衆議院

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第3号 平成23年4月20日(水曜日)

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平成二十三年四月二十日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 岡本 英子君 理事 川村秀三郎君

   理事 城井  崇君 理事 高井 美穂君

   理事 湯原 俊二君 理事 棚橋 泰文君

   理事 松浪 健太君 理事 池坊 保子君

      網屋 信介君    石田 三示君

      磯谷香代子君    打越あかし君

      小野塚勝俊君    小原  舞君

      金子 健一君    神山 洋介君

      川口  浩君    橘  秀徳君

      中後  淳君    橋本 博明君

      松岡 広隆君    山田 良司君

      横粂 勝仁君    小渕 優子君

      馳   浩君    宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣         蓮   舫君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 法昌君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   参考人

   (原子力安全委員会委員) 久住 静代君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金子 穰治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     花咲 宏基君

  橘  秀徳君     中後  淳君

  初鹿 明博君     小原  舞君

  横粂 勝仁君     打越あかし君

  吉田 統彦君     網屋 信介君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     石田 三示君

  打越あかし君     横粂 勝仁君

  小原  舞君     初鹿 明博君

  中後  淳君     磯谷香代子君

  花咲 宏基君     皆吉 稲生君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     吉田 統彦君

  磯谷香代子君     橘  秀徳君

  皆吉 稲生君     小野塚勝俊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員久住静代さんの出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官藤井直樹さん、警察庁長官官房審議官田中法昌さん、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦さん、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官有松育子さん、厚生労働省大臣官房審議官石井淳子さん、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之さん及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮本岳志さん。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 去る三月十一日に発生した東日本大震災で亡くなられた方々に哀悼の意を表します。また、被災されたすべての皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。

 私は、先週の土曜日、宮城県石巻市に入り、要望などもお聞きをしてまいりました。また、党として福島県にも入って、実情を聞いてまいりました。今、被災地と国会が連携をして、被災地の救援、そして被災地の復興に全力を挙げることが求められていると思います。

 最初に、これは委員長に確認をさせていただきたいんです。

 子ども・若者に関するあらゆる問題を所管する当委員会でありますけれども、さきの国会では、大臣所信の聴取も含め一度も開催されず、今国会においても、召集から既に三カ月がたって、ようやく開催をされております。

 子ども・若者をめぐる状況は、児童虐待や子どもの貧困、さまざまな事情から社会に出ていくことに困難を抱えている若者への支援など、問題は山積だと思うんですね。さらに、東日本大震災の諸課題について、党派を超えて議論し、必要な施策を政府に求めていくことが求められていると思います。

 高木委員長には、今後、必要に応じて速やかに委員会を開催できるよう一層御尽力をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

高木委員長 ただいまのお話につきまして、理事会で協議もさせていただき、また委員各位の御協力もいただきまして、そのようにさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

宮本委員 そのことを確認した上で質問に入ります。

 まず、東日本大震災で両親が死亡あるいは行方不明という子どもたちへの支援について聞きます。

 両親が大震災で死亡あるいは行方不明となっている、いわゆる震災孤児と言われる子どもたちについて、現時点での状況がどうなっているか、御報告いただけますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の震災で両親を亡くした、または両親が行方不明の児童につきましては、要援護児童とも申しますけれども、四月十九日現在、百十人となっております。まだしばらくこれはふえるのではないかと見込んでいるところでございます。

宮本委員 県別に出ますでしょうか。

石井政府参考人 四月十九日現在の確認状況でございますが、岩手県が四十四人、宮城県が五十人、福島県が十六人の確認が行われているところでございます。

宮本委員 ある週刊誌に、親御さんがいまだに行方不明の幼い兄弟の様子が載っておりました。

 陸前高田市のある避難所で過ごす九歳と七歳の兄弟は、避難所に届けられた物資の仕分け、掃除や米とぎなどを率先して手伝いながら、行方不明の両親が迎えに来ることを信じて待ち続けているという記事であります。避難所で過ごす大人たちは彼らの笑顔に心を和ませ支えられている、こういう報道でありました。

 一方、二人の保護者である祖父は容体が安定せず入院中、祖母はつきっきりの看病を余儀なくされており、兄弟の将来をどこまで支えられるのか不安が尽きないということであります。

 九歳の兄は、おれも今大人だったらいいのに、こんなところにいるんじゃなくてさ、ね、ほかに働く場所があったらお仕事できるじゃん、自分の力でもっと何かできるのに、弟もまだ七歳だよ、面倒見なきゃいけないと語った、そういう記事でありました。

 蓮舫大臣も二人のお子様をお持ちの親でありますし、この子どもたちの気持ちが痛いほどおわかりになると思うんですね。大臣、あなたであれば、この兄弟に対してどういう言葉をおかけになるか、一言お聞かせいただけますか。

蓮舫国務大臣 その記事は私も拝読をさせていただきました。九歳の子どもにそのような発言をさせてしまうぐらい、今回の震災の被害というのは大変痛ましかった。できれば、行方不明になっている御両親が一日も早く戻ってきていただきたい。その上で、子どもさんにはできる限りの、児童の福祉の立場から、政府としてでき得ることをさせていただきたいと考えています。

宮本委員 今なお被害の全容がなかなかつかめない、きょうお伺いした数字も、私がきのう時点で聞いた数字よりもさらにふえておりますから、今なお途中経過だと思うんですね。この兄弟の声に本気でこたえようというのであれば、子どもたちの実態を一刻も早くつかみ、直ちに支援策を講じなければならないと思います。

 子どもたちが身を寄せる先も被災し、自宅が流失して仕事がないという、同じような経済困難に見舞われております。祖父母が保護者なら、これから進学に伴う出費への不安等々も出てくるわけであります。

 それで、両親を失った子どもたちを引き取った家庭への支援でありますけれども、この支援としてどのような対応を行っていくのか、厚生労働省にお聞かせいただきたい。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 両親を亡くされた児童あるいは両親が行方不明の孤児も含めて考えていくべきだと思っておりますが、やはり親族による引き受けが一番望ましいのではないかと思っております。

 そのために、親族里親という制度がございますので、こうした制度も積極的に活用していくとともに、先ほどの例は祖父母が御高齢という話もございました、仮に親族で引き受けることができない場合、そうした場合におきましては、養育里親とかあるいはファミリーホームなどを利用して、できる限り家庭的な環境で養育できるようにしていくことが望ましく、またそのように私ども頑張っていきたいと思っております。

宮本委員 今回の震災で両親が死亡または行方不明の子どもたちのほとんどは、親族などに引き取られているとお伺いをいたしました。今お話があったように、正式に里親として認定されれば養育に係る費用が出ることはわかっているんです。

 しかし、実態としては、死亡が確認されていないもとで親族里親として認定を求めることに、やはり若干のちゅうちょが、つまり、もう帰ってこないという決断をすることにつながりますから、ちゅうちょもあると思うんですね。先ほどの兄弟のように、引き取ったのが高齢の祖父母の場合、里親というのは十八歳まで養育をするということになりますから、本当に十八歳まで責任を持てるだろうか、面倒を見られるだろうかという逡巡もあるかもしれません。

 ですから、里親制度の活用はもちろんなんですけれども、同時に、両親が死亡、行方不明の子どもを引き取った親族が、里親という形に認定される以前にも、現状、養育しておられる、その養育の費用を何とか受け取れるような弾力的な対応を考えるべきではないかと私は思うんですが、これは大臣、お答えいただけますか。では、厚生労働省。

石井政府参考人 親族里親でございますけれども、親族里親の認定を受けるかどうかで悩んでいらっしゃる場合もあろうかと思います。そうした場合には、児童相談所が制度の内容について説明をし、児童の養育について十分相談に応じていくことが大切だと思っております。

 例えば、相談の内容として考えられますのは、親族里親はいつでも辞退することができるということとか、あるいは親族里親の認定によって特段新たな義務が生じるわけではないということについて、きちっと説明していく。そして、仮に親族里親はやはり少し荷が重いといった場合におきましても、子どもを養育する場合に、例えば遺族年金とかあるいは子ども手当などが児童やあるいは養育者に支給されるわけでございまして、そうしたところも丁寧に説明をしていく必要があろうかと思います。

 また、先生がおっしゃいましたように、まだ親御さんが死亡したかどうかはっきりしていない、行方不明なんだけれども、そんな状態で親族里親を引き受けていいのだろうかといったようなことで逡巡なされるケースもあろうかと思いますが、両親が行方不明の場合につきましても、これは里親として委託することは可能でございます。

宮本委員 本当に、個々の問題がこれから大問題になってくると思うんですね。

 震災から一カ月がたちましたけれども、福島第一原発事故は収束のめどが立っておりません。規模の大きな余震もいまだに続いております。私が見てきた石巻市も、海岸部はいまだに瓦れきの山でありました。

 目の前で次々に津波に流される家族の姿や顔見知りの姿を見てしまった子どもたちがいるわけですね。今回の大震災で受けた子どもたちの心の傷は、今までの震災等で受けたものとは比べ物もないほど深刻だと思います。石巻市の教育委員会からも、心のケアに当たる養護教諭の加配を要望されました。しかし、私は、現場をこの目で見て、話をいろいろ聞いて、養護教諭やスクールカウンセラーだけでは量的にも質的にも足りないのではないかと感じて帰ってきました。

 厚生労働省は被災地への児童心理司などの派遣や心のケアチームの派遣を行っていると聞きましたけれども、圧倒的に数が足りないと思うんですね。心のケアチームというのは大人も子どもも一緒にということでありますけれども、これは一緒にするんじゃなくて、やはり子どもの心のケアに特化したチームを直ちに被災地に送って、同時に、子どもたちの成長、発達に合わせて、長期的にじっくりと腰を据えて、関係者が一丸となって子どもを支援していく体制づくりを検討すべきだと私は思うんですけれども、これも厚生労働省にお答えいただきたいと思います。

石井政府参考人 被災をした方々の心のケア、お子さんも含めてでございますが、早期からの対応とともに、これは中長期にわたる継続的な支援が重要だというふうにも考えております。

 今先生も御指摘くださいましたように、現在厚生労働省では、精神科医、看護師などから構成される心のケアチーム四十チームを確保し、四月十九日現在も三十チームが活躍しております。また、そのチームの中には、児童精神科医を含めているチームも含まれているところでございます。

 特に、子どもたちに対するケアとしましては、被災地の児童相談所の職員と他県の児童相談所職員がチームを組んで、要援護児童の確認、そして要援護児童と面談をし、その中から、加えて養育と生活に関する親族との話し合いも実施をいたしております。

 今後につきましては、やはり被災した児童に対する相談、援助の児童福祉の専門家を活用していく、あるいは児童相談所職員の巡回等の取り組み、これはしっかり充実をさせていかなきゃいけない、そのことにつきましては十分認識をいたしておりますし、そういうことを通じまして、児童が安心して生活をし成長できるように、きめ細かな対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

宮本委員 親を失ったり行方不明のままになっている子どもたちが生まれ育った地で親族とともに自立できるようになるまで政治の責任で支えていく、これは被災地の復興にとっても大きな希望ですから、ぜひとも政府一丸となって支援していただきたい。これを求めて、次の質問に移りたいと思います。

 放射性物質から子どもを守るという問題について、次にお伺いしたい。

 福島県の幼稚園では、園児の屋外での遊びを見合わせております。また、学校では、屋外の体育や部活動を控え、体育館内か校内で部活動を行う、こういう状況に今なっております。

 我が党との懇談で、いわき市の教育長は、保護者の安心を保障するような国のしっかりとした基準が欲しい、お会いした時点ではこう語っておられました。具体的には、学校ごとに数値を調べて、その積算値などから、この学校は大丈夫とか、ここまで上がったらやめますとかいうような細かい判定を国がやってほしい、こういうことでありました。

 それで、私がそういうことを、この基準はいつできるのかという質問を昨日通告した直後にやっと、原子力災害対策本部と文部科学省は、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」というものを発表いたしましたが、まず、文部科学省にこの内容について御報告いただきたいと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのお話のとおり、学校における児童生徒等の安全のための指針ということで御要望いただいておりまして、文部科学省では、それまでに福島県で学校等の放射線量の計測を行った結果を踏まえて、四月十四日にはさらに詳しい調査を実施いたしました。

 それ等も踏まえまして、昨日ですが、原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部の見解を受けまして、文部科学省では、学校施設等の判断基準に関する暫定的な考え方ということでこれを示しまして、福島県等に通知をしたところでございます。

 それにおきましては、学校の設置者や各学校における校庭等の利用判断の目安となるように、放射線量の上限、具体的には校庭、園庭等で三・八マイクロシーベルト、これは時間当たりでございますが、一時間当たり三・八マイクロシーベルトというものを示しまして、これ以上となる学校等におきましては屋外活動を控えるなどの措置をとることといたしました。

 また、今後も、国において、福島県と連携をいたしまして、児童生徒等の受ける線量が継続的に低く抑えられているかを確認するために、継続的なモニタリングを実施するとしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、この考え方を踏まえまして、児童生徒が安心して学校教育を受けられるよう引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

宮本委員 この判断の基準になっているのは、国際放射線防護委員会、ICRPの基準なんですね。年間一から二十ミリシーベルトというのは、実は、子どもに限らず大人も含む一般公衆の基準なんです。一般公衆の基準の、しかも一から二十ミリシーベルトの最大値である年間二十ミリシーベルト、これを大丈夫とした根拠はどこにあるのか。これは、原子力安全委員会、きょう来ていただいていますから、お答えいただけますか。

久住参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のごとく、一から二十ミリシーベルトという現存被曝状態という放射線防護状態での考え方でのハンドリングを考えております。私どもは、一から二十ミリシーベルトの最大限を今回の学校のスタートの基準ということでは容認いたしておりますが、それはあくまで社会的あるいは学校教育等いろいろなものの総合判断の上で、やはりリスクとベネフィットの関係で、今回はそこからスタートすることは可能であろうというようには考えております。

 ただ、決して一年間二十ミリシーベルトを子どもたちが受けることを容認しているわけではございませんで、当面、文部科学省の方でも夏休みが終わるまでということをおっしゃっていると思いますけれども、いずれにいたしましても、毎月毎月きちっと線量を下げていく努力、そしてモニタリングをして、できるだけ子どもたちが線量を受けないような努力を続けるということで、ただいまの監視点としては二十で妥当であろうということでございまして、決して子どもたちがその被曝を受けるということを望んではおりませんことは御留意いただきたいと思います。

 それから、これは余分なことかもしれませんけれども、当然ながら、どこの親御さんならずとも、子どもたちがそんな被曝を受ける、もちろん二十ミリシーベルトで影響が出るということはございませんけれども、それでもそういう被曝を受けるということは決して許されることではありませんので、どうか皆様でお知恵を出して、そして血の通った対策をとっていただきたい、このように思った数字でございます。御理解いただきたいと思います。

宮本委員 子どもは成人よりも放射線感受性が高い、三倍から十倍影響を受けやすいとする専門家もおります。

 四月の十四日付の報道によると、十三日に、原子力安全委員会は、福島県内の学校を再開すべきか判断する目安として、周辺の年間被曝量が十ミリシーベルト以下とする案を示し、これらの学校の再開について、代谷誠治委員は、子どもは放射線の感受性が高く、成人の半分の十ミリシーベルトにおさめるべきだろうと指摘をしたと。ただ、これはこの後いろいろ動きがありまして、その翌日、文部科学大臣が、二十ミリシーベルトだ、基準厳格化により学校を頻繁に移動させることはできない、こう話して、最終的には二十ミリシーベルトに落ちついたといういきさつがあるんです。

 これは文部科学省に聞きたいんですけれども、この大臣の言い分というのは、学校を頻繁に移動させることができないから二十ミリにするというふうに読み取れてしまうんですね。本来、子どもたちの安全ということを考えれば、大人と同じ二十ミリということではなくて、子どもが放射線感受性が高いということを見れば、やはり代谷委員がおっしゃるような一層低い基準にすべきだったと思うんですが、文部科学省、いかがですか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの原子力安全委員会としての年間十ミリシーベルトというのは、それは、原子力安全委員会としての、組織としての見解ではないというふうに当時お伺いをしたということがございます。

 それから、今回、原子力安全委員会の助言を踏まえまして、文部科学省に対して本部から示されたものによりますと、二十ミリシーベルトというのは、放射線防護委員会、ICRPの勧告によって、緊急時の状況における参考レベル及び復旧時の参考レベル、この二つの参考レベルが基準としてICRPから示されているわけでございますが、今回は、このような中で、ICRPは、加えまして、今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、ことしの三月二十一日にも改めて、一から二十ミリシーベルト・パー・年ということで、その範囲で考えることも可能とする内容の声明が出されているという事態を踏まえまして、原子力安全委員会の助言も踏まえた上で、学校への通学という復旧時の行動の基準を検討するという状況と、それから、現在、比較的少量ながら放射性物質の放出が続いているという緊急時の状況とが併存している。この状況の中で、二十ミリシーベルト・パー・年という数値を用いて対策を講じるということと、長期的に線量を低減させていくことができるように取り組んでいくという考え方で、それに当たるものを、学校の具体的な調査を踏まえまして、三・八マイクロシーベルト時間当たりということにしたことでございます。この基準につきましては、ICRPでも、子どもも含めた数値だというふうに言われていると了解しております。

宮本委員 時間が来ましたので終わりますけれども、先ほど原子力安全委員会も、決して二十ミリシーベルトを容認したわけではないというふうにおっしゃっているわけですね。

 これは八月末までの暫定的基準というのであれば、一層子どもたちの施設の放射線量の測定を行う、そして子どもたちの年齢に応じた放射線対策の科学的基準をきちっと定めて見直すことは当然だということを申し上げて、私の質問を終わります。

高木委員長 これで宮本岳志さんの質疑を終了いたします。

 次に、山田良司さん。

山田(良)委員 民主党の山田良司でございます。

 まずもちまして、今回の東日本大震災におきまして被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになられた皆様には哀悼の意を表したいと思います。

 季節は春になりました。そして、各祭りあるいは各種イベントが、これを受けて中止という形で今全国的に行われております。ただ、過度な自粛というものは経済にやはり悪い影響、ますます悪くするということもあります。むしろ、国家全体が元気を発信して被災地を励ますというような形にそろそろ切りかえなければいけないと私は思います。

 そして、今回の震災を受けて、一つ、想定外であったという言葉がよく言われております。西洋の格言に、不測の事態は起こるものであるという言葉がございますが、予知、予測というのはなかなかできるものではない。政治の立場としては、やはり、防災ということに主眼を置いて、どんなことが起きても国民を守るんだというスタンスの政策を打ち出すべきであるということを思います。

 一点、もし今回、このような災害、津波であろうと、また地震であろうと、東京を襲ったときにどうなるかということもやはり我々は想定しなければいけないと思います。そうなったときに、今回より以上の人々が犠牲になることはもちろんでありますが、中核機能が麻痺する、全国が機能が麻痺してしまうということが想定されるわけでありまして、この首都機能をバックアップする機能というものも我々は想定しておかなきゃいかぬ。そういったことも含めて、不測の事態は起こるものである、起きたときにどうするかということを真剣にこれから考えていかなきゃいかぬと思います。

 さて、本題に入りたいと思います。

 蓮舫大臣の所信表明にもございましたが、昨年七月に策定されました子ども・若者ビジョンに基づいて施策を推進していくということでございますが、こちらは大変よくできたビジョンであります。

 このビジョンにつきまして、どのようにこれから進めていくのか、そしてそれをどのように点検していくのか、まず、大きなところを御説明いただきたいと思います。

末松副大臣 今、子ども・若者ビジョンのフォローアップについてお伺いがあったと思いますが、このフォローアップについては子ども・若者ビジョンそのものに書いてございまして、関係施策の実施等の点検、評価ということで、子ども・若者育成支援推進本部のもとで、有識者や子ども・若者の意見を聞きながら点検、評価を行う仕組みを設ける、こういうふうに書いてございます。

 これに基づきまして、七月からこのビジョンが示されたわけですから、それから数カ月間の実施の状況を踏まえながら、大体、今年度に一応フォローアップの会議を立ち上げるということで今やっておりました。ちょっと震災の影響で今少しおくれていますけれども、近々その会議を立ち上げる予定にしております。

山田(良)委員 ありがとうございます。

 ポイントはやはり、子どもそして若者の意見を聞きながら点検、評価をする仕組みをつくっていくということだと思います。これからも、進捗がわかるように、どのような形で進められているか確認がとれるように、確実に進めていただきたいと思います。

 それを受けまして、個別の質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の震災におきまして、就職者に対しての内定取り消しというのが発生しております。この現状は今どうなっておるか、数字の上でお示しいただきたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、内定取り消しの状況の数字を御説明いたします。

 先月の東日本大震災によりまして、新卒者の就職に非常に大きな影響が出ております。ハローワークに採用内定取り消しやあるいは入職時期繰り下げの報告が行われておりますけれども、その件数は、三月十一日の震災発生以降四月十三日までの間に、内定取り消しが五十二事業所、二百十八人でございまして、入職時期繰り下げが百四十事業所、千四百八十一人でございます。

山田(良)委員 二百十八人ということで、恐らくこれは被害の大きなところの状況が入っていないのでないか、報告されておる数字ではなかろうかということを思いますが、まだまだ被害は甚大であるということが予想されます。

 こういった状況につきまして、今後、どのような施策で内定取り消し者に対してフォローアップしていくのか、お聞きしたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 現在、内定取り消し者に対する対応につきましては全力で進めておりますけれども、具体的には、まず三月二十二日に、細川厚生労働大臣と高木文部科学大臣の連名で、主要経済団体に対しまして、これは二百五十八団体でございますけれども、採用内定取り消しなどへの対応ですとか、あるいは被災地の学生生徒の積極的採用などをお願いいたしております。

 それから、今月には大臣が、十一日には日本経団連、中小企業団体中央会、十五日には日本商工会議所に直接出向きまして、被災新卒者への特別な配慮を要請いたしております。

 さらに、三月の二十八日でございますけれども、震災によりまして採用内定取り消しを受けた生徒、学生の方を対象といたしまして、全国の新卒応援ハローワーク、これは五十六カ所ございますけれども、そこに学生の震災特別相談窓口を設けました。それから、それ以外のハローワークにも全部窓口を設けてございます。そういったところで学生さんの相談、就職支援に乗るということにいたしております。

 それから、採用内定取り消しを受けた学生の方につきましては、ジョブサポーターが就職が決まるまできちんと支援するわけですけれども、助成金の拡充をいたしております。

 まず、三年以内の既卒者を対象といたしましてトライアル雇用を行った企業に対して奨励金がございます。三カ月間、まずトライアルで一カ月十万円ずつお支払いいたしまして、正規雇用後に五十万円お支払いする助成金があるんですが、被災地の方につきましては、その正規雇用のときの助成金を六十万円に増額するといったことをいたしております。

 それから、直接最初から正社員で採用した場合につきまして、三年以内の既卒者を対象といたしまして、今、一企業一人当たりなんですが、百万円を一人限りお出しするという仕組みがございます。それを、被災地の三年以内既卒者の方につきましては、百二十万円に増額いたしまして、十名まで出すということで、こういった対策で求人の確保を図っております。現実にも、求人をたくさん出してきていただいてございます。

 これ以外に、広域の職業紹介を行いまして、これに伴いまして、面接だとかあるいは転居に伴った費用、交通費などにつきまして支援を行うといったこともやっております。

 今後とも、このような対策を確実にやりまして、被災した新卒者の方が一日でも早く就職できるように、さらに努力をしていきたいと思っております。よろしくお願いします。

山田(良)委員 今、さまざまな手だてでもってフォローしていくという御説明でございますが、まさに非常事態でありますので、手厚いフォローをぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問ですが、ニート、ひきこもり対策につきまして、ちょっと提案を交えた質問をさせていただきます。

 今回の震災が日本人の心に大変大きな衝撃を与えたことは、もう言うまでもありません。アメリカ人の九・一一に対して、日本人の三・一一、価値観、人生観を本当に揺るがすほどの大きな出来事であったということであります。日本人ならだれでも、何か力になりたいと思うのは当然であります。

 そんな中で、いろいろな記事を見ていますと、災害活動、支援活動、ボランティア活動などを通じて、うつやひきこもりが改善されたという記事が数多く出ておるわけであります。こういった事情をかんがみますと、ニート、ひきこもりの方々に対して、社会復帰、自立の一つのきっかけとして、こういった被災地に対しての支援活動を積極的に行う、ボランティア活動を行うということは、私は一つの手段ではないかということを思います。

 それに対しまして、被災地とそういったひきこもりの方たちを結ぶ手だては政府として何か考えておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 政府としましては、被災者のためにできるだけのことをしたいという内外の方々の気持ちは大変大事であると考えております。政府としては、震災発生後から、ボランティア活動を希望する方々に対するさまざまな情報発信を行ってきております。

 具体的には、被災地の情報を集約して発信をすることを目的とした、震災直後に立ち上げられた民間のウエブサイトがございます。それと連携をいたしまして、ボランティア活動の拠点となる情報や、あるいはボランティア活動を行う際の留意事項などをわかりやすく提供するということを考えております。

 このようなことは、今御指摘になられたような方々に特に限って行っているわけではありませんけれども、今後、ボランティアに対するニーズというものは被災地において一層高まると考えておりますので、引き続き、ボランティア活動を希望される方々への正確かつ迅速な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

山田(良)委員 ありがとうございました。

 特段、ひきこもりやニートの方たちに絞って情報を提供するわけではなく、広くあまねく情報発信をして、そういった方たちにもわかっていただけるような施策であるというお話でございましたが、行政としてはそうならざるを得ないのかもしれませんけれども、今回において、ひきこもり、ニートの方たちに対する配慮を、よりきめ細かくやっていただけると、よりありがたいかなという思いがいたします。

 次の質問をさせていただきます。

 子どもの貧困問題でございますが、日本は天然資源の乏しい国でありまして、人的資源こそが我々の唯一の資源であるということから、経済的困難が理由で教育を断念するようなことがあってはなりません。そのために、社会全体で応援する仕組みをつくっていくことは必要かと思います。また、親の経済力の格差によって教育の機会均等が崩れてしまう、あるいは学力の格差が生まれてしまうということもいいことではありません。

 これを受けまして、子どもの貧困問題について具体的にどのような取り組みをされるのか、お聞きしたいと思います。

石井政府参考人 一昨年公表いたしました調査では、子どもがいる現役世帯の世帯員の相対的貧困率は一二・二%でありまして、そのうち、大人一人がいる世帯の相対的貧困率、これが五四・三%と大変高い水準でございます。このため、一人親家庭に対する施策の展開が極めて重要ではないかというふうに認識をいたしております。

 特に、母子家庭の自立支援を行うに当たりましては、経済的に自立が可能となるような就業の確保、これが重要でございまして、就業支援策の充実強化を進めているところでございます。

 また、昨年の通常国会で成立をいたしました改正児童扶養手当法により、これまで支給対象ではなかった父子家庭に児童扶養手当を支給することとしたところでありまして、これも経済的支援の充実になるわけでございまして、こうしたことにも取り組んでいるところでございます。

 さらに、子育て支援の総合的な対策としまして、昨年一月に閣議決定をしました子ども・子育てビジョンに基づき、就労しながら子育てができるよう保育サービスの拡充を図っていくとか、あるいは、これは母子家庭も父子家庭もでございますが、一人親家庭が安心して暮らせるよう子育て、生活支援、就業支援、経済的支援の充実などに取り組んでおります。

 これらの取り組みを通じまして、子どもたちの育ちを社会全体で支え合って、またなおかつ、相対的貧困というものの解消につながるように取り組みを進めてまいりたいと思っております。

山田(良)委員 まさに教育は国のもとでありまして、そして、子どもは国の宝であります。財政状況は大変厳しく、また今回、いろいろな補正予算の中でさまざまな状況も想定されるわけでありますが、何としてもこういった予算の確保というのは私は大切なことであろうかと思います。引き続き頑張っていただきたいということを思います。

 次ですが、いじめに対しましての提案と質問をさせていただきたいと思います。

 特に、いじめに対する大変痛々しいニュースが連日のように、そのニュースを見るたびに、以前は驚いておったところが、何か麻痺してしまうぐらい日常的になってしまって本当に怖いなという感じもするんですが、いじめ、それにまつわる自殺等が年少の児童に対しても今ふえておる状況でありますが、この実態の数の推移というのがもしわかればお聞かせいただきたいと思います。

徳久政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめの認知件数を文部科学省の方で把握しておりますが、最新のデータでございます平成二十一年度で、小中高等学校、特別支援学校を合わせまして、七万二千七百七十八件というふうになっております。

山田(良)委員 いじめの件数と、それにまつわる自殺はちょっと今通達しておりませんでしたので即答できなかったと思いますが、これもふえておることと思います。

 こういういじめに対しての負の報道というのは、これは事実でありますので報道されるわけですが、いじめに対して、これを克服して幸せになった方たちも数多くおられるわけでありまして、そういった人たちの報道というのはほとんどされていない状況であります。

 特に、子どものころいじめに遭ったけれども、一生懸命頑張って成功したとか、あるいは一流スポーツ選手になったとか、そこまでいかないまでも幸せな家庭を築いて今幸せだとか、そういうさまざまな声が国民の中から必ずやあると思います。

 負の側面ばかり強調して報道していますと負の連鎖が起きる可能性もあります。こういったことを一つの大きなばねにして、より人生を向上させていった成功例というものも、これもまた正の現実でありますので、我々はしっかりととらえて、それを発信していく義務もあるのではないかということを思います。

 そういったことから、こういった実例をあまねく国民に知らせて、そして集約して発信していくというようなこと、例えば一冊の本にまとめ上げる、特に一冊の本が人生を変えるということもあります。特に逆境のときはそういうことがよくあるわけでありまして、こういったことを政府の責任としてできないものか、やっておられるのか、やる方向があるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

徳久政府参考人 ただいま委員御指摘の点でございますが、いじめから立ち直った、そういう成功した者の事例を発信していくことというのは、やはり、いじめられている子どもたちを勇気づけるという観点からも、いじめを克服するという上で有意義なものというふうに考えられると思います。

 当然のことながら、いじめは決して許されることではございませんで、どの学校でも、どの子にも起こり得るものであるということでございます。いじめ問題に対しては、その兆候をいち早く把握いたしまして、迅速に対応する必要があることは言うまでもないわけでございます。

 そういう観点から、文部省のいじめ問題に対する取り組みについてちょっと御紹介させていただきますと、まず一つは、いじめ問題への取り組みの徹底を求める、そういう通知を発出しております。

 また二つ目に、教育委員会の生徒指導担当の方や校長先生など管理職に対しましての研修会を実施するというようなこともやっております。

 また、電話相談を実施したりとかスクールカウンセラーを学校に配置したりいたしまして教育相談体制を充実する、このような取り組みを文部科学省では進めております。

 それからまた、文科省の事業といたしまして、生徒指導・進路指導総合推進事業というような形で、全国的なそういう試行的な取り組みも行っているところでございます。

 委員御指摘の点でございますけれども、各学校なり各地域、各教育委員会においてさまざまな取り組みが行われている、こういうような推進事業等の活用の中でそういう事業も考えられるのではないかと考えるところでございます。

山田(良)委員 学校などを中心に対処方法、成功事例を集めて指針にしているというお話でございましたが、私が思っているイメージとちょっと違ってはおるんですけれども、私が先ほど申しましたようなことがないのがちょっと不思議だなと思うわけでありまして、これは、民間に任せるとしましても、やはり原稿料とか著作権の問題でなかなか難しいのかもしれません。

 民間はやれないけれどもやらなければいけないことは、やはり行政が責任の中でやった方がいいと思います。そういう観点から、ぜひともそういう視点もこれから盛り込みながら、施策の中に反映していただければ幸いかと思います。

末松副大臣 ちょっと私の想定になかったんですけれども、そういった立ち直られた事例というのは、先ほども文科省から答弁がありましたけれども、本当に勇気づける話であるし、非常に参考になる例と思いますので、今、子ども・若者白書というようなものをやっていますけれども、これから、そういったものも重点的に取り入れてやっていきたいと思います。

山田(良)委員 大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。ぜひそのように進めていただきたいと思います。

 また、新手のいじめということで、今インターネットによる悪口の書き込みということが社会問題になっておりますが、これについてちょっと、状況そして対応策についてお示しいただきたいと思います。

徳久政府参考人 今御指摘ございましたインターネットや携帯電話等を活用したいじめでございますけれども、まず、実態でございますが、文部科学省が行っております児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査というのを毎年度実施しております。

 平成二十一年度でございますが、いじめの問題の態様のうち、今申しましたパソコンとか携帯電話を使ったいじめの件数でございますが、全体で三千百七十件ということでございます。いじめの認知件数は、先ほど言いましたように八万件余でございますけれども、それに占める比率という意味では四・四%、そういうパーセンテージを占めているというのが実態でございます。

 これにつきましての政府、文部科学省の対応でございますけれども、今申しました携帯電話やインターネットを使いました新しい形のいじめにつきましては、ネット上のいじめに対しまして、学校や教員向けの対応マニュアル・事例集を作成しておるというのが一つございます。それからまた、学校における携帯電話の取り扱い等に関する通知を発出するなどの取り組みを進めたところでございます。

 また、平成二十二年度、昨年度からでございますが、地方自治体が現在独自に取り組んでおりますネットパトロールの取り組みでございますが、ネットパトロールの仕様につきましては、まだ知見が十分に蓄積されておらないということがございますので、国の方でその効率的、効果的な実施方法等につきましての調査研究を現在実施しているところでございます。

 今後とも、このような取り組みを通しまして、インターネットや携帯電話を使った新しい形のいじめの問題の解決に向けて、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

山田(良)委員 ありがとうございました。

 まさにいじめというのは、新しくて古いテーマ、人間の歴史と同じぐらい古いと言えるわけでありますが、時代に即した対応、こういったことが責務であろうかと思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 最後でございますが、薬物犯罪、特に青少年の薬物に関しての質問をさせていただきます。

 特に、人間の精神を狂わせてしまう薬物、信じられないような凶悪犯罪に非常に起因しておるのがこの薬物でありますが、子どもを薬物から守るということは当然なことでありまして、子ども自身、人間自身の、本人の人生もだめにしてしまうと同時に、ほかの人たちの人生も台なしにしてしまう恐ろしいものであります。

 そういう中で、余りにも早い時期の喫煙とか飲酒が、これは私の思うところですけれども、もちろんすべてではありませんけれども、そういったことにつながりはしないか。喫煙、飲酒というのが全くなくて、いきなり薬物、覚せい剤とか麻薬とかいう話に私はならないと思います。そういう非合法の思春期、若年期においての喫煙、飲酒というのが誘因になっていく可能性は私は高いような気がいたします。

 そういう中で、青少年の喫煙、飲酒に対する取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 未成年者の飲酒、喫煙は少年非行の前段階と言うべき行為でありまして、警察では、大人が未成年者に酒やたばこを提供する行為、あるいは飲酒、喫煙している少年の補導等に努めているところであります。

 平成二十二年中の未成年者飲酒禁止法違反の検挙件数は百四十八件でありまして、前年比マイナス九件、マイナス五・七%であります。未成年者喫煙禁止法違反の検挙件数は千五十九件で、前年比プラス二百五十五件、プラス三一・七%となっております。

 また、平成二十二年中に不良行為少年として補導された少年のうち、飲酒によるものは一万七千八十九人でありまして、前年比プラス六十一人、プラス〇・四%であります。喫煙によるものは三十六万三千六百五十八人で、前年比マイナス千二百九十八人、マイナス〇・四%となっております。

 なお、参考までですが、薬物事犯により検挙された少年の人員は減少傾向にありまして、平成二十二年中の覚せい剤取締法違反による検挙人員は二百二十八人、大麻取締法違反による検挙人員は百六十四人となっております。

山田(良)委員 子どもの大切な人生を守るために、また、他人の人生を台なしにしないために、薬物、その前段であるかもしれないたばこや飲酒、若年期におけるそういったものに対してのより一層の規制をやっていただきたいということを思います。

 終わります。

高木委員長 これで山田良司さんの質疑を終了します。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十八分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馳浩さん。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 改めて、東日本大震災被災者にお見舞いを申し上げ、犠牲者に哀悼の意を表したいと思います。

 震災孤児の支援ということについて質問させていただきます。

 長期的な養育問題で全国里親会が受け入れ体制を表明していると思いますが、現在どういうような状況になっておりますでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十五日付で被災地以外の各自治体へ要援護児童の受け入れ可能人数を調査したところ、里親につきましては二千百八十九人、ファミリーホームは百十六人との回答がございました。

 なお、震災によって両親を亡くした子どもについては、できる限り親族による受け入れ先を調整し、親族による引き受けがなされていない子どもについては、里親、ファミリーホームなどへの委託を調整して、必要な場合には、一時的な生活場所として児童養護施設の入所を行うということになろうかと思います。

馳委員 里親には、養育里親、親族里親そして専門里親という三つの分類があると存じます。親族里親については、要件を緩和してほしいという要望がかねてからありました。今回も、やはり親族里親のもとで継続的に育った方がよりよいであろうという認識は厚生労働省にもあると思います。

 そこで、お伺いいたします。

 先ほど石井さんは、高齢の方にはちょっとというふうにおっしゃいましたね、親族里親で。親族里親になる要件を緩和すべきだと私も思っているんですが、どういう要件がハードルになっているのか、お示しをいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 私は、先ほどの答弁で、特段、高齢の方にはちょっとと申し上げたつもりはございませんで、御高齢の祖父母さんがいつまで子どもたちの面倒を見ることができるか不安に思っているという脈絡の中で、そうした場合には一たん引き受けても辞退することはできますよと申し上げたのでございまして、そのところをまず御理解賜りたいと思います。

 その上で申し上げますけれども、親族里親につきまして、要件としましては、当該親族里親と三親等以内の親族であるということ、そして、両親その他児童を現に監護する者が死亡あるいは行方不明、拘禁等の状態となって養育ができないということでありますので、恐らく、要望としてあるとすれば、三親等以内の親族というところに係るのだと思います。

馳委員 手当や生活費の支給の差は、養育里親と親族里親では違うと思いますが、現状どうなっていますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 里親に対して支給される手当、確かに御指摘のとおり、養育里親と親族里親とでは違いがございます。

 いわゆる養育里親につきましては里親手当というのが出まして、養育里親の一般の場合は月額で七万二千円、そして、虐待の児童を引き受けるなど専門性が高い、特に支援が必要と認められる児童を引き受ける場合には、もう少しここは高くて十二万三千円となっております。

 それに対して、親族里親はこういうものが出ないわけでございますけれども、一般の生活費としまして、これは養育里親の場合も出ますけれども、乳児の場合、五万四千九百八十円、乳児以外の場合は四万七千六百八十円、その他としまして、幼稚園費とか教育費、あるいは入進学の支度金、就職とか大学進学等支度費、そして医療費等が支給されます。

 したがいまして、養育里親の場合は、里親手当、一般生活費、その他のものが支給されるのに対しまして、親族里親の場合は、一般生活費とその他のもろもろの諸経費が支給される。そういう意味で、里親手当の分だけ支給される金額に違いが出る、そういうふうな仕組みでございます。

馳委員 里親になりますと言って、手を挙げてすぐに認定されるものではなくて、調査をして認定されるはずですが、その調査をするのはどのぐらい期間がかかるんですか。

 要は、私の言いたいことは、調査が手が足りなくて時間がかかりますから、なかなか引き受け手とのマッチングがうまくいきませんということのないようにしてほしいと思っているんですが、いかがですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、マッチングの前提としまして、受け入れをしようという人数といいましょうか、それが十分あるかどうかということでございますけれども、幸いなことに、現在、被災地の自治体におきましても、まだ受託をしていない、未委託の登録里親が二百六十二名おられまして、現在のところ、受け入れとしましては十分な受け入れができる状況にございます。

 でありますけれども、おっしゃったように、マッチングというんでしょうか、それぞれ一番最もふさわしい里親に引き受けていただくのが望ましいわけで、そういう意味で、調査員が調査をするということであるわけでございますが、まずそのキャパがあるということが重要でありまして、その中で、調査員の不足によって調査待ちにしないように私どもも支援をしてまいりたいというふうに考えております。

馳委員 よろしくお願いいたします。

 文科省の方にちょっと伺いますが、報道によると、千葉県船橋市で、福島県から避難してきた子どもたちに対して放射能がうつるといういじめがあったとされております。

 放射能というのはうつるのですか。まず、お伺いいたします。

有松政府参考人 放射能がうつるということはないと認識しております。

馳委員 事実関係を含めて、そういうことはない。したがって、福島県から避難してきた子どもたちと仲よくしましょう、これは一つの確認事項なんですね。そういうことをしていただければよいということなんですが、文部科学省、船橋市の教育委員会もきちんと対応しているということでよろしいですね。

徳久政府参考人 今委員御指摘の点でございますが、四月十五日付の新聞報道でなされておった件だというふうに承知をいたしております。千葉県船橋市において、福島県から避難してきた子どもに対して、今委員御指摘の、放射線がうつるとのいじめがあったとの報道だということかと思います。

 私どもの方で船橋市の教育委員会の方に確認いたしましたところ、新聞報道が事実であるかどうか確認できないということではございました。

 しかしながら、船橋市の教育委員会といたしましては、本年の三月二十八日に、同市内の小中学校の校長に対しまして、船橋市へ避難してくる子ども、児童生徒に対しまして、思いやりを持って接し、温かく迎えていくこと、また、不安な気持ちを考え、言動には注意しながら対応するよう十分配慮するとともに、児童生徒へ指導するということを通知いたしたところでございます。さらに、船橋市は、三月三十日に、二日後でございますが、同市内の小中学校の校長を集めた会議においても、心温かな対応をするように指導を行ったという報告でございました。

 それから、文科省の対応につきまして引き続き御報告をさせていただきますと、御案内のように、今被災地から他の都道府県の公立学校に受け入れた子どもの数でございますが、四月八日時点で八千二百七十七名ということでございます。当然、被災した児童生徒が受け入れ先でこのようなことでいじめられるということは、あってはならないことだというふうに認識をしております。

 このため、文部科学省といたしましても、四月十三日でございましたけれども、教育委員会に対しまして、被災した児童生徒を受け入れる学校において、当該児童生徒に対する心のケアや、当該児童生徒を温かく迎えるための指導上の工夫、保護者、地域住民等に対する説明などを適切に行っていただいて、いじめなどの問題を許さないよう、文書で通知をいたしました。

 さらに、本日でございますけれども、特に放射線につきまして、教育関係者が放射能について正しく理解するための資料でございますが、名称は「放射能を正しく理解するために 教育現場の皆様へ」という資料を本日付で作成いたしまして、本日の都道府県・指定都市の教育長会議において配付をいたしまして、このような、被災した児童生徒が受け入れ先においていじめられることのないよう通知をしたということでございます。

馳委員 ちなみに、私も、先週、先々週、二回にわたって飯舘村、南相馬市、相馬市と支援に行ってまいりましたが、教育長、市長、一様におっしゃることが、学校での子どもたちの生活の安全基準を示してほしいということと同時に、モニタリングの線量計をぜひ欲しいと。この要望は、恐らく現地を訪れておられる政府関係者からも伝わっていると思いますが、日本には足りない、したがって、今一生懸命つくっているとか、また、アメリカにはある、こういうふうにいろいろと言われておりまして、学校を管理している市町村の教育委員会の皆さん方、学校関係者は大変心配しておられます。

 この線量計を用意して配るということについて、現状、政府としてはどういうふうな対応をとろうとしておられますか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど宮本先生の御質問に対する御答弁の際にも申し上げましたけれども、今回対象となった学校等につきまして、継続的なモニタリングを実施していくというふうな予定にしております。

 今後、学校等における放射線量が適切に減少しているということを念のために確認するということが必要だと考えておりまして、継続的なモニタリングを行っていきます。例えば、ポケット線量計といったようなものを先生のどなたかが学校等において常時携帯して、定期的にそれを報告していただくというようなことを考えておりますので、いわゆる線量計の配付というようなことも考えております。

馳委員 一般に言う線量計は大体三十万円ぐらいするそうですね。ポケット線量計は大体十三万円ぐらいだそうですね。数の限りもあるかもしれませんが、早急にお配りいただいて、不安を取り除く努力をしていただきたいとお願いを申し上げます。

 続いて、学校教育における精神疾患教育について質問をいたします。

 精神疾患は、がんとともに三大疾患の一つだとよく言われておりますが、その根拠として使われるのが、WHOが開発をしたDALY、ディスアビリティー・アジャステッド・ライフ・イヤーズという指標であります。一般的に、病気が命を奪い、生活の障害となる程度をあらわす総合指標と言われておりますが、私のような素人にもわかりやすく説明していただけますか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のDALYと言われますものは、いろいろな病気によります損失の大きさというものを病気ごとにあらわした、WHO、世界保健機関の示しておる指標でございます。わかりやすいかどうか、以下の二つの要素を足した数字で示されております。

 一つは、統計的に、ある国のある病気にかかる人数、その病気によりまして寿命が短縮されます年数、これを掛け合わせた数字でありますところの損失生存年、いわば病気により失われる寿命の総体ということになりますが、これが一つ。

 それから、ある病気にかかります人数、その病気にかかる年数、期間、それからその病気によりまして健康が損なわれる程度を示す係数、これもWHOが世界統一で示しておるんですが、これを掛け合わせた数字でありますところの障害生存年、障害を負って生存している年数というようなことになりますが、いわば後者の方は、病気により健康が損なわれる年数。

 こういう失われた寿命と損なわれる年数という二つのものを合計して求められる数値として、国ごとに示しておるものでございます。

 したがいまして、これを総体で申し上げますと、ある病気によります寿命の短縮ということだけじゃなくて、病気によりまして生活の損失の程度というものも考慮に入れて、全体としてその病気での寿命や健康の損失の大きさというものを比較して考えられるという、その大きさを示すものというふうに認識しております。

馳委員 とても大切な指標だと承りましたが、学校教育でそういう指標について教えていますか。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 精神疾患ということを正しく理解していただいて、子どもさんも親御さんも早期に気づき、早期に治療も受けられて、健康を保っていただくというのは非常に大事なことだというふうに思っております。

 今も、文部科学省と厚生労働省は、その発症の年代から正しく理解してもらおうということでいろいろ啓発もしておりますが、このDALYそのものがなかなか、我が国でまだ紹介されているという例は少ないかというふうに思っております。

馳委員 そこで、私は、実は関係者の方々が研究会をされて、表紙だけ紹介いたしますが、こころの健康政策構想会議の提言書をいただいて、読んで、きょうは質問しているわけであります。これによりますと、DALYでは、我が国を初めOECD諸国において精神疾患がトップになっているが、にもかかわらず、軽度の精神障害者の受診率は、先進九カ国の中で、日本はワースト八位の一一・二%と特段に低い。

 なぜ受診率が低いんでしょうか。やはりこれは教育の問題もあるんじゃないんですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、二〇〇九年のOECDの報告でございますが、これによりますと、今御指摘いただきましたように、軽度の精神障害のある方についての日本の受診率は一一・二%、このときにOECDは九カ国を調べておりますが、その低い方から二番目、八位の数字ということになっております。

 また、我が国の中での調査研究によりますと、例えば統合失調症で見ますと、発症してから治療が開始されるまでの間は、平均的に約十四カ月かかっているというような調査結果がございます。これから見えてきますのは、我が国の場合に、より早く精神疾患に気づいていただいて、より早く治療に結びつけていくことがこれからの課題だろうというふうに考えております。

 私どもでも医師の方々と検討をしてきておりますが、受診に結びつかない理由としてさまざまな要因が考えられますが、代表的なものとして挙げられますのは、やはり精神疾患、とりわけ統合失調症というようなものについての国民の御理解がまだまだ十分でないということ。それから、依然として、やはり精神科医療にかかるということについての心理的な抵抗感があるということもあるのではないか。

 それから、うつ病のようなものを広く知っていただきまして、早目にかかる方もふえてきているわけではございますけれども、しかし、まだまだ一般のかかりつけの内科医さんなどで症状を的確に判断いただけることが十分でない。それで、精神科の方に、専門医にきちんとつなげる連携体制もまだ十分でないということで、このようなところをしっかり進めなきゃいけないということで取り組んでおるところでございます。

馳委員 資料によりますと、受診率が低い上に、受診している精神疾患患者だけでも国民の四十人に一人、そして、自殺者は年間三万人を超える。こういう現状を踏まえると、我が国は心の健康の危機状態にあると思いますが、その認識はありますか。

木倉政府参考人 お答えいたします。

 医療機関にかかっておられる精神疾患の患者数、これは三年ごとに患者調査という形で調査をしておりますが、だんだんふえておりまして、平成二十年の調査によりますと三百二十三万人、これは総人口の約四十分の一に当たります。そのような数字になっております。これが、十年程度前の平成八年の約二百十八万人から見ますと、約一・五倍に増加をしておる。とりわけ、この内訳といたしましては、うつ病に代表されますような気分障害と言われます分野の患者数の方がふえてきておりまして、直近の二十年の調査では、百万人を超えたというような状況にございます。

 また、御指摘の我が国の自殺者数でございますが、大変深刻な状況でございまして、平成十年以来、昨年も残念ながら三万人を超えまして、十三年連続で三万人を超えておるという状態でございますが、その要因は多様なものがございますけれども、うつ病を初めとする健康問題も約六割を占めておるという状況も指摘をされております。

 こうしたことから、心の健康ということを確保することは大変大事なことだと思っておりまして、厚生労働省、地域保健、職場の保健はもちろんでございますけれども、御指摘のような学校での問題も含めまして、自殺対策、内閣府ともども各省庁とも連携をしながら、うつ病対策にも取り組んでいかなきゃいけない大きな課題というふうに認識しておるところでございます。

馳委員 ここまで聞いていただいて、大臣に登場していただきたいのですね。

 心の健康推進を我が国の基本政策として進めていくべきときなのではないですかということと、このこころの健康政策構想会議でも、精神疾患対策基本法案を制定し、一番の肝となる部分は、やはり社会的入院を減らしていきましょう、地域での受け皿をつくっていきましょう、子どもさんも含めて、当然、そのための理解を深めていきましょう、こういう方針が提言されているんですね。

 大臣の所感をお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 今聞いておりまして、馳委員の問題意識は非常に大切なことだと思っております。特に、御指摘いただいた心の健康増進、このことによって救える命があるのであれば、政府としてもそれは取り組んでいかなければならない。

 これまでにおきましても、去年の二月五日には自殺総合対策会議の決定で、いのちを守る自殺対策緊急プラン、これは、うつ病等の精神疾患から守るためにもゲートキーパーを育成しなければならない、あるいは、うつ病診療の技術を向上しなければいけない、報道関係者に対しても普及啓発を促進して、正しい報道をしていただきたい、多様な側面からこの問題に取り組んでいきたいという内容を決定して、今答弁等ありましたが、厚生労働省あるいは内閣府においても対策を講じているところでございます。

 あるいは、政府において自殺対策タスクフォースもございまして、ここでも、未然に防止をしなければいけないということで、特に十代、二十代の若い方たちにこうしたことを知っていただきたいということもありまして、決定に基づいて、厚生労働省においては「こころもメンテしよう」というサイトを去年の九月十日に開設していただいて、ここでも普及啓発あるいは教育に努めていただいております。

 また、私が直接所掌しているところにおいては、子ども・若者ビジョンにおきましては、子ども・若者の健康、安心の確保のために、心の健康を初めとする健康教育の充実、相談体制の充実等に取り組んでいくこととしています。

 ただ、先ほど来答弁をお聞きになってわかると思いますが、私はまだ絶対的に足りないと思っています。予算を伴うというのは、我が国の今の経済事情を考えたときに、ここにどんどん政策を充実していく財政的余力は正直言って限りがございますが、それ以上に民間でも取り組んでおられる方たちもおられますので、官民一体となって何ができるのか、それは知恵を出していきたいと正直思っているところでございます。

馳委員 だんだん政府の中でも、国民の中にも少しずつ理解が広まってきているのは事実なんですが、私は二つのポイントをお願いしたいのが、ここなんです。発症するのは意外と若年者の方が多いので、中学生における保健教育においてしっかり事実を勉強してほしいなというのがまず一点。もう一つは、こういうのは啓蒙啓発、広報等いろいろありますが、アウトリーチというか、出かけていくのが大事なんですよね。ここが精神科医療の場合に非常に大事な部分ではないのかなというふうに思っているんですよ。

 そこで、この構想会議からも、「学校教育において精神疾患教育を導入する」という提言がございまして、二つ申し上げますので、この提言についてのコメントを文科省からもいただきたいと思います。

 一つ、「学校における精神疾患教育の導入にむけた厚生労働省および文部科学省の合同検討チームを発足させ、次回の学習指導要領の改訂時を目指した準備を進めます。」一つ、「学校教育授業プログラムの開発を進め、その効果検証に関するモデル事業を百校程度対象に実施します。」こういうふうな提言がされておりますので、現状でのコメントをいただきたいと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、近年の社会教育や生活環境の急激な変化は子どもの心身の健康にも大きな影響を与えておりまして、学校生活におきましても、例えば、うつ病などの心の健康の問題が顕在化しておる状況にございます。子どもの心の健康というのは取り組んでいくべき重要な課題だというふうに考えておりますので、総合的に学校でも取り組んでいく必要があると思っております。

 文部科学省では、このため、すべての小学校五年生、中学校一年生、高校一年生に対しまして、心の健康とか欲求とかストレスへの対処方法などにつきまして総合的に解説する啓発教材を作成して配付しておりますし、教職員に対しても、子どもの健康観察に関しまして、精神疾患の対応を含む指導参考資料を作成しております。

 また、モデル事業的には、精神科医等の専門医を学校に派遣いたしますとともに、専門のお医者さんや地域の医療機関と連携しながら、子どもの健康管理の充実や保護者への啓発活動等を行うモデル的な委託事業も実施しているところでございます。

 また、学習指導要領の件でございますが、保健体育科を中心に心の健康に関する指導を行うこととしておりまして、例えば中学校の学習指導要領におきましては、心の健康を保つには欲求やストレスに適切に対応する必要があるといったようなこと、あるいは高等学校の学習指導要領につきましては、精神の健康を保持増進するためには、欲求やストレスに適切に対応するとともに、自己実現を図るように努力していくことが重要であるということを書いた上で、精神の機能は心と体が関係するといったようなこと、人間の精神と身体は密接な関連を持っているといったような内容の指導をするということになっております。

 なお、こうした学習指導要領でございますが、今ちょうど中学校の新しい学習指導要領が平成二十四年度から、そして高等学校では二十五年度の入学生から順次実施されるという段階になっておりますので、私どもとしては、当面はこの新しい学習指導要領の完全実施に向けて努力をするべき段階であるというふうに考えております。

 御指摘の御提言にわたることにつきましては、こうした実施状況を踏まえ、その評価等をもとに、次期の学習指導要領改訂に向けて検討をする中での重要な課題ではあるというふうに考えております。

馳委員 次期の学習指導要領の見直しは何年後ですか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 通常ですと、十年単位で改訂がされております。

馳委員 十年なんですが、学習指導要領は、十年を待たなくても、必要とあらば見直しをすることができるとなっていると思いますが、間違いありませんね。

有松政府参考人 御指摘のとおりでございますので、そうした、必ずしも学習指導要領の改訂そのものではなくても、ただいま御指摘の重要な課題については、例えば指導参考資料の作成、配付といったような、十年を待たずにできることもございますので、厚生労働省等との連携も図りながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

馳委員 ありがとうございます。

 したがって、蓮舫大臣、この構想会議からの提言にありますとおり、精神疾患対策基本法案、これは、やはり事の性質的に、与党、野党関係なく取りまとめをして、こういう提言が専門家の方からあるということを踏まえて対応をいただきたいというのが私の趣旨であります。

 それから、先ほどアウトリーチの問題が必要だというふうに申し上げましたが、現状でも、精神対話士の会の方々とか、大変努力をして現場に出ておられますし、都道府県によっては採用してもおられるんですね。

 実は、私の出身の石川県も、これは子どもではありませんが、教員のうつ病による休業というのがこの十年間で八倍にふえております。当然、それに対応するために、復職するための支援プログラムも石川県の教育委員会は充実をしているところでありまして、こういった先生方のところにも精神対話士を派遣して現状をお聞きするとともに、教育現場においては、子どもたちが相手でありますから、うつ病の先生がまた復職するというのはなかなか大変なんですよ。当然、皆さん何となくわかるように、うまく人事をしながら、少しずつ現場に戻していくというふうな対応をしておられるんですね。

 したがって、精神疾患、精神科の医療というものに対する理解を深め、特にこのアウトリーチの問題について、非常に有効な方策であるということも御理解いただいて、今後の対応を厚労省と文科省と協力してやっていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。

 学童保育の話に移ります。

 昨年度、学童保育の数は前年比で千二百六十九カ所ふえました。母親が働いている家庭で学童保育に入所できている児童は三分の一にとどまります。入所児童数は前年比三千人程度の増加にとどまっております。入所児童数が前年比で減少した市町村も三割弱ありました。どうして入所児童数が余りふえていないんでしょうか。

石井政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、厚生労働省で実施をしました放課後児童健全育成事業の実施状況調査、これは平成二十二年五月一日現在で行っておりますが、これによりますと、クラブの増加数は、調査開始以来最高の増加幅となる千四百六十七カ所の増加となったわけでございますが、その一方、登録児童数は、二十一年度約一万三千人の増に対して、二十二年度はその半数の増加幅、約六千五百人の増加となったところでございます。

 登録児童数が増加していない自治体につきまして、その理由、これはあくまで自治体の、供給サイドのリサーチでございますけれども、その理由について調査を行ったところ、少子化による児童数の減少とか、あるいは保護者の就労状況等の影響によって利用ニーズが減少したといった回答が寄せられたほか、実施場所の確保が困難であるとか、あるいは放課後子ども教室への移行に伴う利用ニーズの減少が見られたといったようなことを挙げておられたところでございます。

 それから、登録児童数の多いいわゆる大規模クラブの解消を図るため、新たなクラブを創設して分割を行うなど適正規模に向けた取り組みが進んだことによりまして、クラブ数の増加に比べまして登録児童数の伸びが小さくなったということも考えられると思っております。

 放課後児童クラブにつきましては、これはしっかりふやしていかなきゃいけないという目標を掲げておりますので、引き続き必要な取り組みを進めていく必要があろうというふうに思っております。

馳委員 厚労省の調査と、私が資料としてきょう読んできたのが全国学童保育連絡協議会、ここの調査と違うなということを今からお伝えいたします。

 まず、経済的な負担が理由で入所できない、多いんですね。この問題は、国として、保育料の減免措置を設ければ対応できるのではないでしょうか。そのほかには、市町村が、近所に祖父母がいれば対象外にしたなどと入所要件を厳しくした、定員をきっちりと決めた、高学年を対象外とした、それから時間を短くした、こういう理由が全国学童保育連絡協議会の二〇一〇年五月一日現在の調査として出ておりまして、私はその資料を見てきょうは質問をさせていただいているんですね。

 これは大臣の方にお聞きした方がいいと思いますが、経済的理由、入所要件が厳しくなった、定員を決められた、高学年を対象外とした、時間が短くなった、これは事実なんですね。その背景には何があると思いますか。

蓮舫国務大臣 一つには、預けたいと思っておられる保護者の方たちの経済的な理由、もう一つは、それを実施しておられる自治体の経済的な理由によるものと推察します。

馳委員 私は大臣のおっしゃるとおりだと思います。

 もちろん、文部科学省が展開をしている放課後児童教室、私もそれを進めている推進派の一人なので何となく言いづらい立場ではあるんですが、いわゆる学童保育というものが、放課後の家庭的な生活環境を守りましょう、当然、家庭的な生活環境を守る中には教育的な活動も含みますよという位置づけがあると私は思うんですよね。

 そう考えると、親が一生懸命子育てをしている中で、共働きであったりしてなかなか十分に対応できない、あるいは、私なんかが子どものころと比べて兄弟が少ない。そうすると、たくさんの子どもの中で遊ばせて社会的な素養も身につけさせたい、こういう要望があるということを考えれば、私は、この放課後児童クラブに対する支援というものはやはりふやしていくべき時代なのではないかなと思っているんですね。これについての見解も大臣にお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 まさに御指摘のとおりで、特にそうした、兄弟が今少なくなっている中で、世代間を超えて家庭的な交流ができる場所というのは、子どもさん御本人にとっても豊かな経験にもつながりますし、結果として、親御さんが共働きあるいは一人親でそうした制度に頼らざるを得ない方たちにとっても意味があるものだと考えています。

馳委員 そこで、次に、学童保育の潜在的な待機児童について質問をいたしますよ。

 特に、民営施設での待機児童数の把握が不十分であります。人数を報告しないとか、書類申請の前に入所を断られた人数をカウントしないとか、こういうことがあるんですね。高学年だから初めからあきらめている、こういう人数などの把握も不十分です。こういう潜在的な待機児童について、いるんですよ、やはり調査も踏まえて政策を打っていかなければいけないんじゃないかなと思いますが、いかがですか。

石井政府参考人 御指摘のとおり、潜在的な存在もしっかりあぶり出して対応をとっていかなければならない、そのとおりかと思います。

 現状を申し上げますと、放課後児童健全育成事業の調査の中で人数をどのように把握しているかでございますが、まず、市町村が利用の申し込み窓口になっている場合には、その市町村で把握をした人数を掲げてもらって、また、放課後児童クラブが利用の申し込み窓口になっている場合、要は直接に申し込む窓口になっている場合、当該クラブが把握をした人数を市町村を経由して報告していただく、こういう仕組みになっております。

 実際のところ、今おっしゃいましたように、利用できなかった児童数が適切に把握ができていなかったケースもございます。利用できなかった児童数を把握していないクラブ数というのが千三百二十クラブ、全体の六・六%存在をいたしておりまして、これらのクラブがある自治体に対しては実態把握を促しているところではございます。

 いずれにしましても、平成二十二年一月に閣議決定をいたしました子ども・子育てビジョンにおきまして、希望するすべての人がクラブを利用できるよう、潜在的なニーズを踏まえて、二十六年度における利用児童数の目標としまして百十一万人を掲げておりますので、その目標達成に向けて取り組んでいく必要があろうと思っております。

馳委員 だんだん佳境に入ってきまして、つまり、希望する人がみんな利用できるようにというコンセプトですか、理解ですか、ここにいかに受け入れる場所と面倒を見る指導員さんを対応していくか、そしてそこで安全をいかにして守るか、ここがやはり政策の方向性になっていくと思うんですね。

 では、この施設のことについてお伺いしますが、大規模学童保育はいまだに多くあります。適正規模はまだ半数にとどまっていると思いますが、厚労省として把握している現状はどうですか。

石井政府参考人 私どもにおきましては、放課後児童クラブガイドラインで規模について考え方をお示ししているところでございまして、児童数七十一人以上の大規模クラブというのを余り好ましくないというふうにとらえているわけでございますが、七十一人以上の大規模クラブは、対前年九百二十三カ所減少の千二百十一カ所となっておりまして、これを全放課後児童クラブ数に対する割合で見ますと、一一・六%から六・一%に一応減少はいたしているところでございます。

 その一方、放課後児童クラブガイドラインで示しております望ましい人数規模、これは四十人程度までというふうに示しておりまして、これをとらえた場合には、三十六人から四十五人のクラブ数を見た場合に、平成二十一年度の三千四百六十七カ所から、今年度は四千三百五十九カ所と八百九十二カ所増加をいたしておりまして、これは一応、実施規模別では最も増加数が多い、そういう位置づけになっております。

馳委員 いわゆる七十一人以上はだめよというこの政策の方向性によって数字が適正に傾きつつあるということは言えると思うんですが、そうはいっても、いまだに、いわゆる七十一人以上、百人以上もありますね。学童保育連絡協議会の調査では、昨年度で千三百カ所ということに実はなっているんですね。

 ここを解消していく努力、同時に安定的な場所の設定ということを考えると、全国の小学校施設、保育所施設、幼稚園施設、ここを学童保育にも対応できるような施設として、今後、改築なのか改修なのか。場所としての信頼感を踏まえると、ちょっとターゲットを絞っていったらよいのではないかと思われるんですが、文部科学省としては、この点、どのように考えておられますか。学童保育なんかには貸さないぞ、そんなことは多分おっしゃらないとは思いますが、いかがですか。

徳久政府参考人 委員御指摘の点でございますけれども、今お話ありました放課後児童クラブ、それから文部科学省の方では、放課後子ども教室という形で実施をさせていただいております。

 私どもの文部科学省の放課後子ども教室の方でございますが、これにつきましては、やはり実施場所は当然のことながら学校になりますけれども、放課後子どもクラブの方につきましても、教室と連携を図って実施をしているようなところがございまして、その場合には、学校施設を利用するような例も、ちょっと数字はあれでございますけれども、多く見られているところでございます。そういう意味からすると、学童保育、児童クラブのそういうある程度広いスペースというようなことにつきまして、やはり学校で兼用できるようなところがございますので、そういう取り組みが進んでいるんだろうということだと思います。

 また、地域の実態とか学校の実態に応じまして、どういう場所を利用するのか、それぞれ密接な連携を図りながら決めていただいているところと思いますけれども、今委員御指摘の点につきまして、一層浸透しますように、また引き続き私どもも周知をしてまいりたいというふうに考えてございます。

馳委員 私は徳久さんとは長いおつき合いなんですけれども、何となく都合の悪いことをしゃべるとき、あなたは早口になるんですね。

 ここは、私が強く強く言っていきたいところなんですよ。なぜ、今私が学校施設を全面的に今後活用していくべきだという主張をしているかというと、やはり東日本の大震災があったからなんですよ。民営の施設、これは、蓮舫大臣も多分御存じだと思いますよ、随分と民間のおうちをお借りしたりしていますね。もう築四十年、五十年の民間のおうちに、三十人、四十人の子どもが放課後遊んでいるんですよ、あるいは勉強したり寝たりしているんですよ。これはどう考えても、多分私が体当たりしたらこのまま壊れるんじゃないかなという施設も本当にあるんですよ、実際には。

 したがって、政策の方向性を変えていくべきであり、当然、今現在でも、文科省と厚労省は、やれ、放課後児童クラブだ、やれ、放課後児童教室だというふうな、一応線引きはありますけれども、現場では線引きのないようにしようとしているというのはわかりますけれども、しかし、大臣、ここは国の方針として、やはり子どもたちが生活をする安全な場所、そこで信頼の置ける指導員のもとで生活を保障してくださるという、この安心感が必要なので、だから、私は何度でも言いますが、小学校施設、もちろんこれは耐震化の問題もございますが、学童保育、児童クラブ、放課後児童教室、名前はどうだっていいですよ、安心して過ごすことのできる居場所として提供していく、この一言が欲しいんですよ。

 もう一回、徳久さんにお伺いいたします。今度はゆっくりしゃべってくださいよ。

徳久政府参考人 委員御指摘の点、もっともだと思います。

 ちょっと口幅ったい言い方でございますけれども、学校施設の所管の審議官でないもので、直接的な答弁ではございませんけれども、非常に貴重な提言ということで、担当の方にもしっかり伝えさせていただきたいと思います。

馳委員 心もとないですよね、また担当が違いますからと。だから、ここで蓮舫大臣に登場していただきたいんですね。

 私は、この後、職員の処遇の問題をもちろん細かく聞きますが、やはり政府の方針、これは民主党としても異存はもちろんないと思っていますし、我々自由民主党も、ここは進めるべきだという意思は持っております。そうなると、政党云々ではなくて、政府の方針としての、放課後の子どもの居場所について守りますよというメッセージがあるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 直接所掌ではないんですけれども、今馳委員が御指摘しているのは、まさにこうした縦割りをなくして、文科省であろうと厚労省であろうと、政府として、あるいは野党の皆様方の御協力をいただいて、国会としてもしっかり守っていくんだ。何よりも優先されるのは子どもの安全だと思っておりますので、ここの部分は私も肝に銘じて政府の中で働きかけていきたいと考えております。

馳委員 そこで、指導員の働く環境についてお伺いいたしますが、問題を端的に指摘していきますね。

 国の補助単価が、非常勤職員の賃金と謝礼金で計算されている、このことが問題だ、ここに尽きると私は思うんです。いろいろ資料を拝見しましたが、二〇〇三年度の厚生労働省の学童保育の補助単価は次のように算定されておりまして、賃金、非常勤は百三十五万六千円、諸謝金は百十七万八千円、その他四十七万一千円、その他には教材費、図書費、消耗品、備品、通信費等入っておりまして、この合計の三百万五千円で一つの施設が運営できると計算して、その半額は保護者負担を見込むので、補助単価は百五十万二千五百円であると。

 ところが、それは実態とは大きく乖離しているというのが現場からの提言あるいは悲痛な叫び声であるということで、特に指導員の人件費が低く計算されていますよということですね。

 では、これは石井さんに聞こうかな。

 指導員は年間何時間ぐらい働いているか御存じですか、平均して。ぱっと言えませんか。これは調査があるんですよ。調査によると、大体二千時間ですが。

石井政府参考人 常勤の方と非常勤の方がございますので、ちょっと押しなべて申し上げる用意がないのでございますが、一日平均六時間働いている方が多いというふうに承知をしております。

馳委員 そういう計算を厚生労働省はするわけですね。実際には、子どもたちが来る前の準備、帰った後の対応、それから夜あるいは土日の保護者への対応も含めて、平均して二千時間という数字が全国学童保育連絡協議会からの資料として出てきております。

 そんな中で、今、石井さんが専任と非常勤というふうなおっしゃい方をしましたが、専任と非常勤、その人数の割り振りは御存じですか。専任は何%いて、非常勤は何%ぐらいいるか、御存じですか。

石井政府参考人 手元に今数字がすぐ出てこないのでございますが、非常勤の方が多いというふうに理解をいたしております。

馳委員 公営と民間運営と見ていきますと、公営で正規職員が四%、民間運営で正規職員が二二%、合わせて二八%、正規職員が。それ以外が、七割近くは非常勤職員なんです。そして、平均年間給与が、お一人頭大体百五十万から二百万円ですね。その背景は何かというと、私が説明した非常勤職員は賃金と謝礼金で計算されているということが問題です。

 つまり、放課後児童クラブで働く職員についての社会的な理解が得られていない、位置づけが明確でない。これは、学校の放課後の問題、附属的な問題、本来、お父さん、お母さんが、あるいは、おじいちゃん、おばあちゃんが面倒を見なきゃいけないんだけれども、そこで面倒を見られない方をちょっと面倒を見てあげますよというふうなあいまいな位置づけになっているということが、こういうことになっているんですね。そこが処遇の改善を必要としている現状だということ。

 そして、もう一つお聞きしますよ。

 非常勤の方の研修がちゃんとされているか御存じですか。

石井政府参考人 九割以上のクラブで職員に対する研修を行っているというふうに聞いているところでございます。

馳委員 九割以上のクラブで研修はされているんですよ。けれども、私が言っているのは、非常勤の職員は十分に研修に行けるような時間もないんです。余裕もないんですよ。だから、指導員の能力はまさしく千差万別で、同時に、非常勤職員は大体一年から三年でみんなやめちゃっているんですよ、やっていけないから。言葉は悪いかもしれませんが、クラブの指導員をやっているよりもコンビニで働いた方が実入りがいいとか、居酒屋でちょっと働いた方が実入りがいいとかとなっちゃうんですね。

 そう考えると、大臣が先ほどおっしゃったように、居場所の確保、指導員の充実、これは研修も含めてでありますし、処遇の改善、このことはやはり私は待ったなしだと思っているんですね。

 るる述べてきましたが、大臣としての見解を改めてお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 まさしく、善意で成り立っていると言っても過言ではないんだと思います。

 ただ、馳委員、他方で、財源構成を見ますと、保護者負担と公費負担でございますから、そこがこれから先非常に潤沢になっていくという見通しも、我が国の財政事情を考えたときには、なかなか難しいのではないか。であれば、せめて、その方たちが働いていることに生きがいが持てるような社会的地位の高まりであるとか、研修、あるいは彼ら、彼女たちがしっかりと働いていることによって感じ得る喜びというのをどういうふうに行政的にサポートができるのか、まずはここから知恵を絞りたいと、今聞いていて思いました。

馳委員 次に、「こうのとりのゆりかご」の問題について伺います。

 私も、昨年四月八日にこの委員会で質問いたしました。その前には、池坊委員長のもとで現地に視察も参りました。

 当時の答弁では、「こうのとりのゆりかご」施設は違法ではないが、児童福祉法上の一時保護施設などとして法的に位置づけることはできないという答弁でありましたが、それに変わりはありませんか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 「こうのとりのゆりかご」のように、匿名のまま子どもを預けることについては、預ける側にとってみれば、だれにも知られずに預けることができまして、そのまま預けることができなければ虐待に至るようなケースを救うことができるという面がある反面、子どもにとっては出自がわからない形で預けられるという、子どもにとってのマイナスというものがございます。

 このため、御指摘のように、匿名のまま預けることができる施設を児童福祉法上の施設として位置づけた場合に、匿名のまま預けることを助長する危険がありますので、一時保護施設として一般的に位置づけることは、法的に位置づけることはやはり困難ではないかというふうに考えております。

馳委員 匿名遺棄は、このままでは育児放棄や虐待によって最悪死亡させてしまう、遺棄する側は、まさに児童の虐待あるいは虐待死という最悪の結果を招く、それを防ぐために「こうのとりのゆりかご」に預けたという評価をすることはできると思いますが、いかがですか。

石井政府参考人 先ほど申し上げましたように、委員が御指摘のような面があることを否定するものではございませんが、ただ、一方、熊本県が行いました検証会議の報告書を見ますと、実際の事例では、本当にせっぱ詰まっているとか、あるいは本当に窮していると思えないものも含まれている。例えば、戸籍に入れたくないというのが最多を占めていたということもございまして、さまざまな評価というのもあり得るのかなというふうに思っております。

馳委員 最悪の結果を防ぐために預けたということについての御理解はいただいたと思いますが、であるならば、児童虐待の予防を行うための民間団体という評価ができると思いますが、いかがですか。

石井政府参考人 先ほども申し上げたわけでございますが、「こうのとりのゆりかご」の評価というのはなかなか難しい面がございまして、子どもにとってみたとき、果たしてこれが本当にいいのだろうかという部分もどうしても残ってしまうということがございます。

 「こうのとりのゆりかご」では、扉の表示に子どもを預ける人に相談を強く呼びかける表示をするなど、相談と一体的な運用もなされておりまして、この努力につきましては、検証会議におきましても高い評価がされたと承知をいたしております。ただ、匿名のまま預けることができることによってそうした行為が助長されてしまうことは、やはり何としても避けるべきではないかというふうに考える次第でございます。

 「こうのとりのゆりかご」についてはさまざまな評価があるものと考えていますけれども、ただ、積極的に評価できる点として、慈恵病院では、二十四時間無料で電話相談を行って、緊急対応とかあるいは緊急面談も実施されているわけでございます。これは、年間五百件もの相談が熊本県にとどまらず全国から寄せられて、民間の一医療機関による相談にもかかわらず、この点については、児童虐待の予防に大変大きな貢献をなさっているというふうに考えているところでございます。

馳委員 慈恵病院の理事長にも私たちはお話を承ってまいりましたが、違法ではない、法的な位置づけはないということで、熊本市や熊本県がいろいろな負担をせざるを得ない状況になるということについて心を痛めておられました。

 今の石井さんのおっしゃることを私なりに整理すると、慈恵病院は、児童虐待防止法第四条一項において、国、自治体が支援に努めなければならない民間団体に当てはまることになると私は思いますが、いかがですか。

 そして最後に、もう次の池坊先生がおられますが、申し上げたいんですけれども、私は緊急一時保護施設という位置づけで児童福祉法上に位置づけておくべきだと思いますし、当然私も、石井さんがおっしゃるように、助長するためにこんなことを言っているわけではありません。現実、こういう団体があって、心ある理事長さんがやむを得ずこの施設を設けたということの背景も踏まえると、私は法的な位置づけをしてあげるべきだと思いますが、この二つにお答えをいただきたいと思います。

高木委員長 石井審議官、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

石井政府参考人 結論から申し上げますと、まことに申しわけないんですが、先生の御指摘のような法的な位置づけは、やはり匿名性という、預け入れ助長という面がございますので、難しいかなと思っております。

 ただ、厚生労働省としては、「こうのとりのゆりかご」が問いかけている課題というのは真摯に受けとめて、例えば、望まない妊娠や出産に対する相談窓口の充実とか、あるいは特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託の措置などの取り組みは積極的に進めていきたいと思っております。

 ちなみに、愛知県では、望まない妊娠で養育困難といった場合に、児童相談所が、出産前とかあるいは出産直後から相談を受けて、出産と同時に新生児を里親の方に委託をして、特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託を里親委託の一つの方法として行っているというふうに聞いておりまして、こうしたようなやり方を広めていくのは一つの方策ではないかなと思っているところでございます。

馳委員 去年、当委員会でドイツにも視察に行ってこられたと思います。ドイツのいわゆる「こうのとりのゆりかご」についての法的位置づけなども勉強してこられたと思います。

 児童虐待防止法の改正なのか、児童福祉法の改正なのか、「こうのとりのゆりかご」の位置づけというものについては、さらに議論を深めた上でやはり検討していくべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 馳浩さんの質疑を終了いたします。

 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 質問に先立ち、東日本大震災でお亡くなりになりました方々に心より哀悼の意を表するとともに、今なお不自由な生活をしていらっしゃる被災地の方々に、私ども、党派を超えて、政治家として全力で支援することをお誓いしたいと思います。

 私、久しぶりの質問で、この青少年問題にかかわる特別委員会ができましてから十数年、ずっとこの委員をしておりました。児童虐待防止法は私どもが二〇〇〇年につくった、そういう意味では、私は生みの親と言ってもいいのではないかと思っておりますし、そしてまた、そのことに関しては、深い、見守る思いが強くございます。

 委員長席に座っておりますと質問ができなくて、あの質問も、この質問もしたいという思いがございましたので、きょう、質問させていただきたいのです。

 まず、東日本大震災によって子どもたちが大きな傷を負いました。私たち文部科学委員会では、三十五人学級の成立の際に、三十五人学級はもう既に九二%になっておりますから、今さらという思いがいたしましたけれども、それよりもまず、そのときにちょうどこの東日本大震災が起きました。

 私は、心に傷を負った子どもたちのためにやはりしっかりとしたケアが必要ではないか、そのために、きめ細やかな教師との対話あるいは指導、それが行われるための教師の加配、そしてスクールカウンセラー、また、その現場だけでなくて、子どもたちがほかに転校した場合においても、その転校先できっちりとしたケアが行われるような手厚い教員の加配というのをしてまいりました。

 文部科学省においては、今、両親を亡くした子どもが百十人、またふえるかもしれません。そして、片親が四百十九人というふうに聞いております。それらのケアについて、どのような措置をとっているかをまず伺いたいと思います。

笠大臣政務官 池坊委員には、文部科学委員会において、特に、今お話がありましたように、義務標準法等々で、大変、今回の震災を受けて、修正協議等々リードしていただいたことにまず御礼を申し上げたいと思います。

 そして、今お話がありましたように、今回、親を亡くしたお子さんも含めて、とにかく子どもたちのケアについては万全を尽くしていかなければならないと考えておりますけれども、緊急には、平成二十二年度分の委託事業を活用して、全額国庫負担によって臨床心理士等を延べ二百十六人、今派遣をしておるところでございます。

 ただ、これから、被災地並びに子どもたちを受け入れてもらっている被災地以外の自治体からもまたこうした要請が来ると思いますので、平成二十三年度のスクールカウンセラー等の活用事業において、災害救助法適用地域に設置されている公立のすべての小中高等学校、そして中等教育学校、特別支援学校にスクールカウンセラーの緊急支援配置ができるよう、経費をもう措置しておるところでございます。

 そして、さらに、この補正予算において、すべての要望にしっかりとこたえて、スクールカウンセラーなどの派遣ができるように、また私どもとしても対策を講じていきたい、必要な人数を確保できるようにしっかりと努めてまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 今、文部科学省においても積極的に、心のケアを初めとしていろいろな対策に打ち込んでおります。特に、ボランティアの学生たちが、例えばいろいろな大学に要請をいたしておりまして、岩手大学だったら四十五時間を一単位にする、あるいは早稲田とか明治大学でもそのような要望にこたえようという動きもあるようです。

 厚労の小宮山副大臣に伺いたいと思います。

 副大臣とは二次の法改正のときも御一緒させていただきました。そして、ついこの間も、心のケアが大変重要であると記者会見でおっしゃっていたように思います。

 厚労としてはどのような取り組みをしていらっしゃるのか、そして、今、養護施設、児童相談所はきっちりと、崩壊などに遭っていないか等々をお聞かせ願いたいと思います。

小宮山副大臣 池坊委員にはいつも子どもの問題に力を尽くしていただきまして、本当にありがとうございます。

 最後のところから先にお答えいたしますと、幸いなことに、児童相談所とか児童養護施設など人的被害はございませんで、軽微な、壁のタイルがはがれたりとか、そういうところがございますが、そこは法の適用もされておりますので、国庫の方でしっかりと負担もしながら、早急に直していきたいというふうに思っております。

 また、なかなかその施設が今使えない状況にあるときには、ほかの施設で子どもたちを受け入れ、また、ケアをする専門職の人も全国から応援に入ってもらっておりますので、そういう形でやっております。

 それから、先ほどの両親を亡くした子どもたちのことも、これは震災後すぐにそのことをやらなければということで、いろいろ児童関係の専門職の人たちに避難所に入ってもらいまして、子どもの心のケアをするための児童心理司とか保育士のほかに、ちゃんと家庭の調査などもさせていただいております。

 まだまだ全貌がわかっているとは思いませんけれども、先ほどおっしゃったように、四月十九日現在で、両親が亡くなった、あるいは行方不明の子どもが百十名おります。その子どもたち、今は、一時的に施設にいる子を除いて、遠い方も含めて、ほとんどが親族にケアをしていただいておりますので、経済的な負担をしっかりと支援できるように、親族里親の制度の御説明もして、なるべく遠い関係でも御親族に見ていただけるのが一番だと。それがどうしても長期的には無理という場合は養育里親、これも被災県だけで二百名以上の登録をしている方がありますので、当面、被災県の中で里親制度、それも難しい場合はファミリーホームなども含めて、しっかりと子どもたちの支援をしていきたいと考えております。

池坊委員 こうした児童に対しては、個人情報を守りつつも、私は、引き続いて見守ってほしいなという気がいたします。

 親族の場合には祖父母に引き取られるケースが多いというふうに聞いておりますが、やはり高齢である、それから夫の面倒を見なければならないから今養育は不可能であると、一たんは引き受けたけれども、それが継続しない場合も多々出てくるのではないかと思います。これからの経過を見守ることが大変必要なのではないかと私は思っております。

 それとまた、そういうときには養護施設に入ることもやむないと思います。養護施設は今満杯でもあったりして、いろいろな問題が生じておりますけれども、今度、養護施設に入ったときにも、既にいる子どもたち、その子どもたちも心に傷を負っておりますから、その子どもたちとの兼ね合いというのも大変難しいのではないかと思いますので、きめ細やかな対応をぜひしていただきたいと私は思います。

 これを受けまして、蓮舫大臣にどういう思いであるかをちょっと伺いたいと思います。

 なぜならば、先回の委員会での大臣の所信表明をお伺いいたしましたら、子どもの利益を守るために関係省庁が力を合わせてというような文言があったように思います。子どもを守っていくということは、文部科学省がこうしている、厚労省がこうしていると今両省庁に伺いましたのは、一人の人間の対策に対していろいろな省庁がしているわけですね。ですから、連携が極めて重要であると思っております。

 青少年にかかわるこの特別委員会がなぜ開かれたかというと、やはり子どもの問題はすべての省庁が力を合わせてということなんだと思います。関係省庁をまとめていらっしゃるという御決意をちょっと伺いたいと思います。

蓮舫国務大臣 実は先週末、被災地に視察に行ったときに、たまさか閉園した幼稚園をお借りして保育園機能を復活させている場所も私は視察をさせていただきました。

 子どもたちはもう既にさまざまな症状が出ておりまして、ふだん夜泣きをしない子どもが夜泣きをする、抱き締めてもいわゆる震えがとまらない子どもが出てくる、あるいはなかなか言葉が出てこなくなったり、また、子どもたちの問題もそうなんですけれども、指導しておられる先生方もどう対応していいのかわからない。まさに、子どもの心のケアというのは子どもだけが対象ではない。しかも、幼稚園は文部科学省で、保育園は厚生労働省でと言っている場合ではない事態だというのは痛感しておりますし、池坊先生もそこはよく御理解いただいているところだと思います。

 私のもとでは、昨年、子ども・若者ビジョンをまとめさせていただきました。関係省庁が子ども・若者に関するどのような施策を進めているのかを定期的にフォローアップをしていきたいと思いまして、子ども・若者育成支援推進本部のもとに、子どもさん、若者が加わったビジョンの点検、評価を行うための会議を近々立ち上げますので、ここにおいて、震災前の政策のフォローアップはもちろんなんですが、震災以降、今先生が御指摘いただいた問題点も含めてフォローアップはしていきたい、そして縦割りの弊害をなくしていきたいと考えています。

池坊委員 私が恐れますのは、今はみんな関心を持っております。ところが、子どもたちにとっていろいろな状態が出てくるのは今後なんですね。今は無我夢中で生きておりますけれども、やはりPTSDなどはこれから出てきますので、それについては引き続いて見守ってほしいという強い願いを持っております。

 午後からは、この委員会と法務が合同審査をいたします。二〇〇〇年に児童虐待防止法をつくり、そしてそのときに、懲戒場は削除するべきだ、懲戒権、そして未成年後見人、親権の一時停止、また面会交流など、本当に民法改正を強く願っておりましたけれども、この十年、二次、三次、法改正のたびに積み残してきて、それが今回、午後には採決されるというのを私は大変うれしく思っております。(発言する者あり)来週ですか。ごめんなさい。一刻も早くという思いがございましたので、もう、すぐにされるのかと思いました。

 私といたしましては、それらのことについては午後、審査の質疑にも加わりたいというふうに思っておりますけれども、まず、その中にございます一時保護についてちょっと伺いたいと思います。

 厚労の方、簡潔でいいです、一時保護というのは、一年間に約何万件あったのか。そして、原則としてそれは何カ月なのか。そして、それが守られたのは何%であるかをお答えいただきたいと思います。資料がなかったらもういいですよ、答えてしまいます、時間がございませんから。

 では、私が答えたいと思います。本当は伺って、私は質問をしたかったのですが、これは原則として二カ月である、去年は約一万人がこの一時保護を受けている。ところが、この二カ月で親のもとに帰ったのが一七%なんですね。

 そもそも、何でこういうふうになっているか。一時保護というのは、子どもの安全確保を図るために、児童相談所長の権限により親権者等の同意がなくても親子分離ができる強力な行政権限の行使でございますけれども、従来はその期間について、時期ですね、法律上の規定がございませんでした。平成十二年に、児童虐待防止法の制定にあわせて児童福祉法の改正が行われて、一時保護の期間は原則として二カ月、そして、必要な場合、児童相談所長はその期間を延長することができるとした経緯がございます。

 このような状況を踏まえて、本法案では、児童相談所長に対し、親権者等の同意がない二カ月を超える一時保護を行うに当たって、その是非について児童福祉審議会の意見聴取を義務づけるものとしております。

 第三者機関である児童福祉審議会に対して、一時保護をめぐって児童相談所と親権者等が対立関係となり長期化した場合に、その妥当性などについてチェック機能を求めるということは大変いいことではあると思いますけれども、児童福祉審議会というのはどのような仕事をするか、ちょっと厚労の方、お答えいただけますか。

小宮山副大臣 児童福祉審議会は、委員もよく御承知のとおり、十八歳未満の子どもにつきましてしっかりと福祉の面で保護を図っていく、できればその中には子どもの権利の保護もある程度入ればと思っておりますけれども、まだ、子どもを包み込んで保護をしていく、そのような形の法律だと承知をしております。

池坊委員 児童福祉審議会は、児童虐待防止法の制定、施行を契機に、児童虐待等による入所措置などにかかわる審査のほかにも、死亡事例等を初めとする重大な虐待事例の検証、被措置児童等虐待への対応などの業務が課せられております。

 つまり、今、児童相談所はたくさんの相談がございます。それと同様に、審査件数なども増加しているんですね。この児童福祉審議会の運用方法のモデルを示すことによって、社会福祉審議会の機能強化や充実を図ることをあわせて行うべきであるという審議会の意見もあったかと思うんですね。

 私が問題にしたいのは、この一時保護、実は親がもう子どもの面倒を見られない、だから預かるわけですね。一時保護というのは、その子どもたちは通学もできない状態に置かれている。にもかかわらず、二カ月では足りなくて、親が引き取れない。無理に子どもを引き取ると、これが虐待などに結びつくということになると思うんですよね。

 この一時保護の子どもたちを今後どうしていくのか。社会福祉審議会だけに任せていたら、とても社会福祉審議会も審議をしている時間も一々個別にはないのではないかと思うんです。私は、この一時保護というのをもっと拡充するか、しっかりとしたものにしなければ、今後、児童虐待を防ぐことはできないのではないかと思うんですね。つまり、一時保護というのは、児童虐待の、ある意味ではその前段階である場合が多いと思います。

 それらのことに関して、この一時保護をどういうふうにしていこうとお考えか、その拡充などについて、小宮山副大臣に伺いたいと思います。

小宮山副大臣 委員も御承知のように、この児童虐待防止法、こうしたものは議員の間の、議員立法でつくってきておりますので、この一時保護のあり方につきましても、以前、私も委員として池坊議員や馳議員と一緒につくらせていただいてまいりました。

 確かに、一時保護二カ月の間に、実は前回の改正でやり残した大きな問題が親指導、虐待をしてしまった親をどういうふうに指導していくか。もとの方をきちんとしませんと、なかなか解決をしない。再統合が一番望ましいといってもそれがなかなかできないということで、前回、法改正のときにそのことも大分議論をいたしましたが、ただ、それができる専門職が日本ではドイツなどと比べて余りにも少ないということで、それができませんでした。

 結局、二カ月の間に親の方の状況をよくしないと帰せないわけですので、そうしたこととの見合いもあるかと思いますので、また次の改正のときに、ぜひ各党の議員の皆様でも御議論をいただき、厚生労働省としてもしっかり考えていきたいというふうに思います。

池坊委員 児童福祉法で二カ月とあるから、それを変えたところで抜本的に、小宮山副大臣はおわかりになって言っていらっしゃると思います、厚労が予算をとってしっかりとしたそういう場をつくる、それからケアする人間をつくらなければ、これは何にもならないので、私どもは児童虐待防止法の改正は幾らでもいたしますけれども、それをいたしても、それに伴って予算も確保し、そして、くどく申し上げるようですが、場がなければ、一時保護の子どもたちがただ回転して、すぐ出ていきなさいよ、親は嫌ですと言っているのを出していくということになるんですね。

 私が申し上げたいのは、子どもたちの最善の利益を考えるとおっしゃるならば、まず、このことに対してもしっかりとした場と人を確保する必要があると思うんですね。それがまず基本になっているというふうに思いますので、再度御答弁いただきたいと思います。

小宮山副大臣 昨年度の補正予算でも、児童虐待に関する予算を十倍にふやさせていただきました。

 その中で、本来でしたら正規の職員をふやせばいいんですけれども、やはり相談件数も受け入れる子どもたちもふえておりますので、臨時職員ではございますけれども、そうした人手もふやす、そういう措置をとってやっておりますので、ぜひその予算の方についても、私どもも最大限努力をいたしますが、応援をしていただければというふうに思っております。

池坊委員 児童相談所の職員、人数が足りないから非常勤と今おっしゃいました。私は、非常勤でも人数が多い方がいい。

 それから、たくさん質問の中にも思っておりましたが、児童相談所をケアするための警察、二十四時間体制で臨検だ捜索だとやっておりましたらとてもできないんですから、これは警察の手をかりなければならないというふうに思うのですが、児童相談所の職員の人数が不足している。特に、専門性を向上させるために、単なる研修実施だけでなくて、研修などを受けた専門職がそのまま職員として児童相談所に長く勤務できるような取り組みが私は必要なのではないかと思うんですね。

 とりわけ、今回の改正により、家庭裁判所が関与する場面がふえてまいりました。通常のケースワーカーだけでなくて、裁判手続にも詳しい職員が必要になってくるのではないかと思っております。

 今、児童相談所は大体三年が多いんですね、三年たつともうほかにかわっていってしまう。でも、これは経験性も要する、それから知識も要する。例えば、通告があった。これは児童虐待防止法で通告の義務というのが課せられておりますけれども、それを受けて会いに行った。子どもたちと会ってみたところで、あざが子ども同士のけんかなのか、親が虐待したのか、それはわからないんですよね。ところが、経験を積んでいると直観的にわかるということもあるわけで、これは経験性、専門性というのが非常に大切になってくると思います。

 その点において、いかがお考えですか、副大臣。

小宮山副大臣 私も委員のおっしゃるとおりだというふうに思っております。やはり二、三年のローテーションで回ってしまうとなかなか専門性も持てない。ただ、全体の人員の配置の関係で現状はそうなってしまっているわけなんですが、必要に応じて、やはりしっかりと研修をする。

 それから、児童相談所に社会援助技術を習得した児童福祉司の配置をお願いしているということです。子どもの虹情報研修センターで研修を実施しておりまして、児童福祉司の教育、助言、指導を行うスーパーバイザーの配置のための経費も補助をいたしております。また、児童福祉司の任用資格取得のための研修に係る経費を補助している。そのような努力はさせていただいているところでございます。

 そしてまた、弁護士、医師など外部の専門家の助言が得られるような体制整備の費用、また、虐待を行った保護者に対して、保護者指導支援員を配置して指導を行う、また、家族再統合を目指しまして、ファミリーグループによるカンファレンスの実施、親子による宿泊型プログラムの実施、このようなさまざまな方法をあわせて行っているところでございます。

 これまで、児童福祉司の地方交付税措置について、厚生労働省としてもずっと要求をしておりまして、標準団体、人口百七十万人当たり、平成十一年度の十六名から、二十一年度では三十名と、およそ二倍になっているということ、そして標準団体当たり三十名から三十二名と二名増員することにいたしました。

 このように、いろいろなところで工夫をしながらやっているんですけれども、今のような財政状況の中で、どうやったら子どもたちのためにしっかりと研修をした専門の人間がそこで当たれるようになるか、しっかりと知恵も力も出して考えていきたいと思っておりますので、ぜひ委員からも御助言なりお力をいただければというふうに考えております。

池坊委員 児童に係る経費を十倍になさったということで、多少心強い思いがいたしますけれども、相談員を増加させるだけでなくて、養護施設が今不足であるということは、小宮山副大臣もよく御存じでいらっしゃると思います。

 いろいろなところに視察に参りますと、ここに入れた子どもたちは幸せなんだ、待機児童の保育だけでなくて、養護施設に入れたい、だけれども、本当は入らなければならないような子どもたちが入ることができない。では、それはどうなっているか。やはりネグレクトに遭ったり児童虐待に近い環境に置かれているんですね。

 ぜひこれをふやしていただきたいという願いとともに、これは皆様方にぜひ共有していただきたいんです。

 今の養護施設の子どもたち、児童がどういう住まいで住んでいるのか。一室十五人以下、その面積については一人につき三・三平方メートルですね。施設設備一人当たりの単価は二百二十三万円です。

 特別養護老人ホーム、これは一室四人以下、面積、一人につき十・六五平方メートル、共有面積を三平方メートル加算されているんですね。そして、施設設備は一人当たり単価二百八十五万円なんです。

 公営住宅というのを私調べましたら、最低居住面積水準、そこの中にございましたのが、健康で文化的な生活を営む基礎として必要不可欠な住居の面積です、これは二人世帯の場合、十平方メートル掛ける世帯人数プラス十平方メートルとなっているんですね。つまり、普通の人ならば十平方メートルである、それでプラス十平方メートル必要なんだと。

 子どもの場合には三・三。今の子どもは本当に体も大きいんですよ、大人並みです。ですから、私は、せめてこれを特別養護老人ホーム並みの施設整備基準にしていただきたいと強く要望します。いかがですか。

小宮山副大臣 おっしゃるとおりだというふうに思います。

 児童養護施設につきましては、検討会を今立ち上げておりまして、そのもとで検討している中で、特別養護老人ホームの水準を下回っている今の児童養護施設の施設基準というのはおかしいということで、その居室面積に関する最低基準について改善をしたいというふうに思っております。

 子ども一人当たりの居室面積が、現行の三・三平方メートル以上というところから、小学生以上は四・九五平方メートル以上に引き上げます。また、一室当たりの居室定員も、現行の十五人以下から四人以下に、そして未就学児は六人以下に引き下げる。これを改正案として取りまとめまして、省令改正の手続を今進めているところでございます。

 このことに限らず、今、児童養護施設、先ほどからお話にあるように、施設が足りない。大きな施設をつくるのではなくて、なるべく家庭に近く、小舎化、小規模にしたいということで、そうであれば、普通の御家庭を借り上げてとか、そういう形で少人数ができますので、方向性としてもなるべく今その方向でやっているところでございます。

池坊委員 私も、京都にございますファミリーホームを見ました。家庭の団らんの中で、何か、お兄ちゃんがいる、お姉ちゃんがいるというような感じは、とても子どもを育てる上でいいのではないかと思います。

 まだちょっと時間がございますので、児童福祉法上、児童相談所の調査権限を明記した条文というのは、調べましたが、どこにも存在しておりませんね。

 児童福祉法には立入調査権限というのが、児童福祉法第二十九条といった中で具体的な調査権限を明記したものがございます。ところが、児童相談所が通常実施している保護者とか子どもからの聞き取り、それから関係機関からの情報収集、これに対しては明記する条文が見当たりませんでした。関係省庁は、どこにそれが書いてあるのとおっしゃる方もございます。情報収集の権限は児童福祉法何条に記載があるのかと問われても、回答ができない。

 もちろん、個人情報保護法十六条三項三号には、「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」には、情報の目的外使用を認めており、例えば民間病院が児童相談所に情報提供することは問題はございません。でも、具体に調査権限を明記した条文がないことによって、現場では情報が提供できないというような問題も起こっております。

 やはり、都道府県や市町村に、児童及びその家庭につき必要な調査を行うことができること、二つ目には、当該調査について、公務所または公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる、こういう条文があると、現場で働いていらっしゃる方々には大変働きやすいと思いますので、これについてもぜひ私は要望したいと思いますので、副大臣の答弁を伺いたいと思います。

高木委員長 小宮山副大臣、申し合わせの時間になりましたので、答弁は簡潔にお願いいたします。

小宮山副大臣 はい。

 児童相談所は虐待通告を受けた場合など調査を行っておりますが、こうした調査について権限規定を設けることは、調査を受ける側の権利にも配慮が必要で、慎重にということが、今までそのように考えられてまいりました。

 それで、平成十九年の児童虐待防止法改正で、地方公共団体の機関は、児童相談所等から資料、情報の提供を求められたときは、提供することができる旨の規定を一緒に設けさせていただきましたので、この規定によりまして、児童相談所が行う調査が円滑に行われるようになったというふうには聞いております。

 ただ、さらに今委員御指摘のように、権限規定の拡充を行うこと、これは、先ほど申し上げたプライバシーの観点からの、どういうバランスをとるかなどにつきまして、ぜひまた次の改正に向けてこの青少年特別委員会の委員の皆様でも御議論をいただければと思っております。

池坊委員 時間が参りましたので、たくさんの質問は次回に回させていただくこととして、法律はだれのためにあるのか、何のためにあるのかといったら、やはり児童福祉法は子どもの最善の利益のためにあるんだということを念頭に置きながら、改めるべきことは速やかに法改正がなされることを切に希望して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

高木委員長 池坊保子さんの質疑は終了いたしました。

 この際、申し上げます。

 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案についての法務委員会、青少年問題に関する特別委員会の連合審査会は、本日午後一時から第十六委員室において開会いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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