衆議院

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第5号 平成27年6月2日(火曜日)

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平成二十七年六月二日(火曜日)

    午後一時四十二分開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 大串 正樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 白須賀貴樹君 理事 田中 良生君

   理事 盛山 正仁君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 浦野 靖人君 理事 佐藤 茂樹君

      井野 俊郎君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      加藤 鮎子君    勝俣 孝明君

      門山 宏哲君    神田 憲次君

      坂井  学君    助田 重義君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      藤井比早之君    古川  康君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    武藤 貴也君

      山下 貴司君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      福島 伸享君    宮崎 岳志君

      木下 智彦君    牧  義夫君

      吉田 豊史君    國重  徹君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      大平 喜信君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           船田  元君

   議員           武正 公一君

   議員           井上 英孝君

   議員           北側 一雄君

   議員           玉城デニー君

   議員           野間  健君

   総務大臣         高市 早苗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 藤井 健志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山崎 伸彦君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     加藤 鮎子君

  若狭  勝君     勝俣 孝明君

  井出 庸生君     吉田 豊史君

  角田 秀穂君     中野 洋昌君

  穀田 恵二君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     古川  康君

  勝俣 孝明君     豊田真由子君

  吉田 豊史君     井出 庸生君

  中野 洋昌君     角田 秀穂君

  大平 喜信君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     若狭  勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法等の一部を改正する法律案(船田元君外七名提出、衆法第五号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 船田元君外七名提出、公職選挙法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省大臣官房審議官金子修君、財務省大臣官房審議官藤井健志君、文部科学省大臣官房審議官徳田正一君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君、厚生労働省大臣官房審議官山崎伸彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。

今枝委員 自由民主党の今枝宗一郎でございます。

 質問の機会を賜りましたことに、まず委員長、また理事の先生方、皆様に感謝を申し上げます。

 本日の議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案、投票年齢の満十八歳への引き下げに関する法律案について質問をさせていただきます。

 今回の投票年齢の引き下げは非常に意義深いものだと考えております。と申しますのも、高齢者の方々、また現役世代の方の意見も大変重要でありますが、また若者の考えも政治に反映する重要性は年々高まってきていると考えております。

 今後数十年、日本の一番の課題は人口減少です。経済も社会保障も、また行政、政治のシステム、そして国民の生活スタイル、全て人口がふえていくことを前提に形成をされたものであり、人類の歴史上、人口が持続的に、また長期にわたって減少して、栄えた国はないわけであります。それゆえ、我が国の人口減少国家への対応は、ある意味、人類の歴史への挑戦であるとも言えると思います。

 一方で、現在一・四と言われる合計特殊出生率も、希望出生率であれば一・八となり、これが実現すれば、人口減少もマイルドになって、二〇六〇年には一億人という人口を維持しながら、日本の今後のグランドデザインもつくりやすくなるわけであります。

 希望出生率一・八を実現するためには若者向けの政策が必要であるということは明白であり、そのために、若者の考えを政治に反映させることは必要不可欠であります。選挙という民主主義の根幹からその実現を期して、投票年齢を十八歳へ引き下げることは大変重要であると考えております。

 一方で、例えば第四十七回の衆議院選挙への投票率は、全体としては五四%でありましたけれども、三十代で四〇%、二十代後半では三五%、二十代前半となると投票率は三〇%を切ってしまいます。

 欧米では、選挙年齢の引き下げで、十代は二十代よりも高くなるというような事例もありますけれども、家族の構造や関係性といったものが欧米と異なる日本で果たしてそうなるかというのは、決して、どうかというのはわからないかと思います。

 また、日経新聞の調査でも、投票年齢の引き下げに対する課題ということで、約五割の人が、よく考えずに投票する人がふえるのではないか、三八%の人が、有名人ばかり当選するのではないか、こういったことを懸念しているというデータもあります。

 若者の投票率を上げながら、さらに政治や選挙に十分な関心を持ち、政策や候補者の人物また識見を判断できる目を持って、みずからの一票を進んで投票できるようにするにはどうすればよいか、どのように対策をお考えか、お聞きをいたします。

船田議員 今枝委員にお答えいたします。

 私どもの今回の選挙権年齢の引き下げの件につきまして、大変その趣旨を御理解いただいておりまして、大変感謝をいたしております。また、実際、ヨーロッパなどで、十八、十九の者はそれより上の年齢よりも投票率が高いという傾向がある、こういうことについてもよくお調べいただいて、ありがたく思っております。

 この十八歳、十九歳の者が、ヨーロッパと同じように日本で少し高まるかどうかというのは、実際やってみなきゃわからない点がございますが、今御指摘のように、親元にいて、あるいは高校生として、親との話し合いあるいはまたクラスメート同士で、投票所に行くの、行かないの、誰に入れるのというような会話が学校で行われる。そういうことで、おのずから関心が高まっていって、初めての投票において高い投票率が得られるということも、私は決して夢のような話ではないと思っておりますので、そういうことには期待をいたしたいと思います。

 ただ、やはり本筋といたしましては、現在の高校生に対するいわゆる主権者教育をより徹底するということが必要であると思います。現在でも、高校社会科それから公民科というところで、選挙、それから政治、国の仕組み、そういったことについては一通り、学習指導要領にも書いてありますし、そこで教えることになっているわけでございますが、我々は、より実践的なといいますか、実を伴った内容の主権者教育というのが必要だろうということで、現在、文科省、総務省に対しまして、模擬投票を行うこととか、あるいは主権者教育を充実させるための副教材を高校生全員に配っていただくとか、そういう準備をお願いしているところでございます。

 それから、若者に限らないんですけれども、投票率全体を上げるということについては、これまでもいろいろな部分で研究をしてきたものがございます。例えば、総務省が選挙の啓発のための研究会を持っておりまして、そういうところでは、例えば駅であるとかショッピングセンターであるとか大学であるとか、また将来はコンビニなど、日常、生活をしている人々が寄りやすい場所、行きやすい場所、そういうところに、期日前投票なのかもしれませんが、投票所を設けるというような工夫をすることで投票率を上げる、そういう研究もされ、あるいは一部実行しているという状況にあります。

 高校における主権者教育の徹底、そして投票環境の整備、この両方からやはりきちんと攻めていく必要があるんじゃないかな、このように思っております。

今枝委員 ありがとうございます。

 主権者教育、そして投票所の工夫などについて非常に幅広くお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 特に、この主権者教育、私は非常に大切だと思っておりまして、今お挙げいただいたような副教材による学校現場での教育や学習指導要領の改訂についても、やはり今後お考えいただくべきだと思いますし、模擬投票も、今アメリカやドイツでも行われておったり、神奈川県でも実例があるようでございます。また、フランスで行われているような子供議会というものもやはり一つの手かなというふうには感じておりますが、今お挙げいただいたもの、どれももちろん検討いただきたいと思うんですが、私としては、本当にそれらだけでいいのかなという気がしております。

 と申しますのも、もちろん高校生も大事でありますが、十八歳以上ということになってきますと、やはり大学一年生、二年生というところであります。

 実は私は、学生時代に、さまざまな分野の学生のボランティア活動であるとかNPO活動を支援する中間支援団体をみずからNPOとして創設しまして、活動をしておりました。その中で、支援していた団体の一つが、議員へのインターンシップ、いわゆる議員インターンシップの仲介をするNPOでありまして、その経験の中から、若者が政治に関心を持つきっかけとして、議員インターンシップがいかに効果が高いのかということを実感しておりました。

 実際に、毎年、千人以上もの学生さんに議員インターンシップの仲介を行っているNPO法人によりますと、こういった議員インターンシップを行うと約八割もの学生が選挙に行くというふうに答えるようになっているというデータもあります。

 そこで、現在、大学における議員インターンシップは実際にどれくらいの学生が参加をしているのか、また、議員インターンシップはどれくらいの大学で単位認定をされているのか、文科省にお聞きをしたいと思います。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 大学等におきますインターンシップにつきましては、キャリア教育等の教育効果を高める取り組みであり、民間企業、行政機関、NPO法人等、さまざまな場所で実施されているのが現状でございます。

 とりわけその中でも、議員事務所で行われております議員インターンシップにつきましては、若者の政治意識を高める上でも有効であると認識しておりまして、単位認定している大学として、例えば名古屋大学でありますとか京都産業大学、筑波大学、早稲田大学等がございますが、議員インターンシップに限った全体の参加学生数でありますとか単位認定されている大学数等につきましては、全体を把握できているという状況ではないのが現状でございます。

今枝委員 ありがとうございます。

 つぶさに議員インターンシップについては把握をされていないということでありますが、ぜひ、今後のために、今後把握をしていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、少し違う視点から、インターンシップを広くとって、教職など特定のいわゆる資格取得に関係しないもので単位認定をされているインターンシップ、こういったものに参加をしている学生はどれくらいおられますでしょうか。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 大学及び大学院におきまして、キャリア教育などを目的として、単位認定を行う授業科目の中でインターンシップが実施されておりますが、教職などの特定の資格取得に関係しないインターンシップの実施大学数は五百四十二校ありまして、国公私立大学全体の六九・八%になります。

 一方で、参加学生数は六万七千六百九十一人でありまして、これは全体の二・四%ということになってございます。

今枝委員 ありがとうございます。

 やはり、単位認定をされているインターンシップに参加している学生は、教職などの資格取得を除くと二・四%と非常に少ないわけであります。これは議員インターンシップに限ったことでなく、一般企業もそれが大半であると思いますから、議員インターンシップとなると非常に少なくなってしまうというのが実態であろうと思います。

 先ほど大学を幾つか挙げていただきましたが、私も、東海地方でそのNPOの活動をしているときに、やはり数校の大学が単位認定をしているのみかなというふうに感じております。

 しかし、大学生からの意見を聞きますと、単位認定されるかどうかというのが実際にインターンシップに行く際に非常に重要な判断基準になるということでありまして、特に、政治や選挙に関心がいまいちという学生さんにとっては、まさにこれから主権者教育をしていかなくてはならない学生さんであると思いますけれども、単位認定されているインターンシップなら行ってもいいかな、でも、そうでなかったら、なかなか、自分にどういうかかわりがあるのか難しいし、ちょっとやめておこうかなという話もよく聞きます。

 主権者教育の中で、最も実践的であり関心を持つことが強く期待される議員インターンシップを推進していくために、やはりこの議員インターンシップの単位認定の推進をもっと進めていく必要があるのではないでしょうか。

 提出者にお聞きをいたします。お願いします。

逢沢議員 議員インターンシップについて、積極的な御発言、また、ある種の提言をいただいております。提出者として、心から敬意を表したいと思います。

 そのようなインターンシップを通じて、十八歳、十九歳、あるいは二十、二十一歳、そういった若い世代の方々に、実を伴った主権者教育、まさにみずから実践の場に身を置くということで政治への意識を高めていただく、まことに貴重な機会になるんだろうというふうに思います。

 実は、私自身も、議員活動をしている中で、過去に何名かの学生さんをお預かりした、さまざまなことも経験をしてまいりました。

 もっとも、考えてみますと、みずから望んで、進んで、議員のところで数カ月勉強したい、あるいは長い方は一年近くの方もおられたわけでありますが、もともとそういう意欲を持った方は、政治や社会に対する関心、意識が強い。必ずしもそうでない方をインターンシップにある意味で誘う、望んでいただくとなると、今議員がおっしゃられました単位を伴うということは、大変大きなインセンティブになるということは紛れもない事実だろう、疑う余地もないんだろう、そのように思います。

 大学の自治の問題、あるいは大学全体の体制、その中で、このような議員インターンシップをどう位置づけていくか、単位をどのように取得させるか、大学によって大きく差異があるということも、ある意味で問題を生ずるということがあろうかもしれません。

 全体をよく把握しながら、しかし、議員インターンシップというものが政治への関心を非常に高める、そして、そのことは投票率を高めていく、日本の民主主義政治を前進させる大きなツールであることは疑う余地がなかろうかと思います。

 積極的に検討してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

今枝委員 大変心温まる積極的な御発言に、本当に心から感謝を申し上げます。

 今、本当に提出者の思いを教えていただきまして、それを受けて、では、文科省としての御見解をお聞かせください。お願いします。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 議員インターンシップも含めましたインターンシップ全般についてでございますが、大学等での学修と社会での経験を結びつけることにより、学生の大学等における学修の深化や新たな学習意欲の喚起にもつながる機会でありまして、主体的な職業選択や高い職業意識の育成が図られ、教育効果を高める取り組みであると我々も認識してございます。

 大学等におきましてインターンシップを単位認定することは、教育効果を一層高める上で有効であると考えておりまして、より多くの大学等において単位認定がなされるべきと考えております。

 文科省といたしましても、インターンシップに取り組む大学数や参加する学生数が増加していくよう、大学教育再生加速プログラムといった補助事業などを通じまして、今後とも、広く大学等に対し、積極的な取り組みを促してまいりたいと思ってございます。

今枝委員 ありがとうございました。非常に積極的なお答えをいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、神田憲次君。

神田委員 自民党の神田憲次でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、大変ありがとうございます。

 さて、質問の前に、昨日、前衆議院議長町村信孝先生がお亡くなりになられました。我々はまだ当選して間もないものですから、当然のことながら接する機会は少なかったわけですが、その少ない機会の中でも、いつもいつも熱心に政策のお話を丁寧になさっていただきました。

 思い返しますと、その中には、議長としてのライフワークと決意しておられたのかもしれません、よく選挙制度改革のお話もございました。町村先生は、議長をおやめになる直前まで有識者調査会を気にかけておられまして、町村先生に十八歳選挙権の話をお伺いしたら、本当に、長年の経験とたくさんの知見でもってどのようにおっしゃるのかなというようなことも思いながら、本日は質問をさせていただきたいと存じます。

 質問が重なりぎみになりますので答弁者の先生方には大変申しわけないと思うんですが、最初に、法改正の趣旨について質問をさせていただきたいと考えております。

 まず、提出者である船田先生に改めてお伺いしたいのですが、先週の提案理由説明並びに法案本文中の理由では、国民投票法の附則に定められた措置に伴ってこの法案を提出するといった文言になっておると思います。

 文言がこれだけシンプルなものですから、理由はこれだけなのかな、つまり、技術的な改正なのだと思われてしまうのではないか。憲法改正の手続のために与えられた選挙権ではないのかというふうに批判する者もおりますし、誤解を招くおそれがあるのではないかと心配しております。

 その意味で、ここでしっかり誤解を解いていただきたいのですが、今回の法改正には、若者の政治参加への関心を高めて、それから若い世代の政治選択への参加を促したいという提出者の思いがあるのではないかと感じております。そのあたりに関しまして、船田先生の思いをお聞かせ願えればと存じます。

船田議員 神田先生にお答えいたします。

 最初にお触れいただきましたが、町村先生は、たしか昭和五十八年の初当選であったと思います。私が五十四年の初当選でございましたので、ほとんど同じときに国会に籍を置くことになりました。それ以後、大変頭脳明晰であり、また大変信念をお持ちでございましたので、私もさまざまな御指導をいただいたことを今思い出している状況でございます。改めて御冥福をお祈りいたしたいと思っております。

 そこで、御質問の、なぜ十八歳引き下げなのかということで、その意図がどうなんだろうか、こういうお話でございました。

 これにつきましては、この提案理由の説明の文では、非常に簡潔に、国民投票法の附則に書いてある、それを実現させるためだということしか書いていない、こういう御指摘でございましたが、まことにそのとおりでありまして、大変これは、ある意味で誤解を招く、ある意味で言葉が足りなかったということでございます。

 私たちは決して、憲法改正国民投票法に付随してこの問題が出てきたというよりも、それが一つのきっかけでございまして、しかし、もともと選挙権年齢については、やはり世界標準である十八歳にいずれ引き下げるべきだ、こういう考え方もございましたので、国民投票法が少し先行いたしましたけれども、選挙権を引き下げるということはメーンのテーマとして我々はしっかり取り組んでいかなきゃいけないということは、まず申し上げたいと思います。

 そして、やはり若い人々の選挙への関心あるいは政治への関心ですね。よくシルバーデモクラシーと言われるように、お年寄りの投票率が非常に高いということも背景にありまして、我々自民党もそうですけれども、各政党が、どちらかというと若者よりは年齢がいった方々に対する政策がどうしても中心になってしまう。しかし、ここは、少子化の問題あるいは日本の将来を考えた場合には、若い方々のための政策もしっかりと取り組んで、また若い人々にそれをアピールし、そして投票してもらう、こういうことも大変重要である。

 こういうことで、民主主義の発展とともに、若者の政治離れとかそういったものを解消するという非常に大きな目的があって今回の十八歳引き下げということにつながったんだということでありまして、これは、これからも大いに声を大にして申し上げていきたいと思っております。

 ただ、法案あるいはその附則、あるいはまた提案理由説明、もう既に出してしまっておりますので、これを改正するわけにはなかなかまいりませんが、答弁を通じて担保していきたい、このように思っておりますので、その点、お許しをいただければと思っております。

 以上です。

神田委員 ありがとうございます。

 ぜひその思いを改正案のどこかに盛り込んでいただけたら。附帯決議等で十分じゃないかとは思うんですが。これは勝手な私の私見でございます。

 次の質問に移ります。

 かつて、平成十七年十月の日本国憲法に関する調査特別委員会の自由討議で、船田先生や中山太郎先生の御発言を拝読したことがあります。その際に、ヨーロッパへの海外視察を踏まえて、若者が政治に、自由に積極的に町じゅうで話し合う姿に感銘を受けた、こうした国は全て十八歳選挙権の国でもあって、若い人たちに門戸を開くことは政治的な成熟を促すのではないかといった、とても熱いお話をされておりました。

 十八歳選挙権という課題自体が長きにわたり国政の場で議論されてきた歴史がございます。ですが、国民の関心というのは、なかなかその点においては低いと感じざるを得ません。

 選挙権は、民主主義国家の正統性と自律性を支える最も重要な権利です。今回、新たに十八歳、十九歳の若者たちに門戸を開くというのは憲政上の重大事だと私は考えております。その重要性に比べて、盛り上がりがどうしても乏しいというように思えてなりません。

 どうにかして周知や世論喚起の必要があると思うのですが、この点につきましても船田先生の忌憚のない御意見を拝聴できればと存じます。

船田議員 お答えいたします。

 先ほど神田先生から御指摘のあった中山太郎先生、元衆議院議員であり、そして憲法調査会の会長を長くやられておりました。中山先生、私も何回か海外に御一緒させていただきました。

 私は多分一緒じゃなかったときだったと思うんですが、たしかフランス・パリで国民投票があって、これはたしかEU加盟、あるいはその後のユーロ圏加盟だったか、そういうときの、いわゆる国民投票が行われるその前後に行かれて、とにかくいろいろな、パブであるとか、あるいはたまり場といいましょうか、喫茶店とか、そういうところで、今度の投票についてどうしたらいいんだろうか、こうしたらいいんじゃないかと、いろいろな議論が若い人々も含めてやられていた、その光景を中山先生がごらんになって、非常に感動した、こういう話を私たちにもしてもらいました。

 こういう諸外国の例を挙げるまでもなく、やはり民主主義というのは、決して民主主義的な制度がある、成り立っているというだけではなくて、その民主主義の制度をいかに国民が生かしているかということがまさに民主主義の深さにつながっていくというふうに思っておりますので、現状でやはり投票率が長期低落傾向にあるというのは、我々日本における民主主義の一つの危機ではないかというふうに、非常に真剣に、深刻に捉えなければいけない、そういうことであると思っております。

 もちろん、第一義的には、選ばれる我々の立場、我々の人格なりあるいはまた政策なりが本当に国民の皆さんに魅力的であるかどうか、これは第一のことであり、これは我々が大いに反省をしなければいけない、磨いていかなければいけないということが一つあります。

 それと、もう一つは、やはり、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、投票環境をよくしよう、こういうことも大変重要だと思っております。

 先ほどちょっと名前を忘れておりましたが、総務省が開催しております投票環境の向上方策等に関する研究会というのがずっと開かれておりまして、そこにおきまして、さっき言ったような、期日前投票において、例えば駅の利用とかショッピングセンターの利用、あるいは大学内に投票箱を置くというようなこと、そういうような投票環境の改善ということもやはり大きな課題の一つというふうに心得ておりまして、それらが両々相まって投票率の向上につながっていくかなというふうに思っております。

 もちろん、今回の十八歳、十九歳ということの話題がもう既にかなりマスコミ等を通じて出ておりますので、十八歳、十九歳の者が投票するのであれば我々も投票しなきゃいかぬということで、ほかの大人の皆さんが投票所に足を運んでいただける、そういう副次的な効果もあるのではないかなと若干は期待をしておるわけでございます。

 そのようなことで、今後も取り組みをしっかりやっていきたいと思っています。

神田委員 本来、投票率の向上の特効薬というのは、候補者が切磋琢磨することだと考えます。もっと言うと、魅力的な候補者が切磋琢磨すればよろしいんじゃないか。そういった意味では、我々もどうしなきゃいけないのかということを考えなきゃいけないんだと思います。

 松山大学なんかの例では、期日前投票所を大学内に設ける、先ほど船田先生がおっしゃったようなことが実際に今後検討されるところでしょうし、それから、そういう若年者が、いわゆる若い世代が実際に投票を行動に移すためのインセンティブとして、インターネットで投票できるようになればいいとか、各党の政策がわかる機会がふえればいいというような意見があります。

 主権者教育についてはもう既に多くの先生が質問をされておりますので、私の方からは、制度面での投票率のアップ、総務省として、投票率の向上の施策を教えていただきたく存じます。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 投票率の向上、特に若者の方の投票率が低いというのが大変な課題でございますので、今回の十八歳選挙権の動き等も見据えながら、主権者教育等もしっかりやってまいりたいと考えております。そのための教材づくりとか、そういったものにもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 そのこととともに、投票率が低い中でも、初めて投票される方の投票率は、二十一歳―二十三歳の投票率に比べると、最近の選挙でも若干高いという傾向もございます。初めて付与されることとなる年齢層の投票率を少しでも引き上げることが、全体の投票率向上にもつながってまいるのではないかと思っております。

 また、先ほど来お話がございましたように、投票しやすい環境づくりということで、期日前投票所の増設でありますとか、時間を柔軟化するとか、いろいろな取り組みをこれからまとめてまいりたいと思っておりまして、省内の研究会で中間報告が出ておりますので、順次、その内容の実現可能なものから取り組んでまいりたいというふうに考えております。

神田委員 もう持ち時間が少ないので、あと一つだけ、相続税法の問題について質問をさせていただきます。

 相続税にかかわる未成年者控除というのがございます。これは、制度のことは、もう既に現状運用されていることですから。しかしながら、現行の、二十に達するまでということが未成年者控除ということになっておりますが、この点については、年齢の部分において、十八歳の選挙権年齢引き下げに伴う未成年者控除との関係性は今後調整されるのかどうか。この辺について、財務省からお答え願えればと存じます。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の未成年者控除でございますけれども、これは、相続人が自立し得るまでに要する養育費や教育費につきまして課税上一定の配慮を行う必要があるという趣旨で設けられているものでございまして、具体的な対象年齢につきましては、民法の成年年齢も踏まえまして、二十歳未満、こういうふうになっているものでございます。

 仮に民法の成年年齢が引き下げられる場合に、この相続税の未成年者控除の対象年齢を同時に引き下げるかどうか、これにつきましては、今申し上げましたような未成年者控除の趣旨を踏まえまして、今後検討される問題であろう、こういうふうに考えてございます。

神田委員 この改正が日本の民主主義の成熟に資することになるように、我々議員一人一人がこれからも努力してまいらねばならないんだと存じます。

 本日は、質問の時間をいただき、ありがとうございました。

山本委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本法案の内容でございます十八歳選挙権、これは、私も歴史をひもといてみましたけれども、我が党が初めて国会で取り上げたのは一九七〇年代のことでございます。まさに四十五年、本当に五十年近く経過をしております。また、党の歴史を見ましたら、一九九一年に公明党の重点政策ということで、十八歳選挙権の実現ということに取り組んでおりまして、一貫して推進の立場をとってきた、私もこう感じております。

 この大変意義深い法案の審査におきまして、質問の機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。まず一点目は、若者の投票率向上ということでございます。

 公明党には学生局という組織がございまして、現在四人の議員が所属をしておりますけれども、私は、一昨年から学生局長という立場を拝命いたしまして、学生と直接懇談をする機会というのを全国で数多く設けさせていただいております。ですので、私、今回十八歳選挙権の対象となる十八歳、十九歳、こうした若い方々と非常に日常的に接する機会の多い議員なのではないかな、このように感じております。

 前回の衆議院選挙では、二十歳から二十四歳の間で投票率が三〇%をついに割り込んでしまった、大変に低い投票率でございました。今回の十八歳選挙権の議論をしたときに、若年者の投票率が低いのに、関心がないじゃないか、どうして選挙権年齢を引き下げるんだ、こういうような御意見もあった、これは御承知をしております。

 他方、先週の参考人質疑等でもお話ございましたけれども、若者の投票率が低いというのは必ずしも日本に固有の現象ではないというふうな話もございました。また、直接接する学生の皆さんは、では、政治への関心が必ずしも全員が低いのかというと、決してそうではなくて、高い関心を持っている方もいらっしゃる。ただ、他方で、政治家あるいは政党といったものに対しては大変不信感が強い、こういうことを感じております。私は、この責任の一端というのは、もちろん政治の側もしっかりこれを真摯に踏まえないといけない、このように感じております。

 政治が若い世代にしっかりと向き合わないといけない、このような思いを日々強くしておりますけれども、若者の投票率が現在なぜ低いのか、この現状認識について法案提出者の御意見をぜひ伺いたいというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

北側議員 中野委員にお答えをいたします。

 まず、一番目には、私ども政治に携わる側の課題だというふうに認識をしております。若い方々に関心を持ってもらえる、興味を持ってもらえる、そういうふうなアピールを、発信をもっとしていかねばならない、そこのところに不十分さがあるということをやはり反省しなければならないと思っております。

 今、中野委員の方から学生の方々と直接触れているお話がございましたが、そうした現役の学生の方々との接触をもっと積極的にできるような努力をしていかねばならないなということを感じております。

 それとともに、教育の問題も非常に大事だと思います。自分自身が社会とどうかかわっているのかというところについて、より深い理解、認識をしていただくということがとても大事だと思います。

 世の中にある、社会にある、地域の中にある、いろいろな課題があります、その課題に関心を持っていただいて、その課題の克服のためにはどうすればいいのかを日ごろから考えていただく、また議論をしていただく、そういうふうな教育の場というのも非常に大事なのかなというふうに思っております。

 若者自身がみずから考えて主体的に政治参加していく、そういう主権者意識を醸成していくような、そうした教育内容をやはり検討していく必要があるというふうに考えております。

 これまでも、各学校等では模擬投票なんかしている学校等もございます。こうした工夫もどんどん活用しながら、若者の主権者教育というものをしっかりできるような教育課程を検討していく必要があるというふうに思います。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほど、まさに主権者教育が非常に大事である、提出者北側先生の方から最後の方にお話がございまして、私も大変に重要であるというふうに思っております。

 そして、もう一つの、まさに提出者の方から前半にお話をされた、政治の側がしっかりと若い世代へ向き合う、私は、これをもっともっと今回やっていかないといけない、これを機にやらないといけない、このように感じております。

 と申しますのは、若い世代へ向き合うというのは、必ずしも最近よく言われるような世代間の対立であるとか、そういったものを何も助長するようなそういう趣旨ではなくて、この国の将来、未来というものに対して責任を持った政策をしっかりやっていくんだ、こういうことでありまして、それはやはり現役世代にとっても非常に重要なことである、私はこれをしっかり力を入れていくべきであるというふうに思います。

 その意味で、今ヨーロッパなどでも行われているような青年政策というものは今後非常に参考にしていけるのではないか、このように感じております。

 例えば、スウェーデンなど、若者対策を非常にやっている、こういう事例もよく紹介をされるものでございます。青年事業庁、そういう役所があったり、あるいは、政党によっては、立候補者で、今女性の活躍推進ということで、国によっては女性のクオータがある、こういう議論もありますけれども、私がスウェーデンで聞いた例ですと、若者の立候補者のクオータもある、こういう取り組みをされているような、いろいろな事例がございます。実際にスウェーデンの国会議員の皆様とお話をした機会もございましたけれども、青年部の力が大変に強いんだ、活発に活動しているんだ、こういうお話も伺いました。

 公明党もかつてマニフェストで、若者雇用大臣というものを設置して若者雇用をしっかりやっていこうじゃないか、こういうことを訴えたこともございました。

 やはり日本でも、若い人たちが政治的な意思決定にしっかり参画できるような仕組み、あるいは、今でも子供や若者という観点の政策というのはもちろんやっているわけでございますけれども、より総合的なビジョンであったり、これからの将来の方針であったり、こういったものをもっと力を入れて考えていく必要があるんじゃないか、このように考えますけれども、法案提出者の御意見をぜひ伺いたいと思います。

北側議員 今委員からお話がありましたスウェーデンの話、少し調べさせていただきました。

 スウェーデンでは、委員がおっしゃっているとおり、若者政策の中心的な役割を担っております青年事業庁という行政機関がございます。青年政策の担当大臣がいるということでございます。

 また、クオータの話がございましたが、スウェーデンの社会民主党という政党があるんですが、二十五歳以下の者を一定程度候補者に擁立するということを党として決めていらっしゃる、こういうこともされておられます。

 一挙にそこまで日本がいくかどうかは別といたしまして、非常に参考になる例だというふうに思います。

 一つは行政ですね。国の行政、地方の行政、ございます。例えば、いろいろな審議会なんかございますよね。そういう審議会なんかに若者を必ず入れていく、青年を必ず入れていくというふうにしていくのも一つの方法かなというふうに思いますし、また、政党の役割が非常に大きいんだろうと思うんですね。

 そういう政党の役割、機能として、例えば党の中に、その政党の意思決定手続の中できちんと若者たちの意見が集約される、そういう部署を持って政策に反映していくというふうな、政党の役割も非常に大きいかというふうに思っておりますし、また、次から次へ選挙があるわけで、政党も人材を養成していかないといけないわけですね。

 そういう将来の党を担う人材を育成するという観点からも、若い青年の方々に政党がもっと積極的にアプローチをしていくということが大事、それが結果として若い方々の政治に対する関心も深まってくることになるのかなというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 政党についても、やはり責任を持たないといけないと私も思います。これは、もちろん党内でしっかりとやっていかないといけない部分ではございますけれども、今回の選挙権を引き下げるというだけではなくて、これをきっかけにこうしたところにもっと力を入れていく、こういうものを前向きに進めていく機会にしていきたいな、このように考えております。

 続きまして、先ほども少し議論がございましたけれども、投票環境の物理的な改善というところについてもお伺いをしたいと思います。

 若い方が投票しない理由というのをよく選管が調べたりするんですけれども、よくあるのが、忙しいから、時間がなかった、こういうことは多いわけでございます。

 投票日当日の投票所というのは家のすぐ近くに確かにあるんですけれども、期日前投票所は、私の地元の市でも何カ所かしかなくて、確かに、アクセスがしにくいんだ、こういう声が聞かれるときもございます。

 こうした物理的な投票環境の改善、これは先ほどもお話があった、例えば、人がよく集まるようなところに投票所を設置しやすくするであるとか、こうした取り組みも必要ではないか、私はこのように考えますけれども、これについても法案提出者の御意見を伺いたいと思います。

北側議員 本当は投票に行きたいんだけれども、時間がなくて等々の理由で行かないという方がやはりいらっしゃるんだろうなというふうに思います。

 そういう意味でも、投票環境の向上をしていくというのはとても大事で、政府の中でも、総務省でそういう研究会も開いて検討もしていただいております。

 今委員から御指摘のございました、例えば期日前投票について、駅の構内だとか、それからショッピングセンターだとか、また、先ほどもお話出ておりましたが、大学の中に設置をしていくだとか、そうした投票しやすい環境づくりをしっかり私ども整えていく必要があるというふうに思います。

 ぜひ、行政側も、一方では投票の公正を確保するだとか、それから、誰もいないわけじゃないので、当然人が必要になってきます。人員の確保がきちんとされていく必要があるという中で、できるだけ投票のしやすい、特に期日前投票のしやすい、そういう場所を選択できるように、私どももしっかり検討を進めてまいりたいと思います。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほど、まさに北側先生から最後お話がございました大学のキャンパス内での投票所の設置というものについて、もう少し詳しく質問をさせていただきたいと思います。

 現在、さまざまな大学で、キャンパス内に期日前投票所を設置する、こういう活動が行われておりまして、先ほども四国の例が挙がったかと思います。私が伺った事例ですと、例えば山梨大学で、学生団体の皆様がいらっしゃって学内でアンケートの活動を行った、そして、市の選管と協力もしながら、今回の統一地方選挙でキャンパス内の期日前投票所の設置を実際に行った、こういうお話を伺ったことがございます。

 まさに、この十八歳選挙権の法案の大変大きな対象者十八歳、十九歳、もちろん、高校三年生の方もいらっしゃるんですけれども、大学生、一年生、二年生、こういう皆様も大変に大きな今回の対象の皆さんでございます。こうした方々の政治に対する意識を高めるといった意味でも、こうした取り組みというのは非常に意義があるんじゃないか、私はこのように感じております。

 現在でも既に行われている取り組みでございますので、総務省と、また大学の設置という意味で文科省にそれぞれ、こうした取り組みはやはりしっかりと国として後押しをしていった方がいいと私は思うんですね、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 大学内に期日前投票所を設置する取り組みにつきましては、若年層をターゲットにした意義深い取り組みであると思っております。

 さきの統一地方選挙におきましても、調べてみましたが、全国十二の大学におきましてこのような取り組みが行われたと承知をいたしております。これは、期日前投票所を設置するだけではなく、学生を投票事務へ起用したり、あるいは学生自身による啓発活動などの取り組みもあわせて行った例もあるというふうに聞いているところでございます。

 この点につきましては、一昨年の参議院選挙におきまして、松山市選管が松山大学に期日前投票所を設置いたしましたけれども、選挙に対してその取り組みを積極的に周知したことなどもございまして、結果といたしまして、大学内の期日前投票所を含む投票区におきましては、全般的にはいずれの年代でも二十二年の参議院選挙の投票率を下回っている中で、二十代前半のみ二・七二ポイント上回った、このような例もあったということも聞いております。

 このように有意義な取り組みでございますので、総務省といたしましても、有権者が投票しやすい環境を整えるための実効ある方策を検討してまいりたいと考えておりまして、その中で、大学への設置も含めた期日前投票所の効果的な設置につきまして、また各選挙管理委員会に対しても要請等をしてまいりたいというふうに考えております。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今、総務省から御答弁がありましたように、先生御指摘のように、松山大学、山梨大学を初めとする幾つかの大学におきまして、各自治体の選挙管理委員会と連携しまして、御指摘のようなキャンパス内に期日前投票所を設けるなどの取り組みが行われております。また、学生を選挙コンシェルジェというふうに任命しまして、学生自身が学内で投票を呼びかける取り組みを行っている大学があるというふうに承知しているところでございます。

 より多くの大学におきましてこれらの投票率向上に向けた取り組みが一層充実されるように、文科省といたしましても、総務省と連携しながら、これらの事例の把握、あるいはこうした好事例の提供等を通じまして、各大学と各地の選挙管理委員会とが連携して行う取り組みなど、若者の投票率向上に向けた各大学の取り組みを促してまいりたいと存じます。

中野委員 ありがとうございます。しっかりと後押しをしていっていただければと思います。

 続きまして、先ほども出たような、こういういろいろな投票率向上に向けて活動されている若い方々の団体というのが多く、これから十八歳選挙権ということで、さらにいろいろな取り組みが盛り上がってくるんじゃないかなというふうに思っておりまして、こうした方々と行政がしっかり連携を深めていくことが非常に大事ではないか、このように考えております。

 私の例で恐縮ですけれども、私は、地元の尼崎市では、青年会議所、尼崎のJCに所属をしておりまして、選挙前に公開討論会をやったり、あるいは投票率向上に向けたセミナー活動、いろいろな団体のいろいろな活動を行っておりますし、もちろん、青年会議所以外でも、各地で学生さんの団体であるとか、こうした若い人たちの投票率を上げよう、こういう団体というのは数多く今活動されているんじゃないかなというふうに思います。

 政府としても、しっかりとこうした民間の方々と連携をしながら、十八歳選挙権がもし実現になれば、投票率が向上していく、こういうことを行っていくべきではないか、このように考えますけれども、いかがでございましょうか。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 若者の政治意識や投票率の向上等を目指しまして、御指摘ございましたような、自主的に啓発活動を実施する若者啓発グループが、全国各地におきまして、例えば、街頭での啓発活動でございますとか学校での模擬投票の実施、あるいは政治に関する意見交換会を開催、こういったようなことでさまざまな活動に取り組んでいただいているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした全国各地の選挙啓発を行う自主的な若者グループによりまして、昨年十二月に若者選挙ネットワークという全国的な組織も組織されております。こういった方々とも連携いたしまして、本年の統一地方選挙におきましても、全国各地で街頭啓発活動なども実施したところでございます。

 本年度におきましては、新たに、こうした若者啓発グループの活動支援のための予算も計上いたしたところでございまして、こうした若者選挙ネットワークでございますとか各地の啓発グループとよく連携をいたしまして、若者層に対する一層の啓発活動を実施することにより、政治意識の向上でございますとか、投票率の向上に一層工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えております。

中野委員 続きまして、少し角度が変わるんですけれども、選挙人名簿の登録制度についてお伺いをしたいというふうに思います。

 皆様も御承知のことかと思いますけれども、実際に選挙実務を行っていくに当たっては、選挙権のある方が選挙人名簿に登録される、こういう流れで選挙をしていく、投票をしていく、こういう実務になっているわけでございます。

 まず、法案提出者に質問なのですけれども、新制度を今回導入する際に、新たに有権者となる十八歳、十九歳、二十歳となる人は、選挙人名簿には具体的にどのタイミングで登録をされることになるのか、これをお伺いしたいというふうに思います。

北側議員 今回の法案が通りましたならば、十八歳、十九歳の方が新たに選挙権を取得いたします。そういう方々が、いつ選挙人名簿に記載されるのかという御質問でございます。

 選挙人名簿の登録のタイミングは、三カ月に一度の定時登録及び選挙に合わせて行う選挙時登録というこの二種類がございます。

 今回の法案では、この法律の施行後、最初の国政選挙から適用することとなっておりますので、この法律の規定による選挙人名簿の登録についても、この国政選挙の際の選挙時登録からスタートするということになります。

 具体的には、例えば、来年の参議院選挙に仮に施行が間に合ったとしますと、明年の参議院選挙の公示の前日の選挙時登録というのに当たることになります。この公示の前日のときに、投票日に十八歳以上の者が選挙人名簿に登録される、こういう仕組みになっております。

中野委員 選挙人名簿の登録については、少しややこしい仕組みになっておりまして、私も、今回の十八歳だからということに限ったことではないんですけれども、現在でも、新成人になるタイミングで例えば転居を伴ったような場合に選挙人名簿に登録をされないようなケースがある、こういうことを何度もいろいろな有権者の方から指摘をされております。

 少しややこしい仕組みですので、資料も配らせていただきました。選挙人名簿の登録についてということで、少し説明をさせていただければと思うんです。

 現段階であれば、二十歳になった段階で選挙権という権利自体は得られるわけでございます。選挙権自体は有している。しかし、これを実際に行使するためには、選挙人名簿に登録をされないといけない。こういう実務上の問題があらわれてくるということでございまして、これは、三カ月以上継続してある住所に居住をした二十以上の人たちが今登録をされる、こういう仕組みになってございます。

 現在、私が少し問題ではないかと思っているケースが、例えば、この表の中では二つケースがありますけれども、ちょっと一つだけ、左のケース一というものだけ説明をさせていただくと、三月に誕生日を迎えて二十となる方が、四月に転居をするケースというのはよく考えられるケースでございます。

 このときに登録がどうなるかというのを見ますと、実は、この三カ月以上継続した居住をしたときに登録をされるというのは、誕生日になった瞬間に登録をされるわけではなくて、これを見てもわかるとおり、定時登録というのが真ん中に書いてありますけれども、三月、六月、九月、十二月と三カ月ごとに定時の登録というものがございまして、このタイミングで二十以上で三カ月以上住んでいる方というのが定時登録をされる、こういうことになっております。

 この三月に仮に誕生日を迎えられる方というのは、定時登録のときにはまだ二十になっていないということで登録をされない、こういうケースでございます。

 この方が例えば四月に転居をする。そうすると、次の定時登録のタイミング、六月一日には、三カ月住んでいない、だから登録されない。

 では次の、仮に七月に参議院選挙があったときに、先ほど北側先生の方からお話ありました選挙時登録というものがございます。これは、公示の前の日に三カ月住んでいる方が登録をされる、こういうケースですけれども、典型的には六月下旬が公示になりますので、その三カ月前となりますと、三月下旬から住んでいないと登録をされない、こういうケースでございます。

 ですので、この方は、前の住所地では定時登録に間に合わなかったから投票ができない、では新しい住所はどうか、三カ月住んでいないから登録がされない、こういうことで、権利としては有しているんですけれども行使ができない、こういう実務上の課題が存在をする、こういうことを私、認識しております。

 今回、十八歳選挙権ということで、新たに十八歳の方というのは転居するタイミングというのは非常にあり得るんじゃないかな、こういうことも考えておりますし、今回のやはり十八歳選挙権というのが非常にいいタイミングだと思っております。

 國重議員からも前回指摘をさせていただいたんですけれども、こういう仕組みについてもあわせてこれを何とか改善をしていく、こういうことをやっていかないといけない、このように考えておりますけれども、提出者の方から御意見を伺いたいというふうに思います。

北側議員 参政権というのは、まさしく憲法上の基本的な権利でございます。それが、選挙人名簿に記載されていないという理由で、二十になった者が、この十八歳選挙権が通れば十八歳になった者が、選挙権はあるのに選挙権行使ができない、これはやはり大きな問題で、早く是正をしなければならないと思います。

 現行でもその問題点があるわけですが、十八歳というのは、今おっしゃったように、十八歳の春に大学に進学する、もしくは就職するという子供がたくさんいると思うんですね。そういう方々が選挙権行使ができないということは何としても避けなければならないということで、先週、議員立法でございますが、国会の衆議院の方に、このような場合にも旧住所地で選挙権行使ができるという仕組みを盛り込んだ公選法改正を提出させていただきました。

 ぜひとも、この法律、十八歳選挙権の法律が通って施行されるまでには、こちらの法律につきましても、選挙人名簿の見直しをして、選挙権行使が年齢に到達すればできるというふうにしていきたいと思いますので、委員の皆様の御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

中野委員 ありがとうございます。

 私も、非常にいろいろな方から、若い方が特に新成人になって初めて選挙に行こうと思ったら、制度上の問題で、権利はあっても投票ができない、大変に本人も落胆をされたお話も何件か伺いましたし、こういうことがないようにしていかないと、若い方の政治意識というのもやはり高まっていかないんじゃないかなと思いますので、しっかりと対応をしていただきたいと思っております。

 最後に、学校における政治教育というところについて、一問、御質問をさせていただきたいと思います。

 学校で政治を教えるということで、いろいろな御意見があることは事実なんだと思います。ただ、私、政治教育というのが、単純に選挙の仕組みを教えるとかそういうことではなくて、やはり、学生の、生徒児童の皆さんが、国民としてあるいは市民として社会のいろいろな問題に対して関心を持って主体的にかかわっていく、こういう態度をぜひ学んでいただくという意味では非常に大事なことだと思っておりまして、私の地元の兵庫県の尼崎市ですけれども、シチズンシップ教育に力を入れよう、こういうことで、小中学生を対象にいろいろな市の課題についてワークショップをやっていったり、あるいは高校で模擬投票をやっていったり、いろいろな取り組みをしておるんです。

 こうした中で、間違いなく、若い人たちのそういう政治に対する関心、あるいは自分の身の回りのさまざまなことに対する責任というか、いろいろなことを学んでいけるんじゃないかな、このように思っております。

 こうしたシチズンシップ教育の推進ということについて、最後に法案提出者の御意見を伺いたいというふうに思います。

北側議員 極めて重要な御指摘であると思います。

 やはり、特に学校教育の中で、主権者教育と我々は言っているんですけれども、シチズンシップ教育と共通するところがあると思いますが、そういう主権者教育をしっかり教育の一つの軸として捉えてやっていく必要があると思っております。それに当たっては、単に知識を教えるというだけではなくて、おっしゃっているとおり、実のある主権者教育をしていかねばならないと思うんですね、実践的な主権者教育。

 本当に子供たちに、周りの、いろいろな地域の課題でいいと思うんですね、そういう課題についてぜひ議論してもらい、それを解決するための方途について議論していただく、そういうことがとても大事なんじゃないのかなというふうに私は思っております。

 ぜひ、十八歳選挙権が実現できるとともに、主権者教育、委員のおっしゃっているシチズンシップ教育についてもしっかり充実できるように取り組みをしてまいります。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

坂本(哲)委員長代理 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 先日の参考人質疑に続きまして二回目の質疑に立たせていただくこと、まず感謝を申し上げます。

 今、中野委員の方から、シチズンシップ教育についてのお話がありましたが、それを引き継ぐようなことでお話をさせていただきたいと思っております。

 この間の参考人のときも申し上げたんですけれども、きのうも駅前で高校生に一生懸命チラシを配ったんですけれども、ほとんど受け取ってもらえませんでした。本当に、これだけずっと演説でも、皆さんにも投票権が来るんですよと話しながら配るんですけれども、きっと何か変なおじさんと思われてしまったのかもしれませんけれども、受け取ってもらえませんでした。(発言する者あり)そうですかね、人相が悪い、そうですか。今、政治に興味を持つと言うと、やはり一部の何か変わり者のようなものになってしまっていると思うんですね。

 先日、参考人でいらしていただいた篠原さんが、主権者教育に関するワーキンググループの幻のペーパーという、取りまとめペーパーではこう書いてあります。

 「教育にイデオロギー対立が持ち込まれた苦い経験を有する我が国においては、政治的な中立性の確保が過度に意識されたため、政治教育がタブー視され、教育委員会や学校により、本来必要な政治的な教養を身に付けるための教育や政治を題材とした主権者教育まで忌避されてきた感は否めない。」

 ある意味、政治と宗教というものは、教育の世界に持ち込むのはタブーのようなことに今なってしまっているんだと私は思っております。

 その根拠となっているのが教育基本法第十四条の第二項で、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」という条文でありまして、確かに、学校が特定の政党を支持したり、あるいはこれに反対するための政治教育を行うことは、これは明確におかしなことであると思います。法律条文上、「その他政治的活動をしてはならない。」と。

 では、この「その他政治的活動」とは何か。これは物すごく広く読み得る言葉なんですね。この「その他政治的活動」というのは具体的にどういうものを指すものでしょうか。政府参考人の答弁を求めます。

徳田政府参考人 お答えいたします。

 先生御説明のとおり、教育基本法第十四条は、まず第一項において、国家社会の主体的な形成者を育成するには政治的素養を涵養することが重要であることを示した上で、第二項において、学校、すなわち、教える側における政治教育その他政治的活動の限界を示し、特定の党派的政治教育等を禁止することにより、政治的中立を確保しようとするものであります。

 第二項において禁止されています「その他政治的活動」とは、政治上の主義や施策を推進したり、支持したり、反対することを目的として行われる行為でありますが、ある行為が政治的活動に該当するか否かは、具体的事象に即して判断されるべきものと考えております。

福島委員 いつも役所の答弁はこうなんですよ。具体的な事象に即してやるとなると、何がよくて悪いかというのは学校の現場の先生はなかなかわからない。

 先日、同僚の宮崎委員の質疑に対して、生徒会とか部活動が特定の政治家、政党を支援するような目的を持った活動を学校が禁止するのは引き続き必要とありますが、例えば私の大学でも、特定の、ここにもある公党の政党を公然と支持するようなサークルというのはあったわけでありますし、私、高校のときに憲法改正を推進するサークルみたいなものをやっていまして、学園祭でそういう展示もさせていただきましたけれども、何もそれはとめられませんでしたよ。

 こういうのが禁止されるんですか。自主憲法を制定しようという目的で学園祭で展示を行うことは、文部科学省としては、この条項の適否はどちらでしょうか。個別の具体例と言ったので。

徳田政府参考人 お答えします。

 大学についての例でございますが、教育基本法第十四条第二項は、学校、すなわち教える側における政治教育その他政治的活動の限界を示したものでありますので、大学のサークル活動等は、公認、非公認にかかわらず、学生の自主的な取り組みであることから、同項で学生の政治活動を制限するものではないと解しております。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 高等学校につきましては、学校教育法あるいは学習指導要領で学校教育の目標が明確に定められている点において大学とは違うわけでございますが、一方で、生徒会とか部活動など学校教育活動の一環として行われるものについては、その目的を逸脱して、特定の党派的な活動を行ったり、政治活動の手段としてそうした場を利用するということは許されないという解釈でございます。

福島委員 学園祭で自主憲法制定のシンポジウムをやるのはどっちですか。

伯井政府参考人 その行為が、具体的な特定の党派を支持する、あるいは反対するような目的を持った行為、活動であるというところがメルクマールになると考えております。

福島委員 まず、大学と高校で差をつけるというようにはなっていないんですね、これは。教育基本法十四条二項は「法律に定める学校は、」となっているわけですから、高校と大学とで法律上は差をつけておりません。

 なぜこれを言うかというと、昭和四十四年通達にいろいろなことが書いてあるんですよ。「生徒が学校内に政治的な団体や組織を結成することや、放課後、休日等においても学校の構内で政治的な文書の掲示や配布、集会の開催などの政治的活動を行なうことは、教育上望ましくない」と通達で書いてあります。

 ですから、私が高校でやったことは、この通達に恐らく違反するんですよ。でも、それは法律に違反するかわからないから、私の学校は制服もないし、学校の先生の地位が生徒に比べて著しく低い学校だったから、僕らはやりたい放題だったんですけれども、しかし、普通の学校ではそういうのは許可されないんですよ。

 ですから、私は、この昭和四十四年通達というのは根本的に見直した方がいいとは思うんですけれども、先日、宮崎議員の質疑に対して、通知の内容につきましては一定の見直しを行う必要があると認識していると答弁しておりますけれども、それでよろしいですか。

伯井政府参考人 御指摘の通知につきましては、当時の時代背景及び投票年齢が二十歳以上であることを前提としているものでありますので、今回その通知の内容については一定の見直しがあるというのは、前回お答え申し上げたとおりでございます。

 ただ、方向性といたしましては、政治的教養を高めるための教育については、模擬投票など、現実の政治に即した素材を活用して、政治参加のための教育をしっかり推進する必要があり、そうしたことも通知で示していきたいと考えております。

 一方、高校生の政治的活動については、教育基本法に基づいて政治的中立性を確保することの必要性は変わるものではない、ただ一方で、十八歳以上の高校生が今回の公職選挙法改正により選挙運動が可能になるといったことなども踏まえて、一定の見直しをして、そして新たな通知を出すことが必要であるというふうにお答えしたところでございます。

福島委員 ありがとうございます。一定見直すけれども、やはり政治的中立性というのは極めて重くのしかかっているというのが今の答弁でわかりました。

 この通達を見ると、生徒が政治的活動に走ることのないよう十分指導を行わなければならない、まさに政治活動というのは非行と同じような表現をされているわけですね。宮崎さんはお酒を飲んでいたそうでありますけれども、二十未満で。それと同じレベルで表現されているというようなことであります。

 先ほど審議官は、教育基本法の第十四条一項を引いて、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」と、政治的教養と出しましたけれども、私は、これは文科省の皆さんが考えるような模擬投票で一回投票してみましょうなんというのが政治的教養だと思いません。政治的中立性というのは、実は一番難しいんですよ。放送のときでも、放送の中立というのは何ですかというのはわからないですよね。総理大臣すらよく理解されていないわけですよ、政治的中立性というのは。

 それを考えたときに、政治的中立性とは何ぞやといえば、恐らくいろいろな意見があるんです。中立的な意見なんてありません。みんな、ここにいる一人一人いろいろな考えがある中で、それぞれを尊重しながら、自分の考えていることも正しいかどうかわからないなと思いながら、平衡感覚をとっていく作業をすることが政治的中立性を保つことであって、無菌培養のように主義主張も何にもない中で単に模擬投票をやることが政治的中立性を涵養するとは私は全く思いません。

 でも、高校生になれば分別はあると思うんです。私は高校一年に入学したときに政治経済の授業がありまして、そこに高教組に属する先生がやってきて、いきなりマルクス主義的な教育をやりました。これはいい悪いは別ですよ。そういう考えもあるんです。

 私は、そこで手を挙げて、あなたに教わりたくないと言ったら、その先生は、よし、わかったと言って、一年間教科書を使わないで徹底討論しました。憲法とは何か、人権とは何か。いろいろな立場がありますよ。私はその先生に負けたくないから、一生懸命その先生に負けないように自分で、独学で勉強して、資本論とかも読めもしないのに読もうとして、いろいろ勉強して、結果的にそれが自分のいろいろな意識の形成に役に立ったんです。

 おまけなんですけれども、その先生は、私が立候補したのを見て自分も立候補したくなっちゃって、私の選挙区内で立候補して市議会議員になって、その出陣式に私も呼ばれたんですけれども、日の丸の鉢巻きをして出陣式をやっていたので、先生どうしちゃったんですかと言ったんです。

 それは別として、教育現場で、今みたいな教育は恐らく文部科学省の教育から見たら望ましくないことだと思うんです。まず、教科書は使っていないですし、先生が露骨に私はこう思うと言って、やったんですよ。でも、生徒はそれに対して、先生それは違うんじゃないのと言って、そこで議論が生まれて、そこで政治意識というのは涵養されたんですね。

 よく、日教組が日本の国を悪くしたという人がいますけれども、日教組のイデオロギーを受けてそのとおり先生と同じ思想を持つ人間なんというのは、恐らく、いるかもしれないですよ、よっぽどそれはいい子ちゃんであって、大体ここにいる人は皆さん、先生にAと言われれば、いや、それは違うんじゃないのとか、先生がいるから逆をやろうと思うのが普通の人間でありまして、逆に、そういう異なる価値観の対話を通じて、ではどこに真ん中というか中庸を見出していこうかというのが私は政治的教養であるというふうに思うんです。

 そうした観点がまさに政治そのものなんですよ。こういう議会での議論もそうだし、投票行動を通じて何か物事を決めていくというのも、そういう異なる価値観を認める。でも、その価値観同士のぶつかり合いの中で何かをつくり上げていくという、それをやるのが一番なんです。

 政治教育で何が一番必要かというのは、こういう議論を見せることだと思うんですよ。安保の法制の議論でかんかんがくがく、やじも飛び交う中やっているような議論に接するのが、その中で、自分はどっちの考えに近いなとか、この人が言っているのはちょっとおかしいんじゃないのと思って、初めて政治に興味を持つんです。模擬投票で生徒会長を投票でしましょうというのだけでは政治的教養というのは身につかないと思うんです。

 ですから、そういう意味では、私は、教育現場で行われる政治教育、政治的中立性というのは、我々政治家自身が政治的中立性とは何ぞやというのをしっかり定義しなきゃならないと思うんです。

 そうした意味で、与党を代表して船田先生、そして我々の仲間の武正先生に、政治的中立性とは何ぞやという御所見をいただければと思います。顔をしかめないでいただいて、御答弁いただければと思っています。

船田議員 福島委員にお答えいたします。

 今、福島委員の大変な熱弁を聞かせていただきまして、ある意味で大変感動いたしております。

 よく政治的中立というと、何もそこに入れないこと、色に染まらないこと、そういうことを目指すのがこれまでの傾向であったと思います。だからこそ、政治的中立の名のもとに、結局、近現代の歴史や、あるいは本当にいい意味での政治教育ができなかった、そういうところにやはり大きな問題があると私も思っています。

 先ほど篠原文也さんのお話がちょっと出ましたが、私も彼と非常に親しくしておりまして、そのことで議論をしたことが何回もあったわけでございます。

 やはり政治的中立というのは、本当はいろいろな意見があって、それを分け隔てなく紹介して、そしてその中で、自分はどう考えるのか、自分の考えに近いものは何かということを自分の力で見出していく、あるいは自分の力でそれを実現していくということだと思います。

 純粋培養イコール政治的中立ではないということはしっかり踏まえて、これから行うはずのいわゆる主権者教育、実践的な主権者教育もやはりそういう観点に立つことが非常に大事だ、こう思っております。

武正議員 福島委員にお答えをいたします。

 今、まず中立というお話ですが、先ほど放送法のことも言及されました。放送法には、実は中立という言葉はないわけでありまして、第一条には自律ということで独立性をうたい、そして三条、四条では公平公正がうたわれております。これはもう委員も御理解いただいていると思います。

 ですから、教育の政治的中立ということも、教育基本法の十四条二項には中立という言葉はないんですね。これを政治的中立だというふうに読み解いているだけであります。

 そしてまた、教育二法、昭和二十九年のときに二法の改正が出て、そのときに、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法、教育公務員特例法の一部を改正する法律ということで、ここで政治的中立というのが出てきたのは御承知のとおりだと思います。

 既に金曜日の参考人から、特に高橋参考人からは、ドイツのボイテルスバッハ・コンセンサス、三原則、この中でも、教師は自分の意見を言っていいという話もありましたし、イギリスのシチズンシップ諮問委員会のクリック・レポートでも三つの原則がありますが、そうした中で教師のそうした意見表明というものが前提として述べられております。

 こうした中での教育の政治的中立性の名のもとに禁止することが許されるとすれば、それは、教員の地位利用による特定の政党支持の強要のようなものに限られるべきであります。篠原参考人も、たしか、各党で超党派の議連をつくってくださいとお願いしているんだ、これは役所じゃできませんよというようなことも言っていますので、先週もこの場でお答え申し上げましたが、プロジェクトチームでも引き続きこの議論をしていく中で、法案成立後、一年後施行という中で準備を主体的にやはり立法府もしていく必要があるのではないかというふうに思っております。

福島委員 極めて前向きな御答弁、ありがとうございます。

 実際にこの法案が適用される大きな選挙は来年の参議院選挙でありましょうから、実はもう一年ちょっとしか時間がないという、短期間であります。

 先ほど武正議員もおっしゃいましたように、篠原参考人は、これは役所に任せてもできないんだ、政治家同士で話さなければならないんだと言っております。

 私は、さっきの文科省の答弁にあったように、四十四年通達をここでちょっと手直す程度では、また同じになっちゃうと思うんです。スタートが大切だと思うんですね。私は、まずこの昭和四十四年通達は、一部を見直すんじゃなくて廃止すべきであるというふうに考えます。そして、何がだめかというのは、これは政治家同士で、各党胸襟を開いて議論をした方がいいと思うんです。

 ある先生が生徒に、この人に投票に行けと言うのは、これは明らかにだめだと思うんです。学校の教材として、ある政党のチラシだけを配るというのも明らかにだめだと思います。ただ、ある教師が高校生に対して、私は憲法改正反対だよと言うのは、私は許されると思うんですよ。でも、そのあたりがどこにあるのか。

 そして、先ほどドイツの例を武正先生は出していただきましたけれども、そうしたことを各党代表者が集まって、中立性とか公平性が侵される場合には、これがおかしいんじゃないのというのを監視するような場もあるということを高橋参考人は先日おっしゃっていました。

 これは、各党間で、どこのあたりに教育現場で中立性、公平性、公正性を保ちながら許されるのかというのをまさに政治家同士でつくって、日本のある意味の教育現場における政治文化というのをつくることを我々政治家がやらなきゃならないと思うんですね。

 武正議員は今、プロジェクトチームでこれから話すということでありましたけれども、それ以外の本日の提出者の皆さん、かりゆしウエアの、すてきなウエアを着ている玉城先生もいらっしゃいますので、それぞれお一人お一人簡潔に、この通達を廃止して、何が教育現場で政治的中立でできるのかということの検討を今から始めるかどうか、その思いについてお聞かせください。

 船田先生から。

船田議員 お答えいたします。

 昭和四十四年の文部省からの通達でございますが、内容は、確かにもう古くなった部分いっぱいあると思います。ただやはり、いわゆる政治的中立ということと、学校におけるさまざまな秩序、あるいは、有権者と非有権者が高校三年生になると混在をいたしますので、そういうあたりは何らか物を言っておく必要があるのかなと思っているので、全面やめちゃえというのはちょっとどうかな、そのエッセンスは残しておく必要があると思っております。

 それから、せっかく十八歳、十九歳の青年が選挙権をもらうという中で、要するに、生徒として当然選挙運動ができる立場になります。ただ、学校でやれること、外でやれること、それから何ができて、何ができないか、そういうことをなるべくはっきり示してやらないと戸惑ってしまうということがありますので、そのあたりは、今もお話出ていますように、超党派の、この議員立法を提出する母体となったプロジェクトチームにおいて、今後しっかりと、何ができる、何ができないをある程度示して、そして、それはガイドラインであるとか自主規制に使ってもらう、そういう形にしたいと思っております。

武正議員 このプロジェクトチームでも、この議論も行いました。そして、選挙運動は可能な限り自由にすべきという意見と、学校は教育の場であることに鑑みて政治的中立性の要請ということで、両論あっての今回の法案提出、議論になっています。

 ですから、引き続き、プロジェクトチームでも議論しますし、あとは、そうはいっても、こういう四十四年通達がありますから、見直すと文科省も言っているわけですから、そこは文科省も主体的に見直してもらって、そしてまた、都道府県教育委員会等に当然そうした通知が行ったら、今度は都道府県教育委員会、そしてまた、私学は先週もお話あったように知事部局になりますので、それぞれがまた主体的にこの件についても取り組んで、各学校に適切な指導助言がなされるようにということで、それぞれが主体的に取り組むというのは大変大事なことではないかと思います。

北側議員 四十四年通達というのは、当然のことながら、十八歳の方に選挙権はありません。今回、十八歳選挙権を認めるわけです。当然のこととして、その十八歳以上の方々は、選挙運動の自由、政治活動の自由、これがあるのが大原則でございます。

 この大原則に立った上で、これはもう学校に限らず、企業だってそうで、会社だってそうで、どんな組織だって、全く無秩序にやられたら困っちゃうわけでございまして、学校の中で一定の規制というのが必要でしょう。それは、それぞれ自主的にぜひ検討していただくということがいいんじゃないかと私は考えております。

 そういう意味で、四十四年通達については、全面的に見直した方がいいと私は考えております。

井上(英)議員 福島委員にお答えいたします。

 先ほどから議論がありますように、やはり選挙活動の自由は保障されるべきだというのは、もう当然のことであります。

 ただ、一方で、教育の政治的中立性という考え方の中で、先ほど福島委員もおっしゃったように、教員の地位利用による特定の政党とか候補者を支持することを強要するようなことは限られるべきであるというふうに我々も思っておりますので、そういった中で、ガイドラインも含めて、胸襟を開いて議論をさせていただきたいと思います。

 以上です。

玉城議員 お答えいたします。

 昭和四十四年通達をそのままの形で維持することはできないということは、これは提案者共通の思いであります。

 先ほど委員がおっしゃったように、学生のときにどういう考え方を涵養していくかということにおいては、恐らく、学校の中のみならず、学校の外でこそそういう闊達な議論が学生たちの間で交わされるはずなんですね。

 ですから、その外で議論されていることは学校の中でも議論すべしであるというふうなことは、先ほど紹介したドイツの原則の中にもそれが述べられておりましたので、これからは、我が国もそのように自由な議論を涵養していくという社会性もあわせて構築していく方向に進むべきであるというふうに思います。

野間議員 私は、新党改革・無所属の会というみなし会派で、無所属であります。

 今お話にありましたように、四十四年通達は、そのときはその大前提の十八歳選挙権がなかったわけですから、これはもう全く完全な変更になりますので、全面的に見直すべきだと思います。

 それと、政治的中立性ですけれども、ともすると、これは現状維持とか、今のことについて無批判という結果になりがちですので、この辺はやはり主権者教育という意味で、いろいろな意見を闘わせるという教育、プロジェクトチームでそういったガイドラインをつくっていくべきだと思っております。

 ありがとうございます。

福島委員 それぞれ若干の濃淡はあったと思いますけれども、でも、前向きな答弁をいただいたと思っております。

 ただ、これは文部科学省に任せると、必ずどんどんかたくなっていきます。それがさらに県の教育委員会、市町村の教育委員会におろされると、さらに規制が強くなっていくというのがお役所のおきてでありまして、どうやって学校の秩序を維持するかというような、そういう技術的な話は文科省で決めればいいと思うんですけれども、先生がどの程度できるかとか、どれが行為として禁止されるかというのは、ぜひ政治的な観点も含めて検討をいただければというふうに思っております。決して文科省任せにしないようにお願いをいたします。

 これは、来年の参議院選挙でどれぐらいの投票率が上がるかという、スタートダッシュが私は極めて大事だと思っております。そこで行かなかった人は、恐らくその後もずっと投票に行く機会が少なくなる可能性が強いと思っております。

 そういう意味では、先ほど冒頭申し上げたように、誰もチラシを受け取ってくれないんですよ。高校生の皆さん、自分が当事者だという意識がない中で、あと一年間、新たに選挙権を得る若者たちにどういうタイミングでどのような啓発活動を考えているのか。先ほど、その一端で若者啓発グループを支援する予算を講じるんだという話がありましたけれども、それ以外に具体的にどういうことをやろうとされているんでしょうか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

稲山政府参考人 お答えいたします。

 改正法案の成立によりまして、選挙権年齢が引き下げられた場合には、これまで投票の権利がなく新たな権利を得ることとなる特に高校生、大学生など、若者の政治意識の向上に取り組むことが何より大事だと考えております。

 このため、まずはでございますが、新たに有権者となる高校生につきまして、文部科学省と連携いたしまして、選挙の意義でございますとかその重要性を実践的な体験を通じて学ぶための高校生向けの副教材の作成を進めておりまして、でき上がり次第、全国の高校生に配付し、学校現場で参加、実践型の学習などに取り組めるよう準備をしているところでございます。

 また、改正法案成立後の早期に、周知が大事でございますので、高校や大学等において、ポスターあるいはリーフレット等を配布なり掲示いたしますとともに、また、若者層向けにということでございますので、インターネット広告でございますとかSNSを用いた啓発を行うこと、あるいは全国各地でのシンポジウムの開催などの周知啓発を現在検討しているところでございます。

 選挙権年齢の引き下げというものは、この選挙制度改革の中でも非常に大きな改正でございますので、施行までの一年間の周知期間を活用いたしまして、高校生や大学生への啓発を初め、広く国民の皆様に引き下げの意義が十分浸透するように工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 これは、意外と大事なのは、選挙制度を知らないんです。僕ら大人でも知らないんですね。衆議院と参議院は、名前を書く選挙区と比例が両方あるんですけれども、参議院は党と名前と両方書くことができる。衆議院は比例は党の名前だけ。私は自民党が強いところで戦っているんですけれども、いやあ、福島さんに当選してほしいから、比例は民主党に入れてきましたという人がよくいるんですよ。でも、惜敗率で決まる身としては比例票を書いてもらうよりは個人の名前を書いてもらった方がいいわけですけれども、でも、大人でもそういう選挙制度がわからないんですね。

 ですから、ぜひ具体的な選挙制度も含めた広報をしていただきたいと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、選挙の仕組みなど基本的なことの周知、また学校でそれを学ぶということは欠かせないことだというふうに認識をいたしております。

 学校教育におきましても、社会科の公民などで、民主政治や議会の仕組みとか、基本的事項についての教育が行われるとは聞いておりますけれども、こうした基本的な知識だけでなく、先ほども申し上げましたような意義でございますとか重要性、あるいは投票の方法とか、こういった実践的な体験等を通じて学べるよう、工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えております。

 現在、各選挙管理委員会におきましては、学校現場とも連携いたしまして、いろいろな出前授業、実際の投票箱を使った模擬投票とか、そんな中で、どんな仕組みかというのもあわせてレクチャーした上で投票をする、こういったような取り組みも行われているところでございまして、関係機関ともよく連携いたしまして、十分そのような制度の内容につきましても意を払ってまいりたいというふうに考えております。

福島委員 ぜひとも工夫を凝らしていただければと思っております。

 ただ、一方、こうしたお役所的なキャンペーンというのはなかなか振り向いてもらえないのも事実であります。限界がある。これは、役所のやることが悪いということじゃなくて、限界があることも私は事実だと思います。

 先日の参考人質疑でも、斎木参考人や高橋参考人という若い方々から、こうして政治に意識を持っているのは同世代ではまれで変わり者だという話がありました。でも、その中で、なぜ興味を持ったかということは、実際に政治家と接したからだ、政治家と接してみると、本当は世間で言われているのと違って一生懸命働いているということがわかった、イメージとしては、何かあいつら金ばっかり懐に入れて何やっているんだみたいなイメージがあるけれども、実際に接してみたら、本当に国を思って働いていることがわかって、それで興味を持ったということをおっしゃっていました。

 やはりそれが大事だと思うんですよ。あのポスターを張っている人って実際どんな人なんだっぺという、それがわかるかどうかで、やはり政策とか党というよりも、まず人間だと思うんですよ。あの人が何でこんな駅に立って毎朝演説しているんだろうというのを、実際に話を聞いてみて、ああ、なるほどそうなのか、そこで初めて、では自分もちょっと政治に接してみようかということだと思うんですね。

 先ほど、JCで公開討論会、私もJCに入っておりましたから、公開討論会を運営したこともあるし、そこに出たことも当然候補者としてあるわけでありますけれども、私は、これも先ほどの通達の話とも絡むんですけれども、我々が出ていったらいいと思うんですよ。それぞれの市町村や小選挙区で、高校生を集めて、いろいろな党の政治家が出ていって、それはもう紳士協定ですよ、それぞれの政党をお互い批判しない中で、なぜ我が党はこういう理念の党なのかとか、自分はなぜ政治家を目指したのかとか、国会でどんな仕事をしているのかというのを実際に触れるキャンペーンをやることを、せっかく来年の参議院選挙で十八歳になる方は投票権を得るわけですから、先ほどのプロジェクトチームで話せばどうかと私は思うんですけれども。

 時間がないので、船田先生と武正先生の御両名から、このアイデアについてぜひ御所見をお聞かせいただければと思います。

船田議員 お答えいたします。

 今の福島先生のいろいろな事例を興味深く拝聴いたしました。

 特に、この間、参考人としてお招きをいただいたと思いますが、高橋さんそれから斎木さん、このお二人とは、私も以前から、特にこの十八歳の年齢引き下げということがそろそろ議論が始まるかという前後に彼らと知り合いまして、彼らが主催するいろいろなシンポジウムあるいは集会、そういったものにもできるだけ出ようということで出てきた。そのことがまた、今回の選挙権年齢引き下げの一つのエネルギーのもとになったんじゃないかな、そういうふうに思っております。

 それでまた、実際に今度は選挙権が下がった後、では、これでもう全ておしまいというのではなくて、むしろこれからが本番だということでありますので、彼らの会合とかそういったものに積極的に出ること。それからJC、各地で公職の候補者の公開討論会、そういったものがあちこちでやられていますので、それを少しバージョンを変えて若者向けに何かJCで行っていくということに我々が協力をしたり、プロジェクトチームはやることがいっぱいあるのでなかなか大変なんですけれども、そのこともプロジェクトチームでよく話し合いをして、我々の立場でできることは何かということを真剣に議論していきたいと思っています。

武正議員 重複を避けますので、一点。

 去年でしたでしょうか、憲法に関するイベントが各地で行われて、それまで県とか市が後援をしていたのができないというようなことが随分新聞で取り上げられたりしております。

 こういったところは、やはり地方自治体も積極的に、今のJCの後援なども随分いただいていますけれども、こうした特に主権者教育、十八歳選挙権引き下げなどのこれからのいろいろなシンポジウム、イベントを、もちろん中央省庁も、応援をしてもらいたいということを申し上げたいと思います。

福島委員 ぜひとも前向きに検討いただければと思っております。

 そのときに、斎木参考人、高橋参考人、お二人とも口をそろえておっしゃっていたのは、被選挙権の問題なんですね。これは、我々政治のプロから見ると、いや、そんな、餓鬼に政治家なんかできるのかとつい先入観で思っちゃいがちなんですけれども、この被選挙権というのも、若い人々が選挙に行くかどうかというときには、やはり大きな引きつける一つの議論になると思うんですね。

 何で参議院は三十歳にならなきゃなれない、県知事は何で三十歳なんだ、一方、衆議院議員は二十五歳ですよと。それは通り一遍の説明はありますけれども、合理的に説明することはできないと思うんですね。

 諸外国を見てみると、選挙権の年齢と被選挙権の年齢が同じ国がほとんどでありまして、差をつけている国というのは実は少数派なんじゃないかなというふうに思っております。

 諸外国を見ても、イギリスは、この間、五月七日にやった総選挙で、二十歳のスコットランド民族党の女子大生が、労働党の次の内閣の外務大臣というかなり偉い人を破って当選したということも報道されました。

 そうした意味では、これまでの審議を通じて、残念ながら船田先生だけ若干慎重な御答弁をされたんですけれども、それは今、いろいろな立場があると思うんです。

 ただ、全国キャンペーンをやる場を通じて、あなたたち、二十歳になったら立候補できる、十八歳になったら立候補できるよ、できるようになるとしたらどう思うのということを聞いて回ることも、私は、ある意味、若者たちに政治への参加を呼びかける一つの大きなきっかけになるんじゃないかなと思うんですよ。

 若者たちに、あなたたち、被選挙権はどうかということを聞いてみてはいかがかと思うんですけれども、船田先生、御所見の方をお伺いできればと思います。

船田議員 お答えいたします。

 これまで、選挙権年齢の引き下げということで必死になってやってまいりましたので、なかなか被選挙権の年齢まで考える余裕が正直ありませんでした。しかし、これから我々が考えなきゃいけないことは、やはり被選挙権も当然視野に入ってくるというふうに思っております。

 もちろん、理屈を言えば、選ぶ側とそれから選ばれる側、やはり多少選ばれる側の方には、それだけの資格があるのか、あるいは経験を積んでいるのか、総合的な見方ができるのか、そういうことで、何か一定の条件といいましょうか、ある程度のものは必要である。それが年齢としてあらわれているんだろうとは思います。

 ただしかし、世の中さまざまな変化があり、諸外国の事例も考えますと、やはり被選挙権も、今のままではなくて、引き下げる方向で近い将来考えていく必要がある、このように思っております。

 とりわけ、衆議院が二十五歳、参議院が三十歳、なぜなのか、誰も答えられませんので、そのあたりもしっかりやりたいと思います。

福島委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 高橋参考人なんかも絡んだ特区提案で、自治体で下げるとかという案もありますし、既に住民投票の条例では、十六歳以上に住民投票の権限を与えているところもありますし、北海道の奈井江町のように、小学生までに合併をめぐる住民投票の投票権を付与しているような例もあります。

 私は、国政は我々がしっかり考えなきゃいけないと思いますけれども、地方はいろいろなものがあってもいいと思うんですね。地方議員の選挙権、被選挙権年齢、全国一律じゃなくて、もっと柔軟に決められてもいいと思います。あと、政府のいろいろな審議会がありますけれども、これも、今度、十八歳に投票権が引き下げられるわけですから、大学生が審議会の委員に入ったって私はいいと思うんですね。

 そういうさまざまな柔軟な工夫をこれからやっていくことが、今、政治に白けちゃっている若者たちがもう一度政治に目を向けるきっかけになると思うんですけれども、そうしたあらゆる手を講じることについて、武正議員の方からぜひ御所見をお伺いできればと思います。

武正議員 先週もお答えいたしましたが、地方議員の選挙権、被選挙権年齢については、先ほどの住民投票の例もありますし、これは公選法の改正といったこともありますが、直接憲法にはうたっていないわけですので、各党でこうした点についての議論の余地が大いにあるというふうに思っております。

 また、政府の審議会への十八歳、十九歳の登用については、二十代も少ないわけですので、やはりこうした点については、主権者教育と同時に進めることによって、各審議会、懇談会の委員構成に配慮をするということを民主党政権下でも、我々も政府としてうたってまいりましたので、より一層若者の政治参加意識を高めることにつながるのではないのかなというふうに思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、最初が肝心だと思うんですね。来年の参議院選挙でどれだけ十八歳、十九歳の方が選挙に行っていただけるか。この一年間、我々全てが、皆さん方が、政治に興味を持っていただき、投票に行っていただいて、今はチラシはなかなか受け取ってくれませんけれども、参議院選挙の前になれば各党のマニフェストが高校生たちに飛ぶように売れていくということになるように、こちらの方だけじゃなくて我々みんなで取り組むことが必要じゃないかなと思いますし、私自身も努力をしてまいりますことを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の改正、先ほどからお話もありましたし、以前もそうですけれども、十八歳に選挙権を引き下げるというワンイシューなので、ほとんどの方々が同じようなところを懸念、課題だというふうに思われているということで、私もほとんど重なってしまう部分があるかと思いますが、少し見方を変えながら、なるべく心がけてお話しさせていただきたいんです。

 そう言いながら、先ほどの福島委員の質問の中で、教育の政治的な中立性というお話で、では、政治的中立というのはどうなんだ、どういうふうな認識なんだというところで、船田先生とか武正先生とかは、その認識も含めて非常にわかりやすく説明していただいたなというふうに私は思いました。

 私は、法案提出者の方々はそういう認識があるということは重々わかったんですけれども、そこで、文科省の方にその辺を、同じことをちょっと聞かせていただきたいんですね。

 ただ、やはり政治的中立というものを担保するのは相当難しいと判断せざるを得ないというふうに今までの質疑、審議を聞いていても思うんですけれども、これをどうやって担保されようとしているのかというところを改めてお聞かせ願えればと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 高校などの学校教育を担う教員につきましての政治的中立性の確保でございますけれども、これまでも、国政選挙の際に、公職選挙法であるとか教育公務員特例法であるとか、諸法令に基づいた服務規律の確保の徹底につきまして、通知を発出してきたところでございます。今後とも、そういう観点から、政治的中立性の確保が重要であるというふうに認識しているところでございます。

 具体的には、文部科学省といたしましては、公職選挙法改正法案の成立後におきまして、施行通知という形で通知を発出いたしまして、学校の政治的中立に関する留意点について改めて周知する必要があるだろう。

 また、先ほど来議論があります、高校生の政治的教養を高めるために政治参加教育を、これは具体的な事象に即してやっていかなきゃならないということの観点から、現在、総務省と連携して副教材などをつくっておるわけですけれども、その副教材におきましても、模擬選挙等の実践的な学習活動等の指導の具体的な場面において、教員がどういう立ち位置で指導をすればいいのかといった留意点を示していこうということで、現在、作成、検討中でございます。

木下委員 今のお話を聞いていて、それから、一連の今回の審議も聞いていて思ったんですけれども、今言われていたのは、服務規定の通知であるとか、そういう指導をしていくとか、いろいろ言われています。

 以前にも、一連の審議の中で言われているのは、教職員の教育内容について、偏重を防止するとともに、校内での政治活動の制限を担保するものとしては、公立では公務員法などが適用されるであろう、私立では就業規則などによる方法があるというような答弁も出てきていたんですけれども、これは繰り返しになりますけれども、実際にそういうことで本当に中立性というのが担保できるのかどうか。先ほども、いろいろな規定云々をやるとか通知をするとかいうふうなことを言われています。

 でも、私、なぜこんな話をするかというと、ここで持ち出す話かどうかというのはあるんですけれども、つい先日、東京地裁である判決が出ていました。そこの中で言われていたのが、学校の校長先生が、君が代を歌いましょう、それから起立をちゃんとしましょうと学校の先生に言っていた。それに反したようなことがあれば、その人の人事査定、人事考課などについても影響があることもあり得ますよというふうに言っていたにもかかわらず、立たなかったような人たちが集団訴訟をされているんですね、二十数人だったと思います。

 そうしたら、判決が出ているんですね。その判決云々というのは余り言うことではないかもしれませんけれども、結局その判決ではどういうふうに言ったかというと、原告側は、それが不当だ、それで人事が変わるのは不当だと。その人たちは、退職した、退職というのは、定年退職されました。定年退職された後に、再雇用制に基づいて再雇用されようとしたら、再雇用されなかった。だから、それを不服として、二十数名、集団訴訟をされているんですね。東京地裁の判決では、再雇用されなかったことは不当だというふうな裁定がされて、一年分の給料を支払いなさいという支払い賠償命令が出ている。

 これを見ていて思うんですけれども、決まっていた、校長がそんなことを言ってちゃんと決めていたことに反して、教育者が子供たちの前でルールを守らない、それで、立ってどうこう、そういう文句を言う。裁判所の裁定はそうだったので、それについてどうこうというふうな話はないですけれども、そういうのを見ていても、実際の学校の教育現場というのはこういう状態だと思うんです。

 先ほどからいろいろ言われていました。それに対して言われていたのは、規定だとか、場合によっては、私立なんかは就業規定でやる、そこには知事部局なんかが絡んで指導をしていくというふうに言っているんですけれども、実際、聞いていても、私はこういうことで中立性というのは保てないんじゃないかと思わざるを得ないんです。

 そういうことを考えてみて、実際に私の方で高等学校の学習指導要領とかを見てみたんですね。いろいろ書いてあります。特に公民というところの指導要領にもいろいろ書いてあったので、ちょっとここで読ませていただきます。

  一般に政治とは、意見や信念及び利害の対立状況から発生する現象である。したがって、異なる意見がどのように主張されているかについての理解を深めるとともに、各人がそれぞれ自分の意見をもちながら、その上で、自分とは異なった意見、時には対立する意見が成立し存在する理由を理解し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していくことが大切であり、それが政治への理解の第一歩である。

というふうに言われているんです。

 書いてあることは、それなりに政治的中立を趣旨にして書いてあるんだろう。ここはちょっと個人的な意見で、「自分の意見を批判的に検討し、」は、批判的にじゃなくて、私は客観的にの間違いじゃないかと思って見ていたんです。ここでそういうことを言うところではないからあれかもしれませんけれども、私はこういうところから自虐史観であるとかいうところが醸成されていくんじゃないかなというふうにちょっと思って見ていたんですけれども。ただ、そういうことは学習指導要領には書いてあります。

 ただ、先ほども言われていましたけれども、教育基本法等々には、教育基本法には書いていないとおっしゃっていたのかな、どこかに政治的中立というふうな言葉が出ているというふうに言われているんですけれども、これはもっと明確に学習指導要領についても当然書くべきだと思っているのが一つ。

 それ以上に、もう一つ必要なのは、やはり指導であるとかいうものではなくて、しかも公務員法で、公務員である公立の先生はそうだとしても、私立の先生なんかは知事部局からの指導とか、そういうふうな話ではなくて、公職選挙法の中にちゃんと、その教育者がそれを逸脱するような、明らかに逸脱するような行為があった場合は、それの罰則規定も含めて、今回十八歳に引き下げるに当たって書くべきなんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、その辺について、御答弁いただけますでしょうか。井上先生からお願いします。

井上(英)議員 木下委員にお答えいたします。

 先ほど教育現場の話もありましたけれども、さまざまな点に言及された質疑をお聞きいたしました。

 教育現場においては、やはり現在の学習指導要領に沿って適切に教員は指導をしていくということがあるべきではないかというふうに考えております。

 先ほど、今後の、抑止力も含めてだと思うんですけれども、具体的に公職選挙法で罰則規定というお話、質問かと思いますけれども、選挙権を有するということとなる高校生に対して主権者教育を行うに当たって、あくまでも教育の政治的中立性の確保と選挙運動の自由、この均衡が図られなければならないというのは、言うをまたないというふうに思います。

 政治教育における中立性に関しては、教育基本法十四条で定められているところでありますけれども、同条を初めとする教育の政治的中立の要請に反して教員が政治的な行為を行った場合は、先ほど委員からもありましたように、公立学校の場合は懲戒処分の対象というふうになっておりますし、私立の学校におきましては、それぞれの学校法人における就業規則というのがありますので、就業規則違反によってペナルティーを科されるということになっております。

 また、その上で、委員御指摘の公職選挙法における罰則規定について申し述べさせていただきましたら、同法百三十七条において、国公立、私立を問わず、教育者一般に対して地位利用の選挙運動の禁止という規定が設けられております。同条の違反行為に対しては、罰則により担保されているというところであります。

 一方で、委員御指摘のような学校現場におけるいわゆる偏重、偏向教育に対する罰則規定についてでありますけれども、悪質な教育の政治的中立性を害する行為に対するペナルティーの必要性についての問題意識は、委員と認識を共有するところであります。

 どのような行為が悪質で可罰的な行為であるかはもちろん、さらなる厳格な罰則も念頭に、今後しっかりと検討を進めていく必要があるというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

木下委員 ありがとうございます。

 今後も含めて考えていただくということなので。

 福島議員のお話ともうほとんど私かぶっているのであれですけれども、前にも牧委員からも同じように言っていたんですけれども、そういうふうに言いながら、高校生ぐらいになると、恐らく自分の判断、学校の先生の言うことには流されない。これは政治家である私たちが言ってはいけないのかもしれませんけれども、まさしくそこにやはり期待をしていくしか、本当の意味での政治的な中立性というのは保たれないんじゃないかなというふうに、聞いていて思いました。

 ただ、そのかわり、そのための環境を用意していくのは私たちであったり政府であったりということだと思いますので、その辺はわきまえてしっかりとやっていきたいと思いますし、やっていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、これも重なっておりますが、被選挙権にかかわる問題についてお話をさせていただきます。

 私の方で資料を調べてみて、そうしたら、総務省の主権者教育に関する文書というのがありました。

 平成二十三年度に取りまとめられた常時啓発事業のあり方等研究会最終報告書の中で、「現代に求められる新しい主権者像」というところで、どんな人を主権者というふうに目指していきたいかというような感じのことを書いてあるんですね。そこには、「国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者」というふうになっている。

 これに照らし合わせて見てみたときに、先ほどもお話がありましたけれども、今回、引き下げてやったときに、選挙権を持つような人たちを、そういう、みずから判断し、それからみずから考え、行動していくような人たちを主権者というふうにいうのであれば、そういう考え方からしても、何ら被選挙権を持つ人と区別をする必要はないのではないかというふうに私は思っているんですね。

 こういう理屈から考えてみても、今回の改正案にて、期限を明記した形で被選挙権の引き下げというものも私は盛り込むべきだったのではないかな。これから考えますというのはあるかもしれませんけれども、その辺については、どういう御議論があったかというふうなことも含めて、船田先生の方からお話をいただければと思います。

船田議員 木下委員にお答えいたします。

 被選挙権の引き下げということについては、我々、年齢に関するプロジェクトチーム、超党派でつくってまいりましたが、多分、記憶をひもといているんですが、ほとんどなかったのではないか。

 先ほどもちょっと言いましたけれども、選挙権年齢の引き下げということに非常に力を使い果たしちゃったというのが正直なところでございまして、なかなか被選挙権まで頭が回らなかったというのは、正直なところでございます。

 しかし、やはり議論を完全に行うにしてはちょっとそこが欠けてしまったという点では反省をしているわけでありまして、皆様からもこの委員会においても再三にわたりまして御指摘をいただきましたので、今後、プロジェクトチームにおきましては、やることはいっぱいあるのでございますが、被選挙権の引き下げについても、これはできるだけ早く議論をいたしまして、何らかの政党間の合意が得られれば、これをまた議員立法という形でこちらの場にお出しをするということもぜひ考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。

木下委員 ありがとうございます。正直なことを言っていただいたかと思います。

 そこを、今後のことも含めてもう少し掘り下げておくべきかな。今回の審議の中でちゃんとそういうふうな話がされたということを私は残していくためにも、もう少し聞かせていただきたいんですけれども、やはりそういう意味では選挙権、被選挙権を同年齢にするべきなんじゃないかな、それが理にかなっているんじゃないかなと思いますが、これも提出者であります井上先生の方からお願いします。

井上(英)議員 お答えをいたします。

 選挙権と被選挙権の年齢というのを一緒にするのが理にかなっているんじゃないかという御質疑だと思います。

 現行法におきましては、やはり選挙権年齢よりも被選挙権年齢の方が高くなっているという現状でございます。

 これは、古くは平成十年の衆議院の委員会におきましても言われていますように、選ぶ側、すなわちみずから代表を選ぶ者に必要な経験あるいは能力というものと、今度は選ばれる側、すなわち一定の公職に就任する者に必要な知識や経験というのを比べた場合には、後者の被選挙権の方がより思慮分別を要するという観点から年齢を高くしているという説明をされてきたところであります。

 先ほど船田提出者からもありましたけれども、今回、選挙権を下げるということに全精力を注いでまいりましたので、今後は、被選挙権を引き下げていく、また同じ年齢にしていくということも踏まえて、十分に検討に値する内容だと思いますので、しっかりと各会派と議論をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

木下委員 ありがとうございます。

 ほとんどこれでいいのかなと思うんですけれども、ちょっとしつこく、もう少し聞かせていただきたいんです。

 ちょっと私の方もアイデアを持っていまして、というのは、先ほど井上先生の方から話がありましたように、それだけ被選挙権と選挙権とでは、被選挙権に関してはより高度な能力が必要となる、そういう感じの内容のことをお話しされたと思うんですね。それが過去の認識だったというふうなことを言われているんですけれども、今回、選挙権の引き下げに当たって、よりそういう能力というものが重要視されるようなことがあるならば、逆に、一緒にしないというふうに言って、その理由が何かといったら、そういう能力が必要だというのであれば、年齢だけではなくて、私は、これをある種の資格というふうに捉えて考えるべきなんじゃないか。

 当然のことながら、私たちも含めて準公務員扱いという形になっているかと思いますので、そういうのを考えたときに、後ろの方にいらっしゃる政府側の方々なんかは皆さん国家試験を受けられていますので、そういう意味では、被選挙権を有するような人たち、今の論理の片方の論理をもってするのであれば、逆に、そういう資格を有するために、国家資格を持ったような人たちでなければ出られないというふうに言うぐらい、それぐらい明確にするべきなんじゃないかなというふうな考えを私は持っています。これが一つの意見です。

 ただ、私の本来の意見からすると、両方一緒にするべきなんじゃないかなとは思っていますけれども、今の理屈が通るのであれば、結局、その年齢を引き下げている理由というのをそのまま引き継ぐのであればそういうふうな考え方もあり得るのではないかと思うんですけれども、その辺について船田先生の方から御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

船田議員 お答えいたします。

 今の木下委員のアイデア、大変興味を持って聞かせていただきました。

 確かに、被選挙権ということにつきましては、我々、選挙権と同様にしていかなければいけないかなという部分と、被選挙権と選挙権の要件の違いというもの、それに着目をして、やはり年齢的にもより経験を積んだ人でないと被選挙権はもらえない、こういうことが一般的には言われるんじゃないかと思っております。

 そこで、アイデアとして出されました被選挙権を国家資格ということで捉える、こういう考え方でございますけれども、問題となりますのは、では、誰がそれを判断するのか、誰がその基準をつくるのかというところで、やはりいろいろな問題点が出る可能性がございます。

 憲法第十五条においては、立候補の自由が保障されているということがあります。それから、憲法四十四条においては、両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律で定める、ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産、収入によって差別してはならないということが書いてありまして、被選挙権の要件として何か新たにつけ加える必要があるのかどうかという点については相当な議論が必要だろうというふうに思っています。

 私は、そういうことで悩むよりも、選挙そのものが本当の資格試験だというふうに思って、国民の皆さんが、あなたにその資格があるかないかということを選んでいただくということが必要じゃないか、そういうふうに思っております。全ては選挙が決定をする、こういう形の方がより民主主義としてはふさわしい制度ではないかなと思っております。

木下委員 明快に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 やはりそういうふうなことの方が、私もすっと入ってきます。だから、そういう意味で考えても、そうであるならば、被選挙権、選挙権は将来的に同じところに並べていくのが自然なのかなというふうな感覚で、今の御答弁を聞かせていただいて思いました。

 次に、投票率のお話。

 またこれも福島委員が言われていたのと同じなんですけれども、私の場合は、地元で高校生の人がビラを物すごくとってくれるんですね。ちょっと私の方が人相が悪いと思うんですけれども、人相の問題じゃないなと思いますのであれですけれども。

 あと、子供というのか、若い方の方が、朝も挨拶してもしっかりと応えていただけるんですね。それだけこれからの将来は明るいというふうに、まず一つ言わせていただきます。

 その中で、今回、私、維新の党、大阪維新の会のメンバーであったことで、大阪都構想に見る世代間の投票率のギャップというのが非常に大きかったと思っております。高年齢層の意見と若年齢層の意見が反対の投票傾向にあったというふうに分析しておりまして、そういうことを考えたときに、掲げている問題、課題、もしくは政策によって生まれてくる世代間の隔たりというのが大きくなるような傾向が、これから先、政策によってどんどん広がってくるだろう。少子高齢化の時代、そういうふうなものがやはり政策により多く捉えられなければならないのかなという感じのことを思っています。

 そうなったときに、今回の十八歳に引き下げること自体は評価されるというふうに言いながら、このままやっていって、普通であれば引き下げをしているのであるから、これも同じような意見を言っていますけれども、それと同時に、若い年齢、これは十八歳、十九歳だけじゃなくて若い年齢が、やはりどうしても投票率がまだまだ上がらない。

 これは、参考人の方々から話を聞いていても、加齢効果があるからしようがない的な感じの話はしていましたけれども、それだけにとらわれず、これから先、もっと具体的な若年層の投票率アップのアイデアも含めて盛り込まれているのが、本来の、今回提出された法案の理想形だというふうに私は思っているんです。

 その辺について、井上先生、もしもそういったところで、それらの施策というのは組み込まれないのかといったところも含めて、お答えいただければと思います。

井上(英)議員 お答えをいたします。

 私も、どちらかというと高校生にビラをとってもらえる方でして、もともと配っているときに、社会人に見える人にだけ配るよりも、高校生にも関係なくずっと配っていたら、意外と高校生はとってくれていたという記憶がありまして、私や木下委員はいかついので、多分、おびえながらとっていたのかもわかりませんけれども。

 本法案には、現役世代、若年層の投票率アップを狙うための具体的施策は直接的には盛り込んでおりませんが、委員御指摘のとおり、本法案の成立により若い人々が選挙権を得たにもかかわらず、その投票率が低いということにならないようにしなくてはならないというふうに考えております。

 先ほどからるる言われていますように、高校生に対する主権者教育というのをやはり充実させていき、主権者としての素養を身につけてもらえるような指導を充実させるというのがもちろん喫緊の課題であるというふうに考えております。

 こうした課題に対応するためにも、学習指導要領の改訂に際し、主権者教育をしっかりと位置づけていく。先ほど、ちょっと実効性が低いんじゃないかという御指摘もありましたけれども、模擬選挙などといったものや、また、そういう主権者教育の充実のために、高校生に対して副教材を配付していくこととか、模擬選挙などを初めとした実践的で体験的な指導というのも、やれることを全てやっていって、なるべく実を伴った内容の主権者教育というのを進めていく必要があるかと思います。

 委員御指摘のとおり、現役世代、若年層の投票率アップは、やはり喫緊の課題であります。

 先週の木曜日も申し上げましたように、私は大阪なので、先般、大阪都構想ということで住民投票をやりましたけれども、投票率が六六・八%と、都市部の選挙区としては非常に高い投票率となりました。

 そういったことも含めて、やはり若年層に政治に対して関心と興味というのをしっかりと持ってもらえるような環境が整えば、必ず投票率が高く維持されるのではないかというふうに思っておりますので、今後、我々も含めて、投票所、期日前の投票でショッピングセンターだとか、また駅で試験的に今やられていますけれども、そういったことも充実させて、しっかりと投票率向上に資していきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

木下委員 ありがとうございます。

 もう時間がないので、手短にもう一問だけお話しさせていただきます。

 今回の法案で、運用にかかわるところで、ちょっと私が懸念しているところがあります。それは何かというと、年齢を引き下げることによって起こり得る心配事というのがあります。

 というのは、我々衆議院議員の場合は、選挙の際にポスターを、公営掲示板のほかに、それ以外に五百枚、千枚という形でいろいろなところに、町中に張れるというふうに言っているんですけれども、張れるところはどういうところかというと、当然、どこかの誰かさんのおうち、もしくは商店の軒先とか、そういったところになると思うんです。

 そういうふうになったときに、さっきのお話じゃないですけれども、世代間の格差、もしくは、世代間の格差を世代間の闘争にしていくのは政治家がやるべきことではないと思っている中でより心配になるのが、資産を持っている人たち、家屋だとかそういう資産を持っている人たちというのは、十八歳、十九歳というのはほとんどいないと思うんですね。やはり年齢が上がれば上がるだけ資産を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。

 それで、今回こういうふうな話になり、しかも世代間の格差を是正していこうとかというふうになったときに、そういう意見を言うような政党もしくはそういったことを言っている候補者の人たちは、ポスターを張るところがなかなかなくなってしまうんじゃないかなと思うんです。

 それも含めて考えたら、もう公営掲示板だけにした方がいいんじゃないかなというふうに私はちょっと思っていて、それも公職選挙法の中に書かれているべきところだと思うので、そういったところをどう思われているのかということが一つ。

 それから、それ以外にもあり得るのが、十八歳、十九歳といったら、お父さん、お母さんと一緒に住んでいるわけですね、ほとんどは。それじゃなくても、大学に行っていたとしても仕送りを受けたりとかして、生計を自分が単独でやっていることはまず少ないというふうなことを考えたときに、当然、普通の家庭であり得るのはどういうことかというと、お父さんが言うんですよ、今度選挙のとき、わしはこれこれさんを応援しているから、おまえも選挙行って書いてこい、そうして書いてきたら、おまえ、飯おごったるわ、ごちそうしたるわというふうに言われるようなことというのは、家庭の中でどんどん起こるんじゃないかな。でも、これは買収行為なんですよね。

 そういったところも含めてちょっと懸念しているので、その辺について、さきの質問の部分について船田先生からお話しいただければ、それから最後の部分については総務省から一言、短くお話しいただければと思います。

船田議員 お答えいたします。

 今、木下先生のおっしゃった指摘の点は、多分、政党用ポスターですかね、そういったものは個人のポスター以外にも割り当てがありまして、張れる状況になります。

 ただ、これにつきましては、年齢が低い人が候補者になった場合にそれを張れる場所が少ないのではないか、他の者に比べて不公平ではないか、こういう点があると思いますが、これは、だからといって、では政党用ポスターを全くなくしちゃえというのもいかがなものかということを考えております。

 まず、順番としては、やはりそういう政党用ポスターの張れる場所が年齢によって差別がある、区別があるということは解消する、そのための、平等にするための何らかのアクションを起こすことがまず第一である。しかし、それでもできないのであれば、それは政党用ポスターをなくす、それで公営掲示板だけにするというような順番で、慎重に議論していくべきだと思っております。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法におきましては、当選を得もしくは得しめない目的をもって選挙人または選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益もしくは公私の職務の供与、こういったことを約束したりしたときが買収というふうになっておりまして、家庭内で、先ほどお尋ねになったようなことが買収に当たるとは少し考えにくいと思いますが、いずれにいたしましても、個々のこの要件に当たるかについては、個々の事案に即して判断されるべきことになろうかと存じます。

木下委員 以上です。ありがとうございました。

山本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 十八歳選挙権法案について質問をいたします。

 この間の質疑で、主権者教育の重要性について各党からも議論がございました。

 前回の質疑でも申し上げましたが、選挙は国民主権、議会制民主主義の根幹にかかわるものであり、本案は国民、有権者の参政権にかかわる重要な問題であります。

 提案者の方、どなたでも結構なんですが、お尋ねしたいんですが、十八歳、十九歳の若者に何か選挙権を与えてやる、こういう発想というのはおかしいわけで、権利として、政治にかかわることが特殊なことではなくて、主権者として参加することが当たり前の社会にしていかなければならないと考えますが、本法案の提案者の方はどのようにお考えでしょうか。

船田議員 塩川委員にお答えいたします。

 今回の選挙権の引き下げの議論というのは、きっかけとして、国民投票法の十八歳に引き下げるということから、これがきっかけでございました。

 ただ、その場合でも、我々は、特に憲法というテーマについてはできるだけ多くの人々にも投票していただきたい、ですから、公民権停止をされた方も投票ができるということにしましたし、特に、憲法というのは現在から将来の日本の姿を規定するものでもございますので、できるだけ若い方々にも投票していただく必要があるだろう、こういうことで十八になったという経緯もあります。

 そういう観点からすると、十八歳、十九歳の皆さんに、我々というか、国というか、あるいは国会議員側から与えるということではなくて、やはりできる限り若い人々の意見もぜひ政治に反映をしたい、そういう権利として持っていただく。

 これまで制限されていたのは、十八、十九が本当に意思表示ができるのか、あるいは、いわゆる主権者教育、政治教育というのがきちんとできているのかどうかということで、若干の疑問点があったというふうに思われますけれども、その後、さまざまな観点から議論をし、そして、とりわけ十八、十九の皆さんが、特に若い方々の中でも、参考人として来られた斎木さんや高橋さんを初め、多くの高校生が、私たちに権利を欲しい、こういうことで積極的に運動している、そういう姿を見ておりまして、これは十八、十九の皆さんも立派に政治的判断あるいは選挙における投票行為を行っていただけるな、そういう確信を得られたということでございます。

 そういう点で、決して上から与えるというのではなくて、当然の権利としてそれをお認めする、こういう態度でおります。

塩川委員 改憲手続がきっかけというのは動機が悪いということはこの前も申し上げたわけでありますが、今、一方で、若者たちからの権利の保障を求める運動、そういうものもあり、こういう形で実現をするということは大変重要だということでもございました。

 十八歳といえば高校三年生も含まれる。問題になるのが、議論もされております、文部省の一九六九年に出した通達、「高等学校における政治的教養と政治的活動について」があります。

 この通達では、高等学校生徒の政治的活動を規制しているということで、その根拠として、「選挙権等の参政権が与えられていないことなどからも明らかであるように、国家・社会としては未成年者が政治的活動を行なうことを期待していないし、むしろ行なわないよう要請している」としておりますが、十八歳選挙権が実現をすれば、この根拠が崩れるということであります。

 そこで、提案者の北側議員にお尋ねをいたします。

 前回の質疑の中で、北側議員は、十八歳選挙権が実現したならば、当然これは、選挙権を持つので選挙運動も基本的に自由、また政治的活動も自由、これが大原則と述べ、この通達についても見直していただく必要があると述べておられます。

 そこで、確認ですけれども、この通達はもうきっぱりと見直す、十八歳以上は選挙運動も基本的に自由、政治活動も自由、こういう立場だということか、お答えいただければと思います。

北側議員 おっしゃっているとおり、十八歳選挙権が実現しましたならば、選挙活動も自由、そして政治活動も自由、これが大原則でございます。今二十以上の者が選挙運動自由、政治活動自由と同様でございます。

 ですから、その大原則に立った上で、例えば学校の中の秩序とかルールとかそういう面で、一定の規制が必要だと思います。そこはしっかりと学校の中で御議論いただいて自主規制をしていく、また、教育委員会等でもガイドラインをつくっていくということは当然あるというふうに考えております。

 これは、学校に限らず、どこの企業であれ何であれ、どこの団体であれ、そういうところで全く自由にできるわけじゃないのと同様でございます。特に学校は教育の現場でありますから、そういう教育の現場の本旨に従って一定のルールは当然あるだろうと思いますが、大原則は、選挙運動自由、政治活動自由だというふうに考えております。

塩川委員 続けて、自民党の提案者の船田議員にお尋ねします。

 今、北側議員の方からも、学校におけるルールの必要性のお話もありました。しかし、大原則というのは、選挙運動も自由、政治活動も自由、こういう見地だということですが、この点、自民党の船田議員としてはどのようにお考えでしょうか。

船田議員 お答えいたします。

 今、北側議員からも答弁ございましたが、私も、基本的には、有権者となった生徒は政治活動そして選挙運動は自由であるということは言うまでもないと思っております。

 ただ、その者が学校の中において何をやってもいいかというと、そこはやはり学校内の秩序、とりわけ私たちが配慮しなければいけない点は、同じクラスにいながら、同じ学年でありながら、有権者になった者となっていない者が混在をしているということでございまして、そういう観点からすると、有権者となった高校生が非有権者に対して何をやってもよいということには多分ならないんだろうというふうに思っています。

 ただ、それ以上のことを申し上げますと、これは政治的な中立とかあるいは有権者である高校生の原則自由というものから見て言い過ぎとなるところもありますので、ここから先のことは、今後、総務省、文科省、そして我々プロジェクトチーム、せっかくつくってありますので、そこでしっかりと議論をして、何ができるのか、何ができないのかということをやはりある程度はっきり、ガイドラインのような形でお示しをしていくことが大事なのかな、そういうふうに感じております。

塩川委員 この点では北側議員と基本的に同じ、選挙運動の自由のことの御答弁がありました。

 あわせて、総務省もそうでしょうし、今、プロジェクトチームで議論されていかれるということで、できること、できないことというお話もございました。

 その点で、船田議員に重ねてお尋ねしますが、この間の報道によりますと、そのプロジェクトチームで議論もされて、その際に船田議員として私案も出されたということも目にしております。

 そこでは、学校外に限って政治活動を認める私案をまとめたとあるわけですけれども、これは、学校外しかいわゆる政治活動を認めないということなのか。十八歳、十九歳には、憲法二十一条で認められた集会の自由、結社の自由、表現の自由、政治活動の自由、これがなく、参政権の行使というのは限定的ということなのでしょうか。

船田議員 お答えいたします。

 今、塩川先生が御指摘をいただいた文書でございますが、これは私のあくまで個人的なメモということで皆様に一度お示しをいたしましたが、それについては、このプロジェクトチームで議論はいたしておりません。これはあくまで私の個人的なメモということでありました。

 そして、その内容でございますけれども、私の文章がちょっと稚拙なところもあったかもしれませんが、学校外においては、有権者となった生徒の政治活動、選挙運動は自由であるということは書かせていただきました。

 ただ、学校内においての政治活動、選挙運動については、先ほど申し上げたように、有権者と非有権者が混在をしていること。あるいは、学校においてはやはり勉学が全ての基礎でなければいけない、最優先をされなければいけない、仮に選挙運動をやることによって教育あるいは勉学というものがおろそかになるとすれば、それはやはり考えなければいけませんねということで、適切な対応を求めるということで、制限するという言葉は一切使っておりません。あくまで、適切に対応していただくというようなことで文章としてはまとめさせていただいております。そして、その意味するところは今申し上げたようなことでありますので、御理解いただきたいと思います。

塩川委員 政治活動の自由の問題という憲法に定められた基本的人権との関係でも、学校の内、外で分けるような問題ではないだろうと思います。

 この法案の参考人質疑でも、複数の方から主権者教育の重要性が語られました。政治について自由に語られる場がなければ、子供たちが多様な意見に触れることもなく、その多様な意見に触れてみずから考えることも判断することもなく、自分の意見を養うということもできなくなる。また、政治教育の中で議論されるのは、政治色をなくせということ。しかし、政治の話をして、党派色をゼロにして本質的な議論をするのは難しい。さまざまな政党の意見があることを開陳しながら、党派を超えた議論を教育に持ち込むことが大事ではないか。

 このように、参考人の方々が述べられたのは、学校内だろうと学校外だろうと、さまざまな意見に触れ、みずから考える、そして行動するということが教育の現場で必要だということであります。こういう立場で臨むことが求められているのではないのか。

 どのような主権者教育をしていくのかはいわば今後の検討課題ということでは、投票する権利は与えるけれども、余計なことをするんじゃないというような、そういうメッセージにもなりかねないという点でも、私たちは、改めて、この一九六九年の文部省通達は撤回、撤廃をすべきだということは申し上げておくものであります。

 あわせて、この法案が提案された過程、審議の進め方についても一言申し上げておくものです。

 前回の私の質疑の際に、冒頭、船田議員から、答弁の前に共産党の皆様に申し上げたいといって述べられたのが、国民投票法の制定からスタートしたことで、憲法改正の手続に反対していた共産党、社民党は中に入れない形で事を進めてしまった、共産党、社民党の意見をしっかりいただくということが不十分だったことをおわびというか、お話をしたいと思った次第であります、このようなことでございました。

 私、選挙制度というのは、そもそも議会制民主主義の土台であり、国民、有権者の参政権にかかわる問題であることから、全党全会派参加での議論を行うべきで、一部の政党だけ何か談合するような、進めるようなやり方というのは間違っている。被選挙権の問題など本来しっかりと議論すべき問題も取り上げられないままで提案者が本案成立を急ぐというのが、国民投票前の国政選挙において十八歳選挙権を実現しておきたいという改憲派の意図のもとで、急いでいると見られても仕方がないということを指摘しておくものであります。

 そこで、本来、全党全会派参加のもとで議論すべき公選法の改正の議論であります。この点につきましては、この間、例えばインターネット利用の選挙運動の解禁や成年被後見人の選挙権回復など、各党で協議を行い、成立させてまいりました。

 この点について、提案者の方にお尋ねをいたしますが、ネット選挙運動の解禁の際には、各党協議の中で、日本共産党は、ネットの世界だけをテーマにするのではなく、それ以外の現行の選挙運動のあり方も取り上げるべきだと主張し、各党が、今後も選挙運動規制のあり方について協議を続けていくことで合意をしておりました。こういった各党協議の経緯については、提案者の方ではどのように受けとめて、認識しておられるのかについてお尋ねをいたします。

逢沢議員 自由民主党選挙制度調査会長の立場で、事選挙のことについては、あらゆる政党、会派ができるだけテーブルを同じゅうして議論を出し尽くし、どういうテーマを取り上げて具体的な議論として詰めていくか、そういった基本的な考え方といいますか姿勢を大事にしてきたことは、委員御指摘のとおりであります。

 その中で、今具体的におっしゃっていただきましたネット選挙の解禁、これについても大変大きな議論がございましたけれども、野党全ての会派の皆様に御参加をいただいた。その後、成年後見制度を活用しておられる方々への選挙権の、回復と言っていいんでしょうか、このテーマについても同様な手続であったことというふうに思います。

 今回の十八歳選挙権年齢を実現するための公選法の改正、これは、そのきっかけというのがいわゆる憲法改正、イエス、ノーの国民投票法について十八歳から国民投票権を与える、そこが一つのスタートといいますかきっかけになった、そういったいきさつといいますか順番、経緯があったということも、いささか今日の現実につながっているというところもあるんだろうというふうに思います。

 引き続き、選挙のあるべき姿については、不断の改革、改善、よりよいものを求める、そういう努力は重ねていかなくてはなりません。いろいろなものを各会派から持ち寄っていただき、それでは次はこういうテーマを扱っていこう、そういうコンセンサスが得られれば、いつでも与野党全体のテーブルを動かすことは、今でも可能というふうに考えておりますので、基本的にそのことを確認させていただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

塩川委員 全党全会派の参加のもとでの議論をする。その課題の一つとして、ネット選挙後の宿題として、現行の選挙制度についても見直しをする必要があるだろうということがあったわけであります。そのことを逢沢自民党選挙制度調査会長御自身もよく御存じのことだろうと思っております。

 その点で、憲法十五条は、選挙権を国民固有の権利として、国民が主権者として政治に参加する機会を保障しております。

 そこで、各党の提出者の方の中で、自民、公明、民主、維新の方にお尋ねします。

 日本の公職選挙法は、べからず集と言われるように、さまざまな規制が設けられております。法律で選挙運動と政治活動を区別する、選挙運動期間を規定し、短い選挙期間になっている、国政選挙で三百万、六百万という高額な供託金、戸別訪問が禁止をされているなど、国際的に見ても極めて制限的な、まれな仕組みだと言わざるを得ません。

 若者だけではなく、国民が主権者として政治に参加することが当たり前の社会にしていくという観点から、こういった公選法のさまざまな制限の問題について見直すべき点があると考えますが、短い時間で恐縮ですけれども、それぞれのお考えをいただきたい。

船田議員 一概にお答えすることは難しいんですけれども、やはり今の公職選挙法全体の体系が諸外国の中でもかなり厳しいということは、私自身も認識をしております。

 この背景としては、やはり選挙運動の激化あるいは選挙違反事案、そういったものが後を絶たないということもまた一方ではあるんだろうと思います。

 しかし、昨今投票率が下がってきている、恒常的に下がってきているという原因の一つには、やはり厳し過ぎる公職選挙法の縛りが、あるいは原因していることかもしれません。

 十八、十九に選挙権年齢を引き下げるということとともに、あるいは被選挙権の年齢も将来引き下げるということとともに、この公職選挙法そのものの全体の枝ぶりというのかあり方というのか、そういったことについてもやはりより簡潔になるものはあるのではないか、そういう観点で見直しをする必要はあると思っております。

武正議員 今回の法律の可決、そしてまた成立が全体の投票率が上がるきっかけになればという思いで提出をさせていただいております。

 主権者教育の充実がその基本であることは間違いありませんが、委員が指摘された公選法のさまざまな不備については、これは、我々選ばれる側である立場の中で、やはりそれぞれの党でしっかりとこの公選法のいろいろな課題についても掘り下げ、そしてまた各党間での協議、議論も深めていく、立法府としての義務があるのではないかというふうに思います。

北側議員 委員のおっしゃっているとおり、ネット選挙が解禁されたにもかかわらず、文書による運動の規制はいっぱい残っているんですね。非常に矛盾するところが現行法でもたくさんあるわけなんです。

 そういう意味で、選挙運動については、やはりもう少し規制を緩和する方向で、今の公職選挙法の規定については見直しをしていかないといけないんだろうというふうに私は思っております。

 超党派での会議体は今も残っております。残っておりますので、選挙制度、選挙運動についてのありようをどうするかという超党派の会がありますから、そこを舞台にして、今、委員のおっしゃっているような方向での議論はしっかりさせていただきたいと思っております。

井上(英)議員 塩川議員にお答えをいたします。

 選挙運動の自由化だとか、恐らく小選挙区制も含めての議論で、選挙制度というふうに申し上げさせていただきますけれども、それ自体にやはり明快にベストな答えというのはないというふうに私は思っております。

 ですからこそ、常にベターで、時代時代に対応できる選挙制度というものをつくり上げていかなければならないと思い、よりよい制度を目指して不断の見直しというのが必要だと思っております。

 そういう意味で、規制緩和というのが必要であれば、ぜひ検討していくべきだというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

塩川委員 制限的なやり方についての見直しの方向ということでは、今お話しいただいた方々でも一致するところであり、そういう点でのしっかりとした見直しを求めていく。

 加えて、民意をゆがめる小選挙区制の見直しの問題や、また、国際的に見ても少ない国会議員の定数の問題なども含めて、こういう選挙制度全体についての見直しが、国民の参政権行使を重視する観点からも重要だ、このことを申し上げて、質問を終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 本法律案の提出に当たられました議員各位の御努力に、深く敬意を表するものであります。

 公職選挙法等の一部を改正する法律案につきましては、政府としては特に異議はございません。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。大平喜信君。

大平委員 私は、日本共産党を代表して、公職選挙法等の一部を改正する法律案、選挙権年齢の十八歳以上への引き下げに対し、討論を行います。

 本案は、二〇〇七年に改憲手続法を強行成立させるに当たって、改憲の国民投票の投票年齢を十八歳とし、同法施行後に選挙権年齢も引き下げるとしたことに端を発したものでした。しかも、今回、改憲を掲げる安倍政権のもとで、改憲を目指す政党だけの協議で立法化し、提出されたものです。こうした法案提出の経緯及び提出者の動機は、到底受け入れられるものではありません。

 そもそも、選挙権、参政権は、国民主権、議会制民主主義の根幹をなすものです。

 歴史を見れば、自由と人権を獲得する闘いの中で、議会をつくり、制限選挙から男子普通選挙へ、そして戦後、婦人参政権、二十歳からの選挙権へと発展し、国民主権の日本国憲法を確立しました。

 日本共産党は、一九二二年の党創立以来、十八歳以上の全ての男女に対する普通選挙権を掲げ、綱領に位置づけ、その実現に力を尽くしてきました。

 本案は、十八歳から公職の選挙で投票と選挙運動を行えるようにするものです。これにより、二百四十万人の有権者がふえ、さらに幅広い民意が議会に反映されることは、議会制民主主義の発展につながります。

 この際、指摘しておきたいのは、国民の参政権行使を保障するには、選挙制度全体の見直しが必要だということです。

 提案者が、被選挙権については議論をしていないと答弁するように、本案には、被選挙権の引き下げは盛り込まれていません。参政権には、選挙権とともに被選挙権などが含まれ、一体で考えるべきものです。

 また、日本の公職選挙法はさまざまな規制が設けられ、選挙運動の自由を妨げる問題を検討すべきです。

 さらには、小選挙区制は、民意の反映を著しくゆがめ、過半数の死票を生み出しており、そうした選挙制度を抜本改革することが求められています。

 本案は、改憲勢力が改憲の道筋に位置づけているものではありますが、十八歳選挙権を実現することは、議会制民主主義の前進につながるものであり、賛成します。

 以上で討論を終わります。(拍手)

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 船田元君外七名提出、公職選挙法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十七分散会


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