衆議院

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第3号 平成23年5月13日(金曜日)

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平成二十三年五月十三日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 松崎 公昭君

   理事 石井登志郎君 理事 階   猛君

   理事 田村 謙治君 理事 手塚 仁雄君

   理事 松崎 哲久君 理事 赤澤 亮正君

   理事 西野あきら君 理事 富田 茂之君

      青木  愛君    石井  章君

      大西 孝典君    大山 昌宏君

      川越 孝洋君   木村たけつか君

      京野 公子君    黒田  雄君

      桑原  功君    小林 正枝君

      小室 寿明君    田中美絵子君

      高井 崇志君    高橋 英行君

      中後  淳君    中島 政希君

      橋本  勉君    宮崎 岳志君

      森岡洋一郎君    矢崎 公二君

      横山 北斗君    あべ 俊子君

      伊東 良孝君    加藤 勝信君

      北村 茂男君    齋藤  健君

      武部  勤君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    松野 博一君

      東  順治君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     小林 正枝君

  柿沼 正明君     大西 孝典君

  北村 茂男君     永岡 桂子君

  二階 俊博君     長島 忠美君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

  中島 隆利君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     柿沼 正明君

  小林 正枝君     大山 昌宏君

  永岡 桂子君     北村 茂男君

  長島 忠美君     二階 俊博君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

  重野 安正君     中島 隆利君

    ―――――――――――――

五月十二日

 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)

四月六日

 衆議院比例定数削減反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第五三〇号)

 衆議院比例定数の削減反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五三三号)

 衆議院比例定数削減に反対し、民意を反映する制度への改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第五三五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第五七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五七七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第五七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五八二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)


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     ――――◇―――――

松崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、東日本大震災により著しい被害を受けた地域の地方公共団体について、公職選挙法の規定による選挙の期日を延期する等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、法律の題名等に用いております「平成二十三年東北地方太平洋沖地震」を「東日本大震災」に改めることとしております。

 第二に、統一地方選対象外の団体につきましても選挙期日の延期の対象とすることとし、延期後の選挙期日は、現行法の施行の日から二カ月を超え六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としております。なお、対象団体の指定及び選挙期日を定める政令の立案に当たっては、総務大臣は県選挙管理委員会の意見を、県選挙管理委員会は市町村選挙管理委員会の意見をそれぞれ聞き、その意見を尊重するものとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

松崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長田口尚文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 引き続き、選挙についても、被災地の皆様が早期の実施に向けて努力を続けておられる、少しでも民主主義を前に進めるということでありますし、それ以外の活動も、当然のことながら、いまだに被災地の皆様の御苦労というのは大変なものがあります。被災地の惨状、被災者の皆様の窮状といったものに思いをはせながら、そして改めて犠牲者の皆様の冥福を祈りながら、質問をさせていただきます。

 片山総務大臣におかれましては、当初、選挙の直後に、この選挙期日、統一地方選を延期するということで法案を提出され、成立されました。正しい判断だったということで敬意を払っておきたいと思います。

 というのも、我が党においても、そして各党も同じだと思いますが、こういう大震災の後で、全国的に選挙は、統一地方選はもう延期すべきではないかというような議論もあった中で、そういう意味で総務大臣の御判断、民主主義を前に進める大原則を極力崩さないという信念、揺るがないものがありましたし、それに沿った閣法が出されて、現時点において、やはり全国的に延期すべきだったという声は皆無に近いということだと思います。

 そういう意味では、当委員会としてもそれに応じて、内閣提出の信念を非常にかたく守った法案にきちっとおこたえをして、いい結果を出したかなというふうに思う次第でございます。そんな思いも込めて本日の質問をさせていただきます。

 五月十日に閣議決定された政令が本日公布、施行されているんですかね。もう既に新聞記事にはなっていると思いますけれども、四十九あった指定地域のうち、十六の地域について選挙の期日を決めるという政令が本日公布、施行されているはずでございます。ということで、それを前提に、四十九の指定地域のうち十六の地域について選挙の期日が決まったということであります。

 なので、当初の法令についてまずお伺いしたいと思いますが、今後、統一地方選を延期したものについては、総務大臣、どのようなスケジュールで期日の指定をやっていくお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 今回、第一陣として、四十九のうち十六市町村について選挙の期日を指定したところであります。あと残りが三十三ありますので、これもできるだけ早くと思っておりますけれども、現地の実情もありますので、よく伺いながら、また、場合によってはといいますか、ぜひ、これはと思うところは職員も出向いてもらいまして、実情を把握した上で、見通しがついたところから順次指定をしていきたいと考えているところであります。

赤澤委員 それでは、これは、今回の法案の対象であります統一地方選後に期日の到来する選挙も含めて、六月十六日の加美町が最初だったかと思いますけれども、九月二十二日までにすべての指定地域において選挙を実施できる見通しであるのかどうかについてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 これは当初、被災直後に、一定の期間を置いてということで、九月の二十二日までということを設定しております。それで、その法案を通していただきました。今回、統一地方選に属さない自治体の選挙について延期をするというその根拠法案でありますけれども、これも、第一回目といいますか、現行法にあります九月二十二日に合わせております。

 できるだけこの期間内に選挙を実施していただきたい、こう思っておりますけれども、正直申しまして、自治体から意見を伺いますと、なかなか九月の二十二日までには選挙を実施できるという確証が持てないという声も伺っておることは事実であります。もちろん、万難を排してできるだけ早くやっていただきたいと思っておりますけれども、今後よく話を伺いまして、どうしてもできそうにない、そういう事情が判明しましたら、またその段階でそれが実現できるような立法措置をしていただくようにお願いをしたいと考えているところであります。

赤澤委員 それで、やはり数字的なものが非常に気になるわけでありますけれども、四十九のうち三十三が残っているということですね。これから指定をされるものもあるということでしょうけれども、今、九月二十二日までにとてもできそうにないという声を既に上げている自治体が恐らくあるんだというふうに思いますけれども、数的にはどんなものでございましょうか。

片山国務大臣 これは、公式にといいましょうか、先方でも、自治体でも何らかの、例えば、所定の機関が意思決定をした上でその見込みをお伝えいただいているというようなことではありません。そういうレベルではなくて、ざくっとした感じで伺っているところによりますと、六ないし七の団体が九月の二十二日までにはできるというその確証が得られない、そういう声を伺っているところであります。

 失礼しました。六、七と申しましたけれども、ちょっと勘違いしておりまして、十三ないし十四です。

赤澤委員 十三ないし十四ということで、そういうことであれば、かなり多目、残されているところの半分とまではいかないけれども、かなり多いところが心配をしていると。

 後の質問にもちょっとつながるので、必ずしも細かく通告していないんですが、お答えできる範囲でということなんですけれども、どんな困難があるのか。これは言うまでもなく、選挙により有権者から与えられる四年間に限り首長または議員としての権限を行使するというのが神聖な民主主義の大原則だ、この例外は極力認めるべきではない、四年以上の任期はあってはならない、こういう思いでありますから、少しでも早く、少しでも多くの地域が選挙を実施すべきだということだと思うんです。

 それに向けての障害、具体的なものとして、例えば有権者の把握であるとか、選挙人名簿をどう調製するのかとか、あるいは、選挙に携わる職員がかなり被災をされている、場合によってはお亡くなりになっているとか、あるいは投票所、開票所の確保ができないとか、いろいろなものがあると思うんです。

 具体的に、そういった非公式にいろいろ聞いている選管からの、県、市町村、それぞれあると思いますが、どのような障害というのが大きいのか、それは場合によっては今の十三から十四の中で違いがあるのか、その辺については、大臣、どのように認識をされていますか。

片山国務大臣 障害としましては、今まさにおっしゃったようなことでありまして、例えば、庁舎も何も流されてしまって、投票所、開票所の確保ができないという自治体もありますし、それから、今はまだ被災者の皆さんの避難所の支援というものが非常に重要で、かつ、もろもろの復旧対策に職員が余念なく、なかなか選挙事務まで手が回りそうにない。これは、選挙をやるということになりますと、かなり人手を要しますので、なかなか余裕がないというところもあります。それから、住民基本台帳でありますとか選挙人名簿を失ってしまっていて、その回復にまだ努めているという団体もあります。

 それから、福島県の双葉郡は、今原子力災害のために、住民の皆さんもそうですし、役所自体も移転を余儀なくされております。そういうことで、なかなかまだ落ちついていないということもありますし、それから、住民の皆さんの中で相当数の方が把握できていない、これは町村によって違いますけれども、例えば一つの町などはまだ三割程度の住民の皆さんの所在がつかめない、そういうこともあります。いろいろな困難な事情があります。

 それぞれについて、例えば人手が足らないということでしたら応援をするとか、選挙人名簿は早く回復に努めるとか、今そういうことをやっておられまして、それらがそれぞれの自治体でどの程度進捗するかということを見きわめた上で、今後のことは判断をしたいと考えております。

赤澤委員 これも、細かい通告をしているというものでもないのですが、流れで、今のお話で一つあるのは、例えば双葉町なんかは全く離れたところにおられる。把握ができたとしても、行政区域の中におられずに遠くにおられるということであれば、選挙の実施はかなり困難だと思うんですけれども、国として、その辺、選挙の投票を容易にするためにお手伝いができる部分、具体的な方策みたいなものはあるんでしょうか。

片山国務大臣 これは、例えば先例として、三宅村が噴火で全島避難を余儀なくされまして、四年間ほど避難されておりまして、その間に選挙もやっておられます。

 したがって、そういう前例といいますか、先例もありますので、そういうことの紹介、助言ということをぜひやりたいと思いますし、それから、現行の規定でも、例えば、域外に出られた方の動向が把握できておりますれば、そこにいろいろな資料を送って不在者投票をしていただくというようなこともありますので、そういうことの助言もあり得ると思います。

 あと、実際に選挙をやるということになりましたら、通常のときと違ったいろいろな手間でありますとか段取りが必要になりますので、人手も余計かかりますので、それは県なり近隣の市町村なり、場合によっては全国のネットワークを通じまして人的支援を行う、これは自治体に呼びかけまして人的支援を行うというようなこともあり得るだろうと思っております。

赤澤委員 未曾有の大震災で、想像だにしない事態でありますので、実際選挙を実施するまでに、さまざまな態様でまだまだ想定しなかった問題点というのが今後出てき得るということだろうと思います。国も、一歩も二歩も踏み出して、民主主義を少しでも前に進める、少しでも早く、少しでも多くの地域でしっかり選挙を実施するという方向で、万全の各自治体についてのケアをお願いしたいと強くお願いをしておくものでございます。

 一方で、先ほどのお話、十三から十四の少なくとも既に指定している地域について、九月二十二日ではなかなか難しい。先ほどの話だと、正式に悲鳴が上がっているというところまではいっていないんだけれども、非公式に不安が伝わってきている、こういうことだろうと思います。

 では、少しでも早くできるところはやってくれということで強く国は働きかけをするわけですが、どうしても九月二十二日までに選挙が実施できない指定地域について、総務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 これは、どうしてもできないということが、私どももそうですけれども、県の選挙管理委員会などもそういう確証が得られるということでありましたら、やはり何らかの措置は必要だろうと思います。

 したがいまして、現行の法律は九月二十二日が期限になっておりますけれども、どこか適当なタイミングを見計らって、この法律をやはりもう一回延長する必要がある、そういう判断はしなければいけないと思います。

 それは、いずれにしても、最終的には国会でお決めいただくことでありますので、タイミングを失しない時期にまた御相談を国会の方に申し上げるということになると思います。

赤澤委員 我が国の国会は会期の問題があるわけですけれども、いつまでに御判断をされるか、心づもりがあればお聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 これはなかなか私の方から申し上げることが困難なこともないわけではありませんけれども、今国会が六月のしかるべき日に会期が設定されておりますので、それは一つの目安になろうかと思います。

 必要な改正が間に合うというその時点で一つの判断をすべき時期があるだろうと思いますし、それからもう一つは、臨時国会というものがいつから開かれるのかという、その見通しにもよると思いますので、それは少し両にらみをしながら適切な時期を見計らいたいと思っております。

赤澤委員 それで、まさに今のお話なんですけれども、指定地域の選挙をできるだけ早く、できるだけ多くの地域でということで、それが大原則、繰り返しになりますけれども、民主主義の大原則だ、こういうことなので、私からすると、九月二十二日までに本当にできないのか、判断はぎりぎりにすべきかなと思うんです。

 通常、会期中とは限りませんが、そういうこともちょっと含めて、指定地域の選挙の期日の再延長について臨機応変に対応するためにも、あと、被災地の皆様が求める第二次補正予算の速やかな編成のためにも、今国会の会期をちょっと延長すべきではないかなと私なんかは思っておるわけですけれども、大臣の御所感を伺います。

片山国務大臣 これは、この問題だけで論ずることでも必ずしもないと思います。

 ただ、非常に重要なことでありますので、先ほど申しましたように、今国会の会期をにらむということもありますし、もし当初の予定どおり会期で終了するということになりましたら、それは臨時国会の時期をまたにらむということでありますし、場合によっては、このことで臨時国会を開いていただきたいというお願いをすることもあり得ると思います。その辺は臨機応変に柔軟に対応させていただきたいと思います。

赤澤委員 ちょっと我が党のポジションが色濃く反映されたような質問で恐縮でございましたけれども、私は、その辺、会期についても柔軟に考えて、臨機応変に対応できた方がいいなと率直に思っているところであります。

 それで、最後、残された時間でちょっと伺いたかったのは、珍事というとちょっと怒られてしまうかもしれませんけれども、民主主義の大原則に照らせば、千葉県議選ですか、浦安市選挙区で実施をされなかったということは非常に大きな問題ではなかろうか。少なくとも県の選管は、できるという御判断だったんだろうと思います。市の選管はどうだったかということも含めて、ちょっと大臣から、てんまつと、大きな問題だと私は思っておりますけれども、認識についてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 これは、さきの法律が成立しまして、その仕組みができまして、県の選挙管理委員会から総務相としては意見を聞く、伺うということでありますけれども、県の選挙管理委員会が総務大臣に意見を出すときには市の選管の意見を聞くということになっておりまして、そういう手続を経て意見が出てまいりました。

 浦安、千葉県、この部分だけが実は市町村の選挙管理委員会の意見と県の選挙管理委員会の意見とが食い違っておりまして、私どもも、これは国会での議論もありましたので、丁寧に意見を伺いました。その上で、県の選挙管理委員会の判断というものを受け入れて、浦安の指定はしなかったわけであります。

 したがって、いろいろな議論はありましたが、決まった以上は、法治国家でありますので、法律に基づいて所定の選挙の管理執行の事務をしていただく、これが原則であります。にもかかわらず選挙が事実上実施されなかったということは、まことに遺憾であります。

 その間、再三にわたりまして、県の選挙管理委員会から市の選挙管理委員会に、選挙の適正な執行をしてもらいたい、かつ、必要があれば全面的な協力をする、そういうメッセージまで県の選挙管理委員会から発したわけでありますけれども、それでもなされなかったということはまことに遺憾であります。

 その後、法律の規定に基づきまして再選挙を行う、今その過程にありますので、最終的には、住民の皆さんの政治参画の機会というのは保障されることになりますけれども、この間のプロセスはいささか遺憾、非常に残念だと思っております。

赤澤委員 ただ、今大臣のお言葉ではありますが、政治参加のプロセスは保障されるということだけれども、厳密に言うと、今、浦安選挙区については代表が出ていない、そういうことですね。

 そうすると、例えば県議会が緊急に何かやろうとしたときに、前の県議さんは任期が切れて、おられない、代表がいない状態で物を決めざるを得なくなるということで、市民参加のプロセスはと言うけれども、厳密に言うと抜けておる。それは、ある意味では非常に大きなペナルティーになって、その判断をした、実施しないことを決めた責任者は負わなきゃいけないと思うんですけれども、その辺の事実関係、今私が申し上げたことが違っていれば大臣から御指摘いただきたいし、そのとおりであるということであれば、そのことも含めて本当に大きな問題だと。

 ペナルティーについて何か考えておられるか、その点をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、投票をする、それだけを限定的にとらえてみますと、再選挙でその機会は保障されるということを申し上げたわけでありますけれども、今議員がおっしゃったように、実際、県議会は開催をされるはずでありまして、そこで所定の議案が出てまいりますので、今の段階で県議会が開かれても浦安市の代表は欠けているということでありますから、そういう意味でいうと、市民の県政に対する政治参画の機会というのは部分的に失われているということであります。そんなことも含めて非常に遺憾であるということであります。

 これについてどうするのかということでありますが、罰則とかそういうことはありませんので、現時点でそういう意味でのペナルティーというのはありません。しかし、こういうことは想定していなかったんですけれども、今後こういうことも考えられますので、何らかの法的な整備が必要ではないかと今考えているところでありまして、今回、きょう御審議いただく法案にはそれは盛り込んでおりませんけれども、今後の問題として、ぜひこれは検討をしたいと考えているところであります。

赤澤委員 時間が来たので終わりますが、今の問題は私が思ったより大きな問題かなと思うので、法的な整備も含めてきちっとした対応をお願いしたいと思いますし、当委員会としても、しっかりと審議をしていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

松崎委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 今、赤澤先生にほとんど聞かれてしまったので、できるだけダブらないように質問をしたいと思いますが、今回の改正案は、当初、総務省の方から内々御説明を受けていた段階では、来年の五月三十一日まで延期できるようにしたいというふうな話でした。それが、前回改正した現行法と同じように九月二十二日までというふうにされたわけですけれども、与野党間のいろいろな折衝等あったと思いますが、なぜ九月二十二日までになったのか、その間の経緯について、ちょっと大臣の方から御説明いただければと思います。

片山国務大臣 今回は、再延期の問題につきましては、自治体からかねて意見を伺っておりまして、先ほど申し上げましたように、幾つかの自治体については九月二十二日までにできるという見通しが現時点で持てないという話を伺っておりました。

 しからば、どの程度延期すれば正常にできるんだろうかということもあわせて伺っておりまして、それは自治体によってまちまちでありますけれども、一番ダメージが大きいといいましょうか、選挙の管理執行で障害が大きいところの自治体に伺いますと、来年の五月ということが一つあったものですから、そこまでを視野に入れて、そこまでを包含するような再延期の規定があれば大丈夫かなということで、当初、法案をまとめたいと思っておりました。

 国会各会派の皆さん方に説明をしたり御意見を伺ったりしている過程でいろいろな意見が出てまいりまして、一つは、そうはいっても、現時点でそこまで延期しなくても、やはり九月の二十二日までということで最大限頑張ってもらうのが本来の筋ではないかという意見もありまして、それは一つの見識だと私も思います。

 ただ、その場合に、どうしてもできないところがあれば、そのときはひとつ考えてくださいよということもこちらとしてはぜひお願いしたいところでありますけれども、そういう留保条件といいますか、留保的なことも含めて、できるだけ早くやるためには、やはり九月二十二日という一つの目標を掲げて、変えない方がいいんじゃないかというのは、これは私もなるほどと思いました。

 それからもう一つは、現実的な問題としては、この法案も通らないと意味がないものですから、やはり、合意が得られる、そういう意味合いもありました。

富田委員 私は、ちょっと事前の交渉経過を見ていて、大臣、五月三十一日と言ったのが九月二十二日まで前倒しになりましたけれども、各自治体の状況を考えていたら、ことしの暮れぐらいまでをひとつ政府・与党から野党にも提案して、このあたりで折り合いできませんかということがあってもよかったんじゃないかなというふうに思っています。

 それは、総務省の方からいただいた資料によりますと、町長の任期満了で、例えば宮城の女川は九月十八日、福島の大熊は九月十九日、三春は九月二十日。議員の任期満了で、福島の石川町は九月十四日、同じく福島の中島村は九月二十一日。これは、九月二十二日まで延期されてもほとんど意味がないんですよね。任期満了のときにできなかったら、もうほとんどできないというのが確定してしまう。

 この九月の前半から中盤に任期満了を迎える選挙というのは、恐らく八月末ぐらいに公示して選挙をやっていかなきゃならないということになると、先ほど赤澤先生が質問されていましたけれども、現段階で指定されている地域で十三から十四が無理だと言っているけれども、ここはもうほとんどできないというふうになったときに、穴があいちゃいますよね。

 先ほど大臣は、会期末が一つの目安だ、あと臨時国会がいつ開かれるかが目安で、両にらみでやりたい、ただ、どうしてもだめな場合にはこのことで臨時国会をというふうにおっしゃられましたけれども、私、それは無理だと思う。二次補正をこの国会の中できちんと出されれば大丈夫だと思うんですが、できないまま仮に六月二十二日の会期末を迎えたときに、次の臨時国会を開くためには、二次補正の案がきちんと出てこないと野党は応じませんよ。このことだけで開けというのは、そんな変な話はない、それだったらずっと開いておけということになるので。

 やはり、九月の前半にこれだけの任期満了の選挙を迎えるということを考えたら、もうちょっと考えた方がよかったんじゃないか。最悪、ここで各党合意して、参議院も通って、会期末までにもう一回やらなきゃならない事態が出てくるんじゃないかなというふうに私は思うんですね。

 我々もちょっと誤解していた部分があって、何か閉会中審査でできるんじゃないかなと思っていたんですが、閉会中審査は継続審議案件をやることだけで、本会議も開かれませんし、そうなると、やはりちょっとそういったところを各党きちんと話し合いをしてやればよかったなというふうに正直思っています。

 そういった意味で、先ほど両にらみというふうに話をしていただきましたし、この件での臨時国会というのは難しいと思うんですが、やはり各自治団体がきちんと選挙を適正に執行できるように、最大限、現場の意見をよく聞いて適切な判断をしていただきたいと思いますが、その点、どうでしょう。

片山国務大臣 それは、おっしゃるとおりであります。できるだけ密に、それから早く職員が現地に行きまして、実情を見て、伺って、一つの目安として六月二十二日の会期切れということを念頭に置きまして、必要があれば、自治体の意向が反映されるような法律の整備をお願いしたい、そういうこともあろうかと思います。

富田委員 ぜひ、市町村の現状を総務省全体として把握していただきたいことをお願いしておきます。

 あと、赤澤先生からも指摘いただきましたが、浦安の件で御質問します。

 実は、きょうから浦安の選挙が始まっています。十時半に第一声があって、私も応援に行くと約束していたんですが、非常に残念なんですが、この質問があるので行けなくなりました。

 三月十一日に震災がありました。金曜日でした。与野党で合意して、とにかく救援だということで、被災地には三日間入らないようにしようと。明けて月曜日の三時に、私は、浦安市役所に公明党千葉県本部の災害対策本部として伺いまして、松崎市長から現状を聞いて、その後、三時間ほど市内、一番大変な地域を全部、市の職員にお時間をとっていただいて、迷惑にならないようにぐるっと見てきたんですが、本当にびっくりしました。

 市のライフラインは全部つぶれちゃっていますし、あれだけ高級住宅街だったところがもう跡形もないというか、コンビニエンスストアが半分泥の中に埋まっている、交番も半分埋まっちゃっている、それを近くの学生たちが写メで撮って、きのうよりまた埋まったみたいなことをやっている状況でした。

 市長にしてみたら、ライフラインの復旧に全力を挙げているので、そのときも、選挙なんかとんでもないというふうに言われていたんですね。その後、この改正案が通りまして、県の選管の方から市の選管に問い合わせが行ったのが三月二十二日だそうです。その日のうちに、市長と選管の方で協議して意見書を出して、今のままではとてもできない、理由を四点ほど挙げられて、何とかしてもらいたいということで県選管に上げたら、県選管はその日のうちに、大丈夫だということで総務省に返答をしたと。

 そのことを松崎浦安市長はかなり怒っておりまして、ちょっと資料を提出させていただきましたが、資料一は、広報うらやす、市民不在で統一選でいいのかという号外を出して、資料二は、四月十四日、統一地方選挙をめぐる市の動き、その資料二の裏に「現場との乖離に強い失望感」という形で市長がコメントを書いています。

 これを見ますと、浦安市選管は「選挙を適正に行うことが困難である」という意見を出して、そういう回答がありましたよと。ただ、県選管の総務省への意見としては、「当該回答を踏まえ、慎重に検討したところ、当委員会の意見としては、浦安市においては選挙期日における選挙の適正な執行に懸念はあるものの、浦安市選挙管理委員会からの要請があれば本県及び県内市町村に応援を働きかけるなどの措置により、選挙事務を適正に行うことは必ずしも不可能ではない」、ちょっと何か二重否定みたいな形で意見を出されて、結局、この県の選管の意見に総務省の方は従って、三次指定には入らなかったという形になりました。

 現場を見ている者としては、ちょっとどうなのかなと。終わった後、この経過を松崎市長の方からも説明を受けまして、県選管の方で、もう少しきちんと市の選管と意見調整して、現場をきちんと見た上で、県選管でどういうバックアップができるのかというようなことも含めてきちんと話した上で総務省に意見を上げるべきだったんじゃないかなというふうに、てんまつを聞くと思いました。

 大臣は、前回のこの委員会の審議のときに、私が県と市の選管の意見が違うとなった場合どうしますかと尋ねましたら、ちゃんと市の選管の意見を尊重できるような形できちんとしますよというふうにお約束してくれた。こうなるんじゃないかなと思ったので、私はああいう質問をしたんですね。結局、県選管が市の選管の意見を無視するような形になってしまって、意見対立になってしまった。

 その少し後、二段目、三段目を見ていただきますと、松崎市長が何を怒っているかといったら、現場を見てくれないで決めたんじゃないのかということを盛んに言われているんですね。

 ところが、それに対して県の選管の委員長は、一人で車でぐるっと回って見てきたから実情を把握しているんだというふうに答えたらしいんですね。市の対策本部にも寄らないし、市の選挙管理委員会にも寄らないし、県選管の事務員も同行しなかった。これでは、県選管として市の選挙管理委員会の意見を正しく聴取したというふうには私には思えない。

 その後、ちょっと大臣に対しても不満を書いてあるんです。大臣は、記者会見で、ちゃんと職員がつぶさに見ていますよというふうに言われたけれども、それだったら、ちゃんと現地対策本部に総務省の職員の人も来てくれ、その上できちんと判断をしてくれたらよかったんじゃないかなというふうに松崎市長はこの市の広報で訴えられているんです。

 これをごらんになって、どういう感想をお持ちになりますか。

片山国務大臣 この委員会で、富田議員から、浦安問題というのは最初に御指摘をいただきまして、法律の立て方として、県の選挙管理委員会の意見を総務大臣は聞くということでありますけれども、市とそごがあるときはどうするのか、市の意見もよく聞いてみます、実情をよく把握します、こういう趣旨の答弁を差し上げたと思うんです。

 実は、千葉県からの意見につきましては、私どもも気になりました。文言が、いみじくもおっしゃったように二重否定のようになっているということもありました。それから、市長も何度か総務省に来られまして、選挙ができる状況ではないということもおっしゃっておられましたので、気になっておりましたので、一つは職員を派遣いたしました。

 確認できていないとこれには書いてありますが、ちゃんと二人派遣をしまして、主として公共施設、何も連絡をしておりませんから、学校などに行って、そこでこっそり写真を撮らせていただいたりしたんですけれども、私もその現地の写真なども見ました。その職員の意見は、いろいろ被害を受けているけれども、恐らく選挙をやるということになったときに致命的な支障はないでしょうというのが職員の感想でありました。

 それからもう一つは、県選管に本当に大丈夫ですかという話は何度も実は伺いました。その一環として、鈴木副大臣に、現地といいますか、県の選挙管理委員会の皆さんにも会っていただいて、そこで率直な意見交換をさせていただきました。その上で、県の選挙管理委員会の判断を尊重したということであります。

 もし必要がありましたら、直接その任に当たりました副大臣の方から少し説明をさせていただければと思います。

鈴木(克)副大臣 今大臣からお話がありましたように、現地の状況、そして県選管の考え方をきちっと把握すべきだということの御指示がございました。私、県選管にお邪魔をしまして、直接お目にかかってまいりました。

 県が下してみえる、できるということについては、本当にこれは間違いありませんかということの確認が一点。それからもう一つは、今まさに御質問があったように、現地を見られたかどうかという話もありましたものですから、これは現地をごらんになっていただいたんですかということも確認をいたしました。

 そうしたら、まさにおっしゃったような状況で、間違いなく委員長は見てきております、こういうことでありましたので、その旨を大臣に、お三方お目にかかったんですけれども、あくまでも県選管としては間違いなくできる、こういうことでございましたという報告を上げさせていただいたということでございます。

富田委員 せっかく地方自治のベテランの副大臣が県選管まで行かれたんだから、私は、市選管なり松崎市長に現場での説明を受けて、彼も結構猪突猛進なところはありますけれども、話を聞いてくれたら納得する方なので、お会いすればよかったなというふうに思うんですね。

 客観的な状況としてどうだったのかということで、今の資料二の一番下に、日付を追ってライフラインの回復状況を浦安市は市の広報に載せています。やはり、県議会議員選挙の直前までまだライフラインが回復していなくて大変な状況で、もともと、資料一の最初に出した広報うらやすの裏面に被災地のマップがありまして、その中にある投票所、これを見ますと、三十一カ所の投票所のうち十九カ所が液状化の影響を受けているということで、こういう資料もきちんと出しているんですね。

 こういう客観的な状況と比べると、実は三月の二十九日に水戸市が三次指定を受けたんですが、水戸市のホームページ、三月二十八日月曜日十時現在の水戸市災害情報というのがホームページに載っていましたので、引っ張り出しましたら、浦安と比べるとほとんど回復している。こんなので選挙できないというのはおかしいんじゃないかなと思うような、このホームページの二ページ目を見ますと、「復旧状況」というところに、「三月十七日十二時 市内全地区で水量・水圧とも概ね復旧しました。」水道はもう完璧になっているんですね。下水道についても、真ん中ぐらいに、「全地区で概ね使用できます。」ガスも、一個残っていた分が三月二十四日復旧。

 浦安と全然状況が違うんですね。だから、浦安の市長は水戸のこういう状況を知っていて、水戸が指定されて何でうちが指定されないんだというような不満も多分あったんだと思うんです。やはり客観的な資料に基づいて、不公平にならないような判断が必要だったんじゃないか。

 ただ、もう一つ客観的な状況としては、茨城県は県議選が昨年終わっていて、千葉県の場合は、浦安以外の県議選もやるけれども、その地域はほとんど何の影響もない。実は、香取と旭がかなり影響を受けましたけれども、香取と旭は市議選が去年終わっています。そういった意味で選挙事務も県議選だけやればいいということで、そういった別の客観的な状況もあって、県選管としては、なかなか市の選管の意見どおりというふうにいかなかったと思うんです。

 大臣が前回の審議の際に、きちんと聞きますと言っていただいたのは、今回法案で、それぞれの意見を尊重するというふうに規定を変えてくれました。前のでは、県選管が市の選管から意見を聞くことができるみたいな形で、大臣は県の選管の意見を聞かなきゃならないという、ちょっとどうなのかなという規定ぶりだったので、多分、このあたりを配慮されて、規定ぶりを変えていただいたんだと思うんですが、この尊重するという規定の意味を最後にちょっと教えていただければと思います。

片山国務大臣 これはまさに、今議員がおっしゃった経緯に基づいて、今回はこの改正案を出したわけであります。

 浦安と千葉県、それぞれ選挙管理委員会の意見を伺っておりますと、やはりもうちょっと現行法とは違った丁寧な取り扱いが必要だという認識を持ちましたので、あえて、総務大臣もそうでありますし、県の選挙管理委員会もそれぞれ、意見を聞いて、尊重するということがふさわしいだろうと思って、文言を盛り込んだところであります。

富田委員 終わります。ありがとうございました。

松崎委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 提案されております法案は、東日本大震災で甚大な被害を受けた被災地において、統一地方選挙以降の地方選挙についても期日を延期するというものであります。被害の甚大さからいいまして、これは当然の必要な措置であるというふうに思います。

 私は、三月に成立した統一地方選挙の延期法案について賛成の態度をとりましたが、そのときに、統一地方選挙を延期している間に行われる被災地の地方選挙の問題についてどう扱うのかという質問をさせていただきました。今回の改正は、その対応策が盛り込まれているというふうに思っております。

 そこで、浦安の問題も先ほどから話題になっておりますが、できるだけダブらない範囲でお聞きしたいと思います。

 実際に、浦安選挙区だけ千葉県議選で選挙ができなかった、執行できなかった。この事態というのは非常に異例な事態でありまして、その経過については先ほども議論がありましたが、要するに、市長の側は、選挙事務を行う人員の確保、投開票所の開設を許可しなかった。そのために、立候補者はいたわけですね、立候補者はいたんだけれども、投票できない、こういう事態であります。しかし一方、市議選の方は、予定どおり四月十七日告示、二十四日投票ということで行われたわけですね。

 この状況というのは、法律の上からいうと、違法な状況というふうに判断できるのかどうか。まず、そこのところを伺いたいと思います。

片山国務大臣 これは、先ほども議論がありましたように、既に通っております延期法の要件に該当するかどうか、本来指定すべきであったのではないかというような異論、反論があったことは事実でありますけれども、そういうプロセスを経た上で指定がなされませんでしたので、統一地方選挙の期日に選挙を行うということになりました。

 これは、御不満があっても、そうなった以上はやはりきちっとやっていただかなきゃいけない。これは、法治国家でありますから、そうしていただかなければいけない。それを執行しなかったということは、やはり違法であるということだと思います。

佐々木(憲)委員 きょう告示、二十二日投票で県議選が行われるということでありますが、結果として、浦安市の選挙区の定数二議席が欠員という事態となっていたわけです。

 今回提案された法案の中に、こういう事態を受けまして、対応策というのを盛り込んだということで、先ほど御答弁ありましたように、現場の選管から意見を聞き、その意見を尊重する。これが、前になかったのが入ったということで、これは当然だと私は思いますが、しかし、仮に同じような状況が発生したときに、この違法状態をなくすということは、今回の法改正ではまだできないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

片山国務大臣 それはそのとおりです。今回の法案で、浦安のようなことが起こらないようにするという担保を盛り込んでいるわけではありません。それは別途、もう少し時間をかけて検討させていただきたいと思います。

 今回、いろいろなことが要素として出てまいりました。先ほど来出ておりますように、選挙を執行しなかったのは違法だという、これは一つの明白なことだと思うんですが、あと、いろいろなことがありまして、例えば、市長さんが、できない、できないと言って総務省にも来られたり、意見を表明されていたんですけれども、実は、市長は選挙の管理執行事務とは関係ないわけであります。これは、私なんか非常に違和感がありました。選挙の管理執行は、あえて中立性のある選挙管理委員会という独立行政委員会にゆだねられているわけでありまして、市長が判断するものではありません。

 それから、公共施設を使わせないとか、職員を選挙事務に従事させないとかというのは、もしそれが本当であれば、これは幾ら何でも首長としてはあるまじき行為だと私は思います。使えないものなら、そもそも許可もへったくれもないわけで、使えないわけで、許可しないというのは、多分、使えるものに許可しないということだろうと思いますので、そういうことは決してあってはいけないことであります。

 もう一つは、県の選挙管理委員会が職員の派遣も含めて全面的な支援をするということも、そんなものは要らないと言われたということが、これも報道にありまして、本当かどうかはわかりませんけれども、もし本当だとすれば、選挙の管理執行に県の選管が協力をすると言っているのに、市長がそんなものは要らないと言うのは、これもお門違い、筋違いの話であります。

 それやこれや、法律上の問題とか、解釈の問題とか運用の問題でも、いろいろ今回、問題点が出てまいりまして、これらを立法上の問題、それから法律の解釈といいますか、認識の問題として改めるべきは改めなきゃいけないというのがあるものですから、この辺は少し落ちついて整理をしたいと思っております。

佐々木(憲)委員 わかりました。

 次に、先ほどもちょっと出たんですが、この法案の作成過程で、最初、総務省は、統一地方選挙もその後の地方選挙も、最大限来年の五月末まで延期するという法案を準備しておりまして、我々にも説明がありました。

 片山総務大臣は、この間、選挙は民主主義の根幹である、自治体の権力基盤をつくる選挙は優先して考えるべきだ、こういうふうに御答弁されておりました。その立場からいうと、最初、ややこの法案の内容は違っている感じがしたわけですが、大臣自身はどういうふうにお感じになっておられますか。

片山国務大臣 選挙は民主主義の基盤として最も重要なものであるということを私は申し上げておりました。

 その申し上げておりました背景といいますか、文脈は、当時、先ほども議論がありましたけれども、もうこの際、全国一律に延期すべきだという議論があったものですから、それは幾ら何でもおかしいんじゃないでしょうかと、やはり選挙というものは万難を排してやるべきもので、まして被災をしていないところはという文脈の中で申し上げておりました。

 しかし、今議員がおっしゃったように、それとは別に、延期するにしても、やはりできるだけ早く、ルールに近い時期にやるのが筋ではないかというのはそのとおりであります。

 今回、当初、来年の五月まで延期できるようにということを考えておりました。これは事実でありますが、それは、すべからく五月まで延期していいよという意味ではなくて、場合によっては一つあるいは二つぐらいの自治体が五月までいくかもしれないけれども、しかし、できるだけその範囲内で、早く早く指定していく、こういう基本的な考え方でありました。

 もう一つは、何回も法律を改正していただかなくてもいいようにということであれば、ある程度、一番最長のものをにらんで、一回そこまでの授権をさせていただければ、その範囲内で総務大臣ができるだけ早く指定していくということが可能になりますので、というような考え方で最初は考えておりましたけれども、与野党の皆さん方に御相談する過程で合意が得られるというのはどの範囲かということをにらんで、今回、正式に提出させていただいた法案になった次第であります。

佐々木(憲)委員 与野党の協議も、もう少しいろいろな角度から検討するということは私は必要だと思っております。

 それから、国民の基本的な権利である選挙権というのは、民主主義の根幹でありますから、今おっしゃったように、大変重いものでありまして、四年間の任期ということで、住民の信託を受けて住民の意思を反映する、これは憲法上根本原則だと思うんですね。選挙の延期というのは、その国民の権利を制限するということですから、最小限にするということは私も同じ考えであります。

 そこで、今回の大震災は、自治体の機能が非常に壊滅的な事態になった市町村もあります。選挙に限らず、自治体機能の回復というのは非常に早く行われる必要があるというふうに思います。

 選挙について言いますと、総務省としては、自衛隊、警察、消防関係者、そういう方の不在者投票実施のための総務省職員の被災地への派遣、こういうことを行ったというふうに聞いております。

 今後、自治体に対してできるだけ早く選挙を行うということを要請するとすると、総務省として、どのような自治体に対する支援を考えているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 統一地方選挙に際しまして、総務省の職員を、ある程度の人数を被災地の周辺のところに派遣しましたのは、これは自衛隊の皆さんを中心に相当大勢の方が被災地におられて、その間に統一地方選挙を迎えるということで、現地で不在者投票をするということになりますので、具体的には、例えば岩手県の遠野市などに不在者投票に行かれたわけであります。遠野市にしてみますと、思わぬ、どっといっときに自衛隊の皆さんが来られるわけで、とても自前の職員だけでは対応できないということも事前にわかりましたので、総務省の職員を派遣してその対応に当たった、こういうことであります。

 今後、被災地で今度は選挙を行うということになりましたときには、その地元の市町村の職員の確保ということが必要になってまいります。そこで、これは選挙事務に限りませんけれども、現在、被災地において、特に大きなダメージを受けたところで、職員が実際に亡くなられたり、それから業務がふえて足らないということがありますので、今、同種の自治体からの専門的な知見を持った職員の派遣というものをやっております。

 これは、総務省と全国市長会、町村会が相談をいたしまして、そういうスキームをつくりまして、今六百人弱がもう既にこれから順次派遣されるということになっておりますので、そのスキームの中で、選挙について、何人、いつからいつまで必要だということを言っていただきますと、その派遣システムの中で応援を求めて必要な人数が現地に派遣される、こういうことになると思いますので、ぜひ該当の自治体は遠慮なく言っていただきたいということを今までも申し上げているところであります。

佐々木(憲)委員 被災地の選挙の実施は、期間はできるだけ短い方がいいというふうに我々考えておりますが、同時に、被災者の投票権を最大限保障しなければなりませんので、被災者は、避難所で今避難されている方は把握しやすいと思いますが、全国に散り散りになっているわけです、特に原発の被災者の場合は。そうしますと、九州ですとか大阪ですとか東京ですとか、そういうところで暮らしておられるわけであります。また、住所も必ずしも一定していない。例えば、東京が提供する施設なんかも六月末とかというふうに切られる。そうなりますと、住所の把握もなかなか大変であります。

 したがって、基本的な権利である選挙権を保障するという場合、そういう方々に対してどう対応するのか、これは大変大事なことだと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 被災をされて、特に問題になりますのが、区域外に避難をされている方だと思います。区域外に避難されている方には、きちっと選挙公報も含めて必要な資料をお送りするということになりますし、それから、不在者投票の便宜が得られることになっておりますので、それを活用していただくということでありますが、その際に、例えば、まとまってどこかに避難されている、市町村外にまとまって避難所とか仮設住宅などのあるところは、そこに仮の投票所を設ければということもありますし、それから、そうでない、かなり個人単位で、世帯単位で避難されている方には、所定の不在者投票をやっていただくことになります。

 今一番私が問題だと思っておりますのは、どこにおられるかわからないという方がおられまして、その方々は連絡がつきませんから、資料の送りようもありませんし、選挙があること自体の連絡もできないわけでありまして、これが先決、急がれると思っております。全国避難者情報システムを先月の末から発動しておりまして、今、数万の方がそのシステムを通じて把握できております。でも、まだまだ把握できていない方はおられますので、まずはこの把握を急ぎたい。

 一たん把握ができますと、あとは、それをフォローして、住民の皆さんの所在をきちっともともとの役場、市役所で把握をしていただくことになりますけれども、まずは、今、行方がわからない、所在がつかめない皆さん方の把握に全力を挙げて努めているところであります。

佐々木(憲)委員 例えば、東電の仮払いが今始まっておりますけれども、対象は五万数千世帯と言われておりますが、申込用紙を配付して、そのうち四万以上が申し込みがされている、全国あちこちから申し込みが来ているということなんですね。それは、住所の把握が非常に進むという面もあるということなんですね。

 したがって、国の被災者支援、この支援金の配分ということを行うことも、住民の方々がどのような地域に住んでおられるか把握する上で大変重要な契機になるというふうに私は感じておりますので、ぜひそういう面もあわせて進めていただきたいというふうに思います。

 さてそこで、広報活動というのは非常に大事だと私は思うんです。つまり、その地域に現に住んでおられなくて、被災者がほかの地域に住んでいるという場合には、選挙期日が延期されましたということも、あるいは、不在者投票をこういうことをすればできますという周知徹底、こういうこともやはり広報だと思うので、前回の審議の中で、大臣は、周知するための広報が非常に重要である、国も総務省を中心にしましてできる限りの広報をしたい、こういうふうに答弁をされました。

 これまでの統一地方選挙の際には、総務省が明るい選挙推進協会に委託して啓発活動、啓発事業というのを行ってきましたが、今回の統一地方選挙ではそれはどうだったのか、前回の実績はどうだったのか、これは、逢坂政務官、答えていただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 まず、前回の平成十九年の統一地方選挙でございますが、財団法人明るい選挙推進協会への委託費、これは二億一千万で委託して広報してございます。広報の内容は、新聞広告、交通広告、文字放送、インターネットバナー広告、タウン誌広告、あるいは啓発情報誌などによる周知事業を実施しているところです。

 それから、今回、平成二十三年の統一地方選挙においては、明るい選挙推進協会への委託はございません。その委託をしなかったかわりに、総務省において、ホームページそれから総務省の広報誌等を活用するとともに、政府広報において、ラジオ番組、インターネットサイト広告、音声広報CDを活用して周知を図ったところでございます。

佐々木(憲)委員 今回できなくなったのは、新聞広告ですとか交通広告、インターネット広告、文字放送、ムービースポット広告、それからタウン誌の広告ですね。これは前回はやっていたんだけれども今回できなくなったわけです。委託費がゼロになった。

 これは何でゼロになったのか。事業仕分けで、これは必要ない、こういう話で、私はおかしいと思うんですよ。今ますます震災後は必要なことでありまして、今後、この点はぜひしっかりと、予算も確保していただいて、やるべきだというふうに私は思います。カットする対象が間違っているんじゃないか、政党助成金をカットするならいいけれども、こんなところをカットしてはいけないと私は思います。

 大臣、今後の展望についてお聞かせください。

片山国務大臣 事業仕分けを通じまして問題点の指摘を受けたことをきっかけにして、先ほど来話がありますような経費はカットしたわけであります。これにつきましては、いろいろ総務省として必要性を感じているところももちろんありますし、一方では、見直すべき、反省すべき点も、それはそれで、ないわけではなかったと思います。

 今後少し、指摘も踏まえ、また必要性も踏まえて、検討していきたいと思いますが、市町村といいますか自治体の選挙でありますから、自治体がそれぞれの選挙については広報するということも重要でありまして、そのための財源というのは、別途、地方交付税の算定を通じて確保されておりますので、国としての広報は広報としながら、自治体としての広報は、別途、独自に自主的にやっていただきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 自治体がやっているのはわかっているんです。問題は、総務省として独自にやっているのがカットされるというのはけしからぬということを私は言っているわけでありまして、ぜひこの点も今後復活して、さらに被災者のために広報活動を強めるように、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

松崎委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 東日本大地震、大津波に見舞われ、甚大な被害を出した関係自治体、県民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。同時に、復興に全力を挙げておられる関係者各位に深甚なる謝意を表したいと思います。

 そこで質問に入りますが、さきの統一自治体選挙の千葉県議選挙で、浦安市長が投開票所や選挙事務の提供を拒否しました。再選挙となったことが大きく取り上げられておりました。確かに、浦安市は、震災の影響で液状化現象の被害を受けていたことは事実でありますが、選挙延期の指定対象団体にはなっておりません。異例の事態と言わなければなりません。

 今回の統一自治体選挙では、ほかに選挙の実施あるいは延期をめぐってのトラブルはなかったのでしょうか。それが一つ。とりわけ、今回、岩手、宮城、福島と茨城の四県で首長選、県議選、市町村議選が延期となりましたが、他の被災地の選挙管理委員会から、実はうちも選挙を延期させてほしい、そういう要請がなかったのかどうか。二点、お伺いをいたします。

片山国務大臣 浦安市の、県の選挙管理委員会と市の選挙管理委員会との意見が異なっていたことに伴いますトラブルといいますか、選挙が実際に行われなかった、こういう意味でのトラブルというのはほかにはございませんでした。

 ただ、あえて申しますと、指定をする段階で、若干ハレーションといいますか、それがなかったわけではありません。

 といいますのは、ともあれ、三月十一日に地震がありまして、統一地方選挙の県レベルの告示、知事選挙の告示というのがもう間近に来ていたものですから、岩手県知事選挙のことを念頭に置いて、早く指定をしなければいけない、必要最小限そこが延期されるような指定をしなきゃいけないということで、当初、必要最小限の指定をしたわけです。あと、市町村のレベルの選挙は、もう少し事情を伺ってから指定すればいいというつもりでいたものですから、一次指定、二次指定という複数回の指定を考えていたわけです。

 そういう意味で、第一回目の指定は必要最小限にとどめたんですけれども、これで終わりというふうに誤解をされたところがありまして、では、私たちは選挙をやらなきゃいけないのか、そういう懸念と不安を抱くところがありまして、そこで、とんでもないというような意見が随分出てきたんです。当然、それは織り込み済みで、二次の指定でやりますよということで実際にやったんですけれども、一次と二次の指定の間にいささかそういう誤解と不安があった。それをトラブルと言うわけではありませんけれども、そういうことはございました。

 それから、指定した以外のところで、本当は指定してくれといって強く言ってこられたというところはありません。それぞれ、他の県からも、全国からも意見をとっておりますけれども、指定をしてくれといって言われたのに指定しなかったというようなことはございません。

重野委員 わかりました。

 本日審議している改正案についてでありますが、統一自治体選挙後の中間選挙でも、被災地の選挙を最大九月二十二日まで延期するという内容です。

 しかしながら、例えば震災と原発事故の被害に遭っている福島県では、推定でありますが、人口の一・五%に当たる約三万人が県外に避難しているんだというふうに聞いております。また、同じく福島県の双葉町、大熊町、浪江町などでは、延期された統一自治体選も含め、年内の選挙が予定されておりますが、福島原発事故の警戒区域に指定されているんですね。この住民の方々も、当分の間、地元自治体を離れてしまうんですね。

 このように、避難先が県外など当該自治体以外に広がっているケースにおいて、選挙実施の可否をどのようにして決めるんだろうか。当該の自治体以外に避難している方々がいらっしゃっても選挙を実施するような場合、周知や投票の方法はどのようにしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 福島県の双葉郡の八カ町村については、本当に選挙をやるということになりましたら、現時点ではとても困難だと思います。

 それは、役場自体が移転を余儀なくされている、住民の皆さんも域外に避難をされている、しかも、役場が把握している住民の皆さんももちろん大勢おられますけれども、把握し切れていない住民の皆さんもまだ相当数おられて、それは域外に避難をされているということで、現時点でとても選挙ができる状態ではないと思います。

 今後どうなるのかということでありますけれども、住民の皆さんがどの程度把握できるのかということ、これは早急に把握しなきゃいけませんけれども、どの程度ある時点で把握できているのかということが一つの目安になります。それから、避難先といいますか移転先で投開票所がちゃんと確保できるかどうかとか、選挙事務に当たる職員の要員の確保ができるかどうか、こういうものを個別に事情を見ることになると思います。いずれにしても、それは個々の自治体ごとの事情をこれから丁寧に伺っていきたい。その上で、意見も伺って、どうするかということを決めていくということになると思います。

 それから、域外に避難されている方への選挙関係の情報の提供、周知でありますが、これは個別にやるということが基本になると思います。区域外に移転されている方の情報をちゃんと把握して、所在を確認して、そこに個別に郵便ないし場合によっては他の通信手段を通じて情報を提供する。そして、いざ仮に選挙をやるということになりましたら、不在者投票などの仕組みを使う、こういうことになると思います。

重野委員 今回の法改正で九月二十二日までとされたことについて、指定対象団体となる自治体等々からさまざまな反応が示されていると思うんですが、どういうような意見、あるいはどういう反応が示されているのか。

 被災県、被災自治体からは、一年程度延長してほしいというような要望が出されているのではないかと思うんですが、そのあたりについてはどのように認識しておられますか。

片山国務大臣 内々、九月二十二日まででは選挙を執行できるという見込みが現時点でないという話は幾つかの団体から伺っておりまして、その中で、一番ダメージが大きいといいますか、延長幅を長くしていただきたいというのは、来年の五月ということでありました。

 今回のこの法案は九月二十二日ということになっておりますので、そういう該当の自治体の皆さんは確かに不安とか懸念とかがあると思います。これも、事務的にどうなるんでしょうかということを総務省の事務当局に尋ねてきておられるところもあります。そこでも率直に、今回の法案は九月二十二日までですということを申し上げた上で、実情を伺って、今後どうしてもその九月二十二日までに実施できないということが客観的に明らかになれば、その段階で適切な法的な整備をしていただくつもりであるということも含めて、内々、考え方を伝えているところであります。

重野委員 今、大臣の答弁を聞いて私も安心したわけですけれども、まず問題は、そこ辺をやはり周知徹底する、お互いに意見のそごがないように総務省としても丁寧な対応をしてほしいな、このように思っております。

 以上で終わります。

松崎委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 本題に移る前に、冒頭で、片山大臣は国家公務員二割削減の担当もされていらっしゃるということなんですが、私も、以前、総務省の政務官のときに担当しておって、この大変さということは重々承知しております。

 そういった中で、国家公務員の二割削減に向けて、本日、閣議決定がされて、まずは第一歩として、俸給、ボーナスの一割カットを基本とする国家公務員給与の引き下げだということが決定されたようなんですが、そのことに関連して、きょうの日経新聞の報道によりますと、財務省が地方公務員も給与引き下げを関係省庁や地方自治体に要請する方針だという記事が出ていました。

 これに私は大変違和感を持っていまして、そもそもこの話は国家公務員ということで進めていたということと、なぜ国家公務員なのかといえば、地方公務員は以前からそれぞれの自治体ごとに必要があれば人件費削減を積極的に進めてきた、こういう事情があるわけです。

 さらに言わせていただければ、私は今回甚大な被害をこうむった岩手県の選出議員でございますが、岩手県の地方公務員の中には、みずからも被災者でありながら、日夜、復旧復興のために尽力されている方もいらっしゃるということで、今回のこの記事に大変な違和感を持っています。

 ぜひ、この点について、本当にそういうことがあるのかどうかということをお聞かせください。

片山国務大臣 きょう、閣議のときに私の方から発言をいたしましたことについてお触れいただきましたけれども、きょうは、一割カットを決めたというわけではなくて、一割カットの方針で正式に職員団体と協議を始めたいということで、その旨、私の考え方を申し上げておきました。総理からは、その方針でやってくれ、こういうことでありました。

 今回の給与の見直しは国家公務員について行っているものでありまして、これはもう従来から政府の考え方を申し上げているとおりであります。それに対して、地方公務員についてもという考え方は一部にありますけれども、本来、地方公務員の給与というのは、国が決めることではありません。これはそれぞれの自治体の条例で決めるわけでありまして、その水準は、生計費それからその地域の民間の給与、それから他の自治体の職員の給与水準、それから国家公務員の給与の水準、これらを勘案する要素として決めるべきもので、それぞれの自治体が決めることであります。したがって、国が一律に自治体に給与をどうしろこうしろという筋合いのものではありません。

 なおかつ、先ほど議員がおっしゃいましたように、それぞれ自治体はこれまでも国の給与水準を大きく上回るような給与水準の引き下げなどをやっているところもありまして、それぞれが自主的にやっているところでありまして、そのことも含めて自治体の取り組みというものを尊重したいと思いますし、よく情報公開をするなどして住民の皆さんの理解の得られる、そういう給与水準にしていただきたい。

 これは一般論としては申し上げますけれども、今回、国家公務員に一割カットをするというようになった場合に、合わせてやれというようなことを指示するつもりはございません。

階委員 ありがとうございます。

 ぜひそのような方針で進めていただければと、私も国家公務員の二割削減ということでずっと担当してきて、昨年の国会でもこの点を議論しました。工程表を早くつくって国家公務員の人件費二割削減を進めていくということで、ぜひ前に進めていただければと思っております。

 では、本題に移ります。

 今回の法案に関して、先ほど来、浦安市の事例がいろいろと取り上げられておりますが、私は、岩手県にあります大槌町の事例をちょっと御紹介しつつ、議論をさせていただきたいと思っております。

 大槌町はまさに選挙の執行が極めて困難な状況にあります。と申しますのも、既に前回の法案で町長さんの選挙、実はこの方は今お亡くなりになりました。仮に御存命であったとしても、五月七日が選挙で、その大槌町の町長選挙は既に前回の法案で延期されています。さらに、今回もしこの法案が通れば、議会の選挙、八月三十一日に予定されておりますが、これも九月二十二日まで延期になるということです。

 この延期幅がいいかどうかは別として、そのような状況でございますけれども、今伺ってみますと、大槌町の投票所のうち、十五カ所のうち七カ所が津波による倒壊等によって使用不可能である、また、残りの八カ所のうち三カ所は今避難所として使用中で、開票所も避難所として使用中だ、こういう状況です。仮設住宅、岩手県はおかげさまで進んでおりますけれども、当面はちょっと選挙どころではないということだと思います。

 また、自治体の職員につきましても、先ほど申し上げたとおり、町長さんが死亡したほか、職員百三十三人のうち三十数名が死亡あるいは行方不明ということで、これは報道で伺っております。また、そのうち七人の課長さんがすべていない、こういう大変な状況でございます。でありますから、私は大槌町は当分選挙はできないというふうに理解しております。

 ただ、その反面、先ほど佐々木委員からもお話がありましたけれども、選挙によって有権者から負託を受けているのはあくまで任期の四年間。ところが、今回の法案では、選挙の実施が不可能な場合に、それに合わせて任期もセットで延長される、こういうことでございまして、ある意味、頭の体操と言われてしまうかもしれませんけれども、私が思うに、選挙ができないからといって、必ずしも首長さんなりの任期の延長ということをしなくてもいいのではないかというふうにも考えるところでございます。

 ちなみに言いますと、まさに大槌町の場合は、町長が不在の中で、今現在、副町長がしっかりと業務を運営しているわけでございまして、民主主義の観点から、任期は厳格に守られるべきだということに照らした場合、今回の法案、任期と選挙期日、セットで延長ということが果たして論理必然的なものなのかどうか、大臣の見解をお聞かせください。

片山国務大臣 これは論理必然的なものではないと思います。選択の問題だと思います。

 大槌町を見ますと、副町長ということで、法律上の用語で言いますと、住民の皆さんから直接選挙で選ばれた方が欠けたものですから、職務代理者として町長職を代行されているということであります。

 したがって、他の自治体でも、任期が切れて、その任期を延長しないでそのままにしておいて、それで選挙だけは延期するというやり方もないわけではありません。その場合には、大槌とはちょっと違った経緯ではありますけれども、副市長とか副町長とか、そういう方が職務代理者として仕事をやっていくということになると思います。

 どちらがいいのかということです。住民の皆さんの信託、負託を受けた首長さんが、任期を超えてプラスアルファの期間を次の選挙まで業務を執行するという方がいいのか、それとも、もうさばさばとやめていただいて、そのやめた町長さんが、議会の同意を得て任命をされた副町長なり総務課長なりの職務代理でいった方がいいのかという選択の問題だと思います。

 率直に申し上げて、私は、前者の方、すなわち、住民の皆さんの信託を直接受けた皆さんが任期を多少延期してこの難局に当たるという方がいいのではないかと考えております。

階委員 ありがとうございました。

 その上で、また大槌町のケースでいいますと、今現在職務代行者で頑張っておられる副町長の任期が六月二十日で切れてしまうんです。一方で選挙は当分できないということになりますと、職務代行者すらいないという事態が想定されるわけです。

 こういったトップがいない状況で、これからいろいろな復旧復興に向けての重要な意思決定をしていかなくてはならない大槌町、こういう状況を踏まえまして、総務省としてこの問題にいかに対応すべきと考えるか、御所見をお聞かせください。

片山国務大臣 職務代理という制度がありまして、首長さんが欠けた場合もしくは長期不在の場合などにだれそれを職務代理とするということを決めているわけでありまして、大槌町の場合は第一順位として副町長ということだったと思います。通常は、第二順位、第三順位もあらかじめ決めておりますので、恐らく、標準的な役場でありますと総務課長さんが次の順位として指定されていると思いますので、その方が職務代理者になると思います。

 ですから、手続上、形式上はそういうことで処理できると思いますが、決してそれが、これから住民の皆さんの信任を得て復興に当たるといったときに、民主主義の観点からいって強い支えがあるかどうかということになりますと、やはりいろいろな問題があると思います。

 であればこそ、できるだけ万難を排して、いろいろな主張はあろうかと思いますけれども、そういう大槌町のようなケースでありますと、いろいろな障害を乗り越えてできるだけ早く選挙をやっていただいて、その上で住民の皆さんの本当の信任を得た方がリーダーとして復興に当たっていくということが望ましいと思いますので、他の被災地にも増して、ぜひ努力をしていただきたいというのが私の率直な気持ちであります。

階委員 ありがとうございます。

 その考え方、私も賛成ですけれども、ただ、自治体に頑張れと言っても、これはさっき言ったような状況ですから、選挙をするのはなかなか厳しいんです。これは国の方でしっかり支えていただくとともに、かつ、住民の皆さんの理解も得ていただくということも大事かなと思っております。

 その大槌町の特異な状況、きょうは皆さんに認識を共有していただいたと思いますので、ぜひしっかりと取り組んでいただければと思っております。

 ちょっと個別の例を離れますけれども、今後、九月二十二日まで延長されたとしましても、先ほど来議論がありますけれども、さらに延長ということは、大槌町の例を見るまでもなく、当然あり得るだろうということで、その延長を検討するに当たっては、選挙準備に必要な期間も考慮した上で、現場が選挙準備に着手する前に時期を失しないように検討を進めることが適当ではないかと考えております。

 ちなみに言いますと、私は岩手県の盛岡と紫波郡というところが選挙区なんですけれども、地元に行きますと、掲示板は立っているけれどもポスターが張られていない、統一地方選挙用の掲示板がいまだに放置されていて、撤去するのもお金がかかりますし、一回目のときは突発的なことでしたからしようがなかったと思うんですね、立った後に地震でしたから。でも、今回は、またそういうことが起きると非常に経費的にも無駄ですし、そういうことがないように事前に準備に入っていただきたいというふうに思っております。

 そこで、確認なんですが、選挙の準備期間について、例えば、最も時間がかかると思われる岩手県知事選挙、仮に延期後の予定どおり九月二十二日までに行うと仮定した場合、県の選管はいつごろからその準備に入られることになるのか、お聞かせください。

田口政府参考人 お答えいたします。

 あくまで、仮定の話として一選挙の一般論で申し上げますと、仮に九月二十二日と申しますと、木曜日になります。したがいまして、直前の日曜日は、三連休の中日でございますが、九月十八日になりまして、知事選挙の運動期間を考えますと、十七日前の九月一日には知事選挙の告示を行うことが必要となります。

 また、その選挙の告示に向けましては、御指摘ございました、ポスター掲示場の作成準備、設置、あるいは投票所入場券の印刷、交付準備などの選挙準備が必要でございます。各地域によりまして実情が異なりますので一概には申し上げられませんが、一般的には二、三週間を要するものと考えられますので、八月前半にはその準備に入るのが一般的であるというふうに考えられます。

階委員 今の御答弁からすると、選挙の管理執行という観点からは、八月前半には、九月二十二日の期限が延長されるかどうかということについて、法律が通っているかどうかはともかくとして、事実上方針が確定していることが望まれると思います。また、当然、その候補者にとっても、期限延長されるかどうか早く決まってもらわないと混乱が生じると思っております。

 したがって、今回の法案は法案として、この委員会としても、地方選挙の延期期限のさらなる延長問題については、被災自治体の状況を念頭に置きつつ、適時適切に判断する必要があるのではないかというふうに考えております。何かこの点について大臣からコメントがあれば。

片山国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。現場が混乱しないように、手戻りなどが生じないようにしなければいけないと思います。

 したがって、総務省としては、現地の実情を的確につかみたいと思いますので、職員を現地に派遣して実際に実情を見て、伺って、その上で、タイミングを失しないように、必要がありますれば必要な措置を国会にお願いを申し上げたいと思っております。

階委員 ちょっと話はかわりますけれども、前回、統一地方選挙、岩手県内では、県知事選、県議会選挙を初め多数の市町村で延期という方法がとられました。

 実数を申し上げますと、県議選、知事選それから市町村選挙、もし全部一遍にやるとすると七十の選挙があるわけです。ところが、今回、延期の影響もありまして、実際に行われたのは五つの選挙のみです。七十分の五ということで、パーセンテージに直すと七%程度ということで、もはや岩手県内では統一地方選挙というのは名ばかりの状況で、伺ってみますと、全国的には三割程度というふうに聞いていますが、もっと低い数%というところもいろいろあるやに聞いています。

 統一地方選挙ということを本当にやるのであれば、こういう状況はなるべく早く改善しなくてはならないという問題意識があります。これは、統一地方選挙の期日を決める法案、昨年の秋ですか、通ったと思いますけれども、そのときも議論があったところだと思いますけれども、任期の調整などを含めて、任期調整といっても、延長したり短くしたりといっても、これも極端にすると、先ほど冒頭申し上げたような民主主義の観点からいかがかな、こういう別な問題もありますが、そういったことも含めながら、統一率の向上に向けた対策を講じる必要があるのではないかと思っております。

 大臣の御見解をお聞かせください。

片山国務大臣 私、率直に申し上げますと、これは非常に悩ましい問題だと思います。

 当初、戦後、地方選挙が行われたときは統一で行われまして、そのときはみんな足並みをそろえて選挙をやったんですけれども、もともとの仕組みが、ばらばらになる可能性を持った仕組みでありますから、案の定だんだんばらばらになってきまして、統一率というのが落ちてきました。

 この先どうするかということでありますけれども、本来、地方自治というのはそれぞれの事情に基づいて、首長がかわったり、また議会を解散したりというような事情がありますので、その事情に従って選挙が一般的なルールに基づいて行われるということでありますから、自然体ということにしますと、統一地方選というのは遠心力が働く、これを自然体として受け入れるということが素直なのではないかと思います。

 また、別途の理由で、統一した方がいろいろ、投票率の問題だとか、地方政治に対する認識が深まるとか、そういう教育的な効果も含めて、統一した方がいいのじゃないかという意見も当然あろうと思いまして、さてどちらをより重視すべきかということだろうと思います。

 私は、自分も統一地方選挙で選挙を戦ったものでありますけれども、その経験を踏まえますと、四月の新年度が始まったときにできるだけ統一するというのはいささか実態に合わないのではないか、さあこれから新年度でみんな心を一つにしてやっていこうというときに首長の選挙をやっているというのは何とも違和感が、私、二回ありまして、個人的には、どちらかといえば自然体にゆだねた方がいいのではないかと実は思っているところであります。

 これはいろいろな議論があると思いますので、これからよく議論をして、それを踏まえながら政策としては考えていきたいと思います。

階委員 時間が参りましたので終わりますが、今の点は結構悩ましい話だと思っています。でも、自然体でいいとなると、統一地方選挙という名称をもはや使うべきではないのではないか。統一という名称を使っていると、それ以外が何かイレギュラーな選挙みたいな形になって、関心も低いですし、投票率も多分低いんじゃないかと思っています。そういったことも踏まえ、ぜひ御検討をよろしくお願いします。

 本日は、ありがとうございました。

松崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、手塚仁雄君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西野あきら君。

西野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  東日本大震災により著しい被害を受けた地域について、公職選挙法の規定により行われる選挙の期日を延期する等の今回の措置は、平成二十三年六月十一日以降の任期満了団体等について、統一地方選挙対象団体と同一の範囲(平成二十三年九月二十二日まで)で選挙の期日を延期することを可能とするための緊急措置である。

  これらの選挙期日の延期は被災地域の実状を考慮したやむを得ない臨時特例措置であり、関係地方公共団体においてできる限り早期に選挙が執行できるよう政府は十分な支援を行うこと。

  本委員会は、災害の復旧・復興の状況を考慮しつつ、この期日までに選挙を行うことが困難な場合には、関係地方公共団体の意見を十分踏まえ、適切な措置を講ずることとする。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

松崎委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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