衆議院

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第2号 平成23年3月17日(木曜日)

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平成二十三年三月十七日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 松崎 公昭君

   理事 石井登志郎君 理事 階   猛君

   理事 田村 謙治君 理事 手塚 仁雄君

   理事 松崎 哲久君 理事 赤澤 亮正君

   理事 西野あきら君 理事 富田 茂之君

      青木  愛君    大山 昌宏君

      柿沼 正明君    金子 健一君

      川越 孝洋君   木村たけつか君

      桑原  功君    小室 寿明君

      田中美絵子君    高井 崇志君

      高橋 英行君    中後  淳君

      中島 政希君    中野渡詔子君

      橋本  勉君    宮崎 岳志君

      森岡洋一郎君    矢崎 公二君

      横山 北斗君    渡辺浩一郎君

      あべ 俊子君    加藤 勝信君

      北村 茂男君    齋藤  健君

      武部  勤君    橘 慶一郎君

      徳田  毅君    松野 博一君

      東  順治君    佐々木憲昭君

      中島 隆利君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  石井  章君     渡辺浩一郎君

  京野 公子君     中野渡詔子君

  黒田  雄君     金子 健一君

  伊東 良孝君     橘 慶一郎君

  二階 俊博君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     黒田  雄君

  中野渡詔子君     京野 公子君

  渡辺浩一郎君     石井  章君

  橘 慶一郎君     伊東 良孝君

  徳田  毅君     二階 俊博君

    ―――――――――――――

三月十六日

 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第三八号)

二月十六日

 衆議院比例定数削減反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八九号)

三月十七日

 衆議院比例定数削減反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五九号)

 衆議院比例定数の削減反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八八号)

 同(笠井亮君紹介)(第三八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三九五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九六号)

 衆議院比例定数削減に反対し、民意を反映する制度への改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四三四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

松崎委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十三年東北地方太平洋沖地震による被害により、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

松崎委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

松崎委員長 内閣提出、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、平成二十三年東北地方太平洋沖地震により著しい被害を受けた地域の地方公共団体について、平成二十三年四月に予定されている統一地方選挙の期日を延期する等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、選挙の期日の延期につきましては、平成二十三年東北地方太平洋沖地震の影響により、統一地方選挙の期日においては選挙を適正に行うことが困難として総務大臣が指定する市町村及び当該市町村の区域を包括する県の議会の議員または長の選挙の期日は、この法律の施行の日から起算して二カ月を超え六カ月を超えない範囲内において政令で定める日とすることとしております。なお、これらの市町村の指定に当たっては、総務大臣はあらかじめ当該県の選挙管理委員会の意見を、当該県の選挙管理委員会が総務大臣に意見を述べる場合には、あらかじめ当該市町村の選挙管理委員会の意見を聞くものとすることといたしております。

 第二に、この法律の施行の日から平成二十三年六月十日までの間に任期が満了する地方公共団体の議会の議員または長の任期について、この法律の規定により選挙を行う場合は、当該選挙期日の前日までの期間とすることといたしております。

 第三に、この法律の規定により行われる選挙については、寄附等の禁止期間の特例等を設けております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

松崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。手塚仁雄君。

手塚委員 民主党の手塚仁雄であります。

 改めて、被災に遭われた方、お悔やみとお見舞いを申し上げながら、短時間でありますけれども、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、今回のこの特例法でありますけれども、すべて指定県という言い方をしておりまして、なぜ都道府県と書いていないのかなと。一般的に、今回、被災状況のひどい福島県であったり宮城県であったり岩手県であったり、そういったことを想定されていると認識いたしておりますけれども、その上で、今、我々は、これまで経験したことのないような事態に、まさに日がわりで、日々遭遇しているわけでございまして、今後の事態と推移ということによっては、この県も、都道府県含めて考えられるのかどうか、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

片山国務大臣 現在、この地震によります被害の状況というのは刻々と伝えられておりまして、全貌が明らかになりつつあります。

 そのことを前提にいたしまして、県という名称を使っておりますけれども、今後、思わぬ事態が仮に展開するようなことがありますれば、それは県と書いてはおりますけれども、これは都道府県という意味合いでありますので、立法趣旨からいっても、県以外の名称のついている広域自治団体を排除するものではないと考えております。

手塚委員 ありがとうございます。

 これ全体を読んでいて、この間、こうした選挙の延期をしなきゃならないという事態の中で、各党間のハイレベルの御協議もあったようでありますし、いろいろな声が寄せられています。我々は日ごろ選挙に携わる現場におりますので、どちらかというと候補者というか選挙に立候補する側の論理で、被災地でなくても、節電がされたり停電が起きたり、こういう状況の中で本当に選挙している場合か、あるいは街宣車を回して名前を連呼している場合か、そんなこともあります。

 でも、これはあくまでも我々選挙を戦う側の論理でありますし、ある意味、任期が来たら、有権者側に立てば確実に新しい自分たちの代表を選ぶ権利があるわけですから、その権利をいたずらに国が取り上げるというのは慎重にならなくてはならないという前提に立って考えておりますけれども、法案を読んでおると、少し、選挙実務、選挙管理者の側に立って、こういう形だと選挙はできない、ならば延期だという選挙管理者の側に立ったようなトーンにも感ずるんですね。

 そこは、今回の本当に未曾有の大災害でありますし、我が党のこの委員会の理事である階議員が被災地、選挙区でありますけれども、地元の岩手県に帰られて、確かに県の中だけを見ても、被災県であったとしても、非常に被災状況の厳しい湾岸地域と内陸部との一見違いはあると思いますけれども、そこで被災された方々が避難をして、ある意味、地域、皆さん一体となってお世話したりバックアップをしたりという状況であります。

 そこで、何を申し上げたいかというと、候補者の側でもなく、あるいは選挙管理者の側でもなく、ぜひ大臣、この運営に当たっては、有権者の側に立って、今後復興をしていくためにも、その復興の担い手をだれにするのかを選ぶ大変重要な選挙でありますので、慎重には慎重を期して、地域の意見をよく聞いていただいて、選管の意見をよく聞いていただいて運営に当たっていただきたい。これは意見ですけれども、何か大臣からあれば。

片山国務大臣 議員のおっしゃることは、ごもっともといいますか、そのとおりだと思います。

 もちろん、第一義的には選挙事務が執行できるかどうかというのは管理側の方としては非常に重要な問題でありまして、これが物理的にできなければもう選挙はできませんので、ですから、これが第一義的ということはそれはそうなんです。

 しかし一方では、有権者の皆さんの多くといいますか大半が、選挙において、選挙を仮に執行したとしてもそれに参画できない、投票権を行使できないというような事情がもしあるとすれば、それは当然ここに書いてあります事情に該当すると思いますので、そうした事情も当然参酌はしなければいけないと思っております。

手塚委員 終わります。

松崎委員長 次に、西野あきら君。

西野委員 自民党の西野あきらでございます。

 今回の未曾有の大震災でありますだけに、国民、私どもも、大変心を痛めながら、一日も早い被災者の救済そして救援、実態の把握ができて、平穏な生活に戻るように全力を挙げて支援をしていきたい、このように思っておるところでございます。

 今回の特例法の件でございますが、今の民主党さんの御質問の趣旨は一理ある、私もこのように思っておりますし、大臣もそのようなお話をなさったわけでありますけれども、申し上げるまでもなく、民主主義の制度のもとでは、選挙というのは、その地域住民の投票行為によって、地域の代弁者である代表者が選ばれるわけであります。したがって、同一の条件で、公正に、本来は一斉に実施をされるべき性格のものであります。

 しかし、このような適正に選挙が執行できないという困難な状況の場合に、この特例ができたわけであります。いわばこれは異例中の異例でもありますし、文字どおりの特例であります。ですから、指定をなさる場合には、どうぞ、都道府県はもちろん、それぞれの市町村の現場の状況、意見というものをしっかり酌み上げて、その上で指定をなさるように強く要望しておきたいと思いますが、まずその辺について。

片山国務大臣 そのとおりでありまして、選挙といいますのは、民主主義の社会を築く原点であります。ですから、この基本ルール、要するに、権力をつくり上げるプロセスとか約束事というのは、これはもう守るのが原則であります。

 ただ、このたびの災害で大きな被災を受けて、どうしても選挙の執行ができないとか、住民の皆さんの多くが生活が今大きな支障に遭っているとか、そんな事情で選挙をすることができないということ、そういう事情があるところは、この法律が通りましたら、これによって、特例的に、異例の措置として、選挙期日をおくらす、あわせてそれに必要な任期の特例を置く、こういうことでありますので、そういう事情がないにもかかわらず他の地域にこれを広げるという趣旨ではございません。

西野委員 大臣に一つ申し上げましたとおり、都道府県並びに市町村の意向、状況をしっかり把握していただいて、指定をしていただきたいというふうに思っております。

 それで、時間もありませんので簡単にお尋ねをしたいんですが、やはり選挙は、それぞれ住民がひとしく執行できなければなりません。今回、指定を受けて、いわば延期の対象となった場合の公共団体の選挙民の場合と、もう一つは、指定はされていないけれども、今回の事態で救援、救護等に出かけている場合と、二通りの問題をあわせてお尋ねしたいと思うんです。

 例えば、延期が決定をしたというところにおいては、選挙期日が当然ながら変更されるわけです。その間の時間帯はございますけれども、具体的に申し上げますと、例えば、現住所と違う場所に、もうその住民には仮設の住宅ができているかもしれません。あるいは、まだそのまま避難所にお住まいになっているかもしれない。あるいは、親戚の家に移っているかもしれない。あるいは知人のところ、あるいは同県でなくて他府県に移動をなさっている場合もあるかというふうに思いますが、その場合に、どういう方法で選挙が執行できるのか。例えば不在者投票等の仕組みがあるようでございますが、これらを期日の変更をしたという形でどう周知徹底することができるのかという点が一つ。

 指定はされていないけれども、こういう事態でございますから、救援、救護に出かけています。例えば警察、自衛隊では聞きますと六万六千人ほど現在もう既に出動しているという、それから消防隊、消防署は五千八百人ほど現地に今行っておられる。ほかにボランティアもあると思いますね。そういう人たちが長期にわたって仮に救援に行っているという場合には、あるいは仕組みとして、投票の方法として不在者投票という仕組みがあると思いますけれども、その場合に、この人たちにどのように徹底をなさるのか、そこのところをお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 これは、いずれの場合も周知するための広報が非常に重要だと思います。これは、国も総務省を中心にしましてできる限りの広報をしたいと思いますし、それから該当の自治体、特に期日を変更する自治体においては、特に県が中心になって、期日の変更などについて必要な情報を住民の皆さん方に伝わるように、全力の努力をしていただくようにお願いを申し上げたいと思っております。

 それから、期日の変更のない自治体で、他の地域に赴かれて救援などに当たっておられる方々、この方々も不在者投票ということになりますので、この方々にもできる限り情報が伝わるように、これは指定をされていない自治体の皆さんを通じてその周知方をお願いしたいと思いますし、このケースについても、国の方も必要な情報提供をしたいと思っております。

松崎委員長 西野あきら君、お時間でございます。

西野委員 要するに、救援であろうと何であろうと、移動なさっているところ、選挙人にしっかりそれを徹底する方法はあると思います。これは言葉だけではなくて、ぜひひとつ、ひとしく選挙が行使できるように周知徹底方に努めていただきたい、これを要望しておきます。

松崎委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。時間は五分と限られていますので、簡潔に御答弁をいただきたいというふうに思います。

 今回の法案の名称ですが、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴うというような名称になっておりますけれども、当然、関東地方も被災地になっておりますので、対象としては関東も含めるというふうな理解でよろしいんでしょうか。その点、まず確認をしておきたいと思います。

片山国務大臣 地震の名称は、これは発生した場所を中心に決めているものでありまして、政府の公式的な名称はこのとおりなんですが、この特例法は、被害をどこで受けていて、どの自治体が選挙の執行が困難かという、そこに着目しますので、東北地方に限るものでは決してございません。

富田委員 総務大臣が指定する際、法文では、地震の影響のために選挙を適正に行うことが困難と認められる、こういうふうに総務大臣が判断して指定するというような書きぶりになっています。

 阪神・淡路大震災の際には、三つの市と兵庫県という形で最初から決められていましたので、総務大臣の判断が入るということはなかったと思うんですが、今回は指定に当たって総務大臣が判断するようになると思います。

 先ほど西野議員の質問で、第一義的には選挙事務が執行できるかどうかだ、また、有権者が投票権を行使できなければそれはもうだめだ、また、生活に大きな支障があるかどうかということが大臣の方で判断基準だと思うんですが、この三つが挙げられていましたが、選挙を適正に行うことが困難と認められるというのは、具体的にはどういった場合を想定されているのか。もしメルクマールがあれば、ここではっきりしておいた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 まず、本来ならば、阪神・淡路のときのように自治体を指定するのが原則だと思います、法律で決めたルールを特例でやるわけですから。

 このたびの場合、私も被災地を訪れてみましたけれども、非常に壊滅的な被害を受けている自治体、それから、必ずしもそこまではいかないけれども大きな被害を受けている自治体、いろいろな態様があります。しかも複数県にまたがっておりまして、今のこの段階でどこそこの自治体と決めることは、これは事実上無理であります。

 したがって、これは、これから被災地の自治体の皆さんの実情を伺い、御意見を伺って指定をしていきたいと思っておりますが、その際の基準というのは、幾つかあると思いますけれども、本当に選挙事務が執行できない、役場が崩壊している、そこの立て直しからやらなきゃいけないということも当然ありますし、それから、役場はまずまずある程度機能するけれども、もう大半の住民の皆さんが、多くは人命を失ったり、それから、避難所にいて、四月をこの状態で迎えるというようなこともありますので、それはよくきめ細かく伺って、その上で適切な判断をしたいと思っております。

富田委員 私も千葉県ですので、浦安市とか旭市の現地に行ってまいりました。これまで報道等では、やはり東北地方の被害が甚大だということで報道も東北が中心になっていますので、まさか浦安でライフラインがあれだけずたずたになっているとは思いませんでしたし、旭市内では、旭は合併した市であります、もとの飯岡町のところはほとんど壊滅状態。これも現地に行かないとやはりわかりませんでした。

 そういった意味で、現地の市町村の意向をきちんと酌んでいただくことが一番大事だと思いますし、西野議員の方からもその御指摘がありました。

 この指定に当たっては、都道府県の選挙管理委員会から大臣が意見を聞くというふうになっています。都道府県の選挙管理委員会は、その前に市町村の選挙管理委員会から意見を聞くようにというふうになっていますが、市町村の選挙管理委員会と都道府県の選挙管理委員会の意見が異なる場合があると思うんですね。

 例えば、千葉県では五十六の市町村がありますけれども、被災地と言えるところは何カ所かしかありません。そうすると、その市町村では選挙の適正な執行ができないというふうに選挙管理委員会が言われるかもしれませんが、都道府県全体としてはそんなことはない、県会議員選挙はできるんじゃないかというように選挙管理委員会の方で意見が出てくる可能性があると思います。その場合には、大臣はどういうふうに判断されますか。

片山国務大臣 法案では、都道府県の選挙管理委員会から意見を聞くということでありますから、第一義的には都道府県の選管から意見を聞くんですが、その場合、これも法案では、都道府県選挙管理委員会は市町村の選挙管理委員会の意見を聞かなければいけないということで、実は実務上、市町村から都道府県へどういう意見が出ているのかというのもあわせて提出していただくことになっております。

 もう現に実は岩手県のある町からも出ておりまして、非常に胸の痛むようなデータもいただいているんですけれども、十分に市町村の意見も聞いてみた上で、それで都道府県と市町村との見解が違う場合には、きめ細かく両方の意見を聞いた上で判断をしたいと思っております。

富田委員 ぜひ被災市町村の意向を最大限尊重していただくように希望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今回の東日本大震災の被害というのは大変未曾有の規模で広範に及んでおりまして、救済と復興に全力を注ぐ、こういう立場で、我が党は統一地方選挙の全国的な延期を提案してまいりました。

 今回政府が提案した法案は、被災地に限り、選挙期日を二カ月から六カ月の間、延期を可能とするというものであります。被災地の選挙期日の延期ということは当然の措置だというふうに私は思います。

 それで、幾つか確認をしたいんですが、その延期の対象であります。

 先ほども少し議論がありました、阪神大震災の場合は、特別の財政援助及び助成に関する法律というのができまして、そこで定められた特定被災区域のうち、選挙を適正に行うことが困難と認められる市町村、こういうふうに限定をされていました。

 今回は、地震の影響のため選挙を適正に行うことが困難と認められる県、市町村となっておりまして、対象となる県、市町村というのは何を基準かというのは先ほど御回答があったというふうに思います。

 それで、延期されるその選挙の行われる日、これは政令で定めるとしていますけれども、これはどのように日を定めるか、この点について伺いたいと思います。

片山国務大臣 これは、実はもう既に被災地からは実情をお伺いしているんですけれども、この法案を可決、成立していただきましたら、正式に、被災地の皆さんから、いつごろであればできるのかということをそれぞれ伺いたいと思っております。

 私の考えは、先ほども議論がありましたけれども、これは民主主義の基礎をつくる作業でありますから、できるだけ早くやるということが基本であります。

 ですけれども、これはできなければしようがありませんので、できるだけ早くということで、では、いつできるのかということを伺いながら、政令で決めていきたいと思っておりまして、今、いつ政令で決めるのか、政令ではいつにするのかということは、今の段階では未定であります。

佐々木(憲)委員 本来、主権者国民の選挙権というのは大変重いものでありまして、それを制限して延期する場合、これはどのような要件が必要かということが大事な点だと思いますが、政府としては、この点はどのように考えておられますか。

片山国務大臣 これは選挙事務が執行できないというのが一つの大きな目安だと思いますし、それから、有権者の皆さんがもう今は生活の基盤を失われてしまって、仮に選挙を執行できたとしても、事務の方はできたとしても、有権者の皆さんが対応できないというような状況が見られる、そんな場合が考えられると思います。

佐々木(憲)委員 法案で延期の対象となるのは、この四月に行われる統一地方選挙、それを延期する。延期の期間は最大九月二十二日まではできる、こうなっております。この間に被災地では、例えば八月三十一日に任期満了となる岩手県釜石市の市会議員がおられます。この市街地は、冠水して沿岸部は壊滅状態。それから、大槌町の町議があります。これは、町長を初め、約一万人と連絡がとれない、こういう状況にあります。

 任期満了となったときに、選挙を適正に行うことが困難だということがはっきりした場合、こういうところで、それはどういう扱いになるのか。つまり、今回の対象とは違う、その先の任期満了になる議員の場合であります。これは公選法五十七条の繰り延べ投票の適用ということは可能なのか、それをどのように扱うのか、そこをお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 これは、私もこのたびの改正作業に携わりまして思い当たった論点で、非常に重要な論点だと思います。

 御指摘の繰り延べ投票というのは、これはちょっと趣旨が異なりまして、告示をして既に選挙が走っている間に、その選挙期間中に何か不測の事態が生じて投票できないといったときに投票日を延ばすということであります。

 今おっしゃったように、例えば八月とかに任期が来て選挙をすることになるけれども、その段階でも、まだとてもそんな状況ではないというときにどうするかというのはよく考えなければいけないと思います。

 当面、この法案は、もう目前に迫った四月の選挙で今月中にも告示が始まったりしますので、これは急いで手当てをしないといけないということで、とりあえずこの法案をお出ししておりますけれども、その後の問題についても、実はもう私たちも心を砕いているところであります。もし必要がありましたら、その必要な法案をまたお願いすることもあるやもしれません。

 もう一つは、実はこの種の特例措置というのは、その都度こうやって法律を出すのじゃなくて、一般法の中に何か特例があってもいいのではないかと私は個人的には考えておりまして、そんなことも検討の上、また必要がありましたら御相談をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

松崎委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 今回の東北地方太平洋沖地震で犠牲に遭われた方々に、まず心から哀悼の意をあらわしたいと思います。

 特に、我が党も対策会議を開きながら支援対策の要望をいたしておりますが、一万四千人にも上る安否不確認の方がいらっしゃいます。一刻も早い発見と、それから五十二万人にも上る避難されている方がいます。的確な物資がまだ届いていないという状況もありますし、ライフラインの確立について万全な対策をまずお願いしておきたいと思います。

 重複をしないように質問いたしますが、特に、今佐々木議員からもありましたように、六カ月という設定がされたわけでありますが、非常にこの六カ月の中では、先ほど三県の中で大変な被害をこうむっております。それで、六カ月以上、被災の状況でできない場合、これについて今答弁がありましたが、六カ月と設定した理由、これも含めて再度御答弁を願いたいと思います。

片山国務大臣 阪神・淡路のあの大災害のときに、地震が起こりましたのが一月でありまして、大体五カ月間を選挙までの間に余裕をとることにしておりました。このたびの発生が三月でありまして、半年あれば選挙をしていただけるようになるのじゃないかという考えでありますし、もっと言えば、先ほども申し上げましたように、この民主主義の基礎をつくるという作業はやはりできるだけ早くやらなければいけないと私は思います。

 特に、被災地も少し見に行きましたけれども、町の再興、復興というのは非常に重要なことで、防災の観点も含めて、どういうまちづくりをするのかというのは非常に重要なことで、それを正当な住民の皆さんの信託を受けた方でやる方が私はふさわしいと思います。必ずしも正当でない代表によって、代表といいますか権力によってやるよりは正当な代表によってやる方がいいということはありますので、できる限り早くということは必要だろうと思います。

 ただ、御指摘のように、半年たっても到底できる見込みがないというような事態がもしあれば、それはあらかじめそのことを把握した上で、また何かの特別措置を講じなければいけないということは可能性としてはありますけれども、そうならないように、国も県も全力を挙げて町の復興を支援するというのが現在の基本的な方針であるべきだと私は思っております。

中島(隆)委員 特に、後段述べられました、もう役場そのものが流失をして、有権者名簿等々を全く把握できないところもございますし、それぞれ、地域の状況を踏まえて慎重に対応していただきたいと思います。

 それから最後に、被災地の復興支援が最優先であると思います。しかし、その被災地の、延期されるところはともかく、実施されるところも含めて、大変な復興支援の作業が伴うと思うんです。その中での選挙があるわけでありまして、当然、選挙の執行における事務の軽減についての配慮も、公正な選挙をやる体制はとってもらわなきゃなりませんけれども、そういう体制が必要ではないかと思います。その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

片山国務大臣 特に被災地におきます選挙というのはいろいろな配慮が必要だろうと思います。おっしゃったように、できるだけ事務の軽減ということも一つの重要なポイントだと思いますけれども、逆に、先ほども議論はありましたけれども、住民の皆さんがいろいろなところにまだ避難されているとか身を寄せておられる可能性もありますので、その面ではできるだけきめ細かく情報の提供とかサポートしなきゃいけないという面もあります。

 その兼ね合いの中で選挙の事務執行というのは決まってくると思いますが、その場合に、私は、特に、県の自治体に対する、市町村に対する支援、選挙執行面での支援も、人的なものも含めて、必要になるかもしれませんので、その辺は県とよく相談をして、できる限り、該当の自治体できめ細かい選挙が可能になるような、そういう配慮をしていただくようにお願いを申し上げたいと思っております。

中島(隆)委員 復興支援が最大の課題でございます。復興支援をしながらの選挙ということであれば、十分、その点の指導をよろしくお願いしておきたいと思います。

 終わります。

松崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十四分散会


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