衆議院

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第4号 平成21年4月15日(水曜日)

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平成二十一年四月十五日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 末松 義規君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 佐藤  錬君 理事 実川 幸夫君

   理事 菅原 一秀君 理事 笹木 竜三君

   理事 吉田  泉君 理事 古屋 範子君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      大塚 高司君  とかしきなおみ君

      中森ふくよ君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    山内 康一君

      泉  健太君    菊田真紀子君

      田名部匡代君    池坊 保子君

      石井 郁子君

    …………………………………

   参考人

   (株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ取締役常務執行役員経営企画部長)    加藤  薫君

   参考人

   (KDDI株式会社代表取締役執行役員副社長)   長尾  哲君

   参考人

   (ソフトバンク株式会社社長室長)         嶋   聡君

   参考人

   (財団法人インターネット協会副理事長)      国分 明男君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     丹羽 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件(ネット上の有害情報から子どもを守るための対策)


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     ――――◇―――――

末松委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件、特にネット上の有害情報から子どもを守るための対策について調査を進めます。

 本日は、参考人として、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ取締役常務執行役員経営企画部長加藤薫君、KDDI株式会社代表取締役執行役員副社長長尾哲君、ソフトバンク株式会社社長室長嶋聡君及び財団法人インターネット協会副理事長国分明男君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと思います。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承ください。

 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず加藤参考人にお願いいたします。

加藤参考人 NTTドコモの加藤でございます。

 本日は、このような発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、座って御説明申し上げます。

 お手元にございます私どもドコモの資料、ちょっと厚目でございますけれども、御容赦くださいませ。「ネット上の有害情報から子どもを守るための対策について」ということで御説明申し上げます。

 一ページ目でございます。

 全体の枠組みでございますけれども、青少年を取り巻く環境というのは、私ども、このように、出会い系サイト、ネットいじめ、小中学校への持ち込み禁止等々の議論があり、また実態があるという認識をしてございます。

 あと、水色で二つほど囲っておりますように、私どものフィルタリングサービス、それと子供向けの端末というところで御説明させていただきながら、黄色い部分では四つほど、ケータイ安全教室等々初め、いろいろ普及啓蒙活動についても御説明さしあげたいと思っております。

 お開きいただきまして、二ページ目でございます。

 これはフィルタリングサービスの利用状況でございまして、一番右の柱でございますけれども、〇九年三月末で五百七十三万、これは私ども携帯事業者全体の数でございまして、下に書いてございます二百二十万がドコモの数でございます。左の方を見ていただきますと、〇七年九月には二百十万だったものが一年半で三倍近くに伸びているというところでございます。

 少し吹き出しを書かせていただいておりますけれども、〇八年二月からは、私ども、ホワイトリスト方式によりまして強化をし、〇八年八月はブラックリストに変更しというステップを踏んでおります。

 右の黄色い吹き出しでございますけれども、ことしに入りまして、一月、二月に相次いで強化をしてございまして、特に一月から、私ども、フィルタリングのサービスを改善し、後で御説明申し上げますけれども、お客様がカスタマイズできるという機能を導入させていただいております。

 三ページ目でございます。

 これは私どものフィルタリングサービスの全体像でございまして、一番上がホワイトリスト方式、これは、このサイトは見てもいいという方式でございます。その下がブラックリスト方式、このサイトは見てはいけないというフィルターのかけ方でございます。それをサイト単位で制限しているのがこの黄色い二つでございます。その下に行きまして、ウエブ制限、これは、原則的にはすべてのウエブを見てはいけないという非常にきつい規制でございます。その下は時間制限でございまして、夜の十時から翌朝の六時までは何も見れないという形にしながら、それ以外の時間は上の方式も組み合わせながら見てもよい。こういう原則、四つを持っております。

 これだけで過ごしますと少し不自由でございますので、右にございますように、カスタマイズ機能、プラス機能を持っておりまして、それぞれのベースのところのサイトを、一度あいているものを閉めてみたり、見れないものをあけてみたりという機能を、それぞれサイトの単位、もしくは、後で出てきますけれども、カテゴリーの単位で自由に設定していただけるという機能をこの一月の九日から私ども導入させていただいております。

 次のページ、四ページ目、ブラックリストの方式の説明でございます。

 先ほど申しましたブラックリスト方式は、未成年の方々、十八歳未満の方々には原則適用という形にしておりまして、この原則適用の内容を少し時間をいただきまして御説明申し上げます。

 全体の四角い枠がサイト全体だとお考えください。下の方に、真っ黒いところと灰色の部分と白い部分がございます。ここの青い部分との差分が、左にございますように、フィルタリング会社、具体的にはネットスターでございますが、ここの分類によりまして、これは有害の可能性があるというところでございます。その中も、黒いところは、これは全く有害だろうということで、ブラックで示しております。

 実は、この真っ黒なところと灰色のところだけ私どもは見れないようにしてございます。デフォルトで、十八歳未満の方々はここは見れないという形にしてございます。

 では、一番右の方の白い部分というのはどうなのかというと、ここは、かつてはブラックリストに入っておりましたが、今は、EMAさんの意見等もお聞きしながら、閲覧できる、ブラックではないという形にさせていただいております。

 ちょっと複雑ですけれども、真ん中あたりに灰色の部分がございますが、特に、8コミュニケーションと書いてございますけれども、このコミュニケーションの一部を、第三者機関のEMAさんがこれは健全であろうというところを見れるようにしてございますので、結果、黒い部分と青い部分のせめぎ合いがございますけれども、青い枠線で囲ったところを閲覧できるというふうな定義にしてございます。

 一方、右下の方にカスタマイズ機能とございます。灰色の部分と白い部分、ここのものを、先ほど申し上げましたように、サイト単位、カテゴリー単位でカスタマイズできる機能がございまして、基本的には灰色のところがバツになります、見れませんが、そのうちのある部分は見てもいいというカスタマイズができます。右の白い部分は、基本的には見れますけれども、一部のものを見ないというような設定もできるという図式にさせていただいております。

 少し要領を得ませんが、こういう説明で終わらせていただきます。

 五ページでございます。

 フィルタリングのカテゴリーというのがございます。一から十三までございまして、そのカテゴリーの中身は、真ん中の方の白い部分にいろいろなワードで書かせていただいております。それと、基本のブラックリストとカスタマイズの関係をもう一度整理させていただきますが、簡単に申し上げますと、一番右の緑色の部分、ここが私どもの特徴で、いろいろカスタマイズができるというところでございます。

 六ページ目でございます。

 受け付けにつきましては、いろいろ工夫をさせていただいておりまして、いろいろな媒体、総合カタログ、ホームページ等々で啓蒙をしておりまして、注意書きをしております。

 総合カタログ、上の右側でございますが、重要なお知らせと銘を打ちまして、iモードの新規契約時の受け付け方法等々につきましては、原則適用ですということを書かせていただいております。

 十八歳未満の方々の直接の御契約時には、親権者の同意書が要ります。それが左下でございます。そのときには、必ずアクセス制限サービスのどれかをお選びいただきたいということで、一番下の七番は、申し込まない、いわゆるフィルタリングはかけなくてもいいという親御さんの判断でございますけれども、それ以外、一から六につきましては、先ほど申し上げました私どもの方式でもってフィルタリングをかけていただくというところでございます。

 右下でございますけれども、中には、親御さんの契約でありながら十八歳未満の未成年の方が御利用なさる、こういうケースが多うございます。このときも、十八歳未満の方の利用があるのかないのかというのを申込書の右上でチェックさせていただいたりしております。

 七ページ目でございます。

 フィルタリングサービス、このようにしてつけていただきましたフィルタリングを解除することも実はできます。しかし、簡単にできますといけませんので、改善いたしました。

 改善する前は、郵送によりましてもフィルタリング解除が可能でありました。ドコモショップで未成年の方の契約者は親権者の同意書があれば手続可能だったというぐあいになっておりますが、少し厳しくさせていただいております。

 郵送を廃止しました。ドコモショップのみで受け付けています。それで、そのときに、契約者が未成年者だった場合は、親権者の同意書とともに、親権者の本人確認書類の原本、これをお持ちいただくようにということで、厳しくさせていただいております。これは○八年の四月の大臣の要請によるものでございます。

 以上、フィルタリングにつきまして、駆け足でございましたが、御説明申し上げました。原則を持ちながら、お客様が選べる自由度を設けた機能を私どもは提供させていただいているということでございます。

 あと、八ページ目からはキッズケータイでございます。

 一番右が○九年二月、この二月に発売開始したものでございますが、手元にございます、こういう鮮やかな色の、お子さん向けのものでございます。デフォルトは、お買い求めいただきますと、通話ができます、GPSで位置がわかります、それと防犯ブザーがついています。これだけでございます。あとは、親御さんがみずからの秘密のパスワードで機能を開いていくという形になってございます。

 九ページ目、今申しましたように、最初に書いてございますように、通話、GPS、防犯ブザーでございます。

 ちょっとうるそうございますが、こういう音でございます。何かございましたら、このひもを引きますと今のような音が出まして、犯罪等の危険がある場合は、お子様がこれを引いて周りに注意していただく。

 もしくは、誘拐等々で最悪の事態の場合は、大体、犯人は電池を切ろうとします。電源を切っても電池は切れないようになっています。では電池を外せばいいじゃないかということで、電池を外す場合も、ちゃんとカバーしておりまして、特殊工具がないと外れないというような工夫も少しさせていただいています。できるだけお子さんが安全に使っていただき、かつ何かの役に立つものというふうに思っています。

 それで、こういうものもついておりまして、ある程度の距離離れると、これを腕につけていまして、これをだれか持っていったとか捨てられたということがあった場合は、二十メーターぐらい離れますと、離れたよという音が出るようになっています。これもいろいろな使い方ができるのかなと思っております。

 あと、時間帯で機能を制限したりというようなこともできるようになってございます。

 十ページ目でございます。

 今までもいろいろなものを開発してまいりましたが、累計で大体六十九万ぐらいお使いいただいているということで、一定の評価と御好評をいただいているのではないか、このように考えております。

 十一ページ目でございます。

 私ども、こういうフィルタリングというシステム、キッズケータイというハード、プラス、やはり世の中にいろいろなことを知っていただく、光の部分もあれば影の部分もあり、そのものをどのように回避したらいいんだろうかということも皆さんと共有したいということで、ケータイ安全教室というのを開催させていただいております。

 二〇〇四年度から始めておりますけれども、二〇〇八年度は四千六百回を超えております。累計で一万近く。それと受講が、延べ数で百五十万弱の方々に今まで受講いただきました。今年度は単年度で六千回ぐらい開催したいと思っておりますので、また御協力いただけたらと思っております。

 十二ページ目でございます。

 これは、大人向け、小学校向け、中高生向けのそういう安全教室の風景でございます。

 十三ページ目、そのときに用いますようなDVDと、その中の画面の一部でございます。

 小学校向け、中高向け、保護者向け、こういうような形になってございます。

 十四ページ目でございます。

 家庭でのケータイルール、御飯を食べるときは携帯は使わないようにしよう、メールはこういうときしか使わないとかいうようなルールを御家族で御検討いただき決めていただく、そのための補助ツールとなるようなホームページも私ども用意させていただいております。

 十五ページ目でございます。

 とはいいましても、よくわからないよと。まだまだサービスは少し複雑なところがあったりするのも事実でございますので、そういう専門の相談センターもつくってございます。

 下の方に棒グラフがございまして、跛行性がございますけれども、大体、月五千件ぐらい。このセンターは納得していただくまでお話をさせていただきますので、極端な話、一時間コンサルするだとか、それを超える場合もあろうかと聞いております。できるだけわかりやすく御説明するように努めているところでございます。

 十六ページ目でございます。

 二月二十七日に安心ネットづくり促進協議会、これが発足されております。私ども、発起人として参加しながら、船出したところでございます。

 十七ページ。

 会長は大阪大学総長、それと、もちろんPTA関係の方も御参画いただきながら、右にございますような委員会二つで運営しているというところでございます。

 あと、十八ページ目。

 ちょっと私どもの宣伝になってしまいますが、左側は、テレビのコマーシャル等々、爆笑問題がやっておりますフィルタリング関係のCMの一こま。それと、新聞に私ども掲載させていただきました、社長山田の対談という形の、「ケータイの光と影」というような文章でございます。

 十九ページ。

 これまた爆笑問題のCMのこまでございます。

 最後には、参考資料で、私ども、リーフレットで配っていますが、ほかにもいろいろなものを使わせていただいておりますが、総合案内カタログだとか、「あんしんあんぜんBOOK」だとか、「あんしんしてケータイをご利用いただくために」だとか、こういうものをつくっておりますが、その一部とお考えくださいませ。アクセス系のサービスの説明書でございます。

 ちょっと舌足らずで駆け足でございましたが、以上で私の説明を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

末松委員長 ありがとうございました。

 次に、長尾参考人にお願いいたします。

長尾参考人 KDDIの長尾でございます。よろしくお願いいたします。

 私どもにも本日こういった説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですけれども、お手元の資料に基づきまして、私どもKDDIの取り組みについて御説明をさせていただきます。

 お手元に、資料ともう一つ、この「auの安心サービス」というパンフレットをお配りしておりますが、これはまた後ほどごらんいただければと思います。auショップでお客様にお配りしているものでございます。

 それでは早速御説明をさせていただきます。かなりの部分、ドコモさんの今の御発表と重複する部分がありますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず、一ページ目でございますけれども、最初に、弊社の携帯のインターネットの接続サービス、これをスタートして以来の自主的な取り組みについて御説明をさせていただきます。

 私ども、携帯のインターネットの接続サービス、EZwebというふうに呼んでおりまして、ちょうどドコモさんのiモードと同じような仕組みでございます。携帯電話を安心、安全に御利用いただくために、ちょうどこの図の中ほどでございますけれども、公式サイトの健全性の維持ということで、二〇〇二年の六月から、公式サイトのコンテンツの内容につきまして二十四時間のパトロールをしておりまして、健全性の維持などに自主的に取り組みを進めてまいりました。

 しかしながら、一般サイトの増加に伴いまして、いわゆる出会い系サイトなど、さまざまな違法、有害のサイトもふえてきましたことから、公式サイトにとどまらない、ただいま問題になっているような対策が望まれてきたということでございます。

 そこで、弊社では、ケータイ教室などによる普及啓発活動を展開する一方で、違法・有害サイトへのアクセスを防ぐために、二〇〇二年の十月からキーワード検索の制限でございますとか、あるいは二〇〇三年十一月からEZwebの利用制限といったフィルタリングサービスの導入、普及に向けて取り組みを進めてまいりました。

 しかし、携帯のインターネットの利用、これの普及が進みまして、また低年齢化が進むということにつれまして、昨今のような社会問題が拡大してきたことは先生方も御承知のとおりでございます。

 それでは、そうした状況を踏まえまして、最近の弊社の取り組みについて御説明をさせていただきます。

 本日は、違法・有害サイトから青少年を守る対策ということで、三ページにございます主に三つの取り組みについて御説明をさせていただきます。

 一つ目はフィルタリングサービスの取り組みについて、二つ目は機能限定の携帯について、三つ目は本整備法の施行の周知も含めました啓発活動についてでございます。

 まずは、フィルタリングサービスの取り組みにつきまして御説明を申し上げます。

 四ページでございます。

 基本的にドコモさんのお話と全く同じでございますけれども、私どもはホワイトリスト方式をEZ安心アクセスサービスの接続先限定コースというふうに呼んで、二〇〇六年四月から始めております。一方、加えてのブラックリスト方式ということでは、特定カテゴリー制限コースということで、二〇〇八年の三月からスタートをしております。基本的にこの二つの方式を併用しておりまして、ホワイトリスト方式については主に小学生、中学生以上はブラックリスト方式といったような構えで対応をさせていただいております。ホワイト、ブラックのそれぞれの考え方につきましては、先ほど御説明があったのとほぼ同じでございます。

 また、これらのフィルタリングサービス以前に、GPSですとかメールだけを使いたいといったお客様には、御利用料金の明細ですとか弊社のホームページだけにアクセスできる、そういったEZwebの利用制限、こういったものも提供をしております。これは、フィルタリングサービス自体が必要がないサービスでございます。

 さらに、ネットもEメールも利用したくないと言われるお客様には、EZwebの申し込みそのものをお受け付けしておりませんので、そういったことでは、全体の三割ほどのお客様は、まずインターネット接続を利用していないということで、除外して考えていただいていい、こういった状況でございます。

 次に、五ページでございますけれども、このフィルタリングサービスの加入者数の推移について御説明申し上げます。

 先ほど、全体で約五百七十万のフィルタリングサービスの御利用というお話がドコモさんの方からございましたけれども、私どもだけの数字をとりますと、ごらんのとおり、この二年間ほどの間に、御利用者、大幅に増加をしております。〇七年の九月末で六十五万が、この三月末では百九十三万を超えておりまして、約二百万のお客様がブラックリスト方式あるいはホワイトリスト方式、いずれかを御利用いただいている状況まで参っております。

 ここに書いてございますように、新規契約のお客様にフィルタリングサービスの利用の意思を必ず確認するようにしていること、そして、既にもう御利用いただいている既存のお客様に対しても、ことしに入りましてから、改めて、フィルタリングサービスの存在、そして御利用の意思を確認させていただきましたこと、さらには、いろいろな普及啓発活動、あるいは社会全体でのこういった普及に対する取り組みといったことがあって、加速度的にフィルタリングサービスの御利用がふえてきているというように認識をいたしているところでございます。

 資料にはございませんけれども、私ども、社内で、三月末時点で、青少年の契約でEZwebの契約をされているお客様のうち、小学生では八割強、中学生でも約六割の方がこのフィルタリングサービスを利用されている、それに至っているという実績が出ております。

 次に、六ページでございます。

 フィルタリングサービスの加入者数が増加する一方で、お客様からは、ホワイトリスト方式では見たいサイトが見られない、また、ブラックリストの方式でも一部子供に見せたくないサイトが見えてしまうといったことで、ホワイトリスト方式、ブラックリスト方式、いずれにしてもやや不便なところがあるという御指摘が寄せられておりまして、ちょうどドコモさんがこの一月からスタートさせたカスタマイズの方式でございますけれども、私どもも、こういったお客様の御要望にこたえるために、カスタマイズ機能を、ことしの夏ごろをめどに、現在、提供を前提に開発を進めているところでございます。

 基本的には、ホワイトリストにお客様が見たいサイトを追加する、あるいは、ブラックリストからお客様がアクセスしたいカテゴリーあるいはサイトを削除するといったことで、年齢や青少年の発達段階などに応じたカスタマイズが可能になるようにしてまいりたい。もちろん、親権者の方がパスワード等を介しまして、お子様が勝手に設定ができるといったようなことは防いでいきたいというように考えております。

 このほか、指定した時間だけこのウエブのアクセスができるといったような、時間制限の機能も提供していく予定でございます。

 次に、七ページでございます。

 フィルタリングサービスの次でございますけれども、機能限定携帯でございます。これも、基本的にはドコモさんのキッズケータイと同じ機能を持っております。

 現在、小中学生のお子様が安全、安心に御利用いただけるように、音声通話とGPSの機能に限定した携帯電話を二機種発売させていただいております。最近の機種では、御利用可能な機能をお子様の生活の時間に合わせて、例えば、学校にいる間は使えない、そして御自宅では利用ができる、こういった設定をすることも可能となっております。

 次、八ページでございますけれども、そういった機能に加えまして、お子様の居場所を把握する機能について少し御説明をさせていただきます。

 一つは、お子様が防犯ブザーを鳴らしたときに、その場所を家族の携帯に写真つきで緊急通知して、その後、定期的に、そのお子様が移動していれば、その更新された地図を携帯やパソコンからお子様の足取りを確認できる、こういった移動経路の通知機能というのを持たせております。

 また、防犯ブザーを鳴らさない場合にも、お子様がボタンを長押しすれば家族の携帯にお子様の居場所をお知らせする、居場所の通知機能、こういったものもございます。

 また、事前に御家族の方がお子様を見守る時間を設定することで、自動的にお子様の居場所を確認できる安心ナビ機能もございます。これは、機能限定携帯にとどまらず、一般の携帯でも、ソフトをダウンロードすれば御利用可能なサービスというようになっております。

 続きまして、九ページ以降は啓発活動でございます。

 これも、同じように、ケータイ教室、それから総務省、文科省さんがリードをとって、e―ネットキャラバンといった仕組みでやはり啓発活動を行っております。そういった取り組みについて、私どもも参加をして、実行をしております。

 携帯電話のルール、マナーあるいは安全な使い方、こういったことを学んでもらうケータイ教室、これを二〇〇六年の三月から開催しておりまして、昨年末までで累計で千回以上実施をしておりまして、約二十万人の方に受講をしていただきました。今年度からは、さらに対象者を保護者、教職員の方にも拡大して、昨年以上の回数を実施してまいりたいというように考えております。

 また、e―ネットキャラバンにつきましては、もう四年目に入ってまいりますけれども、これまでの三年間で約二百二十回の講義を実施しておりまして、今後も引き続き協力してまいりたいというように考えております。

 次に、十ページ、啓発活動の二番目でございます。

 これはジュニアネットというふうに呼んでおりますけれども、携帯電話の適切な利用方法やマナーといったものをお子様が楽しみながら身につけていただくために、二〇〇七年の十二月から当社のホームページ上に開設をいたしております。

 現在、公共の場所における携帯電話の利用の可否といったようなものを例えばクイズでお子様に学んでもらう、あるいは架空のプロフィールサイトの利用を体験していただく、こういったコンテンツなども提供しております。今後も、お子様の学習に活用していただける内容にさらに充実をしてまいりたいというように考えております。ちなみに、これは、現在のところ月間で約三千七百件の御利用があるという状況でございます。

 それから、十一ページ、啓発活動の三でございます。

 ただいまお話ししましたジュニアネットが、どちらかといえばお子様向けの啓発の部分でございますけれども、やはりお母様を含めました親権者の方にも同じように御理解をいただきたいということで、特にフィルタリングサービスの内容がわかりにくいといったような部分もございますので、そういった違いを御理解いただくために、弊社のホームページにアクセスいただければ、映像でこのフィルタリングの機能をわかりやすく説明したビデオをごらんいただけるようにいたしております。

 また、同じビデオを全国の店頭でも御紹介いたしまして、お客様の御利用を確認する際に、必ずフィルタリングサービスのコース選定を伺っておりますけれども、その際にも、同様のビデオをごらんいただくようにお勧めをしているところでございます。

 今後、さらに一層、内容も充実して、御理解を深めていただくようにしてまいりたいというふうに考えております。

 それから、十二ページでございます。

 以上が、最近の弊社の取り組みの状況でございますけれども、御参考までに、私どもの取り組みの体制を書かせていただいております。

 全社的な各機能のみならず、関係先とも相互に連携をとりながら積極的に取り組みを進めております。

 また、これからのことも含めてということでは、私ども、グループの中に、KDDI研究所、KDDI総研といったシンクタンク、研究所を持っておりますけれども、こういったところで、例えば技術でいえば、画像あるいはテキストの認識技術の開発でありますとか、KDDI総研では、主に行動とか心理といった社会文化的な側面からも、こういったものをより高めていくということでの研究にも取り組んでいることを申し添えます。

 以上で資料の説明は終わりますけれども、最後に一言だけ、私どもの基本のスタンスを述べさせていただきたいと思います。

 青少年の保護の問題ということで考えますと、概して親権者の方も、自分のお子様がその年ごろになって初めて関心を持つといったようなこともございます。その意味では、年々新しい利用者がこういった業界に御参入されるわけですので、この課題は決して一過性のキャンペーン的な取り組みであってはならないというふうに考えております。

 また、インターネットの世界というのは、御承知のとおり、あるネットを引けば必ずまたその穴を見つけて、次から次へということで、やはり一部モグラたたきのようなところもございますので、そういった意味でも、息の長い、地道な取り組みが必要であるというように認識をしております。

 もちろん、スタート段階では、官民あるいは業界の中でも協調しながらということでスタートを切らせていただきましたが、これが、自立していける、あるいはいい自転をしていくためには、やはり競争ということも今後は必要になってくるというふうに思っております。

 いかにお客様の御信頼、御支持を得られるのかということが我々の競争というようにもなってまいりますので、お互いに切磋琢磨の中から、絶えず、よりすぐれたサービスあるいは商品を提供できるか、これは、社会的な責任を果たす以上に、やはり工夫や努力が必要だというように考えております。

 また、今、法が施行されたばかりで、まだまだ十分とは言えないところもありますけれども、鋭意改善に取り組んでまいりたいというように考えておりますので、ぜひとも御理解と御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

末松委員長 ありがとうございました。

 次に、嶋参考人にお願いいたします。

嶋参考人 嶋でございます。

 本日は、末松委員長のもと、このようなヒアリングをしていただく場を設けていただきまして、本当にありがとうございました。

 多くの方は御存じだと思いますが、政から民に転じまして三年がたちました。憲法四十一条の国権の最高機関たる国会であるということを民間にいると本当に実感をしながら日々のビジネス活動をしているところでございます。

 きょうは、そういう場所で参考人として意見陳述をさせていただきます。

 ちょっと、私どもの資料とアイフォンを配らせていただきます。

 アイフォンを配付させていただきますのは、当該法律十七条、十九条に関しまして皆さんに御理解を賜りたいことがあったものですから、これをちょっと見ていただきたいと思って今配付させていただいております。

 実は、私、この青少年特別委員会でかつて質問をしたことがございました。平成十五年の五月八日のことでございます。

 そのとき、NTTドコモの参考人さんに質問させていただきました、公式サイトになぜ政党、政治が入らないのかと。当時、入っていなかったんです。そういう質問をさせていただきました。主張が入っている場合はなかなか難しいというようなお答えだったというふうに思いますが、それが今回、ある意味で解決されたことも含めて、本日、申し上げたいと思います。

 大体、もう手元に資料が届きましたでしょうか。

 それでは、一ページ目からでございます。

 三月三十一日、青少年問題に関する特別委員会において、小渕国務大臣が、健全な青少年の育成が日本の将来を左右する重要課題だと。弊社では、それは本当にそうであるというふうに思って、日々運営をいたしております。

 こういった状況を踏まえまして、本日は、二つについて御説明をさせていただきます。

 基本的な対応につきましては、NTTドコモさん、KDDIさんと同じような対応を私どもはさせていただいておりますが、一つは、青少年インターネット環境整備法への対応状況。法律が審議された後、私どもはこのように対応させていただいているというのが一点。そして、せっかく憲法六十二条における国政調査権に基づく参考人質疑でございますので、参考人としての意見陳述でございますので、それに従いまして、インターネットを活用した青少年育成環境の整備について。この二点についてお話をさせていただきたいと思っています。

 三ページをごらんください。フィルタリングの普及状況でございます。

 私どもは、フィルタリングの原則適用というのを〇八年の一月からさせていただいておりました。しかし、やはり立法府での議論が始まると随分違うなということを感じております。

 法律の議論自身は三月、四月だったと存じておりますが、その前からいろいろな議論があるということで報道されました。その結果、フィルタリングの加入者が、これで見ていただけますように、増加しております。現在は、二〇〇九年三月時点で百二十八万人、私どもソフトバンクの加入者は約二千万人でございますので、かなりの確率で入っていただいているというふうに思います。

 それで、私どもが青少年インターネット環境整備法に関しまして対応をしなくてはいけないのは、三つあるというふうに考えております。

 基本的なものでございますが、まず一つは、フィルタリングの原則適用。青少年へのフィルタリングサービスを原則きちんと適用すること。それから、法二十条関係ですが、フィルタリングの新サービスを導入する。発達段階に応じてきめ細かく設定できるようにすること。そして、第三者機関対応でございますが、閲覧の制限を行う必要のない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。例えば、政党や政治もきちんと見れるようにする、まあ、私どもは前から見れたわけですが。そういうようなことも含めて意見陳述をさせていただきます。

 五ページ目でございます。

 フィルタリングの原則適用でございますが、私どもとしましては、親権者同意書のフィルタリング申込書に、もともとウエブ利用制限を、これが原則適用だということを申込欄に先に書いてあります。これはバツをつけないと外せないような形にさせていただいております。これは新規契約者対応でございますが、新規契約はすぐできるんですが、法施行前に既存契約をしておられる方に関しましても二〇〇九年二月までには適用を完了させていただきました。

 六ページをごらんください。

 フィルタリング新サービスの導入に関しまして、ヤフーきっず、ブラックリスト、現行ももう進めておりますけれども、ウエブ利用制限、要するに、十二歳未満向け、十二歳から十四歳、十五歳から二十歳と分けるものでございますが、これは、率直に申し上げまして、この分けるのが結構検討が必要になっておりまして、この夏に実施ということで今進めているところでございます。

 七ページをごらんください。

 第三者機関対応でございますが、認定サイトの反映につきまして、以前はミクシィ、グリーなどが閲覧不可だったわけでございますが、ミクシィ、グリーなども閲覧可能にさせていただいております。

 八ページ目でございます。

 平成十五年に私が質問したものでございますが、第三者機関対応でカテゴリーが統一されましたので、一番左を見てもらいますと、政治活動、政党活動につきましても全三社見ていただけるということになった次第でございます。

 九ページ目をごらんください。

 周知啓発に関する取り組みにつきましては、教師への授業プログラムの提供、そして、子供の携帯、機能限定端末につきましては、まもるっちとかファンファンとか、そういうものを私どもは展開いたしております。あと、安心ネットづくり促進協議会への参画、事業者共同のマナー普及ツール策定なども積極的に取り組んでいるところでございます。

 次に、十ページ目からお話をさせていただきます。

 アイフォンを持っていただきまして、ロックを解除していただくと、その中にいろいろなものが入っていると思います。産経新聞とかそういうのが入っていると思います。

 例えば、皆さんのものには入っていないんですが、これは私のものだけに入っている「琴」というものですけれども、琴の音がするんです。先生方の方にはちょっと入っておりません。これは有料なものですから、百五十円なんですけれども、入っておりませんが、そこにはピアノなどが入っております。

 ポイントは、これはパソコンなのか携帯電話なのかということなんです。十七条と十九条というのがございました。そこでは割と明快にパソコンと携帯と区分して議論がされて、法制定がされております。きちんと法律が成立しましたのが二〇〇八年六月十一日、アイフォンを発売したのが七月十一日、一カ月後でございました。

 現行法では、アイフォンは携帯電話で、携帯事業者側でフィルタリングを提供する必要があるんですが、これは皆さんよく御存じのように、アイフォン自身はアップル社というアメリカの会社がつくっておりまして、そちらの方がコントロールしていますので、私どもソフトバンクの方ではコントロールがなかなか難しいんです。

 ただ、法でございますので、私からも、そんなことを言っても、私どもの意見もしっかり聞いていただいてつくられた法なので、きちんと対応するようにという強い指示を出しまして、アップル社、ヤフー社と調整しましてフィルタリングソフトを開発しまして、そこに入っているヤフーきっずというものでございますが、法施行前に対応は完了をいたしております。

 ただ、このようにどんどん高度化してくるわけでございまして、今後、携帯がスマートフォン化してくるということもございます。そうなってきた場合に、法律というのも本当に迅速に見直していただく必要があるのかなということを思っております。

 アルビン・トフラーという未来学者が、ビジネスは時速百キロで動いている、行政は時速二十五キロで動いている、立法は時速三キロである、そういうことを書いておりますが、私は何となく実感しますけれども、そういうことがございますものですから、これはぜひ対応をしていただければと思う次第でございます。

 次でございます。十一ページ、アメリカの教育政策でございます。

 アメリカでは、オバマ大統領が新大統領になりました。二〇〇八年十二月六日の演説では、米国がブロードバンド環境について世界第十五位に位置しているのは受け入れがたい、インターネットを発明した国として、すべての子供たちはオンラインにアクセスできるチャンスを持てなければならないというふうに述べております。

 青年、若い人たちの就労というものが、将来、これはどうしても世界と競争しなくちゃいけない点がございます。そういうことを議論するためには、こういう視点も必要かと思います。

 ちなみに、オバマさんは十五位だと受け入れがたいと言っていますが、日本は、それより下の十七位でございます。

 次、同じように、オバマ大統領の二〇〇九年一月二十四日の定例演説ですが、新経済において、子供たちがきちんと競争し、成功できるようにすべきである、英語ではニューエコノミーという言葉を使っていますけれども。

 十三ページでございます。

 オバマ大統領の二〇〇九年一月八日の米景気対策緊急演説でございますが、学校に、二十一世紀型教室、研究室、コンピューター等を備えることで、子供たちがさまざまな仕事で世界じゅうの人々と競うことを助けるべきであるという発言をしておりまして、日本においても、将来を担う子供たちの可能性を高めるための環境整備というのをぜひとも御議論賜りたいと思う次第でございます。

 次の十四、十五、十六ページは、実は、TCAといいまして、電気通信事業者協会、NTTさん、KDDIさん、私どもも入っております事業者協会の中にありました未来懇談会という有識者懇談会のときにつくられた資料でございますが、日本の学力は、見ていただくとわかりますように、数学、科学、読解力ともども、今どんどん落ちております。

 NHKが、学力というものに関しまして平成十五年に特集を組みました。そのとき、世界で最も学力が高いのはフィンランド。これは、図を見てもらうとフィンランドとわかると思います。日本では、京都市の御所南小学校だそうでございます。

 京都市の前教育長さんであり、現在京都市長である門川市長にも私はお話をさせていただきました。こちらでは、すべての先生が、一〇〇%、要するにコンピューターを使って授業ができるような訓練をされておるそうでございますし、いろいろなチャレンジをしておられるようでございます。

 同じく、TCAの未来懇談会で使った資料でございますが、学力低下の背景で、数学の勉強を楽しいと答えた生徒の割合は、四十九カ国中、日本は四十六位だ。どうも、余り楽しくないと。数学を勉強して日常生活に役立つと答えた生徒の割合は五十一カ国中五十位だ。このような話をしておりましたら、門川市長がおっしゃるには、例えばドリルとかそういうものは、できたらもう少し楽しい形のICTを使った方がいいんじゃないかというような話もされておられました。

 これは池坊先生が〇八年の六月十日の内閣委員会でお話しになっていることでございますが、リテラシー教育はもちろん必要だ、だけれども、早い段階からコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段になれ親しみ、活用できるよう指導する必要があるとおっしゃっておりますが、同感でございます。

 それを見ますと、昭和五十年代の教室と現在の教室とほとんど変わっていない。韓国におきましては、今、デジタル教科書採用に向けて、二〇一三年までにすべて採用しようとしている。

 十八ページは、子供が学習をする道具として最適なのは情報通信端末であると。そういうことが今の世界の潮流になりつつあるということを見ていただくために、ちょっとアイフォンを見ていただきました。

 十九ページでございますが、教育とインターネット、もちろん、影の部分に対しては、違法有害情報等に関しては私どもしっかりと対応していきますけれども、将来の若者に、青少年に、いわゆる自分たちの社会的自立といいますか、そういうものを持たせるためには、二十ページでございますが、有害情報に傷つけられることなく、子供がインターネットにアクセスし、世界じゅうのさまざまな情報に触れることができる日本の青少年育成環境を整備すべきではないか、それをぜひとも御議論賜りたいということを最後に申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

末松委員長 ありがとうございました。

 次に、国分参考人にお願いいたします。

国分参考人 インターネット協会の国分でございます。

 ちょうど一年ぐらい前にこの委員会にお呼びいただきまして、さらに昨年の五月に、法律ができる直前でございましたが、さまざまな意見を述べる機会を与えていただきました。まず、そういうことに対して感謝いたします。

 きょうもお呼びいただいて、責任が重大だなと思っているわけでございますが、四月から法律が施行されて、その前と後で何が変わったのかという事務局からの要請でありました。

 三月に東京都が、フィルタリングに関する実態調査の結果を発表いたしました。これはサンプリングの数が三百ぐらいでそれほど大きくないんですが、フィルタリングサービスの加入状況ですが、新規契約時に加入した保護者は五割とか、その後に解除した保護者は四%、加入した保護者は一一%。

 未加入者で、昨年秋以降、事業者からの加入勧奨後の加入状況。事業者から加入勧奨があって、その結果加入したという答えが二割、二〇%、加入しなかったが八〇%なんですね。

 加入勧奨後もフィルタリングサービスに加入していない理由というのは、親の方にも問題が相当あるなという感じがするんですが、子供を信用しているが三七%である、サービスを勧めていることを知らなかったというのが三二%。

 フィルタリングサービスへの加入が進んでいないと思う理由は、よくわからないというのが四五%、それから、仕組みが不十分で、きめ細かい設定ができない、これが三六%という結果が発表されました。

 四月になりまして、四月一日が施行日なんですが、その次の日か次の次の日、警視庁が、先ほど携帯事業者の方から御紹介があったEMAの認定サイトで出会い系の書き込みがいろいろあるというので、それに対する削除要請を行った。

 そういうことがありまして、私は、昨年の六月末にとにかくフィルタリングを普及促進させるための青少年ネット環境整備法をつくっていただいたというのは、十二年以上フィルタリングの技術開発と普及をやってきた立場から見れば、この委員会の皆様方に非常に感謝をしなければならないんですが、まだまだこれからも努力をしていかなければならないと。

 兵庫県の青少年愛護条例は、パブリックコメントがもう済んで、議会も通って、平成二十一年七月一日から、もしフィルタリングサービスを利用しない場合には理由書を提出しなければならないとか、それから事業者が保護者にちゃんと内容を説明して説明書を交付しなければならないと、一歩踏み込んで具体的に言っているわけですね。

 これも、ドラフトの段階で県の担当者からいろいろ相談があって、向こうでもいろいろお考えでこういうふうにされたと思うんですが、やはりさらなる努力が必要ではないかと。後で出てきますけれども、例えば標準未成年プランというようなものもやはり携帯各社でいろいろ御検討いただきたいなというふうに思っております。

 それから、二ページ目の一番最後に書いてあるんですが、携帯専用サイトというのを子供たちは主に利用しているわけですが、サイトそのものはインターネット上にあるんですが、それへのアクセスが携帯電話機からしか行えないように設定されているサイト。

 携帯電話機でアクセスするわけですから、インターネット協会が運営しているホットラインセンターでも、通報がありまして、携帯専用サイトですと、やはり携帯電話機で操作をしながら検索をしたりとか違法情報、有害情報を調べたりするわけで、非常に苦労しているわけで、こういうところはサイト運営者、携帯事業者にもっと協力をお願いしたいなというふうに思っております。

 次のページをあけていただきまして、CGMサイトと言われる掲示板のようなサイトの場合は、利用者がどんどん書き込むわけです。法律に違反しているような書き込みとか、それから、他人、ほかの子供たちに対するいじめとか個人情報をリークするとか、そういうことがいろいろ起こって、サイトの管理者が相当しっかりしないといけないんですが、管理者だけでは一〇〇%いろいろそういうところをきれいにするというわけにもいかないものですから、保護者とかそれからフィルタリング事業者とか、いろいろな方々がおのおのの立場で、やはりこれからもっとそういうところの問題を減らしていく努力をしなきゃいけないなというふうに考えているところでございます。

 それから、その次の、下の方にあります標準未成年プランというのは、例えば、子供が一たん携帯各社が御提供されるフィルタリングサービスを契約したとしても、使える機能は、年齢によって、小学生、中学生とか、高校生ぐらいになれば違ってきますので、ある程度自動的に子供たちの成長に合わせて対応できるようなプランということも、一つのアイデアといいますか例でございますが、これは千葉大学の藤川先生の御提案のプランなんですけれども、そういうことも携帯各社に御検討いただければ非常にうれしいなというふうに思っております。

 その次のページは、これは携帯のフィルタリングとは直接関係ありませんが、インターネット協会が運営している、インターネット上の違法・有害情報についての利用者からの通報を受け付けることをやっているわけでございますが、平成十九年と平成二十年と比べますと、着実にふえている。

 これは、違法情報、有害情報がふえたからというよりも、ホットラインセンターの認知度が高まったという面と、薬物のサイトとか、携帯電話機を売りますとか銀行口座を売りますとかという、携帯専用サイトに結構そういう書き込みがあるものですから、そういうものの増大ということと重畳してこういう結果になっているんだろうと思っております。

 それから、インターネット・ホットラインセンターの運用が、やはり社会的に問題になるような新しい事件がどんどん起こってきますものですから毎年改訂をしておりまして、ことしの三月三十一日に発表して四月一日から施行した改訂部分では、出会い系サイト規正法が改正されて、昨年の十二月からですが、今まで対償を供与すると言って異性交際を誘引していたものにプラスして、対償の供与をしなくて、特に言わなくて異性交際を誘引するという部分も、出会い系サイト規正法の中でそういう条項がありますものですから、それに対しても対応できるようにしました。

 それから、昨年の六月ですが、携帯電話の不正利用防止法というのが改正されました。この中にも関係の議員の皆様もおられると思いますが、携帯電話機というものの定義が、昔の携帯電話機というのはSIMカードがなかったものですから、SIMカードが携帯電話機の一部というふうに法律上とらえられていなかったんですが、これも規制対象になりましたものですから、それに対応してガイドラインを改訂いたしました。

 それから、毎年のように自殺とか何か新しいトピックが出てきて、公序良俗に反する情報として対応を迫られるわけですが、昨年ぐらいから硫化水素ガスの自殺の事件がたくさん起こりまして、硫化水素ガスをつくって、自分で死ぬのは人命救助の観点からいえば少し問題なんですが、第三者がそれを吸って命を失うというのは非常によくないものですから、公序良俗に反する情報として追加いたしました。

 米国でも、去年の夏、八月ぐらいに、車の中で硫化水素ガスを発生させて自殺した人が出てきて、これは日本の模倣だという報道がありました。

 それから、ちょうど一年前お呼びいただいたときに御紹介した、子供たちのリテラシー向上のための「ルールとマナー検定こどもばん」というのをやっておりまして、昨年は六万人ぐらいだったんですが、もうそろそろ十万人に近づいていますという現状報告でございます。

 とりあえず、以上でございます。(拍手)

末松委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

末松委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江崎洋一郎君。

江崎(洋)委員 自由民主党の江崎洋一郎でございます。

 本日は、お忙しい中、参考人の先生方におかれましては、当委員会に御出席を賜りまして、お話を聞かせていただく機会をいただきました。まことにありがとうございます。

 インターネット上におきます急速にはんらんする有害情報から青少年を守っていく、こういったことは当然待ったなしの問題でございます。また、国、民間が協力し合って、全力を挙げてスピード感を持って取り組んでいくことは、大変強く私自身も感じているところでございます。

 そこで、昨年六月の、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律も、このような強い問題意識に基づいて、一刻も早い施行を私自身も待ち望んできた次第でございます。

 法律の制定によりまして、各方面で取り組みが進んでいることにつきましては、高く評価をしておるところでございます。本日も、その努力の成果をお聞かせいただき、まことにありがとうございます。

 本日は、携帯電話各社さんを含めた関係事業者の方々のさらなる取り組みにつきまして、推進姿勢、あるいは課題、方策等について、私自身、利用者の目線からお伺いをしたいと思います。

 まず、そもそも昨年法律が議員立法でできた背景につきまして、立法提案者の一人としてお話をさせていただきたいと思います。

 なかなかフィルタリングの普及が進まないということにつきましては、やはり使い勝手が悪いということが当時も相当議論されたわけでございます。その結果として、利用が進まないで、青少年の健全な成長が脅かされているんじゃないかということが議論になりまして、この立法のきっかけになり、また、この委員会におきましても、盛んな、積極的な議論が行われてきた背景がございました。

 具体的には、携帯電話会社さんが提供する一律のフィルタリングしか利用者には選択肢がなかったこと、フィルタリングを使用すると、携帯電話会社が認めたサイトやコンテンツ以外が一切見ることができない。この結果、例えば、サッカークラブや塾の掲示板が見れないとか、あるいは、ちょっと固有名詞になりますが、ディズニーランドのサイトが見れないとか、子供たちにとって有用な、必要とされているようなサイトが見れなくなったということから、結果として、こんなフィルタリングは使えない、そして、フィルタリングをつけるぐらいなら携帯電話は要らない、こういった子供たちの意見に発展する等、フィルタリング普及に大変困難な、難しい環境があったと言わざるを得ない状況であったと思います。

 そのような状況であったからこそ、携帯電話各社さんのビジネスモデルにも原因があるのではないかというようなことも指摘がされたわけでございます。そういった意味で、どうしたら携帯電話会社各社さんが一生懸命フィルタリングの使い勝手の向上に努力していただけるんだろうか、そういった観点から、少し強いですが、規制的な措置の導入も含めて法案作成の議論が行われたということがございました。

 その中で、青少年の保護と表現の自由の確保という二つの公益のバランス、こういった観点から、結果として、法律では、携帯電話各社さんには青少年有害情報フィルタリングサービスを提供いただく、提供義務を課すということと同時に、法律の第二十条において「フィルタリングサービスを提供する事業者は、」「閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。」さらには、「フィルタリングサービスについて、その性能及び利便性の向上に努めなければならない。」という条文を入れさせていただいたわけでございます。

 これは、先ほど来御議論になっております青少年の発達段階や各御家庭の教育方針に応じて柔軟にフィルタリングの水準の変更を可能とするとともに、利用者にとって、わかりやすく、また使いやすいフィルタリングにするということを求める趣旨でございました。

 携帯電話各社さんは、フィルタリングを青少年に対して提供するということに取り組まれておりまして、先ほど御報告をいただいたわけでございます。しかし、まだ利用者の声の中からは、必ずしも、現状において使い勝手がよくなっているという評価がすべてされているかなというと、そういうところではないというところが、きょうの質問をさせていただく問題意識の前提となっているところでございます。

 先ほど、ソフトバンクさんはこの夏から年代別の提供もされるということでございましたが、総じて現状のカスタマイズというのは、御家庭で気軽に、どのサイトがよくてどのサイトが悪いのかとか、保護者の方が全部そのサイトをチェックするというのは不可能でありますので、そういった意味での何らかの目安になるパッケージとか、あるいは年代別のパッケージ、こういったものが提供されて初めてだれでも安心して簡単に使えるなというような水準に引き上がっていくのではないかというふうに感じますが、まだまだその途上にあるのかなという心配をしている次第でございます。

 法施行もこの四月一日からということでございましたので、私どもも、ある程度の準備期間をこの法施行までの間置かせていただいたという趣旨も、当時皆さんからの御要望も賜りまして、させていただいたわけでございます。そういった点を含めて、後ほどまた御意見をいただきたいと思います。

 また、先ほど各社さんから、フィルタリングサービス提供が全体像としてはふえているというお話もいただきました。実際にグラフでその現象は拝見しているわけでございますが、ここで、文科省の調査がございますので、少し詳しく見てみたいと思います。

 この調査によりますと、携帯電話を所有している世代別の加入者数というものをあらわしているわけでございますが、小学生は非常に高い、六三・三%、中学生は四三・二%、しかし高校生になってしまうと一五・六%ということで、年齢が上がっていくにつれて加入者数は逆に減ってしまうという、本来高校生には必要なんではないかなと思うんですが、その世代の普及率が非常に低いということがこの調査であらわれているわけでございます。

 また、このお子さんたちにフィルタリングの必要性について質問をしてみますと、本当に有害なサイトだけ見られなくなるのであればフィルタリングが必要だという回答が、小学生は三八・九%、中学生は五〇・四%、また高校生に至っては五八・六%ということで、年齢が上がるにつれて、本当に見られないものだったらフィルタリングは必要だよと高校生も答えているわけでございます。そういった意味で、フィルタリングの必要性がやはり認められてはいるんだと思います。

 しかし、使い勝手が悪いということで、結果として、なかなか必要な世代にも普及していっていないというのが現実ではないかと思うわけでございます。

 そこで、まず国分先生にお伺いをいたしますが、本来であれば、フィルタリングは、青少年の発達段階や御家庭の教育方針に従い、きめ細かくカスタマイズされるということが重要だというふうに考えますが、先ほどさわりを御説明はいただきましたが、先生におかれまして、現在のフィルタリングの使い勝手あるいはカスタマイズのしやすさについてどのように評価されているか、恐縮でございますが、簡潔にお話をいただけますでしょうか。

国分参考人 現在、携帯各社さんは、フィルタリングサービスをまず提供されて、いろいろな加入の努力をされていると思いますが、これは第一歩といいますか、まだ基本的なサービスを開始したという段階だというふうに私は認識しております。

 これからもっともっといろいろ努力をしていただきたいなというふうに思っておりますが、三年ぐらい前に、総務省の方の技術開発プロジェクトで携帯フィルタリングの技術開発をしておりまして、そのときは、携帯の各社さんとフィルタリングソフトメーカーの方々の御協力をいただきまして、技術のデモンストレーションとしては、もうちょっと多様なサービス、それからカスタマイズができる、パソコンでできるようなサービスを携帯でも実現できるということを皆さんにお示ししたわけでございます。

 ですから、実際に携帯のネットワークとインターネットをつなぐところのゲートウエーにそれを直ちに導入するというのは大変なことかもわかりませんが、いずれは、そういうふうにステップ・バイ・ステップで改善の努力をしていただきたいなというふうに思っております。

江崎(洋)委員 着席でということだったので、着席のままお話しさせていただきます。

 今、これからさらにフィルタリングの機能を上げていくということで期待をされるということでございましたが、私は、少し技術論として、広げるためには、携帯電話各社さんがゲートウエー上でフィルタリングをしている、これがやはりある程度フィルタリング機能の制約になってしまっているのではないかという指摘をされている技術者の方もいらっしゃったということで、その点につきましてお伺いをしたいんです。

 再び国分先生にお願いをしたいと思います。

 一つ目は、携帯電話のフィルタリングのバリエーションが少ない原因として何が挙げられるのか、今のゲートウエーなのか。また、携帯電話会社各社さんがゲートウエー上でフィルタリングを行っているということに関しまして、改めることは本当に難しいことなのかどうか。

 そもそも、フィルタリングの技術というのは、携帯電話特有のもので携帯電話会社しか行えないというふうには私は感じておりませんが、その点につきまして、恐縮ですが、ちょっと時間もございませんので、短目に要点だけお話をいただければと思います。

国分参考人 ゲートウエーでやるために、フィルタリングのサービスのカスタマイズとかが非常に難しくなっているという面があると思います。例えばブラックリスト一つとっても、いろいろな価値観の方がおられますので、その御両親の価値観に基づいた形のものを採用するとか、多様性はいろいろ考えられると思います。

 技術的には、携帯電話特有のフィルタリングサービスというようなものはない。基本的にはPCの方が進んでいますから、そういうものを取り入れるシステム構成なり何か技術開発をもっともっとやっていただければ、使い勝手がさらによくなるというふうに考えております。

江崎(洋)委員 多様性確保のためにも、ゲートウエー上で携帯電話各社さんが一括して行っていくということについては、一つの考えとしてですが、改めていく可能性もあるのではないかと私は感じております。

 フィルタリングサービスを提供できる事業者は、当然、携帯電話会社さん以外にもあるわけでございます。いろいろな事業者が携帯電話のフィルタリングサービスに参入して、競い合うことによってフィルタリングの使い勝手を向上させていくということも可能ではないかというふうに感じている次第でございます。

 この法律の立法過程におきましても、この事実に同意をいただいた携帯会社さんもあったわけでございますが、まだなかなか実施いただいていないということでございまして、その点は、ちょっと残念には思っている次第でございます。

 また、フィルタリングで使われるブラックリストとかホワイトリストとかのデータベースを一つの事業者だけが提供していることも利用者の選択の余地を狭めているのではないか、また、表現の自由とかの関係でもいかがなものかと感じている次第でございます。

 そこで、携帯電話各社さんにお伺いしますが、青少年を守るとか利用者のフィルタリングの使い勝手を確保するという利用者の観点だけに立ったときに、フィルタリングサービスは本来どのようにあるべきか、理想的な姿について質問をさせていただきたいんです。

 現在のゲートウエー上でのフィルタリングが利用者にとって最も望ましい姿なのでしょうか。恐縮ですが、時間がございませんので、簡潔に一分程度でお話を聞かせていただけますでしょうか。

加藤参考人 ドコモの加藤でございます。

 今、理想的かというと、そうではないと思っております。

 ただ、私ども、この一月からカスタマイズを含めて、法施行を含めて四月から始まっておりまして、お客様の声もいろいろでございます。もっと強く、いや、もっと弱く。いや、あけてほしい、あけてほしくない。いろいろございます。

 私どもは、ブラックリストをデフォルトとして、それをベースに、カスタマイズという形であけたり閉じたりということ。ある意味では、既製服があります、一方ではオーダーメードの機能も持っています。ただ、今先生おっしゃいましたように、その間に、イージーオーダーのように、小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生はこういうものがいいんじゃないでしょうかという提示の仕方もあろうかと思っています。

 何分、私ども、システムをやっとつくり上げまして、運用がまだ浅うございますので、これから運用をしながら、いろいろ私どもも知恵を出そうと思っておりますけれども、お客様の声を第一にしながら、御指導いただければと、このように思っております。(江崎(洋)委員「そこは、ゲートウエー方式を少しまた改善していこうというお考えもあるというふうに受けとめてよろしいですか」と呼ぶ)

 そうでございますね。まずは、そのゲートウエーのところでやらせていただきながら。これはブラックリストと関係します。それで、一方では、携帯電話の性能、機能が、CPUにおきましても、メモリーにおきましても、御案内のとおり、パソコンのように高度、広範囲ではございませんので、その辺のところを見きわめつつの話になろうかと思います。

長尾参考人 KDDIの長尾でございます。

 先生からのお尋ねでございますが、今の状態は、先ほど申し上げましたように、スタートしたばかりで、十分なものとなっているというふうに思っておりませんし、これからさらに進化をさせていかないといけないというふうに思っております。

 そういった中で、ようやくお客様の、本当にフィルタリングサービスを使った結果としての評価というのが今出始めたところでございまして、実感として、やはりホワイトリストでは使い勝手が非常に悪い、あるいはブラックリストでもまだまだ一部問題があるといったような声をたくさんいただくようになっております。

 そういったものをぜひ反映させながら、できる限りきめの細かい対応ができるカスタマイズ機能というのを今設計し、取り組んでいるところでございます。まずは、それを立ち上げることによって、またお客様の反応も見ていきながらということが、ちょっと足が長くなりますけれども、今は我々にとって大切なことだというふうに思っております。

 それから、ゲートウエー上でのということにつきましては、やはりゲートウエーであるからこそ、例えばパソコンのようにウイルスの問題ですとか、あるいはスパムメールのような問題というのがかなりゲートウエーで排除できているといったようなよさもありますし、それぞれのよさをよく考えながら、多様性といったようなことについても考えてまいりたいというように思っております。

 決して、今のもの、あるいは今のフィルタリング事業者のもの、これに限定しているわけではございません。これからの状況、お客様の反応といったようなものを取り入れながら、柔軟に対応をしていきたいというふうに考えております。

嶋参考人 今江崎先生おっしゃった方向性、つまり、どんどん進化させていくべきであるということは全くそのとおりでございまして、日々、進化に向けて頑張っておる次第でございます。

 江崎先生、非常に技術にお詳しいと今拝見しましたのでお話し申し上げますと、御存じのように、携帯とパソコンというのは、スマートフォン等の一部を除きまして、現時点では、携帯端末側だけでフィルタリングを完璧に行えるほどの能力はまだないです。もちろん、いずれ、スマートフォン、このアイフォンというのがどんどん進化していった場合には、それはあり得るかもしれません。

 ただ、一点、それでどんどんどんどんやっていくということはあるんですけれども、そのコスト負担をどうするかという議論が出てくるんですよ。今のところは、フィルタリングに関しましては無償でやらせていただいております。今、特に家計ということを考えたら、とにかく通信料金というのはできるだけ安い方がいいということは事実としてあると思うんですね。

 したがって、その観点と、それから技術の進化というものをきちんと考えないと、これはなかなか、こうだというのは今のところ言えないというふうに思っている次第でございます。

 ただ、今江崎先生おっしゃったように、いろいろな形でフィルタリングリスト会社、今のところはN社と、もう一つD社というのがあるんですが、私ども、両方ともお話を承りまして、当然、競争が必要であるということで、比較検討をした上で今の形を選定させていただいている次第でございます。

 以上です。

江崎(洋)委員 もう時間になりましたので、ちょっと最後、感想だけ申し上げさせていただきます。

 フィルタリングサービスをゲートウエー上で、携帯電話さんだけじゃなく、他の事業者さんも、あるいはフィルタリング各社さんが競争し合えるような、結果として、さらなるカスタマイズが進んでいくのではないか。先ほど利用者負担のお話もございましたが、しかし、競争によってコストが下がるという現実もあろうかと思いますので、ぜひそこはチャレンジをしていただきたいというふうに思います。

 その上で、さらに、経営計画の中でも、こういった一つの視点の中で、すぐに実現できるかどうかは別にしても、ぜひ短期間で、他方で、青少年を守るという意味で、このフィルタリング機能の向上をお願いしたい次第でございます。

 余計な話ですが、立法の趣旨としましても、三年以内の見直し条項というのもついておりまして、今は業界の皆さんの自主性を尊重させていただいた法律になっております。政府が過度に規制をする必要はないとは思っておりますが、しかし、他方で、裏返して、子供たちの安全ということもあるわけでございます。そういった意味で、フィルタリングの使い勝手の向上、これは不可欠な課題でございます。立法経緯を踏まえて、ぜひ皆さんの御努力、さらに推進をお願いしたいと思います。

 また、こういった状況につきまして、委員長、ぜひお願いでございますが、年に一回ぐらい事業者の皆さんにおいでいただきまして、状況というものをまたヒアリングさせていただく機会をぜひともお願いを申し上げたいと思います。

 青少年保護のために、今後ともフィルタリングの使い勝手と性能の向上に、ぜひ皆様のお力をもって向上をいただくということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

末松委員長 江崎君の御提案については、また理事会でも諮らせていただきます。

 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 座らせていただいて質問させていただきたいと思います。

 四方の参考人の皆さん、ありがとうございます。大変貴重な御意見、また先進的なお話を聞かせていただいたと思っております。

 国分参考人から、最初に、やはりまだまだフィルタリングが進んでいないという話がありました。その中で、親の理由、子供を信用しているだとか、サービスを知らなかったというような御意見があるということを承りました。

 三社、事業者の皆様に御質問したいわけですけれども、それぞれ、現在の統計状況を見て、フィルタリング、今後、まだまだデータが足りないかもしれませんけれども、やはり一定程度フィルタリングが不要という親もおられるということがあると思うんですが、そういったところに対してさらにアプローチをしていくとして、どのようなアプローチが考えられるのか。

 先ほど、嶋参考人の方からは、十七条のお話、これは十七条と十九条の、携帯端末とパソコン端末の融合みたいなことの観点がありましたが、例えば、想定はしたくありませんが、十七条においては、親が申し出をした場合はこの限りではないということがあるわけですけれども、本当に、なかなか利用が進まなくて被害が多ければ、そういったものも場合によっては変えていく必要も出てくるのかもしれない、しかし今は余り想定はしたくないという中で、今後の状況も予想しながら現在どのような認識を持たれているか、三社の方、それぞれお願いいたします。

加藤参考人 加藤でございます。

 私ども、まず、デフォルトとしてはブラックリスト方式を御採用いただく、親御さんの反対がある場合はそれを外す、今おっしゃったとおりでございますけれども、その背景等々何回もいろいろなところでいろいろな媒体でお知らせするとともに、御加入のときには少し厳し目の御提示等々の仕組みをとり、再度再考をいただくような時間というのを設けております。

 一方では、一般論ではございますが、ケータイ教室という形で、その危険性でありますとか、危険なことだけではなく光の部分もございますので、それも含めた形で、トータルな、リテラシーを上げるという観点からも説明するところでございますけれども、一方では、そういう影の部分もあるということもはっきりと世論として盛り上げていく必要があろうかと思っていまして、ベースの話と個別の話とで、二本立てで今のところいくしかないかなと思っております。

 ただ、これが効果を余り上げてこないということになりますと、またいろいろな、先ほどのカスタマイズの工夫でありますとか、もう少し技術でできるものがあるならばということで研究を進めたいと思ってございます。

長尾参考人 先ほど少し御説明をさせていただきましたけれども、例えば、小学生ということに限定した場合には、やはり、よしあしの判断力がまだないということも前提としてございますので、私どもはホワイトリストを採用しております。

 それで、現在、利用率が約八二%ぐらいになっておりますけれども、これは、小学生の名義、あるいは親御さんの名義になっていて小学生が利用されている場合、この両方ありますけれども、二割のお客様がホワイトリストのフィルタリングサービスを適用しないでほしいという御申告があって、残り八割は、ぜひ採用をということではなくて、もちろん、採用してくれというお客様もあれば、全く御回答がないお客様もあるわけで、そのお客様には自動的にホワイトリストの利用を適用するということで現在行っておりますので、ほぼ、その二割の拒否されたお客様以外は全部入っているということでは、一つの上限だろうというふうに思っております。

 それで、先生のお尋ねですけれども、拒否された二割の方が、十分に理解されていなくて拒否されたのか、あるいは、子供の名義にはなっているけれども実は親が使っているんだといったような例も中にはあるものですから、そういったところでいえば、ちょうどドコモさんがお話しになりましたように、やはり息長く、フィルタリングサービスあるいは有害情報というのはどういうものなのかといったようなことを御理解いただくような形でのコミュニケーションを続けていかないといけないのかなというふうに思っております。

 また、来年、再来年と、毎年毎年新しい入学児童を持つ親御さんも入ってきますし、それ以前はほとんど関心を持っておられないという方もありますので、これもやはり、我々も根気よく続けていきながら利用率を高めていくということだろうと思います。

 さらに、中高生のブラックリストということになれば、これは、先ほど申し上げましたカスタマイズ機能をいかによく御理解いただいてそれを活用していただくのかということで、できる限り早くこのカスタマイズ機能を導入することによって、そういったところへの御対応に対しても対策を打っていきたいというように考えております。

嶋参考人 泉先生にお答えいたします。

 当然、私どもも鋭意努力をいたしていきます。私が皆様と同じ立場にしばらくの間いた人間としていつも企業の中で言っておりますのが、エンライテンド・セルフインタレスト、企業というのは、当然株主の責任を果たさなければいけませんので、いろいろな形で利益の追求をしますけれども、啓蒙された自己利益でなくちゃいけないという発想のもとでやっておるわけであります。

 したがって、このフィルタリングは一生懸命やらせていただいておりますが、これはまさに、国会での御議論が必要になってくると思います。いわゆる自由というものと、それから青少年の保護というものと、そのバランスというのはどの辺かというのは、私どもが考えるのはなかなか大変でございます。

 私どもが提供できますのは、できる限りフィルタリングというものを、今ですと、例えば私の娘が、私事で恐縮ですが、ちょうど青少年に当たりますので、もし完全にすべていわゆるSNSが使えなくなったら暴動が起きるよなんということを言っていました。そういう意見もあるわけですね。

 フィルタリングというのは、先ほど江崎先生のお話で、高校生でも、きちんとしたフィルタリングであるならば五八・六%の人がそれを使うとおっしゃっているという文科省の数字がありますので、我々は、ともかく、年齢別も含めて、できるだけ信頼が置かれるフィルタリングを開発いたします。

 そのときに、自由とか青少年の保護とか、そのバランスは、ぜひともこういう国会の場で御議論をいただく、しかもオープンに。国権がすっとすぐ決めるんじゃなくて、これは非常にいい形だと思います、前回の議員立法でも、いろいろな御意見を話させていただきながら決まりましたし。これから、そういうのをぜひオープンな場で議論して、一体どれが有害で、どれがそうじゃないのか、そういった形で、フィルタリングというものを多くの方々が信頼をして、あるいは信頼したり使うのはすばらしいと思っていただければ、自然と普及していくというふうに思っております。

泉委員 ありがとうございます。

 フィルタリングは、かなりいろいろな段階が、今後さらに細分化していくんだと思いますけれども、親御さんも、全体として二割ということで、これは恐らく年代によっても随分違うのかなというふうに思うわけです。

 そういう意味で、きょう、国分参考人の方から出していただいた資料の四ページ目のところで、メールについても段階があってもよいのではないかという出典がございました。これも確かに一案だなというふうに思います。

 やはり、何事にも段階というものがある、成長段階に合わせたものをということを考えてもいいのではないかと思いますけれども、これまた三社同様の御意見であればお三方すべての御意見を聞くのも大変恐縮なんですが、メールに対してどう思うか、簡潔にそれぞれ御見解をお願いいたします。

加藤参考人 ありがとうございます。

 メールにつきましては、少し旧聞に属するかもしれませんが、やはり迷惑メールという時期を私ども通過してきてございまして、それにつきましては、メールのいわゆるフィルタリングといいましょうか、迷惑メールのブロックの仕方というのを大分議論したり工夫したりしてきてございまして、今のところ、ある程度のところに来ているのではないかと思っていまして、それはそちらの方で、これとは別に対応できるのではないかと思っています。

 もちろん、先ほど申しましたように、イージーオーダーのように何かセットにするという考え方はあろうかと思いますけれども、今そういう機能はある程度でき上がっていて、さらに改善が必要ならばするということにしながらも、これと今はすぐにドッキングということにはならないのではないかと思っております。

長尾参考人 長尾でございます。

 メールについては考え方が二つあると思うんですけれども、一つは、今ありましたような外からどんどん入ってくるメールに対してどうブロックするのかという話と、それから青少年自身がお互いにやりとりするメールの話というふうに、二つあると思います。

 それで、一つ、迷惑メールですとかそういった有害な情報がメールとして送られるとか、あるいは何がしかの勧誘がされていくだとか、こういったようなものについては、やはり長い間このブロックの技術の連続でして、ずっと対策をとってまいりました。今ほぼシャットアウトできるような状態まで来ているというふうに思っております。

 もちろん、お客様自身でも特定のアドレスのものしかメールとして受信しないであるとか、そういったような形での機能もできておりますので、そこの部分は、外部からの有害なメールによる情報というものは、ほぼ解決ができてきているのかなと。これも、新しい技術で網をくぐってまた新しいものが出てくれば、またそれを防いでいくというようなことの連続だろうというふうに思います。

 それから、青少年同士のメールのやりとりという話になった場合には、当然信書の秘密の問題等々も絡んでまいりますので、そこの内容に我々が立ち入ることはできません。

 したがって、やはりこれも親権者のあれになるわけですけれども、Eメールは使えないといった利用制限、インターネットに入っていくようなメールですね、それでショートメッセージの簡単なメールだけはやりとりができるとか、そういったそれぞれの段階に応じてガードがかけられるようなものは整備として用意しておりますので、それに合わせて御利用いただいて、必要以上に使っていかないだとか、あるいは大量のメールを送っていくことをセーブしていくだとか、そういったことで対応しているというのが今の状況でございます。

嶋参考人 前二社とほとんど同じ対策はしておりますが、もう一つ、さらに加えて言いますと、今、お子さんの方が、深夜までメールをやり続けているとか、夜、布団の中でもメールが来たら返さなくちゃいけないとか、そういうことがあるという話を聞いております。

 これは、私どもも、恐らくほかの二社さんもそうだと思いますが、時間帯制限機能というのがあるんです。御家族の方がこの時間は使わせないようにすると言えばもうそれでとまるわけなんです。それをやるような、私どもでいうとファンファンというんですけれども、そういうような機能制限端末などというのも用意されておりますし、私どもも社会的責任の一環として用意しております。

 ただ、なかなかお子様方がそれを好まないということがあるんです。私ども一生懸命、特にうちの代理店で、すべてお客様に、例えばこの方々は青少年だなと思ったら、わざわざこれどうですかとお勧めするんですが、いろいろなところでテストマーケティングもやってみたんですけれども、なかなかお子さんの方が余り好まれないというところは現実としてございます。

 ですから、例えばですけれども、これまた御議論賜れるといいんですけれども、御両親がこれがいいとおっしゃるならということで、昔でいうと推奨マークというんですか、これはいいですよみたいな、安全安心マークとかいうんですか、そういうようなものがありますと私どもも勧めやすいかなというふうに思っておる次第でございます。

泉委員 ありがとうございます。

 いろいろとお話をお伺いしていながら思ったわけですけれども、実際には、子供自身が悪いことを発明するというか考え出すことは余りなくて、ほとんどは大人社会の悪いさまざまな問題が子供に降りかかってきているということだと思うんです。ですから、ひとえにやはり大人の責任が一義的ではないのかなというふうに私は思います。

 その意味で、やはり教育の中で利用していくということなんかも大人の責任として積極的にやっていかなくてはいけないなというふうに思っていまして、先ほど池坊先生のお話も出ましたが、私の地元京都で、今、携帯の利用について、随分京都市の方もPTAですとかを巻き込んだ形でこの利用の研究を進めております。

 私の母校の附属校である立命館小学校、こちらの方では、先ほど嶋参考人からお話があった電子黒板、これを全教室で使っていて、大変授業の展開が早くて、恐らく一こまの授業で三こま分、四こま分ぐらいの授業が進んでいる。そしてまた、その黒板と端末が連動をして、個々の子供たちの吸収が非常によいという形で、正直言いまして、今後六年間教科書を配付していただくコストと一台の端末を持つことのトータルコストが、果たしてどちらがいいのかということも真剣に考えていかなくてはいけないんじゃないのかなというぐらいに思うわけですね。

 そういう意味では、これから端末の利用というものを積極的にやっていく方向で考えたいというふうに思っておるわけですが、先ほど嶋参考人の方から御指摘のあった十七条と十九条、この問題について、ソフトバンクさん以外の二社さん、もし御見解があれば、現時点のもので結構ですけれども、お願いをできればと思います、余り今まで触れられていなかった問題かもしれませんが。

加藤参考人 ドコモの加藤でございますが、十七条と十九条というのが不明でございまして、申しわけございません。

泉委員 簡単に言いますと、十七条の方は、携帯ですとかPHS端末、こちらの方でフィルタリングサービスを利用するという書き方になっているわけですね。一方で、十九条の方では、携帯やPHS端末を除いて、簡単に言えば、パソコン端末みたいなものの場合はそこにフィルタリングソフトウエアを組み込むことが条件になっているという違いがありまして、恐らく先ほどのソフトバンクさんの事例でいえば、もうお互いの境目がなくなってきているという状況でいうと、こうした、法的に分けて仕組みが変わってくるというのは、もう変えることも考えなくてはいけないのではないかということなんです。

加藤参考人 申しわけございません、不明なところがございまして。

 キーワードは、やはりスマートフォンと言えるかもしれません。携帯電話というのは、電話から出ておりまして、私どもですと、iモード等々でウエブに接続できるような機能を具備しながらパソコンに近づいていっている。パソコンの方からは、どちらかというとスマートフォンのような形になっている。

 問題は、先ほども私申し上げましたけれども、CPU、頭脳の部分とメモリーの部分のサイズ、それと性能でございます。それが飛躍的に上がってくるのは今までの技術革新を見ると明らかでございますけれども、フィルタリングに関して、端末側でアプリケーションソフトを動かすという段階にはまだ来ていないのではないか。

 もちろん、そのときには、今のPCの世界のように、あまたあるフィルタリングのソフトの中から自分が一番適当だと思うものを自分の責任において使うという世界はそう遠くないとは思っていますけれども、今はちょっと尚早ではないかというふうに考えております。

 ありがとうございました。

長尾参考人 携帯、それは通信機能つきのパソコンなのか、パソコン機能つきの携帯なのかというところが今の状態でして、行く行くはやはりこれが非常に近いものになっていくだろう。ちょうどドコモさんのお話と同じなんですが、まだまだ携帯の場合には、通信容量の問題、速度の問題ということで、インターネットのものをそのまますべて大量にこなしていくというような状況にはないので、一方でゲートウエーがあって、ある部分、そのゲートウエー側でフィルタリングができていくだとか、あるいはいろいろなものをブロックしていくだとかという機能がある、そのよさというものもやはり携帯の方にはあるわけですから、いずれ携帯電話でもパソコンと同じように大量の情報が高速にやりとりできるというような時代になってくると、もうこれは一つのものになっていかざるを得ないというふうに思いますけれども、まだまだそこには時間がかかるだろう。

 それからもう一つ、携帯のよさということは、当然、あの限られた画面ですので、それほどに大きな容量のものは見ること自身が大変つらいわけですけれども、今現在パソコンの側でそういったセキュリティーを考えていくと、大体三カ月に一度ぐらい新しいソフトを三千円とか五千円とかというお金を払ってインストールしていくというようなことがないと、どんどん新しいウイルスによって侵されていくというのが今のパソコンの状態でございます。

 それを携帯に持ち込みますかという話になると、やはりそれは、お客様の負担からいってもおかしなわけです。ですから、やはり、携帯の持っている機能のよさの中で進化させていく、パソコンと全く同じような負担をお客様にかけていかないというようなことも携帯のよさという形の中で生かしていかないといけないだろうなというふうには思っております。

泉委員 ありがとうございます。

 ベネッセがつい先日出した調査でも、子供たちは、携帯電話の使い方というのは随分ちゃんと自分たちなりに使い分けをしていて、非常にそこら辺はよくわかっているのかなと思います。

 最後の質問になりますけれども、先ほど国分参考人から、携帯専用サイト対策でホットラインセンターが苦労しているというお話がございました。これは実際に協力が必要だということでありますけれども、より具体的に、どんな協力を求めたいかということを教えていただければと。

国分参考人 一番わかりやすい説明では、パソコンで携帯専用サイトにアクセスできるようになればいい。それをやる方式としては、一つは、サイト運営者の方に協力をしていただいて、例外的に、あるIPアドレスのアクセスは通すということも考えられます。あるいは、携帯事業者の方が公開しているゲートウエーのIPアドレスに一つ追加していただくということも考えられると思います。

 サイト運営者、携帯専用サイト側から見ると、普通の携帯電話機でアクセスすると、個体識別番号というのがとれるんですね。ですから、だれが使っているかはわかりませんけれども、どの携帯電話からアクセスしているというのはわかるような機能になっております、現在の普通の携帯電話機は。ですから、それで管理しているということで、そこら辺の設定の問題ですから、サイト運営者の方に協力をして、我々のものは通してくれるとかということも考えられると思います。

泉委員 どうもありがとうございました。

末松委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 きょうは座って質問をということだそうでございますが、立っていないと何か質問がしづらいですが、座らせていただきます。

 四人の参考人の方々には、大変有意義なお話を伺い、本当にありがとうございました。

 嶋参考人は、私、同期の桜でございますね。きょうは、久しぶりにお目にかかれて大変うれしゅうございました。

 嶋参考人がおっしゃるように、携帯電話、インターネットにおける光の部分、私も大いに認めるところでございます。

 今、私たちがインターネットや携帯電話なしに生活しろと言われたら、私は、携帯電話がなかったときの自分を思い起こすことはできないぐらい便利な生活をいたしております。

 また、それと同時に、光の部分とともに、同じぐらい負の部分があるのではないかというふうに私は思っております。判断力が不完全な次世代たちに、きちんとした、良好な環境を与えていくのは、先を歩んでいる人間の義務ではないかというふうに私は考えております。

 例えば、インターネット上の違法・有害情報対策として、インターネット・ホットラインセンター、これは、国分さん、私、大変にお世話になって、何度も何度も会議をいたしましたけれども、ここは、インターネット利用者から違法・有害情報に関する通報を受け、警察への通報やサイト管理者に対する削除依頼を行っていらっしゃいますけれども、通報件数は月に一万件を超えると、私は、調べて聞いております。

 また、ことし四月一日の毎日新聞では、児童ポルノ画像を投稿するサイトに、成果に応じて報酬を支払うアフィリエイト広告を仲介した広告代理店社長を児童ポルノ禁止法違反の幇助で立件したというふうにも言われております。これは明らかに負の部分ではないかと思っております。

 私は、文部科学副大臣をいたしましたときに、メールによるいじめ、それに伴う自殺者が出まして、また、学校の裏サイトなどが問題化いたしましたので、子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議というのを毎回開かせていただいて、いろいろな提言を行い、また、報告書も出したりいたしました。「「ネット上のいじめ」から子どもたちを守るために 見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を」、こういう報告書、後でちょっとお読みいただきたいと思います。国分さんには、そのときには本当に、何度も会議を重ねましたので、お世話になりました。

 また、携帯業者の方々にもいろいろなお話を伺いました。その中で一つ感じましたことは、情報モラル教育が大切なんじゃないか。全国にこのような、「お父さん!お母さん! お子さんのケータイ・ネットの利用は大丈夫ですか?」あるいは「見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を」、こういうものを保護者や先生、生徒たちにも配付いたしました。

 でも、一方で、私が大変むなしさを感じましたのは、そういうことをやりながらも、なおかつ、もちろん特効薬なんかあるわけないんですけれども、どうやったら子供たちを、携帯電話をもっとよく使う、インターネットをもっとすばらしく利用できるような環境に大人たちが導いていくことができるのだろうかと、それができないもどかしさというのをずっと感じたりして今日を迎えております。ある意味で、これは私の一生を通じた仕事ではないかと思ったりもいたしております。

 先ほどからフィルタリングサービスのお話が出ました。青少年インターネット環境整備法において、十八歳未満の青少年が携帯電話、インターネットサービスを契約するときに一応それを受けるということでございます。

 でも、こんなことを四人の方は御存じでいらっしゃるか、ちょっと伺いたいんですが、ことし二月から三月にかけて、未成年に人気の携帯サイト、モバゲータウン、ミクシィなどの運営会社六社に対して、警視庁から、出会い系サイト同様の書き込みがあるとして、削除要請が出ました。

 ことし一月、ミクシィの書き込みをチェックしていた警視庁少年育成課の担当者は驚いた。なぜかというと、出会いというキーワードでサイト内を検索しますと、約六百件ものコミュニティー、サイト内のグループが見つかるそうです。出会いが楽しいとか、出会いが欲しいとか、すてきな出会いを、奇跡的な出会いとか、一期一会の出会いなど、いずれも青少年の心を呼び起こすような、興奮、刺激を与えるようなものなんですね。コミュニティー内には、何と、十六歳から二十四歳の間の交際相手を希望します、中学生、彼氏募集中ですといった書き込みがあったそうです。

 警視庁によりますと、去年、出会い系以外で買春などの被害に遭った十八歳未満の子供は七百九十二人、本家の出会い系の七百二十四人を上回っているんですね。

 今回警視庁から削除要請を受けた大手交流サイトの四サイトはフィルタリングがかかっている携帯電話でも見ることが可能と伺っておりますが、それが本当かどうか、四人の方々に次々伺いたいと思います。

加藤参考人 今お話のございましたそういうサイトが私どものフィルタリングサービスの中で見れるかといいますと、当時、見れておったと思います。

 これは、EMAという第三者機関が、コミュニケーションサイト、これはカテゴリーでいいますと八番目の順番のところのカテゴリーなんですが、私ども、これは、灰色といいましょうか、真っ黒じゃなくて、カスタマイズできる対象にしてございますけれども、一方では、EMAさんとして、社会的にそれは大丈夫だとおっしゃっていただいていますので、それをオープンにしてございます。

 もし何かありますれば、私どものカスタマイズ機能でとめることはできますけれども、それは後先になる可能性もございますので、もしそういうことがあったとするならば、そのときは閲覧ができたのではないかと危惧してございます。

池坊委員 余り時間がございませんので、お三方、ちょっと短目にお願いいたします。

長尾参考人 それでは、KDDIでございますけれども、もう手短にということで。

 今現在でいえば、小学生の場合には、親御さんが拒否されない限りはホワイトリストを全部自動的に適用しておりますので、小学生の児童の方はそこにアクセスすることはできません、私どもの場合。

 ただし、ブラックリストを適用されている中高生について言えば、ドコモさんと同じで、EMAさんの方からそういった審査が出ておりますので、その結果に応じて、この四社についても見られる状態になっているということでございます。

嶋参考人 よく存じ上げております。

 私どもも、公正な第三者機関であるEMAにて事実確認をしているということもよく存じ上げておりますし、今おっしゃったように、モバゲータウン、ミクシィそれぞれ、ミクシィは千六百三十万人の方がお使いになっている、ある意味でSNSの文化を引っ張っているところでございます。そちらの方々も、そういう中でそれがいいサイトとして運営されるように十分努力を重ねておられることも、ミクシィ及びモバゲータウンということではよく存じ上げております。

 同時に、まだそういうことがある。警察庁が、改正出会い系サイト規制法ですか、それに基づいてなされたことは、よく存じ上げておる次第でございます。

池坊委員 申しわけございません、国分さんは後の質問のときに伺いたいと思います。

 今、EMAのお話が出ましたけれども、昨年四月に、携帯サイト業界は、EMA、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構というのを設立なさいましたね。ここでは、学識経験者らが少年にとって有害でないサイトを認定、監視していらっしゃいます。ことし三月三十日現在で二十四サイトが認定されているかと思います。この中には、先ほどのミクシィやモバゲータウンも有害でないと認定を受けているんですね。私は、ちょっと甘いんじゃないかなと思って心配をしている一人です。

 これらのほかのサイトのコンテンツはほとんど有害ではないと私は思いますけれども、これはやはり何らかの対応が必要じゃないかというふうに思うのですが、インターネット協会の国分参考人の御意見をちょっと伺いたいと思います。

国分参考人 実際にそういう書き込みがあったかどうかというのは、私は直接見たわけではないのでよくわかりませんが、CGMサイトと言われる掲示板サイトの場合は、結局、後から何を書かれるかがわからないので、書かれた後、常にそれを管理して、監視していなければならない。それに対応する相当の体制があるということでEMAが審査をして、通しているんだろうというふうに思いますが、ああいう報道があるということは、やはりそれでも体制が足りないんだなというふうに思う次第です。

 例えば、昨年、秋葉原事件で犯人が書き込んだ携帯サイトの会社の方にお話を伺ったんですが、滋賀県にある会社ですけれども、そこは、社員が十人ぐらいなんですけれども、十五万ぐらい掲示板があって、無料のレンタル掲示板のビジネスをしていまして、あの秋葉原事件以後、世の中からいろいろ言われるので、週末とか夜間も、ベンチャーのビジネスを開始したころからおられる経営者が一生懸命見ているとおっしゃっていましたけれども、努力は認めるけれども、結局まだまだそれでも不十分だなと。

 だから、人海戦術だけではなくて、そういうものを自動的に発見するツールとか技術開発のようなものもまだまだこれからやっていかないといけないんじゃないかなというふうに私は思っております。

池坊委員 これは、警視庁の少年育成課の発表ですので、正しい調査でございます。

 もう一つ、これもちょっと驚くべきことで、携帯電話とかインターネットに関係しているなと思いますので、ぜひ聞いていただきたいと思うんですけれども、私は児童ポルノに対しましても大変関心を持っておりまして、アメリカ連邦捜査局、FBIの特別捜査官を招いて、世界の児童ポルノ犯罪の実情について聞いたことがございます。その悲惨さに衝撃を受けましたけれども、恥ずべきことは、日本というのは児童ポルノ大国として各国から強い非難を受けているんですね。

 警察庁は、ことし三月二十六日、総合セキュリティ対策会議二〇〇八年度報告書と題する文書を公開いたしました。今年度の課題は、インターネット上での児童ポルノの流通に関する問題とその対策ということになっております。報告では、二〇〇八年には六百七十六件の児童ポルノ事犯を検挙し、過去最多を記録いたしております。

 同報告書によりますと、海外では既に積極的な対策が行われておりまして、ホットラインセンターの運用による児童ポルノの削除のほか、ISP、インターネット接続業者によるブロッキングなどの対策が実施されております。

 ISPによるブロッキングというのは、アメリカとかイタリーとかオランダとか、いろいろな国がこれを実施いたしております。例えばイタリアとかフィンランドは法令によってISPに対して実施が義務づけられておりますが、義務づけられていないような国もございますけれども、どちらにいたしましても、自主的であれ、みんながそういう問題意識を、各国が持っているわけです。

 私は、これから、携帯電話、インターネット、私たちにとって必需品であるならばもっともっと広まっていくだろうし、もっともっといい使われ方をしたいと願っておりますので、やはりこれは、児童ポルノ犯罪の撲滅には、流通にかかわる方すべての認識と対策が必要なのではないかなという気がいたしております。

 先ほど嶋さんがおっしゃったように、私も泉さんと一緒に、京都でございまして、京都の教育には大変力を注いでおります。こういういい使われ方をするのはいいんですけれども、片方ではそうでないという現実もございます。

 これをお聞きになりましてどのようにお思いになるか、ちょっと皆様方から御意見を伺いたいと存じます。

加藤参考人 ありがとうございます。

 まことにゆゆしき問題だと認識します。

 それぞれのところで、例えば私どもの業界ですと、EMAでありますとか、ブラックリスト、リスト化をするところのネットスターだとか、私ども使っておりますけれども、そういうところで厳正かつ公正に運用されているものだと認識しておりますけれども、もし漏れ等がございますれば、これは携帯業界のみならず、インターネット、パソコン、それと社会全体の問題であろうかと認識いたしますので、私どもも気を引き締めながらこの件については監視し、認識を深めていきたい、このように考えております。

長尾参考人 先生のおっしゃられることに対して全く異論はございません。やはり、取り組んでいかないといけないことだというふうに思っております。

 これは、通信事業者という立場でいくと、どうしてもコンテンツの中身にまでなかなか介入できないということで、実際に我々がチェックできる範囲でということで公式サイトというのを用意しているわけですけれども、もうそのホワイトリストの方式では十分満足できないというお客様がどんどんふえてきているということになると、やはり、そこのところをどう境目をつくってやっていくのかというのが大変問題になってくる部分だろうと思います。

 もちろん、法的な面あるいは制度的なところからも、いろいろな形でやはり考えていかないといけないし、関係者それぞれが全力を尽くしていかないといけないというふうに思っています。

 我々のところでは、できることといえば、やはり、大変ボリュームが多くなってきておりますけれども、我々自身も、公式サイトのチェックを怠りなくやっていくことであるとか、さらには、先ほどちょっと触れましたけれども、より効率的にチェックをできる技術的な仕組みということで、画像を自動的に認識してそういったものを排除していくとか、そういったものの技術開発も、人海戦術だけではどうしても限界が出てくるところがありますので、そういったものについての研究開発もして、実用化にお役立てしたいというふうに考えております。

嶋参考人 全くおっしゃるとおりだと思いますし、今池坊先生から同期だというふうに言っていただきましたし、池坊先生御自身、これをライフワークとしてなさっていくというお話でございますので、微力ながら、いろいろな形でまた意見交換をさせていただければと思っている次第でございます。

 ちょっと一点だけ申し上げますと、先ほどの話に戻りますが、モバゲータウンとかミクシィもそれなりの対策は当然やっているわけでございます。モバゲータウンだと四百人が常時監視しているとか、そういうことだそうでございますが、それでもなおかつ、なかなか難しい、こういう状況であります。

 したがいまして、そういうことに対して、本当に技術的にどういうふうに可能かということをしっかりとやっていくことが必要かというふうに私自身は思っております。

 以上です。

国分参考人 私、児童ポルノで池坊先生が御説明された、総合セキュリティ会議のメンバーでありまして、議論の経過は十分存じ上げているんですが、国際的に児童ポルノの画像を撲滅していくというのは、私どものホットラインが国際組織INHOPEというのに加盟していまして、そこで、国際的に共通して、わいせつの画像なんかは国によって違法か違法でないかいろいろ差があるんですが、児童ポルノについては世界じゅう共通して違法ということになっておりますので、うまく連携してそういうものをどんどん撲滅していくということをやっております。

 それから、ホットラインの中でいろいろ作業をする人が児童ポルノの画像を見ると、すごくメンタルな面で、ショックといいますか、そういう部分もありまして、何とか撲滅といいますか、そういうものが世の中にいっぱい存在しているということ自身はやはり恥だというふうに考えなければならないなというふうに思っております。

池坊委員 報告書においても、今後の対策の課題として、インターネットを通じた児童ポルノの流通を防止するためには、その流通にかかわる方々すべてが、それぞれの立場で対策を講じる必要があると書かれております。

 ウエブブラウザーを利用した児童ポルノの流通経路について見れば、例えば児童ポルノの製造頒布を行う当事者のほかにも、児童ポルノが掲載されるウエブサイトのサイト管理者、サーバー管理者、検索エンジンサービス事業者、インターネットサービスプロバイダー、一般のインターネット利用者など、これらのすべての人が一体となって、同じ共通認識のために、いかにしたら子供たちを守り、そしてよりよい社会をつくっていくことができるか、私は、特に携帯・インターネット業者の方々がその使命と責任を強く感じていただければ、なお一層の、教育分野において、いろいろな分野においての携帯電話、インターネットのよき効用があるのではないかと思っております。

 きょうは本当にありがとうございました。

末松委員長 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 本日は、参考人として御意見をいろいろお述べいただきまして、どうもありがとうございます。

 フィルタリングの利用への理解が一定進んでいることとか、フィルタリングそのものの改善努力はいろいろされているということをきょう伺うことができました。

 私は、きょうは、その問題としてよりも、そもそも的にというか、子供の側で、一体、携帯とかインターネットは今どういう使われ方をしているかという問題で、ちょっと事業者の皆さんに伺いたいと思っております。

 言うまでもないんですけれども、携帯はもう単なる電話ではありませんね。子供同士、親子のコミュニケーションツールですし、本当に子供世界に今やなくてはならないものになっているということであります。

 しかし、一方で、インターネットを通じてのいろいろな危険、いじめ、犯罪等々もあるわけで、子供たちが巻き込まれるということもあります。

 そしてもう一つが、子供が、単にツールというだけではなくて、本当にこれで、友達が欲しい、友達が持てる、お互いを確認し合うという、心理的な意味でもすごく大事なものになっていて、しかし、これがまた一方で、メール依存とか携帯依存とか、先ほど夜中でも布団の中でメールを送るという話がありましたけれども、子供は頭に携帯を縛りつけて寝るとかいう話まで聞いたことがありますけれども、いろいろこういうふうに影響している、いろいろなことがあると思うんですね。

 そういう意味でお聞きしたいのは、携帯が、インターネットと言ってもいいんですけれども、年齢の幅もありますけれども、子供が使うということから考えますと、そのことを、子供の成長、発達を配慮したものでなければならないということがあると思うんですね。

 そういう問題として、子供が使う携帯電話というのはどういうものであるべきなのか、どういう機能を持つものとして必要なのかというようなことが、事業者の中ではどのような議論をされておられるのか、そのお考えもお聞かせいただければと思います。これは三人それぞれに。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

加藤参考人 ありがとうございます。

 私も先ほど説明しましたように、こういうキッズケータイという形でつくるときに、これは三世代目でございますけれども、いろいろ議論いたしまして、またお客様の声もございますので、全く正反対の声もあるのも事実でございますけれども、その中で、どういうものがいいかということで、今のところ、通話とGPSと、全然関係ないんですが、防犯ブザーという形にさせていただいています。

 では、メールはどうなんですかというと、基本的にはこれはメールは使えませんよという形になっています。ただ、親御さんが、メールは高学年になったら使わせたいね、中学生になったら使わせたいねという形ならば、それは使えるようになります。お子さんではできません。親御さんがするようになっています。ある意味では、お子さんの成長とともに機能を成長させていけるというような形にしようということで今の形にしてございます。

 一方では、全くメールが使えない、この三つの機能だけで、こういう成長機能は要らないとおっしゃる方々もおられますけれども、それは、一方ではリテラシーといいましょうか、こういうインターネット環境を利活用していくというものが、英語も含めて、小さいときから必要ではないかという一つの論もございますので、それにも合うような形ということで、今こういう形にさせていただいております。

 ありがとうございました。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

長尾参考人 ちょうど先ほど池坊先生から光と影というお話があったんですけれども、やはり我々としても反省すべきところというのはあるというふうに自覚しております。

 といいますのは、携帯電話が世の中に出てきて普及していく段階というのは、お子様までの利用というのは考えていなかった部分もありますし、やはり、まずは光の部分にスポットライトを当てて、いかにお客様に携帯電話を使っていただくような世の中にするのかといったようなところに目が向いていたことは確かでございます。

 一方で、そういった負の部分が出てきたことについて本当に十分な対応ができていたのかということになると、それは、あくまでも最近、この数年の状況であって、全体のお客様の数からいえば、まだまだ小中学生まで携帯は持たなかった時代、そこがある部分、我々としては無防備だっただろうというふうに思います。

 そういったことを前提にして、それでは今、最善、何ができるのかということで取り組んでおります。

 その内容については、ほとんど今ドコモさんが言われたようなお話で、携帯電話そのものの利用の制約をしてしまうということであるとか、そうはいっても、やはり、携帯電話を使う、インターネットを使うということによって、今までの、いわば我々の世代にはなかった、今の新しい世代の子供たちがよりそういった世界に視野を広げていくというところのプラスの部分というのをどう生かしていきながら負の部分を制約していくのかということで、親御さんとの連携というのが大変重要になりますけれども、利便性の高いところをうまく生かしていきながら、そういった有害情報であるとか有害なメールのやりとり、これをセーブしていかないといけないということで今取り組んでいるところでございます。

 ただ、なかなか難しいのは、一方では、表現の自由の問題であるとか、あるいは信書の秘密の問題であるとかといったような、基本の、憲法そのものの部分がございますので、どちらをとるのという話ではないものですから、それを両方うまく中和していけるような、どちらも成立していくようなものを探していかないといけないということでは、まだまだ努力の余地というのは多いというふうに思っております。

嶋参考人 通話、GPS、メール、ウエブというふうにあります。私どもの考え方は、フィルタリングの問題につきましても年齢制限別にやるように、昔、小学校のときに机を買ったときに、最初は背が低いけれども、だんだん高くしていく机がありましたよね。ああいうような形に携帯がなっていくといいなという形でつくらせていただいておる次第でございます。

 私がいわゆる携帯会社というところに奉職しましたのは三年前でございますので、KDDIの長尾副社長は、まさにその発展段階からずっとされてきたわけですが、私が行ったときは、それは大議論のさなかでございました。

 教育再生懇談会が当社に来られました、ソフトバンクに。そこで私どもも議論をさせていただきました。そのときに委員の方が、それでは皆さんにお聞きするけれども、あなたはお子さんに携帯を持たせますかという質問をされました。実は、私は司会役みたいなものだったので答えることはなかったんですが、心の中で、私は持たせるというふうに思っておりました。

 つまり、携帯というのは、人間の衆知を集めれば十分にコントロールが可能であるし、そして親子がきちんと話し合えばうまく子供の発達段階にも役立つものである。ただし、害があるところは、法に規定されているものにはきちんと対応していくというのが私の思いであります。

石井(郁)委員 それぞれどうもありがとうございました。

 ことし二月に文科省が子どもの携帯電話等の利用に関する調査を発表しておりますけれども、それを見ますと、携帯電話やパソコンの危険性というものについて、学校で教えてもらったというのが最も多いんですね。

 携帯電話を買ったときに店員に説明してもらったという方は、小学生で三・二%、中学生が五・九%、高校生七・六%。この数は、余りにも少ないんじゃないかというふうに見えるわけですね。

 さらに大事なのは、特に教えてもらったり学んだりしたこともないという回答が、小学生で一五・一%、中学生六・五%、高校生六・五%ということです。

 持っているけれどもその危険性を教えてもらっていない、十分知っていないという方がこれだけいるということは、ちょっと注目しなきゃいけないんじゃないかと私は思います。

 このことで伺うんですけれども、以前から国分参考人は何度か参考人質疑のときにおいでいただいたりして、その折にも、たしかこういう御指摘をされたようにも記憶しているんです。携帯電話を扱う量販店で携帯電話の危険性についての説明が十分なされていないんじゃないか、そういう現状があるのではないかということをちょっとおっしゃっておられたように思うんですが、それだけかどうかという問題も含めまして、危険性を教えるということについて事業者の側としてはどういう工夫、努力があるのか、今申し上げた、こういう実態のデータをどのように見ていらっしゃるのか、一言ずつお聞かせいただければと思います。

加藤参考人 ありがとうございます。

 実は、私どもは反省している点がございまして、例えば二月、三月と申しますのは、新しい生活が始まる、ある意味では若い方々が次のステージに移られるということで、端的に申しますと、携帯電話をお持ちになるというチャンスの多いときでございます。お客様もひっきょう多くなりますので、その時々には、現場の事実として、お客様をできるだけ待たせずにスムーズにというところで、そういうところが抜けておったかと思います。

 ただ、去年から、やはりこの議論、法制化の議論もあります、フィルタリングの話も着実に進んできておりますので、特に未成年の方の加入におきましては、御説明申し上げましたように、親権者でありますとか、本人ならばその証だとか、そういうのを厳しくしておりますのと、一方では、フィルタリングを原則とさせていただいているというのを説明しているところでございます。

 ある意味、そこでは、携帯電話をお求めになるということは、その利便性を求められているというところに一方ではその危険性があるということを、私ども、次第ではありますけれども浸透させていると思っております。ただ、それが今十分かということ。

 それと、私が説明しましたように、五百七十万なりの全事業者の中で、それが多いのか少ないのか、やめていく人もいるのではないかということも含めて、まだまだプリマチュア、発展途上だと思っておりますので、これからも継続的に最大の努力をしていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

長尾参考人 実際にお客様と接触してということになると、どうしても量販店ですとかショップの店頭でということになってしまいまして、やはり、そこには二つ限界がありまして、一つは、ショップの店頭なりあるいは量販店の店頭にしても、どうしても販売優先というようなところがあって、長々となかなか説明ができていけない物理的な条件の制約があるということ。それからもう一つは、契約にお越しになる場合にお子様と同伴でということがなかなかなくて、やはり親権者の方が直接、口座の振替から何から全部含めて契約書にサインされるということになるので、そこでお子様に直接いろいろな形での教育に近いようなことをお話しすることができないといった問題があります。

 ですから、これをやはり何とか解決していかないといけないということで、例えば、先ほども少し御紹介しましたけれども、店頭でビデオのようなものを用意して、お待ちいただく間にも見てもらえるようなことも一つの方法だと思いますし、それから、お子様が使う場合には、親御さんの名義であったとしても必ずお子様の名前を登録していただくということを我々は社内的に制度化しておりまして、今それを徹底するようにしております。

 必ずそれをお客様にお尋ねすることになりますので、とすれば、そこでお客様に注意を喚起することはできる。そうすると、フィルタリングサービスというのは何ですかというところから始まってお話の糸口もできるということでは、ある部分、義務化をして、必ず一言はメッセージをお客様に伝えていくということをきっかけにして、まずは関心を持っていただくということも糸口だろうなというふうに思います。

 ただし、やはり、学校でしっかりと一時間、二時間かけてというようなことを店頭ではなかなかできませんので、それについては、先ほどの安全教室のようなものですとか、あるいはこういったツールをお渡しして後で読んでいただくとか、そういったようなことで、あらゆるメディアですとか我々の機会を通してそういった情報にまずは触れていただいて、関心を持っていただくということを今努力しているところでございます。

嶋参考人 私どもも、対応しておりますことは、前の二社さんと同じようなことは随時対応させていただいております。

 一つ申し上げたいのは、その中で、マナー普及ツールというのをつくっておるんですが、それも販売店等で配布しておるわけでございますが、このマナーにつきまして、家庭で利用できるようなことを一生懸命考えております。私どものコマーシャルを見てもらうとわかりますが、あれは実は家族がテーマでして、お父さんとかいろいろ出てくるんですけれども、家族が一つのテーマにあります。

 これは日経の記事でございますが、インターネット利用に伴うリスクから子供を守ることにつきまして、日本の場合は、ネット利用の安全な習慣について子供に聞いたことがあるかと尋ねたら、話したことがあると答えた親の割合は二二%、世界平均、十二カ国を対象にしますと七〇%だというんですね。

 したがいまして、当然、私どもも随時、前二社の皆さんと同じようなことをやらせていただいておりますが、やはり家族で話し合っていただくということが一つのポイントかなというような形で思っておりまして、先ほど私、私事で恐縮ですが、申し上げたのは、それは私のところは話し合っていますので、そういうことを一つの方針として、家族をテーマに家庭で利用できるツールを作成させていただいております。

石井(郁)委員 それぞれのところでいろいろな取り組みをしていらっしゃるということがよくわかりました。

 私は、先ほどの、ショップ、店頭で待っている時間にビデオなんかを見るなんというのも大変いいことじゃないかなというふうにも思いましたし、もちろん家族でも話をしなきゃいけませんし、やはり携帯は、使い方、それから情報モラル、こういうものを、本当に、これは親も子供もというか使う人がきちんと身につけなきゃいけない、まずそういう問題だと思うんですね。

 最後になりましたけれども、国分参考人に伺いますが、先ほどいただいたこのパンフレットの中にいろいろフィルタリングのことの説明もございましたけれども、「でもね」って、私、この最後はとても大事なことが書かれているなと思ったんですね。「フィルタリングはすべての手段ではありません。もっとも大切なことは、子どもたちがインターネット上に氾濫する情報の中から役に立つ情報を選び出したり、他人と上手にコミュニケーションをとったりするスキルを身に付けることなのです。フィルタリングに頼りすぎずに、子どもとよく話し合って、インターネットを上手に利用させましょう。」とありましたけれども、私は、まさにこういうことだろうと思うんですね。

 だから、フィルタリングは一つの技術として、これはこれとしてきちっと、もっと精度を上げていただくというのはあると思いますけれども、やはり情報モラル、インターネット、携帯をどのように使うかということについてまだまだ教育をきちんとする必要があるんじゃないかというふうに思っておりまして、最後に国分参考人から御意見を伺えればと思います。

国分参考人 子供たちがインターネットなり携帯を使うということは、そういう機器を通して他人とコミュニケーションをしたりというスキルがやはり必要になって、大人はそういう経験がないものですから、教えられないという現状があるわけですね。ですから、いろいろな形で、先ほど携帯各社の御紹介の資料の中にも、安全教室なんかも相当行われておりますし、私どももたびたびやっております。

 あと、文部科学省からの委託で「ちょっと待って、ケータイ」というリーフレットを百三十万部印刷して、全国の小学校六年生に配付をしております。これが結構評判がよくて、ことしの二月かな、三月初めぐらい、春休みのちょっと前に配るんですけれども、三回目になります。

 なぜ小学校六年生かというと、小学生の間は、ちょっと携帯はまだ早いからとかとお母さんから言われて、そうすると子供は、中学になったら買ってねとか、そういう御家庭が非常に多いと聞いておりまして、それで、全国の子供たちにそういうタイミングで、インターネットとのつき合い、携帯とのつき合いというものを正しく理解してもらうということを、まあ、やっと三回目ですから、そういうものがずっと積み重なって、文部科学省のそういう御努力もあるし、携帯各社の御努力もあるし、私どもの努力もどんどん積み重ねていってだんだんよくなっていく、さらなる努力をしてだんだんよくなっているというふうに私は希望を持って日々やっております。

 以上でございます。

石井(郁)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。

末松委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。いただきました御意見を、委員会での審議の参考にさせていただきたいと思います。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

    ―――――――――――――

末松委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 青少年問題に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十四分散会


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