衆議院

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第4号 平成22年9月8日(水曜日)

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平成二十二年九月八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 石井登志郎君 理事 小野塚勝俊君

   理事 黒田  雄君 理事 佐藤ゆうこ君

   理事 園田 康博君 理事 菅原 一秀君

   理事 松浪 健太君 理事 高木美智代君

      大泉ひろこ君    大山 昌宏君

      京野 公子君    小林 正枝君

      道休誠一郎君    初鹿 明博君

      平山 泰朗君    室井 秀子君

      谷田川 元君    山崎 摩耶君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      あべ 俊子君    小渕 優子君

      北村 茂男君    宮本 岳志君

      吉泉 秀男君

    …………………………………

   国務大臣         荒井  聰君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   総務副大臣        渡辺  周君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  樋口 建史君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    原   優君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金子 穰治君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月八日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     平山 泰朗君

  馳   浩君     北村 茂男君

同日

 辞任         補欠選任

  平山 泰朗君     谷田川 元君

  北村 茂男君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  谷田川 元君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、ドイツにおける青少年問題等実情調査議員団を代表いたしまして、御報告を申し上げます。

 私どもは、去る八月二十九日から九月五日まで、ドイツにおいて青少年問題等に関する実情について調査をいたしてまいりましたので、委員の皆様方にその調査の概要について御報告いたします。

 議員団は、私、池坊保子を団長に、民主党・無所属クラブの園田康博さん、石井登志郎さん、自由民主党・無所属の会の松浪健太さん、あべ俊子さんの五名でございます。

 今回の調査では、児童虐待問題を中心とした青少年問題を調査するため、ドイツ連邦議会議員、連邦政府、自治体関係者と意見交換を行うとともに、日本の一時保護所に該当する青少年緊急保護施設、女子養護学校、さらに、児童虐待に関連してベビークラッペの視察も行いました。また、現地の職業学校や中等教育を行う学校、日本人国際学校を視察し、授業を見学するとともに先生方との意見交換等を行いました。

 ドイツの職業訓練、いわゆるデュアルシステムに関しては、職業学校に求められる役割は社会のニーズに伴い変化してきており、また、職業訓練だけではなく、生徒を社会の一員として育てることが重要であるなどの説明がございました。

 現地の日本人学校については、日系企業の増加に伴い、児童生徒数も増加してきていることから、派遣教員の増員が必要であるなどの要望もございました。

 また、連邦政府関係者からは、主にドイツにおける児童保護のための現行の法制度等について説明を受けました。現在、ドイツには、児童虐待防止法が制定される前の我が国と同様に、児童虐待に対応するための個別法はなく、その制定について議論がなされていること、また、児童虐待への対応としては、我が国と同様に病院や警察等の関係者のネットワークをどう生かすかが課題であるなどの説明がございました。

 熊本市の民間病院である慈恵病院が設置、運営している「こうのとりのゆりかご」が参考にしたベビークラッペについては、ベルリン、ミュンヘンの二施設を視察し、関係者との意見交換を行いましたが、ドイツ国内でも、法的にも倫理・道徳的にも難しい問題であり、今日でも議論が続いているとの説明がございました。

 以上、今回の視察では、児童虐待問題への対応については、その防止のため、民間の施設も含めた関係機関においてどのように連携を図っていくか、また、どのように社会の理解を深めていくかということについて、日独共通の課題としてドイツ側とも問題意識を共有することができました。また、海外で学ぶ子どもたちの未来のために、日本人国際学校の教員数の増員をする必要性を強く感じたところです。

 いずれにいたしましても、今後も、諸外国と連携しつつ、世界の子どもたちのために尽くしたいという思いを新たにしてまいりました。

 以上が調査の概要の御報告でございますが、過密なスケジュールの中、大変有意義な調査ができましたことにつき、御協力いただいた関係者の皆様方に心から御礼申し上げます。

 なお、この調査の詳細な報告書につきましては、今後取りまとめた上、後日、委員各位に配付いたしたいと思っておりますので、ぜひ皆様方、お読みいただけたらと思っております。

    ―――――――――――――

池坊委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長樋口建史さん、警察庁交通局長石井隆之さん、法務省民事局長原優さん、厚生労働省大臣官房審議官石井淳子さん及び厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。佐藤ゆうこさん。

佐藤(ゆ)委員 おはようございます。民主党の佐藤ゆうこです。

 初めての質問になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、きょう、自転車の危険性について質問をさせていただきます。

 ここにいらっしゃる皆様も、自転車に一度は乗られたことがあるかと思います。今はもう本当に一家に一台どころではないぐらいの自転車の普及率ですけれども、私も、自転車街宣を選挙のときにはやっておりまして、いつも後半になりますと一日に四十キロから五十キロ、毎日走っておりました。もちろん走るところは車道でございますが、ルールで基本的なことをお伺いしますが、自転車は歩道を走るのか車道を走るのか、お答えをお願いします。

石井(隆)政府参考人 自転車は車両の一種でございますので、原則としては車道でございます。ただし、児童とか高齢者の方、それから車道を走ることが非常に危険なような場合、それから歩道通行可の公安委員会の意思決定のある歩道につきましては、歩道を走ることが可能でございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたように、原則自転車は車道を走らなければならない、お子さんについてはヘルメットの着用も義務づけられているかと思いますけれども、そういう中でも、年々自転車の事故がふえております。

 二〇〇九年中の自転車関連事故は十五万六千三百七十三件起きておりまして、全交通事故の二一・二%を占めているところであります。

 こういった結果をどう思われているか、そしてまた、警察としてはどのような指導をされているのか、お伺いします。

石井(隆)政府参考人 自転車に関連する交通事故につきましては、自動車乗用中の事故は減っているにもかかわらず、なかなかその減り方が少ないという意味で、自転車乗用中の事故、それから歩行中の事故、高齢者に関係する事故、こういうふうな事故につきまして、警察としては強力に事故抑止対策を進めているところでございます。

 自転車の事故につきましては、特に、交通の自転車の通行のルールやマナーを守るための広報啓発活動とともに、指導取り締まりの強化、それから自転車が通行しやすいような自転車通行環境の整備などに、関係機関と協力をして今努めているところでございます。

佐藤(ゆ)委員 今お聞きしましたが、なかなか、安全教室とかもされているということも伺っているんですけれども、やはり若者のスピードの出し過ぎとか、携帯電話をかけながらの自転車、傘を差しながらの自転車の運転など、本当に危険な運転をされているお子さんが多いです、大人でもあるわけですけれども。そういったことが本当に事故のないように努めていかなければならないと思っております。

 事故はないにこしたことはないんですけれども、きょう、私がここで取り上げさせていただきますのは、事故が起きた場合のことをお伺いしたいと思います。

 初めに、国が推奨します災害給付制度は、学校の関係ですけれども、学校管理下で起きた災害による負傷や疾病などで療養費が生じた場合に適用するものであって、あくまでも加入者が災害を受けた場合の給付であるという内容で間違いないでしょうか。

高井大臣政務官 はい。御指摘のとおりでございまして、加入者が例えば加害者になった場合などの賠償は対象としていないような形になっております。

佐藤(ゆ)委員 では、PTA共済についてはいかがでしょうか。

高井大臣政務官 済みません。文科省としては把握しておりません。

佐藤(ゆ)委員 ごめんなさい。ちょっと確認の意味で質問をさせていただきました。多分これも、加害者になった場合の補償ではないと思っております。

 それで、今回は、加害者になってしまった場合、自動車と自転車の場合は自動車の方に過失が多く認められるケースがあるかと思いますが、自転車と歩行者の場合について、どうも自転車の方の過失のみが認められているといった現状の中で、実は私の友人のお子さんも加害者になってしまったんです。

 ちょっとその例をお話しさせていただきますが、高校を卒業してもう大学の進学が決まっていたんですけれども、歩道を走っていました。歩道を普通のスピードで走っていたんですけれども、そこに小学校一年生のお子さんが急に飛び出されて、それで、その後御両親がいらっしゃって、うちの子が飛び出したから悪くないからねと、最初はそう言われたんです。

 ところが、そのお子さんが立ち上がれないものですから、結局救急車を呼ぶことになって、診断の結果は大腿部の骨折ということで、入院でした。入院をして、一度は退院をされたものの、もう一度入院をしなければいけないような状況になりまして、まだ治療中ですけれども、半年の間にその御両親から加害者である自転車側の方に請求があったのは四百万です。まだまだ続きますからということで、自転車側のお子さんは、保険に入っていたらいいんですけれども、結局は保険に入っていなかったわけです。

 といいましても、多分、自転車だけ乗られている小学生、中学生、高校生のお子さんが、自転車保険にどれだけ入っているかというところなんですね。今は、幼稚園の子でも小学校の子でも、皆さん自転車に乗っています。その自転車が走る凶器となって、急に飛び出してきて自転車が当たったとしても、自転車の過失が認められるというようなことなんです。

 もう一度ここで確認でお伺いしたいんですけれども、歩道において、例えば歩行者が急に方向転換して自転車の方に向かってきた、そして自転車は普通に走っていたけれども、ぶつかってしまったといった場合、どちらの方に過失がありますでしょうか。

石井(隆)政府参考人 具体的事案に応じまして過失を決めることになりますので、なかなか申し上げにくいところでございますが、その場合でも、自転車を運転する者には、歩行者があった場合、徐行して進行しなければならないという義務がございます。歩行者をどの時点で認知し、徐行義務が生じているかというところもございますので、ちょっと一概にはなかなか言いにくいところでございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 今、一概には言えないというお答えでしたが、私がちょっと見ておりました報道番組によると、どんな場合でもやはり歩行者の方には過失がないと認められるということで、実際に今の司法の方でも自転車側の過失を大きく取り上げられております。これは、自転車の事故が増加していることに対しまして警告をしているのではないのかなと私自身が思っております。

 私の友達の息子さんの例もそうなんですけれども、実際に、若者と高齢者だったり小さいお子さんだったり、自転車対歩行者の事故が本当に多くなっているわけです。今の例でもありますように、過失の大きい第一当事者に自転車側がなった場合の件数の約三九・六%が未成年者だという数値が出ております。訴訟においては十三歳前後から賠償責任を負うとの判断が出ておりまして、未成年者に高額な賠償を求められるという実情も浮かんできているわけです。

 自動車の場合は自賠責保険の加入が義務づけられているんですけれども、車両と認められている、軽車両である自転車については自賠責保険の対象外となっていますので、万が一事故が起きても備える法制度は何もないというのが実情です。こういった点で、私は、やはり国が何か施策を練らないといけないのではないかと思っております。

 先日も報道の中にありましたけれども、各損害保険会社がこの三月までに、今まであった自転車総合保険の販売を中止されました。その理由は、自転車保険自体を知らない、こういった方が五四・九%と非常に高くて、保険への関心がない。今後は、保険会社は、火災保険や傷害保険などに個人賠償責任の特約をつけるということを勧められているということです。

 自転車保険じゃなくても、こういったことで何らか補償ができるような体制を整えてくださればいいんですけれども、実際には、本当のところ、自転車に乗るお子さんに何も掛けられていないというのが現状です。

 それで、今学校に、中学校でも高校でも自転車通学を認められているところがあります。そういった場合、私は、やはり自転車通学を認めている学校であれば、何らかの保険に入らなければならない。これは学校側がしっかりと保護者に対して、そして本人に対して、お子さんに対して周知徹底をして、何らかの対応をしなければいけないと思っておりますけれども、そのあたりは文部科学省の方としてはどうお考えでしょうか。

高井大臣政務官 御指摘は大事な点だと思います。私もお聞きして、そのとおりだなというふうに思いました。

 学校において交通事故の防止のためにいろいろな指導もしておるところでありますが、やはり高等学校においては、特に交通事故において責任や補償問題が生じることも含めて指導するというふうにしております。

 二十三年度概算要求におきましても、通学時に生徒みずからが安全な行動をとれるように、中高生を対象とした生徒の安全な通学のための教育教材というDVDの作成を新たに要求いたしまして、全国の中学校、高等学校に配布するということを考えております。

 まさに御指摘にありました、児童生徒が自転車事故の加害者になり得るということは本当にあることでございまして、保険への加入を学校現場で推奨することについて、保険への加入は児童生徒自身ではなくて保護者の側がまさに契約主体となるわけですから、授業以外でも保護者に対しての普及啓発活動も含めて、PTAや関係省庁と連携をとりながら努力してまいりたいと思っております。

佐藤(ゆ)委員 学校の方では自転車点検ということはされているそうです。ただ、自転車点検というのは、ライトがつくかどうか、空気が入っているかどうかということでして、実際に自分が加害者になったときにはこんなことが起きるんだよというような危険性についてのお話は残念ながらないということですので、ぜひとも、これは学校側の方に自転車を乗る者の義務としてどうするべきかということを指導していただきたいと思います。

 唯一、自転車に保険がありました。これはTSマーク保険と言われるものです。自転車を購入したときにTSマークをつけられる、または整備のときに加入するというものなんですけれども、このTSマーク保険について御説明をいただけますでしょうか。

石井(隆)政府参考人 御質問のTSマークと申しますのは、自転車安全整備店の自転車安全整備士が普通自転車の点検整備を行い、安全な普通自転車であることを確認したときに張ることができるものでございまして、このマークに附帯保険がついているというものでございます。

 附帯保険の支払い対象でございますが、傷害保険につきましては、TSマークが貼付されている自転車に乗っている者が事故に遭い、十五日以上入院した場合、または死亡したり一級から四級の重度後遺障害を負った場合が支払いの対象となってまいります。

 それから、賠償責任保険につきましては、TSマークが貼付された自転車に乗っている者が、相手方または第三者に死亡または一級から七級の重度後遺障害を負わせた場合となっております。

 支払い限度額でございますが、最初の傷害保険につきましては最大で百万円、賠償責任保険につきましては二千万円の支払いが限度額となっております。

佐藤(ゆ)委員 よく理解はできたんですけれども、実は、今お話にありました一級から四級、もしくは一級から七級までの方、相手がそうなったときに補償がされるという内容のものでして、私もちょっと調べたんですけれども、どの程度の方に補償がされるかということです。

 それは、目でいいますと、片目を失って、さらに片目の視力が〇・〇一とか、結構厳しい、そこまでの方に対して、例えば腕もそぎ落とされたとか、本当にこれではどうすることもできない、本当に生きていくことが大変だろうなというような状況の場合は対象になるわけですけれども、先ほどの例のように、大腿部の骨折という場合は全く補償の対象にならないということです。

 私は、文部科学省とそれから警察の方と協議をしていただいて、財団の方に、TSマークの保険の方に対して、もっとその補償の範囲を広げていただくようにぜひとも要請をしていただきたいと思いますが、御検討のほど、お約束していただけますでしょうか。

高井大臣政務官 はい。検討をしたいと思います。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。

 時間もなくなりましたので、ちょっと早口でいきます。

 今度は遊技場についてです。遊技場の営業規制についてお伺いいたします。

 現在、風営適正化法におきまして、遊技場を営業するには都道府県公安委員会の許可が必要とされます。具体的には、風営適正化法施行令六条に基づいて、都道府県の条例で許可基準を決めております。施行令六条では、制限地域につきまして、住宅集合地域と学校その他の施設の周辺おおむね百メートル区域と定めて、この施行令に基づいて条例を定めているわけです。

 しかし、最近、私の地元でもあるんですけれども、学校の目と鼻の先、本当に百メートルぎりぎり、かかるかかからないところにパチンコ屋さんが建つことになりました。

 しかし、それは単体でパチンコ屋ではないんです。名古屋は本当にパチンコ屋さんが多いんですけれども、パチンコ単体ではなく複合施設として建つわけです。複合施設は、はっきりその学校から百メートルにかかっております。しかし、パチンコ屋ではない、複合施設ということで、これが認められるわけです。駐車場に関しましても、スーパー銭湯とパチンコ屋と共有の駐車場であれば百メートル規制に入らないというのが現状で、これが法の目を本当にくぐり抜けていると思われます。

 これは随分前に定められたものだと思っております。今は、パチンコ屋単体ではなく、飲食とパチンコ屋さん、スーパー銭湯とパチンコ屋さんという形で、複合施設に寄って建てるというケースが多く見られますので、ぜひとも、今度は複合施設における規制、また、その百メートルを見直さなければいけないのではないか。

 実際に名古屋では中学校の百メートル先にパチンコ屋さんが建ちますけれども、百メートルといいますと、子どもの足でも二、三分で行けるところなんです。大人の方がパチンコ屋さんの前で並ぶ姿も、それからお金と物を交換する姿も、通学路から完全に見えてしまう、そういった状況にありますので、今まさに、もう一度、百メートルが本当に妥当かどうか、そして複合施設における規制を設けるべきではないか。

 また、もし自治体が地域の実情に応じて条例で規制を強めたい、おおよそ百メートルと国は定めているわけですけれども、これを二百メートルにしたい、条例によってもっと強くしたいと希望がある場合はそれに応じていただきたい。

 三つ、今慌てて質問をさせていただきましたけれども、どうぞお答えいただきますように、よろしくお願いいたします。

樋口政府参考人 順不同でございますけれども、第一点が、おおむね百メートルと、ただいま委員おっしゃいました、施行令の六条で定めてございます。この百メートルの経緯は、御存じかと思いますけれども、昭和五十九年の政令改正で定められたものでございまして……

池坊委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお答えいただけたらと思います。

樋口政府参考人 当時、既に各都道府県で条例で先行して定められておりまして、その実態を見ますと、おおむね百メートルでございました。その実態を踏まえて政令で取り入れたものでございます。

 今委員の御指摘のところは具体事例として大いに参考にさせていただきたいと存じますけれども、これまでのところ、各都道府県の現場で、この百メートルで良好な風俗環境保全上支障があるとはお聞きをしていないところでございます。

 一点目、以上でございます。

 それから、二点目の複合施設の問題は、これはケース・バイ・ケースの、各県公安委員会の判断になろうかと存じます。まさにその駐車場が当該パチンコ店の駐車場として一体的に活用されているかどうか、現行の法令制度上はそういった解釈になります。この点も、ただいまの御指摘を踏まえてまた参考にさせていただきたいと存じます。

 最後、三点目でございますけれども、これは各県の条例で保護対象施設が変えられるか、追加できるかということでございますけれども、結論から申し上げますと、政令で定める基準、考え方の範囲内で、各県のそれぞれの風俗環境等を踏まえて規定ができるという仕組みでございますので、追加等は可能であるということでございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。これで終わらせていただきます。

池坊委員長 次に、道休誠一郎さん。

道休委員 おはようございます。民主党の道休誠一郎でございます。

 昨年この委員会に加えていただきまして、きょう初めて質問の機会をいただきました。本当にありがとうございます。

 昨年来、私もこの委員会で先輩議員の皆様のお話や、あるいは所管の大臣、政務三役のお話を聞きながら、当該委員会の本当の重要な意味合い、子どもをしっかりと、青少年をしっかりと育てていくことの大切さを痛感している次第でございます。

 まず、質問させていただく前に、昨今のニュースで私びっくりしたのは、新聞報道によりますと、日本の教育に関する予算がOECD加盟国の中でGDP比三・四%で最下位であるということを聞きまして、やはり、数十年前ですけれども、私がまだ子どものころ、日本の資源は人だということで、もう人を教育するしか日本は国として立派に成長していくことはできないということを教えられていたんですけれども、いつの間にか、コンクリート主導の国づくり、これは確かに非常に重要だと思うんです。しかしながら、そのコンクリートをしっかり生かしていくための人を大切にする部分への国家の関与というのが本当に予算面では小さくなっているということに対しまして、私自身も、当該委員会のメンバーの一人として、人づくり、特に子ども、青少年をしっかり育てていくことについて、本当に身を再度引き締めて対応していきたいと思いますので、きょうの質問もそういう気持ちを大事にしながらさせていただきたいと思います。

 現在、日本の社会、都会でもあるいは地方でも、それぞれ地域特性はありながらも、人の問題、特に子どもに対する、あるいは老人に対する、社会的な弱者に対する犯罪や社会事象が起こって、本当に心を痛めていらっしゃる方も多いと思います。その中で、やはり喫緊の課題としては、先般来お話のある児童虐待をどう防いでいくのかということが重要な課題であると思いますので、まずこの点について質問させていただきたいと思います。

 先輩議員の皆様方の御努力によって児童虐待防止法というのが制定されたわけですけれども、実際に児童虐待防止法は悲惨な犯罪あるいは事件を防ぐためにしっかりと機能はしていると思うんですが、残念ながら、昨今の事例を見ましても、どうしても法律や制度ではカバーできないという問題があるわけですね。この問題の深さ、あるいは重層的な原因が重なって起こってしまう、それに対して社会全体で解決していくということは大切だ、もうこれは皆さん共通の認識だと思うんです。

 その中で、今我々は、児童相談所、児相を中心にこの問題について取り組んでいこうとしておりますが、児相のあり方、先輩方の御質問あるいはそれに対する答弁を見て、現場では一生懸命やっていらっしゃるんですけれども、ただ、人が足りない、あるいは専門的な知識がまだまだ足りないということから、やはりこういう悲劇が繰り返されてしまうというのも事実でございますが、児童相談所の人員あるいは専門性をどう高めていくのかということについてどうお考えかをまずお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。

山井大臣政務官 道休委員にお答えを申し上げます。

 さまざまな問題が社会にございますけれども、今回の大阪市の虐待死亡事例のように、本当に何の罪もない子どもが幼い命を絶たれてしまう、こういうことをなくしていくことこそが政治の最大の目的だと思っております。

 今お尋ねの児童相談所の児童福祉司の絶対数の確保、専門性についてでありますが、私たち厚生労働省としても、今回の大阪市の事件を受けまして、四十八時間以内に必ず目視をする、そして安否確認するということを徹底させていただきました。しかし同時に、先日、足立区の児童相談所にも訪問させていただきましたが、一人当たりの担当件数が百件を上回り、やはりもう四倍ぐらい児童福祉司が必要なのではないかという要望もいただきました。

 そういう中で、先日も児童相談所長の方々のお話を、長妻大臣、私、担当の担当官で一時間半にわたって聞かせていただきましたが、やはりさらに増強していくことが必要だと思っております。

 平成二十二年の四月で二千四百七十七人、平成十一年の千二百三十人に比べて二倍にふやしておりますが、さらにこれはふやしていかねばならないと思っております。地方交付税措置という形になっておりますが、あらゆる努力をしていきたいと思っております。

 また、専門性についても、最近、メンタルな御病気や疾患で苦しむ親や、そしてお子さんもふえております。そういう専門性を高めるという観点からも、国レベルにおいて、児童相談所で指導的立場にある者への研修を実施するほか、弁護士や医師などの外部の専門家の助言が得られるような体制整備を図るための費用の補助を都道府県等に行っていくこと、また、児童福祉法の改正により、昨年の四月から、保護者指導業務の委託先などの取り組みにより、児童相談所の体制強化に努めているところでございます。

道休委員 どうもありがとうございます。

 今、人員の絶対的な不足ということもおっしゃっていましたけれども、確かにこれは人員をふやして、一人一人の児童福祉司がしっかりと自分の対象となる子どもたちあるいは保護者に対して対応していくということが可能になるような制度を早くつくっていただきたいと思います。

 また、今、人員や専門性がまだまだ足りないということを言われておるんですが、ちょっと話は違いますけれども、私は農水委員会にも属していまして、実は口蹄疫は、御存じのとおり、皆さんの御支援で何とかおさまったんですが、口蹄疫の対応を見たときに、家畜伝染予防法とか防疫マニュアルが時代に即応していないということは言われるんですが、ただただ、しかし、そういうような状況の中でも決められたことをしっかりしていた。例えば四十八時間以内の目視というようなことが決められておれば、それはやっていただければ、ひょっとしたら防げることもあるのではないか。

 ちょっとわき道に話がそれたんですけれども、ルールとして決められたものはしっかり守っていただく、これがやはり悲劇を少なくする基本的なことであるし、また、そのルールがまだまだ足りないのであれば、現状を反映していないのであれば、それに対してしっかりとルールを変えていく、あるいは法律を変えていくということもお願いしたいと思いますので、この点についてはよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、児童相談所の役割の中で、一時保護とか立入検査とか臨検、捜索、いわゆる決められたことがございますけれども、法律で決められたことというのはある程度強権的な機能であるわけですが、実際に児童相談所で活動していらっしゃる方は、日々、子どもや保護者と接するわけですね。

 これは、非常に日常的な、人間的なおつき合いというものが大事になるわけですけれども、なかなか、一見相反する、本来ならば相反する機能ではないんですけれども、それを法律に基づいてやっていこうとすると、どうしても、お互い人間でございますので、保護者とのあつれきが生じたり、子どもが自分の親から離されることに対してやはり心理的にストレスを感じてしまう、非常に難しい立場に児童福祉司という方は置かれていらっしゃると思います。

 それを法律では権限等を担保しながらやっていくわけですけれども、口では非常に簡単ですよね、法律で決まっているんだから、それをしっかりやればいいと。しかしながら、相手は生き物ですし、人間です。感情がございます。そして、児童福祉司、その方御本人にも感情がございます。

 こういういわゆる法律とかルールではなかなか乗り越えられない面について、現場の方は苦しんでいらっしゃると思うんですが、これをどう、まあ口では表現できないかもしれないですけれども、皆さんのお気持ちを和らげながら、実際に自分たちの、いわゆる法律的な機能を果たしていくような支援といいますかサポートをしていかれようとしているのか、これについてもちょっとお話が伺えればと思います。

山井大臣政務官 道休委員にお答え申し上げます。

 まさに、先ほど道休委員も御指摘されましたように、だからこそ職員の資質というのが非常に重要でありまして、先日も児童相談所の所長の方々がおっしゃっておられましたけれども、かなりこれは熟練した経験というもの、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというものが必要だということをおっしゃっておられました。

 子どもと引き離して、同時に将来的には再統合する、それが究極の目標でもあるわけですから、そういう意味では、引き離す人と再統合する人が同一人物であるということが非常に現場の御苦労にもなっているわけであります。

 このような支援に関しては、保護者の理解、同意を得ながら支援を進めることが当然基本であると考えております。

 一方で、保護者の理解、同意が得られなくても、緊急な場合や子どもの安全が確保されていない場合など、家庭への強制介入を行わなければならない場合もございます。

 このため、運営指針におきましては、次の四点、つまり、子どもの一時保護については、原則として子どもや保護者の同意を得て行う必要があること、例外的に同意を得ずに一時保護を行う場合でも、同意を得るような十分な調整を図る必要があること、虐待の通告があった場合の児童相談所等が行う子どもの調査について、子どもや保護者の意向を尊重するよう努めること、しかし、対応に緊急を要し、かつ、調査等の協力が得がたい場合にはこの限りではないということを運営指針でも定めております。

 以上です。

道休委員 どうもありがとうございます。

 やはり、現場で子どもたちを扱っていらっしゃる方あるいは保護者と接せられる方が、本当にしっかりと自分たちの責任を、そして任務を遂行していけるような体制支援に御尽力を願いたいと思います。

 子どもの問題あるいは社会的な弱者に対する問題というのは、本当に時代を象徴しているようなことが非常に多いと思うんですね。

 今、日本の社会は、私は宮崎県の出身でございまして、地方が本当に疲弊している。都会で抱えている子どもに関する問題も地方でも共通する部分もあるんですけれども、やはり地方は地方なりの問題がございまして、いろいろな地域社会でこういう子どもに関する、青少年に関する問題を解決していこうということで、NPO団体等も含めまして御尽力をいただいているんですが、私は、根幹としては、きずなですね。いろいろな事件の加害者のお話を聞いたり読んだりしていますと、自分が相談する相手がいなかった、一言だれかが言ってくれれば、そういう犯罪は防げたと。

 先般の大阪の問題も、母親がだれも相談する相手がいなかったというようなお話があったことを聞いております。

 そして、同じアパートの住民の方も、気にはなったけれども、ひょっとして間違っていたらどうしようとか、法律の上からはしっかり穴がないように制定されているとしても、そこに人の感情が入ってまいりますので、そこの人の感情を大切にしながら、ひょっとしたら間違っているかもしれないけれども、とりあえず気になるから通報してみようとか、そういう背中を押すような社会的な風潮というのを、これは私、教育あるいは社会の生活、日々の生活を通してつくっていく必要があると思います。

 この辺は、虐待を受けている子どもや、あるいは虐待をしているかもしれない親が何らかの形で社会に対してメッセージを送っておりますから、社会全体がそのメッセージ一つ一つを敏感に感じ取れるような制度成りが、なかなか難しいと思います、しかしながら、そういうものを社会の風潮としてつくっていくことができればと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 現在、青少年を取り巻く問題、いじめや暴力、あるいは薬物使用、そしてインターネット等を介した有害情報が非常にあふれておりますけれども、青少年問題、本当に時代を象徴する問題だと思っております。

 先般、政府は子ども・若者ビジョンというものを策定されまして、これから社会として、あるいは政府として、どう若者を、子どもを立派に、希望を持ちながら、生きる力を持った子どもを育てていこうかというアイデアを示していただいております。

 具体的に、私もアウトライン等を読ませていただきましたが、いろいろな課題がございます。本当に複雑な問題でございますが、その中で、まず何をやられようとしているのか、どこに力を入れて動かれようとしているのか、お考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

荒井国務大臣 道休委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今、朝のNHKの番組、八時からゲゲゲの鬼太郎の妻という番組をやっているんですね。私はあれがとても好きで、あそこに出てくる鬼太郎とお母さん、それから娘さん二人かな、そしておばあちゃんとおじいちゃん、それから町の中の貸し本屋のところに集う地域のおばさんたち、このまさしく地域が子どもたちを育てる。あるときにはしかったり、あるいは子どもが、親の職業がおっかない漫画をかくといっていじめられる。それをお母さんに言えないけれども、おばあさんがそれを察して孫にいろいろな話をしてやる。家庭と地域とが子どもを一生懸命育てていくということの社会が、ある種の子どもを健全に育てるその時代が生き生きと私はかかれていると思うんですね。

 それが、どこかで今、何かが失われているんだと思うんです。どこかが機能不全に陥っているんだと思います。それは家庭の部分もそうですし、地域の部分もそうですね。その失われた部分を補っていく、健全な子どもたち、未来の日本を背負っていく子どもたちをしっかり育てていこうというのが、政府がつくった子育てあるいは青少年のためのビジョンであります。

 これは、いろいろな人の知恵がこれからも必要だと思っています。皆さん方の、ぜひこの委員会でもさまざまな御意見をいただいて、このビジョンを一つずつ多くの人の知恵と体験とでつくり上げていく、社会的なある種の運動だと思うんですね。

 地域をどう子どもたちのためにつくりかえていくのか、家庭をつくりかえていくのか、何が失われたのかということの議論が私は一番大切だと思うんですね。その結果、自立した、そして健やかな子どもが育っていくんだというふうに思っています。それが、私たちが今つくろうとしている、あるいはつくりつつあるビジョンであります。

道休委員 大臣、どうもありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきますけれども、私は、今大臣がおっしゃいましたように、社会の宝である日本の将来を担う子どもたちをしっかりと守り育てていくという力をこの委員会から出していくように、委員の一人として努力させていただく決意を述べまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

池坊委員長 次に、吉泉秀男さん。

吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男です。

 児童、幼児虐待の問題について、自分自身、今回で四回目の質問、こういう状況になりました。既に、これまで各委員から、虐待の防止を図るために、さまざまな観点、視点から、政府含めて、論点、さらには詰めてきたものだというふうに思っています。

 そうした面で、虐待防止のために行政として何をなすべきか、何が不足していたのか、何をどうすればいいのか、こういった点について少しずつ明らかになってきているというふうに思っております。

 ただ、大阪のようなショッキングなニュースが飛び込みますと、我々もあたふたとしてしまう。大切なことは、こうした事案から冷静に受けとめながら実態を見詰め直して、解決策をその中から見出していく、このことが今大事になっているというふうに思っています。

 私自身、虐待がこの社会から根絶される、こういうふうには思っておりません。しかし、虐待を防止するための行政機関のシステム、このことはやはりきちっと築いておかなければならないだろうというふうにも思っております。その上で、虐待が発覚したとき、その虐待がなぜ起きたのか、どうして防げなかったのかを国民の前に逐一明らかにし、不備だった点を改善していく、そうした取り組みが私たちに今求められているというふうに思っております。

 そうした面で、まず大臣にお伺いをさせていただきます。

 未来を担う子どもたちへの虐待防止対策は、子ども権利条約の理念に基づいて国家の最重点課題として位置づける、このことがまず必要だというふうに思っています。

 しかし、課題は、本部をつくっても多岐にわたっており、各省庁ごとの対応では限界があるんだろうというふうに思っております。

 児童虐待防止対策を政府が包括的に所管し、各省横断的に実施する、その拠点として、私は、総理大臣を本部長とする児童虐待防止本部、この部分を設置する必要がまずあるんだろうというふうに思っておりますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきます。

荒井国務大臣 まさしくそのとおりですね。政府もそういう認識を持っておりますから、この四月に、子ども・若者育成支援推進本部という、これは総理大臣を本部長とする組織をつくりました。

 この組織は、関係大臣が全部参加をして総合的に議論をする。事務局は内閣府の私のところで担っておりまして、そういう機能を発足させたばかりですので、まだ十分おこたえができかねているという点はあると思いますけれども、そういうものをおっしゃるとおりの認識でつくり、そして活動を始めたところだというふうに認識をしていただければと思います。

吉泉委員 それぞれ今の、子どもの権利条約含めながら、やはり政府一体となって、とりわけ、これだけ年々多くなってきている痛ましい事故、こういったところ、虐待、ここにやはり焦点を当てた、そういった点で絞った形でも、本部の機能、この部分についてぜひお願いをしたい、こういうふうに思います。

 そしてまた、自分自身は、残念ながら、虐待のリスク要因を持つ母親も今また多くなってきているのではないか、その対策がまた必要にもなってきているというふうに思っております。

 母子手帳を持たないで出産直前に医療機関に駆け込む飛び込み出産や、住所不定の妊婦、こういうリスクを持っている母親に対してどうしていくのか。医療機関と市町村、両方のソーシャルワーカーが連携をして、支援施設の入所や、公営住宅のあっせんをしたり、生活保護を支給する、こういうふうな適切なフォローが今求められているというふうにも思っております。

 そんな面で、こういうリスクを持った母親、さらにはこういうリスクを少なくしていく、こういった面の中で、この対応というものが具体的に今施策としても求められているというふうに思っておりますけれども、この見解について、厚労省の方からお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

石井(淳)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいましたように、まさに現在起こっております虐待の状況を見ますと、例えば生後間もない、ゼロ日のお子さんが亡くなられたという事例も多数ございますし、また、虐待児童の死亡した方の中に、妊婦健診の未受診やあるいは母子健康手帳の未発行などの割合が高いというふうな実態もございます。このような死亡事件を拝見いたしますと、妊娠期から関係機関がかかわりの端緒をつかんで支援につなげていくということが大変重要だと思っております。

 そうした観点から、妊娠、出産、子育てに悩む方への専門的な相談や支援、これを進めていく上で、例えば都道府県が設置をいたします女性健康支援センターにおいて、出産等に関する悩みについての相談、指導を実施いたしているところでございます。

 また、妊婦が健康診査、保健指導等の母子保健サービスを受けられるよう、早期の妊娠届け出の勧奨などを行っておりますし、また、母子健康手帳に各種相談機関の情報を掲載いたしているところでございます。

 さらに、市区町村等におきましては、市町村保健センター等における妊娠、出産、子育てに関する相談や保健指導、助産師や保健師が妊産婦、新生児等の家庭を訪問しての相談や保健指導、こういったことに取り組んでございまして、対象者のそれぞれの必要とするニーズ、これに応じて、母子保健以外の地域保健とかあるいは社会福祉サービスの窓口に紹介する、まさにつないでいくということをしていくような、そういう支援を行えるように対応しているというふうに承知をいたしております。

 まさにそうした連携というのは非常に重要なことでございますので、引き続き妊産婦に対する支援の充実を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。

吉泉委員 先日厚労省が発表しました第六次の報告概要を見ますと、まさに二百五カ所の児童相談所で対応したケース、物すごい件数に上っておるわけでございますけれども、しかし、自分自身、市町村の部分の相談件数を合わせますと、もう既に十万件は超えているんだろう、こういうふうに思っています。ですから、それぞれリスクを持った母親、さらにはそこのお母さん、おばあちゃん、こういった部分なんかも含めて、相当相談の中身というのはまた複雑にもなってきている、こういうふうにも思っております。

 そういう状況の中で、今答弁なされたわけでございますけれども、ぜひ、相談件数の中身の分析もしながら、適材適所を含めてひとつ対応をお願いしたい、こういうふうに思っているところでございます。

 そしてまた、逆に、今、東京を含めて都会の中においていろいろな虐待のケースが出てきているわけでございますけれども、特に全体的に、私たち国民の意識改革、こういった問題がすごく大切だというふうなことが言われてもおりますし、その部分についても力を入れてきているわけでございます。

 しかし、そういう虐待という状況をキャッチしながらも、これを通報する、そういう国民の立場に立った場合、虐待でなかったらどうしようか、やはりこういう心理が働くわけですし、報復されたらどうしようか、こういうおそれ、こういった部分も、深刻な虐待事例を未然に防ぐことができなかったという部分もあるというふうにも、この間明らかになってきたわけでございます。

 こういう面で、虐待の通報について、やはり、犯罪でなかった、または虐待ではなかった、また、巻き込まれたらどうしようか、こういうふうな心理を解決、さらにはそれを払拭していくための手だてが必要だ、私はこういうふうに思います。

 例えば、テレビのコマーシャル、こういう部分も必要だというふうに思っております。思いつきで申しわけございませんけれども、あなたの一言が親子を救う、こういうキャッチフレーズなりいろいろな面で、新聞広告なり、こういった部分が必要だ、私はこういうふうにも思っております。

 そういう面で、自分自身田舎でございますから、東京なりいわゆる都会の段階ではそういうとらえ方、さらにはそういうものを既になされている、そういう状況もあるというふうにも思いますけれども、その辺、今の状況について、厚労省の方からお伺いをさせていただきたいと思います。

石井(淳)政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、児童虐待は社会全体の問題という国民意識が醸成されますよう、日ごろの啓発に加えまして、特に児童虐待防止法が施行された十一月、この十一月を児童虐待防止推進月間と位置づけまして、国、自治体、民間団体が連携した集中的な広報啓発を行っておりまして、この取り組みの中で虐待に関する積極的な通告の促進についても働きかけているところでございます。

 二十一年度、昨年度におきましては、児童虐待防止推進月間に合わせまして、今先生おっしゃいましたが、標語というものも募集いたしておりまして、昨年度は「守ろうよ 未来を見つめる 小さなひとみ」というふうなものも掲げて広報しておりますし、また、ポスターなどを作成して全国配布、子どもの虐待防止推進全国フォーラムの開催、さらには、私ども職員が手づくりで合同庁舎五号館にオレンジリボンを掲示するとか、それから政府広報、テレビ枠を活用して番組を放映する、モバイル携帯端末サイト広告、新聞への突き出し広告、さまざまなものを行ってきたところでございます。

 今後とも、国民の皆様の児童虐待防止の意識を高めるための取り組み、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

吉泉委員 どうもありがとうございます。

 保育所、さらには幼稚園、保育園も含めて学校、日中の子どもの生活の場の中からなかなか発見しにくい、そういう状況はやはりこの間明らかになってきたというふうに思っています。

 そういう面では、全体的に、地域全体でここのところを撲滅していく、そのためにもっともっと力強く、力を入れて児童、そして子どもの虐待を根絶していく、そういった意味で、ぜひ政府の方の大きな取り組み、そのことをお願いして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

池坊委員長 次に、松浪健太さん。

松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。

 本委員会の冒頭に委員長からお話がございましたけれども、先日、ドイツの視察に与野党で行かせていただいたわけであります。

 特に、きょうの質問者の中では、ベビークラッペ、いわゆる日本における赤ちゃんポストについて視察をさせていただいて、本日質問に立つのは私だけでございますので、これについて、また大臣にもいろいろと、まだ詳細がまとまるまでには時間があるということですので、まず速報として、我々が見てきたこと、聞いてきたことを大臣とともに考えてまいりたい。

 先般、大臣も所信表明をされたときに、私も母子家庭で育ったということをおっしゃっておられました。私なんかは、裕福ではないですけれども、恵まれたサラリーマン家庭に育ちまして、ただ、私の母なんかも母子家庭でありまして、女の子四人を母親一つの手で育てられた。それを聞いて、最近まで思いませんでしたけれども、先ほどからお話しございますような地域での手助けというようなものがなければ、四人もの子どもを母親の、いわゆる女手一つで育てるということはなかなか難しかったんじゃないか。

 そういう意味で、最近、そんな話というのは母親の世代では聞くんですけれども、少子化のせいもあるかもしれませんが、それにしてもそういう話を本当に聞かなくなったなというふうに思います。

 我が国とドイツの背景というものも違うと思いますけれども、その違いも含めて、大臣にはお話を聞いていただきたいとまずは思います。

 我々、特にバイエルン州ミュンヘンのセント・ガブリエルという修道院に設置をされましたベビークラッペ、いわゆる赤ちゃんポストを視察させていただきました。やはり共通するのは、ドイツにおいても賛否両論があるということであります。実際、我々も外務省を通しまして現地で視察、実はミュンヘンには二つあるんですけれども、一つは病院に、一つは修道院に設置をされているわけです。

 病院の方は、余り目立ちたくはない、こういうものは大々的にお話しすることではないということで、我々との接触というのは実は片方は断られた経緯がございます。病院の方は、当然病院としての経営基盤があるわけですから、その中でやっている。我が国における熊本の例と似たようなところがあるわけであります。

 修道院の場合は、やはりさまざまな施設を同じにやっていらっしゃる。例えば、家からDVなんかで逃げてきた女性をかくまう施設を併設していたりとか、それからまた、ドイツでここだけらしいですけれども、十二歳からですけれども、望まない妊娠をした女性をケアする、その方が子どもを産んでいようが、産む前であろうが、ケアをする、そういう施設と併設をされているというところでありました。

 そこのシスターに我々対応をいただいたわけでありますけれども、ドイツの場合は連邦制でありますので、州によって取り組みも微妙に違うわけでありますけれども、基本的には、ものとしては非常に共通をしている。もともと発祥はハンブルクでありますけれども、そのハンブルクの例と我々が見せていただいたミュンヘンの例は、非常にものとしては似ているわけでありまして、このベビークラッペの扉をまずあける。扉をあけて、中にお母さんへの手紙が入っている。また、お母さんへの手紙に、そこに何が最初にあるのかなと思えば、スタンプの朱肉のようなものがありまして、これで赤ちゃんの手や足形をお母さんに持っていってもらえるようにする。これは、ハンブルクでも、それを見たミュンヘンの例でも一緒であります。それをお母さんの思い出にしていただくのかなと私は最初思ったんですけれども、それをお母さんが持っていれば、その手形、足形は、後になっても私が親なんだということを証明できる有力な証拠になるということであります。

 その手続を申し上げますと、ドアを開いて、そして、子どもを入れて閉めてしまえば、もうそれは二度と開きません。ただ、向こうの場合は、開かないわけでありますけれども、おっしゃっていたのは、閉じた瞬間に、修道院長さんとか看護師さんとか、そういう担当の皆さん四人の携帯電話が鳴る。ですから、シスターもおっしゃっていたのは、私は、教会でお祈りするときも、どんなときでもこの電話だけはオフにすることはないんですよ、静かな教会であってもそれを第一に優先していますということをおっしゃっていまして、その次に手続がある。青少年局にまず通報というかお知らせをする。そしてまた、警察に捜索願が出ていないかというようなことを、しっかりと取り決めがあるということで連携をするということでありました。

 批判として向こうの国でもあるのは、やはりお母さん方に、望まない妊娠をした方々に、いわゆる赤ちゃんを捨てる、このベビークラッペというのも、赤ちゃんポストというのも、言葉はきついですね。ポストというのは、赤ちゃんを投げ入れる。クラッペというのもドイツ語でごみ箱のふたみたいなものを連想させる言葉らしいです。

 ただ、言葉を幾ら飾っても、赤ちゃんをみずからは名前を明かさずに置くわけですから、どちらの国にも共通するのは、あえて言葉を飾るということをしていないという点で私は共通点を感じるわけでありますけれども、違うのは、ドイツの場合は移民問題がございます。人口の二割に近い移民というものを抱える中で、十年以上前からベビークラッペが普及したという背景があって、ちょっと我が国日本とその面で違うところがあるというのは重々に御承知おきをいただいた上で、特にこのミュンヘンの例を聞いていただきたいんです。

 ミュンヘンにおいて、それでもシスターがおっしゃるのは、お母さんというのはそんなに簡単に子どもは捨てないものなんだというふうにおっしゃっておられました。実際、ミュンヘンの例も約十年で約十人ほどしか、我々はもっと数が多いのかなと想像していたんですけれども、十人ぐらいです。

 ただ、日本と大きく違うのは、日本の場合は、熊本の方は積極的に親の身元というのをできるだけ知る努力をする。こちらは、官公庁との取り決めがあるということで、一切そういう手続を、手続というか、こちらから積極的に調べることもしないし、聞くこともしない。ただ、親御さんからうちの赤ちゃんは元気にしていますかという電話があったりとかしたという例は幾つかあったということでありますけれども、身元判明は、約十件のうちで、ミュンヘンの場合は一件だということでありました。

 ドイツにおいて急速に普及して、八十カ所、我が国では一カ所でありますけれども、しかし、実績は十年間で約五百人ということを聞きましたので、一つ当たりで割っていくと、そこまで我々が想像したような、多いというような数ではないなというのが印象であります。

 ただ、法的には、向こうの刑法二百二十一条というのがあるらしいんですけれども、それでは普通の場所に遺棄をすれば保護者の責任というのは問われるわけですけれども、ここは一応安全な場所だということで、刑法二百二十一条の子どもを捨てるという、扶養義務を果たさないということには当たらないということは、向こうの方では了解をされているということでありました。

 しかしながら、子どもが自分の出自を知るという権利を侵害するということには変わりがないということで、どこまで行っても割り切れない問題でありまして、政治は、与野党とかイデオロギーを余りかますことなくコンセンサスを得ていくというのが私は大事なことではないかなと。まさに、こういう微妙な問題だからこそ知恵を出さぬといかぬなということだと思います。

 こうしたことを踏まえて、大臣、私も本当に質問するのも難しい、答えるのも難しい問題だと思います。割り切れないものを割り切れないままに我々は対応せないかぬということでありますけれども、まず、感想のようなものがありましたら、伺いたいと思います。

荒井国務大臣 先ほどの池坊委員長のドイツ視察の報告を聞かせていただきましたし、また、今、松浪委員から感想を御指摘になりました。

 ドイツというのは日本の社会保障の原点みたいなところを持っておりまして、年金制度もドイツから発祥いたします。それから、一九九七年に私が携わりました介護保険制度、これもやはり、当時、今でもそうじゃないかと思いますけれども、ドイツでしかやっておりませんでした。一九九五年にドイツが初めて始めたのではなかったかと思いますけれども、介護保険制度というのはドイツから発祥しております。

 私も、介護保険制度の制度創設、あれは私自身が法案を書いたんですけれども、あれをつくるときにドイツの研究をいたしました。

 日本の場合、なぜ介護保険が必要だったかといいますと、それは社会の変質、家庭の変質、あるいは長寿化ということもあるんですけれども、社会全体が変質していって、それに旧来の制度では持ちこたえられなくなったということが介護保険制度をつくるきっかけというか必要性につながっていったわけです。

 私は、児童虐待というものも、日本の社会の変質、先ほどのゲゲゲの鬼太郎の妻じゃないんですけれども、地域あるいは家庭というものが大きく変化をしていって、子どもをしっかり育てていくその基盤部分が壊れ出してきたというところが一番の問題で、原点であり、だからこそ今度の対策本部をつくり、あるいはビジョンをつくるという動きで、社会的にどのように対応しなければならないのかという問題意識から発生したのであり、また、当委員会もそういう意識から発足したのだろうというふうに考えております。その意味では、政党であるとかあるいは政策の違いとか、そういうものを乗り越えた議論が当委員会に期待をされているんだろうし、私たちの議論というものもそういうものにあるのではないかなというふうに思っております。

 当委員会が活発に、そして、私はドイツでの視察の本格的な本レポートが出てくるのを大変期待して楽しみにしているところであります。

松浪委員 ありがとうございました。

 まず、その点だけでもコンセンサスをつくっていくということが大事だと思います。

 私、施設で育つ子どもというものも、この委員会の国内の視察でも見せていただきました。一般論として、できるだけ家庭に近い状況で育てられる方がやはりいいんじゃないかなという印象を現場を見て実感するわけであります。

 実際、ミュンヘンの例でも、すべての子どもが養子に行っていると。シスター・ダニエラという方が担当していらっしゃるんですけれども、実際にベビークラッペで引き取られた子どもが、おうちで、パパ、ママ、シスター・ダニエラに弟をもらってよというようなこともおっしゃって、実際、それはベビークラッペからではないですけれども、別の養子縁組ができてまた家族がふえたという例もあるということを聞きました。

 私もかつてオーストラリアでホームステイしたことがあるんですけれども、お父さんがイギリス人、お母さんがアイルランド人で、二人の子ども、お姉ちゃんと弟は血もつながっていない。家族四人が血がつながっていないんですけれども、だからこそ、本当に家族というのを大事にしないといけない。その家は敬けんなカトリックだったので宗教的な素地というのもあるのかもしれませんけれども、やはり我が国も、そうした血縁がなくても家族ができるんだということは、これからの里親制度の充実また特別養子縁組の充実というのが私は不可欠かなというふうに思っております。

 これの実数について、もう時間がないので端的にお答えをいただきたいと思います。

石井(淳)政府参考人 里親についてお答え申し上げます。

 里親の登録数は平成二十一年三月現在で七千八百八人となっておりまして、そのうち、児童の養育を委託されている里親は二千七百二十七人でございます。

 なお、里親に委託されております児童の数につきましては三千八百七十人となっております。

 以上です。

松浪委員 今ちょっと特別養子縁組の実数というのも法務省の方に聞いていたと思うんですけれども、それも端的に。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 司法統計年報によりますと、平成二十一年に成立いたしました特別養子縁組の件数は三百二十六件でございます。

松浪委員 ありがとうございました。

 里親制度についても、報道がここ数年ずっと出ているんですけれども、どんどんどんどんと、十年前に比べても受け入れ体制が弱くなっている。そして、実際、その数も減っている。本来は逆の方向に我々は持っていかなきゃいけないところを、こういう現状にあるということについて、やはり海外との比較も踏まえて行政からは対応していただきたいと思います。

 「こうのとりのゆりかご」の場合、先ほど申し上げましたように、大きな違いは、積極的に親を見つけに行く、私はこれはある意味正しいことだと思います。先ほど申し上げたような移民問題も絡むと、親が移民だからとかそういうことを考えずに、移民の子だからそういうのがないだろうということで預けられるという方もいらっしゃるというふうに仄聞をしておりますので、我が国ではそういう現状にないということは非常に私は幸福なことだと思います。

 一方で、なぜこのようにしないといけないかというと、特別養子縁組にしても実の親の同意が当然必要だ、これは私は当然のことだとは思うんですけれども、我が国の場合、そうでない場合は家裁の方で判断をしていただかなければいけないということもあって、ここは今後ネックになってくることもあるんじゃないかなと。ドイツの場合は八週間を過ぎれば養子縁組が可能だということがありますので、私は、これが今すぐ必要かどうかというのは慎重に進めなければならないと思いますけれども、この辺がやはり論点になるというふうに思っております。

 特に、特別養子縁組の要件としてこういうことがあるわけですけれども、子どもにとっては、さっき申し上げたように、できるだけ施設よりも本当に家庭に近い環境に置くべきだというふうに私は思います。ドイツのように八週間で区切るということについても何かお考えがあれば、最後に伺っておきたいと思います。

荒井国務大臣 日本では、特別養子縁組を行う際の父母の同意に関しては、民法第八百十七条の六、本文において、原則として父母の同意が必要だということを規定しております。しかし、同条で、ただし書きとして、父母がその意思を表示することができない場合、それから父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、父母の同意は不要である旨を規定していると承知をしております。よって、特別養子縁組に当たっては、父母の同意は必ずしも必要でなく、裁判所はこの条文に従って父母の同意の要否について適切に判断しているものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、今度のドイツでの視察の本文、レポートでそのあたりのことを、恐らく詳細が書かれているということを参考にしながら、子どもの最善の利益を考慮の上に、国民的な議論を進めていく基盤づくりをしていきたいなというふうに思っております。

松浪委員 最後に、そのシスターがおっしゃっていた言葉を御紹介して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 このベビークラッペを運営されるシスターは、できるだけ引き取られた子どもたちの養父母にアドバイスしていることがある。それは何かというと、子どもが言葉がわかるようになってからできるだけ早い段階で、あなたは私たちと血のつながりがないのよということを伝える、ただ、そのときに、あなたは私たちの体の中から生まれていないけれども、私たちの心の中から生まれた、望まれた子どもなんだよということ、ずっとそれを子どもにわかってもらえるようにということで指導されているということであります。

 私たちもその精神は、本当に望まれない子どもではない、せめて、そうした子どもも望まれた子どもなんだということを重々に子どもたちにわかってもらえるように今後進めてまいらねばならないと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

池坊委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 こんにちは。衆議院議員、自由民主党のあべ俊子でございます。

 先日の池坊団長を初めといたしましたドイツの視察、調査、とても勉強になりました。特にベビークラッペに関しましては、日本の熊本の赤ちゃんポストと一緒でありまして、さまざまな意見がありましたところでございますが、やはり生まれた子どもは本当に国の宝である、この子たちに対して何をしていくかということは、しっかりと議論をしていかなければいけないというふうに感じました。

 本日は、若者の雇用支援について質問させていただきたいというふうに思います。

 今、本当に就職ができない子どもたちがたくさんいて、大学の就職率九一・八%と出ておりますが、特に短大の就職率が非常に下がっておりまして、六・一ポイント下がりました八八・四と言われているところでございます。

 そういう中におきまして、日本の大学、また高校を卒業した子どもたちが、就職ができなくて若者が本当に困っている中にありまして、この内定率、本当に対策を立てていかなければいけないというふうに思うわけでございます。

 そうした中、日本学術会議、八月十七日に提言がございまして、早期就職活動が大学教育に及ぼす弊害ということが言われておりまして、大学三年、もう春ぐらいから就職活動を始めてしまっている子どもたちがいるので、卒後三年間を新卒扱いにするべきではないかという提言が出てまいりました。これに対して、大臣、お考えを聞かせてください。

荒井国務大臣 新卒者の就職が大変厳しいということは政府としても認識をしております。

 具体的にお話をさせていただきますと、今春の就職内定率は、新規大学卒業者で九一・八%、新規高校卒業者で九三・九%となっており、特に大学は前年から大きく減少をし、ここ十年来で最も厳しい状況となっております。ちなみに、大学の未就職卒業者は六・六万人で、昨年の同期と比べまして約三万人増加しております。あるいは、高校の未就職卒業者は約一万人で、昨年より二千人ふえております。また、就職をせずに留年をした大学生は約十二万人に上っております。過去最悪の就職内定率ではないかというふうに想定をしてございます。

 このため政府は、内閣総理大臣の指示に基づきまして、新卒者雇用・特命チームをつくりました。そして、八月三十日に、この特命チームのもとで新卒者雇用に関する緊急対策について取りまとめたところでございます。

 きょう午前中に、総理が議長を務める雇用戦略対話という大変大きな会議を開きました。雇用問題に関する時々のテーマについて、有識者を交え、経済界や労働界を交えた対話でございますけれども、その対話でこの実態について報告するとともに、特命チームが出した結論、対策などについて御報告を受けたところでございます。

 政府はこの十日、あさってになりますか、緊急経済対策を出すことにしてございますけれども、その中でも、この特命チームが出した結論を最大限に取り入れて、新卒者の雇用問題について対策を打つ所存でございます。

あべ委員 ありがとうございます。

 八月二十五日に出ました毎日新聞にも、十五万人が行き場がないという報道がございまして、本当にこの子たちがこれからどうしていかなければいけないのか。特に私は、先ほども申し上げました、新卒でなければ就職の機会がないということが大きな問題だと思っておりまして、人生一発勝負しかないのかと。ことし卒業したばかりに、また来年はもっとこの雇用状況が悪化するかもしれないと言われている中、特に円高、株安、非常に影響が大きい中にありまして、やはりこの新卒の拡大解釈、特にIBMが大学卒業一年半は新卒とみなして採用しているということもありますし、またほかの調査によりますと、既卒者を新卒と同じ枠で採用している企業が今二割強、さらには、採用対象にしなかった、新卒でなければ新卒枠で入れないという企業が四割ある、新卒を中途採用枠にしかしないというところが三割というデータもあるわけであります。

 今、その特命チーム、本当に動いているということでございますが、ぜひともこの新卒の枠を拡大するということが、私はこの時代に生まれてきた若者たちにやらないといけないことだと思っておりますので、大臣、そこはぜひともお願いしたい、その御決意を聞かせていただきたいと思います。

荒井国務大臣 日本の雇用慣行は非常にスティッフ、かたいというか限られているというか、柔軟性がないというふうに私も思います。

 そこで、今回の、経済界もおられましたし、あるいは労働界も参加をしておられましたので、三つの点について強調を私どもの方からさせていただきました。

 一つは、日本の新卒というのは、その年に卒業した人だけを新卒とする雇用慣行があります。これは企業の方の人事担当官が一年に一回仕事をすればいいみたいなことから発生したのかもしれませんが、これをぜひ、卒業後三年間までは新卒と扱ってくれということを強く申し上げさせていただきました。

 それからもう一つは、現在の雇用状況で見ますと、大企業が求人倍率が〇・五ぐらいなのに対して中小企業が一をはるかに超える二とか三とかなんですね。つまり、中小企業は今でも人材不足に陥っているというのが実態でございますし、また、今のこのような状況は、中小企業にとっては人材確保のためのチャンスだというふうに考えている中小企業がかなり多いということがわかりました。

 ただ、中小企業の経営が大変厳しいですから、人材をすぐさま雇用するというのにいろいろな制約があるということから、インターンシップの大幅な拡充でありますとか、中小企業のマッチングのあり方でありますとか、あるいは、今雇用が不足をしております介護の分野において積極的に職業教育をしていくとか、そういうことを今後重点化していこうということを議論したところでございます。

 それからもう一つが、地域の問題が大変多い。地域ごとに雇用問題が非常に上下があるんですね。例えば沖縄でありますとか、あるいは北海道でありますとかというのは非常に就職がしづらいという状況にありますので、地域で雇用戦略対話会議というのをぜひやってほしいということを昨年来から私たち言っておりまして、それが幾つかの県では実施をされているんですけれども、全国的にまだまだでございます。これを全国で、ぜひその地域の知事さんや市長さんも含めて、関係者でそのような会議を、雇用を拡大していく、新卒者を雇用に結びつけていく努力をしていただきたいという今回の結論があったところでございます。

あべ委員 ありがとうございます。

 ミスマッチの雇用の問題も非常に大きいということもあります。

 私、今回、池坊団長を初めとしてドイツを視察してまいりまして、日本というのは、特に児童虐待、ドイツより進んでいると実感をいたしました。また、そういう中におきまして、しかしながら、雇用の問題に関してはまだまだ足りない部分がある。そういう中で、外交におきましても、誇れる日本、もっともっとやっていかないといけないということも今回の視察で実感をしたところでございます。

 ミスマッチの問題もございますが、まずは景気対策、これも私は重要だと思っておりまして、若者の雇用の部分で、十五歳から二十四歳の若者の完全失業率が一〇・七%と六月に出ていることを考えたときに、六人に一人が就職も進学もできなかった、こういう実情を考えたときに、ミスマッチだけではなく景気対策、今、政治空白ができないようにしていくということは私ども国会議員としての役割であると思いますし、非常に政局も厳しいときでございますが、まずは政策をしていかなければいけないということを本当に実感いたしますので、そこはしっかりとお願いをしたいと思います。

 私、時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

池坊委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、閉会中審査二回目ということで、大変精力的に青少年問題に関するこの特別委員会、池坊委員長のリーダーシップのもとで開催をさせていただいております。

 私は、きょうは、一つは児童虐待の防止につきまして、あともう一点は青少年のインターネットの今の課題につきまして、お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、総務省にお伺いをしたいのですが、九月五日付の一般紙に、総務省が児童虐待防止に向けて、子どもたちにかかわる児童福祉司や小中学校の校長ら全国約八千二百人を対象とした意識調査に乗り出した、こうした大規模な現場従事者に対する調査を国が行うのは初めてという記事がありました。

 この記事の概要につきまして、調査の目的、そして現状、また今後のスケジュールをどのようにお考えなのか、総務省の説明を求めます。

渡辺副大臣 今御指摘のありました九月五日の読売新聞でしたかにも報道されましたけれども、今現在、この平成二十二年のうちに結果を得るべく、この調査をほぼ終了いたしました。

 今ここに持ってまいりました。例えば、児童相談所の児童福祉司、あるいは学校に、あるいは保育所、こういう幾つかの、児童虐待の防止等に関する意識等調査を行いまして、今、対象となる八千二百名のうち大体七割方回収をされております。

 二十二年内に、ことしの十二月までに取りまとめる、そして、関係府省へ伝えて必要な勧告を行うということでございますが、やはり事が事だけに、私どもとしては、二十三年度予算編成、来年度からの予算編成に間に合うように、このアンケートの調査結果を、今集約の作業をしております。これを速やかに取りまとめまして、関係府省への伝達やあるいは公表、そしてまた、勧告だけではなくて、必要なものは来年度の予算の編成の中に織り込めるように、資することができるように、現在作業を鋭意進めているところでございます。

 この点につきましては、公明党を初め高木先生にもぜひとも後押しいただけますよう、ぜひお願い申し上げます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 大変全般的な調査を行っていただくということで、高く評価をさせていただき、ぜひとも早急な取りまとめをお願いしたいと思います。

 今も副大臣からお話がありましたが、総務省は、そうした行政機関が行う政策評価に関する法律等に基づきまして、各省庁に対して勧告、通知等を行うことができます。

 私は、前回の委員会でも荒井大臣にお願いをいたしましたが、児童虐待の問題は、先ほど吉泉委員からも御指摘がありました。厚生労働、文科、警察、法務、また内閣府、総務省、大変多岐にわたる児童虐待防止対策でございます。今の総務省の取り組みも含めまして、これは省庁横断の機関をきちんと設置していただきまして、子ども・若者育成支援推進本部、本部長は総理大臣でございますが、そのもとに専門チームをきちんと置いていただき、それを、例えば総務省の取り組み、厚労の取り組み、各省のそれぞれの取り組みがこれからさらにまた進むかと思います。当然、来年度法改正というその方向を目指して、法務省も親権制度等を今詰めていただいているところです。

 そうしたものを、これは政府の中でできるものは今やる。そしてまた何が課題なのか。そして、先ほどもゲゲゲの、大臣、あれは「ゲゲゲの女房」というのが……(荒井国務大臣「ゲゲゲの女房ですね」と呼ぶ)本当のタイトルでございます。私も好きです。

 個々の地域の最終的なネットワークをどうつくり上げていくか。最終的には、そうして、各都道府県、また市町村にお願いしなければいけないことも多くあります。そうしたことを含めて、こうしたチームをきちんと設置すべきと思います。

 申しわけない言い方ですが、総務省から各省に勧告、通知が出るということは、私は、政策に対する、また行政結果に対する評価というのは当然必要でございますけれども、せっかく荒井大臣がいらっしゃるんですから、リーダーシップをとっていただいて、ここは、児童虐待はしっかりやるんだ、自分がやるんだ、そういう大臣の意思をぜひ表明していただきたいと思いますが、大臣の御決意はいかがでしょうか。

荒井国務大臣 この四月に、政府は子ども・若者育成推進本部、総理大臣を議長とするそれをつくりましたけれども、幾つかの推進本部なり対策本部には、テーマによってタスクフォースや、あるいは分科会、専門会というのをつくってございます。雇用問題でも、先ほどお話をしました新卒者の問題はやはり緊急性が高くて必要だということで、雇用戦略対話の中で特別なタスクフォースのチームをつくりました。

 今回も、高木先生がおっしゃるように、この問題については極めて重要な問題だというふうに私自身も認識をしておりますので、専門チームのタスクフォースが必要かどうか考えてみたいというふうに思います。

高木(美)委員 私は、前回の委員会のときに少し違和感が実はありました。この青少年問題に関する特別委員会は、少子化担当大臣が青少年の育成についても担当を実はされていたというのが今までだったと思います。ですから、まさに出産前からずっと一貫して、若者支援、就労に至るまで切れ目のない支援を講ずる必要があるので、今まで少子化担当大臣が担当され、そしてまた、それを政府のかなめとしてさまざまな発信をしてこられたと承知をしております。

 しかし、今回、菅内閣におかれましては、荒井大臣は、国家戦略、経済財政、消費者、食品安全担当、大変重要な責務を担っていらっしゃいます。これが国家戦略という意味かもしれませんが、私は、切れ目のない支援をどのようにしていくのか、そのためにも各省連携、その拠点づくりはもうなくてはならないものだと考えております。再度、大臣の御決意を伺います。

荒井国務大臣 私自身も少し抱えさせられ過ぎているのではないかと自分でも思うぐらいなんですけれども、ただ、国家戦略、あるいは今の日本が抱えている課題というものを総合、トータルで見てみろ、それを改めて国家戦略的な見地からレビューをしてみろという、そういう総理の御意思なんだろうというふうに思っております。この児童関係だけではなくて、自殺対策も大きな対策として私の与えられた使命なんですけれども、共生という分野、日本の社会の中の最も今問題が生じつつあるような、そういう分野を担わせていただいたということは、政治家としてありがたいなというふうに思っている次第であります。

 そういう問題から、そういう一番生活の部分、人間の基本的な部分と国家戦略というものとがどういうかかわり合いがあるのか、そういう見地から政治や行政を進めてみたいというふうに私自身は考えております。

高木(美)委員 大臣、実は次世代を担う子どもへの切れ目のない支援を実施するには、私は、今回、少子化担当大臣、今までもずっとそういう名称で来ましたけれども、せっかく子ども・若者ビジョンに基づいて進められるのであれば、またその対策本部をおつくりになったのであれば、少子化担当大臣ではなくて、もっと合体した、一貫した子どもに対する支援をやりますという強いメッセージを示すためにも、本来は子ども・若者担当大臣というような、そういう方向にすべきではないのかなとずっと思っておりました。

 民主党さんは子ども家庭省、我が党も子どもにかかわるものは一つにまとめていく、そういう考え方には全く違いはないわけです。恐らく、さまざまな課題があり、そこがなかなか踏み出せないと思うんですが、ただ、今やっていらっしゃることは、ぶつぶつ切れていて、かといって、各省のさまざまな、児童虐待だけでもずばっと切り込んで、そしてそこで協議をするというような、こういう課題に対応する省庁横断の子ども家庭省といった、そうした発想から私は逆行しているんじゃないか、少し遠ざかっているのではないかという、そんな実感があります。

 ここをもう一回結集していただいて、子どものことに関しては、殊に、今一番課題になっている児童虐待については、ここにすべての問題、課題が集約されております。ここの課題の解決のために取り組むということがまさに一番下から日本を変えていく、こういう流れになるのではないかと私は考えております。そういう意味で、再三再四大臣に、こういう専門チームをきちんと置いてほしい、このことをお話しさせていただいているわけです。

 例えば、虐待の死亡事例があった。では、厚労省にすぐ上がってくるか。警察は検挙事例でしっかり掌握しますから、でも、一回厚労省に問い合わせをしたときには、いや、まだ報道ベースですがと、すぱっと報告が上がってきていないという場合もあります。こういう連携体制からどのように変えていくのか。

 ここも含めて、今後、こうした専門チームを明確に置いて、ここがすべてこの児童虐待の問題、さまざまな省庁横断の課題についても対応します、すき間はつくりません、こういうふうにしていただき、この委員会の中でもさまざまな御提案がありました、この御提案を、きちんとそれぞれにもちろん割り振っていただけるとは思いますが、この専門チームに持ち帰って、そこに各省からやはり政務三役、担当の方に集まっていただいて、それがそのまま反映されるという、私は、この委員会の役割も、政治主導とおっしゃるのであれば、そういう役割に変えていただかないといけないのではないかなと思います。大臣、どのようにお考えでしょうか。

荒井国務大臣 高木委員の御指摘は、私もそのとおりだと思います。今、推進本部で実際に活動を始めたというか、実際の活動は七月からでございますので、またその中で具体的なことを議論していきたいというふうに思ってございます。

高木(美)委員 今、代表選で大変かと思いますが、空白をつくってはならないという国民の強いメッセージもありますので、いち早く対応をお願いしたいと思います。

 次に、何度もまたお願いしてまいりました児童福祉司の配置の拡充についてでございます。きょう、また改めて資料を用意させていただきました。

 児童虐待防止対策強化のためには、何としても人とお金を重点的に投入する必要があると思います。中でも最優先に取り組むべきは、保護者に対する強制権限を持つ児相の専門性を強化するとともに、その児相の重点的な人員配置が必要ではないかと思います。

 図の下に小さく数字が打ってあります。二ページをごらんいただきたいと思います。「主な児童虐待防止対策の推移」、この委員会で検討し、法改正をずっと行ってまいりました。例えば、平成十七年度、児童福祉司の配置基準の見直しがあります。ここで、十万から十三万人口に対しまして、これを五万から八万に改正がされました。しかしながら、その二年後の法改正におきまして四十八時間ルールが設定をされました。ここからまたさらに児相の業務の多忙は加速度を増しております。二十一年四月には第二次改正法が施行となりまして、出頭要求、再出頭要求、臨検、捜索制度等々が盛り込まれました。

 こういう高度なものを使いこなしていかなければいけない。一方で、福祉の児相でもある。障害者も、また遺棄された児童も面倒を見ていただかなければいけない。そういう中にありまして、確かに公務員削減の中でふえてはおりますけれども、まだまだ不足しているというのが今の状況でございます。

 私は、まず、この児相の福祉司を強化、増員すべきではないか。このために、厚労省の政務三役の方は総務省の政務三役に対してこの交付税措置の拡充を求めて闘っていただくべきではないか、そこはしっかりと後押しをしたいと私は考えておりますが、細川副大臣、いかがでしょうか。

細川副大臣 高木委員の方から強い激励をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に児童虐待の件数がふえ続けておりまして、これにどう対応するかということは日本の社会にとって大変重要なことだというふうに認識をいたしております。

 こういう子どもの虐待、子どもの福祉に関して、その対応を中心的に担っていただくのが社会福祉士の皆さんでございますので、これまでも国としては、地方交付税措置の充実に伴って数をふやしてまいりました。平成十一年には千二百三十人であったんですけども、二十二年のことし四月にはその倍の二千四百七十七人というふうになっております。

 現場の状況にきちっと対応できるように、さらに職員の専門性の問題、数の問題などについて充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 それでは、総務省、渡辺副大臣、いかがでしょうか。

渡辺副大臣 以前も委員会で小川政務官に対して先生から御指摘がございました。先生のこの資料にもございますけれども、平成十一年から、十六人の定員が今現在は三十名というところまで増員をされてまいりました。百七十万人規模のベースで拡充を漸次図ってきているところでございますが、我々総務省では、定員管理をもちろんしておりますけれども、社会情勢の変化に伴って、削減すべき部署、これから対応が必要とされる部署においてはめり張りをつけて、減らすところは減らしても、やはり必要とされるところはふやしていくべきであろうというふうに考えております。

 とにかく、守るすべのない弱い者、幼い者が命を落とすようなことが絶対あってはなりませんし、またそのシグナルを見落としたり、目を背けるようなことが絶対あってはならない。必要な拡充をすべく、我々としても、先ほどの意識調査、現在、八千五百の方を対象に現場の声を聞いております。早急にまとめまして、必要とされる施策の問いもございます。しっかりとこの結果を受けとめて、各省の予算編成に資することができるように、我々としてもめり張りをつけて対応できれば、財政的な措置も含めて考えていかれればというふうに思っております。

高木(美)委員 大変力強い御答弁をいただきました。それが数字にしっかりあらわれますように、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、時間が迫ってまいりまして、高井政務官、申しわけありません、一言だけ御答弁をお願いしたいと思います。

 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの増員を求めてまいりましたが、今後の対応につきまして、簡潔に御答弁をいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。

高井大臣政務官 文部科学省で、学校・家庭・地域の連携協力推進事業というメニューの中で、これらを配置する都道府県・政令指定都市教育委員会に対して、その経費の三分の一を補助する事業というのを行っておりまして、平成二十二年度予算において、スクールカウンセラーは、全公立中学校への配置というものに加えて、小学校では一万校配置、それから、スクールソーシャルワーカーについては教育委員会や学校などに千五十六人を配置するための経費を計上いたしました。

 そして、二十三年度の概算要求においては、さらにスクールカウンセラーを小学校一万二千校、二千校増で拡充したいというふうに考えておりまして、スクールソーシャルワーカーについては、中核市を新たに補助対象といたしまして、千九十六名、四十人増に拡充するための経費を要求しているところでございます。

 ぜひ、先生の御支援をいただいて、これからもこちらとしても努力していきたいと思います。

高木(美)委員 このスクールカウンセラーもソーシャルワーカーも、池坊委員長を初め、我が党でも懸命に取り組んだ大事な政策でもございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、インターネットの青少年の問題につきまして質問させていただきます。

 この委員会が中心になりまして発議をし、二十一年六月、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画まで制定になりました。法を制定し、それに基づいた計画でございます。

 政府は、今の現状をどのように認識して、来年度予算でどのような対策を講じようとされているのか、荒井大臣、そしてまた警察庁に簡潔に御答弁をいただければと思います。

池坊委員長 質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いしたいと存じます。

荒井国務大臣 私は、かつてこの方面で法案の審議に参加をしたことがありまして、大変関心を持っているところです。

 時間がありませんので簡潔に答えさせていただきますが、青少年インターネットの環境整備法については、青少年が自立して主体的にインターネットができるような教育啓発、あるいは、保護者が青少年のインターネット利用を適切に管理できるようにするための啓発活動の実施、それから、事業者等による、青少年が有害情報に触れないようにするための取り組みの推進、いわゆるフィルタリングですけれども、そのような自主的な取り組みの推進を柱として国が取り組んでいるところでございます。

 私としても、青少年の健やかな育成を担当する立場から、関係府省との連携を深め、青少年のインターネット利用環境の整備に取り組んでまいる所存でございます。

樋口政府参考人 インターネット犯罪の現状をどう認識しているかということでございますけれども、これは統計をとり始めたのが平成十二年からでございまして、これを見てみますと一貫して増加をいたしております。昨年は六千六百九十件検挙をいたしたところでございます。はるかに上回る相談件数が背後にございます。

 それから、対策はどうかということでございますが、対策は二本立てでございまして、警察は、最大の責任が取り締まりでございますので、取り締まりを徹底する。それからもう一つは、サイト管理者を初め、関係事業者の自主的な取り組みが大変重要でございまして、犯罪者にサイト等を悪用させないためのいろいろな対策をお願いいたしておるところでございます。

 これは、利用者は多数に上るわけでありますけれども、その理解と協力が非常に重要だということと、それから相応のコストがかかるというところで、なかなかその取り組みは、進んではおりますけれども、思うようには進んでいないといった状況でございます。

 それから、体制強化で予算はどうかということでございますけれども、来年度の概算要求におきましては、地方警察官をこの取り締まりのために三百五十名、増員を計上させていただいております。そのほか、資機材の整備等で一億七千二百万円、それからインターネット・ホットラインセンターとサイバーパトロールの委託経費といたしまして一億七千三百万円を計上させていただいております。

高木(美)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、広報費もぜひ削減せずに、インターネットの犯罪防止、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

池坊委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回に引き続き、児童虐待防止の対策についてお伺いをいたします。

 さきの大阪市西区のあの事件がございまして、大阪府の橋下知事はみずから、虐待の疑い事例も含め、二十四時間体制での通報を呼びかけるとともに、八月の九日から三十一日まで大阪府作成の二種類のテレビコマーシャルを放送いたしました。テレビの効果は絶大でありまして、通報が劇的にふえたと聞いております。

 コマーシャルの始まった八月九日から三十一日までの通報件数を把握しておられるでしょうか。

細川副大臣 お答えする前に、先ほどの高木委員の質問の中で、私、社会福祉士と申し上げましたが、あれは児童福祉司の間違いでありましたので、訂正させていただきます。

 今、宮本委員の方から御質問のありました件数でありますけれども、これは大阪府の方に確認をいたしましたところ、八月九日のテレビのコマーシャルの開始から八月の末までに、二百八十三件の虐待通告があったということでございます。

宮本委員 二十二日間で二百八十三件ですから、一カ月に換算すると三百八十一件になると思います。昨年の八月が百十四件、比べると三・三倍にふえる計算になります。

 これはもちろんよいことでありまして、おそれも含めてどんどん通報していただくことは大事なことなんです。ただ、その間の職員体制について、これは厚生労働省、把握しておりますか。

細川副大臣 お答えいたします。

 大阪府の児童相談所、これは六カ所ありますけれども、そこにおけます職員の配置状況は、平成二十二年四月一日現在で、児童福祉司が百三十七名、児童心理司が三十九名となっているところでございます。

宮本委員 それはもともとの体制なんですけれども、とにかく通報がどんどんふえていっているんだが、その体制の方がどうふやされているのかと私は現場の方々からもお話を聞きました。

 大体一時窓口というのは、大阪の中央子ども家庭センター、ここ一元で受けているというんですね。これは、一時保護所があるところで、そこが二十四時間の体制をとっているから、そこに電話がかかればとれるだろうという話になっておりまして、そして、そこには、結局、二十四時間虐待通報体制のための正規職員が配置されていない。通報を受けたら、実際に子どもを保護に走るのは、大阪府下の各子ども家庭センターの職員が電話で連絡を受けて行くんですけれども、それはまさに善意とボランティアで行くんだ。だから、携帯電話を持って、いつ電話が入っても出かけられるような体制をとっている、拘束されているというふうに聞きました。

 テレビコマーシャル、もちろんいいことでありますし、そして厚労省は、四十八時間以内、目視での確認ということを徹底する通達をお出しになられた。これも重要な、大事なことであることは言うまでもありません。

 ただ、そうやって三・三倍に通報はふえるわ、厚労省は四十八時間以内に目視でやれというふうに言うわ、しかし体制の方はこういう形でふえていないということになれば、それこそ職員は死ぬまで働けと言われているのに等しい状況になります。

 前回の委員会で山井厚生労働大臣政務官は、視察に行った足立区の児童相談所で相談員の増員を求める声を聞いたというふうに答弁でも言われましたね。今回の概算要求で、これは抜本的にふえるということになるんでしょうか。

細川副大臣 宮本委員御指摘のように、相談件数がどんどんふえてきている、そうすると現場の職員がそれに対応しなきゃいかぬ、これは、そういう職場の体制をしっかりと充実していくということについては、私どももしっかり認識をしているつもりでございます。

 そこで、これまでも、先ほどから申し上げましたように、いろいろと数なんかもふやしてまいっておりますけれども、二十三年度の概算要求に加えましては、これまでのあれに加えまして、児童福祉司のサポート職員、これは児童福祉司のOBとかあるいは保健師などの皆さんでありますけれども、こういう人たちを配置いたしまして、児童相談所の個別のケースの対応や市町村に対する指導、支援を行う体制を強化する。

 それと、それに加えまして、子どもや保護者に対する相談支援体制を強化するために、児童家庭支援センターの箇所数の増加。これは現状では七十一カ所でありますけれども、二十三年度予算では百八カ所にしたい。それから、将来的には、二十六年でありますけれども、百二十カ所という目標で今取り組んでいるところでございます。

 先生が御指摘のとおり、しっかり職員体制はやっていかなければということで、厚生労働省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

宮本委員 今、サポート職員というのを置くということでありますが、何人配置することになりますか。

細川副大臣 二百五人ということでございます。

宮本委員 各児童相談所に一名ということですから、二百五人ということになるんですね。

 この児童家庭支援センターの方もたった四カ所の増。サポート職員というのもOBを二百五人ふやすというだけでありまして、これでは、今言っているような三・三倍にもふえてきつつあるような状況、そして、四十八時間以内にということで、今現場に求めている状況から見たら、やはりなかなか受け皿としては心もとないと言わなければならないと思います。やはり人の配置、その予算の確保、これはしっかりと求めておきたいというふうに思うんですね。

 それで、ことしの六月に我が党の大阪府委員会が、大阪で続発する児童虐待問題を受けまして、子どもの虐待問題を考えるシンポジウムというものを開催させていただきました。

 ケースワーカーやスクールソーシャルワーカーなど現場の専門家の方とともに、本委員会でも大変御活躍をいただいた石井郁子前衆議院議員がここで報告をされております。私も石井先輩の報告を学ばせていただきました。ここで石井さんは、児童虐待防止法の成立、改正にかかわってきた者として、人の配置、予算の確保など必要な体制をしっかりとるということとともに、大事なのは、発生させないこと、未然に防ぐことだというふうに述べられております。

 それで、私ども取材をさせていただいた北海道大学の松本伊智朗先生も、同じように、この大阪の事件についてこう述べておられるんです。

  事件の母親が無責任のかたまりのような報道もされましたが、最後の局面ではそうだったかもしれませんが、そうなる過程はこの母親だけの特異なものではなかった

  今の日本の社会は、子どものことは親次第、親に何かあったらそれっきりという状態です。今回のケースはその典型ですし、これからもこうしたケースは起こりうるでしょう。子育ての責任を親だけに押し付けていては、問題は解決しません。

  一般的な「子育て支援」というより、生活の基盤が危うくて、人と人との関係をつくることが非常に困難な、社会の底辺で流動し分散し孤立化している、傷つけられた人たちをどうするか、そうした人たちへの手厚い支援が必要です。

こういうふうに指摘をされているわけですね。

 ですから、調査によれば、虐待につながりかねない家庭のリスク、これは、一人親家庭であるとか親族、近親からの孤独であるとか経済的困難、こういうものが一つのリスクとして指摘をされているわけですから、また、不安定就労というのも指摘をされておりますから、それらが複雑に重なり合って、背景にあって問題が起こっているということだと思うんですよ。

 そこで、一人親家庭等々に対する特別の手厚い社会的な支えが必要だということを石井さんもこのシンポジウムで指摘されておりました。

 一つは、貧困に対する支えが要るということですね。OECDの調査によりますと、我が国の一人親家庭、とりわけ母子家庭の貧困率は五七・九%に上っております。OECDの平均は一九・九%ですから、母子家庭の貧困率が日本は突出していると言わなければなりません。平均年収は二百十三万円、こういう状況でありますから、全世帯の平均五百六十四万円に比べても四割以下程度ということになっています。

 ですから、まずこういう貧困にしっかり対応する。生活を支えるという点で、例えば生活保護というものについても、必要なところには出すということをきちっとさせていくことも必要でしょうし、生活を支えるさまざまな施策が要ると思います。

 もう一つは、保育所の役割というものも大きいと思うんですね。今回の事件を見ておりまして、子どもを保育所に入所させているという事例がほとんどないんですよ。保育所に通っていた子どもというのはほとんどないんですね。もしも保育所に通っていたらこの子どもの状況をつかめたかもしれない、保育の関係者はみんなそういうふうに言っているわけです。

 その点で、これは厚生労働省にしっかり聞きたいんですけれども、一つは、一人親家庭に対する貧困生活の支え、これはどういうふうに考えているかということ。もう一つは、保育所にきちっと優先的に、社会的に一人親家庭の子どもたちをしっかり見ていくという点で、保育所の活用ということをどういうふうに考えておられるかという点、この二点、お答えいただけるでしょうか。

細川副大臣 日本の貧困率について政府が昨年初めて公表いたしまして、一人親家庭の相対的な貧困率が五四%ということで、大変高い水準であったということがはっきりいたしました。

 母子家庭などの一人親家庭に対する支援につきましては、母子及び寡婦福祉法など、これは平成十四年に改正されまして、四つの柱でこれまで総合的な支援を行ってきております。

 一つは子育て生活支援、これはおっしゃられた保育所への優先入所とかあるいは公営住宅への優先権、こういうこと。それから就業支援策、これは、看護師になるならばこれに対しての職業訓練をやっていただいて資格を取ってもらう、これに対する支援を行うとか。あるいは、三つ目として養育費の確保策ということをやっておりまして、四つ目は児童扶養手当などの経済的な支援策、この四つを柱としてやってきております。

 そこでまた、平成二十二年度予算では、子どもの貧困に着目して大きな二つの政策をとりました。一つは、昨年の十二月に復活をさせていただきました生活保護の母子加算の継続でございます。二つ目が、これまで支給対象ではなかった父子家庭への児童扶養手当の支給ということをやらせていただきました。

 それに加えまして、中学校修了までの子ども手当も貧困に対する一つの施策というふうに私ども考えておりまして、これもやらせていただきましたところでございます。

 さらに、ことし一月に策定されました子ども・子育てビジョンにおきましても、この四本柱に沿った取り組みを盛り込むとともに、二十六年度までの数値目標、これは詳しく申し上げますと時間がたちますので省略いたしますが、数値目標もしっかり設定いたしまして、子どもの貧困の対策をやっていくところでございます。

宮本委員 もう時間が来ましたけれども、やはり、保育所にしっかり入れて、子育てそのものを支えるということが大事だと思っておりまして、確かに、平成十五年に「保育所の入所等の選考の際における母子家庭等の取扱いについて」という通達が出ているんです。ただ、これは就労という観点なんですね。だから、仕事をするのに優先的に母子家庭の場合は配慮するということであって、そうじゃなくて、今回のように、親として子どもを育てる力というものがまだまだついてない、そういう親御さんの場合に、しっかり地域の保育所で支えていくということが大事だと思います。

 最後に、大臣から、前回も言いましたけれども、こういうものはリーダーシップを発揮して、政府として省庁横断的に取り組む、この決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

荒井国務大臣 そのとおりでございまして、ですから内閣府という、あるいは特命担当大臣というポスト、役職がございますので、その点を認識の上、しっかりやっていきたいというふうに思います。

 そして、何よりも、最も必要なのは、経済状況が悪化をして格差をどんどんつくり上げていった、そこが最大のネックだと思いますので、政府は今般緊急経済対策をやりますけれども、経済をどう盛り上げていくのかということにもまた力を注いでいきたいというふうに思っております。

宮本委員 終わります。ありがとうございました。

池坊委員長 国会閉会中にもかかわらず、二回目の委員会開催に皆様方の御協力をいただいたことに心から感謝申し上げ、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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