衆議院

メインへスキップ



第4号 平成27年5月29日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年五月二十九日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 大串 正樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 白須賀貴樹君 理事 田中 良生君

   理事 盛山 正仁君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 浦野 靖人君 理事 佐藤 茂樹君

      井野 俊郎君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      門山 宏哲君    神田 憲次君

      菅家 一郎君    小林 鷹之君

      助田 重義君    辻  清人君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      長坂 康正君    藤井比早之君

      古川  康君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    宮崎 政久君

      武藤 貴也君    山下 貴司君

      岸本 周平君    鈴木 貴子君

      福島 伸享君    宮崎 岳志君

      本村賢太郎君    井出 庸生君

      木下 智彦君    牧  義夫君

      角田 秀穂君    斉藤 和子君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   参考人

   (一般社団法人リビジョン代表理事)

   (ティーンズライツムーブメント発起人)      斎木 陽平君

   参考人

   (政治解説者)      篠原 文也君

   参考人

   (中央大学特任准教授)

   (NPO法人Rights代表理事)

   (一般社団法人生徒会活動支援協会理事長)     高橋 亮平君

   参考人

   (明日の自由を守る若手弁護士の会事務局長)

   (弁護士)        早田由布子君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     辻  清人君

  坂井  学君     牧島かれん君

  若狭  勝君     堀内 詔子君

  後藤 祐一君     鈴木 貴子君

  玉木雄一郎君     本村賢太郎君

  穀田 恵二君     斉藤 和子君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     小田原 潔君

  堀内 詔子君     小林 鷹之君

  牧島かれん君     菅家 一郎君

  鈴木 貴子君     後藤 祐一君

  本村賢太郎君     玉木雄一郎君

  斉藤 和子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     坂井  学君

  小林 鷹之君     若狭  勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公職選挙法等の一部を改正する法律案(船田元君外七名提出、衆法第五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 船田元君外七名提出、公職選挙法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人リビジョン代表理事・ティーンズライツムーブメント発起人斎木陽平君、政治解説者篠原文也君、中央大学特任准教授・NPO法人Rights代表理事・一般社団法人生徒会活動支援協会理事長高橋亮平君及び明日の自由を守る若手弁護士の会事務局長・弁護士早田由布子君に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、斎木参考人、篠原参考人、高橋参考人、早田参考人の順序で、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。

 念のため申し上げますが、発言する際には委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑することはできませんので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。

 それでは、まず斎木参考人にお願いいたします。

斎木参考人 おはようございます。一般社団法人代表理事の斎木陽平と申します。

 現在、慶応義塾大学の大学院修士課程の二年でございまして、年齢は二十三歳でございます。

 このような貴重な機会をいただきまして、本当に皆様に感謝を申し上げたいところでございます。ありがとうございます。

 では、十分という大変短い時間ですので、早速、レジュメをお配りしたのでぜひごらんください。

 我々がやっている活動、ティーンズライツムーブメントというのは、十八歳選挙権の実現を目指した運動でございまして、高校生を中心に、さまざまなシンポジウムをこれまで開催させていただきました。

 少しめくっていただきまして、これまでたくさんの議員の方々に御協力をいただきましたことに改めて感謝申し上げたいですし、そして、まさに、いよいよ十八歳選挙権の実現に向けて今審議なされていることを、本当にうれしく思っております。

 早速本題に入ってまいりたいと思います。四ページをごらんいただきたいと思います。

 最初に申し上げさせていただきたいんですけれども、今法案に対して、私は賛成の立場でございます。十八歳選挙権の実現、主権者教育の実施で、確実な若者の政治への関心、投票率を高める効果が見込めるというふうに思っております。

 このように私が強く確信している理由については、ドイツであるとかオーストリアであるとか、ヨーロッパの先進事例のデータを見ても、十代の投票率というものが高い傾向にあるということがこの図を見ていただいてもわかると思います。

 二十代の投票率、一般的にこのように低い数値になっていく、年齢を重ねるがうちに投票率が上がっていって、若い人はやはり投票率が少ない。二十代の人はなかなか投票に参加してくれないというふうな御意見があると思うんですが、そのまま十代もずるっと下がってしまうのではないかという御意見もあろうかと思います。昨日の議論でも、いろいろな世論調査でそういう、十代がなかなか参加しないのではないかということを皆さんもおっしゃっていたのを、昨日インターネットで拝見しました。

 けれども、十代というのは、親との同居率が高い、そういうことでもありまして、非常に選挙に行きやすいという傾向があるんですね。私も、実は地元が福岡でして、大学で東京に来たんですけれども、住民票がそのままになっていたりして、投票は福岡に行かなきゃいけないとなると、なかなか投票に行きにくい。ですが、十代であれば地元で最初の選挙を迎えることになりますので、投票率が高くなる傾向がある。つまり、最初の選挙というものを、しっかりと投票、選挙権を行使することができるベストタイミングがまさに十八歳選挙ということになるのではないかなというふうに思っております。

 次の五ページを見ていただきたいんですけれども、こちらもオーストリアの事例が出ておりますが、オーストリアでは極めて充実した政治教育がなされております。十代で一度選挙に行く経験をさせることで、政治への参加や興味、関心を強くして、政治的な成熟度を引き上げる効果があるということがこちらでも明確にあります。

 例えば、オーストリアの十六歳、十七歳の政治への関心度、十六歳の政治関心度ですけれども、とても関心があるというのが、実施前の二〇〇四年であれば八・一%であったのが二〇%になっていたり、やや関心ありが二三%から三九%になっていたり。このように、オーストリアでは十六歳の選挙権が一歩先に、まださらに進んで実現されているわけですけれども、やはり選挙権を与えることで成熟した関心というものが高められるということがこちらでも明らかになっている。

 ただ、ポイントといたしましては、やはりオーストリアとかドイツとかでは、高校での政治教育というものがしっかり綿密になされているということがあります。政治活動もかなり自由に認められているような状況があるわけです。

 ですので、皆様のお力によって主権者教育というものを一層推進していただくことが、やはり十代の投票率を確実に高めていくためにも非常に重要なことになってくると思いますので、選挙権だけを成立させてこれで大丈夫だというふうに思わずに、ぜひとも、主権者教育の拡充というところにまで目を見張って、各省庁とも協力しながら、しっかりとした政治教育の拡充をお願いしたいと思います。

 では、次の六ページなんですけれども、なぜ十八歳選挙権にして、そして若者の政治関心を高めて、主権者教育を拡充させて、そして十代、二十代の投票率を上げていくべきかと考えますのは、やはり高齢者世代と若者世代でかなりの、実際の世代別の人口というものを六ページに、私が総務省の統計を参考にして作成させていただきましたが、実際の人口の割合というものと世代別の投票人口、これは、世代別人口に投票率を掛けていくと当然この数値になるんですけれども、実際、六十代、七十代は人口の約三〇%程度にすぎないにもかかわらず、実際の世代別の投票人口に関しては四五%近くまで拡大していくということになってしまっていて、大きなゆがみが生じているのであろうというふうに私は思っています。

 若者世代と高齢者世代の投票率の差、これは七ページなんですけれども、二十代の投票率が三二%、七十歳、六十歳の投票率は、六十歳以上であれば六八%、七十歳以上は五九%であるということで、非常に、投票率の差がやはり実際の人口と投票人口のゆがみを如実に生み出しているというふうに考えております。

 二十代の投票率は、確かに今三二%で、低い数値になっておりますが、これは世界的に見られる現象でございまして、何も日本だけに限った特有の現象ではございません。加齢効果というふうに申すんですけれども、年齢を重ねるがごとにやはりいろいろな社会経験を積んでいって、投票率というのは上がっていくわけですね。これはやはりいたし方ない部分がありまして、選挙制度の宿命のようなものでございます。ですので、これから十代の選挙権、十八歳選挙権を実現していったとしても、若者の政治参加というものが劇的に拡大していくということはなかなか見込めない。

 私は、十八歳選挙権は大変大きな一歩であるというふうに思っておりまして、この法案は賛成なんですけれども、やはり十八歳選挙権だけでは不十分であるだろうというふうな認識でおります。

 次の八ページを見ていただきたいんですけれども、これが、また世代別の人口と世代別の投票人口でございます。そして、十八歳選挙権を導入した場合の図も示させていただきました。

 十八歳選挙権を実現した際に、投票率が恐らく、ドイツの事例なんか見ましても、三九%ぐらいではないかというふうに私は考えておりまして、それはいろいろな数値で、また質問いただければと思うんですけれども。そうしますと、二百四十万人新たな有権者が生まれますが、実際に投票人口がふえるのは九十万人程度であろうというふうに思います。一〇〇%投票するということはなかなか考えにくいわけです、実際問題として。そう考えましたときに、これでも五〇%近くが六十代と七十代の方々で投票人口を占めるということになりますと、十八歳選挙権を実際に導入したとしても、やはりなかなかシルバーデモクラシーの打破とまではいかないであろうと私は思っております。

 こういう状態が、十八歳選挙権は大きな一歩であるけれども、それだけでは不十分であり、政治家が、例えば経済成長につながるような、あるいは、やはり支える人たちがふえていくということが高齢者にとってもよいわけですね。同時に、支える側としても、支える人がたくさんふえていったらうれしいわけです。

 つまり、シルバーデモクラシー等を考えたときに、世代間闘争ではなくて、同じパイを高齢者と若者が奪い合うのではなくて、高齢者にとっても支える側にとっても、支える人が新たに子供として出生していく、たくさん子供が生まれていく、これがやはり私は必要ではないかと思っております。

 そのためには、子育て支援策、これをやらなければならないと思いますが、OECDとか主要五カ国で比べてみましても、対GDP比で考えたときに、日本は現在〇・九六%、スウェーデンでは三・七六、英国では三・八三、ドイツでは二・一一。日本は極めて低い数値にとどまっている。つまり、子育て支援策に対する給付を手厚くしなければいけないのに、これは私は、シルバーデモクラシー、五〇%近くが投票者人口を占めていることによって難しくなっていると思います。

 ですから、この問題というものは、私は民主主義の根本が揺らぎかねないと思います。高齢化率が二〇五〇年には三九・六%になるわけです。現在、二五%であっても投票者人口の約五割近くを六十代と七十代が占めている。そういう中で、これから五〇%以上まさに六十代、七十代が投票者人口を占めていくような状況になってきますと、ますますこうした若者に対する施策というのは難しくなるであろうというふうに思っております。

 最後に、最後の十ページをごらんいただきたいんですけれども、政治家の方々がそうした未来を見据えた未来志向の政策を実行できるようになるためには、十八歳選挙権はもちろん大きな一歩ですけれども、不十分であり、もう一歩踏み込んで、十六歳選挙権であるとか、被選挙権年齢を引き下げてもっと若者が政治に参加しやすいようにしたりであるとか、さらに踏み込んで言えば、ドメインという経済学者がおりまして、ドメイン投票方式というものがございます。

 これは、ゼロ歳から十八歳まで日本国民に、つまり国民皆投票権制度のようなものでございまして、国民全員にゼロ歳であっても投票権を与えて、親が代理投票をする。ゼロ歳から十八歳の、判断能力がなかなか、ではゼロ歳に投票しろといっても難しいと思います、不可能だと思います、ですので、親が代理投票をする。

 このドメイン投票というところの図、十ページのところを見ていただけばわかりますように、そうしますと、高齢者の六十代、七十代の投票者人口に占める割合というものは四〇%近くまで抑えられるというふうに考えております。

 そうなりますと、国会という場は、憲法の四十三条にも書かれております、全国民を代表する選挙によって選ばれた議員によって構成される、それが両議院であるというふうなことを考えますと、やはりゼロ歳から十八歳であっても国民としっかりとみなして、そしてしっかりと全国民を代表して全国民にとって望ましいような政策を皆さんが決定できる、選挙で全国民を考えた施策を打てば皆様がさらに信託され、応援されていくというような選挙制度を構築していくことが、私は極めて十分であると思います。

 十八歳選挙権は大変大きな一歩であると思います。ぜひとも皆様のお力で法案を通していただきたいですし、その先の議論もぜひとも皆様にしっかりと考えていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、ここまでとさせていただきます。

 大変拙い意見陳述でございましたが、御清聴いただきまして、本当にありがとうございます。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 次に、篠原参考人にお願いいたします。

篠原参考人 皆さん、おはようございます。

 斎木さんのお話の後なんですが、少し基本的なことと、なぜ私はこういう問題に取り組むようになったかといういきさつからちょっと御説明したいと思うんです。

 実は、私は、大学で教えていまして、まず新聞を読まない、それから世の中のことにほとんど関心を持たないという状況を目の当たりにして、これではいかぬな、でも、大学生に投票に行きなさいとか主権者意識を持ちなさいと言ったってもう遅いという感じを持っていまして、今回の十八歳選挙権、あるいは国民投票の十八歳投票権、権利を持つ年齢が引き下げられる、これは大変いい流れだと思うんです。

 そんなことの経験があったものですから、たまたまそのときに、福田、麻生内閣で私は官邸の教育再生懇談会の委員を命ぜられまして、その席でこの問題を提起いたしました。麻生内閣で、では、おまえ、ワーキンググループをつくってやってくれよという話で、実は、六年前です、やってきたいきさつがございます。

 そのころは、自民党を初め各政党、あるいは文科省、全く関心が薄くて、あるいは、逆に言うと、変に教育現場でねじ曲げられちゃ困るというような警戒心もあったりして、余り話に乗ってきてくれなかったんです。

 それが、今や安倍総理まで、主権者教育が大事だ、主権者教育が大事だとおっしゃるような状況になっておりまして、私にすれば隔世の感がある。

 そういう、非常に孤軍奮闘の中でこのワーキンググループの責任者を私はやらされまして、皆さんのお手元に配付されていると思うんですけれども、そのペーパーでございます。

 実は、これは幻のペーパーでございまして、提出しようとしていたときはもう政権交代選挙に入っていて、提出する総理がいなくなっちゃって、まあ、いたんだけれども、それどころじゃなくなった。それで、民主党政権にかわりまして、この懇談会が廃止をされました。よって、これは宙に浮いた幻のペーパーでございます。

 でも、私は、この内容に大変自信を持っておりまして、今日的な問題を考えたときに、ほとんど問題点はそこに入っているのではないかなというふうに思っております。

 教育再生懇談会の議論のときに、当時の理研の理事長の野依先生から、私は子供のころから政治教育や選挙教育をやるというのは反対だ、もっとほかの教育をしっかりやった方がいいというようなお話が出たんですけれども、私は、一生懸命野依先生に対して、いや、違うんです、選挙教育とか政治教育というのは、今さっき斎木さんもおっしゃいましたけれども、主権者教育の中のコアであって、それが全てではないんだ、ボランティア活動を積極的にやらせたり、金融教育をやったり防災教育をやったり、あるいは環境教育をやったり、生徒会活動を活発化させる、そういうもの全て、世の中とかかわるという意味で、それが主権者教育なんだと。

 改正教育基本法の中には、「主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。」ということが盛り込まれていますけれども、まさしくその公共の精神をどうやって子供のころから持ってもらうか、これが主権者教育の肝だろう、それで、その一つ大きな柱が選挙あるいは国民投票の投票権、こういう位置づけになるのではないかと私は思っています。

 その中で、二つほど申し上げたいんですけれども、今、十八歳、十九歳、高校生及び大学一年生になるんですかね、この二百四十万人の有権者にどうアプローチするかということが、皆さん方の恐らく最大の関心事だろうと思います。それはそれでわかるんですけれども、高校の段階から主権者教育をやるのでは、僕は、これまた遅い。やはり小学校、中学校のころからずっとならしていって、それで高校に、十八歳につなげていく、ホップ、ステップ、ジャンプ、そういう流れをきちんとつくることが必要じゃないか。

 それで、私は今中教審の委員もやっているので、文科省にもお願いしているんですけれども、今、学習指導要領の改訂作業に入っています。高校に公共という必修科目をつくろうという流れになっていますけれども、それは、小中も、ずっとつながるようなものを何か指導要領の中に入れてくれないか、あるいは、無理だったら解説の中で明記してくれないか、こういうことも訴え、お願いをしているところでございます。

 私、この間、ある新聞社の企画記事を見ていましたら、十八歳の高校生でした、私は政治に関心がありません、でも、これは小中学校のころからもっとそういうことを教えてくれていれば、全然教えてくれなかった、教えてくれていれば、私ももっと関心を持てるようになったと思いますというコメントが載っておりました。

 また、私は大学で教えていて、現代政治論というテーマで教えているんですけれども、レポートを出させる。すごくできのいい子が一人いまして、事情を聞きました。そうしたら、やはりそうなんですね、小学校のころから親に、新聞を読め、新聞を読めと言われて、ずっと、今大学に入っても、地方から親は切り抜きを送ってくると。

 やはり親がそういう意識を持っているということがそういうものにつながっているので、教育に新聞をというNIE活動というのがありますけれども、これは非常に大事じゃないかなというふうに私は思っています。

 時間、あと何分ですか。もうちょっと大丈夫ですね。ちょっと早口になっていて恐縮です。

 そんなことで、小中のころからやっていただきたいということを今申し上げたい。

 その上に立って、私は、二つのコラボが必要だと思っています。一つは、学校それから家庭、地域のコラボですね。それからもう一つは、選ばれる側、皆さん方、選ばれる側と選ぶ側のコラボ。この二つが必要だ。

 最初のコラボはどういうことかというと、今学校で、学習指導要領の話もしましたけれども、単なる座学だけではなくて、例えば模擬投票をもっと活発に、欧米ではもう当たり前にやっていることですね。スウェーデンなんかは、その地域の候補者をみんな学校に呼んできて立会演説会をやらせて、それに対して模擬投票をやるとか意見表明をやるなんということまでやっているわけで、そこまで一気にいかないにしても、やはり座学だけじゃなくて実践、現場を踏まえて、現場を子供たちに経験させるという流れをぜひつくってほしい。

 また、学校だけではだめなので、やはり学校が例えば週末に一つのテーマを与えて、週末の土曜日、日曜日にお父さんやお母さんとこのテーマで話し合ってみて、それで月曜日に意見発表してというようなことを投げかけて、家庭でまた、みんなで食卓のときでも話をする。そういうサーキュレーションですね。

 こういうコラボができてくると大変いい流れになるし、先ほど投票率の話がありましたけれども、僕は、投票率を上げるだけでは、あるいは下げないようにするだけではだめだと思う。投票の質をどう高めるか、このためにはやはり子供のころからやらないとだめだというふうに思っております。

 また、家庭も、例えば、私はこれは前から提唱しているんですけれども、子供を投票所に連れていこうよと。投票所に子供のころから、親の後につくだけでいいんですよ。ああ、選挙というのはこんなものか、投票というのはこんなものか。これも現場感覚なんですね、皮膚感覚。頭、脳裏に焼きつきます。わからなくてもいい、その経験を積ませるということです。

 そのためには、今、公職選挙法第五十八条というのがありまして、この解釈がまちまちでございまして、解釈によっては子供を入れないところがあります。私が住んでいる大田区なんかは、期日前投票のところは、この五十八条を持ち出されて、二回トライアルしましたけれども、子供を入れてくれませんでした。地域によっては全部入れるところもある。

 だから、今私は総務省や各政党の方にもお願いをしているんですけれども、ぜひこの五十八条も変えてほしい、子供をそういう投票所に連れていけるような条項に変えてほしい。

 ちなみに、今どうなっているかといいますと、投票所の事務に従事する者、投票所を監視する職権を有する者または何とかでなければ、投票所に入ることができない。これはいいんです。ただし、選挙人の同伴する幼児その他の選挙人とともに投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者として投票管理者が認めたものについては、この限りでない。つまり、連れていけるのを物すごく限定しているわけです。だから、解釈によっては、子供は連れていけないという解釈。

 だから、そういうばかばかしい、こういう五十八条なんというのはぜひ変えていただきたい。今やっと総務省もそういう方向になってきているというのを聞いていますので、ぜひそれでやっていただきたいなというふうに思います。

 それから、地域は、明推協とか自治体とか、いろいろなものが啓発を大いにして、子供のころからそういう意識を高めるようなポスターとかというのを今やっていますけれども、出前授業とかそういうのも積極的にもっとやってほしいなと。

 もう一つ大事なことは、やはり選ばれる側の責任もあると思うんです、皆さん方の。

 二〇一〇年の参議院選挙で自民党が初めて子供向けのマニフェストというのを出してくれました。それを皮切りに、今回の統一地方選挙までで、自民、民主、公明三党はそういうものをずっと選挙のたびに出してくれるようになりました。これは小中学生でも読めるような、イラストが入ってわかりやすく、漢字にルビを振っています、漢字を読めない人も読めるということになっております。

 だから、これを各党みんな出していただいて、子供たちが読み比べて、それで、こういう政党の主張がいいな、ああだなというようなことを小中学校のころから皮膚体験で感じるというような流れにぜひしていただきたい。

 それからもう一つ、最後に言えば、やはり政治家志望が減っているんです。もう子供たちの憧れの職業ではなくなっているんですよ。昔は、末は博士か大臣かと。ある調査では、余りにも選択肢の中でパーセンテージが低いので選択肢から外したというんですよ、政治家という職業を。やはりこれではだめだと思います。

 その大前提として、先ほど申し上げたように、子供に主権者意識を持ってもらうためには、親がまず主権者意識をしっかりと持っておく、ここが大前提であるというふうに思います。

 来月発売の「潮」という月刊誌で私はまた一文を書いていますので、もし御興味があれば読んでいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 次に、高橋参考人にお願いいたします。

高橋参考人 おはようございます。

 本日、発言をさせていただくに当たりまして、意見陳述の要旨をお配りさせていただきました。これに基づいてお話をさせていただきますので、ごらんいただければと思います。

 また、あわせて、私どもNPO法人Rightsが発行している誌面、冊子なんですけれども、十六歳選挙権のEUの最新状況を報告したレポートもおつけしました。きょうの参考人もここから随分引用して資料をつくっていただいていたりしますので、お時間があるときにでも御参考いただければと思います。

 それでは、私の方から意見陳述をさせていただきたいと思います。

 本日お話をさせていただきたいのは、大きく三点でございます。

 一つは、今議論をいただいております選挙権の年齢引き下げにつきまして、その背景について御説明をさせていただきたいと思います。

 二つ目は、選挙権の年齢引き下げだけでは、世代間格差等さまざまな世代をまたぐ問題が生じておりますけれども、こうした背景には、シルバーデモクラシーと言われている状況があって、必ずしもこの法改正だけでは改善され切れないという状況の中で、二つ目の柱として、被選挙権年齢についても引き下げを検討していくべきではないかということをお話しさせていただきたいと思っています。

 三つ目につきましては、こうした選挙制度による間接的な政治参加だけでなく、若者の参加を促進させていくためには、直接的な政治参画であったりとか、また、そうした能力を養成するための政治教育の環境整備が必要だという話。

 以上、三点について、本日は意見陳述をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、選挙権の年齢引き下げの背景についてでございますけれども、既に皆様御承知のとおり、世界の八〇%以上の国と地域では、十八歳までに選挙権を保障しております。G8では日本以外全ての国が十八歳から、OECDの国におきましても日本と韓国以外は全て十八歳から保障しているということは、既に皆さんも御承知のところであるかと思います。

 しかし、既に欧州を中心とした世界各国では、さらに十八歳から十六歳へ引き下げるという世界的な流れが始まってきているということを本日は御紹介させていただきたいと思います。

 オーストリアでは、地方選挙が先行しまして、二〇〇〇年に選挙権を十六歳に引き下げまして、この成功に基づきまして、二〇〇七年からは国政選挙においても十六歳からの選挙権が実施をされております。ドイツにおいては一九九六年から、ノルウェーにおいても二〇〇八年から、スイスなども含めて、これは国政選挙ではないんですけれども、特定の州や市町村選挙において選挙権を十六歳に引き下げるという実践が既に世界各国では始まっております。

 これ以外にも、英国、スウェーデン、デンマーク等、選挙権を十六歳に引き下げるという議論が始まっておりまして、国内においても、十八歳にすることでとどまらず、さらに十六歳への引き下げなどの検討も今後進めていただきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、二つ目、成長戦略としての若者の参画を考えていただきたいというふうに思っています。

 現在の政府も、成長戦略としてダイバーシティーが必要だということで、女性や若者の力の活用、こういったものが政策課題として捉えられてきているような気がします。しかし、経済だけではなく、政治分野においても、こうした若者の参画というのが非常に重要だということを皆様にも御理解いただきたいと思います。

 一昨年、政府が国家戦略特区を公募した際に、私は、有識者であります田原総一朗ジャーナリストを初めとした三名で、国家戦略特区として、若者の政治参加を通じた地域活性化に係る特区提案というものをさせていただきました。

 これは、国政においての選挙権、または国が一括して選挙権年齢を決めるというだけではなく、地方が独自に選挙権や被選挙権の年齢を決められる、例えば市議会議員選挙であれば、市の中で十六歳から選挙を実施するとか、二十歳から立候補できるようにするとか、こういった地方独自の選挙制度の実現ができるような特区制度を提案させていただきましたところ、ヒアリングの中で非常に高い評価をいただきました。

 残念ながら、最後の選定の中で、リストに加えていただくところまでいかずに最後の一つとして外れてしまいましたけれども、こういった検討についても皆様には考えていただきたいというふうに思っているところでございます。

 三番目が、「一人当たり約九千万円もの世代間格差と、シルバー・デモクラシーの現実」というふうに書きました。

 ここについては、もう既に皆さん御承知おきだと思いますけれども、世代間格差を是正するために、若い人の意見を直接聞く、当事者として扱っていくということをぜひ皆様にも意識していただきたいというふうに思うところでございます。

 大きく二つ目の御提案をさせていただきます。被選挙権年齢引き下げの必要性についてです。

 今回の選挙権年齢の引き下げについては、私ども、二〇〇〇年に私が大学生だったときにNPO法人Rightsを立ち上げて以来、十五年来の悲願でありまして、こうしたことがまさに成立の実現味を帯びてきたということで感慨無量な部分もあるんですけれども、一方で、この選挙権年齢の引き下げによって、これまで選挙権と被選挙権を得るまでの差が五歳だった年齢差が七歳まで拡大してしまうことになります。

 若年の低投票率などが指摘をされている昨今ではございますけれども、若者の政治に対する意識を高めていくためには、同世代の候補者をふやしていくこともまた非常に大きな要素だというふうに考えられています。

 先ほど、地方において被選挙権年齢を引き下げるということも御提案をさせていただきましたけれども、あわせて、国政も含めて、被選挙権年齢の引き下げについても検討を始めていただきたいというふうに考えているところでございます。

 御存じのとおり、日本国憲法十五条三項では、成年者に普通選挙を保障するということが明記されているわけでございます。これによって二十には投票権を与えないといけないということは広く認知されていますけれども、この普通選挙というのを、投票権だけではなく立候補する権利もあわせて与えることが普通選挙を保障しているのではないかというふうに考えると、むしろ、憲法で言っている成年者に普通選挙を保障するということについて言えば、少なくとも成年者には被選挙権年齢についても保障するということを検討しなければいけないと考えられるのではないかと思います。

 また、被選挙権年齢については、世界の約四分の一の国々で十八歳までに保障をしています。半数以上の国では、二十一歳までに保障しているという状況です。G8でいいますと、アメリカとイタリアとロシアが十八歳までに保障していないんですけれども、これ以外の国々は、被選挙権年齢についても十八歳までに保障しています。

 ただ、被選挙権年齢と選挙権年齢の関係性については、国ごとに考え方がさまざまでございます。

 例えば、スウェーデンでは、一九七六年に選挙権年齢が十八歳に引き下げられたんですけれども、そのときに、選挙権年齢と被選挙権年齢は同じ年齢であるべきだという考え方から、被選挙権年齢も一緒に十八歳に引き下げられました。

 一方で、イギリスでは、選挙権年齢が先に一九六九年に十八歳に下げられたんですけれども、被選挙権年齢が十八歳に引き下げられたのは二〇〇六年と、随分たってから下げられるということになっています。

 こうした中で、きょうは一つ、ドイツの例が今後の日本に参考になるのではないかということで御紹介をさせていただきたいんです。

 ドイツでは、一九七〇年に選挙権年齢が十八歳に引き下げられました。その際に、当時は成人年齢と被選挙権年齢がドイツでは異なっていたんですけれども、日本もそうですけれども、ドイツでは、被選挙権年齢と成人年齢を重ねるべきだとしまして、一九七〇年に被選挙権年齢を成人年齢に引き下げをしました。その後、成人年齢をさらに十八歳に引き下げようということが行われまして、現在は、選挙権、成人年齢、被選挙権年齢ともに十八歳に引き下がっているんです。

 ドイツでは、成人年齢は選挙権と合わせるべきではなくて、成人年齢は被選挙権と合わせるべきだというふうな考えから引き下げをしたという事例がございます。

 日本においても、今まさに成人年齢の引き下げがもう一つの宿題として残されているわけでございますけれども、この成人年齢の引き下げの議論とあわせて、またそれに先立って被選挙権年齢を成人年齢まで引き下げるということを御検討いただきたいというふうに思っています。

 時間が余りありませんので、三つ目は短くまとめていきたいと思いますけれども、先ほど御紹介されましたように、我が国の教育基本法第十四条では、良識ある公民として必要な政治的教養を教育において養っていくことが求められています。

 特に、文部科学省のホームページでは、現実の政治の理解または公正な批判力を養っていかなければいけないというふうに位置づけられているんですけれども、なかなかそうなっていない現実があるという中で、例えば、ドイツでは政治教育センターみたいなものをつくって実践をしているわけです。

 今後、日本においても政治教育センターを設置して、さまざまな時事問題であるとか政治的動向を扱った教材づくりを実践していったり、また、現在高校生の政治活動を禁止している通達なども見直しながら、政治現場にかかわれる、また政治現場が学校教育現場に入っていける、そういった環境整備を行っていくべきではないかと思います。

 また、政治教育の必要性が問われる昨今ではございますけれども、具体的な政治教育のプログラムとして、生徒会活動の実践をもう一度見直していく、活発化させていく、こういったことが必要なのではないかと思っています。

 こうしたこともあわせて皆様には御検討をいただきたいと思います。

 どうもありがとうございます。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 次に、早田参考人にお願いいたします。

早田参考人 おはようございます。弁護士の早田由布子と申します。

 本日は、発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私からは、今までの三人の参考人の先生方がおっしゃっていたのとは少し違う活動をしてきたという立場から、三点ほど述べさせていただきます。

 まず一点目は、若い世代の政治参加についてでございます。

 先ほども御紹介いただきましたとおり、私は、明日の自由を守る若手弁護士の会という団体の事務局長を務めております。この団体は、憲法について広く市民の方々に知っていただこう、改憲派でも護憲派でもなく、とにかく市民の方々に憲法について知っていただいて、今改憲の議論がなされておりますけれども、その議論の内容についても知っていただいて、みずから考えていただくということを目的にした活動でございます。

 私は、この二年間で約七十回にわたり、これまで憲法に関心を持ってこなかった方々を対象に憲法のお話をさせていただいてまいりました。なぜここでいきなり憲法の話かと思われたかもしれませんけれども、御承知のとおり、憲法は政治に深くかかわっておりますし、もちろん、今憲法改正の論議というのは重要な政治課題でございます。

 そんな中で、私が市民の方々を相手に活動してきた中で多く寄せられる意見はこういうものでございます。政治は遠い、何だか難しい話ばかりでよくわからない、生活とどうかかわるのかわからなくて関心が持てないし判断もできない、こういったものです。こういった意見は三十代の方々から多く寄せられるものでございますけれども、三十代の方々にとってこれだけ政治が遠いということになりますと、十八歳の方にとってはなおさら遠いのではないかというふうに思われます。

 十八歳選挙権を導入することについては私も賛成でございまして、若い世代の方々が政治に参加することができるようになる、これは大変喜ばしいことであるというふうに考えております。

 例えば、特定秘密保護法に反対してすばらしい活動をしておられた大学生のグループがありましたけれども、そのグループの学生さんがみずから考えて行動して意見表明をしてきた、にもかかわらず、自分が未成年だから投票に参加できないということで大変悔しい思いをされてきたということを私は直接存じ上げております。そのような方々が実際投票によって民主主義の過程にかかわることができる、これは大変すばらしいことでございます。

 一方で、こういった関心を持ってきた方々だけではなくて、自分自身が投票という行動によってかかわれる、そのことによって政治的関心が広がる、これも十分考えられることだと思います。

 しかしながら、今まで先生方がおっしゃってきたように、十八歳選挙権という制度がある、その制度だけでは政治への関心が広まるものではございません。実際、二十代の投票率が三二・五八%と、ほかの世代より低いということは周知の事実でございます。

 若い世代の投票率を上げるにはやはり学校教育が重要でございますけれども、学校現場において私が体験したことを一つ御紹介させていただきます。

 私たちは、これまで憲法に関心を持ってこなかった方々と憲法の話をするという活動の中で、何度か、PTAの集まりで憲法の話をしてほしいという御依頼をいただいたことがあります。PTAの親御さんたちが積極的に企画をされて私たちに持ち込まれたということが複数回ございました。ところが、最終的にこれはいずれも実現しないんですね。

 私と一緒に活動しているある若手弁護士の体験では、校長先生からストップがかかったというんです。理由は、憲法のような政治的な課題について公立学校で扱うことは望ましくない、このような理由で、憲法について学校という場所で扱うことそのものが避けられているということなんです。

 これは政治的中立とは申しません。政治にかかわることそのものを避けようとする、政治に対する忌避でございます。政治的課題を扱うことによって、その学校あるいは校長先生御自身に対して何らかの横やりであるとか介入があるということに配慮されたのではないかと考えられます。

 今、このように学校教育現場では政治を語ることに対する萎縮が進んでおると聞いております。教員の方々の教育内容についての裁量が保障されていなければ、政治について自由に語り自由に考えるという風土は生まれません。

 政治による教育現場への介入、これが招くものは政治的中立ではなく政治に対する忌避であり、それ自体、民主主義の根幹をゆるがせにするものです。政治について自由に語られるという場がなければ、子供たちが多様な意見に触れることもなく、その多様な意見に触れてみずから考えることも判断することもなく、自分の意見を養うということもできなくなるからです。

 子供たちをこのような政治的な無菌状態に置いておきながら、十八歳になったからいきなり投票に行きなさいというのでは、判断ができないというふうに思います。

 この特別委員会におきましても、主権者教育を行うとともに、政治的中立を確保することが課題であるという議論がなされたように聞いておりますけれども、これが政治による教育への介入にわたらないように、慎重にも慎重を重ねなければならないというふうに考えております。

 若い世代の方々が政治への関心を持つために必要なことは、政治的無菌状態に置くことではありません。また、特定の意見を押しつけることでもありません。多様な意見に触れる機会を存分に提供して、みずから考えて議論をするという中で考えを深めていくということでございます。

 具体例といたしましては、例えば、大学において各政党の党首討論をするなど、こういった取り組みなども意義のあることだと考えております。

 二点目は、ちょっと話題をかえまして、弁護士という立場から、選挙犯罪についての少年法の特例について申し上げます。

 今回の改正法案で、十八歳、十九歳の行った選挙違反行為のうち、連座制の適用のある犯罪について、原則として検察官送致、いわゆる逆送を行うということが提案されております。しかし、この点については、弁護士の立場から反対をいたします。

 心身の成長段階にあり、可塑性に富む少年について犯罪行為等があった場合に、その非行の内容が吟味される、これはもちろんなのですが、非行内容だけではなく、生活環境や教育、職場環境を調整して、少年の更生と再度の非行の防止を図る、これが少年法の趣旨でございます。特定の選挙違反行為について原則逆送とするということは、非行の行為類型のみを見て、少年に対する教育の視点を全く欠くものであり、少年法の趣旨にもとるものです。

 現在、少年法において、原則逆送することとされている事件は、行為の当時十六歳以上で、故意の犯罪行為で人を死亡させた事件、つまり、殺人や強盗殺人、傷害致死などに限られております。これらの犯罪類型とのバランスから見ても、選挙違反行為についてのみ事件の類型を特別視して、少年に対する保護、教育をないがしろにする、これは許されないことであろうと考えております。

 また、本特例がなくても、少年法に基づいて処分が行われることに変わりはありません。したがって、選挙の公正が害されたまま放置されるということにはなりません。

 少年法は、これはよく誤解のあるところなんですけれども、未成年であれば処罰を甘くするであるとか、不利益を少なくするというものではございません。むしろ、原則逆送ということになれば、通常の成年、二十以上の方々による選挙違反行為の場合よりも身体拘束期間が大幅に長くなってしまうんですね。したがって、少年の方がより大きい不利益を受けるという状態に置かれます。多感な少年にとって、長期間の身体拘束を行うということは大きな打撃を与えるものであり、教育効果の点においても弊害があります。

 以上のとおり、選挙の公正を期する公職選挙法の趣旨と、少年の更生、教育を期する少年法の趣旨は矛盾するものではありませんので、本特例は不要と考えております。

 日本弁護士連合会も、昨年十月三十一日に、これに反対する会長声明を上げておりますので、ぜひ慎重な御審議をお願いいたします。

 三点目は、ほかの法律への影響について申し上げます。

 民法、少年法その他の法令への適用について検討を加えるということが本改正案において述べられておりますけれども、まず、民法について述べます。

 例えば、民法の成人年齢が十八歳に引き下げられることによって、消費者被害が増大するのではないかなどの指摘がなされております。私からは、養育費に対する影響を指摘したいと思います。

 現在の裁判実務上、親が子に対して法律上養育費の支払い義務を負うのは、子が二十歳に達するまでとされております。しかしながら、現在、大学進学率が五一・五%、短大、高専、専門学校を含む高等教育機関への進学率が八〇%に達しております。このことを踏まえて、当事者間で合意ができる場合には、養育費の支払いを二十二歳までとする場合も多くございます。

 民法の成人年齢を十八歳とした場合、養育費の支払い義務についても十八歳までとされて、貧困世帯の多い母子家庭の子供たちが高等教育を受ける機会を失うことにもつながります。貧困世帯の子供たちが高等教育を受ける機会なく社会に出ることで、貧困が再生産されるというおそれもあります。

 これらの弊害のあることを踏まえて、民法の成人年齢の引き下げについては慎重に議論されるようにお願いをいたします。

 以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門山宏哲君。

門山委員 自由民主党の門山宏哲でございます。

 本日は、四名の参考人の皆様、お忙しい中、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。心より感謝申し上げます。

 今回の公選法等の一部を改正する法律案は、選挙権年齢を十八歳以上とすることが主な内容ではございますが、その意義等についてはよくわかりました。

 選挙権年齢を十八歳以上とすることに関連して、若者の投票率向上のための方策、とりわけ主権者としての自覚と社会参画の力を育む主権者教育が重要である。これはもう参考人の皆さんからも再三言われていることであると思いますが、他方で、若年であり、教育を受ける立場として教師等から影響を受けやすいことから、選挙の公正という観点から、教育的中立性が求められることになると思います。

 既にお答えいただいている先生方からは端的で結構でございますから、各参考人の皆様に、投票率向上のための方策、あるいは教育における政治的中立性を確保するための方策について、順次御意見をお伺いいたします。

斎木参考人 委員の質問にお答えしたいと思います。

 主に、まず投票率をどのように上げるかということと、政治的中立性をどう担保するかという二つのことについて質問されたというふうに理解しております。

 一つ目の、投票率をどのように上げたらよいかということに関してですが、やはり主権者教育をしっかりと行っていくということが非常に重要でございます。昨日の議論を拝聴させていただきまして、先ほど参考人もおっしゃっておりましたけれども、学校の校長であるとか教頭先生が、例えば各学校に政治家が来られるとか、あるいは憲法の議論をしようであるとか、そういったものは、私も高校時代、五年前ですが、すごく先生方は避けるような傾向にあったというふうに思います。

 ですので、自主規制に任せるというような方向に行っているというお話も聞いておりますが、恐らく、自主規制に任せるというような方向にいたしますと、主権者教育とか、高校生たち、十八歳で選挙権を得る人たちが学校現場で政治の発言とかディスカッションとか、そういったものはなかなかなされない。特に進学校ですと、政治のことなんかよりも、とにかくまずは受験に集中してくださいというようなことにもなりかねないような現状が私はあると思います。

 ですので、自主規制に任せるというところは少し慎重に考えていただいて、むしろ、政治的中立というものはこういうケースであって、原則的には、選挙権年齢、つまり有権者でありますから、有権者と同様の政治活動の自由というものは認められるということをやはり明確に皆様方が、あるいは文科省ないしがしっかりと学校側に伝えていくということをしなければ、しっかり政治の議論は行われませんし、やはり投票率を上げるということは難しくなってしまうのでないかなというふうに私は思います。

 そういうところで、終わらせていただきます。

篠原参考人 投票率の問題は、これは本当にずっと永遠の課題みたいになっているんですけれども、私は、やはり親の投票率がこれだけ低いということは、子供にもっと投票しなさい、投票しなさいなんと言う資格はないと思うんですよ。この統一地方選挙でも軒並み史上最低の投票率でしょう。

 だから、先ほどちょっと申し上げたように、親がそういうことをしっかり、自分の権利、権利なんですよね、ちゃんとそれを行使するということを子供に見せていくということ。それから、あとは、小学校のころからそういう主権者意識をどう持ってもらうかということの教育の流れをしっかりとつくっていくということが、やはり投票率及び投票質の向上になっていくのではないか。

 これは非常にエネルギーも要りますし、時間のかかることなんですけれども、やはりそこから始めないと、皆さん方が十八歳、十九歳の二百四十万人にどうアプローチするかというところを切り取ってそこばかりに行かれると、また同じようなことを繰り返すんじゃないかということを私は懸念しています。

 それから、もう一つの、政治的中立性。これは、僕らに聞くよりも皆さん方でよく相談してくださいよ。政治的に、もう少し超党派で、どういうふうに政治的中立性を担保していくのかよく相談していただきたいし、超党派議連なんかつくって議論してもいいと思うんですね。

 ただ、あとは、先ほど申し上げたように、改正教育基本法が現在ございます。それから、それによって教育振興基本計画というものが文科省でつくられます。それを裏づけしたのが学習指導要領になっていくわけで、今度の改訂作業の中で、主権者教育、政治的中立性の担保をどういうふうにするのかというところを、学習指導要領及びその解説、解説が非常に大事だと思うんですよ、学校の先生方の一つのガイダンスになるものですから、そういうところまで含めて大いに議論をしていただければいいんじゃないかと思います。

高橋参考人 まず、政治的中立性について二つほど御説明をさせていただきたいと思います。

 一つは、ドイツにおける政治的中立性の考え方なんですけれども、ドイツにはボイテルスバッハ・コンセンサスというのがあって、ここでは三つのことを規定しています。

 読み上げますと、一点目は、教員は生徒の期待される見識をもって圧倒し、生徒がみずから判断を獲得するのを妨げてはならない。二つ目は、学問と政治の世界において論争があることは、授業の中でも論争があるものとして扱わなければならない。三つ目が、生徒がみずから関心、利害に基づいて効果的に政治に参加できるよう、必要な能力の獲得が促されなければならない。この三つを政治的中立性を考える考え方として位置づけています。

 その上で、例えばベルリン市の学習指導要領では、教員も個人的な見解としてみずからの意見を表明することはできるとしています。ただし、その教員の見解が生徒を圧倒したり、唯一の意見や理解として受けとめられるようにしたり、ましてや成績評価の基準になってはいけないというようなことをしていて、教員の意見を言うのはいいけれども、それを押しつけたり、それしかないということではないということを説明できるような風土をつくっていくということが大事だとされています。

 よく政治教育の中で議論されるのが、政治色をなくせというようなことを言われたりするわけですけれども、そういった際に我々がよく議論するのは、無党派というものと超党派というものの違いであります。

 無党派というのは、政党色を全くなくそうということでございますけれども、政治の話をして、党派色をゼロにして本質的な議論をするというのはなかなか難しい。そうではなくて、さまざまな政党の意見としてきっちり紹介をしながら、一つの政党の意見を押しつけるのではなくて、さまざまな政党の意見があることを開陳しながら、どの政党の意見なのかわからなくする、党派を超えた議論を教育に持ち込むということが大事なのではないかと思います。

 二つ目の紹介が、先ほど御紹介したドイツの政治教育センターです。

 これは公的な機関でありまして、以前は、政治的中立を守るために、主要三政党の党員が、三代表制で三人ともトップを張るというような制度で政治的中立を保っていました。ところが、これだと機動性がなかなか悪くて意思決定が遅いということで、最近は、代表者を特定の政党の党員に決めてしまうんですけれども、一方で、政治的中立が図れるようにということで、監査委員会を置いて、その中に全政党から二十二人の議員を選ぶ、その議員さんたちで政治的中立を監査するという形で今政治的な中立が図られているというふうに説明を受けました。

 こういった、政治家や政党が超党派で中立性を保つような仕組みをつくるということが非常に重要で、文科省のような省庁に任せてしまうと、どうしても無色にしよう、無党派にしようということで本質的な政治を教育現場に持っていくことができなくなるということがございますので、政治教育においても、ぜひ議員の皆様に積極的にかかわってもらえるような仕組みを検討していただく必要性があるのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

早田参考人 今御質問にありました、投票率を上げるための方策及び政治的中立性を確保するための方策、この二つに共通した具体策を一つ申し上げます。

 それは、学校教育の現場で、その時点においてまさに政治課題となっている点についてディベートを行うということでございます。

 立場は、二つでも三つでも四つでも構いません。それぞれの立場に沿って、生徒たちがみずから考えてみずから意見を表明するということによって、やはり、そのときの選挙で自分が表明した意見がどのように政党で扱われているのか、あるいはその選挙の結果どうなっているのか、自然と関心を持つのではないでしょうか。そうすると、投票に行こうという気分も上がるというふうに思います。

 また、ディベートですから、当然異なる立場、二つ三つ四つ出されるわけです。多様な意見が出されて、その多様な意見の中で考える、そのことそのものが政治的中立の確保でございます。

 したがって、ディベートをするということでこの二つとも解決されるだろうと思います。

 一つ付言しますと、教員の政治的発言の自由は確保されるべきであろうと考えます。先生が、私はこう考えます、皆さんどうですか、もちろん押しつけであってはなりませんけれども、皆さんどう考えますかと言うことによって、あの先生が自分でこう考える、私はどうだろうという考えにつながることになりますので、それはぜひ確保していただきたいと思います。

 以上です。

門山委員 どうもありがとうございます。

 今回の法律案は、選挙権年齢を十八歳以上とするものですが、現状では、国政を左右する有権者という形になりながら、民法的には未成年であるという状態になるわけでございます。成年年齢を、多くの国がそうであるように選挙権年齢と同一、十八歳とすることの是非についてどのようにお考えでしょうか。

 この後も質問があるので、皆様、結論だけ端的にお答えいただけるとありがたいです。よければ根拠も簡単でお願いいたします。

山本委員長 一分程度でということでありますので。

斎木参考人 簡潔にお答えします。

 成年年齢については、やはり一律に議論をするのではなくて、それぞれの立法趣旨について、飲酒はどうだとか、喫煙はどうだとか、車はどうだとか、少年法はどうだとか、立法趣旨がそれぞれございますので、やはり一つ一つ丁寧にこれから皆様が議論を重ねていかれるということがよろしいかというふうに思っております。

篠原参考人 私は、基本的には、やはり成人年齢も引き下げるべきだ、流れとして。

 ただ、その中で、さっき斎木さんもおっしゃられましたけれども、この場合はやはり少し猶予を置いた方がいいんじゃないかというのもあると思うので、そこは例外をつくりながら、基本的には私は、やはり権利と義務ということを考えまして、連動していくべきじゃないかな、こう思っています。

高橋参考人 私は、成人年齢を下げるということについては賛成なんですけれども、先ほども紹介がありましたけれども、法律それぞれに立法趣旨があります。

 そうした中で、選挙権の年齢というのは、成人年齢とあわせて考えるというよりは、むしろ教育とあわせて議論するべき課題ではないかなというふうに思っています。

 こうしたことから考えると、義務教育終了時点で市民としてしっかりと自立できる、それだけの教育をしなければいけないということになっておりますので、むしろ、教育と合わせるのであれば、選挙権を十六歳まで下げるということが妥当ではないかというふうに考えています。

 一方で、成人年齢は何と合わせるべきかということで申し上げますと、冒頭御説明させていただきましたけれども、被選挙権年齢と成人年齢を合わせて、それを十八歳に下げるということが私はいいのではないかというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

早田参考人 私は、選挙権年齢と成人年齢を統一的に考える必要はないと考えております。

 民法については、先ほど申し上げたとおり懸念がございます。少年法につきましても、十八歳、十九歳に対して保護、教育が行われないということは、これは重大な問題でございまして、反対でございます。

 以上です。

門山委員 御協力ありがとうございます。

 続きまして、投票率向上の方策の一つで、いわゆる義務投票制、すなわち、罰則まで設けるかというのは別論として、例えば法文の中に投票することは国民の義務であるというような旨の規定を明記することについてはどのように考えておられましょうか。皆さん、また端的にお答えください。

斎木参考人 義務投票制については、私は十分に検討する余地があるというふうに思います。

 オーストラリアでは義務投票制を導入しておりまして、投票率は九五%でございます。ですので、そうしますと世代間格差の問題もかなり解消できるというふうに思いますので、私は、義務投票制にするのであれば、罰則も含めてやるかやらないかということは議論をした方がいいと思いますが、それは、シルバーデモクラシーを打破する上では非常に有効な措置、有効な政策の一つであると思います。

篠原参考人 私は、義務だというふうにいく前に、やはり権利だということをしっかりと教え込んでいくということが大事で、それで余りにも権利の行使についてこうだという問題があったときに義務の問題を考えるべきで、よく、お台場で何かイベントをやりながらやったらもっと投票率が上がるんじゃないかとかなんとか、そういうのもありますけれども、そんなことではなくて、これは社会、国をつくっていく、一票から始まっていくということの権利を持っているんだということをまず徹底させる方が先じゃないかなと思います。

高橋参考人 私は、義務投票については反対です。それは、投票というのは国民の権利であるという認識からです。先述者からもお話ありましたけれども、むしろそういったことの重要性を政治教育で担っていくことが重要なのではないかというふうに考えます。

 国民の投票率が低い要因の一つには、政治というものを非常に遠く感じているということ、つまり当事者性を持っていないんですね。それからもう一つは、政治に参加することで何が変わるのかというリアリティーがないということが大きな要因ではないかというふうに思っています。

 こうしたことから考えますと、政治教育において、先ほどからも出ていますように、例えば、現役の政治家たちが実際に学校に行く。ヨーロッパなどでは、選挙のたびに、主要政党各党が並んで学校に行って、各政党の政策やマニフェストをお話しするというようなことが実践をされています。実際に、大学生などは、インターンシップに行くと、それまで政治に関心を持っていなかった人が政治に関心を持ち始めたということのアンケート結果なども出ております。全員が全員インターンシップに行くということは難しいと思いますので、政治家や政党がみずから学校に乗り込んでいくというようなことが一つは重要なのではないかと思います。

 一方で、もう一つは、政治によって物事を変えられるというリアリティーを持つという意味では、例えば、生徒会活動において、自分たちが何かを提案して、それを採決したら学校のルールが変わった、それによって自分たちの学校生活がよりよくなった、暮らしやすくなった、こういった小さな成功体験を積み上げるというような教育もまた学校現場で実践していく必要性があるのではないかというふうに考えます。

 以上でございます。

早田参考人 私は、義務投票制には反対でございます。

 投票率が上がるということが至上の命題ではございません。やはり国民の皆様が一人一人みずから考えて、みずから選び、みずから投票する、そのことがこの国の民主主義を発展させるのだというふうに考えます。

 以上です。

門山委員 ありがとうございます。

 一応確認なんですけれども、憲法第十五条第三項は、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」と規定しておりますが、十八歳の未成年者に選挙権を与えることは問題ないのでしょうか。これは弁護士の早田先生に御質問いたします。

早田参考人 憲法では、成年年齢について規定をしているわけではございません。この憲法十五条の規定を踏まえて、公職選挙法は二十歳を成年と定めるという扱いになっておりますので、公職選挙法において十八歳を成年とするということによって、その整合性が図られます。

 以上です。

門山委員 終わります。皆さん、どうも御協力ありがとうございました。

山本委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、参考人の皆様、お忙しい中御出席をいただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。

 私の方から若干参考人の皆様にこれから質疑をさせていただきたいと存じますが、時間の関係で全ての参考人の方の御意見を伺えないかもしれません。その節は御容赦していただければと存じます。

 公明党としても、今回の選挙権年齢の引き下げということについては、これは既に世界の潮流となっているということで、早くからその実現を党としても重点政策と位置づけて取り組んできた経緯がございます。

 特に、少子高齢化が進む日本社会では、人口がふえる高齢者の意思が政治に反映されやすくなる一方で、人口が減る若い世代の意思が政治に反映しにくくなっていることも踏まえて、高齢世代を支える若い世代の方々の意思をより政治に反映させるためにも、こうしたものの早期実現が必要だということで取り組んでまいりました。

 この十八歳選挙権の実現ということに関して、まず斎木参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、意見陳述の中でも、ちょっと時間がなくて尻切れトンボになったようなところがありますので、その続きを少し伺わせていただきたいと思うんです。

 斎木参考人自身、ブログ等でも、日本の未来に横たわる諸問題の解決は、未来を生きる当事者である私たちの世代こそが先陣を切って取り組んでいかなければならない、世代間の対立をあおるような方向に行ってしまうことは間違っても避けなければいけないということをおっしゃられて、十八歳選挙権の実現はその第一歩というふうにされております。

 その先の目指すべき姿ということについて、どのようにお考えになっているのかということをお伺いさせていただければと思います。

斎木参考人 ありがとうございます。

 委員の御質問にお答えしたいと思います。

 先ほどもレジュメの方でも示させていただきましたとおり、投票者人口の割合と実際の人口の世代の割合というものが大きくゆがんでしまっていて、高齢者の、特に六十代以上の方々の投票者人口というものが五〇%近くまで拡大している。さらに、まさにこれから高齢化が進行していくに当たって、これがもはや過半数を超えてくるような状況になっているという中にあって、やはり若い人の政治参加というものは、これから高齢者の方々にとっても非常に重要であるというふうに思っております。

 ですので、十八歳選挙権の実現は大きな一歩ですが、その先の十六歳選挙権でありますとか、被選挙権年齢をしっかり引き下げるというところでありますとか、もちろん、十八歳、十六歳に引き下げられた暁には、しっかり主権者教育をして、若い世代が投票に行くという施策を十分に行っていくことが求められると思います。

 さらに、もう一点申し上げるとするならば、もう少し大胆な施策もこれから検討していかなければならないというふうに思っておりまして、先ほどの意見陳述でも少し述べさせていただきましたが、経済学者のドメインが提唱なさっていますドメイン投票制、つまり、国民ゼロ歳から投票権を与えて、そしてそれを親が代理投票するということにします。

 そうすれば、こういったシルバーデモクラシーの状況はかなり改善されて、若い人の意見が反映をされ、それが結局は、行く行くは、高齢者世代を支えるのは若者世代ですから、高齢者世代にとっても若者世代にとっても必要な施策を政治家の方々が実行すればするほど、投票によって信任され、選挙によって信任されていくような仕組みが恒常的に確立されると思うんですね。

 ですので、やはり十八歳、十六歳では母数がもう足らない状況になってきている。高齢化率が二五%を超え、二〇五〇年には四〇%になる状況を考えますと、そういったもう一歩踏み込んだ、ドメイン投票のようなものを導入していかなければ、なかなか問題の本質的な解決というのは難しいであろう。

 私は、そういったものをまさに今から、ドイツやハンガリーではもう議会で議論が進んでおりますから、ぜひとも皆様が議論を進めていただきたいというふうに強く思っております。

 ありがとうございます。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

角田委員 ありがとうございました。

 続きまして、今回、選挙権を十八歳に引き下げることによって具体的に期待されることをどのようにお考えになるのかということについて、これは斎木参考人、篠原参考人、高橋参考人にお伺いしていきたいと思います。

 日本の現在抱えている課題というものは非常にさまざまあると思います。世代間で特に考えなければいけない問題の最たるものは、社会保障をこの先どうするのかということも挙げられると思いますし、またそれ以外の課題も山積をしているかと思います。

 私、個人的には、こうした国レベルの課題を解決するということはもちろん大切なことなんですけれども、もっと小さい、狭い単位の町づくりという面でも、今回の選挙権年齢の引き下げというのは好ましい影響を与えるのではないかというふうに考えております。

 今、人口減少の時代に入って、東京一極集中を是正して、活力ある地方をつくっていこう、地方創生ということが推し進められようとしておりますが、この地方創生の面からもよい変化が期待できるのではないか。

 先ほどから主権者教育ということの重要性も指摘をされておりますが、まず最初に勉強するのが自分たちの町ということなんですね。まずそこから始めるという意味合いからも、自分たちがいつまでも住み続けたいと思えるような町づくりに若い人たちが主体的にかかわることで、よい変化が生まれるのではないかというふうにも期待をしております。

 こうしたことも含めて、選挙権を引き下げることにより具体的にこういったところが一番変わるのではないか、また期待されるのではないかということについてのお考えをお伺いできればと思います。

斎木参考人 最も期待されることといたしましては、やはりこれまで政治というものが遠い存在であったように、私の高校時代を振り返りましても、強く思っております。

 ですが、まさに、高校三年生である十八歳が政治に参加することによって、学校が政治のことを議論する場になる。まずほとんどの人が学校というものを通過してまいりますので、全ての人が政治というものを議論したり、政治というものは私たちにどういう意味があるんだろうかということを議論する。

 しっかり主権者教育を拡充させれば必ずそれが担保されるようになるということで、まさに恒常的に若い人、全世代が皆さん最初は若い人だったわけですから、学校を通過していくことによって、世代全体の投票率、世代効果と言うんですけれども、世代効果として、投票率がアップしていくことが非常に期待されると思いますし、そこがやはり今回の法案成立によって最も期待されるのではないかなというふうに思っております。

篠原参考人 冒頭申し上げましたように、やはり主権者教育の強化拡充が今一番求められていると思うのです。だから、十八歳になるということで、そっちをしっかりやらなきゃいけないというインセンティブが今強く働いていると思うんですよ。

 そういう面で、さっき言った、学校も家庭も地域もコラボしながら、そこのところを取り組んでいくという流れができれば、投票率の問題だけじゃなくて、投票質を高めるという方向にもつながっていくんじゃないか。

 それから、身近な問題ということを先ほど角田さんがおっしゃいましたけれども、大阪都構想をめぐる住民投票の結果、あれを一遍やはりきちんと検証する必要があると思うんですね。投票率が非常に高かったですよね、身近でわかりやすいテーマで。

 今度の憲法改正のための国民投票ということ、これも十八歳からの投票権になった。いずれはほかの国民投票にも適用されていく流れになっていくんだろうと思うんです。そういう面からすると、私は、身近な問題というのはやはり一番投票に行きやすいし、子供たちも関心を持ちやすいということは間違いなくあると思うのです。

 だから、私が先ほど申し上げたのは、子供向けの政策集を各党に出してくださいと。今三党が出してくれています、公明党も含めて。そのときに、この統一地方選挙でどうするかというので、統一地方選挙こそテーマも子供たちが一番わかりやすいじゃないか、ぜひ続けてくださいよということで、三党にお願いをした経緯がございます。

 よろしくお願いします。

高橋参考人 私からは、地方自治体における成功モデルに何かつながるのではないかということで、少し御紹介をしたいんです。

 私、自治体コンサルとして、全国を回っていろいろな自治体をサポートしたりしているんですけれども、最近は、PPP、パブリック・プライベート・パートナーシップというふうに言われていまして、いわゆる日本語で言うと公民連携というものなんですけれども、民間を交えながらどう政策形成をするかということが非常に重要だというふうに言われるフェーズになってきまして、中でも、パブリックインボルブメントといって、住民をどう政策形成に参加させるかということが大きな課題だというふうに言われています。

 こうした中で、住民の中で、私も、埼玉の自治体で、住民を巻き込みながら学校跡地の問題を考えるとか、その中に高校生も入れて学校跡地の検討を始めたりとかということをしたんです。また、DPと言われる討論型民主主義というのが藤沢市でやられていますけれども、ああいった、ただニーズを聞くと、表面的な、自己エゴ的なニーズしか来ない、そうするとポピュリズム政治だというふうに言われてしまうので、どう住民の意見を聞きながら政策形成をするかというプログラムがいろいろ開発されているんですね。まさにこういった最新のパブリックインボルブメントの仕組みを、若者の政治参加、また子供の政治参加として、地方自治体でやっていくことが重要なのではないかと思います。

 例えば、ドイツでは、公園をつくるときに、地域でその公園を利用する子供たちに、どういう公園で遊びたいのかということで意見聴取をしながら公園をつくっていったりします。こういうことの積み重ねが、まさに住民参加であり、有権者の質を高めていくことだと思いますので、地方自治体でこういう実践が進まなければいけない。

 ただ、自治体のことは自治体でと言っているとなかなか進まない側面もありますので、そういったものを促進させる政策を国政の中で打っていただきたいなというふうに思うところでございます。

 以上でございます。

角田委員 今さまざま御見解をお示しいただきましたけれども、結局そうした効果を発揮させるのは、やはり先ほど来の議論でもありますけれども、いかに政治に参加してもらうようにするのか、言ってみれば、投票率をいかに高めるかということになってくると思います。これが私たち大人が一番考えていかなければいけない課題だろうと思います。

 この改正案が早期に成立をして、十八歳選挙権というものが実現した場合、一番早い選挙は来年の参議院選挙、国政選挙ということになります。その来年の参議院選挙のころというのはどういうふうな時期かなということを考えますと、ちょうど高校が夏休みに入るか入らないかの時期かなと思いまして、甲子園の予選が始まっていたり、また受験生にとっては夏期講習などで忙しいさなかでの選挙になるのかなというふうにも思いました。

 この参議院選挙の投票率をちょっと調べてみたんですけれども、その選挙のときに二十だった集団の投票率がどのように動いていくのかを追いかけてみたんです。

 国政の場合は、やはりさまざまな要因によって投票率が上がったり下がったりというのが、特に地方選挙に比べて大きいんですけれども、そうした影響も勘案した上で、期間全体を通じて見てみますと、大体どの集団も、三十歳、四十歳と年齢を重ねるに従って投票率が上がっていく。これは先ほど斎木参考人も加齢効果ということでおっしゃっていますけれども、少なくとも政治から離れていくわけではない。しかも、投票率の増加の割合は、グラフにした場合の傾きというものは、全ての集団で大体似たような上がり方をしている。

 ただ一方で、悲しいかな、二十の投票率は選挙のたびに下がってきておりますので、どこまでいってもその集団の投票率というものが上の世代を上回ることがないということで、こうした結果も眺めながら、一体どこまで下がったらこの日本の低投票率というものは底を打つのかということを考え込んでしまうわけです。

 逆の見方をすれば、まず一番最初の発射台を高くすれば、初めての選挙の投票率を高めることができれば、投票率の低下にも歯どめをかけることができるだろう。

 それでは、いかにしたら最初の選挙の投票率を上げることができるのか、発射台を高めることができるのか。これは、今まさに党内でも議論をしているんですけれども、なかなか妙案というものが浮かんでこないという状況にございます。

 間違いなく言えるのは、やはり政治家の努力が大事なんだろうというふうには思いますが、その上で、投票率向上のために何をすればよいのか。先ほどから、主権者教育の重要性ということが指摘をされております。また、篠原参考人からは、家庭も含めたコラボの中での取り組みが必要というような御指摘もございました。

 そうした観点から、斎木参考人と高橋参考人に、教育の場以外でこういった取り組みがあれば、また、諸外国ではこういった取り組みが功を奏している、そういったような事例があれば、ぜひお示しいただければというふうに思います。

斎木参考人 諸外国の事例は高橋参考人が非常に詳しいので譲りたいと思うんですけれども、私なんかが思いますのは、やはり主権者教育ということがすごく重要になってくるのであろうと思いますが、これはなかなか国会の皆様ができるかどうか、文部科学省の方ができるかどうか、難しいかもしれないですが、私企業、例えばカラオケ店とかそういうところが、例えば、投票所に行ったときに、投票所に行った証明書を渡せばカラオケが三十分無料になるとか一時間無料になるであるとか。あとは、ローソンに行ったときに、済みません、固有名詞を挙げてしまって、例えばコンビニエンスストアなんかに行ったときに商品が少し割引になるとか。

 そういった私的企業も含めた巻き込みをしていって、それはなかなか難しい部分もあると思うんですけれども、やはり私ども民間、逆に我々ができることとしても、私企業を巻き込んでそういったキャンペーンのようなものをやっていく。物でつるんじゃないかという意見もあるかもしれませんが、やはり最初の一歩を踏み出すという意味でいろいろなインセンティブを用意して、そして政治への入り口をしっかりつくっていく。

 私は、いろいろな意見もあると思うんですけれども、タブーなくいろいろ議論をして、そういうことをやっていったらいいんじゃないかなというふうに思っております。

高橋参考人 では、御指名ですので、海外の事例について若干御説明をしたいと思います。

 ドイツなんかでは、十六歳に選挙権年齢が引き下げられたときの選挙結果を見ると、必ずしも年齢が低くなるほど投票率が下がるのではなくて、最後の、一番若い十六歳から二十のところでぴょんと投票率が上がるんですね。これは日本もそうでして、二十一歳の投票率より二十の投票率の方が高いと言われています。要は、一番低く、もらったばかりは比較的意識をするんですね。

 ヨーロッパの研究なんかでいいますと、親との同居をしていることが非常に投票率の向上に好影響を与えるというふうに言われていて、特に母親が投票に行くことが子供の投票に行く行動に大きな影響を与えるという結果が出ています。

 一方で、もう一個紹介したいのは、二〇〇二年に、NPO法人Rights、私どもの団体で模擬投票というプログラムを導入したんですね。このときに、いろいろ状況が出たんですけれども、子供たちに模擬投票を行わせる前段で、家庭でお父さん、お母さんはどうやって投票しているのというのを聞いてこいという宿題を出させるというプログラムをやったところ、親がそれを受けて、今までは投票に行っていなかったけれども行かなきゃというふうに思ったりとか、今までは、何となくポスター見てとか、そこまで考えないで投票していたけれども、真剣にマニフェストを読んで投票しなきゃというふうに思ったというようなことが生じたりということが起こっています。

 政治教育というのは、子供のための教育というのももちろんそうなんですけれども、政治教育そのものが家庭に及ぼす影響も与えるような、そういう仕組みをつくっていくということは非常に大きな影響があるのではないかなというふうに思います。

 あと、ドイツで、昨年九月に視察に行ったんですけれども、そのとき、ブランデンブルグ州というところが初めて十六歳に選挙権を下げて投票を行うというところを僕は目の当たりにしたんですけれども、その際には、十六歳の若い人たちを集めて、地域生徒会といって、いろいろな学校の生徒会の子が集まって主催をして、それを市役所などがサポートをして、フェスティバルみたいなものを行っていました。

 そのフェスティバルでは、選挙権の重要性についての講演などもあるんですけれども、その中にブースが出ていて、その中に、例えば自民党の青年部だったり公明党の青年部だったり、各政党がそういうブースを出して、うちの政党はこういうことを考えているんだよということを伝えたり、またはマッチングシステムみたいな、ボートマッチングの仕組みもそこに入れたりというようなキャンペーンをやったりしているんですね。

 こういったキャンペーンを超党派でやるような現場を若者と一緒に仕掛けるというようなことも、非常に大きな効果があるのではないかなというふうに思うところでございます。

 以上でございます。

角田委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、質疑は終わらせていただきます。本日は大変にありがとうございました。

坂本(哲)委員長代理 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 きょうは、四人の参考人の方、お忙しい中、ある意味歴史的な審議だと思っておりまして、選挙権が引き下げられたのは、戦後、二十五歳から二十歳に引き下げられて、それ以来七十年ぶりということでありますので、そうした審議におつき合いいただいておりますことを感謝申し上げます。

 きょうもこの審議の外は中学生の修学旅行の人たちが大勢歩いておりまして、みんな大体、うちの地元も、小学校六年生とか中学校で国会見学に来るんですね。でも、なかなか関心を持ってもらえません。

 今、十八歳に選挙権が下がるというので、積極的に駅の高校生たちにチラシを配るんですが、社会人に比べて、受け取っていただく比率が著しく低い。単に怪しいおじさんだと思われているのかもしれませんけれども、すごく低いんですよ。

 でも、自分の高校のころを見ても、私はすごい政治少年で、高橋さんのような政治少年で、当時、特定の思想を持った高校の先生に対して、高教組さんという団体に属しておりましたけれども、一年間、授業を潰して討論会をやったりもしておりましたけれども、大体そういう人間は変わり者だと思われてもてないというのが我々の世代であります。

 これだけ十八歳選挙権の年齢を言っている中、逆に、一番世代が低い斎木さん、周りでどういう話がされていますか。というのは、非常にスマートであって、私の地元だと、十八歳というと、女かバイクか、いろいろなことに興味はあるけれども、話しても、なかなか関心を持ってもらえないんですよ。

 ですから、今、十八歳に選挙権を下げるという動きが、皆さんの中でどういう話題になっているのか。あと、皆さん方が、私とちょっと世代が違うので、こういう政治のことでどういう議論をしているのか、していないのか。皆さん方が特別な人なのか、それとも一般的なのか。そのあたりの実情を、きょうは参考人質疑ということなので、この議事堂の中にいるとわからない我々に対して、生の声をお聞かせいただければと思います。

斎木参考人 お答えします。

 私も、大学でも法学部政治学科を選びましたし、政治に対して強く関心を持っておりました。

 ですが、クラスではちょっと浮きぎみというか、そういう部分はやはりありましたし、政治の話をするというよりも、それを隠して何かドラマの話をするとか近ごろはどうとか、常時そういういろいろな話を無理やりしていくというようなことがあったかと思います。

 実際、今周りを見てみましても、そういった十八歳選挙権という問題は、それはなかなか議論というか、まさにこういう審議があっているということがやはり全ての人たちに伝わっているというわけではなくて、私も、現状の認識としては、こちらがマイノリティーであるんじゃないか。

 ですから、これから周知活動であるとか主権者教育をどういうふうにしていくのかということに対して、もっともっと情報発信をしていく必要性というのは、やはり非常に必要になってきていると思います。

福島委員 ありがとうございます。

 ちょっと茶飲み話みたいな話で恐縮なんですが、それは何ででしょうか。総務省なんかが変な選挙啓発チラシを配れば配るほど、多分白けると思うんですよ、行ってやらないぞと。私がその世代だったら、そう思ったかもしれないんです。

 もっと何か根本的なところに問題があるのではないかなと思っていて、それは、我々も学生運動を知らない世代でありますし、何が本当に問題かというのを、一番学校教育に近い立場にいらっしゃった立場から感じるところがあったら、おっしゃっていただけませんでしょうか。

斎木参考人 お答えします。

 何が原因かといいますと、やはり政治家の方々との直接交流というものが物すごく私の認識を変えていきました。

 私ごとですが、これも少し個人的な話になりますが、実は、地元が山口、長門市でありまして、安倍総理大臣の出身の選挙区でございます。祖父が晋太郎さんの代からとか、そういういろいろな家庭のつき合いでいろいろなお話を聞いておりました。

 実際に直接お会いして、本当に一生懸命やられている姿を見たんですね。それは、皆さんがそうだと思います、党派を超えて。私は、そういう姿を見て、やはり政治というものは本当に一生懸命、命がけで取り組む仕事なんだなということを目の当たりにして、すばらしい仕事であるし、どんなものなんだろうという関心が芽生えていった。

 だから、私がこういう特殊な、浮くようになったのは、やはりそういう特殊な生い立ちがあって、そういう政治家の方と直接かかわったり、頑張っている姿、すぐ身近で見られる姿があったからだというふうに思うんですね。

 これを特殊な現象にせずに一般化していくためには、やはり皆様方が、学校現場とかに赴いたりシンポジウムに積極的に参加なさったり、地域のいろいろな若い人が参加するような場所に赴いていくということが極めて重要になってくるんじゃないかなというふうに私は思います。

福島委員 おっしゃるとおりだと思います。

 どうしても、例えば、私、中学校の同窓会で、活躍する、といっても大して活躍もしていないんですけれども、先輩特集みたいなものでインタビューを受けて、では、それを載せようとなった途端に、政治家は載せちゃいけないとか言われたり。

 やはり政治家と接する機会を、政治家がいかがわしくて危険な存在だからかもしれませんけれども、著しく制限しちゃっているという部分があるのではないかなと思っています。後ほどちょっと、政治教育のところで時間があれば議論したいと思います。

 では、もう一方、高橋さん。

 ともに選挙を落ちた後、一緒に浪人生活を送って、そのころからもう十年以上高橋さんはこうした運動に取り組んできたわけですけれども、いつの間にか若手市議がパパになって、中年の政治にかかわる方になりつつあるのかもしれないけれども、この十年間、いろいろもがいてきましたよね。なぜなかなか若い人の間に政治への参画の意識が芽生えないかということを、ちょっと経験を踏まえてお話をいただければと思います。

高橋参考人 御指名ありがとうございます。

 若い人が政治に関心を持たないということについてなんですけれども、先ほどから話をしていることの繰り返しになりますけれども、一つは、政治や政治家との接点が全くないということです。

 今、大学で教鞭をとっていましても、実際に政治家に会ったことがある人というふうに言うと、学部が商学部だということもありますけれども、ほとんどいません。学校現場だけでなく地域でも、例えばお祭りで御挨拶をされたり運動会で御挨拶をされたりということはされているんだと思うので、目にしたことはあると思うんですけれども、一方で、政治家と政治の話をするとか、どういうことを考えているかという話をする場というのがほとんどないのが現状です。

 そういったことの中でいえば、地域地域であったり教育現場の中で、皆さんが遠慮せずに入り込みながらお話をする場をつくるのが大事で、そこでよく言われるのが党派色なわけですけれども、例えば民主党の議員さんであれば自民党の議員さんと一緒に行って話をする場をつくるとか、そういった党派を超えた議員の皆さんで各地域で接点を持つような活動をしていくということが非常に重要なのではないかと思います。

 もう一つは、先ほどから生徒会の話をしていますけれども、やはり自分たちが参画をすると何かインセンティブがあるということを伝えることが重要だと思うんですね。

 日本だと、例えば何かを提案しても、そんなのはおまえのわがままだからやれないよ、みんなこれを守っているんだというようなことで、提案をして何かが改善されたという経験をしている人がほとんどいません。社会人になってようやく、おまえ、提案してみろと言われるんですけれども、提案ができないということをよく指摘されたりしますけれども、その最たるものが政治なわけです。

 そういうことから考えると、実際に行われている政治と、自分たちのルールを変えるという生徒会活動みたいなこと、または町づくりで地域の公園をどうするかというようなこと、そういったことがつながっているんだということとあわせて、自分たちが一生懸命情報を集めて、考えて、アイデアを出して、提案をして、決定をして、根回しもしてとかということを体験して、実際に決めたら本当に変わったということを体験させていくことが重要なのではないかなというふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

福島委員 済みません、篠原参考人はまた後でお聞きしますので、次は早田参考人にお聞きしたいんです。

 今、憲法のことを知ってもらおうということをやって、二年で七十回ぐらいお話をしたということですけれども、恐らく、憲法のことを知りましょうと集まってくる人は、憲法のことをもう知っている人か興味がある人しか集まってこないと思うんですよ。なかなか入り口が、先ほど来、政治と接する機会をつくろうということなんだけれども、政治と宗教は何かその場に行ったら変なものに勧誘されちゃうんじゃないかというイメージを多くの人が持っていて、そのあたりの壁というものを活動してお感じになったことはありませんか。

早田参考人 御質問いただきありがとうございます。

 これは、最初に憲法という入り口をぶつけたら、それはもちろん憲法に関心のある人しか来ないんですね。暮らしと密接にかかわっているところからつなげていくことによってしか、新たな関心というのは生まれません。

 私どもが活動していく中で、一つ、循環としてございましたのは、三・一一の福島原発の事故以来、若いお母さん方、子供さんがいらっしゃるお母さん方の間に、食べ物に対する放射能汚染に対する不安というものが広がりました。自分の子供たちに食べさせる食べ物が、これは安全なんだろうか、それについて政府が発表している情報を果たして信用してもいいんだろうかというところから、初めて政治に関心を持ち出したという方々がいらっしゃいます。

 その方々が、そこからまだ憲法にはつながらないんですね、まず特定秘密保護法なんですよ。特定秘密保護法ができたらこの食べ物に関する情報はどうなるんだろう、政府の言うことを本当に信用していいんだろうかというところから、憲法についても話してみませんかというところで、こういうつながりが生まれるわけなんですね。

 もちろん、これについてはいろいろ意見があるところかと思います。これは一つの例でございますけれども、そういった形で、暮らしにかかわる関心から政治に対する関心を結びつけていくということが一番重要ではないかというふうに考えます。

福島委員 ありがとうございます。

 やはり、いろいろな面で政治にかかわることの壁というのがあちこちにあると思うんですよ。それは、恐らく、一番の根本は教育なんだと思うんですね。

 篠原参考人、済みません、最後なんですけれども。

 この「主権者教育に関するワーキンググループの議論について」、私、本当にすごく大事な、すばらしいことが書いてあると思うんです。

 1の二つ目の丸で、「国家や社会の在り方は、その構成員である国民の意思によってより良いものに変わり得るものであり、自分たちの力でより良い国づくり、社会づくりに取り組むことは、民主主義社会における国民の責務である。これまで日本人は、ややもすると国や社会は誰かがつくってくれるものという「受身意識」や「観客民主主義」が強く、それが投票率の低下を始めとする政治への関心の低さなどの深刻な問題に繋がっていたと考えられる。」

 自分たちで国をつくっていこう、社会をつくっていこうという以上は、多様な中で必ず対立があるんです。その対立をどうやって自分たちの力で解決していくかというのが恐らく政治そのものの作用であり、我々は、そういう国民に選ばれて、代理になってこうした場で話させていただくだけの存在にすぎないんだと思うんですけれども、その根本的なところがどうもきっちり伝わっていない。

 総理を見ても、きのうもありましたけれども、早く質問しろよとやじったり、もう一度主権者教育を受けられた方がいいんじゃないかと思うこともあるんですけれども。

 それは、ここの二枚目にも書いてありますが、「政治的な中立性の確保が過度に意識されたため、政治教育がタブー視され、教育委員会や学校により、本来必要な政治的な教養を身に付けるための教育や政治を題材とした主権者教育まで忌避されてきた感は否めない。」

 でも、それをやるためには、先ほど篠原参考人は各党各派で話してよという話なんですが、政治の現場でそれを言ったら、どうしても選挙の思惑が出るわけですね、なかなか進まない。

 政治的中立というのは極めて制限された話で、先ほど高橋さんがドイツの何たら三原則というのをおっしゃっていましたけれども、要するに、先生が特定の政党に入れなさいという強制をしないという、幾つかの限定された行為のみを禁止するものであって、そもそも政治的中立性なんというのは世の中にないんですね。人間であれば、何らかの考えがあり、理念があり、中立的な人間がいないんですよ。これが中立だと言ったって、それはないわけですね。

 私は、この原則そのものを学校教育法から消すなりしないと、これは文部科学省に任せていたら、中立性をやるというのは、イデオロギーのない、無色透明な世界ばかりを求めることになると思うんです。

 ですから、政治教育とか有権者教育をやるために根本的に必要なことは何かという理念の話と、その方策について、お考えがありましたら、ぜひお答えいただければと思います。

篠原参考人 何ですか、政治的中立性の話を言っているんですか、一般論として言うんですか。(福島委員「政治的中立性」と呼ぶ)中立性。

 僕は、これは皆さんで話し合ってもらうしかない。

 だから、僕は各党で超党派の議連をつくってくださいと今お願いをしているんですけれども、そういうようなところでしっかりと担保していくしかないんじゃないですか。これは役所でできませんよ。怖くて、みんな役所はやりませんよ。だから、ぜひ、各党でそこはどういう担保をするのかということを話し合ってほしい。

 ただ、どうでしょうか、六年前に我々がそれに取り組んだときに比べて。もう皆さんが主権者教育が大事だということを言い始めている。総理までそうはっきり言っているわけですから。大分雰囲気が変わってきていますので、僕はそんなに難しい話じゃないんじゃないかなというふうに思います。

 先ほど来話が出ているように、例えば、選挙のときに学校に各候補者全部に来てもらって、みんなにしゃべってもらって、子供たちがそれについて模擬投票するとか、あるいはそこで意見を述べ合うとか、そういうようなこともできると思う。

 最後は、それは政治的な投票なんですよ、投票というのは。だから、あくまで最初に、いろいろ刷り込まれるところから始まるんじゃなくて、先ほど、子供政策集をもっと各政党にも、主要三党は出してくれていますけれども、みんな各党出してくださいとお願いしているのは、そういうものを子供のころから読み比べて、そして自分のパブリックマインドをつくっていく。そういうようなことをしっかり皆さんが、子供のころからやれるような状況になれば、余り政治的中立性という問題は起きてこないと僕は思う。

 だから、とりあえずの十八歳、十九歳に対して政治的中立性をどうするのかというのは、喫緊の問題としてあると思う。これは各党間の問題だ、政治のレベルの問題だ、私に聞く話ではない、こう思っております。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

福島委員 ありがとうございます。

 そうはっきりおっしゃっていただいた方が、我々もやらねばという思いになります。まだこの審議は続きますので、そういった場でも、私からも、まず、議員の間できっちり政治的中立性の問題を腹を割って話そうじゃないかということを提案していきたいというふうに思っております。

 次に、先ほど来、斎木参考人あるいは高橋参考人から、十八歳から十六歳まで、むしろほかの国は下げているわけだから、下げた方がいいんじゃないかとか、あるいは被選挙権をもっと下げた方がいいんじゃないかという議論がなされております。その次にそういう議論を起こすのは大事だと私も思いますけれども、では、十八歳より十六歳になぜ下げなきゃならないのというのがいま一つ、今までのお話からは、よく、ふっと腑に落ちる部分がなかったんです。

 どういう意味で、十八歳からさらに十六歳、十六歳の次は十四歳なんですか、その次は十二歳なんですかと言ったら、先ほどのドメイン投票方式になるのかもしれませんけれども、単に若ければいいという話なのか。逆に、十八歳から十六歳に下げることで、どういう効果というか、影響があると思っているのか。

 もう一つは、被選挙権の年齢の引き下げについても、お二人、斎木参考人と高橋参考人の御所見をお伺いいたします。

斎木参考人 私がなぜ十六歳に引き下げる、被選挙権も引き下げるべきだというふうに考えているかというと、若者の政治参加がなぜ重要かといいますと、私、大学院での専門は地方自治でございまして、皆さんもそれぞれ地元があられるというふうに思います。本当に、まさに八百の自治体がこれから消滅の方向に向かっていくということが増田レポート等で提言されているわけですね。

 若年層の女性が減って、産める女性が減ってしまえば、これは人口が増加していくようなことの政策が打てなくなるわけですね。だから、もう手おくれになってしまう可能性がある中で、地方創生本部の皆様が希望出生率というものを出されて、一・八だと。つまり、女性が希望している、夫婦が希望している数というものは、きちっと希望どおり生まれれば出生率は一・八であるが、現実は一・四である。

 それで、少子化対策をやらなきゃいけないと思うんです。それがやられていないのは、若者の政治参加というもののインプットが少ないから、きちっとした給付も少ないですし、少子化対策も進んでいないというふうに私は思うんです。

 ですから、被選挙権を引き下げたり、十六歳選挙にしたり、ドメイン投票にしたりということで、若者の政治参加をとにかく促していく必要性がある。そうすることで、出生率を拡大させて、高齢者にとっても、そして次の世代にとっても、やはり日本国全体が成長していくようなことをやるということが喫緊で求められているということです。

 やはり女性が少なくなってしまったら、もうそれは取り返しがつかないということだというふうに思いますので、そこは、本当に皆様方が、しっかりと若者の政治参加ということをそういう出生率というものと結びつけて、きちっと議論をしていただきたいと強く私は思っております。

高橋参考人 まず、ドメイン投票法についてなんですけれども、二〇一〇年に私が書いた本の中で政策提言として紹介しているんですけれども、選挙権をできるだけ広い人に提供するということと、今、シルバーデモクラシーと言われていますけれども、世代間格差が拡大したりとか、要は、将来に向けた政策決定よりどうしても身近なものでの政策判断がされているものを変えなければいけないということでは、こういうことは効果があるというふうに言われていまして、例えば、お母さんに自分の票と娘の票を渡したときに、判断する基準が違うという研究結果とかが出たりもしています。

 そういう意味では、こういうことも効果があると思いますけれども、ただ、一歳でも若くすればそれでいいという話ではなくて、先ほども言いましたけれども、立法趣旨によって適正年齢があって、選挙権年齢というのは教育として合わせた方がいいと思うんです。

 今、政治教育の議論というのは、十八歳になったことで、ようやく高校の現場で政治教育をどうするかということがこれだけリアリティーを持って皆さんに議論されるようになりました。しかしながら、残念ながら、義務教育の中での政治教育をどうするかというところまでリアリティーを持って議論されている方というのは少ないと思います。

 その意味では、より、十六歳まで引き下げることで、義務教育における政治教育の意識を持ってもらうというのは非常に重要なのではないか。

 あと、もう一つですが、今、投票率の低下がメディアなどで騒がれていますけれども、数字上での問題でして、実際に国民がどれだけ政治から離れているかという実感を持っている人たち、一番感じているのは恐らく皆さんじゃないかと思うんですよ。

 つまりは、皆さんのような体験をする人を若い人からどんどんつくり上げていかないと、日本の政治離れはもっと進んでしまうんじゃないかということから考えると、やはり被選挙権年齢というのはどんどん若くして、そして皆さんと同じような体験を、候補者という立場かもしれないけれども体験をすることで、日本の民主主義の質を高めていくということは最も重要なのではないかと思います。

 そういう意味では、私が申し上げるようなことではないですけれども、例えばこの議論でも、附帯決議の中で、政治教育の重要性であったりとか、被選挙権までも含めたさらなる若者の政治参加の仕組みの必要性なんかをぜひ皆さんには考えて、御検討いただきたいなというふうに思います。

 以上でございます。

福島委員 以上で質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

山本委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 きょうは、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうお話を聞いていまして、ワンイシューなこともあってほとんど同じような話を聞いております。ですから、相当お疲れかなというふうに思うので、そう言いながら私も同じような話になってしまいますので、ちょっと御容赦いただきまして、おつき合いください。

 まず最初なんですけれども、教育のお話をいろいろとされておりました。

 いろいろあると思うんですけれども、私が今回のこれをワンイシューと言ったところも一つあるんですけれども、これからの政治のあり方もしくは課題というものが、それぞれが相当大きなワンイシューであったり、世の中を二分するような意見対立があったりというものが、私は、すごく多くなってくるな、今まで以上にそういう世の中になってきていると。

 例えば、先ほども言われていましたけれども社会保障の問題であるとか、こういうのが世代間格差というふうに言っていればいいんですけれども、これは政治の責任ではあると思うんですけれども、世代間闘争みたいなそういうふうな様相がメディアも含めてちょっと出てきているのかなというようなお話。

 それと、先ほど篠原参考人が大阪都構想のお話をされていたんですけれども、実は私は、大阪維新の会のメンバーで、積極的に今回の住民投票に対して参加をしておりまして、いろいろな経験をしました。

 そういう中で、いろいろな問題があるんですけれども、例えば教職員だとか公務員に対する給与の引き下げであるとか、そういうふうなことを今まで改革としてやってきたことで教育が二分されてしまうような、そういう状態がちょっとあったんじゃないかな。

 というのは、例えば街頭で、歩いていろいろなところを回るわけですよ。そうしたら、小学生だとか、場合によっては幼稚園の子供たちが私たちを見て、もう維新はあかんとかと言うんですね。何でというふうにして聞くと、そしたら、学校とか幼稚園で先生が言うていた、都構想になったら私ら先生はやめるかもしらぬからねとか、やはりそういうふうな話が来て、それが事実かどうか、本当にどういうふうに言われているかはわからないんですけれども、そういうのがすごくありました。

 そういうことを考えたときに、今までいろいろな御意見があったと思うんですけれども、教育の公正の担保、これは非常に大きなものなんじゃないかなと私は思っているんですね。

 特に、これから先、政治の課題というふうになれば、世の中が二分するようなものになったとき、もしくは改革というふうになった場合に、何に関しても改革というふうになれば、よく言われる既得権者、そういうふうな人たちを必ず排除するような形になってしまう。そうなったときに、そこの中で教育の担保というのは本当にできるのかなというのがちょっと私、心配をしております。

 その辺について、お一人ずつ、短くて結構ですので、もう一度、どう考えていらっしゃるかというお話を聞かせていただきたいんです。

斎木参考人 政治的中立性に関しては何度も議論がありますが、そういう大阪の住民投票の事例の話は私も大学院の同級から少し聞いております。恐らくそういったこともありますから、政治的中立というものをしっかり明確に決めなければなりません。

 そうなったときに、先ほどから述べていらっしゃるとおり、やはり、文部科学省とか、省庁レベルではなかなか難しいと思うんですね。これは、皆様、各党派の国会議員の方々だからこそ決められる話であって、ドイツのコンセンサスにしても、それは国会議員がやったことなんですね。

 ですから、皆様がそこをしっかりとやらなければ、そこはどんどん曖昧になっていきますし、十八歳選挙権というものが期待される効果が、むしろ逆効果になったり、教育現場が混乱するというような事例に、ヨーロッパではうまくいったけれども、日本は国会議員の方々がしっかり中立性というものを定義しなかったということになってうまくいかなかったねということになりかねないような現象でもあると思うんです。

 だから、ここは注意深く、皆様の中で政治的中立というのは何なのかということをしっかり要件みたいな定義を、それぞれの、いろいろな委員会で今なされていますね、だから、今回の公選法に関しても、いや、これは大丈夫だろうというふうにやるのではなくて、やはり真剣に議論なされるべきだと私は思いますし、そこは本当に重要であると思います。ですから、そこはしっかり議論されるべきだと思います。

篠原参考人 先ほど申し上げたとおりです。やはり政党、政治家レベルで。だから、そういう面では、僕は、超党派議連みたいなものをつくって、ぜひ起こしてもらいたいなというふうに思っております。

 それから、大阪の例は、確かにそういうことも僕も耳にしましたけれども、一方で、大阪維新の会はそういう雰囲気を逆につくってしまったというところも、教育現場に持ち込まれるような雰囲気を全体の流れの中でつくっているということも一方で言えるのかもしれませんし、それがいいとか悪いの問題じゃなくて。

 ただ、私が一番心配しているのは、きょうの質問をお聞きしていても、ほとんど政治的中立性をどう担保するかということに集中しているんですね、皆さんのお話が。だから、そこでまたせっかくの十八歳投票権というものが逆流するような流れにならないように、ぜひブレークスルーしていただきたい。これは皆さん方の責任であり役割だと思います。

 よろしくお願いします。

高橋参考人 まず、大阪都構想についてなんですけれども、日本の中でも、住民投票においては、必ずしも二十からやっていなくて、例えば平成の大合併と言われた市町村合併における住民投票では、十八歳から投票する住民投票が行われたりとか、長野県の村では中学生から参加する住民投票なども行われていました。さきのスコットランドの独立を求める住民投票では、十六歳から投票されたことがメディアでも話題になっていました。

 大阪都構想でも、私は、まだ詳しいデータがないので分析し切れていませんけれども、単純に二十代の投票行動を見て言えば、十六歳まで投票させていれば結果が逆転していたんじゃないかなというふうに思ったりもするんですね。

 一方で、そういう判断をされなかった要因というのが、多分、御質問者の質問の部分にあったんじゃないかというふうに勝手に思っているんですけれども。

 教育の中立性というのは、先ほど申し上げたように、制度としては、そういった中立性の条件をつくって、こういうふうにやりなさいと提示することはできるんですけれども、一番の問題が、恐らく教室という場が非常にブラックボックスになってしまうところに皆さんが御心配される要因というのがあるんじゃないかなというふうに思います。

 そういう意味では、教員がある授業をやったときに、それをさまざまな形から、おかしいことがあったら指摘ができるような仕組みが必要だ。つまりは、受講している生徒が、おかしいことがあったらおかしいよというふうに誰かに伝えられる制度というのは設けていく必要性があるのではないかなというふうに思います。

 よく言われる組合の活動等の話もありますけれども、現状の社会においては、組合の組織率も下がってきていますし、組合員だからといって必ずしもその組織の考え方を学校の教育現場でやっている人たちばかりでもなくなっているというのが現状ですので、そういったことも含めて、時代に合わせた制度設計というのが必要なのではないかというところが私の考えでございます。

 以上でございます。

早田参考人 私の考えは、繰り返し述べておりますとおり、教員の政治的発言の自由を確保しつつ、ただそれは押しつけにわたってはならない、多様な意見を紹介するということが全てでございます。

 特に小学校においては複数担任制などというものが進んでおるように聞いておりますけれども、こういうふうに一つのクラスを複数で担当する、それだけでも一人の意見だけがその教室を支配することにはならないわけです。そういった形で教室の中の思想の多様性を確保することが重要であると考えます。

 以上です。

木下委員 ありがとうございます。

 ちょっと最後、早田参考人が言われていたんですけれども、最初に言われていた憲法の件で、校長先生にお話をしたら、政治を持ち込みたくないと。ただ、私、ちょうど同じような経験がありまして、学校教育の中で政治をもう少し言うような、そういう場がもっと必要なんじゃないですかというふうな話をしたときに、特定の人なんであれですけれども、その校長先生が言われていたのが、要は、教員の偏重を正すというようなことができない、公正な教育をする自信がないというふうに言うんですね。

 そういうのを考えてみると、この公職選挙法云々という話もあわせながら、恐らく公職選挙法の中で教育について云々というふうなところをどこまで書くのか、もしくは教育関連の法制の何かをするのかというところは一つあるのかな。ただ、そうはいいながら、意見がちゃんと言えるということは確保しながらというのは、これはもう少し私たちがやはり考えていかなきゃいけないのかなというのを先ほどお話しされていてちょっと感じた次第なんですね。

 もう一つお話をさせていただきます。

 これは被選挙権のお話、それからそれに付随してなんですけれども、高橋参考人がおっしゃられていたんですけれども、例えば、特区をつくって被選挙権もそれから選挙権も同一にしてみる、もしくは下げてみるというふうなお話をされていたんです。

 先ほどの大阪都構想の話もちょっと含めてなんですけれども、大阪都構想の場合は法律に定めた住民投票だった、その他地方については条例による住民投票だったという違いもあって、選挙権を持っている人がどういうふうな人なのかというのが決まっていたんですけれども、特区を設ける場合に、その特区を定めるのを誰がやるのかというのが、ちょっと私、聞いていてどうやっているのかなと思ったんですね。

 というのは、その特区に当たるところで、今回十六歳に引き下げますよというふうなことを決めるのがそこの首長もしくは議会であった場合、その多数の議会が、多数派が、そういう若者政策を強く推し進めているようなところがそうやって決めてしまうというのは、また政治的な中立性が保ちにくいのかなというふうに僕は思っていまして、海外の事例も含めて、どういう決め方をされているのかというところを参考までに聞かせていただきたいんです。

高橋参考人 まず、海外の事例から、どこが決めているのかという話ですけれども、例えばドイツにおいては補完原則というのが原則になっていまして、地方で決められることは地方が優先するという考え方ですので、道州における選挙制度も道州で決められるということになっています。なので、道州の中で、自分たちの選挙制度は何歳からが適齢なのかということで、判断して決めているということでございます。

 特区についてでございますけれども、日本においても、特区制度で提案をしている自治体というのがありまして、先ほど御紹介した私の国家戦略特区のときにも、後追いではあるんですけれども、もう名前は公開されているので出して大丈夫かと思いますけれども、鎌倉市、埼玉県の北本市、それから南相馬市の首長さんに同意をいただいて、首長さんの名前を出させていただきました。

 それから、構造改革特区時点でも、北本市を初め幾つもの自治体で、地域における選挙権、当時は選挙権だけだったんですけれども、選挙権の年齢引き下げの提案というのはしているんですね。

 ただ、当時から総務省が物すごくこれに抵抗をしておりまして、こうした地方で決めるということは特区で行うべきではないということをお話しされます。私どもが国家戦略特区で、ヒアリング等では結構評価されたんですけれども、結局とどまったところは総務省によるこうした抵抗があって、総務省の皆さんに言われたのは、要は、海外でやっている事例というのも、大体、連邦国家で、道州になっているところの州でやっているだけだろうということで、基礎自治体で行われている事例はないというのが一つの御紹介でした。

 そういう意味では、特区でやるのではなくて、例えば、地方選挙権については地方で決められますよという公職選挙法を改正した上で、個々の自治体がそれぞれ自分の自治体の中で条例で適齢年齢を決めるという形にすれば、総務省も御理解をいただけるのではないかと思います。

 そういう意味では、地方の問題ではあるんですけれども、この制度改正のためには国会の中で皆さんに決めていただく必要性があるということでございます。

 以上でございます。

木下委員 ありがとうございます。

 では、最後の質問になりますけれども、これも同じようなお話ですけれども、投票率の向上というお話で、今回、特に二十歳から十八歳に下げるというところで、そういう学校教育に関するところで投票率を上げていくというような話が中心になっていたと思うんです。

 ただ、何度も出して申しわけないですけれども、大阪都構想の話でも、出口調査なのでどこまで実際なのかわかりませんが、七十代以上に関しては反対が上回っていた、そのかわり六十代以下に関しては各年代とも賛成の方が上回っていた。これは計算がちょっと怪しいんじゃないかという話もありますが、そういう中で、反対の方が多かった。恐らく、相当高齢者の方々の反対が多かったんだろうというふうに私は見ているんです、当然皆さんもそう思われていると思うんですけれども。

 そういうのを考えたときに、十八歳に引き下げて云々、それで教育を云々、それは、将来的には、そういう世代がある程度加齢していくことによって、どんどんその意識というのが高まっていく、もしくは底上げがされていくということはあると思うんですけれども、十八歳に引き下げると同時に、やはり二十代、三十代、四十代の人たちも含めた啓発活動。権利だとおっしゃられて、義務にする必要はないという御意見もありましたけれども、何らかの啓発活動というのはやっていかなきゃいけない、それは政治家の使命でもあるとは思っているんです。

 何らかの、やはり投票に行くことによるインセンティブであるとか、もしくは二十代、三十代の人たちにも、教育というのはあれですが、啓発というものをやっていかなきゃいけないんだろうと思っているんです。

 その辺は余り皆さんお話がなかったと思うので、そういったところをどう考える、どういうふうなアイデアがあるんだろう、これは私どももいつも考えているところなんですけれども、そういったところで御意見があればなと。

 というのは、やはりそういうことをやっていくことによって、真の意味での、世代間闘争ではない、世代間格差を是正していくような政治が行えるようにするためには、そういう意見がちゃんと満遍なくなっていくというのが私は一番重要なのかな、先ほど斎木参考人がいろいろとおっしゃられていましたけれども、それを聞いていてそう思ったんです。

 もしも御意見がある方、どなたか、お話しいただければ。

斎木参考人 質問にお答えします。

 本当に底上げが必要だと思います。

 私は、本当にそこに対してすごく前向きな立場であるんですが、ただ、あえて申し上げたいのは、やはり限界があるだろうというふうに、私はすごく期待しているんですけれども、逆に、私もいろいろな啓蒙活動をやってきた側面があって、同世代を見ていましても、若い世代は、今の特に日本の若者は、社会学者も指摘していますが、現状ではすごく自分の生活に、今の現状の生活に満足しているんですね。所得も一定程度ありますし、バイト代とかで自由に遊べますし、飲みにも行けますし、本当に今の現状の生活に満足しているんです。

 ということは、ただ、長期的に見たら物すごい厳しい未来が待っているんですけれども、人間というものは、目先、目先の利益しかやはり見えない部分があるわけですよね。本当に成熟した、質を高めるという議論がありますけれども、私はそれは本当に目指さなければならない理想であると思いますが、現実としてはなかなか難しいのであろうということはあります。ただ、その理想は捨てずに、一つ一つ努力はしていかなきゃいけない。

 ただ、私は、それは世代間闘争に突入してしまうところまで来てしまっていると思いますので、ですから、やはり十八歳、十六歳、あるいは二十代、三十代の投票率を上げるということに限らず、ドメイン投票制であるとか、あるいは義務投票制、私は、権利に義務だからということでやるということは余り望ましいことではないと思います、意見は一致していますが。

 ただ、間に合わなくなる、世代間闘争に突入してしまうことを考えると、今それ以外の選択肢も喫緊で議論していくべきですし、今回の都構想のことが参考になるかどうかわかりませんが、一つの示唆はあったと思いますね。ですから、やはりそこは、そういうふうに考えていくということも、それ以外の選択肢もちゃんと考えていかないといけないんだというふうに私は思います。

高橋参考人 委員長、ありがとうございます。

 短絡的に、投票率を上げることが目的だというのであれば、学校の中に今投票所をつくろうとか、さっき言った投票割、選挙割みたいな割引をやるとかということもアイデアとしてはあるんですけれども、それはあくまで手段でして、民主主義の本質では恐らくないと私は思います。

 それから、もう一つは、世代間格差の話をしているんですけれども、十八歳に下げても、これから人口構造が変わるので、若者が一〇〇%投票に行っても、高齢者の人たちが今の投票率を維持したら、数として勝てなくなっちゃうんですね。

 そういう意味でいうと、若い人をふやすということももちろんそうなんですけれども、全ての世代の人たちがしっかりと政治リテラシーを持って、将来的な展望を持ちながら政治判断をするようになってもらわなければいけない。そういう意味では、投票の質を高めたりとか、日本全体の民主主義の質を高めることが重要だというのは本質だと思います。

 その上で、先ほどパブリックインボルブメントの話をしましたけれども、有権者、例えば、わかりやすく自治の話をしますと、地域の方にアンケートをとると、公共施設の再編なんか、財政状況を伝えれば、おおむね総論は賛成するんですけれども、自分の近所の公民館を廃止するというと、必ず反対します。アンケートで、賛成ですか、反対ですかというと、地域住民は全員反対になるんですね。

 ところが、例えば、パブリックインボルブメントの仕組みで、DPという、討論型民主主義の仕組みであったりとか、私どもがやったのは、内閣府の地域活性の補助金をとってきてやったんですけれども、無作為に出して、そこから選ばれた人たちに半年ぐらい情報を与えて議論をしてもらって、皆さんで考えてくださいというと、有権者の考え方が変わってくるんですね。そうすると、自分たちのエゴから、地域全体の、全体利益を考えるようになります。

 こういったことをやっていくことが非常に重要で、若い人にこういうことをやらせていくということが大事なんじゃないかと思います。

 そういう意味では、選挙制度のように、選挙のときにだけ住民参加をさせるのではなくて、例えば、審議会の中に、有識者だけじゃなくて普通の国民を巻き込んでいくような仕組み、若者を巻き込んでいく仕組みであったりとか、普通の若者の人たちを若者政策に対して発言ができるような形にする。例えば、スウェーデンでは、若者にかかわる政策については必ず若者に相談しないと政策決定してはいけないということが法律で義務づけられています。

 そういった、若者の声を聞くような若者の利益団体をつくって、政策協議を事前に行うとか、こういったことも検討していく必要性があるのではないかなと思います。

 以上でございます。

木下委員 以上です。ありがとうございました。

山本委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 本日は、参考人の皆さんのお話、非常に勉強をさせていただくことができました。最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 十八歳選挙権ということなんですけれども、やはり、選挙というのは民主主義の根幹であり、国民主権、議会制民主主義の基本というか根幹だと思います。

 歴史的に見れば、議会をつくる、そして普通選挙権の獲得、また、戦後では婦人参政権や二十歳からの選挙権の実現と、まさに自由と人権の獲得の闘いの中でこの選挙制度がかち取られ、国民主権、そして日本国憲法が確定してきたという歴史があると思います。

 日本共産党は、一九二二年の党創立以来、十八歳以上の全ての男女に普通選挙権をということを掲げ、その実現のために力を尽くしてきましたけれども、そうした点で、今回の十八歳選挙権、これは本当に幅広い民意を議会に反映させるといった点で非常に重要ですし、議会制民主主義を発展させるという点でも大事だというふうに考えております。

 その点で、斎木参考人、そして高橋参考人、早田参考人にお聞きしたいんですけれども、お二人は十八歳選挙権の実現のために活動をされている、そして、早田さんは若手の弁護士の会の活動をされている。

 そもそもそうした運動を始めるきっかけというか始めた理由、それと、実際に今同世代の皆さんに運動する中でさまざま働きかけていると思うんですけれども、その運動をする中で何が大事だったというふうにお感じになっているのか、その辺をお答えいただければと思います。

斎木参考人 私がこの運動を始めますきっかけになったのは、二つあります。

 一つは、政治的な関心というものが薄れていっている状況があって、それは議会制民主主義の本質が揺らぎかねない事態になっている。人々がきちっと情報に通じて、選挙に行って、そして代表を選んで政治を決めていくということが、政治的無関心が拡大し、若者の投票率も、世代別投票率、二十代の投票率は戦後最低になっている。そういう中で、やはり議会制民主主義の根底が覆るような状況になっているというところが大きい問題としてある。

 だからこそ、若い世代に対して主権者教育を充実させることであるとか、いろいろなことが、十八歳選挙権の実現を目指していることによって、今まさに議論になっているわけですよね。だから、この法案の成立を目指していくことによって、結局、まさにこういう主権者教育とかの議論が生まれてくるだろうということ、ひいては民主主義の本質というものの質を高めていくということが一つです。

 二つ目は、私は、今現在二十三歳ですので、五十年後とか自分が高齢者になったときとか、そういうことをやはり想像します。そうなったときに、自分が高齢者になるときに、約四割が高齢者であるような状況になっているときに、では、国債は今一千兆円を突破しているような状況がある、どんどん私たちにツケを回しているんじゃないか。それを解決しようというふうな議論は出ますよね、毎度毎度出ているわけですけれども、一向にそれが解決されるような施策とか政策は打たれていないわけです。そういうことを考えますと、私は次世代に先送りされていると強く感じておりますので、そういった世代間格差の問題をやはり解消しなければならない。

 この二つが、私のこの活動を始める強い強い動機になっております。

 どんな運動がよかったかということもお伺いしましたのでお答えしますと、やはり、当事者意識を持っていただくためには、先ほども述べましたが、政治家の方々との直接交流というもの。

 政治家の方というのは、すごい雲の上とかテレビの中の世界で、あるいはダーティーで、すごい何かお金を、汚職のことばかりやはり取り上げるわけです。こういう真面目な審議は全然マスコミに取り上げられずに、そういう何か問題が起こったときばかりマスメディアは取り上げる傾向がありますから、やはりダーティーな人たちなんだというイメージを持たれているのは実際なんですね。これは現実としてあると思います。

 しかし、実際触れ合うと、真剣に頑張られているんだ、もう本当に寝る間も惜しんで頑張られている方がたくさんいる。そういうところを見ると、あっ、自分も政治に関心を持たなきゃとか、どういう人を選ぶべきかとかいうことをやはり言いますね。なので、直接交流をどれだけふやしていくかということが非常に重要になってきますし、それはやはり、皆様方の行動の一つ一つということになると思うんです。

 ですから、ぜひともそういうところを何か意見として役立てていただけたらいいと思います。

高橋参考人 まず、なぜこういうことに取り組んだかということからお話をさせていただきたいと思います。

 個人的なことになりますけれども、私、高校のときに生徒会長でした。そのときに、例えば校則を半分にしたりとか、あと、当時、子どもの権利条約が日本で批准されたばかりの時期でして、子どもの権利条約の中では子供の最善の利益とかさまざまな権利が保障されている一方で、学校現場では、みんなそうなんだから我慢しなさいといって、なかなか権利が保障されていない状況があったんです。

 こうした中で、子どもの権利条約というのは条約ですので、憲法の下だ、先生が言っているのは、教育委員会か、大きくても文科省の通達ですよねと。通達より大分上の条約でこういうことが保障されていると思うんですけれども、何で我々にはこういう権利が保障されていないのか答えてくださいというような公開質問状を、学校に出したりとか、教育委員会や知事に出したりとか、当時の各政党に出したりとか、文科省、外務省とかに出したりとか、そういうような活動をしていたんですね。

 そういうときに、非常にメディアにも取り上げていただいて、我々の世代というのはいわゆる学園紛争だったりとかという時代ではないので、そういう若者がいなかったものですから、クローズアップしていただきました。

 そうすると、そういうことによって、今まで関心のなかった同世代にも関心を持ってもらえるようになったというようなことで、私は、地域だったりとか自分たちのことだったりとか、また自分が住んでいる国についてみんながもっと考えるようになるべきだというようなことからこういう活動を続けているというのが一つです。

 もう一つは、私、帰国子女でございまして、世界でも数少ない東西ドイツの教育を受けた人間であります。そういった、外から見た日本というものを感じたときに、海外の人たちというのは日本の政治だったり日本の民主主義というものについて非常に低い評価をされていて、私は、自分たちの国はそういう国じゃない、世界に誇れるような民主主義の国にしたいという思いから今まで頑張ってきたということが私の原動力であります。

 それから、どんな運動が実際に効果があったかということですけれども、これは、こういう場でお話しするべきかどうかわからないですけれども、むしろ求められていることじゃないことまでお答えするかもしれませんが、一つは、国民世論を選挙権を求める形に大きく変えて、若者全体が求めているから法改正をするんだというのが一番きれいな形だとは思うんですけれども、なかなかそうはならない。

 それでも、当時、私たちが十五年前にやったときには、大学生だった自分を初め三人の若者、同世代しか言っていなかったことが、今ではメディアの世論調査で過半数を超えるだけ賛同してくれるようになりましたから、そういう意味では大きな変化があったんだと思いますし、それが後押ししていることは間違いないです。ただ一方で、こういった市民や一若者が言ったことが政策に本当になるということを考えると、ロビー活動みたいなことが非常に功を奏したのではないかなというふうに思っています。

 一方では、永田町世論と言われる議員の皆さんに、若い人たちが求めているものを感じてもらうということが非常に重要で、今まで政治に関心を持っていたけれども言えなかった若者たちを数百人国会の中に呼んで、そういう若者の声を実際に国会議員の皆さんに見ていただいて、感じていただいてというようなことは、特に政権与党の国会議員の皆さんのお気持ちに響いた活動になったのではないかなというふうに思います。

 それから、政党やそういうイデオロギーを超えて、超党派で民主主義の質を高めようということをやるべきではないかということを切々と論理的に熱意を持って議論を通じてきたことが、党派を超えて、与党の皆さんも野党の皆さんも共感をいただいて、ここまで来れたのではないかというふうに自負しているところでございます。

 以上でございます。

早田参考人 私がこの運動を始めたきっかけというところでございますけれども、私は、お二人とは違いまして、十八歳ですとか二十のころは政治に何の関心もありませんでした。私、今でこそ弁護士をしておりますけれども、法学部出身ではございませんで、文学部英文学科の出身でございます。

 大学の三年生になって就職活動をしたときに、ある大企業の役員面接まで進んだときにこう言われたんですね、非常に個人的な話で恐縮ですが。君は頑張る、頑張ると言うけれども、男の頑張ると女の頑張るは違うんだよと言われたんです。私は、あっ、こういうことを言われる体験というのは本当にあるんだとそのときに初めて知ったんです。

 そこから、労働法というものに興味が生まれ、政治に興味が生まれました。政治の現場で話されていることが私たちが働く現場につながっているということを初めてそこで体感をいたしました。そういう経験があって初めて私は政治に関心を持つようになったわけなんですね。

 ですので、私が今一番気をつけていることは、聞いてくださっている方々の生活に一番引きつけて考えていただくこと、そしてもう一つは怖がられないことです。政治というのは怖いとか、憲法というのは何か難しい、怖いという印象をよく持たれます。そうじゃない、まずは敷居を下げるというところから始める。そして、私たち自身が楽しむことによって、それも敷居を下げることの一つの方法でございますので、そういったことに気をつけております。

 以上です。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 今度は四人の参考人の皆さん全員にお聞きしたいんです。

 若者が政治参加をしていく上で、私は、さまざま日本の選挙制度というのは、被選挙権の問題もそうなんですけれども、べからず集というふうに公職選挙法が言われるように、やってはならないというものが非常に多い。特に、国政選挙になりますと供託金が三百万とか六百万というふうに、非常に国際的に見てもまれな高額になって、若者が政治参加をしようと思ってもバックがなければできないという、なかなかハードルが高い状況があると思うんです。

 また、選挙制度でいっても、小選挙区制という四割の得票で八割の議席を占めるような、自分の一票が生きているんだろうかという実感がなかなか持ちづらい、そういう部分も選挙制度自体に私はあると考えているんです。

 そうした点で、若者の政治参加を今後進めていく上で、十八歳選挙権もそうなんですが、今の日本の選挙制度から見た場合、何が障害になっているのか。逆に言えば、むしろこういうふうにした方がもっと若者が政治に参加できるようになるんじゃないかという御提案というか御意見があればぜひお聞かせいただければと思うんです。

斎木参考人 お答えします。

 どういうふうにすれば若者がもっと積極的に参加できるだろうか。一つは、被選挙権に関すること。直接、本当に立候補していくということが一つの参加の方法でありますので、まず一つ被選挙権からお答えしたいと思います。

 やはり供託金というものは、諸外国の事例から見ても高いというふうに思いますので、これは引き下げるべきであろうというふうに思いますし、同時に、被選挙権年齢についても、何度も申し上げておりますが、やはり引き下げるべきであると思います。

 というのも、例えば憲法十五条では、「成年者による普通選挙を保障する。」と述べておりますから、その普通選挙の中に被選挙権も含まれるというふうに解釈をすれば、被選挙権年齢は二十が相当ではないかというふうに私は考えているんですが、そう考えたときに、二十に被選挙権年齢が引き下げられますと、例えば大学を休学して立候補するとか、そういったことが可能になると思います。

 そうなったときに、日本の労働の市場として、新卒一括採用というのはまだ依然として強い状況にあるという中にあって、出馬するということが、やはりライフプランを設計していくに当たり非常にリスクになる可能性というのはあると思うんですね。

 ただ、例えば引き下げられて二十で大学を休学して立候補できるような状況になれば、非常に検討をしやすいことになるというふうに思います。ということであれば、被選挙権年齢を引き下げたり、あとは供託金を引き下げるということは、やはり早急に議論をされてしかるべきだと思います。

 かつ、そういった若い世代が実際に立候補するということは、皆さんも選挙に出られたときなんかはやはり御友人がすごく応援をなさってくださったと思うんですよね、当然ですが。

 ということは、それは、三十代であれば三十代の御友人が多いでしょうし、四十代の人であれば御友人が基本的には多いでしょうということになれば、やはり若い人が立候補することで若い人の友人が、もちろんいろいろいますけれども、基本的には若い人が友人多いわけですから、そういう人たちが、また投票に行きたいとか、あるいは、若い人が出ているから、あっ、政治に対して関心を持とうということになると思いますから、被選挙権年齢を引き下げることは、そういう二重の意味でそういった若い人が政治に参加していくということを促すと強く思いますので、ここの検討もやはり早急に進めていくべきではないかなというふうに思います。

篠原参考人 私はちょっと意見が違って、政治とか政治家への関心というものが若い人にないというのは、やはり世の中への関心がないんですよ。世の中というものに対して関心がないんですよ。それで、では世の中を動かしているのは政治なのかどうなのか、こういくので、余り政治、政治というふうに最初にかぶせない方が、僕は若い人たちを政治へいざなっていく逆に近道だというふうに思う。

 それから、政治家の供託金の問題とかなんとかという技術的な問題、べからず集の問題もそうだし、そういうものが、今申し上げたようなことが進んでいくと、私も政治家になってみようかしらとか、そういう質を伴った人たち、ここにいらっしゃる方はみんな質がいいと思うんだけれども、時々、質がどうかなと思う政治家がいるじゃないですか。だから、そういうようなものも排除して、質のいい政治家の人たち。

 だから、一番大事なことは、そういう志とかを持たないと、技術的に出やすいようにどうしたらいいかということばかりやっていたってだめですよ。僕は政治家というのは究極のボランティアだと思っているから、やはりそういう志を持っている人なのかどうなのかということ。

 だから、そういうものをつくるのは主権者教育なんですよ。全てが、主権者教育を小学校からどう起こしていくかということに私はつながっていると思うので、先ほど来、この両方から、被選挙権をもうちょっととか、十六歳と。私は、時期尚早論で、まず、十八歳をしっかりと実質化する、これが大事だと思っています。

高橋参考人 私も、主権者教育、政治教育の充実をしていくのが重要だ、それが本質だということは同意であります。

 ただ、その上で、べき論を言ってもなかなか変わらないというのが現実でして、民主主義は大切だから参加しろと言っても、誰も参加しないんですね。

 私自身、実は政治家だった時期があって、当時、市川市の市議会議員だったときに、一%条例というのを提案して、実現しました。これは何かというと、有権者が市民税の一%分の使用目的を指定できるという制度です。これは民主主義の仕組みからはちょっと不誠実なところもあるんですけれども、ただ、参画をするとインセンティブがあるということで、参画を促進させる政策を打つというような誘導というのは、一定時期、転換期においては有益なんじゃないかなというふうに思います。これは、ハンガリーで一%法というのがあって、それを反映した政策提案ということでやったんです。

 あと、御提案の、選挙による制度で斬新なということでいうと、二〇一〇年に書いた本の中では、世代別選挙区制度というのを提案していて、例えば、今の地域別選挙区制度、千葉五区とか四区とかとやると、どうしても地域代表が選ばれてしまうので、シルバーデモクラシーの現実でいうと、どうしても高齢者に、若い政治家も、必ずしも若い人の意見だけ代弁していれば受かるということにならなくなってしまうんですね。

 それを、例えば二十代選挙区とか三十代選挙区とか、三十代が投票する選挙区というのをつくれば、少数ではあるけれども、必ず若者の利益代表を出すことができるという選挙制度です。例えばこういうことも含めて、ドラスチックな選挙制度、頭の体操みたいなことをすることは大事だとは思いますけれども、本質的なことなのかどうかというのはまた別かなと思います。

 もう一方で、韓国では、女性の社会進出を始めるために、ポジティブアクションとして、政党の比例名簿に男女男女の順番で入れるということをやったりしています。

 例えばこういうことを各政党が、若者を入れるようにするとか、もっと言えば、政党を規定する法律というのは国内にはないので、政党法みたいなものをしっかりつくって、政治と金の問題ももちろんそうですけれども、それだけじゃなくて、政治教育における政党の役割だったりとか、候補者選定における国民の信頼を持つための基本的な原則だったりとか、こういったものを明示して、若者を一定数入れなければいけないとか、あとは、政党の候補者選定については、より透明性を高めて、有権者に事前に判断させるようにするとか、そういった改正をすることというのは一つあるかなと。

 それから、先ほど先順位者もおっしゃっていましたけれども、例えば、政治家になりにくいところを緩和するのであれば、休学はもちろんですけれども、休職なんかもさせられるような形で法的に整備をして、民間の人たちが出て、戻れるようにする。

 そういったことは重要で、アメリカではリボルビングドアと言われているんですけれども、政策人材とか政治人材が大学に行って政治家になって、今度戻って大学に行ってシンクタンクに行ってという移り変わりによるステップアップがあるんですけれども、日本の場合、最初に政治家になるとなかなか行けません。

 私自身、二十代で政治家になって、その後ヘッドハンティングされて自治体の部長職をやって、今大学の教員をやってとやっていますけれども、これというのはまさに新しい道の開拓でして、こういったことの整備というのも皆さんで御検討いただくと、さまざまな人材が政界に来て、また人材が流動化して活性化されるんではないかなというふうに思います。

 以上でございます。

早田参考人 やはり、政治にかかわること、これが特別視されている空気があると思うんですね。その空気をなくすこと、これが一番重要ではないかと思うんですけれども、制度的に少しでも改善できるような方法として、一つにはネット選挙の解禁ということが経験として挙げられると思います。

 ネット選挙の解禁による効果はいろいろ議論のあるところですけれども、一つ確実にあった効果として、誰もがネット上であれば選挙に関して自分の意見を言ってもよい、実際にそれに従って行動された方がいたわけですよね、発言された方がふえた。こういった経験によって、自分が政治に対して主体的にかかわるという経験を持った方も多いと思うんです。こういったことをネット上だけでなく、公職選挙法のほかの選挙運動の分野にも広げるということが一つ方策として重要ではないかと思います。

 また、今まで出てこなかったんですけれども、小選挙区制についても、一時期は自民党の先生方も含め改善しようというような御意見も出されていたかに記憶しておるんですけれども、小選挙区制による死票率の多さ、あれで、私一人が投票しても無駄じゃないかという諦めが生まれているんではないかと思うんですね。こういった点を解消していくことも方策の一つであろうと考えます。

 以上です。

斉藤(和)委員 済みません、どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

山本委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、来る六月二日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.