衆議院

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第5号 平成25年4月2日(火曜日)

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平成二十五年四月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 保岡 興治君

   理事 石原 宏高君 理事 奥野 信亮君

   理事 原田 義昭君 理事 平沢 勝栄君

   理事 ふくだ峰之君 理事 泉  健太君

   理事 佐藤 茂樹君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      今野 智博君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    田所 嘉徳君

      高橋ひなこ君    中村 裕之君

      長坂 康正君    鳩山 邦夫君

      藤井比早之君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    務台 俊介君

      吉川  赳君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      古本伸一郎君    若井 康彦君

      鷲尾英一郎君    井上 英孝君

      木下 智彦君    坂元 大輔君

      丸山 穂高君    村上 政俊君

      國重  徹君    井出 庸生君

      佐々木憲昭君    玉城デニー君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           橋本  岳君

   議員           平井たくや君

   議員           泉  健太君

   議員           奥野総一郎君

   議員           田嶋  要君

   議員           浦野 靖人君

   議員           佐藤 茂樹君

   議員           遠山 清彦君

   議員           井坂 信彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    高綱 直良君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     岩田 和親君

  岡田 克也君     古本伸一郎君

  後藤 祐一君     篠原  孝君

  村上 政俊君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     宮内 秀樹君

  篠原  孝君     後藤 祐一君

  古本伸一郎君     若井 康彦君

  木下 智彦君     村上 政俊君

同日

 辞任         補欠選任

  若井 康彦君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     岡田 克也君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 小選挙区制廃止、消費税増税と結びつけた比例定数削減反対、抜本的な選挙制度改革に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二六五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出、衆法第三号)

 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

保岡委員長 これより会議を開きます。

 逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長高綱直良君及び総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原委員 おはようございます。民主党の篠原孝でございます。一番バッターとして質問させていただきます。

 きょうは非常に大事な法案を皆さん提出されておられるんですけれども、本当に御苦労さまでございました。これは前から問題になっていることでございまして、公選法、これを見ますと、大体、議員の皆さんが提出されて、そして直してきているということで、大変御苦労だったんじゃないかと思います。

 それには敬意を表するんですが、その時々の国会議員の皆さんが、ここがおかしい、あそこがおかしいということでやってきたので、最終的にというか、今、いろいろなのが入ってくるので、どうも整合性がとれていないような法律になっているんじゃないかと思います。こういったのをこれから徐々に直していかなければいけないんじゃないかと思っておりまして、その点から質問させていただきます。

 私も国会議員になって十年目ですかね、選挙を四回やりました。選挙法というのはわけがわからなくて、じっくり読んでもみました。だけれども、そんなのは忘れてしまう。いろいろ言っている人のを聞いてやらなくちゃいけない。どういうルールをつくるかというので、いろいろな観点からつくられていると思います。

 お金がなるべくかからないように、これはいろいろ改正されてきているだろうと思います。こんなことを言うとなんだと思いますけれども、三十年前だったら僕のような者は国会議員にはなれなかったと思います。それがお金がかからなくなって、そこそこで出馬できるということになって、私などもこの場に立たせていただいているんじゃないかと思います。

 それから、有権者がいろいろな媒体を通じて、どういう人が選挙に出ているか、どういう政党がどういうことを言っているのかというようなことを簡単に知れるようにというのもあるんだろうと思います。

 それから、お金持ちとそうじゃない人との差ができないように、それから、多分、証紙ビラとかいうので証紙を張らなければいけないというのは、余りビラばかりつくって、そこらじゅう紙ばかりになったりしてはいけないということ。

 こんないろいろな要素が入っているんじゃないかと思います。ごちゃまぜになっているんです。

 そういったことがいろいろあると思いますが、今回のインターネット選挙運動を解禁する目的が、今私が申し上げたもの以外にもあると思うんですが、どういうことを念頭に置いてこの改正案をつくられたんでしょうか。両方の提案者にお伺いしたいと思います。

逢沢議員 篠原先生の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 冒頭、先生御自身の政治観、選挙観、大きな観点からの御発言もあったわけでありますが、お互いの不断の努力によって公選法を適切に改正を行っていく、そのことを通じて国民、有権者の皆様方の政治参加をより促していく、よい政治を前進させる、少し大きな言い方になるかもしれませんけれども、日本の民主主義を成長、発展させよう、お互いがそういう立場で今この場所にいるんだろうと思います。

 今回のいわゆるインターネット選挙の解禁も、ぜひそういう日本のよりよい政治文化、文化という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、よりよい政治を実現していく、そのことを通じて日本の民主主義を発展させていこうという大きな考え方に立って、我々は今回の改正案を提案させていただきました。

 まさにインターネット時代ですよね。国民のほとんど、大多数と言ってもいいかもしれません、インターネットを活用する、そんな時代を迎えております。また、諸外国を見てみますと、日本よりもむしろ選挙のときのインターネットの活用については大いに進んでいる、こういうこともよくわかってまいりました。

 そういった時代の要請、また世界の趨勢、そういうものをしっかりと受けとめて、今回の公選法をぜひ改正させていただきたい、そう考えております。

 選挙本番に入りますと、あれもだめ、これもできない、こういう現実があります。ホームページも書きかえられないし、ツイッターでつぶやくことも現行法上はできない。フェイスブックもだめ。私もメールマガジンを定期的に発行いたしておりますけれども、これは告示の前の日が最後ですよね。本番中に入ればそういうこともできない。

 むしろ、国民、有権者の皆さんは、選挙本番中こそ、各政党の基本的なビジョンだとか政策、あるいは、各候補者がどういう考え方をしているのか、どんな人柄なのか、そういうことを含めて一番知りたいと思っているときに、有為なツールであるインターネットを活用できない。この不合理をぜひ今回の選挙法の改正を通じて改正していきたいというふうに思っております。

 政策やビジョン、あるいは、選挙でありますから、こういう場所で演説会がありますよ、あるいは、ホームページに動画も張りつけることができますから、昨晩の篠原先生の個人演説会でこういうすばらしいスピーチがあった、そういうこともウエブサイト上を通じて有権者の皆様にお伝えをすることができる。ぜひ、このツールをよい意味で生かしていこうというのが今回の趣旨であります。

 電子メールについては政党あるいは候補者本人に我々の案は限らせていただいておりますけれども、いわゆる第三者、国民一般が、これは企業や法人も含めてでありますけれども、ウエブサイト等を通じて各政党や候補者を応援できる、こういうところに大きく道を開くというものであります。ぜひ御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

田嶋議員 民主党の田嶋要でございます。

 私どもも、今回、ここでインターネット選挙解禁法案の質疑に至ったということを大変うれしく思うものでございます。

 今回、みんなの党と民主党と共同で法案を出させていただきました。振り返れば、もう十年以上も前から法案を提出させていただき、私ども民主党は今回が五回目の法案提出でございます。

 今の発言と重なる部分もございますけれども、まさにインターネットというのが社会の不可欠のインフラとして、あらゆる部分まで、隅々にまで広く行き渡っている、そういう時代が十年、二十年と続いてきているわけでございますが、非常に奇妙なことに、選挙運動の期間は一切さわれないという事態が続いていたわけでございます。

 恐らく、先進国はどこでも、そもそも解禁という発想には立っていないんだろうというふうに思いますが、日本の場合には、現在の公職選挙法にのっとりまして、インターネット選挙運動というのは文書図画の頒布と同じだ、そういうふうにみなされて、そういう意味で、規制の対象となり、選挙期間中はインターネットは使えないという事態が長らく続いていたということでございます。

 その問題意識に関しまして、今回ここまで到達できた。そして、与野党各党が本当に思いを一つにして、こういった社会のもう当たり前になっているインフラを、みんなが選挙のときにも選挙運動に利用できて当たり前ではないか、そういう問題意識から、今日ここまで来ているということでございます。

 そういう意味では、既に政治活動でも普通に使えているこのインターネット、それは、SNSもあればホームページ、ウエブ、そしてメールもあれば、いろいろなツールがあるわけでございますが、それらをできる限り選挙運動期間においても自由に使えるようにしようということでございまして、もちろん、立候補している方からの情報を充実させて、そして一般の有権者が、選挙活動の、例えばどういうところで演説会が行われているとか、そういうことに関する情報をとるということもございます。

 それから、有権者の政治参加を加速させていく、そして有権者と候補者の対話の実現などなど、こういったことを全て可能にしていくことで、いわゆる熟議できる、いろいろな政策や政治に関して国民全体がもっともっと熟議をして選挙していく、そういうことを実現していこうと考えているわけでございます。

 一点強調申し上げたいのは、私どもは一般有権者という発想をしておりまして、第三者という言葉は使わない方がいいのではないかと考えてございます。それはまさに、選挙というのは、この民主主義の中で、一般有権者こそが第一の主体であろうというふうに考えておるからでございまして、その一般有権者にもメールの解禁をしていこう、そのように考えておるところでございます。

 以上です。

篠原委員 皆さん、よかれと思って取り組んでいただいていることに敬意を表します。

 しかし、どうもちぐはぐなことが起きてきてしまうんですね。僕は、同僚議員を見ていてかわいそうだなと。僕自身もそうですけれども、わからない、ちょっとしたことで国会議員の議席を失う。死刑廃止運動があるのに、国会議員を殺すのは簡単でして、ちょっとした選挙違反でぎゃあぎゃあ言って引きずりおろす。これはよくないことではないかと思います。僕は、こういう不幸な議員、絶対出てはいけないと思っております。

 それで、これは確認です。よくあるのは電話かけですね。電話かけは投票依頼、選挙運動だということで、これでごたごた言われる。メールは、メールを打つ人、選挙事務所に来て働いていて、このメールを打ってくれ、ウエブサイトのこれを直してくれ、この人たちというのは報酬を払っていいんでしょうねという、当然のことですけれども、これは簡単に両提案者からお答えいただきたいと思います。

遠山議員 篠原委員にお答えをいたします。

 電話による投票依頼というのは選挙運動とされていることは委員も御承知のとおりでございますが、メールによる選挙運動につきましては、これは文書図画の頒布に当たります。文書図画は、現行の公職選挙法上の頒布につきましては、法律で決められたビラ等に限っているわけでございまして、現行法のもとでは、それ以外の文書図画に当たるホームページあるいはメールというものは違反に当たる。今回の改正案が成立をすれば、それが手段として解禁をされるというふうに認識をいたしているところでございます。

 よって、解禁をされた後に、この選挙運動に当たるメール、インターネットの使用を主体的にした者につきまして報酬を払うということについては、違反になる可能性、おそれが高い、このように認識をいたしております。

奥野(総)議員 民主党の奥野総一郎でございます。

 お尋ねの件でありますけれども、報酬を払っていいかどうかということについては、個々具体的に事例に即して判断されるべきものだと思います。

 例えば、特定の候補者の投票依頼に関する内容の電子メールについて、メールをつくる人が文案まで考えて送っている場合、これは、その人個人の選挙運動に当たると考えますので報酬は払えない。

 一方で、候補者の具体的な指示のもと、文案も全部指示されて機械的に入力や送信を行うにすぎない場合は、選挙運動のために使用する労務者となる場合もあって、一定の制限はありますけれども、報酬が払える場合があるというふうに理解できるかと思います。

篠原委員 またそういうややこしいことをしているんですね。これだから困るんですよ。どれが定型的でどれが定型的じゃないかなんという、そういう本当にばかなことはやめていただきたいです。よろしくと打ってくれと文章を言ったらよくて、文章を言わないで、あなた、考えてくれと言ったら選挙違反なんですか、払ったら。そういうことはやめてほしいということを僕は言いたいんです。だから、その一点で今回は質問に立たせていただいているんですよ。

 資料をつくってきましたので、今度は私の主張をちょっとさせていただきます。資料は三枚あります。

 今回はインターネットばかりに力点を置いてやっておられます。しかし、それだけじゃ足りないんじゃないかという、私の誘導質問というかがあるんですが、後でおわかりいただけると思いますけれども、一ページ目、情報通信機器の保有状況というのを見ていただきたいんです。

 もうこれはいろいろあったんですが、必要なものだけ引っ張り出しました。要するに、年齢によって、スマートフォンをいっぱい使っている人と全然使えない人、お年寄りは使っていないというのが出てくるんです。地方によって、都会と田舎で違うかと思ったら、それほど変わりないですね、下を見ましたら。

 ところが、一番大きく違うのは、真ん中の世帯類型のところですけれども、見ていただきたいんです。その一番右側の方で、高齢世帯、高齢者のみ、誰もインターネットを利用したことがないというのが四九%もある、単独世帯、非高齢者はそんな人は五・三%しかいない、ここに大きな差があるんですね。

 それから、ファクスは大体どの家庭、どの年代でもみんな入っている、これがあります。これをよく頭の中に入れておいていただきたいんです。

 要するに、私が申し上げたいことは、インターネットの解禁というのは、若い人たちには非常にいいことだろうと思いますけれども、お年寄りのことをちょっと忘れているんじゃないかということ。

 次のページを見ていただきたい。これは私が一生懸命つくりました。済みません、篠原事務所作成、私がつくったんです。

 いろいろ法律を見まして、どうなのかなと電子メールとファクスと電話を比べてみました。ずっと見ていっていただきたいんです。電子メールとファクスはほとんど同じです。

 時間がないのでちょっと急ぎますけれども、通知、後から出てくると思いますが、通知しておけばいいんだと。メールもファクスも、通知しておいて、お互いにやりとりしているということがあればいいんだということでしたら、私の例で申し上げましても、「自ら通知の例」というので、法律や何かのところ、ちょっと解説が書いてあったもので読みますと、ファクスや電話番号が名刺にあるから通知されていると思いますよ。電子メールなんかは面倒くさいから入れていない人がいる。

 私の場合でいいますと、電子メール、ファクスを利用しています。だけれども、私のところは電子メールを利用する人は余り多くないので、ファクス通信でいろいろなことをやっています。篠原孝のファクス通信と。こんな余計なものをよこしたと言う人にはもう送らなくなっています。だから、ファクス番号、私がやっているのは一斉でやるわけですけれども、もうみんなも了解している、何が来てもいいという人。メールもそうです。こんなのは変わりない。

 一つだけファクスとメールが違うのは、下の方に行って「負担減」のところ、「受信者の負担」というので、メールがやたらに送られたら、迷惑したりするというのはある。消したりするのに手間がかかるかと思いますが、ファクス用紙を多く使うこと、ファクスとメールはここのところが違うだけじゃないかと私は思います。こういうのがあるんですね。

 それで、電話もほとんど同じなんですね。さっきの提案者の奥野さんからの答弁ですと、もちろん遠山さんのところにもありましたけれども、定型的なものならいいと言う。じゃ、ロボットが電話をかけて、応対しないのだったらいいのかということになる。ロボットのような感じで、人間も、ぼんと押して同じことしか言わない。電話によって極めて定型的な文言で選挙活動をする。

 かつ、これを想定してみてください。相手がいたら応対しますけれども、留守電に入れる、こういうのを想定してみてください。相手が出たら選挙違反になるからやめる。選挙違反というか、投票依頼になって選挙運動になるから。留守電にというときだけ、留守電に定型的な言葉だけずっと吹き込んでいる。こんなのは選挙運動になるのか。メールでやっているのと違わないような気がするんですが、この定型的な、電話による、留守電に同じ言葉を吹き込むことは、定型的なメールを打つのとどこが違うんでしょうか。

 これは、二人の提案者と総務省にお伺いしたいと思います。なるべく手短に。

遠山議員 簡潔にお答えをいたします。

 委員の御質問は、留守電に電話で定型的なメッセージを残すのと、定型的なメッセージをメールで送るのとどこがどう違うのかということでございますけれども、両方とも選挙運動に当たると仮定をさせていただいた上でお答えを申し上げれば、電子メールで送る場合は、その送ったメールが文書図画に当たる、つまり、現行の公職選挙法上で禁止をされている文書図画の頒布に当たるというところが大きな違いだと思います。

 以上です。

奥野(総)議員 機械的というところを捉えれば、先生の御指摘はまことにごもっともだと思います。

 ファクスについても、メディアの特性で、お年寄りの方が使われているというのであれば、私は前向きに考えてもいいと思うのでありますけれども、今回は、しかし、インターネットの解禁ということで、そこに限った話になっておりますので、今後の検討だと思います。

 現在について言えば、現行法の解釈については総務省からということで、総務省からきちんとした回答をしていただきたいと思います。

米田政府参考人 現行法の解釈について申し上げます。

 個別の事案が選挙運動に該当するか否かにつきましては、具体の事案に即して判断されるべきものと考えられますけれども、一般的に申し上げますと、特定の候補者への投票依頼に関する文言をいわゆる留守番電話に録音したりというような、定型的な文言により行った場合も含めまして、電話による投票依頼を行う者、この者自体が選挙運動を行う者というふうに考えられております。

 一方で、電子メールを利用して特定の候補者への投票依頼を行う場合につきましても、一般的には、これは選挙運動のために使用する文書図画を頒布するものとして選挙運動に当たると考えられるところでございますが、一方、電子メールの作成、送信に当たりまして、候補者の具体的な指示のもとで機械的に文案の入力作業や送信作業を行うにすぎない場合には、その行為を行う者は、選挙運動のために使用する労務者でありまして、選挙運動を行っている者というふうには評価されず、労務を提供しているというふうに考えられるところでございます。

 以上でございます。

篠原委員 今の解釈はいいと思います。

 それで、今回せっかくインターネットを解禁するんです。ここの二枚目のところにありましたが、ファクスと電子メール、全然違わない。僕なんかは、ですからファクスでいろいろなことをやる。現実的にどういうことに使われるかというと、集会の連絡ですよ。集会の連絡をファクスで、あさって、どこどこの公民館、公会堂で会合をするので来てくださいというのです。そういうのをファクスでやっちゃいけないんでしょうか。このインターネットの解禁と同時に、これはぜひやっていただきたいと思います。これも選挙運動用の文書図画だとかいうのでだめだと言われたんじゃ、たまらないと思います。

 両方の提案者、簡潔に答えてください。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 もちろんファクスの内容が選挙運動に当たるものという前提での答弁となりますが、先生御指摘の、この表でも書いておられるとおり、ファクスというのは紙で出てくる、紙を大量に使うと書いておられます。

 紙媒体での選挙運動用文書図画については、現行公職選挙法上で、通常はがきですとかビラとか一定のものに頒布が制限されているものでございまして、そういう意味で、ファクス通信を用いて選挙運動用の文書図画を頒布することは、現行の公選法で限定的に許容されたものに当たらず、禁止をされているということになろうと承知をしております。

篠原委員 今のを聞いているんじゃないんです。メールで会合がありますよと言うのはいいことになるわけでしょう。だったら、ファクスで連絡するのが何でいけないんですかと聞いているんです。

橋本(岳)議員 繰り返しの御答弁になりますけれども、結局、ファクスで紙で出てくるということが、ファクスというのは一般的に、電気通信の中に入るものという意味では共通する点はございますけれども、紙での受け取りを前提とするものであろうと承知をしております。紙媒体での選挙運動に関する文書図画の頒布については現行公選法のとおりということにしておりますので、そのように御理解をいただきたいと思います。

篠原委員 いやいや、今のことを聞いているんじゃなくて、インターネットを解禁するんだから、それと同時に解禁していったらいいでしょうと。そういうふうに解釈して、今後、そういうふうにやっていくのが当然だと思いますけれども、それも答えられないんですか。そんなしみったれた議員提案、やめていただきたいですね、そんなのだったら。

遠山議員 篠原委員、誤解のないように申し上げておきますが、会合の通知等で政治家あるいは政党がファクスやメールを使うことは、選挙運動期間外であれば、これは今でも許容されているわけでございます。

 先ほど橋本答弁者からもあった御指摘は、特定の政党や候補者に投票を依頼するような、いわゆる選挙運動用の文書図画としてのメールを、今までは禁じられていたのを解禁する。ただし、紙媒体等の扱いにつきましては、これは今後の検討事項だと思っておりますが、篠原委員のお配りになったこの資料にもあるとおり、仮に選挙運動用のファクスを受信したくない人にも、メールと違い、メールの場合はほぼ無料で受け取れる環境が今整っておりますが、ファクスの場合はやはり紙を相手側に使わせてしまうという問題もございますので、今回はインターネットの解禁に限って改正案を出させていただいているというふうに御理解をいただければと思います。

篠原委員 でたらめに、電話帳にファクス電話帳というのがあるわけではないです。さっき申し上げたじゃないですか。私の支持者になっていて、支持者名簿にあって、ファクスも登録されているんです。そこのところへ連絡するのが何でいけないんですか。拒否していないんです。そういう役人答弁はやめていただきたいですね、本当に。では、時間がなくなるのでやめますけれども。

 それともう一つ、皆さん、みんな機会平等にという、最後のページを見てください。二つやりたかったんですが、一つだけにします。時間がなくなりましたので。

 最後のページ、中野市というのは私の生まれ育ったところです。恥ずかしながら、ここがどうしたかというと、私が出たときからの選挙の投票率、一番太いのが中野市の投票率なんです。いつも私の選挙区では、長野市が大都会ですから一番投票率が低かったんですが、今回、そのいつもいつもびりの長野市をはるかにしのいで、三ポイントも低くなったんです、中野市の投票率が。私は、北澤防衛大臣から、篠原孝も地元でもそろそろ飽きられてきたなとかいって冗談を言われましたけれども、それは違いまして、理由はここに書いたとおりです。二〇一二年に三十五カ所から二十三カ所に投票所を統合しているんです。

 これだけ情報を提供していろいろやっても、いいですか、十二月の十六日、長野は雪が降っていて滑るんです。転んで腰を折って寝たきり老人になる。四キロも歩いて投票所に行かなくちゃならない。そんなふうにしてしまっているんです。何のためにやっているかということなんです。こういうことをやっていたら、なるべく選挙情報を伝えてきちんと投票に行っていただいて政治に参加していただきたいというのに、一番のもとのところの投票所をけちって統合統合なんかしていたら、お年寄りは投票に行けなくなるじゃないですか。こういうのは絶対に避けていただきたい。

 総務省、もうこれは何とかしないと、どんどんこういうふうになっていっちゃいますよ。若い人たちはろくに、こんなことを言っては、投票に行ってほしいんですが、投票に行かない人のところへだけ、いろいろな媒体でいって、よく行く人のところに、ファクスもだめだと言ったら伝わらない。ファクスの方がみんな見られるんです。そして、投票にも行けない。ちぐはぐなんです。

 投票所の確保、歩いて行ける範囲というのに絶対にしていただきたいと思います。若い人がいなかったら、八十歳の老夫婦二人の家庭、いっぱいあります、怖くて投票に行けないです。冬、凍った道を歩いて行けるんでしょうか。公会堂だったら五分ぐらいで歩いて行ける、お茶を飲んで帰れる。こういうふうにしておいていただかなくちゃならないのに、次々統合していってしまう。こういうのはやめるようにということを、きちんとしていただきたいんです。いかがでしょうか。

米田政府参考人 御指摘いただきましたとおり、投票の権利は民主主義の基礎的な部分でございます。そういう認識で、私どもも、特に過疎地等における高齢者などの投票の権利を事実上奪うことがないように、総務省といたしましては、各選挙管理委員会に対しまして、投票所の増設、移動困難者に対する巡回バスの運行など、投票機会の確保について十分配慮するよう、これまでも要請してきておりますけれども、引き続き、この面での積極的な対応を各市町村の選挙管理委員会に、都道府県も通じまして要請してまいりたいと存じます。

篠原委員 最後にもう一つ、インターネットを利用してやっていくのは非常にいいことだと思います。これ自体はいいんです。もう一つ、そこまで考えたら、投票行為、投票行動、投票自体ですね、電子投票というのはあるわけですけれども、僕は、いきなり電子投票をすぐやれと言っているわけじゃないんです。電子投票ができて、節約できて、簡単にできるんじゃないかと思って、いろいろな市町村がずっと前から検討してやっているんですが、何と、我々国会はどうしているかというと、都道府県以下は試験的に電子投票をやってもいいけれども、国会議員の選挙はやっちゃいけない、自書式でやる、試験的にもやっちゃいけないという封建的な態度で臨んでおるんですね。

 これもやはりおかしいんです。選挙運動自体、インターネットを解禁したら、投票自体も電子投票にして、うんと強い人はその日のうちに当選が、落選もわかる人もいますけれども、大体、ごたごたしていると、日にちを越えなくちゃ当選しているか落選しているかわからない、こんな時代おくれなことをしていてはいけないと私は思います。だから、電子投票の方もぜひ検討していただくことを皆様にお訴えさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の新人、大阪五区選出の國重徹でございます。

 私も、あの昨年の十二月、初挑戦、初当選させていただきましたけれども、告示日前日まで、ツイッター、またフェイスブックでいろいろと自分の思いを発信させていただきまして、前日でやめざるを得ないというような現状にぶち当たりました。インターネットが今日のように普及したこの時代にあって、インターネットによる選挙活動、選挙運動、これは解禁すべしというような意見というのは、ここにいる皆さんも共通した認識ではないかというふうに思います。

 一方で、インターネットというのは、匿名性、伝播性、速報性、こういった特殊性があって、成り済まし、また事実無根の誹謗中傷、こういったものが横行する危険性も十分に考えられます。

 私自身、これまで弁護士として働いてまいりました。その際に、名誉毀損訴訟を大手出版社を相手にしたこともありますし、また、インターネットによる誹謗中傷、名誉毀損、これに対して裁判、提訴したこともございます。ただ、裁判で勝訴したとしても、一旦名誉が毀損された場合というのは、なかなか、それを回復するというのは現実的に難しい。損害賠償請求をかち取っても、謝罪広告をかち取ったとしても、名誉を回復することは難しいというのが現実でございます。

 ちなみに、警察庁の資料によりますと、これは名誉毀損ではありませんけれども、迷惑メールに関する相談件数が、平成二十年に比べて平成二十四年は倍以上にふえております。

 選挙運動の自由、これは民主主義の根幹をなす非常に重要な権利ですから、最大限保障するということは前提にしながらも、民主主義の健全なプロセスをゆがめて、選挙の公正を害しないような一定の配慮というのも必要だというふうに考えます。

 先日、僕らの一歩が日本を変える、高校生百人が国会へということで、全国各地から高校生が国会の方に来られまして、私も昼食会に参加させていただきました。恐らく、国会議員は十名ぐらいいたと思うんですけれども、私、一時間二十分、そこで高校生と懇談をさせていただきました。

 そのときに、彼ら、彼女らが言っていたのが、やはり、今の政治に対して嫌なのは、悪口を言い合う、足を引っ張り合う、こういったものを見るのは非常に嫌だというようなことを言っておりました。

 これは、私自身も、今回候補者になるまでずっと今の政治を見ていて、そういう足の引っ張り合いとか悪口の言い合い、誹謗中傷、こういったものにうんざりしてきた青年の一人であります。そういった観点から、幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず、総務省にお伺いします。

 諸外国、諸外国といってもかなり数がありますので、例えばアメリカ、韓国について、インターネットによる選挙運動、選挙活動によるネガティブキャンペーンの実情がどのようなものになっているかについてお伺いします。

米田政府参考人 お答えいたします。

 これは、ことしの三月の国立国会図書館の資料によりますと、まず、諸外国におけるインターネット選挙運動に関する規制でございますけれども、アメリカにおきましては、インターネット選挙運動に関する規制はありません。それから、韓国におきましては、インターネット選挙運動は、投票日当日を除き常時可能というふうに現在はなっております。

 そこで、アメリカと韓国におけるインターネット選挙運動の最近の状況についてでございますが、まず、アメリカの大統領選挙におきましては、ネガティブキャンペーンについては、候補者や政党は、選挙情報のモニタリング及び事実と異なる情報への反論を実施していると聞いております。また、韓国の大統領選挙におきましては、各陣営が専門のスタッフを配置し、ネット上の不利なうわさへの反論等を行っているという状況にあるというふうに聞いておるところでございます。

國重委員 重ねてお伺いします。

 今、総務省の方からお答えいただきましたけれども、要するに、例えば韓国の大統領選におきましては、去年の十二月にあったと思いますけれども、ネガティブキャンペーンがインターネット選挙運動を解禁することによって過熱しているのか否か、結論についてお伺いしたいと思います。

米田政府参考人 選挙のその評価につきましては、ちょっと断定的なことは申し上げられませんけれども、韓国におきましても、誹謗中傷等で選挙結果に影響があったことを理由として、例えば選挙無効になったというようなことにはなっていないというふうに承知しております。

國重委員 昨年の産経新聞であったかと思いますけれども、私が調べたところによりますと、昨年十二月の韓国大統領選は、インターネットの選挙運動利用が初めて認められた、だが、現実は、候補を中傷する書き込みがあふれ、デマが飛び交ったというような記事が掲載されておりました。

 次に、民主党、みんなの党の提案者にお伺いしていきます。

 民主党、みんなの党の案では、政党、候補者以外の第三者の電子メール選挙運動が解禁されております。

 時間が限られておりますので、できるだけ、質問に対して、結論だけ言えるときは結論を簡潔にお答えいただければありがたいと思いますけれども、フェイスブックやツイッター、それと電子メール、成り済ましや誹謗中傷の取り締まりを行うことが難しいのはどちらですか。

井坂議員 ありがとうございます。同じ経済産業委員会で、同じ関西で、しかも昭和四十九年生まれ同士ということで、大変親近感を感じております。一方的な片思いだったらあれなんですけれども。

 御質問をいただきました。短くということで、前段を省きまして、どちらが本当に取り締まりがしやすいかという御質問、これは実務上で大変難しい御質問だというふうに感じますが、一般的に、誹謗中傷や成り済ましに対しては、メールであろうがほかの手段であろうが、現行法で、虚偽事項公表罪とか名誉毀損罪という、先生がふだん使われておられる法律によっての刑事罰の対象ということですので、これが、どの手段が、どちらが本当に取り締まりしやすいかということについては、ちょっと現時点ではお答えは難しいかというふうに思います。同じ法律で取り締まられるということであります。

國重委員 私も、井坂議員と経済産業委員会で一緒でして、非常に爽やかな質疑をされるなということで感心しております。

 それで、先ほど回答いただきましたけれども、フェイスブックやツイッターというのは、一社が提供するサービスだと。これに対して、電子メールというのは、幾つかのサーバーを経由していくという点において、成り済ましや誹謗中傷、この取り締まりを行うのが難しいのが現実ではないかというふうに思います。

 この点につきまして、ネット選挙活動について非常に研究を重ねられている公明党の遠山議員、見解をお願いします。

遠山議員 御指名ありがとうございます。

 先ほど来出ておりますとおり、フェイスブックやツイッターのようないわゆるソーシャルネットワークメディアの場合は、営利企業が構築をいたしましたプラットホームの中でいろいろなやりとりが行われるわけでございます。その場合は、仮に成り済ましや誹謗中傷行為をフェイスブックやツイッターの世界の中で行った場合は、これは会社に記録が残るわけでございまして、後々、取り締まりの際に、いわゆる立証作業を行うときには、通常の個人間の電子メールのやりとりと比べますと恐らく容易ではないかというふうに考えております。

 そういう意味で申し上げれば、先ほどの質問のお答えになりますけれども、取り締まりがしやすいのはやはりSNSの方ではないかと思われます。

 一方で、個人間のメールのやりとり、これは専門的に申し上げますと、いわゆるSMTP方式と言われるメール、あるいは最近は、ショートメッセージと言われる、相手の携帯電話番号さえわかれば、字数制限はありますけれども、キャリア間を超えてメールを送ることができるわけでございます。この方法によりまして成り済ましや中傷誹謗した場合には、密室性が高くて、例えば、メールを受け取った方々がさまざまな法的手段に出なかったりすれば、誹謗中傷されている候補者や政党というものが気づかないまま、万単位の方々に根拠のない内容のメールが送られるということが容易に起こり得る。

 そして、これも、告発が行われない限り警察は関知することができませんので、そういう意味で申し上げますと、いわゆる個人間の、あるいは企業間、団体間でもよろしいんですが、いわゆるそういうSMTP方式や携帯電話番号に基づいた電子メールを使ったやりとりというのは、密室性が高いために、選挙期間という限られた時間の間に告発、摘発、取り締まりをすることがなかなか難しいという面はあるかと思っております。

 以上です。

國重委員 では、基本的に、私、民主党、みんなの党の提案者の方にこれからお伺いしてまいります。例外的にだけ、自民、公明の提案者にお伺いすることにします。

 成り済ましや誹謗中傷の対策としてどのようなものを考えており、その対策は十分なものと言えるのか否か、民主党、みんなの党の提案者の方にお伺いします。

田嶋議員 まず、送信先の規制というのがございます。誰でも彼でも送っていいということには、もちろん、民主党、みんなの党案もなっておりませんので、とにかく、みずからアドレスを提供したもの、だから、名刺交換してその相手に送る、そういうことでございますので、まず送信先の規制があるというのが一点でございます。

 それから、送るときに表示義務を課します。したがって、無名で送るということにはもちろんなりませんので、こういうルールにのっとったメールの送り方でなければ、そもそも法律違反になるということでございます。

 それではどういうようなケースが考えられるかですが、誹謗中傷とか成り済ましが典型的でございますが、あるいはウイルスのついたメールということで、いろいろ心配はあると思いますが、これはある意味、インターネットに共通の問題であり、かつ、今でも政治活動の中でもそういったことは十分考えられるわけでございますので、今回のインターネット選挙運動の解禁とは直結はしない問題であります。

 現行法上の中で、虚偽事項の公表罪、これは公選法の中にある罪でございますが、そして、一般法の刑法の中には名誉毀損罪や電子計算機損壊等業務妨害罪、こういう刑事罰の対象となっておるわけでございますので、これが一般に適用されるということでございますので、これはインターネットの解禁の話とは別次元の問題として広く取り締まられるということでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 私自身は、先ほどおっしゃられましたインターネット特有の問題というのも当然あると思います。その上で、第三者まで、一般有権者ということを言われていますけれども、電子メールの選挙運動というのを解禁すると、より成り済まし、誹謗中傷が助長されやすくなるんじゃないかというような懸念を一定持っております。

 その上で、次に、質問ですが、このネット選挙活動の解禁というのは国政選挙だけではなくて地方選挙にまで及ぶということになりますが、本法律案をつくるに当たって、民主党、みんなの党案をつくるに当たって、地方議員の皆さんの意見を聴取されたのか、また、聴取されたのであれば、そのとき地方議員の皆さんはどのようなことを懸念されていたのか、お伺いしたいと思います。

田嶋議員 質問通告のない御質問でございますが、もちろん私ども、こういった法案の中身は長い時間をかけて練り上げてまいりましたので、どういったことを実現すればいいか、そしてどういう懸念が考えられるか、こういったことは、当然、国会議員だけで議論しているわけではございません。今まで申し上げたような懸念とそして対策によって、国政選挙の解禁だけではございませんので、今度の参議院選挙からの解禁、その後のあらゆる選挙に適用されるという前提に立っておりますので、十分な意思疎通をやってきております。

 加えて、法律ができたら全て終わりではなくて、法律のもとでの運用、対策が極めてこれは大事になりますので、今後、民間のいろいろな技術を利用した誹謗中傷対策あるいは成り済まし対策の導入も含めて、運用の面でのさらなる協議と実施が一番重要になってこようというふうに考えてございます。

 以上です。

國重委員 ありがとうございました。

 私も、新人でございまして、ちょっと質問通告のやり方が悪かったかもしれません。インターネット選挙活動、第三者の電子メールの解禁の問題点等についてとか対策についてという包含の中で、含んでいるというような認識を持っていましたので、失礼いたしました。

 その上で、私が地方議員の皆さんからお話を伺いました。そうしますと、その方々が言われていたのは、地方選挙では国政選挙よりも規模が小さい、なのでネットでの悪宣伝が流布しやすい、候補者が致命的なダメージを受けるのは国政レベルよりも強いんじゃないかというようなことを言われている方もいました。

 また、選挙期間が一週間程度と短い。例えば町村議会選挙、町村長選挙は五日間、政令指定都市以外の市議会議員選挙、また市長選挙は七日間ということで、候補者側のネットの発信力が今脆弱でして、ホームページをつくっている地方議員の皆さんも現実のところはまだまだ数少ない。スキルも不足していますし、また資金も余りないというような中で、どこまで反論していけるのかというような不安が残るというような意見も言われている方がいらっしゃいました。

 もちろん、これを導入することによって、今後、地方議員の皆さんもどんどんそういうインターネットというのを導入していけばいいとは思うんですけれども、今、現時点において、そのような不安の声というのをお聞きしました。

 では、次の質問に移ります。電子メールの送信先についてお伺いいたします。

 民主党、みんなの党案では、選挙運動用電子メールは、選挙運動用電子メール送信者に対しその電子メールをみずから通知した者に対し、当該電子メールアドレスに対してのみ送信することができるとありますが、この電子メールをみずから通知の電子メールとは、携帯電話番号も含まれるのですか。

田嶋議員 おっしゃっておるのはSMSであると思いますけれども、答えはそのとおりでございます。

國重委員 では、確認の意味ですけれども、名刺交換をした場合に名刺に携帯番号が載っていれば、そこに対しても選挙運動用の電子メールを送っていいということになりますよね。

田嶋議員 メールアドレスが載っていなくても、携帯番号が載っていればSMSは送ることができるということでございます。当然、先ほど申しましたとおり、誰でも手当たり次第ではなくて、名刺を直接いただいたケースでございますので、その方みずから、出す方がみずから渡しているということと、そして、送るときには先ほどの表示義務が伴いますので、黙って、誰からのメールかわからない形で送るのは法律違反となります。

國重委員 では、次に、何人も選挙運動用電子メールを送信できるということですが、ここで言う何人には、企業や団体も含まれるんでしょうか。先ほど、一般有権者ということで言われていましたけれども、何人も、この主体に企業や団体が含まれるのか否か、お伺いします。

田嶋議員 含まれます。

國重委員 ということは、大企業が営業活動の中で手に入れた膨大な顧客のメールアドレスまた携帯電話番号、これを利用して大企業が選挙運動ができることになるということでよろしいでしょうか。

田嶋議員 これは個人情報の関係ですね。本人の許可なくそういった選挙目的のメールを送るということは法律で禁じられておりますので、それはできません。

國重委員 もう一度。

田嶋議員 失礼いたしました。目的外使用ということで禁じられておるという意味です。

國重委員 先ほど、名刺交換等であれば送れるということで言われていましたけれども、その目的外使用というのも、もう少しそこについて説明いただいてよろしいでしょうか。

田嶋議員 例えば、企業がお客様のメールアドレスをいっぱい持っていますよね。それは、その会社のサービスや商品を販売する、あるいはカスタマーケアのために持っている。それをいきなりその会社が選挙運動のメールで送るということが許されないという意味です、目的外として。

國重委員 第三者の電子メール選挙運動を解禁しますと、選挙運動用電子メールなんて受け取りたくないというような方にまで、じゃんじゃんそのような選挙運動用電子メールというのが送られてくる可能性があると思われます。ウイルスメール初め悪質な電子メールが送られてくる、無秩序に送られてくるというような可能性があって、受信者に過度の負担がかかるんじゃないか、また、日常生活に支障が及ぶんじゃないかというような懸念があると思います。

 その上で、次に、第三者が送る選挙運動用電子メールの送信先についてお伺いします。

 第三者が送る選挙運動用電子メールの送信先には、未成年者は含まれますか。

田嶋議員 受信側が未成年の場合ですね。それは、含まれてしまうというのが正確なところじゃないかと思うんですが、わからないケースが多いのではないか。ただ、それは私どもの法案だけではないと思います。一般論として、メールを送ったときの相手が十九歳か二十かはわからない場合があるのではないか。

 ただ、逆に、未成年が送ることはもちろんできません、選挙運動ですから。

國重委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったとおり、いずれの案においても、今の法文によりますと、未成年者に対して送ることは可能な状況になっていると思います。その上で、自民党、公明党、維新案では、送信する場合にかなり高いハードル、要件を掲げていますので、無秩序に未成年者に送るということはないと思いますけれども、民主党、みんなの党案では、とりあえずメールアドレス、携帯電話番号をみずから通知していれば、そこには送れるということになりますので、かなり未成年者に対しても大量の選挙運動用電子メールが送られることもあるというふうに思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

井坂議員 ありがとうございます。

 我々の案でも、基本的に、無秩序に大量に選挙運動メールが送られるという仕組みには全くなっておりませんで、知らない人からメールが来るとか、あと、断った場合にはそれ以降もう二度と来ないような仕組みになっておりますので、相手が未成年者であろうがなかろうが、そもそも大量にスパムメールが飛び交うというような状況にはならないというふうに考えております。

 以上です。

國重委員 確かに、私、個人的にも、第三者の電子メールの選挙活動というのは、いずれは解禁していくべきなんだろうなというような思いは持っております。ただ、そのときに、やはり選挙の公正を害してはいけないというような考えも持っておりまして、民主党、みんなの党さんの今の法律案では、未成年者に大量の電子メールが送られるんじゃないか、また、その際に誹謗中傷のメールが送られるんじゃないかというような懸念を持っております。

 冒頭に申し上げました、高校生の皆さんからお話を聞いた足の引っ張り合い、誹謗中傷、そういったようなことは聞きたくないというようなことを言っておりましたけれども、そのようなものが未成年者に送られることによって、より政治不信、政治離れを助長するようなことがあってはならぬというふうに考えております。

 では、次に、御質問します。

 民主党、みんなの党案のように第三者の選挙運動用電子メールを解禁することになると、例えば第三者が私、國重徹の支持者のふりをして、國重徹をぜひともお願いしますということで、そういった電子メールを一般人のひんしゅくを買う時間帯、例えば深夜の時間帯に送ることも適法ということになるわけですね。

井坂議員 第三者が候補者のふりをしてということですか、ふりはせずにですか。支持者のふりをしてということ。

 支持者のふりという、ふりがどこまで成り済ましに当たるかは個別のケースがあると思うんですけれども、成り済ましということであれば成り済ましの問題があろうと思いますし、それがなければ、時間帯等々については、時間帯を規制するようなルールにはもちろんなっていません。

田嶋議員 今のような御質問は、例えば、支援者のふりをして、夜中の十二時によろしくお願いしますと電話しても、同じことが起きるんですね。だから、これは別にインターネット固有の問題ではなくて、常識の範囲で、大体、多分自分の陣営にマイナスになってしまうのが、結果的にはそうなるんじゃないかと思います。

國重委員 では、遠山議員、お願いします。

遠山議員 済みません、國重委員、先ほど来、少し、民主党、みんなの党案と、私ども自民党、公明党、維新の案で若干認識に誤解があるので、正確に答弁させていただきたいと思います。

 あちらの案でも私どもの案でも、電子メールを使って選挙運動を行うことが解禁された場合、未成年者にメールが届くということは両案ともあり得ます。ただし、違いはどこにあるかといいますと、私どもの案では、そもそも、そういった選挙運動用の電子メールを送信できる主体が政党、候補者等に限られておるわけでございます。一方で、民主党さん、みんなの党さんの案の場合は、誰でも、誰にでも送れる。ただし、一定の規則やルールがございますので、成り済ましや誹謗中傷対策は民主党、みんなの党案もあるわけです。私どももあるわけです。

 ただし、送信主体がこちらの場合は限られておりますので、それ以外の人たちが選挙運動メールを送った段階でこれは違法行為になりますので、ですから、言うなれば、取り締まりとか摘発をより容易にするような、初期の段階ではそういった候補者や政党や、公職を目指すところに主体を制限しようと言っているところでございまして、その他の分野については、かなり両案とも似ているという認識を持っていただければと思います。

 以上です。

國重委員 ありがとうございました。よくわかります。

 済みません、私の言葉足らずで。私もよく、今、遠山議員が言われたことも認識、理解しております。

 時間が来ましたけれども、最後に、いろいろと言いましたけれども、私自身、インターネットによる選挙活動というのは非常に、極めて重要なものであると思っています。青年議員の一人としても、やはりこれはしっかりと推し進めていかないといけないというふうに思っております。何事も完璧に防止することのできない以上、ある程度割り切ってやらないといけないとも思っています。

 その上で、冒頭申し上げましたとおり、やはり民主主義の健全なプロセス、これをゆがめることがあってもならない、そのための、選挙の公正を維持するための一定の配慮も考えていかないといけないと思っています。

 本委員会における今後の質疑によって、さまざまな角度からネット選挙活動、これが幅広く検討されて、国民の皆様にとってよりよいインターネット選挙活動になるよう願って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、ふくだ峰之君。

ふくだ委員 よろしくお願いします。

 インターネットが社会の環境を大きく変えて、今までの延長線上にはない現実、あるいは未来が目の前に存在しているのではないかというふうに私は思っております。否定しようが、自分自身がネットを利用していようがしていまいが、ネット社会は今でも進んでおりますし、その中で、昭和二十五年の公職選挙法ができたころに、まさかインターネットなんというものがこの世の中に出てくるとは、これは多分誰も想像し切れていなかったのではなかろうかと思います。

 通常の政治活動にはインターネットが使えて、選挙の期間中になってしまうと使えないというのは、これはまさしく政治の世界だけが時代から取り残された様式をいまだに持っているのではないかなということを私は実感しています。この意味におきましては、一定のルールを定めた上でインターネット選挙運動を解禁していくということは、いいか悪いかだとか、そうしたことではなくて、もうやらなければならない状況になってきているということが、まずそもそも、多分、私もそうですし、この両案、二案を出された方々がそれぞれ議論してきた中で、そこは本当に一致をするところではなかろうかというふうに思っております。

 そこで、まず、きょうは両案のことをそれぞれ聞きたいと思っておりますけれども、ネット選挙運動を解禁することによるデメリットの話ばかりがよく出てくるんですけれども、逆に私は、このメリットは何かというものを、確認のために自、公、維新案の法案提出者の方に伺いたいと思います。

平井議員 メリットを聞いていただきましたし、ふくだ先生のインターネットの今の使われ方等々の認識は、同じネットメディア局で仕事をしている人間として共有している部分もあると思います。

 インターネット選挙運動の解禁というのは、実は平成二十二年のときにも各党合意をして、あのとき、不幸にも鳩山内閣退陣ということがあって、実はこのような質疑もセットされていながら流れてしまったといういきさつがあるんです。それが平成二十二年。

 それを受けて、今回は十会派の協議会を立ち上げて、皆さんおっしゃるのは、やはり、これは時代の要請だし、インターネット選挙活動というものに立法府として取り組まなきゃいけないというような共通認識がありました。

 そういう中で今回の法律案が出てきたわけでありますが、平成二十二年のときと比べてみても、もう相当変わっているんです、この三年間で。ソーシャルメディア、ソーシャルプラットホームと言われるものが、政治家も含めてこれだけ多くの方々に使われている。こういうような事態は、平成二十二年でさえ想定していませんでした。

 そういう意味で、急速にインターネットというものが使われているし、私は個人的には、インターネットというのは、やはり電気や蒸気機関と同じぐらいの、要するに社会の変化を導く汎用技術であろうと思うし、その変化はこれからもさらに大きな変化をもたらす可能性は十分あると思います。

 そういう意味で、時代の要請に今回は応えるということが改正だと思います。

 先ほど委員もお話しになりましたとおり、通常の政治活動では多くの議員の先生方も、ホームページのみならずソーシャルプラットホームみたいなものを使っています。しかし、今は、選挙期間に入った途端に急停車しなきゃいけないんですね。これがいかにも不都合だろうということだし、急停車しようとしても、今のいろいろな機能を見ると、タグづけやリツイートやシェアみたいなものがあって、個人じゃもうコントロールできないというようなこともあります。それが一点。

 そして、今まで、政見や個人演説会の案内や、演説や活動の様子を撮影した動画なんかも、文書図画ということで頒布することはできなかったんですけれども、ウエブサイトや電子メールで提供できるようなことになって、これは物すごく重要な情報発信の手段になるというふうに考えています。重要な情報をより多く収集することによって、より適正な判断及び投票行動というものにもつながるのではないかと期待をしています。

 そして、今回、改正案の中で、あわせて第三者のウエブサイト等による選挙運動も解禁します。つまり、選挙期間中、第三者がウエブサイト等で候補者や政党を支持したり応援したりすることは今までできなかったのが、できるようになる。つまり、選挙に積極的に参加することができるということであります。

 そして、候補者や政党等にとっては、有権者との重要な交流手段としてさらに活用することができるようになると思います。そして、一方通行ではありませんので、いろいろな意見交換というようなこともあって、さらに、これも政治に関心を持っていただき、政治に参加していただけるきっかけになるのではないかなと思います。

 なお、総務省の平成二十三年通信利用動向調査の結果によれば、平成二十三年の一年間で、推計で九千六百十万人がインターネットを利用しているという報告もあり、その意味で、今回、インターネット選挙運動を解禁するメリットは非常に大きいと考えております。

 以上です。

ふくだ委員 解禁のメリットは、今お話ありましたように非常に多くのものがあると思いまして、当然、何かやればメリットとデメリットもあるわけですから、私は、少なくともメリットの方が多分に大きいのではなかろうかと思っています。

 その中でも、特に、投票率の低い若い有権者の方々に政治あるいは選挙に関心を持ってもらうということは、なかなか若い世代の人というのは、新聞やテレビの媒体からではなくてインターネットから情報を得ている方が非常に多くなっていますので、そうした方にネットを利用して選挙期間中にメッセージが届けられるというのは、私は極めて重要なことだというふうに思っています。

 人口が減少している時代で、いわゆる若い世代の人数がそもそもが少ない上に、投票率も今低いわけですから、こうなると、多数決の原理に従えば、どうしても政策が高齢者にシフトをしてしまうというのは、これは当然そういう話になってきてしまいますので、やはり、特に若い世代の人たちにどうやって選挙に関心を持ってもらうかということを各政党がおのおの努力していくということは、すごく重要ではないかなというふうに思っています。

 そこで、ネット選挙は、個々人の候補者も大きな影響を与えると思いますが、やはりこれは政党が非常に大きな影響を与えると思うんです。ここで、ネット選挙運動の主体となる政党というのは、これは党本部とか、あるいは各組織で見れば県連とか市連だとか選挙区支部だとかいろいろカテゴリーベースが分かれていると思うんですけれども、この政党というものの範囲というものはどのように考えているのか、これは、自、公、維新の提案者に聞きたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 本改正案におきまして政党等という言葉を使っておりますけれども、この場合は一般的に、その政党の本部のみならず、都道府県連あるいは選挙区支部なども含まれるということで御理解いただければと思います。

 なお、いろいろな選挙がございますから、本改正案において、選挙運動用の電子メールの送信ができるとか、あるいは選挙運動用ウエブサイトなどに直接リンクする政治活動用有料インターネット広告の掲載が認められる政党等ということになりますが、これは、衆議院選挙におきましては候補者届け出政党及び衆議院の名簿届け出政党など、参議院比例代表選挙につきましては参議院の名簿届け出政党など、参議院の選挙区選挙については選挙区選挙に所属する候補者がある確認団体、そして、都道府県、指定都市の議会あるいは都道府県知事、市長の選挙につきましては確認団体ということになっております。

ふくだ委員 ありがとうございます。

 ここからは、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアと電子メールについての話を聞きたいと思うんです。

 選挙運動用電子メールを選挙期間中に配信するには、前提として送る旨を理解を得るということになっていると思うんですが、これは、私も今回、全国いろいろなところで話をしてきているんですけれども、必ず聞かれるのは、選挙というのは一回きりじゃないんだ、何回も何回も選挙に出たいんだ、ということは、この確認作業というものは選挙のたびごとにとらなきゃいけないのかということを必ず聞かれるんですね。

 その意味において、ちょっと確認のために聞きたいんですが、選挙運動用メールを送るための確認というのは選挙のたびに行われなければいけないのかどうか、これを自、公、維新提案者にお聞きしたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えいたします。

 選挙運動用の電子メール送信の求め、同意というのは、あらかじめ得るということになっておりますが、選挙ごとに得る必要はないということになっております。また、政治活動用電子メール、いわゆるメールマガジンみたいなものですね、を継続的に受信している方に対して選挙運動用電子メールを送信する旨の通知をするということになっておりますが、その通知につきましても、あらかじめ行う必要はありますけれども、選挙ごとに行う必要はないということにしております。

 したがいまして、選挙運動用の電子メールの送信者は、一旦ある方に対して選挙運動用電子メールの送信先の要件を満たしたという場合は、それ以降、その人から送信拒否の通知があれば別ですけれども、そうでない限り、その次の、例えばふくだ先生が次の選挙にまた立候補される、そのときにおいて、その選挙に関する選挙運動用電子メールを送信することは可能ということになります。

 以上でございます。

ふくだ委員 この選挙運動用メールというのは、みずからの政策や、あるいは選挙期間中の演説会や投票依頼など、一方的に告知するには当然これは有効な手段となると思うんですが、この選挙運動用メールの発信者は、候補者や政党が、当然ですけれども中心的な役回りを果たすというふうに思っています。

 一方では、第三者の問題、今議論になっておりますけれども、この第三者については、本人が意図していない形で選挙違反になってしまう可能性があるんじゃないかなと私は実は心配しておるんです。

 そこで、この第三者メールを、自民、公明、維新案とは別に、民主、みんなの党案では今回解禁をしようということをおっしゃっていますけれども、まず、その理由は何かということをお伺いしたいというふうに思います。

田嶋議員 今第三者メールとおっしゃる一般有権者のメールなんですけれども、これは、メールを解禁する理由も、インターネット選挙運動を解禁する全体の一部というふうに考えておりますので、原則としてなるべく解禁するという前提に立ってこの部分も解禁しようじゃないか、ここだけ解禁しないという理由が私どもはないと考えて、全部を解禁していこうということでございます。

 インターネットあるいはメールを解禁することによって、有権者同士の熟議、あるいは有権者と候補者とのいろいろなやりとり、あるいは候補者側、政党側からの発信、さまざまな情報の行き交いが格段に上がることによって、全体として、大きな言い方かもしれませんが、日本の民主主義を高めていくことができるという考え方に基づいております。

ふくだ委員 この選挙運動用のメールというのは、アドレスをしっかりと管理して、確認作業等を含めれば、多量に、迅速に、簡単に伝達する力を持っているという、当然、プラスの面というのは大変に大きいものがあると思うんですが、マイナス面としましては、やはり、今、先ほどから出ていますように、誹謗中傷というものが懸念されているので、例えばこの法案の中ではウエブよりも厳しいルールというものが適用されているんだというふうに思います。

 そこで、選挙運動用のメールはウエブサイト等に比べて厳しい制限がかかるというふうに思うんですが、みんなの党、民主党案の中でどういう制限をかけているのかというのが一点と、あともう一つ、その制限等を一般の有権者の皆さんに伝えないわけにはいかないわけでありまして、これを具体的にどうやって伝えていくのかということを、お考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

田嶋議員 まず、先ほどから繰り返しですが、送っていい方は限定されているということでございます。名刺交換等によってみずから通知した者に限られると。そして、では送るときにも、そこにみずからのメールアドレス等や名前を書かなければいけない。そういうふうに制限がされているという点。そして、そういうルールに反すれば、一般法の刑法や、あるいは公職選挙法に基づいた罰則も科せられるということでございます。

 ウエブに比べてというのは一点ございまして、ウエブの方としては罰則規定を設けておりませんが、メールは、みずからのメールアドレスを記載することに関しては、その違反に関しては罰則規定を設けておるところでございます。

 後半の、どう知らせていくかでございますが、まさにこれも与野党共通の課題だと思います。どういうルールにせよ、ルールに外れればそういうような法律違反になってしまう可能性はあるわけでございますので、そこは、法律とは別個の話でございますが、運用上、法律が施行されれば、もう本当に全国で国を挙げての周知活動をし、今回の夏の参議院選に向かって、多くの方が知らずにルール違反をしてしまっている、そういうことが起きにくいようにしていかなきゃいけないと考えております。

ふくだ委員 参議院の選挙がまず第一回目となる予定でありますので、これはつまり、参議院選挙までの間に政党及び候補者は、多分、法案の内容を理解するとか、違反なく、逆に言えば、有意義に使いこなすことができるんだというふうに私は思うんですね。それは、各党が各地方に行っていろいろな話をしたり講演したりとかという、やはり政党や候補者というのは今回の法改正を理解できると思うんです。

 しかし、いわゆる一般の有権者の方々にその内容を知らせて、そしてそれを理解してもらうということは、今、私、自分でやっていてわかるんですけれども、議員の方々にまず理解をしてもらうのも結構大変でありまして、一般の方々にこれを理解してもらって、いわゆる通知義務だとかそうしたもの、例えば連絡先のアドレスをつけなきゃいけないだとか、そういうことを周知するには若干時間が足りないのではないかなと私は実は危惧しております。

 というのは、きっとそういうことをやってくれる人は、熱心にいわゆる選挙活動をしてくれる方というのはどの政党の候補者にもいらっしゃると思うんですが、そうした中で、意図しない形で違反になってしまうということがありますと、これからそういった熱心な運動をしてくれている方々のいわゆる参加意識というものを逆に低下させてしまうんじゃないかなということを私は実は心配しております。やはり、これは、おまえ、違反じゃないかと言われると萎縮されてしまって、これから何かをやるといったときに一歩が出ないということになると、これはどこの政党がというよりも、みんなそれぞれの支援者がいらっしゃるわけですから、私はそこを少し実は心配しております。

 そこで、自、公、維新案では、一般者向けのメールを逆に今回は解禁しないというところからスタートしようということでありますが、これはなぜそうしたのか、法案提出者に伺いたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 思いといたしましては、やはりできるだけ自由にしたいなという気持ちは各党さん共通しているものがあろうと思ってはおります。ただ、その前提ではありますが、私どもの案では、先生御指摘のとおり、候補者、政党等に限って選挙運動用電子メールが送信できる、第三者については現行どおり禁止ということにしております。

 この理由について、あるいはその趣旨につきましては、選挙運動用電子メールの送信については、密室性が高く、誹謗中傷、成り済ましなどに悪用されるおそれがある、しかも、メールの場合、見えませんので、わからないところでそれが広まるというおそれがより強いのではないか。あるいは、送信先の手順ですとか、先ほど御質問があったような規制を課しております。先生御心配のように、それに一般の有権者の方がひっかかってしまう、あるいはそれを恐れてしまう、萎縮をしてしまう、そのようなこともあり得るのではないか。あるいは、それに乗じてというか、その中で、例えば悪質なウイルスメールなどが広まってしまうですとか、そういうようなこともあって、有権者に過度の負担がかかるようなおそれもまだ心配として残っているということで、私たちとしては、候補者、政党が行う場合に限って解禁をするということにしております。

 そこで、まずそのようにしておりまして、一応、第三者の解禁につきましても、今後の検討課題ということで整理をさせていただいて、検討していこうと思っています。

 なお、これはあわせて申し上げますが、総務省によりますと、特定電子メール法というのがございます、迷惑メール防止法とも言われておりますが、この法律の違反が疑われる者に対する行政指導の警告メールというのが、平成二十年十二月から二十五年三月までで二万三千九百件発信をされております。そしてまた、総務省調べによりますと、日本で流通する電子メールは一日当たり約二十億通と言われていますが、そのうち七割前後は迷惑メールと呼ばれる類いのものになっているという現状がございます。

 もちろん、今回の政治活動に関するメールあるいは選挙運動に関するメールがそれに入るものではございませんけれども、今、電子メールというもの一般の環境はそうなっているのだ、だから、特定電子メールの送信の適正化に関する法律というのがあるのだということも頭に置きながら、今回、慎重に考えるべきものと考えております。

 以上でございます。

遠山議員 ふくだ委員は指名されておりませんけれども、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。

 これも誤解が生じやすい点でございますが、自民党、公明党、維新の案は第三者のメールを禁止しているとそのまま切り紋で言われてしまいますと、では、選挙運動期間中にいわゆる一般の有権者は政治家との電子メールによるコミュニケーションが全くとれないのかというと、そうではございません。

 正確に申し上げますと、選挙運動用メールを第三者、一般有権者が送ることが禁じられているだけでございまして、例えば、電子メールを用いて政党や候補者に政策の問い合わせをする、それに候補者が答える、こういったやりとりは全く禁止をされていないわけでございます。

 我々がこの段階で禁止をしているのは、特定の候補者や政党に入れてくださいという、投票依頼を行う選挙運動用メールを送ることは政党や候補者にしか認めないというだけでございまして、それ以外の政治活動に当たるようなメールについては禁止されておりません。この点は国民の皆さんに誤解をされないようにしなければならない。

 そのために、国会でこの法律が成立した後にはきちっとガイドラインをつくりまして、国民の皆様に、ホームページや紙媒体も含めて、そういったルールをわかりやすく周知徹底をしていかなければならないと思っているところでございます。

 以上です。

ふくだ委員 いずれかの時期にこの一般有権者の方々が選挙運動用メールを使って選挙運動をするということは、私は反対しませんし、将来的にはそうあるべきだというふうに思っているんですね。

 ただ、一方で、トータルな意味におけるネットの選挙運動はできるだけ早期に、すなわち次の参議院選挙から実施できるように法改正をすべきだというふうに私は思っています。参議院選挙につきましては、混乱なく選挙運動を解禁できるように、スタート時点でのこの一般有権者のいわゆるメールを解禁するかどうかということは、工夫する必要があるんだと私は思うんですね。

 そこで、選挙運動用のメールについては、参議院選挙で、政党や候補者でまず先行的に行って、そして、今回、事例を参考にして、いろいろなことが見えてくると思いますから、次々回のいわゆる国政選挙から解禁は検討してみたらどうかというふうに私は思うんですが、民主党、みんなの党の法案提出者、これはどう思うか、お聞かせいただきたい。

田嶋議員 先生がいろいろおっしゃいました懸念、一般有権者がわかりにくい、混乱する、萎縮をしてしまう可能性、それは否定はできません。それはどういう状況でもそういう可能性があると思います。

 自、公、維新案であっても、例えばツイッターやフェイスブック、そういうものはもう全面的に解禁するわけでありますから、そのツイッターやフェイスブックには、当然、発信者のメールアドレスとかが入っていなければいけないわけだし、そういうルールがある限りは、ルールに外れるかどうかということを有権者がわかってやらなければ結局はルール違反になってしまう。だから、そこはもう全く同じだというふうに私は思っております。

 それと、ほかの先進国は、冒頭申しました解禁という発想自体、私は大変残念だと思っておりまして、そもそも当たり前に使われているのに、日本だけは公職選挙法の枠組みの中で今日まで一切選挙運動では使えない状況になってきた。では、それを、ほかの先進国におくれること十年、二十年、ようやく今回ここまで来たときに、一般有権者、つまり民主主義の主権者、主体がまさに今回もまた制約を受けるというようなことは、逆に国民の皆さんをがっかりさせるし、そしてそこがわかりにくいもとになろうかというふうに私は思っております。

 メールもいろいろ懸念はあろうかと思いますが、それはネット全体の懸念でありますから、刑法を初めとしたそういう対応によって抑止力は働くし、それから、いずれにしても、この法律ができた後はみんなで協力をして、実務運用上のいろいろなまずい話が起きないような対策を、しっかりIT会社とも連携をしながらやっていく必要があるというふうに考えております。

ふくだ委員 これは、自、公、維新案も、民主党、みんなの党案も、幅広く有権者にメッセージを伝え、有権者に選挙に参加してもらえるという意味では、やはり一致をしているというふうに思うんですね。

 今御答弁いただきましたように、通った後は一緒になってこれを推進していくんだということであれば、ぜひ、この法案は二つ出ていますけれども、一本化して、一つの案として最終的には提案をして、それで、みんなで協力をして可決をして、そして前に向かってやっていった方が、より一緒になって、前に向かって国民の皆さんに伝える力がついてくると私は思いますので、私はこの二法案が、協議が行われて、一本化が行われることを望みます。

 そして、次、ソーシャルメディアについて少しお聞きしたいんですが、いわゆるコミュニケーションのサイトはすごく利用している人がふえていると思うんですが、みずからこのコミュニケーションに入っている人は、中にメールと同様にメッセージを送る機能というものが入っていると思うんですね。この機能を使って、いわゆる演説会の告知等、ここでも行えることになると思うんですが、例えばフェイスブックだとかツイッターとかカカオトークとかラインなどのメッセージ機能というのは、いわゆる選挙運動用メールという位置づけなのか、ここを自、公、維新案の提案者に伺います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 本改正案では、電子メールというものを、先ほど私が申し上げました特定電子メール法の定義を用いまして、SMTP方式または電話番号方式を使用した電気通信ということにしておりまして、これは一般的な電子メール、あるいはSMSなどが含まれるものでございますが、御質問があったような、フェイスブックとかツイッター、あるいはカカオトーク、ラインなどの、ユーザーでやりとりするメッセージ機能につきましては、電子メールというものには含みません。その理由は、もう先ほどの、迷惑メール防止法でそういうふうな定義になっているということを流用しているということ、また、先ほど申し上げた理由によるものでございます。

ふくだ委員 これは、メッセージ機能が選挙運動用メールに当たらないとなると、これもよくいろいろなところに行くと聞かれるんですけれども、だとすると、いわゆる逆の側面から見ると、これは、送信の同意と、あとフェイスブックとかだと友達になるという、これはどんな因果関係になるんだろうと思うんですね。

 そこで、この選挙運動用電子メールの送信の求めと同意は、フェイスブックでの友達になれば足り得るのか。これを逆側面から、ちょっと理解できるように教えていただけますか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 選挙運動用の電子メールにつきまして、その送信先についていろいろな制限をさせていただいている、あるいは送信主体が候補者、政党などに限るということを設けている趣旨など、あるいはそれを設けていることにつきましては、もうるる答弁をさせていただいたとおりでございます。そして、フェイスブックの同意につきましては、先ほどこれも申しましたように、これは電子メールという今回の法律には当たらないものというふうに考えておりますので、そのフェイスブックのユーザー間でやりとりするメッセージ機能というものは、電子メールでいうところの同意とかそういうものとは関係してこないというふうに御理解をいただければと思います。

ふくだ委員 最後ですけれども、これ、フェイスブックのメッセージが選挙運動用メールに当たらないということですから、同意を求める必要がないという御答弁をいただいたんですが、告知に利用ができるということでいえば、利用価値という側面で見れば、選挙運動用メールもメッセージも、私はその価値で見れば同じだと思うんです。

 そこで確認させていただきたいんですが、ウエブサイトよりも一方的に送りつけることができるメールにつきましては、厳しい規制をある種かけていると思うんですが、なぜこのフェイスブックのメッセージ機能には規制をしないのかということを、最後に自、公、維新法案提出者に聞いて、終わりたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 機能として、電子メールを送るというのとSNSでメッセージを送るというのが近いというのは、御指摘のとおりだろうというふうに私も理解をするところでございます。

 ただ、先ほど答弁をしましたように、迷惑メール防止法というものがございますし、電子メールの世界というのが、今スパムと呼ばれるいろいろな迷惑メールが多いというのが事実でありまして、ですからそういう法律ができているという実態がございます。

 もちろん、今回、選挙について、メールを解禁するとか、あるいは制限をかけるとか、あるいは政治活動についてもですけれども、それが特定電子メール法の迷惑メールに該当するものではございませんけれども、しかしながら、そういう中にあるのだということで、電子メールについては、今回、少し慎重に考えてはどうかというような法律にしているところでございます。逆にまだ、ラインですとかSNSですとか、そうしたもののメッセージ機能について、そのような迷惑な状況というのが物すごく顕在化していて立法をしろという話にもなっていないということも同時にあるわけですから、私どもとしては、今そのような、選挙運動については規制をしていないというふうに考えていただければと思います。

ふくだ委員 ありがとうございました。

 しつこいようですが、私はこの法案が一本化されることを望みますということをお願い申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。

保岡委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は公職選挙法改正案、インターネット選挙運動解禁ということについて質問をさせていただきます。

 まず、今回の法案なんですけれども、選挙運動について、政党であるとか候補者の名前、経歴、政策などについて有権者に周知させるという目的に関して、インターネットを活用して行うことを主に目指している。インターネットの選挙解禁というふうにいっても、これ、先ほどもお話があったんですけれども、いわゆる広報活動、それから広告活動をできるようにするというふうなことが今回のこの改正案の趣旨だというふうに私、理解しております。

 そうはいいながら、本来、インターネットを活用した選挙を考えた場合には、先ほどお話しされたように、有権者にいかに便利に、簡便に選挙に参加してもらうかということが一番重要なんだろうというふうに思っておりまして、今現在のインターネットの技術環境下で、最終的にはやはりネットを使って投票をしていくというふうなことまで目指していく、これが一番大きな目標になればいいなというふうに思っております。

 ただ、今回、そうはいいながら、まずは、今まで何にもできてこなかったわけですね。先ほどから答弁者の方々、いろいろ言われていましたが、これから先、一歩を、まず最初に、広告であろうが広報活動であろうが、まずはインターネットを利用して選挙をやっていくんだというふうなことをしっかり考えて今回の法案が提出されたというふうに私、理解しているんですけれども、そういう意味では、いろいろなことを質問される方々がいらっしゃるかと思うんですけれども、これを一歩というふうな契機にして進めていっていただきたいなというふうに思っております。

 そういった意味で、今の、最終的にはネットで投票するところまで目指していくんだよということが容易に想像できるんですけれども、その辺についての御見解を聞かせていただければと思いますので、法案提出者の皆さん、御答弁いただきます。

平井議員 木下委員にお答えいたします。

 インターネット選挙解禁という、新聞等々に報道が出て、確かに多くの方々が、インターネットで投票できるんではないかと勘違いされている方もいないことはないんですね。しかしながら、残念ながら、今回はネット選挙運動の、要するにインターネットの利用を解禁するということのみでございます。

 今言われた、要するにインターネットを利用した投票というのは、今世界でも、私の知るところではエストニアだけだというふうに思います。そのための基盤とは何が必要なのかと考えたら、相当ハードルが高いなというふうに思っています。

 セキュリティーの確保というのも当然ですけれども、日本では本人確認の手段というのが正直言って非常に弱いんですね。今ちょうど内閣委員会でマイナンバー法案等々の議論をしていますが、本人確認という部分においては、日本はいまだに免許証が一番なんですね。住民基本台帳カードですらそうはならない。

 私も東日本大震災の直後、被災地に入って、被災者の方々のいろいろな話を聞いていると、要するに、いろいろなものを流されてしまったら、自分が自分であることの証明手段がないというような事態も起きるんです。

 ですから、これは本人確認と、最終的にはやはり生体認証とかいろいろな技術も使わなきゃいけないだろうし、同時に、立ち会いがいないということになった場合に、自由な意思をそこで投票したんだということをどうやって証明するかとかありますが、これもいろいろな技術革新等々があって将来は可能になる時代も来るかもわかりません。

 ただ、いろいろなハードルがありますので、そういう問題を一つずつクリアしていかなきゃいけないと認識をしております。

木下委員 平井先生、ありがとうございます。

 せっかくなので、民主党、みんなの党案を提出された方々も、今の認識について少し御答弁いただければなと思います。よろしいですか。

奥野(総)議員 行政の電子化あるいは選挙の電子化ということで、将来に向けて前向きに取り組むべきだと思いますけれども、今お話あったとおり、本人の認証がいまだ確立していないということでありますから、成り済まし投票とかそういうのを防ぐ技術をきちんと確立した上でなければなかなか難しいんだというふうに思います。先生の御指摘はごもっともだと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 そうはいいながら、両案とも、最終的な目標、両案ともというのか、ここにいらっしゃる皆様そうだと思うんですけれども、最終的には、セキュリティーの問題等々あるけれども、そこまでやはりいったらいいよなというふうに思っていらっしゃると思うんですね。そういうところでは、今回、どういう案が出てきたところで、今考え得る最終的な到達点というのは、ネット選挙解禁というふうに言ったら投票の解禁だというふうに認識していいのかなというふうに思っております。

 それで、今も出てきましたけれども、成り済ましであるとか改ざんというふうなハッキング行為、それから大量の迷惑メールというふうな問題とか、インターネットを利用するというふうになるとさまざまな問題が出てきます。そこを懸念するから、今回の法案についても、なかなかちょっと難しいな、反対したいなとか、そういうふうな議論がやはりいろいろ出てきていると思うんですね。

 ただ、そうはいっていても、先ほど、一番最初に逢沢先生お話しいただいたかと思うんですけれども、これだけ今インターネットが普及してきた、国民の皆さんがさまざまな形で使ってくるというふうになると、これをやはりちゃんと利用しようというふうなことだと思うんですね。

 ここで、成り済ましだとかセキュリティーだとか、そういうふうな話をどんどん持ち出して、だからやめておこうというふうに言っていてもこれは始まらないんだろうというふうに思っているんです。

 ここから、ちょっと釈迦に説法になってしまうかもしれないんですけれども、そもそもインターネットとはどういうものかという成り立ちから考えると、これは、善意の第三者の、そういうふうな協力のもとにできたものがインターネットなんですね。

 分散型ネットワークというふうに言われるもので、普通は、通信をするであるとかコミュニケーションをとるというふうに言ったときには、一つの、こっちからそっちと、一対一のコミュニケーションが普通だった。ただ、そのときに、普通の一本の線がつながっていて普通はコミュニケーションが成り立っていたんですけれども、インターネットは、第三者のサーバーをいろいろな形で介して通信がされている。この第三者というのは、全然知らない、誰が持っているかわからないサーバーを介しながらインターネットというのは構成されているというふうに考えていただければいい。

 そういうふうにして考えたら、そもそもの成り立ちからしたら、万全で完璧なセキュリティー対策というのはなかなかといっても、どんどん技術革新していく中で、こういうハッキング行為なんかもどんどん技術が発達していっているという状態の中では、いや、万全じゃなかったらインターネットを解禁しちゃいけないよというふうに言うのはナンセンスだというふうに、私、思っております。

 ただし、インターネットの選挙運動の活用というふうなところを考えたら、先ほど何度も申しておりますが、第一に、世間に大きく普及しているネットを利用して、有権者の政治参加を促進するとともに、コストを抑えた選挙広告を可能とするということが目的だというふうに、まず今回の法案では思っておりまして、万全じゃないとか完全じゃないというふうなことでやらないというのはないんだというふうに考えています。

 そういう意味では、本法案を早期に可決して、今後、どんどん技術革新していくと思うんですね、では、きょうこの法案について可決されたといっても、これから先、どんどん技術は進んでいくというふうに思っていますので、この細則については、どんどんその時代に即した形で変化を伴っていくものだというふうな認識をしているんですけれども、それについて御認識、見解等、間違いないか確かめたいと思いまして、お願いいたします。

平井議員 委員の御指摘のとおり、インターネットの世界のいろいろな進化というのは、我々の想像を超える部分もあり、同時にサイバーセキュリティー等々の対策も一〇〇%というのはあり得ないと思います。しかしながら、使うことのメリットが明らかに大きいし、やはり、そういういろいろなリスクを乗り越えて、前向きに使っていかなきゃいけないというふうに思います。

 一方で、最近私が読ませていただいた本の中に「機械との競争」という本がありまして、要するに、社会におけるインターネットのいろいろな影響は、今後、多分、我々が想像し得なかったぐらい大きな変化をもたらすだろうと。それは、いろいろな産業であったり、そういうものだけじゃなくて、恐らく政治文化みたいなものも変える可能性もあるのかなというふうに思うんですが、そういうものに法律が追いついていけないという状況を何とかなくすために、各党の皆さん全員賛成のもと、協議体を立ち上げました。これは常設をするということになっておりまして、不断の見直しをそこでさせていただこう。

 そのために、やはり、この参議院選挙で導入された場合には、その検証も含めて丁寧にやっていった上で、今後、いろいろ話し合いながら、できるだけ多くの政党の皆さん方の意見を反映しながら見直していくべきではないかと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、これからその技術がどんどん進んでいくんだということだと思っているんですけれども、その中で、実は私、昨年の選挙を通るまである商社にいたんですけれども、専門が情報産業ということで、二十年ぐらい、こういったインターネット関連であるとかモバイル環境であるとかそういったところの仕組みをつくっていく、もしくはそのビジネスモデルをつくっていくというふうな仕事をしていたもので、今からお話しさせていただくのが、ここにいらっしゃる皆さん、ちょっと眠たくなっちゃうかもしれないんですけれども、一つの案として、今考えていることを提言させていただきたいんですね。

 それは何かというと、一つは、さっき、セキュリティー対策、それからそれ以外にもデジタルデバイド、要は、私は技術的な知識を持っているからとか私は持っていないからとか、そこでなかなか差が出てきちゃうんじゃないか、そういうふうな話があったりとか、あとは、インターネットを使うということ自体を安価なコストで実現するんだという目的が一番重要なことだと思っているんですね。

 そんな中で、セキュリティーの話をまずとってみると、サイト改ざんというふうな話がいろいろ出てきます。ハッカー的な行為というのは、これは絶対防げないんですね。ただ、防げないと言いながら、簡単なものでは防げるんですけれども、どんどん高度になっていって、追いつけ追い越せというふうな形でその技術がどんどん高みに来ているということで、そうなると必ず、悪意に満ちた場合はサイトが攻撃されてしまうわけです。場合によっては書き直されたりとか、そういうふうなことが起こってくる可能性は絶対ないというふうに断言することはできないと思っております。

 ただ、そうなったときにどういうふうな手だてをしていくのかということをある程度想定しておくということが必要なんじゃないかなというふうに思っております。

 その一つの考え方として、今この法案で審議されているのは、ハッキングに遭ったらどうするんだとか、そういうことを言われているんですけれども、まずは、政党のサイトであるとか選挙の候補者のサイトであるとかというのを、独自に、個々でサーバーを立てさせるということをやめてしまった方がいいんじゃないかな。国の管理であったり、あとは、選挙管理委員会ごとにサーバーを管理して、そこの中にぶら下がってもらってサイトをつくった方がいいんじゃないのというふうに思っております。

 なぜならば、一個のサイトが攻撃されたときに、明らかに、一つの候補者であったり一つの政党が不利益をこうむる可能性が出てくる。そうなったときにとめる手だて、これは、ほとんど、すぐにはあり得ないんですね。

 そうなればどうすればいいかというと、一つのサーバーを管理していて、同じ選挙区の人たち、もしくは政党一つがやられたら、ほかの政党も含めて問題が解決するまでとめちゃう、こういうふうにすれば公平になっていくんじゃないかな。これは一つの案なので、こうしろというわけではないんですけれども、そういうようなことも考えていく必要があるんじゃないかなと思っているんですね。

 そもそも、皆さん、考えていただくとあれなんですけれども、皆さんやられているかどうかあれですが、インターネットプロバイダーと契約するとき、どういう契約をするか。このごろ、いろいろな、多種多様になってきましたけれども、あなたがインターネットを使えるようにしますよということと一緒に、ホームページ何メガ分だけの容量を付与しますよ、そういう契約が大体基本的になっているんです。

 そういう意味でいうと、例えば、政府が管理するであるとか選挙管理委員会が管理するというふうにして、一つの容量をちゃんと決めてやるんですね。ここの中だけでちゃんとサイトをつくりなさいよというふうに言ったら、どんどんリッチなコンテンツをつくって、お金のある人たちだけがいいコンテンツを出すということもないし、それから、セキュリティーの問題もある程度解決されるんじゃないかなというふうに思っているので、そういう提言をさせていただいています。

 そうすれば、コストも余りかからないし、有権者も、ここのサーバー、ここのサイトに行けば、各政党、各候補者のものが見られるというふうにすれば、非常に便利なんじゃないかな。

 ただ、第三者のサイトがあってというふうにさっきからお話ありましたけれども、それもいろいろ、ほかの人が、応援する人があるのはわかるけれども、よく言うのが、公式サイトはどこよというふうにいったときに、一つのサーバーのところへ行けばわかる、そういうふうな工夫なんかはされると、よりいいインターネットの活用方法、それから、国からそういうガイドラインを示せるというふうに思っているんです。

 そういう感じのことを考えていただけないかなと思って、ちょっとコメントをいただければなと思いますので、よろしくお願いします。

遠山議員 木下委員は昭和四十四年生まれということで、私、同じ年でございまして、また、今のお話を伺っておりまして、大変ITにお詳しい委員でございますので大変答えづらいところもございますけれども、木下委員のおっしゃっている一番のポイントを私なりに理解させていただきますと、各政党、候補者が別々のサーバーでインターネット上でサイトを立ち上げ、そして、それを拠点に政治活動、あるいは、この今の改正案が通れば、選挙運動をする際に、例えば特定の政党のサーバーがダウンをした場合にそこだけが不利益をこうむってしまう、よって、そういうことがないように、サーバーを各政党、候補者が共有していく。

 また、木下委員の先ほどの御発言の中で、国、政府あるいは選挙管理委員会が一元的に管理をしているサーバーの中で、各政党、候補者が容量をいただいて、それを拠点に選挙運動をするようにした方がいいのではないか、こういう御提案として理解をしておりますけれども、よろしいでしょうか。(木下委員「そうです」と呼ぶ)

 では、それを前提にお答えをさせていただきたいと思いますが、まず、政府や選管が共通のサーバーを候補者や政党に提供した場合は、正直申し上げますと、どの候補者、政党から誰に対して選挙運動用電子メールが送信されたなどの情報を、行政が、政府が間接的に管理することになります。もちろん、民間の企業でもそういうサーバーの提供というのを行って、当然その中の情報を勝手にのぞいたりはしないわけですが、いわゆる国、政府が管理するサーバーに政治団体である政党がサイトを立てるということになりますと、万が一のことを考えると、これは行政府によって政治活動の自由が侵害をされてしまう可能性が出てきますし、また、そこで取り交わされる議論というものがサーバーの中に残りますので、それが漏えいした場合に、思想、信条の自由というものの確保にも支障を来す可能性があるという問題点があるかと思います。

 それからもう一つは、先ほど来、木下委員が、特定の政党のサーバーだけダウンしたときには一旦選挙をとめるべきじゃないかということをおっしゃっておりますが、現行法制下で、一つの政党のサーバーがダウンしたから選挙そのものをとめるというのはそもそも難しいと思いますし、逆に、全ての政党のサイトを集めたサーバーがサイバー攻撃の対象になってダウンした場合は、これは選挙をとめなくても選挙がとまるぐらいの話になってしまって、かえって危険なのではないかというふうな考え方もあるのではないかと私どもは思っているわけでございます。

 サーバーダウンに対する方策につきましては、これはやはりそれぞれの陣営でやっていただくことが基本かというふうに思っておりまして、私も実は、ITの専門ではありませんけれども、公明党のサイバー攻撃対処検討委員会委員長という立場を持っておりまして、二年前から、国会やあるいは政府機関、防衛産業あるいはマスコミ等に行われておりますサイバー攻撃について、専門家を呼んで研究をしてまいりました。

 大変技術的には高いレベルの知識、ノウハウ、実務的手腕というものが必要な分野であると認識をしておりますけれども、政党、候補者のサーバーの共有化、あるいは国や選管の管理ということについては、先ほど申し上げましたような別の観点からの問題点というものも慎重に考えていかなければならない、こう思っているところでございます。しかし、貴重な御意見、ありがとうございました。

木下委員 ありがとうございます。選挙をとめるというのか、広告をとめるということだと思っているんですね。だから、全部をとめちゃうというつもりはない。

 もう一つは、政党についてはサーバーは別々でやってもいいのかもしれないなと思っているんですけれども、選挙区の、何というんでしょう、候補者、そこが攻められたときは、同じサーバー内でもある一つのサイトだけ改ざんされたりとか、そういう可能性があるんですね。そこは一極集中、全部にやる必要はなくて、各選挙管理委員会もしくはある程度のブロックでサーバーを管理してやると、それが分散されることになると、逆にセキュリティー面では高くなる。要は、一個だけじゃなくて何個かに分散してサーバーを持っているとセキュリティー的には攻めにくいという状態になるかと思っているので、そこは一つ検討材料なのかなと思っております。

 ぜひとも、こういう考え方、もしくは、これが全てじゃないと思っておりますので、この後の審議会等があるのかもしれないんですけれども、そこで細則を決めていっていただければなと思っております。

 それから、もう一つ。メールの話なんですけれども、メールはまたホームページとは別でして、メールサーバー自体というのがあるんですね。そのメールサーバーの中で成り済ましメールであったり大量メールであったりと。ただ、要は政府が中身を見るというのは困ると。

 そんなことを言ったら、さっきの話じゃないんですけれども、インターネットというのは第三者の集まりでサーバーをやっているので、そこはちゃんとしたガイドラインもしくは細則を決めて、中身を見ないということをちゃんとできるようにすればいいんじゃないかなということが一つです。

 皆さんに携帯電話なんかでよく迷惑メールが来ると思うんですけれども、あのときに、あれ、ちゃんとしたメールアドレスから来ているのに、すごい変なメールだねということがあると思うんですね。あれは、要は誰かに成り済まして違うサーバーから送ってきている。そういったものを防ぐためには何があるかというと、メールサーバーをしっかりと管理してあげて、そこから、そこ経由でメールが流れているよと。

 それから、例えば数秒間の間に何万通というメールが流れていたりとかすると、これをシャットダウンするような仕組みがあるんですけれども、そういうものもちゃんと管理してやるということをやっていくというのが必要だと思っているんです。

 それの管理をやりやすくするために、IPアドレスというものがあるんですけれども、同じIPアドレスを使って、もしくは指定されたIPアドレス、登録されたIPアドレスから有権者に対してメールが送られるということを管理してもらえれば、今のセキュリティー問題というのは相当、何か成り済ましがあったときにも、ああ、これは正しいメールだね、いや、間違ったメールだねということもわかるという仕組みになっているので、その辺も検討していただければいいかなと思っております。

 長々とこういう話をしたので、ちょっとあれなんですけれども、その他、提案としまして、最後にお話ししたいことが二点ほどあります。

 それは、今、きょうもそうなんですけれども、インターネットを活用して、いわゆるICT技術を活用してというふうな話がありましたけれども、これは、最初にお話ししました投票という部分で、例えば携帯電話であったり、パソコンであったり、そんなところから投票できたらいいよねという話があるかと思うんですけれども、この技術というのは別に、インターネットのそういう部分、パソコンであったり携帯電話だけじゃなくて、例えば投票所においても、先ほど来、検討されていたというお話がありましたけれども、わざわざ投票所へ行って紙に書いて投票するということをしなくても、誰でもできるんだと。そこの場に画面があって、候補者のボタンを押してやるということをするだけで投票できちゃうわけですよ。

 それとインターネットで投票されたものというのは基盤を同一にすることができるので、そうやって考えたら、あっという間に投票は統合化できる。そうすれば、例えば当日開票とかいうことで、公務員の方々がたくさん来られて、夜までかかって開票されているというようなことも防げる。

 そうなると、相当予算的にも抑えられるんじゃないかなというふうに思っているので、インターネットの解禁と、それから、今後、投票行動についてもインターネットを活用するというふうにいったときは、ぜひとも外からの、いろいろなところからというだけじゃなくて、インターネットを活用していない人でもICTを利用した形で、統合的な考え方に基づいて今後ICTの活用というのを考えていってほしいなというふうに思っております。

 それから、もう一つ。そもそも、今話した話、多分皆さん、眠たい話で、何を専門的な話をしているんだというふうに思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思うんですけれども、今の話というのは、インターネットをある程度さわっていれば、基本的な概念だと思っているんですね。

 そういう話というのは、こういう場でちゃんと、ICTを活用した先進社会をつくるんだというふうに政府は言っているんですから、国会議員も、国会活動、それから運営にICTをもっともっと活用していくような、ITのリテラシーというものが必要になってくると思っております。

 ここをちゃんと皆さんも考えて、そこがないと、この法案について本気で審議できないというふうに思っておりますので、そういうことをちょっと提言として言わせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野県の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。

 選挙運動でインターネットが使えるようにしようと解禁という方向で御努力をされてきた両提案者に、その御努力にまず敬意を表したいと思います。

 ただ、しかしながら、今回の法案は、あくまでインターネットを解禁するというのが大原則であって、決して規制をかけるものであってはならない、これが大原則だと私は思っております。そういう立法趣旨に照らせば、罰則や禁止の項目といったものは必要最小限にとどめるべきと考えますが、その点、まずいかがでしょうか。両案提案者にお伺いをします。

浦野議員 井出委員の質問にお答えをいたします。

 御指摘のとおり、インターネットの解禁という立法趣旨に照らせば、おっしゃるとおり、有権者の政治参加の促進等を図るという本改正案の目的からすれば、罰則により表現活動の萎縮などを招くこともありますので必要最小限にとどめるべきと私たちも考えておりますので、したがって、我々の案におきましても、罰則は選挙の公正を確保するために必要最小限のものだと考えております。

井坂議員 御質問にお答えをいたします。

 先ほどから、一般有権者のメール、選挙運動用メールを解禁するかしないかが大きな争点、差異となっているわけでありますが、確認したのは、あくまで議論をしているのは選挙運動用のメールだけだということでありまして、要は、井坂信彦に一票下さい、あるいは井坂を当選させてやってくださいというメールを、一般有権者からの発信を解禁するか否かというところが議論になっているわけですが、逆に言いましたら、選挙運動用メールでなければ、現状も、選挙期間中、一般有権者からのメールが発信できる、あるいは、自公維案であっても、フェイスブックやツイッターを通じればそういう情報発信ができるという形になっているわけです。

 誹謗中傷とか成り済まし、ましてウイルスメールなんかは、もうこれはどんな形のメールであっても発信が現状でも可能だということでありますから、そうなりますと、やはり我々は、そもそものこの立法の趣旨といたしまして、インターネットを通じて、皆が一番政治に対して関心の高まっている選挙期間中にしっかりと一般有権者同士でも熟議をしていけるようにしたいという趣旨でつくっておりますので、先ほどのように、ああいう心配がある、こういう心配があるというのは、実は一般有権者の選挙運動メールを規制しようがしまいが、その外側で今でも十分起こり得る問題だというふうに考えています。

 ですから、逆に複雑な規制や罰則を余り過剰にやり過ぎますと、今度は、本来の趣旨である、選挙運動、特に熟議で一般有権者同士が政治についてやっていくというところが損なわれるおそれがあるというふうに考えておりますので、今回、我々の案では、選挙の公正の確保のための必要最小限の罰則にとどめております。あくまで選挙の主役である一般有権者の自由な選挙運動、さらなる政治参加を促進することを目指してまいります。

 以上です。

井出委員 今のお答えを踏まえて、まさに今回、法案で争点となっております、一般有権者、第三者が選挙運動の内容のメールを、選挙運動のメールを期間中にやることを許すか否かというところなんですが、与党の提案者の方にまず伺いたいのですが、第三者が選挙期間中に選挙運動のメールを送ることを禁止する、この罰則が、第三者のメール送信は禁錮二年、罰金五十万円以下、公民権の停止という記載がありますが、この第三者というものを、もしこの法案が通ったときにきっちりと示すことができますか。

佐藤(茂)議員 井出委員の御質問にお答えをいたします。

 我々のこの自民、公明、維新案では、いわゆる第三者というのは、法律上は、候補者、政党等以外の全ての者を指すものでございまして、個人のみならず、企業、団体も含まれている、そういう解釈をしております。本改正案、そういう理解をしていただければありがたいと思います。

井出委員 済みません。公職の候補者及び政党等の等の部分で想定されている、メールが送れる側、具体的にもし例示できるものがあれば教えてください。

佐藤(茂)議員 公職の候補者というのは、まさに各種選挙の候補者のことでございます。ただ、この場合に、候補者本人が直接送信する場合のほかに、一般的には、秘書や運動員などが候補者本人の指示のもとに送信を行う場合も候補者による送信と法的には評価されるもの、そのように考えております。

 もう一方、政党等ということでございますけれども、具体的には四種類の範囲が我々としてはあると考えております。

 一つは、衆議院小選挙区選挙については候補者届け出政党。二つ目には、衆議院、参議院比例代表選挙についてはそれぞれの名簿届け出政党等。三つ目には、参議院選挙区選挙については選挙区選挙に所属候補者がある確認団体。四つ目には、都道府県、指定都市議会や都道府県知事、市長の選挙については確認団体としております。

 この場合にも、一般的には、政党等の本部または支部と使用関係にある職員が、当該政党等の本部または支部の決定に基づいて選挙運動用電子メールの作成及び送信に関する事務を行っているにすぎない場合には、選挙運動用電子メールの送信主体は政党等であると法的に評価できる、そのように考えております。

井出委員 ありがとうございます。

 では、実際にこの法案が成立をして参議院選挙から実施をされる。法律ができた以上は、警察の方も過剰に取り締まるということは当然ないと思いますし、だからといって違反は決して見過ごすことはできないということで、当然、所要の、必要なものがあれば捜査をすると思うんです。

 まず、きょうは警察庁の高綱刑事局長に伺いたいのですが、そもそもインターネット上の犯罪捜査というものは、非常にその範囲が広過ぎて、これを公正中立に取り締まるということは極めて難しいのではないか。また、パソコンの遠隔操作事件と言われているようなものも現在捜査が続いております。本来、証拠が目の前にあるというのがこれまでのパソコンの関係の捜査だったと思うんですが、そういったものがさらにさらに巧妙化をしてきている。そういう意味で、インターネットの捜査というものは非常に難しく、また慎重を要するものだと思いますが、御見解をお願いいたします。

高綱政府参考人 お答えを申し上げます。

 公選法違反に限りませず、およそインターネット利用の犯罪に共通して言えることではありますが、コンピューターウイルスによる遠隔操作、無線LANのただ乗りなど、多様な匿名化手段が利用される、また、容易に国境を越えて敢行されるといった特性がございます。

 警察といたしましては、こうしたサイバー犯罪の特性を踏まえまして、的確に対処するための捜査能力の向上等を図っているところでありまして、捜査の各段階におきまして証拠を十分に分析、吟味をして捜査に当たることといたしております。

 警察といたしましては、法改正がなされれば、その改正の趣旨にのっとり、選挙違反の取り締まり担当部門、サイバー犯罪対策部門、そして情報通信部門との連携を強化するなどして必要な体制を構築して、公正中立を旨として適切に取り締まりを行ってまいる所存でございます。

 以上です。

井出委員 今の刑事局長のお話の中で、まさに法律が成立をすれば、その趣旨にのっとって、サイバー犯罪、体制を含めて強化をするなどして適切な捜査をやっていく。ですから、今まさにその趣旨を議論している段階だと。

 インターネットの犯罪捜査は非常に難しいものがある。だからこそ、そういった観点からも、私は、罰則、禁止項目を必要最小限にとどめておいて、改正の必要が出てきたら逆に規制を考えていけばいいと思っておりますが、先ほど来の各委員とのやりとりを聞いておりますと、与党案の答弁者の皆様のお話では、まず、今回、第三者が選挙運動メールをすることはやめておいて、後から検討をしていこうと。自由にしたいという方向性は一緒なんだけれども、発想が私とは全く逆なのかなと思います。

 私は、罰則、禁止を設ければ捜査せざるを得なくなると考えております。そこに余り、慎重に、そういった違反などを考えないで、捜査の対象になりかねないような人が出ないように、まず規制をかけないで、後から問題があったときに検討するべきだと思います。

 そういう意味で、メールを今回まず解禁するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 まず、現行の公職選挙法上、選挙運動というものはもちろん、例外を除いて、基本的にどなたでもできるよねと。その中で、ただ、選挙の公正を確保するでありますとか、あるいは一般の方の日常生活の妨げとかになってもいけませんねというようなことから、これはネットの話ではなくて、普通のビラだとか手紙、はがきだとか、あるいはポスターの掲示だとか演説会だとか、いろいろな規制があるわけでございます。

 その中で、これまでインターネット上でのいろいろな活動が文書図画の頒布に当たるということで全くだめということになっていたものを解禁するというのが、今回の、両法案ありますが、いずれの法案の趣旨でもあるということはもう委員御理解のとおりであろうと思います。

 そういう意味で、もちろん、先ほど浦野議員が答弁を申しましたように、私どもが電子メールの発信を候補者、政党等に限るというような規制をかけているというふうに、比較をすればそのように見えるというのは理解をするものではございますけれども、現状からすれば、まず、逆にウエブなどでの、あるいはSNSの利用などではオープンにしようということなのでありますし、電子メールについても、候補者、政党等については認めようと。

 ただ、先ほどふくだ議員の質問のときに私が申しましたように、電子メールというものは、わざわざ特定メール防止法というのがあるような世界というのもあります。スパムが大変多くの割合を実は占めているのだという状況がございます。

 そうした中で、冒頭申しましたような一般の方に対する混乱ですとか負担ですとか、そうしたものが逆に、ここで解禁することで過度に一度起こってしまった、あるいは成り済ましメールなどで選挙の公正が物すごく害されるようなことが起こってしまったというような場合に、むしろもうインターネットをやめた方がいいんじゃないかというような議論に逆戻りしてしまっては、それこそ、私どもがこういうことを提案申し上げている、これは両案とも共通していると思いますけれども、意図とそぐわないということになってしまうと思います。

 そういう意味で、できるだけ解禁をしたいと思う、そしてできるだけ規制だとかはない方がいいということ、委員の思いというのは理解をするものですけれども、ただ、やはり最もリスキーな部分まで一気に踏み込んでしまうというのは、逆戻りをするというおそれもあろうと思いますので、私どもとしては、そこを一歩手前のところまでにしておいて、そして、参議院選挙、あるいはこれから地方選挙などでも、可決、成立をさせていただければ、それに基づいて選挙が行われるわけですから、その状況などを検討させていただいて考えていきたい、このように考えているものでございます。

井出委員 今お話のあったところでもう一度重ねて伺いたいのですが、今、現行、政治活動でメールをやることは、自由にそれは認められています。ただしかし、選挙運動と政治活動がどう違うのかということは、それは私、わかっていない有権者の方が多いんじゃないかと思います。

 一例を挙げれば、私、前回の選挙でフェイスブックを使ってまいりました。その前に選挙がありましたが、そのときはフェイスブックというものは全然、まだ道具として使えるほど発達していなかった。選挙の公示の、選挙期間に入る直前に、そうしたときにどういうことをやっていったらいいのか、そういう議論があって、そのとき、私自身ももう一度調べましたし、ほかの有権者の方が調べて、そこにいろいろ書き込んでくれたという経緯がありました。そういう一例を見ても、私は、選挙に出る人間や関係者ほど、有権者の方が政治活動と選挙運動を区別しているとは思えない。

 何が言いたいかといえば、選挙運動で第三者のメールを禁止してしまえば、ふだん、選挙が近くなったときの政治活動のメールを萎縮して自粛する人が出てこないかということを懸念しております。

 またもう一つ、今回のメールの定義というものが特定メール何とかという法律によるというお話が出ておりますが、それは平成十三年にできた法律だと承知をしております。そのとき、当然、フェイスブックもツイッターもそのメッセージ機能もない。そういったところで、まず、制度のスタートの議論のところでいろいろな問題点があると思います。

 現状に即して言えば、フェイスブックやツイッターのメッセージもメールもほとんど変わらないのだから、まず解禁をして、問題を一つ一つ検証していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。もう一度お願いいたします。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 むしろ、政治活動と選挙活動、確かにネット上においてその区別がつきにくいよねと、問題意識としてはよくよく私も理解するものでございます。

 ただ、現行の公職選挙法上、告示ないしは公示というものがあって、選挙期間というものがあって、投票日がある。そして、その告示、公示の日以降は、選挙運動としては、例えばビラとかについては証紙を張ったものじゃないと配っちゃいけないとか、あるいはポスターについてもこういうものじゃないと張っちゃいけないとか。だから、これまで張っていたものを、済みません、皆さん剥がしてください、これを張ってくださいとかというのを、皆さん御経験のところだろうと思います。

 そういう意味で、現行、政治活動と選挙活動の区別が難しいよね、あるいは一般の方の理解がなかなか難しいよねというのは、公職選挙法の今の枠組みそのものが持っている課題であろうというふうに私は思っております。

 そういう意味で、井出議員の問題意識を私も共有しないものではございませんが、今回の、まずインターネットを解禁しようという議論の中で、そこについては、とりあえず現行の枠組みの中でインターネットのできるだけの解禁をしようというふうに考えているものでございます。

 また、先ほど、フェイスブックなどのメッセージ機能と電子メールについてのお話がございましたが、これも特定電子メール防止法ができてから少し時間がたっているよねということは御指摘のとおりでございますけれども、現状として、ふくだ議員の御質問のときに申しましたように、電子メールについてはスパムが山のように来ているという状況がございます。

 一方で、もしかしたら、それは例えばツイッターだとかフェイスブックでも、いずれそんな状況というのはあるかもしれませんが、今のところそうなっていないために、例えば、迷惑フェイスブックメッセージとか迷惑SNSメッセージについてどうのこうのという議論が起こっていないために、そういうふうになっていないということが現状としてあるわけです。

 まず、電子メールについて、私どもとしてもできるだけ規制をかけたいと思っていませんが、第一段階として、候補者並びに政党などに限るという制限を設けているのは、そのような趣旨だというふうに御理解をいただきたいと思います。

 以上でございます。

井出委員 まだ時間がありますので、徹底した議論を尽くさせていただきたいと思います。

 きょう、総務省の米田選挙部長にお伺いをして、インターネット選挙法案が成立したときに、選管や総務省を通じて、こういったふうに、こういったものは違反になります、そういったことの周知をお願いして、その御答弁をいただきたかったんですが、ちょっと時間がないので、お願いということにとどめて、きょうは質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、誰に対して解禁するかという問題であります。

 私どもは、選挙権と選挙の自由というのは、主権者である国民の基本的権利であり、本来、有権者個人に自由な選挙運動が保障されるべきだと考えております。したがって、有権者個人に対して、ウエブサイトや電子メールを選挙で利用できるようにすべきだというふうに思います。

 この点でそれぞれの提案者に確認をしたいんですが、ネット選挙運動の主役は一体誰なのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。

遠山議員 お答え申し上げます。

 ネット選挙の主役は誰かということでございますが、これは、選挙を通じて公職を得ようとしております候補者と、また、公職にある者を選ぶ有権者に尽きる、このように思っております。

田嶋議員 主役は誰かということでございますけれども、これは、やはり国民主権のもとでございますので、基本的には有権者、一人一人が一票を持っている、憲法上で保障されたその権限の行使ということで、主役は有権者である。

 しかし、その有権者の中の限られた方々が被選挙人として選挙に出るわけでございますので、彼らも主役にはなろうかというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 大変重要な、基本的なことでありますが、その点については我々も同じ考えでございます。

 そこで、具体的な法案の内容ですけれども、自、公、維新の案は、趣旨説明の中で、「候補者、政党等以外の者、すなわち第三者のウエブサイト等による選挙運動も解禁する」、こういうふうになっております。第三者の中には企業、団体を含むのかどうか。

 それから、民主、みんな案は、提案理由説明の中で、「電子メールを利用する方法も含めて、一般有権者、政党、候補者全ての者がインターネット選挙運動を行えるように」とありますけれども、全ての者、この中に企業、団体を含むのか。この点をお伺いしたいと思います。

浦野議員 本改正案では、インターネットによる選挙運動のうち、ウエブサイト等による選挙運動について、候補者や政党などだけでなく、一般有権者を含めた全ての者に解禁するということとしておりますので、当然、この中に企業、団体も含んでおります。

田嶋議員 私どもの法案は、加えて、メールに関しても全ての者に解禁でございますので、企業、団体を含むという点では同じでございます。

 なお、私どもは、第三者という言いぶりはやめようということで、やはり、先ほどの、主体は誰か、主役は誰かという観点に立って、一般有権者というふうに呼んでおります。

佐々木(憲)委員 両案ともこの解禁の対象として、企業、団体も含む、こういうことなんですね。そうしますと、主役以外のものが入ってくるということになるわけですよ。これは非常に問題があると私は思います。

 具体的にもうちょっと聞きますけれども、先ほど、無秩序に、例えば選挙運動のためのメールを送ることは問題がある、そういうふうにお答えになった方がいます。これは当たり前のことでありますが、もうちょっと具体的に言うと、こういうことはどうなんでしょうか。

 ある会社が、顧客名簿に基づいて、今度はこういう商品が開発されました、あるいは、こういうサービスができますよ、そういうメールを顧客に対して大量に通常送っているわけですね。その顧客は企業に自分のアドレスを登録している。こういう場合、その大量の顧客名簿に基づいて、選挙期間中は選挙運動のメールも送らせていただきますと、通常のメールの最後のところにそういうことが書かれている。受け取りを拒否する方は、これに対してノーという拒否の返事をいただきたい、こういうふうにするわけですね。こういうやり方は、民主、みんなの案では可能なのか、この点を確認したいと思います。

田嶋議員 基本的に、ルールとして私どもが設けているのは、表示義務を設けている。そして、もう要らないというふうに断る場合、オプトアウトという言い方をいたしますが、そこには繰り返しは送っちゃいけないということでございますので、それ以外であれば送れます。

佐々木(憲)委員 つまり可能となるということですね。

 そうすると、そういう商品案内のメールが定期的に来ている、また来たなということで、最後まで読まないで拒否はしなかった。そうすると、次は選挙運動用のメールが来たと。私は来てもいいとは返事をしなかったのに何で来たのかな、こういうことにならざるを得ない。

 したがって、企業が大量の顧客名簿を持っている、それを利用できる、つまり、第三者の中にそれが入ってくるということになりますと、そういう事態が発生するわけですよ。これは、個人ではそんなことはあり得ないわけです。

 したがって、私は、そういうところに主役でない企業、団体が入るのは問題があるというふうに思っております。

 自民、公明、維新の案は、ウエブ上はオーケーだけれどもメールはだめ、民主、みんな案は両方ともオーケーだ、こうなってきますね。そうすると、今言ったような問題は、自民、公明案では一体どういうふうになるんでしょうか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 先ほど浦野議員が答弁をしましたとおり、私どもといたしましては、企業、団体についても、第三者という言葉で表現をするのが適当かどうかという議論はありますけれども、に含まれるものというふうに考えております。

 これは判例がございまして、八幡製鉄事件というものの判例が、最高裁判決、昭和四十五年六月二十四日というものがございます。「憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。」このように判例でなっております。

 そういう意味で、政治活動あるいは選挙運動について、企業、団体についてこれを禁止するというような理由、いわれは、この判例に反するということになろうかと思っております。

 その上で、私どもの案につきましては、議員御指摘のとおり、ウエブ等での選挙運動は解禁をさせていただきたい。ただ、メールについては、企業、団体は候補者でも政党などでもございませんので、それに含まれない団体ということになりますが、それにつきましては、メールでの選挙運動は今回は解禁をしないということでございます。

佐々木(憲)委員 今、判例を言われましたけれども、現行公選法上は、法律で定められた手段だけで選挙運動を認めているわけです。街頭宣伝とか演説会、ビラ、この場合はこうできますよ、それ以外の選挙運動は実質的に制限、規制する、こういう仕組みになっていますね。現行法の体系のもとでは、企業の選挙運動を禁止とは書かれていなくても、実質的に選挙運動のツールを持っていない。したがって、選挙運動はできないわけであります。

 したがって、今回、解禁というふうになってしまうと、ネット選挙運動に限って異なる扱いになっていくわけで、そこが非常に私は危惧をしているところであります。

 そもそも、企業が営業活動で手に入れた大量の顧客名簿を利用して、誰々さんを当選させよう、どの党を当選させよう、そういう選挙運動ができるようになると、これは大変影響が大きいわけですね。ですから、そんなことが可能になるということは、私は非常に問題だと思うんですけれども、この点での、主役以外の選挙運動について何らかの規制というか歯どめがないといけないと思います。そうしないと、国民の選挙運動の自由が逆に阻害されてしまう、そういうふうに思います。

 それぞれの提案者はこの点についてはどういう歯どめを考えておられるのか、お聞かせいただきたい。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 先ほど田嶋議員が答弁をしましたけれども、商取引のために顧客名簿などを集めるということはまず一般的であろうと思います。そのことを使って選挙運動をするということ自体が個人情報保護法に当たるという問題がまずあろうかと思っております。

 その上で、私どもの案では、先ほど答弁を申しましたとおり、電子メールを持っているよね、ではそこにメールを送っていいかというと、候補者でも政党などにも当たらないと思いますので、これはできないという整理になります。

田嶋議員 この点は大変自、公、維新案と共通するところが多いわけでございますが、先ほども答弁しましたとおり、目的外の使用でありますので、その本人の了解を得ずしてそういうことをやれば、当然、非常識にもなりますけれども、それは禁じられているということになります。

佐々木(憲)委員 名簿の問題でいいますと、例えば、名簿業者というものがありますよね。大変大量のメールアドレスを持っている。そこから名簿を買い取って、それを選挙運動のために使う、こういうことは可能になるんでしょうか、禁止なんでしょうか。それぞれお答えいただきたい。

遠山議員 法案の中で、電子メールアドレスについてみずから通知した者に対して、送信の同意を得た者というふうに二重に条件をつけて、その条件がクリアになった方にしか送れませんので、答えは、名簿業者から買った名簿に基づいて選挙運動用メールを送ることはできないように、法のたてつけ上、なっております。

田嶋議員 同じでございます。

佐々木(憲)委員 私は、主役以外の企業、団体が選挙運動に入り込んで、それを自由にやれるようにするということには反対でございます。それは、やはり主権者個人が主役であって、憲法に保障された基本的人権の一つであるというふうに考えております。

 もう時間がなくなりました。それで、一点だけ確認をいたします。

 有料ネット広告について、民主、みんなの案は選挙運動用の有料ネット広告を候補者、政党に解禁すると提案していたんですが、法案では、選挙運動用は禁止し、政治活動用を政党と候補者に認める、こういうふうに変えたんでしょうか。これ、理由は何でしょうか。

田嶋議員 ちょっと定かではありませんが、どういう変更ですか、特段変えてございません。

 候補者本人も、いわゆるバナー広告をすることによって、選挙運動をやっているウエブサイトに直接飛ぶような形のバナー広告は候補者本人も認めようというところが自、公、維新案との違いでございます。

佐々木(憲)委員 では、自公案はどういう違いがあるんですか。

平井議員 協議会にもずっと参加していただいていたので、ここの違いのところは御理解だと思いますが、自公案は、要するに候補者と政党、確認団体のみに認める……(発言する者あり)申しわけありません。

 つまり、今テレビや新聞で選挙期間中にやっているものとの並びにしたのが我々自公維案でございます。

佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

保岡委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 両案について質問をさせていただきたいと思いますが、我が党は、今回は、共同提案という立場ではなく、この両案についてしっかり審議をさせていただいて、そして、そのどちらの案ということで態度を明らかにするかということも含めて、基本的なことをいろいろと質問させていただきたいと思います。

 さて、昨年の十二月に行われました衆議院の解散・総選挙は、三十一の道県で戦後最低の投票率ということになってしまいました。これは、全国で五七%弱という投票率もまた戦後最低ということで、私は、いろいろな形で主権者の選挙に対する行使の保障といいますか、あり方というものをやはりしっかり考えるべきではないかなというふうな危惧を持っております。

 国民が主権を行使できる権利、これが選挙ですので、この両案についても、やはりその観点からいろいろとお話も聞かせていただきたいということがございます。

 まず最初に、ネット選挙の解禁における利便性といいますか、このインターネットの利用を解禁した選挙の法案が提案されることによって、これまでにない形で選挙運動が展開される。どうなるのかなというのが、正直言って、政治に携わる議員皆さんの不安でもあり、また、これはすばらしいことになるという希望を持っている点であるかもしれません。

 それでは、インターネット選挙が解禁された場合、両案の中で、国民及び有権者にとってどのような点でこれはメリットがある、有益であるということを、簡潔に両方の提案者からお聞かせいただきたいと思います。

平井議員 委員も推進派ということで、協議会で積極的な御発言をいただいておりましたので、共通認識だと思いますが、まず、現状やられている選挙運動にプラスして、このインターネット選挙運動ができるというところが一番大きなメリットだと思います。何かをやめて、こっちを使うというようなことではなくて、現状のその運動は全部今のままということにプラスしてということで、多くのメリットがあると思います。

 ですから、選挙期間中でも候補者や政党がみずからのウエブサイト、フェイスブック、ブログやツイッター等の更新を控えなくていいということがまず一番大きい。

 そして、候補者、政党にとっては、例えば政見や個人演説会の案内、演説や活動の様子を撮影した動画など、選挙に関し必要な情報を随時ウエブサイトや電子メール等で提供できることになり、重要な発信の手段になるということでございます。そして、有権者にとっても、情報をより多く収集することができ、適正な判断及び投票行動に資すると考えています。

 あわせて、本改正案では、第三者のウエブサイト等による選挙運動も解禁して、第三者がウエブサイト等で候補者や政党を支持したり応援したりすることができない不都合を解消して、選挙に対してより積極的な参加を可能としています。

 有権者と候補者、政党等がさらに円滑なコミュニケーションができるというふうに考えておりますし、また、有権者にとっても、有権者同士の活発な意見交換やさらなる政治参加につながるのではないかと考えております。

奥野(総)議員 今の答弁と大体同じでありますけれども、有権者の方々から見れば、いつでもどこでも候補者の主張を動画で見ることができる、あるいはネットを通じてチラシで見ることができる、あるいはポスターを見ることができるということで、自分が望むときにより多くの情報に触れることができる、投票の際に参考になるということだと思います。また、こういった形で、投票率の問題も出ましたけれども、若い方々にぜひ関心を持っていただきたいと思います。

 それから、ツイッターやフェイスブックあるいはSNS、そういったものを自由に使って選挙運動ができる。また、我々の法案の方では電子メールについても一般有権者も含めて解禁になるわけですから、一方的に候補者、政党が情報を発信するだけではなくて、一般有権者の方も情報発信できる、双方向にやりとりできる。そういうことを通じてみんなが熟議する新しい政治文化が生まれる、その第一歩だというふうに思っております。

玉城委員 今答弁にありましたとおり、両案の最も大きな相違点は第三者によるメールの取り扱いになると思います。

 そこで、民主党、みんなの党の提案について、今の答弁からいたしますと、いわゆる横のメール、チェーンメールですね、そういう運動についても、これは解禁すべきだという方向と考えてよろしいでしょうか。

奥野(総)議員 これは無制限に送れるわけではなくて、第三者がメールを送る場合でも、相手方の電子メールを名刺交換などで通知を受けているということが要件になりますから、チェーンメールという言葉は適切でないと私は思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 そうですね、これからは言葉の使い方もきちんと定義づけし、それをまた適正に使っていかなくてはいけないと思います。

 ただ、そうしますと、いろいろな表現の手段、メッセージの伝達方法について、さまざまな観点からやはり聞かなければいけないこともあると思います。

 今度は、自民党、維新の会、公明党案で、メールの取り扱いはあくまでも候補者、政党に限るというふうにしておりますが、では、いわゆるプラットホームである、代表的に言いますとフェイスブックやツイッター、そこに流れてくるタイムラインのコメント、そのコメントについてはどのように判断できるとお考えですか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、フェイスブックやツイッターなどのタイムラインなどで流れるものは電子メールではないということになります。

 したがいまして、こちらを、例えばフェイスブックではシェアをするとか、ツイッターでいえばリツイートするとか、それについて制限は、それにかけるものではございません。

玉城委員 ということは、少し専門的な話になるかもしれませんが、ツイッターなどでリツイートする、拡散する、伝播するという行為は、これはメールのやりとりではないというふうに解してよろしいわけですね。

橋本(岳)議員 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

玉城委員 このメールのやりとりについては、これからもまた少し審議をしていきながら、両案について、しっかりさまざまな角度の議論が必要だろうと思います。

 さて、このネット選挙、法案がどちらの法案、あるいは具体的にまた一つの法案になるというふうな過程かもしれませんが、仮にこの法案が成立し、インターネット選挙運動が解禁になると、今度は、個人情報の保護あるいは守秘義務等々、情報の保護に関する徹底したその義務もまた生じてくるというふうに思います。

 そこで、これは提出者にちょっとお伺いしたいんですが、この個人情報を守るという点について、まず、では公明党の遠山先生に伺いたいと思います。

遠山議員 玉城委員、大変大事な御指摘だと思っております。

 インターネットの選挙運動を解禁した場合に、その陣営の中にコンピューターがあり、そこにたくさんの方々が、特に選挙期間中は出入りをするわけでございまして、メールアドレス等を含めた個人情報の保護という点について懸念を抱く国民の方もいらっしゃるかと思います。

 その上で申し上げたいんですが、まずは、現行の個人情報保護法においては、政治活動の自由という観点から、政党、政治家については適用除外になっております。ですから、個人情報保護法で定められた義務等については、実は政党や政治家は適用除外になっているというのが現行法制下の規定でございます。

 ただし、その上で、やはり個人情報の取り扱いにつきましては、候補者、政党、政治家みずからの責任において適切に管理をしていく。いたずらにこの個人情報が、インターネット選挙運動の解禁の後にどんどん、ネット上のみならず、いわゆる陣営の事務所等を通じた形で漏えいしていくということは、これは全く好ましいことではございません。

 そういった意味で、この法案の成立後に、ガイドライン等を各党で協議をしながらつくっていきたいと思っておりますが、その中で、候補者、政党がこのインターネット選挙運動のために集めた個人情報等についての管理を徹底してやっていくということは、政党間でしっかり申し合わせをしていかなければならない、このように考えております。

玉城委員 では、総務省にお伺いしたいと思いますが、今の、しっかりとその情報を保護する、漏えいさせないというふうなことになった場合に、このネット選挙について、例えばあなたがこの情報をしっかり管理しなさいよ、担当してくださいよという人材を配置する場合に、例えばこれが政党の職員やあるいは政治家の秘書でなかった場合に、そこで誰かをその担当に充てた場合に、報酬等が発生するということは可能かどうか、それは正当とみなされるかどうかをお聞きしたいと思います。

米田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御質問は、公職選挙法の二百二十一条に関することだと存じます。二百二十一条におきましては、当選を得または得しめる目的をもって選挙運動者に対して金銭等の供与をした者は、買収罪に該当するということになっております。

 個別の事案がこうした要件に該当するかどうかにつきましては個々に即して判断されるべきものと考えられますけれども、一般論として申し上げますと、候補者、政党等のためにインターネット等を使用して投票依頼等をする者、これは選挙運動者に該当すると考えられますので、報酬を支払った場合には、ただいまの公選法の二百二十一条に抵触するというふうに考えられます。

 他方で、このような選挙運動にそもそも該当しない者、それから候補者等の具体的な指示のもとで機械的に文書の入力等の作業を行うにすぎない者、こうした者は、公職選挙法百九十七条の二に定める、選挙運動のために使用する労務者というふうに評価されますので、報酬を支給することはできるというふうに考えております。

玉城委員 これはとても大事なところで、では、メールのやりとりが機械的にできるのかどうかということですよ。相手は人間ですからね。ただチラシを折って、はいどうぞ、宛名を書いて、はい郵便局へという、単純な、物を相手にする作業ではないということが、この場合大変重要になってくると思います。

 例えば、それが現行法であれば、お金を支払うことはできない。ですから、政党の職員か、もしくは秘書にお願いしなさいと。例えば三百人の臨時職員を政党が確保して、選挙になる前から、この場合、衆議院のことを想定していますが、解散がいつごろだろうというふうに読んで、そのときから政党活動をさせていただいているその職員を、三百選挙区に全て一人ずつぼんと張りつければ、それで恐らく政党のその要件として満たされてしまうということになると思うんですが、そうなってくると、やはり資金的、あるいは体制的な問題が、この法律上で不公平が生じてくることにもなるのではないかというふうに思うわけですね。

 ということを逆に考えると、やはり、この個人情報を取り扱う人間はきちんと報酬を支払ってもよいという、そういう法の改正も必要になってくるのではないかということも踏まえて、再度総務省の方に見解を伺いたいと思います。

米田政府参考人 選挙運動員に対する報酬支給の問題といいますのは、やはり、選挙の自由の確保や金のかからない選挙の実現という観点から、原則は選挙運動は無報酬とすべきであるということになっております。

 ただし、一方で、選挙の実情に鑑みまして幾つかの例外が出ております。昭和三十七年には、選挙運動のために使用する事務員に対して報酬の支給を認める。それから、昭和五十三年には車上運動員、平成十二年には手話の通訳者にもこの対象者が拡大されてきた。こういうような経過がございます。

 このように、原則と選挙の実情に鑑みてどのようにするかという問題だというふうに考えておりますし、これまでのそのような選挙法の改正、いずれも議員立法で行われたというような経緯もございますので、各党各派においてこの点十分御議論をいただきたいというふうに考えております。

玉城委員 ありがとうございました。もう時間が参りました。

 このように、やはり情報を管理して、それのやりとりをした選挙運動をするということは大変厳しい責任を伴うものだと思います。決してボランティアだけの仕事でできるものではないということを最後にお伝えして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る四日木曜日午前九時三十分、参考人として選挙プランナー・一般社団法人日本選挙キャンペーン協会専務理事三浦博史君及び慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科客員教授夏野剛君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る四日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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