衆議院

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第4号 平成25年3月22日(金曜日)

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平成二十五年三月二十二日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 保岡 興治君

   理事 石原 宏高君 理事 奥野 信亮君

   理事 原田 義昭君 理事 平沢 勝栄君

   理事 ふくだ峰之君 理事 泉  健太君

   理事 山田  宏君 理事 佐藤 茂樹君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      石川 昭政君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      今野 智博君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    田所 嘉徳君

      高橋ひなこ君    中村 裕之君

      長坂 康正君    鳩山 邦夫君

      藤井比早之君    堀井  学君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      務台 俊介君    吉川  赳君

      岡田 克也君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    辻元 清美君

      山井 和則君    井上 英孝君

      坂元 大輔君    丸山 穂高君

      村上 政俊君    井上 義久君

      國重  徹君    井出 庸生君

      赤嶺 政賢君    佐々木憲昭君

      玉城デニー君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           橋本  岳君

   議員           泉  健太君

   議員           奥野総一郎君

   議員           田嶋  要君

   議員           浦野 靖人君

   議員           佐藤 茂樹君

   議員           井坂 信彦君

   議員           柿沢 未途君

   総務大臣         新藤 義孝君

   法務大臣政務官      盛山 正仁君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   参考人

   (都道府県選挙管理委員会連合会事務局長)     神宮司正巳君

   参考人

   (全国市区選挙管理委員会連合会事務局長)     秋野  諭君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     堀井  学君

  藤井比早之君     大岡 敏孝君

  山井 和則君     辻元 清美君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     藤井比早之君

  堀井  学君     大塚  拓君

  辻元 清美君     山井 和則君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出、衆法第三号)

 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

保岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として都道府県選挙管理委員会連合会事務局長神宮司正巳君及び全国市区選挙管理委員会連合会事務局長秋野諭君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣法制局第三部長松永邦男君及び総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより質疑に入ります。

 なお、この際、一言申し上げます。

 本日の質疑時間につきましては、与野党で協議いたしました結果、先般行われました大臣発言等に対する質疑分も考慮したものであることを御了解賜りたいと存じます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、総務大臣に基本的な姿勢を確認したいと思います。

 日本国憲法では、主権が国民に存すると宣言し、主権者国民を代表しているのが国会議員であります。国民の代表で構成する議会は、政府をチェックし、暴走を抑える、これが最大の役割だと思っております。したがって、国民の代表である議員を選ぶ選挙制度というのは、議会制民主主義の土台であります。それは、民意をいかに正確に反映させるか、この点が大事だと思いますけれども、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 議会と議員の役割、これをしっかりと規定して、その中で憲法が、我が国は議院内閣制を採用しているということであります。その議院内閣制の要素、これは一般的には、議会と政府が一応分離していること、政府が議会に対して政治責任を負うことが挙げられる、また、権力の均衡の要素を重視して、内閣が議会の解散権を有することを加えることもあるところ、このように憲法の解説の書籍には出ておるわけであります。

 国民の代表者たる議員と議会がしっかり権能を果たすために、それは、選挙によってその者が選ばれるということだと思います。

佐々木(憲)委員 国民の声が正確に議会に反映されるということが大切だと思うんです。

 そこで、昨年末の総選挙の結果についてお聞きしたいんですが、昨年十二月の総選挙で、小選挙区において第一党となりました自民党の得票率と当選人数の割合をお聞かせいただきたい。

米田政府参考人 お答えいたします。

 昨年の衆議院議員総選挙におきまして、小選挙区の自由民主党の得票率ですけれども、四三・〇一%、そして、三百の定数に占める当選者の割合は七九・〇〇%となっております。

佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、四割台の得票でありますが、議席では八割というわけで、得票率と議席占有率がいかに乖離しているかということを示していると思うんです。民意を議会に正確に反映していないということは明らかだと思います。

 では、当選者の得票数とそれ以外の候補者の得票数、すなわち死に票でありますが、その割合をお聞きしたいと思うんです。死に票率が五〇%を超えている選挙区、六〇%を超えている選挙区、七〇%を超えている選挙区、これはどれだけありますか。

米田政府参考人 これも、昨年の衆議院総選挙における結果を申し上げます。

 まず、小選挙区の得票総数のうち、当選者の得票数の割合は四六・九四%、したがいまして、それ以外の得票数の割合は五三・〇%となっております。

 お尋ねのありました、三百の選挙区のうち、当選人以外の候補者の得票数が当該選挙区の得票総数の五〇%以上を占める選挙区数は百八十八、六〇%以上の選挙区数は七十六、七〇%以上になっておりますのは二つの選挙区でございます。

佐々木(憲)委員 今の数字を聞きましても、死に票が過半数を超えているというようなことは、投票した過半数の国民の声を反映していないということです。

 民意を反映しないという政治がやはり政治不信の原因になっている、声が届かないんじゃないかというふうに思うんですが、大臣はどう思いますか。

新藤国務大臣 現行の衆議院の選挙制度、これは平成六年に設けられたということであります。そして、委員も私も、この最初の新しい制度によって国会に出てきたわけであります。

 衆議院の今の制度は、民意を集約する小選挙区制度、それから民意を反映する比例代表選挙、この二つを組み合わせた小選挙区比例代表並立制となっているわけでありまして、この制度による結果が議席にあらわれたということでありまして、それが直接的な政治不信の理由につながるとは私どもは考えておりません。

佐々木(憲)委員 集約といいますけれども、多数が切り捨てられるというようなことになりますと、民意が反映できないという事態になってくると思うんです。

 最近、定数削減の話も出ているようですけれども、議員の定数でいえば、日本の国会議員の数は、国際的に見て何か特別多いというわけではないんですね。今必要なのは、民意を正確に反映できない制度をどう直すかという、そのことではないかというふうに思っております。これが喫緊の課題だと思うんですね。

 さて、次に、法案に関連して、選挙経費、執行経費についてお聞きしたいと思います。

 この目的は、有権者が投票しやすい環境を整えるということだと思いますが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 有権者が投票しやすい仕組みにすること、これは当然のことだというふうに思っております。

 それにあわせて、今回のこの執行経費基準法、これにつきましては、国会議員の選挙等の執行に関する事務は地方公共団体に委託をして行われるものであり、そのための経費は国が負担することになっているわけであります。この基準法は、法的基礎の上に立った必要経費の基準を設けて、国が負担する経費の程度をあらかじめ定めておく、そして、それは地方公共団体が支出できる経費を予測できるようにすること、もう一つは、国の負担が過大になることを回避して、選挙事務の効率的な執行を促すこと、これを目的としておるわけであります。

 今回、法律上のそれぞれの基準額には地方公共団体の標準的な選挙の執行実績を反映する、これを基本にしておりますが、あわせて、特に効率的な事務に取り組んでいる先進的な団体の事例も踏まえて、このような反映とさせていただいているわけであります。

佐々木(憲)委員 その水準が適正かどうかというのを審議しなけりゃならぬと思います。

 そこで、具体的な数字を確認したいと思いますが、投票所の数、これは九六年、一二年、それぞれ幾らであったか示していただきたい。

米田政府参考人 全国の投票所の数でございますが、一九九六年、平成八年の衆議院議員総選挙の場合には五万三千二百十四カ所、一方で、二〇一二年、平成二十四年の衆議院議員の総選挙では四万九千二百十四カ所ということになっておりまして、この間、投票所は四千カ所、約七・五%減少しているという結果でございます。

佐々木(憲)委員 この投票所の数自体が四千カ所減っている。これは、市町村合併が進められてきたということもあって、非常に数が激減しているわけです。配付した資料の後ろの方に新聞記事を載せてありますが、この記事を見ても、ここには、「遠のく投票所」「投票所減り、不便に」などの見出しが出ているわけです。後で見ていただきたいと思います。

 閉鎖時間の繰り上げを行っている投票所、これはどうなっているでしょうか。九六年、一二年、それぞれ投票所の数と、それが全投票所に占める割合を示していただきたいと思います。

米田政府参考人 まず一九九六年の衆議院議員総選挙の場合でありますが、投票所の総数は五万三千二百十四カ所ございました。そのうち閉鎖時刻の繰り上げを行いました投票所の数は二千八百カ所、その割合は全投票所の五・三%でございました。この一九九六年は、ちなみに、閉じる時間は午後六時が原則というふうにされておったわけであります。

 一方、お尋ねの二〇一二年、昨年の総選挙におきましては、投票所の総数が四万九千二百十四カ所に対しまして、閉鎖時刻の繰り上げを行った投票所の数は一万六千三百八十八カ所であります。その割合は全投票所の三三・三%でございました。

 以上です。

佐々木(憲)委員 時間を繰り上げるということになりますと、その時間を超えて投票したいという人が投票できないわけです。したがって、これは大変大事な点だと思うんですが、閉鎖時間を繰り上げしている、そういう比率が、九六年には五・三%だったのが、昨年は三三・三%、三分の一が時間を繰り上げる、早めているということです。

 これは配付資料にありますが、九六年以降の衆議院の閉鎖時間を繰り上げた投票所数の推移をそこに示しておりますけれども、急激に、繰り上げをしている投票所がふえている。九八年からは投票環境の向上のために投票時間が二時間延長されたにもかかわらず、閉鎖時間を繰り上げている投票所が激増しております。

 大臣にも聞きますけれども、何でこんなに投票時間の短縮が行われているんでしょうか。

新藤国務大臣 これは、市町村からの御報告をいただいております。

 そういう中で、投票所の閉鎖時刻を繰り上げた理由は、まず、地域住民の生活パターンから、早朝から昼にかけて投票が集中しているということ、そして、高齢者が多く、夕方から夜間にかけての投票に危険が伴う、こういう理由、さらには、道路事情や公共交通機関の状況などにより、夕方から夜間にかけての交通事情が悪い、こういったことが挙げられております。

 その背景としては、高齢化や過疎化による人口減少、こういった影響もあるのではないかというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 それは余り理由にならないと思いますよ。

 つまり、全ての国民一人一人に投票を保障しなきゃだめなんですよ。何か、高齢化が進んだからしようがないという話ではありません。

 国政選挙というのは、全国一律で、同じ条件のもとで投票がされなきゃならぬ。ところが、投票所の数や投票時間が自治体によってばらばらになっている。これでは、投票の機会の公平が確保されていると言えないというふうに私は思います。

 この点について、これが平等だという認識でしょうか。

新藤国務大臣 まず、投票所の閉鎖時刻の繰り上げは、公選法ただし書きによりまして、投票人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り行うことができる、このようになっているわけであります。

 そして、実際には、この運用に当たっては、地域の実情を精査して、十分に検討を行った上で、厳正な対応をするように各選挙管理委員会に要請をしているところであります。

 それぞれの地域の事情に応じて、各選挙管理委員会がこのような判断をなされた。それは、特別の事情がある、地元の選管の方でこのような御判断が行われたものだ、このように思っております。

佐々木(憲)委員 特別な事情といっても、三分の一もこういう現象があらわれているというのは異様だと思いますよ。

 それで、今回の改定で投票所の経費を減らすということになりますと、投票所の減少、投票時間の短縮、こういう傾向にさらに拍車がかかるんじゃないか、そういう危惧を覚えます。実際に、総務省が大幅削減の法案を提出していることを見越して、一二年の総選挙では、これ以上削れないところまで削り、国の方針に備えてきたという声も出ているわけです。

 そこで、開票所について聞きたいと思います。

 九六年総選挙と一〇年参議院選挙、その開票所の数はどのようになっていますか。

米田政府参考人 全国の開票所の数でございますが、一九九六年、平成八年の衆議院議員総選挙におきましては三千四百二十一カ所、二〇一〇年、平成二十二年の参議院議員通常選挙におきます開票所数は千九百十三カ所ということになっております。

 この間、市町村合併の進展等を背景といたしまして開票所が減少しているというふうに見ております。

佐々木(憲)委員 開票所も結構激減をしているわけでありまして、開票所の統廃合のため、投票所から開票所まで遠くなって、それを理由に投票時間を今度は短縮する、こういうところも多いというふうに聞いております。こういうことは、やはりあってはならないと思いますね。

 二〇〇四年以降、開票時間の基準はどう変化しているでしょうか。

米田政府参考人 御質問は、執行経費基準法における開票時間の積算ということだと思いますが、この積算根拠といたしております開票の事務従事時間、これは準備、撤去を含む時間でございますが、二〇〇四年の参議院選挙におきましては六・五時間、二〇〇五年衆議院選挙は六時間、その後、二〇〇七年に執行経費の基準法が改正をされましたので、二〇〇七年の参議院選挙、それから二〇〇九年の衆議院選挙、参議院と衆議院で同じ時間数になったわけでございますが、それぞれ五時間ということになっております。

佐々木(憲)委員 六・五時間だったのが六時間になり、五時間になり、今度の改定の基準は三時間ですね。違いますか。違うなら数字を言ってください。

米田政府参考人 先ほど申し上げましたように、開票事務の従事時間につきましては、準備、撤去を含んでいるところでございまして、これを入れますと、今回の改正法案では、四時間ということに改正の予定をしております。

佐々木(憲)委員 だんだん短くなっているじゃないですか。三時間とか四時間とかというような状況で、開票所数も減らされ、そしてまた、基準も減らされていく。非常にきつくなってきているわけですね。

 それで、数を見ましても、開票時間の基準を短縮することが、やはり実際には、実態に合っていないのではないかというふうに思うんです。確かに、迅速に行うとか効率的にやるというのは求められることだと思います。しかし、コスト削減ということを最大の目的に掲げながら選管をあおっていくというのは、私はいかがなものかというふうに思うんです。

 開票作業というのは、正確さというのがまず第一、これは何よりも優先されなければなりません。それなくして、民主主義の根幹である選挙の公正、信頼性は確保できないと思うんですね。

 この点で、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

新藤国務大臣 御指摘のとおりだ、このように思います。ですから、開票作業の正確性、これは根幹です。加えて、全般にわたって遺漏のないように万全を期すことが極めて重要だ、このように思います。

 その意味から申し上げましても、今回の改正法案は、削減ありき、無理に経費を削減しようというのではなくて、事務の効率性を高めつつ、実績を踏まえ、その上で、いろいろな工夫をしている自治体がございます、そういったものも加味しながら、選挙のたびごとに工夫がなされていった、その実態が反映されたものである、このように私は承知をしております。

 ですから、このことによって開票の正確性が損なわれることはない、このように考えております。

佐々木(憲)委員 本当に実態を反映したものなのかどうか。

 これについては、二〇一〇年の参議院選挙にかかった執行経費と今回の改正案によります算定額、この二つを比べていただいて、算定額を上回るのはどれだけの都道府県、何%になるか、これを示していただきたい。

米田政府参考人 二〇一〇年の参議院議員の通常選挙において、改正法案によりまして算定された基準額がその実績額を下回る都道府県は、私どもの算定では三十二団体であったというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 実際にかかった二〇一〇年の執行経費と比べて今回の算定額が下回ってしまう、これは、実際に不足が出るということになるわけですね。今、三十二都道府県で不足が出るということは、六八・一%が、七割ぐらいですよ、今回の基準によって、この前の参議院選挙と比較しますと不足するということなんですね。これは、非常に大きなしわ寄せを執行する側に押しつけることになるんじゃないでしょうか。どうでしょうか、この点は。

米田政府参考人 前回の二〇一〇年におきましては、まだこの改正の法案が通っていない段階での執行でございました。そういう意味では、私ども、今回の改正法案におきましては、事務の効率的な執行を行っている選挙管理委員会、これの実態を踏まえれば、今回の改正法案におきましても正確な開票作業等々は十分可能なものというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 これまでの経過を我々振り返ってみますと、前回、それから前々回の執行経費の法案の改正のときに、前々回については、それまでの選挙の経費、これが不用額がありまして、国庫に返納した、こういうことがありました。したがって、我々は、それは実態に合わせるということで、減らすのは賛成をいたしました。

 その後、かなり大幅に削減する案が出てきた。その案に対しては、これはちょっとやり過ぎじゃないかと。現場の実態などを見ますと、かなりしわ寄せが行くというふうに思っております。実際に、非正規の方々をふやしてこういう公的な、非常に大事な選挙という仕事をさせるとか、そういうふうにせざるを得ない事態になってきている、これは問題があるんじゃないか。したがって、前回の改定に我々は反対をしたわけです。

 今回も、それに比べて、若干緩和した要素もありますけれども、ほとんど変わらないわけですね。そういうことを考えますと、これはやはり絞り過ぎじゃないか、現場の執行に余りしわ寄せをしてはならないというふうに私は考えるわけです。

 そこで、きょうは、わざわざ都道府県選挙管理委員会連合会事務局長の神宮司さんと、それから全国市区選挙管理委員会連合会の事務局長の秋野さんに来ていただきました。大変お忙しい中、時間を割いていただきまして、本当にありがとうございます。

 特に、国から委託を受けて選挙を執行している選挙管理委員会は大変な苦労をされているとお聞きします。執行経費のあり方に関連して、連合会としてのそれぞれの御要望を率直にお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

神宮司参考人 それでは、お答えいたします。

 私どもの都道府県選挙管理委員会連合会は、全国の四十七都道府県で組織する団体でございます。

 それで、今回の御質問の内容についてお答えいたします。

 私どもは、経費の削減というのはやむを得ない部分もあると思いますが、見直しに当たりましては、地域の選挙執行の実情に即した見直しをお願いしたいと考えております。例えば、基準法上の期日前投票所における人員配置が実態にそぐわない面もございます。

 今回の見直しは、投開票所における人件費の部分への影響が大きいと考えております。このため、市区町村選挙管理委員会がさまざまな工夫をする中で、例えば、投票所の職員をアルバイトへの切りかえや委託化、開票のスピードアップによる超過勤務手当の削減などで対応するよう要請していきたいと考えておりますが、しかしながら、市区町村選挙管理委員会の努力だけでは限度がありますので、見直しに当たりましては、地域の実情に即した、きめ細かい配慮をお願いしたいと考えております。

 いずれにいたしましても、経費の節減が選挙の公平性や公正性に影響を及ぼすことはあってはならないことですので、都道府県選挙管理委員会連合会といたしましては、選挙の円滑な管理執行につきまして、市区町村選挙管理委員会と十分協議してまいりたいと考えております。

秋野参考人 全国市区選挙管理委員会連合会の秋野といいます。

 全国の市と区で構成する団体でございますが、私どもから毎年のように連合会として御要望をお願いしているところでございます。いつもありがとうございます。

 今回の改正に当たりましては、今、都道府県連合会の事務局長がおっしゃったように、現場の方の意見としては、やはり投票、開票事務を責任を持ってやらなきゃいけないという実態を思いながら、最終的には法律の中で全て項目を載せていただきたい。つまり、昭和二十五年以降の法律の改正の中で運用されてきておりますので、そこのところについては、ぜひ、現場の中で使われているものであるとか、あるいは最近のOA化であるとか、人員削減のかわりとしてのOA化であるとかそういう経費、そういうものも全て項目の中に載せていただきたいというのが最終的なお願いでございます。

 実態としては、今、神宮司事務局長がおっしゃったように、私どもも精いっぱい、合理化を含めまして、経費の削減については努力をしているところでございますが、なかなか、高齢化というか、そういうことで人件費も非常にかかってございます。また、逆に、派遣法の改悪と言ったらいけないんでしょうが、改正等によって、職員のかわりになる人の集め方も非常に難しくなってきております。そういうことから、現場の方は人的な不利益を非常に考慮しながら運営をしているというのが現状でございます。

 そういうことも加味して、ぜひ、投票所あるいは開票所における事務の運営については、そういう人的な部分が非常に大きいものですから、あるいはそれを補う機械化というものも非常に大きいものですから、そういうところの経費を少なくても基準法の中に組み入れるような形でお願いできれば非常にありがたいと思っております。

 本日はありがとうございました。

佐々木(憲)委員 大変ありがとうございました。

 最後に、大臣、こういう執行現場の実情に合わせた見直しというのは大変大事だと思うんです。その現場の状況に耳を傾けて、今後とも適切な対応をしていくべきだと思いますが、決意をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 それはもとより、私ども、そういった実態を把握した上で、できる限りこれは実効性のある制度にしていくべきだ、このように思っておりますし、今後もその努力は続けてまいりたい、このように思います。

佐々木(憲)委員 以上で終わります。

保岡委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 おはようございます。日本維新の会の井上英孝でございます。

 昨年十二月に初当選させていただきまして、この政治倫理の確立と公職選挙法改正に関する特別委員会では初めての質疑となりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 新藤総務大臣、朝からありがとうございます。新藤総務大臣も川口市の市議会議員の御出身だというふうにお聞きしています。私も大阪市会議員を経験させていただいておりまして、地方自治体の議員経験という意味で、大臣ともかなりの部分で、そういう面では意識は共有できるんじゃないかなというふうに感じております。

 また、我々は日本維新の会として、立党の理念でもあります地域というのが原点で、地域の視点で、それに立脚した委員会質問を行っていきたいというふうに思っておりますので、ぜひとも、種々、改革に向けての具体的な御答弁を賜れたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、今回のこの案件ですけれども、二〇〇九年に当時の政権によって実施された行政刷新会議というのがありまして、そこの事業仕分けと今回提出されていますこの執行経費基準法案との関連についてをお聞きしたいと思います。

 二〇〇九年の政権交代があって、民主党政権が成立しました。その直後、行政刷新会議というのがありまして、事業仕分けというのが行われました。当時私も、先ほど申し上げたように大阪市会議員時代にその姿を見て、すごいな、大阪弁で言う、えらいごっついことやるなあというふうに思っておりました。ただ、いろいろな名ぜりふもあったかと思いますけれども、今回の選挙も踏まえて、経験して、改めて思ったのは、やはり二番ではだめだ、勝たないと、一番にならないといけないということを改めて私は実感したところであります。

 その事業仕分けにおいて、参議院選挙の通常選挙の経費は縮減という方針が一方的にというか示されました。前回、二〇一〇年に提出されました法案も、成立はしませんでしたが、その旨が盛り込まれておったというふうに思っております。

 今回提出の法案は、行政刷新会議の事業仕分けで指摘された点を踏まえているのかいないのか、まずは大臣にお聞かせいただきます。

新藤国務大臣 まず、井上議員からエールをいただきましたが、まさに、地域を考え、国を考える、こういう観点から新しい風をこの議会に送っていただけるのではないか、御活躍を期待したい、このように思います。

 そして、今の御質問でありますが、二十一年秋の前政権による事業仕分けにおきまして、参議院の通常選挙関係経費、これは予算要求の縮減という評価結果がなされました。そして、二十二年の予算額は、概算要求から一〇%の縮減となって、四百四十億円、このようになっておるわけであります。

 この執行経費の基準法も、御指摘のように、法案は出されましたけれども審議未了で廃案となっています。

 そういう中で、同年七月の参議院通常選挙は、各地方公共団体に事務の合理化と経費節減を要請したその結果として、現行法による算定額が五百十億円でございましたが、それに対して、実際の地方公共団体の執行経費の実績は約四百五十二億円ということで、廃案となりましたが、その改正法案による算定額が四百四十億円でありましたから、近い水準になったという、これは事実であります。

 今回の執行経費の基準法の改正案というのは、こういったこれまでの実績も踏まえ、そして執行実態もあわせて、その上で、効率的に取り組んでいる団体、こういった実態も反映した上で、我々とすれば新たに基準額を引き下げる内容、このようにさせていただいたわけであります。

井上(英)委員 効率的にやっているところなんかを中心にということで、余り事業仕分けの考え方などは特段反映されていないということだと思うんです。

 では次に、今回のこの執行経費基準法案の積算の根拠、先ほど佐々木委員からもありましたように、積算根拠について、まずは金額面でお聞きをしたいと思うんです。

 まず、今回の執行経費基準法案の積算根拠において、四百四十七億円余りが予算として計上をされています。前回予算額、先ほど御答弁にもありました四百三十六億という予算額、そしてまた実績額が四百五十二億、これは端数を切り捨てるので約ということで、四百五十二億というふうに比較しております。

 具体的に、どのような部分を削り、どの部分に配慮したのか、どういうめり張りでこの法案というのができているのか、項目別にお答えをいただけたら。

米田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、今回の改正は、各地方公共団体の選挙の執行の実態とともに、特に効率的な事務改善に取り組んでいる団体の実態を反映した上で、その基準額を見直しているものでございます。

 具体的に申し上げますと、開票事務に要する時間等につきまして、開票事務効率化による時間数の見直し、さらに投開票所の事務従事者数に賃金職員を導入したりその配置割合を高めるといったことにより経費削減を図るということにしております。

 例えば、選挙人の数が二千人以上三千人未満の市の投票所の場合、現在の法律では正規職員八人という形で積算をしておりますけれども、これを、正規職員六人、賃金職員二人といった形での積算に改めるということでございます。

 さらに、期日前投票所の経費につきましては、その制度が有権者にとって極めて便利な制度である、その利便性が広く浸透しているといったことから、期日前投票所の人員配置の実態を考慮いたしまして、期日前投票所の二カ所目以降につきましては総務大臣が定める額を加算することにしております。その加算額について増額をしております。

 例えば、市区におきましては、現行、正規職員三人、賃金職員ゼロという形での積算を、正規職員三人、賃金職員二人といった形での積算に改めるということで、こちらはむしろ充実させる方向での改正というふうにしているものでございます。

 結果的に、先ほど御質問がございましたとおり、現行の法律によりますと五百十四億円程度かかる見込みのものが、この改正法によりますと四百四十七・五億円という見込みを出しているものでございます。

 以上です。

井上(英)委員 御丁寧に答弁、ありがとうございます。

 書類というか、いただいている選挙執行経費基準法改正案関係資料というものの中に内訳の項目も入っております、一番の投票所の経費から二十番の調整費まで。今、その中の投票所、期日前開票所について御答弁いただいたと思うんです。

 結果的に、前々回、平成十九年に行われました第二十一回参議院通常選挙、それから前回の平成二十二年度に行われました第二十二回参議院通常選挙、それで、今回の平成二十五年の第二十三回に向けての予算組みという議論なんですけれども、十九年度から二十二年度の前々回から前回にかけて、投票所の経費も減っているんです。

 期日前投票に限っては、恐らく最近の重要性も鑑みて少し増額になっているんですけれども、三つ目の開票所の経費に至っては、もともと五十八億あった十九年度の予算が二十二年度には三十億ということで、ざくっと言うと約半分にやはり減っているんですね。その辺はいかがですか、半分になった理由というのは。

米田政府参考人 お答え申し上げます。

 開票所におきます主な経費というのは、やはり人件費でございます。人件費を積算する際には、それに必要な時間数とそれから単価、この両面での縮減でございます。

 一つは、時間数の縮減につきましては、いろいろな工夫によりまして、開票の時間数をかなり短縮するということが実態としてもございます。もう一方、職員の人件費の方でございますけれども、これも、賃金職員の導入等、ぎりぎりできるところは少のうございますけれども、そういうことを重ねまして、結果的にかなり大幅な削減が得られた、こういう結果になったものと承知しております。

井上(英)委員 開票所経費、先ほど言われるみたいに人件費、それからまた、先ほどの議論でもちょっとありましたけれども、時間も含めて短縮化するということだと思うんですね。

 開票事務面から考えたときに、開票所の経費、人件費でいうと、正規職員を今まで百五名認めていたのが、九十三名にする、十二名減らす。賃金職員を結局十二名にふやす。また、所要時間を五時間から四時間にするということで、結果的に、非常にやはり負担が地方に広がるんじゃないかなという気がいたしますし、また、要は、四万人以上の開票所に至っては加算係数を掛けていくというのがあるんですけれども、その加算係数も、五万人の都市でしたら、今まで〇・六という係数が〇・三になる。

 この計算でいくと、かけるお金は大体半分になるというふうに恐らく計算上にはなるかと思うんですけれども、実際、これで作業するのは地方自治体の職員なんですけれども、モチベーションも含めて大丈夫なのか、見解をお聞かせいただきたいんですけれども。

米田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、今回の改正法案におきましては、まず、平成二十二年の参議院選挙の実態というものを基礎に算定をしております。

 その場合は、今御質問がございました、一定の投票人数規模以上の加算等々につきましては、かなり実態として、いわば加算をすべき経費がかかっていないというような実態も調査で判明しております。そういうことを踏まえまして、今回の改正内容にいたしました。

 そういう意味で、もちろん経費自体の算定は下がりますけれども、私どもはこれで何とか正確な投開票の事務をやっていただけるというふうに考えております。

井上(英)委員 下げる場合は、やはり下げる根拠があって、このような理由で下げますと言いますし、下げられる方からすれば、これは下げられるとしんどいなというふうになるかと思いますので、そこはやはり行き違いの部分はあるかなというふうに思いますけれども、やはり自治体の職員がそれぞれ職務に当たるので、環境をしっかりと整えてあげていただきたいなというふうに思います。

 次に行かせていただきます。

 実際に投票事務、開票事務に当たるのは全国の自治体の職員の方々ですけれども、窓口で案内をしたり、質問や疑問に答えているのは、大臣の地元でしたら川口市の職員であったり、私の地元でしたら大阪市の職員であったりします。その自治体、職員の皆様に対する負担という面から質疑をさせていただきます。

 本当に、この委託の減額によって、地方自治体に対して負担を強いる状況は生じないというふうに部長は答弁をいただいているんですけれども、では、前回の二十二年に行われました第二十二回の参議院選挙においての開票作業の確定というのは何時なのか、お答えいただけますでしょうか。

米田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年の参議院選挙で開票時間が結果的にどうなったかということでございます。

 三十分刻みで我々は調べておりますけれども、一番少ないところですと三十分以下というところも二つございましたけれども、一番長いところでは八時間超というところもございます。

 平均的な数値で申し上げますと、四時間以下で開票を終えている開票所が一千七十三カ所で全体の五六・一%、さらに、三時間以下で開票を終えている開票所が五百三十四カ所で全体の二七・九%、こういう格好になっております。

井上(英)委員 三時間、四時間で終わっているところというのは別に要らぬのですけれども、一番長いところでは八時間ぐらいやはりかかっている。

 特に参議院の場合は、選挙制度上、比例代表選挙で、現在は非拘束の名簿方式というのが導入されていますので、事前の開票の計画よりやはりかかるんじゃないかなと思います。衆議院のように比例は政党名だけとなると開票もしやすいですけれども、そこはちょっと違うんじゃないかなと思うんです。

 実際にそれだけ、八時間もかかっているところがあるのは事実なんですね。それは、今、五時間を四時間にということになると、だから、所要時間でいくと一挙に半分にせいということになるんですね。それはやはり、負担として、もちろん先ほど言われたみたいに四時間、三時間で終わっているところもあるというふうに言っているのはわかるんですけれども、確実に全ての開票作業、どこの地域のどの開票所もきっちりと四時間で終わらないと四時間に設定する意味がないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

米田政府参考人 開票所の時間数につきましては、開票所をどのように運営していくか、それから開票所にどれだけの人手をかけてやっていくかというようなことが時間数にかかってくるわけでございます。

 そういう意味で、私どもで調べますと、かなり短く開票時間が終わっているところというのは、それなりにいろいろなノウハウを活用しながら、いろいろな工夫をしているということで、もちろん結果的に長くかかる、例えば疑問票等々がいっぱいございますと長くかかるようなところもございますけれども、そのあたりは、さまざまな工夫をしていただくことによって短縮が可能であるというふうに私どもは思っております。

井上(英)委員 もちろん、それぞれ知恵を出してというのはイチゴパックの話とかそういうのが多分あると思うんですけれども、地元は地元で、やはりそういう事務を与えられて、一生懸命経費の削減にも取り組みながら、イチゴパックで上手に仕分けしながら、また、投票用紙も非常によくなりましたし、黒いテーブルクロスを敷いて、なるべく投票が目立って回収しやすいようにとか、いろいろな努力、知恵を現場現場でそれぞれやっているということで、何を申し上げたいかというと、結果的に縮減ありきというか、先ほども一方的にという言葉を使いましたけれども、何でも減らすという議論は非常に、時には危うい場合もある。ある程度、地域、地方の声も反映させていただきながら、また、求める効率化というのは徹底して求めていただきたい。

 本来ですと、効率化という観点からいくとやはり基準というのが要るとは思うんですけれども、何を基準に効率化ということを表現されているのか、お答えいただけますでしょうか。

米田政府参考人 先ほど大臣からも御答弁がございましたとおり、選挙というのは非常に正確性が求められる事務でございます。そういう意味で、この正確性を損なうことがあってはいけないというのを第一に私どもは考えております。

 さらに、そうはいいましても、やはり、この経費につきましては国民負担につながっていくものでございますので、できるだけの効率化を求めるというところで、先ほど言いましたように、ベースといたしましては、現在の市町村の平均的な姿というのをベースにしながら、さらに効率化が可能なところがないかということで、そういう先進的な自治体の実態というのを加味させていただいている、それは今回の基準に反映させていただいている、こういうことでございます。

井上(英)委員 なかなかこういうものの基準というのは確かに難しいと思うので、ぜひともその辺は、正確な結果、それから労務の負担というバランスを上手に図っていただいて、ことし行われる二十五年の参議院通常選挙も、有権者を初め国民の皆様方に少しでも早く、そして正確に、開票等の結果、また投票に関する結果を出していただけるようにお願いをしておきたいと思います。

 それと、次は、期日前投票の事務についてお伺いをさせていただきます。

 前回の参議院選挙、先ほどからも申し上げております平成二十二年の第二十二回参議院通常選挙での期日前投票の総数、それから投票所数、そして全体の投票総数に対する期日前投票での投票数の比率をお答えいただけますでしょうか。

米田政府参考人 平成二十二年の参議院選挙におきましては、期日前投票所数四千六百四十二カ所ということになっております。

井上(英)委員 あと、それと、期日前投票の総数は約一千二百万ぐらいですか。それで、投票総数が約六千万で、投票総数に対する比率は二〇・一%。大体、期日前投票は全体の二〇%の有権者が利用しているという制度になっています。

 まさに、毎日が投票日じゃないですけれども、そういうことで、投票率のアップ、そしてまた、選挙そして投票に対する啓発運動に十分資する制度として定着しているというふうに、私のみならずここにおられる委員の先生方各位も共有しているかと思うんです。

 実際の開設時間というか、先ほど繰り上げの話もちょっとありましたけれども、一般的に、期日前投票とそれから当日の投票日の開設時間をお答えいただけますでしょうか。

米田政府参考人 期日前投票所数でございますけれども、先ほどは二十二年の数だけ申し上げましたが、十六年から見ますと、平成十六年の参議院選挙で四千四百八十六カ所ございまして、そのうち二カ所目以降の割合というのが二七・六四%でございました。それが昨年の衆議院におきますと、四千七百六十八カ所の期日前投票所数になっておりまして、特に二カ所目以降の割合というのは六〇・三二%ということで、二カ所目以降のところがかなりふえている実態にございます。

 これの実際の投票率ということでございましたが、済みません、ちょっと手元に正確な数字がございません、かなりふえてきているという実態でございます。

井上(英)委員 その答えはちょっと前のあれなんですけれども。

 今お聞きしているのは、実際の期日前投票、一日のうちの開設時間というのが、先ほど繰り上げとかという議論がありましたけれども、一般的に何時から何時までが期日前投票の時間なのか、当日の投票日は何時から何時までなのかということをお聞きしています。それで、それが法定なのかどうかをお聞きしています。

米田政府参考人 失礼いたしました。

 公職選挙法上、期日前投票所というのは、各市町村に一カ所以上設置することになっております。

 一カ所目につきましては、選挙期日の公示のあった日の翌日から選挙期日の前日までの間、午前八時半から午後八時まで設置するということにされております。

 一方で、二カ所目以降でございますけれども、この二カ所目以降の期日前投票所につきましては、各市町村選挙管理委員会が、選挙人の利便それから地域の実情等を考慮いたしまして、必要に応じて増設することができるというふうになっているわけであります。

 したがいまして、その開設の期間、開設の時間につきましては、各市町村の選挙管理委員会が定めることというふうになっておりますので、先ほど言いました一カ所目の八時半から午後八時というのに必ずしもとらわれずに定めることができるということでございます。

井上(英)委員 だから、今のは期日前投票に関してですね。では、実際の投票日の開設時間というのは法定で何ぼになっているんですか。

米田政府参考人 投票所は、現在は七時から午後の八時までということになっております。

井上(英)委員 もう一言で言うと、おわかりかと思うんですけれども、要は、期日前投票、一カ所目、二カ所目、二カ所目は自治体によってフレキシブルに判断できるということなんですけれども、おおむね一カ所のところもたくさんあると思うんですね。一カ所のところで、これは先ほど言われたように、一日から五日間とか、六日から十日間とか、参議院でしたら十一日から十五日間とか、十六日間がマックスですから、あいているんですけれども、これもちょっと聞いてもいいんですけれども時間があれなんで。

 要は、実際の投票日は、七時から八時、十三時間あいているんですね。でも、期日前投票に限っては、一カ所しかないところだけでいうと八時半から八時。ということは十一時間半しかあいていないんですね。少なくとも、やはり投票をやる以上、環境を一緒に整えてあげるというか、どちらかというと短くするよりは長くした方がいいんで、やはり期日前投票も七時から八時までやれるようにしてはどうかなと。

 もちろん、それは先ほど言ったみたいに自治体の負担の問題もあるのでそこはあれかもわかりませんけれども、我々も選挙をやっていて、期日前投票、何時からやっているのなんということを、恐らく委員長も含めて、地元の方に、選挙区民に聞かれることはよくあると思うんですね。それで、あっ、期日前、何時やったかなとか、投票日は何時やったかなとか、一瞬そういうことを考えないとだめなんですね。

 そういう意味でも、ちょっとルールにのっとり過ぎなのかなと。もう少し柔軟に、期日前投票であろうが投票日であろうが、同じ時間、極端に言ったら七時から八時、できますよとかいうことを、答弁は求めませんので、何とかお願いしたいなというふうに思います。

 また、いずれにしても、この期日前投票というのが、全体の二〇%が利用している制度であります。投票になくてはならなくなった制度というふうに思っていますので、先ほども言いましたけれども、一日から五日とか、六日から十日、十一から十五とか、もうフレキシブルに期日前投票の期間をとっているところもそんなにたくさんではないと思うんですね。七割ぐらいが、参議院でしたら十六日間、期日前で投票できるようにはなっているかと思うんですけれども、なるべく長い期間設置していただけるようにお願いをいたします。

 それから、これも先ほどの佐々木議員との話と少しかぶるんですけれども、投票所の数ですね。期日前投票所の数は、やはり先ほどもありましたけれども毎回減っている。十六日間、期日前であいているところも同じく減ってきている。減ってくるということは、悪い言い方をすれば、それだけ投票しにくくなるというふうに言われても仕方がありませんし、投票がしにくくなるということは、やはり啓発活動にも支障が出てくるんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 先ほども言いましたけれども、七時から八時とか八時半から八時とか開設時間の話をしましたけれども、これから、僕は逆に、今度、繰り上げも含めて、やはり地域で判断するということが非常に大事なんじゃないかなというふうに思っています。

 例えば、農村部で、やはりみんなが朝の早いところでしたら早い時間から投票できる、そのかわり早目に閉めることもできるとか、また、ベッドタウンで、帰ってこられる方々が深夜に近くなってくるような方が多い地域でしたら、極端に言うと夜の遅い時間まで開設することができるとか。もちろん、ある程度法定も大事で、二時間しかあけませんなんという自治体が出てこられても困りますので、一定の開設時間の担保というのは法定で決めることはもちろん大事なんですけれども、その時間帯をどの時間帯にするかということをやはり地域で、一番その地域をよく知っている身近なところの行政体で判断できるようにするということは非常に大事なんじゃないかなと。

 また、運用面でも、先ほどありましたように、やはり選挙というのは人海戦術ですから、非常に費用負担というのはかかってくるかと思います。でも、そういったものを、やはり大学だとか研究室だとか、そういうところの学生さんだとか研究生に来てもらって、どんどんどんどんそういうのに手伝いをしてもらって少しでも費用面を浮かせていくとか、いろいろなやり方があると思いますけれども、大臣、どのようにお考えか、ちょっと御意見をお伺いさせていただけたらと思います。

新藤国務大臣 この期日前投票は、極めて有効な手段だと思いますね。我々も選挙をやっている者として、これを促進することは心がけておりますし、何よりも選挙をやる人たちが、この有効性というか、また内容を周知していただくこと、これが一番の、浸透を図る上での最大の成果を上げられる原因じゃないかと思います。

 一方で、制度として、この期日前投票をやりやすくするように、またそういったものをふやすことができるように、そういった工夫をしていかなくてはならないと。少なくとも、今回の法案におきましても、そういう期日前投票所を市町村が管理する施設以外に新たに借り上げた場合には、そういったものの賃料も基準額として交付できるように、これは新たな規定を設定いたしました。

 それから、期日前投票所をふやす場合には、ふやしたものについては、その分を一カ所目よりもさらに加算をするという形で、促進方を図るべく工夫をしているというところであります。

井上(英)委員 もちろん今大臣がおっしゃったような、柔軟に変えていただいているということは決して評価していないわけではありませんので、今後、さらなる自由度といいますか、先ほども言いましたように、それぞれの地域でやはり人の流れというのも多少違う部分もありますし、そういったことも考慮して、要は、柔軟に投票を、その地域に合ったような形というのもぜひとも考えていただけたらというふうに思いますので、お願いをしておきます。

 また次に、これはちょっと気が早い話で、この後にも趣旨説明があることにもちょっとなるのかと思うんですけれども、インターネットを利用した選挙運動の解禁というのが新聞紙上も含めてよくにぎわっていますし、そういったものを踏まえて、公職選挙法のあり方とか投開票環境の向上というのについて質問をさせていただきたいと思います。

 先ほども言いましたけれども、後ほど、公職選挙法の一部を改正する法案の趣旨説明というのが行われるかと思います。いわゆるインターネットを利用した選挙運動の解禁が主たる内容かと想像されるんですけれども、こうした時代の変化、また社会状況の変化の中、インフラ整備がどんどんどんどん進んでおります。現在の公職選挙法が本当にこの時代に即しているのかというのを少しお話をさせていただきたいと思います。

 私もそうですけれども、選挙期間中、スタッフとともに自転車を連ねて、よろしくお願いしますと回って今日がありますし、大臣も恐らく同じようなこともされているかと思いますし、委員長も恐らく同じようなこともされてこられたかと思います。また、お会いになった方々に、それぞれよろしくお願いしますと頭を下げてこられたことだと思います。

 細かい点を聞く気はありませんけれども、要は、実際の選挙運動、我々がふだんやっている選挙運動と公職選挙法で定められていることとのギャップというのを、いい機会なので、ぜひとも皆さんともども考えていこうというのがこの趣旨であって、飲食物提供の禁止というのがあります。

 本当に言い古されておりますけれども、お茶、お湯はいいけれども、極端に言ったらコーヒーはあかんとか、そういう議論がよくされています。湯茶はいいけれども、それに付随するというか相当するような茶菓子だったらオーケーだけれども、極端に言ったらそれ以外はだめだと。お煎餅はオーケーだけれども、ケーキはあかんよとか。厳密に言うと、今の法律で言うとそういうことになっているんですね。

 先ほどから何度も言っています、インターネットを利用した選挙運動というのが解禁になれば、自宅でインターネットを見ていれば、これから大臣の顔も我々の顔も簡単に見られるようになる。ある意味、今は戸別訪問というのも禁じられていますけれども、インターネットで顔がばんと出てきたら、極端に言ったら戸別、まあ戸別訪問の実際は、現金等の授受をさせないために家の中に入らないようにするというのが主たる目的で戸別訪問というのができていて、その結果、玄関口まで行くのもだめだというふうにはなっているんですけれども、これからは、家の中で、コンピューターの画面を見るとばんばんばんばん顔も出てくる。

 インターネットで何万人の方に対して発信はできる。一方で、でもそれを、いいこと書いているな、ちょっと知り合いに見せてあげようと思ってそのインターネットの画面をプリントアウトして誰かに渡せば、今の法律だったら違法、違法行為というかだめなんですね。

 やはり、インターネットで、どんどんどんどん人に知ってもらうためのツールとして、非常に便利なものとして採用するんだけれども、今までの公職選挙法がネックというか、そういうことにもなってまいりますので、また、何万人に対して情報発信できますから、今のビラの証紙張りとか総数の限定といったものも、これから本格的に考えなければならないと思います。

 恐らくそれぞれ、会派も含めて、総務省もそうですけれども、考えていただいておるかと思いますけれども、要は今の、現状の進んでおる方向性と今の法律も含めたギャップについて、大臣、どのようにお思いになられているか、お答えいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 まず、通常の政治活動においては、これは二十四時間自由が保障されているわけでありますから、委員も含めて皆さんそれぞれ、ネットを使ってとか、いろいろなアイデアでもっておやりになっていると思います。基本的に、やはりこの選挙違反というのは選挙中に発生するわけでありまして、そこに規制をするこの選挙のあり方があるわけです。

 今回は、ネットの解禁というのは、これは総理もこの方針を打ち立てて、そして参議院選挙までに間に合えば望ましい、こういうようなことで、政権としてもそう方針は出しております。

 これはそもそもが、公選法がネットだとかツイッターというものがないころにつくられた法律ですから、想定していないわけでありますので、新たに出てきたもの、時代の変化に対応するのは望ましいことだ、このように思っています。

 しかし、それは選挙運動、またこの選挙にかかわること、根幹にかかわることでありますから、これは国民の代表たる議員が、各党各会派において議論をしていただく、それが望ましいと私は考えています。

井上(英)委員 そのとおりだと思います。ぜひともいいものになるように、しっかりと各会派も含めて考えていかなければならないというふうに思っております。

 もう時間もありませんので、ちょっと最後にさせていただきたいんですけれども、最高裁判所の裁判官の国民審査というのが衆議院の選挙のときには必ずついてくるというか、一緒に行われることでありますけれども、現状、この衆議院の期日前投票の期間というのは、もう時間もありませんので言いますけれども、三パターンあるんですかね、選挙部長。と思うんです。最高裁判所の裁判官の国民審査の期日前投票の期間というのは、今現状何日になっているか、お答えいただけますでしょうか。ちょっと法務省から、きょうは済みません、盛山政務官に来ていただいています。ありがとうございます。

盛山大臣政務官 議員御質問の最高裁判所裁判官の国民審査につきましては、審査の期日、これは投票日のことです、そして、審査対象者の氏名の告示がなされた後、審査期日の七日前から期日前の投票、不在者投票が可能となる、こういうふうになっております。

井上(英)委員 済みません、盛山政務官、改めてありがとうございます。七日間ということでなっているんですね。

 衆議院の選挙期間中の期日前投票というのは、公示後の翌日、候補者が確定して、翌日から十一日間というふうになっていると思います。

 実際、私も地元で言われましたし、ここにおられる先生方も言われたんだと思うんですけれども、では、公示の翌日に、要は衆議院の期日前投票の初日に行った方は、期日前投票所では国民審査はやれないんですね。結果的に、その方に役所の人間はどういう説明をするかわかりませんけれども、その四日後、当日を入れると三日後になるんですかね、最低で三日後に来てくださいということを言われることになるんですね。

 やはり国民審査をやる以上は、衆議院選挙の期日前投票と同じ日にスタートさせて、同じ日の最終日の投票日まで国民審査ができるというようなことをしないと、また、最高裁の裁判官自体は十五人とマックスが決まっているんですね。そのうち何人かがその審査に当たるかどうかということも正確に恐らく把握しています。もちろん、突発的ないろいろな事故も起きますからかわる可能性もゼロじゃないですけれども、原則、ほぼ想定した人数がその審査を受けることになりますので、やはり、審査を受けていただく、また投票していただくという形をとるのでしたら、どちらにとってもしやすいという形態をとるべきかと思いますけれども、最後ですけれども、政務官、いかがでしょうか。

盛山大臣政務官 そのような御意見があるのは承知しておりますけれども、私ども、国政選挙の場合には、候補者の名前あるいは政党の名前を投票者みずからが署名する、記入するということに対しまして、最高裁の裁判官の国民審査では、審査の対象となる裁判官の氏名を印刷した投票用紙をまず準備します。そして、罷免を可とする裁判官にペケ、バツの記号を記載するということで、一種のリコール、解職、こういった制度を使っているものですから、我々衆議院の議員、こういったものの投票と少し制度が違うということで、このような違いがあるということでございます。

井上(英)委員 時間も来ましたので。

 もちろん、理由がもっと簡単なものでしたら、それは恐らく同じ期日でやっていただけると思うんですね。でも、やはり何かしらのハードルはあるかと思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、国民審査にも積極的に取り組んでもらう、そしてまた投票にも積極的に行ってもらうということを考えますと、やはりそういったことは努力の範疇で何とかならないものかと思いますので、それをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

保岡委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーでございます。

 議題となりました法律案につきまして、事前の通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。

 さて、三年に一度、参議院選挙が行われるということで、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律がこれまで改正が行われていたということですが、本年、平成二十五年は第二十三回参議院通常選挙が予定されているということで提案になっているという説明をいただいております。

 その前に、昨年行われました第四十六回衆議院総選挙について、これからまずお伺いをしたいと思いますが、全体の有権者数、投票者数、それから有効票、無効票、各地の投票率及び使われた金額等について、まず御質問したいと思います。

米田政府参考人 昨年の第四十六回衆議院議員総選挙の結果について申し上げます。

 小選挙区選出議員選挙について申し上げますと、有権者数は一億三百九十五万九千八百六十六人、投票率が五九・三二%、無効投票数二百四万九百七十票でございまして、これは三・三一%に当たります。

 各地の状況についてということで、例えば、投票率の高かった島根県を例にとって申し上げますと、島根県におきましては、有権者数五十八万五千三百五十一人、投票率六五・七四%、無効投票数一万九百三十七票ということで、これは二・八四%に当たります。一方で、投票率が低かった高知県をこれまた例にとって申し上げますと、有権者数が六十三万五百五十四人、投票率五三・八九%、無効投票数が一万七千七百八十六票でございまして、五・二三%となっているところでございます。

 それから、この第四十六回の総選挙に係る予算額でございますが、約五百六十億四千九百十四万円となっております。第四十五回、平成二十一年の総選挙に要した経費は、決算額で約六百四十七億三千百七十二万円となっておりました。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 この衆議院選挙は、このように今御報告をいただきました投票率あるいは無効投票数、もろもろ十分精査をしなければいけないというふうに思っているわけでございます。

 といいますのは、実は、東日本大震災という未曽有の大災害が起こってから初の全国の選挙ということもありまして、大変その対応に追われたということもありますとともに、今、投票率や無効投票数、パーセンテージも聞かせていただいたんですが、実は、衆議院選挙の投票率を調べてみますと、今回は全体で五九・三二%で、過去最低の投票率、戦後最低の投票率ということになっているわけでございます。

 この最低の投票率、いろいろ今、米田選挙部長から御報告いただきました島根あるいは高知、そのほか全国を見てみますと、全国三十一の道県で戦後最低の投票率ということもあり、全都道府県で投票率が低下したということになっております。全国平均で五九・三二%です。前回は、二〇〇九年は六九・二八%ですから、約一〇%、数字を落としているわけですね。

 なぜこういう状況を伺ったかと申しますと、この衆議院選挙でのさまざまな総括と申しますか、金額だけではなくて、全体の取り組み方について、我々もきちんと議論をする、時間をかけるべきではないかというふうに思うからであります。それをいろいろと精査してみますと、今回の参議院選挙に合わせたこの改正も、果たしてどのような結果につながっていくのかということを大変危惧するわけでございます。

 今の数字の報告、そしてこの第四十六回衆議院総選挙の結果等々を踏まえて、新藤大臣、ぜひ大臣の率直な御見解をお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 選挙の投票率が下がることは、まことに残念であり、ゆゆしきことだ、このように思います。

 しかし、投票率がなぜ下がったのかというのは、いろいろな要素、原因があると思いますね。当日の天候もありますし、それから国民の関心事項、そして争点がどういうものであるか、こういったものも絡むんだというふうに思います。

 その上で、我々とすれば、投票行動に対して、要するに、投票の事務や、それからこのような投票所の開設状況によって影響が出るようなことはないようにしなければならない、こういうことだと思いますし、適切に投票が行われるように努力を続けてまいりたい、このように思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 そうですね、まさに主権者たる国民の行使する権利をいささかも毀損することがあってはならないということにおいては、今大臣からお話しいただいたとおりだと思います。

 その点を踏まえまして、今回提案されております法律案の内容について、少しまた質問をさせていただきたいと思います。

 この委員会で、先ほど来のいろいろな質問や答弁をお聞きしておりますと、やはり開票事務の効率化による時間数の見直し、あるいは投開票所の事務従事者数に賃金職員を導入するということですね。この賃金職員の定義と申しますか、どういう職種をあらわしているのか、米田部長、よろしくお願いします。

米田政府参考人 これは積算の根拠を示しているものでございますので、必ずしも、定義というのが法的に決まっているわけでもございません。私どもで使っておりますときは、正規職員以外の者ということで使っておるわけでございます。

玉城委員 正規職員以外の者ということは、単純に考えますと、アルバイト、あるいは臨時職員、あるいは派遣職員ということが挙げられると思います。

 そのことを踏まえて少しお話を伺いたいんですが、今回は、第四条の投票所の経費、そして第五条の開票所の経費等々について、それぞれ効率化を図っていくという名目上の見直しになっているわけでございますね。

 まず、投票所と開票所の職員の数についてお伺いいたします。

 手元の資料によりますと、選挙人数が二千人以上三千人未満の市の投票所の場合は、従来の正規職員八人を正規職員六人、賃金職員二人というふうにするということですね。開票所は、選挙人数が三万人以上四万人未満の開票所の場合には、この場合、百五人の正規職員の方々が開票に当たっておられるんですが、正規職員を九十三人、賃金職員を十二人にするということがあります。

 こういうふうに賃金職員を導入するということは、いわゆる賃金の削減以外に何を目的にしているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

米田政府参考人 投開票業務は、基本は、正規職員がやっているというのがベースでございます。投票の秘密の保持等々がございますので、正規職員がやっているというのがベースでございます。

 一方で、賃金職員につきましては、そういう根幹的な業務以外のところで秘密の保持等々にかかわらないようなところ、そういうところで、先ほど委員がおっしゃいましたような、いわばアルバイト、それからほかの派遣等々の職員をうまく活用して経費の効率化を図るといった観点でそういう取り組みが行われている選挙管理委員会も多々ございます。

 その辺を、実態を見まして、今回、こういうような積算をしたわけでございます。

玉城委員 実態的には、臨時の方々が投票所あるいは開票所で、例えば、投票する方の誘導ですとか、あるいは開票所でもさまざまな、バックヤードで仕事をしている方々がいらっしゃるとは思うんですが、私がここで心配するのは、いわゆる投票という行為そのもの、それから開票という厳密な職務というものが、どのぐらい、秘密の保持、あるいは国民の権利が守られるのかというふうなことが危惧されるわけでございます。それは、その職員の数のみならず、今度は投票と開票に関する時間も短縮するということをあわせて考えますと、本当に大丈夫なのかというふうな危惧の念をやはり払拭できないわけですね。

 投票事務に関する時間が十六時間から十四時間、それから、開票事務に関する時間が五時間から四時間というふうに、これも見直しをするということですが、職員を正規の職員から非正規の方々にお願いをするということ、さらに、投票と開票の時間を短縮するということは、いわゆる効率化ということ以上に、投票する方々には大きな負担や不安を与えてしまうのではないかと思いますが、その点、いかがお考えでしょうか。

米田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、これは選挙に係る事務でございますので、まず第一に正確性、それから個人情報の漏えい等に気をつけるべきことは申し上げるまでもございません。

 したがいまして、職員でない賃金職員を投開票事務に従事させる場合にあっては、職員の事務を補助する定型的な単純作業にその業務を限定する、それから、秘密保持を初めとする服務規律を徹底させるなど、事務処理に遺漏のないよう、厳正な執行について各地方公共団体に既に要請をしているところでございます。

 そのような前提に立って、現実には、効率的な事務の執行という観点で、既にさまざまな地方自治体におきまして、先ほど言いました制約の中で賃金職員の活用を図っている、このような実態を見まして今回の改正を図っているところでございます。

玉城委員 私たち生活の党の中で、今回の法案の審議に当たりましては、いろいろな、議員間での議論をさせていただきました。その中には、やはり各地域では多少の、開票時におけるミスなどが散見されるというふうなこともございまして、これは開票のときの立会人の方々がきちんとそれを精査して、正しい数として上げていくという努力をして、投票したその権利がきちんと守られているというふうに思うんですね。

 しかし、その一方で、投票時間を繰り上げる、あるいは短縮するというふうなことは、全国各地域、いろいろとその事情はあると思います。

 例えば、昨年の十二月の衆議院選挙のときに、恐らく、東日本、東北方面では四時ごろからもう暗くなっているのではないかというふうに思いますが、一方、沖縄で暗くなるのは大体午後六時ごろですので、夕暮れにも約二時間ぐらいの時差があります。そうすると、当然、危険度等々を考えても、各市町村では、いろいろな、気象条件あるいはその状況によって、時間を、ある一定、効率的に投票ができるようにしようというふうに働くのもまた理解できるところであります。

 昨年十二月十六日の福島民友のニュースを少し御紹介させていただきます。

 福島県内で、一千三百十二投票所がありまして、これは、全市町村が投票終了時間を一時間から四時間繰り上げたということがありますが、全市町村が繰り上げるのは衆議院選挙では初めてであるというふうに紹介されています。二時間繰り上げて午後六時とした投票所が一千十七カ所。五つの投票所では、四時間繰り上げるということで午後四時に投票が締め切られるという事情もあったというふうに思います。

 しかし、こういうふうにやはり投票時間をせり上げるということになると、それに伴うさまざまな、例えば事故、あるいは何らかの、投票に対して時間に間に合わせられない、そういう切迫感もあるのではないかというふうに大変危惧するわけでございます。

 ですから、今回、時間を短縮するというふうなことが、単なる効率化の面から考えて、本当に全国の地域事情を加味したものであるのかというふうなこと、そのことを我々は大変心配しているわけでございます。

 その点について、米田部長、選挙担当の皆さんは、どのようにその背景を考えていらっしゃいますでしょうか。

米田政府参考人 まず、今回の法案におきまして、積算の根拠の中で、投票の従事時間、それから開票の従事時間、これをいずれも削減するという格好にしておりますけれども、特に投票の時間につきましては、先ほど言いました、実際の投票時間の部分を削減するということは全く見ておりません。その前後の開設にかかる時間、それから撤収にかかる時間のところを合理化することによって従事時間を引き下げるといったようなことを見込んでいるわけでございますので、ここの点で、私どもが投票時間の、例えば閉鎖時刻の繰り上げという方向で促進をしているということは全くございません。

 むしろ、先ほどの御質疑でもございましたけれども、私どもといたしましては、地域の実情に合わせて、投票権の確保という観点からも、投票時間の繰り上げということには非常に慎重に検討してほしいという要請をしているところでございます。

 なお、福島県で震災に伴うさまざまな困難があることは私どもも理解をしております。そういう意味で、経費的な面でございますけれども、昨年の衆議院議員選挙において、被災地の選挙管理委員会が人員不足等によりまして臨時に職員を雇用する経費が当然生じてまいりますので、そこのところにつきましては予算措置を講じておりまして、経費面で投票時間の繰り上げを促すということがないように私どもは措置しているというふうに考えております。

玉城委員 一つ一つ、各委員からの質問、重複するところもあろうかと思いますが、そこは丁寧な御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 今、投票時間の全体を縮めるのではないというふうな話がありましたが、繰り上げて投票時間を締め切るというふうなことを考えますと、全体的な話もやはり我々としては決して無視できないわけでございますね。

 今回のこの法案が、賃金職員を導入するというふうなこと、あるいは時間もまた短縮をして効率化を図ろうと、総体的にいろいろな形でいわゆる経費を削減しようという方向になっているということは当然理解するわけです。それがもとになっているわけですね。

 しかし、本当にそれで、国民の皆さんがきちんと投票するというふうなこと、あるいは、投票したカウントの正確性なども含めると、いろいろなところで丁寧な議論をしていかないといけないのではないかなというふうに思うわけであります。

 さて、今回、加算係数について少しお話を聞かせていただきたいと思いますが、こういうさまざまな基準額の見直しのほかに、四万人以上の開票所に適用される加算係数を〇・三〇から〇・一五に見直すというふうになっておりますが、まず加算係数〇・三について御説明をいただきたいと思います。

米田政府参考人 今御質問のありましたのは、開票所の経費の件でございます。

 開票所の経費につきましては、選挙人数段階が、現在、基準法上、三万人以上というのが一番最高のランクでございます。これは基準法でございますので、全国のいろいろな形態の投票所、開票所をいわば類型化いたしまして、そのところに幾ら経費がかかるかということで規定をしております。そういう意味で、現在のところ、三万人以上というのが一番上のランクになっております。

 ただ、現実には、選挙人数が数十万に及ぶ開票所もございます。そういうところにつきましては、一定の率を乗じて得た額を加算するということで、実際に非常に大きな開票所に係る経費というのを的確に捕捉をする、こういう観点で加算額というのを定めている。現在が〇・三というふうに、これまでの実態を見まして定めていたところでございます。

玉城委員 その加算額、〇・三を今回〇・一五に見直すということですが、その数値の根拠、これはどういうところに求めていらっしゃいますか。

米田政府参考人 これは、前回、平成二十二年の参議院議員の通常選挙を対象にいたしました実態調査を行いました。その結果、四万人以上の開票所は七百二十六カ所ございましたけれども、その人員配置の合計が、現行の基準法における人員配置、これは約二十七万人ということでやっておったわけでございますけれども、実態は約十七万人であったということで、基準が実態をかなり上回っていたということが明らかになりました。

 この実態に即しまして、今回、加算率を百分の三十から百分の十五に引き下げるということにしたわけでございます。

玉城委員 この基準額が、やはり見積もりと実際の実数がかなり違うというふうな形で、これまでにも経費の削減の中でさまざま形になって出てきているという実態にあると思います。

 例えば、投票所の経費にしても、現行額と改正案でも約二〇%の削減になるという改定例があります。一方、開票所につきましては、二七%改定できるというふうになっているわけですね。

 この基準額そのものの求め方ですが、基準額と実数がこれだけ違うというふうなことの根拠といいますか、原因はどのようにお考えですか。

米田政府参考人 まず第一は時点の修正でございまして、これまで、三年に一回の改正を通例といたしておりましたので、その間、賃金の動向、それから物価の動向で時点修正を行うということで差が生じるというのが一つございます。

 もう一つは、今回の場合、かなり市町村それから都道府県選管の選挙事務の合理化というのが進んだので、かなり実態として経費をかけない事務執行というのが行われてきたこと、さらには、先進的な自治体におきましては、それを上回るような合理化というのが実態として出てきたということで、今回、そのような実態をもとにしまして、改正案、根拠をつくっていったということでございます。

玉城委員 実態に合わせて根拠の数をそろえていく、それがいわゆる今般のこの改正案の中の一番大きなポイントになるのではないかということは、これはもう論をまたないわけであります。

 その一方で、これは通告にはないのでお答えできないとは思うんですけれども、この委員会では、後ほどまたネット選挙に関する、ネット選挙をどんどん進めていこうという法案も提案されるという方向になっています。ということは、これから先、恐らくネット選挙が解禁されるということは、やはり今度は選挙費用の全体の軽減も図られていくというふうに誰もが思うと思います。

 一方で、選挙にチャレンジする私たちからすると、どのぐらいかかるんだろうということで、これはもう数字が見えないということもありまして、大変気をもんでいるところではあるんですね。

 しかし、資料に基づいて少しお話を聞かせていただきたいと思いますが、これは総務省の、選挙執行関係の予算ですが、参議院の通常選挙における地方公共団体委託費の内訳という資料が手元にあります。

 その中で、全体的には、平成十九年度から平成二十二年度の投票所の経費が下がった、開票所の経費も下がっているというふうなことで、経費の削減が見られるという傾向があります。しかし、その一方で、例えば、選挙公報の発行費は、平成二十二年度より平成二十五年度、つまりことしの参議院選挙が上回るものというふうになっております。

 それに類する形かどうかはちょっとまだ推測の域を出ないんですが、新聞の広告公営費、さらには、政見放送及び経歴放送の公営費なども、やはり平成二十二年度の参議院の通常選挙よりことしの参議院の通常選挙の方が、新聞広告公営費で約一・五億円、それから政見放送及び経歴放送の公営費で一・一億円増額するという形になっているんですが、ネット選挙を導入するという形になると、こういうふうな経費全般もやはり緊縮の方向に行くのではないかというふうに思うのですが、その点はいかがでしょう。

米田政府参考人 この執行経費の基準法は、御承知のとおり、国政選挙における市町村それから都道府県の選挙管理委員会がまさに支払う経費について定めたものでございますので、仮に、インターネットの選挙というのが今後広がっていくということになりますと、当然のことながら、各候補者の方の選挙運動に大きくかかわっていく話だと存じますけれども、それが、いわば市町村、都道府県の選挙の経費の方にどのようにかかってくるのかということは、私ども、まだちょっと先がわかりません。

 いずれにいたしましても、選挙公営にかかってくるということになりますと、当然のことながら、この執行経費の見直しというのが必要になってくるというふうに考えております。

玉城委員 ただいまの御発言も、今後の討議の参考にぜひさせていただきたいと思います。

 いわゆる選挙をする国民の側から、どういう政策、どういう政党、どういう候補者を選ぶのかというふうなことがオープンになっていくということは、もはやその時勢に乗っているということは論をまたないわけですね。

 さて、新藤大臣、こういう全体の経費の削減ということに加えて、さらには、我々は、今度はインターネット選挙も解禁していくというふうに、国民にできるだけ、可能な形でオープンな、広い政策を訴える、あるいは、それがひいては、当然ですけれども、国民の生活に反映していくための私たちの活動につなげていくということが念頭にあるわけですね。

 その一方で、今のように、例えば職員も賃金職員をふやしていく、あるいは時間を効率化していって、より短く短く、そういうものをお金をかけないでやっていこうというふうな方向性と、かなり私は、議論がまだまだ尽きないというふうに思うわけですね。新藤大臣から、最後にその点、御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 選挙制度は民主主義の根幹をなすものでありますから、これは厳正に、公平中立に、そして、投票、選挙が活性化する、促進する、こういう方向でいろいろな制度を整えていくことが重要だ、このように思います。

 その上で、これはぜひ共通認識をお持ちいただきたいと思いますが、この執行経費の基準法は、原則三年ごとに、参議院の通常選挙の執行年に、通常の諸物価の変動ですとか、それから各地の地方公共団体の執行状況、こういったものを実績も踏まえて改定してきたんですね。例えば、最低賃金は、現行法では一時間当たり七百十九円でございますが、現状では一時間当たり八百五十円になっております。もう既に変わってしまっているわけですね。ですから、物価上昇も、逆に下がっているわけなんですけれども、そういう構成要件が変更しているもの、これをまずその実態に合わせて改定するんだと。

 また、不断のいろいろな努力をする中で、例えば投票所も、先ほどミスのあると言いました。ミスの出ないようにするのには、やはりリハーサルをするとか、それから先進で円滑に行っている自治体の事例をあらかじめ知った上で作業の方法を工夫するだとか、そういうようないろいろなことをやっていただく中で、我々とすれば、節減できる、合理化できるものはそれを求めつつ、質は維持する、こういうことをやっていかなくてはいけないんだろう、このように思います。

 ですから、今回お願いしているものは、また三年後には法改正をするという前提で、今の状態を把握したものとして、これはぜひ成立させていただきたい、また、我々とすれば、努力、また改善の検討というのは不断に行っていく、こういうことで御理解いただきたいと思います。

玉城委員 ありがとうございました。

 以上です。

保岡委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 新藤大臣とは四日続けてということで、月曜日の予算委員会、緊張して指名するのを忘れて失礼いたしましたけれども、きょうで四日目ということで、まずは、ぜひよろしくお願いをいたします。

 まず、この執行経費の経緯をちょっとおさらいしてみたいと思うんですが、政権がかわって、二〇〇九年の十一月に事業仕分けが行われまして、そこで参議院の執行経費については縮減、開票作業等については縮減、それから啓発推進費も縮減、そして、選挙経費とは異なりますけれども、明るい選挙推進費については廃止という仕分けの結果が出されたわけであります。

 民主党政権でありますから、それを受けてということになるんでしょう、その翌年の、三年前、二〇一〇年の参議院選挙の執行経費というものが予算上四百三十六億円、そして、それに合わせる形でこの法律も算定基準を変えた形の法案が出てきたということですね。残念ながら、しかし、その後、鳩山内閣の総辞職とかそういうものがありまして、法案は通らなかったんですね。しかし、予算は通っているわけでありますから、予算は要求ベース四百三十六億円がついたということであります。

 それで、その前、その三年前、平成十九年の参議院選挙、予算だと五百二十六億円、実績でたしか五百十六億円だったと思います。そこからおよそ、実績からでも八十億、予算ベースだと九十億円が減額された予算要求だったということでありますけれども、これは、仕分けの結果を踏まえるといってもなかなか二割も削減できるものじゃないんですが、この二割削減した考え方について、まず伺いたいと思います。

新藤国務大臣 御承知のように、平成二十二年の参議院選挙、それに際して基準額を見直す法案が出ましたが、国会の混乱等がありまして、これは廃案になったわけであります。

 しかし、法案は成立いたしませんでしたけれども、その趣旨を総務省において各選挙管理委員会に対して事務の効率化、こういったものを要請し、各選挙においても積極的にそういった工夫がなされたもの、その結果として大幅な経費の節減が実現した、このように認識しております。

奥野(総)委員 法案の趣旨を踏まえてということでありますけれども、法案は通らなかったので、ではその後どうしたかというと、地方自治法上の技術的助言ということで、効率化を図ってくださいということで、自治体に助言、やってくださいということで要請してきた。その結果を踏まえて、では、実際幾らかかったかというと、四百五十二億円だったんですね、手元の数字を見ますと。だから、一気に八十億も減らしたけれども、あながち無理ということはなかった、少しふえましたけれども、できたということなんですよ。

 それで、仕分けというと皆さんちょっとその場の雰囲気で言っているんじゃないかという批判もありますけれども、そうじゃなくて、これは会計検査院もこういう指摘をしているんですね。先ほど玉城委員の方からもありましたけれども、例えば、基準の人員よりも実際にかかった人員、基準配置人数よりも実配置人数がかなり少なかったとか、人件費は、その前の平成十九年選挙あるいは衆議院選挙において調べるとかなり少なかったんだという指摘もあります。

 それを受けて、会計検査院、これは平成二十二年の検査院の指摘でありますけれども、「選挙事務従事者の従事時間数、配置人数及び賃金職員の導入について、実態を調査し、基本額の算定に反映させること」とか、「開票所加算の対象となる開票所の実態を調査した上で、加算率の見直し等を行うこと」、あるいは調整費について、その執行が適正かどうか十分調査することとか、こういう指摘がある。ですから、実態もかなりこれまで過大に見積もられてきたということがあったからこそ、こういう八十億、九十億の削減ができたんだというふうに思います。

 この四百五十二億ということでありますけれども、予算よりは若干、十六億ほど上回っています。これ、十六億ふえた要因というのを伺いたいんですが。

米田政府参考人 前回の平成二十二年の改正案につきましては、今委員の方から御指摘ありましたような各選挙管理委員会の選挙の執行の実態、それから、先進事例を全国に普及して経費の削減を図るべきとの事業仕分けの意見等を踏まえまして、基準額を引き下げるということにしたものでございます。

 しかしながら、改正案は結果的に廃案となりまして、当時の現行法が適用されることとなったこともありまして、例えば、開票時間につきまして、準備、撤去時間も含めて五時間から四時間に見直すというふうにしておりましたけれども、そのような取り組みが全ての自治体に届かなかったというようなこともございまして、基準額を結果的に上回ることになったものというふうに承知しております。

奥野(総)委員 開票時間がうまくいかなかったと。ただ、検査院の報告なんかを見ると、平均的な開票時間は三・七とか、四時間を切っているということなので、一部できなかったところがあるということだと思いますけれども。

 それで、直近の四十六回衆議院選挙、これについては現行法が生きているわけですから、現行法に基づいて恐らく積算をし、しかも衆議院選挙だから恐らく予備費で予算を組まれたと思うんですが、では、いかほどかかっているのかということと、それから、参議院選挙では経費の縮減が図れた、効率化できたわけでありますけれども、同じように技術的な助言を行ったんですかということを伺いたいと思います。

米田政府参考人 お答えいたします。

 解散・総選挙に係る選挙経費につきましては、これは性質上、当初予算に計上することができませんので、予備費により予算措置を行うことを通例といたしておりまして、昨年の衆議院選挙でも予備費により予算措置を行っております。

 一方で、執行経費の基準法の改正法案につきましては、平成二十二年秋の臨時国会に提出後、継続審議とされてきたわけでございましたけれども、解散に伴いまして廃案となりました。先般の衆議院議員総選挙につきましては、現行法が適用されるということが明らかでございましたので、予備費における予算につきましても、現行法により積算をしております。その結果、選挙執行地方公共団体委託費につきましては、約六百四十一億円を予算計上いたしました。

 一方で、法案は廃案とはなりましたけれども、各地方公共団体におきましては、その法案趣旨を踏まえて、事務の効率化に向けた取り組みを進めていただいておりました。総選挙においても、できる限り選挙事務全般について効率的な執行に努め、経費の節減を図っていただくよう、私どもからも要請をしたところでございます。

奥野(総)委員 まだ、これは結果を締めていない、決算に至っていないと思うので実績額はわからないと思うんですが、前回の参議院選と同じように効率化が見込め、費用の、予算の実績値の縮減が見込めるという理解でよろしいんでしょうか。

米田政府参考人 もう既に、平成二十二年の参議院選挙におきましても同様の状況がございますので、かなりの縮減が見込めるものではないかというふうに期待しております。

奥野(総)委員 通告と若干表現が変わりますが、こうした経緯を踏まえて今回の法案があるわけでありますが、今回の法案は、仕分けというよりは、会計検査院の指摘事項をきちんと全部踏まえてできているのでありましょうか。

米田政府参考人 御指摘の会計検査院の指摘事項も踏まえて、今回の改正法案の作成を行ったところでございます。

奥野(総)委員 しかし、前回の予算に比べては、今回の予算は若干ふえているということのようでありますけれども、これは、ふえている積算根拠は一体何でしょう。

米田政府参考人 一方で、選挙事務の効率化を図るようにはしておりますけれども、もう一方で、例えば最低賃金の上昇といったような、いわば時点修正に係るところで上昇要因もあったということでございます。

奥野(総)委員 中を見ると、選挙公営費の部分がふえていったり、また、多党化に伴ってふえているところもあるんでしょう。

 そこで、もう一点伺いたいんですが、さっき、開票事務が四時間を達成できなかったということがあったと思うんですが、これは今回きちっと、できなかったところについて手順の見直しなんかをした上で、四時間以内におさまるというふうに、そもそも法案のつくりはそうなっているから、実態ベースとしてきちんとそこをおさめるように、皆さん、助言に基づいて指導をしているのかということを伺いたいと思います。

米田政府参考人 もう既に先進的なところで取り組まれているような事例をかなり紹介しておりますし、もちろん、各自治体におきましても、国政選挙だけではなくて、自分のところの知事選挙、市町村長選挙、そういうものにも同じような実態で選挙を執行しておりますので、そのあたりも踏まえて、時間の短縮というのを図られるものというふうに期待しております。

 一点、補足して申し上げますと、積算をした時間を、私どもは、例えば四時間ですと、実はフルタイムそこの時間にいるという形で積算をしておりますが、実態は、御承知のとおり、ある一定の段階が過ぎますと、どんどん人というのを縮小しながらいくということでございますので、必ずしも開票の終了時間というのがその積算と直に結びつくものではないということを補足させていただきたいと思います。

奥野(総)委員 先進的な事例、イチゴパックとかという話もありましたけれども、こういう事例集をまとめておられて、これに基づいてどんどんやっておられるということでありますけれども、一つ、やはり、トヨタ方式じゃないですけれども、標準的な作業の手順とか、いいものは全部取り入れて、台の高さとか、イチゴパックを使うでもいいんですけれども、標準的なパターンをきちんと示して、より節減に努めていただきたいと思うんです。

 それで、経費を減らすとよくないんだというような御意見も先ほどもございましたけれども、やはり、減らすことでこういう工夫が、知恵が生まれてくるんですね。こういういい事例も出てきますから、効率化、不断の努力、不断の見直しを私はどんどん続けていくべきだと思います。こういういい事例を集めて、標準化して、そうすれば選挙の開票も早くなって、国民の皆さんにきちっと正確な結果が早くわかるようになりますし、かつ、お金もかからなくなるということだと思うんですね。

 大臣、不断の見直しを続けるということ、御決意を語っていただきたいと思います。

新藤国務大臣 まさに質を維持しながら節減に努める、こういうことであります。それらをやはり工夫することと、いろいろな事例を踏まえてそれを周知徹底する、そういう取り組みが必要だというふうに思いますし、しっかりと取り組んでまいりたい、このように思っています。

奥野(総)委員 次に移りたいと思います。

 同じく、先ほど申し上げた二〇〇九年の仕分けの中で、啓発活動の縮減とか明るい選挙推進運動について廃止とかという判定が出ていましたけれども、啓発予算については、この参議院の執行経費の中にどのように含まれているんでしょうか。あるいは、明るい選挙推進運動というのは今どうなっているんでしょうか。

米田政府参考人 常時啓発の事業につきましては、今委員御指摘のとおり、事業仕分けにおきまして、従来のやり方は廃止するようという指摘を受けております。この指摘を受けまして、明るい選挙推進協会に対する委託費は、平成二十四年度から廃止されております。今年度においても、ございません。

 事業仕分けの指摘を受けまして、明るい選挙推進協会におきましては、それから私どもで、共同でございますが、佐々木毅学習院大学教授を座長に、学識者、マスコミ関係者、NPO関係者等による常時啓発事業のあり方等研究会というものを設置いたしまして、時代に即した新しい常時啓発事業のあり方について検討いたしました。

 この報告書におきましては、若者も年配者も社会的知識の欠如や政治的無関心では通用しない社会になっている中で、これからの常時啓発では、あらゆる世代を通じて、社会参加の促進と政治的判断能力の向上、これが二つの大きな柱であるといたしまして、社会に参加し、みずから考え、みずから判断できる高い資質を持った主権者を育成するということが重要であるというような報告をいただきました。

 総務省といたしましては、この報告を踏まえまして、特に学校と地域が一体となった主権者教育の推進を目指すということで、来年度の予算についてもそういう観点で取り組んでいるところでございます。

奥野(総)委員 仕分けを踏まえということだと思いますが、駅で幾らティッシュを配っても、あるいはテレビコマーシャルで流してもなかなか普及啓発、あるいは研修を幾ら内輪でやっても投票率の向上にはなかなかつながっていかない。数字が示していると思うんですね。

 ですから、これ自体、私は仕分けを踏まえてやっていただいてよかったと思っていますが、ただ、ではこのままでいいのかというと、やはりこの間の衆議院選挙も投票率は低かったわけでありますから、党利党略関係なく、多くの人が投票しなきゃいけないと私は思います。この間は六割を切っているわけですね。やはり最低でも八割、できれば九割、権利であり義務でありますから、全国民が投票してもらわなきゃいけないと思うんですね。だから、こういう意味のない啓発活動というのは、私は切ってもいいと思います。

 例えば学校教育において、先ほどちょっと言及がございましたけれども、学校の場できちんと選挙の重要性というのを教えていかなきゃいけないと思うんですが、その点について、どういう取り組みをされていますか。

米田政府参考人 先ほども申し上げました研究会におきましては、まさに今委員御指摘の、特に若者の主権者教育といった観点が非常に重要であるというような御指摘も受けました。

 この報告を踏まえまして、現在、私ども、事務レベルではございますが、文部科学省と勉強会を実施するというようなことを通じまして、学校と地域が一体となった主権教育の推進というのを図っていこうということで、特に今年度から力を入れていきたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 形だけではなくて、しっかりやっていただきたいし、できれば、きょうは文科省はいませんけれども、学校のカリキュラムの中できちんと時間を設けて、選挙の重要性、投票に行くことの重要性というのは私は教えるべきだと思います。このままだと、六割というと本当に民主主義国家として私は恥ずかしいと思いますので、ぜひその辺を踏まえてやっていただければと思います。

 それからもう一つ、期日前投票の話がございましたけれども、やはり投票率を上げるためには、期日前投票、最近はふえてきていますけれども、もうちょっと投票所があってもいいと思うんですね。原則一カ所と言っていますけれども、千葉市だと政令市なので、一応、区ごとにはありますけれども、それでも離れたところから、田舎の方から町中まで出てきてもらわないとできないんですよ。

 ですから、もう少し、一カ所と言わず、ふやせるように、きちんと行政として、政府として考えなければいけないと思うんですが、今回の予算あるいは法案改正に、期日前投票を促すような仕組みというのは入っているのでしょうか。

米田政府参考人 期日前投票の重要性はおっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましても、期日前投票二カ所目以降につきまして、総務大臣が定める加算額というのがございますけれども、この加算額の引き上げを行うということに改正法案ではしております。

奥野(総)委員 きょうは、効率化で削る話ばかりしていますけれども、こういうところはきちんと、ふやせるところはふやしていくべきだというふうに思いますから、削るところは削って、余った額をこういうところに回していくというのは、私はぜひ必要だと思います。

 大臣、この件について伺いたいんですが、衆議院選挙、非常に低投票率でありました。その要因と、今回の参議院選挙、投票率向上に向けてどのように考えているかということを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 投票率については、いろいろな影響が勘案されます。天候もあり、それから、そのときの争点といいますか国民の関心、また、政治全体に対する国民の期待、信頼、いろいろなものがかかわってくるんだろうと思います。

 我々は、政治の責任として、国民の皆さんから審判を受けるんですから、できる限り多くの方々に投票をしていただいてその信任を得なければならないわけでありまして、ぜひこれは、制度も大事ですし、政治に携わる者がしっかりとそういったことを運動していくこと、活動していくこと、これが重要だと思います。

 今回の参議院選挙は、その意味においては、これから新しい提案もなされると聞いておりますけれども、やはり時代、社会の変化に合わせて、そういったものをしっかりと対応させていくこと、これも重要ではないか、このように思います。

 今回の法案は、まず基準となるものを定めるという意味において、これはぜひ成立させていただきたい、このように思います。

奥野(総)委員 時間がなくなってきましたが、最後に、定数削減についてちょっと政治家としての大臣に伺いたいんですけれども、我々は、きょう後藤委員もいらっしゃいますけれども、当時の民主党の当選一期生で、定数削減八十というのをずっと訴えてまいりました。結果、法案、四十五というのを我々出して選挙に臨んだわけでありますけれども、今三十という声も聞こえています。私は三十というのは非常に不本意だと思いますし、もっと国民にアピール、我々身を切るということを示すためにも、もっと、できれば八十ということでやっていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、野田総理との党首討論の中では、今国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うということになっておりますけれども、必ず間に合わせて、三十と言わず八十、国民にアピールできる数字で臨んでいただきたいと思うんですが、新藤大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 十一月十六日の三党合意、これは、国民の前に約束した公党間の約束でありますから、そういったものが、これは、今までの発言に基づいて活動されるもの、このように承知をしております。

 そして、こういった選挙制度のあり方というのは、これは議会政治の根幹にかかわるものであります。ですから、そういうものは、国民の代表たる議員が政治の場において各党間の協議をしっかりと続けていただきたい、このように願っております。

奥野(総)委員 党の話だとおっしゃらずに、ぜひしっかり所管の、主管の大臣としてもお願いをいたします。

 以上で、私の質問を終わります。

保岡委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日の、この参議院の執行経費法案についてまず質問させていただきたいと思いますけれども、先ほども他の委員からお話がありました、投票所の閉鎖時間の繰り上げが徐々にふえている。徐々にというよりも、かなりふえているというような気がいたしております。

 これは、そもそも投票率の向上というものが我々の目的であり、かつ、やはり時代の変化に合わせて利便性を向上させるというところから、六時をわざわざ八時に変えたわけであります。六時を八時に変えたところが、またもう一度閉鎖時間の繰り上げが進んでいる。各自治体ごとに自由だとはいえ、委員の皆さんも一遍頭で思い浮かべていただきたいんですが、大体、国政選挙なんかでも、開票が進みやすいのは、小さな自治体ほど早いですね。いわゆる郡部の開票というのは早いですね。

 では、投票所の繰り上げが行われているのは果たしてどちら側なのかというと、恐らくこれも郡部なんだと思います。要は、遠方に投票所があって、そこで投票する方も少ないというのも多少あるけれども、しかし、投票箱を移動させる時間も含めて、開票開始時間が遅くなってしまうからだというような事情もあるんじゃないかと思うわけです。しかし、一方で都市部では、投票者数も多いものですから、開票作業に相当時間もかかる。結果的には、郡部の方が早く票があいているという状況があるわけであります。

 そう考えると、投票時間を繰り上げる必要が果たして本当にあるのかどうかということなんですね。開票結果がわかる時間が郡部の方が早いのであれば、何も繰り上げて投票を締め切ることはないわけであります。

 これは調査室の方に調べていただいた資料からも明らかでありますが、抽出調査でいっても、少ないとはいえ、七時から八時の間に二%ないし三%の方々が投票している。現在でもその事実があります。今現在、繰り上げがかなりふえている状況にあっても、二、三%の方々が投票している事実があるわけです。これを我々はどう考えるべきなのかというのは、真剣に受けとめなければいけないし、安易な繰り上げがあってはいけないというふうに思っております。

 ですから、自治体ごとの事情ということはわかるんですが、そもそも国の側に考え方というものがあるのかどうか、そして、それは各自治体に、やはり開票作業全体の時間を考えても、できる限り繰り上げはしないでくれという要請をしているのか、これを伺いたいと思います。

米田政府参考人 御質問の、投票所の閉鎖時刻の繰り上げの問題でございます。

 公職選挙法第四十条第一項ただし書きの規定によりまして、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合等に限り行うことができることと法律上されております。

 先般、第二十二回の参議院議員の通常選挙におきまして、閉鎖時刻を繰り上げた主な理由を聞いてみましたところ、この特別な事情というのは、交通機関が不便などの理由で夕方の投票が皆無または少ない等々のことがあったということでございます。

 総務省といたしましては、投票の権利は民主主義の最も基礎的な部分であり、投票の機会を広く確保することが極めて重要であることから、各選挙管理委員会において、地域の実情を精査し、十分な検討を行った上で、厳正に対応していただきたいと考えております。

 今後、昨年十二月の衆議院議員総選挙におきまして、投開票所閉鎖時刻の繰り上げ等を行った投票所数が多い都道府県の選挙管理委員会に対しまして、投票所の閉鎖時刻の繰り上げの理由等、ヒアリング調査を行う予定でございまして、この調査を通じまして、この法の運用に当たりましては、法の趣旨を踏まえて、選挙人の投票に支障を来さないよう要請してまいりたいと考えております。

泉委員 これはぜひしっかり、建前の調査だけではなくて、本当に実態を、調査をして回答を吸い上げていくということもそうですが、やはり国の側からもしっかりと、現場で何が行われているのかということをよく把握していただきたいというふうに思います。

 改めて言うと、六時から八時まででいうと、投票のうちの一二%ぐらいが大都市ではこの六時から八時までに行われているわけですね。人口一万人以下の町村でも、第二十二回参議院選挙でいうと、六%以上の投票がこの時間に行われているわけであります。

 ぜひ、これは特別な事情ということで書いてあるわけですから、それが安易な繰り上げにならないように、我々は今後も注視をしていきたいと思います。やはり利便性の向上というものが大きな目的としてあったわけですし、国民生活も本当に多様化している中で、これだけの、八時までという制度ができたわけですから、それをしっかりまずは認識していただきたいというふうに思います。

 続いて、もう一点気になったのが期日前投票なんですが、これは、選挙が始まってから毎日投票できるというところもございます。しかし、一方では、期間を区切って、六日から十日間とか、あるいは一日から五日間、こういうふうに期日前投票を定めているところもあります。ですから、全国、いろいろな地域の中で、実は期日前投票というのは、選挙が始まって次の日から投票できるところとできないところがあるんだということであります。

 これも確かに経費がかかることなので無理は言えないんですが、やはり傾向としては、一日から五日間という自治体が徐々にふえている、あるいは六日から十日間という自治体がふえている。逆に言うと、毎日という自治体が減っているという状態にあるわけであります。

 これもやはり利便性の向上ということが、本来、目的としてあったわけでして、少なくとも、今、世の中で働いている方々のことを考えると、日曜日に働かれている方々も大変多いというような時代であります。そうすると、いつが休みかわからないということを考えれば、せめてワンウイーク、一週間分ぐらいはどの曜日でも投票できるようにしておくというのが、住民の皆さんの最低限の要求ではないのかなというふうに私は思います。それが、投票日の例えば三日前から投票ができますということになると、月曜日にしか仕事の休みがない方なんかは、残念ながら投票できないということになってしまう。

 これは、投票日主義で来ていたものが、例外とはいえ、こうして期日前投票によって大きく変わったわけですね。そうであれば、人間、普通であれば、一週間に一度ぐらい休みがある、そういう勤務状態の方々が多いわけですので、せめて、一日、二日だけの期日前投票というのは、これはやはり趣旨に反するのではないかというふうに私は思います。

 そういった意味で、国の方はこの期日前投票についてどう考えておられるのか、そういう短期間のものもやはり今後認めなければいけないのかということについてお答えください。

米田政府参考人 まず、現行の期日前投票所の制度についてちょっと申し上げます。

 現行、公職選挙法上、期日前投票所は、各市町村に一カ所以上設置することとされております。その一カ所目につきましては、選挙期日の公示、告示のあった日の翌日から選挙期日の前日までの間、午前八時半から午後八時まで設置するというふうに決められております。

 二カ所目以降の期日前投票所につきましては、各市町村の選挙管理委員会が選挙人の利便及び地域の実情等を考慮して、必要に応じて増設することができる、その開設期間、開設時間については、各市町村選挙管理委員会が定めることができるというふうにされております。

 短期間の期日前投票所がふえているというのは、まずこの制度的な意味合いからしますと、二カ所目以降の増設された期日前投票所数が増加しているということが要因であろうと思われます。

 ちなみに、平成二十四年の衆議院選挙、速報値でございますけれども、期日前投票所数は全体で四千七百六十八カ所、そのうち二カ所目以降の割合というのは六〇・三二%ということになっておりますので、かなり二カ所目以降という比率が高まっているというのがまずあると思います。

 いずれにいたしましても、期日前投票所の設置につきましては、総務省といたしましても、国政選挙や統一地方選挙の都度、市区町村の支所及び出張所等への設置のほか、駅構内やショッピングセンターなど頻繁に人の往来がある施設への設置についても積極的に要請しているところであります。

 ただ一方で、二カ所目以降の設置につきましては、場所が従来の役場では必ずしもない、曜日によっては往来のないような場所、そういうところもあるというふうに伺っておりますので、必ずしもそういうところに設置をすることが、日数的に長くなるかどうかということは言えませんけれども、いずれにいたしましても、選挙人の利便を図る方向で積極的に対応をしていただきたいというふうに要請をしているところでございます。

 今後とも、このような有権者の方々が投票しやすい環境の整備について、その推進、要請を図ってまいりたいというふうに考えております。

泉委員 わかりました。ここは、また後ほど、さまざまな調べをしていきたいと思います。

 続いて、今回、正規職員だけではなく賃金職員を開票作業に算定していくということでありまして、私はこれは大変すばらしいことだというふうに理解をしております。それは経費が節減できるからではありません。

 実は、私は、選挙に立候補する前ですけれども、当時から、選挙啓発というんですか、そういうものにも大変関心がありまして、地元において、投票率の向上活動というか運動というものをいろいろやっておりました。

 例えばそれは公開討論会の開催ということでもありましたし、もう一つ、当時まだ政治家になる前でしたけれども、京都市さんにお願いをして一緒に取り組んでいたのは、開票作業に市民を参画させようではないか、こういうことをやったわけですね。

 特に、学生の町ですので、学生さんの投票率が低い。しかし、先ほど話があったように、ティッシュを配ったところで投票率が上がるわけではない。実際に開票所の中で作業をしてもらうという体験を通じて、自分たちや市民の皆さんが投じた票がどのように開票されていくのかを実体験として経験していくというのは、これは大きな啓発になるんじゃないかという取り組みをさせていただきました。

 平成十年から、京都市の方では、全ての区、政令指定された各区がありますけれども、各区においての開票作業にこういったアルバイトあるいは人材派遣という方々を活用していただけるようになったわけですね。

 それが実は、結果的には行政職員の夜勤の手当や超勤手当よりもずっと安い値段でできることになったということでありまして、私、事業仕分けも、単純なる費用の縮減ということではなくて、そういう啓発という意味合い、まさに国民主権、主権者たる国民みずからが開票作業に従事をする、投票の作業にも従事をするということそのものが大変すばらしいことなんだというこの根本的な考え方は、ぜひ持っておいていただきたいなというふうに思うわけであります。

 そういう意味合いにおいて、果たして正規職員でなければできないこととは何なのか、そして賃金職員でもできることとは何なのかということでいえば、先ほどほかの方の答弁でお話があったように、本当に選挙の秘密にかかわることですとか公正性を期さなければならないところにおいては、これは正規職員でよいと思いますが、恐らく皆さんも開票作業を映像でごらんになられたことがあると思いますけれども、あの大きなテーブルの上に票がだあっと積まれて、それを分類していくところに大きな人数が割り当てられているわけでして、そのような作業というのは賃金職員で十分対応し得るというふうに私は思うわけであります。

 そういった意味では、実はこの開票所経費、今回、正規職員九十三人プラス賃金職員十二人、一つのモデルケースとしてこういう算定基準になっておりますけれども、私は、もっと賃金職員がふえる余地があるはずだと。これは、これまでの取り組みに合わせて、少し実態に近づけようということで今回の算定に至っていると思うんですが、より積極的に、どこまでが正規職員の仕事なのかということを、ぜひ総務省なりで明確にしていただいて自治体に発信をしていただきたい。いかがでしょうか。

米田政府参考人 今委員から御指摘がございましたとおり、投開票の事務におきましては、個人情報が記載された選挙人名簿それから選挙結果に直接影響を及ぼす投票用紙を取り扱うということでございますので、一方では厳正な対応が求められているところでございます。

 そのため、職員でない賃金職員を投開票事務に従事させる場合にあっては、職員の事務を補助する定型的な単純作業にその業務を限定する、秘密保持を初めとする服務規律を徹底させるといった点を、現在、私どもから各地方公共団体に要請しているところでございます。

 具体的にどのようなところに配置をさせているのかというのは、私どももこれから、主に市町村の選挙管理委員会の実態を十分調べさせていただいた上で、そのような取り組みを紹介し、ここまではやっているんだというふうなことを積極的に御紹介していきたいというふうに考えております。

泉委員 私は余り、縮減縮減、削減削減という趣旨ではないんですが、これはある自治体ですが、行政職の職員の時間外勤務手当の平均単価ということでいいますと、一時間当たり二千八百十一円ということですね。二十二時以降、夜十時以降になると、一時間当たり三千三百七十四円なんですね。ですから、職員さんに開票作業に従事していただくと、実は一時間三千円以上お支払いをしているということであります。

 では、派遣ですとかアルバイトの方々がどうなっているかというのは、もう皆さん御承知で、大体千円前後に張りついているわけですね。こういったところでも大きく経費というのが違ってくるということでもある。このことはぜひ皆さん認識をしていただきたいと思います。

 先ほど言ったように、どこまでが行政職員さんがやるべき仕事なのかということが明確になれば、それ以外をもっと委ねることができるし、先ほど、冒頭申しましたように、例えば、皆さんの自治体でもお考えいただきたいと思います。時給千二百円で、あるいは千五百円で、今の時代、もし町内なり市内で募集をかけたら、多くの市民がその募集に応募してくると思いますよ。

 そして、そこで、先ほど言ったような最低限のスクリーニングというか、服務規律をしっかりと守ってもらうということは当然大事なわけですけれども、しかし、先ほど言ったように国民主権ということを考えれば、行政職員がモラルがあって一般市民にモラルがないなんということは決して言えないはずでありますから、そこは、我々として、やはり開票作業に国民一人一人が従事することもあり得るんだという社会をつくっていくこと、それそのものが大きな、日本の政治、選挙の啓発にもつながっていくんだというふうに思います。

 大臣、もしよろしければ、こういった案について前向きにお考えいただきたいというふうに思いますが、この時点で一度、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 先ほどからの泉健太委員の御発言には、私も共感をできるところがございます。

 ですから、選挙を、まずは質の維持と向上、それから経費の合理化、節減、こういったものを踏まえながら、やはり国民意識の啓発、これも重要なことだというふうに思っておりますし、あらゆるそういったものを含めて、総合的な改善が図られるように取り組んでまいりたい、このように思います。

泉委員 当時、開票作業に携わった学生さんたちは本当に喜んでいました。こんな経験したことがない、こういうふうに投票用紙に書いているんですか、おもしろいことが書いてあるのもありましたなんという話も含めて、とても刺激になったということも言っておりました。そういったことも、ぜひこれから全国で行われていけばよいなと思っております。

 さて、最後の質問でありますけれども、先ほど奥野委員からも話があったように、定数削減のことであります。また、選挙制度のことであります。

 いろいろな工夫の中で、我々は八十減ということを言ってまいりました。それは、身を切るということもそうですけれども、やはりこれだけ情報化が進み、効率化も進んでくる中で、ましてや国政には二院がある、両院があるという中で、国会議員の数そのものが多過ぎるのではないか、もっと少人数でも意思決定ができるのではないかというようなこともあります。

 そういった中で、我々としては、衆議院の定数を四百ということで、八十減ということを訴えてきているわけであります。一方では、それが三十減というような話であったり、中には〇増五減だけでというような話もある。これはけしからぬ話だというふうに基本的に思っております。

 きょうは、法制局にお越しいただいております。法制局の松永第三部長にお越しいただいておりますが、私、一点気になるのは、今言われている案の一つの案の中で、衆議院の選挙制度において、第二党以下に比例票を特別に配分するというような考え方が出てきているわけですね。投票者の意思にかかわらず、第二党以下への投票が二度カウントされるということになるわけであります。

 さて、この第二配分枠については、比例第二位以下の政党にドント方式で追加配分をするというようなことが検討されているわけですが、一般論としてで結構ですが、これは、憲法で言うところの投票価値の平等というものに反しないのかどうか、お答えをお願いします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙制度のあり方につきましては、これは議会政治の根幹にかかわる問題であることから、各党各派におかれまして御議論をいただくべき事柄というふうに考えておりまして、当局としての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

泉委員 これは本来、一義的にはというか、政府、どこかに一般論として聞いているわけですから、見解をいただかなければいけないわけです。それを、議員たちが決めることだから知りませんというのは、ちょっと無責任ではないかなというふうに思います。

 ちょっと質問時間がございませんので、事ほどさように大変重要な選挙制度であるということだけを申し、これからまたさまざまな質疑の中でその充実審議をしてまいりたいと思います。

 本日の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

保岡委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野県の井出庸生です。

 昨年の十二月に初当選をいたしまして、実は私、この委員会を希望して所属をさせていただきました。きょうはよろしくお願いをいたします。

 きょうは、国政選挙の経費に係る基準についての法改正の質問ということで、既存の、これまでの選挙手法の費用対効果の検証、これをまずやらなければいけない。

 そしてもう一つ、きょう私がお話しさせていただきたいのは、将来の選挙像のあり方を考えた、今まさに、インターネット選挙解禁の法案がいよいよこの委員会でも議論が始まろうとしております。そうした将来像を踏まえた質問をさせていただきたいと思っております。

 このインターネット選挙の解禁の話につきましては、私は、まだこれは始まりの一歩にすぎないのではないかと。ただ、その始まりの一歩が非常にスタートが遅くなってしまったという思いを感じております。

 インターネットの選挙は、これまで、インターネットを自由に認めてしまえば、時に、インターネットにアクセスをできない人たちへの情報格差を生むということが一つの要因とも指摘されてきましたが、今はむしろその逆で、インターネットに早く踏み込まなければ、逆の意味の情報格差を生じかねないのではないかと思っております。

 今回の経費に係る法改正につきましては、インターネットを外したこれまでの選挙運動の枠組みの中で、節約できるものは節約していこう、その点は私も一定の評価をしておりますが、このインターネットの解禁、変わりつつある選挙運動、そうした時代の要請に応える発想の転換、予算の組み替え、今後、この法案についても、インターネットの解禁に応じて、さらなる法改正が必要だと思っております。

 そういったことを踏まえまして、まず、今回の改正点について何点か質問をさせていただきます。

 まず、今回の改正案の中で、ポスターの掲示板、ポスターのところの改正が出ております。いただいた資料によりますと、一カ所当たり約五百円を減額して、一カ所当たりのポスターの掲示場費が一万二千六百円から一万四千七百円になると盛り込まれております。

 平成二十二年の参議院議員選挙を見ますと、全国で三十二万七千三百十一カ所、ポスターの掲示場が設置された。その総額は四十億円になっております。私も選挙を、落選も含めて二度やっておりますが、こうした大量のポスターがずうっと何十年と変わらず張られてきた。しかしながら、今こうした時代の変化、広報手段が多様化する中で、このポスターの果たしている役割また効果について一体どのようなものとお考えか、まず大臣に伺います。

新藤国務大臣 ポスターを何カ所、そのようにポスターとして選挙のときに掲示する、これは今までの選挙のあり方に対する議論においてこのように決められてきたものだというふうに思います。そして、選挙というのは、ポスターが張り出されると、ああ、選挙が始まるんだな、このようにおっしゃる方はたくさん私の周りにおります。

 ですから、ポスターは今、あるのが当たり前であって、効果があるかないかという以前に、そもそも、選挙を行うときに、ポスターで皆さんがそれを認知していただく、こういう状態になっているのではないかと思います。

井出委員 今の答弁について少しさらに伺いたいのですが、ポスターがなければ選挙は始まらない、それは私も地元でよく言われてまいりました。ただ、そこに積もり積み重なって四十億円という金額が使われている。また、そのポスターというものは、サイズも決まっておりますし、デザイン等は自由ですが、やはりポスターというものの限界もあると思います。

 費用の大きさ、そしてまたそのポスターというものに、大臣御自身も選挙を何度もされてきて、そういった限界みたいなものはお感じになっていませんか、お伺いします。

新藤国務大臣 限界というよりも、まず、お金をかけない選挙をやるというのが重要だと思います。そして、公正な運動の中で選ばれるべきだと。こういうものを確保するために、この選挙法というのはあるわけであります。

 ですから、ポスターの限界というものは、おのずとそれは、ポスターにはポスターの役割しかございませんから、今、世の中が多様化していろいろな広報手段が出てきておりますから、それはそれで必要なものがあるならば、そういったものは時代の要請の中で考えていかなくてはならないと。

 しかし、そのことこそはまさに民主主義の根幹にかかわることでありますから、そういったものは、これまでもそうでありましたけれども、政党間で議論をしていただいている、こういうことでございます。

井出委員 ありがとうございます。

 このポスター、今、現行制度の中で、より効果を発揮していくとなると、ポスターの設置場所がまた問題になってくるかと思うんですが、ポスターの設置場所は市町村の方で決めているということを聞いております。私の地元などでは、地方部なものですから、車の多いところに掲示板があったりしますが、例えば若い方が、もっと保育所の近くに置いてほしい、子育てをしているお母さんが見れるようにしてほしいと。

 実は、この声を私、きょう質問するに当たって、きのう、インターネット、フェイスブックでそうした御意見をいただいたんですが、ポスターをより効果的なものにしていくという意味で、総務省の方で市町村に対して何かそういった指導をされていらっしゃいますか。米田選挙部長、お願いいたします。

米田政府参考人 ポスター掲示場の設置及び管理につきまして、私ども、国政選挙のたびごとに市町村の選挙管理委員会に要請をしている、通知をしているそういう文書がございますが、その中で、選挙期間中に豪雨、強風等も予想されることから、設置場所、方法等をあらかじめ十分検討の上、遺漏のない措置をお願いするというふうにしております。

 当然、市町村の選挙管理委員会におきましては、設置場所の確保、これはいろいろな方が見ていただけるというようなことも十分勘案をした上で設置の場所を決定していただいているものというふうに考えております。

井出委員 ありがとうございます。引き続きそういった指導等をしていただければと思います。

 次に、これまでの委員の皆様からのお話でも出ておりますが、投票事務に関する時間、片づけの時間を三十分短縮するということが、結果として、開票所から遠い投票所の投票時間を短縮することにつながるということ、これはきょうもたくさんの御意見が出ました。また、平成二十二年五月の委員会でも、同じような指摘が出ております。

 先ほど、米田選挙部長の方から、どういった理由で投票所の時間を短縮するのか、理由を調査するという旨の答弁がございましたが、今回の経費の削減が投票時間の短縮につながらないように、そこを徹底していただきたいのですが、米田選挙部長からお答えをお願いいたします。

米田政府参考人 現在の基準法に基づく委託費の計算でございますけれども、これは市町村の投票時間の実際に応じて算定をするという格好になっております。したがいまして、投票時間が短くなれば金額も少なくなる、こういう仕組みになっておりますので、今回、基準法上の投票事務に要する時間、それから片づけの時間の見直しによります単価改正が投票時間の繰り上げを促すといったことにはつながらないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、先ほど来御議論がございましたとおり、投票所の閉鎖時刻の繰り上げにつきましては、選挙人の投票に支障を来さないよう、地域の実情を精査し、十分な検討を行った上で適切に対応することを私どもからもお願いしておりますし、今後も引き続き要請をしていきたいというふうに考えております。

井出委員 既に、きょうこの問題、たくさん議論を尽くされておりますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 次に、私、今回の法案は、経費の削減できる部分について削減している、そういった評価をさせていただいておりますが、一つ、少し割高、まだ削減の余地があるのではないかというところで、投票所、開票所の立会人等に係る費用弁償、人件費について、そこに少し疑念を持っておるのです。

 この投票所の立会人一万六百円、また、開票所立会人八千八百円という金額、私は、地元では高いという指摘もいただくこともありますが、そこは適正とお考えでしょうか。米田選挙部長、お願いいたします。

米田政府参考人 投票の立会人、開票の立会人は、各選挙ごとに、市町村の選挙管理委員会が選任する非常勤職員という位置づけでございまして、地方自治法に規定する報酬が支給されております。

 今回の改正法案につきましては、この投票立会人、開票立会人の費用弁償に係る基準法上の単価は見直しておりません。これは、実態調査によりますと、現在の平均の単価と基準法上の単価の差異がわずかであるということであったものでございます。したがいまして、現在の基準法上の費用弁償額の単価が特段高いものとは考えておりません。

 ただ、一点補足して申し上げますと、これは積算の単価でございますので、実際にお支払いするのは、各市町村がそれぞれ、ある意味自由にお決めいただくことが可能であるということでございますので、補足させていただきます。

井出委員 きょう、この部分を質問させていただいたのは、実は、特に投票所の立会人が、毎回毎回、選挙のたびに同じ人がやっている。選挙に関心があって、ボランティア的にそういうことをやってみたいという人も、なかなかそういった機会がない。その中で、その日当が、比較的いい日当が与えられるから一部の人だけでやっているんじゃないかというような声を、私、結構いろいろなところで聞いてまいりましたので、私の思いとしては、もし仮にこれから削減に切り込んでいけるところがあるとすれば、こういったところを少し問題提起させていただきたいと思っております。

 余り現行の制度に文句ばかりつけていても申しわけないので、少し話を前向きな方に進めさせていただきたいと思います。

 さきの話でも出ましたが、期日前投票について伺います。

 現在、約千七百の市町村が四千六百カ所の期日前投票所を設置している。先ほどの答弁でも、非常に期日前投票が有効であるというお話が出ておりました。現状でも、投票数の二割近い割合が期日前投票だ、そういったデータも出ております。

 今後、この期日前投票の部分は予算に占める割合がふえてくる、ふえても私は大いに結構なことだと思っておりますが、そのあたりの何か見込み、予測等がございましたら御答弁いただきたいのですが、お願いいたします。

米田政府参考人 現行の執行法上の仕組みを申し上げますと、期日前投票は、投票所を設置することによって、まさに経費がそこに行くという仕組みになっております。したがいまして、期日前投票所がふえれば、ここに係る予算額が当然のことながらふえてくる、こういう仕組みになっております。

 この期日前投票所の設置でございますけれども、先ほど来いろいろな御議論がございました。私どもといたしましては、積極的に措置をするという方向で市町村の選挙管理委員会に要請をしているところでございますので、そういうことでふえてまいりますれば、ここのところの経費はふえてくるというふうに見込まれます。

井出委員 今、積極的に措置をしていくというお話を伺いましたので、重ねてお願いをさせていただきます。

 さて、ここから少し、ネット選挙解禁を見据えて、この法律も少しそういった対応が必要ではないか、そういったお話をさせていただきたいと思っております。

 先ほど申しましたように、インターネットの選挙の解禁、ようやく議論につきますが、そのスタートは非常に遅くなってしまったと思っております。ですから、インターネットの選挙が解禁されたときに、特に選挙の啓発、投票率を上げていくための運動というところにおいて、総務省、選管のネットの使い方がおくれのないように対応していただきたいと考えております。

 昨年の衆議院議員選挙では、各都道府県の選管を通じて、全ての立候補者の選挙公報がインターネットで公開をされました。また、震災の被災地においては、それ以前からインターネットで選挙公報を出していたという話も伺っております。

 そういった動きは私は大いにやってほしいと思うのですが、今はまだ、予算のない中で自主的な取り組みでやっている。特に市町村選挙でも、独自にそういった選挙公報のインターネット掲示をやっているところもあると聞いております。

 選挙公報をホームページに上げるぐらいの話であれば、今のままでも対応はできるのかもしれませんが、例えば、選管のホームページだけでなく、ツイッターやフェイスブックを使って選挙の啓発、広報をやっていく、そういったものも、市町村の独自の取り組みは可能かもしれませんが、そういったものをさらに促していくためには、やはりその予算づけ、経費に係る基準にそういったものも検討していくべきだと思っておりますが、そのあたりはいかがお考えでしょうか。

米田政府参考人 インターネットを活用いたしました啓発といった点につきましては、おくればせながら私どもも最近取り組み始めております。

 先ほどの第四十六回総選挙の際には、総務省においても、特設ホームページの設置ですとか、インターネットバナー広告、新聞広告等々の既存のものに加えまして、インターネットを利用した啓発を行ったところでございます。

 正直、かなり経費がかかったというふうに実感としても感じておりますけれども、今委員が御指摘になられました、総務省以外の、都道府県なり市町村の選挙管理委員会におきましても、詳細は自治体ごとにかなり異なりますが、ホームページを用いた啓発を実施しているというふうに承知をしております。

 今後、このあたり、どのように啓発に使っていくのか。既存の啓発との優劣、特質、このあたりも十分検討をした上で、実態を踏まえながら、必要な場合には、このあたりの経費の基準法への反映といった点も検討してまいる必要が出てくるというふうに承知しております。

井出委員 米田選挙部長、さきの委員の方への答弁の中でも、まだ実際どのようなものが発生してくるのかわからないといったようなお話がありましたが、私は、一番最初に申しましたが、インターネットの分野において選挙の情報がほかよりおくれるということは、インターネットに特化している人たちにとっての、特に若い世代の情報格差を生んでいると思っております。

 若い二十代、三十代の方が投票率が低いというのは総務省の方でも既に調査をされていると思いますが、そこの解決方法の一つとして、何としてもそれを急いでいただきたいと思っております。

 ですから、当然、ただ市町村にさまざまな指導をしていくだけでなく、それをやっていく中で、経費の基準というもの、バックアップが必要になってくると思いますので、ここは強くお願いをさせていただきます。

 さて、新藤大臣にお伺いをしたいのですが、大臣も御自身のホームページ、かなり充実したものを、また、ツイッターもかなり御活用されていると思いますが、どういった目的、思いで御活用をされていらっしゃいますか。

新藤国務大臣 まず、お答えする前に、井出庸生議員は初当選で、ここの委員会で初めての質問になられるわけですね。おじい様やおじさんは喜んでいると思いますし、また、私たちと違う世代の方が入ってきていただいているわけですから、ぜひ新しい風を運んでいただくように期待したい、このように思います。

 私は、自由民主党の初代のネットメディア局長でございます。そして、ネットサポーターズクラブというのを組織しまして、政治と一人一人との間の距離を縮めたい、こういう思いで活動してまいりました。

 自分のホームページも、それから自分の活動も、組織や後援会、それは大切な、まずは基本となるところでありますが、一人一人の方と政治がきちんと交流できるように、また、お互いの意思の疎通が図られるような、そういう工夫が必要だ、こういう思いで、まだまだ不十分でありますけれども、ホームページやツイッター、そういったものも活用してきたところでございます。

井出委員 大臣が御自身のホームページを、本当に充実させたものを運営されてきたのは私も拝見しているのですが、その思いを、ぜひ大臣のリーダーシップとして、選挙の啓発、そういったところにインターネットを積極的に使っていってほしい、そこにリーダーシップを何としても発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今、世の中の変化に対応して、ソーシャルメディアネットワークを選挙にも活用しようではないか、こういう動きが出てきている。そういう思いを持っている人は、私だけではなくて、たくさんいらっしゃると思います。そして、安倍総理も、できるだけ早くにこういったものは導入した方が望ましい、こういう御発言をされているわけであります。そして、そういう声を実際に行政の場に実現させるのは、そのために立法府である議会があるわけでありまして、今、これから、まさにそういった議論がなされるものと、各党各会派においてしっかりとした議論があって、そして前進をされることを私も期待しております。

井出委員 今回、改正案の出ている法案を見ますと、さきに申し上げさせていただいた看板の四十億円ですとか、私自身はそれはかなり大きな金額だなと思っておりますし、場所を厳選すれば、そういったところのお金を将来的にインターネットの方に回していくということもできるのではないかと思っております。

 また、新聞広告や政見放送の公営費といった項目もあるかと思いますが、一つぜひお願いしたいのは、政見放送をインターネットでも見られるような、そういった検討をしていただきたい。現状、難しいとは思いますが、今どういったお考えがあるか、お聞かせください。お願いいたします。

米田政府参考人 ただいまの点につきましては、今、各党各派において御議論をいただいておりますインターネット法案の中でも御議論をされているというふうに承知をしております。ホームページの利用の一環というような形での御利用が御議論されているというふうに承知をしております。

井出委員 さきに、選挙公報をホームページの方で掲載したと。そういった取り組みが、恐らくこれも幾つかハードルがあったと思うんですが、ぜひ政見放送の方もそういった検討をしていただきたいということを強くお願いいたします。

 最後になりますが、私がこの委員会を希望して所属させていただいた理由について、一言申し上げさせていただきたいと。

 実は、昨年五月二十三日にこの委員会で参考人の加藤秀治郎東洋大学法学部教授が御発言された中で、スペインの哲学者オルテガの言葉をとりまして、民主政治は、一つの取るに足らない技術的細目に健全さを左右される、選挙制度が適切ならば何もかもがうまくいく、そうでなければ何もかもがだめになってしまうと。

 私は、この言葉をインターネットの録画で聞きました。既に衆院選に向けて活動していたこともありまして、テレビの中継が仮にあったとしても聞くことはできなかったと思いますし、新聞でこの発言が取り上げられたとも私は記憶をしておりません。しかしながら、この発言を私は聞いて、当選の暁にはこの委員会に入ろう、そういう気持ちにさせていただきました。この経験、みずからの経験を踏まえましても、インターネットというものが、政治、選挙への関心を高める上で非常に重要な道具になると思っております。

 選挙制度は今、きょう御質問をさせていただいた経費の基準に係る法案を含めまして、古い制度が温存されて、時代に合わなくなってきたものが大分多くなってきていると思っております。そうした制度を立て直して、日本の民主政治が何もかもがうまくいくように、私も微力ではありますが全力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いをいたします。

 本日はありがとうございました。

保岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、国会議員選挙の執行経費法改正案に反対の討論を行います。

 全国一律の国政選挙において、投票所の数や投票時間の保障は、投票機会の公平を確保する上で極めて重要です。

 ところが、この間、投票所の数は著しく減っており、投票所が遠くなり不便になった有権者は少なくありません。しかも、投票時間を短縮する投票所がふえており、昨年の総選挙では、全国四万九千二百十四カ所の投票所の三分の一で閉鎖時間を繰り上げ、投票時間を削減しております。本法案による経費削減が、こうした投票所数や投票時間の削減に拍車をかけることは明白です。

 また、開票所も市町村合併の影響で激減しているのに、今回、開票時間の基準を四時間から三時間に短縮しています。しかし、二〇一〇年参議院選挙で開票時間が三時間以内だった開票所は三割もありません。実態を無視した基準と言わざるを得ません。開票作業は、何よりも正確さが求められます。それなくして選挙の公正は確保されません。

 本法案による算定額と二〇一〇年参議院選挙でかかった経費を比べると、三十二都道府県で不足が出ることが総務省の試算でも明らかです。都道府県選管連合会は、経費の過度の引き締めは、選挙の管理執行に悪影響を及ぼすおそれがあるので実情に即した適正な水準にと要望し、全国市区選管連合会も大幅削減の見直しを求めています。こうした地方選管の意見を真摯に受けとめるべきであります。

 本法案を短時間の審議で成立を図ることは許されません。地方の実情を聞き、見直すことこそ本委員会の責務であります。

 今、インターネット選挙運動の解禁を議論しておりますが、選挙啓発など必要な経費は十分確保すべきです。選挙執行経費の大幅削減は、民主主義の根幹である選挙の公平公正を損ないかねません。

 以上、反対討論を終わります。

保岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

保岡委員長 次に、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。逢沢一郎君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

逢沢議員 公職選挙法の一部を改正する法律案の趣旨の説明をさせていただきます。

 自由民主党、公明党及び日本維新の会を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について申し上げます。

 本法律案は、近年におけるインターネット等の普及に鑑み、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治参加の促進等を図るため、インターネット等を利用する方法による選挙運動を解禁しようとするものであります。

 現行の公職選挙法では、インターネット等を利用する方法による選挙運動は禁止されているため、選挙運動期間中、候補者、政党等はみずからのウエブサイト、ブログ、ツイッター等の更新を控えなければならず、また、電子メールによる選挙運動もできないといった不都合が生じております。これを解消して、政見や個人演説会の内容、演説会や活動の様子を撮影した動画など、選挙に関し必要な情報を随時ウエブサイトや電子メール等で提供できるようにし、有権者のより適正な判断及び投票行動に資することが必要であります。

 あわせて、候補者、政党等以外の者、すなわち第三者のウエブサイト等による選挙運動も解禁することで、選挙運動期間中、第三者がウエブサイト等で候補者や政党等を支持したり応援したりすることができない不都合を解消し、選挙に対してより積極的に参加することを可能にすることが必要であります。

 なお、第三者の電子メールを利用する方法による選挙運動につきましては、密室性が高く、誹謗中傷や成り済ましに悪用されやすいこと、また、複雑な規制を課すことにより、一般の有権者が処罰され、加えて公民権停止となり得ることなどから、今回は解禁しないこととし、今後の検討事項としております。

 また、インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁により、誹謗中傷、成り済ましが広まるおそれもあることから、これらへの対策も十分に講じ、公正な選挙の実現を図ることといたしております。

 次に、本法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、ウエブサイト等や電子メールを利用する方法による選挙運動を解禁することといたしております。ただし、電子メールにつきましては、送信主体を候補者、政党等に限定することとし、また、電子メールの送信先に一定のルールを課すことで、責任ある情報発信を促し、情報が無秩序に氾濫することを抑制することといたしております。

 第二に、選挙運動のための有料インターネット広告を禁止するほか、その脱法行為も禁止することといたしております。ただし、政党等は、選挙運動期間中、当該政党等の選挙運動用ウエブサイト等に直接リンクする有料インターネット広告をすることができるものとし、有権者が政党等の政見に触れる機会をふやすことといたしております。

 第三に、インターネット等を利用した選挙期日後の挨拶行為の解禁及び屋内の演説会場内における映写の解禁を行うことといたしております。

 第四に、誹謗中傷、成り済まし対策を講ずることとしております。具体的には、ウエブサイト等により選挙運動用または落選運動用の文書図画を頒布する者に対し、電子メールアドレス等の表示を義務づけることとし、また、選挙運動用または落選運動用の電子メールの送信者に対し、氏名、電子メールアドレス等の表示を義務づけることといたしております。さらに、氏名等の虚偽表示罪の対象に、インターネット等を利用する方法による通信を加えることとするとともに、プロバイダー責任制限法の特例を設け、名誉侵害情報に係る情報発信者に対する削除同意照会の期間を七日から二日に短縮する等の対策を講ずることとしております。加えて、インターネット等の適正な利用についての努力義務を課すこととしております。

 第五に、施行期日等についてでありますが、この法律は、公布の日から起算して一カ月を経過した日から施行し、施行日以後初めて行われる国政選挙の公示日以後にその期日を公示されまたは告示される全ての国政選挙及び地方選挙について適用することとしております。

 また、検討事項として、候補者、政党等以外の者が行う電子メールを利用する方法による選挙運動その他のインターネット等を利用する方法による選挙運動のあり方につきましては、次回の国政選挙後速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて、次々回の国政選挙までに必要な措置が講ぜられるものとしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。

保岡委員長 次に、田嶋要君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田嶋議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブ及びみんなの党を代表して、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について申し上げます。

 現在の公職選挙法においては、インターネット選挙運動は、法定外の違法な文書図画の頒布として禁止されております。しかしながら、近年におけるインターネット等の普及に鑑み、インターネット等の活用によって、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治参加の促進、有権者と候補者の対話の実現などが期待できることから、本法律案において、一般有権者を含む全ての者に、インターネット選挙運動を解禁することとしております。

 私たちは、選挙の主役は、政党や候補者ではなく、一般有権者であると考えており、国民本位、主権者本位のインターネット選挙運動の解禁が必要であると考えております。そこで、本法律案では、電子メールを利用する方法も含めて、一般有権者、政党、候補者全ての者がインターネット選挙運動を行えるようにし、インターネット等を通じて皆が熟議する新しい政治文化をつくることを目指しております。

 次に、本法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、何人も、ウエブサイト等や電子メールを利用する方法による選挙運動を行うことができることとしております。

 第二に、選挙運動用電子メールは、電子メールアドレスをみずから通知した者に対して送信できることとしております。ただし、送信拒否の通知があった場合は送信できないこととしております。

 第三に、選挙運動のための有料広告は禁止することとしております。ただし、政党等と候補者については、選挙運動期間中、政党等は当該政党等の、候補者は当該候補者の選挙運動用ウエブサイト等に直接リンクする有料広告を掲載することができることとしております。

 第四に、ウエブサイト等により選挙運動用または落選運動用の文書図画を頒布する者に対し電子メールアドレス等の表示を義務づけ、また、氏名の表示については努力義務とすることとしております。

 第五に、選挙運動用または落選運動用電子メールの送信者に対し、氏名及び電子メールアドレス等の表示を義務づけ、その違反に対しては罰則を設けることとしております。

 第六に、氏名等の虚偽表示罪の対象に、インターネット等を利用する方法による通信を追加しております。

 第七に、名誉侵害情報に係る情報発信者に対する削除同意照会期間の短縮等、プロバイダー責任制限法の特例を設けております。

 第八に、選挙管理委員会のホームページによる候補者と政党等のウエブサイト等のアドレスについての情報提供を行うこととしております。

 第九に、インターネット選挙運動のあり方について、少なくとも一年ごとに見直すとともに、選挙運動の規制のあり方、インターネットを利用する投票方法、ノーアクションレターの導入、第三者委員会等について検討を行うこととしております。

 なお、本法律案は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行し、施行日以後初めて行われる国政選挙の公示日以後にその期日を公示されまたは告示される全ての国政選挙及び地方選挙について適用することとしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

保岡委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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