衆議院

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第4号 平成24年8月3日(金曜日)

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平成二十四年八月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 稲津  久君

   理事 川村秀三郎君 理事 竹田 光明君

   理事 道休誠一郎君 理事 柚木 道義君

   理事 あべ 俊子君 理事 松浪 健太君

   理事 黒田  雄君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    川口  浩君

      近藤 和也君    高井 崇志君

      富岡 芳忠君    永江 孝子君

      初鹿 明博君    松岡 広隆君

      室井 秀子君    山崎 摩耶君

      小渕 優子君    棚橋 泰文君

      岡本 英子君    小林 正枝君

      宮本 岳志君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   法務副大臣        谷  博之君

   文部科学副大臣      高井 美穂君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月四日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     中野渡詔子君

同月六日

 辞任         補欠選任

  笹木 竜三君     松岡 広隆君

  中野渡詔子君     黒田  雄君

  三宅 雪子君     岡本 英子君

八月三日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     稲富 修二君

  森山 浩行君     近藤 和也君

  山田 良司君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     山田 良司君

  稲富 修二君     高井 崇志君

  近藤 和也君     永江 孝子君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     橘  秀徳君

  永江 孝子君     石井登志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     森山 浩行君

同日

 黒田雄君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件(いじめ問題)


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     ――――◇―――――

稲津委員長 これより会議を開きます。

 この際、去る七月六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更等に伴い、理事の補欠選任を行います。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に黒田雄君を指名いたします。

     ――――◇―――――

稲津委員長 青少年問題に関する件、特にいじめ問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長岩瀬充明君及び文部科学省初等中等教育局長布村幸彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 この際、政府から順次説明を聴取いたします。

 まず、文部科学省から説明を聴取いたします。高井文部科学副大臣。

高井副大臣 おはようございます。

 滋賀県大津市で中学二年生の男子生徒が自殺した問題について、御説明をさせていただきます。

 お手元に、本事案に係る経緯等に関する参考資料をお配りしております。

 本事案は、平成二十三年十月、当時中学二年生の生徒がみずから命を絶たれたという痛ましい事案でありまして、また、大津市教育委員会の調査で背景にいじめがあるとされた事案であるというふうに承知しており、このような事案が起きたことを大変遺憾に思っております。改めて、亡くなられた男子生徒の御冥福を心からお祈り申し上げます。

 文部科学省では、平成十八年に児童生徒の自殺事案が多く発生したことを受けて、児童生徒の自殺事案が発生した際に、その後の自殺防止に資する観点から、背景調査が適切に行われるよう、有識者の協力による調査研究の上で、平成二十三年六月、背景調査の基本的な考え方や留意事項について、学校、教育委員会に通知するとともに、これらの施策の趣旨、内容の周知に努めてきたところです。

 こうした中で、今回の事案が発生し、これを受けて学校が実施した全校生徒を対象としたアンケート調査の結果等を踏まえ、大津市教育委員会は、同年十一月二日、自殺との因果関係は不明であるが、いじめがあったとの見解を公表する一方、一部のいじめの内容については非公表としました。

 平成二十四年二月、死亡した生徒の両親が、いじめを行ったとされる生徒の保護者及び大津市に対して、民事訴訟を提起されました。

 同年七月四日、新聞各紙において、昨年十一月の記者会見において公表されなかったいじめの具体的な内容に関する報道がなされ、文部科学省としても、市教育委員会による調査結果やその公表内容、これまでの調査の経緯や、当該生徒に対するいじめへの学校としての対応等について、詳しい事実関係の把握に努めているところです。

 こうした中、去る七月十一日、いじめの加害者とされる生徒に関する暴行容疑で、滋賀県警が当該中学校と大津市教育委員会の捜索、差し押さえを行ったところです。また、大津市による再調査が検討されているところです。

 以上が、本事案の経緯です。

 いじめの早期発見、早期対応についての基本的な考え方として、いじめは決して許されないことでありますが、どの学校でも、どの子どもにも起こり得るものであるということを十分認識することが必要です。

 このためには、まず、学校で子どもの兆候を見逃さず、教員等は、未然に防ぐとの意識のもと、しっかりとアンテナを張って、児童生徒が発するサインに対する感性を高めておくことが必要です。

 さらに、市町村教育委員会は、学校の設置管理者として、学校とともに迅速かつ適切な対応を行う必要があり、都道府県教育委員会がそれをしっかりとサポートするという体制を十分に機能させることが重要です。

 今回の事案においては、学校において、いじめの実態把握が適切に行われていたのか、また、生徒が亡くなった後の背景調査の進め方に関して、市町村教育委員会と学校が迅速かつ適切に連携し対応できていたのかどうか、背景調査において得られた情報を確認する方法は適切であったのかどうかなどの点において、課題があったのではないかと考えております。

 文部科学省としては、子どもがみずから命を絶つということは、理由のいかんを問わず、あってはならないことであると考えており、今回の大津市の事案を受け、改めて、これまでの仕組みが十分に機能しているのかどうか、再発防止という観点から検証し、これまで以上に踏み込んだ対応が必要であると考えております。

 このため、文部科学省としては、これまで、一、七月十三日、大津市のみならず全ての学校関係者に対して、いま一度、いじめ問題への徹底した取り組みをお願いするため、お手元の資料二枚目にあります文部科学大臣談話を発表いたしまして、いじめの解消に向け、学校や教育委員会で抱え込まず、学校や教育委員会、文部科学省など関係者が一丸となって取り組むよう、全国に発信しました。

 二番目に、また、文科省としても、大津市を支援するために、七月十七日より、当面二週間程度、大津市長からの要請を受け、三名の文部科学省職員を派遣しております。

 三に、七月十七日、文部科学大臣が国家公安委員長に面会し、再発防止に向け、警察と学校、教育委員会などの連携の枠組みの見直しについても検討するよう、事務方へ指示しました。

 四に、七月二十日、奥村副大臣が滋賀県及び大津市を訪問し、滋賀県知事、滋賀県教育長、大津市長、大津市教育長及び教育委員長職務代理と面談をしまして、それぞれの立場で連携して再発防止に向けしっかりと取り組んでほしいという文部科学省としての考えを伝えました。

 五番目に、八月一日、二十四時間いじめ相談ダイヤルの相談件数が急激に増加しているなど、今回の事案により、児童生徒や保護者の間に不安が広がっているのではないかと懸念されることから、いじめ問題の取り組みの基本である早期発見、早期対応の重要性を再認識するため、お手元の資料五枚目にありますとおり、いじめに関する緊急調査を全国に発出いたしました。

 当該調査により、この機を捉えて、再度、学校現場で児童生徒の状況を把握していただくとともに、各教育委員会、学校には、いじめ問題への取り組み状況について、チェックポイントによる総点検を行うことを求めております。

 また、八月一日、文部科学大臣決定により、子ども安全対策支援室を大臣官房に設置いたしました。お手元の資料四枚目をごらんください。

 このような組織を置くこととした理由は、子どもたちの生命身体を守ることが文部科学省の姿勢としても最も重要なことであることから、一、今回の大津市の事案について、実態を把握し、再発防止に取り組んでいこうとする学校、教育委員会をしっかりとサポートしていく必要があること、二、学校や教育委員会がしっかり対応していくことが基本であることを前提とした上で、いじめの問題に対する迅速かつ適切な対応という観点から、事案が起こった際の対処方法、学校現場への支援体制、再発防止のための取り組みなどについて、文部科学省が先頭に立って対応していく必要があることなどによるものです。

 当面の具体的な業務としては、一、大津市の事案に関しては、既に着手済みでありますが、引き続き職員を派遣し、市が設置予定の第三者委員会の立ち上げ、円滑な運営への助言、学校、市教育委員会、県教育委員会との間の連携及び学校サポート体制の構築のための助言などに取り組むこととしております。

 二に、また、いじめの問題対策のための総合的な取り組み方針を八月中に策定し、文部科学省として、いつまでに、どのようなことに取り組むのかを明確にすることで、文部科学省が先頭に立って、子どもの命を守るため、いじめの問題への積極的、集中的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 子どもの生命身体を守ることが文部科学省の姿勢として最も重要なことであり、これまでより踏み込んだ、積極的な支援に取り組んでまいります。

稲津委員長 次に、法務省から説明を聴取いたします。谷法務副大臣。

谷副大臣 おはようございます。

 いじめ問題に関する法務省からの御報告をさせていただきます。

 冒頭、本件に関する法務局の調査の状況についてでございますが、大津市における中学生の自殺事案については、昨年十一月の新聞報道を受け、大津地方法務局において人権侵犯事件として調査を開始し、その後、民事訴訟が提起されたことを把握したため、司法的救済を優先する観点から調査を中止しており、現在は、当該民事訴訟や警察による捜査の状況を見守っているところでございます。

 次に、法務省の人権擁護機関における人権擁護活動について御報告いたします。

 法務省の人権擁護機関といいますのは、法務省人権擁護局、全国に三百十五カ所ある法務局、地方法務局並びにその支局、それに、全国に約一万四千人おられる民間ボランティアである人権擁護委員を合わせた呼び名でありますが、法務省の人権擁護機関では、いじめ問題を含むあらゆる人権問題について、人権擁護活動を行っています。

 その活動内容は、大きく、人権啓発活動、人権救済活動の二つに分けることができます。

 次に、人権啓発活動についてであります。

 法務省の人権擁護機関では、国民一人一人の人権意識を高め、人権への理解を深めてもらうために、さまざまな啓発活動を行っています。

 今年度は、「みんなで築こう 人権の世紀 考えよう相手の気持ち 育てよう思いやりの心」を啓発活動重点目標として定めているほか、啓発活動年間強調事項の一つとして、「子どもの人権を守ろう」を掲げ、啓発活動を実施しております。

 いじめの問題など子どもの人権に関しては、中学生を対象とした全国中学生人権作文コンテスト、人権擁護委員らが主に小学校の児童を対象として行う人権教室や人権の花運動などを通じて、相手への思いやりの心や生命のとうとさを体得できるような啓発活動を行っております。

 次に、人権救済活動についてであります。

 法務局、地方法務局では、その職員及び人権擁護委員が広く人権問題に関する相談に応じており、直接面談によるもののほか、電話、インターネット、手紙による相談にも応じております。そして、人権侵害の疑いがある事案については、被害者からの申告や情報に基づいて調査を行い、その結果を踏まえて、適切な救済措置を講ずることとしております。

 措置には、被害者に対して関係行政機関の紹介や助言等を行う援助、当事者間の関係の改善を図る調整のほか、人権侵害の事実が認められる場合には人権侵害をした者に対して反省を促したり必要な対応を求める説示、勧告などがあります。

 いじめに関する事案についても、被害者からの申告等に基づき、いじめに対する学校の対応が不十分であって人権侵害の疑いがある場合には、事件として立件し、学校関係者等に対する事情聴取等の調査も行う一方、学校と連携して事実関係の把握に努め、学校による自主的な改善を促すとともに、調査の結果、学校の対応に不十分な点があり、人権侵害に当たると認められた場合には、学校に対し説示等を行うなど、事案に応じた適切な措置を講じております。

 次に、子どもの人権問題に関する相談窓口についてであります。

 法務省の人権擁護機関では、いじめを含む子どもの人権問題に関する相談について広く応じるため、一般の人権相談窓口のほか、全国の法務局、地方法務局に設置された、子どもの人権問題専用のフリーダイヤル子どもの人権一一〇番や、子どものメール相談窓口SOS―eメールを設け、また、切手を張らずに最寄りの法務局に送ることができる子どもの人権SOSミニレターを全国の小中学校の児童生徒に配付し、子どもの人権問題に関する相談に応じております。なお、送られたミニレターに対しては、人権擁護委員や法務局職員が一通一通返事を書いております。

 昨今、大津市における中学生の自殺を契機として、いじめ問題への対応のあり方について社会の関心が高まっているところ、法務省人権擁護局では、本年七月十八日、全国の法務局及び地方法務局に対し、いじめなど子どもの人権問題に関する相談窓口を積極的に広報するよう、通知を行いました。

 終わりに、今後とも、いじめ問題の発生を防止し、これに適切に対応するため、法務省の人権擁護機関として、人権啓発活動や人権救済活動について、国民への周知に努め、さらに活動を充実させてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

稲津委員長 次に、警察庁から説明を聴取いたします。岩瀬警察庁生活安全局長。

岩瀬政府参考人 滋賀県における中学二年男子生徒の自殺事案へのこれまでの警察の対応等について、警察庁から御説明いたします。

 本事案は、昨年十月十一日、滋賀県大津市において、当時十三歳の中学二年男子生徒がみずから命を絶たれた大変痛ましい事案でありまして、亡くなられた男子生徒の御冥福を心からお祈りいたします。同年十一月には、大津市教育委員会が、調査結果を踏まえ、当該男子生徒がいじめに遭っていたことを公表したものと承知をしております。

 警察によるこれまでの対応でございますが、男子生徒が亡くなられた一週間後の十月十八日に、御遺族から大津警察署に対して、男子生徒が受けていたいじめについて御相談があり、その後も含めて計三回の御相談をいただき、いずれの御相談においても、同署の担当課長が御遺族からお話を伺いました。

 大津警察署におきましては、御相談に基づいて、十月下旬より、学校関係者等から聴取するなどの対応を行ったところでありますが、これらの機会においては、被害届の提出には至らなかったところであります。

 その後、先月十一日には、事実関係をさらに明らかにするため、学校及び大津市教育委員会に対する捜索を実施するとともに、十八日には、大津警察署において、御遺族からの告訴を受理しております。

 滋賀県警察においては、現在、学校の生徒を含む関係者からの事情聴取などの捜査を行っているところでありますが、今後も引き続き、事実関係の解明に向けた取り組みを進めてまいります。

稲津委員長 以上で政府からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。皆様、おはようございます。

 大津で本当に痛ましい事件が起きました。そして、私が大変に残念に思いますことは、これが、学校関係者、教育委員会だけの問題でなくて、亡くなられた方の保護者の方が最終的には警察に行かなければならなかった、警察にしか救いの場がなかったということを私は重ね重ね残念に思っています。

 今、文部科学省の方の説明にありましたように、平成十八年、いじめによる自殺が相次ぎました。北海道の滝川、そして九州の筑前。私はそのとき文部科学副大臣でしたから、北海道の滝川に参りました。私はそのときの光景が今もはっきりと目に焼きついております。かわいらしい遺影に向かって、このようなことが二度とないように、私たち大人が、みんなが健やかに学べる学校づくりに尽力します、私は本当にそのように誓いました。

 にもかかわらず、このような問題が起きてしまったということは、私は、大人の責任ではないか、やはりもっときめ細やかに、学校関係者、教育関係者は子どもたちと向かい合うべきではなかったかというふうに思っています。

 奥村副大臣は地元でいらっしゃるので大津にいらっしゃったということですが、高井副大臣、どうか、担当の副大臣でいらっしゃるんですから、ぜひ、いろいろな事情で今いらっしゃるべきではないですとかいろいろなことを言われていらっしゃると思います、でも、私は、教育に携わる人間は、子どもへの情愛がなかったら携わるべきではないと思います。高井副大臣も二人のお子様がいらっしゃると思います。お子様が自殺なさったら、どうですか。すぐに駆けつけるではありませんか。

 池田小学校の事件があったとき、私は政務官でした。すぐにこの委員会を中断して行きました。お父様から、今、遺体が帰ってきました、手を合わせてあげてくださいと言われたことも、私は忘れられません。

 大切なことは、子どもへの情愛をかける、情愛を持って接する。学校の先生に、どうぞこのことを私は言っていただきたいのです。情愛をかけるということは、子どもを甘やかすことではありません、立派な一人の人間をつくることです。ですから、時には厳しく、けじめを持って接するということではないかと思います。

 先ほどお話があったように、平成十八年に、私はすぐに、教育現場での徹底をしようと対応いたしました。各都道府県に通知を出して、いじめの早期発見、早期対応への取り組みを打ち出しました。

 具体的には、いじめはどの学校でも、どの子にも起こり得る、その認識が必要なんです。そして、いじめの問題を担任等の教員が抱え込むから問題なんです。学校全体で対応することが必要です。三つ目には、事実関係の究明には、当事者だけでなく、保護者や友人等からの情報収集等を通じて、正確かつ迅速に行う必要があるんです。

 いじめ問題は学校のみで解決することに固執してはならない、いじめへの対応、対処方針、指導計画等の情報は家庭や地域へ積極的に公表し、保護者や地域の理解を得るよう努力すること、その当時、それを徹底していたんですね。これがなされていたならば、こんなことは起こらなかった。だけれども、これは風化してしまって、形骸化してしまったから、同じことが起こったのではないかと私は思います。

 いじめを許さない学校づくりを進めるためには何が必要か。いじめは人間として許されないという意識を生徒たちに徹底して教えなければいけないんですよ。いじめが紛争や戦争、その延長線上になると私は思います。ですから、児童一人一人にそれを徹底させるとともに、いじめた児童生徒にもきっちりと、毅然と、それが悪いということを教えていかなければいけないんです。出席停止などの措置も含めて、毅然とした指導が大切、これも、三項目、ちゃんと徹底させましょうとそのときしたんです。

 その上で、早期発見、早期対応などを具体的に進めるにはどうしたらいいのか。教師は日常活動を通じ教師と児童生徒、児童生徒間の好ましい人間関係の醸成に努めること、いじめの把握に当たってはスクールカウンセラーや養護教諭など学校内の専門家との連携に努めましょう、四十六項目、チェック項目をして、各学校や各教育委員会に通達をし、そしてお願いし、何度も何度も言ってまいりました。

 そしてまた、保護者や学校の先生、専門家の方々の意見を聞いて、その中で、学校は地域の人材を活用して斜めの関係をつくりましょう、教育委員会等は多様な専門機関、専門家と協力しましょうなど、メッセージも発信いたしました。

 私が、今、非常にむなしく、そして残念に思いますことは、そういうことが決して継続してこなかったのではないかということなんです。これは政権与党民主党が悪かったなんということは言うつもりはありません。みんなが解決しなければならない問題だというふうに私は思っております。ただ、教育は継続です。政権がかわろうがどうしようが、大臣がかわろうがどうしようが、守るべきものはしっかりとやはり受け継いでいくという、それが私は必要なんだと思うんです。

 例えば、私は今、社会保障の子ども・子育て支援法の提出者ですけれども、認定こども園をそのときつくりました。これは前の政権でつくったんだから盲腸だと言われました。いいところはいっぱいあるんです。そして、そのいいところを、でも悪いところもあります、反省しなければならないことはたくさんあるんですね、そういう総括なくしては、発展はないのです。私たちは認定こども園の改正をいたしました。

 つまり、ここはいい、ここは悪い、ここは発展させようと。全てを否定したら、これはだめなんです。謙虚に、いい点は受けとめる、そして、悪い点はきっちりと、もっともっと進歩させていかなければいけない、これがなされないことを私は非常に残念に思います。

 これをお読みになりましたか、高井副大臣。読んでいらっしゃいませんね。こんなアンケートをつくっても、そのときで終わらせてしまったんですか。

 「いじめを早期に発見し、適切に対応できる体制づくり」というのを平成十九年二月につくりました。ここには、「教師は、いじめを許さず、子どもをしっかり守ろう」あるいは、「学校は、地域の人材を活用して「ナナメの関係」をつくろう」、いろいろなことが書いてございます。「教育委員会等は、多様な専門機関・専門家と協力しよう」。でも、していませんよね。これすらお読みになっていらっしゃらないわけでしょう。前の人が……(高井副大臣「読みました」と呼ぶ)お読みになった。

 そして、こういう二十四時間のいじめ相談テレホンカードというのもつくりました。これは、いつでもどこでも、土曜日でもお休みの日でも、ここに電話したら、このいじめ相談、これも御存じでいらっしゃいますか、副大臣。

 では、私、伺いたいんです。今、七万七千六百三十件いじめがあります。平成二十年後、どのような対応をしていらしたのか。そして、これは多分、入学のときに、四月のときに子どもたちに配っているのではないかと思いますが、これを活用されていないんだと思いますね。実際には配っていますか。そして、これを配るとき、先生がしっかりとしたコメントをしているかどうか、伺いたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 今、池坊先生が副大臣時代におつくりいただいた、いじめ相談ダイヤルについての状況の御説明をさせていただきます。

 文部科学省におきましては、いじめ問題に悩む子どもや保護者の方々が、いつでも、全国どこからでも相談機関に相談できるよう、夜間、休日を含めた二十四時間いじめ相談ダイヤルを整備しているところでございまして、先生御指摘のカードにつきましては、全ての子どもたちに渡るよう、継続的に取り組んでいるところでございます。

 各都道府県の教育委員会におきましては、電話相談窓口紹介カードを、それぞれの地域ごとにつながる電話を記入して作成して、各学校を通じて児童生徒に継続的に配付しているところでございます。

 たまたま今回の七月にいじめの報道がありましてからも、この電話相談の件数が三倍にふえるという形で、一応子どもたちには周知され、相談の一つの窓口となっているところでございます。

池坊委員 大切なことは、子どもたちは、僕はいじめられているんだよ、それを受けとめてくれる場があるということがやはり大切だと思います。

 だけれども、受けとめただけじゃなくて、その後の対応の仕方が必要なんだと思うんですね。そうじゃなければ、安易に、こういうことがあったそうですよと学校に通達する、そうすると、学校の先生が、おい、いじめがあったのか、そうすると、なおまたいじめられる、いじめの連鎖、激しい連鎖になっていくこともあるんですね。ですから、その後、きめ細やかな対応が必要なんですけれども、このときも、教育委員会の人が電話に出るんだったら言いづらいから、もっと民間の優しい穏やかな人にしましょうとか、いろいろ工夫をいたしました。

 では、三倍になったこの相談をどのように処理していらっしゃるか、伺いたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 いじめ電話相談ダイヤルに登録されている電話番号に相談があった件数というのは、平成二十二年度で申しますと、年間で九万三千件ございました。そのうち、いじめ相談ダイヤルに直接、相談の窓口である電話の方に転送されたのが一万三千件ございます。

 そのうち、自殺をほのめかすなど命にかかわる相談だった場合につきましては、警察等の関係機関と連携して、本人の安全確認を図るというような対応を行っているところでございます。

池坊委員 ぜひお願いしたいのは、これは大津では活用されていなかったということです。そして、私は、やはり、この対応をどうしていくかということが問題なのではないかというふうに考えております。

 これだけではやはり賄い切れないんじゃないか。チャイルドラインというような組織もあります、全国的にございますね。これは民間の方々が本当に力を出して、子どもたちを救おうとしている。そういうことの存在を御存じなのか。そして、そういうような、ほかにもいろいろな民間の方々が手を差し伸べようというのもあると思いますが、そういうことの活用ということに対してはどう考えていらっしゃいますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 今、池坊先生からお話しいただきましたチャイルドラインも、民間の方々が、二十四時間、きめ細やかに対応していただいております。そういう民間の方々の相談の場所、相談先につきましても、学校に対しまして、子どもたちに伝わるように、情報提供は今後とも引き続き努力をしていきたいと考えております。

池坊委員 この大津の中学校では以前からこのような問題があったんじゃないか、前兆があったんじゃないか、だけれども、先生は何にもそれに向かい合っていないから、そういうことがわからなかったんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 生徒が自殺した三日後に、全教職員に向けてアンケート調査を行っていらっしゃいますね。その後、二回にわたって全校生徒を対象としたアンケート調査も行っていらっしゃる。だけれども、事件解決には結びつかなかった。あの滝川のときもそうでした。教育委員会は、いじめはなかったんだと言われて、その後、二カ月後に、やはりいじめがあったということになりました。

 だから、つまりアンケートを幾らしたって、私は、やはりアンケートに問題があるんじゃないか。学校の先生に、アンケート調査です、いじめがありましたか。私がさっき申し上げたように、いじめというのはどの学校にだって起こり得るんです。そのことを隠蔽してはならないんですよ。それを恥だと思って隠そう隠そうと教育委員会もするから、問題が大きくなるんです。

 いじめが出たら、私はハワイに参りましたとき、視察に行きましたときに、いじめというのはないのと。それは子どもだからあります、でも、そういうときにはみんなが、その生徒もいじめた方もみんなが話し合ったり、その問題を解決するんですよ。だから、隠していたら問題の解決ができないではありませんか。ここに私は問題があるんだと思うんですね。

 アンケート調査というのをいつもいつもしていらっしゃいますが、それは教職員に向けてですね。保護者とか生徒にする必要もあるんじゃないかと思うんです。このアンケート調査、やればいい、つまり、対応さえしっかりしていれば、私たちはこういう対応をしていますよ、そういう既成事実、やっていますということだけで、これが事件の解決には結びついていかない。また同じことを繰り返しているんだと思うんですね。

 このアンケート調査はちょっと見直す必要があると思います。いかがですか。

布村政府参考人 アンケート調査に関しましては、文部科学省で、毎年、いじめ、校内暴力等の実態調査をしてございます。近年の調査結果から、いじめについても認知件数が減っていること、あるいは、アンケート調査を実施されている学校の割合が減っていることということで、改めて、アンケート調査の実施を全国の学校に平成二十二年の段階で求めたところでございます。

 今回の事案の該当中学校におきましても、継続的にアンケート調査は実施してきていただいておったようでございますけれども、子どもたちから寄せられた情報に迅速に対応できなかった、あるいはいじめの兆候をしっかり把握できなかった、そういう課題が指摘されているところでございますので、アンケート調査につきましても今回の事案をしっかり大津市あるいは滋賀県でも検証されるかと存じますけれども、文部科学省におきましてもアンケート調査のあり方につきまして検討を行い、今後、見直しが必要なところはしっかり見直して、早期発見、早期対応につながるように取り組んでまいりたいと考えております。

池坊委員 件数が減ったことは必ずしも喜ばしいことじゃなくて、見えていない数字だってあるんですよ。いじめがありません、ああ、いい学校だな、そうではない。

 だから、私、根本的に、もっと何か違うんじゃないかと思うんですね。アンケート調査で件数だけ出せばいいという問題ではないと私は思うんです。大切なことは本当に情愛を持って向かい合うことであって、そうするにはどうしたらいいかということを抜本的に考える必要があると思いますことと、やはり、文部科学省、そして教育委員会、学校、この関係。

 私、教育委員会にも問題があるんじゃないか。教育委員会の体質というものが、どうしても、文科から押しつけられるからか、隠蔽体質になるとか、あるいは文部科学省の締めつけのとおり学校に伝達しようとか、そういう縦の関係になってしまっているんじゃないかと思うんですね。もうちょっと、教育委員会の自主性とか、あるいは教育委員会のあり方を、この際、私はやはり抜本的に考えるべきというふうに思っております。

 私は、さっき、斜めの関係というのは、学校は地域の人材を活用したらどうかというふうに思っているんですよ。放課後児童クラブ、放課後の、いろいろな民間の活力を利用して子どもたちと一緒に遊んだりというようなカリキュラムもつくりましたね。

 いじめが起こっていることがわかった関係者が動き始める、子どもたちが見た、聞いたと証言する、では、証言した子は誰かということになり、いじめている子どもの親が証言した子どもの親に電話して攻撃してうやむやになってしまう、こういうこともあるんだそうです。いろいろな方々の意見が寄せられております。だから、いじめ問題が発生したら、教育委員会などの機関がその学校に担当者を派遣し、担当者は滞在して継続的に調査する必要がある。

 私の子どもも、どちらかといえばおとなしい、長女はおとなしい子どもで、いじめられる。それで、いじめるのを注意してくださいと言うと、学校の先生がその子に、いじめちゃだめよ、こう簡単に言うんですね。そうすると、その子は、親に言ったわねと今度またいじめる。

 いじめというのは、やはり、何度も何度も言うようですけれども、根本的に本当に心から思わないと、いじめはなくならないんですよ。加害者の方もいろいろなストレスやいろいろなものを持っている場合もあるんですね。ですから、それに対しては、いじめる人間はいけない、いじめられてかわいそうというだけではなくて、本当に、もっと真剣に向かい合わなければいけない。それは、いじめられた方は本当に私はかわいそうと思いますよ。

 いろいろな問題があったとしても、子どもは、学校が楽しかったならば、解消されるんですよ。学校が全てなんですね。学校がおもしろくないと、もうそれは生きるに値しないぐらい、それぐらいの大きな影響を与えているのが、友人関係であり、学校であり、先生なんです。そのことの認識、それをまず、いろいろなアンケートのチェックよりも何よりも、するべきであるのではないかと私は思います。

 教員OB、校長、校長OBだとちょっと怖いかもしれませんけれども、民間の、今、子育てが終わったおじいちゃま、おばあちゃま、でも元気だよという方はいっぱいいらっしゃいますから、そういう方々が子どもと触れ合う。放課後にみんなで楽しく遊びましょう、勉強し合いましょうということはそういう趣旨だったと思うんですね。例えば、民間会社でキャリアを積んだ方々が学校に行く、英語がちょっとしゃべれる、そうすると、その大人から英語をちょっと聞くと英語に興味を持つ。さまざまないいことが私はあると思うんですね。

 そういう活用をしていくべきというふうに私は考えますが、いかがですか。

高井副大臣 御指摘、そのとおりだと思っております。

 いじめ問題の対処については、もちろん、教職員などの対応が近いところでありますが、しかし、先生おっしゃったように、教員OB、警察OBなどの民間人とか地域の人にいろいろな形で参画いただいて、外部人材と連携しながら総合的に当たっていくということは大事だと思っています。

 文科省でも、スクールカウンセラー等活用事業の中で、御指摘のあった、都道府県や政令市が学校に教員のOBの方や、いろいろな、警察のOB、また青少年団体指導者などの民間人を派遣して、児童生徒のいじめ相談、また、悩み、不安に対していろいろな、多角的に相談に乗ったり、教師へまた指導助言を行ったりということについて支援をしているところでございます。

 本当に、池坊先生が当時副大臣時代から有識者会議等でまとめられたことを、しっかり我々も受け継いで取り組んでいるつもりであります。その中でもこういう事件が起こってしまった。

 本当に先生おっしゃるとおり、どこにでも、どの場所にでも、いつでもいじめは起こり得る、そういう強い危機感を持って、アンケート調査も、今回も緊急調査をいたしますけれども、これはある意味で、学校や先生方、教育委員会にも危機感を持ってもらうと同時に、やはり子どもに対しても、いま一度、いじめで苦しんでいる子どもたちには、ぜひ、近くの大人に相談する、我々にも直接言ってくれ、みんなが支えるんだということをメッセージとしても重ねて伝えたい。先生おっしゃったような、形だけのアンケートではなくて、それをしっかり生かして、子どもに向けてのメッセージ、両面から取り組んでいきたいと思っています。

池坊委員 もう時間がございません。

 いじめの問題というのは、これに象徴される学校のあり方、教育委員会のあり方、それから先生のあり方、全ての問題を私は含んでいるのではないかというふうに考えております。

 OECDで日本の子どもたちがいい成績をとるということも極めて重要なことです。であるとともに、私は、学校が楽しい、全ての子どもたちが学校に行くことが喜びである、そういうような学校づくりをしていかなければ学校の存在なんかないというふうに思っておりますことを強く強く申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

稲津委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民主党の初鹿明博です。

 まずは、今回、大津市で自殺に追いやられてしまった生徒さんに、また、そのほかにもたくさんの方が自殺でお亡くなりになっております、このような生徒さんに心から御冥福をお祈りするとともに、また、御家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 高井副大臣は、私と同世代で、お子さんは小学生ですか、大体同じぐらいの年でありますので、今回、子育て中の親として、このような事件が起こったことに大変心を痛めているんじゃないかと思います。私も、自分も中学生、小学生の子どもが二人おりますので、遺族の方々の思いというものは非常によくわかるつもりであります。

 ところで、副大臣、自分のお子さんから、誰々ちゃんがいじめられているよとか、誰かが誰かをいじめているよとか、そういうことを聞いたことがありますか。また、今まで、自分が学校に行っていたときに、いじめられた、もしくはいじめてしまった、また、いじめを見た、そういう経験というのは今までございますか。

高井副大臣 私も、小学校四年の娘と小学校一年の息子がおりますが、実は、この間、個別面談とかいろいろなところで、また学校のPTAの会、それから歓送迎会等で呼ばれていろいろお話しする中で、娘のクラスにもいろいろな問題があるということを間接的に、むしろ先生の側から私の方は聞きました。

 娘に聞いたところ、靴を隠したり、シールを剥がしたりとか、そうしたことがあるんだ、やったりやられたりということをしているような、はっきりはなかなか私には言いませんでしたけれども、そういうことがあるようなことを言いました。

 私も、そういう意味では、親には言えないこと、また子どもたち同士の関係、先生との関係、クラス全体、先輩後輩とか、いろいろな関係の中で子どもたちも苦しみながらやっているんだなということを肌でもって実感しましたけれども、私自身の時代も、やはりありました。いじめもありました。個別具体的にはなかなか言いにくいですが、軽微なものから始まり、嫌がらせ等みたいなこともあったり、私はさすがに暴力や恐喝みたいなところは見たことはないですけれども、あったと思います。

 そういう面でも、非常に複雑ないろいろな要因がある中で、やはり一番近いところにいる人間が、できるだけ聞く耳を持ち、そばにいてあげて、あなたのことを大事だと思っているということをきちんと伝えていく。そして、先生方にもいろいろな形で協力をしてもらう。保護者にも助けてもらう。いろいろな多角的な取り組みが必要だなということは、実感の中でも感じておるところであります。

初鹿委員 私の息子も六年生ですけれども、これまで三回上履きが隠されたということを聞いています。

 私も、小学校四年生のときに、丸々一学期間、クラスで誰も口をきいてくれないということがありました。その一方でまた、今思い返せば、私の側がいじめをしていた、私からすればそうではなかったとその当時思っていながらも、今になると反省しなければいけないような行動をとっていたこともあります。先ほど池坊議員からもお話がありましたが、やはり、どこの学校でも、どの子どもでも起こり得る問題だということを認識した上で、物事に当たっていかなければならないと思うんですね。

 先ほどもお話がありましたとおり、平成十八年に自殺が起こった、頻発したということで、取り組みを進めています。その前からずっと、文科省も教育関係者も、いじめによって自殺するようなことがないようにと取り組んでいると思いますよ。でも、やはりまた起きてしまった。みんな何とかなくそうとしているのに、どうしてこのように、また同じようなことが起こってしまっているのか。その要因、その原因というのはどこにあると副大臣はお考えでしょうか。

高井副大臣 いじめの要因を特定するということは極めて難しいと思います。しかしながら、今、子ども自身がいろいろな社会からの負担やストレスということを感じていることも間違いないと思いますし、学校という均質な空間の中で、毎日同じ場所にいて、いろいろな能力や体力や気持ちも違う子どもたちが、非常に微妙なバランスの中で毎日人の気持ちを読みながら生きている。そうしたこともいろいろな要因になるんだろうと思います。

 また、地域や家族との関係、子どもはそれぞれ一人ずつ、非常に未熟なところもあったり脆弱なところもあったりし、他人に対して強く出たり弱く出たり、いろいろな関係性の中で苦しんでいるんだろうと思います。そういうことでいじめにつながっていく部分もあろうかと思っています。

 初鹿先生も御指摘のとおり、我々も全力で、十八年に頻発したときから含め、この間ずっと、いろいろなことに取り組んできたつもりであります。毎回、国会の審議等にも、こういうことも踏まえて、できるだけやっていかなければならないことを最大限にやってきたつもりでありますが、それでも起きてしまっている。

 それで、今回の事案を受けて、我々も思い切って、子ども安全対策支援室というものを設置する。大臣直轄のところでできるだけ対応を、教育委員会も学校も初めてのケースでなかなか対応できないこともあるときには、しっかりこうして職員を派遣したり、助言したり、アドバイスしたり、直接言ったりする。いろいろなアドバイスも専門家にも聞けるような窓口として、文科省全体として取り組んでいくんだということに加えて、警察にも力をかりて、政府で、国で取り組んでいくんだということをしっかり明確にしてやっていきたいと思います。

 いずれにしても、これをやればいじめは解決できるんだという一〇〇%の解答はなかなかないんだろうと思いますが、こうした委員会での質疑なども踏まえて、最大限いろいろな知見を取り入れて取り組んでまいりたい。子どもに対しても、国が助ける、大人が助けるということを強くメッセージとして伝えていきたい、こういう機会を通じても伝えていきたいと思っています。

初鹿委員 私も、いじめの原因というのを特定するのはなかなか難しいと思うんですよ。

 ただ、あったときに、いじめがわかったときに迅速に対応して、適切に対応していれば、自殺に追い込むような事態に発展しなかったのではないか、そういうケースはたくさんあるんじゃないかと思うんですね。

 ただ、残念ながら、子どもの話や、私の、自分の経験からしても、なかなか学校の先生たちがきちんと動いてくれていなかったり、場合によっては見て見ぬふりをしていたり、中には、先生も、意識をしていないにしても、いじめられている子を生徒たちと一緒にからかってみたりというように、ある意味、加担をしてしまっているようなことも一部にあるのではないかと思うんです。

 私が記憶するところで一番最初のいじめの自殺というのは、八六年にあった中野富士見中学校の事件で、葬式ごっこというのがされた事件です。あれも、先生が一緒になって葬式ごっこをやった。遊びのつもりかもしれないけれども、本人にとっては非常につらいことだというふうに思います。

 ですから、やはり、先生の意識や、また学校の意識というものを変えていくというのは非常に重要だと思います。

 そういう面では、今度、六日の日ですか、参考人質疑で来られますが、いじめの被害者の方がつくったNPOのジェントルハートプロジェクトというところから、文部科学省に対して幾つか要望が出されてきておりますよね。その要望に対して、これまでどのように取り組んできたのか、また、今回の大津の件について、この要望がどういう形で反映したのか、お伺いしたいと思います。

布村政府参考人 答弁させていただきます。

 先生御紹介のNPO法人ジェントルハートプロジェクトの方々から、平成二十二年十二月、そして平成二十三年二月に、背景調査に関しましての御要望、御指摘をいただいているところでございます。それをもとに、文部科学省では、背景調査の実施の通知をお示しし、各学校での取り組みを促したという経過になってございます。

 今回の当該中学校におきましても、継続的なアンケート調査は実施できておりましたけれども、背景調査につきましては、実施してはおりましたけれども十分な取り組みができなかった、そういう流れになろうかと思います。

 また、NPO法人ジェントルハートの方々から、具体的な要望事項は四点ございました。

 一つは、事件事故後、三日以内に児童生徒へのアンケート調査を行うこと、二つ目は、調査の内容を当事者や保護者と共有すること、三点目は、事故報告書に家族の知る情報等の記入欄を設けること、四点目が、あらゆる調査に当事者、保護者の意見を反映させることという御要望でございました。

 これにつきまして、文部科学省の方から書面で回答させていただいたところでございます。

 具体的な回答内容を簡略に申し上げますと、児童生徒へのアンケート調査など詳しい調査につきまして、御遺族の意向の確認を前提として、早い段階で開始することが望まれること。

 二点目として、誠意を持って御遺族との信頼関係を構築していくことが重要であり、事実を明らかにしながら、その都度、御遺族に丁寧に説明をし、信頼関係を構築していくことが御遺族のケアにもつながると考えること。

 三点目、事故報告書につきましては、学校や教育委員会の判断で行われるものではございますけれども、背景調査に際しましては、御遺族の思いや要望に耳を傾けることが重要であると考える。

 四点目として、背景調査に際しましては、命が失われた痛み、御遺族の思いや要望に対しまして十分に耳を傾けることが重要であること。

 この御回答させていただいた内容に沿って、背景調査の通知を流させていただいたところでございます。

初鹿委員 今回の件だけではないんですけれども、問題になるケースというのは、事実、どういうことがあったのかということを、調査をしながらも、遺族の方とかにきちんと伝わっていないんですよ。どこかで隠していたりしていることが、やはりこういう問題を大きくする要因だと思うんですね。

 また、先ほどの質疑の中で、アンケート調査のあり方についても指摘がありました。学校の先生が見るようなアンケートだったら、生徒は、内申を気にしたりとか、先生は見て見ぬふりをしたなんてことは書けませんよ。先生の側だって、校長に何度も訴えたけれども取り合ってくれなかったということを書けませんよ。

 ですから、調査をするについては、やはり私は、第三者機関をつくって、そこで検証するべきだと思います。大津市も今度つくる方向になったということですが、先ほど法務省の方からも、人権擁護委員をもっと活用するような、そういうお話がありましたが、人権擁護委員さんとか弁護士さんとか、そういう方を入れた、独立した第三者による検証委員会みたいなものを、今後何かあったときは必ずつくるということにしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

高井副大臣 初鹿先生から御指摘がある第三者委員会、事故があった場合、事件があった場合のことと、またそれを未然に防ぐ場合とか、いろいろなケースがあると思います。

 それで、私どもも本当に、今回、ジェントルハートさんからは、事故後必ずやってほしいというお話があり、また、かつ我々も、きちんとした検証委員会というのは必要だと思っていますが、何分やはり遺族の方の気持ちにしっかり応えるということが大事で、遺族の方がそれを望むか望まないか、そういうこともやはり現場の中でしっかり話し合いの上で、ぜひやってほしいということであれば、誠実に応えていく。そのためにしっかり指導助言もしたい。

 今回のケースは、特に警察も入っている事例でありまして、少しまた違う形での検証の形ということになるかもしれません。警察の分と並行しながら、裁判の件と並行しながらということになりますので、そのためにもバックアップに今文科省としても入っています。

 むしろ、事故が起こる前、事件が起こる前などに対する、いわゆる第三者委員会といいますか、例えば、岐阜県の多治見市なんかでは、学校と第三者機関との連携によって効果的な支援、援助をしていこうということを市の中でやっておりまして、複数の自治体が第三者機関との連携という仕組みを持っているということを今聞いております。

 少なくとも十四市町村にこうしたものが設置されていまして、もう少し具体的に言うと、子どもの権利擁護委員とかを置いて、そのときに、子どもの権利条約を踏まえて、その上で権利擁護委員というのを市で条例として設置し、その独立性を担保された公的第三者機関である弁護士さんや学校の研究者などが専門性を持ってしっかり対応していく、市に対して、また学校に対しても助言をしていくということで取り組んでおり、これはかなり有効だと私は思っています。

 できるだけ事件がないことが一番取り組むべきことであり、七万件以上いじめのことが認知されていて、自殺に至るケースというのはそんなにあってはならないし、少ないわけでありますが、事故後に取り組むべきこと、また事件前に防ぐためにやるべきこと、いろいろ知恵を絞ってやっていきたいと思っています。

初鹿委員 ありがとうございます。

 今回の事件が起こって、大津市長からも、また滋賀県知事からも、教育委員会という制度のあり方自体が問題じゃないか、そういう指摘がされていると思います。

 私も以前から、政治的な中立を保つためということで設けられている教育委員会ですけれども、果たしてそれがきちんと機能しているのか、結果として、こういう何かがあると隠蔽したりしていつも問題を起こすような、ある意味、合議体であるからこそそうなってしまうような、今は、どちらかというとデメリットの方が多くなっているんじゃないかというふうに思うんですね。

 特に最近は、政治的に中立といいながらも、知事や首長さんが人選するわけですよ。そうすると、自分たちの意向に沿うような人選をしてくるわけですから、全然中立じゃないですよね。自治体によっては、議員のOBさんを選んできたりするわけですよ。政党をしょっている人が教育委員になって、どこが中立なんだと私は思うんです。

 そういうことも考えれば、この教育委員会という制度自体を、もう廃止することも含めて検討し直すことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

高井副大臣 教育委員会制度というものに対しては、いわゆる教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するという観点から、首長から独立した合議制の執行機関として設けられているというのが歴史的な経緯であります。

 おっしゃるとおり、現在の教育委員会制度については、地域住民の意向を十分に反映していないのではないか、あと、権限と責任の所在が不明確ではないか、それから、教育委員会の審議が形骸化しているのではないか、合議体ゆえに迅速さや適正、機動性に欠けるというふうな指摘があるということは我々も承知をしております。

 この教育委員会制度のあり方について、我々も野党時代からいろいろなことを議論してまいりました。やはり、今回の大津市の事案についても、こうした、ほかの委員会でもいろいろな、教育委員会制度自体をいろいろ見直すべきではないかという議論も上がっておりますし、我々も、そもそも第三ステージとして、民主党政権後、教育のガバナンスのあり方についてしっかり検討していこうということを思っておりましたので、省内タスクフォースというのを設置いたしまして、今、四回目になりましたけれども、地方教育行政のあり方について、いろいろな問題点や時代認識にのっとって、再度いろいろと検討しておるさなかであります。

 いずれにしても、教育委員会というものが、まさに、政治的中立性というよりも継続性、今までやってきたことをしっかりどういうふうな政治情勢になろうと取り組んでいくということに加えて、やはり、しっかり最後は国が責任を持ち、教育に対する、児童に対する責任は国であり、また行政単位であり、しっかり責任の所在を明確化するという点からも必要だと思っておりまして、中立性、継続性とのバランスの中でいろいろと検討していきたいと思っています。

初鹿委員 時間がそろそろ迫ってきているので。

 今回の件がそうだというわけではないんですけれども、いじめがあったときに、被害者の側、加害者の側双方に、子ども間同士の人間関係だけではない、別の問題を抱えている場合も相当あるんじゃないかと思うんですよ。家庭の問題があったり、それが金銭的なものであったり、そういうことが結果として子どものストレスになって、いじめる側になってしまう、または、そういう問題があって、なかなか学校でほかの子どもたちとなじめず、いじめられる側になってしまう。そういういろいろな問題を抱えている生徒が多いのではないかなというふうに思うんですね。

 そういう子どもたちに学校または教師だけで対応し切れるかというと、私は限界があるのかなと。それよりも、やはり、そういういろいろな問題を抱えている方に、福祉につないだり、また別の相談機関につないだりということをできるようなソーシャルワーカーがかかわることができると、もう少し子どもたちの問題の解決にもつながるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、お伺いしますけれども、このスクールソーシャルワーカー、今配置を進めていますけれども、全校とまでは言いませんけれども、せめて中学校に一人とか、それがなかなかかなわない自治体だったら、地域に社会福祉士会とかありますから、そういうところと自治体で協力をして、提携をして、できる限り学校にソーシャルワーカーが行って、子どもたちのさまざまな問題を解決する手助けをしてもらうように進めていけばいかがかなと思いますが、いかがでしょうか。

布村政府参考人 スクールソーシャルワーカーの配置、活用についてでございます。

 先生御指摘のとおり、いじめ、不登校、校内暴力などの生徒指導上の課題に対応するために、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉などの専門的な知識や技術を用いて、子どもたちの置かれたさまざまな状況に応じた適切な支援を行う、そういう意味で、スクールソーシャルワーカーの配置を進め、教育相談体制を整備するということを大きな課題として、今取り組んでいるところでございます。

 平成二十年度から、スクールソーシャルワーカーを配置する地方公共団体の経費を補助する事業を推進しており、平成二十四年度、今年度予算におきましては、これまでの実績を踏まえて、都道府県、指定都市、中核市に一千百十三名を配置できるよう、補助を行うこととしてございます。昨年度の実績としては、全国の中学校に配置された百十五人を含む七百二十二人のソーシャルワーカーを配置しているところでございます。

 そういった観点から、財政状況の厳しい中ではございますけれども、スクールソーシャルワーカーを活用した教育相談体制の整備の支援といったところに必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

初鹿委員 単位が、ゼロが一個足らないと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、子どもの世界で起こっていることというのは、私は、大人の世界の反映だと思うんですね。やはり、大人の世界でもいじめのようなものがあるから、子どもの世界でもいじめが起こってしまうんだと思います。

 ですから、我々大人も、自分の考えと違う方を排除したりとか、自分たちと相入れないような人たちを遠ざけたりとか、そういうことではなくて、やはり、もっと寛容な心を持った、そういう社会をみんなでつくっていかなければならないと思います。我々もその気持ちで政治に当たっていこうと思いますので、ぜひ皆さんもよろしくお願いをいたします。

 ありがとうございます。

稲津委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。

 冒頭、今回のいじめを苦に自殺された生徒の方に本当に心から御冥福を申し上げたい、そして、御遺族の方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の件は、この一点を、今回の内容をしっかりと精査する、これは当然のことでありますけれども、我々政治家に課せられている仕事というのは、まさに、今回を起点として、構造を、これまで構造にどんなふぐあいがあったのか、そして、これが機能するようにどうすればいいのか。

 特に、今回の場合は、教育委員会、警察、文科省、地方行政、これがうまく働いていないんじゃないか、そして、それがこの痛ましい事案につながっているんじゃないかということに我々は心をいたさなければならないと思います。省庁の垣根はあります、行政の垣根もありますけれども、それを越えるのが我々政治家に課せられた使命であります。

 本日、我々、青少年特別委員会の設置の意味に心をいたさなければならないと思います。我が委員会は、もともとは、児童虐待防止法もつくり上げた、さまざまな機関を連携させる、通常の委員会ではなくて縦割りを排するというのが我々の大きな使命であります。

 そこで、今後、この事案、しっかりと内容が把握をされた、そして問題が浮き彫りになった際には、我々政治家がもう一度立ち上がって、いじめ対策防止法のようなものをつくるというような気概を持って、責任感を持って仕事をするということを、本当にこの場の委員の皆様にも御同意をいただきたいと思うわけであります。

 今回の事案を見ていて、いじめ、私たちも、子どものころ、いじめというのはあったと思います。そういえば、私も子どものころ、幼稚園のころでしたか、靴を隠されたなということもありました。それから、小学校に入ると、男ですから、けんかをします。本当に腹に思い切りパンチを打ち込んで、蹴りを打ち込んで、お互い打ち込んで、それも今からいえば暴力行為かなと思いますけれども、そうした人間と今でも親友でいるということは多々あること。これは、子どもの中で、私は、けんかといえども、こんな言い方をするとなんですけれども、正しいけんかもあるということは身をもって知りながら、あえて、今回のことは、やはり犯罪ではないのか。

 文科省は、行政は、一体いじめというものをどう取り上げればいいのかという、まず根本を正していかなければ、我々、この認識を正していかなければ、幾らいじめ防止といっても、いじめ自体が何であるのかということを突き詰めなければ、まず問題の解決には及ばないと思います。

 そこで、まず最初に、いじめの定義について伺います。

布村政府参考人 いじめの定義につきまして御説明させていただきます。

 文部科学省におきましては、いじめの実態を適切に把握し早期に対応するため、昭和六十年度からいじめの定義を設けまして、毎年度、各学校が認知したいじめの件数に関する報告を受けて、集計、公表をしているところでございます。

 その際に用いておりますいじめの定義につきましては、当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの、なお、いじめが起こった場所は学校の内外を問わないという定義を用いております。

 各学校におきましては、この定義を用いたいじめの認知の取り組みを通じまして、いじめの早期発見、早期対応に取り組んでいるという状況にございます。

松浪委員 今の、一定の人間の中でといいますと、先ほど私が自分の体験で挙げた事例が一体どこに入るのかということを、なかなかすぐ我々としてイメージしにくいかと思います。

 実際、今回も文部科学省の方が、私も今回資料を提出いたしております、「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査について」ということで文科省から出ている文でありますけれども、これで、具体的に今文科省のお答えからはイメージできませんけれども、これを見ると、いじめというものをいかに文科省が認識しているのかということがわかりやすいかと思います。

 私が最初に指摘申し上げましたように、いじめなのか犯罪なのか、その線引きをどこで行っていくのかということは、これは現場にとっても非常に大事なことであります。

 教育委員会の問題は先ほどから質問もされましたけれども、どうしてこんな隠蔽体質になるのか。問題が起こったら、教師は、この問題が外に出てしまったら自分の評価が下がるんじゃないか、学校についてマイナスのイメージが出るんじゃないか、そんな意識が働いていることが今回の問題の一つだと思うんですけれども、まず、伺います。

 一、冷やかし、からかいから、金品を隠されたり盗まれたりというところまで書いてあるんですけれども、この一から八のうちどこまでが犯罪なのかということを、私は犯罪行為としてまず認識をすべきだと思いますけれども、どこまでがこれは犯罪行為と言えるんですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先ほどいじめの定義を申し上げさせていただきましたけれども、いじめの定義を踏まえて、この八項目の対応をお示しさせていただいております。これを通じて各学校がいじめの実態を認知していただこうという趣旨になってございます。

 そして、御指摘の各項目はいじめの態様を記載したものであり、また、本来、犯罪行為に当たるかどうかの判断は、個別の事案に応じて警察あるいは司法機関において慎重になされるべきものであると認識しておりますから、これらの項目のうち、どの項目が犯罪行為に当たるということを一概に言うことは困難かと存じております。

 そうした前提のもとではございますけれども、一般的には、ひどく強くたたいたり蹴ったり、あるいは金品をたかったり盗むこと、あるいは嫌なことや危険なことをしたりさせたりすることは、犯罪行為に当たるおそれがあるのではないかと考えております。

松浪委員 私は、認識として、今の答弁自体が大変な問題であると思います。

 これはどこまでが犯罪でと。個別にという感覚を持っているから、どんなにひどいことがあっても、いや、教育委員会の中で丸くおさめておこう、現場で丸くおさめておこうという意識が働くんじゃないですか。そして、学校の先生になる方々は社会経験をそんなに積んでいないですよ。大学を出ただけのそういう若い人たちがまず教育現場に入ったときに、いじめに対する認識がどこまであるのか。こんな答弁じゃわからないですよね。

 冷やかし、からかい、悪口、これぐらいだったら普通にあることだ、子どもの中でも、たくましく育ってもらうから、言い返すことも大事だろう。仲間外れ、集団による無視、これはかなり陰湿ですよ。これも許されないけれども、これを犯罪というというのは、恐らく構成要件をやっていくのはなかなか難しいですね。でも、学校現場で金品をたかったら犯罪ですよと。これは犯罪ですよね。

 ですから、刑法的に犯罪なものというのは、どこまでを犯罪とやるのか、そうした指針をお答えにならないと、今みたいに、個別事案によって、それは答えになりますか。

 もう一度言います。犯罪として、これはもう犯罪ですというのは、明確に、一から八までのうちでどういうふうに、もう一回、もうちょっと具体的にお話しいただけませんか。個別事案でという答えでは答えにならない。

布村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども、児童生徒の学校生活においてのいじめの態様、あるいは学校を離れたところのいじめの態様という形で、これはいじめの定義を踏まえて分類したことになります。

 その中で、先生御指摘の中で、金品をたかられるということ、あるいはお金を盗まれるといったことは、刑法上の犯罪要件に該当する可能性が高いと思います。

 ただし、それぞれの個々の態様によってそれをどう判断するかというのは、学校において最終的な決断をする、あるいは教育委員会において最終的な決断をするというのは難しいところがございますけれども、そういった際には、警察等との連携のもとで取り組んでいくということになろうかと思います。

松浪委員 いや、答弁が本当にわからないですね。金を盗まれたら可能性が高い。可能性が高いじゃないですよ、盗まれたらこれはもう犯罪ですよ、窃盗罪ですよ。ひどくぶたれたり、たたかれたり、これが集団で行われれば、これは暴行ですよ。

 だから、そんな答弁を文科省がやっていて、あなたの今の言葉で、子どもにわかるように、ここは犯罪だ、ここまでだったら、おまえらの中で、子ども同士で解決しておけということをしっかりと、それぐらいのことを気持ちよく答弁できないようで、文科省は何をいじめについて実態把握できるのか。

 私がなぜこれを問題にしているのかということは、今回のような事案が出る、痛ましい事案が出るということは、犯罪と、許される、許容されるいじめとは言いたくありませんけれども、子どもたちの間で許容されるトラブルとそうでないトラブルがある、そこを明確にここで答弁できないようで、文科省がいじめ問題に対応できるわけがないわけでありまして、この辺をもうちょっとしっかりと。

 ここに犯罪行為を入れているからおかしいんです。いじめというのは犯罪行為に当たらないもので、端緒となるものであればいい、これ以上は犯罪だと思われるものは、いじめと犯罪、現場がしっかりと認識を異にしていないと、どこまでだったら警察にこれは対応したらいいんだ、どこまでだったら警察に行かずに身内でやればいいんだということがないから、今回のような深刻な事案も結局見過ごされてしまうということになる。子どもたちに対しても示しがつかないし、教員に対してだって示しがついていない。だから、私はこの紙を提出しているわけであります。

 では、伺いますけれども、「その他」というのがありますね。警察庁でもいいですよ、お答えいただくのは。例えば今回のように、自分たちの仲間に蜂を食べさせるという行為は、一体、これは犯罪なんですか、犯罪じゃないんですか。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 警察が犯罪に該当するか否かということを個々の行為について判断をするという場合でありますので、これはその後の刑事手続なり司法手続に乗っけていく、そういう場合の判断基準ということでありますが、個々の行為が犯罪に該当するか否かにつきましては、個別具体的な事実関係に照らして、法と証拠に基づき判断していくことになるというのが一般論でございます。

 そこで、蜂を無理やり食べさせるという行為につきまして、これについては、やはり、その行為だけをもって判断するのはなかなか難しいことだろうと思います。その状況でありますとか、強要の程度とか、あるいは周りの状況、加勢をしている人の数とか、そういうようなものを加えて判断をする必要があると思いますが、可能性としては、強要罪あるいは暴行罪というようなものに当たる可能性はあるかと思います。

松浪委員 蜂を食べさせて、本人の意思に反して無理やりやったら、強要罪に当たるなと、子どもに強要罪というのはなかなか難しいとは思いますけれども、こうしたことを、犯罪だから、そうじゃないからというので分けていくのは、今の事案をとっても非常に、こんなことをやったらいけないからと。

 まあ、僕らだって大概、子どもの間というのは残酷なものですからそういうやりとりがあるので、一概には言えないけれども、こういうものが積み重なっていった場合にはやはり大きないじめに該当するということで、その状況を一つでも、一罰百戒でもいいんです、例えば、お金をとったらこれは犯罪なんだということをちゃんと学校で教えておく。お金をとったらこれは警察に行くよというのだけは、一つだけやっておいたら、子どもは、ほかのことをやっても、これはやばそうだなとか感じるようになるはずなんですよね。

 ここでいじめというものを、犯罪も含めた上で、これ以上強烈なものがいじめじゃないとか、いじめと犯罪をごった煮にしているということ自体が、私は教育現場での隠蔽体質につながるんじゃないかなというふうに思います。

 次、裏を見ていただきたいんですけれども、「児童生徒の生命又は身体の安全がおびやかされるような重大な事態に至るおそれがあると考えるいじめについて、具体的ないじめの状況」とか「対応の状況」と書いているんです。

 これは恐らく、地教行法の五十条に当たるかどうかということで書いていると思うんですけれども、地教行法五十条は、教育委員会の法令違反や怠りによって、緊急に生徒等の生命身体を保護する必要が生じ、他の措置によってその是正を図ることが困難な場合、文科大臣は教育委員会に対し指示できることとするというふうに書かれているわけであります。

 これは一体、私、想像つかないんですよ、生徒の生命身体を保護する必要が生じ、他の措置によってという、この生命身体を保護する必要、これは具体的にはどんなことが想定されるんですか。私が教師だったら、多分、そこまでの想定というのはかなり難しいと思うんですけれども、これは例えばどういうことを想定されるのか、伺います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この地教行法の五十条の規定は、平成十八年度におきましてのいじめの事案を踏まえて新たに設定された条文になってございます。当時、子どもたちの強いいじめがありまして、児童生徒の生命あるいは身体に相当危険性が高い、にもかかわらず、学校、あるいは設置を管理する教育委員会が行うべきことを怠った、そのような事案には文部科学大臣が指示を出すことができる、そういう趣旨で設けられた規定でございます。

 ですので、今回想定しておりますのが、強いいじめが継続的になされ、児童生徒の生命あるいは身体が極めて危険が高いというにもかかわらず何らの対応がされていない、そういう事案が想定されているところでございます。

松浪委員 おっしゃるのは簡単なんですけれども、これが制定されてから随分たちますけれども、それ以後、発動された事案というのはあるんですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この新たに設けられた五十条を前提として文部科学大臣が指示をしたという事例はございません。

 一方、先ほども申し上げましたけれども、このケースとしては、激しいいじめにより生命身体の保護が明らかに必要な生徒がいるにもかかわらず、例えば、教育委員会が加害者、加害生徒の保護者に対して当該生徒の出席停止を命じない場合ということが想定されておりますけれども、そういう出席停止につきましては、事例として存在しているところでございます。

松浪委員 この地教行法五十条なんですけれども、本当に、この場合、被害者の方はもうお亡くなりになっているわけですよね。お亡くなりになってしまうと、そういう事案があったとしても、これは事後的には使えるのか使えないのかということを、もう一回明らかに言ってください。

 つまり、今回のケースにおいて、これはもう今亡くなっているから、文科省としては何かできるのか、できないのか、お答えください。

布村政府参考人 この地教行法の五十条の規定は、先ほど申し上げましたけれども、児童生徒の生命または身体の安全が脅かされるような重大な事態ということでございます。当該児童が亡くなられた後には適用は想定していないという条文になります。

松浪委員 いじめ問題を契機として地教行法五十条はこのような形になったわけでありますけれども、実体的にこれは使いようがないわけですよね。実際にいじめが起きていて、生命に危険が及んでいる、それで現場が動かないから文科省が、そんな悠長なことが起こり得るわけがない。今回みたいに、問題になるのは亡くなった後、こうならざるを得ないわけですよね。

 ですから、私は地方分権もいろいろ問題があると思います、私も道州制をライフワークにしてきて、地方分権でよかったこと、悪かったこと、両方あると思います。首長に力を与え過ぎたら、その場で首長さんが、特に小さな町とか村だったら極端な人がなる可能性もある中で、どこまでかという議論はありますけれども、少なくとも国家、この統治機構の文部科学行政のトップにある文部科学大臣がいざというときに抜く伝家の宝刀が、このように重過ぎて使おうと思っても抜けないというようなことでは、やはりこれはもう機能しないんじゃないか。

 もう一度、我々政治家は、この要件についてはもうちょっと緩和して、本当に差し迫った、現実に即した改正をすべきではないかということを、この場の委員の皆さんにも申し上げたいと思います。

 もし、高井大臣、この地教行法五十条に御感想があれば、ちょっと伺いたいと思います。

高井副大臣 五十条は、そういう万が一のケースに備えて設けられた規定であり、国が何かできるというふうに規定を設けました。

 でき得ることならば、こういう事例がない方がもちろん好ましいわけですが、やはり現場の実態をしっかり把握して、どこまでその危険性が迫っているのか、児童の生命、身体、安全にかかわることをきちんと、できるだけ現場と連携をしながらやっていく。そのために、今回、子ども安全対策支援室というものを置き、警察にも入っていただき、連携を深め、どういう場合にこれが犯罪要件に当たるのかどうか、そういうことも含めてしっかり現場にも伝えていきたいと思いますし、個別に相談があったらしっかり対応して、できるだけ早くやっていきたいと思います。

 いずれにしても、危機感をしっかり持った上で対応していくということが何よりも大事だと思っています。

松浪委員 当時の文部科学大臣は伊吹文明先生でありました。伊吹先生の答弁を読んでみますと、この状態は何なんだということについては、当時の答弁ですら、伝染病が蔓延しているのに現場でしっかり対応しない場合とか、また、特にこのメーンでいじめの問題があるわけでありますけれども、これは身体生命の危険といいますけれども、今回の事案は自殺であります。みずから命を絶つということは、生命身体よりも精神的に追い詰められるという状況でありまして、非常にこれは規定しにくい状況でありますから、そうしたような細やかな、状況にちゃんと対応できるような形でもう一度御検討いただければと思います。

 次に、今回の事案のような場合で、一般論としてでいいんですけれども、学校の先生というのは本当に評価をしにくい存在であります。教育というのは、会社のようにすぐ売り上げが出たりというようなものではない中で、評価というのがなかなかなされないんですけれども、しかし、一般の公務員の場合は懲戒なんということはたくさんあるわけであります。

 今回のように、教師が、いじめについて恐らくは把握をして、相談を受けていたという報道もありますということなんですけれども、こうしたことについて、責任というのが問われるような状況になっているのかどうなのか、伺います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 懲戒処分につきましては、職員に法令違反あるいは職務懈怠などがあった場合に、任命権者または服務監督権者である県教育委員会あるいは市の教育委員会におきまして、十分に事実関係を確認した上で、厳正に対処されるべきものでございます。

 本事案に関しましては、現在、滋賀県警察による捜査が行われており、また、大津市の外部調査委員会による調査の準備が今進められているところでございます。滋賀県教育委員会または大津市の教育委員会におきましても、これらの状況を踏まえた詳細な事実関係の把握がなされるものと承知しており、確認された事実関係に基づき、適切に御判断いただくべきものというふうに考えております。

松浪委員 ちなみに、この当事者となった教師について、今どうなっているのかは把握していらっしゃいますか。

布村政府参考人 当事者の教師の懲戒処分についてですか。

松浪委員 懲戒処分じゃなくて、当事者となったとされる教師は現在どうなっているかの把握はされていますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この事案が起きてから、学校において、あるいはそれぞれの担任の教諭の方も含めて、教員がどういう対応をされたかという事実関係につきましては、今、市の教育委員会、そして県の教育委員会を通じて確認をしているところでございます。

松浪委員 仄聞するところによると、担任を外れている程度だというようなことを私は伺っておりますけれども、こうした状況で、教師が本当にどういう心のインセンティブが働けばいいのかということは、大変な問題だと思います。

 いじめを発掘することを評価するような仕組みが必要だと言う方もいらっしゃいますし、いじめがあるということが自分のマイナスになるというような葛藤、この中をやはりきっちりと、恐らくこれから、いじめ問題に取り組んだ学校は、さまざまな傾向が出ると思うんですね。まず、いじめの認知件数が上がる、解決した数が上がってくると、次には、恐らくいじめの認知件数も下がってくるというような相関関係があるというふうに思いますので、そうしたことまで把握をして、施策を打っていただきたいと思います。

 そして、あと、過去、いじめ問題で懲戒処分等、教師が処分された例があるのか伺います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 いじめ問題にかかわり教職員が懲戒処分などを受けた事例につきまして、過去五年間の状況を確認しましたところ、平成十八年度において、福岡県教育委員会が関係の教職員に対しまして懲戒処分を行った事例がございます。

 この事例は、平成十八年十月に中学校二年生の男子生徒が自殺したことにつきまして、生徒の精神的な苦痛の大きな原因の一つとしていじめがあり、関係の教職員が対策を怠り、長期にわたるいじめが放置されたこととなった責任が問われた形での懲戒処分が行われたと承知しております。

松浪委員 懲戒処分というもののあり方というのも、これから我々、もう一度見直しをしていかなければならないと思います。

 次なんですが、ネットなんかですさまじい情報が流れているというのが、今回の事件の特徴かなというふうに思います。

 加害者の問題、これからは、我々が施策を打つ際には、被害に遭われた方、そして被害者の遺族、さらには加害者というものに対する対応を、包括的に状況を予想して対応を打っていかなきゃいけないと思うんですけれども、まず、加害生徒に対して、警察庁の方から捜査状況を伺います。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、現在まさに滋賀県警の方で捜査をしているものでございます。

 個別事件の捜査の詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきますが、本件につきましては、現在、県警において、学校の生徒を含む関係者からの事情聴取など、事実関係の解明に向けた取り組みを進めているところでございます。

松浪委員 この加害生徒、もう既に一部県外に転校しているらしいんですけれども、他府県に転校した場合、教育委員会の管轄の外に離れてしまうということがあってはならないと思うんですけれども、こうした事情を聞いたりすることに対して、教育委員会の調査とかそういうものは影響があるのかないのか、伺います。

布村政府参考人 現在、大津市におかれましては第三者委員会を立ち上げる準備を進めておられますけれども、この調査委員会において生徒への事情の聞き取りを行う場合には、生徒または保護者の了解を得て行うこととなると考えております。このことは、他の学校に転校して当該市に学籍簿がないという場合でも異なる取り扱いとなるものではないというふうに考えております。

松浪委員 転校されても、これはどんどん転校されていくわけですけれども、やはり加害者とされる生徒についてはしっかりと追っていただきたいと思うんですが、遺族感情も考えますと、加害者の人権という言葉は使いたくはないんですけれども、今回、本当に、ネットなんかで随分とこの加害者のプライベートから何から、今まで、私はメディア出身ですけれども、メディアでも昔は、一般の犯罪者であれば名前と住所、何番地まで我々は書いていました。それが何番地が消えていったというような経緯もあるわけですけれども、それよりも、少年少女であるこういう加害者に対して、ネットで情報がだだ漏れになってくるということは、やはり私は、これは大きな問題ではないか。

 そしてまた、仄聞するところによると、ほかのところでは、これが間違っていた。メディアであれば誤報があれば責任はとれます、これは誤報でありました、訂正をいたしますと。しかし、ネットにおいてはそういうことが安易に行われてしまう。それからまた、データがどんどんキャッシュで残っていく。それは抹消されてもどこかにデータで必ずキャッシュとして残っているということが起きるわけであります。

 これは通告をしていませんけれども、こうした事案について、これは高井大臣がいいのか、それとも、こういうネット関係は内閣府かもしれないんですが、せっかく政治家からお二人おられるわけですから、それぞれ、これに対して今後対策を打つのか打たないのか、それから、認識を伺いたいと思います。

高井副大臣 私も大変、そのネット上の問題というのは本当に複雑な思いで見ております。

 ネット上の情報は、事実かどうか全くわからない中でどんどんひとり歩きして、ネットの中で加害者に対して脅迫なり許さないというふうな、まさに、もう一つ遠い第三者からの集中的な砲火もあるようですし、現実的に、学校の方や市教委の方には脅迫の電話、また批判の電話等も殺到しているという中で、大変な、今捜査が入っているという状況が一方であるにもかかわらず、ネットの中で何か制裁を加えていこうというような、ある種、ここでも一つの集団的ないじめのような状況が起こっているというふうに、私は大変懸念をしておるところであります。

 こうした情報に対して、この間、この青少年特別委員会でインターネット環境整備法案等も成立を以前していただいて、インターネットの中でのそうした、もちろん、いじめや情報の管理、いろいろな問題点等も当委員会でも引き続き議論されてまいりました。

 そういう中で、今回の事案に対して、なかなか文科省としてそれに対してどういうストップをかけることができるのか、極めて難しい問題ではありますが、問題意識は松浪委員と同じように私も共有をしておりまして、何らかの対応をしていかなければならないのではないかというふうに感じておるところであります。

園田大臣政務官 今回のいじめの事案に関しまして、内閣府として、今般の事案に対して直接ではありませんけれども、二十二年に子ども・若者ビジョンを策定させていただいた際には、やはり子どもの生育環境をしっかりと社会全体で支えていくものをつくっていかなければいけないというふうに考えていたところでございます。

 今般の事案とは直接は関係はいたしませんけれども、今年度において、子どもの環境に関して少し調査を行ってみてはどうかということで、計画を立てさせていただいております。その中において、今子どもの置かれているさまざまな環境というものを少し多角的な分野から調査してみたいというふうに思っています。

 その中で、先生から御指摘がございましたので、インターネットのフィルタリングは、直接そういった有害情報が子どもの目に触れないようにということでありますけれども、情報の氾濫というものに関しましては大変私どもも危惧をいたしているところでございますので、何かしっかりとした対策がとれるか、少し検討をしてみたいというふうに考えております。

松浪委員 特に今回、問題は、顔写真とか住所とか、犯罪の加害者であろうと言われる人間のそうしたものを広範に流すということは、今までこのインターネット社会以外では考えられなかったことでありますので、こうしたことが起きた場合に、特に少年犯罪の場合には、私は、非常に厳しいある種のルールづくりというのが大事かと思います。せっかく内閣府と文科省がおられるわけでありますから、どんな法律にしろ、こういう要件というのは私はこれから入れていかなきゃいけないと思います。

 また、話はちょっと飛ぶわけでありますけれども、ネットというもので、ネットでのいじめというのも多くあるわけでありますし、学校によっては裏掲示板というものが存在して、これがいじめの温床になるというようなこともあります。実際、海外ではネットいじめ防止法のようなものをつくったというような事例もあるようでありますので、そうした観点からも、また行政の方で、閣法なりなんなりでそろそろお考えいただいた方がいいのではないかなというふうに思うわけであります。

 では、次の問題に移ります。

 文科省で、二〇〇六年の通知で、学校の生徒に自殺などの重大な事案が起きた場合、事実関係の正確、迅速な把握が必要として、事件等報告書の提出を求めているわけであります。

 今回、大津市教委からの事件報告というのは随分されなかったわけでありますけれども、これについてどのような問題意識を持っているのか、伺います。

高井副大臣 御指摘のとおり、平成十八年から、重大な事案が発生した場合には速やかに概要等を取りまとめて文科省に連絡するようというふうに、各都道府県等に対してお願いをしてきました。

 しかしながら、今回の事案も含めて、必ずしも全ての事案について網羅的に報告が上がっていないということや、事案が発生した後の対応について、学校や教育委員会の主体的な取り組みに期待して、ややもすると受け身の対応になっていたところがあるのではないかというふうに反省もしているところであります。

 その上で、積極的に支援していこうということで、子ども安全対策支援室というのを大臣直轄で設けたということでありまして、それについてはしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

 迅速かつ適切な対応ということで、事案が起こった際の対処方法とか学校現場への支援の体制、また、再発防止のための取り組み、ほかにもいる児童をしっかり支えていくということも重ねて考え合わせなければいけませんし、文科省として、国として、積極的に支援していくんだ、対応していくんだということをしっかり打ち出していくというつもりで、大臣官房に子ども安全対策室というものを設置しましたので、御指摘を踏まえて、警察との連携、また地域との連携、いろいろな形でいじめ問題に積極的に迅速に取り組んでいきたいというふうに思っております。

松浪委員 迅速にと言うのは簡単なんですけれども、そのためには具体的な施策を打っていかないといけないと思うんですが、特に今回の問題、隠蔽体質が随分と指摘をされているわけであります。

 昨日は、自由民主党の我々政調の中でも文教部会と法務部会の合同の会議を開きました。先ほど、私、いじめと犯罪の問題を指摘しましたけれども、文教部会と法務部会が両方合同で開くということは、つまりこれは犯罪だという認識を我々は持っているという証左なのであります。

 我が党のある議員のもとには、地元の教師から手紙が来ている。その手紙の内容は、現場では箝口令がしかれていると。やはりこういうことはおかしいんじゃないかと現場の教師自身がお感じになっているということも、意見の中で出たわけでありますけれども、今回の現場の教育委員会に隠蔽体質があったという認識はおありですか。

高井副大臣 この大津市教育委員会に隠蔽体質があったかどうかということよりも、やはり、しっかり遺族からの情報に応えて、アンケートもして情報も渡す。事実確認できたものから順番に保護者に、保護者というか、遺族の方に対してお伝えしていた、確認できていないものはちゃんとまだ伝え切れていなかった、いろいろな問題等もあると思いますし、把握できていなかったという迅速さに欠けたところもあるというふうには思っております。

 当然ながら、隠蔽するということはやはりあってはならないことですし、こうしたことに対しても、しっかり文科省としても相談ができる窓口をもう少し設けておくべきだったということも踏まえた上で、今回この支援室をつくるということになりましたので、このような事案が起こらないようにするためにも、教育委員会制度のあり方の問題はまた大きな問題でもありますが、いろいろなことも含めてしっかり検討をしていきたいと思っております。

松浪委員 大臣、私、今の質問とはちょっとお答えが違ったと思うんです。

 私は隠蔽の認識があるのかということを端的に伺っただけなので、大臣も政治家でいらっしゃいますので、それを素直にお認めになって、安全対策室の質問はちょっと時間がなくてできないんですけれども、私はこれの権限にもやはり限界がかなりあると思いますが、隠蔽体質はあったので、それをもとに、率直に、対応するとお答えになった方がいいと思います。

 きょうも冒頭申し上げましたように、教育委員会、警察、文科省、そして地方行政、この連携が明らかに、前の民主党の議員さんも指摘をされていましたけれども、不備があるというのは、これはもう間違いのないことだと思います。

 ですから、包括的に我々で今後もこれに取り組めるように、精力的にこの青少年特別委員会を動かしていただくことを委員長にもお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

稲津委員長 次に、小林正枝さん。

小林(正)委員 国民の生活が第一・新党きづなの小林正枝でございます。

 先日大津で起こりました、いじめによる自殺という痛ましい事件に関連いたしまして質問させていただきます。

 お手元に資料を配らせていただきましたので、それをごらんいただきながらお答え願えればと思うのですが、まず、子どもたちの自殺者数についてであります。

 内閣府の自殺対策白書によりますと、昨年一年間で、十九歳以下の未成年の自殺者は六百二十二名でありました。その内訳は、男子四百十八名、女子二百四名という数字なわけですけれども、この中で、いじめが原因と考えられるものはどのくらいあると思われますでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省の調査になりますけれども、毎年度、小中高校生の自殺者数につきまして、学校からの報告を受けまして集計をしております。平成二十三年度の分は現在集計中でございますけれども、平成二十二年度は百五十六人でございます。

 そして、そのうち、自殺した児童生徒が置かれていた状況にいじめの問題がかかわるというふうに挙げているものが四人という数字になります。ただ、これは、自殺の原因という言い方ではなくて、児童生徒の置かれた状況を尋ねたもので、いじめが一つの要因としてある、そういう意味での四人という数字になってございます。

小林(正)委員 これだけ報道等で子どもたちの自殺が相次ぐ中で、文部科学省の把握しているいじめが原因と思われる児童の数、四人というのは、非常に私は疑問を覚えます。実際に、自殺対策白書によりますと、一日におおよそ二名くらいの子どもたちがみずから命を絶っていることになります。この数字自体、恐ろしいことでありますし、痛ましいことだと私は思っておるところなのですが。

 昨年の自殺者の合計は三万六百五十一名ございました。そのうち、未成年の自殺者は全体の二%程度でありましたが、この数字をどのように御判断なされますか。

布村政府参考人 先ほど先生に御指摘いただいた内閣府、警察庁の統計調査で、御指摘のとおり、十九歳以下の少年の自殺者が六百二十二人という数字になっており、継続的に一定の数が存在しているという事実でございます。また、いじめが要因として挙げられるものも、四名ということで、これもずっと継続的に数字が出ているものでございますので、そういう面につきましては、大きな課題、深刻な課題として受けとめなければならないというふうに認識はいたしております。

小林(正)委員 もう少し詳しくお伺いしますけれども、白書の中で、女子に比べ、男子が倍以上の数になっておりました。この数字についても、どう判断されているのか、文部科学省の見解をお伺いします。

布村政府参考人 先ほどの十九歳以下の自殺者の数につきまして少しつけ加えさせていただきますけれども、二十代以下の若年層の自殺死亡率の上昇が深刻な状況であるということも、先ほどの答弁につけ加えさせていただきたいと思います。

 また、年齢構成区分十九歳以下の男女比が四百十八名と二百四人ということで、男性は女性の自殺者の二倍であるという数字が挙がってございます。

 また、成人につきましても同じような傾向で、男性が二万三百七十一名、女性が九千四百七十七人ということで、男性の自殺された方の割合が女性の方の二倍ということで、ほぼ、年齢層を問わず同じような傾向が出ているという認識は持ってございます。

小林(正)委員 続きまして、児童生徒の自殺統計について、警察庁、文部科学省、それぞれのデータについて質問したいと思います。

 これもお手元にお示しいたしましたが、警察庁の生活安全企画課で出されております職業別の自殺者のデータと、文部科学省で出されております児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査を比べますと、その数字に少なからず差異があるように感じております。

 なぜ、警察で捉えている自殺の数よりも文部科学省で捉えている数字の方が少ないのか、警察庁、文部科学省、それぞれ考えられる理由をお聞かせください。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 警察の自殺統計データはどのように計上しているのかということについて、御説明申し上げたいと思います。

 警察におきましては、死体を発見した旨の届け出があった場合には、発見現場等に警察官が臨場して死体の状況を確認するほか、家族、目撃者等から、自殺に至る原因、動機、目撃状況についての事情聴取や、遺書の有無、病歴の調査等を行い、自殺か否かを判断しているところでございます。

 このようにして、自殺と判断した場合には自殺統計データを作成する、こういう手順で進めているところでございます。

布村政府参考人 今、警察庁から御説明がありましたとおり、内閣府、警察庁の調査は、警察の捜査権限に基づいて検視あるいは事情聴取の結果を集計されているというものでございますけれども、文部科学省の調査につきましては、都道府県の教育委員会、また市町村の教育委員会を通じて、学校が御遺族からの報告などにより実際に確認できた結果の報告を集計したものになってございます。

 また、実態として、御遺族が自殺として取り上げないでほしいというお声があれば上がらない、そういう実態もありますので、内閣府、警察庁の調査との違いになっているかと認識しております。

小林(正)委員 先ほど各先生の質問の中にも、教育委員会のあり方が問題視されておりましたけれども、この教育委員会を通じて文部科学省に数字を提出するというところに私は問題点があるのではないかとも感じております。

 さて、文部科学省で把握されてきた数字は、やはり、下から上がってくるのを待ち、そのままつくった数字であるということは、今の答弁でも推察できます。そこには、残念ながら、隠蔽されてきて表面にあらわれなかったもの、あるいは、疾病やその他の理由にすりかえられてしまったものがあるのだと私は考えざるを得ないのですが、そもそも、数字にダブルスタンダードがあってはなりません。正確な数字を把握して、それを公表していくためにはどうしたらいいのでしょうか。もう一度、文部科学省の見解を求めます。

高井副大臣 この数値が違うという問題は、いろいろな委員からもかねてから御指摘がございました。

 それで、私もいろいろ考えまして、やはり、先ほど来、警察庁、また局長からも答弁をいたしましたけれども、いろいろな、その時期のとり方であったり、上がってくる情報をきちんと学校現場で把握した中で情報として上げるということの中で、ちょっと数に違いが出てくる。しかしながら、警察においては、現場検証、事情聴取、また検視等もしっかりやっているわけですから、恐らく、想像するに、警察が認定した件数というのは、ほぼ事実に近いだろう。

 ただ、学校現場が集約するにおいては、保護者の方が学校に知られたくない、学校にはそういうふうな数で上げないでくれという場合も確かにございます。遺族の感情はやはり大事だと思っておりまして、そういうふうにずれが生じてしまう。

 こういうことから鑑みても、私は、昭和四十四年からずっとこうした調査を、いろいろな調査の中でこの項目がありまして、文科省として調査を続けてきていますが、これも一つ見直して、やはり警察の数の方が恐らく正確だろうというふうに思いますので、調査のやり方もしっかり見直した上で事実をしっかり把握していくということの中で、それを対応にどうつなげていくかということが最終的には大事だと思っておりますので、必要なところは見直しをしながら、また、やるべきことはやるという形で、いろいろ今回の事例も踏まえて検討して、次に向かって取り組んでいきたいと思います。

小林(正)委員 ありがとうございます。

 今、副大臣から非常に前向きな御答弁をいただきました。ぜひ、そのことを実際に実行に移していっていただきたいと思う次第です。

 次に、平野文科大臣が提唱されました、いじめに関する大臣直轄の新組織についてお伺いいたします。

 これは、大臣が、去る七月二十二日のNHKの番組の中で、大津市の生徒の自殺問題を受け、省内に支援チームをつくるというところから述べられました。その新組織については、報告を受けるだけの受け身ではなく、現場とともに動く実動部隊であると説明をされ、対策室をつくって、室長に官房長を置くとも話をされていました。

 そこで、お伺いいたしますが、支援チームという新組織と対策室との関係はどのようになるのでしょうか。また、対策室の位置づけなど、今考えられている支援チームの簡潔な組織図などあれば、お示しください。

高井副大臣 当初、いろいろ支援チームという形で検討をするというふうに大臣が最初おっしゃいましたけれども、その結果として、八月一日に、文部科学大臣決定により、子ども安全対策支援室という形でしっかり位置づけた、設置したということでございます。

 これは、子どもの生命、安全が損なわれるような重大事案、事故への対応や、その危険性がある事態への対応について、学校や教育委員会を直接的に支援する業務を担うということで、しっかり設置をさせていただきました。

 これらの事案を担当する局、課はそれぞれいろいろ異なりますけれども、緊急の事態が発生した際に、縦割りの組織をまさに超えて、子ども安全対策支援室が司令塔となって迅速に対応できるようにということで、大臣官房に設置して、関係局の職員もメンバーに入っております。いじめ問題の未然防止、再発防止の観点からも、文科省と警察の連携を図ることというのも重要であり、警察の職員の方二名、併任でございますけれども、新組織のメンバーに加えています。

 まさに関係省庁としっかり連携しながら、もちろん、いじめ問題の対応、今は一番それが大事ですけれども、例えば部活動や教育指導中の事故であったり、事件、それから不審者などによる凶悪事件とか、大変な被害をもたらした自然災害などへの対応ということで、子どもの安全に関する全てのことに対してバックアップをしていくという形で、しっかり、今度大臣官房の下に位置づけましたので、そのつもりで、省を挙げて取り組んでいくということで頑張っていきたいと思っています。

小林(正)委員 ぜひ、御答弁の中にあるような、行動的な対策室となることを望むところであります。

 ただ、私、この子ども安全対策支援室、必要なことに、当事者の参加があると思います。こういったチームをつくる最終的な目標というのは、いじめがゼロを目指すということでありまして、まずは、経験者の話をよく聞き、過去の不幸な出来事を教訓にすることからも始めなくてはならないと思います。

 例えば、私は、当事者によるNPOの方々、支援団体の方々、カウンセラーや有識者などといった皆様のお力をおかりすることもぜひ必要でないかと思います。遺族になられた方々の意向もお伺いしながら委員を選考されることを提案いたしますが、大臣、いかがでしょうか。

高井副大臣 この子ども安全対策支援室の立ち上げに当たって、国立教育政策研究所の研究官という方も加えて体制を整えたというところであります。まず、省内の連携、政府として連携できるところをしっかりメンバーとして入れ、常に当たるようにできるようにすること。

 それに加えて、今後、いろいろな個別事案等があると思います。そうした個別事案への支援ということに関しては、やはり事案によって専門分野、また対応の仕方の知見の蓄積なども違うかと思いますので、そうしたことをしっかり専門家から助言を得たいというふうに考えております。

 それを、どういうメンバーに、どの問題に当たりどういう助言をいただくのか、専門家、知見がある方々の情報を集約しながら、しっかり検討して、御指摘あったとおり、いろいろな経験ある方、また団体からも御意見も伺いながら、前に進めてまいりたいと思っています。

小林(正)委員 次に、大津で発生いたしました自殺事案の調査についてお尋ねいたします。

 遺族の要請を受ける形で、十月十七日に第一回目のアンケートが行われたと聞いております。私も実際に、そのアンケート用紙を拝見いたしました。

 そこで、確認いたします。この内容は、文部省のいじめに関するマニュアルをもとに作成されたのでしょうか。それとも、学校側が独自に準備したものでしょうか。お答えください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきまして、平成二十二年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議という組織を設け、審議のまとめを行いました。

 その審議のまとめにおきましては、万が一、児童生徒の自殺または自殺が疑われる事案が生じたときに、学校または教育委員会が主体的に行うべき背景調査のあり方をお示しいただいたところでございます。そして、子どもに対するアンケートにつきまして、アンケート項目の例示がその中でなされております。

 今回、当該中学校が作成をいたしましたアンケートの内容は、この例を参考に作成されたものと思います。

小林(正)委員 それでは、そのアンケートの結果を踏まえまして、学校側、教育委員会はどのような判断をし、どのような形で御遺族に伝えられたのか、把握している事実をお示しください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 学校においてアンケート調査を行い、その結果につきまして、御遺族に対しましては、十月の二十四日に、アンケート回答を集計した結果をお渡ししたと聞いております。また、その際には、個人情報が多いために部外秘とする確約書をあわせていただいたという状況のようでございます。

 また、二十八日には、聞き取り調査も含めて確認されたことを御説明し、いじめがあったと判断したことなどを報告されたというふうに伺っております。

小林(正)委員 今の答弁を聞きまして、個人情報という名のもとに、御遺族がアンケート結果を見たいと言っても開示しないことが条件にあったとも聞いております。非常にこれは閉鎖的であり、このことを知った国民の多くも、教育現場に対する疑惑や不信感を抱いたように思います。

 文部科学省はマニュアルを用意されていたということですが、被害者の要請に対し、一定の報告をするためのガイドラインなどといったものは示していなかったのでしょうか。

布村政府参考人 生徒アンケートにつきましては、文部科学省のマニュアルを参考におつくりをなされたというふうに先ほど申し上げました。アンケートの項目をいろいろな形で例示させていただいておって、それを踏まえて取り組まれたものでございますけれども、ガイドラインというか、アンケートとしてお示ししたものを踏まえて御対応されているということになります。

 そして、個人情報につきましては、どうしてもある程度配慮が必要であろうというふうにお考えになって対応されたものと思います。

小林(正)委員 先ほどの初鹿先生の質問と重なる部分がございますけれども、私なりの意見、要望も踏まえてお伺いいたしますので、その観点からお答えいただきたいと思うのです。

 先日、平野文科大臣が出演されたNHK番組の中で、NPO法人のジェントルハートプロジェクトの皆様方が非常に前向きな提案をされているということを知りました。私も調べましたところ、既に、NPOの皆様からは行政に対し貴重な要望をされていたわけですけれども、今回、大津の事件が起き、改めて文部科学省の見解をお聞きする必要があると感じましたので、以下のNPOジェントルハートプロジェクトの要望についてお尋ねいたします。

 ジェントルハートの皆様方は、事故後三日以内に基本的な調査をすることを要望しておられました。学校によるさまざまな誘導や隠蔽がなされる前に、子どもたちに対する調査を強く求められていたわけです。

 これには私も非常に同感であり、また、学校のいじめについて知っていることがあれば全て速やかに子どもたちから話してもらう、つまり、スピード感を持った対応をするという調査が、まず原因を第一段階として知ることのために必要であるわけですけれども、文部科学省として、今後、その点をしっかりと指導していただけるのでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 NPOジェントルハートプロジェクトの方々は、つらい事件にお遭いになられ、その体験、御経験をもとに、貴重な提言をいただいたものと受けとめてございます。

 今の点につきましても、文部科学省としては、児童生徒へのアンケート調査など詳しい調査について、御遺族の意向の確認などを前提として、早い段階で開始することが望まれるというふうに御回答をさせていただきました。そして、通知で、背景調査を行う際にもそのような観点から取り組む方向で指導をしているところでございます。

小林(正)委員 質問時間も残りわずかとなってきましたので、幾つか通告の順番を変えまして、事故報告書の作成について伺いたいと思います。

 こちらのNPOジェントルハートプロジェクトの皆さんは、事故報告書の作成を義務づけることを求めておられました。報告書の内容が自治体によって変わってしまったり、提出のあり方も任意ということでは、真実を探ることはできないと思います。

 文部科学省の主導で、ぜひ、事故報告書の作成を義務づけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 NPOジェントルハートプロジェクトの方々の御要望事項を踏まえて、文科省の回答としては、事故報告書につきましては学校や教育委員会の判断で行われるものであるが、背景調査に際しましては、御遺族の思いや要望に耳を傾けることが重要であると考えるというふうにお答えをしたところでございます。

 現在、事故報告書あるいは背景調査につきましては、できるだけしっかり取り組んでいただきたいという方向で、平成十八年にも事故報告書の提出を求める通知を出してございますけれども、今回の事案、あるいはほかにも全ての事案について報告をいただけていないところがございますので、今回のことを踏まえて、今後、先生御指摘いただいた方向も含めて、しっかり検討してまいりたいと考えております。

小林(正)委員 最後に一言申し上げます。

 子どもたちは、大人の姿を見て育ちます。子どもたちがいじめをし、それが原因で子どもたちの自殺につながっているということは、我々大人社会がいびつであるという証左でもあります。我々この委員会が触媒となって、各関係諸官庁の垣根を振り払い、そして、そのことがきっかけとなって、子どもたちが、今いじめに苦しんでいる子たちが救われるという結果になることを望んでおるところであります。

 きょうは、二人の政治家の先生方が来てくださっておりますので、時間も限られておりますけれども、思い至るところがあれば、御見解をお聞かせください。

高井副大臣 再三、朝からの委員会のいろいろな先生方の御意見で、役所の縦割りを超えて子どもの命を救うということをしっかり取り組んでほしいというお話、また、文部科学省として、やはり教育政策の責任者でございますので、かつ主体的に、迅速に、適切にできるだけ取り組んでいくように、本委員会の御指摘も踏まえた上で頑張りたいと思っております。

園田大臣政務官 私からも、内閣府という立場ではございますけれども、政治家としての発言ということでお許しをいただけるということでございましたので、一言、感想めいたものを申し上げますと、やはり今回のいじめの事案、先ほど来のさまざまな審議のやりとりの中においても、いわば、行政、あるいは現場、あるいは社会、親、それぞれの家庭、社会がございますけれども、それぞれがきちっと、もう一度、今般の事案を含めて意識改革がやはり必要なのではないかなというふうに感じた次第でございます。

 したがって、いろいろな教育委員会の課題も取り上げていただいておりますけれども、それだけではなくて、これまでのさまざまな取り組みが、文部科学省あるいは警察庁、あるいは内閣府も全体として拝見をさせていただいておりますけれども、そういった中で、それぞれがやはりもう一度意識改革を、いじめは起こり得るものである、そしてまた、その中において、それに対する対策と、それから、いろいろなツールがそろってはいるんだけれども、それがどうして始まったのかというところをもう一度確認する必要があるのではないかなというふうに思っています。

 そこから、さらに次の、もう一度、今までのデータも含めて、とり得る対策というものを総合的に行っていく、このことがやはり大切なのではないかなというふうに感じた次第でございます。

小林(正)委員 ありがとうございました。

 これで私の質問を終わります。

稲津委員長 次に、山崎摩耶さん。

山崎(摩)委員 民主党の山崎摩耶でございます。

 きょうは、質問の時間、ありがとうございます。

 まず初めに、滋賀県大津市の市立中学二年生がいじめを理由にみずから命を絶たれたことにつきまして、本当に弔意を表したいと思いますし、御家族、御関係の皆様に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 また、全国の児童生徒の皆さん、いじめられた経験を持っていたり、いじめた経験を持っていたり、そんな全国の児童生徒の皆さんから、私はSOSの声が聞こえるような気がします。国会もしっかりこのいじめ問題に取り組んでいく、このことをここにおられる委員全員で確認したいと思いますが、皆様、いかがでしょうか。

 特に、この青少年委員会、設立のときから、子どもが健やかに育つ、そのことに私たちが責任を持とうということで開かれた委員会でございますので、この問題にしっかり取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。

 まず初めに、ちょっと、このいじめが社会問題となってきたことにつきまして振り返ってみたいというふうに思います。

 昭和五十年ごろ、一九八〇年、九〇年代、大きな議論が世の中で起こりました。先ほども出ました北海道滝川の事件、福岡筑前町の事件、いずれも、実は事件の後、学校ですとか教育委員会の対応が大きな批判を呼んだ。国も、教育委員会への国の関与を強化する法律の改正などを行ってきた。

 しかし、この十年、二十年、依然としていじめが絶えない。文科省は、事件のたびに調査をして、通知を出して指導をする、実はこのことを繰り返してきた。しかし、根本的な解決にはやはりこれがなっていなかった。一方、学校の現場からは、非常に、事務的な作業の増加ですとか残業時間も増加している中で、教員たちが子どもたちにしっかり向き合えない、こんな声もたくさん聞こえてきております。

 その意味では、本当に、文科省初め内閣府、警察庁の皆さん、関係機関がこの問題に真剣に取り組んでいく。いじめをなくすということ、さっきから言われておりますが、いじめはやはり発生させない、この地域社会をどう連携してつくっていくか。このことに多分、関係省庁も意識改革をしていただきたいと思いますし、そうしないと問題解決にはなっていかないんだろう、こんな問題意識を私は持っております。

 その意味で、私なりに、ちょっと、このいじめの背景、要因というものを分析してみますと、三つぐらい要因があろうかなと実は思っております。

 一つは、やはり社会構造の変化でしょう。これだけ消費社会になると、子ども世界でも消費文化というものにかなり毒されてきている。それから、共同体、きずな、この弱まり、これがやはり子どもたちを支えていない、これが一つの要因かな。二つ目には、学校や教育委員会、ここにも問題がある、この指摘を私もしたいというふうに思います。三点目には、いじめも社会の変化を受けて非常に変質をしてきている。だからこそ、今までのようなやり方ではだめなのではないか。特に、ネットいじめですとか、さまざまな事象も出てきております。

 こういうことを考えますと、学校におけるいじめというのは社会病理現象そのものの反映である、そんなふうにきちっと私たちは捉えなきゃいけませんし、そうしますと、先ほど申し上げたように、やはり学校だけでは問題解決ができない、このことを再確認させていただきたいな、そんなふうに思っておるところでございます。

 きょうは時間も大変短うございますので、質問に入ってまいりたいというふうに思います。

 お手元に、皆様、御資料を差し上げてございますが、資料の一と二をごらんください。

 まず、これは、いじめと自殺の実態です。内閣府、警察庁のデータ、資料一ですが、二十三年で自殺が三百五十三人、小学生十三人、中学生七十一人、高校生二百六十九人です。うち、いじめが原因と思われるものは四人。これは、二〇〇〇年からの推移、グラフをごらんいただいてわかりますように、二百七十九人から三百五十三人と、やはり増加傾向にあります。

 資料の二は、文科省の調査結果です。二十二年度で百五十六人、小学生が一人、中学生が四十三人、高校生が百十二人。うち、いじめが原因は四人ということです。この調査を経年的に見ましても、やはり増加傾向にあるわけです。

 これらの現状につきまして、まずは、高井副大臣、どんな御所見を持っていらっしゃるか、伺いたいというふうに思います。

高井副大臣 御指摘のとおり、いじめは全般的には増加の傾向にあると思っています。

 いじめというものを幅広く定義して、やはり社会で、みんな、細やかな子どもの状態にも目を配れるようにということで定義を変えたり、いろいろなことを我々も努力してきて、いじめはどこにでも起こり得るし、起こっているんだと。だから、子どもたちに対してしっかりしたメッセージを発し、それを社会で、発生したとしてもそれを解消していく、なくしていく、そういうことに最大限取り組んでいくということをしていかなければならないという意思統一でやっております。

 自殺自体も全般的に増加傾向にあるんだろうと思いますし、この背景には、いじめの問題が恐らく要因の一つにはある可能性が高いというふうに思っております。深刻に受けとめるとともに、山崎委員御指摘のとおり、児童の自殺防止に向けて最大限やっていかなくてはなりません。

 また、この統計の違いは、先ほど御答弁申し上げたように、やはり警察の検視や事情聴取に基づくものの方が正しいだろうと思いますので、そうしたことも踏まえて、学校現場、一義的には一番近い人たちがしっかり支えていく、救っていくということを最大限取り組んでいくというふうな思いでこれからも頑張ってまいりたい、しっかりやっていきたいというふうに思っております。

山崎(摩)委員 普通、統計というものは、こうやって出てくる数が違えば、例えば文科省から、しかし内閣府、警察庁の統計はこうだったよ、あなたの学校の実数値はどうだったんですかと改めて現場にフィードバックする、そういうやりとりが必要なわけですが、どうも文科省はそういうこともおやりになっていらっしゃらないように思います。ぜひ、数値、フィードバックをお互いにしながら、連携しながら、正しい情報を共有していく、こんなことをお願いしたいと思います。

 次に、いじめの実態でございます。お手元の資料の三枚目でしょうか。これも文科省から頂戴いたしました。「いじめの認知(発生)件数の推移」ということでございます。

 ごらんになられて、先生方、いかがでしょうか。真ん中に波線が縦に二本入って、グラフが左から右に下がりという、三つあるんですが、ちょっと何か不思議というふうに思いませんでしょうか。私はちょっと違和感を持ってこの図表を拝見いたしました。

 昭和六十年からのデータですけれども、この六十年というのは、中野富士見中のいじめの事件がございました年です。この調査は、市町村教育委員会が記入した調査票を都道府県教育委員会でまとめて文科省が集計した、あくまで学校がいじめと認知したものだ。

 この図表から見てとれますのは、私なりに解釈しますと、大きな事件があって、それを機に対策をとると、がっと報告数がふえる、だけれども、だんだんまた社会の関心が低くなっていけば報告数も減ってくる、また社会の関心が高まれば学校からの報告数も増加する、そしてまたなだらかに減少する、このことの繰り返しの二十年だったような気がします。問題点は先ほど指摘いたしました。

 直近の数字では、二十一年度は七万二千七百七十八件、平成二十二年度は七万七千六百三十件で、実はこれは増加傾向です。

 この平成六年、平成十八年のところに波線が縦にあるんですが、これはどういう意味でしょうか。文科省、ちょっとお答えください。

布村政府参考人 このグラフの波線の背景について御説明をさせていただきます。

 いずれも、いじめの定義を見直したということが、並列的に比べられないという趣旨から、波線を入れさせていただきました。

 平成六年の調査においては、従前の定義にありました「学校としてその事実を確認しているもの。」という文言を削除いたしまして、よりいじめを認知しやすくしようとしたものでございます。

 また、平成十八年度からの定義の見直しにつきましても、従前ありました「一方的」「継続的」「深刻な」という、いろいろな意味にとれる言葉を削除し、これも、児童生徒の立場に立って、いじめをより認知しやすくするよう定義を変更したという趣旨で、波線を入れさせていただきました。

山崎(摩)委員 概念規定を変えたので一概に比較はできないという答えだったかというふうに思いますが、高井副大臣は、この全体の数字を見てどんなふうにお感じになりますか。

高井副大臣 いろいろ、この認知件数については、やはり、学校評価の問題もあったりして、多く出せば学校評価が下がるんじゃないかとか、そういう御指摘も委員会でも受けたこともあります。

 しかしながら、我々としては、やはり、いじめは存在し、どんなささいなことにでも、細かく児童生徒に目を配ってほしい。だから、重大な案件だけ報告すればいいのではなくて、もっと目を光らせて、広く、的確な実態把握をする上で、幅広いいじめというものの定義を捉えて、できるだけ報告をしてほしい、捉えてほしいというつもりで、こういうふうに定義をいろいろな事件ごとに見直してきました。

 なので、定義を幅広く捉えれば、今までこれだけに当てはまっていたものがここまでになるということで、数もふえるんだろうと思いますし、実態的にも、最初に山崎委員が御指摘あったとおり、社会の構造の変化やいろいろなストレス、また学校現場のいろいろな課題等もあったりする中でふえてきているんだろうと思います。ふえてはまた対応を講じるために発生件数が減っていくのか、また定義を変えればまたふえて、それに対応をするから発生件数が減るのか、それとも関心が減ったことによって減っているのか、極めて判断つけがたいところもあろうかとは思います。

 しかし、やはり、できるだけ広く定義を捉えて、アンテナを張って感性を高める、社会全体が子どもに対する感性を高めて、生徒の兆候をいち早くキャッチして対応するということが重要であると思っておりますので、その点からしてしっかり取り組んでいきたいと思っています。

山崎(摩)委員 後段の件はまた後ほどお伺いしたいというふうに思います。

 警察庁にお伺いをしたいと思います。

 現在、いじめ防止については、警察庁はどんな取り組みをしていらっしゃいますか。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 警察のいじめ防止の取り組みについてのお尋ねでございます。

 警察におきましては、学校警察連絡協議会あるいは学校警察連絡制度といった枠組みを通じまして、いじめ問題を含む学校との具体的な情報共有を図るなど、学校との連携によるいじめの未然防止、被害拡大防止に努めているところであります。

 また、いじめにかかわる相談に関しましては、電話によるもののほか、少年サポートセンターや警察署において、専門的な知識を有する職員が少年や保護者等からの相談に対応して、適切な助言を行うよう努めているところでございます。

 さらに、少年の規範意識の向上等を図るため、非行防止教室、被害防止教室を開催しておりまして、平成二十三年度には、全国の二万九千校余に警察職員等を派遣して、この教室を開催しているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、警察としても、いじめ防止に向けた取り組みを行っているところでございます。

山崎(摩)委員 七月十二日付の読売新聞があるわけですけれども、これによりますと、警察庁のまとめでは、いじめなどが発端となって刑事事件に発展したのは、二〇一〇年の一年間で百三十三件に上る、逮捕、補導された児童生徒のうち、中学生は二百二十八人を占める。

 いじめを受けた子どもが自殺し、事実認定が難しいケースでも、警察は刑事事件として立件してきたというふうにあるんですけれども、この報道の数字が正しいか、お答えをいただきたいと思います。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年中、いじめに起因する事件の件数、百三十三件、これによる補導、検挙人員は二百八十一人、うち中学生二百二十八人。統計数字は我々の統計数字と一致するものでございます。

山崎(摩)委員 また、いじめが原因の自殺で加害生徒が立件されたケース、幾つか具体的に伺いたいというふうに思います。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 少年の自殺の原因がいじめであった場合に、その加害生徒が立件されたケースということでございますが、例えば、平成二十二年に、当時十四歳の中学三年男子生徒が自殺をした事案では、同級生四人から教室で押さえつけられ、ズボンなどを無理やり脱がされた事実が判明したことから、三人を暴力行為等処罰法違反で地方検察庁に書類送致をしておりますし、同違反で一人を児童相談所に通告をしている、こういう事案がございます。

山崎(摩)委員 先ほど松浪委員からも御議論ありましたけれども、本当に日常的な軽い気持ちのいじめから、実は犯罪にまで行ってしまう、その辺がいじめ問題の非常に難しいところではありますが、しかし、一方で、度を過ぎればと言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、これはやはり犯罪につながるということを、私は文科省にも、学校教育現場できっちりそこは指導すべきだろう。その辺を子どもたちの中で認識を共有していく。

 先ほど池坊先生からは、諸外国の例で、子どもたち自身でちょっとしたけんかやいじめの問題解決をさせるみたいな指導方法も御披瀝がありましたけれども、どうもこのあたりが弱いのではないか。ですから、犯罪につながる、やはりこのことをしっかり教育現場でも私は認識していただきたい、学生に、子どもたちに指導もしていただきたい、そんなふうに思うわけです。

 時間がなくなってまいりましたので、文科省に再びお尋ねをしたいというふうに思います。

 実は、私も地元で教員の皆様といろいろお話をする機会もありまして、教員サイドからは、今の学校現場は先生たちが余りにも忙し過ぎて子どもたちに向き合えない、もっと子どもたちに向き合えるような環境づくりが欲しい、これはもう悲鳴に近いようなお声が本当に上がっております。事務作業の増加ですとか、または残業の業務量も大変増加しているのに、教職員配置の数の少なさ、これを指摘する意見も現場には多うございます。

 実際に、これは文科省の資料ですが、平成十八年度の教員勤務実態調査によりますと、平成十八年の一カ月当たりの残業は、何と約三十四時間です。昭和四十一年のときは八時間でした。これと比較しますと、何と四倍の数値になっております。

 この辺の教員の業務過剰みたいな問題を文科省はどう捉えていらっしゃるのか、または教員支援に何か改善策を講じようとなさっているのか、このあたりについてお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、教員の多忙感というのは私どもも認識をいたしているところでございます。御指摘の教員の残業時間につきましても、昭和四十一年が八時間、そして平成十八年は、平日が三十四時間、休日が八時間で、合計四十二時間という実態でございます。

 特に、教員につきまして、質の高い教育を行うためには、子どもと向き合う時間をしっかり確保することが重要であるというふうに認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、一つは、教職員定数の改善、ここ三年でも一万人以上の増に取り組んでございます。また、二点目として、地域住民の方々のボランティアによる学校教育活動への御支援をいただくという取り組みを進めてございます。三点目といたしまして、学校を対象として行う調査の見直しによる事務負担の軽減。そして、四点目として、教育委員会への調査委託研究によるすぐれた事例の普及ということで、ICTの活用ですとか事務の共同実施という事例も御紹介をさせていただいているところでございます。

 引き続き、教員の方々の負担を軽減し、教員が子どもと向き合う時間をしっかり確保できる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(摩)委員 また、いじめに関しましては、学校内の担任の教員と、専門職であります養護教諭ですとかスクールカウンセラー、これらのスタッフが連携をして対策をとっていかなければいけない。だけれども、なかなか養護教諭との連携とかスクールカウンセラーなどとの連携はうまくいっていないような気がするんですけれども、このあたりはどうでしょうか。

布村政府参考人 先生御指摘のとおり、いじめの問題への対応につきまして、担任の教員のみならず、養護教諭そしてスクールカウンセラーなどが十分に連携をして、学校全体で組織的に取り組むということが重要であると認識してございます。

 特に、養護教諭につきましては、いじめが疑われるなどさまざまな問題を抱えている子どもたちと日常的に保健室でかかわる機会が多く、このような機会や健康相談を通じまして問題の早期発見が可能となるということから、養護教諭が学級担任と連携して取り組むことも、一つ大きな、重要なことでございます。

 また、先生御指摘いただいたとおり、子どもたちの悩みや不安を受けとめて相談に当たる、心の専門家であるスクールカウンセラーの活用ということも、いじめの早期発見、早期対応に資するというものでございます。

 この点につきましては、平成七年度からスクールカウンセラーの配置を進める都道府県への財政支援を行っており、引き続き、この配置の一層の充実にも努めてまいりたいと考えております。

山崎(摩)委員 一万人増ということですが、これは政治家である我々も含めまして、やはり文科省に、こういう必要なスタッフの配置をする予算というのはしっかりとっていくべきだろうというふうに私も思っているところでございます。

 ちょっと時間が参りましたけれども、最後に一問、教育委員会の問題について触れたいと思います。

 私は、教育委員会改革というのは、今般の問題も含めまして、やはり非常に重要だと思っていまして、教育委員会廃止も考えるような、そこまで英断をした文科省の取り組みが重要かというふうに思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

高井副大臣 教育委員会制度について、いろいろな問題が御指摘をされてきました。

 我々自身も、政治家として、この間、民主党マニフェストにも基づいていろいろ検討してきたり考えてきたところでございます。

 今回の大津市の事案を踏まえて、事実関係を十分に把握した上で、教育委員会制度の本来の趣旨にのっとって、どこまで対応できているのか、そうした行政組織になっているのか、教育行政全体のガバナンスについても、今省内でタスクフォースを持ちまして検討を続けておりますので、今回の対応も踏まえてしっかり検討していきたいと思っております。

山崎(摩)委員 頑張っておられる副大臣初め文科省の皆様、内閣府の皆様、そして警察庁の皆様に、引き続き取り組みを強化していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

稲津委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 冒頭報告のありました大津市中学生いじめ自殺事件についてお伺いいたします。

 私からも、とうとい命を落とされたこの生徒に対して、心からの哀悼の意を表明したいと思います。

 今回の事件をめぐっては、国民の怒りは、学校と教育委員会の側に、いじめ問題に対する対応力がなく、隠蔽的な状況があること、これに向けられております。

 そもそも、学校は、当初はいじめをいじめと把握してもいませんでした。生徒の自殺後に生徒へのアンケートを行ったけれども、そこには、お金をとられていた、自殺の練習などの記述があったにもかかわらず、教育委員会は、事実確認ができないことを理由に公表せず、いじめの存在は認めたものの、自殺との因果関係は不明とし、調査さえ打ち切ってしまいました。警察も、三度にわたって父親の訴えをまともに扱わなかったということが明らかになっております。これらはいずれも、弁明の余地はないと言わなければなりません。

 二〇〇六年十月十一日、福岡県の中学二年生の生徒が、いじめを苦に、遺書を残し、自宅の倉庫内で首をつって自殺するという事件が発生いたしました。この年、北海道でもいじめ自殺がありました。

 これらの事件を受けて、文部科学省は、十月十九日付で、銭谷初等中等教育局長通知「いじめの問題への取組の徹底について」を発出しております。この通知では、子どもを守るべき学校、教職員の認識や対応に問題がある例や、自殺という最悪の事態に至った後の教育委員会の対応が不適切であった例が見られ、保護者を初め国民の信頼を著しく損なっていることを指摘し、実際にいじめが生じた際には、保護者や地域住民の信頼を確保することが重要であり、事実を隠蔽するようなことは許されないとはっきり述べているわけですね。

 しかし、今回の大津市の事件を見ますと、結局、同じ過ちを繰り返していると言わなければなりません。

 そこで、高井文科副大臣に聞くんですけれども、なぜこのような隠蔽が繰り返されるのか、どうお考えか、お答えください。

高井副大臣 厳しい御指摘、しっかり受けとめたいと思っております。

 御紹介があったとおり、この取り組みに対して通知を出し、いじめの問題を隠さず、しっかり対処していくべきというふうに通知もしてきましたし、隠蔽するような対応は決して許されないということは、現場に徹底してきたつもりであります。それにもかかわらず、こうした事案が起こった。

 今回、アンケート結果を、一部は公表したものの、事実確認ができなかった部分を非公表としたということなども含め、やはり、事実関係をしっかり確認し、できるだけ迅速に対応するということに対して、少し感性が、感度が低かったのではないかということや、事実確認をどこまでしっかり、生徒との信頼関係、保護者また地域との関係の中できちんと対応していけたのかどうか。個人情報の問題も当然ありますし、事実関係が確認できない中で全て出すということも確かに軽々にはできませんけれども、しかし、やはり、御指摘があったとおり、感性において、迅速さにおいて少し緩かったのは間違いないというふうに思っております。

 このような事案の再発防止のために、今度、子ども安全支援室というものを設けましたので、今回のそういう御指摘も踏まえて、しっかり検討して指導もしていきたいと思っております。

宮本委員 我が党は、この平成十八年の初中局長通知が出された直後、十月の三十日に、我が党の志位委員長が質問で、この通知を、文部科学省のこの方針はこの限りではそのとおりだと評価をしつつ、いじめの件数が多いか少ないかで学校と教員を評価するやり方が、いじめの実態を見えなくさせ、隠蔽の一つの原因となっていると厳しく指摘をしたわけですね。当時の自民党政権の答弁は、隠蔽は教員の規範意識の問題であって、数値目標を持っていじめを減らすやり方自体は悪くない、こういう答弁にこのときは終始をしております。

 しかし、今回の事件で私ははっきりしたと思うんですね。幾らこの十八年通知で、問題を隠すな、事実を隠蔽するような対応は許されないと強弁してみても、それだけでは隠蔽はなくならなかった。やはり、そこにはシステムの問題があるのではないか。

 私は、これは非常に大事な問題だと思うんですが、高井副大臣の御答弁をお願いいたします。

高井副大臣 学校評価そのものは、みずからの教育活動などの学校運営の状況を的確に、不断に検証することによって組織的な継続性や改善を図るということを目的にやっておるわけであります。

 教員評価ということも、求められる職務遂行能力をどの程度発揮できたのか、本人があらかじめ設定した目標をどこまで達成したかという、能力評価や業績評価をしっかり評価していくというものであって、生徒指導上の課題についても、問題が多いか少ないかだけではなくて、どういう対応をきちんとできたのかということ、十分に必要なことを行ったのかどうか、目標をしっかり達成していけているのかどうか、そういう観点からしっかり評価をしていくというものでありまして、数が多いから評価が下がるのではないかとか、そういうことで決して学校運営に問題が起こったりしてはいけない、それによって厳しく評価されるということだけであってはいけないというふうには考えてきました。

 なので、評価するというか、目標を設定したり、しっかり継続的、組織的に改善をやっていくということの大事さと、今回の隠蔽体質につながるということとは、直接には関連しているかどうか、私はそこは言いがたいところはあると思いますが、しかし、この委員会で先ほどから話があったとおり、やはりいじめをきちんと認知して、明らかにして、積極的に対応していくんだという点からも、数が多いということに対して決して否定的ではないということで、我々もぜひ細やかに認知するようにということでやっていきたいと思っておりますので、ぜひその点は御理解をいただければと思います。

宮本委員 片方で、あなた方は、どの学校でも、どの子でも起こり得ることだと言いながら、そういうことが起こった、いじめの数が多ければ評価が低くなるんじゃないか、そういう危惧が現場にはやはりあるわけですから、この問題を本当にしっかり見る必要があると思うんですね。

 答弁を聞いておりますと、文科省の言い分は、もうこの通達で既に出してきたんだ、しかし現場の感度が鈍っていたというものが多いんです。しかし、果たして本当にそういう問題で済むのか。

 そこで聞くんですが、最新の文科省の調査で、六五%の小学校が一年間に一度もいじめはありませんという結果になっている。これは、一昨日の参議院決算委員会で我が党の井上哲士議員が追及をして、そもそも六五%はないというのはおかしいじゃないか、こういうふうに言いました。それに対して、初中局長も、なるほど、日常的な実態把握のための取り組みの状況が低いという答弁もあったわけです。

 問題は、この調査全体が本当に実態を把握しているかということだと思うんですね。

 例えば、この調査では、不登校の調査もしております。現在、小中学校で約十一万五千人の不登校の子どもたちがいるんですね。この調査は、「不登校になったきっかけと考えられる状況」という項目があるんですよ、不登校の子どもたちの状況を聞いているんですよ。

 この回答で、不登校のきっかけがいじめだ、こういう原因だとなっているのは何%出ておりますか、高井副大臣。

高井副大臣 小中学校において二・三%となっております。

宮本委員 文部科学省のこの調査では、今あったように二・三%、全体のわずか二・三%だというふうになっているわけです。これは、関係者の方々、子どもの近くにいる関係者からは、何を見ているのか、とても信じられないほど低過ぎると、あきれ顔の声が返ってきているんですね。

 そこで、内閣府にきょうは来ていただいています。副大臣に聞きますけれども、内閣府が行った高校生活及び中学校生活に関するアンケート調査、ここでも不登校の原因について調査をしております。

 ここでは、最初に学校を休み始めた直接のきっかけとして、一番に挙げられているのは何で、どのぐらいの割合になっておりますか。

後藤副大臣 先生御指摘の調査は、平成二十一年二月から三月に、平成十六年度に高校を退学した者及び同年度に中学校三学年で不登校であった者に対して、学校生活等に関する意識調査を郵送調査したものであります。

 先生御指摘の、最も多い回答は、友人関係、いじめ、けんかなどが四五・九%であります。

宮本委員 四五・九%になっているんですね。

 それで、この調査は、原因となったものを複数回答できるようになっております。今答弁のあった友人関係以外にも、クラブ、部活動、いじめられた、他の部員と仲が悪くなったという理由も一七・四%を占めております。これは重複回答ありですから、重複があり得ますけれども、単純に足せませんけれども、半数程度、半数以上は何らかの人間関係のトラブル、いじめなどが不登校の原因になっているんですね。

 高井副大臣、なぜこんなに大きな差が出ていると思いますか。

高井副大臣 恐らく、調査の形式の違いであったり、いろいろな点はあろうかと思いますが、先ほど来、統計やデータの違い等の問題もあり、学校現場でどれほど把握ができているのかという、聞き方の問題、また、事実関係の認定の問題等の差もあるんだろうと思います。

 ただ、やはり、推測するとおり、かなりいじめというものは認知件数としても多いわけですから、恐らくどんな状況でも原因の一つとなっているんだろうというふうな御指摘は、それはそうだと思いますので、しっかり踏まえて取り組みたいと思います。

宮本委員 このいじめが半分以上という内閣府の調査は、不登校になった本人に直接聞いたものなんですね。それに対して、文部科学省がやっている調査というのは、学校、教育委員会を通じて行っているものなんです。つまり、学校、教育委員会を通じて調査したら、半分程度のものが二・三%になっている。まさに実態からかけ離れていると言わなければなりません。こういう統計をずっと認めて、そして垂れ流し続けていること自体が、現場のいじめに対する感度を鈍らせていると私は言わざるを得ないと思うんですね。

 それで、今回の事件を受けて緊急調査を行うということで、既に私の手元にもその緊急調査の文書が届きました。読ませていただきました。それで、この調査をどのようにして子どもに書かせていくのか、掌握していくのかというのが問われるわけですよ。

 私が聞いたある学校では、これはもう既に事前調査、これに基づくものではない、既にやったところですけれども、教室で子どもに配って、教室で書かせているという話を耳にしたんですね。これは、教室で配って子どもに書かせると、いじめる子がいる教室でいじめられている子が書けるということはあり得ないわけでありまして、そもそも、書いているということを見られるだけで、またいじめられるということになるわけですね。

 この文書を見ると、そういうことに対する配慮というのはどこにも書かれていないんですよ、この実施要綱その他には。当然、こういうことに留意するのは当たり前のことで、周知する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

高井副大臣 今回のアンケートは、二十四時間いじめ相談ダイヤルへの相談件数がぐっとふえたことによって、しっかりこの状況を緊急に把握するということのために発出をしたものでございます。

 ただ、児童生徒が置かれている状況は本当に学校によって違うと思いますし、把握の方法も学校や先生方によって違うと思います。先ほど来、学校の多忙化の話もありましたので、やはり先生が一番学校として把握しやすいやり方で、もちろん直接の聞き取りも結構ですし、学校によっては、アンケートというものをまず集めた上で、問題がある児童に当たるかもしれません。

 やはり、現場でまず主体的に、夏休みであることから、登校日や、また、そうしたアンケート、出したものを見てみて、どういうふうに把握するのか、いろいろな把握の方法については現場に工夫するようにお願いをしているところでありますので、その趣旨を踏まえて、定期的にきちっと児童生徒に対して、きちんと見ているんだよ、状況を教えてほしいんだ、困っていることを言ってほしいんだということを日ごろから各学校において適切な方法でやっていくということが大事だと思っておりますので、その点、実情に応じて適切な方法によって把握をしていくということを進めていきたいと思っています。

宮本委員 一昨日井上議員も指摘したように、私どもはやはり、この背景には、教職員の多忙化、教員評価、学校評価など、学校の仕組みそのものに原因があると言わざるを得ないと思っております。

 今回の事件の真相を徹底究明するとともに、学校現場にどんな問題があるのか、社会全体として取り組むべき課題は何か、これを明らかにして、子どもたちを守ることに政治も全力で取り組むことが必要だということを指摘して、私の質問を終わります。

稲津委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉です。

 またいじめ問題、本当にとうとい命をみずから絶つ。本当に許せない、そういう思いでいっぱいでございます。

 いじめという言葉からくる響きやイメージは、暴力、暴行、恐喝、リンチ、殺人未遂、こういう言葉よりもどこかいじめというものは軽くて、犯罪性はない、罪には問われない、こういう語感が自分自身にも率直にあります。

 しかし、このいじめというものがいろいろな経過の中において、それぞれ、金銭強要なり、さらには集団暴行なり、いろいろ重なり合って、いじめられている子どもたちの精神的な部分について、もう世の中を生きていかれない、こういう思いが強くなってくる。こういったときに、いじめというものについては、いろいろなことがあるんだろうというふうに思いますけれども、まさに犯罪行為、これに必ずつながる、こういうきちっとした捉え方が私は必要なんだろうなというふうに思っております。

 宮崎で高校生がいじめ相手を溺れさせて意識不明、重体にさせた事件、これはまさに殺人未遂だろう。しかし、ニュースでは、いじめ、こういうふうに報道をされているわけでございます。

 文科省は、いじめとは心理的、物理的な攻撃、こういう定義をしております。そして、きょう松浪理事からも、このいじめの定義について、犯罪性の問題等含めながらの一つの定義づけに対する政府の考え方をお聞きした状況でもございました。

 そんなものの中では、十八年から新しいいじめの定義、こういうことで今文科省としては捉えているようでございますけれども、この定義があるから、何か非常に、自分自身としては、現場の段階、さらには犯罪まで持っていかれるような、そういうものについて、合わないのではないか。

 やはり、今の現状の陰湿ないじめ、この状況を見たときに、この定義づけというものについて今考え直す、そういう必要が私はあるんだろうというふうに思うんですけれども、副大臣として、この定義というものについてどういう所感を持っているのか、お伺いします。

高井副大臣 このいじめの定義は、学校現場や児童の中でしっかり、いじめの定義を、被害者の心情に沿った、より広く認知して、それに対応していくという観点から、いじめの兆候をできるだけ早く察知して迅速に対応するために、こうした形で、できるだけ広くとれるようにしてきたということであります。

 先ほど来、松浪委員のときにも、また局長が御答弁した中にも、平成十九年の初中局長通知において、問題行動の中でも、特に校内での傷害事件を初め、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけでなく、直ちに警察に通報し、その協力を得て対応するということなどを、学校における適切な対応をすることということで、さらにしっかり求めているところであります。

 犯罪要件に当たるかどうか。しかしながら、かなり、金をとるとか暴力行為であるとか、本当に先生お触れになったような事例は殺人未遂に近い。犯罪は犯罪であるので、そうした面はしっかり教えていきたいと思いますけれども、どこまでがどう犯罪要件に当たるのかというのは、やはり個別の案件もございますので、できるだけそれは広く、警察との連携をする中で、こういう犯罪に当たりそうだということは警察に聞きながら、必要なことは対応してもらうということもしっかりやっていきたいと思っております。

吉泉委員 学校の中において、やはり学校は子どもたちの社会だというふうになるわけでございますけれども、その中において、いじめ対策ではなくて、いじめ、さらには犯罪、こういう一つの社会通念上の教育、このところについては、それぞれ学校現場の中でやられているんだろうというふうに思うんですけれども、どういうふうにしてやられているのか。そしてまた、どのぐらい時間がとられているのか。

 例えば、学校の中においていじめがある、教室で先生がいじめの教室をやった場合は、必ず、いじめられっ子に対していじめている子が、あんたがチクったのではないかみたいな、そういうことで、先生も非常にやりにくい、こういう学校現場での現状があるというふうに思っております。

 そうした中では、少し統一的な、今の二十四時間ダイヤルなり、いろいろな全国の起きている共通的な、そういったところをある程度文科省として考えながら、学校における、いじめ対策ではなくて、いじめに対する教育という、このことをしっかりこれからやっていかないと、ただアンケートとか何かをやったってしようがない、こういうふうに私は思うんですけれども、その辺の考え方はどうでしょうか。

高井副大臣 まさに、ただ情報収集するだけのためにアンケートをやるわけではなくて、やはり、しっかり緊張感を持っていただく、いじめというものを広く定義して、しっかり子どもに対して、国も見ているんだ、対応するんだと、先生にも、教育委員会にも、また子ども自身にもわかってほしいということのために、まず緊急に調査をするわけであります。

 その上で、それをしっかり、上がってきた調査の状況や対応をきちんと分析して、つなげていく。きょう、いろいろな御指摘があったことや、警察との連携なども、そういう指摘を踏まえてしっかり取り組んでいくということをしていかなくてはならないと思っておりますので、そのために、大臣官房の下に子ども安全対策支援室というものを設けまして、警察の方にも入っていただきますので、ただするだけではなく、情報収集をした上で次の対応を打つということで、いろいろ考えていきたいと思います。

 八月中には総合対策の方針みたいなものをきちんと出していきたいと思っておりますので、またよろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。

吉泉委員 アンケート調査、それぞれの対応の仕方、しかし、現実に子どもたちが受けとめているところとは本当にこれはかけ離れている、そういうふうに思います。

 その中で、二十二年の十二月に行った、いじめの問題についての取り組み状況に対する緊急調査、これの結果を見ますと、それぞれ都道府県、政令都市、市町村で、九八%の教育委員会が、学校のいじめの実態については把握に努めている、こういうふうに回答をしているわけでございます。そしてまた、学校なり保護者への対応についても、それぞれ、一〇〇%、適切に行っている、こういうふうに回答しているわけですね。

 これはどうなんですか。こういう、しっかりやっているというふうになれば、そんなに問題もないわけでございます、問題が起きてくるわけはないわけです。

 ですから、もっとその辺の、いじめというものが犯罪につながっていく、ましてや命まで奪っていく、そういったところにつながっていくんだと。それぞれ、子どもから見れば、最初はいたずら、そこから始まるんだろうというふうに思うんですけれども、そういう一つ一つの状況というものについて、現状というものについて、やはり子どもたちにしっかり教育、教えていく、そういうところが私は必要なんだろう。

 そういう一つのものについて、今回の滋賀の事件について、文科省の、派遣をしていく、そういう対策室をつくって対応するということについては率直に評価をしたい、こういうふうに思います。

 ですから、私は、先ほど申しましたように、定義づけなり、そのことなんかも含めて、今起きているいじめというものについて、やはりしっかり対応していかなきゃならないというふうに思うので、アンケートとか調査とか、そういうものの回答を求めて、それで対応するのではなくて、やはり足を運んで、それぞれ文科省としての対応をしていく、こういうことが必要なんだろうというふうに思っておりますので、その点について、見解をもう一回お伺いさせていただきます。

高井副大臣 この間、御指摘あったように、十八年からいろいろないじめの重大な案件が起きて、通知を出したり、徹底を図ってまいりました。

 その一つのあらわれとして、かなり一〇〇%に近い状況で対応しているということでありますが、しかしながら、それでもこうした事案が起きてしまったということで、今回、警察も踏み込んだということもありますし、我々としてもやはり危機感を持ってやらなくてはならないということで、子ども安全対策支援室というのを大臣官房の下に直接設けたわけであります。

 この中で、やはり今、いじめの事案、いろいろな事案がございます。いろいろな事件、事故が起こると思います。そういうことを、何かあったときにすぐ対応できる体制としてこういう形をつくりましたので、しっかりこうした指摘も踏まえて、取り組みの徹底というのをやっていきたいと思いますし、この調査を踏まえて次の対策につなげていくということを、緊張感を持ってやっていきたいと思っています。

吉泉委員 先般の報道の関係で、大津市の教育長がこういう発言をしたんですよね。家庭も自殺の一因である可能性がある、こういうことを報道機関の前で平然と発言をしている。アンケートを実施したにもかかわらず、いじめと自殺の因果関係はわからない、こういう発言が教育長から出されている。これは、非常に驚いたところでもございます。

 ですから、私方から考えますと、やはり、いじめというものは犯罪という認識、ここはもっともっと強くしておかなけりゃならない、こういうふうに思います。

 学校現場の中でいえば、犯罪はやはり見過ごすわけにはいかないし、そして、それを明らかにしていくということについて、また子どもを教えている部分について、犯罪者にはしたくないという思いは、教師としては非常に強いものだろうというふうに思っております。

 しかし、現にこういう状況が、つまり、いじめが犯罪、まさしく犯罪に、強いものになっているということについてしっかり受けとめながら、これからの対応をしていかなきゃならない、こういうふうに私は思っているところでもございます。

 そして、今回のこの事故を教訓にしながら、それぞれ、各教育委員会に、第三者性を持った心理・児童福祉等の専門家が入ったチームを設置するとか、まさに教師一一〇番のような、そういう教員のいわゆるサポーター、さらには、教師が悪いとか、そういうふうに批判されることにならないような対応というものについて、やはり文科省としてきちっと確立をしながらこのいじめ問題について強力に取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、来る六日月曜日午後一時、参考人として花園大学客員教授水谷修君、PHP総研教育マネジメント研究センター長亀田徹君及びNPO法人ジェントルハートプロジェクト理事小森美登里君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る六日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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