衆議院

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第10号 平成15年7月17日(木曜日)

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平成十五年七月十七日(木曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 青山 二三君
   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君
   理事 松宮  勲君 理事 森田 健作君
   理事 水島 広子君 理事 山口  壯君
   理事 福島  豊君 理事 達増 拓也君
      小野 晋也君    小渕 優子君
      太田 誠一君    岡下 信子君
      上川 陽子君    河野 太郎君
      平沢 勝栄君    大石 尚子君
      鎌田さゆり君    小宮山洋子君
      山井 和則君    石井 郁子君
      保坂 展人君    山谷えり子君
    …………………………………
   国務大臣         鴻池 祥肇君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           渡辺 芳樹君
   衆議院調査局青少年問題に
   関する特別調査室長    石田 俊彦君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十四日
 辞任         補欠選任
  小宮山洋子君     山井 和則君
同日
 辞任         補欠選任
  山井 和則君     小宮山洋子君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     平沢 勝栄君
  肥田美代子君     山井 和則君
同日
 辞任         補欠選任
  平沢 勝栄君     阪上 善秀君
  山井 和則君     肥田美代子君
    ―――――――――――――
六月六日
 児童虐待防止法改正など自立援助ホームの拡充、整備に関する請願(太田昭宏君紹介)(第二九二七号)
 同(石毛えい子君紹介)(第二九五三号)
同月十日
 子どもがインターネットを悪用した犯罪に巻き込まれることを防止するための措置に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三四五〇号)
同月十一日
 児童虐待防止法改正など自立援助ホームの拡充、整備に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三七七九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三七八〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第三七八一号)
 同(山口富男君紹介)(第三七八二号)
同月十二日
 児童虐待防止法改正など自立援助ホームの拡充、整備に関する請願(保坂展人君紹介)(第四一六一号)
 同(水島広子君紹介)(第四一六二号)
 子どもがインターネットを悪用した犯罪に巻き込まれることを防止するための措置に関する請願(石井郁子君紹介)(第四一六三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――
青山委員長 これより会議を開きます。
 青少年問題に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官山本信一郎さん、総務省自治財政局長林省吾さん及び厚生労働省大臣官房審議官渡辺芳樹さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
青山委員長 この際、鴻池国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鴻池国務大臣。
鴻池国務大臣 おはようございます。
 青少年問題に関する特別委員会の開催に当たり、青少年育成推進本部を担当する国務大臣として、ごあいさつを申し上げます。
 我が国の未来を担う青少年の健全育成が重要であることにかんがみ、先月、内閣総理大臣を本部長として全閣僚により構成される青少年育成推進本部が、閣議決定により設置されました。
 これを機に、私は、総理からこの推進本部の副本部長として指名をいただき、青少年問題関係について対応することとなりました。
 さて、現在の我が国社会に目を向けますと、少子化、都市化、情報化の進行などにより大きく変化を続けております。これは、よりよい発展を続けている側面もある一方で、青少年をめぐるさまざまな問題を生じさせており、大人の我々が敢然と立ち向かうべき諸課題が数多くあります。
 現在、私が最も憂慮しているのは、少年が加害者となる重大事件が続けて発生していることであります。このような緊急の課題に対応するため、総合的な少年非行対策について早急に検討を行う必要があると考え、今週十五日、急遽、関係省庁の局長級の責任者にお集まりいただき、少年非行対策のための検討会を開催いたしました。
 少年非行問題は、さまざまな側面があり、一筋縄ではいかない難しい課題ではありますが、今、国民が求めていることに対して十分な説明ができるよう取り組んでまいる所存であります。今後、この検討会において、専門家の方々にも御参加いただいて検討を進め、九月には結論を得たいと考えております。
 また、青少年育成施策を総合的に推進していくため、基本理念や中長期ビジョンなどを示す青少年育成施策大綱の策定も進めておりますが、この少年非行対策のための検討会の検討結果を反映させつつ、取りまとめる考えでおります。このため、当初の予定よりは策定がおくれることとなりますが、よりよい大綱としていきたいと考えております。
 新しい時代を切り開く活力となってもらえるよう、青少年の奮起を期待しつつ、私といたしましてもさまざまな重要課題に力を尽くしてまいりますので、委員長を初め、理事、委員の皆様方の格段の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
青山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩さん。
馳委員 おはようございます。大臣は結構ですから、一言申し上げておきますが、その心余りて言葉足らず。その心余りて言葉足らずというのは、別に鴻池大臣のことを言った話ではないんですね。古今和歌集の仮名序で、紀貫之が在原業平の和歌の歌風を評した一文でありまして、思いがあふれているんだけれども、それを的確に表現できないということを表現した評文であります。
 大臣にはそういった観点をしっかりと踏まえて、今回、長崎の十二歳の少年の事件に関しましては、まだ事件の概要が、全貌、明らかになっておりません。その段階での発言はやはり控えるべきでありましょうし、また、親の責任、あるいは学校の責任、関係する方々の責任というのはそれぞれ感じておられるでしょうけれども、これはやはり、なぜこんな事件が起きてしまったのかということを明らかにしていくこと自体が意味のあることであって、この段階における担当である大臣の発言として不穏当であるということをまず指摘をいたしまして、私の質問に入らせていただきたいと思います。
 さて、児童虐待防止法、平成十二年十一月に施行されまして、ことしの十一月で丸三年がたとうとしております。この青少年に関する特別委員会において、いわゆる議員発議という形で、当時、我が党の太田誠一さん、また社民党の保坂さん、また青山委員長初め、たくさんの議員の努力によって、まさしく思いが結実をして成立した法案であります。当時担当された鴨下今現在では副大臣ですけれども、大変思いも強かろうと思います。
 しかしながら、当時は、まだ積み残しの論点がありました。また、見直しの段階に入って、いよいよ、さまざまな方面から、法改正を視野に入れた動きが出ております。私も、当委員会理事の皆さん方や、参議院の共生社会に関する調査会の理事の皆さん方と、鋭意法改正に向けて勉強中であります。近日中にまとめて、臨時国会にも提出できるように努力しているところということも表明しておきたいと思います。
 そんな中で、まず、担当である厚生労働省として、児童虐待対策の関連予算について、来年度、どのような拡充を考えておられるのか、概算要求に盛り込もうとしておられるのかをきょうはまず伺いたいと思います。
 つまり、法の見直しというのは、これは時間的な制約もありまして、臨時国会にこの動きは先送りせざるを得ないんですけれども、来年度予算に関して、法改正をしなくても省令等でできる分野もありましょうし、また、昨今の情勢等を見ながら、現場のことを見ながら厚生労働省として対応できる分野もあろうと思いますし、私たちは、それをこの委員会としても全面的にバックアップしたいと思っております。そういう意味で、厚生労働省としてのお考えを伺いたいと思います。
渡辺政府参考人 ただいま、先生より、児童虐待に関連いたします予算の概算要求、こういうものに向けてどういう姿勢、どういう内容で検討に取り組んでいるかという御趣旨のお尋ねがございました。
 この点につきましては、御指摘いただいた児童虐待防止法の三年後の見直しという点も一つの大きな節目でございますので、私ども厚生労働省といたしましても、専門の方々の議論の整理や御提言をいただくべく、社会保障審議会の中に専門委員会というものを児童虐待防止等についてもつくりまして、また、社会的養護の面におきましても別途また専門委員会をつくりまして、さまざまな議論の整理、御提言をいただこうとしております。
 そういう御議論を踏まえながら、私ども、概算要求に対応してまいりたいと思っておりますが、そうした中で、例えば、児童虐待防止法において大変その仕組みが新しくなったことにより、虐待の通報というのが大変ふえてまいりました。しかし、予防から、ケアから、さまざまな一貫した流れの中で残されておる課題が多うございます。そういうことで、例えば、児童虐待の児童をお預かりする社会的養護に当たる施設ケア、こういった面におきましても、概算要求面においてさまざまな検討をしているところでございます。
 できるだけ家庭的な雰囲気の中で手厚い処遇ができるようにという観点も含めまして、今、鋭意検討中でございます。
馳委員 専門委員会の報告書を拝見いたしますと、予算面というふうな観点から絞りますと、児童福祉施設の職員の増員あるいは専門性の強化が何よりも重要と思いますが、いかがでしょうか。また、きめ細やかなケアが可能となります地域小規模児童養護施設の拡充であるとか、あるいは年長児童の自立促進のための自立援助ホームへの支援の強化も重要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の具体の点についてでございますが、御承知のとおり、児童養護施設、昔は、親のない子供さんたちが多かったのでございますが、今、入所されている方の何割ものお子様が虐待の関係というようなことも言われております。
 そうした中で、心理療法を必要とする児童が多い施設における心理療法担当職員の配置でありますとか、大きな施設における被虐待児個別対応職員の配置でありますとか、さまざまな取り組みをこれまでも行ってまいりましたが、先ほどもちょっと触れさせていただきました専門委員会での御議論、御報告なども踏まえますと、これから大いに力を入れていくべき方向といたしまして、今御指摘の小規模の施設ケア、特に家庭的な雰囲気のもとできめ細かなケアが可能な地域小規模児童養護施設の推進をさらにどう図り、そういう中で、職員の配置という問題についてもどのように具体化していくかということが今問われていると考えております。
 またさらに、退所後の児童、青年期にかけての児童の自立支援を図るために、大変志の高い方々により、なお少数にとどまっておりますけれども、自立援助ホームというものが運営されております。そうしたものについても、何とかさらにその推進が図れないか、私どもとしてどういうところに支援の手を差し伸べればいいのか、そういう点について、この概算要求の中においても、また、これからの児童虐待防止法の見直し、あるいは関連いたしまして児童福祉法の関係の見直しもあるかもしれませんが、そういうところをにらみながら鋭意検討しているところでございます。
馳委員 より具体的に、いわゆる職員の加配について要求をさせていただきます。
 児童養護施設の職員配置基準について、現行の三歳児未満が二対一、年少児が四対一、就学児が六対一となっておりますが、現場からは二対一にしてほしいとの要望も強くあります。現場の声にこたえる意味でも、少しでも現状を改善する職員の加配を考えていただきたいと思います。
 また、平成十一年度より配置されています、虐待等により心的外傷を受けた児童の心理療法を行う職員、心理療法担当職員を、現在配置されている児童養護施設、乳児院に常勤で、できる限り多く配置することを要望したいと思います。先般、栃木県の方に視察に行ってまいりましたが、やはりこれは嘱託が多うございました。常勤でということを望みたいと思います。ちなみに現状では、予算箇所数では、児童養護施設で五四%、乳児院で三五%にとどまっている現状です。
 さらに、平成十三年度より配置されている、個別対応が必要とされている被虐待児等に向き合う職員、被虐待児個別対応職員も同様に、児童養護施設に常勤で配置することを望みたいと思います。現状は、児童養護施設において予算箇所の六二%にすぎません。
 以上、具体的に要求というか、ぜひやっていただきたいと申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
渡辺政府参考人 ただいま御指摘いただきました点につきましては、その基本的な考え方において、先ほど触れさせていただきました児童虐待の防止等に関する専門委員会の六月の報告書にも顔を出すような論点であろうかと思っております。それからまた、ただいま検討中でございますが、社会的養護に関する専門委員会でも大きな検討課題ということで、職員の配置の問題というのは大きな課題であるというふうに認識しております。
 ただ、ケアそのものをどういう形で将来に向けて姿形をつくっていくのかという議論の整理とあわせて私ども結論を見出していくべきと考えておりますので、具体的には、五月設置でございますが、社会的養護のあり方に関する専門委員会における論点を立てた、そういう点にも触れた御議論の整理というものを見ながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
馳委員 概算要求に向けては、厚生労働省内においても、いよいよ大詰めを迎えていると思います。鴨下副大臣のリーダーシップを期待したいと思います。
 さて、予算要求とも関連いたしますが、今国会において、次世代育成支援対策推進法と児童福祉法の一部改正法が成立しました。実は、両法案とも、子育て支援や児童の健全育成という意味では、児童虐待防止対策とも密接な関連があります。そうであるならば、今回成立した法律と児童虐待防止法の見直しをそれぞればらばらに取り組むのではなく、連続性のあるものとして制度見直しを行っていくことが大変重要となってくると思いますが、この点に関しての厚生労働省のお考えを聞かせてください。
渡辺政府参考人 先日成立いたしました二法案に関連してのお尋ねでございます。
 両法案は、すべての子育て家庭を視野に入れて、その子育て支援のための措置を講じようというものでございますが、こうした取り組みは、虐待防止という分野の取り組みも含めた全体で考えました際に、すべての子育て家庭を視野に入れた子育て支援の基盤となる仕組みではないかというふうに私ども考えております。そうした基盤づくりという観点で、二法案に基づきまして、平成十五年、ことし、それから来年と、地方行動計画等の策定に全力を傾けることとしております。
 それにつきましては、この次世代育成支援対策推進法に基づきまして、国が行動計画策定指針というものを近々策定することとしており、今、鋭意検討中でございますが、そうした行動計画策定指針におきましても、児童虐待の防止に関する対策について、その位置づけをしっかりした上で、地方において、具体的なニーズの把握、施策の展開、制度の見直し、こういうような流れになりますように、私ども指針を策定してまいりたいと考えております。
 もとより、その際、関係省庁、地方自治体、関係団体等とも十分連携を図って、指針策定後、行動計画策定に至るまで、さまざまなプロセスを大切にしてまいりたいと考えております。
馳委員 次に、総務省について、同じく来年度の概算要求に関して質問いたします。
 周知のように、児童虐待対応の中核機関である児童相談所の体制強化、さらには、虐待予防で大きな力を発揮している保健師の拡充も喫緊の課題と言えます。そこで、この機会をとらえて、交付税においても、児童相談所職員、特に児童福祉司、心理判定員の増員、さらには、地域の保健師の確保に必要な経費を従来以上に拡充すべきと考えますが、この点をどう踏まえて来年度対応されるのか、お聞かせ願いたいと思います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 近年の児童の健全な育成にかかわる問題が深刻化する中で、児童相談所や保健所等を初めといたしまして、地域の果たすべき役割が重要性を増しているものと私ども認識をいたしております。このような中で、地方公共団体におきましては、児童福祉司や保健師の増員など、児童相談所の体制の強化が図られているところでございまして、総務省といたしましても、こういう実態を踏まえながら、交付税による措置人員数につきまして大幅な増員を図ることといたしているところでございます。
 児童福祉司につきましては、平成十二年度以降、四年連続して増員いたしておりますほか、保健師につきましても、平成十三年度から十六年度にかけまして、新たな増員計画に沿って大幅な増員を図ることといたしているところでございます。
 今後とも、地域の実態や所管省庁の御意見も踏まえながら、適切な財源措置に努めてまいりたいと考えております。
馳委員 最後に、鴨下副大臣にお伺いいたします。
 この児童虐待防止法を成立させるときに、我が党のオピニオンリーダーとして、当時、法案の取りまとめをいただいたのが鴨下副大臣でありまして、三年後の見直しをいろいろな思い万感に迎えておられると思います。
 今お聞きいただいたように、やはり概算要求に向けて、ちょっと厚生労働省も総務省も、まだまだ腰が引けているのかなという気もいたします。法改正に向けては、これは私たち議員もしっかり取り組まなければいけない問題、この委員会の大きな責任でありますが、こういう情勢を踏まえて、副大臣としての決意をお伺いして、私の質問にさせていただきます。
鴨下副大臣 先ほどから、先生から、改正に向けてしっかりとしろ、こういうような話でありますけれども、私も、当時、法案の立案に携わった者として、この見直しについては、それなりの思いを持って接しているところであります。
 残念なことに、虐待がここ、虐待防止法が施行された後、いろいろな意味でふえているというようなことでありますから、こういう抜本的なところも考えていかなければいけないわけでありますけれども、ただ、そうはいっても、虐待を受けて被害をこうむっているお子さんたちをどういうふうに保護し、なおかつ、その後に自立に向けてきちんとした形で社会に送り出す、こういうようなことは私たちの使命でもあります。
 先生が先ほどから御指摘のことも踏まえまして、審議官も答弁させていただきましたけれども、それに加えて、私も先頭に立って、予算のこと、それから量的なこと、そして質のこと、あらゆることで一生懸命取り組んでまいりたい、かように思っておりますので、また先生方にも御支援賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。
馳委員 終わります。ありがとうございました。
青山委員長 福島豊さん。
福島委員 鴻池大臣には、特命大臣として青少年問題の御担当になられましたことにお喜びを申し上げますとともに、先般、長崎の事件もありまして、大変多難な時期でございますけれども、しっかりと御活躍、そしてまた諸施策の前進を図っていただきたいと思っております。
 そしてまた、大臣は大変率直に発言をなされる方だなと私は思いました。その大臣の発言には、私も共感する部分もありますけれども、そうでない部分もあります。青少年問題に関しまして、先日、大臣は極めて重要なといいますか、本質的なお話をされましたので、その点について私はお尋ねをしたいと思っております。
 打ち首にすればよいという言葉が飛び交っておりますけれども、これは先般、大臣が、例え話としても今後は慎重に発言する、おわびをしたいというふうに陳謝されたと伺っておりますし、表現の問題であろうというふうに私は思っておりますから、その点について重ねてお尋ねすることは避けたいと思っております。
 中学生の御両親の方の責任を問う声、これは、幼い命が奪われたわけでございますし、そしてまた御遺族の方も大変無念な思いをされているということを考えますと、わからないわけではありません。
 しかしながら、この事件は、全容が解明されたわけではございませんけれども、やはり中学生の精神に何らかの問題があったのではないかというように私は思います。バスジャック事件のときにも、たしかアスペルガー症候群であったかと思います。むしろ、この事件の背後にある構造的な問題に対してどう取り組んでいくのか、このことが大事ではないか。信賞必罰も大切でございますけれども、しかしながら、構造的な問題にどのように取り組んでいくのか、この視点も大変大切だというふうに思っております。
 大臣は、先ほどごあいさつがございましたが、大綱について若干先送りするということを御発言になりました。これは、先般の記者会見の折にも御発言がありまして、そのときに、少年の非行の問題についてより突っ込んだ検討をする必要があるという趣旨の御発言をされたわけでございます。その点については、決して否定をいたしません。そしてまた、スローガンばかりのものを出すということは、国民からどういう非難を浴びるのかという御発言もありました。確かに、スローガンだけでは何も進まぬではないかという御指摘も、私はそのとおりだというふうに思っております。ですから、大綱をつくりますときには、本当に中身のあるものをつくらなきゃいかぬのだろうと思っております。
 まず初めに、大臣にお聞きしたいのは、青少年の育成に関する有識者懇談会の報告書を踏まえて大綱をつくる、これは先般の青少年問題特別委員会でも私は福田官房長官に御質問させていただきましたが、官房長官もこの報告書についてはこんなふうにおっしゃっておられまして、大変いろいろな角度からいい提案をしてくださったと思って、私からも感謝しているところでございますという評価をしていただいているわけでございます。私も、隅から隅まで読みましたけれども、現状の把握、そしてまた問題の分析、そして何をしたらいいのかという、大体三つのパーツに分かれるわけですが、非常によく書かれているというふうに思っております。
 まず初めに、大臣はこの有識者懇談会の報告書についてどのような御認識をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
鴻池国務大臣 第一回のこの大綱についての会合を総理のもとで開きまして、お茶の水大学の学長が、短い時間でしたが、御説明になりました。大変それは、委員が御指摘のように、結構なものであるというふうに承知をいたしております。
 ただ、かかる事件が続きましたものですから、有識者の御意見を、まとまったものを大綱に反映させていく作業を私が命ぜられたわけでございますけれども、そのまま七月に予定どおりこれを出すということは、続いて起きました少年の大変な犯罪に関して国民の皆さんがぴりぴりとした思いで、いろいろな思いで見ておられる中に、いわゆる大綱だけを出すということはいかがなものかという判断をいたしました。
 これをほごにするという気持ちは全くございません。しかし、やはり急いで検討を加えなきゃいかぬ問題がございますので、これはもう、先ほど申し上げましたように、少年犯罪に対する検討委員会を開きまして、十分ではないかもしれませんけれども、政府はこのように考えるというものを国民に示さなきゃいかぬ。まずそれをする。そして、大綱に織り込めるようであればそういったことも織り込みながら、一つは、青少年非行に対する、犯罪に対する検討委員会の取りまとめは、できれば九月の初旬にまとめていきたい。そして、それを踏まえて秋口に、今委員御指摘の大綱というものを、もう一度それぞれの検討を加えながら、よりよきものとして出したい、このように考えておるところであります。
福島委員 世の中の状況というのは刻々と変わりますし、そしてまた、新しい事件が起こったときに、それに対して、既定の路線は路線としまして、どのように見直しを加えていくのかということも大変大切なことだというふうに思っております。そういう意味で、大臣がそのように御判断されたということは決して私は否定をいたしませんし、中身のより充実したものをつくっていただきたい、そのようにお願い申し上げるわけでございます。
 そこで、少年非行対策のための検討会をスタートされたわけでございますが、少年の犯罪に対してどのように対応するのか。いろいろな考え方があるというふうに思います。
 例えば、同懇談会の報告書ではどのように書かれているかといいますと、「犯罪その他の逸脱行動の発生については複雑な要因が絡み合っており、特定の現象が主たる要因であるかのように安易に結びつけることは避けるべきであるが、その予防に社会規範の習得は重要な課題である。犯罪行為は社会の一員として行ってはならないことであり罰せられること、被害者や関係者を傷つけたり悲しませる行為であることを教えるとともに、罪を犯した者の十分な反省の機会を確保する必要がある。」この中で大切なことは、複雑な要因が絡んでいる、そしてまた規範性の獲得という今日的な課題ということを示しているんだと思います。
 大臣はどのように御発言されたかというと、今の時代、罰則というものを強化しないといけない、あとは厳しい罰則をつくるべきだ、そして先般の御発言が出てくるわけでございますけれども、ここのところは非常に大切だと思います。
 この規範性の獲得ということは、多くの人が感じていることだと思います。ただ、その規範性の獲得というのは厳罰主義でできるんだろうか、そこのところが議論になるんだというふうに私は思っております。この少年非行対策のための検討会でさまざまな検討をされると思いますけれども、規範性の回復のためには厳罰という考え方も一つは大切だと思いますけれども、しかし、それだけではカバーできない部分もある。ここのところは、ぜひ大臣の率直なお考えをお聞かせいただければと私は思っております。
鴻池国務大臣 まさに委員のただいまの御発言と私もほぼ同じ気持ちでおります。ただ、活字なりそういったところが先行されて、ちょっとじくじたるものがございますけれども。
 しかし、信賞必罰ということは大変大事なものだと私は思っております。そういった中で、罰則の強化だけでこういった問題が解決できるとは決して、私も委員と同じように思っておりますので、今後のそういう検討委員会で各省の局長以上の方々がお集まりいただいて、再三そういう話をしよう、いろいろなことを聞こう、こういうことでございますので、私は、政治家の先生方の御意見、それぞれのお立場の御意見もこういった機会に聞かせていただきながら、よりよきものにしていきたい、このように思っています。
 なお、もう一度申し上げますと、罰則だけですべてが解決するとは決して思っておりません。しかし、信賞必罰というものは非常に大事なところである。これはやはり幼児期から教えていかなきゃいかぬ。いいことはいいことで褒める、悪いことは絶対にだめだ、こういったことをやはり親なり教師なりがしっかりとやっていかなきゃいかぬ、このようには思っております。
福島委員 共感するところ多々あるわけでございます。
 そしてまた、大臣が教育のあり方について御発言しております。戦後教育を受けた者が校長先生、財界役員になっている、私も戦後教育を受けて政治家になっておりますから、大変だ、こういう御発言がございました。今の教育のあり方というものについて、大臣としてもいろいろとお考えがおありだろうと私は思っておりますが、この点についても率直な御意見を承れればと思います。
鴻池国務大臣 私は教育者でもありませんし、逆の生き方をしているかもしれませんので、余り口幅ったい教育論を振りかざすつもりもございません。また、今の教育というものに関して具体的に批判を申し上げる立場ではないということを前提として申し上げますが、私は、やはり戦後の教育、大変いい面があったと思います。男女同権でありますとか、あるいは思いやりを大切にしなきゃいかぬとか、いわゆる戦前の軍国主義的発想というものをすべて消していく、それは非常に結構だったと思いますけれども、しかし、戦前というか、日本の歴史の中でよきものもすべて否定してしまうといったようなことについては、どうかなという思いがあります。
 あるいは、平等というのは結構ですけれども、子供たちにはいろいろな得意のところがあります。算数がよくできる子もおれば、国語のよくできる子もいる。両方できないけれども、走るのは速い子がいる。歌を歌わせればとってもきれいな声で歌を歌うけれども、絵をかくのは下手な子もいる。しかし、それをみんな平等に扱ってしまってきたのではないか。私はその辺に戦後教育の問題点というのを見つけておるわけでありまして、これは今、冒頭申し上げましたように、私は語る立場ではないかもしれませんので、この程度でとどめおきたいと思います。
福島委員 もう少し率直に御発言いただいても結構だと思いますけれども。
 今大臣がおっしゃられたこと一つ一つ、共感する部分は多々ございます。あえて少しつけ加えて私申し上げたいと思っておりますことは、少年犯罪の場合に、確かに、やれば罰せられる、厳罰がありますよということは非常に大切なんですけれども、そこに立ち至らせないということ、いかに予防するのかということが一つ。そしてまた、いろいろと逸脱行動も程度があると思いますね。だんだんだんだんエスカレートしていく、そのときにいかに早期に介入をするのかということが大切なんだろうと私は思っております。
 言ってみれば、厳罰というのは事後チェックのような話でございまして、やってしまったらこうなるよ、こういう話だと思います。そういう意味では、どうすればこの予防ができるのか、そしてまた早期介入ができるのか、そのためには、今の教育の現場、地域社会のあり方、これはどうなんだろうかということについて十分な検討を加えていただきたいと私は思っております。
 そしてまた、先ほど申し上げましたように、今回の事件というのは、単に規範性だけの問題ではなくて、いろいろと報道されておりますけれども、当該児童の精神のあり方ということにも恐らく関係している。これは予断は避けなければいけませんけれども、私は、そういう想像をいたしております。そういう意味では、青少年の精神の健全な発達ということについて、やはり十分な対応がなされる必要があるのではないか。
 私は、先般の委員会で「育児室からの亡霊」という本を取り上げさせていただきました。これはアメリカの出版物でございます。
 大臣にもぜひごらんになっていただきたいと思いますが、幼児期のさまざまな生育にかかわる諸条件というものが当該児童の行動そしてまた社会的な規範性の獲得といったようなものに対して影響を与えるのだ。それは単に、例えば小学校に入学しますね、そこからスタートする教育の問題ではなくて、そこまで一連の流れというのがあって、これは家庭の中での環境ということもありますし、家庭を取り巻く条件ということもございますけれども、そういう中で、ある意味では規範性というものを支える骨格のようなものがそこででき上がってくるということが書かれている。そこの骨格の部分というものに対して揺らぎがあると、それはなかなか難しい。そしてまた、それが将来的にはさまざまな形での逸脱行動に結びついてくる。
 ですから、大切なことは、大きくなってからではなくて、三つ子の魂百までもということを先般福田官房長官に申し上げましたけれども、いかに幼児期に適切な子育てがなされるか。そしてまたある人は、昔、こんな本もありましたよね。大切なことはすべて幼稚園で教わったというような本もありましたね。そういう環境が果たして今の日本にあるのかということなんですね。
 ですから、例えば、今の子育てというものは大変な困難に置かれている。児童虐待の問題、先ほど馳委員取り上げていただきましたけれども、児童虐待に至るということはどういうことかというと、健全な子育てということから大分距離があるということなんですね。むしろネガティブな方に行っている。ここのところをどう解消するか。そしてまた、そこからさらに進んで、より発達を促す子育て、そういうものができるのかどうか。これは一口に言うと簡単に言えてしまうわけですけれども、決してそうではなくて、大変難しい課題だと私は思っております。
 ですから、青少年の非行の防止ということに関しては、出口のところ、確かに、社会では信賞必罰だよ、こういうことも大事なんですけれども、そこに至るまでの子供の発達というところをどういうふうに支えていくのかという視点が一方でなければ、それは、何というんでしょうか、捕まえればいいという問題ではない。どんどんふえたら警察官をふやして捕まえたらいいじゃないか、そういう話にはならないわけでして、そうではなくて、できるだけそういう犯罪が起きないような社会にするということが大切なんだろうと私は思っております。
 今回の大綱の取りまとめはスローガンであってはだめだということを大臣がおっしゃられたのは、大変大切なことだと私は思っております。そういう意味で、実効性のある大綱というものをつくっていただいて、そして、今の日本というのは、果たして将来どうなるんだろうかという不安を皆が持っているわけでございます。それは経済だけではありません。日本人がどうなっていくんだろうかというような不安もあるわけでございまして、ここのところは、青少年の担当になられた大臣が明確な方向というものをぜひ示していただきたいと思っております。
 最後に、残された時間で御決意をお聞きして、終わりたいと思います。
鴻池国務大臣 大変いい御質問と申しますか、御意見を聞かせていただいたと思っております。心穏やかに今話を聞かせていただきましたし、この委員会を心穏やかに御答弁を申し上げなきゃいかぬというふうになりました。
 幼児教育というのは本当に大事だと思います。私ごとで恐縮でございますけれども、私は、幼稚園に行く前に、母親に連れられてよそ様のお家に行きました。話が女性同士で長いものですから、そこのお庭とか入り口で一人で遊んでおりました。私、一人っ子だったんです。きれいなビー玉みたいな色のついたのが落ちていましたから、それを僕はポケットへ入れて母親とまた帰り、そして遊んでおりましたら、それはどうしたのと言われて、これは今行った家の庭にあったと。ぱちんとたたかれましてね、返していらっしゃいと。返しに行きました。
 私の六十二歳までの人生、一つの大切な規範として、その日の夕暮れの空模様、セミの鳴き声、全部私の体の中に入っております。非常にそういうものが大事ではないかな、そういったことをどうすればできるんだろうかというのが、今後の大変大事な問題であろうかと思います。
 いろいろな人の御意見を真摯に受けとめながら、発言に気をつけながら、これからも頑張っていきたいと思っております。
福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
青山委員長 山谷えり子さん。
山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。
 ただいまの鴻池大臣のお母様とのエピソード、非常に心打たれました。
 社会の現状、青少年問題に対し、総合的な観点から健全育成に対処をしていかなければならないと考えております。
 今、性感染症とフリーセックスの文化、モラル破壊が若者の間に急速に広がっています。社会の有害環境、また学校での過激な性教育もその一つの原因と思われます。
 例えば、ことしの一月、警察庁の調査では、セックスで小遣いをもらうことは本人の自由と答えた中高校生が四五%。見知らぬ人とセックスすることは本人の自由と答えた中高校生が六八%。性感染症推定罹患者、十九歳の女性で十三人に一人。今月の新聞では、子宮頸がん、二十九歳以下、十年で四倍、性感染症が原因かというようなことが出ておりました。
 今、都内の、東京都だけではありませんが、たまたま今月の二日、都が調査に入りまして、小中学校や養護学校で男性性器にコンドーム装着する授業や、お父様から性的虐待を受けているアニメのビデオ、性器の部分が強調された男女の人形などを教材とした性教育が行われておりました。
 これが一つの人形で、一つの学校から十九体出たというところもあります。これは子宮から赤ちゃんが引っ張り出るような、とてもこの委員会では見せられないというくらい、私は、これはもう児童虐待じゃないかと思うんですね。
 ちょっと資料を配りましたので見ていただきたいんですが、これは、小学校五年で親のセックスを細かく教えて、注意書きに、「人のセックスのことは、学校では教えるが、お父さんやお母さんの大切な秘密なので、やたらに質問しないこと。」と、親には言うなと書いてあるわけですね。そして、これがさっきの人形のようなものです。
 それから、男性性器にコンドームをつけるという実習、小学校、あるいは豊中市では中学の三分の一の学校でやられていたりというぐらい、一部の人、何か勘違いしている教師がやっているという問題ではなくて、かなり広い規模でやられております。校長先生、教育委員会、実情を知っていても、なかなかこれは今調査が進まないというような現状でございます。石原知事があきれ果てるというふうにおっしゃって、今週の月曜日の決算行政監視委員会では、首相が見直し必要というふうにおっしゃいました。
 大臣は、これをごらんになって、こういう現状、御存じでございましたでしょうか。
鴻池国務大臣 私の子供も相当大きくなって、社会人になっておりますので、こういったことに触れる機会は全くございませんでした。まことに残念だし、申しわけないことだと思っておりますけれども。
 そして、委員からの御質問がこれに集中してあるということで、こういった資料につきましても、拝見をいたしまして驚いております。これはやはり、いわゆる国としても、こういったことはちょっと問題ではないかということをきっちりと表現しなきゃいかぬというふうに私はただいま思っておるところであります。
山谷委員 昨年、中学生全員に百三十万部「ラブ&ボディBOOK」というのが印刷されました。これは性を安易にとらえる記述が目立っておりますし、副作用も書かずに、中学生はピルは飲んではいけないんです、いわゆるWHOでも。それに中学生にピルを勧めるような記述、また、日本では中絶が許されているというような記述がございまして、文部科学大臣が、不適切、回収してほしいと言ったのに、なかなか回収が進まなかったというようなこともございました。本当に実態調査が必要だと思います。
 遠山文部科学大臣は、七月十五日、過激な性教育がどの程度まで行われているのか気になると。恐らく、大臣はかなり御存じで、この発言をなさっていらっしゃるんだと思います。そしてまた、きのう、坂口厚生労働大臣は、生理的な行動のみを教えるというのでは性教育ではない、健全な青少年をどう育成するか、青少年育成推進本部で性教育の問題を取り上げるよう主張したいというふうにおっしゃいました。
 鴻池大臣は、今度大綱をまとめられ、また推進本部の副本部長でもいらっしゃいますけれども、この性教育の実態調査というのをぜひ、いろいろな議会でもう問題になっておりますので、せめてそこのところだけでも徹底的にやるとか、ちょっと方針を、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 私の気持ちは、先ほど申し上げましたように、これはもうとんでもないことだなというふうに思っております。官房長官と十分相談しまして、どこの範囲、だれがどうするかということを決定いたしまして、そして、私の方がやるということになれば、まず調査から入りたいと思いますが、それが私の任であるかどうかというのは今即答できませんので、また御返事を申し上げたいと思います。
山谷委員 欧米では、こういう性教育をする場合、教材を親に見せて、こういう内容をしますが、おたくのお子さんは受けさせますか、受けさせませんかというように、親の教育権を大事にするんですね。だけれども、日本では、もう本当に密室で先生たちがやられていて、校長先生が悩んでいても、それをどうすることもできないというような現状でございます。
 また、アメリカでは、二〇〇一年の国立衛生研究所が、コンドームを装着するような授業をするとかえって中絶とか性病がふえて問題だったということで、クリントン政権のころからですけれども、モラル教育、人格教育、生命尊重教育、愛情というものは人が生きる上でいかに大切か、責任のある生き方をしなさい、そういう教育にしたところ、また、そういう予算をつける郡とか市は、中絶とか性病が減っているんですね。実態的にそうなったものですから、ブッシュはクリントン時代の二倍、そっちの予算をつけているというような感じで、欧米ではもう全然方向転換が起きているわけです。
 ところが、日本は、二十年前の勘違いしたものが今やられようとしているということで、脳科学者の研究でも、幼いころは性衝動と攻撃性の中枢がくっついていて、不適切な、年齢にふさわしくない教え方をすると性的サディズムにも走るということもございますので、新しい有害環境の規制のあり方とか性教育も含めて、何か検討体制みたいなものを考えていく必要があるんじゃないかと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
鴻池国務大臣 委員のお説をしっかりと受けとめさせていただきまして、今後の施策に反映したいと思っております。
山谷委員 親の教育権も含めて、家族支援というような視点がとても大事だというふうに思っているんですけれども、青少年育成大綱の柱の中に、スローガンで家庭、学校、地域のネットワークとかなんとか書きますけれども、これは日本の特徴なんですが、実態調査ができないで、いきなりスローガンに行ってしまうというようなことがありますので、本当に実態調査をする。そして、こういうような性教育を受けた子供たちは、何か生命の神秘がわかったという感想を書く人もいる一方で、エロかったとか嫌だったとか、そういう子もいっぱいいるわけですよね。ですから、本当にきめ細かい実態調査をする必要があると思います。
 どういう方針で、どういうような総合的な対策、対応をまとめようとしていらっしゃるのか、一部繰り返しになるかもしれませんが、お答えいただけたらと思います。
鴻池国務大臣 大綱につきまして随分私が批判的な表現をしているふうにとられておりますけれども、批判すべき部分もあろうかと思います。これは、民間の有識者、お茶の水の先生初め、いろいろとお骨折りをいただいて出されたものは、これは非常に大事なものとして参考にしなきゃいけません。
 大綱をつくる上においては、そういったものも参考にしながら、冒頭、ごあいさつで申し上げましたように、青少年の凶悪犯罪につきましても、どのような角度からどうすればいいかということも、ただいま検討委員会で検討を始めたところでございます。できればそれも大綱の中に入れたい、そしてまた、ただいま委員の方から御指摘がございました性教育の問題についても、具体的に大綱の中に織り込めればそのようにしたい、このように思っております。
山谷委員 性教育というのは、本当にただのちっちゃな問題ではなくて、非常に人格の形成を妨げますし、それからイージーな、刹那的な、快楽的な生き方をしてしまうというもので、人生をきちんと丁寧に意欲的に積み上げていくというような部分も壊してしまうというような、非常に大きなものを持っていると思います。
 これはなかなか問題が出にくかったんですけれども、この十年間本当に進んできておりますので、ぜひこれを柱の一つとして取り組んでいただきたいと思います。いろいろな方々から実情が集まってきておりますので、それも参考にしていただきながら取り組んでいただきたいと思います。
 ありがとうございました。
青山委員長 小宮山洋子さん。
小宮山委員 民主党の小宮山洋子でございます。
 鴻池大臣は、新しくできた青少年育成推進本部の本部長である総理指名の国務大臣として副本部長になられて、青少年問題について国会で責任を持たれるお立場だと思っておりますが、その大臣が少年犯罪には厳罰化で臨む、勧善懲悪ということを繰り返しおっしゃることには私は大きな疑問を持つのですけれども、青少年問題にそうした基本的な姿勢でお臨みになるのか、まず、基本的な考え方から伺いたいと思います。
鴻池国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、罰を重くする、強くするだけではこの問題は解決しないというふうに私も承知をいたしております。しかし、余りにも今の風潮で勧善懲悪というものが薄れているのではないか、よきことはよきことで教育の中でも褒めなきゃいけない、悪いところは悪いところでやはりそれを指摘しなきゃいけない、私はそのように思っております。
 しかし、何度も申し上げますように、いわゆる厳罰化することによってすべてが解決するとは思っておりません。そういったことを、またいろいろな御意見を聞きながら、一日も早くこういった事件がなくなるように、少なくなるように、きょうの報道でも、平塚でまた少年たちの大きな事件が起きております。那辺にこういうものがあるのかということをお互いにいろいろな立場で議論しなきゃいかぬというふうに思っております。
小宮山委員 長崎市で四歳の男の子が殺害された事件で報道されたのが十二歳の中学生だった、このことにつきまして、鴻池大臣は、十一日の記者会見でこのようなことをおっしゃっています。
 マスコミの報道の仕方、嘆き悲しんでいる両親ばかり映し、犯罪者の親を映していない。引きずり出すべきだ。親、担任、校長先生、全部前に出てくるべきだ。犯罪を犯した子供の親は全部引きずり出すべきだ。勧善懲悪、罰則を強化しないとびりびり来ない。厳しい罰則をつくるべきだ。その後に、親は市中引き回しの上、打ち首にすればいい。ここの発言だけが取り上げられていますが、この発言の全体のトーンがとにかく親の責任を問うというトーンだと思うんですけれども、この御発言の真意について伺いたいと思います。
鴻池国務大臣 十二歳の子供が重大な犯罪を犯した、これは少年法によって、法律によって罰せられないということになっておるのは当然よく承知しております。それならば、その子を産み育てた親の責任というものはどこにあるんだろうかということを国民の皆さん、みんな疑問に思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。私もそのように思います。
 私はやはり、親が顔が出せないならば、少なくともメモでもコメントでも社会に対して出すべきだ、そういう気持ちは変わりません。それが私のトーンであります。
小宮山委員 その後の釈明された会見の中で、勧善懲悪、水戸黄門が好きだというようなことをおっしゃっていますが、現実の今の日本の社会の中の子供が置かれている状況は、時代劇の中にあるわけではありません。それで、多くの親が、自分の子供が被害者になるかもしれないと同時に加害者にすらなるかもしれないという大きな悩みを持っている。今の親の人たちは、偏差値教育の中で育ってきて、今、核家族化の中で相談する相手もない、そういう中で大きな悩みを持っているわけです。子供たちがどうしてこのような心のやみを持っているのか、そういうことや、悩んでいる親たちの気持ちに沿うようなことを考えられるのが本来青少年問題の担当の責任者のすべきことだというふうに思います。
 ところが、鴻池大臣がなさったことというのは、確かに親は道義的責任はあります。ところが、幾ら何でも、市中引き回しの上、打ち首にすればいい、これは普通の一般の人が言ったって問題なのに、青少年問題担当大臣がこういうことをおっしゃるということは、私は、これは恐怖政治につながる、魔女狩りみたいなものだと思います。
 しっかりとこの場で、発言を撤回されて謝罪をしていただきたいと思います。
鴻池国務大臣 御意見として十分承りました。
 私は、物の言い回し、例え、これには大変不適切であったと反省をし、御迷惑をおかけしたことに関しては謝罪をいたしておりますし、今後、こういった例え話あるいは言い回し、これには十分気をつけるということを記者会見でも申し上げました。私は、そういう思いでございます。
 例えば、先日、竹中大臣に対しまして、人の悪口ではありません、私はあれは結構だったと思いますけれども、御党の方から、竹中大臣は、経済問題に対するこの社会混乱はA級戦犯に値する、こういうお話がありました。これは別に……(小宮山委員「そんなことは聞いていません」と呼ぶ)いいじゃないですか。私はいいじゃないかと言っているんですよ。だめだと言っていないですよ。(発言する者あり)やじが聞こえないんだよ。(発言する者あり)わからないよ。(小宮山委員「私が発言者ですから、私の質問に答えてください」と呼ぶ)だから、今申し上げましたよ。
 例えば、いっぱいあるでしょう、日本語に。私は、質問においても答弁においても、例えば、これがうまくいかなかったらあなたどうしますかと言われたときには、これはやはり腹を切らなきゃいかぬことじゃないでしょうか、こういったことも言い回しとして当然あるんですよね。だから、私は、撤回して謝罪しろというそのお気持ちには十分耳を傾けさせていただき、そして謙虚に今後の発言に注意をさせていただく、こういうふうに申し上げて、今の質問に答えとさせていただきたいと思います。
小宮山委員 例えや言い回しが不適切だ、それはもう当然のことですけれども、そのことだけではなくて、担当大臣としてこういう考え方を持たれること自体が私は不適切ではないかと思っております。
 やはりこの発言をしっかりと、考え方も含めてですね、撤回して謝罪をしていただかないと、ここの場は青少年問題をみんなが真剣に考えている場でありまして、その担当大臣としてそこを撤回していただかないと、私はこの後質疑を続けることができないと思います。
鴻池国務大臣 それぞれ物には考え方というのがありまして、小宮山委員の考え方も正しいと言う人もいらっしゃると思います。また、私の意見というものを間違っていないよと言う人もいらっしゃる。これがかみ合わないから質問をしないとおっしゃるんでしたら、私は答えようがありません。
小宮山委員 質問をしないと言っているのではなくて、撤回をしていただきたいというふうに言っているんです。だから、撤回をしないならしないとおっしゃってください。
鴻池国務大臣 一たん口に出したことを、テープを消せというなら消せますが、一たん口に出したことを謝罪するとか撤回するといったことはできないじゃない、それは。もう出てしまっているじゃない。(発言する者あり)
青山委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
青山委員長 それでは、速記を起こしてください。
 それでは、もう一度、小宮山洋子さん。
小宮山委員 改めて伺います。
 どこの部分を撤回されて、どういう基本的な考え方で今回の事件に対応されるのか、改めて伺いたいと思います。
鴻池国務大臣 御質問の直接の趣旨ではないかもしれませんけれども、私は、どうしても、この事件、あるいはその前の事件、あるいはここ数年間の凶悪少年犯罪について、思うところがございました。それは、いわゆる犯罪を犯した方の人権、これは守られておる、少年法により守られておる。それはそれでいいじゃないですか。それを否定するものではありません。その趣旨は、それは結構です。
 しかし、被害を受けた側の人権というのが守られているかどうか。守られていないじゃないですか。本当に悲しそうに、若い両親がひつぎを出している、そればかりが映し出されて、余りにもかわいそうじゃないですか。それならば、少なくとも、法によって守られている少年の親が、顔は出したくなかったら、それは気持ちもわかりますよ、だけれども、メモ一枚、コメント一つ、やはり出すべきだ、そういう気持ちに変わりません、変わりません。
 ただ、不適切な言葉でそういう表現をしたということについては、大変迷惑をかけたり不愉快な思いをさせた方々もいらっしゃるでしょうから、それについては、今後十分、例え話にしても注意をして発言したい、このように言っているわけであります。
小宮山委員 それはやはり、青少年問題の担当大臣としては、その考え方自体も私はおかしいと思います。
 もう一つ、別の方面から伺いたいと思います。
 少年非行対策検討会を立ち上げられたということでございますが、そのことと、ずっと検討をされてきた青少年育成大綱を予定どおり出すということは、私は別の問題なのではないかというふうに思っております。
 この大綱の中は、これは青少年の育成に関する有識者懇談会という各方面の専門家が真剣に検討してきたものでございまして、総花的と言われるかもしれませんけれども、これまで日本に欠けていた、ユースという、二十代の人たちの自立支援まで含めた幅広い観点が入っていると私は思いますが、このことを、担当大臣になられて、どうしてもこれを出すなら副本部長をやめるとまで言われた。
 大体、おっしゃることがそのように、いつも攻撃的というか、過激な表現をなさると私は思っておりますけれども、その青少年育成大綱と今回の検討会の関係を伺いたいと思います。
鴻池国務大臣 私、冒頭読み上げましたけれども、きちっと御説明をいたしておりますので、二度、三度のお答えになろうかと思いますが、御質問でございますから、申し上げます。
 あの大綱は出します。一つ、これだけであります。
小宮山委員 出しますではなくて、これはずっと真摯に検討が重ねられて、今月の九日にはパブリックコメントももう求め終わっています。百九十三件のパブリックコメントが寄せられています。
 この大綱のもとになります懇談会の報告書、これはここの特別委員会の質疑や答弁の対象になるものでして、各党で大綱のヒアリングなどもして、今、真剣に議論をしている最中です。そこでの、国会での議論ということも経ないで、担当大臣になられたからといって、予定の夏を越えて、この検討会の答えが出なければ出さないというのは、私はこれはやり方が違うのではないかと思いますが、いかがでしょう。
鴻池国務大臣 私は、今、国民の皆様方は、この凶悪な少年非行、これについて本当にぴりぴりといろいろなことを考えておられると思うのです。ですから、これの検討をまずやらなきゃいかぬと思います。
 これは別だということをおっしゃっておられますけれども、しかし、この大綱というものが出た場合に、それじゃ、今のこの問題はどうするの、こういう御批判を受けると思います。ですから、早急にいろいろな方の御努力ででき上がりましたものも出したい、このように思っておりますけれども、この検討委員会というものも非常に重要なことである、このように私は理解をいたしておりますので、冒頭申し上げましたとおりの方針で進めたいと思います。
小宮山委員 この大綱というのは、総花的と評価をされたという記事も拝見しましたけれども、幅広く子供たち、小さい子供から二十代の人たちまでをどのようにしたらいいかということを、非常に幅広いことが挙げられているわけです。その中で、この少年非行のことだけがクローズアップして、そこにウエートが置かれるというのは、私は、あり方として違うのではないかというふうに思っていますけれども、それはどのようにお考えになりますか。
鴻池国務大臣 ウエートをそこへ置けというわけじゃありません。大事なところは分けて考えなきゃいかぬと思います。ですから、その大綱というものも、肉づけをしながら、七月に出す予定であったとは聞いておりますけれども、私は、もう少しおくらせた方がいい、このように思っております。
小宮山委員 これは、青少年育成推進本部でつくるんですよね。そこで、総理指名の国務大臣の鴻池さんがおっしゃるとそのようになってしまうというのは、私はおかしいのではないかというふうに思っております。予定どおり出していただきたいと思います。
 そして、子供の状況というのは、おっしゃるように、勧善懲悪、こちらが善でこちらが悪で、悪い方は引きずり出せ、そういう話ではありません。
 例えば、この五月に、チャイルドラインという民間の、子供たちの声を電話で受けるものがございますけれども、ここが一週間フリーダイヤルで子供の声を受け付けたところ、全国で七万八千件余りのアクセスがありました。でも、ボランティアでやっているので、実際に受けられるのは一万五千件くらいだったという報告があります。子供たちはたくさん聞いてもらいたいことがある、それを今受けとめかねているこの大人の社会があるということ。
 それから、私たち、今、児童虐待防止の問題に取り組んでいますけれども、法務総合研究所というところが、少年院に入っている子供たちの綿密な調査をいたしました。これは一冊ですが、二冊にわたる大部のものです。そうしますと、そこに入っている、ですから、大臣のおっしゃる非行を犯した、犯罪を犯した少年たちですけれども、その背景に、七割の子供たちが虐待を受けているということがあるのです。
 このようなことをしっかりととらえて、大臣がおっしゃるような、どっちが善でどっちが悪だという状態ではないと思うんですね。ですから、余り短絡的におっしゃるのではなくて、そういうことをしっかりと勉強されてからいろいろな方針を決めていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
鴻池国務大臣 そのようにいたします。
小宮山委員 勉強をして、そこから吸収できるというのは、やはり御本人の資質がどういうものであるかということに私は深くかかわるのではないかと思っております。
 十一日に、この青少年問題特別委員会の野党の理事が大臣に申し入れをいたしました。人から聞かれたことにはちゃんと答えをするというのが常識だと思いますが、まだお返事がございません。これはどうなっておりますか。
鴻池国務大臣 確かに、水島先生、山口先生、達増先生、石井先生、保坂先生から申し入れがありまして、ちょうだいをいたしております。被害者への配慮のかけらもなくとか、さらには青少年大綱を出さないと述べていることが問題である、このようなことの趣旨と承知をさせていただいております。
 被害者への配慮というものに関しましては、今、被害者への配慮が足りないと書かれておりますけれども、私は、被害者への配慮が余りにもなさ過ぎるからこういう問題発言を繰り返しているわけでして、加害者への配慮はあるけれども、被害者への配慮のかけらもなくと言われる筋合いのものではない、このように思います。
 また、青少年育成大綱を出さない、出すと言っておるんです。
 終わります。
小宮山委員 また、一番最後にも書いてございますけれども、青少年問題担当大臣として、みずから判断し、しかるべき形で責任をとられることについて最後に要求をしております。
 きょうの質疑でも、例えば、先ほどの山谷議員の非常に極端な例を引きました性教育の問題についても、すぐに措置をとるとおっしゃいましたが、これも、しっかりと現場で取り組んでいる人の意見を聞いたり、まず最初に、実地にいろいろ調査をしたり意見を聞いたりしてから最高責任者としての御発言をなさるべきだと思いますが、複雑な……(鴻池国務大臣「そうすると言っている」と呼ぶ)私が質問中です。青少年問題の担当大臣として、私は資質に欠けていらっしゃると思いますので、これはもっと適切な方にかわっていただいたらいいのではないかと思いますが、いかがでしょう。
鴻池国務大臣 いろいろな御批判をちょうだいいたしました。ありがとうございました。
 どうしても鴻池祥肇が不適切であるとすれば、そのような政治行動をどうぞおとりいただいたら結構だと思います。
青山委員長 山井和則さん。
山井委員 私は、本来、厚生労働委員会に所属をしておりまして、児童虐待の問題などに取り組んでまいりました。そして、今回、児童虐待に関する一般質疑ができるということでこの委員会に参ったわけですけれども、先日の鴻池大臣の発言によってこういう非常に正常でない形で委員会審議が行われますこと、本当に、非常に残念に思っております。
 私も、学生時代、母子寮という児童福祉施設でボランティア活動をしておりましたが、そこでは、DVで被害を受けたお母さん方が駆け込んでこられたり、また、親から虐待を受けた子供たちがそこにおりました。確かに、そういう子供たちは非常に落ちつかないところがあったわけですけれども、まさに家庭が崩壊していた。だから、子供たちも落ちつかないというのは、ある意味で、本当にその状況を根本的に変えていかねばならないということをつくづく痛感したわけであります。
 そこで、お伺いしたいと思います。
 先ほどの鴻池大臣の発言でありますが、被害者の人権が守られていないということですが、私たち民主党は、今までから犯罪被害者の基本法というのをそういう意味では出しております。そもそも、そういう問題に対してきっちりと審議をするのが筋だと思います。まず、犯罪被害者の基本法、そういうことについてどう考えているのか。まず、単発に発言されるというよりは、やはりそういう根本的な問題について、民主党もそういう案を前々から思っているわけでありまして、出しておるわけです。そのことについて答弁をお願いしたいと思います。
鴻池国務大臣 これはおわびをしなきゃいかぬと思います。それについて、担当大臣として、今もって拝見をいたしておりません。それを早速この委員会が終わりましたら拝見いたしまして、いろいろと今後について検討したい、このように思います。
山井委員 私は、鴻池大臣の先日の発言を聞いて感じたのは、確かに、親の顔が見たいというか、そういう怒りは多くの国民の方が持っておられると思います。しかし、担当大臣というのは、大所高所からそれをまとめていく最後の責任者なわけですから、やはりその自覚をしっかり持ってもらわねばならないと思っております。
 では、改めてお伺いしますが、再発防止ですね、今回の問題のような再発防止、鴻池大臣はどう考えておられますか。長崎の事件の再発防止。
鴻池国務大臣 これは、一言で言えるような話ではございません。委員もそのように思っていらっしゃると思いますし、全部の方がそのように思っていらっしゃると思います。
 それが本当に再発防止につながっていくようなそういう施策というもの、いろいろな方法というものも議論をしてやっていかなきゃいかぬと思います。
 私が、信賞必罰、罪を重くすればなくなるというふうに短絡的にとられている部分があります。これは、私の発言でそのようにとられたとしてもいたし方ないと思いますけれども、決して、御批判があるように、何度も申し上げておりますが、罪を重く大きくすることによってこの問題が解決するとは、これだけで解決するとは思っていないということをつけ加えたいと思います。
 それではどうすればいいかということでありますけれども、これは、これから本当に早急に、いろいろな方の御意見を聞きながら、政府として、方針というか、語りかけなきゃいかぬ、このように思っております。
山井委員 もう担当大臣になられたわけですから、これからそういうことは勉強するというのは、ちょっと余りにも私は不十分じゃないかと思うんですね。やはりそこは責任者なわけですから、今も小宮山議員の発言にありましたように、まさに青少年大綱も見直していく、そこまである意味でリーダーシップを発揮されているわけですから、再発防止に対してどうするのかということをしっかりとある意味で勉強して、これだけ今全国民が関心を持っているわけですから、その再発防止に対してきっちりと答弁をしてもらいたいと思います。
鴻池国務大臣 同じ答弁になって恐縮ですけれども、一発でこうしたら再発防止になるというものは、今、私は持ち合わせておりません。
山井委員 持ち合わせていませんというか、ある程度、青少年問題担当の大臣になられたんですから、やはり持っている人に大臣になってもらわないとだめなわけですから、個人的意見で結構ですから、ちょっと答弁をお願いします。持ち合わせていないと言われたら、それこそ議論にならないわけですから。
鴻池国務大臣 持ち合わせていないことはないですよ。いろいろありますよ。ありますけれども、今一発で、委員がおっしゃるように、これで青少年の犯罪というのはなくなるというものは、私は持ち合わせていない、こういうことなんです。
山井委員 別に、私も一発でということは申していませんので、一発でなくても結構ですけれども、これこれこういう施策を大事だと考えるということをお願いします、答弁を。
鴻池国務大臣 やはり、先日来申し上げて大変問題化していますけれども、親の責任、親の自覚というものもしっかりと持っていただかなきゃいかぬ、このように思っております。
 また、社会全般、こういった問題について、先ほどの御質問の中にありましたように、虐待を受けた子供、犯罪者の七割がそうだといったようなことを聞かせていただき、それに対してどのようにしていくか、これから考えて進んでいかなきゃいかぬ問題でありますので、では、親の虐待がどうやったらなくなるのかといったことを、一発で答えるようなものを持ち合わせていない、こういうことであります。
山井委員 この青少年問題というのは非常に重要な問題で、まさに非行の問題、虐待の問題、重要な問題であるわけですけれども、何度聞いても親の責任ということぐらいしか答弁が返ってこないというのは、私は、申しわけないですけれども、極めて不十分だと思います。やはり、もうちょっと中身のある答弁をお願いしたいと思います。
鴻池国務大臣 例えばと申し上げましたが、これはやはり教育の問題、学校教育の問題、先ほどお話が出ました性教育も含めて、そういったところにこの青少年の非行、犯罪というものが多いのではないか。那辺にあるかということをもう一度しっかり、こういった痛ましい事件を中心にして、本当にこれからそれぞれが考えていかなきゃいかぬ問題であるというふうに思っております。
山井委員 今も答弁を聞いていて感じるんですけれども、小泉首相はそもそも鴻池大臣をなぜこの問題の担当大臣にされたんでしょうか。やはりそれほどお詳しくないんじゃないかなというふうに思ったりもするんですが、御自分でいかが思われますか。
鴻池国務大臣 ただいまの質問は、小泉総理にお聞きになった方がいいと思います。
山井委員 いや、鴻池大臣はどう思っておられるのかということです。どう受けとめておられるのかということをお答えください。
鴻池国務大臣 私は、いわゆる使命をいただきましたので、その任に、それが終わるまで、あるいはやめろと言われるまで続けてまいるつもりであります。
山井委員 ああいう大きな事件が起こったときに、もちろん国民の怒り、そして被害者の親の怒りというのはもう大変なものがあります。私もそれには共感をいたします。
 しかし、一議員ではなくて、やはり担当大臣がそういう打ち首というような趣旨の発言しかできないということ、そしてその大臣が、まさに今までから積み上げてきた青少年大綱の方向性とか提出時期とか中身を就任されてすぐに大きく左右される、そしてまた、再発防止に対しての具体的な御意見をお聞きしても、これから勉強していくという趣旨である。私は、はっきり言って、極めてこれは無責任じゃないかなというふうに思っております。
 やはり私は、こういう、秋に児童虐待防止法の改正もあるわけですけれども、これから勉強するという姿勢ではだめだと思うんですが、例えば、今まで児童養護施設、こういう虐待された被害者のお子さんたちの施設に行かれたこと、大臣、ございますでしょうか。
鴻池国務大臣 三十代のときに一度、尼崎市というところがやっているところに行ったことがありますけれども、その折には、こういった問題について社会的な大変大きな問題にはなっていなかった、いわゆる何かプレゼントを持っていったといったようなところでありまして、深くこの問題に思いをいたしてからはまだ行っておりません。ついこの間担当になったところですから、これは行かなきゃいかぬというふうに思っております。訪問して視察をしなきゃいかぬというふうには思っております。
山井委員 やはりこれは、一回小泉首相に来てもらって、なぜ鴻池大臣を担当大臣にしたのか。
 今の答弁を聞いても、三十年前に行きまして、その当時は虐待の問題はありませんでしたと。ということは、秋に児童虐待防止法を議論されますし、もしかしたら、これから選挙もあるかもしれない。そういう中で、そういう三十年前ぐらいにしか、あるいは三十年前に養護施設には行った、しかし、虐待の問題とか施設には最近は三十年間行ったことがないというような方がリーダーシップをとって、秋の児童虐待防止法のいい審議ができるというふうには、私は到底思えません。
 そういう意味で、一度ぜひとも小泉首相に、本当にこの青少年問題、今回の事件も含めて深刻に受けとめておられるんだったら、これからはもちろん鴻池大臣も勉強してもらうとして、それは置いておいて、やはりそういう問題に今までから関心を持ってその問題を勉強しておられる方、そういう方になってもらった方が私はやはり国民の利益にかなうと思います。小泉首相に一回来てもらいたいんですが、委員長。
青山委員長 理事会で検討させていただきます。
山井委員 そのことをちょっと今諮ってもらって、その上で私も質問させてもらいたいと思います。
 といいますのは、そういう明確な、なぜ鴻池大臣がこの問題の担当になったのかということは非常に重要なことです。これによって、青少年大綱のことも含めて、これからの日本の青少年育成なり虐待の問題の方向性はやはり大きく変わりますから、その根本的なことを、これだけ失言をされて、その言葉の撤回もされているわけですから、一度ぜひ任命責任者である小泉首相に来てもらいたいんですけれども。私もちょっと質問を控えさせてもらいますので、ちょっと一回、今話してみてください。
青山委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
青山委員長 では、速記を起こしてください。
 山井和則さん。
山井委員 今、理事間で協議されたそうですけれども、もちろん鴻池大臣には鴻池大臣のお考えがあると思います。私が繰り返し言っているのは、やはり大臣としての資格ということであります。
 そこで、少し、先日も児童養護施設を訪問しましたし、私も最近、何カ所か児童養護施設に行っておりますので、その話をちょっとだけしたいと思います。
 例えば、乳児院というところに行きました。ここは、零歳から二歳までのお子さんで、親が何らかの事情で育てられないというお子さんたちがいるところです。(写真を示す)
 私も初めて行かせてもらったんですが、非常にショックを受けまして、やはりなぜここに入らざるを得ないのかというと、生まれた時点で親がそもそも産む気はなかった、育てる気はなかったといって、産んですぐにここに連れてこられるお子さん、あるいは親が精神障害や知的障害を負っておられて、育てたいけれども育てる能力がないというケース、またあるいは虐待のケースで、階段から投げ捨てられて脳内出血を負ってしまったというようなお子さん方もおられるわけですね。このような虐待の問題や育児放棄という問題。
 また、先日、私、宇治市の児童相談所に行きましたが、そこで聞いた話でも、しばらくおふろにも入れてもらえなかった、あるいは食事も食べることができなかった、本当にそういうふうな育児放棄というのがふえているわけですね。
 こういう問題に対して鴻池大臣はどのように対応されようと思っていますでしょうか。
鴻池国務大臣 今のお話を聞いただけでも大変胸の痛む話だなというふうに思っております。これをどう対応するかということについての御質問というか、そういうことですね。これにどう対応するか。これはどう対応したらいいんだろうなというふうに、今、私はここで立ちどまっているところです。
 それは資質がないとまた言われるかもしれませんけれども、どう対応するか、本当に立ちどまってしまうような御質問でございますので、私自身、なおそういったところも行っていないということで御指摘をいただいておりますので、まずは視察をさせていただき、自分自身の考え方をまとめたい、このように思います。
山井委員 ある意味で、こういう質問で立ちどまっていただいては困ると思うんですよね。まさに、児童虐待防止法が三年前にできて、ことしの秋、見直しで、立ちどまるどころか、これからエンジンを吹かしてやっていこうというときで、その最先頭に立たれるのが大臣であると思います。そこで、大臣が親のしつけとか厳罰化のことは言うけれども、児童虐待の割と大きな問題に関しては立ちどまってしまうということでは、施策も立ちどまってしまうということです。
 そういう意味では、ちょっとやはりもう一言、きっちりと虐待の問題に対して御答弁をいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 立ちどまるというのは、突然の御質問に対してきちっとした答弁というものをどうすればいいかということで立ちどまっているということであります。
 虐待の問題につきましては、これは大変大きな問題であります。これをどのようにするか。これは青少年対策だけではなく、すべて、文部科学あるいは厚生労働の関係、みんなでやはり、どうしてなくしていくかということを考えていかなきゃいかぬ問題であるというふうに思います。
山井委員 私も学生時代に、DV被害の駆け込み寺の施設やあるいは児童虐待を受けた子供たちの施設でボランティアをしていまして痛感したのは、例えば、親が悪いということをよく大臣もおっしゃるんですけれども、実は、その親も、先ほど小宮山議員の話でも、少年院に入っているお子さんたちの七割が虐待を経験したという話もありましたように、その親も崩壊家庭で育ったというケースも多いわけですね。
 ですから、親が悪いと言っても、親も実は虐待を受けていたケースというのは多いわけです。こういう問題に対してはどう対応されますか。だれもが健全な家に生まれているわけでもないわけですし、そして、子供は親を選べないわけですよね。それを、親が悪いと言ったって、親が残念ながら障害を負っているケースもあるわけです。そのあたりについて、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 委員のおっしゃることに関しましては、まさにそうであるなと。親も虐待を受けてきた、これは本当に悲惨な状態が日本の国に蔓延しているということで、果たして、いかがなすべきか。これは社会全体の問題としてとらえて、今申し上げましたように、政府としての方針というものを早急につくらなきゃいけませんし、秋口に出てくる法案についても十分検討しなきゃいかぬというふうに思っております。
山井委員 これから議論ということをおっしゃっていますけれども、今までずっと議論はもう積み重なってきているわけですよね。だから、そういうことをきっちり踏まえておられる方が大臣になってもらう必要があるというふうに思います。
 もう時間がありませんので、最後に鴨下副大臣にお伺いしたいと思いますが、おととい、この青少年の視察で栃木県に行かせてもらいました。その中で、星の家という自立援助ホームにも訪問をさせてもらいました。中学校を出てから働いたけれどもなかなかうまくいっていない、そういう方々を支える自立援助ホーム、全国でも二十カ所ぐらいしかなくて、非常に重要な取り組みであります。
 まさに、どうやって子供たちを支えていくのか、非行に走らずにきっちりと健全に大人になってもらうように支えるのかというような意味では、こういう取り組みがますます必要になってまいると思います。こういうことについて、厚生労働省さんとしてどのように取り組まれるか、答弁をお願いします。
鴨下副大臣 今、先生がおっしゃった自立援助ホームも含めましてですけれども、虐待を受けたお子さんたちが養護施設で育って、最終的に十八で卒業していくわけでありますけれども、その後のことも含めて、ある意味でずっと見守っていく普遍的な愛情というものをどこかで我々は確保しないといけないんだろうというふうに思っておりまして、そういう意味では、自立援助ホームというのは極めて重要な役割を果たすと思います。
 ただ、そのことを私たち、今これから整備をしていかなければいけないわけでありますし、さらに、例えば、伺うところによると、そういうところのボランティアをやっている方々が、いろいろな育っていったお子さんたちの保証人だとか何かをやるというようなことで、もしかすると、その人たちがある意味で、負債を負ったときには僕は破産しちゃいますよなんて笑っておっしゃっていた人もいますけれども、そういうようなことを公的にある意味で支えないといけない、こういうようなこともこれからいろいろな意味で整備をしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。
山井委員 本当は鴨下副大臣にもっと質問したかったんですが、もう時間が来てしまいました。
 最後に、鴻池大臣に申し上げますが、鴻池大臣も、少年非行をなくしたいという思い、本当に熱い思いを持っておられると思うんですね。
 ただ、やはり大臣というと、トータルな青少年の施策を引っ張っていく、その方向性をつける非常に重要な仕事であります。これからまた議論する、勉強するということをきょうも御答弁されましたけれども、例えば、ここは一たん引かれて、また勉強された後、一年、二年後に大臣になられるとか。やはりはっきり言って、この秋の児童虐待防止法の見直しなんかは非常に重要な、何万人もの子供の人生、命、家庭崩壊がかかっている重要な、重要なことでありますから、そういう意思がなくても、大臣がちょっと思い違いをして方向性が間違ってしまったりしたら大変な問題になると思います。
 そういう意味では、今度ぜひ小泉首相にも来ていただいて、やはり、なぜ鴻池大臣を指名したのか、少なくとも今の時点においてはもっと適切な人を指名すべきではないのか、そういうことを最後に強調して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
青山委員長 達増拓也さん。
達増委員 きょうの冒頭の鴻池大臣のあいさつでありますが、最も関心のあることが少年が加害者となる犯罪ということで、緊急の課題として総合的少年非行対策にまず取り組んでいく。今まで、青少年の育成に関する包括的な、総合的な取り組みが政府、国会の方で行われてきた中で、これは一つ、そういう流れを変えることになるんだと思います。
 テロとの闘いという言葉がありましたけれども、あたかも少年犯罪との闘いに内閣を挙げて乗り出す進軍ラッパが鳴り響いたのを聞いたような感じがいたしましたが、私が非常に危惧いたしますのは、権力者が怒りに任せて法を執行するというのは、これはもう恐怖政治なんです。怒りに任せて新しい法をつくろうというのは、もうこれは言語道断なわけでありますけれども、どうも、きょうの答弁を聞いていても、また七月十一日の記者会見の発言を振り返っても、怒りに任せて法を執行していく、あまつさえ新しい法律をつくろうとする、そういう危険性を感じます。
 小泉内閣というのは、もともと、怒りに任せて発言する人が多い内閣、総理大臣からしてそうなんですが、やめられた田中真紀子大臣もそうだったんですけれども、安易に公の場で怒りをむき出しにするというのは、一億二千数百万の頂点に立つ権力者ですから、そういう権力者が安易に怒りに任せて言動を行うということは非常に怖いことだと思っております。
 先ほどの小宮山委員の質問に対する答弁の中で、非常に怖いことを言っているなと思ったので、そこを確認させていただきたいんですが、長崎市の幼児誘拐殺人事件でも、被害者の家族の方々が非常に苦しんでいる、その姿が盛んに取材され、報道され、被害者の皆さんが、そのことを容認してはいないだろうかと思っていたんですが、容認しているわけではない、どうも不当に苦しんでいると思われているようでありますけれども、その不当な苦しみと同じ苦しみを加害者家族にも味わわせるべきだということを、どうも大臣おっしゃっているようですね。
 被害者家族がそのような取材や報道で不当な苦しみを負うことについては、それはそれで対策を講じなければならないと思います。そういうよくないことについて、加害者家族にもそういうよくないことをしろ、テレビに出せ、さらしものにしろというのは、よくないことをやれと権力者、大臣が主張するというのは、これは論理矛盾じゃないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 一時の感情ではなく、私は、先ほども申し上げましたように、ここ十年来、大変悲惨な事件が起きている、少年犯罪事件が起きておる。その中にあって、どうしても不公平じゃないかと思うんですよ。被害を受けた方だけが外に出て、いわゆる犯罪を犯した側がすべて保護というか、覆い隠されている。
 だけれども、今委員がおっしゃったように、それでは両方出せというようなものではありません。だけれども、こっちばかりを出すならば、こっちも出てしかるべきじゃないかということは、当然言っていますよ。そういうことです。
達増委員 これは本当に基本的な質問で、こういう質問をしなきゃならないのも困るんですけれども、今回の事件について、現行法に従って内閣として対応をとるということを確認させていただかなければなりません。
 つまり、被害者側と同じくらいの苦しみを、それだけのことを加害者側もすべきだということをおっしゃっているわけですけれども、それは内閣としてそういうことをやるということではない、これを確認しておかないと非常に危険ですので、確認させていただきます。
鴻池国務大臣 すべて法によっていろいろなことが執行され、進んでいくということでありますので、内閣とすれば、この件に関すれば、少年法によってこの問題が進んでいっておる、こういうことであります。
達増委員 それを踏まえて、今の法律は不備があるということを七月十一日の記者会見でおっしゃっているわけですね。今の時代、厳しい罰則をつくるべきだということをおっしゃっております。したがって、今回の事件については、現行法に基づいて、それに従った対応をとるけれども、将来の同様の事件については、法律を変えて加害者の親に対してさらに厳しい措置をとれるようにすべきだと七月十一日に記者会見で主張したわけですね。
鴻池国務大臣 私の基本的な考え方は、当然現行法というものは大事でありますけれども、一方、勧善懲悪、何度も申し上げますけれども、よきことはよきこととする、悪いことは悪いこととするような日本のこれが軽んぜられている風潮というものを非常に危惧しているという自分自身の政治家としての信念を私は持っておるわけでありまして、法を変えていくということに関しましては、ただいま検討委員会でそういった話題、まだ出ておりませんけれども、そういった話も出てくるのではないかと思います。
 例えば、現行の十四歳をどうするかといったようなのが、それぞれ御議論がございます。それについて、このままとどめおくのか、あるいは変えるのか、こういったものを、その理由をきちっとして、このままとどめおくというならばその理由、あるいは下げるならばその理由を必要としていると私は思います。三年前に決めたことだから今はいいのよというようなことについては議論の対象にならない、私はこのように思っております。
達増委員 大臣は、十一日の記者会見の中で、信賞必罰や勧善懲悪の思想が戦後教育の中に欠落している、今もそういう趣旨のことをおっしゃっておりますけれども、勧善懲悪というのはそもそも思想なのかなと考えましたところ、論語、孟子、あるいはソクラテスでもいいですし、古今東西、いろいろな思想がありますけれども、勧善懲悪というのは思想ではないんじゃないかと思っております。思想というのは、善とは何か、悪とは何かというレベルの議論が思想だと思います。
 私は、戦後教育の中で、勧善懲悪ということがないがしろにされていたことはないんじゃないかと思います。いいことをしろ、悪いことはするなということは、いろいろな機会に、それぞれ教育の場でも、あるいは行政の場や国会の中でもあるんですけれども、今の現代社会が抱えている問題は、何がいいことで何が悪いことなのかがはっきりしなくなってきているところなんじゃないかと思います。
 そういう中で、何がいいことか何が悪いことかはっきりしない中で、怒りに任せた為政者がこれが善だということを押しつけていくようになっては、非常にまずい。先ほども、被害者の家族の方々が取材や報道で不当な苦しみを受けることはよくない、しかし、それが現状のままであるならば、加害者の側も同じ目に遭うべきだというのは、これは勧善懲悪と言っていながら、実は悪を勧めていることになりませんか。そういう怒りに任せて権力者が法執行をする場合に、善と悪のすりかえがなされることを私は非常に憂慮するわけであります。
 一つ、基本的な質問を伺います。
 これは、法学入門とか法律学の本には最初のところに出てくる話なんですけれども、社会規範というものは、法律のほかにも道徳とか慣習とか宗教とかいろいろあって、特に道徳で律するべき部分を余り法律で律するようなことはよくない。法三章という言葉もあります。例えば、親孝行しろというような道徳について、そこをすべて法律で規定してがんじがらめにしていくことは、かえって世の中をおかしくする、社会規範のバランスを欠く。
 どうも、鴻池大臣の主張を聞いておりますと、社会規範の中で、法律の領域をどんどん拡大して、本来道徳で律するべきところまで法律を押し広げていこうとするような傾向が感じられるのですが、その点について、どのような考えでしょう。
鴻池国務大臣 私、今の委員のお話を聞きまして、全く抵抗する話ではないと思います。私も同じ思いです。
 ただ、幼い子供を大事にしようとか、あるいはお年寄りを大切にしなきゃいかぬ、人の命は大切にしましょう、これはもうずっと戦後教育、当然の話としてありましたよ。しかし、その中で、余りにもスローガン的なものが多くなってきて、今、委員おっしゃったように、どれが正しいのか、どれが正しくないのか、わからない。人の命を大切にしようといっても、人を殺してはならないというようなことを言わざるを得ないような時代になってしまったということを私は憂慮しているのです。
 子供というのは、私も小さいころは大変凶暴、今も凶暴だと言われるかもしれませんけれども、子供というのは、よく御存じと思いますが、トンボを捕まえてきて羽をちぎったり、カエルを捕まえてきてストローでぷうっとお腹を膨らしたり、やるんですよ。それで、うっかりしていたら、子猫を川へ投げ込んだりするんですよ。しかし、それはいけないということをやはりもっと大きな声で、親が、近くにおる者が、隣のおじさんが昔はやった。そんなことするな、かわいそうやないかと。
 それが、今余りにも、先ほど来のお話のように核家族とか社会の構図自体が違ってきているので、そこで、私はこれからどうすべきかということを、立ちどまったという表現についてまた御批判をいただいておりますけれども、みんな立ちどまっているんですよ。どうするか、これからは私、そう思います。
 今の委員の御発言につきましては、全面的に私は賛成です。道徳は法律にすべきではない。
達増委員 ですから、カエルを殺すなとか猫を殺すなという話は、動物愛護法とかいう法律の話をしたいのであれば、国会の中あるいは内閣として盛んに言っていただければいいと思うんですが、そういう道徳の話と法律の話をごっちゃにして、七月十一日の記者会見のように、市中引き回し、打ち首とかいうのは道徳のレベルで発言されていたと思うんですけれども、道徳というのは人の内心のことでありますから、そこに権力者が簡単に立ち入るのはかえってよくない。その法律と道徳のけじめというものに、権力者というのは、内閣の一員というのは敏感でなければならないということを自覚していただきたいと思います。
 私は、この長崎の事件について報道で知ったときに、これはかなり根が深く、背景が広い。何か法律を一つつくるとか法律を改正するだけで同様の事件を防げるようになるというような、あるいは今回の事件について何か解決するというような、そういう事件ではないなと思いました。もうこれは、時代そのものを変えなければならないくらいのものではないかと私は思いました。
 今回の事件をきっかけに、やはり今の日本社会全体というものが本当におかしくなってしまっている。先ほど、人を殺すなということについて、それがいいのか悪いのかわからなくなってきているというような議論をされたと思うんですけれども、イラク特措法がまさにそうなんですよ。自衛隊がイラクに行って、殺すかもしれない、殺されるかもしれない、それをどう正当化するかという議論は、国民の多くが、ほとんどが納得するような形では、まだ国会内で結論が得られていないと思います。そういったところも含めて、大人もそれぞれの現場現場で努力していかなければ、今の時代というものを変えることはできない。
 私は、政府が審議会、有識者懇談会を通じて準備してきた青少年の育成に関する大綱というものは、まさに包括的に青少年問題というところを突破口として日本社会全体を変えていこうという試みとして、その方向性は高く評価していたのであります。そのことを先送りして、その前に、少年犯罪対策、少年非行対策という形の、いわば取り締まり問題をクローズアップして、そういう包括的な対策の前に置くというのは、かえって今回の問題の解決を妨げるものになるのではないかと思います。
 今回の事件は確かにショッキングではありますけれども、よくよく考えてみると、今回のような事件が起きてしまうからこそ、包括的な青少年育成大綱というものに基づいて、そして具体的な、総合的な施策を一日も早く打っていかなければならないはずです。それは、取り締まりの話だけではなく、教育でありますとか福祉でありますとか、さっき言ったような外交・安全保障も絡む問題だと思います。
 したがって、一日も早くこの青少年育成大綱というものは取りまとめるべきと考えますが、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 お説ごもっともな部分がございますけれども、やはり青少年の凶悪事件、これをどうするかということの議論を政府の中でやる必要があると私は思っております。
 大綱につきましては、ほごにすると言っておりません。できれば、その検討いたしましたものも含めて大綱の中に盛り込みながら、できるだけ早く出したい、このように思っております。
達増委員 ショッキングな事件によって、国民の中にもいろいろな怒りとか憎しみとかそういうものも渦巻いていると思いますが、そういうことに乗っかって、少年犯罪との闘いというような格好で青少年対策を進めていくことは非常に危険だと思いますよ。戦前も、中国との戦争や英米等との戦争については、国民の多くが、いいぞ、いいぞと拍手喝采したわけでありまして、そういう国民の本来掘り起こされてはならないようなところを解き放ちながら、その支持の風に乗ってやるというのは、非常に危険だと思うのです。
 電子メールを五千件くらい受けられて、その五千件のうちの八割半が支持するような内容だと、きのう、内閣委員会で答弁されたようですが、田中真紀子大臣問題のときに、私も三千通のメールを受けたんですが、千以上のメールをあけて見るということは非常に困難ですね。一日に千以上見るというのはまず無理だと思いますが、そういう中で、どのような形でそこを、八割半が支持するような内容だと検証されたのか。
 ネット社会には、何か口実があれば弱い者を攻撃して快感を得ようという人たちが少なからずいるんですね。私もその被害を受けました。ですから、そういった人たちが今回の事件でかさにかかって、もっとやれ、もっとやれと言うようであっては、それは非常に危険だと思うんですが、そういう危険な感じのするメールというのはなかったんでしょうか。
鴻池国務大臣 やはりこういう問題については、随分国民の多くの皆さん方が、関心というか、神経質になっておられるというふうにメールを見て思いました。
 今も私の方へは七千ぐらいの方からメールが入っているわけでありまして、参議院議員になりましてからホームページをつくらせていただいて、この間の金曜日の午前中までは約四万件だったのが、今二十万件ぐらいアクセスをしていただいております。
 その中で、御質問でございますが、土日、私は神戸へ帰りまして、いろいろな、多くのメールを拝見いたしました。しかし、今おっしゃいましたように、鴻池の発言は不適切であるといった中には、魔女狩り的な表現をするんではない、おまえみたいなやつはやめてしまえというのも当然ございました。また、私の発言というか真意について支持をするという中にも、当然のことながら、支持はするけれども、おまえの発言は不適切であるから、以後気をつけろというのもございました。
 両方とも真摯に受けとめて、今後の私の政治活動の糧にしていきたい、このように思っております。
達増委員 このネット社会、情報化の問題というのは、実は、少年犯罪の背景にもなっている非常に重要な要素なんですけれども、いわゆる報道被害という、過剰な取材あるいは過剰な報道による被害というものが前から指摘されているんですけれども、情報化によりまして、この被害の度合いはもう無限大と言っていいくらいになっていると思います。顔写真でありますとかいろいろなコメントでありますとか、もうインターネットを通じてどこにでも、だれかが永久に保存するかもしれない。
 そういう意味で、被害者家族の苦しみと同じくらいの苦しみを加害者家族も味わえということで、さらしものにすべきというような主張は、無限の罰を受けろと言っているようなものでありまして、これは本当に現代社会においては不適切だと思います。
 私は、このことだけでも大臣辞任に値すると思うんですが、最後に、辞職する考えはないかを聞いて、終わりたいと思います。
鴻池国務大臣 命ぜられてこの職におります。これを解くということを総理もしくは官房長官から言われれば、当然それはお受けしますけれども、今のところ、そういう御指示はいただいておりませんので、今の立場をしっかりと推進してまいりたい、このように思っております。
達増委員 時間ですので、終わります。
青山委員長 石井郁子さん。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 私も、一昨日、大臣に対して野党としての申し入れを行いました。青少年の担当大臣として、この間の一連の御発言はいかがかという問題、そして、しかるべき形で責任をとられることを求めるというふうに申し上げたところですが、今のところ、その答弁はいただいておりませんし、辞任しないということでございますので、そのことできょうも質問させていただきます。
 私は、冒頭、きょう大臣は、担当大臣になられたということで所信を短く伺ったわけですが、この中に、本当に今回の事件の被害者となった四歳の駿君、この命を悼むというか悲しむということがございませんでした。私はちょっと奇異に感じまして、大臣が盛んに被害者の人権ということを言われますので、こういう大臣所信というのは、本当に被害者の人権を考えた所信になっているのだろうかと、これは、私は感じたということだけ申し上げます。
 それで、まず冒頭、もう議論になっていることなんですけれども、十一日の閣議後の記者会見の御発言というのは、一部不適切ということで撤回をされましたが、その発言の全体の趣旨は、この日の発言というのは大臣としての御発言だったのかどうかということをちょっと確認させていただきたいのです。
鴻池国務大臣 公人であるのか私人であるのか、例えば靖国のお参りの話のときによく出てまいりますけれども、私は、これは私人である、公人であると言って言い逃れをするというようなことは、性格上できません。これは、大臣という立場であろうと、政治家という立場であろうと、一人間という立場であろうと、私の発言は鴻池祥肇の発言、このように受けとめていただきたいと思います。
石井(郁)委員 六月十日の閣議で、担当大臣というか、青少年育成推進本部を立ち上げ、大臣となられたということですから、私たちは、この御発言は青少年問題担当大臣としての発言だというふうに受け取るのが自然だと思うんですね。そういうことでございますね。
鴻池国務大臣 いや、あれは私個人の意見でございましたと言って、よく言い逃れをする政治家がおります。私はそうではない、私の言ったことは私みずからが責任をとるということであります。
石井(郁)委員 私はそういう前提で始めたいと思いますが、ですから、今回の御発言というのは本当に青少年担当大臣としてどうなのかという問題をある面で厳しく問わなければならないと思うのです。
 幾つかのことがあるんですけれども、この大臣の発言からうかがえるのは、事件が起こった、十二歳の少年だった、それに対して罰を科すべきだ、厳しくすべきだ、そして、親も教師も出てこいという発言になっているわけですね。
 私は、まず最初に、本当に心痛む事件です、子供が子供の命を奪っているわけですよね。十二歳といっても、まだ、ついこの間小学校六年生だった。本当に信じられないような事件なんですよ。こういうときに、今、国民も私たちも考えなければいけないのは、やはり、なぜこんな事件が起こるのか、その原因や背景はどういうことにあるのか、どうして防げなかったのかという問題だと思うのです。
 防ぐことができれば、本当に駿君は助けられたわけですから、命を奪うことはなかったわけですから、やはりそこのところにまず心を寄せるべきではありませんか。そして、そこのところでこそ、私は大臣としての発言が求められているというふうに思うのです。それを、親を引きずり出せ、教師を引きずり出せ、顔見せろということでは、問題の本質には迫れません。いかがですか。
鴻池国務大臣 その部分だけをとらえて委員がおっしゃっているように感じますけれども、しかし、少なくとも、少年が法律の上において犯罪者とならないならば、その保護者である者、あるいはその関係者のだれかが、やはりコメントの一つも出すべきではないか。まことに申しわけなかった、こんな事件を起こしてしまってまことに申しわけなかったぐらいは、私は、この人間社会としてやるべきだ、そういう趣旨で申し上げているのであります。
石井(郁)委員 私は、それはある面で、親が判断されたり、あるいは道義上の問題としていろいろ対応されたりするということはあると思います。しかし、今大事なことは、大臣がそういうことを命令したりすることができるのかどうか、あるいは、今こういう問題で、結果に対してどうする、責任を負えと言うだけに終始しているということを私は問題にしているのです。
 じゃ、この事件について、果たして本当に防げなかったのか。
 新聞報道の限りですけれども、この地域では、もう何件も幼児へのいたずら、いろいろなことがあった、類似事件もあった。そして、既にわかっているところで言うと、四月二十七日のそういう子供へのいたずらというのはこの子がやったということまで今わかりつつあるという状況ですよ。じゃ、そのときにちゃんと対応していたら防げたのではないか、これはもう、その地域の方々はみんなそう考えていらっしゃるわけでしょう。
 特に、幼稚園の園長先生はどうおっしゃっているか。類似事件の情報を知っていたら保護者への対応も違ったものになったと思う、残念でならない。幼稚園には、この地域でこういう事件が起こったということが伝わっていなかったというんですよ。学校にも伝わっていないというんです。だから、もっと地域にでも、今こういうことがありますよということの情報を与えていれば、もっと対応は違うでしょう。そうでしょう。
 だから、そういう点で、今、この加害を防ぐ手だては本当になかったのか、この命を救えなかったのかということで、まず大臣自身が、本当は、被害者や、あるいはこういう痛ましい事件が起こってしまったということに対して、私は、国民に申しわけないという言葉があってしかるべきだと思うのです。いかがでしょうか。あるいは、本当に加害を防止できなかったのかどうかということについての御見解を伺います。
鴻池国務大臣 第一回の検討委員会の会合を開きました。それで、それぞれの関係省庁の局長以上のクラスの人から、いろいろな意見交換をいたしました。
 ただいまの委員の御指摘、いろいろな潜在的な事件が起きておったことが学校なり幼稚園なりに通知が全くできていないじゃないかといったことも、そういった検討委員会の中で今やっております。
 そして、警察と学校との連携というもの、大分あったようですが、今薄れているという話がありました。こういったことも検討委員会の中で十分、具体的に、かつ、いわゆる物理的な面で、こういう犯罪が起きにくいように、起こさないようにやっていくといったことも、検討委員会の中の作業として早急に進めているところであります。
石井(郁)委員 ですから、大臣は冒頭、罪を犯したらこういう罰則があるんだ、もっと親にも厳しくしろという発言が出ているし、そこしか聞こえないので、これが青少年問題担当の大臣が真っ先に言う言葉なのかという意味で私は問いかけているわけです。そして、そういう発言が本当にこの問題の解決を妨げているじゃありませんか。妨げていますよ。
 だから、私たちもきょうはこういう質問をしなきゃいけないわけですけれども、このような事件が起きないようにどうするのか、そのことを担当大臣としてやはり考えていただきたいということなんです。
 それで、同じような意味でもう一点なんですが、子供が起こすということについて言いますと、やはり多くのこの事件に関係した方が言われているもう一つが私は大変気になるんですが、やはり子供が見えない、まさかあの子がと。だれもが、そういうことをするとは思いもよらなかったと。大体事件が起こるとそういうことが多いんですけれども、やはり子供が見えないという問題なんですよ。
 このことで、私はぜひ、大臣は兵庫にいらっしゃるわけですから、まさに神戸事件を思い起こすじゃありませんか、六年前。あのときは、あの事件がまさにああいう形で初めてでしたから、本当に大変大きな衝撃でした。あのときの教訓は一体どうなったのかということもあるんですね。
 あの事件のときから言われたのも、やはり子供というのはSOSを発しているんだ、そして、今の子はストレスもためていますと。しかし、自分の本音を本当に言えないんです。こういう状況にあるんですよ、子供は。
 そういう子供の状況をつくっているのも今の社会であり、まさに教育であり、政治だって責任を負うじゃありませんか。子供は成育過程の人間ですよ。いろいろな未熟さも抱えている。それを人間として育てるのが政治の仕事であり、社会の仕事じゃありませんか。
 こういう問題について、いかがですか。大臣の御認識を伺いたい。
鴻池国務大臣 もちろん、いろいろなことが起きるたびに、政治の責任あるいは地域の責任、こういう話になります。それもそのとおりの部分があろうかと思います。教育の方針が那辺にあるのか、いろいろなことを、やはり政治家あるいは政府こぞって責任を感じなければならないと思います。
 しかし、まずは、生み育てた、一緒に朝夕食事をしているその親がその発信を見なきゃいかぬ、また、学校の先生が見なきゃいかぬ、私はそのように思います。
石井(郁)委員 結局、大臣は、親がしっかりしたらいい、教師がしっかりしたらこういう問題が起こらないということにしかすぎません。これで内閣のこういう青少年問題の大臣が務まるんですか。親だけ説教していたら済むんですか。私は、本当に、親と教師にばかりこういう、責任のなすりつけですよ、大臣のやっていらっしゃることは。これでは本当に、私は青少年問題の担当大臣としての任に置けないというふうに申し上げたいと思います。
 それで、きのうの内閣委員会ではさらに重大な発言がございました。我が党の春名議員の質問に対してなんですけれども、そのことで伺います。
 それは、子どもの権利条約に基づく対応については承服できないとおっしゃったわけです。やはり、青少年問題の担当の大臣としてよって立つべき法的根拠というのは、まさに少年法であり、憲法はもちろんですけれども、国際条約としての、日本も批准している子どもの権利条約ではないのですか。その子どもの権利条約については、存じていない、そして承服できないという発言なんです。
 こういう少年法や子どもの権利条約に基づいた行政を行おうという気がないというふうに見ていいですか。
鴻池国務大臣 議事録を、昨日のものを精査しなきゃいかぬと思いますけれども、承服できないという表現は私はしておりませんよ。承服できないと思っていないもの。少年法あるいは国際的な条約について日本が批准したということについては、政府の一員として、それができないと言うはずはありません。まず申し上げておきたいと思います。
 しかし、少年法というものをどうするかというような議論があるので、これはやはりいろいろな場所、いろいろなところで議論をしていく必要があるのではないかということは、私は、今も思っております。
石井(郁)委員 私はテレビで拝見していまして、承服できないとおっしゃったんですよ、それは。だから、これは重大な発言だなと思います。
 それでは具体的に伺いますが、少年司法というか、非行に対する対応の問題として、子どもの権利条約の第四十条、少年司法の手続がございますけれども、これは当然お認めになりますよね。
鴻池国務大臣 当然、認めるところであります。
石井(郁)委員 これは、司法手続のすべてにおいて、加害者の少年のプライバシーを十分尊重されるという問題なんですよ。
 それで、私は大臣に、やはり、親が出てこいということに対して、道義的な意味じゃなくて、大臣として、本当は法にのっとって発言されなきゃいけない方がそういうことをおっしゃるのはなぜ問題かといえば、このプライバシーにかかわるからなんですよ。大臣は盛んに、被害者だけが守られなくて加害者の人権が守られているとおっしゃいますけれども、既に、今現実には、この加害の子供の点数が出たり、もうネット上でいろいろ、名前や学校やそういうものが出たりしているじゃありませんか。今既に、こういう意味での権利条約に基づくそういうプライバシーは守られている状況にはないと言わなければなりません。大臣の御認識違いますよ、実際は。
 だから、こういう状況に対してこそ、やはり、むしろ青少年担当大臣として、本当はきちんとした対応をしていただかなくてはならないということがあります。
 それで、少年法の六十一条ですけれども、ここではさらに、今、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」とあるんですよ。だから、こういうこととのかかわりで、安易に、教師出てこい、親が出てこいということを言っちゃいけないというのが今の法体系なんですよ。その御認識があるのかどうかということをきちっと伺いたい。
鴻池国務大臣 少年法、昭和二十三年にできておるものです。これにつきましては、加害者の氏名、年齢、職業、住居、容貌等を新聞、出版物で出してはならない。二十三年ですから、テレビというのは入っていないんですよね。しかし、それは準ずるべきである、少年法というのは準ずるべきであるというふうに思っております。法は守らなければならないと思っております。
 道徳的にどうかと言われれば、これは守らなきゃいけませんけれども、何度も申し上げておりますけれども、その親のコメントぐらいは出てきてもいいんじゃないか。これは大臣として、あるいは政治家として、一個の人間として私は思っておるんですよ。思っておる。思っておることを……(発言する者あり)言わないようにしましょう、そうしたら。
石井(郁)委員 そうなんですよ、本当に。あなたは気持ちはそれはあるかもしれない。しかし、担当大臣としてそこはちゃんと節度を持ってもらわなくちゃ困りますよ。それは言っちゃいけないことなんです。そうです、それは。だから厳しく私たちは問題にしているんです。本当にそれは重大な発言なんですよ、法律上に照らして。それを強調しておきたいと思います。
 だから、私たちは改めて、本当に担当大臣の資格としてふさわしいかどうかということを問いかけているわけでありまして、そのことを再度申し上げたいと思います。
 そして、私も、青少年の育成に関する有識者懇談会の報告書ですけれども、ここに非行少年の問題、なぜあるかとか、どう対応するかというのがありますけれども、本当に読んでいただきたい。
 この中では、「少年犯罪対策においては、深刻な状況に至る前に少年の問題状況を把握し、適切な働きかけを行うことが少年にとっても望ましい。」これが本当の意味で犯罪の抑止的防止になるということ、また、あわせて、事件を起こした少年に対する適切な配慮や保護ということが全体として抑制するということまで書いていますよ、ちゃんと。
 だから、そういう立場にちゃんと担当大臣として立ってもらわなくちゃ困るわけです。暴言を繰り返されたら困ります。しかも、本当に人権侵害に当たるような暴言なんですよ、今回の問題は。
 そういう意味で、私たちは、やはり厳しく責任をとっていただきたい、辞任を要求しますということを申し上げて、質問を終わります。
青山委員長 保坂展人さん。
保坂(展)委員 社民党の保坂です。
 私も鴻池大臣のもとに書面を野党四党で持っていった一人ですけれども、率直にいろいろお聞きをしていきたいと思います。
 これまでのやりとりを聞いていますと、鴻池大臣が先週の金曜日、閣議後におっしゃったことは、これは衝動や思いつきではなくて、ある確信を持って、信念を吐露された。しかし、大臣自身のお言葉をかりれば、表現が不適切であったと。例えがよくなかったということだろうと思いますが、新聞記事などを見ていますと、その後の閣議で、小泉総理が参議院で、これは適切じゃないのではないかと答弁されたのを受けて、これを重く受けとめるというふうにおっしゃり、そして総理並びに官房長官、あるいは閣僚の皆さんに御迷惑をかけたことをおわびしたいとおっしゃっているので、新聞などではおわび、陳謝というふうに出ているんですが、そこには国民の皆さんへのおわびというのはあるんでしょうか。
 私は、きょう、記事を見たり大臣のホームページを見て、よく見たところ、国民の皆さんへのというのはどうもなかったように思うんですが、閣僚の皆さんに迷惑をかけたという趣旨で謝罪されたんですか、そこをはっきりさせてください。
鴻池国務大臣 委員のお述べになりましたとおり、閣僚懇談会の席で、今お述べになりましたとおりの発言をいたしました。
 その後、記者会見が当然、火曜日と金曜日にございますので、その折に、そういう発言をしたということをマスコミの方に報告いたしました。そして、それとは区切って、不適切な発言であったことをおわびを申し上げたい、このように言いました。
保坂(展)委員 ただしかし、先ほど達増委員が紹介されていたように、今、七千通ですか、メールが来ていますと。そのうち八割、あるいはそれを超える数が、どちらかというとよく言ったと支持をする。つまり、その発言、イエスですよという声が多いんですということを発表されていますよね、中にはよくないというのもあるけれども、数多い声は支持をしていると。
 それで、私はぜひ、これは一政治家のもとに届くメールとは性格が違います。青少年問題の担当大臣として私どもが承服しかねる前回の発言についてのメールですから、これは、プライバシーや他者の人権侵害などに配慮した上で、どういう声が来ているのか、ぜひ公表してください。それは議論の材料になると思いますよ。
鴻池国務大臣 今はそういうものを持ち合わせておりませんので、どこかの時点で公表するようにいたしたいと思います。
保坂(展)委員 この発言が波紋を呼んだ。まあ、時代劇がお好きだということだったんでしょうけれども、しかし、時代劇というのは、封建時代、その姿を映しているわけですね。その時期に当たり前だったことが、今は当たり前ではない。そこにやはり、近代国家や法治国家の姿があると私は思っているのです。
 大臣に伺いますが、公開処刑というのをどう考えられますか。
鴻池国務大臣 あってはならないことだと存じます。
保坂(展)委員 なぜ、あってはならないんでしょうか。
鴻池国務大臣 現憲法下においても、あってはならないことでありますので、あってはならないと思いますし、そういった、たとえ凶悪犯でありましても、その処刑の場面が国民あるいは人間の目にさらされるということは決してよくない、このように思います。
保坂(展)委員 私も全く同感です。
 そして、タリバン政権下のアフガニスタンで、立派なサッカー場、しかし、そのサッカー場は、サッカーが禁止されていましたから、悲しいことに公開処刑場になっていた、そして国民の娯楽というのが、またこれは大変なことに公開処刑だったということを伝えられていますよね。そういう形で、大勢の公衆が見守る中で処刑をする。そして、以前は、それこそ時代劇の世界では、さらし首というのもありますよね。死刑執行後の事後制裁です。
 こういうことは、やはりもう、はるかかなたに乗り越えていかなきゃいけないんだという思いを私は持っているものですから、非常にこの発言というのが気になった。
 もう一つ伺います。
 悪いことをした、そして非常に残虐な行為をしたと思われる個人、あるいは数人でもいいです、その被疑者や容疑者。こいつがやったに違いないという人に対して、何人かが襲いかかって私的制裁をする、リンチをするということ、これをどう考えますか。
鴻池国務大臣 リンチという言葉は、リンチを受けた被害者、きょうの事件でもありましたね、新聞報道でしか知りませんが、平塚の方で、数人が一人の少年を殴りかかる。これはリンチですよね。これはいけません。これは、あってはならないことだと思います。まして、そういう罪を犯した人は法律によって罰せられるべきである。
保坂(展)委員 国家が刑罰権を独占している、そこに法治国家の基礎があるわけですけれども、もう一つ、私は、大臣との今のやりとりの中で、ほとんど承服しかねるところが多かったんですが、一つだけ、もっともだと思う部分がありました。
 それは、メディアがその被害者のいわばお葬式だとかそういうところに殺到して、そこを流していくというのは、これはいかがなものかと私も思います。実は、これは犯罪被害者の皆さんからの声で、二次被害という言葉も挙がっていますね。大変残虐な犯罪で殺されたのに、その後、インタビューだ、やれカメラだということで、とにかく、いても立ってもいられない気持ちに追い込まれたという声も多々聞いてまいりました。
 そこで、これはメディアスクラムというふうにも言われますけれども、大臣の発言の中で、市中にさらせということの意味が、テレビに出てこい、テレビに映せという意味だったと思うんですね。そうすると、今の社会、江戸時代ですと、どんなに広くても市中を引き回すだけで済むんですが、日本じゅうに全部その映像が出るわけですね。
 そういう意味では、メディアによって徹底的にたたかれる、そして、いわば日本じゅうに引き回されるということがテレビに出るということになりませんか。そこにどういうお考えがあって、ああいう発言をしたんでしょうか。
鴻池国務大臣 私は、何度も表現しておりますように、今、委員が一カ所だけ意見の合うところであるとおっしゃいましたように、片や、あのような、悲しみに打ちひしがれ、本当に心から憎しみに燃え、そういったところばかりが映されているのは不公平じゃないかという意味で申し上げたんです。
 発言の不適切なところは何度も申し上げておるとおりでありますけれども、しかし、せめてメモ一枚、まことに申しわけなかったという表現をしてはいかがか、その保護者が。私は、そのように今も思っておりますよ。今も思っております。
保坂(展)委員 せめてメモ一枚出せないのかということを閣議後の記者会見で言われた場合の反響と、市中引き回しの上、打ち首だと言われた場合の反響は、やはり違いますよ。
 それは、テレビに加害者、しかも、これから事実認定があるわけですから、シチュエーションはわかりませんよね。疑われたら即その場で銃殺なんて社会もありますけれども、日本は少なくともそういう社会じゃない。そして、テレビにもしそういう形で引き回されたら、この社会で生きていけるでしょうか。それからまた、少年自体を特定することになりますよね、親の映像が出てくるわけですから。少年も、あそこの子だということになる。
 そういう意味では、やはりこれは撤回をしていただきたいんですね。先ほどから、いろいろ事例がと言われていますけれども、きっぱりこれは撤回されたらいかがですか。撤回した上で、もう一回、メモ一枚ぐらいということは、それはお聞きしますよ。
 しかし、これまでの発言についてこれだけ反響を呼んで、きょう、児童虐待について集中的に我々は考えていました、議論しようと。しかし、これは、ここで黙ってこの問題を指摘しないわけにはいかないと考えているのです。撤回してください。
鴻池国務大臣 何度も申し上げておりますが、不適切な発言、言い回し、あるいは物の例えとしても極めて不適切な発言であったということで、おわびを申し上げております。
保坂(展)委員 いや、ですから、不適切な大臣の、これは何でこんなに議論が拡大してしまうのかというと、言いたいことは正しかった、しかし例が不適当だったというふうに聞こえるんです、私には。言いたいことは正しかったんだと。そうすると、発言の主には正しかったんだということになるんですね。
 私は、今、そういった事例を細かく挙げましたよ。大臣自身も、加害者と疑われる児童の親がテレビに出てきて、全部さらし者になればいいという趣旨じゃないとおっしゃったじゃないですか。だとしたら、発言自体がだめだったんです。これはやはり撤回していただく以外にないんです。撤回するというふうに潔くできませんか。
鴻池国務大臣 例えばということで申し上げております。そして、今委員がおっしゃいましたように、鴻池の発言がすべて間違っているというふうに指摘をされましても、私は間違っていない部分もあります。表現あるいは例え話が大変まずい、これについてはおわびを申し上げておるところであります。
保坂(展)委員 そうすると、大臣、例え話が間違っていたというと、あのときの話の大半が消去されますよ、例え話だけ消せば。何が残るんでしょうか、例え話以外の部分は。
鴻池国務大臣 私は、あのときというのは、あの後も何度もぶら下がりでも記者会見等はやりました。その中で、どの部分が正しくてどの部分が悪いかということについては、表現をしたとおりでございますけれども、少なくとも、勧善懲悪という言葉、これは私は間違っているとは思いません。あるいは、御先祖様に申しわけないようなことを親が子供に教えていないんじゃないか、そういったことについて私は発言した記憶があります。それも間違っているとは思いません。
保坂(展)委員 それではもう一回聞きますけれども、もし、勧善懲悪だということで、十二歳の子供を引きずり出すわけにはいかない、しかし親がいるじゃないかということで、あるテレビ局ならテレビ局が、あるいはインターネットでもいいですよ、それを映して、それをばっと放送したといったら、それを支持しますか。確信を持ってそれを私は放送したんだからいいじゃないかとその放送会社は言うかもしれない。大臣のその発想と同じですか。それは認めないんですか、認めるんですか。
鴻池国務大臣 私は、そういう極端なことを、市中引き回しということをとらえられておっしゃっていると思いますけれども、それについては、過激であり、極めて不適切であったということを申し上げているのであります。
保坂(展)委員 大臣、おかしいじゃないですか。だから、信念としてはそういう気持ちがあったんだというわけです。
 現に八割のメールの中で、国民の中にありますよ、やはりその少年に対して、全部クローズドになってしまうのか、だったら親ぐらい出てきて、徹底的にテレビにでも出てきて、どうなんだと。こういう一種の、先ほど言ったようなメディアのスクラムの中に、そこの放列の中に出てきなさいという声があるんですよ。あるから、そういうメールが来るわけでしょう。それを、きのう、私は法務委員会で森山法務大臣に聞きましたよ。大変残念な発言だったと言っています。
 それから、メールの中でも、あるいはインターネット上でも、全く無関係のお子さんの写真が流通をして大変なことが起きていますよね。また、実際の情報もいろいろな形でネット上行き交っている。
 そういうことについて、これは規範ですから、大臣がそれをよしとしているのであれば、これは撤回しないで、例が悪かった、そういうことで貫くのか。そういうことでは、私、とても青少年問題担当大臣は務まらないと思います。みずから潔く引いた方がいい。
 もしこれからやるというんだったら、少なくとも、これだけ議論した中で、撤回ぐらいはしてくださいよ。過激で不適切な発言というのは大抵撤回するんですね、勇気を持って。過激で不適切で、これだけ、言わんとしていることと違っていたと大臣自身が言っているんですから、どうして撤回できないんですか。潔く撤回してください。
鴻池国務大臣 まさに不適切な表現であったということで、反省をし、広くマスコミ等にも申し上げているところであります。
保坂(展)委員 そこまでおっしゃるんなら、最後に、撤回しますと言えない理由は何ですか。
鴻池国務大臣 理由も何もありません。
 先ほども御答弁申し上げましたように、テープレコーダーを消せというならば消えるかもしれませんが、一たん申し上げたこと、撤回しても同じ話になります。申し上げた責任、私はまことに申しわけなかったと思っております。
保坂(展)委員 とすると、申し上げた責任が、まことに申しわけなかったとまで言っているわけですから、あの発言はよくない、間違いだったと受けとめていいですか。これはコミュニケーションですから、質疑も。
鴻池国務大臣 申し上げておりますとおり、例え話とすれば極めて不適切であった、そのように受けとめていただきたいと思います。
保坂(展)委員 そして、二度と同様の発言はなさいませんか。
鴻池国務大臣 それも各所で申し上げておりますように、以後、こういった発言については十分気をつけて、この手の発言はいたさない、このように申し上げて、決意をいたしておるところです。
保坂(展)委員 ただ、きょうのやりとりを聞いていますと、やはり自分の信念は揺らがない、しかし、表現のいわば枝葉のところで不適切な部分が出てしまった。したがって、表現の信念は揺らがないということであれば、私たちは非常に不安を抱くわけです。やはり、また二回、三回とそういった御発想が出てくるんじゃないかと。
 私は、そういう意味では、青少年担当大臣を続けられるのは不適切だと思います。辞任を求めます。
 その上で、犯罪被害者に対する犯罪給付金の金額が低過ぎるという問題意識はございませんか。
鴻池国務大臣 済みません、突然でしたので。
 これにつきまして、そういう議論が強くあるということをただいまの御発言でさらに十分聞かせていただきながら、これが適当であるかどうかというものを、ただいまの御質問がありましたから、私の立場ででも検討したいと思います。
保坂(展)委員 大臣の発言を問題にしているからといって、被害者の問題をないがしろにしているということは思わないでください。
 例えば、車で故意にねらわれてひき殺された場合と、過失でわき見をしてひき殺された場合。結果は同じですよ。大黒柱で、家族は路頭に迷うかもしれない。しかし、わき見の場合は保険で保障が出る。故意にねらってひき殺した場合は見舞金どまりです。大変な苦痛を強いられているんですね。
 そういうことについて、我々野党同士でも、あるいは与党の方にも呼びかけて、犯罪被害者の救援基本法をつくろうじゃないか、少なくとも自動車事故で亡くなった水準ぐらいの、やはりこれだけの凶悪犯罪は許さないという社会の決意のために必要じゃないかという議論をしているんですよ。そこのところはしっかり給付水準を見ていただきたいと思う。幼いお子さんを亡くされた御家庭に、ではどのぐらいの給付があるのか。驚くほどの額ですよ。いかがですか。
鴻池国務大臣 しっかりと、それをすぐさま数字の上からも検討を、私自身のその立場がどうあるかということも踏まえて、まずはそれを調べてみたいと思いますが、その精神、それを変えていこうという基本的な精神については、私は否定するものではありません。
保坂(展)委員 時間が来てしまいました。本当は厚生労働省に、児童虐待の、親が虐待を二度としないように立ち直るシステムについて、研究開発の手当ては十分なのか、もっとこれを強めるべきではないかなどの議論を予定していましたけれども、残念ながら時間となりましたので、やはり最後に、いち早く、本当に撤回という一言を言われることを強く申し上げまして、終わります。
青山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時九分散会


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