衆議院

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第4号 平成19年12月11日(火曜日)

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平成十九年十二月十一日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員 

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 実川 幸夫君 理事 菅原 一秀君

   理事 萩生田光一君 理事 笹木 竜三君

   理事 吉田  泉君 理事 古屋 範子君

      井澤 京子君    井脇ノブ子君

      岩屋  毅君    大塚 高司君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      馳   浩君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    安井潤一郎君

      山内 康一君    泉  健太君

      菊田真紀子君    田名部匡代君

      石井 啓一君    石井 郁子君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   総務副大臣        佐藤  勉君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 二郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中  敏君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十一日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     安井潤一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     上野賢一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件(子どもとインターネットをめぐる諸問題)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件、特に子どもとインターネットをめぐる諸問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官荒木二郎君、警察庁生活安全局長片桐裕君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、文部科学省大臣官房審議官田中敏君及び厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子さん。

井澤委員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。本日は、トップバッター、四十分お時間をいただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先週、二回にわたり、この委員会で視察を行いました。現在多様化する子供のインターネットをめぐる諸問題について、質問させていただきたいと思っております。

 実は、まず本題に入る前に、どうしても触れなければならないことがあるかと思います。先日来の報道を見ながらも、また幼い命が事件に巻き込まれたと思っております。少しお時間をちょうだいしたいと思います。

 つい先日は、香川県の坂出市で、大人の身勝手な犯行により、とうとい小さな子供の命がまた事件に巻き込まれました。

 この十二月、朝夕が冷え込んでくるこの時期にいつも思い出す出来事がございます。思い起こせば、ちょうど私が二年前に国会議員になり三カ月たち、そのころ立て続けに子供を巻き込む痛ましい事件が全国各地で起きました。まだそれは皆さんにも記憶が新しいことかと思います。

 私の地元でもある京都府宇治市では、塾の講師に生徒が刺殺され、きのうはその命日でございまして、献花にも参りました。

 そして、栃木県でも、下校途中の子供が何者かに幼い命が奪われ、私たち自民党では、「犯罪から子どもを守る」緊急対策本部を設置し、私もその一員として、当時の栃木県今市市、今は日光に変わっておりますが、その現地を視察いたしました。その事件があった周辺は、木がうっそうとしていて、寂しい人けのない林道で、事件当時の状況を歩きながら伺ったことをついきのうのように思い出しております。それからちょうど二年たったきょう現在も、懸命な努力にもかかわらずまだまだ捜査の進展が見られず、犯人は捕まっておりません。

 先日、この御両親の現在の心境をつづられた文章の一部、手紙が公表されておりましたので、少し紹介をさせていただきたいと思います。

 「事件から二年が経とうとしています。私達家族にとっては、何年経っても、あの日以来時間が止まったままです。」「私達には知りたいことがたくさんあります。わずか七歳の子供の命を奪った犯人は、今どこで何をしているのでしょうか。許せない。絶対に許せません。もうすぐ三回忌がやってきます。私達の願いは、一日も早く犯人が捕まって、墓前に報告できる日がくることです。それには皆さんのご協力が必要です。どんな小さな情報でもお寄せください。よろしくお願いします。」と、手書きでこの手紙はつづられています。

 聞くところによると、この手紙は新聞折り込みを自費でされたそうです。一日も早い逮捕を願ってやみません。日本の未来を担う子供の、一人として、とうとい命を奪うことがあってはなりません。子供たちが笑顔で、安心してどこでも遊んで楽しく暮らせる社会というもの、これは与野党関係なく一緒に取り組まなければならないと思います。

 特に、この青少年の問題に関する特別委員会の設置は、青少年問題の総合的な対策を確立するためと伺っております。子供をめぐる諸問題が、毎年、多種多様そして複雑化するに当たり、委員長初め各委員が本当に力を合わせて、一緒になって、こういう問題一つ一つに取り組んでいかなければならないということを、あえて冒頭の時間をおかりして申し述べさせていただきました。ありがとうございます。

 では、早速本題に入りたいと思います。

 皆さんもニュースでお聞きになったかと思いますが、先日何と、電気通信事業者協会の発表によりますと、一九七九年の自動車電話のサービスが開始されて二十九年で、年内には一億件の契約総数が出るというような見通しを立てております。一億件というと、国民一人一台を持つような世の中になってしまったと言っても過言ではないような携帯社会がもう今現在到来している、そのような認識を持ちながら、まずは御質問に入りたいと思っております。

 さて、現状認識についてですが、警察庁によれば、平成十八年の出会い系サイトに関する事件の被害に遭った十八歳未満の児童は千百五十三人、携帯電話で出会い系サイトにアクセスした児童は何と九六・六%になっております。出会い系サイトの規制法がございますが、まだまだ十分とは言えません。現在、有害サイトから青少年を保護する唯一の法律でもあります。現状では、有害サイトから青少年を保護するには、法律によらない自主的な取り組みというのが主になっております。しかし、現実には、出会い系サイトのみならず、ネット利用によって青少年が犯罪に巻き込まれる事例は少なくありません。

 実は昨日、地元の警察署の署長さんとお話しする機会がありまして、伺ったところ、犯罪に携帯は大きく関与している、まず携帯を調べると、その関連性あるいは事件の手がかりとなるようなことが多くあるということをきのうも伺ったばかりでございます。

 ことし三月の内閣府の意識調査によれば、青少年の携帯電話でのネットの利用率は、小学生二七%、中学生五六・三%、高校生が九五・五%となっており、先日も、電気通信事業者協会の推計によれば、ネットに接続できる青少年の携帯電話の利用人口は七百五十万とされています。青少年の携帯電話のネット利用の現状を踏まえてみますと、これはふえることはあっても減ることはまずないなと思っております。

 先日の当委員会の参考人質疑でも取り上げられておりましたが、学校裏サイト、プロフあるいはネットのいじめを合わせますと、特に携帯電話を介してのネットを利用する青少年の心身への影響あるいは危険性というのは非常に高まっていると思います。ことしの九月の内閣府の特別世論調査でも、有害情報の規制を求める国民の声というのが実に九割にも上っております。

 まずは、上川大臣にお伺いいたします。

 携帯電話による青少年のネットの利用について、早急に対策をとらなければならないと思っております。この危機感を上川大臣はどう受けとめていらっしゃいますのか、現状認識を含めまして、まずはお伺いいたします。お願いします。

上川国務大臣 井澤委員の冒頭の、命にかかわるさまざまな事件ということで手紙を御紹介いただいたことに、私も胸が本当に熱くなる思いでおります。そうした状況にならないように、命を守るべく、私も決意を込めて大臣としての職に当たりたいということを、改めて決意を申し上げたいと存じます。

 ただいま御質問の件でございますけれども、情報技術の進歩というのは、日進月歩、大変すさまじいものがありまして、情報化の社会というのは、前に進むことはあってこそすれ後退することはない。そういう中で、子供のインターネットの利用ということも加速度的に進展しているというふうに思っております。

 インターネット上の情報には、もちろんよい情報もございますが、きょう問題になっております有害情報また違法情報という件につきましても、性的なものやあるいは暴力的で大変残忍なものまで、今子供の心身の健全な成長という観点からして、悪影響を及ぼすような、大変危険性のある情報もはんらんしているというふうに思っております。

 先ほど御指摘ございましたが、出会い系サイトの利用によりまして、毎年、先ほどは千百五十三人、十八年度ということでありますが、過去五年間をとってみましても、千人以上が被害に遭っている状況であるということでございます。

 私も、インターネット上にどのような有害情報がはんらんしているのか、この目でということで見ましたところ、見るにたえないというか、もう本当に体が震えるような情報も含まれておりまして、こうした情報に子供をさらすということは大変問題であるというふうに思っております。

 そういう意味で、これから情報化がもっともっと進めば進むほど、結局その子供たちのさらされる危険性も高まっていくという意味で、そうした問題にしっかりと対応していかなければいけないという意味で、大きな危機感を持って取り組みたいというふうに思っております。

 特に有害情報から子供を守る問題ということは大きな問題であるということ、そしてゆゆしき問題であるということを保護者の皆さんも十分に理解していただかなければ、この問題から子供たちを守ることができないというふうに思っております。

 そういう意味で、青少年の大臣という立場ではございますが、大人の保護者の働きかけも含めまして、そしてあくまで子供の安全、そして健康な、健やかな育ちのための対策につきましては、関係する閣僚の皆さんと緊密な連携をとりながら、こうした深刻な状態をいち早く改善できるように、一体的な取り組みを強力に進めてまいりたいというふうに思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 子供の心身の健全について危機感を持ちながら取り組み、なおかつ大人の保護者へも、理解も含めて取り組んでいきたいと御答弁いただきました。ありがとうございます。

 さて次に、早速ですが、フィルタリングという携帯電話の機能についてお伺いしたいと思っております。

 携帯電話のフィルタリングの利用状況ですが、電気通信事業者協会によれば、フィルタリングサービスの利用者数の実績は二百十万人、これを仮に青少年全員が持つとしますと、先ほどの青少年の携帯電話の利用人口が七百五十万人、これを割りますと、青少年が持つネットが使える携帯電話の三割弱がフィルタリングされているという計算になります。しかしながら、視察したNTTドコモでは、二割程度しかフィルタリングされていないという発言がありました。

 また、ことしの三月の内閣府の意識調査では、フィルタリングの利用状況は小学生で一・二%、中学生で〇・八%、高校生で一・一%となっており、電気通信事業者協会との数値が非常に乖離しているのではないかと思います。対策を講じるに当たっても、現状、実態を的確に把握していることが欠かせない前提であります。

 そこで、お伺いしますが、電気通信事業者協会によると、携帯電話の事業者各社のフィルタリングサービス、実績二百十万の調査方法と各社の内訳、最新の利用者数の実績なども含めまして、総務省にお伺いしたいと思います。

武内政府参考人 携帯電話のフィルタリングサービスの利用者数についてでございますが、二百十万、今先生が引用されましたが、これは平成十九年十月に、九月末時点での数字として公表されたところでございまして、これが最新の利用者数でございます。

 この数値は、電気通信事業者協会におきまして、携帯電話事業者ごとのサービスの利用者数を実数ベースで取りまとめたものであると聞いてございます。

 各社ごとの内訳についてでございますが、NTTドコモが約百七万、KDDIが約六十五万、ソフトバンクモバイルが約三十八万というふうになってございます。

 なお、昨日、総務大臣の方から電気通信事業者協会に対しまして、フィルタリングサービスの促進についての要請をしてございますが、その中でも、利用者数を取りまとめて、今後定期的に公表するようにということもあわせて要請をしているところでございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 できるだけそのときに合った、現状、実態を含めて、引き続き公表をお願いしたいと思います。

 では、引き続きまして、フィルタリングサービスというのにつきましては、菅前総務大臣、そして高市前大臣が、携帯電話各社にその取り組みの強化をことしに入ってもしておられます。その成果の一つとして、新規の契約時にフィルタリングの使用について意思表示をしなければならないという契約書ができ上がりました。これによりまして、フィルタリングの利用は進むものと期待はしておりますが、この仕組みを実効性あるものにするには、やはり携帯電話を販売するときにフィルタリングの有用性、必要性というものを十分に説明することがまず大事ではないかと思います。

 そこで、東京都の調査によりますと、携帯電話の販売店のフィルタリングサービスの認知状況を見ますと、家電量販店で知っているという答えが五〇%、専門店では六二・七%、まだまだこれは非常に少ない数字だと思います。

 これは平成十八年の二月から三月にかけての調査であり、フィルタリングを利用する、促進するという強化、義務化によって改善されていると信じたいところではありますが、視察に行ったNTTドコモでもまず、量販店でのフィルタリングに関する説明状況についてはまだまだ不十分であるという回答がございました。

 実は、私も昨日、家電量販店に出向きまして、フィルタリングサービスというのは何とちょっと伺いましたところ、あるメーカー、事業者一社では、この分厚い携帯の説明書、いろいろな機種の説明書の中に、本当にごくわずか、一ページのこの五分の一の小さなスペースにフィルタリングサービスについて紹介されている。他社については今カタログがありません。

 そして、私は少し知っておりましたのでいろいろ聞いていきますと、上司にその都度聞きに行くというような状況で、ああ、わかりました、余り聞いてはいけないのかなと思いながら、そんな気持ちで帰ってまいりましたが、全く知識がない保護者であれば、もうわからなくなって、その時点で面倒くさくて、もういいやというような状況になるのではないかと、ちょっと私も経験をして感じたところでございます。

 では、早速何点かお伺いいたします。

 フィルタリングの店頭での今の説明状況について、政府としてどの程度まで把握していらっしゃるのか、そしてフィルタリングに関する説明について、販売店に対して何らかの手段を講じていらっしゃるのか、お伺いいたします。

武内政府参考人 フィルタリング導入促進の取り組みにつきましては、携帯、PHS事業者のみならず、代理店に対しても取り組んでいただくということが必要でございます。このため、昨年の十一月に総務大臣の方から、携帯事業者等に対する要請に際しまして、フィルタリングサービスの説明を行うよう、代理店等への指導強化もあわせて要請をしたところでございます。

 また、昨日、総務大臣から、携帯、PHS事業者に対する要請の中で、代理店に対する指導も徹底するよう改めて要請をしたところでございます。

 総務省といたしましては、以上の要請を踏まえまして、代理店におきまして適切な取り組みが行われるように期待はしているところではございますけれども、代理店等におけるフィルタリングサービスの説明状況の把握が必要であるというふうに考えておりまして、近々、消費者に対するアンケート調査、電気通信サービスモニターアンケート調査というものでございますが、来年の一月から二月にかけて調査を実施する予定としてございます。

井澤委員 ありがとうございます。

 大臣みずから代理店に強い強化の要請をされているということで、これは引き続き要請をしていただき、本当に代理店、販売店でそれが実際、保護者なりの耳に届いているのか、アンケート等を行い、実態を把握していただきたいと思います。

 続きまして、またフィルタリングについてですが、NTTドコモでも、新規契約については契約書の見直しによって対応できる部分がある、しかし、既に契約をしているところについてはなかなか働きかけが十分ではない、その手段がなかなか見出せないとこの間も視察の中でおっしゃっていられました。

 販売店でのフィルタリングの十分な説明が確保できない現状を踏まえると、社会的責任を持つ各事業者の自主的な取り組みというのが現在の枠組みの限界ではないかと思います。視察でも、フィルタリングに関しては、かえって法的な枠組みがあった方がいいんじゃないか、事業者としても携帯電話利用者に依頼しやすいという現状がある、また、そのような現状を踏まえて、法的な部分があった方が一気果敢に進めやすいというような声もございました。

 クリアすべき検討課題はたくさんございますけれども、とにかく、犯罪を招きかねない携帯、これが今目前にあります。そのためには、立法府や行政府というものがそのまま手をこまねいているのではなく、私は、社会的責任を持つ携帯電話事業者には、十八歳未満の児童にはフィルタリングの機能のない携帯電話を売ってはならないというような、フィルタリングの義務化法というんでしょうか、法律を制定すべきではないかと考えております。

 法律を制定しないまでも、各事業者側に行政指導という形がとれないのかと思っていたところ、先ほど総務省の方からも何とか答弁がございました。昨日、総務大臣より、社会的責任のある電話の事業者に対して要請がなされたと伺いました。政府のこのような前向きな、迅速な取り組みについては大変評価をさせていただきたいところでございます。その取り組みについて御紹介願えればと思います。お願いいたします。

武内政府参考人 先ほども申し上げましたが、昨日、総務大臣の方から携帯電話、PHS事業者に対しまして、青少年を有害情報から守るという観点から、フィルタリングサービスの一層の導入促進に向けた取り組みを強化するよう要請したところでございます。

 これを受けまして、具体的には、各事業者は、新規契約時に親権者が不要としない限りフィルタリングサービスを設定する、それから、既に契約をしていらっしゃるすべての十八歳未満の使用者に関しまして、フィルタリングサービスの設定が原則となるよう働きかけを行う、あわせまして、代理店等に対する指導を徹底するというふうな取り組みを行うというふうに聞いてございます。

 総務省といたしましては、このような取り組みにより、青少年が使用する携帯、PHSにおけるフィルタリングサービスの一層の導入促進が実現することを期待しているところでございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 とにかく、十八歳未満の利用者についてはフィルタリングサービスの徹底ということが原則となるように、促進をしていただきたいと思います。お願いいたします。

 次に、先日、委員会で視察に行きましたホットラインセンターについてお伺いいたしたいと思います。

 先日のインターネット・ホットラインセンターでの視察についてですが、フィルタリングについては、あくまでも利用する受信者側の対策ではありますが、フィルタリングがすべて有用という手段ではありません。完璧に有害サイトを排除できるわけでもなく、有害、有害でないというグレーゾーンというのがあるかと思います。有害情報はとにかくもとから絶つということがまず必要ではないかと考えているところでございます。

 インターネット・ホットラインセンターでは、まず、違法・有害情報の通報を受けてから、違法情報については警察に通報し、有害情報についてはサイトの管理者やプロバイダー等に削除の依頼を行っています。このセンターでは月に五千から六千の通報を受け、そして、私どもが視察に行ったときには、六人の体制で一日に二百件から三百件の処理をしているというような状況です。処理といっても、通報されたサイトを一つ一つ目視、目で確認しながら違法か有害かということを判断し、警察に通報し、削除するというような状況です。私も、本当に想像以上で、サイトを見ておりますと、とても目では見られないというようなサイトが幾つもありました。

 先日参考人で来ていただいた国分センター長が、通報量に対してマンパワーがかなり不足していると。まして、作業をされる方々の心理状況、終日有害情報にさらされているわけです。精神的なダメージというのは私たちの想像を絶するものだと思っており、メンタルなケアが必要であるということを訴えていらっしゃいました。私も、その現状を目の当たりにして、このセンターを支援しなければならないと思います。

 このセンターの運営は、警察庁からの委託業務費だけで成り立っているということでした。今後も、違法・有害情報の通報量は加速度的にふえていくと思います。そこで、このホットラインセンターへの支援を予算面も含めて早急に強化していかなければならないと思っております。まずは、政府の見解をお伺いいたします。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介ございましたように、インターネット・ホットラインセンターは、警察庁の委託を受けまして、一般のインターネット利用者からの違法情報、有害情報に関する通報を受け付けて、これを警察に通報するとか、またサイト管理者またはプロバイダー等に削除依頼を行うという業務を行っておりまして、平成十八年六月一日から運用を開始したところでございます。

 予算額、体制の現状を申し上げますと、平成十八年度が、予算額約三千六百万円、人員が九名、うち常勤が二名でございます。十九年度は、予算額九千六百万円、人員十三名、うち常勤が六名ということで運用いたしているところでございます。

 他方でまた、今議員から御指摘ございましたように、ホットラインセンターに寄せられる通報件数はふえておりまして、運用開始後三カ月間、平成十八年六月から八月までの間の平均が三千七百六十九件であったのに対しまして、一年後の三カ月間、これは平成十九年三月から五月まででございますけれども、この平均が六千三百八十三件と、約一・七倍にふえているということでございます。

 そこで、今後、ホットライン業務の迅速化、効率化、またさらに、御指摘のあった従事する職員の負担の軽減を図るために、来年度予算においてホットラインセンターの体制の充実を図りたいと考えております。

井澤委員 ぜひ警察庁の方でも、迅速化、効率化、そして現場が今どうなっているかということを十分に把握していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ここで、上川大臣にも、ぜひこのホットラインセンターの支援強化について、福田総理大臣そして額賀財務大臣等にも働きかけをしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、ホットラインセンターでの有害情報の処理について、続けて質問をしたいと思っております。

 実際、担当者の方に伺いましたところ、有害情報が削除されるまでの手続というのは、有害情報が記載されているサイトの管理者にまずは削除の依頼をする、そして、大体二週間ぐらいたってから、それが削除されているかどうか、そのサイトを見てから確認をする、まだ確認されていないようなところには、サイトを管理しているプロバイダーに依頼して、そしてまた確認をするというような、確認作業、確認作業というような繰り返しで、実際削除されるまで非常に時間がかかっているのが現状です。

 あくまでも、これはセンターの側には強制力がありませんので、依頼、削除をお願いするというようなことで、依頼されたプロバイダー等にも義務もありません。この時間がかかる間にもどれだけ多くの利用者がそのサイトに触れ続けているのかと思いますと、これは早急な、依頼というだけではなく、何か強制力のようなものが必要ではないかと考えるところでございます。

 そこで、効果的な違法・有害情報等の対策のために、現在のホットラインセンターの業務に、依頼ではなく、もっと強制力を与えることが必要ではないかと思っておりますが、まずは警察庁の御見解をお伺いします。

 とともに、削除に応じない場合に、特定のプロバイダー等が少数いると聞いております。少しアドレスを変えてまた同じようなサイトを運営する、そういう悪質なプロバイダーもいると聞いておりますので、何かそこに行政指導ができないものなのか、総務省にお伺いいたします。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 違法・有害情報に迅速な処理が必要だという御指摘は、まさにおっしゃるとおりだと考えております。

 そこで、まず、現在、サイト開設者がインターネット・ホットラインセンターからの削除要請に応じない場合一体どういうふうな対応をしているかということから御説明申し上げますと、当該サイトに書き込まれた情報が違法情報である場合、これはセンターからまず警察に通報がございます。この場合、一般論で申し上げれば、それ自体が違法でございますから、その情報を書き込んだ者に対して捜査という形でもって取り締まることができるということでございまして、この場合はある程度迅速な対応が可能ではないかというふうに考えております。

 しかしながら、違法情報の情報量というものは相当膨大でございまして、すべて捜査では解決できないということから、一定のものについてはセンターの方から削除要請をするということになっているところでありますけれども、こうした要請にもかかわらずサイト管理者等が要請に応じなかった場合、じゃ、どうなるかということでございますけれども、サイト管理者、開設者等には違法情報を削除するという義務が現在かかっておりませんので、削除しないというだけでは違法にはならないということでございます。

 ただ、情報自体違法でございますから、書き込んだ者等に対して捜査という形でもってこれを検挙するということは可能でございますけれども、ただ、事案の数と捜査力の見合いの問題がここではあるということを申し上げておきたいと思います。

 次に、当該サイトに書き込まれた情報が有害情報であった場合にはどうなるのかということでございますが、これは、警察に通報されることはございませんで、センターから削除要請を行うということになっております。

 ただ、この場合にも、サイト開設者等には削除義務があるわけではございませんので、応じなかったとしても、サイト開設者に対して捜査を及ぼすということはできないということでございまして、あくまでも要請の範囲にとどまるということが現状でございます。

 御指摘は、サイトに書き込まれた違法情報、有害情報についてサイト開設者等に削除義務を課すべきだというような御意見だというふうに考えられますけれども、特に有害情報については、何をもって削除すべき情報とするかということについて極めて難しい問題があるというふうに考えております。

 いずれにしましても、違法情報、有害情報につきましては、警察だけでは解決することが大変困難でございまして、関係省庁とも連携をしながら、そのあり方について検討してまいりたいと考えております。

井澤委員 今、違法情報、有害情報について、極めて難しい部分がある、まだまだこれから各省庁と連携をして検討しなければならないという御指摘もございました。ぜひ、ここにきょうお集まりの各関係省庁連携をしてこの問題に早急に取り組んでいただきたいことを提案させていただきます。ありがとうございました。

 続きまして、これはやはり教育の問題ではないかというような声も聞こえてまいります。

 文部科学省は、ことしの五月に、情報社会における正しい判断や望ましい態度について、情報モラル指導のカリキュラムについて策定をされていらっしゃいます。現在の状況を見ますと、これは早くしなければならない、着実に実施することにより、子供たちが正しいマナー、いわゆるネット上のマナー、ネチケットと言うそうですが、身につけて、インターネット、携帯電話を介したいじめや犯罪を撲滅するために足場を固めることを願ってやまないところでございます。

 そのためには、大きな視点として見れば、IT教育を学習指導要領の大きな柱にすべきだと思います。その前提として、教員、保護者が子供たちに情報モラルを正しく教えることのできる能力を身につけることが必要だと思います。既に総務省、文部科学省、関係業界の団体の協議により、教員、保護者に対して、子供たちのインターネットの安全な利用のための講座であるe―ネットキャラバンというのがあるそうですが、平成十八年度から実施をされていらっしゃいます。この事業は平成二十年度まで三カ年の事業でありますが、まだまだ全国的に実施されているとは言いがたい状況であると聞いております。このためには、やはり事前のネット教育というのが今教育現場では重要ではないかと私は思ってやみません。

 文部科学省は、情報モラルの指導を推進していくために、今後、具体的にどのような施策を講じて、そしてその施策を実施するためにも予算を配分されるのか、具体的なお考えをお聞かせください。

前川政府参考人 インターネットや携帯電話の普及によりまして、子供たちがインターネット上の違法・有害情報に起因いたします問題に巻き込まれるというケースが多発しております。子供たちが適切に情報を判断する能力あるいは相手への影響を考えて情報を発信する態度、こういったものを育てていくことは大変重要であると考えております。このため、子供たちに対する情報モラル教育が重要であるということを認識しておるところでございます。

 学習指導要領の見直しを現在審議しております中央教育審議会の教育課程部会におきましては、各教科や道徳におきまして情報モラルの指導を充実するといった方向性が示されているところでございます。文部科学省といたしましては、その審議結果を踏まえまして学習指導要領の改訂をいたしまして、その円滑な実施を図ってまいりたいと考えております。

 文部科学省におきましては、これまでにも、御指摘のございましたe―ネットキャラバン、各省と共同してやっております事業のほかにも、先ほど御紹介もございました情報モラル指導モデルカリキュラムを策定する、あるいはこのモデルカリキュラムに即しまして指導事例をまとめました情報モラル指導の教員向けのガイドブックの作成、配付といったことをやってきております。また、情報モラルなどの指導力の基準を示しました教員のICT活用指導力のチェックリストなども策定いたしまして、現場の使用に供しているところでございます。

 本年度は、さらに加えまして、教員の指導に当たります教育委員会の指導主事を対象といたしました情報モラル指導のセミナーを実施しているところでございます。平成二十年度の概算要求におきましても、情報モラル教育の重要性の理解の促進等のための予算を盛り込んでいるところでございまして、今後とも、各種の取り組みを通じまして子供たちに適切な情報モラルが身につくように、その充実に努めてまいりたいと考えております。

 先生御指摘のとおり、学校における情報モラル教育の充実を図るためには、教員の指導力の向上が非常に大事であると考えております。しかるに、平成十八年度におきます実態調査におきましては、情報モラルなどを指導する能力を有すると回答した教員の割合は六割程度にとどまっているという現状でございます。

 教員の研修につきましては、初任者研修あるいは十年経験者研修といった研修を通じまして、各都道府県の教育委員会の判断で研修を義務づけるなどの取り組みを行っているところでございます。文部科学省といたしましては、情報モラル教育の重要性にかんがみまして、指導主事を対象としたセミナーの実施あるいは情報モラルの指導力を含むチェックリストの普及等を通じまして、各都道府県における情報モラル指導のための教員研修の充実を促してまいりたいと考えているところでございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 もう時間も迫っておりますので、最後に上川大臣に再度お伺いいたしたいと思っております。

 先ほども冒頭で、大人の保護者に対して理解を求めていきたいという力強い御発言がありました。その件も含めまして、まず一問目に、上川大臣もみずからお子さんを持ち、保護者でもいらっしゃる立場から、保護者に対してどういう形で広報啓発をして、保護者の理解を求めていけばいいのかということ。

 そして次に、先日も委員会で尾木参考人が、縦割りの行政ではなく横の連携、各省庁の連携をするためには、やはり内閣府などが主体になって国民にわかりやすい形で違法・有害情報から子供たちを守る施策を推進していく必要があるとおっしゃられていらっしゃいました。ぜひ上川大臣のリーダーシップを発揮していただきたいところでございますので、その御決意も含めて御回答をよろしくお願いいたします。

上川国務大臣 子供を有害情報から守るという対策については、あらゆる手段を講じていく必要があると思います。そのときにも、先ほど指摘しましたとおり、保護者の側がどの程度この問題について危機意識を持って、そして子供に対することができるのか、e―ネットキャラバンというようなさまざまな取り組みも行われておりますけれども、そうしたことをさらに強化していくべきではないかというふうに思っております。

 子供を守る立場にある保護者に対しては、まず、実態がどうなっているのかということを、画像も含めて十分に見ていただいて、そしてその危険性についても熟知していただきたいというふうに思っております。そして同時に、子供に対してとるべき対処の仕方についても十分な理解を持った上で、そして子供の携帯電話等の利用が健全に行われるように家庭の中でもしっかりと注視することができるような、そうしたレベルにまで保護者の皆さんに理解とそして知識を持っていただいて、行動していただきたいというふうに思っております。その面で努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 省庁連携でさまざまな視点から取り組まなければいけない、総合的な取り組みもまさに必要なテーマでございますので、関係の閣僚とよく連携をとりながら対処してまいりたいと思っております。

井澤委員 心強い御答弁、まことにありがとうございました。ぜひ上川大臣のリーダーシップのもと、各省庁と連携をとって、子供たちを有害情報から守っていただきたいと思います。

 最後、一言だけ申し上げます。

 先日、十二月四日の日に、OECDから国際的な学習到達度の調査である二〇〇六年のPISAの結果が公表されました。特に読解力については、二〇〇〇年に八位であったものが日本は二〇〇六年に何と十五位と、回を追うごとに下がっております。その理由にはさまざまなものがあるかと思いますが、まず、子供たちのコミュニケーションの手段が携帯電話、それも絵文字、顔文字というようなことでコミュニケーションが図られている、それが読解力に何か影響しているのではないかと私も大変危惧しているところでございます。

 このような有害情報に日々さらされている子供たち、無秩序な中でネットを利用している弊害については、政府一丸となってしっかりと現状を把握しながら、この対策に迅速に対応をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、質問、ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。

 質問を始めます。

 先ほど上川大臣のお話にもありました。実際に有害情報、違法情報、そうしたサイトなんかを見て非常に驚いた、ぞっとしたというようなお話もありましたが、ぜひ最初にお聞きしたいんですが、きょうは、大臣は上川大臣と総務省からは副大臣が来られていますが、言ってみれば、私もいろいろ見て感じたのは、野放し状態と言っていいと思うんですよね。あるいは無政府状態と言ってもいいかもしれません。どうしてこういうことになってしまったのか。今まで省内で議論はなかったのか、議論はあったとしてもいまだに無政府状態になっている、その一番の原因は何だと思うか。

 先ほどの質問者の話にもありましたが、出会い系サイトでの犯罪の被害というのは携帯が九六%だという報告もありましたが、これは政府、役所の方から報告もありましたが、そもそもこれは法律で一応、出会い系サイト規制法というのがある、それにもかかわらず、今現状もそういうふうになっている。こういう現状について、細かい事実関係はいいですが、どうしてこういう状態、無政府状態のままかということについて、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。

上川国務大臣 インターネットの社会の中で子供がさまざまな被害にさらされながら、今委員は無政府状態というお話がございましたが、有害情報のはんらんということについては私も大変厳しいものがあるというふうに思っております。

 技術の進歩と、そしてそこにかかわるさまざまな関係者がいるわけでございまして、こうした技術がどんどん進歩している中で、何というんですか、先手ではなくてちょっと後手に回っている対応になっているのではないかというふうに思っております。あらゆる施策を総動員してこの問題に取り組むということでございますので、こういう問題意識で検討会も立ち上がり、そして省庁連携した取り組みということでございますので、そうしたことの成果を早く実施することができるように頑張ってまいりたいという思いでございます。

佐藤副大臣 先生御指摘のように、九六・五%の携帯電話からの接続で被害が発生しておるというのはおっしゃられたとおりだというふうに認識しております。

 このような被害において、政府といたしましては絶対に見過ごしてはいけないというふうに思っておりまして、本年の四月策定のIT新改革戦略政策パッケージにおいて、二〇一〇年までにネット上の違法・有害情報に起因する被害児童等を大幅に縮小させること、本年十月にIT安心会議でその対策が取りまとめられたところであります。その中で、総務省といたしましてはフィルタリングの導入促進を検討することとされておりまして、昨日でありますけれども、総務大臣から携帯電話事業者に対しまして、一層の促進を図るため新たな取り組みを要請したところでもございます。

 省といたしましては、引き続き業界や関係機関との連携をしっかりと保ちながら、フィルタリングサービスのさらなる導入促進に努めてまいりたいと思っております。

笹木委員 フィルタリングのことについては、後でまた詳しくやりとりもしたいし、お聞きもしたいと思いますが、例えば、先ほどからいろいろサイトを見てかなりひどいというお話がありましたが、私もそう詳しくないですが、この間見せていただいたのでいいますと、視察でも見せていただきましたが、出会い系サイト規制法はありますが、要は、こういう事件、例えばこれはことしの九月ですか、報道されていますが、十五歳以下の少女が携帯で知り合った方に離島に連れていかれて、それでわいせつ行為をするように強要されていた。この場合は相手が逮捕はされているわけですが、この携帯電話のサイトは自己紹介サイトですよね。自己紹介サイトで、プロフで知り合っている。

 それから、こういう場合もあるようですね。家出サイト、そういうところでお互いの情報を交換するという形で、そこに大人がいろいろな思惑を持って、あるいは犯罪に巻き込もうと思っていろいろな情報を入れてくる、こういうケースもあります。モデルとして募集して、要は、どこまでどういう形で撮影をさせるかによって条件はまた変わるとか、いろいろな格好もそこにある。仲間募集サイトといった、そういうところでいろいろな犯罪に巻き込まれるということもあります。

 これは役所の方にお答えいただきたいんですが、こうした家出サイトであったり、モデルとして募集するようなサイトであったり、あるいは仲間募集サイト、こういったものも出会い系のサイトとして規定をされてしっかりと対応されているか、把握をされているか。もちろん全部ということはありませんが、そういうふうになっているのかどうかをお聞きしたいと思います。

片桐政府参考人 私ども、出会い系サイト規制法の所管をしておりますけれども、出会い系サイト規制法では、出会い系サイトの定義を決めて、それに該当するものであれば、それに対して一定の遵守事項を決めて、それが遵守されない場合には改善の命令を出すという仕組みになっております。したがって、どれぐらいの数の業者があるかについて、正確に我々は把握をしておりません。

 他方で、今御指摘があった家出サイトとかそれから友達募集サイトとかいうものは、これ自体は規制の対象になっておりませんので、私どもでは把握をいたしておりません。

笹木委員 一つはその点があるわけですよね。実質は出会い系サイトだけれども、要は法の対象になっていないサイトが莫大にあるということですよね。

 それと、明らかに違法であってもなかなか追いつかないという場合もあるんでしょう。例えばこういう場合はどうですか。児童ポルノにかかわるものですが、例えば、未成年、何歳の子、セックス、そういう言葉が入っていて、販売します、郵送します、ビデオとかDVD説明文の一部にそうした言葉が入っている、これは規制の対象になりますか。これも役所の方で結構ですが。

 いろいろ事前にやりとりはしているんですが、こういう場合でも書き込み自体は違法とできないということです。実際にそのサイトに明らかに違法と言えるポルノ映像そのものが出されている場合は規制の対象になるけれども、こうした書き込みについては、書き込み自体は違法にならない。

 これもよく話題になりますが、殺人であったり、脅迫であったり、恐喝であったり、傷害であったりあるいは強姦であったり、そうしたことを直接的あるいは明示的に請け負わせる、仲介させる、誘引する、そうした表現がある情報について書き込まれている場合に、これは取り締まりの対象となりますか。

片桐政府参考人 いろいろケースはあると思うんですけれども、今御指摘のケースというのは恐らく犯罪を誘発するような情報だというふうに考えておりますけれども、これ自体は違法な情報ではないということで、それが掲載されたからといって、直ちに捜査を及ぼすことはできないということでございます。

笹木委員 さらに、これも実際に報道もありました自殺についてのサイト、これもよく話題になります。例えば、自殺を呼びかける。一緒に自殺しようと方法も含めて呼びかけている。実際には、それで呼びかけられた方が自殺している、しかし、呼びかけた方は自殺をしていない。その呼びかけた方の自宅からは、自殺するシーンのビデオとかそういうようなものが集められていて、それが見つかったという報道もあります。こうした自殺を誘うような、例えば集団自殺も含めて誘うような、その書き込み自体は取り締まりの対象となりますか。

片桐政府参考人 自殺を呼びかけること自体は違法情報とは言えませんので、取り締まりの対象になりません。ただ、先ほどから議論の出ておりますインターネット・ホットラインセンターでは、自殺の具体的な呼びかけがある場合には、これは有害情報として削除の要請をするという運用をいたしております。

笹木委員 書き込むこと自体は違法にはならないというお答えですよね。

 しつこいんですが、幾つか事実関係を確認したいんです。

 例えば薬物。薬物についてはこれも法律がある。厳しい法律があるから、薬物の場合には書き込み自体も違法になると聞いています。その取引とかについて違法になると聞いておりますが、それが例えば略語が使われていたら、この間ホットラインセンターで見せていただきましたが、そのときにはユキンコ、そういう隠語が使われることが多いとか、ほかにもいろいろな言葉がありましたが、こうした隠語ですとか略語が使われている、そういう場合に、非常に厳しい取り締まりで、薬物の場合には一般的には記載しただけ、情報を載せただけでも違法になるわけですが、こういう略語、隠語の場合にはどうか。それも確認したいと思います。

片桐政府参考人 覚せい剤等の薬物につきましては、今、取締法の上で広告自体が違法となっておりますので、これを販売しますよとかいうふうな広告は、これ自体が違法でございますので、捜査対象になるということでございます。

 隠語の問題というのは非常に難しい問題がございますけれども、最終的には立証の問題になろうかと思いますけれども、ただ、お互いに意を通じ合えるようなものであるならば、それはやはり広告に当たるのではないかというふうに考えております。

笹木委員 しかし、確認したいんですが、いろいろこれもやりとりしましたが、書き込みがあるだけでは取り締まり、隠語、略語でなかなか特定ができない場合には違法と断定するのは非常に難しいと聞いておりますが、どうでしょうか。

片桐政府参考人 隠語にもいろいろございまして、非常に広く行き渡っているような隠語もございます。こういうものは恐らく取り締まり対象になると思いますけれども、ただ、非常に限定したところでしか使われないというか、究極的に言えば立証が難しいケースがございますから、そういったものについては難しい問題があるのかなというふうに思っております。

笹木委員 さらに、例えば爆発物の製造方法が非常に詳細に記載されている、あるいは武器類の取引を誘引していると考えられる、例えばその場合も隠語を使っている、けん銃についてレンコン、銃弾についてはマメとか、そうした隠語、略語を使っている、この場合には記載すること自体は違法になりますか。

片桐政府参考人 爆発物をつくるという情報それ自体、または武器を売りますという情報自体、これは今法律で規制をされておりませんので、隠語を使っているか否かにかかわらず、規制対象にはなっていないということでございます。

笹木委員 ここでお聞きをしたいんですが、今お話ししましたように、やはり問題がこういうふうにあるんだろうと思います。

 先ほどから話をされているように、まず、違法の出会い系サイトがいい例ですよね。実質は出会い系サイトのようなサイトなんだけれども、それが出会い系サイトの対象になっていない。違法であるはずなんだけれども、それをすり抜けるような例が非常に多いということがありますよね。

 もう一つは、書き込むだけでも違法なんだけれども、例えばわいせつ物ですとか児童ポルノですとか、これは映像そのものを載せたとか、あるいは売春にかかわるもの、出会い系サイトにかかわるもの、薬物にかかわるもの、書き込み自体が違法の場合でもなかなか追いつかない。先ほどの話にもありましたホットラインセンターが、七人の方がいろいろなクレームを受けて、申し出を受けて、連絡を受けて、そのサイトを実際に捜して、これは違法だというふうに見つけていくわけですが、なかなかその作業が追いつかない。だから、実態的にはかなり野放しになってしまっている、把握もし切れませんしということですよね。

 もう一つは、今やりとりをしていました。記載する、書き込み自体は違法でない、もともと違法であるはずなんだけれども、今の薬物の話、あるいは児童ポルノの話、隠語とか略語を使っていると、その場合でも、書き込み自体は違法だというふうに特定がなかなか難しいという場合。それ以外の、今言った爆発物あるいは武器の取引、現状ではさらにやみの職安、こうしたものも書き込み自体は違法ではないということになる。こういう問題があって、やはり非常に野放し状態になってしまっているということだと思います。

 そこで、一つ提案をしたいわけです。

 これは総務省の方にお聞きをしたいんですが、電気通信事業法で、「電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。」というように第一条に書いてあります。

 結局、以上の問題は、明らかに違法情報、違法な書き込みについても今なかなか追いついていかない、ホットラインセンターの七人のスタッフでは追いつかないし、恐らく警察だってなかなかしんどいというところが実態だと思います。その作業が追いつかないわけですから、やはりもとのところでもう少ししっかりした規制をすることが大事じゃないか。もとというのは、プロバイダーであったりサイトの開設者です、事業者ですね。

 この電気通信事業法で「公共の福祉を増進することを目的とする。」と書いてあるわけですから、それに対応して、例えばプロバイダーの方に、サイト開設者が運営するサイトで、違法情報ですよ、書き込み自体が違法となる場合、その違法情報については、掲載されていることを発見したときはこれを削除しなければならないこと、あるいは、プロバイダー自身が開設しているようなサイトについても、同様に、違法情報が掲載されていることを発見したときはこれを削除しなければならないこと、違法情報なんですからこのぐらいはして当たり前じゃないかと常識論で感じます。

 そうすれば、いや、そうするとプロバイダーが大変だろうとか、サイト開設者が大変だろうといいますが、少なくとも警察の方よりはあるいはホットラインセンターの方よりは、みずからがかかわっているサイトについては一番お詳しいあるいは一番調べることが可能な立場にいる方です。ですから、まずこのプロバイダーとサイト開設者、この事業者に対して、違法ですよ、有害じゃありません、違法情報が掲載されているときにはこれを削除しなくてはならない、そういう守るべき事項として定めることが必要じゃないかと思います。

 そうすれば、かなりの作業が、不必要な作業が省くことができるんじゃないかと思うわけですが、まず役所の方にお聞きしたいと思います。

武内政府参考人 今御指摘のありましたインターネット上の違法情報そのものについては、ただいま御指摘がありましたように、捜査当局による対応が行われているところではございます。また、違法であるか違法でないかというふうな判断というのも実は非常に難しいところでございまして、個別具体的に行政が直接その情報についての判断をするということについては難しい面があるというふうに考えているところでございます。

 そういう点を踏まえまして、総務省といたしましては、事業者団体の方にガイドラインをつくらせまして、その中で、違法なあるいは有害な情報については削除をする、そういう活動の方を行わせるようにしているところでございます。

笹木委員 これは副大臣に聞きましょう。

 今現状では、さっき冒頭にお聞きしました、これだけ話題になって、これだけ問題になっているけれども野放し状態だ、無政府状態だと言われて仕方がないと思います。何もやっていないとは私も思いませんが、外からそう言われても仕方がない状態だと思います。

 こういう状態で今のようなやりとりをしていてもまた進まないんですよね。やはりプロバイダーであったりサイト開設者に対してある程度の義務を課す。今は、違法情報ですよ、有害情報じゃありません、違法情報についても、書き込むことについて、それを例えば警察が言おうと、ホットラインセンターが言おうと、要請しようと、それに従わなくてもそれで終わってしまうわけですよ。だから無政府状態なんですよ。ここを、やはりいけないでしょうという話で、どうされますかということです。

 今、私は一つの提案をしましたが、この程度は当然やるべきだと思うんですが、副大臣に答弁いただきたいと思います。

佐藤副大臣 先生御指摘の件につきまして、総務省では、インターネット上の違法・有害情報、有害情報と言わせていただきますけれども、プロバイダー等により適切に削除されることを促進するために、業界団体にガイドライン等の策定などの支援を行っております。したがいまして、電気通信事業者には適切な対応を、さらなる対応をしていただくようにお願いをしているところであります。

 インターネット上の違法情報につきましては、捜査当局による対応が適切に行われることが期待されるところでありますけれども、他方、有害な情報につきましては、幅広い内容の情報が含まれるため、先生のおっしゃられているようなことの情報が多いため、国による直接の規制については、憲法の保障する表現の自由との関係から慎重な検討が必要であるというふうに考えておるところであります。今おっしゃられた削除の義務づけという点についても、考えるべきであろうかとは思いますが、先進国等々でもそれを行っている状況にはなかなかないというふうに伺っております。

 総務省といたしましては、違法・有害情報の問題に対する総合的な検討を行うために、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催しているところでありまして、今後、この機関と連携をいたしまして、検討を行ってまいりたいというふうに思います。

笹木委員 だから、有害情報と一緒にしないでくださいというお話をしているわけです。まず、違法情報については、削除の義務づけ、少なくとも書き込んでいる方、業者であったりあるいは個人であったり、事業者がそれを削除する義務を負う、あるいは、それを削除する義務を怠っていることに対する何らかの責任を負うようにしないと進まないでしょうということです。

 他の国でというお話がありました。これについては、携帯電話にこのインターネット機能がこれだけついている国は恐らく日本だけでしょう。ですから、日本がむしろ先駆けてやらないといけないし、ドイツにおいても表現の自由よりも優先して違法情報を削除するという試みがありますし、アメリカでさえ、いろいろ裁判になったりはしておりますが、コンテンツそのものを制限したりすることをやっているわけですよね。決して日本が一番やっているわけじゃなくて、日本は非常におくれている状態ということをぜひ認識していただきたいと思うんですが、これはまたさらに次の機会にやります。

 では、もう一つ、今度は有害情報について。先ほどのやみの職安について。

 例えば、こういうことですよね。仕事あります、低い、低リスク、報酬五十万。あるいは、仕事あります、中程度のリスク、中リスク、百五十万。こういう程度の書き込みで、それで言ってみれば何でもするというような形でいろいろな犯罪、先ほどの薬物取引を十数人で分担してやったというような、薬物の運搬を十数人で、すべてこのやみの職安で集められた人間によってされたという事例もあります。

 これについては、まず厚生労働省の方にお聞きをしたいんです。

 厚生労働省のもとで、職業安定法第五条の三、労働者の募集を行う者は、業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。違反の場合には、指導助言、改善命令、さらに罰則までと。

 では、こうした中から、こうした書き込みについて、これがこの職業安定法の最低限の表示義務を怠っているということで対応するということは必要じゃないか。厚生省のお役所の方にお聞きをします。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるやみサイトについての御指摘でございます。例示をされましたような募集が現実に携帯等でなされておるということにつきましては、私ども、労働者の募集という内容なのか、あるいは犯罪等にかかわる請負募集ということなのかという問題があろうと思います。恐らく犯罪等にかかわる請負募集サイトというような性格が強いのではないかというふうに認識をしておるところでございます。

 しかしながら、職安というような名称を用いまして労働者の募集のように偽装しているということにつきましては、私どもも問題意識を持っているところでございます。利用者に誤解を与えるということにもなるわけでございますし、利用者が有害な事案等に巻き込まれるということのないようにしていくことが重要であると考えております。

 今御指摘の職業安定法第五条の三第一項の労働条件の明示につきましてでございますけれども、もちろん、募集等に当たりましては、就業内容、就業時間等々多岐にわたる就業条件等につきましてできるだけ明示をされることが重要だと一般的に考えておるわけでございます。

 ただ、文書募集に当たりましては、いろいろな方法がございます。新聞広告等もございますし、こういったインターネットを用いました募集もあるわけでございますけれども、やはり紙面等の都合上、すべての事項について条件を明示するということは現実難しいということがございます。

 したがいまして、新聞広告等の並びで考えましても、すべての条件について明示がないので違法であるとして一律に指導するということはなかなか難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。

笹木委員 これもまた別の機会にやりたいと思いますが、今ずっとお話ししてきたことは、青少年に被害が非常に大きいですが、別に青少年だけじゃありません、大人に対しても共通する問題だと思いますが、一番被害を直接に受けているのは青少年だということで、フィルタリングという話になるわけですが、きのうですか、今後このフィルタリング、子供に対してはもっと制限を厳しくしようという話がありました。

 今現状では、親が契約して、親が二台目、三台目として携帯を買って子供に与えた場合、これは、子供が使うという意識は余りなく販売店の方も売る。そうすると、フィルタリングについてどうしても、説明とかそうしたことが非常にあいまいになってしまいますよね。そういう問題がありますよね。あるいは機種の変更時、口頭で推奨する、リーフレットを渡すと言っていますが、機種変更時にはリーフレットをほかの契約書類と一緒に添えて渡すだけに終わっている、こういう例もたくさん聞きます。

 現状についてどうお考えかを、上川大臣と総務副大臣にお聞きしたいと思います。現状について、フィルタリングの普及あるいは徹底が非常にあいまいだと考えておりますが、細かいことはいいですが、現状認識としてどうなんだということについて、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

上川国務大臣 子供たちを有害情報から守るための大変大きな手段としてフィルタリングが大変有効であるというふうに思っておりますが、そのフィルタリングの認知状況また使用状況については、各種のアンケート調査でも明らかなとおり、大変低いレベルにあるということで、この認知及び利用状況を高めていくためにどのような方法をとったらいいのかということについては、今先生が御指摘のとおり、既存の契約者の機種変更のときについては、これまでの要請ということの対象外であったということで、今回はその対象の中に含めるというような形で、改めて、きのうの総務省の取り組みというものが前進しているというふうに思いますが、大変たくさんの課題があるというふうに思っております。

佐藤副大臣 フィルタリングの導入促進の取り組みということについては、代理店に対しまして、なお一層の取り組みをいただくことが必要だというふうに考えております。

 昨年の十一月、総務大臣から、携帯事業者等に関する要請に際しましては、フィルタリングサービスの説明を行うよう代理店への指導強化を要請したところでありまして、先ほど先生がおっしゃられたきのうの総務大臣の要請になったということであります。

 以上の要請を踏まえまして、代理店において適切に取り組みが行われるように期待をするところでありますけれども、今後さらなるフィルタリングの導入促進の取り組みにつきましては、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会において検討してまいりたいというふうに思っております。

笹木委員 先ほども日本が非常に、こういう違法情報と有害情報の被害に子供が、青少年が遭っている。恐らくそれについては最悪の先を走っている国だと思います。それは、第三世代の携帯ですか、インターネットにつながる携帯の技術力、それとその普及、子供に携帯を持たせている率、もう一つは、やはりフィルタリングのいいかげんさというのがあると思います。

 今、総務省のお話にもありましたが、今後、フィルタリングについて制限を、規制を厳しくする。具体的に、いつごろまでにどういうことをおやりになるというふうに今決められていますか。これは役所の方で結構です。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 新規契約者に対する取り組みについてでございますが、これは、未成年者の契約につきまして、原則としてフィルタリングをかけていくということでございますが、これは来年の一月、二月以降、準備が整い次第、取り組みをされていくというふうに聞いております。

 それから、既存の契約者に対しまして、すべての十八歳未満の契約者に対して、同様に意思確認を行いまして、回答がなければフィルタリングをかけていく、この取り組みにつきましても来年の二月以降実施をしていくということでございますけれども、こういうことにつきましては、利用者の方への説明ですとか事前の周知というものが非常に大事というふうに考えておりますので、こういう取り組みが終わりまして、周知が終わった段階で、実際にはフィルタリングをかけていくというふうな段取りになるかというふうに考えているところでございます。

笹木委員 あれなんですよね、いろいろ聞きますと、これは私も販売店とか直営店も量販店も含めて聞き取りをしましたが、高校生以上はほとんどしない、圧倒的にしない、フィルタリングをかけない。結局、これでフィルタリングについて業者も余り積極的に言いにくい雰囲気があるというふうに聞いています。両方から聞いています。

 今お話しになりましたが、具体的にいつまでにやるんだということがないと、これはまた、今までと同じように、ずるずると同じ状態が続くんじゃないかと思います。

 ここで、また大臣と副大臣に御意見を伺いたいわけですが、例えば、アメリカは、携帯電話そのものを未成年は持つ形になっていません。親しか買えない形になっています。イギリスの場合には、フィルタリング、これはもう売っているときには必ずフィルタリングがかかっている。しかも、外すのは、子供が自分で外せない、外す人が親ですね、ほとんどの場合。親、成人という確認をしないとフィルタリングを外させない。子供が最初かかっているのを買って、使っているうちに外す、そういうことは実際にはできない。外したかったら、親が自分のIDか免許証か、そういうようなものを販売店に持っていくとか、そういうことをしないと絶対に外せない。そういうふうに、厳しくフィルタリングの規制がかかっています。ドイツの例はさっきお話ししました。特に青少年に対する情報については、表現の自由よりも優先してその制限をかける、そういう例もあります。韓国の場合には、これは違法情報じゃなくて有害情報であっても、その削除に応じないときには行政処分を科すということがかなり頻繁にあります。

 上川大臣と佐藤総務副大臣にもう一回確認をしたいんですが、今の現状ではどうしようもないわけで、このフィルタリングについて、余り抽象的な、はっきりしない話じゃなくて、私はこのイギリス型が一番参考になると思います。外すのは、親の証明がないと、親だ、大人だという証明がないとフィルタリングは外させない、そういう形で、フィルタリングの内容は、ブラック方式でもホワイト方式でも、いろいろあるかもしません、それはまた議論はあると思いますが、そういう原則でやることが一番ふさわしいと思います。

 ともかく、違法情報についてもほぼ野放し、有害情報についてはなお野放し、青少年に対して。この有害情報については、まず青少年に対しては徹底的に厳しくする、これがフィルタリングだと思います。ぜひ、そのことについて、期限を決めて、必ず改善をするというその必要があると思いますが、大臣と副大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

上川国務大臣 携帯電話へのフィルタリングの普及促進については、これまでの取り組みでは十分ではないということで、御指摘のとおり、携帯電話にフィルタリングをあらかじめ設定しておくというような方法は大変有効な方法ではないかというふうに思っております。

 昨日、総務省におきましては、十八歳未満が利用する携帯電話について原則フィルタリングを設置する、そして保護者が申し出た場合に解除するよう携帯電話事業者等に要請したものと承知をしております。これを徹底することができるように、子供が使用する携帯電話へのフィルタリングサービスが利用ベースでしっかりと実績が上がるように、この制度、新たな措置について、実効性が高くなるような検討を担当官庁としてしていただきたいと思っておりまして、その面でも連携をとってまいりたいというふうに思っております。

佐藤副大臣 今大臣がおっしゃられましたように、昨日、そういう要請をしたという現実がございまして、この場でいつということは申し上げられませんが、先生がおっしゃられたような趣旨をしっかりと踏まえて、できるだけ先生の御意向に沿うように頑張ってまいりたいというふうに思います。

笹木委員 では、もう終わりますが、最後に委員長に確認をしたいんですが、我々大人の無関心、国会の無関心というのは、やはり非常に罪があったと思います。大体、予算自体が、IT関連で一体幾ら使ってきたんでしょうね、この十年間。フィルタリングと有害・違法情報対策は一億円とか、あるいは省によっては数百万円とか、そんなものでしかありません。

 ぜひこの国会で、こういう状態、野放し状態を変えるために、期限を区切ってしっかりと対応することが必要だと思いますが、党派を超えて、委員長の御意見をお聞きしたいと思います。

玄葉委員長 このテーマで、本委員会で参考人質疑をさせていただきました。さらに申し上げれば、二日間にわたってこのテーマで視察をしたところでございます。

 率直に申し上げて、これまでも議論がございましたけれども、対応が後手後手であったことは否めないと思いますので、本委員会としても、実川筆頭や笹木筆頭を中心に、理事会での協議を踏まえて積極的に取り組んでいきたい、こう考えております。

笹木委員 質問を終わります。

玄葉委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、テーマでございます子どもとインターネットをめぐる諸問題について質問をしてまいります。

 ちょうど二年前になります。上川大臣とともに、私も総務大臣政務官を務めさせていただきました。私の方は郵政・情報通信担当でございましたので、特にそのときは、きょうのテーマでもあります子供の安全なネット利用、メディアリテラシー、そして、もう一つはテレワーク、家庭で高齢者、障害者、母子家庭の母などが仕事ができるテレワークの普及、主にこの二つをテーマに私としても仕事をさせていただきました。

 一方で、こうしたITの技術、またインフラ整備が進んでいく中で、またこちらとしても進めていたわけでございますけれども、影の部分というものが大きな問題となっていることも事実でございます。

 先月、十一月十五日、文部科学省が発表いたしました平成十八年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によりますと、いじめの発生件数が十七年度の調査と比較いたしまして六倍になるという非常に深刻な事態が浮き彫りとなっております。中でも注目すべきは、パソコンや携帯電話で誹謗中傷されるとの回答が四千八百八十三件、三・九%あったことでございます。

 私たち公明党は、いじめに対しまして、これまでもさまざまな対策を提言してまいりました。調査結果が出された翌日、十六日には即座に、党の教育改革推進本部の浜四津代表を中心といたしまして、官房長官に、深刻化するいじめ問題への対応に関する申し入れを行いました。その中で、インターネット等を活用したいじめが深刻化していることを指摘し、教員等がいじめに関する細かな情報を素早く把握できる体制整備、また効果的な防止策の調査研究の推進を要請いたしました。

 上川大臣、こうしたインターネットを使ったいじめの深刻化、これに対する御所見をお伺いいたします。

上川国務大臣 古屋委員とは政務官時代にということで、ただいま御指摘のように、メディアの光の部分ということで取り組みをなさって、またテレワーク等については、これからワークライフの中でも大変大切なテーマでございますので、これからもどうぞよろしく御指導いただきたいというふうに存じます。

 影の部分については、この青少年特別委員会でも大変大きなテーマということで、きょうは特別の委員会をということでございまして、最近でいきますと、いわゆる学校裏サイトで、ここでは誹謗中傷も含めて大変深刻ないじめの実態がまた影の部分として起きているということを、大変厳しいものというふうに受けとめております。

 御指摘の文部科学省の調査でございますが、いじめの実態も大変急速に増加しているということ、そして、その中でも、まだパーセンテージとしては少ないわけでありますが、この先かなり大きくなる可能性を秘めたような、いわゆるネット上のいじめについてもふえているということでございまして、この点につきましては、十分な実態調査を踏まえた上で、誹謗中傷を含めたネット上のいじめに対しての処方せんということをしっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

 とりわけ情報モラルの教育、そして教師と保護者に対しての十分な実態の理解ということについては大変大事であるというふうに思っておりますので、そういう面での努力を重ねてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 今、上川大臣より、こうしたネットによるいじめの深刻化に対する危機感をお持ちであるということ、そしてそれに対して今対策を早急に講じていかれようとしている、その御見解を伺うことができたと思います。

 次に、総務省にお伺いをいたします。

 インターネットを利用する人は、約八千七百五十万人と言われております。また、老若男女を問わず、こうしたインターネットは国民生活に欠かすことのできないものとなっております。子供にも、特に携帯電話を利用したインターネットの利用が広がっております。総務省の情報通信白書によりますと、六歳から十二歳で六八%、また十三歳から十九歳で九三%が、パソコンを使ってインターネットにアクセスをしている。

 一方でまた、まだ社会生活やインターネットの問題についても十分な知識のない子供たち、いわば免疫のない子供たち、インターネットを使ったさまざまなトラブルに巻き込まれているのが現状でございます。

 先ほども指摘をいたしましたけれども、パソコン、携帯電話を使っているものが、平成十八年度で約五千件もあった。もちろん、インターネットに限らず、いじめをしてはならないのですが、インターネットですと、やはり相手の顔が見えない、つい気軽な気持ちで誹謗中傷してしまう、書き込みをしてしまう。それが相手にとって非常に大きな、あるいは死に至らしめるようなことにもなりかねないわけであります。

 総務省として、こうしたインターネットを使ったいじめ問題にどのように取り組んでいらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。

武内政府参考人 お答えを申し上げます。

 子供のインターネット利用に関しましては、利用者に対する啓発が非常に重要だというふうに考えてございまして、総務省と事業者、それからまた文部科学省と連携いたしまして、e―ネットキャラバンでございますが、保護者、教職員及び児童生徒を対象とした、インターネットの安全、安心利用に向けた啓発講座を開設しているところでございます。

 このe―ネットキャラバンにおきましては、今先生御指摘のように、掲示板、チャットなどの利用につきましては、相手の表情が見えないということで、どうしても過激になりがちな表現がございますので、一度読み返すなどの書き込みに際しての注意を行っているところでございます。

 また、いじめによる誹謗中傷など他人の権利を侵害する書き込みにつきましては、これを削除しても民事上免責される基準を明確化いたしましたプロバイダー責任制限法の制定でございますとか、同法関係のガイドラインの制定、運用を支援いたしまして、プロバイダー等による削除を促しているところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、業界ですとか関係機関等と連携をいたしまして、保護者、子供等への周知啓発、ガイドラインの運用の支援などを通じまして、子供が安心してインターネットに接続できるような環境整備をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

古屋(範)委員 総務省におかれましても、そうしたe―ネットキャラバンを初めとする教育、啓蒙普及、またプロバイダーによる権利侵害情報の削除促進の取り組みをされているということでございます。

 私も、このe―ネットキャラバンに参加をさせていただきまして、そこでは、専門の講師が来て、学校関係者あるいは親たちを招いて大変真剣な論議がございました。やはり、部屋にこもってパソコンを一人で長時間やったり、あるいは携帯も、たった一人で、そこでの世界に入り込むといいますか、縛られる、それが一番よくないことである。親との会話、また、オープンな、できれば居間のようなスペースでネットや携帯を使って、そして、常に親子で、母親の側もこうしたパソコンや携帯というのはなれていなくて、なかなかその機能なども親の側がわからないというケースも非常に多いわけでございます、私たちの子供のころにはなかったものでございますので。ですので、親と、どう使っていくのか。

 本来であれば、いろいろな道具であって、私たちの生活を豊かにしてくれる、一瞬にして世界じゅうの知識を集めることができるツールでありまして、その道具を使って自分の生活を豊かにしていくものなのですが、それが逆にいってしまう。こうした親と子のもともとの関係性というようなものもかかわってくるんだろうなという気がいたします。

 e―ネットキャラバンもさらに活発に行っていただきたいというふうには思うんですが、数が非常に少なかったように思っておりまして、このe―ネットキャラバンの現在の取り組み状況がどのようになっているか、お教えいただけますでしょうか。

武内政府参考人 e―ネットキャラバンでございますが、平成十八年度では四百五十三件、今年度でございますが、十一月末までに既に七百九件の講座が開催されてございまして、受講者の数は十三万人を超えてございます。今年度は昨年度の二倍以上のペースで申し込みがなされているということで、非常に順調に実施件数が増加してございます。

 また、受講者のアンケートの結果によりますと、アンケートに回答した受講者の九割以上の方がe―ネットキャラバンの講座内容は役に立つというふうに回答されるなど、講座に対しては非常に高い評価が得られたところでございます。

古屋(範)委員 全国ですので、ふえたとはいえ、まだまだ数が少ないのかなというふうに思っております。

 我々が子供のころにはなかったこうしたネットによる情報の収集ということに関しましては、やはり子供は免疫がないわけでありますし、また、教育の場においても、国語や算数、理科のように、情報をどう受けとめていくかということに関する子供への教育というのはまだまだ未開拓であるというふうに思います。

 情報を遮断しようとしてもできるものではない、時代が逆戻りすることはできないというふうに思います。であるならば、こうした携帯、ネットに関してどう子供が向き合っていけばいいのか、親も同様にこうした情報をどう取り入れるその価値基準、これは拒否をするあるいはこれは自分の身につけていこう、そうした子供の情報に対する価値判断基準、こういったものを教育する場というのがもっともっと必要になってくるのではないかというふうに思っております。

 次に、こうしたe―ネットキャラバンなど、総務省においても取り組みを進めておられ、年々その数も上昇をしているということは非常に喜ばしいことだと思っております。また、インターネットサイトを見ていますと、目を背けたくなるような画像、またそういうものに遭遇したくなくとも出会い系サイト等々に遭遇してしまうということもございます。このようなインターネット上の有害な情報に対しまして、総務省としてどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

武内政府参考人 インターネット上の有害情報に対する取り組みでございますけれども、総務省では、いわゆる有害情報が掲載されたサイトへの対応といたしまして、平成十七年八月に専門家から成る研究会を開催いたしまして、プロバイダーですとか電子掲示板への管理者による有害情報の削除が適切に行われるよう、その方策について検討してまいったところでございます。昨年の八月に報告書がまとまってございます。

 この議論を受けまして、総務省の支援のもとで電気通信事業団体において検討が行われまして、昨年の十一月に、違法情報への対応ガイドライン及び違法・有害情報への対応に関する契約約款モデル条項が公表されております。

 さらに、フィルタリングについてでございますけれども、これは、受信者側で情報の取捨選択を可能とするということで、有害情報から青少年を守るための有効な対策というふうに認識をしてございます。

 総務省におきましては、これまでも、携帯電話事業者と連携いたしまして、携帯電話向けのフィルタリングの研究開発を平成十六年度から行いまして、平成十七年夏以降、この研究開発の成果を生かしまして、携帯電話事業者によるフィルタリングサービスの提供を開始しているところでございます。

 また、先ほど申し上げましたように、総務省及び事業者は、文部科学省と連携いたしまして、主として保護者、教職員を対象に、インターネットの安心、安全利用に向けた啓発講座でありますけれども、e―ネットキャラバンを実施するなど、利用者啓発の充実にも取り組んでいるところでございます。

古屋(範)委員 当委員会でもNTTドコモに視察に行かせていただき、特にフィルタリングにつきましては、既存の契約者をどうするか、あるいは業者間での取り組みに差がある量販店のサービスをどうするかなどなど、さまざまな課題が明らかになったところでございます。

 こうしたプロバイダー等による削除が進められているということではございますが、インターネットでは、削除を一層促進する必要があることなど、課題も多いというふうに思っております。総務省として、今後の取り組みの強化の必要性についてどうお考えか、副大臣にお伺いいたします。

佐藤副大臣 先生御指摘の、青少年が出会い系サイトなどに携帯電話を通じてアクセスをいたしまして事件に巻き込まれるケースというのは、依然として大変多発をしているところであります。総務省といたしましても、受信者側で情報の取捨選択を可能とするフィルタリングサービスのさらなる導入促進に取り組む必要があるというふうに考えております。

 青少年を有害情報から守る観点から、昨日、総務大臣から携帯、PHS事業者に対しまして、フィルタリングサービスの一層の導入促進の新たな要請を行ったところであります。

 これを受けて、携帯、PHS事業者においては、一つ目といたしまして、新規契約時に親権者が不要としない限りフィルタリングサービスを設定すること、二つといたしまして、既に契約しているすべての十八歳未満の使用者に関しまして、フィルタリングサービスの設定が原則となるよう働きかけを行うこと、そして三つ目といたしまして、代理店等に対する指導徹底をするなどの取り組みを行うというふうに伺っております。

 また、違法・有害情報の削除につきましては、目視による情報確認に多大な労力を要するなど、特に中小のプロバイダー等において負担が大きいというふうな御意見がございます。適切な削除をさらに促進するための支援が必要というふうに認識をしておりまして、対応してまいりたいというふうに思います。

 フィルタリングの導入促進、電子掲示板の管理者等による違法・有害情報の削除等のさらなる促進策などについて、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催しているところでありまして、引き続き総合的な検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

古屋(範)委員 昨日、総務大臣が携帯またPHSの業者に対し要請を行ってくださったということでございます。今御説明のありましたフィルタリングサービスの徹底等々、ぜひ今後とも各業者におきまして速やかに実行されますよう、この監視また推進をよろしくお願いいたしたいというふうに考えております。

 時間ですので、最後に一言、上川大臣に、こうしたインターネット上の有害情報対策に取り組む大臣としての御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

上川国務大臣 情報化社会がこれからもさらに進展していくという中で、子供がインターネットや携帯電話を利用していく機会はこれからますますふえていくというふうに思っております。

 もちろん、子供のモラル教育、情報モラルの教育という形での光の部分と影に対応する教育の部分については十分に尽くしていかなければいけない。と同時に、保護者に対しても、この光の部分と影の部分が大変危険が大きいんだということを、改めて事の重大性を認識していただかなければいけないというふうに思います。

 そういう意味で、これからも有害情報から子供たちを守って、健やかな育ちが可能になるように、あくまでも子供の健やかな育ちというところの視点に立った取り組みに、関係省庁、力を合わせて、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 時間でございますので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 きょう、私は、ネットいじめにかかわって幾つか質問をさせていただきます。

 文部科学省が例年十二月には生徒指導上の諸問題の現状というデータを発表されますけれども、子供たちのいじめ、暴力や不登校等々の現状でございますけれども、ことしの発表に、初めてこのネットいじめについても件数が発表されました。

 いじめにはどんないじめがあるかという中に、「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。」という形で出されまして、これは全国で四千八百八十三件という発表なんですけれども、私は、これは子供たちの実態を本当に正確につかんだものなのかどうかということについて、まず文科省に伺いたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 児童生徒の問題行動調査の今回の調査から、いじめの態様の中の一つの項目として、新たに「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。」という項目を追加したところでございまして、先生御指摘のとおり、その件数は四千八百八十三件、いじめの件数全体の三・九%で、小学校でいくと四百六十六件、中学校で二千六百九十一件、高校で千六百九十九件、いじめの態様のうちの一三・八%という実態でございました。特に、パソコンや携帯電話の使用する割合の高い高等学校において高い数値が出たところでございます。

 このような情報機器を通じたいじめにつきましては、今後ふえていくことが懸念されているところでございます。大人が気づきにくいところで行われることも多く、実態把握が困難な面がございますけれども、今回初めて実施をし、その調査結果の検証、分析につきまして、専門家の方々の御意見をいただきながら、より適切に実態に迫れるように努めてまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 この結果につきましては、携帯電話を持つ子供の数を考えると氷山の一角ではないか、これは群馬大学の下田教授らのコメントがございましたけれども、一けた違うじゃないかというコメントを出した方もいらっしゃるわけですね。

 今後、実態を正確に把握するために、何か文科省としてお考えになっていらっしゃることはありますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 幾つかの県でインターネット社会におけるいじめの問題のアンケート調査を実施したりした例も既に出てきておりますので、そういう手法も参考にさせていただきながら、学校がいじめを認知するに当たって、各学校の実情に応じてアンケート調査あるいは個別面談の実施という形で今回は取り組んでいただいて、できるだけ児童生徒から直接情報を聞く機会を設けて、いじめの実態の把握に努めていただいたところでございます。

 このネット上のいじめにつきましても、先生御指摘のとおり、今後より適切に把握するために、周囲から発見しにくいという特徴を十分踏まえながら、より適切な実態把握のあり方について、現在、専門家の方々にお集まりいただいて、特にこのネット上のいじめの把握あるいは対応の仕方などについて検討をいただいております。それらを適切に調査に反映させ、また施策にも反映させるように努めてまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 いろいろおっしゃってくださいましたけれども、もう少しやはり具体的に突っ込んでいただく必要があるかなというふうに思うんですが、ネットいじめというのは、いわゆる学校裏サイトというところにあるわけでしょう。これがなかなかつかみにくいわけですよね。なかなかどう開いたらいいのかわからない、今のところ。

 それで、この問題に着目したあるネット関連企業は、学校裏サイトを発見、監視するサービスを始めたという情報を私は伺いました。そうすると、この会社には教育委員会、学校から問い合わせがずっと相次いでいるということのようですね、始まったばかりなんですけれども。

 だから、学校裏サイトへの対応が必要になってくる。しかし、時間も人手もないでしょう。恐らく学校でそういうことをやれる人たちもいない。だから、学校現場をこういう面で支援していくということを具体的に考えないと、やはりネットいじめを発見できないんじゃないかというふうに思うんですよね。

 この点でも、文科省が学校裏サイトの実態を調査するという報道も私は見たんですけれども、その調査というのはいつまで、どんな予定で始められるんですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 中高生を中心とした学校裏サイト、これを使ってさまざまな書き込みとか情報交換ということが行われていることは承知しておりますけれども、なかなかその数とか内容については全体像が把握しにくいということは認識してございます。

 そのため、文部科学省といたしましては、日本全体としてどのくらいの数、そういう学校裏サイトというのがあるのかどうか、あるいは、これは抽出調査にならざるを得ないと思いますけれども、裏サイトでどんな内容の情報が、書き込みなんかがされているのか、あるいは中高生の人たちがどんな使い方をしているのかというようなことについて、平成十九年度の事業、具体的には来年の一月から二月にかけて実際の調査をするという予定でございます。その結果については本年度中に取りまとめたいというふうに思っているところでございます。

石井(郁)委員 それはぜひおやりになっていただきたいと思うんですけれども、それは一回の調査で済まないと思うんですよね。恐らく相当な、一定の人手や予算等々がかかるんじゃないのかなというふうに思いますから、私は、そういう学校裏サイトなどを把握していくということについて、ここまで皆さんの注目が高まっているわけですから、ぜひ早急に取り組む、そして、そのために必要な予算もちゃんと要求されたらどうかというふうに思うんですが、文科省、いかがですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年度、本年度につきましては、本当に早急に実施をしたいということで、そのための予算を確保しているところでございます。それ以降につきましては、この調査を踏まえて、どういうような調査を展開していくべきなのかどうかということをきちんと検討して、具体的な手段、手だてというのを講じていきたいというふうに思っているところでございます。

石井(郁)委員 ネット上のいじめで子供たちが自殺に追い込まれているという悲惨な例が後を絶たない状況になっているわけですし、やはり匿名性であり、なかなか陰湿だし、だれがしているのかわからないということで、しかもずっと追いかけられるという点で新たないじめ問題がこういう形で引き起こされているというふうに思いますので、私はきちんとした取り組みをぜひ文科省にお願いしたいというふうに思います。

 きょう、もう一点は、関連して、先ほど来出ておりますけれども、やはり事業者の問題なんですよね。携帯が爆発的に普及した、しかし、フィルタリングなどがようやく最近になって問題になってきているという、まあ、後手後手という話もございましたけれども。だから、既に販売されている、子供たちが所有している携帯、これはもう八割方フィルタリングがかかっていないという問題が重大だと言われているわけでしょう。

 そこで、インターネットに接続できる多機能、高機能な携帯電話、これほど子供たちが持つようになってしまった、だれが持たせたんですか、やはり事業者が促進したんじゃないですかという意味で、私は、青少年保護ということを、こういう携帯を持たせるに当たって事業者がどこまでお考えになっていたのか、そういう事業者の責任という問題はあるんじゃないのかというふうに思いますが、お答えいただきたいと思います。

武内政府参考人 総務省といたしましても、携帯、インターネットの利用のあり方の普及啓発などにつきまして、携帯電話事業者も一定の責任を果たしていく必要があるものというふうに考えております。

 まず、青少年を有害情報から保護するために有効な手段、今御指摘になりましたフィルタリングサービスにつきましては、各事業者とも無料で提供しておりますとともに、これまでの二回の総務大臣要請を受けまして、今後積極的に導入促進に努めていくということでございます。

 また、携帯電話事業者は、総務省などと連携いたしまして、e―ネットキャラバンでございますが、保護者、教職員及び児童生徒を対象にいたしましたインターネットの安全、安心利用に向けた啓発講座を実施するなど、利用者の啓発実施に積極的に取り組んでいるところでございます。

 そのほか、携帯電話事業者といたしましては、地方自治体との周知啓発のためのイベントの開催でございますとか、一部事業者におきましては、携帯電話を使用する際の基本的なモラル、マナーなどを教える教室を全国的に開催するなど、こういう活動もしておるところでございまして、総務省といたしましては、引き続き連携して効果的な取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。

石井(郁)委員 私は、やはり事業者のいわば社会的責任とでもいうべきでしょうけれども、青少年にとってこういうツールがどういう影響を及ぼすのかということまでも考えて当たらなきゃいけないんだと思うんですよね、そもそも。その辺が、私は、大変まだまだ日本の社会の中では問題じゃないのかなということを感じているわけです。

 先日の参考人質疑でも、子供たちにインターネットに接続できる携帯電話、必要があるのかということをお聞きしましたら、必要はないというのをこぞってお答えになられたわけですよね。

 そこで、伺うんですけれども、一体、諸外国で、中学生、高校生が持つ携帯電話で、こういう多機能、高機能の携帯電話を所有している国はどういう国があるのか、少し例を挙げて、わかる範囲で教えていただきたいと思います。

武内政府参考人 携帯電話の高機能化につきましては、我が国と諸外国を比較した具体的なデータは持ち合わせておりませんけれども、我が国の携帯電話市場ですと、高速データ通信ですとかテレビ電話などの高度なサービスを可能とする、いわゆる第三世代携帯電話と言っておりますが、その普及が進んでいるところでございます。おおよそ、現在で七千八百万加入ということで、総加入数九千八百万のうちの七八・七%が第三世代ということでございますが、欧米諸国の方では、まだその前の第二世代携帯電話が主流というふうに聞いております。また、通信事業者の方が積極的にこういう高付加価値の端末の普及を促進したということで、現在、我が国の、いわゆるモバイルブロードバンドと言っていますけれども、これの加入者数は世界でもトップクラスというふうになっているというふうに伺っております。

 このような高機能の携帯電話の利用が進んでおるということで、御指摘のように、子供たちでもこのような高機能な携帯電話が利用できるような環境になっているというふうに認識しているところでございます。

石井(郁)委員 そこで、これは総務省に伺うのは酷かもしれませんけれども、そういうものを今、日本の中学生、高校生、あるいは小学生までもが持つようになっている、それでいろいろ、先ほど来出ている違法情報、有害情報にアクセスしているということになっているわけですが、そもそも子供たちにこれほどの高機能の携帯電話を持たせる必要が、まあ、ないというのが参考人の方の御意見でしたから、ちょっと総務省の見解を伺いたいと思います。

武内政府参考人 携帯電話につきましては、いわゆるGPSと言っていますが、GPSにより子供の現在の位置を確認することができたりとか、あるいは防犯上も役に立つとか、あるいはまた時間や場所に制約をされないで親子で連絡がとれるとか、あるいはまたさまざまな情報を収集できるとか、いろいろな高機能の携帯によりますメリットもあるところでございます。

 一方、御指摘のように、子供さんがインターネットを利用することで有害な情報に触れたり、あるいは使い過ぎにより高額な料金を請求されたりというふうな問題があることも事実でございます。

 総務省といたしましては、青少年にどのような携帯電話を所持させるかについては、個々の御家庭で必要性について御判断をしていただくのが適当なのではないかというふうに考えておるわけでございます。

石井(郁)委員 あるデータでは、こういう高機能の携帯電話の普及、高校生ではもう九十数%ですよね、中学生でも六十数%あるんだけれども、一方でパソコンの台数はそれほどになっていないんですよ。二割か、せいぜいそのぐらいじゃなかったでしょうか、たしか、三割。だから、私たちはパソコンにそういう高機能があるというのは当然だと思うんですけれども、問題は携帯電話、携帯電話にそこまでのものが必要なのかということになっているんですよね。今の答弁、大変苦しい答弁をされているかもしれませんけれども、これは今後の重大な問題だということで、私たちは引き続き取り組んでいきたいというふうに思っているところです。

 もう時間ですので、またいじめに戻りますけれども、やはりいじめ問題がずっとこの十年来、もっと前からもですけれども、学校、日本の社会の中で本当に深い、深刻な問題になっているということですけれども、それがネット上でさらにまた一層深刻さを増しているということがあるんですが、私は、そもそも、やはりいじめ問題を本当に根本的に解決するためにどうするのかということが問われていると思うんですね。

 そこで、文科省にそういう角度で一問だけ伺っておきたいんですけれども、これまでも文科省は命を大切にとかいじめてはいけませんとか、そういうことは繰り返しているんですが、それでは子供たちの心に響いていっていない。なぜなんだろうかということを私たちも考えなきゃいけないと思うんですが、私はその手がかりの一つに、子供たちにもっと自由とは何かとかあるいは権利とは何かとか、そして何が制限されているかだとか、そういう教育が足りないと思っているんですね。

 それは、子どもの権利条約というのは、日本も批准していますけれども、その中には、子供たちももちろん表現の自由はある、しかし、それはやはり制限もされる、その制限は法律によって定められていますよということがありますね。これは十三条にあります。

 それから十六条、プライバシー、通信、名誉の保護ということを読みますと、「いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。」ということがあって、その干渉とか攻撃に対しては法律の保護を受ける権利があるということがあるんですよ。

 子どもの権利条約について、文科省は一貫して大変消極的な姿勢しか私たちに示してくれませんので、こういう立場で学校でも取り組む、そして立法も取り組むというようなことが要るのではないかというふうに思いますので、この権利条約を学校の中で本当にあなたたちは教えているのかどうか、そして今後ちゃんと強化するのかどうかということについてお答えください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 いじめの問題初め児童生徒の問題行動に適切に対応するということは、子供の人権を保障する観点からも重要な課題であると認識いたしております。

 先生今御指摘いただいた、他者の権利または信用をしっかり守ること、あるいは、名誉、信用を不法に攻撃されないという条文が児童の権利条約の中にもございますけれども、そういう他者とのかかわり、他者の権利を大事にすることというのは重要な課題であると思います。

 また、いじめの問題に関連して、情報モラルということにつきましても、今後の大きな課題として学校においても適切に情報モラルの教育に取り組みますとともに、家庭との連携あるいは地域との連携も重要な課題であろうと認識しているところでございます。

 特に、いじめ全体の問題につきましては、学校、教育委員会に対しまして、いじめの問題を隠さずに、家庭、地域と連携して、早期発見、早期対応に努めるという指導の徹底を図っておりますし、また、子供たちのために二十四時間の電話相談体制の緊急整備、スクールカウンセラー等の教育相談体制の充実という取り組みを進めてきているところでございますし、来年度におきましては、外部の専門家から成るチームの設置、派遣のあり方についての調査研究を行うといういじめ対策緊急支援総合事業という新たな取り組みも行いたいと思っております。

 こうした問題に対しましては、教員が児童生徒に向き合う時間をしっかり確保していくことが大切でありますし、特にネットいじめにつきましては、学校のみならず家庭、地域とよく連携していくことが必要と考えております。幾つかの地域で先進的な取り組みも行われておりますので、それらの取り組みも参考にしながら、全国的に、しっかり子供たちの権利を守るという教育も含めて、適切な対応ができるように努力してまいりたいと思います。

石井(郁)委員 最後になりましたけれども、大臣に一問伺って終わりたいと思います。

 きょうほ本当にさまざまな角度から話されましたけれども、やはりネット上でのいじめ、人権侵害、それが本当に子供たちの命までも奪うという問題。そしてさらに、この問題は特に女性に攻撃が向けられるという点も特徴ですよね、女性の人格を性としてしか見ないだとか。そういう女性の人権を侵害するという点でも、私は大変大臣と共有できる点があるのではないかというふうにも思っておりまして、ぜひ、こういう今の実態についての大臣としての御認識と、それから政府として子供の人権、女性の人権をどう守って確立していくのかという点での取り組みについての御決意を伺って、終わりたいと思います。

上川国務大臣 情報化の進展が大変急速であるということ、その中で、子供たちがインターネットまた携帯電話等の新しい情報ツールを利用してさまざまな問題が発生しているということについて、大変深刻に受けとめているところでございます。

 今内閣府の中で、有害情報から子どもを守るための検討会というのを立ち上げておりまして、ここで年末にかけて中間報告をまとめるようになっております。これから、きょう御指摘いただいたことも含めて、すぐに取り組むべきことについては実行していく、そして、子供が今ですら犯罪に巻き込まれるというような危険性があるということでございますので、そうした環境の整備に向けての取り組みについては、関係省庁の連携のもとでしっかりと、子供の視点ということを大切に取り組んでまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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