衆議院

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第7号 平成28年4月25日(月曜日)

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平成二十八年四月二十五日(月曜日)

    午後二時三十一分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 大塚  拓君 理事 奥野 信亮君

   理事 田中 良生君 理事 中川 俊直君

   理事 平沢 勝栄君 理事 落合 貴之君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君   うえの賢一郎君

      小田原 潔君    大串 正樹君

      門山 宏哲君    神田 憲次君

      佐々木 紀君    坂本 哲志君

      笹川 博義君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    辻  清人君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      藤井比早之君    古川  康君

      山下 貴司君    山本  拓君

      若狭  勝君    大西 健介君

      篠原  孝君    鈴木 義弘君

      玉木雄一郎君    初鹿 明博君

      本村賢太郎君    國重  徹君

      角田 秀穂君    穀田 恵二君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           岩屋  毅君

   議員           細田 博之君

   議員           今井 雅人君

   議員           逢坂 誠二君

   議員           落合 貴之君

   議員           北側 一雄君

   議員           中野 洋昌君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     佐々木 紀君

  助田 重義君     笹川 博義君

  長坂 康正君     穴見 陽一君

  古川  康君     辻  清人君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     長坂 康正君

  佐々木 紀君     今枝宗一郎君

  笹川 博義君     助田 重義君

  辻  清人君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案(細田博之君外四名提出、衆法第二六号)

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案(今井雅人君外二名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 細田博之君外四名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案及び今井雅人君外二名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下貴司君。

山下委員 自由民主党の山下貴司です。

 本日、議会制民主主義の根幹をなす大切な法案について質疑に立たせていただけることを光栄に思っております。

 私は、議員になる前は憲法担当の司法試験委員でありました。しかし、議員になってからは、一票の格差問題で高裁レベルで違憲、即時無効判決を受けるという議員になりました。そういう得がたい経験をしたものでございますが、幸い、最高裁がその高裁判決を覆したということもあって、ここに立っています。そういうわけで、個人的にも、この問題で質疑に立つことについては感慨深いものがあります。

 本法案はいずれも、一票の格差に対する最近の最高裁大法廷判決そして衆議院選挙制度に関する調査会答申を受けて、自公そして民進党が大島議長の「思い」も受けて、よりよい制度を目指して、それぞれの選挙制度改革案を国会に提出したものであります。この点において、両案、結論においては異なるところがあるものの、お取りまとめをされた皆様に心から敬意を表する次第であります。

 そこで、まず最初に、両案の差異がどこにあるのかということを確認させていただきたい。

 まず、お配りした資料の一枚目でございます。

 自公案と民進案の対比表ということですが、これは与党案作成のときに作成した資料でございますが、これを見ればおわかりのとおり、両案はまず、定数削減の数を十とする、そして小選挙区六、比例区四の減とすること、そして一票の格差是正のための定数配分については、格差是正はアダムズ方式を採用する、都道府県への議席配分の見直しは十年に一度の大規模国勢調査でのみ行う、簡易国勢調査のときには都道府県配分の定数は変更せず、格差が二倍以上となった場合に区割りの改定で対応するということについては一致しております。

 ただ、相違点として以下の四つであろう。アダムズ方式適用の基礎となる大規模国勢調査の時期、二つ目に、議員定数削減のための方法と基準とする国勢調査、三つ目に、各選挙区の基礎人口の算出基準、これは日本人に限るか否かというところでございますが、そして第四の見直し条項の書きぶり、この四点が異なっているであろうと思っております。

 この両案について、最高裁判決や答申の趣旨を踏まえて、国会の立法裁量の行使としていずれが適当かということが決め手になるんだろうと考えております。

 そこで、答申の概要を二枚目の資料として、一票の格差についての最新の最高裁大法廷判決の要旨を三枚目の資料として配付いたしました。いずれも下線部は私が付しました。

 まず、アダムズ方式の採用について与党側提出者に伺います。

 アダムズ方式の採用については、与党案では、次回の大規模国勢調査からするというふうになっておりますが、そのようにした理由は何かについてお尋ねいたします。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

細田(博)議員 お答えいたします。

 衆議院選挙制度に関する調査会答申におきましては、議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うこととされております。一方で、どの大規模国勢調査から見直しを始めるべきか、その開始時点は明らかにされておりません。

 現時点では、次回の直近の大規模国勢調査は平成三十二年のものであり、成立した法律をあえて遡及適用することは例外的であると考えますと、アダムズ方式を導入するのは平成三十二年の大規模国勢調査以降とするのが自然であると考えております。また、こうすることは、制度の安定性を勘案するよう求める、議長が三月二十三日に示された「思い」にも沿うものであると考えております。

山下委員 ありがとうございました。

 確かに、先ほどお配りした二枚目の資料、これは答申の内容でございますが、5と書いてある右側のところですが、答申では、「都道府県への議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果による」とし、そして大規模国勢調査の間に行われる格差是正については、「本来の選挙区の区画の見直しが十年ごとに行われることを踏まえ、必要最小限のものとし、」というふうにあります。

 こうしたことから、制度の安定性もまた答申の要請するところであろうと私は考えます。

 それでは、与党側提出者に伺います。

 アダムズ方式の採用を平成二十二年国勢調査の結果に基づいて行うとする民進党案についてどのように評価されるでしょうか。

逢沢議員 山下委員にお答えをいたしたいというふうに思います。

 同様な趣旨の御質問を本会議における質疑のときにも頂戴いたしたわけでございますが、改めてその点を本委員会におきましても確認をさせていただく、非常に重要なことであろうかというふうに思います。

 民進党案、平成二十二年の大規模国勢調査にいわばさかのぼる形でアダムズ方式を導入すれば、どのような問題を生ずると自民党として、また自公として考えるかということでありますが、既に平成二十七年、つまり昨年の簡易国勢調査の結果が出ているのにもかかわらず、あえて古い国勢調査の結果である数値を用いる合理性がどこにあるのかということを、端的に、率直に、まず指摘をしなくてはなりません。

 次いで、平成二十二年の大規模国勢調査の結果が出てから、既に二度の総選挙を経ているわけですね。そういう経緯があるにもかかわらず、その国勢調査の結果を用いて今回新たに定数を配分し直すとするならば、それにより従前と異なる定数を配分された都道府県の有権者を中心に、これら過去二回の総選挙の正当性や選挙された議員の地位に対して疑念を抱かせることになるのではないか、非常に重要な点でございます。

 加えて、平成二十二年の大規模国勢調査にさかのぼってアダムズ方式を即時導入したといたしましても、四年後には、つまり二〇二〇年には次の大規模国勢調査が控えております。結局、結果的に、立て続けに定数配分の見直しを行うことになってしまい、まさに制度の安定性を欠くということを生じてしまいます。

 以上、問題点を三点指摘させていただきました。

山下委員 先ほど逢沢議員御指摘のとおり、やはり民進党案は私にとっては制度の安定性に欠けるというふうに言わざるを得ないと思います。

 特に、民進党案は、御指摘のように、最新の国勢調査結果ではない平成二十二年の結果を使うことにより、後で御指摘するように、今回の定数削減時に変動する県が多く、また、定数削減時と平成三十二年の大規模国勢調査時の二回とも定数が変化するというところが四つもある、そのうち二つは一旦減ってまた戻るという不安定を生んでしまうということを指摘したいと思います。

 それでは、次の論点として、定数削減の意味について御質問したいと思います。

 定数削減について、先ほどお配りした二枚目の資料の答申は次のように述べています。「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い。」ということでございます。

 お配りした四枚目の資料を見ていただきたいのですが、これは主要国の小選挙区における選挙区間の格差であります、下院に限っておりますけれども。これを見ると、日本の国民一人当たりの小選挙区ごとに選出議員一人を生み出す投票の価値は、イギリス、カナダ、フランスの四分の一から六分の一なんです。そして、ドイツは半分です。アメリカは連邦制で州議会の権限が非常に強いので、これは別に考えるべきでしょう。

 また、次の資料五を見ていただければ、十減後の定数である四百六十五人という定数、これは、大正十四年に男子普通選挙が始まって以来の最低の定数です。また、人口比でいえば、議員一人を生み出す一票の価値は、公職選挙法制定時、戦後直後の制定時当初と比べて三分の二まで落ちているんです。

 日本は、先進国の中で最も有権者一人の一票の価値が少ない国になっていると言えると思います。それでも今回の選挙制度改革において衆議院議員の十削減を行うとした理由について、与党側提出者に伺いたいと思います。

 今回の衆議院議員の定数の十削減を平成二十七年の国勢調査に基づいて先行して行うとしたのはなぜでしょうか。

岩屋議員 お答えいたします。

 答申を素直に読みますと、都道府県への議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案して、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うべしとされております。

 私ども、これを素直に読みますと、平成三十二年の最新の大規模国勢調査に基づいてマイナス十の削減を行うというのが自然であろうというふうに考えたわけでございますが、これとは別に、安倍総理・総裁の政治的な決断によりまして、定数削減については先送りをしない、平成二十七年の簡易国勢調査に基づいて先行してこれを行うこととしたものでございます。

 すなわち、定数削減ということについては、国民の皆さんとの約束を早期に果たすという判断をしたところでございます。

山下委員 ありがとうございました。

 政治決断として、まさに先行して行うということであるというふうに承りました。

 そこで、その定数削減について、与党側案であれば、〇増六減、比例区であれば〇増四減についての考え方について、与党側提出者に伺います。

 答申においては、小選挙区の定数を例えばどのような方法で六人削減するかについて指定しているんでしょうか。例えば、アダムズ方式を採用せよなどと求めているんでしょうか。その具体的方法については国会に委ねられているというふうな理解でいいんでしょうか。与党側議員に伺います。

北側議員 調査会の答申におきましては、定数の十削減、小選挙区六、比例区四、この削減を行うべしというふうに、結論はそうなっております。しかしながら、その削減の仕方、さらに言いますと、その時期についても書かれているわけではございません。そこのところにつきましては、国会の判断に任せているというふうに理解をいたしております。

山下委員 御指摘のように、答申もあるいは最高裁判決も、定数削減の具体的な方法については、どのような方法で行うかということについては国会の立法裁量に委ねているというものでございます。

 それでは、与党側提案者にお尋ねいたしますけれども、提案の〇増六減あるいは〇増四減で行う場合の対象区の選定基準については、どのような御判断でこのような法律になったのでしょうか。

岩屋議員 今も北側提出者から答弁を申し上げましたように、どのように減らすかということは立法府の裁量に委ねられているという前提のもとに、私ども、小選挙区の定数を六つ削減すること、それから、激変緩和のためにこの定数削減による影響を受ける都道府県を極力減らすべきだ、この二つの観点から検討を行いました結果、いわゆる〇増六減方式、すなわち、六つの都道府県について割り当てられた定数を一つずつ削減することとしたところでございます。

 その方法については、平成三十二年以降の定数配分方式でございますアダムズ方式の考え方と基本的な方向性を同じくし、これと整合性のとれる方式にすることが合理的だというふうに考えました。

 そうなりますと、具体的には、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいてアダムズ方式を採用、当てはめた場合に、現行の定数よりも減員となる都道府県について議員一人当たりの人口を算定し、その結果、少ないところから六都道府県を選ぶということが合理的、公正なやり方ではないかと考えて、このような方式としたところでございます。

山下委員 今の御説明で、今回の自公案が、答申の趣旨にできるだけ沿うようにするため、定数是正と制度の安定性を同時に目指そうとするものであることがよくわかりました。

 それでは、念のため、最高裁判決との関係も確認したいと思います。

 最高裁は、格差が二倍を超えたら直ちに違憲としているわけでは実はないんです。

 先ほどお配りした資料の三枚目の下線部を見ていただきたいのですが、左側に1、2、3とありますけれども、最高裁の判断の枠組みは、1投票の価値の平等の要求に反しているか、2憲法上要求される合理的期間内における是正がなされず、定数配分規定が違憲か、3定数配分規定が違憲な場合に選挙無効としないか、これはいわゆる事情判決の法理と言われていますが、この三段階の判断過程を経ております。

 いわゆる違憲状態判決は、規定の合憲、違憲かということであれば、違憲判決ではありません。規定の合憲性については合憲判断だというのが憲法学上の整理になります。

 では、規定の合憲性の判断基準となる、憲法上要求される合理的期間内における是正の有無について、最高裁は、この要旨にもありますように、是正の方法についても国会は幅広い裁量を有している、合理的期間内かどうかの判断については、単に期間の長短のみならず、諸般の事情を総合考慮して、国会における是正の実現に向けた取り組みが司法の判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として相当なものであったかという観点に立って評価すべきとしています。

 そして、直近の最高裁判決では、下線も引きましたけれども、「選挙制度の整備については、漸次的な見直しを重ねることによってこれを実現していくことも、国会の裁量に係る現実的な選択として許容されている」として、昨今の〇増五減やその後の検討などの取り組みについて、最高裁大法廷の平成二十三年判決の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として相当であった旨を最高裁大法廷判決において認めているわけであります。

 こうしたことを前提に、今回の改正につきまして、これは最高裁判決に応えたものとお考えになるでしょうか。与党側提案者に伺いたいと思います。

北側議員 今回の自民党と公明党の法案でございますが、二〇二〇年の大規模国勢調査に基づく人口によって都道府県への定数配分を行うということを本則に明記をしているわけでございます。この二〇二〇年以降の大規模国勢調査ごとにアダムズ方式、アダムズ方式というのは比例配分方式の一種でございますけれども、人口比例配分を行うアダムズ方式を適用するということを明記しております。そういう意味で、私は、最高裁判決に沿うものであるというふうに考えております。

 この間、二〇二〇年まではどうなんだ、一方でこういう御質問もあるわけでございますが、これについては、昨年の国勢調査の結果に基づきまして、都道府県の定数配分は変えませんが、県の中の区画、区割りの調整をして、二倍以内におさめる。なおかつ、二〇二〇年まで、その後の人口変動も考慮して、二倍以内におさまるように審議会の方で区割り調整を行うべしということも法案に明記をさせていただいているところでございます。

 先ほど委員の方からお話がございました、最高裁判決の趣旨でございます、漸次的な見直しを行うことも国会の立法裁量の範囲内という趣旨から考えますと、私は、最高裁の判決の趣旨に十分に適合するものであるというふうに考えております。

山下委員 この方法については、一人別枠方式についての評価もあろうかと思います。その点について、与党側提出者におかれて何か御意見があれば伺いたいと思います。

細田(博)議員 そもそも一人別枠方式がなぜできたのかということは、もともと中選挙区の時代に五百十二名の定数がありました。それが、小選挙区が三百になりました。六掛けでございます、六割になった。

 そのときに、定数が実は五名あった全県一区、徳島とか島根とか佐賀とか山梨とか高知、そういうところが二になっていいのかと。普通に計算すると二になってしまうんです。したがって、各県に一割り振って、そして、そういう計算方式によって、最大都道府県別格差は実は二・一三倍でありましたが、それを激変緩和ということで通した。

 三回にわたる選挙の結果については合憲判断が出たんですね。しかし、最高裁は厳しくなりまして、二倍を超えるのはおかしい、その理由は一割り振りに基づくものだ。確かに、島根は途中で二になりましたけれども、ほかの五県、〇増五減対象の五県が二にならなかったために、どうしても二倍を超えるような選挙区が出る。格差というのは、県別格差ではなくて選挙区別格差ですから。

 したがって、〇増五減をしたけれども、県別格差が一・七八倍、今の結果では一・八倍を超えましたけれども、それは、東京の問題で格差が超えてしまうんです。東京一区とか、東京五区とか、八王子市、東京二十四区とか。したがって、非常に窮屈にはなっているけれども、それは選挙区別格差が違憲状態にならないようにはできる、今回の調査はそういうふうにしようと。

 しかし、この後限界が生ずるので、アダムズ方式によって全体の定数を変える。東京都の四増というのは大変なことでございまして、東京都選出の議員もおられますけれども、これは全ての選挙区を刻んでいかなきゃならない。

 そういった中で、アダムズ方式は計算上まあまあの制度ではないかと。定数二のところが減るわけでもないし、しかし、地方を減らして都会がふえる、そういう方式で佐々木調査会が答申を出されたものですから、それを受け入れるということにしておるわけでございます。

山下委員 ありがとうございました。

 確かに、最高裁判決でも、国会がそういう状態を認識し得たのは平成二十三年三月の大法廷判決以降であるというふうに明示しているところであります。

 それでは、民進党の提出者の皆様、お待たせいたしました。

 民進党案について伺いたいと思います。

 民進党案は、アダムズ方式を平成二十二年の大規模国勢調査の結果に従い適用するというふうにしておられます。最高裁判決や答申は、平成二十二年の大規模国勢調査の結果によりアダムズ方式を適用するということを明示的に求めているんでしょうか。

今井議員 先ほどからお話がありますように、最高裁判決でも今回の調査会の答申においても、どの年の大規模調査を適用すべきかということを明示しているわけではございません。

 しかしながら、この最高裁の判決及び答申では、一票の格差の是正と人口比例的な方式に基づいて都道府県に定数配分を行うことを求めていますので、速やかにこうしたことの要請に応じるということは我々の責務だというふうに考えておりますので、平成二十二年の国勢調査の結果を用いるということはごく自然なことではないかというふうに考えております。

山下委員 それでは重ねて伺いますが、我が国の選挙制度改革において、直近の国勢調査の結果を使用せず、それ以前の古い国勢調査の結果に基づいて定数配分をした事例はあるんでしょうか。あるかないかだけお答えください。

今井議員 中選挙区制度時代、それから小選挙区になってから、直前の国勢調査以外を適用したという例はございません。

 その中で、今回、本来であれば、中間の簡易調査である平成二十七年で大規模な変更をするという当初の公明党の御意見というのは一定の理解をしますけれども、今回の答申は十年に一度の国勢調査を用いてこういう改正を行うということを提言しているわけでありまして、その十年の調査ということでの直近の調査は平成二十二年であるというふうに考えております。

山下委員 要は、直近の国勢調査の結果を使用しないというのは前代未聞なんですね。やはり、理論的にちょっとそれは前代未聞ではないかと思います。

 続いて、お配りした資料の最後のページなんですけれども、民進党案では、今回、七増十三減を行うため、与党案では必要のない減員を強いられるということになります。

 ここを見ると、例えば、今回の定数削減時に、自公案では変わらないけれども民進党案では変わる都県として、増員として、東京は三、埼玉、千葉、神奈川、愛知、これはふえます。ところが、減員となるのは、東日本大震災の余波にまだ苦しむ宮城であったり、新潟、滋賀、奈良、広島、愛媛、長崎、そして沖縄なんです。

 この減員とされた各区は、民進党案を採用しなければ、今回、定数削減のときには減員の対象とならないんです。そればかりか、この資料でもありますように、民進党案によれば、今回の定数削減では一減って、それで次回の大規模国勢調査ではまた一ふえて、行って帰ってしまうことになる。与党案では変わらないです。ずっと変わらないまま選挙ができる。にもかかわらず、民進党案では一回減ってまたふえるということになります。

 この不都合について、民進党案の提出者について、どう説明するのか。皆さんはその対象区ではないんですよ、対象県ではないんですよ。ですから、ここはインターネットでも放映されていますから、宮城初め有権者の皆さんにぜひわかるように御説明していただきたいと思います。

今井議員 まず、大幅な変更というのはどの段階でやられるか、自公案でもいずれ先では行われるということは確認しておきたいと思います。

 その上で、今、二点目の点、東京それから神奈川及び滋賀、沖縄ということでありますが、この法案自体は、いずれにしても、十年ごとにこうやって見直しをしていくということの中で、今回は一番最初のスタートということですから、経過的に、二十二年を使うとその間が若干短くなるということは事実でありますけれども、制度を早く導入するという点においては、この点はやむを得ないというふうに考えております。

山下委員 宮城、新潟、滋賀、奈良、広島、愛媛、長崎、沖縄の皆さん、やむを得ないという答弁に納得できるかどうか、よく考えていただきたいと思います。

 そして、選挙定数というのは、単に一つふえた、一つ減ったという話ではないんですよ。増減、いずれも対象となる都県の全域で区割りが変更されることになるんです。有権者にすれば、今まで選べていた議員を選べなくなる事態を多数の有権者に強いることになってしまう、それが民進党案ではないかと私は思います。そうしたことをぜひ検討していただきたいと思います。

 そのほか、民進党案と与党案の違いは、定数配分の基準となる各選挙区の人口について、与党案では日本人人口に限っています。私は、全国民の代表を選ぶ選挙でありますから、基礎とすべきは与党案のように日本人人口であるべきだと思っております。

 また、見直し条項につきまして最後に申し上げたいのが、アダムズ方式は答申に従ったものであります。しかし、完全なものではないんです。

 先ほどの資料の四枚目を見ておわかりのように、アダムズ方式を採用したとするフランスでは、格差は二・三七倍です。二倍を超えています。また、修正採用したカナダでも四倍を超えているんです。

 今回の改正により、東京一極集中、東京圏一極集中はますます促進されることになるでしょう。選挙制度が地域の代表でなく全国民の代表であるとしても、特定地域の議員が集中することが適当か、不断に検討していただきたい。そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平沢委員長代理 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 投票価値の平等、これは民主主義の根幹でございます。しかるに、平成二十三年、二十五年、そして二十七年の三度にわたり、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口格差、一票の格差について、最高裁から違憲状態という判断をされております。立法府の責務として、この違憲状態の解消に向けた改正法案を今国会で何としても成立させなければなりません。

 衆議院選挙制度に関する調査会の答申、この中でさまざまなことが述べられておりますが、この急所は、一票の格差是正のために、十年に一度の大規模国勢調査をもとに、アダムズ方式という新たな計算式を採用して都道府県間の定数配分を見直す、これが急所だと思います。

 アダムズ方式が導入されれば、人口の変動に応じて自動的に各都道府県への配分が決まることになります。つまり、選挙の公平性がより高まることになります。

 今般提案されている自民、公明の与党案、そして民進党案、いずれも、調査会の答申に基づいてアダムズ方式の導入を法案の本則に明記しております。

 答申を尊重するのは当然なんだろうという声もあるんでしょうけれども、政党、議員の死活問題である選挙制度の改革、とりわけこのアダムズ方式を法案の本則にしっかりと明記したということは、評価されるべきことなんだろうというふうに思います。

 先ほど山下委員の方からもありましたけれども、私の方からも、この取りまとめに汗をかかれた議員の皆様に心より敬意を表したいと思います。

 その上で、与党案と民進党案、いずれがより適切なのか、ベターなのか。

 両案の最大の違いは、どの時点の大規模国勢調査からアダムズ方式による定数配分を行うか。与党案は平成三十二年、民進党案は平成二十二年の大規模国勢調査からということになっております。

 そこで、与党提案者に伺います。

 なぜ、平成二十二年ではなくて平成三十二年の大規模国勢調査以降からアダムズ方式を適用することにしたのか、答弁を求めます。

中野議員 國重委員にお答え申し上げます。

 衆議院選挙制度に関する調査会の答申におきまして、議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案して、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うこととされております。一方で、どの大規模国勢調査から見直しを始めるべきか、その開始時点は明らかにはされておりません。

 現時点では、次回の直近の大規模国勢調査は平成三十二年のものであり、アダムズ方式を導入するのは平成三十二年の大規模国勢調査以降とするのが自然であります。また、制度の安定性を勘案するよう求める、議長が三月二十三日に示された「思い」にも沿うものであると考えます。

 仮に、平成二十二年の大規模国勢調査からアダムズ方式を導入するならば、例えば、既に平成二十七年の簡易国勢調査の結果が出ているのにもかかわらず、あえて古い国勢調査の結果である数値を用いる合理性が果たしてあるのか。あるいは、平成二十二年の大規模国勢調査を用いてアダムズ方式を即座に導入したとしても、四年後には次の大規模国勢調査が控えていることから、結局、立て続けに定数配分の見直しを行うことになってしまって制度の安定性に欠けるのではないか。このような問題点がある、このように考えております。

國重委員 わかりました。

 それでは次に、与党案では、平成三十二年の大規模国勢調査以降にアダムズ方式による定数配分を行う、この一方で、定数削減については先行して実施する。具体的には、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいて、〇増六減、〇増四減を先行して実施することにしております。

 そこで、与党案の提案者に伺います。

 平成二十七年の簡易国勢調査に基づく区割りの改定をアダムズ方式で行うと、小選挙区では、〇増六減ではなく九増十五減、比例区では、〇増四減ではなく二増六減になりますが、与党案で、〇増六減、〇増四減で行うことにした理由は何なのか、答弁を求めます。

中野議員 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の選挙制度改革に当たりまして、政治的決断として、先行して定数を十削減する、平成二十七年の国勢調査に基づいて削減をする、このようにしております。

 この定数削減に当たりまして、例えば、小選挙区の場合は小選挙区の定数を六削減するんですけれども、制度の安定性を確保するために、定数の削減による影響を受ける都道府県を極力減らすべきではないか、こうした観点から検討を行いまして、その結果、いわゆる〇増六減方式、六つの都道府県について定数を一ずつ削減する、こういう方式をとることといたしました。

 その上で、削減対象となる都道府県につきましては、やはり透明性のある方法、すなわち客観的に理解可能な具体的な方法を定めて選定する必要があると考えておりまして、具体的に申し上げますと、本法律案では、平成三十二年の国勢調査以降はアダムズ方式により定数削減を行う、これを本則に明記しておりますので、今回の定数削減措置につきましても、このアダムズ方式の考え方と基本的な方向性を同じくする整合性のある方式をとる必要がある、このように考えております。

 定数を六を減らした上で、かつ、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいて仮にアダムズ方式により都道府県別定数を計算した場合に、現行の定数よりも減員となる都道府県について議員一人当たりの人口を算定いたしまして、この算定の結果得られた各都道府県の議員一人当たりの人口の少ないところから六都道府県を選ぶ、このような方式が合理的ではないのか、このように考えておりまして、その旨を条文上も明記させていただいております。

 比例代表につきましても、〇増四減ということでございますけれども、これも同じ考え方により行っておりまして、これも同じく、条文上明記をさせていただいておるところでございます。

國重委員 それでは、今の答弁に関連してお伺いいたします。

 なぜ、減員となる、要は、議員数が減る都道府県を議員一人当たりの人口の少ない都道府県から選ぶのか、答弁を求めます。

中野議員 お答え申し上げます。

 先ほど御説明させていただきましたとおり、仮にアダムズ方式により計算をした場合の各都道府県の議員一人当たりの人口というものを算定いたします。これで、なぜ人口の少ないところから六を選ぶのか、このような御質問であるというふうに承知をしておりますけれども、今回選ばせていただく六都道府県というものは、仮に今回定数を削減しなかったとしても、平成三十二年の議席配分の見直しの際に減員される都道府県となる蓋然性の高いものから六つを選ばせていただいた、こういう計算の仕方になっております。

 この考え方は、見直しに伴う定数の増減幅というのを小さくする、制度を安定させる、こうした観点からも合理的な考え方なのではないか、このように考えております。

國重委員 それでは、引き続いて与党の提案者にお伺いいたします。

 与党案は、これまでの答弁にもありましたとおり、一票の格差是正の観点から、アダムズ方式による都道府県別の定数配分の見直しを平成三十二年の大規模国勢調査以降に適用する、定数削減については、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいて〇増六減、〇増四減を先行して実施する、これが与党案でございます。この与党案が、衆議院選挙の人口格差について違憲状態と判断した最高裁の要請に応えたものになっていると考えているかどうか、これについて答弁を求めます。

中野議員 お答え申し上げます。

 与党案では、各都道府県への小選挙区定数の配分方法につきまして、平成三十二年の国勢調査からアダムズ方式を導入する、このことを法案の本則に明記しております。したがって、最高裁の要請には応えているもの、このように考えております。

 また、それまでの間、平成二十七年の国勢調査に基づきまして小選挙区の区割りを見直すということにしておりますけれども、この区割りの改定案の作成につきましても、将来の見込みの人口を踏まえて、次回の平成三十二年の大規模国勢調査に基づく見直しまでの五年間を通じて格差が二倍未満となるように行う、このようにしておるところでございます。

 これに加えまして、今回は、政治的決断として、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいて議員の定数の十削減を先行して行う、このようにしておりますけれども、この措置も含めまして、小選挙区間の一票の格差というものは二倍未満とする、このような規定が置かれているということでございます。

 最高裁の判決におきましても、選挙制度の整備については漸次的な見直しを重ねることにより実現していくことも許容されている、こういうことも述べられておりますので、以上の諸点を総合的に考慮した場合、与党案は、国会の裁量権の範囲内における適切な立法措置であり、最高裁の判決に十分に応えられるものとなっている、このように考えております。

國重委員 引き続いて、また与党の提案者にお伺いいたします。

 民進党案では、区割りの基準となる人口を日本国民に限らず外国人を含んだものにしておりますけれども、与党案では、区割りの基準となる人口を日本国民の人口に限っております。

 与党案で日本国民の人口に限ることとした理由は何なのか、答弁を求めます。

中野議員 お答え申し上げます。

 最近、日本国民の人口が減少しているのに対しまして、外国人の居住者の数というのは増加をしております。そのため、定数配分の基準となる人口を日本国民に限るのか、あるいは外国人人口を含めた人口とするのかによって、都道府県別の定数や各選挙区間の格差に影響を与える可能性というものは以前にも増して高まっているのではないか、このように考えております。

 そもそも、国政選挙、国政の選挙におきましては、主権者たる国民の代表を選ぶ、こういうことでございまして、日本国民のみが国政選挙の選挙権を有する、これは憲法上も明らかなことでございます。したがって、今回、定数配分の基準となります人口は日本国民に限る、このような措置を講じさせていただいたものでございます。

國重委員 では次に、民進党案の提案者にお伺いいたします。

 今の答弁にもありましたとおり、国政選挙は主権者たる国民の代表を選ぶということであって、日本国民のみが国政選挙の選挙権を有することは、これは明らかであります。

 与党案のように、区割りの基準となる人口を日本国民の人口に限った場合と、民進党案のように、日本国民に限らず外国人も含んだ場合と、いずれが投票価値の平等により資するのか。与党案なのか民進党案なのか、簡潔な答弁を求めます。

今井議員 まず、私どもの考え方は、今回の調査会の答申に従って法律をつくるということをやってまいりましたので、この答申の中ではこの問題については触れられておらず、現行制度での制度設計ということで提言をいただいておりますので、そういう形でやらせていただいているということでございます。

 我々としては、一票の格差の是正に関して言えば、一人別枠方式の残滓を完全に除去することの方が喫緊に行うべきことだというふうに思います。

 なお、与党案で、そうした日本国人口というのが盛り込まれているのは承知をしておりますけれども、これは、そのほかの選挙にどういう影響を与えるかということも含めまして議論をするべきだというふうに考えております。

國重委員 今、るる御答弁いただきました。

 今の私の質問は、さまざま、ほかの選挙への影響とかいうこともおっしゃいましたけれども、要は、今回、最高裁の方から投票価値の平等ということでさまざま御指摘を受けておりますけれども、今回の与党案、選挙区割りの人口を日本国民のみに限るとした場合と、民進党案のように、選挙区割りの人口に外国人を含むとした場合、いずれがより投票価値の平等に資するのか。いずれなのか、結論について答弁を求めます。

今井議員 今の点に関しましては、正確に計算をしたわけじゃございませんけれども、日本国人口で計算した方がより正確になる可能性は高いというふうに考えておりますが、繰り返しになりますけれども、私どもの今回の考え方は、あくまでも答申の考え方に基づいて法案をつくらせていただいているということに尽きると思います。

國重委員 わかりました。

 私の方からも一応念のために言っておきますと、私が今ここで述べているのは、あくまで国政選挙について述べております。

 その上で、ちょっと更問いということになりますけれども、今、日本人の人口が、先ほどの答弁にもあったとおり、減少している。その反面、日本国内に居住される外国人の数というのがふえてきております。今、私の所属している衆議院の法務委員会におきましても、外国人の技能実習制度の適正化とともに拡充ということもさまざま議論がされているところです。今後、日本国内に居住する外国人の方というのは恐らくふえていく傾向にあるのかなというふうにも思います。

 また、外国人の方というのは、東京が一番多く住んでいます。また、一部の地域に多く偏在している傾向にあるようですけれども、こういった外国人というのを区割りの基準となる人口に含んだ場合に、投票価値、主権者たる国民の一票の格差に主権者でない外国人というのが入ってくるので、一票の格差という、投票価値の平等というのを少しゆがめる方向に行くんじゃないかというふうに思いますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。

今井議員 そういう議論は排除いたしませんけれども、繰り返しになりますが、あくまでも私たちは答申の考え方を尊重して法律をつくっておりますので、現行の制度をそのまま維持するということでございます。

國重委員 わかりました。

 では、続きまして、民進党案提案者に引き続きお伺いいたします。

 調査会の答申によりますと、都道府県への議席配分の見直しは、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づいて行われるということとされています。

 答申ではなぜ五年ごとではなくて十年ごとにしたのか、これについて民進党案提案者はどのようにお考えでしょうか。簡潔な答弁を求めます。

今井議員 お答えします。

 その点に関しましては、やはり十年に一度という大規模な、正確な国勢調査を用いて制度を設計するということがより正確であろうということだと思います。

國重委員 答申には、都道府県への議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うと明示されておりますけれども、確認の意味で、もう一度質問させてください。

 十年ごととしたのは、制度の安定性を勘案するということでよろしいでしょうか。

今井議員 本制度では、今回の法案ができたことで、これから十年に一度必ず見直しが行われるということでございますので、制度の安定性を充足するために十年に一度というふうにしたと理解しております。

國重委員 民進党案では、平成二十二年の大規模国勢調査に基づいてアダムズ方式を導入することになっておりますが、この場合、現行定数よりも減員となる都道府県が、これは本会議でもこのことを取り上げられましたけれども、国立社会保障・人口問題研究所による平成三十二年の将来推計人口による定数配分では再び増員となり、現行定数に戻る可能性が高いとの試算がされております。

 そこで、民進党案提案者にお伺いいたします。

 民進党案は、与党案に比べて短期間での出戻りの可能性が高まると私は考えますが、民進党案の提案者は、短期間での出戻りの可能性が高まると認識しているのかどうなのか、答弁を求めます。

今井議員 お答えします。

 今回の法案の要諦は、まず一票の格差の是正をするということが一番の喫緊の課題でありまして、その際には当然、制度の安定性というのも勘案する必要がある、そういうことだと理解をしております。

 それで、私たちは、やはり三度違憲状態という判決を最高裁がした以上、即座にこの問題を抜本的に解決するべきだという考え方のもとで、既に実施されている平成二十二年の国勢調査を使うべきだという立場でございます。

 先ほど、直近以外の国勢調査を使った例はないというふうにおっしゃられましたが、将来の国勢調査を使って是正をした例も過去にはございません。平成三十二年というのは将来の分であります。

 それで、その前提で、今御質問の点でございますが、出戻りの問題に関しては、確かに、制度のスタートの段階では、我が党の案では、四県、二県がふえるところと、二県が減少するところが四年間の間に発生するというのは事実だと思います。

國重委員 さまざまお話をいただきましたけれども、出戻りの可能性ということに関しては高まるというようなことであったかと思います。

 選挙制度というのは、これは言うまでもなく、議員のためのものではなくて、主権者である国民の皆さん、また有権者のためにあります。選挙権は、国民が政治に参加して主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要で基本的な権利でございます。

 国民がその代表を選ぶこの選挙制度を考えるに当たっては、有権者と候補、議員とのつながり、また関係を安定させることも大切であろうというふうに思います。選挙区画がたびたび、短期間の間に頻繁に変われば、有権者の混乱も招きかねません。この点、アダムズ方式を採用して都道府県の定数を大規模に変える、しかもこれを短期間で変えるということになると、区割りの調整、有権者への周知も大変になるということは容易に推察されます。

 民進党案では、短期間に立て続けに都道府県への議席配分を見直すことになっていますが、その結果、先ほど来ありますとおり、出戻りの可能性が高まります。現に、先ほどの国立社会保障・人口問題研究所による試算によれば、少なくとも滋賀県、沖縄県の二県は一旦一議席減となり、その後、平成三十二年に再び一議席増となる見込みです。これは、答申が、制度の安定性を勘案し、都道府県への議席配分の見直しは、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うと考えた、制度の安定性を軽視していることになるんじゃないかというふうにも思います。

 そこで、民進党案提案者、与党案提案者それぞれにお伺いします。

 制度の安定性という点において、民進党案、与党案、いずれの方がより選挙制度の制度の安定性があると考えるのか、結論のみ簡潔な答弁を求めます。

今井議員 長期間にわたっての制度改革でありますから、自民党案も民進党案も、その点においては安定度は同じだというふうに考えております。

中野議員 まさに委員御指摘のとおり、民進党案は、平成二十二年の大規模国勢調査に基づいてアダムズ方式を導入、そしてその四年後に、立て続けにまた次の大規模国勢調査で見直しということでございますので、制度の安定性という意味では与党案の方がすぐれている、このように考えてございます。

國重委員 ありがとうございました。

 私も、この制度の安定性という観点から見れば、やはり与党案の方がベターなのではないかというふうに思います。

 それでは、次の質問に参ります。

 民進党案の附則第四条二項の前段には、「特に人口が急激に減少している地域の民意を適切に反映させることに留意する」とありますが、後段には、「更なる国会議員の定数削減を図るよう努めるものとする。」と定められております。

 投票価値の平等を重視するんだということで先ほど来おっしゃっておりますけれども、投票価値の平等をこれまでと同様に重視するというのであれば、人口が減少している地域の民意の適切な反映に留意することと、さらなる国会議員の定数削減を図るということは両立しないようにも思われます。

 そこで、民進党案提案者にお伺いいたします。

 民進党案では、投票価値の平等の重要度をこれまでよりランクを下げて、附則四条二項の前段と後段の整合性を図るということなのか、もしそうであれば、そのためにどのような選挙制度を考えているのか、お伺いいたします。

今井議員 与党案も、今後不断の見直しをするということは記載をされているわけでありますが、現在の二院制の中で、衆参のあり方も含めて、どういう選挙制度改革をしていかなきゃいけないかというのは、これは国会の非常に重要な問題であり、衆議院だけで考えられるものではないというふうに思っています。

 その中で、我々が勘案しなきゃいけないことが、一つは、地域の減少していく問題に対してどういう対応をしていかなきゃいけないか、それから、各政党が公約をしています定数を削減していくということもこれまたありきで、この二つは、この制度改革を考えるに当たってはとても大きな課題だということで、そういう課題を勘案しながら、今後、国会でどうあるべきかというのを議論していくべきであるという思いを、この法案の附則に書かせていただいているということでございます。

國重委員 今後の選挙制度改革については、同じ思い、これは共有している部分もあるかと思います。

 ただ、どちらかというと、私の感じているのは、民進党案というのは、確かに、何度も答弁に出ている、答申を忠実に反映するという余り、形式にこだわることが非常に強い余り、本当に最高裁が求めているもの、答申が求めているものというのは、投票価値の平等を実質的にいかに確保するかということなんですけれども、形式を余りにも重視すると、本来の目的から外れていってしまうんじゃないかというふうにも感じているということを申し添えまして、ただ、今後の選挙制度改革については、党派を超えて大いに議論してまいりたいということを申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平沢委員長代理 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民進党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、投票価値の平等が確保されていることは、議会制民主主義のもとで国家の意思形成の正当性を基礎づける中心的な要素であること、そして、大島議長は、憲法により国会は国権の最高機関として位置づけられているとしても、主権者からの信頼なくしては成り立っていかない、こういう貴重な、国民の目線のお話をいただいております。

 まず、確認のために質問してまいりたいと思うんですが、平成二十四年十一月十四日の野田佳彦総理と当時の安倍晋三自民党総裁の党首討論の中で、野田総理から、最悪でも次の国会で定数削減をする、それは〇増五減のレベルじゃありませんよ、お互いに数十単位と言い切っているわけですから、そこで成案を得るということを必ずやる、うそはつかない、ともに責任を持つ、そして、それまでの間は、例えば議員歳費の二割削減など、国民の皆様の前に身を切る覚悟をちゃんと示しながら御負担をお願いする、制度ができるまでそれを担保する、そこをぜひお約束してほしいと申し上げているんです。

 遅くとも平成二十五年の通常国会で定数削減を行うとの約束を当時の総理と総裁が交わしたわけでありますが、この約束が実際に果たされているかどうか、与党の提出者の方から答弁をお願いいたします。

逢沢議員 本村先生の御質問にお答えをしたいと思います。

 あの党首討論の席に、私も、当時、野党自由民主党の一員として着席をいたしておりました。まさに間近に、野田総理、そして当時の野党自民党党首、安倍晋三党首のやりとりを聞いておりました。もちろん、その中身もよく覚えておりますし、承知をいたしております。また、あの二人の討論によって衆議院が解散の運びになったということも、御案内のとおりでございます。

 国民が見ている国会の場で、総理大臣と野党第一党の党首の討論でございます。その語ったこと、また確認をされたことがしっかりと現実のものに移されるということは、これは政治の信頼性にかかわる非常に大事なことであることは論をまちません。

 あの討論を受けて、選挙制度あるいは院の構成にかかわることでございますから、これは、与党、野党、そして大きな会派から少数会派まで同じテーブルに着いて議論をし、コンセンサスを得よう、そういう大変な努力がなされたと承知をいたしております。我が党は細田先生が党を代表して、また穀田先生は共産党を代表され、二十九回もの各党協議会に参加をされ、議論がなされました。

 しかし、ある意味で、率直に申し上げて、残念ながら一つの結論を得るに至らなかった、コンセンサスを得るに至らなかった。その後の経緯は御案内のとおりでございますが、主要な会派の代表者が当時の伊吹議長のもとに来られまして、衆議院にいわゆる第三者機関、議長のもとに機関を設けて、そこで議論をしてほしい、基本的に、出された答申、アウトプットについてはそれを尊重する、そういう申し出のもとに議論がスタートし、そして答申がなされ、今この場所につながっているわけでございます。

 したがって、このプロセスをしっかりと検証しつつ、今、法案の形で両案が出されたわけでございますので、しっかりと議論をし、一つの結論を得るということが、ひいてはあの十一月十四日の党首討論において国民に約束をした、随分、その評価についてはさまざまあろうかと思います、時間もたったということも事実でございましょう、しかし、懸命の努力、ぎりぎりのコンセンサスを求める努力があったという事実、そして議長のもとに懸命な調査会がなされたという事実、それに基づいての委員会になっているということは、国民の皆様にも理解と一定の評価をいただけるもの、そのように承知をいたしております。

本村(賢)委員 あの党首討論が、国民から非常に御期待をされて、やはり政治家みずからが身を切る覚悟を持った党首討論だったという大変すばらしい評価を国民からいただいているわけでありますが、今、逢沢委員からもお話ございましたけれども、結論的には約束が果たされていないということでよろしいでしょうか。

細田(博)議員 私も党首討論の席におりましたけれども、野田総理はこう言われました。議事録を見ていただければはっきりします。

 まず、小選挙区の定数削減は〇増五減でいい、自民党の提案でいいから〇増五減をまずやりましょうよと。しかし、比例定数の削減を、民主党さんは四十の連用制採用による削減を、そして、自民党は三十議席減を一種の、連用制ではないんですが、少数政党を優遇するような制度で枠を設けて削減する、こういうことで、四十と三十で、もうちょっとのところで妥協できるじゃないですかということで、あのことはやりましょうということになった。これは、議事録上はっきりしている党首討論でございます。

 したがって、その後は四十五減と三十五減の間でなぜできないのかというと、逢沢議員の答弁にもございましたように、もう二十九回も全党の代表が議論をして、当時、最初は民主党政権でございましたから、樽床先生とか城島先生が座長でございました。あと、自民党政権になったときは私が座長になったわけでございますが、もうかんかんがくがくといいますか、大変な議論をしてまとまらなかったので、最終的には佐々木調査会に委ねられたという経緯がございますので、その点はひとつ御認識をいただきたいと思います。

本村(賢)委員 〇増五減に関しては、緊急措置ということで行われたというふうに私は承知をしております。

 それでは、もう一度質問しますが、次の国会、平成二十五年の通常国会で身を切る改革をやろうという約束をしたことに関してはいかがでしょうか。

細田(博)議員 そこは、私どもは佐々木調査会の結論、答申を注視しておりまして、先ほども他党の答弁がございましたけれども、佐々木調査会としては、ヨーロッパやカナダ等の議席、人口に対する議員数について、どうも必ずしも議員の数が多くない。ヨーロッパの方が少ない。ただし、アメリカは日本よりも議員数は大きい、しかし人口が三倍ぐらいあるということで、大幅に議員定数を削減することはせず、しかし、各党が公約しているんだから十減せよという答申を出されましたので、これは我々は尊重しなければならない、こういう経緯でございます。

本村(賢)委員 申しわけありませんけれども、答申をお願いしたのは、伊吹議長のときに、平成二十六年六月十九日の衆議院議院運営委員会の決定によって衆議院選挙制度に関する調査会が設置をされた後の話でありまして、私が言っているのは、平成二十五年の通常国会でこの約束が果たされたかどうかを聞いているわけであります。いかがでしょうか。

北側議員 そのように党首討論があったわけですね。あったんですが、選挙制度というのは、これは各党協議でやるものです。自民党と当時の民主党、二党だけで、二つの大きな政党だけで決められるようなものじゃありません。選挙制度というのは、多くの会派の協議を経て一定の合意を経ていく、こういう過程が必要です。

 御承知のとおり、翌年の平成二十五年から十三回にわたって各党協議会が開かれたんです。私も当時実務者の一人としてこの協議に参加をいたしましたが、各党各会派さまざまな意見が出て最終的にまとまらない、こういう状況の中で、先ほど来話があったように、調査会にお願いをする、第三者機関にお願いする、こういういきさつであったということも、ぜひ御理解いただきたいと思います。

本村(賢)委員 今、北側先生から御答弁ありましたが、全てそれらを踏まえた上で、二十五年の通常国会でやると約束したのが野田総理と安倍総裁の約束だったはずです。だから、その約束を果たされているかどうか。今聞くまでもなく果たされていない、これが実態だと私は思っております。

 国民の多くの皆さんが、このままでは身を切る改革がどんどん先送りされていく、そういう国民の大きな声を、私たち国会議員が立法府の立場で責任を持って身を切る改革をやらなきゃいけないわけですから、少なくとも、安保法案や派遣法といった強行採決をしてきた与党の皆さんがいらっしゃるわけでありますから、身を切る改革こそリードしていただきたいと願っているんです。

 それでは、ちょっと質問に入りますけれども、各党ともに答申を尊重するという考えで間違いないか、各提案者に伺います。簡潔にお願いします。

逢沢議員 今議論した経緯で調査会ができました。たまたま、当時、私は伊吹議長のもとで議運の委員長でございました。委員長の立場で佐々木調査会の設置に深くかかわった、その立場でございます。

 「各会派は、調査会の答申を尊重するものとする。」そのように要綱を整理した、その経緯からいたしましても、当然尊重する、当然のことであろうかと思います。

落合議員 お答えいたします。

 衆議院選挙制度改革については、累次に及ぶ政党間協議を経ても、残念ながら、各党の隔たりが大きく、結論を得ることができなかったことを受け、事態を打開するため、議長の諮問により第三者機関に協議が委ねられることとなりました。

 こうした経緯もあって、議院運営委員会において、「各会派は、調査会の答申を尊重する」と議決をいたしました。

 また、調査会委員の皆様には、大変な重責を担って御尽力をいただきました。

 答申を尊重するのは当然の責務であると考えております。

本村(賢)委員 両提出者とも、答申はもちろん尊重するというお話でございました。

 それでは、民進党提案者にお伺いいたします。

 二十九回にも及ぶ政党間協議が行われたこと、しかしながら結果が得られなかった、そのため第三者機関である調査会に諮問したということは十分承知をしております。

 平成二十四年十一月の十六日、民主、自民、公明の国対委員長会談でも、「衆議院議員の定数削減については、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うもの」と合意がなされているわけでありますし、その後の選挙後の二十五年二月二十二日においても、自民、公明、民主の幹事長会談でも同じようなお話がございますし、百八十三回国会で協議が調わず、会期終了前に、参議院選挙後速やかに各党の協議を再開し、結論を得るともされてまいりました。そして、二十六年二月七日には、野党五党が定数削減二案、五増三十減、三増十八減を示し、与党はお持ち帰りになった、そう記憶をしております。

 この衆議院選挙制度改革について、なぜ有識者による議長の諮問機関を設置する必要があったのか、民進党の方に質問いたします。

落合議員 選挙制度は、どうしても各党の利害に直接影響を及ぼす面がございます。各会派とも、さまざまな論点のある選挙制度について、改革の必要性は共有しながらも、方向性や具体策についての意見の開きが残念ながら大きく、累次に及ぶ協議を経ても結論を得ることができませんでした。

 選挙制度は民主主義の土台づくりであります。政党間の丁寧な協議の積み重ねによって結論を得るのが理想ではありますが、最高裁の三度にわたる違憲状態との判決を受けるなど事態が緊迫しており、第三者機関に協議を委ねるということになった次第でございます。

本村(賢)委員 両提案者にお伺いいたします。

 この両改正案は答申に沿ったものとなっているのか、お伺いいたします。

細田(博)議員 私は、アダムズ方式の適用、そして定数を十減、そして大規模国勢調査のときに本格的に実施する、この点において、佐々木調査会、衆議院選挙制度に関する調査会の答申の線に沿っておると思っております。

 我が党においても、各論でいえば、各県ごとに減るところが十五もあるわけですし、いろいろな意見があります。地方に対する問題があるじゃないか、大都会ばかりふやしてどうかとか、さまざまな議論を乗り越えて我々も合意をしておる、そういう事情がございます。

落合議員 お答えいたします。

 我々も、沿っていると考えております。

 衆議院選挙制度調査会の答申のポイントは、主に三点でございます。一点目が、小選挙区六、比例代表四、合わせて十の定数削減をすること。二点目が、十年ごとの大規模国勢調査に基づいて都道府県別の議席配分を行うこととし、その手法として、いわゆるアダムズ方式を導入すること。三点目が、簡易国勢調査のときは選挙区の数は変更せず、格差が二倍以上となった場合に区割り改定で対応することでございます。

 民進党案は、この調査会答申を正面から受けとめ、また、改革を迅速になし遂げる必要があることから、既に確定している直近の大規模国勢調査である平成二十二年国勢調査に基づくものとしたものでございます。

本村(賢)委員 今、細田先生から、自民党の皆さん、自分たちも地方で身を切るという話でありますが、そのお話をされたら、各政党、皆さん、地方に政治家がいますから、私は同じ立場だと思っています。ですから、それをあえて言われるのではなく、やはり全国、北海道から沖縄まで、一律、与野党各政治家が地方にもいるわけですから、それぞれの立場で、仲よしクラブだけであっては身を切れませんから、身を切るときはやはり政治家みずからがばっちりと切っていかなきゃいけないのかな、そう思っております。

 与党案には、谷垣幹事長もアダムズ方式そのものではないと認めていらっしゃいますが、即時にアダムズ方式を導入しない理由について、与党提出者の方からお伺いいたします。

北側議員 調査会の答申におきましては、議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案しまして、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うこととされております。一方、どの大規模国勢調査から見直しを始めるべきか、その開始時点は答申の中では明らかにされておりません。

 現時点では、次回の直近の大規模国勢調査は平成三十二年のものであり、アダムズ方式を導入するのは平成三十二年の大規模国勢調査以降とするのが自然だというふうに考えます。こうすることによって、制度の安定性を勘案するよう求める、議長が三月二十三日に示された「思い」にも沿うものであると考えております。

 一方で、もし平成二十二年の大規模国勢調査からアダムズ方式を導入するならば、これは先ほど来議論のあるところでございますけれども、幾つかの問題点があると思います。

 第一に、既に平成二十七年、昨年の国勢調査の結果が出ているのに、あえて古い国勢調査の結果である数値を用いる合理性はあるのかということでございます。二十二年と二十七年でその人口に基づいてアダムズ方式を適用しますと、結果が違ってきているわけでございます。

 また、もう一点、平成二十二年の大規模国勢調査にさかのぼってアダムズ方式を即時に導入したとしても、四年後、平成三十二年には次の大規模国勢調査が控えていることから、結局、立て続けに定数配分の見直しを行うこととなってしまい、制度の安定性に欠けるのではないかということでございます。

 以上のことから、本法律案では、アダムズ方式を平成三十二年の大規模国勢調査以降導入することとしたものでございます。

本村(賢)委員 後ほどまた触れますが、既に衆議院議員選挙は、この五年間で三回連続して違憲状態とされております。

 平成二十六年十二月十四日施行の衆議院選挙に対する最高裁判決が平成二十七年十一月二十五日に出ておりますが、十四人の裁判官のうち九人が違憲状態としたほか、三人が違憲と述べていまして、違憲とした三人のうち二人は選挙無効とまで踏み込んでいるわけでありますけれども、この両改正案は、一票の格差是正と一人別枠方式の廃止を求めた最高裁判決の要請を満たされているものかどうか、両提案者にお伺いいたします。簡潔にお願いします。

岩屋議員 ただいま本村先生御指摘の平成二十七年十一月二十五日の最高裁判決では、投票価値の格差が生じているのはいわゆる一人別枠方式が残っているからだという趣旨のことを指摘した上で、選挙制度の仕組みの決定については国会に広範な裁量が認められている、是正の方法については国会は幅広い裁量権を有しているので、国会が最高裁の判断を踏まえてみずから所要の適切な是正の措置を講ずることが想定されている、さらには、合意の形成にさまざまな困難が伴うことを踏まえて、選挙制度の整備については漸次的な見直しを重ねることによってこれを実現していくことも国会の裁量の範囲内である、こういう趣旨のことを述べているわけです。

 したがいまして、我々は、平成三十二年の国勢調査からはアダムズ方式を導入するんだ、つまり、一人別枠方式というのは完全に廃止するんだ、しかし、その前に、平成二十七年の簡易国勢調査に基づいて区割りの変更を行う、マイナス十の削減も行う、削減の仕方はアダムズ方式に準じた方式で行う、しかも、向こう五年間にわたって二倍を超えることがないように、将来見込み人口でそれをやっていくというふうにしたわけでございますので、私どもは、最高裁のこの判決を踏まえて漸次的に措置を講じていくということは、最高裁の要請を満たすものであるというふうに考えているところでございます。

本村(賢)委員 アダムズ方式の本格的な導入を平成三十二年の大規模調査まで先送りされるという話でありますが、それですと、最高裁が指摘をしている一人別枠方式は完全に解消されたとは言えませんが、いかがでしょうか。与党の方にお伺いいたします。

岩屋議員 平成二十七年の簡易国勢調査に基づいて行う定数削減というのは、先ほども申し上げましたように、アダムズ方式に準ずる方式をもって行うわけですね。

 アダムズ方式というのは、確かに人口の少ない県にある程度配慮された方式ではありますが、一人別枠方式とは全く違う考え方に基づく方式でございます。いわゆる一定の数で人口を割ったときに小数点を切り上げるという方式でございまして、あらかじめ一枠を各県に配るという方式とは異なっておりますので、それは、そういう御指摘は当たらないものと考えております。

本村(賢)委員 アダムズ方式に準ずるということは、アダムズ方式なんですか。

北側議員 今おっしゃっているのは、小選挙区の六削減について、それがどうなんだというお話をされているんでしょうか。

 そういう趣旨でいいますと、これはアダムズ方式そのものではありません。ただ、平成三十二年からアダムズ方式を適用して、人口比例配分によって都道府県の定数配分をすることを法案の本則に明記をしているわけですね。それ以降は、一人別枠方式というのは完全に排除されるんです。

 その前提のもとで、では、小選挙区の六削減をどうやってやるのかということについて、一番合理性のあるのは何かと考えたときに、平成三十二年からアダムズ方式を適用するわけですから、それと整合性を持ったような形で、合理性のある方法でやるのがいいと我々は判断したわけです。

 仮に、平成二十七年にアダムズ方式を適用しますと十五減になるはずなんですが、その十五減のうち、一人当たり人口の最も少ないところから順に六つ、一票の価値の重いところから六つ選ぶ、こういう方式をとることが整合性があり、また合理的である、このように判断したわけです。

本村(賢)委員 谷垣幹事長も、今、北側先生も、アダムズ方式には当たらないというお話をいただいたわけであります。このことをよく踏まえておきたいと思っております。

 次の質問に入りますが、それぞれの案に沿った場合、やはりこの答申というのは非常に大事な話でありまして、答申に沿ったアダムズ方式採用での総選挙はいつ実施できるのか、各提案者にお伺いいたします。

細田(博)議員 仮に、今国会で衆参両院で通過をして、そして区画の審議会、区割り審に諮問が行われた場合には約一年かかるわけで、法律上は一年以内、だから、来年の春、答申が出ます。そうすると、今度は、公選法附則に、全ての変える選挙区の、何々県何々区は何市と何郡何町であると、これは全部別表で変えなきゃいけませんので、そういう公選法を出しまして、これが速やかに通れば、それから一カ月で施行する。だから、最短であれば、今から見ると、一年ぐらいの、来年の通常国会の間にと思っています。

 だから、次の大規模国調の結果については五年後に速報値が出ますから、それから一年かかる、六年後になる、こういうことでございます。

落合議員 お答えいたします。

 本法律案が成立すれば公布日から施行されることとなり、区画審は直ちに、小選挙区六削減後のアダムズ方式による都道府県別定数配分、いわゆる七増十三減のもとでの具体的な区割りの改定案の作成作業に入ることになります。そして、区画審は、本法の施行一年以内においてできるだけ速やかに改定案の勧告を行うこととしています。具体的には、遅くとも来年五月ごろまでには勧告がなされることとなります。

 そして、区画審の勧告を受けて、政府は速やかに法制上の措置を講ずる、すなわち、勧告の内容に従って具体的な小選挙区を定める公職選挙法の別表第一を改正する法案を閣法として提出することとなります。この閣法は、来年の通常国会の会期中に提出され、その国会の会期内に速やかに可決、成立することを想定しています。

 この具体的な区割りの改定の法律は、過去の例に倣い、公布後、周知期間を一カ月置いた後に施行され、施行後に公示される総選挙から適用されることを見込んでいます。

 そうすると、民進党案では、アダムズ方式の選挙区割りのもとで、遅くとも来年七月ごろ以降であれば、抜本改革を行った上での選挙ができるものと見込んでおります。

本村(賢)委員 与党提出者の方にお伺いいたします。

 今、答申に従って総選挙を打てる時期が六年後というお話を細田先生からいただいたわけでありますし、民進党からは、民進党案ならば、すぐ、早く、平成二十四年の十一月十四日の党首討論、身を切る改革に応える形で選挙ができるわけであります。

 端的にお答えいただきたいんですが、この身を切る改革が、やはりこの与党案では非常に遅いんじゃないか。早いか遅いか、簡潔にお答えください。

細田(博)議員 まず、身を切る改革というときは定数削減でございますので、これは、直ちに十減をするという形で出ているわけです。その後は、アダムズ方式は、九増九減という、いわば都道府県間の格差是正ですから、これは身を切るということではない、こういうことでございます。

本村(賢)委員 党首討論からいただいた、いわゆる定数削減、一票の格差の是正、こういったものの改革が、与党案では非常に遅いんじゃないかという思いがあります。

 最後に、民進党の方に御質問しますが、法案の成立から適用までの間に総選挙が行われた場合、当該選挙の結果は有効と認められるかどうか、お伺いいたします。

落合議員 改正法の施行前の解散・総選挙は、改正前の制度で行われることとなります。司法の判断を予見することはできませんが、政治の場にある者として、できるだけ速やかに最高裁から求められている一人別枠方式の撤廃による格差是正を実現するため、最大限努力をするべきだというふうに考えます。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

平沢委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 衆議院選挙制度関連二案、自公案、民進案について質問をいたします。

 選挙制度は民主主義の土台であります。主権者国民の代表の選び方、国民の参政権のあり方を決めるものであり、十分な議論が求められます。このことは、先週金曜の本会議で我が党の穀田議員が指摘をしました。民進党提案者からは、全く同感との答弁がありました。

 選挙制度については十分な議論が必要だということは、自民党、公明党の方々も同じ認識だと思いますが、その点、そういうことで、同じですね。

逢沢議員 もちろん、院の構成にかかわる、もっと言えば、日本の民主主義の根幹をなす制度に関する議論でありますので、慎重でなくてはならない。あるいは、全ての政党会派の議論があるでしょう、意見を持ち寄り、コンセンサスを得る努力、当然それは必要なことと申し上げておきたいと思います。

塩川委員 そのように、そういう議論が求められているときで、両案は十五日に提出をされました。先週金曜日に、本会議で趣旨説明、質疑をやり、初めて国民の前に示されたわけであります。きょうが初めての委員会質疑であって、あす、法案のもとになった答申を出した衆議院選挙制度調査会の座長でありました佐々木氏らを参考人として呼ぶことになっております。

 両案については議論が始まったばかりです。国民は、法案の内容を十分に知るに至っておりません。そういう状態で、今週中にも採決をして衆院通過を図るなどということが報じられていること自体が問題であります。よもやそういうことがあってはならない、このことをまず申し上げておくものであります。

 両案はともに調査会の答申に従ったといい、両者でどちらの案が答申を尊重したものかという議論が先ほどから行われておりますが、調査会そのものは非公開の議論で行われたもので、会議録も公開されておりません。国民から見ると、答申尊重といっても、その答申は、なぜ現行小選挙区制を温存し議員定数削減をする答申を決定したのか、十四人の委員がどういう議論をして結論を得たのかということ、国民の声を聞く機会をなぜ持たなかったのかということ、こういうことも全くわからないわけであります。

 そこで、両案の提出者にそれぞれお尋ねをしますが、私は、中央や地方での公聴会など、国民の声を聞く場が必要だと考えます。定数削減の対象となっている地域でも国民の声を聞く必要があると思いますが、この点についての御見解をお聞かせください。

岩屋議員 塩川委員から、国民の声を聞くべきではないかという御指摘がございました。

 私ども当然そう考えておりますけれども、御案内のとおり、この議論は、これまで三度にわたって違憲状態だとする最高裁判決があって、一票の格差の是正は喫緊の課題であるということで、各党間の協議がこれまで続いてきたわけでございます。

 言うまでもなく、選挙制度の仕組みそのものは、ある意味でいうと、極めて専門的な知見をもとに議論するべき内容であろうかと思います。各党がそれぞれ国民の声を代弁して、これまで二十九回にわたって協議を重ねてきました。にもかかわらず合意に至らなかったために調査会が設けられ、この調査会の答申を尊重することとして、さらに協議を重ねて、今、二つの案が委員会に提出をされ、審議をされているということでございますので、十分な議論がなかったという指摘は私は当たらないのではないかというふうに考えております。

逢坂議員 お答えいたします。

 今回の選挙制度については、塩川委員御案内のとおり、二〇一一年の秋から、先ほど来話がありますとおり、二十九回各党協議が行われた。しかしながら、結論が出なかった。一方で、最高裁から過去三回連続で違憲状態という指摘もされているということでありますので、可及的速やかにこの違憲状態を解消するということが一つ必要なことなんだろうというふうに思っています。

 ただ、本会議でも私は申し上げましたとおり、やはり丁寧な議論が必要だというふうに思います。国民から声を聞くということも、私はこれは大事なことだろうというふうに思っています。

 そこで、我が党におきましては、党内のことではありますけれども、全国の我が党の各支部にも連絡をして、今回の答申についてどう思うかというような意見聴取もした上で、我が党としては、国会としての手続ではないかもしれませんけれども、そういうことも工夫をさせていただいたところであります。

 それからもう一つなんですが、先ほど来、制度の安定性ということについて議論が出ております。

 制度を変えるたびに定数が変わる、これも制度の安定性を毀損すること。

 それからもう一つ、制度の議論をするたびに選挙制度が小選挙区制からまた別の制度へ変わる、これも制度の安定性が変わること。

 もう一つ、制度の安定性を毀損しているものとして、やはり一票の格差問題があって、選挙のたびに常に国民の皆様から、これは違憲ではないか、違憲状態ではないかというふうに指摘をされることも制度の安定性を毀損する一つの大きなものだと私は思っておりますので、制度の安定性の観点からも、これまでの議論を踏まえて、これは可及的速やかに対応すべきではないかというふうに思っております。

塩川委員 制度のあり方について見直すのであれば国民の声を聞けということを申し上げたわけで、そういう点でも、慎重あるいは十分な議論が必要だ。そういう中で、各党間の議論はやっても国民の声は聞かないということでは、それでは国民の声に応えた制度につながらないということもまた明らかではないでしょうか。

 法案の性格について確認しておきたいんですけれども、両案とも、アダムズ方式の採用時期には違いがありますが、今後、自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込んだものだと説明をしております。ということは、二〇二〇年以降にも対応した法案、つまり暫定的なものではない、こういうことだと思いますけれども、そういう認識でよいか、両案の提出者にそれぞれお聞きいたします。

細田(博)議員 今回の法案には、我々の案も民進党の案も、基本的に、アダムズ方式を採用して、長期的に各都道府県間の配分を決めるということ等は記されているわけで、これはつまり小選挙区比例代表制の維持という前提で書かれていることは事実でございます。

 これは、むしろ、佐々木調査会に対しても、全党からもヒアリングを行い、今の制度の欠点についても、あるいは、我々も、今の小選挙区制がいわば得票率よりも議席の数が極めて大きくなる可能性がある、これは我が党に限らず選挙ごとにそういうことが生ずる可能性がある、だから我々はこういう案を考えましたということを申し上げたし、御党も恐らく何らかのお考えを言われたと思いますが、それらを全て聴取した上で佐々木調査会は結論を出されたというふうに承知しておりますので、とりあえず我々は、この法改正が行われれば今の体制が今後とも続く、そういう前提だと思っております。

逢坂議員 塩川委員御指摘のとおり、二〇二〇年以降にも対応した法案というふうに理解しております。

塩川委員 細田議員からありましたように、並立制の維持、そういう意味では、これが将来にわたって存続するということを前提に、今、逢坂議員の方からは、二〇二〇年以降にも対応するものということでありますので、そういったものでも暫定的なものではないわけです。

 先週のこの倫選特の理事懇におきましては、自民党の理事などから、今回の法案は緊急避難の改正なんだ、こういうこともされたわけですけれども、そういうものではないということが確認をできたということであります。今後の質疑にもかかわることなので、理事会においてもよく協議をし、慎重、十分な審議を重ねていく、そういう機会にしていきたいと考えております。

 法案提出に至る経緯を振り返っておきたいと思います。

 衆院選挙制度をめぐっては、二〇一一年三月、最高裁から衆院小選挙区の一人別枠方式が違憲状態であるとの判決が出されたことをきっかけとして、一一年十月に、国会を構成する全ての政党、当時の九党が参加をし、衆議院選挙制度に関する各党協議会が設置をされ、二十九回にわたって実務者協議が行われました。

 そこで、二〇一三年六月には、全党が唯一合意をし、よりよい選挙制度を構築する観点から、現行並立制の功罪を広く評価、検証し、抜本的な見直しについて、各党間の協議を再開し、結論を得るものとするとした確認事項がまとめられました。

 そこで、自民、公明、民進各党にお尋ねしますが、この確認事項ということについては当然御承知、御認識だと思いますが、その点だけ確認をさせてください。

細田(博)議員 二〇一一年の十月に各党協議会が始まりましたときは、当然ながら、民主党政権でございました、当時の。民主党政権は、マニフェストにおいて定数八十削減を掲げておりました。ほかの各政党も、定数を大幅削減。そして、もちろん、格差是正は憲法上の判断ですから、それは乗り越えるということは当然でございますが、この協議会自体が、そもそも、そういう定数削減をどうするのか、そして選挙制度をどうするのかという議論から始まったわけでございますので、その点は御理解をいただきたいし、毎回、御党、例えば穀田委員はそのことを言われておられて、我々も十分認識しておったということも承知しております。

北側議員 平成二十五年六月の合意のことをおっしゃっているんですね。

 ちょうど三年前になるわけです。このときも参議院選挙が直後に控えておりまして、通常国会も閉めるという段階の中で、その段階でまだ各党協議、結論が出ておりませんので、さらに参院選が終わってから引き続き協議をしましょうという合意をいたしたのは、そのとおりでございます。

逢坂議員 お尋ねの平成二十五年六月の確認事項については、私も認識をしております。

 ただし、その際に、当時の民主党でございますけれども、あわせてこのようなことを言わせていただいております。

 都道府県への議席配分は、一人別枠方式を撤廃し、人口比例に基づき行うべきこと、さらにもう一点でございますけれども、今秋の、要するにその年の秋の臨時国会などと明確に期限を区切るべきことを意見表明したということもあわせて申し上げさせていただきます。

塩川委員 その部分は確認事項には入っておらないわけですけれども、いずれにせよ、この二〇一三年六月二十五日の確認事項ということについて、そういうものとしてあるということについて踏まえた上で質問を行いますが、この全党の唯一の合意に立って改革の協議を進めるべきだったわけであります。

 ところが、一四年に入り、民主党など一部の党が第三者機関の設置を提起し、日本共産党や社民党が反対しているにもかかわらず、全党の協議を一方的に打ち切り、全党で唯一合意した現行並立制の功罪を広く評価、検証する作業を一度も行わず、第三者機関へ丸投げをしたという経緯であります。

 日本共産党は、当時から、政党と国会の責任放棄だと厳しく批判をしましたが、一部の党は、衆議院議院運営委員会において、多数決で議決までして、衆院議長の諮問機関として選挙制度調査会を設置しました。選挙制度に関してこのようなやり方をしたことはありませんでした。

 ことし一月に調査会から答申が提出されてからも、異様なやり方であります。

 調査会答申を受けての各党の認識や見解などを協議する全党協議は一度も行われていません。この数カ月何があったかといえば、行司役であるはずの議長が各党を呼び出し、議長が意見を聴取することを繰り返し、全党による協議の努力を行っておりませんでした。さらには、議長が一つの法案に執着をし、「思い」という名で法案の指針を示し、期限を区切って法案提出を促し、速やかな審議入りを求め、今国会中に立法府の意思決定を要請するというのは、前代未聞の異様なやり方と言わなければなりません。

 法案提出を促し、今国会中の立法府の意思決定となれば、結果的には、選挙制度の問題を多数決で決定しようとすることになるではありませんか。選挙制度について、議論を尽くさずに多数決に付すということは、多数の力で都合よくねじ曲げることができ、民主主義の崩壊につながります。

 先週の本会議で、我が党の穀田議員が、今回のこのような横暴なやり方をどう思うのかと質問したのに対し、与党は、議長が事情を踏まえた上で判断された、強引に数の力でしているつもりはないと答弁をされました。

 自公案の提出者にお尋ねをいたします。

 安倍総理は、ことしに入ってから、本会議でも予算委員会でも、各党の議論が必要だと何度も答弁をしております。答申提出以降、全党全会派による各党協議が行われなかったことについては、どのように考えておられますか。

逢沢議員 院の構成にかかわる、また民主主義の基礎、基本をつくっていく議論にどう向き合うか。非常に大事なことでございます。

 確かに、塩川先生おっしゃるように、佐々木調査会が答申を出した以降、全ての会派の代表者が集まる機会はなかったというふうに承知をいたしておりますが、まさにこれは、各党各会派間の相談あるいは打ち合わせ、コンセンサスづくりの問題ではなかったかというふうに思います。その必要性あるいは緊急性をそれぞれの政党、各会派がどのように受けとめていたか、あるいは理解をしていたか、そこにかかわってくることというふうに理解をいたしております。

 結果的に開かれなかったという事実は事実としてしっかり我々も踏まえておきたい、そのように存じます。

塩川委員 選挙制度は民主主義の根幹であり、だからこそ、一部の政党だけではなく、審議を進めることが必要だ。一部の党で押し切るようなことはあってはならない。だからこそ、各党協議会も回数を重ねて行ってきた。その議論の到達点に立ち返る必要があります。

 答申を尊重する調査会設置についても、実際には、全党協議を行わない、そういう言いわけにはならないわけで、両案とも調査会の答申を踏まえたものということでは、話が、議論が進みません。第三者機関に丸投げをした形での議論というのは、政党として、立法府にいる者として責任を放棄しているということを言わざるを得ません。

 次に、両案ともに現行制度、小選挙区比例代表並立制について、各党の認識を伺いたい。

 現行制度の最大の問題は、比較第一党の虚構の多数をつくり出す一方で、少数政党は、得票率に見合った議席配分を得られず、獲得議席を大幅に切り縮められ、民意の反映を大きくゆがめるということであります。

 この制度のもとで実施された七回の総選挙の結果は、その根本的な欠陥を浮き彫りにしております。二〇〇五年総選挙では自民党二百九十六、〇九年は民主党三百八、一二年は自民党二百九十四、一四年は自民党が二百九十一と、第一党が圧倒的な多数議席を獲得しました。

 小選挙区における第一党の得票率と議席獲得率を見ると、いずれの選挙も、小選挙区での第一党の得票率は四割台にもかかわらず、七割から八割もの議席を占めています。

 また、小選挙区制は、各選挙区で最大得票の候補者一人しか当選しないため、それ以外の候補者の得票は死に票になります。

 死に票は、各小選挙区投票の半数に上ります。国会質問で明らかにしましたように、二〇一四年総選挙では、二位以下の候補者への投票が四八%、二百九十五選挙区のうち、死に票率が五〇%以上の選挙区が百三十三となります。

 各党はこうした民意と議席の乖離をどう考えるのかをお聞きしたい。

 先ほど確認をしました、二〇一三年に全党が唯一合意をした現行選挙制度の功罪を広く評価、検証というのは、現行の小選挙区制が民意をゆがめる、過度に民意を集約するという問題点を持っていることを全ての政党が認めたからこそ盛り込まれたものであります。

 自民、公明、民進の各党にお尋ねしますが、現行制度が民意をゆがめる、過度に民意を集約する、そういう認識については変わりがありませんか。

細田(博)議員 平成五年に細川政権が成立いたしました。そのときに選挙制度大改革の波が襲ってきたわけでございます。そして、細川七党連立政権が提案したものが小選挙区比例代表並立制であります。

 私は、政治改革委員会の場で、今でも当然議事録はありますが、質問者として立って、これをやれば必ず少数政党は減少を続けるであろう、少数政党は大政党と合併をして、それは、自民党は片方、もう一つも大きな合併政党になって二大政党を目指すのでなければこの制度はできないけれども、それはいいのかと七党代表のそれぞれの大臣に、全党を代表して大臣が出ておりましたから、質問いたしましたが、大体、概略、大きなお世話である、それは我々が考えることで、これからまさに小選挙区比例代表並立制を実現すれば、政権交代が可能になり、すばらしい制度になる、こういう答弁だけを得たわけでございます。

 私は、そのときには危惧をいたしましたが、その後、政権交代は確かに行われました。スイングしてかわってくる。しかし、おっしゃったように、三十数%でも、トップを占めれば、過半数あるいは六割の議席を占める制度になりました。

 今、まだこれを変えろという世論が日本を覆っておりません。そして、佐々木調査会も、むしろそれを踏襲して、その中で若干の格差是正と定数削減をやれという答申が出てきたということで、世論もそのような、多くの人は、そういうことに従うべきだということを、新聞論調でも出ておりますし、我々はそれに従って提案をしている、こういうことでございます。

北側議員 委員も御承知のとおり、この選挙制度の問題というのは、一つは一票の格差是正の問題、さらには、これは御党は立場は違いますが定数の削減の問題、そして、今おっしゃっておる選挙制度そのもののあり方の問題、こうした三つの問題、課題があるんだというふうに理解しております。

 今回の法案は、この一票の格差是正の問題について決着をつける、そしてまた、定数削減の問題についても当面の対応措置を国会としてやるということがメーンです。

 おっしゃっているとおり、選挙制度のあり方そのものについては、さらに今後の政党間の論議の課題であるというふうに認識をしておりまして、そういう趣旨も含めて、見直し条項も入っておるというふうに考えております。

逢坂議員 現行制度の弊害、問題点については、もうるる塩川委員も、それから今の答弁でも指摘をされたとおりだというふうに私も思っております。

 しかし、その一方で、政権交代可能な政治の状況をつくり出すんだ、あるいは政策本位の政治を実現するんだといったような観点からは、ある一定程度の役割は果たしてきているんだろうというふうに認識をしております。

 加えて、先ほど細田議員が答弁されたとおり、それでは、この制度を変えるため、あるいは、この制度をさらにどうにか変えていくということについての民意が今高まっているかといえば、そこのところはまだこれからなんだろうという気もしております。

 しかしながら、政治家の方向としては、選挙制度が常によいものであるかどうかということを継続的にチェックをしていく、議論をしていくということが大切だろうと思っています。その意味で、今回、附則にもそうしたことも書かせていただいております。

 以上です。

塩川委員 国民からそういう声がないと言いますけれども、今の政治に対して、民意と議席の乖離が大変大きい、国民の声と今の政権が進めている方向についての大きなギャップがあるというのが今の多くの国民の皆さんの実感でもあるわけであります。

 そういった点でも、見直しについての条項を入れているという話もございましたけれども、私は、そう言うのであれば、今後の課題ということではなくて、先ほども述べた、この確認事項において書かれております民意集約機能の緩和の問題を含めて抜本的な見直しにするという、この民意集約機能の緩和の問題をテーブルにのせて議論をする、この点について、各党の皆さん、改めてそのお考えをお聞かせください。

北側議員 先ほども答弁をさせていただきましたが、委員は、民意の集約機能が今大きくなり過ぎているのではないかという問題意識を持っていらっしゃるんだと思います。私は、その傾向はないとは申し上げません。その傾向はあるというふうに思っております。しかしながら、これは二十九回の論議の中で今の点も何度も論議をしてまいりまして、なかなか結論が出ないというのが実際のところでありました。

 当面は、まず、一票の格差是正をきちんとやっていく、そして、さらには定数の削減問題についてやるということが大事でございまして、今委員から御指摘のあった点も非常に重要でございますが、これについては今後の政党間の論議に委ねたいというふうに考えております。

逢坂議員 確かに、民意が過度に集約され過ぎるという課題というのはあるんだと私も認識しておりますし、加えて、私自身も、全国を歩いておりますと、国民の声が必ずしも今の政府、政権に届いていないのではないか、思いと政府、政権がやっていることは違うのではないかという声も随分と聞きます。具体的に言うと、安保法制はどうですかとか、あるいは経済対策は本当に国民の意に沿っていますかという話を聞くことは非常に多いというふうに思います。その意味で、今回の選挙制度を見直すということは、やはり各党各会派が一緒になって議論を継続していくことが大切だというふうに思います。

 しかし、そのことはそのこととしながらも、今回、一票の格差の問題については、これまでの経過を踏まえて、これはしっかり取り組んで解消をしていくというのが大切だろうと思います。

塩川委員 そもそも、こういった民意との乖離の話は、二十年前の政治改革において、政権交代を可能とするため民意の集約が必要だと小選挙区を導入したことに諸悪の根源があることは明白であります。自民党安倍政権を支える三百に迫る議席は、絶対有権者比で一七%の支持で獲得したものであり、このもとで、昨年、安保法制が強行成立をさせられました。平和主義、立憲主義を破壊する暴挙が現行の小選挙区制の害悪を明白に示していると言わざるを得ません。

 今、国民から、なぜ国民多数の声が反映しないのか、これが正当な国民の代表と言えるのか、主権者の声を聞けという声が上がっている。そこに選挙制度の問題がある。選挙制度は民主主義の根幹であり、国民、有権者の参政権の問題であります。議会制民主主義の問題では、選挙の過程そのものが国政の進路と内外政策についての国民の意思を議席に反映し、民意を正確に反映した国会の土台の上に政権をつくり、国会における徹底審議によって合意を形成していくことが保障されなければなりません。選挙制度を考える基本原則は、国民の多様な民意をできる限り正確に反映することでなければなりません。

 ことしは、憲法公布七十年、女性参政権実施七十年、十八歳選挙権を実施する年であります。選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、新たな有権者が二百四十万人ふえます。一八九〇年、制限選挙下で、我が国の最初の選挙のときの人口に占める有権者の割合はたった一%でありました。一九二八年の男子普通選挙で、人口に占める有権者の割合が二割、そして一九四六年の女性参政権と二十歳以上の選挙権実現で五割となり、今は八割強となっております。

 このときに、民意を反映させ、国会に届けるという選挙はどうあるべきなのか、こういうことについて真剣な議論が必要だ、今週中に衆議院を通過するようなことなどは決してあってはならない、このことを改めて強調して、時間が参りましたので終わります。

平沢委員長代理 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 冒頭、先ほどから塩川委員のお話の中にある、大きな声という表現がありますけれども、私は、確かに、国会、国会じゃなくてもいろいろな場面でその声に耳を傾けるということは、政治の世界ではするべきこと、絶対に欠かしてはいけないことだとは思うんですね。ただ、しかし、政治の世界で一番重要な、我々の世界で一番重要なのは、一番大きな声を政策に反映するということだと私は思うんですね。

 そういう意味では、現行の選挙制度で選ばれた構成でこの国会が成り立っていて、別に少数政党だけがその制度外の選挙で戦ってここに来ているわけではなくて、皆同じ制度の中で選挙を戦って、同じ条件のもとでこの国会に選ばれて送られてきているわけですから、そういった意味では、今の国会のそういう構成を否定すること自体が私は議会政治の否定だと思っていますので、確かに共産党さんの主張されていることも耳を塞ぐことはしませんけれども、ちゃんと聞きますけれども、そこはちょっと違うんじゃないかなというふうに私はいつも思って聞かせていただいております。勉強にはなります。ありがとうございます。

 きょうは主に、私の方からは、定数削減に対することを軸にいろいろと聞いていきたいと思っています。

 まず、その一つ前に、国民の声、国民の声ということが今までも各党から話がありましたけれども、私は、国民の声がどういうふうにして我々に伝わってくるかというと、それはやはり、一つはマニフェストだと思うんですね。各党が掲げているマニフェストを見ていただいて、そのマニフェストを実行する政党を皆さんが選んでいただいている、それが選挙だと思うんですね。だから、この掲げているマニフェストを実行してくださいというのが国民の声だと私は思っているんです。

 これはちょっと質問通告はしていないんですけれども、両案の提案者で、国民の声というのはどういうふうに反映されているとお考えかというのは、基本的なことで結構ですので、御答弁いただけますか。私は、さっき言うたことだと思っているんです。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

細田(博)議員 選挙のときの公約あるいはマニフェストについては、十分党内で検討した上で発表しております。

 例えば、自由民主党は、まず、定数削減については〇増五減、もう実現したわけでございますが、これは何のためかというと、五つの県は人口が少な過ぎて格差二倍の原因になっているから、これを削減して、そして定数是正を図って格差二倍未満に全ておさめるようにする。定数削減全体については、比例定数で削減しよう、比例を三十減する。しかし、それでは少数政党に不利に働くので、そのうち九十議席は各党完全案分比例、しかし、六十議席は全て少数政党に分けるといいますか、比例でブロックで第一位にならなかった党に分けるという案を提出して、三十減。

 これは当時、公明党さんとも合意した案ですが、そういう三十減は、先ほど質問のあったような各党間の得票率と議席数の不均衡を是正するという意味では非常に前向きの案であったわけですが、わかりにくいとか、そんなことは必要ないということで、当面消えてしまった。議論を重ねているうちに今のアダムズ方式になった、佐々木調査会の答申になってしまった、こういうことでございます。

逢坂議員 御質問の趣旨に沿うかどうかわかりませんけれども、選挙のときに、たくさん公約あるいはマニフェスト項目を掲げる。ただ、有権者の皆さんは、その全ての項目、公約がいいと思って一票を投じる方もいらっしゃるし、公約は全部だめなんだけれども、相手との比較において、まあこちらの方がいいかなと思って一票を投じることもある。場合によっては、百ある公約のうちの十個ぐらいはいいなと思って一票を投じる方もいる。一票の投じ方というのはいろいろだというふうに思っています。

 ただ、そのことによって、選挙というプロセスを経て当選した者は何をしなければならないか。その掲げた公約を、いろいろな賛否はあるけれども、今度はそれを政策実現の過程へのせていくことが非常に大事で、その結果、議会での議論があったり世論があったりして、政策が実現できるものも実現できないものも出てくるというふうに思っています。

 そういう観点からいうと、選挙で当選すればありとあらゆる公約について白紙委任状をもらったかのように、地方議会なんかでも振る舞っているような場合も時には見受けられるんですけれども、それは必ずしもそうではないだろう。だから、選挙が終わった後にいかに丁寧に政策議論のプロセスにのせていくかということが、まず第一番に問われることなのではないかというふうに思っております。

浦野委員 ありがとうございました。

 それでは、ここからは通告させていただいている質問に移っていきたいと思います。

 定数削減に関しては、反対をする党もあります。先ほどからの、国民の声が届きにくくなるというのが一つの理由ですけれども、今回は、法案二つとも、十削減されるという法案になっています。

 これは、どちらかが成立することになると思うんですけれども、私は、各党、やはり合意していただくように努力をするというのはもちろん絶対にしなければならないことだとは思っているんですけれども、ただ、きょうまでの議論の中にも、答弁の中にもたくさんありましたように、話し合いをしてきた中で、もうこれ以上話し合いをしても平行線だから、今回、これで決めてしまおうということになっている。ということは、どちらかの案しか成立しないことになります。

 ということは、各党、もちろん提出者の方々は提出者の法案に賛成するでしょうし、それ以外の党はどちらかに賛成する、もしくは、どちらのにも反対をするという選択肢をとると思います。その場合、ほかの党が、提出者じゃない党が両方の案に賛成しなくても、それでも、自分たちだけで、もちろん過半数を持っているのは自公さんだけなので、そうなると、通るのは自公案になってしまうわけですけれども、それで問題はないというふうに思っていらっしゃるのか。これは両方にお聞きしたいと思います。

逢沢議員 多くを申し上げる必要はないと思いますが、お互いが理解をしている、また受けとめているプロセス、経緯を経て、両案が今国会に議法の形で提出をされました。

 議案が提出をされ、そして、まさにこの委員会の理事の方々がおつくりをいただく日程に沿って審議が行われる、そして、ある一定の判断で結論を得る時期が来れば、委員の先生方に賛否を明らかにしていただく。今まさに、そういうプロセスにこの両案がのっかっているというふうに理解をいたしたいというふうに思います。

 累次にわたって最高裁から違憲状態、そういう判断が下されている。喫緊の課題ですよね。違憲状態を脱する、そのことに結論を出さなくてはなりません。

 定数削減について、調査会は、必ずしも合理的な理由は見出せない、そういった趣旨の答申でございましたけれども、主要政党がそれぞれ定数削減を国民に約束をしている、そのことを受けとめるとき、定数十削減、一つの答案を調査会が出されたわけであります。それを受けとめて、与党案、野党案とも十削減、こういう法律を出しているわけでございます。

 今開かれている今国会で、議会のルール、手続に沿って結論を出していただけるものと理解をいたしております。また、この審議を通じて、国民の皆さんも、選挙制度のあり方、定数のあり方についてより一層理解を深めていただけるものと期待をいたしております。

 それぞれ、政党政派、各会派、立場や考え方があろうかと思いますが、我々の立場からすれば、願わくば自公案に賛成をいただく、そのことに提案者として、また与党としてぎりぎりの努力を重ねてまいりたい、そのようにも申し上げておきたいと思います。

逢坂議員 今回のようなこの大規模な選挙制度の改正について、各党各会派が必ずしも合意をしない中でやられるということについて問題はないか。私は、やはり各党各会派が、少数政党も含めて、全会一致でやっていくというのがこの選挙制度を考える上での原則だろうというふうに思っております。その原則を崩してしまいますと、数の多い、その時々に数をたくさん占めている政党の意向に沿った選挙制度になっていくということは、必ずしも適切なことではないというふうに思います。

 しかしながら、今回、さまざまな経過の中でこういう事態になってしまったということでありまして、これは、私の知る限り、必ずしもこういうことは頻繁に起こることではないのかなというふうに思っています。今回の小選挙区比例代表並立制の議論のときも、いろいろ議論はあったけれども、最終的に各党各会派が合意をしたという経過もあるわけであります。

 したがいまして、今回のこの法案の議論も、まだ委員会の運びはどうなるか、私が口を出すことではありませんけれども、折り合いのつくところがあるのであれば、少しでも折り合いをつけていくということが私は大事だろうと思います。

 その意味で、先ほど國重委員から指摘されたところが私は非常に心に刺さっているんですが、我が党は、今回の答申を、本当に真面目に丁寧にストレートに、早く実現したいという思いで今回の法案をつくらせていただきました。しかし、國重委員から、それにこだわる余り、少し形式的になり過ぎているのではないかという指摘があったところは、なるほど、そうかなと思わなくもないわけであります。

 そうした意味において、例えば我々は、大規模国勢調査の結果に基づいて今回の選挙制度改正をしてくださいよという答申があったものですから、あえて二十二年ということで、一番近いところでやっている国勢調査の結果に基づいた改革法案を出しているわけですが、例えば、それがお許しいただけるのなら、二十七年国調というのは直近で出ているわけですから、そういうものに置きかえていくというふうなことでお互いが譲歩し合うという道も場合によってはあるのではないだろうか。選挙制度の議論というのは、そういう歩み寄りというものが私は大事ではないかなというふうに思います。

 以上です。

浦野委員 全会派一致というのが、もちろん、自分たちの身分にかかわる、議員の身分にかかわることですから、それは理想論で、理解はできるんですけれども、先ほども言ったみたいに、絶対に全会派一致なんかできないんですよね、定数削減で絶対に意見が分かれていますから。片方はふやす、片方は減らすと言っているわけですから、絶対全会一致なんかには一生ならないんですよね。だから、そこはやはり現実を見ていただきたいなというふうに私は思います。

 二つ目の質問です。

 過去の各党のマニフェストで、具体的に数字まで削減数を書かれている党もありますけれども、そのとき、恐らく、私が調べたところでは、二〇一〇年の参議院のマニフェストが、一番最後に、そういう具体的な、どれぐらい議員定数を削減するというふうに書いているかというマニフェストになるんです。

 それを、自民党さんと当時の民主党さんになると思いますけれども、公明党さんは参議院の方には書いていらっしゃるんですけれども、衆議院の方は書いていらっしゃらなかったので、恐らく、連立与党ですから同じ思いだという前提で、自民党さんと当時の民主党さんにお伺いします。

細田(博)議員 我が党は、先ほど言いましたような、比例を削減するけれども第一党には不利な内容の見直しを行う、小選挙区自体については、議席数を余り減らすと代表性がどんどん小さくなって必ずしも適当ではない、〇増五減を限度として、むしろ比例の削減を行うという合意内容、公明党さんとも内々、北側議員とも合意した内容、これを出しております。しかし、その後の議論の経過は、全く顧みられずに別の議論になりつつある、そういうことでございます。

 ただ、小選挙区の中で、我々、〇増五減は、国勢調査ベースで二倍を切っているわけです、瞬間ですが。そして、宮城五区という大津波に見舞われたところが二万人ほど人口が減っているから格差が二・一三倍になって、この間の最高裁判決につながったんですが、それをさらに東京の方も、東京が大きいところですから、調整すれば、今回五年間の間は違憲状態は解消できる、そういう見通しのもとに、当面は境界調整する。しかし、五年後から大幅な、大なたを振るって東京に四増をつけてやる。

 ただ、そのことが、九増十五減が日本全体にとっていいことかどうか、地方創生の問題はどうだということもあるので、それらは附則の条文にも、第五条、時間の関係であえて読みませんけれども、しかし、いろいろなことを考えて、これからも検討、不断の見直しを行うべしということが盛り込まれているわけでございます。

逢坂議員 お答えいたします。

 当時、かつての民主党ですけれども、二〇一四年の総選挙では具体的な削減数は明示しておりません。それから、二〇一三年の参議院選挙、二〇一二年の総選挙では、衆議院は八十議席、参議院は四十議席程度の削減をマニフェストに掲げております。

 また、参考までに、維新の党でございますけれども、維新の党は、二〇一四年総選挙マニフェストで、議員定数三割削減を掲げているということであります。

 以上です。

浦野委員 そうですね、民主党さんはその当時、八十減という公約を掲げておられました、衆議院に関しては。比例定数を八十削減という形だったと思います。

 自民党さんは、その後の議論でいろいろあって内容が変わっているということですけれども、少なくとも二〇一〇年のマニフェストには、二〇一〇年から三年後には一割削減して、六年後には三割削減するというふうに書かれていたんですね。二〇一〇年といったら、政権交代した直後の選挙ですね。だから、民主党さんに政権を奪われる形になった後の参議院選挙ですね。だから、その当時はかなり勇ましく公約を書かれたんだというふうに思っています。

 私は、その後いろいろ議論があって、定数についてはいろいろ紆余曲折があったというのはわかりますけれども、当時の民主党さんは過半数を持っていたわけですね。先ほど来、本村委員の質問の中にも党首討論の話が出てきました、あのとき約束したじゃないかと。でも、私からすれば、あのときは当時の民主党さんも既に過半数を持っていて、通そうと思ったら通せた人数だったんですね、八十という削減を。

 でも、なぜしなかったかというのを、先ほどから言っているみたいに、各党の合意が得られないという理由をいつも言うんですけれども、合意なんか最初から得られないんですよ、絶対に。だって、定数削減に反対している政党がある以上、全会派一致なんか絶対無理だし、やはり賛成する党だけで通すしかないんですよ。だから、過半数を持っていたらそれができるんです。

 なぜしなかったのかというのをもう一度、今まででも何回も本会議でも答弁していただいていますけれども、もう一度答弁をお願いします。

逢坂議員 お答えいたします。

 先ほど来申し上げているとおり、選挙制度というのは、基本的には、やはり各党各会派が合意をした上で進めていくというのが大原則だろうと思います。この原則を崩してしまいますと、もう御指摘のとおりでありますけれども、その時々の政権与党あるいは政府のある種思いのとおりに選挙制度が変えられるということにもなってしまいますので、ここは丁寧にやるべきだろうと思っております。

 その意味で、我々も、二〇〇九年、政権交代をした後、当時はたくさんの勢力を占めてはおりましたけれども、やはり選挙制度の議論というのは丁寧にやるべきではないかということで各党各会派に呼びかけを続けてはおりましたけれども、残念ながら合意には至らなかったということであります。

 この事態をある種打開するという意味合いで、二〇一二年の十一月十四日の党首討論、この場において、当時の野田総理と当時の自民党総裁、安倍総裁との間で、遅くとも二〇一三年の通常国会で大幅な定数削減を行うとの約束を交わしたものと認識をしております。これはもう多くの方がテレビなどでごらんになっているわけですので、この政治的な重さといいましょうか、この約束の政治的な重さというのははかり知れないものがある。

 そういう意味で、我々も、この削減ということについては、しっかりこれから議論に取り組んでいきたい、そのように思っております。

浦野委員 あの党首討論のときは、自民党さんは、具体的な、どれぐらい削減するかという数字はおっしゃっていませんでした。ただ、あの当時の公約、政権政党の公約は八十減でしたから、それに合意をすべきだったと思うんです。

 現在でも、自民党さんは今過半数を持っています。公約は紆余曲折で、その数字は減っていますけれども、今回の法案のように、やろうと思えばできることになると思うんですけれども、それはやりませんか。

細田(博)議員 既に七、八年も議論をして、全ての政党が参加して議論をした上に、そしてまた第三者機関にも委ねた上で、結論が出されて、それに対しては各党ともさまざまな意見がありますけれども、これを受け入れようではないかというところまで来ましたから、まずはそれを実現する、格差を是正すると同時に定数削減十を行って、今後の問題はいわば幅広く考えていかなければならないんじゃないか、そのワンステップをまず実現することが大切であろうと思っております。

浦野委員 今回の民進党案には、さらなる定数削減をという文言も含まれております。であるなら、私は、これは政党の範囲の、各政党さんの議論ですので口出しすることじゃないかもしれませんけれども、そう書いている法案を提出している以上、やはり次のマニフェストにももちろん定数削減を掲げるんだと思うんですね。今、八十言うてます。今までの公約は八十でした。それを今回十だけ減らすので、多分、単純に計算すれば七十になるんですけれども、次のマニフェストにそれを掲げるおつもりはもちろんあるんでしょうか。

 なぜこういうことを聞くかといいますと、法案にそうやって書いていても、やらんとこうと思ったらやらんでいいんですよね。でも、やはり書いた以上やらないと、実効性がないとだめなので、もちろんマニフェストにも書きますよねということでお聞きをしているんですけれども、いかがですか。

逢坂議員 浦野先生に改めてなんですけれども、二〇一三年の参議院選挙と二〇一二年の総選挙では、衆議院は八十議席、参議院は四十議席程度の削減というものを当時の民主党はマニフェストに掲げておりました。それで、二〇一四年の総選挙では具体的な削減数を明示していないということでありますので、八十が現在の我が党の大きな目標であるかどうかということについては、そこは、数字は掲げておらない、二〇一四年の時点ではですね、そういう御理解をお願いしたいと思います。

 その上で、今後でありますけれども、次のマニフェストにどう記載するかということでありますけれども、我が党は今、結党間もない状況でありまして、維新の党の皆さんがどういう考え方でおられたかということも含めて、これからどういう方向を目指すべきかということを、もちろん議員定数削減の方向ということで今後の議論は進んでいくというふうに思っております。

浦野委員 隣から三割だという明確な答弁も聞こえてきたんですけれども、ささやきが聞こえてきたんですけれども。

 これは私は、これこそ本当に、皆さん、国民が見ていると思うんですね。言ったことをやるかやらないかというのは、やはりそこら辺にあらわれてくると思います。しっかりと書いていただきたいなと個人的にお願い、僕がお願いするのもおかしいですけれども、お願いをしておきます。

 自民党さんにも同じことを聞くつもりだったんですけれども、今までの議論の中でいろいろとあって今回の法案の成案になったということだったので、もう今回は自民党さんにはお聞きはしません。

 私は、この法案は議員定数の削減だけが入っている法案というわけではないです、もちろんほかにも重要なことがたくさん含まれていて法案になっているわけですけれども、議員定数の削減というのはやはりなかなか難しいと思うんです。

 これも何度も今まで我々おおさか維新の会は言ってきましたけれども、大阪府議会ではその難しい議員定数削減をやりました。過半数をとった選挙ですぐに、四月の統一地方選挙で過半数をいただいて、五月の最初の議会で議員定数の二割削減を公約どおりさせていただきました。もちろん、そのときはもめにもめましたし、その後の四年後の統一地方選挙で、やはり議員定数削減の対象になった選挙区、もちろん我々は一番議員の数の多い政党でしたので、仲間の議員が選挙区がかぶってしまって、どちらかしか公認できないという血で血を洗う選挙になりました。もちろん、それで大阪維新の会を離党された先生方もいらっしゃいましたし、それで落選をされた先生もいらっしゃいました。でも、定数削減というのは、必ずそういう血で血を洗う戦いになってしまうんですね、どうしてもどこかで。

 私は、だから、全党一致とかそんなのは絶対に無理だし、やはりどこかでそういう腹をくくってやらないと前に進まないというのが定数削減だと思っていますので、これからも我々は、皆さんのやる気度をしっかりと見きわめさせていただいてこの法案の賛否を考えたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 質問を終わります。

山本委員長 次回は、明二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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