衆議院

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第4号 平成28年3月23日(水曜日)

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平成二十八年三月二十三日(水曜日)

    午前八時開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 大塚  拓君 理事 奥野 信亮君

   理事 田中 良生君 理事 中川 俊直君

   理事 平沢 勝栄君 理事 落合 貴之君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    井野 俊郎君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      うえの賢一郎君    小田原 潔君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    坂本 哲志君

      白須賀貴樹君    高橋ひなこ君

      中谷 真一君    長尾  敬君

      長坂 康正君    藤井比早之君

      古川  康君    八木 哲也君

      山下 貴司君    山本  拓君

      若狭  勝君    大西 健介君

      逢坂 誠二君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    初鹿 明博君

      本村賢太郎君    伊佐 進一君

      國重  徹君    角田 秀穂君

      大平 喜信君    穀田 恵二君

      浦野 靖人君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   議員           逢坂 誠二君

   議員           黒岩 宇洋君

   議員           後藤 祐一君

   総務大臣         高市 早苗君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     高橋ひなこ君

  助田 重義君     八木 哲也君

  山下 貴司君     中谷 真一君

  馬淵 澄夫君     逢坂 誠二君

  國重  徹君     伊佐 進一君

  塩川 鉄也君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     今枝宗一郎君

  中谷 真一君     山下 貴司君

  八木 哲也君     助田 重義君

  逢坂 誠二君     馬淵 澄夫君

  伊佐 進一君     國重  徹君

  大平 喜信君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

三月二十三日

 政党助成金の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇二七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一〇二八号)

 同(大平喜信君紹介)(第一〇二九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇三〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇三二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇三三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇三四号)

 同(島津幸広君紹介)(第一〇三五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三七号)

 同(畠山和也君紹介)(第一〇三八号)

 同(堀内照文君紹介)(第一〇三九号)

 同(真島省三君紹介)(第一〇四〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇四一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外三名提出、第百八十九回国会衆法第四一号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案及び第百八十九回国会、黒岩宇洋君外三名提出、公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野靖人君。

浦野委員 おはようございます。おおさか維新の会の浦野です。

 きょうも、八時からということで、八時から質問させていただくのは初めてです。

 きのうの理事懇でもいろいろお話がありましたけれども、倫選特はどうしてもちょっと変則的な、こういうすき間の時間を使っての審議が非常に多いイメージがありまして、本来もっとしっかりとした、きっちりとした時間を使って議論をしないといけないことがたくさんあるように思う委員会なんですけれども、大臣の時間もなかなか調整ができないということで、こういう時間になっております。

 今回、特に、閣法と議法と一緒に審議をさせていただく中で、本来、議論をしてしっかりとした法案をつくっていく、まさにこういう委員会が求められているんだということで、きょうは黒岩さんがほとんど答弁をしていただくんですか、ちょっときょうは、きのうのきょうで、すぐに質問の通告だったので、本当に質問取りに来ていただく時間もなくて、僕もきのう夕方も全部予定が入ってしまっておったので、全部投げるだけ投げて、大変申しわけなかったんです。

 きょうは民主党の皆さんに対する質問しかしませんけれども、よろしくお願いをいたします。

 項目の一つに、期日前投票所の増設の項目がありますけれども、今現在、期日前投票、どういう場所が多くて、どれぐらいの数があるかということをまずお聞きしたいと思います。

逢坂議員 おはようございます。

 それでは、お答えいたします。

 現在、期日前投票所、どのような場所にあるか、どのような状況になっているかということでございますけれども、総務省の調査によれば、現状では、例えば直近の平成二十六年十二月に行われた衆議院総選挙においては、全体で四千八百六十一カ所の期日前投票所が設置されている、このうち、約七四%に当たる三千五百九十九カ所が市区町村の役所、役場及びその支所などに設置をされているということであります。

 その状況でございますけれども、御案内のとおり、市区町村の役所、役場、支所、これらは生活の利便性の高い場所にあるのもありますけれども、必ずしもそうでないといったような場所に存在しているのもあるのかなというふうにも思っているところであります。

 これが現状でございます。

浦野委員 私の選挙区は、大阪の都市部に近い部分から、町村、大阪で唯一の村がある地域まで、非常に大きい選挙区なんですね。村は千早赤阪村というところなんですけれども、太子町、河南町というところも含まれています。

 そういうところはやはり、恐らく期日前投票は役所になっていますけれども、確かに役所まで車で行かないといけないところに住んでいらっしゃる方はたくさんいらっしゃいます。車で四十分ぐらい走らないと家に着かない、そこにはその一軒しかないというような地域は、大阪でも、私の選挙区では結構珍しくないような選挙区です。こういったふぐあい、そういうのを解消していこうということだと思うんです。

 これは、そういう声というのは、もちろんそれが結構あるからこそこういう法案が出てきていると思うんですけれども、実際にそういう声というのはどれぐらいお聞きされておりますか。

逢坂議員 お答えいたします。

 私自身も市町村の選挙管理委員会で選挙事務の仕事をさせてもらったことがございまして、そういう中で、私の経験からいいますと、やはり期日前投票所の数については少し柔軟にふやしてほしいといったような声を聞いていたという経験がございます。

 実態だけ若干申し上げますと、平成二十六年十二月、これは衆議院選挙でありますけれども、そのときの一般の投票所の数というのが、四万八千六百二十設置されているんですね。先ほど申し上げましたとおり期日前投票所が四千八百六十一でありますから、通常の投票所に比べて、大体十分の一ぐらいしか期日前投票所がないというのが実態だと思います。

 そういう観点からしますと、やはり、小さな自治体においては一カ所しかないとか、あるいは大きなところでも、皆さんの要望に沿うような形には必ずしもなっていないのではないかな、そんな印象を持ってございます。

 以上でございます。

浦野委員 期日前投票を行える場所というのは、たしかオンラインでつなげることができないとなかなか期日前投票の場所として使えないんだということも以前に仄聞したことがあります。そういう意味では、やはり役所というのが、恐らく一番数の多い期日前投票所になるでしょう。

 これから、この法案、きょうの朝の理事会で皆さんの態度も決めましたので、これは前に進む予定になっていますけれども、予算の関係もありますので、では、大体どれぐらいの数を想定されているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

逢坂議員 数の問題は、これはなかなか難しいところがあるかなというふうに思っています。

 それから、具体的な数を、どの程度増設するかということにつきましては、やはりそれぞれの各市町村の選挙管理委員会において、市町村の現実、実態、それを踏まえた上で自主的に判断されるべきところが非常に大きいのではないかと思います。その際に、当該市町村の人口でありますとか、あるいは地勢、土地の状況でありますとか、あるいは交通の利便性といったようなもの、そういった事情を考慮して決定されるべきものだろうというふうに思います。

 その際に、先ほど先生が御指摘になられました投票所として具備すべき条件、これはしっかり備えているということが何よりも大事なことだろうというふうに思います。

 以上でございます。

浦野委員 投票の機会を拡大していくというのは、これからも非常にいろいろなことが考えられると思います。

 この委員会でも以前からずっと議論の表には出てきますけれども、インターネットの中で投票ができるようにするというネット選挙の解禁、本当の意味での解禁ですね、そういったこともこれからこの委員会で議論をしていきたいなと、また私たちおおさか維新の会は思っています。

 私は、厚生労働委員会にも所属させていただいて、厚生労働委員会でも、お願いといいますか、苦言といいますか、民主党さんには言わせていただいた。この委員会でも、今回、この法案についていろいろございました。我が会派には説明に来られなかったということで、非常に、前に進むかと思いきや、その部分で皆さんにもいろいろと、結果的には汗をかいていただくことになりました。

 初鹿さんにまた笑われるかもしれませんけれども、私は別に頭を下げに来いと言っているわけじゃないんです。

 法案の審議をする、私が国会議員になってまだ三年しかたっていませんけれども、今までの流れは、やはりどんな、過半数を持っているような大きな政党が出してくる法案でも、みんなきっちりと少数会派にも丁寧に説明をしていただいて、その上で、賛成をしていただきたいという話をされます。

 私は、残念だったのは、一度政権を担ったことがある政党が、自分たちの好き嫌いで少数政党に法案の説明にも来なかった。あいつらは与党も野党も関係ない、与党でも野党でもないから説明に行かないんだということで、説明には来ていただけませんでした。でも、この法案審議をするときは与野党の枠を超えてとおっしゃるので、与党でも野党でも関係ないやんと思って聞いているんですけれども、そういう最初の第一歩をちゃんとしていただけなかったというのがあった。

 今回も、この法案、本当に我が党としても、私は現場で黒岩理事とはもちろんしっかりとコミュニケーションをとらせていただいておりますし、人間関係もできていますので、法案の内容についてはしっかりと見せていただいていましたし、現場の方ではきっちりと話はしていました。ただ、現場だけで法案の賛否を決めるわけではないので、党と党で、党の中で法案の審議の賛否を決めるわけですから、やはり党に対してもしっかりと説明をしていただかないといけないです。

 恐らく、これからこういったことはもう多分ない。厚生労働委員会も、今度、また初鹿さんですね、初鹿さんが法案の説明に来ていただけるということで、内々でお話もすぐにいただきましたし、そういうしっかりとした内容の審議ができるように、やはりこれこそ本当にもう与野党関係なしに、法案の審議はきっちりとできるように説明をいただけたらと思っております。

 これは、もうこれから恐らくこういうことがないと思っていますし、黒岩理事もいろいろと、しっかりと情報も、お話もしていただいているので、もちろん与党の筆頭の平沢先生からもお話をちゃんといただいていますので、これからこういうことがないとは思うんです。

 私たちは、法案の内容で、是々非々でしっかりと態度を決めていく政党ですので、説明に来なかったとしてもそれはちゃんと、きっちりとお伝えはしますけれども、説明にはちゃんとこれから来ていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 ちょっと時間が早いですけれども、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おはようございます。改革結集の会、鈴木義弘です。

 最後の質問になろうかと思いますが、貴重なお時間を頂戴いたしましたことに厚く感謝を申し上げたいと思います。

 まず初めに、投票の秘密ということについてお尋ねしたいと思います。

 七月に参議院選挙が目前に迫っている中で、今回の法改正になっているんだと思います。いろいろな考え方がありますから、衆参ダブルになるんじゃないかというような話もあるんですけれども。

 今、現行で、事前投票所というのがスーパーの中にあるところもあるんだそうです。でも、投票しているところの後ろを人が通ったりなんなりして、きちっと囲ってくださいよというふうに法律にはなっていながらも、そういう場所があるような話も聞きます。

 ですから、これから、時間及び投票所の拡大や移動投票所等の検討をしていこうということで法の改正になっていくんですけれども、投票の秘密というのがきちっと担保されるのかどうか、そこのチェックを今までしてきたのかどうか、まず初めにお尋ねしたいと思います。

高市国務大臣 今回の公職選挙法の改正では、期日前投票所の投票時間の拡大ですとか共通投票所の設置など、投票環境の向上に向けた方策を盛り込んでおりますけれども、これらの方策の実施に当たりましては、何といっても選挙の公正が確保されているということが大前提でございます。

 投票所や期日前投票所の設置場所につきましては、公職選挙法施行令第三十二条によりまして、投票の秘密や選挙の公正を確保するために必要な場所及び設備を有し、投票所の秩序を適切に保持することができることが必要であるとされております。

 総務省では、投票所及び期日前投票所の設置について、こうした場所や設備の要件等を満たすということを前提として、先ほど委員がおっしゃいましたようなスーパーマーケットなど、頻繁に人の往来がある施設でも設置ができるという旨、これまでの国政選挙や地方統一選挙の都度、各選挙管理委員会に対して要請を行っております。

 そして、今回導入される共通投票所におきましても、投票の秘密を担保することができるように要請するとともに、必要に応じ選挙管理委員会からの相談にしっかりと応じてまいります。

鈴木(義)委員 性善説だとか性悪説というんですか、性善説でやっていくのが日本のあり方なんでしょうけれども、では、誰がチェックするんだということです。

 市町村選管を都道府県選管がチェックするんだったら、でも、都道府県選管だって、職員さんというのは二、三人しか常駐していないんですね。埼玉県だけだって六十三の市町村があります。そこに今度期日前投票所をふやすという話になったときに、誰がチェックするのかということなんです。それが指針に対して、基準に対して合っていなかったときに、是正措置を誰がとるのかということなんです。そこのところをお尋ねしているんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 期日前投票所あるいは投票所において投票の秘密や選挙の公正を確保するための場所及び設備を有するということは、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおり、施行令に定めているところでございます。

 選挙の場合、是正の話でございますが、最終的には、選挙無効の争訟あるいは訴訟などにおいて、不正があったときには争えることとなっております。

 したがいまして、これらの公正さを担保しなければ選管自体としても公正な選挙を行うことができないというような縛りがございますので、そこできちっと、各選管においては、合理的な考えのもとに、これらの施行令あるいは私どもから出しております通知に基づいて投票所あるいは期日前投票所を設置しているものと考えております。

 個別にどうしようかというような相談がありましたときにはそのようなことでアドバイスはさせていただこうと思いますが、最終的には選挙訴訟、選挙争訟において担保されていると考えております。

鈴木(義)委員 訴訟する前に是正するのが筋じゃないんですか。

 だって、一般の有権者が、私の投票所の後ろに人が歩いていたから訴訟を起こすんですという人がいますか。そこのところはやはり、よくきちっと報告を市選管から県の選管に上げて、そこから写真を撮るとかなんなりするのが、それで最終的に総務省が所管するというぐらいやらなかったら徹底できないんじゃないかと思いますよ。これからいろいろなパターンの期日前投票所が出てくるわけですから、そこのところはきちっとやっていただきたいと思います。

 それともう一つ。投票における不正防止ということなんです。

 今まで、固定の投票所、期日前じゃないところで通常に決まっている、誰でもあそこが投票所とわかっていた集会所、学校の体育館、こういったところで、投票所に必ず立会人の人が、地元の人が立会人になります。これは都市部と村部ではまた趣が違ってくるんでしょうけれども、大体投票所に立会人でいる人は、どこの誰が来ているかというのがわかっています。

 でも、これから期日前投票所がどんどんふえることによって、成り済ましして投票を行う人が出てこないとも限らないんです。そのときに、身分証明書として、きちっと確認する作業をするのかしないのかです。

 例えば、今保険証で、身分証明書のかわりで、金融機関なんかもそれを代用したりしています。運転免許証であれば写真と名前と住所と生年月日が入っていますから、これはいいんでしょう。でも、保険証で写真も何もついていないにもかかわらず、身分証明書の扱いで行っているんです。それをもって、投票所の投票用紙を持ってきたことで本人確認をしたということでいいのかどうかなんです。そこのところをどう担保していくのか、お尋ねしたいと思います。

高市国務大臣 これまでも、投票用紙の交付に当たりましては、選挙人名簿またはその抄本との対照を確実に行いまして、当該選挙の選挙権を有する者であるということを確認するように、本人確認の徹底について各選挙管理委員会に対して要請してきておりますので、引き続きその要請は行ってまいりたいと思います。

 それから、本人確認の徹底にあわせて、やはり二重投票や成り済まし投票の防止措置を図ることが重要だと思っておりますので、共通投票所と投票区の投票所間における有権者の投票済み情報を相互に共有するということが必要で、オンラインなどによる選挙人名簿対照の制度化を図るということにいたしております。

 それからまた、やはり選挙管理委員会や教育機関などとも連携しながら、新たに選挙権を得られる方々についても、成り済まし投票はいけない、それは有権者の不正投票であるということを、一人一票の原則をしっかり周知してまいります。

 ちなみに、今でも、公職選挙法二百三十七条におきまして、この成り済まし投票、不正投票におきましては、選挙人でない者が投票したときは、一年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処する、氏名を詐称しその他詐偽の行為をもって投票しまたは投票しようとした者は、二年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処するとしておりますから、こういったことも含めまして、不正な投票をしてはならないということの周知には努めてまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 前段の質問のときも同じなんですけれども、だから、周知をしていくだけで不正が、担保できるのかということです。例えば、何年か前だったと思いますけれども、反社会的勢力の人たちが投票用紙を買って、この人に投票しろと言って、刑事事件になったこともあるわけじゃないですか。

 だから、これから投票所だとか投票時間を拡大していくということになっていけば、本人確認をしていかなくちゃならなくなってくると思うんですよ。では、例えば、先ほども質問があったように、電子投票をしていくんだといったらどうやって本人確認するんですか。そこのところもやはり考えていかなくちゃいけないと思います。

 それともう一つ。病院だとか特養みたいに、医療施設だとか介護施設に入所している方で、代理投票を認めていると思うんです。

 代理投票の本人の意思表示という意思確認をどこまで認めるのか認めないのか。これは資料をいただいたんですね。そうしたら、不在者投票管理者は、市町村の選挙管理委員会が選定した者を投票に立ち会わせることその他の方法により、不在者投票の公正な実施の確保に努めなければならない、これしか書いていないんです。

 では、どこまでを認めて、これは意思がある、本人の意思表示をしているというふうにするのか、していないとするのか、そこもあやふやなんです。現場に任せているからやってください、ちょっと違うんじゃないかと思うんですね。

 投票の機会を確保することは大事だし、通常に投票所に足を運んでもらう人ばかりじゃないのもありますから、そこのところ、もう少し現場で困らないような判断を、総務省が見解を出した、また通達を出すとかといって、混乱のないようにしてもらったらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 先ほどの答弁に関しましてちょっと補足いたしますが、現在でも写真つき証明書、保険証などを持参する必要はございません。また、都市部などではなかなか立会人の方が全ての住民の方のお顔を把握しているというわけではありませんので、先ほど申し上げましたような方法によりまして、しっかりと投票の公正を確保したいと思っております。

 また、今おっしゃっていただいた点ですけれども、国政選挙や統一地方選挙の際の意思確認につきましては、投票手続に入る前に、必要に応じて、投票人の御家族や付添人などの間で意思確認の方法について事前に打ち合わせを行うということなど、適切に対処すること、それから、代理投票が認められる選挙人の態様はさまざまですから、個々の選挙人の状況に応じてきめ細かく適切に対応するということが必要です。

 その意思確認に十分努力すべきことなどを各選挙管理委員会に要請しておりますし、今、各地域ですぐれた取り組み事例も収集をいたしておりますので、この夏に向けましても各選挙管理委員会に対して通知をして、横展開をしてまいります。

鈴木(義)委員 以上で終わります。

山本委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 維新の党、落合貴之でございます。民主・維新・無所属クラブの時間の範囲内で質問させていただきます。

 本日は、先日、政府によって提出されました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、並びに、民主党によって提出されました公職選挙法改正案についてでございます。

 まず、期日前投票の投票時間の弾力的な設定について伺わせていただきます。

 国政選挙の投票率の推移を見てみますと、九〇年代ぐらいから、残念ながら投票率は低下傾向にあります。

 衆議院選挙では、二〇〇五年の郵政選挙と二〇〇九年の民主党への政権交代選挙の際は投票率が上がりました。ちょうどそのころに期日前投票の制度が導入されております。非正規雇用もふえてきまして、日曜日が必ずしも休みでないという人の割合もふえてきている。そういう中で、期日前投票の利用者、これは数としてもふえていますし、この制度の役割はますます高まってきているものと思います。

 現行法では、期日前投票所の開始時刻は午前八時三十分、終了時刻が午後八時というふうに決められております。開始時間をその時間より早めたり遅くしたりすることが、現行ではできない。

 今回提出した閣法では、期日前投票所の開く時間を二時間以内早めることができるようになる、そして終了時間も二時間以内で遅くすることが可能になるということです。

 そこで、開始時間についてなんですが、現行の八時半よりも早めてほしいという要望は、特に平日に通勤前に投票したいというような要望があったからと思われます。二時間以内に早めるようにしますと、都心から少し離れているベッドタウンの駅などは、その二時間前の六時半にはもう通勤ラッシュが始まっているわけでございまして、六時半より前に期日前投票ができるようにしてほしいというニーズも、かなりの地区、あるのではと思います。

 これは、二時間以内前倒しすることができるということですので、何時からではなくて、自分たちで決めていいですよというような規定をしているわけですから、二時間ではなくてもう少し早く始めてもいい、そういうふうに規定することはしないんでしょうか。

森屋大臣政務官 お答えをいたします。

 今回の制度改正により、期日前投票の開始時刻につきましては、二時間以内の繰り上げが可能となりまして、午前六時半からの開始が可能となります。

 早朝の投票につきましては、平成二十六年衆議院議員総選挙におきまして、駅やショッピングセンターなど有権者の利便性の高い場所に期日前投票所を設置いたしておりました市町村に対しまして意向を尋ねましたところ、開始前の準備も必要であることなどから午前七時半以降の開始で検討しているとの回答が多くございました。

 また、通勤通学者がふえ始める時間帯は午前七時台でありますことから、市町村選管や立会人の負担及び多くの通勤通学者の利便性の双方を考慮いたしまして、二時間以内の繰り上げを可能としたものでございます。

 以上でございます。

落合委員 準備が必要であるということと、七時台がピークだということですが、恐らく、この七時台のピークというのは、やはり都市部の平均ではないかと思います。私も、サラリーマン時代にベッドタウンに会社の寮があって住んでいましたが、始発で一番最初の急行でも座れないというような通勤環境でした。ですから、もう五時台からびっしり通勤の方がいる駅もあるわけです、特に私鉄の始発では。

 ですから、必ずこの時間からあけないといけないというような規定ではないのですから、私は、自治体、その地区によって判断ができるように、もう少し早い時間も選べるようにするべきではないかというふうに考えます。

 今回出している民主党案では、この期日前投票のできる時間を早めることを可能にする件、どのように規定していますでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 私も、この委員会の中で、この期日前投票所の開閉時間の弾力化については質問でも取り上げさせていただきました。このたび政府の方でもこういう話が出てきたこと自体は望ましいというふうに考えますが、民主党案では、おっしゃるとおり、各市町村の自主性をより尊重して、三時間前からということを可能にしておるところでございます。

 実際、私がこの国会に通ってくるときは、六時半より前に最寄りの駅で電車に乗る場合が多いです。実際、そのときの通勤客の状況を見ますと、たくさんの方が駅にもう既に来られております。

 先ほど政府側の答弁で、準備も必要なのでというお話がございましたが、準備がどの段階から必要か、そして、どのぐらい早くからできるかどうかは、まさにその市町村が御判断されればいいことであって、時刻については法律で書いてあるものですから、やはり国としては弾力的な対応を可能にしておいて、各市町村が判断できる範囲をできるだけ広くした方が望ましいと考えまして、三時間というふうにしたわけでございます。

 なお、法律上は完全に自由にしてはどうかという御意見もあるかもしれませんが、特に後ろの方の、閉める時間に関しては、開票との関係ですとか、あとは公費負担の関係ですとか、こういったこともあって、三時間という枠を決めた上で、できるだけ市町村の自主性を尊重したという規定を我々としては考えさせていただいたところでございます。

落合委員 これは重要なポイントであると思いますので、これからもぜひ議論が必要であると思います。

 次ですが、今回の閣法の改正の中に、投票所に入ることができる子供の範囲、これが拡大をされております。

 現行法では、「幼児その他の選挙人とともに投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者」というふうにされていました。

 今回の閣法では、幼児、児童、生徒その他の年齢満十八歳未満の者というふうになっています。

 子供の範囲が、今までは幼児というふうに書かれていたのが、十八歳未満に拡大をしているのと、今までは、やむを得ない場合というふうに、例外的に子供を同伴していいという規定だったのが、今回は、投票管理者が投票所の秩序を保持することができなくなるおそれがあると認めた場合はこの限りではないというふうに書いてありまして、この例外を除けば基本的にはオーケーということになっています。

 この二点、子供の範囲を変えたことと、あと例外という考え方を変えたこと、この改正の理由についてお聞かせいただければと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 選挙権年齢の十八歳以上への引き下げが実現しまして、また、各選挙を通じて若年層の投票率が低くなっているという状況がございます。これらに関しまして、将来を担う子供たちが早い段階から、社会の一員として、主権者としての自覚を持ってもらうことが重要という考えから、その一環としまして、選挙人である親が子供を投票所に連れていくことについては、現実に投票している姿を子供に見せることができ、将来の有権者への有効な啓発にもつながるものと考えられるところでございます。

 このような議論が選挙権年齢の引き下げに係る審議等で出されていたとも承知しております。

 これらを踏まえまして、投票所の秩序が保持されることを前提にではございますが、選挙人の同伴する子供が投票所に入場できることを明確に規定することとしております。

 また、子供の定義につきましてですけれども、これは、選挙権を有する前の十八歳未満の者が選挙人とともに投票を行う投票所に入場できるということを明確にするために、十八歳未満ということで子供の定義をしているところでございます。

落合委員 経験を積む、啓発になるということが一点と、それから、明確に表現を入れるということで、今までは子供を連れていってはいけないと思っていた、幼児を連れていってはいけないと思っていた人たちにもメッセージを伝えることになるというようなことでしたが、民主党案ではどのように子供の同伴については考えていますでしょうか。

黒岩議員 お答えいたします。

 民主党案も、先ほど選挙部長の方からの答弁がありましたけれども、今例外的にしか許されていないお子さんの同伴については原則認めていこうという方向で、なるべく投票権の利便性を高めていこうという点では一致しておるところでおります。

 ただ、私どもの法案は、子供の定義については年齢等の区切りはないんですけれども、十八歳選挙権ということもありまして、政府案のように、十八歳未満、こういった一つの区切りをもって子供の同伴ということを規定していくことについては、我々も同様の考え方であるということでございます。

落合委員 では、政府案の中身というのは不十分な状況ではないというふうに考えるということでよろしいですね。

黒岩議員 現行の法案についてはもちろん不十分な部分がありまして、私どもとしても改正案を出させていただいておりますけれども、現在出ている閣法のお子さんの同伴ということについては、私どもも一定の方向性を共有しているというところでございます。

落合委員 では、次に、閣法には入っていないけれども民主党案には入っているという点が幾つかありましたので、その点について伺えればと思います。

 まず、民主党案では、洋上投票の範囲が拡大をされています。この意図するところ、それからその内容についてお聞かせください。

黒岩議員 いわゆる洋上投票ですけれども、外航船とか遠洋漁業で長い期間日本から離れている、そういった船員の皆様に投票権を拡大していこうということが最大の眼目であります。

 現在、洋上投票につきましては、管理者と立会人とそして実際に投票する方、この三人のいる日本人船舶に限られているということがございますので、これではなかなか現実には投票する機会を得られる方が少のうございます。

 基本的には、三人未満の日本船籍におきましても、管理者、立会人がいない、現にそこにいらっしゃる場合で、非常に専門的なファクシミリで公正性を担保しながら、お一人でも、これは当然、事前に選挙管理委員会から御自分が投票用紙をもらって、そして投票して、その後また本人が選管に届ける。こういった幾つか技術的なことも、運用上きっちり担保しながら投票権を拡大していく。

 さらには、今は日本船籍に限られておりますので、いわゆる外国船、便宜置籍船といいますけれども、このいわゆる外国船についても、ここに乗っている日本人の乗組員、船員についても同じようにこの投票権を拡大していこうということが、私どもの法案の内容の趣旨でございます。

落合委員 投票の資格があって、意思があるのに投票ができないというような人たちが残念ながらいるということで、その人たちをできるだけ少なくするという意味でこういった項目を入れたんだと思いますが、この民主党案の洋上投票の対象の拡充について、政府はどのようにお考えでしょうか。

森屋大臣政務官 お答えをいたします。

 現行の洋上投票制度は、外洋を航行中の指定船舶に乗船をいたします船員につきまして、厳格な手続のもとで、ファクシミリを使いまして投票するものでございます。

 その対象の拡充につきましては、投票することが困難な方々に投票機会を確保するという意味で有意義である反面、投票の公正確保あるいは投票事務の円滑な執行の観点も重要であるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、洋上投票の対象の拡充につきましては、洋上投票制度が平成十一年に各党各会派における御議論、御協議を経て導入されたものでございますので、各党各会派におきます御議論をいただくべき事柄であると考えております。

 法案が成立をした場合には、投票の公正確保あるいは投票事務の円滑な執行の観点に立ちまして、政省令の改正の中で適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

落合委員 有意義なものであるけれども、公正性、公平性を確保するいろいろな条件を確保するのが重要である、その点は注意しなければならないというようなお答えでございました。

 この洋上投票の拡充に加えまして、民主党案に入っているものとして、要約筆記者への報酬が払えるようにするというものも入れられています。

 現行法では、手話通訳者に対しては報酬を払うことはできます。これを要約筆記者にも拡大するというものだと思いますが、この意図するところと、それから改正案の内容についてお聞かせください。

黒岩議員 現行では、聴覚に障害のある方に対して、手話通訳をお願いして報酬を払うことは許されている。しかし、要約筆記者はこれは許されておらないということで、どうしてもボランティアに頼るしかないということで、これでは、聴覚障害のある方の選挙に対する認識を深めるとか、いろいろな選択をしっかりと持っていただくということに対してなかなか十分ではないのではという問題意識から、私どもは今回、要約筆記者、専ら要約筆記を行うこの方に対して報酬を支払うことを解禁することとしているところでございます。

 現状でも、一日五十人という枠の中で手話通訳者等選挙に従事する方の登録、これは政省令等で定められておりますけれども、その中に要約筆記者も含めて、報酬を支払うことを解禁させていただくということが法案の内容でございます。

落合委員 手話通訳もある時点から導入されたと思いますが、私自身も、自分の選挙で、特に党の幹部が来るときですとか、多くの方に、さまざまな立場の方にも聞いてもらいたいと思いまして、お金はかかりますが、手話通訳者を必ず呼んでおります。やはり、こういった少しずつ改善していくということは大変重要なことだと思います。

 この要約筆記者に対する報酬支払いの解禁について、今の閣法には入っていませんが、政府はどのようにお考えでしょうか。

森屋大臣政務官 お答えをいたします。

 先生御存じのとおりに、選挙運動につきましては、原則として自発的に無報酬で行うものとされておりまして、選挙運動に従事する者に対しまして当選を得るなどの目的を持って報酬を支払うことは、現行法上、車上運転手や手話通訳者など一定の者に支払う場合を除き、公職選挙法上、買収罪として禁止をされているところでございます。

 選挙運動に従事する者に対する報酬の支払いをどこまで認めるかにつきましては、選挙の専門化、技術化という実情がある一方で、選挙運動にお金がかかるという要因となることなど、調和をどのように図っていくかという問題があると思っております。

 また、車上運転手や手話通訳者などの報酬支給を可能とする改正がいずれも議員立法で行われてきました経緯などを踏まえますと、各党各会派におきまして御議論をいただくべき事柄であるというふうに考えております。

 以上でございます。

落合委員 このポイントに加えまして、民主党案が独自に入れているものとして、地方議会議員の選挙における選挙運動用ビラの頒布の解禁、これも民主党案には定めています。これは重要なポイントだと思いますが、この意図するところ、それからその内容をお聞かせください。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 現行制度では、地方議会の議員の選挙についてのみ、政策等の情報を提供する手段としてのビラの頒布が認められておりません。

 首長等の選挙と比較しまして、手軽に有権者に政策等の情報を提供する機会が限定されているという状況になっておりますが、これは、有権者としての国民の知る権利の保障の観点からも、また立候補する側、候補者としての被選挙権の行使あるいは表現の自由、こういった観点からも、望ましいとは言えない状況にあるというふうに考えます。

 そこで、民主党案では、地方議会の議員の選挙においても、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、選挙運動のためのビラを頒布できることとしているところでございます。

 なお、頒布することのできる枚数の上限については、現在の地方公共団体の首長の選挙を参考にして、通常はがき、いわゆる公選はがきの二倍としているところであります。

 なお、今回の改正では、ビラの作成について、公営の制度、いわゆる公費負担については設けないこととしております。これは、現在の町村の長についてもこの公営制度はないというふうに伺っております。

 以上でございます。

落合委員 数ははがきの二倍、そして公費負担は設けないというようなことでした。

 これは、いろいろなアンケートをとれば、かなりニーズはあると思います。私も二十以降いろいろな選挙を手伝ってきて、地方選挙で、チラシをくれと言われて、配れないんですと言ったら、びっくりする有権者が多いわけでして、何で選挙のときに候補者の主張を見ることができないんだと。先週の質問もありましたが、公報も発行していない自治体もかなりあるということです。

 選挙用のビラの頒布の解禁、重要なことだと思いますが、改めて政府の御見解をお聞かせください。

森屋大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、先ほどの答弁で、車上運動員を車上運転手と申し上げました。まことに申しわけございません。訂正をさせていただきます。

 それでは、ただいま先生から運動用ビラについて御質問がございました。

 候補者個人の使用します選挙運動用ビラにつきましては、有権者に対する情報伝達手段といたしまして有効なものであるという反面、選挙運動費用の増嵩を招くおそれがあるものであるというふうに考えております。

 これまでの国会における審議や各党間の議論の積み重ねの中から、昭和五十年に、国会議員の選挙におきまして初めて頒布が認められました。また、続いて、平成十九年に、知事や市町村長の選挙について拡大されることとなったというふうに承知をしております。

 この指摘のビラが、どのような文書図画の頒布を認めるかにつきましては、選挙運動のあり方にかかわる大きな問題であるというふうに思っておりますので、各党各会派におきまして御議論いただくべき事柄であるというふうに考えております。

 以上でございます。

落合委員 これは、各党各会派の議論ということと、あと反対の要素というのは、今、費用のことぐらいしかなかったと思うんですが、ほかには何かあるんでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、今政務官から答弁があったとおりでございます。

 具体的に、制度化を図っていくのであれば、そのときに議論になることとしては、やはり、公営にするかどうか、あるいは頒布場所、国政選挙でも限られておりますけれども、そういうところはいつも議論になっているところでございます。

落合委員 要は、費用以外は特に導入をためらう要素がないということですが、例えば私の地元の世田谷区議選、はがきが二千枚ですから、この定めで二倍となると四千枚、チラシが配れるようになる。その費用というのは、私の地元の印刷業者に頼めば一万円か二万円で印刷ができるはずです。それを選挙費用がかかるからという主な理由で導入しないというのは、やはりこれは現職の人たちが新規参入を阻害しているというふうに言えるのではないでしょうか。

 政治の世界は、やはり、やる気のある、能力のある新人がどんどん入ってこないと、この政治の世界自体がどんどんかれてきてしまうわけでございます。特に、国政選挙は、テレビでもやりますから争点もわかりやすい、それから候補者も地方選挙より少ない。地方選挙は、各地方でそれぞれ論点があって、しかも、候補者は国政選挙よりたくさん出る。これは、ただ通りがかりのときに演説を聞くだけでは争点はわからない、判断の基準がかなり限られてしまうということになると思います。

 ぜひ、これは、地方自治体の議会の活性化のためにも、各党各会派が話し合って早急に導入しなければならない問題だと思います。

 これは、今、地方選、チラシが配れないとなりますと、名前を連呼して手を振って握手をして、それを一週間ずっとやっているわけで、やはりこういった選挙ばかりを続けていては、新しい、やる気のある新人は入ってこないんじゃないでしょうか。特に、最近、無投票の自治体もふえてきています。これは、政治の世界という業界にとっての危機であるというふうに捉えて、早急に対応をしていかなければならないと思います。ぜひ、総務省それから総務大臣も、この議論をリードしていただければと思います。

 では次に、先週、我が会派の初鹿議員の質問で、移動投票所に関する質問がありました。

 改めて政府に伺いますが、現行法で、期日前投票における移動投票所の設置は一定の条件のもとではできるということでよろしいですね。

大泉政府参考人 投票所及び期日前投票所につきましては、市町村の選挙管理委員会が、選挙人の便宜を考慮して、最も適切な施設を選定して設けるものでございます。

 その設置場所でございますが、投票の秘密や投票の公正を確保するために、公職選挙法施行令第三十二条に述べられているのでございますけれども、必要な場所及び設備を有しなければいけない。投票所の秩序を適切に保持することができる必要がございます。また、二重投票防止の措置も必要でございます。

 また、投票所や期日前投票所につきましては、その場所や設置の期間について、あらかじめ告示しなければならないという規定もございます。

 このような場所及び設備の要件を満たしまして、また、あらかじめその場所を告示できるということであれば、自動車を投票所や期日前投票所として用いることは法的には可能でございます。

落合委員 現行法でもやろうと思えばできるというような御答弁でございました。

 大都市以外の選挙区というのは、投票所がかなり集約されていますので、移動投票所のニーズというのはかなり高いと思います。

 民主党案では、これについてどのようにお考えでしょうか。

黒岩議員 まず、きょうの議論の中でもあったんですけれども、もともと、今、当日の投票所は、直近の衆議院で四万八千六百カ所とありますけれども、その前の衆議院では四万九千二百カ所ですので、当日の投票所も減ってきている。そして、期日前投票所ですと約四千六百カ所ということで、これも当日の投票所の十分の一ということです。

 やはり、投票権や参政権の拡充という意味においては、もっともっと利便性を高めるという意味で、現行でも移動投票所は可能だということになっておりますけれども、私どもの法案におきましては、これを、やはり必要な措置をとっていくという訓示規定で、移動投票所の設置についても法的に後押しをさせていただくということが内容になっております。

落合委員 設置をある意味後押しする、促進していくというようなお答えと受け取りました。

 時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 私、倫選特での質問は初めてになりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、ちょっと基本的なところからお聞きをしたいと思うんですけれども、今回、選挙執行経費の基準、これについては物価変動等を踏まえて改定を行うということなんですけれども、消費税がこの間八%に引き上がっています。また、今後消費税が一〇%に引き上がるということでありますけれども、この消費税引き上げの影響あるいは今後の消費税引き上げというのは今回の改定にどのように織り込まれているのか、これを簡潔に事務方からお答えいただけますでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 消費税につきましては、今回の執行経費基準法の改正におきまして、投票所経費あるいは開票所経費など、執行経費基準法には費目がございますが、この積算基礎となります消耗品費、通信費などにおいて、単価に消費税を五%から八%に上げた形で反映させていただいております。

 また、今後でございますけれども、執行経費基準法は、参議院のある年、三年ごとに改正をお願いしております。こういうことでございますので、次の改正のときの消費税率をまた踏まえまして見直しをしていくということになると思います。

大西(健)委員 今、確認をさせていただいたんですけれども、後追いになっていくということだというふうに思います。

 次に、地元でよく言われることなんですけれども、一回国政選挙をやるとどれぐらい税金がかかるんだという話をよく聞かれます。

 ちまたでは、衆参同日選挙もあるんじゃないかということがささやかれる中、今回の法改正が行われた折には、もし衆議院の解散・総選挙が行われれば一体どれぐらいの費用がかかるのか、この点について、これも事務方の方からお願いいたします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの問いで、後追いになるとちょっとありましたが、これにつきましては、改正までの間に今後国政選挙が行われるとき、不足などが生じましたときには調整費というもので対応してまいっているというところでございます。

 次に、衆議院が解散された場合の執行経費でございます。

 衆議院が解散された場合の金額につきましては、総選挙の時点における立候補者数など不確定な要素もございますので、正確に積算することは難しいところでございます。

 その上で、平成二十六年の衆議院議員の総選挙と同数の立候補者数など、同じ条件に基づき改正後の基準法により国の負担する委託費を計算しますと、五百八十六億円程度と見込まれております。

大西(健)委員 約六百億円という巨額の税金がかかることになります。もちろんこれは民主主義のコストではありますけれども、そういう意味では、大義なき解散というのは、私はいろいろな意味で税金の無駄遣いというそしりも免れないのではないかなというふうに思います。

 そういうことを考え合わせると、今回のように物価変動等をしっかり、政府として責任を持ってその経費を上げていくということも必要なことではありますが、一方で、やはり選挙にかかる費用を少しでも節減する努力というのも必要ではないかなというふうに私は考えております。

 この点、我が国におけるマニフェスト運動の先駆者であり、三重県の元知事である早稲田大学名誉教授の北川正恭さんが、開票事務の効率化コンマ一秒運動というのを提案しておられます。

 お手元に資料をお配りしています。少し古いものではありますけれども、この中で、例えば、線を引いておきましたけれども、開票時間の短縮で人件費が浮く、全国で取り組めば、四年間で百二十億の節約になるという試算もあるということであります。

 これは一つの試算ではありますけれども、こういう選挙費用の節減というのも考えていかなきゃいけないのではないかなと私は思います。

 一方で、開票スピードを競い合うということになるとミスというのも誘発されるんじゃないかという懸念もありますけれども、開票作業の効率化、迅速化について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 選挙の管理執行ということを考えますと、まずは、開票作業の正確性はもとより、その全般にわたって遺漏なきよう万全を期すこと、これが極めて重要でございます。

 一方、その経費も最終的には国民の皆様の負担となるということを考慮するならば、今委員がおっしゃっていただいたように、効率的な経費支出にも努める必要がございます。また、選挙の結果を選挙人の方々に対して速やかに知らせる観点からも、事務の効率化に向けた取り組みが重要です。

 総務省としましても、平成二十五年の参議院選挙に際しましては、選挙事務の改善に成果を上げている地方公共団体の取り組み事例について、他の地方公共団体に情報提供をしております。

 北川先生が監修の御本もあって、この内容と共通する部分もあるんですけれども、作業区分ごとの時間工程表を作成したり、作業しやすい開披台をつくったり、作業台の高さを考えたり、作業量に応じた人員の重点配分をしたり、また、班から班に票の回付担当の専任を置いて票が滞留しないようにしたり、あと、計数機を増設したり、さまざまな取り組みが行われています。

 今後も、事務の円滑化と選挙の適正な管理、執行の両立という観点から、ことしの夏の選挙に向けましても情報提供を行っていく予定でございます。

大西(健)委員 この記事の中にもありますけれども、「地方自治法は「効率的な事務処理」、公選法は「迅速な開票」を求めている。今までの開票は、法律違反していたことにもなる」と書いてあります。そういう意味では、北川先生がこういう運動をしていただいているということでありますが、総務省としても、好事例というのを横展開していただいて、効率化、迅速化というのを進めていただきたいなというふうに思っております。

 次に、きのう、ANAの国内線システムのシステム障害がありまして、一日で百二十便以上欠航したということで、委員の皆さんの中にも影響を受けた方がいらっしゃるかというふうに思います。

 今回、共通投票所を設置する場合にはネットワークを構築しなければならないということになっています。これはネットワークですからシステム障害というのはつきものだと思いますけれども、システム障害が起きた場合に具体的にどのような対応をとられるのか、ちょっとイメージができない部分があるので、御説明をいただきたいと思います。

大泉政府参考人 共通投票所の設置に当たりましては、市町村選管において二重投票の防止を講じることが法律案にも規定されておりまして、ネットワークやシステムの障害が生じた場合の対応策についてもあらかじめ検討しておく必要があると考えております。

 その具体例で、対応策としてでございますが、例えば、共通投票所での投票者がそんなに多くないというような場合でしたら、投票所入場券の本人確認を徹底しまして、持参しなかった有権者等については、電話やファクスなどの機器を利用することにより、既に投票したかどうかという確認をするというような方策も考えられると思います。

 一方で、投票者が多くて二重投票防止の措置がどうしても講じられないような事態に陥ってしまった場合には、市町村選管の判断によりまして、共通投票所の閉鎖時刻を繰り上げたり、投票区での投票所での投票に誘導したりすることもやむを得ない事情もあると想定はされます。

 トラブルが起きないように準備すること、システムをきちっと点検することなども重要でありますけれども、これまでも期日前投票所を複数設置していた場合においては二重投票防止の措置を講じているところでありまして、これまでそのようなトラブルがあったところでは、そのノウハウも活用して、市町村選管において適切な対応をしていただきたいと考えております。

 総務省といたしましても、オンラインによる名簿対照を行う場合について、電気通信回線のセキュリティー確保などを内容とする技術的基準を定めようと考えております。その基準の中で、ネットワーク等の障害が生じた場合の対応策につきましても、あらかじめ定めておくよう求めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 今の御答弁を聞いても、私は、やはり各自治体の選挙担当者も実際そういうことが起きるとパニックになるようなこともあると思いますので、事前に、こういうときにはこうするんだみたいなことを総務省としてしっかり自治体に知らせるとともに、研修等も行った方がいいんじゃないかなというふうに思いました。

 次に、先ほど落合委員も触れられましたけれども、政府案と民主党案との違いの一つに、地方議会議員選挙における政策ビラの頒布の解禁というのがあります。

 資料の二ページ目、一ページ目の裏ですけれども、左側に載せておいたのは、地方公共団体の長の選挙における選挙運動用ビラの頒布ができるようになった平成十九年の改正時に、選挙時報という雑誌に総務省選挙課理事官の古賀さんという方が書かれた文章の抜粋であります。

 ここにあるように、当時、首長選挙に限って解禁した理由は必ずしも明らかではなくて、このときには、特に首長選挙でローカルマニフェストを配りたいという要望が知事会等からあったので、まずは首長選挙だけ解禁するということで、地方議会議員選挙に解禁しないという理由は、特にこれといった理由はないんだということが書かれています。

 また、同じ二ページの右側に載せた記事ですけれども、これは、ある、二〇〇九年の都議選に出られた、脳性麻痺で言葉と手足が不自由だという方。なかなか普通の人のように、同じ時間で伝えられる内容というのが健常者の半分ぐらいになる。こういう方にとっては、ビラが配れないというのは、決定的に選挙運動が制限されるということになるということであります。

 先ほどの落合委員の質問に対しての政府の答弁を聞いていても、費用の話ぐらいしかない。ただ、費用も、さっき言われたように、今、非常に印刷費用も安くなっていますので、先ほど言われたような枚数であれば大した費用はかからない。また、それでも嫌だという人は配らなきゃいい話であって、私は、地方議会議員選挙に解禁しないという理由は全く見当たらないというふうに思いますが、改めて、この点について提出者の御答弁をいただきたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、有権者としての候補者を知る機会の拡充は、やはり国民の知る権利に資するものだと思いますし、また、候補者として有権者に政策等を知っていただく機会を保障するというのは、表現の自由あるいは被選挙権の保障という意味合いもあると思いますし、大西先生がお配りの右側の記事などを見ますと、話すことが難しい方にとって本当に深刻な状態になっているといったことも考えなきゃいけないというふうに思います。

 今御指摘のあった、費用の増加という面があるのではないかという先ほどの政府側の答弁でございますが、印刷の数がそれほどでなければ大した費用ではないのではないかという落合先生の先ほどの御指摘もありましたし、もし公費のことを言うのであれば、今回の我々が出している案では公費負担はないということになっておりますが、あえて言うと、貼付するシールのお金とか、そういう非常に小さい額のお話なんじゃないかと思います。

 候補者本人の費用の負担ということに関して言えば、これはむしろ、立候補されて選挙を経験されている政治家の先生方は皆さん御存じだと思いますが、告示日より前にさまざまな活動を行うわけでございます。法律で認められているさまざまな行動もできるわけでございまして、その中で、何らかの印刷物を後援会の関係ですとかに配布したりすることも当然あるわけでございまして、こういったものとの関係からしても、告示日以降の選挙本番期間の費用の増ということだけを理由にするのは、やはり合理的でない。つまり、地方議会選挙のみビラの頒布を認めないことには、私は理由がないというふうに思います。

 しかも、先ほど政府側の答弁でも、これについては各会派の御議論というお話もございました。まさに選挙を経験しておられる政治家としての各会派の議論の中で、この議論はぜひ成立させていっていただきたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

大西(健)委員 今、後藤提出者からお話があったように、選挙期日前には、確かにいろいろな印刷物が配られているわけです。肝心の選挙の期間中に何も配れないというのはやはりおかしいと思いますし、各党各会派という面においても、私は、反対する会派はおられないんじゃないかと思います。また、地方の議会からも、各党各会派合意して、意見書というのも多数上がっておりますので、これはぜひとも、きょうのこの委員会の議論を踏まえて、政府としても早急に御対応いただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 今回の法改正というのは、投票環境を向上させることによって投票率を上げていこうという内容でありますけれども、それに関連して、以下、投票率の向上や選挙権年齢の十八歳引き下げに関してお聞きをしていきたいと思います。

 まず、よく最近の若者は選挙に行かないというようなことを言う人がいますけれども、私は、この前提というのが間違っているというふうに思っています。

 資料の三ページ目、二枚目の表ですけれども、これは年代別の衆議院選挙の投票率の推移を示したものです。例えば、私は昭和四十六年生まれですけれども、四十七年、第三十三回選挙を見ていただくと、この四十七年の選挙においても、一番投票率が低いのは二十代なんです。では、このときの二十代の人が今幾つになっているかというと、六十代、七十代になって、最近の若いやつはと言っているんですね。

 それは、例えば平成五年、私が多分最初に投票した衆議院選挙がこの選挙じゃないかと思うんですけれども、このときも、やはり一番投票率が低いのは二十代です。これは、平成二十六年、直近の選挙も一緒なんです。つまり、いつの時代も二十代の人は投票率が低い。これは今に始まった話じゃなくて、昔からそうなんです。

 でも、これは、考えてみれば当たり前のことであって、ちょっと語弊がありますけれども、二十代から政治に関心があって、選挙にめちゃめちゃ関心があるというのはちょっと気持ち悪いやつで、そういうものではなくて、人間というのはだんだん、加齢とともにさまざまな帰属集団、例えば会社に入る、家を買って町内会に入るとかいって、いろいろな帰属集団に所属することによってしがらみがふえていって、選挙に行かないという行動がとりにくくなってくるから、だんだん投票率が上がっていく。ただ、七十代とかになると、健康の面で投票に行かない人も少しふえて、ちょこっとだけ減ってくる。こういう傾向だというふうに思います。

 私は、そういう意味では、投票率の低さを今の若者のみに特徴的な現象だというふうに考えること自体が、投票率を上げていこうといういろいろな政策の取り組みを誤らせる部分があるのではないかというふうに思いますが、今私がお話ししたことについて、大臣の御所見をいただきたいと思います。

高市国務大臣 確かに、昔から他の年代に比べて若い方々の投票率は低い傾向にありますね。今、大西委員がお配りくださった配付資料、これがとてもわかりやすいんですが、総務省の資料でございます。

 この記録に残っている中で最も古い昭和四十二年の衆議院議員総選挙の年代別投票率では、二十代の投票率が七十代の方の投票率よりも高くなっています。また、二十代の方々の投票率は、このとき最も投票率が高かったのが昭和四十二年は五十代でいらっしゃいますが、この五十代の方々の約八割だったんですけれども、直近の平成二十六年の衆議院選挙を見ますと、最も投票率が高い六十代の方の半分以下になってしまっていますので、近年若い方々の投票率が著しく低くなっている傾向にあるということは確かだと思います。

 ただ、全体の投票率も低くなってきていますので、これはしっかりと啓発活動をしていかなきゃいけないんですけれども、特に若い方々、今回選挙権年齢が引き下げられますので、主権者教育、周知啓発には引き続き取り組んでまいります。

大西(健)委員 確かに、二十代、平成二十六年で見ると三二%、ほかの年代の半分以下ということ、これは問題だというふうに思いますが、先ほども申し上げましたように、若い人だけが何か選挙に行かないみたいな言い方が、逆に、どうせ俺たちはそうだよみたいな、そういうちょっと卑屈なイメージを植えつけるようなことにもなってしまうんじゃないかと思うので、そこはちょっと冷静に、今大臣の御答弁にあったように、冷静な分析が必要ではないかなというふうに私は思っています。

 もう一つ、米国の大統領選挙等にいろいろなコメントをされている横江公美さんという政治アナリストがいますけれども、シチズンシップエデュケーションに関して意見交換をしたときにこういうことを言われていて、私は少し目からうろこが落ちる思いがしたんです。

 それはどういうことかというと、アメリカでは投票率ということにそんなに重きを置かないんだ、というのは、とにかく投票しやすい環境をつくって、便利にして、何も考えないで投票する人がふえたとしても、それ自体がいいことなのか、むしろ投票率よりも投票の質を上げるということに重きを置くというのがアメリカでは普通の考え方なんだということを言われていました。

 なるほどなと思ったんですけれども、私も、投票率は低いより高い方がいいと思いますが、とはいえ、では、ぽちっと押せば投票できるようにすることが、何も考えずに投票する人がふえることが果たして民主主義をよくするのかということは、やはり少し考えなきゃいけないのかなというふうに思ったんです。

 大臣も、米国の下院議員事務所でも働いたことがあるということでありますけれども、アメリカでは余り投票率ということにはこだわらないという今のお話について、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

高市国務大臣 投票率の向上とともに、みずからの考えに基づいて投票することという、恐らく質の向上ということになるんでしょうが、それも重要だと思います。特にアメリカの場合は、いきなり投票に行くんじゃなくて、事前登録の制度もありますから、より積極的な意思を持った方が投票に行っておられるんだろうと思います。

 やはり、政治や社会の問題をみずからの問題として捉えて考えて、判断して行動する、そういう主権者の方々が多くなるということが大変重要です。だから、情報を収集して、的確に読み解いて、考察して、判断するという学習や体験を積み重ねることによる政治的なリテラシーの向上を図ることが必要だということを考えまして、昨年、全ての高校生に副教材も配付いたしました。

 また、既に働いておられる十八歳、十九歳の方もいらっしゃいますので、私自身も経団連の幹事会にも出席し、会員企業の方々に周知啓発活動の協力を依頼しましたし、各経済団体にも、全国組織の代表者にですけれども、総務大臣書簡を発出しまして、各会員の皆様への働きかけをお願いしました。

 そのほかにも、地域の明るい選挙推進協議会で研修会や話し合い活動をしていただいておりますので、しっかり各選管や地域の明るい選挙推進協議会、教育機関と連携をしながら主権者教育を推進してまいりたいと存じます。

大西(健)委員 御答弁のとおりで、だからこそ、自分の頭で考えてしっかり投票することの重要性というのを、まさにシチズンシップエデュケーションだと思いますけれども、私はしっかりやっていかなきゃいけないと思っています。

 資料の次のページに会議録の抜粋を載せているんですけれども、左側、これは昨年の予算委員会分科会の自民党の宮川委員の発言ですけれども、ちょっと読ませていただくと、「多くの高校生は、クラスの担任の先生が言った人に多分投票すると思います。なぜなら、よくわからないからです。もしくは、親御さんがこの人に投票するのよと言った人に多分投票するというのが、申しわけないですけれども、実態だと思うんですね。」

 私は、この発言というのはちょっと高校生をばかにしているんじゃないか。高校生だってちゃんと考えていますよ。だからこそ、先ほどおっしゃったように、シチズンシップエデュケーションをしっかりやって、そしてそういう若い人たちにちゃんと投票してもらう。そうじゃないと、何のために選挙権年齢を十八歳に引き下げたのかわからないというふうに私は思います。

 それから、ただ投票率を上げるだけなら、私は、言い方はあれですけれども、手っ取り早いのは、選挙を義務制にすればいいと思うんです。

 大塚拓委員と私、一緒にオーストラリアに行かせていただきましたけれども、そのときに、選挙管理委員会のようなところにもお邪魔をしました。オーストラリアでは、投票に行かないと罰金が取られます。そんな高い罰金じゃなくて、日本円でいうと大体二千円から五千円だというふうに聞いていますけれども、ただ、その結果、オーストラリアは、投票率というのは大体九〇%を超えている、九〇%から九五%ぐらいあるということです。

 日本でも五千円取られるということになると、若者も、それだったら投票は行くかという話になるんじゃないかなというふうに私は思います。そういう意味では、だから投票率だけ上げるということなら、そういう考え方もあるというふうに思います。

 さっきの会議録の右側ですけれども、自民党の永岡洋治委員が憲法調査会でこういう発言をされています。投票は選挙権の裏返しとしての国民の義務であるとの規定を憲法に明記することを主張したい、実際にイタリア憲法の四十八条二項などは投票の義務を定めており、諸外国との比較においても、決して特殊な規定ではないと思いますと。

 私は、これは一つの考え方ではないかと思うんですけれども、大臣、この投票の義務制ということについてどのようにお考えになるか、御所見をいただきたいと思います。

高市国務大臣 現行憲法に規定されている選挙権の性格でございますが、これも権利であると同時に、公務員の選定という公務の性質をもあわせ持つという学説が多数説であると承知しています。

 罰金などのペナルティーを伴う投票の義務化ということなんですが、選挙権は、仮に公務としての性格を踏まえたとしても、ペナルティーを科すことによって国民を強制し得るような性質を有するものなのかどうかということ、それから、選挙権の行使というのは、選挙人御本人の自覚にまつべきであって、外部からの強制によるべきではないのではないかという考えもあります。

 先ほど、投票率よりも、どちらかといえば投票の質といった論点からお話をされたと思いますけれども、そういったさまざまな議論があります中で、慎重に検討すべきものだと思います。

大西(健)委員 まさにそういう意味で私もさっき申し上げたんです。だから、投票率だけを上げるんだったらこういうやり方もありますよと。ただ、大臣にも御答弁していただいたように、投票率だけにこだわることが本当に正しいのかどうなのかということも考えなければならないというふうに私は思います。

 十八歳への選挙権年齢の引き下げというのは、若年層の声をより政治に反映させるため、あるいは若年層が不利益を受けないようにするためという意味があると思いますけれども、ただ、残念ながら、二歳分引き下げたとしても、そういう意味においては焼け石に水のところがあるんじゃないかというふうに私は思います。

 そういう考えに立つと、思い切って選挙権の年齢要件をなくして、例えばゼロ歳の赤ちゃんにも選挙権を認めればいいという考え方も出てきます。ただ、ゼロ歳の赤ちゃんは当然選挙権を適正に行使できないですから、例えば母親に代理の投票を認めるということになります。

 これは荒唐無稽な話かというと、資料の最後のページの表面ですけれども、ハンガリーで与党が、子育て中の母親には二票を与えるという憲法改正案を実際に提出しようとした。ただ、結果的には反対が多くて断念をしたということなんですけれども。

 ここにあらわれている考え方というのは、一人一票の選挙では、高齢者がふえれば、政治家はその声を重視しがちだ、今の受益者が優先され、痛みを伴う選択は先送りにされる、将来のことを考えるには、若い世代の声が反映されなければならない、そういう考え方に基づいてこういう大胆な提案がなされたということだと思います。

 今、待機児童の問題とか保育の問題が国会でも大変な焦点になっていますけれども、例えばママなら二票というのがあれば、こういう問題ももっと放置されずに進んでくるということもあるのかもしれません。

 そういう意味で、この子育て中の母親には二票与えるという考え方について、高市大臣の政治家としての率直な感想をお聞かせいただければと思います。

高市国務大臣 委員が紹介されたハンガリーの、いわゆるドメイン投票制でございますか、これも若い世代の意見を政治に反映させるといった趣旨だったんだろうと思うんですが、ただ、子供のいない人には一票、子供のいる人には複数票ということになっちゃいますので、そうなりますと、憲法上の投票価値の平等の観点などから、相当これは慎重に考えなきゃならないと思います。

 それからまた、常に親御さんが子供さんのことを考えて合理的に行動し、複数の投票権を行使するとは必ずしも言い切れないのではないか。つまり、親世代と子供世代の利益が相反する場合というのが起きたときに、恐らく親世代が自分のために投票するということも否定できない。さまざまな課題があると思います。

 過去の最高裁判決もございますので、なかなか憲法の投票の価値の平等との観点から困難な課題だと思います。

大西(健)委員 ハンガリーでも、残念ながら四分の三が反対ということですので、かなり物議を醸したということです。

 この記事の右側の四角の囲みの部分、「日本では」と書いてあるところに、例えば日本では年齢別選挙区というのを提唱する研究者もいると。これについて、一番下のところですけれども、「年を取るにつれて一票の価値は下がるが、生涯を通じて見れば「投票価値の平等」は担保できる」。

 投票価値の平等ということでいえば、こういう考え方もありますよということですので、先ほどのハンガリーの例はかなり極端な例かもしれませんが、こういうような考え方というのもいろいろな意味で今後は研究に値する部分があるんじゃないかというふうに私は思いますので、申し上げておきたいと思います。

 最後に、いわゆる落選運動についてお聞きをしたいと思います。

 資料の最後のページでありますけれども、ことしの夏の参議院選挙では安保関連法案に賛成した議員を落とそうという落選運動が広がる可能性があるんじゃないかということが、この記事では指摘をされています。また、韓国では、一時期、この落選運動というのが盛んに行われて、一定の威力を発揮したということも言われております。

 記事では、落選運動というのは、結果として特定の候補者の当選につながらない形であれば、これは選挙運動には当たらない、選挙運動には当たらないということは、公務員や未成年者もできるということが書かれています。

 この点について、公職選挙法上認められる落選運動というのはどういうものなのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

高市国務大臣 公職選挙法上、落選運動について、直接これを規制する規定はございません。

 古い判例においては、選挙運動とは当選を目的としてなされる行為であるから、相手方の落選を目的とする行為が自己の当選を図ることとなる場合も選挙運動となるわけであるが、単に特定の候補者のみの落選を図る行為は選挙運動とは言えない、そういう判例があります。

 一般論で申し上げますと、例えば、候補者が二人しかいなくて、一方の落選運動が必然的に他の候補者の有利になる場合など、態様によっては、結果として選挙運動と認められる場合もございます。

 選挙運動と認められる場合は、公職選挙法上の選挙運動としての規制というのがかかってまいります。

 例えば、公職選挙法二百三十五条の第二項、当選を得させない目的をもって候補者となろうとする者もしくは候補者に関して虚偽の事項を公にし、または事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役もしくは禁錮または百万円以下の罰金が科されるというようなことであったり、あとは、ウエブサイト、電子メールを利用する方法の場合は、公職選挙法第百四十二条の五がございます。当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、電子メールアドレス等を正しく表示することが義務づけられている、違反した場合は、公選法二百四十四条において、一年以下の禁錮または三十万円以下の罰金が科される。

 規制されているのは以上でございます。

大西(健)委員 この記事にもありますけれども、選挙に勝ったから何でもできるのか、あるいは、反対なら選挙で落とせばいいじゃないかみたいな発言に対して、有権者の憤りがこういう運動を生んでいるんじゃないかというような分析もあります。

 時間になりましたので終わりますが、今回の法改正というのは、投票環境を向上させて投票率を上げるということが目的ですけれども、繰り返しになりますけれども、投票率さえ上がればいいのかということではなくて、選挙はデモクラシーのぜんまいという言葉がありますけれども、民主主義を推進するためにどういう選挙をしたらいいのかということを考えなければならないということを申し上げて、私の質問を終わります。

山本委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 高市大臣に質問します。

 安倍総理は、二月二十九日の衆議院予算委員会で、衆議院選挙制度調査会の答申について次のように述べています。この答申が言っていることは、定数削減については実は、定数削減する必要はないということを結論として出していますと語っています。

 高市大臣は、この発言と答申をどう受けとめておられますか。

高市国務大臣 衆議院選挙制度に関する調査会の答申において、定数削減については、「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い。」「一方、衆議院議員の定数削減は多くの政党の選挙公約であり、主権者たる国民との約束である。」とされていると思っております。

穀田委員 それは文章を、同じことを言っているだけで、大臣の見解はいかがかと聞いているんですよね。総理大臣は、この答申の結論部分は何かという核心の問題について、定数削減ということは必要ないというふうにこの答申は述べているということを断言したわけで、そういうことについて大臣はどう思っておられるかということを聞いたわけですやんか。政治家として、何か答申の中身をそのまま読んでくれという話をしたわけじゃないんですよ。だから、よう聞いてくれないとあきませんわな。

 それから、その調査会設置の議運議決の中で、各党は答申を尊重するとしているわけですけれども、これも事実は、尊重するというこの文言自身を多数決で押し切ったというのが事実であります。

 私は、この答申が提出されて以来、議長ともいろいろお話し合いをしました。それは新聞で御承知かと思うんです。議長が各党を呼び出して話を聞いているだけで、きょうもニュースが流れていましたけれども、全党で集まってこの答申について議論したことはありません。各政党がそれぞれの意見を持ち、議論することが立法府の仕事ではないかと私は考えているわけです。

 さらに、安倍首相は、どのように変えていくかということについては、共産党や社民党といった党等も存在し、そういう党との議論も必要だということは申し上げているとおりと答弁しているわけです、同じ日に。

 高市大臣に聞きたいんだけれども、前回の当委員会で何度も、議会政治の根幹にかかわることですので、各党各会派において検討されるべきと答弁されています。

 選挙制度というのは、全党が参加し、議論をすべきと考えるわけですけれども、今の議長のやり方でいうと、そういうことをやられていないという実態についてどう思われますか。

高市国務大臣 さっきはすんませんということで。

 定数削減を含めまして、この衆議院制度改革につきましては、調査会のこの答申を受けて、大島衆議院議長のもとで議論が行われております。

 その場合に、三月四日、七日、八日ですか、大島衆議院議長と各党との個別協議が行われたと聞いております。当然、日本共産党、また社民党も含めて、それぞれの党の意見を適切に聴取され、その運営につきましては、大島議長が仕切っていかれるものと考えております。

 私の個人的な意見は申し上げられません。これは、あくまでも衆議院議長のもとで検討がなされていることでございます。

穀田委員 公的には衆議院議長であることは事実です。だけれども、その方がこういうことをやっていいとか悪いとか、そう議院運営委員会で決めたこともありません。ですから、それについて物を言うのは自由なはずです。私は、普通そうだと思うんですよね。

 何でこんなことを言っているかというと、議員定数の削減について、調査会の議論では、議席は有権者にとって選ぶ権利である、代表者を派遣する権利を有権者が持っているということが、議席が削減されることによって事実上弱体化する、削減する、さらに、有為な人材を集めることによる国民の代表議会としての国会の機能強化、行政府との緊張関係の維持等の要素を考慮する必要がある等々の意見が出されているわけですよね。それは御存じかと思うんですよ。これは報告書ですから、知っていると思うんですけれども。

 したがって、大幅に定数削減することは適当であるとは言えないというのが調査会の大体の意見になったと座長は説明しています。

 安倍総理も私の質問に対して、行政府の長である私が議員の削減の話をするというのは、本来、私も抵抗を感じている、行政府の長としては、チェックする皆さんの数を減らすということについて、積極的にどんどん減らした方がいいということを言うべきではないと述べて、さらに、二月二十九日の予算委員会でも、それは変わりがないと述べています。

 私は、選挙制度は民主主義の根幹であって、今大臣が言われたように、議長のもとでいろいろな話し合いをやられているというわけだけれども、その中での結論を三月中に出せなどという拙速なやり方で、一部の政党が多数の力で押し切ることは許されない。

 何でこんなことを言っているかというと、この委員会のありようにかかわることなんですね。朝ぽこっとやったり、昼ぽこっとやったり、まともな時間をとって、真剣に民主主義の土台という問題を議論に付するにふさわしく、時間をかけてきちんとやるということをやられていないということが、ここの特徴だからですよ。そういうやり方も、したがって、全党参加の協議を行うことを提案するということを言っておきたいと思うんです。

 そういう意味では、選挙にかかわる皆さん方がそういう声を上げると確信して、言っておきます。よろしいな。

 そこで、十八歳選挙権が施行されることしの参議院選挙について、一言言いたい。

 ことしから、二百四十万人の若い方々が、新たな有権者として初めて選挙を経験することになります。初めての選挙で投票ができなかったら、その後も投票に行かない傾向があります。この方々の投票機会の平等を確保できているのか、ただしたいと思います。

 若い方々の投票行動はどうなっているか。二十代、三十代の十八時以降に投票した有権者の比率を述べてほしいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 明るい選挙推進協会が実施した平成二十二年、二〇一〇年の参議院議員通常選挙の全国意識調査というものがもとでございますが、これにおきますと、二十歳代及び三十歳代の有権者のうち十八時以降に投票した人の割合は一五・二%でございました。

 また、翌年、二〇一一年、平成二十三年統一地方選挙の同様の意識調査によりますと、これはそれぞれ、二十歳代、三十歳代、別にとったものでございますが、二十歳代のうち十八時以降に投票した人の割合は一三・三%、三十歳代の有権者のうち十八時以降に投票した人の割合は二三・三%となっております。

穀田委員 今の数字で、皆さんお聞きになったように、若い世代において、十八時以降の投票者が非常に多いということがおわかりいただけると思うんですね。

 では、全ての投票所が、公選法に定められているとおり、二十時まで開いているのかどうか。

 一九九六年以降の総選挙における、閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合を述べてください。

大泉政府参考人 一九九六年、平成八年以降の衆議院議員総選挙において、閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合を申し上げますと、平成八年が五・七%、平成十二年は八・七%、平成十五年は一九・七%、平成十七年は二四・四%、平成二十一年は三〇・二%、平成二十四年は三三・五%、直近、平成二十六年は三五・二%となっております。

穀田委員 今お話があったように、九六年総選挙時、時間繰り上げの投票所は五・七%、六%程度だったものが、九七年に十八時まであった投票時間が二十時まで延長される、そして二〇〇〇年の総選挙時は九%程度。それが、回数を経るごとにどんどん割合が高くなって、今では三分の一の投票所で閉鎖時間の繰り上げを行っているわけであります。

 若者のそういう投票機会の確保のためには、閉鎖時間の繰り上げというのは逆行しているんじゃないでしょうか。総務大臣にお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 投票の権利というのは民主主義の最も基礎的な部分でありますから、投票の機会を広く確保するということは極めて重要でございます。

 投票所の閉鎖時刻の繰り上げなどにつきましては、公職選挙法において、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合等に限って行うことができるとされています。

 ですから、投票所の閉鎖時刻の繰り上げ等については、この法律の趣旨をちゃんと踏まえて、各選挙管理委員会において、地域の実情も考えながら、十分な検討を行った上で対応をしていただいていると考えています。

 投票環境の向上について、今、法律案を審議していただいておりますけれども、これまでの選挙におきましても、特に、若い方々の投票しやすい環境ということも考え、投票所や期日前投票所は、駅構内やショッピングセンターなど頻繁に人の往来がある施設においても設置することが可能であるので、当該施設への設置について十分検討の上、積極的に措置してくださいといったことなど、各都道府県の選挙管理委員長宛てにも細かい通知を出しております。この夏に向けてもそうさせていただく予定でございます。

穀田委員 総務大臣は、記者会見でも、地域の実情を十分精査して十分な検討を行うなど、投票機会の確保について十分に配慮するよう助言、要請しております、こう言っていますわな。

 一方、では、答弁を聞いていますと、早朝から昼にかけての方が投票に集中している、中山間地は夕方から夜間の投票に危険を伴うなどの理由を挙げていますけれども、そういう例を、縮めているところの例を挙げるわけだけれども、これは私どもの塩川議員も何度も言っていますけれども、例えば九九%の投票所で投票時間を短縮している群馬県、九九%ですよ、それはひどいという話ですわな。しかも、人口三十万人を超える前橋市や高崎市のような大都市部でも、全投票所で閉鎖時間が繰り上げられている。これはいかに何といっても、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないかと思うわけです。

 私は、これから若い方々に選挙に参加してもらおうというときに、この実態をどうするのかということについての見解を聞きたいと思います。大臣。

高市国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、まずは公職選挙法をしっかり守っていただくということです。

 市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合等に限り、投票所の閉鎖時間の繰り上げということができるわけでございますので、今後も引き続きしっかりと要請をしてまいりたいと考えております。

穀田委員 要請の基本的立場というのが求められているわけですよね。その政治的見解が余りないんだよね、大臣の話を聞いていると。

 つまり、これはやはり、同じ県なんかでいいますと、他の都市部がやると合わせてやるという傾向が物すごく強いわけやね。それでどどどっとふえたのがこの間の実態やね。だから、そういうものに対して、歯どめをかけるべきだと思っておられるのか。若い方々のそういうことからして、これはあかんでと、物事をずばっと言う必要があるわけですよね。

 それはもちろん、決めるのは法律に従ってやる、そんなことはわかっている話であって、わざわざ通知まで出しているというのは、そういう意味なんだぞとわからせる必要があると私は言っているわけですよ。

 十八歳の選挙権をめぐって、主権者教育が議論になって、特に、高校生の政治活動を届け出にして制約しようとしているような動きも出ているわけですよね。若者の間では、ネット上なんかを見ますと、間違った人を選んだらどうしようというような不安とか、選挙権を持つことの戸惑いの声も聞かれているんですね。そういう状況をよく見ながら、やはり民主主義とは何かと。同時に、もっとざっくばらんに、選挙というのはそういうものだということで知ってもらうようなやり方だとか、きちんと啓発行為を十分にしていく必要があると思うんですね。

 私は、その意味で、若者だけじゃなくて、現時点での有権者を含めて、大きく啓発していくきっかけの年にことしをしなければならないと思うんです。

 そこを考えてみますと、啓発のためには当然経費もかかるわけですけれども、選挙啓発に係る予算を聞きたいと思うんです。

 明るい選挙推進費、うち明推協委託費、参院選啓発費、それらの合計を、〇七年参院選、一〇年参院選、一三年参院選、今年度案について、それぞれ簡潔に述べてほしいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇七年、平成十九年の明るい選挙推進費、それから参議院選挙啓発費、合計で十五億九千八百十七万四千円でございます。二〇一〇年、平成二十二年の選挙につきましては、合計で六億七千百三万円でございます。二〇一三年、平成二十五年につきましては、合計で五億三千三百五十五万四千円となっております。

穀田委員 二〇一六年の案は六億円だということも、ちょっとせっかくやから、一々立って来るのはかわいそうやから、言っておきます。前回改定よりも確かに今年度は、そこを強調せなあかんですやろ、あんたのところは。

 十八歳選挙権の周知徹底のための経費を計上しているといったとしても、皆さん、今、数字を聞きましたやろ、二〇〇七年は十六億円なんですよ。ことしの案は幾らか。六億円ですやろ。がばっと減っていますやんか。新しい事態をどう迎えようかとしているときに、がばあっと減らしたのをちょこっとふやして、それでよしなんとしているなんというその根性があかんと私は言っているんですよ。

 だから、民主党政権の時代に、残念ながら、事業仕分けとかなんとかいって大幅にカットされたものだけれども、本当に必要な経費を削っているんじゃないか、本当にそれかということを私は言いたいと思うんですね。

 そこで、十八歳選挙権が施行されるため、選挙人名簿に記載されない事態を排除するために、旧住所で投票できるように今国会冒頭で法律を成立させたばかりなんですよね。皆さん、責任を持ってやったわけですやんか。ことしの参議院選挙では、進学、就職などで引っ越しをした十八歳、十九歳、総務省の試算によれば約七万人は不在者投票が不可欠であって、複雑で手数がかかる不在者投票所の周知徹底が必要で、当然、経費が増額されなければならないと思うんですね。それにしてはこの程度だという話を、それは申しわけないという一言ぐらいあってもええわけやけれども、選挙人名簿に関連して一つ聞いておきたいと思うんです。

 審議の際にも我が党議員が質問しましたけれども、高校卒業後、親元を離れて進学した大学生などの約三割しか住民票を異動していないという調査もございます。ひとり暮らしをしている学生などの住民票異動をどのように促すのか。もう高校を卒業した方たちも多いと思うんです。私は、大学側が新入生に、新住所に住民票を異動したかどうかを確認する方策を考えてはどうかと思うんですけれども、高市大臣の見解を聞きたいと思います。

高市国務大臣 選挙人名簿への登録は、住民基本台帳の記録に基づいて行われることになりますので、総務省としましては、これに適正に対応していただくために、住民票の届け出に関して、これまでも周知、協力依頼を行ってきております。

 ことしの二月二十九日にも、大学における入学時のオリエンテーションなどを利用した周知について、文部科学省を通して協力をお願いしています。

 ことしの夏の参議院選挙には、十八歳以上の有権者が初めて投票する見込みですので、各選挙管理委員会や大学と協力し、また私の方から経済団体にもお願いをしておりますけれども、住所変更の届け出、選挙人名簿の制度、これに適正に対応していただき、またしっかりと投票に行っていただけるようにという啓発を続けてまいります。

穀田委員 そこで、事務方にもう一度お聞きしたいんですけれども、私は、大学側が、入学に当たって、当然移動してくるわけですから、自分の住所を。そのときに住民票を持ってきてくださいというふうにすることは違法なんですか。

大泉政府参考人 先ほどは大変失礼いたしました。

 今のお尋ねでございますが、生活の本拠に住所を移していただくということが住民基本台帳法上定められておりますので、それに移していただくということになると思います。

穀田委員 先ほど来、高市さんは法律を守るということで投票所の話を一生懸命してはりましたから、ということは、逆に、今の話で言うと、持ってきてもらうということについて大学側が依頼をしても、それは違法でないということだと。ということは、法律を守っていただくということは、積極的にそういうこともやっていただいてもいいということを確認しておきたいと思います。それでよろしいな。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 住民基本台帳法上は、生活の本拠に住所を移すということでございます。

穀田委員 ということだと。生活の根拠はそこへ来るわけやからね。

 最後、時間の範囲内で聞きたいと思うんですけれども、この二十年ほどの間に、さっき言ったように、投票所が一割も減少しているということで、投票所が少なくなるということは、投票所まで遠くなった人たちがいるということなんですね。

 先ほどあった財団法人の明推協のアンケート調査によれば、二〇一四年総選挙、投票所までの時間が五分未満の人の投票参加率は七七・五%、五分から十分未満の人は七一・六%であるのに対して、十分以上になると、十分から二十分未満の人が五八・四%、さらに二十分以上の人は五八・六%と一気に低下する。これは明推協の分析なんですよね。

 これまで、基準改定によって、投票所の経費は大幅に削減されてきました。選挙経費の削減が、投票所数の減少や閉鎖時間の繰り上げにも拍車をかけているんじゃないか。有権者の投票権を保障するには、投票所そのものをふやし、投票時間はきちっとあけておく。そのために、予算も人員も配置する必要があると思うんですね。

 したがって、投票所や投票時間が自治体によってばらばらに行われては、全国一律で行われる国政選挙において、投票の機会の公平が確保されているとは言えないんじゃないでしょうか。その辺の見解を聞きたいと思います。

高市国務大臣 平成二十八年執行予定の参議院議員通常選挙における委託費につきましては四百七十六億円で、前回の平成二十五年の予算額に比べて二十九億円、六・五%の増であります。選挙の執行に必要な額は確保しているところです。

 投票所数ですけれども、中山間地域における過疎化による選挙人数の減少ですとか、市町村合併を契機とした投票区の見直しによって減少をしてきています。

 投票所が近い方がより投票に行きやすいということなんですけれども、各選挙管理委員会に対しまして、投票区の増設ですとか、あと、閉鎖時刻について、地域の実情に応じて対応していただくということと、それから、移動が困難な方に対する巡回バスの運行などについても、新たな取り組みについても要請しておりますので、引き続きしっかりと要請をしてまいります。

穀田委員 話を聞いていると、予算をふやした、予算をふやしたと言うているけれども、それはよう中身を見てみなあきませんわな。投票に関する、投票所だとかその他に関する費用というのは、それは前回に比べたらちょっとふえてまっせ。だけれども、昔から比べたら、がばっと減っているんですよ。

 その基準は何かといったら、投票所の開票時間を、当時六時間あったものを早うせいといって四時間まで下げておいて、三十分ばかし延ばしたからといって、費用はばあんと減らしている、こんなやり方をしておったら、それはあかんということだけ言っておきますわ。

 だから、もう時間が来ていますので終わりますけれども、やはり今、民主主義の問題が問われている時代にいよいよ来ているわけじゃないですか。そのときに、そういう新しい時代に迎えつつある選挙権の十八歳実施も行うというときにこそ、民主主義のコスト。

 何かというと政治に金がかかるといって、企業献金だ、団体献金だ、それから政党助成金だといって、民主主義のコストをどう負担するのやと皆さん言わはりますやんか。そんなもの、選挙に対する費用ぐらい民主主義のコストとしてきちんと負担せよと。ないのやったら政党助成金を減らしたらええやないかということだけ言っておいて、終わります。

山本委員長 これにて、ただいま議題となっております両案中、内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、本案に対し、平沢勝栄君外四名から、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党及び改革結集の会の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。黒岩宇洋君。

    ―――――――――――――

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黒岩委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表し、その提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本修正案は、公職選挙法の改正に関する部分について、期日前投票所の増設等に関する規定及び期日前投票所の開閉時間に係る検討条項を追加しようとするものであります。

 本修正案の内容は、第一に、市町村の選挙管理委員会は、期日前投票所を設ける場合において、当該市町村の人口、地勢、交通等の事情を考慮して、期日前投票所の効果的な設置、期日前投票所への交通手段の確保その他の選挙人の投票の便宜のため必要な措置を講ずるものとする規定を置くこととしております。

 第二に、期日前投票所の開閉時間については、この法律の施行後における期日前投票の実施状況等を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて、期日前投票所を開く時刻の繰り上げその他の必要な措置が講ぜられるものとする検討条項を附則に置くこととしております。

 以上が、本修正案の提案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

山本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、国会議員選挙の執行経費法及び公職選挙法改正案の討論を行います。

 本案では、投票環境の向上の一環として、共通投票所制度の創設、期日前投票時間の弾力的な設定などが盛り込まれています。これらの措置に反対するものではありませんが、どれだけの選管で実施できるか不明であり、実際にどれだけの有権者が利便性を実感できるかわかりません。

 また、期日前投票の向上を行っていれば、投票日の投票所は現状のままでよいということにはなりません。

 我が国の公職選挙法は、投票日当日投票所投票主義をとっており、さらに、公示日から投票日までを選挙期間と定めて、さまざまな制限のもとでの選挙運動を認めています。期日前投票を投票の柱とするならば、選挙期間の規定も見直さなければなりません。そのような検討なしに、投票がふえている期日前投票の利便性のみ追求させることには疑問を感じます。

 投票環境の向上というならば、真っ先にすべきは、投票所数を増加させること、規定どおりの時間、投票所を開くことが必須であります。全国一律の国政選挙において、投票所の数や投票時間の保障は、投票機会の公平を確保する上で極めて重要です。

 ところが、この間、投票所の数は著しく減っており、しかも、投票時間を短縮する投票所がふえ、全国の投票所の三分の一で閉鎖時間を繰り上げ、投票時間を削減しています。投票時間の短縮によって、有権者の投票権の行使を制約することがあってはなりません。しかし、現状は、選挙経費の削減によって、投票所数の減少や閉鎖時刻の繰り上げに拍車をかけていると言わざるを得ません。

 また、開票所も、市町村合併の影響で激減しています。さらに問題なのは、開票作業などの選挙事務ミスがふえ、高松選管や仙台選管の不正事件のように、選挙の公正性、信頼性を損ないかねない事態さえ起きています。

 開票作業は、何より正確さが求められています。それなくして、選挙の公正は確保されません。コスト削減を目標にして選管をあおってきたことが、開票不正事件、選挙後事務ミスの要因であることを直視し、実態に見合った基準にすることが必要です。

 現場の実情を聞き、見直すことこそ、本委員会の責務であります。本法案を短時間の審議で成立を図ることは許されません。

 これまでの大幅削減された基準で、地方選管はぎりぎりまで経費削減しています。本案は、これまでの大幅削減された基準を根本的に改善しようとするものではありません。

 以上の理由から、原案に反対、修正案にも反対を表明します。

 最後に、ことしは、選挙権が十八歳以上に拡大される歴史的な年です。民主主義とは何か、みずからが主権者として考え行動するとはどういうことなのか、若者だけでなく、大きく議論していくきっかけとなるはずです。

 選挙執行、選挙啓発など必要な経費は十分に確保すべきです。これこそ、民主主義のコストとして保障されなければなりません。これらの経費は、政党助成金を廃止すればすぐにでも賄えることを指摘し、私の討論を終わります。

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平沢勝栄君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十三分散会


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