知していなかったということに対して、何とも釈然としない、そういう印象を受けております。

 七点目に、いわゆる匿名献金、すなわちその他の寄附が極めて巨額な問題について、どういう内容か、調査、説明をしてもらわないといけないと思います。今回の会見でまだ調査していないと言われている平成十五年、二〇〇三年は、その他献金で最も多額でございまして、七千九百七十一万円の巨額に上り、非常に不可解で、どうやってお集めになったのかも含めて明らかにすべきではないか。

 例えばこの七千九百七十一万円、これは、高目に見ても一人四万円、そういうふうに想定したとしても、この一年間で二千人の方から個人献金を集められたということになるんですね。二千人集めようと思うと、一日当たり五人から六人、四万円の献金を集めないと集まらない、そういう計算になるんです。これは大変な勢いでありまして、そういうことが本当にあり得るのかということについても明らかにすべきだと思います。

 八点目に、鳩山代表が支部代表を務める民主党北海道第九総支部に、平成十五年から十九年までの五年間、選挙区内の道市町議会議員四十二人から総額約千六百五十万円の献金があり、しかも、ほとんどが毎年判で押したように、要するに毎年同じ日付、金額で献金をされている。それも、判で押したように十二月二十五日の日付になっていること。このいわゆるクリスマス献金についていまだに全く説明責任を果たされていない、こういう問題もあります。

 この不可解な地方議員献金については今後もやっていきたいと思いますが、仮に、鳩山代表から地方議員に資金が流れ、それを回収し、寄附金控除を受けているということになればこれは大問題である、そのように言っておきたいと思います。

 以上、まだまだ精査できておりませんけれども、現時点での私の感じる問題点、疑問点について挙げさせていただきました。これからまた調査し、精査する中でこういう疑問点はさらにふえてくる可能性はあると思いますけれども、鳩山代表はぜひ疑問点に対して真摯にお答えをいただきたいし、政治家たるもの、疑惑を持たれたらきちっとみずから説明するというのが政治家の役割ではないか、私はそういうように思うわけであります。

 そこで、疑問の第一に述べさせていただきました、みずからの手で積極的に疑惑を解明して、国民の前に説明責任を果たそうという姿勢がないという点について、何点かちょっとお聞きをしたいんです。

 鳩山代表は、過去において、平成十九年、例えば閣僚の事務所問題が相次いで発覚したときに、当時、鳩山代表は民主党幹事長でございましたけれども、この政治資金収支報告書の問題に関して、政治家が、事務的なミス、職員がやったなどと主張しているのは言い逃れであり、管理団体、政党支部の代表者は政治家本人、事務的なミスではない、そういうように管理体制の甘さなどを強烈に批判されていたわけでございます。

 ところが、六月三十日の会見では、鳩山代表は、弁護士の話ではとか、内容は弁護士から御説明することになりますとか、秘書が独断でやったことというような、そういう言いわけとしかとれないような会見をされているわけでございまして、詳細になると弁護士に説明させ、みずからの虚偽記載問題であるにもかかわらず、自分で説明責任を果たそうという意思がないのではないか、そういう疑問を持たざるを得ない会見でありました。

 それに輪をかけて、これは鳩山氏自身だけの問題ではございません、その程度の説明、また会見であったにもかかわらず、それを支える民主党の岡田幹事長は、説明責任は果たされたし、納得できるものだった、そういう発言は一般国民の認識と余りにも乖離があり過ぎるのではないか、私はそのようにお訴えをしておきたいわけでございます。

 昭和六十年六月二十五日に議決された政治倫理綱領の第四項には、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とあります。与野党、政党を超えて、国会議員たるもの、この条項を守らなければならないと私は思っております。

 そこで、大臣また法案提出者の代表の方にぜひお聞きをしたいわけですが、六月三十日の民主党の鳩山代表の会見の姿勢にみずから説明責任を果たそうという姿勢を感じられたのか、また、説明責任を果たしたと考えておられるのか、率直な感想を総務大臣並びに法案提案者の代表にお伺いをしたいと思います。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 政治資金規正法におきましては、政治資金の収支の状況を明らかにすることを旨といたしまして、これに対する判断は国民にゆだねることとしております。

 鳩山代表が説明責任を果たしているかどうかという点に関しましては、国民の皆さんがどう思うかということが非常に大事だろうというふうに思いますし、国民の皆さんがどう判断するかによるものでございまして、私は、総務大臣として一定の判断や感想を申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。

葉梨議員 個人的な感想を述べさせていただきますけれども、説明責任というのは、一体どこまで説明をすれば責任を果たしたことになるのかというのは、それぞれいろいろな人によってまた考え方が違ってこようかと思いますが、先ほど私が質問者の立場として申し上げましたとおり、あの説明、そしてその説明に基づく訂正が虚偽である可能性も否定できないわけですから、そのような状況が一般的に説明責任を果たしたと言えるかどうかということであれば、いささか問題はなしとはしないんじゃないかというふうに思います。

大口議員 鳩山代表の会見は、弁護士がついているということでありますけれども、やはり非常に何かはっきりしないといいますか、いろいろと法的な問題点もあるのではないか、それとの整合性を極めて気にしながら、また、みずからの責任が追及されるのではないかというようなことで、すべて事務担当者任せ、そこに責任を負わせるというものになっておりまして、非常に傍観者的な印象を受けました。

 そこからいきますと、大臣等の事務所費について、平成十九年ですか、鳩山幹事長が厳しく、資金管理団体や政党支部は代表者である政治家が責任があるということとは大きな乖離がある。そういう点で、ここまで態度が豹変されるのかな、やはり自分のことであるがゆえにそういう態度になっているのかなと思っておりまして、民主党がおっしゃっている、政治と金についてしっかり責任を持て、国民に対して不信を買うようなことはしてはいけないということの方針とも大きく食い違う、こう思います。

佐藤(茂)委員 済みません。お断りするのを忘れましたけれども、この問題の核心部分は、鳩山代表またあるいは法案提案者の岡田幹事長が出てこられたときにきちっと、ばばっと聞くとして、きょうのところは、ちょっと外縁部を中心にお聞きをさせていただきたいと思います。

 それともう一つ。二点目に申し上げました、全容解明にほど遠い内容の説明であったという印象ですが、一つは、公表された虚偽記載というのは平成十七年以降のものだけでありまして、先ほどもございましたけれども、十七年以前の収支報告書についてもきちんとした報告、説明をしていただきたいということであります。

 もう一つは、私どもの調査でも、例えば二〇〇三年から七年で計二・三億円と多過ぎるその他寄附、要するに匿名寄附の問題も、先日の会見では全く調べておられません。すなわち、五万円以下の個人献金で名前を出す必要がなく、匿名のその他の寄附が非常に多い、そういうことについて全く説明をされていないということであります。

 我々の調査の後に、七月一日付の毎日新聞によると、九八年から二〇〇七年の十年間に受け取った個人献金は総額約五億九千万円に上り、そのうち匿名献金は、十年間の総額が三億四千万円に上る、そういう報道もあります。

 要するに、五万円以上の、名前が既に出て問題になっている方々と同様の偽装、架空の献金がなかったのか。これは備えられているはずの会計帳簿を調べればすぐわかる話でございますから、ぜひ調べた結果を国民の前に明らかにすべきである。しかし、残念ながら、六月三十日の会見では、調査もしていない、そういう話があったので、全容をできる限り明らかにすべきだ、そのように思っております。

 その上で、さらに、今後の調査をしていく手がかりとしてきょうお尋ねをしたいのは、私の問題意識というのは、先ほどの地方議員の献金のことにもあらわれておりますように、鳩山疑惑という巨大な疑惑の鉱山のうち、この友愛政経懇話会の問題というのは氷山の一角である、鉱山の大きな山のうちの鉱脈の一つである、そのように私は考えております。ですから、その一つの鉱脈が今掘られつつある。

 しかし、ほかにもこれは疑惑の鉱脈がいっぱいあるんじゃないのかというのが私の問題意識でございまして、その一つが、先ほどの例えば民主党北海道第九総支部。それ以外にも、鳩山氏は、国会議員関係政治団体でもそれを含め四つ持っておられるわけであります。この友愛政経懇話会を入れたら五つであります。

 この疑惑が、先ほども言いましたように、地方議員のこの不可解な献金という点からもちらっと見えてきたのではないのかな、そういうように思うわけでありまして、このような偽装献金をしたのが今回問題になっている友愛政経懇話会だけだったのかどうかということも、今後我々与党のチームでも明らかにしていかなければいけませんし、もしかしたら、きょうおられる共産党さんや社民党さんも追及されるかもわかりません、また、マスコミとどちらが早いのかわかりませんが、そういうこともしっかりと明らかにしていかなければならない、そのように思っておるわけであります。

 そこで、きょうは、まずその取っかかりとして、鳩山代表は、友愛政経懇話会の収支報告書は相当な修正を申告されたそうでありますけれども、鳩山氏にかかわる他の国会議員関係政治団体について収支報告書の修正がされたのか、まず総務省に確認をさせていただきたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 友愛政経懇話会以外の鳩山由紀夫代表が関係しておられます国会議員関係政治団体といたしましては、平成二十年十二月三十一日までに国会議員関係政治団体として届け出がなされ、二十一年三月三十一日までに官報または都道府県公報で公表されたものといたしましては、四つございます。北海道選挙管理委員会届け出団体の四団体でございますが、名称は、民主党北海道第九区総支部、二番目に鳩山由紀夫後援会連合会、三つ目に北海道友愛政経懇話会、最後は燃える会の四つでございます。

 それぞれの四団体の収支報告書の訂正の有無につきましては、所管しております北海道選挙管理委員会に問い合わせて確認いたしましたところ、これまでのところ訂正は行われていないという回答がございました。

佐藤(茂)委員 ですから、今、とりあえずは、友愛政経懇話会が的になったのでそちらだけ修正した、そういう対応かもわかりません。それで、我々は、続いては北海道にでも飛んでこれは調べないといけないだろう、そのように考えております。

 そこで、まず、きょうは一つだけ確認させていただきたいんですが、友愛政経懇話会以外の四団体、鳩山氏の関係する国会議員関係政治団体四団体について、毎年の個人献金額の合計及びその内訳として、五万円超、五万円以下の合計額について、記録の残っている額をぜひこの場で教えていただきたいと思います。

門山政府参考人 ただいまお尋ねのございました四団体につきまして、平成十七年分から平成十九年分までの個人からの寄附金額を北海道選挙管理委員会に確認いたしましたところ、まず、民主党北海道第九区総支部でございますが、個人からの寄附金額が、平成十七年が六百十六万八千円、平成十八年が六百十五万八千円、平成十九年分は二百七十四万円でございます。

 そのうち、内訳でございますが、五万円超の寄附金額は、平成十七年分が五百七十九万二千円、平成十八年分が五百八十七万六千円、平成十九年分は二百四十七万六千円でございます。

 さらに、五万円以下の寄附金額でございますが、合計といたしまして、平成十七年分は三十七万六千円、平成十八年分は二十八万二千円、平成十九年分は二十六万四千円という回答があったところでございます。

 それ以外の三つの団体につきましては、平成十七年分から平成十九年分の個人からの寄附金額という記載はなかったというふうに回答をいただいております。

佐藤(茂)委員 それでは、またこの第九総支部の中身についても、今後我々としてもしっかりと調べてまいりたい、そのように思っております。

 三点目に大きな疑問点として申し上げました、何ゆえこれだけ大がかりの偽装が行われたのかという理由や動機について、全く不明瞭な説明しかあの会見ではされておりません。

 その中で、特徴立てて言われていたのは、私に対する個人献金が余りにも少なかったので、それがわかったら大変だという思いがあったのではないかと推測しております、そういうように釈明されました。しかし、虚偽記載の背景について個人献金の少なさを挙げたわけですけれども、一言で言うと、全く説明に矛盾が生じているわけであります。

 報道各紙によると、先ほども申し上げましたが、個人献金、十年間で約五億九千万円、そのうち匿名だけでも三億四千万円。これは、きのうの質問でもありましたけれども、割愛しますが、個人献金、とりわけ匿名献金の総額も含めて、他の国会議員、代表クラスの方に比べて突出して多いわけですね。

 説明に矛盾があると私は考えますけれども、所管の総務大臣、また提案者の御意見をお伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 総務省として個別の事案について具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えたいと思います。

 なお、一般論としては、国民に信頼される政治を行うために、政治家一人一人が襟を正すということが大切だというふうに思います。

大口議員 お答えします。

 私もこの点、昨日、質問で極めておかしいということを指摘させていただいたわけでありますけれども、本当に、鳩山氏に対する個人献金が余りにも少ないというふうに発言されているんですね。では、御本人はそういうふうに思い込んでいるのかなと。そうしますと、各与野党代表クラスと比較して突出しているわけですね、今佐藤議員おっしゃったように。〇三年から〇七年でも五千万から一億一千万。これが少ないという感覚であるということは、金銭感覚がちょっと普通の方と違うのかなと。これが一つ。

 もう一つは、余りこれは御自分のことと考えていないのかなと。そういうことからいきますと、非常に傍観者的なことを感じます。

 それから、ノルマは課していない、全部任せてあると答弁されているのに、余りに少なかったのでわかったら大変だと、ノルマを課したようにも受け取られるわけですが、御本人はこの会見の中では、ノルマは一切課していない、任せていると。この点からも、全く不可解な言いわけではないかなと思います。

佐藤(茂)委員 もう一つ不可解な発言を会見でされています。それは、この問題が企業・団体献金の問題ではなくてみずからの個人献金に対する疑惑だという事の本質が全くわかっておられないのではないかという支離滅裂な説明をされていたことであります。要するに、どういう発言かというと、民主党の方向性としては、やはり企業献金よりも個人献金へとしっかり移っていったら、このような間違いは本来起こるはずもない話だけに、方向性としては個人献金に移行する方向性をしっかりとつくり上げていかなければならない、そのように思っておりますと。

 要するに、みずからの個人献金のずさんな処理が発覚してこういう大騒ぎになっているということが全くわかっておられない発言を公衆の面前でされているわけですね。要するに、民主党の主張だと、企業・団体献金を三年後に禁止するということなんですけれども、企業・団体献金を三年後に禁止しても、個人献金についてはこれだけ悪事、偽装が行えますよということを鳩山代表みずからが示されたわけですから、全く的外れな支離滅裂な説明としか私は言いようがないというように思うわけでございます。

 企業献金よりも個人献金へとしっかり移っていったら、このような間違いは本来起こるはずもない話だという、この鳩山氏の発言について、総務大臣また法案提出者の代表に御見解をお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 何回も発言して大変恐縮でございますけれども、総務省としては個別の事案について具体的な事実関係を承知する立場にないので、お答えを差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、政治資金のあり方については、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党各会派において御議論をいただくべき問題と考えております。

葉梨議員 非常にびっくりした発言なんですが、こんなことを言っちゃなんですけれども、このような間違いは個人献金を禁止して企業献金だけにすれば起こらないと言うんだったら話はわかるんですけれども、そうではないということで、非常に不可解であるという印象を持ちます。

佐藤(茂)委員 最後、残り一分で、法案に関して一問だけ御質問をさせていただきます。

 政党助成法の一部を改正する法律案、この政党助成法のねらいとして言われておりますのは、返金逃れを防止する、そういうことでございます。

 平成七年から十四年半経過をいたしました。ずばり、今までいわゆる返金逃れをした可能性があるというケースがあったのかどうか、過去の事実関係をぜひ提案者に御答弁をいただきたいと思います。

葉梨議員 これも昨日答弁があったかと思いますが、一つよく言われる例としては、平成十五年の自由党解党時の問題等があるわけです。

 先ほど選挙部長からの答弁もありましたとおり、こういった形の政治資金の関係、使途報告というものの保存期間がありまして、官報でくくるしかないので、官報になりますと、寄附をしたという事実はわかるんですけれども、その日付まで出てこないということがございます。

 ですから、これが解散時の寄附なのかどうなのかわかりませんけれども、新進党ですか、これが解党いたしまして幾つかの党に分かれた、そして、その幾つかの党に分かれたものがまた民主党になる、これもまた民主党なんです、民主党に一緒になるといったときに、その政党助成金の残額の相当な金額がほかの政治団体に移っているというような例もあるようですので、必ずしも一つだけではないというふうに思われます。

 ただ、それは日付がちょっとわかりませんので、それをやった御本人にこれも聞いてみなければわからないんですけれども、可能性としてはございます。

佐藤(茂)委員 以上、時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、冒頭申し上げましたように、鳩山代表の問題というのは、疑惑からもう問題に移っておりますので、引き続き当委員会で追及させていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

河本委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、政党助成法の改正案についてお聞きをしたいと思います。

 政党助成金というのは、国民一人二百五十円の計算で、毎年三百二十億円が国庫から政党に交付されているわけであります。私は、この制度というのはいわば国民に強制カンパをさせるようなもので、税金を山分けするというようなものだと思っておりまして、この制度は廃止すべきだというのが私どもの基本的考えであります。

 まず、基礎的なことからお聞きをしたいのですが、九五年に政党助成制度が導入されてからこれまでに交付された総金額、これは幾らになりますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 平成七年、一九九五年から平成二十一年、二〇〇九年の四月までの政党交付金の交付総額でございますが、億円未満は省略させていただきますが、約四千四百七十九億円となっているところでございます。

    〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕

佐々木(憲)委員 莫大な金額が交付されているわけです。

 各党は政党助成金に頼る党財政になっていると言われておりまして、私どもはこれを受け取っておりません。日本共産党は、全国に支部が二万二千、四十万人を超える党員がおりまして、党の財政は個人献金を募る、これをベースに賄っているわけでございます。

 我が党以外の各党の政党助成金への依存率、これはどのぐらいになっているんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年分でございますが、各政党の本部の収入総額に占めます政党交付金の割合という形でお答えさせていただきたいと存じます。

 自由民主党の場合六五・六%、民主党八四・二%、公明党一八・六%、社会民主党五一・二%、国民新党二八・七%、新党日本九六・五%となっているところでございます。

佐々木(憲)委員 非常に依存率が高いわけでありまして、いわば国民の税金に依存した形で党の財政が運営されている。

 これは、いわば汗を流さずに自動的にお金が入るというような仕組みでありまして、国民の中にはこういう声があるわけですよ、政党助成金を受け取っている政党は国民の痛みがわからないんじゃないかと。この点について、提案者、自民党、公明党、それぞれどういうふうに受けとめておられますか。

葉梨議員 政党が行います政治活動の経費ですけれども、やはり個人献金、企業・団体献金、党費、事業収入、そして公的助成、この公的助成が政党交付金ということになるわけですが、これはバランスよく賄われていくものじゃないかなというような形で思っております。

 痛みがわからないということについての御質問ですけれども、基本的に、この政党助成金を分配するのは議員の数、それから得票の数ということで、国民の支持の度合いということで配分されるわけですから、痛みのわからない政党であれば、たくさんの議員さんもいないだろうし、投票も集まらないだろうしということで、やはり痛みがわかるからこそたくさんいただけるんじゃないのかなというようにも思うところでございます。

 いずれにしても、政党に対する公的助成ですけれども、議会制民主主義における政党の役割の重要性にかんがみて行われるものでございます。ですから、国民の血税から支払われるものでありますので、これを常に意識して、それを有効に活用する、そして国民の政治に対する期待にこたえていくべきであるというふうに考えます。

大口議員 お答えいたします。

 政党がいろいろな政治活動を行う、それには経費がかかるわけであります。そういう点では、個人献金というのも、これは非常に大事な要素であります。ただ、税制上のことはこれから手当てをしていかなきゃいけないなと思うんです。それから、企業・団体献金、党費、事業収入、そして公的助成、こういうものがやはりバランスよくあるということが大事だと私は思うんです。

 そして、公明党の場合は依存率一八・六%なんですが、やはり公明新聞をお願いするという場合も、これは中小企業の方あるいは個人の方にお願いをして購読していただいているということでございますが、そういうときに、本当に皆さんの今の生活に対する不安ですとかあるいはさまざまな痛みというものをお伺いしておるわけであります。

 そういう点で、痛みがわからないという御指摘については、私どもは痛みも十分感じつつ、さらに、こういう政党助成金をいただいているということからいっても、やはり政党の役割の重要性ということをしっかり考えて、国民の血税をいただいているということを常に認識して、そして国民の痛みにこたえていくよう努力してまいらなきゃいけない、こう思っておる次第でございます。

    〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(憲)委員 痛みがわかるから数が多いんだという葉梨さんの答弁でしたけれども、私が聞いたのは、六五%という非常に高い依存率になっているわけで、一体、個人献金を募っていくような、そういう努力というのはあったのかなと。したがって、税金からいわば懐に入るような状態で痛みがわかるのかなということを聞いたわけであります。

 次に、基金の問題ですが、政党助成金というのは毎年毎年交付されて政党活動に使われる。その助成金は、余ったら国に返すのは私は当たり前だと思っているんですが、これは余った場合、ため込んでいるという事例があるようですけれども、それは事実ですか、大臣。

門山政府参考人 お答えいたします。

 ため込んでいるという表現でございましたが、事実として申し上げますと、政党交付金を基金として積むことはできるわけでございます。

 平成十九年末の各政党本部分、それから支部分の基金残高、総額で申しますと、五十一億九千万円余りということでございます。

 各党別につきましては、お尋ねがあれば御紹介申し上げますが、総額のみ申し上げます。

佐々木(憲)委員 五十二億円もため込んでいるんですね。自民党三十一・六億円、大変な金額をため込んでいる。これは税金をため込んでいるんですよ、簡単に言えば。民主党は五・五億円、公明党九・二億円、社民党四・九億円、こういうものであります。

 私は、こういうものは国に返還すべきではないかと思いますが、提案者、いかがでしょうか。

葉梨議員 先ほどのはちょっと誤解を呼んだかもわかりません。やはり、痛みを我々もちゃんとわかるように努力をして、たくさんの議席をいただくような努力をしていくということの趣旨で申し上げましたので、誤解のないようにしてください。

 このため込みのことでございます。ため込みというふうに言われますけれども、今選挙部長から答弁がございましたのは、二〇〇七年分のそれぞれの基金にある残高ということでございまして、ため込んでということではございませんで、それを翌年に繰り越して政治活動に使っていくものであるだろうというふうに思っております。

 毎年毎年の配分額というのはそれぞれの年で決定されるわけですけれども、そこに残高があったときに、来年にこれを繰り越して政治活動に使ってはいけませんよという合理的な理由は私はないんだろうというふうに実は思います。つまり、政党助成金というのは予算ではございませんで、国の予算でも、例えば毎年三月になりますと無駄なことをやって、それで全部使い切るんだとかいうことがかつて言われて、無駄をしっかり撲滅していこうということの努力をしているわけですけれども、その次の年に繰り越しをして、それを政党としての政治活動に使うということは私は許されることなのではないかなというふうに思っております。

 したがって、基金の残高があるからといってそれを非難するということは必ずしも当たらないんじゃないかというふうに思います。

 ただし、政党が解散をしたときには、その政党に係る政治活動というのはなくなりますから、これはしっかりと返していただかなければならないというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 解散したときの問題は次の質問で行います。

 そこで、事実ですが、大臣、今まで政党助成金を返還した事例というのは一例でもあるんでしょうか。あるいは、返還を大臣は命ずることができるとなっておりますけれども、それはどういう要件があれば返還を命ずることができるんでしょうか。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 返還命令の実績といたしましては、解散のケースのものではございませんけれども、平成十五年分の使途等報告書について、平成十九年九月に報告書が訂正された結果、支部政党交付金について残余が生じたため、返還命令を行い、約二百五十五万円の返還を受けた例がございます。

 そして、現行の政党助成法において、今先生がおっしゃられた政党交付金の返還という観点で申し上げますが、政党がこの法律に違反して政党交付金の交付を受けた場合のほか、各年において政党交付金の残余金が生じた場合、ただし翌年に繰り越すための政党基金に積み立てた場合は残余金に該当しない、及び解散等の際に政党交付金の残余金が生じた場合について、返還命令の対象としております。

佐々木(憲)委員 過去に、今一例挙げましたけれども、これは玉沢徳一郎元農水大臣が領収書偽造ということで問題になりまして、その偽造分のみ返還した、これは二百五十五万円ということであります。

 今言われたように、現行法でも返還命令はできるわけです。ですから、今回法案を出してきた理由というのは、返還命令は今でもできるのに、なぜ新しく法案で出さなければならないのか、その理由を説明してください。

葉梨議員 返還命令はできるのにというふうに御質問でございますけれども、政党が解散をいたしましたときに、その政党支部はなくなってしまうわけですね。それで、解散前に政党以外の別の団体に対して寄附をするということが禁止されておりませんので、解散前に、解散が決定した後に、それを寄附して移しかえてしまうというようなこと。つまり、政党助成金の使い道で禁止されていることというのは、例えば借入金の返済ですとか貸し付け、ここら辺は禁止されているわけなんですけれども、他の政治団体に寄附をするということが禁止されていないものですから、それが行われてしまうと、その団体に対しては返還命令を行うことはできないということになってしまって、そこはバランスを欠いてしまうのではないかということで、今回法案を提出させていただいたわけでございます。

佐々木(憲)委員 さて、そこで過去の事例の点ですけれども、昨日の質疑の中で近江屋議員は、過去に解散直前に政党交付金をほかの政治団体に寄附した事例ということで挙げたのが、二〇〇三年九月二十六日の自由党の解党の例でありました。小沢一郎氏が党首であった自由党が、解党当日に約五億六千万円の政党交付金を当時自由党の政治資金団体でありました改革国民会議に寄附した、こういうことが報道され、現在この改革国民会議が小沢一郎氏の関連団体になっている、こう伝えられているわけであります。

 もう一つは、これも報道されているわけですけれども、一九九七年末に解党した新進党、これが受け取っていた政党交付金の残高は八十億七千万円もあったわけです。それが、自由党、新党平和、新党友愛、国民の声、黎明クラブ、改革クラブ、この六党に分配された。そのうち、新党平和、新党友愛、国民の声、黎明クラブの四党は、九八年中に解散したんです。つまり、九七年末に新進党が解党されて、もう存在していない。その後にこの六つの政党に分配されて、そして、そのうちの四つの党がその年のうちに解散をして他の党に合流をしたわけであります。

 このときの、党を六党に相続したことについて、当時の新聞は、「六党相続に異議あり 「国に返還すべき」」こういう大きな見出しで記事が載っていたわけでございます。

 そこで、例えば新党平和と黎明クラブが公明党に合流をしました。公明党は、新進党の解党の際の政党助成金をどのように引き継いだんでしょうか。

大口議員 私は、政党助成法の法案の提案者としてここに立たせていただいておりまして、公明党を代表する者でもありませんし、会計の担当でもないものですから、党を代表して答弁するということはできません。ただ、私が存知している範囲内ではお答えをさせていただきたいと思います。

 私は新進党に所属しておりました。そして、先生がおっしゃったように、平成九年十二月三十一日に解散をした。それで、おっしゃるとおり、これは六党が引き継ぎをした。私は新党平和に移りまして、新党平和が平成十年の十一月七日に解散して、そして公明党に引き継がれた、こういうことであります。

 そして、政党助成金につきまして、私が所属する経路でお話しいたしますと、これについては、政党が分割や合併によって解散した場合には、解散時に有する政党交付金については総務大臣に届けることによって後継政党に引き継ぐことができると政党助成法の三十三条の三項に規定があって、それにのっとって、私が移ったのは新党平和でございますけれども、新進党から二十三億のお金が行っておる。ですから、新進党八十億のうちの二十三億が新党平和に移っているということでございます。

 このときの分配をどういうふうに話し合ったのかとか、そのルールはとかというようなことについても、報道によれば、議員数によって分配をしたということのようでございます。

 平成九年の新進党解党時に、この法律の手続にのっとって、後継政党である新党平和など六党が政党交付金を引き継いでいるということでございます。そして、平成十年の新党平和の解党時も同様に、この法律の手続によって、後継政党である公明党に政党交付金を引き継いでいるということであります。

 それで、これは、新進党が解散して、そして六党に引き継がれたわけでありますが、ある意味では、新進党というものが分かれて分社したというような感じなんでしょうか、そういうふうな印象を受けるわけであります。

佐々木(憲)委員 何かよくわからない説明ですが、要するに、新進党が解党されたときに、新党平和が二十三億八百万円、黎明クラブが十一億二千三百万円を分配された。新党平和は、九八年分の政党助成金十五億二千八百万円の一部を加えて二十九億七千六百万円、黎明クラブが十一億二千三百万円。ですから、これは合計しますと四十億九千九百万円。つまり、四十一億円が公明党に引き継がれたということになるわけですね。これは、非常に巨額の国民の税金が引き継がれた。

 ところが、私、非常に不思議だと思うのは、前の年の十二月三十一日に新進党はもう解散して、次の年、一月一日からは存在しないわけでございます。一月一日の時点で存在していないこの党が、一月四日に六党の名称、所属議員などを確定し、その日のうちに新党平和と黎明クラブが結党大会を行っている。つまり、九八年の年頭にはまだ存在していない政党なわけです。つまり、一度解党されて存在していなかったわけですが、一月四日になって結党されたわけですね。これが、黎明クラブは一月十八日に公明に合同した。実際に助成金が振り込まれた二月には存在していないわけでございます。

 この新進党の解党の際の処理も、きのう大口議員が答弁された内容は、政党が解散する、すなわちその活動を終える際に残額があれば、これを国庫に返納すべきである、こういうふうにおっしゃっていたわけですから、当然、昨日の答弁のとおり、これは返納すべきものだと私は思うわけです。

 現在、厳しい財政状況に思いをいたすならばと答弁されましたね。税金の使い道を厳格にしろ、無駄遣いを省け、こう言っていました。返納逃れの脱法行為と言わざるを得ないような寄附を過去に受けた者の中には、政治家の良心に基づいて、おくればせながら国庫に返納したい、こういうふうに考える方もいらっしゃると思います、そういう答弁をされているわけですから、わざわざ法案に附則三条を設けて公職選挙法の寄附を禁止する規定を適用しないということにした、どうもこれはおかしなわけであります。この規定を活用し、自主的に国庫への納付をしてくれる良心的な方があらわれることを強く強く期待する、こういうふうに言われているわけですから。

 つまり、過去、解党した新進党、その残金八十億円を何で公明党が、莫大な、そのうちの半分ぐらいを引き継ぐようなことをやるんですか。昨日の答弁ですと、非常に力強く、国庫に返納すべきである、こういうふうにおっしゃったわけですから、これは当然返納すべきなんじゃありませんか。

大口議員 よく法律を、もちろん十分に佐々木委員は御理解の上であえてそういう御質問をされておると思うわけでありますけれども、今回の、新進党が解党する、それによって六党が引き継ぐ、こういう場合は政党助成法でも予定されていて、政党助成法の三十三条の三項で引き継ぐことになっているわけです。結党日も、平成十年の一月一日付だというふうに私どもは理解しておりますけれども。

 それで、昨日申し上げたのは、まさしく、この政党助成法では規制の対象となっていない、要するに、解散を決定して解散するまでの間に他の政治団体にこれを寄附する、こういうことについて、これは返納逃れではないかということで今回やったわけです。

 そして、附則の三条で、返納していただく場合に、これは寄附に当たるので公選法上の問題があるからそれを削除する、こういうことでありまして、この政党助成法三十三条の三項で認められているものと、政党助成法上規定されていないので今回規制をするということを、やはり委員十分御理解の上でそういう御質問をされていると思うわけでありますけれども、全く矛盾するところではない、こういうふうに考えております。

佐々木(憲)委員 当時も新聞でいろいろ報道されておりまして、分割された政党助成金というのはおかしいじゃないか、こういうふうに報道されているわけです。

 私は、政党助成金そのものが、これはもう制度として廃止すべきだと思っておりますが、国民の税金だから大変貴重なものであるというふうにおっしゃっていながら、解党しても国に返納はしない、こういうやり方というのは極めておかしいと私は思います。

 今度の法案も、合併等による解散のケースで後継政党に引き継ぐといった場合を除くというふうになっているんですね。何のための法律なんですか、これは。全然国に返納しないというようなことになるんじゃないですか。私は、事実上こういう形で政党助成金を受け継ぐような、こういう法律を出してくること自体、理解できません。

 次に、全面公開の問題に行きますが、実は、大口さんと、二〇〇七年の秋に、政治資金規正法改正案で、他党の議員と一緒に共同の議論をいたしました。その際に、我が党もそうだったんですが、公明党も自民党も、政党助成金の支出の全面公開、つまり、税金を原資にしているんですから使い道ぐらいは国民に公開しようじゃないかということで集約に当たりまして、そういう方向で改正しようという話がありました。

 ところが、土壇場になりまして、政党交付金の支出については公開の対象にしないということが言われて、何でそういうことをするのかなと。つまり、今まで、五万円以下の部分、一円までしっかり公開しようじゃないか、領収書の保存もちゃんとやろうじゃないか、こういうことでそのときは議論されていた。政党助成金はむしろそっちの方からやるべきだと私どもは思っていたわけです、税金ですから。それが、いまだに五万円以下が、やるべきものがそうなっていないですね。当時は、大口さんもやるべきだとおっしゃっていたんです。何で今回これを載せないんですか。

大口議員 懐かしいですね。佐々木委員とも連日のように議論させていただいて、一円以上の領収書の保存、原則公開というふうにさせていただいたわけでございます。政治資金規正法を改正したわけです。

 あのときはとにかく、国会の予算委員会でも事務所費の問題で、本当は予算のことをしっかり審議しなきゃいけないのに、国会議員の関係政治団体の事務所費等のことがあって、国民からまた一円以上という非常に強い強い要請があったわけです。ですから、あのときに我々は、共産党さんも賛否はともかくとして協力していただいて、政治資金規正法が改正されたわけです。

 そして、おっしゃるように、そのときに政党助成法につきましても、これは国民の税金であるから、こういう議論もありまして、それも行く行くはやっていかなきゃいけませんねと。ただ、あのときはやはり国会議員の事務所費問題が喫緊の課題でありましたから、ああいう形で合意できるなということで、政治資金規正法の改正をさせていただいたわけであります。

 というのも、政党交付金というのは、政治資金規正法の中でも、これは公認会計士等による厳格な外部監査を義務づけられているとか、そういう事情があることとともに、党が責任を持って使途等報告書も出すということをかなり、政党交付金につきましては党の大きな看板がありますから、適正にやらなきゃいけない、こういうコンプライアンスが働くこともあるということだったので、まずは事務所費、国会議員の関係政治団体の事務所費をやろうということで、政治資金規正法を改正したわけでございます。

 いずれにしましても、政党交付金につきましても、これは今後、各党各会派でこのことも議論していかなきゃいけないな、こういうふうに思っておりまして、民主党さんも含めてこの議論をしてまいりたいと思う次第でございます。

佐々木(憲)委員 〇九年度から国会議員の関連政治団体は一件一万円を超える全支出について収支報告書への領収書の添付が必要になり、一円以上の領収書の保存が義務として課せられる、こういう原則になったわけです。ところが、政党助成金は五万円以上のままなんですね。国民の税金を原資にしている政党助成金の方が五万以下は見えないわけです。これはおかしいんです、バランスからいうと。ですから、私は、こういうものこそ当然盛り込むべきだと思っておりました。今回それが載っていないのは非常に残念であります。

 いずれにしましても、この政党助成制度というものが、私は、国民の税金を原資にして各政党に配分するというこの仕掛け自体に大きな問題があると思っております。カンパをするというのは、個人個人の思想、信条の自由に基づいて行われるものであって、個人の自由なわけですが、それを一人二百五十円に割って政党にばらまく、ばらまくという言い方はいいかどうかわかりませんけれども、そういう税金の分け取りというのはいわば強制カンパだ。したがって、こういう制度は憲法の思想、信条の自由に反するものであるというふうに私は考えております。

 この制度を廃止した国として、例えば南米のボリビアがありまして、去年廃止しました。その廃止した金額、これはすべて障害者支援のために使います、こういう法改正をやったわけです。私は、日本でも当然そういうことをやるべきであると思う。政治家が、国民に痛みを伴う改革をやるんだというのであれば、政党助成金を廃止することこそやるべきであるというふうに思うわけでございます。そのことを主張して、質問を終わらせていただきます。

河本委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 きのうも少し触れたのですが、商品先物取引会社のオリエント貿易、現在は証券会社の子会社になっているようですが、このグループ五社が総務省に、与謝野財務・金融担当大臣、渡辺喜美元行革担当大臣の後援団体として届け出ていた政経政策研究会という政治団体が、実は企業献金のダミーではないのかという報道がされているわけです。もし事実なら、企業による政治団体を使った迂回献金とも言えるでしょう。

 総務省にお伺いしますが、この政経政策研究会による与謝野、渡辺両氏の関係する政治資金管理団体などに対する献金額、パーティー券購入額はどの程度あったのでしょうか。お答え願いたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 まず、与謝野馨議員の資金管理団体であります駿山会の平成四年分から平成十七年分までの収支報告書の要旨、これを官報で確認いたしましたところ、政経政策研究会からの寄附として記載されました金額は、合計で申し上げますと四千五百五十万円、政治資金パーティーの対価に係る収入として記載されました金額は、合計で九百八十万円となっているところでございます。

 次に、渡辺喜美議員の資金管理団体であります温故知新の会、この設立届がなされました平成七年分から平成十七年分までの収支報告書の要旨、これも同様に官報で確認いたしましたところ、政経政策研究会からの寄附として記載されました金額の合計は二千六百万円、政治資金パーティーの対価に係る収入として記載された額の合計は九百四十万円となっているところでございます。

菅野委員 両氏に対する実質的な献金額は、今の数字を足していくと九千万円を超えているわけで、大変に大きな額であると思います。先物取引会社が金融担当大臣経験者に迂回献金を行い、法改正の際に規制強化からの除外といった便宜供与を受けていたのではないかという疑問が生じてくるのは、私は仕方がないことなのではないかと思います。

 それはさておいても、天引きした幹部職員の給与を原資に充て迂回献金を行う、さらに、税制優遇制度を使って所得税控除も悪用されていたのではないかということまで報道されているわけであります。もし、報道が事実で、社員から自動的に天引きした給与を原資にして、政治団体による寄附を企業献金のダミーとしていた場合、政治資金規正法などの法令において具体的に違反する内容があれば教えていただきたいというふうに思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 まず、個別の事案につきましては、総務省といたしまして、具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 一般論としてでございますが、一般論として申し上げますと、政治資金規正法第二十一条の規定によりまして、「会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。」こういうことになっているという規定がございます。それから、同じく政治資金規正法の第二十二条の七でございますけれども、雇用関係を利用して威迫するなど不当に意思を拘束するような方法によります寄附のあっせん、それから、意思に反して賃金などから控除する方法で寄附を集めること、控除は先生がおっしゃった天引きということかと存じますが、そういう方法で寄附を集めることは禁止されているところでございます。

菅野委員 もう一つ、報道されている中身なんですが、これはどうなんですか。第三者名義による寄附あるいは企業献金の禁止という条項も政治資金規正法の中にあるというふうに私は思っていますし、そのことも報道されているわけですけれども、これは答弁はいいです、個別具体の事案ではなくて一般論でと言っていますけれども、やはり政治資金規正法が果たしている役割というのは非常に大きいわけですから、これに違反するよという部分を徹底して国民に知らしめていくということが、今日の反省の上に立って、私は総務省としての役割であるというふうに思うんですね。

 だから、ぜひ、政治資金規正法における、今回みたいな、企業献金を行いたいんだけれども企業・団体献金は禁止されているからダミーを使って行うという献金の方法、このことの違法性というのをしっかりと私は説明していただきたいというふうに思うんです。今の抽象的な答弁では、みんな、わからないんじゃないですか。再度答弁願いたいと思います。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、総務省といたしましては、個別の事案につきまして、具体的な調査権を持っているわけでもございません、また具体的な事実関係を承知する立場にもございませんので、個別の事案につきましてお答えをすることは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

 それで、先ほど、政治資金規正法の規定につきまして、一般論としての御説明を申し上げた次第でございまして、今御答弁できますのは一般論としての御説明ということで御理解賜りたいと存じます。

菅野委員 どうしてもまだ納得しないんです。

 一般論としてでいいんです。ただし、企業・団体献金は禁止されているんだと。その禁止条項を逃れるためにダミーの政治団体をつくって政治献金をするというこの仕組みというものは許されないことなんでしょう。さっきの政治資金規正法の中では、このことが許されないんだという具体的な中身は答弁していないというふうに思うんですけれども。一般論でいいんです。再度答弁願います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、先生おっしゃいましたように、政治資金規正法で第二十一条という規定がございまして、会社などの団体、これにつきましては、政党あるいは政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならないという禁止規定はございます。

 ただ、先生がダミーの政治団体とおっしゃった点でございますが、これは、政治団体の実態をどういうふうに考えるのか、ダミーというところがどういうことを意味するかというのは、まさに事実をどう見るかという問題にかかわってくるものでございますから、ちょっとその点につきましてはお答えは差し控えさせていただきたいという趣旨で申し上げたわけでございます。

菅野委員 ダミーという、例えば具体的な事例がなければそのことの善悪は申し上げられないという答弁ですけれども、企業・団体献金は禁止、そしてそれを逃れるために、例えば企業が社員から集めた金を、具体的に政治団体をつくって、集めた金を政治団体に集めて、そこから、政治団体からやるというこの仕組みというものは、今日の政治資金、きょう、今の委員会で議論している大きな問題点として浮かび上がってきている、そして西松建設の問題もこの政経政策研究会の問題も同じ構図なんだと。こういう一連のものに対してどう対処していくのかというしっかりとしたもの、総務省としての方針というものを明らかにしていくことが私は大切なことなんだというふうに思っています。

 それでは、これ以上は平行線ですから次に移りますけれども、政経政策研究会の所在地がオリエント貿易株式会社内とされていたと報道されています。

 総務省、都道府県選管に届け出されている後援団体のうち、所在地を企業内に置いている後援団体の数がどれくらいあるのか、もし総務省で把握できているのであれば、その数を教えていただきたいと思います。

門山政府参考人 国会議員が関係いたします後援団体の中で、所在地が企業に置かれているという、おっしゃっておられます質問の意味するところが必ずしも明確には理解できないのでございますけれども、国会議員関係政治団体につきまして、その主たる事務所というのはございます。その主たる事務所の所在地というのも届け出られるわけでございますが、これと、日本じゅうにたくさんございますすべての企業などの本社ですとか事業所等の正確な住所の把握、これを照合するということは、ちょっととても無理だというふうに考えておりまして、私どもとしては把握いたしておりません。

菅野委員 昨年の十二月、それからことしの三月までですか、国会議員関係政治団体というものがしっかり届け出なされて、私もその議論に関与したんですけれども、かなり整理されたというふうに思っています。調べようと思えば、今の状況の中で、私は調べることが可能だというふうに思っています。すべて総務省あるいは都道府県選管に届け出しなければならなくなったというのは事実ですからね。

 そして、そのことによって、一円以上の領収書は国会議員の関係する政治団体は保管しておかなければならないし、そして一万円以上ですか、それは領収書を添付して報告しなければならないという状況ですから、その住所、所在地がどこにあるのかというのをしっかりと把握しておくべきだということを私は申し上げておきたいというふうに思います。そういうことをしっかり行いながら監視していくというのも役割ではないのかなというふうに私は思っています。

 今は把握できていないということですが、今後、そのことを後で調べて報告するということはできますか、できませんか。このことだけ教えていただきたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、国会議員関係政治団体につきましては、その主たる事務所の所在地というのを届け出ていただくことになっております。ただ、それはまさに事務所の所在地を届けていただくということでございまして、その所在地が、別の団体であります企業などの、例えば本社なのか事業所なのかということまで届け出ていただくという仕組みにはなっておりません。

 といたしますと、では総務省がすべての企業などの本社、事業所の所在地の住所というのを正確に把握できるかということになりますと、これは御推察いただけますとおり、ちょっと無理だ、不可能だというふうに考えられますので、そういう意味では、ちょっと調べることがそもそも困難な御提案ではないかというふうに考えております。

菅野委員 わかりました。

 私は、今日の問題が、一昨年の政治資金規正法の改正によってなくなればいいなというふうに思っていますけれども、やはり、幾ら政治資金を規制していっても、抜け道を探していくというのが今日の状況を招いているわけですから、ぜひ抜け道というものをふさいでいくような方向で取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 次の質問に移りますが、後援団体に個人献金をした者には、租税特別措置法で所得税の一部が控除されます。その場合には、総務大臣が、後援会を通じて発行される寄附金控除のための書類に判を押して交付するものと承知しております。

 この政経政策研究会には、過去数年間、この寄附金控除のための書類が交付されていたかどうか、お答え願いたいというふうに思っています。

門山政府参考人 寄附金控除のための書類の交付に関してのお尋ねでございます。

 若干説明させていただきますと、寄附金控除のための書類というのは、政治団体の方から出していただきまして、私ども総務省なりあるいは都道府県の選挙管理委員会が、その内容がきちっと収支報告書なりと合っている、形式的に整っているということを確認いたしまして、確認の印鑑を押してお返しする、こういうシステムでございます。そのお返しするということを交付というふうにとらえますと、政経政策研究会への寄附者に係ります寄附金控除のための書類につきましては、平成十七年分、十八年分、十九年分を確認いたしましたところ、いずれの年におきましても交付されているという状況でございます。

菅野委員 やはり昨日同じような質問があって答弁されていますけれども、件数はどのようになっていますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政経政策研究会に交付いたしました分でございますが、平成十七年分が二百五十七人、二百五十七件ということでございます。平成十八年分が百五十一人、平成十九年分が六十五人という数字になっております。

菅野委員 きのうもこのような質疑がなされたというふうに思います。その後、寄附金控除のための書類がどのように使われたのかというのは総務省としては関知していないわけですから、それ以降のことは聞いてもわからない、政治団体の方でどう使ったのかということはわからないと言うしか答弁はないと思うんですけれども、まさにこのことなんですね。企業内に政治団体をつくって、そして最終的には、寄附金控除のための書類の交付を受けて確定申告時に税額控除をしていくという状況があるわけです。もしこの制度が悪用されているということが表面化すれば、私は大きな問題に発展するわけだと思います。

 それで、与謝野、渡辺両氏に対する政経政策研究会の寄附が制度を悪用していたと決めつけるわけではないのですが、一部報道にあるように、寄附の税制優遇制度が悪用され、さらに政治団体をダミーにした企業献金が事実だとしたら、私は大きな問題だというふうに思うんですが、総務大臣、この一連の経過を踏まえて、今の質疑を踏まえて、大臣としての今の考え方をお聞きしておきたいと思います。

佐藤国務大臣 先生の御趣旨は理解しているつもりでございますけれども、総務省として個別の事案について具体的事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えたいと思いますが、一般論として、政治資金の授受についてでございますけれども、法令にのっとって適正に行われなければいけないというふうに思っております。

菅野委員 与謝野大臣は、後援団体がどのようにして資金を集めたかについては知らない、献金の返却もしないと述べていると思います。

 しかし、後援団体になるには、推薦や支持を受ける政治家が総務省や都道府県選管に被推薦書を届けることになっているはずです。したがって、応援してもらう政治家も後援団体の活動内容や資金の集め方に責任の一端を負っていると考えるのが普通ではないかと思います。

 その点、お金の集め方まで知らないというのはちょっと無責任ではないかと思います。少なくとも、与謝野大臣や渡辺元行革大臣は、後援団体がどのようにして資金を集めていたのか、本当に幹部職員の同意を得て給料から天引きが行われていたのか調べるべきだと思うわけですが、総務大臣、もし報道のように後援団体の側に違法行為があったとした場合、献金を受けていた政治家の側に責任が生じると思いますか。一般論でいいですから、お答え願いたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられているのは道義的な責任ということではないかなというふうに推察をさせていただいてお答えを申し上げたいと思いますが、道義的責任ということになれば、具体的にはそれぞれの政治家が判断すべき問題だというふうに思います。

 今時、政治資金についてさまざまな報道、批判がされております。今、一般論というお話がございましたけれども、国民に信頼される政治を行うためにも、政治家一人一人が襟を正すということがまずは大切だというふうに思いますし、また、政治資金については法律にのっとり適正に処理されることが肝要と考えられます。

 今後とも、政治資金の適正な処理と透明性を確保し、政治に対する国民の信頼を得られるように努めていく必要があるのではないかなというふうに思います。

菅野委員 一般論でのお答えですが、私は、原点はどこにあるのかということだというふうに思います。きのうも言ったんですけれども、そして本日、公明党の佐藤さんも話しているんですが、やはり政治倫理綱領というのをみんなもう一回、国会議員がしっかりかみしめるべきだというふうに思うんですね。「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」私は、ここに原点があるというふうに、原点というか行動指針があるというふうに思うんです。このことがずっと果たされてこないから、ここで、倫選特でこういう議論をしなければならない。

 きのうも言ったんですが、毎回この委員会が開かれるたびに、本当の意味での法案審議じゃなくて、疑惑追及みたいな形でこの特別委員会が開かれているということに対して、私はじくじたる思いを常にしているというふうに思います。建設的な議論をやろうにも、一人一人がみずからの責任において説明責任を果たすということが行われていない、そして、ここでこういう議論をして初めて直っていく、こんなスタイルというのは、私は政治倫理綱領にももとることだというふうに思っております。

 最後になりますけれども、西松建設を通じた政治団体からの献金やパーティー券の購入もそうですが、ここのところ、政治団体をダミーにした企業献金の疑惑が取りざたされているわけです。昨日も意見を述べたわけですが、この間、少しずつ企業・団体献金の規制を行ってきました。昨年は、事務所経費問題を通じて、各党が相談して、政治資金の出口について規制もしました。

 しかし、またぞろ企業献金の疑惑が出てしまう現状では、企業・団体献金は全面的に禁止する、さらに、政治団体の献金が企業・団体献金の隠れみののようになっているという疑惑も取りざたされている中では、政治団体による献金のあり方も検討の余地があるように思います。

 この点、大臣の率直な認識を最後にお聞かせ願いたいと思います。

佐藤国務大臣 政治資金そして献金のあり方については、これまで数次にわたりまして法改正が行われ、そして、企業・団体献金については、現在、政党、政治資金団体に対してのみ認められているということになっております。一方、企業・団体献金につきましては、最高裁の判決でも、企業は、憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を持つことは認められているというふうに判断が下されております。

 いずれにいたしましても、政治資金については、何回も申し上げますが、法にのっとって適正に処理をされることが肝要というふうに思いますが、政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連していることから、各党各会派において御議論をいただくという、いつものとおりのお答えで恐縮でございますけれども、そういうことでよろしくお願いしたいと思います。

菅野委員 最後に、委員長に要望申し上げておきますけれども、きのうきょうと多くの時間をかけて、公職選挙法の一部を改正する法律案そして政党助成法の一部を改正する法律案を審議してまいりました。一日も早いこの二法案の採決というものを行うよう要望して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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