衆議院

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第3号 平成28年3月18日(金曜日)

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平成二十八年三月十八日(金曜日)

    午前十一時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 大塚  拓君 理事 奥野 信亮君

   理事 田中 良生君 理事 中川 俊直君

   理事 平沢 勝栄君 理事 落合 貴之君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    井野 俊郎君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      うえの賢一郎君    小田原 潔君

      大串 正樹君    大野敬太郎君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      神田 憲次君    坂本 哲志君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      武村 展英君    中谷 真一君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      藤井比早之君    古川  康君

      古田 圭一君    前川  恵君

      前田 一男君    山下 貴司君

      山本  拓君    若狭  勝君

      大西 健介君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    初鹿 明博君

      本村賢太郎君    國重  徹君

      角田 秀穂君    穀田 恵二君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      鈴木 義弘君

    …………………………………

   議員           逢坂 誠二君

   議員           黒岩 宇洋君

   議員           後藤 祐一君

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     逢沢 一郎君

  國重  徹君     北側 一雄君

  角田 秀穂君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  逢沢 一郎君     伊藤 忠彦君

  北側 一雄君     國重  徹君

  中野 洋昌君     角田 秀穂君

三月十七日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  木下 智彦君     浦野 靖人君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    武村 展英君

  小田原 潔君     前川  恵君

  大串 正樹君     前田 一男君

  助田 重義君     中谷 真一君

  古川  康君     古田 圭一君

  若狭  勝君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     若狭  勝君

  武村 展英君     大野敬太郎君

  中谷 真一君     助田 重義君

  古田 圭一君     古川  康君

  前川  恵君     小田原 潔君

  前田 一男君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     うえの賢一郎君

    ―――――――――――――

三月十七日

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

二月四日

 政党助成金の廃止に関する請願(本村伸子君紹介)(第二五四号)

同月十七日

 政党助成金の廃止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五九号)

 同(堀内照文君紹介)(第四〇八号)

三月三日

 政党助成金の廃止に関する請願(志位和夫君紹介)(第七三三号)

同月九日

 政党助成金を直ちに廃止することに関する請願(穀田恵二君紹介)(第八〇〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八〇一号)

 政党助成金の廃止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外三名提出、第百八十九回国会衆法第四一号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 総務大臣の高市早苗でございます。

 公正かつ明るい選挙の実現に向けて、副大臣、大臣政務官、職員ともども全力で取り組んでまいりますので、山本公一委員長、理事の皆様、委員の先生方の御指導を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

山本委員長 次に、土屋総務副大臣。

土屋副大臣 おはようございます。総務副大臣を拝命いたしました土屋でございます。

 高市大臣を支え、全力を尽くしたいと思いますので、委員の皆様方の御支援をよろしくお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。(拍手)

山本委員長 次に、森屋総務大臣政務官。

森屋大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました森屋宏でございます。

 土屋副大臣とともに、高市大臣を支え、全力を尽くしてまいります。山本委員長を初め理事、そして委員の先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官露木康浩君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、総務省情報流通行政局長今林顯一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎です。

 高市大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、アダムズ方式の導入に関して。衆議院選挙制度改革について、衆議院選挙制度に関する調査会から答申が出されているのはもう御承知のとおりだと思いますが、私ども民主・維新・無所属クラブ、そして与党公明党の皆さんも、当初からこのアダムズ方式、答申のとおり受け入れていこうという方向性を打ち出してきたわけであります。

 大臣が、二月二十六日の記者会見におきまして、総理も答申について尊重するという旨を述べておられますと発言をしておられますが、総理もということは、高市大臣も同じ方向性ということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 衆議院選挙制度に関する調査会につきましては、平成二十六年六月十九日の衆議院議院運営委員会の決定において、各会派は調査会の答申を尊重するものとされております。

 御指摘の私の発言につきましては、総理も同様に尊重される旨を述べておられるということを申し上げました。

 いずれにしましても、アダムズ方式の導入を含めて、衆議院の選挙制度改革につきましては、調査会の答申を受けて、大島衆議院議長のもとで現在各党各会派において議論が行われている最中だと承知しておりますので、総務省といたしましては、その議論を注視してまいります。

本村(賢)委員 ぜひ、三年四カ月前に約束した定数削減を実現するためにも、このアダムズ方式を、やはり国会で、与野党で着地点が見出せなくて答申をいただいたわけでありますので、与野党の枠を超えて、このアダムズ方式の方向性を、また大臣としても後押しをお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきますが、資料をきょうは一と二を配らせていただいておりますが、衆議院小選挙区の区割りの見直しについてお伺いしたいと思っているんです。

 現在八十八の市町村が分割されている状況にございまして、資料一のとおりであります。高市大臣の奈良県二区も奈良市が分割されておりますし、私の神奈川県十四区も、十四区、十六区と分割されております。

 思い出せば、平成八年に小選挙区制を導入して以降、私どもの相模原も、この資料二のように、私の選挙区が相模原市の南区の一部、中央区、緑区の一部という形になっておりまして、神奈川十六区が相模原・南区と緑区、そして厚木市、伊勢原市、愛甲郡という形になっておりまして、やはり行政区を割る選挙区で、非常に、市民の皆様も、選挙に対して、孤島になってしまったんじゃないかというお声もあります。例えば南区の御園一、二、三丁目というのが十四区で、四丁目、五丁目が、同じ商店街で五メーター道路を挟んで片方は十四区、片方が十六区という形であります。

 衆議院議員の選挙区画定審議会が出した緊急是正法に基づく区割りの改定案の作成方針においても、「選挙区の改定に当たっては、市(指定都市にあっては行政区)区町村の区域は、分割しないことを原則とする。」とあります。

 可能な限り行政区を割るべきじゃないと私は考えております。特別区のように、例えば世田谷区が九十万人、練馬区が七十二万人、大田区が七十一万人のような特別区もありますけれども、ぜひ、可能な限り行政区を割るべきでないと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条で、区割りの改定案の作成は、選挙区間の最大格差が二以上とならないことを基本としつつ、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと規定しております。また、同審議会が作成した作成方針は、今委員がおっしゃったとおりの内容でございます。

 しかしながら、市区の人口が一定の基準を超えているような場合など、分割せざるを得ない市区もありました。また、市町村合併などによって結果的に分割されることになった団体の数は大幅に増加をしています。

 なお、現行の衆議院小選挙区の区割りですが、〇増五減を内容とする緊急是正法の定める基準に従って、改定対象選挙区を限定して区割りの改定を行いました。そのため、市町村合併などによります分割の解消のみを理由とした選挙区の改定というのは行われなかったんです。

 現在、格差是正や定数削減などを含めた衆議院選挙制度改革につきましては、調査会答申を受けて、大島衆議院議長のもとで各党各会派で議論が行われております。この議論を踏まえまして、次回の区割りに向けての方針というものが決まってくると考えられますので、総務省としては、その議論を見守ってまいります。

本村(賢)委員 次に、公職選挙法の運用について、地域によって差があるんじゃないかなと。

 これに関しては公職選挙法第百四十三条の十六項の規定が当てはまると思うんですが、例えば、日本全国、北海道から沖縄県まで同じ基準で公選法が運用されるべきだと考えているんですが、もちろんこれは当然の話でありますけれども、これについて政府の見解をお伺いしたいと思っております。

 例えば、当人の名前が入ったたすきやのぼりやジャンパーを使用して日常の政治活動を行うことは一般として違反になるのかどうか。この点もちょっと、基本的な話でありますが、確認のためお伺いします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法の解釈、判断等につきましては、立法時における議論、あるいはこれまでの長年における判例あるいは実例などの積み重ねによりまして、その考え方を明確にされてきたところでございます。

 総務省としましては、これらの内容を周知するとともに、質疑応答などの形で一般的な解釈をお示ししておるところでございまして、都道府県選管、市町村選管におきましては、その解釈については共通だというふうに考えております。

 しかしながら、選挙運動、政治活動の実態につきましては極めて多様でございまして、その中で、具体的にある行為が公職選挙法に禁止されるものかどうかということの当てはめにつきましては、その具体の事情を見まして、態様、すなわち時期、場所、方法、数量、対象などにつきまして総合的に勘案して、実態的に判断していく。最終的には司法の判断ということとなると思っております。

 そういうことでございますが、法の適用など統一性の確保が図られるような必要なことにつきましては、さまざまな機会を通じまして、選挙管理委員会等関係機関に周知を図ってまいりたいと思います。

 また、お尋ねのたすきなどにつきまして公職選挙法に違反するかどうかにつきましては、今申しましたとおり、個別の態様によって判断されるべきものでございますので、お答えは差し控えたいと思います。

 ただ、その上で、一般論としてということで申し上げますと、現行法上、候補者の氏名または氏名類推事項が表示された文書図画の掲示につきましては、委員御指摘のとおり、公職選挙法第百四十三条の十六項に列挙されているもの以外は掲示することができないとされております。例えば、政治活動用事務所に掲示する一定数の看板、立て札などを除きまして、それ以外は掲示できないということとなっております。

 したがいまして、個別に判断するしかないのですが、今御指摘のありましたものにつきましては、一般的にこれに当たらないことが多いのではないかと考えられます。

本村(賢)委員 個別事案の話ということでありまして、今の事案に当たらないような話もされておりましたが、例えば、私の地元の相模大野駅で、私がたすきをして、個人旗をつけて、個人ジャンパーを着て政治活動をしていた、選挙中じゃないですよ、日常活動、この場合は違反に値するんじゃないでしょうか。もう一回、お願いします。

大泉政府参考人 先ほど申しましたとおり、公職選挙法百四十三条十六項については、掲示していいものにつきまして列挙されていて、氏名あるいは氏名類推事項が記載されているものについては、定められているもの以外を掲示したら違反になるというような規定がございます。

 具体的な当てはめについてはできませんけれども、そこの規定から見ると、当たらないものであれば違反になるということでございます。

本村(賢)委員 なかなかちょっとわかりづらい答弁であります。

 警察の方にも来ていただいていますが、警察からも御答弁をお願いします。

露木政府参考人 ただいま総務省からも答弁がございましたけれども、お尋ねのような行為が公職選挙法第百四十三条第十六項などの規定に違反するかどうかにつきましては、個別具体の事実に即して判断する必要がございますので、一概に違反になるとかならないとかいうことを申し上げることは難しいということでございます。

 なお、お尋ねのような行為が法令違反に当たるという場合には、違反状態を早期に除去し、違反の続発防止を図る必要があると認められれば、速やかに私どもとしては警告を行っているという状況でございます。

本村(賢)委員 なぜこういう質問をしているかというと、例えば、私どもの相模原市の選管は、個人の旗とかジャンパーとか、非常に厳しいんですね。でも、全国的に見ていると、たすきをしている人もいれば、個人旗を出している人もいれば、ジャンパーを着ている人もいるし、選管によって運用がまちまちということは非常に問題じゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 これは法律でございますので、しっかりと周知に努めてまいりたいと考えます。

本村(賢)委員 ぜひ、公正、平等な選挙活動ができるように、政治活動ができるように御指導をお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 次は、昨年の統一地方選挙においても、私どもの相模原市議会議員選挙において、投票総数が十万二千三百六票で、投票者数が十万二千三百人、六票多かったのでありますが、八票をカウントせずに処理したということで、最下位当選の市議会議員の当落をめぐって現在係争中の事案もございまして、市の職員に行政処分が下されたということもございます。高松市の参議院選挙の事例や、そして仙台市の衆議院選挙の問題も昨今あると思うわけでありますが、一票の重みを軽んじた行為であって、断じてこうした選挙管理委員の不正があってはならないと思うんですね。

 ことしは十八歳選挙元年となる一年でありまして、有権者が選挙に疑念を持たないようにより一層努めなければならないと考えておりますが、再発防止に取り組む大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今委員が列挙してくださった事例なんですけれども、単なる事務ミスではなくて、選挙事務に携わった職員が不正を行うという、選挙への信頼性をゆがめる、ゆゆしき事態だと考えております。

 総務省では、これまでもしてきたんですが、選挙の厳正な管理執行、ひいては選挙の信頼確保について、各選挙管理委員会に対して、通知を発出するということとともに、各種会議の場でもたびたび要請をしてまいりました。

 しかし、特に、ことしの参議院議員選挙では、七十年ぶりに選挙権年齢が引き下げられて、非常に有権者の皆様の関心が高まると思います。新たに投票に行ってくださる若い方々を含めて、やはり有権者の皆様の選挙に対する信頼というものを確保しなきゃいけませんので、緊張感を持ってしっかりと職務に臨んで、引き続き、これから夏にかけてあらゆる機会を捉えて、しっかり各選管に、気を引き締めて事務の再点検をしていただくこと、法令の遵守をしていただくことを要請してまいります。

本村(賢)委員 ぜひ、公正な選挙の事務についての御指導もお願いしてまいりたいと思っております。

 次に、公正な選挙報道についてお伺いしたいと思います。

 従来、政治的に公平であることの解釈は、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するとしてきたわけでありますが、例えば、ある候補者の特集番組を一時間放送して、別の日に別の候補者の特集番組を一時間放送した場合などは、それぞれの番組について放送法違反になるのか、大臣の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 放送法第四条第一項第二号の規定により、放送事業者は、放送番組の編集に当たり、政治的に公平であることが求められています。

 ここで言う政治的に公平であることというのは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであることと解釈をしてまいりました。その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するということになりました。

 ですから、御指摘の事案も含めて、仮定のお話に一概に答えるというのは大変困難ではあるんですが、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてバランスがとれたものであれば問題はないと考えます。

本村(賢)委員 今の問題がないという御発言で、昨年十二月四日の放送法遵守を求める視聴者の会の公開質問状に対して、これはもう予算委員会でも大分議論になっておりますが、一つの番組のみでも一般的に政治的に公平であるかどうか判断できると大臣がお話しされているわけでありますが、そのことと今の答弁とちょっとずれるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 政府統一見解でもお示しをいたしましたけれども、やはり番組全体といいましても一つ一つの番組の集合体でございますから、一つの番組でも見るという場合には、極端な場合をあそこでは例示しております。例えば、限られた選挙期間中などにもう全く回復の機会がないような場合、投票日までの期間を考えると同じような企画はなされていないとか、そういった注意を著しく怠っているような極端なケースは例示しておりますけれども、基本的には番組全体を見るという考え方には変更はございません。

本村(賢)委員 ぜひ、公正な選挙報道について、放送法違反に当たらないような、公正、平等な放送ができるようにお願いしてまいりたいと思っています。

 次に、選挙公報について質問したいんです。

 選挙公報については、公選法百六十七条において、国政選挙、都道府県知事選挙において選挙公報の発行が義務づけられている、それ以外の選挙においては、百七十二条の二において、発行は任意とされていること、このことを承知した上で何点か質問させていただきます。

 横浜市選挙管理委員会の調査によれば、第十八回統一地方選、横浜市議選において、選挙があることを選挙公報から知った有権者は二五・一%、また、有権者が「見聞きした、すすめられたもの」では、選挙公報が二九・七%で、ポスターの四七・四%に続き第二位なんですね。「候補者の選定に役立ったもの」は、三八・一%で最も高いということであります。接したもののうち選定に役立ったものを選挙運動の有効率として計算したところ、選挙公報は一〇二%で最も高い位置づけなわけです。

 そこで、この選挙公報についてちょっと数点お伺いしてまいりますが、昨年の統一地方選挙も、全体の一一・四%に当たる一千七百七十四名が無投票当選。例えば、四十一道府県議の三三・四%に当たる三百二十一選挙区、五百一名が無投票当選であったり、県知事選では高知県、岩手県が無投票当選、県庁所在地である三重県津市や長崎県長崎市では市長が無投票当選、北海道乙部町では八回連続で町長が無投票当選ということもありました。

 無投票の場合、選挙公報について、公選法百七十一条に基づいて発行が中止されるものと承知はしているが、発行というのは紙での発行という意味で捉えていいのか、まずこれが一つ。それから、だとすれば、選挙管理委員会のホームページなどに掲載することは公職選挙法違反ではなく、各選管の判断で行うことは可能なのか、お伺いいたします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、公職選挙法百七十一条の規定により、選挙が無投票となった場合はその選挙公報の発行手続を中止するものとしております。これにつきましては、選挙公報の発行手続を定めました百六十九条、あるいは配布方法を定めました百七十条等の規定に照らして、紙による発行形態について規定していると考えております。

 また、紙によらないホームページへの掲載でございますけれども、無投票の場合につきましても、ホームページへの掲載について、公職選挙法上は規定は置かれてございません。

 ただ、選挙公報は、候補者の政見等を選挙人に周知して、当該選挙公報が発行される選挙において選挙人が投票するに当たってどうするかという判断材料を提供するために発行されているものでございますので、そういう目的から見ますと、無投票の場合に、選挙管理委員会のホームページに記載する必要があるとまでは考えていないところでございます。

本村(賢)委員 例えば、私どもの相模原市も、緑区の県議選が定数二で、自民党、民主党、一、一で無投票当選をされたんですが、緑区の区民の皆さんがそのお二人の県議の皆さんの選挙公約を知りたいと言っても、見られないんですね、今の状況だと。こういう形だと、例えば県議だと任期が四年間ありますよね、その四年間の任期の中で、どのような公約を掲げてどのようにこの町をつくっていただけるのかという方向性が見えないわけでありまして、これは非常に問題だなと私は思っております。

 今、選挙部長の方から、法律上規定はないけれども総務省として必要があるとは考えていないと話をされたわけであります。法律上に規定はないと言われましたが、それでは、例えば相模原市選管が、緑区の皆さんに対しこれはお示しをしてやはり公約をみんなに知っていただこう、選挙公報というのはすばらしい立派なツールでありますから、そういう中で、ではウエブに掲載しようと思った場合、これは違反に当たらないと捉えてよろしいですか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたとおり、公職選挙法上の無投票の場合における選挙公報の原稿のホームページへの掲載につきまして、公職選挙法上の規定はございませんので、それは直ちに違法になるというわけではございません。

 ただ、先ほどの目的からいって、選挙公報がその役割を果たすべきかどうかというのは議論があるところだと考えております。

本村(賢)委員 では、直ちに違法にならないんだが後々違法になるということでよろしいんですか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 これは、選挙はその次の回もあるわけで、そのときに、その選挙公報が紛らわしいものとして、あるいは選挙運動に使われたというようなことになりますと、公職選挙法上の違反の問題が出てくる可能性はございます。

本村(賢)委員 大臣、この無投票当選、これは、私たちが選択肢を与えないことは、有権者に対しての責任だと私自身も思っているんです。例えば私自身が無投票で当選した場合、自分の公約が有権者に知ってもらえないというのは残念でありますし、本当に、例えば選挙中のポスターも、ポスターだけで、あの狭いポスターの中で公約を全部うたえません。横浜市選管の調査によっても、選挙公報というのはやはり有権者が候補者を選択する大事なツールであります。

 今、選挙部長からも御答弁ありましたけれども、法律上規定はないけれども総務省として必要があるとは考えていないという御見解なんですが、大臣の見解をお伺いしたいんですが、例えば私どもの地元の相模原市選管がウエブに上げたいといった場合、これは上げてもよろしいと判断してよろしいでしょうか。

高市国務大臣 あくまでも、選挙公報の目的が候補者の政見を有権者に理解していただくということでございますので、選挙管理委員会の判断ということで仮に掲載されました場合に、先ほど部長が答弁をしましたような別の問題が生じてきて、かえってその政治家の方に御迷惑がかかるようなケースも想定されます。

 できますれば、無投票当選された場合に、それぞれ御自身のホームページで選挙公報に掲載したかった政策をしっかりと出していただく、アピールしていただくということがベストかと思っております。

本村(賢)委員 自分で掲げるホームページは、時期が来たら、例えばTPPに関して、最初は賛成と言っていたんだけれども後で反対に変わってきたら、変えられるわけですね。しかし、選挙公報というのはやはり公の場で残るわけでありますから、ぜひこの選挙公報、非常に大事なツールとして、特に無投票当選の場合に、扱いをいま一度よく考えていただきたいなと思います。

 また、地方選挙における選挙公報発行については、前回の統一地方選挙では八県で発行されていなかったわけですね。山梨県、新潟県、福井県、愛知県、岐阜県、岡山県、広島県、山口県の八県で発行されていなかったんですが、岡山県に関しては、昨年十月に条例ができたので、次回県議選から発行されると思います。

 任意だとは承知していますが、チラシの配布ができない地方選において、有権者が投票を判断する重要なツールであることから、発行するように総務省から働きかけたらいいんじゃないかなと思っております。そういった点でどうお考えになっているか、お伺いします。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県議会議員選挙においては、条例で定めるところにより都道府県の選挙管理委員会が選挙公報を発行することができますが、現在、四十の都道府県において条例が制定されているということは御指摘のとおりでございます。

 条例未制定の県に確認しましたり、あるいは県議会の議事録などを拝見させていただきました。議会において議論がされておりましたり、現在、条例の検討をしている県があるということは承知しております。その議論の中では、コスト面、あるいはインターネット選挙運動との関係、あるいは選挙管理委員会の管理執行体制で十分かというような議論があったように記憶しております。

 こうした議論が行われているということを踏まえますと、都道府県議会議員選挙の選挙公報につきましては、発行する議会の判断すべき事項ではないかと考えております。

本村(賢)委員 もちろん条例ですからそれは十分わかっているんですが、例えば、新潟県で平成二十六年十二月定例会で条例案が否決をされているんですね、選挙公報の発行について。その理由は、それぞれの党派においてそれぞれに行われるべきものである、また二重の費用になるため反対ということで、選挙公報を理解しているとは思えない内容でありますし、私の知っている愛知の県会議員に選挙公報の話をしたら、そんなものがあるのかというお話をされた方もいました。

 本当に知らない方もいらっしゃるものですから、総務省としても、これは、七県に関しての県議選はそうでありますが、市町村におりれば、もう少し、選挙公報を使っていない、発行していない自治体があるのではないかと思いますので、ぜひとも適切な御指導をお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 大臣が代表を務める自由民主党奈良県第二選挙区支部では企業・団体献金を受けているものと承知しておりますが、今後禁止するつもりは、大臣、ございますか。

高市国務大臣 政治資金法の改正によって禁止する考えがあるかどうかというお考えかと思います。

 政治活動に対するいわゆる献金のあり方につきましては、これまで数次にわたって政治資金法が改正されてきて、企業、団体からの政治活動に関する寄附、いわゆる企業・団体献金については、現在は、政党それから政治資金団体に対してのみ認められています。

 この企業・団体献金につきましても、最高裁の判決によりますと、企業は、憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を持つということは認められていますので、この政治資金の規制のあり方については、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連していますので、各党各会派で御議論いただくべき問題だと考えます。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

本村(賢)委員 一九九四年に政党助成法が成立した経緯というものを考えたら、今後、やはり企業・団体献金については、ぜひとも方向性を考えていただきたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 二〇一三年、一四年に、安倍内閣の政務三役が三百六十回、政治資金パーティーを行っておりまして、大臣規範に反する可能性があるものも含まれていると思います。国民から疑念を受けないように、大臣規範を改正して全面禁止としてはどうかなと思うんですが、これは閣議決定で変えることができるわけですから、総務大臣として、ぜひ安倍総理にそういった御提言をされたらどうかなと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 いわゆる大臣規範につきましては、これは残念ながら総務大臣の所管ではなく、現在、内閣官房長官の方で所管をされておりますので、ここでお答えする立場にはございません。

本村(賢)委員 ぜひとも、この大臣規範に反する可能性があるものも多分あると思いますので、安倍内閣の重要閣僚の一人としてリーダーシップをとっていただきたいとお願いしてまいりたいと思います。

 次に、投票環境の整備について、これは、幾つかあったんですが、ちょっと一点だけ質問させていただきます。

 私は神奈川県相模原市に住んでおりまして、隣接市は東京都町田市なんですね。特に、JR町田駅や小田急線町田駅というのは、町田市民や相模原市民が非常に日常に使う駅でございまして、例えば、隣接市や隣接県に期日前投票所を設置することは可能なのか。また、例えば、町田駅などは相模原市民の利用も多いので、町田駅に期日前投票所を設置することは可能なのか、ちょっと一点、お伺いします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 期日前投票所は、市町村選挙管理委員会が、選挙人の便宜を考慮して、最も適切な施設に設けるものとされております。

 幾つかの要件がございますが、二重投票を防止するための要件、投票所の秩序を適切に管理することができる等の要件がございます。

 したがって、その場所、設備等の要件を満たし、あらかじめその場所を告示できるということであれば、隣接市や隣接県にある駅などを期日前投票所として用いることは可能でございます。

 例えば、政令市においては、幾つかの区において期日前投票所を利便性の高い場所にまとめて、それぞれの区の期日前投票所として置いているところはございます。

 ただ、期日前投票になりますと、投票箱に直接入れるということになりますので、入れ間違いがないように十分注意する必要があると考えております。

本村(賢)委員 次の質問に入ります。

 ことしは十八歳選挙元年と言われておりまして、主権者教育について、現在、高校が中心に、神奈川でもシチズンシップ教育が平成十九年から盛んに行われておりまして、現在は参議院選挙において全県立高校が行っているわけであります。

 かつて、下村前文部科学大臣も、これは非常にいいお話だということで、文科委員会でも評価されたわけであります。

 今、高校が中心であると思いますが、今後、義務教育の間にも主権者教育を行うべきと考えますが、大臣のお考えをお伺いします。

高市国務大臣 私も賛成でございます。特に、将来を担う子供さんたちに、早い段階から、主権者というものになっていく自覚を持っていただく主権者教育を実施することは効果的だと思っております。

 現在、各選挙管理委員会が、高等学校のほかに、小学校や中学校にも出向いて、学校教育と連携した出前授業もしていただいています。例えば、給食の献立は何がいいかとか、遠足の行き先はどこがいいかといったことをテーマにした模擬選挙など、工夫を凝らした取り組みというのが実施されております。

 総務省は、こういった義務教育段階の取り組みは有効であると思っておりますので、選挙管理委員会ですとか教育機関と連携して、しっかりと推進をしてまいりたいと思っております。

本村(賢)委員 ぜひ、政治と生活が一体であるということを義務教育課程の間に主権者教育を通じてお伝えできるように、また、大臣初め私たち、与野党の枠を超えてしっかりと応援していきたいと思っております。

 最後の質問に入ります。

 IPUが二〇一五年に発表した国会の女性議員割合ランキングでは、日本は一一・六%で、百八十九カ国中百四十七位でありまして、女性の国会議員や地方議員の方たちが非常に少ないわけであります。その中で、私どもも今クオータ制度の導入について議論しているわけでありますが、大臣も、女性の政治家の一人として、このクオータ制度について、お考えをお伺いしたいと思っています。

高市国務大臣 諸外国と比べまして、我が国の女性議員の割合が少ないということは承知しております。

 クオータ制ということなんですが、仮に法律などによって義務づけをするとか制度化を行うということにつきましては、やはり機会均等原則ですとか政治活動の自由といった憲法上の基本原則との関係などにおいて課題も指摘されておりますから、この部分は慎重な検討が必要だと思います。

 各政党において、努力される、そういった規定を設けられるようなことは、今すぐにでも取り組めることかと存じます。各党各会派で御議論いただくべき課題だと存じます。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

平沢委員長代理 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。

 高市大臣、おはようございます。きょうは髪型がちょっと変わりましたか、何か雰囲気がちょっと違うような感じがするんですけれども。

 まず最初に、大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣は今まで選挙を何回やられているんでしょうか。六回でしたか、七回でしたか。

高市国務大臣 九回でございます。最初の選挙に落選し、四期目を目指した選挙で落選しました。今、七期目でございます。

初鹿委員 九回選挙をやられているということです。今は、誰でも大臣のことを、顔も知っているし、どういう考え方、どういう政治の理念を持っているか、政策を持っているかということを、有権者の方も、多分理解をしている方が大半ではないかなと思うんですね。

 最初に初めて選挙に出たとき、落選をしたとき、自分の政策や自分の考えを有権者に伝えるのに非常に苦労したんじゃないかと思うんです。多分、こちらにいる皆さん方もそうだと思います。

 そのときに、どういうことが一番有効だったと今振り返ってみて思いますか。何を使ったら一番政策が伝えられた、何を使ったら考えが伝えられた、何が一番有効だったと思いますか。

高市国務大臣 初当選した平成五年のころは中選挙区制度でございましたので、奈良全県が選挙区でございました。大変広かったので、結局、一番多くの方々にお伝えできるというのは、やはり選挙公報や政見放送であったと思います。ただ、深くお伝えできたのは、やはりミニ集会や街頭演説であったと思います。

初鹿委員 今、広く伝えることができたのは選挙公報だというお話がありましたが、まさに先ほどの本村議員の質問にもつながりますけれども、やはり選挙公報は地方議会の選挙でもちゃんと発行するようにした方がいいと思うんですね。

 まだやっていないところが八県あると言ったので、これは非常にびっくりしました。これは、地方分権だということであっても、総務省の方から何らかの通知を出すなりして、やはり、政治家はきちんと自分の考えを伝えて、それに基づいて投票してもらうというような選挙に変えていくようにしてもらいたいなというのを、まずこれはお願いさせていただきます、今の段階で多分どうこう言えないと思うんですけれども。

 深く物を伝えるのには街頭演説やミニ集会というお話がありました。

 ミニ集会のように、集まってきてもらって伝える、これは非常に相手に対して自分の考えをきっちりと話せると思うんですが、街頭演説、私ももう十五年以上、朝、駅に立ってやっていますけれども、演説で話しているだけだと、やはりなかなか立ちどまってずっと聞いてくれるということはないですよね。そのときに、やはり自分の考えや自分の政策を伝えるときに有効な手段として私はチラシがあるんじゃないかと思いますが、大臣、その点はいかがでしょうか。

高市国務大臣 チラシといいますと……(初鹿委員「ビラを配るということ」と呼ぶ)選挙期間中のですね。

 選挙期間中でしたら、法定ビラ、枚数は決まっておりますけれども、これも大変有効な手段だと思っております。

初鹿委員 私は、やはり演説を立ちどまってずっと聞いてもらうというのは難しいと思うんですね。よっぽどの有名人であったり、テレビに出ているような、誰でも知っているような政治家の方だったら、立ちどまって聞いてみようかなという気持ちになるかもしれませんが、それがそうではなければ、やはり、ちょっとだけ聞いて、もう素通りしていくとか、少しの時間だけで、急いでいて行ってしまうとかいうことが多いと思うんです。そのときに、手渡しをされたチラシがあれば、家に帰ってじっくりと読んで、この人はこういう考えの人なんだということがわかると思うんですね。

 ところが、今の選挙制度でいくと、我々国会議員はきちんとビラが配布できます。枚数の制限はあるけれども、配布はできるようになりました。地方の首長の選挙も配布ができるようになりました。ところが、地方議会の選挙はそれが認められておりません。

 そして、我々の国政選挙と地方議会の選挙の大きな違い、特に衆議院と比較をすると、衆議院の場合は、小選挙区のために、各政党、候補者は一人に限られているわけですね。ですから、例えば私は維新の党、大臣は自民党ということになれば、多くの人は、自民党という政党がどんな政策を目指しているのかなとか、どんな国を目指しているのかなというのもわかるし、維新の党はどういうのかなと、ニュースとか新聞とかでも報道されているから大体わかると思うんです。

 ところが、地方議会の選挙だと、たくさん候補者が出ます。特に、市町村だと大選挙区ですよね。同じ選挙の中で、自民党の候補者の方が十人いて、民主党の方が五人いて、公明党の人が十人いて、共産党の人が五人いてというように、同じ政党で複数候補者がいるときに、では、何をもって投票する人を判断するのかというと、チラシでもあれば政策の違いが見比べられますけれども、今現状、配り物というか政策を記しているものは選挙公報があるだけ。先ほどの質問でもあるとおり、選挙公報もつくっていない自治体が多くある。そうなると、有権者の方々からすると、それぞれの政治家が一体何に力を入れている人なのか、比較をすることが非常に難しいというのが今の地方議会議員の選挙の実情じゃないかと思うんです。

 そうなると、では、何をもって投票先を判断しているのかということになるわけですけれども、何となく、やはり近くに住んでいる人だとか、誰かから頼まれたからとか、およそ政策とか理念とか考え方とかとは違う要素で議員が選ばれてしまっている節があるのではないかというふうに思うんですね。

 でも、やはりそれは、我々の代表を選ぶという観点からすると、どういう考え方で自分の考え方に合っていて、どういう町をつくっていこうかということで一致をした人を選ぶことが本来の民主主義のあり方だと思います。

 そういうことを考えれば、地方議会の議員の選挙でも、私はビラの配布ができるように直ちにする必要があると思っているんですけれども、大臣の所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 候補者個人の使用する選挙運動用ビラにつきましては、これは有権者に対する情報伝達手段としては有効なものである反面、やはり選挙運動費用の増嵩を招くおそれがあります。

 これまで、国会における審議ですとか各党間の御議論の積み重ねの中から、昭和五十年に国会議員の選挙において初めて頒布が認められ、そして、平成十九年に知事及び市町村長の選挙について拡大するということにされました。

 今後なんですけれども、どのような文書図画の頒布を認めるかということについては、やはり選挙運動のあり方にかかわる問題でもあり、そしてまた、公営とすることが認められていない場合には本当に大変な経済的な御負担にもなりますので、各党各会派でまず十分御議論を賜れたらと思っております。

初鹿委員 私も、公営にする必要はなくて、候補者個人が、必要だと思う人がつくればいいと思うんですよ。

 では、経済的な負担がすごくかかるかということですけれども、我々国会議員の場合は七万枚、政党の枠で四万枚で十一万枚ありますけれども、地方議会の選挙で必ずしもそこまで枚数は必要ないというふうに考えれば、それほどの金額にはならないんだと思います。

 そもそも、選挙期間中には配れないから、選挙の事前の段階で全戸配布をしたりとかしてビラを配っているケースが、多分新人の場合は非常に多いと思うんですね。それだったら、前も選挙期間中も余り変わらないんだと思うんですよ、結果としては。

 今まで選挙の前に駅前でビラを配っていたのに、選挙期間になって、有権者の人がビラを下さいと言ったら、いや、期間中になると配れないんですよと言うと、多くの人はびっくりしますよ。えっ、期間中に配れないの、きのうまで配っていたじゃないという、やはりそういう反応になるんですよ。やはり、選挙になって、そのときに有権者の方々も興味をより持つわけですから、そのときに配れるようにしておくことが私は必要だと思います。

 それと、このタイミングでビラの配布を解禁しなければならない理由がもう一つあるんです。それは何かといいますと、この四月から障害者差別解消法が施行されるんです。大臣、御存じですよね。

 去年の統一地方選挙で、北区で、「筆談ホステス」という本を書いて有名になった聴覚障害のある方が立候補して、見事トップで当選をされたことは御承知だと思います。

 あの方の新聞の記事とかブログなどを見ていて、書いてありましたけれども、選挙期間中に、言葉がしゃべれないから演説ができないわけで、ボードを出して字を書こうということも検討したらしいんです。ところが、こうやって掲げてしまうと文書図画の掲示に当たるということで、公選法の規定に抵触をするからということで、それはやめた。そのかわり、タブレットのようなものを持って、そこでタブレットのような筆談ボードを持って一対一でやりとりをした、それが選挙運動になっていたということが書かれていたんですね。

 そういう聴覚に障害がある方が選挙に立候補する場合に、これが非常に足かせになっていると思うんです。演説ができない、伝えることができない。その人たちが伝える手段としてビラがあれば、きちんと相手に自分の考えを伝えることができると思うんですね。

 これは逆に、受け手の側、有権者の側からしてもそうだと思います。誰か演説しているねといって近くに行って、手話通訳さんがいればわかるけれども、いなければ何を言っているかわからないわけですよ。なかなか街頭演説に常に手話通訳をつけるのは現実的ではないですけれども、仮にいたとしても、耳が聞こえない人はやっていることが目の前に来るまでわからないわけですよね。普通に耳が聞こえていると、駅から出て、何か音がするなといってきょろきょろして、ああ、あそこで演説していたと気づいて近くまで行くということはあるかもしれませんが、耳の聞こえない方にはそれができない。

 つまり、有権者の側にとっても立候補する側にとっても、今、ビラが配れないということで、聴覚に障害のある方は非常に選挙運動にハンディを背負っている。まさに障害者差別解消法が求めている合理的な配慮がなされていない状態なんです。だから、私は、ここできちんとビラの配布ができるようにした方がいいんじゃないかということを主張させていただきたいと思います。

 今のこの障害者差別解消法との関連を聞いて、その上で、ビラの配布の必要性について改めて御答弁をいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の公職選挙法につきましては、例えば頒布でありますと、これは不特定または多数人に対して配布するということが頒布ということでございまして、先ほどありました筆談は、一対一ということで、頒布の制限に当たらないというような、いろいろな工夫をされて選挙運動をされたものだと考えられます。

 選挙運動のあり方につきましては、やはり実際に選挙を戦ってどういうふうな結果をもたらすかというようなことにもかかわりますものですから、そういう意味では、各党各会派におきまして御議論いただければいいと思います。

初鹿委員 ぜひ頭に入れておいていただきたいのは、障害者差別解消法は、行政機関については、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない、これは義務づけなんですよ。明らかに、現在の地方議会の選挙でビラが配れないということは、聴覚障害者に対する合理的な配慮がなされていない状況にあるわけですから、平沢委員長もぜひそのことを頭に入れて、各党でのまた協議を進めていただきたいとお願いさせていただきます。

平沢委員長代理 はい、わかりました。

初鹿委員 では、せっかく障害者差別解消法の質問をしたので、同じ関連でいきたいと思います。

 昨年、予算委員会で大臣に、知的障害者の方が投票所に行ったときに合理的な配慮をしてくださいという質問をしましたところ、かなり御丁寧に御答弁いただきました。

 つまり、知的障害があってなかなか自分で字をうまく書けないような方の場合、代理投票というのが認められていて、選管の職員の人が、その本人が誰に投票したいかという意思を確認して代理で投票をするということになっている。ただ、その意思の確認の仕方がきちんと配慮がされているかということなんですね。

 今、多くのところでやられているのは、投票所にある候補者の一覧、字が書いてあるものを見て、どなたに入れますかと指を指してもらって、そこにその名前を書くということなんですが、知的障害の方の中には、なかなか字の認識はできない、でも、写真だとかロゴマークとか、字でも、ポスターとかで使っているその人の字体だったらわかる、そういう人もたくさんいるわけですよ。ところが、それがきちんとした確認の仕方をしてもらえないときちんとした意思表示ができなくて、結局、投票できなくて帰ることになるということが添付をしました新聞記事でも書かれているわけですね。

 一応、総務省も、「統一地方選挙の管理執行について」といって、正式な通知にかわるものであるという文書を出しているんですね。ただ、ここを見ると、「必要に応じて、選挙人の家族や付添人等との間で、候補者の氏名の確認に必要な選挙人本人の意思の確認方法について事前打合せを行うこと等、適切に対応すべきものであること。」と書いてあって、結局何をしたらいいのか、何をしていいのか、何をしちゃいけないのかがよくわからぬというのが自治体じゃないかと思うんですよ。

 はっきりと、例えば、選挙公報を出しているところだったら、その選挙公報を出して、それで、誰に入れたいんですかというのを指さしてもらう、また、投票所の外にはポスターがあるわけですから、ポスターの前に行ってポスターを指さしてもらう、そういう方法できちんと意思確認をしっかりするように、これを自治体の方に徹底してもらいたいんですね。やはり、せっかく選挙で入れようと思って行ったのに、意思確認ができないからちょっと投票はできませんよと言われたら、それはがっかりしますよ。そう思いませんか。

 ですので、ぜひ、具体的に自治体に、ほかの自治体ではこんなことをやっているよという示し方でもいいので、示していただきたいのですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 やはり今も、意思確認について、投票手続に入る前に、必要に応じて、選挙人の御家族や付添人等の間で意思確認の方法について事前に打ち合わせを行うということなど、適切に対応すべきことを申し上げております。

 特に、代理投票が認められる選挙人の方の態様というのはもうさまざまでございますから、個々の選挙人の状況に応じてきめ細やかに適切に対応してほしいということは選挙管理委員会に要請しています。

 その結果なんですが、各地でかなりいろいろ工夫をしていただいています。氏名等の掲示や顔写真の掲載された選挙公報を順番に指さして、選挙人に投票したい候補者のところでうなずいていただいたり、あと、選挙人が持参した候補者ごとに切り取った選挙公報を選挙人が選び取るという形で意思確認を行うといったことなど、工夫をしていただいている事例が出てきており、この夏、参議院選挙もありますので、今、各地の非常にすぐれたと思われる事例を集めまして横展開すべく、各自治体の選挙管理委員会に対して通知をし、要請をするということで、準備を進めております。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 では次に、私は障害者の中には余り入れるべきではないのかなとは思っているんですけれども、性同一性障害の方が投票所に行ったときのことを質問させていただきます。

 性同一性障害で、性別変更をしていなくて、戸籍上は男だけれども姿はもう女性になっている方、また逆に、戸籍上は女性だけれども姿は男性に見える方が投票に行ったときに、自治体によってはもう性別の記載がなくなっているところもあるんですが、多くの自治体で投票用紙に性別が書かれているわけですね。

 それで、投票に行って受付で照合をしたときに、男性と書いてあるのに姿が女性であると、やはり本人確認を求められたりする、それは非常に精神的に負担になる。また、選挙に行くと、立会人の近所の方が座っているわけですよ。その人に本当の性が知られてしまう。そういうことを恐れて投票に行けない、投票所から足が遠のいているという性同一性障害の方がいるということを非常に耳にするわけです。

 一部の自治体でもう性別の記載をなくしているわけでありますから、この際、性別の記載を投票用紙に残しておく必要はないんじゃないかと思うんです。

 今、多くの行政機関の書類で、不必要なものは書かないように、記載事項をどんどん減らしていると思うんですね。特に性別については、わざわざ書かなければいけないもの以外は書かなくなっていると思うんですよ。身分証明書を確認する場合でも、免許証には性別は書いてありませんよね。

 であるわけですから、投票用紙の性別の欄をなくす、これを全国的に展開していっていただきたいんですけれども、御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 投票用紙というよりは、投票所の入場券でございますね。この記載事項については公職選挙法に特段の規定はありませんので、性別記載の取り扱いについても各市町村選管の判断で決定していただいています。

 性同一性障害の方々に配慮した取り組みをしていただいている例として、男女別の記載欄を廃止していただいている場合もございますので、総務省としては、二十八年四月、もうじき障害者差別解消法が施行されますから、投票所入場券の性別の記載についても、選挙の公正の確保には配慮いたしますけれども、対応をしっかり検討してまいります。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 この四月からちょっと局面が変わったというか、状況が変わった、法律が施行されるということで。ぜひその辺を地方自治体に徹底していただきたいと思います。

 次に、今度は投票所について質問をさせていただきますけれども、今回提案されている公職選挙法の改正で、共通投票所を設けることができるようにすることが新設をされるということで、これは非常にいいことだなと前向きに思っているんですね。

 ただ、もう一歩進めることができないかということで、私から提案をさせていただきます。

 その前に、選挙になると、私は東京の下町で、都市部ですから住宅街がたくさんあるからなのか、地方でもやっているのかわかりませんけれども、選挙期間中に選管の車がぐるぐると、何月何日は○○選挙の投票日です、投票に行きましょうと言って走って回っているんですよ。その車のアナウンスを聞いて投票に行こうと思う人がいると思いますか。恐らく、選挙の日は知ることになるかもしれないけれども、それで投票に行こうという気にはならないと思うんですよね。また、アイドルの写真を使って、駅にポスターを張ったりしていますよね。それも、それを見たから選挙に行くようにはならないと思うんですよ。

 こういう予算を使うんだったら、もっと本当に投票に行きやすくすることにお金は使ってもらいたいなと思っているんですが、まず、この普及啓発というんですか、選挙のための啓発のあり方、ポスターとか、車でぐるぐるアナウンスをして回るとか、これについて、効果があるとお思いか、そうではないと思っているのか、御見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 第四十七回の衆議院議員選挙に関する意識調査によりますと、国や選挙管理委員会の周知啓発について、約八五%の有権者は何らかの媒体で見聞きしたと考えられます。このうち約三割の有権者が、周知啓発により、選挙期日、つまり投票日が確認できた、投票時間が確認できたと回答してくださっていますので、一定の効果はあると思います。

 特に、ことしは若者向けの啓発活動に力を入れております。

 私は、ポスターは結構効果があると思っております。よろしくお願いいたします。

初鹿委員 私の娘も十八歳になったので聞いてみたんですけれども、アイドルのポスターがあったら投票に行くかねと言ったら、行かないよと冷たく言われました。ですので、多分、選挙があるということを知らせるのには有効かもしれないけれども、投票所に足を運ばせるというところにはいっていないのかなと思うんです。

 それで、私の提案は、選挙期間中に、選挙に行きましょうとぐるぐるアナウンスをして回るのだったら、いっそのこと、投票箱を車に載せて、移動投票所にしてしまえばいいんじゃないか。期日前投票の段階から、車を走らせて、手を挙げてタクシーみたいにとまってというのはなかなか難しいかもしれませんが、転々と、とまる場所を決めて、バスみたいに、停留所みたいな形で、移動投票所にしたらどうかと思うんですが、まず、こういうことが法的に可能なのかどうかをお伺いさせていただきます。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 投票所や期日前投票所は、市町村の選挙管理委員会が、選挙人の便宜を考慮して、最も適切な施設を選定するということでございます。

 その設置場所につきましては、投票の秘密や選挙の公正を確保するというような必要な場所それから設備を有して、投票所の秩序を適切に保持することができることが必要である。これは、公職選挙法施行令の三十二条で定めているところでございます。

 また、投票所、期日前投票所につきましては、一定期間前にその場所などについてあらかじめ告示しなければならないという規定がございます。

 このような規定がございますが、今申し上げましたような場所及び設備の条件を満たし、また、あらかじめその場所を告示できるということであれば、自動車の形態をした投票所や期日前投票所につきまして、それを用いることは可能であると考えております。

初鹿委員 車でも可能だということですね。

 先ほど篠原議員から過疎地に有効だというお話がありましたが、まさに今、どんどん投票所が閉められているわけですよね。投票に行きたくても、車で行かないと行けない、そういう地域がたくさん出てきて、お年寄りなどは、投票に行きたいけれども行けないという状況が生まれているんじゃないかと思うんです。

 そういう地域にとっては、何月何日何時から何時まで車が行きますよ、これを選挙期間中に何回か繰り返して、いろいろな地域を巡回するような移動投票所ができたら、非常に利便性が高くなって、有権者も投票に行くようになるんじゃないかと思うんです。

 私は、これは投票率アップの一つの引き金になると思うんです。多分二、三%上がると思うんですけれども、ぜひ、総務省として地方自治体の選管に働きかけて、移動投票所を普及していただきたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 総務省は、有権者が投票しやすい環境の整備ということで、高齢者など投票所への移動が困難な方々に対して、投票所や期日前投票所への巡回バスを運行する移動支援ですとか、それから地域の最寄りの施設にも期日前投票所を設置することなどをこれまでも行ってまいりました。これは、各選挙管理委員会に対して要請してきております。

 なお、今回提出しております執行経費基準法改正案、今後御審議をいただいての上のことでございますが、既存の期日前投票所経費に加えまして、投票所などへの移動支援に関する加算規定も設けることといたしております。

 委員がおっしゃっていただいた移動型の、車の投票所ですけれども、今後の選挙への準備として、大型の乗用車内に投票箱などの設備を整備して、期日前投票所として巡回させる、いわゆる移動投票所、この取り組みももう既に検討しておられる団体もあると聞いておりまして、これも投票環境の整備に役に立つと思います。

 ですから、バスなどで送迎する移動支援や移動投票所、こういったことについて、各選挙管理委員会に対して、市町村の参考となる取り組み事例をお示しして、引き続き要請をしてまいります。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 移動支援は、あくまでも有権者を連れていくんですけれども、やはり待っているだけじゃなくて、こっちから出向くということも必要かなと思いますので、ちょっと発想を転換して、移動投票所をぜひ進めていただきたいとお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 本日は、ほかの委員会もかぶって、私もこの後、厚生労働委員会の質問があるんですけれども、結構委員会が重なって、ずっと質問に立っている先生がたくさんいらっしゃいます。もちろん、法案の審議の状況とかがあってこの時間帯にしか委員会が開けなかった、そういうのはわかるんですけれども、もうちょっとやはり事前にしっかりと調整していただけたらなというふうには思います。

 お昼御飯を食べる時間にこうやって質問しているというのがまた、地方議会なんかでは、お昼は必ずお昼なんですね。委員会なんか絶対開かれないんですよ。僕は、地方議会が十年と長かったので、国会に来て初めて、人間のそういうバイオリズムを全く無視した委員会運営がなされているのにびっくりしまして、早いときなんかは朝の八時ぐらいから委員会が始まったり、本当に毎日毎日、こんなに忙しいのかというぐらい委員会のスケジュールが立て込みますので、そういうところをもう少しちゃんとスケジューリングできるようになれば、もっと充実した審議がもうちょっとできるんじゃないかなというふうにも思います。(発言する者あり)ふやす、自民党も定数を削減するという公約を掲げていたんですけれども、何か今ふやせということをおっしゃっていましたけれども。

 今、初鹿さんが最後に質問されていた車、あれは全国どこでもやっていますよね。

 移動投票所がいいんじゃないかというのは、確かにそれもありますけれども、あの広報車自体で投票所に送り迎えしてくれたらいいのになと今聞きながらふと思っていました。あれに乗っけてくれて期日前投票のところまで、大体市役所だとかそういうところですけれども、そこまでタクシーがわりに連れていってくれるんだったらみんな乗るんじゃないかなというふうにはちょっと思いました。

 これは質問の通告も何もしていませんので、答弁は必要ありません。今質問されていたのを聞いて、そうしたらいいのになというふうに少し思ったので言わせていただいているだけですので、よろしくお願いします。

 では、質問に入ります。

 今から私が質問するのは選挙運動用のビラの解禁についての質問ですけれども、これは、実はこの後民主党さんが提出する予定になっている法案の中身にももちろん入っている項目です。

 これは、我々維新の党でまだみんな仲がよかったときに、維新の党としてこれをやりましょうということで、党内の議論もしっかりして、これを何とか通しましょうということで挙げていた項目の一つを、民主党の方に行かれた皆さんが民主党さんの方の案に入れ込んでいる。だから、我々おおさか維新の会としても、この部分に関しては非常に期待をしています。

 さらに、これは全国市議会議長会から同様の要望が出ているはずなんですけれども、そのことについて見解をいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ありましたとおり、地方議会議員選挙において選挙運動用ビラの頒布を可能にすることにつきましては、平成二十七年の十一月に全国市議会議長会から要望が出されていることは承知をいたしているところでございます。

 これにつきましては、どのような文書図画の頒布を認めるかということでございます。選挙運動のあり方にかかわる問題でもございますので、まずは各党各会派において十分御議論いただきたいという事項であると考えております。

浦野委員 恐らく、きょう法案の説明をされて、来週からこれも含めた審議に入られるとは思いますけれども、これ以外にもいろいろとありますので、この部分だけをどうこうというか、これからもちろん前向きに議論をしていきたいと思います。

 ただ、これも委員会で、これから説明をされる法案なので、ここまで言っていいのかどうかちょっとわからないけれども、私は厚生労働委員会でも、オブザーバーですけれども理事をやらせていただいていて、民主党さんが出してくる法案、我が党には説明を一切してこられないんですね。今回のこの法案も、まだ一切我が党には説明をしていただいていません、民主党さんが出される予定になっている法案は。それは共産党さんも、私たちも聞いていないということで、理事会では発言がありました。

 やはり審議をしたいというのであれば、そこは、厚生労働委員会でも私はこれを指摘したんですけれども、過半数を持っている政府・与党でも、我々少数会派にちゃんと法案の説明は当然のようにしていただけます。それが今までの習慣ですし、当然、誰のために法案を出しているかというと、国民のために法案を出しているわけですから、どんな小さな政党にでもやはり審議を求めて、ちゃんと地域地域の、数は少なくとも地域地域の代表として国会に来ている政治家、国会議員にその法案の説明を一つ一つしていくというのは当たり前だと思うんですね。ところが、民主党は、自分たちの気に入らない政党には法案の説明すらしに行かないんですね。私は、その態度はどうかと思うんです。

 仮にも政権を一度とったことのある政党が、自分たちの好き嫌いで法案の説明にも行かないというのは、私は正直、こんな政党に政権なんか絶対担わせてはあかんやろと誰もが逆に思うような行為だと思うので、そこはちゃんと、ほかの法案もいろいろ出されているんですけれども、これから民主党さんが、この間は厚生労働委員会で、法案提出者の山井さんにその指摘をさせていただきました。大変申しわけなかったと、すごく低姿勢に平謝りをされておりましたけれども、私は、これから各委員会で我々少数政党に同じ態度をとるのであれば、少しやはりどうかなと思っております。

 ただ、理事同士では別に、ちゃんと話はしているんですよ。だからこそ、今質問した内容も私はちゃんと見ていますし、政局とは別に、政策は誰のためにやるかというたら、国民の皆さんのためにやるものですから、政局関係なしに、我々は是々非々で判断をさせていただいています。これからも判断をさせていただきます。そういう心の狭い対応をとられるというのをどこかでやはり言わないと、このままそういう態度を続けていかれると思いますので、ここでこういうことを言っていいのかどうかはわからないですけれども、一つ苦言を呈させていただきました。

 法案の審議をこれからもこの委員会の中でいろいろやっていくのであれば、常々批判をされる自民党ですらちゃんとやっていることをできない民主党はどうかなと。別にこれは足立さんが乗り移って言っているわけじゃありませんので、私のちゃんとした意見として言っておりますので、よろしくお願いを、ここで皆さんにお願いをしますと言うのもちょっとおかしいですけれども……(発言する者あり)ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 あと、定数削減についてなんですけれども、これは先ほどからも、きょうの朝の冒頭の民主党の先生の質問にもありました。

 我々も結局、自分たちで本来は決めなければいけない議員定数削減ですけれども、それをやはりなかなか意見が多様過ぎて決められなかったからこそ、議長に答申をしたわけですね。自分らで決められなかったから決めてくれといって答申をお願いした議長の出した答えに、いや、それはという答えを返すのはどうかと思っています。もちろん、自民党以外の政党は、議長が汗をかいてまとめてくれた案だということで、了解をしております。あとは自民党さんだけなんですね。

 私は、大臣という立場でそのことに関していろいろな意見というのは、なかなか言いにくい部分も確かにあるとは思うんです。ただ、議員定数削減の法案が出てきたときに審議をするのはやはりこの委員会ですし、その委員会の所管大臣である以上、この件に関して、朝、僕は思ったより大臣はしっかりと言及されていたかなとは今回の定数削減の件に関しては思ったんですけれども、本当に大臣も、立場を超えて、今回の定数削減、議長の提案されている案に対して、これはしっかりと進めるべきだというような発言をやはり大臣としてもしていただきたいなと思っているんですけれども、いかがですか。

高市国務大臣 やはり定数の問題は議会政治の根幹にかかわることでございますので、総務大臣の立場でこうすべきだと言い切るような性質のものではなく、今、もうまさに各党各会派で御議論していただいているわけですから、その行方を見守りたいと思います。

 また、区割りということになりますと、これはまた区割り審の御議論を経て、閣法で提出させていただきますので、そのときにはしっかりとまた責任を持って答弁させていただきます。

浦野委員 地方議会と違って、数は国会で、我々で決められるんですけれども、区割りは区割り審というところで、そこで決めますよね。地方議会なんかは、定数削減も自分たちで決めないといけない、区割りも自分たちである程度やはり考えないといけない。大幅な削減をするときは、大阪の先生は御存じですけれども、もう本当に血で血を洗う戦いに、政治的な戦いになります、これは必ず。

 私、定数削減の議論を聞いていて、自民党が、やらない、やらないと。もちろんそれはやれよと僕も思うんですね。

 ちょうど政権交代の、安倍さんと野田さんが党首討論でやり合って、解散しましょうと言ったとき、あのときはまだ僕は地方議員でした。大阪府議会の開会中で、大阪府庁の自分たちの控室でその議論を見ていました。今、解散すると言ったよな、えっと言ってびっくりしたというのがそのときの非常に印象に残っている場面なんです。

 でも、あのときも、実は民主党は議員定数削減をしようと思ったらできたんですよ、過半数を持っていましたから。今の自民党も、過半数を持っているから、しようと思ったらできるんです。ただ、議員の身分の、先ほど大臣がおっしゃったようなことで、なかなか決めようとしない。でも、もう決められないのはわかっているんですよ。だって、共産党さんは議員定数削減反対ともう既に言っているわけですから、絶対この話はまとまらないから、どこかで政治家が決めなければ議員定数削減は絶対できないです。でも、決めることができへんからこそ議長にお願いをしたわけですね。だから、やはりそこは、本来は、議長にお願いする前に自分たちで決められた方がよかったんじゃないか。

 大阪府議会は、我々大阪維新の会が過半数をとれたので、四月に選挙が終わって、五月の、一回目の議会で定数削減を強行採決しました。そのとき、入り口にバリケードを張られまして、議長も議長室から出られないように封鎖をされまして、それを強行突破して採決しました。残念ながら、そのとき反対されたのは自民党と公明党と民主党と共産党。大阪維新の会以外は全員反対して、結局、議場にも最後は入ってこなかったんです。

 本当にこれはもう戦いなんですね。そういう戦いをしないと本来は決められないというのは非常に残念なんですけれども、ただ、議員定数削減、どの党も言っているわけですから、共産党さんとか以外は言っているわけですから、そこはやはり政治が決めるべきだったと思っております。

 時間が来ましたので、質問を終わります。以上です。

山本委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 改革結集の会、鈴木義弘です。

 時間がありませんので、順次質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の十月に、昭和四十四年以来、文科省の通知で、「高等学校における政治的教養と政治的活動について」ということで、それに対する廃止通知というのが配られました。

 その中でちょっと疑念を感じられるところが幾つかありましたので、今回、十八歳に選挙権が付与されるようになって、七月の参議院選挙からそれがスタートするんだと思うんですが、「学校は、教育基本法第十四条第二項に基づき、政治的中立性を確保することが求められるとともに、教員については、学校教育に対する国民の信頼を確保するため公正中立な立場が求められており、教員の言動が生徒に与える影響が極めて大きいことなどから法令に基づく制限などがあることに留意することが必要です。」こういうふうに書かれているんですね。

 もう一点、「指導に当たっては、学校が政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、より一層具体的かつ実践的な指導を行うこと。」これはごもっともなことだと思うんです。

 ただ、「また、現実の具体的な政治的事象については、種々の見解があり、一つの見解が絶対的に正しく、他のものは誤りであると断定することは困難である。加えて、一般に政治は意見や信念、利害の対立状況から発生するものである。そのため、生徒が自分の意見を持ちながら、異なる意見や対立する意見を理解し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していくことが重要である。」何か国会も少し見習った方がいいんじゃないかなと思うんですね。

 「したがって、学校における政治的事象の指導においては、一つの結論を出すよりも結論に至るまでの冷静で理性的な議論の過程が重要であることを理解させること。」と書いてあるんです。

 「さらに、多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄、現実の利害等の対立のある事柄等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示することなどが重要である」、こう書いてあります。

 時間がないので、もう一点いきます。「教員は、公職選挙法第百三十七条及び日本国憲法の改正手続に関する法律第百三条第二項においてその地位を利用した選挙運動及び国民投票運動が禁止されており、また、その言動が生徒の人格形成に与える影響が極めて大きいことに留意し、学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って生徒に接することのないよう、また不用意に地位を利用した結果とならないようにすること。」と書いてあるんです。

 具体的な内容を通知しているんですけれども、どのようにこのことを担保するのか、お聞かせいただきたいと思います。

 また、大学生で十八歳の方です。三月三十一日生まれの人は、大学一年生になっても十八歳。大学ではどのように担保するのか。公職選挙法に関する記述もあるんですけれども、所管大臣として、総務大臣の御所見を教えていただきたいと思います。

 また、あわせて、社会人になっている十八歳。今は高校の進学率が九八%ぐらい、たしかどこの県でもあると思います。二%の人は中学を卒業して高校に行かない、社会人で働いている、もしくは専門学校へ行くとか。あとは高校中退の人もいます。そういった方々の十八歳の有権者にはどういった形で啓蒙啓発をしていくのか、具体的な事例を挙げてお示しいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、一点目でございますけれども、高校生に政治的教養を育む機会を確保するということのためにも、関係者において公職選挙法を初めとする関係法令をしっかり遵守していただくということが必要だと考えております。

 高校生向けに副教材を配付しましたが、あわせて教員に配付した教師用指導資料においても、「指導上の政治的中立の確保等に関する留意点」の中で、教育者の地位利用の選挙運動の禁止等の解説を盛り込んでおります。かなり詳しく例を挙げながら解説をしているものでございますので、引き続き、法令の周知啓発には努めてまいります。

 それから、既に就職されている若者に対しても周知啓発が必要でございます。これも、各選挙管理委員会ですとか地域の啓発団体による啓発活動もございますけれども、私自身も先般も経団連の幹事会にも出席をして、会員企業の皆様に対して、それぞれお勤めの社員さんの中で若い方々にぜひともお伝えをいただきたいということで、協力をお願いしました。総務大臣書簡も、経団連だけではなく、各経済団体の全国組織の代表者に発出をいたしまして、選挙に係る周知啓発活動への御協力を、各会員への働きかけということについてお願いをいたしております。

 また、大学生の方も、新入のときのオリエンテーションなどでしっかりとそういった活動をしていただきたいということで、各所にお願いをしているところであります。

鈴木(義)委員 私は大学を卒業してもう三十二年たちますから、そのころと今は状況が違うんだと思うんですけれども、大学生になって、大学側から、二十になったから選挙に行きなさいなんて、一言も、当時も言われたことはないですよね。

 だから、学校教育に所属している人はまだいいんでしょうけれども、そうじゃない方にどうアプローチしていくのかというのは喫緊の課題だと思います。それを、各市町村だとか都道府県の選挙管理委員会が責任を持ってやってもらえばいいんですと言うだけでみんな投票に行ってもらえれば、誰も苦労しないんだと思うんですよね。午前中の質疑もそうだったんですけれども、いろいろな、手をかえ品をかえて選挙に行ってもらいたいというふうになるんだと思うんです。

 それと、あと、選挙モニターみたいなものをつくって少し取り締まりをするというのも、ちょっとこの何年かの間は必要になるんじゃないかなと思うんです。

 こういう通達を出しているということは、きちっとやってくださいよということなんだと思うんです。そこのところはどうお考えになっているか。

堂故大臣政務官 その御質問の前に、先ほど文科省への質問も冒頭の中からいただいておりましたので、先に答弁させていただきます。

 選挙年齢が満十八歳以上に引き下げられましたことから、学校の政治的中立性が確保されつつ、また同時に、高校生に対して、政治的教養を育む教育を充実させていくことが重要だと考えています。

 そのため、御指摘いただきましたように、通知を昨年十月に作成し、各都道府県教育委員会等に対して発出、そして周知したところです。あわせて、総務省と連携して作成した高校生用の副教材及び教師用の指導資料において、学校や教員の政治的中立性についてしっかりと明記をさせていただき、全ての高校生及び高等学校に配付したところであります。

 文部科学省としては、これらをしっかり踏まえた上で、高校生が一層積極的に社会に参画するようになるための教育に取り組んでまいりたいと思います。

 また一方、大学ですが、公職選挙法改正の公布を受け、各大学に対して通知を発出し、法令の改正内容のみならず、大学における学生の政治参加意識の向上に向けた取り組み事例、先進的な事例がたくさん出ておりますので、そういう事例を周知させていただいております。全ての大学の教務担当が集まる、この六月に予定されておりますが、そんな会議などにおいて、政治的中立の確保に関する法令の趣旨についてしっかりと説明させていただきたいと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 大学ばかりじゃなくて、浪人している人は予備校に行っていますし、大学校もあるし、専門学校もあるし、そういったところにもアプローチしていかなければ片手落ちになるんじゃないかと思っております。

 時間が来ましたが、最後に一点だけ御質問したいんです。

 国民の義務である納税に関して、当選後とかに滞納が判明した事例や、選挙前から滞納の事実がわかっている候補者や当選者がいた場合、そういったうわさをたまに聞くんです。そういった税金を滞納している方が候補者になるとか当選をしたということに関して、国民感情からいったら、日本国憲法の中に納税の義務というのがうたわれているんだと思うんですね、それが候補者になったり当選したりできちゃうというのは、やはりちょっと違うんじゃないかなと思うんです。

 その辺について御所見をお尋ねして、終わりにしたいと思います。

高市国務大臣 現在の公職選挙法において被選挙権を有しないこととされているのは、一般犯罪によって禁錮以上の刑に処せられた者や、選挙犯罪により刑に処せられた者などのみでございます。

 これは、一般社会とは隔離されるような重大な犯罪を行った者を選挙に関与させるというのは適当でないということだったり、選挙の公正を破壊した者ということで、選挙へ関与する機会を失わせるものでございます。

 今委員がおっしゃった、非常に難しいですね、税の滞納者について被選挙権を有しないこととするのは、これも憲法に規定する立候補の自由に関して合理的な制限と認められるかどうかという非常に慎重な議論が必要で、最高裁判決でも、公職選挙における立候補の自由は、憲法十五条一項の趣旨に照らし、基本的人権の一つとして憲法の保障する重要な権利であることから、これに対する制約は特に慎重でなければならないとされております。

 例えば、国会議員の選挙の場合でしたら、憲法四十四条、両議院の資格について、「財産又は収入によつて差別してはならない。」など、なかなか、これは大変難しい議論であると思います。

鈴木(義)委員 ぜひ、難しいで逃げないで、例えば町会議員の選挙に出るのに住民税を納めていないとか固定資産税を払っていないという話が漏れ伝わるということは、逆に言えば、それを、守秘義務を犯してでも外に情報を出す人がいるということですね。だから、それだけやはり国民の感情と実際の法律のギャップがあるのを少しでも埋めてもらえればなと思います。

 以上で終わります。

山本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、先月、二月二十九日の予算委員会で、定数問題について総理にもお尋ねいたしました。高市大臣にも御足労いただいたところです。

 きょうは、選挙制度、さらに政党のあり方について質問したいと思っております。

 まず、総務省に確認ですが、現行小選挙区比例代表並立制の選挙結果について、現行制度が導入されて以降、総選挙は七回行われました。各総選挙における第一党の得票率と獲得当選人の率の割合を述べていただきたい。比率のみで結構ですので、お答えいただけますか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年の衆議院議員総選挙につきましては、小選挙区選出議員の選挙の結果における第一党は自由民主党、得票数は約二千五百……(塩川委員「得票数はいい」と呼ぶ)有効投票数に占める自由民主党の得票数の割合は四八・一%でございます。議員数の割合は七五・三%でございます。

 同様に、さかのぼりまして、平成二十四年の衆議院議員総選挙につきましては、第一党は自由民主党であり、得票率、票のベースでは四三・〇%、当選人数の割合は七九・〇%でございました。

 平成二十一年衆議院総選挙におきましては、第一党は民主党でありまして、得票率は四七・四%、当選人数の割合は七三・七%でございます。

 平成十七年衆議院総選挙におきましては、第一党は自由民主党でございまして、得票率は四七・八%、当選人数の割合は七三・〇%でございました。

 平成十五年の衆議院議員総選挙におきましては、第一党は自由民主党であり、得票率は四三・九%、当選人数の割合は五六・〇%でございました。

 平成十二年の衆議院議員総選挙につきましては、第一党は自由民主党でありまして、得票率は四一・〇%、当選人数の割合は五九・〇%でございました。

 小選挙区比例代表導入直後、平成八年の衆議院議員総選挙につきましては、第一党は自由民主党であり、得票率は三八・六%、当選人数の割合は五六・三%でございました。

塩川委員 七回の総選挙の結果というのは、小選挙区制の根本的な欠陥を浮き彫りにしていると思います。最近の四回の総選挙でいえば、小選挙区での第一党の得票率は四割台にもかかわらず、七割から八割もの議席を占めております。得票と獲得議席に著しい乖離が生じているということです。

 小選挙区は、民意をゆがめて比較第一党の虚構の多数をつくり出す一方で、少数政党は、得票率に見合った議席配分を得られず、獲得議席を大幅に切り縮められるものです。各選挙区で最大得票の候補者一人しか当選しないために、それ以外の候補者の得票は、死に票、死票となる。

 そこで、総務省にお尋ねしますが、直近の二〇一四年総選挙における落選人の得票、いわゆる死票の合計数、そして総得票数に占めるその割合についてお答えください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 直近、平成二十六年の衆議院議員総選挙における落選者の得票数、いわゆる死に票、死票数でございますが、約二千五百四十一万票でございまして、総得票数に占める落選者の得票数の割合は四八・〇%となっております。

塩川委員 死票率が四八%ということであります。

 続けてお尋ねしますが、一四年総選挙における死票率が五〇%以上の小選挙区数及び六〇%以上の小選挙区数は幾つですか。

大泉政府参考人 直近の衆議院議員総選挙につきまして、全二百九十五小選挙区のうち、小選挙区ごとの総得票数に占める落選者の得票数の割合が五〇%以上の選挙区は、百三十三選挙区でございました。六〇%以上の選挙区は、二十二選挙区となっております。

塩川委員 今答弁いただきましたように、二〇一四年の総選挙では、二位以下の候補者への投票が四八%、二百九十五の小選挙区のうち、死票が過半数の選挙区が百三十三に上っております。ちなみに、死票率が一番高い小選挙区は群馬一区で、六七・〇%ということです。

 現行の小選挙区比例代表並立制が一九九三年に政治改革と称して提案された際に、我が党は、小選挙区制は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだとして、反対をいたしました。

 自民党について見れば、結党直後の一九五八年総選挙で、有権者全体に対する得票割合、いわゆる絶対得票率は四四・一七%でしたが、二〇一四年の総選挙では一六・九九%であります。自民党安倍政権は、有権者全体の一七%の支持で獲得した多数議席のもとで、さきの通常国会において、国民多数が反対する中、安保法制、戦争法の強行成立をさせた。まさに小選挙区制の害悪を明白に示すものであります。

 現在、衆院選挙制度について、アダムズ方式を導入するのかとか、二〇一五年簡易国勢調査を用いるか、二〇二〇年以降の導入か、大規模な選挙区改変が必要で不可能だと、一票の格差の問題がクローズアップをされておりますが、数字を確認したい。

 小選挙区において市区町村内で分割をしている市区町数とその小選挙区数について、九四年制度導入時、二〇〇二年区割り改定後、二〇一三年の区割り改定後、それぞれの数字を述べていただきたい。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 平成六年、小選挙区比例代表制導入当時において、小選挙区で分割されている団体は十五市区でございました。関係する選挙区数は二十九でございました。

 次に、平成十四年の区割り改定後におきましては、分割されているのは十六市区でございました。関係する選挙区数は三十二でございました。

 また、平成二十五年の区割り改定後におきましては、それまでの間に市町村合併が多く行われたことから、結果的に分割されることとなった団体がふえております。分割団体は八十八市区町、うち合併に関するものにつきましては五十三でございます。関係する選挙区の数は百十六ということでございます。

塩川委員 ですから、スタートのときにはまだまだ少なかったのが、この間どんどんふえている。今答弁もあったように、確かに平成の大合併の影響も当然あるでしょう。ただ、新しい自治体の区域の中に線が入っているということは同様であるわけで、区割りをするたびに市区町村が分割をされているわけです。

 大臣に率直な感想をお聞きしたいんですが、こういった小選挙区制のもとでは、格差是正の取り組みをやればやるほど、市町村の行政単位ですとか地域社会を分断するという異常な線引きが避けられない、有権者は選挙区の不自然な変更を強いられることになるんじゃないのか、このことについては率直にどのように受けとめておられますか。

高市国務大臣 先ほど来も別の委員の先生に答弁を申し上げたんですが、本来は、地勢ですとかあと交通事情とか、そういったことに配慮をした区割りであることが望ましいといった意見が出されていることも承知をいたしております。

 一方で、今部長からも説明させていただきましたとおり、市町村合併によって非常に不自然な形で分断をされている市区があるということも承知をいたしております。

 一政治家としての見解はなかなか申し上げにくうございます。私自身も、中選挙区制度と小選挙区制度、両方の選挙を経験してまいりました。

 ただ、従来の中選挙区制に関しては、長年にわたって政党間の勢力状況が固定化していた、政権交代が行われにくい、それから、同一政党の候補者間の争いになって、選挙が政策の争いというよりは個人間のサービス合戦につながりやすいという指摘があったということを踏まえて、平成六年に小選挙区の制度も導入されました。実際、七回選挙があって、そして二回政権交代がございました。

 衆議院議長のもとに設置された第三者機関である衆議院選挙制度に関する調査会によりますと、現行制度は民意の集約による政権選択機能と多様な民意の反映機能という二つの機能の実現を基本理念としている、多くの政党において抜本的改革を望む声は多いとは言えず、幾つかの問題は指摘されているが、新たな制度の導入を検討せざるを得ないほど深刻な事態とは言えないとされています。

 ですから、ちょっと個人的な意見は申し上げられないんですけれども、やはり議会政治の根幹に係ることですので、さまざまな論点を参考とされながら各党各会派において検討されるべきものだと思っております。

塩川委員 随分話が広がってお答えいただきましたけれども、中選挙区制を含めた選挙制度のあり方については、また改めて今のお答えも踏まえてお聞きしたいと思いますし、最後に述べられました衆院の選挙制度調査会の答申ですよね。

 これ自身が、そもそも、本来、小選挙区比例代表制の問題についてきちんと評価、検証するということが諮問事項にあったというのも、それ以前の各党間の協議の中で各党一致したというのが、こういう小選挙区比例代表制、小選挙区制の問題点について、これについてはきちんと検証すべきだという合意があったわけです。

 しかしながら、実際の調査会においては、ほとんどこの点での議論はされていないんですよ。そういう意味では、いわば現行制度を前提にという形で出されているのがこの答申だということを私たちは厳しく批判してきたところであります。

 戻りますけれども、小選挙区制のもとで一票の格差是正を行えば、さらに行政単位や地域社会を分断する線引きを繰り返すことになるわけです。

 我が党は、小選挙区制の区割りが発足時から二倍を超える格差を容認していることは、投票価値の平等を踏みにじる違憲立法だと批判をしてまいりました。小選挙区制のもとで一票の格差を根本的に是正することは不可能で、導入以降、区割り変更が行われても格差の問題は続き、一度も投票価値の平等を保障する抜本的格差是正ができていない。これは、小選挙区制というのがもともと投票権の平等という憲法の原則とは両立できない制度であるということを指摘したい。

 小選挙区制については、政治改革を進めた中心の方から、失敗だったということが述べられております。導入時の自民党総裁でありました河野洋平元衆議院議長は、小選挙区制は大衆迎合主義などの政治劣化を招いたとの指摘もあり責任を感じている、抜本的改革で小選挙区制を見直した方がいいと述べておられます。また、当時の党幹事長を務め、細川・河野会談にも立ち会いました森喜朗元総理も、政治の劣化をもたらす要因はいろいろあると思いますが、根本的には小選挙区制に原因があると思っています。当事者の諸先輩がこの小選挙区制が失敗だと述べているということは、大変重い指摘であります。

 そこで、大臣にお尋ねします。

 先ほど、中選挙区議連のことのお話もございました。二〇一一年に発足した衆議院選挙制度の抜本改革をめざす議員連盟、略称が中選挙区議連と呼ばれておりましたが、高市大臣は発起人の一人でありました。

 小選挙区制を導入してから、政治改革から二十年余りたち、この小選挙区制がいかなるものであるかを検証し、制度そのものの根本的な見直しが求められています。中選挙区制について、いろいろ、勢力状況の固定化の話とか同一政党の争い云々とありましたけれども、問われるのはやはり小選挙区制の問題点ということだと思うんですね。その点については、大臣は率直にどのように受けとめておられますか。

高市国務大臣 いわゆる中選挙区議員連盟のことは、よくお調べになられました。そのメンバーの一人でございました。今は閣僚としての答弁しかできません。

 一般論として申し上げますが、一般的に小選挙区制については、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される、政権交代の可能性が高いという長所がある反面、選挙ごとの票の動きが激しい、それから少数意見が選挙に反映されにくいという問題点が指摘されています。

 現行の衆議院の選挙制度は、民意を集約する小選挙区制度に、多様な民意を反映し、少数勢力も議席を確保し得る比例代表選挙を組み合わせた小選挙区比例代表並立制となっております。

 何度も申し上げますが、選挙制度は議会制度の根幹にかかわることでございますので、各党各会派で御議論を深めていただきますようにお願いを申し上げます。

塩川委員 小選挙区制で少数意見が反映をされない、まさにそこに重大な欠陥があるわけで、反映されない意見の方が、票の方が多数になるような、そういうのが小選挙区制そのものの欠陥であり、民意の集約という形で虚構の多数をとるという小選挙区制そのものの抜本的な見直しこそ求められているわけであります。

 選挙制度というのが民主主義の根幹であって、国民、有権者の参政権の問題であります。議会制民主主義のもとでは、選挙の過程そのものが国政の進路等内外政策についての国民の意思を議席に反映し、民意を正確に反映した国会の土台の上に政権をつくり、国会における徹底審議によって合意を形成していくことが保障されなければなりません。

 私たち日本共産党は、衆議院選挙制度について、小選挙区比例代表並立制を廃止し、民意を正確に反映する比例代表制を中心とした制度への抜本的な改革を提案しているところであります。

 この小選挙区制が導入されたのと同時に創設をされたのが政党助成制度であります。

 総務省に確認をいたしますが、政党助成金は、創設以来、合計で幾ら交付をされたのか、主な政党への交付金の交付の累計額がどのぐらいになるのか、お答えください。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 政党助成制度が創設された平成七年分から平成二十七年分までの政党交付金の交付総額は、六千六百三十一億円余となっているところでございます。

 平成二十七年に政党交付金の交付を受けた政党の交付累計額につきまして、一千万単位を四捨五入して申し上げますと、自由民主党三千四十五億円、民主党千九百三十四億円、公明党五百一億円、社会民主党三百五十二億円、維新の党三十九億円、生活の党と山本太郎となかまたち十九億円、日本のこころを大切にする党十二億円、新党改革八億円、太陽の党五億円、日本を元気にする会一億円となっております。

 太陽の党は、既に解散しております。それから、日本を元気にする会は、平成二十八年一月十三日に政党要件を満たさない政治団体となっているところを申し添えます。

塩川委員 日本共産党は、政党助成金を受け取っておりません。それは、支持する政党を持たない国民にも一律に献金を強制するものであり、思想、信条の自由を侵すものだからであります。

 国民一人二百五十円、毎年約三百二十億円もの巨額の税金が各党に分配をされ、これまでに六千六百億円を超えているということです。

 制度の導入をめぐっては、そもそも政党が税金に依存していいのかという議論がありました。税金だから過度に依存しないようにしよう、上限を決めよう、細川総理と河野自民党総裁の合意で、上限は四割としようと合意したわけですが、法制化をするときにこれが三分の二に後退をされ、制度が導入をされた九五年の十二月には、この歯どめさえも削除してしまいました。

 あわせて総務省にお尋ねしますが、各党政党本部の収入総額に占める政党助成金が何%になるのか、直近の二〇一四年の数字で、現在存続している八つの政党についてお答えください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 直近、平成二十六年における政党本部収入の総額に占める政党交付金の割合でございます。現在存続する政党ということで申し上げますと、生活の党と山本太郎となかまたち八八・七%、民主党八五・九%、新党改革七九・二%、自由民主党六七・四%、それから維新の党、これは分割をしておりますので、その引き継ぎの部分は一般財源としてカウントしておりますが、五四・五%、社会民主党四四・〇%、日本のこころを大切にする党、これも分割によって引き継いだ部分は一般財源として計算しておりますが、三九・七%、公明党一九・八%となっております。高い順に申し上げました。

塩川委員 ですから、政党助成制度を導入するときの議論に、最初は上限は四割にしようという話だったのが、実際に今もらっているような話で見ると、それをほとんどのところが超えているような状況でもある。そういう点でも、この政党助成金に依存する度合いが極めて高くなっているということが、今の数字からも見てとれるわけであります。

 実際、先ほど述べたような歯どめの議論もあったわけですけれども、その歯どめさえ取り払って、政党財政を税金で賄って、いわば労せずして税金頼みになっているからお金に対する感覚が麻痺をし、庶民の痛みがわからなくなる。国民に増税を押しつけ、税金の山分けである政党助成金を懐に入れる。こんなことは許されないというのが国民の皆さんの率直な声であります。

 政党は、思想、信条に基づく自発的な結社であり、政党は、国民の中で活動し、国民の支持を得て活動資金をつくることが基本であります。このような政党助成金は、この間、新党のつくってはなくなっていくというのが繰り返されておりますけれども、その背景には、五人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえるということが、政党の離合集散をもたらす背景にあるわけであります。

 そこでお尋ねしますが、政党助成制度が創設をされた一九九五年から二〇一五年までに、政党交付金を受け取った政党は幾つか、そのうち一五年末までに解散した政党は幾つか、また、ことし交付を受けようと届け出をした政党は幾つか、このことについてお答えください。

大泉政府参考人 政党助成制度が創設された平成七年から平成二十七年分までの政党交付金を受け取った政党は、三十六政党でございました。そのうち、平成二十七年末まで解散した政党は、二十四政党でございます。

 また、本年一月一日現在における政党交付金の交付を受けようとする政党の届け出をした政党は、十政党となっております。

塩川委員 この国民の血税である六千六百億円という巨額の税金を、こういった三十六もの政党が山分けをしてまいりました。しかも、この間に消えていった政党が二十四もあるわけです。

 政党助成金頼みの政党をつくり出す政党助成金制度が、虚構の多数をつくり出す小選挙区制と相まって、政党の堕落と政治家の劣化を生み出している。このような有害な税金の使い方は許されない。政党助成金制度はきっぱりと廃止をすべきだと考えます。

 しかも、やめるはずの企業・団体献金はどうなったか。その後も政党が公然と受け取り続ける仕組みが残され、企業・団体献金も政党助成金も受け取る二重取りが行われているわけです。

 既に我が党は、昨年、政党助成金の廃止、企業・団体献金の全面禁止の両法案を提出し、当委員会において継続審議になっております。この二法案の速やかな審議、成立を強く求めるものであります。

 政党というのは、政治理念や政策を掲げて国民に支持を訴え、国民の支持を得て存立をするものであります。その運営のための資金、政治資金は、国民に依拠して、国民の浄財で賄うものであります。国民にとっては、政党に加わり、または結成し、支持する政党に政治資金を献金としてカンパする、これらは結社の自由、政治参加の自由という主権者としての権利であります。

 大臣にお尋ねしますが、政治改革から二十年たち、ことしの参議院選挙から選挙権年齢が十八歳に引き下げられます。今こそ、我が国の議会制民主主義の発展のために、国民の代表のあり方、選び方、政党のあり方、政治資金のあり方について、国民的な議論をする機会とすべきだと思いますが、高市大臣の政治家としての見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 政党のあり方、政治資金のあり方等、これも、まさに議会政治の根幹に係る部分でございます。

 そしてまた、先ほど来、政党助成金のお話もございました。これも、最終的には、政党の運営の当否ということについては選挙を通じた国民の皆様の御審判に委ねるべきところで、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかということの選択については、また政党の自主性に委ねているものだと思っております。

 それから、先ほど委員が、やめるはずだった企業・団体献金ということもおっしゃいましたが、政党助成制度については、企業・団体献金を政党等に限定するということにあわせて提案され、その後、各党間で合意に至らなかった点もあったと承知をいたしております。

 いずれにしましても、民主主義の基礎となる大切な話でございますし、繰り返しになりますが、議会政治の根幹にもかかわる政党活動の自由のあり方にも係る問題でございますので、各党各会派で御議論を賜りたいと思います。

塩川委員 企業・団体献金について、政党支部という形で実際には個々の政治家が受け取る。さらには、パーティー券という形での収入を企業・団体献金という形で実際に受け取る。二重の抜け穴があるというのが今の企業・団体献金の実態であるわけで、こういったことをきっちりと塞いでいく、そういう取り組みこそ、今、強く求められているわけであります。

 二〇一一年の十月から、全政党の参加で、選挙制度に関する各党協議が行われてまいりました。この協議の中で、自民党、民主党も含めて、現行制度はゆがみが出るということ、小選挙区による過度な民意の集約に問題があるとの認識で一致をし、一三年六月二十五日に全党が合意をして確認事項を取りまとめたというのは、先ほども紹介したとおりであります。

 確認事項は、よりよい選挙制度を構築する観点から、現行並立制の功罪を広く評価、検証し、抜本的な見直しについて各党間の協議を再開し、結論を得るものとしております。この全党の唯一の合意に立って改革の協議を進めるべきであり、そういう国民の厳しい批判の声に応えて、原点に立ち返り、代表のあり方、選び方、政党のあり方、政治資金のあり方について真剣な議論を重ねていく、こういう場を設けることを改めて求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案及び第百八十九回国会、黒岩宇洋君外三名提出、公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、最近における物価の変動、選挙等の執行状況などを考慮し、国会議員の選挙等の執行について国が負担する経費で地方公共団体に交付するものの基準を改定するとともに、選挙人の投票しやすい環境を整えるため、共通投票所における投票及び期日前投票の投票時間の弾力的な設定を可能とし、投票所に入ることができる選挙人の同伴する子供の範囲を拡大するなどの措置を講じようとするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に関する事項であります。

 最近における選挙等の執行状況を踏まえ、選挙人の投票に対する交通手段の提供に係る加算規定及び期日前投票所における選挙人名簿のオンライン対照などの設備の整備に係る加算規定を設けるとともに、開票に要する時間を実情に即するよう見直すことなどにより、開票所経費の基準額を改定することとしております。

 また、最近における物価の変動などを踏まえ、投票所経費及び事務費などの基準額を改定することとしております。

 第二に、公職選挙法に関する事項であります。

 市町村の選挙管理委員会は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認める場合には、投票所のほか、その指定した場所に、当該市町村の区域内のいずれの投票区に属する選挙人も投票をすることができる共通投票所を設けることができることとしております。

 また、期日前投票所の開閉時間について、開く時刻を午前八時三十分から二時間以内の範囲内において繰り上げること及び閉じる時刻を午後八時から二時間以内の範囲内において繰り下げることを可能とするなどの措置を講ずることとしております。

 さらに、選挙人の同伴する幼児、児童、生徒その他の年齢満十八年未満の子供は、投票所の秩序が保持されることを前提として、投票所に入ることができることとしております。

 なお、この法律は公布の日から施行することとしておりますが、公職選挙法の改正に係る部分については選挙権年齢の引き下げに係る改正公職選挙法の施行の日と同じ平成二十八年六月十九日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。

山本委員長 次に、黒岩宇洋君。

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 公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黒岩議員 ただいま議題となりました公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、国政選挙、地方選挙を通じて投票率は低下傾向にあります。有権者の投票における便宜を図ることによって参政権をより行使しやすい環境を整えることは喫緊の課題であります。また、選挙において候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充することも参政権の行使には重要であり、そのための必要な措置を講じる必要があると考えます。

 以上が、この法律案を提出した理由であります。

 次に、法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 まず、公職選挙法の一部改正であります。

 第一に、選挙の当日における投票区外投票の解禁であります。

 市町村の選挙管理委員会は、当該市町村の区域内の駅、大規模小売店舗、学校その他の当該市町村の区域を通じて選挙人の投票の便宜を図ることができると認められる場所として指定した場所に、いずれの投票区に属する選挙人も投票をすることができる共通投票所を設けることができるものとしております。

 第二に、期日前投票所の増設等及び開閉時間の弾力化であります。

 市町村の選挙管理委員会は、当該市町村の人口、地勢、交通等の事情を考慮して、期日前投票所の効果的な設置、期日前投票所への交通手段の確保その他の選挙人の投票の便宜のため必要な措置を講ずるとともに、期日前投票所の開閉時間について、開く時間を午前八時三十分から三時間以内の範囲において繰り上げ、または閉じる時刻を午後八時から二時間以内の範囲において繰り下げること等の措置をとることができるものとしております。

 第三に、洋上投票の対象の拡充であります。

 現行制度下で洋上投票をすることができる指定船舶において投票をすることができないものとして政令で定める船員等の衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙における投票について、その現在する場所において、洋上投票をすることができるものとしております。

 第四に、選挙人の同伴する子供が投票所に出入りし得ることの明確化であります。

 第五に、地方公共団体の議会の議員の選挙において、選挙運動のために使用するビラを一定の制限のもとで頒布することができるものとしております。

 第六に、要約筆記者に対する報酬支払いの解禁であります。

 選挙運動に従事する者のうち、専らウエブサイト等を利用する方法による選挙運動のために使用する文書図画の頒布等のために行う要約筆記のために使用する者について、報酬を支給することができるものとしております。

 また、日本国憲法の改正手続に関する法律におきましても、共通投票所の設置、期日前投票所の増設等及び開閉時間の弾力化、洋上投票の対象の拡大、選挙人の同伴する子供が投票所に出入りし得ることの明確化について、同様の改正を行うものとしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算し六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。

山本委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十五分散会


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