衆議院

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第3号 平成22年11月12日(金曜日)

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平成二十二年十一月十二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 松崎 公昭君

   理事 青木  愛君 理事 階   猛君

   理事 手塚 仁雄君 理事 松崎 哲久君

   理事 柚木 道義君 理事 赤澤 亮正君

   理事 西野あきら君 理事 富田 茂之君

      相原 史乃君    石井登志郎君

      大山 昌宏君    太田 和美君

      岡田 康裕君    柿沼 正明君

      笠原多見子君    勝又恒一郎君

      金子 健一君    桑原  功君

      小林 正枝君    小室 寿明君

      白石 洋一君    高井 崇志君

      高橋 英行君    中後  淳君

      津島 恭一君    永江 孝子君

      橋本  勉君    畑  浩治君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      宮崎 岳志君    谷田川 元君

      あべ 俊子君    伊東 良孝君

      加藤 勝信君    北村 茂男君

      齋藤  健君    平  将明君

      松野 博一君    東  順治君

      佐々木憲昭君    中島 隆利君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     小林 正枝君

  川越 孝洋君     金子 健一君

  高橋 英行君     永江 孝子君

  畑  浩治君     津島 恭一君

  武部  勤君     平  将明君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     川越 孝洋君

  小林 正枝君     相原 史乃君

  津島 恭一君     藤田 大助君

  永江 孝子君     高橋 英行君

  平  将明君     武部  勤君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     畑  浩治君

    ―――――――――――――

十一月十一日

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一一号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一一号)(参議院送付)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

松崎委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長田口尚文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西野あきら君。

西野委員 自民党の西野あきらでございます。

 片山大臣とこうして議論をさせていただくのは、私も、政治生活、地方議員を含めますとことしで三十五年になるんですが、実は初めてでございます。よろしくお願いしたいと思います。

 片山さんは、御案内のとおり、鳥取県の知事時代は、いわば改革知事として、大変定評のある発言を多くなさっておりますし、思い切った方策で、私どもも、鳥取ではありません、大阪におりましたけれども、非常に注目をし、期待をしておったところでございます。

 その後、大学の教授に就任をなさいました。教授の時代も、さまざまな形で政治、社会の問題に対して意見を具申されております。とりわけ月刊誌とか雑誌等にも多く投稿なさっておりまして、その内容を見ますと、非常に当を得た、すばらしい、示唆に富んだ発言をなさっておりまして、そういう意味では、国民からも大いに、いろいろな意味で期待をされておったと思います。

 それで、今回、いわば国民の輿望を担ってといいますか、総務大臣に就任をなさったわけであります。

 御案内のとおり、当委員会は、政治倫理の確立及び公職選挙法に関する特別委員会であります。政治倫理の確立でありますから、そこらあたり、時間の関係もございますので、当面の課題についてお尋ねをしたいなというふうに思っております。

 その一つは、小沢一郎さんでありますが、小沢さんの政治資金管理団体陸山会が二〇〇四年に東京都世田谷区の不動産を購入されました。その代金の支払い額は三億五千二百万、当然ながら支出をなさったわけであります。ところが、政治資金の報告書にはそのことが記入されておりません。

 そこで、この問題を私どもは陸山会事件と称しておりますけれども、この事件で、ことしの二月の四日に会計責任者とあわせて事務担当者が、石川知裕さん、現衆議院議員でありますけれども、それぞれ逮捕されて、そして起訴されたわけであります。

 それで、小沢さんは、代表者ではあったんですが、嫌疑不十分ということで起訴はされなかったわけですね。ところが、先般、東京の第五検察審査会におきまして、二度にわたって、起訴が相当であるということで議決をされまして、恐らく近々に強制起訴されて裁判が始まるだろう、このように思っておるところであります。

 そこで、大臣にまずお尋ねをいたしたいことは、これは参議院でも少し議論があったようでございますが、二月二十七日の週刊ダイヤモンド、この一面に片山さんが、タイトルは「「陸山会」の土地購入はやはりおかしい」、三行目あたりに、「小沢氏本人が不起訴処分に終わったことに対し、なにやら釈然としない印象を持つ者は決して少なくない。」こう冒頭に記述をなさっているわけであります。私どももそう思います。

 これにつきまして、現在、教授から所管大臣に就任をなさったわけでありますが、これについての考え方というものは今もっても変わらないのかどうか、このとおりなのかどうか、この辺につきまして、まず大臣にお尋ねします。

片山国務大臣 その週刊ダイヤモンドに私は久しく連載を持っておりまして、その一回分といいますか、それに一つのテーマとして書いたわけでありまして、その当時私が感じましたことを素直に書いたものであります。そのとおりとして受け取っていただければと思います。

西野委員 そのとおりでございますから、恐らく、多くの国民も釈然としないものがあるのかなと。このとおりである、私もそう思います。

 もう一つ、その投稿の後の方に、「ことほどさように、小沢氏と土地をめぐるこのたびの事件は根の深い問題を提起している。にもかかわらず、民主党はこれらのことにいっさいメスを入れようとせず、口をつぐんでしまった。そのことに多くの有権者が違和感を抱いていることを民主党はよく知るべきである。」このようにも書いていらっしゃる。

 民主党に対してのことだと思いますが、現在の立場にありましても、当然ながら、このことについては同じ考え、印象をお持ちでございますか。

片山国務大臣 この号に限らず、その当時の私の気持ちを書いているわけでありまして、その当時の気持ちとして素直に受け取っていただければと思います。

西野委員 中身をおっしゃらずに、お答えだけで、そのとおりだということでありますから、どうぞひとつ、大臣になられても、大臣だけにとどまらず、多くの国民がやはりそう思っていると思うんですね。私ども国会議員も多くはそう思っている、このように思います。

 そこで、さらにお尋ねをしたいのでございますが、別の雑誌がありまして、「公研」五月号、四十九ページでございますが、ちょっと読みますと、途中からでございますが、ここには、「公正さや透明性、説明責任ということが民主党らしさだと思います。こういうのをかなぐり捨てて、」「民主党らしさに期待した有権者を離反させることになると思います」、要するに、説明責任とか公正さ、そういうものを問うのが民主党である、こう期待しておったが、有権者はそういうことでなければ離反していく、こういう発言があるわけでございます。

 まさしく私もそうだと思いますが、今日、小沢さんは、司法の問題だからということで、行政の機関でするのはいかがなことかというような御発言をされている由でございますけれども、やはりこの国会で十二分に、みずから招致を受けて、出て、そしてそこらの内容についての説明責任というものを大臣がおっしゃっているようなことで果たすべきだ、こう思って、私どももかねてから要求、要望をいたしておるわけであります。

 現在の大臣というお立場であっても、国会において説明責任を果たすべきだ、このように思っていらっしゃいますか、大臣、お尋ねします。

片山国務大臣 この公正、透明性、説明責任というのは、私自身が知事をやっておりましたときから、非常に大切にしてきている事柄であります。これは一般論としまして、政治に携わる者は、この公正さ、透明性、説明責任というのは常に大切にすべき原理原則だろうと思っております。

西野委員 今お答えになりましたとおり、知事時代もすごかったんですよね。

 例の中部ダムの建設を中止なさった経緯が、当時、その担当部長に対して、今後もしもその担当部長が言っていることがうそであるということがばれたらこれは承知しない、今ここで白状すれば過去のことは問わないというふうに詰め寄られたわけであります。

 このことは、ダム建設という問題が、いわば河川改修よりも割安だと主張する担当部長がおったわけであります。その後、調べられたら、ダムの事業費は恐らく四半世紀前の単価だったんでしょうね、それで河川改修の方を大幅に水増しをしているようなことをみずからその担当部長に告白させたわけであります。

 これはまさにトップとして、言うはやすしで、ここまでは通常はなかなか難しい。にもかかわらず、片山さんは見事にこれを追及されて、担当部長からそういう告白をさせた、私は一種の武勇伝のように今も思っているわけであります。

 今お示ししたように、これだけの勇ましい、元気のある、これは悪、これは正しいという点をしっかり追及された知事時代の業績といいますか活動というものは大したものだというふうに思いますだけに、今、大臣というお立場になられた片山さんがその当時のころと同様に、しっかりと国民に向かって、この小沢さんの政治と金の問題に対しては、国会でも政治的にも道義的にも十分説明をすべきだ、多くの国民がそう思っているというふうに思いますので、ぜひ、そのお立場から進言されることを望みたいと私は思いますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 鳥取県で私がやりましたことをるる御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 私は今、総務大臣でありますので、やはり総務省の中において、ダム建設はしておりませんけれども、その組織の中で透明性でありますとか公正さでありますとか説明責任というのは私自身も果たしたいと思いますし、部下職員の皆さんにも果たしてもらいたい、そういう指導をしているところであります。

 小沢さんの問題について幾つかお話がありましたけれども、これはもういろいろなところで議論されておりますけれども、やはり国会でありますとか、それから御本人がどういう出処進退をされるかということでありますので、総務大臣である私がこういう席でどうこうということはなじまないと思いますので、答弁は控えさせていただきたいと思います。

西野委員 かつてそれだけの、一種の正義感に燃えての御発言があって、行動をとってこられた。大臣になったからそれはなじまないというのは、それは進言をなさる直のお立場ではないかもしれませんけれども、やはり民主党を中心とする内閣の一員であるわけでありますから、主要閣僚であるわけですから、折に触れてそういう形でぜひ進言をすべきだ、それが片山さんのよさであり、国民の期待する像ではないのかな、このように私は思うわけであります。

 そこで、ちょっと具体のことをお尋ねしたいんですが、政治資金規正法に書かれている虚偽記載というのは、いかなる行為をしたときに適用されるのか、そしてそれはどのような処罰を受けるのか、いわば成立要件と処罰について、政治資金を所管する大臣としてお尋ねします。

片山国務大臣 恐らくお尋ねは、政治資金規正法の中で収支報告書の虚偽記載ということがあった場合についてのことだろうと思いますが、政治資金規正法におきましては、故意または重大な過失によって、収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者または虚偽の記載をした者については、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するという旨の定めがございます。

西野委員 ちょっと角度を変えまして、大臣、片山さんの前任の原口前総務大臣ですが、この方は、NTTの労組の政治団体でありましたアピール21から五百万円の寄附を受けられた。しかし、それは記載しなかったということで問題になったんです。この件は、要するに記載漏れであったということで訂正をされて、いわば虚偽記載罪というものにはならなかったんですね。

 ということになりますと、小沢さんのこの陸山会の寄附の不記載の問題、これと今申し上げた前大臣の原口さんの記載漏れと、どう違うというふうに思われますか。

片山国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたけれども、政治資金規正法の規定の中では、故意または重大な過失というのが一つの構成要件になっておりますから、これをめぐってその認否が行われるということだろうと思います。

西野委員 まさしく虚偽記載罪の成立要件というものは、故意であったかどうか、あるいはおっしゃったとおり重過失があったのか。つまり、陸山会事件でいえば、代表者である小沢さんが、虚偽の記載を行ったことのみずからが認識があったのかどうか、それを認めておったのかどうかということと、あるいは、全く知らなかった、そのことに対して重大な落ち度があったのではないかというところが問題であろうというふうに思うわけです。

 世論は、単なる事務的なミスでというわけにはいかないと思うんですね。やはり、故意か重過失であった、これにはまず間違いない、これだけの金額でございます、この辺を私どもはこれからしっかりと聞きたいんです。聞くべきなんです。それが国会の役割でもあるというふうに思います。

 したがって、我が倫選特におきましても、理事会、理事懇等を通じて委員長にも申し上げておるわけでございまして、ぜひ、小沢さんがこの国会に出られて、その招致を受けて、明らかにして、国民にその疑問というものを払拭すべき役割があるというふうに思いますし、国会はそれをただすべきだ、このようにも思っておるわけでありまして、当委員会におきましても、そのあたりの招致についての御検討をお願いしたい、このように思います。

 そこで、鈴木副大臣もお越しをいただいておりますので、副大臣にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 その後、御党の岡田幹事長は、再度にわたって小沢さんに、例えば予算委員会か政倫審かわかりませんが、国会の場に出席をしなさいということを要請されるように私どもは報道で仄聞をいたしておるわけでありますけれども、鈴木副大臣は、党人として、この倫選特の担当の副大臣として、小沢さんが国会に出席をされる、招致をするということに対しては応じるべきだと思いますか、どうですか。

鈴木(克)副大臣 御答弁させていただきます。

 小沢議員が国会に出席をして、御自身の政治資金をめぐる問題について説明する責任があるかどうか、おまえはどう考えるか、こういうことだというふうに思います。

 御案内のように、仮に国会において説明をするとした場合に、証人喚問であれば国会が、そしてまた、政治倫理審査会であれば政治家本人が判断すべきだ、このように心得ております。

 したがって、私自身の考えについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、今後、裁判、司法の場でそれが争われていくということになると思います。そこをある種見守っていきたい、このように考えております。

西野委員 鈴木副大臣は、招致についての考えは差し控えたい、その後の推移を見守っていきたいと、やや他人事のようにおっしゃっているわけでございます。もう少し能動的におなりになった方がいいのではないかな、このように思います。

 ちょっとお尋ねしますけれども、鈴木副大臣は、政治資金管理団体、穂の国というんですか、三河政経研究会、昨年の平成二十一年度、陸山会から五百万円の寄附を受けていらっしゃいますね。さらに、あなたが代表をお務めになっている政治団体、一新会というのがございますね。これには、平成十八年に陸山会から一千七百二万三千八百三十一円の寄附を受けているということがこの報告書に出ておるわけでございます。

 これはやはり、今後これがどういう展開をするか、私どもも注意深くしっかり見守っていかなければいかぬわけでありますけれども、陸山会の政治資金にかかわります実態が明らかになっていきますと、ここでまた、いろいろと道義的にあるいは政治的に御判断をなさらなきゃならぬ事態が出てくることも考えられると思うんですね。

 ですから、いわばそういうお立場にいらっしゃるわけですから、これだけ、一千七百万、五百万というのがあるのでございますけれども、その疑いのあるものは今からきれいに払拭する意味で、むしろ、これらはもう返還されたらいかがですか。私はそう思うんですが、いかがですか。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 いずれにいたしましても、今議員おっしゃったのは事実であります。政治資金規正法にのっとってきちっと公表をさせていただき、もちろん、しかるべき監査を受けて私ども公表させていただいておりますので、今現在の段階で返金どうのこうのということは考えておりません。

西野委員 今後の展開を見て、いや、御指摘を受けたあのときに返還しておけばよかったななんということにならないことを逆に期待しておきたいというふうに思っております。

 そこで、再び大臣と、あとまた、できましたら副大臣にもお尋ねしたいんですが、企業・団体の献金の問題であります。

 民主党さんは、衆議院選挙の直前のマニフェストで、こう書いています。

 法を改正して、三年後からの企業・団体献金を禁止する。その経過措置として、国、自治体と一年に一億円以上の契約関係にある企業等の献金、パーティー等の券を購入することを禁止する、こういうことを明らかにマニフェストに記入なさっているわけであります。

 この間の参議院選の直前にも、おおむね同趣旨のことがマニフェストに書かれているわけであります。

 ところが、御案内のとおり、先月、十月の二十六日でございますか、今度は矛先を変えまして、一件当たりの契約が一億円未満の団体からの献金を解除する、解禁する、こういう方向を打ち出されたのでございます。選挙前のマニフェストと趣旨がどうも違うな、方向転換だな、このように思うのでございます。

 そこで、大臣にお尋ねしたいのは、また投稿されました記事で恐縮でございますけれども、ことしの六月二十六日、週刊ダイヤモンドにこういうものがあります。

 大きなタイトルで、「さて、民主党は本当に変われるのか」。その中身をちょっと紹介しますと、「権力を獲得した民主党はさっぱり国民の期待に応えてくれない。特定の業界との隠微な関係を断ち切ろうとするのかと思いきや、」「多くの業界を自党の陣営に引き入れようと躍起になっている。」というくだりがあります。

 まさにこのとおりだと私も思うのでございますけれども、こういうところからして、本当に企業・団体等からは一切寄附を受けない、こうお約束なさったものが、いやいや一億円以内についてはいいんだと、一年強で方向を変えられるということ、こんなことで本当に大臣が書かれたとおり民主党は変われるのか。「国民の期待に応えてくれない。」とおっしゃっているところに当たるのではないかというふうに思いますが、大臣、これの御発言等含めて、企業・団体の献金についての方向転換はいかがお考えでございますか。

片山国務大臣 今御指摘の問題といいますのは、二つの側面があると思います。法的な側面と、それから、政治的といいましょうか、そういう方面の問題とがあると思います。

 法的な問題でいいますと、現行の政治資金規正法におきましては、企業・団体献金というのは認められているわけです。もちろん、制約とか条件はありますけれども認められているわけでありまして、そのこと自体は問題はないと思います。

 もう一つの、マニフェストにこう書いてあって、それを今後こうするどうするという話は、これは法的な問題の外の問題でありまして、これについては、該当の政党がそれぞれ説明責任を果たされるべき問題だと思います。

西野委員 今、恐らく大臣は政党人ではないと思いますので、確かに両面あるわけでございますが、やはり政治家として、公党として、これでいいのかなと、私は大変疑うわけであります。

 そこで、党員であります鈴木副大臣は、このマニフェストの中身を変更されたことにつきまして、どう受けとめていらっしゃいますか。

鈴木(克)副大臣 今議員おっしゃったように、昨年の九月のマニフェストで、私どもは企業・団体献金の禁止ということは確かにうたったわけでありますが、ただ、その中身は、いわゆる「政治資金規正法を改正し、その三年後から企業団体の献金及びパーティー券購入を禁止する。」「当面の措置として、国や自治体と一件一億円以上の契約関係にある企業等の政治献金・パーティー券購入を禁止する。」と掲げているところでございます。

 今回受け入れを再開するという決定につきましては、契約額一件一億円未満の企業等からでありまして、マニフェストに抵触するものではない、私はそのように考えております。

西野委員 しかし、概して企業・団体の献金は受けないと国民に約束をされて、選挙が終わってしばらくしたら、ただし一億円以下については大丈夫だというのは、これは国民がどう理解をしますかね。私は、やはりマニフェストの方向転換である、このように思いますし、相当のトーンダウンをしているなというふうに思いますから、これは国民が厳しい批判をするのは当然だろう、私たちはこのようにも思っておるところであります。

 そこで、最後に大臣にお尋ねをしたいことがあります。

 それは、まことに古い話で恐縮なんでございますが、平成十一年に、八月の九日でございますが、衆議院、その後参議院において、国旗そして国歌に関する法律というものが成立をいたしたわけであります。

 そのときの賛否の数は、賛成が四百を超えまして、当時は五百人定数があったと思いますが、四百を超えたんです。反対は八十六票ほどあったわけです。その中身で、当時の民主党さんは、国旗・国歌に対しては自主投票なさいまして、賛成が四十五票、反対が、一票多いだけなんです、四十六票。いわば党内の意見というものがちょうど案分された、こういう結果が出たわけなんですね。

 そこで、お尋ねしたいことは、もちろんその後、日にちがたっているわけでありますが、大臣は、この国旗・国歌というものに対して、今でもこの法律は、国旗はやはり日章旗で、国歌は君が代であるということに対しては賛成をなさいますかどうかという問題が一つですね。

 それと、昨年の総選挙の直前、具体的に言えば二〇〇九年八月の十八日、四十五回総選挙の直前なんでございますが、鹿児島県の霧島市で民主党の集会が開催をされました。このときに、どういうわけか、日章旗を切り刻んでそれを継ぎ足したというような報道を私は知ったわけであります。これはけしからぬ話だなというふうにも思うのでございますが、まことにもって残念なことであります。

 我が国では、国旗の扱いに対して、処罰というものはありません。しかし、諸外国では、国旗に対する尊敬の念を持つということに対しては、非常に大切に扱われておるわけであります。

 こんな事件もあって、私は非常に残念に思っておるわけでございますので、大臣のいわば国家観の中の一面を聞く意味で、この日章旗あるいは国歌というものについては賛同されているのか、あるいは、これらの事件があったことも含めてどうお考えになりますか、その国家観の一端として御意見を聞かせてください。

片山国務大臣 国旗・国歌というのは、これは私の考え方でありますけれども、国民の統合の象徴だろうと思っております。したがって、国民として、その国旗に敬意を表し、そして国歌を胸を張って歌うということは、私は当然だろうと思います。

 ちなみに、国旗・国歌に関する法律の制定、平成十一年のときのことを少しお話しになられましたので、私も当時知事をやっておりまして、その国旗・国歌の法律が制定されようとしているときに、実は県議会でやりとりがありました。

 取り寄せてくれた人がおりますので、今手元にありますので、ちょっと私ごとながら御紹介しておきますと、これは鳥取県議会の平成十一年の九月の定例会でのやりとりで、質問者は川上義博さんといいまして、私と同じ名前ですけれども、今民主党の国会議員をされておりますが、この方から国旗・国歌法の成立の評価について質問がありました。

 それに対して私がどう答えているかといいますと、るる長い歴史の中で既に慣習として定着しているということを述べた後で、「国旗・国歌は、いずれの国でも国家の象徴として大切に扱われておりますが、今回の法制化を契機として、我が国においても国旗・国歌についての理解がさらに深まるものと思いますし、我々の国について見詰め直すよい機会になればと考えております。」かように答弁をしているところであります。

西野委員 また機会がありましたら、私はぜひ、すばらしい今日までの活動と発言をされておりました片山大臣に、その後も頑張っていただきたいというふうに思いますが、やはり国会においても、どうぞ、その立場が変わっても、思うところはしっかりと主張なさることがむしろ大臣として多くの評価を受けることになるだろうと思いますので、そういう考えでひとつこれからも精進をしていただけたら大変ありがたいというふうに思っております。

 また機会を見て、国家観の問題については議論をさせていただきまして、きょうの質問を私はこれで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 委員長とは新進党で一緒に活動して以来、委員長に御就任、本当におめでとうございます。

 また、大臣、副大臣、政務官、それぞれ地方自治の経験豊かな三名の方とこういう質疑ができるというのは大変うれしく思うんですが、きょうはちょっと地方自治の質問はしませんので、私も西野先生と一緒に、政治と金の問題について、二十分時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 鈴木副大臣、政治倫理綱領は御存じですよね。どんなことが書いてあるか、覚えていらっしゃいますか、ちょっと質問通告していないので申しわけないんですが。

鈴木(克)副大臣 大変恐縮であります。政治資金規正法は承知をしておるんですが、そちらの方については今存じ上げておりません。

富田委員 実は、衆議院手帖に、政治倫理綱領が後ろから四十九ページ目に書いてあるんですね。ここに書いてあるということは、衆議院議員、まあ参議院議員の手帖にも多分書いてあると思うんですが、この政治倫理綱領は、議員である以上は、常に自分の手元に置いて、この綱領に反しないようにということで多分この手帖に書かれているんだと私は思いますし、昭和六十年にこの政治倫理綱領ができたとき、政治倫理綱領をつくろうということでリーダーシップをとられたのは実は小沢一郎議員であります。当時、小沢さんは衆議院の議院運営委員長でした。いろいろ政治と金の問題が起こる中で、政倫審もつくられ、この政治倫理綱領もつくられた。

 手帖を見ていただくと、政治倫理綱領にはこういうふうに書いてあります。

  政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。

  ここに、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の健全な発展に資するため、政治倫理綱領を定めるものである。

ということで、五項目書いてあります。

 そのうちの第一項目めは、

  われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。

 四項目めに、

  われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

こういうふうに書いてあります。

 我々野党を中心に、小沢さんに、政治責任また道義的責任があるんだから国会できちんと説明してもらいたいというふうに要求している根拠は、この政治倫理綱領にもあると思うんですね。やはり、政治倫理に反する事実があるとの疑惑が持たれていることは間違いないと思うんですよ。

 小沢さんは小沢さんなりの論理で、自分は間違いは何もしていないんだとはおっしゃっているけれども、国民はやはり何か変だなと思っているので、そういった意味で、国会の場できちんと国民に説明をされた方が小沢さんのためにもいいんじゃないかと私は思うんですが、残念ながら、去年の通常国会以来、特に、私も予算委員会の理事が四年目になっておりますので、ずっと予算委員会の審議の中で、これがネックになってなかなか本当にきちんとした議論ができないで来ている。

 この国会では、民主党の岡田幹事長が与野党の幹事長・書記局長会談で、国会招致について、幹事長の責任で今国会の実現に努力するというふうに表明されているわけですね。この表明があったので、補正予算の審議に我々は応じてまいりました。十五日には衆議院の方で補正予算が上がる予定になっていますけれども、やはり、努力して、それでできませんでしたでは、国民に対して済まないんじゃないかなというふうに思います。

 政府側に聞くのがいいのかどうかわかりませんが、鈴木さんは民主党の議員でもあって副大臣ですから、やはり議員の一人として、幹事長が言われているわけですから、民主党のメンバーの皆さんも一緒になって、努力するという方向で頑張られたらどうですか。その点はどうですか。

鈴木(克)副大臣 大変失礼しました。

 今、政治倫理綱領、手元に持っております。改めてまたしっかりと読ませていただいて、これからは身近に持つようにいたします。

 今のお話でございますが、党の方で、まさに今おっしゃった、岡田幹事長を中心にこの問題については対処されておるということであります。個々の議員としてもう少し関心を持つべきだ、そしてしっかりとやるべきではないか、このことについては確かにおっしゃるとおりであります。

 しかし、我が党としては、やはり岡田幹事長を中心にそのことに対処していくということは決められておるわけでありまして、また、機会があれば私も幹事長とはお話をさせていただきたいというふうには思っておりますけれども、いずれにしても、そういった、いわゆる党の方での動きを見守っていくということになろうかと思います。

 以上です。

富田委員 機会があればということですので、多分副大臣は一番機会をお持ちの方だと思いますので、ぜひ適切なアドバイスをしていただきたいというふうに思います。

 小沢さんの最近の発言で、十一月三日、インターネット番組に出演されて、このように発言したというふうに報道されております。

 司法の手続に入っている、三権分立からいえば、原則として、司法で取り上げられているものを立法府で議論するのは余り妥当でないし、必要もないのではないか、これは新聞にも多く報道されておりました。

 もう一つ、その発言の少し後の方で、政倫審も証人喚問も基本的に秘密会だ、裁判は全部公開だ、改めて公開の場でやりなさいというのが検察審査会の意見だ、僕はそれに従って、もし公判ということになれば、そこできちんと説明したいというふうに言われています。

 私、これは小沢さんの誤解あるいは勘違いがあるんじゃないかと思うんです。政倫審も証人喚問も秘密会だというふうにおっしゃるが、政倫審は確かに秘密会です。でも、御本人が希望すれば公開でできます。現実にそういう例もこれまで何度かありました。証人喚問、予算委員会、この委員会でも要求されていますが、これは別に秘密会ではありません。公開になっていますし、インターネット等の中継も当然入ってくる、国会の審議ですから。

 逆に裁判は、確かに憲法上公開の原則がありますけれども、裁判所の中でしか見られないわけで、これがテレビ中継されるわけじゃない、全国民がわかるわけじゃないんですから、やはりきちんと国会の場で御説明すべきじゃないのかなというふうに私は思いますし、三権分立論を持ち出されて、司法で取り上げられているものは立法府で議論するのは妥当でないというのは、国会議員として言っちゃいけないんじゃないかなと。

 大臣、この点だけちょっと、三権分立論を持ち出して、司法で問題になっているから国会で取り上げられないというような考え方について、大臣はどういうふうに思いますか。

片山国務大臣 一般論で申し上げますと、司法に係っている問題であっても、国権の最高機関である国会がこの場で議論をされるということは当然認められることだと思います。

富田委員 私もそのとおりだと思うんですね。

 だから、ぜひ、国権の最高機関であるこの国会というものを大事にされて、小沢議員にはしかるべき場所で国民に向かってきちんと説明をしていただきたい。この国会中にぜひそれが実現するように希望いたします。

 次に、我が党から提出されております政治資金規正法及び政党助成法の一部を改正する法律案について何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 実はこの法案につきましては、この委員会で、六月一日に審議する予定でした。朝来ましたら突然できなくなってしまって、鳩山総理が辞任するというようなことで委員会が飛んでしまいまして、質問の機会を失ってしまって継続審議になったということであります。

 民主党の皆さんの方でも我々の提案した法案について真摯に検討していただけるということで、予算委員会の方で菅総理からこういう発言がありました。

 十一月九日の予算委員会の審議で、我が党の佐藤議員からの質問に、おしりを切って、いつまでにきちんと民主党としても議論した上でこの法案についてどうするのか決めてもらいたいという質問に対して、菅総理は、十分に傾聴に値する案だというふうに思っている。これは何度も繰り返されたんですが、その上で、私に近い法律に詳しい人に聞いたところ、果たしてそこまでの厳罰というものが本当に副作用を伴わないのかとの御指摘もありましたので、そこはしっかり議論させていただいて、必要であれば、年内というのか年度内というか、必ず、ちゃんとした議論をした上で、場合によってはこういう点を少し変えていただければ賛成できる、そういうことも含めて議論していただいていますが、我が党の中にある政治改革推進本部で検討をさせていただいているというふうに答弁いただきました。

 総務省の所管でもありますので、今回の私どもが出した法案は、確かに菅さんが言われるように、厳しい面もあります。

 政治団体の代表者の会計責任者に対する監督責任を強化しておりますので、政治資金収支報告書の不記載または虚偽記載があった場合において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任または監督のいずれか一方について相当の注意を怠ったときは、五十万円以下の罰金に処する、そして、罰金に処せられた政治団体の代表者については公民権停止の対象となる、ここを総理は言われているんだと思うんですが、こういうことをきちんとしないと、やはり、秘書が秘書がということで、政治家が責任逃れしていく。そこをきちんとけじめをつけるんだということで私どもの党はこの法案を出させていただいたんですが、大臣は、この改正法案についてどんな御意見、御感想をお持ちでしょうか。

片山国務大臣 先ほど議員が御紹介になられましたように、菅総理が答弁されておりますように、私も傾聴に値する議論だと思います。

 ただ、これは国会議員でありますとか、政治家、政治団体の活動を規制する法律でありますから、それぞれの政党でありますとか国会議員の皆さん方でよく議論をされて、その上で決められることが必要だろうと思います。

富田委員 総務大臣にも傾聴に値すると言っていただいて、感謝申し上げます。

 実は、また小沢さんの名前を出して申しわけないんですが、九三年の五月に小沢さんは本を書かれました。その中に、これに関する部分がありました。

 「一億二千万人の目で政治資金を監視」という項目に、こういうふうに書いてあります。

 「一方、政治資金制度の改革は、政治資金の全面公開と政治活動への公的助成の拡大を二本柱とすべきである。」というふうに言われて、「政治資金をめぐる一番の問題は、資金が巨額である半面、その流れが著しく不透明であることから、政治家が政治資金で私腹を肥やしたり、公正であるべき政策決定がカネで歪められているのではないかと、疑念を持たれていることである。とくに、近年、政治資金絡みのスキャンダルが相次いだことで、国民の政治不信は議会制民主主義の根幹を揺るがすまでに高まっている。」こういうふうに言われて、やはり政治資金のところもきちんと変えていくべきだと。

 「どうすれば国民の不信を解消することができるか。まず、政治資金の出入りを一円に至るまで全面的に公開し、流れを完全に透明にすることである。それによって、政治家が不正を働く余地も、国民が不信を抱く余地もまったくなくしてしまう。」このとおりだと思いますし、少なくとも、出に関しては今きちんと改正がされて、そういうふうな手続になっています。

 私は、小沢さんのこの主張の中で本当にすばらしいなと思うのは、「政治資金制度の改革と同時に、政治資金規正法違反者に対する罰則を強化し、政治腐敗防止制度を確立すべきである。具体的には、違反者を公民権停止処分にし、違反の言い逃れを封じるために連座制も強化する。」既にもう十七年前にこういう御提言をされているんですね。

 ぜひ、民主党の皆さんは、この小沢先生の提言をしっかり胸に刻んで、我が党の法案に賛成していただきたいと思うんですが、副大臣、どうでしょうか。

鈴木(克)副大臣 御党の出されたこの法案については、総理も、今御指摘のように十一月九日に御答弁をされております。結論的には反対ではない、そして今大臣も非常に傾聴に値するということでございまして、その意気で私もそのように考えております。

 いずれにいたしましても、国民に信頼される政治を行うためにも、政治家一人一人が襟を正すことが必要でございます。また、政治活動の公明と公正を確保するための制度を議論することは非常に重要であるというふうに考えております。我が党におきましては、総理からの指示もありまして、岡田幹事長を本部長とする政治改革推進本部で検討を進めるということになっております。

 今お話がありました全面公開、まさに開かれた、クリーンで全面的にオープンにしていくということについては、私は、今、大方の政治家はそういう流れでやられてきておるというふうに思います。ただ、そこに、問題があったとか虚偽があったとかなかったとか、そういう問題はありますけれども、基本的には、今、それぞれの政治家の資金管理については公開をされている、私はそのように思っております。

 いずれにしても、くどくなりますけれども、先ほどの政治綱領ではありませんけれども、これから一人一人議員が襟を正して国民の目線に立ってやっていくということの必要性は私も十分感じております。

富田委員 ぜひ、いい形で成案を得ていきたいと思うんですが、十一月十日の朝日新聞に、民主党の政治改革本部が役員会で検討されて、我が党の案に趣旨は理解できるとし、大筋で受け入れる方針を確認したという報道がされました。

 その記事の中で、ただ、単純ミスでも議員本人に責任が及ぶことへの懸念から、収支報告書に本人が確認したことを示すサインを義務づけることを検討というふうになっておりました。

 これは、実は我が党もこの案を検討する中で、政治家本人がきちんと確認したサインをするべきじゃないかということを議論しましたが、提出義務者ではないものですから、そのサインをどういうふうにするかということで、最終的にはここを落としました。検討した案でありますので、具体的に民主党の方からこういう提案をしていただければ、私は十分合意に至ることは可能だと思います。

 現行制度では、政治資金管理団体を解散するときに政治家がきちんと署名するというふうになっているようです。そういったことも参考にして、ぜひ、両党でここのところを議論していきたいと思いますので、民主党の議員の皆さんにも関心を持っていただいて、この国会で私どもはやりたいと思っていますので、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、片山大臣に確認をしたいと思います。

 政治資金規正法では、政治資金というのは国民の浄財である、こういうふうにされております。つまり、有権者が支持する政党に政治献金を行うというのは、憲法で保障された参政権の一つであり、それは選挙権、投票権と結びついたもの、こういう位置づけだと思います。

 これは、政治資金規正法の公布以来、一貫して変わらない原則だと思っております。したがって、有権者による個人献金、それと企業・団体献金というのは根本的に性格を異にするというふうに私は思いますが、総務大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。

片山国務大臣 私もかつて政治献金を得て政治活動していた者の一人でありますけれども、健全な民主政治を支える、政治家を支える、政治団体を支えるためには、やはり広く国民の金銭的な支えも必要だろうと思います。その際に、個人と企業、団体との間に私は本質的な違いはないだろうと思います。それは、個人であっても、それから企業、団体であっても、健全な民主政治を支える、そのための浄財を献金するという、その面においては変わりはないだろうと思います。

 ただ、現実の問題としては、例えば、企業、団体でありますと、特に企業でありますと、特定の営利事業などをやっている関係上、自分のビジネスと献金との間に何らかの関係が生じる可能性があるということで、したがって、制度的、本質的には私は余り違いはないと思いますが、現実の面では実態として違いが出てくる可能性があるということだと思います。

 ただ、それは個人でもそういうことはあり得るわけでありまして、また、そこまで考えますと、やはり本質的には違いはないのかなというのが、私の実体験をした上での感想であります。

佐々木(憲)委員 個人というのは、投票権を持っている有権者、主権者であります。ところが、企業は、投票権を持っている有権者ではなくて、特定の目的、つまり利得を目的とする、利益を上げる、そのための組織でございます。したがって、有権者ではない企業、団体がお金の力によってみずからの影響力を行使するということが、政治に対して非常にマイナスの影響を及ぼすと私は思います。したがいまして、議会制民主主義の基本、この点を考えますと、これは明確に区別をし、性格の違うものだというふうにとらえておかなければならないというふうに私は思っております。

 さて、そこで、民主党のマニフェストで、昨年もことしもそうですけれども、企業・団体献金の禁止というのを掲げました。私は、先ほど述べた立場から申し上げますと、これは大変いいことだというふうに思いました。

 片山大臣は民主党議員ではございませんので、鈴木副大臣にお聞きしますけれども、民主党が企業・団体献金の禁止というものを掲げた理由はどこにあるのか、まずその説明をしていただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 御答弁させていただきます。

 実は、二十一年の六月に、私どもは企業・団体献金の禁止等を盛り込んだ政治資金規正法等の一部を改正する法律案を衆議院に出させていただいております。

 この法律案の提案理由は、政治に対する国民の信頼を回復し、広く国民によって支えられる政治を実現するため、会社その他の団体の政治活動に関する寄附及び政治資金パーティー券の購入の全面禁止等の措置を講ずる必要があるということでございました。ただ、三年間という、ある種猶予期間があったというのは先ほど御説明させていただいたとおりでございます。

 それで、なぜ企業・団体献金をやめたのかということでありますが、今申し上げました提案理由のほかに、例えば、私、個人的には、個人は善で企業は悪だというふうに言うつもりはありませんけれども、いずれにしましても、やはり企業が献金をする裏に何か思惑とかいろいろあるかもしれません。その辺をきちっと見定めて、政治家としての見識を持ってやっていく必要があるということであるならば、当然のことながら、公共事業を受けておるような企業からは、これはもう一切やめるべきだということで私どもは出した、このように私は理解をいたしております。

 それから、西野先生に、先ほど私はマニフェストを昨年の九月というふうに申し上げましたが、七月でございまして、大変恐縮でございます。済みません。

 以上です。

佐々木(憲)委員 企業・団体献金の禁止を掲げて、三年後ということですけれども、掲げたら私はみずから実行した方がいいと思いますので、当時から私どもはそういうふうに主張しておりました。現に、私ども日本共産党は、掲げているだけではなく、みずから実行しております。

 それで、企業というものが利益を求める団体である、したがって、資金を使う場合は、その利益が得られる目的を持って普通は使うわけであります。それを実行いたしますと、当然、これは賄賂性を持つという形になります。いや、それは求めないんだ、何も求めないんだ、その場合は、企業にとってその資金というのはどういう性格を持つか。企業の利得につながらない資金のばらまきになりますから、これは背任行為ではないかという議論になってしまうわけですね。

 したがって、私は、企業献金というものの性格というのをしっかりと見ないと、これを受け取っても当然であるというふうにしてしまうと、けじめがつかないといいますか、個人、有権者の場合と企業との本質的な違いが見えなくなる、この点を指摘しておきたいと思います。

 そこで、企業・団体献金の禁止を目指して、当面の措置として、民主党は、今説明のありました公共事業受注企業からの献金禁止に踏み出すということですね。ことしの一月から、全面的に公共事業受注企業からの禁止は、一月からか、ことしに入ってというから、いつかよくわかりませんけれども、ともかく決めた。この受注企業の献金受け取りの自粛というのは、理由は、先ほど述べておられたことだと思います、国民の税金を還流させることになる、そういう意味もあって禁止をされたんだと思います。それでよろしいですか。

鈴木(克)副大臣 私は、そのように理解をいたしております。

 いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、ことしの一月、二十二年一月から企業・団体献金の受領を自粛したということでございまして、これは岡田幹事長が、当時、公の場で議論をされたわけではないので、その辺の経過についてはつぶさには承知していないというコメントを出しておるわけでありますが、私も同様な考え方でございます。

佐々木(憲)委員 ところが、この十月になって、自粛していた受注企業一億円以下の企業については受け入れる、いただきます、こういうふうに方向転換をしたわけであります。せっかくそういう方向に行ったのに、これは何で後ろ向きになったのか、その理由を説明していただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 私も、現在、党の役員に入っているわけじゃありませんので、その辺のいきさつはつぶさには承知をいたしておりません。

 ただ、先ほど申し上げましたように、三年後から企業・団体の献金及びパーティー券購入を禁止する、こういうふうに昨年の七月のマニフェストでうたっておったわけです。したがって、現在は三年たっていないということが一つあるかと思います。

 しかし、それでは御答弁にならないかと思いますけれども、いずれにしても、一件一億円という、契約関係がある金額を一億円として、それ以下であればそんなに大きな影響はないんじゃないかというところだというふうに、私は個人的には理解をしております。

 と同時に、もう一つ大事なのは、やはり額だというふうに思います。額が非常に大きければ、これはやはり何かあるということになるんでしょうし、その辺は節度を持った形で展開されていくというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 三年後にしろ、企業・団体献金の禁止、そこに向けて一つ一つ進んでいくというならわかりますよ。ところが、進んでいるかなと思ったら、今度はいきなり後ろを向いて後退してしまうというのでは、これはやはり国民の理解が得られないんじゃないかと思います。

 次に、このときの、十一月八日の岡田幹事長の記者会見の説明で、一部受け入れるというその理由として、政党助成金に頼り過ぎているのは問題だから、こういうふうにおっしゃいました。

 確かに、民主党の政党助成金の依存率というのは異常に高いわけです。八〇%になっているわけです。これは、受け取っているほかの党に比べると、まあ数字は言いませんけれども、大変高い。それだけじゃないんですね。使い残した分を本来国庫に私は返納すべきだと思う。ところが、基金としてため込んでいるという実態がある。

 まず、数字を確認したいんですけれども、各党の昨年末の基金の残高、本部と支部がありますけれども、合計して、それぞれの党ごとに幾ら残金があるか報告していただきたい。

田口政府参考人 お答えいたします。

 平成二十一年分の政党交付金に係る使途等報告書を確認したところ、各政党の二十一年末の基金残高について、使途等報告書の要旨の公表順に申し上げますと、改革クラブ、〇円、公明党八億六百六十二万一千六百六十一円、国民新党六百万三千百十八円、社会民主党四億二千八百五十八万二千七百八十一円、自由民主党九億九千九百十五万八十四円、新党日本九百七十八万二千六百二十七円、民主党二十一億一千七百五十四万四十三円、みんなの党三千三百九十七万一千五百三十円となっているところでございます。

佐々木(憲)委員 今お話をお聞きして、基金にため込んでいる、全体で、総額を計算しますと四十四億ぐらいだと思うんですが、約半分を民主党がため込んでいるわけです。

 菅内閣の各大臣の支部が一体どうなっているかということで、全部言うと時間がありませんので、報告をいただきたいのは、一番多い金額を残している大臣、金額とその大臣名を教えてください。

田口政府参考人 お答えいたします。

 平成二十一年分の政党交付金に係ります使途等報告書を確認したところ、現内閣の閣僚が代表者を務める政党の支部のうち、最も平成二十一年末の支部基金残高が多いものは、蓮舫内閣府特命担当大臣が代表者を務める民主党東京都参議院選挙区第三総支部であり、支部基金残高は、千九百八十三万八千五百二十七円と記載されております。

佐々木(憲)委員 蓮舫行政刷新大臣が二千億近くもため込んでいると。(発言する者あり)いやいや、二千万円近くもため込んでいる。これは大変な金額で、私はびっくりして単位を間違えるぐらいであります。本当にこれこそ仕分けの対象ですよ。

 私が調べたところ、ほかにも、仙谷官房長官六百四十三万一千二百八十円、自見郵政・金融担当大臣六百万三千百十八円、海江田経済財政担当大臣三百八十一万千四百十五円、柳田法務大臣三百五十万円などですね。全部言いませんけれども、菅内閣の閣僚九人、合わせて四千二百五十九万円もため込んでいるわけです。

 法律上、基金にため込めるからそれはいいんだといえばいいかもしれない。しかし、これは、原口大臣、この前私が前大臣に聞いたところ、こういうふうに答えたんです。委員がおっしゃったような残ったものについてどうするか、省内で検討してみたいというふうに答弁をされました。

 片山大臣、これは検討の上、改善すべきだと私は思いますが、どのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 今、御議論を伺っていまして、幾つか感想があるんですが、残すのが悪かということになりますと、では使わなきゃ損だという話になってしまって、それはそれで乱費を促すことになるのではないかと思います。

 私は、政治活動には幾ばくかの金がかかる、これはもう確かでありますけれども、できるだけ節約するということは大切なことだろうと思うんです。ですから、一概には言えませんけれども、金額が残っているからだめだ、そういう評価は当たらないのではないかと思います。

 自治体の経営でも、国家もそうなんですけれども、予算の使い切りという慣行がやはり自治体なんかにはあります。使わなければ損だ、全部使い切ろうという、それがまた無駄遣いの温床にもなっているわけでありまして、この辺の評価は少し多面的に見た方がいいのではないかと思います。

 ただ、どの政党も節約の結果随分余っているなというようなことがモニタリングの結果出てきたときには、ちょっと差し出がましいことかもしれませんけれども、政党交付金の交付額の水準を議論するということは大いにあっていいと思います、これは国民の税金から賄われているわけでありますから。

 そういう議論は一般論としてはあり得るかとは思いますが、個別のところで余っているから召し上げるということは、かえってその副作用の方が大きいのではないか、私はそういう感想を持ちました。

佐々木(憲)委員 もともと政党助成金というのは国民の税金でありまして、これはその税金をいわば山分けするようなものですよ。ですから、そういう仕組み自体を我々はやめるべきだと思っているわけです。それなのに、これが残って、基金まであって、ためている。これは国民全体から見て、正常な感覚で見て、余っているなら返したらどうかと。では、政党助成金を半額にするとか三分の一にするとか、そういう話も何も出てこない。

 こういう状況を考えると、政党助成金についてのあり方を根本的に見直して、私は廃止すべきだと思いますけれども、そういう方向をぜひ検討していただきたいと思っております。

 それからもう一つは、政党助成金の公開の問題。

 これは、二〇〇七年秋に、政治資金規正法の改正で各党協議が行われました。私もその協議に参加しておりましたが、その際に、政党助成金は税金を原資にしておりますので、使途についても全面公開しようじゃないか、そういう議論がありました。ところが、土壇場になって対象から外そうという話になって、私もびっくりしたんですけれども、そうなってしまったんです。

 国会議員関係団体は一万円超の報告義務になったわけですが、政党助成金の使途報告については、これは五万円以上のままなんです。原資が税金である政党助成金こそ、私は一円まで公開するというのが当然だと思うんですけれども、この点についての改善策を当然検討すべきだと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

片山国務大臣 これはいろいろな考え方があると思います。同じ基準にすべきだという考え方も当然あると思います。

 一方では、一つは、政党でありますから、政党は法人格を持って、それなりの内部監査とか自律的チェック機能を持っておられるわけで、やはりその自律性にゆだねるという考え方もあるのではないか。また、あとは、非常に事務が煩雑になるということもあるでしょうし、その兼ね合いをどう考えるかということで、いろいろな御議論があると思いますので、ぜひ大いに御議論をいただいて、それで結論、成案を得るということにしていただければと思います。

佐々木(憲)委員 私の考えを申し上げますと、これは税金が原資でありますから、どのように使われたかは明確にすべきだと思います。献金を受けて、その献金をどう使うか、それは政党の自治に関する部分というのは一定程度あるとは思います。しかし、税金とそれとは性格が違うわけでありまして、公開という観点から考えますと、税金の公開は私は当然だというふうに思いますので、ぜひそれも含めて検討していただきたいと思います。

 次に、インターネット上の公開の件ですけれども、政治資金収支報告書はインターネット上での複写、印刷、これが可能になりました。これは一歩前進です。ところが、政党助成金使途等報告書はそうなっていないんですね。これはまだ閲覧だけなんです。印刷もできない、複写もできないというのでは、これはちょっと落差があり過ぎますので、私は、同じように政治資金収支報告書も政党助成金使途等報告書も複写、印刷できるようにすべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは、閲覧する側の国民から見ましたら同じ基準の方がいいだろうと私は思います。ただ、法律事項でありますので、これもよく国会議員の皆さん方で御議論いただくことが必要だろうと思います。

佐々木(憲)委員 政治資金の収支報告の公開についてもいろいろ問題があると思っておりまして、一つは、一万円を超える報告義務がある国会議員関係団体ができたことで、事務量がふえるという理由で公表時期を九月末から十一月末におくらせてしまったという問題があるんです。国会議員関係団体は、登録監査人によって監査済みの報告書を提出するわけです。それをそのまま公表すればいいと思うんですね。

 それから、二〇〇六年末の法改正では、要旨がつくられて、それが公表される前には開示できないというふうに条項が入ったんです。たとえ情報公開法に基づいた開示請求があっても開示できないという形になっちゃったんですね。私はこれは非常におかしいと思っておりまして、それまでは要旨公表前であっても各選管の判断で情報公開に応じる都道府県が四十二府県ほどあったわけですが、それができなくなったということであります。

 改正が二回行われて、その間に国民の目から収支報告書がだんだん見えなくなってきているんじゃないか、こういう感じがするわけです。政治資金収支報告書、つまり、政治資金規正法の精神というのは、開示することによって国民の不断の監視と批判のもとに置くというのが法の精神であります。こういう点からいうと、この点については私は後退しているというふうに思うわけです。

 それからもう一点申しますと、二〇〇七年の改定時に、私も参加していた各党協議で、収支報告書をインターネットの利用その他適切な方法により公表するときは、官報または公報による収支報告書の要旨の公表をすることを要しないという規定になっているんです。つまり、必ずしも要旨をつくらなくてもいい、こうなったわけです。

 当時、私は委員会の質疑でも問題にしたんですけれども、要旨というものがありますと、これは三年間過ぎても、その前の、五年前、六年前の収支を知りたい、そういう国民がいた場合に、官報とかあるいは県の県報などに載っている要旨で概略はわかるわけです。

 しかし、要旨を作成しないというふうになりますと、保存期間を過ぎた報告書は何も残らないということになるんです。どこにも、図書館に行っても何もない。今はあるんですよ、ずっと前のものは。そういうふうになりますと、政治資金の収支の痕跡を消してしまうということになります。これは非常に問題があると思っておりまして、法の趣旨からいっても、インターネットでの公表もやって、要旨も作成して残すというのがやはり私は必要なことだと思うんですね。

 この点で、当然改善の方向を検討すべきだと思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

片山国務大臣 政治資金規正法の改正によりまして情報公開が後退しているのではないかという御質問でありますが、これは、公開がおくれるということだけ見れば後退ということになるんでしょうけれども、その理由としては、精度を高めるという、情報の公開の量を多くするということとの兼ね合いだと思いますので、あちらを立てればこちらが立たず、そういう問題だろうと思います。両者のバランスを考えて今日のような仕組みになっているものと思います。

 それから、要旨の問題でありますけれども、これは行政側の事務負担の問題などを考えて、今のようなインターネットに公開する場合には要旨の公表を要しない、こういう法律の仕組みになっているわけでありまして、したがって、法律がインターネットで公表した場合には要旨の公表を要しないとされている以上は、それはそれぞれの都道府県の選挙管理委員会の判断だろうと思いますので、そこに対して上乗せの何か、法律外の指示なり規制なりを加えるということは、それは現在の、地方分権改革以来、地域主権改革をやっている今日はできないものだと思います。

佐々木(憲)委員 精度を高めるといいますけれども、出されたものをそのまま公表すればいいわけであって、内容にわたってチェックするわけじゃないんです、形式的なチェックで済むわけですから。私はやはり後退だと思います。これはしっかりと改善策をとる必要があると思います。

 それから、最後におっしゃった要旨の件は、これは国民の目から見えなくなるという問題なんですよ。三年たつと見えなくなる。今は選択制でありまして、要旨をつくって公表して公報に載せる、そういうことをしている都道府県もちゃんとあるわけです。したがって、私は、要旨をつくるべきだ、そういうふうに法改正をすべきだと思いますが、法改正に至る前もできるだけ国民に情報を公開する、そのことがやはり大事なことだと思いますので、国民に情報公開の方向をきちっと示すということが大事だと思います。

 これで終わりますけれども、片山大臣は法律に書かれているからとおっしゃいましたが、国民から見てどうかという観点からいくとどうですか、大臣。

片山国務大臣 それは、国民から見た観点とそれから行政側のコストとか事務負担というものがあると思います。どうしてもこれを公表してもらいたい、させるべきだということでありましたら、御議論の上、法律改正ということになるんだろうと思います。それはそれで一つの選択の道だと思います。

 現状においてはそこまで法律は義務を課しておりませんので、それはそれぞれの都道府県の選挙管理委員会といいますか、都道府県の判断だろうと思います。それぞれの地域で有権者のことを考えてどうされるかということの判断だろうと思います。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わりますが、片山大臣に少し期待していたんですけれども、きょうの質疑だと余り期待が持てなくなったなという感じがいたしますが、これからも大いに議論をして、活発な論戦をやっていきたいと思います。

 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 政治と金の問題、選挙制度の問題について大臣にお伺いをいたします。大臣は民間出身で職務を担っておられる大臣でございますので、国民の目線で率直な御意見をいただければ幸いであります。

 最初に、いわゆる政治と金、国会議員の政治資金をめぐる疑惑の問題についてお尋ねをいたします。

 政治と金をめぐる疑惑は国会審議に影響を与え、今、国民の中では、一体国会は何をやっているんだ、こういう国民の不信を助長する悪循環になっております。今から二十五年前に議決をいたしました衆議院議員の政治倫理綱領には、冒頭で「政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。」としています。だとすると、政治と金の問題につきまして疑惑が続く現状は、政治の根幹が揺らいでいると言わざるを得ません。

 そこで、この現状について、大臣の所感をまずお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 政治倫理の確立は非常に重要なことだと思います。一人一人の政治家がきちっと倫理観を持って政治活動を行う、身を処していくということだろうと思います。

 もちろん、倫理といいますものは、いわば自制といいますか、みずからがみずからをコントロールする、そういう領域であります。それに対して、必ずしもそれだけですべてがうまくいくというわけにはいきませんので、一定の法律による規制があるということ、その組み合わせだろうと思います。できるだけ法規制は少なくして自由な政治活動が行われるということ、私はこれが基本だろうと思いますけれども、その場合には、条件としてやはり政治倫理がきちっと確立しているということが重要だろうと思います。

中島(隆)委員 まず、政治倫理は自己の責任、これが十分問われるということであります。

 次に、これまでも質問いただいておりますが、民主党の小沢元代表の政治資金問題についてお尋ねいたします。

 この問題は、検察で不起訴になった後、検察審査会で強制起訴となっておるわけであります。社民党は、この問題について、御本人がまず検察審査会で弁明を行い、疑惑を払拭する努力をすべきであると再三申し上げているところであります。

 先ほども取り上げられました政治倫理綱領でも、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と明記されているわけであります。この点からしましても、本人がまず積極的に弁明されることを期待しておるわけでありますが、御本人は、民主党の代表選のときは、国会の場で証言することはやぶさかではない、こういうこともおっしゃっていたと思います。ところが、現状は、政治倫理審査会であっても御本人が応じようとする気配がないわけでありまして、大変残念に思っております。

 そこで、大臣、みずからも真摯な態度、それからこれまでの御答弁もございましたが、政治倫理綱領に照らした小沢元代表の政治資金、国会の場での当事者からの説明が必要ではないかというふうに思いますが、再度お尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、倫理というのはみずからがみずからを律するということでありますので、御自身がどう判断されるか、どう考えてどう判断されるかということが一番大切だろうと思います。

中島(隆)委員 この問題については、再三予算委員会でも大変な審議がございまして、菅総理からも、最終的な判断はみずから行うという答弁までされております。国会の審議が政治と金の問題を繰り返し議論をする中で、国民の納得のいく解決になっていないということでございますので、これも担当所管の大臣でございますので、早急なる解決の道を進めていただきたいと思います。

 次に、企業・団体献金についての所感でありますが、これまで質問がございました企業・団体献金、我々社民党も即廃止という立場で主張してまいりました。民主党のマニフェストにも、先ほど来説明のございましたように、三年後に廃止という方向が出されているわけでありますが、今回は一億円以下の献金を受領するとお決めになった。私も驚きましたが、国民自体も大変驚かれているのではないかというふうに思っております。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、企業・団体献金についてどのようなお考えであるのか、特に、副大臣は党の方でございますが、与党第一党として禁止の方向をマニフェストで掲げながらこういう状況にある、再開されたということについてどのように考えておられるか、再度お尋ねいたします。

片山国務大臣 企業・団体献金一般につきましては、先ほども少し私の考え方を御披露申し上げましたけれども、一般論としては、健全な民主政治を支えるという意味で、個人それから企業、団体が浄財を政治の世界に投入するということは私はあっていいと思います。ただ、現実には、企業、団体、特に企業の場合には、ビジネスと献金との間の関係が生じやすいということが経験則上ありますので、そういう意味からすると、個人献金で政治資金が賄われることが望ましいと私も個人的には思います。

 ただ、私自身も政治活動をやってまいりましたけれども、現実の問題としては、個人献金というのは今の現状ではなかなか集まらないということがあります。ですから、ある程度の政治活動を行おうとした場合に、個人献金だけでというのは現状ではなかなか困難なことがありますので、個人献金がもっと集まりやすいような、そういう制度の改正でありますとか、それから、社会一般のあり方が変わらなければいけない、それを変える努力をしなければいけないと私は思います。それが一つです。

 それからもう一つ、このたびの民主党の企業・団体献金の一部再開につきましては、これはもう先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、法的には何ら問題がございません。あとは、政党として、国民、有権者、社会に対してどう説明責任を果たされるかということで、政党自身の問題だろうと思います。

中島(隆)委員 基本的には個人献金でやるべきだ、我が党もまさにそう思っているわけです。そのためには、やはり選挙資金制度そのものを根本的に変えて、運動のあり方も含めて検討していく必要があるのではないかなというふうに思います。

 そこで、関連ですが、副大臣にお尋ねしたいので、三年後に廃止とマニフェストに掲げておられるわけですが、このマニフェストは三年後には確実に達成される、副大臣ですから、党の方の関係もございますので、その決意なりをお尋ねしておきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 今御指摘のように、現在私は党から離れておりますので断定的なことは申せませんけれども、党員の一人として、そして政党人として、民主党員として、これはやはりマニフェストで掲げた以上しっかりと守っていくべきだというふうに思っておりますし、また、機会をとらえてそういう主張はしてまいりたい、このように思っております。

中島(隆)委員 ぜひ、政治と金の問題、国民の信頼を得るためにも、企業・団体献金を一日も早く廃止できるようにひとつ御努力をいただきたいと思います。

 それでは次に、選挙制度をめぐる問題についてお尋ねいたします。

 国会の定数、あるいは選挙制度の問題についてでございますが、国政選挙は、国のあり方を決める立法府の代表を直接決める制度でございます。国民一人一人の意思を民主的な手法で議席数に反映させる、最も大事なことであると私は考えております。

 一般論になってしまうかもしれませんが、大臣として、選挙制度を考える際に最も考慮しなければならない要素はどのあたりにあるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 民主主義を考えた場合に、現在の我々の民主主義の社会を維持する政治の仕組みというのは、間接民主主義、代表民主主義になっているわけであります。この代表民主制が成り立つための条件というのは幾つかありますが、最大の条件は、選ぶ側と選ばれる側の間に信頼感があること、これが第一条件だと思います。信頼感がなければ、間接民主主義は成り立たないと思います。

 その信頼感を確立するためには、選ぶ側と選ばれる側の間にやはり強い関係といいますか、選ぶ側が、うまくバランスされて選ばれていくということが必要だろうと思いますが、これをもっと別のことで言うと、民意が反映されやすい、有権者の意思がより正確に反映されやすいような、そういう選挙の仕組みということが望ましいだろうと思います。

中島(隆)委員 そこで、次に、参議院選挙の問題について、マニフェストをそれぞれ各政党が掲げられております。民主党さんは、参議院の定数を四十削減、衆議院議員の比例定数八十削減を打ち出しておられます。自民党さんは、国会議員の定数を六年間で三割削減としておられます。

 私は、国会議員の定数規模につきましては、どの程度が適切なのか非常に問題だとは思っておりますが、財政的な面から論じることには強い違和感を持っています。今大臣が言われましたように、民主主義、代表を選ぶ側あるいは選ばれる側が本当に民意を反映していける制度でなければならないと思っております。

 衆議院の小選挙区比例代表並立制が一九九六年の総選挙から適用されておりまして、これまで十五年余りが経過をいたしました。二大政党制を促進するということで導入をされたわけでありますが、小選挙区制のもとでの一党単独政権というのは、時代を見てみましても、自民党の橋本内閣と小渕内閣のごくわずかの期間だったというふうに思います。それ以外はすべて連立政権だったわけでありまして、選挙制度で二大政党化を促そうとしても、実はやはり民意も広範な選択肢を持ちたいというのが、国民の今までの選択ではなかったかというふうに思っております。

 この点からいたしますと、死に票を最小限にとどめる比例代表選挙中心の選挙制度、例えば、現行の小選挙区比例代表並立制ではなくて、ドイツで実施をされております小選挙区比例代表併用制の方が、制度的な転換も一考に値するのではないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、民意を最も反映する比例定数を削減するということについては、小規模政党が極めて不利になるということを踏まえますと、大きな問題があるというふうに思っております。この点につきまして、大臣の感想を聞かせていただきたいと思います。

片山国務大臣 この問題を論じるときに幾つかの論点があると思いますが、一つは、国会議員の定数を削減しようという背景には、やはり、行政改革でありますとか財政改革でありますとか、スリムな政治、スリムな行政ということの要請が一つあるんだろうと思います。それはそれで、現下の厳しい財政状況をかんがみますと、大変重要なポイントだろうと思います。そこで、幾つかの政党がこういう問題を提起されているんだろうと思います。もう一つは、先ほど申しました民主政治、特に間接民主政治をうまく機能させるためには、できるだけ有権者、国民の民意を反映させる選挙制度でなければいけない。

 この二つの要素、一つは改革ということと、それから、できるだけ民意を反映させること、このバランスをどこでとるかということ、これが一番重要なポイントだろうと思います。それをこの問題を論ずる場合にはぜひ広く御議論いただいて、その上で合意が形成されることが望まれると思います。

中島(隆)委員 一番の基本は、行政改革の視点と、民意をどう反映するかということでございます。特に、小選挙区であれば、死に票が大変出るわけでありまして、民意がそがれるわけでありまして、この比例区というのが民意の反映には私は一番ふさわしいというふうに思っておりますし、今後国会の議論になるわけでありますが、今二点指摘された、民意の反映、こういう点での改正の方向に持っていくべきではないか、所管大臣としてもそういう考えをぜひお示ししていただきたいと思います。

 最後になりますが、衆議院議員の三百の小選挙区の区割りについてお尋ねをいたします。

 区割り画定の作成方針では、市区町村の区域を分割しないことが好ましいということになっております。しかし、現在、政令市を除く七十五の市区町村で選挙区が複数に分割をされています。二〇〇二年に区割りが見直しをされた際には、選挙区複数の分割が市区町村で十六でしたから、これだけふえたのはやはりあの平成合併の影響ではないかというふうに思っております。有権者にとって、議員立候補者にとっても、余り都合のいい状況ではないのではないかというふうに思っております。

 そこで、現在、国勢調査が行われております。その結果をもって速やかに区割りの是正を検討すべきではないかというふうに考えていますが、いかがでしょうか。もちろん、選挙区の一票の格差問題の是正を絡んだ話になると思いますが、この点について大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 区割りを画定する場合に、幾つかの考える要素というものがあると思います。それが法律上は、一つは行政区画ということですから、今議員がおっしゃった、できるだけ同一の自治体でそれは分割しないようにというような一つの考え方があると思いますが、そのほかに、非常に重要な要素として、人口の均衡というのがあります。これが格差の解消、是正ということだと思います。

 この両者は、うまく両立すれば結構だと思いますけれども、なかなか両立しづらい面もあるのは事実であります。特に、先般の市町村合併の進行によりまして、それぞれの市が、政令市でなくとも非常に大きくなって、人口もふえてまいりました。そうしますと、幾つかの要件、特に人口の均衡という要件などを考慮しますと、どうしても分割するケースが出てくると思います。有権者、国民の便宜のためにはできるだけ分割しない方がいいと私も思いますけれども、それはやむを得ざる事情で分割するケースもやはり出てくるということだと思います。

 いずれにしても、選挙区画定審議会というのがございますので、そこで十分御議論をいただければと思っております。

中島(隆)委員 私は出身は熊本ですが、熊本の選挙区の中でも、人口が一極に集中している関係で、県会議員の選挙と衆議院の選挙区が割れているんですね。衆議院の選挙区の方が小さくて、全市一区で県会議員の選挙をやる、こういう矛盾が出ているわけです。

 地方にあっては、人口が減少していまして、選挙区の民意の反映で非常に問題があるとか、いろいろ問題があると思いますけれども、国勢調査も今年度集約されるわけでありますから、それに基づいて、やはり民意の反映でふさわしい選挙区に正していくということが必要だと思います。ぜひ民意が十分反映できる選挙制度の検討に御努力いただきたいというふうに思います。

 以上、要望して、質問を終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

松崎委員長 次に、内閣提出、参議院送付、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、全国多数の地方公共団体の議会の議員または長の任期が平成二十三年三月から五月までの間に満了することとなる実情にかんがみ、国民の地方選挙に対する関心を高めるとともに、これらの選挙の円滑かつ効率的な執行を図るため、選挙の期日を統一するとともに、これに伴う公職選挙法等の特例を定めようとするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、平成二十三年三月から五月までの間に任期が満了する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙等について、いわゆる九十日特例の規定による場合等を除き、原則として、その選挙の期日を、都道府県及び指定都市の選挙にあっては平成二十三年四月十日、指定都市以外の市、町村及び特別区の選挙にあっては同月二十四日に統一することとしております。

 第二に、都道府県または指定都市の選挙の候補者となった者は、関係地域において行われる市区町村の選挙または市区町村の選挙と同日に行われる衆議院議員もしくは参議院議員の補欠選挙等の候補者となることができないものとすること、寄附等の禁止期間を選挙の期日の九十日前から当該選挙の期日までの期間とすること等、必要な特例を設けております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

松崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


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