衆議院

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第3号 平成25年4月25日(木曜日)

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平成二十五年四月二十五日(木曜日)

    午後零時三十分開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 北川 知克君 理事 鈴木 淳司君

   理事 中根 一幸君 理事 永岡 桂子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 坂本祐之輔君 理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    秋元  司君

      岩田 和親君    熊田 裕通君

      小林 茂樹君    新開 裕司君

      田畑 裕明君    豊田真由子君

      堀内 詔子君    宮川 典子君

      武正 公一君    柚木 道義君

      遠藤  敬君    西野 弘一君

      輿水 恵一君    畠中 光成君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 杵淵 智行君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山崎 史郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 岩尾 信行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  萩原 秀紀君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        伊澤  章君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 小川  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     豊田真由子君

同日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官杵淵智行さん、内閣府政策統括官山崎史郎さん、法務省大臣官房審議官岩尾信行さん、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹さん、法務省人権擁護局長萩原秀紀さん、文部科学省初等中等教育局長布村幸彦さん、文部科学省高等教育局長板東久美子さん、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人さん、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦さん、厚生労働省大臣官房統計情報部長伊澤章さん、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長小川誠さん、厚生労働省社会・援護局長村木厚子さん、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義さん。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 委員会最初のトップバッターということで機会をいただきまして、本当にありがとうございます。また、森大臣初め各省政務、そしてまたそれぞれ参考人の皆さん、本当にありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 それでは、まず前半は、大臣も所信で述べられました若者の自殺問題あるいはいじめ問題、さらにはニート、ひきこもりなどの問題について御質問させていただき、また、残された時間の中で、当然青少年の健全育成にもかかわる育児支援についてお尋ねをさせていただいてまいりたいと思っております。

 まず、若者の自殺問題についてお伺いをさせていただきます。

 国際的にも日本の自殺率は全体としても非常に高い中で、私たち民主党政権以降の三年間、減少傾向に転じているというのは、この間の質疑の中でも御存じのとおりです。ついに昨年度は十五年ぶりに自殺者が三万人を下回る、こういった傾向になってございます。

 そういった意味では、私も含めて取り組ませていただいてまいりました社会的包摂といいますかソーシャルインクルージョン、今まさに、社会的包摂サポートセンターなど、自殺対策も含むワンストップの相談機能強化というものが一定の成果につながっており、現政権におきましても、ぜひ継続的な、かつ取り組みの強化をお願い申し上げたいと思っております。

 そういった中で、自殺をされてしまう方全体は減少傾向にある他方で、若者の自殺者については、二十四年度の数値は減少になっておりますが、この十年間ぐらいの推移を見ておりますと、十九歳以下はほぼ横ばい、さらに二十から二十九歳は残念ながら微増傾向にあるというのが、これは大変ゆゆしき現状であるというふうに考えております。

 そこでお伺いをいたしますが、政府といたしまして、これは民主党政権下の昨年八月二十八日に自殺総合対策大綱を閣議決定しておるわけですが、その大綱の内容を二十五年度予算の中でどのように具体的施策として実行していくのか。これは、教育段階であったり、あるいは学校卒業後に社会に出た段階、それぞれのお取り組みをお答えいただければと思います。

森国務大臣 柚木委員の自殺問題へのお取り組み、評価をいたします。

 若年者の自殺死亡率が減少しておりませんで、全体が下がっている中で、この問題は看過できないなと思っております。

 自殺問題というのは、民主党政権時代に柚木委員を中心としてお取り組みをいただきましたが、実はその前から自民党政権下でも取り組まれてきた。つまり、政権交代にかかわらず、ずっと政府が取り組んできたということの成果であると私は思っておりますので、民主党政権で取り組まれておられたことをもちろん引き継いでまいりますし、大綱も生かしていきたいと思っています。

 一番最初に大綱を十九年につくったときは第一次安倍内閣でございましたので、今は第二次安倍内閣となって、安倍総理もそのときの思いが大変強うございます。そして、第一次安倍内閣でつくられた自殺対策大綱に基づきまして、麻生総理のときに、実は、地域の自殺対策の基金が初めて創設をされたわけでございます。

 ですので、現在財務大臣の麻生財務大臣も強い思いがあるということで、かなり理解のあるお二人が、今、総理、副総理というふうにいらっしゃるので、私も、自殺対策はしっかりと取り組めるなという思いをしているところでございます。

 若者の自殺は、二十代が、二十から二十四、それから二十五から二十九歳、どちらも、死因の一位が自殺なんですね。死亡の原因の第一位が自殺というのは、これは世界的に見ても類を見ないことなんです。大変残念なことです。

 もちろん、日本において、交通事故対策、治安の安全とか、医療が進んでいるということもあるかとは思いますが、若い方がみずからの命を絶つということがないようにしていかなければならないと思います。

 御指摘の大綱の改正されたものをもとに、まず、教育面におきましては、いじめ対策等総合推進事業を平成二十五年度の予算案の中に盛り込んでおります。児童生徒の健全育成を目的とした活動の取り組みを支援するでありますとか、スクールカウンセラーの、自殺予防、困難やストレスの対処方法等に資する教育プログラムをこれまでにも増して厚くしていくというところをしていきたいと思います。

 そして、教育段階を卒業しまして地域に出てからも、ニート等の若者の就労を強力に支援しましたりするということで、地域若者サポートステーション、いわゆるサポステと言われている事業も、平成二十四年度の補正予算で盛り込んでおります。

 また、先ほど御紹介させていただきました地域自殺対策緊急強化基金、麻生元総理時代に創設したものを民主党政権下においても積み増しをしていただいて継続的に行ってきたということがこの自殺対策に功を奏してきておると思いますので、若者に対しても、地域の取り組みをその基金の中でしっかり行っていくようにしてまいりたいと思っております。

柚木委員 大臣、ありがとうございます。

 御答弁いただいた内容にも関連して、引き続き、もう少し具体的な中身をお尋ねさせていただきたいと思います。

 今おっしゃっていただいたような形で、大綱の具体化あるいは拡充という形でしっかりとお取り組みをいただくことをお願い申し上げながら、いじめ問題、これは当然、この間、まさにいじめや体罰による自殺というものが今社会問題となっている中で、先ほど少しお触れをいただきましたが、学校現場におけるそういったお取り組みを、本当に、まさに党派、政権関係なく強化していかなければいけないという認識は同じくしております。

 今少し御紹介もいただいた部分でもあるんですが、文部科学省といたしまして、そういったいろいろな社会問題となっていることも踏まえながら、いじめの緊急調査を行われておりまして、二十五年度予算でも、いじめ対策等総合推進事業に四十八億円を計上されております。

 ただ、実は、いじめの実態把握に関するアンケート調査でございますが、これを実施していないと回答している学校が全体の五・四%もあるんですね。これは、例えば小中学校全体でいえば千二百校とか千三百校ぐらいにも上るわけでございまして、まずは、本当に全校でこの調査をしっかり回答していただける、それをしっかりとやっていただくこと、その上でまさに対策を講じていくということでなければ、余り例を出すのもあれですけれども、滋賀の大津の学校でああいったことが起こったときに、では、あの学校が、例えば荒れた学校で、それこそ、先ほど大臣が言われたスクールカウンセラーとかあるいは人権擁護委員さんとか重点的に配置をされるような対象であればまだしもその実効性が上がり得るわけですが、実は、それこそ道徳教育とかを初めモデル校であったというようなお話も聞いているわけでございます。

 この五・四%の中に、ひょっとしたら、そういった問題事象といいますか、そういったものが含まれている可能性もあるわけですから、まずしっかりと全校で回答いただく、ともすれば、よくない状況にある学校が回答していない可能性だってゼロではないわけですから、まずその一点をお願いしたいということ。

 もう一つ、まとめて伺いますが、いじめ対策といたしましても、早期発見による早期対応が効果を上げると言われているわけですが、そのアプローチの手法についてはいろいろあるということでございます。直接的な身体への暴力によるいじめというのが、ある意味では見えやすいわけです。ただ、日本では、無視とか、あるいは最近ではメールやネット上での陰湿ないじめが非常に特徴、顕著であると言われているわけでもございます。そこで二点目は、こういったいじめの種類に応じた対策というものが求められてくると思いますが、それについてどのようにお考えか。

 一点目の、全校でちゃんと回答していただくという取り組みと、二点目の、いじめの種類に応じた対策、御答弁をお願いいたします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 最初にアンケート調査についてでございますけれども、先生御指摘のとおり、いじめの問題の早期発見、早期対応の前提といたしましても、いじめの実態把握につきましては定期的なアンケート調査の実施をしていただくということが重要なテーマでございます。

 先ほど数字の御指摘もございましたけれども、アンケート調査については、小学校で九六・八%の学校で実施しておられます。また、中学校では九八・一%、高校で八五・六%という実態で、全体の平均として九四・六%ということで、いまだ全ての学校で適切に実施はいただいていないという状況でございますので、この点は、文部科学省としても、教育委員会を通じて、確実に実施いただくことを指導を重ねてまいりたいと考えております。

 それからもう一つは、いじめについてもさまざまな態様があるという実態でございますけれども、文部科学省としても、毎年、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査という調査を実施しております。

 その中で、いじめにつきましては、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」という軽い程度のものから、「ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする」という事例ですとか、「金品をたかられる」ということで、いじめの態様の区分をお示しし、区分ごとの件数を学校に把握していただくということを求めているところでございます。

 そして、これらのうち犯罪行為として取り扱われるべきと学校において認められる行為については、そうでないいじめと区分して対応することが必要となりますので、児童生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められるときは早期に警察に通報、相談するようという観点からも指導を行っているところでございます。

 御指摘いただきましたように、文部科学省としては、引き続き、各教育委員会を通しまして、全ての学校にアンケート調査の実施を求めるというふうに指導させていただくとともに、いじめの態様など、その学校の状況あるいは子どもの状況に応じた適切な対応がなされるよう、そういった点も指導してまいりたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 これは関係政務の皆さんにもお願いなんですが、前回の青少年特で、まさにあの大津のいじめの問題があったときに、参考人の皆様、専門家の皆さんからお話を伺いました中にも、今、教育委員会等を通じてとありましたが、例えば、人権擁護委員の皆さん、既に今回のこの大綱の中にも、そういった人権擁護委員の方などが手紙等のやりとりを通じて、子どもの人権SOSミニレターなどの取り組みを引き続き実施するとあるんですが、これはスクールカウンセラーのみならず人権擁護委員を初め専門職の皆さんの配置が、まだまだ、本当に全体の何割程度という状況でございますから、ぜひ可能な限り現場に配置をいただいて、しかも、なるべく、受けの状態、待ちの状態ではなくて、やはりこちらから出ていく、この後のニート、ひきこもり対策にも相通ずる部分だと思っておりますので、ぜひそのような実際の運用上の工夫もお願いを差し上げて、引き続きの質問に移りたいと思います。

 ニート、ひきこもり対策についてお伺いをさせていただきます。

 実は、私の初質問がこのテーマだったんですね。もう二〇〇五年のことになりまして、きょうで七十五回目の国会質問の機会をいただいていますが、この問題は、当時から、では、本当に改善されてきているのかどうなのか、私自身、本当にじくじたる思いを抱きながら、状況の推移を注視してきた部分がございます。

 御案内のように、ニートといいますのは、十五から三十四歳で、職についておられず、家事や通学もしておられない方ということでございまして、そういった皆様がひきこもりという形で社会的な孤立を深めていかれる。その先にあるものが、場合によってはみずから命を絶たれることであったり、あるいは犯罪行為であったり、本当にさまざまな問題事象につながっていくということも起こっております。

 さらに、我が国の少子化問題の大きな要因として、若者たちに仕事が見つかりにくい、見つかったとしても正社員としての安定雇用が難しいという指摘もございます。

 私は、この委員会で、本当に問題が深刻だと思うのは、先ほど自殺問題に対する対応もお尋ねしたわけですが、実は、若者の自殺者の中で非常に多いウエートを占めているのが無職の方なんですね。

 つまり、自殺の要因として、健康問題、経済的な問題ということがよく指摘をされるわけですが、若者の自殺の中で、無職というのが本当に勤労者と半々ぐらいのウエートを占めているということからすれば、これは、ともすれば、無職ということが、未婚や晩婚化や少子化につながっているのに加えて、命まで奪ってしまっているという容赦なき現実を我々は突きつけられているということなんだとも思うんですね。

 そこで、質問をいたします。

 政府として、こういったニートなどの若者の職業的自立支援策として、先ほど大臣の御答弁にもありました地域若者サポートステーション事業、これは二十四年度補正でも拡充されています。また、ひきこもり対策推進事業の拡充によって、この二十五年度予算で、ひきこもり支援コーディネーター配置や、ひきこもりサポーター養成研修・派遣事業を新規に実施とあります。

 ただ、先ほど申し上げましたように、相談を待っているだけではなくて、やはり御家庭にお訪ねをする、あるいは地域でそういった講習会なり相談会なりを行う、このようなアウトリーチ型の取り組みというものが、まさに、政権がかわろうが、共生社会、ともに生きる、ともに支え合う社会として我々も取り組んでまいりましたが、これを拡充していくという姿勢が重要なんだと思うんですね。

 その前提でお尋ねします。

 せっかく今御紹介もいただいた、ひきこもり地域支援センターの相談支援、これで保健所や病院、若者サポステなど関係機関につないだ実績が、これまで三千人近くに上っているんですね。上っているんですが、実は、この実績三千人というのが、本来のこの支援事業の目標である就労にまでたどり着いているかどうかについてのフォローができていないんですね。

 若者のサポステ事業の方は、就職につながったのが、当初、十八年度実績が六百五十人です。これがどんどんふえて、今や一万三千人を超えるまで就労につながっているという実績があるわけです。

 そうすると、きょうそれぞれの部局にお越しいただいているわけですが、厚労省で、社会・援護局が行っているひきこもり対策推進事業、他方で、地域若者サポステ事業というのは能力開発局が行っておられるわけです。よく縦割りということが言われるわけですが、同じ省内の中でもそういった、縦割りという言葉は余り私も使いたくないんですが、情報共有が必ずしも十分でない中で、ひょっとしたら、先ほどの三千人の実績を、まさにそこから一万三千人の実績につなげていける可能性がそがれているかもしれないんですね。

 ですから、このメニューについては先ほど御答弁もいただきましたから、ぜひ、社会・援護局と能力開発局に連携をいただきまして、おのおのの施策の実効性をより高めていただくべきだと思うんですが、それぞれ担当のお答えをいただけますか。

村木政府参考人 ありがとうございます。

 縦割りを避けて、私の方から全体のお答えを申し上げたいと思います。

 ニートの若者については、先ほど来お話がありますように、地域若者サポートステーションで、専門的な相談、特に苦手なコミュニケーションの訓練、それから職場体験など、就労に向けた支援のところをしっかり行っております。

 先生にも今御指摘をいただきましたが、二十四年度の補正予算でも、箇所数をふやすと同時に、いわゆるアウトリーチ、学校と連携をして、中退をしておうちに引きこもってしまった方々の訪問支援なども拡充をいたしました。

 それから、ひきこもりの方の専門機関であるひきこもり地域支援センターでは、相談、訪問、居場所づくりなどの支援を行っております。

 二十五年度の予算案におきまして、早期の把握と継続的な相談支援ができるように、ひきこもりサポーターを養成して、これをやはりアウトリーチで派遣するという形にしたいと思います。

 それぞれの専門機関が得意な部分を生かしながらでございますが、先生おっしゃるように、関係機関の連携というのは、学校も含めてでございますが、非常に大事になってくると思います。

 例えば、ひきこもりの方々が少し外に出られるまではひきこもり地域支援センターで、就労が視野に入ってきた段階で地域若者サポートステーションにつなぐというようなことをやりたいと思いますので、特に関係機関で支援対象者の情報共有がきちんとできて連携がとれるように、実効ある支援ができるようにしっかりやっていきたいと思います。

柚木委員 まとめての答弁、ありがとうございます。

 今、自殺の問題、とりわけ若者のいじめ問題、さらにはニート、ひきこもり対策等を申し上げました。それぞれ、これからの日本の未来を担う若者や子どもたちへの本当に重要な取り組みを、しっかりと私たちもさせていただきますので、お願い申し上げます。

 残り、ちょっと育児支援についてお尋ねをさせてください。

 きょうは資料をおつけしておりまして、一枚目、けさの朝日新聞の社説で、ちょうど私も質問を申し上げたいことがここに書かれておりまして、「育休三年 当然、男性もですよね」というタイトルの中でいろいろ書かれていますので、ここにも関係する部分をお尋ねしたいと思っております。

 まず、安倍総理がせんだって、育休三年への拡充に向けたいろいろなメッセージを発信されています。それ自体、私は否定するものではありません。むしろ、本当にこれが実現すれば、日本が新たな子育てに対するステージに進むのだろうと思うんですね。

 ただ、現状が本当にそういう認識なのか。かつて私は厚生労働委員会で、例えば育休や介護休暇をとったために首になったという育休切りとかいうような事例も質問して、これは明確な法律違反ですね、しかし、現実にそんなことも起こっている。特に中小企業でいえば、一年とるだけでも大変なんですね、三年なんてどういう世界なんだと。

 この状況も踏まえつつ、私ごとではありますが、娘が今二歳ですが、妻ももう職場復帰しておりまして、四月からは、実は時短、いわゆる短期間勤務というものをこれまでやっておったんですが、女性の多い職場なものですから希望者が多いんですね。ですから、それから漏れてしまって、かすみがせき保育園に申請をしたら、待機児童七番目ということでもあります。

 育休三年が実現すると職場で何が起こるかというと、三年とった分、周りの人たちは当然、うちの妻なんかもそういう対象でしょう、時短勤務とか短期間勤務をとろうと思っても、当然お子さんが小さい方が優先ですから、三年とる方の分をフォローしなきゃいけませんよね。そういうことも含めた本当に実効性のある取り組みをいただかないと、変な話ですけれども、ありがた迷惑になりかねないわけです。

 ですから、ここは、打ち上げていただくのは結構ですが、実効性のある取り組みをお願いしたいんですね。当然、保育園などのハードの整備も、これは我が政権もそうでしたが、ぜひ進めていただきたいと思うんです。

 安倍総理がおっしゃっている中で、三年の育休を積極的に認めて子育て世帯の皆さんの活躍の可能性を大いに広げようとする企業に対しては、政府も新たな助成金をつくるなど応援していこうと思うと明言されているんですね。これは日本記者クラブでの会見です。

 そこで伺いますが、私が聞くところによれば、この新たな助成金というのは、キャリア形成促進助成金制度を拡充して、育休取得能力アップコースというものを新設されるというようなことでございまして、この新設されるコースの概要、簡潔で結構です、それから、いつから実施するのかというのを、一つは、これは寺田副大臣ですか、まずお答えいただけますか。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘の三年育休ということを安倍総理自身も口にされたわけでありまして、実は我々、今、内閣府の方で、二月の十三日を初回に若者・女性活躍推進フォーラムを定期的に開催し、女性の育休後の復職支援でありますとか、先ほど委員御指摘の、ニートあるいはまた失業中の若者が職場につけるような支援体制を整えていこうという議論をいたしております。この第一回目のフォーラムにおきまして、河田日本私立学校振興・共済事業団理事長から、学び直しというふうな御提案もありました。

 実は、今月の六日に、委員も中国ブロック選出でありますが、広島の地で第四回目のフォーラムを開催いたしまして、広島県知事からも、三年間の休みがあった後もしっかりと、広島県は県単独で千二百万円のこの支援プログラムを持っております、イノベーション人材育成事業という呼称でもう既に実施をしておりますが、これの全国への汎用化、この訴えも直接、稲田大臣とともにお聞きをしたところであります。

 今現在、具体的にどういうふうな制度設計にし、また予算づけを行うか、文部科学省、厚生労働省、また我々内閣府、内閣府は森大臣のセクションと稲田大臣のセクションと連携をとりながら、突貫で検討を進めているさなかであります。

 いずれにいたしましても、森大臣と連携をいたしながら議論を深め、具体策としてまとめることができればというふうに思っております。

柚木委員 今、寺田副大臣からは、しっかりまとめていきたいということですから、ぜひ、いつまでにまとめてやるのかというところまで踏み込んだ言及あるいは意気込みを森大臣からも、次の質問とあわせてお答えいただきたいんです。

 といいますのは、今のその新設される育休取得能力アップコースも結構です、本人のスキルアップ、三年も休むとおくれちゃうじゃないか、そういった不安に対応できるもので、非常に重要だと思うんですね。

 ただ、先ほど来申し上げていますように、本人がまずそれでよくても、周りの方、代替要員の確保育成、そういったところまで含めてやらなければ、事業主も、あるいは管理職の方も、なかなかどうぞどうぞというわけにいかない現実もあるわけです。

 この制度は、今、実は、やや縮小傾向にあるんですね、代替要員の確保の制度。中小企業子育て支援金、これが終わって別の制度に移行していたりします。ここはちょっと聞く時間がないので、この五月にその制度を縮小した後の実績値が出るらしいので、中小企業の人はそういう意味で育休をとれないというようなことであっても困るわけですし、本人がよくても、周りの方、代替要員が確保できなければうまく職場は回らないという視点をぜひお持ちいただきたいと思っています。

 それで、私は、森大臣に、育休というのは当然、朝日のタイトルにもありますが、男性も含めての話だと思うんですね。実は、男性の育児休暇が高い国ほど出生率も高く、そして女性の復職率も高く、当然、ダブルインカム、購買力も高い。そして最近では、ダブルインカム・スリーキッズなんですね。

 ノルウェー、スウェーデン、御存じのとおりです。まさにパパクオータを法律で制度化して、そして、ノルウェーの場合には、一年間のうち男性が一月半とれば、実は、日本で五割の育児休業給付金を十割、一〇〇%受け取れるわけです。その制度を導入するまでは男性の育休がわずか四%、制度導入から三年後に十五倍の七割、さらに今では九〇%を超える男性が育休をとって、まさにイクメン革命と言っても過言ではないような激変が起こっています。そして、出生率も先進国第五位、二・〇前後、つまり、人口を維持できるところで推移しているわけです。スウェーデンの取り組みも、今の、まさに新設されるコースの参考にされていると思うんですね。

 ですから、ぜひ、男性の育休取得率を引き上げていく。これは実は、政府の目標は、来年度までに一〇%、現状とマイナス八%の開きがあるわけです。二〇二〇年度で一三%。しかし、世の中の男性、育休をとりたい人が三〇%いるんですね。

 ぜひ、大臣には、どうやって男性の育休取得率を引き上げ、そしてイクメンをふやしていくお考えかというのを伺いたいのと、まさに非常に効果のある施策としてノルウェーやスウェーデンで世界で初めて導入したパパクオータ制度、つまりは、一定期間は男性が育休をとっていただく、そして、スウェーデンの場合は八割、ノルウェーの場合は一〇〇%、育児休業給付金、日本で五割が、一〇〇パーもらえるわけです。

 この朝日の社説にも書いてあるように、本丸は、休んでいる間の給料、経済的な部分をどう回すかなんですね。こういうキャリアアップコースも重要ですよ。しかし、男女の賃金格差もまだ現実としてある中で、男性にとってもらおうと思ったら、やはりこの育児休業給付金の五割を引き上げることが最重要だと思うんですね。

 今のような雇用保険で事業主と折半でやれば、事業者負担がふえます。しかし、スウェーデンやノルウェーなどのように一般財源から充当する。日本でいえば、まさに消費税も……

松島委員長 柚木道義さん、時間になっておりますから、短くまとめてください。

柚木委員 はい、終わります。

 子育ても含む四つの財源を入れたわけですから、ぜひ、育児休業給付金の引き上げも含めた取り組みの決意を最後にお願いいたします。

森国務大臣 三年の育休というのは、丸々三年間とるということではなくて、三年間、希望する方は、育児休業または時間短縮勤務などの多様な働き方をして、ゆっくり職場に復帰していく、ゆっくりお子さんから離れていくということも可能になるようにということで、誤解のないようにお願いしたいと思いますし、男性も含まれることは当然のことです。

 男性がとるときには、十日とか五日だけでもいいんです。それだけでも、やはり女性にとっては、大変、一緒にやっているという意識になると思います。

 その意味で、隗より始めよということで、私のもとでは、育児休業をとったら昇進できるというように変えました。育児休業をとりますと、人事評価の点でアップすることができる。これは、育児休業をとらせた上司の方もそうでございます。

 お子さんができない方にとって不公平という指摘がございましたので、お子さんがいない方は、ワーク・ライフ・バランスの研修でも何でもいいんですが、なぜなら、男性が育休をとらないのは、育休をとると、その期間、同僚よりも勤続年数が短くなって昇進の機会がおくれる、そうすると、給料も低くなって、ひいては妻子のために、経済的に同僚に比べて損をするというか、そういうことがあると思いますので、育休をとっても不利にならないというところまであるんですが、実は、細かく見ていくと、ボーナスの計算がやはり不利になっていたりいたします。

 そういうことで、私の省庁で思い切ってそれを実現いたしまして、経済界の方にも働きかけているということです。

 今、委員のさまざまなよいアイデアをいただきましたので、前向きに検討してまいりたいと思います。

柚木委員 終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、西野弘一さん。

西野委員 日本維新の会の西野弘一でございます。

 私もイクメンですので、大臣にもっと早く聞いていれば、大臣のもとで働きたかったなと思っていましたけれども。

 まず、冒頭に、所信でもお聞かせいただきましたが、改めて森大臣に伺いたいのです。

 この質問に当たりまして、いろいろなことを内閣府の方に投げかけました。そうすると、個別具体の話になると、いや、それは文科省を呼んでこなあきませんなとか、法務省を呼んでこなあきませんなとか、いろいろそういうふうになるんです。では、そもそも森大臣の役割って何やねんというふうに思いましたので、改めて大臣のお役割について伺いたいと思います。

森国務大臣 内閣府の大臣というのは、各省庁の役割に横串を通して、しっかりそれぞれの省庁の施策を実現させていくというところにあります。

 横串を通すときの目線がいろいろありまして、少子化とか女性とか男女共同参画とかあるんですが、青少年育成という目線でもしっかり横串を通して各省庁の施策を見ていこうということで、私の青少年育成担当大臣としての役割は、青少年の健全な育成に関して行政各部の施策の統一を図るために必要となる事項の企画立案、総合調整や、子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者育成支援推進大綱の作成、推進、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律に基づく基本計画の作成並びに推進などの事務を所掌しており、要するに、青少年に関連する幅広い各省の施策をしっかり見て、やっていないときにはお尻をたたいていく、そういうことでございます。

西野委員 しっかりお尻をたたいていただきたいなということをきょうはいろいろと質問させていただきたいと思っています。

 まさに大臣おっしゃるとおりだというふうに思うんですが、そういった問題の一つに、細かく言えばこれこそ文科省の分野になるのかもわかりませんが、先ほどいじめの議論もありました。では、いじめというものの定義、少し御答弁にもありましたけれども、いじめが全て犯罪なのか、もしくは、いじめを、ここまでやると犯罪なのか、そのあたりのところは一体どこで線引きをされているんでしょうか。これは役所の方でも結構です。

布村政府参考人 お答えいたします。

 最初に、いじめの定義になりますけれども、いじめの定義につきましては、先ほど御答弁させていただいたように、毎年実態調査をしてございます、その中でいじめの定義を用いておりまして、当該児童生徒が一定の人間関係のある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているもの、なお、いじめが起こった場所は学校の内外を問わないという形の定義を設けてございます。

 このうち、先ほども少しお答えさせていただきましたけれども、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」というものから、一番重いところでは、例えば「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」ということですとか、「ひどくぶたれたり、叩かれたり、蹴られたりする」、そういう態様を区分した形で実態把握を各学校に求めているところでございます。

 そのような中で、犯罪行為に該当する可能性があるものあるいは人権侵害の問題として大きな課題があるものについては、速やかに警察に相談をすること、あるいは人権擁護委員の方々と連携を図って対応すること、そういう取り組みも、学校の外の専門家の方々のお知恵もいただきながら、連携して取り組むように学校に指導をしているところでございます。

西野委員 いじめの定義というのは、今お話を伺っていたとおりでございまして、多分、子どもたちにも、ゆっくりと説明すればわかるのかもわかりません。ふだん家庭なんかでも、こういうことしたらだめよというようなことが含まれているんだと思うんです。

 ただ、一方で、犯罪という言葉を今おっしゃいましたけれども、では、何をすれば犯罪なんやというところのためには、子どもたちに、まずそのもととなる法律というものを教えていないと、子どもたちにとっては、どこまでやれば犯罪なんということは多分わからないと思うんですよね。

 今、どこの省のスローガンかキャッチか忘れましたけれども、いじめは犯罪ですと書いたポスターを見かけたことがありますが、では、子どもたちにその犯罪の定義というものをしっかり教えているのかといったら、疑問だと思うんです。

 これは文科省の方で結構でございますので、この犯罪の定義というのは、例えば小学校、中学生では教えているんですか。

布村政府参考人 先ほど来、いじめの問題として先生からお尋ねがございましたけれども、いじめ問題への対応を図る上でも、子どもたちに規範意識を育むということが重要な課題であり、その流れの中で、学校においては、法律や決まりの意義などを理解させることを教育の大きなテーマとしてございます。

 しかしながら、学習指導要領という教育内容の基準におきましては、直接的に犯罪や刑法の詳細について記載はなされていないという状況でございますけれども、例えば小学校道徳においては、公徳心を持って法や決まりを守ること、あるいは中学校の社会科におきましては、法の意義を理解させること、そして高等学校の公民科におきましては、法や規範の意義、役割、司法制度のあり方という形で理解を深めさせることなどを学習指導要領上は記載しています。

 その上で、例えば教科書におきましては、中学校の社会科では、法は、人々の生命、自由、財産などの権利を守るもので、社会の秩序を維持する重要な働きをしていることを理解させる、そういう中で教えております。また、高等学校の公民科におきましては、他人の重要な利益を害する行為等は刑法によって処罰されることを説明するということで、法全体の体系の中で刑法という言葉自体は出てきておりますけれども、その法律の中身を詳細に教科書では記載までは至っていない。そういう状況の中で、法や決まりを守ることの指導は重ねております。

西野委員 森大臣、今の答弁のとおりでして、それは大学の法学部みたいに条文を一々細かく教えていくということではないにせよ、本当の意味で、きちんと子どもたちに規範意識を伝える中で法律を教えているかというと、僕はまだまだ不十分だと思うんです。

 また、実は、こんなことがありました。大阪のある学校の教員が万引きをしたんですね。大阪府は、これはけしからぬということで、懲戒免職にしました。そして、その懲戒免職にされた者が、バランスが悪い罰だということで裁判に訴えましたら、一審で負けて、控訴しましたら和解勧告が出まして、和解勧告が出るということはもう一遍やっても負けるという判断で、大阪府は渋々その者にお金を払って和解をしたということがありました。こういうことも含めて、矛盾だらけなんですよね。

 ですから、まさに先ほど、いろいろな省庁を見渡して横串を入れて、足りないところはしっかりとお尻をたたきながら前に進めさせていくという意気込みをお話しいただきましたけれども、こういった、法律をしっかり伝えていくということと、各省庁にまたがる中でいろいろな問題点があるというふうに思いますが、そのことについて、しっかりと意欲的に取り組まれていくということの決意をもう一度お話しいただきたいと思います。

森国務大臣 委員のおっしゃるとおり、青少年の健全育成という観点からは、子どもたちが、法や司法によってみずからの権利、自由が守られて、そして他者の権利、自由をひとしく尊重するという理念を体得することは大切なことだと思っておりますので、法やその基礎になっている価値を理解し、法的な考え方などを身につけるための法教育の普及をするように、今、現状を伺いましたけれども、さらに、具体的にどうなっているのか、ちょっと私の方で事務方から聞きまして、普及をさらにさせていくように頑張りたいと思います。

西野委員 ぜひよろしくお願いします。

 あわせて、法をしっかり守るということは当然のことなんですが、やはりその中にも、残念ながら、法を破って犯罪を犯す少年が後を絶ちません。

 今、犯罪の被害者の皆さんが、それこそ手弁当で長年頑張ってこられて、ようやく犯罪被害者の参加人制度というものがスタートいたしました。ただ、その中で、いわゆる一般のケースであれば、被告の情状に関しては、被害者の方が参加人制度の中でいろいろと尋問することが今できるようになりましたが、少年裁判ではこれができません。

 この点について、恐らく、少年法の理念が更生にあるということをすぐに法務省の方は言われるんですけれども、青少年を健全に育成するという流れの中で、少年を早く更生させる意味でも、少年に犯した罪と向き合わせるということが大事なんです。

 今の法務省の考え方は、私は、この問題について伺えば伺うほどおかしいなと思っているのは、とにかく、犯した罪から子どもたちを離す、そのことで早く更生するんだという考え方があるやのように思うんですけれども、大臣は、罪を犯した少年を更生させるためにも、罪に向き合うべきだと考えておられますか、考えておられないですか。

森国務大臣 私、青少年担当大臣でもありますが、あわせて犯罪被害者問題の担当大臣でもございます。犯罪被害者問題は弁護士時代から取り組んできたテーマでもございまして、成人において裁判に参加できることになったことは大変大きな一歩でございます。

 少年事件につきましては、私が弁護士時代に非行少年の側の付添人もやった経験がございます。

 さまざまな類型の少年非行、少年犯罪がございますけれども、少年が自分の犯した罪に向き合うということは大変意義のあることで、それによって更生が図られるというふうに思います。被害者と対面することや被害者が少年の審判に参加をすることが、そのことに資する側面もあるとは思います。

 一方で、私が現場で少年たちと向き合ってきた経験から申しますと、やはり人間としてのまだ成長の過程にありまして、大変いろいろな可能性を持っている、いろいろな方向性に行く可能性がある彼らでございますので、私たち大人よりも周りの環境の影響を非常に受けやすい、敏感であるということがあると思います。

 ですから、慎重に検討しまして、委員の御指摘は傾聴に値すると今思いましたので、被害者にとっても、そして加害少年にとってもよりよい方向になるような方策を法務省とともに考えてまいりたいと思います。

西野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 被害者の団体の皆さんと私も何度かお会いしたことがありますけれども、全ての方は、何も自分たちのためにこの尋問をしたいということはおっしゃっていません。一人もいらっしゃらないです。全ての方は、子どもたちが、犯罪を犯した少年が早く更生するために罪と向き合ってほしいという気持ちでこの制度のことを訴えておられますので、今本当に同じ方向を大臣も向いていただいているなというふうに感じましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、大阪府でも条例をつくったのですけれども、私はもともと大阪府議会におりまして、三期務めておりまして、そういう中で、特に子どもに対しての性犯罪者から子どもたちを守らなければいけないという趣旨の条例の制定に携わってきました。

 そういう中で、今、性犯罪者の再犯率というのは、表の数字では一五%ぐらいだったと思うのですが、このデータをきょうはお持ちですか。持っておられれば御答弁いただきたいのですが。

松島委員長 法務省、いかがですか。

西野委員 ごめんなさい、僕の方が先に見つけました。約一六%です。一六%なんですが、調査がありまして、実はほかの犯罪と違いまして、法務総合研究所というところが犯罪被害実態調査というのをやっていまして、性的暴行の警察への申告率は、一回目の調査で平成十一年は九・七%、第二回目、平成十六年は一四・八%なんです。

 ですから、要するに、申告しているのが一割か二割に満たない程度の中での再犯率が一六%ということでありますから、これは実態はかなりの再犯率があるということだと思うんです。だから、そういう中でしっかりと子どもたちをこういった性犯罪から守っていかなければいけないということに取り組まなければいけないと思っています。

 大阪では、一定の要件のもとで、例えば、どこにいるのかというような居場所を登録していただいたりとか、また、身近でそういったこれから子どもに対する性犯罪につながっていくようなものに、ちょっと子どもたちを威嚇するようなことであったりとか、そういったことをやっているのを見かけたら通報してくれというようなことの条例を制定しているんですが、これはむしろ、条例ではなしに法律でやっていくべきだと私は思うんです。

 直接の大臣が、では法律をつくりますという答弁は多分いただけないとは思いますが、しかし、こういったものの必要性についての御見識をまず伺いたいと思います。

森国務大臣 御質問の、法律という御趣旨が何法なのか、ちょっとわかりかねたんですけれども、性犯罪の被害から子どもを守るため、内閣府では、児童ポルノを根絶するための総合対策をまず行っております。

 児童ポルノ禁止法案については、私が、自民党野党時代の影の法務大臣時代に、児童ポルノ禁止法案というのをつくりまして、二回提出したんですが、審議されず、二回廃案になってしまっておりますけれども、世界的にも、児童ポルノ、被害児童が確実にいるわけでございますので、その証拠となっているわけでございますので、これが禁止されていない国というのは非常に少ないわけでございまして、そういったものの対策をしっかりしていくということ。

 それから、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に努めております。

 性犯罪については、再犯率というのは五%ぐらいということで、ほかの犯罪と変わらないようでございますが、特徴は、やはり多数回繰り返す者が一定数存在しているということでございます。それが、委員御指摘のとおり、暗数もありまして、親告罪でございますので、告訴がないとなかなか上がってこないということで、私も、弁護士時代に、びっくりするような強姦事件がございました。

 本人の自白によりますと、発覚した時点で数十件行っていたということなんですが、それが全く表に出ていなかった。被害女性は、みんな口をつぐんでいたのでございます。これは、水道工事を偽って、一旦、昼間に行って、本当に水道工事をするのでございます。そのときに鍵をちょっと盗んで、鍵を入手して、夜中に入っていって犯罪に及ぶということで、被害女性は、ひょっとして私の何か過失というふうに思って、誰も言わない。そういうことで、何回も繰り返すということをやはり行っておりまして、そういう意味でも、このような犯罪に対する政府の積極的な取り組みというのを推進してまいりたいと思います。

西野委員 どの法案ということではないんです。今まさに大臣がおっしゃっていただいたとおりでありまして、暗数も含めれば相当な再犯率があると私は思っておりますので、いろいろなプログラムを通じて再犯を防ぐという取り組みをされているとは思うんですが、しかし、結果として効果があらわれていないということは、これはもう根本的に考え方を変えないかぬということだというふうに思っております。

 今まで取り組んできたものを根本から変えろということは、その役所にいてはなかなか言えないことだというふうに思いますので、まさに、横串の中で、必要なことはお尻をたたいてということの御答弁もありましたけれども、そういう中で、ちょっと横から、外からしっかりとこの問題も取り組んでいただきたいなということをお願いしておきたいと思っております。

 私は、再犯を防ぐという意味では、プログラムでだめであれば、究極を言えば、外国でやっているような、その方の居場所をGPSなりでわかるようにする、こういうことも一つの方法だと思いますし、もっと究極的に言えば、医学的な何か処置を施すということも必要だというふうに私は思っておりますが、そのことも含めて検討をいただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思っております。

 最後になりますが、先ほど、職業につかないということがまた自殺の原因だという御議論もありました。また、保育所の問題もありましたけれども、例えば、私は、保育園をたくさんつくるということは、少子化対策には現になっていないと思っています。それはまた別の問題だと思います。

 女性が働くという意味においては、確かに、これは大事な問題かもわかりませんが、それが即、少子化対策につながっているとは思いません。現に、保育園はどんどこふえていっていますが、子どもの数はどんどん減っていっているわけでありますから、政策的な効果は上がっているのかといえば、僕は、決してそれが直接的につながっているものだとは思っていません。

 また、働き方という中で、今の働き方というのは、特にここ何年間で、そういう雇用関係というのは物すごく硬直化していると思います。労働市場が物すごくかちかちになっていると思います。動かないんですよ。

 今までの、とにかく正社員になって一回働きに行けば絶対にその会社をやめなくていいんだという、そんな発想では、なかなか本当に適材適所で働けないですよ。また、新しい雇用を生み出そうとしても、雇用側でも、雇う側でもなかなか手をつけにくいですから、そういったことをもう少し、雇用関係も自由に、より適材適所で働けるふうにしていったらいいと思っています。こういったこともぜひお願いしておきたいと思います。

 そんな中で、私の地元は東大阪市でありまして、物づくり中小企業の町なんですが、今、そういうところで、例えば、NASAに部品を納入している業者さんの職人さんであったりとか、いろいろな、そういったカリスマ職人さんというのがたくさんいらっしゃるんですが、ナノレベルの研磨ができたり、すごいんですけれども、そういう方が、大学を卒業してそういった技術を学んだということではなくて、むしろ、かなり年齢の低い間にそういうところにお勤めになって、修業に修業を積んで、今、手に職をつけておられるという状況であります。

 そんな中で、今のこの国の教育制度というのは、基本的に、今申し上げたように、とにかく正社員になることを目標にして、その正社員になるためには大学に行くことを目標にして、大学に行くためには高校に行くことが目標になってというような形の王道を暗黙に敷かれているような気がするんです。そうではなくて、むしろ、いろいろな道をこれから子どもたちにつくっていってあげることこそが、我々政治の役割ではないかなというふうに思っているんです。

 例えば、今、高校無償化の制度、これから多分なくなるんでしょう。それはそれで僕はいいと思っています。僕の考えもそうであります。

 だけれども、無償化をしたといっても、コンビニの前で学校をサボってたむろしている子どもたちによう声をかけます。おまえら、国の施策で約一年間、ランニングコストで百万円かけて学校行かせてもろうているんです、わかっているかと言うたら、おっさん、そんなもんわかってるかと大体言いますよ。だけれども、現に、百万円近くコストはかかっているんです。

 であるならば、学校に行っても何の意味もない、だから学校行けへんのやと言うている子であれば、じゃ、働けよと。そのかわり、そういう子を雇ってくれた企業には、その高校に行ったときにかかるコスト百万円を補助で出すから雇ってください、しっかりと三年間、手に職をつけさせてあげてくださいと。

 そんな中で、子どもたちは社会に出たときにしっかりと、これからは、日本の国の中で友達と競争して勝って、いい大学に行って、いい企業に勤めたらそれで一生万々歳なんという世の中ではありません、世界の中での競争に子どもたちが勝っていかないかぬ時代でありますので、そういう意味でも、世界で勝てる技術を早い時期から子どもたちに学ばせるということも必要だと私は思っているんです。

 先ほどから何度も横串の話をさせていただいて恐縮でありますけれども、大臣、それぞれの役所では、過去からつながってきた政策というのを大きく大転換することは無理だと思っています。ですから、そういう意味でも、子どもたちの、青少年の健全育成のためにも、改めて伺いますけれども、こういったことも含めて、恐らく、そういうことを言うと、各省庁から森大臣に対しての何かきついバッシングもあるかもわかりませんけれども、ぜひそれに耐えて頑張っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 少子化対策については、同じ考えでございます。

 先日、予算委員会で、自民党の前田委員に御答弁申し上げましたけれども、人口減少というところに着目して、育児支援という側面とはまた別のところに政策を打っていかないと効果が出ないと思っております。その中で、若者が安心して結婚して社会生活を営んでいく上で、今委員がおっしゃった、決して画一的な生き方ではなく、それぞれの夢や可能性を求めた生き方というものも尊重しながら応援をしていきたいと思っております。

 現在、政府において、若者・女性活躍推進フォーラムを開催しておりまして、稲田大臣が再チャレンジ担当大臣として若者の枠を御担当でございますので、青少年担当の私からも、今委員御指摘のような、単純形ではなく、多様な選択肢を可能にする若者の生き方を支援できるような取り組みを提案してみようと思います。

西野委員 最後の質問と言ったんですが、まだ三分ありますので、ちょっとだけ最後に、先生の地元にかかわる問題で。

 福島県内にたくさんスキー場はあると思うんですが、磐梯にスキー場があります。そういうところで、磐梯の国立磐梯青年の家で行われた研究で、要は、スキー学習等々のちょっとした、例えば、スキーでちょっとこけると怖いなというような、少しのハードルを設けて、そのハードルを越えさせて、また成長していく、うまくなっていく、そういう経験を繰り返すことによって、子どもたちが、自律心であったりとか、また社会との協調性であったりとか、向上心であったりというようなものが伸びていったというような研究の報告があるんです。これは国立磐梯青年の家でやっています。

 そういった結果も踏まえて、先生はスキーをされるかどうかわかりませんが、地元にもたくさんスキー場もありますから、ぜひ、スキーも含めた、集団で小さなリスクを伴う体験をさせるというようなことを進めていくことはいいことだと思うんですけれども、先生、いかがですか。

森国務大臣 福島県はすばらしいスキー場がたくさんあります。ありがとうございます。

 国立磐梯青年の家、猪苗代町にございます。集団宿泊体験などもやっておりますが、こういった教育旅行が今、風評被害で落ち込んでおりまして、放射線量が、この国会が大体〇・〇九ぐらい、それよりももっと低い〇・〇二でございますが、そういった知識がなかなか普及していなくて、お子さんを福島県に、教育旅行することをためらう保護者の方が多くて、なかなか少ないんですが、この集団宿泊体験の教育効果、非常に大きなものがございます。

 スキーなどのスポーツを通して、私も、二人の子どもは必ず毎年冬にスキーに行って、まあ、私自身が皆様のもとを回っておりますので、私の夫がイクメンとして連れていっているのではございますが、スキーを通して、人生に何かあったときのやはり対処の仕方とかいうことで、子どもたちに与える教育効果は大きいと思いますので、そういった取り組みも推進してまいりたいと思います。

西野委員 きょう御質問させていただきました話の中で、横串の役割として、今までのいろいろな施策にとらわれずに、ぜひしっかりと青少年健全育成のために取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

松島委員長 次に、畠中光成さん。

畠中委員 みんなの党の畠中光成です。

 まず最初に、二十歳成年制についてお伺いいたします。

 私は憲法審査会にも所属していますが、御存じのとおり、九十六条に規定されている憲法改正には、議員三分の二以上の賛成、国会による発議を経て、国民投票が必要となっています。

 この国民投票は、投票年齢が十八歳、経過措置として二十となっています。よって、現在の民法四条の規定に基づく二十歳成年制の見直しも検討課題の一つであろうかと思います。

 二十歳以上を成年として扱っている法律として、選挙権やローン契約などの締結、飲酒や喫煙が挙げられます。一方で、高校卒業程度の十八歳を成年と同様に扱っている法律としては、青少年保護条例や労働基準法、道路交通法、少年法、風営法などが挙げられます。要は、我が国の成年の定義にばらつきが見られているのだと思われます。

 総務省あるいは法務省は、その立場も現状では異にしていると聞いております。青少年問題を所管する大臣として、二十歳成年制度及びその引き下げについて御見解をお伺いいたします。

森国務大臣 政府では、国会における議論の推移も見守りつつ、内閣官房副長官を長とする年齢条項の見直しに関する検討委員会において、二十歳以上などの規定を有する関係法令について年齢条項見直しの検討を進めるとともに、消費者保護など、成年年齢の引き下げに向けた環境整備のための施策を積極的に推進することといたしております。

 成年年齢の引き下げについては、いずれにせよ、投票年齢を十八歳まで引き下げるという国民投票法の趣旨を十分に踏まえた検討が必要であるというふうに考えております。

 例えば、私は消費者問題対策担当大臣でもございますけれども、この年齢を一緒に引き下げますと、契約の取り消しのところで影響が出ますので、そのことによって少年が消費者被害に遭わないようにするなどの環境整備が必要であるというふうに思っておりますので、そこをよく検討しながら、引き続き、その見直しを進めてまいりたいと思います。

畠中委員 ありがとうございます。

 極めて青少年にとって大切な問題かと思いますので、各省ばらばらになって青少年がわかりにくいということでは、これは本末転倒であると思いますので、ぜひ政府全体としての考え方というのをまとめていただけるようお願い申し上げます。

 さて、もう一つは、発達障害にかかわる問題について幾つかお伺いしたいと思います。

 発達障害を抱える青少年がそれぞれのライフステージで明確な支援を受けるような社会の仕組みになっているかどうか、あるいは、地域、福祉、教育、雇用など、さまざまな分野の連携がとれているかどうか、こういう観点から質問します。

 まず、乳幼児期についてですが、発達障害は早期に発見することが重要だと考えております。現在では、一歳、一歳半、それから三歳で診断が行われていますが、地方や現場で認識が十分に共有されていないと思われまして、ともすれば、従前の、五歳の健診のときに判断しよう、診断しよう、そういうふうな先送りの傾向がまだ残っているのではないかと思われますが、これでは早期の対策をとることができていないのではないでしょうか。御見解をお伺いいたします。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、発達障害児の支援を行う上で、可能な限り早期に障害を発見して支援につなげることが非常に重要だというふうに考えております。

 従来、集団の中での行動を見て、発達障害かどうかということを判断するという点があったと思いますが、最近では、例えば、指さしをしないとか、指さしをした方を見ないとか、それから、なかなか目を合わせないというような、発達障害児特有の状況が大分わかってくるようにもなりまして、そういう点を踏まえまして、一歳六カ月児の健診であるとか三歳児健診におきましては、そうした発達障害の発見の契機になる非常に重要な健診だというふうに考えておりまして、その中で、先ほどの精神発達の状況、それから言語障害の有無なども健診の項目なんかに取り入れていただいて、できるだけ早く発見していただいて、支援につなげるように努めているところでございます。

 また、その健診のときの一時点だけではなくて、子どもの日常の行動の中でいろいろと気づいていただくという点も非常に重要だと思いまして、保育所などへの専門家の巡回指導の実施であるとか、それから、地域社会の中で発達障害についての知識を深めてもらうような啓発活動の実施というのも重要だというふうに考えております。

 こうしたことを組み合わせまして、市町村の母子保健の部署と福祉部局が有効に連携いたしまして、早期発見、それを早期の支援につなげていくというようなことが重要だと考えておりますので、こういう点から、引き続き、自治体に対しても働きかけを行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

畠中委員 早期に発見するということは、本当に、まさにこの発達障害のファーストステップで、一番大事なところだと思います。特に、親御さんとのコミュニケーションの中で、障害を受容できない等々の問題、いろいろ考えられますが、だからこそ、ここのところに非常にフォーカスを当てて、早期発見ということを一番主眼に置いて、より一層の取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 さて、児童発達支援というのがありますが、これについて、小学生になると利用しづらくなり、そもそも受け入れ可能な施設が少ない状況であります。小学校でカバーし切れないところを福祉で補う仕組みの強化が必要かと思いますが、御見解をお伺いいたします。

岡田政府参考人 障害児に対します通所支援、通っていただいていろいろな支援を行う事業でございますが、これにつきましては、平成二十二年の十二月に児童福祉法などの一部を改正いたしました。その中で、二十四年の四月から、従来障害種別に分かれていました支援の体系を障害児通所支援という形に一元化して、あらゆる障害に対応できるような形で、地域ベースでいろいろな支援の体制ができるような形を目指すということで、そういう形にしております。

 それから、給付の決定の主体を、住民の身近な場所ということで、市町村に変更するというような見直しを行ったところでございます。

 この中で、特に、就学中の障害児の通所支援に特化したサービスといたしまして、新たに放課後等デイサービス事業というのを創設しました。これは、学校の放課後であるとか夏休みなどの長期の休暇中に必要な支援が受けられるようなものを想定して、こういった放課後等デイサービス事業を創設したところでございます。

 これにつきましては、児童発達支援とか放課後等デイサービス事業所やその利用者の数というのは、二十四年の四月、昨年の四月から施行でございますが、例えば、放課後等デイサービス事業の事業者は、二十四年の四月、二千五百四十事業者ありましたのが、二十四年の十二月には三千五十一というようなことで、利用者も五万一千六百七十八から五万四千五百三十九ということで、現在、事業所も利用者も着実に増加しているという状況であります。

 今後とも、学齢期を含めた障害児支援のサービスの充実に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

畠中委員 ありがとうございます。

 この問題は、人材の養成が極めて重要なポイントかと思います。政府としてそのような方針があったとしても、それをしっかりと見ることができる職員がいなければ、結果として受け入れることができないという問題が多々あるかと思いますので、このあたり、しっかりと取り組みをお願いいたします。

 さて、小学校、中学校の普通クラスにおける自閉症生徒の受け入れ拡大と、そのための教員の個別対応能力の向上策をお聞かせください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 発達障害の児童生徒は、教員などの判断に基づく推計値として、六・五%の子どもたちが発達障害の可能性があるという数値がありますので、小中学校の通常学級クラスにも在籍されているという実態でございます。

 そのために、非常勤の支援員を配置するとともに、担当される学級担任などの教員の能力の向上ということが大きな課題でございます。

 そのため、従前より、各教育委員会が進めております教員の学校の内外での研修の受講による専門性の向上の体制を整備するというところに国として補助を行っております。また、独立行政法人の特別支援教育総合研究所におきましては、各都道府県の中核となる指導者のための研修を行ってきたところであり、このような形で、教職員の発達障害に関する専門性の向上ということを推進してきたところであり、平成二十五年度予算案におきましても、新たに、発達障害に関する専門的、実践的な知識を有する教職員を育成するためのプログラム開発などを内容とする、発達障害に関する教職員の専門性向上事業を計上させていただいております。

 大学等の専門的な知見を生かして、子どもの状況に応じた指導のプログラムを作成していただき、そのような取り組みを通じて、より発達障害に対する教職員の専門性の向上あるいは適切な指導につなげてまいりたいと考えております。

畠中委員 今、厚労省、文科省と順番にお伺いしましたが、この発達障害を管轄しているのは厚生労働省や自治体の福祉部局になることから、教育委員会とか学校との連携が十分にうまくいっていないのではないかと思います。

 こういったことについて、厚生労働省、文科省、それぞれ簡潔にお答えください。

岡田政府参考人 御指摘のように、教育と福祉の連携は非常に重要だと思っています。

 同じ障害児を見ていて、学校の先生とそれから福祉の事業所の関係者がうまく情報の共有ができていないというような御指摘もございましたので、昨年四月に、教育と福祉の連携をより一層進めるために、厚生労働省、文部科学省の連名で、各都道府県の障害児福祉主管課、それから教育委員会宛て通知を出しまして、放課後等デイサービスの利用について、特別支援学校の教育課程と一貫性を確保するなど、福祉サービスを提供する事業所と学校との相互連携の充実を図るように各都道府県にお願いしているところでございます。

 今後とも、文科省とも連携をしながら、福祉と教育の連携に努めてまいりたいというふうに考えています。

布村政府参考人 厚生労働省との連携については、国レベルでは、今厚生労働省の方から御答弁があったところでございます。

 それ以外でも、各自治体レベルにおきましても、教育委員会や福祉部局の担当者などを中心とする連絡協議会という組織を設けて、子どもの状況を的確に把握するとともに、支援内容を記載したファイルを作成し共有する、そういう取り組みも通じまして、障害のある子どもに対する支援の充実が図られるように、教育担当部局と福祉部局との連携がさらに強まるよう努めてまいりたいと考えております。

畠中委員 ぜひ実効力のある連携をお願いいたします。

 さて、今、小学校から中学校と、義務教育のところについてお伺いしました。大体小学校から高校ぐらいまでは、大分、濃淡はあるにせよ、教員の発達障害に対する理解も深まってきているように思いますけれども、大学あるいは専門学校、こういったところについては極端に乏しくなっているのが現状かと思います。この対策についてお聞かせください。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、高等教育に関してはまだまだ取り組みが十分でなかったのではないかという状況があったわけでございますけれども、近年、発達障害も含めまして、障害のある学生の受け入れというのが進みつつあるところでございます。

 例えば、発達障害につきましては、今まで十分認識をされていないというところもあったかと思いますけれども、平成十八年には百二十七人の学生、大学に在籍する学生ということでございましたけれども、昨年度千八百七十八人というような形で増加をしております。

 まだ大学においての受け入れ体制あるいは支援体制の整備というのが十分でないということもあるかと思いますので、その整備は急務というふうに考えております。

 特に、発達障害のある学生に対しましては、各大学では、例えば履修や学習の方法などにつきましてきめ細かに学習指導をしていくとか、あるいは保護者などとの連携を十分に図っていくとか、あるいは臨床心理士などの専門家によるカウンセリングなどの支援を実施しているところでございますけれども、まだ支援体制につきましては温度差があるというところも正直ございます。

 こういった問題点を解消しようということで幾つかの取り組みを、政策を進めているところでございます。

 一つは、独立行政法人の日本学生支援機構におきまして、特に先進的な取り組みを行っている大学を拠点校、これは今九校ございますけれども、それを選びまして、全国の大学等における支援方法の相談に応じているというようなネットワーク形成をしていくような事業を行っております。

 また、障害の種別ごとに障害の特性の理解とか支援方法をまとめましたガイド、教職員のための障害学生修学支援ガイドというのをつくりまして、全国の大学とかあるいは専門学校などに提供しているというような状況がございます。

 また、文部科学省におきましても、昨年の六月に障がいのある学生の修学支援に関する検討会を設置いたしまして、修学支援のあり方について検討を行い、昨年十二月に第一次の取りまとめを行ったところでございますけれども、その中でも、発達障害に対する取り組みの必要性ということも指摘をされております。

 予算の中でも、大学におきまして、障害のある学生への支援を行う部署を設け、そこに専任の教職員を置くような場合についての財政的な支援も国立大学や私学に対しても行うということで、取り組みをさらに充実をさせていきたいというふうに思っているところでございます。

畠中委員 昨今は、発達障害に伴う十八歳以上の成人期の相談が年々増加しているというふうに聞いております。発達障害の中でも、高機能の発達障害の場合は周囲も本人もなかなかわかりづらい。結果として、そういった方々が安全網から外れてしまうということが多いかと思います。例えば、大学を出て、就職をして、仕事をする中でそういった問題にぶち当たる、そして安全網から外れていくというケースも多いかと思いますので、企業における発達障害に対する理解の促進策なんかも必要かと思います。

 また一方で、知的障害等を伴う重度の自閉症の方などにおける課題というのは、なかなか地域移行がうまくいっていなくて、どうしても家族が抱えてしまっているというケースが多いかと思います。こういった問題への取り組みもお願いしたいと思います。

 この発達障害は、皆さん御存じのとおり、特定の分野で非常に高い能力を持っている方も多くて、例えば、アインシュタインとかゴッホとかニュートン、ミケランジェロ、こういった歴史上の人物も発達障害だったのではないかと言われるぐらいでもあります。そういった方は、いわゆる会社に勤めるとかではなくて、みずからの能力をみずから発揮するための、例えばSOHOでプチ起業するとか、こういったことを支援するのも一案かと思います。

 ぜひ、発達障害について、国民の理解を深める取り組みをお願いしたいわけですが、最後に一点だけ。

 四月二日に世界自閉症啓発デーの関連イベントがあって、雨の中、千四百人もの人が集まったと聞いております。障害を抱える人や家族だけではなくて、この発達障害という問題は、それ以外の社会全体に対する啓発がとても重要かと思いますが、それについてどのような取り組みを行うのか、森大臣、教えてください。

森国務大臣 発達障害につきましては、野党時代ですけれども、昨年の十二月二日に日本発達障害ネットワーク、JDDネットの第八次全国大会が行われまして、私、自民党代表で参加をさせていただきました。発達障害、脳機能の障害なんですが、言葉は大分広まってきたんですけれども、やはり周囲の無理解で親御さんたちが大変苦労をなさっておられます。

 その場でも、先ほど委員が御指摘なさったように、児童のときの通所の支援、兄弟が、お兄ちゃん、お姉ちゃんがいる場合には、同じ学校に通って休み時間等は兄弟のフォローも欲しいし、親としても、保護者会がそれぞれ別の学校では大変です。

 通所支援する場合には、その発達障害の児童に専門の指導員をつけなければいけないんですが、予算の手当てが大変少なかったんですが、その場で与野党で厚労省にお願いをいたしまして、二十五年の当初予算にはそちらの方の予算もつけさせていただきましたし、それから、先ほどのように、県におりていたんです。ところが、市町村で一人しか発達障害の児童がいないのに、県の方では、三人いないと専門指導員をつけませんとか、そんな変な縛りがあったんですが、市町村に直接給付をされるようにというような工夫もしております。

 そして、あした閣議決定を目指しております障害者差別解消法案、これを政府の方でぜひとも成立をさせたいと思っているんですが、その中に、発達障害を含めた障害者の皆様の国民による理解を深めるための国による啓発、知識の普及を図るための取り組みというのが出ておりまして、今委員の御指摘のように、学校も含めて、地方自治体とか企業とかいうところにも取り組みをさせるということが、私が担当になって、行うようにつくってありますので、ぜひその法案を成立させて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

畠中委員 以上で終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、子どもの貧困対策についてお伺いをしたいと思います。

 去る三月二十九日、国会内で、子どもの貧困をなくそうと、超党派の議員がそろって院内集会が開催をされました。私も出席をさせていただきました。そこでも問題になっておったんですけれども、子どもの相対的貧困率が一五・七%、こういう数字が出ておりました。

 ここで聞くんですけれども、二〇〇九年、政府は二〇〇七年調査に基づいて初めて子どもの貧困率を公表いたしました。厚生労働省、お答えいただきたいんですが、二〇〇七年調査と、平成二十二年国民生活基礎調査の概況に掲載された二〇〇九年時点の全体の相対的貧困率と子どもの貧困率をそれぞれ答えていただけますか。

伊澤政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇六年時点における全体の相対的貧困率は一五・七%でございます。子どもの貧困率は一四・二%でございます。

 また、二〇〇九年時点におきましては、全体の相対的貧困率は一六・〇%、子どもの貧困率は一五・七%となっております。

宮本委員 相対的貧困というのは、社会の標準的な所得の半分、五〇%以下の所得しかない世帯を相対的貧困と定義しております。お金持ちの半分じゃないんです、標準世帯の半分以下ということでありますから、社会において当たり前と思われることさえできなくなる生活水準のことなんですね。

 二〇〇七年から二〇〇九年にかけて、相対的貧困率は、全体も〇・三ポイント上がっておるわけでありますけれども、子どもの貧困率は、先ほどの御答弁にあったとおり、一・五ポイントも上がってしまっております。

 我々は、全体の相対的貧困率の上昇ももちろん問題だと思いますけれども、子どもに関して言えば、それこそ子どもたちには何の責任もありません。

 これは、大臣にひとつ基本的な認識をお伺いしますが、大臣の昨日の所信でも、残念ながら、子どもの貧困という言葉、それ自身はなかったわけでありますけれども、この現状を、大臣、どう受けとめておられますか。

森国務大臣 子どもの貧困、大変深刻な問題であると考えております。OECD諸国の中で、大人を含めた全体の貧困率は、日本は二十七位なんですけれども、子どもの貧困率は十九位なんですね。つまり、子どもの貧困率の方がとても高いということで、看過できない現状だと思っております。

 総理も言っていますけれども、子どもたちが、生まれ育った家庭環境によってその将来が左右されることがないよう、世代を超えた貧困の連鎖は絶対に断ち切っていかなければならないと考えております。このため、学習支援や経済的支援など各般の対策、できることを全てしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

宮本委員 子どもの貧困を考える上で、とりわけ一人親家庭の貧困が深刻だと思うんですね。

 これも厚労省にお答えいただきます。

 同じく二〇〇九年時点の調査で、子どもがいる現役世帯の貧困率と、大人が一人、つまり一人親家庭の相対的貧困率、それぞれお答えいただけますか。

伊澤政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇九年時点における子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は一四・六%、それから、このうち、厳密に一人親家庭というわけではありませんけれども、大人が一人世帯ということであれば、相対的貧困率は五〇・八%ということになっております。

宮本委員 一九九八年には六三%でありましたが、徐々に下がってきたとはいえ、依然として五割を超えているわけですね。つまり、一人親家庭の子どもたちは、二人に一人が、社会において当たり前とされることさえできない生活水準で暮らしているとも言えるわけであります。

 政府として、一人親家庭の子どもたちを貧困から救い出すためにどのような対策をしてきたか、子ども・子育て白書などから御紹介いただけますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 一人親家庭に対する支援でございますが、大きく四つございます。

 一つは、まず、子育て・生活支援でございまして、例えば、保育所の優先入所、ヘルパー派遣、公営住宅の優先入居等でございます。二つ目は就業支援でございまして、母子家庭等就業・自立支援センターやハローワーク等におきます就労に対する支援でございます。三つ目が、養育費相談支援センターにおきます養育費の確保でございます。そして四つ目が、これは経済的支援でございますが、児童扶養手当の支給や母子寡婦福祉貸付金の貸し付け。こういった対策を講じてきたところでございます。

宮本委員 一人親家庭の貧困をここまでひどくしてきたそもそもの原因は、実は自公政権にあったと言わざるを得ないと私は思うんです。

 小泉政権が進めた社会保障削減路線の中で、二〇〇三年六月の骨太方針は、生活保護について、「制度、運営の両面にわたる見直しが必要」と明記をいたしました。二〇〇五年四月から生活保護の母子加算を段階的に縮減する。ついに、二〇〇九年四月に全廃をしてしまいました。

 実は、これを決めたのは第一次安倍内閣でありまして、当時、安倍首相は、衆議院予算委員会で、生活保護を受けている母子世帯と受けていない母子世帯の公平性の確保のためだという答弁まで行ったわけであります。

 つまり、相対的貧困率が五割を超えるような一人親世帯全体の貧困状況をそのままにして、不公平だからと生活保護の母子加算を全廃した。これに対して、全国各地で、母子加算の復活を求めて、審査請求を経て行政処分取り消し訴訟が提起されることになりました。そして、実は、母子加算を全廃して五カ月後の総選挙で自公は大敗をし、政権から転がり落ちるという結果になりました。

 総選挙の結果誕生した民主党政権は、二〇一〇年四月一日に、全国生存権訴訟原告団及び弁護団と基本合意書を取り交わし、生活保護の母子加算を復活させました。

 この基本合意の一方の当事者である厚生労働省に聞きますけれども、この基本合意書では、一項目めに何を約束しておりますか。

村木政府参考人 お尋ねの二〇一〇年四月一日の基本合意書の一項目めを読み上げさせていただきます。

 「国(厚生労働省)は、母子家庭の窮状にかんがみ、子どもの貧困解消を図るために復活した母子加算については、今後十分な調査を経ることなく、あるいは合理的な根拠もないままに廃止しないことを約束する。」以上でございます。

宮本委員 今厚生労働省も認めたとおり、ここには二つの大事なことが書き込まれております。一つは、母子加算は子どもの貧困解決を図るために必要な施策だから復活するのだということ、二つは、自公政権による母子加算の廃止は、十分な調査を経ることもなく、合理的な根拠のないものだったという認識、こうだと思うんですね。

 そこで、村木局長に改めて聞きますが、この基本合意は、たとえ政権がかわっても当然引き継がれるものだと思いますが、間違いありませんね。

村木政府参考人 御指摘のとおり、この合意は前政権下で取り交わされたものではございますが、子どもの貧困防止に取り組むことの重要性、そういったことへの認識は、厚生労働省としては変わるものではございません。

宮本委員 そこで、自公の政権のことを今論じてきましたが、あなた方の後を受けて誕生した民主、社民、国民新党の連立政権は、政権交代直後の九月九日、連立政権樹立に当たっての政策合意を取り結びました。子どもの貧困解消のために、生活保護の母子加算の復活とともに、子ども手当の創設を盛り込んだんです。

 しかし、その財源を、扶養控除の廃止による増税で捻出しようとしたため、子どものいない家庭には増税だけが押しつけられる結果になったのを初め、子どもがいる家庭でも、子ども手当が満額支給されなければむしろ増税になるということも指摘をされてまいりました。

 その後、民主党政権は、東日本大震災を受けて子ども手当の満額支給を断念、二〇一一年八月の民主、自民、公明の三党合意によって、子ども手当は廃止し、児童手当を拡充することが決められたわけであります。

 これは大臣に聞くんですが、結局、民主党政権による政権交代と、その後の、あえて言いますが迷走、そして最終的な民自公三党合意路線の意味することは、民主党が子ども手当の財源のためという口実で国民に増税を押しつけたあげく、あなた方、自公がばらまき三K攻撃を徹底して行い、とうとう子ども手当を潰してしまった。すなわち、差し引きすれば増税だけが残ってしまったということになっているんじゃありませんか、大臣。

森国務大臣 子ども手当は、控除から手当へという考え方に沿って行われまして、民主党政権のもとで、今委員御指摘のような制度設計のもと、扶養控除の廃止により、結果的に手取り額が減少する世帯も生じたと承知しております。

 私は、先ほどの自殺問題について、二度の政権交代を経てもずっと継続的に行われてきたことで一定程度の効果が出たということを見ますと、やはり特に社会的弱者に対する施策というのは急激に変えてはいけない、もちろん不断の改革が必要ではございますが、急激に変えてはいけないというふうに、慎重に行わなければ、やはりこのような矛盾が生じてしまうのだというふうに思います。

 現在は、平成二十四年三月の三党合意に基づきまして、児童手当法一部改正法、行われましたけれども、その附則で、御指摘のようなことに関して、子育て支援に係る財政上または税制上の措置については、児童手当の支給並びに扶養控除の廃止による影響を踏まえつつ、そのあり方を含め検討を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずるというふうに規定されておりますから、やはりこのような、ころころと政策が変わることによって国民に負担が生じている部分については、政府として、与党内での議論等も踏まえまして、しっかりと対応してまいりたいと思います。

宮本委員 当然の認識だと思うんですね。

 もちろん、最初に相当社会保障を削るという方向を打ち出されたのは自公政権だったということを私は冒頭申し上げました。それで、国民の期待を担って政権交代というのが起こった。しかし、例えば子ども手当が満額二万六千円になっていれば、それはそれとして、増税分と差し引きしてもプラスになったんですが、結局、今大臣おっしゃったように、政権交代が繰り返されることによって、かえって余計に問題が悪くなった一例だと本当に私は思うんですね。

 それで、三月二十九日の超党派の院内集会では、自民党や民主党から、子どもの貧困対策法案を国会に提出する、こういう準備をされているということが話されておりました。主催団体の一つ、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの方々からも私も御要望をいただきました。私も、そうした団体とともに、党派を超えて、実効ある子どもの貧困対策法の成立のために力を尽くしたいと思います。

 そこで、大臣に聞くんですけれども、この子どもの貧困対策法の実効性を担保するためには、数値目標は不可欠だと私は思うんですね。政府が子どもの貧困をなくす数値目標を決め、いつまでにその目標をやり切るのかという具体的なアクションプランを持って進めてこそ実効性も担保できると思うんですけれども、大臣の御認識をお伺いいたします。

森国務大臣 自由民主党初め各党において議員立法として子どもの貧困対策法案を検討しているということは伺っております。貧困の連鎖を断つために政治として何をすべきかということは、当然に考えていかなければならない課題であると思います。

 御指摘の数値目標については、いろいろな御意見があるというふうに伺っております。例えば、子どもの相対的貧困率は可処分所得のみで算出されているため、資産の保有状況が全く反映されず、これだけで貧困の状態の全てをあらわすことはできないという御意見とか、学習支援や保育といった子どもに対する現物サービスの充実などが貧困率の改善につながらないなどの御意見があると承知しております。

 いずれにしましても、先ほどのような、貧困率は世界で十九位ということで、また一人親家庭の子どもの貧困率が大変高いということはゆゆしき問題であると思っておりまして、政府としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 私は、一つ常日ごろ思っておるのは、一人親家庭のもう一人の親が、お亡くなりになった場合は仕方ないのですが、生きておられる場合の養育費の支払いというのが、先進国の中で、日本は大変低いのでございます。私が弁護士として裁判所で約束しても、すぐに支払わなくなってしまいます。また、支払っている場合の平均月額も四万円と、大変低いのでございます。

 そういった親としての認識、支払い義務というものも政府としてしっかり促すと同時に、この子どもの貧困問題についてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

宮本委員 おっしゃるとおりで、養育費の支払い、よくないんですよ。だから、場合によったら、政府が立てかえてお渡しして御当人から取るというような制度も含めてちゃんと考えないと、本当に約束が守られないという状況があると思います。

 それで、社会的な養護を必要とする子どもたちへの施策の拡充も極めて大事だと思うんですね。

 これも厚生労働省に数字を確認しますけれども、全国の児童養護施設で高校卒業を迎えた子どもたちのうち大学進学者は何名いるか、お答えいただけますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年の五月一日現在でございますけれども、高校などの卒業生千五百四十三人のうち、大学等へ進学した方は百六十九人でございます。

宮本委員 千五百四十三人のうち百六十九人と、わずか一一%ですね。高校卒業者全体の大学進学率が五〇%台であるのと比較しても、進学率の低さが際立つわけでありまして、二〇一一年に東京都が発表した調査では、そのわずか一一%の狭き門をくぐり抜けて大学に進学しても、その二割が退学してしまっていることが明らかになっております。理由は、アルバイトとの両立ができない、心身のストレス、病気、学費等の負担が大きかったなどが挙がっております。

 大臣も御存じのように、児童養護施設は十八歳で出なければならなくなります。大学進学を考えると、親に頼ることもできず、学費も家賃も生活費も全て自分で工面しながら勉強を続けなければなりません。

 院内集会では、児童相談所の一時保護所で過ごしてきた子どもの訴えも聞きましたけれども、子どもたちが安心して過ごせる施設にしていくことと同時に、施設を出てからも学び続けられる、自立して生きていけるような支援体制の必要性を痛感いたしました。

 大臣、大学進学を支援し、貧困の連鎖を断ち切るためにも、社会的養護を必要とする子どもたちが児童福祉法上の十八歳を超えてもきちんと自立して生活できる支援が必要だと思うんですが、最後に大臣の決意をお伺いして、質問を終わります。

森国務大臣 私自身も、中学を出てから、学費も食費も生活費も自分で稼いできましたので、本当に、体もぼろぼろになり、アルバイトとの両立も大変な思いをしておりました。

 そのときに、私は大学の寮に入っておりましたので、寮に入っている同級生たちはやはり皆さん、一人親家庭の方や、それから両親のいない方もおられて、大変苦労していましたが、一つ寮の下で皆で助け合って生活をするということで、やはり家庭生活にかわる精神的な安定というものは育まれていったと思います。

 そういう経験から申しましても、社会養護のもとで育ってきた子どもたちが十八歳を超えてから円滑な社会生活または学校生活を営むことができるような、自立援助ホームの拡充や奨学金事業の充実などにより、施設を退所した後も引き続き子どもを受けとめて、支えとなるような支援の充実を図ることが必要であると思います。

宮本委員 終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、輿水恵一さん。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 私の方からは、学校のいじめの撲滅の対策の推進について伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。

 全ての子どもにとって、学校は、安心で安全で楽しい、こんな場でなければいけない、このように思います。保護者にとっても、学校において子どもの心身が守られ、笑顔で元気に子どもが学校に通うことが何よりもの喜びである、このように思います。

 その学校にあって、いじめは、あってはならない問題であります。いじめの撲滅対策は、全ての学校教職員らが、みずからの責任、みずからの問題として真剣に受けとめ、徹底的に取り組むべき課題であります。

 いじめを撲滅するためには、いじめの兆候を早目に発見し、適切に対応していく、そういったことも必要でありますが、教職員が、児童生徒のそういった悩みをしっかり受けとめる、そういった心の余裕、日ごろから個人の人権を尊重して児童生徒との信頼関係をしっかり築いていく、こういったことが必要なのかなと思います。

 その一方で、教職員は、仕事をたくさん抱えていて、自分自身も余裕がなくなって、なかなかそこまで気が回らないケースもあるように伺っております。

 そこで、このような中で、いじめに適切に、また丁寧に対応するためには、スクールカウンセラーのようなしっかりとした専門家の配置、また育成を早急に進めて、丁寧な対策をとっていくこと、このことが必要だと思いますが、当局の見解を伺いたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 いじめの問題につきましては、子どもたちに寄り添って、先生方が早期発見、早期対応に努めるということ、あるいはまたカウンセリングマインドを持って子どもたちに寄り添うということも大事でございますけれども、先生御指摘のように、児童生徒がいじめなどの悩みを速やかに相談できるように、スクールカウンセラーなどによる教育相談体制を整備することも重要な課題でございます。

 文部科学省といたしましても、これまでも、スクールカウンセラーなどを配置する都道府県に対しまして補助を行ってきております。

 平成二十五年度予算案におきましては、スクールカウンセラーを公立中学校に全校配置すること及び公立小学校の六五%に配置可能な経費を計上し、より一層の配置の拡充を図ることとしております。

 また、そのほかにも、教員のカウンセリング能力の向上を図るためのスクールカウンセラーによる校内研修を実施する経費を計上させていただくなど、その相談体制の充実につながるよう取り組んでいるところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。ぜひ早急に進めていただきたいと思います。

 ここで、法務省の人権擁護機関では、学校におけるいじめ問題を含むあらゆる人権問題について、人権を擁護するための活動を行っている。その具体的な活動内容といたしましては、一人一人の人権意識を高め、人権の理解を深めてもらうための人権啓発活動、そしてもう一つ、人権侵害の疑いがある案件について被害者からの申告等に基づいて調査を行い、その結果を踏まえて救済措置を講ずる人権救済活動でございます。

 そこで、この法務省の人権擁護機関の今日までの学校のいじめに対する活動の状況についてお聞かせください。

萩原政府参考人 お答えいたします。

 法務省の人権擁護機関では、いじめの当事者のみならず、これを取り巻く子どもたちへの啓発が重要であるという認識のもと、各種人権啓発活動を行ってまいりました。

 また、子どもの人権問題に関しましては、子どもの人権SOSミニレターの配付や子どもの人権一一〇番による電話相談を行うなど、各種の相談窓口を設け、その充実を図り、その広報に努めてまいりました。

 また、さらに、事案によりましては、委員に御指摘いただきましたとおり、人権相談における申告等を端緒に人権侵犯事件として立件して調査を行い、適切な措置を講じているところでございます。

 こういった事案の中には、生徒からの相談をきっかけに、それまで学校が把握していなかったいじめが明らかとなって、法務局が学校に働きかける、こういう事案もございます。

 いじめに関するそういった人権相談件数や人権侵犯事件の数はここ数年増加しておりまして、学校におけるいじめを初めとする子どもの人権問題の対応は重要な課題となっております。

 また、教育再生実行会議の第一次提言において、いじめられている子を社会全体で守っていくために、学校等と関係機関の緊密な連携体制の構築が求められているところでございます。

 そこで、こうした状況を踏まえまして、本年四月二日付をもちまして、法務省の人権擁護機関と学校等との連携強化の文書を発出し、今後さらに学校等子どもの教育に携わる機関との連携を強化するとともに、先ほど申し上げました子どもの人権SOSミニレターや子どもの人権一一〇番を紹介するポスターの掲示を学校に依頼するなど、学校における法務省の人権擁護機関の広報を充実させることといたしております。

 こういった人権啓発活動、人権相談、そして人権侵犯事件の調査・救済活動の実施に当たりましては、学校等関係機関との連携を強化し、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 ここで、スクールカウンセラーによる聞き取りや励まし、また、教職員との連携だけでは解決できないような、そんな案件、こういったものに対して、まさに人権擁護機関の支援が非常に有効である、このような実態もあると思います。

 学校において心身が守られ、笑顔で元気に子どもが通うことができるようにするためには、早急に、今もその動きはあるんですけれども、このスクールカウンセラー等と人権擁護機関がもっとしっかり連携をとりながら、徹底的に、人権侵犯の問題等があれば速やかに対処しながら、また、その連携の中で、いじめをいかに撲滅していくか、取り組むべきだ、まさに森大臣の腕の見せどころかなと思いますが、大臣の所見をお聞かせ願えますでしょうか。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、いじめ問題については、学校だけでなく、関係機関が緊密に連携して、子ども一人一人に対するきめ細かな支援を行うことが必要であります。

 内閣府では、スクールカウンセラーや人権擁護機関の職員を初めとした連絡会議を開催しております。この青少年相談機関連絡会議では、関係機関、団体の連携体制のあり方や相談機能の充実強化のための方策について、各機関が対応した具体的な事例をもとにした検討などを行って、それぞれの機関、団体の相談活動の充実を図っています。

 平成二十四年度に全国で三カ所行われておりましたが、平成二十五年度の当初予算で、私の方でさらに充実させまして、全国六ブロックで開催するように予算を要求しているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 学校等におけるいじめで、先ほどの人権侵犯事件、こういったことになるときには、実は、学校側の安全配慮義務を問い、学校長等を相手にする、そういったことになるわけですね。となると、なかなか、スクールカウンセラーさん等がそこで連携をとるのも、最後は学校長を相手にすることになるという部分では戸惑うこともあるかと思うんです。

 しかし、一番大事なのは、いじめられている子どもを中心に、子どもを守る、そういった視点が必要になると思います。スクールカウンセラーさん等もそういった活動ができるような配慮も必要かと思うんですけれども、大臣の決意を伺えますでしょうか。

森国務大臣 まさに、横串を通している私の方で、それぞれの機関の役割を認識しながら、一番大切なことは、子どもにとってよりよい結果が出るようにしていくことでございますので、御指摘のようなスクールカウンセラーさんの置かれた立場、環境を踏まえまして、人権擁護機関がしっかりとその機能を果たせるようにいたしてまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。よろしくお願いいたします。

松島委員長 次に、宮川典子さん。

宮川委員 自由民主党の宮川典子でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 今各委員の先生方から諸々事例についての御質問がありましたので、私は、今回、大臣が述べられた所信表明について、大局的な質問を少しさせていただきたいと思います。

 質問は三点でありますが、まず一点は、青少年問題にかかわる理想と現実、そして、青少年問題に関してどんな環境整備をすればいいのか、そして三点目は、少し視点を変えまして、青年リーダーを育成していく啓蒙の今後の方針について質問をしたいと思います。

 先日森大臣が述べられた所信表明演説の中で、私は大いに共感した文面がございます。日本の将来を担う青少年は国の一番の宝です、青少年が健やかに成長し、将来の結婚や家庭に夢を持ち、そして円滑な社会生活と幸せな家庭生活を営むことができるよう環境を整備し支援することは我が国の将来に大きくかかわることでありますというこの一文には、大変深く共感しております。

 しかしながら、私は教師として、青少年、特に子どもたちと深くかかわる中で、私たちが持っている恒久的な理想と青少年が置かれている現実というのは大きく違っているのではないかなと思います。

 私は、五年、教師として教鞭をとっておりましたが、その間に二人、生徒を自殺で亡くしております。

 皆様に配付してあります資料一枚目をごらんください。

 まさか私は、自分が教師になって、自分がきのうまで教えていた子どもが自殺をして、自分よりも先に命も落としてしまうことがあるとは想像だにいたしませんでした。その二人の生徒は、二人とも中学三年生、十五歳の男の子と女の子でありました。一人の女の子は、私が三年間学年を持った学年の子どもでありました。その当時の、最期の顔を見たときのことをいまだに忘れることができません。

 しかし、その子たちが、社会に恨みを持つわけでもなく、今、厳しい日本の社会の中で、自分たちにはまだ生きていく力がない、真っ暗に見える社会の中を自分は切り開いていく自信がないと言って、命を絶ってしまった。その十五歳の訴えの答えを見つけるために、自分はこうして政治活動をしていると思っております。

 私たちは、こうして大人として理想を持って、そして子どもを大切にしなければいけない。どの大人も同じ思いを持っていると思います。しかしながら、理想と現実が違う。このことについて、大臣、どのようにお考えなのか、そして、これからそれをどうしていかなければいけないのか、この部分について、思いをお聞かせ願いたいと思います。

森国務大臣 宮川委員の教師としての御経験に基づくお訴え、大変心に響きました。

 子どもたちの幸せな人生を私たち大人がつくっていかなければならないと思っております。その中で、委員が御指摘のとおり、理想を現実に近づけるために、現状をしっかり的確に把握しなければならない、子どもたちの置かれている状況をしっかり大人が見てあげなければいけないということは、私も意識を共有しております。

 各種統計調査などから捉えられる数値が子ども・若者白書に載っておりますけれども、それのみならず、さらに、青少年が現に直面している状況を的確に把握し、大人社会の都合からの視点ではなく、何よりもまず青少年の立場に立って、現在の生活の充実と将来の成長の両面を支援していくことが必要であると認識しております。

 そういった意味で、内閣府では、全国から募集した中学生以上の青少年から特定の問題について意見を求める、子どもたちの生の意見を求めます青少年意見募集事業を行っております。また、青少年の育成や支援を行う民間団体からのヒアリングも行っております。こうしたさまざまな取り組みによって、青少年に寄り添って、青少年が置かれた現状や青少年自身の意思の把握に努めてまいります。

 どうか、教師を務めてこられた宮本委員の御経験に基づくよりよいアイデアがございましたらまたお寄せをいただいて、引き続き、青少年の声にしっかりと耳を傾けて、青少年育成施策に反映してまいりたいと思います。

宮川委員 ありがとうございます。

 私が考えるに、青少年にかかわる問題というのは、社会全体の構造と切り離すことのできないものだと思っております。例えば、児童虐待であれば家庭環境であるとか、いじめ、体罰の問題、また不登校や未就学の問題というのは学校環境の問題、そして、ひきこもりや未就労の問題は社会全体の経済状況とも深くかかわっております。

 もし内閣府が全ての政策また省庁に横串を刺すことができる存在であるならば、この社会全体の構造とかかわる青少年問題に対して、対症療法的ではなく根本的な解決をするためにどのような環境整備が必要なのか、そして、政府として今後どのような対策をされていくのか、御所見を伺いたいと思います。

森国務大臣 初めに、先ほど宮本委員と言い間違えて、申しわけございませんでした。宮川委員というふうに訂正をさせていただきます。

 次世代を担う青少年を育成することは、我が国の将来にかかわることで、大切な重要課題であり、御指摘のように、社会全体の状況と密接に関連している問題でございます。

 青少年育成施策では、一人一人の子どもや若者が、社会とのかかわりを自覚しつつ、自尊感情や自己肯定感を育み、自立した個人としての自己を確立することを目指しています。また、社会との関係では、適応するのみならず、みずからの力で未来の社会をよりよいものに変えていく力を身につけることができることを目指しています。

 子どもや若者が成長、発達するための基礎づくりの支援として、一つ、良好な家庭的環境の確保や大人社会のあり方の見直しなど、子どもや若者を取り巻く状況の改善を図る。二つ目に、豊かな人間性の育成、基本的な生活習慣の形成、体力の向上、基礎学力の保障などに取り組んでまいりたいと思います。さらに、自立した個人として必要な知識、能力、社会性やリーダーシップを育むため、社会参加や体験活動などの能動的な活動の機会の確保、充実、または、みずからとは異なる文化に接し理解を深めるための活動、キャリア教育、職業教育の充実にも取り組んでまいりたいと思っています。

宮川委員 ありがとうございます。

 それでは、最後に一点、視点を変えて御質問したいと思います。

 東日本大震災を経て、この時代に生きる青少年というのは、私たち世代が得られなかった何らかの大きなメッセージを受け取っていると、私は、被災地に三十回以上ボランティアで入り、教育支援をしてきて感じております。

 例えば、自然を前にすると人間は無力であるとか、生命の危機がすぐそこまで来るというのが現実問題としてある、また、家族やたくさんの人を亡くして深い悲哀を感じる等、非日常の生活というのがそこにあったかというふうに思います。

 しかし、それを感じたからこそ、私は、その子どもたちがきっと新しい時代を切り開く青年リーダーになってくれるというふうに信じております。

 被災地の子どもたちのみならず、この世代の子どもたちが、今何か自分たちがしなければいけないんだと動き出しているさまざまな民間の活動もあります。

 我々政治として、これから青年リーダーの育成の啓蒙活動をどのように進めていくのか、そして、次世代を担う青年リーダーとはどういう人材を想定しているのか、ぜひ最後に御所見を伺って、質問の終わりとしたいと思います。

森国務大臣 私、常々いろいろな場所で申し上げているんですが、私も被災地福島県でございますけれども、子どもたち、大変強いです。元気いっぱいです。私たち大人の方が勇気をいただいているような感じがいたします。

 危機的な状況に対面した、そういう経験をした人間というのは大変その後伸びていくというふうに思っておりますので、被災地だけでなく、東日本大震災というものを体験した日本の子どもたちというのはこれから驚異的な成長を見せるんじゃないかというふうに期待をしておりまして、将来必ず、日本を背負って立つリーダー、または世界のリーダーが発現するというふうに思っております。

 ただ、その取り巻く環境が、やはり被災地ならではの、親の経済的な不安定であったり、それからさまざまな、地域ごとの大人の社会のエゴのぶつかり合いであったりということで、子どもたちのその伸びる芽を潰してはいけないというふうに思っております。

 下村文科大臣とよく一緒に話すんですけれども、そういう子どもたちの伸びようとしているばねをもっと伸ばすような仕組みを、例えば奨学金とかさまざまな、そういうリーダー教育の機会、また国際社会との関係もそうですけれども、そういったものをしっかり用意して環境を整えてあげようというふうに言っております。

宮川委員 質問時間が少し超過いたしました。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十七分散会


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