衆議院

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第3号 平成25年11月14日(木曜日)

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平成二十五年十一月十四日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 保岡 興治君

   理事 赤澤 亮正君 理事 大塚  拓君

   理事 原田 義昭君 理事 ふくだ峰之君

   理事 山口 俊一君 理事 篠原  孝君

   理事 浦野 靖人君 理事 大口 善徳君

      あべ 俊子君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    石川 昭政君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      大串 正樹君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      田所 嘉徳君    高橋ひなこ君

      中村 裕之君    鳩山 邦夫君

      比嘉奈津美君    福山  守君

      藤井比早之君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      小川 淳也君    岡田 克也君

      奥野総一郎君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    上西小百合君

      坂元 大輔君    西野 弘一君

      井上 義久君    國重  徹君

      井出 庸生君    佐々木憲昭君

      玉城デニー君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員          うえの賢一郎君

   議員           大口 善徳君

   議員           北側 一雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           安田  充君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     今枝宗一郎君

  安藤  裕君     山田 美樹君

  井野 俊郎君     宮崎 謙介君

  長坂 康正君     比嘉奈津美君

  務台 俊介君     赤枝 恒雄君

  小川 淳也君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     務台 俊介君

  今枝宗一郎君     あべ 俊子君

  比嘉奈津美君     福山  守君

  宮崎 謙介君     井野 俊郎君

  山田 美樹君     安藤  裕君

  玉木雄一郎君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出、第百八十三回国会衆法第四一号)


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     ――――◇―――――

保岡委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。逢沢一郎君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

逢沢議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 現在、都道府県議会議員の選挙区については、法律の規定により、郡市の区域によるとされ、また、指定都市においては、区の区域によることとされております。

 しかし、現在、郡には行政単位としての実質がなく、さらに、市町村合併の進行により、地域代表の単位としての郡の存在意義が大きく変質していることから、町村に係る選挙区については、郡の区域にかかわらず、条例で任意に定めることができるものとすることが適当であります。

 また、指定都市の区に係る選挙区についても、市域内に複数の選挙区は残すものの、基本的には条例で定めることとするのが適当であります。

 そこで、都道府県議会議員の選挙区について、一定の要件のもとで、市町村を単位として条例で定めることができるようにするとともに、指定都市の区域においては、二以上の区域に分けた区域を選挙区の単位としようとするのが、本法律案の趣旨であります。

 なお、全国都道府県議会議長会からも、都道府県議会議員の選挙区について、全国的に守られるべきルールを明らかにした上で、地域の実情を踏まえ、都道府県が条例で自主的に選挙区を規定することができるような法改正を求める要請があったところであります。

 次に、本法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、都道府県議会議員の選挙区は、一、一の市の区域、二、一の市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域、三、隣接する町村の区域を合わせた区域のいずれかによることを基本とし、条例で定めることとしております。

 第二に、各選挙区は、その人口が都道府県の人口を都道府県の議会の議員の定数で除して得た数、すなわち議員一人当たりの人口の半数以上になるようにしなければならないこととしております。この場合において、一の市の区域の人口が議員一人当たりの人口の半数に達しないときは、隣接する他の市町村の区域と合わせて一選挙区を設けるものとすることとしております。

 第三に、一の市の区域の人口が議員一人当たりの人口の半数以上であっても議員一人当たりの人口に達しないときは、隣接する他の市町村の区域と合わせて一選挙区を設けることができることとしております。

 第四に、一の町村の区域の人口が議員一人当たりの人口の半数以上であるときは、当該町村の区域をもって一選挙区とすることができることとしております。

 第五に、指定都市に対し、これらの規定を適用する場合における市の区域は、当該指定都市の区域を二以上の区域に分けた区域とし、この場合においては、区の区域を分割しないものとすることとしております。

 第六に、施行期日等についてでありますが、この法律は、次回の統一地方選挙から適用することを想定し、平成二十七年三月一日から施行することとしております。また、施行日の前日における選挙区で隣接していない町村の区域を含むものがあるときは、当該選挙区に係る区域の変更が行われるまでは、その区域をもって一選挙区とすることができることとしております。

 最後に、本改正が行われた後も、各都道府県における現在の選挙区割りをそのまま維持することもできる制度となっておりますことを付言しておきます。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

保岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長安田充君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 二十五分ほど時間をいただきまして、大事な法案について質問させていただきたいと思います。

 皆様方のお手元に、資料、結構時間がかかりましてつくってありますので、ちょっとこれをごらんになりながら質問を聞いていただきたいと思います。

 まず、総務省の方にお伺いしたいと思います。

 今、提出者の逢沢さんからもありましたけれども、郡の実体がもうなくなっていた、それにもかかわらず、郡で縛って合区ができないようにしておいた、そのまま放置しておいたというのは、私はよくないことじゃないかと思っております。

 公職選挙法は政治にかかわることだから、マターだからというふうに、政治家に丸投げしたような感じでもって、総務省にちゃんと選挙部があって立派な方々がおられるというのに、なかなか主体的に内閣提出案として公職選挙法の改正案が出てこない。

 私は、定数の削減とかそういったポリティカルなマターは、我々政治家が議論して決めればいいことで、内閣が提出するようなものではないと思いますけれども、技術的なこと、当然のこと、そういったものは、総務省がちゃんと責任を持って考えて、内閣提出でもってやってこなければいけないことじゃないかと思っております。これも、それに当たるんじゃないかと思います。

 ほかに、長らく倫選特におられる方は御存じだと思いますが、電子投票法というのがあります。衆議院でもボタンでもって採決を決めようじゃないかと言っているとき、あるいは、参議院はもう既にやっている。それを、自書式じゃなくちゃ絶対だめだと言っている。そして、都道府県知事選以下の選挙は試験的に電子投票でやるのは許すけれども、国政選挙は一切まかりならぬというふうになっているわけですね。それは余りにもかわいそうだ。

 きょうはおられませんけれども、岡田さんの地元の四日市市なんかは、とっくの昔から、市長選挙以下、電子投票でやっているので、開票があっという間に済むんです。岡山県も、新見市がずっと前からやっている。なぜ、そんなことができないのか。僕は怠慢だと思いますけれども、総務省はこの点についてどう考えておるんでしょうか。

安田政府参考人 まず、郡についてでございますけれども、これにつきましては、大正十二年に自治体としての郡、それから、大正十五年に郡長、郡役所が廃止されまして、以後、地理的名称となっております。

 その後も、郡または市という客観的な基準により一定の地域的まとまりを画し、その地域の代表を選ぶという考え方から、郡市の区域を都道府県議会議員の選挙区としてきたところでございまして、これは、戦後の地方自治法、公職選挙法の制定の際にも維持されたというものでございます。

 かつて、政府部内におきましては、各都道府県が自由に選挙区を定めるという方法をとることも議論されたことがございましたけれども、紛糾も予想されるといった消極的意見もございまして、従来の制度が維持され、現在に至っているものでございます。

 今回の改正法案につきましては、都道府県議会議長会からの要望を受けて、各党各会派において議論が行われ、議員提案されたものでございまして、総務省としては、今回の法案が成立した際には、遺漏のないよう、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

 また、選挙所管省の総務省として閣法の提出を検討すべきとの御指摘でございますけれども、これまでも投票環境の向上などの点について閣法で提出してきたものはございますけれども、今後も、こうした点については必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 この中で、地方議会議員の選挙制度につきましては、地方議会のあり方とも関連する事項でございまして、総務省内でも議論を行っていきたいというふうに考えてございますけれども、一方で、地方政治のあり方にも影響を与える事柄でもございますので、各党各会派で御議論をいただく必要のある事項でもある、このように考えているところでございます。

 また、電子投票の範囲の拡大についてでございますけれども、これにつきましては、過去に国政選挙に電子投票を導入する法案が議員立法として提案され、最終的に廃案となった。これは平成十九年のことでございましたが、その経緯もございまして、各党各会派において十分に議論をしていただくことが必要な事項であるというふうに考えている次第でございます。

篠原委員 どうも消極的なんですね。それじゃだめだということを言っているんですよ。総務省が提出したからといって、我々はけしからぬなんて言いませんよ。どうせここで議論をするわけですから。だから、最初から我々がつくらなくちゃいけないなんてないんですよ。そこを勘違いしないでください。

 例えば、具体的なことでいいますと、〇増五減があります。この次の選挙からやることになっているんですけれども、ひょっとして、その五減のところで、選挙が近くなっているときに欠員が生ずる。欠員が生ずるんだけれども、欠員が生じたらちょうどいいなんて言っちゃ悪いんですけれども、間もなく減るんだ。それも、あとちょっとだけなのに、今のルールでいけば、必ず補欠選挙をしなけりゃいけない。しかし、そんなことはする必要はないんじゃないか。

 こんな経過措置なんかは総務省の方で考えて措置していただくべきことだと思いますけれども、例えばこの点については検討する気があるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 〇増五減による区割り改定法、これは閣法で出させていただきましたが、これにおきましては、その法律による改正後の公職選挙法の区割り規定は、施行日以後、初めてその期日を公示される衆議院議員総選挙から適用されるというふうにされたわけでございまして、その総選挙前に議員の欠員が生じた場合には、その補充を行うため、改正前の区割りの規定で補欠選挙を行うということが定められているところでございます。

 これは、定数が減少する五県の選挙区のみ補欠選挙を執行しないとすると、そのほかの選挙区と比較いたしまして、欠員が生じた選挙区の有権者の選挙権行使の機会が失われることになる。すなわち、当該選挙区の有権者が選んだ議員が欠けるという状態が次の総選挙まで続くことになるということが懸念されるものでございまして、補欠選挙を行うということにしているものと理解しているところでございます。

篠原委員 そういうのはわかっているんですけれども、臨機応変にそういうことをやってもいいんじゃないかなというような気がしたので、ちょっとお伺いしました。こんなのは極めて技術的なので。

 それでは、本法案についての質問に移らせていただきたいと思います。

 時間があったら一つずつやりたいんですが、時間がありませんので、質問時間が非常に少ないので、ちょっと、ばあっと、私の紙で、提案についての問題点を説明させていただきます。その後、質問させていただきたいと思います。

 まず、一ページ目を見ていただきたいんです。これは、指定都市が一体どうなっているかというので、ここで一人区がやたらにふえちゃったりするんじゃないかという問題があるわけです。調べてみましたら、この黒塗りのところ、これは別に特定秘密ではありません、黒塗りのところ、見えると思います。やはり大阪市なんかは、指定都市の中で、二十四の選挙区で十五が一人区になっているんですね。全体で三十三ある、十五。さいたま市もそうです。そして、一区当たり平均議員数、その右の右ですけれども、一・四とか一・七とか一・五とか。これはやはりよくないんじゃないかなというのがあるんです。

 後でちょっと御説明いたしますけれども、一番右側の方で、政令指定都市はもちろんですけれども、平成の合併でいっぱいでかい市ができているんです。そういうところに定数がいっぱい割り振られて、過疎地でその地域の声を代弁する都道府県議会が少なくなっていくとよくないなと思っているんですが、さすがです。実態を見てみますと、どっちが大きいかというと、人口どおりにやると一番右側なんです。しかし、大都市の方が、大都市はいっぱいいるからいいじゃないか、地方の一票の方に重みがあってもいいんだ、そうしないと、中山間地域、過疎地域の声が県政に届かないというふうに思う。北海道とか新潟とか熊本はみんなそうなっているんですよね。何か京都府だけはちょっと私からいうとずれていて、都市部の方が重くなっているんですよ。こういうのがあるんです。

 次のページを見ていただきたいんですが、では、もう質問を交えていきますけれども、次のページは、地方公共団体の主な役割分担の現状です。

 これは何を言いたいか、すぐおわかりいただけると思います。都道府県の事務の相当部分が指定都市の事務になっているんです。市に移管されている。だから、市に頑張ってもらわなくちゃならない。そうすると、政令指定都市の議員はこの指定都市の事務、ほかの県はみんな県でやっているんですが、真ん中のところは、政令市の県会議員はこのことについてフォローしたりする必要は余りないわけですね。だから、私から言わせますと、指定都市の都道府県議会議員は少なくてもいいんじゃないか。これについてどうか、後で答えていただきたいと思います。

 それから次のページ、三ページは、都道府県議会議員の選挙区の定数の分布状況を一覧表にしてもらったものです。

 一番右は選挙区数分の一人区数です。だから、前のは、全体の定数に対して一人区はどのくらいというパーセント、ちょっと違いますが、ここは、全体の選挙区数に対して一人区がどのくらいかというのをやったものです。一番右側ですね。

 そして、真ん中で、結構でかいところがあるわけですね。合併でだんだんだんだんでかくなっているんです。でかいところ、みんな、後で示しますけれども、長野市なんかそうなんですが、周辺の市町村を全部合併して、巨大な市が誕生しているわけです。そこに人口も集まって、ますます周辺の町村は過疎化していくということですね。それで、やはり問題もありまして、結構変なふうに一人区がふえちゃっているところがあるんです。私の長野県の場合などは、合併できない。北海道に次いで市町村数が多くて、当然合併しないし、小さなところで一人区が多いんです。ところが、政令指定都市で一人区がふえている。

 次のページ、四ページを見てください。これは指定都市と同じようなものですが、前のページの定数が十二以上の巨大市の県会議員の選挙区と議員数です。

 大体、これを見ていただきますと、真ん中の方の巨大都市県議比率、三分の一ぐらいが県庁所在地なり、でかい市の議員に占められているんです。だから、県庁所在地のいろいろな問題は県政にどんどんどんどん反映される。だけれども、それ以外の過疎農山漁村の声が県政に届かないという問題がある。ですけれども、よくできていまして、大体、ここはパラレルです、人口比と県会議員の数は。ですけれども、石川県や香川、高知、大分、田舎の県はやはり地方の中山間地域のところを考えなくちゃいけないということで、過疎地がどっちかというとオーバーリプレゼンタティブになって、都市部がアンダーリプレゼンタティブになっている。ここでは京都府みたいに変なのはない。

 この次が、ちょっと小さいんですが、際どい表といえば際どい表です。

 県議選がどこでも普通は一番投票率が低くなっちゃっているんですね。なぜかというと、十人、二十人のばかでかい選挙区になって身近さがない。市会議員は相当身近だ。一番左の統一地方選挙の投票率と衆議院の選挙との比較なんですが、丸がついているところは、田舎といえば田舎で、こちらの方は県議さんといえども非常に身近な存在で、市会議員、市町村議会議員の延長線上で身近さを感じて、投票率が衆議院選挙より高い、珍しい三県です。こんなことを言っちゃ悪いんですが、田舎度が高い都道府県かと思います。バツはどちらかというと都市部でして、もういいやという感じで、そして選挙区が広い、都道府県議会議員が身近じゃない。だから、相当差があるんです。一〇ポイント以上、衆議院選挙と比べて差がある。大きくなり過ぎると、こういう問題があるというものですね。

 それから、一人区の問題。これもまた問題なんですが、一人区ばかりあるのはよくないなと思うんですが、しようがないところがあるんです。一人区の割合をここに書きました。それで、三〇%以上、二〇%以上を分けてみました。この黒いところが、一人区の割合が多いところ。

 それで、一人区になると、市町村議会議員と同じで、保守系無所属が圧倒的に多くなるんです。保守系だけじゃないです、無所属じゃないとなかなか出にくいとかというふうになってきて、政党が出ないようになっている。僕は、市町村議会議員はそれでいいと思いますが、都道府県議会議員になると、国政と近くなってもいいような気がします。

 右側の方を余り言うと、ごちゃごちゃするので、やめておきます。

 最後のページを見ていただきたいんです。

 都道府県の自主性を認めるのは大いに結構だと思います。ですけれども、これは長野市と周辺の市町村、済みません、豊野は町です、信州新町は町で、あとは村です、合併していったんです。おわかりになりますか。市議会議員は、戸隠村の元村長が辛うじて一議席確保できるんです。中条村は、とても人数は少ないんですが、中条村出身で長野市にいる人たちに、あんた、ふるさとの村のことを考えてこっちに投票してくれというので、辛うじて市会議員を出せる。だから、市政には過疎地の声がある程度届くんですが、一万人近くを必要とする県会には一人も出せない。残念ながら、そうなると、周辺町村の声を県政になかなか反映できにくくなる。事業の数、予算の投下率というのに、これで物すごく差が出てきているんです。

 こういうことを考えたら、今、例えば、市一本でしかできていないんですね。市になったら、全部市で、一つで選挙をやらなければいけないというふうになっているんです。これは、この地図で、下を見ていただけたらおわかりいただけると思いますけれども、長野市には、市としては合併するのはしようがない、だけれども、左側のでっかい面積を占めるここで、六千票で一人県会議員を出してもいいというふうにしたっていいんじゃないですかというのなんですね。こういう問題があるんです。

 それで、今までばばばっと申し上げましたけれども、まとめて御質問にお答えいただきたいと思います、こういうことを一緒に考えていただきたいということ。

 一つは、配当基数が一以上の市と市の合区も認めるべきじゃないかということ。それから、今、長野市の例ですけれども、指定都市でない巨大都市についても、今のような、分割して選挙できるようにしたっていいんじゃないかということ。それから三番目は、指定都市はもう市会議員が仕事をいっぱいやっているわけですから、都道府県議会議員は少なくしてもいいんじゃないか、例えば二分の一にするとかということ。それから、二番目とかかわりがあるんですけれども、特例で、合併した市町村、前のもので一人はいいですよと、一回分限り、先ほどの左側の四つのところで一人というのを許しているんです。一回じゃなくて、ずっと許してもいいんじゃないんですかというのなんです。

 この点について、今どういうふうにお考えになっているか、今後どうされるかということを提出者にお伺いしたいと思います。

北側議員 提出者の北側一雄でございます。

 篠原委員におかれましては、非常に参考になる資料をつくっていただきまして、ありがとうございました。今後の議論の非常に重要な資料になるかというふうに思っておりますので、感謝申し上げたいと思います。

 まず、配当基数が一以上の市と市の合区を認めてもいいんじゃないか、こういう御質問でございます。

 今回の法改正というのは、これまでの公職選挙法は、都道府県会議員選挙については原則法律で選挙区割りを決めていくという立場から考え方を転換いたしまして、選挙区の設定について条例で決めていただくようにしていこう、その趣旨は、地方の自主性を尊重していこう、こういう趣旨でございます。

 今おっしゃった、市と市の合区も認めるべきではないか、例えば、小さな市同士だったら、合区を認めて、そして定数を少しふやした方がいいんじゃないか、こういう御主張だと思います。非常に私は傾聴に値する御意見であると思っております。

 もう一つは、全く逆で、一般市なんだけれども合併等で非常に大きな人口を持った、先ほどの長野市もそうでございますけれども、大きな人口を持った中核市のような一般市がある、そこは定数が多過ぎるじゃないか、地域代表というような性格からは、むしろそこの分区を認めた方がいいんじゃないか、こういう自由度を認めた方がいいんじゃないかという御主張かというふうに存じます。非常に傾聴に値する御意見だというふうに私は思っております。

 ただ、今回の改正は、一度に選挙区割りの自由度を完全に認めていくということにしておらず、一つは、郡という縛りが今までありました、この郡の縛りについて、もう外していきましょう、町村について、隣接の市町村と合併できるように自由にしていこうじゃないですかと、ここは決めました。そして、政令市において、政令市の中の区単位の選挙区という決め方をしているわけでございますが、これについても、二以上であったら自由度を高めましょう、条例で決めてくださいとしました。

 残る問題は、この市の問題なんですね。市の問題については、この立法過程の中で議論は相当ありました。我々提出者の中でも相当議論があったわけでございますが、一つは、余りに自由度を高め過ぎると恣意的な選挙区が設定されてしまわないか、こういう心配、懸念も一方ではありました。

 ただ、今、篠原委員のおっしゃったような御主張も当然あったわけでございまして、これのさらなる、特に市における選挙区設定のさらなる自由化については、今後の状況を見ながらさらに検討していきたい、そういう趣旨で、今回の改正法の附則の第四条のところに、そうした趣旨の規定を設けております。

 附則の第四条では、「都道府県の議会の議員の選挙区の在り方については、この法律の施行後の状況を勘案し、地域の実情や都道府県の自主性に配慮する観点から必要な検討が加えられるものとする。」こういう規定を設けたのは、まさしく、今、篠原委員から指摘があったことを今後のぜひ検討課題にしていこうという趣旨でございます。

 それから、道府県の事務の多くを指定都市が担っているじゃないか、だから、指定都市の中の道府県会議員は定数は少なくてもいいんじゃないか、この御主張も、私も地元が大阪だけに、よく理解できます。大阪市内の府会議員と府下の府会議員との仕事量は多分相当違うだろうという実態は、私もそのとおりだろうなというふうに認識しておりますし、そういう事務量から考えたら、仕事量から考えたら、指定都市内の県会議員については定数を小さくしてもいいんじゃないかという御主張ですよね。

 これも非常に私、一理あるところがあると思うんですが、ただ一方で、県税は誰が負担しているかというと、政令市も政令市外もかかわりなく、皆さん負担をしていただいているわけです。ですから、事務だけでなかなか決められない。住民の声を県政に反映していこうとしたときに、やはり税金も、きちんと政令市の方々は県民税を払っていただいているわけですよね。

 そういう面では、今、篠原委員のおっしゃったとおりにはすぐにはいかないんじゃないか。ただ、議論の余地は私は十分あると思っております。これも今後のぜひ検討課題ということで御理解をいただければというふうに理解をしております。

篠原委員 率直な答弁で、ありがとうございました。

 今お答えいただいたように、いろいろ問題があるんですね。

 一つ、最後に提案させていただきたいと思います。

 我々のこの倫選特は、ちょっと特殊な委員会でして、議員立法が圧倒的に多い。ところが、今、今回のこれもそうですけれども、ここで、この場で議論するというよりも、外での政党間で協議をしている。それから、今、定数の削減とかというのも外の方でもって議論している。

 しかし、それがいけないというわけじゃないですけれども、憲法審査会で、一人一人の意見を言って、国会の議論を活発化するというのは行われているわけです。私は、倫選特も、それで完全に決める必要はないんですけれども、今申し上げたような議論、したがって、提案者と私と、ここで旗を立てて、フラッグを立てて、名札を立てて議論し合うというようなのは、この倫選特に限って言えば、憲法審査会に次いでやってもいいような気がするんです。

 こういった議論の仕方、国会審議の活性化、国会改革というのが今議論されておりますけれども、委員長、引き取っていただいて、理事会等で検討していただけたらということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

保岡委員長 ただいまの篠原孝君の御提案については、後ほどまた理事会で御相談をさせていただきたいと思います。

 次に、西野弘一君。

西野委員 今の最後の御提案、私も個人的にはすごく同感で、この法案を見せていただいて、できれば、この委員の皆さん方全員と、憲法審査会のように、自分の名札を立て合っていろいろと率直な意見交換、議論をできたらな、本当に僕もそういうふうに思います。

 きょう、今回法案が出されて、私も国会議員になる前は大阪の府会議員でした、それも大阪市外の仕事量の多い方の議員でしたけれども、隣の浦野委員と全く同期で一緒にやっていました。

 二期目のときに、当時の定数が百十二人から百九人に定数削減をしまして、三期目の選挙のときに、三割の定数削減をしようということで公約にしまして、府会議員選挙では過半数の議席を獲得できましたので、大阪維新の会として、すぐ一カ月後には定数削減に踏み切りました。

 そういう中で、国会の方は、たしか議員定数の削減ということを公約というか、半ば掲げられていたはずなのに、そういった議論が一向に進んでいないというのは本当にじくじたる思いでございますので、ぜひそういう議論も進めなきゃいかぬなと改めて、この法案を見ながら、そういうことを思いました。

 というのも、定数削減をするため、特に、三割削減をしまして、次の統一地方選挙に向けて仲間たちが一生懸命、今、府議会の区割りをやっているんですが、どうしてもその中で、この郡市というところの縛りが邪魔というか、どうも実態に合っていないなという思いがありましたので、今回、この法案を見せていただいて、大きく前進したなという思いで、評価させていただくというか、恐らく、各地方の議会でこういった区割りの議論をされているところは、本当にこの法案というのはありがたいという思いで受けとめられているのではないかなというふうに思っております。

 また、私は、この法案で全て完了、もうこれでいいんだということであれば、まだまだ足りないなというところもあるかなと思っていたんですが、先ほどの質疑でもありましたように、北側先生からも御答弁がありましたが、いやいや、まだまだ附則でしっかりと、またこの後の実態も見て、変えるべきところは変えていくんだということも御答弁いただきましたので、ぜひ、この法律が施行されて、いろいろ、何回か選挙を経て、まだまだこの点を変えていかなければいけないとか出てくれば、大いに議論して変えていければいいかなと思っています。

 そういう中で、私は、都道府県議会議員というのは、やはりその都道府県全てを代表して、県民の皆さん、府民の皆さんを代表する立場であるので、むしろ、今回の法案ではまだ十分ではないんですが、例えば大阪であれば、大阪全圏を一つの選挙区にして大選挙区で選挙をやるというのも一つの考え方だと思います。

 また、先ほど長野市の話がありましたけれども、私も学生時分にスキーの大会に出ておりまして、戸隠スキー場というところが大会の場所でありましたので、年に一回は必ず行っていたんですが、確かに、先ほどの質疑にありましたけれども、旧の長野市街と旧の戸隠村というと全く地域事情が違ってくると思いますので、そういう地域事情に応じて、一つの市であっても、むしろその区割りを分割できるようなことというものも大いに検討するべきではないかなというふうに思っております。

 要するに、今回は一定のルール、縛りが外されましたけれども、では完全に自由に都道府県が区割りを設定できるかというところまではまだまだ行っていないわけでありまして、そのあたりの点について再度確認をさせていただきたいんですが、今後、そういった大選挙区とか、一つの市を何分割かするかということも含めて検討をしていくことも視野に入れた法案になっているんでしょうか。確認でお願いします。

大口議員 西野先生、大阪で頑張っていただいていることは、お父さんのお姿を見ても伺っております。

 実は、一つは、この政令市を幾つ以上に分けたらいいのかということで悩みました。

 それで、先生がおっしゃったように、政令市を丸ごと一区ということも、それは考えられなくはないんです。ただ、政令市には、横浜市のように三百六十九万人のところもあれば、岡山市のように七十一万人のところもあるんです。余り大きくなり過ぎた場合、やはり恣意的な区割りになるのではないか、こういうお話もありました。

 そしてまた、政令市というのは、行政区は一応二つ以上というふうになっているんですね。これは、地方自治法の二百五十二条の二十です。そういうこともありまして、できるだけ政令市については選挙区の区割りを自由にするということは大事にしながらも、二つ以上ということを今回決めさせていただいたということでございます。

 また、篠原先生の長野市の件は、先生から個人的にもいろいろと御教示いただきまして、確かに、うなずけるな、こういうふうに思うわけでありますが、いずれにしましても、今回は、郡の縛りを外して、町村については自由に合区できるようにしよう、ただ、市につきましては現状のまま、そして政令市につきましても二つ以上という形で、かなり自由度を実現できるようにさせていただいたということでございます。

 いずれにしましても、地方分権という観点からいえば、やはり都道府県議会の条例で選挙区を決めていただくというのは、これは都道府県議長会の平成二十一年からの緊急要望、そして今回の要望もございますから、何としてもこの要望に応えなきゃいけない。

 しかし、一挙に全てということになりますと、いろいろとハードルがあるということでございまして、まず郡の縛りを外すべしというこの議長会の御意見、そしてまた、政令市におきまして、やはり一人区が相当ふえていきますので、一票の格差という問題も出てきます。そういうこともありまして、この改革をさせていただいたということでございます。

西野委員 そのとおりだとは思うんですが、ただ、今、市、町、村、市町村というふうに一応名前は区別されていますけれども、実際、町村でも、市と同じぐらいの人口というか、市のいわゆる構成要件、人口要件を十分満たしているところもたくさんあると思いますし、そういう中で、あえて市と町村を区別されたというところは、どういった理由で区別されたんでしょうか。

うえの議員 先ほど来提出者の方から御説明をしているとおりでございますけれども、市につきましては現行どおり、変更をしないという形とさせていただきました。

 一方、先ほど来お話をさせていただいているとおり、郡というのがもはや実体がないということでございますので、町村につきましてはより自由度を高める、そういった観点を踏まえて今回の改正案として取りまとめをさせていただいたわけでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、地方分権をこれから進めていくという観点で、それぞれの都道府県の条例で制定することにしたわけでございますが、今後の検討状況を踏まえて、市あるいは町村の取り扱いについては、さらに検討を加えるような、そういった余地もあろうかと思いますので、当面、郡市の縛りを外すという今回の趣旨には、ぜひ御理解を頂戴したいと思います。

西野委員 本当にそう思うんです。

 例えば、私の選挙区は大阪の東大阪市というところなんですが、府議時代の選挙区も同じ範囲だったんです、東大阪市一市が選挙区で。最初出たときは七人区で、二回目が六人区で、次、統一地方選挙はうちは五人区に減るんです。五人区なんですけれども、五十万都市なんですね。五十万都市を県会議員が、全区を府会議員が回るというのは、政治活動をする上では大変広いなという思いがあります。一方で、大阪市内の一人区なんかですと、本当に小さなエリアで活動されておられて、同じ府会議員でも、エリアの大きさということからすると随分と違いがあるなというふうにも思っていました。

 特に東大阪の場合ですと、昭和四十年代に河内市、枚岡市、布施市という三市が実は合併しまして今の東大阪市になったんですが、むしろ、旧の市のエリアで選挙区を分けて、二人、一人、一人というような区割りがしてもらえたらなということも府会議員時代にはよく思っておりましたので、ぜひそういったこともこれから検討できるようにしていきたいなと思っております。

 あわせて、今回のいろいろな議論が出てきた中で、恐らく、議員の役割というものもこの際いろいろと考えていかぬといかぬと思っているんです。

 これは、衆議院の定数削減のときにもそういった議論はあったと思いますが、例えば、地域要件を厳しくしないと地域の声が人口が多いところばかりに偏る、それは一つの考え方として僕はあると思います。

 一方で、有権者は一人一票持っているわけですから、そういう意味では、人口に比例して配分をしなきゃいけないのではないかという意見もありましたし、それが今は主流というか、そっちの意見だと思っていますけれども、そういう意味でいくと、県会議員、府会議員、都道府県議会議員も、厳格に、同じような、選挙の、例えば、兵庫県は全区を一人区にするんだとか、大阪は大阪府全域で一つの選挙区にするんだとか、そういったことを自由に選べるようにしていく法改正というものも僕は目指すべきなのかなと思ったりもします。

 また、衆議院では、今選挙制度をどうするかということも議論されていますけれども、僕は、もっとこの倫選特で、そういった選挙制度の問題も含めて、これを機に、もっと活発にお互い議論できる環境があったらいいなと思っています。

 個人的な案ですけれども、今、衆議院はまた中選挙区に戻そうかということばかりが出てくるんですけれども、そうではなしに、例えば、小選挙区を残したままで、今の比例区をなくして、比例区の部分を全国区にしまして、個人が小選挙区に立候補した時点で自動的に全国区の名簿にも個人として載る。有権者は、政党を選ぶのではなくて、自分の選挙区で一人、また全国区で一人を選ぶ。全国区は、小選挙区で当選した者は全国区の名簿から外れますけれども、小選挙区で当選した方をその名簿から外して、全国区で得票数の多い方から、上から順番に通っていく。

 かつ、全国区だけに出るということはできないようにして、小選挙区での惜敗率が、例えばですけれども五〇パーを切る人も全国区の名簿から外すというようにすれば、いわゆるタレント性だけで通ってくるのはいかがなものか、人気投票はいかぬのじゃないかということも防げると思いますし、また、新人が、小選挙区ですから、必死に頑張って国政に勝ち上がってくるということもできると思います。

 あわせて、国会でしっかりと活動して、そういったことが全国に知られるぐらいの活動をすれば、しょっちゅうしょっちゅう地元に帰って、いわゆるどぶ板をしなくても、十分国会の活動だけで当選してくることができるというような制度はどうなのかなと思ったりもしています。

 そういったことをなかなか、党内ではもちろん議論できるんですけれども、他党の皆さんとこういう国会という公の場で議論する機会がなかなかないというのも残念だなというふうに思っておりますので、ぜひまたそういった機会もつくっていただけたらということもお願いをしたいなと思っております。

 そういう中で、今回こうやって議員提案で法律を出されて、ちょうど議長会が提案されたときには私も当然府議だったわけでありますから、そのときに、ああ、なかなかあの国会は前に行かぬものやなというふうに思っておりましたけれども、先生方にいろいろと御尽力いただいてこの法案を出していただいたということは、本当に評価をするところであります。

 もう少し時間がありますので、続けてまた質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、政令市については、行政区が二つ以上という規定があるのでということでありました。衆議院の選挙区で一つの区が二つに分かれている場合は選挙区を分けることができるというふうな規定も設けられたと思うんですが、先ほどの御答弁とそこは、行政区が二つ以上あるので政令市は二つ以上に選挙区を分けなければいけないという御答弁からすると、何かその整合性というのは合わないような、行政区の数で選挙区の根拠にされているというところはちょっと合わないような気もするんですが、その点についてはいかがですか。

大口議員 政令市につきましては、行政区を基準にしないということがまず基本にあります。

 政令市の行政区というのは、議会もございませんので、独立した自治体ではないという点では、行政上の便宜ということでつくられたものと思います。ですから、そういう点では、行政区というものを基準にしないで、二つ以上で区割りをすればいい、こういうことなんですね。

 ただ、なぜ二つ以上にしたのか、一つではなくて二つなのかという場合に、そういうことも参考にしたということであって、政令指定都市において行政区を基準にするということは合理性がないというのが基本にはございます。

西野委員 その点については、また施行後もいろいろと議論をさせていただけたらと思っています。

 少し確認したいんですが、今回、選挙区の設定のルールの規定の中で、町村はいわゆる配当基数にかかわらず合区できるということでよろしいんでしょうかということが一点。あわせて、何度も確認しておりますけれども、いわゆる政令市は、二つ以上の選挙区を設定すれば、その配当基数にかかわらず自由に合区できるということでよろしいんでしょうか。その点と、この条文からどのように読めばそう読めるのかということをちょっと説明いただきたいと思います。

うえの議員 町村につきましては、基本的に、配当基数にかかわらず自由に合区等ができるというわけでございます。

 条文につきまして、ちょっと確認させてください。

北側議員 今回の改正法の十五条の一項に、「都道府県の議会の議員の選挙区は、一の市の区域、一の市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域又は隣接する町村の区域を合わせた区域のいずれかによることを基本とし、条例で定める。」というふうに書いてございますので、この三つの場合、一の市の区域、一の市の区域と隣接する町村の区域、それから隣接する町村の区域を合わせた区域、この三つを基本として、条例で、各県議会で議論していただいて定めてくださいと。

 その例外としては、この二項に、これはもともとあった規定ではございますが、議員一人当たり人口が半数以下の場合は強制合区、半数以上で一以下の場合は任意合区という形で、これもそれぞれ条例で定めてくださいねという規定がございますが、この強制合区のところが例外でございまして、あとは、条例で、議員一人当たりの人口が幾らであるかということにかかわらず、配当基数にかかわらず合区をすることは認められる、条例でできるということでございます。

西野委員 実は、この質疑をするときに説明をいただいたときにも、そのあたりのところが読みにくいのかなと。恐らく、十五条の三のところに、一の市というふうになっているので、それ以外の町村はこの三項の規定には入ってこないのかな、今の説明にもありましたけれども、そういうことなのかなというふうに思いましたけれども、少し何か読みづらいなと思いました。

 あわせて、御答弁いただきたいのは、いわゆる十五条の九項をもって、一つの政令市の中に二つ以上の選挙区を設けなければいけないというふうにしていると思うんですが、その中で、ここから配当基数にかかわらずということを読んでいくのかなと思うんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。確認でお願いします。

北側議員 そういうことで結構でございます。

西野委員 恐らく、この十五条の九項をすっと読んだだけでは、政令市は配当基数にかかわらず合区できるというふうにはやはり読みづらいと思うんですけれども、そういう議論はこの法案をつくっていかれる中でもなかったんでしょうか。

大口議員 政令指定都市は、行政区の区を基準にしていたわけですね。しかし、何回も言いますが、行政区の区というのは、議会もないわけでありまして、独立した地公体ではないということで、むしろ、行政区というものを基準にすること自体、よしにしよう、なしにしようということで、では、政令市を丸ごと一つの選挙区ということも考えられるわけでありますけれども、そこは都道府県議会の条例でもって、都道府県議会の議員さんたちに自主的に、政令市において二つ以上の選挙区であれば結構ですよということでございます。

 配当基数云々の問題ではなくて、政令市をどういう形に分けるかというときに、行政区というものを基準にしない、二つ以上の選挙区に分けていただければ結構ですよ、そういう意味でございます。

西野委員 もう最後にしますけれども、何度も繰り返しますけれども、地方分権の時代にあって、この法案の趣旨も、恐らく、地方のことは地方で決めるようにした方がいいと。選挙というのは、民主主義の一番根幹の部分にかかわってくるわけであります。当たり前の話ですけれども、この制度をどういうふうにつくっていくのかということが地方に本当に完全に委ねられれば、それこそがまさに地方分権を加速させることにも大きくつながってくることだというふうに思っております。この法案も、その方向に向けて大きく前進するものだというふうに思っておりますので、大変評価させていただきます。

 引き続き、今附則にも書いていただいているとおり、この法律が施行後も、その状況を見ていろいろな議論をする機会をつくっていただいて、活発に我々が議論する中で、そのときそのときの時代の状況に合った法律に変えていかなければいけないなということの思いを皆さん方と共有させていただいて、質問とかえさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

保岡委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 早速ですが、この法案の成立によるメリットを最初に、いま一度簡単に確認をさせていただきたいと思いますので、提案者に簡潔に答弁をお願いいたします。

大口議員 井出議員の御質問にお答えしたいと思います。

 まず、都道府県議会の選挙区、これを法律で決める、この国会が決めるのではなくて、やはり都道府県の議会でもって決めていただく、それは条例で決めていただくということが地方分権という流れからいって極めて大事である。そして、そのことにつきまして、全国都道府県議長会も、平成二十一年に緊急要望があり、そして、今回、この今の法案を早く成立するように、こういう要望がありました。第二十九次地方制度調査会で、定数の上限につきまして、これは法律では決めないという流れの一環としてこういう形にさせていただいたということでございます。それが一点です。

 また、郡というものが、独立した地方自治体としてはもうないわけでございます、廃止された。そしてまた、合併等が進んでおりますので、また、いろいろの経済社会上の変化もあって、郡というものが行政単位として実質がなく、そういう点では、これを基準にすることは実態から外れる、こういうこともあって、郡というものを外す。そうしますと、その郡の中にある町村、これは、町村が郡を越えて、合併も、隣接をすることによってできる。郡の場合、飛び地になっている場合は、現状のままでもよろしいんですけれども。

 そして、政令指定都市におきましては、これまで行政区が単位になっていましたが、しかし、何回も申し上げましたとおり、行政区というのは、一個の独立した自治体ではないわけですね。そういう点では、政令市として二つ以上選挙区をつくっていただければ、これはもう都道府県議会において自由につくっていただくということで、自由度を増すということになった。

 ただ、市については現状どおりといたしまして、〇・五未満につきましては強制合区、〇・五から一までの基数につきましては任意合区という形で制限というものは維持させていただいた、こういうことでございます。

井出委員 そうしましたら、次に、この法律が成立した後にまた、新しいその制度を開始していくに当たっていろいろ課題があるかと思いますが、成立後に想定される、残されている課題について、提案者に伺います。

大口議員 今、全国の都道府県議長会からは、とにかくこの法案をこの臨時国会で成立させるようにと強い要望がございます。

 それは、次回の平成二十七年の統一地方選挙からの施行ということを念頭に置いて、今、施行期日は平成二十七年三月一日としているわけでございます。それまでに、全ての都道府県において、施行期日に間に合うように全選挙区の名称、区域、定数を条例で規定しておく必要があるということでございますので、今、各都道府県議会においては、この条例の整備までに検討していただく時間をなるべく長く確保してもらいたい、こういうことで、この臨時国会で早い時期に本改正案を成立するようにということで要望していただいておるわけでございます。

 こういうことで、このスケジュール感ということを念頭に置いてやっていかなければいけない、そういうふうに思っております。

井出委員 今回の法制定によって、法案の趣旨説明にもありましたが、全国的に守られるべきルールを明らかにした上で、そこを一定程度、明らかにされたということだと思うんですが、ほかの委員からもありましたが、市についてはこれからどうしていくのか。

 附則の四条にはそういった検討が盛り込まれておりますが、ただ、この附則を見る限り、ちょっと、すぐに市という表現ぶりにはなっていないかなとも思いますし、また、先ほど篠原委員の方から、こうした問題はもっとこの場で、そういう技術的なものであればもっと総務省発信でというようなお話もありましたが、地方選の枠組みというものにこれから国というものがどのようにかかわっていったらいいとお考えなのか、そこの所見を伺いたいのですが、提案者、お願いいたします。

大口議員 先生おっしゃったように、やはり地方選挙の枠組みというものについて国がどこまで関与するのか、こういう問題がございます。

 地方分権の精神からいけば、都道府県議会の選挙区の設定については、もっと自由度を増すべきじゃないかという御意見もあるんです。ただ、全国都道府県議会の議長の皆様も、やはり全国の統一のルールということも求めておられたわけであります。

 ですから、自由にやるという地方分権の要請、これは非常に大事にしなければいけませんし、やはりそういう点では、それをもっと広げていかなきゃいけない、こう思うわけです。ただ、やはり、余り自由度が高過ぎると、都道府県議会の勢力の状況にもよりますが、恣意的な選挙区が設定されるのではないか。もちろん、県民の皆さんが、都道府県民の皆さんが監視しておりますから、そこは信頼をすべきだとは思いますけれども。

 ただ、そういう点では、一気に自由度を高めるということに対して、地域の代表性の確保ですとか、あるいは恣意的な選挙区設定の防止というようなもののバランスを考えて、今回は、まずは突破口を開くということでこういう形にさせていただきました。

 そして、全国都道府県議長会でも、全国統一の一定のルールということもその要望書の中に書かれていましたものですから、それも酌みまして、こういう形でスタートさせていただきたいな、こういうふうに思っておるところでございます。

井出委員 今、自由度を、地方分権を進めていく、その中で恣意的なものにならないように、その両面からのお話がありました。

 自由度を進めていくという意味において、今回、郡という突破口を開いたと。郡の実体がないと言われると、私の地元は非常に郡、郡に愛着のあるところですので、いささか複雑な心境なんですが。

 突破口を開いたのであれば、当然、市の方も検討を急がなきゃいけないと思うんですが、これまた要望を待ってやるという問題ではないかと思いますが、そのあたりの、市についての検討というのを今どのぐらいの御決意で取り組まれるおつもりなのか、一言だけ、もう一回御答弁をいただければと思います。

大口議員 まずは、郡の縛りを外して、町村についてはある意味では制約なしに、こういう形で進めていく、そういう状況を見させていただいたり、あるいは、政令市において二つ以上の選挙区であればいいという形で、これもこれから実施をするという状況を見ながら、市につきましても、これは多分いろいろな御意見があると思います。実際、これからこの法律が動き出しましたらいろいろな御意見があります。そういうものをしっかりと踏まえながら、しっかり議論をしていかなきゃいけないな、こういうふうに思っております。

井出委員 一方で、恣意的なものになってはいけない、そこの部分も多くの人が思いを共有するところだと思いますが、それを突き詰めていくと、最低限恣意的にならないための統一の選挙のルールの一つに考えられるのは、やはり一人一票というところにどれだけ挑戦していくかということになると思います。

 国政選挙においても、その議論がまだ全く不十分である、国民からも司法からもそういう声を我々は突きつけられている状況ですが、地方の一人一票に対する取り組み状況というのもこれまたかなり難しく、複雑なものだと私も承知はしておりますが、一人一票という難しい、それでもその統一の基準に向けて、国そして地方の問題についてどうお考えか、御所見を伺います。

大口議員 やはり一票の格差というものを是正していくというのが、これは国政であっても、また地方の政治であってもしっかりやっていかなきゃいけない、こういうふうには思います。

 ですから、政令市の場合、大阪を例に見ましても、一人区がこのままいきますと相当多くなるわけでございます。一人区が多くなるということは、やはり一票の格差が相当広がってきます。ですから、この格差を是正するという面におきましても、今回の法律を通させていただければ、それを是正する一つの前進にはなるんじゃないかなと思うわけであります。

 いずれにしましても、そういうことは大事でありますけれども、最高裁の過去の判決で見ますと、その人口が議員一人当たりの人口の半数をわずかに上回る選挙区と、その人口が議員一人当たりの人口をかなり上回る選挙区について、定数が一ずつあるとした場合に、格差が一対三程度生じ得る、こういうことは理論上考えられるわけであります。

 このように、特例の選挙区というのがありますよね、これを除く格差が一対三程度となる事態が生じるということは、この改正案においてもそこは変わらないと思いますが、その上で、この一票の格差の是正について、地域的なまとまりを勘案した選挙区の設定や、あるいは地域代表の確保という要請との均衡を図りながら考えていかなきゃいけないと思っています。

 市について言えば、強制合区あるいは任意合区という縛りがあるし、十五条の八項には、議会の定数について人口に比例して条例で定めなきゃいけないと。各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議会の議員の数は、人口に比例して、条例で定めなきゃいけないと。ただし、特別な事情があるときは、おおむね人口を基準として、地域間の均衡を考慮して定めることができるということで、先生がおっしゃるように、やはり、人口に比例するということはこの公選法においても書かれているわけでございますけれども、今申し上げましたように、そういう地域の代表という要請と人口の比例ということを、調和をとりながらやっていかなきゃいけないな、こう思っています。

井出委員 一人一票というのが、地域性ですとかいろいろ難しい課題であるということは私もよくわかっておりますが、まず、国政での取り組みを我々が、この委員会がしっかりと果たしていって、また、地方に対しても、議論をやっていけるように、この委員会、私もまた引き続きやらせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、議論の前提として確認をしておきたいことは、民意の正確な反映ということが基本だということでございます。

 地方自治にとって、住民の意思を反映させるというのは極めて大切であって、中心的役割を果たすのは地方議員であります。何人の議員をどのように選ぶか、どのような議会をつくるか、これは民主主義の基本が試される問題であります。基本的には、議会というのは、住民と密着して、地域住民の意思を十分に反映されるというものでなければならないと思いますし、そのためには一定の議員数が必要だと思います。

 まず、この基本点を確認しておきたいと思います。

北側議員 そのとおりだと思います。

佐々木(憲)委員 ところが、この間、都道府県議会議員の定数が相当削減されてまいりまして、確認をしておきたいのは、一九九五年末と二〇一二年末、直近の都道府県議会の議員の定数、これはどうなっているか、総務省にお伺いしたいと思います。

安田政府参考人 一九九五年、平成七年と二〇一二年、平成二十四年の十二月三十一日現在の都道府県議会議員の定数のそれぞれの合計でございますが、一九九五年、平成七年は二千九百四十一人、二〇一二年、平成二十四年は二千七百三十五人となっております。

佐々木(憲)委員 この数字は、定数が二百六マイナスになっているんですね。比率では七%削減をされております。

 別に都道府県が合併したわけではありませんし、四十七都道府県、数は同じであります。逆に、人口は九五年と比べてふえておりまして、議員の数がどんどん減っている。これは、やはり私は問題だと思うんですよ。減ればいいというものではなくて、やはり地元とのパイプがそれだけ細くなる、こういうことであります。

 二〇一一年に地方自治法改定が行われまして、議員定数の法定上限が撤廃されたわけです。法定上限というのは、自治体の議員定数の目安となっていたものであります。これを撤廃したことによって、定数削減に目安がなくなって、歯どめがきかなくなっているのではないか、我々はそのように見ております。

 そこでお聞きしたいのは、この法案で、都道府県で選挙区割りの条例が策定されることになりますけれども、その過程の中で、区割りと同時に定数削減もまた盛り込まれていくという可能性はあると思いますね。法案の中に、議員定数削減に歯どめをかける、そういう条項はあるのかどうか、これを確認しておきたいと思います。

北側議員 ございません。

佐々木(憲)委員 私は、これは非常に残念な内容だと思っておりまして、民意の反映ということを考えますと、数を減らすことに何らかの歯どめが必要だというふうに思っております。

 今回の法案で、今度は巨大な選挙区ができる、巨大というか大きな選挙区ができる、それが可能になりますけれども、そのことによってどういう効果があるか、まず確認をしておきたいと思います。

北側議員 今回の法改正によって直ちに巨大な選挙区が生まれるとは認識をしておりません。地方の都道府県議会の自由度、選挙区の区割りの自由度を高めたということでございます。

 その区割り、選挙区をどの程度の地域にしていくのかということは、あくまでこれは各条例で、県議会の条例で決めることであるというふうに思います。

佐々木(憲)委員 現状でも定数が減っていまして、また、選挙区が小さくなってきている。こういうことによって一人区の選挙区が大変多くなっているんですね。これは、民意の反映には大変マイナスだと私は思っております。一人区での選挙は死に票が多くて民意がなかなか反映しにくい。

 しかし、例えば、一人区と一人区の選挙区が、今度は一緒になった、こうしますね。そうなったからといって、これは二人区になるとは限らないんです。それは、そこの自治体の判断といいますか、議会の判断だと思いますけれども、条例によって決められるわけですね。法定上限もないわけですから、区割り作業と同時に定数削減の可能性も生まれる。つまり、一人区と一人区が一緒になって二人区になるのではなく、一緒にして一人区にしてしまうというふうになると、これは半分に減っちゃうわけですね、定数は。そういう可能性があるので、それを非常に私は危惧しているわけでございます。

 今回の改定で一人区がさらにふえるという可能性は否定できないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

北側議員 先ほど篠原委員から出された資料でもおわかりのとおり、政令市になって、逆に、行政区単位で選挙区を規定しましたから、一人区がふえてしまった、こういうところが多いわけなんです。そういう意味では、今回の改正は、政令市においては、政令市全体の中で二以上の選挙区であればいいよということでございまして、逆に一人区は減る方向に働くのではないかというふうに私は認識をしております。

 それから、先ほど来委員がおっしゃっている定数の削減の問題ですが、確かにこれは大事な論点だと思います。県会議員選挙でどの程度の定数が適切なのかというのは非常に重要な論点であると思いますが、今回の改正とこの定数の削減とは全く無関係でございまして、今回はあくまで、これまで原則は法律で全て選挙区というのを決めていたのを、これをできるだけ条例にお任せしましょうというのが改正の一番のポイントでございます。

佐々木(憲)委員 一人区と一人区を一緒にして二人区になるから一人区が減るという可能性もあるという答弁でしたね。それは、定数が同じであればそういう可能性もありますけれども、定数が減らされる可能性ももう一方でありますので、これは、地域的に言いますと、一人区が地域的に広がっていく、そういう可能性もありますので、そこは必ずしも今説明されたとおりだとは私は思っておりません。

 それから、もう一つは、定数削減はこの法律とは関係ない、確かにそのとおりです。ただ、問題は、定数削減をより一層行う可能性につながる面もあるという点です。つまり、一人区と一人区で、そのままであれば二人ですけれども、一緒にして、二人のところを一人にしちゃえば、これは定数削減と小選挙区がまたできるということになりますから、これは非常にマイナス、以前よりは議員の数が減るという点でマイナスだというふうに私は思うんですね。

 それから、もう一点は、今までも議論が若干あったかもしれませんが、地域代表の面、これは私、地方選挙の場合は非常に大切な観点だと思います。

 この間、面積は大きいけれども過疎化のために人口が減少して、一郡一町村の自治体がふえたり、単独で選挙区を維持できずに近隣市に合区されるということで、人口が少ない地域から代表を選出できない状態というのが生まれてくるという事例があります。

 例えば愛知県でいいますと、新城市及び北設楽郡選挙区は、面積は県全体の二〇%もあるわけです、大変大きい。しかし、人口は県全体の一%に満たないわけです。広大な面積があるにもかかわらず定数一で、過疎地域からの議員選出が非常に困難になっているわけですね。

 同じようなことはほかの地域でも見られるわけでありまして、大きな選挙区になることによって地域との関係が希薄になる、そういう可能性も生まれるのではないかなというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

北側議員 これも、先ほど篠原委員から出た資料の長野市の例なんか、非常に典型的だと思います。長野市が合併することによって旧町村からの代表が長野県議会に出なくなったというお話であったかと思います。

 だから、今委員の御指摘のあったことは、都道府県議会の場合は、一つはやはり地域代表という性格が大変大きいと思いますから、そういう面でいかがなものかという御主張だというふうに理解します。

 これについては、例えば長野市の中で、これは将来の課題ですが、今は市の縛りがまだ残ったままなんですね、この市の縛りを将来外して、一つの大きな市の中で選挙区を幾つかつくるというふうなことができれば、今のような問題も解決できる方策が生まれてくるわけでございます。

 これは、今回の改正案には入っておりませんが、附則四条で書いておりまして、将来の課題として、ぜひ検討事項の一つとして考えていきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 市町村合併との関係の問題について考えたいと思いますけれども、今まで市町村合併は相当進んでまいりまして、自治体の数が非常に減りました。しかし、地域が非常に広くなって、役場が目の前にあったのがなくなってしまって、非常に遠いところに行かなければならない、過疎の地域の方々にとっては非常にサービスが低下する、こういう問題が起こってきたわけです。

 私どもも、この合併の問題については、住民サービスという観点からいうとマイナスが多いんじゃないかということで、かなり地方議会でも発言をしてまいりました。

 今回の、選挙区の合区を可能とする案は、合併した地域に、今度は選挙区の方を合わせて大きくするということが可能になる。そういうふうになりますと、例えば、今まで町村から県に議員がいたのに、合併して地元代表がいなくなった、そういうことも生まれる。

 それから、もう一つは、まだ合併はしたくないという自治体もあるわけですね。しかし、この法律が実行されますと、いや、合併したくないというところも、県で、この地域は一緒に選挙区としてはまとめた方がいい、こういうことになりますから、そうしますと、しようがない、それに合わせて合併という方向をもっと今度は考えようかというような話にもなりかねないので、逆に、合併を加速することになるんじゃないかという面も出てくる可能性もある。

 この点についてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

北側議員 今回の法律改正案は、先ほどの定数削減の問題も同様ですが、市町村の合併の問題について何も書いておりません。それについては全く中立でございます。

 市町村合併を進めるかどうかというのは、これはあくまで地元の市町村が、それぞれの議会がやはり判断をしていくべき事柄でございまして、いずれにしましても、今回の法改正とは関係はないというふうに思います。

佐々木(憲)委員 確かに、法案の中にそれを書いているわけじゃありませんから。ただ、問題は、客観的な状況の変化というものがあって、法律が出てくるわけですから、その法律が実態との関係でどう作用するか、これはやはり考えていかなければならないことだというふうに思います。

 以上の点を指摘して、質問を終わらせていただきます。

保岡委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 この改正案の最後の質問者になりますが、これまでの質問と重なる部分もあるかと思いますが、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

 今さらではありますが、地域住民の直接選挙によって選出される地方議会は、複数の代表によって構成される合議制をとっていますから、審議の場においては、住民からの多様な意見を出し合って審議を図ることによって合意形成を図っていくということがまず本旨だと思います。そして、いわゆるチェック機能というような、行政施策のチェック機能を果たすとともに、その地域にとって必要な政策の決定をしていくということを考えると、やはり、的確に判断する、地域のさまざまな事情も踏まえて、議員の方々がそこで発言をし、意見を形成していくという形になるかと思います。

 きょうは、この法案については、改正の概要の中でも六つのポイントにおいて、こういう形でやろうということで、ある一定のルールをしっかり明らかにしてつくっていこうということではありますが、私は、今回の改正のみならず、今後の地方議会の方向性も含めてぜひ答弁をいただければと思いまして質問通告をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 最初の質問ですが、今回の改正によって、これまで公選法で郡市の区域と定められていた選挙区が、これからは都道府県の条例によって個別に定めることが可能となります。これは、言うなれば、これまでも各委員からありましたとおり、地方分権の流れをしっかり踏まえていくということになろうかと思います。

 そこで、全国一律の制度から都道府県の条例に委ねることとなった点について、まず、選挙等における住民への便宜がどのように図られ、あるいは向上されるものと思われるでしょうか、答弁をお願いします。

うえの議員 委員御指摘のとおりでございまして、本法案につきましては、一定のルールのもとで、都道府県議会議員の選挙区の設定を条例で決めることができるという形に変えております。そういった意味では、委員がお話しになられたとおり、自由度を高めるというようなことにつながるわけでございます。

 その中で、郡としての制約をなくすということでございますが、これは、先ほど来いろいろな議論がありますけれども、もはや郡として実質的な意味合い、実体というのが相当程度薄れている、そういう状況を踏まえて、郡の制約を外して、町村につきましてはより自由な形で選挙区設定ができるように変更しているものでございます。

 そうした郡という制約をとることによって、より住民の生活に身近な選挙区の設定であったり実態に応じた選挙区の設定が可能になる、そういった意味で、住民の声がより県政に伝わりやすくなるのではないか、そのように考えているところでございます。

玉城委員 やはり、住民の声が伝わりやすくなるということが大きな眼目であるということは疑いの余地はないところであります。

 では、今回、県が条例によって区割りができるというふうになった場合に、ここからはいろいろな想定も含めての質問になるかと思いますが、人口が議員一人当たりに達していない町村が飛び地で合区することは可能でしょうか。

うえの議員 本改正案におきましては、選挙区につきましては、一の市の区域、あるいは一の市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域、それから隣接する町村の区域を合わせた区域のいずれかによるということを基本としておりますので、今委員御指摘のような飛び地につきまして、新たな選挙区を設定するということはできないわけでございます。

 ただ、現行、分断されているような場合について、それを維持しようという場合については、経過措置として、現状維持を可能としているところでございます。

玉城委員 実は、私の選挙区を例にとりますと、国頭郡区というところがございまして、この国頭郡区が二町九村あるわけですね。間に名護市がありまして、そしてうるま市、沖縄市というふうにあるんですが、この二町九村のうち、実は三つは離島で、一島一村になっております。

 そういう関係から考えますと、こういうふうな郡区の区割りが将来見直されるということは、その郡区をさらに区割りすることによって、周辺市町村との協力になるか、あるいは、その地域の特性を生かした、そういう声が行政あるいは議会に反映されるような県議会議員選挙になれば、地域住民の皆さんの関心も今以上に高くなっていくのではないかと思います。

 ここで質問ですが、例えば、交通手段あるいは地理的条件、この場合は地続きの場合を想定していただきたいと思います。この地理的条件というのは、面積の広さもそうですが、施設の公共性、みんなで使える施設はやはりみんなでつくるということと、それから維持をするということ、それから、当然ですが住民サービスの共通性、そういうことを考えると、交通手段や地理的条件などを考慮した場合には、県議会の議員定数を変更しない範囲において合区することは可能でしょうか。

うえの議員 御案内のとおりでございますが、今回の改正案につきましては、選挙区設定のルールを定めさせていただくものでございまして、定数については特に変更するものではございません。

 御案内のとおり、本改正案では、都道府県議会議員の選挙区につきましては、定数の増減とは関係なく、一の市の区域等々の三つのパターンを基本として条例で定めるということとさせていただいているとおりでございます。

 でございますので、合区に関しましては、基本的には定数の増減とはまた別の議論として御理解をいただきたいというふうに思っているところであります。

玉城委員 ありがとうございます。

 今度は、沖縄は離島もありますので、その離島を踏まえた選挙区の区割りについてぜひ御質問をいたしたいと思います。

 沖縄に例えて申しわけないんですが、沖縄の本島、県都は那覇市でございます。那覇市は十一の議員の定数がありますが、その那覇市から離れたところではあるんですが、久米島が、二町が合併して、今、久米島町という一つの島、一つの町になっているんですね。

 この久米島町は、実は島尻郡区になっておりまして、那覇と一緒の選挙区ではございません。ところが、他方、沖縄本島の国頭郡、私の選挙区に伊平屋島、伊是名島というところがあるんですが、ここは実は島尻郡区なんですが、選挙は国頭郡区と一緒に行っております。ですから、非常におもしろいというか、そういうことが考慮されているのかなというふうに思うんです。

 実は、この久米島の皆さんの多くの方々は那覇市に出ておりまして、久米島の郷友会の方々が多く那覇市に今住まいを持っていらっしゃるということもあって、久米島の方々からは、ぜひ、島尻郡区ではなくて那覇市と選挙区を合併させて、議員の定数は変えなくても、より多く島の人たちが住まいを構えている地域と一緒に選挙ができれば非常にありがたいという声がこれまでもございました。

 そこで、先ほどは地続きで話をさせていただいたんですが、今度は、交通手段や地勢的な条件の海域等を隔てて、それらを考慮して、議会の定数を変更しない場合に、この区域を合わせるということは可能でしょうか。

うえの議員 いろいろな実例があるということを御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 沖縄県の例につきまして特段言及をするわけではございませんが、一般論といたしまして、海域を越えている島部の市町村につきましても、交通手段あるいは地勢的な条件等々を考慮いたしまして、常識の範囲であれば、陸部と申しますか本島になるんでしょうかの市町村やほかの島部の市町村と隣接しているというような判断ができる場合もあろうかと思いますので、そこはそれぞれの実態に応じて各都道府県なりに御判断をいただけるものだと思っています。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさに、都道府県がそれぞれの地域の皆さんの暮らしあるいはその利便性においてこれからは話し合って決めていくことができるというのは、今回の法改正は、実は、まれに見るといいますか画期的といいますか、私たちから見ると、本当にこういうふうに公選法がより多くの住民の声を反映させていくということであれば、衆議院、参議院におけるそれぞれの選挙区制度の問題に関しても、やはり忌憚のない意見を寄せて、そこで党利党略を超えた、この委員会あるいはまた各党協議会なども、闊達に議論をしていくそういう場として醸成できるのではないかというふうに思う次第であります。

 最後に、ではあと一つ、これもまた今回の公選法の一部改正ではできないのかもしれないんですが、こういうふうなこともまたこれからの課題としてぜひ考えていただきたいということで、質問したいと思います。

 人口が減少している地域、山間部、あるいは離島もそうなんですが、高齢化が著しい地区などの住民意見を議会に反映させるために、例えば、議員一人当たりの人口に達している市の市域の選挙区を今度は区割りして、その選挙区、市区の持っている定数の範囲内で特定地域と合わせて選挙区をつくるということは可能でしょうか。

うえの議員 現行といいますか、この改正案におきましても、一般の市の区域を分割して選挙区設定をするということはできないものとしております。

 ただ、今後、今御指摘のあったような議論というのは十分にあり得るだろうというふうに思っておりまして、そうした意味合いも含めまして、本改正案の附則第四条におきましては、検討事項というような項目を起こさせていただいているところでございます。

 ただ一方で、それぞれの市の都道府県議会議員選挙の大原則といいますか、地域代表制というような意味合いも当然あるわけでございますから、今後、その点も含めたより慎重な議論、検討というのは必要だろうというふうに思っています。

 以上です。

玉城委員 真摯な御答弁、ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。ニフェーデービタン。

保岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、都道府県議会議員の選挙区に係る公職選挙法の一部改正案に対し、討論を行います。

 現在、地勢的にも巨大な市が誕生し、面積は大きいが過疎化のため人口が減少したり、一郡一町村の自治体がふえたり、単独で選挙区を維持できず近隣市に合区されるなど、人口が少ない地域から代表を選出できない状況が生じています。また、都市部と過疎地の人口格差が大きな県では、都市部は十人以上の大選挙区になる一方、過疎地は一人区というように、小選挙区と大選挙区が混合している県もあります。

 本案は、郡市による選挙区設定がいびつになっている現状を解消しようというものであります。しかし、そもそもの根本問題は、市町村合併と議員定数削減にあります。

 市町村合併について、我が党はこれまでも、住民と行政が遠くなる、パイプが細くなるなど、住民サービスの低下、弊害について批判してまいりました。本案のように、市町村合併が進んだことに選挙区を合わせようというやり方には同意できません。

 また、現在、合併していない自治体、合併を拒否してきた自治体も、選挙区の合区を促進することで、市町村合併の方向に行かざるを得なくなるのではないかと危惧しております。

 地方自治にとって、住民の意思を自治体に反映させることは極めて重要であります。その中心的役割を果たすのが地方議員です。都道府県議員は、地域代表としての役割もあります。選挙区を広げることは、住民との関係を希薄にし、地域代表としての都道府県議会議員の性格を否定することにつながりかねません。これに議員定数削減が加われば、地域代表の役割に逆行することにもなります。

 この間、都道府県議会議員の定数は大幅に削減されてまいりました。また、二〇一一年の地方自治法改定によって、少なくとも自治体の議員定数の目安となっていた法定上限を撤廃したことで、歯どめのない削減に拍車をかけることになっております。

 一定の議員定数があってこそ多様な意見を議会に反映することができるのであり、議員定数削減は、地方自治の面から見ても問題があります。

 さらに、現在、都道府県議会の選挙区で死に票が多く、民意が正確に議会に反映されない一人区がふえていることは問題です。今後、選挙区割りを策定する過程で、議員定数削減を加速し、それと相まって一人区がますますふえることが懸念されます。

 民主主義の根幹である選挙は、議会に民意が正確に反映されることを基本に考えるべきであります。憲法のうたう地方自治に基づき、一定の原理的な考え、議員定数削減に歯どめをかけるようなルールを設けるべきであります。

 以上、本案には問題があり、賛同できないことを述べまして、私の討論を終わります。

保岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 第百八十三回国会、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

保岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十二分散会


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